衆議院

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第2号 平成22年8月3日(火曜日)

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平成二十二年八月三日(火曜日)

    午後三時二十分開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 稲見 哲男君 理事 熊田 篤嗣君

   理事 長尾  敬君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 江藤  拓君 理事 古屋 圭司君

   理事 竹内  譲君

      内山  晃君    北神 圭朗君

      黒岩 宇洋君    下条 みつ君

      中津川博郷君    松原  仁君

      本村賢太郎君    矢崎 公二君

      吉田おさむ君    笠  浩史君

      小里 泰弘君    坂本 哲志君

      高木  毅君    永岡 桂子君

      笠井  亮君    中島 隆利君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     中井  洽君

   外務副大臣        武正 公一君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 滝本 純生君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長西村泰彦君及び総務省大臣官房審議官滝本純生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本村賢太郎君。

本村委員 民主党の本村賢太郎でございます。中井大臣、明快な御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。

 私も、神奈川県会議員時代から、この拉致問題に関しましてはライフワークの一つとして取り組んでまいりまして、この特別委員の皆様、そして同志の皆様、国民の皆様とともに、風化をさせない取り組みを引き続きみんなで頑張って、本当に一日も早い拉致家族の皆様の救済を進めてまいりたいと考えております。

 それでは、まず一番目の質問に入らせていただきます。

 中井大臣の強いリーダーシップによって拉致問題も前へ前へ前進していると私も確信をしておりまして、特に、平成二十年八月の日朝実務者協議以来、約二年間、再調査もとまったままでありましたが、大臣の御尽力、そして日韓両国政府の努力によって、今回、ファン・ジャンヨプ氏そして金賢姫元北朝鮮工作員の来日が実現できました。

 大変意味のあることだと私も理解しておりますし、また、特にファン・ジャンヨプ氏は北朝鮮の政権の中枢であった方でありますし、また、金賢姫元工作員におかれましては、彼女の証言によって初めて田口八重子さんの北朝鮮での確認がとれたり、また横田めぐみさんが、この長い御夫妻の闘いの中で初めてめぐみさんの行動を見聞きした方にお会いしたという点でも、私は大きな評価をしております。

 そういった点において、金賢姫元工作員が離日して以来、約十日間がたったわけでありますが、今回の来日の成果については菅総理も恐らく大きな評価をしているんじゃないかと思いますが、中井大臣として、今回の来日についての成果をまずお伺いいたします。

中井国務大臣 地方議員をなされているころから、横田家の御地元でもあります神奈川ということもあって、熱心に拉致問題にお取り組みいただいていることを感謝申し上げます。

 今回の金賢姫氏の来日の評価ということについてお尋ねがございました。

 私は、一つ目は、飯塚、横田家を初め被害者家族の皆さん方に、非常に勇気と希望を与えることができたと考えています。

 二つ目は、前回の小泉訪朝以来、もう八年になります。この間、残念ながら進展のない拉致問題に国民全体の関心もやや薄れたか、こういった心配をいたしてきたところでございます。今回、マスコミの皆さん方が、想像を絶する以上に、私の悪口も含めてお書きをいただきまして、拉致問題を認識されていなかった若い方を含めて、北朝鮮の行為、また、北朝鮮がどういうことをやってきたかということを含めて御認識をいただいたということは、非常に大きい問題だったと考えています。

 三つ目は、国際社会全般に、日本と韓国が一体となってこの難しい、しかも非道な、人権上の、人道上の問題解決に全力で当たるんだ、こういったアピールをできたということだと考えております。

 なお、委員会の冒頭でございますので、思いもかけぬ副産物は、ベトナムでございました国際会議におきまして、日本の通信社、しかし、その通信社の社員は韓国人の方と中国籍の朝鮮人種だったと聞いておりますが、人種という言い方がいいのか、籍みたいな方だったと思います。その人が、北朝鮮の広報担当をかなり長く軍縮担当をしていた人だと言われておりますが、この方に、金賢姫氏が日本へ来日しておるがどう思うか、こう三人の席で聞いたら、彼女は祖国と親を二重に裏切った、答えたくもない、こう言ったというニュースが、彼女と会食をし中山委員長にもお出かけいただきました席へ報じられまして、私が金賢姫氏にそのことを申し上げると、彼女は一瞬ぽかっとしておりましたが、私は、二十三年目で初めて北が公式に金賢姫氏の存在を認めた、こういうことを言いました。彼女は、私もやはり北朝鮮人だと認めてもらったんですね、こう言っておったのは委員長もお聞きだと思います。

 これを、このニュースが本当なのか、本当なのは本当なのですが、つい口を滑らせたのか、あるいは北の変化なのか、こういったことを含めて大いに注目をしていきたいと思いますが、思いもかけぬ副産物だったと、こういう評価も含めて私どもは考えております。

本村委員 今の大臣の御答弁のASEAN地域フォーラムでの北朝鮮高官の発言は大変評価できることでありますし、拉致問題の突破口を開く、また、大きな糸口をつかんだんじゃないかというふうに評価しております。

 それでは次の質問に入らせていただきますけれども、大臣は、離日後に李明博政権と連絡をとられましたか。

中井国務大臣 火曜日に韓国大使が私どものところへお出かけをいただきました。

 離日後直ちに、御都合のいいときにお礼に伺いたいと申し上げたわけですが、御自分からお出かけをいただいて、小一時間会談をし、韓国政府に本当にお世話になったとお礼を申し上げていただきたい、こういうことをお伝えいたしました。なお、私の名前でそれぞれの担当部署へ礼状を送ったところでもございます。

本村委員 韓国政府の前政権の対話重視から、この李明博政権は大変私たちと同じ考え方ではないかと思っておりまして、今後も中井大臣の強いリーダーシップのもとで、また日韓両政府の御関係を強く深めていただきたいなと思っております。

 次に、高校実質無償化に関する朝鮮学校に通う生徒に対する対象の判断が今月にも出ると伺っておりますが、きょうは、文部科学省の方から高井大臣政務官にも来ていただいております。

 現在の状況と、特に、いつ発表されるのか、見通しをお聞きいたします。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘ありました高等学校等の就学支援の支給対象となる外国人学校についての検討をするために、文部科学省内に高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議というものを五月末に設置いたしました。

 この検討会議において、これまで、高等学校の課程に類する課程として満たすべき基準と手続、それから高等学校の課程に類する課程というものを審査する体制や方法などについて、基準や体制等の項目案ごとに今討議を行っている最中でございます。八月中というものをめどに結論が得られるように、引き続き、今精力的に検討いただいている最中ということでございます。

本村委員 再確認をいたしますが、その八月中の検討ということは、川端文部科学大臣の方から、八月中には結論が出るということでよろしいでしょうか。

高井大臣政務官 はい。ということでございます。

本村委員 私は世界じゅうの子供たちは私たちの本当に宝だという認識はありますけれども、朝鮮学校の生徒の皆さんには大変気の毒でありますが、現在の日朝の関係、拉致問題が解決しない以上、朝鮮人学校を対象とすることは私は反対であります。結論が出るまであと一カ月弱でありますので、慎重に御検討いただきたいと思います。

 次に、同じようなことになりますが、北朝鮮の核開発やミサイル開発に対して制裁措置がとられておりますが、そもそも、拉致事件を起こしたというだけで制裁措置は当然と私は考えております。核開発やミサイル開発の問題が六カ国協議の場などで仮に解決へ進展があったとしても、拉致問題が解決しない限り、少なくとも平成二十年の日朝実務者協議の合意を守ってもらわない限り、現在の制裁措置は継続されるべきだと考えますが、中井大臣の御所見をお伺いします。

中井国務大臣 六カ国協議といいますか六者協議は、内閣全体で取り組まなければならない拉致、ミサイル、核、こういう大事な問題を抱えて、現在は中断という形になっています。

 もちろん、私も閣僚の一人でございますから、方針は守ってまいりますが、しかし私は拉致担当でございますので、六者協議、報告を聞いたり、いろいろな情報等をまた外務大臣に上げたりはいたしておりますが、私自身、かつて民主党の拉致対策本部長をいたしましたときには、御存じかどうかわかりませんが、独自の制裁案も、ここにお見えの松原議員なんかと一緒につくり上げたことがございます。

 したがいまして、議員のおっしゃるお気持ち、また御提言、まことにそのとおりだと考えておるところでございます。

本村委員 大変私も中井大臣と考え方は同じでありますし、大臣にはぜひ引き続いてこの問題の解決が終わるまで大臣として頑張ってもらいたいなという気持ちも私はあるわけでありますが、ただ、我が党も来月代表選を控えておりまして、第一次菅内閣の拉致担当相としての委員会質疑は、もしかしたらきょうが最後になるかもしれません。国家公安委員長と拉致担当相の兼務は意味のあることだと考えておりますが、これまで大変御苦労があったと考えております。

 被害者と家族の苦しみには一日の休みもなく、大臣も拉致問題解決に日々御尽力をされている毎日だと思いますけれども、少し早いんですが、拉致担当相に就任されて一年弱、振り返ってこれまでの取り組みの御感想をお聞かせいただきたいと思います。

中井国務大臣 何か、ずっと大臣をやってろと言っていただくのか、首になれと言っていただくのか、よくわからぬお話でございますが、全力で職務を尽くしてまいりました。

 ただ、非常に苦労いたしましたのは、過去の政権下のいろいろな御努力、御調査等の記録が内閣の中にきちっと残されていない。したがって、データベースをつくるというところから実はスタートいたしました。

 聞いていきますと、警察の一部にはこういう資料が残っている、拉致対策を担当したどこかにはこういう資料が残っているということは出てまいりまして、それぞれに御苦労はいただいてきたわけでございます。しかし、それが一体となって集約されて、分析されて、追跡をしていくというシステムは、残念ながらなかった。これはこれで、平壌宣言以降の過去の政権の大変な御労苦あるいは御工夫があったんだろうと僕は思っています。

 しかし、私どもは、どんなことがあっても突破口を開けという鳩山さんの命令のもと、人もお金も、割かし厳しい環境の中で、私の思うような方向で御用意をいただいたわけでございます。こういうものを整理するのに、約三月、四月とかかりました。

