衆議院

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第3号 平成18年3月30日(木曜日)

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平成十八年三月三十日(木曜日)

    午後一時四十分開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 大前 繁雄君

   理事 近藤 基彦君 理事 水野 賢一君

   理事 宮路 和明君 理事 松木 謙公君

   理事 松原  仁君 理事 池坊 保子君

      小野寺五典君    鍵田忠兵衛君

      河井 克行君    薗浦健太郎君

      根本  匠君    福井  照君

      山本 明彦君    山本ともひろ君

      吉田六左エ門君    渡部  篤君

      荒井  聰君    北橋 健治君

      中井  洽君    西村智奈美君

      漆原 良夫君    笠井  亮君

      重野 安正君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  坂井 孝行君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題連絡・調整室長)        江村 興治君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    小林 武仁君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  松浪 健太君     山本 明彦君

三月三十日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     山本ともひろ君

  渡辺 博道君     吉田六左エ門君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    根本  匠君

  吉田六左エ門君    渡辺 博道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、第一回日朝包括並行協議について、政府から説明を聴取いたします。麻生外務大臣。

麻生国務大臣 先般、北京において行われた第一回日朝包括並行協議について御報告をいたします。

 二月の四日から八日にかけて行われた日朝包括並行協議では、拉致問題等の懸案事項に関する協議、核問題、ミサイル問題等の安全保障に関する協議、国交正常化交渉の三つの協議を行いました。

 我が方は、すべての協議において、拉致、核、ミサイル等の諸懸案の解決なくして国交正常化なしとの基本方針を明確に伝達しております。

 今回の協議は、お互いの立場に隔たりがある中で、一年三カ月ぶりに再開されたものであり、我が方の懸念や要求を直接伝えたことには一定の意義がありました。しかしながら、いずれの協議においても、目に見える具体的な進展が得られなかったことは甚だ遺憾です。

 我が国にとって最優先の協議事項であった拉致問題につきましては、我が方から、生存する拉致被害者の早期帰国、安否不明者の真相究明を目指した再調査の約束、容疑者の引き渡しを改めて強く求めております。これに対し、北朝鮮側から何ら具体的な進展は示されませんでした。我が方からは、拉致問題に進展がなければ政府として厳しい対応が不可避となる旨を、国内の状況も具体的に指摘しつつ繰り返し伝えております。

 安全保障協議につきましては、核問題、ミサイル問題、資金洗浄等の不法活動に対する我が方の懸念を伝達いたしております。これに対し、北朝鮮側は、これまで公にした立場を繰り返すにとどまりました。核問題につきましても、我が方より早期、無条件の六者会合への復帰を要求しましたが、北朝鮮側は、米国の金融制裁の解除が前提であるとの従来の立場を主張し、具体的進展は得られませんでした。

 国交正常化交渉につきましては、我が方より、特に日朝平壌宣言に明記された一括解決、経済協力方式について、北朝鮮側との間に共通理解を確立すべく働きかけましたが、北朝鮮側の正しい理解は得られませんでした。

 以上のとおり、今回の協議の結果は、我が方として到底納得のいくものではありませんでした。しかし、北朝鮮との間では、昨年十二月、今回の協議の立ち上げに当たり、懸案解決のため、誠意を持って努力し、具体的措置を講じることを確認いたしております。

 今後、北朝鮮から諸懸案の解決に向けた具体的な行動を引き出していくことが必要であり、そのための方途を不断に検討してまいります。

 その際の我が国の基本的考え方は、対話と圧力です。すなわち、対話をしなければ問題を解決することはできず、その意味では、日朝包括並行協議を打ち切る考えはありません。同時に、結果を出すためには、圧力となる措置を検討し、実施していくことも必要であると考えております。

 政府としては、そのような考えのもと、これまで、国連等における国際的な連携強化のための取り組みや厳格な法執行等の措置をとっているところです。

 今後とも、対話と圧力という一貫した基本的な考え方のもと、拉致、核、ミサイル等の諸懸案の包括的解決に向け、政府一丸となって総合的に粘り強く取り組んでまいります。委員長及び委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。

平沢委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官坂井孝行君、内閣官房拉致問題連絡・調整室長江村興治君、警察庁警備局長小林武仁君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田六左エ門君。

吉田(六)委員 めっきり春めいてまいりまして、桜も咲くようになりました。桜が咲くのを待たずに、新潟の瓢湖の何千羽というハクチョウは、北へ、ロシアへ、北朝鮮の上を飛んで帰っていきました。そして、時を待たずに、四月の十一日から、同じその地へまた万景峰号が来始めます。

 蓮池薫、蓮池祐木子、そして曽我ひとみさんは、おかげさまで帰国を許されました。横田めぐみ、曽我ミヨシ、これは曽我ひとみさんのお母さんです、そして非認定者でありますけれども大沢孝司君は、まだ帰らずであります。新潟に限ったことでございますけれども。

 こうした環境の中で、新潟が拉致の現場として象徴的なところであり、また万景峰号の寄港場所だということで、ぜひとも、新潟出身議員として、現場の声を委員各位、関係者の皆さんにお伝えしたいと無理にお願いしてこの機会を授かりました。お許しいただいた委員各位に心から感謝を申し上げさせていただきます。

 この拉致は、我が国の主権を侵しており、国内法に照らし合わせると、国外移送目的略取罪、そして誘拐、監禁罪等に該当すると思われます。国が国として成立するには、国家の要件が必要であり、すなわち、永住的な日本国民がいること、確定した領地、祖国があること、政府として最も大切な他の国との関係、いわゆる外交能力であります。

 拉致を国家の要件に照らし合わせてみますと、不法かつ不正、不誠実な行為が行われている。我が国の領土に不法に入国し、我が国民を北朝鮮に移送する目的で誘拐し、不法に出国している。北朝鮮は、拉致の事実を認めており、拉致の実態調査を確認しているにもかかわらず、我が国政府代表たる内閣総理大臣との約束をほごにし、拉致問題は解決しているとして外交交渉も受け付けない状況であります。これらの行為は、我が国を主権国家として認めていない行為であるということで、断じて許すわけにはいきません。

 今回の拉致の問題を国際政治の力学の中で絶対に風化させることのないように、議員立法で北朝鮮人権法案を策定しております。これに対して、政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

安倍国務大臣 現在与党において検討されております北朝鮮人権法案について、与党内で、そしてその結果に応じて国会で御論議されるべき事柄でございまして、原則として政府としてはコメントする立場にないわけでありますが、しかし、この法案が成立した場合には、政府に対し、北朝鮮に対するツールが与えられることになるわけでありまして、その意味におきまして、北朝鮮と交渉する立場にある者としては、極めて有意義なものである、このように思います。

吉田(六)委員 ありがとうございました。

 そして、総理訪朝後、さきにも申しましたとおり、北朝鮮が拉致を認め、拉致された方々が日本に帰国、その後、マインドコントロールも徐々に解けて、あるいはかかっていなかったのかもしれませんけれども、実行犯の名前が挙がり、やっと国際手配される辛光洙容疑者の実像がはっきりしてきましたが、当時、当局はどこまで辛光洙容疑者の行動を把握していたのか、強制捜査が今に至るまでの経緯と今後の見通し、そして現在でも我が国において北朝鮮の工作員がいる可能性が十分あると思いますが、当局はどのような対策を持っているのか、この件についてはお答えできる範囲内で結構ですけれども、お聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 辛光洙事件につきましては、昭和六十年六月に、韓国当局が事案を公表し、事案が発覚いたしました。我が国警察としても、原敕晁さんの国外移送目的拐取等の立件に向けまして鋭意捜査をしまして、総合的な検討を行ったところでありますが、当時の段階では国外移送目的拐取等による逮捕状の請求には至らなかったものであります。

 その間、韓国におきましては、昭和六十一年六月、御指摘の辛光洙に対する死刑判決が確定いたしました。その後、無期懲役に減刑はされているのでありますが、平成十一年十二月に、いわゆるミレニアム恩赦で釈放されました。翌十二年九月に、その他の非転向長期囚とともに北朝鮮に送還されたところであります。

 その間、警察は、韓国当局に対しまして、辛光洙に対する事情聴取の実施等の要請を行ってきたわけであります。警察としては、その後も本件事案の全容解明に向け、関連事項の捜査を鋭意継続した結果、平成十四年八月に至りまして、本件の主犯格であります北朝鮮工作員辛光洙による本件に係る免状等不実記載、入管法違反等による逮捕状を取得し、国際手配等の手続を行ったところであります。しかし、これは辛光洙事件のいわゆる背乗り、成りかわりの部分についての立件でございました。

 こうした中、最近、一つは、韓国裁判手続において作成された公判調書の証拠化の可能性に係る最高裁決定が出ました。それから二番目が、平成十四年九月の日朝首脳会談において、北朝鮮自体がこの原敕晁さん拉致行為を自認しております。それから三点目に、関係者の供述等によりまして、拉致被害者が北朝鮮に連れていかれた後の状況がかなりわかってまいりました。

 こうしたことから、本年三月二十三日に、本件事案の全容解明に向け、国内関係箇所に対する捜索を行いまして、関係資料を押収すべきとの判断に至ったものでございます。現在、このたびの捜索によって押収いたしました証拠品の分析や国内協力者に対する捜査を継続しているところでありまして、今後、事件の主犯格であります辛光洙を初めとする被疑者に対する国外移送目的拐取等の立件を視野に入れまして、所要の捜査を継続してまいる所存でございます。

 それから、委員御指摘の二番目の件でございますが、国内に潜んでいると思われる北朝鮮工作員の問題でございます。

 これについては、これまでの関係者からの事情聴取の結果、これまで警察が蓄積してきた拉致の実行犯に関する情報を総合しますと、北朝鮮による拉致は我が国に対する深い知見をかなり持っている工作員が中心となって敢行されてきたこと、また、国内にこうした不法な工作を可能にする支援基盤が存在している、こういうことが判明しているところでございます。

 今後、警察としては、拉致に関与したと見られる国内協力者についても引き続き強力に捜査を推進するとともに、御指摘のような北朝鮮工作員の発見及び検挙に向け情報収集を強化してまいる所存でございます。

吉田(六)委員 辛光洙並びに原さん成りかわり、こうしたことがあからさまになってまいりました。数少ない事案でありますけれども、正確に、裏のあるというか、証拠のとれていることでありますから、国民はこのことに大変関心を強く持ち、ここから、もしや横田めぐみさんが帰ってくるその糸口があくのではないか、強い期待をしております。

 さきに申し上げたように、大変な難儀をしながら、総理、お出かけいただいたおかげで、帰ってこられた方々がおられます。私は、これらについても、それは、お立場があったり、かの地でのいろいろな人間関係とか、あるいは日本へ帰っての生活、いろいろなことをしんしゃくされる部分もあろうかと思いますが、しかし、これまた大事な、かの地のことが一番わかる人たちでありますから、もちろんお進めいただいているとは思いますけれども、このことに、正確に細かく強く御調査に当たることも御任務かと思いますので、このことについても果敢にひとつ御調査をしていただいて、そして、実際に役に立つ情報を引き出していただきたい、強く要望をさせていただきます。

 拉致の解決をより前進させるためには、米国やその他の国々に拉致の実態を知らしめる、そして、そんなことがなされていたのかということで、世界的な世論として大きく盛り上げる、これが意外とよい効果を発揮するのではないかと考えます。

 浅野さんの親戚の大沢孝司さんが、佐渡で失踪し、北朝鮮に拉致されているのではないかということで、拉致被害者の家族の思いをつづった本をアメリカの人たちにも広く読んでもらおうということで、昨年から何人かで手分けをして英訳に翻訳する活動をしていただいているということであります。

 委員長も御存じだと思いますけれども、二〇〇二年、かつての拉致議連のメンバーとして、ここにございますけれども、みんなで力を合わせて、わずかな資金を出し合って、英語に訳したパンフレットをつくりました。アメリカ大使館も行きましたね。英国大使館へも行きました。フェブラリー、二〇〇二年二月と書いてあります。英国大使館へ行ったときは、対応してくれた参事官がアイルランド人で、新潟だと言ったら、ワールドカップ、アイルランドは新潟で試合をするんだから、そこで一生懸命アイルランドを応援してくれという、自国のサッカーチームの応援まで言いつかりながら、わかった、よく読みます、こういうやりとりがあったことをまた改めて思い出しました。

 今後も、今のようなアメリカにおける英訳の図書やパンフレットの配布とか、あるいは国内においても、各大使館に対して、今申し上げたような啓蒙活動が大事なのではないかと思いますが、外務省として、このことに対してどのようにお考えになられるか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

塩崎副大臣 吉田先生御指摘のとおり、この拉致問題というのは、かつては世界的にも非常に知られていない問題でございました。先生を含め大勢の方々の御努力によって、だんだん拉致の実態を伝えられるようになってきているわけでございますけれども、外務省では、これまでも、いろいろな場面をとらえて国際社会に対して、そしてまた二国間の会談等々を通じて我が国の立場を説明し、また実態を明らかにしてきたところでございます。

 国連の場においても、昨年総会で提出をされました北朝鮮の人権状況決議について、この決議において拉致問題への明示的な言及がなされるというようにEU側と交渉し、そして日本も共同提案国となって積極的な外交努力を行ってきたところでございます。そして、その結果、この決議は総会で賛成多数で採択をされました。今後、六月以降に行われる予定の国連の人権理事会、新しくできますが、これにおいても北朝鮮人権状況決議が採択されますように、外務省として引き続き努力を払っていきたい、このように考えております。

 また、人権担当大使というのを定めておりますが、齋賀富美子大使でございますけれども、拉致問題の解決に向けて、その深刻さを訴えているわけであります。EU諸国を初めとする国際社会に訴えるように、今月二十二日から二十三日にかけてベルギーのブラッセルで開催されました北朝鮮の人権問題に関するNGO主催の国際会議、そして、欧州議会による初めての公聴会というのがありまして、そこでも出席をしてアピールを行ったところでございます。

 さらに、これは安倍官房長官が副長官当時からやっておられました政府の拉致問題特命チームにおいて決定されました拉致問題に関する広報を拡充するという方針も踏まえて、英語版の拉致問題のパンフレットの改訂版というのを昨日公表いたしました。これが現物でございます。

 このパンフレットは、在京大使館、あるいは我が方の海外の在外公館を通じて諸外国政府並びに国際機関に広く配布し、我々としては、何しろ徹底的に配れ、こういうふうに指示をしているところでございますし、四月二十七日に米国の下院で公聴会出席のために、拉致被害者の御家族の訪米の機会がありますが、こんなときにも使っていただく。それから、今後の各種の二国間会談や国際会議においても幅広く使っていこうと思っていますし、これは今英語版しかできておりませんが、そう遠くない将来、朝鮮語とそれから中国語などにも訳して配布をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

 そのような形で、徹底的に拉致の実態を伝えていくという努力を重ねていきたいと思っております。

吉田(六)委員 ありがとうございました。

 副大臣からは、六左エ門、おまえの心配ももっともだけれども、ちゃんとやっているからと。新しい改訂版まで官房長官のところではおつくりいただいているというようなことで、心強く思いました。正規な、オフィシャルな会議はもちろんですが、ロビーでもサロンでもぜひこれをお配りいただいて、拉致の悲惨な状況を世界に知らしめる御努力をしていただきたいと思います。

 当時の、平成十四年の六月四日の、あの時代は特命全権大使はハワード・H・ベーカーという方でありましたけれども、先般は、今のトーマス・シーファー駐日米国大使が新潟の横田めぐみさんの拉致現場を視察してくださいました。直ちに本国ブッシュ大統領にこれらの状況の報告をすると力強く発言された中で、六カ国協議の現在の進行、今後の対応について、米国政府の拉致問題に対する関心を高め、この問題の解決にどのように協力を仰ぎ、外交スタンスとして人道的な観点を見直す必要があると思うわけでありますが、このことについてはいかがでございましょうか。

