衆議院

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第4号 平成23年11月28日(月曜日)

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平成二十三年十一月二十八日(月曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 中津川博郷君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 後藤 祐一君

   理事 柴橋 正直君 理事 谷田川 元君

   理事 山花 郁夫君 理事 古屋 圭司君

   理事 竹内  譲君

      石田 三示君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    楠田 大蔵君

      高野  守君    中野 寛成君

      長尾  敬君    野木  実君

      福田衣里子君    水野 智彦君

      向山 好一君    村上 史好君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      坂本 哲志君    高木  毅君

      宮本 岳志君    中島 隆利君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     山岡 賢次君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官)   三谷 秀史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        村田 直樹君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    沼田 幹男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     北村 誠吾君

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     石田 三示君

  向山 好一君     水野 智彦君

  高木  毅君     北村 茂男君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     櫛渕 万里君

  水野 智彦君     岡田 康裕君

  北村 茂男君     高木  毅君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     向山 好一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

中津川委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官三谷秀史君、外務省大臣官房広報文化交流部長村田直樹君及び外務省領事局長沼田幹男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中津川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中津川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川委員 民主党の谷田川元でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、ことしの七月の十一日から三日間、拉致議連の一員としてワシントンを訪問しました。そのときに感じましたのは、アメリカの政府当局あるいは議会関係者が異口同音に言うのは、北朝鮮という国は相手にしづらい難しい国だ、そういうことをアメリカ政府関係者は言うわけですね。まさにそうなのかなと。それゆえに、この拉致問題、大分こうやって長引いているということだと思います。

 しかし、そうはあっても、そういう中で、知恵を出して、国際的な圧力をかけながら対話もする。圧力と対話、あめとむち、使い分けながらこの問題を解決していくということが必要だと思います。

 そして、私もきょうたまたまこのお部屋に来てびっくりしたのですが、実は、一番奥にあります肖像画、山村新治郎代議士なんですよ。よど号ハイジャック事件で、身がわりに金浦空港から北朝鮮に飛んで人質を解放、当時運輸政務次官でありました。実は、山村代議士と私はいとこでございまして、そういう関係で、北朝鮮とも縁があるなと思いまして、きょうは一生懸命質問させていただきたいと思います。

 それで、まず、北朝鮮人権法に基づいて、ことしも十二月十日から十六日まで北朝鮮人権侵害問題啓発週間でありますけれども、政府は十二月十一日に拉致問題シンポジウムを開催することになっております。その講演者の一人である北朝鮮人権委員会のチャック・ダウンズ氏を政府は招待しておりますけれども、私もこの間ワシントンに行ったときにお会いしましたが、改めて政府の方から、そのチャック・ダウンズ氏というのはどういう方であって、北朝鮮人権委員会というのはどういう団体か、そして今回このチャック・ダウンズ氏を招待したねらいは何なのか、お答えいただきたいと思います。

山岡国務大臣 委員が拉致問題に重大な関心を持っていただいて、本当に御貢献をいただいていることに敬意を表させていただきたいと思いますし、拉致問題は党派にかかわらず日本国挙げて取り組んでいく問題であり、特にアメリカとの協力関係というのは非常に重要だと心得ております。

 そして、先生の御指摘のとおり、十二月十一日に開催予定の拉致問題シンポジウム、北朝鮮人権委員会の専務理事を務めていらっしゃいましたチャック・ダウンズ氏を講師としてお招きすることになっております。

 先生もその本を持って、私も今持って歩いているところで、先生の方がお詳しいんじゃないかと思いますが、この委員会は、北朝鮮による拉致問題の解明と世論の喚起を目的として、外交政策とか人権問題に関する専門家の皆様がお集まりになって二〇〇一年に立ち上げた組織であることは御案内のとおりでございますが、本年五月に報告書「Taken!」を発表したわけでございます。

 また、同氏は、朝鮮半島専門家として活躍されている方でございますが、二〇〇八年から本年まで同委員会の専務理事を先ほど申し上げたように務めておられまして、同報告書の編集に中心となって取り組まれたと伺っております。

 今回のシンポジウムでは、ダウンズ氏には、米国における北朝鮮の、朝鮮半島専門家としての立場から、拉致問題の解決に向けた国際連携に関して講演をしていただくことになり、我が国の拉致問題の解決に向けての参考にさせていただきたい、こういうふうに思っております。

谷田川委員 今、山岡大臣からもお話がございました「Taken!」という本ですね、その報告書。その日本語訳がここにある「ワシントン北朝鮮人権委員会拉致報告書」、これが最近、発売になったんです。

 英語の日本語訳なんですが、日本語訳に英語版にはない記述があるんですね。それは何かといいますと、二〇〇四年八月に中国雲南省でデービッド・スネドンという米国人学生が失踪し、これが北朝鮮による拉致だと疑われているんです。この記述を日本政府としてはどう受けとめているか。聞くところによりますと、アメリカ国民が中国を旅行中、背景が全くわからず失踪した初めてのケースとこの報告書は言っております。日本政府としてどう受けとめるか、御答弁いただきたいと思います。

山岡国務大臣 アメリカの北朝鮮人権委員会が拉致問題の報告を出されたということは承知しておりますが、特に民間団体が拉致問題に取り組まれたということについては、私どもとしても大いに歓迎するところでございます。

 一方、御指摘の米国人を含めて、個々の拉致情報については、大変申しわけないんですが、事柄の性質上、ここでのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、拉致被害者の安否情報、徹底した収集と分析に努めて、日本のみならず、世界的に拉致問題の解決にはともに努力をしていきたい、こういうふうに思っております。

谷田川委員 事柄の性質上、なかなか言えないというのはわかりますが、ただ、アメリカ政府がこの件についてどう思っているかについて、アメリカ政府には照会されましたか。

山岡国務大臣 拉致問題等々については、緊密に連絡をとりながら、拉致議連の皆様もこの間アメリカに行っていただきましたし、そのフォローで私どもからも派遣をしておりまして、常に緊密な、具体的な連携をとりながら進めているところでございますが、ここはどう、ここはどうということはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

谷田川委員 この報告書の中に、次の十四カ国の国民が北朝鮮に拉致あるいは拘束されていると書いてあるんですね。その国を申し上げますと、韓国、タイ、ルーマニア、アメリカ、中国、オランダ、フランス、ギニア、イタリア、日本、ヨルダン、レバノン、マレーシア、シンガポール。このうち、韓国、タイ、ルーマニア、レバノンの政府が拉致被害者の存在を認めています。こうした国との連携。さらには、まだ拉致をされたと認定していない国がありますね。今申し上げた四カ国以外は認めていないわけです。ですから、そういう国との情報交換が必要だと思いますが、政府の取り組みはどうなのか、お答えいただきたいと思います。

山岡国務大臣 今御指摘の十四カ国ですか、そういう国に拉致被害者などがいる、こういう証言、また日本にお帰りになった拉致被害者の証言などから、日本以外の国でも北朝鮮に拉致された被害者がいらっしゃるということは明らかになっているところでございます。

 申しわけないことなんですが、情報の中身などの詳細については、相手国との信頼関係とか、あるいはこれからの政府レベルにおける関係各国との情報交換等で支障が生じるおそれもありますので、具体的に申し上げるわけにはいきませんが、いずれにいたしましても、関係国と緊密な連絡をとって、解決に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

谷田川委員 同報告書の中にこういった記述があるんですね。在日朝鮮人の帰還事業は日本の多くの知識人、メディア、そして外務省によっても支援された。それは、日韓併合によって朝鮮半島を植民地化し、労働力を搾取した時代への反省があったからとされている。この辺の事実関係はどうなのか、お答えいただきたいと思います。

中野大臣政務官 谷田川議員にお答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、帰還事業は昭和三十四年の閣議了解からスタートしているわけでございますけれども、帰還事業については、いわゆる日本人妻問題も含めた人道上の問題の観点もありまして、赤十字国際委員会に対して、帰還を希望する者の意思確認ですとか帰還のための必要な仲介というものを当時政府から依頼をしたという経緯がございます。

谷田川委員 朝日新聞なんかはこのメディアの一つだと思うんですけれども、謝罪の文章を書いているんですよね、間違ったことをしたと。

 政府としては、この件に関しては何かしたんでしょうか。

中野大臣政務官 ちょっと今確認をして、もう一度こちらから答弁させていただきます。

谷田川委員 私も非常にショッキングな見出しを見た。これは何かといいますと、帯の方に「北朝鮮はこれまで十八万人を拉致した」とあるんですね。

 拉致の定義の問題なんですが、要は、自分から北朝鮮に渡って帰ってこれないというのも広い意味における拉致だ、このチャック・ダウンズ氏はそう考えていらっしゃるんですね。ですから、そういう意味からも、単に北朝鮮に拉致された人のみならず、帰還事業で北朝鮮に渡って帰ってこれない日本人についてもやはりしっかり日本政府もウオッチして、できることをやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それで、三年前の八月に、当時の福田内閣が北朝鮮に対して、拉致の再調査をしてほしい、そういう話をしたところ、北朝鮮も一たんはオーケーして、その後、一カ月後、福田総理の退陣に伴って、その再調査はなしにするということになりました。

 あれからもう三年以上たちました。民主党政権になりまして、昨年、拉致を解決するための八つの方針というのを示されまして、その中に北朝鮮の対応が悪ければ追加制裁措置もとるべきだというのが書かれております。

 そこで、この際、三年前の八月に約束した拉致事件の再調査を北朝鮮が履行しない限り、我々日本政府はもっと制裁を加えなきゃいかぬ、追加制裁をするんだということをしっかり北朝鮮に伝えるべきじゃないかと私は思うんです。

 いろいろ選択肢はあろうかと思いますけれども、私はこの際、今現在、北朝鮮の国会議員である総連幹部六人が北朝鮮を渡航先とする再入国不許可の措置をとっておりますね、それをさらに拡大して、北朝鮮の総連の副会長レベルにも……(発言する者あり)まあ、とりあえず五人をまずは対象に。五人の副会長を対象にすべきだということをまず考えるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

山岡国務大臣 日本の中で、多くの方、特に家族会や救う会の皆様の中には、九月四日の緊急国民集会の決議においても、北朝鮮が調査のやり直しの約束をほごにして三年が過ぎたということを理由に全面制裁の発動をすべきだ、こういうことを求めていらっしゃることも承知をしておりますし、十月八日の総理と拉致御家族との面会においても、御家族側から、北朝鮮との実効性のある協議を実現すべく、拉致を理由にした制裁を拉致問題解決の手段として備えてほしい、こういう御要請もありました。一方においては、御家族の中にも、交渉に向けての追加制裁の発動には慎重であるべきだ、こういう御意見もありました。

 ただ、いずれにいたしましても、制裁を含めまして、拉致問題の解決のためにはいかなる手段が有効であるのか、基本的には全員の無事御帰国を果たすということが最終目的であるわけでございますから、そのためにも、北朝鮮側の出方も見きわめながら、また諸外国との連携等も図りながら、総合的に一番適切な判断をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

谷田川委員 ぜひしっかり検討をしていただきたいと思います。

 野田政権になってから、拉致対策本部の会合というのがまだ開かれていないと聞いております。閣議等で、山岡大臣が、玄葉大臣とか、いろいろ議論されているという話は聞いておりますが、少なくても年内には開いていただいて、対応をとっていただきたいなと思います。

 それで、お手元に資料を配付したと思いますが、今月の二十一日に国連総会第三委員会の決議が行われました。その決議とは何かといいますと、拉致被害者の即時帰国と拷問を初めとする北朝鮮の人権侵害を直ちに中止するよう求める決議なんですね。その内訳がこの表なんです。百十二カ国が賛成しました。これは過去最高の数字だそうです。反対十六カ国、棄権五十五カ国ですね。拉致事件が大分風化したなんということを言うけしからぬ人もいますけれども、そんなことはないんですよね。こうやって、日本政府が地道な外交努力で活動した結果、最高の百十二カ国の賛成を得られた。

 昨年は棄権だったんですけれども、ことし賛成に回った国にフィリピンがあります。これは野田総理がアキノ大統領に強く働きかけた結果と聞いておりますが、そういう事実があるかどうか、お尋ねしたいと思います。

