衆議院

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第17号 平成17年6月21日(火曜日)

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平成十七年六月二十一日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    伊藤信太郎君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    奥野 信亮君

      金子 恭之君    城内  実君

      北川 知克君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    小西  理君

      左藤  章君    佐藤  勉君

      桜井 郁三君    柴山 昌彦君

      谷川 弥一君    馳   浩君

      早川 忠孝君    原田 令嗣君

      古川 禎久君    松本  純君

      三ッ林隆志君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    一川 保夫君

      岩國 哲人君    小沢 鋭仁君

      大出  彰君    大谷 信盛君

      川内 博史君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高山 智司君    中塚 一宏君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      山花 郁夫君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  羽村 康弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齋藤  敦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 山本 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房会計課長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局法規課長) 向井 治紀君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   広瀬俊一郎君

   参考人

   (全国銀行協会常務理事) 斉藤  哲君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  永田 俊一君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   伊藤 高夫君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     古川 禎久君

  大野 松茂君     三ッ林隆志君

  左藤  章君     伊藤信太郎君

  園田 博之君     佐藤  勉君

  馳   浩君     早川 忠孝君

  小沢 鋭仁君     高山 智司君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     左藤  章君

  佐藤  勉君     金子 恭之君

  早川 忠孝君     馳   浩君

  古川 禎久君     今村 雅弘君

  三ッ林隆志君     奥野 信亮君

  高山 智司君     小宮山泰子君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     谷川 弥一君

  金子 恭之君     原田 令嗣君

  小宮山泰子君     大谷 信盛君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 弥一君     大野 松茂君

  原田 令嗣君     園田 博之君

  大谷 信盛君     下条 みつ君

同日

 辞任         補欠選任

  下条 みつ君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君及び日本郵政公社理事広瀬俊一郎君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君及び財務省大臣官房審議官佐々木豊成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。西川内閣府副大臣。

西川副大臣 六月十三日から十五日の三日間における辻惠委員を初め民主党の議員の御質疑につきまして、政府から誤解を与える答弁をいたしましたことにつきましては、まことに申しわけなく思っております。

二階委員長 内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君。

林政府参考人 過去たびたびあいまいな記憶に基づき、誤解をお与えする答弁をいたしましたことについておわび申し上げます。

二階委員長 この際、委員長から申し上げます。

 過去の議事録については、訂正された内容に基づき、理事会において取り扱いを協議いたしたいと存じます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。

早川委員 おはようございます。自由民主党の早川忠孝でございます。

 五十五日間会期が延長され、八月十三日まで、暑い中での熱い熱い審議が望まれるところであります。

 私は、郵政民営化については、これは国政のあり方を根底から変えていく可能性を秘めている問題であるというふうに理解をしております。明治四年に前島密氏が提唱し広げられた郵政事業が、これは、もともと政府の支出を削減するという合理化のための方策であった、結果的には、近代日本の国家形成の基盤整備に大いに貢献をしてきたというふうに思っております。

 戦後六十年の節目を本年は迎えるわけであります。私は、新しい国づくりのスタートの年にしていかなければならないというふうに考えております。郵便のネットワークというものは国民の貴重な財産であります。時代の変化に対応した郵政ネットワークのあり方を柔軟に検討し、また不断に見直していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 現実に、私の周辺をかんがみましても、手紙や封書、はがきの利用というのが極めて少なくなっております。私自身も、年賀状やあるいは暑中見舞いのはがきは利用しなくなってまいっております。特に、若い方々の、出生率というか人口が減っていくという状況の中で、生活の様式が随分変わってくるということの中で、恐らく郵便事業には大変大きな変化がもたらされるだろう、これに対応した制度設計が必要であろうというふうに考えています。

 ただ、制度の改革については大変膨大なエネルギーが必要となってくることは当然必至であります。そういう意味では、現在、改革を担うための人材がそれぞれの世界に十分用意されているか、このことを念頭に置かなければならないだろうと思います。そういう意味では、郵政事業の改革に当たっては、現在、郵政事業を担っておられる郵政公社の方々あるいはその周辺に、改革への高い、強い志があるか否かということを問わなければならないというふうに思っております。

 みずからのどの渇きを覚えない馬を無理やり川辺に連れていっても、これはなかなか容易ではありません。人間がわずか一人で馬に水を飲ませようとしても、馬にけられて大けがをしてしまうということもあるわけであります。郵政民営化は、小泉総理にとって政治家の政治生命をかけた、まさに命がけで取り組んでこられた重要な政策課題であると私は理解をしております。私自身、小泉改革をバックアップする、そういう思いで国会議員としての議席をちょうだいして今日まで来てまいりました。よりよい改革、国民にとって十分メリットのあるようなそういう改革をこの郵政民営化問題の中で実現をしていかなければならないという立場から、具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 まず、何としても改革を進める場合には、現在行われている事業にはどのような問題があるのか、その認識を共通化していかなければならない。

 日本郵政公社の生田総裁にお伺いをしたいのでありますけれども、郵政事業庁により経営されていたかつての郵政事業についてはどのような問題あるいは課題があると認識をされておられたのか、そしてまた、公社化になった以降、現実に郵政公社の総裁に就任をされて、それらの問題や課題を克服するために具体的にどのように取り組んでこられたのか、そういった経緯について御説明をお願いしたいと思います。

生田参考人 おはようございます。お答えさせていただきます。

 私が内定したのが二〇〇二年の八月末で、実質九月ですね、それで、翌年の三月末まで七カ月間の予備期間がありました。その間にやったことを、どんなことかなと。

 まず、知るというキーワードになると思うんですけれども、人を知る。職員とも、できるだけいろいろな階層、いろいろな年代、いろいろな人たちと会ってみるということでありましたし、やはり、大変大きな、立派な組合がありますから、組合の人たちが何を考えてどういうことをしようとしているのか、これも知らないかぬので、事前によく話し合いをさせていただきましたし、自分なりに業務の内容、数字というものも勉強する、知るということですね。

 それから一つは、キーワードといいますか切り口としては、対話をするということで、そういった人たちと対話をするのみならず、自分自身の、折々に自分なりの頭でまとまったものを紙にして出しまして、それでみんな、これについてどう思うというのを、これはEメールを主として使いまして対話を深めました。十月二日に第一弾を出して、十一月二十六日には、意識と文化を変えようという紙を出して、対話をする。

 それから三番目には、見るということで、公社に入る前に地方回りをやりました、北陸、東北、九州、四国といったようなところで。行くと、二つ三つの県をまたいでいろいろな住民の方とお話し合いをする、こういうようなことをやりまして、そこで、入る前にできるだけ問題意識、先生のおっしゃった問題意識を持ったわけであります。

 郵政事業というのは、官ではあるんだけれども、実は市場で事業をしているということなので、市場にあってサービス業をしている以上、それを認識して合目的に機能しないとなかなか将来展望が開けない、この辺が随分欠けているな、一〇〇%官ですから、それはやむを得ないので責められないのですけれども、そこに大きなギャップがあるなというのを感じまして、このままいっちゃうとこれは将来の国民負担に通じることになる可能性があるので、これは何とかせないかぬなというのがまず感じたことでありました。

 それがまさに、インフラとして意識と文化の改革が必要だということで、これは、公社へ入ってからさらに声を大にして、今も言い続けているところであります。

 今度は、事業別に簡単に見ますと、郵便はもうよく言われておりますように、ゆうパックが、もともとはほとんど自分でやっていたのが、シェアが五・七まで落ちちゃって、もう普通の民間なら敗退している数字なんですね。これは大変だ、これを何とか踏みとどまらないと、定形外、メールもだめになりますし、ひいては通常郵便がコスト高になりますから、値上げに通じますから、これは、まずそこで何とか歯を食いしばるべきであるということで、ターゲット10というのにつながるわけですが、郵便の問題、なかんずく、ずっと来ている赤字構造をどうやって黒字構造に変えるか、これは入ってから大変だなと、非常に重い思いをいたしました。

 それから貯金の方は、国債金利が市中金利よりも高いという、先進国で日本だけがある非常に奇異な状態に今なっていますけれども、それをベースに、かつ金利の動きが極めてなだらかというところでかなり健全にいっているわけなので、これは将来的に大きな問題をはらんでいる、にもかかわらず、ALMが規制でほとんど硬直化しているので、これをどうしたらいいんだろうと頭を痛めましたし、公社へ入る前から、何とかやって市場を活性化するために郵便局で投信を売るべきであるという主張をしていたんですけれども、たまたま中へ入れていただいたので、これをやらせていただくと日本の経済のためにもいいし公社の役に立つなというふうなことを感じ、それから、保険がもうまさに市場性を失う商品ばかりになっていまして、貯蓄型ですから、田舎回りしますと、地方回りすると、生活インフラとしてみんな保険をお掛けになりたい、郵便局に行くしかないのに、市場で皆さんが買えるようなものが買えない、何とかしてほしいというのを感じまして、これも中へ入ってから何とかせないかぬと感じた、そんな感じで中へ入ってまいりました。

 あと、簡単に入った後のことを申しますと、対策としましては、わかりやすい経営をと思いまして、経営ビジョン三つを即日出しまして、一番目は、真っ向サービスと言っておりますけれども、国民の利便性を維持向上するということと、二番目に、事業の健全性をつくる、整備する、郵便も何とか黒字にする。三番目に、職員、やはり事業は人ですから、大変重要です。職員に将来展望と働きがいをという経営ビジョンを出し、行動憲章をつくる。それから、経営戦略体制をとるということで、本部制と委員会制度をとる、ほかにもいっぱいやっていますけれども、と同時に、実際に何をやるか、アクションプランというのを二年刻みでつくりまして、数値目標と、何をやるか細目を出すということをやりました。

 実は、非常に私のうれしい発見だったことは、職員が、一〇〇%官で来ていて、サービス業というのは表面的にはよく理解できていなかったんだけれども、実は心の中では理解していたんですね。それはそうなんです、やっていたわけですから、サービス業を。入ってきてそれをわっと広げた途端に、そうだということで相当早い時期にみんなが結集してくれて、もともと優秀な連中ですからどっと走り出してくれたというのが、私としては非常にありがたかったことであります。

 組織も、本支社にまたがって、官庁型から管理部門を思い切って縮小して事業展開型にする。それから、郵便は黒字構造転換にチャレンジ、これを大目標にして、ゆうパックは、五・七なんというのはもう敗退の数字だからせめて一〇まで持っていこうということで、今は七%ぐらいまで来ているんですね。それでも民業圧迫と言われるんですけれども、これは生き残りなんですね、実は。それから、国際にも出ようということを準備しております。

 それから、郵貯、簡保はやはり普通の銀行と同じではいけないわけなので、地方も含めた御家庭の、非常に親しんでいただけるファミリーバンクになろうということで、独創的な個性を求めた今研究をいろいろしております、具体的なことは省きますが。投信の販売もおかげさまで認めていただきまして、市場にも役立つし、公社も副次的に役立たせていただけるということになりました。それから生命保険の方も、御了解をいただきまして「ながいきくん」という二倍型、五倍型の定期付終身保険を出させていただくということで、辛うじて激減に歯どめがかかりつつありまして、まだ減っていますけれども、緩和している程度ですけれども、少なくとも田舎、地方の方たちに、やっと生活インフラで使えるのができたねと言っていただけている状態であります。

 さらに、JPSということで、郵便物の区分を中心とした、配達も含みます、生産性向上運動をやっておりまして、これは今郵便にかかわらず、その無理、むだ、むらを排するという理念は全事業に展開中であります。区分の方だけに限って言いますと、生産性向上はことしじゅうに一五%アップするはずであります。それから購買費なんかは、一般公開競争入札、これを大原則にいたしまして、随意契約をやるものは説明責任を持って委員会に出すということをやった結果、現在のところ、長距離輸送なんかは三三、四%減っておりますけれども、全部押しなべますと二二%の削減ができているというふうなことであります。

 最後に申し上げたいのは、そういったことで、職員の努力によりまして、アクションプラン・フェーズ1、平成十五、六年、二年の数値目標は若干上回る形で達成させていただきまして、大変皆さんの御支援を感謝しております。要員が二十八万から二十六万に減りましたけれども、組合とはもうしばしば話しまして、全く波乱なしに理解ずくでこういう調整ができたということもありがたいことだと思っております。

 ただ、達成したんですけれども、いつも申し上げるように、利益率というところで見ますと市場の同業他社からは相当劣りますので、これは、今の公社法の枠内では改善がほとんど難しいので、今後の大きな課題だと思っております。

 それで、今フェーズ2に入っております。フェーズ2では、文化の改革をさらに推進するということと、郵便、単年度で二年間やっと黒字を出しましたが、何とか構造的に黒になるようにしたいということと、郵貯、簡保のファミリーバンク機能をさらに具体的に高める、こういうつもりでやっております。

早川委員 民間から生田総裁を迎えたということで、公社が、大変な意識改革、あるいは、ある意味で組織の改革につながって成果をおさめつつあるというふうに伺いました。

 最後の部分でもう少し御説明をいただきたいのでありますけれども、恐らく、郵便局の適正配置ということとかあるいは雇用の適正化ということの中で、例えば、十分な能力を発揮していないあるいは対応できないような職員は、こういった意識改革、組織改革する中では退場してもらわないといけなくなる、あるいは整理統合もしなきゃいけない、こういうことが当然あるのではないかなと思いますが、その辺についてはどういうふうに取り組んでこられたのか。あるいは、これまでの二年間の改革の流れの中で、現在でも解決できていない残された重要課題が何であるかということについて、再度お伺いをいたします。

生田参考人 特に、一〇〇%官であったときに全員がひとしくきちんと適正に働いていたかどうかというのは、先生御指摘のように改善すべき点が、一部分ですけれども、一部分にあったと思いますし、今もそれがないわけではないというふうに現実はきちんと認識しております。

