衆議院

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第11号 平成17年6月9日(木曜日)

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平成十七年六月九日(木曜日)

    午後一時四分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    城内  実君

      北川 知克君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      桜井 郁三君    柴山 昌彦君

      園田 博之君    津島 恭一君

      馳   浩君    松本  純君

      宮澤 洋一君    宮下 一郎君

      森山  裕君    山口 泰明君

      青木  愛君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    一川 保夫君

      岩國 哲人君    小沢 鋭仁君

      大出  彰君    川内 博史君

      古賀 一成君    中塚 一宏君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      山花 郁夫君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    阿部 知子君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   勝 栄二郎君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   山下  泉君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     森山  裕君

  馳   浩君     宮澤 洋一君

  岩國 哲人君     青木  愛君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

  横光 克彦君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 洋一君     馳   浩君

  森山  裕君     津島 恭一君

  青木  愛君     岩國 哲人君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

  阿部 知子君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  津島 恭一君     小泉 龍司君

    ―――――――――――――

六月九日

 郵政民営化反対に関する請願(石井一君紹介)(第一七七九号)

 同(金田誠一君紹介)(第一七八〇号)

 同(松木謙公君紹介)(第一七八一号)

 同(奥村展三君紹介)(第一八一三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八一四号)

 同(高井美穂君紹介)(第一八七八号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一九五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君及び日本郵政公社理事山下泉君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君及び財務省主計局次長勝栄二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、竹中国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中国務大臣。

竹中国務大臣 六月八日、馬淵委員に対する私の答弁についてでございます。

 独禁法について、私は独禁法を受け入れておりますとの発言は、完全民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社は独占禁止法等の一般的法規制が適用されるという趣旨でしたが、表現が不十分でありました。

 今後、国会における発言には十分注意してまいります。

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤洋一君。

宮澤委員 自民党の宮澤洋一でございます。

 私は、自民党のいわゆる合同部会の事務局長ということで、昨年の十月から半年ちょっと、この問題で随分忙殺をされました。一方で、その後は厚生労働委員会の理事ということで障害者自立支援の方に実はずっと頭が行っておりましたのですけれども、きょうは、質問の機会をいただけるということで、久しぶりに竹中大臣、また伊藤大臣の御意見を伺いたいと思っております。

 まず、いろいろ私もこの半年勉強をしてまいりまして、いろいろ感じた点でございますが、まず一番強くこの問題に関して感じておりますのは、郵便貯金という今の制度というものが実は大変不安定な状況にあるのではないのかなということであります。

 現在では、まさに公社は大変よくやっている。これは竹中大臣もお認めになられているわけでありますけれども、大変うまくやっている。実際、昨年も一兆円を超える利益が出ているというようなことでありますが、中身でいえば、郵便貯金が稼いでほかの事業がぶら下がっているというのが実態だろうと思います。現在一兆円以上の利益が出ているわけでありますけれども、ただ、今後、将来を考えると、本当にこれで大丈夫かなというのが実感でございます。

 長い目で少し振り返ってみますと、郵貯が財投に使われるという時代があって、出口の改革があった。その後、国債が、景気回復等々、増発をしなければいけないという事情、一方で金利が大変下がる、低い、低金利という局面が長く続いているという時代を経て今に至っているわけでありますけれども、今後の金利動向次第で、本当に郵便貯金大丈夫かなというのが私自身の偽らざる気持ちでございます。

 少しこの問題と離れますけれども、例えば、今後の金利がどうなるかということになりますと、これはなかなかプロといえども見通しがつかないということで、大体の経済見通しなんというのは一定の仮定を置いてやっているわけでありますけれども、例えば最近でいいますと、日銀の政策委員が将来の見通しということでいろいろGDP等々の見通しを出しております。

 最近、四月に出た数字でいいますと、例えば来年の消費者物価につきまして、日銀の政策委員の見通し、一番上の方と下の方は切り離して、あとの方の平均ということですけれども、〇・三%程度消費者物価が上がる、プラス〇・三の消費者物価というような見通しを金融のプロである日銀の政策委員の方は持たれている。

 そうなりますと、物価が〇・三上がるということは、実質金利がマイナスというのは大変異常な状況で、過去、例えば狂乱物価のときとか、また消費税率が三%から五%になったときにありましたけれども、基本的には実質金利がマイナスということはあり得ない話だろうと思いますが、例えば来年〇・三消費者物価が上がるとなると、いわゆる普通の金利につきましてもそれよりは少し高くなるというのが、日銀政策委員の方たちが、意識しているかどうかは別にしても、見通されている、そういう状況なんだろうと思います。

 では、今後の金利、例えば二年後、三年後、定期預金の金利が二%になる、三%になるということは、最近のはやりの言葉で言いますと、想定外ではなくて想定をしておかなければいけない事態なのかなという気がします。そういう中で、例えば二年後、民営化が開始される時期に、定期性の預金の金利が二%になるというような事態になると、これは郵便貯金の財政というものに対しては大変悪い影響があるんだろうと思うんです。

 大臣はよく長期金利、短期金利のスプレッド云々という言い方をされて、恐らくそういうことをお話しになっているんだろうと思うんですが、正直言って、余りにも難しい話、学者的と申し上げると恐縮でありますけれども、そういうことで、我々国会議員にもなかなかすとんと入ってこない表現。

 一方で、例えば二年後に定期預金が二%をつける。そして、郵貯の定額預金というものがどうなるかは別にしても、定期性の預金が二%というようなことになりますと、この郵便貯金の収支というのは大体どういう状況になるか。なかなかふわっとしたことでしか言えないかと思いますけれども、その辺の見通しというのは、例えば定額預金、定期性の預金が二%、三%になったというときにはどうなるのか、どういうふうに見通されているか、その辺ちょっと教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 宮澤委員には、合同部会の事務局長として、本当に大変な御苦労をいただきまして、御指導を賜りました。

 今、宮澤委員は、将来の金利動向との関連で御質問をいただきました。

 景気を回復させる、経済をよくするというのは大変重要な政府の仕事でありますけれども、それと同時に、金利が変動してくる、名目金利が上昇してくるということも、その議論の中にやはり入ってくるわけでございます。

 現在の日本郵政公社におきます郵便貯金事業としましては、まず運用範囲を制限している日本郵政公社法、そして提供商品等を規律している郵便貯金法等を基本としてサービスが提供されているということになります。

 この枠組みのもとで、経営管理の充実を図る観点から幾つかの対応がとられているわけですが、具体的には、まず、ALM管理体制として、これは公社に先立つ平成十三年四月からの全額自主運用の開始に伴ってALM部門を設置しまして、営業部門と資金運用部門の間のコントロールを実施するというような対応をとっている。さらには、リスク管理体制としまして、将来の金利、株価等の変動に対する現在の貯蓄ビジネス、ストックビジネスの抵抗力を計量的に確認する、そして確率的に確認する、そういった対応もとられているところでございます。

 公社自身は、平成十六年三月に計測をしたものとして、いわゆるディスクロ誌に公表しております平成十八年度までのリスク計測結果というのがございます。それを見ます限り、特段大きな問題を抱えているわけではないが、いずれにせよ、こうしたリスクコントロールの手段は、公社制度の枠内の郵便貯金のビジネスを前提とするものでありまして、問題もやはり内包しているということだと思います。

 例えば、現在は金利リスクに偏ったリスクプロファイルを持つビジネスモデルであるということが第一点。そして、中長期的に見て、金融環境が悪化して、先ほど出ました長短のスプレッド、いわゆる利ざやが縮小した場合には、より一層利益の減少が見込まれている、そうした問題も内包しているわけでございます。

 こうした点を踏まえますと、現在の郵便貯金事業につきましては、足元の損益は比較的順調でありますけれども、特定のリスクに偏らないよう多様な運用方法を可能にする、そういったことなど、郵便貯金そのものについて構造改革する必要があるということだと認識をしております。そうしたもとで今回の制度の設計もさせていただいているわけでございます。

 なお、利ざやが縮小した場合の見通し等々については、骨格経営試算とそれに関連する収支の見通し等々でお示しをさせていただいているところでございます。

宮澤委員 大臣のお立場ですとその程度のことになるんだろうと思うんですけれども。

 例えば、先ほど申し上げた二%に定期預金がなったというときに、二年後ですから、貯金がどういうふうになっているかという話はあれですが、今二百二十兆、流動性が五十兆ですから、定期性が百七十兆円近い。ゼロに近い金利で預かっているからこれだけの利益が出ている。一方で、二%の金利という時代になりますと、通常の経済行動をとる人であれば預けがえということになって、百七十兆近いお金が二%のコスト、三兆を超えるコストがプラスアルファになる。

 一方で、ALMという話をされましたけれども、ALM、やっていることは事実でありますが、これだけ大きな、巨額な資金をきっちりALMが日本の通貨という中でできるとは、やれているとは正直言って私は思っておりません。民間銀行とはかなりレベルが違うALM的手法を今用いているということであって。

 そうなると、資産サイドの運用益といったものも急激に上がってくるということはなくて、十年国債が主な運用でありますから、そんなに利回りが急激に上がってこない。一年、二年でかなり急激な赤字になるということも実は考えておかなければいけない、我々としては想定しておかなければいけない、そういう制度であろうと私は郵便貯金について思っております。そういう意味で、郵貯を改革しなければいけないということはまさにそのとおりだろうと思っております。

 竹中大臣は、四月の十日過ぎでありますか、自民党の会議に来られたときに、郵貯の問題を含めて、あと郵便、また簡保につきまして、それぞれいろいろな問題、課題を抱えている、そういう中で、抜本改革が必要であるということをおっしゃられた。そして、その抜本改革の対策としては二つ考えられると。

 一つは、今回提案されているような、銀行、保険について資産サイドの運用を自由化する、そのためには民営化しなければいけないという方法が一つでありまして、もう一つが、縮小均衡という方法をおっしゃった。縮小均衡については、これは雇用を考えると現実的ではないということで、さらっとこういうお話をされたわけでありますけれども、そのもう一つの方法というのも私はそれなりに考えていかなければいけない、検討しなければいけない話だろうと思っております。

 そうした意味で、縮小均衡という方法、もう少し具体的に、どういう中身であるのか、また、雇用の問題等々で現実的ではないと言った、どういう問題点があるのか、少し教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 宮澤委員のお尋ねは、四月十三日であったと思いますが、自民党の合同部会で、アメリカの郵政の改革との比較で日本の改革をどう位置づけるかというような御質問に関連しまして、私が意見を述べさせていただいた点であろうかと思います。

 要は、もう一つの考え方というのは、私たちは五原則を示して、まずやはり今ある公社の資源を最大限活用するということが重要であろう。最大限活用して、それで国民の利便を考え、そして雇用に配慮していく、そういうことを五原則の中でもうたいまして、それを基本的な考え方にしているところでございます。

 それに対して、これは当初いろいろな御議論の中で、我々ももちろん検討はしたわけでございますが、やはり一気に今の特に金融の規模を縮小するという考え方もあるのではないか、そういう御議論もございました。しかし、私たちは、その考えは二つの点で適切ではないというふうに判断をしたわけでございます。

 一つは、規模の縮小、規模が何が最適かというのは、これはあくまで市場の規律、そして経営の規律の中で最適な規模が実現されていくと考えるべきであって、国が何か事前に最適な規模を決めて、それで国の力でそれを縮小させるというのは、そもそも市場経済のあり方等々の関連で適切ではないのではないのかというのが一つの点。

 もう一つは、やはり何といいましても、今の公社は金融の部門で収益的には支えられている面がございます。その規模を縮小するということは、これはおのずと収益の減少をもたらして、それが究極的には雇用に対して非常に深刻な問題をもたらすのではないのかということでございます。結局、郵貯の残高を強制的に縮小させるというのは、雇用への影響も非常に大きいと思われますし、改革の成果はきちっと得られないのではないか、そのように考えたわけでございます。

 繰り返し言いますが、その意味からも、今ある公社の資源を最大限活用する、そして何よりもやはり雇用に配慮する、そのような観点から、私たちはこの郵政民営化の法案をつくらせていただいた次第でございます。

宮澤委員 恐らく縮小すると雇用にという、大きな流れとしてはわかるんですけれども、例えば、金融、銀行、郵貯に限っていって、かなり縮小する。例えば限度額を引き下げるとか、また流動性の預金だけにするとか、いろいろ考えはあるんだろうと思いますが、それでも既に流動性預金だけでも五十兆がある。一方で、これを支える人たちというと、雇用もそう首は切れない。雇用の問題が起こるというのもさっと入ってこないんですが、どの程度の大きさで雇用の問題が起きて、これが現実的でないと考えられているんですか。

竹中国務大臣 私たちはそういうふうな形で縮小するということを考えておりませんので、その場合のシミュレーション等々が私たちにあるわけではございませんが、一つのイメージとして申し上げますと、いわゆる通常の無集配の特定局等々、その現場に行きますと、もちろんこれもいろいろなところがあるわけでありますけれども、従業員規模が数人ぐらいのところに行きますと、一般には、やはりそこでの窓口の業務のかなり大きな部分が実は銀行と保険、つまり金融の業務を行っているということになる。その規模が例えばある種強制的に、しかも短期間で圧縮されると、その分の業務はかなりそれに比例して減るというふうに考えられるわけで、そうした場合に、その特定局の窓口の業務のかなり大きな部分を占めているものが一気に小さくなると、それはやはり目に見えて雇用に影響してくるというふうに考えなければいけないのだと思っております。

 繰り返し言いますが、今回は、今ある資源、郵政は貴重な資源でございます、その資源を最大限活用して、そして雇用に何よりも配慮するという観点から、この政府の案がやはりベストであろうというふうに考えているわけであります。

宮澤委員 それでは、時間もございますので、伊藤金融大臣に質問をさせていただきます。

 私は、今回の政府の案を見て、いわゆる四分社化でありますけれども、その中で実は一番心配をしておりますのは、郵便貯金銀行という組織であります。たしか、今までの説明をずっと承っておりますと、民営化後、十年後という姿で、郵貯残高が百四十兆円ぐらいを想定されている。その中で三十五兆円をリスクマネーに運用できるというのか、するというのかよくわからないんですが、シミュレーションでは三十五兆円を貸し付け等のリスクマネーに運用する。

 ここで、民業圧迫等々という議論が一方であるわけでありますけれども、一方で私が一番心配しておりますのは、それ以外の百五兆円、要するに百四十兆円のうちの残りの四分の三が国債を中心とした運用になるということであります。先ほど、現在の郵貯の問題点ということで心配をしておりましたところが、民間になって、百四十兆円のうちの四分の三の資産を国債等に運用する。ある意味じゃ、民の信用力で預金を集めてきて、それを、一番信用力が高いけれども利回りの低い国債等に四分の三の資産を運用するという銀行に、果たして本当に真っさらな銀行免許というのを与えられるのかどうか。

 この十年間にどうなるかわかりませんという答えが途中に入るわけですけれども、少なくとも政府として、また金融担当大臣として、現時点で、十二年後には少なくとも真っさらな銀行免許を与えますよ、しかも、想定されている姿が、百四十兆円の資産で、そのうちの四分の三は国債等への、ある意味じゃ安定的運用だと。こういう機関は恐らくもうからないだろうと私は思うんですね。

 同じ、国の信用で預金を集めてきて、一番信用力の高い、安い預金を集めてきて、国の、一番信用力の高い、利回りの低い商品に運用するというのでも恐らく理論的には利益はゼロという中で、信用力の低い民間が預金を集めて、割高の預金を集めてきて、それを信用力の高いものに四分の三投資しているということで、果たして本当に免許を出せるのか。その辺は、金融大臣、よく踏み切られたなというのが正直な気持ちなんですけれども、どう考えられていますか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今までも議論がございましたけれども、郵貯銀行が資金を運用しようとするマーケットの条件でありますとか環境というものは、その時々の経済情勢や、あるいは金融情勢に左右されるものでありますので、こうした変化にどう対応していくか、対応する中で、どのように資産を運用していくか、ポートフォリオを組んでいくか、これは基本的には、経営者の自主性と創意工夫によるものと認識をいたしているところでございます。

 また、先ほど竹中大臣からも御答弁がございましたが、資金全体の規模についても、適正なALMの管理のもとで、市場との対話の中で、適正な経営判断により最適な規模が決められていくものと考えているところでございます。

 免許の付与について御指摘がございました。

 私どもが二〇〇七年四月に、法律においてみなし免許を付与するに当たりましては、これまでの金融業務を行ってきた郵貯に対して、民営化前後でこれまでと同様のサービスを切れ目なく提供することを可能とするために、その意味で免許を付与することでございますから、格段の問題は生じないものと考えております。

 いずれにいたしましても、郵貯銀行につきましても、他の民間金融機関と同様に、銀行法を初めとした金融関係の法令に基づいて、私どもとして、その健全性あるいは業務の適切性というものを確保していくためにしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

宮澤委員 なかなか私には、正直言って理解しにくい部分の御答弁であったわけですけれども、要は、四分の三の資産をそういう安定資産に運用するという銀行があり得るのかどうかということなんです。

 それで、正直言って、あり得ないだろうと私は思っているんです。私が例えば金融の担当者であって、そういうビジネスモデルの銀行が、銀行免許を欲しい、百四十兆円の資産を持ちます、そのうちリスクマネーの運用は三十五兆です、残りの百五兆は安定資産にしますという申請が来ても、私には、その銀行に真っさらな銀行免許を与える度胸はないなというのが正直な気持ちなんです。

 ただ一方で、百四十兆の、今政府がとりあえず百四十兆残りますよという、公社の資産を前提とした推計を出されている。そのうちで三十五兆がどう出てきたか知りませんけれども、そういう話をされているというんですが、もしも私がそれにかかわっているとすれば、この十年間に徹底的にやることというのは国債の個人消化の話だろうと思っているんです。

 というのは、日本の国債市場というのは、ほかの国の国債と比べますと非常にゆがみがある。保有の部分でゆがみがあるのは、要するに、日本人の個人が極めて持っていないという点と外国人が持っていないというこの二点なわけですね。

 今後の間接金融から直接金融という流れの中でも、やはり国民にどれだけ国債を持ってもらうかということは一番大切なことだろうと思っていまして、ですから、窓販を郵便局で徹底的にやるということに加えて、郵便貯金銀行が直接やるのか間接でやるのかという話だと思いますけれども、中国ファンドとはまた違った形の国債を運用対象とする投資信託、個人が買いやすい投資信託というものをやはり相当個人に買っていただくということで徹底的にやっていくことによって、その百四十兆円の、今政府がおっしゃっているような試算ではない形に持っていくというのが、恐らく私だったらそうするだろうなと実は思っているんですけれども、その点について、伊藤大臣、感想を少しお願いいたします。

伊藤国務大臣 先ほど御答弁をさせていただきましたように、マーケットというものは変化をしていくわけであります。その変化にどう対応していくのか、その変化というものを踏まえた上でどうポートフォリオを組んでいくのか、これはまさに基本的には経営者の判断の問題であろうかというふうに思います。

 その中で、委員から今の国債の消化の問題、個人国債について御指摘があったわけでありますけれども、今回の郵政民営化に当たっては、郵貯銀行が自立していくに当たって、新規事業ができるように、そのノウハウというもの、あるいはスキルというものを身につけて、そして自立していくことが極めて重要だというふうに思っておりますし、また、そうしたことを十分習得しながら自立していくものと私どもとしては考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、銀行法に基づいて、郵貯銀行の財務の健全性、そして業務の適切性というものを確保していくために、金融行政としての取り組みを進めていきたいというふうに思っております。