山岡国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、先ほどの御発言でございますけれども、拉致対策本部を開くのはいつでも開けるのでございますが、その前に、やはりこれは国を挙げて、政府を挙げて取り組むべき問題でございますので、閣内の皆様に、新しく入閣されたわけですから、皆様に十分まず御認識をしていただくということが先だと思って進めております。また、このところ、総理や外務大臣、外国に相当行っておりますので、その際に、必ずこの拉致問題のことについては申し上げていただきたい、そういうことを私からもお願いし、またそれぞれの閣僚も、かなり幅広に熱心に今やっていただいております。

 かく言う私自身も、インドネシアの、これは犯罪対策閣僚会議でございまして、サイバーテロがメーンテーマだったんですが、わざわざASEANプラス3の皆さんに、この拉致の問題をよくよく、もう一度再認識をしていただいて、一緒に取り組んでいただきたいと。そう申し上げれば、皆さん、そのとおりだ、こういうことで前向きに対応していただいておりました。

 そういう点では、今最初に申し上げたフィリピンについても、わざわざ総理がみずから説得というか説明をして、御了解をいただいたと伺っております。

谷田川委員 山岡大臣の進言により、総理ほかの閣僚がそういう積極的な働きかけをしているということは非常にうれしく思います。

 そこで、前回反対または棄権したものの今回賛成した国は、フィリピンのほかには、レバノン、サウジアラビア、チュニジア、コンゴ、モーリシャス、コロンビア、ハイチ、セルビア、リビアがありますけれども、これらは今回どういう理由で賛成に回ったと考えられるか、差し支えない範囲でお答えいただきたいと思います。

中野大臣政務官 差し支えない範囲でということなんですけれども、基本的には、先ほど山岡大臣からお話のあったとおり、それは我が省の玄葉大臣も含めまして、政務三役も含めまして、とにかくあらゆる機会を持ちまして、そのような国々の方とお会いするときには必ず、この決議について今まで反対、棄権をされている方に対しては、ぜひ投票行動を賛成の方に向けてくれないかというお話をずっとしてまいりました。

 また、政治家レベル、政務レベルに限らず、各国の首都ベースですとか、あと国連のいろいろな場で、いろいろな形でお願いをしてきた結果が、このような形で、今回、過去最高の賛成票をいただいたということでございますが、内容については、外交上の問題でございますので、どのような話がなされたということについては、御理解をいただいて、ちょっと詳細については差し控えさせていただきたいと思いますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。

 あと、先ほどの謝罪につきましては、政府としての謝罪はされていないということでございますが、ただ、この帰還事業につきましては、やはりこれは長年の経緯の中でいろいろな評価があるということもぜひ御理解をいただきたいと思っております。

谷田川委員 今回反対に回った十六カ国、この中には、日本がODA、政府開発援助を供与している国があると思うんですが、どこだか教えていただきたいと思います。

中野大臣政務官 ミャンマー、ベトナム、中国、キューバ、ベネズエラ、ベラルーシ、ウズベキスタン、アルジェリア、エジプト、イラン、オマーン、シリア、スーダン、ジンバブエの十四カ国でございます。

谷田川委員 今聞いて、委員の皆さん、どう思われたでしょうか。日本がODAをやっているにもかかわらず、日本が提案した北朝鮮の人権決議に反対している。日本国民の感情からすると、何で我々の税金が、拉致を認めない、北朝鮮の人権侵害を認めない国に供与されなきゃいけないのか、そういった疑問を持つ国民が多いんじゃないかと私は思います。

 私は、やはり、戦略的外交を展開するためにも、国連の北朝鮮人権状況決議に反対する国にはODAを供与すべきじゃないと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。

中野大臣政務官 委員重々御理解の上で御質問されていると思うんですけれども、この十六カ国につきましては、必ずしも北朝鮮の人権状況決議に対しての反対というだけではなくて、過去のいろいろな経緯で、国別の人権状況の決議に対して反対をするという立場をとりにくいというところで反対をされている国もあるわけです。

 それで、今のODAにつきましては、確かに、この一つの決議だけをとってみますと、それは反対をして日本と同調してくれないのはけしからぬじゃないかという御意見もあると思うんです。

 ただ、いろいろな形で二国間を見ていったときに、国連でのほかのいろいろな決議に対しては、日本に対して理解を示していただいている決議もたくさんございますし、あとは、二国間の国と国との関係の中では、必ずしも国連での決議という枠にとらわれない中で、いろいろな形でお互いがお互いの国を理解する中で、お互いの国に対して、その発展に寄与しているという場面もございますので、一概に、これをもってODAを出すのはけしからぬというのは、ちょっとそのような、機械的に考えるというのは余り当たらないのではないかなというふうにも感じます。

谷田川委員 私は今の答弁にちょっと納得いかないんです。では、何のために国連人権決議で日本政府が、各閣僚あるいは総理も、賛成してくれと言ってやっているんですか。やはりここは毅然とした態度をとるべきだと私は思いますよ。

 アメリカなんという国は、やはり議会の力が結構強いですから、政府のそういった政府開発援助に対しては法律で枠をはめています。人権を侵害する国に対してはやってはいけないとか、そういう例があります。

 日本も、戦略的外交という言葉は使っているけれども、実質が伴わないと私は思うんですよ。例えば、政府開発援助大綱、ここにも「多発する紛争やテロは深刻の度を高めており、これらを予防し、平和を構築するとともに、民主化や人権の保障を促進し、個々の人間の尊厳を守ることは、国際社会の安定と発展にとっても益々重要な課題となっている。」そううたっていますよ。うたっているんですよ。我々日本が提案した人権決議に反対してしまう国、我々の政府開発援助大綱の精神に違反しているじゃないですか。

 だから、ここはやはり政府として、例えば、ではこうしましょう。もし、この北朝鮮人権決議に反対した国に対してはODAを供与できないという法律があれば、これはできませんよね。ですから、これは立法府、我々としても、そういった法律を制定するということも、北朝鮮の拉致問題を解決するためにとるべき選択肢の一つとして考えるべきだと思います。

 こういった法律を制定することについてはどう思われますか。

中野大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、例えばことしは百十二カ国ということでございますが、前回反対または棄権して今回賛成をした国というので、先ほどから挙がっております、例えば、レバノン、フィリピン、サウジアラビア、チュニジア、コンゴ、モーリシャス、コロンビア、ハイチ、セルビア、リビアという国がございます。

 ですから、私は必ずしも、ODAの枠を掲げて賛成に回ってくれというよりは、いろいろな機会を使って賛成に回っていただく努力をし続けるということが必要なのではないかなというふうに思っています。その結果として、今回これらの国が賛成に回っていただいて、百十二カ国という国が、過去最高でございますから、やはり外交のいろいろなチャンネルを使ってさらに賛成国をふやしていくという努力を考えていくというのも、選択肢として考えなくてはいけないのではないかと考えております。

谷田川委員 お人よし外交とよく日本の外交に対して批判的なことが言われていましたが、こんな姿勢でいたら、ますますそういうことを言われ続けるんじゃないかなと私は思います。ぜひ、戦略的外交と言うからには、では何が戦略的外交なんだという詰めをもっと外務省内で、あるいは日本政府でしっかり検討していただきたいなというふうに思います。

 さて、私は、先ほど申し上げましたように、この間ワシントンに行ってまいりまして、政府関係者あるいは議会関係者と意見交換あるいはこちらからいろいろとお願いをいたしました。我々拉致議連が、政府、議会、それぞれの関係者に申し上げた共通点は次の二つなんですね。

 一つは、食糧支援がアメリカから北朝鮮に行われるんじゃないかという話があるけれども、しかし、食糧支援を行っても本当に困っている人のところに届かない、これは北朝鮮の体制を強化するだけにしかならない、だから食糧支援はやめてもらいたい。

 それから、テロ支援国家の再指定をしてもらいたい。二〇〇八年の十月に米国政府はテロ支援国家のリストから北朝鮮を解除しましたが、これに対する日本政府の見解はどうなのか、まずお尋ねしたいと思います。

中野大臣政務官 委員御案内のとおり、米国政府は、二〇〇七年の二月以降に、北朝鮮との間で、その解除の可能性も示唆しつつ、いろいろなやりとりをやってこられて、その結果として、二〇〇八年の十月に、停滞していた六者会合プロセスを再起動させることも重要との判断からその指定解除を行ったというふうな経緯であると理解をしております。

谷田川委員 今の言い方は、何も評価を加えていない。要は、テロ支援国家のリストから解除したということについては日本政府としてはよかったのか悪かったのか、そういう立場の表明はなかったんですか。

中野大臣政務官 これも委員重々御存じで御質問されていると思うんですけれども、そもそも最終的な判断というのは米国政府がするものでございまして、その判断も米国の国内法の解釈とか適用の問題がございますので、これについて日本政府が解釈をするということは余り適切ではないというふうに理解をしております。

谷田川委員 では、この質問をしても同じような答えかもしれませんが、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう私は要請すべきだと思うんですが、そういう考えもないということですか。

中野大臣政務官 繰り返しになりますけれども、あくまでもこれは米国政府の判断でございますが、ただ、その政府の判断につきましては、先ほど山岡大臣からも答弁がありましたけれども、日本の立場というのは重々にアメリカ政府も理解をしていただいていると思いますので、その中でどのような判断がされるかということについては、今後、私たちとしてはまずそれを注視していくということだと思います。

谷田川委員 二〇〇八年の九月の十七日に、当時の中山拉致問題担当大臣が訪米しまして、ハナ副大統領補佐官と会談し、こういう発言をしているんですね。テロ支援国家指定解除については安易な対応をしないようお願いしたい、こうはっきりおっしゃっているんですよ。

 こういった当時の中山拉致担当大臣よりも何か日本政府の態度が後退したと思われるのは、私はよくないと思いますが、いかがですか。

山岡国務大臣 先ほどの御質問の、テロ支援国家指定の解除について。

 これは、今、中野政務官がおっしゃったように、米国が判断する事項ではありますけれども、しかし、他方、我々も米国側とはしょっちゅう打ち合わせをしておりますから、私どもがどういうことを望んで、やってほしいと思っているかということはよく理解をしていると思っております。

 しかし、テロ支援国家指定について、拉致被害者の御家族を初め、先生を初め、我が国の中に強い要望があるということは、これもまた承知しているというか、余り、思いが同じなんということを言っては、ここではまずいのかもしれませんが、たくさんあるわけでございまして、私どもは、そういうことを踏まえながら、これからもアメリカとの交渉等々を引き続き緊密にやっていきたいと思っております。

 また、前の中山拉致担当大臣の御要請について、もちろん、大臣はかわっておりますけれども、政府の考え方は全く変わらずに一体でございますから、そういう点では、担当大臣がかわっても考え方は不変である、こういうふうにお考えいただきたいと思います。

 拉致被害者の家族を初め、我が国内にこのことに対する強い要望があると今申し上げたとおりでございますので、そういうことを踏まえながら、米国と引き続き緊密に連携していきたいと思っております。

 外務省が答えることまで入り込んでいたかもしれませんが、政府としてそういうつもりでございます。

谷田川委員 この間、アメリカの議会に行ったときに、ロスレーティネンという、共和党の議員で、今、下院の外交委員長を務めていらっしゃいます、その方が、去年から、拉致問題が解決しない限り、北朝鮮の国家承認禁止を政府に求めるという内容の法案を提出しているんですよ。

 アメリカの議員がそこまで北朝鮮の拉致問題に対して関心を持っていることを私は非常にうれしく思うんですが、これに対して政府はどのような見解をお持ちになっているか、お答えいただきたいと思います。

中野大臣政務官 先ほどからの繰り返しになりますけれども、まず、例えば先般の日米外相会談でも、玄葉大臣の方からクリントン国務長官に対して、拉致についてはしっかりと米国の支援をいただきたいという話はしておりまして、それに対して、クリントン長官からも強い支持の表明というのがございました。

 その中で、今ございました、ロスレーティネン下院外交委員長のお話ですけれども、これは大きく分けますと、一つは、テロ支援国家への再指定を行うべきかどうかということ、そして、一定の条件が満たされるまでは指定解除は禁止をする、そして、このような条件が満たされない間は国家承認を禁止するということで、このような法案を出そうという動きがあることは理解をしております。

 これも、当然のことながら、政府高官レベルではなくて、議員外交の中でも、日本の立場、そして日本の状況というのをしっかりと私たちは説明させていただいておりますので、これについても、この動きがどのようになるかということについては注視をしていかないといけないということだと思っております。