 その中で、気になっていましたのは、ファン・ジャンヨプ氏と金賢姫さんをお呼びするという問題。この二つを片づけた中で、私はようやくいろいろな物事の整理ができた、情報の整理もできてきた。今日までいろいろな情報も入っております。これらをどう判断するか、どう使うかを含めて、また、今回の金賢姫さんの来日に際してもたらされたことをどう追跡、分析するかというようなことはこれからでございます。また、特定失踪者と言われる方々をどう扱うかという問題も含めて、まだまだ手をつけていかなきゃならない、政治がやっていかなきゃならない課題は多いと思っています。

 どなたが後をおやりになっても、そうお迷いなく方向づけができるんじゃないかというところまで、私は一生懸命やらせていただいているというところかと考えています。

本村委員 大変私の言い方が失礼があったかもしれませんが、私は中井大臣の応援団でありまして、次期内閣でも引き続き、同じお立場で拉致問題の解決に取り組んでいただきたいなと思っております。

 拉致被害者の家族の高齢化も大変進んでおりまして、我々国民一人一人が拉致問題をまず風化させない取り組み、そういった意味では、ブルーリボン運動など、もっともっと国民に啓発をしていかなきゃいけないのかなと思っておりますし、ぜひ、大臣を初めブルーリボン運動や啓発運動にさらなるお力で取り組んでいただきたいなと思っています。

 また、現在の韓国の李明博政権、大変大臣とも歩調が同じでありますので、韓国との連携、さらには、米国におきましても、テロの指定解除を一時方向的に決めたようでありますけれども、またこの二〇一〇年、制裁をさらに強化しなきゃいけないという米国の方針も少し変わりつつあるというふうに伺っております。

 ぜひとも、日本中心になって、その中でも中井大臣中心となって、この拉致問題の解決に向けて、今後も御尽力いただくことをお願いして、質問を終わりにします。

中山委員長 次に、長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。

 ファン・ジャンヨプ、金賢姫両氏の訪日というのは、いわば、私も前回質問に立たせていただいたとき、日本、韓国、加えて米国、これは真剣にこの問題に取り組んでいるというメッセージを送るという部分については、今回、韓国政府の大変な理解があってこそ実現できたというメッセージを送れたという点については、私も大きな評価をさせていただきたいと思っております。

 また、先ほど大臣の方から、データベースの構築から物事がすべて始まった、鳩山政権初めての、当初の御苦労であったということでございますが、私は、今回、民間情報の活用等について、本日、西村大臣政務官にもお越しをいただいておりますので、質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、外務省にお尋ねしたいんですが、日本のある著名なジャーナリストが平成十六年の八月に、金永日外務次官、鄭泰和日朝国交正常化交渉担当大使らと、直接北朝鮮に行って取材を行い、続く平成十九年の十月にも再度訪朝され、楊亨燮最高人民会議常任委員会副委員長、宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使らと面談取材がなされたという報道がございました。

 外務省は、その中身も含めて、当時これをどのように把握していらっしゃったでしょうか。政務官よろしくお願いします。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただいた報道については承知をしておりますけれども、報道の内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

長尾委員 続きまして、同じ延長線上の質問になりますが、実はこの著名なジャーナリストは田原総一朗氏でございますが、この一連の取材の中で非常に重大な証言がなされているということ。宋日昊大使が、こう取材に答えられました。残念ながら八人の中には生存者はいないが、私は生存していると信じておりますけれども、それ以外に複数の日本人がいる、日本側が制裁を解けば交渉に応じる用意があると話をしていたことを、外務当局はこれらの民間情報を把握されていますか。同じような質問ですが、政務官よろしくお願いします。

西村大臣政務官 御質問いただいた点についてでございますけれども、政府としては、認定被害者以外にも拉致の可能性を排除できない人が存在するという認識に基づいて、いわゆる特定失踪者の事案も含めて調査と捜査に全力を挙げるとともに、北朝鮮に対してすべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を強く求めてきているところでございます。

長尾委員 外務省の取り組み姿勢というのは重々理解をしているつもりでございます。

 ただ、今回、民間の情報として、このような報道がなされたという事実がある中で、いわば複数の日本人というのは、いわゆる特定失踪者であると推測ができる。つまり、ここは北朝鮮が十七名以外の日本人の存在を認めたという点では非常に見逃すことのできない民間情報だと私は思っております。

 ですから、外務省においても、こういった民間の情報を、どのようにアンテナを張っていただいて今後の問題解決に向けて進んでいっていただけるのかということについて、私は、今後、非常に今までのあり方では危惧をするところがあります。

 今申し上げたような情報について、今後、外務省として対応する用意はあるでしょうか。政務官よろしくお願いします。

西村大臣政務官 重ねての質問でございます。報道の内容についてのコメントは、外務省の立場としては差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、拉致問題対策本部を中心に情報収集と分析が行われていると承知しておりますし、また、外務省としても二〇〇八年の日朝実務者協議において特定失踪者に関する情報の提供は北朝鮮側に求めてきているところでございます。

 今後とも関連する情報の収集に努める、これはもう当然のことでありますので、それとともに、認定被害者はもとより、北朝鮮が現実に拉致したすべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を北朝鮮側に強く求めてまいりたいというふうに考えております。

長尾委員 北朝鮮側に強く求めていく、この姿勢は理解できますし、当然のことだと思うんですが、実は求め方だと思うんですね。何か出してくれないかという求め方なのか、こういう情報が公の情報としてあるいは民間の情報としてあるのだけれども、これについてはどうなのだというような、差し迫る、要は迫る、提案型の外交交渉というのを実際行っていただけるのかどうかというのは、これもまたいろいろな事情で外交交渉の内容については表にしていただけないのかもしれませんけれども、その辺の交渉については、強く強く求めていただければというふうに思います。

 ちょっと雑感ではあるんですけれども、いわば、先ほど申し上げたような民間情報に接したときに、私ならすぐそれに食らいついて、実際それが本当なのかどうなのかということを考えていくというような姿勢も、外務省におかれては積極的にお持ちをいただければというふうに思っております。どうしても待ちのイメージが多いということだけ、ちょっと御指摘をさせていただければというふうに思っております。

 ということで、このような民間情報に対して、中井大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 民間情報の活用ということに関しまして、問題解決へ一歩でも前進させるため、民間で拉致問題に今まで活動を続けてこられた方々を拉致本部スタッフとして、いわゆる民間人登用をするということを御検討いただいたことはございますでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

中井国務大臣 お話は承りましたが、外務省さんが日本じゅう飛び交う民間情報に一々飛びついて調査をしているとは僕は思いません。しかし、私のところは今やっております。御提言は確かに承りますが、まあ、真偽半々という言葉はありますが、到底そこまでいきません。しかし、私はどんな情報でも追っかける、こう申し上げ、アンテナを張っております。いろいろな方がいろいろなお声を寄せていただいております。これからも世界に向かって情報提出をお願いしたいと考えております。

 民間人の登用につきましては、お話のとおりでございます。

 しかし、現実に内閣府の定数枠等がございまして、きょうも官房長官が予算委員会で、みんなの党の提言に対して、内閣府の定数の問題について触れられておりまして、極めて少ない人数に抑え込んでくれというのが御要望でございます。

 したがいまして、私は、お願いをしようとしていました方々と今個々にいろいろな連携をとって、そしてお働きをいただいている。大変御迷惑をかけていますが、非常に有意義な御提言や情報をお寄せいただいていると考えています。

長尾委員 民間情報につきましてなんですが、実は二〇〇九年の十二月十五日の読売新聞に、民間の北専門家、参与登用へということで、特定失踪者問題調査会の真鍋副代表、北朝鮮難民救済基金の加藤理事長ら三人を大臣直属の参与に任命することが有力視されているという新聞報道がございますが、この内容について事実なのか、あるいは、今申し上げた方々と大臣として接触をとられたのか、よろしくお願いします。

中井国務大臣 お名前を挙げていただいた二人は、前々から大変仲のいい二人でございます。真鍋君なんかは、僕は初当選したのは民社党でございますが、そのときの書記局に荒木君とともにいたメンバーでございます。大変お世話になっています。

 ただ、読売新聞に出たことは読売新聞にお聞きいただくのが一番ありがたいです。先週か今週も週刊文春に何やらわけのわからぬ記事が出ておりまして、警察関係も含めて憤慨をいたしております。よくまああんな記事を書けたなと思うことばかりでございます。しかし、一々抗議するのも面倒くそうございますので、それをもとに質問をされたら余計迷惑だとは言いませんが、与党でいらっしゃいますから、どうぞ遠慮なしに事前にお尋ねをください。

長尾委員 大変礼儀がしっかりしておりませんで、まことに申しわけございませんでした。

 当初、拉致問題というものも、私の理解では、一つの新聞記事からすべては始まったという理解をいたしております。すべてが民間主導であったということではないと思いますが、公の機関が調べるものについては、いろいろな事情で、普通ならば、民間であればすぐ右から左へと動くことが、なかなかそうはいかない部分もあるやも、私はそう理解をいたしております。

 つまり、何を申し上げたいかと申し上げれば、例えば特定失踪者問題調査会などは、とにかく、荒木代表一人ではありませんが、周辺の方々が全くゼロの、全く何もない状態からスタートを始め、あれほどの、冒頭、先ほど大臣がおっしゃられたデータベースを民間の力で、その中に真偽のほどはいかようなものかというものもあるとは思うんですけれども、構築してきたというところについては、民間情報をもっともっと、時間のないところで、先ほど本村委員からもお話がございましたように、家族会の方々の高齢化も進み、また特定失踪者の御家族の方々も大変な思いできょうこの委員会をごらんいただいているというふうに思っております。

 その方々が、政府には大変失礼な言い方になりますが、まずもって、ほかに頼るところがないから、民間にまずいろいろ頼った、記者さんに頼った、特定失踪者問題調査会代表者に頼ったというような流れの中で、ぜひ今後とも、加えて民間情報の活用をいただければありがたく思っております。

