衆議院

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第2号 平成17年10月6日(木曜日)

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平成十七年十月六日(木曜日)

    午後三時二十八分開議

 出席委員

   委員長 赤城 徳彦君

   理事 近藤 基彦君 理事 平沢 勝栄君

   理事 水野 賢一君 理事 宮路 和明君

   理事 渡辺 博道君 理事 松木 謙公君

   理事 松原  仁君 理事 池坊 保子君

      猪口 邦子君    小野寺五典君

      鍵田忠兵衛君    笹川  堯君

      薗浦健太郎君    高木  毅君

      根本  匠君    福井  照君

      松浪 健太君    渡部  篤君

      荒井  聰君    北橋 健治君

      西村 真悟君    西村智奈美君

      漆原 良夫君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   衆議院法制局第一部長   柏熊  治君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題連絡・調整室長)

   (内閣府拉致被害者等支援担当室長)        江村 興治君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局次長)   山内 千里君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 深田 博史君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (海上保安庁交通部長)  枡田 一彦君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十六日

 辞任         補欠選任

  中井  洽君     北橋 健治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

赤城委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、第四回六者会合について、政府から説明を聴取いたします。町村外務大臣。

町村国務大臣 第三次小泉内閣において、再度外務大臣を拝命いたしました町村信孝でございます。

 衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の開催に当たり、赤城委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げますとともに、この機会に、先般、中国の北京において行われた第四回六者会合について御報告申し上げます。

 今回の六者会合は、去る七月二十六日から八月七日まで行われた後、休会を挟んで再び九月十三日から十九日まで行われました。昨年六月に行われた第三回六者会合以来一年一カ月の中断を経てようやく再開されたものであり、休会期間も含めれば二カ月近くに及ぶマラソン交渉となりましたが、最終的に、六者が達成すべき大きな目標を示す共同声明に合意することができました。この共同声明は、一昨年八月に始まった六者会合として初めての合意文書であり、関係各国の間の精力的な交渉の成果を反映するものであります。

 共同声明の中で、北朝鮮は、すべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な廃棄を初めて約束しました。これは、今後、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現する上での重要な基礎となるものです。今後は、今回の合意を迅速かつ着実に実行に移していくことが重要であり、そのために、関係六者が引き続き建設的に対話を進める必要があると考えています。

 また、共同声明においては、六者会合の最終的な目標の一つとして、日朝及び米朝の国交正常化が明確に位置づけられ、日朝関係については、懸案事項を解決することを基礎として国交を正常化する旨の文言が盛り込まれました。このことは、すべての六者会合参加国が、拉致問題を含む懸案事項の解決の重要性を確認し、その上で日朝国交正常化を共通の目標として位置づけたことを意味するものであり、今後の拉致問題への取り組みにおいても極めて重要で意義のあるものと考えます。

 十一月初旬に北京にて行われる予定の次回会合では、今回の共同声明を実施に移すための具体的方途、特に廃棄等の手順や検証の問題に関する協議を進めていく考えです。我が国として、引き続き米国との緊密な協力を図りながら、関係各国との間で建設的な対話を進め、朝鮮半島の非核化、拉致問題を含む日朝間の諸懸案の解決を踏まえた日朝国交正常化、そして、北東アジアの平和と安定という大きな目標達成のために、最大限努力していきます。

 なお、今般の六者会合の期間中、特に休会明けの九月十三日以降は、日朝間の接触、協議が連日にわたり行われました。その中で、我が方より、拉致問題につき、生存者の帰国、安否不明者の真相究明、拉致実行犯の引き渡しを再度強く求めた上で、このままでは厳しい対応を求める声が日本国内でますます強まる旨を伝え、北朝鮮側の真摯な対応を改めて促しました。また、拉致問題を含む諸懸案を早期に解決するために、日朝の政府間協議の再開に速やかに応じるよう申し入れを行ったところ、北朝鮮側からは、団長の金桂冠外務副相を通じて、日朝政府間対話の再開に同意する旨の回答を得ました。政府間対話の日程や場所等の詳細については、現在、双方で調整を行っているところです。

 政府としては、できるだけ早期に政府間対話を実施し、諸懸案の解決を目指したいとの考えであり、特に拉致問題については、一日も早く具体的な成果が得られるよう、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。赤城委員長を初めとする本委員会の委員の皆様の御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

赤城委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房拉致問題連絡・調整室長、内閣府拉致被害者等支援担当室長江村興治君、防衛庁防衛局次長山内千里君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房参事官深田博史君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、海上保安庁交通部長枡田一彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野賢一君。

水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。

 さて、六者協議が開始をされて二年余りたって、今回初めて共同声明が採択をされることになりました。その点で、核問題に関しては一歩前進をしたという見方もあり得るかもしれません。もちろん、これは今後詰めなければいけないことがたくさんあるわけですし、その結果を見て、本当の前進だったのか否なのかは判断されると思いますけれども、核問題に関しては一つの動きはあったということは言えるかもしれません。

 さて一方、しかしながら、拉致問題に関しては一向に解決に向かっていないのではないかというふうに言えると思います。この六者協議もしくは核問題の陰に隠れて拉致問題が忘れられてしまうのではないか、もしくは風化してしまうのではないかという懸念は多くの関係者が持っているところだと思いますし、私自身も、この拉致問題というのは重大な主権の侵害であり、重大な人権の侵害であり、決して許すことのできない犯罪行為である、そうした認識に立って、本日は、拉致問題、とりわけ経済制裁、こうした問題について質問をさせていただきたい、そのように思っております。

 さて、昨年末に北朝鮮が横田めぐみさんの遺骨と称するものを提出してきました。そして、それを鑑定した結果を受けて、にせものだということが明らかになって、それを受けて、政府は、迅速かつ誠意ある対応がない場合には厳しい対応をとらざるを得ないということを細田官房長官も会見で言明しておったわけであります。

 その後、それから約一年近くがたっております。では、その後、北朝鮮から何らかの誠意ある対応というものがあったのか、お答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘のような経緯でありました。

 現実に、この六者協議の場以外で、少なくとも公式的に、北朝鮮から、ことしに入ってから、そうした対応というのはございませんでしたが、六者会合の際に、先ほど申し上げましたが、我が方から拉致問題につき問題を提起したわけでございます。それの結果、二国間の協議を再開しようということになってまいったわけでございまして、したがって、これまでのところ、安否不明の拉致被害者に関する北朝鮮側の対応が、迅速かつ誠意ある、納得のいくものであったかどうかという御質問に対しては、それはそうではなかったと言わざるを得ないのが現実の姿でございます。

水野委員 そうした誠意ある対応が迅速に行われない場合には厳しい対応をとるということを官房長官もおっしゃり、政府としてのそういう姿勢だったというふうに考えますけれども、では、政府は、その後、北朝鮮に対して何らかの厳しい対応というものをとったのでしょうか。

町村国務大臣 これまでのところ、政府として、いわゆる経済制裁、外為法とか特定船舶入港禁止特別措置法の発動、こういったことは行ってきていないわけでございますけれども、国際場裏を通じての北朝鮮へのメッセージ、例えば国連人権委員会におきます人権決議の採択、ことしも四月にこの決議を採択いたしました。また、G8首脳会談の成果文書につきましても、毎年、ことしのグレンイーグルズにおきましても、総括文書の中で拉致問題に言及をするといったようなこと、あるいは、これも従前からやっているわけでございますけれども、北朝鮮の麻薬取引とか通貨偽造、こうした北朝鮮による不法活動への対応を、特に日米の関係省庁の担当者がよく相談をしながら、対策会議も開きながらその対応を強化するといったようなこと、あるいは厳格な輸出管理をやる、その中には、いわゆるポートステートコントロールという、昨年の七月以降、条約改正に伴って強化をした対応といったようなことなどを通じまして、北朝鮮に対する圧力というものを粛々とかけている、こういう状態でございます。

水野委員 今、人権決議だとか麻薬取引の問題、通貨偽造に対して、もしくはPSCなどを通じて厳しい対応をとっているというようなお話がございましたけれども、明らかに、昨年の十二月に官房長官が厳しい対応をとると言ったときというのは、前後の文脈から考えて、これは経済制裁、すなわち特定船舶入港禁止法の発動もしくは改正外為法の発動など、それを含んで言っていたわけですね。というのは、前後の文脈から考えても、当時、外務大臣御自身もいろいろな場で、経済制裁を含め適切に判断をしていくとか、経済制裁は選択肢の一つというふうなことをよくおっしゃられていたわけですね。

 そういう文脈から考えると、当然のこと、政府がそのときに言っていた厳しい対応を北朝鮮にとるというのは、経済制裁を発動するということ、これは全面的な発動や部分的な発動、いろいろな発動の仕方はあるでしょうけれども、経済制裁の発動ということがあったと思うわけです。では、何ゆえ、そのときはそういうことをほのめかしていながら、この経済制裁を発動していないのか、その理由を伺いたいと思います。

町村国務大臣 経済制裁は現在でも、もとより圧力の一つの有力な手段であるという考え方は変わってはいないわけでございます。タイミングとか、どういう方法、どういう中身の制裁をするか、圧力をかけるかということは、その効果との見合いで今いろいろ考えるべきであろう、こう思っております。

 特に、ちょうど昨年来からこの六者協議の話が同時並行的に進行しておりました。そうした状況をも踏まえながら、私どもとしては、日本単独での制裁という手段を今とることが必ずしも最適ではなかろう、こういう判断をしたものですから、先ほど申し上げました対応を取り続けてきたということでございます。

水野委員 そうすると、昨年政府が言っていた、すなわち、北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をとらない場合には厳しい対応をとるというふうに言っていたことというのは何だったのかということになるわけですよね。

 そのときに、政府側は確かに期限は設定をしておりませんでした。何月までに回答がない場合には、誠意ある対応がない場合には発動するとか厳しい対応をとるというような、そういう何月という期限は設定していませんでしたね。

 その前後に、これは外務省のホームページにも出ていますけれども、外務大臣が、具体的な期限、時間というものを切っていないではないかという記者の質問に対して、大臣御自身、期限ということに対しては具体的には切っていないけれども、常識の範囲というものがあるというお答えをしているんですね。これは今の外務省のホームページにも載っております。

 そうすると、常識の範囲ということで考えても、一年近くたっている。この間に相手側から誠意ある迅速な回答というものがない。常識的に考えて、迅速という限りは、数カ月という範囲の中で回答があるのが当然だと思うんですね。それにもかかわらず、北朝鮮から一年近くたっても回答がない、誠意ある対応がないという中で、しかし、厳しい対応をとらない、制裁を発動しないというのは前の言葉と矛盾すると思うんですけれども、いかがでしょうか。

町村国務大臣 先ほど御報告したように、今回の六者会合、七月二十六日から始まりました。したがって、その前何カ月間かはずっと、この六者協議にかかわり、いろいろな議論が行われていたわけでございまして、そうした要素もまた私どもとしては考慮に入れながら、対応というものを考えていくというのは当然のことであろうと思います。

水野委員 私は、そうすると非常にこのことは残念に思うわけであって、去年の段階で、経済制裁ということを選択肢の一つだとか、それを含めて考えるということをあれだけおっしゃっていながら、北朝鮮から誠意ある対応がないにもかかわらず、そのことが現実に行われていないというのは、言葉が軽いのではないかというふうに思いますし、そのときそのときで、弱腰だと批判を受けないために、いわば言葉だけで、制裁を発動するかもしれないよ、選択肢の一つだよということを言っているだけというのは、政府の対応として非常に残念なことだというふうに思います。

 そして、北朝鮮に対しても間違ったメッセージを与えるんじゃないかと思うわけですね。日本側が拉致問題を重視していないんじゃないかというような間違ったメッセージを与えるんではないかと思っております。

 もちろん言葉では、先ほどの大臣の報告にもあったように、北朝鮮側に対して、拉致問題のことは触れているということはわかります。しかし、この経済制裁ということを実際には結局は行わないんだというふうに間違ったメッセージを与え、拉致問題を重視していないんじゃないかというような誤解、それを与えるのではないかというふうに私は非常に残念に思うところでございますけれども、改めてここでお伺いをしたいと思います。

 日本政府として、この拉致問題に関して、北朝鮮から誠意ある対応というものが速やかに行われない場合には、経済制裁を発動するつもりがあるのかどうか、改めてここで伺いたいと思います。

町村国務大臣 これは昨年来から申し上げるとおりの基本姿勢において変わりはないわけでございます。

 そして、今委員が、日本が、国民が、日本政府が拉致問題を重視していないという間違ったメッセージを先方に伝えることに結果としてなるのではないかという御懸念を示されましたけれども、かかる懸念は全くないどころか、むしろ日本がこの拉致問題というものに大変な最大の関心を持っているということは、さまざまな情報から、それは先方が十二分に理解をしているということについては、これはもう間違いなく断言できることだと私は考えております。

水野委員 ここは見解が違うとしか言いようがないんですけれども、拉致問題に関して前進があったから経済制裁を発動しませんよという、これだったらわかるんですね。ところが、今のお話を聞いていても、拉致問題に関しては具体的には前進というのはないわけですよね。その中で制裁について現実に発動していないということは、私は、間違ったメッセージを与えるというふうに思っております。

 さて、今回の六者会合においても北朝鮮側に対しては、先ほどの外務大臣の報告の中で、これは参考人に聞いた方がいいと思うんですけれども、北朝鮮側に、このままでは厳しい対応を求める声が日本国内でますます強まるという旨を伝えたというふうに先ほどの報告にもございました。

 これは、実際に行ってこられて交渉に当たられた方に聞いた方が、アジア大洋州局長に聞くべきところかもしれませんけれども、僕は、この言い方というのはちょっと弱いんじゃないかと思うんですね。このままでは厳しい対応を求める声が国内でますます強まるという言い方というのは、いわば人ごとみたいな話なわけですね。実際に経済制裁を発動するかどうかというのは政府が行うわけですね。政府が決断するわけなんですよ。特定船舶入港禁止法にしても、改正外為法にしても、これは閣議決定とかを経て政府が実際に発動するわけですから、政府の意思として発動するぞということというのは伝えたんですか。

 この表現だと、国内でそういう声が起きてきちゃいますよというようなことは北朝鮮側に伝えたということはわかりますけれども、政府自身がやるぞという、その気概というものを示したのかどうか。その辺、佐々江さんに伺いたいと思います。

佐々江政府参考人 先般の日朝間の協議におきましては、私の方からこの問題について、特に昨年十二月以来一切進展がないということについて、これは極めて遺憾である。したがって、この問題が進展なければ日朝関係の全体の進展もないんだ、そういう文脈の中で、この問題について、拉致問題について進展がないということについて日本の朝野において非常に厳しい声が上がっている、その声はますます強くなっている、そういう中で日本政府の立場は御存じでしょう、厳しい措置ということがあるんですよということは、私は伝えていると思います。

 厳しい措置を日本として今とるということは言っておりませんが、そういう中に、我々はずっと検討している状況の中にあるのだ、そういうメッセージは向こうにしっかり伝わっていると思います。

水野委員 これも大臣でも局長でも結構なんですけれども、共同声明に拉致という文言は入っていないんですね。もちろん諸懸案というようなことの中には拉致は含まれるという解釈なんでしょうけれども、この拉致という文言を共同声明の中に入れられなかった、これで十分だというふうにお考えでしょうか。

佐々江政府参考人 御承知のように、この六者協議の合意文書というのは、交渉の結果として出てきたものでございます。

 この交渉のやりとりをめぐっては、我々は、北朝鮮との間で、日朝平壌宣言に基づいて日朝間の諸懸案を処理する、そして過去を清算して国交正常化をする、そういうことが基本であって、その中に、当然のことながら、その諸懸案というのは、日本にとって最も重大な諸懸案というのは拉致問題であるということは、交渉のやりとりで極めて明白になっているわけでございます。