宮澤委員 時間もございますので、法案の条文の中身で二点ほど質問をさせていただきます。

 一点は、郵便局株式会社法、郵便局法についてでありますけれども、一条の目的規定で二つ書いてあるわけです。郵便窓口業務を行うということと地域住民の利便の増進に資する業務、この二つが目的規定で並行して書かれているわけでありますが、一方で、四条では、郵便窓口業務については、「業務を営むものとする。」こういうふうに書かれ、地域住民の利便の増進に資する業務については、「業務を営むことができる。」こう書き分けてあるわけですけれども、書き分けることによって、今後、郵便局株式会社、郵便局の業務というのはどういうふうに異なってくるんですか。これは事務方で結構でございます。

細見政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘ありましたとおり、郵便局株式会社法第一条におきまして、郵便局株式会社の目的を規定しているわけでございますが、郵便窓口業務と郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務ということで規定をしております。

 これを受けまして、郵便局会社の目的内業務の範囲というものを郵便局株式会社法第四条一項、二項で規定をしているわけでございますが、具体的には、一項におきまして、郵便局会社が営むものとするという業務といたしまして、郵便事業会社の委託を受けて行う郵便窓口業務、それから郵便事業会社の委託を受けて行う印紙の売りさばき、この印紙の売りさばきというのは郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務ということでございますが、この二つを規定していて、第二項でその他の、郵便局を活用して行う業務を書いている。第二項にあるものは、これは基本的にはできる業務として書いているということでございます。

 現実にどう違うかといいますと、実際に法律上は、例えば第一項に規定されている郵便窓口業務及び印紙の売りさばき業務につきましては、これは郵便窓口業務の委託に関する法律におきましてこれらを義務づけるということになりまして、これは必ず行う業務として各郵便局で行われるということになるわけでございます。

 一方、第四条二項の地方公共団体の特定事務その他の業務につきましては、あくまでも営むことができる業務ということで、やる、やらないについては、一応の判断の余地がある、こういうことになるということだと思います。

宮澤委員 前の方の長い話は結構でございますので、できる、できないということで、現実にやらないということがあるのかという質問なんです。

細見政府参考人 「営むことができる。」というふうに書いてあるということは、必ず営まなければならないということではなくて、経営の選択の余地があるということでございます。

宮澤委員 これはあくまでも特殊会社なんですよ。そうなると、政府として営むことが、やらないという選択肢があると考えているんですか、ないと考えているんですか。

竹中国務大臣 郵便局会社が、郵便貯金銀行を含む銀行や保険会社等々の保険会社から委託を受けて、それで郵便局で提供する銀行または保険会社の代理業務について、これは今、確認になりますけれども、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として行うことができる業務という形になっている。

 基本的な考え方は、貯金、保険のサービスについては、法律上はユニバーサルサービスの提供義務を課さないということにしておりますので、これらのサービスの窓口業務を担うことになる郵便局会社についても、法律上、必ず営む業務とはしていない。

 しかしながら、これは委員とも随分いろいろ御議論をこれまでもさせていただいておりますが、民営化後もやはり利用者の利便性を確保するためには、郵便局において貯金、保険のサービスが提供されることが非常に重要であるということは我々も重く受けとめております。

 このため、与党との合意を踏まえまして、これは貯金銀行、保険会社に対してみなし免許を出すに当たって、長期、安定的な代理店契約の存在を条件とする、その他、この期間がより長期になることを妨げない、さらには、過疎地などの一部でそうしたサービスの提供が困難となる場合には地域・社会貢献基金が活用できるような仕組みをする、そのような措置を講じて対応しているわけでございます。

宮澤委員 現実問題、この第四条二項の一号、二号の業務はやるんだと思うんですね、郵便局において。当然、地方公共団体の事務の代理等々ということをやらないという選択肢はないはずであります。一方で、目的規定にきっちり書いてあると言った以上、また、与党の中の議論というものを踏まえれば、ここは両方で「営むものとする。」「営むことができる。」というふうに書き分けるべきではないなと私は正直言って思っておりまして、その点だけ指摘させていただきます。

 最後、時間がないものですから、最後の質問といいますか、これは郵政民営化法の関係でありますけれども、百五条のところに、郵貯銀行については大臣の決定で完全民営化ということになる。要するに、十年がたつ、またその前に一〇〇%の株式を売却する、そうすると郵貯銀行は完全民営化されるわけでありますが、株が残っていても、政府の間接保有があっても完全民営化とすることができるという規定が百五条に書いてあるわけであります。

 恐らく四十分まででもう時間がないので、これはお答えは結構でございますけれども、要するに、もう完全民営化をしたと政府が認めているにもかかわらず、政府が残りの間接保有している株を売らなければいけないとするのは、私は矛盾だと思っています。その部分は、きめ細かに、その部分は売らなくてもいいと書くのが普通の、当たり前の流れだろうと思っているという点だけ指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 当委員会の冒頭で一度質問させていただきまして、二回目でございますけれども、よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、郵便局の行う業務についてお伺いをいたしたいと思います。

 もちろん、当然ながら、郵便また郵貯、簡保といった本来業務があるわけでございますが、それ以外に、郵便局は地域に密着した形で今存在しておるわけでありますので、行政の窓口といったような仕事もやられておられるわけであります。いわばワンストップ行政サービスというようなものをやられておられるわけであります。

 例えば、戸籍謄本だとか住民票の交付請求を受け、またこれを引き渡すというようなこと、このようなことを料金をいただいてやっていらっしゃるわけでございます。これ以外に、例えばバスの回数券の販売等もやっておられます。例えば、私の方の地域は、花火大会がある、花火大会の地域のチケットをその地域の郵便局のところで販売をされるといったようなこともあるわけでございます。

 今回の民営化の議論の中で、このようなワンストップ行政サービスも民営後もやるんだというようなことでございますが、それでよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 郵便局が今提供しておられるさまざまな利便、その結果のワンストップサービスについてのお尋ねがございました。

 ことしの三月末の現在で、証明書を交付している、そういう事務を扱っている郵便局は三百九十六、そしてバスの回数券等々の販売を行っているのは三百四十七あると承知をしておりまして、委員御指摘のように、やはりワンストップサービスの利便というのは確かにあるんだと思います。

 そもそも郵政の民営化は、こうした全国津々浦々に置かれております郵便局が果たしているその社会的な機能を維持して、より便利なサービスが地域住民に提供されるようにすることを目的としておりますので、郵便局会社におきましてもそのような制度設計をしております。

 具体的に申し上げますと、住民票の写し等の交付などの地方公共団体の特定事務につきましては、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律につきまして所要の改正を行うということで、郵便局において引き続きこれを取り扱うことができるようにしております。バスの回数券の販売など、郵便局を活用して地域住民の利便の増進に資する業務についても、これを営むことができるように制度設計をしているところでございます。

 したがいまして、こうしたワンストップサービスが引き続き行われることになるというふうに期待されますし、さらに、地域密着型の、それぞれの地域にふさわしいサービスが提供されていくということを期待しております。

谷口委員 郵便局株式会社法の中に、今申し上げた本来業務以外に、ワンストップ行政サービスも行うと今大臣がおっしゃったわけでありますけれども、その次に、地域住民の利便の増進に資する業務、これもできるということになっております。一般の会社であれば、定款の業務の目的のところにこのような業務の記載はないわけです、一般的には。ところが、今の郵便局というのは非常に公共性が高い。今申し上げたように、今現在、各地域で住民の窓口といったようなことをやっていただいておるわけでありますので、その業務がつけ加えられておることだと思うわけでございます。

 この業務をやる場合に、届け出を出してやるということのようでございますが、私も、地域の特定郵便局長さんだとか職員の方、また利用者の方にいろいろお話をお伺いした折に、前に申し上げましたけれども、郵便局のところへ行って年金の相談をやるとか、例えば、どうも場所がわからないので、その場所を聞くのに郵便局で聞くとか、そういう、いわば国家公務員であるということでそのような相談に乗っているんだというようなお話を職員の方がされるわけでございます。

 それで、先ほど申し上げたこの業務、今、ワンストップ行政サービスというのは、これは手数料をいただいて収益に貢献するわけでありますけれども、収益に貢献しないような業務を含めて今やっていらっしゃるわけでございます。

 そこで、一つお聞きしたいのは、このような付加的な業務といいますか、本来業務以外の付加的な業務が広がってまいった場合に、本来業務との間で、余り想定しているようなことが起こることはないんだろうと思いますが、かなり付加的な業務が拡大された場合に、これを制約する、制限するといったようなことはあるんでしょうか。

細見政府参考人 ただいま御指摘いただきましたものが、業務というものなのか、あるいは手数料を取らないでサービスという格好でやられるものかにもよると思いますけれども、業務としてやるものであれば、当然、郵便局株式会社の目的の中に地域住民の利便の増進に資する業務というのが入っているわけでございますから、これはこれとして業務の中できちんとやっていくということで、特に制約をするということではもちろんないと思います。

 その他の部分については、業務を行った上で、サービスとしてどれぐらいできるかということではないかというふうに思っております。

谷口委員 ちょっと今のは通告をしていなくて、えらい申しわけありませんでしたが、今のところ、多分これは制約することはないんだろうと思うんです、これは付加的な業務でございますから。しかし、そういうことをやっていただく必要もございます。

 ですから、民営化になって、今の郵便局の職員の皆さんが公益的な立場でいろいろアドバイスをし、地域住民の利便に資するようなことをやっていただくという意味で、モチベーションというんですか、動機づけをやはり職員の皆さんにやっていただく必要があるんだろうと思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 動機づけのお尋ねでございますが、いろいろなサービス、いろいろなものが想定されると思いますので、それにもよろうかと思います。ただ、ここの法律、そもそも「郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」ということでございますので、やはり地域の住民の中で感謝され愛されて、そうしたサービスを行うことが結局集客力を高めて、これまでもそうでありましたように、ないしはこれまで以上に地域に密着したいろいろなサービス、そしてそれが、本来業務である郵便の業務でありますとか、できる業務の中で想定されております金融の業務等々にやはり資することになるんだと思うんですね。

 一方で、内容証明とかそうした公的なものも本来この中でやることになっておりますので、そういうものとあわせまして、引き続き、そういうしっかりとした動機づけを持っていただいて、そうしたよいサービスがなされていくものというふうに期待をしております。

谷口委員 民営化後の会社が、やはり同じような高い思いを持って職員の皆さんが働いていただけるように、ぜひそういう動機づけもお願いを申し上げたいと思います。

 二点目でございますけれども、今回のこの一連のスキームの中で、株の売却を行うわけでございます。株の売却の対象になっておりますのは、持ち株会社と、完全民営化の予定になっております郵貯銀行、保険会社、この三社が株の売却が行われるわけであります。株の売却が行われるということは、前提として上場がなされるということになるわけでございます。

 それで、今度、この法案では、二〇〇七年の四月一日から始まって十年間移行期間がございまして、二〇一七年までの間に上場して株の売却を行うというステップを踏むわけですね。それで、完全売却の郵貯銀行また保険会社はこの十年間にすべて売却しなければいけない、こういう想定で今進んでおります。

 それで、今までの政府の機関でやったものが民営化したところ、例えば、NTT、JT、JR、このようなところを見てまいりますと、私、今お聞きしたいのは、期間が非常に十年という短いものですから、その期間内で可能かどうかということをお聞きしたいわけであります。

 NTTでいいますと、民営化後二年目に上場しております。それで、いまだすべて株が売却されたというような状況ではないようであります。JTは、民営化後九年目に上場いたしておりまして、これは当初想定をしておりました五〇%の売却はもう既に終わっております。JR東日本は、民営化後六年で上場いたしまして、九年間でもう既に株は売却をされております。同じくJRの西日本は、民営化後九年で上場いたしまして、その後八年で全株売却、もう終わっております。JR東海の方は、民営化後十年目で上場いたしまして、今もう八年たっておりますけれども、まだすべて売却されておらない、こういう状況になっておるわけであります。

 それで、さっき申し上げました、この十年間で、持株会社の方は十年というような規定がないんだろうと思いますけれども、完全売却の方のこの二社の方は、十年間で上場し株を売却し終わるということでございますが、私も政治家の前に公認会計士をやっておりましたので、上場準備を現実にやっておった立場でいいますと、まず上場基準をクリアするのが、やはり簡単にいくわけではありません。それは竹中大臣もよく御存じでございます。

 それで、その後やはり、かなり大きな会社でございますから、株式市場全体に大きな影響を与えるような売却も、これはちょっとまずいものですから、そんなこと等々を考えますと、今のスケジュールと申しますか、このようなスケジュールで一体どのようにお考えなのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 谷口委員御指摘のように、郵便貯金銀行それから郵便保険会社の株式というのは日本郵政株式会社が保有することになりますが、法案においては、日本郵政株式会社が平成二十九年三月三十一日までの移行期間中に段階的にすべての株式を処分するという義務を負うことにしているわけでございます。

 したがって、日本郵政株式会社としては、郵便貯金銀行それから郵便保険会社の株式の処分を平成十九年四月一日の郵政民営化以降、可能な限り早い時期に開始するということが望ましいわけでございますが、他方で、株式市場に上場し得る経営状況になっているか、それから株式市場にマイナスの影響を及ぼさないかというようなことについても検討する必要があるほか、投資家が両社の収益力や将来性等を見きわめるための時間、それから上場するための一定の準備期間等は必要になるものと考えております。

 いずれにせよ、具体的な上場の時期につきましては、日本郵政株式会社の経営者において、主務大臣の監督を受けながら、十年間での段階的な完全処分を念頭に置いた株式処分、上場に関する適切なスケジュール管理のもと、証券取引所の審査を経て決まるということになると思います。

谷口委員 今、民営化の作業がほとんど終わって、今法案の審議をやっておるわけですから。しかし、今そういう上場のことも念頭に入れた対応を早くやっていかなければならないと私は思っておるわけでございます。

 先ほども申し上げましたように、NTTは民営化後二年で上場しておりますから、早ければ早いほどそれにこしたことはないということでありますので、そのようなことも念頭に入れていただいて、民営化した後にどうしようかというようなことではちょっとうまくいかないだろう、こういうように思いますから、よろしくお願いいたします。

 もう一つは、持ち株会社の下に四社がぶら下がるという形になっておりますね。それで、その持ち株会社の株を売却するわけです。政府の意向が残るように、特別決議が行われないような形の三分の一超を残すということでございますが、いずれにいたしましても、三分の二は売却する予定になっておるわけでございます。

 この三分の二を売却する場合に、やはり、全部売却資金は政府に入るわけでございますので、なるべく高い価格で売却できれば政府の財政にも貢献するわけでありますから、財政が非常に今悪いところに貢献するわけでありますから、いいわけです。

 そういう観点でいきますと、まず初めに、この順序立てのことを申し上げておるわけですけれども、この下にぶら下がっている二社を売却する前に持ち株会社の方を売却するといった方が企業価値が高いわけですから、もう既に下の非常に価値のある郵貯会社の売却が終わっておるということであれば、この上の持ち株会社の企業価値が下がってくる、こういうようなことになりますので、このような売却の見通し、どのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、日本郵政株式会社法案において、日本郵政株式会社については、政府ができる限り早期に三分の一超になるように株式を売却するということを踏まえまして、政府と日本郵政株式会社との間でよく調整して、会社の経営状況や株式市場の状況を見ながらそういうものを適切に判断していくということでございますけれども、先生御指摘のように、持ち株会社が郵便貯金銀行それから郵便保険会社の株を売却する前に持ち株会社の株を売った方が市場価額が高くなる、そういう御指摘だったかと思います。

 これら三社の株式の売却順序の先後関係によって持ち株会社に対する市場の評価がどう変わるかということについては、あらかじめ見込むことはなかなか困難でございまして、そういう意味では、持ち株会社の株式の売却が郵貯銀行それから郵便保険会社の株式の売却に先行する方がよいかどうかというのは、一概には言えないというふうに考えております。

 いずれにせよ、株式の処分の順序につきましては、政府と日本郵政株式会社との間でよく調整しつつ、会社の経営状況、株式市場の状況を見ながら適切に判断していきたいというふうに考えております。

谷口委員 いずれにいたしましても、今私が申し上げたように、順番を間違えると政府に入ってくる資金が減っちゃうということにもなりかねませんから、全体的な構想の中でよく考えていただいて売却を進めていただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

二階委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 民主党の一川保夫でございます。

 私たちがこの審議に参加してからいろいろな議論がこの場でなされておりますけれども、これだけ内閣を挙げて取り組んでおられる法律に対して、国民の皆さん方も、いろいろな疑問点も持っておられますし、不安感も持っておられます。それで、この委員会でいろいろなやりとりを聞いておりましても、なかなかそういった疑問点が解消できないというのが私の正直なところでございます。

 そこで、こういった、これだけ内閣を挙げて本当に取り組んでいる法律案を提出するまでに、小泉総理大臣も、事あるごとに改革の本丸だというようなことをおっしゃって、そしてまた、衆議院の本会議での施政方針演説でもそういったような趣旨のこともおっしゃっておられます。

 そういうことの割には、我々毎週地元に帰って、いろいろな話題の中で、郵政改革、郵政民営化の話題というのは出るわけでございますけれども、そんなに国民の皆さん方は関心を持っているわけでもございませんし、また、我々こういった場にいる人間でも十分理解できないわけでございますから、一般の国民の方々もなかなか理解できないということでは、国民の皆さん方が、現状の、今郵政公社が鋭意いろいろな面で努力されている郵便局のネットワーク、郵便局のいろいろな業務に対してそれなりに期待を持っている中で、本当に今この時点でこういうことをやる必要があるのかね、もっとほかに国会としては大事な課題に取り組んでほしいなというのが正直なところだろうというふうに思っているわけでございます。

 そこで、今お座りの五人の大臣の方にお聞きするわけですけれども、今回、こういった郵政民営化というものを内閣を挙げてやろうというときに、国民の世論といいますか、国民の各界各層のいろいろな意見というものをそれぞれの大臣はどういったふうに掌握されているのか。それを、それぞれの大臣の所管範囲の中で、世論というものを把握しながら、郵政民営化という一つの政策を実行する中で、それぞれ大臣は、自分の所掌している事務の中で、所管している業務の中で、日本という国をこういう姿に持っていきたいんだというしっかりとしたビジョンがあるはずでございますし、それを国民の皆さん方にちゃんと説明できない限りは、私は急ぐべきじゃないというふうに思うわけでございます。

 それぞれ大臣の皆さん方、我々が今いろいろな意見を聞く手段は幾つかありますけれども、ある程度、国会なりあるいは行政庁に対して正式に届けられるいろいろな要請活動というのがあります。その代表的なものの中に、各地方公共団体なんかの意見書の提出というのがございます。これは、大臣、それぞれ皆さん目を通されているかどうかわかりませんけれども、私が今議会、この段階で聞いた数では五百七十四件の意見書が出ている。これは、意見書の中でも郵政問題に関する意見書がそれだけ出ておるということです。

 この意見書は、今の郵政民営化を促進してほしい、実行してほしいという意見書はゼロです。意見書はすべて、慎重に審議してほしいあるいは今の公社のまま存続してほしい、それからまた、今こういう民営化は実施すべきじゃないというような、いろいろ内訳の数字は別にしまして、そういうような内容での意見書というのが出ているわけですね。

 私もかつて地方議会の経験もあるわけですけれども、各地方議会の中では、意見書を出す場合には、相当慎重に各会派が議論をして、それで意見書を取りまとめて出すわけです。出された意見書というのは、国会なり各行政庁は地方の議会の皆さん方が思っているほど重要には扱っていないところがあるような気もしますけれども、ただ、地方の声としては相当しっかりとしたものが上がってきておるというふうに私は思っております。それからまた、ほかにも、例えば請願だとかいろいろな陳情書めいたものもいろいろな手続に基づいて出されているのは御案内のとおりですね。