 その件について、もう一度よろしくお願いします。

中井国務大臣 お話は確かに承りました。

 私になりましてから、国会議員を含めて、本当にたくさんの方が、こういう人とのつながりはどうだとか、こういう情報があるとか、お寄せいただいています。一つも無視したことはありません。

 同時に、国家公安委員会委員長をしておりますので、警察に対しましても、特定失踪者と言われている人たち、警察へ万々一自分の家族は拉致されているんじゃないかとお届けになっているところ、もう一度全調査をお願いいたしているというのも御承知だと思います。

 結果、今日まで、十六人ぐらいが日本国内で元気で見つかっております。そのたびに荒木君から申しわけないという連絡がありますが、僕は、何にも申しわけないことはない、家族が元気で会えればこれほど結構なことはないじゃないかということを含めて、総力を挙げて、民間のお知らせや情報を、三十年ぐらいたってからであっても引っ張り出してやっている、これが現状だと思っております。

 もし、議員が、こういう人がいるとか、こういう情報があるというのなら、ぜひお寄せをいただければ幸いだと思っています。

長尾委員 全く別件で、昨日、荒木代表とちょっとお話しする機会がございました。全面的に、ぜひ今後とも、民間人登用があれば協力をさせていただきたいというようなお話でございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、古屋圭司君。

古屋(圭)委員 自民党の古屋圭司でございます。

 大臣、御苦労さまです。いつも大臣には質問をさせていただきますが、今回もよろしくお願いします。

 まず、金賢姫来日関係です。

 私は、率直に言って、やや、これは世論が風化されつつありましたので、そういう意味から、あるいは被害者の家族の皆さんと面会ができた、あるいは北朝鮮のうそっぱちというのが改めて浮き彫りになったという意味では一定の評価をしたいと思いますよ。しかし、では本当にこの拉致問題を解決するための具体的な進展が何かあったのかといったら、私は残念ながらノーと言わざるを得ないと思っています。

 なぜならば、例えば新しい事実というのは記者会見等々でも出てきませんでしたよね。やはりそういうところからしても、警察ももう既に数次にわたり金賢姫自身に事情聴取をしていますよね、だから、それは当然かなという気がいたしますけれども。

 そこで、ちょっとまず警察に聞きたいんです。具体的な内容は答えられないと言うに決まっているでしょうけれども、今回新たな情報というのが何かもたらされましたか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、韓国当局の協力を得まして、偽造旅券行使や拉致事件に関する所要の捜査を進めてきましたほか、拉致問題の全容解明に向けましてさまざまな情報収集を行っているところでありますが、個別具体的な内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

古屋(圭)委員 いや、だから、そう言われると思ったので、あったんですか、なかったんですかということを聞いているんですよ。恐らく答えられないんでしょう。だけれども、実際に答えは、なかったと思います。

 というのは、拉致特別委員会を我々は先週開いたんです。そして、そのときに警察関係者に聞きました。情報の関係者は立ち会ったんですかと言ったら、思わず口走ったんです。立ち会っていないですと口走って、その後に具体的な話を聞こうと思ったら、いや、具体的な話は聞けないんですよと急に方向転換したので、要するに立ち会うほどのことがなかったということだと思うんですよ。

 だから、私は、その点についてはほとんど新しい情報はないということで間違いないというふうに思います。言ってもお答えいただけないでしょうから、今の答弁内容からして、賢明な皆さんは類推をすることができると思います。

 これに関連して、実は、では警察にもう一つ聞きたいんですが、田中実氏の拉致実行犯、こういう可能性が非常に高いと言われている曹廷楽氏とか韓竜大氏、これについて実際追及を行っているんでしょうか。マスコミ等々では極めてその可能性が高いと言っているんですけれども、実際、具体的な捜査内容はもちろん言うことができないということだと思いますけれども、二人を泳がせるだけじゃなくて、やはり聴取等を実際にやっていくべきだと思いますよ。

 現実問題として、いわゆる国内での実行犯というのは、一人も確定したり、あるいは逮捕していないという事実があるんですから、やはり、日本国内における拉致実行犯組織の糸口がもしかしたら解決できるかもしれない、その糸口になるかもしれないんですから、ぜひこの二名についてどういう状況なのか、そしてやる気はあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事件の捜査に関する警察の対応につきましては、まことに恐縮でございますが、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、一般論として申し上げますと、私どもは法と証拠に基づき厳正に捜査を行なっているものであります。

古屋(圭)委員 私はそうくると思いましたので、大臣、国家公安委員長にもお伺いしたいんですけれども、今、前の与党議員の質問で、民間情報も含め積極的に収集をして、それをもとに調査を推進するんだという趣旨のことをおっしゃいました。やはり国家公安委員長として、現実にこういう二名の極めて疑わしい人間がいる以上、それについての聴取等々を進めていくべきだと思います。これこそまさしく政治主導で大臣自身が御指示をされるべきだと思いますけれども、この点についてどう思われますか。

中井国務大臣 長年、拉致問題解決に本当に御活躍をいただいております古屋先生のお話ですから、承って、対応方あるいは現状どうなっているかということについてもさらに聞いてみたいとは思いますが、国家公安委員会委員長というのは個々の事件に直接口を出さない、指揮命令をしない、これが組織上の規律でございます。そこのところをわきまえながら十分考えていきたいと思っています。

 なおまた、お言葉を返して大変恐縮でございますが、金賢姫氏捜査につきまして、今、西村警備局長からお答えがございました。私もこの要点だけお聞かせをいただいているところもございますが、彼女自身がやはり十年間ぐらい韓国政府の方針が違うという中で大変厳しい環境に置かれて、日本からの聴取というものが本当にスムーズにいったのかどうかということを含めて、私は考えてまいりました。

 現実に、去年皆さんが政権をとっておられる五月の聴取のときに初めて、横田めぐみさんに会ったことがあると彼女は言ったわけであります。そして、その報告書が実は眠っておったわけであります。私はそれを聞いて、横田さん御夫妻にその部分だけお見せをして御感想を承ったところ、ぜひ招いてほしい、会いたい、こういう強い御意思がございました。

 そこに増元さんがお見えでございますが、増元さんは去年私が就任してしばらくしてから救う会の西岡さんと一緒にお越しになり、韓国から帰ったばかりだという中で、金賢姫氏をぜひ招請すべきだ、こういう御意見をいただいたわけでございます。私は、そのときはお任せをいただきたいと。私の順番からいくと、そのときはまだ、実は恥ずかしながら、横田めぐみさんに会ったという証言をしているということを私自身は知らなかったんです。知らなかった。したがって、私はそのときに、ファン・ジャンヨプ氏が先だ、こう申し上げました。

 どの時点での事情聴取であれ、彼女は発言を少しずつ極めて考えてしている。警察の調べに対しても、日本警察の調べに対しても、外務省も聞いていますが、これに対しても、一回一回考えて物を言われている。非常に訓練された頭のいい人だ。

 今回来られまして、御両家、御家族の会、そして私、私自身は三度お目にかかりました。マスコミは二度と書いたり、何かいろいろなことを書いていますが、私は三度お目にかかりました。それぞれ微妙に発言の中身というものを考えてやっていらっしゃる、本当によく訓練できた頭のいい人だ、こんな思いでございます。

 したがって、成果があるかどうかということについては、これからおいおいといろいろな分析の中で考えられることだと考えています。あえて先生ですから申し上げました。

古屋(圭)委員 まず前半、この二名、いわゆる曹廷楽と韓竜大の調査については推進をするというお言葉をいただきましたので、しっかり実現をしていただきたい。後半は、お気持ちがあって今お話しされたということは我々もよくわかります。でも、我々は先刻承知していることです。

 確かに、家族会の皆さんが、金賢姫来てくれという招聘を要請したということは私も承知しています。しかし、そのときには同時に、公の場に出て発言をしてほしいという強い要請がありました。

 実は、韓国では既に公の場に出て発言をしております。しかし、日本に来たときは、残念ながらほとんど軟禁状態で、公の場に一切姿を見せることはありませんでした。ましてや、この委員会でも一時議論されたような記憶もありますが、こういう委員会に出て参考人質疑もどうかというような話もあったと思いますけれども、全くそういうようなことはなかったということでありまして、私はこれはちょっと、日本の政府の弱腰と言われても仕方がないんじゃないでしょうか。

 特に、軽井沢あるいはヘリコプターでの実際の遊覧旅行というのは、きょうの朝の答弁でも中井大臣自身が、金氏側から要請があったということですよね。こういうことから見ると、拉致問題解決のための訪日というよりは、むしろ、ただひたすら訪日を懇願したパフォーマンスかと言われても否定できないと私は思いますよ。

 万が一、もし本当に家族会の皆様にもお目にかかるということならば、わざわざあれだけ大騒ぎしたマスコミの中でやるよりも、韓国に皆さんをお連れして、静ひつな環境の中でやれば十分にその時間もたっぷりとれたわけでありますから、私は、これは批判のそしりは免れないと思います。

 ただ、今それを言っても、恐らく大臣はそうではないということをおっしゃると思いますので、我々は、そういうことであるということをこの委員会ではっきりと言明をさせていただきたいというふうに思います。

 もし御答弁でしたら、短くお願いします。

中井国務大臣 パフォーマンスであるという御批判をあちこちで聞きますが、パフォーマンスをやるつもりなら選挙前にやっています。これが一つです。

 それから、訪日の要請に対して極めていろいろな条件がつきました。皆さんの政権下で、釜山において記者会見がなされたことは承知しております。飯塚家の皆さんを含めて、大変お喜びであったことも何も否定いたしません。しかし、今回訪日に当たっては、ファン・ジャンヨプ氏のときもそうでありましたが、記者会見は絶対だめだ、こういう強い要件でございました。

 なお申し上げますと、二社独占インタビューのような形をいたしましたのは、これは韓国側の、また金賢姫氏の希望、要請でありまして、私の選択ではありません。

 等々、申し上げたいことは山ほどありますが、あえて古屋先生のお言葉ですからのみ込んでおきます。

古屋(圭)委員 私、毎回、委員会でも基本方針のことについて聞いておりますけれども、改めて今回も触れさせていただきたいと思います。

 私たちのかつての自民党政権での基本方針は、御承知のように、すべての被害者の帰国、真相究明、実行犯の引き渡し。これをするための六つの対応方針、全被害者の安全と帰国要求、制裁実施と追加制裁、現行法の厳格な法適用、情報収集と啓蒙、特定失踪者を含む調査、そして六個目が国際連携なんですね。