 ただし、それは、やはりペイをする限りはワークがあるはずなので、適正なペイ・フォー・ワークで仕事をしてもらうように大変努力いたしております。

 二つの例を言いますと、一つは、サービス業ですから、やはりお客様に喜んでいただいて初めて仕事が成り立つ。これは、顧客を創造することがビジネスを創造することに通ずるので、CSと言っておりますが、お客様に満足度を高めていただく運動をやる。公社内にランキングをつけまして、星一つ、星二つ、星三つということで、星一つとれない人はお客様の前に出さない。お客様に不快感を与えますと、やはり商売減りますから。

 というふうなことで、今まで、何も余りみんな気にしていないし、まあ、適当でいいかという人がもしいたとすれば、やはりそういう資格制度があるわけですから、これはとらなきゃいかぬということで、平準化に入ってくる。それから、さらに努力して二つ星になったら、いろんな意味で処遇がよくなる。さらにすばらしい働きをすれば、ボーナスと、あるいは異動のときにもまたプラスがある。いわゆる良質の成果主義ですね。

 というようなことで、全員に応分に働いてもらうということをかなり厳しくやっておりまして、その星だけではなくて、いろんな意味で十分客観的に適正であるように配慮しながら成果主義を入れているというのが一つであります。

 それからもう一つは、さっきもお話ししたJPSで、これは一つの郵便局で人間の動きを十五分刻みで分析しまして、その十五分刻みの人の動きをどう組み合わせたら一番効率が上がるのか。それは、動きやすくするためには物の配置、棚をつくる場所、書類を置く場所、そういった配置をどうすれば一番効果が上がるかというようなことをやって、無理、むだを排するんですが、それを再配置することによって働く時間はむしろ減るんですよ。だから、人間には優しいんです。

 トータルとして、一人一人から見るとむしろ余力が出ながら、システム全体を合理化することによってトータルに余裕が出る。ただ、サボる人はあり得ない、みんな働かなきゃならないというふうなことをやっておりまして、それも今進行中で、一部それに、働かなきゃならないから、越谷局なんかでも、ごくごく一部の人が労働強化になったというような意見が出るんですけれども、それはほんの一部の人で、ほとんどの人は大変評価してくれて、働きがいを感じてくれている。

 それ以外に、何が問題があるかといいますと、さっきも触れましたように、同業他社から見ますと利益率が低いんですよ。郵便だってそうです。対売り上げで利益が一・強ぐらいしかないので。それが、日通さんにしてもヤマトさんにしても、三だとか四とか。非常に低い。これは、やはり市場に出ていく限りは、こっちはユニバーサルサービスをやっていますからコストがかかりますから、同じにしようなんという考えは次の経営者も持たないでしょうけれども、もう少しよくしなきゃいかぬ、その努力を今やっているというところであります。

 郵貯、簡保の方も、まだお客様に十分喜んでいただけるだけのビジネスモデルがとれないんですね。公社である間は公社法の枠がありますから、これ以上余りできないんですが、結果としてやはり利益率が、例えばROAといいますが、対資産利益率、大ざっぱに言いますと、民間の銀行なんかの二分の一から三分の一ぐらい。それから対売り上げ利益率もそうなんですよ。これも利益を上げていかなきゃならない。したがって、民営化されるのも非常に大きなチョイスであるし、公社のままでもしいくのなら少しその辺を開放していただかないと先行き大変苦しい面があるのではないかな、こう考えております。

早川委員 全く、事業の経営者の感覚からいうと、利益を上げなければならない、そういう発想だと思うんですが、私はちょっと若干違うんじゃないかなというところがあるんですね。というのは、公益的なサービスを行うという意味では、余りもうけ過ぎられても困ってしまう、むしろ公共性をしっかり担保するような、そういう事業活動モデルをつくっていかなきゃならないんだろうなというふうに思っております。

 そこで、郵政事業の所管庁であります総務省、総務大臣にお伺いいたしますけれども、郵政事業については、これまで、どのような問題があるというふうに認識をされて、具体的にどのような対応措置を講じられてきたのか、特に橋本行革より郵政事業改革の流れ、あるいは会計検査院等からの指摘、こういったことにどのように対応してこられているか、答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、平成十三年一月にいわゆる橋本行革が始まりまして、中央省庁の改革が行われて、そのとき総務省もできているんですが、総務省の外局として郵政事業庁というものが設置されて、さらに二年後の平成十五年の四月一日に正式に郵政公社というのがスタートという形になって、一応、形としては総務省の外局になり、それが公社になりという形で実施されていったんだと思っております。

 その公社になりました後も、いろいろ郵政事業に対しては、例えば郵便切手の販売所の手数料のあり方については、余り売っていないところでも定額のもの等々出しておるではないかというような御指摘が、あれは会計検査院等々からあっておりまして、今の公社においてその都度改善をしてきているものと認識いたしております。

 また、今ありましたように、生田総裁になられてから後の、やはり商品の提供、まあ、従業員の意識の改革が一番大きかった、私はそう思うんですけれども、サービスの実施等々につきましては大きく改善がされたと、私自身郵便局やら何やらの話を聞きましてもそう思いますし、また、先ほど出ましたようにコストの削減というところで、例えば制服の発注の仕方とか、いろいろ細目にわたってコストの削減というのを努力されてこられたんだと思いますが、そういった意味で、生産性が結果として向上して、それが利益回復、利益の増につながっていったんだと思います。

 そういったところからいきますと、全体としてその間、この二年間に郵便局として減りました数は、簡易局、特定局全部突っ込みで、ふえた分と足した分と差し引きで、トータル三十七の三十七で七十四、二年間で減った形になっているとは思いますけれども。いずれにいたしましても、その内容等々について特に御不満が地方から猛烈に出ているというわけでもありませんし、そういった意味では十分に評価ができるのではないかと思っております。

 さらに今後、今言われた御心配の点に関しましては、今後とも官と民との間の公という、パブリックサービスというところが一番肝心なところだという御指摘なんだと存じますが、その点に関しましては、地方に限らず、いろいろな意味で、高齢化が進んでいく中にあってどうするかというのは、これはいろいろ、時代に合った技術の進歩もあるでしょうけれども、いろいろな意味で、そこらのところは今までと同じというわけにはいかないんだと思いますので、努力をしていかれる必要が、今後とも継続して行われていかねばならぬものだと思っております。

早川委員 現在の公社のままで民営化をしないで郵政三事業を維持すること、これが可能なのかどうかということについて、これは民間企業の経営を経験されて、現実に公社で経営を担っておられる、その総裁の御見解を再度お伺いしたいと思います。簡単で結構です。

生田参考人 お答えします。

 経済社会自体がかなり激動する生き物ですし、それから、経営者と一言で言いますけれども、いろいろな経営者がいますから、どんな経営者が入ってきて、どんな経営理念かで随分変わりますから、一概には言えないんですが、一経営者として私の今の感想を申し上げますと、もつのかという質問。

 それは、骨格経営試算を見ましても、あれは内閣官房準備室と公社の専門家も協力しながらつくったんですけれども、やはり三事業とも十年間ぐらいそれは絶対もつんです。余り今与えられている与件が大きく変わらないという前提でやっているんですけれども、もつんですけれども、ずっと右肩下がりになるというのは、どういう計算をしてもそうなってしまうわけなんです。

 それは、郵便の場合で、簡単に言いますけれども、先ほども触れましたように、郵便の通常郵便は五%から六%減るんですよ。竹中大臣がよく二・二、三%減るとおっしゃっているけれども、それは横で、ゆうパックとかメール便を市場での競争でふやして、こっちで五・七減るのをこっちでふやして、両方足すと二・二、三%減るんですけれども、通常郵便だけだと五%から六%減るんです、毎年、今のところ。これはEメールですから、なかなか難しいですよね。これを克服するためには市場分野で伸ばしていかなきゃならないのだけれども、今の法的な枠組みの中では物すごく制約があります、投資にしろ、海外で事業をするにしても。だから、ちょっとオフセットし切れないと思うからやはり右肩下がりだと思うんです。

 それから、郵貯、簡保。郵貯の場合も、さっき触れましたように、金利動向が上向きに大きく振れ出すと、ほとんどが財投債、国債でやっているというのは非常に苦しい状況に入るだろうと思いますし、バブル時期にほぼ倍増した資金量は今どんどん市場に返っていっていますから、資金量も減るということで、やはり先細りになる。それから、簡保は、市場性がある商品がなかなかなくて、第三分野をやろうと思っただけで、もう民業圧迫の大合唱でしょう。非常に難しいですね。そうすると、やはり市場性を失うということで難しい。

 だから、三つとも、いつだめになるのか、そういうことは私はわかりませんけれども、十年ぐらいは減りながらでも大丈夫でしょうけれども、中長期的にはやはりかなり厳しい状況になるというのは率直に認めざるを得ないので、それで先ほど、公社のままでいく場合でも、やはりビジネスモデルの開放をしていただかないと、これは雇用にも大きく響きますから、ぜひ御配慮をいただきたいということを申し上げた次第です。

早川委員 現在、郵政公社の公務員の身分を持っている職員が二十七万人というふうに聞いています。これから十年あるいは十二年間の間に、今の郵政三事業の担い手、いろいろ社会構造の変化に伴ってどういう方々が担うのかなということをあらかじめ検討しておかなきゃいけないと思うんです。

 そういう意味で、この二十七万人の職員の年齢構成が大体どういうふうになっているか。それから、そのうち、現在のその職員構成の中で、民営化後に新しい会社の経営を担うべき中堅幹部職員となる方々はどの程度いるというふうに想定をされているか、郵政公社にお伺いをいたします。

広瀬参考人 御説明申し上げます。

 平成十六年十月の調査でございますけれども、職員の年齢構成は、二十歳未満が三百八十四人、それから二十歳代が三万七千八百五十八人、三十歳代が八万五千百四十人、四十歳代が六万六千百七十九人、五十歳代が六万四千九百八十四人、六十歳代が三千六百九十七人でございました。郵政事業のマネジメントにつきましては、本社に約二千五百人、支社に約四千百人、普通郵便局の局長、課長などの管理者が約七千九百人、特定郵便局長が一万八千九百人、そのもとに上席課長代理、課長代理、総務主任、主任ということでそれぞれの役割を果たしております。

 公社では、郵政総合職といたしまして公社の経営の中枢を担う職員を採用するほか、民間の優秀な人材を中途採用しております。また、本社や支社の企画部門において活躍する職員を養成するための研究科訓練の実施、昇任意欲のある職員に対する志願制の導入、国際研修の充実、真っ向サービスを充実させるための接遇の研修など、さまざまな能力開発に取り組んでおるところでございます。

早川委員 改革というか民営化された会社の経営というのは、公務員のいわゆる士商法では絶対担っていけない存在になるだろう。そういう意味では、従前の職場にあった方が同じような感覚でいって、新しい会社の経営を担っていくということは本当は不可能だと私は思っています。特に、金融関係については、民間の金融機関でさえ、バブル経済崩壊後、大量の不良債権処理を迫られて、結果的にはどんなに専門家であっても大変なリスクを負担せざるを得ない。しかも、最近は、株式市場が好調に転じてきているということの中で、一人で百億以上の収入を稼ぐ人も出てくる時代でありますけれども、そういった競争の中に入っていくということになると、これは今までの人だけでは到底対処できないだろうと私は予測をしているところであります。

 そこで、民営化に至るまで、いわゆる準備企画会社でさまざまな民営化後の経営のあり方等について検討をされることになっていると思いますので、その場合、二〇〇七年の四月に発足をするという民営化会社の幹部の選抜やあるいは登用などの人材育成について、どのようなことができるような制度設計になっているのか、お伺いをしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 準備企画会社というのは、新しい会社のビジネスモデル及びそれに基づく新会社の具体的な業務内容を策定するとともに、新会社の設立の発起人となるということでございます。

 このような過程の中で、民営化会社の幹部の選抜、登用や人材育成というものにつきましても、この準備企画会社の経営陣が、公社ともよく相談、連携の上、円滑な移行に資するような必要な対応を行っていくということが可能であり、そうしたことを期待されるということでございます。

早川委員 私自身の疑問が、実は、民営化そのものには大賛成なのでありますけれども、四分社化をすることでいろいろなコストがかかり、結果的にはまたメリットが余り感じられないのではないだろうかなという、その点でまだ疑念が十分払拭できていない部分があります。

 まず、郵政公社を分社化することによって、それぞれの会社間の取引、委託の関係で委託手数料が発生をし、それに消費税が課税されるというふうに理解をしているわけであります。私は、例えばこの消費税の負担が最終的に郵便三事業の利用者の負担に転嫁をされてしまって、民営化をすることによって結果的には郵便料金等が値上げされて国民の負担がふえてしまうという結果になってしまっては、今回の郵政民営化ということの目標が大きく損なわれることになるのではないかというふうに思っております。

 そこで、窓口委託手数料等への消費税課税で貯金や保険の手数料等が上がることになるのかならないのかについて、まず準備室の方からお答えを願いたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 郵便貯金銀行、郵便保険会社が郵便局会社に支払う窓口委託手数料及びこれらに係る消費税でございますが、郵便貯金銀行、郵便保険会社が郵便局会社の郵便局ネットワークを活用して業務を展開する上で必然的に生ずるコストでございまして、これを顧客に転嫁するか、または経営の効率化や多様な業務展開による収益力の強化等によって吸収するかどうかは、すぐれて経営判断事項であろうと思います。

 ただし、郵便局を通じた地域の顧客の信頼が、郵便貯金銀行あるいは郵便保険会社の経営基盤の根幹でございます。したがいまして、これを損なうことのないよう、経営が行われるものと考えておるところでございます。

伊東政府参考人 郵便料金についても委員御指摘ございましたので、郵便料金につきましてお答えさせていただきます。

 郵便サービスにつきましては現在も消費税が課されておりまして、郵便料金には消費税分が含まれております。日本郵政公社は、その消費税を現在も国に納めているわけでございます。

