衆議院

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第3号 平成27年5月18日(月曜日)

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平成二十七年五月十八日(月曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 斎藤 洋明君 理事 土井  亨君

   理事 原田 義昭君 理事 星野 剛士君

   理事 細田 健一君 理事 本村賢太郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 上田  勇君

      赤枝 恒雄君    池田 佳隆君

      大西 宏幸君    勝沼 栄明君

      小島 敏文君    白石  徹君

      高木  毅君    長尾  敬君

      根本 幸典君    務台 俊介君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      菊田真紀子君    西村智奈美君

      松原  仁君    横山 博幸君

      竹内  譲君    穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     山谷えり子君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  片山 一夫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            伊原 純一君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            秋本 茂雄君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  三國谷勝範君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     赤枝 恒雄君

  金子めぐみ君     八木 哲也君

  牧島かれん君     白石  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     石崎  徹君

  白石  徹君     務台 俊介君

  八木 哲也君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     金子めぐみ君

  務台 俊介君     牧島かれん君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長三國谷勝範君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官片山一夫君、外務省アジア大洋州局長伊原純一君及び海上保安庁警備救難部長秋本茂雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明でございます。

 貴重な質問の機会をいただき、委員長、委員初め関係者の皆様に感謝を申し上げます。

 私は新潟県の選出でございまして、拉致被害者あるいは拉致によって我が国から連れ去られた疑いが濃厚な被害者の方々を多く出してしまっている、かつ、よど号グループの関係者が出ているという意味では、被害者、それから加害行為に関係しているとおぼしき人々の両方とのかかわりが深い県でございます。本件、強い問題意識を持って、本日質問させていただきたいと思います。

 いただいた時間が十五分でございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 四月二十二日に開催されました本委員会におきまして、山谷拉致問題担当大臣、岸田外務大臣のお二人から、北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命、安全にかかわる重大な問題であって、我が国の国政の最優先課題であるという認識をお示しいただきました。全くそのとおりであるというふうに思います。拉致問題の一日も早い全面解決のために、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。

 現状、昨年、北朝鮮が拉致問題に関する特別調査委員会を設置し、調査を行うとしてから、目に見える進展がなく、それから、北朝鮮側から具体的な情報提示等が行われておらず、山谷大臣からも遺憾であるという認識をお示しいただいております。北朝鮮を拉致問題の解決に向けて大きく動かすには、改めて我が国内外からより強い圧力をかけていくほかはないというふうに考えております。

 このような観点から、大臣所信に関連をいたしまして、本日、大きく四つの観点から御質問申し上げたいと思っております。

 第一に、我が国独自の制裁措置を引き続き維持していくこと、それから、拉致問題の再調査を契機に緩和をしました一部制裁措置を改めて実施することが必要ではないかということ。

 そして、第二に、国連など国際機関との連携を強めていくべきではないかということ。

 三番目に、我が国と北朝鮮以外の第三国に、拉致問題に関して改めてより積極的な関与、協力を求めていくべきではないかということ。

 そして、第四番目に、もちろん事務レベルでの折衝も大事なんですけれども、拉致交渉のしかるべき段階で、政府・与党を代表する立場の政治家が本件交渉に直接かかわることによって、解決を目指すべきではないか。

 以上、四点の観点から質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず第一に、制裁の強化に関してお伺いをしたいと思います。

 山谷大臣は、所信におきまして、再調査の結果の通報は昨年夏の終わりから秋の初めごろに行われることが望ましいとの認識を北朝鮮側と共有していたが、具体的な情報がいまだ得られておらず、遺憾であるということをお示しいただきました。全くそのとおりであると思います。今現在の状況が北朝鮮側にとって、核・ミサイル開発問題と並んで、拉致問題を解決することが北朝鮮にとって生き残りのための唯一の道筋であるというふうに見えていないのではないかという観点で危惧を抱いております。

 と申しますのは、昨年五月の合意で、特別調査委員会を設置して調査を行うというふうに北朝鮮側が表明しておるのは、拉致問題解決済みという姿勢からは大きな前進ではあるものの、日朝交渉で、拉致問題に関して北朝鮮側が委員会を設置して調査を行うというふうに表明したのは、その後、調査を行わないというふうに連絡してきたものを含めますと、平成十四年、十六年、二十年、そして今回の昨年、計四回あって、必ずしも、委員会を設置し調査を行うという表明が目新しいものではないという問題があります。

 我が国独自の制裁措置としては、三月末の閣議決定で二年間の延長を決定していただいておりますけれども、昨年の日朝合意で一部緩和した制裁措置が残っております。

 北朝鮮側から見たときに、現状のままであっても制裁措置の一部解除が受けられるのであれば、現状のままで様子を見るという判断になりかねないのではないかという危惧を抱いております。

 そこで、昨年五月の日朝合意に基づく我が国の北朝鮮に対する独自の制裁措置の一部の解除、すなわち、人的往来の規制措置、あるいは、支払い、携帯輸出の届け出の基準額の緩和、これらについて再強化をしていくべきではないかと考えますが、山谷大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 斎藤委員の日ごろからの北朝鮮による拉致問題の解決への取り組み、本当に感謝をしております。

 制裁の再開についての御質問でございますけれども、対北朝鮮措置については、国連安保理決議に基づく制裁に加えて、我が国独自の措置を実施してきているところでありまして、本年三月には、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮との輸出入禁止措置の二年間延長を決定したところであります。

 対北朝鮮措置については、引き続き政府として、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな、具体的な行動を引き出す上で何が最も効果的かという観点から、不断に検討を行っているところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 北朝鮮に対する我が国独自の制裁措置、特に人、物、金の往来ということをいかにコントロールしていくかということが重要だと思っておりますので、ぜひ引き続き御検討をお願いしたいというふうに思っております。

 二番目に、国連など国際機関との連携による国際圧力の強化という観点から、質問をさせていただきたいと思います。

 国連における北朝鮮への圧力は、関係各位の努力によりまして強まりつつあるという認識を持っております。例えば、国連総会において、北朝鮮の人権状況に深刻な懸念を表明し、拉致被害者の即時帰国を含めて人権問題を早急に解決するようにということを内容とする北朝鮮人権状況決議が連続して採択をされ、特に昨年の決議につきましてはこれまでより強い内容となっているなど、国連における北朝鮮、特に拉致問題の理解は深まりつつあるという認識を抱いております。

 この動きを引き続き強化していくとともに、例えば、安保理決議による制裁は、現状、核とミサイル開発のみが対象となっているというふうに理解をしておりますが、拉致問題を安保理決議の対象に加えていただくように働きかけていくなど、国連への働きかけをより強めていただきたいというふうに考えておりますが、山谷大臣の認識をお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 国際的な場で大きな議論にしていくということは重要なことであります。

 北朝鮮に関する安保理決議第二〇九四号等では、北朝鮮が国際社会が有する人道上の懸念に対応することが重要であることを強調しております。

 また、委員がおっしゃられましたように、昨年十二月には、国連総会にて採択された北朝鮮人権状況決議では、北朝鮮の状況の国際刑事裁判所、ICCへの付託の検討等を通じて、安保理が適切な行動をとることが促されております。賛成国百十六カ国、反対国二十カ国という圧倒的な多数で可決されたわけです。

 その後、安保理において拉致問題などの人権状況を含む北朝鮮の状況が包括的に議論されたことは、極めて有意義であります。安保理での議論は、さらに継続され、また、深められていくことが必要というふうに考えております。

 我が国は、現在、安保理理事国ではございませんが、拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害を解決するためにいかなる方法が効果的か、外務省とも連携しながらしっかりと前に進めていきたいと思っております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 我が国と北朝鮮との一対一での交渉に加えて、国連を本件に巻き込んでいく、拉致問題の早期全面解決に協力を得るということは極めて重要と考えておりますので、引き続き取り組みをお願いしたいと思います。

 三番目に、第三国、我が国と北朝鮮以外の国家に、本件、拉致問題に関してより積極的に関与を求めるべきではないかという観点から、質問させていただきたいと思います。

 北朝鮮との交渉をより実効的なもの、結果につながるものにつなげるために、第三国、特に、私の考えでは、日朝いずれもと必ずしも密接な地理的あるいはさまざまな意味での戦略的利害関係を有しない、第三国の関与を求めていくべきではないかというふうに考えております。具体的に、日朝双方と国交があり、かつ、平壌に公館またはそれに準ずる施設を置いている国ということになりますと、アジアではモンゴル、ベトナム、インドネシア、あるいは欧州ではスウェーデン、チェコ、スイス、そして南米、ブラジルなどが挙げられます。

 私の意見では、第三国に交渉の場を求めていくということも重要と考えておりまして、ストックホルム合意の例を見ましても、第三国で交渉を行うというような選択肢を持てるということは、極めて有意義と思っております。

 拉致問題の早期解決のために、国連の人権状況決議などに協力的な国々を中心に、第三国に、この拉致問題の解決ということについて、より積極的な関与を求めていくべきではないかと考えておりますが、山谷大臣の認識をお伺いします。

山谷国務大臣 拉致問題の解決のためには、あらゆる努力を傾注していくことが大切でありまして、諸外国との連携を通じた北朝鮮に対する働きかけも、その主要な一部だと考えております。

 御指摘の点は重要でありまして、安倍総理は、各国との首脳会談の場等、あらゆる機会を捉えて拉致問題について提起してこられております。私も、北朝鮮に大使館を有する国を含め、諸外国の方々との会談において、拉致問題についての理解、協力を求めてきているところであります。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 水面上に出せるもの、公的にお示しできるものと、水面下で進めるものと、さまざまなレベルのものがあると思いますが、ぜひ第三国との協力関係を密接にしていっていただきたいというふうに思っております。

 最後、四番目に、政治レベルの折衝、あるいは状況によっては訪朝ということについて、お伺いをしたいと思っております。

 拉致問題を全面解決していくには、事務レベルでの折衝もさることながら、日本の政府・与党を代表できる立場の方と、それから北朝鮮側の最高幹部に近い方との間での政治レベルでの折衝が不可欠ではないかと考えております。

