衆議院

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第12号 平成17年6月10日(金曜日)

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平成十七年六月十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    奥野 信亮君

      城内  実君    北川 知克君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      桜井 郁三君    柴山 昌彦君

      園田 博之君    馳   浩君

      早川 忠孝君    松本  純君

      宮下 一郎君    村井  仁君

      山口 泰明君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    一川 保夫君

      岩國 哲人君    小沢 鋭仁君

      大出  彰君    川内 博史君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      中塚 一宏君    中村 哲治君

      西村智奈美君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    山花 郁夫君

      石井 啓一君    谷口 隆義君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣        

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   法務副大臣        滝   実君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   山下  泉君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     早川 忠孝君

  左藤  章君     村井  仁君

  馳   浩君     奥野 信亮君

  小沢 鋭仁君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     馳   浩君

  早川 忠孝君     大野 松茂君

  村井  仁君     左藤  章君

  小宮山泰子君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

六月十日

 郵政民営化反対に関する請願(生方幸夫君紹介)(第二〇〇一号)

 同(篠原孝君紹介)(第二〇〇二号)

 同(田中慶秋君紹介)(第二〇〇三号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第二〇〇四号)

 同(羽田孜君紹介)(第二一一九号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二二〇三号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君、日本郵政公社理事山下泉君及び日本郵政公社理事藤本栄助君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、法務省民事局長寺田逸郎君及び財務省理財局長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。

村井(仁)委員 おはようございます。自由民主党の村井仁でございます。

 私の立場についてちょっと申し上げさせていただきますと、私は、去年、自由民主党にできました郵政事業改革に関する特命委員会というのをお預かりいたしまして、私は、経歴からいいましても、いわゆる郵政族でもありませんし、これまで郵政事業とのかかわりは余り持ってこなかったという立場でございます。しかし、勉強してみますと、なかなかこれは難しい、広範な問題を含むものだということがだんだんわかってまいりました。小泉総理の強い念願でもありまして、何らかの着地点を探ろうと努めたのは事実でございますけれども、今提案されている政府案、これまで私の得ました知識やあるいは法律感覚からしますと、なかなか、率直に申しまして胸に落ちないものもございまして、それで、率直にこのあたりお尋ねをさせていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。

 いろいろな課題がございますけれども、御答弁いただく方の御都合もございまして、順序がちょっとイレギュラーでございますけれども、滝法務副大臣、お出ましいただいております。先にちょっと、端パイの方だといえば端パイの方なのかもしれませんが、一つ問題を提起したいと思います。

 法律案を作成しています過程で、私も、過去、公務員としての長い経歴やらいろいろなこともございまして経験があることでございますけれども、一番大変なのは関係者との調整ということであります。特に、制度の改変を行うときには、既存の諸制度との調整が大変時間がかかるものでありまして、そういう意味では、これは各省折衝というような形で調整が行われるわけでありますけれども、これは聞くところによりますと、この郵政民営化関係諸法案の各省協議に際しては、事実の間違ったところはこれは指摘するのは構わないけれども、提示された案についてこれを改変するごとき意見は一切聞かないという強い意向が示されて、各省、そういう意味では、そのあたりにつきましていろいろ意見は言いたかったけれども言えなかったというような話も聞きます。

 その事実のいかんをここで問うつもりはございませんが、私が恐れますのは、このために、中央官庁でさまざまな分野をそれぞれ担って責任を持って仕事をしている人々は、知恵を出そうとしてもそれが抑圧されてしまって、言ってみますと衆知を集めた法律案というものになっていないのではないか、そんなような懸念がございます。例えて言いますと、そこのけそこのけ郵政民営化様のお通りだというような感じで行ったんじゃないかというような気がいたします。

 そこで、その一つの例として、特別送達というものがございますが、こういう特別な業務と公務員の問題、あるいは郵便認証司、随分目なれないというか、おもしろい、郵便認証司と書くんですが、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 民にできることは民に、これは私はそのとおりだと思います。ただ、公でなければできないことというものも世の中にやはりあるのではないか。このごろ、傭兵といいますか、自分で軍隊のことをボランタリーにやるというのも商売としてあるそうでございまして、これが結構いいビジネスになっている。ですから、国防も民に任せたらどうだ、それはあり得る話かもしれない。徴税請負人というのは、聖書を読みますと出てきますね。そういう意味では、徴税だって、これは民間に任せた方が効率はいいかもしれない。あるいは、警備会社の警備員にけん銃を持たせて治安を守らせたらどうだという議論だって、実際いろいろなところで聞くことがあります。

 そういうのは極端としましても、そこで、滝法務副大臣にお伺いしたいんですが、民事訴訟法の九十八条以下に定める送達というのは、私の理解するところでは、裁判その他の司法手続上非常に重要な節目をつくるものでありまして、これは、あなたは何月何日に当裁判所に出ていらっしゃいというような形で通達が行われる。これは、必ず届いていなければ、裁判という国家権力の作用の典型的なもの、これが滞ることになってしまう、裁判の円滑な実行ができないことになる。私はそういう大変大事なものだと思っているんですけれども、私の認識に間違いないかどうか、これ、滝副大臣、ちょっと確認してくれませんか。

滝副大臣 お答えいたします。

 端っこの方の特別送達についてお尋ねをいただきまして、ありがとうございます。

 今、先生御指摘のとおり、民事訴訟法で、裁判所からの訴状の通知あるいは判決文の通知、それは、郵便事業で特別送達という格好でできることになっているわけでございます。そういうところで考えてみますと、これは、いわば法律制度というか司法制度の根幹をなすわけでございます。

 今、先生がおっしゃるように、仮に裁判所の訴状が届いていなくて期日に本人が行きませんと、それは民事の場合は特に欠席でございますから、訴えた方が有利に扱われる、こういうことになることで間違いないわけでございますので、そういう意味では、御指摘のとおり、私どももそういうものを改めて認識をさせていただいておりますし、今回、郵便司という格好でこの問題がそういう特別なものだということで認識をされたことについては、私どもも大変それなりに評価をさせていただきたいと思っております。

村井(仁)委員 郵便認証司という随分クラシックな名称、これ、具体的な行為としましては、もう時間の節約で簡単に申しますが、内容証明が確定日付ある文書であるということの認証、それから、送達が行われたことを民事訴訟法の百九条に求められる証明をする、そういう認証行為をすることが職務だ、こういうふうに理解しております。

 そこで竹中大臣にお伺いしたいんですが、引受時刻証明というのもある種の証明行為ですよね。これは、特許法ですとか公職選挙法ですとかああいうところでいろいろ引用されている。それから配達証明、これもやはりちゃんと届いたということを証明する手段。こういったのはこの認証司の仕事には特にお入れにならなかった。これは特段の理由があるわけでございますか。

伊東政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘の引受時刻証明あるいは配達証明についてでございますが、引受時刻証明につきましては、内容証明と同様に引き受け時に行われる郵便の特殊取り扱いではございますが、その業務は、内容証明と比べまして、照合作業等が必要でなく比較的機械的な業務であること、また、内容証明に関しましては記載された日付が確定日付として法的効力を持つのに対して、引受時刻証明につきましては、直接に法律上の効力を与えられるわけではないという違いがございます。

 配達証明についてでございますが、配達の事実を証明するという点で特別送達と類似性はございますが、特別送達のように差し置き送達のような配達方法が認められているわけでなく、受け取りを拒絶された場合は、一般の書留や小包と同様に単に還付するのみであるなどという点がございまして、その業務も、先ほどの引受時刻証明と同様、比較的機械的なものであるというふうに考えているところでございます。

 このように引受時刻証明や配達証明は、内容証明や特別送達と比べてその業務の性格やその取り扱いの効果に差があり、郵便認証司による認証を要するものではないと判断したところでございます。

村井(仁)委員 それはちょっと違うんですよ。引受時刻証明というのは結構大変な手続でありまして、私はわざわざ特許法のことも引用したし公職選挙法のことも引用した、その辺のところを十分詰めていないはずはないので、特許法なんかの場合でも、あるいは公職選挙法の場合でも、引受時刻に届け出がされたものとみなすという明文の規定がわざわざあるんですよ。そこのところがずれた場合に、今、郵便局の日付管理というのは非常に厳密に行われているし、まして、引受時刻の証明がきちんと行われるというのは、これはある種の常識なんですね。そこのところが欠けるようなことがあったらこれは大変なことなんですね。これ以上、時間の問題もありますから外します。いずれどなたかおやりになると思いますから。

 そこで、もう一つお伺いしたいのは、これは大臣にお答えいただきたいんですが、公務員たるの身分につきましては、これは、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項を読みますと、大分長いこといろいろ御議論のあった第六号という話にすぐなりかねないんですが、実は、第六号より第八号に、御存じのとおり、公社の職員に特別に国家公務員の身分を与えて、そして争議権を奪うということが書いてあるんですよね。これが私は本当は実はポイントだと思っていまして、これを受けて、公社法の五十条では国家公務員身分を与え、五十七条で国家公務員と異なる扱いをする事項というのを限定的に列挙しているんですよ。

 ところで、公務員としての身分がなくなりますと、当たり前の話なんですけれども、労働関係の法律がすべて生きてくるんですね。ということは、争議権が認められることになるんです。それで、労働関係調整法の八条で、もう全部時間の節約でこっちからしゃべっちゃいますけれども、郵便は公益事業とされていまして、争議を行うには十日間の予告が要るんです。そして、内閣総理大臣による緊急調整の決定がありましたら、五十日間は争議できないんです。しかし、問題は、理念的には争議ができるというところを私は問題にしたいんです。

 それで、NTTやJRは、争議がありましても、NTTは、これは電波ですから、電源が入っていれば、ともかく電気が通じていれば通信できるんですよ。それからJRの場合も、理念的には管理職が出ていって電車を運転する、実際問題としては、混雑したり事故が起きたら大変だから、現実には間引き運転したりとめたりしますよ、私鉄のストなんかの場合では。ですけれども、郵便というのは人が運ぶんですよ。そういう意味では、争議が起きたときに、私もわからないのは、一体、特別送達はできるんですか。

 それから、引受時刻証明というのは、窓口に出て、窓口で職員が何時何分に引き受けましたと判こを押すんですよ。そのときに、これ、どうなんですか、管理職が窓口に出張ってやるんですか。私も組織の中で管理的な職掌に携わったことがありますけれども、それは国家公務員の世界ですからいわゆる争議ではないが、何らかのトラブルが起きました場合、その場合には、管理職の仕事というのはその対応で追われてしまうんですよ。現場のカバーなんてできるものじゃない。

 そういう意味では、こういう国家権力の作用である、大変な裁判を形成するプロセスが民間人にゆだねることの結果動かなくなる、そういうシステムをつくっていいんですか。

竹中国務大臣 村井委員には、お話しございましたように、いわゆる特命委員会の場で、とりわけ、昨年の秋の基本方針策定時等々に大変な御指導を賜ったこと、改めて感謝を申し上げます。

 大変専門性の高い御指摘を今いただいておりますが、民間人になって労働争議等々、具体的には、ストライキがもしもあったような場合はどのように対応するのかという御質問でございます。

 郵便事業は、これも今委員御指摘ありましたけれども、労働関係調整法におきまして公益事業とされておりますので、郵便事業株式会社等の職員は、この郵便の業務について争議行為をする場合には、少なくともその十日前までに労働委員会及び厚生労働大臣または都道府県知事にその旨を通知しなければならない、また、緊急調整によりまして五十日間争議行為を禁じられるなど、一般の事業とは異なる特別の規制を受ける、これは委員も御指摘になられたとおりでございます。また、労働争議の調停については、これは優先的に処理されるという点もございます。

 この郵便事業株式会社等につきましては、これは、その意味では、突然の争議行為による混乱が生ずるというおそれはないのではないかと思いますが、仮に争議行為が避けられない状態になった場合でも、事前の準備が可能であるということになろうかと思います。したがって、争議行為下におけますこの内容証明、特別送達についても、管理者による処理体制を整備しまして、当日現に必要となる処理能力を確保するという対応がこれはとられることになるというふうに考えているところでございます。

 実務的にはなかなか大変だろうという御指摘があったかと存じますが、我々は、今イメージを申し上げましたような考え方をしております。

村井(仁)委員 私、時間の関係がありますからもうこれ以上言いませんが、要するに、そういう民間にゆだねた場合にはこの仕組みが崩れるということを私は指摘しているんです。それが動かなくなる、国家権力の行使の最たるものである裁判システムの中にそういうものを含むようなことしていいんでしょうか。私は、こういう議論が、率直に言いまして、法務省からあるいは最高裁判所事務総局から当然提起されて、どうしましょうかという詰めた議論があってよかったと思うんですが、残念ながらそういうところはされていない。

 もう時間の問題がありますからこれ以上言いませんが、一つだけ教えてください。

 報道によれば、郵便認証司というものは、これは、業務につきまして損害賠償を求められたときに国がその責めに任ずることを目的につくられたと、このように言われておりますが、どんな場合に国家賠償が行われるんですか。これをちょっと教えてください。

竹中国務大臣 国家賠償の適用、具体的にどのような場合かというお尋ねでございますが、国家賠償法第一条でございますけれども、国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、この職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を与えたときは、国または公共団体がこれを賠償する責に任ずるという規定でございます。

 ここに言う公務員というのは、国家公務員、地方公務員というように、これは公務員法制で定められました公務員に限るものではなく、まさに公権力の行使をする者を公務員として表現しているというものでございまして、公務員以外でありましても、ここに言う公務員となり得るとされているところでございます。

 例えば公証人がございますが、公証人は国家公務員法上の公務員ではありませんが、公証人が過失によって無効となる公正証書をつくりまして当事者に損害を与えた場合には、これは、判例上、国家賠償法の対象となるとされているところでございます。

 こうした事情に照らして考えますと、どのような場合にこの郵便認証司の行為に国家賠償法の適用があるかということにつきましては、まさにその行為が公権力の行使に該当するかどうか、それと、行為の性質に即して最終的には司法が判断することになりますけれども、例えば、公証人の行為がこの公権力の行使に該当するとされていることを踏まえますと、これは、それと同様の、郵便認証司が行う内容証明の取り扱いに係る確定日付の付与のような事務も国家賠償法上の公権力の行使に該当しまして、これは国家賠償法が適用されることになるのではないかというふうに考えているところでございます。