 他方、全体の中でどこまで個別具体的な問題に言及するかということは、交渉上の結果そういうふうになったというふうに御理解いただきたいと思います。

水野委員 交渉の結果だから、それは日本側が要望するものが全部入るわけじゃない、これはある意味ではわかりますよ。しかし、そのことを言えば、例えば北朝鮮側の具体的に求めていたものというのは、軽水炉がありましたよね。これは具体的な軽水炉という文言も共同声明の中に入っているわけですよね。漠然とエネルギー支援ということが入っているだけじゃなくて、軽水炉という極めて具体的な話まで北朝鮮が求めているものは入った。

 しかしながら、日本側の求めていたものは、具体的な拉致という文言は入らないで、諸懸案という極めて茫漠とした中で、それは前後の経緯を考えればわかるでしょう、そういうような形になってしまった。これで十分な結果だったというふうに、満足できるというふうにお考えなのかというふうに聞いているんです。

佐々江政府参考人 いずれの交渉でもあると思いますけれども、完全に我が方が満足する交渉結果というのはないと思います。私も、今の案文にすべて満足しているかといえば、満足していないというふうに思います。

 しかしながら、与えられた環境、状況の中で、二国間の問題をまずこの六者という多国間の場で持ち出してそれを認知させるという、ここに我々の最大の交渉の目標があったわけでございまして、その中で、先生おっしゃられるように具体的に書き込めれば私もベストだったと思いますけれども、そういう意味で、不十分だと言われれば、それはそういう評価もできるかもしれませんが、この問題について言えば、北朝鮮も含めて、他の五カ国すべてが日朝間の諸問題について、これは本会議の場でも申し述べましたけれども、日本政府は、何度も拉致問題に言及して、この問題の解決が必要だということを言っているわけでございまして、そのことについて何ら誤解のあるようなことはないというふうに思っております。

水野委員 この点は、おっしゃることはわかることはわかるんですけれども、今後も毅然とした姿勢でこの拉致の問題というのを取り上げていただきたいというふうに思います。

 さて、外為法による経済制裁というのは、実は必ずしも特殊なことではない、戦後の日本も何度もやっていることなわけですね。外為法に基づいての、例えば送金をとめるとか貿易に制限を加えるというのは、過去にどういう国々に発動した例があるのか、具体的な国名をお答えください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、我が国がこれまで外為法に基づきましていわゆる経済制裁措置を発動した国等といたしましては、イラク、クウェート、リビア、アンゴラ、ユーゴ連邦共和国、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、リベリア、ハイチ、シエラレオネ、南ローデシア、南アフリカ、ナミビア、イランでございます。

水野委員 今のように、実は経済制裁というのは、日本も多くの国々に対して発動したことがあるわけですね。これは国連決議などに基づいて発動したり、いろいろな理由はあるわけなんですけれども、今の中でも、例えばアンゴラとかナミビアとかシエラレオネというような国々に対してでも発動をした例というのがある。

 では、なぜ、そうした国々に対して経済制裁を発動したにもかかわらず、北朝鮮という、核を開発し、ミサイルを飛ばし、なおかつ拉致問題を起こし、その解決に誠意を見せない国に対して、ちゅうちょする必要があるのか、私はこのことを改めて指摘したいというふうに思います。

 さらに、これは国土交通省に伺うべきだと思うんですけれども、船の入港、万景峰号が二〇〇三年、二〇〇四年にそれぞれ何回日本の港に入港したか。また、万景峰号を含む北朝鮮籍船が何隻二〇〇三年、二〇〇四年入港しているかをお伺いしたいと思います。

枡田政府参考人 御説明申し上げます。

 お尋ねの二〇〇三年及び二〇〇四年の特定港への万景峰号の入港実績並びに北朝鮮籍船舶の入港実績の総数でございますが、二〇〇三年におきましては、万景峰号が十回、同号を含む北朝鮮船舶の入港実績は九百九十二隻となっております。また、二〇〇四年においては、万景峰号が十六回、同号を含む北朝鮮籍船舶の入港実績は一千四十三隻となっております。

水野委員 今のお答えからも明らかなように、これだけ対北朝鮮の経済制裁問題というものを国内で議論をしていても、例えば、今の例が典型だと思うんですけれども、船舶の入港数というもの自体がふえているわけですよね。万景峰号、二〇〇三年には十回だったものが翌年には十六回に、そして全体の船舶も三けただったものが四けたに二〇〇三年から二〇〇四年でふえている。

 少なくとも放置をしていくという中では、これだけ問題になっているにもかかわらず増加をしているというようなことというのは、私は極めてゆゆしいことだというふうに思いますし、だからこそ、せっかく成立をさせた特定船舶入港禁止法もしくは改正外為法という法律を活用すべきじゃないかというふうに私は考えております。こうした法律というのは、乱用をすべきではないかもしれないけれども、宝の持ちぐされにすべきではないというふうに考えております。

 さて一方で、今制裁の話をしているんですが、最近、制裁どころかむしろ支援をすべきだというような声まである、その中で何点か質問をしたいと思います。

 今、軽水炉支援の、軽水炉の話も出てきた。そうすると、支援をすべきだという声も出てくるでしょう。もしくは、軽水炉ができるまでの間に、例えば重油とかその他のエネルギーというものを中継ぎ措置として、経過措置として支援をすべきだというような声というのも、今後ますますもって次回の六者協議などでも出てくるかもしれない。

 さて、ここで外務大臣に伺いたいと思いますけれども、拉致問題が解決をするまでは、日本政府としては、軽水炉の支援もしくはその他のエネルギーの支援というものも行わないということ、実施しない、そういう理解でよろしいでしょうか。

町村国務大臣 これは日本政府としては、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、こうした北朝鮮との間の諸懸案を包括的に解決した上で国交正常化をする、この方針は一貫して持っているわけでございます。その上で、拉致問題の重要性というのは委員先ほどから御指摘のとおりでございまして、一刻も早い解決をしなければいけない、これも当然のことであるわけであります。

 その中で、軽水炉の提供の問題というのが確かに書いてございますが、これはお読みをいただければおわかりのとおり、この共同声明の中で、北朝鮮以外の参加国は、適当な時期に、北朝鮮への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意したと書いてありますけれども、この前提の議論は、北朝鮮がまず信頼のおける国際的な検証のもとで、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄する、同時に、NPTとIAEAの保障措置などを含めて、原子力の利用に関するすべての国際合意及び規範を完全に遵守し、国際社会からの信頼を構築した後に行われるもの、こういうことでございまして、この点についても北朝鮮はいや違うとか何か言っているようでございますが、この点については他の五者は全く同意見であるということでありますから、実は議論の余地がないわけでございます。既に次回十一月からの交渉の前ぶれを早速始めているということでございますが、この点については非常に明快であるわけであります。

 また、対北朝鮮エネルギー支援についてもお触れになられましたけれども、現時点では具体に何も決まっていないというのがあのペーパーから読み取れるわけでございまして、今後の交渉において、北朝鮮が今般のこの約束というものをいかに実施するのかということを踏まえた上で、関係国間で議論、検討していくということに相なるわけでございます。そういう御理解をしていただければ、先ほどの御質問に対する答えになるのではないかと思っております。

水野委員 例えば、日本が経済制裁の議論などをしていても、日本以外の国、特に中国などが北朝鮮に対していろいろな支援を行っているというふうに言われております。その中国から北朝鮮に対しての経済支援というものの実態がどういう状況なのかというのは、どういうふうに外務省として把握していますでしょうか。

逢沢副大臣 中国は、北朝鮮を含めさまざまな国、とりわけ途上国に対して中国の立場で援助をしております。北朝鮮に対して中国が行っております経済支援について、個別の援助について、確かに、具体的に公表されているものもございます。

 例えば、直近で申し上げますと、二〇〇四年の例でいいますと、竜川の爆発事故がございました。その際には、総額一千万元の無償援助を表明しております。あるいは、その前年の二〇〇三年の七月には、エネルギー用のディーゼル油でありますけれども、一万トン無償で提供することを決定したと発表、要人の行き来の際にそういうことを公表する例が多いように見受けられるわけでございます。そのように、個別の援助について公表されているものもあるわけでありますが、必ずしもその全体像が明確になっているとは言い切れない、そのように承知をいたしております。

 あらゆる情報を入手しながら、分析しながら、その全体像をできるだけ的確につかむ努力を政府としてもいたしておりますことを申し添えておきたいと思います。

水野委員 この対話と圧力ということが対北朝鮮外交で言われている中で、例えば圧力をかけていくとしても、中国が一方で支援をしているというのでは、せっかく国際的に圧力をかけるという段になっても、これがいわば露骨な抜け道になってしまうということもあり得るわけですね。

 日本としては、少なくとも、北朝鮮に対して支援をしないでくれというようなことを中国側に働きかけるとか、このことを今までの交渉で取り上げたり、もしくは問題視したり、抗議したりした、そういうようなことというのはありますでしょうか。大臣、お願いします。

逢沢副大臣 先ほど大臣も答弁をいたしましたように、国際場裏において、例えば国連の人権委員会での決議等も含めて、あらゆる国際社会の協力も得る中で圧力をかけてきた、そしてこれからもかけていかなくてはならない、そういう立場に我が国はあるわけでありますが、個別具体的に中国政府に対して、中国が北朝鮮に対して経済支援を行っている、それをすべてやめてほしいといったようなことを申し入れてきた経緯は今までのところはございません。

水野委員 その点に対しては今までないということはよくわかりましたけれども、今後、その点に対して問題提起をしていくというおつもりはございますか。

逢沢副大臣 それぞれの主権国家がそれぞれの立場において外交その他の活動を行っている、それはそれぞれ尊重されるということが大原則であろうかと思うわけでございますが、北東アジアの全体の安全にかかわること、人権にかかわること、そして、とりわけ拉致問題というのは我が国にとって最重要の課題である、そういうことを正しく周辺国に理解してもらう、その必要性が大変重いものであるということは当然のことであります。

 具体に中国に対して近い将来そういうことがあり得るかどうかということについて、今現在、明確に申し上げる状況にはなかろうかというふうに思うわけでありますが、あらゆる状況の変化、可能性、そういうものを否定するものではないというふうに申し上げておきたいと思います。

水野委員 時間でございますので、簡単に最後にしたいと思いますけれども、きょうの韓国紙の中央日報によれば、日本と北朝鮮の政府間対話、これが再開で合意をしていたのが、来週中に審議官級の出席によって行われるというような報道が出ておりますけれども、これは事実でしょうか、いかがか。これは局長ですかね、参考人で結構ですが、だれでも結構です。

町村国務大臣 それは全くの誤報であります。

水野委員 以上です。

赤城委員長 次に、鍵田忠兵衛君。

鍵田委員 自民党奈良一区の鍵田忠兵衛でございます。

 この七月まで私も実は奈良の市長をさせていただいておりまして、今回の選挙で当選をさせていただき、そしてまた、まだまだ右も左もわからない一年生でございます。

 何分にも、国会でこうやって質問をさせていただくのも初めてでございますので、非常に今緊張をしておるところでございます。

 赤城委員長を初め諸先輩の皆様におかれましては、何とぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 この拉致の問題には私もかねてより強い憤りを感じておりました。

 昨日、横田めぐみさんが四十一歳のお誕生日をお迎えになられたわけであります。

 実は、私にも六歳の娘がおります。娘でございます、孫じゃないんですが、非常に私にとってもかわいい娘でございます。もし自分の娘がある日突然いなくなり、そしてまた音信不通になって消息がわからなくなった、こうなってしまうと、本当に胸が痛む思いがするわけでございます。

 御家族の皆さんの本当に悲痛な叫びというもの、これは連日、テレビ等マスコミを通じて放送されておりましたので、私も深く心に刻まれてきたわけでございます。

 粘り強く海外そして政府に対して交渉を続けてこられた御家族の関係の皆様方には心から敬意を表しますとともに、また私も、皆様と同じ気持ちで、国会議員としてこの問題に取り組んでまいりたいと心を新たにしておるところでございます。

 さて、今回の六カ国協議でございますが、協議が進展したと同時に、積極的な交渉が持たれたとお聞きしております。

 実際には、拉致問題について交渉の中で話をすることができたのかどうか、また、今後この交渉の余地があるのかどうかということを、まず外務省の見解をお聞かせ願いたいと思います。

町村国務大臣 鍵田委員のお父様は私と当選同期でございまして、大変に親しく御指導をいただいたという記憶を今でも持っておりますが、また引き続き、忠兵衛先生にもよろしくお願いを申し上げる次第であります。

 先ほどの水野委員とのやりとりの中で申し上げたことと若干重複をいたしますけれども、先般の六者会合の中で、基調演説などの発言の場において、日本は、日朝平壌宣言に基づいて拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案を包括的に解決した上で国交正常化を実現していくという立場は変わっていないということで、この拉致問題ということをこの六者協議の場で明確に提起したわけでございます。

 また同時に、日朝間の話し合いの中で、この拉致の問題につきましては、生存者の帰国、真相の究明、そして拉致容疑者の引き渡しを求めているところでございます。

 こうしたこともありまして、今回の共同声明の中で、これは二国間だけではなくて六カ国の中で確認をされたことであるわけでありますが、日朝双方が、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決するということを基礎として、国交を正常化するための措置をとるというふうに明記をされたわけでございます。

 この懸案事項に拉致問題が含まれることは先ほど局長からお答えをしたとおりでございまして、大切なことは、この六者会合の最終目標の一つとして、懸案事項を解決した上で国交正常化するという位置づけができた。これは二国間だけの話ばかりではなくて、六者全体でそれを確認したというところに大きな意味があったんだろう、私はこう思っております。

 さらに、日朝間で話し合いも、対話の再開をしようということも合意をいたしましたので、改めてこの場を通じて拉致問題の解決を初めとする諸懸案の解決に努力をしていこうというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で交渉の余地はあるんだ、私どもはこのように考えて、今後一生懸命取り組んでいかなければいけない。また、全力で取り組むことこそが、先ほどお話しになられた横田さん御夫妻、お父様、お母様を初めとする御家族の悲痛な思いにこたえる唯一の道であろう、このように政府自身もしっかりと認識をしているところでございます。

鍵田委員 ありがとうございました。

 続いて、今度は、六カ国の懸案でありますKEDO、いわゆる朝鮮半島エネルギー開発機構についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この問題は共同声明をめぐる最大の焦点とされたわけでありますが、北朝鮮が、NPT、核不拡散条約復帰と、そしてまた、IAEA、国際原子力機関の査察を受け入れるという大前提が必要となっております。

 仮にこの二つの大前提をクリアした場合、我が国として、KEDOの再開でいくのか、それとも新たな枠組みでやるのかという問題が残りますが、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。

佐々江政府参考人 お答えします。

 今先生が述べられましたとおり、先般の共同声明におきましては、適当な時期に、軽水炉の提供問題について議論を行うことに合意したということでありまして、この適当な時期ということについての我々の、北朝鮮を除くほかの国々の考え方というのは、先ほど先生が言われましたように、NPTそしてIAEAの保障措置への復帰といったことが前提となるということでございまして、その際に、我々の立場というのは、初めて議論できるのだという立場でございます。

 そもそも、これは提供するということを約束すらしていないということでございまして、そういう状況になったときに、果たして提供することがいいのかどうかといったことも、そこから議論がスタートしなければいけない問題だろうというふうに思っております。

 したがいまして、そういう状況の中で、現在の枠組みとどういう関係にあるのかということも含めて議論をしなければいけませんが、今のところ、具体的な枠組みをどういうふうにするのか議論するには極めて時期尚早であるというふうに思っております。

鍵田委員 ありがとうございました。

 続いて、六者協議での共同声明が採択され、その中で、平和共存、これを約束し、エネルギー、貿易・投資の分野での経済面の協力を二国間または多数国間で推進するとなっておりますが、この状況下での経済制裁は確かに難しいと思います。

