衆議院

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第2号 平成20年12月17日(水曜日)

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平成二十年十二月十七日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 柳本 卓治君

   理事 奥野 信亮君 理事 小杉  隆君

   理事 葉梨 康弘君 理事 古屋 圭司君

   理事 内山  晃君 理事 末松 義規君

   理事 上田  勇君

      岡下 信子君    鍵田忠兵衛君

      鈴木 馨祐君    薗浦健太郎君

      高木  毅君    徳田  毅君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      松本 洋平君    渡部  篤君

      北神 圭朗君    高山 智司君

      鷲尾英一郎君    渡辺  周君

      江田 康幸君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     河村 建夫君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山本 条太君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)

   (内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長)    河内  隆君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室長)  中村耕一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            齋木 昭隆君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          吉宮 孝治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十七日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     徳田  毅君

  山本ともひろ君    鈴木 馨祐君

  山本 有二君     西本 勝子君

  園田 康博君     渡辺  周君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     松本 洋平君

  徳田  毅君     木原 誠二君

  西本 勝子君     山本 有二君

  渡辺  周君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     山本ともひろ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

柳本委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、拉致問題をめぐる現状について政府から報告を聴取いたします。河村内閣官房長官・拉致問題担当大臣。

河村国務大臣 内閣官房長官兼拉致問題担当大臣の河村建夫でございます。

 衆議院の北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の皆様方、柳本委員長さんを初め各委員の皆様方には、日ごろから、拉致問題の解決のために大変な御尽力をいただいております。心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。

 本日は、拉致問題をめぐる現状について御報告をさせていただきます。

 北朝鮮による拉致は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題です。この国家的犯罪行為であり許しがたい人権問題でもある拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はないとの方針に変わりはありません。政府としては、すべての拉致被害者の方々の一刻も早い救出、真相の究明及び被疑者の引き渡しを実現すべく、対話と圧力の姿勢をもって、引き続き最大限の努力を行う所存であります。

 本年六月及び八月の日朝実務者協議を経て、北朝鮮は、拉致問題の解決に向けた具体的な行動をとるため、すなわち生存者を発見し日本に帰させるための拉致被害者に関する全面的な調査の実施を約束いたしました。

 我が国は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を図るとの方針に変更はなく、また、八月の日朝実務者協議に従い、北朝鮮側が権限ある調査委員会を立ち上げ、調査を開始すると同時に、人的往来及び航空チャーター便の規制解除を行うとの考えに変わりはないとの麻生内閣の立場を説明しつつ、速やかに拉致被害者に関する調査を開始するよう求めてきておりますが、北朝鮮は具体的な行動をとっておりません。

 政府は、六者会合における北朝鮮の対応や、拉致問題についても具体的な行動がないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、去る十月十日には、同十三日に期限切れを迎えることになっていた、すべての北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止の措置を六カ月間継続することを決定いたしました。

 私は、内閣官房長官兼拉致問題担当大臣への就任直後、十月二日、拉致被害者の御家族の心情や御要望を伺い、政府の取り組みに反映させたいとの思いから、拉致被害者の御家族と懇談をいたしました。この懇談には麻生総理も途中から御出席され、御家族の訴えに耳を傾けられるとともに、現在進行中の問題であり、被害者の救出が時間との闘いである拉致問題の解決への意欲を示されたところであります。

 また、十月十五日、政府は、麻生総理を本部長とし全閣僚を構成メンバーとする拉致問題対策本部第二回会合を開催いたしました。同会合においては、拉致問題における今後の対応方針を再確認するとともに、拉致問題が解決しないままに第一回会合から既に二年という時間が経過したことを重く受けとめ、北朝鮮に対して、拉致問題を一刻も早く解決するための決断を早急に下すよう強く求めてきたところでございます。

 拉致発生後長い年月がたち、被害者や御家族の方々はお年を召され、拉致問題の解決は今や一刻の猶予も許されない状況となっております。政府は、アメリカを初めとする関係各国とともに緊密に連携協力しながら、日朝協議にも引き続き取り組み、すべての拉致被害者を一刻も早く取り戻すべく、拉致問題対策本部を中心に、政府一体となって引き続き全力で取り組んでまいります。

 柳本委員長を初め、本委員会の皆様の御理解、御協力をよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

柳本委員長 次に、北朝鮮情勢に関して政府から報告を聴取いたします。中曽根外務大臣。

中曽根国務大臣 外務大臣の中曽根弘文でございます。

 衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の開催に当たり、謹んでごあいさつを申し上げます。

 本日は、核問題及び日朝関係を中心とする最近の北朝鮮をめぐる情勢について御報告いたします。

 まず、北朝鮮の核問題について御報告いたします。

 昨年十月の六者会合成果文書では、第二段階の措置として、北朝鮮が昨年末までに寧辺の核施設の無能力化及びすべての核計画の申告を行うことで合意いたしました。寧辺の核施設の無能力化につきましては、実験用原子炉からの燃料棒の取り出し作業等が行われています。核計画の申告につきましては、期限より大幅におくれましたが、本年六月二十六日に議長国中国に提出されました。これを受けて、七月に、六者会合に関する首席代表者会合及び六者外相による非公式会合が開催され、検証の具体的枠組みを構築する必要性につき一致いたしました。

 その後、米朝間を中心に、検証の具体的枠組みについての協議が進められてきましたが、米国は、十月十一日、それまでの米朝間の協議の結果を踏まえ、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除いたしました。

 今月八日から北京において行われた六者会合に関する首席代表者会合では、誤解の余地のない、しっかりとした検証の具体的枠組みに合意するための努力が続けられましたが、残念ながら合意には至りませんでした。これに関し、先週末に福岡で行われた日中韓首脳会議では、三カ国首脳は、さきの首席代表者会合で検証について合意できなかったことは残念であるとした上で、今後とも六者会合の枠組みのもとで日中韓三カ国が緊密に連携していくことで一致いたしました。

 政府といたしましては、懸案の検証の枠組みについて六者間で文書による合意が形成され、早期に検証が開始されるよう、米国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ、引き続き努力していく考えです。

 次に、日朝関係をめぐる情勢について御報告いたします。

 本年六月の日朝実務者協議では、北朝鮮に対し、拉致問題は解決済みとの従来の立場を変更させ、拉致問題の解決に向けた具体的行動を今後とるための全面的な調査を実施することを約束させました。さらに、八月の日朝実務者協議では、調査の目的や具体的態様等について北朝鮮に合意させるに至りました。

 ところが、九月に入り、北朝鮮側は、麻生政権が日朝間の合意事項にどう対応するかを見きわめるまで調査開始を見合わせる旨を通報してきました。

 政府としては、北朝鮮に対して、麻生内閣としても、八月の実務者協議の合意に従い、北朝鮮側が権限のある調査委員会を立ち上げ、拉致被害者に関する全面的な調査に着手すると同時に、人的往来に関する規制及び航空チャーター便に関する規制を解除する用意があること等、我が国の立場を説明した上で、北朝鮮側が速やかに調査を開始するよう求めてきています。

 政府としては、六者会合における北朝鮮の対応や、拉致問題についても具体的な行動がないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、十月十日の閣議において、北朝鮮籍船舶の入港禁止及び北朝鮮からの輸入禁止の両措置を六カ月間継続することを決定いたしました。

 我が国としては、今後とも、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を実現するとの基本方針のもと、六者会合等の場を通じ、関係国とも緊密に連携協力しながら、日朝協議に真剣に取り組み、北朝鮮側に対し、拉致問題や核問題を含む諸懸案の解決に向けた具体的な行動を求めていく考えであります。

 柳本委員長を初め本委員会の皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

柳本委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官山本条太君、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長兼内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君、内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室長中村耕一郎君、警察庁警備局長池田克彦君、外務省大臣官房審議官中島明彦君及び外務省アジア大洋州局長齋木昭隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 私は、二つの観点から質問をいたします。一つは、北朝鮮をめぐる国際情勢の変化に基づくこれからの対応、それから二つ目は、日本自身の取り組み、この二件であります。

 今、官房長官兼担当大臣である河村大臣並びに中曽根外務大臣から、るる御説明を伺いました。

 まず、国際情勢の変化として、アメリカではオバマ政権が誕生をして、北朝鮮、特に六者会合にどういう影響を与えるのか、これは注目をするところです。また、韓国におきましても、李明博政権が誕生して、今までのいわゆる太陽政策から大きく転換をしている。こういう要素を踏まえまして、私は、以下質問をしたいと思います。

 まず、先ほどお二人から御説明のあった六者会合について伺いたいと思います。

 今回の六者会合は、北朝鮮の核計画を検証するためのサンプル調査、サンプル採取を明文化することが最大の焦点でありましたが、結果として何らの進展がないまま閉幕したことは大変残念であります。しかも、その場で日朝協議もできなかったということは、本当に残念であります。見方によっては、あいまいな形で北朝鮮に譲歩するよりもかえってよかったというような考えもありますけれども、今回の六者会合をどのように政府は評価しておられるか、中曽根外務大臣の答弁を求めます。

中曽根国務大臣 今般の六者会合は十二月八日に北京で行われたわけでありますが、この首席代表者会合では、一つは検証について、それからもう一つは、無能力化と経済・エネルギー支援の取り進め方、そして三つ目は、北東アジアの平和及び安全に関する指針に関する議論が行われたわけでございます。