 と申しますのは、事務レベル折衝では、北朝鮮側の現在の政治体制を前提とすれば、おのずから限界があろうかというふうに考えております。日本側としましても、交渉のぎりぎりの場面では、高度の政治判断が求められるという場面が当然想定をされてくると思っております。現に、さきに一部の拉致被害者の方々が帰国されたときにおきましても、当時の小泉総理、当時の安倍官房副長官の訪朝などによって、最後は物事が大きく動いたということがございます。

 訪朝、あるいは、先ほど第三国での交渉ということにも触れましたけれども、公式あるいは場合によっては非公式での政治レベルでの交渉ということが解決に不可欠であって、ぜひ取り組むべきと考えておりますが、山谷大臣の認識をお伺いします。

山谷国務大臣 先ほども申しましたが、拉致問題の解決に向けて、あらゆる努力を傾注していくという考えでございます。

 現時点では、私を含め、内閣から政治レベルの者が訪朝等により北朝鮮側との交渉を行うという計画はございません。

 引き続き、北朝鮮側が、日朝合意に従い、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を日本に通報するとともに、全ての拉致被害者の安全を確保し、即時帰国させるよう、強く求めていきたいと考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 現時点では、その予定は、はっきりしたものはないということではございますが、状況状況に応じて、ぜひ、決定的な場面では政治レベルでの折衝ということも選択肢に入れて、本件解決に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 拉致問題全般に関しまして、この問題は結果が全てであろうというふうに思っております。ですので、例えば、プロセスの全てをつまびらかにするということは物事の性質上できないかもしれませんが、ぜひ、本件、あらゆる手段を駆使していただいて、まさに大臣所信で表明いただきましたように、拉致被害者の早期全面帰国、全員の帰国ということに向けて努力を傾注していただきたいということを改めて申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

竹本委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、岸田大臣、山谷大臣、大変にお疲れさまでございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 山谷大臣は、このゴールデンウイークの連休中にアメリカに御出張され、国際シンポジウムに出席をされて基調演説を行ったというふうに伺っております。また、そのシンポジウムには、拉致被害者家族連絡会の横田さん、また、特定失踪者家族の森本さんからも、出席をし、発言があったというふうに伺っております。

 国連北朝鮮人権状況特別報告者マルズキ氏や、また、アメリカの北朝鮮人権問題担当特使などからも、国際社会として、日本人拉致問題を含む北朝鮮の人権問題の解決に取り組むべきであるという発言があったというふうに聞いております。このシンポジウムを通じて、国際社会の理解が広がっている、支持が広がっているというふうに考えております。

 今回のこの国際シンポジウム並びに訪米の成果につきまして、山谷大臣にまずお伺いをいたします。時間の限りがございますので、なるべく簡潔によろしくお願い申し上げます。

山谷国務大臣 五月五日、ニューヨークにおいて、日本政府主催による北朝鮮による拉致を含む人権侵害に関する国際シンポジウムを開催いたしました。

 昨年、国連で北朝鮮の人権問題に関する調査委員会の報告書が出まして、年末には総会決議があった、そして、安保理で議題となっているというような状況の中で、国際社会において、これまでになく北朝鮮の人権状況の改善、拉致問題の解決を求める機運が高まっております。こうした国際社会の機運の高まりを強化する上で、さらに日本は役割を果たしていくということを目的として開催したものでございます。

 私も基調講演を行いまして、マルズキ・ダルスマン国連北朝鮮人権状況特別報告者や、ロバート・キング米国北朝鮮人権問題担当特使、また、拉致議連会長代行の渡辺周衆議院議員など、家族会、そしてまた、特定失踪者御家族の方にも御参加をいただきました。

 会場には、各国の国連代表部関係者ほか多くの出席者がございまして、質疑応答も活発でありまして、北朝鮮の人権問題の解決、改善を求める機運の強化に向けて、非常に意義のあるものとなったと考えております。

上田委員 ありがとうございました。

 やはり、この問題の解決には国際社会の支持も極めて重要でありまして、これからもまた、大臣には引き続き御努力をいただきますようお願いを申し上げます。

 ちょっと一点、少し気になる記事がありまして、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 アメリカの北朝鮮事情に関する情報とかニュースを掲載しているウエブサイトに、NKニュースというのがございます。ここの三月十八日付で掲載された記事の中に、北朝鮮船籍の貨物船が三月に我が国の境港港に入港しているという記事が出ています。

 また、これは、国連による制裁措置や、北朝鮮の船舶の入港を禁止しているという我が国の法律に、特定船舶入港禁止法でありますけれども、違反しているのではないかというような報道がなされております。

 そこで、ちょっと事実関係を確認させていただきたいというふうに思います。これは、国交省、外務省、両方にまたがることでありますけれども、まとめてお伺いをいたします。

 まず、入港したというのは事実なのか。事実とすれば、その経緯、理由はどうなんだろうか。この記事の中には、また、本来は、日本政府が国際条約等に適合しているかどうか立入検査を行うべきであったにもかかわらず、検査したという記録が残っていないというふうにも書かれていますが、そういった事実関係は本当なのだろうか。

 また、さらに、こうした我が国の対応が、国連の制裁措置あるいは国内法に違反しているというふうにここに指摘をされているんですけれども、それについての見解、あわせて伺えればというふうに思います。

秋本政府参考人 お尋ねの件につきましては、三月九日午後三時ころ、島根県隠岐諸島の南西を航行中の北朝鮮籍貨物船から、海上保安庁に、海上荒天のため緊急入域したいとの通報がありました。海上保安庁では、当時の海上模様やその後の気象、海象予報を勘案の上、人道上の観点から、鳥取県美保湾への緊急入域を認め、同船は沖合で錨泊いたしました。

 本件については、内閣官房や外務省等の関係省庁と緊密に連携し、情報の共有、対応の検討などを行った上で、海上保安庁において立入検査を行っております。なお、立入検査の結果、特異事象は確認されませんでした。

伊原政府参考人 委員の方から御質問のありました残りの点について、お答えさせていただきたいと思います。

 ただいまの説明にございましたように、今回のこの北朝鮮籍の船舶につきましては、入港したわけではございません。北朝鮮船舶の入港につきましては、我が国は、人道目的上の物資を輸送する場合等を除き、特定船舶入港禁止法によって北朝鮮船舶の入港は禁止をしております。

 今回の日本の対応と国連安保理決議上の関係でございますけれども、今回のような緊急の事案における国連安保理決議上の義務の解釈については、必ずしも明確に定まっているものではないというふうに承知しております。

 今後とも、今回の事案も含めて、関係国等とも意見交換を行って、より効果的な安保理決議の実施に向けて引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。

上田委員 御説明ありがとうございます。

 事実関係がかなりこれではっきりしたんじゃないかというふうに思います。

 私が取り上げた記事では、大分その辺が、事実が誤って報道されておりまして、例えば、日本の当局は、この制裁措置とか日本の法律を十分理解していなかったのではないかのようなことも書かれておりますけれども、今、そういうきちんとした対応がされたということ、御説明をいただきまして、大変にありがとうございます。

 なぜ今こういう問題をお聞きしたかといえば、政府として、拉致問題については、とにかく政府も民間もオール・ジャパンでしっかりと取り組んでいこうじゃないかということを明確に打ち出しております。それが基本方針であるというふうに我々も考えております。

 こうした内容が、事実でないにしても報じられますと、日本の行政部内でも、その対応に食い違い、ちぐはぐさがあるんじゃないかというような誤解も受けかねないわけであります。これは、ネットの記事でありますから、一般の方はごらんになっていませんけれども、ただ、米国においても北朝鮮関係の方などはこういう記事も見ているわけでありますので、我が国の方針に誤解を生ずることがないように、事実関係はきっちりとやはり我が国からも発信をしていかなければならないんじゃないかというふうに思います。

 とにかく、我が国政府としては、オール・ジャパンで、一枚岩でやっているんだという強いメッセージが必要だというふうに思いますので、引き続きこういう報道等にも十分留意をして、そういう正しいメッセージが伝わるように、政府として対応をよろしくお願い申し上げます。

 それで、最後になりますけれども、岸田外務大臣にお伺いをいたしますが、北朝鮮では、最近、四月には、軍のナンバーツーで金正恩の側近とも言われた玄永哲人民武力相が反逆罪で処刑されたという報道がございました。これだけではなくて、最近、政府の幹部が頻繁に粛清されている、あるいは追放されているというようなことが登場をしております。これは、やはり北朝鮮の政権中枢部がかなり不安定になっているという一つのあらわれなのではないかなというふうに危惧をされます。

 そうなると、そういう状況では、この我が国との交渉のような重要な外交交渉に、果たして今の政権として臨むような体制ができているのかといったことは、非常に不安に感じます。とはいっても、やはり、この拉致問題というのは非常に重要な、緊急を要する課題でありますので、我が国としてはしっかりと交渉しなければならない。

 そこで、今のこうした北朝鮮の政権がどういう状況にあるというふうに外務省としては評価をされているのか。また、対話と圧力というのが基本方針でありますけれども、こうして相手が非常に不安定な状況で、困難な状況の中で、どうやって糸口を見つけていくのか。そうした外務省のこれからの交渉の基本方針、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、玄永哲人民武力部長ほかが最近粛清されたという情報があります。

 こうしたさまざまな動きがありますが、北朝鮮内部の動向につきまして、現時点においては、必ずしも情勢が不安定化しているという具体的な情報には接しておりませんが、さまざまな見方があるのは事実だと思います。そして、北朝鮮に関しましては、そもそも情勢が不透明でありますし、また予測が難しいことがあります。

 そして、御指摘のように、日本としてどう対応していくかを考える際に、この内部情勢につきましては大きな関心を持っていかなければならないと考えます。今申し上げましたように、情勢が不安定化しているという具体的な情報は得てはおりませんが、引き続き、北朝鮮内部の情勢につきまして、大きな関心を持ち、そして、情報収集、さらには分析をしっかりやっていかなければならないと思います。

 そして、加えて、日本政府としてどう対応するかということですが、対話と圧力、あるいは行動対行動、この基本方針は全く変わっておりません。現状においては特別調査委員会に通報を強く求めているところでありますが、こうした対応をしっかり求めながら、諸懸案の解決に向けて、北朝鮮側の前向きな態度を引き出すべく、しっかり検討をし、取り組んでいきたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 非常に困難な状況も想定されるんですけれども、でもやはり、この問題、解決に向けての努力が必要であります。先ほどもお話がありましたけれども、対話と圧力、この状況を打開していくためには、やはり再度圧力も高めていくということも、選択肢として十分検討していかなければならないというふうに思います。