 これをどうして削ったのかという答弁のときに、何度もありました。例えばこのパンフレット、刷り直して、最初にこの三つの条件がある、これを一つ削ったにもかかわらず、まだ新政権になってもこのパンフレットを使っていておかしいじゃないかと。そうしたら、大臣が御承知じゃなくて、すぐ削らせますと。削らせたら、何と新しいパンフレットはこの三つ全部削られていたということで、これも承知しておられなかった。新しいものをネットで見ましたら、この最後の「拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、」云々ということが見事に消えておりましたですね。

 それと相前後して、実は、私は、こうやって実際に書いて政府の方針としてアピールをするということが極めて日本の政府としてのメッセージを出すためには必要不可欠であるということを常に申し上げている。しかし、書くだけでは意味がないんだ、こう言って、では何か不足のものがあったら新たなものを出していただけるんでしょうか、そうしたら、それは検討しますということでした。

 だから、私は非常に楽しみにいたしておりましたら、六月の十八日付、昨年の十月に拉致対策本部を一回目やりまして、二回目をやったのが何と二十二年の六月の十八日、八カ月ぶりですよ、やりました。そして、ここで、「拉致問題への取組」ということで一枚のペーパーが出ていました。

 そこには、エキスだけ言います、生存者の即時帰国に向けた施策、安否不明の拉致被害者に関する真相究明、二、そのための徹底した情報収集、分析、米韓を初めとする関係諸国との緊密な連携、そして、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないという、この言葉です。

 実は、この言葉すべて、我々が出していた基本方針あるいは六対応方針の中に全部この言葉が入っているんですよ。何が抜けているかというと、実は、対話と圧力という言葉が見事にそっくり欠落しているんです。そして、この結果、圧力の部分というのが全部なくなっているんですね。具体的には、制裁の実施と追加制裁の検討、そして朝鮮総連施設等への固定資産税の減免などの違法行為に関する現行法の厳格適用、特定失踪者などの調査や認定、拉致実行犯の引き渡し要求。

 実は今、外務政務官の答弁でも、特定失踪者等については調査を推進すると言っておられたじゃないですか。これこそまさしく、拉致対策本部は四名でできていますけれども、その構成する一人とこの中身とが全然違うということじゃないでしょうか。私は、これは事実上の、今までの対話と圧力、すなわち圧力をかけることによって向こうの譲歩を引き出していくという基本的な考え方、前政権からの対応方針、方針を完全に転換したということなんでしょうか、大臣に伺いたいと思います。

中井国務大臣 基本的なところは自民党さんの従来の大きな方針と一緒じゃないか、僕はそれでいいんだと思っています。超党派でやってきたことでございます。

 ただ、八カ月も拉致対策本部をやっていないじゃないかと言われますが、自民党さんの拉致対策本部もかなり大がかりで、そうたびたびあったようには僕は一向に聞いておりません。

 私ども、菅さんも内閣総理大臣になられて直後、ちょうど御家族の方々の大集会をおやりになって官邸まで歩かれるという時期に、代表の方にお会いをいただきました。また、岡田さんとはしばしば情報交換をし、官房長官とも常に拉致問題では報告を上げて、すべて私に任されているという集約の中で全責任を負って情報収集そして安否確認、これらに向かっているところでございます。何とか日本人の存在、安否、こういったものをきちっと確認できる、こういう結果に基づいた交渉というものに入れるように今全力を挙げているところであります。

 いろいろと、自民党時代と違うじゃないか、こういう御批判を古屋先生にはしばしばちょうだいいたしておりますが、六、七年膠着状態にあったことはお互い、家族の方々の高齢化に伴って、本当に政治の力の足りなさを思わざるを得ないわけであります。そういう反省の上に立って私もできる限りのことをしていきたい、こう考えておりますので、御協力のほどをお願いいたします。

古屋(圭)委員 今の答弁では、新しいこの取り組みというのが、要するに制裁関係が全部抜けているんですよ。だから、事実上、方針転換したんですか、その一言です。

中井国務大臣 新しい制裁の運用をやるということで、迂回輸出について徹底的に調査、追及するということで、既に三件逮捕をいたしました。また、送金についても制限金額を下げて、厳しいチェック体制のもとに今監視を続けているところであります。忘れてごめんなさい。

古屋(圭)委員 それだけに限らず、特定失踪者の問題も含めて、やはり我々が出した基本方針、対応方針というのは現政府でも実際やっていることなんですよ。それを何でこれだけごく一部拾い出して書かなきゃいけないか、全くその意味がわかりませんね。それならはっきり、我々の方針を踏襲した上で、さらにこういう新しいことをやるんだということを宣言していくのがやはり政治主導の中井大臣らしいんじゃないでしょうか。私は、これは非常に不満であります。

 それともう一つ、これに関連して、我々自民党の特別委員会、私委員長を務めておりますが、五月二十一日に「対北朝鮮措置に関する申し入れ」というのを前官房長官に出しておりますが、これは中井大臣も承知しておられますか。

中井国務大臣 官房長官から、平野さんからちょうだいをしました。

古屋(圭)委員 それでは、その関連でちょっとお伺いしたいんですけれども、私も何度も、首脳会談あるいは外相会談等々が各国首脳とあります。このときに必ず拉致問題に対して言及をしてほしい。特に北朝鮮と国交のある国、これは非常に重要だと思うんですね。

 そこで、昨年新しい政権になりました。政権がかわってから後、一体何カ国の国と首脳会談をして、そして何カ国の首脳会談で拉致問題に言及したのか、この具体的な内容を外務省にお伺いしたいと思います。

武正副大臣 古屋委員にお答えをいたします。

 菅内閣発足後に行われた首脳会談や外相会談等においても累次において北朝鮮拉致問題を取り上げ、関係国との連携に努めておりまして、例えば二国間首脳会談ではG8サミット、G20サミットの際に行われた日加……(古屋(圭)委員「いや、だから、何カ国とやって、どれだけ言及したか、その数字だけでいいです」と呼ぶ)今例を挙げますが、日加、日英、日韓、日中首脳会談において取り上げられ、また、二国間外相会談においては日韓、そしてまた日・ラオス外相会談において取り上げられました。国際会議の場ではG8ムスコカ・サミット、またARF閣僚会合等の場において拉致問題を取り上げ、各国の理解と協力を求めてきております。

古屋(圭)委員 いや、私、事前通告したんですよ、これ。何カ国と首脳会談、外相会談をやった、相当な数ですよ、私ネットで見ていますから。それで、具体的にそこで拉致問題について何カ国の首脳に対して言及しましたか。わからないんですか。

武正副大臣 ちょっと今、この場で何カ国ということは明示的にお話しできないわけですが、ただ、その点について、今例示も挙げましたが、お伝えできるところはお伝えさせていただきたいと思います。

古屋(圭)委員 それともう一点、この要望書の中に、地方自治体が朝鮮総連等関連施設に対して固定資産税等の減免等の特例措置をしています。これは憲法違反であるということは最高裁でも判決が出ていますよね。そういう中にあって、この是正命令をすべしということで前政権のときからずっと言っております。

 そこで、昨年政権が交代をした後、その後にこの減免についての調査をした地方公共団体の数、そして、現実にそういう対応をしてきた数についてお伺いをしたいと思います。

滝本政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の減免の取り扱いでございますけれども、本年度も、平成二十二年四月一日付で地方税法の改正通知を行う中で、特記事項といたしまして、総務大臣通知を行い、課税の適正化について要請を行っております。

 この朝鮮総連関連施設に対します地方税の取り扱いについての調査でございますが、平成二十二年度分につきまして、本年度分につきましては、七月現在の状況について調査を行っておりまして、現在、調査結果の取りまとめを行っております。お盆前までには近く公表したい、そのように考えております。

 昨年度の減免状況になってまことに恐縮でございますが、昨年七月時点の調査結果によりますと、全部減免をしているのが一団体、一部を減免しているのが三十一団体、減免を実施していないのが九十五団体、対応を検討中が三団体ということで、総連関連施設がある百三十団体についての課税の状況は今申し上げたようなことになっております。

 これは、大臣通知などを発出する前の平成十七年度と比較してみますと、全部を減免している地方団体は六十五団体から一団体に減少しておりますし、減免を実施していない地方団体は二十五団体から九十五団体に増加しているというふうなこともございまして、各地方団体において適正化が進められているものと認識をしております。

古屋(圭)委員 これは、前政権のときに我々も決議をしてこの減免の禁止の徹底を言ったから、そういう効果が少しずつ出てきているんです。現実に、地方に公民館がなくて、本当に地域の人たちが公民館として活用なんかしているところもあるんですよ。そういうところはちゃんと日数で、時間できちっと割ってやるとか、かなりそうやって厳格にやってもらっているんです。

 だから、それを引き続き、昨年九月以降、政権がかわってからどれぐらいそれが推進しているのか、そして、どうやってそれをまた調査、推進しているのかということを聞きたかったんですよ。これも事前通告をしているのに数字を出していただけない。まだ調査中だとかいってとぼけたことを言っていて、出してくれない。これはとんでもない話ですよ。

 だから、私は、多分余り数字は変わっていないと思いますよ。私も具体的に地方公共団体に聞けるところは聞いていますけれども、聞いていない。やはりそういうところというのは本当にまなじりを決してやっているのかという疑問符をつけざるを得ないんですね。

 さて、そこでもう一つ聞きます。

 金正日は御承知のように体調も余りよくない、こう言われていて、そういう中にあって、もし金正日の体制が崩壊後、あるいは、実際にその体制が変わってきた、こういうようなときに、やはり拉致の被害者を安全を確保してしっかり帰国させる、こういったいわば救出プランというかコンティンジェンシープラン、これは実は、五月二十一日のこの申し入れのときにもはっきりうたって、当時の官房長官にもこれは言っています。具体的にそういう検討はもう始めているんですか。これは大臣でいいのかな。