 我が方といたしましては、しっかりとした検証の具体的枠組みを六者間で文書で確認するということ、これが非常に重要であるという立場から今回の会合に臨みました。検証につきましては、全体会合やバイ協議などにおいて、長時間にわたり意見交換が行われましたけれども、検証についての大枠の考え方や取り進め方について、北朝鮮の考え方と、我が国を含む各国の考え方の違いが埋まらずに、結局合意に至ることができませんでした。

 今回の会合で検証に関する合意に至らなかったことは大変残念でありますが、我が国といたしましては、今委員がおっしゃいましたサンプリング、サンプル採取、これを初めとして、これを含めて、懸案の具体的枠組みについて六者間で文書による合意が形成されて、そして早期に検証が開始されるように、引き続いて、米国を初め各国と緊密な連絡をとりながら努力をしていきたい、そういうふうに思っております。

小杉委員 次に、先週開かれた日中韓首脳会談について伺いたいと思います。

 この三カ国の首脳会談においても、今後とも六者会合の枠組みのもとで日中韓三国が緊密に連携していくことで一致したと言われております。三カ国が足並みをそろえて核問題に対処する方針が確認されたということは、私は意義があったと思います。

 一方、拉致問題については、必ずしも三カ国の足並みがそろっているとは言えないという懸念があります。韓国の李明博大統領は、拉致被害者家族や日本国民の心情をだれよりも理解していると発言したのに対し、中国の温家宝首相は、麻生総理の、六者会合の議長国である中国の役割を期待するとの発言に対し、返答しなかったという報道もあります。外務省の報告にも、たしかそのようなニュアンスであったと思います。

 中国は拉致問題に対しやや冷淡という印象を受けますが、実際にこの会談においてどういうやりとりがあったのか、説明をいただきたいと思います。また、拉致問題についても中韓両国と連携できることが望ましいと思いますが、両国の反応はどうであったのか。これは齋木局長、お願いします。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 北東アジアの隣国同士でありまして、また世界の主要な国である日本と中国、韓国、この三つの国が拉致問題を含めてさまざまな問題について協力関係を強めていくということは非常に重要であるというふうに考えております。

 先週の土曜日、十二月の十三日に福岡県の太宰府市で行われました日中韓首脳会議、第一回日中韓サミットというふうに呼んでおりますけれども、この会議におきましては、北朝鮮情勢を含めた国際情勢についても議論が行われました。その中で、麻生総理の方からは、拉致問題を含む日朝関係、この前進に向けた決意を述べられたわけですけれども、それに対しまして、韓国、中国の両首脳の方からは、日本の払っておられる努力、これを理解し支持する、そういう姿勢を示されたわけでございます。

 この三カ国の首脳会議に先立って行われました日韓首脳会談におきましては、麻生総理の方から、拉致問題について日韓両国で協力をしていきたいという趣旨のことを述べられましたのに対して、李明博大統領も、これに同意を示されつつ、先ほど小杉委員が御紹介になりましたように、拉致被害者御家族や日本国民の心情をだれよりも自分は理解しているという御発言があったわけでございます。

 また、日中の首脳会談、これは温家宝総理との首脳会談でございましたけれども、この会談におきましても、麻生総理の方から、今回、六者会合がうまくいかなかったことは残念である、日本としては拉致問題、核問題ともに極めて重要な問題である、六者会合の議長国である中国の引き続きの御尽力を期待していますという趣旨のことを発言されました。

 いずれにしましても、政府といたしましては、この拉致問題の解決、当然のことながら、アメリカ、韓国、中国等々と連携して取り組んでまいる考えでございます。

小杉委員 今の御答弁でも、中国からはっきりした協力的な発言があったとは受け取れないんですが、それはここで終わります。

 次に、私は、一つの状況として、ロシアとの協力だと思うんですね。

 ロシアは、我が国とか米国とともに、北朝鮮に対して厳格な検証体制を求める姿勢をとった。また、ことしの十一月五日の日ロ外相会談におきまして、ロシアのラブロフ外務大臣が、拉致問題については引き続き我々のチャンネルを通じて働きかけていく用意がある旨述べたということであります。

 このようなロシアの姿勢は我が国として歓迎すべきことであり、今後、ロシアとの協力、特に拉致問題について強化すべきと思いますけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 今般の六者会合の首席代表者会合に際し、ロシアも、我が国同様、しっかりとした検証の具体的枠組みが重要との立場から会合に臨んでいたと承知しております。また、同会合の際行われた日ロのバイ協議の場においても、ロシアからは、拉致問題に同情しており、拉致問題の解決に向けた日朝間の対話を促進したいとの立場が表明されました。

 今委員御指摘のとおり、本年十一月の日ロ外相会談においても、中曽根外務大臣とラブロフ外相との間で、拉致問題に関する協力というものを確認しているところでございます。

 私自身も、十二月八日、モスクワにおいてデニソフ第一外務次官と会談いたしまして、その際、二つのことを今の御質問の関連で申し上げました。

 一つは、北朝鮮の核の検証。これは、サンプル調査を含めて、しっかりやって実効性を担保すべきだということを私の方で申し上げまして、ロシア側からも同意、同感であるという反応をいただいたところであります。

 もう一点は、拉致問題に対して、やはり北朝鮮に一定の影響力を持つロシアの方から、今日本が要求している具体的な行動を北朝鮮がとるように強く働きかけてほしいということを私の方から要請いたしました。このことに関して、ロシア側からは、以前も働きかけはしていたけれども、私の要請を受けて、さらにそのような強い要請を北朝鮮の方に働きかけるという確約をいただいたところでございます。

 政府といたしましては、朝鮮半島の非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するように、引き続き、ロシアを含む関係国と連携しつつ最大限努力していくという考えでございます。

小杉委員 次に、米国との関係です。

 我が国は、拉致問題が進展しない場合には、米国の北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除、望ましくないという立場をとってきましたけれども、米国は、十月、米朝協議において検証措置についての合意が得られたとして、テロ支援国家指定を解除しました。これは十月十一日のことです。しかし、今回の六者会合では、十月の米朝協議で合意されたはずの検証措置を明文化することができなかった。結果的に、テロ支援国家指定を解除したにもかかわらず、何も得ることがなかったという状況になったわけです。大統領の任期内に何とか成果を得ようとしたブッシュ政権の焦りが北朝鮮につけ込むすきを与えたと言わざるを得ません。

 来年一月二十日からオバマ政権が発足しますが、我が国として、日米関係にそごが生じないように、できるだけ早い時期に、オバマ政権との間で、北朝鮮に対する姿勢について方針を確認しておくべきではないかと思います。ブッシュさんは比較的、この問題についてはかなり関心を持って取り組んでいただいたんですけれども、まだオバマさんは未知数であります。特にこの拉致問題について、我が国が最重要課題として位置づけているということを強く新大統領に訴える必要があると私は思うんですが、見解を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 米国のオバマ次期大統領は、六者会合は北朝鮮に対して明確な選択を提示しており、北朝鮮が核兵器プログラムを放棄した場合意味のあるインセンティブが生まれる一方、拒否した場合には政治的、経済的孤立という未来に直面することになる、そういう立場をとっておりまして、六者会合の枠組みを評価しているものと考えております。

 また、オバマ次期大統領は、北朝鮮の核計画の完全、検証可能な廃棄を目標とし、直接的、積極的な外交が必要であるとの立場をこれまで明らかにしておりまして、特に検証に関する合意が完全に実施されることを確保する上で、米国は、同盟国の日本や韓国、さらには中国、ロシアとの協力関係を向上させなければならない旨述べていると承知をいたしております。

 同時に、オバマ次期大統領は、拉致問題につきましては、拉致問題に関するすべての問題を解決しなければならない、全面的な協力を北朝鮮に強く求めるとの立場をこれまでも明らかにしております。

 オバマ次期大統領は、十月の十一日に、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に関する声明というものを発表しておられるわけでありますが、その中で、拉致に関しましては、今後北朝鮮は、日本人並びに韓国人、そして金東植牧師の拉致に関するすべての問題を解決しなければならない、こういうふうに述べておられまして、金東植牧師というのは、御家族が、オバマ次期大統領の地元でありますイリノイ州にお住まいということで、大統領も、この牧師の問題、また拉致問題全体についても大変関心を持っておられるというふうに私は承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、重要なことは、拉致と核とミサイル、この諸懸案の包括的な解決であります。オバマ新政権の発足に向けまして、委員もおっしゃいましたけれども、我が国としては、北朝鮮の拉致問題を次期大統領また米国の政府関係者によく説明をいたしまして、引き続いて日米で共同して北朝鮮問題の解決を図っていきたい、そういうふうに思っております。

小杉委員 第二の質問ですが、我が国自身の取り組みについて伺いたいと思います。

 先日、先ほど述べたように、全くこちらの要求にも耳をかさずに、日朝会談ができなかった。今の北朝鮮の姿勢では、これまでのやり方で果たして事態が進展させられるのか。先ほどお二人の大臣から言われたように、やはり対話と圧力という基本方針の中で、従来、ともすると経済制裁の方にウエートがかかって、対話という点では努力が足りなかったのではないか、私はそう思わざるを得ないわけであります。

 今、さらなる圧力として追加的な経済制裁ということも検討していると聞いていますけれども、今後の政府の取り組み方針を伺いたいと思います。

河村国務大臣 小杉委員御指摘のとおり、対話と圧力の姿勢を堅持しながら、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないんだという強い姿勢でこれまでも取り組んできたところでございます。