 いずれにしても、非常に膠着した状態の中でありますけれども、一日も早いこの問題の解決、最優先課題でございますので、政府を挙げて全力で取り組んでいただけますように、両大臣に、御努力よろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わります。

竹本委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。

 岸田大臣、山谷大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど上田委員からも、渡米のお話、大臣に御質問がありまして、シンポジウムの一定の評価があったことをお聞きいたしましたが、その報道は、国内ではテレビ、ニュースを通じてございました。

 まず一点目に聞きたいのは、今回のシンポジウムの成果などを含め、海外メディアの取材や報道がどのようにあちらであったのか、まず質問したいと思います。

山谷国務大臣 先ほど、シンポジウムの概要については申し上げました。

 海外メディアの取材や報道ぶりでございますけれども、約二十社のメディアが来場いたしまして、海外メディア計七社が取材したほか、私自身もAFP通信及びトルコ国営通信からの個別インタビューを受けまして、次々と日本政府の取り組みについて報道がなされたところでございます。

 また、ガーディアンや中国の国営通信社等、当日会場には来場していない海外メディアも、AFP通信や日本国内での報道ぶりを引用する形で、シンポジウムを初めとする今次訪米における日本政府の取り組みについて報じられたところでございます。

本村(賢)委員 今回の渡米の成果によって、国際世論を巻き込むという、非常に大きなお力もいただいたということで理解してまいりたいと思います。

 日本対北朝鮮、そして国際世論対北朝鮮という構図があるわけでありますけれども、二〇〇二年に拉致被害者が戻ってきた際には、米国と北朝鮮の間で緊張の高まりがあったことも、拉致被害者の帰国の大きな要因になっているんじゃないかという指摘もございます。

 今後、いかにして国際世論を形成していくのか。先ほど、国際圧力を高めるべきという斎藤委員のお話もございましたが、そういった国際世論の形成の仕方、我が国の取り組みの仕方を質問してまいりたいと思います。

岸田国務大臣 まず、拉致問題、これは我が国の主権あるいは国民の生命や安全にかかわる重大な問題であり、安倍政権としましても最重要課題であると認識しておりますが、同時に、この拉致問題は、基本的人権の侵害という国際社会全体の普遍的問題であると考えます。ぜひ、さまざまな機会を捉えて、国際社会に問題を提起し、協力を求めていかなければならない、このように考えます。

 そして、委員の指摘のように、国際社会あるいは国連の場等を通じまして、さまざまな働きかけを行っていかなければならないと思っていますが、それ以外にも、例えば、先般、G7外相会談が行われました。この際に、G7として拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害に対する深刻な懸念を共有し、G7の外相会談のコミュニケの中にも拉致問題という言葉を明記した上で問題を共有した、こういったこともありました。

 また、先般の日米首脳会談におきましても、首脳の間で拉致問題を取り上げ、安倍総理から拉致問題の早期解決に向けた決意を述べ、そしてオバマ大統領から改めて理解と支持の表明があり、そして日米共同ビジョン声明、この成果文書の中にもこの拉致問題を明記いたしました。

 こうしたさまざまな場を通じまして、国際社会の理解を得て、国際世論を喚起する、こうしたことが北朝鮮に対するメッセージを伝えるということにもなるのかと思います。我が国独自の北朝鮮への対応に加えて、こうした環境整備が大変重要であると考え、さまざまな場を今後も活用していきたいと考えております。

本村(賢)委員 ぜひ、国際世論の形成に引き続きの御尽力をお願いしてまいりたいと思っております。

 ここで、初歩的な質問で恐縮でございますが、昨今、拉致議連、そして家族会、救う会、さまざまな視点から、やはり外務省のこの拉致問題に対する取り組みの強いリーダーシップを期待している声が聞こえておりますが、昨年の五月のストックホルム合意では、遺骨問題、日本人妻の問題等々と、その後に、最初にこの拉致問題の言葉が入っていたようなお話も伺っているんですが、外務省における対北朝鮮に対する拉致問題の優先順位についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、先ほども申し上げましたが、拉致問題は、我が国の主権あるいは国民の生命、安全にかかわる重大な問題であり、政権としても最重要課題であると認識をしておりますし、最優先で取り組まなければならない課題だと認識をいたします。

 その中にあって、日朝間において、五月、日朝政府間協議を行い、合意をし、そして七月、特別調査委員会の調査をスタートしたわけですが、この日朝の合意の中で、今御指摘がありましたように、他の日本人に関する問題、遺骨の問題あるいは日本人配偶者の問題、こういったものと同時並行的に行うという文書ができ上がったわけであります。

 この点についてですが、まず、この文書の真意としましては、日本人の配偶者の問題あるいは日本人の遺骨の問題、これも日本人にかかわる重要な課題でありますが、こうした問題と比較しても拉致問題は決しておくれてはならない、拉致問題がこうした問題よりおくれるなどということは決してあってはならないということをまず文書で明らかにした上で、その後、五月のストックホルムでの協議、七月の北京での協議、あるいは九月の瀋陽での協議、あるいは十月の平壌での協議、こうした場を捉えまして、絶えず、この拉致問題が日本にとりまして最優先課題であるということを強調し続けています。

 こうした協議を積み重ねることによりまして、我が国にとりまして拉致問題がいかに重要であるか、最優先であるか、こうした姿勢については北朝鮮に伝わっているものだと思います。

 ぜひこれからも、こうした我が国の姿勢は北朝鮮にしっかり伝わるよう努力を続けていきたいと考えます。

本村(賢)委員 今御答弁いただきましたが、それでは、対北朝鮮に対しまして、外務省としては拉致問題が最優先課題ということでよろしいでしょうか。もう一度お答えをお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 今申し上げましたように、今の政権にとりまして最重要課題であり、最優先課題であると認識をしています。

本村(賢)委員 最近、参議院で参考人質疑が、拉致特で行われたということを伺っております。その中で、特定失踪者問題調査会の荒木さんが、昨年五月のストックホルム合意以降の再調査にかかわる交渉は明らかに失敗という発言があったようでありますが、そもそも昨年、平成二十六年五月のストックホルム合意協議を始めたのはなぜか、また、成果が見込める見当があったのか、そして、なぜ一年を目途としたのか、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮に関しましては、従来から、対話と圧力の方針のもとに、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、諸懸案を包括的に解決する、こうした方針で臨んできました。

 対話と圧力、あるいは行動対行動、こうした原則を重視しながら取り組んできたわけですが、その中にありまして、圧力に関しては、国連安保理決議に基づく制裁に加えて、我が国独自の制裁措置、北朝鮮措置を実施しているわけですが、一方の対話ということにつきましては、昨年の三月、一年四カ月ぶりに対話を再開するということになり、そして五月にストックホルムで日朝合意が行われ、そして七月に特別調査委員会の調査がスタートした、こういったことになりました。

 従来から我が国は、対話と圧力、ともに重要である、この両方が重要であるということから、圧力に対して対話についても一年四カ月ぶりに再開をし、今、調査の通報を強く求めている、こういった現状にあります。

 そして、なぜ一年としたのかということにつきましては、昨年の九月ですが、北朝鮮側からも、調査は全体で一年程度を目標としている、こういった旨の連絡がありました。こうしたことでありますので、我が国としましては、北朝鮮に対して、迅速に調査を行って、速やかに、そして正直に、しっかりと通報をするよう強く求めているところであります。

 ぜひ、引き続きまして、対話と圧力、あるいは行動対行動の方針のもとで北朝鮮側に臨み、北朝鮮側から前向きな対応をしっかり引き出していきたいと考えます。

本村(賢)委員 昨年七月三日、制裁を一部解除したということで大臣からも御答弁がありましたが、このとき菅官房長官が、最初の報告は夏の終わりから秋の初めにかけてという発言をなされ、そして、九月十八日には北朝鮮が初回報告の先送りを通告されております。そして、それを受けて菅官房長官が、初回報告時期について、常識的には年内と発言をされていましたが、残念ながら、昨年、そういった初回の報告はございませんでした。そして、四月の二日には、さまざまな事柄があったことから、北朝鮮から、日朝政府間協議を中断する意向の通知もございました。

 菅官房長官の常識的には年内という発言について、どう捉えられていらっしゃるかお聞きしたいのと、それから、四月の二日に北朝鮮から日朝政府間協議を中断する意向の通知が来ておりますが、政府としては、一方的に向こうからの話かもしれませんが、ストックホルム合意を受けた日朝間の政府間協議については、まだ協議が続いていると考えていらっしゃるかお聞きしたいのと、それから、その直後、四月三日に政府が北朝鮮に抗議をしたということでありますが、その四月三日に抗議をしてから、きょうは五月の十八日でありますから、約一カ月半程度たっております。その直後の抗議以降の政府の対応は、どのように北朝鮮にとってこられたか、この一カ月半の間。

 その三点、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、昨年五月の日朝合意では、我が国として独自の北朝鮮措置の一部を解除するとしたわけですが、北朝鮮側においては、従来の立場、要は拉致問題は解決済みであるという立場はあるものの、拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する、このことを約束いたしました。そして、昨年七月に北朝鮮側は特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始いたしました。そして、日本側は独自の対北朝鮮措置の一部を解除した、こういった経緯でありました。

 我が国の制裁の一部解除につきましては、こうした行動対行動の原則に基づいての対応であると認識をしておりますが、調査の時期については、そもそも最初の通報について、北朝鮮側とは、昨年の夏の終わりから秋の初めごろに行うのが望ましい、こういった認識の共有があったわけであります。

 しかしながら、昨年九月、瀋陽の会合において北朝鮮側から、調査は初期段階であり、日本人一人一人に関する具体的な調査結果を通報できる段階にはない、こうした説明がありました。我が国としては、それは受け入れられないということで北朝鮮に働きかけを行ったわけですが、現在、まだ調査結果は得られていないということであります。

 そして、この四月二日の北朝鮮側の通知についての御質問ですが、日本が日朝合意を破った等の主張を北朝鮮側が行って、このような事態では政府間対話を行うことができない、こういった発表が行われたわけですが、我が国としては、これは受け入れることができず、極めて遺憾であり、御指摘のように抗議をいたしました。そして、抗議に対しての反応ですが、抗議に対する直接の反応は今のところございません。