 私が懸念するのは、拉致問題が置き去りにされ、進展がない場合、日本に残るのはやはりこの経済制裁のカードしかなく、このカードはしっかりと残しておくべきであると思っております。つまり、今後の日朝間交渉を注意深く見ながら、発動するときには発動する、また、その用意をしておくべきであると考えておりますが、この点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この質問については、杉浦官房副長官、よろしくお願いいたします。

杉浦内閣官房副長官 先日、家族会の方々とお話しする機会がございまして、横田夫妻初め関係者、多くの方とお目にかかったんですが、もう一時間ぐらいですか、一刻も早く経済制裁を発動すべきだという御意見その他伺いまして、拉致問題にしっかり取り組まなきゃいけないという思いを新たにした次第でございます。

 先生のおっしゃった点は、基本姿勢としては私も基本的には同じだと思いますが、北朝鮮が拉致問題に真摯に取り組むように、今度は六者協議で約束をし、日朝間で取り組むということを約束したわけでありますから、まだ時期は決まっておりませんが、日朝の協議も再開いたします。六者協議も十一月に行われるということでございますから、双方において、引き続き、圧力をかけながら対話を通じた解決を図っていくという方針に変更はございません。

 そのときも申し上げたんですが、経済制裁は可能な手段の一つではあるけれども、まず経済制裁ありきではない、経済制裁が目的ではないんだということは、家族会の方々にも申し上げた次第でございます。

 大事なことは、どのようなタイミングで、またどのような方法で圧力をかけるか、かけることが拉致問題の解決に資するかどうか、最大の効果を上げるかどうかということでございます。国連の人権委員会で問題にしたり、あらゆる国際会議の場で問題を提起したり、六者協議でも圧力をかけておるわけでございますが、制裁につきましてもその一つでございますが、政府部内において、さまざまな可能性を念頭に置きながら検討を進めてまいっておるところでございます。

 これから再開される政府間対話や六者会合、これは核問題が中心でありますが、そういう交渉で、そういうさまざまな状況を見ながら、引き続き検討していく考えでございます。

鍵田委員 ありがとうございました。

 次に、質問というよりは確認をしておきたいと思うんですが、政府はかねてより、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はないとおっしゃってこられたわけでありますが、ここは変わっていないですよね。そしてまた、ここは大変大切なところでありますので、はっきりと御答弁をお願いしたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘のとおりでありまして、日朝平壌宣言にもありますように、核、拉致、ミサイル、こうした諸懸案を包括的に解決した上で日朝国交正常化を図るという考え方でございまして、この考えは終始一貫をしているところでございます。

鍵田委員 外務大臣、ありがとうございました。

 さて、三年前の九・一七後に、美智子皇后様が、「何故私たち皆が、自分たち共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることが出来なかったかとの思いを消すことができません。」このように語っておられたわけでございます。

 まさに日本政府は、北朝鮮の拉致から日本国民を守れず、拉致事件とわかってからも、この問題を政治の最優先課題としてこなかったのではないでしょうか。

 これからは、やはり日本の外交というものを、弱腰だ弱腰だとよく言われておりますが、しっかりと強い気持ちを持って、そしてまた、強い対応をこれから北朝鮮にも引き続きやっていただきたいと思っておるわけでございます。

 この辺のところを要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤城委員長 次に、薗浦健太郎君。

薗浦委員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 千葉五区から、今回の選挙で初めて当選をさせていただきました。今後、委員長それから皆様方におかれましては、よろしくお願いをいたします。

 では、早速質問をさせていただきます。

 今回、六カ国協議が終了いたしまして、初めて合意文書が交わされたという点においては、非常に評価されるべきことであると考えております。また、日朝の二カ国協議について再開に合意をされたということでございますけれども、この二カ国協議の実施の見通しについて、今どうなっているのかということをお教えいただきたいと思います。

町村国務大臣 六者協議の過程でいろいろ日朝間の話し合いがありました。そして、日朝間での話し合いというものがこの合意文書に基づいて行われていく、これは多分、米朝間においてもしかりであろう。日朝、米朝、それぞれの話し合いが行われるということが今回の合意文書に改めて書かれたわけでございます。

 その後、北朝鮮との間で事務連絡をして、開こうということでやりとりをしているわけでございますが、現時点でその話し合いが、話し合いというかやりとりがまだ調整が完了しておりませんので、いつ、どこで、どういう形でということについては、現状、本日現在は、まだ何も決まっていることはございません。

薗浦委員 次回の六カ国協議が十一月中にも開かれるという話で承っておりますけれども、とするならば、二カ国協議、日朝協議は、できればその前に開く方がいいのではないかというふうに思うんですけれども、外務省はいかがお考えでしょうか。

町村国務大臣 確かに先般の六者協議では、次回はことしの十一月初旬の今後の協議を通じて決定される日、要するに初旬ごろ行われるであろうということでございますから、その十一月初旬前に日朝間の話し合いが行われるということを考えるのは極めて常識的なことなのであろう、私もそう思っております。

薗浦委員 常識が通じない相手というのはよくわかっておりますけれども、特に遺骨の問題について、このところを見ると、行ったり来たりというか、当然、非は向こうにあるわけですけれども、非常に日本の我々国民の感情を逆なでするような対応を北朝鮮側がしているというふうに私は感ずるんです。

 日朝二カ国協議について、当然その遺骨問題が最大の課題になってくるというふうに考えておりますけれども、この協議に臨むスタンス、それについてはもうある程度省内で方針は決まっておるのでしょうか。決まっておったらお伺いをしたいと思います。

町村国務大臣 この点につきましてどういうスタンスで臨むかということについては、私どもの考え方は、累次お話をしているように非常に明確でございまして、まず、生存者がおられれば、それは当然早期に帰国をさせること、また真相解明をするということが必要である、また拉致をした、犯罪を犯した人の処罰という三点に大体尽きるのかな、こう思っておりまして、当然、その過程の中で、今委員の言われた遺骨の問題というものも取り上げられるであろう。

 私どもは、世界最高の水準の知見をもって行ったこの遺骨が横田めぐみさんのものではないということを明らかにしたわけでございますから、その点についてはもう全く疑う余地がないところでございまして、これについて北朝鮮がいろいろな発言をしていることを私も承知はしておりますけれども、この点についてはもう全く議論の余地がない問題だ、こう私どもは考えているわけであります。

薗浦委員 ありがとうございました。

 ぜひとも強い態度で臨んでいただきたいというふうに思います。

 さて、そこで、北朝鮮側のその不誠実な対応、それから国連の人権委員会の声明などを我が国の国民の皆さんが見るにつけて、ぜひとも経済制裁をという話になってくるかと思うんですけれども、一国による経済制裁というのは、キューバの例、それからさまざまな例を見るまでもなく、非常に難しい。要するに効果が非常に限定されるのではないかという話がありまして、国際的な環境を整える用意が非常に必要になってくるというふうに考えておりますけれども、北朝鮮に対する経済制裁を行った場合に、諸外国、特に米中韓ロ等々の協力それから支援は得られるのであろうかというところについてお伺いをしたいと思います。いかがでございましょうか。

佐々江政府参考人 経済制裁の問題につきましては、私は、対話と圧力のバランスということが非常に重要であるというふうに思っております。

 経済制裁をかける際には、それが目的を達するようなタイミングと方法が必要であるということは累次申し述べてきているところでありますけれども、その際に、今先生が言われましたように、これを国際社会がバックアップしている、支持している、そして、北朝鮮と経済関係を持っている主要な国がこれに同調するということがその効果を示す上で極めて重要であるということは明らかであると思います。

 現時点において、先ほど御議論がございましたけれども、実際、北朝鮮との経済関係を見ますと、日朝間では非常にこれが減少している中で、中国と韓国との貿易がふえております。そういう意味で、経済の実態からいえば、我々も、こういう経済の実態を見ながら、これらの国との関係、あるいはこれらの国々が北朝鮮とどういう関係にあるかということも考えながらやっていく必要があるというふうに思っております。

薗浦委員 今お話にありました中韓の、対中国、対韓国というところでは非常に貿易量が上がっている、ふえているというお話でございましたけれども、日朝間の貿易、減少していると思うんですけれども、現在の状況と今後の見通し、貿易量の見通しについては今どういう状況になっているのか、お教えをいただきたいと思います。

佐々江政府参考人 数字でございますが、これは二〇〇四年の数字でございますが、日朝貿易につきましては、輸出入を合わせまして二億六千万ドル、約二百七十三億円でございます。これは、前年に比べますと約一一%、一一・五%の減であるということで、最近、貿易が減ってきているわけでございます。

 これにはいろいろ理由もあると思います。最近の北朝鮮の情勢の中で、やはり日本との貿易について慎重な、北朝鮮側にも理由があると思いますし、また日本側にも理由があると思うわけでございます。

 そして、今の現状の中で今後北朝鮮との貿易がどういうふうになっていくかということでございますが、これはちょっと先の見通しでございますので、具体的にどれくらいふえる、ふえないということを言うのはちょっと困難でございますけれども、私としては、今のような情勢が続く限りは、北朝鮮との貿易が大きくふえることは当面見込んでおらないということでございます。

薗浦委員 貿易の状況も含めて、今、いわゆる対北朝鮮の法律がさきの国会で成立したわけですけれども、経済制裁を実際に行った場合に、諸外国へのメッセージという効果は非常に大きいと思いますけれども、実効果というのがどのぐらい見込まれるのかというのを、試算とかそういうのは難しいでしょうけれども、その辺があれば教えていただきたいと思います。

佐々江政府参考人 この経済的効果、実は自民党の方のシミュレーションチームで以前報告レポートもいただいておりますけれども、これはいろいろな試算があり得ると思います。いろいろな与件がありますので、なかなか一概に申し上げることは難しいと思いますけれども、非常に単純な前提、例えば、日朝間の貿易、先ほど申し上げましたように、総額で約二億六千万ドルでございます。我が国の輸出が約一億ドル弱でございますけれども、こういう額を、輸出入すべてこの貿易をとめるというような例えば前提になれば、これに相当する規模のやりとりがなくなりますし、それは、波及効果として当然雇用とか経済に影響を及ぼすわけでございますから、それがさらに縮小効果をもたらすということで、大きな影響は理論的には当然あるわけでございます。

 しかしながら、今、現時点で日本だけでこういうことをやって、実際上、それの及ぼす効果について、ほかの国々の代替効果というものもあるわけでございますから、一概に、それだけがすべて打撃を受けるかどうかということについては御議論のあるところだと思います。

薗浦委員 ありがとうございました。

 効果が限定されるにしても、日本という国がこの拉致という問題、いわゆる国家犯罪、テロに取り組む姿勢を示す諸外国へのメッセージという意味でも、経済制裁すべきではないかという議論もあり、私も実際そういうふうに考えるんですけれども、外務省はその点についていかにお考えかということをお聞かせいただきたい。

町村国務大臣 私、先ほど申し上げました、例えば、国連の人権委員会においてこの北朝鮮の人権問題が取り上げられるわけでございます。現実に、ことしの春ですか、可決をされたんですが、その票差というのは実にわずかなものなんですね。

 ということは、人権問題があるということはみんな多分認識はしているんだろうと思いますけれども、では、それが国際社会の中でどう認識をされるか。これは拉致以外にもほかにもいろいろな人権問題があるわけでありますけれども、日本的な感覚からすれば、もう世界じゅうの国がみんな賛成だと当然言うであろうと思うのでありますが、現実はそうではない。投票のその細かい数字や何かは言ってはいけないことになっているのかな、もう実にわずかな差でしかない。

 これを今度国連総会に持っていくかどうかという話もあるんですけれども、これについても総会の場で果たして可決できるかどうか。相当な活動をやっていかないと、下手をすれば否決をされるかもしれないといったような雰囲気というのが国際社会にはある。

 それはなぜかというと、やはりそれぞれの国がいろいろな理由があるんだろうと思いますが、それぞれの国にまた人権問題があったりすると、北朝鮮がやられれば、次に自分もやられるということについての恐れといいましょうか、波及効果を気にするという向きもきっとあるんだろうと思います。あるいは、原理原則論で内政不干渉といったようなことを言う向きもあるのかもしれない。いろいろな理由から、必ずしも国際社会でそうした、例えば人権委員会といったような場でさえも、そうすんなりいかないという国際社会の現実があるということは事実だろうと思います。

 しかし、それではいけないということで、今般の国連改革に向けての成果文書の中で、今度は人権委員会ではなくて人権理事会という、もう一段強化された形の中で人権問題を取り扱っていこうという国際的な動きがあり、そのことが成果文書にも書かれておりますので、私は、この人権問題についての国際的な取り組みはより強化される方向にあるんだろう、それは大変歓迎すべきことである、こう思っているところでございます。

 私自身も、中国あるいは韓国の外務大臣、もちろんアメリカの外務大臣、あるいはロシアの外務大臣とも、この問題、拉致の問題について話をしたことがございます。そして、日本国民の激しい怒り、当然これには制裁という意見が強くある、国会の中においてもあるということを申し上げましたけれども、特に韓国、中国は、その点については非常に否定的な反応しか返ってきていないという現実があります。拉致問題がもちろんいいというわけではないんでしょうけれども、いざそこで制裁という手段に行くかどうかということについては、例えば、韓国、中国両国からは、その反応は至ってクールなものであったという現実もあるということは御報告をしておかなければいけないのかな、こう思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 ぜひ、世界の大勢の世論になるように、これからも頑張っていただきたいというふうに思います。

 そこで、先ほど、経済制裁を行うに当たって、タイミングを図らなければならない、タイミングがあるというお言葉をちょうだいいたしましたけれども、では、このタイミングというのは、その一言だけではなくて、国民の人たちが聞いて、どういう状況が整ったら経済制裁をやるタイミングになるのか。

 このままだと、先ほどからも意見に出ているように、カードを持っているだけで、使わないで終わってしまう。もちろん、使わないで拉致問題が完全解決されたらそれにこしたことはないんですけれども、このまま使う気はないんじゃないのかというような疑念さえ抱かれてしまうような状況にあるかと思うんですけれども、このタイミングというのはどういう状況を指すのかということをぜひともお教えいただければと思います。

町村国務大臣 まことにいい御質問だとは思いますが、しかし、ここで今仮に、日本政府もいろいろな条件、状況というものを考えるわけでありますが、それを全部こちらで話すということは相手側にとっては最も喜ぶべきことなんだろうと思いますので、その点を今ここでお話しするのはやはり不適切なのではなかろうかと思いますので、御理解を賜りたく存じます。

薗浦委員 では、その点については、初めての質問でございますので、素直に引かせていただきます。

 最後に、経済制裁をやった場合に、あの何をするかわからない国が、例えばノドンだのテポドンだのをどかんと撃ったという状況も考えられるわけでございまして、我々が一番考えなきゃならないのは、もちろん、拉致の解決とともに、国民の生命、身体、財産を守るということでございます。

 今この国のミサイル防衛システムが、例えば仮にテポドンをどんと撃たれましたよといった場合にどういう状況にあるのか。つまり、確実に撃ち落とせる状況にあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。

山内政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮が経済制裁を受けた場合にミサイルを撃つかどうかということは一つの仮定でございますので、その点、御理解いただきたいと思うんですが、直接お答えする前に、二点ほどちょっと確認のために申し上げたいと思うんです。

 現在の北朝鮮がどのような弾道ミサイルを持っているか、あるいは能力はどうかということでございますけれども、先生御案内のように、ノドンというミサイルは、これは数十発から数百発持っていると言われておりますが、現在においてほぼ日本全域をその射程内に入れております。それから、八年ほど前に日本の上空をかすめて太平洋側に落ちましたテポドン、これを持っております。それから、さらに射程の長いものを開発中と言われています。

 したがいまして、我々としましては、基本的に、我が国に対して重大な脅威というふうにみなしておりまして、そのほか、このような技術が拡散すれば世界の安定に重大な、深刻な影響を与えると考えております。