中井国務大臣 承って、あるいはまた、前々から民間の幾つかの団体からもお申し入れがあって、防衛省、外務省等に相談をお願いいたしているところであります。

 しかし先生、お言葉を返して大変恐縮でありますが、どこにいるのか、どこに住まいしているのか、前政権以来、一つも確たるものがわかっていない状況で、プランということについて具体化するということ、あるいは、韓国、アメリカ等にお願いをするということも含めて、私はなかなか困難な道もあるんだろうと思っています。

 したがいまして、そういう実行可能な計画をつくっていきますと同時に、一刻も早く、一人でも、住所、このアパート、こういったことが確認できるように努力をしているのが先だ、このようにも考えております。

古屋(圭)委員 今、一連の質疑を聞いておりまして、やはり本当に政府が解決へのロードマップをしっかりつくっているのかな、描けているのかな、解決に向けての具体的な戦略とか戦術が政府全体として、中井大臣は一生懸命やっておられるというのは私は前から認めていますから、しかし、政府全体としてそういう取り組みをしているということが甚だ疑問なんですね。

 やはり私は、今の首脳会談一つとっても、今あえてお答えしなかったということは、私が事前通告しているにもかかわらず、余り数値が芳しくないからお答えされなかったんじゃないかなとうがった見方をしたいと思います。せざるを得ないですね。やはり本当にそういう意味での政府全体としての取り組み、それからちぐはぐさというのは否めないと思います。

 ぜひ政府の皆さん、結束して頑張ってくださいよ。我々だって一生懸命やってきたけれども、まだ残念ながら解決はできなかった。(中井国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと、私が今質問しているんですからね。

 それからもう一つ、先ほどちょっと要請し忘れましたが、金賢姫来日の際の、やはり百五十キロ離れたところでやった、警備あるいはヘリコプター等々、大変な費用がかかっていると思いますよ。これについて詳細な明細をしっかりお示しをいただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

 以上です。

中井国務大臣 費用の件につきましては承っておきますが、事の性格上、どこまでお出しできるかは検討したいし、また委員長にも御判断もいただければと考えています。

 それからもう一つ、外務省をかばうわけではありませんが、岡田さんというのはまじめな方でありまして、私が、拉致に関して、外交官あるいは大使館、いろいろなところで話が出て打電されてきたのはすべてお知らせいただきたい、こう申し上げて、いろいろな国との懇談等で話がされたことはすべてお送りいただいております。

 また、私になりましてから、北朝鮮と外交のある大使閣下がそれぞれお訪ねをいただきました。また、北朝鮮に、平壌にいらっしゃる何人かの大使も、休暇で日本へ来られることがあるんですね。そのときには必ず私をお訪ねいただいて、平壌の状況等をお聞かせいただいておりまして、私なんかも本当に幅広くお願いをしている現状です。

 また、議員各位におかれましても、それぞれ海外へ行かれましたときにぜひお口添えを賜りますよう、この機会にお願いいたします。

古屋(圭)委員 終わります。

中山委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 古屋筆頭の方から非常に緻密な御質問があった後でございますので、私の方からは極めて素朴な疑問という視点に立って質問させていただきます。私は時間が短いですから、できれば短目に御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。

 北朝鮮は、今非常に厳しい状況下に置かれているというふうに私は認識しております。国内は非常に混乱をしている。国際的に見ても、例えば七月の二十五日から四日間、八千人規模の大規模な共同訓練が行われましたね。日本もこれにオブザーバーで参加をいたしております。

 そしてまた、北朝鮮の中には体制の動揺が広がっている、これはわかりませんけれども、そういう報道がたびたびなされております。金正日の時代を終わらせようというふうに書かれたビラがまかれたりとか、紙幣に反体制の言葉が書かれてばらまかれたりとか、報道ですけれども、そういったことを聞き及んでおります。

 これが事実ということでありますれば、これは政府内部に、特に軍それから工作機関が北朝鮮では力を持っておるわけでしょう、ここに反金正日の動きが非常に先鋭化してきた、いよいよこの体制の崩壊のときが近いんじゃないかというようなことを、私は素人ですけれども、感じるわけでございます。

 そういった非常に北朝鮮がぐらついているこのタイミングの中で、今回、この金元死刑囚の来日が実現したわけであります。非常に国民の期待を集めた、注目を集めたことは間違いないことであります。家族会の皆様方がこのことを希望されたことも承知しています。お年を召されて時間がない、わらにもすがる気持ちでそういうお気持ちになったんだろうと私は思いますよ。その気持ちは理解をいたします。

 しかし、今回、日本国が特例をもってこの元死刑囚を日本に来日させたこと、これがプラスであったのかマイナスであったのか、これは非常に判断が難しいというふうに私は思っております。日本国民がこのことをどのように受けとめたのか。税金も使っているわけですから、私は、これも極めて大事な視点で、忘れてはならないことだというふうに思っています。

 このことについては、いろいろな方と意見交換もしましたし、それからネット上でもいろいろな意見が飛び交っておりますけれども、これを見る限りにおいては、大臣には大変申しわけないんですが、好意的な評価はほとんど見られないですね。特にその待遇の仕方、この厚遇ぶりについては非常に批判が集まっているということは私は事実だろうと思います。

 しかし、私は政治家ですから、国が果たすべき役割、いわゆる国家の主権にかかわる問題、拉致をされて、放置をして、いつまでも我々は解決できない、このことは絶対やらなきゃいけない問題ですから、このことについて大臣と協力してやっていくという気持ちは古屋筆頭と同じでございます。

 しかし、外交がいかに困難であるといえども、秘匿性の高い部分があるといえども、ましてや北朝鮮のように、独裁国家で、しかも核まで保有している国ということであれば、いかに難しいことかは理解をいたしますけれども、韓国の方に目を転じますと、百十五人もの方が命をなくして、そして怨嗟の対象であるということは私は変わりのない事実だろうというふうに思います。

 そして、日本国におきましては、いまだに蜂谷真由美という日本人偽名パスポートを使用した容疑者のままじゃありませんか。日本ではまだ容疑者なんですよ。そういった人をこうやって厚遇した。先ほど古屋筆頭の方から、弱腰だ、弱腰に転じたんだと。今まで対話と圧力、圧力という部分に我々は力点を置いてやっていこうということでやってまいりましたけれども、弱腰になったんじゃないかという批判を受けても仕方がないんじゃないかと私は思います。

 前に古屋筆頭から、この金賢姫元死刑囚を日本に呼ぶ、そういう話をお聞きいたしました。そのときに私が聞いたのは、この委員会に参考人として招致をして、この場で直接問いただすのだ、そういう場を設けるのだというお話でした。そのときは、私は画期的だと思いましたよ。我々国会議員が、拉致家族の方々のお気持ちも体して、国権の最高機関である国会で、そしてこの委員会で金賢姫元死刑囚に直接質問ができる。それですべてが明らかになるとは思いませんけれども、これは非常に意義深いことだというふうに思って、筆頭、それはすばらしいですね、ぜひ大臣と協力をして実現に御努力くださいと言ったことを私は覚えております。

 しかし、本日、ここに金賢姫さんのお姿はありません。そして、先ほど筆頭からも御指摘がありましたけれども、せめて公式な記者会見をして、御自身の言葉を日本国民に伝えるべきでありましたけれども、それもなされなかった。私は非常に失望をしているわけであります。

 国賓並みと言われるような待遇をしまして、先ほど、向こうからの要求でヘリコプターを使用し、そして鳩山前総理大臣の別荘で家族の方々と歓談をして、帝国ホテルで夕食会まで催して、その結果、大臣、今後の拉致問題の解決に今までなかった新たな糸口をつかんだというふうに胸を張って御答弁ができますか。私はこのことに非常に興味があります。

 二十日の記者会見では、拉致問題解決の大きな前進ができるんだというふうにはっきりおっしゃっていらっしゃいますので、このことについてお答えをいただきたいと思います。

中井国務大臣 江藤先生の御質問を聞いていると、お父さんのことをいろいろと……(江藤委員「前回もそれをおっしゃいましたよ」と呼ぶ)やはり二回、三回、思い出します。この間宮崎へ行って、米沢隆君と会ってそんな話もしてまいりました。

 北朝鮮に対する分析、現状というお話は、私はそれの専門家ではありませんが、私は江藤先生の情報や分析はそのとおりなんだろう、こう考えています。

 しかし、崩壊が一気に来るかどうかというと、やはり中国というものの存在が大きい、そこも私どもはどういう方向へ行くのか注意深く見ていかなければならないと考えています。

 それから、たくさんの御質問、おしかりでございましたが、彼女の今回の訪日実現は、弱腰になったというおしかりには全く当てはまらない、韓国政府と一体となって対北に当たるという大きな成果だ、こう考えておりまして、北に対して何ら弱腰な姿勢に転じているわけではございません。

 私はもともと圧力強硬論者でございまして、これはもう御承知のとおりでございます。しかし、どんなチャンネルでも、いつでも話し合うとか、あるいは相談をするというようなことは逃さない、こう申し上げているところでございます。

 なお、国賓級とか国賓並みとか、今先生は国賓並みと言われましたが、それはどういうことを指されて言われるのか、よく私にはわかりませんが、韓国側の警備上の厳しい御要請、そしてこれを受けた日本の警備陣の立派な働きがあったと私は考えています。

 なお、軽井沢を選び、鳩山元首相の別荘をお願いいたしました。鳩山元総理はかなり逡巡されました。しかし、私は、軽井沢方面で民間の別荘をお持ちの方を不幸にして余り知りませんので、御無理を言いました。

 ホテルをどうしてとらなかったかといいますと、ちょうどあの時期でありますから、夏休み直前、連休後……(発言する者あり)