 こうした取り組みの結果が、八月の日朝実務者協議において、北朝鮮は、拉致問題の解決に向けた具体的な行動をとるために、いわゆる生存者を発見し日本に帰させるための拉致被害者に関する全面的な調査を約束したわけであります。しかし、ここに至って、残念ながら、いまだ調査を開始していないという現状が生まれております。

 政府としても、御指摘のとおり、すべての拉致被害者を一刻も早く取り戻すべく、今後とも、アメリカを初めとする関係国との緊密な連携協力の中で、北朝鮮に対して、八月の日朝間の合意に従って早期に全面的な調査を開始するように引き続き強く求めていく考えでございます。

 また、これからの我が国の対北朝鮮対策、措置のあり方、これは今政府内でも不断の検討を行ってきておるところであります。実際の対応につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応のあり方、また六者会合、国連安保理等における国際社会の動き等も踏まえながら総合的に判断をしたい、していきたい、このように考えておるところであります。

小杉委員 拉致問題に取り組む政府の体制は、きょう答弁のように、担当大臣河村官房長官そして中曽根外務大臣、さらに警察庁等、そしてまた内閣総理大臣補佐官には中山恭子さんがおられます。いずれも頼もしい方々ですけれども、外から見ると、一体、拉致問題に取り組む政府の体制、あるいはその責任と権限がどうなっているのか、はっきり見えないという部分があります。対策本部もここ二年間開かれなかったということで、私は、もっと、日本の政府自身が、北朝鮮あるいは世界に対して、このように真剣に取り組んでいるんだぞというところを見せる必要があると思うんですね。

 それで、私は、もう一つ申し上げたいのは、このように暗礁に乗り上げている日朝間、これは先ほどからいろいろお言葉がありましたけれども、やはり、ミサイルとか核の問題はマルチの問題、それから拉致の問題はバイの問題なんですよね。だから、これを全部ごちゃまぜにするのではなくて、日朝間のこの拉致問題というのは、やはり我々が主体性を持ってやっていかなきゃいけないと思うんです。関係国がみんな協力してくれるというのは非常に好ましいことですけれども。

 そういうことで、私は、この際、例えば、もうちょっと多角的な取り組みが必要じゃないか。かつて中国との間ではピンポン外交なんということを言われました。北朝鮮との間でもやはり、平山郁夫さんが文化の面で貢献しておられますし、またスポーツなんかもサッカーの交流とか、あるいは学者の交流とか実業界の人たちの交流とか、そして政治家の交流、こういうあらゆるレベルの交流ということが必要だと思うんです。

 議員外交というと、どうも金丸訪朝団の悪いイメージが残っていて、悪であるかのような印象を受けますけれども、私どもGLOBEという地球環境国際議員連盟の活動とか、あるいはWTOにおける農林関係議員の活躍とか、そういうことを見ますと、今や、外交問題は外務省の専管であるなんというような発想ではなくて、もうちょっといろいろな人の協力を得るという姿勢が必要だと思うんですが、この点についてだけ一つ、河村大臣、今後の決意を聞かせていただきたいと思います。

河村国務大臣 小杉先生御指摘のとおり、今この問題は、世界各国、世界じゅうの御理解をいただくと同時に、我が国でやはり独自の方法をこれから考えていかなきゃいかぬ、特にバイの協議を進めていかなきゃいかぬ、その手だてをどうするかという問題だろうと思います。これはまさに多角的に、包括的に、いろいろな角度から情報をとり、対応していかなきゃいかぬ、このように思っておりまして、そういう意味で、政府としては、しかし、総理を本部長として、まさにチームワークをしっかり持って対応していかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。

 ただ、残念ながら、国交を持っておりません。そういう意味で、大使館もない。そういう点は、国交を持っている国々の情報もしっかりいただきながら、まさに今の状況はなかなか容易ならざる状況でございますが、しかし、六者協議の舞台にのせて、門戸を開かせながら、その中を我々として進んでいくという方針、これは全体の方針でありますから、この中で日本のはどうとるべきかということをこれからしっかり考えていきたい、このように思っております。

小杉委員 一層の努力を期待して、終わります。

柳本委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 早速質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、八月の日朝の実務者協議で、北朝鮮の拉致被害者の再調査委員会の立ち上げが北朝鮮側と日本側で合意があった。早ければ秋までには、拉致被害者の再調査、今までの経過にかかわらずゼロベースでの調査を行うということに合意したという話であったと思いますが、それが秋までには成果が見えるはずだったわけですけれども、九月一日に福田前総理が辞意表明後、北朝鮮側から延期の通告が九月四日にあったということであります。

 まず最初の質問なんですけれども、済みません、これはちょっときのう通告し忘れてしまって申しわけないんですけれども、当たり前の質問なのでぜひお答えをいただきたいなと思うんですが、九月の四日の北朝鮮側の通告を受けたというのは、北朝鮮側の、具体的にどこから通告を受けたということになっているんでしょうか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 九月四日の夕刻か夜だったと思いますけれども、北朝鮮側からは、北京にあります先方の大使館から、同じく北京にあります日本大使館に対してそういう連絡があったと記憶しております。

鷲尾委員 北京の大使館から連絡があったということで齋木局長からお答えをいただきましたが、なぜこの質問をしたかといいますと、日朝国交正常化の北朝鮮側の大使であります宋日昊さんが、九月の十一日の時点で、結局その合意が、北朝鮮側として、麻生政権になってしっかりと履行される保証がないからそういう通告をしたんだという経緯の説明と、それともう一つは、八月の実務者協議において、拉致被害者についての全面的な再調査を約束したことについては、理解できないという発言もあわせてしたと聞いております。

 この宋日昊さんの発言というのが日朝の実務者協議の結果についてどれだけの影響があるのかというところを疑問に思ったものですから、その点についてもお答えいただきたいと思います。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 八月に行われました日朝実務者協議、双方でいろいろと議論をいたしまして、一定の合意、了解に達して、それをお互いに実行していくということで終わったわけでございます。

 宋日昊大使が私の相方として先方から代表でおりましたけれども、その後、宋日昊大使が公の場で、日朝のその合意について、これを否定したり批判したりしたということは私は承知しておりません。

鷲尾委員 そういう発言を私は報道で知ったわけですけれども、宋日昊さんが、八月の協議内容について理解できない、要するに拉致被害者の全面的な調査については理解できないという発言をしたと私は聞いているんですけれども、もちろん齋木局長が担当されて交渉しておられるわけですから、その交渉の当事者である齋木局長からそんなことはあり得ないというお言葉をいただけるのであればそれが事実だと私は信じたいので、鋭意進めていただきたいと思います。

 では、この日朝間の実務者協議の内容というのは、拉致被害者の全面的な調査、今までの、横田めぐみさんの遺骨偽造事案とかいろいろありますけれども、そういうものをすべて含めてゼロベースで調査されるということ、これは、先ほど大臣の北朝鮮情勢に関する報告にもありましたけれども、北朝鮮が調査委員会を立ち上げてということを求めていくんだという話をしておりましたけれども、この調査委員会を立ち上げて調査をするという内容については、全面的にゼロベースで調査するということは間違いないということでよろしいですか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 八月の日朝実務者協議で達しました双方の合意、まさにおっしゃるとおりでございまして、先方は調査を行う、それは、拉致問題の解決に向けた具体的な行動をとるため、すなわち、生存者を発見して帰国させるための拉致被害者に関する全面的な調査をするということを向こうは約束したわけでございます。かつ、権限が与えられた北朝鮮側調査委員会によって迅速に行うということも約束しておるわけでございます。

 したがって、ゼロベースとおっしゃいましたけれども、まさに調査のやり直し、再調査ではなくてやり直しというところを双方で合意したわけでございます。

鷲尾委員 今、サンプル採取方法を含めて米朝の協議についても文書化ということを求めているわけですけれども、これは、北朝鮮が、口頭の約束だけではなくて、しっかりと約束をたがえることなく履行するという意味において文書化ということはされている話なんでしょうか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 日朝間での合意事項、これは、その議論の過程で、こういうことをすべきである、こういうことについて自分たちもやるということも含めて、いろいろと文書のやりとりをいたしました。ただ、結論的には、双方の間で合意について文書を交わしたということはございません。

鷲尾委員 これは外交技術的にも難しいとは思いますけれども、文書化がなされていないということは、やはりほごにされる可能性もあるというふうに理解してよろしいですか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮という国を相手に交渉事を行って何らかの合意に達した場合に、これをすべて明文で、本来ならば文書で確認をするということは最も望ましい方法であろうと私も思っております。

 現に核の分野におきまして、六者会合、今回、まさに最も肝となる検証のあり方についてきちんと六者が明文でもって確認をする、それが大事だということで交渉をしたわけでございますが、残念ながら結果は御案内のとおりでございますけれども、そういう意味で、六者の中で五者がそろって文書が必要であるということを言って、それに対して一カ国、すなわち北朝鮮が、その文書、サンプル調査を含めて文書の作成に対して反対した、これが今回の図式でございます。

 日朝の実務者協議におきましては、文書でのやりとりを踏まえて、これを我々は申し合わせとして実行していきましょう、そういうことで了解し合ったわけでございまして、この約束の内容について、北朝鮮側は、八月の十一日、十二日の結果につきましては、その後、一回もこれを否定するということはしておりません。