 二点目が、弾道ミサイルに対してどう対応するかという一般論でございますけれども、御案内のとおり、弾道ミサイル技術そのものというのは第二次大戦以来の古い技術です。ただ、問題なのは、従来はこういう速いものを撃ち落とす、そういう技術がございませんで、したがいまして、冷戦時代も、これに対して対応するという方法は基本的に抑止力という考え方でやっておりました、つまり、撃たれる前にこちらでそれに対応するぞと。したがいまして、従来、我が国の政策におきましても、基本的にこの抑止力の考え方。

 具体的には、例えば日米安保条約で日本の防衛力の足らざる部分を米国に依存しておるわけでありますけれども、現在の日本とアメリカの防衛協力のあり方を決めております、いわゆるガイドラインというのが九七年にできておりますが、ちょっと読ませていただきますと、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動」という部分のくだりは、「自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために密接に協力し調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。」こういうことになっております。したがいまして、特定の国を云々することは別ですけれども、基本的には、米軍が打撃力を使うという前提になっております。

 長くなりましたけれども、以上を前提に申し上げますと、さはさりながら、当然ながら、我が国の防衛は我が国がやるものでございまして、現在、我が国の対空ミサイル、つまり地対空ミサイル網を持っておりまして、これはパトリオットというものでございますが、能力的に、あの十数年前の湾岸戦争のときに、イスラエルあるいはサウジアラビアを守るために、アメリカがこれをかなり使いまして活躍しましたが、これは日本全土を守るような体制になっております。

 しかしながら、当然ながら、そういうものでありますから、おのずと限界がありますので、そういうことで、現在、昨年お決めいただいた新しい防衛計画の大綱におきまして、弾道ミサイル攻撃に対して、いわゆるミサイル防衛システムの整備を含む必要な体制を確立することにより、実効的に対応、要するに、正面から我が国としてもこれに対応するという体制で臨むことにしております。

 具体的には、一昨年から、このミサイル防衛システム、本格的に導入を始めております。毎年大体一千億から一千五百億円ずつ計上をお願いしておりまして、具体的には、いわゆるイージス艦、これは世界最新鋭のミサイル護衛艦ですが、これの五隻、それから先ほどのパトリオット、これを新しいタイプに切りかえようとして逐次進めております。

 いずれにいたしましても、先生のおっしゃいますように、こういう状況のもとで国民の安全を守るのは当然の義務でございますので、最重要課題として進めていきたいと思っております。

 それからもう一つ、申し忘れましたけれども、具体的に整備が進みますと、当然ながら、それのシステムをどういかに使うかということで、そのプロセスというか手続、仕組みが必要になります。ということで、前回の国会で、必要な制度、自衛隊法を改正していただきまして、シビリアンコントロールを前提に迅速に対応できるような仕組みを整えていただきました。

 以上です。

薗浦委員 時間がなくなりましたので、終わります。ありがとうございました。

赤城委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 北朝鮮問題に入ります前に、十月一日のバリ島における爆弾テロ事件について、幾つかの質問を町村大臣にしたいと思っております。

 日本でも一人の方が亡くなられました。お亡くなりになりました方に心からなる哀悼の意を表しますとともに、おけがをなさいました方が一日も早くよくなられることを願っております。

 情報によりますと、インドネシア政府は事前に爆弾テロ情報を入手しており、厳戒態勢をとる最中にテロが起きたと言われております。政府は、インドネシア政府からそれらの情報を全然得ていなかったのでございましょうか。

 インドネシアを含む東南アジア地域では、今回の事件の関与が指摘されておりますジェマー・イスラミアが活動を先鋭化していると言われております。

 今、年間に三十万人もの人が日本からバリ島に行っております。私もバリ島が大好きで、何回となく訪れております。二〇〇二年にもバリ島はテロ事件がございました。そのときの危険情報の危険度は、低い方から二番目の「渡航の是非を検討してください。」に引き上げられました。現在では、最も危険度が低い「十分注意してください。」に引き下げられております。

 政府は、今後の事件発生後も危険情報を訂正する考えはないと伺っておりますけれども、その危険度を上げない、そういう判断はどういうことを根拠にして行っていらっしゃるのか。とともに、インドネシア政府との情報の提供あるいは情報の共有認識というのがないのかどうか。その辺をお伺いしたいと存じます。

町村国務大臣 日本政府とインドネシア政府との間では、日ごろからいろいろな問題について、もとより地域の治安情勢やテロ情報も含めて幅広い意見交換を行っているところでございます。

 インドネシアでは、先ほど委員から御指摘のように、二〇〇二年に爆発があり、テロ活動があり、さらに三年連続して大体八月から十月にかけてテロ事件が起きているといったようなこともあるわけでございまして、外務省としては、六月に、インドネシアにおけるテロの危険に注意を促すスポット情報を二回、危険情報を一回発出し、また七月には、バリ島を管轄するスラバヤ総領事館より、この事件の首謀者はいまだ逃亡中であるということで、テロに関する注意を喚起してきたところでございます。

 ただ、今般の事件に関してインドネシア側から、危険がある等々の事前の情報の提供は受けておりませんでした。

池坊委員 日本人は海外に一千六百万人行くと言われております。この一応平和なと言われております日本から海外に参りますには、やはり外務省の情報提供というのが礎になっていくのではないかと思っております。ぜひこれから情報収集と適切なきめ細やかな情報発信をしていただきたいと思っておりますので、その点、どのような形でなさるおつもりかを伺いたいと存じます。

町村国務大臣 インドネシアだけではなくて、それぞれの危険な国、あるいはそのおそれのある国ということで、在外公館による情報収集、あるいは多国間で、あるいは各国との個別の協議などで不断の情報収集をやっているところでございます。

 また、これをもとにして情報発信を積極的にやっているところでございまして、一番大きいのは海外安全ホームページというもので、国、またその国の中の地域ごとに、きめ細やかな情報を提供しておりまして、一つには危険情報、もう一つはスポット情報、さらにはテロの概要というところまで情報提供をしております。

 こうした情報は、海外渡航者には次のとおりきめ細やかにまた伝達もしておりまして、こうした海外情報はホームページに掲載するだけではなくて、在外公館から在留邦人に、また、外務省から海外進出企業に対してはメール等で送付をする。また、旅行者については特に重要だということで、例えば大手旅行業者と外務省との間で外務省トラベルエージェンシー連絡会というものを開催して、テロ情勢の連絡であるとか情報の共有に努めるということもやっておりますし、また、この海外安全ホームページの情報を旅行者にコピーをとって提供するというように、旅行業者の方々にも依頼をしております。

 また、海外安全キャンペーンというものをことしの七月開催するなど、幅広い広報に努めているところでございますが、さらにこうした情報提供体制の強化に今後とも一層取り組んでいきたいと考えております。

池坊委員 私も、うかつにも、そのようにきめ細やかな情報提供をしていらっしゃるということを初めて知りました。一人でも多くの方が知るような方法もまた考えていただき、私ども旅行者とも連携をとりながら、そういうことをしていかなければいけないのだと存じます。

 KEDOにおきます軽水炉建設事業について、大臣にお伺いしたいと思います。

 六者会合においては、北朝鮮は、核放棄の見返りとして新たな軽水炉を建設するよう求めてきたと新聞では報じられております。現在、建設事業は停止中とはいえ、KEDOの枠組みにおいて百万キロワット級の軽水炉建設が進められてきております。それらについて幾つか私は大臣にお伺いしたいと思っております。

 建設は中止いたしましても、これは維持管理費を日本は払い続けていると思います。このKEDOとの間では、千百六十五億円を限度とする貸与契約を結んでおります。九月末には、既に四百七十三億円日本はお金を投じております。これは、もとより私たちの税金でございます。

 これから建設をどうするのか。アメリカはもうこれはやめたいと考えているのではないか。韓国は、北朝鮮の軟化のためにはこのままやむを得ないのかなというような感じを私は受けておりますけれども、ことしの末にどうするかの検討が迫られていると思います。私個人は、これはもう引き揚げるべきではないかと思っておりますけれども、政府は、いろいろな角度からいろいろな情報もあり、どのようにお考えになっていらっしゃるのかというのをお伺いしたいと存じます。

逢沢副大臣 KEDOについての御質問をいただきました。

 先生の方からも、今日に至るまでの経緯、そして今現状どういうことに置かれているかについて御発言をいただいたわけでございますが、我が国といたしましても、北朝鮮の核開発が我が国の安全保障に与え得る影響等にかんがみまして、米朝間の合意された枠組みを通じた核問題の平和的解決への貢献等の観点から、いわゆるKEDOの設立、そしてその後理事国として運営にも積極的な役割を果たしてまいりました。

 御指摘をいただきました軽水炉プロジェクトについては、九七年八月に着工したわけでありますけれども、その後、二〇〇二年十月に至りまして、北朝鮮のウラン濃縮計画が発覚をいたしました。それを受け、翌年二〇〇三年の十一月にKEDOの理事会において、そういうことであるならばこの建設工事を継続するわけにはいかない、停止ということを決定いたしたわけであります。そして現在に至っているということについては御案内のとおりでございます。

 今後のことにつきましては、現在政府部内で検討を行っているわけでありますけれども、最終的にはもちろんKEDO理事会において決定をされる事項というふうに承知をいたしております。アメリカを初め他の理事国メンバーと引き続き緊密に連携をしながら、我が国の政府としての対応について検討を深めているところでございます。

 最終的にどうなるかということでございますけれども、現時点で軽水炉プロジェクトの終了の決定は、事実としては行われておりません。しかし、その終了した場合の諸経費並びにその分担については何も決まっていない、そういう現状にあるわけであります。理事国と緊密な連携をとりながら、慎重に、このKEDOへの対応について、政府として責任を持って検討を深めてまいりたい、そのように存じております。

池坊委員 いつも決まっておりませんときには検討という大変便利な言葉がございまして、今もそれを伺いましたのはちょっと残念でございまして、どういう方針かぐらいはお聞かせいただいたらというふうに思っております。経過はもちろん、どういう計画かということは調べました上で質問させていただいております。

 二点目に、それでは、北朝鮮はKEDOとは別の枠組みで新たに軽水炉の提供を求めておりますね。これは何かしらの思惑があるからだと思うんですね。それはどのように受けとめていらっしゃるかをお伺いしたいと思うんです。どのような思惑なのかということを考えますことは、これから一応いろいろと対応していきますときの基礎知識になるのではないかと思っておりますので、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

逢沢副大臣 今回の六カ国協議において、北朝鮮は、北朝鮮の立場として平和利用の権利を有しておる、そういう発言を行ったわけでございます。北朝鮮が軽水炉の提供についてKEDOの枠組みに固執しなかった、今回の六カ国協議についてでありますけれども、それは事実であります。

 その真意、思惑についてどうだといったようなことでございますが、国会のような場で北朝鮮側の思惑を推測して、多分こうであろう、あるいはこういうことではないかというふうなことを政府の立場として申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、すべての核兵器及び既存の核計画を廃棄する、そしてNPT体制に戻る、IAEAの保障措置にきちんと戻る、そして国際的にあらゆる角度から検証して、その後に、この平和利用のことについて適当な時期に協議をできる、あるいは協議をするタイミングがあるかもしれない、そういうことでございますが、そういった六カ国協議の決定をしっかり踏まえながら対応していくべきであろうかと考えております。

池坊委員 町村大臣は、拉致問題を解決してから軽水炉建設をするのですかという質問に対して、四日の参議院予算委員会では、日朝対話と六カ国協議の共同声明に持ち込まれた軽水炉建設と拉致問題に対して、同時並行して進んでいくと思うので簡単にどちらが先と言うことは難しい、あえて明確にさせないことが外国のフリーハンドを持ち得ることになるのではないかとおっしゃいまして、私はちょっと危惧をいたしましたが、先ほどの水野委員の質問に関しては、拉致問題が解決してから、軽水炉問題も含めた国交正常化があるのだというふうに御答弁なさったのではないかと私は受けとめましたので、その確認をさせていただきたいと思います。

 国交正常化というのは、日朝間の懸案事項である拉致問題、国際的懸案事項である核、ミサイル問題、そのような日朝、あるいはアメリカを含めた北朝鮮との間に横たわるさまざまな問題解決というのがあってこそ初めて国交正常化が始まるというふうに思っておりますが、それでよろしいのでございましょうか。

町村国務大臣 北朝鮮の核の問題と軽水炉の関係については、これは北朝鮮はいろいろ言っているようでございますけれども、あの会議の場でのいわば合意事項ということは非常に明確だ、こう思っておりまして、北朝鮮の核の廃棄、これは国際的な検証のもとで行う、その上でまたNPT、IAEAの保障措置を遵守する、こうしたことによって国際社会からの信頼を得た後に軽水炉の問題を適当な時期に話し合うことはあるでしょうということで、ここの後先は非常にはっきりしている、こう私は考えております。

 したがって、この北朝鮮の核計画の廃棄等が実現する前の段階で北朝鮮への軽水炉の提供が日本が対応すべき具体的な課題になるということは考えられない、こういうことでございます。

 他方、拉致との関係がどうなんですかという今お尋ねであったかな、こう思います。

 核問題が極めて急速に進展するような場合の軽水炉提供問題への我が国の対応につきまして、拉致問題を含めた日朝関係全体で、その時点の状況を考慮して判断をするということでございまして、いずれにしても、拉致問題、日朝間でこれから急速に話し合いをまた再開していかなければいけない緊急のテーマであることは言うをまたないわけでございまして、結果として、どっちが早いか遅いかということは、今あらかじめ申し上げることは難しいわけでございますけれども、ある意味では、その協議というのは核の問題、拉致の問題、同時並行して進んでいく、こういう状況に今あるのであって、それがどちらが早いか後になるかということを今明確に言うのは率直に言って難しいのかな、こう思うわけであります。

池坊委員 町村大臣、六者会合で採択されました共同声明に対する評価と認識についてお伺いしたいと思います。

 さまざまな紆余曲折がございましたが、私は、共同声明が採択されたこと自体は大変評価いたしております。ただし、採択されました共同声明にはあいまいな点が余りにも多いのではないかと思っております。

 例えば、核の放棄の約束にしても、いつどんな形でなされるのか、また軽水炉の提供についても、提供の有無についてはもちろん、提供する場合はどのタイミングで行うのか、明確にされておりません。また、NPTへの復帰の時期と軽水炉の提供の時期をめぐり、北朝鮮と日米との間に見解の相違も見られていると存じます。

 また、日朝国交正常化に関するくだりも同様だと思っております。声明文には我が国が望んでいた拉致という文言はなく、声明文の中に、懸案事項に拉致問題が含まれるとはいえ、明示されてもおりません。

 これは、今後の交渉において北朝鮮の逃げの口実になるのではないかと私は懸念いたしておりますけれども、この共同声明に対する評価と認識についてお伺いしたいと存じます。

町村国務大臣 今回の合意文書の意味といいましょうか、目的というのは、いわば最終目標、出口を明示したもの、この最終目標に至るプロセスをどのようにしてやっていくのかということはまさに次回の会合において詰めていく、議論をしていくということになるわけでございます。

 したがって、委員御指摘のように、これは出口を描いただけで、どういう手順でということがはっきりしていないではないか、それはまさにそのとおりなんです。これはまさに次の会合のテーマそのものでありますし、また、ここのところが実は一番難しい、せめぎ合いになる部分であろう、私もそう思っております。

 したがって、今回もこれだけ難航したわけでございますから、あらかじめ、次回会合が難航するなんていうことを私が申し上げるのもいかがかと思いますが、大変厳しい交渉になるんだろうなということは容易に想像できるわけでございますけれども、いたずらに時間をかければいいというものでもない。できるだけ早いタイミングで次回の会合がまたより具体の合意に到達をし、そして、それに基づいて、今後、核の廃棄等々の手順がしっかりと実行されていくということが大切なんだろうと思います。