村井(仁)委員 私、どうも何が、具体的にどういうときに国家賠償が行われるのか、さっぱり申しわけないがわかりません。

 ちょっと時間の関係がありますから、この問題はとりあえずここまでにさせていただきますが、問題提起だけさせていただきます。滝副大臣、民事局長、どうぞお帰りください。

 それで、もう一つ、ちょっと大きな、私はずっとかねて問題に思っておりました点をもう一つ申し上げたい。

 これはまず生田総裁にちょっと確認をさせていただきたいんでございますが、今度、要するに六事業体に分社されるというようなことで今この法律案は提起されておりますね。現在、公社はいわゆる三事業に区分経理がされていて、それで民間の企業会計原則が適用され、昨年の決算につきましては今監査法人にこれをお示しになっておられる、そんな段階だと承知しておりますが、一昨年の決算では、郵便事業が五千五百十八億円の債務超過、それから郵便貯金事業で利益剰余金が二兆二千七百五十五億円、それから簡易保険はほとんど利益剰余金がない状態、それから、十六年度決算では、数字はそういうことでまだ確定しておりませんけれども、およそ郵便事業で五千二百六十六億円の債務超過、それから郵便貯金で三兆四千八百五十億円の利益剰余金、そして、簡易保険でもやはり大体利益剰余金がほとんどない、こういう状態である。この事実はそのとおりですね。ちょっと確認だけ。

生田参考人 お答えいたします。

 数字、今、村井先生のおっしゃったとおりだと思います。

 一言だけつけ加えさせていただきますと、公社の経理というのは、郵便、貯金、保険、事業ごとに財務状況及び経営成績を適正に開示すること、こういう目的のもとに、日本郵政公社法第三十条第二項によりまして、郵便、貯金、保険、三つの業務に明確に区分することになっております。それで、二つ以上の業務に関連する資産につきましては、日本郵政公社法施行規則第十四条で、総務大臣が定めた基準によりまして、適正に整理して財務諸表に提示しております。

村井(仁)委員 今、総裁から、三事業の間できちんとした区分けがされているというそういう御説明がございまして、今私が申し上げた数字につきましても基本的に御確認をいただきました。

 そこで、竹中大臣にお尋ねしたいのは、こうして三事業に区分されている資産を、一体どういうふうに五社、または機構を含めると六事業体ということになりましょうか、これに区分していくのか、簡単に御説明いただければありがたいと思うんです。まず、そこをちょっとお願いできますでしょうか。もうざくっとで結構でございます。

竹中国務大臣 お尋ねは、公社の資産を切り分けるときの手続について簡単に説明せよということであろうと思います。

 郵政民営化法では、この公社の資産、業務等をどのように切り分けまして、結果的に、日本郵政株式会社、持ち株会社ですね、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金株式会社、郵便保険会社または機構、例の承継会社等でございますけれども、に承継させるかに関して、以下のように大きく四つの点を規定しておりますので、申し上げます。

 まず、承継に関する基本計画を内閣総理大臣及び総務大臣が民営化推進本部の決定を経て定めるということを、これは民営化法の百五十九条に書いてございます。第二に、この両大臣が日本郵政株式会社に対しまして、基本計画に従って承継に関する実施計画を作成するように指示をするというのが、この民営化法の百六十一条でございます。そして、日本郵政株式会社の経営委員会が公社の協力を受けて実施計画を作成しまして、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受ける。そして、その認可に際しましては、民営化委員会の意見を聞くほか、財務大臣と協議をするということ、財務大臣との協議もございます。これが民営化法の百六十一条及び百六十二条。そして四点目としまして、認可を受けた実施計画でございますけれども、それに従いまして、公社の資産、業務等が承継会社等へ承継される、これが民営化法の百六十四条に規定されているところでございます。

村井(仁)委員 私は、今のお話をお伺いしながら、これはかねての非常な疑問なんですが、要するに、蓄積があるのは郵便貯金の部分だけなんですね。それで、ほかの部分は、特に郵便事業につきましては五千億を超える累積赤を抱えている、こういう状態なんですね。

 そうしますと、総額で、トータルでは自己資本はあるんですけれども、これを、もうかっている、資産があるのは郵便貯金だけですから、郵便貯金から移すことになるんですね、結果的には、どういう切り分けをするにしても。それというのは、今のような手続でおやりになる、これは国会には報告がされるということにたしかなっていたと思いましたけれども、郵便貯金をしている人の財産というのは、目に見える見えないは問わず、少なくとも、これ、他の用途に転用されないということを暗黙のうちに期待しているんじゃないかと私は思うんですよ、郵便貯金している人は。それで、他の用途に転用されますと、言ってみれば、財産を失うことになってしまうんじゃないですか。そんなことが、会社は大臣認可を受けるというだけで本当にできるんでしょうか。これ、私は憲法上の財産権の侵害にもなり得るんじゃないかと思うんですよ。

 そういうことを考えてきますと、実は先例があるんですね。国鉄の民営化に関連しまして、国鉄の累積債務を、二十七兆ですか、あれをできるだけ減らす一環としまして郵便貯金に大変無理をお願いしたことがあるんです。それは、例として平成十年から十四年まで五年間に合計一兆円、これをJRに対して贈与しているんですね。これは法律によっているんですよ。私は、こういった資産移転というのは、当然、法律によるか国会の議決を経てやるべきことなんじゃないかという気がして困るんです。

 竹中大臣は、郵便貯金から資産を移しても、BIS規制上は十分な、あれは一八%とおっしゃいましたか、たしか十何%か、随分高い数字のBIS上の数字が達成できるから何も心配要らないんだとおっしゃったけれども、そのBISの規制というのは、銀行業務を行うにふさわしい自己資本があるかどうかということを言っているだけの話でありまして、安全だから移していいというところまで含意を含んでいないんですね。私は、このあたりはちょっと真剣に考えなきゃいけない問題ではないかという気がするんです。

 大臣、もし御感想があればどうぞ。

竹中国務大臣 四つの機能を有するそれぞれの会社に分ける、その考え方についてはもう今はこの場では申し上げませんけれども、この民営化に当たっては、公社の資産負債をその機能に合わせてやはり切り分けるということになって、それに伴って公社全体の資本も当然のことながら各社に振り分けられるということに相なります。

 実は、この点につきましてのそもそもの考え方は、これは基本方針において、円滑な分社化を図る観点から現在の勘定区分を見直し、郵便事業の債務超過を解消した上で、それで四機能別の勘定区分を行うというふうにされておりまして、それで、公社の資産負債の切り分け及びそれに伴う資本の各社への振り分けについては、新会社の将来の経営方針とも極めて密接な関係を有するものでありますので、準備企画会社の経営委員会が、将来の経営方針、ビジネスモデルに即した形で策定します承継計画によって定めることとしているところでございます。

 そして、郵政民営化を円滑に推進するためには、この各会社が健全な財務内容、健全な自己資本を有していることが重要であって、また、国民共有の財産である公社の資産等を切り分けるものでありますことから、あの与党合意を踏まえまして、これは、主務大臣、内閣総理大臣及び総務大臣でございますけれども、主務大臣は民営化委員会の資本の配分を含む意見を十分聞いた上で承継計画の認可を行うということにしていることでございます。そして、この意見は国会に遅滞なく報告されるものでございます。

 ちなみに、今、与党合意を踏まえと申しましたけれども、あの政府・与党の合意では、民営化が円滑に推進するためには、まず民営化の開始時期において各民営化会社が健全な財務内容を有していることが重要である、このため、主務大臣は民営化委員会の資本の配分を含む意見を十分聞いた上で承継計画の認可を行うものとする、同意見は遅滞なく国会へ報告されるものとするとされているところでございます。

村井(仁)委員 申しわけないけれども、竹中大臣のお答えらしくもなく、ひとつ私は、やはりどうも理解がいかない。

 要するに、三事業に分けていて、郵便貯金をしている人の財産であるものを、郵便事業に、あるいは簡易保険の方に、あるいは持ち株会社に分けて移転していく、これはやはり、私はもうちょっと慎重な手続が要るのではないかということを改めて指摘を申し上げる。今の三事業の区分というのが、先ほど総裁御指摘がありましたように、民間の会計基準によりましてきちんと区分経理がされているという実態を踏まえますと、ここは私は、もう一つ手続が要るのではないか、少なくとも国会の同意というようなものが、国会の決議あるいは法律による明確な定めというものは要るのではないかという感想をもう一度申し上げておきます。

 次の問題に移ります。

 過疎地における郵便局の設置の義務づけの問題につきましては、非常に何度もここでお取り上げがございました。そのときに、どうしてもいわゆる無集配特定局のお話に話が行ったんですけれども、私は、もっと大事な問題は、集配特定局、ここのところが実は非常にコストのかかる部分なんですね。

 郵便事業というのは、申し上げるまでもないことですけれども、配達という部分で非常にコストがかかる仕事であります。そういう意味で、過疎地の郵便局の設置の義務づけということは、非常にきちんとした省令の案をお示しになられましたりしまして、そこはよくわかりますけれども、私は、大切なことは、それに財政的な裏づけがきちんとあることだと思うんです。基金のお話などがありますけれども、それはあくまで、何らかの特殊な事情があるときにそこから補完をする、補てんをするということで、常続的というのは、要するに、続くことを保証できる仕組みではないというところに非常に大きな問題があると思うんですね。

 それで、実際、過去の例をずっと調べてみましたら、平成元年に四千ありました集配特定局が、今は三千五百を割るところまで減ってきているんですね。私の地元なんかには集配特定局の中にも随分大変なところがありまして、例えば、新聞を十六キロ離れた部落に赤いバイクがお昼ごろに持っていく、たった二軒しか部落にないんですけれどもね。たしか去年の七月に私このことに気がつきまして、当時の郵政公社にお願いして、郵便で新聞をどのくらい配っているのかというのをちょっと調べていただいたことがあります。七月という大変暑い盛りでございまして、私の地元だってほとんど雪はありませんからいいんですけれども、そのときに、全国で八万、郵便で配られておりました。この数字は、これは冬になって調べておりませんのでよくわかりませんが、常識的には大体三倍くらいになると言われております。そうしますと、これは大変手間のかかる、コストのかかるものでありまして、当然、集配特定局の財政といいますか経済を非常に傷つけるわけであります。

 そこで、局別採算というものをちょっとチェックしてみたんですが、集配特定局では、三千二百十の局で千三百七十五億円の赤字、それから黒字は三百二十一局、百十億円で、差し引き千二百六十六億円の赤字を出しているんですね。それで、無集配特定局は一万三百四十七あるんですが、ここで千二百十一億円の赤字、五千四十六局で七百二十三億円の黒字で、差し引き四百八十七億円の赤字、もう圧倒的に集配特定局の赤の方が大変なんです。これをどうしていくかというと、結局のところは、私は、大都市の郵便局でもうかったものを移していくという相互支援の仕組みがきいているからうまくいっているということを指摘せざるを得ない。

 それで、大都市の郵便局につきましてまた結構いろいろ誤解がありまして、大都市にぽかぽか郵便局ができるのはけしからぬと言うんですが、東京なんかの場合は、新しいビルができますでしょう、そうすると、ビルには昼間人口が数千人入るわけですよ。頼むから郵便局をつくってくれという話になって、そこで郵便局ができてくるんですね。一概に、中央区に五十郵便局があるのはむだだとは言い切れないという問題もあるんですよ。いずれにしましても、東京、大阪、名古屋というようなところでもうかったお金で何とか今償っているというのが、この郵便局システムの問題ですよね。

 そういう意味で、私は、過疎地における郵便局の設置の義務づけは結構なんだが、それが維持できるような財政的な仕組み、これをどうやってやるんですか。ここは、このことについては後でちょっと触れますけれども、郵便局会社という経営形態の問題とも関連しますけれども、基本的な竹中大臣のお考えを聞かせていただきたいと存じます。

竹中国務大臣 村井委員の御質問は、いわゆる郵便局会社の財政基盤は本当に大丈夫なのかという点、特に集配特定局に焦点を当ててのお尋ねでございます。集配特定局、御指摘のように、今、ことしの三月三十一日で三千四百六十五局、約三千五百局になっているというふうに承知をしております。

 この郵便局会社でございますけれども、これは、郵便事業会社、そして郵便貯金銀行及びこの郵便保険会社の各事業会社から窓口業務を受託して受託料を得るという形を考えているわけでございますけれども、これについては、まず、郵便事業会社との関係では、郵便窓口業務の委託等に関する法律に基づきまして、郵便局会社への窓口業務の委託がこれは義務づけられております。それが一つのコアのビジネスという形になります。

 郵便貯金銀行、郵便保険会社とそして郵便局会社との間の関係でございますけれども、これは、代理店契約そして保険募集委託契約につきましては、御承知のように、この銀行、保険会社に銀行免許、保険業の免許を法律によりみなし付与するに当たりまして、これは、最低限移行期間をカバーするような長期安定的な代理店契約、保険募集委託契約があることをこの免許の条件とするということでありますので、これも長期にわたり担保されているというふうに申し上げてよいかと思います。

 そして、その後におきましても、郵便貯金銀行、郵便保険会社にとっての郵便局ネットワークの重要性でありますとか、仮に、もし、新たにこの銀行等が自前の店舗網や保険会社が保険募集体制を整備するには膨大なコストがかかるというこの現実を踏まえますと、全国一括の代理店契約、保険募集委託契約が継続されるというふうに考えているわけでございます。

 こうしたことから、各事業会社との間で、この全国津々浦々をカバーする郵便局ネットワークにおいて窓口業務を行う受委託の契約は確保されて、この郵便局ネットワークの活用に見合う適切な受託料というのを得ることができるというふうに考えているわけでございます。

 さらに、この郵便局会社でございますけれども、この郵便局ネットワークを活用しまして、地域のニーズに応じた新規業務を展開することによりまして、さらに収益力を確保して経営を成り立たせて、この法律に定められた郵便局も設置義務を果たしていくことができるものというふうに考えているところでございます。

 なお、郵便局会社のこの事業の成立性につきましては、昨年十一月に準備室が作成しました骨格経営試算では、新規事業に着手しなかった場合でも、試算の対象としたこの移行期間中、毎年千億以上の税引き前利益を計上し続けるというふうに試算をされております。利益水準の低下傾向はあるものの、黒字基調を維持する可能性が十分にあるということが示されているわけでございます。

 さらに、この準備室が三月に作成した採算性に関する試算においては、さまざまな新規事業を実施することによって、さらに二千億円以上の利益を上積みする可能性があるということも示されているところでございます。

 最後に、村井委員御指摘の集配特定局でございますけれども、これは個々いろいろだと思いますけれども、集配特定局というのは、いわゆるネットワーク価値の中で見ますと、非常に、地域の中の中心的な、コミュニティーの中での中心的な役割を担っているということから、このネットワーク価値は高いというふうに一般的には考えられます。

 そうした意味では、地域のニーズに応じた新規業務を展開する余地もむしろ場合によっては高いのであって、そういう点を活用して会社としての財政基盤の強化がなされるというふうに期待しているところでございます。