麻生国務大臣 吉田先生、拉致問題の解決のためには、これはアメリカに限らず国際社会からの協力というのは是が非でも得たい、いわゆる協力は不可欠と考えております。

 おかげさまで、国連の総会で初めてアブダクション、いわゆる拉致という言葉が正式に採用といって、過日の総会でこの言葉が正式に使われておりますのも一つの圧力にもなっておるだろうと思いますけれども、あらゆる機会をとらえまして、私ども、この拉致問題という問題は広く国際社会に向けて発信をし続けていかねばならぬところだと思っております。

 アメリカとの関係におきましては、過日の首脳会談、それから一月、三月、外務大臣会談を二回やっておりますけれども、いずれもこの問題は提起をいたしております。また、その影響もあって、過日、シーファーというアメリカの駐日大使が新潟に訪問をしておられると思いますが、その姿勢もあらわれておるんだと思って評価をいたしておるところです。

 また、昨年十一月においても、ブッシュ大統領との京都会談におきまして、小泉総理の方から必要性につきいろいろ立場を述べておられて、私どもの国の立場というものに対する支持の表明をいただいてもおるんですが、今月の十八日に行いました日米の外務大臣会議、また日米豪の外相会談におきましても、私からライス国務長官、それから豪州はダウナーという外務大臣に対しまして、拉致問題につきます日朝関係というものの現状について説明をすると同時に、いわゆる圧力となるいろいろな措置というものに関しまして、我々として考えておることを説明し、理解も求めているところです。

 今後とも、こういった問題は風化されることのないようにしておかぬと一番いかぬところでありますので、きちんとした対応を続け、同時に、国際社会においてもこの問題が消え去ることのない事実として言い続けていくということ、発信し続けていくということは大切なところだと考えております。

吉田(六)委員 外交問題、日程あまたの大臣でありますけれども、拉致のことを常に胸に置いて議論の場に臨んでいただいたり、あるいは申し上げるところには申し上げていただいている。総理もまた、同じように大変お忙しい中にもかかわらず、拉致、これ大事だとお取り扱いいただいていることに心から感謝をいたします。ありがとうございました。

 そして、さっきも申し上げましたが、四月の十一日火曜日から二十四日、五月八日、五月十八日、五月三十日、六月十三日、ずっと万景峰号の十月の十六日までのスケジュールが決まっています。

 目の前に来るものですから、それもでかいマイクロホンを新潟の岸壁の方に向けて、そしてわけのわからない歌を鳴らし、喜び組とは言いませんけれども、ちょっとセコハンの組まで窓から手を振るような形で入ってくるのであります。これが、人、物、情報、そして物資を持ち帰って、あらゆる、現体制が権力を持ち続けるための大事なものになっている、こう聞かされています。

 対話と圧力ということは、私は、この船の入港阻止が一番よい圧力になるのではないかな、こう信じています。もちろん、また入港するときは、地元県議会議員一丸となって、握りこぶしを握って、来るならめぐみさんを乗せてこい、帰れ、我々はこの船は好まぬ、シュプレヒコールで対応をしているわけであります。

 今後、何らかの形でこの船を、圧力、経済制裁としてとめることができないのか。新潟港は、新潟県知事が管理責任者であります。ですけれども、ここまで大きな国際問題として取り扱われているこの件について、地方、県知事の裁量で、権限でとめろということ、これももちろん無理な話であります。

 ぜひ、今申し上げた一々について、御意見をお聞かせいただいて、地元に伝えたい、このように思います。よろしくお願いをいたします。

安倍国務大臣 政府の北朝鮮に対する基本的な姿勢は、対話と圧力でございます。

 一昨年、通常国会におきまして議員立法で可決をされました、ただいま吉田議員が指摘をされました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法は、我が国の平和及び安定の維持のため特に必要であると認める場合に、我が国政府の判断によって、特定の船舶の入港の禁止等を実施することを可能にするものである、そして、こうした手段があること自体、北朝鮮に対して一つの圧力として極めて私は有効である、このように考えております。

 最終的な圧力としては、今申し上げました特定船舶入港禁止法の発動を含む経済制裁の発動である、このように思っております。しかし、その最終的な圧力に至る過程でさまざまな形の圧力がある、このように考えております。そうした取り組みの一環として、政府は、これまでにも厳格な法執行等の措置をとってきているところでございます。

 ただいま委員が御指摘されました万景峰号の入港禁止についてでありますが、同船の出入港に際しましては、これまで、我が国の法令及び国際ルールに基づき、国土交通省等の関係機関が連携をいたしまして、ポートステートコントロールを初めとした船舶及び積み荷についてのしっかりとした検査を実施しているところでございます。

 今後とも、同船の出入港に際しましては、従来どおり、必要な検査、審査等をしっかりと厳正に行ってまいりたい、このように考えております。

吉田(六)委員 大変ありがとうございました。

 地元だ、そこの声を伝えたい、こういうことでちょうだいした時間であります。大臣、官房長官、そして副大臣、あるいは関係先から力強いお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。持って帰って、引き続き、横田めぐみを取り返す、万景峰号をとめる、拉致問題を解決する、このために骨身を惜しまない仲間に話し伝えて、今後の行動のエネルギー、励みにさせていただきます。大変ありがとうございました。

 若干時間を残しますが、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 小泉総理が北朝鮮を訪問されてから、はや三年半がたとうとしております。総理が北朝鮮を訪問されたことは、画期的な成果を上げたと思います。つまり、北朝鮮が恐るべき国家犯罪を犯した、そして、それに伴って、帰っていらっしゃいました方々もいらっしゃいます。でも、それ以後、拉致被害者御家族の、早く帰してほしいと思っていらっしゃる方々に対しては、余り、ぱっとすると言ってはなんですけれども、その方々を安堵させる進展が見られてこなかったことは事実ではないかと思います。

 私も、この特別委員会が設立されましてから、幾度となく安倍官房長官や麻生外務大臣にも質問させていただいて、そのたびに、政治家として何もできない、そのふがいなさを感じておりますが、その中にあって、私がちょっと希望を感じましたのは、三月二十三日に実施されました、警視庁公安部による、在日本朝鮮人総連、いわゆる朝鮮総連の傘下団体でございます在日本朝鮮大阪府商工会に対する強制捜査でございます。

 強制捜査となったのは、言うまでもなく、大阪府商工会のほか、原さんが勤務していた中華料理店など六カ所と報じられております。この中華料理店の店主は、大阪府商工会の理事長を務めていた一九八〇年六月、拉致実行犯として国際手配中の辛光洙容疑者とともに、自分の店で働いていた原さんを宮崎市の海岸に連れ出して、船で北朝鮮に拉致した疑いが持たれております。

 一連の拉致問題について、我が国の警察当局が日本国内の拉致協力者を特定して強制捜査に踏み切ったのは初めてだと思います。

 最初にお伺いしたいのは、今回の強制捜査が、なぜ今、どのような意図で実施されたのか。また、警察当局は、この強制捜査でいかなる目的を達成しようとされているのか。捜査中のことですから、もちろん、すべておっしゃれないのはわかっておりますけれども、国民は、この強制捜査に注視し、そして希望も持っていると思いますので、伺いたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの質問の答えと若干ダブる部分がございます。

 辛光洙事件につきましては、昭和六十年六月に韓国当局が公表、事案が発覚したわけでございまして、原敕晁さんの国外移送目的拐取等の立件に向けて、警察もその当時から鋭意捜査したわけでございますが、当時の段階では、国外移送目的拐取等による逮捕状の請求には至らなかったということでございます。

 この間、先ほども申し上げましたように、韓国においては六十一年六月に辛光洙に対する死刑判決が確定、それで、平成十一年、いわゆるミレニアム恩赦で釈放されまして、翌十二年九月には、他の非転向長期囚とともに北朝鮮に送還されました。この間、我が国警察は、韓国当局に対して辛光洙に対する事情聴取等の実施等要請を、所要の申し入れを行ってきたところでございます。

 警察としては、その後も本件事案の全容解明に向けて関連事項の捜査を鋭意継続したところ、平成十四年八月に至りまして、北朝鮮工作員辛光洙による免状等不実記載、入管法違反等、いわゆるこの辛光洙事件の背乗り部分と言われる部分について立件したところでございます。

 しかしながら、さらに、このたび、一つは、韓国裁判手続において作成された公判調書の証拠化の可能性に関する最高裁決定が出たこと、それから二番目に、日朝首脳会談において北朝鮮が拉致行為を自認したこと、三番目に、関係者の供述等により、拉致被害者が北朝鮮に連れていかれた後の状況がかなり明確になってきた、こんなことが、本件事案について捜索を行うだけのいわば条件が整ったと考えまして、本年三月二十三日に警視庁公安部が在日本朝鮮大阪府商工会等六カ所に対する捜索を行ったところでございます。

 これについての評価といいますか、現在捜査中でございますが、現在、このたびの捜索によって押収した証拠品の分析や国内協力者に対する捜査を継続しているところでございまして、今後、事件の主犯格でございます辛光洙を初めとする被疑者に対する国外移送目的拐取等の立件を視野に入れまして、引き続き鋭意所要の捜査を継続するとともに、さらなる拉致容疑事案の解明に向けて努力してまいる所存でございます。

池坊委員 条件が整うまでの間、ちょっと時間が長過ぎたな、もうちょっと早くできなかったのかなというのは、私の素朴な気持ちではございますが、いろいろな事情があったのかもしれません。

 でも、この強制捜査の成果というのはやはりあると思うんですね、第一歩である。そして、これによって北朝鮮が、私たち日本人、まじめに誠実に生きている人をある日突然拉致する、このような冷酷で非道なことを行っているだけでなくて、自分たちの同胞に対してもどれだけ非情なことをしてきたか。つまり、元会長も、自分の子供は北朝鮮に行っている、もし協力しなければ危害が加えられますよと恫喝、恐喝されて協力したわけですね。私は、ニュースを見てすぐ、自分だったらどうしただろうか、やはり愛する子供が危害を加えられるんだったら協力しちゃうかもしれないと思いました。

 朝鮮総連に属している方々は、これは送金している、ぜいたく品を上納していると、いろいろなことをして忠誠を誓っているにもかかわらず、こういうひどいこともやっている、非人情的であるし、そして異常であるというふうに思っております。

 辛光洙には十六名にも及ぶ協力者がいたとしております。警察当局では、こうした協力者のネットワークの全容解明を進める方針というふうに伺っておりますが、ネットワークの摘発などの強制捜査が拉致問題の解決についてどのような効果を発揮するとお考えなのか、ちょっと伺いたいと思います。

小林政府参考人 今回の、辛光洙なりチェ・スンチョルという主要な工作員が、補助工作員を使って事件を起こしておるということでございまして、これらの工作員というものは、日本にかなり知見を有する、かつ支持基盤というものを持っているわけでございます。

 それから、ある部分については相互に乗り入れているような部分もあるように我々としても感じておりまして、まだそれはこれから解明する部分でございますが、いずれにしても、この事案の全体の解明ということにつきましては、そういったいわゆる指導した部分、それから実行した部分、それを補助、支援した部分というようなものをやはり解明していかなければいかぬ。まだこれから全容解明に向けて努力したいと思います。

池坊委員 ぜひ迅速になさっていただきたいと思います。片方では命があるわけですから、時間を要すると思います。強制捜査は第一歩ですから、それからどういうふうに拉致の問題と結びつけて解明していくかということが、これからの大きな課題ではないかと思っております。

 麻生外務大臣にお伺いしたいと思います。

 北朝鮮はもう拉致問題は解決済みと言っております。何かやはりきちんとした証拠、確たる証拠を突きつけなければならない。確たる証拠を突きつけても、したたかな北朝鮮ですから、これはしらを切るかもしれませんけれども、まず、今一番証拠としていいのは、拉致実行犯にかかわった人たちの証言ではないかというふうに考えております。

 これは、辛光洙、金世鎬、朴、それからまた、よど号のハイジャック犯人の一人である元赤軍派メンバーの魚本公博、こういう人たちは、名前が挙がっておりますし、この辛、金、魚本の三人は、二月五日に北京で行われた日朝政府間協議において、北朝鮮に対して引き渡し要求がなされております。辛とチェについては国際刑事警察機構を通じて国際手配も行われておりますが、こうした人たちを引き渡してもらうということはなかなか現実的ではないと思います。

 今、現実的に考えられる一番いい方法は、韓国にいる辛光洙の共犯者と言われております、この人は韓国の国家保安法違反で服役したこともある、現在済州島に住んでいる。今回の強制捜査で新たに容疑者として浮上してきたために、警察当局では辛とともに国際手配する方針と伺っております。

 この韓国と日本においては、日韓犯罪人引き渡し条約というのがございますから、当然引き渡しは可能であると思いますけれども、今、韓国の国内情勢を見たら、とても、はい、そうですか、わかりましたという状態にはないとは思うのですけれども、では、難しいからこれを放置しておくというわけにはやはりいかないと思うんです。

 これから、韓国政府との交渉にどのような方針でお臨みになるかをちょっとお伺いしたいと存じます。

塩崎副大臣 大臣にお尋ねでございますが、私の方からちょっとお答えさせていただきたいと思います。

 お尋ねの事案は、今回の辛光洙の共犯者ということでございますが、警察当局において先ほど来御説明がありましたように、捜査中ということで、現時点でこの共犯者に対して逮捕状が出ているわけではないということで、仮定のお話になるわけでございます。したがって、捜査について予断することになりかねないということで、本件についてはお答えは差し控えさせていただきたいと考えているところでございます。

池坊委員 今きちんとそういう逮捕状が出ているわけではありませんけれども、これは近い将来出していただかなければならない。あるいは、いろいろ捜査の中にあって怪しいと思われているわけですから、では当然、警察の方も、済州島に行って、この人に会って、何か事情聴取みたいなことは行っていらっしゃるんでしょうか。それは、今お答えになれなかったら、ぜひ検討していただきたい事項だというふうに考えております。

 安倍官房長官にお伺いしたいと思います。

 三月十三日に拉致問題特命チームが、北朝鮮への圧力を強めるため、現行法の厳格適用や情報収集力の強化を目的とする、省庁横断による二組織を新設したと伺っております。私は、この委員会の最初からずっと、官房の中に省庁をまたがった強力な特命チームをつくっていただきたい、官房が頑張っていただかなければ、拉致の被害者の家族の方々も安心なさらないし、また救出はあり得ないのではないかというふうに申し上げてまいりました。

 情報収集会議につきましては、私は先日のこの特別委員会でも、日本で暗躍する北朝鮮工作員の任務の中に、防衛庁が研究を進めていた次世代中距離ミサイルに関するデータの入手など、日本の防衛力に関する情報収集が含まれていた事実が明らかになっております。今後は、やはり情報収集に努め、もう水も漏らさない防諜体制、これを強化しなければいけない。北朝鮮というのはそれがすごいと思うんですね。ですから、日本もそれに上回るものをしなければ太刀打ちできないのではないかというふうに考えております。

 また、それとともに、法執行班というのが今度できた。これが何をするのかちょっと調べましたら、鈴木官房副長官は、適切な法執行ができるよう対策を一層強化していくと述べていらっしゃいますので、法律の厳格適用を指示されており、今後これを通じて北朝鮮に圧力をかけていらっしゃるのではないかと思います。

 法律の厳格な適用例としては、今まで、北朝鮮の産物の産地表示の徹底とか、北朝鮮船舶に対するポートステートコントロール、それから、私は先回の委員会でも申し上げましたけれども、朝鮮総連関係施設が受けてきた固定資産税の減免措置の見直しなどなどがあると思います。