 ただ、今回の北朝鮮の発表については、一々北朝鮮側の意図を説明するのは適切ではないのかもしれませんが、やはり、外為法違反事案に関する捜査を含めた一連の動きに対する北朝鮮側の立場を表明したものである、このように理解をしています。

 そして、こうした外為法違反事案に対する捜査に関しましては、先般三名の逮捕者が出ましたが、それに対して北朝鮮側の反応が公にされている、こういったことを把握しているところであります。

本村(賢)委員 もう一度確認しますが、四月二日の声明を受けて、まだこの協議は続いているということでよろしいですか。

岸田国務大臣 我が国の立場は全く変わっておりません。引き続き、北朝鮮側から通報することを強く求めてまいります。

本村(賢)委員 協議が続いているということでありまして、間もなく七月の期限まであと一カ月半と迫ってまいりましたが、残る期間を政府としてどのように働きかけをしていくのか。

 また、先ほど斎藤委員、そして上田委員からも御指摘ありましたが、ここはやはり、国際的孤立と制裁の圧力をかけていかなきゃいかぬと思っておりまして、日本対北朝鮮、そして国際世論対北朝鮮という構図があると思うんですけれども、我が日本も待つだけではなく、例えば菅官房長官みたいな方が、常識的には年内という発言を裏切られてしまったり、昨年九月には最初の報告が夏から秋という話もほごにされてしまっていまして、政府としては、今の北朝鮮の我が日本に対する対応に関して、やはりここは毅然と臨まなきゃいかぬと思っているんです。

 やはり正式に、一年というめどがあるわけでありますから、期限を設定して、昨年七月に解除した制裁を再開するべきじゃないかというふうに考えておりますけれども、例えば期限の設定についてと、それから制裁再開について、お考えをお伺いしたいと思っています。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮に対しては、引き続き、対話と圧力、行動対行動の原則をしっかりと守りながら対応していかなければならないと考えています。

 そして、その際に国際社会との協調が重要であり、国連の場、あるいは先ほど紹介させていただきましたG7ですとか日米ですとか、さまざまな関係国との関係においても、しっかりと協力、理解を得ていかなければならないと考えています。

 そして、今後の対応についてですが、特別調査委員会の通報を、速やかに、そして正直に行うべく、しっかり働きかけをしていくという方針は、現在のところ変わってはおりません。

 ただ、北朝鮮側から前向きな、そして具体的な行動を引き出すために何が効果的なのかという観点から、不断の検討を行っていくことは重要であると考えています。

本村(賢)委員 先ほども不断の検討という答弁がありましたが、ぜひ力強く、大臣にはリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 最後の質問にしますが、拉致にかかわった国内協力者の捜査を行うべきではないかというふうに考えておりまして、曽我ひとみさんは、私を拉致した人はまだ近くにいるといった旨の発言をしていることや、北朝鮮によれば、曽我さんの拉致は日本の現地請負業者がやったんじゃないかという話もあります。拉致にかかわった国内協力者の捜査を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 警察では、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に向けて、拉致に関与した国内協力者の存在も念頭に、あらゆる可能性を視野に入れまして、関連情報の収集や捜査に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 今後とも、法と証拠に基づき厳正に捜査を行うよう、国家公安委員会として警察庁を指導してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今、本村議員の質問にもありましたが、拉致、遺骨、日本人配偶者、妻ですね、これを同列に置いた、同時並行というふうに書いたストックホルム合意というのは、先ほどの外務大臣の発言を聞いても、極めて、実は拉致が最優先だと言っているわけであって、ちょっとそこにそごがあると思っておりますが、なぜこのような合意に同意をしたのか。

 率直に言うと、安倍さんは拉致問題をずっとやってこられた方ですが、私の知る限り、安倍晋三氏はこういったストックホルム合意に恐らく簡単に合意をするような人ではなかったはずであります。したがって、何らかの見通しがそのときあったのか、このことをお伺いいたします。

岸田国務大臣 御指摘のストックホルム合意につきましては、北朝鮮が、特別調査委員会に基づいて、日本人にかかわる全ての問題にしっかりと前向きに取り組む、こういった内容の合意になっております。そして、その際に、先ほど申し上げましたように、この調査について、一部の調査を優先するのではなく、全ての分野について同時並行的に行う、こうした内容になっております。

 これは、先ほど申し上げたように、拉致問題が後回しになってはならない、こうした点を文書においてしっかり確認したものであると認識をしています。

 そして、我が国が、この拉致問題、最重要課題であり最優先課題であるということにつきましては、その五月のストックホルムでの協議も含めて、それ以後、あらゆる協議の場において北朝鮮側に伝えています。文書と、そして、その後積み重ねてきた協議全体を通じて、我が国の立場や考え方は北朝鮮側にしっかり伝わっているものだと思っています。

 こうした思いが伝わった上で、北朝鮮側に、しっかりと前向きな行動をするべく、しっかりと働きかけを続けていかなければならないと考えます。

松原委員 ちょっと納得できない答弁であります。

 少なくとも、これを同時並行的に行うということではなくて、拉致を解決せよというのが第一条に来るべきだった。あのときから、さまざまな会議において、なぜ同列なのかというのは極めて疑問でした。

 北朝鮮側はこういうふうに約束したと言うけれども、外務大臣、北朝鮮は約束を守ることは少ないケースが多い、うそも平気でつく、このことは御案内のとおりであります。その上で、あえて、つまり、相手が言った表面的な表現というのは、平然としてでたらめを言ったりするというのはみんな知っているわけですよ、知った上で乗ったということは、何らかの見通しがそのときはあったんでしょうと聞いているんです。これは、山谷さん、教えてください。

山谷国務大臣 安倍内閣の最重要、最優先課題は、拉致問題の解決であります。交渉の重い扉が開いたわけです。あとは、一日も早い、正直な、正確な報告を求め、そして被害者全員の帰国に結びつけたいと考えております。

松原委員 今、交渉の重い扉があけられたと言います。

 先ほど本村さんの質疑でもありましたが、米国の圧力で最初の拉致被害者の帰還があった、やはり北朝鮮はアメリカを恐れた、それは被害者で戻ってこられた方々の証言にもある。今回は、張成沢処刑による中国との緊張関係というのは、やはり北朝鮮にとっては拉致の問題に対して動かざるを得ない最大の要因だったと私は分析しておりますし、関係者もそういうふうに考えている方は多いわけであります。

 しかし、そこの議論はこの場ではいたしませんが、少なくとも、今のお話のような、それが最優先課題であるというのであれば、これはきちっとそういうふうにストックホルム合意で明記をするべきだというふうに思っております。

 お伺いいたしますが、行動対行動の原理というふうにおっしゃった、行動対行動の原理でいうならば、では、七月三日に制裁を一部緩和した、この行動は何の行動に対する行動対行動なんですか。これは通告しておりませんが、山谷さんであれば答えられると思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、まず、五月のストックホルム合意において、我が国は、北朝鮮に対する制裁の一部解除を明らかにしました。そして、北朝鮮側は、従来の北朝鮮側の立場、拉致問題は解決済みという立場があるものの、この特別調査委員会の設置に同意をし、全ての日本人の問題について調査を進める、これを明らかにした、これが五月の合意でありました。

 そして、七月、それに基づいて北朝鮮側が特別調査委員会の調査をスタートさせた。そして、それに合わせて、我が国としては制裁の一部を解除した、こういった対応になっていると認識をしています。

松原委員 つまり、北朝鮮が徐大河の調査委員会を立ち上げた、これが行動対行動で、制裁の一部緩和だった、こういう理解になるわけですが、本当にそれが正しいのかどうかということであります。

 この徐大河の調査委員会、今続いているかどうか承知をしておりませんが、徐大河の調査委員会を立ち上げたということは、外務大臣、今、評価していますか。

岸田国務大臣 徐大河氏が委員長を務める特別調査委員会ですが、北朝鮮の最高指導機関である国防委員会から、全ての機関を対象にした調査を行うことのできる特別な権限を付与されていると承知をしています。

 また、徐大河委員長については、北朝鮮から、国防委員会安全担当参事兼国家安全保衛部副部長である、こういった説明を受けています。また、ことしに入って、徐大河氏自身、中将に昇進したという情報も得ています。

 徐大河氏に関しては、こうした権限や立場にある人物だと認識をしておりますが、ぜひ、徐大河氏が委員長を務める特別調査委員会から、速やかに、そして正直な通報を得るべく、しっかりと働きかけを続けていきたいと考えております。

松原委員 大体、冒頭言ったように、北朝鮮はかなり平気で事実と異なることを言う。横田めぐみさんが死んだと言って、実はその後も生きていたことが蓮池さんの証言で明らかになって、いろいろとあるわけであります。にせ遺骨もこれあり。

 そうすると、この徐大河さんの委員会を外務大臣は今も信頼している、評価しているということですか。少なくとも、行動対行動というのであれば、この委員会が本当にそれだけの権限を持っているのか、徐大河氏という人間がそれだけの権限を持っているのか、北朝鮮側の説明しか聞いていないわけですよ。

 北朝鮮側の説明以外にそれを何か確認しましたか。

岸田国務大臣 北朝鮮の今日までのさまざまな対応、行動につきましては、今委員の方からもありましたように、我々から見て納得がいかないような対応があったというのは事実だと思いますが、その北朝鮮からしっかりと、あらゆる手だてを講じて、前向きな行動を引き出さなければなりません。そして、徐大河氏が委員長を務めるこの特別調査委員会、あるいはこの徐大河氏自身については先ほど申し上げたような情報を得ているわけでありますが、ぜひこの委員長を中心とする特別調査委員会から具体的な通報を得るべく、しっかり我々は働きかけを続けていかなければなりません。

 ぜひ、こうした取り組みを通じて、この拉致問題を初めとする諸懸案解決に向けて、前向きな、具体的な行動を北朝鮮側から引き出したいと考えています。

松原委員 何回だまされればいいんだという話だと思うんですよ。今まで何回もだまされてきた。この徐大河の調査委員会でまただまされるんですか。一年たって報告がないこと自体ナンセンスである。僕は、やはりこの場で、外務大臣なり山谷大臣には、とんでもないと、それぐらい一言言ってもらわないといかぬと思うんですよ。それがやはり北朝鮮に対するメッセージだと思うんですよ。