 そういうことを一つ見ましても、それから、先ほど言いましたように、国民の方々とじかに接触していろいろなお話を聞いてみても、なかなか今この時点で、積極的に郵政民営化をやれという御意見は、そんなに大きな声としては何もないような気がするんですね。

 そこのところを、政治家ですから、時代を先取りして世論を引っ張っていくというような考え方も当然あるわけでございますけれども、そういうことについての必要性も私自身余り感じないわけでございますが、それぞれの大臣、御自身の判断として、今、国民の世論をどういうふうに認識しておられるかということと、自分自身の所掌している業務の中で、民営化することによってこういう経済社会をつくりたいという何かビジョンめいたものがあったら、各大臣それぞれ皆、御見解をよろしくお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 一川先生の御質問の後半、今主に二つありましたので、後半の方からお答えさせていただきますが、都道府県議会からのいわゆる郵政に関する話は、四十七件。ということは、四十七都道府県ですから、ほぼ全県から。市町村、区も今ありますので、市区町村からのものは二千六百五十七、合計二千七百四件ということになっております。

 その内容につきましては、公社化の堅持を要望、拙速な民営化を進めることがないよう要望、郵政民営化慎重意見等々、いろいろなものが入っておるというのが主な内容であります。

 この種の県議会から上がってくる要望書というのは、特に地方を預かります総務省としてはかなりな数、地方の議長さんやら幹事長等々からあらかじめ連絡が来ることもこれあり、この種の話が軽々に扱われることはない、基本的にまず私個人としてはそう思っておりますというのが正確なところだと思っております。

 それから、もう一点のお尋ねの点ですけれども、国民の関心があるなしは今お答え申し上げたとおりですが、私としては、この郵政民営化の話は随分長い話からスタートするんだと存じます。

 国民の個人金融財産約一千四百兆と言われるもののうち、三百四十兆といえば、約四分の一のものが少なくとも国有と言われるようなところに入ったままじっとして、国有であるがゆえに、その金が安易に財務省所管の政策等々の銀行とか特殊法人等々に流れるのはいかがなものか、特別会計と言われるものに安易に流れていくのはいかがなものか、国会の審議の対象になっていないではないか等々、これは野党、与党を問わず、皆同じことを言っておられると思いますが、この点につきましては、きちんとした対応がされてしかるべき。

 その原資が、国債でありますので、郵貯だったということになりますのはいかがなものかということでありましたので、この点につきましては、平成十九年度に一応形としてとまる形、それは買うということを強制されることにはならないという形に、これは民営化されますので、そういった形になっていくことにもなろうと存じますので、私は、その面は、国としてはなるべく地方に分権していく流れ、また、一省庁、極端なことを言えば、一財務省というところだけで全部を決めて配られるというようなことになりやすい形を、少なくとも、このような形で一応歯どめがかかるという流れは決して間違っていないと存じます。それが一点です。

 もう一点は、よくドイツの例が引かれたりいろいろされますけれども、金融という部門で、少なくとも、国民の個人金融財産の四分の一を持っているような郵便局というものを運営している国家はありません。そういった意味では、私どもとしては、何らかの形で、その種の金が民間に使われるようにする道を開くべきだと思っております。

 ただ、それが今の状況は、御存じのように、民間の資金需要というものは、バブルがはじけた以後、かなり落ちております。現実問題として、金融というものに対しまして、これだけ設備投資が伸びながら、銀行に対する企業の返済は超、返済の方が多いという状況ですので、なかなか簡単な話とは存じませんけれども、では今のままがいいのかと言われれば、なかなかそうではないのであって、少なくともその種の形で対応するべきだと存じます。

 少なくとも、地方で集めた小口の金というようなものが全部中央で使われるかのごとき印象はいかがなものかと存じますので、その金がいろいろな形で地方でも有効に使われるような道が開かれる制度としては、この民営化されるというのは一つの手段だと思っておって、民営化が目的ではなくて手段というように私自身は理解をいたしております。

谷垣国務大臣 今、一川委員のお尋ねに、まず、どういうビジョンを描いているのかということに関連いたしますが、今も麻生大臣からお話がありましたように、民間個人貯蓄の四分の一を郵貯、簡保というところで集めている、大きな影響を与えているわけですが、国民の貯蓄を民間につなげていくことで経済社会の活性化につながるのではないか、また、そうしなきゃいかぬというのが第一点でございます。

 それから二点目は、申すまでもなく、郵便事業、郵政事業というのは長い歴史があって、国民生活にも多大な功績を上げてきたわけでございますけれども、民間の形になって、さらに良質の新しいサービスを提供できるように持っていかなきゃいかぬということが二番目としてございます。

 それから三番目は、これは私といいますか財務大臣の視点ということがございますが、郵政事業は国民共有の資産として今まで発展してきたわけでございますから、それが民間企業同様税金を納める主体になるというだけではなく、株式売却収入が結局国民全体の資産として活用されていくという道が開ける、またそうしなければならない、私はそう考えているわけでございます。

 しからば、それが国民にどう理解されているか、評価されているかということになるわけでありますが、私のところにもいろいろな方がいらっしゃいまして、このことを話題にされる方もたくさんいらっしゃいます。私は、今申し上げたような論点に共感を示してくださる方もかなり大勢いらっしゃるように思いますが、委員の御指摘のように、かなりまた批判的な方がいらっしゃるのも率直に言って事実だろうと思います。我々としては、先ほど申し上げたような視点をもう少し丁寧に説明して、理解を得られるような努力をする必要があるんだろうと思っております。

 それから最後に、財政当局として申しますと、郵政民営化が仮にも納税者の負担を伴うような改革になったとすれば、これは国民の理解は到底得られないだろうというふうに思いますので、議論の過程においてもそういうことを申し上げてきたわけでありますけれども、それをきちっと押さえていくという姿勢は今度の法案にも基本的に反映されているというふうに考えておりますが、今後とも、そういう視点から私もきちっとしたものをつくっていきたいと考えているわけであります。

細田国務大臣 趣旨等は各大臣と共通のところがございますので省略いたしますが、私自身が考えておりますのは、歴史的に我が国の経済体制を見まして、明治の当初からいろいろな形で国が事業を行うということを重ねてまいりました。そして、三公社についてもいろいろな問題があったわけでございます。

 それぞれ事情も違いますけれども、あるいは巨大な赤字にさいなまれて民営化、分割しなければ対応できなかった組織もありますし、あるいは、電電公社は、そのときの意識、あるいは国民から見て、絶対に民営化しろとか分割しろとかいうことでは必ずしもなかったかもしれないけれども、急速な時代の変化に応じて、私は、今から思えば民営化してよかったんじゃないかなと。もちろん、それぞれ問題がありますが。

 専売公社については、これも、こんなことでやれるのか、たばこ農民に圧迫を加えるんじゃないか、さまざまな議論がありましたけれども、事業を民営化してまいりました。

 そして、明治以来、いわば最後に残された国営事業がこの事業でございまして、基本方向としては必ず民営化、民間の事業にしなければならない事業である、特に金融と保険についてはそうであると私自身は確信をしておるわけでございまして、小泉内閣の官房長官であるから賛成しておるというわけじゃありません。

 それから、郵便局において、特に、各局の人たちが一生懸命働いておられることとか、その方々がまじめに業務をやっておられることはよく承知しております。地方の事情も、私も地方の選出でございますからよくわかっておりますが、私が一つ申し上げたいのは、今は一つのチャンスである、最もチャンスの時期であろうと思っております。

 それは、バブルの崩壊以来、国内の金融機関もいろいろ大きな問題を抱えまして、資本注入も行われまして、金融というものが大きな問題をそれぞれ抱えている。その中で、今後いろいろな工夫をしてノウハウを持ってもらう、一つの巨大銀行である郵貯銀行がしっかりと生き抜いていけるような環境に今が最もふさわしいんじゃないか。これは私の考えです。

 それから、保険については、特に生保が、あれだけやはり巨大な不良資産や土地投資や株投資によって損害を受けて、御存じのように、最大の生命保険会社が絶対的な地位を占めておったのに、昨年の生保の新規契約ではついに外資がトップを占める。大変革をして、大条件変化が出てくる。そういった中で、簡易生命保険が一つの新しい海に乗り出していく。そして、実際上の経営の状況というのは、資産状況、あるいは不良資産がないという意味で環境がいいわけでございますので、今こそ、民間企業として、生命保険会社そして銀行として新しく船出をするには最もいい時期ではないかということを私は確信しております。

 これは個人的な確信でございますから、官房長官として申し上げているというわけではございませんが、それに加えまして、今までの大臣が……(発言する者あり)いや、今までの各大臣の見解は当然共有しておりまして、それに加えて申し上げているわけでございます。

 つまり、しかし、それは大変大事なことでございまして、そういった判断を国会にしていただきたいと思いますし、私は、政府としては、民営化のいい時期ではないかと。国家公務員が事業を行っているということについて、そういうことでございます。

 しかし、郵便事業とか窓口事業とかこういった事業については、事実上は、法案の中身でごらんいただきますと、これまでの延長線にあり、さまざまな地方に対するユニバーサルサービス等の内容を有しておりますので、私は、ここで大きな混乱をもたらすような民営化にはならないもの、そう確信をしておるようなわけでございます。

竹中国務大臣 一川委員のお尋ねは、まず、世論の動向をどう受けて、それに対して担当としてどう考えるか、対応しているか、その先にどういうビジョンを持っているのかという二点であろうかと思います。

 重複を避けて申し上げますと、世論に関しては、まず、国民がこの郵政民営化にどのような関心を抱いておられるのかどうか、そういう問題があるかと思います。これは、実は評価が分かれているわけでございます。優先順位等々を見ますと、やはり優先順位はまだ決して高いわけではございません。

 一方で、この郵政民営化に関心がありますか、ありませんかということに関して言いますと、先般の内閣府の特別世論調査においても、何らかの形で関心があるという方は七割近くになっておられますので、その意味では関心は高まっている。しかし、これは、今後さらにその重要性について説明して御理解をいただく責任が私にはあると思っております。

 あと、郵政民営化そのものに賛成かどうかということに関しましては、これも評価がいろいろあるわけでございますが、世論調査を見る限り、最近の世論調査では、賛成と答える方が反対と答える方を、どの調査においても、ほとんどの調査においても上回っておられる。その意味では、賛成の御意見も広がりつつあると思いますが、一方で、一川委員御指摘のように、地方議会等々が非常に反対だということを明確に示しておられる。これは、察するに、特に地方で郵政が持っておる公的な機能が維持されるのかどうかということに対して、やはり国民の不安は大きいということなのかと思います。

 こうした点につきましては、これは政府・与党の合意も踏まえていろいろな制度設計をしているつもりでありますので、そうした点を国会の審議も通してしっかりと御理解いただくのが、説明するのが私の責任であろうかと思います。

 あともう一点、世論に関しては、やはり時間をかけて議論をすべきだという御意見が多いというふうに承知をしております。この点については、そのために実は私たちは郵政民営化の五原則を一昨年に掲げて、それで基本方針を昨年の秋に示して、そして時間をかけて制度設計をしてきたつもりでありますので、そうした点も踏まえてしっかりと説明をさせていただきたいと思います。

 二点目のビジョン等につきましては、これも、人口減少社会がいよいよ目前に迫っている中で、本当に民間でできることは極力民間でやっていくというシステムをつくって、市場経済を強化していくということが何よりも日本の将来のために必要であるというふうに思います。そうした観点から、郵政の民営化というのはやはり避けて通れない課題である、そのような大きな見方のもとに取り組んでいるところでございます。

伊藤国務大臣 最後となりましたけれども、私からも答弁をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、私自身、金融行政を担当しておりますので、国民の方々の関心というものは高いというふうに思いますし、また、日ごろの日常活動を通じても、お会いする方々が限られているかもしれませんけれども、国民の関心というものは寄せられているというふうに理解をいたしております。

 また、今後のビジョンという点でありますけれども、これは先ほど来関係の大臣からもお話がございましたが、今、国民資産の四分の一、家計の四分の一が、官の部門にその資産が張りついているわけでありますから、こうしたものを民間部門に流していくということは極めて有意義なものだというふうに思っておりますし、また、郵政の持つ金融の機能というものを十分に発揮して、市場の中で経営の自由度というものを拡大することによって多様で良質な金融サービス、金融機能というものを発揮していく、そうしたことが可能となり、そのことによって国民の利便性というものは向上していくものにつながっていくというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、民間金融機関との競争条件、あるいは金融・資本市場に対する影響といった金融行政上の観点から、この民営化について適切に対応していくことが必要だというふうに思っておりますし、その中で、この民営化というものが、日本の金融システムの効率性そして利便性というものが向上していく、そうした改革が行われるよう金融行政としても対応していきたいというふうに思っております。

一川委員 国民の皆さん方の関心がある程度強いんだというような判断をされている大臣もいらっしゃいますけれども、連日、テレビ、新聞等でこの郵政民営化のことが記事になっておるわけです。本来であればあり得ないことですけれども、政府・与党が一体的であるべきそういう政策が、要するに何となく政府と与党、与党の中でも意見が分かれているというようなことが政局絡みも含めていろいろなことで報道されます。割と国民の方はそういうことには関心があるかもしれません。

 私は、今、郵政民営化というこの政策課題を緊急的に実行してほしいということでの関心度というのは低いと思うんです。ただ、こういうマスコミを通じていろいろなことが報道されるから、郵政民営化というのは果たして何かなというぐらいの関心は、それはあるかもしれませんよね。そこのところを余り履き違えては私はいけないと思うんですけれども。ですから、先ほど各大臣がいろいろな見解を述べられましたが、それはそれぞれの大臣のお考えですから、またこれから我々もしっかりと検証させていただきたいと思います。

 そこで、総理大臣はいつも口癖みたいにおっしゃるわけですけれども、郵貯等の資金をこれからは改革しなきゃならぬ、それは入り口と出口、その間の中間的なものもあるんだと。その改革をやるには、まず入り口から改革しなきゃならないというようなこともおっしゃっています。入り口、出口というのは、中間も含めて何となくそれなりのイメージはわきますけれども、総理大臣がおっしゃるその入り口というのは、恐らく今の郵貯の、郵政改革のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、この改革をやらないと出口の改革が進まないんだというような言い回しというのは、これは何を意味しているんですか。ちょっと説明していただけませんか。

竹中国務大臣 入り口、出口、その経路である中間、これは、繰り返し申し上げていますように、やはりそのすべてを改革しないとお金の流れは変わらないということなのだと思います。

 そのうち、資金の流れの出口につきましては、これは既に財投改革や特殊法人等の改革が進められておりまして、特殊法人等整理合理化計画の改革対象、これは百六十三法人のうち百三十五法人について廃止、民営化、独立行政法人化等の見直しを行う等の改革の成果も上がってきていると思います。

 また、十七年度の財投の再編におきまして、特殊法人等が行うすべての財投事業の財務の健全性につきまして、これは民間準拠の財務諸表も参考にしながら総点検を行った、そして、特殊法人等向けの投融資額をピーク時の三分の一程度に圧縮した、そのような出口の中間の改革も進んでおります。

 もう一つ、出口に関しては、政府系金融機関改革につきまして、平成十四年十二月の経済財政諮問会議におきまして、民間金融機能が正常化することを前提に、現行政策金融機関は、民業補完に徹して、かつ、貸出残高について将来的に対GDP比率で半減することを目指すこととしたことを踏まえまして、現在改革を進めているところでございます。

 そこで、お尋ねの入り口の部分でありますが、これまで、特に財投の制度が存在をしてきた時期においては、入り口のところでの郵貯、簡保、それが制度的にそういった財投の仕組みを通して政府系の機関に流れるという仕組みが機能してまいりました。出口のところを今小さくしているというお話を申し上げましたが、入り口のところでの郵貯、簡保の資金というのは政府が集めた資金で政府保証がついている。したがって、それについてはいわゆるリスクをとれる資産にはなれない、安全資産に主として運用せざるを得ないということでありますから、どうしてもこれまでと同じような国債とか財投の機関にこのお金が流れている。

 一言で言いますと、やはり入り口のところの資金を民営化して、リスクをとれる資産、リスクをとれる投資、つまり、民間に流れるような仕組みを入り口で同時にあわせてつくっていかないと、全体としてのこの資金の流れを官から民へと改革するということは困難である。これが、入り口、出口、中間をあわせて改革する、とりわけ入り口としての郵貯の民営化が大変重要であるというふうに考える理由でございます。

一川委員 これは谷垣大臣の所管になるかもしれませんけれども、先日の委員会の中でのやりとりにもありましたけれども、その財政投融資改革というものに、これからその健全化に向けて取り組んでいきたいというような趣旨の御答弁をされておりましたけれども、今のこの入り口論、出口論、いろいろとございます、それから、中間的に財務省理財局も重要な役割を担ってきたわけですけれども、そういう中で、これからの財投改革というんですか、これは今の郵政民営化と絡めてどういうスケジュールでどういうふうに取り組んでいかれる方針なんですか。

谷垣国務大臣 今、竹中大臣からもお話がございましたけれども、入り口と出口というのは絡み合っているんだろうと思います。

 今までは、要するに郵貯で集めたお金は十三年まで全額預託義務があって、それは財投に回っていくということでございましたから、その仕組みは平成十三年度で基本的には終わらせた。今、基本的にと申しましたのは、預託義務はなくしましたけれども、現実には、平成十九年度まで郵貯等による財投債の直接引き受けが経過措置として行われているわけでございます。これは、預託金の支払いが基本的に終了する平成十九年度まで財投債等も引き受けていただいておりますが、基本的に平成十九年度で終わらせる。

 そうなりますと、お金の流れの直接的な関係は切れていくということになるわけでございますから、当然、そのときに郵貯の方でも自立的な動きというものをどう道をつけていくかということがあると思いますし、私どもは、郵政の集めたお金とは別個に、残る財投、財投もまだ必要なものがこれはございますから、どうしていくかということが起きてくるんだろうと思います。

 そこで、基本的な構造としては、平成十三年に預託義務を廃止して、財投債ないしは財投機関債を発行してマーケットを通して必要なものを集めるという仕組みをつくって、今までのように、たくさん集まったらそれをそのまま必要もないものに使うという御批判がございましたけれども、そういうものを克服しようとしている。

 一方、もう一つやらなければならないことは、やはり財投機関の見直しでございます。

 それは、政策コスト分析の導入であるとか、それから貸出先の特殊法人等における民間準拠の財務諸表を導入するというようなことをやりまして、財投機関の必要性や債務償還性というものをきちっと見ていこうということでやらせていただいておりまして、先ほど竹中大臣からも御答弁がございましたけれども、平成十七年度特殊法人等向けにつきましては、ピーク時、これは平成七年に当たりますけれども、三十一・七兆ございましたが、三分の一の十一・三兆に縮減をしたわけでございます。この規模がまだ大き過ぎるかどうかいろいろ議論もあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたような財投機関の健全性や何かを見ながら、真に必要なものは何だという道筋は、これからも常に点検をしていかなければならないと思っております。

 それから、十七年度の財投計画編成につきましては、財政制度等審議会ですべての財投事業について総点検を行っていただきまして、特に財投残高で大きなウエートを占めております住宅金融公庫、これは民間で取り組んでいる直接融資はもう廃止しよう、それから、都市再生機構についてはニュータウン事業から撤退するというような抜本的見直しを実施いたしまして、財投機関の問題点というのを一応えぐり出してきたところでございます。