 今後、法執行班はどのような法律を駆使して北朝鮮に圧力をかけていこうとされているのか、ちょっとこの場で明確な答弁をしていただきたいなというふうに思っております。

 と申しますのは、先回にも申し上げましたけれども、この委員会の模様は北朝鮮はしっかりと把握していると思うんですね。官房長官が何をおっしゃったか、池坊保子がどんな質問をしたか、それなどは的確にもうあちらにはわかっている。ですから、これはメッセージであるというふうに思っておりますので、官房長官のお考えを伺えたらと思います。

安倍国務大臣 私ども、先ほども申し上げたわけでありますが、北朝鮮政策につきましては、対話と圧力、そして圧力についていえば、最終的な圧力は、いわゆる経済制裁を可能にする法律を使った経済制裁等の圧力であろう、こう思うわけでありますが、それに至る過程の圧力として、国際社会においては、例えば北朝鮮の人権問題を国際場裏の場において、これは日本がしっかりと主張していく、また、多くの国々の理解を得て、国際社会において北朝鮮に圧力をかけていくという方法だろうと思います。

 そしてもう一つは、ただいま先生が御指摘になられました、国内における不法行為を厳格に取り締まっていくということではないか、こう思います。この観点から、拉致問題特命チームにおいて、昨年の十二月に、厳格な法執行の実施を含む八つの項目からなる今後の対応方針を改めて確認するとともに、今般、情報収集会議及び法執行班を設けたところでございます。

 具体的に、ただいま何をやるかということでございますが、確かに委員のおっしゃるとおり、ここでのやりとりは北朝鮮側も極めて注目をしているところでございまして、これから何をやりますかということを私がここで申し上げますと、それに対抗手段をとるということも十分に考えられるわけでございますし、基本的には、我々は厳格な法律の適用をしっかりと行っていく、そのために、厳格な法律を的確に適用していくための体制等、非常に厚いものをこれは組んでいくということでもあるわけでございまして、ああ、これはやはりそうなんだなということを結果として気づいていただけるということになっていくのではないか、こう思っております。

 特に、情報収集会議で行っている中身につきましては、これは、インテリジェンスにかかわることでございますのでお答えは差し控えさせていただきたい、このように思うわけでありますが、いずれにいたしましても、この法執行班は極めてタフなチームであるということでございますから、期待をしていただきたいというふうに思います。

池坊委員 安倍官房長官に大いなる期待を寄せております。

 我が国の対北朝鮮外交の基本というのは、先ほども麻生外務大臣の御報告の中にもございました対話と圧力だと思います。二〇〇二年の小泉総理の平壌訪問以来、私どもは、対話を特に外交の中心として展開してきたと思います。でも、対話がもうらちが明かない、それの成果が見えなかったというのが私は今日の現状ではないかと思います。対話がだめだったら何をするか、対話と圧力なんですから、圧力しかないのではないかというふうに考えております。

 アメリカは、経済制裁なんてしないよと口では言っておりますけれども、現実にはしております。それは私、先回の委員会でも質問させていただいたわけですけれども、それによって、やはり北朝鮮はその経済制裁の傷は負っていると思うんですね。

 言うまでもなく、二月十六日は金正日の誕生日でございました。いつもこれは国民や子供たちにプレゼントをしていた。これが慣例化していたにもかかわらず、ことしはしなかった。これは地方でも行うようにということであった。これはやはり政府中枢が資力がなくなって、資金がなくなっているのではないかと考えていいのではないか。この一つには、やはりマカオのバンコ・デルタ・アジア、こういうことも関係いたしております。

 アメリカは、経済制裁じゃないんだ、米金融システムを守るためなんだ、アメリカの財務省は金融システムを脅威から守るために必要な措置をこれからもとり続けるというふうに言っております。これは長期化していくと思うんですね。

 アメリカの北朝鮮に対するこうした経済制裁を日本はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。どのように分析し、そして、この措置がどの程度、アメリカは長期的にやるよと言っておりますけれども、どのように北朝鮮に対して影響を与えるのか、そして、これを受けて日本はどういうことを考えていらっしゃるかということを最後に伺いたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の九月の十五日のBDA、バンコ・デルタ・アジアの件で御質問があっておりましたけれども、これはかなり影響があったことははっきりしていると思います。定量的にちょっと証明することは難しいのは御了解いただけると存じます。

 これが大きかったと私ども思っておりますのは、これはかなり二十年間ぐらいにわたっての話ですから、それから累積いたしますと、かなりの大きな額になったのは当然だと存じます。加えていろいろな意味で、アメリカ側の話ですけれども、情報等々によると、ここはもう何もただただ金の引きおろしをしただけじゃなくて、いろいろな意味のロンダリングを全部ここでしていたということになっておりますので、こういったようなことがとまるということによって、影響が大きいから六者会談に参加を拒否等々の対応をしてきているんだと存じますので、資金の洗浄というものをさせない。これは何も北朝鮮にさせないんじゃなくて世界じゅうに対して皆公平にさせないという、いわゆる法をきっちり執行した結果がこのバンコ・デルタだと思いますので、非常に効果のあっているものだと私どもも思っております。

 日本の場合も、同じように、似たような話がかつての近畿の朝鮮銀行なんかいろいろありましたけれども、私どもは、今話題になっておりますところで、固定資産税の話というのは、これは今自民党の中でも新しい税制調査会等々でいろいろな話題になっているところだと存じますが、これは各地方で個別に、市ごと、各県ごとにやっているところもあるんですが、これは地裁で敗訴したり負けたりした例もありますので、そこのところはきちんとしてやらないと、現場を担当しているのはもちませんから、そういった意味では、私どもとしてはきちんとそれが対応できるようにするというところも大事なところだと思います。

 固定資産税というのは、これは税金の話ですから、まともな方法の一つだと私どもも思って、いろいろ考え方はあろうと思いますけれども、これも大事な圧力の一つだと存じます。

池坊委員 資源のない日本が国際社会の中で確たる地位を築くことができたのは、日本人には知恵があるからだと思います。この知恵だけで生きてまいりましたので、どんな逆境の中にあっても、この知恵で乗り切ってきた日本人の先達の人たちの英知を見習いながら、絶対にこれは大いに知恵を出して乗り切っていかなければならないと思っておりますし、安倍官房長官は少子化対策にも力を注いでいらっしゃいます。安心な日本でなければ子供を産もうという気持ちにもならないと思いますので、トータルとしてもぜひこれを乗り切っていただきたいと願って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。

 官房長官に外務大臣、本当に御苦労さまでございます。一番大変なお役職だというふうに思っております。どうか体を大切にしていただきたいというふうに思っております。

 拉致問題、まさにらちが明かない、そういうふうに思えてなりません。この拉致という言葉はどこから来たのかな、私は不思議に思いまして、ちょっと調べてみたんです。

 そうすると、まさにこの拉致問題はらちが明かない。同じような、もちろん漢字は違うんですけれども、しかし、ちょっとお話をしますと、もともとらちというのは囲いや仕切りのことだったんです。言葉の語源なんですけれども、奈良時代に、春日大社の例祭の前夜にみこしの周囲をさくでめぐらしてらちをつくったそうなんですね。そして翌朝、大和猿楽四座の一つであり、最も歴史を持つ金春座の太夫、これがらちの中に入って祝詞を上げることとなるんですけれども、それが終わらないとそのらちというのは開かれないで見物客は祭りを間近に見ることができなかったというふうに言われているんですね。いわゆる金春のらち明けとも言われているんですけれども、しばの垣に結びつけた白紙を金春太夫がお旅所前で解いてから祭場に入るということだそうです。このことから、物事が片づくことをらちが明く、そして、らちもないということは、順序が立たない、もうめちゃくちゃだ、こういう意味のようでございます。

 今のこの拉致問題ということを考えたときに、まさにその拉致というのは、同じような意味に私はとらえます。例えば、拉致のことが結局ちゃんと行かないと次の方には行けないわけですね。それは順序ですね。そういう意味においても、この拉致問題、早くらちを明けて、次のステップに行かなきゃいけないというふうに思っておりますので、担当している両大臣、一生懸命頑張っていただきたいというふうに思っております。

 そして、二月十六日に行われました日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議の専門幹事会において、今後の専門幹事会の名称を拉致問題特命チームという通称に決定されたということでございます。今までこの幹事会のこともいろいろとあったんですけれども、多分、もう国民の皆さんもどういうことをやるのかということもちょっとお忘れになっている部分もあると思いますので、そこら辺からもちょっと質問をしたいというふうに思っております。

 日朝国交正常化に関する関係閣僚会議が平成十四年から二回、そして拉致問題専門幹事会が二十三回開催されてきましたけれども、それぞれの位置づけをもう一度おさらいしたいというふうに思っております。お答えください。

安倍国務大臣 北朝鮮による拉致問題は政府一体となって取り組むべき重要な問題であるとの認識のもとに、拉致問題に関する専門幹事会を中心として、解決に向けて関係者一体となって積極的に取り組んでいくという姿勢をわかりやすく表現するために、本年二月十六日に開催された第二十回会合より、同幹事会の通称として拉致問題特命チームという名前を使用することといたしたわけでございまして、正式な名称としては専門幹事会に変わりがないわけでありますが、これはやはり、国民的にもわかりやすく、またメッセージ性のある名前にした方がいいのではないかという判断のもとにそういう通称を今後は使わせていただくとした次第であります。

 拉致問題に関する専門幹事会は、拉致問題が緊急かつ重要な課題であることにかんがみまして、政府としての取り組みの円滑かつ効率的な実施を確保するため設置されたものであります。このような目的は、特命チームを通称として使用することとなってからも変更はないということでございます。

 なお、最近では、三月の二日に開催をいたしました同チーム第二十一回会合及び同月二十四日の第二十三回会合におきまして、拉致問題に関する広報について検討したほか、同月十三日に開催した同チーム二十二回会合において、法執行班及び情報収集会議の設置を決定するなど精力的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、基本的には特命チームを中心に全省庁がこの場で政府全体の取り組みをしていくわけでありますが、しっかりと実効を上げていくべく努力をしていきたい、こう思っております。

松木委員 たしか二月十六日は金正日の誕生日でしたね。その日にこういうことを決めたというのは、一つのメッセージということなんですね。それと、特に質的な変化というのがあるわけじゃないということですね。とにかくメッセージ性というものを今回は重要視したということでよろしいんですね。

安倍国務大臣 拉致問題専門幹事会というのはいかにもお役所がつけたような名前でございますので、つまり、しっかりとこの拉致問題を解決していくという日本国としての意思を込めた名前にしようということでこの通称にしたところでございます。

松木委員 非常に結構なことだというふうに思います。

 そして、この拉致問題特命チームですか、法執行班そして情報収集会議、この二つの分科会が新たに設置されたというふうに聞いていますけれども、それぞれの分科会の、目的は当然略取をされた国民を取り戻すということだと思うんですけれども、実態的にどういうことをやっていくのかということを、できる限りで結構でございます。

安倍国務大臣 仕組みについてもう一度説明させていただきますと、この拉致問題専門幹事会は関係閣僚会議のもとに置かれているわけでありまして、関係閣僚会議は閣僚から成る会議でございまして、その下でこの専門幹事会、いわゆる通称特命チームでありますが、実質的な物事を決めていく場になっているというところでございまして、その場に法執行班をつくったわけでございます。そしてまた、情報収集会議も設置をした。

 情報収集会議につきましては、これは、今後、拉致問題を解決していく上において、外交を展開していく上で、しっかりと戦略的な外交を展開していかなければいけない、そのために情勢の認識をしっかりとしていくということが大切でございます。当然、そのためには、拉致問題ということに関して情報収集を一元的に行う必要があるだろうという観点から、これは従来よりそういう問題意識を持っていたわけでありますが、このたび特命チームのもとにこの情報収集会議を設置したということでございます。

 そしてまた、法執行班につきましては、先ほども御説明をいたしましたように、北朝鮮に圧力をかけていく上において、厳格な法律の執行ということで圧力をかけていきたい、こう思っています。違法行為はしっかりと厳重に取り締まっていく、これはもう当たり前のことでありますが、この当たり前のことを、非常に手厚い体制のもとで、しっかりと、水を漏らさぬ体制で、さらにしっかりとやっていくという意味においてこのチームをつくったわけでございます。このチームの構成は、まさに、法執行を進めていく上において当事者である方々に入っていただいて、極めて強力なスタッフになっている、このように思うわけでございます。

 この中で何をやっていくかということにつきましては、これはまさにインテリジェンス、調査能力等々にもかかわって、また捜査にもかかわってくることでございますので、お答えは控えさせていただきたいというふうに思います。

松木委員 マスコミでは二十項目なんということも出てきているんですけれども、マスコミの現在の報道なんかを見ていますと、拉致の実行犯とされる辛光洙容疑者や、拉致に関与した工作員と言われている朴容疑者の逮捕状をとって国際手配したり、あるいは朝鮮総連の関係施設に対する課税強化の話とか、こういうことなんかがいわゆる圧力強化策の一つというふうに考えてよろしいんですね、これ。どうでしょうか。

 答えづらいかな、答えづらかったら、そういうことだけ言っておきましょうか。

安倍国務大臣 辛光洙事件についての捜査対応等も含めてですか。

 それにつきましては、法執行班のチームがつくられたことにより、当然、情報の集約も可能になってきているわけでございまして、個別具体的な問題についてはお答えを差し控えさせていただくわけでありますが、基本的には、あらゆる北朝鮮が絡む不法行為については対応可能な体制にしているということでございまして、そして、それは厳格に、積極的に法律をしっかりと執行していくということでございます。

松木委員 そういう意味では、やはりこれも一つの一環なんだろうと思うんですけれども、委員長、お願いがあるんですけれども、この二十項目に関して、当然この場も北朝鮮の方は見ているということで、ここでもちろんしゃべるわけにもいかない、そして大変シークレットなことだというふうに私は思っていますので、できたら理事会で出してもらうとか、そういうこともできるのかどうか。それをちょっと、後で結構ですので、お諮りをいただきたいというふうに思います。

平沢委員長 理事会で協議させていただきます。

松木委員 ありがとうございました。

 この辛光洙容疑者のことなんかも、もうちょっと、一連の捜査をもっと早く行っていれば、後々の拉致の被害者も減ったんじゃないかなという可能性もあったような気もするんですけれども、そこら辺はどうでしょうか。国家公安委員長かな。

沓掛国務大臣 どうだったかということですけれども、警察としてはこの問題について全力を挙げて取り組んできております。

 そのことを御説明申し上げますと、御指摘の件については、警察は、本年二月、地村さん夫妻の拉致の実行犯である北朝鮮工作員辛光洙及び蓮池さん夫妻の拉致の実行犯である北朝鮮工作員、通称チェ・スンチョルを特定いたしまして、それぞれ逮捕状の発付を得て、去る三月三日、ICPOにより国際手配が行われたところでございます。これは、さらに外務省を通じて、北朝鮮に対し身柄の引き渡しなども要求しておるところでございます。

 警察は、北朝鮮による日本人拉致容疑事案の重大性にかんがみ、引き続きその全容解明のため必要な捜査を最大限の努力で進めておりますし、またこれからも進めてまいりたいというふうに考えております。

松木委員 きょうは、せっかく将来の総理大臣になるだろうと言われている方々がお二人お見えになっているわけです。ぜひ、簡単で結構です、御自分たちが総理大臣になったときに、この拉致問題、小泉さんは一生懸命やってきたと私は思うんですよね。ただ、ここのところ、どっちかといえばちょっと話し合いにシフトしてきているのかなという感じも実は受けております。

 それぞれ、御自分が、まあ御自分が今総理大臣になったらどうするかという聞き方もちょっと、当を得ているかどうかは別としまして、御自分たちがそのときになったときにどういう対応をとられるか。この経済制裁を即座にやるべきじゃないかなというふうに、今もうそういう時期が来ているというふうに私は思っております。イエスかノーか、どっちかでお答えをいただきたい。

