衆議院

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第2号 平成19年2月21日(水曜日)

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平成十九年二月二十一日(水曜日)

    午後零時二十分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 赤城 徳彦君 理事 遠藤 武彦君

   理事 上川 陽子君 理事 近藤 基彦君

   理事 高木  毅君 理事 大島  敦君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      安次富 修君    今津  寛君

      河井 克行君    木原 誠二君

      岸田 文雄君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    広津 素子君

      古屋 圭司君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    松木 謙公君

      松原  仁君    笠  浩史君

      鷲尾英一郎君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)

   (内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長)    河内  隆君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     田中 良生君

  原田 義昭君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     鍵田忠兵衛君

  広津 素子君     安次富 修君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     原田 義昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、塩崎内閣官房長官・拉致問題担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎内閣官房長官・拉致問題担当大臣。

塩崎国務大臣 内閣官房長官兼拉致問題担当大臣の塩崎恭久でございます。

 去る二月八日から十三日の間、北京において第五回六者会合第三次会合が開催され、日朝関係については、我が国及び北朝鮮が、日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始することが合意をされました。

 ここに言う懸案事項に拉致問題が含まれることは、言うまでもありません。また、十二日の日朝協議では、北朝鮮側と日朝関係の今後の取り組みについて意見交換を行いました。

 我が国としては、今回、北朝鮮が、日朝間での協議を行うことに同意したこと、及び、六者の総意として、日朝国交正常化が六者会合の最終的な目標として改めて明確に位置づけられたことは、意義あることであったと考えております。

 また、我が国は、拉致問題の進展が見られない日朝関係の現状を踏まえ、現時点では、エネルギー供与には参加しない考えであります。この点については、他の関係国もよく理解をしています。

 今回、三十日以内に開催されることが合意された日朝国交正常化のための作業部会においては、北朝鮮が拉致問題を含む日朝間の諸懸案の解決に前向きに取り組むよう強く働きかける考えであります。我が国としては、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なしとの方針を堅持しつつ、被害者の即時帰国、真相究明及び拉致実行犯の引き渡しを実現すべく、引き続き全力で取り組んでまいります。

 現在、我が国は、種々の対北朝鮮措置を発動し、厳格な法執行に努めております。これは、拉致問題において北朝鮮が誠意ある対応をとってこなかったことを含めた諸般の事情を総合的に勘案し発動したものであり、六者会合における合意を受けた北朝鮮側の対応等を考慮しつつ、今後の対応を検討していくこととなります。

 また、拉致問題の解決には、各国との連携が重要であります。

 既に、十四日には、安倍総理がブッシュ米大統領と電話会談を行っており、ブッシュ大統領からは、拉致問題についての日本の懸念は十分理解している、六者会合共同声明全体がバランスのとれた形で実施されていくことが重要である旨の発言がありました。

 私自身、十五日に、訪日中の李肇星中国外交部長との会談において、拉致問題について中国の支援を要請し、李部長からは、中国側も日本国民の関心は完全に理解しており、必要な支援を提供したい旨表明いたしました。政府としては、今後も国際社会との連携を密にしていきたいと思っております。

 今後も、拉致問題が現内閣の最重要課題の一つであるとの認識のもと、拉致問題対策本部を中心に、政府一体となって、安否不明被害者の即時帰国を初めとした拉致問題の解決に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。

 今国会におきましても、皆様方の御理解、御協力をよろしくお願いいたします。

小島委員長 次に、第五回六者会合について政府から説明を聴取いたします。麻生外務大臣。

麻生国務大臣 先般、北京において行われた第五回六者会合第三次会合について御報告をさせていただきます。

 第五回六者会合は、一昨年の十一月に行われた後、約一年の休会期間を経て昨年十二月に開催し、さらなる休会の後、今月八日から十三日まで行われております。

 今次会合におきましては、六日間にわたる精力的な協議の結果、共同声明の実施のための初期段階の措置が採択をされております。

 まず、六十日以内に実施する初期段階の措置として、北朝鮮は、寧辺の核施設の活動の停止、封印、IAEA要員による監視、検証などに同意をいたしております。

 さらに、次の段階では、北朝鮮はすべての核計画の完全な申告の提出及びすべての既存の核施設の無能力化などの措置を実施することにも同意しました。

 日朝関係につきましては、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始することでも一致をしております。なお、懸案事項に拉致問題が含まれることは言うまでもありません。

 また、初期段階の措置の実施及び六者会合共同声明の完全な実施のため、朝鮮半島の非核化、米朝国交正常化、日朝国交正常化、経済及びエネルギー支援、及び、北東アジアの平和及び安全のメカニズムの五つの作業部会を設置し、三十日以内に会合を開催することにも一致をいたしております。

 今回の文書は、すべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を定めた六者会合共同声明の完全実施に向けての第一歩であり、北朝鮮が非核化へ向けた具体的行動に同意した点で大きな意義があると言えます。

 我が国としては、引き続き、関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮の核放棄という六者会合の最終的目標に向かって精力的に取り組んでまいります。

 また、今回改めて、日朝関係が六者会合の枠組みの中に明確に位置づけられたことは、今後、拉致問題を含む日朝間の懸案事項に取り組んでいく上で、また北東アジアの将来の平和と安定を確保していく上でも、有意義であろうと存じます。

 我が国は、日朝国交正常化のための作業部会において、拉致問題を含む諸懸案の解決へ向け、全力で取り組んでまいります。

 今後、今回の文書に基づき、北朝鮮による核放棄に向けた具体的行動を受けて、北朝鮮には経済、エネルギー支援が行われます。

 我が国としては、拉致問題の進展が見られない日朝関係の現状を踏まえ、現時点でエネルギー供与に参加しない考えであります。

 同時に、我が国は、拉致問題を含む日朝関係に進展が見られれば、経済、エネルギー支援を含む他の分野においても一層積極的な役割を果たす用意がある旨は表明いたしております。

 今後、日朝関係が進展を見せ、六者会合との間で好循環が生まれるよう、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向け、粘り強く取り組んでまいります。

 以上です。

小島委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小島委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長兼内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君及び外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木毅君。

高木(毅)委員 自由民主党の高木毅でございます。

 私は、今回の六者協議につきまして、日本の立場を明確にして、他の参加国にも了解をとったということを評価いたしております。佐々江局長初め代表団の皆様、そして両大臣に心から敬意を表したいと存じます。

 そこで、質問でございますが、ただいま官房長官、外務大臣ともに御発言がございました、いわゆる日朝関係における懸案事項に拉致問題が含まれることは言うまでもない、そういう表現でございますが、佐々江局長は我が党の部会等でも、拉致問題は最重要懸案事項であるというふうにおっしゃってもおります。ぜひ両大臣もその認識をお持ちいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

塩崎国務大臣 今高木先生御指摘のように、拉致問題は懸案事項の中で最優先課題であると認識をしているところでございます。今後行われます日朝国交正常化のための作業部会、ここを通じまして、問題解決に向けた具体的前進を得るべく、最大限努力をしてまいりたい、このように考えております。

麻生国務大臣 同様であります。

高木(毅)委員 ありがとうございました。

 次に、日朝、米朝のいわゆる作業部会というのが設置されるわけでございますけれども、両者の関係についてお聞きをいたしたいと思います。

 米国は、拉致はテロであるとはっきりと明言をいたしております。ブッシュ大統領も、拉致の解決なくしていわゆるテロ支援国家指定解除はないというふうにおっしゃっているかと思いますが、そういうふうに考えますと、この両者というものは、片方が決して先に進むものではないと私は考えております。同時に進む、あるいはまた、むしろ日朝の作業部会が進んでこそ米朝の作業部会が進むと私は考えておりますが、その点についての御認識をお尋ねしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今般の六者会合の成果の中で、日朝国交正常化の作業部会と並んで米朝国交正常化のための作業部会が設置されることはもう御存じのとおりで、五つのうちの二つがそれになります。

 日本といたしましては、いわゆる北東アジアの平和と安定のバランスというものを考えた上では、非核化というのは最大の目的でありますから、朝鮮半島の非核化が最大の問題であります。したがって、非核化に向けた作業と並んで、この二つの作業部会というのを歩調を合わせて進んでいくことが大事なところ。我々としては、御存じのように、非核化と同時に拉致という問題を抱えておる、これが最重要課題と申し上げている点についてもその中に含まれて、今度の交渉の中に入っております。日朝国交だけ別建てになっているのは、そこを意味しております。