 それから、もう一つの意義というのは、先ほども申し上げましたけれども、日朝あるいは米朝の国交正常化ということが、二国間だけではなくて多国間でこれが認識をされたということ、そして、その中には、確かに拉致という文言はございませんが、諸懸案という形で、これは二国間の問題だけではなくて六カ国すべての問題としてこの六者の中で認識をされたということは意味があっただろう、私はこう思っております。拉致、ミサイル、核の包括的な解決、その上での国交正常化という日本政府の主張が盛り込まれているもの、私どもはこう考えますので、これに基づいてしっかり努力をしていかなければいけないと考えております。

池坊委員 最後に、杉浦官房副長官に拉致問題対策官新設問題についてお伺いしたいと思います。

 私は、一回目も二回目も、この質問に立ちますたびに、省庁を横断した専門部署の設置というのを強く強く求めてまいりました。この北朝鮮問題、拉致問題は国民が注視しておりますから、官邸も力を注いでこの問題解決に向けて対策を練ってほしい、そのためには、それぞれの部署じゃなくて、横断的にすべての省庁の人間が英知を出し合い、そして、情報を提供し、共通認識をしながら問題解決していくことが必要なのではないかというふうに思っております。

 そういう私の願いのもとで、二回目には拉致問題連絡・調整室というのができました。来年度には警察庁に拉致問題対策官が新設されると聞いております。各都道府県警察間の連絡調整や警察内部の情報整理、拉致被害者に対する捜査経過の報告や心のケアにも当たるということでございまして、拉致問題解決に対しての体制強化になれば私は大変喜ばしいというふうに思っております。

 継続していくことが大切だということを私はいつもいつも、必ず質問のたびに申し上げております。このようなことができますことは喜ばしいのですが、ただ警察庁でその問題だけを処理したり情報を集めるのではなくて、やはり官邸がきちんとそういうものを、いろいろなところに情報を広げながら問題解決に向けていっていただきたいと思います。

 杉浦官房副長官には、新設の目的、そして将来に向けての抱負というのをぜひ伺って終わりたいと存じます。

杉浦内閣官房副長官 先生からは従前から組織強化の御指摘をいただいておりました。ほかの先生方からもいろいろとお伺いしておったところでございます。

 警察庁に拉致問題対策官、仮称でございますが、これを設置するということが予算要求で出ておることはそのとおりでございます。拉致容疑事案の解明のために、各都道府県警察に対する専門的な捜査指揮、捜査指導あるいは関係省庁との連絡調整を行うというのがその主たる役割でございます。何とか実現したいと思っております。

 先生御指摘のように、先生方の御意見をも踏まえまして、ことしの四月に拉致被害者・家族支援室を改組いたしまして、拉致問題連絡・調整室を設置いたしました。日朝国交回復に関する閣僚会議の下に専門幹事会というのができておるわけですが、その事務局的機能を持たせるということで、各省庁との連絡調整、情報の収集等を、専門幹事会を補佐して、内閣副長官補としっかり連携をしてやるということでスタートを切ったわけでございます。

 先生の御要望からすればまだまだ至らないかもしれませんが、官房としてはこの連絡・調整室を中心にいたしまして、各省庁の連携を一層強化いたしまして、また、警察もしっかりと取り組むということでございますから、内閣一体になって今後とも取り組んでまいりたい。

 また、情報収集につきましては、民間の関係の方々も熱心にやっておられます。私どもはそこからも情報をちょうだいしておりますし、そういうものはあらゆる方面からちょうだいして、それを真摯に受けとめさせていただいて、今後とも事案解明のために努力してまいる所存でございます。

池坊委員 調整室の強化を願い、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤城委員長 次に、松原仁君。

松原委員 杉浦副長官にお伺いするわけでありますが、拉致問題に関する専門幹事会であります。

 この拉致問題に関する専門幹事会で、昨年の横田めぐみさんにせ遺骨問題のときに、どういう議論がなされたか、どういう方向性が打ち出されたか、簡潔に教えてください。

杉浦内閣官房副長官 拉致問題専門幹事会は、昨年十二月二十八日、先生のおっしゃったようなさまざまな事情を踏まえまして開催いたしました。十七回目の会合になります。

 そこでは、各省庁から取り組みの状況を聴取した後、今後の対応方針といたしまして、北朝鮮側が、日朝平壌宣言にのっとり、安否不明の拉致被害者に関する真相究明を一刻も早く行うとともに、生存者は直ちに帰国させることが基本であり、これを強く要求すること。これが第一点。

 二点目は、北朝鮮側の迅速かつ納得のいく対応を引き続き求めることとし、その対応いかんによっては、厳しい対応をとらざるを得ないということ。

 三点目は、北朝鮮に対する人道支援は当面行わないこと。残っておった半分を凍結いたしました。

 四点目は、船舶検査等、現行制度のもとでの厳格な法執行を引き続き実施していくこと。

 五番目は、拉致問題に関する責任者の特定及び処罰に関して、より明確な説明を求めること。また、拉致に関し国際手配している三名について、そのほかのよど号犯人グループとともに、北朝鮮に対し、引き続き身柄の引き渡しを要求していくこと。

 六点目が、拉致問題に関する情報収集に引き続き努めることの六点を確認したところでございます。

 政府としては、この方針に基づきまして、四月には拉致問題連絡・調整室の設置をいたしましたし、内閣官房の調整機能を強化いたしまして、拉致問題の解決について政府一体となって取り組んでまいったところでございます。

松原委員 今、六項目を杉浦さんから挙げてもらいましたが、この項目に関して、北朝鮮側からの対応で、現段階でどういう判断をしているのか、教えてください。

杉浦内閣官房副長官 まことに遺憾ながら、北朝鮮の態度は、その後、現在に至るまで、問題の進展については誠意あるものとは言えない、はなはだ遺憾な態度であるというふうに思っております。

 ただ、きょう、先ほど来お話あったとおり、先般の六者協議において、外務大臣から申されたとおり、六カ国の共同声明の中で、日朝間の拉致を含む諸問題について検討する、そして日朝の国交正常化を目指すということが合意を見たわけでございます。

 そして、それを受けて日朝の政府間協議も始めようということになりまして、今調整しておりますが、まだ日取りは決まっておりません。それから、六カ国協議も十一月上旬には開催しようということになって、これもまだ調整できておりませんが、そういう動きが出てまいったというふうに思っております。そういう動きを見きわめながら、適切な時期に専門幹事会を開催したいというふうに思っております。

 基本的な状況としては、昨年末の時点と現在に至るまで変わっていないというふうに思っております。

松原委員 私は、こういったことを六点を挙げて、北朝鮮が横田めぐみさんのにせ遺骨を出してきた、許しがたい、こういう感情が国民に強くわき起こったわけであります。当然その段階では、この問題に関して経済制裁というものを排除しない制裁発動というのを皆さん口にしていたわけでありますが、その後の、これは十二月二十八日に専門幹事会をやった。

 きょうは十月になって、約丸一年になるわけでありますが、この間北朝鮮側はさまざまなこのことに対して誠意ある回答をしない。今杉浦官房副長官は遺憾であるというふうにおっしゃった。まさに遺憾ですよ。とんでもないと私は思っているわけであります。この状況にかんがみて、もう十月になっているんだけれども、去年の十二月から、この拉致問題に関する専門幹事会は何回行われたんですか。

杉浦内閣官房副長官 拉致幹事会は開いておりません。ただし、四月に情報収集の結果、田中実さんを認定いたしましたが、その認定のための会議はやっております。

松原委員 認定のための会議はやったけれども、拉致問題に関する専門幹事会はやっていないと。なぜやらなかったんですか。この代表はだれですか。

杉浦内閣官房副長官 日朝間の拉致問題をめぐる基本的状況に変化がございませんでしたので、適切な時期にやろうというふうに考えてはおりましたが、開催するまでに至らなかったということでございます。

松原委員 ちょっと、官房副長官、この幹事会は官房副長官が議長ですよね、たしか。今おっしゃったのは、何の変化もなかったからやらなかったと。我々が変化を起こさなかったら変化は起こらないですよ。何もしないで北朝鮮が真相究明して拉致被害者を出してくるんですか。

 何も起こらなかった、この間、日朝間を含めてここで何も起こらなかったからしなかったとは、職務怠慢じゃないですか。それが理由なんですか。それが理由なんですか、本当に。何もないからやらなかった、そんなことでいいんですか。ちょっと答弁してください。

杉浦内閣官房副長官 先生も家族会等の方と私がお目にかかったときにおられましたから、一時間近くにわたって詳しく御説明したことはお聞きいただいたと思います。基本的な状況に変化がなかったということでございますが、ただ、外務省初め、例えば六カ国協議は水面下でやるように、あれも一年近く中断されておったんですが、やるように水面下の努力は続けられておりましたし、拉致問題についてもそれぞれ警察は警察、外務省は外務省、公安庁は公安庁でいろいろと努力はいたしておったわけですが、基本的な状況について変化がなかった、つまり専門幹事会を開くという判断をするまでに至らなかったということを申し上げておるわけでございます。

松原委員 全然私は納得できないわけでありまして。まあ、この間小泉総理大臣から官房副長官、ちょっとこれは北朝鮮、拉致問題、全然暗礁に乗り上げて進捗しないと。これはやはり専門幹事会で、少し向こうに対して日本はやるぞと、日本に対して何もしなかったら日本はきちっと北朝鮮に対して、経済制裁を含む制裁措置の発動をやるかどうかは別にしても、やるぞと。専門幹事会すらやらなければ、日本は何もやらないなというメッセージしか北朝鮮には伝わらないわけですよ。

 北朝鮮側は、横田めぐみさんのにせ遺骨は、あれは日本のでっち上げだと言ってきた。そういったことを向こうが難癖をつけてきていながら専門幹事会をやらなければ、状況に変化がないから専門幹事会をやりませんでしたというのは、いわば拉致問題を解決する気はありませんというのと同義語ですよ、これは。

 これは一応確認ですが、小泉総理はこの間、内閣官房副長官の杉浦さんに拉致の問題で専門幹事会をやりなさいとか、そういった指示はあったんですか、なかったんですか。

杉浦内閣官房副長官 総理や官房長官からそういう御指示はございませんでした。

松原委員 ということは、杉浦官房副長官がそこの会議の議長として怠慢だったというよりは、それも一つあるかもしれないけれども、少なくとも小泉さんがこの拉致問題を解決するのに熱心じゃなかった、こういうふうに私は受け取るわけですよ。何かおっしゃりたいことがあればおっしゃってください。杉浦さん、ありますか、何か。

杉浦内閣官房副長官 お言葉を返すようですが、怠慢と言われるのは心外であります。

松原委員 官房副長官、現実に去年の十二月に専門幹事会でこの六項目があって、迅速かつ誠意ある対応を出せというふうなことが取りまとめて行われた、そして経済制裁を含むような発動措置も検討されているわけですよ、実態として。そのトップが杉浦さんですよ。それを、今十月ですよ。この間何もしてこなかったというのは、それは理由としてこの間に何も新しいものがなかったと。私は、日本側から攻めていかなければこの問題は解決できないと思っているんですよ。

 小泉さんがさまざまなところで郵政のことを称して、この程度の改革ができなければ日本はおかしくなる、こう小泉さんは言ったけれども、私は拉致問題のような基本的な、日本のまさに人権、主権、一人一人の人権問題、主権問題、人命、生命の自由、そういったものを解決できないというのであれば、大きな政府か小さな政府かという議論は飛んでしまうと思うんですよ。

 大きな政府だろうと小さな政府だろうと、その政府に属する国民一人一人の自由と生命と財産を大事にする、それであればその政府の意味がありますが、こうやって拉致問題に対して専門幹事会がいまだに行われていない。この状況というのは、私は到底、拉致された被害者から見ても、日本の主権を考える国民から見ても、また人権の問題から見ても容赦できない問題だと思うんですよ。これは、専門幹事会は次はいつやる予定なんですか。

杉浦内閣官房副長官 当面、日朝政府間協議が、まだ日にちは決まっておりませんが始まると思います。六カ国協議も十一月初めと聞いております。まだ日にちは決まっておりませんが、始まります。そういう状況を見ながら、適切な時期にやりたいと思っております。

松原委員 私は、私見を言わせていただけるならば、今やるべきですよ、少なくとも。既に遅きに失している。この六項目を検証して、六項目を挙げたわけですよ、杉浦官房副長官は議長として。六項目を挙げて、そうしたら六項目に関してはいつ検証しよう、そういう議論は全然頭の中で杉浦官房副長官、議長として、座長として、この六つの項目について、例えばさっき挙げたとおっしゃいました迅速かつ誠意ある回答がなければ厳しい対応をするとか、この六項目の検証は去年の十二月二十八日の段階でどうしようと思っていたのですか。

杉浦内閣官房副長官 六項目のうち、一つは直ちに行いました。食糧支援は半分凍結いたしました。調査も行いまして、一人は認定いたしました。

 家族会の方々とお目にかかった際も、先生は同席されていたから御記憶と思いますが、私は、経済制裁は手段であってそれが目的ではない、やることによって拉致問題の解決に資するものでなければならない、まだその機は熟しているとは思わないということは申し上げて、家族の皆様の御理解を得たく思ったのですが、まあなかなかそうはいかなかったようですけれども、その考えに変わりございません。

松原委員 今の部分でいえば、私も同席をあのとき官邸でいたしておりました。大変に官房副長官、本当に苦しいお立場だなというふうにむしろそのときは同情申し上げたわけであります。それは小泉さんがやる気じゃなかったらしようがないんですから。官房副長官が自分で経済制裁やるぞと言えないわけですから。しかし、家族会の皆さんの理解は当然得られなかったわけです、あのときは。

 私は、どちらにしても官房副長官、これは専門家会議を大至急やっていただいて、そしてこのことについて全然北朝鮮は誠意ある対応を示していないと、さっき遺憾だと冒頭おっしゃったじゃないですか。それをはっきりと言うべきですよ。そのメッセージを伝えるべきですよ。このことを官房副長官には強く要望申し上げたいと思います。もうお時間があれでしょうから、以上で結構です。御苦労さまでした。

 私は、そういう中で申し上げたいんですが、経済制裁は手段だ、こう言う。私は、経済制裁というのは政治的メッセージだと思っている。さっき水野議員が非常に私はすばらしい質問だったと思って聞いておりました。

 経済制裁をするぞと昨年十二月に細田さんが言って、まあ、あれは事実上経済制裁をするぞということでしょう。専門家会議でも、今みたいな、今杉浦さんがおっしゃったような話が出ていて、半年以上たって、十カ月たって、半年たっても何もしないから、被害者家族会は国会の前で座り込みをやったわけであります。あの暑い炎天下の中であります。そして、今十月。経済制裁をするぞなんて言わなきゃよかった、それだったら。迅速かつ誠意ある対応がなければ厳しい対応をするなんて言わなきゃいいんですよ。言って、やらないから張り子のトラだと思われる、日本は。北朝鮮から、日本の政府は張り子のトラだと。

 今また杉浦さんが、小泉さんからは専門幹事会をやれという指示はなかったと。小泉さんが全くもって専門幹事会をやらせないということは、やれと言わないということは、恐らくやれと言われなければ官房副長官はできなかったんですよ。やれと言わないということは、小泉さんが拉致問題を全然やる気がない。郵政ができなければ、こんな改革ができなければと言うけれども、私は言ってやりたい。拉致問題を解決できないで政府と言えるのかと。

 私は、そういう中で、今回、六カ国協議の中で軽水炉の問題が浮上してきているわけであります。佐々江さんの団長発言というのが、これは外務省からいただいたのがありますが、その最後に、「国際社会からの信頼を構築することが不可欠であると考えています。我が国としては、これら全てが満たされれば、軽水炉提供問題を議論する用意があります。」と。

