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第7号 平成18年6月12日(月曜日)

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平成十八年六月十二日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 大前 繁雄君

   理事 近藤 基彦君 理事 水野 賢一君

   理事 宮路 和明君 理事 松木 謙公君

   理事 松原  仁君 理事 池坊 保子君

      鍵田忠兵衛君    河井 克行君

      坂井  学君    薗浦健太郎君

      根本  匠君    福井  照君

      増原 義剛君    渡辺 博道君

      渡部  篤君    荒井  聰君

      大畠 章宏君    中井  洽君

      中川 正春君    西村智奈美君

      漆原 良夫君    笠井  亮君

      重野 安正君

    …………………………………

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     坂井  学君

  山本 明彦君     増原 義剛君

  荒井  聰君     中川 正春君

  北橋 健治君     大畠 章宏君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     小野寺五典君

  増原 義剛君     山本 明彦君

  大畠 章宏君     北橋 健治君

  中川 正春君     荒井  聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件

 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各党間で協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び概要について、委員長から御説明いたします。

 本案は、昨年十二月十六日に採択された北朝鮮の人権状況に関する国連総会決議を踏まえ、我が国の喫緊の国民的な課題である拉致問題の解決を初めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題であることにかんがみ、同問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害の実態を解明し、及びその抑止を図ろうとするものであります。

 その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、政府は、北朝鮮当局によって拉致され、または拉致されたことが疑われる日本国民の安否等について国民に対し広く情報の提供を求めるとともにみずから徹底した調査を行い、その帰国の実現に最大限の努力をし、及び国民世論の啓発を図るとともに、その実態の解明に努めるものとしております。

 第二に、国民の間に広く関心と認識を深めるため、十二月十日から同月十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間とし、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとしております。

 第三に、政府は、毎年、国会に同問題に対する政府の取り組みについて報告するとともに、これを公表することとしております。

 第四に、政府は、北朝鮮当局によって拉致され、または拉致されたことが疑われる日本国民、脱北者その他北朝鮮当局による人権侵害の被害者に対する適切な施策を講ずるため、外国政府または国際機関との情報の交換、国際捜査共助その他国際的な連携の強化に努めるとともに、これらの者に対する支援等の活動を行う国内外の民間団体との密接な連携の確保及び財政上の配慮その他の支援を行うよう努めるものとしております。

 第五に、政府は、脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとしております。

 第六に、政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による日本国民に対する重大な人権侵害状況について改善が図られていないと認めるときは、北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する国際的動向等を総合的に勘案し、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法の規定による措置、外国為替及び外国貿易法の規定による措置その他の北朝鮮当局による日本国民に対する人権侵害の抑止のため必要な措置を講ずるものとしております。

 以上が、本案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平沢委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。日本共産党を代表して、本法案に対する反対の意見表明を行います。

 我が党が反対する最大の理由は、本法案が、我が国の主権を侵害した国際的犯罪行為である拉致問題と、北朝鮮の国内の人権侵害問題を同列に置いていることであります。特に、基本的には北朝鮮の内政にかかわる問題である脱北者問題という全く性格を異にする問題を、北朝鮮当局による人権侵害問題として同列に扱い、政府に施策を講ずることを定めていることであります。

 もとより、我が国に保護を求めてきた脱北者を人道的に保護することは当然です。しかし、脱北者の支援を政府に行わせる法律を定めることは、北朝鮮からの脱出の動きを促進することを国家の行為として行うことになり、内政問題への介入となります。脱北者問題を法律に定めるねらいについて、脱北者の大量脱出は体制崩壊につながる、北朝鮮にとって具体的に脅威になることを盛り込んだ方がいいという主張まであります。相手がどの国であれ、特定の国を名指しして、その国の内政にかかわる問題を日本の国内法で明記し、国としての対処を定めることは、内政干渉となることは明らかであります。

 こうした国際的道理を持たない法律を制定することは、拉致問題の解決にとって極めて有害なものです。

 今日、拉致問題は、日朝の二国間協議としても、六カ国協議の場においても、さらにその他の国際的な場においても、外交交渉による解決への努力が継続中の問題です。その努力を積み重ね、外交的解決の道をあくまで追求すべきであります。脱北者問題という相手国の内政問題を使って北朝鮮に圧力をかける法律を制定することは、外交交渉による拉致問題の解決に重大な障害を持ち込むものにほかなりません。

 この法案では、以上述べた基本点以外にも、国内外の民間団体との密接な連携、財政上の配慮その他の支援などの判断が国の裁量にゆだねられており、歯どめがありません。さらに、日本の出入国管理への影響など重大な問題を含んでいます。

 かかる重大な問題は、国会での慎重な審議が必要であり、政府の明確な見解が不可欠であり、会期末に審議抜きに採決するというやり方も、断じて容認できません。最後にこのことを強く指摘して、発言とします。

平沢委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案について、反対討論を行います。

 北朝鮮による拉致事件という国家犯罪、人権侵害は極めて許しがたいものであることは言うまでもありません。我が党は、真相解明と早期全面解決にとって、日朝首脳が双方で確認した国際約束である日朝平壌宣言を尊重し、六カ国協議の再開、日朝包括協議の継続に向け、粘り強く交渉を重ね、対話を続けることを求めてきましたが、この間の北朝鮮に誠実な対応が見られないのは極めて遺憾であり、北朝鮮政府に対し強く抗議するものであります。

 しかし、今回の法案は、国連に加盟し小泉首相が調印した相手国をねらい撃ちにし、自国の対応を決めるというトレードオフ関係を形成しようとする性格のものであり、同時に、本法律によって事態がどのように解決し得るのか、提案者は展望を示すべきであるにもかかわらず、この点は全く示されておりません。むしろ、我が党は、本法がこれまでの外交的努力、国際的な努力を阻害させるおそれがあるばかりか、拉致問題の解決をも遠ざける危険性さえ指摘せざるを得ません。

 以下、反対の理由を申し上げます。

 第一に、法案の出発点となった国連総会決議とは異なり、法案自体の名称及び本文において、「北朝鮮当局」という法的実態のない名称が使われております。

 第二に、政府に対し、「重大な人権侵害状況について改善が図られていないと認めるとき」に経済制裁発動を義務づけていますが、第七条は、政府にすべてを白紙委任している格好になっており、国会の関与も保障されていません。

 第三に、第六条の措置は、従来から難民受け入れについて消極的な対応をとっている政府の難民条約の取り扱いとの整合性に欠けるものとなっており、これは明らかに不公平なものがあります。

 以上のような立場から、我が党は本案に反対することを申し上げ、討論を終わります。

平沢委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立多数。よって、本案は委員会提出法律案とするに決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十分散会


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