 今後とも、引き続き今のような視点からきちっと見ていかなければならないと考えております。

一川委員 この入り口論、出口論的なこういった議論も、当然ながら、これはやるのであれば同時並行的にしなきゃならぬことでございましょうし、また、そのあたりのことが非常に国民にとっても何かわかりづらい分野だというふうに思いますね。そこのところは、やはりその中で、今批判されている特殊法人等のいろいろな組織というのは独立行政法人化された中でだんだん焼け太りになっているのではないかとか、あるいは天下りの問題、また今の談合の問題、いろいろな面で疑惑問題がつきまとっておるわけでございますので、そういったことも含めた改革ということは、本当に今国民は最も関心がある部分ですから、ただ、その入り口のところで、こういうことで議論しているのもちょっと私は優先順位的にもおかしいなという感じを持っております。

 そこで、先ほど、国民の貯蓄の四分の一ぐらいがこの郵貯にあるんだ、これをこれから官から民へ流すんだというような趣旨のお話もございました。その官から民へ流すということが今回のこの一連の法律案の中でどういうふうに担保されていくかというのはよくわかりませんけれども、そういうことがもしできたとしたときに、これまたいろいろな面でいろいろな波及的な効果、影響が出てくるような感じも当然するわけです。

 そこのところは、官から民へそれだけの莫大な資金が流れていくというようなことについて、これは国民の皆さん方にどういう説明をしたらいいんですか。

竹中国務大臣 まず、一川委員が、官から民にお金が流れるとして、それは法律上どのように適用されていって、それがどのような影響を持つのだろうか、そのような御指摘、御質問であったかと思います。

 まず、法律に関しましては、これがまさに民間の銀行になって、銀行法が適用されまして、それで、しっかりとしたリスク管理体制をこの銀行がとる中で徐々にその業務範囲を拡大していく。そういう中で官から民に、その民に流すお金の流し方はいろいろあろうかと思いますが、そういう形でしっかりと金融機関として銀行法を適用されて、そういう力をつけていく。それが、法律での基本的な考え方でございます。

 そのときに民間に対してどのようなインパクトを持つかということですが、大変重要な点は、これは公社から出発しまして、当初は公社の業務のまま出発をしながら、次第にその業務範囲を拡大していく、そのような仕組み。時間をかけて、次第にやっていく。そして、約十年の移行期間を経て、これで完全な民有民営を実現して、文字どおり完全な民間の機関になるわけでございますが、その間、段階的に力をつけながらやっていっていただくというのが、基本的に重要なところだと思っております。

 骨格経営試算では、その際の一つのめどとしまして、その資産のうちの四分の一をそういう信用リスクのビジネスに回すということを想定しておりますけれども、そういう規模、そういう中で、民間の中でしっかりと自立をしていただく、そして、日本経済全体の成長と発展の中で、こうした金融市場が円滑に機能していくということを想定しております。

一川委員 そこのところの説明を聞いておりましても、非常に理解できないところなんですけれども、要するに、それぞれの地方の今非常に疲弊して苦労されている中小企業の皆さん方とかいろいろな自営業の方々、そういった方々にそういうような資金が円滑に流れていくような仕組みなり制度をしっかりと完備するんだというようなことで理解していいわけですか。

伊藤国務大臣 郵政の民営化という問題とは別に、中小企業金融の円滑化を図っていくということは極めて金融行政上重要な問題でありますので、この集中改善期間においても、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づいて、各地域金融機関は、地域に根差した、地域密着型の金融機能というものを発揮していく。その中で、特に過度に担保や保証に依存をしない融資というものを促進していくためのさまざまな取り組みというものを進めてきたところであります。

 そして、昨年の十二月に、私どもとして、今後二年間の金融行政の指針として金融改革プログラムを策定させていただいたわけでありますが、このプログラムにおいても、地域経済に貢献していくということを一つの大きな目標にして、そして金融改革を進めていくということで、そのためのさまざまな施策というものを示させていただきました。今まで取り組んできた地域密着型金融、これをさらに進めて、その機能を強化していくための取り組みというものが進んでいくというふうに思っております。

 また、郵政民営化がなされることによって、郵貯銀行が普通の民間の金融機関と同じような形で自立をしていくわけであります。新しい事業を拡大していくに当たっては、融資を初めとした新しい事業を進めていくための体制でありますとか、あるいは業務を推進していく能力というものを十分身につけていかなければいけないわけでありますが、そうしたものを習得して、そして自立していくことによって、公正な競争環境というものができて、その中でさらに利用者の方々、地域の方々のさまざまなニーズに的確にこたえていけるような、そういう金融システムというものが構築されていくことを私どもとしても期待いたしているところでございます。

一川委員 伊藤大臣、ちょっと今のを確認するわけですけれども、郵貯銀行がそういった資金をもとにいろいろな融資活動等をやっていくといったときに、では、今既存の地域にあるいろいろな金融機関、たくさんございますけれども、そういった金融機関の方々も何となく不安感を感ずると思いますけれども、そういうところに対しては、あなた自身はどういう指導をされていくわけですか。

伊藤国務大臣 今回の郵政の民営化に当たっては、経営の自由度とそして民業圧迫が起きないように、そのバランスというものをしっかりとっていくことが重要であります。

 したがって、移行期間においては、新しい事業を拡大していくに当たって、まず移行期間当初は今の郵政公社と同じ業務からスタートして、そしてその後、民営化委員会の意見を聴取しながら、主務大臣の認可のもとで、公正、透明なプロセスのもとで段階的に業務を拡大していく。民業圧迫が起きないような制度設計がなされているところでございます。

一川委員 そうすると、今いろいろな段階を経てやっていくということなんですけれども、一つのガイドライン的なものを、民業を圧迫しないガイドライン的なものを示しながら指導していくというふうに理解していいわけですか。何のための民営化なんですか、よくわからないですけれども。

伊藤国務大臣 先ほどもお話をさせていただいたように、民業圧迫が起きないようにしていくということは非常に重要であります。

 したがって、こうした考え方に基づいて、民営化した移行時においては、郵政公社と同じ業務からスタートして、そして徐々に業務を拡大していくということになっているわけであります。業務を拡大するに当たっては、民営化委員会の意見を聴取して、そして、主務大臣の認可のもとに、公正、透明なプロセスの中で段階的に業務を拡大していくということになります。

 一方で、新規事業を拡大していくに当たっては、その新規事業拡大に当たる能力でありますとかスキルというものを身につけていくことが極めて重要でありますから、そうしたことを徐々に身につけて、そして自立していくことになるというふうに考えております。

一川委員 今の説明を聞いておりましても、なかなかそういう心配事、不安感というのは払拭できないわけです。民業を圧迫しないというふうなことを一方でおっしゃりながら、別の言い方をすれば、郵貯銀行はしっかりとした民間銀行として頑張っていくんだというふうなこともおっしゃってみたり、それからまた、さっき麻生大臣ですか、今地域もいろいろな面で冷え込んでいる中で資金的な需要も非常に少ないわけですよ。

 そういう中で、恐らく既存の金融機関も生き残るためには、それは当然努力はされるでしょうけれども、そういうところとこの郵政民営化に伴っての郵貯銀行との、そのあたりというのはどういうふうに進んでいくのかというのは非常に我々もわかりづらいところなんですけれども、もう一回そこをしっかりと御説明できますか。

伊藤国務大臣 今まで竹中大臣が答弁をされたように、採算性に関する試算というものが公表されて、そして、今後、貸し出し市場というものがどうなっていくか。確たることを申し上げることは困難でありますけれども、今後の経済発展に伴う資金需要の増大でありますとか、あるいはシンジケートローン、アセットバック証券、こうしたものが拡大していく金融情勢の変化というものを踏まえて、採算にかかわる試算というものがなされているわけであります。

 こうした中で、郵貯銀行が新しい業務というものを身につけて、そして、利用者のニーズにこたえていけるようなビジネスモデルというものを提示させていただいているわけでありますけれども、先ほど来お話をさせていただいているように、こうした形になっていくに当たって、移行期において、自由度の拡大という問題と、そして民間金融機関とのイコールフッティング、これをしっかりバランスをとっていかなければなりませんから、したがって、移行期当初は公社と同じような形で業務をスタートさせて、そしてその中で、徐々に新しい事業に対するスキル、ノウハウというものを身につけていく。民営化委員会の意見というものを聴取しながら主務大臣が認可して、そして公正、透明なプロセスの中で業務を拡大し自立していくというふうに考えております。

一川委員 ビジネスモデル的なものがしっかりと説明できない段階でのいろいろな説明というのは非常に抽象的で、聞けば聞くほど何となくわからない面がありますが。

 そこで、そういう問題に絡んでちょっと気になるのは、先ほどどなたかの説明でちょっとありましたけれども、谷垣大臣ですかね、政府系の金融機関、要するに政策金融ですか、我々田舎にいると、中小企業金融公庫とか、農林漁業金融公庫なり国民生活何とか公庫、要するに、そういったたぐいの政府系金融機関は制度的な融資をそれなりにやって、それなりの歴史、実績があると思うんですね。では、そういうものと、今の郵政民営化の中でこういった莫大な資金が動き出すといったようなときに、その政府系の政策金融というものは、先ほど経済財政諮問会議、それなりの答申があるというお話がありましたけれども、現時点では、最終的にはその政府系金融機関は統廃合するんですか。

谷垣国務大臣 政府系金融機関と申しますか政策金融というのは、民間だけではなかなかコスト的にも難しいというようなものに対して、ごく零細なところの貸し付けであるとか、あるいは担保をとらないで貸し付けをする、民間ではリスクが大き過ぎてできないというようなところにはなかなか役割を発揮するものだと私自身思っております。

 ただ、これをやりますときにやはり押さえておかなきゃならないことは、あくまで民業の補完ということであって、民業で十分できるところをどんどん前に出ていくというのはやはりいかぬのじゃないか。そういう観点から、政策金融機関というのは、今後とも、役割を終えたようなもの、あるいは民間でもできるようなものについてはやはり見直しを進めていくということが私は必要だろうと思います。

 この郵貯改革との関係で申し上げますと、本来こういう政策金融機関の原資はもともとは郵貯などが集めてきたものを回して使っていたということでございますけれども、先ほど申しましたように、財投機関債なり、あるいは財投債を発行してマーケットから調達していくという仕組みに改めました。

 御意見の中では、全部財投機関債に改めろという御意見もありますけれども、やはり政府の信用を背景に財投債で集めた方が、今申し上げたようなコストの面から見て有利な部分もありますから、財投債と財投機関債の一番よい組み合わせはどこにあるのかということはやはりこれからもよくよく探っていかなければならないと思いますが、マーケットを経由して、そしてそれぞれの機関、特に財投機関債を発行する場合にはディスクロージャーなどもやりながら、そういう中で、マーケットの目で健全性も担保しながらこれからやっていかなきゃならないんだろうと思います。

 そうしますと、もちろん政策金融機関というものは見直しが必要だとしても、十分それはマーケットで集められるのか、結局民営化した郵政関係のところに買ってもらうことになるんじゃないのかという御批判もあろうかと思いますが、私は、現在の政策金融機関の必要としている原資であれば十分マーケットで賄えるようになるというふうに考えております。

一川委員 そうすると、もう一度確認いたしますけれども、この政策金融という制度は、当然見直しはかけていくけれども、郵政民営化ということの一つの流れの中では依然として残していくというふうに理解していいわけですか。

谷垣国務大臣 これは、私は、必要な部分は依然として残るだろうと思います。必要な部分は依然として残りますし、それはやっていかなきゃいけない。しかし、さっき申し上げたように、あくまで民業の補完であるべきだ。

 実は、大変このところの金融状況や経済状況、しばらくよくなかったものですから、ことしの三月まではそういう政策金融機関を活用せよということでずっとやってまいりました。これから、さて、政策金融機関のあり方、どうあるべきかという議論をもう一回していかなければならないときでありますけれども、そういう政策金融の手法であるとか機能というものをよくよく議論しながら進めていくべきことかと考えております。

一川委員 総理大臣は、この郵貯資金等については、できるだけいろいろな分野に幅広く資金が回るように持っていきたいというような答弁をされていると思うんですけれども、今ほどのいろいろなお話を聞いておりましても、何かそういう道筋というものがなかなか見えてこない。何となく従来と同じような方向に資金が流れていくような気がするわけでございますけれども、そういったところをまた引き続きこの委員会の場でしっかりとえぐり出していきたいというふうには思います。

 次に、実は、きょう午前中、農林水産委員会というのに私は出ておりました。農林水産委員会でこの郵政民営化の話題が出ておりました。それは、きょうも先ほど来ちょっと議論がありましたけれども、俗に言う過疎地帯等、農山村、そういった非常に条件不利地域において郵便局の果たしている役割というのは非常に大きい、もうそれは皆さんは大体共通の認識があると思います。自民党の先生方もそういう質問がたくさんありました。

 この郵政民営化ということを議論する以前に、近年非常に自然災害がいろいろな面で我が国も目立ってきております。また、高齢化現象は予想以上に、特に過疎化地帯では進展していると思うんですね。これまた麻生大臣の所管でございますけれども、市町村合併問題も相当今本格的に進んできておる。そういう地方における局部的な過疎化現象というのはすごく激しく進んでいますね。一つの市においても山間部と平地部とのいろいろな格差とか、そういういろいろな現象が今重なっているわけですよ。

 もう来年から日本の人口そのものが減っていきますけれども、そういった少子高齢化という一つの現象、市町村合併という現象、それから長期間地方の経済が冷え込んできたという中で、やはりいろいろな経済的な格差が地方の中にもついているわけですよ。そういうときに、やはり、ある程度地域のコミュニケーションを保っていく、お年寄りの皆さん方も何となく安心して生活できる一つの拠点の施設としては、郵便局というのは私は重要な役割を果たしてきておるというふうに思うわけです。

 竹中大臣なのか麻生大臣なのかあれですけれども、今私たちが、私自身もそういうところに住んでおりますけれども、先日出された資料ですか、どこの資料だったかちょっと忘れましたけれども、過疎地域の市町村と称する、何かそういう資料があったんですけれども、市町村当たり、恐らくこれは合併する前の姿かもしれませんけれども、郵便局の数と農協の出先の数、農協の出先の数よりも郵便局の数の方が多いんですよ。いろいろなデータがあるんですけれども、例えば小学校がどうだとか、それから診療所とか病院的な施設がどうだとか、いろいろなものがどれだけの分布状態にあるかという中で、割とバランスよくきめ細かに配置されているのは郵便局なんです。

 こういう一つの現象の中で、今郵政公社の皆さん方もいろいろなアイデアを出して、福祉の分野にも協力していこうとか、あるいは災害を未然に防止するためのいろいろな情報のキャッチとか、もし災害が発生したときの緊急的な連絡だとか、そういうことについても、郵便職員は割と気配りをしながら頑張ってきているというような話も聞きます。

 そういったことについて、本当に今郵政民営化という議論の以前に、こういったしっかりとした安心のネットワーク的なものは政策としてしっかりと残すべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

 竹中さんの認識もちょっとお聞きしたいんだけれども、両方、よろしく。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたけれども、農協より多いんではないか、合併しております関係もありますので、農協より多分郵便局の方が今多いことは間違いないと存じます。

 大体、二万四千六百七十八というんですけれども、これに匹敵するようなものを持っているのは、多分新聞社の販売店が全部足すと二万四千百ぐらいだったと記憶しますので、これほど細かくやっているものはほかにちょっとそんなにはないと記憶をいたします。郵便局の配置網というのは、平均一・三キロメートルに一つ、大体小学校の数とほぼ同じということになろうと存じますが、平均値ですから、中央区なんというところに行けば、もう隣のビル一個ずつ全部あったりしますし、いろいろな形で、簡易郵便局を含めましての数ですので、一概に平均値という表現は極めて危険な表現だと思っておりますけれども、基本的には今言われたとおりであります。

 山間部において、今御存じのように人口が減っておりますので、いわゆる村自体が、その地域丸ごとなくなるというような地域が決してないわけではありません。昔はここに四世帯あったけれどもゼロになった、こっちにあったのがゼロになったというのは、今三重県におられるんですか、私ども福岡のところでも、結構……(一川委員「石川県」と呼ぶ)ああ石川県か、大学が三重か、済みません。石川の方を詳しく知っているわけではありませんけれども、福岡も、山崎先生のような市内もありましょうが、私のようなところでは、はっきり申し上げて深刻な事態になっております。

 この郵便局というものの持っております値打ちというのは、単なる郵便の集配というような話以外に、いわゆるその地域のコミュニティーとして、そこにいる郵便局長さんというのは三代目とか何代目という方もいらっしゃいますので、その方が地域のことに関して、人のうちの内容までよく御存じの方がいらっしゃいますので、そういう方を中心に一つのコミュニティーができ上がっている。そういった意味で郵便局の果たしております役割は極めて大きなものだ、私どももそう思っております。

 また、この点に関しましては、郵便局を民営化するに当たっても、この種の機能というものは非常に大事にされるべきだと思いますし、事実しなければならぬものだと思っております。郵便局の存在価値というものは過疎地ほど値打ちがある、私自身はそう思っておりますので、その方向で、法案としても、その地域に関しましてはきちんと対応していくというように書かれておると存じます。

竹中国務大臣 今もう麻生大臣がお答えになったとおり、全く同じ認識で法案を提出させていただいております。

 ちょっと、今麻生大臣がおっしゃったのを補完する数字だけ手元にある資料で申し上げさせていただきますと、これは日本金融通信社の日本金融名鑑等々の数値でございますけれども、過疎地域についていいますと、そこで、特に過疎地での金融の窓口サービスのシェアからいいますと、郵便局が提供しているシェアというのは五二・三%に達しておりまして、農漁協の二九・七%をはるかに上回って、一・六倍ぐらいということになりますでしょうか。そうした点も含めて、窓口ネットワークをしっかりと活用することは、国民の生活、特に過疎地での生活者にとっては大変重要なことであるという強い認識を持っておりまして、そうした観点から、郵便局の設置に関する規定等々、しっかりとした法的な枠組みを提供させていただいているつもりでございます。

一川委員 今ちょっと限られた時間内でやりとりさせていただきましたけれども、私はやはり、今いろいろな質疑の中で思いますのは、皆さん方がこの郵政民営化という一つの何か理想的なところへ持っていこうとすればするほど、非常に国が関与する部分がでかいわけですよね。

 何のために民営化するということもちょっとわからなくなってくるわけだけれども、だから、巨大な国営企業を何となくつくって、それが組織が肥大化していくんじゃないかというようなことすら心配になるわけでございますし、そういう面では、私はやはり、今努力されている郵政公社というようなものを、できるだけそのネットワークを残してスリム化していくというような方向に政策の重点を移したらどうかというふうに私自身の考え方を述べさせていただいて、質問を終わりたい、このように思います。

二階委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内博史でございます。きょうはよろしくお願いをいたします。

 私は、郵政民営化には絶対反対の立場であります。

 法案を読めば読むほど、だれのために民営化するのか、何のために民営化するのかがわからなくなってきておりますし、これまでの質疑を聞いておりましても、すべてが希望的な観測とかあるいは予測とかで彩られていて、法律の中に何が書かれているのかということについては、法律は全く何も決めていない。実態としては、後は野となれ山となれ、民営化するんだからということだろうと。まあ、民営化というのはそういうものだと思うんですね。

 パブリックサービスを民に変えていく、それは政策の一つのあり方としては、私は、小泉先生や竹中先生の考え方というのは政策の一つとしてはあり得ると思いますよ。しかし、そうであるならば、例えば、小泉総理が平成十三年の所信表明演説でおっしゃられて、それに基づいてできた在り方懇の中にこういう記述がございます。これは一生懸命いろいろ勉強して、探すのに時間がかかるんですけれども。ああ、ありました。