村井(仁)委員 大変残念ですけれども、私、今お尋ねしたことにお答えをいただいたとはどうも感じないんでありますが、以前、竹中大臣とこのあたりの議論を党内でさせていただいたときに、竹中大臣が、リザーブドエリアがあるから、それだから郵便事業について要するに費用を支弁できるんだ、費用を持つことができるんだということをおっしゃったことがあります。

 私は、このリザーブドエリア、つまり独占分野があるからその独占利益でやれるんだということをおっしゃったんですが、実はここでちょっと一つだけ指摘しておきたいと思いますのは、日本は、信書便法というものによりまして質的な区分をしているために、明確な独占分野があるんじゃないんですね。だから御案内のとおり、現在、大都市なんかではどんどんメール便なんかが出てきていまして、郵便事業が右肩下がりで大変だということの一つには、大変大きな利益源になるダイレクトメールのたぐいが、特に大都市などで、大都市、中都市もそうでしょう、クリームスキミングがされているという現実があるんですね。そういう環境の中で、本当に郵便局網をちゃんと維持できるのかどうか、その財政基盤が整うかどうか、非常に私は疑問だと思っております。

 アメリカなんかですと、これはもう重量で独占エリアをつくっているわけですし、USメールが持っている独占というのはこれは大変なものでありまして、例えば、各家にございますポスト、郵便受け箱ですね、あれはUSメールのものであって、あそこに新聞をほうり込んだりなんかすることができないというようなことになっている。それから、EUの指令でさえ、重量百グラム未満で料金が基本書状の三倍未満のものというのはいまだに独占なんですね。そういうきちんとした独占があるところでも結構郵便事業は大変だというときに、日本のように、信書便法で非常に独占部分、リザーブドエリアを緩くしちゃったところで本当に大丈夫なのか、そういう懸念だけ申し上げておきたいと存じます。

 時間がだんだんなくなりましたので、もう一つ、郵便局会社につきまして今竹中大臣から既にお触れがございましたけれども、私、どうしてもよくわかりませんのは、郵便局会社という形態の企業形態、これはもう既にこの委員会でもいろいろな方がお触れになっていますが、イギリスに以前、カウンター・サービス・パブリック・リミテッド・カンパニーと言っていましたのが、今、ポストオフィス・リミテッドとこういうふうに変わっていますね。それから、オランダでポスト・カントールという会社がありまして、この二つが例といえば例、それ以外には、この窓口会社あるいは郵便局会社という形のビジネスモデルを使っているところはないですが、このイギリスの場合は、かなり巨額の財政支援を得ながら、私が確認した限りではここ数年赤字でありまして、その赤字の規模もちょっと結構な規模であります。オランダは、郵便局の数が二千なんですね。それで直営局が四百しかない。非常に小規模な国ですから、こういうところはまあいいんでしょう。しかし、相当大きな国でこういうのが本当に成り立つのか。

 そこで、非常に本質的な問題なんですけれども、これ、手数料を収入にして基本的には生きていく会社ですよね。その手数料を決めるというのは、本当はマーケットで決まるというのが一番望ましい形なんですけれども、そのマーケットというのはなかなか成り立たないでしょう。例えば銀行なんかでしたら、銀行の代理店というのができましたら、その代理店手数料というのは大体こんなものだという相場ができます。保険については、マーケットができていますからそれはいいです。ただ、郵便について果たしてそういうマーケットがあるのか。

 とすると、ここは、もう時間がないからちょっとはしょりますけれども、簡単に言えば相対で決めることになっちゃうんですよね。相対で手数料を決めるという話になりますと、これは、非常に過大な手数料を払うというようなこともあり得る世界になる。要するに、郵便局会社を維持するために大きな手数料を払うということになる。

 ところがここで複雑なのは、恐らく民営化した場合に、このそれぞれのトップというのは、民間企業から招聘される民間の優秀な経営者の方々がなられるんだと思います。生田総裁がおいでる前で申しわけないですけれども、優秀な経営者というのは大体どうもうなものでありまして、できるだけ自分の利益を極大化するために頑張るんですよ。これって、本当に郵便局会社がもつようなそんなジェネラスな手数料を払うような形になるんでしょうか。私は、これは本当にわかりにくいなというか、大丈夫かなという不安感を非常に強く持っている。

 そしてさらに言いますと、移転価格の問題、トランスファープライスの問題というのがありまして、恣意的に手数料を決めるようなことがありましたら、一つの企業体から別の企業体に利益を移すということになるわけですね。このことは、もちろん、その利益を移した企業体にとっては経営者の背任という問題も生じましょうし、それから課税上の問題も生ずるんですね。こういった問題についてどういうふうにお考えか、教えていただきたい。

西川副大臣 村井先生、私どもの考え方を申し上げさせていただきます。

 今の恣意的な手数料の設定の問題でありますけれども、郵便貯金銀行、郵便保険会社は、民営化当初から、銀行法、保険業法上の銀行または保険会社として業務をやるわけでありますが、郵便局会社と一定の資本関係が残る間は、郵便局会社との取引に、いわゆる特定関係者との間の取引等、こういうことが適用される、こういうことになると思います。ですから、郵便貯金銀行、郵便保険会社が、例えば通常の取引の条件に照らして不利な条件で郵便局会社と取引を行うことは、銀行法、保険業法上禁止される、こういうことになるかと思います。

 そこで、郵便貯金銀行、郵便保険会社は銀行法、保険業法にのっとって適切な業務運営を行うことになる、こう考えておりまして、郵便局会社との間に一定の資本関係が残る間であっても、郵便局会社との取引について問題が生じる、こういうふうには私どもは考えておりません。

 また、移行期間を通じて郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の売却が進みまして、郵便局会社との資本関係がだんだん低下してきた、こうなるとどうなるかという考え方でありますが、この時点において、郵便局会社との取引に特定関係者との間の取引等のルールが適用されなくなるわけでありますが、そのような状況においても、各社はそれぞれが独立した経済主体として契約を締結することになるので、私どもとしましては、結果として適正な取引が行われることになる、こう考えております。

村井(仁)委員 申しわけないけれども、せっかくのお答えですけれども、私が御指摘申し上げた問題につきまして、どうも私の理解できる形のお答えをいただいていないという思いが募ります。

 大変細かい問題をちょっとお尋ねさせていただきたい。

 昨年九月の基本方針、ここで書かれていたこととそれから法律に落ちた結果と、これはもちろんいろいろな御議論がその間にあったわけでありますから、ちょっと確認的にお尋ねしたいことがございます。

 それは、例の基本方針の六に「推進体制の整備」というのがございまして、あそこで、「民営化後、郵政民営化推進本部の下に、有識者から成る監視組織を設置する。監視組織は、民営化後三年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。」というくだりがあるんです。これが、法律に落ちました形では、民営化委員会が、民営化後ではなくて一年前の十八年四月に設置されるということになった、これの理由。

 それから、「経営形態のあり方をレビューする。」という言葉があったんですが、それが消えて、「郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、」これは民営化法案の十九条一項一号でありますが、こうある。経営形態のレビューというのはこの委員会でやるんですか。

 この二点、ちょっとお尋ねしたい。

竹中国務大臣 昨年九月の基本方針におきましては、「監視組織は、民営化後三年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。」確かに、御指摘のとおりそのように記述をされております。

 それで、この基本方針に基づきまして政府・与党いろいろ議論を重ねながら、政府・与党の合意に基づきまして今回のあの法案を提出させていただいております。

 具体的に、民営化法第十九条第一項の第一号におきまして、民営化委員会は、「三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べる」というふうにあの法文で定めております。

 したがいまして、この「経営形態のあり方」は、民営化法第十九条一項一号の「総合的な検証」に含まれているというふうに御理解いただければ幸いでございます。

村井(仁)委員 わかりました。

 もう一つ、公社勘定の、例の、既契約と申しましょうか、保険の既契約、それから、いわゆる定額貯金で十年物ですか、これにつきまして、機構に移して、そして、機構が今度はこれを郵貯会社、郵便保険会社に委託したりそれから再保険に掛けたりというようなことになっていますね。これは、私の理解するところでは、いずれも郵貯会社に預けるそれから郵便保険会社に委託する、こういうことになっているんですが、機構法案の十五条あるいは十六条、これを見ますと、郵便貯金銀行とか郵便保険会社という言葉が出てこない。抽象的に、銀行あるいは保険会社、これに委託するあるいは再保険する、こういう形態になっている。

 特に、郵貯の旧勘定なんというのは十年で消えちゃうんですから、こんなものは郵貯銀行と特定して書いたってちっとも問題ないじゃないかという気が私はするんですけれども、どうしてこういう特定をしないのか。

 それから、同じように、郵貯銀行、郵便保険会社は郵便局会社を代理店とするということを法文上明示したっていいじゃないかと私は思うんですけれども、ここのところをどうして明示できないんですか。この辺のところは、そのために大変議論が複雑になるというか、あらぬ疑りを受けて御苦労になっているような思いがあるんですよ、議論を拝見していますと。そのあたり、どうして書けないんですか。

竹中国務大臣 細部の条文は御紹介をもういたしませんけれども、承継時に特別預金の経営先が郵便貯金銀行であるということをこの民営化法百六十条において明らかにしているところでございます。

 お尋ねの御趣旨は、民営化法では書いている、それでその機構の方には書いていないんですね、そのような御趣旨であろうかと思います。

 承継時の特別預金及び再保険に関するその規定をこの郵政民営化法に置いておりますのは、これは、ある種、立法技術的な問題ではありますけれども、民営化時におきます日本郵政公社の業務等の承継に関する事項について、郵政民営化法第十一章にまとめて規定したものでございます。

 それで、このようなあり方、実は国鉄の民営化におきましても、承継に関する規定は、いわゆる基本法的な日本国有鉄道改革法に置かれておりまして、新会社等の組織法には置かれていない。これは、日本道路公団の民営化においても同じような形になっているところでございます。

 仮に、契約の相手方について承継時点において特定することを超えて、例えば機構法の本則で法律上特定するということにすると、機構と郵便貯金銀行、郵便保険会社との間の個別具体の契約が恒久的な法制度として固定されることになってしまう。例えば、郵便貯金銀行、郵便保険会社が合併、分割、営業譲渡等の組織再編を行おうとする際に法改正を要する可能性があり、したがって、郵便貯金銀行、郵便保険会社のこれらの行為を事実上法律で制約することになりかねない。

 そうしたことも踏まえて、機構法の本則においては、特別預金の受け入れ先やその再保険の相手先を特定のものに限定をしていないという考え方でございます。

村井(仁)委員 奥野委員のお許しをいただいてもうちょっと申し上げさせていただきたいんですが、今のお話、私は逆に、機構法の中で郵便貯金銀行なり郵便保険会社を特定しても、その要がなくなったときにそこをまた変えたっていいじゃありませんか。そういうことの方がもっとわかりやすいんじゃないかという気がしますよ。そういうことだけ申し上げておきます。

 その上で最後に、システムの問題というのを私は非常に気にしているんです。

 実は、昨年の九月にあの基本方針が決まりますときに、生田総裁、ここにおいででございますが、大変このシステムの問題につきまして御心配になられまして、こうして分社化をしますと、たしか五千二百本とおっしゃいましたか、ソフトウエアをつくらなければならないというお話がありました。

 そのときに私が承って非常に印象的でしたのは、法律が通った後、詳細な政省令も決まる、そして、だれが経営するか経営者が決まる、そして、経営の方針がその経営者によっていろいろ、生田総裁御自身も、実際、郵政公社の総裁をお引き受けになられてから、総裁予定者といいますか、それに指名されてから現場を随分お歩きになって、たしか、私が前にお伺いしたので非常に印象的でしたのは、三百六十度見えていたと思っていたのが、実際現場を踏んでみたら二百七十度しか見えていなかったことがよくわかったと、こうおっしゃったのが非常に印象的でしたけれども、そして、どういう経営をしたらいいのかということを、郵政事業庁から郵政公社に移るというだけのことでもそれだけの御苦労をなすって、それでようやく経営方針を固めることができたというお話を私は非常に印象的に伺いました。

 そういうことで、もう一回言いますと、政省令もできて、もう要するに国としてのシステムはできた、経営者が決まった、経営者はそこでどういう経営をやるかということを、一生懸命になってこの巨大な企業体のいろいろなありようというものを見て、それから人がどこへ行くかももう決まっている、資産もどういうふうに分かれるか決まっている、それがなきゃ経営方針なんてもちろん決まりませんよね、というようなことができて初めてシステムの方針が決まり、そしてシステムの設計に入れる、そういう話なんですね。

 私も、実はソフト屋さんの話は随分いろいろ聞きました。そうしてみますと、やはりプロの話というのはほとんど一致していますね。三年から五年くらいかけないとやはりバグがとれないと言うんですね。実際にそのサイトへ置いてみて、はめてみてバグをとるのは本当に大変なんだというお話を聞きました。

 私も、たまたま金融の副大臣なんかをやっていますときにメガバンクの統合などがありまして、それでシステムが倒れていろいろ問題を起こした、あれは非常に痛切な体験であります。しかし、あれはたかが金融だけなんですよ。こっちは、金融に物流に保険と三つを合わせて、しかも企業体としての規模も、それは二十七万人といい三十九万人といい、どうでもよろしゅうございますが、大変な規模なんですね。それから、預かっている金額も、メガバンク幾つ分とか大手生保幾つ分とかいう世界なんですね。管理している相手も大変な数なんですね。そういうシステム、本当にうまくいくんでしょうか。私は、半年延ばすということをお書きになった、これも、それは大変な御苦労があってのことだということはよくわかります。よくわかりますが、それでも大変不安を感じざるを得ない。

 そして、今、情報公開が大変よく行われておりますから、例の加藤寛先生が御主宰になられました専門家の会合、あの議事録も私かなり丁寧に読ませていただきました。率直に申しまして、きょうお見えかな、山下さんがチーフ・インフォメーション・オフィサーですか、というお立場で随分いろいろ公社の実態などをお話しになったけれども、残念ながら、そのあたりは余り顧慮されることはなく結論が出されたという印象があります。

 私は、いずれにしてもこれは、巨大な社会実験になることを非常に恐れるわけでありまして、このシステムの問題につきまして、生田総裁、お立場がおありでございますから、もとよりお言葉をいただけるだけで結構でありますが、基本的にシステムについてどのように生田総裁はお考えか、そしてさらに竹中大臣から、最後に締めくくってお話しいただければありがたいと存じます。