麻生国務大臣 先生、これは基本的には対話するのが目的じゃありませんから。基本的には対話は一手段であって、目的は三つ、真相の究明、生存していると思われる拉致被害者の奪還、とにかく日本に対して取り戻す、そしていわゆる容疑者の引き渡し、この三つが目的。そのための手段として対話であり、それが効果が上げられなかったときにはいわゆる圧力ということになろうと存じます。

 その圧力に今、経済制裁の話がよく出ますけれども、あれで一つだけちょっと理解しておいていただかないかぬのは、この四年間、やはり日本と北朝鮮との、経済制裁とは言いませんけれども、ぐっと減っておりまして、もう半分ぐらいに実際はなっております。したがって、これはもうかなりの圧力になっているという事態は、向こう側の立場からすれば圧力と言わない圧力になっていることだけは確かだと思います。

 かわってふえておりますのが、中国が二・五倍、韓国が一・五、六倍になっていると思いますので、その意味では、〇・五しかなくなってきているという実態も含めまして、だからといって圧力の方法は、先ほど言われました、いわゆる固定資産税等々、いろいろ、法をきっちり執行するという安倍官房長官のお話にもあったと同じように、この問題は、解決をされなければならぬ問題点がさっき言った三つであるものですから、これは今後とも引き続き、これはどなたが総理になろうとも引き続いてやっていかねばいかぬのであって、どれが最も効率のいいやり方かというのは、さっきの目的三つを達成するための手段として、どのような形で対話を続け、圧力を利用するかというところは、ちょっとその段階で判断をさせていただかねばならぬことだと考えております。

安倍国務大臣 今から七年前だと思いますが、外務委員会におきまして、私も質問者の席に立って辛光洙問題について取り上げたことがございます。当時、テレビ番組において、済州島にいる共犯者がテレビの取材に対して思わず自分も一緒に協力をしたということを言ったわけでありますが、しかし、その段階で、日本においては、それを協力をした人たちがそのまま中華料理店の経営者であり、また関連の商工会の幹部でもあり続けている、これはやはりおかしいではないかという観点から質問をしたことがございます。当時はまだ辛光洙容疑者は韓国にいたわけであります。

 しかし、そのときとは大きくこれは状況が変わってきたわけでありまして、世の中の状況も変わりました。当時は、北朝鮮といういわゆる主体思想の国はそういう悪いことはしないんだという空気がかなり覆っていたのも事実であって、そういう中におきましてはやはり捜査も困難であったんだろう、こう思います。

 先ほど私も、厳格な法執行、また積極的という言葉を使いましたのは、これは、積極的な体制をつくって、そして積極的な捜査を行っていくという意味において申し上げたわけでございますが、こうした、この問題を国の意思としてしっかりと解決していく、そのもとに取り組んでいきたい、このように思っております。

 ただいま麻生大臣が答弁をされたように、我々は、対話を目的として対話をするわけではありませんし、また圧力を目的とした圧力をかけるのではなく、この問題を解決して、まだ北朝鮮で生存をしている日本人を全員日本に取り戻すこと、この目的のために全力を傾けていきたい、こう思っております。

松木委員 ぜひお二人には頑張っていただきたいというふうに思っております。

 そして、もう何回もここで伺って、説明して、本当に、ちょっと時々むなしくなるときもあるんですよ。しかし、これはもう絶対あきらめることはできないことなんです。これは、我々の同胞が勝手に拉致をされて、そして勝手に北朝鮮が好きなことを言っているということだというふうに思っています。

 ぜひ、例えば私の一つの私案なんですけれども、政府広報というのがありますよね。政府広報なんかも、この拉致の問題をコマーシャルでテレビでやるとか、そういうことももうちょっと予算を組んでやってみたらどうだろうというふうに私は思っております。くだらない広報より、そういう方がずっとインパクトがあるというふうに私は思っております。

 外交交渉というのは、はた目から見ても、我々は今野党ですからね、我々もいつかは与党になろうと思って今頑張っているわけですけれども、本当に、与党の方々がやっているこの外交交渉、これが大変だというのはよくわかります。しかし、国民の命がかかっている、そして国民の皆さんが一人一人見ていますから、今。この間も私は同じことを言ったんですけれども、自分がこういうことになったとき、この国というのは私たちのことを助けてくれるんだろうか、非常に注目をして見ているというふうに思っております。ぜひ、そのことを心の中にしっかりと入れていただいて、そして対応していただきたいというふうに思っております。

 もう時間が来ました。

 そして、安倍長官に至っては、長官になる前は、もっともっとやるべきだというお話もされていた。しかし、立場がいろいろとあるというのもわかります、わかりますけれども、ぜひそれは、もうちょっと小泉さんのしりをたたくというのもあってもいいんじゃないかということも含めて、ぜひ前進をさせる、そして、これは与党も野党もありません、一緒にやりましょう。

 私は、もう経済制裁をする時期が来ている。北朝鮮が韓国とかあるいは中国とかと経済の交流を深めていますよね。そうしたら、それこそ経済制裁したって何の意味もない、そういうことになる可能性だってあるわけですよね。それであれば今、がしっとやってしまう、やれることをどんとやる、それが大きなメッセージになるんじゃないか、私はそういうふうに思っております。

 ぜひ頑張ってください。我々も一緒になって頑張ります。

 以上です。

平沢委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 第百六十三国会で質問させていただいて以降、二回目の質問になります。

 後に引かない態度でこの拉致問題に臨んでいただきたい、一歩も引かない、そういう強い姿勢で問題解決に当たっていただきたい、そしてそのための対策を国民の前に、そして何よりも御家族の心情を思うときに、御家族の前に対策を明確に示していただきたい、そのことを私は前回申し上げました。

 今回、日朝並行協議が初めて行われたわけでございます。この間、前回私が質問いたしました件で、北朝鮮の人権にかかわる高官を設置してはどうかというようなことについて取り上げていただいたこと、評価をいたします。今後、それが実際的に実効あるものとして活動していってくれるように、本当に心から望んでおります。

 今回の並行協議に関する報告、先ほど麻生外務大臣から御報告をいただきました。率直に言って、残念だという思いでございます。二月の四日から八日、約一週間にわたって行われた協議でございますが、まずお伺いいたしたいのは、この協議でいわゆる懸案事項、拉致問題を含めた懸案事項の解決に向けて、何がどこまで達成できたというふうに政府はお考えでしょうか。お願いいたします。

麻生国務大臣 先ほど御報告を申し上げましたとおりに、日朝包括並行協議におきましては、三つに分けまして、拉致の問題と、いわゆる核、ミサイルを含みます安保、安全保障の問題と、国交正常化の問題、三つ同時にやるということで向こうはテーブルに着いたという背景だと存じます。

 その間、約一年三カ月か、とまっておりますので、いわゆる国交正常化が向こうの目的ですけれども、私どもとそこの点は、国交正常化に至るまでのところに解決せねばならぬ問題があるという我々と、かなり立場に差がございますので、その意味におきましては、今回具体的な進展が得られなかったというのは甚だ遺憾と思っておりますが、少なくとも、この間、私どもとしては、問題を分けまして、かなり時間をかけて意見を、この問題、この問題という問題点をきちんと向こうに直接伝えられたということは、一定の成果として認めているところでもあります。

 この問題解決というのは、先ほど松木先生にもお話し申し上げましたとおり、三つの問題を解決するという目的でやっておるわけですから、その目的を達成するためにはどうするかというものとして、手段として、対話を継続しながら、しかし対話だけでは誠意ある回答を得られないのであれば、その対応を引き出すために圧力はかかるということを向こうに、これ以上そちらから誠意ある回答がなければ我々はさらに厳しい態度にならざるを得ませんよということをきちんと伝えていったというところだけは確かであって、向こうもこれに対して回答を出すという態度でしていただかない限りは、こちらとしてはさらに圧力が高まっていく以外方法がないということだけはきちんと伝えてあるところが、私どもとしてはメッセージとして伝えられた、中国を通してじゃなく、間接的じゃなく、直接伝えられたというところが一番よかったところだと思っております。

西村(智)委員 直接伝えることはできたというのは、それは一つの意味は存在すると私も思います。ですけれども、率直な答弁もあったと思いますけれども、報告でも目に見える具体的な進展が得られなかったということでございます。

 そういたしますと、今後この包括協議の枠組み、これを継続していくのかどうか、判断が求められるところかと思いますけれども、今後もこの方式を継続されるでしょうか。

麻生国務大臣 今申し上げましたように、具体的進展が得られなかったということに関しましては、おっしゃるとおり、甚だ我々も残念であったし、遺憾だったと思っておりますが、次回の協議について見通しが立っているわけではありません。ただ、私どもとしては、対話というものを継続していかない限りは全く通じ合いませんので、日朝包括並行協議を私の方から打ち切るというつもりはありません。なぜならば、対話が全くなくなりますので。

 しかし、御存じのように、過去の清算問題等々を取り上げて、向こう側も国交正常化の問題を持ち出そうとしておりますので、並行して行うというやり方は正しいと思っております。そこが向こうが一番乗っていきたい点だと思いますので。

 そういった意味では、私どもはこの三つの枠組みが立っておりますのはかなり有効な枠組みだと思っております。こういった基本的な枠組みは、今申し上げた三つは、今後とも使える、話の枠組みとしては成り立つ枠組みだと思っておりますので、私どもとしては粘り強くこの方向で持続をさせていきたいと思っております。

西村(智)委員 さて、安倍官房長官にお伺いしたいと思います。

 総理はこの間、先ほどもどなたかの委員の方から発言があったと思いますけれども、対話と圧力、慎重姿勢を保ち続けておるということが報道からうかがい知ることができるわけでございますが、一方、また報道から、安倍官房長官は、二月、日朝包括並行協議が終わって以降の記者会見ですとかいろいろなところでの御講演で、どちらかというと圧力を強めていく考えをお話しになっているという報道がございます。

 これについて伺いたいと思っておるんですけれども、総理の姿勢と官房長官の姿勢、これは違いがあるのかないのか。安倍官房長官は、両者の間に違いはない、官房長官でもありますし、ないとおっしゃっておりますけれども、本当にそうなんでしょうか。その点について伺います。

安倍国務大臣 私も総理も、ただいま麻生大臣が答弁されましたように、北朝鮮に対しては対話と圧力の姿勢で臨んでいく、対話をしていかなければ物事は解決をしない、しかし、残念ながら北朝鮮は対話だけではなかなかしっかりと誠意ある対応をしない、ですから、対話の場において誠意ある対応をするように我々は圧力をかけていかざるを得ないというふうに考えています。

 先般の包括並行協議の場において、残念ながら北朝鮮のこの拉致問題に対する姿勢は誠意ある姿勢であったとは言えないわけであります。次回の協議の場において彼らがしっかりと誠意ある対応を示すように我々は促していかなければいけない、そのためには圧力をかけなければいけない、こう考えています。

 そして、そのために、特命チームにおきまして法執行班を編成いたしまして、圧力をかけていくということにしているわけでありますが、当然これは総理と考え方は同じでございまして、要するに、総理も私もこの拉致問題を対話と圧力の姿勢によって解決をしていくという方向については全く変わりはないということでございます。

西村(智)委員 ちょっと順序をかえまして、先ほど特命チームという言葉が出てまいりましたので、そちらの方の質問をしたいと思います。

 今回、日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議専門幹事会、これが拉致問題特命チームというふうに呼び名を変えられた。そしてまた、法執行班と情報収集会議を設置したということのようでございます。先ほど塩崎副大臣でしたでしょうか、御答弁で、パンフレットをつくられて、それを多言語に翻訳するというようなお話もあったようではありますけれども、一体この特命チームが拉致問題の解決に向けて何をしていくのだろうかということを示していただきたいと思っております。

 会議の名称が変わるということは、中身も変わるということに必然的になってくるでありましょうし、また、それぞれ専門の班、会議、こういったものも出てきているということのようなんですけれども、これでどのように解決に向けて取り組んでいくのか、それを伺いたいと思います。

安倍国務大臣 法執行班につきましては、警察庁の外事情報部長、金融庁の総務企画局特定金融情報管理官、法務省大臣官房審議官、これは入国管理担当でありますが、財務省の大臣官房審議官関税局担当、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長、そして海上保安庁の次長によって構成されているわけでありますが、厳格な法執行を行っていくチームでございます。そしてまた、こうした厳格な法執行を行っていく上において、北朝鮮のいわゆる非合法な活動については、これは多角的な情報収集と集約が必要であるという観点からこの執行班を編成したわけであります。

 このチームにおいて何をやっていくかということにつきましては、これはインテリジェンス、また捜査に係ることでございますのでお答えは控えさせていただきたいというふうに思うわけでありますが、現在取り組んでいる厳格な法執行におきまして極めて重要な役割を担っているということは申し上げておきたい、このように思います。

 そして、情報収集会議でございますが、情報収集会議は、鈴木官房副長官と内閣情報官、警察庁長官、公安調査庁長官、外務事務次官から構成されているわけでございまして、拉致問題を解決するために、拉致問題にかかわる、これは北朝鮮全般にかかわることと言ってもいいと思いますが、情報についてここで分析を行い、また情報を共有していく、そしてそれをしっかりと外交においても、また捜査の分野においても、法の執行においても生かしていくということでございます。

 こうしたチームを作成することによって、圧力をかけていく上においても、また問題を解決していく上においても極めて有意義である、私はこのように思っております。

西村(智)委員 インテリジェンスを扱う部分なので公開できないものも多々あるというふうには思います。しかし、できる限りそれらの情報を、ぜひ御家族の皆さんには、これはどういう対策をとっていくかということと密接にかかわってくるものであるというふうに思っておりますので、そこはしっかりと説明なりしていただきますようにお願いいたします。

 それでは、これは前回私が質問した部分でもあるんですけれども、いわゆる特定失踪者と呼ばれる方々について伺いたいと思っております。

 これは二月十日の報道でしたけれども、こういうふうに書いてあるわけです。昨年十一月の政府間協議で三十四人分のリストを北朝鮮側に手渡して情報提供を要請していた、特定失踪者について、日本からの関連情報の提供、これを条件に調査するということを北朝鮮側が答えていたということなんですけれども、これは事実でしょうか。ここから伺います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今まさしく委員が言われたとおりでございます。

西村(智)委員 そうしますと、私が質問したときの答弁がきちんと生かされた形であるというふうに理解をいたしますけれども、今後の取り組み、それから見通しについて伺いたいと思います。

 関連情報の提供を条件にということで、その提供が今どういう状況であるのか、その点について伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今まさしく、特定失踪者調査会と協議をしながら、どういう資料を北朝鮮側に提供するのかという調整の最終段階に来ておりますので、近々北朝鮮側に提示できることになるのではないかと考えております。

西村(智)委員 近々というのはどのくらいのスパンでしょうか。一日でしょうか、一週間でしょうか、一カ月でしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと今の時点で、申しわけございませんが、一日か二日であるかということはお答えできる状況にありません。先方といろいろ調整事項がまだ残っております。

 以上でございます。

西村(智)委員 ぜひしっかりと形にあらわれるようにお取り組みをお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと話はかわるんですけれども、今月、先月、いわゆる強制捜査あるいは逮捕状の請求等々行われてきたようでございますけれども、一つお伺いいたしたいのは、公訴時効に関して一点、警察庁の方に伺いたいと思っております。

 先週、原敕晁さんの拉致容疑事件に関連して国内を捜索されました。国内に居住しているとされる共犯者にかかる公訴時効については、これはどういうふうにお考えになっておられますか。将来問題となるおそれがあると思いまして伺います。新潟での少女監禁事件との関連もあるやに伺っておりますが、このあたりについてはどのようにお考えでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 各事件で公訴時効はケース・バイ・ケースでございますので、本件についての、三月二十三日、警視庁公安部が捜索を行った件についてのお答えをしたい、こう考えております。