鷲尾委員 それでは、実務者協議の、結局、文書でやりとりして、内容としては非常に、拉致問題についてはかなり進展がある、そういう成果だと認識しておりますけれども、これを北朝鮮側が履行するためには、実際、今何が必要だと思われますか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 まず、北朝鮮側は、調査のやり直しにつきましてはしばらく様子を見たいということを通告してきておるわけでございますけれども、これから、その通告が行われてから、九月の四日以降大分日がたっております。

 したがって、まずは何よりも、北朝鮮側が調査に着手するという意思表示を日本側に対してしてくることが大事であると思いますし、それとともに、調査を実際に行うに際しては、約束どおり、調査委員会、権限の与えられた調査委員会を設置することにする、そういう通報を我々に対して速やかに行ってくることが重要であると考えております。

鷲尾委員 拉致問題、本当に今時間との闘いで、何とか早く、拉致被害者の皆様の帰国を含めて、全容解明、全員救出ということをしていただきたいわけですけれども、本当に時間がないわけであります。先月は市川修一さんのお母さんがお亡くなりになりましたし、特定失踪者の大澤孝司さんのお父さんもついこの七月にお亡くなりになっています。関係者がどんどんお亡くなりになっていっていますので、できるだけ早い対応が必要だと思うんです。

 北朝鮮側からの通告が大事であると今局長から答弁いただきましたけれども、北朝鮮側の通告をいかにさせるかということが、日本側としてはこれはもう最重要だと思うのですが、北朝鮮側の通告を何とかさせるために日本としてとり得べき措置というのはないのかと思うわけです。

 どんな政策を今考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 まず一義的には、我々は、繰り返し北朝鮮に対して、約束を早く履行するようにということを北京の大使館のルートを通じてやってきております。

 また、このような状況がずっと続いておりますということにつきましては、六カ国協議のほかの参加の国々、アメリカはもちろんでございますけれども、韓国、ロシア、中国に対しても我々はずっと説明してきておりまして、こういう六カ国の中で、二国間、つまり日朝の間で物事が全く動いていない、対話すら行われていない、こういう極めて異常な状況についてやはり六者としても問題にすべきである、それはぜひ各国から北朝鮮に対してもしっかりと働きかけてもらいたいということは、私は何度も繰り返しそれぞれの参加国に対して要請しております。

 また、この要請を受けまして、それぞれの国がそれぞれの判断で、北朝鮮側に対していろいろな形で働きかけをしてくれているというふうに理解しております。

鷲尾委員 まさしくほかの国からの働きかけが日朝間の協議についても非常に重要であると。

 八月の実務者協議についても、米国なり中国なり、テロ支援国家指定解除という問題について、それと絡めて、やはりかなり北朝鮮側に圧力があったんじゃないか、だからこそこれだけの成果が、八月の実務者協議では合意できたんじゃないかなというふうに思います。

 今、齋木局長が、日朝間で全く協議が進んでいないし、していない。せんだって六者協議のときでも全く日朝間で協議がなかったと聞いておりますが、これは、北朝鮮側の報道官の発表ですと、やはり重油支援に日本が参加していないから会議に出てきても日本は相手にしないよというような話しぶりをしているわけですけれども、そういうことも考えますと、本当に六者でいかにプレッシャーを与えることが重要なのかと改めて思うわけです。

 少し話をかえまして、北朝鮮が申告した核計画、これにはプルトニウムが三十八キログラム含まれているというふうに聞いております。これですと大体どれぐらいの核兵器なのかな、八発から九発くらいの核兵器を開発できるぐらいのプルトニウムの量だと聞いておりますが、この核計画をしっかりと、我々としては、北朝鮮の非核化ということを考えたときに、本当に完全に明確に、明らかにしなければいけない。自己申告でよしとするのは余りにも危険であるというふうに考えております。だからこそサンプル採取自体が今回の六者協議でも問題になったと認識しております。

 六者協議で今問題となっているサンプル採取ですが、これは検証方法としてどういう意味を持っているのかということが一点と、もう一つは、検証の対象となる施設が北朝鮮からの自己申告でいいかどうかについてお答えをいただきたいと思います。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 検証を実際に行っていくに際しまして、いわゆる核の開発の分野においては、国際的なスタンダードというか常識というか、それにのっとってやり方というのが大体決まっておるわけでございます。本来であれば、IAEAの専門家たちが検証を実際に実施するということで、そういう意味での非常な知識と経験、また機材も含めて持っているわけでございます。これを、北朝鮮の核の開発計画で申告されておりますすべての施設、または申告されていない施設も含めてやるということが完全な意味での検証ということになると思います。

 今はまだその段階に至っていないわけでございまして、北朝鮮が、NPTから自分たちはもう脱退したとか、IAEAとはもう関係ないんだというようなことを言っております中で、IAEAがいきなり乗り込んでいってこれをやるというのはできない。そうしましたら、六カ国の中でこの検証を当面やっていくということになると思います。

 この検証をやっていく中で最も重要なのは、実際に専門家が現地に行って、核の開発に関連するさまざまな施設、これに実際に査察をかける、そしてサンプルを採取して、それを持って帰ってきて分析する。それは、例えば土壌とか水とか、川の水のサンプルをとってきたり、あるいは施設にこびりついているであろうと思われるさまざまな断片を持ち帰ってくるとか、いろいろなことが考えられると思いますけれども、いずれにしても素手でこれをやるわけにいきませんから、当然、常識的に、機材をしっかり持ち込んで、そして今申し上げたようなサンプルの採取を行って、それを持ち出して、それをしかるべき検査機関において分析する。これによって、北朝鮮が行ってきている核の開発活動といったものに対しての検証が相当程度行われるというふうに我々は理解しております。

鷲尾委員 日本にとって極めて核の問題というのは危険な問題であると思っております。

 では、今局長がおっしゃっていたサンプルの採取ですけれども、今、米朝の内容を文書化するということをお話ししていると思いますが、それにはサンプル採取は含まれていないわけですね。サンプル採取をしっかりと文書化するということが非常に日本にとって重要である、局長の話からもそう思うわけですが、そのサンプル採取を文書化するまで日本としては米朝の協議内容について認めないという姿勢が大事だと思われますが、この点について外務省さんはどうお考えでしょうか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 米朝間で、十月の二日か三日でございましたか、交渉の結果、一定の合意に達した、その中で、文書によって合意に達したものもあれば、口頭において了解し合ったものもあるということで終わったわけでございますけれども、これはあくまでも米朝間の話でございます。

 我々は、むしろ六者としての検証の枠組みをきっちりつくらなきゃいけない。米朝間で合意ができたことについては、それをいわばベースとして、そこからさらに六者として納得のいく、そういうものをつくらなきゃいけないんだ。この点についてはアメリカも、もとよりそこに同意しておるわけでございまして、さればこそ、六者会合に先立って、東京で、日本とアメリカと韓国の代表が集まって、六者に臨むに際して、その枠組み、検証の枠組みについて我々としてどのような対処方針で臨むかということについて協議を行ったわけでございます。

 その際に、我々三カ国の間では、サンプリングも含めて、先ほど申し上げた、サンプルした物資を外に持ち出すことも含めていろいろと、我々は文書でもってこれはぜひ実現しなきゃいけないということを申し合わせたわけでございます。これが、いわゆる文書による六者における合意を目指すための三者としてのいわば合意事項でございます。したがって、これを持って今度六者に臨んだわけでございますけれども、残念ながら、御案内のように、北朝鮮はこれに対しては強く抵抗し、合意ができなかった、こういうことでございます。

鷲尾委員 米朝で協議した内容が六者でさらに厳しい内容になるとはちょっと考えにくいなという部分が、私はそういうふうに思っているわけですけれども、ぜひ六者協議の枠組みで、それは六者協議の枠組みが一番いいわけですから、局長のおっしゃるとおりにしっかりと文書化を進めていただきたいと思います。

 そして、この文書化ができても、今、拉致問題解決に当たって、日本は、経済制裁をどうするとか重油支援をどうするという、いわば拉致被害者を取り返すという意味においてもしかしたらマイナスになってしまうんじゃないかということを、核問題の解決という名目でしていかなきゃならない可能性もあるというところでありますので、非常に難しいかじ取りだと思いますが、拉致被害者をしっかりと帰す、これは国家の威信をかけてやっていただきたいと強く御要望を申し上げて、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柳本委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 この拉致特別委員会も、正直言いまして、今国会、九月の二十四日から始まりまして、やっとですよ、官房長官。我々もずっと開催を、早くやれ、早くやれと。六カ国協議もあるし再調査委員会を設置する問題もある、だから九月以降、これは国民的な関心事であり、しかも早くやらないと向こうに出し抜かれちゃうというような状況であったにもかかわらず、やっときょう開くことになったということで、本当にもうちょっと早く拉致特別委員会を開くことはできなかったのかなという思いはありますが、これは国会の問題ですので質問はいたしませんけれども。

 ちょっと、どうも最近、小泉政権のときに随分拉致問題は大きく進展がありましたけれども、安倍政権、福田政権そして麻生政権と、どんどんトーンダウンをしてきているような、そしてまた問題が風化してきていると言うような人までいます。