 また、テロ支援国家指定の解除につきましては、今般合意をされておりますのは、いわゆるテロ支援国家の指定、これは例の飛行機の爆破事件、大韓航空爆破事件以来ずっと続いた話なんですが、これは、指定を解除する作業を開始するという話だけであって、指定の解除について合意されたわけでは全くないという点だけは御理解をいただきたいと存じます。

 また、この種の問題を解除するに当たりましては、拉致問題の解決も、テロという定義の中に入っておりますので、重要な要素の一つとすることを含めまして、引き続きこの問題については日米間で緊密に連携をしてまいります。

高木(毅)委員 ありがとうございました。ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 それでは最後の質問でございますが、よく、進展だとかあるいは解決といったような文言があるわけでございます。もちろん、外交交渉でございますので、いろいろなニュアンスもあろうかと思いますが、私は、この際はっきりと、日本の立場として、拉致問題が解決しない限り、経済、エネルギー支援は行わないという方針を打ち立ててこそ、北朝鮮も早く交渉について、スムーズな交渉になるのではないかというふうに思っておりますが、その点についてはいかがでございましょうか。

麻生国務大臣 どこまでが進展でどれが解決かというのはなかなか難しいところでありまして、今、十三件十七人だけ、それは全部解決か、また、その他、疑惑含めていろいろありますので、その問題はどうしたとか、ほかにいろいろありますので、これは正直申し上げて、どれをもって解決とするかという点に関しましては、私どもも明確な答えを、これはどなたも持っておられないと思いますが、明確な答えを持っているわけではございません。それが正直なところです。

 したがいまして、北朝鮮へのエネルギー供与につきましては、今から日朝が三十日以内に会談が始まりますし、六十日以内にそれなりの成果ということになりますので、その対応が今までどおりのものだったら全く話にも何もならぬでしょうけれども、少なからぬ対応、誠意、そういったものが出てきて、いろいろ話になるというのであれば、それはそれなりの進展とみなせるか否か、これは今から個別具体的な判断をやっていかねばならぬところだと思っております。

高木(毅)委員 どうもありがとうございました。

 時間が参りましたが、今こそまさに日本が一丸となって事に当たるときだというふうに思います。日本が孤立化するだとかあるいはまたバスに乗りおくれるといったような、そんな意見がありますけれども、私は非常に残念でございます。日本が一枚岩になって交渉を進めていくということをお願いし、また、私どももそうした姿勢で頑張っていくことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 第五回六者会合、大変御苦労さまでございました。先ほど塩崎官房長官、また麻生外務大臣の御報告をお伺いいたしたわけでありますが、この中で、作業部会を設置することになったということでございます。特に、日朝国交正常化の作業部会、大変関心のあるところでございます。

 三十日以内にこの会合が開催されるということでございますが、まず、この三十日以内の前に、例えば事前折衝なり交渉なりあるのかないのか。また、当然、拉致問題は、我が国として拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なしという態度で臨んでいただいておるわけでありますが、例えば、この作業部会において拉致の問題が具体的に議論にならないといった場合にはどのような対応をとられるのか、そのあたりをお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 三十日以内、六十日以内、加えてその後には六者の閣僚会議等々いろいろ予定をしておりますので、その前の段階でいろいろ交渉を個別にやっていく、事務レベルでやっていく、段階によっていろいろある、常識的にそういうことになろうとは思いますけれども、まだその段階を、どの問題を、どの議題でだれとやって、向こうがだれが出てきて、こっちがだれが出るとか、まだそこまでいっておりませんし、これは他の四つの部会も同様にそこまで事が進んでいるということはございません。それが今の段階であります。

 それから、向こうが日朝の問題で拉致の問題に全然触れなかったら、それはもう全然話になりませんから、私どもとしてはその段階で、六者の会合には、共同でやるには、これは全然向こうが乗ってこなかった以上うちは話にならぬ、したがって、六者合意とか五者合意という話は全く意味がないという話になりますので、私どもとしては、基本的には制裁はそのまま、万景峰含めて制裁はそのまま、そして例の百万トン等々の話についてもうちは全く乗るということはない、そういうことになろうと存じます。

谷口(隆)委員 三十日以内に作業部会が行われるわけでありますので、大臣おっしゃったように事前に何らかの折衝があるんだろうと思いますが、具体的に、我が国として拉致問題に関してどのように戦略的に対応していこうかというようなことをお考えであれば、お話しいただきたいと思います。

麻生国務大臣 交渉が始まる前に手のうちを向こうに出す者はおりませんので、ちょっと、正直、今この段階で申し上げられることはございませんけれども、拉致の問題として日本が、向こうは解決済みという態度ですから、少なくともこの問題について解決済みではないというところからまずスタートしなきゃいかぬというのははっきりいたしております。

谷口(隆)委員 確かにおっしゃるとおりでありますけれども、何らかの攻め方といいますか対応は、当然ながら外務省を中心にして考えていただいているというように思うわけでありますが、ぜひ一歩も二歩も前進のあるように進めていただきたいと思うところでございます。

塩崎国務大臣 一言追加をさせていただければ、拉致問題の対策本部がございます。ここで、安倍内閣スタートしてから、調査、情報等々新しいことをできるようになっておりまして、予算も組んでいるわけでありますから、そこで今内々いろいろな準備をさせていただいているわけでございます。外務省とも連絡をとりながら、拉致問題の解決に向けて、総合的にいろいろなことを判断して、力強く進めていきたい、このように思っております。

谷口(隆)委員 今、塩崎官房長官がおっしゃっていただいたわけでありますが、この拉致の問題は、我が国政府としても、数々の、金融制裁を初めいろいろやってまいったわけであります。

 それで、その協議が三十日以内に何らかの形で行われるわけでありますが、それに関しまして、従来の制裁行為以外に何か別途具体的に考えていらっしゃることがあればおっしゃっていただきたいというように思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、拉致問題の対策本部ではさまざまなことを考えております。先ほど予算化されたものがあると申し上げましたけれども、これからどういう交渉になるのか、これはやってみないとわからないことでありますので、その中身についてはこれから、まだ申し上げられる段階ではないということでございます。

谷口(隆)委員 この六者会合そのものは、今までいわばぎりぎりまで北朝鮮をアメリカが中心となって圧力をかけて押しておったものを、急にここへ来て土俵の真ん中に戻してしまったというような考え方もあるわけでございます。

 我が国は、その中にあって、先ほどの五万トンの供与もこの拉致問題がなければやらないと大臣がおっしゃったとおりでありますけれども、しかし、国際情勢といいますか、六カ国の間でどうも歩調の合わないような状況もあるところもあるんだろうと思います。

 そのような状況の中で、我が国が一体どういうようにこの拉致問題を、特にこの作業部会を通じてやっていこうと御決意しておられるのか、もう一度そういう観点からお述べいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今御懸念の、作業部会、五つできましたけれども、それぞれがちぐはぐなスピードでいった場合にどうなるのかということだろうと思いますが、それぞれが作業部会として他に影響を及ぼさないということも書いてありますけれども、一方で、「五つの作業部会で策定された諸計画は、全体として、かつ、調整された方法で実施される。」というふうに書いてあるわけでございます。

 これは何を意味するかというと、どこかが突出して行っても、他の、全体の五つのものが足並みがそろわないと、それを合意しない限りはなかなか行けませんよ、こういうことを言っているわけでありますから、拉致問題を含めて日朝の問題が全く解決できないままに何か物事がどんどん進むというようなことはあり得ないというのが今回の合意だと思っておりますので、その点御理解を賜りたいと思います。

谷口(隆)委員 大変な作業部会での交渉になるんだろうと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきますように御期待を申し上げ、またお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

小島委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。時間がありませんので早速質問させていただきます。

 今し方、官房長官並びに外務大臣の発言の中で、ここに言う懸案事項に拉致問題が含まれることは言うまでもありませんと。これは、我々も外務省からいただいた資料の中にも括弧してございまして、この懸案事項には拉致が含まれるというのは、北朝鮮も同じ認識を持っているのかどうか。

 つまり、日本側の言う懸案事項とは拉致の問題だけれども、北朝鮮は、その問題は解決済みだ、もう既に平壌宣言にそう書いてあるではないかということで、彼らは、全く懸案事項の中には拉致は入っていない、解決済みの問題という形で従来の主張を繰り返してくる可能性もあるわけですが、今回の日朝協議におきましてその点については確認をとっているのかどうか、その点をまず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 成果文書の中で、一昨年九月の六者会合共同声明の実施のための初期段階として、日本及び北朝鮮が平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始するというふうに明記をされております。

 したがいまして、この一昨年の共同声明における懸案事項に拉致問題が含まれているということは、これはいずれの国からも異論が出されておりませんので、少なくとも六者共通の理解であると私どもは考えております。