 民営化後の郵便事業会社も、郵便サービスに係る消費税を国に納めることになりますが、その際には、仕入れに係る消費税額を控除して納税いたしますので、郵便局会社に支払う委託手数料に係る消費税を控除して納めることになります。したがいまして、郵便事業会社の新たな負担はございません。

 そういう意味では、郵便料金の設定につきましては経営判断によることになるわけでございますが、郵便窓口業務の委託に伴い消費税が課されましても、それを理由として郵便料金を値上げするということは想定されないというふうに考えているところでございます。

早川委員 財務省にお伺いしたいのでありますけれども、この消費税の課税関係について、今、準備室の方から説明がありましたけれども、実際上、消費税の課税関係はどのようになるという御理解でしょうか。

佐々木政府参考人 消費税の課税関係についてお尋ねでございますが、先ほど準備室の方から説明を申し上げましたようなことと同様でございますけれども、消費税は、御存じのように、原則としてすべての財貨・サービスの国内における販売、提供などをその課税対象といたしておりまして、郵政公社が分社化されまして、郵便事業会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社から窓口会社に対しまして窓口業務の委託が行われ、委託手数料が支払われる場合には、委託手数料はサービスの対価でございますので、これに対しても先ほどの御説明のような消費税が課税されるということでございます。

早川委員 竹中大臣にお伺いしたいのでありますけれども、四分社化、民営化によって国民の負担がどういうふうに変わるかということについては、どう考えたらよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 四分社化というのは、その経営の専門性を高めていただいて、一つの事業の損益が他に及ばないような一つの仕組みもつくって、結果的に国民の利便を大きく高めてもらうための仕組みでございますので、その意味で、トータルで見て、私は、国民、利用者に対して必ずメリットをもたらすものであろうというふうに考えているところでございます。

 ただ、具体的には、今御指摘のような、では消費税はどうなるのかという問題がございます。

 これにつきましては、今事務方から答弁させていただきましたように、郵便に関しては、これは既に今も払っているわけでございます。銀行、保険等々については、これは新たに転嫁が事業の性格上難しいということもあって、新たな負担となり得るものでございますけれども、しかし同時に、税の持っている性格、税の基本理論から考えて、これはやはりそのような経営体に対しては御負担をいただかざるを得ないものだろうと思っております。

 しかし、それにつきましても、さらに経営効率を高めていただいて、そしてトータルとして消費者の利益になるような結果をぜひもたらしていただきたい、そのような制度設計にしているつもりでございます。

早川委員 それから、郵便貯金銀行あるいは郵便保険会社の株式を売却するという構想になっているわけであります。

 私が危惧するのは、本当にこれらの株式を適正な価格で売却できるんだろうか、そのシステムはちゃんと確保されているんだろうか、そもそも上場するということがいつ可能になるんだろうかということについて、いまだ十分納得していないところがあります。

 そこで、まず金融担当大臣、伊藤大臣にお伺いいたしますけれども、これは伊藤大臣でしょうか、あるいは金融庁でも結構ですが、この郵便貯金銀行、郵便保険会社の上場についてはどのようにお考えになっているでしょうか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 証券取引所が開設します有価証券市場に株券を上場する場合には、当該証券取引所の株券上場審査基準などの上場関係諸規則に基づいて証券取引所の審査が行われることとなります。

 この上場審査基準といたしましては、一般的には、上場株式数などの形式要件と、企業の継続性、収益性など上場会社として必要とされる適格要件がございます。具体的には、例えば、東京証券取引所の場合におきましては、形式要件としては、上場時の時価総額見込みが一千億円以上であることや、最近二年間の有価証券報告書に虚偽記載のないことなどが求められております。また、適格要件といたしましては、企業の継続性及び収益性、企業経営の健全性、企業内容等の開示の適正性、その他公益または投資者保護の観点から東京証券取引所が必要と認められる事項について、東京証券取引所において審査が行われるというふうになると承知しております。

早川委員 これはぜひ竹中大臣にお答え願いたいのでありますけれども、二〇〇七年四月に郵便貯金銀行が発足をするという構想であります。

 問題は、それまでの事業の実績がないという状況の中で、四月現在の段階で郵便貯金銀行のバランスシートが一体どういうふうになるのかということと、それからその時点においての資産がどういう形になっているのか。いわゆる既存の郵便貯金については、これは独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が承継をするということになっているのに、それが今度はどういう形でもって郵便貯金銀行の資産に転化をされることになるのかといったことと、その中で本当に上場というのは一体いつごろできるというふうに考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 まず、早川委員の最初の御質問は、二〇〇七年四月段階での郵便貯金銀行のバランスシートの内容でございます。

 これは、準備室が昨年十一月に作成しました骨格経営試算で、一定の前提条件のもとで四民営化会社の将来収支などを機械的に試算したものがございます。

 この試算によると、二〇〇七年四月段階、つまり、二〇〇六年度末の郵便貯金銀行の資産規模は約二百五十兆円、うち郵便貯金残高約二百十四兆円、そして自己資本額は約二・五兆円というふうに試算をされているところでございます。

 もう一つは、例の管理機構との間の関係でございますが、これは、政府保証がついた旧契約につきましては管理機構のもとで、実際には、特別預金という形で一体的な資産の管理運営が郵便貯金銀行に任されるということになるところでございます。

 最後のお尋ね、上場についてのスケジュール、これはもちろんなかなか難しいわけでございますけれども、上場し得る状況になっているか、株式市場にマイナスの影響を及ぼさないか等々、やはり総合的に検討する必要がある。投資家が会社の収益力、将来性等を見きわめるための期間、上場するための一定の準備期間等は、これは必要になるというふうに考えております。

 いずれにしても、具体的な上場の時期につきましては、主務大臣の監督を受けながら、会社の経営者において、十年間での段階的な完全処分を念頭に置いた株式処分、そして上場に関する適切なスケジュール管理のもとで、最終的には取引所の審査、これにつきましては今金融庁からお話がございましたが、それを経て決定されていくということになると承知をしております。

早川委員 最後に、麻生大臣にお伺いをしたいと思っているんです。

 その前提として、まず、上場をするにしても、株式の売却を義務づけますと、これを例えば完全に民有民営会社に移行する期間中に全部売却しろということになると、これは、業績が十分に上がっていない段階で株式を売却すれば、当然、国民の資産である株式が言ってみれば安く売却をされる結果になって、結果的には国民の財産が毀損されるという結果になってしまう。ですから、無理に売却を義務づけるというのは、ちょっと制度設計としてはどうなのかなというふうに思います。そういうことがある中で、一応処分というふうに言われていますので、そういった場合は必ずしも売却だけではないという制度設計なんだろうと思います。

 いずれにしても、小泉内閣の任期が、これは総裁選、総裁との関係ですから、来年の九月までというふうに一応私どもは理解をして、現在の郵政民営化問題に取り組んでいるところであります。小泉総理にとっては、自分の政治生命をかけたまさに命がけの改革という位置づけであります。

 私は、ここまで大勢の国会議員が一生懸命議論に参加し、国民の理解がある程度行き届き始めたという段階で、この改革の流れを後戻りさせてもらっては絶対にいけない、よりよい改革につなげていただかなければならない。そういう意味では、小泉総理の後の総理、リーダーの役割がやはり大変大きくなるだろう。その候補者の一人とされている総務大臣の改革への情熱、意思ということについてぜひお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 早川先生御存じのように、郵政公社を民営化するという方が、基本的には、国民、利用者、従業員、国家、いずれのためにもなるという制度設計は一応形としてはでき上がっておると思うております。したがって、この法律に基づいて郵政公社の民営化は必要、私は基本的にはそう思っております。それがのめましたので、この法案を閣議でサインをして出してきておるわけです。

 そういった意味では、あとは、経営環境もありますでしょうし、この会社を引き継いでいかれるいわゆる社長、何と呼ばれるんだか知りませんけれども、そこの会社を運営していられる経営者の能力、資質というものが、これは、全然どなたも話をされませんが、物すごく大きな要素だと思っております。

 私どもとしては、枠はできたは、経営をする人から見て、この枠じゃとても利益はできないと言うんだったら、引き受ける方がおかしいんです。したがいまして、引き受けても一応黒が出るという形の枠組みまでにはなっておると、私どもは、生田総裁とも話をさせていただいた上でこう申し上げております。

 私どもとしては、やってみた結果まだいろいろ問題が出てくる、常に民間の経営というのはそういうものですから、その段階で適切に処理をしていかねばならぬ。また、法律に問題があるからできないんだということなのであれば、その段階でまたいろいろ修正をしていった方がよりよくなるというのであれば、修正をしていくというのは正しいと思っております。

 立法府としても、そこのところは、大事な立場へ私どももいるわけですから、そういった意味では、議員として言えば、立法府の立場からいろいろ意見を述べ、基本的にしては、改革というのは改悪と改善と結果は二つ出ますので、やった結果、改革はしたけれども改悪になったんじゃ話になりませんので、改善だったと言われるようになるようにしたい。改善にならぬと思っておられる方もいらっしゃる。どっちが正しいかは結果が知らせてくれるんだと思っております。

早川委員 終わりました。ありがとうございます。

二階委員長 次に、伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 自民党の伊藤信太郎でございます。

 非常に熱心な議論があるわけですけれども、私はきょう、情報という観点から幾つか御質問させていただきたいと思います。

 現在、日本郵政公社が行っているのは、日本最大のやはり総合情報事業だと思いますね。国民の八割の個人情報を持って、また、郵便を出す出さないという意味においては全国民が関与している情報産業だと思います、まだ情報事業だと思いますけれども。これを民営化するということでございますから、これを情報産業にしようということでありますので、とにかくその情報の扱いをどうするかということが、経営面でも法律面でも、あるいは国のありようでも基本的だと思いますので、その点からお伺いしたいと思います。

 先般から議論になっておりますけれども、民営化、四分社化するに当たって、情報システムをつくらなければならない、それにソフトで五百数十億、あるいは全体で二千億、三千億という議論が出ておりますけれども、この情報システムというものをどういう設計思想といいますか、どのように構築されるのか。

 四分社化ということですから、当然四分社、それぞれの会社に分けて構築されなきゃならないと思いますけれども、まさか端末を四つ別にするというわけにもいかないでしょうし、その辺はどうなっているのか。OSの問題もありますし、コンピューターランゲージの問題もあるでしょう。それから、専用線を使う、あるいはPLCとかいろいろなそういうラインの問題もありますし、それから、大事な情報ですから、そのバックアップの問題をどうするのか。それから、その後のデータ役務契約みたいなものが何か随意で大手のところに流れる危険性とかはないのか。あるいは、つくったシステムというのは、今は分進秒歩の時代ですからすぐレガシーシステムになるわけですけれども、それが、最適化計画ということで、どのような形でそれをすることも含んで、今、四分社化というものを一つの目的に情報システムを組んでいくか、お伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 伊藤委員が冒頭でおっしゃられた、基本的には通信も金融もやはり情報産業である、この御指摘はまさに核心を突いておられるというふうに思います。

 お尋ねの、情報システムはどのように構築されて、そして、四社のうち、どのように保有してシステムをよりよいものにしていくのかという大変重要な大きなお尋ねでございますけれども、日本郵政公社におきましては、公社が行う業務に必要な情報システム、今の情報システム、それぞれの関係部署が計画的にシステム開発を行っているというふうに承知しております。

 今度は、公社の資産等の具体的な切り分けの話になってくるわけでございますが、これは新経営陣、これは準備企画会社の経営委員会でございますけれども、ここが承継計画において定めるということにしております。

 その際の手順としましては、まず主務大臣、これは内閣総理大臣及び総務大臣でございますが、主務大臣が作成する基本計画に従ってもらう。新会社の経営陣となる準備企画会社の経営委員会が、公社の協力を得ながら、おのおのの資産についてより詳細な承継の実施計画を決定していく、そして主務大臣の認可を受ける。そういう手順に相なります。情報システムの帰属につきましても、この手順によりまして、最終的には承継計画において定められていくということになろうかと思います。

 お尋ねの個々のシステムの帰属、そして委員は、そのバックアップ体制の問題もあるじゃないかと、大変重要な御指摘だと思います。そうした点、個々の具体的な問題につきまして、今申し上げましたような手続によって、手順によって、承継計画において定められていくことになるというふうに承知をしております。

伊藤(信)委員 外枠のガイドラインはお伺いしたわけでございますけれども、私は、実際、非常に問題になるのは、この情報システムをどこが保有するのか、どこに一義的な運用責任なり運用権限があるのかということを明確にしないと、多分、情報システムの物理的な位置はそれぞれの局に置かれると思いますし、必ずしも四つの物理的な情報機器があるわけではないと思うんです。ですから、その辺を明確にしないと、今のふわっとした、頭をなでるようなガイドラインでは、国民の皆さんもなかなか、本当にセキュアな、そしてまた後段問題になるようなことがないような情報システムがつくれるのか、いささか疑問だと思います。

 その辺、まず、どこが所有するという青写真を描いているのか、その点も明確にしながら、お答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員が御指摘の点は、単にハードだけではなくて、やはり管理システムそのものの問題だろうと。管理システム、その運用の責任と権限の帰属等々、管理システムをどうつくり上げていくかこそが顧客の安心のやはり基礎であろうという御指摘であろうかと思います。その点は全く異存のないところでございます。

 ただ、では、今の時点で、そうしたことについて、法律の枠組みの中でそういうことの具体的なものが記されているかというと、それは先ほど申し上げましたような趣旨で、手順は記しているわけでございますけれども、これは、公社のCIO、そしてこれから決まってくるであろう新経営陣、その中のCIO的な方がまたいらっしゃるんだと思いますが、そういう方々に、まさに専門家の情報も踏まえながら、しっかりとしてつくっていただくということに尽きるのであろうと思っております。

 我々としては、制度設計の段階で、そういうことの実効性がしっかりと保たれますように、基本計画を主務大臣がつくる、そして実施計画を詳細に経営委員会が作成する、そして最終的に主務大臣の認可を受けるという手順を明確にしているところでございます。