 佐々江さん、これは佐々江さんの判断で発言したんですか、それとも日本の国のトップから指示があったんですか。

佐々江政府参考人 この協議に臨むに当たりまして、政府全体で方針を協議しております。当然、総理の了解を得て対応をしておりますし、軽水炉は、平和利用の問題でございますけれども、これは先ほど述べたような条件が整ったものでなければ議論はしない、これが日本政府の方針であったと思います。

松原委員 この文脈を読むと、これは総理が大まか了解した文脈であると。「我が国としては、これら全てが満たされれば、」こう言っているわけでありますが、この「これら全て」というのは、これは拉致が入るんですか、入らないんですか。

佐々江政府参考人 そこで直接申し上げていることは、核の廃棄について、それとの関連でどちらが後先かということが今回の会合の焦点であったわけでございます。したがいまして、その焦点であったポイントについて我が方の立場を申し述べたということでございます。

 拉致問題との関係につきましては、先ほど来大臣から答弁申し上げているとおりだと思います。

松原委員 町村大臣にお伺いしますが、そうすると、拉致の問題が未解決であっても、核問題が解決されれば軽水炉提供問題を議論する、こういうことですね。もう一回確認します。さきの予算委員会でもあったみたいですが。

町村国務大臣 軽水炉問題を議論するタイミングというのは、さっき、今局長が申し上げたような、核にかかわる完全廃棄、そしてそれの検証をする、またNPT体制への復帰、IAEAの保障措置の実行、国際社会の信頼ということができた後、適当な時期に軽水炉提供問題を議論することはあり得るということで、やるということを明示しているわけではないわけであります。

 それと拉致との関係がどういう後先になるのかという今お問い合わせだろうと思いますが、拉致は拉致で日朝間でこれは話し合っていきます。したがって、核の問題の議論とどっちが後先になるのかということを今明快に申し上げることは、かえって私は日本の外交のフリーハンドを縛ることになるので、そこはあえて、今この時点で、また半年先、一年先はどういうことになるかわかりませんが、今この時点でその後先まで明示することは、これは外交上不適切だ、こう考えております。

松原委員 これはもう私は、日本の外交の手法はそれじゃいかぬと前も申し上げたわけであります。

 北朝鮮はアドバルーンを上げて、今回もこの六カ国協議が終わった直後にまたアドバルーンを上げて、軽水炉が先だと言っているわけですよ。これは一つの外交のやり方ですよ。私はそれをとれと言っているわけじゃないけれども、少なくともこの場で外務大臣が、我が日本としては拉致問題の解決なくして軽水炉問題について一切議論はできませんと明言するべきだと思うんですよ。

 そもそも経済制裁するぞと言っていたんですよ、去年十二月。なぜ経済制裁をいまだにしていないのか、僕は理由がわからないけれども、経済制裁するぞと去年の十二月に事実上言って、それで今度は、拉致の問題が解決していないのに、核の問題が一定の進捗を見て合意になったら、これを我々は一番恐れていたんですよ。

 だからこそ、六カ国協議の前に経済制裁を発動して、いやが応にも拉致問題を俎上に上げるべきだと。仮にそれで北朝鮮が六カ国協議を断ったらそれもいいぐらいの、やはりそれは外交の駆け引きを展開するべきだった。

 私は今、外務大臣は、少なくともこの場では、腹の中はどうあろうと、この場は、拉致問題の解決がなければ軽水炉の議論に応じない、そんなものは考えないと言ってほしいんだけれども、言えますか。

町村国務大臣 私は、どうも先生とは問題のアプローチ、考え方が少し違うのかな、こう思っております。

 拉致は拉致で、私どもさまざまな形でこれまでも話し合って、現実に中断をしていることは事実であります。しかし、ようやっとここで話し合いが再開できるかという状況になってまいりました。これはこれでしっかりとこれから二国間でやってまいります。

 しかし、これは二国間だけの問題ではなくて、六者の協議の場で合意をされた事項として、国際合意の中でこれからやっていこうということがはっきりしたわけですから、私はそういう意味で、二国間の問題だからこれはもう六者と関係ないということは彼らが言えなくなったという意味で、北朝鮮は相対的に不利な、有利不利という言い方もおかしいんですが、不利な立場に陥らざるを得ない状況にまで至った、こう考えております。

 もちろん、駆け引きはいろいろあると思います。いろいろあると思いますから、私はあえて自分の手を縛るようなことをこの場で言う必要はないだろうという意味で、フリーハンドを残しておいた方がいいと申し上げたのであります。

松原委員 町村外交も始まって長期がたってきているわけでありますが、この拉致の問題に関しては、先ほどの水野議員の質問にもあるように、成果がその後において出ていない。昨年の十二月からは、成果が出るどころか、北朝鮮は、にせ遺骨問題は日本のでっち上げだ、ここまでのことを言っているわけであります。

 私は、従来の手法では解決できないと。もとより、経済制裁を発動するべきだというのは、私は従来から言っておりました。経済制裁は、これは効果があるないというのも一つありますが、それ以上に政治上のメッセージである。政治上のメッセージとしてこれはもう出すべきだ。いやしくも、仮にそこまで行かないとしたら、最低限専門家会議はやるべきだ。

 杉浦さんは、昨年の十二月二十八日からきょうに至るまで十カ月も、この専門家会議で、専門幹事会で議論をするしかないんですよ、拉致の問題を、政治的な判断を加えるならば。それがこの十カ月、一切行われていなかった。先ほどの質疑があったように、いわゆる拉致対策室そのものも、想定するようなものはいまだにできていない。

 私は、そういった意味で、はっきりと、今の小泉政権が余りにも拉致に対して無関心過ぎる。国益といいますか、拉致に対して無関心過ぎるということを改めて申し上げたい。

 今回、北朝鮮側が、いわゆる日朝の二国間協議をしようと言ってきている。この日朝の二国間会議を北朝鮮側がしてこようとする、その真意はどこにあるか。これは現場の佐々江さん、答えてください。

町村国務大臣 小泉内閣が拉致問題に不熱心であるというお言葉は、まことに私は合っていないと。小泉内閣になって初めて、先方は認めてこなかった拉致問題をまず認めた。拉致された方々も、多分全部ではないだろうと思うけれども帰してきた、家族も帰してきた。ここまでのところ、私はそういう意味で、小泉内閣が熱心に拉致問題に取り組んできたということは率直な実績としてお認めをいただきたい。ただ、その後の展開というものがまことに不誠実である、これは委員の御指摘のとおりで、そこについては私の意見の違いはございません。

 そして同時に、日本は核、拉致、ミサイル、そうした諸懸案を包括的に解決するということを言い、そして核の問題については今六者協議を中心にして話し合いが行われているという状況であります。そういう中で、私どもとしては、制裁ということも当然視野に置きながら、いろいろな対応をするということを言ってきているわけでありますから、何もやらないと宣言したわけでもありません。

 また、拉致問題が相手に伝わっていない。先ほどメッセージ性ということを言われた。ありとあらゆる国際会議の場で、もちろんバイの関係もそうですが、マルチの場、あるいは日本と中国、日本とアメリカ、日本とイギリス等々、ありとあらゆる場でこの拉致問題というものについて私は取り上げてきて、こういう状況にあるんだという説明をし、それぞれの国の理解も得、そこまで一々外には出しませんけれども、それぞれの国がまた、実は在外公館を平壌に持っている国もあるものですから、そういう国はそういう国で、この拉致問題を何とか解決すべきではないかという北朝鮮への働きかけもやってくれている国も多数あります。

 そういった状況全体を踏まえたときに、私は、委員が小泉内閣は拉致問題に不熱心だとおっしゃる。確かに、結果がすべてでありますから、今の結果をもって、私は、十分な成果がもとより上がっていないことは認めます。しかし、取り組みが不熱心である、取り組む気がないという言葉については、それは私どものやっている実態とははるかにかけ離れるものだということをあえて申し上げた上で、佐々江さん、どうぞ。

松原委員 私は、小泉さんが行って被害者を取り戻してきた経緯までは一つの事実として、それは事実ですよ。私が言っているのは、町村さん、同じですよ。その後の取り組みですよ。

 特に、昨年の十二月の横田めぐみさんにせ遺骨問題以降、例えば専門幹事会が十月まで、きょうまで、いや、もしかしたらことしいっぱい行われるかどうかわからないけれども、きょうまで少なくとも行われていない。このことについて、熱心に対応しているというふうに言えるのかと。さっき杉浦さんとはその話をした。

 私は、そういった意味で、大臣も率直にお認めになったように、成果も上がっていないし、時間はたっていく。待っている家族は年をとっていく。私は、もっと切迫感を持ってやるべきだと思うということを申し上げた。では、佐々江さん、答弁してください。

佐々江政府参考人 今回、北朝鮮が日朝協議の再開に応じたその理由ということでございます。

 何せ北朝鮮のことでございますから、なぜ応じてきたのか、この真意を彼らが述べているわけではございませんので、これを確定的に言うことは難しいと思いますけれども、当然のことながら、そこには、昨年の十二月以来、日朝の対話が断絶している。そして、この六者協議が始まって、日本が引き続き拉致という問題を最重要課題として取り上げている、こういうときに対話を行うことにメリットがあると彼らなりに判断した、そして行わないことにデメリットがあるというふうに判断したというふうに思っております。

松原委員 これは簡単に言えば、軽水炉に対する日本の議論と支援が欲しい、そのためのあめ玉であって、例えば、成果は出なくても対話をしたということで、今までは一切それを拒否していたから、対話をしたということで、ああ北朝鮮も少しは頑張ってくれるのかなと日本に期待感を持たせよう、そういう戦略じゃないかという気がしてならない。

 戦略にはひっかからないようにお願いをしたいし、少なくとも、先ほどからいろいろあった、さまざまな場において、この問題を国連の人権委員会でやるとかいろいろなことをやってきた。それは、北朝鮮のような外交において繊細な部分を余り持ち得ない国家においては、まさに痛くもかゆくもないような外側からの戦略のように私は思えてならないわけであります。

 時間が参りましたから、また次のバッターがこの辺も含めて議論すると思いますが、少なくとも軽水炉に関して議論をするとかいうことは軽々には言わないで、やはり拉致が解決しない限りすべての議論は進まない。もう一つ言わせてもらえれば、経済制裁と同時に、日朝平壌宣言破棄というのも我々の外交カードの一つとしてあるということを、私は、外務担当者として町村さんにはよろしく認識をしていただき、行動するときはやはり決然として、行動するときはこの一年の間にあったんだけれども、行動してほしいというふうに思います。

 以上で終わります。

赤城委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。

 拉致問題は、私も選挙に当選する前からずっとかかわってまいりました。大変基本的な人権、そして日本というのは独立国家であるということに対して非常に大切なものだというふうに認識をしておりますので、ぜひ一日も早い解決を望みたいというふうに思っております。

 それでは、まずお聞きします。

 第四回の六者会合においていろいろなことがあったようですけれども、二〇〇五年の七月二十六日から八月七日まで、そして九月十三日から九月十九日に行われた六者会議での成果について、核問題の解決に向けた道筋がつけられた。米朝、日朝国交正常化が六者会合の最終目的の一つとされたわけです。「朝鮮民主主義人民共和国及び日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることを約束した。」という文言が第四回の六者会合に関する共同声明に盛り込まれたわけですけれども、こういうことで、拉致問題に向けて、このことというのはどのぐらい政府としては前進したというふうに思っているのか。

 それともう一つ、ちょっと気になっているのは、六者の間で、アメリカとは日本は多分うまくいっているんだろうというふうに思いますけれども、韓国あるいは中国との関係というのが大丈夫なのかなという心配があります。ここら辺についてお答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 先ほども前の委員の方の御質問にお答えをいたしましたけれども、今回の合意文書というものは、いわば出口というか目標を示したものであって、示しただけでも大変大きな意味があると思いますが、要は、これから具体にこれをどう実行していくのかというところが実は大変重要であるわけであります。第一ステップとしてはよかっただろうけれども、さらに今後、第二ステップ、第三ステップというものを順を追っていろいろなことを決め、それを実行していくというプロセスがないと、現実に進展したと言うことは多分できないんだろう、こう思います。

 そのような意味で、拉致の問題につきましても、今までは平壌宣言という二国間のものであったものが、今委員がお読みをいただいたように、「平壌宣言に従って」云々ということで、日朝間の問題を六者の場でも改めて確認をした、こういう意味でございますから、そういう意味で、拉致の問題がさらに広い国際的な認識を高めるようになってきたという意味はあったと思います。

 では、現実にそれで拉致の問題が何か解決したのかといえば、それは現実にはまだ何も動いていない。ただ、そういう国際認識が強まるということは、先ほど松原議員は、いや、もうそういう国際的なことには全く無関心な国だからとおっしゃった、それはそうかもしれない。

 しかし、私は、やはりすべての国がそうであるように、それは一般国民にはいろいろな情報が知らされない国かもしれない。しかし、少なくともトップリーダーはそうした国際的な世論の動きというものに無関心ではいられないというのが、それはいかなる国であっても同様なんだろう。そういう意味で、私は、拉致問題解決に向けてやはり一定の意味があったんだというふうに認識をしているところであります。

 そして、韓国、中国の六者協議全体における日本との関係というもしお尋ねであれば、もちろん、主権国家でありますから、完全に意見が日本と中国、韓国、同じということではございませんし、またアメリカと完全に同じというわけでもございません。

 今回の協議のプロセス、詳細は、佐々江局長が出席をしていたわけでございます。私は、日本とアメリカの関係はもとよりでございますけれども、日中間あるいは日韓の間で日本が果たした役割というのは相当の意味があったんだ、こう思っております。それは勝手にこっちが思っているというより、この会談が終わった後、いろいろな形でいろいろな方が感想といいましょうか、意見といいましょうか、評価を述べておられる。

 そういう中で、日本の佐々江団長が大変いい働きをしてくれたということを、これは韓国あるいは中国のそれぞれの政府のしかるべき方から発言を得ているところでありまして、そういう意味では、今回の六者協議の合意成立に向かって日本の果たした役割は大きかったし、また日韓、日中の間の意思疎通も非常によくできていたということであると私は理解をいたしております。

松木委員 一歩前進、そうお思いですね。

 それでは、ちょっと違う質問をします。特定失踪者問題調査会というのがあるのを御存じですか。

町村国務大臣 もちろん存じ上げております。

松木委員 この特定失踪者問題調査会というのは、いろいろなことをやっているわけですけれども、一日も早く解決するように民間がつくった団体ですよね。そして、結構いろいろな活動をしているんです。警察の方から、民間が調査組織をつくるなんて余計なことは余りしない方がいいよと言われるようなこともどうやらあるようなんですけれども、一生懸命この団体の方々はいろいろなことをやっています。

 そしてその中で、今回、短波ラジオ放送をやろう、そういうことを始めようということを、報道で皆さんちょっとだけでも聞いたことがありますか。

江村政府参考人 私ども、新聞の報道では承知いたしております。

松木委員 新聞の報道で聞いていると思うんですけれども、これは要するに、今国が拉致と認めている方々以外にもたくさんいるんじゃないかということでそれをやっているわけなんです。ぜひこれは、本当だったら国が何らかの形で関与してくれたらありがたいなというふうに僕は思っておるんですけれども、何か関与の仕方というのがもしあるのなら、今ちょっとお答えいただきたいなというふうに思います。

江村政府参考人 民間の任意団体でございます特定失踪者問題調査会におかれましては、北朝鮮による拉致の疑いを排除できない失踪者、いわゆる特定失踪者の調査活動等について積極的に取り組まれておるということについては承知しております。

 政府といたしましても、これまで拉致被害者として認定されました方々以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があることから、関係省庁が綿密に連携をとりまして、国内外の情報収集や関連する調査、捜査を強力に進めまして、全力で事実の解明に努めておるところでございます。

 同調査会との関係でございますけれども、いわゆる特定失踪者に関する情報を同調査会から私どもに提供いただくこともございます。そういう場合には、これを参考情報として重く受けとめまして、例えば、関係省庁間で横断的に協議いたしまして、適切な対応がとられるよう政府部内での連絡の緊密化に努めておるところでございます。