中津川委員長 質問に明快に答えてください。

山岡国務大臣 この法案で日本人の拉致被害者の解放について言及しているということは、極めて注目に値すると思っております。

 具体的なことは申し上げられませんが、私どもとしても、特に拉致担当としても、関係団体などと今御相談をしながら、何らかの対応ができないかということを検討しているところでございます。

谷田川委員 ここでいろいろ私が言ったことに対して答えると相手に手のうちを見せることになるので申し上げられないということはよくわかりますが、アメリカの議会というのは、大体、年間に一万件ぐらい法案が出るんですね。そのうち審議されるのが大体十分の一、成立するのが三%なんですよ。ですから、ロスレーティネンさんが提出された法案というのはまだ審議もされていないんです。これは、審議させるだけでも大変なんですよ。ですから、いろいろな手だてがあると思いますが、何とかロスレーティネン外交委員長のもと、あの法案がまずは審議されるように、しっかり働きかけるためのいろいろな知恵を出していただきたい、そのことを要望したいと思います。

 それで、先ほどから答弁を聞いていますと、この拉致問題に関して申し上げますと、対策本部の中で、外務省の関係者はどうも慎重過ぎるんじゃないか、そういう判断を私はしてしまうんですよ。この辺は、山岡大臣、拉致問題担当大臣として、やはり外務省を説得するぐらいの気持ちでリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

山岡国務大臣 御激励をいただいて、ありがとうございます。

 これはもう改めて言うまでもないんですが、拉致問題というのは我が国の国家主権の侵害ですから、そういう点においては、重大な問題であり、もちろん人権侵害であるわけでございます。

 そういうことで、外務省という立場、これはいろいろな面から、多方面から外交をやっていることはお互い承知のことでございますが、私どもとしては、拉致が本当にテーマでございますし、私どもの仕事ですから、そういう点においては、外務大臣や総理大臣にも本当にたびたび強く御要請を申し上げて、そして、先ほど申し上げたように、いろいろと環境が整ってきたら、また皆さん外国でいろいろとお願いなどしてきていただいてから、改めて、そういうことを踏まえて対策本部を年末ごろに開こうかな、そういう計画で、会議をやれば何か進んだような気がするというわけにはいきませんので、実質的な効果が上がるように、外務省にもよくよく協力をお願いして、総理にも陣頭指揮をとっていただいて、頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞ先生の御支援、御協力をよろしくお願いいたします。

谷田川委員 アメリカ議会、政府のみならず、国連にも行って、北朝鮮の拉致問題は国家主権の侵害だと今おっしゃいましたので、それをやはりしっかり山岡大臣が直接、国連あるいはアメリカ政府、議会の関係者に会って伝えるというためにも、訪米を検討されたらいかがですか。

山岡国務大臣 御激励をしていただきまして、ありがとうございます。

 私の気持ちを率直に言えば、もう本当にあすにでも、このことで、国連のみならず関係諸国、中国や韓国やいろいろなところを訪問してお願いを申し上げたいという気持ちではいるんですが、しかし、これは外交にかかわる問題でございますから、このこと以外にも外交問題をたくさん抱えていることは承知をしておりますので、まず総理あるいは外務大臣がお行きをいただいたときに、いろいろとこの拉致問題について御努力をいただいております。その後を受けてというわけじゃありませんが、この拉致問題のことだけに関して、私もぜひそういうところに出向いて当たっていきたい、そういうことで、御激励をいただいたことを本当に力強く受けとめさせていただきます。

 ありがとうございます。

谷田川委員 では、時間が来ましたので終わります。

中津川委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 質問に入ります前に、山岡大臣に確認をいたします。

 二カ月前の九月二十八日の参議院予算委員会で森まさこ委員が、就任の会見でマルチに関する献金について返金すると述べたが、返したのかと問われて、大臣は、判明次第、順次お返しをして、最終的には収支報告、公のものとしてきちんと報告させていただくというふうに答えられております。いつまでかというふうに聞かれて、できるだけ早くというふうな答弁でございました。

 その後一カ月たって、本委員会で古屋委員から、当然調査は終わっていると思うがと問われて、もうほぼ、おおむね返金は済んでいると思うと答弁をされております。

 そして、十一月八日の平沢委員の予算委員会での質問で、返金の状況はどうなっているかと聞かれ、大臣は、全額お返しをしているはずというふうに答えられております。

 全部返金は済んでおるんでしょうか。そして、それは当然収支報告書届け出ということで済んでおるんでしょうか。お伺いいたします。確認をいたします。

山岡国務大臣 この問題は、私にも相手の方にも法的な問題があるわけではなくて、政治資金規正法に従ってすべからく適正に処理をされているものでございますけれども、私個人の政治活動についてのことで、消費者大臣に就任したということで、私個人が誤解を受けたくないから、こういうことで自発的に、個人的に、このことをお返ししようということで進めているわけでございますから、そういう特別な事由もなく、こういう場で何をいつどこでというのは、相手さんにとっても非常に適切ではないと思っております。

 そういう点では、私どもが法で定められたルールというのは、収支報告書にきちっと報告をするということが私どものルールでございますから、そのことは、今は、個人的なことを申し上げれば、判明したものについては全部お返しをしているわけでございますが、それは個人的な問題でございますので、いずれ収支報告書を、この公式の場ですべてきちっと報告をさせていただきます。

坂本委員 それは相手云々ではなくて、政治家として、あるいは担当大臣として、道義的な意味も含めて、自分の言葉で、返金する、あるいは公のものとして収支報告云々というようなことを言われているわけですよ。答弁されているわけですよ。

 この問題につきましては、鳩山総理大臣のときも、これは時間を置かずに公開をされております。かつての我が党の大臣も、民主党から言われたときに直ちに公開をしました。その例からも、直ちに返金の振り込み領収書、その他、収支報告書の修正したものの写しを私は今週中にでも提出すべきだと思います、あの参議院からもう二カ月以上たっているわけですから。

 もう一度、確認をお願いします。

山岡国務大臣 ほかの議員のケースとこのケースは、全く違うと思っております。

 身内でもない、本当に法のもとで公正なビジネスをやっていらっしゃる方が相手でございますし、また、私も合法的な国会議員活動の一環の収支報告書を提出しているわけでございますから、途中でいろいろとそういうものをあえて提出するということは相手さんにとっても御迷惑の話でございますので、法で定められたルールできちっと対応をしてまいるつもりでございます。

坂本委員 政治家がいろいろな意味で信頼を失っております。それは政治と金の問題、これが大きく影響しております。献金の問題というのは常に公明正大でなければならない。そして、政治家自身が常にそういう思いを持って謙虚でなければいけないというふうに思います。それがなくなったときに、国民の皆さんたちの政治に対する信頼というのは著しく低下する。私は、それを今、現在進行形の形で大臣はやられているというふうに思っております。

 この問題はいずれまた別の委員会で質問があると思いますので、本題の拉致問題に移らせていただきたいと思います。

 ことしの十月上旬から下旬、そして十一月にかけまして、横田めぐみさんの生存情報、あるいは娘さんのキム・ウンギョンさんの結婚情報、そして、週刊朝鮮によります北朝鮮国家安全保衛部作成の平壌市民十七歳以上の二百十万人の名簿と、次々に拉致関連の情報がもたらされました。いろいろなシグナルがこの中に隠されていると思うんですけれども、その一つ一つについて、我が国として、政府としてどういうふうに対応されたかというのを問うてまいりたいと思っております。

 まず、韓国野党自由先進党の朴宣映議員が発言をされました脱北者情報による横田めぐみさんの生存情報、これにつきましては、十一月十四日の参議院拉致対策特別委員会で、民主党の有田芳生議員の質問の中で、山岡大臣は、必要に応じて朴議員に情報を提供した脱北者とされる人物から事情聴取することを検討しているというふうに、その質問に対して答弁をされておられます。

 既に半月が経過をしております。朴議員及び脱北者への接触があったのでありましょうか。あったのなら、いつ会われたのか、それをお示しいただきたいし、もし会われているのならば、どういう内容か、差し支えない範囲で御答弁をいただきたいと思います。

山岡国務大臣 最近のいろいろな報道があるのは、まさに御案内のとおりでございまして、私どもも重大な関心を持って見守っておりますし、その情報収集、分析には常に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 そういうことで、必要とされることはやっていくという心構えで臨んではおりますが、いつどこで、だれにどうしたというような具体的な事案については、この調査の上においても、御本人の上においても、差し支えが出てまいりますので、申しわけありませんが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

坂本委員 さっきの献金の答弁と一緒なんですよね。

 まず、いつどこでなんかはいいですよ、十一月十四日の有田議員の質問の中で、事情聴取することを検討しているというふうにお答えになっておりますから。そういう事実がそれから半月してあったのかなかったのか。それだけでもイエス、ノーで答えられませんか。それは差し支えないと思います。

山岡国務大臣 すべての問題について全力を挙げて取り組んでおります、こういうことを申し上げさせていただきたいと思いますが、何をいつどうしたかということについては、申しわけありませんが、答えを差し控えさせていただきたいと思います。

坂本委員 イエス、ノーも言えない、何も言えない、まさにこれは情報封鎖ではないですか。それは、差し支えある、ないの問題ではないですよ。そういう答弁が続く限り、国民の皆さんたち、あるいは家族会も含めて、今の政府の拉致問題に対する取り組みに非常に隔靴掻痒の感があって、信頼性を損ねていくというふうに思います。私は、一定の明確な答弁をすることによって、また新たな情報が入ってくる可能性もあるわけでありますので、その辺の答弁は明快にお願いをいたしたいと思います。

 二番目でありますけれども、めぐみさんの娘さん、キム・ウンギョンさんの結婚情報についてであります。

 これも有田議員のブログによりますと、十月十三日の民主党拉致対策本部会議で、横田滋さんが有田議員に、中井元拉致担当大臣からウンギョンさんの結婚情報を聞いたと伝えられているというふうに書かれております。十月初旬に、中井元大臣が訪韓されておりますので、そこのどこかで聞き及んだものと思われるというふうな記述になっております。一方で、民族派団体の一水会の鈴木邦男元代表も、訪朝した際の情報として、結婚情報を十月下旬にブログで書いておられます。

 つまり、九月に結婚したと伝えられるキム・ウンギョンさんの情報が、十月上旬から下旬にかけて、さまざまなチャンネルを通して流されたということであります。

 政府は、いつの時点でそのことを知っていましたか。把握していましたかどうか、まずお答えください。

山岡国務大臣 横田めぐみさんの生存情報や横田めぐみさんのお嬢さんであるキム・ウンギョンさんの結婚情報などが報道されているということに関しては、十分承知しておりますし、私としても大変強い関心を持っております。

 ただ、いずれにいたしましても、政府としては、すべての拉致被害者の生存を前提に、まずは情報収集、分析を進めて、その上で、ぜひ一日も早いすべての拉致被害者の帰国を目指してあらゆる努力をしていくというところでございますし、そういう方向であるということを御理解いただきたいと思います。

坂本委員 キム・ウンギョンさんの結婚情報なんですよ。そのことを政府は知っていたのかどうかということなんです。もう一度、お願いします。

山岡国務大臣 お気持ちはよくわかりますというか理解できるんですが、これは現在進行中の情報収集であるわけでございまして、相手方もあるわけでございますから、ざっくばらんに言って、私の答弁は北朝鮮サイドでもウオッチをしているわけでございますから、今、日本の主管である拉致当局がこういうものに関心を持ってこういうことをやっているということを申し上げるのは控えさせていただきたい。ここまで言うのも本当はちょっと言い過ぎじゃないかと思いますが、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

坂本委員 気持ちの問題じゃないんですよ。

 元拉致担当大臣の中井先生が実際に行って、そして聞いてきたことを直接横田さんに言われているわけですね。あと、鈴木さんも、あるいはその後、有田議員あたりも確認して伝えたということなんです。

 それは、伝える、伝えないことが、北朝鮮にウオッチされている云々ではなくて、私は、民主党の中で、元大臣がきちんとした情報を把握し、それが本当の情報であるということが確認されたならば、今の山岡大臣を通して、やはり大臣の方から一番最初に横田滋さん御夫妻の方にきちんとこういう情報があるということは伝えるべきだと思います。それが家族会に対するいろいろな、新たな情報とか信頼関係につながるというふうに思いますけれども、いかがですか。