 そんな中で、ちょっと伺いたいんですけれども、まず、この間の十二月の十二日に家族会によりますシンポジウムがありました。これは家族会の方が開いたシンポジウムではございますけれども、政府側から、例えば中山恭子補佐官とか、どういう方が参加されたのか教えてください。これは官房長官に伺います。

河村国務大臣 お答えいたします。

 今高山委員お話しのように、先週十二日に、家族会、救う会、拉致議連主催で、北朝鮮の現状と拉致被害者の救出という題の国際シンポジウムが行われました。拉致問題対策本部事務局幹部を初め関係者が出席しておって、政府としてもこの対応遺漏なきに努めてきたところでございます。

 拉致問題対策本部事務局は、南情報室長それから総合調整企画官、参事官補が出席いたしておりまして、私それから中山補佐官、関係者、その報告はこれまでも受けてきておるところでございます。

 その後また大会が翌日行われまして、私はその方には出席をしていて、皆さんとも懇談を、若干ではありますが、させていただいた、こういうことであります。

高山委員 同じ日に委員会とかいろいろ開かれたようですけれども、やはりこういう大きい家族会の大会とかに官房長官や中山補佐官、しかも中山補佐官は専従ですから、まさにそういった問題にはきちんと公務として参加をしていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども、北朝鮮による拉致の再調査委員会の見送りを北の側から通告してきたということですが、これは、どういうことで九月上旬にそういう通告が来たのかも教えてください。これは外務省にお願いします。

齋木政府参考人 事実関係でございますので私の方からお答え申し上げます。

 これは、本来八月の中旬に合意した話でございましたけれども、今にも調査委員会を立ち上げて調査を開始するのかなと思っておりましたところが、九月の四日の夜になりまして、北朝鮮側から連絡が参りまして、日本側の新しい内閣が北朝鮮側に対するどういう政策、方針をとるかということも含めて、しばらく、その辺がわかるまで、見きわめるまで調査の開始を見合わせる、そういう連絡がございました。

高山委員 私、今ここに持っています高村外務大臣の会見録、九月五日というのがありますけれども、北朝鮮の側から、突然日本で政権交代が行われるようになった日本側の事情にかんがみて通告があったというような会見を高村外務大臣がされているわけなんです。

 まず官房長官に、そして次に外務大臣に伺いたいんですけれども、これは、はっきり言って、福田内閣の突然の政権投げ出しがなければ実務者協議もそのままどんどんフィックスできたかもしれないところを、政権の突然の投げ出し、そして、間髪入れず、じゃ次すぐに新しい総理を決めて、私たちは拉致問題に関しては全く揺るぎのない態度であるということで接すればまだしも、こういう相手につけ入るすきを与えてしまっているというのは、私だけではなくて日本国民全体的にじくじたる思いだと思うんです。

 まず官房長官、そして外務大臣に続けて伺いたいんですけれども、政治の責任ということですね。政治の空白をつくってしまったがために相手につけ入るすきを与えてしまい、また、やっと実務段階へ進もうとしたところを何かまた話が引き戻されてしまった、この責任についてどのようにお考えか、答弁をお願いします。

河村国務大臣 麻生内閣におきましてもこの問題についてはさまざまな表明をしてきておるところでありますけれども、もちろん、こういう事態になっていることは我々も残念に思っておるわけでありますが、この問題は、まさに六者協議の中において、拉致、核、ミサイルといった諸案件を効果的に解決することによって、そして不幸な過去を清算して国交正常化を図っていきたい、このことを強く求めておるわけでありまして、日朝実務者協議の合意内容というもの、これを強く求めていく、この方針に全く変わりはないわけでございます。

 特に北京の大使館ルート、これは国交がございませんから北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側にも強く求めておるわけでございまして、我々としては、残念ながらこのような状況になっているということ、これをいかに取り戻すかというのは次の麻生内閣にかけられた大きな使命である、このような思いで取り組んでおるわけでございます。

 これからの北朝鮮の出方等々、予断を持って申し上げるわけにいきませんが、アメリカも新政権になっていくということ、六者協議を見ておりましても、そういう点も北朝鮮側が考えながら進めておるのかな、こんなことも思っております。

 我々としては、全力を尽くして、総合的な対策の中で、特に、国交のない我が国といたしましては、国交を持っております諸外国、イギリスも含め、ドイツも含め、そういう国々との連携もとりながら、六者協議だけじゃなくて、国連の場においても、世界の世論を味方につけて責任にこたえていく、このように考えておるところであります。

中曽根国務大臣 確かに、福田総理が退陣されまして、総裁選等も行われたわけであります。そういう意味では政治的な変更があったわけでありますけれども、その後誕生いたしました麻生内閣におきまして、麻生総理は、最初の所信表明演説におきまして、この北朝鮮への対応というものをしっかりと述べておられます。

 逆に言えば、中国、韓国、ロシア等につきましては、隣国である中国、韓国やロシアを初めアジア太平洋諸国とともに地域の安定と繁栄を築き、ともに伸びていくということを述べておられるだけなんですが、北朝鮮に関しましては、これは省略いたしますけれども、「すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現を図ります。」ということをはっきりと述べておられまして、新内閣が誕生してから直ちに、拉致の問題の重要性というもの、一刻も早い解決が必要だということを、メッセージを我々としては北朝鮮側に出しております。

 また、そのほかの、私のいろいろな発言等におきましても、内閣がかわったからということでこの問題がおくれたり後退することのないようにということで、北朝鮮に対しましては、一刻も早くこの調査のやり直しを約束どおりやってほしい、そうすれば我々も日朝実務者協議に応じた対応をいたしますということを、メッセージはたびたび発信をしてきております。

高山委員 今大臣からメッセージを発信ということはありましたけれども、たしか前回の拉致特でもお述べになりましたけれども、約束対約束、行動対行動だということで、そのメッセージの発信し合いや約束をした段階から、今度いよいよ、では行動だということで、この日朝実務者協議で決めたことをでは履行するという行動の側面に移ろうとしたときに、政権交代しそうだからとか、あるいは内閣がはっきりしないからちょっと協議を見合わせたいということを北朝鮮から言われてしまった今の日本政府の、あるいは政治家の責任というのは極めて大きいというふうに思いますが、繰り返しません。今、非常に熱心にやっていただいていると思いますけれども。

 この北朝鮮なんかは、相手方の、日本のいろいろな事情を随分調べているようですけれども、まず、北朝鮮政府の、今の金正日体制をどういうふうに把握されているかということに関して、官房長官そして外務大臣、またこれは警察庁にも伺いたいと思います。

 今の金正日体制、いろいろな報道を見ますと、金正日がもう脳卒中であるとか、病気で再起不能なんじゃないかとか、いろいろな報道があります。これは、相手方の意思決定権者が今どういう状況にあるかというのは非常に大事なことだと思いますので、まず官房長官に伺いたいと思うんですけれども、日本政府としては、金正日の病状というのはどのように把握されていますか。

河村国務大臣 政府としても、今御指摘の点については重大な関心を持っておるところでございます。しかし、金正日国防委員長の健康状態等については、これはさまざまな情報はあることは承知しておりますが、まさにインテリジェンスに関することでありますから、政府としては、その情報の詳細については、具体的な事柄の性格上差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。

高山委員 いろいろな報道で、金総書記の脳画像を入手したとか、あるいは先月にも発作があっただとか、随分、結構、フランスのお医者さんがこう言ったとか、いろいろな報道がありますよ。

 そんな中で、日本政府としては、まさに相手の一番トップがどういう病状であり、また、この先どうなるのか、また復活されるのか、それとも退陣してしまうのか、これをどのように把握しているのかということなのですけれども、まず、把握しているのか、していないのかをちょっと教えてください。これも官房長官、お願いします。

河村国務大臣 今、マスコミ等の報道も我々も十分承知をしておりますし、その中で、どこまでが事実なのか、事実に反することなのかということも踏まえて、あらゆる情報の中から分析をしながら把握に努めている、こう申し上げたらいいかと思いますけれども。

高山委員 ちょっと、新聞を読んでいるというだけでしたら私たちと変わらなくなってしまう。

 やはり、実際これは、日本の国民みんなが、あの金正日、今どういう体調なんだ、しかも、その金正日とまさに今、日本政府は交渉して本当にいいのか、ほかの人にまたかわるんじゃないかとか、今、日本の国民の中でもいろいろな意見があるわけですよね。ですから、この金正日の病状というのは極めて日本国民としても知りたい情報だと思うんですけれども、これをまず官房長官、日本国民の皆さんに対して教えてください。

河村国務大臣 この情報の問題は、まさにこれはインテリジェンスに関することでございますので、どこからどのような情報をとってどういうふうにしているということについては、この場では差し控えさせていただきたいと思います。

高山委員 どこが情報ソースかということを聞いているのではなくて、相手の病状がどの程度かということを把握しているかということを私は聞いているわけですから、その点についてお答えいただきたいのと、あともう一つ伺いますけれども、金正日、まさに今脳卒中で大変だとか、いろいろな問題が出ています。この後継問題ですけれども、日本政府として、金正日の次、どの人が後継になるというふうに情報を把握しているのか、教えてください。

河村国務大臣 今高山委員が御指摘のような課題についても分析はいたしておりますけれども、これはまさに北朝鮮のことでございまして、日本政府側からこのように思うと予断を持ってお答えすることは、やはりこれまたインテリジェンスの問題もあり、控えさせていただきたいと思います。