 同調査会へ私どもの関与ということでございますけれども、同調査会の活動は民間の任意団体としての活動でございまして、その自主性を尊重するということ、これも一つ重要なことであるというふうに認識をいたしております。

 そういう観点から、政府としてどういう形でこの調査会に関与するのか、例えば資金的な援助ができないのかというような御趣旨であろうかと思いますけれども、そういうことにつきましてはやはり慎重な検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としましては、引き続き、同調査会から提供されました情報等につきましては政府部内で活用を図るなどいたしまして、同調査会との連絡を密にしてまいりまして事実の解明に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松木委員 もし、アメリカなんかの国民が拉致されたなんということがあったら、相手国に対して軍隊を出動させて被害者救出のために一気に解決というのはアメリカなんかはよくやるんでしょう。日本の場合はそんなようなことをしないで何とかしようということでやっているんだと思うんですけれども、なかなか、日本の政府がどういう戦略を持って本気で解決を図ろうというふうに思っているのかというのがよくわからないというところがやはり本音であると思うんですよ。

 ですから、こういう民間の団体が自主的にラジオ放送をやってみようとかいろいろなことを考えているんだと思うんですけれども、これも一日三十分で年間三百万ぐらいどうやらかかるらしいんですね。

 そして、私も、先ほど言ったとおり、衆議院に当選する前から特定失踪者の方々とのおつき合いがありまして、自分がパーティーをやりましたら、カンパ箱を持って回ったりなんかずっとしていたんですけれども、僕は非常に意味のあることをやっていただいていると思うので、何かしらもうちょっと国との密な関係を持てないのか、そういうことを常々思っているんです。

 そして、自主性を重んじるという話は今されていました。確かにそうなんですけれども、特定失踪者の方々に聞いても、やはり何か援助があったら本当に助かるなという話は実はあるんですよ。

 ぜひそこら辺を、今すぐ答えろといってもそれは無理かもしれないけれども、どんな形だったらできるのかということを、後でも結構です、ちょっと考えていただきたいなというふうに思っておりますので、どうでしょうか。

江村政府参考人 私ども、特定失踪者問題調査会の代表の方々と直接お話しする機会もございますし、特定失踪者の御家族の方と御一緒にお見えになりまして、いろいろな御家族の状況とか、あるいはそういう事実の解明につながりますような情報の提供もいただいておるところでございます。そういうものについては、私のところ限りではなくて、関係のいろいろな調査、捜査を行っているような機関にも十分に提供をいたしておるところでございます。

 先ほども申し上げましたように、自主的な活動でございますので、政府がどのような形でかかわるかということについてはいろいろな問題もございますし、私どもの一方的な考えではなくて調査会側のお考えもあろうかと思いますので、具体的な、例えば協力についての申し入れ等がございましたら、私どもなり、あるいは関係のところにおつなぎいたしまして、可能なことについては検討してまいりたいというふうに思っております。

松木委員 わかりました。ぜひ、頑張っている方々がいますので、連絡を密にとってやっていただきたいなというふうに思っております。

 それと、経済制裁についてちょっと聞きたいんですけれども、拉致被害者救出のための、早期に制裁を発動することに賛成ですか、イエスかノーか、こういうアンケートを救う会と家族会が衆議院選挙直前に実施しているんですね。その結果、当選者の六六・九%が賛成と回答しているようでございますけれども、これはある意味で民意じゃないかなというふうに私は思っております。

 総理大臣の一言で経済制裁は可能な状況になるんだというふうに私は思っていますけれども、なかなかそこに踏み込まない、なかなか歯がゆい、そんな思いもしておるわけでございますけれども、このアンケート調査の結果というものをどういうふうに見られているでしょうか。そこら辺をちょっとお答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 国会議員の方々の中に、北朝鮮に対する厳しい対応を求めるという声が強い。この委員会もまたそうでございましょうし、この委員会でない方々についても三分の二の方々が賛成だという、そうしたお考えというものはやはり私ども政府としては真摯に受けとめなければいけない、こう考えております。

 その上で、先般来申し上げたような方針にのっとって拉致問題解決に最大限の努力をしていこう、かように考えているところであります。

松木委員 町村外務大臣から先ほどいろいろな話があったので、余り追及はしませんけれども、拉致の解決なくして国交正常化はあり得ないというのが大前提というふうに私は考えておるわけでございますけれども、どうでしょう。

町村国務大臣 それは日朝平壌宣言にも明らかなとおりでございまして、今委員が言われたとおりでございます。

松木委員 ぜひ、ここの基本線というのは絶対に変えないように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 一日も早く北朝鮮に拉致された方々を救い出さなきゃならない、これがもちろん我々政治家の一つの大きな課題というふうに私も思っております。そして、今経済制裁をすぐしないというのは、多分、政府としては、裏のチャンネルだとかいろいろなチャンネルがあるんでしょう、水面下もあるんでしょう。いろいろなことを多分やっているというふうに僕は理解もしているし、そういうふうにも信じております。

 この問題というのは、絶対、やはり政治家、この国全体で、党派を超えて解決していかなきゃいけないというふうに私は思っているわけでございますけれども、ここのところは小泉さんも郵政民営化でお忙しかったようでございます。拉致問題というのは、お忘れになったわけじゃないと思うけれども、私は松原さんより優しいものですから言葉が優しくなるんですけれども、ちょっとこのごろおざなりになっていたんじゃないかな、私はそんな気がするんですよ。

 それはやはり、国民が税金も払ってここで生きているわけでしょう。そうしたら、自分たちが拉致されたとか何かのとき国がどういうふうにするのかというのをやはりかたずをのんで見ていると私は思うんですよね。こういうことをやはり早く解決しなきゃいけないというのが当然のことだというふうに思っております。

 そして、先ほど言ったとおり、小泉さんはこのごろ郵政民営化で忙しいんでしょうけれども、やはりこの北朝鮮の問題をきっちりやっていただきたい。そして、よくよく考えてみたら、やはり今まで小泉さんが行ったときにちゃんと動いたじゃないですか、いろいろなことが。それはもう我々も認めますよ。そして、家族も帰ってきたり、そういうこともありました。ただ、そのつもりはないのかどうかは別として、随分タイミングのいい、参議院選挙の前に何かやるとかそんなこともちょっとありましたけれども。

 それは別としましても、とにかく、やはり北朝鮮という国はトップダウンの国なんだと思うんですよね。金正日、やはり彼が動かなきゃ物は動かないんでしょう、多分。私はそう思います。その場合、日本の総理大臣がまた北朝鮮に行くのか、第三国で会うのか、あるいは日本に呼び込むのか、いろんなこともあるでしょう。そういうことをやっていかないと、なかなか次の動きというのは出てこないような、そういう気が私はしております。ここら辺をどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 外交交渉にはいろいろなやり方があるであろうという委員の御指摘、そのとおりだろうと思います。

 確かに、それまで全く存在すら否定していた拉致問題を、小泉訪朝のとき初めて認めたということでありますから、やはりトップ会談の効果というのは、ああした国において大変大きな成果を上げる可能性がある、こういうことは当然事実であろうかと思います。しかるべきタイミング、しかるべき条件が整い、三度目の訪朝があるかないかと言われれば、私は、それを可能性として今から排除するものではございません。

 ただ、ただいま現在、今すぐそれができる状況かというと、それは多分ちょっと違うんだろうなと思っております。しかし、この先そういう可能性が、可能性があるかないかと問われれば、私は、可能性がないと言う積極的な理由はないので、当然あるとむしろ申し上げた方がいいんだろう、こう思っております。ただ、そのために必要な条件整備等はやはりやらなければいけないんだろうな、かようには考えております。

松木委員 我々、今回、民主党が政権を握れば、それこそ岡田さんにすぐにでも行ってもらおうかなとか、そんなことも考えていたんですけれども、残念ながらそういうふうにもなりませんでした。小泉さんも一年ぐらいで総理大臣をおやめになるような話とかいろいろとあります。町村さんがそのころは総理大臣になっている可能性も十分あるわけでございますので、それはもう本当にしっかりとやっていただきたい。

 そして、国民は見ています、このことは。本当に、自分たちがこうなったときどうなるんだろう、この日本という国は助けてくれるんだろうか。これは本当に切実なことだというふうに私は思っておりますので、本当にこれからも、これは政党間というのを超えて、みんなでしっかりと真摯に議論もして、そして行動もしなきゃいけない。どこかへ行けというなら、私はどこでも行きますから。そんなことで、ぜひ、このことを一日も早く解決をつける、そういう気持ちで今の為政者の皆さんにこれからも頑張ってもらいたい。我々も頑張ります。

 そして、もう一つつけ加えますと、拉致された人方がまだかなりいる可能性もありますよね。そういうことも含めて、しっかりとこれから対応をしていっていただきたいというふうに思っております。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

赤城委員長 次に、西村真悟君。

西村(真)委員 西村でございます。

 時間もこういう時間ですし、私の予定質問と重複する質問もございましたので、重複で質問はいたしません。

 その上で感想を申し上げますと、六カ国協議に関する報告を拝聴して、日本の外務大臣の北朝鮮認識は非常に楽観的だなというふうな感じがいたしました。それは、北朝鮮は、すべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な廃棄を初めて約束しました、これで朝鮮半島の非核化を実現する上で重要な基礎となるものでありますと。

 当然、北朝鮮は初めて約束しました。一九八五年、北朝鮮はNPT条約に加盟する。一九九二年、北朝鮮は朝鮮半島非核化宣言をする。その後、大騒ぎをして、一九九四年、米朝枠組み合意。そして、二〇〇二年九月十七日、日朝平壌宣言。宣言四項の、核問題の包括的な解決のために、該当するすべての国際的合意を遵守することを確認したと。過去四度非核化を宣言しておって、これで五度目であるということは何を意味するのか。過去四回の宣言をすべて守らなかったということを意味する。

 一九八五年、NPT条約加盟から二〇〇五年のこのたびの六カ国協議における共同宣言の約束まで、二十年の円環を堂々めぐりして、また同じところに来ておる。ということは、この六カ国協議の非核化の宣言は、これから二十年のまた堂々めぐりを促す北朝鮮の時間稼ぎであろう、私はこう見ておりましたが、まあ、事実だけ。

 北朝鮮が過去に非核化を約束したのは、NPT条約加盟から始まって、私が今読み上げたものである。九月十七日、三年前の平壌共同宣言を含む合計四度である。本年のこの共同宣言で五度目であるということについては、そう認識されておるわけでしょう。御答弁いただけますか。

佐々江政府参考人 先生が今言及のありました、北朝鮮が当事者でありますさまざまの約束、あるいは諸協定、宣言等につきまして、北朝鮮がこれまでたびたび繰り返しそれを履行しなかったということは、先生のおっしゃるとおりだろうというふうに思います。

 しかしながら、今回の六者協議も同じ運命だというふうに今から断定するのは私は早いというふうに思っております。もちろんこれで、先ほど大臣が御答弁ありましたように、目標について合意しただけでありますから、その辺についての手順をしっかり固めていく上で、北朝鮮が果たしてこれをどういうふうに遵守する意向があるのか、これは信頼の問題だと思いますけれども、それを一つ一つやはり検証していくほかはないというふうに思っております。

西村(真)委員 先ほど来、平壌共同宣言は小泉総理大臣の成果だというふうな外務大臣のお答えもあった。まあ、それはそうでしょう。しかし、私は、この六カ国協議も含めて、北朝鮮という側から眺めてみれば、全然様相が異なる。言い方が悪いですが、平壌共同宣言は、拉致被害者をえさにして小泉総理を平壌に呼び寄せ、金を払う約束をさせた宣言である。北朝鮮から見たら、そうなる。今回も、北朝鮮から見れば、私がさっき言った、二十年の堂々めぐりの起点にまた戻っただけだというふうに見るのが北朝鮮からの見方ではないかな。私は、そう思う。

 その根拠は、北朝鮮の金正日体制を前提にして核の完全な査察など不可能であるということであります。したがって、いずれ近い将来、我が日本が楽天的で北朝鮮非核化の最初の一歩であると今のように期待して言っておったら、ある日突然六カ国協議というものは、イスラエルやインドやパキスタンのように、北朝鮮が核を持つことを前提にした上での何かの話し合いに変質しているかもわからない、こういうふうにこの場で申し上げたいと思うわけであります。これは質問ではございませんから、御答弁は結構でございます。

 六カ国協議の枠組みというのは、そういうふうに変質するだろう。なぜなら、完全な検証など金正日体制のもとで不可能ですから。北朝鮮は、核を放棄すれば、ただの貧乏な、こじきのような独裁国家。それ以上でもそれ以下でもない。ただ核を持っているからあれをやっているというだけの話。したがって、そう考えるのが常識ではないかなと思いますね。

 次に楽天的だと感じたのは、先ほど大臣が読まれた報告書ですが、懸案事項を解決することを基礎として国交を正常化する旨の文言が盛り込まれました、拉致問題を含む懸案事項の解決の重要性を六カ国が確認したんだと言っていることであります。

 北朝鮮は、一貫して拉致問題は解決済みだと言っておったんではないんでしょうか。先ほども質問にあったように、拉致問題という文言が出てこない以上、北朝鮮は拉致問題は解決済みだという姿勢を崩さないのではないか。なぜかそれが崩れたような期待は、過剰な希望的観測にすぎないのではないか、こういうふうに思ったわけであります。これは大臣の報告を聞いた上での感想でありますから、質問ではございません。

 その上で、重複を避けて、基本的な問題に戻って質問させていただきます。

 先ほど来、官房副長官も、大臣、努力しているんだとおっしゃった。私は、努力しているんだということは認めます。しかし、何ら解決しないというこの現実は、我々はいかに把握してここからいかに脱却すべきであるのかということであります。

 JR西日本の車両転覆事故のときに、一つの車両に数百人が閉じ込められておった。そして、付近の人々、JRの人、そして地方自治体、警察、総力を挙げて救出に当たっておった。あのときに私は、北朝鮮に拉致、抑留された多くの日本人もそのように救出を待っている人たちである、同じ日本人であるにもかかわらず、なぜ一方は二十数年放置されて、こちらは人間の心を持った迅速な救出の対象になるんだろうかと考えておりました。

 なぜ北朝鮮に拉致された日本人の救出に、あの車両の中に閉じ込められた人たちの救出、また十代のほとんどすべてを異常な男のために監禁された少女の救出のように我々は対処できないのか。これが最大の我が国の課題であります。

 ちょっと私が一方的に申し上げることばかり長くなりますが、質問自体は重複を避けるので短いのでお許しいただければと思います。

 ブッシュ大統領は、ことし、ヤルタ体制の欺瞞性を見事に指摘したわけであります。独裁者に対して取引することによって、多くの東欧の人々の運命を狂わせてしまったではないかと。我々も今同じような宣言をしなければならないのではないか。

 我が国は平和国家だ、武力は行使しない、しかしその平和だ平和だと言っている中で、最大の平和を踏みにじられた国民の運命を我々は救出することができないんです。したがって、今構造改革など、改革だ、政治改革だと声高に叫ばれておりますが、真の改革は日本国民を救出し得る日本の政治に転換することではないかな、こう私は思っております。

 そこで、質問を始めますけれども、日本国政府は、二〇〇二年九月十七日、拉致被害者の消息を八名死亡と北朝鮮から宣告されて、それを信じて拉致被害者家族に、言われたとおりの言葉で言いますが、残念でございますが、あなたの娘さんは既に亡くなっておられますと死亡宣告をしたわけであります。

 そこで、改めて聞きますが、現在の日本国政府は、北朝鮮が死亡したと宣言した八名は生きているという前提でおるのか、北朝鮮の言うとおり死んだという前提でおるのか、いずれですか。