 山谷さん、一言、思い切って、とんでもないと言ってください。

山谷国務大臣 今も誠実な報告が来ない、そして拉致問題の解決に向けての動きがないということは、まことに遺憾であります。

松原委員 とんでもないということを遺憾である、こうおっしゃったという理解でよろしいですね。もう一回。

山谷国務大臣 とんでもないことであります。遺憾であります。

松原委員 そうしたら、すぐ制裁はもとに戻すというのは当たり前であります。

 さて、次に、あのとき、救う会、家族会みんな集まって、平沼議連会長も来られて大分議論をし、そして、伊原局長の平壌行きは、行くべきではないと関係者はみんな言ったんです。だまされている、北朝鮮にだまされているから行くべきではないと。行くべきではないと言ったのに行って、徐大河さんに会った。だまされているぞ、行くなと言ったのに行って、だまされたとしか言いようがない。

 このいわゆる平壌訪問に関して、どういうふうに評価をしているのか。よかったと思っているのかどうか。今度は、山谷さん、答えてください。

山谷国務大臣 平壌に訪問しまして、拉致問題こそが最優先課題であるとのこれまで北朝鮮側に繰り返し伝えてきた日本政府の立場を直接、特別調査委員会の責任者に明確に伝えました。そして、調査の現状について詳細を聴取するとともに、北朝鮮が迅速に調査を行い、その結果を速やかにかつ正直に通報することを強く求めるために平壌に派遣をしたわけでございますが、訪朝を見送れば、北朝鮮との対話を再開し、交渉の重い扉、やっと開いたばかりであるにもかかわらず、再び交渉が途切れてしまうかもしれないというリスクもあるような状況でありましたし、また、特殊機関に対して徹底的に調査を行うとの北朝鮮側から説明もありました。

 派遣した意味はあったと考えております。

松原委員 山谷さんとしては、本音は違うことを言いたいんだろうけれども、きょうはこういう場だからおっしゃっているんだろうと思います。

 二日目の協議、拉致の問題で何もなかったときに、二日目は戻ってくるべきだったというふうに言う関係者もいるわけでありますが、あれだけ皆さんが、行くべきではない、成果は出ないからと。あそこまで、行くべきではない、成果は出ないと関係者全員が言って、行って成果は出たということになるのか。私はそうは思わない。非常にこれは、北側の術中に、虎穴に入らずんば虎子を得ずということでやったのかもしれませんが、いかがかと思っております。

 これは、実際、行ったのは伊原さん。伊原さんの方から聞きたいのは、この徐大河の調査委員会、あなたはどう考えていますか。評価していますか。

伊原政府参考人 今、岸田大臣からもお答えしたとおり、徐大河が委員長を務める特別調査委員会は、北朝鮮の中で特別の権限を与えられて、ストックホルム合意に基づいて調査をしておりますので、私どもとしては、この徐大河以下特別調査委員会のメンバーに対して直接日本の考えを伝えて強く働きかけるということが、一番、その時点で考えられる最善の対応であったというふうに考えておりますし、一刻も早く調査の結果の通報を得るべく、引き続き強く求めていきたいというふうに思っております。

松原委員 宋日昊氏とかがテレビのビデオ撮りで、今までの日本は間違っておった、これでようやくというふうなことを言って、非常に日本に対して侮った口調でさまざま言っていた、それがこのストックホルム合意以降でありまして、私は、極めて、冒頭言ったように、何か見通しがあるんだろうな、こんなことに合意するんだったら、政府はきちっとした見通しが既にあって、数カ月後には結論が出せる、だから乗ったのかと思っていたら、それからもう一年近く、こういうことであります。非常に、私は、時間との戦いという中で、時間を無駄にしてしまったという責めをやはり負うべきだと思っております。

 その中で、私は、政府の対応も多少変わってきていて、最初は、伊原さん、あなたが、部門会議等でも言ったわけでありますが、拉致以外の進展があっても制裁は緩和しないということを何回も言ってくれと言ったけれども、伊原さんは言わなかった、最初の段階で山谷さんも言わなかった。拉致問題についての進展がないときは制裁は緩和しないぞというのをメッセージで出すべきだというのを言わなかった。

 これは、伊原さん、このときと今とは環境は同じですか、違いますか。

伊原政府参考人 政府としての基本的立場に全く変わりはないと考えておりますが、その時々、どのような立場を明らかにするかということは、やはり政治の御判断として最も適切な対応、適切な立場を明らかにされているということだというふうに思います。

松原委員 拉致以外の日本人配偶者問題や遺骨が進展しても制裁を緩和しないというふうに言ってくれと言って、言えない、言わない。少なくとも拉致が最優先だという答弁しかなかったが、先般の予算委員会の私に対する答弁で、官房長官が、拉致以外に進展がない場合、制裁は緩和しないと明言をした。

 これは明言をするのとしないのと大きな違いがあるので、時間も時間なので余り言いませんが、政府はどこかの段階でもう完全にターニングポイントを過ぎたんだというふうに思っております。もっと早い段階で判断をするべきだった。北朝鮮は真実を言わないことが多い国であるということを明快に認識しなければ、どんどんと家族の方々も高齢化する中において、それは国の矜持としてきちっとやってもらいたいと思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりました。

 国民の税金を何兆円も投入した朝銀信組関係負債、六百億弱、これは大変な未回収であります。そこに朝鮮総連関係の関係団体が五十億円の抵当を設定して、現在も居座っている状況があります。

 預金保険機構にお伺いしますが、賃貸契約はこの朝鮮総連とグリーンフォーリストの間においてなされているかどうか、答弁をお願いします。

三國谷参考人 お答えいたします。

 預金保険機構は、これまでも、付与された権能や蓄積されました債権回収に関します知見、ノウハウを活用いたしまして債権回収に努めてきたところでございます。

 個別の事柄につきましては、今後の債権回収に支障を及ぼすおそれがありますことから、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、今後とも、債務者が債務の弁済に当てられるような資産を有しているかどうか、そういったことに必要な情報収集等に努めてまいりまして、債権の最大限の回収に努めてまいりたいと考えているところでございます。

松原委員 今の表現を簡単に言うと、賃貸借契約が結ばれて、その借り賃の原資があったら差し押さえますよ、こういう趣旨だと私は理解しておりますが、その賃貸借契約が結ばれたかどうかは言えない、こういうことになるんでしょうか。

 ただ、私は、国民の血税が大変にそこに投入されている以上、個別の事案だからということではなく、この場で御答弁をいただきたいと思っています。

 一言だけ、そのことは言えないのか、確認していないのか、おっしゃってください。

三國谷参考人 預金保険機構あるいは整理回収機構は、さまざまな回収事案に対応しているところでございますが、個別の事案につきまして具体的な事柄を申し上げますことは、本当に今後の債権の回収に支障を及ぼすおそれがありますことから、差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 この朝鮮総連会館、俗称そう言いましょうか、この会館に今の朝鮮総連の東京の本部があるということであります、事実上ですね。

 今、債権機構の方にお伺いしたいわけでありますが、預金保険機構ですね、例えば、不動産に関しては執行ができないとするならば、動産がありますね、そこにさまざまな動産、ビデオカメラを含む、そんなものもたくさんあるでしょう、こういった動産に対して差し押さえ執行というのは、これは当然できるわけでありますが、それはしないのか、する意思がないのか、検討しているのか、お伺いしたい。

三國谷参考人 一般論として申し上げますならば、これまでも預金保険機構は、付与された権能や蓄積された債権回収に関する知見、ノウハウを活用いたしまして、必要に応じまして競売、差し押さえも含めた対応をしてきたところでございます。

 ただ、個別の事案につきましては、具体的な事柄は、今後の債権回収業務に支障を及ぼすことがありますので、差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 では、こういう聞き方で聞きましょう。

 一般論として、このようなケースにおいて、決断すれば、例えば、動産の差し押さえ執行はできるんですか。一言だけお答えください。

三國谷参考人 一般論としては、今申し上げたとおりでございます。

 このような事案ということになりますと、個別的な事案ということでもございますので、私どもとしては、個別事案につきましての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 もうちょっと議論を突っ込むようにしてもらわないと、預金保険機構も本当に国民のために剣を振るっているかどうかという疑念すら湧いてくると思うので、そこは動産執行ができるわけですから、きちっと検討していただきたい、このように思っております。

 さて、いわゆる白山の不動産の管理会、朝鮮総連、人的にはかなりラップしているというふうに言われております。これを一体というふうに見ることはできるのか、できないのか。普通、はたから見ればこれは一体でありますが、そのことについての御所見をお伺いしたい。簡単に答えてください、時間がありませんから。

三國谷参考人 これも個別的な事案の話でございますので答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもは、ここに至るまでも、さまざまな情報を丹念に収集いたしまして、これまでも、競売を含めました債権の回収に努めてきたところでございます。

 今後とも、私どもは、債権の最大限の回収に努めてまいりたいと考えております。

松原委員 事実上、この白山管理会と朝鮮総連はほぼ一体であることはもう間違いがないわけですが、そこに五十億の抵当を設定して平然と居座っている。これは、国民感情から見ても、また今までの経緯から見ても、実際、拉致の交渉においても、北朝鮮側がこの朝鮮総連会館を何とかしろというのは、私が大臣時代も何回も言ってきた話ですから、我々は三権分立だと言いましたが。

 こういう状況で、結果的にそのまま居抜きで残っている、動産執行すらされない、こういったことで時間ばかり過ぎていく、まただまされた。

 山谷さん、決意と怒りをこの場で言ってもらいたい。怒りを言ってもらいたい。

山谷国務大臣 朝鮮総連中央本部ビルについては、裁判所による競売手続を経て所有権が移転しているところでありますが、朝鮮総連に対する債権については、整理回収機構等の関係機関が厳正に債権回収を行っております。

 また、朝鮮総連については、北朝鮮当局と極めて密接な関係を有する団体であると認識をしておりまして、これまでも、北朝鮮工作員の密出入国や北朝鮮への大量破壊兵器関連物資等の不正輸出に朝鮮総連の構成員やその関係者が関与している事例、拉致容疑事案に総連関係者の関与が確認された事例も把握しております。