 「費用・便益分析の観点においては、民営化による利点、「痛み」やコストを明らかにしたうえで、民営化によって生じる「痛み」やコストが利点に比べて明らかに小さく、明るい未来の構築につながることが前提」であるというふうに書いてあります。

 ところが、今回の政府の御説明は、明るい未来ばかりを希望的な観測に基づいて御説明されている。しかし、欠点とかデメリットというものについてはほとんど説明されていないんですね。小泉総理が、多少都市部では統廃合によって郵便局が減るかもしれないということはおっしゃられた。しかし、郵便料金については、総理は安くなるかもしれないと言い、同日の竹中大臣の御答弁では、これは非常に厳しい、もしかしたら高くなるかもしれませんねというような御答弁をされる。要するに、料金一つとってみても、法律の中では何も決められていないということなんですね。料金もすべて希望なんですよ。観測なんです、予想なんですよ。我々は法律を議論する場にいるわけですから、法の中でどのような決めが行われているかということについて、しっかりと議論をしてまいりたいというふうに思います。

 そこで、総務大臣にまずお尋ねをさせていただきます。

 先ほど一川議員の方から、郵政民営化に反対するあるいは慎重な対応を求める地方自治法九十九条に基づく意見書というものが出されているはずだ、幾つありますかというようなことで、二千六百幾つという御答弁があられたわけですが、これは都道府県議会からも出ているはずでありますので、都道府県議会の数も含めて、それぞれ内訳をもう一度お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 都道府県からは、先ほども申し上げたんですが、四十七都道府県、したがいまして全県ということになろうかと存じます。市、区も入りますので、市区町村議会から二千六百五十七、合計二千七百四件ということになっております。

川内委員 実は、竹中大臣、私は鹿児島なんですが、鹿児島の県議会というのは自民党の先生方ばかりなんですね。その先生方が郵政懇話会というのをおつくりになっていらっしゃって、この前、私の事務所に、郵政民営化を何としても阻止しろ、川内頑張れというファクスをいただいているんです。そういう意味では、永田町の自民党だけではなく、地方の自民党も含めて、郵政民営化については、もうちょっとしっかりした大議論をして、何がよくて何が悪いのかということを詰めていかなきゃいかぬと思うんです。

 竹中大臣、きのう、政府・与党一体でこの法案を出しているというふうにおっしゃいましたが、これは間違いです。内閣の方針、政府は国会にこの法案を提出していらっしゃるが、政府・与党一体である、一体で出しているという言い方は間違いだと思うので、まあ訂正しろと言っても訂正しないでしょうから、素直に、政府はそう思っているとおっしゃいますか。

竹中国務大臣 政府及び与党で郵政民営化に関する合意というものを交わしております。そして、合意に基づいて国会へ提出、この法案は、その政府と与党の合意について、法律事項にあっては法律に盛り込むということ、そのことを合意して提出をさせていただいている、そして総務会できちっと御議論をいただいて法律を提出させていただいているというふうに認識をしております。

川内委員 わかりました。

 さらに、麻生大臣にもう一度聞かせていただきます。

 私の認識によれば、平成十五年の九月二十六日、小泉総理の所信表明演説によって、この郵政民営化というものが内閣の重要政策になった、内閣の方針になったというふうに理解をいたします。九月二十六日の四日前、九月二十二日に麻生大臣は、総務大臣を警護官から言われて初めて知ったというような記者会見の記録も読ませていただきましたけれども、総務大臣に就任をされて、記者会見のときには、郵政民営化のことについては、何か紙に書いてあったような気はするがようわからぬというようなことを答えていらっしゃる。

 ところが、九月二十六日の、これは、所信表明演説は閣議決定文書ですから、閣議にかかっている。このときに、総務大臣としてどのように、郵政民営化をする、実現すると書いてあるこの閣議決定文書に意見を表明されたのかということをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 日にちを言われましたので、日にちまでちょっと正確じゃありませんけれども、就任したのは九月二十二日、確かに警護官に言われるまで何大臣になるかは知りませんでした。率直なところです。

 入っていって、残ったのが谷垣と私でしたので、元郵政族だからあっちが多分総務大臣じゃないかと思ったんですが、違いました。お互いにえっという顔をして、両方でそっちが総務大臣ですよという話になったものですから、僕は一番最後だったので、入っていって、総理から渡された紙が、たしか、一人でえらい多くて、何々大臣、あとはずっと、やってもらいたいということが書いてあったんですが、ちょっと総務というのは、全然前知識がありませんでしたので、何が書いてあって、うかつにオーケーなんかすると後が大変ですから、時間をかけて読ませていただいたときに、ここにおられる、あのときは山崎幹事長が、副総裁として座っておられたかどうかちょっと正確じゃありませんが、山崎先生が座っておられましたので、その前で三枚全部読み終わった後、その中に郵政の民営化が入っておりましたから、これを受ける以上郵政民営化をやらないかぬということだけわかりましたので、ほかにも三位一体でいろいろ書いてありましたので、ちょっと正直余り自信はありませんけれども、民営化を含めて、三位一体を含めて、余り自信はありませんけれども、精いっぱい頑張らせていただきます、たしかそう答えたと記憶をいたします。詳しくはこちらに聞いていただいて、聞いていただいたのはこちらですので。

 私の方としては、そのときにそうお答えを申し上げて、その何日か後の所信表明演説というのはあらかじめ紙を読ませていただきましたので、その中に内容が書いてありましたから、郵政民営化については、民営化の内容はともかくとして、民営化するということに関しては覚悟を決めないかぬな、そのときはそう思っておりました。

 内容につきましては、民営化するにはいろいろな内容の仕方がありますので、内容についてはその後もいろいろ意見を申し上げてきましたというのが正直なところで、いつ決めたのかと言われれば、渡された二十二日の日にそういうようなものを覚悟を決めたというように御理解をいただいて結構かと存じます。

川内委員 麻生大臣が経済財政諮問会議で、三事業一体でなければなかなかこの郵政事業というのは立ち行かないではないかというようなことを懸命に御主張されていらっしゃったことは、私は、ある意味、さすが男麻生は違うなというふうに、議事録を読みながら、麻生さんがどれほど頑張られていらっしゃったのかということを考えて、思い浮かべながら読ませていただいていたんですけれども、しかし、結局こういう形になった。これは本当に残念なことだなというふうに思うんですね。

 そこで、きょうは生田総裁にも来ていただいておりますが、総裁は民間の経営者でありますし、今公社を経営されていらっしゃる。経済財政諮問会議の中でも、郵政のサービスというのは、郵便、郵貯、簡保、これが一体となって国民の皆さんに真っ向サービスができるんだというようなことをるるお話をされていらっしゃるわけです。

 経営者の立場として、今回のこの法案は、分社化して、全く別々にして、今までは郵貯、簡保の利益で郵便をしっかりお届けするという仕組みだったと思うんですけれども、それが全くできなくなる、分断する。それは、骨格経営試算とか採算性の何とかとか、計算は利益が出るように幾らでも数字はつくれるでしょうが、経営者の感覚として、生の現場の経営をしてきた感覚として、この郵政民営化六法案に対する評価、これで本当に郵政事業が立ち行くのかということを率直な御感想を聞かせていただきたいと思います。

生田参考人 お答えします。

 経営者の立場で本当に思っていることを淡々と述べさせていただきます。

 今、企業グループあるいは会社の経営、いろいろな格好がありますから、どの格好が一番いいとは率直に言って言えないわけですよ。昔は、一つの会社が大きくて、その中で違う事業をいっぱいやっていて、部でやる。そのうちそれが事業本部制になるとか、それからソニーさんなんかがやっているようにカンパニー制で割るとか、あるいは完全に分社化するとか、いろいろなやり方がありまして、それぞれの効果を上げておりまして、どれがいいか悪いかというのは、確実にそのメリット、デメリットを決めつけるわけにはいかないんですが、大体、成功していっている比率といいますか、欧米の経済社会を見ても、一般的傾向というのは、機能的分社化なんですよ。

 機能的に分社化してやった方が専門性が高まる。それはやはり、分社とはいえ、その会社の経営陣というのは物すごく経営責任を感じるんです。やはり社長というのは物すごく経営責任を感じるんですよ、自分の会社をきちっとやらないかぬと。そういった意味で、自立性が高まってくる。それで、持てる経営資源の、人や物や金や、配分というものが最も有効になって、成績が上がるように、あるいは社会に貢献できるように使うというふうな意味で、ちょうどさっき言った順番、一つが全部抱える、部別にする、事業本部制にする、カンパニー制にする、機能的分社化、うまくさえやれば機能的分社化というのは一番合目的であろうと私は思います。ただ、うまくやればですよ。ただやればいいということじゃないので、そのための制度設計をきちっと考えていただく必要があるだろうと思います。

 私は、経済財政諮問会議にお呼びをいただいたのはたしか三回だと思うんだけれども、入り口の辺は、どっちかというと、金融に関しては、ナローバンクといいますか、余り機能は維持しないという前提の御議論があるところに私が呼ばれていったような記憶がしております。

 私は、公社へ入ることが決まった、これは公社化の半年前に決まるわけですけれども、その後からできるだけ地方を回りまして、郵便局員は無論のこと、いろいろ地域住民の方とお話ししてみて、金融の二事業というのが、単に金もうけのためとかそうではなくて、もう生活インフラになっているなというのは非常に体感でよく理解したつもりだったものですから、いつも申し上げたのは、七年四月に民営化するというのであれば、そのときは移行期間とかそんな話じゃないんですけれども、そこで民営化してしまうというのであれば、その際には、金融の機能は維持してさしあげないと生活インフラが大変だと思いますよ、だから、ナローバンクとかやめちゃうという議論はとんでもないと思います、機能は維持してくださいと。そういう機能論で、ぜひ各地で維持していただくことは言いましたけれども、今度は経営論の立場から、経営するために三事業が一体でないと経営ができないということは実は一度も申し上げていないので、私が重視したのは機能でございます。

 それで、私が申し上げた機能は維持するということは、その後というか、出させていただいたときぐらいから徐々に諮問会議でも御理解いただいて、今回の委託、受託という関係で御理解いただいたと私は理解しております。

川内委員 総裁、今の総裁の御発言は、全国の郵便の利用者あるいは今郵政公社で一生懸命頑張っている職員の皆様方を裏切る言葉ですよ。それはひどいですよ。機能さえ維持されれば私はそれでいいと思っている、分社化した方が効率的な経営ができる、それは欧米の先例だと。

 では、今二万四千六百幾つですかの局数をしっかりと維持した上で、今の郵便料金や小包料金を維持した上で、金融の機能を維持した上で、利便一つ落とさずに今のサービスがそのまま続くと断言できますか、この法案で。

生田参考人 郵政事業というのは、今先生がおっしゃったような非常にパブリックな面、社会に貢献していかなきゃならないという大変重要な使命と、それと、もし、民営化するんだという今前提で御議論があるんだと思うんですけれども、民営化するという前提に立てば事業も維持していかなきゃならないという、一見二律背反したようなことをどうつじつまを合わせていくか、調和させるかというかなり難しい仕事ではあるんですね。

 それで、まさに先生が今おっしゃったように、利用者や職員を裏切るようにしてはいけない、大変重要なことで、それはもう絶対に回避しなきゃいかぬと私は確信しておりますけれども、それをやるために、私が心配したのは、例えば郵便局設置基準というようなものは、初めの案では、新しくできる会社が自分で考えろということになっていたんですけれども、あの準備室の案は。そんなのではだめだと。それは、経営者というのは、お客様も株主も従業員も地域社会もみんな重要だからいろいろ考えるけれども、最後はやはり効率性を考えちゃうから、自分で考えろといったら、だんだん郵便局が減ってきて、まさにおっしゃったような公益性が失われてきて、全国のお客様や従業員が困ることになる。

 したがって、それは公的に、できたら法律ないしはそれに準ずる格好で設置基準というものをきちっと設けて、少なくともその機能が失われないように、もちろんそれは郵便局が応分にしてあるということは当然の前提になりますけれども、極論で言えば、機能が失われないようなことをきちっと公的に続けて、それを経営者に渡して、経営者がそれを目安にしながらいろいろなことを考えていく。そういう経営をすることによって、おっしゃったような、考えられるような弊害を防止すべきであるということを申し述べ、大体そういうふうに今法案でなっているんじゃないかなと考えております。

川内委員 今総裁がおっしゃられた、法律で決められるのは設置基準だけですね。サービスを落とさないためにどう決めていくか、法律の、法令の中で設置基準をどう書き込んでいくかということによって郵便局が守られるかどうかというところが決まっていくんだろうというふうに思います。

 法律的には金融の機能は全く担保されていない。それは、法成立のときには、法が施行するときには安定的な代理店契約が結ばれているかもしれないが、それはその後のことを全く担保していないということでありますから、法的には金融の機能は担保されていない、施行のときだけであるというのが正しい言い方です。正しい言い方、法的にですね。

 したがって、では郵便局をどのように守っていくか、その設置基準が大変重要になりますが、従来この委員会で議論をされてきた過疎地を定義する四つの法案に基づいて郵便局数を計算されているというふうに聞いておりますし、理事会にもその資料が提出をされているそうでありますが、その過疎を定義する四つの法律の地域の中にある郵便局数を竹中大臣からお答えいただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 郵便局の設置に関しましては、まず、「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」ということを法律で義務づけた上で、省令で設置基準を定めているというところでございます。

 その中で、委員御指摘の過疎地については、法の施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に掲げる基準により郵便局を設置するというふうにして、今の公社の設置基準と遜色のないものを考えているというところでございます。

 そこで、過疎地でございますけれども、これまでもいろいろここで御質問をいただきました。過疎地につきましては、基本的には、過疎地域自立促進特別措置法を基本に考えるというふうにしておりましたが、加えまして、離島振興法の離島振興対策実施地域、そして半島振興法の半島振興対策実施地域、そして山村振興法の振興山村、そして個別的な地域を特定しました奄美群島振興開発特別措置法、小笠原諸島振興開発特別措置法、そして沖縄振興特別措置法、そういうことを含めるということになります。

 まず、過疎地域につきましては、郵便局数で申し上げます、概数で申し上げますが、過疎地域自立促進特別措置法が約五千三百五十でございます。離島振興法の離島地域、これは先ほどの奄美、小笠原、沖縄の離島に存在する郵便局を含みますが、約五百七十でございます。そして半島振興法の半島地域、約二千二十でございます。そして山村振興法の振興山村、約三千五十でございます。

 上記地域の合計で、重複を除いた数として、現時点で約七千二百二十局になるというふうに考えております。

川内委員 その七千二百二十局という局数が、今御答弁があったわけでありますが、設置基準の中に数字として盛り込まれるのは、数量的な概念としては、各市町村に一つ以上という数字の概念があるわけでございますけれども、市町村合併でどんどんどんどん市町村の数も減っているし、そうなると、ただ市町村に一つ以上という基準では、とてもとてもこの七千二百二十という局数は守れないわけであります。

 したがって、ドイツのように、二千メートル以内にという言い方だったかどうか、二キロごとにという言い方だったかどうか、そこに一つとか、あるいは経済財政諮問会議では、一・一キロメートルごとに一つはなければならないんじゃないかというような議論もあったようであります。

 総務大臣、竹中大臣でも結構ですが、過疎地における郵便局のネットワークの水準を維持するという政府の御答弁の中には、七千二百二十局というこの数字を守るという趣旨が含まれているのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

竹中国務大臣 過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするというふうにしております。これは、現行の設置基準、いわゆる郵政公社法の施行規則第二条の表現を踏まえたものでございまして、具体的には、郵便局会社法の施行、平成十九年四月一日を想定しておりますが、この時点の過疎地における郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とする、そういう意味でございます。

 同時に、今委員数量的なことをおっしゃいましたが、数量的な基準は云々という御発言をされましたが、これはもちろん、単に各市町村に一以上の郵便局があればよいとされているものではなくて、当然のことながら、他の基準、地域住民の需要に適切に対応することができるように設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること、そのような基準を同時に満たしていなければいけないということでございます。

川内委員 いや、私が聞いているのは、在り方懇の中のもう一つの記述に、「求められる事業体としての対応の柔軟性」というところに、「市町村合併、JA等の合併および民間企業のリストラの進展により、郵便局ネットワークの重要性は増している。」、「郵便局ネットワークの重要性は増している。」というふうに書いてあります。

 さらに、先日、総理御出席の上で開かれた本委員会の中で総理がどのようにおっしゃっていらっしゃるかというと、総理は、大まかな方針を三つ出したと。一つは、郵便局がなくなると誤解をみんなが持っているから、郵便局の機能、今の郵政サービスというのはなくならないということを方針の一つとして出したんだというふうにおっしゃっていらっしゃる。総理の方針というのは、この在り方懇の「郵便局ネットワークの重要性は増している。」ということを踏まえて、郵便局はなくならないんだ、郵政サービスはなくならないんだということをおっしゃっていらっしゃるわけです。

 そういう意味では、今の竹中大臣の御答弁は非常に不十分。私がお聞きしたのは、この七千二百二十という郵便局、過疎地における大変に重要な生活のインフラであるこの局数を基準として、その数量的な概念が過疎地における郵便局ネットワークの水準の維持という言葉の中に入るのかということをお聞きしているわけですから、入るのか入らないのかということをお答えいただきたいというふうに思います。

 これは、国民の皆さんが大変に関心のある部分だと思うんですね。麻生大臣は、過疎地はサービスが悪くなる、何千局と減るんじゃないかというような御心配も経済財政諮問会議でされていらっしゃいます。

 したがって、この部分は、七千二百二十は守られるんだということなのか守られないのかということをはっきりお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 過疎地については、繰り返しになりますが、法施行の際に現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするというふうに、しっかりと省令をつくりたいというふうに思っているところでございます。

 そういうことによって、法施行の際、これは十九年四月一日の時点の過疎地における郵便局ネットワークの水準をしっかりと維持していきたいというふうに考えているところでございます。

川内委員 いや、ここは大臣、法律の中で唯一、政府が郵政民営化をするという政策をおとりになられたわけですから、その政策をおとりになられた中で、郵便局が今後どうなるのかということについて、国民の皆さんが非常に関心を持っていらっしゃる部分なんですよ。

 果たして便利になるのか不便になるのか、それが、先ほど申し上げた法と経済学の観点に照らして、メリット、デメリットを比較考量して選択するということにつながるわけですから、そういうあいまいな、抽象的な表現ではなく、七千二百二十という局がどうなるのかということはしっかりとお答えいただかなければ、これは法律の議論をしているわけですから、国民の皆さんに対してしっかりと説明責任を果たしたということにはならぬと思いますし、これ以上審議ができないということになろうかと思います。

竹中国務大臣 この問題については、まさに法律でございますので、法で省令を定めるつもりでおりますが、法で規定しようとしておりますのは、郵便局会社法の施行、平成十九年四月一日の時点の過疎地における郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということを明確にしたいというふうに思っております。

 公社は、今も公社としてきっちりと店舗の維持、必要な統廃合等々行っているわけでございますけれども、その状況で今、七千二百二十が我々が想定している地域の中に存在しております。したがいまして、平成十九年四月一日の時点で過疎地に現に存するものを維持するということになると思いますので、決してこの地域に不便は生じない、おおむねこの水準が維持されるというふうに考えております。