 警視庁公安部が捜索した罪名でありますが、国外移送目的拐取、国外移送及び監禁の容疑で捜索・差し押さえ状の発付を受け、国内関係先六カ所の捜索を行ったということ、この件に関しましては、現在、その拉致被害者が北朝鮮に置かれていた状況がかなり鮮明になってきたということがあります。それで、本件の罪数について検討した結果、その行為全体が、国外移送目的拐取罪及び国外移送罪とあわせまして、監禁罪というものが評価される行為が行われている疑いが濃厚となった、こういうことがあります。

 そこで、これらの行為がどういう関係にあるかということでございますが、いわゆる一つの実行行為の主要部分が重なり合っていることが認められるということでございます。いわゆる観念的競合という概念でございます。

 そういったことで、本件被害者である原敕晁さんが、北朝鮮に連れ去られた後、北朝鮮内のいずれかの場所において監禁状態に置かれている限り、現在も当該犯罪行為は継続しているものと考えられ、本件に関する公訴時効は進行していないものと判断したものでございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 私は新潟県の選挙区から選出されている議員でございます。一刻も早く御家族のもとへ拉致された方々を帰国させたいと本当に心から願って、この委員会にも所属をさせていただきました。ぜひ、本当に引かない取り組みをお願いしたいと思います。

 最後に一点伺いたいと思いますが、麻生外務大臣、先ほど、日本と北朝鮮との貿易量は減っているというお話がございました。他方で、中国、韓国と北朝鮮との貿易量はふえているというようなお話がございました。やはりこの問題解決のためには、周辺国、とりわけ中国や韓国との理解、協力関係が不可欠ではないかというふうに考えます。

 国連でもようやく動いてまいりました。しかし、どちらの国とも我が国の首脳同士の対話は今途切れた状態にございます。日韓協議にとってもこれは大きな足かせになっているのではないかというふうに思いますが、両国との関係改善、これがどうしても必要だ、そのように私は考えますけれども、大臣はどのようにお考えか、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 先ほど松木先生の、今おられませんか。今数字を確認しますけれども、半減と申し上げましたけれども、五年前、二〇〇〇年、四億六千四百万ドルが、今、一億九千五百万ドル。ですから約二分の一、もうちょっと減っておりますね、半減以上しております。中国、四億八千八百万ドルが十五億八千万ドルまでふえておりますので、こっちは三倍。南北で四億二千五百万ドルが十億五千万ドル、約倍ということになっておりますので、南北で約二倍半ぐらい、中朝ですと約三倍、日本が約二分の一ぐらいになっておるという実態、これが正確な数字です。先ほど半分ぐらいと申し上げましたけれども、これが正確な数字だと存じます。

 次の質問で、この問題を解決するのに、日中、日韓の関係の、いわゆるトップ同士の話がこの問題解決を妨げておるのではないかということだと思いますが、直接そんな関係ないと思います。基本的には、両方とも利益はかなり共有しているところがございますので、韓国にいたしましても、中国にいたしましても、問題解決のためということに関しましては、いわゆるミサイルの問題、核の問題含めて、私どもと、抱えております問題点で多くの問題点を共有いたしておりますので、私どもといたしましては、大局的な見地から三極でかなりの話、多くの問題をやっております。

 また、韓国の場合は、日本と同じように、日本より何十倍ぐらい多い拉致者を抱えておると思います。僕は、この正確な数字を、双方の発表、それぞれかなりそごがありまして、どれが正確な数字かは私どものわかるところではありませんけれども、韓国から北朝鮮への拉致というのは日本の数よりはるかに多いと思いますので、あちらの問題も、極めて日本より深刻な問題を抱えておられると思いますので、この問題に関する限り、三者間のそごは、大きな違いはなく、共有して頑張っておるところだと理解をいたしております。

西村(智)委員 ちょっと時間が参りましたので、大変残念ですけれども、そこのところは、私はそうとは思っておりません。それは認識が違うと思います。妨げになっているかどうか、そこのところはしっかりと分析をしなければいけないと思いますし、私は、関係が良好であればもっと拉致問題の解決に向けてタッグが組んでいける、そういうふうに必ずなっていくと思っております。ぜひ大臣、そこのところは、また時間を後でとっていただいて議論させていただきたいと思います。

 終わります。

平沢委員長 次に、松原仁君。

松原委員 この拉致の問題、また、日朝協議が終わりまして、先ほど麻生大臣は、ほかの委員からの質疑にも答えられました。遺憾であるということをおっしゃったわけでありまして、安倍官房長官にお伺いいたしますが、安倍官房長官は今回の日朝協議についてどのような評価をしているのか、お伺いいたします。

安倍国務大臣 私も、基本的には麻生大臣と同じ認識でございます。日朝の包括並行協議において、拉致問題について前進しなかった、また北朝鮮側が誠意ある対応を示さなかったのは極めて遺憾である、このように思っております。

 しかし、その中で、両国はかなり長時間をかけてお互いの主張をし、そして、日本の論点について、日本の主張について先方に伝えることができたということにおいては評価できる、このように思っているわけでありますが、しかしながら、この日朝の会談において、北朝鮮側が拉致問題を解決するという意思また誠意ある態度を示さなかった、これは、私は、極めて問題である、このように思うわけであります。

 今後とも、対話と圧力の姿勢によってこの問題の解決を目指していきたい、こう思っております。

松原委員 ほとんどというか、全く進捗がなかったどころか、北側は、歴史的事実において、それは極めてあやふやな内容まで、慰安婦だとか強制連行とか、こういうことまで言っていることを考えると、ある意味では、一歩前進二歩後退みたいな要素すらあるというふうに思っております。

 本来であれば、一昨年、横田めぐみさんのにせ遺骨が発覚したときに、あのときの官房長官は、誠意ある速やかな対応がなければ厳しい措置を講ずるといった状態から、既に一年有余過ぎて、今回の日朝協議、何ら誠意ある対応がなかった。私は、本来であれば、これは、くどいようでありますが、経済制裁に踏み切るべきタイミングだというふうに考えておりますが、これについて安倍官房長官はどのようにお考えでしょう。

安倍国務大臣 最終的な圧力としては、いわゆる経済制裁をかけていくということだと思います。法律による経済制裁をかけていくということではないか、このように思っております。

 それに至る過程においてさまざまな圧力があり、国際社会の場において、北朝鮮における人権問題について認識を共有すべく日本が主張し、そして国際的な圧力をさらに高めていくという手段があります。現在、我々は、人権担当大使を決め、多くの国々の共感を得ているところでございます。そして、それと同時に、国内においては、法の厳格な適用という形によって北朝鮮に対して圧力を強めていく、このために法執行のチームをつくったところであります。

 我々は、対話と圧力によってこの問題を解決していきたい、こう考えているわけであります。要は、圧力をかけるための圧力ではなくて、問題を解決していくために圧力をかけていかざるを得ない、こう考えておりますが、同時にまた、これは最終的には対話によって解決していかなければいけない、このバランスが大切ではないか、こう思っているところであります。

松原委員 この圧力ということでまいりますと、アメリカ、米国が、バンコ・デルタ・アジアに対する金融制裁というのが実行された。これは事務方で結構でありますが、なぜアメリカ財務省はこの経済制裁を実行したのか、お伺いいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 米国の財務省は、北朝鮮が当該銀行を通じてマネーロンダリングをしている疑いが強いということで、いわゆる米国の愛国者法第三百十一条に基づきまして、そういう行為をしている疑いのある銀行として指定したものでございます。

松原委員 この経済制裁、大変に、先ほどからの議論でわかるとおり、北朝鮮側に大きなインパクトを与えているということであります。具体的な中身は、これは財務省のホームページに掲載したということでありますが、どのような具体的な中身か、教えてください。

塩崎副大臣 李根という北朝鮮の外務省米国局長が訪米をいたしまして、米財務省当局とお話し合いをしたということでございますけれども、第三国間のやりとりでございますので、私どもとして正式に説明する立場にはないわけでありますが、発表されたもの等々から見ますと、まず第一に、米国からは、米国のとっている資金洗浄対策等の措置の概要について、まず何をやっているかということを説明した、それから、これらの措置と六者会合とは無関係だということを言い、なおかつ、北朝鮮は早期、無条件に六者会合に復帰すべきであるということを申し述べたというふうに聞いております。

 それから、北朝鮮側からは、いわゆるこの金融制裁の解除がない限り六者会合には復帰しないという立場を示したということで、すれ違いの話し合いだったというふうに理解しております。

松原委員 私は、このアメリカの金融制裁というのは、先ほどからお話があったように、かなり効果が上がっている。アメリカが金融制裁をした理由というのは、北朝鮮がさまざまなマネーロンダリングをバンコ・デルタ・アジアを通じて行っている、けしからぬ、このことによって金融制裁、経済制裁を行ったわけであります。アメリカがその理由でもってこういった制裁を発動したということであります。

 日本は、この拉致の問題というのは、物事の重みというのは、マネーロンダリングより拉致が重いとか軽いとかというので比較してはいけないという議論があるかもしれないけれども、私が感ずる限りにおいては、北側のマネーロンダリングよりも、人道的なことを考えても、私は、日本のこの拉致の問題の方がはるかに重い問題だろうというふうに思っております。恐らく、アメリカが日本の立場であれば、とっくにこういった経済措置を、経済制裁をしている。

 もちろん、当たり前のように、日本の税体制に沿って北朝鮮総連関係の不動産等に対する課税をした上で、当然これはやるべきだと思うんですが、改めて安倍さんに、アメリカのバンコ・デルタ・アジアに対する金融制裁を考えたときに、私は、日本のこの拉致の問題でなぜ経済制裁をしないのか、もう一回お伺いしたい。

安倍国務大臣 日本としては、先ほど申し上げましたように、しっかりとした、まさに米国がバンコ・デルタ・アジアに対して行ったように、厳格な法律の執行をアメリカは行ったというふうに私は理解をしているわけでございますが、我々としても、日本としても、国内における北朝鮮の非合法な活動につきましては、極めて厳格な対応、そして、これは対策チームをつくっているわけで、厚い対応が可能なチームをつくっているわけでありますが、こうした厳格な法律の適用をしっかりと行っていかなければならない、このように思っているわけであります。

 その意味で、この数カ月間、我々としては、あらゆる分野において的確な、厳格な法律の執行を行っている、このように思っております。

松原委員 なお、米国は当然、日本の拉致問題も知っているわけでありますが、バンコ・デルタ・アジアに対する制裁をする段階において、日本側に何らかの話があったのか、もしくは、これに絡んで何らか共同の行動をしようという話があったのか。通告しておりませんから答えられる範囲で結構でありますが、安倍官房長官にお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 日本と米国は同盟国であります。また、北朝鮮の問題については、認識を同じくしてしっかりと歩調をそろえて対応をとっていく、核の問題についても、ミサイルの問題についても、安全保障の問題についても、また拉致の問題についても、お互いに情報を交換し協力をしていくということになっているわけでございます。

 当然、そうした情報交換の一環として、我々は、いろいろな情報を米国側から事前に供与、内報されているということでございます。

松原委員 米国との共同の歩調の中で、非常に効果的な北朝鮮に対する圧力を、アメリカは既にこうやって圧力を加えているわけでありますから、ぜひともお願いをしたいと思っております。

 同時に、四月の下旬に米議会の公聴会に、日本の拉致被害者家族会の方、また韓国の拉致被害者家族会の方、きょうも家族会の増元さんも傍聴席に来ておられますけれども、そういった方々が行って拉致の現状を訴える、こういうことを聞いております。

 これに関して、日本政府として特段の対応をするお気持ちがあるかどうか。例えば、一番それはできれば安倍官房長官が、国務が忙しいですから、そのためにだけ行くわけにはいかないかもしれませんが、内閣官房副長官が行くとか、何らかのそういった重みのある対応をすることは、私は、この問題に対して日本が真剣に取り組んでいるということの一つのエビデンス、これをアメリカにも示すことになるし、北側に対する強烈なメッセージにもなると思うんですが、このことに対しての日本政府としての対応は何かお考えでしょうか。

麻生国務大臣 四月下旬に、北朝鮮自由化週間に合わせて訪米をするということになっておりまして、二十七日に米議会の下院の公聴会に出席されるほか、米国政府及び議会の要人との会談、NGOの集会等への参加が予定されるという、今言われた一連の中に、その予定になっております。

 外務省、政府としては、これは大変有意義なことだと思っております。したがいまして、私どもとしては、外務省本省及び米国の日本大使館を通じまして、家族会の方々と米国の要人との面会のセット、アレンジを含めて、今可能な限り支援をさせていただいて、いろいろな話がありますけれども、先ほど出ましたように、アブダクション・オブ・ジャパニーズシチズン、この種のあれをいわゆる横文字というか英語でつくらせていただいて、ここらのところを昨日二十九日でしたか、私どもの山中政務官の方から御家族の方たちにお渡しして、訪米時にぜひ活用してください等々のお話をさせていただいております。

 今御指摘のありました、官房長官もしくは外務大臣がその会議に出席できるかどうか、ちょっとそこのところまで今の段階で決めておるわけではございません。

松原委員 両大臣が出席できなければ、これは特に、従来から拉致チームを中心でやっているのは官房副長官でありますから、官房副長官等がこういったものに出席をし、きちっと我々の思いを告げることも必要だろうと私は思っております。

 今、麻生大臣の御答弁もお伺いいたしましたが、安倍官房長官の答弁もいただきたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま麻生大臣が答弁されましたように、しっかりと政府としてもこれは対応していきたい、こう考えておりますし、また、当然これは政治家レベルの派遣は考えていかなければいけない、こう思っております。

松原委員 前向きの答弁をいただきましたので、ぜひともこの問題に極めて深い情熱を持つ政治家の方の米側に出席をお願いしたいというふうに思っております。

 そして、公聴会があるわけですが、これは日本だけではなくて韓国の拉致被害者家族の方もいらっしゃる。

 そこでお伺いしたいわけでありますが、いわゆるDNAの問題であります。横田めぐみさんの関係のDNAの話でありますが、DNA、この結果がなかなか発表になっていない。さまざまな骨がばらばらだった前回と比べ、今回が時間がかかっている理由というのは何かあるのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 一昨年十二月の横田めぐみさんのものと称される遺骨のDNA鑑定は、同一人物のものか否かという鑑定、これは専門用語では異同識別というようでございますが、というものでやった。現在行っている鑑定は、親子関係の存在の確率について推測するための鑑定をやっているということで、これは親子鑑定というようでございますけれども、性質が異なるということで、時間を同列に比較するのは好ましくないのではないかということ。それと、非常に重要な鑑定ということで、現在、委託をしております国内機関において極めて慎重に鑑定をさせていただいているという事情もございます。

 以上でございます。

松原委員 私が聞くところによりますと、昨日、御家族と面会した山中政務官が、できるだけ早く報告したい旨伝えたというふうに聞いております。来週中にはこのことについての報告が出る、このように思ってよろしいんでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 昨日の山中政務官と御家族との会談の際に、政務官の方からは、わざわざ外務省にお越しいただいてありがとうございます、本来であれば、本日の面会の機会に鑑定の結果を直接お伝えできればよかったのですが、まだ結果は出ておりませんということをお伝えしました。

 同時に、鑑定の結果が出た暁には、速やかに横田さん御夫妻にお伝えしたいということを述べた次第でございますが、いつとかいうことにつきましては述べておりません。

松原委員 これは大きな問題というか極めて重要な事柄でありまして、四月の米側における公聴会までには当然これは明らかにしておかなければいけない、韓国の拉致被害者のDNAが入っているかどうかというのもこれは明らかになるわけでありますから。