山岡国務大臣 おっしゃる趣旨はよくわかりますので、まず第一義的に、まだ私が就任してからそんなに日にちはたっておりませんけれども、御家族の皆様とは比較的頻繁にお目にかからせていただいておりますし、総理にも既に二回お目にかかっていただいております。

 そういうところで、非公式の場で率直な意見の交換は申し上げておりますし、また、御家族の皆様に対しては、そういう言い方が適当かどうかわかりませんが、一般で述べるよりも、御家族の皆様の御心情をしんしゃくしながら、できるだけ踏み込んだところまでお話をするようにさせていただいております。

坂本委員 どうものれんに腕押し、ぬかにくぎで、私は一番問題と思うのは、こういう大事な情報を、民族派の方や、国会議員の手柄や、あるいは一議員のブログで知らせるということ自体がおかしい。

 そして、実際それがもうマスコミに報道されて、既成事実になっているわけですので、国民は、どんなに大臣がそういうことを言っても、大臣が言うとおりに、ああ、これはいろいろな背景があるんだなというふうには受け取れませんよ。ですから、九月にはキム・ウンギョンさんが結婚されたんだなというふうにしか受け取れません。

 そして、その情報がいかにきちんとした形で伝わっているか、それが次の情報につながるというふうに私は思うんです。それはもっと明快にはっきりと、これからのやり方として、情報の伝達の仕方として、大臣の言葉として言っていただきたいと思います。

山岡国務大臣 もしそういう情報があれば、御家族には必要な情報については個別にお伝えをしております。しかし、何をお伝えしておるかということを申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

坂本委員 何回やっても押し問答でありますので、次に移ります。

 十一月十五日のワールドカップアジア第三次予選、日本対北朝鮮、平壌の金日成スタジアムで開かれました。

 五万人を収容するスタジアムは、キックオフの一時間前、三時には超満員になりまして、人文字が描かれたり、あるいはプラカードや国旗が乱立した、乱舞したというふうに聞いております。日本選手団がピッチにあらわれると一斉にブーイングをして、そして国歌斉唱のときは君が代も全く聞き取れなかったというような状態であります。日本人のサポーターは、五万人以上に対しましてわずか百五十人、国旗の持ち込みを制限され、そして笛や太鼓、鳴り物ももちろん制限をされました。

 試合が終わって、官房長官はトラブルはないと聞いていると会見で言われました。しかし、同行したさまざまな記者あるいはそういった方から話を聞きますと、〇対一で破れたにもかかわらず、日本人サポーターの乗ったバスにペットボトルや石が投げつけられたというふうなことを聞いております。実態はどうだったのでしょうか。

 それから、サポーターの口が重いんです。サポーターの方々に箝口令をしいていらっしゃるんじゃないですか。お伺いします。

玄葉国務大臣 今の坂本委員の、サッカーの試合で、ある意味何が起きたのかということでございます。それで、サポーターの口が重いということでありますが、やはり、残念なことも含めてさまざまなことがあったと私自身は承知をしているところでございます。

 それで、今、日本サッカー協会から北朝鮮サッカー協会に対して、問題点の指摘を書面で行っているところでございます。それは、今坂本委員が指摘をされた、例えば試合後のチームバスへの投石もございます。さらには、非常に残念な行為だと思いますが、国歌へのブーイング、あるいは日本代表チームの、例えば持ち込み禁止物の問題とか、空港手続の所要時間の話であるとか、ホテルでの食事の話であるとか、さまざまこういった問題点について実はそれぞれ列挙いたしまして、書面で説明を求めるということを発出しているところでございます。

 おっしゃるとおり、さまざまなことがあった。ただ、無事帰国をしたということをもって恐らく官房長官はそういう発言をされたんだろうというふうに推測いたします。

坂本委員 邦人保護の目的で十三人が役所からついていかれているんですね、外務省からと、それから文科省から一人。こういう方々は一体何をされていたんだろうかと思います。

 それから、今大臣が言われました、投石があった、いろいろな問題があった、それはサッカー協会の方を通して文書で提出を求めているということと別に、やはり外務大臣として、あるいはスポーツを所管する文部科学大臣なら文部科学大臣として、あるいは日本政府として、何らかの形で記者会見をするなりして、この残念なことを意思表示すべきですよ。そして、これはもう既にアウエーでのスポーツの試合ではない、そういったレベルを超えた問題だということぐらいはきちんと日本の大臣として私は言うべきであると思いますけれども、いかがですか。

玄葉国務大臣 まず、サッカー協会同士でこの運営方法というのを話し合っていました。私はサッカー協会同士で、まず日本サッカー協会が北朝鮮のサッカー協会に対して問題点の指摘をするということが大切だというふうに考えています。

坂本委員 たかがサッカー、されどサッカーというような考え方だろうと思います。しかし、南米にいたしましても、そしてヨーロッパにいたしましても、サッカーの事件が大きな社会事件やあるいは国家間同士の対立に発展するということは十分あり得る、そういう事態になっているということは十分認識していただきたいというふうに思います。

 この中での最高の功労者は、やはりザック監督ですよ。〇対一で負けていただいたこと、これだと思います。本当は、あの選手起用法からすれば、ザック・ジャパンは引き分けか最少失点差で負け、これを覚悟しながらというか、そういう方向でいったんじゃなかろうかなというふうに思います。もしこれが勝利でもしていたら、しかも二対〇、三対〇などで勝利でもしていたら、今ごろはサッカー選手そのものが拉致されていた、そういうことも私は考えられるというふうに思います。やはりあの国ですから、常に最悪のことを考えて行動する、チームを編成する。そして、抗議はすべて瞬時に行わなければだめなんです。オリンピックでも日本人は後でどうのこうの言いますけれども、そのときにすぐに意思表示をする、このことが最も大切であるというふうに思います。

 続きまして、十一月七日、週刊朝鮮が、十七歳以上の平壌住民二百十万人のデータがあることを公表いたしました。日本政府は一年前にこの情報を知っていたという報道があります。事実、知っていたんですか。そして、そのデータを一年前に入手していたんですか。そして、この一年間、もし入手していたとするならば、どういう分析を行って、何をやっていたんですか。お答えください、山岡大臣。

山岡国務大臣 いろいろ詳しく御質問をいただいておりますが、いずれも個々の問題でございまして、政府としては、すべての拉致被害者の生存を前提に、情報収集、分析、その他について取り組んでいるわけでございますが、今後の情報収集に支障を来すおそれがありますし、また、情報収集の具体的な内容については、当事者の安全等々も考えて、まことに申しわけないんですが、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

坂本委員 一年前に知っていたという報道があって、それに対してイエス、ノーも言えない、そういう大臣、あるいはそういう体制というのは本当に嘆かわしいと思います。これで何が進むのだろうか。進んでいるのか進んでいないのかさえわからないということ、果たしてそれで国民が納得するんでしょうか。

 その中で一つ気がかりな点がありましたので、私は外務大臣にお伺いしますが、武藤駐韓大使が週刊朝鮮の方を訪れて、情報提供を要望した、あるいはこのデータを要望したというようなことが読売新聞の記事に載っておりました。ほかの新聞にも載っておりました。これは事実ですか。

玄葉国務大臣 少なくとも、どこまで申し上げるかということはありますけれども、そういったことについての情報収集を当然外務省としても、そういう接触を含めて、させていただいているということは事実でございます。

坂本委員 もし、接触ということではなくて、大使そのものが週刊朝鮮の会社の方に出向いたということであれば、私は、これは物笑いになると思います。

 私も新聞記者を十五年やりましたけれども、公の人が新聞社に来て、あるいは週刊誌の会社に来て、記者として最も大切なニュースソースあるいはニュースの材料に対して、これを提供してください、あるいは協力してください、そんなことを言うことはまず一〇〇%ないんです、全国紙だろうが地方紙だろうが。

 ですから、これがそういう形で新聞に報道されるということ自体が、韓国の風習は私は知りませんけれども、少なくとも日本の大使としてはやるべきことではないし、やってはいけないし、もしそこで情報が渡っているとするならば、渡そうとそこに行った方も行った方、渡した方も渡した方ですよ。その辺の事実関係は、それだけでもわかりませんか。

玄葉国務大臣 先ほども申し上げましたように、当然ながら、さまざまな形で情報収集をさせていただく、そのことについてさまざまな接触をさまざまな方とさせていただいているということだけ、この場では申し上げたいと思います。

坂本委員 少なくとも、大使としての矜持、あるいは日本政府としての立場、誇り、こういったものはしっかりとわきまえて行動していただきたい。こういう形で新聞に載ることが私は非常にその地位をおとしめるというふうに思います。

 このデータそのものが、三億円で買わないか、あるいは一億円で買わないかというようなことを言われております。そういう話があったということが報道されております。そして、それ以外に、日本人のデータが八十五人分のリストがある、あるいは六十五人のリストがある、それに五百万円あるいは数十万円の値段がついているというふうなことが言われております。まさに、拉致ビジネス花盛りであります。

 何でこういう事態になったのか。私は、そのきっかけをつくったのは、昨年七月二十日の金賢姫の来日であると思います。国賓待遇をやって、観光遊覧までさせて、幾ら払ったか知りませんけれども、大変な税金を使って、そして帰した。拉致と言えば金になる、それが私はきっかけにつながったというふうに思います。それが今こういう状態になって、本当の意味での有力な情報というものを金絡みのビジネスにかえさせてしまっているという現状があると思います。

 私は、あの金賢姫以来、この政権でこんなパフォーマンスをやっていたらこれはだめだと思って、ブルーのバッジは外すことにしたんです。少なくとも、当面つけないつもりでおります。

 山岡大臣になって、あのときの去年の金賢姫の来日、面会、遊覧飛行、どう評価されますか。そして、それが拉致ビジネスあたりへの引き金になっていると思いませんか。お答えください。

山岡国務大臣 金賢姫氏の招聘のために相応の費用を要したことは否定いたしません。

 しかし、一つだけ申し上げたいのは、謝礼を払ったというような事実はありません。あくまでも必要経費でございます。飛行機のチャーター代など、過去の事件などをかんがみて、一般の飛行機に乗せるわけにはいかないということであったのだと思います。

 そういう事実があったということは言えますが、しかし、このことが、私は今先生の御指摘の拉致情報ビジネスのようなものにいろいろとつながっていったとは思っておりません。関係あるとは思っておりません。むしろ、マスコミの取材合戦の方に、そういうことを助長していなかったのかなということを考えたりしているところでございます。

坂本委員 マスコミの取材合戦になるのは当たり前のことじゃないですか。それは当然予想されたことではないですか。ですから、古屋議員もさきに質問されましたように、韓国でゆっくり静かに会わせるような、そういう方法はなかったのかということなんです。

 ですから、私はきょうの答弁を聞いて、進んでいるのか進んでいないのか、情報を持っているのか持っていないのか、行動をしているのかしていないのか、これさえもわからない。そういう状態だったら、日本の国民が一番不幸な目に遭う、家族の皆さんたちが一番不幸な目に遭うというふうに思います。

 覚悟を持ってこれから情報収集に当たっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

中津川委員長 次に、古屋圭司君。

古屋(圭)委員 自民党の古屋です。

 それでは、まず、ワールドカップサッカーの三次予選関連についてお伺いします。

 まず、ツアーに同行した外務省職員は何人で、そしてどんな役割を担ったか。これは事務方で結構です。

村田政府参考人 平壌で開かれましたワールドカップの対北朝鮮戦につきましては、外務省職員十二名、そして文部科学省職員一名、合わせて十三名を平壌に派遣したところでございます。

 この平壌での体制でございますけれども、全体総括の領事局の課長一名、本省との連絡、報告のための担当二名、北朝鮮当局との連絡のための危機管理を行う者を二名、日本サッカー協会との連絡を行うリエゾンを二名、医務官や邦人援護の専門官を含む邦人援護のために四名、連絡室の設営や会計処理を行う担当を二名、派遣したところでございます。

古屋(圭)委員 要するに、北朝鮮は状況がわからないから、邦人保護ということをしっかり考えるということですよね。

 実は、これは参加したメンバーから、私はいろいろつぶさに話を聞いたんですよ。そうしたら、まず現地で、事務方、同行した外務省の職員で、何かあったらどこに連絡しなさいとか、そういうような一切の説明はなかったと。ましてや、後で聞きますけれども、一日ツアーしているんですよね。そういったツアーのところに同行した人は見受けられなかった。ツアー客には少なくともほとんど接していないということをその人は言っていました。少なくとも、その人間にはそういう接触はないんですね。要するに、邦人保護という視点からは、本当に適切な対応をしたとは思われないんです。