渡辺(周)委員 いや、それは日本側の立場であって、北朝鮮は交渉のときに、私どもが外務省から聞いた説明では、金桂冠は、自分は担当ではないのでそれは本国に伝えるということで、日本側の意見は聞いたけれども、そうだと、懸案事項というのは拉致問題の解決であるということについて言及をしなかったというふうに我々はとらえていますけれども、その点はどうなんでしょう。そこを確認したいと思います。

麻生国務大臣 今回の成果文書に明記をされております「朝鮮民主主義人民共和国と日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとるため、二者間の協議を開始する。」という文言でありますけれども、これは、一昨年九月のいわゆる六者共同声明におけます「朝鮮民主主義人民共和国及び日本国は、」という文言とずっと、全く同じものになっております。

 したがって、この共同声明の文言を踏まえれば、昨年二月に実施された日朝包括並行協議において、北朝鮮側が我が方が拉致問題を懸案事項として提起することに応じておりますので、はっきりしておる、私どもはそう思っております。

 北朝鮮も当然理解をしているということです。

佐々江政府参考人 北朝鮮は、この懸案事項が拉致問題を指すということは十分以上に理解をしておるというふうに思います。

渡辺(周)委員 今、思いますと言うから、日本側の思いじゃなくて、それは確認していないんですね。この英文の文章の中で、アブダクションという言葉が全然出てこない。この点については、それはこちら側はそうだけれども北朝鮮はそうだと思っていない、その可能性はあるんじゃないですか。それがまず一点。

 それから、だとすれば、日朝の正常化ということをテーマに開かれるこの部会の中で、拉致問題担当者が出てこなかった場合は、引き続き我が国は制裁をするということで考えてよろしいでしょうか。

佐々江政府参考人 北朝鮮は日朝間の懸案というのが拉致が中核的な問題であるということは、私が思っているということじゃなくて、北朝鮮も十分理解しておりますし、そのことは、実際上、北朝鮮は話し合いの中で十分認識をしております。

 したがいまして、この国交正常化に関する作業グループにおいて拉致問題を日本が取り上げてくるということは北朝鮮も十分知っておるし、予期をしておるし、その準備を今しておるというふうに思います。

渡辺(周)委員 最後の質問ですが、今、北朝鮮は拉致問題担当者は出てくると。出てこなかった場合、日本政府としてはどう対応しますか。拉致問題について進展がないということで判断するということでよろしいでしょうか。

佐々江政府参考人 拉致を担当しておる者が出てこない日朝協議はあり得ないというふうに思っております。

塩崎国務大臣 今、佐々江局長が言ったとおり、拉致問題の解決なくして国交正常化なしと言っているわけですから、国交正常化の話し合いの入り口がこの拉致問題の解決ということで、その担当者が出てこないようなことはあり得ないというふうに思っております。

渡辺(周)委員 終わります。

小島委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 我が党は、今回の協議が、六者会合が共同文書を採択したことについて、志位委員長の談話を発表しました。朝鮮半島の非核化の実現というのが、日本を含む北東アジアの平和と安定にとって、また核兵器廃絶という唯一の被爆国日本の国民的願望にとって極めて重要な意義を持っている。そして、北朝鮮の核兵器とその開発計画の放棄に向けた最初の具体的一歩として歓迎するものであります。

 この共同文書は、昨年十月の北朝鮮の核実験強行に直面して国際社会が一致して求めた外交的、平和的な解決の方向に沿って、関係各国の忍耐強い交渉を通じて実現された重要な前進であるというふうに考えております。

 北朝鮮と関係国は、〇五年の共同声明の初期段階の措置と位置づけられたこの合意を着実に実行して、そして共同声明を全面的に履行することが求められていると考えます。

 さらに、共同文書が日朝国交正常化を含む五つの作業部会の設置を決めて、その実施のための協議の場がつくられたということは、北東アジアの地域の平和と安全にとって重要な一歩だろうと私も考えます。

 そこで、官房長官に伺っておきたいと思いますが、先ほど来出ております共同文書の中で、日朝両国が「平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとるため、二者間の協議を開始する。」というふうに明記していることとのかかわりです。

 日本政府がやるべき役割といいますか努力すべきことの中身なんですが、私たちは、日本政府が、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、過去の清算を含む二国間の懸案の解決と、それから国交正常化のための真剣な努力を行っていくこと。そして、この努力を、六カ国協議における朝鮮半島非核化のために課せられた役割への誠実な取り組み、これと結びつけていくということが非常に大事だと思うし、政府に希望するわけなんです。

 官房長官、日本政府による努力と取り組みという点で、今申し上げたような二国間の懸案事項あるいは国交正常化のために真剣に努力していくということと、それから、六者会合における朝鮮半島非核化のために課せられた役割に誠実に取り組んでいく、これを結びつけてやっていくんだ、いろいろあるけれども。そのことの重要性と必要性について、どういった認識をお持ちかどうかということについて伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど麻生外務大臣からもお話がありましたように、昨年の十月に北朝鮮は核実験を行いました。その前にはミサイルの実験も行っておりますけれども、そういう状況を踏まえて、やはり非核化を行う、完全な非核化を行うということがおととしの共同声明にも書かれ、そして、それを改めて完全実施をするということで今回の二月十三日のこの合意に至っているわけでございます。

 その中で、日朝間のさまざまな懸案事項について解決をしなければいけないということも同時に書き込まれ、五つの作業部会ができた。この作業部会は、非核化というのがまず第一にあって、あと米朝、日朝、経済、エネルギー協力、そして北東アジアの平和と安全、こういうことで、全部を一遍にやらなきゃいけないというのは、先ほど答弁したとおり、それぞれの作業部会、それぞれのスピードでいったとしても最後は同時に出口でまとまらないといけませんよ、こういうことだろうと思うんです。

 したがって、我が国としては、今回初期段階の措置をとるとともに次の段階で何をやるのかというのは、実は完全な非核化に向けてのリストを出して、そしてこれを全部放棄してもらわなければいかぬ、こういうことに至るまでに我々はこの間に日朝の問題についても解決を図る。その中心が拉致問題であり、それが入り口であって、これを解決しない限りは日朝の国交正常化の話はあり得ない、こういうことだろうと思いますので、米朝の作業部会には多分日本からは参加をしないんでしょうが、その他にはすべて参加をして議論をしていくという中で、日本の問題と全体の問題との有機的な結合の中で全体を解決していこう、こういうことだろうと思います。

笠井委員 有機的な結合と言われましたが、大いにそういう観点で取り組みと努力をしていただきたいと思います。

 終わります。

小島委員長 両大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。赤城徳彦君。

赤城委員 自由民主党の赤城徳彦です。

 引き続いて質疑をさせていただきたいと思いますが、今回の六者協議、大変難航が予想されるこの協議、一定の成果が出て一歩前進だと思いますし、特に拉致問題については、具体的な成果は出ませんでしたけれども、しかし、我が国の立場を明確にして、また支援はそういうことで今回はやらない、そういうことに対しての各国の理解も得た、そういうことは大変実質的な意味のあることだ、こう思っております。

 この間の両大臣、そして副大臣、また特に佐々江アジア大洋州局長、大変な御尽力をいただきましたことに敬意を表したいと思います。

 さて、そこで、六者協議で初期段階では四カ国が支援をする、こういうことになるわけであります。我が国は拉致問題の進展が見られないこの段階では支援はしない、こういうことなんですが、先ごろの衆議院の予算委員会で安倍総理も、この点について、拉致問題に進展が見られなければその後の九十五万トンの支援も出すわけにはいかない、こういうことを言われていますし、また進展したかどうかは我々が判断する、こういう答弁もされていると思います。

 そこで、今までよく言われていたのは、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はなしだ、解決なくしてという言葉を使ってきました。でも、今回は進展という言葉を使っています。進展がなければ支援はしないというのは、裏返せば一定の進展があれば支援するんだ、こういうことにも読めるわけで、解決という言葉じゃなくて進展という言葉を意図的に使っているんだな、こういうふうに思います。

 そこで、この進展というのはどういう状況を指すのか、またどういう意図があるのかということについて伺いたいと思います。

岩屋副大臣 赤城先生御承知のように、拉致問題の解決ということになりますと、拉致被害者の全員の帰国そのものを指すんだと思いますし、私どもはそこをあくまでも最終ゴールとして目指していくということでございます。

 今回、我が方としては、拉致の問題でこれまで以上に誠意のある対応が全く見られないということであれば、一切、最初の五万トンはもちろんでございますが、残りの九十五万トンのエネルギー支援あるいはエネルギーに相当する支援についても我が方としては参加をしないということを言っているわけでございます。