 こうした朝鮮総連の動向については、その土地建物をめぐる状況を含め、重大な関心を払っているところでありまして、関係機関において、具体的な刑罰法令に違反する行為が確認されれば、厳正に取り締まりを行っていくものと承知しております。仮に違法行為があれば、政府として、それに目をつぶって交渉を進めるということはございません。

松原委員 いや、私が聞いたのは、このことに対して極めて憤りを感じているかどうかという山谷さんのパトスを聞いているんですよ。そこだけ答えてください。

山谷国務大臣 今申し上げましたとおり、具体的な刑罰法令に違反する行為が確認されれば、厳正に取り締まりを行っていく。仮に違法行為があれば、政府として、それに目をつぶって交渉を進めるということはございません。

松原委員 終わります。

竹本委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 維新の党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、二十五分の質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。

 通告した内容はきょうの議論で重なることが多いんですけれども、通告に従って質問させていただきたいと思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、私からも、最近の北朝鮮情勢について伺いたいと思います。

 本日も議論がありましたけれども、北朝鮮、粛清人事が行われているという報道があります。つい先日も、北朝鮮の人民武力相である玄永哲が粛清されたというふうに言われております。また、二〇一三年の十二月には、張成沢前国防委員会副委員長が、当時の最高幹部として粛清されたわけです。

 金正恩体制が恐怖政治を行っているというこのことについて、これは権力を掌握していくために進めているんだと思いますけれども、これが順調に進んでいるからこういう粛清人事が行われているのか、それとも、逆に、混乱が生じているから一層粛清が行われることになったのか、まず、外務省としてどのように分析されているか、お伺いしたいと思います。

中根大臣政務官 ありがとうございます。

 政府としては、今般の事案が北朝鮮の体制に与える影響も含め、北朝鮮内部の動向について、関係国と緊密に連携しながら、冷静に情報を注視し、情報収集、分析に努めているところでございます。

 現時点においては、必ずしも北朝鮮内部の情勢が不安定化しているとの具体的な情報に接しているわけではありませんが、さまざまな見方があると承知しております。

 いずれにせよ、政府としては、このような情報収集や分析を不断に行いつつ、引き続き、対話と圧力、そして、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組んでまいる所存です。

青柳委員 今の御答弁では、特段の大きな変化はないという理解をしてよろしいわけですか。

中根大臣政務官 今お話しして重なるんですが、さまざまな見方があるというふうに承知しておりますが、特段具体的な情報に接しているわけではございません。

青柳委員 また同時に、九日には、潜水艦発射弾道ミサイルの水中発射実験に成功したという報道もあれば、一方、これは合成写真じゃないかという報道もあります。しかし、この潜水艦発射弾道ミサイルが本当に北朝鮮で量産できる体制になれば、これは核を運ぶ運搬手段にもなり得るという報道もなされているわけで、大変大きな脅威になるということだと思いますが、現在、政府では、北朝鮮が先般行ったとされる潜水艦発射弾道ミサイルについてどのように分析されているでしょうか。そして、これは、もし実際に発射されているということであれば、明確な国連安保理決議違反だと思いますが、我が国はこの発射実験についてどのような対応をとられたのか、確認したいと思います。

中根大臣政務官 五月九日付の北朝鮮の朝鮮中央放送で、北朝鮮が戦略潜水艦弾道弾水中試験発射を成功させた旨の報道がありましたことは承知しております。

 北朝鮮のミサイルに関する動向については、政府として、重大な関心を持って、平素から情報収集、分析に努めております。ただし、個々の具体的な情報の内容については、我が国の情報収集能力が明らかになりかねないために、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、我が国に飛来する飛翔体は確認されておらず、我が国の安全保障に直接の影響を及ぼす事態が発生したとは認識しておりません。

青柳委員 本件について、米国は、国務省は、明確な国連安保理決議違反だというコメントを正式に出しておりますが、日本は、我が国の政府は、確認されていないから何もしていないという理解でしょうか。何もしていないんですね、この実験に対して。

中根大臣政務官 安保理決議につきましては、北朝鮮が弾道ミサイル計画に関する全ての活動を停止し、また弾道ミサイル計画を放棄することを決定しておりまして、したがって、報道によるような開発全体に対しての問題が安保理決議に違反していると思っております。

 政府としては、引き続き、今お話がありました米国、韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対して、挑発行動の自制及び関連する安保理決議、六者会合共同声明等を誠実かつ安全に実行するよう求めていく所存です。

青柳委員 今の答弁にありましたように、一つ一つ誠実に対応しなきゃいけないんですが、今回は、確認できたかどうかは言わないけれども、何にも対応していないというふうに聞こえます。

 北朝鮮は、実際、ことしになってからも、二月にも三月にも四月にも、毎月ミサイルを発射しているわけでございまして、私は、こうした問題を一つ一つ、北朝鮮が嫌がるぐらいきちんと対応していく、このことも一つの大きな圧力になるのではないかと思いますので、確認できないから何もやらない、我が国の情報能力を明かさないためにも何もやらないというのでは何の圧力にもならないんじゃないかと思いますので、一つ一つについてきちんと、一々対応していくということが求められるのではないかと思います。御検討をしていただきたいと思いますし、その点、指摘をしておきたいと思います。

 次に、北朝鮮産マツタケ不正輸入事件についても伺っておきたいと思います。

 御案内のとおり、本件で朝鮮総連議長の次男らが逮捕されたわけでございます。時間の関係もありますので、この事件の経緯については割愛しますけれども、この事件の取り調べを進めることによって、もしかすれば、北朝鮮の闇資金のルート、こういうものがより一層明確になるんじゃないかという期待もありますし、北朝鮮の人脈、取引、こういうものの解明につながる可能性もあると思いますし、法と証拠に基づいて捜査が進むことによって、朝鮮総連そのものの事件、捜査に発展することがあろうかと私は思っておりますので、だからこそ、一層厳正に対処していただきたいと思います。

 この事件について、北朝鮮はいろいろな対応、反応を見せていると思いますが、この逮捕によって北朝鮮からなされている反応、通知、どういう反応があったのかというその件と、こういう事件があれば北朝鮮にとっては大きな痛手になっているわけですから、硬軟両様のアプローチがあるんじゃないかと思いますが、逆に、交渉をほのめかすようなアプローチがあるのかどうかについても御説明できる範囲でしていただきたいと思いますし、何らかの北朝鮮側の対応の変化があったのかどうかについても、政府の分析、こういうことについてもお伺いしておきたいと思います。ぜひ、山谷大臣からは、当然、本件も法と証拠に基づいて厳正に進めていくんだという決意についても、あわせてお伺いしておきたいと思います。

岸田国務大臣 警察の対応につきましては山谷大臣の方から答弁があるかと思いますが、こうした事件の捜査、これは法と証拠に基づいて行われるものだと思っています。

 政府としましては、北朝鮮の特別調査委員会の調査が迅速に行われて、速やかに、かつ正直に結果を日本に通報するよう強く求めていく立場、これは全く変わりがないと考えております。

 そして、四月二日に、現状では政府間対話ができなくなっている旨の北朝鮮からの通知があったわけですが、日本側としては、昨年五月の日朝合意を誠実に履行してきており、北朝鮮側の主張は全く受け入れることができず、極めて遺憾であります。そして、抗議を行いました。

 そして、北朝鮮側のこの通知における意図、あるいは通知文の文言一々について説明することは適切ではありませんが、今回の北朝鮮側の発表は、外為法違反事案に対する捜査、さらには昨今の国連における人権決議の働きかけなど、最近の一連の動きに対する北朝鮮側の立場を表明したものだと理解をしております。

 五月十二日にこの三名が逮捕された後、朝鮮総連中央委員会談話というのが発せられておりますが、いずれにしましても、我が国が特別調査委員会の通報を迅速に、正直に行うべく求めていく立場、これは全く変わらないと考えております。

山谷国務大臣 御指摘の事件は、五月十二日、警察において、北朝鮮産のマツタケを不正に輸入したとして、被疑者三名を逮捕したものでございます。

 対北朝鮮措置に係る違法行為の厳正な取り締まりは、同措置の実効性を確保するため重要だと認識しておりまして、警察では、これまでに、平成十八年十月から対北朝鮮措置が実施されて以降、本件を含め全国で同措置違反を三十四件検挙しているというところでございます。

 警察は、いかなる捜査においても法と証拠に基づき厳正に対処しているところでありまして、本件についても、全容解明に向けて捜査を進めていくものと承知しております。

青柳委員 北朝鮮に対する最大の圧力は資金を断つことでありまして、この資金のルートを解明していく、あるいは、それに続いて、総連本部の不正があれば、それにも厳正に対処していただきたいということを指摘しておきたいと思います。

 次に、これもきょう議論があったところでありますが、私からも、山谷大臣の訪米で国際シンポジウムを行った成果についてもお伺いしておきますが、もう既に御答弁いただきましたので、これは前の古屋大臣時代にも行ったシンポジウムだと思います、古屋大臣時代の成果と今回の成果、より進んだ成果について、できるだけわかりやすく具体的に御報告いただきたいと思います。

山谷国務大臣 先ほども申しましたが、一昨年、国連に、北朝鮮の人権問題、拉致問題を含む調査委員会ができまして、そして、昨年末には、国連総会で、非常に厳しい文言の、拉致問題、そして北朝鮮の人権侵害状況を解決しなければならないという決議がなされたわけです。そして、安保理の議題にもなっているところでございますので、国際社会、国連の場でこの問題を改善、解決しなければならないという機運が非常に高まっているというふうに感じました。

 また、オバマ大統領と安倍総理の共同記者会見で、オバマ大統領は、我々は団結して平和的な朝鮮半島の非核化を求め、北朝鮮の挑発行為に関して取り組み続けます、米国は日本の北朝鮮による日本人拉致問題という悲劇の解決のための努力を全面的に支援します、日本ではある拉致被害者の母に会う機会があり、彼女のこれまでの苦しみについてお聞きしました、ですから、これは日本国民にとってとても重要であることを理解していますというオバマ大統領の発言がございました。

 また、私も、シンポジウムの実施以外に、ワシントンでは、リンチ司法長官、マヨルカス国土安全保障副長官、ソン・キム北朝鮮政策担当特別代表、キング北朝鮮人権問題担当特使等、米国政府関係者や有識者、また、ニューヨークでは、エリアソン国連副事務総長と会談をいたしました。リンチ司法長官からは、拉致問題は米国としても重要案件だという発言がありましたし、また、エリアソン国連副事務総長は、国連における拉致問題の解決に向けた必要性についての御発言がございました。

