衆議院

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第3号 平成23年10月24日(月曜日)

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平成二十三年十月二十四日(月曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 中津川博郷君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 後藤 祐一君

   理事 柴橋 正直君 理事 谷田川 元君

   理事 山花 郁夫君 理事 江藤  拓君

   理事 古屋 圭司君 理事 竹内  譲君

      相原 史乃君    磯谷香代子君

      打越あかし君    櫛渕 万里君

      楠田 大蔵君    高野  守君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      野木  実君    向山 好一君

      村上 史好君    山岡 達丸君

      坂本 哲志君    高木  毅君

      竹本 直一君    永岡 桂子君

      笠井  亮君    中島 隆利君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     山岡 賢次君

   外務副大臣        山口  壯君

   国土交通副大臣      松原  仁君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  高宅  茂君

   政府参考人

   (公安調査庁調査第二部長)            坂井  隆君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     打越あかし君

  中野 寛成君     山岡 達丸君

  福田衣里子君     仁木 博文君

  向山 好一君     相原 史乃君

  小里 泰弘君     竹本 直一君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     向山 好一君

  打越あかし君     磯谷香代子君

  仁木 博文君     福田衣里子君

  山岡 達丸君     中野 寛成君

  竹本 直一君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     小野塚勝俊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

中津川委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長高宅茂君及び公安調査庁調査第二部長坂井隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中津川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中津川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。

 まず冒頭、昨日発生をいたしましたトルコの地震におきまして、報道ベースでは二百人以上の方々が命を落とされたということでございます。大変な親日国家でございますし、トルコの皆様の一日も早い救出、また亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしたいと思います。また、日本政府におきましては、東日本大震災で大変な御尽力をいただいておりますので、万難を排し、十分な対応をしていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 まず、きょうは、朝鮮学校の無償化問題につきまして重点的に質疑をさせていただきたいと思っております。

 ちょうど菅総理が辞任される直前に、審査凍結状態を解除ということで、当時、高木文部科学大臣が審査におよそ二カ月程度というお話がございました。ちょうど今、本日がちょうどその二カ月あたりというような、非常に重大な局面に来ておるという認識をいたしております。

 この問題は、確かに教育問題という側面ももちろんあるわけでございますが、ここは拉致特別委員会でございますので、国家としての意思の問題であると私は認識をしております。場合によっては間違ったメッセージへつながるおそれもあります。世界では人権問題に真剣に取り組んでいる国々、各国ある中で、我が国がどのような対応をしているのかということは世界各国が注目をしていると思っております。

 野田政権には正しい判断をしていただきたいという思いから、どうか従来の政府答弁にとらわれることなく、拉致事件解決に向けた国家の意思を示していただくよう御答弁をいただきたいと思っております。

 まず、その前に公安調査庁にお尋ねをいたします。

 朝鮮総連と朝鮮学校の関係、以前ほかの委員会で同じような質問、答弁がございましたが、御答弁ください。よろしくお願いします。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮総連は、朝鮮人学校の運営につきまして、朝鮮総連の指導のもと、総連の傘下団体であります教育会が責任を負っている旨、説明しております。したがいまして、その影響は朝鮮人学校の教育内容などに広く及んでいるものと承知しております。

長尾委員 ありがとうございます。

 教育内容、人事、財政に影響力を持つということで、以前の答弁と同じでございますが、加えて、朝鮮学校の生徒さんと朝鮮総連との関係について、よろしくお願いします。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの朝鮮人学校のうち、朝鮮大学校の学生及び朝鮮高級学校の生徒につきましては、朝鮮総連の傘下団体であります在日本朝鮮青年同盟に加盟し、当該団体の各種活動に参加しているものと承知しています。

長尾委員 在日朝鮮青年同盟のいわば政治的活動に参加されているというような状況認識をまず押さえさせていただきたいと思っております。これは従来からということでございますが。

 続いて、文科省にお尋ねしたいんですが、こういう状況下で、都道府県、市町村から朝鮮学校に従来補助金が出されているということについて、認識をしていらっしゃいますね。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 御指摘の都道府県並びに市町村からの補助金ということでありますけれども、認識をいたしております。

長尾委員 文科省が調べたものと民間で調査したものと両方あるんですが、民間の方で、都道府県の順位は、大阪府が二億二千百四十四万円、兵庫県が一億八千八百十六万、東京都が一億一千三百八十二万、神奈川県が八千八百五十万と、全国で、都道府県から、わかっているだけでも総額八億一千五百二十八万に達した。

 ちなみに大阪の場合は、大阪市で二千七百万を市内校に交付、東大阪では五百四十万を交付。わかっているだけで、十二市一町から三千六百三十三万六千円が補助金として支払われた。これはわかっているだけでということでございますので、文科省の方では額までなかなか調べ切れていないという部分があろうかと思いますが、これは御答弁は結構ですが、ぜひそういったことも状況把握していただければなと思っております。

 加えて、差し押さえ問題。つまり、私が記憶しているところですと、豊明、北九州、あとは、直近であったのは三重県の四日市市の方で、朝鮮学校の土地と建物を担保に、朝鮮総連の関連企業が資金を引き出したまま返済されずに不良債権化しているという事案が存在をいたしております。

 よって、二十三年度の数値なんですが、今まで支払われていた補助金、交付金につきまして、非常に多くの都道府県の中でこれを検討しようという動きがございます。例えば、北海道、千葉県、東京都、これは文科省の資料をいただいているんですが、三重県、京都府、大阪府、広島県は方針を検討中というような状況になっております。

 文科省は、この補助金をめぐる動きについてどのような御所見をお持ちでしょうか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今御指摘いただいた七つの都道府県につきましては、現在検討中であるというところについては御承知おきのとおりかというふうに存じておりまして、そのように承知をいたしております。

 その上ででありますけれども、その都道府県に関しては今後方針を決定するというふうに聞いておりますが、そうした一つ一つの各種学校について、特に朝鮮学校も含めてになりますが、補助金を支出するかどうかというのは各自治体の判断にゆだねられているというのがルールというか、制度であると。補助金を支出している場合には、当然のことながら、各自治体で毎年度、当該補助金が適正に処理されているかどうかというのをきちんと審査をされているものというふうに理解をいたしております。

長尾委員 適正に処理されているものという御認識ということでありますが、文科省におかれましては、ぜひこの都道府県、地方公共団体も、教育上の観点からということで、従来継続しているものの一連の流れも含め、後ほどお話ししますが、検討し始めているという現実を見た上で、どうか次の質問に御答弁をいただければというふうに思っております。

 何度も出てきておりますが、朝鮮学校で使用されている教材の内容に関して、歴史的事実と大きく相違する内容について記述が確認されていることについての御所見をよろしくお願いします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 朝鮮高級学校におきまして、我が国や国際社会における一般的認識及び政府見解と異なる教育が一部行われていることについては大変遺憾に思っており、現在行っているこのたびの審査におきましても、その点を含めて慎重に確認を行っているところでございます。

 主たる教材の記述など、各教科の具体的な教育内容につきましての懸念される実態について、留意すべき事項として自主的な改善を強く促してまいるというところが基本でございますけれども、議員の御指摘も踏まえながら、それを含めた、行政の権限でできるできる限りの手だてを尽くすということで対応させていただきたいというふうに考えております。

長尾委員 もう一度教科書の内容についてしっかりと押さえさせていただきたいと思いますが、政府見解と大きく異なる部分については、まさにここに資料を、きょうはお配りいたしておりませんが、「日本当局は「拉致問題」を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的にくり広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった。」と記述があります。これを読む生徒さんは気の毒です。

 生徒さんには、国籍を問わず、平等に正しい教育を受けていただきたい。確かに文部科学省のスタンスは私も十分理解をすることができますが、どうか、今の御答弁にありましたように、慎重に確認作業、また記述内容について懸念される実態についてはくれぐれも留意すべき事項として自主的な改善。ただ、自主的な改善を強く促してまいる所存ということでは、私冒頭申し上げたように、過去の政府答弁にとらわれていらっしゃる。拉致問題が長期化し過ぎ、論点が少しずつふえてきておりますので、どうか文科省におかれましては、しっかりとした対応、結論を出していただきますよう強くお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 高校無償化というのは高校に支払われるものではなく、子ども手当と同じように生徒さんに支給をするという部分で、その理念を尊重することは当然であります。しかし、朝鮮学校、総連、また先ほど公安調査庁の方からお話がありましたように、政治運動に、自動的にというか、駆り立てられているという現状の中では、生徒さんを守るという部分においても、無償化の支給というものは本当に教育に使われていくんだろうか、あるいは今までの補助金も教育に使われていたんだろうかというような、場合によっては、これが継続する、あるいは無償化対象にするということになれば、間接的に我が国はテロ支援国家というふうに言われても返す言葉がないような状況に陥りかねませんので、よろしくお願いをしたいと思っております。

 そんな中で、無償化本体の問題に参りたいと思います。

 高校それから高校に類するもの、この類するものという部分が非常に論点で、検討会議というものが設置されたわけですが、検討会議にはどのような分野の専門家が選ばれたのか、あるいはその中に外交もしくは朝鮮半島問題に詳しい専門家はいらっしゃったのかどうか、御答弁ください。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議の委員については、教育制度に関して、行政全般の専門家、教員に関する専門家、専修学校教育に関する専門家、高等学校教育に関する専門家並びに都道府県教育委員会の経験者、法学の専門家の六分野の専門家から構成されていたものでございます。

 御指摘の外交、安全保障の関係ということでありますけれども、このたびの検討会議につきましては、とりわけ外国人学校ということについては、高等学校等就学支援金の対象となる高等学校の課程に類する課程を置くものであるか否かを制度的、客観的に審査するための基準や手続等を検討するために設置された会議であることから、北朝鮮の専門家は含めていないということであります。

長尾委員 文科省のスタンスはこれまで何度も伺いましたのでわかりましたし、改めて今押さえさせていただきました。

 ところが、昨年の十一月に延坪島に対する砲撃事件が発生をいたしました。これは北朝鮮の韓国に対する攻撃事件であります。審査をとめた理由を御答弁ください。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 審査の一たん停止につきましては、昨年の北朝鮮の砲撃が国家の安全にかかわる事態であり、このため、国内において政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、国民の生命と財産を守るために万全の体制を整えるという見地から行われたものであると承知をいたしております。

 ただ、審査に当たってということでありますけれども、いわゆる外交上の配慮などにより判断すべきということではなくて、教育上の観点から客観的に判断すべきという考え方は変わらずにおるところでございます。

長尾委員 私は、いわば当初の文部省の方針に必ずしも即していない、一つの政治的判断、超法規的に当時の菅総理が指示をされたという点では、極めて常識的な判断だというふうに思っております。

 ところが、ことし八月に審査再開を目指したということでありますが、これはどういった内容になりますか、御答弁ください。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 なぜ再開をしたのかというところについての御質問かと思います。

 朝鮮学校の審査の手続につきましては、昨年十一月の北朝鮮の砲撃から約九カ月が経過をいたしましたけれども、その間に、北朝鮮がこれに匹敵するような同様の軍事力を用いた行動をとっておらず、また、七月には南北対話や米朝対話が行われるなど、北朝鮮と各国との対話が生じてきているということを踏まえまして、菅前総理が関係閣僚と相談の上、事態は昨年十一月の砲撃以前の水準に戻ったと総合的に判断できる状況になったと判断をして、再開の指示をされたものというふうに承知をいたしております。

長尾委員 質問の核心に入りますが、不測の事態というものがあります。それが一つの大きな判断材料であったことは事実だと思うんですが、延坪島事件が不測の事態の可能性を引き起こした原因であるならば、拉致事件は今後起こり得る不測の事態の原因となり得るのではないかと私は思っております。

 担当大臣にお尋ねをしたいと思っております。我が国にとって拉致問題とは何なのかを踏まえて、拉致事件に端を発し、今後不測の事態は想定されるかどうか、御所見をお願いします。

山岡国務大臣 改めて申すまでもございませんが、北朝鮮による拉致問題というのは重大な国家の主権侵害であり、人権の侵害、生命、安全を著しく脅かすものでございますから、そういう点においては、国家を挙げてこれに対応していかなきゃならないということは皆様も御認識のとおりでございます。

 そして、何をもって不測の事態か、こういうことになれば、当然、拉致事件というのも大きな不測の事態ではありますが、今後ということになりますと、それは朝鮮半島をめぐる今後の情勢がどうなっていくのか、こういう点においては、外務省を中心にして詳細な検討が行われていくものと思っております。

 私どもの立場としては、その評価を踏まえて、その判断、結果を踏まえて、よく協議の上で対応をしていくというのが私どもの立場でございます。

長尾委員 私は、拉致問題が大きな大きな我が国の主権侵害であるという位置づけであるならば、当然これも含め、文科省の方針は重々承知をいたしておりますけれども、やはり無償化問題については極めて極めて慎重に審議をされるべきであるというふうに強く思っております。

 最後に、大臣に朝鮮学校の無償化問題について御所見をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

山岡国務大臣 拉致問題に絡んで、この無償化の話というのは今大きな論議を呼んでいるところでございますが、御家族の皆様の心情をおもんぱかっても、余りある思いをされているんじゃないかと思います。