中山委員長 簡潔な答弁をお願いします。

中井国務大臣 はい。

 ほとんどのホテルは申しわけないという話であったということも事実でございます。

 それから、帝国ホテルでの夕食会には、中山委員長以下数人の国会議員にもお出かけをいただきましたが、そんな豪華な食事でなかったのは委員長が御存じのとおりであります。

江藤委員 十五分しかないので、簡略にお願いしたのでありますけれども、本当にあと三分ぐらいしかなくなってしまいました。

 それでは、ずっとはしょりにはしょって、外務副大臣、申しわけありません。もうお聞きすることができませんので、お許しをいただきたいと思います。

 私は素朴な質問をすると言いました。私の素朴な疑問、その一つは、今回のことが北朝鮮のいわゆる内部の人間たちの態度を硬化させることがないのかなと、あんなに厚遇して。だって元死刑囚は、北朝鮮にとっては完全に体制に対する裏切り者じゃないですか。国を売った人間ですよ。それを歓待した日本、それに対してどういう感情を持つのか。今現在も拉致されている、御家族の皆さん方は非常に厳しい、苦しい生活をされていらっしゃると思います。そういう方々の待遇が例えば悪くなるとか、そういったことがないのかどうか。これは私の杞憂かもしれませんけれども、私は素朴に心配をいたします。

 それでは、最後の質問となりますので、三つまとめてお聞きをいたします。

 特定失踪者問題調査会の荒木さん、帝国ホテルまで行かれましたですよね、名簿を持って。ずっと立っている姿をテレビで私も見ました。しかし、裏口から出られたのか、どこから帰られたのか知りませんけれども、名簿を受け取ることもなく大臣は会場を後にされた。どうして受け取らなかったんですか。受け取るぐらいして、せっかく日本まで呼んだのだから、その人たちの写真も私はぜひ元死刑囚には見てもらいたかった。どうして受け取らなかったのか。

 それから、先ほども筆頭からお話がありましたが、この費用、国民の理解というのは必要ですよ。民意を一番大事にするのが今までの民主党じゃないですか。民意、直近の民意という話をよくされていました。ですから、私は、この費用についてはきちっと国民に説明責任として早目にしていただきたい。

 それから、一部報道では謝礼金が払われたのじゃないかという報道もありました。私はないと信じますが、この公式の場で大臣に御答弁を求めます。

中井国務大臣 謝礼は払っておりません。費用の点につきましては、先ほど古屋先生にお答えしたとおりでございます。

 特定失踪者調査会の荒木君につきましては、家族会との面談だけという約束の席に、私はあえて救う会の西岡会長にお出ましをいただきました。政治家には一切会いたくないんだと実は韓国側のお話もありましたが、あえて私は拉致議連の会長と衆参、参議院の方は前でありますが、特別委員会の委員長にだけお越しをいただいたわけでございます。したがって、荒木さんを呼ぶつもりはなかったわけであります。彼は非常にそのことを不愉快であったのか知りませんが、突如、会食の席の隣まで押しかけてきたということは聞きました。

 名簿や写真を受け取らないのはなぜだ、そんなものは私どもはちゃんと持っております。そんなものも持たずに拉致対策室だなんということをやっているわけはありません。その写真を、家族会の増元さんがおられますが、あの大きなポスターになっている写真を増元さんが代表でお見せいただいた席に私はおりました。

 私自身がどういう写真を見せたか見せないかは、残念ながらお答えを控えさせていただきます。

中山委員長 江藤拓君、時間は終わっていますので。

江藤委員 はい。簡略にやります。

 大臣、そんなものという言い方はないじゃないですか。たとえ持っていても、政治家がその場で受け取ってもらうということは私は意味があったと。(中井国務大臣「何の意味があるの」と呼ぶ)だから、私は素朴な質問をすると申し上げたじゃないですか。

 先ほど古屋筆頭から御質問がありましたけれども……

中山委員長 江藤君、時間が過ぎていますから。

江藤委員 自民党の時代よりも明らかに対話と圧力の路線から後退しています。もう一度、党内でも、そして我々とも協議の場を持ってもらって……

中山委員長 時間です、江藤君。

江藤委員 この拉致問題が解決できるように御努力いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

中山委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 私は先ほどまで財務金融委員会で質問をしておりましたので、最初の部分は出ておらなかったものですから、質問が若干重複する場面があるかもわかりませんが、御容赦を賜りたいと思います。

 改めまして、今回の金賢姫元北朝鮮工作員の訪日の目的、並びにどのような情報が明らかにされたのか。そして、これによって、今後の拉致問題の解決を図るためにどのような展望を持っておられるか。中井大臣の御意見を伺いたいと思います。

中井国務大臣 成果として私が先ほど申し上げましたことは、飯塚、横田御両家にお会いいただいて、そして、田口八重子さん、横田めぐみさんが生きている、元気でいるという確証をお二人の御家族がお持ちいただいた、このことが一番の成果だろうと。

 二つ目は、少し関心が薄れているやに思える国内で、今回の大きな報道のおかげをもちまして、拉致問題ということはどういうことか、また北朝鮮という国は二十数年前どういうことをやったか、あるいは三十年前から日本人を拉致してどういうことをしてきたかということを改めて御認識をいただいたということ。

 三つ目は、こういう人道、人権上許されざる問題に関して、日本と韓国一体となって取り組んでいくんだ、こういう姿勢を強く世界に発信できたことだと思っています。

 それから、これも先ほどお答えしましたので重ねてでありますが、当時、ベトナムで行われました会合で、北朝鮮のスポークスマンをしている人が、日本の新聞社あるいはテレビ局の質問に対して、彼女は国を裏切り、親を裏切った女だ、答えたくないと言ったというニュースが飛び込んでまいりました。私は金賢姫氏にこのことを会食の席で伝えて、私も含めてみんなで、二十三年目に北朝鮮は初めて金賢姫氏の存在を認めたと。

 先ほど江藤先生の御質問に少しありましたが、北は今日まで金賢姫氏なんというのは存在しない、にせだ、大韓航空機爆破事件はでっち上げだ、こういったことを言い続けてきたわけでございます。今日初めて彼女の存在を認めた、思いもかけない効果だった。このことを含めて、今注目をしているところであります。

竹内委員 以上三点、よくわかりました。

 それで、事実確認なんですが、今回、金賢姫元工作員から情報を得るということが一番最大の目的であったと思うんですが、これには警察関係者は同行、同席されたんでしょうか。この点をまずお聞きしたいと思います。

中井国務大臣 拉致対策室から派遣をしました世話役がついており、また、通訳も拉致対策室の者が務めたわけでございます。その中に警察関係者がいたことはおりましたが、警察がどういう形で接触したかどうかについては申し上げられない、先ほど、こういう局長の答弁でございました。お許しを賜りたいと思います。

竹内委員 事情聴取をしたかどうかも含めてお答えできない、こういうことだろうと思います。その点につきまして我々は関心を持っているということを申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほどから質問が出ておりましたので、私どもは指摘だけしておきたいと思います。

 ヘリコプターのチャーターによる東京上空遊覧のこと、軽井沢の鳩山前首相所有別荘を使用した件、それから、今回の訪日に要した経費等、こういう問題につきましては、先ほどの質問者と同様の感想を持っているということだけを述べておきたいと思います。

 先ほどの御答弁では、特に経費については調査をするというようなことを大臣は明らかにおっしゃっていたというふうに私は思ったんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

中井国務大臣 まだ、これはこれからの精算でございますので、少し時間はかかります。

 これを、こういう仕事柄でございますから、できたら公表ということは御寛容をいただきたいんですが、委員長が、理事の皆さんと御相談の上、結果次第、トータルぐらいは言えということであるならば、この委員会に出させていただくということは先ほど申し上げました。

竹内委員 それでは、ぜひとも御協議をいただきたいというふうに思います。

 それで、私も先ほどの江藤委員と同じ質問を用意しておりました。荒木代表の要請を断った理由は何だったのかということでございましたが、これは今お話がありましたので、繰り返しは、質問いたしません。

 次に、私が思っておりますのは、このたびの訪日で、金元工作員は、田口八重子さん、横田めぐみさん以外の拉致被害者を北朝鮮で見かけたことを証言している。現在、政府が北朝鮮による拉致と認定し、安否不明の方が十二名いらっしゃるわけですね。そのほかにも、例えば特定失踪者などの中から、拉致された可能性が高い人々を新たに認定する意向はあるのかどうか、この点につきまして御答弁を賜りたいと思います。

中井国務大臣 一つは、韓国における警察を含めた日本側のいろいろな調査において、彼女がしゃべった中には田口八重子さん、横田めぐみさん以外の方が含まれているわけではないと承知をいたしております。

 ただ、写真でどうだというような話や、こういう話を聞いたということは前々から伝えられておりますが、警察においては、個々の、この被害者だと特定できた方については、御家族にこういう話があったと、過去、お伝えになったと聞いております。

 それから、お尋ねの特定失踪者と言われる人たちの調査については、情報収集を含めて、また、寄ってきた情報を追跡、分析することを必死で行っておりまして、何人かの有力な情報が寄せられてはいますが、確認をして、認定をしていくというようなところまでは到底いっていない、こういう状況にあるとあえて申し上げたいと思います。

竹内委員 それでは、救う会の皆様が主催されました七月三十一日土曜日の面会報告会がありました。その中で、金賢姫元工作員が、田口八重子さんは平壌にいると田口八重子さんの兄、本間勝さんにささやいたと報告されているわけでございますが、これは事実なのかどうか。そのようなことをしゃべったのかどうか。また、平壌にいる可能性を政府としてはどのように分析しているか。

中井国務大臣 そういうことを本間さんが報告会でお話しなさった、あるいはまた、何人かの方が少し踏み込んで金賢姫氏の話を皆さんに報告されたということは聞いておりますが、私の口から、それは私が直接聞いておりませんので、どうだこうだというお答えは御遠慮申し上げたい、お許しをいただきたい、このように思っております。

 同時に、田口八重子さんが元気で二〇〇三年までいたという情報が私どもに、平壌で住んでおられたという情報があったことは事実でございます。それは、韓国のマスコミで今元気でいて住所もわかるんだというような報道がされたことに対して、日本政府は認知しているかということのお答えでありましたので、あえて現在認知しているぎりぎりのところを申し上げた次第でございます。

 私どもがほぼ確認を終わっておる情報はそういう状況でございます。金賢姫氏の話を確認したわけではまだございません。

竹内委員 ということは、田口八重子さんの、その発言はあったけれども、その発言に基づいて、本当に平壌にいるかどうかを確認まではできていない、こういう理解でよろしいですか。