生田参考人 お答えさせていただきます。

 経営者の立場で経営をするとなると、きちんとした経営のツールとしてシステムを持つということは、今の社会では不可欠の要件なんですね。したがって、民営化、分社化の話が起こり出したときに、真っ先に私は、非公式にいろいろなベンダー、IBMとか野村総研、NTTであるとか、大体どのぐらいかかるだろうというのを聞きましたら、一番短いところで三年で、四年から五年という間があったので、そのように最後まで申し上げておりまして、それで九月の三日だったかと思いますが、閣議でいよいよお決めになる二、三時間前に総理からお声がかかりまして、二人で話し合いをさせていただいて、私は、これは政治問題じゃなくて、経営ができるかできないかの問題だからやむを得ないんですというお話をしたら、総理は非常に公正でして、そうかもわかりませんね、それでは、本当にできるかできないか第三者にきちっと見てもらいましょうということで加藤委員会ができまして、それで加藤委員会は、これも率直に申し上げますと、最後の文章は、非常にさっき先生がおっしゃったような風調で書いてありますけれども、加藤委員会では、本当は、ベンダーを呼びまして、やはりできないことが検証されたわけですね。だけれども、できないんだけれども、逆転の発想で、では、二〇〇七年四月まで間に合うものだけで暫定的にスタートしてほしいという強い御要請がありましたから、私は現場監督ですから、そういう政府の御意思があればそれはもう甘受する、お受けしますと。ただし、いろいろな金融庁の規則だとかあるいは商法とか会社法に、期日が間に合わないとかいろいろな不備が当然出てくるので、したがって、そういう不都合を極力最小化する上でも、どうしようもないことには政府の方で必要があれば法的あるいは行政的なバックアップをしていただきたい、セーフガードを張っていただく、そのセーフガードの前提でお受けして、後は最善を尽くします、やります、こういうふうにお答えをして今日に至っております。

 したがって、六カ月延ばす延ばさないというのは、六カ月待ったから本格対応ができるという話とはこれは関係ないわけでありまして、要するに、要件凍結が大体想定しているような範囲で決めていただけばできるし、要件凍結が余り延びちゃったら、これは本当に暫定対応も難しいかなと。さっき先生がおっしゃった、たしか五千五百万ステップスというのを初期の段階で考えていましたが、その後ぐっと話を詰めまして、本格対応に今のところ四千二百万ステップスということになっておりまして、そのうち千七百万ステップスを、今あるシステムをできるだけ修正してとにかく間に合わすという形で、暫定対応ということでこなすつもりでおります。

 セーフガードさえ張っていただけば、これは何をか言わんですから、私ども現場としましては、それにぴたっと合うように最善を尽くします。

竹中国務大臣 本当に、昨年の九月に村井委員、まさにその点、当時も非常に御懸念を示されて、それで、村井委員のあの御意向も受ける形で、最終的には小泉総理と生田総裁でもお話し合いをいただいて、それで、やはり専門家にしっかりと検証をしてもらいましょうということで、例の情報システムのあの検討会議が設置されたわけでございます。ここでの検討会議、これはもう実に熱心に御議論いただきまして、昨年の十月から、本会議で七回、八回のワーキングユニット、合計で十五回、まさに専門家に集まっていただいていまして、その結果、先生御承知のように、リスクに暫定対応という形で可能であるという御結論をいただいている。

 それで、我々としましては、基本的には、今公社総裁がおっしゃられたように、公社御自身も、それを受けてその指針に従い、今後全力で取り組んでいく所存であるという御意向を表明していただいておりますので、そのリスクをとにかく顕在化させないように、政府そして公社よく協議をして、間違いなくそういう二〇〇七年四月の立ち上がりが可能なように、引き続き協力して努力をしていきたいと思っております。

村井(仁)委員 率直に申しまして、私は、時間を急げば急ぐほど、限られたシステムエンジニアをともかくとり合ってやらなきゃならないという仕事なんですね。物すごくコストがかかるんです。

 それから、麻生大臣は以前、失敗したら損害賠償を取るんだと言っておられましたけれども、ソフト屋なんというのは、こう言っちゃなんですが、そんなに金はありませんから、それは夜逃げするしかないんですよ。そういうことで、しくじったときの損害賠償なんて私はとても取れるものじゃないと思いますし、非常に大変なことになり得る危険なものなんだということをこの際指摘を申し上げておきたいと存じます。

 これで終わります。どうもありがとうございました。

二階委員長 次に、奥野信亮君。

奥野委員 自由民主党の奥野信亮でございます。

 この郵政民営化の議論を国民的レベルで聞いておるときに、盛り上がっているのは国会の中だけであって、世論はちっとも盛り上がらないというところに大変危惧をしております。

 特に、今、国民の郵政民営化に対する問題意識とかあるいは認識、理解というものが低くて、どちらかというと、生活に密着した年金とか社会保障とか、そういった問題について政治課題として取り上げて早く議論をしてほしい、こういうふうな議論があるわけでありますが、私は全く逆の立場でありまして、国民の金融資産、約千四百兆円ある中で、特に、多くの庶民の保有する三百五十兆円に及ぶ郵便貯金あるいは簡易保険といった金融資産が抱える将来のリスクに対して、やはりもう少しきっちりと説明をしておいた方が、国民の理解は得られて、また、国民のいわゆる関心もどんどん高まってくるんではないかなとこう思っておるわけであります。

 そういう意味で、郵政事業全体の今抱えているリスク及びこれを避けるための対策、それこそが郵政民営化であるということが確認されれば、国民も関心がどんどん高まるんだろうと思っております。

 そういう意味で、きょうは、非常にそのそもそも論といいますか、本質論についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 こういう本は皆さん方お読みになっていると思います。これは、実は小泉純一郎さんと、総理でありますが、松沢成文さんという、今の神奈川県知事でありますが、これが共同で編集をされた本であります。この中にどういう人たちが議論をしてこれを編集したかというと、民主党の方が十五人、自民党が二人であります。それだけ、その時点では、民主党を含めて多くの国民の関心の的になるだろうということで、みんながこの郵政民営化研究会に、群がったと言ったらおかしいかもしれませんが、そういうことであったんだろうと思います。

 実は、私はこれを今から五年ほど前に読みまして、ところが、そのとき私は政治家でもありませんし、政治家になろうという気もなかったわけであります。日産の子会社の代表社長をしておったわけでありますが、そのときに、日産の社長でありますゴーンに、私の社長をしている会社を譲ってほしいと、いわゆるMアンドAをしかけまして、具体的な手法でいうとMBO、マネジメント・バイアウトという形で会社を取得したわけでありますけれども、その会社の株を売ってもらう交渉で明け暮れている中でこの議論を読んだわけでありますが、その私の立場からいくと、そのときに所要資金が百五十億円ほど要ったわけでありますが、金融機関から金を借りようといっても、そう簡単に右から左に金を融通してくれるような金融機関はなかった。しかしながら、一方で、この本を読んで実態が理解できたわけでありますが、世の中にある特殊法人という法人が、必要な資金は自由自在に財政投融資という形で金を入手することが簡単にできるというようなことを読んで、いや、本当にこんなことがあるんだったらもう少し私の対応も変わったのかなと思いますけれども、これは国民の側から見れば、やはり大きな問題だなとこう感じたわけであります。

 国民の大事な資産が国債として国の財政赤字のファイナンスに使われているとか、あるいは、当時から悪の権化とも言われていた特殊法人に対して、財政投融資という形で、余りきっちりとした審査もしないで貸し付けられる、こういったところがやはり一番の問題点だというふうに感じたわけであります。

 私もそれから政治の世界へ入ってみて、財政投融資というものが、だんだん、もちろん財投機関債ということで国民の目にも触れるようになってきているわけでありますけれども、従前の財政投融資というものが大体今どのくらい残っていて、どのくらい不良債権化しているのか。興味があるといったらおかしいですけれども、やはり、問題の原点として国民にちゃんと説明をしておく必要があるんではないかと、私はそう思っているんです。これは全く質問通告とかそういうことはしておりませんけれども、もしおわかりいただければ、民間金融機関に対して、不良債権をきっちり整理しなさいと大変しつこく、厳しく追及された竹中大臣でありますから、これについては、ぜひ一回、ちょっと数字を教えていただければなとこう思うわけであります。わからなかったらしようがないです。

竹中国務大臣 財政投融資は財務省の所管でございまして、申しわけありませんが、今、私自身数字を持っておりませんので、財務省の担当からお答えをさせていただいてよろしければお願いを申し上げます。

牧野政府参考人 お答えをさせていただきます。

 財投と郵貯の関係についてはいろいろ御質問いただくんですが、郵貯の全額預託義務といいますのは平成十三年で終了しておりまして、ですから、今は経過措置で一部財投債を引き受けてはいただいておりますが、基本的に、郵貯の金が財投に回ってむだに使われるという仕組みはもうなくなっております。

 それで、不良債権が幾らあるかという御質問でございますが、これは、平成十七年の財投計画を編成する際に、財政審議会で総点検というのをやっていただきまして、各法人について民間ベースの財務諸表で点検をして、しかも、それはちゃんと公認会計士のチェックを受けたものですが、それによって基本的に不良債権はないということを確認していただいたとともに、その中でも、特に融資規模の大きい住宅公庫それから都市再生機構につきましては、その財務内容にやや疑念があったものですから、この債権を前倒しで不良なものを含めて処理するというそういう手続をとりまして、今国会にそのための関連法案も提出して、前倒しで処理をすることにいたしました。

 そういうことで、今、財投の融資先について何か不良債権があるんじゃないかと御批判はありますが、私どもがすべてチェックした結果、そういう事実はないというように考えております。

奥野委員 わかりました。

 今お話しのあったように、財政投融資制度そのものは財投機関債という新たな制度に変わったわけでありますから、一歩前進というふうに私は感じております。

 そして、不良債権も、大きな意味での不良債権はないということでありますから、それでは次の議論になると思うんですが、こうやって国の財政赤字を国債という形でファイナンスしてきているわけでありますが、政府の方針として、二〇一〇年初頭にはプライマリーバランスをイーブンにして、着実にそれ以降も改善させる方向に持っていこうと、こう言っているわけでありますから、これを考えると、郵便貯金あるいは簡易保険の資金の行く先というのが、そこを断たれる。断たれると言ったら言い方は悪いかもしれませんが、だんだん縮小してくるわけでありますから、これはやはり前向きにお金の使い方を考えていかなくちゃいけない、こういうふうに私は感じております。

 そうしたときに、これは、私が例えば事業者でありますから一つの案として考えるのは、そういう金が株式市場に回ってくれれば、株式市場が活性化して株価が上がってくる、経済もそれを材料にして元気になってくる、こういう理屈もあるんだろうと思いますが、それは余りにも乱暴だという指摘もあろうかと思います。

 こういったことから考えて、郵政民営化を金融あるいは経済という観点から考えた場合、私が今一つの理由を申し上げたわけでありますけれども、郵政民営化がなぜ必要かということを私なりの解釈を申し上げたわけでありますが、これ以外に、もう少し国民にわかりやすく追加して、もちろん利便性の問題とか事業の問題とかというのはちょっと後にしていただいて、金融、経済という形から日本経済を考えたときの郵政民営化の必要性というものでさらに御説明いただくことがあるならば、ぜひ、前にお座りの三大臣から個々に御理解を教えていただければなと、こう思います。

 まず竹中大臣、お願いします。

竹中国務大臣 奥野委員から、そもそも論、本質論ということで、郵政民営化がもたらすその効果について、経済全体、委員は金融と経済とおっしゃいました、マクロ的な問題と、ミクロ的な問題、それは経営の問題ですね、それと利用者の問題、いろいろあるだろうけれども、まず、マクロ的なというか、金融と経済の観点から、今委員の御指摘との関連でどのように考えるかという御質問でございます。基本的には、私は、今委員の御指摘で本質的な問題の御指摘は尽きているというふうに思っております。

 家計が千四百兆に達するような資産を持っている。その四分の一が今公的なお金として郵政に行っている。これは公的なお金でございますので、これはもう安全資産に投資するということになって、リスク資産には行けない。したがって民間にもお金がなかなか回らない。結果的に、国債やかつての財投の使い道のような形でお金の使い道が固定をされてしまっている。それを、やはり資産の運用を多様に行えるように、これはやはり、民間と同じような競争条件になっていただくことによって資産の運用を多様にしていただいて、そうする中でいわゆる信用リスクビジネスにも参加をしていただいて、そして、そのリスクマネーがふえるという形で経済を活性化させていく。金融と経済については、それがやはり何よりも重要なポイントであろうかと思います。

 同時に、この郵政の改革、民営化とあわせまして、出口の方の財投の改革、これも委員御指摘のように、やはりこれからさらにしっかりと行っていかなければなりません。そうすることによって、今度は出口の方でも、今、政府系金融機関のウエートが諸外国に比べてGDP比率で高い、これを半減させるということで議論を進めていくわけでございますけれども、そういう中で、入り口、出口、そしてその経路、まさに官から民へ、お金の流れを官から民へ変えるということは、民間のリスクをとれるようなそういう投資、融資にお金が回るということでございます。

 委員の御指摘は、まさにその意味で改革のそもそも論、本質論であろうというふうに思っております。

奥野委員 もし、麻生大臣、伊藤大臣、さらにつけ加えることがありましたら。もし聞いておられなかったんだったら、後にしますよ。

麻生国務大臣 基本的には、これは多分同じ観点なんだと思いますが、一千四百兆を超える個人金融資産のうちの約三百三十九兆ぐらいなものがいわゆる官になっているというところは、これは世界で例のないという実態を踏まえますと、これを何らかの形でほかに移すというのはこれは大事なところだと思っております。それが一点。

 それから、なぜ日本はこれだけ貯金に偏ったのか。千万円預けて金利〇・〇〇五、今、普通預金。だれも知っている人がいないというのもかなり信じられぬけれども、〇・〇〇五ぐらいだと思うんですが。ということなんで五百円。千万円かたい株を買って、配当率二%で二十万。今は税の特別なあれがありますから、一律一割になっていると思いますので、引いて二万円、合計十八万。千万円の株を買うのと千万円の貯金をするのとでは、十八万円と五百円という差を考えれば、常識的には、何となく株というものの方にもっと移動をしていくのが通常だと思うんですが、何となく株というものは怪しげなもので、上がったり下がったりとてもじゃないという話が多いんだと思いますが、配当率というものを考えないで、キャピタルゲインの話だけ考えるから上がったり下がったりという話になるんでしょうが、配当率で考えたら、二十万円と五百円の差というものは、正確には十八万円と五百円の差というのは明らかだと思いますので、そういった意味では、貯金に極端に偏った、預金に極端に偏っているという部分が他の部分に動いていく一つのきっかけになるとするならば、今回のあの民営化というのはかなりのものだと思います。