 私の立場としては、関係大臣、総理大臣、特に文部大臣には、そういう事件の内容や、あるいはその後の御心情等々を十分にそんたくした結論を出していただきたい、こういうことは常々申し上げているところでございます。

 十月八日に、家族の皆様と総理との面談、懇談の機会を持たせていただいたわけでございますが、野田総理は、朝鮮学校の扱いについては文部省に厳正に審査するように指示をした、この旨のことをそのときもお話をされておりましたし、その後も言明をされているわけでございますので、こうした状況を踏まえて、文部省の厳正な審査を踏まえて、政府全体として判断をしていくべきもの、こういうふうに思っております。

長尾委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

中津川委員長 次に、柴橋正直君。

柴橋委員 民主党の柴橋でございます。

 本日は、北朝鮮拉致問題に関しまして質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。委員長初め、理事の皆様、委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 さて、質問に入る前に、横田早紀江さんの著書に「ブルーリボンの祈り」という本がございますけれども、大変私は心を打たれましたので、全部御紹介するわけにいきませんから、帯封のところの本文の抜粋を御紹介させていただいて、質問に入りたいというふうに思います。

  この事件がなければ、キリストに出会うこともなかったでしょうし、クリスチャンになることもなかったでしょう。私は、こうして長い年月、神さまに愛されて訓練していただいて今日があることを、心から感謝しています。

  「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。あなたの御口のおしえは、私にとって幾千の金銀にまさるものです」

  私は、いつの日かめぐみが帰ってきた時に、母は、こういう中にあって、このようにすばらしい神さまの御手によって守られてきたということ、多くの方々に祈られていたことを伝えたいと、この記録を残すことにしました

というふうに書いてあります。

 私は、横田早紀江さんのこういう信仰に心から共感をいたします。

 この中に書いてある、苦しみに会ったことはというくだりですけれども、調べますと、ここは旧約聖書の詩編の百十九編七十一節の言葉がそのまま書いてありまして、これだけの境遇にありながらも、こうしたことが言える横田早紀江さんに、私は本当に心を打たれますし、だからこそ、私たちはこの北朝鮮拉致問題の解決に全力で当たっていかなければいけないというふうに思っております。

 質問に入らせていただきます。

 まず初めに、情報収集費の使い方について山岡大臣に質問をいたします。

 大臣は先週の大臣所信において、「一昨年九月の政権交代以降、これまで、新たな拉致問題対策本部の設置、関係予算の増額及び事務局体制の強化を図り、徹底した情報の収集、分析や、米国、韓国を初めとする関係国との緊密な連携、被害者御家族との密接な意見交換などに努めてまいりました。」と発言をされました。

 ところが、平成二十二年度の情報収集費、これは合計で八億六千四百万円予算計上してございますし、また北朝鮮向けの放送関連経費一億円が計上されておりますけれども、この決算額を見ますと、二億六千五百万円にとどまっております。この予算執行率は二七・五%であります。これでは、幾ら大臣が予算を増額したというふうにおっしゃっても、成果が上がっていなくて当然ではないかというふうに思います。

 ことしの六月に、実は、救う会などの各団体の皆さんが情報室の強化を要望したという報道もございました。こうしたことを踏まえて、山岡大臣は情報収集費の使い方についてどのような改善を指示されたのか、また具体的に改善策はどのようなものがあるのかということを、ぜひ最初に御答弁いただきたいと思います。

山岡国務大臣 先ほどの、所信で申し上げたことは、まだ短い期間でございますけれども、今急ピッチに進めているところでございます。

 おっしゃるとおり、情報関係の予算は、一億九千五百万から八億六千四百万、大幅に増額されて、御指摘のとおり、前年度というか前の執行率は三〇%となっています。

 しかし、先生、ぜひここのところを理解していただきたいんですが、これは、予算ではありますが、使い切り予算という性格のものではないわけでございまして、必要なタイミングで必要な情報を得るために執行する、そういう性格で、年間予算がこれだけあるから満遍なく使っていくという、一般予算といってはまた恐縮ですけれども、そういうものとはちょっと性格が異なるわけでございます。

 特に、二十二年度は情報収集体制を強化したと申し上げましたが、まだ初年度でございますので、そういうことでこういう数字が結果的には出ているんじゃないかと思います。

 今後、必要なところには必要なだけ拠出をしていくつもりでおります。

柴橋委員 使い切り予算でないことは重々私も承知をしております。

 さはさりながら、現状、政権交代をして、北朝鮮拉致問題についてなかなか前進が見られないということも事実でありまして、せっかく予算の枠を確保し、また私ども議員も、家族会の皆さんや救う会や応援団の皆さんに、政権かわって予算増額しましたよというふうに言っても、中身が全然使われていないのでは、もうこれは成果が上がっていないで当然と言わざるを得ませんので、ありとあらゆる、使える手はすべて尽くして、やはり拉致問題の前進というところに全力を傾けていただきたいということでございます。

 これは、予算の問題について、大臣と問題意識の共有化という意味で冒頭質問をさせていただきました。

 次に、特定失踪者問題について大臣に御質問させていただきたいと思います。

 私の地元である岐阜県にも、きょうは古屋先生もお見えでありますけれども、特定失踪者が三名いらっしゃいまして、塚腰義正さん、それから尾方晃さん、そして林雅俊さんという三名でございます。

 最後に申し上げました林雅俊さんの失踪状況を少し御紹介しますと、実は最近でありまして、一九九八年の五月の十二日に、当時、私どもの地元にあります岐阜大学の大学院生で二十三歳でございました。福井県の越前町の海岸に車が残されておりまして、そこの中にパソコンが置いてあったんですが、そこに、いやあ、もう疲れちゃったよ、云々くんぬんというメッセージが残されていたそうですが、いろいろな方、警察の方も調べられて、これは本人のじゃないんじゃないかというようなことが言われていますし、北朝鮮にいるという不確実情報もあるということで、調査会の中では一千番台のコードがつけられているという方でございます。

 そこで、特定失踪者の周知について質問させていただきたいんですが、過去、日本人ではありませんが、レバノン人の女性が海外で北朝鮮に拉致をされたときに、ベオグラードのホテルから逃げ出しまして、クウェートの大使館に逃げ込んだ、そこでお二人助けられて、ほかにも実は二人いるんですということで、残りの二人の方も北朝鮮から取り戻すことができたという事例がございました。また、ジェンキンスさんも、一九六〇年代の後半に、平壌でソ連大使館に政治亡命させてくれということで駆け込んだことがあるということだそうでございます。

 したがいまして、朝鮮半島の有事の際、あるいはそうでないときにも、こうした拉致被害者の方はもとより、特定失踪者と言われる方も、北朝鮮にある在外公館に逃げ込む可能性があるのではないかというふうに思っています。

 そうした中で、日本政府として、北朝鮮に在外公館を置いている諸外国に対して、特定失踪者が駆け込んだときにはぜひ保護をしてほしいというような保護要請をしておられるのかどうか。

 また、例えば岐阜県の林雅俊さんでありますとか尾方晃さん、塚腰義正さんといった個人的な名前をきちっと挙げて、こういう方々が北朝鮮に拉致をされている可能性が高いので、駆け込んできたときにはぜひ保護をしてほしい、こういった具体的な要請をしておられるのか、大臣に質問させていただきたいと思います。

山岡国務大臣 政府としては、これまで拉致被害者として認定している事案以外にも、北朝鮮によって拉致されているという可能性が排除できないという事案が存在しているということは十分に認識をしております。

 そのことについては、関係省庁やあるいは関係機関等々と緊密に連絡をとりながら、国内外から情報をとって、調査、捜査を進めて、万全の体制で解明に努めているところであります。

 そして、万一の場合の保護ということになりますと、このことは、もっと大きく言って、万一のときの在留邦人の保護というのは、政府、国家として最優先事項でございますから、在外公館はもとより、あらゆる体制を整えて疎漏なきようにやってまいるつもりでございます。

 では、具体的にだれをどうしているかということは、いろいろと御指摘もございましたが、事柄の性格上、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

柴橋委員 特定失踪者について、個人名で要請をしているかしていないかはさほど機密事項でも何でもないわけでありまして、ちゃんと日本国政府として一人一人要請しているかしていないかというのは答弁できることなんじゃないかなというふうに思います。

 通告していませんけれども、拉致被害者の方はこういう方がいらっしゃいます、特定失踪者の方もいらっしゃいますと少し書いてあるパンフレットが各国の大使館に配られているわけでありますが、その中に、特定失踪者については、残念ながらそういう方もいらっしゃるということでさらっと書いてあるだけで、具体的に各国の大使館がこれをよくよく理解しておられるかは甚だ疑問だというふうに思っています。

 拉致被害者の方についてはもちろんでありますけれども、こういう特定失踪者の方について、諸外国に対して具体的な名前を、こういう人がいますということを伝えることは何ら問題ないわけでありますし、最優先課題というふうに言っていただきましたから、この問題について、例えばパンフレットにこういった方々のお名前を記載するでありますとか、あるいはその名前を在外公館の方にきちっと伝わるように、大使館にお伝えをして、いざというときにはこういう方を保護してほしいということをおやりになるのが一つの解決につながる道ではないかなというふうに思いますので、ぜひ大臣の御所見をお願いしたいと思います。

山岡国務大臣 一般論としては、お気持ちはよくわかります。

 ただ、特定失踪者と言っている意味は、特定は今度は逆にされていないわけでございまして、かなりの数を我々はリストに挙げて持っておりますけれども、そういうことがはっきりしないうちに、この人は特定失踪者でございますと公表したり外国に通知をするということは、我々のこういう職務上は行えない、そういうところでございます。

柴橋委員 これは行えないというのは官僚からも聞いていますから、まさに政治家として、北朝鮮に拉致された可能性が極めて高いという方も、失踪者の中にはランクもありますので、そのようなこともしっかりと勘案をしていただきながら、何といっても、やれることはすべてやる、使える予算はすべて使う、こういう気持ちで、これからでありますので、大臣にはぜひ先頭に立って頑張っていただきたいというふうに思います。

山岡国務大臣 ありがとうございます。

 特定の名前は申し上げてはおりませんが、各国に対してとか、あるいは各国大使に対してとか、いろいろな会合において、拉致被害者はこういう方でございますと。しかし、かなりの数の特定失踪者がいるということは重々念頭に置いて、そういうことがもし判明したり、あるいはヒントがあれば教えていただきたい、こういうことは常々申し上げております。

柴橋委員 ある方が大使館にいろいろちゃんと聞いていますかと確認したら、いや、余りわからないよというふうに言っておられたそうですから、時間もあれですので、これはまた次回以降の課題として、こういった具体的な名前をくどいぐらい各国の大使館に伝えていただいて、拉致問題の解決に努めていただきたいと思います。

 次に、北朝鮮人権法について山岡大臣に御質問させていただきたいと思います。

 北朝鮮人権法には、第六条の一項に、「政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる日本国民、脱北者その他北朝鮮当局による人権侵害の被害者に対する適切な施策を講ずるため、外国政府又は国際機関との情報の交換、国際捜査共助その他国際的な連携の強化に努めるとともに、これらの者に対する支援等の活動を行う国内外の民間団体との密接な連携の確保に努めるものとする。」というふうに書いてございます。また、第六条の三項には、「政府は、第一項に定める民間団体に対し、必要に応じ、情報の提供、財政上の配慮その他の支援を行うよう努めるものとする。」というふうに書いております。

 そこで質問いたしますが、一点目に、拉致されたことが疑われる日本国民とは、先ほど来質問させていただいています特定失踪者を指すものというふうに理解をいたしますけれども、これまで特定失踪者を支えてきた特定失踪者問題調査会など、まさにこういった失踪者の皆さんを支援する団体に第六条に基づいて支援、支出をしたことはございますでしょうか。御答弁をお願いします。

山岡国務大臣 財政上の配慮につきましては、一般論として申し上げると、多数の団体がこのことに関してはさまざまな活動をしておられるわけでございます。

 ただ、政府が民間に活動資金を提供するということになりますと、その公益性とか、あるいは民間団体の自主性を尊重する。どういうことを言っているかというと、そのことをきちっと会計報告して公表してくださいね、こういう話になるわけでございまして、そういうさまざまな観点から考えて、総合的に考えて慎重に判断すべきもの、こういうふうに考えております。

 そういう点では、目的は被害者の一日も早い御帰国をということでございますので、あらゆる手段、あらゆる方法を使いたい、こう思っておりますが、そういう点も十分かんがみながら対応をしているところでございます。

柴橋委員 この第六条に基づく支出は、例えば家族会の皆さんのアメリカへの渡航費とか国内での交通費、実はこういったものに限定されてしか支出をされておりませんで、さまざまなサポートをする団体には、この法を素直に読むと民間団体等への支援というふうに書いてありますけれども、実際は行われていないというのが現状だと思います。