 中身の専門的なことについてお答えできなくて大変恐縮でございますが、法律、枠組みとしてはそのようになっているということでございます。

伊藤(信)委員 そういたしますと、それぞれの四社の経営者あるいはCIOが、私の方がこういう権限を持つべきだというような係争なり議論になった場合、法律的な裏づけがないということになりますね。これは非常に各社の経営を進める上で基盤的な投資あるいは基盤的なものだと思うんです。そのことを明確にしないまま各社が戦略を立てること自体が私は難しいと思うんですけれども、大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 繰り返し申し上げますが、伊藤委員の御指摘は、実際の、公社を円滑に運営させる、公社が民営化された後円滑に運営させるという意味から、特に顧客の安全、安心、利便性から大変重要なポイントであるというふうに思っております。そうしたことに関して、責任とまさに権限の明確化を伴うような全体のシステムの設計ということを行っていくわけでございますが、当然のことながら、それぞれの利害、立場というのが出てくると思われます。

 そうしたことも含めまして、しっかりとした調整を、この持ち株会社、この日本郵政株式会社の中で、全体のバランスをとりながら、しっかりとした責任と権限が明確化されるようなシステム、そして同時に利用者の安全が守られるようなシステム、それをやはりつくっていっていただく、そこを承継計画の中で明らかにしていただいて、主務大臣でしっかりとそれを認可する、そのようなシステムになっていかざるを得ないというふうに思っております。

 そうした全体的な設計をある意味で行うために、この持ち株会社が、日本郵政株式会社が、いわばヘッドクオーターとしての役割をしっかりと果たしていただかなければいけないというふうに思っております。

伊藤(信)委員 今私どもはこの法案を審議しているわけでございます。結局、法案をなぜ審議しているかというと、民営化して、また四分社化してやっていけるのかということを見通して、その上で判断するということでございますから、もしその見通しが法案上つかないということになると、法案を審議する上において大変判断材料に迷うということにもなると思いますので、私は、法案の修正も含めて、その辺をよく御検討いただきたいと思います。

 次に、情報ということに関してさらにお伺いしたいと思いますけれども、現在郵政公社が持っている個人情報を含む膨大な情報があります。この情報は、四分社化されるそれぞれの会社にどのように分割、継承されるのか、そして、その際の法的根拠は何かということについてお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 郵政公社が行っている事業、郵政の事業は、国民の約八割の顧客データを持つということになる、その意味では、他の事業はよくわかりませんが、これは恐らく日本最大の情報事業になるということなんだと思います。そして、公社が保有する個人情報を含むところの情報は、四分社化されるわけですけれども、そのときにどのように分割、保有されるのかというのは、これは大変国民にとっても重要な関心事になろうかと思います。

 公社が現在保有しております個人情報を含む情報、データベースについては、公社が行うそれぞれの業務のために保有している、それぞれの業務があって、それの業務のために保有されているということに相なります。したがって、その民営化に当たっては、承継計画に定められるところによって、それぞれの業務を承継する法人が承継することになるというふうに考えなければいけないと思っております。

 例えば、郵便物の配達の業務のために保有するデータというのはあるわけでございましょうから、この郵便物の配達の業務のために保有するデータというのがもしあれば、それは郵便の業務を承継する郵便事業会社が承継することになる。他の事業についても同様に考えるべきであろうかというふうに思います。

伊藤(信)委員 私は、実際見ると、大臣がおっしゃったように簡単ではありませんし、また、物理的になかなかそれは不可能なことだろうと思います。

 御存じのように、情報というのは、前段に申し上げたように、コンピューターといいますか、電子媒体にあるものもありますし、それから、従来型といいますか、紙媒体にあるものもあります。同時に、見逃していけないのは、人間の脳にあるものがあるんですね。そういったものを果たして、四分社化されたときに、そんなに大臣がおっしゃるようにきれいに切り分けることができるのか、私はできないんだろうと思います。そういった場合、ではどういうことが起きるのかと申しますと、次の問題が起きるんですね。

 今は公社ということで、ある程度国の後ろ盾があるということで、それぞれの国民は、それぞれの目的で個人情報を郵便局に出しているわけですね。意識的に出している場合もありますし、無意識的にとらえている場合もあると思います。しかし、今度は民営化するということでありますから、これは民になるわけですね。

 それからもう一つは、四分社化されることになりますから、公社全体の目的とは異なるわけでございます。そうすると、公社に出した情報というのはあくまで公社という前提で出したものでありますから、これを民間の一会社がそれぞれが使うということになりますと、これは個人情報の第三者に対する供与ということになります。

 御存じのように、個人情報法の二十三条では、この第三者に対する供与というのは本人の許諾を得なければできないということになっております。果たして、個人情報法に基づいてほとんどの国民の個人情報を一々本人の許諾をとることが物理的に可能なのかどうか、あるいはオプトの請求があった場合、それに対応することは本当に可能かどうか、この辺、お伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 情報の切り分けは、本当に実務上は大変難しい問題であるというふうに思います。特に、委員が言われました人間が覚えている情報をどのように考えるのかというような、非常に御示唆に富む御指摘も今ございました。

 そこで、直接御質問のございました、要するに利用目的以外の目的云々、ここは、個人情報保護の観点からも、やはりここ数年来最も中心にこの議会でも議論された問題であろうかと思います。

 私なりの整理を申し上げますと、日本郵政公社は、これは独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の適用を受けている。これはまさに、アンブレラとしての個人情報保護法というのがこのようにある、それの公的、独立行政法人版だ、そういう位置づけになろうというふうに思っております。その独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の適用を受けているわけですが、そこの第九条第一項において次のように書かれております。「独立行政法人等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために」「個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」

 御指摘のように、法令に基づく場合を除き、何か別のことに使うんだったら一人一人の許諾が要るということ、委員のお尋ねはその点にあろうかと思います。

 公社が保有します個人情報を含むデータベース、情報につきましては、民営化に伴い新会社に承継されることになる。この当該承継は、郵政民営化法に基づき承継計画に定められるところに従って行われるということになりますので、独立行政法人等個人情報保護法第九条第一項の「法令に基づく場合」に該当するというふうに考えます。法令に基づく場合を除き、目的外云々は現に制限されているということでございますので、その意味では、この「法令に基づく場合」に今回は該当をするというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 今の点は、多分法的に解釈の分かれるところだろうと思います。

 今、官から民ということで、独法なりあるいは役所の持っているデータが民間事業に渡るということでありますけれども、それが、組織改正という法律があれば自動的に個人情報法もそれに遡及して、許諾を得なくていいということについては、私は国民の納得はなかなか得られないのではないかなと思います。

 やはり国民の中から、私の情報を、もし民営会社になるんだったらオプトで消してくださいとかいうことが出てくると思いますね。その場合、係争になると思いますけれども、そういうことは想定なさっているでしょうか。

竹中国務大臣 今申し上げましたように、私どもの解釈は、これは先ほど読みました独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律で「法令に基づく場合」に該当するというふうに、これは委員、解釈の問題はいろいろあるかもしれないねとおっしゃいましたですが、私どもはそのように解釈をしているところでございます。

 ちょっとこれは正確に、必要があれば後ほど調べさせていただきますが、その場合に、個人情報については、どの場合も、通常の場合も、自分の情報について、個人情報を守るためにいろいろな措置をとってくれというようなことは、これは個人からいろいろなことをやることは可能な仕組みもあったかというふうに承知をしております。ちょっと今、法令が手元にございませんので、不正確であるといけませんから、後でまた調べさせていただきますが。

 それは、当然、そのような一般的な法令の枠組みの中で考えていくべき問題であろうかと思っております。

伊藤(信)委員 それでは、次の段階に進みたいと思います。

 十二年後に完全に四分社化して、銀行と保険は民間会社になります、残りの二つは特殊会社ということだろうと思いますけれども。この四分社化されたそれぞれの会社が、四人以下の局で実際活動するわけでございますね。そしてまた、自由になりますと、窓口会社、郵便局会社は、複数の金融機関や複数の保険会社あるいはほかの業態の諸般のビジネスの委託を受けるということもできるわけでございますね。

 そうしますと、カスタマーといいますか顧客が窓口に来ますと、一義的には、窓口の方に口頭なり書面で個人情報を含む情報を出すというケースが想定されるわけでございます。このときの情報の帰属というのは、本来、例えば、その人が郵貯銀行に口座をつくるということで来たならば郵貯銀行に属すると法的に解釈されると思いますけれども、物理的には窓口会社の職員の知るところになるわけであります。しかし、窓口会社の職員は、同時にほかの保険会社や郵貯以外の金融機関の窓口もしているということが十分に想定されますと、個人情報保護法の方でも問題になる。

 もう一つは、利益相反ということが起きてくるんだろうと思います。

 民営化というのは大変きれいな言葉なんですけれども、すごく汚い言葉を使えば金もうけ集団にするという意味もありますから、そうしますと、窓口会社の職員もどういうインセンティブで働くかというと、やはり自分の販売手数料を上げて営業成績を上げようというインセンティブが当然働くわけでございますね。そうすると、ある方が預金をしたいというふうに来た場合、頭の中のドメインというのはコンピューターのように分けられませんから、これだけお金があるんだったらこっちのシティバンクさんの方がいいですよ、外貨預金の方がいいですよ、あるいは、いや、ちょっと健康の問題もありそうですからどこそこの保険に入った方がいいですよと勧めないとも限らないですね。でも、それは頭の中で起きることですから、証明のしようがない。

 それから、局が小さい場合、御存じのように、局長も含めて二人とか三人とかしかいないんですよ。そうすると、幾らコンピューターのアクセス権限を、これは銀行ですとか、これは保険ですとか、これは郵便ですとか分けても、同じ人が四つにアクセスすれば同じことですから、それは頭の中でインテグレートすればいいわけですから。そうなった場合に、まず個人情報保護法の方でも私は問題になると思います。

 もちろん、名目的には、銀行の情報は保険には行かないとか郵便の事業の方には行かないということになっているけれども、現実の郵便局の運営を見れば、同じ人間が現在三つの事業をしておりますし、四分社化になれば四つの事業をするわけですから、それぞれの個人情報が四つの事業の中で本人の許諾なくして使われるという蓋然性は極めて高い。

 それと同時に、利益相反という問題を窓口の職員について法的な措置をしないと、これはビジネス上もあるいはモラルハザードという意味でも大変な問題が起きるんだろうと思います。

 その二点、大臣がどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 具体的な窓口での大変重要な問題の御指摘でございます。

 要するに、郵便局会社は同業複数の企業から委託を受けて業務を行うことが可能になる、その際に個人情報保護法上の問題はどうなるのかということ。また、複数業務をこなす窓口会社職員、一人が複数業務をこなす場合に複数の委託元の個人情報を保有することに問題はないか。さらに、それに加えて最後に御指摘されたのは、ある特定商品を優先的に販売する等の利益相反の問題が生じないか。いずれも極めて重要な問題だと思います。

 まず、郵便局会社そのものでございますが、これは他の規模の大きな企業と同様に、個人情報保護法を含みます、個人情報保護法の適用を受けます、それ以外の各種規制の適用を受けて業務を営むということになります。郵便局会社は、この場合、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者、例の取扱事業者としてその保有する個人情報を目的に沿って適切に利用する義務が生じるということになります。

 郵便局会社が複数の事業者から受託した事業に関して管理するということになる個人情報につきましても、それぞれの利用目的に沿って当然利用すべきものであって、それ以外の目的に利用することは、これは新たに本人の同意等の所要の手続をとらなければ基本的には許容はされないということに相なります。

 また、郵便局の職員が複数の事業者から受託した事業に関する個人情報を取り扱うということに関しましては、郵便局会社は、個人情報取扱事業者として従業員である郵便局の職員の必要かつ適切な監督を行う必要が生じます。具体的には、個人情報の漏えいの防止、利用目的制限の遵守等について、教育そして訓練を行う等の安全管理措置を講ずる必要があるというふうに考えられます。

 このような安全管理措置を講じて個人情報の種類ごとの利用目的制限を遵守していけば、郵便局の職員が複数の受託業務を取り扱うということは個人情報保護法上許容されているというふうに考えられるところでございます。

 さらに、郵便局会社は多種多様な商品、サービスを取り扱うことになりますけれども、このことによって直ちに利益相反が生じるというものではないというふうに考えております。いずれにしましても、郵便局会社は委託元との契約内容や各種規制を遵守して商品、サービスの提供を行う必要がある。

 なお、民間において実際に今どうなっているかといいますと、これは損保代理店が複数の損害保険会社の商品を販売している例、銀行が複数の投資信託商品を販売している例等々ございます。既に同種の複数の事業者から受託した業務を取り扱う事例があるというふうに承知をしております。

 私が今申し上げたのは、個人情報保護法の中での枠組みの中でしっかりとやっていただきたいということに尽きるわけでございますが、委員は、恐らくそれは御承知の上で、しかし実務上は大変難しいね、そのような御指摘だろうかと思います。

 その意味では、今最後に、銀行が窓口で複数の商品を扱っている、損保代理店が複数やっているというふうに申し上げましたけれども、そういった意味での職員の教育訓練等安全管理措置というのを、これは本当にしっかりと新しい会社にはやっていただかなきゃいけないというふうに思っております。

伊藤(信)委員 まさに教科書的なというか、マニュアルのお答えがあったわけですけれども、実態の運営はそうじゃないんですね。

 例えば、私のところに郵便局の職員が簡保の勧誘に来ますけれども、これはやはり郵便局の職員として私のいろいろな状況を知った上で来ているんですよね、もちろん言いませんけれども。もちろん、簡保の引き落としは今主には郵貯から落とされますよね。ですから、今はまさに三事業一体となって、そのシナジー効果で逆に郵政事業のバリューといいますかコーポレートバリューがあると言っても過言ではないと思うんですね。

 ですから、逆に、四つの違う会社に分けるということは、当然、個人情報保護法の規定をそれぞれの会社が受けますから、いわゆるコーポレートバリューを減価させるという効果といいますか影響が非常に大きいのではないかと私は思う。