 なぜ貯金に偏ったかといえば、銀行が頼りにならぬ、危ないという話がざあっと出たあの時期に一挙にどんとふえていったという経緯もありますので、そういった意味では、今回のものも、それぞれ皆もしかしたら、ペイオフの原則に従って千万円以上の預貯金についてはいまいち危ないということになるのであれば、それなりの意識を持たれて資産管理も行われるということになっていかれるというのは、いろいろな意味でそういった管理能力がない人はだれかできる人を依頼するという形で、そこでまた別の職業とか仕事とかいうのもふえてくるようになろうと思いますので、あの波及効果を正確に計算したわけではありませんけれども、地方においてもいろいろな意味で資産の運用の選択の幅が広がってくるという意味においては、新しい仕事に広がる可能性もあるという面も指摘できるのではないかと存じます。

伊藤国務大臣 委員の御指摘や、あるいは二人の大臣からも御答弁がございましたように、やはり一つ大きいのは、官に張りついているその資金というものが民間に流れる、そのことによって経済活性化の観点から非常に大きなやはり意義があるということは一つあろうかというふうに思います。

 そしてもう一つは、今までの郵政の中の金融の事業、この機能というものを十分発揮させていく。窓口ネットワークというものを活用して、そして、地域密着型の業務というものを行ってきたわけでありますけれども、市場を通じて経営を拡大することによって、多様で良質なサービスというものを提供していくことによって、国民の利便性というものが向上していくことにつながるんではないか。こうした点が、委員から御指摘があった国民のための改革という観点からも、私は大きな意義があるというふうに思っております。

奥野委員 ありがとうございました。

 次に、郵政民営化の目的のうちの一つは、利便性というのがあるんだろうと思うんです。民営化するということは民間企業化することでありますが、民間企業の経営目標というのは、最大利益の確保であります。しかしながら、最大利益を確保するためには、やはり、そこに関係するお客様、もちろんステークホルダーも含めて、お客様満足度ということを考えていかないと利益の確保というのは難しいんだろうと思います。

 政治の世界へ私も入って感じることは、お役所の仕事の目標は何だろうなとしょっちゅう考えるんですが、どうも見ていると、本来は国民の満足度向上であるべきなんでありますが、実際上は公務員の自己満足の向上じゃないのかな、こう思っているんです。

 やはりそういう意味では、もっと国民の方を向いて郵政事業も仕事をする必要があるわけでありますが、もちろん、この間、公社化することによって、特にそして生田総裁を迎えることによって、お客様満足度の向上ということにかなりメスが入ったように私は理解をしております。真っ向サービス、これも一つのお客様サービス、満足度向上のための手段の一つだろうと思いますが、まだまだやはり改善の余地はあるんだろうと。

 具体的に言いますと、私も余り詳しく知りませんが、知っている範囲で言いますと、宅急便の時間指定というものがあるんですが、あれが、民間企業のやっている宅急便は二時間のレンジで指定ができるそうでありますが、公社の方のものは半日単位かな、何かそのくらいだというふうに私は聞いております。こういったことを含めて考えても、まだまだ改善の余地はある。それは、やはり民営化していった方が意味がある改善ができるんだ、こういうふうに私は解釈をしております。

 ただ、反対に郵便局の配置については、どうも今は民間を上回るサービスが行われているというふうに私自身は思います。ただし、このネットワークというのはできるだけ維持をしていく必要があるんだろうと思います。ただし、私の家の半径五、六百メートルで円をかきますと、その中に郵便局が四つあるんです。これはやはり過剰じゃないかと。そういったことは、お客様のリクエスト、ニーズといったものを考えつつ、お客様の満足度を維持するネットワークというものを維持していくことを考えなくちゃいけないんだろうと、こう思います。

 やはり、郵便、貯金、保険の三つのサービスというのは、郵便局で取り扱うということが今の国民の理解でありますから、これを変えるわけにもいかないし、特に、僻地のネットワークについても維持をしなくちゃいけない。こういった意味合いをぜひ実現していく必要があろうと思いますけれども、多分国民の期待というのは、便利であること、安いこと、早いこと、この三つだろうと思います。こういったことについて、さらにほかに皆さん方のお考えの中に郵政民営化の利便性にかかわるところで御意見があったら、竹中大臣から教えていただきたいな、こう思います。

竹中国務大臣 生田総裁の御答弁にもありましたが、政策を議論するときは、国民の利便というふうに我々はどうしても言うわけですが、生田さんは、これはお客様の利便だと。そういうやはり観点からサービスを向上させていくということは、何よりも重要なことだと思います。そういう観点からいいますと、公社として今大変サービスの向上に努力はしておられますが、それでも、やはり今のままでは限界がどうしても出てくるということではないかと思います。

 郵便局が特にそのサービスの拠点として重要なわけでありますけれども、国の機関としてその郵便局で提供されておりますサービスというのは、今法律で限定的に列挙されております。大まかに言いますと、やはり郵便であり、郵貯であり、簡保であり、これをさらに広げていくことによってお客様のサービス向上につながるわけですが、しかしその場合、どうしても問題が二つ出てくるんだと思います。

 一つは、これは法律で限定されておりますから、柔軟に対応しようと思っても、その都度やはり法律を変えていかなければいけないではないか。そうすると、まさに先ほど、便利、早く、安くとおっしゃいましたけれども、その早くということがなかなかできなくなってまいります。一方でまた、それをやればやったで、今度は、民間とでは同じ競争条件なのかということで、民間の方からも、対等の競争ではないのではないかというような御不満も出る可能性がある。

 そういう観点からしますと、やはりここは、民営化をして経営の自由度を持っていただくということ、しかし一方で、民間との対等な競争、イコールフッティングには十分に配慮するというような仕組みをつくって民営化をするのが、やはりお客様の観点から私はベストの選択ではないかと思っております。

 最後に、また奥野委員が御指摘になられました。やはり、郵便局のネットワークというのはこれは重要である、特に過疎地においては重要であるというふうに思います。都市においても、一部稠密地域については、これは効率化等々当然必要になってまいりますが、都市のお客様の利便も含めてしっかりとした設置基準を定めて、そうした利便を確保する、さらに高めていくということが必要であると思っております。

奥野委員 それから、今度は事業経営の面からの問題を申し上げますと、郵政事業を民営化するわけでありますから、余り法律でがんじがらめに縛らずに、既存の法律の枠内で新しい社長さんにいろいろな知恵を発揮してもらって、新しい事業として組み立てるということが民営化の本旨だろうと思うんです。そういったこともぜひ考えていただきたいし、そういう意味では、法案を通してできるだけ早く社長さんを決めるということも必要なんだろうと思います。

 特に、私はロジスティック会社の社長も兼任しているわけでありまして、この業界に詳しいんでありますが、四分社化のうちの郵便事業会社、これについては、私は金の卵という表現をしているんです。私の会社をドイチェ・ポストが買いに来たこともあります。やはり、そういうふうにドイツの郵便局の事業を支えてきたドイチェ・ポストが日本にまで出てこようとしていることは事実であります。

 そういう意味合いからいうと、逆に私は、早く国際物流に手を染められるような感覚で法律をきっちりフレキシブルにつくっておいた方が得だと。そういう意味合いでは移行期間終了後ということになるのかもしれませんが、そういう対応ができるようなことも社長さんにやっていただくのが一番いいのではないかなと、こんなことも考えているわけであります。

 ただ、私は郵政公社のことを批判するわけじゃないんですが、事業会社を経営する場合には、やはり仕事の作業性、能率向上というものはどうしても考えなくちゃいけない要素でありまして、この間、トヨタの方が越谷の郵便局へ入られて、一〇%の生産性向上ができたといって政治家の方は納得しておられますが、私が事業会社の社長の立場で考えると、何だ、たった一〇%かと、こういう感覚であります。やはり世の中の事業会社の場合には、一つプロジェクトをやれば三〇%ぐらい上げなきゃいけないんです。

 そういう感覚からいうと、まだまだ、民営化して、なおかつ郵便事業会社の実力というのは非常にあるだろうと、私はそういう感覚を持っておりますけれども、事業会社、事業経営の観点から竹中大臣がお考えになっていることがあれば、もう少しつけ加えていただければと思います。

竹中国務大臣 私は経営そのものに対して余り語る能力、資格はございませんで、麻生大臣が大変高い見識をお持ちかと思いますが、今お尋ねの、お尋ねと言いましたが、御指摘の、準備企画会社の社長さんは早く決めた方がよいだろうというような点、そして国際ビジネス等々の点について、今の対応といいますか、御説明させていただきたいと思います。

 郵政民営化の準備を早期に進めるということにつきましては、これは政府・与党の間でもしっかりと話し合われまして、合意事項がございます。これは、移行期間における業務範囲の段階的拡大を的確かつ円滑に実現するために、関係会社及び関係行政機関にはあらかじめ先行的に検討と準備を進めるということを認める、そして、この方針に基づいて、準備企画会社の経営委員会、これを準備期間内のできるだけ早い時期に設置して、そして、新規業務の選定とその内容、規模、開始時期を含むその内容の検討を開始するということ、さらに、民営化委員会も準備期間内のできるだけ早い時期に設置して、透明性の高いルールのもとで、関係大臣による手続を含む認可手続が適時かつ円滑に進むよう、極力早期に意見具申のための検討作業を開始する、これは政府・与党の合意に基づいております。

 それを受けましてこの法案におきましても、将来の持ち株会社となります準備企画会社、いわゆる日本郵政株式会社を、民営化に先立って準備期間中の比較的早い段階において設立するということとしておりまして、具体的には、法の公布後六カ月以内で政令で定める日に設立するということにしております。

 その意味では、この準備企画会社の社長については、この会社の設立時期に合わせて適切なタイミングで選定をする、会社のやはり顔が見えるということも大変重要だという御指摘は、諮問会議でもたびたびいただいたところでございます。

 国際ビジネスにつきましては、郵便、物流の国際業務につきましては、とりわけ今アジア地域で大変なビジネスチャンスがあるということ、そして、やはりこれは準備して育成するのに大変時間がかかるということがあるということで、準備期間内からこれに取りかかるということも、これは生田総裁の強い御意向もあり、この中で手当てをさせていただいているところでございます。

 そうした可能性をやはり最大限追求していっていただきたい、同時に、民間とのイコールフッティングには十分な配慮をしてまいりたいというふうに思います。

奥野委員 ありがとうございました。

 大体、ねらいについては私なりにそう自分の理解が狂っていないなということはわかったつもりであります。

 少し細かいことで、私自身がわからないことを含めてお話を聞かせていただければと思います。

 今の少し事業会社のかかわりでいいますと、私は、実はこの郵便事業会社というのは、もっと積極的に企業経営をして、極端なことを言えば、DHLなりドイチェ・ポストなり買いにいけばいいじゃないかと、そんな感覚を持っておりまして、そういった企業経営が早く定着するように皆さん方も御支援をいただければなと、こう思うわけであります。

 一つ、今回の郵政事業の民営化で四分社化するというのがございます。これは、いろいろな方に伺うと、いや、三分社の方がいいんじゃないかとか、四分社の方がいいんじゃないかとかといろいろなことを言っておられる方がいます。あるいは逆に、分社なんて全く認められないとこうおっしゃる方もいる。ですけれども、私、民間企業でいろいろ仕事をしてくる中で、やはり今は、お互いの事業がもたれ合って企業全体を支えていくという考え方では、この新しい世の中では全く通用しない。言葉としてよく皆さん方に言われる、選択と集中というのがございます。一つの会社はそれなりに目的を一つにしてそれで邁進する、それがやはり企業経営の常道手段になりつつあるわけでありまして、そういう意味合いからいうと、郵便事業と郵便貯金事業と保険事業というのは、分割するのが筋だと。

 ただ、そのときに、ネットワークを入れて四つにするよりも三つにした方がいいと言う人がいるものですから、ちょっと私はそれを説得できないものですから、いや、四つの方が三つよりこういったところがいいんだよというようなことがわかりましたら、お教えいただければと思います。

竹中国務大臣 今、奥野委員が、やはりもたれ合ってはいけないという表現をされましたが、まさにやはり分社化する理由は、その専門性を高めて自立していただくということにあるんだと思います。

 郵政公社は、これは、とらえ方は当然いろいろな考え方があるんでしょうが、我々は、委員がおっしゃる物流を含む広い意味での物流、郵便の事業と、そして貯金の事業と、保険の事業と、そして窓口ネットワークという、特性の異なる四つの機能を有しているというふうに認識をしております。そして、それぞれが各業務に特化をして、専門性を高めてその潜在力を十分に発揮させる、そして、それぞれの市場の中で自立をして効率的な経営が行われるということが重要であろうかと思います。それによって、初めて良質で多様なサービスが安い料金で提供できるようになるわけでございます。そして、それが国民の利便性を最大限に向上させる、これがまさに郵政民営化の本質的な意義であろうかと思います。

 それで、もう一つ考えなければいけませんのは、一つの事業の損益状況が他の事業に影響を及ぼすことを防ぐ必要がございます。特に金融システムの安定性の観点から、これは金融と商業をやはり分離するということが銀行法等金融法令上の一般的なルールであるところでございまして、民営化に当たっては、このルールに服する必要があるということから、四分社化ということにしているわけでございます。

 三分社化のお考え、いろいろな三分社化があろうかと思いますが、やはり何よりも、その特性が異なる四つの機能、そしてそれぞれがそれぞれの機能を特化して、そして専門性を高めて自立をしていただく、そのようなことではないかと思っております。

奥野委員 わかりました。

 それから、先ほど、これからいろいろ国債の発行というのがだんだんしぼんでくるだろうと申し上げたわけでありますが、やはり、必ずしもそれは一気にできることではなくて、国債というものは、まだまだ大量発行というものが二〇一〇年を越えてもあるんだろうと思います。

 そうしたときに、この郵政事業を民営化したときにどのように国債の安定消化を図っていくかについて、もし教えていただければと思いますが。

牧野政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、現在、多額の国債残高を抱えておりまして、今後とも国債の大量発行は当分見込まれております。その中で、郵政公社に大量の国債を持っていただいていますから、民営化後に適切に国債管理政策を運営していくということは、これは極めて重要なことだと認識しております。

 その際、まず重要なことでございますが、これは財務大臣から何遍も御答弁いただいておりますが、財政構造改革の推進によって国債に対する信認を確保していくこと、これがまず最重要だろうと思っております。その上で、国債の安定消化を図る観点からは、今後とも、市場のニーズ、動向等を十分踏まえまして、国債の発行、新商品の導入といった商品の多様化等を通じまして保有者層の拡大を図る必要があると考えております。