高山委員 先ほどから、インテリジェンス、インテリジェンスというようなことをおっしゃいますけれども、また、そんなこと無理だよというような表情をされるような方がいらっしゃいますが、随分ふまじめだなと思いますよ。これは、まさに日本の国民が拉致をされていて、それで、一体相手のどの人と交渉したらいいんだ、一体どういう交渉をしたらいいのかということを考えているときに、相手方が病気で、また復活してくるのかどうなのかも全くわからないし、では、その後どの人と交渉しようかと思ったら後継者もわからないということでは、非常にふまじめだなと思います。(発言する者あり)

 また、北朝鮮を何か擁護するようなやじもありますけれども、ちょっと、官房長官にぜひ伺いたいんですけれども、後継者がだれなのか、そして病状がどうなのかというのは国民の関心事でもありますので、もう一度伺いますけれども、どのように把握しているかということを御答弁願いたいと思います。

 では、外務大臣から今手が挙がりましたので、外務大臣、お願いします。

中曽根国務大臣 先ほどから官房長官が御答弁しておりますように、我が国政府としては、米国とか韓国とかいろいろなところと緊密な連絡をとって情報交換をやっていますが、これはもう御理解いただけると思いますけれども、政府が得ております情報について詳細あるいは具体的に述べるということは、やはり事柄の性質上差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、我が国政府といたしましては、引き続いて、北朝鮮情勢については、これは十分な注意を払ってさらに情報の収集、分析を行うわけでありますが、北朝鮮が核施設の無能力化を行って検証に協力するように、さらに引き続き強く要求をしていきたい、そういうことでございます。

高山委員 もう一つ伺いたいんですけれども、これは十二月に入ってからの記事なんですけれども、何か、宋日昊という北朝鮮の大使が連絡不能にとか連絡がとれないとかいう記事が結構散見されるんです。

 まず、この方は、日朝のまさに実務者協議でカウンターパートとして随分連絡をとっていた方だと思うんですけれども、これは大臣でも構いませんし、実務レベルの話ですので事務方でも構わないんですけれども、この宋さんと最近連絡はとれているんでしょうか。また、とれているんだとすれば、最後に連絡をとったのはいつですか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 宋日昊日朝国交正常化担当大使ということで、私の相方として今まで実務者協議に出てきておりまして、私が最後にこの人物と会ったのは、本年の八月の十一、十二日の実務者協議のときが最後であります。その後、本人との連絡というのは私はとっておりません。

 また、北朝鮮との連絡というのは、個人としての宋日昊と連絡をとるということではなくて、これはやはり、窓口として、我々は北京の日本大使館、または北京にある北朝鮮大使館との間でやりとりをして、北朝鮮としての意思表示というものを我々に対して伝えてきて、そういうやりとりをしております。

高山委員 もちろんそのとおりだとは思いますね、建前的にいえば。

 しかし、宋さんというのも連絡不能になっているということですし、また北朝鮮側の情報も、今インテリジェンスということで御開示もいただけませんでしたし、国交のない国と交渉するというのはなかなか大変だとは思いますけれども、ちょっともう少し国民に対しても情報も開示をしていただきたいなと思います。

 それで、次の質問に行きますけれども、まずイギリスとの問題です。

 イギリスのブラウン首相が拉致問題に随分理解を示して、解決に向け、EUは北朝鮮に圧力をかけ続けるつもりだという書簡を送ってくれたなんという報道がまずあったんですけれども、この点に関して、次の日の外務省のホームページを見たんですけれども、日英首脳会談、この中に、全然拉致のことですとかそういうことは出てきていないんです。これは抜粋だと思うんですが、ブラウン氏の、これは発言というよりは書簡を送っているということなんですけれども、これを受けて、日英首脳会談でどういう話し合いがなされて、お礼を言ったということでもいいのかもしれませんし、つまり、EUにおいて、麻生総理が行ったときにどのような行動をとられているのかということについて教えてください。これは外務省ですか。

齋木政府参考人 申しわけありません。私はイギリスの担当じゃございませんものですから、その日英首脳会談の話につきましては必ずしも十分にわかりません。

 ブラウンさんが首相としてイギリスの下院議員にあてた書簡というのが出ているということは私どもも聞いておりますし、非常にそれは、拉致問題の解決を目指している日本の立場を強く支持していただいている内容でございますので、私どもは、この手紙につきましては大変心強く感じておるわけでございます。

 これまでも、拉致問題の解決を目指して、G8の場も含めてイギリスとの間では非常に連絡連携を密にしておりますから、改めてこれを確認いたしまして、そしてまたイギリスというかEU全体と国連の場でいろいろと連係プレーをとってきているところでございます。

高山委員 最後、麻生総理をちょっとぐらい褒めようかなと思って今こういう質問をしているんですけれども、これは、きのう夕方に、ちゃんと事務方に、聞くと言っているので、ちゃんとした答弁をお願いしたいんですけれども。

 要は、報道によれば、ブラウン首相がこういう日本に好意的と思えるような、北朝鮮に対して圧力という発言をされているんですけれども、次の日の日英首脳会談なんかでどういう話し合いがされたのか、この会見録というか要旨みたいなものを見ても、全然拉致とか北朝鮮とかと一文字も出てこないんです。

 せっかくのこの機会で、それはそのまま終わりにしてしまうとなると、何か、外交努力を幾らしても、あるいは好意的なことを言ってくれる国があっても、なかなかこれはまた、拉致問題というのはローカルな東アジアの話題というふうに押し込められてしまいそうな気がしてしまいますので、この点に関しても、時間が来たようですので、これはきのうから私外務省に答弁を求めている話ですので、しっかりとした答弁をしていただきたい。

 また、官房長官や大臣にもちょっとこれはきちんとお願いしておきたいんですけれども、やはり拉致特というのは、別に与党、野党関係なく一丸となって北朝鮮と対峙していこうという話ですので、もう少し深い、きちんとした答弁をしていただきたいなということをお願いして、質問を終わります。

柳本委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、核の問題で一点だけ。

 最新号のフォーリン・アフェアーズという外交、安全保障の専門誌に、ゲーツ国防長官が、核爆弾製造ということを指摘した論文を投稿しております。米国の幹部が既成事実としてこのような形で投稿したのは初めてだということでございます。核兵器をもう製造している、そして、核開発疑惑なんというレベルではなくて、もう核兵器を持っているのではないか。これが、オバマ政権に引き続き移行して、ゲーツ国防長官が留任するわけでありますけれども、この点について、オバマ政権においての戦略の中で、これは、北朝鮮がもう核兵器を保有しているということを前提に外交交渉を始めるのではないかという一つの布石ではないかという見方もありますが、日本政府は、この現状についてどのように御認識をされていますか。

中曽根国務大臣 今委員がおっしゃいました、ゲーツ、米国の国防長官、これの報道については承知をしておりますけれども、我が国といたしまして、北朝鮮の核開発関連のいろいろな動向につきましては、当然のことながら、日ごろから情報の収集あるいは分析に努めておるわけでございます。

 今の御質問の点も含めまして、個々の情報の内容についてはやはり、先ほどからインテリジェンス、インテリジェンスということで大変恐縮でありますが、これはそれにかかわることでございますので、日本政府がどの程度の、北朝鮮の、核のいろいろなものについて有している等について申し上げることは、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 この点について、ゲーツ国防長官にお会いをして、その真意をただすなり、何らかの形でこの問題で話し合うという予定はありますか。

中曽根国務大臣 今までお会いしてお聞きしておりませんし、今後のことについては、現在のところ、この問題についてお話をするということはありませんけれども、できるだけ早い時期に米国の要人とも会談しなければなりませんし、また国防長官と、私が国防長官にお会いするか防衛大臣がお会いするかわかりませんが、そのような機会があれば、一つのまたこれを確認する機会でもあろうかとも思います。

渡辺(周)委員 これは、寄稿しているのがアメリカの国防長官ですから。分析家、軍事アナリストが言っているわけでもジャーナリストが言っているわけでもなくて、これはアメリカの国防長官がこのような形で投稿しているわけですから、これは大変な、私たちは、隣国日本としては、北朝鮮が核兵器を製造して持っているということになれば、これはまた外交戦略が全く違ってくるわけでございます。この点については早急に確認をしなければいけない話だ、当然のことだと思います。

 もう一つ。新政権に移行して、国務長官に就任をするヒラリー・クリントン、私はいろいろ調べました。その中で、このヒラリー・クリントンが拉致問題についてどれぐらい言及をしているのだろうかといって調べたところ、全くありません。御存じのとおり、今度のオバマ政権はクリントン政権の焼き直しだと言われる中で、まさに象徴するようなヒラリー上院議員の国務長官就任となるわけであります。

 私、先日、三日ほど前に、アメリカの元CIAのアジア局長でありましたアーサー・ブラウンさんという方とお会いをしました。アーサー・ブラウンさんが、拉致の解決の問題で私はアピールに来たんだということで来られて、二十人ほどの会で、私も話を聞きましたけれども、とにかく、オルブライト、ヒラリーグループというのは北朝鮮に対して大変融和的だ、クリントン政権がやり残したことは北朝鮮訪問であった。