 そう考えてみますと、御存じのように、小さい局、特に特定局、簡易局の大部分は、七、八割の収入は郵貯、簡保によって得ているということは皆さん御存じのとおりですけれども、具体的に、四名いない局では、銀行業、保険業をするのは、実態運営上、私は難しいと思いますよ。

 それで、骨格経営試算を見ますと、保険の方は四千名、銀行の方は八千名というようなことがA、B案ともに書かれているわけでございます。そうしますと、引き算をしますと、二万七百の局では保険をやれない、あるいは一万六千七百の局では銀行業をできないということに実態的にはなるんじゃないかなと私は思うんですけれども、それについての大臣のお考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 今の数字、もう一度後でまた確認、必要があればさせていただきますが、基本的には、郵便局会社というのは、これは窓口業務を行うわけでございますので、ここで銀行業務を行うわけではございません。代理店の業務を行うわけでございます。そこには当然のことながら、窓口にそういう代理店、預金の販売、それと金銭の受け入れ、授受、そのようなことを行う方々は、特定局等々も含めて窓口会社に帰属をするという形になります。

 その意味では、銀行業務を行えないということではなくて、銀行業を営む銀行はあります、そしてそこの代理店としてやるわけでございますので、イメージは委員おわかりだと思いますが、そういうことを制度としてつくっているわけでございます。

伊藤(信)委員 それはよく存じ上げているんですけれども、窓口会社に十三万五千配置しようというB案も読んでおりますけれども。要するに、先ほど私が申し上げたように、銀行代理業であっても、窓口の職員がそれを受けるわけですね。その後ろには八千人しかいないとすれば、いわゆる銀行本業の人はいないということですね。

 そうすると、窓口の職員は一人ですから、その一人の人が頭の中にあるほかの情報を全く使わないで銀行代理業をするというのは、極めて心理学的にもブレーンサイエンスの面でも難しいと思いますよ。また、それを使ったか使わないかということを証明すること自体も難しいと思います。

 ですから、実態的に、今のような人員配置でいくなら、そしてまた、これからは、公社といいますか、四分社化といったら、さらに人を減らそうというわけですから、ますます一人局、二人局がふえるわけですね。その一人局、二人局で法令を、コンプライアンスを守って銀行代理業、保険代理業、あるいはその他の業を行うということは、教科書的にはきれいにおっしゃられるかもしれないけれども、実態としてはかなり難しいのではないかと思いますけれども、その辺、窓口会社の職員に大臣がおなりになった立場で、ちょっとお話しいただきたいと思います。

竹中国務大臣 窓口でその代理業を行う、まさに一人の方がいろいろな業務を行う、これは大変難しいことであるという御指摘、これはそのとおりなんだと思います。

 ただ、現実に、今の機能といいますかファンクション、機能を見ますと、今まさにそういう状況になっているわけでございますよね。これは現実に、窓口で郵便切手を売って、証明郵便を受け付けて、そして預金もやるということで、今既にその難しい業務を現場の方は大変難しい状況の中でこなしておられるということだと思います。

 委員の御指摘は、それを御承知の上で、それに加えて、コンプライアンスというお言葉を使われましたけれども、コンプライアンスがやはり新たな問題としてそこに出てくるだろう、それをこなすのはさらに大変難しいのではないかということであろうかと思います。

 コンプライアンスは、これまた今でも、実は、先ほど申し上げましたような法律等々がございますので、個人情報の保護に関するものも含めて適用されているわけでございます。それを、しかし、分社化されて民間会社になるということによって、よりやはりしっかりとやっていただかなきゃいけない。その意味で、窓口の皆さんもさらに大変だというのは、私はそのとおりであろうかと思います。

 結局のところ、今の我が国の個人情報の保護の枠組みそのものの中で考えますと、先ほど申し上げましたように、職員の訓練、教育等の安全管理措置を講ずる、それをやはりしっかりやっていくということに尽きるわけでございます。

 例えば、具体的な適正、安全な管理としては、個人データ内容の正確性の確保というのが個人情報保護法の十九条にありますけれども、その具体的な措置としては、個人データ入力時の照合、確認手続の整備、それと記録事項の更新、保存期間等々の設定等々、やはりそういう実務的にしっかりしたことを積み重ねていくということなのではないかと思います。

 その意味では、今も難しい仕事を公社の窓口の方はやっておられますし、コンプライアンスにさらに努力をしていただいて、個人の情報がしっかりと保護されるようにしていただく、それに尽きるであろうと思っております。

伊藤(信)委員 何となく、私の質問に直接お答えいただいていないような感じがするんですけれども。

 要するに、公社と民営化の大きな違いは、公社は、もちろんお金をもらっては仕事をしていますけれども、公のためにしているわけですね。民営化するということは、さっき汚い言葉と申し上げました、要するに、お金をもうけるということが、その会社なりその職員のインセンティブになるわけです。特に、生き残ろうと思う小さな局の窓口会社の方は、やはり売り上げを上げなければなりません。そしてまた、そのことがその方の報酬の増加にもつながるわけです。

 だから、そういうお金をたくさん取ろうというインセンティブで人が動くようになりますから、公社のときのモラルとかコンプライアンスとは別の次元のマネジメントというものをしないと、私は、特に個人情報保護とかあるいは利益相反の問題の解決がつかないのではないかと思います。

 そういう意味におきまして、やはりその部分も手当てした修正ということが私は必要だと思いますし、そのことがなければ、実態というものに即して四社でやっていけるかという見通しを、国民がなかなか持ちづらいんだろうと私は思います。

 時間があと二分なので最後に申し上げますけれども、私は、結論的に申しますと、もし今のままでいくと、実際は、小さい特定局とか簡易局というのは、銀行代理業、保険代理業ができなくなって、結果としてやっていくことができないんだろうと思います。できなくならないということでありますけれども、じゃ、実際にどういうビジネスモデルでやっていけるというふうに青写真をお考えなのか、それを最後にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 特定郵便局を含む郵便局会社の郵便局で提供されるサービスにつきましては、まず郵便については、これは法律上、郵便事業会社に対して、郵便窓口業務を郵便局会社に委託することを義務づけるということでありますから、その局のビジネスの一つのコアの部分として義務づけられた郵便窓口業務というのが存在するということに相なります。

 今重要な役割を占めております貯金、保険の業務に関しては、これは、みなし免許を付与するに当たって、最低限、移行期間をカバーする長期安定的な代理店契約、そして保険募集委託契約があること、これを免許の条件として付すということにしておりますので、このような免許条件によって、郵便貯金銀行、郵便保険会社の郵便局会社への業務委託が長期にわたり担保されている。これも一つのビジネスのあり方を担保するものであろうかと思います。

 その後は、郵便局ネットワークの重要性、新たな自前の店舗網やその募集体制をつくる。これは、銀行、保険にとっては膨大なコストがかかりますことを踏まえますと、やはり全国一括の代理店契約が継続され、基本的には、これに基づいて、各郵便局において、コアとしての郵便以外に、引き続き貯金、保険のサービスが提供されるというふうに私は考えますけれども、それでも仮に過疎地などの一部の郵便局で貯金、保険のサービス提供が困難となる場合には、社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要性の高いサービスの確保を図ることとしている。

 これは、先ほど、お金もうけを中心にという御指摘がありましたが、もちろん収益性を上げていただくことは重要でございますが、同時に、郵便局会社、郵便事業会社は、これは社会的な役割を担っているということで、それを果たしていただけるような枠組みも同時につくっておりますので、これは郵便局におきましてそういう形でしっかりとビジネスが展開していただけるものと思っております。

 加えて、ネットワークは我々はやはり大変な資産だと思っておりますから、これを活用して幅広い事業を営んでいただいて、経営もよくする、そして利便性も高める、そのような形をぜひ可能にしていきたいと思っております。

伊藤(信)委員 これで質問を終わります。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として内閣官房内閣参事官羽村康弘君、内閣官房内閣参事官齋藤敦君、内閣府大臣官房参事官山本茂樹君、内閣府大臣官房会計課長大森雅夫君及び財務省主計局法規課長向井治紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 五十嵐文彦でございます。

 私、実は時事通信社の記者をかつてしておりまして、もう三十数年国会審議を見てまいりましたし、永田町の取材それから霞が関の取材をしてまいりました。私のこの長い経験の中で最も頭のいい政治家は、私は竹中さんだと思っております。大変頭の回転の速い答弁をされますが、それをもって尊敬しているわけではございません。竹中さんは非常にうまく答弁をされるけれども、詐術、だましのテクニックが非常に駆使されていて、そういう意味で、まあ何と頭のいい人だろう、こう思っているわけですが、それによって国民がだまされている面がたくさんありますけれども、私は、なかなか許せないなとこう思っています。

 その証拠にまず申し上げたいと思いますけれども、過日、六月十三日の本委員会で同僚の辻惠委員が、六月二十四日付のフライデー、それから予算委員会、内閣委員会での質問をもとに、いわゆる参議院選挙の際のマル平マークTシャツ、これは、明らかに平蔵さんの平ということを意味している公職選挙法違反の選挙活動ではないかという指摘をさせていただいたら、竹中さんのお答えが、「このマークでありますけれども、これはポスターや名刺などに使用したものではございません。」とまず来るわけですね。確かに、ポスターと名刺には使っていないらしいんですね。そして、このマル平は平蔵の平ではなくて平和なんだ、平に輪なんだとこうおっしゃっている。それから、平成の平であり、平のサラリーマンの心がわかる政治だ、こうおっしゃっているんですね。平蔵の平を連想させるものではないということを強く主張され、かつ、名刺やその他ポスターに使っていないからいいんだということを言われているんですが、出てまいりました。お手元にお配りした資料をおめくりをいただきたいと思います。

 一ページ、ここに現物がございます。これは、選挙期間中に、実は銀座のマリオン前で、竹中さんがいるところで、目の前でスタッフがお配りになった。証紙がついています。証紙がついているのがおわかりになると思います。証紙つきのビラであります。これに、マル平マークの前かけをした御本人が写っておりますし、そして、裏面を見ますと、鬼の平蔵、仏の平蔵と書いてあります。これは明らかに、鬼平犯科帳、長谷川平蔵さんを意識して、それと同じ平蔵なんだ、そして鬼の面と仏の面があるんだということを強調して、そのわきに御自身のマル平マークをつけた写真が載っている。これは明らかに平蔵の平じゃないですか。

 これは、本委員会であなたがうそをおつきになったということだと私は思いますけれども、そうではないんですか。

竹中国務大臣 私がだましたとかうそをついたとかいろいろなことをおっしゃいますが、そのようなことではございません。

 まず、何度も申し上げておりますけれども、この丸と平という漢字は、竹中のシンボルマークではございません。Tシャツのデザインについては、これをつくったスタッフによると、平和などをイメージしたもの、これは既に御答弁をしたとおりでございます。

 お尋ねの写真ですけれども、これはビラの表紙とかに使ったものではございません。中折りの、スペースにすれば八分の一か六分の一程度のスペースのこれはスナップ写真ですね。このスナップ写真は、三年前の消費者月間用に私が八百屋に扮した、八百屋に仮装したときに撮影したもので、これは、衣装はスタイリストが貸し衣装として用意したものでございます。つまり、架空の八百屋の架空の屋号でございます。八百屋に扮したときにスタイリストが用意した、架空の八百屋の架空の屋号でございます。世間にはこのマークの屋号が数多くあるようでございますが、当然、竹中家の屋号でもないし、ポスター、名刺にも使われていない。

 いずれにしましても、この丸と平という漢字は私のシンボルマークではございません。

五十嵐委員 それでは、なぜ鬼の平蔵、仏の平蔵とわざわざお名前の方で入っているんですか。鬼の竹中、仏の竹中でいいではないですか。わざわざそのわきにマル平のマークが入っている、これは明らかに、イメージとして平蔵を植えつけようとする選挙戦術としか思えないじゃないですか。これが許されるなら、例えば、私は五十嵐でございますから、マル五のマークをそこらじゅうで使って、これは五十嵐ではなくて五輪なんだ、平和の象徴なんだ、オリンピックなんだとこう言えば、何でも通ってしまうということになってしまう。こんなこと、許されるはずがないじゃないですか。

 それでは、平蔵の平は思いも浮かばなかったんですか。マル平マークをスタッフがTシャツの後ろに使う、選挙、選挙のときに使う、それから、これをおつくりになるときにこれは平蔵の平は思いも浮かばなかった、そういうことなんですか。

竹中国務大臣 まあ、鬼の平蔵、仏の平蔵、鬼の竹中、仏の竹中よりは鬼の平蔵、仏の平蔵の方がごろがいいからそのような言葉を使ったんだと思います。

 繰り返し言いますが、この丸と平という漢字は私のシンボルマークではございません。

五十嵐委員 そんな理屈が通るわけがないじゃないですか。明らかに、スタッフみんなに平という字を使っていて、あなたのお名前の一部に、しかもそのお名前の方を強調するようなパンフレット、リーフレットをおつくりになっているんですから、チラシをおつくりになっているんですから。これは明らかに、お名前を連想させるためにこれをおつくりになった、これはもう明らかですよ。これをシンボルマークではありませんと言い張るところに、先ほど言ったあなたの詐術の巧みさがあるのかな。余り巧みとはこの場合思いませんけれども、そう思うわけでございます。

 ほかにもいろいろなテクニックがございますけれども、先ほどの話でもそうでした。私が前にも質問しているんですね。損保と生保はこれは違うんですと。損保は短期の商品で、外見上、例えば事故があったら事故証明が出ますし、傷がつきますし、これは損保代理店と契約して十分に仕事が成り立つ仕事です。しかし、生保はなぜ本社契約になっているのかと。これは一つには、疾病情報がやはり入ってくる、重要な個人情報が入るということもあるし、長期契約であるから、代理店が途中でつぶれたり何かすると困るということもあるし、廃止されたりすることもあるし、ですから、責任を持つために生保は、これは独自に本社で契約をしている。