中井国務大臣 話があったかどうかは私は余り言える立場ではありません。そこに私が立ち会ったわけではありません。

 しかし、お話をもとに、先ほど申しましたように、追跡、分析、調査、こう言っておりますので、いろいろなことを、調査方をお願いしなければなりません。彼女の話を疑っているわけでは全然ありませんが、彼女も二十三年前に北におったわけでございます。現在の話をどういうルートでお聞きになったかということはわかりませんし、どうしてそういうことをしゃべられたか、私どもの想像以上に情報をお持ちなのかというようなことも含めて、分析をしていかなきゃならないと考えています。

竹内委員 どういう状況であるかはわかりました。

 それで、これは外務省に聞きたいんですけれども、北朝鮮は拉致被害者の再調査の約束を実行しないまま、日朝間協議は二年近くも進展がないわけでございます。その理由は何なのか、また、これをどう打開するのか、これをまずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、鷲尾委員長代理着席〕

西村大臣政務官 お答えいたします。

 北朝鮮は、二〇〇八年八月の日朝協議におきまして、拉致問題についての調査のやり直しに合意をいたしました。ですが、その年の九月に、福田元総理の辞任発表を受けまして、北朝鮮側から、新政権が実務者協議の合意事項にどう対応するかを見きわめるまで調査開始は見合わせることにしたという連絡がありました。北朝鮮は閉鎖的な体制をとっておりますし、北朝鮮側の意図を云々するということは適切ではないと思いますけれども、現在、言ってみれば、ボールは北朝鮮側にあるというふうに私たちは認識しております。

 我が国としては、調査のやり直しが早期に開始されて、生存者の帰国につながるような成果が早期に得られるように、引き続き北朝鮮側に強く求めていく考えでありますし、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の一日も早い解決に向けて、具体的行動を北朝鮮側から引き出すべく、引き続き関係国と国際社会と連携して、最大限努力していきたいと考えております。

 いずれにしても、すべての拉致被害者の生還を実現すべく、考え得るあらゆる方策を使い、一日も早い解決を目指してまいります。

竹内委員 こんな報道があるんですね。

 今回の金賢姫の訪日に関して外務省のある幹部が、新事実が出ない限り前進は難しい、こういう報道が出ておるわけでございまして、私はけしからぬことだと思うんですね。ボールが向こうにあるんだったら、やはりどんどん要求して、これは中井大臣の話じゃないですよ、外務大臣なり総理大臣が先頭を切ってやらないといけない話だと私は思うんです。

 ですから、これは要求すればいいわけで、日朝協議の再開呼びかけをこの二年間で一体何回やったのか、これを私は聞きたいと思うんです。この点はいかがですか。どういうふうにして、どのぐらいの頻度で呼びかけているのか。

西村大臣政務官 申しわけございませんが、通告がございませんでしたので、今答弁の用意はございません。

竹内委員 細かい数字をよこせとか、そういうことは通告していませんけれども、しかし、担当なんですから、大事な拉致問題対策委員会なんですから、どんな質問が出ようが答えられるぐらい、外務省は常にその準備をしっかりしておいてもらいたいと思うんですね。

 やはり外務大臣に私は委員会にもっと出てきていただきたいと思いますし、日朝協議が始まらないと進まないわけですから、そういう意味で、日朝協議再開に向けての努力を強く要求したい、このように思います。

 ほかにもまだまだ通告していた問題がございますけれども、まだ時間がありそうですので、最後に一題だけ申し上げておきます。

 外務省にお尋ねいたしますが、やはり何といっても北朝鮮情勢がどうかということが一番大事だというふうに思います。

 九月上旬に、後継体制構築の布石とされる四十四年ぶりの党代表者会を開くと言われております。その目的は何か、そして今後、これがどのような展開に発展するのか、この点につきまして外務省の認識を問いたいと思います。

    〔鷲尾委員長代理退席、委員長着席〕

西村大臣政務官 北朝鮮が本年六月に朝鮮労働党中央委員会政治局決定書を通じて、朝鮮労働党最高指導機関選挙のための朝鮮労働党代表者会を本年九月上旬に招集するということを決定した旨は発表されております。

 その党代表者会の目的等についてのお尋ねかと思いますけれども、さまざまな情報には接しておりますけれども、日本政府として、これについて予断を持って申し上げることは困難でございます。

 政府としては、今後とも、各国との情報交換や脱北者を含む関係者から話を聴取することを通じて、北朝鮮内部の状況に関する情報の収集に取り組んでいきたいと考えております。

竹内委員 いずれにいたしましても、この問題解決のためには、やはり実務部隊としては外務省が一番大事だというふうに私は思っておりますし、しっかりとやっていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

中山委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 もう既に、共通のテーマということで、各委員からも質問があったので、私は別の角度から幾つか伺っていきたいと思います。

 まず、外務省に伺いたいんですが、国連安保理が、先月、七月の九日に韓国の哨戒艦沈没事件に関する議長声明を全会一致で採択いたしました。声明は、哨戒艦沈没を攻撃として遺憾の意を表明する。そして、韓国主導の調査結果を踏まえて、深い懸念を表明する。その一方で、関与を否定する北朝鮮を含む関係国の主張に留意するということも明記をしていると思います。

 その上で、沈没に至った攻撃を非難するとして、再発防止の重要性を強調しているわけですが、日本政府はこの安保理の議長声明をどのように評価しているか、端的にお答えください。

武正副大臣 笠井委員にお答えいたします。

 七月九日の安保理での韓国哨戒艇沈没事件、天安号ですが、に関する議長声明を発出したことを政府としては歓迎しております。

 議長声明は、北朝鮮の攻撃に対する国際社会としての明確なメッセージを発出できたと考えております。

 哨戒艦に対する北朝鮮の攻撃は、地域、国際の平和と安定の観点から許されない行為であり、我が国として韓国を強く支持するとの立場から、安保理として明確なメッセージを発出すべく、特に日米韓といったこの三カ国を含めまして、あらゆるレベルで外交努力を重ねてまいりました。

 我が国としては、北朝鮮がこの国際社会の一致したメッセージを真剣に受けとめ、さらに情勢を悪化させるような行為をとらないよう強く求め、引き続き韓国及び米国を初めとする関係各国と緊密に連携していく考えでございます。

笠井委員 今お答えがあったこととダブるところがあると思うんですが、今回の議長声明について、クリントン米国務長官は、その日に声明を発表して、国際社会の団結を示したということを評価したと思います。そして、事件に対する国際的な対応を果たしたとの立場を表明している。そして、韓国の外交通商相も、米国と同様に、議長声明は北朝鮮への国際社会の一致した対応だということで歓迎したということなんです。

 先ほどもお答えがあって、もう一回、その辺のところでちょっとポイント的に伺いたいんですが、日本政府としてのそういう認識について、アメリカ、韓国はあったわけですが、改めてその点について伺いたいんですが、どうでしょうか。

武正副大臣 先ほども触れましたが、今回のニューヨークでの議長声明発出に至る過程で、国際社会が一致してそうした議長声明発出に取り組んだところ、それについても評価をするところでありまして、今のクリントン国務長官のメッセージあるいは韓国政府のメッセージ、これについては、日本政府も同様に、こうした国際社会としての一致した協力、そして北朝鮮に対する明確なメッセージを発出できたと評価をしております。

    〔委員長退席、鷲尾委員長代理着席〕

笠井委員 声明はまた、関係国間に速やかな直接対話や適切な窓口を通じた交渉の再開を呼びかけて、朝鮮半島の懸案を平和的手段で解決するように促すというふうにしておりますが、日本政府は、こうした議長声明の呼びかけに対して、今後どのようにこたえていくというふうに今されているんでしょうか。

武正副大臣 今回の事件に係る議長声明が、それぞれ、紛争を回避し、また、今委員からもそれぞれ指摘がありましたような議長声明ということになっております。また、紛争を回避し、及び深刻化を避けるため、朝鮮戦争休戦協定の完全な遵守を要請し、また、可能な限り早期に適切な経路を通じた直接の対話と交渉を再開するために、朝鮮半島の未解決の問題の平和的手段による解決を慫慂する旨述べていることは御指摘のとおりでございます。

 同時に、議長声明は、この事件が地域及び地域外の平和と安全を危険にさらすと認定し、責任者に対して適切かつ平和的な措置がとられることを要請しております。天安号の沈没は北朝鮮に責任があるとの結論を出した軍民合同調査団の調査結果にかんがみ、安全保障理事会として深い懸念を表明しておりまして、さらに、同議長声明は、天安号の沈没をもたらした攻撃を非難し、韓国に対する、または地域におけるさらなるそのような攻撃または敵対行為を防止することの重要性を強調しております。

 現在必要なことは、北朝鮮が安保理議長声明を真剣に受けとめ、挑発的な行動をとらず、未解決の問題の解決に向けた前向きな姿勢を示すこと。我が国としては、北朝鮮が諸問題の解決に向け、今般の安保理議長声明や累次の国連安保理決議を着実に履行するよう、引き続き米国及び韓国といった関係国と緊密に連携して、取り組んでいくこと。

 日朝関係については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図る方針でありまして、諸懸案の一日も早い解決に向け、具体的行動を北朝鮮から引き出すべく、引き続き関係国と連携して、最大限努力をしていく所存でございます。

笠井委員 最後に、時間も迫ってまいりましたので、武正副大臣と中井大臣に端的に伺っておきたいんですが、この国連安保理の議長声明については、先月、七月の二十三日にハノイで開かれたASEANの地域フォーラム、ARFの議長声明でも支持が表明をされて、関係国の平和的手段による問題の解決と六カ国協議の再開を求めております。

 こうした国際社会の要請を受けて、六カ国協議を初めとする北朝鮮との対話再開というのも大事な問題になってくると思うんですが、日本政府としてどのような戦略で臨むおつもりか、端的にそれぞれ伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

武正副大臣 六者会合につきましては、北朝鮮をめぐる諸懸案を解決するために最も現実的な枠組みであることには変わりありません。引き続き、北朝鮮による二〇〇五年九月の共同声明の完全な実施に向けて取り組む必要があります。