 しからば、何をもって進展とみなすかということは、これは先ほど麻生大臣もお答えになられたように、なかなかこの段階でこうなればこうだということを明言するわけにはいかない、まさに交渉の中身の問題でございます。向こうの対応を見て、個々具体的にそれが進展であるかどうかということを判断する、こういうことになろうかと思います。

赤城委員 先ほど麻生大臣からも、何をもって進展また解決、先ほどは解決について何をもって解決と見るのかというような答弁されたのかなと、ちょっと奇異に感じたんですけれども、解決は、まさに岩屋副大臣言われるように、すべての拉致被害者が無事に帰ってこられる、これが全面的な解決である、それは最終ゴールでありますけれども、私は、事ここに至って、少なくとも、北朝鮮側はすべての拉致被害者についてみずからの監視下に置き、どこで今どういう状況にあるのかというのは向こうはわかっているはずです。だから、この期に及んで段階的に少しずつみたいな話というのはあり得ない。北朝鮮に対して、すべてを明らかにしなさい、そしてすべての被害者を帰しなさい、もうそれしかないんだなと私は思っているんです。

 ですから、実質的な進展、かなりの進展があればという外交戦略上の意図というのはわかりますけれども、進展したら支援しますよ、そうなると向こうは、では、まず調査しましょうとか、少しばかり何か出しましたと言いながらそれに対する見返りを得て、それでここまでで終わりだ、こういうことになりかねない。これまでも、拉致被害者、何人かは帰ってこられましたけれども、しかし多くの問題はまだ残したままになっています。

 今回は、拉致被害者、家族会も含めて多くの皆さんが期待しているのは、全面解決してくれ、これ以上後に残さないでくれ、そういう思いではないかなと思いますので、いずれにしても、今後の交渉を見ながら向こうがどういうふうに出てくるのか、それに対して我々国会も、また国民も注視していますから、そんな北朝鮮側がこんな程度のもので済まそうと思ってもそれはいかぬよということは全国民が見守っているということだと思いますので、もし何かありましたら。

岩屋副大臣 済みません、言葉が足らずに誤解をされてもいけないと思いますのでもう一度申し上げますが、拉致問題の解決というのは、先ほど申し上げたすべての拉致被害者の即時帰国、真相の究明及び拉致実行犯の引き渡しが実現をすることでございまして、我々は何もこれを部分的でいいということを言っているわけではなくて、この拉致問題の全面的な解決を北朝鮮に求めていくわけでございます。

 そこに向かって向こうが一歩でも二歩でも前に出てくる、完全な解決に向かって前進が見られるかどうかを進展と判断するかどうかというのがまた次の問題になるということでございますので、あくまでも、全面解決に向かって最大限の外交努力をしていくという決意であるということを御理解いただきたいと思います。

赤城委員 ちょっとくどいようですけれども、まさに全面解決に向けていくわけですから、一歩でも二歩でも出たらそれに対して支援があるかのように向こうに受け取られるというのはちょっとマイナスなので、まさに全面解決して初めて日朝国交正常化もあるし支援もあるんだよ、そういうことをしっかり北朝鮮側にわからせるということでお願いをしたいと思います。

 次に、作業部会の話、先ほどもありました。この合意文書の中に、作業部会が五つありますけれども、他の作業部会に影響を及ぼしてはならないということと、各部会で策定された諸計画は、全体として、かつ調整された方法で実施されるという、ちょっと一見して読むと、影響を及ぼしてはならないけれども、調整されて全体でと、相矛盾するようなことが書かれています。

 ここをもう一回整理して教えていただきたいと思うんです。具体的に言いますと、日朝国交正常化の部会で、恐らく北は、拉致問題は解決済みだとか四の五の言ってくるでしょう。そのときに、日朝国交正常化部会が進まない、だからほかの部会もちょっと待てよ、余り先走らないでくれよと言えるのかというと、他の部会には影響を与えないだから、他の部会が計画を策定を進めるということはとめられないのではないかなと。まずその点について伺いたいと思います。

岩屋副大臣 足らざる点は、交渉の当事者として出ていった佐々江局長から補足があれば言っていただきたいと思いますが、先ほど大臣からも答弁をさせていただきましたように、原則として他の作業部会における作業に影響を及ぼさないということは、進められる話は下話も含めて進んでいただいていいが、五つの作業部会で得られた諸計画の実施は相互に調整されなければならない。

 だから、どこかがとまっていたら全く話をしちゃいかぬということではないが、そこで出されてきた計画については全体として調整をされなければならないということでございますので、そういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。

赤城委員 そうすると、こういうことになるのかなと思うんですけれども、日朝の作業部会はなかなか進まないね、しかし、ほかのエネルギー部会とか何とか部会は、進められるところは進めて計画が策定されました、そこで改めて全体の調整で、日朝の方は進んでいないから全体動かないよ、こういうふうな調整がされるのかな、こう思うんですね。その点が一つ。

 それから、特に米朝の関係で、米朝のテロ支援国家指定解除については、当然拉致問題も含めてある、こういうことですから、日本から米朝の作業部会に対して物を言うということは、これは影響を与えるのでできないかもしれないけれども、アメリカ自身が、テロ指定解除に当たっては拉致問題について考慮に入れる、したがって、その問題が解決しなければ指定解除もできないよというふうにアメリカが判断して米朝部会で当たる、こういうふうな関係になるのかな、こう思うんですけれども、その辺、伺います。

佐々江政府参考人 先ほどの最初の点でございますけれども、原則的には、それぞれの作業部会で議論される範囲で、それぞれの作業スケジュールに沿って前に進むということでございますが、基本的な考え方は、全体としてできる限り並行して進むということを想定しております。

 したがいまして、バランスよく実施されるという観点からは、どれか一つが突出して前に進まない、あるいはどれか一つが突出して前に進むということは基本的に余り想定されておらないということでございます。

 しかしながら、この過程で当然、先生が言われたような、国々によって利害関係が違うわけでございますから、ある国はある作業部会に積極的、ある国はある作業部会に消極的という局面が当然想定されるわけでございますけれども、そこを六者の首席代表による会合で、各作業の進捗状況につき報告を行うということになっております。したがいまして、そこで全体を点検したときに、ある一つの作業部会が進んでいないということになると、これはどうしたことだということで、みんなでそのことについて議論が行われる。

 そのようにして、全体として前に進むように調整されることが想定されているということでございますし、いずれにせよ、最後にゴールに到達する際にはすべての問題が決着している、したがって、どれか一つ取り残されるということは想定しておらないというふうに御理解いただければと思います。

 それから、米朝の作業部会で拉致の問題がどういうふうにというお話でございましたが、これは米朝の作業部会でございますので、先生の言われましたとおり、アメリカ自身の判断により米朝の作業を行うということでございますから、我々としては、この作業部会には米朝しか出席しませんので、しないわけでございますが、当然アメリカは、日本の同盟国として日本の懸念、関心については十分に理解している、そういう前提でこの米朝間の協議に臨むということでございますが、この点については、実態上、日米間の連絡協議、連携を緊密にしていくことによって対応できるし、すべきだというふうに思っております。

赤城委員 よくわかりました。

 私、ちょっと心配していたのは、作業自体は影響を与えられないので、進められるところはどんどん進んで、計画がつくられてしまう、最後に全体調整だというふうになると、何かもう周りは決まったんだから、あとおまえのところだけ何とかしろみたいに追い込まれてしまうんじゃないかな、こういう心配がありましたけれども、作業段階でも報告をして、その段階で進みぐあいについての調整がある、こういうことでしたね。

 それから、米朝の関係についても、直接ではないけれども、実態的に日米関係でそこはきちっと打ち込んでいく、こういうこと。もっと言えば、さらに途中段階での調整、報告の中でも、そこはきちっと、我が国の利益、関心をその調整の中で折々ほかの部会に対しても主張していく、こういうことが大事だと思いますので、その点もよろしくお願いします。

 それから、支援はしないということですが、初期段階の監視とか検証とか、そういうところに日本としてできることはやるというふうな話も外務大臣がされていました。例えばエネルギーの調査とか間接的な協力、調査などはするというふうなことを言われていますけれども、これは具体的にどういうことをされるということでしょうか。

岩屋副大臣 例えば、核施設の活動停止、封印に対する監視、検証についてはIAEAが実施することになっておりますけれども、このIAEAが実施する監視、検証に日本を含めた各国がどのような形で関与するかということについては今後の非核化作業部会で検討されることになっておりまして、その中で、我が方としてできることは行っていくということだと思います。