 それを一緒のことにして代理店で一括してやったら、トラブルが起きたときに一体お客さんは、窓口の会社がこう言ったから、例えば、変額保険もありますけれども、元金の保証されない商品もありますけれども、これは窓口の人を信用して買ったんじゃないかと。そうすると、その後ろにいる簡保会社の社員は、いや、それはそちらの別の会社が勝手にやったことであって、私のところは責任持てませんと。トラブルが当然起きるはずであります。窓口会社も、それは自分のところで責任を負えない、契約の本体はあの会社ですから会社へ行ってくださいと。困るのはお客さんなんですね。それから窓口会社の社員が困ると思うんですが、そういうことが想定されるので、損保と生保を一緒くたに、これは、損保は代理店が十分できると思いますけれども、生保についてはそう簡単に窓口委託契約なんかできないでしょうというお話、いわんや、ほかのものと一緒にやることはできないでしょうということをお話ししたけれども、そのときもお答えになっていないんです。今のでも、確実に伊藤さんの質問にお答えになっていない。

 それは、官だから例えば安心ができて、疾病情報といったものは漏れないというような安心感があるけれども、これは民になったらそうではないでしょうということもあって、なかなかこの窓口会社というモデルは、一見いいようでいて、実際にやったら難しいですよというお話をしたけれども、十分にお答えになっていないんですよ。あとはうまく会社の経営者がやるでしょうとか、そういう逃げ方をするんですね。これも逃げ方のテクニックの一つだと思うんですが、そういうことを盛んに駆使をされる。

 今のことについてとりあえず、ほかにもたくさん実はお聞きしたいことがあるんですが、お答えください。

竹中国務大臣 今の御指摘、損保と生保は同じではない、これはもう私は五十嵐委員の御指摘は正しいと思います。損保、生保、これは商品特性が違うところがありますから、そういう点はやはり十分に注意をして制度設計をしなければいけませんし、いろいろなルールを決めていかなければいけないというふうに思っております。

 同じ問題、今言われた、生保の場合はやはり長期契約であって云々というような話、銀行の窓口での販売等のときも、これは五十嵐委員にも委員会等で御議論をいただいたんだというふうに思います。そういった点も含めて、これは当然問題意識は我々持っております。しかし同時に、これは損保よりは難しい問題があるというふうに思いますが、かといってこれは全くできないかというと、そのようには考えていないわけでございます。

 御指摘のような商品特性をしっかりと踏まえた上で、代理募集の仕組みがつくれるように、これは金融庁の方で御議論いただくこともあると思いますし、我々もその具体的な指導をぜひしていきたいと思っております。

五十嵐委員 ですから、それもこれから考えるんだということで逃げるんですが、実は、金融コングロマリット化とか、あるいは金融業以外の部分も含めて他業禁止を外していくというような事態になると、世界に類を見ない変な会社社会というか経済社会ができ上がりますねと。ですから、これを何の心構えもなく、何の意思決定もないままに金融コングロマリット化をやすやすと是とするようなそういう方針を一体どこで決めたんですか。そういうことをする前にやらなければいけないさまざまな法制度等の作業があるでしょう、手続もあるでしょう。それをやらないで、いきなりなし崩し的にこういうところから金融コングロマリット化の方向だとか、あるいは、いわんやその先の、何でもありの銀行優先社会をつくる方向に持っていきかねないことをやること自体が最大の問題だということを私は指摘をし続けてきたんですが、その前に、これも後でやりますが、やはり詰めておかなければいけないところがありますので、お話をさせていただきたいと思います。

 盛んに言われている、この郵政民営化の広報をめぐる問題なんですが、昨年の十二月十五日にこの案が出されたという整理になっております。お手元に、その十五日の提案書そのものの一枚目、二枚目だけお示しをしてありますので、見ていただきたいと思います。

 有限会社スリード社と、株式会社オフィスサンサーラ、これは大嶋さんという方がやられているんですが、途中でおおりになってこの仕事から抜けられたわけですが、共同提案という形になっております。これは私、全文持っております。提案書の全文を持っておりますが、この随意契約を私どもは、これは会計法二十九条違反、そしてまた、最後のページから二枚目ですかね、載せておりますが、予算決算及び会計令の九十九条の六というのがあるんですが、これは、「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」という規定もございます。そして、会計法二十九条の規定は、平たく言えば、よっぽどのことがない限りそれは競争入札をしなければいけない、一般競争入札が原則であると。それで、緊急を要するときは少数の者で指名競争をしてもいいと。それから、随意契約もあり得るけれども、随意契約の場合は極めて限られているんだ。これは、緊急性と、ほかに競争がないという独創性といいますか、それがなければならないんだという極めて厳しい限定がついているわけでございます。ところが、この両方にひっかけて、緊急性もあり、そして独創性もあるから随意契約をしたんだ、こういう筋立てに政府側はなっているんです。

 ところが、この十二月十五日の「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」というのを最後まで読みますと、余り具体的な提案じゃないんです、実は。インフォメーショングラフィックスという手法が使われている、これは極めて特殊な技法だから、これは特別で、このスリード社しかやれないんだというかのごとき御答弁があったと私は思いますが、私は、そうではない、まずその独創性の方も問題がある、こう思っています。

 私、インターネットで調べました。そしたら、インフォメーショングラフィックスというのは、今は二十一世紀ですけれども、二十世紀のときからもう出ていまして、本が何冊も出ています。それから、大学でも授業が行われています、インフォメーショングラフィックスの。ですから、かなりの人がこのインフォメーショングラフィックスという手法については熟達していますし、そこを開いても、そのスリード社の社長の谷部さんという名前なんか出てこないんですね。木村さんという教授の方が第一人者として大変有名でありますけれども、谷部さんはこれに絡んで出てきたりはしてきておりません。そして、私が調べたところによると、極めてこれは今ポピュラーに使われている手法であるということが判明をいたしました。

 これについて、今までの林室長ですか、あるいは中城準備室長ですかね、この手法が極めてユニークで、ここしかできないからここに随意契約をせざるを得なかったんだという御答弁はそのまま変更はないのかどうか、私の話を聞いた上でお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 今の五十嵐委員の御質問は、随意契約を結んだ理由の一つとして、私どもが内容の斬新さということでインフォメーショングラフィックスなどを挙げているということについて、そうではないんではないかというお話と思いますが、当時、郵政民営化が、今もそうでございますけれども、最重要課題でありまして、それをタスクフォースとしてどうやって積極的に広報していこうかということでやってきたわけでございます。

 そうした中で、今お話にございましたように、これは私どもが、十五日にも、十五日というのは先週の十五日でございますが、お答えしましたように、十二月十五日にスリード社からタスクフォースに対しまして企画が提案されまして、これは、通常の新聞、雑誌の媒体というものとは違う、斬新ですぐれたものと総合的に判断してこれを実施したわけでございます。

 その上で、今のお話でございますけれども、判断に当たりましては、折り込みチラシという媒体が、新聞に比べて保存され読み返される可能性が高く、また、精読率、じっくり読むという率が高いと判断したわけでございます。また、さらに、折り込みチラシという媒体について……(発言する者あり)今お答えいたしているわけでございますが、その折り込みチラシという媒体におきまして、今のインフォメーショングラフィックスでございますか、グラフなどを、そのままグラフという形ではなくて、わかりやすい形で表現するそういうものでございますが、これは政府広報としては日ごろ使いませんし、そういう意味で非常に効果的な手法であるということ、それから、最終的に、テリー伊藤氏のような、日ごろ政府広報で出演することの少ないタイプのタレントを起用する、そういうことを総合的に勘案したというところでございます。

五十嵐委員 今のは全くお答えになっていないんですね。今のは、インフォメーショングラフィックスを採用することになった経緯をお話しになっただけで、それは別に、インフォメーショングラフィックスを採用した上でコンペにかけて、あるいは相みつをとってほかの業者と競争させてやるというのが普通の姿だというふうに思いますが、そうじゃないんですか。

 インフォメーショングラフィックス、今私が言いましたけれども、「図説 インフォメーショングラフィックス」という本がありまして、その宣伝文句、「今いたるところで見やすいインフォメーショングラフィックスを目にします。」こう書いてあるんです。至るところで目にするんですよ。ですから、こんなことをやれる業者はたくさんいるんです。あらゆるところでやっているんです。特に斬新とも思えません、これも。この手のものは毎日たくさん入ってきていますから、これは、別にここでなければできないということはなかったはずなんです。

 もう一度お答えいただけますか。

林政府参考人 ただいま申し上げたように、総合的に判断したということでございまして、もちろん、インフォメーショングラフィックスということにつきまして、そういうグラフなどを、そのままではなくて、よりわかりやすい形で表現するということで、政府広報としては珍しい方法ということ、それから、今言いましたように、折り込みチラシという媒体自体が、新聞に比べまして保存され読み返される可能性が高い、また、精読率が高いと判断したわけでございます。また、今申し上げましたような、テリー伊藤氏のような、日ごろ政府広報に出演することの少ないタイプのタレントを起用する、そういう企画全体を総合的に勘案したということでございます。

五十嵐委員 ですから、中身について具体的な提案がそのときにあったんですか、なかったんでしょうということ。インフォメーショングラフィックスについてはわかりましたよ。それについてはそれを採用しましょうと、それは、確かに谷部さんの御功績でそういうのが皆さんのところに周知されたということはわかりましたけれども、しかし、具体的なチラシの内容についての御提案ではなかったんでしょう。

 その証拠に、私が持っております私どもの調査によりますと、十七日には、あなた方の間で、現在、どういう広報を実際に実施するかについてどのような検討状況になっているのかよくわからないのですというような情報があなた方の中でやりとりされているんですね。これは、内閣広報室の方が、よくわからないんですというふうに実は郵政民営化準備室の方にお話をされている。中身はわからなかったんじゃないですか。

 私、実は広報室を責めようと思っていません。広報室は抵抗したんです。その抵抗を竹中大臣周辺の方が無理やり抑え込んで実は随意契約に持ち込んだというふうに認識をしておりまして、これは、広報室はコンプライアンスを守って法律どおりにやろうとしたんですよ。その抵抗の跡がよくわかるんですね。どういう内容になっているかわかりません、こう言っているんですね。

 ですから、十五日、この十七日の時点で、具体的なそのチラシの内容の提案がスリード社からあったんですか、なかったんですか、簡潔にお答えください。

林政府参考人 この折り込みチラシの広報につきましては、十二月十五日に企画案が提出されました後、十七日にヒアリングを始め、連日精力的に打ち合わせを行ったわけでございます。

 そういう中でいろいろな意見のやりとり、それはあったと思いますけれども、最終的に、折り込みチラシにつきましては、これまでにない斬新な企画である、先ほどから申し上げておりますが、そのように私どもは判断して採用することとしたものでございます。

二階委員長 林広報室長、まだまだ答弁が続くようですから、近いところにおかけください。

 五十嵐文彦君。

五十嵐委員 国会の場を侮辱されては困ると思います。私どもはちゃんと調査しているんですよ。ちゃんと調査しているんです。

 谷部さんのところから、スリード社から、私は谷部さんも決して悪い人だと思っていませんが、谷部さんのところから実はラフ案が出てきたのは一月の七日なんですよ。そうでしょう。あのいわゆるチラシの内容についてラフ案が出てきたのは、出せ、出せと言われてやっと出てきたのは一月七日だったんじゃないですか。

林政府参考人 どういうことでおっしゃっているのか存じませんが、私どもは、先ほど申し上げましたように、十二月十五日に出たものから十七日にヒアリングを始めまして、その後、打ち合わせそれからいろいろな電話のやりとり等も含めまして精力的に検討したわけでございます。それで、斬新なものであるこれを採用するということで、十二月二十八日に契約を考えたわけでございます。

 以上でございます。

五十嵐委員 いやいや、これは谷部さん自身も、ラフ案を出したのは一月七日だと認めているんだから、だめなんですよ、実は。これはだめなんです。全くうそでございます。

 それから、本当に責めたくないんですけれども、十二月二十四日に準備室から広報室あてに、この案を採用してください、そういう要請文を出したというふうにこの委員会に紙が出てまいりましたけれども、この日付も事実ですか、中城さん。

中城政府参考人 前に御説明しましたように、この十二月二十四日の資料というのは、準備室から政府広報室に、このスリード社の企画についての政府広報をお願いするということで二十四日付に出したものでございます。

五十嵐委員 それは、十二月二十四日付で出したのは確かなんですが、この準備室からの要請文が出てきたのは一月の十四日のはずです。なぜならば、十二日まで見積書が出てこなかったからです、スリード社から。出せ、出せと言って十二日に見積もりが出てきて、それも最終的な見積もりではありません。最終的な見積もりは何と一月の二十四日です。なぜか。それは、朝日オリコミ広告社から折り込みの見積書が出てこなかったからですよ。

 どうですか。これは、十二月の二十四日に決めて要請文を出したというのは、うそじゃありませんか。

中城政府参考人 申し上げておりますように、この十二月二十四日付の書類というのは、この決裁をつくるために、この決裁に必要な書類として、準備室から広報室に、こういう企画をお願いしたいということで、この付の書類をつくったということでございます。(発言する者あり)

二階委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 では、速記を起こしてください。

 五十嵐文彦君。(発言する者あり)

 では、改めて、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 五十嵐文彦君。

五十嵐委員 もう一回、事実だけ端的に確認をさせていただきたいと思いますが、それでは、スリード社からこのチラシに関するラフ案が出てきたのはいつですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、十二月二十八日にラフ案というのは既に説明は受けております。向こうから提出を受けております。一月七日にもそれと同じようなものが出たということかと思いますけれども、さっき言いましたように、ずっと詰めている中で、十二月二十八日にラフ案が出ておったわけでございます。

五十嵐委員 ごまかそうとしてお気持ちはわかるんですけれども、七日にも同じような案が出ましたという御答弁だったんですね。七日にラフ案が出てきたということは認められたんだと思います。要するに、私の指摘したこと、ラフ案が出たのは七日でしょうというのは認めたんですね。