 それで、具体的に一つあるんです。入管のときに、そのツアー客もいろいろ物を入れるか入れないかで相当すったもんだしたらしいんですね。そのときにも、その外務省の職員は全く手助けしなかったというんですよ。

 こういう実態について、大臣、一体どう思われますか。実際にこれはついていって、ちゃんと当初の役割を果たしたと思われますか、大臣。

玄葉国務大臣 今回のサッカーの試合における一連の外務省の対応、私もある意味非常に注意を払いながらというか、向こうに行っている間も、後でお聞きになるのかもしれませんけれども、例えばオフィシャルツアー以外の人たちに対して、行っている間ももう一回連絡しろという話をしたり、率直に言うと、こちらにきちっと帰ってくるまで、私自身、一定の緊張感を非常に持っておりました。

 それで、今一つ一つ、何といいますか、入国するときの話とかまで、正直、詳細には私自身報告を聞いておりませんが、ただ、今部長から話がありましたけれども、それぞれの専門家たちがそれぞれの役割を果たすということで、スタジアムは、私が聞いたのは、たしか、外務省の職員というか政府の関係者が五人ぐらいいて、そして、北朝鮮側も、いわゆる警備の警官が大体片手で届く範囲で一人ずつ配置されていた。恐らく、あとは連絡室とかにいて、何かあったときに、その連絡室に連絡が行って、さまざまな体制をとれるようにということで、相当考えながら、緊張感を持って対応はしたのではないかというふうに思っています。

古屋(圭)委員 大臣は恐らくそう思われているんでしょうけれども、実際現地に行った人間からは非常に心配の声があったんですよ。だから、十分に対応できていなかったというのは事実なんですね。

 実は、当日、十五日の行程も御存じだと思います。まず、サッカーが始まる前にいろいろな観光をした。自主観光という説明はしたらしいです。しかし、現実には全員が参加しました。なぜかというと、参加者によると、ホテルにとどまるか参加する、二つの選択肢しかない。ホテルには、各フロアを初め多くの場所に、公安とおぼしき目つきの鋭い人たちがやたらといる。とてもじゃないけれども、そんな監視されているホテルにとどまる雰囲気ではなかった。結果的に、全員参加したんじゃないか。要するに、これは事実上の強制ツアーなんですよ。

 例えば、どこに行ったかというと、九時にホテルを出て、九時三十分、主体思想塔、十時に朝鮮労働党創立記念塔、十時半に凱旋門、十一時に金日成広場、十二時に金日成の生家、まさしく思想オルグツアー以外の何物でもないんですよ。これをパッケージとしてやってきた、こういうことなんですね。

 では、ちょっと視点を変えて、まずお伺いします。

 これは、救う会などもこのツアーの中止を申し入れたんですよね。にもかかわらず、ほとんど返事が来なかったと言っていますよ。これはまず不誠実な対応ですよね。

 そこで、まず、文部科学副大臣にきょうはお越しいただいているので、お聞きします。

 FIFAの規約第三条というのがあって、次のような規定がありますね。差別がないこと及び人種的差別主義に対する姿勢、人種、性、言語、宗教、政治、またはその他の事由を理由とする国家、個人または集団に対するいかなる種類の差別も厳格に禁止され、活動停止や除名によって処罰され得るというふうに規定をされていますね。

 実は、九月二日に、日本で、埼玉スタジアムで北朝鮮と試合をしましたよね。このときに、家族会とかが選手にブルーリボンをつけてほしいというような要請をした際は、FIFAの規定があって、サポーターのブルーリボンさえもスタジアムにおいて大量につけるということはまずいんだ、そういう非常に厳格な規定をして対応した。だから、一切そういうこともできなかった。東日本震災のための喪章をつけるということも許されなかった、こういうふうに聞いている。これはすべてFIFAの意向だというんですね。

 だったら、今回のツアーの実態を見ても、私が今説明をしたとおり、思想オルグが一体的にパッケージにされていることは明らかじゃないですか。ということは、そういった活動というのは、要するにFIFAが禁止する政治的活動とか差別と言えるんじゃないですか。この辺について、副大臣はどう認識されていますか、承知されていますか。

 また、FIFAに対して、日本サッカー協会というのは、こういうときにそこを責めたり、そこを窓口にするというのは酷ですよ、やはり基本的にはFIFAなんですから。FIFAについても、その実態について即刻抗議とかしましたか。いかがですか。

森副大臣 お答えいたします。

 今ほど、委員の方からFIFAの規約を読み上げていただきました。FIFAの規約の中では、会員の義務として、これは日本サッカー協会がさまざまなことを守る義務があるわけですけれども、その中に、これは第十三条第一項(g)のところでございますが、自身の事項のいかなる第三者からも影響を受けないよう確実にすることという規定がございます。

 日本政府はこのFIFAの規約からいたしますと第三者の扱いでございまして、委員の御指摘については私も考えるところはあるんですけれども、やはりまずは日本サッカー協会の方からFIFAに対して働きかけをしていただくというふうに思いますし、先ほどの件について、規約上どのように解釈してとらえるのかということについて、私がここでお答えをまだできるということではないと思います。

古屋(圭)委員 それは、FIFAの規定を型どおり見たらそういうふうにも読めるんですけれども、現実に日本でやったときにも、非常に厳格に解釈をして、場合によっては処罰されることがあるかもしれない。それはパニッシャブルという英語ですよ。パニッシャブルというのは、もしかしたら、場合によっては処罰を受けるかもしれない、こういう規定ですよね。それを厳格に解釈して、やったわけですよ。

 では、それだったら、同じふうに北朝鮮に対してそれを言ってもいいはずだ。でも、現実には、政治活動とそれが一体になった、パッケージになったことをやったんですよ。それに対してやはり抗議をしないというのはおかしい。

 幾らサッカー協会が第一義的だということであっても、やはり日本は、国家の意思として、北朝鮮に制裁をかけて、一円の税金も払っていない、支援していないという状況である以上、国交もないという以上は、その姿勢をはっきりFIFAに対して政府の意思としてやる必要がある。それが政府としての覚悟だということを申し上げたいんです。

 多分そう言いたいんでしょう。だけれども、なかなか本人が言えないのは気の毒で、あえてきょうはこうやって呼びましたけれども。

 それで、今度は大臣にお伺いしたいんですけれども、そもそも今回のこのツアーは、こんな安易に政府として認めるべきだったんですか。私はおかしいと思います。

 なぜなら、ツアーに参加した人というのは、五十何人でしょう、少ないんでしょう。ほんの一部ですよ。それも公安に完全にマークをされて、オルグツアーも強制をされた、そしてパッケージとしてやった。こんなことがやられるというのは、先ほど答弁にもありましたが、残念なことで、さまざまなこともあったと言っていますけれども、すべてこれは予測の範囲内じゃないですか、ああいう北朝鮮という国のことを考えたら。

 だったら、政府としてこれを容易に容認したということに対して、責任は感じないんですか。いかがですか、外務大臣。

玄葉国務大臣 今、古屋先生のお話は、結局、観光に行ったとかいうこと以前に、例えば、渡航自粛要請が出ているにもかかわらず、特例的にオフィシャルツアーそのものを認めたこと自体もやはり問題なのではないか、そういう御指摘だというふうに思います。それはさまざまな考え方があり得るんだろうというふうに思います。

 一方で、スポーツであって、サッカー協会同士の問題も含めて、あるということなんだろうと思いますけれども、率直に申し上げて、今回、外務省としても、また私自身も、行っている間も指示しましたけれども、観光に行くなどということはやはりあってはならないということを言いました。行っている最中まで言いました。だけれども行ったんです、残念だけれども。それは事実です。

 ただ、では、今回のサッカーの試合で渡航自粛制限を特例的に部分的に一部認めるということが全くの間違いであったかというと、これはやはりスポーツでございますので、ここは必ずしもそうは言えないのではないか、そのように考えています。

古屋(圭)委員 非常に苦しい答弁ですよね。

 実は市内観光ツアーをやって、サッカーを見て、夕方ホテルに強制的に戻されたわけです。そこで、この夜どんなことがあったか、大臣、承知していますか。公安の人間と思われる人がホテルに訪ねてきた。それで、意見交換と称して一方的にいろいろな話を聞いた。みんな、本当におったまげたと言うんですよ。中身は、経済制裁は絶対解除すべきだ、拉致問題はすべてのことを一括処理したら簡単に解決できるはずだ、日本政府はだれと話せばいいかわからないし、首相がころころかわる、金正日総書記が納得すれば人民は納得して何も言わないとか、これはまさしく政治オルグですよ。こんなことを堂々と言って帰っていったと、みんなびっくりしていたというんですよね。

 だから、そういうツアーを結果として容認したんですよ。これはスポーツ観戦ツアーじゃないんだ。何百人、何千人の人がちゃんと行くならともかく、ほんの一部分の人だけを選択して、やって、なおかつそのツアーは事実上のオルグのパッケージだったんですよ。これはスポーツの問題以前の問題なんです。だから、私は、絶対にこれを容易に認めたというのは外務省として問題だと思います。

 大臣、そのあたりをもう一回、改めて聞きます。

玄葉国務大臣 古屋先生のお考えはお考えとして、一方で、ワールドカップ予選だということがあって、また、かつ極めて限定的な人数であるということでございますので、夜そういうことがあったというのは、私の勉強不足で、情報収集不足で、今初めてお聞きしましたので、改めて担当の者からヒアリングをしようと思いますけれども、さはさりながら、先ほど申し上げたのは、ワールドカップ予選であり、極めて限定的であるということで、必ずしも今回の措置が妥当ではなかったというのは当たらないというふうに考えています。妥当ではなかったというのは当たらない、そういうふうには当たらないと考えています。

古屋(圭)委員 いや、今のは心外ですね。では、ツアーをしたことは全く問題なかったということを言っているに……(玄葉国務大臣「いやいや、認めたということです」と呼ぶ)認めたということは問題なかったということは、私はそうは思えません。外務大臣としてはその答弁はちょっと聞き捨てならぬ答弁でございますので、これは改めて、きょうはもう時間がないので、私から指摘をさせていただきます。

 副大臣、答弁を多分したいと思います。では、私から一つお願いします。

 この問題をやはり政府としても、全部日本サッカー協会に丸投げするんじゃなくて、しっかりフォローしてくださいよ。そのこと一点についてお伺いします。

森副大臣 今ほど御指摘がございましたように、結果としてそのツアーの中身がこのような形になったことは、特例的に認めたにもかかわらずその趣旨が全うされなかったということで、極めて遺憾であるというふうに思います。

 しかし一方、FIFAは、このワールドカップについて、観客、サポーターというものも一体としてとらえておりまして、日本がワールドカップの招致契約書を提出いたしましたけれども、その中にもそのことが契約書の中身としてきちんと文書化され、我が国としては提出しているわけです。

 そういうことを考えますと、さまざまな問題はあれ、FIFAの規約の上でやらなければならないということもぜひ御理解をいただきたいと思いますが、今の委員の御指摘をしっかり踏まえまして、いま一度、我が省の方でもきちんと検討させ、受けとめさせていただきたいというふうに思います。

古屋(圭)委員 そうなんです。完全に北朝鮮のサッカー協会はFIFAのルール違反をしている可能性が高いんですよ。そういったこともしっかり指摘してください。

 次の問題に移ります。

 数週間ほど前に、衛藤副議長を初め、超党派による訪朝の動きがありました。このことについてお伺いします。

 議員連盟の目的を一言で言うと、日朝関係正常化のために融和策を優先する議員連盟というふうにとらえていいと思いますね、この議員連盟は。我々、拉致議連に入っていますけれども、拉致議連のメンバーは、きょうここにも大勢いらっしゃいますが、二百二十名を超える議員が参加する議連でありますけれども、ある意味で、この議連の考えと対極に立つ議員連盟なんですね。

 私はこういった議員連盟が存在すること自体が非常に問題だとは思いますが、きょうはそのことを聞くわけではなくて、まず、これは外務大臣に聞きますけれども、十一月二日に、副議長は総理と会って訪朝を追認されたと記者に語っておられますけれども、それは事実でしょうか。