町村国務大臣 安否不明の拉致の方々の件につきまして、これまで北朝鮮側から提供された情報あるいは物証は、八名死亡、二名未入境という北朝鮮側の再調査の結果を裏づけるものではないわけであります。したがいまして、政府としては、被害者の方々は生存しておられるという前提で取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでいく決意でございます。

西村(真)委員 しかし、冒頭言いましたように、日本国政府は死亡宣告をしたんです。死亡宣告をしておいて、今生きているという前提で臨まれるならば、あのときは間違っておりました、我々は軽率でした、あなたの娘さんは生きておられますということは言いましたか。

町村国務大臣 申しわけない、私、今手元に資料がないので、死亡宣告を日本国政府がしたかどうか。もし資料があるなら、ちょっと事務方から答えさせます。

佐々江政府参考人 私が局長になる前のことでございますが、少なくとも私が理解している範囲では、そういうことを日本政府として正式に公に宣告したというようなことは、私は記憶にございませんし、そういうことはなかったというふうに思います。

西村(真)委員 事実は、私が冒頭言ったとおり。飯倉公館に被害者家族を呼んで、一人、一家族ずつ個別の部屋に呼んで、残念ですが、あなたの娘さんは既に死亡されておりますと官房長官と外務副大臣が言った。これが二〇〇二年の九月十七日のことだったと言って、私は今現在生きておるという前提でやっておるのかどうかを確認しなければならないなと。生きておるという前提でやっておられるということは、今御答弁いただいたわけであります。

 しからば、生きている人間の遺骨と称してにせの骨を渡してきた、これがわかったのは昨年の暮れである。その後も総理大臣は朝鮮総連の大会に祝賀メッセージを送り続けておった。本年で第二回目、第二回の平壌訪問以降、そのときの昨年と本年、総理大臣は、これは自民党総裁という名前かどうかは知りませんが、メッセージの内容を見ていませんが、小泉純一郎総理大臣が、どういう名前か存じませんが、朝鮮総連の大会に祝賀メッセージを二年連続で送っておる。にせの骨をつかまされた後も送っておる。

 この送った動機は、理由は何ですか。そういうメッセージを送らねばならない理由は、第二回訪朝以降、総理大臣の中に存在するんですか。

杉浦内閣官房副長官 御指摘のメッセージは、自由民主党総裁としてのメッセージでございます。内閣総理大臣としてのメッセージではございません。したがって、政府として、これについての見解を申し上げる立場にはございません。

西村(真)委員 政府としては申し上げる立場なんですな。なぜなら、総理大臣ですから。どういうメッセージを送っているのか、政府としては把握すべきです。なぜなら、朝鮮総連ですから。

 朝鮮総連は、御承知のとおり、その幹部が本を書いて、日本に潜入する北朝鮮工作員の上陸地点を見つけたのは私だとやっておるところであって、破防法の要調査団体だと思いますよ。革マル、中核派等と並んで、破防法の要調査団体だと思います。

 革マル派の大会に総理大臣が祝賀メッセージを送ったらどういうことになりますか。これと同じことをやられている。したがって、極めて異常だ。民団にも送っておる。自民党総裁は五十年間送り続けておるというのなら聞きません。第二回平壌訪問以降送っておる。民団ではなくて朝鮮総連だということでお聞きしておるわけです。答えは用意されていないようですから、時間のむだですから次に行きます。

 そこで、今までお聞きしておったこの祝賀メッセージ、それから今回の六カ国協議の文言、これを正確に読みますと、「朝鮮民主主義人民共和国及び日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることを約束した。」

 三年前の平壌宣言は、第一項、双方はこの宣言に示された精神と基本原則に従って国交正常化を早いうちに実現されるためにあらゆる努力を傾けることにし、九月の宣言ですけれども、翌月の十月に日朝国交正常化会談を再開することにしたと。次に、日朝間に存在する諸般の問題に誠意を持って臨む強い決意を表明したということであります。

 今回、この六カ国協議の宣言も、三年前の平壌共同宣言も、これは文言を読むと、主題は国交正常化です。国交正常化を急ごう、これが日朝間の主要課題だと。その国交正常化という主要課題を実現するために懸案事項を解決しよう、その懸案事項の中に拉致問題が含まれると日本は言う。北朝鮮は、拉致問題は解決済みだと言っておるわけであります。位置づけは国交正常化で一貫しておる。それで、小泉総理は、ことしの七月十九日、私の任期中に日朝国交樹立をすると強い決意を示したというふうに報道されておる。私は報道で知っているわけですが。

 それから、数え上げますと、この総理の強い意欲、そして日本国政府は、先ほどの議論でもありましたが、民間人が一生懸命自腹を切って北朝鮮が言った五名と八名以外の拉致被害者を調べ上げておるのに、日本国政府は、政府の組織をして拉致被害者が総数何名であるかということを、総理大臣以下調べる決断をして、その指令をした形跡はないんです。

 田中さんを拉致認定したといいますが、十三歳のときに、目に見える沖で操業して、日本海で行方不明になって、そして三十年後に北朝鮮におるということがわかった寺越さん、拉致としか考えられないじゃありませんか。十三歳の子供が泳いで向こうに行って、生活していたわけではないでしょう。これを拉致とは認定していない。日本政府は、新たな拉致認定に極めて消極的だ。

 日本政府の拉致被害者の数は、北朝鮮が言った数の前提から余り動いていないということ。それから、日本国政府は、日本国のみならず、人権問題として北朝鮮人民の人権には極めて無関心だということ。アメリカは関心を持っておるが、それほどの関心も日本政府は示していないということ。小泉総理大臣は、第二回平壌訪問において、経済制裁はしないと向こうに伝えております。そして、このたびの朝鮮総連の祝賀メッセージである。

 これらをすべて総合するならば、確認しますけれども、日本国政府は、拉致問題を棚に上げて国交正常化樹立をしようとしておるのではありませんか。先ほど来の答弁と違いますけれども、私が今まで申し上げた幾つかの事例を総合すれば、日本国政府は、拉致問題にふたをしたまま、未解決のまま国交正常化をする方針を進めておるのではありませんかということを、確認のためにお聞きします。御答弁ください。

町村国務大臣 今委員が一つ一つ例証として挙げられたことについて、一つ一つは申し上げませんが、先ほど来、多くの委員からお話しのとおり、日本国政府の方針というのは、日朝平壌宣言に基づいて、核、拉致、ミサイル、こうした諸懸案を包括的に解決した上で日朝国交正常化を図る、この方針であることは何度も何度も申し上げるとおりでありまして、拉致問題を棚上げにして国交正常化を図るということは一切考えておりません。

西村(真)委員 三年前の九月十七日、確かに、先ほど私が言った、お気の毒ですが、あなたの娘さんは亡くなっておられます、こう言った。こう言われた家族はこれを信じた。そして、葬式を出して娘は亡くなったという形をつくれば拉致問題はそこで終わる、日朝国交正常化交渉が具体的に始まる、こういう手順です。したがって、今のは声を発せざるを得ない。

 人間はいつか必ず死ぬんです。拉致被害者である横田めぐみさんのことがわかったのは平成八年、それからでも九年たっておる。あと二十年この状態が続けば、救出を待つ家族はいなくなる、日本国内における拉致被害者救出の声が次第に小さくなる、何もせずに時間がたつのを放置すれば。

 経済制裁のタイミングがあります、今適切な時期じゃありません、これでまた十年たてば、これは事実上棚上げにするのと同じなんです。北方四島は島ですから、百年たっても島なんです。しかし、拉致被害者は人間なんです。時間がたてば死ぬんです、人間は。

 したがって、JRの車両に閉じ込められた日本人の乗客のあの救出と同じだと私は先ほど申し上げた。これほど切迫した事態です。どうか、この切迫した事態を前提にして、この先も放置していたら、結局死に絶えて、拉致問題がなくなって、国交正常化にいくんだというふうに国際社会から見られても仕方がない。我が国家の信義がかかっている。

 ということで、私、質問ではありませんので御答弁は結構でございますから、これで私の時間を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

赤城委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 北京で開かれていた六カ国協議は、朝鮮半島非核化の基本方向を明記した共同声明を採択して閉幕をいたしました。

 共同声明で、北朝鮮が核兵器と既存の核計画を放棄すること、アメリカが朝鮮半島に核兵器を有せず、北朝鮮への攻撃、侵略の意思のないことが確認されたことは、朝鮮半島の非核化を初めとする諸問題の平和的解決への重要な前進となったと考えます。私たちは、この共同声明を心から歓迎しています。

 外務大臣は、今度の共同声明についてどのような評価をしておられますか。

町村国務大臣 今回の共同声明、進むべき目標というものを明示した。核のない朝鮮半島ということで、そのために、まず北朝鮮がすべての核計画を放棄し、核を廃棄する等々のことを述べたということ。あるいは、日朝あるいは米朝の国交正常化もその六者協議の中で明示をするというようなことなど、一つのといいましょうか、この朝鮮半島をめぐるさまざまな不安材料の出口というものを明示することができたという意味において、私は意義がある、こう思っております。

 ただ、目標を明示したからこれが実現をできる、そう簡単なものでもないだろうと思います。したがって、次回の会合におきましては、これをどう具体化していくのか、どういう道筋をたどってこれを具体化していくのかという大変難しい交渉が待ち受けているわけでございますけれども、それをしっかりとやって目標に到達するように、今後さらに努力をしなければいけないということだと私どもは考えております。

赤嶺委員 第四回六カ国協議共同声明という形で大きな目標を各国が合意できた、本当に大きな出来事だったと思います。同時に、次回の協議で本当にこれらの目標に向かって六カ国が共同の前進をしていけるようにという願いを強く持つわけですが、その立場から今回の共同声明について幾つか伺っていきたいと思います。

 共同声明では、北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画の放棄並びにNPT及びIAEA保障措置に早期に復帰することを明記してあります。この問題で、ウラン濃縮計画をめぐって激しく対立してきた経過が今度の協議の間に報道もありましたが、この点は共同声明の中ではどのようになったのですか。

佐々江政府参考人 先生御承知のように、このウラン濃縮計画につきましては、我々は、まさにこの問題が生じたのでこれまでのKEDO等のいわゆる枠組み合意というものが中断されているということで、これが今の北朝鮮に対する、核に対する懸念の非常に大きな引き金になったわけでございます。

 この点につきまして、我々は北朝鮮に、ウランの濃縮計画が存在するので、それを速やかに撤去するようにということをずっと要求してきているわけでございますが、御承知のとおり、北朝鮮はこの計画自身を否定しているということでございまして、このたびの協議におきましても、北朝鮮は一貫してこの立場を変えることはなかったということでございます。

 しかしながら、今回の合意によりまして、北朝鮮は、単に核兵器のみならず、すべての既存の核計画を廃棄する、放棄するということを約束したわけでございますから、我々としては当然、この疑念あると思っておりますウラン濃縮計画がその廃棄の対象に含まれているというふうに考えております。

 また、それをさらに確認する意味で、今回の共同声明におきましては、南北の非核化共同宣言について、これを遵守しかつ実施されるべきであるということが明記されております。この南北非核化共同宣言には再処理施設とウラン濃縮施設を保有しないということが規定されているわけでございまして、したがいまして、この共同宣言を遵守するということによって、北朝鮮が六者に対して濃縮ウランを保有しないということを約束したことを意味するというふうに理解をしております。

赤嶺委員 次に、共同声明が採択された後、「適当な時期に、朝鮮民主主義人民共和国への軽水炉提供問題について議論を行う」という表現をめぐって各国が意見を述べ合っているわけですが、「適当な時期」という解釈をめぐって、各国はどういう立場なのか、そして北朝鮮の表明している立場というのは共同声明に照らしてどのように見ているのでしょうか。

町村国務大臣 この点については、実際、この文書を取りまとめる際に当たって最後まで議論になった点だ、こう聞いております。いろいろな表現ぶりがあったんだろうと思いますけれども、こういう表現になったわけであります。

 最後のステートメントの場におきまして、日本側代表佐々江局長からは、「信頼のおける国際的な検証の下、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄するとともに、NPT及びIAEA保障措置を含め、原子力の利用に関するすべての国際的合意及び規範を完全に遵守し、国際社会からの信頼を構築することが不可欠であると考えています。我が国としては、これら全てが満たされれば、軽水炉提供問題を議論する用意があります。」と言って、あと、さっきのように、非常に明確に述べました。同じ趣旨の発言がアメリカからもあり、また、若干表現は違いますけれども、韓国からもそうした表現があったということであります。

 ロシアと中国については、多少はっきりしない部分がありますけれども、日中あるいは日ロの話し合いの中で、今申し上げた日本の代表の考え方に彼らも基本的に賛同しているということでありますから、北朝鮮が同時並行だという議論というのは、その場の理解とは全く異なるものであるというふうに私どもは受けとめているところであります。

赤嶺委員 適当な時期ということをめぐって次回の六カ国協議でも大きな議論になると思いますけれども、ぜひそういう点での合意も確認していただきたいと思うんです。

 それで、日朝間の政府間交渉を始めるということになりました。これは、今までの拉致問題をテーマにした実務者協議とは違うんですか、それとも性格は同じことになるんでしょうか。

佐々江政府参考人 今回の再開につき北朝鮮が同意したこの日朝間の協議をどういうふうに進めるのかということについては、現在北朝鮮と調整中であります。

 我々としては、基本的にこれはこの六者協議において言及されたことの実施を図るための協議であるというふうに思っておりまして、その中心的な課題が拉致問題であるということは明らかであるというふうに思います。

 したがいまして、実質的には、昨年八月から三度にわたって行われました実務者協議とほぼ同じような内容を取り上げるということはとりあえず想定しておるわけでございますが、その点につきましては、今後北朝鮮との話し合いの中で、具体的にどういう問題を取り上げていくか話し合っていくことになるだろうというふうに思います。

赤嶺委員 最後ですが、今回の共同宣言では北東アジアの平和の枠組みについても確認をしております。その中で、「直接の当事者は、適当な話合いの場で、朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議する。」あるいは「北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していく」とありますけれども、この中で言われている直接の当事者というのはどこを指しているのか。そして、このくだりはどんなことを言っているのか。また、北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策というものは何かという点について、最後にお答えをお願いしたいと思います。

佐々江政府参考人 ただいま先生の御指摘の箇所でございますけれども、これは、六者協議が核の問題、あるいは米朝、日朝の関係の諸懸案の解決を含めまして全体として進んでいく中で、将来、六者会合というものがどういうものをさらにその次のステップとして考えるべきかどうかということが議論になったわけでございます。その結果として、将来の北東アジア地域の平和と安定のために、やはり六者の協力が重要だということについて認識の一致があったわけでございます。

 その際、いわゆる第二次大戦後の朝鮮戦争の体制、これは休戦協定でございますけれども、それを平和協定に置きかえることの可能性についても話し合いの過程で提起があったわけでございます。将来、米朝関係が正常化し、あるいは日朝関係が正常化し、南北の関係というものが新しい関係にいった場合に、やはりそこは新しい平和的な体制というものが必要であろうということが一つあるわけでございます。

 そういうことを想定してここに書かれているわけでございますが、こうした話し合いがいつ、どういう場において行われるかということについては、一切具体的な話をしておりません。これは、将来そういう課題があるということを、今この時点で認識したという状況でございます。

 それから、先生の今の、直接の当事者はだれかということでございますが、特に、朝鮮戦争に関係した、当事の休戦協定の当事者というのは、北朝鮮と国連を代表するアメリカそれから中国でございますが、当然のことながら韓国もこの直接の当事者に含まれていくんだろうというふうに思います。

 他方、朝鮮半島の将来の平和的な体制がどうなるのかということは我が国の安全保障に直接かかわる話でございますので、こうした話が今後あるいは将来行われる場合には、我が国としても関係国とよく協議、意思疎通をしながらこれに対応していきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 今回の合意を一層前進するための政府の努力を求めまして、私の質問を終わります。

赤城委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十三分散会


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