 事実、オルブライト国務長官は、二〇〇〇年の十月に、趙明録という国防委員会の副委員長と、交互に平壌とワシントンを相互訪問しているわけですね。そして、金正日ともワインを酌み交わし、その場で、金正日は大変友好な人であるというようなことを言って、非常に融和的な政策をとろうとした人間でございます。あと任期がもう少しあったら、米朝はお互いの連絡事務所を持って、米朝が本当に大接近したのではないかというふうなことまで言われたわけでございます。

 このアーサー・ブラウンさんが言っていました、とにかくオバマの耳に拉致被害者の声を直接届けるべきだと。このクリントン、オルブライトの外交戦略からいくと、米朝は急接近をまたする、クリントン政権の宿題を果たすために。

 そうしますと、ヒラリー・クリントンは、拉致の問題についてどこまで知っているんだろうか。先ほどもややお話ありましたけれども、オバマ上院議員時代には若干拉致問題のことについては言及をしておりますけれども、ヒラリー・クリントンは、日本の拉致問題については全く一言も触れていない。大体、日本のことについてもこれまで二言しか触れていない。

 それを我々は非常に深刻に受けとめて、それこそアメリカの、もう既に政権移行チームができているわけでありますから、私は、日本政府として、まさに日本の拉致問題に対する姿勢というものを、アメリカの北朝鮮との外交戦略の中で、とにかくこの問題について日本の言い分を聞けと。そして、やはり日本の立場というものをちゃんと理解してもらわなきゃいけないと思います。

 できれば拉致被害者の御家族の方とまた一緒にアメリカに行って、やはりそれは外交努力の中で、直接拉致被害者の声をオバマに伝える、オバマ次期大統領もしくはオバマ氏の政権移行チームに伝えるという努力はまずはすべきだと思いますけれども、その点についてお考えはありませんか。

中曽根国務大臣 これまで我が国は、この拉致問題の重要性というものを各国にずっと、私も外相会談をやるたびに話をしてまいりましたけれども、特に米国に対しましてはこの問題の重要性というものも、私の場合はライス長官と会談しましたけれども、この問題も提起をいたしました。

 オバマ次期大統領や、それからクリントン次期国務長官を初めとする新しい政権の関係者も、私は、この拉致問題、日本と北朝鮮の問題をよく理解しているものと考えております。

 特に、オバマ次期大統領は、十月の一日でしたか、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に関する声明というものが、オバマ上院議員による声明があるわけでございますが、そこの中で、北朝鮮は日本人並びに韓国人、そして金東植牧師の拉致に関するすべての問題を解決しなければならないということで、この御家族がオバマ氏の地元であるイリノイ州に住んでいるということもありまして、拉致の問題等には大変関心があり、理解があるわけでございます。そういうことで、全面的な協力を北朝鮮に強く求める、そういうような立場も明らかにしていると承知をしております。

 また、大統領選挙の後、麻生首相とオバマ次期大統領との電話会談が行われたわけでありますが、総理からは、拉致問題を含む北朝鮮問題への対応を初めといたしまして、核問題もありますが、特に拉致問題について強く、オバマ次期大統領に対し理解と支援をお話ししたところであります。オバマ次期大統領からも、そういう課題にはともに取り組んでやっていきたい、そういうお話があったわけであります。

 私としては、新政権ができましたらば、できるだけ早く次期国務長官にもお会いして、北朝鮮問題、特に拉致の問題、今委員がおっしゃいましたように、仮にクリントン氏が余りこのことについて理解がないということであれば、これは大変なことでありますので、よくこの問題について話をしていきたい、支援を依頼していきたいと思っております。

渡辺(周)委員 いや、私は、もう政権移行チームのうちから行くべきじゃないかと申し上げたんです。よく理解していると考えているんじゃなくて、よく理解させなきゃだめなんですね。

 でなかったら、私はヒラリー・クリントンのいろいろな発言録を調べてみましたけれども、全然拉致のラの字も出てこない。この人がアメリカの国務長官ですから。これはもうシンパシーは、ひょっとしたら日本よりも北朝鮮の方にシンパシーを持っているかもしれません。これを考えると、私は、身震いするぐらい非常に恐ろしいと思うんです。

 まず日本としてすべきことは、新政権に日本の立場を理解させる、拉致被害者の声を直接届ける、そういう努力をすべきですけれども、もうごちゃごちゃいろいろなことを言わなくていいです。それぐらいのことを、被害者の家族の方々と一緒にアメリカに行って、オバマの耳に直接入れるぐらいのことはできませんか。簡潔にお答えください。

中曽根国務大臣 まず、ちょっと訂正させていただきたいんですが、先ほど、オバマ上院議員の声明について、私、十月一日と申し上げたかと思いますけれども、十月十一日でございました。

 今委員がおっしゃいましたようなこと、我々としては、大変大事なことですので、これをよく踏まえましてできるだけの対応をしたい、そういうふうに思っております。新政権発足前にもできるだけのことをしたいと思っております。

渡辺(周)委員 この問題について、ただ、このアーサー・ブラウンさんという人は、アメリカを余り当てにするな、本音で言えば拉致問題はアメリカの問題じゃないんだ、八年間もかけて何兆円という予算を使ってもオサマ・ビンラディンの行方をつかめないんだ、北朝鮮のいろいろなレポート、山のようにあるけれども、どこにプルトニウムがあって、どこに核爆弾があるかも実はわからないんだ、余りアメリカを当てにするな、日本は日本独自でやってくれと。

 これは、日本はもっとチャンネルを独自に持って、情報収集もちゃんとやって、日本の外交ならやはり日本がしっかりやれという、ある意味では大変強いメッセージをいただいたわけですね。もちろん、そのためには最大級協力するけれどもと。そこにアメリカの姿勢を見た気がするわけでございまして、これは決して突き放した言い方なんじゃなく、やはり、自国の国民を救うのに母国がやらなくてだれがやるんだという大変強いメッセージを私たちは受け取ります。ですので、アメリカが北朝鮮の拉致問題に高いプライオリティーを置いているとは現実的に思えません。ですから、我々がアクションを起こすしかないわけであります。

 さて、そこで、もう時間がありませんから少々飛ばしますけれども、李明博政権になって、これまでの盧武鉉政権と違って、随分韓国の、拉致に対する、あるいは脱北者政策に対する姿勢が変わってきた。さまざまな問題があって、開城の工業団地の閉鎖ですとかあるいは南北の鉄道の中断が、今いろいろ起きているわけでありますが、それだけ北朝鮮の中枢にかなりの打撃を与えているんだろうと思います。

 そこで、一つ伺いたいんですけれども、李明博政権になって、拉致問題に協力するという韓国の姿勢はいかがか。

 そして、もう一つ聞きたいのは、最近手記を出された、これまでも何通も送っていたようですけれども、最近発表された、金賢姫。李恩恵という方に日本語を教わったのだ。田口八重子さん。この李恩恵の、いつも日本の子供たちを思って窓の外を見ながら泣いていた姿が印象的であった、そして、テレビで見た息子さんの姿が、目が大きいところがそっくりだったというふうにあります。

 私は、可能であるならば、李明博政権になって、これまでの左翼政権と違って、日本に対して、この拉致問題に対しても関心を持たれているはずでございますので、私は、例えば、金賢姫に日本政府として直接事情聴取を、お聞きするぐらいのことはできるんじゃないかと思いますけれども、そういう可能性はあるとお考えでしょうか、あるいは、やれる、やりたいというお考えでしょうか。簡潔にお答えください。

伊藤副大臣 李明博政権のことについてだけ私の方からお答えします。

 本年三月に李明博政権は、北朝鮮の人権問題等に関して、韓国人拉致問題及び国軍捕虜問題について、自国民保護は国家の基本責務であるという観点から、最優先課題として推進する旨の方針を明らかにしたところでございます。李明博大統領のこのような方針は、その後も韓国の国会の施政方針演説等でも明らかにされてきているところでございます。

 また、十二月十三日に行われた日韓首脳会談では、麻生総理より、日本には拉致問題があり、この面でも韓国と協力していきたい旨を述べたのに対し、李明博大統領も同意しつつ、拉致被害者の御家族や日本国民の心情をだれよりも理解しているとの発言がございました。

 我が国としては、このような李明博大統領の姿勢を心強く感じております。今後とも、日韓が協力して解決したいと思います。

中曽根国務大臣 金賢姫氏に対する接触でありますけれども、これは一九八八年の一月に外務省の担当官が訪韓いたしまして同氏と面会をしておりまして、その際、日本とのかかわり合いを中心に事情聴取をしております。旅券に関することとか、あるいは日本人化教育に携わったとされる日本人女性に関することとか、そういうことを中心に事情聴取しておりますけれども、詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 この方は、大韓航空機爆破事件にかかわったという経緯から、その後、韓国の国内において特殊な状況のもとに置かれているものと承知をしておりまして、この人と接触することは極めて困難な状況が続いておる、そういうことでございます。

渡辺(周)委員 例えば、それは韓国政府の協力があれば、会うなり、当時の、大韓航空機がラングーン沖で墜落した爆破事件と違いまして、今回また事情が違っているわけですから、私はまた新たな新事実を聞くことができるのではないかと思います。

 韓国政府に協力を求め、何らかの形、それは別に内容をつまびらかにしろとは言いません。ただ、真実解明のために少しでも前に進むんじゃないかという可能性があるならばやるべきだと私は思いますけれども、今のところでは、韓国政府にその話を、協力を求めてでもやる予定はないんですか。やるという意欲はおありですか。