玄葉国務大臣 今、古屋先生がお尋ねになられたのは十一月二日の話ですね。

 これは、私も覚えておりますけれども、衛藤副議長等が訪朝する可能性について報道がなされた十一月二日夜、実は、私、外相会談の最中だったものですから、佐々江次官から、衛藤副議長御本人に対して、改めて渡航の自粛を要請したということでございまして、そのときに、基本的に総理の思いもそういうところにあったというふうに私自身理解しています。

古屋(圭)委員 わかりました。

 民主党は、十一月四日に、民主党さんの拉致対策本部で、反対の決議をされておられますね。文書もいただきました。

 政府・与党一体でやるというのが外交の基本だというふうに思います。ましてや、現在の政府においても、拉致対策本部長決定として、拉致は主権侵害かつ重大な人権侵害であり、許しがたい行為であるとした上で、さらなる追加措置や法の厳格適用というのをうたっているわけですね。これは昨年十一月二十七日だったか八日ですか、決まった本部長の決定は、新しい総理になっても一切変わっていないということでありますので、一連のこういう議員連盟の動きというのは、拉致問題解決に向けたいい動きでは絶対ないというふうに思いますよ。むしろ、北から足元を見られてしまうという危険性が極めて高いと思う。

 政府としても、いや、議連さんがやっていることなので、いやいやという問題ではなくて、やはり毅然たる態度で、こういった動きは控えてほしいと、総理が副議長にそうおっしゃったならば、はっきりそれを言明すべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 実は、私にも話があったときに、慎重に対応していただきたいということを申し上げ、それは外にも公表したところでございます。先ほどの総理のことについても、私、この場で、総理の真意というのはそのあたりにあったということを、初めて申し上げたかもしれませんけれども、申し上げたところであります。

 一般論として、議連の活動に我々どこまで関知するかということはあります。ただ、事が事なものですから、これは一般論として言いますが、万が一にも、やはり政府の立場と違う方針で、あるいはそういった考え方が伝えられると、日本政府の立場が弱くなるということがある可能性がありますから、これだけは絶対にないようにしなきゃいけないということを強く考えているところでございます。

古屋(圭)委員 まさしくそこなんです。その可能性がある以上は、絶対にそれは政府として容認してはいけない。今、そういう強い意思を言明していただいたと思います。

 担当大臣、いかがでしょうか。全くそれに異論はないですね。

山岡国務大臣 総理の話ですが、私も総理に直接、衛藤副議長に行かれるという了解を出されたんですかと確認をさせていただきましたら、衛藤さんの方は、行きますからと言っただけですと。こういうことで、総理は了解を出しているということはないということをまず御理解をいただきたいと思います。

 そして、もちろん本件は、建前上は、建前上というのか、議連の話でございますから、現状どうなっているかという御報告をいただいているわけでもないので、十分承知しているわけではありませんが、少なくとも、私としては、我が党からの参加はないようにしていただきたい。例えば、議連の事務局長をしていらっしゃる方とか、あるいは行くというおうわさのあった方にはお願いを申し上げております。これは非公式な立場で申し上げているわけでございます。

 そういうことで、我が国は国会議員の北朝鮮への渡航の自粛をすると決めているわけでございますから、まずもって、そういう誤解を与えてはならないことも一番大きなことでございますけれども、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ない、こういう方針で臨んでいるわけでございます。

 私もまだ、先ほどの御質問じゃありませんが、外務大臣や総理の全体的な外交があるもので、拉致に限ってということは海外には言っておりませんが、アメリカやイギリスや、あるいは中国等々の各国の大使等とはよくよくお話をしておりますが、六カ国協議の成功も、この拉致問題の解決がなければその話は進まないので、核が先ではなくて拉致が先ですということを現実的によく御認識しておいていただきたいということは常々申し上げて、委員のお考えと全く同じだと思っております。

古屋(圭)委員 時間が来ましたので終わりますが、きょう、前の質疑者の答弁の中でも、具体的なところは何も言えないという非常に後ろ向きな答弁が目立っていますよ。やはり、今答弁がありましたように、ぴしっと厳格に、まなじりを決してこの問題に取り組むんだというその姿勢とアピールが、一切、国民の皆さん、ましてや海外には余り発信されていない、そこに問題があると思うのです。しっかり心して頑張っていただきたい。

 以上です。終わります。

中津川委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 きょうは、前回の委員会の質問を踏まえまして、主に外務大臣にまた引き続き質問させていただきたいと思います。

 それで、七月と十月に二回、それぞれニューヨークとジュネーブで米朝会談が行われました。その内容についてお聞きしたいと思っております。

 特に、ポイントは、アメリカの政策転換があったのかどうか。つまり、これまでは六カ国協議の再開や米朝関係改善の前提には三つの条件があって、一つ目はウラン濃縮活動の停止、二つ目はIAEA査察要員の復帰、それから三つ目は、核放棄を約束した二〇〇五年の六カ国協議共同声明の遵守を要求するという立場でございました。今後の展開は北朝鮮次第だということになっておったわけです。

 ところが、報道等によれば、ボズワース氏は米朝双方の努力を訴えたということで、姿勢変化を浮き彫りにしたという報道もあるわけであります。一方で、アメリカ国内でも、これは北朝鮮の瀬戸際戦術に乗るだけであって、これまで失敗を重ねてきた交渉のテーブルに戻るだけだという厳しい批判も米国内であると聞いております。

 日本としては、今回の二回の米朝会談をどう見ているのか、まずその点をお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 ただいまの竹内委員の質問に直接、端的にお答えするとすれば、直ちに六者が開ける状況にないというふうに私自身認識しております。

 その上で、二回の米朝対話の内容について簡単に申し上げれば、七月二十八日から二十九日にニューヨークで行われた米朝対話につきましては、米朝が互いに立場を確認し、建設的かつ実務的なやりとりが行われたというふうに承知しています。十月二十四日から二十五日にジュネーブで行われた第二回の米朝対話につきましては、今おっしゃったボズワース、当時のアメリカ北朝鮮担当特別代表は、幾つかの点で意見の相違を狭めたというふうにしつつ、積極的な交渉を再開するために十分な合意を得られているか否かを評価する取り組みにおいて、合意に達するにはより多くの時間及び議論が必要であるとの結論に達したというふうに述べたというふうに承知をしております。

 当然、こういう対外発表されているさまざまな発表以外に、今局長間でも日米韓でやっております。当然、外相間でもやらねばならないと私自身考えております。

 結論を申し上げれば、冒頭申し上げたように、直ちに六者が開ける状況にないというのが私自身の認識でございます。

竹内委員 そこで、十月の米朝協議で北朝鮮が言ったことですが、北朝鮮は初めて対価次第ではウラン濃縮活動の停止に応じる可能性を示唆したというふうに言われておりますけれども、米国としては直ちに開ける状況にはないということですが、北朝鮮は対価次第でウラン濃縮活動の停止に応じる可能性を示唆している、そういう中で、米国としては、譲歩せずに対価を与えないつもりかどうか。この点についてはいかがですか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、そういう報道があるんです。それで、米国との間では、先ほど申し上げたような意思疎通をしているわけでありますけれども、ただ、先ほど結論だけ申し上げて、詳細なやりとりは、さすがに相手国との関係があるので申し上げられませんが、このことは言えると思います。つまり、アメリカの国務省の報道官が、我々が北朝鮮に対して一方的な譲歩をする立場にない、そして、取引をするような状況にはないというふうな立場を表明しています。

 それで、私からも、韓国と米国、金星煥長官とヒラリー・クリントン国務長官にも会うたびに言っているのは、やはり北朝鮮の具体的な行動がなければだめだということを強く私の方から主張しているところでありますし、言うまでもなく、その都度、拉致の問題も含めてその協力を要請し、また、本当に協力してくれているものですから、そのことに対しての感謝を申し上げているという段階でございまして、やはり総合的に考えると、直ちに六者会合を開ける状況にはないなというふうに私自身は思っています。

竹内委員 この点は大事なことでありまして、拉致の一歩手前の核の話ですけれども、核ということに恐れをなして対価を与えるとか、取引をするとか、こういうことは絶対困るということは、引き続き米国にも韓国にも強く言っていただきたいんです。そこはまず大前提だというふうに思っているんですね。

 その上で、次の質問に移ります。

 前回の委員会で、私は外務大臣に質問しているんですが、今回の米朝会談において、日本の拉致問題について言及があったのかどうか。前回の十月二十四日の本委員会において、外務大臣は、当然、これは確認をしますというふうにおっしゃっております。この点はいかがですか。

玄葉国務大臣 これは私、会うたびに要請しているものですから、十月の二十四日、二十五日の第二回の米朝対話におきましても、アメリカ側から拉致問題を取り上げたという説明を受けているところでございます。今月十日に、また日米外相会談があったものですから、そのときにも改めて、拉致問題についてその都度米朝対話で取り上げているということに対して、私から、ヒラリー・クリントン国務長官に感謝を申し上げました。

 同時に、今後とも、この問題について、日本としては、重大な主権侵害であり、看過できないので、くれぐれもよろしくお願いしたいということを改めて要請したところでありまして、基本的には、クリントン長官は、そのときには、北朝鮮と協議するたびに毎回取り上げているということを言いました。

 ですから、やはり日米韓で本当に緊密に連携する、言葉だけじゃなくて、しっかりと連携するということがこの拉致の問題、またその前の段階と先ほど御指摘いただいた核、特にウラン濃縮の問題、これはこれでまた非常に大事な話でありますけれども、それを特に具体的な行動をとらなければだめだということを日米韓で意思疎通し、意思統一をしておくということが大事だというふうに思っております。

竹内委員 重要なことでありまして、アメリカは拉致の問題を取り上げたということですが、どのような言い回しをしたのか、そこはお答えできますか。

玄葉国務大臣 ちょっとそのときの言い回し、つまりは米朝対話の中でボズワースさんがどういうふうに取り上げたかとか、そこまではさすがに、今手元にございませんし、どこまで申し上げていいかということがあります、つまりは第三国のことではありますので。

 ただ、米国はかなりこの問題に対しては日本が非常に強い意向を持っているということを意識しているというふうに私自身は感じています。

竹内委員 今もお話があった点は非常に重要な点でありまして、前回の委員会でも、外務大臣は、米朝対話が終わったら、日米韓でしっかり話し合う、方針を決める、そのときに、きちっと拉致の問題をあわせて解決することを確認しながら進む、このように述べておられるわけでありまして、その一端が今述べられたわけであります。

 今後の日米韓の話し合いの予定等につきましてお答えください。

玄葉国務大臣 ちょっと日米韓の外相会談の前に、先ほども若干触れましたけれども、局長級でまず今、今というより、既に緊密に意見交換を行いました。

 それを受けて、できれば早く日米韓でやりたいんですけれども、どこまで言っていいかというのはありますが、日程がなかなか、それぞれの日程があるものですから、また国会のこともございますし、そういった問題が今眼前にある。ただ、日米韓の、これは政治レベルでの強い意思統一というのは大事だというふうに考えています。

竹内委員 そこで、先ほどの諸先生方の質問の中でもあったんですが、米国が北朝鮮に対してテロ支援国家指定を解除した問題でございまして、私もこれまでもたびたび、再指定を米国に対して求めるべきだというふうに言っております。

 この点に関しまして、野田総理のこの「民主の敵」という著作の中でも、総理もこれは述べておられるんですね。実は、この百二十一ページのところからちょっと読み上げさせていただきますと、総理は、

  私は十年以上前から、北朝鮮問題では断固たる態度をとるべきだし、米中にも言いたいことを言うべきだと主張してきました。この問題に関しても、今、一番我が国がもの申さなければならない相手は、アメリカだと思います。

  これまでの経緯を考えたら、テロ支援国家解除は、日本抜きで進める話ではないはずです。朝鮮半島情勢にどう対応するかというのは、おそらく日本の安全保障では一番大きな問題です。にもかかわらず、アメリカは日本を無視して解除に踏み切りました。日本の関係者は裏切られた気持ちがあったと思います。だからこそ、こういうときは、アメリカだからといって遠慮せずに、どんどん言わなければだめです。

  「それだけは困る」「それはやらないでほしい」ということすら言えないのであれば、日本に外交なんて存在しないに等しいと言われても仕方がありません。

こう明確に述べられているんですね。

 総理の、総理になられる前の発言でありますけれども、非常に重要な発言だというふうに思っておりまして、このテロ支援国家解除はけしからぬということを総理みずからもおっしゃっている。