 こうした一連のシンポジウム、会談、また取材、報道等を通じまして、非常に大きな、幅広い意見交換ができましたし、また、拉致問題の解決に向けた機運、力というのが強まったというふうに考えております。

青柳委員 実際に、ここ二、三年で国際社会への訴えが加速して、具体的な成果としてあらわれているのも理解しております。しかし、国連人権理事会での決議に実効性を持たすためには、安保理で決議しないといけませんし、あるいは、国際刑事裁判所へ付託しないといけないと思います。

 こうした点については、外務委員会で外務省、外務大臣の見解をお伺いしていますけれども、あえて山谷大臣にお伺いしますが、国連人権理事会での決議に実際に実効性を持たせていくために、今後、具体的に、国際刑事裁判所へ付託していくということへの取り組みについて山谷大臣はどのように考えているか、お伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 国連あるいは有識者、そして各国の大使等々と私はお会いして、この問題の重要性と、安保理で議題にしていくこと、また、この九月から国連総会でこの問題に関する議論が始まりますので、どのような形でその改善、解決に向けてみんなで力を出し合えるかということを話しているところでございます。

青柳委員 いや、国際刑事裁判所へどうやって付託していくのかということについて大臣はどうお考えになられるかということを聞きました。

山谷国務大臣 それも含めて、意見交換をしているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 山谷大臣は、この拉致の国際シンポジウムの発言で、拉致は人権侵害であるだけでなく、国家主権の重大な侵害で、テロに等しいという発言があったというふうに報道されております。私も同様の認識でございますが、あえてテロに等しいという発言をされたこの意味するところ、テロとは何なのか、拉致問題はテロというふうに発言した意味するところを大臣にこの機会に伺いたいと思います。

山谷国務大臣 私は英語でスピーチいたしましたので、この部分は、タンタマウント・ツー・テロリズムというふうな表現をいたしました。

 北朝鮮による拉致行為とは、国内外において本人の意思に反して北朝鮮当局により行われた、主として国外移送目的拐取、刑法第二百二十六条、その他の刑法上の略取及び誘拐に該当する行為であります。すなわち、北朝鮮による拉致行為は、北朝鮮当局の意思によって我が国の国民を強制的に奪い取った行為でありまして、これはテロにも等しい行為と考えています。

青柳委員 全くそういう認識だと思います。

 であれば、このテロ行為に対して今やっている外交交渉、我々から見れば割とスマートな外交交渉で、行動対行動、それもいいでしょう。でも、こうした通常の外交交渉にも見えるようなやり方でテロ国家と対峙していくことが、本当に成果が出るのか。大臣、このままこういう交渉を続けていくのか。テロだという発言をされたのであれば、人質を解消するような交渉の体制に変えるべきじゃないか。

 もう残された時間は少ないと思いますが、こういう発言をされて、そして、その上で交渉体制を変えていくというふうにするおつもりはございませんか。山谷大臣にまずはお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 確かに北朝鮮は本当に難しい、容易な相手ではございませんが、安倍内閣といたしましては、拉致問題の解決は最重要、最優先課題というふうに考えております。

 そしてまた、関係各国ともいろいろ連携しながら、国際社会、国連でも大きな問題となってきているところでございますが、北朝鮮との交渉に当たっては、官邸主導のもと、拉致問題対策本部事務局のほか外務省や警察庁を含め、政府全体として緊密に連携するとともに、関係各方面の御意見に十分留意しながら、オール・ジャパンで取り組んでいるところでありまして、結果を一日も早く出してまいりたいと思っております。

青柳委員 残念ながら、今の答弁、少し物足りないという気はしました。

 テロなんだ、拉致はテロだということであれば、しっかりテロ交渉していくという気概で、今のこの外交交渉体制を変えていくぐらいのつもりでやらないと、このまま時間だけが過ぎていくのではないかというふうに、多くのここにいる党派を超えて拉致に関心のある議員は、皆さん思っていると思いますよ。この外交交渉の体制で本当に成果が出るのか、私はいま一度問いたいと思います。

 岸田大臣にもお伺いしたいと思います。拉致はテロということでよろしいでしょうか。そして、テロだというのであれば、この今の外交交渉の体制で成果が出るとお考えでしょうか。岸田大臣にもお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 先ほど山谷大臣からもありましたように、北朝鮮の行為、テロにも等しい行為であるということでありますが、このテロにも等しい行為を行った北朝鮮に前向きな、具体的な行動をさせるためには、こうした行動を引き出すためにはどうしたらいいのか、我々は全力で取り組んでいかなければなりません。

 その基本的な方針、考え方は、対話と圧力、行動対行動、こうした原則は変わらないと思っています。圧力においては、引き続き国際社会と連携しながら圧力を加えていかなければならないと思いますし、対話については、今、一年四カ月ぶりに対話を再開し、特別調査委員会の調査を求めている、こうした取り組みはしっかりと続けていかなければならないと思います。

 加えて、北朝鮮に対して強力なメッセージを送り続けなければなりません。その際に、国連の人権決議等の動き、そして、先ほども少し触れさせていただきましたが、G7を初めとする国際的な枠組み、あるいは日米関係を初めとするさまざまな主要な関係国との二国間関係を通じての働きかけ、こうしたさまざまなルート、レベルを総動員しながら、北朝鮮側に前向きな、具体的な行動をとるようしっかりと働きかけをしていかなければなりません。

 こうした北朝鮮のような容易でない相手から具体的な、前向きな行動を引き出すこと、これは大変困難なことではありますが、しかし、この拉致問題の重要性を考えますときに、あらゆる困難を乗り越えて、オール・ジャパンで取り組んでいかなければならないと考えます。

青柳委員 ストックホルム合意から間もなく一年を迎えるということでございますし、先ほど松原委員もおっしゃったとおり、合意した当時は、当然、すぐにも帰ってくるんじゃないかという見通しがあって合意したんだろうというふうに皆さん期待したわけですが、残念ながら、結果は全く伴っていない。

 ただ、皆さんが全力で取り組んでくださっているだろうということはもう疑いの余地はありませんが、やはり結果が出ていないので、指摘せざるを得ない点は指摘していかないといけないと思っておりますし、不断の見直し、交渉体制についても見直しが必要なんだろうと思っております。

 そういうことを申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。

竹本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょう起きた、朝起きた事件についてまず聞きます。通告していないんですけれども、外務大臣、申しわけないんですが、けさ、ハワイで発生したMV22オスプレイの墜落事故です。

 報道によれば、米海兵隊のMV22がハワイのオアフ島にある空軍基地で演習中に着陸に失敗し、海兵隊員一人が死亡したほか、二十一人が病院に搬送、うち十二人が入院したと言われています。このオスプレイは、西部カリフォルニア州のペンデルトン基地に拠点を置く第一五海兵遠征部隊に所属しており、海兵隊は事故の原因を調査中と報道されています。

 オスプレイをめぐっては、沖縄県の普天間基地にMV22オスプレイ二十四機が配備されているほか、米国防省は先週、東京の横田基地に再来年以降、空軍の特殊作戦などに使うCV22オスプレイを十機配備する方針を明らかにしたばかりであります。陸上自衛隊も二〇一八年度までにオスプレイ十七機を導入する。

 そうした中で起きた今回のハワイでの墜落事故について、岸田大臣はどう受けとめているか、率直にお聞きしたいと思っています。

岸田国務大臣 五月の十八日、ハワイのベローズ空軍基地におきまして、米海兵隊所属のMV22オスプレイ一機が着陸に失敗し、これにより、一名が死亡、二十一名が病院に搬送された、承知しております。

 政府としましては、まず、米側に対しまして、着陸失敗の原因等の関連情報を速やかに提供すること、そして普天間飛行場所属のMV22オスプレイについて引き続き安全面への最大限の配慮を申し入れるということ、こうしたことを行いました。

 これに対しまして、米側から、本件について迅速かつ透明性を持って対応したい、こうした反応があったところであります。

 ぜひ、こうした事件を受けて、米側から、誠意を持って、しっかりとした回答を求めていきたいというふうに思いますし、対応を求めたいと思います。

 あわせて、地元の皆様方にとりましては、生活の安全、これは最優先課題であります。地元に対しましても、こういった情報提供、説明につきましてはしっかりと行わなければならないと考えます。

穀田委員 事故が起きると情報提供と、いつもこうくるわけですよね。この程度でいいのかというのはみんな思っているわけです、やはりそうかと。あの事件、事故が起こって、またかという思いがしているんじゃないでしょうか。

 政府は、二〇一二年の事故分析評価やMV22に関する日米合同委員会合意を根拠に、MV22の運用について、その安全性は十分に確認されたと強調してきました。横田基地に配備されるCV22についても、今回事故を起こしたMV22と機体構造及び基本性能、エンジン及び飛行システムの基礎ですね、これが同一であり、安全性についても同等だと述べてきたばかりではありませんか。

 このように、政府がこれまで安全性を確認していると繰り返してきたオスプレイが、また今回、ハワイで重大事故を起こした。米側に日本への配備の撤回を強く求めるのが私は筋だと思うんですね。いかがですか。

岸田国務大臣 今回の事案につきましては、今申し上げましたように、米側に対して、着陸失敗の原因等を含む関連情報を速やかに提供することを申し入れております。

 オスプレイの安全性等については地元に懸念が存在する、このことは承知をしております。

 政府としましては、御指摘のMV22オスプレイに加えてCV22の運用に当たりましても、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地元に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き米側との間で必要な協議を行っていきたいと存じます。

 日米合同委員会の合意等をしっかり尊重し、米側に対応を求めると同時に、地元に対する説明努力はしっかり続けていきたいと考えます。

穀田委員 何回も繰り返して言っているけれども、説明するというのと情報を受け取るというこの二つしか言っていないんですよね、長い割には。今度はそれじゃあかんで、もうええかげんにせなあきまへんでということを言っているわけです。