川内委員 いや、竹中大臣、「郵便局ネットワークの重要性は増している。」と。これは将来にわたって増していくわけですよね。法施行のときにその重要性が極大化するわけではなくて、法施行以降も郵便局ネットワークの重要性はあるわけです。ですから、私が申し上げているのは法施行の時点のことではなくて、法施行後、将来にわたって郵便局ネットワークがしっかりと守られるのか否かというところをお答えいただかなければならないわけであります。

 そしてさらに、郵便局ネットワークの水準の維持という言葉は定性的な言葉であって、数量やあるいは数をあらわす物理量をあらわしてはいないわけです。私が聞いているのは、郵便局ネットワークの水準の維持という言葉の中に七千二百二十という定量的な数字の概念がしっかりと入っていますかということを聞いているんです。そして、それが将来にわたって、政府が方針として法令上に規定できるのは郵便局の設置基準なんですから、郵便局の設置基準の中にしっかりと書き込めばそれは守られるわけですから、政府ができる唯一のことですよ。それをお答えいただきたいということを申し上げているんですよ。

竹中国務大臣 私が答弁させていただいて、その後麻生大臣からもフォローしていただきますが、平成十九年四月一日の時点、公社から民営化される時点でこの地域に七千二百二十の今のそれが存在しているというふうに考えるならば、これはまあ、いろいろな事情も個々にはございますでしょうから、一局たりとも数字が変わらないとは申し上げませんけれども、過疎地においてこのような現状のネットワークが維持されるということでございます。

 そして、その後につきましても、これは設置基準ですから、その時点だけではなくて、その後についてもこの省令に定めて設置がなされていなければいけませんので、そういう姿が継続的に当然のことながら維持されるということでございます。

麻生国務大臣 川内さんのところに同じ字を書いてセンダイという場所がありますが、二万四千六百七十八と今言われましたけれども、平成十四年末は二万四千七百五十二でした。その次の平成十五年は二万四千七百十五。そして平成十六年末で二万四千六百七十八。今、現状でも毎年三十七減っているんですよ。今ふえているわけじゃありませんからね。これだけは頭に入れておいていただかぬと。

 一軒たりとも減らないと言われても、それは今、現状でも減っているんですから、何となく言葉がひとり歩きすると、ああいう学者みたいな人はきちんとこれしか考えられぬから。私らのような政治家だと、それはおまえ、一軒なりともということはなかろうというお互いの暗黙の話ができるけれども、なかなかそうはいかないから、なかなか……(発言する者あり)こっちの方の話ですからね。だから、それはなれの問題もあろう。すれていないから、お隣みたいに。

 だから、私の方としては、今の現状でも減っているんだということを忘れないでおいてもらわないと、今では一軒も減っていないんだ、民営化した途端にばたばたっと減ったということじゃありませんから。今でも既に減っております。

 理由は、よく考えていただくとわかりやすいんだけれども、田舎で減っているかというと、田舎じゃ余り減っていない。むしろ都市部の方で減っておる。理由は簡単。デパートの中に簡易郵便局があった。その簡易郵便局は、デパートがなくなったら簡易郵便局がある必要がないから簡易郵便局はなくなる。こういう話が実は数を挙げるといっぱい例がありますので、それをちょっと一律にこれだと言われちゃうと、なかなか難しいということを申し上げようと思っております。

川内委員 いや、総務大臣、私は一局たりとも減っちゃいけないとか減らしちゃいけないということを申し上げているわけではないんです。

 要するに、設置基準というのは政府がお決めになられる基準でありますから、命令として、総務省令としてお決めになられるわけですから、そういう意味では、ある程度その設置基準を細かく配慮することによって郵便局の減少を、今でも自然に減っているということでしたから、その減少を、しっかりと地域の住民の皆さんの利便に支障が出ないような範囲で設置基準というものをお決めになられることができるでしょうと。

 それは、今の総務省令というのは、公社、要するにパブリックサービスとしての公社の郵便局の設置基準ですから、民営化されたらこれは資本の論理になるわけですから、それはどんどん、どんどんという言葉は不適当かもしれないですが、さらにその減少するスピードはふえるかもしれないんですよ、加速度がつくかもしれぬ。そういう懸念があるので、その設置基準をより細かく規定して、この七千二百二十というものがなるべく減らないような設置基準をお考えになるべきではないですかということを私は御提案申し上げているんです。

麻生国務大臣 これは私が直接答えるのもいかがなものかと思いますが、担当の竹中大臣と話した上でお答えをさせていただきたいと存じます。今言われるのはごもっともですと思っております。

 基本的には、今言われましたように、七千飛んで幾つかのその数字、いろいろありますが、現状の今の法律でも、三千百八十一が一千八百二十二ですから、千三百ぐらいの郵便局は今減らしても別に法律違反じゃないんです、今はっきり申し上げて、町村合併しておりまして、それに基づいていますから。

 しかし、先ほど一川さんだったかどなたかの御質問の中にあったと存じますが、基本的には、郵便局というものはその地域のコミュニティーとして、必要不可欠は言い過ぎかもしれませんが、極めて重要な位置を占めますので、そこで、その地域の中心にあった村役場、町役場がなくなるといった後に、極めて人口減が、人口の全体量も減っていますけれども、その地域における過疎化がばっと急激に進む。そうすると、その地域から移動できない高齢者のみが残るという人たちにとっては、バスがなくなる、交通の便もぐあいが悪くなる、運転もできない等々、いろいろな非常に不便が生じる中にあって、これで郵便局となりますと、恩給の受給もできない等々いろいろな不便ができるのをどうだというお話なんだと存じますので、そこらのところに関しましては、きちんと郵便局を残して、郵便局は残るわけです。

 そうすると、次に、金の受け払いはどうする、それは民間の話じゃないかということが、多分御心配なところ、よく言われるところなんですが、郵便局というもの自体は残りますから、基本的には。それは法律で、七千に限らずいろいろ残るわけですから、そうすると、郵便の受け払いだけやったってだめよと。そのほかに、今までどおり、例えば恩給、例えば保険、いろいろなものがあるという話になる。

 それは民間の会社との代理店契約ではないか、だから切られるかもしれぬというお話になるんですが、本社同士で契約をして、二万四千七百の個別と一軒一軒代理店契約をしているわけではありませんから、少なくとも、この一軒でどうのこうの、これが赤字になったらどうのこうのじゃなくて、ここで百万円の新しいものの保険が入ってくれば、それに応じてパーセント幾らは必ず入ることになりますから、少なくとも、動かない、そこにありますものに関しましては。別に、郵便貯金会社、保険会社にとりましてはコストはほとんどかからぬ。そこで契約が成り立ったら幾ら、出来高払い、いろいろなやり方があろうと思いますので、むしろ二万四千七百あります支店が……(発言する者あり)ちょっと、質問している間に裏からがちゃがちゃ言わぬでくれる、小沢さん。

 だから、そういう意味では、きちんとした形になるのではないかということで、絶対量というものが急激にばあんと減るなどということは、可能ではありますよ、もちろん。だけれども、商売していれば、二万四千七百あるから入ってくる話ですから、それがなくなるというのはちょっと常識的には考えられぬのではないかと、元経営者としてはそう考えますし、事実そういうことになるのではないかと思っております。

川内委員 大臣、私の申し上げていることと大臣がおっしゃっていることはほとんど一緒だと思うんですが、ただ、私が申し上げているのは、要するに、心配がないとおっしゃるのであれば、法律上でもそれを担保するような設置基準、総務省令というものをおつくりになるべきでしょう、それが国民の皆さんに対する安心を与えることになるのではないでしょうかということを申し上げているわけでございます。

 それは、この七千二百二十局という郵便局は減らない、しかし、今でも減っているというふうにおっしゃる。水準はそんなに急激には変わらないんだと総務大臣はおっしゃられたですね。ところが、本委員会の議論では、都市部においては減るかもしれないということは言われています。しかし、過疎地においても減るかもしれないということは、いまだかつて政府側からは答弁として出ていないわけです。だから、過疎地においても減るかもしれないということは正直に言わなきゃいかぬと思うんです、デメリットとして。

 それは、竹中大臣、過疎地においても郵便局は減るでしょう、それはある程度いたし方のないことだ、民営化するんだから、そういうふうに言わなきゃいかぬですよ。

竹中国務大臣 これは先ほどから答弁させていただいておりますが、法施行の際、現に存する郵便局ネットワーク水準を維持するということでございますから、これは今でもいろいろな判断がありますから、一局たりとも数字が変わらないというふうには申し上げられませんけれども、今、七千二百二十この地域にございます。恐らく、これは法律事項ではございません、私の認識でございますが、十九年四月一日でも七千二百程度当然あるわけでございます。この水準について、局数については、いろいろな事情で一局たりとも数字が変わらないとは申し上げませんが、この局数の水準を維持することを旨とするということを省令できちっと定める。省令でこれは定めますので、そこは今と同じでございます。

 かつ、これは民間の企業だとはいいましても特殊会社でありますから、この省令に基づいてきちっと設置されているかどうか、総務大臣に一般監督権限がございますから、場合によっては命令を出すこともできるという仕組みでございますので、これは公社から民間への移行時点にその水準をしっかりと保って、しかもそれを維持するような形、そういう形でしっかりと、過疎地の利便が決して低下しないように担保できていると思っております。

麻生国務大臣 過疎地において減るかもしれぬじゃないかということを言うべきだと。私も、一町村全部なくなった、無人になった村というのを知らないわけじゃありませんから、そこに郵便局が昔ありましたので、そういった例も決してないわけじゃないと思いますので、一局たりとも減らせぬなんて、そんなむちゃなことは言うとらん。川内さんがおっしゃるから、私どもの方も、過疎地においてはそういった一局も減らないと正直に言うべきだというのはまことにごもっともだと思うんですが。

 今書かれております総務省令の案というものを見ますと、一番のところに、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、これはでかいですよ。二つ、過疎地については地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることというのがきちんと書かれていますので、それからいきますと、今言われたように、私どもとしては、民営化後においても少なくとも需要に対応せないかぬということと、今でも一市町村に一つになっていますから、それにも対応せないかぬとか、それから容易に利用とか、幾つかきちんと書いてありますものがそのままに使われることになろうと思いますので、私どもとしては、全国に関しまして、また過疎地に関しましては、今の水準が維持できるということが担保されるように御理解いただいてよろしいんだと存じます。

川内委員 今麻生大臣から総務省令の案がお示しをされたわけでございますが、ぜひ私どもにもそれをちょっと見せていただいて、議論に供していただきたいというふうに、委員長、お願いをさせていただきたいと思います。

二階委員長 後刻理事会において協議をいたします。

川内委員 いや、うちの方からは何か出していないという、二百幾つあるそうですから、ぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 私は、どちらにせよ、過疎地に住まう皆さん方の生活が不便になっちゃったら、これはもう民営化の意義は全くなくなるわけですから、それをどう担保するのかということについては、法律事項としては郵便局の設置基準というものが決定的に重要である、ここは認識を共有できると思います。

 そこにどういうふうな書きぶりをするのかということについて、現状では、竹中大臣も総務大臣も定性的な、概念的な言葉でそれを担保して、だから大丈夫なんだ、安心しろというふうにおっしゃる。しかし、国民からすれば、適切に配慮するとかあるいは便利なようにとか、それでは、車で十分走れば郵便局に行ければ、ある人にとっては便利だ、しかし、歩いて行く人にとっては、車で十分といったら歩けば二時間ぐらいかかるでしょうから、不便だということになるということで、言葉では概念の幅が広過ぎると思うんですよ。だから、その設置基準の中に、例えば経済財政諮問会議でも出ていたように、一・一キロメートルに一つとか、そういうさらに細かい決めをおつくりになられたらいかがかということを御提案申し上げているわけでございます。

 この問題については、本委員会は恐らくあと百日間ぐらいは続くでございましょうから、まだまだ私もこれから、きょうこれは一部でございますから、私一人でも多分あと十時間でも二十時間でもできますので、この設置基準については、きょうは麻生大臣も竹中大臣も、私の主張に対して、今の書きぶりではもしかしたらちょっと不十分かもしれないなということぐらいは思っていただけたのではないかなというふうに思うので、次の課題に移らせていただきます。

 先ほど麻生大臣が、一括で契約するんだというふうにおっしゃいました、郵便局会社と。これは、すべて一括契約、すべての郵便局と貯金、保険の代理店契約を結ぶというふうに考えてよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 商売をしているわけなので、その郵便貯金会社というものは、これは支店がないわけですから、少なくとも現状では。二〇〇七年四月現在では多分、支店が一つもありませんから、そのためには、本店だけで二百二十兆じっと持っていたって、それはなかなかということになろうと思います。かつ、いろいろな意味でお金を、政府保証のついているものがどんどん減っていくわけですから、それにかわって政府保証のついていない預金を集めないかぬという部分が新たに出てくる仕事にもなろうと思います。

 そういった意味では、支店を持っておられるところと契約をして、いろいろ商売をするということになりますので、郵便貯金会社とそこの窓口をやります会社との間の契約ということになろうと存じます。

 その中で、二万四千七百のあれが、今また三十七ずつ減っていきますと、どれくらいになっているかちょっとわかりませんけれども、その段階でどういうことになっているかは別にして、少なくとも、本社同士で多分契約をすることになりまして、支店一軒ずつ別々に契約をしていくわけではない。これは、基本的に普通の契約はみんなそうなっておりますから。

 そうすると、たまたまここが赤字、川内で赤字だけれども福岡じゃ黒、いろいろ地域によって違うでしょうが、この黒の部分で赤を埋めることになりますし、その赤の部分をきちんと埋めていくことになるというのが基本的な商売なんだと思っております。

 では、これをやめればいいじゃないかという御意見をお好きな方もいっぱい世の中にはいらっしゃいますが、それがなくなると、今度は集める方は、そこから小口で集まってくる部分が集まらなくなる。では集めるコストは何かといえば、別に自分たちの社員を持っているわけではありませんから、そこが集めていただくことになりますので、直接コストがいきなりかかるわけではないというように思いますので、私が商売をしていた場合は、少なくとも出来高払いみたいな形になりますので、そういった形のものを残すのが通常だと思っております。

川内委員 では、総務大臣は、麻生大臣は、一括契約をするのが普通だろうというふうに御答弁されましたが、竹中大臣、法的に安定的な代理店契約をすることによってみなし免許を付与するという法律の書きぶりは、一括ですべての郵便局をカバーする代理店契約であるということを担保していますか。保険も。

竹中国務大臣 今般の法案において、郵便貯金銀行ないしは郵便保険会社に対してすべての郵便局を代理店とする旨の契約をみなし免許の条件とする、そのことを個別に条件として求めているわけではございません。

 しかし、お尋ねのように、長期で安定的な契約の中にそのようなものは商売の実際としては当然に入ってくるだろうというのが先ほどの麻生大臣の答弁であったというふうに思います。

 通常でありますと、これは一括で、一括して、窓口はないわけであります。三月三十一日まで全国の窓口から小口の預金を集めて持ってきて入れる。そして四月一日以降も同じような、ビジネスを続けるに当たっては、そういうこと、一括契約するということが当然のことながら想定される、そのことを申し上げているわけでございます。したがって、結果的には、全体として一括して、そして全国的な店舗網をカバーできるような契約が結ばれるものというふうに思っております。

川内委員 いや、だから、竹中大臣、みなし免許の付与は、長期安定的な代理店契約があればいい、したがって、すべての郵便局をその代理店契約の中に包含している必要はないという御答弁でよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、すべての郵便局を代理店とする旨の契約を条件としているわけではございません。あくまでも長期安定でございます。

 しかし、結果的に、一括的な契約を結ぶことによってすべての店舗がカバーされるというふうに考えているわけでございます。

川内委員 委員長、みなし免許の付与の時点においては、これは政府の承継計画に基づく認可事項ですから、総務大臣と竹中大臣の見解が違うというのは見解の不一致ですから、答弁をしっかり確定させていただきたいというふうに思います。

二階委員長 後刻、理事会において協議します。

 質問を続行してください。川内博史君。

川内委員 では、麻生大臣、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

麻生国務大臣 一括とすべてとは単語の意味が違って当然でしょう……(発言する者あり)当たり前だろう。だって、一店たりともなんということは言わないと言ったんだから、さっき。(発言する者あり)全部かといったら、一店でもだめですよ。一店にはこだわらない、一店までこだわらないと言われたでしょう。すべてといったら一店もこだわりますから、だから、一括してとしか、ほかに僕は単語を知りませんので一括してと申し上げたのであって、一店たりとも欠けちゃいかぬということ、そんなむちゃなことは言わぬとおっしゃったから、私はすべてという言葉は使えないじゃないですか。

 きちんとした日本語でいくとそういうことになりますので、一括してと申し上げているのはそういうことです。基本的には、どんどん減らしていったら商売になりませんから。

川内委員 そうすると、やはり先ほどの郵便局数のところとかかわってくるわけですよね。

 結局、代理店契約をする場合に、すべての郵便局ではないことが想定をされる。要するに、不採算なところは金融をやらないわけですよ。違いますか。不採算だから代理店契約の中に入らないんじゃないんですか。

 では、金融担当大臣、どうですか。

伊藤国務大臣 先ほど竹中大臣が御答弁されたように、今般の法案においては、郵便貯金銀行に対してすべての郵便局を代理店とする旨の契約をみなし免許の条件とするものとなっておりませんが、今般の郵便貯金銀行に対するみなし免許につきましては、前日の十九年三月三十一日まで公社が基本的にすべての郵便局で金融業務を行っていたことを前提として、これを切れ目なく円滑に承継させる観点から行われる。したがって、円滑な業務運営や経営の健全性を確保する観点が必要となることから、安定的な代理店契約を条件とするものであります。

 すなわち、全国津々浦々でひとしく受けられるサービスを、基本的には支店を有さない郵便貯金銀行が提供しなければならないということであり、郵便貯金銀行は郵便局ネットワークと同程度のネットワークを活用することが必要となるわけであります。したがって、郵便貯金銀行がこのようなネットワークを自前で整備することは膨大なコストを要するため、現実的には、郵便貯金銀行は現行の郵便局ネットワークを活用することになり、すべての郵便局が郵便貯金銀行の代理店業務を行うことになるものと考えております。

川内委員 いや、だから、みなし免許を付与するに当たって……(発言する者あり)

二階委員長 御静粛に願います。

川内委員 もっと国民の皆さんにわかりやすく、金融担当大臣、私でさえ今の大臣の御説明はわからぬかったですよ。多分これはたくさんの国民の皆さんが見ていると思うんです。その国民の皆さんにわかりやすく御説明をいただきたい。

 みなし免許を付与するに当たって、政府は方針として、すべての郵便局を代理店とすることを方針にするんですかということです。

伊藤国務大臣 大切な答弁ですから正確に答弁をさせていただきますと、すべての郵便局を代理店とする旨の契約をみなし免許の条件とするものとはなっていないわけです。

 しかしながら、みなし免許については、公社が基本的にすべての郵便局で金融業務を行っていくことを前提として、これを切れ目なく円滑に承継させる観点から行う。したがって、円滑な業務運営や経営の健全性を確保する観点が必要となることから、安定的な代理店契約を条件とするものであるわけであります。

 現実的には、郵便貯金銀行は現行の郵便局ネットワークを活用することになりますので、すべての郵便局が郵便貯金銀行の代理店業務を行うことになると考えております。

川内委員 要するに、全部じゃないということですよね。(発言する者あり)いや、だって、大臣、金融担当大臣、全部だったら、手数料を赤字の補てんみたいに払っちゃったら、それは金融監督上問題になるでしょうし、郵便貯金銀行だって、株主から、そんな払っちゃいけないような手数料を払っちゃだめだというふうに言われるでしょう。それで赤字になっちゃったりしたら業務改善命令というようなことにもなるわけです。また、財務大臣、そこで首を回していらっしゃいますが、利益の移転みたいなことをすると、これは税法上も問題になるでしょうからね。