 具体的には、現在進行中のものを申し上げますと、まず、国債全体の安定消化の確保と国債市場の安定を図るために、昨年十月に国債市場特別参加者制度を導入しております。現在、その円滑な運営に努めておりますが、これを一層充実してまいりたいというように考えております。

 それから、現在、他の部門や諸外国と比較しまして相対的に国債の保有割合が低い個人や海外部門の保有を促進するという観点から、個人向け国債につきましては、現在も変動金利の十年物を発行しているわけでございますが、それに加えまして、固定のものを平成十七年度下期には発行して、個人の国債消化をさらに促進してまいりたいと思っております。

 それから、国債に対する海外の説明会、海外IRと申しますが、をやっておりまして、こういう手段によりまして、海外投資家による日本国債の保有促進に努めてまいりたいと考えております。

 今後とも、こういう各般の国債管理政策に取り組んでまいりまして、郵政民営化後にも的確に対応してまいりたいというように考えております。

奥野委員 ありがとうございました。

 この郵政事業を民営化した場合に、郵便貯金事業の中では、資金を地方にも回るような制度をつくっていかざるを得ないだろう、そういうことがこれからのねらいだというふうに理解しております。

 先ほど、私の会社の事例を申し上げたんですが、地方でも、これからやはり、企業価値の高い企業がどんどん生き延びていって弱い企業が淘汰されるというような状況が出てくるんだろうと思うんです。そのときに使われる手段がMアンドAであります。そうしたときに、このお金をやはり地方に回すためには、郵便貯金会社というものがもう少し審査能力も持ち、なおかつ地方の銀行と提携を深めながら、地方に潤沢にお金が回るような仕掛けをつくらないと、絵にかいたもちに郵政民営化事業というのが終わってしまうだろうと、こう思うわけでありますが、そこの、いわゆる郵便貯金会社の地方銀行とのかかわり等について竹中大臣の御所見を伺えれば。

西川副大臣 地方とのかかわりでありますけれども、郵便貯金銀行ができて一気に貸し出しノウハウができるかというと、そうはいかないと。こういうことは私どもも承知はしております。

 そして、移行期の当初でありますけれども、資金の調達、非常に強いところはありますけれども、資金運用面については、人材あるいは体制、ノウハウ、こういうのは不十分であろうと、こういうことを考えています。でありますので、移行期間中に、順次、人材の確保、ノウハウの蓄積、こういうものを行っていくということは十分可能であると考えております。

 そこで、郵便貯金銀行でありますけれども、人材の確保あるいはノウハウの蓄積を含めまして、いかなる経営戦略、ビジネスモデルで事業を展開していくか、これはすぐれて経営判断だということになるわけでありますが、やはり、全国の郵便局ネットワークを通じた地域の顧客基盤が強みとなることから、今御指摘いただきましたように、地域密着型の業務を展開していく、これが必要であろうと考えております。

 その中で、融資業務などのノウハウをこれから補うべく、例えばシンジケートローンのような形で、あるいはもっと緊密な業務提携、こういう形で地域金融機関との提携を図っていく、こういうことが必要であろうと思います。これから新しい経営者が当然模索をされるものではないか、こう考えておりまして、これから対応してまいりたい、こう考えております。

奥野委員 今お答えの中にあったように、やはり、これから選任される社長さんがそのいろいろな知恵を駆使して新しいシステムといいますかビジネスモデルをつくっていただいて、それで強い企業として育て上げられることが一番大事であって、そのときに、やはり地方を忘れるなよということだけはぜひ頭に入れておいていただきたいな、こういう感じがします。

 それから、金融事業については、よくアメリカの方から企業買収に来る人が多々いるんじゃないか。前に、日本長期信用銀行の買収はリップルウッドがやったわけでありますが、あの当時は日本の銀行が疲弊しておりまして、日本の銀行はリップルウッドと競争するわけにもいかなかったという環境の違いがあろうかと思います。

 今度は、郵便貯金銀行なり郵便保険会社、この二つは、やはり将来民営化した場合に、あるいはその過程で外資に買収されるということもあり得るわけでありますけれども、これは、今我々の中でも外資規制についていろいろな議論をしてみたり、あるいは、もっともっと基本的には企業価値をどんどん上げておかない限りは企業買収にさらされるということもあるわけでありますけれども、やはり、買収、買収ということを言う前に、自分の会社の企業価値を上げていく努力に専念することが大事だと私は思っているんですが、竹中大臣の、企業買収されるぞと言われる人たちに対するコメントといいますか、竹中大臣の御高説を聞かせていただければと思います。

竹中国務大臣 委員の御指摘は、大変高い御見識に基づく、まさに企業経営の正論、王道の御議論であろうかと思います。

 ともすれば、何か一つの現象が起きますと、それに対する一面的な部分が強調される傾向がどうしても出てまいるわけでございますけれども、これはやはり、企業の価値をしっかりと高めて、市場の中での盤石の基盤をつくるということが、安定的な経営をするということに加えて、敵対的な買収からも身を守るという、これはもう正道であろうかと思います。そういうことを、やはりまず経営者としては当然のことながらしっかりと努めていただきたいというふうに思っております。

 我々の政府の側としましては、そういうことを原則論としつつ、同時に、やはり敵対的買収についてしっかりと枠組みをつくっていくということであろうかと思います。

 今、奥野委員御指摘のように、商法の一般的な規定のあり方そのものについてこれは大議論があると承知をしておりますが、今回、郵貯銀行の敵対的買収については、この商法の一般的な規定を活用して防衛策を講じるという、これは仕組みとしては必要であると思っておりますが、その根本にありますのは、御指摘のように、まさに企業価値を高めていただく経営努力であると思っております。

奥野委員 ありがとうございました。

 日本は、第二次世界大戦後、大変な疲弊した状況から、高度成長路線を歩みつつやっとここまで来たわけでありますが、これから先はやはり地方の時代であって、小泉さんがおっしゃっているような、地方でできることは地方にということ、民でできることは民に、そういう感覚でどんどん政治を行っていかないと、国民が政治から離反してしまう、こういうことを思うわけであります。

 そういう意味で、これからはやはり地方の時代、そして、地方でこれからは教育だとか環境だとかあるいは福祉でお金が大変必要になるわけでありますから、この郵政民営化という法案をできるだけ早く通して、国民のニーズに合ったシステムをつくっていただけることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 昨日に続きまして、また本日、一時間質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは大体大きくは二つでございまして、一つは決算情報について、現在の公社、また、二〇〇七年四月一日に移行期に入ります民営化の会社、このあたりの状況と、あとは、先ほど村井先生がおっしゃっておられたシステムの関係のことをお伺いさせていただきたいというように思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、先日、郵政公社の個別決算、連結決算が公表されておられたわけであります。また、先ほど申し上げましたように、二〇〇七年四月一日に移行後の会社の決算が発表されるわけでありますけれども、現在の公社の連結決算と移行後の会社の連結決算について、多分このような違いがあるだろうというようなものがありましたら、まず教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

藤本参考人 お答えいたします。

 現在の公社の連結財務諸表は、日本郵政公社法施行規則においてその様式が定められてございます。連結の対象範囲でございますが、これにつきましては、企業会計原則に基づき判断をしているところでございます。

 新しいといいますか民営化後の各会社は、その経営戦略と申しますのも新しい経営陣によりまして作成されるものでありまして、現時点では確たることを申し上げられないわけでございますが、仮に資本関係を有する会社等が出現した場合には、企業集団に関する財務状況を適切に開示する連結財務諸表をつくらなければいけないわけでございます。その場合には、関係法令、上場した場合には証券取引法の適用もございましょうし、あと、金融関係の業法の規制もございます、そういったものでありますとか、企業会計原則にのっとりまして作成していく所存でございます。

 以上でございます。

谷口委員 一つは、今、公社の決算書を見ますと、連結をされておる子会社が二十二社、また持ち分法を適用されておる関連会社が十二社あるということでございます。このようないわばグループ経営の戦略でございますけれども、このような戦略が、具体的な話で申し上げます、この二十二社がそのまま移行後の会社に引き継がれるのか、また、この関連会社が移行後の会社に引き継がれるのか、どのようにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

生田参考人 お答え申し上げます。

 現行の公社法の規制のもとでは、連結対象とし得る子会社というのが、いろいろな制約で非常に限られているんですね。したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、今、連結子会社になっているのは郵便専用自動車会社の二十二社以外にはないわけであります。また、こういった二十二社各社との取引状況、これは動いておりますから、それによりまして数の異動はあるかもしれない、そんな大きくはないと思いますけれども、ある可能性はあると申し上げておいた方がいいと思います。

 その関連で申し上げますと、公社法第二十一条に、金融はだめなんですが、郵便業務のみは、密接に関連する事業を行う者に出資できる旨規定していただいております。したがいまして、郵便サービスの向上を図るために出資することも今後ないとは言えない、あり得るということで、連結子会社全般ということになりますと、そういったものが加えてふえてくる可能性もあるということを申し上げておきたいと思います。

 関連会社などは、これは、一般の経済社会、通常の経済界において、本業を補完して、より質の高いものをより安く、まさにオーダーメードでグループに供給する、こういう役割を持つものでありまして、そういうものを含めて企業集団が組まれて、いいサービスが提供できるというのが経済社会一般の格好でございます。その意味では、法の規制のもとに今公社がそういう企業集団を持っていないというのは、実は、事業と考えますと少し珍しい形になっているということでございます。

 したがいまして、将来的に申しますと、もし民営化になったとしまして、ビジネスモデルの自由化及び出資が認められるということになりますと、民営化後の子会社のあり方につきましては、経営資源の最適再配分ということも考えまして、極めて高度の経営陣の判断による、多分私は広がると思います、そういう方向になるだろうということでございまして、今の公社経営がほんの限られた二十二社だけで経営しているというその延長線上で民営化後の企業グループあるいは集団を考えるというのは難しい、新たなコンセプトが入ってくるんじゃないかな、こう思います。

谷口委員 生田総裁は民間企業で経営をなさっておられて、お尋ねしたことを非常によく理解されておられるんだろうと思うわけでございます。

 今、民間の世界では連結で見るというのが一般的でありまして、個別企業の財務諸表を見たところでそれは本来的ではないということです。ということは、これはいろいろな形でグループ化しておる、独立採算でやっておる。従来であれば、事業部なんかを会社の中に置いて、それでやっておった経緯もありましたけれども、どうも最近はそういうようなことがふえておられるわけでございます。

 民営化をいたしますと、やはり効率性であるとか、また透明性であるとか採算性であるとか、このようなことが問われるわけでございます。そうしますと、今総裁がまさにおっしゃっておられたように、民営化の会社でありますから、現在の郵政公社のようにいろいろな法律で縛られているということではなくて、かなり伸び伸びと経営が行われるのであろうと思うわけで、そうなりますと、当然ながら、関連会社また子会社を通じたグループ経営が行われるというようなことになるんだろうと思います。今まさに生田総裁もふえていくんだろうというようなお話をなさっておられたわけでありますけれども、そのようなことになるんだろうと思うわけでございます。

 しかし、一方で、なかなかグループ経営というのは難しいところもありまして、いいところと悪いところがある。いいところは、それぞれ独立採算をしていただいて、その子会社なり関連会社の社長が採算の責任になるわけでございますから、グループ全体の売り上げを伸ばすというようなことがございます。一方、悪い方でいきますと、アメリカで起こった会計の不祥事、エンロン、ワールドコムなんといいますのは、まさにこのエンロンは、本体の下に三千近いSPCという子会社みたいなものを置いておって、利益をばっと配分していって本体の利益をきれいにしておったというようなこともあるわけでございますので、そのあたりが、非常に注意しなければいけないところと、一方で、前向きにやっていく必要のあるところがあるわけです。

 しかし、先ほど申し上げたように、いずれにいたしましても、民営化の会社は自由に競争力をつけていただかなければなりません。この会社が損益状況が悪くなって、政府がまたサポートしていく、今いろいろこの基金の問題もありますけれども、その総体としてサポートしていかなければならないということになりますと、これは困るわけでありますから、そこはしっかりこの経営をやっていただかなければなりません。

 それで、先ほど申し上げました、今現在二十二社の子会社がございます。今、生田総裁の方から、二十二社以外にはありませんということです。この関連会社が今十二社ございまして、持ち分法を適用されておる関連会社が十二社ございます。これ以外に、持ち分法を適用されておらない関連会社は今現在何社ぐらいあるのか、教えていただければ。

藤本参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、現在、十二社の郵便運送会社、関連会社でございますが、これらにつきましてはすべて持ち分法を適用いたしてございまして、それ以外に適用していない会社はございません。

谷口委員 今の御答弁では、この十二社以外に関連会社はないということでございました。

 今度の十六年度の決算でちょっと私も見てみますと、連結ベースの経常収益が二十兆六千三百五十五億、個別ベースの経常収益が二十兆六千三百三十三億。その差二十億程度の差でございまして、ですから、この子会社または関連会社の、数は結構、二十二社と十二社ということである程度はあるわけでございますけれども、非常に小規模な子会社であり、また関連会社であるんだろうと、この計数を見ますと推測されるわけであります。

 若干、コメントがございましたら。

藤本参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、規模が比較的小そうございまして、現在、公社との取引額が一億円程度のものから大は五百億程度までございますが、取引関係相殺いたしますので、連結した結果はそのような数字でございます。

谷口委員 これは通告しておらなかったんで申しわけないんですけれども、そもそも子会社、関連会社が、これはずっと名前を見ますと、ほとんどが郵便なんだろうと思います。普通であれば公社の中に運送事業部みたいなものがあってやるわけですけれども、別会社にされた理由を教えていただければというように思います。

藤本参考人 お答えいたします。

 公社になりましてから別会社にしたというよりは、戦前から多くの運送会社がございまして、そういうものが連綿と引き継がれてきて、お互いの株式の持ち合いでありますとか、そういうことによりまして、結果としての連結をしている、それが現実でございます。

谷口委員 今お聞きした状況で考えますと、非常に慎重に今までやっていらっしゃって、郵政公社をつくられて、関連会社、子会社もずっと引き継いでおられるわけでありますけれども、従来の、過去からの経緯でなられたところだということでございます。

 先ほど申し上げましたように、民営化の企業になりますと、これは大胆にそのようなグループ経営をやられることになるんだろうと思うわけで、そのあたりは新しい経営陣の方がいろいろその状況の中で考えられるんだろうと思いますけれども、一つの経営戦略というのは、この企業が今立ち上がる前でありますけれども、その立ち上がる前にある程度の絵をかいておくということも、これは必要であります。そうでないと、いや、準備期間が終わって移行期に入りましたといって、ばっと行くわけにはいかないと思うんで、そこの絵をかいていただく必要があるんだろうと私は思います。