 ただ、二十八日に出てきた案というのは、ですから、この間辻委員が指摘をした、朝の七時七分に来たメールなんですね。そのメールを、実は皆さんのもとに今お手元に資料でお配りしてあります。

 これは個人情報が入っていますので、谷部さんの実は携帯電話も入っていたんですが、消してあります。谷部さんからこういうことを、岸秘書官と電話にてお話しすることができたと。詰めていたのは、岸さんとの間で詰めていたんですね、実は。なぜ岸さんとの間で詰めなきゃいけなかったかということも後でお話をしますけれども、そのときに、大体の話が岸さんと詰めた中で、もともとは、これはほとんど準備室で用意していた案と同じです。準備室案なんですよ。1にテリー伊藤、2に村上龍氏と書いてあるのも、これは、準備室がもともと大臣の希望でこういう対談を入れたいということを言っていたんです。

 これはラフ案とは言えないんです。だって、ラフ案というのは、どういう絵柄で、どの場所にどういうのを内容で入れましょうというふうに書いてくるのがラフ案ですから。これは、単に大まかな方針を書いて、それで大臣秘書官と話をしましたということの報告ですから。この朝七時七分に来たばかりですよ。その中で緊急性というのも書いてあるんです。すぐ、きょうがタイムリミットです、そうでないと六日に用紙の手配ができませんということが書いてある。これは単に業者さんの都合なんですね。しかも、この業者さんの都合は、最初お話をひそかにしていたのは大日本印刷だけれども、断られてしまいましたと、小さい会社だから。それで、急に凸版印刷と話をしなきゃなりませんと。そこで、用紙の手配をするのにタイムリミットですから、事実上の契約を早く急いでやってください、年末にしてくださいと。これは業者さんの単なる都合なんですよ。何がタイムリミットなんですか、これは。タイムリミットでも何でもないんですよ、実は。こういうものをタイムリミットと言うのなら、会計法も、先ほど紹介いたしましたあの会計令も意味がなくなってしまうんです。そう思いませんか。

 この会計法の有権的解釈は、実は財務省の主計局法規課が担っております。法規課長さん、この解釈は、私は、かなり厳密に緊急性というのは、例えば災害があったとか、そういう緊急性というのはかなり厳密に解釈されなきゃならないと思いますが、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、会計法の要件としまして、緊急の必要により競争に付することができない場合、随意契約によるものとされております。

 ただしながら、個別の契約事例が随意契約によるための要件に該当するか否かの判断につきましては、会計法上、予算の執行を行う各省各庁の責任において判断されているところでございます。

 本件につきまして、契約の具体的な詳細を承知する立場にはございませんことを御理解いただきたいと思います。

五十嵐委員 要するに、かなり厳密でなけりゃいけない、そういうことで広報室は慌てたんです。慌てたんですよ。これは要件を満たしてないんじゃないか、特に、独創性というところについても自信がない、だから、どこで緊急性というのを出そうか。それで、後になって無理やり十二月二十八日と、もう年末で日がないから、用紙の手当てが間に合わないというところに目をつけて、ここを緊急性の言いわけにしようと、こう考えてやったわけですね。

 ですから、その次の八ページ目の資料をおめくりください。これは、想定問答はないと言ったのを後でありましたというふうに、うそをついたのを訂正されましたけれども、これもうそなんですね。いいですか、これは一月十九日ですよ。

 井上秘書官より竹中大臣に本日午前おみせして、大臣の了解をえました。なお、想定問答の前提として、「スリード社からは、十二月十五日にラフな素案がでてきて、二十四日に、より具体的な案をもとに先方からヒアリングもし、二十八日に幹部まで了解をとってゴーサインをだした、契約の日付も、二十八日までさかのぼってもらう」、という日付の整理になっております。

まさに白状しているんじゃないですか。後から取ってつけた日付の整理だというのは、ここで明らかじゃないですか。

 どうなんですか、これ。こういう日付の整理を後から考えたということでよろしいですか、広報室長。

林政府参考人 今おっしゃいましたわけでございますけれども、そういう真偽が定かでないものについてちょっとコメントできないわけでございますけれども、私が申し上げたいのは、このお話のもととなっておりますラフ案、イメージ案でございますけれども、それは十二月二十八日に間違いなく出ておったということでございます。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 林大臣官房政府広報室長、再答弁を求めます。

林政府参考人 ただいま、真偽が定かでないというようなことを申し上げましたことにつきましては、取り消させていただきます。

 ただ、私が先ほどから申し上げておりますのに、十二月二十八日にラフ案があり、そういうそれまでのいろいろな相手との情報交換、詰めてきた中で、これが斬新なアイデアとして政府広報として適当であろうという判断をしたということで申し上げておるわけでございます。

中城政府参考人 十二月二十四日付の文書につきましてですが、これは作成はいつかということでございますけれども、この手続は、決裁書につける資料でございまして、この決裁書は十二月二十八日付の決裁文書を作成する前につくったということでございますので、恐らく一月の、ちょっと日程はわかりませんが、その時期につくられたものだと思います。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 中城内閣審議官、再答弁を求めます。

中城政府参考人 十二月二十四日付の資料の事務手続を申し上げましたが、十二月二十四日につくられたのではないという点では訂正いたします。

五十嵐委員 時系列で一応整理されたペーパーがありましたよね。あのときに、この紙の日付だけわざと抜かしてあるんですよ。だからおかしいなと思うんですよね。そういうごまかしをやろうとするからばれるんですよ。私どもはきちんと調べていますから。

 もうおわかりになっていると思うんですが、あなた方は私の資料がうそだと言わんばかりのことを言われていますけれども、これはやはり、どこにでも義憤を感じる人はいるんですよ、アンフェアなことをやれば。これは違法性は阻却されます。完全に法に反したことをやるのを告発するために情報を提供する方がおられるということだと私は思います。それで、私はかなりのものを入手しておりますけれども、十分に注意をしておりますから、決して正義に反するようなことをおやりにならないということが大事だと思いますが。

 そこで、なかなかお立場からはこれが内部資料だということをお認めになりがたいとは思うんですが、ですから事実に即して話をしましょうという話をしているのであって、私が最初にお示しをした5の資料、スリード社からの資料、これはお認めにならないというお立場ですか。それとも、この内容が先ほど言ったラフ案というのと同じか違うか、そのことだけお伺いをまずしたいと思います。

林政府参考人 御答弁申し上げます。

 この5と今おっしゃった、そういうことではなくて、ラフ案が、先ほどから私申し上げておりますように、十二月二十八日に、手がきの絵、イメージの絵であったけれども出てきているということで、今、中で話が覚えておるものもございますので、これは十二月二十八日にラフ案が出てきておるということでございます。

五十嵐委員 この私がお示しした文書の内容が事実と相違しているかどうかをお伺いしているんですね。これはいつものことなんですけれども、要するに、当人しか知り得ない事実が入っていれば、それは事実なんですよ。

 例えば、大日本印刷に断られて凸版印刷と調整をしているなんということは本人以外にはわからないんです。そうでしょう。私は知り得ないです。勝手にこんなものをつくれるはずがないんです。ですから、これは事実かどうかを確認させてくださいということを言っているんです。そうすれば、この文章が本物の文章かどうかおわかりになるでしょうということ。

 この事実は本物かどうか、このラフ案というものとこれは相違しているのかどうか、もう一度お答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げておりますように、ラフ案というのは、手がきのイメージ等が入ったもので、それを十二月二十八日に受領しておるということを申し上げておるわけでございます。

五十嵐委員 全部答えていないんですね。

 では、そのことについても聞きましょう。その手がきのラフ案はどういう手段で来られましたか。直接来庁されて持ってきたんですか。それから、そのラフ案を提出できますか。それから、もう一つの方に答えていませんから。

林政府参考人 今の十二月二十八日のラフ案、確かに来ておるんでございますけれども、あるかないかと言われましても、それはちょっと捜してみないとわからないということでございます。(発言する者あり)

 今のラフ案についてのお尋ねでございます。これにつきましては、捜して出すように努力いたします。

五十嵐委員 今ここに、この私が示した資料の中に示された事実が、実際に室長が認識されている事実と相違するのかどうかをお答えください。

林政府参考人 再度申し上げますけれども、ラフ案というのは絵がかかれておるわけでございます。それで、おっしゃっているこれはラフ案ということとは違うわけでございまして、我々はラフ案について捜すということを今申し上げたわけでございます。

二階委員長 林広報室長、林広報室長、答弁、きちっと質問に答えなさいよ。――いやいや、その前に、この資料はあなたの考えていることに合っているのかどうかと聞かれていることに対して、合っているとか。

林政府参考人 私が申し上げておりますのは、ここにお示しになっているものとラフ案は違うわけでございます。このラフ案というものにつきましては、今から捜してお出しするようにいたします。

五十嵐委員 午後にまたこの質問を残します。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、参考人として日本郵政公社理事斎尾親徳君、日本郵政公社理事伊藤高夫君、預金保険機構理事長永田俊一君及び全国銀行協会常務理事斉藤哲君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として金融庁監督局長佐藤隆文君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君及び法務省民事局長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑を続行いたします。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 午前中に引き続き質疑をさせていただきます。

 政府広報室におかれましては、要求した資料を短時間におそろえをいただきまして、ありがとうございます。

 これを見せていただきましても、これで大体幾らぐらいかかるとか、写真にどれぐらいかかって編集にどれぐらいかかるとか、なかなかわかるのは難しいと思うんですね、この最初のラフ案を見ますと。これは、ある意味ではほかのところに発注してコンペをする時間もあっただろうし、これだったら当然コンペできたと思いますね。

 本来ならば、コンペをし、相見積もりをとってそして競争させるというのが筋だと思いますが、もう一度言いますけれども、これでほかにかわりがないということをどうやって御判断されたんでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今、十二月二十八日のラフ案、お手元にあると思いますが、そういうラフ案、それを含めましていろいろな議論を積み重ねてきたわけでございます。十二月の十五日、いや、厳密に言うと十七日以降でございますが。その中で、先ほどから申し上げますように、インフォメーショングラフィックを政府広報に使うというようなことについての斬新さ、我々はそれを買って、十二月二十八日にはそれを契約するということで合意に至ったということでございます。

五十嵐委員 ですから、答弁になっていないんですよ。

 インフォメーショングラフィックス自体は極めてありふれたものだ、これを使える業者さんはたくさんいる、現実にちまたにあふれているということを私は先ほど御証明申し上げたはずです。ですから、インフォメーショングラフィックスを理由としてここしかないというのはおかしいじゃありませんかという論理になっているんですから、ですからこのラフ案だと、極めて簡単な手書きの案ですね、これだけでこれしかないというのはおかしいじゃありませんかと、同様にきちんとしたデザインができ、あるいは編集ができる会社はたくさんあるはずですので、これをコンペにかける必要があったのではありませんか、そうでなければ会計法、会計令に違反するのではありませんかということを言っているわけですね。それについての御説明がないんですよ。

林政府参考人 お尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、インフォメーショングラフィックはやはり私どもにとって新しい手法ということでございます。

 それから、先ほど申し上げましたように、そういうことだけではなく、折り込みチラシという媒体が、新聞に比べて保存され読み返される可能性が高い、それから精読率が高いと判断したと、それから、今言いましたように、テリー伊藤さんというような、日ごろ、政府広報では出演することの少ないタイプのタレントさんを起用する、そういうことを総合的に勘案したということを申し上げておるわけでございます。

五十嵐委員 うそにうそを重ねていますね。あなた自身の部下が、「にっぽんNOW」という折り込み媒体があるじゃないかということを言っているんですね。そういう事実がございます。

 それから、テリー伊藤さんは谷部さんと直接関係があったんですか。テリー伊藤さんは、むしろ竹中さん周辺の御関係じゃないですか。

林政府参考人 今おっしゃったようなことは、私はそういう認識ではございません。

 本当にテリー伊藤さんという方が、やはり政府広報はややかたい部分があるということでちょっといつも気にしておるんですが、テリー伊藤さんのような方は、こういうのに出演していただける場合には非常に少ないタイプのタレントだ。まさに私は、それでずっと部下とも話しておったわけでございます。

五十嵐委員 答えが半分しかないんですよね。

 私どもが言っているのは、ですから、テリー伊藤さんと谷部さんは、その谷部さんルートでなければ得がたいそういう話だったんですか、そうではないでしょうと。テリー伊藤さんを強く推されたのは、竹中さんないし竹中さんの周辺の方々、その秘書官とかあるいは準備室かもしれません、そういう方々のルートだったんではないですかということを申し上げているんですね。

林政府参考人 そういう認識は本当にございません。

 テリー伊藤という方は、そういう、特殊と言うと申しわけございません、やや政府広報にしては珍しいタイプのタレントということで私はいいんじゃないかと思っておったわけでございます。本当にそれに尽きます。

五十嵐委員 それから、幾つか言ったので私が悪いのかもしれませんが、折り込みというのも斬新だったというふうに今言われたけれども、折り込みは「にっぽんNOW」という折り込みを、それはやり方としては古いやり方の折り込みでありましたけれども、そういう折り込み媒体、いわゆるフライヤーといいますけれども、折り込み媒体も既に政府広報室はお使いになっていたんじゃないんですか。ですから、そのこと自体が斬新だというわけではないでしょうということを申し上げているんです。

林政府参考人 繰り返しになって申しわけございませんが、そういう折り込みチラシという媒体が、新聞に比べて保存され読み返される可能性が高いということ、それから精読率が高いと判断されたこと、それだけでもございませんし、インフォメーショングラフィックスということだけではございません、また、テリー伊藤さんということだけではございません、そういうことを全部総合的に勘案したと、そこで、いい案であるということで採用するということを申し上げたということでございます。

五十嵐委員 だから、それがスリード社と結びつくものじゃないでしょうと。テリー伊藤さんを使うやり方を、あるいは電通なり博報堂なりだってできたでしょうし、ほかの広告会社もできたでしょう、折り込み媒体を使うというところも、ほかの編集プロダクションでもほかの広告代理店でもできたでしょう、ですからコンペをするのが当たり前じゃありませんかということを言っているんですね。