 同時に、そんなことはないと思いますが、韓国の拉致被害者家族の方がこのDNA検査には絡むということになる。まあ、実際、それが全然違うということになるかもしれないし、違っていないということになるかもしれない。その場合に、残念ながら、日本は極めてこの問題に対して熱心であります、政府を挙げて熱心でありますが、なかなかそれは政府によって温度差がある。そういう温度差の違いに配慮することによってこういった発表が遅れるとか、そういうことはないと思いますが、くれぐれもそういったことがないようにお願いしたいと思いますが、何かコメントありますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今まさしく松原先生が言われたとおりで、我々は、そういうことは一切ないようにしたいと思っております。

松原委員 次に、安倍官房長官が官房長官につかれて以来、組織も改編をし、具体的な動きがなかなか進んできたのではないか、私はその点は評価をしております。

 そして、その中において、先ほどからさまざまな質疑がなされましたけれども、専門幹事会の中に情報収集分科会、法執行分科会、こういうふうなものがつくられて行動する。大体これは、イメージとして、事務方の方にお伺いしても構わないわけでありますが、どれぐらいの頻度で会合を重ねていくのか。

 当初、我々は、この拉致特がつくられる前の段階でも、特に官房の中に拉致対策室をつくって、二十四時間、四六時中この問題を協議するスタッフがいないのはおかしいではないかということを言ってきたわけであります。

 ある意味では戦闘的なイメージをつくって、こういった二つの分科会をつくる、結構でありますが、情報が出てこない限りはその会合をやらないというのでは意味がないのであって、継続的に、これは週に二回、三回というふうに決めて会合をやっていかなければ、私はなかなか、時間との闘い、拉致問題の解決には結びつかないと思っておりますが、どの程度の頻度で行う予定なのか、お伺いしたい。

安倍国務大臣 法執行班につきましては三月十五日に、そして情報収集会議については本日、三月三十日に、それぞれ初会合を開催したところであります。今後とも、定期的に会合を開催し、しっかりと対応をしていきたい、こう思っているわけであります。

 いわゆる法執行班につきましては、この会議として開く場合もあるわけでありますが、常時集まれるような、そういうネットワークに既になっているわけでありまして、このネットワークをしっかりとつくり、また、常時集まり情報交換できるという形になっておりますので、それによって、この一、二カ月で既に、この初会合の前から準備的な段階を経ているわけでありますが、その成果は十分出てきているというふうに思っております。

松原委員 御案内のとおり、この拉致問題というのは時間との闘いである、交渉の解決は時間との闘いの中で行われているというのは、これは皆様が御承知のとおりであります。

 私は、先ほども申し上げましたように、安倍官房長官になってから、その前の官房長官とは違って、極めてスピードが速く、さまざまな行動が動いている。問題は、そうはいいながら、設計者である安倍官房長官がいつごろまでにこれを仕上げるつもりなのか。私は、これはある程度明示的に言えるものならやはり言って、北にそのメッセージは伝えるべきだと思うんですが、結局、あと二十年もたってしまったらすべて風化してしまう、あと十年でも風化してしまう、時間との闘いである。

 一体いつごろまでに、官房長官というのはこのことについて直接的な総責任者だと私は思っております、いつごろまでには何とか解決したいと思っているのか、それを、安倍官房長官の決意をお聞きしたい。

安倍国務大臣 この問題を解決するためには、北朝鮮がこの問題について解決をするという意思を決めなければ、今までの対応を変えなければ、またある意味では政策の変更をしなければ、北朝鮮は今の問題、経済の問題あるいは食料の問題を解決できない。そして、さらに今の状況がもっと悪くなる。この問題を解決すれば、国際社会から受け入れられ、そして新しい未来が開かれていくということを理解させなければならない、このように思います。

 だからこそ、理解させるための対話であり、そして、今の状況よりももっと悪くなっていくということを感じさせるためには圧力である、このように思うわけでございます。

 我々も、時間をかけるわけにはいかない。北朝鮮には我々の救出を待っている日本人がいるわけであります。十三歳のときに人生を奪われためぐみさんの人生を取り戻さなければならない。その思いでしっかりと対応をしていかなければいけない。

 残念ながら、これは相手があることでありますから、いつまでにということは我々の口から言えないわけでありますが、これは、時間稼ぎは決して許さないという姿勢でいかなければいけない。つまり、時間稼ぎを許さないということは、対話のためだけの対話は行わないという姿勢で臨みたい、こう考えております。

松原委員 何か、持ち時間が急に六分短くなってしまったので、最後の質問をまとめてやらないといけなくなってしまったので、ちょっと困ったものであります。これは本当に時間はこういうことなの、間違いないの、五十三分とさっき来たけれども。

 警察庁関係にお伺いしたいわけであります。

 辛光洙関係に関してでありますが、なぜ今こういった強制捜査が行われたのか。

 そして、この捜査が行われた理由として、最高裁が、いわゆる韓国における調書、これを日本の刑事資料として活用できるというふうに決めたからだということでありますが、こういった最高裁の判決がない限り、警察としては今回の件は強制捜査できなかったのか、これをお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 また質問が重なる部分がございまして、端的に申し上げますと、この事件、昭和六十年に韓国当局の公表でありまして、私どもとしては鋭意努力をしてきたわけでございますが、平成十四年の八月に、いわゆる本件の背乗り部分ですね、本件そのもの、拉致そのものじゃなくて、背乗り部分についての辛光洙にかかわる免状等不実記載、入管法違反等による逮捕状を取得し、国際手配等の手続を行った、これが第一段階でございます。

 そうした中、今委員御指摘の点も踏まえて、三点を総合的に考えたということなんですね。

 一つは、韓国裁判手続において作成された公判調書の証拠の可能性にかかわる最高裁決定が平成十五年の十一月になされた、これが一つ有力な根拠でございます。

 それから、平成十四年九月の日朝首脳会談におきまして、北朝鮮みずからが拉致行為を自認したということでございます。

 それから第三点といたしまして、これまでの関係者等の供述によりまして、拉致被害者が北朝鮮に連れていかれた後の状況がかなりの程度明らかになった。

 こういった三点というものが以前の段階とは違うということで、私どもといたしましては、本件事案についての捜索を行う、強制捜査を行う条件が整った、こう判断いたしまして、三月二十三日、警視庁公安部が在日朝鮮大阪府商工会等六カ所の捜索を実施したもの、こういうことでございます。

松原委員 質問時間が予定より急に短くなったものですから、途中すっ飛ばしまして、この次の質問。

 韓国国情院長との会談というのが行われたように聞いておりますが、ちょうどこの強制捜査と時期が同じなわけでありますが、この韓国国情院長との会談というものが実際行われたのかどうかを含めて、このあたりを言及していただきたい。一緒に行う協力体制についてもお願いします。

小林政府参考人 警察は、各国の機関と必要な情報や意見の交換は行っております。その具体的内容については、やはり国際慣例や相手方機関の立場もございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 しかしながら、警察としては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案の全容解明に当たっては、海外の関係各機関との連携は重要と考えておりまして、従来から、韓国当局を含む海外の関係各機関と適宜必要に応じて情報交換を行っているところでございまして、今後とも、外務省と関係各機関とも十分に連携した上、関係情報の収集に努めてまいりたいと思います。

松原委員 最後に、麻生大臣にお伺いしたいと思います。

 これは通告しておりませんが、ぜひともお答えいただきたいのは、こういったことをずっと見てまいりますと、やはり、情報戦において日本は負けている、この国はスパイ防止法がない。そういう中で、こういう十六人の協力者がいるとか、いまだに中華料理屋の店主は平気平然として生活をしているとか、もちろん、これも本当は質問したかったわけでありますが、時間がないので差し控えますが、こういう、どこから見ても普通の国ではない異常な国であります。

 私は、やはりこういった拉致問題をきちっと解決するためにも、こういう情報の部分でこういった法制定をしていかなければ、本当の意味での当たり前の国にならないと思うんですが、特に外交でもこういった情報戦は重要であります、この点について麻生大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 決意はともかく、これは、自由民主党は結構前から機密保護法またスパイ防止法等々、いろいろな名前は変えて法案提出を試みたという過去の経緯があります。

 昔と違って理解が随分ふえてきたような感じはいたしますけれども、いろいろな意味で、私どもは、少なくとも情報公開と同時に機密保護法、いわゆる個人情報保護法を含めて両方考えねばならぬということが大分多くの方々に理解されつつあると思いますが、機密保護法等々含めまして、この種のものというのは、スパイ防止法を含めまして、非常に肝心なところだと思います。

 情報戦というものに関しましては、私ども、この国自体がもともと、いわゆるよく例に引きますけれども、戦国時代でも、やはりらっぱとか草とかいうのは余り偉い立場にいなくて、武将以下の扱いになっておったというように思います。イギリスなんかに行けば、情報将校は絶対にサーのタイトルがみんなついておるぐらいかなり差がありますし、日本でも情報関係が将になりましたのはつい最近で、それまで佐にしかなっておらぬと思いますので、基本的には、昔からの流れもあろうと思いますが、これから改めて理解を得て進めていかねばならぬ大事な点の一つだと存じます。

松原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤であります。

 質問をいたします。

 早稲田大学の重村智計先生は、外交官にとって日朝交渉ほど人生観と使命感が問われる外交はないと言っています。つまり、日朝交渉は、外交官の人たちにとって人生観とか使命感が問われる外交だ、私はまさにそのとおりだと思いますし、私たち政治に携わる者にとっても肝に銘じなければならない言葉だと思います。

 北朝鮮との交渉は全体主義国と民主主義国家の対峙であり、そこには日本外交だけではなくて日本の政治そのものが試されていると思いますが、麻生大臣に改めて日朝交渉に対する認識をお伺いいたします。

麻生国務大臣 基本的に、開かれた民主主義国家とそうでない国との交渉というのは、いつの状況でも難しいものだと存じます。共産主義国家と民主主義国家の交渉というのは、かなり情報がコントロールできるところと開かれた情報を持っておるところとの差というのは、なかなか難しいものを要求されるのはもうはっきりいたしております。

 したがいまして、日本にとりまして、隣国の上にもってきて、開かれた情報体制にない国との交渉というのは甚だ難しいというのはもうはっきりいたしておると思いますので、この交渉が最も難しい交渉かと言われると何とも申し上げようがありませんけれども、日本の外交にとりまして最も難しい交渉の一つであることははっきりしております。

渡部(篤)委員 私は、昨年の拉致特別委員会において、日朝政府間対話が国交正常化問題、拉致などの懸案、安全保障の問題、三つの分科会方式の交渉と話し合いについて、これは疑問だと申し上げました。ここで心配したのは、正常化交渉だけが進んで、拉致問題が棚上げにされる危険があるということです。国交正常化、拉致、核・ミサイルの三分野をテーマとした日本と北朝鮮による並行協議は実質的な進展がないままに終わりました。

 日本国が国交正常化交渉で、日本は正常化後には経済協力をするとか、東南アジア、中国、韓国の経済発展に日本の経済協力は貢献したとアピールしたと言われておりますが、それにもかかわらず、北朝鮮は経済協力に加え、平壌宣言に示されていない元従軍慰安婦、強制連行者への個人補償を求めてきました。個人補償を求めてきたのは平壌宣言を振り出しに戻すものだと私は思っています。

 外務大臣はこれについてどのように考えるのか、お伺いいたします。

麻生国務大臣 昨年でしたか、先生からの御質問のあっておったところだと思いますけれども、今のお話の中でありましたように、三つ同時に交渉するという話を提示したがゆえに、一応対話が始まるというためには、私どもはこの方法は必要であったと思っております。

 また、その中にあって、少なくとも日朝国交正常化の話を先に優先させた事実もありませんし、私どもとしては、まず、両方の意見の交換をする場所が一年三カ月とまっておりましたので、その点に関しましては一つの方法だったと思っております。

 次に、今言われておりますように、日朝平壌宣言に明記されております一括解決、経済協力という話の理解が余りよくできていないというように感じましたので、この点はこういう意味ですということをきちんと理解させた上で、そのほかに、枠外で出てきた強制連行とか慰安婦に対する対応を向こうが求めてきたのも事実です。私どもとしては、これはもうそういった協議の余地が全然、引きようがないことははっきりしておりますので、先般の協議に対しましてはそのとおりに申し上げておるところでもあります。

 もう一点は、一九四五年八月十五日以前に生じた事柄につきましてはということについては、いわゆる強制連行等々を含めて、いかなる名目、根拠にかかわらず、すべからく、法的に、完全に、最終的に解決されたものとして日朝平壌宣言をしておりますので、その意味ではこの共通理解の確立というものが国交正常化においての大前提になろうと思っておりますので、先方の正しい理解というものを得るために今後とも努力をしていかねばならぬと思っております。

渡部(篤)委員 私は、外交交渉というのは、例えば北朝鮮を何もしない、駆け引きをして北朝鮮が困るのは、日本が無視をしたり相手にしない、そういう雰囲気をつくるとか、そういうのも外交交渉ではないかなと考えています。また、北朝鮮との交渉では、最悪の場合は決裂してもいいという覚悟がなければ譲歩はかち取れないと私は思います。追い詰めると爆発する、経済制裁は効果がないなどの戦略、戦術もない対応はすべきではないと私は思っています。

 困り果てれば北朝鮮は必ず譲歩するという意見がありますが、これについて外務大臣はいかがお考えですか。

麻生国務大臣 渡部先生御指摘のように、むやみに成果を求めるのは愚かです。私もその点に関しましては基本的にそう思っておりまして、相手をじらせるとか何も説明しないとか、ふだんの生活の中でもよくある話ですけれども、外交交渉というのは国と国がやるだけであって、どのみち人と人がやるわけですから、考え方の基本は同じです。

 そういった意味で、瀬戸際外交というものはこれはよくある話でして、私どもとしても心しておかねばならぬところでもありますし、ならぬ相手だとも思っております。少なくとも先方のペースにはめられるのは愚かだという御指摘なんだと思いますので、私どももいろいろな覚悟を持って臨む必要があろうと思っております。

 目に見える成果というものを私どもも得たいと思っておりますが、しかし、私どもとして、無理に成果を求めて不必要な譲歩をするというような考え方はありませんし、かえって非生産的な結果をもたらすことになりかねぬという感じがいたしております。

 私どももいろいろ考えますが、私といたしましては、交渉担当者に対して、北朝鮮との交渉に当たっては、今御指摘のありましたように、いろいろな交渉の中で最も難しい交渉の一つなんだということを理解した上で、交渉の技術というものもあろうかと思いますが、誠意も要るだろうが技術も要る、そういったことも含めて、きちんとした指示をいたしておると思っております。

渡部(篤)委員 外務大臣に一つお聞きしたいのは、先ほどもいろいろ質問が出ましたが、米国と北朝鮮の関係です。これをどう見ているのか、お伺いします。

麻生国務大臣 米国と北朝鮮、米国の関心は、基本的に、拉致というような状況が彼らにあるわけではありません。米国の関心は、ミサイルの飛行距離の話とかプルトニウムの埋蔵量とかいうものの方にむしろ関心があるとは思っておりますけれども、少なくともブッシュ政権になってから、拉致に関しましては非常な関心を示すようになった、御存じかとは思いますが、アメリカでは人質の方が殺人より罪は重たいですから。

 そういった意味では、私どもとしては、資金洗浄措置という、法律用語じゃそういうことになろうと思いますが、例のマネロンの話に関しましては、昨年の九月に、先ほど松木先生から御質問があっておりました点でありますけれども、例のにせ札の話とか資金洗浄の話とかいうことで、アメリカは、金融システムをきちんとやるんだということで、正当な法執行の措置であるということで今やっておるのに対して、北朝鮮側は非常な反発をしておる。それはそれなりの効果があったから反発しているんだと存じますが、そういう意味では、これを理由に六者会合に参加しないという態度をとっておるのは、世間で通る話ではないのであって、極めて非建設的な話だと思っております。