 そういうもろもろを考えれば、全部が代理店になるということはあり得ないですよね。

麻生国務大臣 あらかじめお断りしておきますけれども、伊藤大臣の答弁は間違っていません。

 ただ、あなたのおっしゃるように、もうちょっと因数分解して、算術、算数にしてわかりやすくしない限りはわからぬじゃないかと。おれでもわからないんだから、おれはラ・サール高校だと言いたいんだろうけれども、それはわからぬことはない。そういう気持ちで言うんだろうかもしれぬけれども。

 私から言わせていただくと、まず、ちょっと川内さんにお断りしておきますけれども、今二万四千六百七十八と言うけれども、その中でも、いわゆる貯金を扱っていない郵便局というのはあるんですよ。それは御存じですね、今でもありますから。そこは間違えないようにしようね、お互いさま。これで後々数字をひっかけられちゃかなわないからね。だから、お互いさま、きっちり正直なところを言っているんだ。

 今、二万四千百五十四局、これしか郵便貯金を扱っていない。多分保険はもっと少ないと思いますけれども、ここにちょっと今その数字を持っていないので、二万四千百五十四が郵便貯金を取り扱っている局です。今でもないんだから。だから、今二万四千六百七十八で、仮にこのまま残ったとして、再来年の四月の段階で幾つ残っているか知りませんが、その段階でも多分、今の数字はこれですから、このまま横に流れたとしても足りませんから。という点もあらかじめ考えておいた上でいきますと、すべてと言われると二万四千六百七十八が生きてきちゃうことになるので、そうすると、そこはなかなか難しいから一括してとしか申し上げようがないんですということを言っておるわけです。

 どこがおかしいのかがわからぬ。正しいでしょう、これは正しいと思っていますよ。だから私は、川内さんなら、お互いさま、商売をやってたらわかるだろうと思うので。

川内委員 今、大臣の御説明で私はさらにわからなくなってしまったんですが、すべての郵便局と代理店契約を結ぶわけではない、それが法律の条件にはなっていないということですよね。それであれば、あとは不採算な地域は削られていくことになると思うんですよ。

 これはちゃんと、郵政三事業の在り方について考える懇談会の報告書の中にも正直に出ています。それはどういうふうに書いてあるかというと、「郵貯・簡保廃止による」、まさしく今回の法案ですよね、郵貯法、簡保法を廃止して完全民営化する場合、「第三類型」「事業基盤と成立性」というところに「郵貯・簡保の廃止により、事業基盤はスリム化と同時に脆弱化する懸念がある。」と。これはもう、郵貯、簡保の廃止により事業基盤はスリム化すると、この在り方懇の報告書に明確に示されているわけであります。

 そういう意味では、貯金、保険の代理店契約を郵便局に対して義務づけるものではないという政府の見解は、先ほどの郵便局数の議論とも絡みますが、これはどうしたって地方においても郵便局数は減るんですよ、減らさざるを得ない状況になる。だって、事業基盤は脆弱化すると書いてあるわけです。これに基づいて制度設計されているんでしょう。違うんですか。

竹中国務大臣 委員先ほどから在り方懇の御紹介をしてくださっていますが、これは田中直毅さんが座長になった、その在り方懇でございますよね。

 これは、在り方懇でいろいろな御議論をいただいた上で、それでたしか、ちょっと私は手元に資料がございませんが、三類型か何かでやった。その場合に、たしかおっしゃるように廃止というようなものもその中にはあったと承知をしております。

 その在り方懇の議論でいろいろな素材を出していただいていますけれども、そのうちの何かの一つのパターンに基づいて、これが基本設計、基本方針になっているということでは全くございません。

 これは、田中座長には経済財政諮問会議においでをいただきまして、これまでのいろいろな議論についての御紹介はいただきましたが、私たちは、むしろ廃止ではないわけですね。これは郵貯銀行、簡易保険という形で、民営化されて、廃止しないで残っていくわけでございます。会社として残って、その会社と、郵貯銀行と郵便保険会社と委託契約を結んで、しっかりとその中で地域においてサービスが提供されているということでございますから、これは、分社化をしますけれども、廃止ということ、その類型では全く違う考え方であるというふうに思っております。

川内委員 いや、竹中大臣、そこまでおっしゃられると、ちょっと違うと思いますよ。

 だって、郵貯法、簡保法も廃止されるんでしょう、今回。なくなるわけでしょう。郵貯銀行、郵便保険会社は別に、商号は全く違う商号になるはずじゃないですか。そんな郵貯銀行とか郵便保険会社なんという銀行名や保険会社名があるわけがないじゃないですか。そんなもの、例えば何とか銀行とか何とか保険会社と別な名前になるわけですよ。郵貯、簡保は廃止されるんですよ。それを存続するなんてこんなところでおっしゃられるのは、これは国民を愚弄する御答弁だと思いますよ。郵貯、簡保は廃止されるんですよ。廃止でしょう。

竹中国務大臣 郵貯法が、法律が廃止されるというのはそのとおりでございます。同じように公社法も廃止されるわけでございますけれども、では郵便事業はどうなるかというと、郵便事業株式会社ということで、まさに民営化されて引き継がれる。同じように郵貯も、郵貯法は廃止されますが、郵貯の資産も含めて、機能も郵貯銀行という形で民営化されて存続する。保険も同じ。これは基本的には、公社法もなくなるということから考えて、今のように、私たちは民営化されて存続するというふうに理解をしております。

川内委員 いやいや、民営化されて郵貯、簡保が残るってどういうことですか、それは。民営化されたら普通の預金と普通の保険になるんであって、郵貯、簡保が残るという言い方は、それは絶対撤回してもらわないと、法律の議論にならないですよ。

竹中国務大臣 郵貯が残るということではございません。そこの資産が引き継がれて、それが民営化会社になって、それで、これはここの法律上の言葉でございますけれども、郵便貯金銀行、郵便保険会社という形になる、そのように申し上げているわけでございます。正確には、御指摘のとおり、郵貯が残るということではございません。

川内委員 だから、竹中大臣、僕は、私の持ち時間がそろそろ終わりますので、またこの次にしっかり議論をさせていただきたいと思いますが、これは大改革であるということは間違いないと思うんです。それは私も、大変なことをされるなというふうに思いますよ。だから、それであればなおさらのこと、冒頭申し上げたように、メリット、デメリットをしっかり議論して、国民の皆さんに理解をしてもらって進めていかないと、今の竹中大臣のような、いや、郵貯も残るんだ、簡保も残るんだというようなことを簡単におっしゃられるようでは、それはちょっと違う議論になってしまうんじゃないかなというふうに思うんです。

 私のような者が大臣に御意見を申し上げるのは大変僣越ですが、あえて申し上げさせていただくと、郵貯、簡保はなくなって、全く新しい普通の銀行、普通の保険会社で、もともと郵貯なり簡保なりというのは独立行政法人に移されて、そこが貯金するわけですから、そこが預けるわけですから、これはもう郵貯銀行、郵便保険会社というのは全く民間の銀行、保険会社になるということだし、では、そこと郵便局会社あるいは郵便事業会社とのかかわりはどうなのか、国民の利便がしっかり守られるのかどうかというのは、私はこの委員会を通じてしっかりと議論をさせていただこうというふうに思っておりますので、また次回よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日、株式保有と独禁法の関係について質問をいたしました。公取の説明のところで時間切れになりましたので、引き続きただしたいと思います。

 問題は、持ち株会社である郵政会社が民営化された郵貯銀行の株式を買い戻す場合、どの程度まで保有が許されるか、これがポイントであります。

 きょうも同じ資料を配付しておりますけれども、郵政民営化準備室がこれまで自民党や国会に説明をしてきたのは、この資料二というふうに番号を振っておりますが、書かれておるものであります。「銀行及び保険会社の株式については、日本郵政・郵便事業・郵便局の三会社合計で二五%超の議決権を保有する場合、独占禁止法第九条(ガイドライン)に抵触する。」ということでありました。要するに、三社合計で二五%以上の株式保有は独禁法上できないという説明であります。しかし、昨日、公正取引委員会の説明では、実態も見て判断するということでありました。

 そこで、改めて公正取引委員会に確かめたい。

 公取の提出された資料を配付資料三としてお配りしておりますけれども、資金取引で他の事業者に著しい影響を与えるような銀行だけが規制の対象になるということなのでしょうか。そうなのかそうでないのかということだけ、端的にお答えいただきたい。

伊東(章)政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法第九条は、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等を禁止しておりまして、どういう場合が事業支配力の過度の集中になるかということも法律で定義しておるところでございます。

 その中に三点ございまして、今御指摘のものは、二点目の、これらの会社の資金に係る取引に起因する他の事業者に対する影響が著しく大きいことにより、国民経済に大きな影響を及ぼし、公正かつ自由な競争の促進の妨げとなること、これを事業支配力が過度に集中することとなる場合の一つの類型として法律で定義しておるものでございます。

佐々木(憲)委員 つまり、規制の対象になるかどうかというのは、そのときの郵貯銀行の貸し出しの具体的実態に基づいて判断されるということであります。つまり、民営化された郵貯銀行が一気に十兆円以上の貸し出しをどんと行って他の事業者に著しい影響を与えるような場合、そういう場合は独禁法の規制の対象になる、そうでなければ対象にならない。

 公正取引委員会にお聞きしますけれども、郵貯銀行がたとえ十五兆円を超える資産を持っていても、貸出金額が少なく、影響が大きくなければ、そもそも独禁法上の規制対象にはならないということでよろしいですね。

伊東(章)政府参考人 お答えいたします。

 法律の禁止しております事業支配力が過度に集中することとなる場合というのは先ほど申し上げたとおりでございまして、それに該当するかどうかで判断するということになるわけでございます。

 郵貯の場合につきましても、現在の第二類型につきましては、これは昨日も御説明させていただきましたが、都市銀行を念頭に置きまして、都市銀行が企業グループの中心になっている、あるいは融資による影響力が大きいというようなことを踏まえて、都市銀行を対象に立案されたものでございますので、それと同じような状況にあるかどうかということが判断の一つのポイントになろうかと思っております。

佐々木(憲)委員 要するに、ここのポイントは、独禁法の規制対象になるかどうかというのは、融資の規模が都市銀行並みに大きな規模である場合なんですよ。つまり、郵貯銀行というのは、今は貸し出しゼロですからね。これがどんどんどんどん貸し出しをふやしていく。しかし、そう簡単にふえるという展望はないと私は思うんです。そうなると、独禁法の対象にならない。ならないとすると、どの法律の規制を受けるのか。そこで問題になるのは銀行法であります。

 そこで、所管の伊藤大臣にお聞きしますが、持ち株会社が事業会社と銀行をその傘下におさめている場合、銀行法上では上限規制は何%なんですか。

伊藤国務大臣 お答えをいたします。

 一般事業会社を子会社とする持ち株会社の場合には、議決権の五〇%を超えて銀行の株式を保有することはできないとされております。

佐々木(憲)委員 五〇%ということであります。いろいろ条件はありますけれども、五〇%までは保有可能だと。

 ということは、竹中大臣、これまで自民党に説明し、国会に説明してきたのは、二五%を超える株を保有すると独禁法に抵触するという説明をされてきたんじゃありませんか。公取の見解とは全然違う説明をしてきた。公取に有権的解釈権があるわけですが、つまり、これまで国会に間違った説明をしてきたということになるんじゃありませんか。

竹中国務大臣 昨日もこれがありましたときに、私は、独禁法の九条、ガイドラインに抵触する可能性があるというふうに御説明をさせていただいております。

 どのような御説明、タイミングのお話か、いろいろなレベルでの御説明があったかと思いますが、もし抵触するというふうに申し上げておれば、ないしはそういう資料があるとすれば、御指摘のとおり、それは若干舌足らずであると思います。

 私どもは、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 今まで、この配付した資料を見てください、こういうふうに書いているんですよ。独禁法、三社合計で二五%超の議決権を保有する場合、独禁法第九条(ガイドライン)に抵触すると。少なくとも私は、このファクスの日付を見ていただきたいんですが、四月十三日にはこの資料で説明していたんです。ずっとこれでやってきたんです。だから、みんな二五%だと思っているんだよ。ところが、実際は五〇%まで可能だ、伊藤大臣、そう答弁された、銀行法では。

 つまり、独禁法上の対象にならなければ銀行法の対象。郵貯銀行が貸し出しが、グループ内の事業会社にその貸出量が著しく大きくなって、ほかの事業会社に影響を与える、そういう場合には対象になる。しかし、郵貯銀行はそうなっていない。それは簡単にはいかないですよ、何十兆も。急には貸し出しはふえない。そうなると独禁法の対象にはならない。したがって、五〇%まで株が保有できる。

 つまり、今まで説明してきたこと、この資料の二、これはうそだったということになるんじゃありませんか。この点について責任をどうとるんですか。

竹中国務大臣 この紙がどのようなタイミングで議員に御提出させていただいた資料か、ちょっと今はわからないのでありますが、これは御指摘のとおり、記述に関しては若干舌足らずであると思います。

 私どもも、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。昨日もそのように御答弁をさせていただいております。

佐々木(憲)委員 可能性があるということと抵触するということは全然違う、全然違うんですよ。

 では、いつまで違反になるという説明、この紙を配ってきたんですか。可能性があるというのは、いつから説明を始めたんですか。はっきりさせてください。

竹中国務大臣 ちょっとこの四月の紙のことは今直ちによくわからないのでございますが、これは、私としましては、昨日の御答弁で正確に、独禁法第九条に抵触する可能性があるというふうに御答弁をさせていただいたと思っております。

佐々木(憲)委員 抵触するという説明をずっと続けてきたんですよ。いつから可能性があると変わったんですか。

 これは、郵政事業が民営化された後に、郵貯銀行を実質子会社にできるかどうかにかかわる問題なんです。つまり、グループ経営が可能なのか、そうではないのか、その分岐点なんです。百八十度違う結論になるんです。あなた方にとっては、民営化のあり方の根本にかかわる問題じゃありませんか。これまでの説明では、公取の見解とは全く違う説明をしてきた。

 私自身は、民営化そのものにはもちろん反対であります。今の公社の形態で国民のための改革を進めるというのが我々の立場ですが、私が問題にしているのは、内閣の説明、大臣の説明がくるくる変わったのでは、まともな審議ができないということなんですよ。

 私は、ここにもう一枚、最近準備室から受け取ったペーパーを持っております。そこには何と書いてあるかというと、独禁法第九条に抵触する可能性があると書いてある。全く同じ「株式保有に関する一般的規制について」という表題の一枚紙です。ほかはほとんど同じ、ここだけ変わっているんです。何で四月に出したのと六月に出した内容が違うんですか。

 自民党の中でこういう説明をして自民党もだまし、国会もだまして、全体をだまして、こっそりとこの中身だけ可能性があるという形に変える。一体その責任はどうとるんですか。謝罪して、責任をとってください。

伊東(章)政府参考人 ちょっと事実関係のみにつきまして御説明をさせていただきます。

 先ほど申し上げました、法九条の規定の解釈を明らかにするために、私ども、ガイドラインを出しております。その中で、第二類型に関しましては、大規模金融会社、単体総資産の額十五兆円超である場合と、大規模な会社、単体総資産の額三千億円超の会社、これが同一の会社グループに入る場合は第二類型に該当するというガイドラインを出しておるところでございます。

佐々木(憲)委員 それは知っているんです。そんなことは前提なんです。規制の対象になるかどうかは、その数字で決まるのではない。さっき説明されたでしょう。貸出金額が、同じグループの中の事業会社に対する貸し出しが巨額な規模に達し、そしてほかの事業会社に大きな影響を与える、著しく大きな影響を与えるような状況になって初めて、独禁法、二五%の規制対象になる。明確なんですよ、これは。

 ところが、竹中大臣、準備室のこの資料は全然違う。この事実経過を明確にしていただきたい。一体、いつまでそういう説明をして、いつから可能性という説明に変わったのか、そこのところを明確にしていただきたい。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、ちょっと今、この四月の紙がどのようなタイミングでどのように議員にお渡ししたものか、今の時点ではよくわかりませんが、御指摘のとおり、ここの記述に関しては、若干舌足らずであると私も思います。

 私どもも、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。昨日もそのように答弁をさせていただいております。

佐々木(憲)委員 これは極めて重大な、根本にかかわる問題なんです。したがって、いつまでこのペーパーで説明をしてきたのか明らかにしていただきますと同時に、いつから可能性という言い方に変わったのか、そしてその責任はどこにあるのか、明確にしていただきたい。これは理事会で協議していただきたい。

二階委員長 後刻理事会で協議いたします。

佐々木(憲)委員 終わります。

二階委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、この間ずっと厚生労働委員会の方で質疑をさせていただいておりまして、例えば先ほどの佐々木憲昭委員の鋭い、突っ込んだ質問、さすがだ、すごいと思いながら聞いておりましたが、なかなかそのレベルに到達しませんので、ごく素朴に、しかしながら、もっと言えば、国民は、私の抱いている素朴な疑問、質問、不安、そういうものと一緒におられるだろうと思いますので、あえて、阿部さん、今ごろ何でそんなことを聞くのと思われる委員がいたら恐縮ですが、私の質問をさせていただきます。

 この間、議事録にまだまだ半分ほどしか目を通させていただいておりませんが、私がやはり一番印象に残るこれまでの御質問は、野田聖子さんが小泉総理になさっている質問でありました。

 官から民、官から民、これが小泉さんはお好きですから、何かもうワンフレーズで官から民、官から民が今や当たり前になりましたが、その中で多くの国民が不安を抱いておる。それは生活レベルの不安である。

 特に、私も野田さんも女性でありますから、本当に現在のこの社会のありようというのは、例えば、子供を学校に送り出せば、異常な事件が起こる。あるいは、子供たちの大事な通学の足である路面電車がなくなる。あるいは、私の分野でいえば、大事な子供の医療を預かる小児医療も、例えば医療だって過度に採算性を求められれば、まず小児医療からなくなる。これで果たして私たちの国は、政府はよく少子化対策大綱とか言いますが、果たして子供のことを考えているんだろうか、生活者の安心を考えているんだろうかと、私は大いに疑問に思うものであります。

 この郵政民営化も、私にとってはそうしたテーマと深く連動しております。先ほどの郵便窓口の問題しかり。膨大な国債を抱えた我が国の将来がどうソフトランディングできるかという問題しかり。あるいは、先ほどの佐々木委員の御質疑とも関係しますが、金融の規律。あるいは、株式市場に与える影響等がどう評価されているんだろうか、織り込まれているんだろうか、これもまた不安。何から何まで不安だらけの郵政民営化であります。

 そしておまけに、今、皆さんも御承知かもしれません、国会の外には、障害をお持ちのたくさんの方々が、障害がありながら車いすで雨風をついて国会に押しかけておる。これは、後ほど谷垣大臣に、私ずっとお会いしたかったので、ここで会ったが百年目と思って質問をしたいことがありますが、国民の関心事は、命にかかわる、生活にかかわる、どうしてくれるんだというところで膨大になっていながら、本当にこの郵政の民営化という問題がそれと絡んできちんとした将来を約束しているかというと、そうじゃないんじゃないかと思います。

 私は、冒頭、私よりもすごく英語の能力がすぐれていて、そして学校でも教えていて、アメリカとも何回もこの郵政民営化問題で討議を交わしておられる竹中大臣にお伺いいたしますが、小泉さんのお好きな官から民というのは、英語で言うとどんなふうに説明されるんでしょうか、例えばアメリカとの交渉事のときに。官から民というと何と言うんでしょう、教えてください。(発言する者あり)