 生田総裁、もし御見解がありましたら、お答えをいただければ。

生田参考人 お答えします。

 経済社会も生き物ですし、会社そして経営も生き物なので、先生おっしゃるとおりに、どこかで法律が変わったから翌日からぱっと変わるというわけにいかないので、これはやはり継続して考えなきゃならない。

 ただし、私ども今の経営陣は、七年の三月末までの公社内での経営陣でございますから、その分は十二分にわきまえておりますけれども、うまく次が、民営化するとすればその次につながるように、予習は十分しておこうと思っておりますし、もし公社のままいくとしても、私は、公社法を少し経営の自由度を増すように変えていただかないと将来につながらないと思っていますから、そういう前提も含めながら、既に、そういうことを検討するための検討会を私以下十数名でつくりまして、将来の、例えば、間仕切るとしたらどういうことが考えられるのかな、それから資金量はどう考えたらいいんだろう、それから、どういう新しいビジネスモデルが考えられるのかな、市場に対するインパクトとか社会的規範とか。

 ですから、我々自身が持っている能力も随分問題があるんですよ。余り格好いいことを言っても、できないこともいっぱいある。そういうことも織り込みながら、予習の真っ最中でございまして、ある程度の予習というものは、来年の一定の時期、夏か秋ぐらいまでにはまとめまして、次の経営陣に参考にしていただくためにお示ししたい、こう考えております。

谷口委員 ありがとうございました。突然指名をいたしまして、申しわけありません。

 それで、民営化に関しまして、デューデリジェンスをどうするかということですね。今まで当委員会の場でも議論されておられたわけでありますけれども、それぞれの各社のデューデリをどのように今やっていらっしゃるのか、わかるようであれば教えていただきたいと思います。

藤本参考人 お答えいたします。

 現在、社内の規定を設けまして、それぞれの資産内容とかをチェックしたりしておりますし、あるいは、特に郵便貯金関係でございますが限度額の管理とか、そういう面に意を用いて見ておるところでございます。

谷口委員 これは、先ほど村井先生の、承継法人も含めて六社の分割の関係にも影響が出てくるわけで、万全の体制でぜひこのデューデリを進めていただきたいというように思う次第であります。

 その次に、先ほど申しておりましたシステム関連のことにつきましてお伺いをいたしたいわけでございます。

 まず初めに、これは先日、新聞記事で出ておったわけでありますけれども、公社の現行のシステム、私ちょっと教えてもらいたいんですが、従来は、地域分割の事務センターがありまして、それぞれがどうも連携がとれておらなかったようなことを聞いておるわけでございます。ですから、この事務センター間の突合ができないというようなことで、名寄せの問題等々が指摘されておったわけであります。

 先日、二百三十万人超過、一千万という郵貯の預入限度額を超えておった、金額でまいりますと二兆五千億程度だということの報道があったわけでございます。これは郵政公社の調査で出てきたということでございますが、今、システムがどういう状況になっておって、公社の方から調査結果を報告されたこの状況、どのように発見され、今後どのようにこれを改善していく予定なのか、教えていただければと思います。

生田参考人 お答えします。

 まず、名寄せが徹底しておりませんで、今でも二兆を超える額があるということを大変遺憾に思っておりまして、社会に対してはおわびせにゃいかぬと思っています。

 公社に入る前から、入ることが決まったら、経済界やいろいろな人たちが、名寄せの問題、大変重要だよ、かなりあるはずだからという忠告も受けておりまして、大変な大きな経営課題だと思って、公社へ入りました。中に入ったら中で、中は同じような認識を持っておりまして、改善のための大変な努力の真っ最中であるという時点でございました。

 これまでどういうことをやっていたかといいますと、窓口で預け入れ、預入をお受けした後は、すべての定期性貯金と一定の条件下にある通常貯金、やはり、通常貯金というのは常に動いていますので、何か条件をつけないと的確につかまえられないので、例えば、三カ月連続で三百万円以上の残高のある通常貯金というふうな一定の条件をつけまして、定期性貯金と一定の条件下にある通常貯金を対象に、先生がおっしゃったように数カ所でやっていたんですけれども、最終的には東日本貯金事務センターというところに集約はしていたんです。集約はしておりまして、そこにデータを集めて、コンピューターによって全国一本の名寄せを実施してきた。ただし、それが不完全だったということは認めざるを得ないと思いますね。

 それから、通常貯金を限定したのは、さっき申しましたように、給与の預け入れや口座の引き落とし、そういった利用によりまして日々残高が動く、それで、定期性と合わせた残高の把握が困難であることによるわけでありますが、いずれにしても、そういったこともありまして不十分だった。

 このため、公社化と同時に、とにかくシステムそのものを、完璧という言葉は余りそぐわないかもわかりませんが、できるだけそれに近いものにしなきゃならないということで努力をさせていただきまして、平成十六年の一月にシステムの改造は一応完成しておりまして、それが今稼働しております。これによりまして、通常貯金を含むすべての貯金、どれか別々ではなくて、すべてを総合しまして、すべての貯金を対象に名寄せが可能となった、去年の一月からですね。

 それで、まず、名寄せの結果によりまして、同名ではあるが別人が混入している場合もあるので、貯金事務センター、約三百人でやっているんですが、これで精査している。私も驚いたんですが、同じ名前で別人の方が結構多いんですね。これを三百人でやっている。それから、通常貯金については、日々残高が動いていることから、郵便局でお客様のところへ訪問するなどして、再度残高を確認するというふうなことで、限度内になるようにお願いしているということでございます。

 これに加えまして、昨年の二月からは、入り口でもチェックできるようにということで、窓口での定額貯金などの預け入れ、申し込みのときに限度額超過となるのを預入チェックする。入り口でチェックですね、これを厳しくやらせていただくというふうなことで、その結果、昨年の三月末の時点で実は七兆円を超えていたんです、限度額を超えているのが。七兆円強ありました超過額、これが現在、この三月末で二・五兆まで減少して、対象の方は二百三十万人ということで、七兆強と比較すると随分減ってはいるんですが、二・五兆というのはこれまた途方もない大きな金額ですから、大変問題を深刻にとらえております。

 減額に取り組んでいる真っ最中でございまして、現在の私どもの予定としましては、今度は、来年の三月までには減額の申請を徹底するのを完了する。相手がありますから、全員なくなるかどうかは相手次第でありますけれども、とにかく徹底して、その二・五兆を整理する、何とか御理解をいただいて減額させていただくのを来年の三月までにやり遂げよう、こういうことであります。

 最後に一言、御参考までに申しますと、減額に応じていただけない方については、必要に応じて国債を、申しわけないんですが、強制的に買っていただくということで始めております。余り高圧的にもできませんので、入り口はちょろちょろでやっておりますが、昨年三月からことし四月までの間に百七名の方に三十一億円の国債を買っていただいておりますが、額としては小さいですね。これをだんだん、こういう手法を強めていきたいと思っております。

谷口委員 今お聞きしますと、従来はそういう事務センターが分かれておったんだけれども、今は一本化されて名寄せをチェックできるシステムになっている、起こった名寄せのミスについて今このようにやっているという総裁からのお話でございました。

 これは非常に重要な問題で、やはり一元管理をやっていかないと、地域ごとに分割してやっておりますとなかなか本部の方で全体がわからない、鳥瞰できないということになるわけでございますので、これは非常に重要でございます。

 それで、そういう状況の中で今民営化の議論が始まっておるわけであります。十六年十二月二十七日に、郵政民営化情報システム検討会議報告というのが出ておりまして、私も見せていただきました。これは大変評価できるものだと思いました、きちっと書いてあって。

 この詳細の検討については、私は大変評価できるものだというように思っておりますが、結論として書いてあるのを見せていただきますと、二〇〇七年四月分社化について、管理すべき一定のリスクが存在するとしても、制度設計や実際の制度運用において、適切な配慮をすれば、システムの観点からは、暫定的に対応することは可能である。要するに、何とか暫定的にシステムとして対応は可能だということでありますが、一方で、これが言っているのは、完璧なシステムは分社化の段階ではできないんだということをおっしゃっておられるわけでございます。

 そのようなことについて次にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、今申し上げました報告を見ますと、二〇〇七年四月までの間に可能なシステム対応の姿が提示されたわけでありますけれども、その可能な姿の前提条件が四つ記載されております。

 まず第一点が、既存システムを最大限活用し、基本的に新規のシステム開発を行わないということのようであります。また第二点は、あるべきだとか望ましいシステムではなくて、民営化、分社化に当たって必要と考えられるシステムの対応について、最優先すべき事項から順に二〇〇七年四月までの間に対応可能なものだけ選択的に実施をするというようなこと。また三点目としまして、完全民営化になります二〇一七年四月までの間に到達する民営化の最終段階ではなくて、各事業会社が持ち株会社の一〇〇%子会社として業務運営をスタートする二〇〇七年四月段階を想定する。いわば暫定的だということ。それで四点目に、二〇〇五年六月末までの間に、システム対応作業の前提条件が決定されるということを書いてございます。

 その四点目の二〇〇五年六月末というのは、もうそろそろ来るわけでありますけれども、このシステム対応作業の前提条件、今の段階でどのようにお考えなのか、決まっておるのか、わかりましたら御報告をお願いいたしたいと思います。

山下参考人 ただいま先生から御紹介がございましたように、二〇〇七年四月からの民営化、分社化の実施につきましては、情報システム検討会議での検討結果を踏まえまして、いわゆる暫定対応で臨むことになりましたけれども、暫定対応では基本的には大規模な新構築ができないということでございますので、現在再構築中の財務、人事システムを除きまして既存システムの改修により対応するということになります。

 郵貯の勘定系システムの大幅改修を含めまして全体で八十五前後のシステムを同時に改修することが必要でありまして、開発規模は四万二千人月前後になるものと想定しております。これだけの大規模開発でございますので、当然のことながら、システム開発に時間がかかりますほか、同時に多くのシステムの改修を行いますので総合運転試験に少なくとも三カ月が必要となります。また、データの移行、約八万人に及びますオペレーターの訓練期間等を勘案いたしますと、基本的には二十一カ月の開発期間が必要と考えております。そのためには、本年六月末までには基本検討をおおむね終わらせて、基本的な業務フローを確定した上で、七月以降、順次、概要設計、基本設計の段階に進むことが必要と考えておりまして、それが情報システム検討会議の報告に書かれております。

 そのため、現在国会で御審議をいただいております郵政民営化法を前提とした業務フローの検討作業を、公社では業務部隊、IT部隊が一体となって進めております。また、公社だけでは決定できない業務要件につきましては、準備室に六月までに御決定をいただくようお願いをしているところでございます。

 そこで、ただいま委員からお尋ねいただきました、六月までに必要な作業というのは何かということを申しますと、民営化、分社化で対応すべき機能の洗い出し、それから業務フローを固めていくこと、それから暫定対応で対応すべき各機能につきどのシステムで対応するのか、そういったところが主なポイントとなると思います。

谷口委員 私もシステムのことを担当の方に来ていただいてお伺いをいたしました。

 私は、以前、もう大分前でありますけれども、都銀のシステム監査を何年かやったことがありまして、それは、システムの流れだけではなくて、そのシステムの中に自己チェックできるようなシステムがこれは必要なんですね。例えば、私がやった当時、いろいろなことがありましたけれども、利息制限法を上回るような金利を入れるとはねちゃうとか。当然のことでありますけれども、預け入れ日を、満期日がありまして、この満期日を預け入れ日より前に設定するといったようなことになりますと、これは当然はねるわけです。

 こういうような、システムの中でチェックをするようなことも入れていかないと、その業務が流れていくというだけではやはり問題があるわけで、そのような非常に広範な形で、ただその業務が円滑に流れるということだけではなくて、チェック機能も十分入れていかなければならないということであります。

 今報告をいただいたこの状況で見ますと、やはりまだ、大変急いでやっていただいているということで評価できることでありますけれども、システムの問題が解決できなくて行ってしまいますと、またいろいろな問題も出てまいります。現に、都銀でもダウンをしたというようなこともございますし、郵貯システムでも以前ダウンをしたというようなことも聞いておるわけでございますので。

 大変な作業であると思いますが、ぜひ、その業務の流れのみならず、そのチェックをできるようなところを十分考えていただいて、またシステム全体も非常に弾力的なシステムでなければなりません。硬直的なシステムを入れて、業態の変化、さっき申し上げましたけれども、例えば関係会社ができたり、今の四分社体制がまた今後どうなるかもわかりません、民営化になりますと。そういう状況に十分対応し得るようなシステムの構築が私は必要なのではないか、このように思うわけであります。

 今お伺いをいたしたわけでありますけれども、今度は会計システムについて。今お聞きしますと、人事と会計はちょっと除いてというようなお話でありましたけれども、会計システムについてお伺いをいたしたいわけでございます。

 現行の郵政公社のシステム、どうも、聞きますと、日計表を各郵便局がつけられて、それで本部の方で集計するといったような形になっているということでございます。システム全体の構築の、これはいろいろ先生方集まって先ほどの報告のときに議論されたんだろうと思いますが、かなりレベルが低いことは間違いないんだろうと思います。これを私は、郵便局を一つの会計単位まで持っていくようなことがそこで論じられなかったのかどうか、プロフィットセンターといいますか、そのようなことも必要になるのではないかと考えております。

 郵政民営化の基本方針の中で、事業ごとの損益の明確化ということがうたわれておるわけでありますけれども、この事業損益の明確化といったときに、これは今の日計表のシステムである程度はできるのかわかりませんが、これをもっと徹底した形でまいりますと、やはり全国で二万以上ある郵便局のところにプロフィットセンター化をするようなことも念頭に入れてやっていく必要があるのではないかと考えておりますが、御見解をお伺いいたしたいと思います。

藤本参考人 財務会計それから管理会計、両方にわたる御質問であろうかというふうに認識いたしております。

 現在の郵政公社のシステムでございますが、収入、支出の面でありますとか、あるいは貯金、保険の資金管理、両面ございますけれども、収入、支出は経理の方で区分して経理をいたしておりますし、窓口現金も一応システム的に分けられております。ただ、システム化が若干不十分な点がございまして、決算に時間がかかるとか若干の欠陥を有しておるわけでございます。こういうものは現在の制度的な枠組みの中でもできるだけ改善していく、そういうつもりで現在、今作業をしているわけでございます。

 お尋ねの、郵便局を会計単位として考えるべきでないのかという点でございます。

 ことしの三月に、実は、管理会計的な観点から、郵便局の損益というものを公表いたしました。ただ、これは技術的に非常に難しい話でございまして、無理無理に収益費用を割り振ってやっているわけでございます。