 そういった意味では、私どもは、アメリカと日本の場合は少し立場が違うんだと思いますが、日本の場合は、少なくとも、拉致された方々が生存して北朝鮮にまだおられるという前提で交渉をするのとそうではないのと、全く交渉が違うと思っておりますので、その点も重々注意を払った上で交渉を継続していかねばならぬものと考えております。

渡部(篤)委員 私は、現在の米朝関係は最もよくない時期に差しかかって、よくない関係というかよくない状態だと思っています。

 米国は、昨年夏、北朝鮮が深くかかわっている米国内でのにせドル札製造関連の国際シンジケートの幹部を一網打尽にしたと伝えられています。そして、にせドル札絡みを含む違法資金のマネーロンダリングにかかわったマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアに対し制裁措置を発動し、これにより、同行に開設されていた北朝鮮の口座も凍結されました。数十億ドルに上る北朝鮮の資金が凍結されたと言われています。

 私は、ある面では、北朝鮮はかつてない危機に直面していると思います。米国は、今回の制裁は自衛策であると述べつつ、韓国や日本の協力を得て、北朝鮮への国際的な制裁も検討していると報じられていますが、我が国としてこのような状況にどう対応していくのか、外務大臣のお考えをお伺いします。

塩崎副大臣 私の方から答えさせていただきたいと思います。

 今御指摘のとおり、またきょうも繰り返しこの問題は出ておりますが、昨年の九月十五日に、米国が、マカオにございますバンコ・デルタ・アジアを主要な資金洗浄懸念のある金融機関と認定をいたしたわけでございます。我が国としては、米国によるこの措置は、通貨偽造や資金洗浄から米国の金融システムを防御するための正当な法執行の措置であると考えております。

 日本としても、政府としても、北朝鮮による不法活動や大量破壊兵器の拡散活動に対しては、厳格な法執行を行っていくべきだと考えており、米国とも引き続き緊密に連絡をとりながら連携をしていくということでございます。

 今の先生の御指摘のございました韓国、日本等々との連携のお話でございますが、個別案件についての協議の内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

渡部(篤)委員 政府は、北朝鮮に対して、送金や輸出入を規制する改正外為法や特定船舶入港禁止特別措置法による経済制裁は控えるものの、在日本朝鮮人総聯合会の施設に対する課税強化や麻薬密輸取り締まりなど、あくまで現行法の厳格適用、執行を行う方針であると言われていますが、間違いないでしょうか。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、拉致問題の解決を図るため、北朝鮮に対しましては対話と圧力の姿勢で臨んでおるところでございますが、その一環といたしまして、三月十三日に開催されました拉致問題特命チームにおきまして、情報収集会議及び法執行班の設置を決めたところでございます。

 このうち、法執行班につきましては、鈴木官房副長官のもとで、対話と圧力の基本的な考え方に基づきまして、適切な法執行のための協力体制を一層強化していくために設置したものでございます。法執行を担当いたします警察庁、金融庁、法務省、財務省、経済産業省及び海上保安庁の部長、審議官級のメンバーで構成をされているところでございます。

 今後とも、この法執行班を効果的に活用し、拉致問題特命チームを中心に、関係省庁の有機的な連携を図りつつ、政府一丸となって、拉致問題の解決に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。

渡部(篤)委員 そうすると、いわゆる厳格適用を執行していくということになりますと、経済産業省が軍事目的に転用できる工業製品などの不正輸出防止のための国内メーカーの立入検査、海上保安庁が海上パトロールを強化して北朝鮮による麻薬やにせ札の密輸を監視すること、第三国を経由して輸入された北朝鮮の食料品が第三国産と表示されて販売されないよう原産国表示の監視、あるいは、北朝鮮の不正送金を防ぐための郵便物の検査強化や、地方自治体による在日本朝鮮人総聯合会関係施設の課税の徹底などをやっていると伝えられています。

 私は、いわゆるそういうものをやることによって、北朝鮮からこの静かな圧力に早速反応があり、政府は手ごたえを感じているというふうにお聞きしていますが、具体的にどのような効果があったのか、公表できる範囲でお示しいただきたいと思います。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府は、拉致問題の解決に向けまして、北朝鮮に対し、対話と圧力の基本的な考え方のもとで、これまでも違法行為の取り締まりを初め厳格な法執行を実施してきたところでございます。

 先生、現時点でどのような効果があったのかというお尋ねでございますが、なかなかこれを具体的に申し上げるのは難しいところでございます。最近北朝鮮側は、報道ベースでございますが、この法執行班の設置あるいは警察によります原敕晁さん拉致容疑事案に係る捜索等の動きに対しまして反発を示していると聞いておるところでございます。我が国の最近のこうした動きを相当気にしていることは確かであろうと思います。

 いずれにいたしましても、新たに設置をいたしました法執行班における取り組みを通じて、法執行のさらなる強化を図ることによりまして、拉致問題の解決に向けまして北朝鮮の態度変更を促す効果があることを強く期待しておるところでございます。

渡部(篤)委員 しかし、北朝鮮が拉致問題で柔軟な姿勢に転じていくまでにはなっていないと思いますし、今言われたように、逆に反発を強めていることが報じられていますが、政府は、現在行っている措置以上に、もっと別な圧力となる手段を検討しているのかどうか、お伺いいたします。

麻生国務大臣 これはむしろ官房長官からの方がよろしいとは思いますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、対話のために対話しているわけじゃありませんので、少なくとも、答えを出すために対話、それで答えがなければ圧力ということになると思っております。

 そういった意味で、北朝鮮から誠意ある答えというものを出してくるために、これはいろいろ、これをやります、あれをやりますと、先ほど官房長官、プロジェクトチームでやっておられますけれども、それを言うと、先に準備されるとぐあいが悪いのでなかなか言えないと言われましたのは、法執行班の方でいろいろ準備をされておられるということを知っておりますけれども、その点に関しましては、この段階で考えておりますということは確かですけれども、ちょっとその内容まで申し上げられる段階にはございません。

渡部(篤)委員 日朝包括並行協議で具体的な進展がない今、北朝鮮が反発するような今のような状況になったら、我が国のとるべき行動は経済制裁しかないと私は思っています。国民世論の応援のある今、経済制裁を行ったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 経済制裁につきましては、先ほど申し上げましたように、この五年間で経済関係は約半分になっておりますので、その効果も約半分と思っていただかねばならぬところだとも思っておりますが、経済制裁を発動する前に、いろいろな形での話があろうと存じます。法執行を正確にやるという話もございましたけれども、先ほどの固定資産税の話もそうでしょうし、いろいろな方法が私どもとしては考えられると思っております。

 先ほどのプロジェクトチームの中にも、いろいろアイデアを外部から言っていただくこともあるそうですけれども、私どもとしてはそういったものの中から、ぱっと今すぐ経済制裁というようなものの前に、静かなる、気がついたらずっと締まっていくという方がきちんとした効果が出てくると思っておりますので、華々しくやるよりは、むしろきちっとした圧力が強まっていく方が望ましい、私は基本的にはそう思っております。

 したがって、経済制裁に入る前の段階で、まだやるべきことは幾つかあろうかというようなのが率直な実感です。

渡部(篤)委員 もう一回、日朝交渉に戻りますが、今回北朝鮮は交渉担当者に、外務省アジア局、宋日昊なる人物を充てました。この人はどんな人物なのか、北朝鮮内における地位も含めてお伺いいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 宋日昊氏は、北朝鮮外務省日朝会談担当大使というのが正式の肩書でございます。実際に対日関係に外務省の中で責任を有しておられるということを承知しております。

 それから、宋日昊氏は、これまで外務省におきまして日本担当課長、それから日本担当副局長などを歴任しておりまして、対日関係では非常に長い経験を有しておる人物だと承知しております。

渡部(篤)委員 北朝鮮が宋日昊なる人物を交渉責任者にしたのは、北朝鮮が交渉に真剣なのか疑問になります。歴代の日朝交渉大使は、外務省の次官クラスかあるいは総書記が信頼する側近を任命してきた経緯があります。今回の対応に北朝鮮の姿勢があらわれていると思いますが、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 先生のお気持ち、今承ったところでございますけれども、何分にも、これはもう北朝鮮側が、首脳部が選んだ人選でございます。したがって、私どもとしてコメントをする立場ではないと思いますけれども、大事なことは、どんな相手になろうとも日本としての交渉の態度を変えないということであり、また原則を貫くということが大事なんだろうと思います。

 基本方針を変えないということでありますが、それは、もう何度も繰り返し申し上げておりますけれども、拉致、核・ミサイルといった諸懸案の包括解決なくして国交正常化はあり得ないということが政府の基本方針であって、この拉致問題の解決へ向け、北朝鮮に対し、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引き渡しを引き続き求めていくという姿勢で、相手がだれになろうとも強い姿勢で臨んでいきたい、このように考えております。

渡部(篤)委員 今までのこの日朝交渉で、おかしなことが多いと私は感じています。例えばミスターX問題です。

 ミスターXは日朝交渉を担当した北朝鮮側の最高責任者であるとされますが、彼とひそかに接触を重ねた田中均氏が名前も肩書も明かさないとしたため、ミスターXと呼ばれた。

 しかし、国家の運命を預かる外交交渉で、肩書や名前も明らかにできない相手と交渉すべきでないと私は思います。こうした交渉は、秘密警察や工作機関が国民を犠牲にして秘密の取引をするときに行うやり方です。この点についていかがお考えでしょうか。

梅田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生が言われたように、外交交渉に当たりまして、できるだけ国民の方に対する説明責任を果たすということは必要だと思います。

 同時に、案件によりましては、水面下で静かに交渉をせざるを得ないというケースもあろうかと思います。特に、その相手方が、その国の事情にも当然よるんだと思いますけれども、相手方の国内における立場を保護するために、その氏名や肩書などについて、当然交渉する本人等一部の関係者は知っていても、それを対外的に説明できないというようなこともあるのではないかなと思います。

渡部(篤)委員 民主主義国家の日本と全体主義国家の北朝鮮、北朝鮮の作戦ですよ。私はそこの点を、さっき、外交官はいわゆる使命感とかいろいろなものを持つべきだ。私たち日本の政治家も彼らと対峙しているんですよ。Xの人と何でその国民が、外交は国民の支持がなければ絶対だめです。では、Xと日本国が交渉しているんですか。私は、それは必ず大きな間違いだ、悔いを残すと思います。

 今回のいわゆる日朝協議の交渉関係者から、北朝鮮を大きく動かすには政治家レベルで交渉するしかない、日本は外務大臣や官房長官に当たるぐらいでないと前に進まないとの声を聞きますが、どうでしょうか。交渉担当者のレベルを上げることによってこの問題が解決できるかどうか、外務大臣の御所見をお伺いします。

麻生国務大臣 これは渡部先生、全体主義ですから、最終的な決断は金正日以外ない、これははっきりしていると思います。しかし、その本人が交渉に出てくるというのであればともかく、その本人は出てこぬわけですから、その本人に最も信頼が厚いのはこれ、名前は明かさぬ、これと交渉してくれと言われたら、名前は明かせないというのは、それがXになるわけです。

 そういった意味では、こちらの立場を幾ら上げても、向こうから出てこなければ何の意味もありませんので、今の段階では、私ども、少なくとも総理、官房長官、外務大臣、三人の意見にそごはそんなにないと思っておりますので、私の立場からいたしますと、外務省といたしましては、担当官としては、今の段階で、お互いの話としては、信頼関係というのは、幾らこっちが信頼関係をつくり上げても向こうがころっと変わったらまたゼロからという話も、この種の世界ではよくある話ではあろうと存じますが、今のところでは、そこそこのものが築き上げられていると思っております。

渡部(篤)委員 私は、これは外務大臣とか官房長官が当たるべきだと言ったのじゃなくて、外務省の一部の官僚の人が、これではもう壁にぶつかっているのでトップで話し合っていただきたいというふうにマスコミに言われたと聞いたので、これを質問しました。やはり粛々と、外交交渉はきちんと窓口を一本化して、北朝鮮という全体主義国家と対峙していくべきだと思います。

 それから、拉致問題の解決には、政府レベルの活動はもちろん、民間レベルの活動が大きなウエートを占めていることと聞いていますが、外交関係のない北朝鮮との問題では特に有効に作用すると考えます。こういった団体について、その組織状況や活動内容について政府はどの程度把握しているのか、また連携の必要性についてどのような認識をお持ちなのか、お伺いいたします。

江村政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致問題に取り組んでおられます民間団体といたしましては、まさに拉致被害の当事者でございます御家族で構成されておる、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、いわゆる家族会でございますとか、それと連携し、それを支援しております北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、いわゆる救う会及びその構成団体、さらに、いわゆる特定失踪者問題に取り組んでおられます特定失踪者問題調査会など各種の団体があり、それぞれ積極的な活動をされているというふうに承知いたしております。

 政府といたしましては、内閣官房拉致問題連絡・調整室、私どもでございますけれども、これらの団体から各種の要望を伺い、そういう伺いました要望については関係機関にしっかりとお伝えするなど、真摯かつきめ細かな対応に努めてきておるところでございます。

 また、これらの団体から各種の情報の提供をいただくこともございますけれども、そういうような場合には、これらを参考資料として重く受けとめまして、関係省庁間で横断的に共有し、適切な対応がされるように、政府部内の連携の緊密化にも努めておるところでございます。

 政府といたしましては、今後とも、これらの団体との連絡を密にいたしまして、拉致問題の解決に向け一体となって全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

渡部(篤)委員 我が国政府が北朝鮮に対して圧力を強めたことで、北朝鮮側が日本のNGO関係者四人の逮捕状をとり、外交ルートを通じ我が国政府に身柄の引き渡しを要求したことが報じられていますが、事実でしょうか。また、政府としてこれにどのように対応するのか、お伺いいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 去る三月二十七日、北京の北朝鮮大使館から我が方の大使館に対しまして、脱北者の支援を行っている四名の日本人の方が誘拐に関与したとして、その引き渡しを要求する旨のファクスが一方的に送付されてきました。

 このような要求につきましては、二月の会談のときにもございましたけれども、その際には、問題外の要求でありとても応じることはあり得ないということは伝えておりますが、今回の要求につきましても、二十九日、北京の大使館ルートを通じまして、問題外の要求で応じられないということを改めて伝えております。

渡部(篤)委員 このような逮捕状が出された場合、NGO活動は中国を舞台にすることが多いと考えられる中で、北朝鮮と緊密な関係にある中国が、北朝鮮側の意向に従い、これらの人たちを拘束し、北朝鮮に身柄を引き渡すおそれはないでしょうか。このようなことが起こらないようにするための方策を政府は講じているのか、お伺いいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 NGOの関係者の方が中国国内で活動する際には、中国の国内法を遵守されるということが必要だと思います。ただ、中国政府としましても、今回の北朝鮮の要求につきましては、その性格を考えれば、それに呼応するようなことはないというふうに考えております。また、機会がありましたら、中国側に対してもその点は指摘をしておきたいと思っております。

渡部(篤)委員 旅券法違反で国際手配中の辛光洙容疑者が、横田めぐみさんら日本人拉致の実行犯と言われていますが、拉致は辛容疑者だけでできる事件ではないのです。北朝鮮政府や、日本国内にいる協力者による、まさに国家テロなのであります。

 拉致問題の解決に当たって北朝鮮と交渉する場合、被害者が全員帰らなければ報復も辞さないという強硬姿勢で臨まなければ、問題解決も新たな被害の防止もできないと思います。外交に今求められているのは、自国の独立を維持し、国家の主権を守り、外交の最大の目的である国益を追求することであります。政府は、その努力をすべきだと考えます。