竹中国務大臣 一般に、キャッチフレーズとして官から民というような言い方は、適切なものがあるのかもしれませんけれども、民営化という意味ではプライベタイゼーションというような言い方かもしれませんし、むしろ、市場にもっと近く、市場の原理に基づいてという意味でマーク・ツー・ザ・マーケットとか、そんな言い方なのかもしれません。これはしかし、ケースによると思います。

 いずれにしましても、市場の活力を活用しよう、民間会社の非常に規律のある、まさにガバナンス、株主のガバナンスをしっかりと活用してもらおう、そして市場での競争を通してサービスを効率化、向上させていただこう、そのような御説明になろうかと思います。

阿部委員 もし、ツー・ザ・パブリックじゃなくてツー・ザ・マーケットという言葉を使ったとしたら、私が今ちょろっと言いましたけれども、いわゆるパブリックなもの、これは日本語では公共とか申しますが、パブリックなものはどうなるのでしょうか。医療もパブリックだと私は思います。子供の教育もパブリックだと思います。それから郵便局が担っているサービスもパブリックサービスの一つです。あるいは、もっと言えば、これからの郵貯や簡保の、今日本が歴史的に蓄積したお金の生かしどころも、もっともっと時代に見合ったパブリックなものにあるのではないかと私は思うのです。

 竹中大臣は、ツー・ザ・マーケット、買い物に行くという意味ではありませんが、これは市場の原理にゆだねられないものについてはどのようにお考えで、また国民にどのように説明するのか。ここがないから今多くの国民は不安なのです。これは何のための官から民、官から民か、そして全部マーケットに行ってしまって果たして大丈夫なのか、ここをちゃんと答えない限り、郵政民営化とは何なの、だれのためなのか。さっき、ツー・ザ・ブッシュと言っていましたが、フォー・ザ・ブッシュですか、英語は難しい。そういう、ブッシュのためにかなと思う人もいます。

 国民に今一番説明しなきゃいけないのは、国民が一番、生きていくために絶対欠くことのできないパブリックサービスを果たしてこの郵政民営化法案はどのように提供するのか、国民にとってのメリットとは何なのか。これをまずお願いします。

竹中国務大臣 今阿部委員がパブリック、公的なという言葉を何度かお使いになられましたが、重要なことは、こういう大きな政策のあり方を考える場合にパブリックとガバメントをやはり分けて考えるということだと思います。

 日本でいえば、公私、官民というのはやはり違うのだと思います。公私という概念と、官民というのが違う。阿部委員おっしゃるのは、公私の中の公的な機能、公的なサービス。私的な財・サービスというものに対して公的な財・サービスというものがある、特に公的なサービスが重要である。ともすれば公的なサービスをすべて官で、つまり政府でやる、そういう考え方もあるわけです。しかし、これは今の日本の潮流もそうでありますし、世界の潮流もそうでありますが、公的なサービスを官ではなくて民でもできるではないか、そういう余地が非常に大きいのではないのか、そういう考え方は大変重要なのだと私は思います。

 公的なことを民がやる、代表はNPO、NGOというのがそれに当たるわけでございますけれども、そういう考え方、したがって、民営化されても公的な機能を残した民間の会社というのはやはりあり得るということでございますし、NTT等々はまさにそういうことなんだと思います。

 今回の考え方も、今申し上げましたように公的な機能を担うことも民の企業でできるではないかということ、そしてそのためには、しかし幾つかの仕組みが必要でございます。郵便や郵便局の会社は特殊会社にして、そして公的な機能をしっかりと果たせるようにしよう。特殊会社でありますから、設置基準も総務省の省令でつくって、総務大臣がしっかりと見られるようにしよう。さらには、その中での地域貢献等々も幾つかの枠組み、社会貢献、地域貢献も行えるようにして、地域で郵便局がきちっと設置をされ続けて、そこで金融のサービスも安定的に提供されて、国民の利便が保たれるようにしようではないか。そのような考え方で設計をしたつもりでございます。

阿部委員 マーケットに任せては当然存続できないものがあり、そのマーケットのひずみやゆがみをどう是正していくかというのが今のパブリックの役割であると思います。今竹中大臣がおっしゃったことがそのとおり、この法案がそのようになっていれば、何も私にも文句はありません。しかし、何回も答弁を聞いてきて、いつも最後はマーケット、マーケット、マーケット、マーケット、もしかしてアメリカンマーケットかもしれません、そういう形しか見えないところに国民の不安があるんだと思います。

 私は、もう一つ、もしこれが経済用語であれば教えていただきたいのですが、竹中大臣がお使いになる、国民の経済厚生を一番高める。国民の経済厚生を一番高めるというのは、私の頭ではちょっとわからないのですが、これは何でしょうか。例えば、マーケットの経済効率とかいうのはわかります、市場の原理ですから。これは大臣のそのままのお言葉です。いつの議事録かというと、六月七日の午後の城内さんの御質問への大臣のお言葉です。国民の経済厚生を一番高める、これは何を意味しているんでしょうか。

竹中国務大臣 経済厚生というのは、非常に広い概念であろうかと思いますけれども、私が申し上げているのは、広い意味での国民の満足度。この中には、所得が上がるということもありますし、所得でははかれないような市場外の満足度もあるわけでございますけれども、そういうものを、まさに国民の満足度を広い意味で高める、そのように御理解賜りたいと思います。

阿部委員 今、大臣の御答弁の中で、国民の満足度も含めた、いわゆる幸せ感とか安心感という意味だと思いますが、そういうものを最大限に高める法律になっておるかというと、おっとどっこい、そうではない。これは、さっきの郵便局網の一括か全部か、あんなことで、何かこんな言葉の遊びをしているような場合かなと私は、ちょっと申しわけないけれども、一生懸命やっておられたので後からこういうことを言ってはいけませんが、国民にとってそれは本当に、じゃ、うちの、ここの郵便局どうなるのということなんですから、なかなかあれでは本当の姿が見えないなと思って聞いておりました。

 それで、私が伺いたいのは、むしろ本音は、金融部門、いわゆる郵貯と簡保にたまった三百五十兆のお金、これを民に流したい、マーケットに回したい、ツー・ザ・マーケットというところが、小泉さんも何回もおっしゃっていますから、そのようであると思うのですが、ここでこれが本当に少子高齢化時代を展望した国家戦略か否かということをきちんと考えるのが、私は郵政民営化の一番の本丸なんだと思うのです。

 私がよく例に引かせていただきますアメリカにおいても、農村の、本当に五分行けば馬や牛が鳴いているようなところでも国営の郵便局がある。これはやはりアメリカの国家戦略なんだと私は思っています。ベビーブーマーたちがどんどんどんどん田舎に帰っていく、タックスが安いから。この少子高齢社会、アメリカだって同じように抱えていますから、どこで暮らしていけるか。

 先ほど来、都市の郵便局が減ることはあっても、田舎はそうは、そこそこはとおっしゃっていますが、実はこの二十一世紀の問題は、過剰な都市化で都市が、アメリカのドーナツ化、ドーナツのように中心部が貧困化したらすごく大変なことになるわけです。都市の方が高齢化のスピードははるかに速いわけです。

 だからこそ、今ある郵便局が保てる以上に、これは麻生総務大臣の御答弁を聞きながら思いましたが、今が保てますよというんじゃなくて、もっと各地で暮らせるように、もっともっともっとです。これは地方の発展のためのライフラインを郵便局が支えているんだというポジティブな意味付与をしないと、国民も納得できない、本当の未来像が見えてこない。日本の少子高齢化というのはすごいスピードだと思います。ここにきちんと政策、施策できない政府は、国民から捨てられる。

 その意味で、本当に、これも同じ日の午前中、六月七日の午前中の参考人のお話の中で、田村さんあるいは山崎さんがおっしゃっていたこと、特に金融部分についてですが、例えば、アメリカでは恐慌のときに備えて、金融のあり方の、単に民間銀行だけではない、複線化をきっちりビルトインしておるとか、あるいは山崎さんがおっしゃったのは、共生のさまざまな地域でのニーズ、例えば病院もそうです、保育所もそうです、環境問題もそうです、介護拠点もそうです。こういうものはいわゆる公共の分野です。こういう公共分野に何らかの国民のためた郵貯のお金が生かされるような仕組みをしっかりとビルトインすることだという御指摘がございました。

 竹中大臣に伺います。果たして今回の郵政の民営化でそういうことは展望されているでしょうか。私は、官から民、官から民、ツー・ザ・マーケットではないと思うんです、今やるべきことは。今一番大事なことは、本当に、これからの地域基盤を支えるための、それは例えば、リターンはハイリターンでなくても、堅実に地域を支える基盤。今、銀行は中小には全く貸し出しをしません。さっき伊藤金融大臣がぺらぺらぺらぺらおっしゃいましたが、あんなことで中小に貸し出しができると思うほど甘いとは本当は思っていないと思います。違う仕掛けが必要なんだと思います。

 そこまで展望して初めてこの郵政民営化、あるいは私は公社化のまま他の機能をふやしていくべきと思いますが、それが国民に役立った、二十年後、三十年後、本当に我が国のいい社会をつくると思いますが、大臣、いかがですか、今回の法案はそういうものですか。

竹中国務大臣 阿部委員の御指摘は、本当にこの国の形をどんなふうにつくっていくのだ、先ほどの御質問とも関連していると思います。私はやはり、公的な機能が重要だという御指摘に対しては、私も本当にそのとおりだと思います。公的な機能をしっかりと持続的に担っていかなければいけないのだと思います。

 公的な機能が持続的にもし担っていけないようなことになりますと、これは仮に公的なものが非常に非効率な形で提供されていくような場合にはやはり公的な機能そのものが持続可能でなくなるわけであります。そして、その公的な機能を果たす、それを官でやるとまさに税の負担等の問題も非常に長期的には出てくるわけでありますから、私たちの負担の能力等も考えますと、官でできることをできるだけ、まさに集中的に、集中と選択で集中させて、そして求められる公的な機能のうち民間でできるものはやはり民間でやろうではないか、そういう国の形をつくっていくことが私は必要であろうと思っております。

 今回の郵政に関して申し上げるならば、郵便は、ユニバーサルサービスの機能を負っている、まさに公的なサービスの側面を強く持っていると思います。それにあわせて設置される郵便局についても同様の側面があると思います。そういうものは、したがって、特殊会社として、民間の活力を活用していただきながら、しかし必要に応じて政府もコミットするような仕組みを残して、そして民間の活力を得る。金融に関しては、これはやはり、信用とかが特に重要ですから、官の、絶対的な信用を持っている政府の影響力をできるだけ排除するような形で、しっかりと民間の銀行になっていただいて、しかしそこで郵便局を通じてサービスは国民に提供されるように、そのようなつもりで制度設計をさせていただいております。

阿部委員 残念ながら大臣がおっしゃったような制度設計にもなっていないのがこの郵便貯金銀行と郵便保険会社のありようなんだと思うんです。はっきり言ってとてもグロテスク。手足を縛られて、さあ飛べと言われて、それではおっこちちゃう。

 どういうことかというと、例えばこれは、どのくらいの資本金と申しますか、八兆円かもしれません、郵貯と簡保で。そういう株式会社になって、その株式を十年かけて全部売り払え。しかし、市場の原理からいえば、一番株価の高いときに売るのが一番いいわけで、十年間がそれかどうかなんてわからないわけです。最初に民営化と決めちゃったから変な期限がつく。

 先ほどどなたかの質問にございました、上場するまで何年、そこから売り払っていって何年、これは、やはりその時々の市場が決めるものですから、最初から十年なんて決められたって、そんなものは、逆に言うと市場への政府の不要な介入、あるいは、この二つの会社の手足を縛って、さあ踊れと言っている。

 では、何でこんなグロテスクなものができたのかということが私はずっとわからなかった。でも、このいろいろな審議を聞きながら、ああ、そうだったのかと思ったのが、実は竹中大臣が、去年の四月からことしまで、アメリカと、大臣自身は十七回じゃないかもしれません、十七回にわたっていろいろな、郵政民営化後の郵貯、簡保の扱いについても、これはもう九四、五年段階からあったことですから、お話が現実的になってきたので重ねられた。アメリカ側は、政府保証がつく限り、逆に言うと、そこでは、例えば今の簡保と同じような商品は売ってくれるな、こういう要望を出す。

 私は、邪悪に勘ぐれば、この郵貯、簡保の中に設けられる民営化委員会でしたっけ、何とか委員会というところは、そういうアメリカの要望をきっちり生かしながら、逆に言うと、それに縛られながらしかこの会社は生きられないのか。本当に気の毒だと思いますね、そんな会社。

 それと、もっと言えば、国民の最大利益、国民がためたものですよ。その信用と財産とを全部売っ払ったもの、それをやはり一番、国民の最大限の利益のときに、もし株式会社化したら株として売るというのが当たり前のことなんだと思います。

 そもそも、こんな期限を区切って株を売っ払えなどということが市場原理と相並立するのか、そこを竹中さん、教えてください。

竹中国務大臣 十年の期間でその株を処分する、その点についてしっかりと御答弁をさせていただきます。

 まず、やはり先ほど言いましたように、金融というのは国の信用が極めて重要でありますから、この国の信用、関与を完全に断ち切って、初めて本当の意味での民間としての自由な経営を行うようになる。したがって、株式会社は、その移行期間中に、この貯金銀行と保険会社の株式を完全に処分しなければならないとしております。

 ぜひ御留意賜りたいのは、完全に売却ではなくて、完全に処分をするという点でございます。しかも、この処分につきましては、経済情勢や証券市場の変化による影響を受けるものであるわけですけれども、十年間という長い期間にわたって段階的に処分を行うこととしているところでございます。

 この処分は、要するに関与を断ち切るということでありますので、例えば売却して所有権が移転されれば、これは関与が断ち切られるということになりますけれども、処分の方法としましては、今申し上げたような売却、売却の中にも、これはブロックトレード、自社株買いといったようなものも含まれますけれども、その売却に加えまして、例えばですけれども、委託者が議決権行使について指図を行わないような有価証券処分信託等々も含み得る。これはもうさまざまな手法があると思っております。

 これは、条件つきでありますけれども、きちっとした信託に出して、それで関与は切る。後は、これはもう条件次第でございますけれども、マーケットの状況を見ながら売却という形にする、そういう制度設計にしてございます。

阿部委員 私は、それでは上場できるような株式会社は本当にできないと思います。やはり株式会社は、自分たちに幾らの株価がつくかというところに本当に全力集中できないと、自分たちの誇りある企業運営もできない。

 そして、最後に信託という逃げ場をわざわざ今から設けている。こういうねじれができたところは、とにかく小泉さんいわく、十年後には民営化、国民の最大利益じゃなくても、その結論まずありきという乱暴な手法が、もう本当に、金融なんてほとんど知らない、でも、この私から考えたって、それって変、それっていびつ、そんなの株式会社やれないんじゃないと思うような疑問が起きるような法案だと私は思います。こんな期限を区切って会社の手足を縛るなということを、強くまず一点申し上げたい。

 そして、せっかく谷垣大臣に会えましたから、ここでちょっと質問をさせていただきますが、私は、先ほど申しましたように、障害者の自立支援法というのを、きょうの一番目の御質問は宮澤さんでございましたが、御一緒にやっております。障害者の方がいっぱい外に並んでいる。

 日本の予算の中で、障害者施策と少子化、家庭について使われる予算は、OECD諸国中破格に低い。もう、けた違いに低い。これを厚生省に言っても、財務省がねと言うんですよね。私は、ほかの場があれば、きょう、ここで聞くのはちょっとずるいと思うんですけれども、でも、あの障害の皆さんがどんなにか不安かと思うと、このOECD諸国中破格に低い障害者の予算……(発言する者あり)そうです、作業所に行ったって料金を取られるんです。御存じでしたか、谷垣さん。お願いします。

谷垣国務大臣 ここで会ったが百年目とさっき言っていただきましたので、前にお会いしたのは日露戦争のころかなと思いながら聞いておりました。

 もっと障害者対策あるいは少子化対策の予算をふやせ、こういうことだろうと思います。私も、もちろん障害者対策というものが不要だと思っているわけではありませんし、また、少子化対策というようなことも、もっともっと意を用いるべきだという気持ちがございます。

 しかし、その前提として、今、社会保障経費というのが政策経費である一般歳出の四三・一%をことし占めているわけでございます。そして、社会保障関係経費は自然増で一兆円毎年ふえていくという構造になっておりまして、もちろん、私は、これだけ高齢化が進んできましたから、その一兆円の自然増があるのがけしからぬと言うつもりはございません。当然増というものはけしからぬと言うつもりはございません。しかし、こういう姿はなかなか持続可能ではありませんので、何らかの形で抑制をしていくということを考えながら仕事を進めていかなければいけないと思っております。

 それから、いろいろ、財制審やいろいろなところでも御指摘をいただいておりますが、日本の社会保障関係費も、高齢者のところにとられ過ぎで、今、少子化とおっしゃいましたけれども、若い方々とかそういう方々にもう少し経費を回すべきではないかという御指摘も、確かにそのとおりでございます。

 ただ、それを実現していこうという場合に考えなきゃならないのは、やはりこれだけ日本の財政が悪くなってきておりますと、なかなかこの財政の自由度というのは少ないわけですね。非常に硬直化してきております。

 それを何とか乗り越えるために、これはいろいろな手法を講じなければならないと思っておりますが、私の目的は、できるだけこの硬直化を解きほぐしていって、そして、国債、今たくさん発行しておりますけれども、若い世代のツケを先送りしないようにしなければいけない。そういう全体の財政構造を変えていく中で、いろいろまた御議論をさせていただきたいと思っております。

阿部委員 国債、この問題も、実は時間があればお伺いしたかったですが、今の御答弁の限りで言っても、私は、だからこそ、この郵貯、簡保にたまったお金を福祉とか公共分野にもっともっと活用する道を今とるべきだと言っているのです。

 打ち出の小づちはない。少子高齢化時代に打ち出の小づちはない。だからこそ、この民営化問題は、実は民営化ではなくて、ツー・ザ・パブリックであってほしい。そういう仕組みをどうやってビルトインできるかを真剣に、そこに優秀な大臣がおられるんだから、考えていただきたいと思います。

 そして、事は金だけではありません。いわゆる私たちの社会の価値観の問題でもあります。

 障害は、今は人ごとかもしれません。でも、みんな、私たち、谷垣さんと私などは団塊世代ですから、こぞってみんなこれから障害者予備軍、あるいは障害を持っていきます。この多くの障害者を抱えた社会が当たり前に運営できなければ、私たちは、本当のいい時代、さっきおっしゃいました人間の幸せを分かち合える時代が来ません。

 そして、例えばこの郵貯問題でもそうですが、先ほど、過疎の郵便局あるいは御高齢者の年金窓口のことが言われました。私は、少子化問題で、実は、お金の政策、施策がされると同時に、お母さんやお父さんが堅実に、本当に子供をはぐくむという気持ちをもう一回広く社会に取り戻さないと、とんでもない国になると思っています。例えば、学資貯金とか学資保険とか、皆さん、子供さんが生まれたら、子供のために郵便局にお金をためていくんです。これだって、本当に大事な、子供に今教育を受けさせるためにはお金がかかる、そのことを親御さんなりに形にして支えているものでもあります。

 何から何まで官から民では解決されない分野を抱えているという認識がまずこの委員会にあってほしいと願いながら、私はきょうの質問を終わらせていただきます。

二階委員長 次回は、明十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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