 では、北朝鮮の問題に入りましょう。

 私は、核問題をめぐる北朝鮮の言動に関連して聞きたいと思います。

 ことし四月にインドネシアで開かれたアジア・アフリカ会議、いわゆるバンドン会議、六十周年を記念する首脳会議で、北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長は、五分とされた持ち時間を二十分も使って演説を行って、その中で、朝鮮半島で戦争が防止され、平和が守られているのは、我々の核武装を含んだ強力な戦争抑止力があるからだと発言したと言われています。

 この事実関係をどのように掌握しているのか、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長ですが、四月二十二日、インドネシアにおきまして開催されたアジア・アフリカ首脳会議で演説を行って、その中で、朝鮮半島で戦争が防止され、平和が守られているのは、全面的に我が方が軍事優先政治によって力強く固めてきた核武力を含む強力な戦争抑止力があるからである、こうした発言をしたと承知をしております。

穀田委員 これまでの経過を見ると、北朝鮮は、二〇〇六年、二〇〇九年、二〇一三年と三回の核実験を強行することによって、核保有国であることの既成事実を図ろうとしてまいりました。そして、その最大の理論づけが、核兵器は抑止力だという核抑止力論であります。

 北朝鮮はこの論理で核兵器の保有を、いわば居直っているわけで、金永南氏の発言はそのあらわれと見ることができます。

 私は、絶対許されない態度と言わなければならないし、とりわけ、被爆国の日本として、または被爆地の大臣として、断じて容認できないものだと思うんですが、大臣のお考えはいかがですか。

岸田国務大臣 まず、そもそも北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は、日朝平壌宣言あるいは六者会合共同声明、また、一連の国連安保理決議にも明らかに違反をしております。これは、地域及び国際社会全体の平和と安全に対する脅威であると認識をしており、我が国としても決して容認はできないと考えます。

 日本政府としましては、北朝鮮に対しまして、国際社会と連携しながら、経済建設と核武力建設の並進路線、これは成り立たないんだというメッセージをしっかり送り続けることが重要であると考えます。

 引き続き、関係国とも連携しながら、北朝鮮に対しまして、いかなる挑発行為も行わず、そして、安保理決議、六者会合共同声明等を誠実かつ完全に実施すること、これを求めていかなければならないと思います。

 我が国としましては、こうしたメッセージをしっかり送り続け、また、国際社会においても、核兵器のない世界に向けた取り組みをしっかり進めていかなければならない、このように考えます。

穀田委員 最後の世界に向けてというのはわかるんですけれども、前半の方は、北朝鮮が核兵器の開発を行っていることに対する見解を述べているにすぎないと言ったら悪いけれども、そういうことを言っているわけですよね、大臣は。

 問題は、核が抑止力なんだということできている、やはりこういう考えがけしからぬという話をせなあきまへんで、広島の出身の大臣として。核が戦争の抑止力になっているという考え方自体に誤りがあるということを私は言っているわけですよね。それが大事だと私は思います。

 北朝鮮は、二〇〇五年の九月の六カ国協議共同声明以降、皆さんもおっしゃるように、何度も合意を裏切るという態度をとってきています。こうした中で、ことし三月に行われた日中韓外相会議では、三カ国による共同報道発表が出され、朝鮮半島の非核化の達成に向け実質的な進展を図るため、意味のある六者会合を、六カ国協議のことですけれども、再開するべくともに努力を継続するということが決定されたこと、この間も報告を受けました。

 今何よりも大事なことは、いかにこの問題を対話により解決していくか、この問題を対話による解決というレールに乗せるかだと思うんですね。そして、対話という場合、この日中韓外相会議の共同報道発表に記された、意味のある六者会合を再開し、北朝鮮に対して核兵器と核開発を放棄させるための実効ある措置を行われるという対話が必要となっていると考えますが、いかがですか。

岸田国務大臣 北朝鮮に対しましては、先ほど来申し上げておりますように、対話と圧力の方針のもとで、引き続き取り組んでいく考えであります。

 その中で、六者会合ですが、引き続き諸懸案の解決のための有効な枠組みであると認識をしておりますが、政府としては、非核化に向けた信頼できる対話のためには、北朝鮮が非核化に向けた真剣な意思を表明し、そのための具体的な措置をとることが重要であると考えております。

 安保理決議ですとか六者会合共同声明等を誠実かつ完全に実施することを国際社会と連携しながらしっかり求めていくことが重要であると考えております。

穀田委員 やはり六者協議という枠組みを使って、一番現段階でも影響力のある中国や、また隣国の韓国を初めとしたところの力もかりていくということが、今一番大事じゃないかと私は思うからであります。

 それで、北朝鮮を対話による解決というレールに乗せる上で重要なのは、六カ国協議の関係国はもとより、先ほども多くの方々からもありましたように、国際社会が一致して対応する、制裁についても実効あるものにすることが必要だと思うけれども、どうでしょうか。その際、国際社会の実際の取り組みの現状も含めて御報告いただければと思います。

岸田国務大臣 国際社会がしっかり連携しながら北朝鮮に対して働きかけを行う、こういった視点は大変重要だと認識をいたします。

 北朝鮮の核あるいはミサイル開発の問題についても、各国が北朝鮮の関連国連安保理決議を厳格に履行していくことが重要だと思いますし、北朝鮮に対してこの全面的な履行を求めていく、こうしたことが重要であると考えます。

 その際に、今後の国際社会の取り組みとして、国連の枠組みは当然あるわけですが、それ以外にも、G7ですとか二国間協議ですとか、さまざまな枠組みを通じまして、多くの国際社会の理解を得て、そのことによって北朝鮮に強いメッセージを発し、そしてこの対話のテーブルに着かせる、こういった結果につなげていくことが重要であると認識をいたします。

穀田委員 では、次に、北朝鮮による特別調査委員会の調査の問題について聞きたいと思うんです。

 北朝鮮は、昨年五月のストックホルムでの日朝政府間協議に基づいて、特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始しています。ところが、北朝鮮は、ことし四月に入って、現状において政府間対話を行うことができなくなっているという旨発表しております。

 北朝鮮側がこのような態度に出た理由がどこにあると考えますか。端的に。

岸田国務大臣 御指摘の四月二日の北朝鮮側の通知ですが、北朝鮮側の意図あるいは通知文の文言の一々について説明することは適切ではありませんが、今回の北朝鮮側の発表は、外為法違反事案に関する捜査あるいは国連における人権決議の動き、こうしたものも含めた一連の動きに対する北朝鮮側の立場を表明したものであると理解をしております。

穀田委員 この問題について岸田大臣は、四月二十四日の衆議院外務委員会で、「今後の対応につきましては、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな、具体的な行動を引き出す上で何が最も効果的なのか、こういった観点から不断に検討を行ってまいりたい」と述べられております。

 きょうも、そのことぐらいしかいつも言わないんだけれども、今後どうした対応をしていくのかということについて大臣の所見を。不断に検討を行ってまいりたいという、どういう検討を行い、どのようにしようとしているのか、そろそろ言ってくれへんと、不断に検討してばかりじゃちょっと間尺に合わぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、外為法違反事案につきましては、警察において、法と証拠に基づいて対応されるものだと思います。

 そして、一方、北朝鮮側に対しましては、現状、対話と圧力の方針のもと、この対話の部分において、特別調査委員会の調査を迅速に行い、そして速やかに、正直に通報してくるようしっかり求めているところであります。現状、この方針は全く変わっておりません。

 そして、その上で、今委員の方から御指摘ありました。絶えず、北朝鮮側に対しましては、前向きな、具体的な行動を引き出すためにどうあるべきなのか、不断の検討を続けていきたいと考えています。

穀田委員 この件に関しては、いずれにせよ、情報を持っているのは政府なんですよね。我々が持っているわけじゃないわけです。

 当事者であるお二人、今度は最後ですから、外務大臣と山谷拉致担当大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、当事者である政府が今後の交渉の進め方を判断する問題だと思うのは、それは私も一貫してそういう立場なんです、共産党としては。やはり当事者である政府が情報を持っているわけですから、その判断をするのはそっちの仕事だと。

 大事なことは、北朝鮮側が、全ての機関を対象とした調査を行うことのできる特別の権限が付与された特別委員会を立ち上げ、調査を具体的かつ真摯に進めると約束した以上、その約束を断固として守らせる外交力が政府には強く求められていると思うんですね。

 先ほど、国連の枠組みとかG7とか二国間とかいろいろありましたけれども、私は、その意味で、何度も言うんですが、国際的協力で北朝鮮を包囲するという点からいえば、六カ国協議の中国、韓国などの近隣諸国との信頼関係を築くことが我々にとっても不可欠、そういうことだと思うんですが、最後に、その点どうですかということをお二方から答弁願います。

岸田国務大臣 おっしゃるように、国際社会との連携において、特に、近隣諸国との関係は重要であると考えます。

 中国に関して申し上げるならば、中朝関係については、経済関係も含めて北朝鮮と密接な関係を有しており、中朝間の貿易も、二〇一四年は若干減少したものの、依然として高い水準にあります。また、中国は、国連安保理の常任理事国です。あるいは、六者会合の議長国も務めています。北朝鮮に対して大きな影響力を有しています。ぜひ、中国ともさまざまな意思疎通を図りながら、北朝鮮に働きかけを行っていかなければなりません。

 また、韓国とも、日米韓、こうした連携も重視しながら、ともに北朝鮮への働きかけを行っていかなければなりません。

 御指摘の近隣諸国との関係を重視しながら、取り組みを進めていきたいと考えます。

山谷国務大臣 拉致問題の解決、そしてまた北朝鮮の人権侵害問題の改善、解決のためには、国内外の世論の力というのが大切でございます。そして、近隣諸国との関係というのも大切でございます。日中韓、あるいは日米韓の枠組みというのもございます。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であると同時に、基本的人権の侵害という国際社会全体の普遍的な問題でもあります。また、北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は、地域と国際社会全体の平和と安全に対する重大な脅威であります。

 政府としては、米国、韓国を初めとする関係国と引き続き緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、拉致問題を含む人権状況の改善や、安保理決議及び六者会合共同声明等の誠実かつ完全な実施を引き続き強く求めてまいります。

 ニューヨークで行いましたシンポジウムを初めとしまして、国連の代表部の方々、各国の方々といろいろ意見交換をして、理解をいただいているところでもございます。拉致問題の解決のために、この理解、協力、諸外国の方々との会談においてこれからも進めてまいりたいと思います。

穀田委員 終わります。

竹本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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