赤城委員 これは私は当たっていないと思うんですけれども、よくマスコミとかが、診察をするけれども治療はしないということで通るのかねと。要するに、調査をするんだったら、その後の何か支援を予定しているんじゃないかねというふうなことを、テレビなんかでは、そういう討論会で聞いたんですけれども、別にそういうことではない、北朝鮮に何かを与える前ぶれとしての調査とかそういうことではなくて、あくまで非核化のためにそれを我が国としてチェックしていくんだ、そういうことでよろしいですね。

岩屋副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 朝鮮半島の非核化、この場合は北朝鮮の非核化というのは大事なテーマでございますし、それが六カ国協議の主たるテーマでございますから、そのために、我が国としても協力できることはする。しかしながら、我が国は拉致問題の解決なくしては具体的なエネルギー支援は行わないという方針を申し上げているわけでございまして、そのことについても参加各国の理解を得ているということでございます。

赤城委員 私は、部分的に何か関与するということが向こうのプラスになってはいけないと思うので、あくまで拉致問題の解決がなければ一切もう日本はタッチしないというぐらいにしておいた方がいいのかなという思いもあって、これは具体的には、例えば人道支援、この人道支援というのは、やはりやらなきゃいけないなというふうな声もある。しかし、その人道支援が実は本当に必要なところまで行き渡らずに、北朝鮮の軍を潤わせるだけになってしまっているのではないかとか、そういうことも言われています。

 この人道支援ですね、エネルギー支援は行わない、人道支援についてはどういう考え方ですか。

佐々江政府参考人 今の先生の御質問は、百万トン、九十五万トンに相当する部分において、経済、エネルギー、人道支援を九十五万トン相当分の支援を行うことが想定されている、そういう文脈の御質問と理解しておりますけれども、この点につきましては、先ほど来副大臣あるいは大臣の方から申し上げているとおり、拉致問題について、我が方の懸念が手当てされる、すなわち進展がない限り参加しないというのが方針でございますので、その限りにおいて、この人道支援は当面想定しておらないということでございます。

赤城委員 今回の合意の中で、九十五万トンの経済、エネルギー、人道支援、こう書いてありますけれども、その外枠で何かあるというわけでもないですね。要するに、拉致問題が進展しなければ一切そういうものもないよということでよろしいですか。

佐々江政府参考人 さようでございます。

赤城委員 それでは、ちょっと核の方の話で気になることがあるのでさらに伺いたいと思うんですけれども、今回の合意で、施設の封鎖、停止、無能力化というふうなことが決まりましたけれども、北がかつてウラン型の濃縮計画を公表して、これも大きな問題になったですし、また、既に抽出したプルトニウムで数個の核弾頭ができるのではないか、あるいは既に持っているのではないか、こう言われています。そういうものについて、この合意の中に入ってこないんですけれども、これはどういうふうになっていますか。

岩屋副大臣 その点でございますが、北朝鮮は、すべての核計画についての完全な申告の提出等の措置を実施する、これは初期段階に続く次の段階でのことでございますが、これに同意をしておりますけれども、赤城先生御指摘の濃縮ウランに関する計画もこのすべての核計画の中に当然含まれているものと考えているところでございます。

赤城委員 計画と、それから既に持っているもの、抽出して持っているものと、これはちょっと違うのかなとも思うし、北はそういうものを保有して、抑止力として、あるいは今後の交渉としてそういうものを使うのではないか、こう言われているんですけれども、それは包含されているんでしょうか。

佐々江政府参考人 ただいま副大臣の方からお答えしましたのは、いわゆる濃縮ウランの問題であると思いますけれども、これにつきましては、当然、我々の立場というのは、含まれているし、含まれなければいけないという立場でございます。

 それから、今のプルトニウムの方の話につきましては、これは文書の中に明示的に、使用済み燃料棒から抽出されたプルトニウムを含むすべての核計画の一覧表について云々というふうになっておりますので、この中に、それが核兵器であろうといかなる場所であろうと、抽出されたプルトニウムは含まれるということでございます。

赤城委員 KEDO合意のときも問題になりましたけれども、それ以前に既に抽出されて持っているのではないかとか、あるいは秘密裏に開発しているのではないか、こういうこともありましたので、しっかりとした検証をしていかなければいけないと思います。

 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

小島委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。

 私は三十分、時間をいただいたんですけれども、大臣がおられない。しかし、将来の大臣になるだろう、その前に政権交代をしていたら、また逆の立場になっているかもしれないですけれども、それも含めて将来性豊かなお二人、大体、僕とも世代も似ていると思うんですけれどもね。

 そんなことで、大体お話、外交案件ですから、今ここで、どうなっているんだ、どうなっているんだ、何をやっているんだと言ったところで、全部は答えるわけにはいかないわけですよね。それはよくわかります。ですから、そういうことも踏まえて、どうしても言えないということであればそれはしようがないということを先に前置きをして、お話を続けさせていただきます。できれば委員の皆さんも、もうちょっと出席が多いとよかったなという感じもしますけれども、きょうはいろいろなところで委員会もやっていますので、まあいたし方ないかなという気もしております。

 これまでの議論、この拉致問題なんかもずっと見ていますと、つくづく、やはり東アジア情勢と拉致問題の現実にその解決の難しさ、そういうものを非常に感じるわけですよね。

 しかし、実は、こんな情勢でありながらも、朝鮮日報の最近の記事をちょっと拾ってみますと、ロシアと中国が、北朝鮮での影響力の拡大競争、そんなことを競い合っている。ロシアは、ハサンという都市から北朝鮮の羅津までの鉄道の現代化工事を行い、そして中国は、羅津港のコンテナの荷役と埠頭の工事を四十六億円をかけて建設中であるということが書かれていますね。そしてロシア側は、中国は北朝鮮領域内に自国の港をつくって太平洋に進出しようとしていると、警戒感をロシアはあらわにしている。一方で、ウラジオストクからの送電線の建設を韓国と協議したり、北朝鮮の北部地域での鉱山の独占採掘権の獲得を中国と競っているということなんですね。何か見ていると、明治時代の大陸の中での権益争い、そんなことに似ているなという感じがしてならないわけです。

 もしここで、我々はまだ若い世代ですけれども、明治の元勲の方々がいますよね、そういう方がこの場におられたらと想起するんですけれども、例えば、外務卿であった岩倉具視、そして副島種臣さん、そして外務大臣という名前に改称されてからの井上馨さん、伊藤博文公だとか大隈重信公、そして陸奥宗光公、いろいろとおられますけれども、そうした名立たる人物の名前が結構浮かんでくるんです。仮定の話で恐縮なんですけれども、両副大臣、今そこにその方々がもし座っておられたら、今回の六カ国協議の経緯を聞いて、どういうふうに思われるかなということを思うわけですよね。

 結構お二人、歴史に造詣が深い、別に答えがどうのこうので、私が座ったままで、もっと答えろなんということは言いませんから、多分、歴史に造詣が深いお二人ですので、どういうふうに思いますか。どうぞ、御自分の感想でいいです。

岩屋副大臣 松木先生、非常に難しい御質問でございまして、外務副大臣ということではなくて、私の考えを申し述べたいと思いますけれども、今私ども、六カ国協議ということで、この朝鮮半島の難しい問題を扱っておりますけれども、その中の作業部会の中にも、将来、北東アジアにもっと安定した安全保障の枠組みをつくろうじゃないかという部会もございますけれども、遠い将来を見渡せば、私は、やはりそういう方向に問題を解決して進めていかなきゃいけないんじゃないかなと。

 まだその入り口の前に我々は立っているわけですけれども、やはりそういう遠大な、高邁な理想というかビジョンというか、そういうものを持って進んでいかなきゃいけないよと、恐らく、明治の時代を生きた私どもの先達だったら、そういうことをおっしゃってくださるんではないかなというふうに思います。

 私は学生時代に、早稲田ですけれども、私淑していた、私淑というか、その本を読んで尊敬を申し上げておりました石橋湛山先生は、日米中ソ平和同盟ということをおっしゃっておられました。当時は全く相手にされなかったそうでございますけれども、今でいうと日米中ロ、さらにそれに韓朝、将来は日米中ロ韓朝平和同盟をつくるんだというぐらいのビジョンをしっかり持ってやっていかなきゃいけないんじゃないかなと。しかし、目の前の問題としっかり格闘して、答えを一つ一つ出していかなきゃいけない、こう思っているところでございます。