 しかし、今回の韓国哨戒艦沈没事件への北朝鮮の関与が明らかになった以上、何事もなかったかのように六者会合を行うことにはなりません。

 いずれにせよ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の一日も早い解決に向け、具体的な行動を北朝鮮から引き出すべく、引き続き関係国と連携して、最大限努力をしてまいります。

    〔鷲尾委員長代理退席、委員長着席〕

中井国務大臣 四月の終わりでしたが、僕が韓国へお邪魔いたしていましたときに、哨戒艦の、御葬儀がございまして、参列をいたしてまいりました。その後、韓国の中間選挙、そして、今お話しのような国連での決議等々、国際社会は強い憤りを持ちながら、極めて冷静に話し合いを呼びかけているんだと考えております。

 金賢姫氏の来日がこういうスケジュールであったということも、非常にデリケートな韓国側の思いもあった、僕はこう拝察して、この日程を受け入れたところでもございます。

 私個人は、北のこういう、大韓航空機爆破事件に引き続いた許しがたいような行動、断固やはり国際社会は非難すると同時に、こういうことを起こさない国で安定的に存在するためには周辺の国がどうすべきか。これは本当に、長期的なことも含め、短期的なことを含め、韓国、アメリカ、日本、また中国とも十分な連携のもとに行動しなければならないんだろうと思っております。

 しかし、私個人は拉致の解決が最優先でございますので、どんな状況にあろうと拉致問題の解決を訴えて、いろいろな国にも含めて働きかけを強めていきたいと考えています。

笠井委員 時間になりましたので終わりますが、今回の議長声明を受けて日本政府としてどうするかというのが、やはり包括的解決等にとっても大事なことになってくると思います。

 クリントン米国務長官は記者会見の中で、北朝鮮にドアは開かれている、北朝鮮が後戻りできない非核化の約束に戻るなら、関係正常化と経済援助に向けた交渉をするつもりだということも言ったりもしている。

 やはり民主党政権としても主体的な外交戦略をぜひ持っていただいて、事態の前向きの打開に向けて努力することを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

中山委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 金賢姫元死刑囚の来日の問題についてお尋ねいたしますが、これまでほとんど質問されておりますので、重複を避けて何点か質問させていただきたいと思います。

 大韓航空機爆破事件の実行犯として、金賢姫元死刑囚が今回来日をしました。元死刑囚は、爆破事件を起こし、なおかつ日本人名義の偽装旅券を使った容疑者でもあります。本来ならば上陸拒否の対象者であります。

 千葉法務大臣の記者会見などによりますと、今回、出入国管理及び難民認定法の第五条の二、すなわち上陸の拒否の特例に沿って入国を認めたということだと思いますが、上陸の拒否の特例として入国を認めた理由について、簡潔に、政務三役、お答え願いたいと思います。

    〔委員長退席、鷲尾委員長代理着席〕

中村大臣政務官 金賢姫氏については、北朝鮮当局による拉致被害に関する政府の対応として重要な意義を認め、中井拉致問題担当大臣が招聘者となり招聘したものと承知をしております。そうした事情を総合的に勘案し、同氏の上陸を拒否しないとの結論に至ったものでございます。

中島(隆)委員 上陸の拒否の特例を認めるのは法務大臣でありますけれども、政府で、どのようなケースで入国を認められるのか、あるいは、どのようなケースでは入国が認められないのか、これはある程度の基準が必要ではないかというふうに思います。ケースごとに国民へ丁寧な説明が必要であると思いますが、今回の場合は元死刑囚の訪日ありきで、国民への説明という点ではやはり不十分であったと言わざるを得ません。この点については指摘しておきたいと思います。

 次に、金賢姫元死刑囚の滞在の評価についてでありますが、これまでも多くの委員からも申されました。中井大臣は七月二十七日の記者会見で、百点満点で百二十点ぐらいの評価だ、こういう報道をお聞きいたしました。非常に高い評価を下されているわけでありますが、確かに、あの横田めぐみさんの御両親を初め拉致被害者の家族の皆さん方、一様に勇気づけられたという評価はされております。しかし、他の拉致被害者や特定失踪者に関する新たな情報等については、全く今回は情報として得られておりません。

 そういう面では、この評価をもう一度改めてお聞きしたいと思います。

中井国務大臣 私は、あちこちでわきが甘いとか言われておりまして、自分に点数をつけるのは甘かったかどうか、御批判に任せます。

 本当に、八カ月余り、拉致対策室を挙げて、また関係各省庁を挙げて、そして韓国政府、本当に大変な御苦労の中で実行できたことでありまして、その結果、いろいろな御批判は承ってきましたが、これはすべて私の思慮不足のせいかと反省もいたしております。

 しかし、問題は、おっしゃる成果について、私は、大変大きな成果を得た、これをどう生かしていくかということ、どう分析、調査、追跡するかということを含めて、今、各方面にお願いをいたしているところでございます。

 横田さん含め家族の会の皆さん方といろいろな行事でお目にかかり、また、こういう担当になりましてからも幾たびも御面談をさせていただきましたが、横田さん御夫妻の、あのほっとしたような、また元気でやるんだというお話を聞いて、これほどうれしいことはなかったというのも率直な感想でございます。

    〔鷲尾委員長代理退席、委員長着席〕

中島(隆)委員 今、大臣が申されましたように、今度の金賢姫の訪日の総括と、今後この解決に向けてのプロセスをどのように生かしていくのか、これは非常に重要だと思いますので、十分解明に努力をしていただきたいと思います。

 それから、先ほども質問がございましたが、今回の記者会見の問題について、当然、韓国の方からの強い、記者会見をとめる、やらない、こういうことでやられなかったということでありますが、しかし、テレビ局二社だけインタビューを行われた、この経緯についてお尋ねいたします。

中井国務大臣 他の議員の御質問のときに十分お答えできず恐縮でありますが、少し先生の御質問をおかりしてお答えいたしますと、中山委員長からは、数日前に、委員会に呼ぶことができないのかという強いお申し入れがあったことも事実でございます。私は、そのときには、来るとも来ないとも言えない立場でありまして、大変御無礼な答弁を申し上げました。

 本当に、公の場で話をしていただくということは、国民の間に関心を呼び起こし理解を深める大きな効果があると私自身は思っています。しかし、韓国における彼女の立場、韓国政府があえて日本へ出した立場等を考えますと、当然、全マスコミ相手の記者会見ということが実行できる、これは私どももあきらめざるを得なかったわけでございます。しかし、彼女の滞在中にも、マスコミ代表からは強いお申し入れがありましたが、事情を申し上げてお断りをいたしました。

 なお、最終日、二社に一時間程度のインタビューがあったようでございます。あえて申し上げますが、日本の全マスコミといってもいい各社はすべて、韓国や金賢姫氏の近辺に、日本へ来たら自分のところだけ独占させろと申し込みをされておったのは間違いありません。その中から二社をどういう形で、どういう経過でお選びになったかは、私の関与することではありません。これは向こうで、韓国側の御判断でお決めになったことと私は承知いたしております。

中島(隆)委員 今の記者会見の経過も含めてそうですが、今回、この金賢姫の訪日を計画した日本政府として、これだけ大々的な予算を組み、そして拉致被害者家族の方々の期待もあったでしょうけれども、国民全体も、これだけ大々的に金をかけて招致をしたわけですから、記者会見をして、やはり国民に明らかにする、こういう手だてが必要ではなかったかというふうに思っております。この点については、一つ指摘をしておきたいと思います。

 最後になりますが、丹羽宇一郎元伊藤忠商事社長が、民間人として初めて駐中国大使に就任されました。中国との関係は非常に重要なわけですが、民間人としてどのような手腕を発揮されるか私も今後期待をしているわけですが、この丹羽大使が、通信社のインタビューで、北朝鮮をめぐる問題についてお答えをされております。その中で、いたずらに罰則を加えることで本当に平和と安定を維持できるのかと、制裁一辺倒に傾斜することには疑問を呈しておられます。対話の再開や対話を重要視する考えを示されたと思っております。

 もちろん、北朝鮮による核、ミサイルあるいは拉致の問題は、理由のいかんを問わず、許されるべきものではありません。加えて、韓国の哨戒艦の沈没事件等もございますが、北朝鮮には、問題解決に向けて国際的なプレッシャーをかけなければならないというふうに思っております。

 他方、これから解決に当たっては、やはり対話、交渉の道を閉ざすべきではなく、国際社会との話し合いのテーブルに北朝鮮をいかに着けるか、この努力が必要ではないかというふうに思っております。

 その意味で、丹羽大使のインタビューも理解しているわけでありますが、先ほど来、対話と圧力というような問題がございましたが、大臣はこの丹羽大使の発言についてどうお考えか、お尋ねいたします。

中井国務大臣 大使の御発言があったということにつきましては、マスコミ報道を通じて承知いたしておりますが、発言の中身全体をまだ報告いただいているわけではございません。

 しかし、大使が赴任される前、わざわざ私のところをお訪ねいただきまして、小一時間にわたっていろいろな話し合いをいたしました。私も、拉致ということについてお願いすることは申し上げた次第でございます。また、韓国へ今回赴任されます日本大使につきましても、お訪ねをいただきました。これらは岡田さんの配慮であろうと考えておりまして、外務省、拉致対策室が密接に連携をとって対応していく、これからもこの路線を堅持していきたいと考えています。

 なお、中島先生も、旧社会党というか、社民党でいらっしゃいます。北朝鮮には格別のパイプの太い党だと承知をいたしておりますので、ぜひこの解決に向かってお助けをいただければ、これにまさる幸せはありません。

中山委員長 中島隆利君、時間ですので、簡潔にお願いします。

中島(隆)委員 先ほど来お話がありました拉致解決は、北朝鮮と日本との対話のきっかけ、あるいは、これをどう持つかということも大変重要です。しかし、やはり拉致の真相究明、被害者の帰国に向けた、ぜひひとつ北朝鮮に向けた働きかけを強めていただきたい。今ありましたように、私どもも、ぜひ党としても頑張っていきたいと思います。

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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