中曽根国務大臣 どういう形で実現できるかわかりませんが、適切な形で検討し、努力してみたいとは思います。

渡辺(周)委員 これは、李明博政権になってチャンスですから、ぜひ、今まで不可能であったことを、もっと言えば、私はこの委員会の筆頭理事をやっているときに、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党幹部の国会招致も何とか実現しようとして、当時、外務省の薮中さんはオーケーするところまで行ったんですけれども、韓国側がセキュリティーを理由に出国させなかったということがございました。御高齢ですから果たして可能かどうかわかりませんけれども、私は、あらゆる形で、北朝鮮の情報収集、拉致の情報収集をする姿勢をやはり発信し続けなけりゃいけないというふうに思います。

 もう時間がありませんので聞きますが、追加経済制裁について、先ほどから指摘がありますように北朝鮮の不誠実な態度、日朝実務者協議でさんざん調査委員会を立ち上げて調査を開始する云々と言いながら、結果的にここまで何もしない。六カ国協議についてもまさにそのとおりでございます。

 私たちとしては、半年間延長された、ことし十月に切れた経済制裁の延長、さらに追加経済制裁をするべきじゃないかということで、我が党の中でも今議論をしております。与党の中でもそのような形で議論をされていると理解しております。例えば、北朝鮮に対して、今はぜいたく品と言われる二十四品目の輸出禁止をしておりますが、全輸出を禁止する、全面禁止をする。

 専門家に聞きましたら、金正日が地方に行くときに、日本のカップめんを段ボール一箱持っていって、それを兵士の食料としてあてがって忠誠を誓わせていると。日本ではカップラーメンは奢侈品、ぜいたく品ではないけれども、北朝鮮の本当に地方にいる兵士にしてみるとこれは大変なごちそうなんだという中で、日本製のカップめんだってこれは一つの戦略物資でありますから、私は、例えば全面禁止をするべきではないかというようなことも織り込んで今党内で検討しておりますが、日本政府として、今後、この不誠実な態度を見て、さらなる新たな経済制裁、制裁をするということは検討しているのかどうか。官房長官、いかがですか。

河村国務大臣 御指摘の点につきましては、ふだんから北朝鮮への措置を検討しているわけでございます。

 六者協議の一件も見守っていたわけでありまして、局面も変わってきた。ただ、アメリカの、先ほど来御指摘のような新政権の動きもこれありでありまして、こういう問題も、国際的な動向を見きわめながら、今の追加措置等もその中に含めた形で総合的にやはり考えていかなきゃいかぬ、このように思っております。

渡辺(周)委員 これは政令を改正しなければできない部分もありますので、議員立法だけではできない部分がありますから政府の判断も待つんですけれども、この委員会の質疑の模様は北朝鮮も当然注目しているでしょうから、北朝鮮がいつまでも不誠実な態度を続けるのなら、やはり圧力を背景にした対話でなければ結果は得られない、何もしなければ、結果的には、向こうからは絶対に持ちかけてこないわけですから、こちらからアクションを起こす、私たちは、そのことを、追加制裁という形でぜひ積極的に検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

柳本委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先週末の十二月十三日の日中韓の首脳会議では、この三カ国の行動計画として、朝鮮半島及び北東アジア地域における平和と安定のため、六者会合が重要なメカニズムであるとの認識を共有するとともに、二〇〇五年九月十九日に合意された共同声明の目標達成につき決意を新たにし、他の関係国とともに六者会合のプロセスを促進することが確認をされました。

 そこで、外務大臣、このことは、さきの六カ国協議が北朝鮮の核申告に関する検証枠組みで合意に至らず閉幕した直後だけに、重要な内容だと考えますが、中曽根大臣の認識を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 十二月十三日の日中韓首脳会議におきまして採択された行動計画では、今委員からもお話ありましたけれども、日中韓の三カ国は、朝鮮半島及び北東アジア地域における平和と安定のために六者会合が重要なメカニズムであるとの認識を共有し、そしてさらに、二〇〇五年九月十九日に合意されました共同声明の目標達成について決意を新たにする、さらに、三カ国は他の関係国とともに六者会合のプロセスを促進するということを確認したわけでございます。

 さらに、この会議におきましては、今般の六者会合の首席代表者会合において検証についての合意ができなかったことは大変残念であるけれども、今後とも六者会合の枠組みのもとで日中韓三カ国が緊密に連携していく、そういうことでも一致をしたわけであります。

 六者会合において今後とも関係国と緊密に連携していくということは大変重要であると認識をしておりますが、今この六者会合は大変重要な局面を迎えている、こういうタイミングにおいて、中国、韓国両国と首脳レベルでこういう認識ができたということは大いに意義があるものだと私は思っております。

笠井委員 この首脳会談、会議の後の共同会見では、韓国の李明博大統領が、北朝鮮の核問題は大変困難な問題だが、時間がかかっても解決しなければならず、解決できる問題だと明確に述べて、また、この十年間、とても失望的ではあったが、少しずつ前進しているのも事実だ、後退したことはない、こう評価した上で、六カ国協議参加国が忍耐を持って協力していかなければならないという立場を強調されたと思うんです。

 外務大臣は、この李明博大統領の認識をどのように受けとめておられるでしょうか。

中曽根国務大臣 日中韓首脳会談、先ほどから申し上げておりますこの会談後に行われました共同記者会見におきまして、韓国の李明博大統領から、北朝鮮の核問題につきまして、今委員からお話ありましたとおり、これは大変困難な問題だが、時間がかかっても解決しなければならず、また、六者会合参加国が忍耐を持って協力していかなければならない旨の発言がございました。

 この日中韓首脳会談に先立って日韓首脳会談が行われたわけでございますが、この会談におきましても、麻生総理と李明博大統領は、さきの首席代表者会合で北朝鮮が検証に合意できなかったことは大変残念であった、そういうふうにした上で、検証の問題は北朝鮮の非核化を進めていく上で非常に重要であり、日韓、さらには日韓さらにアメリカ、この三カ国で緊密に連携して六者会合に取り組んでいくということで一致したわけであります。

 先ほども申し上げましたけれども、李明博大統領と麻生首相が、このような形で共同で取り組んでいくという強い両者の決意がまた述べられたことは、今後の北朝鮮問題に対して大変によかったと思っております。

笠井委員 このように、日中韓の首脳会談の会議では、北朝鮮の核問題で重要な認識の一致があったわけでありますが、他方で、一部に、さきの六カ国協議の結果や日朝協議の現状をもって、北朝鮮に対する圧力強化を求める動きもあります。私は、しかし大事なことは、さきの首脳会議の行動計画でも示された方向でやはり努力することだと思うんです。

 そこで、伺いたいのは、今各国が努力している基礎にあるのは、二〇〇五年九月の六カ国協議、六者会合での共同声明であり、その目標を達成する方法としての行動対行動の原則であります。すなわち、一方が前向きの行動をとれば他方も前向きの行動でこたえる、すべての諸懸案の同時解決を目指すのではなくて、一致した問題から段階的に解決を図っていく、そうした方法で問題の包括的な解決を図り、北東アジア地域の永続的な平和の枠組みをつくり上げる。この立場で努力することが関係国に強く求められていることだと私は考えるんですけれども、中曽根大臣、河村官房長官のお考えはいかがでしょうか、伺いたいと思います。それぞれお願いします。

中曽根国務大臣 今委員がお話しになりました二〇〇五年九月の六者会合の共同声明、これでは、これもお話ありましたけれども、行動対行動、約束対約束の原則に従って、段階的に措置を実施していくということが合意をされているわけでございます。これを受けまして、六者会合では、これまでも、初期段階の措置と、それから第二段階の措置、これが合意をされまして、六者会合共同声明の完全実施に向けて段階的に措置が実施されてきたところでございます。

 しかし、残念ながら、今般の六者会合首席代表者会合におきまして検証の具体的な枠組みに関して合意が得られませんでしたけれども、懸案の検証の具体的枠組みについて六者間で文書による合意が形成されることによって六者会合プロセスが再び軌道に乗ることを期待しておりまして、これが実現するよう、米国を初めとする関係国と緊密に連携をして努力していく考えでございます。

 委員からお話ありましたように、粘り強い交渉をやっていきたい、いかなければと思っております。

河村国務大臣 まさに笠井委員が御指摘のように、行動対行動、そして、同時行動といいますか、その原則は大事だと思っておりますし、このことは、北朝鮮に対しても、調査委員会を立ち上げて全面的な調査を開始するならば日本側も行動する、人的往来の規制解除、航空チャーター便の規制解除もやるということを確認し合っておるわけでございますから、残念ながらそれができていないということ、これからもその点については強く求めていかなきゃならぬ、こう思っております。

 朝鮮半島の非核化という大きな課題の中にございますけれども、日朝関係がいい方向に向くようにという思い、そして六者会合の共同声明が完全に実施されるようにということで、引き続き、米国、韓国とも緊密な連絡のもとに、御指摘のような理念のもとで進んでまいりたい、このように思っております。

笠井委員 二〇〇五年九月の共同声明の目標達成に向けて前進することは、日朝平壌宣言に基づいて拉致問題を含む日朝間の諸懸案を解決する妨げになるものではなくて、その解決を促進し得るものになるというふうに思うんです。そういう点を重ねて強調しまして、私の質問を終わりたいと思います。

柳本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会


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