 これは議員立法でありますけれども、議員立法の法の趣旨にのっとって、あらゆる手段を使うというのは、こういった民間の皆さんにもいろいろな情報を、国内だけじゃなくて海外も含めて集めてもらって、とにかくオール・ジャパンで拉致問題を解決するということでありますので、ぜひここは大臣にもいろいろな決断をしていただいて、この予算を有効に使っていただけるようにお願いをしたいというふうに思います。

 時間もあとわずかでございますので、きょう、実はこういう質問をさせていただいた私の思いというのは、拉致議連等においても、また議員一人一人でも、拉致問題のために一生懸命やっています、予算もふやしています、こういうことを言うのは、確かに予算をふやしているのは事実ですけれども、実際に成果も上がっていないし、執行率も低い。そのことで、家族会や救う会の皆さんも大変残念な思いをしておられるのも事実だと思います。

 また、支出についても、こういった家族会の方の交通費等にしか支出をされていなくて、幅広くそれを支える団体の支援は行われていないというのが現状でありますので、ぜひこういったことを大臣としっかり共有させていただいて、まさにとれるべき手段はすべてとるということをお願いしたいという思いで、きょうは質問をさせていただきました。

 岐阜県のことばかり言っていますけれども、岐阜県の出身者には杉原千畝さんがいらっしゃいます。この方は日本のシンドラーというふうに言われておりますけれども、大変過酷な中で約六千人のユダヤ人の命を救われました。私ども岐阜県民としては大変誇りに思っておりまして、まさに、山岡大臣には平成のシンドラーになっていただけるような、それぐらいの決断をお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中津川委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 私は、この拉致問題で質問させていただくのは二回目でございます。前回は四月二十二日にここに立っておるんですけれども、あのときは、民主党政権ができてから一年半が過ぎている、しかし、拉致問題担当大臣は既にその時点で四人目になっている、このことを指摘したわけですが、今、山岡大臣を目の前にしておりますけれども、私が自民党のシャドーキャビネットの拉致問題担当大臣ということになりましてから、既に三人、大臣さんが交代しているんです。

 それで、民主党が野党にいたとき、大臣はかわるべきでないと耳が痛いほど随分言われました。しかし、そう言っていた人がころころと大臣のポストをかえる。山岡さんのせいじゃないですよ。あなたは任命権者じゃないからね。だけれども、これでは拉致家族の方は、本当に考えてくれているのかな、こんな感じがすると思うんですね。

 そこで、私は、民主党が政権についてから二年余りになりますけれども、この間、拉致問題に対して民主党は何をやってきたか、かいつまんで言っていただきたいんですね。というのは、政権発足のときに、拉致問題については真剣に取り組みますという趣旨のことを鳩山さんも菅さんも言ってきました。しかし、思い起こすに、一体何をやったのかな、こういう気持ちが国民にあるはずであります。

 まず、総括の意味で、どういうことをやられたか、お答え願いたいと思います。

山岡国務大臣 先生の御指摘の点は、私自身はそういうかわった立場でございますから、いろいろと胸に響きながら聞かせていただきましたが、これは一般的な言い方と言っては恐縮なんですが、担当者がかわっても政権の取り組む姿勢あるいは内容は全く変わらないわけです。ただ、御案内のとおり、私も担当してよくわかったんですが、家族の皆様のケアとか皆様との話し合いというのは表に見えますから、これは進められるんです。だけれども、総理ともさしで話しているんですが、問題は、どうやって解決をしていくかの方にどこまで進んでいるのか、どうなったのか。

 ただ、この話は、結論が出ないとなかなか表に出せないことは先生御承知のとおりでございますから、何をやってきたのかというと、ここにずらずらと書いてありますから、読み上げさせていただくのは容易なことでも時間がかかると思いますので、要は、私は担当して間もないんですが、まさに不退転の決意で臨んでいるということだけは御理解をいただきたいと思います。

竹本委員 いや、それは不退転でしょうけれども、国民にとっては何をやってくれたかが問題なので、拉致家族ならなおさらそうですよ。ですから、何をやったかというのを言ってみなさいよ。金賢姫を連れてきたぐらいのことしか、国民の目には映っていないんですよ。

山岡国務大臣 おっしゃるとおり、それでは、ここにずっと書いてありますけれども、二十二年に金賢姫訪日ですね。それから、対策本部は四回の会合をしたとか、鳩山総理と中井大臣でいろいろ進めたとか、柳田大臣のときに家族会と定期総会を開いたとか……(発言する者あり)ですから、私は余り読みたくなかったんですけれども。

 今後どうやるかの方に、むしろ私は、過去のことを問われてもなかなか苦しい立場ですので、今後のことをよろしくお願いいたします。

竹本委員 正直でいいけれども、せっかく待望の大臣になれたんじゃないですか。我々野党は大臣になれないんだから、そのありがたみを考えれば、民主党がやってきたことぐらい頭の中に入れておかなきゃだめですよ。お願いしますよ。

 さて、そういうことなんですけれども、私、外務大臣もおられるから言うんですけれども、国民の目から見て、二年数カ月前に民主党が大勝しました。ある種期待を持った人もいると思うんですよ。子ども手当なんかはそうだったと思う。だけれども、政権についてやったことは言っていたことと全然違うんですよ。そこが一番問題なんです。

 それで、今回のお地元の東日本大震災においても、私は思うんですよ。政府は災害援護資金というものを持っておりますね。災害援護資金、低利で融資をできるお金を持っているんですよ。それと、皆さんから集めていただいた義援金、これは全員出しましたね。そのお金が被災者に行くのが余りにも遅過ぎるんです。

 自慢を言うわけじゃないけれども、我々自民党が政権をとっておったときは、例えば三原山噴火で一万人の島民を大田区にお連れしたときには、十日目に一人当たり十万円のお金を配りました。それから、阪神大震災のときも、たしか二週間後に一人当たり五十万配っているんですね。そうしますと、では民主党は、今回、これのさらに十倍も二十倍も大きい災害の中で、被災者が何十万といる中で、お金をお配りしたのが三カ月を超してからぐらいじゃないですか。ほとんど配っていない。

 そこで私が言いたいのは、被災者がもし皆さん方の家族であれば、そんなことはほうっておけないでしょう。体育館でカップラーメンは配られてくる。それを食べたら別に栄養失調にはならないんだ。だけれども、たまには回転ずしぐらい行きたいと思いますよ。でも、ポケットには一円の金も持っていないんだから。流されて来たんだから。もし自分の肉親であれば、たとえ一部でも、一日も早くお金を届けようという気になるじゃないですか。そういう親身に思う気持ちが欠けているんですよ。

 だから、被災地で、政治家が現地に入って、菅さんの悪口を余り言いたくないけれども、原発へ翌日に行って、パフォーマンスしようとしたんじゃないかと思われるような、国民がどう見るか、どう映るかばかりを気にして、被災者の一番しんどいところを助けようという気持ちが伴っていないんですよ。

 そういう態度だから、今回の拉致問題についても、もし横田めぐみさんが山岡さんの妹だったらどうしますか。ほうっておけないですよ。この二年間何をやったかといったら、ペーパーを見なきゃわからないような、そんなことじゃ話にならないんですよ。自分の妹だったらすぐに言えるはずですよ。

 ですから、真剣味をもっと心に持って対応していただきたい。いかがですか。

山岡国務大臣 誤解のないようにまた申し上げますけれども、先ほど申し上げたように、表に出る行事というのはすぐわかりますが、そのことを読み上げてもと、こういうふうに申し上げて、余り意味がないと言っては恐縮ですが、過去の表のことはともかく。

 ただ実際に、過去も、また現在も極めて精力的にやっておりますのは、そういう皆さんの消息はどうなっているのかと。予算もかけて、ありとあらゆるところに今そういうチャネルを探っているところでございますし、例えば、秘密裏にと言ってはなんですが、どうやって当事者のところまで行き着くのか、どのチャネルが本物なのか。先生御案内のとおり、いろいろなチャネルが今あるわけですが、その本チャネルに行かなければ、言うなれば、どこまで行ってもゼロ、ナッシングですから。ですから、そういう点では、ありとあらゆるそういうチャネルの開発も日々やって、私もひそかにやったり等々やっております。

 また、表でいけば、総理や外務大臣に国連に出席をしていただいた際などにも、アメリカにも韓国にも、外務大臣も参加各国の皆さんにお申し入れをいただいておりますし、私も先般、ASEANに行った閣僚会議で、ASEANのメーンテーマではなかったんですけれども、私どものメーンテーマとして強くASEANの各国に訴えました。また、イギリス大使にお願いをして、在北朝鮮の大使に、これはヒューズさんという方で、今度かわるんですけれども、ぜひ情報をとってお願いしたい、わかったと。また、モンゴルの駐北朝鮮大使ともお目にかかって、そういう情報はないかと。

 つまり、これは外務大臣と重なりますけれども、諸外国の皆さんとの協力、それから拉致チームとしてのそういう活動。私の本当にやるべきことは、諸外国はむしろ外務大臣やそういう表ですけれども、実際に本当の意味で解決に向かう、おっしゃるとおり、私の娘じゃなくても、それはやるせない気持ちであるわけですから、一日も早くということで全力を挙げて取り組んでいるところです。

 ただ、今申し上げたように、ずっと述べてみろと言われると、申し上げられない。そして、過去やったことを言えというと、表に書いてあることを読んでも余り意味をなさないのかな、こう思って今申し上げたんですが、先生のおっしゃるとおり、先生と同じ気持ちで、むしろ私は当事者ですから、全力を挙げて取り組んでまいります。

竹本委員 拉致問題は、これは世界的規模で解決しなきゃならない大きい人道問題だと思っております。また、日本にとっては主権を侵されたという問題も伴っているわけで、絶対に解決しなきゃいけない。

 そういう意味で、おっしゃるとおり、行政技術的な、あるいは警察関係のいろいろなパイプをきちっとつなぎながら情報をとらなきゃいけない、それはわかるんですよ、当たり前のことですからね。ところが、やはり何だかんだ言っても、北朝鮮に対して我々が一国だけでいろいろな強いことを言っても、彼らが聞く耳を持つかどうか、これは別問題。現実を考えますと、やはりアメリカを頼らなきゃいけない、そして中国を頼らなきゃいけない、ほかの、韓国等も頼らなきゃいけない。いろいろなパイプを総合して、おどしと、そしていろいろなあめとむちでやらないと、これは解決しないと思うんですよ。

 我々もこの夏、八月、平沼さんが団長だった拉致議連でワシントンを訪ねました。そして、キャンベル国務次官補とか、あるいはダニエル・イノウエ上院議員等に陳情いたしまして、そんな状態だったんですかとイノウエさんなんか言っていました。我々も同僚の議員にちゃんともっと強く話をし、かつまた、あの人はハワイ州出身ですから、ハワイ、カリフォルニアは日系人が多いから、もっと世論の喚起にお努めいただけばどうでしょうかと、本当に真剣に考えてくれました。

 聞くところによりますと、イノウエ上院議員は、東北の大震災にアメリカの海兵隊員が二万人来ましたでしょう。あれは物すごく金がかかるわけですよ。あの方は上院の仮議長なんですね。それで、これをやれという決裁権を持っているんですね。それでやってくれたようです。日系人同士だという親しみもあったんでしょうけれども、そういう災害から、やはり血のつながりも恐らくどこかに意識はあったんだと私は推測しておりますけれども、そういうことをやってくれているわけです。

 日本が拉致問題をいまだに解決できないということを聞きまして、むしろ、我々の今の動きを十分理解しておられなかった。だから、そのときに聞かれたんですよ。民主党の方もおられたけれども、これは各政党の陳情ですか、それとも日本国政府の陳情ですか、こういう質問でありました。当時の担当の副大臣は、これは日本国政府の意思ですとはっきり言いました。それで、それならわかりましたということで協力を約束してくれたわけです。

 ですから、アメリカ、中国、その他もろもろの国にパイプを太くしながら、かつまた、情報をあらゆる努力を傾けてとっていかないといけない。単に予算をつけてそれで処理したから、それで済む話じゃありませんね。そういう非常に難しい問題であります。

 そして、来年は小泉訪朝からもう十年たつんですね。早いものです。そして、その間、横田めぐみさん御両親は、十歳、年をとっておられるわけです。八十数歳ですよ。一日も早く解決をしてあげないといけないわけであります。ですから、やはりこの方たちへの心のケアという意味でも、政府はこんなことをやりましたよと言ってあげないと、一体どうしてくれるんだという気持ちに追い詰められておられるのが事実なんです。

 そういう中で、実はこの間、十月十日の日ですけれども、韓国に自由先進党という党があるんです、自由先進党の朴宣映議員という女性議員がおられまして、この方が、横田めぐみさんは二〇〇四年末から二〇〇五年初めの時点で生存していたとの情報を二年後の二〇〇七年に北朝鮮を脱出した男性から得たということを明らかにしておられます。しかも、この男性は、めぐみさんが工作員教育を受ける過程で多くの秘密を知ってしまいました、したがって、日本に戻したくても帰国させることができなくなったと証言をしている。非常にリアルな話であります。北朝鮮がめぐみさんのものとして二〇〇四年十一月に日本政府に提出した遺骨、これもにせものだと話しましたという情報が韓国紙に掲載されました。