 外務大臣にお伺いします。

 どのような時点で経済制裁をされるのか、それともされないのか、お伺いいたします。

麻生国務大臣 今の御質問の前に、先般、向こうから四人の要求があったというお話があっておりましたけれども、根本的に、自由を求めて、いわゆる人道的な観点からという支援をする人と拉致実行犯を同列のレベルで考えるなんというところからふざけておるんですよ、この話は、私らに言わせれば。だから、そこらのところに関しては、断固、問題外ということではねつけたというのが経緯です。梅田という男は品がいいものですから、品よく説明していますけれども、かなり激しく、全然問題にならぬと言ってその場で拒否をいたしておるのが背景です。

 それから、今の問題に関しましては、拉致問題の進展がないという前提になった場合は、厳しい対応をとるということに関しては、これは当然そういうことにならざるを得ません。そこのところは、過日の会議でもやくやく向こうに伝えておるので、我々としては、対話のために対話する気などないという点はきちんと向こう側に伝えておるところでもあります。

 したがいまして、私どもは、これを、今、きちんとした対応、誠意のある対応を示していただかない限り、我々のハードルもしくは圧力のレベルを上げざるを得ぬということでありますけれども、どの措置をどのタイミングでとるかという点に関しましては、今のこの段階で、この措置をいついつまでにやるというのを考えているといって申し上げるわけにはいきません。

 少なくとも、効果が上がらなければ意味がないと思っておりますので、私どもとしては、そのタイミング、またその措置の内容については検討中としか申し上げる段階にはございませんが、誠意のない態度になれば必ずそういったことにならざるを得ないということだけはやくやく向こう側に言ってあるところであります。

渡部(篤)委員 私は、前にも言いました、六カ国協議で、核、あるいは国交正常化、拉致、そして分科会をつくった。彼らは、北朝鮮は、時間を延ばしたい。あるいは、横田めぐみさんを含めて、あの拉致されている人たちの家族は、時間との闘いだと思います。向こうは本当に延ばしているんですよ。

 そして、さっき私質問しましたが、北朝鮮の代表者は、日本と北朝鮮の外交交渉をするときの通訳ですよ。今まで通訳していた人が、北朝鮮という国家の代表として我が国政府と交渉したんですよ。

 私は、外務省の人に言いたい。陸奥宗光、小村寿太郎、治外法権の撤廃、関税自主権の撤廃、我が国が独立することに、世界の中で外務省は努力をしてきたはずですよ。相手が通訳ですよ。日本の外務省が、相手がどんな人であろうと議論すればいい、これは間違っていると思います。

 このごろ、国家の品格とか言われますが、なぜ日本を代表する外交官が、責任者が、通訳と交渉するんですか。もう一度その点についてお伺いします、だれでもいいですから。

麻生国務大臣 お気持ちもよくわかりますし、おっしゃっている意味もよくわかりますけれども、これは、相手側の交渉者を選ぶ権利が我々にあるわけではありませんので、向こう側が、この人だと言われればその人が代表にならざるを得ないという、これはルールとしてそういうことになりますので、私どもの不満であろうと、それは先方がそれを指名する、しかも、その人が全体主義者で一番上の人から来るわけですから、我々としては、これはちょっとおかしいんじゃないのかというのが、課長も課長補佐も経験しないで、いきなり局長かとか次官かとかいう話と同じようなことになろうかと思います。

 ただ、向こう側が指名をした以上、ちょっとこちら側としては、今の点に関しては、通訳の人が偉くなられたといって思う以外に、そこのところは、交渉の相手側の話ですので、先生、この点はちょっと、幾ら言われてもなかなか難しいと思いますけれども、お気持ちはよくわかります。

渡部(篤)委員 私は、麻生外務大臣ときょう四十分間議論をしましたが、うれしかったのは、やはり、日本は民主主義の国ですよ。デモクラシーの開かれた、オープンソサエティーですよ、開かれた社会。向こうは全体主義で、国民の人権も何も持っていない国ですよ。

 あの国に対峙するとき、やはり外務大臣として、今まで以上に、国益と、そして時間との闘いです。彼らは、時間を長くすれば、自分たちが、例えば拉致問題を解決しなくても、アメリカとの核交渉が解決すれば、経済支援はアメリカを通じて必ず求めてくると思います。

 だから、外務大臣にお願いしたいのは、やはり日本も、凜として、国家の名誉のために、全体主義国家と対峙していただきたいと思います。

 最後に一言お願いします。

麻生国務大臣 先ほどお話があっておりましたように、例えばキッシンジャーが周恩来と交渉をした米中国交交渉のときに間に入った人がいるんですけれども、名前も通らず、それこそXという人なんですけれども、その間に入って、やはり権限を一〇〇%委任された者同士の話でないと、なかなか全体主義国家相手の話は難しいというのは事実だと思います。

 したがいまして、この種の話は開かれている方がなかなか手間もかかりますし、ここで少なくとも四十分間時間を北朝鮮の分だけに集中して、向こうとその間、四十分間交渉しろということは、向こうは可能ですけれども、なかなかそこらの点を、一つの極端な例かもしれませんけれども、開かれたところで全然しないで一方的にぼんと持ってくるわけですから、それで私どもとしてはそれに対応せねばならぬというのは、本当にこれは大変な現実だと存じます。

 私どもとしては、今言われましたように、国益というものを考えて凜として対応するべきだというのを激励の言葉と伺って、ありがたく拝聴させていただきます。

渡部(篤)委員 どうもありがとうございました。

平沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、麻生外務大臣に端的に幾つか伺いたいと思います。

 二月の第一回の日朝包括並行協議で、先ほどの報告でも、いずれの協議においても、目に見える具体的進展が得られなかったことは甚だ遺憾ですということで言われました。それで、その後の状況もあります。

 これを踏まえて、ともかくも北朝鮮に六者会合への復帰と、それから日朝包括協議の再開を求めていくというのが私は大きな前提になると思うんですけれども、現在の政府としての目標はどこにあるのか。六者会合への復帰、日朝協議の再開ということでよろしいのか。そして、そのために、そうであるなら、政府としてどういうメッセージを相手側にわからせる、これが必要であるというふうにお考えか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 北朝鮮との交渉に六者協議と日朝交渉とどっちが優先順位が高いかという御質問でしょうか。

笠井委員 いやいや、そうじゃないです。踏まえて、これからの目標として再開と、復帰というか、六者会合復帰が目標になると思うんだけれども、いかがですかと。

麻生国務大臣 私どもにとりましては、これは優先順位としては、日朝包括並行協議によって、拉致問題という問題が非常に大きな要素でありますので、日朝包括並行協議というのに関して最大の関心事があることは確かです。

 しかし、六者協議という他の国際機関というか、他の国家との連携というのも極めて大きな力になると思いますので、六者協議に北朝鮮が一日も早く復帰して、この会合に参加するということも一緒に並行してやっていかねばならぬと思っております。

笠井委員 政府は対話と圧力ということで強調されております。

 先ほど官房長官も、そのバランスということも含めてということでお話があったわけですけれども、北朝鮮側は二月の協議に当たって、記者会見もやる、あるいは、むしろ積極的と言うと言い方はあれですが、ぶら下がりにも応じて、日本の国内世論を相当意識していたようでありますけれども、今後、北朝鮮に対して、日朝協議再開、そして六者会合への復帰が大事だということをどうやって効果的に相手に認識させるか。メッセージの問題と、それから、実際にどういうことをやっておられるか、やっていかれるかということについて伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

塩崎副大臣 私の方から答えさせていただきたいと思います。

 北朝鮮は、六者会合と無関係な米国の法執行を理由として、六者会合への出席を拒んでいるわけでありますけれども、それは拒むべき理由はないと思っておりますので、早期、無条件に六者会合に戻ってくるべきだというふうに考えております。

 政府としては、あらゆる機会をとらえてこの点につき関係国と働きかけを行ってきておりまして、例えば、先般、麻生外務大臣はオーストラリアに参りましたけれども、日米豪の戦略対話、十八日にございましたが、その中で、北朝鮮に対し、第四回六者会合の共同声明を実施するため、即時かつ無条件に六者会合の場に戻ることを求めたとの内容を含みます共同のステートメントを発出し、北朝鮮に対して、六者会合への即時、無条件復帰をオーストラリア、アメリカとともに呼びかけたということが一つございます。

 また、今、議長国は中国でございます。これは中国の役割が引き続き重要でありまして、四月の下旬に胡錦濤主席が訪米をされるわけでありまして、それを視野に、中国が六者会合の早期再開に向けてさらに努力をしていくということについても期待をしているわけでありまして、これまでもさまざまな場を通じて我が方のそういった考えを中国側に伝えてきているわけでございます。

 日朝関係については、二月の並行協議の結果を踏まえて、速やかに諸懸案の解決につながる結果を出すためには、対話を維持するとともに、さらに圧力となる措置を検討し、実施していくことが必要であると考えておりまして、政府としては、国連等々、先ほど来お話が出ておりますけれども、国際的な連携強化のための取り組みとか、厳格な法執行等の措置をとっているわけであって、結論的に申し上げると、日朝平壌宣言に基づいて国交正常化を実現することは、実は北朝鮮自身の利益でもあるということであります。

 拉致それからミサイル等々の問題解決なくして国交正常化なしという基本線を踏まえつつ、引き続き対話と圧力の基本的な考え方に立ってこれからの交渉を進めてまいりたい、このように思っております。

笠井委員 外務大臣、もう一問だけですが、協議に先立って、前回の委員会のときに、第四回の六者会合の共同声明と日朝平壌宣言、この立場を貫くことが引き続き解決の大きな基礎になる、そういう形で答弁をされました。官房長官も、拉致問題とのかかわりで、北朝鮮側が日朝平壌宣言をしっかりと守っていくことが大切、その精神にのっとって、今、交渉を進めていると強調されましたが、第一回協議を踏まえた現時点でも、この立場が基本だということはそれでよろしいでしょうか。外務大臣に伺います。

麻生国務大臣 この文書の中、もう御存じのとおりなんだと思いますけれども、これは極めて重要な政治文書だと思っております。

 平壌宣言に関しましては、これは日本のメッセージが明確に伝えられておりますし、向こうは解釈としていろいろ言っていますけれども、だれが読んでもわかりやすく書いてありますので、そういった意味では、私どもは、これはきちんとやってもらう政治文書なんで、まずはこれが一番。

 それから、六者会合で共同声明というのを出しておりますけれども、この中に核兵器の話が入っておりまして、その中で、既存の核の計画というものをとにかくわかりやすく、ガラス張り、検証可能な形できちんとしてもらうということで、そういう放棄、いわゆる核計画、核兵器開発計画、正確にはそうだと思いますが、その文書の中の中核をなしております。

 この二つの文書というのは極めて重要な文書だと思っておりますので、過日お答え申し上げましたとおりでありまして、それを、その二つが基本として今後とも進めていかねばならぬものだと考えております。

笠井委員 最後に官房長官に伺います。

 去る一月二十七日の当委員会での私の質問に対して安倍官房長官は、拉致問題について、政府としては、北朝鮮側の言う再調査が十分なものとは全く考えていません、また、特殊機関の壁を理由にこのまま真相究明が進展しないということは、決して受け入れられるわけではない、今後立ち上がる協議を通じて、北朝鮮側に具体的な措置を強く求めていくと答弁されました。

 その後、二月の第一回の日朝協議での交渉があり、その結果がああいうことだった。そして、その後の事態があるということを踏まえながら、この拉致問題の問題を通じて、その答弁とのかかわりで、さらにいかなる措置を求めていくという立場でいらっしゃるか、基本点についてお答えいただきたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま委員御指摘のように、先日の協議においても、我が方より、特殊機関の関与という事実は真相究明を妨げる理由にはならない旨指摘し、特殊機関による行為を含めて調査できる権限、体制による再調査を継続するよう強く求めたところであります。

 これに対しまして、北朝鮮側は、調査した事実をそのまま回答している旨主張し、納得できる回答は行わなかったわけでございます。

 残念ながら、この拉致問題解決に向けて、北朝鮮側は誠意ある姿勢を示したとは言えないとこれは我々判断せざるを得ない、こう思っているわけでございます。

 北朝鮮側が今のままの主張また態度を続けていれば、また今のままの政策であれば、決して北朝鮮が抱えている問題は解決できない、むしろもっと状況は悪くなっていくということを理解させなければいけない。そうしたものを解決していけば、国際社会からも受け入れられ、未来も切り開かれていくということを理解させる。その意味において、対話と圧力という姿勢で我々は対応していかなければいけない、こう考えております。

 最終的な圧力としてはいわゆる経済制裁があるわけでありますが、それに至る過程において、我々は、国際社会において、北朝鮮の人権状況について国際社会の理解を求め、国際社会による圧力を高めていく。そしてまた、国内においては、厳格な法の執行を行っていくことによって圧力をかけていかなければいけない、このように思います。

 いずれにいたしましても、対話と圧力によって、この拉致問題を解決し、北朝鮮にいる日本人の救出を行いたい、このように思っております。

笠井委員 終わります。

平沢委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党の重野安正です。

 与えられた時間がごくごく短うございますので、具体的な各論にまでは入ることができません。一点だけ確認をしておきたいと思います。

 二〇〇二年九月十七日の平壌宣言でありますが、小泉総理と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長、双方によって、日朝間の不幸な過去を清算し、あらゆる努力を傾注することとし、日朝国交正常化交渉を再開する、また双方は日朝間に存在する諸問題に誠意を持って取り組む強い決意が表明されました。

 これは一国の総理と一国の元首による共同宣言であるわけでありまして、これに記された内容について、まずもって当事者たる小泉総理はもとより、それを補佐すべき麻生外務大臣、安倍官房長官にはこの宣言を履行すべき義務がある、このように考えます。

 九月をもって退任すると言われております総理の任期中、いかなる展望をこの問題について持っておられるか、まず、その点についてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 日朝平壌宣言というのは、先ほど御質問があっておりましたが、少なくとも、日本と北朝鮮との間に交わされた文書としては、最も重要な政治的な文書であることは、今も変わらずそのとおりだと思っております。

 したがいまして、この宣言の重要性というのは極めて変わりがありませんので、これを忠実に履行していくというのが日本の国益につながるだけでなく、北東アジアの平和、安定、そういったものに資する形だと思います。日朝国交の正常化というものはそういった意味でも幅広い範囲で影響のある問題だと思っておりますので、私どもとしてはこういったものを、外務省としてもこの日朝平壌宣言が確実に履行されるように今後とも努力をしていくという決意であります。

安倍国務大臣 ただいま麻生外務大臣が答弁したとおりでございまして、二〇〇二年の九月十七日に両首脳が合意をした文書でございます。北朝鮮側にこの日朝平壌宣言はしっかりと実行してもらいたい、このように思っております。

 日本側は平壌宣言に違反していることは全く行っていないわけでありますから、当然、北朝鮮側において、この平壌宣言にのっとって正常化に向けてしっかりと誠意ある対応を示してもらいたい、こう思っています。

重野委員 平壌宣言の理解というか受けとめについてはわかりましたけれども、私が問うたのは、それを結んだ小泉総理、聞くところによりますと、九月をもって退任する、こういうふうに言われております。その限られた時間の中で、この結ばれた宣言がいかなる展望を今後の日朝関係において与えるのか、あるいは与えるべくそれに向かっていかなる努力がなされるのか、その点について聞きたい、そういう質問です。

麻生国務大臣 重野先生、これは相手のある話でありますので、この平壌宣言を確実に履行せしめるように私どもも努力をしておりますが、なかなか誠意ある対応が得られないという状況で、いわゆる対話と圧力という言葉につながってまいるんだと存じますが、いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、時間との競争ではありますけれども、成果を無理に得ようとして、妙にこちらが原則をゆがめてまで成果を得ようというのは愚かだと思いますので、私どもとしては、時間との競争ではありつつも、基本的な原則というものは日朝平壌宣言に基づいて、きちんと、辛抱強くかつ粘り強くやっていかねばならぬものだと思っております。

重野委員 では、終わります。

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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