 なぜそういう状況になっているかと申しますと、例えば郵便事業の場合でございますけれども、郵便物を引き受けた場合の収益が発生する局と、それを配達する局、当然違うわけでございますし、その数量も違うわけでございます。そういった費用、収益の発生場所が違っておる面でありますとか、あるいは郵便貯金事業につきましては、全国の郵便局で預金をされるわけでありますけれども、運用は本社一体でございまして、そういうものをどういうふうに配賦するのかという、かなり私どもの事業の特徴から由来する問題がございます。そういう点もございまして、例えば銀行、金融機関の本支店会計でやられているような厳密な本支店会計はやっておりません。

 民営化された場合の会計単位を考えるべきではないかという点でございますが、そうなった場合の組織形態でありますとか業務内容を踏まえた上で検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

谷口委員 いろいろなことが考えられると思うんですが、例えば民間の金融機関であれば、母店の体制をとっておって地域ごとに母店をつくっておるとか、数店まとめて一つのグループになっているとか、そこを一つの会計単位にするというようなことだとか、いずれにしても、会計を最終的に集計するためのシステムであるということだけではなくて、そこにはやはり管理的な色彩が入っていなければならないと思います。そういうことをやらなければ民営化したということにはならないんだろうと私は思っておるわけで、ただ計数の集計だけに終わるということではなくて、その中には、会社全体の、例えば郵貯銀行、保険会社、また窓口ネットワーク会社等々の経営判断に資するような情報が末端のところから入ってこなければなかなか全体として判断ができないというようなことも当然あるわけでございますが、現行のシステム、そういう意味での管理的な色合いがこのシステムの中に数多く盛り込まれておるのか、それをまずお伺いいたしたいと思います。

山下参考人 お尋ねいただきました管理会計につきましては、現在、郵便、郵貯、簡保の三事業それぞれが管理会計システムを保有しております。民営化後につきましては、三事業会社はこの現行システムを手直しして活用していくということを考えております。

 一方、窓口会社につきましては、情報システムのいわゆる暫定対応では、窓口会社独自の管理会計システムの構築は先送りせざるを得ません。したがいまして、経営管理に必要な、今先生おっしゃったような最低限な情報につきましては、三事業からデータを入手しまして、簡易な汎用ソフトの活用と手作業によって集計を行っていくほかはないものと想定しております。

 ただ、民間企業として自立した経営を円滑に進めてまいりますには、できるだけ早期に窓口会社独自の管理会計システムを構築することが必要でございますので、暫定対応の次のフェーズになります本格対応の中で優先的に構築してまいりたいと考えております。

谷口委員 ですから、今おっしゃったことでまいりますと、移行期に入ってからこういう管理的な色彩の濃いシステムにやっていきたいというようなことであります。

 後でまたお聞きをいたしたいと思っておりますけれども、これは私はやはり同時並行でやっていく必要があるのではないかと思うんですね。もう既に現行システムの中で、ここはあれだな、こうであればいいのになというようなところは多分たくさんあるんだろうと思うんですね。そういうことも含めて、まず暫定的なシステムをつくり上げてからということではなくて、同時並行でやっていく必要があるのではないかと思っております。

 次にお聞きいたしたいのは、バックアップ体制なんですね。

 民間の金融機関、金融機関の個人ファイルというのは非常に重要でありますから、これがテロに遭ったり盗まれたりすると大変なことになります。ですから、一般的にはツーセンターシステムということをいたしておりまして、東京に本社があれば、例えば大阪にもう一つのセンターを置いて、同じファイルを二つ持っておるというようなことをやるのが一般的であります。また、そういうことをやっていかなければなりません。今、郵政公社のシステムは二つあるのかないのか、ちょっとそれをお聞きしたいわけですけれども、仮にそうでなければ大変な混乱になるわけでございます。

 私は、ちょっと話が離れますけれども、東京に一極集中しているというのは非常に怖いことだ。システムのバックアップで、ほとんど東京の重立った企業は大阪にセンターを置いてやっておるわけでありますけれども、センターというシステムだけの問題ではなくて、東京で仮に震災でも起こったら、経済の大体七割から八割、もっとあるかわかりませんね、経済の過半は東京でやるわけで、全部経済がつぶれちゃうというようなことになりますから、私の選挙区であります大阪も一つ大きな経済の中心地でありますから、そこにもう一つ経済の中心地を置くようなことになればいいのではないか、二眼レフ構想というのがありましたけれども。そのようなことも言っておるわけでありますけれども、どんどんしかし現実は東京に一極集中している。システムもそうでございます。大手の企業がこちらに集中しておりますから、ここがやられちゃうと全部だめだというようなことになるわけで、国全体としてもそういうバックアップの思想が必要なんだろうと思うわけでございます。

 このようなシステムのセンターが二つあるというようなことだとか、あとは、一般的には、当然これは郵政公社のシステム上も行われておると思いますけれども、地震が起こった場合に、自家発電の装置がまた別にあってそれが動きかけるといったようなこと、そういうようなあらゆるバックアップ機能を盛り込んでいかなければならないわけでありますけれども、まず初めに、現状はどういうふうになっておるのか、お伺いいたしたいと思います。

山下参考人 ただいま先生御指摘のように、バックアップの重要性というのは私ども非常に痛感しております。特に私どもの場合には、ゆうちょ総合情報システムを初めといたします国民生活のインフラとしての役割を果たしております郵便局サービス、この郵便局サービスを支える重要な基盤のシステムでございますので、一刻たりともサービスの停止は許されない、そうした使命を担うものでございます。

 したがいまして、私どもの公社では、情報システムの安定稼働を確保するために、お客様サービスに直接影響を及ぼします主要システムにつきましては、ただいま先生から御指摘がありましたように、自家発電装置を備えて災害時の停電等に対応する、あるいは、大規模災害時にも可能な限りオンラインサービスを提供できるようバックアップセンターを設置する、あるいは、ネットワークの回線につきましても二重化を図るなどのバックアップ対策を講じてきております。

 やや具体的に申しますと、郵貯につきましては、兵庫県に西日本貯金事務計算センター、それから千葉県に東日本貯金事務計算センターを保有しておりまして、東京都にバックアップセンターを持っているという形でやっております。それから、簡保の場合には、兵庫県に西日本情報管理センター、埼玉県に東日本情報管理センターを保有しておりまして、相互にバックアップをしながらやっているということで、こうしたバックアップセンターでは、障害発生時に円滑に機能できますように、各計算センターから、バックアップが必要なデータを日々バックアップセンターに送付しまして非常時に備えている、そういう体制で臨んでおります。

谷口委員 先ほど、例の二百三十万人、預入限度を超えておったということで、生田総裁の方は、東日本のところでトータル的に今つかむようなシステムになっているというようなことであったわけでありますけれども、現行のシステムは、日本全体の状況を一つのセンターで集約されるような状態に今なっておるんでしょうか。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

山下参考人 取扱量が大変膨大でございますので、安定運行のために二つのセンターでやっておりますが、データベースとしてはそれをつないでおりまして、全体を一つで見られるような形で、それは先ほど総裁がお答えしましたように、東日本センターの方で貯金のそういった口座の管理についてのデータベースは一括して行っております。

谷口委員 私、直接見たことがございませんので、どんな形になっているのか。従来、私が先ほど指摘をしましたように、地域分割といいますか、地域ごとに事務センターがあって、なかなかそこで相互にどうも状況がわからなかったときに比べますと、今おっしゃったことは、全体のシステムが、東日本と西日本とあるけれども、それが一つに統合された形で、預金者のファイルだとか全部わかるようにはなっているということなんですね。

 それは非常に重要なことなんですが、そもそもが、やはり暫定的なシステムというところで、今、二〇〇七年の四月一日までいこうということでございますので、多分、内心はらはらされているところもあるんだろうと思うんですね。それは、総裁もよくそういうようなことを思っていらっしゃるところもあるんだろうと思うんです。

 それで、今ちょっと私がお聞きしたいのは、地域分割をするかどうかというのは今決めないで、今後決めていこうと。二〇〇七年の四月以降、移行期に決めるということになっているんですか、地域分割は。

竹中国務大臣 基本的に、その基本的な考え方、基本方針を話し合う段階では、最適規模等を考えて分割してはどうかという御意見もありました。しかし、これはやはり、ネットワークの価値とか範囲の経済性とか、そういうものもあるということで、これは今のような形でしっかりと分社化、民営化をしていただいて、それ以降の問題は経営判断にゆだねるべきではないか、そのような考え方を基本方針でとったわけでございます。それに基づいて、今回の法律では、移行期も含めまして経営判断にゆだねているというのが今の考え方でございます。

谷口委員 竹中大臣がおっしゃること、よくわかるわけです。その状況の中で新しい経営陣が地域分割をするかどうかということを決めていくということはわかるんです。ただ、システムのことになりますとなかなか急に対応ができなくて、システムというのは、これは一つの思想がありまして、この思想の中で、今言われております持ち株会社の下に四つの法人がある、これが全国一つとしてやる場合と、仮に地域割りということになった場合には、システム構築の前提が変わってくるということになるわけであります。地域分割の経営判断とシステムとの関連で、今まで論じられたようなことはあるんでしょうか。

竹中国務大臣 システムは思想であるという谷口委員の御指摘、大変本質的な御指摘であろうかと思います。この点は、先ほどちょっと委員が触れられたあるべきシステムとか望ましいシステム、そういうものとかかわるのではないかという御指摘につながっていると思います。あるべき望ましいシステムの開発、そういうものは、あるべき業務運営の具体を決定して、その中でシステムが果たすべき役割が確定したという後において開始することが可能であるというのが、これがやはり基本的な考え方であろうかと思います。

 したがって、我々が考えている形では、準備企画会社に設けられる経営委員会において、民営化後の経営陣により行われることが期待される民営化後のあるべき望ましいビジネスモデルや業務フローの検討は、まさにあるべき望ましいシステム開発に必要な準備作業の一環そのものであると思います。その意味で、現実の議論は並行して進められるということになるんだと思いますが、システムに関しては、まず暫定対応を二〇〇七年までにしていただく、それが基本的な考え方でございます。

谷口委員 おっしゃることはよく理解できるんですけれども、そもそも、暫定的であろうとそうでなかろうと、やはり地域分割を前提にしない場合と地域分割をいたしますとそれぞれでやはり完全に遮断されるわけですから、遮断をされますと、今、現行、各地で事務センターをつくっていらっしゃって、そこで今まで動いておったわけでありますけれども、そういう地域割りの中での完全遮断をされたシステムの中で自己完結のシステムになってくるわけですね。それが、当初は全体のシステムでいっておって、あるとき、いや、これはやはり地域分割をやった方がいいねというようなときにはどうもうまくいかないようなことも考えられるわけで、ですから、私、非常に弾力的なシステムが重要なんだろうと思うんです。

 弾力的なシステムというのは、それを両方とも想定したような、やり得るようなシステムを考えていかなきゃいかぬと思うんですが、これは公社の方でどのようにお考えなのか、お聞きいたしたいと思います。

山下参考人 先ほど御説明いたしましたように、暫定対応は時間が非常に限られておりますので、現在のシステムを改修するということで進んでおります。したがいまして、今先生が御指摘のように、制度設計自体が大きく変わってきた場合には、これはまた別途おっしゃるようにシステムも構想してやらなければいけないわけでございまして、私もやはり、毎日千五百万件の貯金の取引をするとか膨大な作業をやっておりますので、そう簡単にシステムを切り離したりとかというのはできないわけでございます。ですから、今先生おっしゃったように、大きな制度設計の変更があるということでありましたらば、もっと、相当長期の時間をとってシステムを構築していかなきゃいけないところでございます。

 したがいまして、現段階は、今の政府の御方針を前提に、短期間でやれる現行のシステムの改修についての検討を行っているというところでございます。

谷口委員 私は、やはり同時並行でやっていかれたらどうかと思うんですね。同時並行というのは、暫定的なことをやりながら、やはり一方で、中長期的な観点でのシステム構築といいますか、そういうようなことでやっていく必要があるのではないか。要らぬコストがかかってきたりしますから。

 ですから、これはいろいろなやり方があると思います。今、システム構築されている方は大変な思いで、大変な御努力でやっていらっしゃるわけで、ぜひそういうことで進めていただきたいと思いますけれども。ほとんど全精力がそっちの方に行っちゃって、余力がないというようなことなんだろうと思うわけですけれども、よく理解はできますが、システム設計はそんなに人数が要るわけじゃありませんからね、その方向を決めるのは。そういうようなことも含めて、ある種、その選択肢も念頭に入れてやっていく必要があるのではないかと私は思っております。

 生田総裁、もし御所見でもございましたらお願いいたしたいと思います。

生田参考人 お答えします。

 まず、経営を預かる身としまして、システムというのは本当に大切なんですよね。的確な経営をするために不可欠のツールですし、経営のためにも必要だし、市場で信頼されて、評価を得て事業をするためにも、市場においても必要ということで、それに関しまして、先生から非常に深い御理解と御忠告をいっぱいいただきまして、経営サイドの人間といたしまして深く感謝申し上げたいと思います。なかなかこれは理解していただけない場合が多いので、大変ありがたいことだと思います。

 システムが弾力的になるかどうか。これは私、システムの専門家じゃないのでよくわかりませんけれども、とりあえずは、さっきから山下が言っていますように、また私も言いましたように、暫定対応というのは四千二百万ステップス要るうちの千七百万ステップスでスタートするわけですけれども、それは既往の、今あるシステムをいわば加筆修正しながら、何とか民営化につないでいく最低限のことをやっていくわけであります。

 最近、システムも相当進んできておりまして、前は、一遍システムを開発して次に乗りかえるときは、それを一遍スクラップして新しいものを入れなきゃだめだというふうなものが多くありました。それから、例えばA社でつくると、今度B社でまた別を頼むと、インターフェースがなかなか両方が連動しないということがありましたけれども、最近、随分技術が進んでおりまして、一たんつくったものも新たな、それを基本的に否定するのはだめですけれども、その発展途上における改修でしたら比較的改修も可能であろうと思いますし、異業種のものが入っていましても、現段階ではほとんどインターフェースが可能ということになってきておりますので、相応の範囲で、合理的な範囲での弾力性というものは期待できるんじゃないのかなと思っております。

谷口委員 生田総裁、ありがとうございました。現場でやっていただいている方も大変なことなんだろうと私は思うわけでございますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 これは時間があってもなかなかできないことでありますので、やはりもう決まった以上は、ばっとそこに突っ込むということであります。構想的にはその思想が大事だということを申し上げたわけでありますけれども、そういう二つの思想でやはりやっていただいて、仮に経営判断として地域分割というようなことになれば、それに対応し得るような準備もやっていただきながら進めていただきたいということを申し上げまして、終わらせていただきます。

二階委員長 次回は、来る十三日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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