 たまたまこの日、私はこのとき韓国におりまして、民主党の、御党の元拉致問題担当大臣、中井さんと二人でこの女性、朴宣映さんにインタビューをしまして、約四十分リアルに聞いてまいりました。

 ヒアリングした結果、朴議員は在韓日本大使に内容をお伝えしたと言っておられましたけれども、政府としてはこの情報を把握しているかどうか。まず、そこを聞きたい。

玄葉国務大臣 竹本委員から、情報を把握しているかというお話でございます。

 これは、当然、次の日に韓国の武藤大使に行ってもらいました。つまりは十一日の日に行ってもらって、しっかりとヒアリングをしたという状況でございます。当然、私自身もその公電についてすべて読んでおります。

 ただ、これは御案内だと思いますけれども、朴議員さんがホームページで公表している部分はあるんですけれども、それ以上のことは外に言わないでくれというお話がございまして、したがって、それ以上のことは、今後のこともありますので、なかなか申し上げにくいということは御理解をいただきたい。

 情報としては十分に把握をしているということを申し上げたいと思います。

竹本委員 それで、今回、中井さんと一緒に聞いたヒアリングの中で彼女が言っておりましたのは、実は横田めぐみさんのほかにも四人の日本人女性を知っているとの情報を私たちに漏らされたんですけれども、この点についてはどうですか、外務大臣。

玄葉国務大臣 ホームページに公表しているレベルであえて申し上げますけれども、結局、大きく分けると情報が二つあるわけですね。つまりは、一つは伝聞の伝聞の情報ですね。今、竹本委員がおっしゃった部分については、これもまさに伝聞の伝聞なんです。もう一つの方が、つまりは五十代女性の話については直接聞いた、こういう話になっておりまして、当然、そのことも含めて把握をしています。これは当然、一つのインテリジェンスであり、重要な情報であるというふうに考えております。

竹本委員 また別の情報では、別の脱北者が韓国の国情院に対しまして、自分が収監されていた北朝鮮の強制収容所の中にドイツ女と、それから日本女が収監されていた、こういう証言をしております。この女性は、十八歳のときに日本から拉致され、スパイ活動を強要されましたが、断ったために収容者に入れられたと話していたと証言しています。

 政府も、当然この情報をつかんでいると思うんですけれども、情報の真意または該当者がいるかどうかの調査は進んでいるのか、あるいはしておられないのか、その辺について、御説明をお願いしたいと思います。

松原副大臣 竹本委員の御質問にお答えいたします。

 横田めぐみさんの生存情報と同様、さまざまな報道がなされていることは承知をいたしております。

 拉致被害者の安否にかかわる情報については、ふだんから収集に努めておりますが、インテリジェンスにかかわる事柄でもあり、また、関係者の安全を最優先する観点から、これ以上のコメントができないことを御理解いただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

竹本委員 どうも松原さんらしくない、似つかわしくない答弁だな。君子豹変するという言葉があるけれども、こんなに変わられるのかと思います。いつものように、かあっとやってくださいよ。それでは真意が伝わらないよ。

 北朝鮮による拉致問題が未解決であることはもちろん、北朝鮮において組織的な拷問、強制労働、公開処刑、集団処罰などが広範に行われておりまして、表現の自由や集会、結社、移動の自由は否定され、食料不足による人道問題も発生するなど、劣悪な人権状況が報告されております。拉致問題解決を初め、政治犯収容所解体や公開処刑の停止など、北朝鮮における組織的かつ広範な人権侵害を解決するための国際社会の努力を倍増するよう、日本政府がさらなる外交努力を行うことが必要ではないか、こう思うわけであります。

 つまり、これは大変な人権問題ですから、日本はもちろん関係がありますが、韓国でも五百人ぐらい拉致されている現況を考えれば、世界的な問題であります。したがって、国連が人権問題として取り上げ、国連としての対処をすべき問題だと思うんです。

 だから、それに対して政府はいろいろな活動をしておられると思いますけれども、その説明をいただきながら、どういうつもりで、国連を活用してこれを締め上げるかということについて、外務大臣でも山岡大臣でも結構ですが、お答えを願いたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、国連を活用するということは大切だというふうに思っています。

 その上で、言うまでもないことですが、本年の国連総会、総理の一般討論演説で改めて拉致問題の解決に向けた政府の決意を表明しておりますし、同時に、首脳会談、外相会談それぞれで、私自身からも、北朝鮮の人権状況決議、これはEUと合同でやっているわけでありますが、働きかけをしております。特に国連総会でも、二〇〇五年に最初にこの人権状況決議について出しておりますが、その当時は、本会議での賛成が八十八票、二〇一〇年で百六票までふえてまいりました。

 今回、私も外相会談は本当に頻繁にさまざまな国とやっておりまして、そのときに、その国が、今回のASEANなんかもそうだったんですけれども、例えばこの問題に関して棄権をしている、そういう国々があるわけです。棄権が多いんですね。その国々に対しては、私から直接、棄権をしないでほしい、賛成してほしい、あるいは、反対しているという国に対しては、まず棄権に回ってほしい、そういうことをかなりそれぞれの国々に、私自身も外務大臣になってから働きかけをしているということは申し上げておきたいというふうに思います。

竹本委員 外務大臣がおっしゃるように、EUと共同でいろいろな決議をやっておりますが、そこで決議があった、実際のところ、それで終わっているのが実態だと思うんですよ。

 ですから、私は、より積極的に国連の機能を活用するという意味で、こうした人権侵害が人道に対する罪に該当するかどうかを調査、検証するとともに、こうした人権侵害をとめるために必要な行動について勧告権を持った事実調査委員会、コミッション・オブ・インクワイアリーを設立するよう動くべきじゃないか。

 そうすると、単なる国連決議、無視できるものではないけれども、実際上は、決議がありました、それだけで終わっちゃっている。これではだめで、いろいろコミッション・オブ・インクワイアリーから質問を受ける、こうなると、北朝鮮も相当心理的拘束を受けるんだろうと思うんです。そういう状態に追い込まないと、拉致問題の糸口というのはなかなかほどけてこない。

 国連の活用をぜひすべきだと私は主張しますが、これについて、外務大臣にお答えをお願いします。どちらでも結構です。

山口副大臣 事実調査委員会についての御質問だと思うんですけれども、今どういうふうな形で国連を使うのが一番効果的かということもあるかと思うんです。

 私も、あるいは我々も大分検討して、例えば、これは似たような話ですけれども、北朝鮮人権状況特別報告者というシステムがあるようで、これは理事会の方で任命して、そして北朝鮮の人権状況について調査を行い、人権理事会あるいは国連総会に報告する任務ということで、今、インドネシア出身のマルズキ・ダルスマンさんという方が務めておられるそうなんですけれども、北朝鮮はこういう人も全然受け入れないという状況が続いているみたいなんです。

 したがって、この事実調査のための調査委員会というのも一つのあり得る話かなというふうにも思いながらも、他方、その受け入れについて、北朝鮮がこれはどうしても協力するということが期待できないというのもまた現実の話というふうに思います。

 したがって、我々、どういうふうなことが効果的かということで考えた場合に、この調査委員会については若干難しいのかなというふうに思うのが今のところの正直なところです。

竹本委員 もう時間が来ましたので、これでやめますけれども、副大臣は元外務官僚でしょう。役人として仕事をしているんじゃないんだよな。政治家として仕事をしなきゃいけない。

 だから、もっと積極的に、難しいからやめるんじゃなくて、難しくても、勧告権と調査権を持ったコミッションをつくって、それで北朝鮮に対してどんどん要求していくんですよ。十回断ったって十一回目は何か返事しなきゃならない、これが政治の世界じゃないですか。それをぜひやってください、あなたも政治家なら。ぜひお願いしますよ。

 ということで、私の質問時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございます。

中津川委員長 次に、古屋圭司君。

古屋(圭)委員 自民党の古屋です。

 まず、質疑を始める前に、さきの臨時国会で、この特別委員会を開いてくれと再三要求しましたけれども、お経読みを初め、質疑も一切していただけなかったんですよ。非常に残念ですね。今度、臨時国会で、我々は五時間、所信表明に対する質疑を要求していますけれども、きょうは二時間半だけです。残りの二時間半について、速やかにしかるべきときに開会するように委員長の強いリーダーシップを求めます。委員長、いかがでしょうか。

中津川委員長 筆頭間でよく協議をして。この委員会を活性化することには私も同じ考えでございます。

古屋(圭)委員 質問に入ります。

 昨年十一月に、民主党がやっとというか、八項目のいわゆる本部長指示を出しましたよね。中身を見たら、ほとんど自由民主党がやっていた基本方針の六項目と変わらないですよ。何でもっと早く決定しないのかと、私、何度も中井大臣のときにやりましたよ。要するに、綱領のない政党というのはどっちに行くかわかりませんし、基本方針も決まらないんですよね。それを象徴しているように、あえてそれ以上は申し上げませんけれども。

 そこで、この本部長指示で、私のきょうの質問に二点関連する項目があります。その二番目、北朝鮮側の対応を考慮しつつさらなる措置についての検討及び厳格な法執行の推進、三番、平成二十年八月の再調査という日朝合意の履行を含む北朝鮮側による具体的な行動への継続した強い要求、これに関連してまずは質問させていただきたいというふうに思います。この方針は、基本的に民主党の方でも記しているようでございますから。

 まず、九月四日に、北が調査やり直しを約束しながらそれをほごにした日からちょうど三年が経過をしたということで、緊急国民集会が実は開かれたんですね。山岡大臣も出席されましたので、よく認識されていると思いますけれども。ちょっと気の毒だったのは、当日、猛烈なやじでしたよね。あれは司会の櫻井よしこさんも非常に困惑していましたけれども。

 それはともかくとして、まず外務大臣にお聞きしたいと思います。せっかくきょう外務大臣お見えでございますので。

 家族会の皆さんのいろいろな説明を聞きますと、外務省は、ボールはもう北朝鮮側にあるんだ、北朝鮮から返事を待っているという趣旨のことを聞いていると。これでは、私も思うんですけれども、全くの受け身ですよね。北朝鮮は完全に無視を決め込んでしまっていると言ってもいいかもしれない。すなわち、全く日本が主体的に北朝鮮に合意履行を迫る努力をしていないんじゃないのという不満が実は家族会とか関係者の皆さんにあるのは、これは偽らざる事実なんですね。それも空気で感じていると思いますよ。

 そこで、まず、この三年間、特に政権交代して二年数カ月の間、いつ、どこで、どのようなルートで北朝鮮に対して合意履行の要求をしたのか。これは、個別具体的なことはおっしゃれないかもしれないけれども、いつ、どこで、どのようなルートで程度のざっくりとしたものは、あるならばお答えできるはずですよ。どうぞ。

玄葉国務大臣 まず、だれもが知っていることを申し上げれば、当然、北朝鮮の担当者がいる前で、国連総会などで、そのことについて強く言及するということは一つありますよね。それともう一つは、例えばARFなどの会議で、北朝鮮の外務大臣がいる場で、北朝鮮は今でも拉致問題は解決済みであるということを言っていますから、全く違うということを当然言う。これは表の話として、当然言ってきているということは、もう古屋先生御存じのとおりでございます。

 それ以外のことは、ざくっとも含めて、本当に申し上げることが適当かどうかということは、率直に言って、あるというふうに思いますので、その点はやはり答えを控えなければならないのだろうというふうに私自身は考えております。

 なお、古屋先生がこの間、議連の事務局長としていつも先頭に立たれて、拉致被害者、特に御家族の方々も含めて、この問題で本当に汗をかかれているということに対しては、改めて、この場をおかりして、心から敬意を表したいというふうに思います。

 ぜひこの問題は超党派で解決をしていかなければならない。ただ同時に、先ほど申し上げましたけれども、機微な話で、どこまでこういう場で申し上げることが適当かということが非常に難しい問題であることは、もう御存じのとおりということでございます。

古屋(圭)委員 前の松本大臣も、例えば総理が官邸にて、家族会の皆さんのところで、もし北朝鮮が崩壊した場合に、要するに救出のコンティンジェンシープランも考えなきゃいけないということを堂々と言ったんですね。だったら、もうそれは、韓国とどういう連携をしているのか、あるいは中でどうやっている、これぐらいのことなら発言できるはずだ。にもかかわらず、外務大臣は、前の外務大臣ですよ、個別具体的なことは一切言えないと棒をのんだような硬直的な話。

 これでは、やはり国民に意思が通じないんですよ。確かに、私もよくわかります、個別具体的で言えないこともある。しかし、ざっくりしたもので、こういう方向でやっているんだという意思は表明することができるんですよ。それこそが政治主導じゃないですか。

玄葉国務大臣 一言で言えば、具体的な示唆というと、いろいろな問題が起きるんだろうと思っています。あえて一言で言えば、古屋先生とその点について問題意識を強く共有しているということだけは申し上げておきたいというふうに思います。今の話は、いわゆる邦人保護も含めてということだと思います。