 そういう意味では、やはり、内閣の重要閣僚である、しかも外務大臣として、これは再指定をしてもらいたい、これは誤りだった、米国としてもとに戻してもらいたいということは、今後、ありとあらゆる場で言っていかなければいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、今、竹内委員が言われたような考え方は一つの判断のあり方なんだろうというふうに思います。ただ、言うまでもなく、これは米国として、また米国内の法令を含めた判断であり、解釈でありということなんだろうと思います。

 ちなみに、もう御存じのことを繰り返して恐縮ですけれども、アメリカも現時点でもかなりの強い制裁を行っているというふうに思っています。つまり、核実験、大量破壊兵器の拡散、人権侵害、あるいは共産主義国としての立場に関連するものを含めて、他の法令に基づく規制がかなりある。米国政府からも、当時、テロ支援国家指定解除によって北朝鮮はいかなる物質的な利益も得ることはない、こういう説明を受けているということでございます。

 ただ、私自身も、この間、かなりフランクにさまざまな問題を話をしておりますので、それは一つの判断のあり方としては当然あり得るだろうと思いますけれども、最終的に、これは米国の判断であると同時に、何が一番効果的な方法なのかということについて日米でしっかり話し合っていく。では、テロ指定をしたから物事が全面的に進むのかどうなのか、その効果はどうなのか、費用対効果はどうなのか、そういったことを含めてしっかりと総合的に検討した上で、私自身も言う場合は言わなきゃいけないし、そのあたりは、最終的には米国の判断になるといっても、それは私は私なりにしっかり検討していくということだろうと思っています。

竹内委員 いろいろな意味で、やはり大きな戦略としていろいろな手を打っていかなければいけないと思うんですね。そして、家族会の皆さんが要望されているさまざまな、全面制裁等々ありますけれども、それと同等に、それ以上にやはりこういうものは大きな効果があるというふうに私どもは考えております。

 さらに、先ほどもお話がありましたけれども、「ワシントン北朝鮮人権委員会拉致報告書」、この本を拝見しても、チャック・ダウンズ氏も、テロ支援国家リストに再び載せるべきだということがちゃんと書かれてあるわけですね。米国の専門家もおっしゃっているわけでありまして、やはり、ぜひよく検討していただいて、さまざまなルートで語っていくべきだと思うんですね。我々は我々のルートで要求していきたいというふうに思っておりますけれども、何といっても政府が言うのと野党が言うのとでは違いますので、その点は指摘しておきたいと思います。

 次の質問に移りますが、これも先ほどの谷田川先生の質問の中でも、二〇〇四年八月十四日に中国で米国人留学生のデービッド・スネドン氏が拉致された疑惑が浮上しているということがこの人権委員会の報告書の中でも書かれているわけであります。

 先ほどは山岡担当大臣がお答えになられましたけれども、外務大臣としては、この事件につきまして、米国政府はどのように認識しているか、どのように動いたのか、また日本政府としてはどのように認識しているのか、お答えをいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 このチャック・ダウンズさんの、つまり事務局長さんのことだと思いますけれども、この書籍については承知をしています、その報告書については。その中を見ると、それぞれ有益な指摘もあると私自身も思います。

 ただ、先ほど指摘があったかどうかわかりませんけれども、例えば、曽我ひとみさんの名前がなかったり、何か北帰還者のけたが違っているんじゃないかとか、幾つかあるなというふうに思いながらこの報告書を見ました。その上で、この米国人の留学生拉致疑惑の話も出ております、二〇〇四年八月十四日ということで出ているんですけれども。

 やはり、ちょっと個々の話というのはどうしてもこういう場では申し上げにくいということは、もう御案内のとおりというか、御理解をいただきたいというふうに思っていまして、当然、さまざまなことについて日米間で意思疎通をして、また情報収集した分について共有をしているということだけ一般論として申し上げたいというふうに思います。

竹内委員 これは一般論でありますけれども、もしもこの米国人が北朝鮮によって拉致された可能性が濃厚となったときには、アメリカはただではおかないと思うんですよ。本気になって動き始めると思うんですね。そういう意味では、やはりここは非常に有力な手がかりだと思いますので、ぜひアメリカにも引き続き照会をしていただきたいと思いますし、フォローしていただきたいというふうに思います。

 次に、外交上の問題、戦略上の問題ですが、そもそも論に返ります。

 二〇〇五年に北朝鮮がさまざまな事件を起こして、一応非核化に一たんは合意したわけですよね。そのときに、米国の交渉担当者のクリストファー・ヒル氏によって、拉致問題が六カ国協議の課題から外されて作業部会の議題にされてしまったわけであります。そのため、北朝鮮は拉致問題の優先度は低いと理解したと思われるんですね。

 しかし、日米同盟の重要性からすれば、米国は日本に対して、やはり人権問題で譲るように圧力をかけるべきではないと思いますね。核があるから拉致は優先順位が低いんだとか、そういうことではない。そういう意味では、今、日本としては、拉致、核、ミサイルと言っているけれども、こういうヒル氏の過去の経緯で、六カ国協議の主要な議題からワンランク下げられてしまっている以上、この六カ国協議の中では、各国は一体とは見ていない。

 そういう意味では、やはり、少なくとも米国、韓国に対しては、せっかくここまで連携を緊密にしてきているわけですから、もう一度この拉致問題を六カ国協議の主要議題にのせるように交渉すべきではないかというふうに私は思うんですよね。荒唐無稽な話ではなくて、やはり言うべきことを言っていかないといけない。過去の経緯が間違いであったと米国内でもほぼ認められているわけですから、アーミテージさんもみんな言っているわけだし、ヒルさんも認めているわけですから。

 だから、やはりここは再度交渉を再開するというふうに思うべきですが、外務大臣、いかがですか。

玄葉国務大臣 おっしゃっている意味はわかります。そのためにも、私は外相会談のたびに、米国、韓国、そして実は先般の日中の外相会談でも、私の方からこの問題を取り上げました。

 先般の委員会でも申し上げたように、温度差はあります。温度差はありますし、中国は中国の役割を果たしてもらいたいという思いもあります。ですから、今言われたように、特に米国、韓国に対して、拉致と核とミサイルは包括的に解決をするんだ、拉致を置き去りにするなということをしっかりと言い続けるということは私の大切な役割であるというふうに考えて対応したいというふうに思っております。

竹内委員 ようやくアメリカも拉致問題を北朝鮮に言ってくれるようになってきたわけでありますから、そういう意味では、やはり一つ一つもとに戻していく。本当に強力な連携を強化していく。そういう意味でも、やはりそもそも論に返って、これは六カ国協議の主要議題なんだ、こういうことをぜひ言ってもらいたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質疑時間が終了いたしましたので、今回はこの辺でとどめたいと思います。ありがとうございました。

中津川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 玄葉大臣、山岡大臣に初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来議論になっておりますように、この間、北朝鮮問題をめぐっては、南北間でことし七月、九月の二回、対話が行われております。年内に三回目と言われておりますし、米朝間でも、ことし七月と十月に二回対話が行われました。今月十九日に開催された日中韓の首脳会議では、こうした関係国間における対話の動きについて歓迎する一方、北朝鮮の具体的行動は依然として見えておらず、引き続き北朝鮮に対しウラン濃縮活動の即時停止等の対応を求めていく必要があることで一致した、こういう報告がされております。

 そこで、北朝鮮問題をめぐる評価でありますけれども、改めて外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

玄葉国務大臣 先ほど御指摘がありましたように、南北の対話が行われている。そして米朝の対話が行われている。それぞれ二回ずつ行われた。私は、対話を拒むものではありません。先ほど御指摘がありましたけれども、やはり対話そのものは歓迎されていい。

 ただ、問題は、結果、成果が出る対話でなければだめだというのが私の認識でありまして、そういう意味で、先ほど来から申し上げているような厳しい姿勢というか、慎重な姿勢というか、そういった部分が私にはどうしても出てくる。つまり、具体的な行動というものが北朝鮮に見られないうちに入ってしまうということは絶対によくないというのが私自身の考え方でございます。

 今、日中韓の首脳会議の御指摘がありましたけれども、三カ国の首脳も、現時点で北朝鮮の具体的な行動は依然として見られていない、こういう評価でございますし、引き続き北朝鮮に対してウラン濃縮活動の即時停止等々の対応を求めていく必要があるということで一致をしているという状況でございます。

 ですから、現時点の評価はそういう評価である、対話をするときには成果を生む対話でなければいけないというのが私自身の認識でございます。

宮本委員 北朝鮮による具体的行動が依然として見えていない、こういうことでありますけれども、その中身ですけれども、北朝鮮が非核化を初めとする二〇〇五年の六者会合共同声明におけるコミットメントを真剣に履行する意思を具体的な行動で示すよう求めていく、こういうことでよろしいですね。

玄葉国務大臣 これは、先ほど申し上げましたというか、竹内委員のお話の中にもございましたけれども、やはり日米韓で具体的な行動を求めるというときには、ウラン濃縮活動の即時停止、このウラン濃縮活動の問題などが当然入ってくるというふうに理解していただいて結構でございます。

宮本委員 日中韓の三カ国としては、ウラン濃縮活動の即時停止を求める、そういう中身も含めて安保理決議に規定された核放棄を北朝鮮側に強く迫るということだと思うんですね。

 それで、それに対して北朝鮮側がどういう態度、対応をしているか。これは一部報道なんですけれども、軽水炉の提供を約束すれば上を説得してみると述べるにとどまったという報道があるんですけれども、北朝鮮側の反応、言える範囲でということになろうかと思いますけれども、どのようなものでありましょうか。

玄葉国務大臣 今御指摘のあったような報道は当然承知をしているところであります。そして、さまざまなやりとりについての詳細は、やはりこの場で申し上げるのは適切でない。

 ただ、大事なのは、北朝鮮がみずから約束をしたことを実行する意思を示すということがない中で次のステップに行くというのは、やはりよくないというのが私自身の認識でございます。

宮本委員 その日中韓首脳会議では、野田首相から、拉致問題をめぐる現状と一日も早い解決の必要性について改めて説明をして、そして中韓両国の理解を得たというふうに報道されております。この日中韓首脳会議で野田首相がそういう説明をして、その場での拉致問題に対する中韓両国の具体的な対応、反応はどのようなものであったか、お答えいただけますか。

玄葉国務大臣 日中韓の首脳会議は私自身同席しておりませんでしたので、済みませんが読み上げます。

 野田総理からは、拉致問題の解決に向けての両国の協力に感謝をするとともに、この重要な問題についての両国の積極的な協力を引き続きお願いしたいという旨述べた。これに対して、限られた時間での会議であり、一つの課題についてやりとりが繰り返されたわけではなく、したがって、中韓両首脳から特段の発言があったわけではありませんが、総理の発言を両首脳ともうなずいて聞いていたというのが率直なところです。

 ただ、日中首脳会談がAPECの場でございまして、私自身も同席をしておりました。そのときに、中国の国家主席からは、中国として力の及ぶ範囲で協力したい、こういう話がございましたし、日中外相会談でも、私の発言に対して基本的に同じ立場をヨウケツチ外相が示したということでありますので、韓国は、もちろん、より強い協力姿勢でございますから、そういう意味では、中国も含めて、もっと言えばロシアも含めて、私、ラブロフ外相にも、会うたびに言っておりますけれども、やはり六者の構成メンバーにはそれぞれ言っていく。

 同時に、六者以外にも、国際社会全体で圧力をかけていくということが大事なものですから、北朝鮮の人権状況決議に対して、さまざまな外相会談のときに私自身も今まで、例えば反対だった国が、それはそれぞれの事情があるんだと思いますよ、自分たちが賛成すれば自分たちの人権の問題について言われるとか、さまざまなことがあって反対していたところが棄権になったり、棄権していたところが賛成になったりということがありまして、実は今までで一番多くの得票、得票というか、賛成票を得て人権状況決議が採択されたという事実もございますので、そういった、国際社会全体でアプローチしていく、プレッシャーをかけていくということも大切だというふうに考えています。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

宮本委員 そうした中韓両国の反応についてですけれども、これは拉致問題担当大臣、どういう御見解か、お答えいただけますでしょうか。

山岡国務大臣 拉致問題を含めて幅広い外交問題については、総理や、また外務大臣等々、取り組んでいただいておりますが、私としては、拉致問題だけと言ってはちょっと語弊がありますが、そのことに対してどうしていくか、そういう中において、諸国の対応というのは極めて重要でございます。