林副大臣 ありがとうございます。

 外務副大臣から示唆に富む御発言があった後で、ちょっと面映ゆいんでございますが、今、松木先生から御指摘のあった最後に、陸奥宗光の名前が出てまいりました。

 実は、日清講和条約、これは下関条約でございまして、私のふるさとの下関市に春帆楼という、これはフグで有名なところなんでございますが、ここで実は下関条約を調印した。建物がかわりましたので、今、机やいすだけを別の、隣のところに博物館で保存してありまして、私は、お客様が来ると必ずそこへお連れして、当時の状況等をまた思い出すわけでございます。

 清側を奥へ据えて、お客様ですからという名目で奥に据えていますが、実は関門海峡が見える、そこに軍艦を浮かべている、それを見せながら交渉をした、こういう逸話も伝わっておるわけでございまして、大変戦略的に当時の皆様もやっておられた。

 そのときの全権の総理が伊藤博文で、外務大臣が陸奥宗光であったわけでございまして、そういうところにふだんおりますと、また今のお話の日清の次は日露でございますから、小村寿太郎というのは御案内のようにハーバードに行っておりまして、このときに当時のルーズベルト大統領と知己を得ていたというようなことを聞いたことがございまして、そういうことをうまく使いながらやっていったということであります。

 今申し上げたように、戦略があったということと、多分、小村寿太郎が日露のことをやったときには世論的には大変な反発があった。たしか日比谷交番の焼き討ち事件というのがあって、やはり世論は、何で勝ったのにもっとやらないんだ、こういうこともあったというふうに歴史で我々は学ぶわけでございまして、そういう意味では、外交というのは、フィフティー・フィフティーをどうやってもう少しシックスティーに持っていくか、こういうようなことをぎりぎりやるので、こちらの言い分が一〇〇通るということはなかなか難しいということでございまして、その中で、戦略を駆使して、どういうふうに少しでも国益を多く実現するかという中で先輩たちも頑張ってこられたんだなと。

 こういうことを思うにつけても、今回の合意というものも、そういう目で歴史的には見るという見方もあるんではないかな、今松木先生の御質問を聞いていてそういうふうに思った次第でございます。

松木委員 やはり外交というのは、タフネゴシエーターであれということだと思うんですよね。

 しかし、今までいろいろな経緯を見ていると、そろそろ明治の元勲なんかも、いいかげんにせい、もう拉致問題に糸口が見出せない限りは六者協議から脱会も辞さぬぞというぐらいのことを、ひょっとしたらそろそろ言う時期ではなかろうかなという気持ちもしています。しかし、お二人の言ったことも、私も非常に理解ができるというふうに思っています。

 いずれにしても、今回の六者協議は国民の目から見ると、先ほど焼き討ち事件の話もしたけれども、やはり北朝鮮が核開発外交とでもいいましょうか、したたかに成功させて、最近までどっちかといえば強気一辺倒でやっていたアメリカがなぜか急に譲歩するようになって、日本は何となく孤立ぎみになっちゃって、そして蚊帳の外、そんなイメージに映っているような感じもしますね。

 それにしても、二国間協議には応じるつもりはないと言ってはばからなかったブッシュさん、ここに来てどうして方向転換を行ったのかなと。

 特に、ベルリンで北朝鮮と交渉した時点で、アメリカはテロ支援国家の解除を検討するとともに、金正日総書記の秘密資金であるバンコ・デルタ・アジア銀行の約二十九億の口座の凍結処分の解除さえ合意をしたとも言われておるわけですよね。先ほど大臣は、そうじゃないというお話をされていましたけれども、そこのテーブルに着いたような話もされていましたけれども、どうもこんな話も漏れ伝わってくるわけですよ。

 北朝鮮に妥協せざるを得なかったアメリカの真意は何だったんでしょうか。そのことを、岩屋副大臣、御自分で結構です、どういうふうに分析されますか。

岩屋副大臣 なかなか自分でというわけにはいきませんが、この御質問には、麻生大臣も午前中の外務委員会でも累次にわたってお答えされておられますけれども、米国は核不拡散、北朝鮮を核保有国と認めず、朝鮮半島の非核化を果たすということについては一貫していると思います。

 今回の六者会合においても、マスコミはいろいろなことを言っていますが、実は、米国とはこれまでにないぐらい極めて緊密に連絡をとっているところでございまして、例えば、ベルリンで米朝だけが六カ国協議に先立っていろいろな協議をやったということでございましたが、その際も、我が国の方には米国側から事前に十分な連絡がありましたし、事後にも十分な情報提供を受けておりますので、日本と米国が別の行動をしている、別の考えを持って動いているということではございません。

 それから、六者協議に先立ちましても、御案内のとおり、ヒルさんが日本にやってきて、ここにいる佐々江局長と綿密に調整して現地に乗り込んでいるということでございますし、会談が終わったらすぐ日米の大統領、総理の電話会談も行われておりますので、確かに金融協議というのは六カ国協議と別のところで行われましたが、ある意味では北朝鮮をシックス・パーティー・トーク、この六カ国協議に引きずり込んでくる一つの契機になっている。

 しかも、バンコ・デルタ・アジアの問題についても、あるいは先生おっしゃったテロ支援国家の問題についても、協議は確かに開始するけれども、解除するというふうに決めているということではないわけでございまして、今後とも緊密に米国と連携をとり、最終的な目標に向かってしっかりと歩調をそろえてやっていきたい、こう思っております。

松木委員 合意したような話も漏れ伝わってくるわけですけれども、それは、今それこそいろいろなことを交渉しているわけですから、ここでどうのこうのというわけにはいかないというふうに思っております。

 国民の多くは、やはり、アメリカというのは今イラクの対応で泥沼化していますよね、そして、イランとも触発の危機にあるという感じがやはり今アメリカはしているわけですよね。核拡散だけでも阻止できるならば、北朝鮮問題はアジアに任せようということで態度を変えたのかなという感じもするわけですよね。

 そういうふうにもやはり受けとめられているような感じもしますけれども、日本は同盟国なんですから、実際は首脳間同士でそれくらいの情報交換をしていることだと思いますし、日本の立場としてはそう簡単にテロ支援国家の解除をされては困るわけですから、そのところは、日米間でしっかりと連携がとれていると信じたいところですけれども、実際のところ日本にはどれぐらいの相談や報告が、今いろいろな話をしてくれましたけれども、本当にどのぐらいの事前の報告があったのかな、できる限り、先ほどのが答えであるというのならそれでも結構ですけれども、お答えをいただきたいと思います。

岩屋副大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、当事者であった局長の方から補足があれば報告をさせていただきたいと思います。

松木委員 局長さん、ちょっと嫌がるのもわかるし、もう何回も同じことかいという話になるかもしれないですけれども、しかし、国民が見ているわけですから、我々だけで、ここだけでやっているというふうに思わないで、国民に対してのメッセージをしているというお気持ちで、我々は局長さんに期待しているわけです、国民もみんな期待しているんです、ぜひ、お答えをお願いします。

佐々江政府参考人 先生の言われた日米連携というのは非常に重要であるというふうに思っております。今回の六者協議に臨むに当たっては、先ほど副大臣の方からお話がありましたとおり、ベルリンにおける米朝協議のやり方や方針、あるいはその結果として次にどこに行くのかということも含めて十分に協議を行ってきております。そして、その協議の結果も十分に連絡を受けておりまして、その間では、交渉でございますから、すべてどういうものであったかということをつまびらかにするわけにいかないことはおわかりいただけると思います、北朝鮮と交渉しなければならぬわけでございますから。

 しかしながら、私としては、十分に日米間で連携し意思疎通をしている、そのことについて国民の皆様に対して、自信を持っていいのだというふうにここで述べさせていただきたいと思います。

 今後のことにつきましては、まさに北朝鮮の政策というものが、日米が緊密に連携することは、必ずしも北朝鮮から見ればよろしくないことでありましょうから、我々から見れば反対のことであるということですので、今後一層緊密に、日米間でやはりスクラムを組んで事に当たる必要がある。そのことについて、日米の政治レベルあるいは事務レベルでも共通の認識があるというふうに思っております。

松木委員 はい、わかりました。

 それでは、率直に申し上げて、日本にエネルギー支援の負担を求めなかったところに、外務省は、今回の六者協議で拉致問題のことも含めて何かちょっとかち取ったような、そんな自賛をしているようなところも僕は見受けられると思うんですけれども、アメリカと中国によって、いずれ北朝鮮の復興に日本の資金が必要になるわけですから、ただ、申しわけ程度に日本の立場への配慮がなされたにすぎないように私は思ってしまうわけですね。