古屋(圭)委員 邦人保護、有事の際のことは、たまたま前回でもありましたので、例で申し上げましたけれども、三年間たって、北朝鮮に完全にこういうふうに無視された、では実際に合意履行を迫る努力は何をしているのかと言ったので、それぐらいのことは私は言ってもいいと思うな。そこまでも言えないというのは、これが本当に政治主導なのかなと。

 では、ちょっと角度を変えますけれども、最近、南北協議とか米朝協議、あるいは中国の副首相が南北に連続訪問したり、あるいは金正日自身が三回も中国を訪問したりとか、日朝以外のところでの北朝鮮との対話の雰囲気、雰囲気というと語弊があるかな、何かそういうものが出ているということは否定できないと思うんですね。

 そこで、一番心配なのは、そうなってくると、日本の国家の主権の侵害であり、一番最優先課題である拉致問題が置き去りにされてしまうんじゃないかという心配を、関係者がみんな持っているんですよ。

 では、置き去りにならないための明確な外交戦略、この基本だけ教えてください。

玄葉国務大臣 この問題を考えるときに、日米韓の緊密な連携が必要だと常套句のようによく出てきます。でも、全くそのことはそのとおりで、しかもそのことが具体的に履行されていくということが大事なんだろうというふうに思っています。

 先般も、これもまた余り個別具体になると、相手があることなのでというふうに思いますけれども、南北の対話が二回行われた、米朝の対話が今二回目、まさに二十四、二十五日に行われているという状況がありますから、韓国の金星煥長官には私の方から、それが終わったら、日米韓の、いわば緊密な連携ですから、そういった連携を確認しながら物事を進めていこうねという話は当然いたしましたし、実はまさに今回の米朝対話でも、アメリカ側からこの拉致問題についてしっかりと指摘をしていただいているということも含めて申し上げたいと思います。

古屋(圭)委員 しっかりやってください。

 では担当大臣、五人目の担当大臣ということですけれども、質問します。

 これは通告していないんですけれども、ちょっと一点だけお伺いしたいんです。

 九月二十八日の参議院の予算委員会でマルチ問題の質問が出ましたね。大臣は、消費者行政を担当する閣僚として誤解を受けないように全額返還する、詳細を調べて、判明次第、返還する、こう答弁していますね。

 あれから一カ月たちました。当然調査は終わっていると思いますけれども、収支報告による報告では来年の四月以降なんですよ。それでは、一議員ならともかくとして、やはり担当大臣である以上、判明次第返還すると言っている以上、速やかに返還して、担当大臣としての速やかな説明責任があると思いますね。

 十九年までの、我々の調べる限り三百五十余りが未返還となっているが、この点も含めてしっかり速やかに報告いただけるのか、お聞きしたい。

山岡国務大臣 全く別件でございますけれども、この問題は……(古屋(圭)委員「簡潔に。速やかに報告されるかされないか、それだけでいいです」と呼ぶ)はい。特に法律違反があるわけでもなければ、法に基づいてすべからく適正に処理している問題であって、個別の問題があるとは思っておりません。ただ、消費者担当大臣という立場上、これは民主主義の世の中ですから、国民の皆様に誤解を与えないという意味において対処をする、こういうことでございます。

 そういうことで、今調査をさせて、もうほぼ、おおむね全部返金は済んでいると思っておりますが、一部連絡がつかないとか、そういうところもあるやに聞いております。

 ただ、いずれにしても、性格上、これは私が違法行為をしたとかそういうものではありませんから、適正な定められたルールによって収入も報告をし、また返金も報告をし、そういうことできちっと対処するつもりであります。(古屋(圭)委員「速やかに報告されますね」と呼ぶ)速やかにというか、全部判明をして、そして収支報告書できちっと報告するのが一番間違いないことだと思っています。

古屋(圭)委員 もうこの問題は、きょうはこの委員会じゃないですから、ほかの委員会で多分やられると思いますけれども、収支報告というのは、出るのは来年の四月以降なんですよ。やはりこれは速やかに、判明したら報告をしていく、担当大臣としての当然の責任ですよ。これだけは申し上げておきます。

 さて、大臣に就任おめでとうございます。それで、私、調べたんです。山岡大臣は拉致問題で発言とか行動とかいろいろされたことがあるかなと。ネットとか新聞とかで見る限り、一切ないんですね。それから拉致議員連盟にも、二度ほど勧誘をしたそうなんですけれども、残念ながら入会されていないんですよね。これは事実です。

 大臣、これで適材適所の人材だと御本人は認識されますか。これから一生懸命やるということはいいんですよ。やはり普通こういうものは、ある程度そういうものに関与している人がやってしかるべきだと思うんですが、率直にどう思われますか。

山岡国務大臣 私は、そんなことを言ってはちょっと生意気ですけれども、形式よりも実質主義者で、やると言ったことはやると。格好だけつけていればとは言いませんが、いいというふうに私は思っていない、こういう意味でございます。

 そういう点で、過去、なぜ入っていなかったかということをもし聞かれると、心当たりはありませんけれども、私は国対委員長が長かったものでございますから、議連というのは星の数ほどずっとあって、むしろそういうのをコントロールしていた立場にあるものですから、どこかの時点から、私自身は、どの議連に誘われても全部お断りしろ、こういう指示を事務にしていたことは確かでございます。

 ただ、今こういう担当をさせていただき、私は、多分先生が思っていただいているとは思いますが、全力を挙げてこれに取り組むつもりでおりますし、議連に入ることがそれにプラスになるということでしたら、私はそのことは改めて検討させていただいてもいいと思っています。

古屋(圭)委員 言いわけだなと思いますよね。ずっと国対委員長をやっていたわけじゃないし、マルチの問題は議連ですからね。議連、みずから代表になられておきながら、拉致議連は入らないというのはちょっと理屈にならないのかなという気がしますけれども、これはそれでいいです。

 もう一点、拉致問題に対する民主党の取り組みの姿勢の一環でお伺いしたいことがあります。

 拉致実行犯の森順子を御存じですか。ああ、知らない。まあいいや、知らないんでしょう。その息子である森大志というのが、北朝鮮で日本革命村学校で金正日の思想教育を徹底して受けている。お父さんはもう亡くなった田宮高麿というハイジャック犯ですから。これは私、予算委員会の代表質問で菅前総理にもこの問題を質問していますので。

 それで、この森大志が帰国後、市民の党という政党から推されて、三鷹市議会議員選挙に出ているんですよ。そのくだんの市民の党は、通常国会に私も指摘させていただいたんですけれども、合計で三億円の資金が流れている。そのうちかなりの部分が民主党関係者から流れている。菅前総理から六千八百万円とか、元総理の鳩山さんから一千万等々という事実がある。

 すなわち、菅前総理を初め、拉致対策を担うべき政府・与党の議員が、拉致実行犯と深い関係にある団体に多額の資金を献金しているという事実が判明したんですよ。一方、拉致被害者は、一部の方を除いて日本に帰国できていないし、北朝鮮に捕らえられたまま帰国すらできないでつらい思いで日々を暮らしているんです。こういった事実に対して、担当大臣として、民主党議員としてどう弁明されますか。

山岡国務大臣 菅総理が政治団体に寄附した、こういう件については、菅総理御自身がこれまで答弁をされていることでございますから、はるかに事実を述べていらっしゃると思います。

 ただ、私は、一般論として申し上げれば、拉致被害者の御家族の中で、この拉致の、おっしゃるとおり目に見える具体的進展がないという中で、この際、法的にいい悪いの結論を申し上げる立場じゃありませんが、たとえ法的に問題がないということであったとしても、それは心を痛められる問題ではないかと思っております。その点については拉致担当大臣としては大変残念に思っております。

 いずれにいたしましても、それは本件とは直接関係がないというふうには思っておりますが、すべての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて拉致担当大臣としては全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

古屋(圭)委員 私の質問の意図を意図的にはぐらかしているんだと思いますけれども、森順子という名前を担当大臣でありながら知らなかったというのは、ちょっと私もびっくりなんですけれども。

 先ほども、いろいろ表に見える行動をするだけじゃなくて、やはり水面下でいろいろな行動をすることも大切なんだという答弁がありましたけれども、実際、表でいろいろな活動をするということも、国民に対する拉致問題へのアピール、要するに、しっかり世論の支持を得る、そのことが北朝鮮の金正日に対するプレッシャーになるということは否定できないんですね。

 そういうことで、しっかりそういうもののPRをしていくという必要があるのにもかかわらず、拉致実行犯のところに複数の民主党の関係者あるいは関連の団体から思い切り献金がされているということは、これはどう考えてもおかしいですよね。この問題はまた別途やりますから。

 そこで、担当大臣、ちょっと今の関連ですけれども、拉致認定被害者というのがいらっしゃいますね、十七人。これは全部覚えておられますか。七七年からずっと。七七年はだれと覚えておられますか。あえて聞きませんから。(山岡国務大臣「覚えていますよ。ちゃんと常に持っていますから」と呼ぶ)それなら結構です。

 では次に、これも担当大臣にお聞きしたいんですが、先ほど私が指摘をさせていただいた、対策本部長八項目のうちの二番ですね、北朝鮮側の対応等を考慮しつつさらなる措置についての検討及び現行法制度のもとの厳格な法執行ということがはっきりうたわれていますね。対策本部長指示の二番目だったかな、これは。

 菅前総理は、六月の対策本部の会合で、二十年の日朝合意の履行を強く北に求め、九月までにそれが実現しない場合はさらなる措置、すなわち追加制裁の検討も視野に指示した、こういうふうに言われているんですね。

 そこで担当大臣にもお伺いしたいんですけれども、このさらなる措置、要するに追加制裁ですね、これを実行する、決断する準備はあるのかないのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。

山岡国務大臣 委員の指摘されるさらなる措置というのは、本部長指示の中にある、北朝鮮の対応を考慮しつつさらなる措置について検討を行う、こういうことでございますが、まず、我々の究極的な目的は何かというと、もちろん拉致した犯人を捕まえることも重要なことかもしれませんが、そのことによって、何を目的にしているかというと、結局、拉致された皆様に無事に日本にお帰りをいただく、このこと。

 もっとも、拉致問題そのものが、先ほどお話しのとおり、これは与野党の問題ではないわけで、だれも共通の認識の問題だと思っていますが、一日も早くお帰りいただくのにはどれがベストなのかということから逆算をして、すべてまたそのときそのときに応じて考えていくべきものだと思っております。

 そういう点では、そのさらなる措置ということについては、これは政府内では常に不断の検討をしているところです。当然のことながら、あらゆる方策を考えているという中に、常に考えているところでございますけれども、今現在においていかなる手段が効果的なのかということについては、北朝鮮の出方を日々見きわめながら、また国際情勢を考えながら、この解決のためには、大きく言えば六カ国協議とか国際間とか、国際間の認識やプレッシャーとか、あるいは核、ミサイルとあわせて拉致とか、そういう方向もあると思いますし、また、制裁等々でいろいろと追い詰めていくということもあるでしょう。

 あるいは、状況は日々刻々と変わっておりますから、今までのように、北朝鮮は、アメリカとの話し合いをやるんだ、最近はそれ一辺倒でもなくなってきているようでございますし、金正日、トップは中国にもあえて何回も行っていますし、ロシアにも行っている。それはどういう状況が変化してきているのか。こういうことも考えながら、一方においては国内の世論を盛り上げるということも大きな要素の一つです。

 先ほど申し上げましたとおり、拉致の私たちの仕事としては、いかにその一番有効なところにたどり着くかということに今全精力を挙げて取り組んでいるわけでございますので、そういうものを勘案しながら、皆さんがお帰りいただくのに何が一番有効かということを考えながら対処していきたい、こういうふうに思っております。

古屋(圭)委員 とても担当大臣の答弁とは、何か内閣府の局長さんの答弁のような感じですけれども。

 かつて、ヒル国務次官補がテロ支援国家指定を解除しましたね。あの後、ヒル国務次官補は反省の弁を言っているんですけれども、それは御存じですか。御存じでなかったらいいです。(山岡国務大臣「あれは間違いだったと言われました」と呼ぶ)それはいつ言われたんですか。(山岡国務大臣「そこまで知らない」と呼ぶ)はい。実は、デンバー大学の教授になってから後、講演したんですよ。私、その議事録を全部見ました。見事に言っていますよ。

 やはり北朝鮮というのは、融和策をとっても、結局はとるものをとるだけで終わる。確かにそうじゃないですか。アメリカは九〇年代に、クリントンの時代にああやってKEDOの支援をして、結局、核をつくられちゃっただけじゃないですか。重油をとられただけじゃないですか。日本だって、自民党にもあのときの責任がありますけれども、米の支援をして、結局とられただけで終わった。やはり厳しく厳しくやってこそ、少しずつ小出しにしていくんです。三年前のあの調査の、もう一回やり直しますよということだって、あれは厳しい圧力に屈して少しずつ小出しにしてきたんです。