 私としては、先ほども申し上げましたが、どうもあちらの言葉を聞いていると、核、ミサイル、拉致という雰囲気を受けないわけではないわけでございまして、しかし、それでは解決はしませんよと、私の立場で。最終的には、六カ国協議等々をまとめるにおいては、我が国がどう加わっていくかということに他の五カ国も重大な関心を持って、期待もしているわけですから、それにはあくまでも拉致が前提になって、このことは日本国民の、本当に全員の気持ちでありますので、そのことからまず解決をしていくということが六カ国協議の成功であり、北朝鮮問題の核心であります。こういうふうに私は思っているし、そこのところを何としても理解、納得していただくように今努力をしているところでございます。

宮本委員 その拉致問題なんですね。二〇〇八年の八月の日朝実務者協議で北朝鮮が拉致問題の再調査を行うことに合意してから、既に三年が経過をいたしました。

 外務大臣は、前回、十月二十四日の本委員会で、我が党の笠井亮議員に対して、〇八年八月の合意を足がかりにすると答弁をされておりますけれども、北朝鮮にどのように合意履行を迫っていくのか。これは外務大臣のお考えはどのようなものでしょうか。

玄葉国務大臣 これは二〇〇八年八月に一たん合意をしているわけであります、特に再調査の問題で。ですから、やはりそれが足がかりであるというのが日本国政府の姿勢である。

 では、そのためにどうするのかというのは、先ほど来から申し上げておりますけれども、対話を拒むものでは全くございません。ただし、それが成果を生むものにならなければならない。成果を生むものにならなければならないのであるが、残念ながら、現状では、六者も含めて、行える状況にない。したがって、米朝対話も南北対話も含めて、日米韓の連携を緊密にしながら、成果を生む対話ができるようにこれからしていくということが極めて大切だろうというふうに思います。

 それを具体的にどうするかということについて事細かに申し上げるというのは、公の場で申し上げるのは余り適切でないんだろうというふうに思います。

宮本委員 拉致問題の解決はもとより、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決していくためにも、私は、最も重要なのは、やはり二〇〇二年の日朝平壌宣言、これだと思うんですね。この宣言に基づいて、過去の清算を含む日朝間の諸懸案の包括的な解決を目指す努力を図るというのが基本だと思うんですよ。

 最後に両大臣にそういうことに対する御見解、御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

玄葉国務大臣 これは基本的な立場として、二〇〇二年八月の日朝平壌宣言に基づいて、不幸な過去を清算して国交正常化へと。当然、拉致、核、ミサイル、そういった問題を包括的に解決してそういうふうにしていくんだというのが日本国政府の基本的な姿勢であるというふうに申し上げてよいと思います。

山岡国務大臣 二〇〇二年九月の決議については全くそのとおりだとは思うんですが、また当時とは大分状況も変わってきていると思っております。

 したがって、現時点で、そういう精神とか考え方は全くそのとおりですが、どう対応していったらいいかということを今鋭意検討しているところでございます。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

玄葉国務大臣 先ほどの平壌宣言の月を間違えておりまして、済みません。二〇〇二年の九月ということでございます。

中津川委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 横田めぐみさんが十三歳で拉致されてから、この十一月で三十四年が経過をいたします。めぐみさんに関する正確な情報を入手し、一刻も早く帰国していただく、そのための努力が必要であります。先ほど坂本議員から関連の質問がございました。重複いたしますが、少し質問させていただきたいと思います。

 ここ一、二カ月の間、めぐみさんに関する情報が連続して報道されています。二〇〇五年初めまでめぐみさんが生存していたとする脱北者の証言もございます。めぐみさんの娘さんが結婚していたとの情報、そして、韓国誌、週刊朝鮮が入手した二〇〇五年の平壌の住民の情報資料にめぐみさんと思われる女性が掲載されているという情報、こういう情報がございます。

 これだけ続いてめぐみさんに関する情報が出ているわけでありますが、これらの背景について政府はどのように考えておられるのか、まず山岡大臣にお尋ねしたいと思います。

山岡国務大臣 その背景ですか。(中島(隆)委員「こういう状況がなぜ出てきているのか」と呼ぶ)それは極めて奥が深いと私は思っております。

 個々具体的なことは申し上げられませんが、そういう背景等々について申し上げれば、やはり北朝鮮情勢も今大きく変わりつつある時期。といいますのも、来年は金日成氏の生誕百周年ですし、正恩氏への後継問題もこれあり、それから国内の状況も、最近の、中国に何度も行っている、またロシアにも行っている、こういう状況から、いろいろと変化が起きているんじゃないかと思っております。そういう中にあって、だからどういう方針を今決めた、示しているということは断定はできませんが、いろいろな可能性を探っているんじゃないかという感じもいたします。

 これは私の感じだから述べているのであって、したがって、情報も、正確であるか不正確であるかということも含めて、個々の内容については申し上げられませんが、既に出ている中身で差し支えないものといえば、めぐみさんと思われますが血液型が違うとか、あるいは、そういう中に本当に拉致被害者をここに住んでいますなんて出すことがあり得るのかとか、いろいろな分析の中身はあると思っております。

 ただ、いずれにしても、そういうものがかなり出回っているということはどういうことなのかということも、背景として今いろいろと検討していかなきゃならないと思っておりますし、委員も、そういう私レベルの背景の検討ということはいろいろと、当然同じように、それ以上にお考えになっていらっしゃるんじゃないかと思います。

中島(隆)委員 情報がすべて正しいのか、あるいはこの情報が、本当にそういう状況があるのかという判断は、当然情報収集しながらただしていくことが必要だと思うんです。

 次に、これは先ほど坂本議員からも質問されましたが、週刊朝鮮に掲載された平壌の住民情報の資料を政府が一年前に入手して、めぐみさんと思われる女性のほか、帰還事業で北朝鮮に渡ったと見られる日本人出身者八十五人分が含まれているという報道がされたわけです。

 一年前にこの情報が入ったわけですが、この一年間、この情報も含めて、検討あるいは調査も含めてされていると思うんですが、これについて、事実関係を問いただすような内容なのかどうか、そこの点についてどういうふうに考えておられるのかをお尋ねいたします。

山岡国務大臣 このことについても、個別具体的にはお答えを申し上げられずに大変心苦しいのでございますが、オープンになっていることから推察しても、拉致被害者である曽我ひとみさんやその御家族が八十五人の中に入っているとか、また、複数の日本人妻が載せられているということはもう確認できているというか周知されているところでございますが、しかし、現在のところ、拉致被害者の皆様の御生存についての新たな情報はそこからは確認をされてはおりません。

中島(隆)委員 担当大臣にお願いしておきますが、先ほど来、各委員からの質問、ほとんど情報を正確に、すべて個別的には報告できないにしても、いろいろな情報、こんなマスコミに出た問題を含めて、やはり政府として具体的な状況を委員会の中にできるだけ詳しく報告していただいて、委員会と政府との連携で解決していくわけですから、ぜひ今後報告については、できる限りわかる範囲で報告をお願いしておきたいと思います。

 次に、外務大臣にお尋ねいたします。

 今月、APEC、ASEAN首脳会議、東アジア首脳会議など、アジア地域での外交日程がメジロ押しで行われました。日米首脳会談や日中韓首脳会談も開かれました。これらの一連の重要な会議において、日本側として拉致問題についてどのような提起を行い、各国からどのような反応を得たのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど来、他の委員に対しましての大臣の答弁もありますように、これは、どの会議ということに限らず、一貫して日本は、拉致問題というのは最重要課題の一つであるというメッセージは出し続けております。その中で、日韓とか日米は当然のことなんですが、中国からも力の及ぶ範囲で協力をしていくというふうな答えもいただいておりますので、全体的には非常にいい印象をいただいていると思っております。

中島(隆)委員 そして、関連してですけれども、十一月十七日に、インドネシアのバリ島で、日米韓三カ国の、六カ国協議の首席代表による会議が開催されたと聞いております。これも一部の報道ベースですが、この会議において、日朝間の協議の可能性もテーマに上がったというふうに聞いております。この点も含めまして、三カ国の首席代表による会議で何が話し合われたのか、それから、何が確認されたのか、この点について御報告いただければと思います。

玄葉国務大臣 今の中島委員のお話でありますが、いずれ日米韓の外相会談をと思っておりますが、その前に局長級でということで、十一月十七日の夜、インドネシアのバリで担当者の会合を行っております。杉山局長と、韓国は林平和交渉本部長、米国はカート・キャンベル国務次官補であります。

 会合では、第二回の米朝対話を受けた北朝鮮をめぐる最近の情勢について意見交換を行った。先ほども触れましたけれども、最近の南北対話、米朝対話は、対話を通じた問題解決に向けた動きではあるけれども、北朝鮮による具体的行動は依然として見られないということで認識が共有できたというふうに考えております。したがって、北朝鮮に対して、非核化を初めとする六者会合共同声明におけるコミットメントを真剣に履行する意思を具体的な行動によって示すよう求めていくということで三者で一致をしたところでございます。

 改めて、日朝の関係についても、拉致問題をめぐる現状、そして一日も早い解決の必要性について、杉山局長から二人、つまりは米韓の担当者に説明をして、両者の理解を得たところでございます。

中島(隆)委員 さて、七月以降、今おっしゃった南北協議二回、米朝会議も二回開かれています。もちろん、北朝鮮への、核開発問題をめぐる、ウラン濃縮活動をやめさせなければならない、このような重要な課題も抱えていたと思いますが、対話の動き、今申されましたが、特に六カ国協議の再開に向けて、この三カ国、今、担当者会議の報告があったわけですが、見通しといいますか、その点についてどうなのか、少しお話をいただければと思います。

玄葉国務大臣 繰り返し申し上げていることでありますけれども、本当に対話を拒むつもりはないんです。ないんですけれども、ここが大切で、やはり成果を生まない対話はだめだと思います。成果を生む対話を行わなければならないので、現時点で六者を開く状況にないということは、すなわち、先ほど来から申し上げていますけれども、北朝鮮自身がこれまでに約束したことを履行する意思と具体的行動というのがないんですよ、今。ないんです。だから、それがない以上はだめだというふうに、やはりそういう姿勢でいかないと、私は結果というものはついてこないというふうに思っていまして、単純に、対話をすれば結果が出てくるというたぐいの事柄ではないというふうに私は考えています。

中島(隆)委員 最後にですけれども、先ほど来、平壌でのワールドカップの大会の状況もありました。大変な対日、日朝の関係で対話をやっていくというのは大変難しい部分もあるかもしれませんが、特に六カ国協議の開催に向けて、米朝あるいは南北対話、これが頻繁に行われている、そして六カ国協議の開催に向けて努力はされているわけです。ですから、特に拉致の問題を、本当にこの六カ国協議のテーマにして、これを解決するということであれば、やはり日朝の何らかの足がかりと対話の糸口をつかんでいく、その姿勢は必要だと思うんです。

 今おっしゃるように、成果がなければだめだ、これはもちろんそうです。だけれども、やはり日朝間の何らかの話すきっかけ、あるいは確認された事項をただしていくためには、日朝間の何らかの関係をつくる必要があると思うんです。

 その一つは、先ほどから出ました、ワールドカップでこれだけ、これからまずサッカー協会をというのがありましたけれども、政府として、こういう問題も含めて、拉致の問題もその中できっかけをつくっていくとか、やはり、そういう日朝間の協議の場をどうつくっていくかという努力を政府が独自でやっていく部分が必要ではないかなと思うんです。その点、再度、外務大臣の決意なり思いを聞かせていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 この場で申し上げるべきことは、二〇〇八年八月のあの合意をやはり足がかりにしていくんだということだろうというふうに思います。

 あらゆる外交上の機会をとらえて北朝鮮の具体的な行動というものを促していくということだけ、この場では申し上げたいというふうに思います。

中島(隆)委員 時間が来ましたので。

 米朝間の中でも、北朝鮮はウラン濃縮の停止に対応する姿勢を示唆したとかいう、こういうニュース等もあっておりますが、やはり今後の、その二〇〇八年というのは、拉致と核とミサイル、この三つの包括的な解決でありますけれども、ぜひ、日朝間の対話の、圧力だけじゃなくて対話を含めた解決策の道を探っていただきたいというふうに要望して、終わりたいと思います。

中津川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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