 そうした思いから、六者協議の合意は欺瞞であり、我が国の国益にとっても、東アジアの平和にとってもマイナスであるとして、特定失踪者問題調査会の皆さんが、十八年度の補正と十九年度の予算で支出が決定していた「しおかぜ」という短波ラジオ放送、知っていますね、その支援を受けないということを何か表明しているようなんですけれども、その内容と経過を教えていただきたいのとともに、その特定失踪者問題調査会の皆さんの覚悟を林副大臣はどのように受け取られたか、そこら辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

林副大臣 今、松木先生から御指摘がありましたように、我々政府といたしましては、北朝鮮にいらっしゃいます拉致被害者に対して励ましや国際情勢等を伝達し、また北朝鮮の人々そのものに拉致被害者の保護をしてくださいということを呼びかける目的で、我が国から北朝鮮へ情報発信を強化していこうということを従来から検討しておったわけでございまして、今御指摘のあったのは、その一環として、特定失踪者問題調査会から要請が去年の十一月にございまして、今お話のありました同調査会が運営しております「しおかぜ」という短波放送の活用も検討して、今の予算の話もあったわけでございます。

 そういう中で、今御指摘がありましたように、二月の十五日付で、この調査会から、六者会合の合意に抗議して「しおかぜ」への、いわゆる先方がおっしゃっている意味の支援というものを返上したいということを発表されたわけでございまして、ちょっと我が方としては、事前にお話もなかったようでございますので、若干唐突な印象を持っております。

 ただ、民間団体で調査会をやっておられますので、その決定自体についていいとか悪いとかそういうふうなコメントをする立場に我々はない、こう思っております。いずれにしても、よく調査会と、そういう発表をされましたので、連絡調整をとって、今後、よく適切に対応していかなければならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。

松木委員 この特定失踪者の会というのは、そんなにお金がないんですよね。いろいろな方がいろいろと浄財を集めてやっている。私も、政治家になる前から大分おつき合いがありまして、パーティーとか集まりとかあったら、こんな募金箱を持って私が大体回ってお願いをする。そして年間数十万か、これは政治家というのは物を寄附できませんけれども、僕のお金じゃなくてみんなのお金ということで、そういうことも私はやっているんですけれども。もともと「しおかぜ」のことも、みんな結構政治家というのは、一番初めに聞いたのはおれだおれだと始まるんですけれども、私が一番初めにこのことは聞いて、お金をつけてやった方がいいんじゃないかという話をした経緯もあるものですから。

 なかなか、返上すると言ったものの、やはり結構困っている部分もあると思うんですよね。ですから、ぜひどこかでお会いして、もし誤解というふうに皆さんが思うのであればそういうことも解いていただいて、そして、多分北朝鮮が妨害電波を出しているんですね、それに向かって。ということは、多分聞いている人もいるし、何かリアクションが北朝鮮の国内であった可能性もあるでしょう。要するに、短波ラジオでやってもだめだよという人もいるけれども、何かあった可能性があるんですよ。だから妨害電波を出しているわけですからね。ぜひ、これは続けてやった方が僕はずっといいと思いますから、ぜひそこら辺、林副大臣、頼みますね。

 合意後の官邸や外務省の見解をお聞きしていますと、どうも何というんですか、ある時期からエネルギー支援に乗り出さざるを得ないと心の奥底では考えているような気がしてならないんですけれども、近い将来に、北朝鮮が結局は核を放棄しないで重油を百万トンもらってしまった、六者協議は体制の維持だけに手をかしたにすぎなかったということになるんじゃないかなというふうに私も思うんですよ。

 そこら辺、調査会の皆さんはそれに対して危機を深めたんだと思いますよ。ですから、それに対しての小さな小さな、ある意味の抵抗だったとも思います。ですから、そこら辺の意思を、今も言ったけれども、よく酌み取っていただきたいというふうに強く要望をしておきます。

 そこで、「花はどこへ行った」なんというのでよく知られているアメリカのフォークシンガーのポール・ストーキーさんというのですか、横田めぐみさんにささげる「ソング・フォー・メグミ」を作詞作曲され、CDがきょう発売になるということは御存じですよね。これが現物ですね。ぜひこれは皆さんではやらせた方が、やはり忘れないでいいと思いますので。

 歌詞には、中学生だっためぐみさんを奪われた横田夫妻の悲しみや救出への強い願いが込められて、「あなたはどこに。風の中にあなたの声が聞こえます。」こういうめぐみさんに語りかける部分がありました。

 世界に向かって、拉致のメッセージがこれによって流れることになると思うんですね。ぜひ、本当にヒットチャートに乗せたいというふうに思っております。アメリカのフォークシンガーがこうして立ち上がってくれているのですけれども、このことを、両副大臣、今どんな感じに思われますか。

岩屋副大臣 その前に、「しおかぜ」の件ですが、私ども外務省としてもしっかり受けとめたいと思っております。

 ただ、もう言うまでもないことですけれども、今まで日朝で一生懸命やったけれどもなかなか進まなかった。しかし、六カ国協議、ようやくテーブルに着かせて、その中に日朝の作業部会も設けた。しかも、支援と拉致の問題の解決をリンクさせたという意味で、私どもは前進をしてきている、こう思っておりますので、そういうことがきちんと伝わるように、外務省としても努力をしていきたいと思っております。

 それから、今のPP&Mというのは本当に私どものあこがれというか、子供のころよく聞かせていただいたそのストーキーさんが、今回こういう歌をつくっていただいて、拉致の問題の解決に力強い支援を送っていただいているということは、本当に心強いことだと思っておりまして、ぜひ、この歌が日本国内だけでなくて世界の人々から応援されて、拉致の問題に対する認識が深まって、問題の解決に資する、そういうことになっていただきたい、心から期待をしております。

林副大臣 委員が御質問をしていただいたおかげで、私もきょうの昼休みに、CDで曲を聞く時間をつくっていただきまして、実際に聞いてみました。大変すばらしいメロディーで、シンプルな構成でございまして、普通、我々バンドをやりますと、ベースもドラムもガチャガチャ入るんですが、これは実はベースだけで、ギターとあとフィドルというバイオリンが入っていまして、非常に美しい曲に仕上がっているなと。難を言えば、あともう一人のPとMが入ってもらってコーラスになると、昔聞いた思い出がよみがえるな、こう思いながら聞かせていただきましたが。

 そういうことは別にして、この歌詞を見ますと、「センド・ミー・ユア・スピリット マイ・ハート・ウィル・ヒア・イット」、こういうのが入っていまして、御自身のこととダブらせて歌われておられるな、非常に心がこもっておられるな、そんな感じがいたしまして、聞いてみますと、「アブダクション」という映画をごらんになって、それでインスパイアされておつくりになった。

 しかも、めぐみさんとストーキーさんの長女が同い年だそうでございます。その下に女の子の双子がいらっしゃって、横田家は男の子の双子さんだったと思いますが、非常に家族関係が似ているということで、非常にシンパシーがあってこういうすばらしい曲ができたのかな、後でそういうふうに思ったわけでございます。既に総理もどこかでお聞きになっている絵が、ちょっときょうの新聞に出ておりましたけれども。

 まさに先生がおっしゃるように、こういう歌というのは、頭の中の右脳だったか左脳だったか忘れましたけれども、感情の方に訴える力もあるわけでございまして、理屈でこれはひどいのじゃないかということに加えて、やはりこういう思いを横田御夫妻が持っておられるということを、この歌を通じてより多くの人に知っていただくという意味で、すばらしい歌をつくっていただいたな、こういうふうに思っておりますので、我々もできる限りのことをしていきたい、こういうふうに思っております。

松木委員 それと、局長さんにちょっと一つだけ。

 この間ちょっと地元の方に言われたんですけれども、六者協議とか六カ国協議とかいろいろと名前が一緒で、どっちかその言う人によって違うんだよという話がありました。前も多分これを聞いた人がいるんだと思うんですけれども、いま一度、正式にはどっちなんだということを聞いておきたいと思いますので、お願いします。簡単でいいですよ、どっちか。

佐々江政府参考人 六者協議が正確だと思います。英語では、シックス・パーティー・トークでございます。

松木委員 端的なお答えありがとうございます。端的にできますよね、これ。

 私は拉致された方たちの一刻も早い解決というものを心から願っているものでございます。そして、そのためにはやはり外務省、外務省の方々が、この拉致問題ももちろんそうなんですけれども、外交交渉というのは全部そうだと思いますけれども、やはりタフネゴシエーターにならなきゃいけませんね。タフネゴシエーターにならなきゃいけない、外交力を倍加していけるように頑張ってもらわなくてはならないというふうに思います。