 だから、私は、やはりこの本部長指示にあるさらなる制裁というのは極めて効果があると思います。

 そこで、具体的に、既に追加措置として、貿易の全面禁止、万景峰号を初め船舶の全面禁止をしていますね。しかし、送金とか人の往来は完全にストップしていませんよね。

 そこで、例えば、朝鮮総連がございますね、ここの徐萬述議長など、最高人民会議代議員を兼ねる幹部六人については、日本への再入国、一回出たらだめだよというルールはつくっていますけれども、この再入国不許可の対象というのをもっともっと広げるべきじゃないか。例えば、国会議員を兼ねていない総連の幹部クラスである副議長が五人いるんですね。あるいは、総連の局長クラスの中央常任委員というのがいますけれども、ここで十二人います。こういう連中は、定期的に行ってまた戻ってきて、金正日の指示をいろいろ受けて行ったり来たりしているんでしょう。こういった人間まで再入国不許可を拡大するという措置は、私は大いに効果があると思うんです。それから、北に対する強いメッセージにもなるんです。

 拉致を理由として、また具体的には、二十年八月に再調査を行うと約束したのにもかかわらず不履行なので、それを理由にこの再入国不許可というものを拡大すべきだと私は思いますけれども、担当大臣としてどうお考えでしょうか。

山岡国務大臣 そういうお考えがあるのはよく心得ておりますし、我々の内部でも常にそのことを真剣に検討しております。

 ただ、このことは、先ほど申し上げたように、何が拉致被害者の皆さんの救出につながるベストウエーなのか、そこからすべて逆算をして、何をいつ行うべきかということを検討して、そういう問題については拉致本部においても議題にして検討しているところでございます。

 先生の御指摘はよく承知しておりますし、個人的にはそういうことも有力であるとは思ってはおりますが、最終的な判断は改めて組織としてきちっとしていきたい、こう思っております。

古屋(圭)委員 個人的には有力であると思っている、この答弁、立派だと思いますよ。しっかりその意思を持って取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、朝鮮高校の無償化、先ほど長尾議員だったかな、されましたよね。私もさせていただきます。

 そもそも自民党は、これは反対なんですよね。朝鮮高校は学習指導要領と全く異なった反日思想教育が徹底していますし、チェックのしようがないですから、おかしい。

 それから、菅総理が、八月二十九日にどさくさに紛れて再調査の指示を出しましたけれども、その理由が、昨年の延坪島の砲撃以前の状態に戻ったということなんですね。この判断の根拠が全く不明ですよね。だって、関係者に説明したとほとんど聞いていませんし、それから、八月十日は砲撃を行って、潘基文事務総長も、この砲撃をとらえて、いまだに半島情勢が安定していないことを如実に物語っているとはっきり言っているじゃないですか。

 そこで、外務大臣に聞きたいんですけれども、外務大臣は、所信の中で、朝鮮半島情勢は依然として予断を許さない、こうはっきりおっしゃっていますね。とても昨年の砲撃以前の状態に戻ったとは外務大臣として認識していない、これで間違いないですね。

玄葉国務大臣 私は、依然として朝鮮半島の情勢は予断を許さないというふうに思っていますし、そもそも北朝鮮の行動を確定的に予測すること自体が適当ではないというふうに思っています。

古屋(圭)委員 しっかりその考えを持って、実は、朝鮮高校の無償化というのは、一文部科学大臣の所掌事項を超越しているんですよ。やはり野田総理として、野田内閣としてこの問題を、要するに北朝鮮に対するスタンスを象徴する問題なわけでありまして、かつて国会の代表質問のときに、谷垣自民党総裁がこの問題を質問して、果たして野田総理はこれを凍結する意思があるのかないのか、この一点に対して質問をしました。意図的に答弁を飛ばしたんですよ。再答弁になったんです。皆さん、御記憶にありませんか。そして、再答弁で出てきた話が、いや、これは文部科学大臣が厳正に対処します。要するに、文部科学大臣丸投げ答弁なんですよ。こんなのは許されませんよ。

 担当大臣にお聞きします。

 かつて、中井大臣も、中野大臣も、この問題についてははっきり反対だということを言明しました。私は、政治家として、あるいは拉致を担当している大臣として、立派な見識だと思います。私は、山岡新大臣にもその気持ちを持ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

山岡国務大臣 先生の御気概は、御先代の、御先代ではありませんけれども、亨さんのところにも私は非常に御親交を厚くしていただいたので、心情をよく理解しております。

 私の立場としては、拉致家族の皆様のお気持ちもまた痛いほどわかるわけでございますが、これはまず第一義的には、とにかく、文部省の、文部大臣のところで適正なのか否なのかという判断を見て、そして関係閣僚が相談の上で最終的に決定するものと思っておりますので、事このことに関しては、個人的ですがと、こういうふうには申し上げられずに申しわけありません。

中津川委員長 申し合わせの時間が来ていますので、御協力を。

古屋(圭)委員 元大臣、前大臣より全く後退していますね。私は、今の答弁を聞いて本当に失望しました。

 終わります。

中津川委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 きょうは、最初に、玄葉外務大臣にお伺いをしたいと思います。

 玄葉外務大臣は、九月十九日に米国のクリントン国務長官と会われまして、拉致問題解決に向けての協力を要請されているわけでありますが、まず、そのときのクリントン国務長官の回答はどのようなものであったか、この点についてお答えください。

玄葉国務大臣 一言で言えば、支持と協力をするということを表明されたということでございます。

 日米間の協力というのは、言うまでもないことでありますけれども、私たちは北朝鮮に対して具体的な対応を求めているという中で、特に米朝対話などがあるわけであります。先ほど古屋先生の質問でもお答えをいたしましたけれども、例えば七月の米朝対話でも、今も行われていますけれども、米国からそういった働きかけもあって、拉致問題の重要性について北朝鮮に対してしっかりと言及をしてもらうということについて、実際にそういう言及がございます。今回も当然そのような形でお願いをしているということでございまして、私は、米国に対してそういう強い要請をそのたびごとに行うということは大変重要であるというふうに思っています。

 なお、日米の首脳会談でもそのことは取り上げられております。

竹内委員 米国に対して、拉致問題について北にしっかり言及してもらう、こういうお話でありました。

 九月二十一日に総理もオバマ大統領と国連総会において会われまして同様の要請をしていると伺っているわけでありますが、オバマ大統領の回答も同様のものであったのか。これは事前通告しておるんですけれども、まずオバマ大統領の回答についてお答えください。

玄葉国務大臣 オバマ大統領の回答については、野田総理から改めて米国の支持に感謝しつつ引き続きの協力を要請したということでございます。それは基本的に支持と協力ということでございます。

竹内委員 アメリカに具体的に何を要求していくのか、もう少し具体的に、アメリカが北に拉致の問題を話をするという点だけなんですか。

玄葉国務大臣 これも言うまでもない話でありますが、我々は、拉致と核とミサイル、これを包括的に解決しなければならないという立場でございます。韓国の場合は御存じのように拉北者の問題がありますから、そもそも問題意識を強く共有する基盤があるわけでありますけれども、米国は日本や韓国とは事情が違うわけです。そこで、拉致というのが核、ミサイルとあわせて解決されなければならないということをやはり強く要請しておかないと、どうしても、核、ミサイルが解決されればいいんじゃないか、こういうことになってしまうといけないというふうに思うんです。

 ですから、私は、そのたびごとに、拉致というのがあるんだ、だから包括的に、一括で解決しようじゃないかということを申し上げているということでございます。

竹内委員 それでは、今、米朝会談が行われていますが、今後確認をしてほしいと思うんですよね、アメリカに対して。この中で、拉致問題についてどのような話し合いが行われたのか、そしてどのような進展があったのか、その点を確認してもらいたいと思いますが、いかがですか。

玄葉国務大臣 当然、これは確認をします。

 それで、先ほど古屋先生の質問にもお答えする形で申し上げましたけれども、今回の米朝対話が終わったら、日米韓でしっかりと話し合う、方針を決めるということがやはり大事で、そのときに、やはりきちっと拉致の問題というのを、しっかりとあわせて解決するんだということを確認しながら進むということが大変大事なことだというふうに思っています。

竹内委員 何といっても拉致問題の進展のためには米国との関係が一番重要だと思っているんですけれども、先ほど古屋先生の質問にもありました、ライス前国務長官とヒル国務次官補が、前ブッシュ政権のときに金融制裁解除とテロ支援国家指定を解除したことが誤りであったということは、ヒルさん自身も認めているし、アーミテージさんを含め米国の有力な関係者がそういうことをはっきり明確に述べられているんですよ。

 そういう意味では、我が国としては、やはりもう一歩踏み込んで、米国に対して、再び金融制裁とテロ支援国家指定を、再指定してもらいたいというぐらい踏み込んでもいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

玄葉国務大臣 それは一つの考え方ではあると思います。ただ、これは当然すぐれて米国の判断ですよね。ですから、米国が、先ほどのヒルさんやさまざまな方々のこれまでの経緯を踏まえながらどういうふうに判断をしていくのかということであって、私たちは、私たちの考え方あるいは実情というものをしっかりと申し上げて、最終的には米国内の判断であるということではないかと思っています。

竹内委員 これは、もちろん米国の判断であることはもう当たり前でありますけれども、しかし、やはり日本としてはどんどん踏み込んでいかないと、この状況は打開できないんじゃないかというふうに思うんですね。そういう意味では、私は前の松本大臣のときにも申し上げましたけれども、ぜひ民主党政権としてもここは踏み込んで、しっかりと言うべきことは言ってもらいたいというふうに思います。これは要望であります。

 その上で、次の質問に移ります。

 韓国の李明博大統領と野田大臣が九月二十一日に会われているわけであります。そして、その前にも、外務大臣は韓国の外務大臣と会われているわけですね。その意味で、韓国との関係も、次の拉致問題解決に向けてのもう一つの重要な方策であると思うんです。李大統領は、拉致問題は韓国にも存在し、これからも日本と協力していく旨、もう既に述べられているわけであります。

 その上で、より具体的に、韓国との間では、次の段階としてどういう協力体制を想定されているか、お答え願いたいと思います。

玄葉国務大臣 これは、先ほども申し上げましたが、金星煥外交通商部長官と私との話でも、野田総理と李明博大統領との話でも、改めて支持と協力の意が示されたところでございます。

 では、次の一手というのは、何回も申し上げて恐縮なんですけれども、やはりここは日米韓できちっとまず話し合うということがすぐれて大切なことだというふうに思うんです。結局、日米韓の離間というのをやはり北朝鮮は考えているというふうに私は思いますので、ここがきちっと足並みがそろうということが極めて大切で、そのときに、拉致の問題をしっかりと包括的に解決するんだということを確認しながら前に進めるということが大切だというふうに私は考えております。

竹内委員 その上で、足並みをそろえる方向が大事だと思うんですね。どういう方向でそろえるのか。つまり、六カ国協議の再開に向けて締め上げていくのか、わかりやすい言葉ですが、厳しく迫っていくのか、それとも六カ国協議再開に向けて緩めていくのか、ここは大きな違いだと思うんですね。

 日本としては、やはりここは厳しく迫っていく。拉致だけではなくて、核、ミサイルにつきましても約束が全然実行されていないわけですから、延坪島の砲撃事件についても何ら誠実な打開策を示していないという中では、ここは安易に妥協する方向で足並みをそろえてもらったら困ると思うんですが、大臣、いかがですか。

玄葉国務大臣 大きく分けると二つあると思うんですけれども、一つは、先ほど核の話がありましたが、去年の九月初旬だったと思いますけれども、ウラン濃縮計画の公表という事態があったわけであります。

 やはり日米韓としては、これは米国と韓国との間の申し合わせがあって詳細には申し上げられないんですけれども、少なくとも、ウラン濃縮活動への対応は当然ながら重視をしています。つまり、所信でも申し上げましたけれども、やはり具体的な行動に北朝鮮が出なければだめだというのが私自身の見解でもあるし、今、日本国政府の見解にもなっているというふうに申し上げたいと思います。

 やはり、拉致の話は、〇八年の八月の合意、つまりは、一言で言えば、再調査というものがなされていかないといけないのではないか、それがいわゆる具体的な行動なのではないかというふうに思っています。

竹内委員 これは、人道援助ということ……(玄葉国務大臣「ごめんなさい、ちょっと」と呼ぶ)はい、どうぞ。

玄葉国務大臣 先ほどのウラン濃縮計画の公表は、十一月の前半でした。九月と私申し上げてしまいましたが、十一月の前半でした。訂正いたします。

竹内委員 私は、今、食料事情も非常に悪いということも伺っておりますけれども、人道援助という話もございますが、日米韓では安易にこれにこたえるべきではないというふうに思うんですね。そのぐらい日米韓でやはりきちっと足並みをそろえてもらいたい、そういう方向でそろえてもらいたいということをまず要求しておきたいと思います。

 次に、九月二十一日にはロシアのラブロフ外務大臣と会われましたね。拉致問題についてのロシアの理解と協力を要請されておりますけれども、ロシア側の反応はいかがでしたでしょうか。

玄葉国務大臣 竹内委員がおっしゃるとおり、九月二十一日、日ロ外相会談が行われたときに、拉致問題について、私の方からロシアの理解と協力を求めたところでありますが、これに対しては、日本の立場に対する理解と問題の解決への期待、そういうものが示されたということでございます。

 率直に申し上げれば、米国や韓国とは温度差があるわけでありますけれども、いずれにしても、ロシアを含めた関係国と緊密に連携をし合うということは、これはロシアも含めて大切なことでありますので、やはりその都度理解を求めていくということではないかというふうに考えております。

竹内委員 ロシアとしては、理解と解決への期待を表明されたというだけであって、要するに、ロシアは協力するとは言っていない。日本側の外務大臣がせっかく協力を要請したにもかかわらず、協力するとは言わなかった、こういうことですよね。このロシア側のねらいといいますか、そこは、一歩踏み込んでこない理由というのは、どのようなことが考えられるんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、そのバックグラウンドをどういうふうに説明するかというのはなかなか難しいところもありますが、御存じのように、ロ朝関係というのは、経済も含めてさまざま具体的に動き出しているところもございます。

 恐らくこれから御質問があるのかもしれませんけれども、さはさりながら、やはり六者の構成員なわけでありまして、ロシアはロシアの、中国は中国の、特に中国などはある意味、独自の役割というものを果たしていただかなきゃいけないところもあると私は思います。

 ですから、そのスタンスのとり方というのはそれぞれでありますけれども、そういう間合いというものも十二分に勘案しながら、六者間会合で北朝鮮を除くそれぞれの国と緊密に連携がとれるようにしていくということがいずれにしても大切だというふうに考えております。

竹内委員 六者会合の中では、日本としては拉致、核、ミサイルとずっと訴えているわけですから、当然ロシアにもやはり北朝鮮に対して何か物を言ってもらわないといけないと思うんですよ。日米韓が緊密に連携することは当然でありますけれども、やはりここでロシアとの日ロ関係をどうするか、どういうふうにロシアを引き込んでくるか、ここは大きな点だと思うんですよね。そういう意味ではぜひとも、そういうバックグラウンド的な外交を展開してもらいたいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。

 次に、中国の話に移りますが、玄葉大臣はよく動かれていると思うんですよ、前の、これまでの外務大臣と比べれば。そこは私は評価しておるんですけれども。九月二十二日に中国のヨウケツチ外交部長と会われまして、北朝鮮が拉致問題において具体的行動をとることが重要であり、中国からの協力、働きかけを期待している旨、述べられているわけでありますけれども、そのときの中国側の反応はいかがでしたか。

玄葉国務大臣 ただいまおっしゃったとおり、九月二十二日にヨウケツチ外交部長と会談をしたときに、中国への協力、働きかけを要請したわけでありますが、あえて一言、率直に言うと、中国側の反応について具体的にどうだこうだとなかなか言いにくいところがあります。一言で言えば、注意深く聞いていたというふうに申し上げるしかないなというふうに思っているんです。

 これは、先ほどロシアとの関係のときも申し上げましたが、特に、中朝関係というのもまた独特のものがございますので、中国は中国の役割を、ある意味果たしてもらわないといけないというふうに思っているんです。ですから、そのことを意識しながら、私は、中国に対しての対話、この問題についての対話というのは行っていこうかなというふうに考えています。

竹内委員 中国は、北朝鮮が突如崩壊することを一番恐れていると思うんですね。暴発することも恐れていますし、非常にその意味では、中国側としては北朝鮮は本当は扱いにくく思っているんだと思うんですね。

 その上で、拉致、核、ミサイルの問題をどう進展させるか、非常に難しい、難問であることは私どももよく承知をしているところでございます。しかし、とにかく中国に対しても言い続けていかなければいけないと思いますし、さまざまなチャンネルを通じて言っていただきたいというふうに思います。我々も言い続けていきたいというふうに思っているところであります。

 次に、北朝鮮が二〇〇八年から拉致問題解決に向けた全面的な調査のやり直しに応じてこない、この理由。日本側からの働きかけの努力の問題もありますが、しかし、それにしても全然反応しない理由、この辺についてはどのようにお考えですか。

玄葉国務大臣 率直に申し上げて、一言で言うと、いろいろな環境が整っていない。〇八年八月、もっと言うと、六月にたしかあれは宣言をしていると思いましたけれども、あのときに、では何で再調査の約束をしたのかと。そのバックグラウンドについて、先ほど古屋先生が一言、強く出ていたからだ、こういう話がございましたけれども、幾つかあるんだろうと。

 それは、二〇〇四年十一月の日朝実務者協議以降、例えば日朝包括並行協議、あるいは日朝国交正常化のための作業部会、あるいは六者のときに行われた日朝協議などで繰り返し繰り返し言ってきたことと、あと六者の非核化措置の話が出ていたということなんかもバックグラウンドにあるんだろうというふうに思っています。

 いずれにしても、先ほど申し上げたように、再調査にのってくる、そういう環境を整えていかないといけないということなんだろうというふうに思っていまして、そのときに、核、ミサイルも含めて包括的にやるんだというのが私の考え方ですし、これからまさに動かしていきたいという思いは当然持ちながら、常に注視をし、働きかけを強めているということでございます。

竹内委員 これは私の推測ですが、政権交代をその後して、民主党政権の力量を見ているのではないかというふうにも思えます。

 それはそうとして、もう一つお聞きしたいのは、今度は山岡大臣にお聞きしたいんですが、一九八〇年六月の原敕晁さん拉致事件で、警視庁公安部は、金正日側近で、工作機関、情報調査部の姜海龍元副部長につきまして、国外移送目的略取などの容疑で逮捕状をとり、国際手配する方針だとの情報がありますが、この事実確認と、そのねらい、効果についてお答えください。

山岡国務大臣 結論から言うと、詳細については、個別の捜査の内容に対してはお答えを差し控えなきゃならないんですが、この事件は、平成十八年四月、今おっしゃるとおり、本件の主犯である辛光洙及び金吉旭に対する逮捕状を発付して国際手配を行って、現在も捜査をしているところでありますけれども、お尋ねの姜海龍についての国際手配は行っておりません。新聞には行っていると書いてありますが、行っておりません。

竹内委員 今後、行われるおつもりはありますか。

山岡国務大臣 最初に申し上げたんですが、捜査のそういう具体的な内容については差し控えさせていただきたいと思います。

竹内委員 これが事実であれば、当然、国際手配すべきであると思いますし、今後、外交の場で要求すべき課題である、事案であるというふうに思います。

 時間がほとんどなくなってまいりましたが、この調査やり直しの約束をほごにしてから三年が過ぎております。その意味では、我々としても、より厳しい制裁が必要である、対北朝鮮送金の禁止に加えて、すべての在日朝鮮人と日本人の北朝鮮往来の禁止に踏み込むべきであるということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)再入国ですね。このことは、実は、昨年十一月の、延坪島への砲撃事件があった後の予算委員会の集中審議でも私は質問をしておりまして、そのとき以来、同じことを述べているということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中津川委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょうも質疑が行われてまいりましたが、一刻も早い解決が求められる拉致問題にかかわることで、幾つか質問したいと思います。

 まず、玄葉大臣に伺いますが、六者会合、六カ国協議をめぐっては、この間、先ほど言いました北朝鮮と関係国間の対話、協議がさまざま積極的に行われております。とりわけ中国側が、ことし四月に、北朝鮮側に六者会合の再開に向けた三段階の提案ということで、一つは韓国と北朝鮮の主席代表会合、二つ目に米朝協議、そして三つ目に六カ国協議の再開という三段階で協議の再開を目指す考えを示して以降、七月にはインドネシアで、南北の主席代表協議が二年七カ月ぶりにある、次いでニューヨークで、米朝協議が一年七カ月ぶりに再開されたわけであります。また、八月にはロシアとの間でも首脳会談が行われた。七月に続いて、本日からも再び米朝協議がジュネーブで実施される。

 そこで、玄葉大臣は、去る十月二十一日の大臣あいさつの中で、こうした北朝鮮と関係国との間での対話、協議の動きを歓迎できるという言葉で評価されているわけですが、どういう意味で歓迎できるというふうに見ておられるんでしょうか。

玄葉国務大臣 一言で申し上げると、北朝鮮からの、先ほど来から質疑に出ている具体的な行動を引き出すための取り組み、そういう意味で歓迎するということを申し上げています。もともと、言うまでもないことでありますけれども、日米韓、また日本自身も、まさに六者の対話を通じた諸問題の解決に向けて北朝鮮自身がみずからの約束を履行するということが大事だ、しかも具体的に行動で示すようにということを言ってきたわけでありますので、まさにその具体的な行動を引き出すための取り組み、そういう意味で歓迎するという言葉を使ったということでございます。

笠井委員 日米韓ということでは、最近では七月二十三日の外相会合で発表された三カ国共同プレス声明というのがあると思います。この中で、日米韓三カ国は、二〇〇五年の六者会合の共同声明に対するコミットメントを改めて表明しながら、北朝鮮に対して非核化に対する真のコミットメントを示すための具体的な行動を促すということと同時に、六カ国協議の再開には、南北対話を含めた北朝鮮による誠意ある努力、そしてウラン濃縮計画への対処が必要であることなどを確認しております。

 そこで、玄葉大臣、政府としては、三カ国の共同プレス声明を踏まえて、我が国としてどのような外交的イニシアチブを発揮していくというふうに考えておられるんでしょうか。

玄葉国務大臣 質問は最終的には一つだと思いますが、途中で触れられたいわゆる日米韓の話は、まさにおっしゃったとおり、ウラン濃縮の問題というのは当然重視する、それ以上のことは、米国と韓国との申し合わせで公表しないということになっているので、あえて申し上げません。

 同時に、我が国のイニシアチブという意味では、特に拉致の問題で、〇八年八月の合意というものをきちっと実施してもらわなきゃいけないということを引き続き重視するんだということにして、それを足がかりにしっかりこの問題、つまりは拉致問題解決に結びつけていくということが大切だと考えております。

笠井委員 まさに今〇八年の合意ということを大臣は触れられましたので、それにかかわって両大臣に、山岡大臣にも同じ問いをさせていただくんですが、この三カ国の共同プレス声明では、北朝鮮に対して、拉致及び離散家族再会の問題を解決するための行動を要求するということが確認をされているわけですが、玄葉大臣が言われましたが、二〇〇八年の日朝協議で北朝鮮側が拉致問題の再調査を行うことに合意してからもう三年がたっているわけですね。再三そのことはこちらからも言ってきているということだとは思うんですが、三年も経過した中で、政府として、そういう点では、この合意に対しての北朝鮮側の具体的な行動を促して、引き出していく、そこがポイントだと思うんですが、それをやるために、では、どのような働きかけを行うつもりなのかということについて、そこのところを踏み込んで伺いたいんですが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 先ほど来から、まさに〇八年八月、この合意を足がかりにするんだ、その上で、表の舞台の中で、国連総会あるいはARFなどの場所でしっかりと訴えているということは申し上げたわけであります。

 それで、やはり大事なことは北朝鮮のペースにはまらないということでありまして、日米韓がきちっと連携をして対応するということが一番だというふうに思っています。

 そして、我々は別に対話を拒むものではありません。ただ、問題は、その対話というのは成果を生まなきゃ意味がないということなので、その成果を生むための日米韓の連携、緊密な連携というものをきちっと行っていきたい、そういう環境醸成というものを行っていきたいというのが考え方であります。

山岡国務大臣 私どもの方の切り口からいいますと、今、玄葉大臣の切り口というのは、当然国際間で、こういうことが大きな道だと思っております。

 一方においては、拉致担当としては、もちろん国内世論の盛り上げとか、もちろん家族のケアとか、そういうことは当然のことでございますけれども、どうやって北朝鮮の事情を把握して、そことコンタクトを図って、これは外交問題とは別にですが、そして拉致の解決につながる道がとれないのか、こういうことで、うちのスタッフはほぼそれにみんな費やされていると思っていただきたい。

 先ほど申し上げたように、具体的に何をどうやったと言えないところが、一生懸命やっているんですけれども、苦しいところでございますけれども、表には見えませんが、そういう別な道の方でたどり着いて解決につなげたい、そういう一念で努力をしております。

笠井委員 玄葉大臣にそれとのかかわりで伺っておきたいんですが、その際に、二〇〇八年の合意というのがありますが、もとをたどれば、日朝間でいえば日朝平壌宣言というのがありますが、その位置づけについてはどのように今の時点でしていくのかということと、それから、それにかかわって、二つ目の質問なんですけれども、前原元外務大臣がことし一月四日の記者会見で次のような立場を言われました。

 ことしの一つの大きなテーマとしては、余り活性化されていなかった日朝間の話し合いを、やはり他国任せ、あるいは六者協議、あるいは多国間の場のみで北朝鮮の問題を扱うのではなくて、拉致問題という日本の主権にかかわる問題もありますので、拉致、ミサイル、核、そういった問題をじかにしっかりと二国間で話ができるような状況をつくり出すことが大事なのではないかと考えております。

 前原元外相はこのように言われていたんですが、玄葉大臣、今の時点でそのことにかかわるお考えはどうか。平壌宣言もありますが、それとのかかわりで、いやいや、いささか違うというのか、あるいはその辺でどういうふうにお考えなのか伺いたいんです。