 局長さん、頑張ってくださいよ。みんな本当に信頼しているんだから。頼みますよ、本当に。そしてまた官邸、官邸も一体となった外交が展開されるということがやはり不可欠だというふうに私思っています。

 この拉致問題というのは、やはり与党だとか野党が一緒になって取り組んでいかなきゃいけないことですよね。拉致問題の解決なくして支援はあり得ないという安倍総理の決意、そして、我々野党、安倍総理には文句はいっぱいある、いっぱいあるけれども、このことに関しては一緒にやはり解決をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。

 これからも安倍総理の決意とかそういうものも、やはり拉致問題の解決なくしては支援はやらないんだぞ、ふざけるなというぐらいの、ちょっと言葉が汚くなって申しわけありません、そういう堂々と世界に向かって主張して、目先の現象、バスに乗りおくれるなとかいろいろな話があります。しかし、バスに乗りおくれるなと言った方も私は立派な方だと思っています。ああいう人たちの意見も聞いてもいい、聞いてもいいけれども、しかし最終的にはやはり毅然とした態度で、余り目先の現象にとらわれないで頑張っていただきたいというふうに思っております。

 そして、我々どちらかといえば、両副大臣、まだお若いですよね。私も同じようなものです。我々がまただんだん年を重ねていくと、我々が本当に麻生大臣にかわって決めなきゃいけないような時代も来るかもしれない。そのためには、やはり一つ一つの勉強もしなきゃいけないということも思います。ぜひ、拉致問題というのはいい解決になるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。限られた時間ですので、直接交渉に当たられた佐々江局長に幾つか伺いたいと思います。

 先ほど大臣質疑でも述べましたけれども、私たちは、今回の合意について言いますと、北朝鮮の核兵器と、そしてその開発計画の放棄に向けた最初の具体的な一歩として歓迎をいたしております。また、朝鮮半島の非核化だとか、あるいは日朝の国交正常化を含めた五つの作業部会、この設置が決められて協議の場が設けられたということは、北東アジアの平和と安全にとって重要な一歩だと考えております。

 今回の会合の中で、日朝間でも、一時間弱ではあるけれども話し合いの場があったということも聞いておりますが、それを含めて、交渉に当たられた局長は、今回の結果を全体としてどういうふうに見ておられるか、現場でいろいろやられて。交渉ですから、いろいろまた言える範囲があると思うんですが、率直な感想、あるいは御苦労も含めて、この結果をどう見ておられるか、伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐々江政府参考人 今回の協議の結果につきまして、これが果たして将来にどの程度つながっていくのかということについて現時点で確たることを言える者は、私は六者の代表、いないと思います。しかしながら、今回の会合で、もし意味があるとすれば、二つの点で大きな意味があったというふうに思っております。

 一つは、非核化に向けたこの目標に向けて、北朝鮮がある一定の措置をとることを、具体的な形で約束したということでございます。

 御承知のように、一昨年の共同声明では、非核化をするということは目標としてうたっておりますし、それは約束であるわけでございますが、それを具体的にどういうふうな手順でやっていくかということについては、これまで一切合意がなかったということでございますが、今回、そのより具体的な手順の大枠について、それも最初の、初期のステップについて合意をしたということでありまして、そういう意味では、この最終的な非核化に向かう上での第一歩を今回の合意で踏み出しつつある。

 しかしながら、この第一歩ですら、三十日、六十日という今想定されておりますスケジュールの中で、これが実施されないと、単なる絵にかいたもちであるということになると思いますので、まず、これが合意されたとおり実施されることを確保するのが第一であるというふうに思います。

 しかしながら、これは仮に実施されたとしても、最終的な非核、完全な朝鮮半島の非核化に至るためには、さらなる最終的な次のステップの努力が必要だということで、正しい方向には向かっていると思いますけれども、これはこの最初の一歩にしかすぎない、そういうふうに思っております。そのためには大変な努力がまだまだ必要だというふうに思っております。

 それから、二番目の点としては、先ほど来から御議論のあります日朝関係、特にこの日朝間の懸案を解決して国交正常化に至る、この点については何年にもわたって日朝間で協議も行われましたし、努力も行われましたけれども、いまだ最終的な道筋、ゴールにたどり着いていないということは遺憾なことに思っております。

 御承知のとおり、去年の春に日朝の交渉を並行協議ということで再開して、それ以降日朝間ではまともな交渉、対話が行われていなかったということでございます。我々から見ますと、これは、北朝鮮の方がミサイルを発射したり、あるいは核実験をしたりということで、国際社会全体として対話をする機運にもなかったし、また当然のことながら、日朝間ではそういうことはなかったわけでございますけれども、ここに来まして、北朝鮮がいろいろな形で、国際的な圧力のもとで、やはり交渉のテーブルに着くことを決めたかに見える。決めたかに見えるという意味は、果たしてこの交渉において、北朝鮮がどの程度正面からこの懸案の解決も含めて解決する決断をしてやってくるのかは、交渉の中で検証していくしかない問題であるというふうに思っておりますし、その中で解決するように、あるいは進展するように、全力を尽くすのが我々の役目であり、責務であるというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の合意によりまして、日朝間で閉ざされていたと申しますか、中断していた交渉が再開することになる、そのこと自身は今までの状況から見れば一歩前進だと思いますけれども、まだ交渉も始まっていないところで、この点について、必ずうまくいくというようなことを申し上げるほど、現時点では楽観的になれる情勢でもないことも明らかであるというふうに思います。

 しかしながら、そういう機会がある限りにおいて、我々は全力を尽くすべきだというふうに思っております。

笠井委員 今二つの点にわたって言われたわけですが、最初の部分でいきますと、朝鮮半島の非核化に向けてということで、最初の具体的な一歩という意味での大事な、そういう意味ではあったけれども、これからだと。そして、その全面的な履行があるし、それを強く相手に対して求めていくということでありましたが、その朝鮮半島の非核化という一歩踏み出した問題について、全面的に履行していくという点で、特に日本政府としては、どういうイニシアチブをこれからやっていく、果たしていくかということが大事だというふうに、交渉に当たられている立場からいって、感じていらっしゃるでしょうか。

佐々江政府参考人 朝鮮半島の非核化にせよ、日朝の懸案の解決の上に立った正常化にせよ、あるいは米朝の懸案の処理を含めた正常化にせよ、最終的には朝鮮半島を含めた北東アジアの平和と安全の確保、これは日本も含みますけれども、そのことが最終的な目標であることは明らかでございまして、そのために一つの絵姿、目標を描いたのがこの六者の共同声明である、今回の合意というのは、その第一歩をしるしたものであるという位置づけであるというふうに思います。

 したがいまして、その中にある各作業部会において、日本としては、まず非核化についてやはり北朝鮮が約束したことを実施するように、あるいは具体的に今後非核化作業部会の中で、今回の合意をさらに詳細に専門家の間で詰めていく作業というものが想定されているわけでございますが、それに積極的に参加をして、特に米国は核兵器国でございますから、核兵器国としての知見を我々と十分に共有してもらいながら、交渉の中身を詰めていく作業に積極的に参加していくべきだというふうに思っております。

 他方、その間、日朝の作業部会におきまして、当然のことながら最大の懸案である拉致問題、同時に国交正常化問題も含めて、北朝鮮と正面に向き合ってやはり交渉をすることによって前進をしたいというふうに思っております。

 そしてまた、ほかの作業部会におきましても、特に北東アジアの将来の平和と安全のメカニズム、こういう問題につきましても、やや少し遠い将来の話でございますけれども、日本としての考え、あるいはビジョンを持ってその協議に積極的に臨んでいきたいというふうに思っております。

 また、先ほどのエネルギー、経済作業部会にしましても、日本は当面この具体的な支援には参加しませんけれども、この全体の流れ、議論がどういうふうに行われているのかということについて、我が国がフォローしないということはあり得ないということだというふうに思っておりますし、これについても参加をして、我が国としての立場あるいは考え方を、所見を述べていくべきだというふうに思っております。

笠井委員 日朝問題の今回の会合の中で、日朝間の問題解決が改めて六カ国が取り組む全体の課題に位置づけられたというのは、非常に大事な点だというふうに思うんですね。

 その点でいいますと、日本政府に対して、やはり拉致や過去の清算を含めた二国間の問題を解決する、そして国交正常化するために真剣に努力すると同時に、その努力がやはり六者会合、今局長も言われましたけれども、の中での朝鮮半島の非核のために課された役割に対する誠実な取り組みと結合させて、大いに努力をしていただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 終わります。

小島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十三分散会


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