玄葉国務大臣 まず日朝平壌宣言、これは二〇〇二年九月だったと思いますけれども、この日朝平壌宣言については、その宣言にのっとる、そして拉致、核、ミサイル、包括的に解決を図って、不幸な過去を清算して国交正常化をする、この基本的な考え方は変わっておりません。

 その上で、日朝間の問題でありますけれども、どこまで申し上げるかということは率直に申し上げてあると思いますが、ただ、いずれにしても、我々は対話を拒むものではない、そして対話をするときにはきちっと成果を出す、そしてそのための環境醸成をする、そのことが大切だということを改めて申し上げておきたいと思います。

笠井委員 日米韓の連携というのは非常に結構なことだと思うんですが、六者会合の関係国の中で、北朝鮮とバイ、二国間の関係で協議を再開できずにいるのは日本だけだということになっていると思います。

 例えば、韓国では、当初、二〇一〇年の哨戒艦の沈没事件や延坪島の砲撃事件に対する北朝鮮の謝罪というのを南北協議の再開の条件にするというふうにかなり強く言っていたわけですが、北朝鮮の新たな軍事的挑発だとか、あるいは核問題を懸念するアメリカの意向というのもあって、それを受けながら、韓国としては六者会合に向けた南北協議を行うという姿勢に転じたというふうにも言われております。

 今、日本政府に求められているのは、六カ国の協議、六者会合で確認された方法に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を目指す、やはり日本としての主体的な外交戦略をしっかり持つことじゃないかというふうに思うんですね。北朝鮮側から前向きな動きを引き出すためにも、日本政府としても、連携ということで日米韓、大いにそれはやるということなんでしょうけれども、同時に、打開に向けて、我が国ならではと言っては何ですが、主体的な外交戦略を持って取り組むということが大事じゃないかというふうに思うんですけれども、これは両大臣に一言ずつ、その点についての所見を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

山岡国務大臣 おっしゃっていることはよくわかります。

 それで、私は拉致ですけれども、しかし、拉致イコール核であり、ミサイルであるわけですから、そういう点では、公式の外交協議等々でこれを詰めていくというのが一番オーソドックスな話でございます。

 ただ、これは、非公式とは言いませんが、やはり下交渉というのもいろいろありますので、外交問題と重なりますが、よく話し合いながら、例えば中国の皆様に対しては、拉致が解決をしなければミサイルも核も解決をしませんですよ、ですから、核優先、ミサイル優先というふうにお考えになったらこの話は結論は出ませんと。もちろん、アメリカのキャンベルさんなんかにもそういうところはきちっと言っているところでございます。

 したがって、それぞれの国、だれもが本音と建前はありますから、本音のベースのところにどう近づいていくかということで、率直に言うと、あちらサイドからもいろいろなチャネルからのいろいろな発信がありますけれども、非常にざっくばらんに言うと、それが行き着く根本のところでの確信が得られなければ、それはチャネルとは言えないわけで、また拉致被害者の皆様の消息についてもいろいろなところからいろいろな発信があり、こちらも探っています。

 ただ、いずれにしても、確証を持てないことには、それは結論からいえばナッシングですから、そういう点で私どもも苦労はあるんですが、今全力を挙げて、家族の皆様も相当御高齢でございますし、時間はないと思って、極めて精力的に取り組んでおりますので、その点は御理解いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 基本的には先ほど申し上げたとおりでありますが、おっしゃるとおり、時間との闘いというところがあって、覚悟を持って取り組みをしなければならないと。

 〇八年八月の合意がやはり足がかりだというのが私の基本的な考え方で、すべての拉致被害者の即時帰国に向けて全力を尽くしたいというふうに考えております。

笠井委員 終わります。ありがとうございました。

中津川委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、山岡大臣に拉致問題に関する八項目の対応方針についてお尋ねをいたします。

 菅内閣から野田内閣にかわったことを受けまして、新内閣が拉致問題にどのような基本方針をお持ちなのかについてお尋ねをしたいと思います。

 とりわけ菅前総理が拉致問題対策本部に、本部長であった昨年の十一月に指示をされました拉致問題に関する八項目の対応方針が現内閣でも踏襲されるのかどうか、あるいは八項目の方針に追加されるような内容があるのかどうかをまずお尋ねしたいと思います。

山岡国務大臣 この八項目につきましては、先ほど古屋委員からも御指摘がありましたけれども、野党の皆さんも大分以前からほぼ同じ認識を持っていただいているものであって、これは、与党とか野党とかいうことよりも、日本国として、日本国民として取り組んでいくべきもの、そういうふうに心得ておりますので、私としても、担当をした以上、この八項目に沿って、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っていますし、関係省庁やまた政府機関が一丸となって今取り組んでいるところでございます。

 この間のASEANプラス3という会議にも参りましたが、アジア諸国の皆さん、被害を受けている国も多いわけですから、同じ気持ちで取り組んでいこうじゃありませんか、こういうふうに持ちかけている一方、今お答えを申し上げたように、今までとどこが違うかということを自負させていただきますと、時間がないので、どうやっていろいろなチャネルを本当に実態のあるものに結びつけていけるだろうか、そういう、自分自身の感触ではかなりいいところにまでいっていると思えるものもありますが、再三申し上げているように、結論に行き当たらなければナッシングですから、そういう点では、この八項目に沿って、あえて言えば、非常に急いで、また特別なルートを全部たどっていっているということが、自分はそれを努力しているという点が、どこが違うかと言われれば、そのつもりであります。

 以上です。

中島(隆)委員 担当大臣として、この八項目に沿って行動していただきますけれども、北朝鮮の拉致の対話、つなぎ、これを何としてもとっていただくということについてもぜひ努力をしていただきたいと思います。

 次に、玄葉大臣にお尋ねをいたします。

 北朝鮮が約束をした拉致被害者の再調査についてでございます。

 拉致問題の解決に向け、進展が見られない。極めて遺憾と言わざるを得ません。特に、御家族や関係者の方々の御心労を考えれば、拉致問題の一刻も早い解決が必要であります。

 拉致問題の解決に向けた兆しが見えない原因は、第一義的に北朝鮮側にあるということは間違いありませんが、しかし、日本政府のこの間の対応もどうであったのか、真摯に検証されなければならないと思います。

 特に、先ほど来取り上げられておりますが、今回の八項目の対応方針、これに、二〇〇八年の日朝合意履行を含む北朝鮮の具体的行動への継続した強い要求という項目が盛り込まれています。これは北朝鮮が約束をした拉致被害者の再調査を指すものだと思います。

 この再調査の約束から、もう既に三年が経過をしているわけです。拉致被害者の再調査の実現に向け、今後どのような機会に、あるいはどのような形で実現を迫っていくのか、そういうお考えをお尋ねしたいと思います。

玄葉国務大臣 今、中島委員が〇八年の八月の合意についてただされましたけれども、御案内のとおり、残念ながら、〇八年八月に合意をして、たしかあのときは、福田総理から麻生総理にかわったことを理由にして、調査をやめる、調査をしないということを北朝鮮側が一方的に言ってきた、こういう経緯があるわけであります。さはさりながら、やはりあの〇八年の八月の合意というのは足がかりにはなるというふうに私自身考えています。

 ですから、表で申し上げることは、先ほど申し上げてきたように、北朝鮮の担当者がいる場で、国連総会とか外務大臣がいる場できちっと言うべきことは言うし、当然、米国からも、そして韓国からも言ってもらうということも含めて、日米韓の緊密な連携、同時に、先ほど竹内委員からも、ロシア、中国の役割についての話がありました。これはこれでやはり大事なのでありまして、そういった関係国ともよい連携をとりながら、最終的に〇八年八月の調査再開合意を実現できるように、具体的な行動に出てくるような、そんな環境をつくっていきたいというふうに考えているところであります。

中島(隆)委員 特に、六カ国協議に向けての環境整備、先ほど来、それぞれ質問されております。

 これまでの経過でも、再度申し上げたいと思いますが、九月にはことし二回目となる南北対話が実施をされました。それから米朝会談も、七月に一年七カ月ぶりに直接交渉が行われました。それから、今月末には二回目の交渉が行われる、こういう報道もございます。それから、中国、ロシアとも、経済協力という形で北朝鮮との対話が加速をされております。

 それから、韓国、北朝鮮との間の南北対話、これについても、米朝交渉の実現を通じて六カ国協議への流れがつくられつつあるわけでありますが、この間の流れだけを追えば、六カ国協議は再開の条件が形成されつつあるように見えますけれども、もちろん、北朝鮮がウランの濃縮停止に抵抗しているということもございます。協議がそれぞれ簡単ではないことは理解をしますけれども、この六カ国協議の再開は拉致問題をめぐる交渉にも大きな影響を与えるだけに、関係国の対応は注視している必要があります。

 ここでお伺いしますけれども、政府は六カ国協議の再開に向けた環境整備が進んでいると認識をしておられるのかどうか、それから、再開に向けて障害があるとすればどのような点であるのか、その点を玄葉大臣にお尋ねいたします。

玄葉国務大臣 御指摘のとおり、二回の南北対話が行われた、そして米朝対話も、まさに本日、二回目の対話が行われている、そして北朝鮮が中国やロシアとも対話をしている、このことも十分承知をしているわけであります。

 ただ、重要なことは、成果を伴う対話にならないとだめだ、北朝鮮のペースにはまってはいけないということがあると私自身は思っています。したがって、では、現時点で北朝鮮が私たちが望む具体的な行動、そういったものをするという状況にあるか。現時点で、それはなかなかそうはなっていないというふうに私自身は見ているところであります。

 ただ、いずれにしても、また米朝対話は今行われていますから、そういったことを踏まえて、まさに日米韓で緊密に連携して次の一手を考えていきたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 先ほど来、大臣の所信表明の中でも、対話を拒むものではない、北朝鮮との対話が成果を生むものが重要である、そして核、ミサイル、これも含めてということでありますが、先ほどの指摘もございましたが、日米韓あるいは南北の対話、中国との、朝鮮との対応、こういう協議が進んでおりますが、先ほど自民党の古屋先生からも御指摘がありましたように、拉致問題が置き去りにされるのではないか、こういう心配を私もいたすところです。

 ですから、今後の対応は、日米韓の協議を慎重に連携するということも必要ですが、やはり北朝鮮とのパイプ、話し合いをどうつくるかということも今後必要ではないかというふうに思うんですが、これについてどういうふうに対応するか、大臣の決意を改めてお願いしたい。

玄葉国務大臣 先ほど来から申し上げておりますけれども、対話を拒むつもりは全くございません。大事なことは、成果を生む対話をするということに尽きるのではないかというふうに考えております。

中島(隆)委員 最後に、入国管理局長にお尋ねしたいと思います。

 これは、九月に石川県の沖で、小型船による脱北者がございました。男女九人が保護されております。今回のケースは、九人が一時庇護の上陸許可の申請を行いまして、法務省の大村入国センターで聴取を受け、その後、十月四日に韓国に移送されたと承知をいたしています。四年前に青森県に脱北者が乗った小型船が漂着をした際には、一時庇護の上陸許可の申請が上陸後に行われたり、かなりどたばたをした印象を受けております。そのときに比べますと、今回の対応は非常にスムーズに行われたのではないかと思います。

 今回の脱北者と見られる九人が石川県沖で発見されてから韓国に移送するまでの手続について、どのような法律に基づき、どのように行われたのかをお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、今回のような脱北者が韓国行きを希望したケースでは、対応が比較的容易かもしれませんが、仮に脱北者が日本へ定住を希望した場合、そのような事態を想定した準備はできているのかどうか。あるいは、難民条約に基づき難民認定することになるのでしょうか。その点をお尋ねいたします。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年九月十三日、能登半島沖で漂流船が発見されたわけでございますが、その午後になりまして、金沢港に到着したということで一時庇護のための上陸許可申請を受理した。その上で、九月十四日には仮上陸を許可して上陸させ、大村センターに移送したということでございます。

 法制度でございますが、一般論として申し上げまして、船舶等で本邦に到着した方、その方が我が国に庇護を求めるという場合には、入管法の規定する一時庇護のための上陸許可という制度により対応することとしております。

 実際に申請がありました場合には、入管法十八条の二に定める要件、すなわち難民条約一条A(2)に規定する理由その他これに準ずる理由ということで若干広がっておりますが、そういった理由で、生命、身体または身体の自由を害されるおそれのあった領域から逃れて、本邦に入ったということ等について個別に審査を行いまして、その許可の可否を決定するということでございます。

 なお、許可を受けた者が本邦に長期間在留を希望するという場合でございますが、この場合につきましては、入管法二十二条の三というのがございまして、入管法の定める在留資格の取得の申請をすることができる。これによりましては、これが認められれば本邦に引き続き在留することができるということになってございます。

中島(隆)委員 質問を終わりますが、特に拉致問題、それぞれの各国の協議も行われています。ぜひ政府、関係機関が協力をして、一日も早い帰還ができますように御努力をいただきたいと思います。

 終わります。

中津川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十四分散会


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