 そのことについては、なぜスリード社なのかということが全然はっきりしないし、会計法にあるいは会計令に違反しているんではないですかということを言っているんですね。ほかの選択肢がどうしてなかったかという説明を十分にされていないと思いますが、いかがですか。

林政府参考人 五十嵐先生の今お話はそういうことかと思いますけれども、私どもは、この企画はスリード社だからこそできたというふうに理解しております。

五十嵐委員 答弁になっていないんですね。

 では、先を続けますけれども、先ほど、午前中の質疑で申し上げましたけれども、私が指摘したこの事実関係、大日本印刷に断られたから、ですから慌てて凸版印刷と協議を始めたということで、そこで急に間に合わなくなって、六日に用紙手配をしなければいけないから二十八日の実質契約合意が必要である、こういうことになっているわけですが、この事実関係はお認めになるのかならないのか、もう一度お答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 印刷のルート、それから、そういうことについてもいろいろ努力をしているんだというようなことは聞こえておったと思いますけれども。もうそれに尽きますが。

五十嵐委員 全く不誠実なんですね。

 それでは、これは、印刷は凸版印刷だったんですか、なかったんですか。それはわかるでしょう。(発言する者あり)

二階委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 林大臣官房政府広報室長。

林政府参考人 凸版ということでは、凸版印刷でやったということについてはそのように記憶しておりますが、今言いましたように、いろいろな印刷という可能性は考えて業者として努力しておられたのかなと思いますが。

五十嵐委員 要するに、こういう経緯は、私どもは確実な情報がなければ手に入れられない情報なんですね、当事者でなければわからない情報。したがって、かなりこの谷部さんからのメールというのは信憑性が高いものと御判断をしていただいて、一般の方には結構なんだろうと思います。

 その中に入っているのは、岸秘書官と電話で、これは二十八日のメールですから、二十七日に電話でやりとりをして決められたということが書いてあるんですね。それをむしろうのみにしてこの実質合意というものがなされた。その中身は、六日に用紙を手配しなきゃいけないというデッドラインが設定されている。だけれども、実際にそれは本当のデッドラインではないでしょう。デッドラインではないんだと思うんですね。その逆算が、二月の六日までに予算委員会の実質審議が始まる、それまでにフライヤー、折り込みチラシを千五百万部まかなければならないから、逆算すると、六日の用紙手配、これがデッドラインだと。これが緊急性のもとになっているわけですね、主張されるもとになっている。

 だけれども、その二月の六日の予算委員会の始まる前のチラシ配布が絶対条件だということ自体が恣意的な要件であって、物理的な、客観的な制約要件ではないわけですね。なぜなら、国会も開かれていませんから、大体、予算委員会がいつから始まるか、実質審議がいつから始まるかなんて決まっていないわけです。この時点で決まっているわけがないわけです。ですから、そのこと自体が、緊急性がないという証拠になるんではないでしょうか。

 どうして、二月の六日から逆算して一月の六日の用紙手配がデッドラインだということを認定されたんでしょうか。本来ならばこれは会計課が通らないと思うんですが、どうでしょうか。実際にそのことについて政府広報室は抵抗を示されたんじゃないですか。

林政府参考人 私どもとしては、二月の六日といいますか、一月の末、二月の六日、そういうところまでにということが必要であり、それに間に合わせるためには、年末年始を挟むわけでございますので、それで、その後、千五百万枚の印刷それから折り込み配布という手順を見込んで、そういうことで十二月二十八日に実質的な契約をしたわけでございます。(発言する者あり)

二階委員長 答弁中はお静かにしてください。

五十嵐委員 答えになっていないんですね。

 ですから、六日に必要だというのは、業者さんのことをうのみにしたデッドラインなんですね。そうじゃないんですか。業者さんが、スリード社が六日に用紙手配しないとだめなんですと言ったことが、この十二月二十八日実質契約合意の根拠なんですね。もう一度お答えください。

林政府参考人 今申し上げました、そのうのみというようなことではなく、当時、先ほどから言いますように、日々議論をし、向こうから情報をとりながらやったわけで、それの結果として、用紙の手配というのが年明け早々に必要という判断をいたしまして、十二月二十八日に実質的な契約の合意に達したわけです。それは、先ほど言いましたように、中身の斬新性、それから、今言いましたような紙の手配、それは両方あったわけでございます。

五十嵐委員 それでは竹中さんに御質問したいと思いますけれども、竹中大臣が、二月の六日までにどうしてもそのフライヤーを、チラシを配布することが必要だと、そこのデッドラインを設定されたのは竹中さん御自身でありましょうか。

竹中国務大臣 デッドライン等々について具体的な指示等々をしたことはございません。

五十嵐委員 では、何で二月の六日までにまかなければならないということが出てきたんでしょうね。竹中さんは御指示されたことがない。それでは、それは準備室の方で二月の六日までにまくことが必要だということを判断されたということですか、中城さん。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政民営化に係る広報につきましては、郵政民営化の基本方針について政府は説明不足であるというような指摘がありましたし、広報を通じて国民の声を聴取して法案作成に反映させたりして実施しているところから、できるだけ早い時期に広報が求められるということで、国会で本格的な議論が始まる前に実施する必要があるというふうに考えていたところでありまして、そういうことで、チラシについても二月上旬までに実施したいというふうに考えていたところでございます。

五十嵐委員 そうすると、竹中さんは指示はしていないけれども、準備室の方で二月の上旬までにまくことが必要だという判断をし、それがデッドラインになったということだと、今の答弁は重ねるとそういうことになるんだと思いますが、竹中さん自身は、岸秘書官が実際にはスリード社との御連絡をやっていたわけですから、テリー伊藤さんとの対談が入るとか、二月の六日までにまくためにこういうスケジュール調整が必要だということは知っていたわけですね。

竹中国務大臣 私の秘書官のことがいろいろ出ておりますが、秘書官、政務秘書官やその他事務方から確認したところを申し上げたいと思います。

 まず、広報はできるだけ急ぐというのは、基本方針を決めた後からのこれはもう幅広い政府内部での合意であった、できるだけ早い方がいいというのは、そういう合意があったというふうに思います。

 それで、谷部さんにつきましては、私が聞いております範囲では、既に十二月の半ばごろから、事務方と企画の内容を議論して詰めを行っていたと聞いております。十二月二十日ごろか二十日過ぎだったと思いますが、私のところで、このフライヤーをやりたいということ、そして、ついては私に出てくれないかということ、これは大臣室で説明がございました。私は、それはおもしろいね、出るよということを申し上げました。これは既に御答弁をしているかと思います。

 それで、その後でございますけれども、その二十日過ぎの会議で私が出るよというふうに申し上げてから、いろいろこれは事務的に一生懸命詰めていたのだと思います。それで、谷部さんから私の政務秘書官には二度ほど電話があったと聞いておりますが、年の瀬も迫っていることから、谷部さんとしては、準備室の事務方ともよく相談をした、そしてその相談の上で、出演者である私の側の感触を、以前からたまたま谷部氏が面識のあった私の政務秘書官に確認の電話をしたということでございます。

 内容は、対談相手はだれがいいと思うかということが第一点だったと聞いております。スケジュールは事務方と相談しているようなテンポでいいかということであったと聞いております。そして、非常にポジティブなイメージのインフォメーショングラフィックスでいきたいけれども、いいかということであったと聞いております。この点に関して私の政務秘書官は、大枠としてはそれで問題ないと思うから事務方とよく相談してほしいということを伝えた、そして対談相手については、テリー伊藤さんがよいのではないかという示唆をしたということでございます。

 その後、政務秘書官から私に対しては、そのようなやりとりがあった、対談相手としてはテリー伊藤さんがいいと思うと伝えたという報告を私はもらいました。私はその報告を、それはいいんじゃないかというふうに受けたということでございます。

五十嵐委員 先ほどの答弁とちょっと違いますよね。最初からテリー伊藤さんでなきゃならないようなことを谷部さんは言っていたと、こう言っていた話なんですが、最初からの提案で。そうじゃなくて、対談相手はどなたがいいですかと言ったら、大臣サイドの方からテリー伊藤がいいのではないかと示唆したと、こういう今の答弁ですから、そもそも食い違っているんですね。それはどういうことなんですか。

林政府参考人 テリー伊藤さんは一番初めのころから候補の一人としては挙がっていたわけで、それが最終的にテリー伊藤さんということで、先ほど言いましたように、私どもとしては、政府広報として斬新であるということの要因の一つでございます。

五十嵐委員 ですから、大臣の方からかなり、大臣というよりは、むしろ準備室の方がかなりおぜん立てをした内容なんですね、これは。ですから、実は政府広報室の皆さんは、こういうやり方では危ないということでかなり抵抗やちゅうちょを示されているんです。

 政府広報室から郵政民営化準備室あてに担当者のメールが行っているんですけれども、その中に、

  折込ちらしの件も、政府広報室としては、あえてニッポンナウがあるのに、全くあたらしいどこの馬の骨だかわからんところと契約することにきめる場合は、それ相応の責任をとっていただく必要があるし、会計課に対してもつような説明ぶりは当然準備室できちんと準備していただくことになります。

  また、S社だと時間がかかりそうだからって急にあとから「ニッポンナウ」を大至急なんとかしろ、なぞとまかりまちがってもいうことはないようにしてください。

こういうメールが準備室あてに広報室から出ているんですね。

 要するに、抵抗しているんですよ。余りにもひどいじゃないか、これは会計課に説明がつかないじゃないか、だから、説明がつくように日付等のつじつまを合わせてくださいね、あるいは、緊急性と独創性のつじつまを合わせてくださいね、私どもの方は責任持てませんよ、こういうメールが出ているんですが、これは事実と違いますか。

林政府参考人 個別のことと申しますより、先ほども申し上げましたように、十二月の十七日にヒアリングを始めまして、そのときに、タスクフォース、その中に、準備室、私ども、両方のスタッフがいるわけでございます。その中でよいものをつくるためにいろいろな議論が闘わされた。その中に今のようなものがあるんであれば、それは感情的なもので、言葉自体は好ましくございませんけれども、いろいろな面から検討していたということは事実でございますので、今の、何といいますか、非常にいろいろな面から検討しておって、その中にはやはり意見の違いも経過的にはあったというようなこと、私もそれはある程度あったというふうには思いますけれども、結果的に、先ほど言いましたように、斬新であり、私どもの政府広報として適当であるということで契約をしたわけでございます。

五十嵐委員 何言っているんだかさっぱりわからない答弁ですね。聞いている皆さんもわからないでしょう、今の答弁じゃ。要するに、なぜこういうことになったのか、私もなかなか推理が難しいんですよ。

 それで、これは広報の仕組みに遠因があるんじゃないかなと思うんですね。この広報予算というのは、大体大枠を決めて、政府の重要課題ですから、郵政の改革、郵政民営化についてはこのぐらいの枠をとろうと枠取りを最初からしてあったのではありませんか。かなり安定的なところに、例えば電通に枠取りがしてあった、その枠取りを途中で変えなきゃいけないので、どこの馬の骨かわからないと書いてありますけれども、余り実績のないところに発注して、後で責任がかぶるようなことはしたくない、こういうことだと思うんですね。そうだと思うんですよ。ですから、その電通の持ち分を引きはがすにはそれ相応の理由が要る、また力も要る。つまり、竹中さんなり、竹中さんにかわる代理の方が電通と話をしなければそこのところの話がつかないじゃないか、こういうことなんだろうと思いますね。

 私、デマーケーションという言葉を初めて知りました。デマケというのは、これは広報の用語だそうですね。広報の用語で縄張り分けという意味だそうです。そして、このデマケをして、多分その岸さんがしたんだろうと思いますが、岸さんがして、電通からその持ち分を分けたということなんだろうと思いますね。そのことが後ろの方に資料についておると思いますが、「郵政民営化広報プラン」というのは十四ページの資料をごらんいただきたいと思うんです。これは電通から送られてきた資料なんですね。これは、デマケの、つまり、デマケで縄張りを整理した後の電通からの資料になっているわけでございます。数字の資料ですからはっきりわかると思うんですが、このとおりで間違いありませんか。

林政府参考人 お答えいたします。

 確かに、今、五十嵐委員からお話しありましたように、私どもは、重要な広報に使うというそういうお金がございます。しかし、初めからその枠どりがある、特に、電通の持ち分とかそういうことは全くございません。確かに、電通は業界で一番大きいですから、お話を聞くというようなこともそれはありますけれども、ちょっと私、この紙自体今あれでございますが、それからもう一つ、これに関連するのでちょっとあれでございますが、デマケという言葉、広報用語ではないデマケというか何かは聞いたことがありますけれども、私は、広報室でデマケという言葉は、広報室長ではございますけれども、本当に知りません。ただ、今、五十嵐委員がおっしゃったような意味で使うということであれば、そうなのかもしれませんが。

 それで、ですから、ちょっと私も、もちろん個別があれですけれども、これは電通の何かと言われても、これは本当に私は記憶にございませんし、それは、いろいろな提案は出てくることはもちろんあるわけですが、本当に私、それしか……(発言する者あり)

 以上でございます。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 五十嵐委員。

五十嵐委員 記憶をよみがえらせていただきたいんです。一月十二日に来たこれは資料だと思うんですよ。電通から送られてきた資料です。電通から送られてきた資料が政府の広報全体に渡っていると思うんですが、これに覚えがないんですか。

林政府参考人 お時間をいただいて調べたいと思います。申しわけございません。

五十嵐委員 いやいや、これ重要なんですよ。この書類に、今調べたいと言っていますが、これに付随している短い文書がありまして、その中に、「なお、この中には知識人対策の五千万は含まれていません。」という言葉があります。この「知識人対策」というのは何でしょうか。この知識人対策の五千万円というのは何でしょうか。御存じじゃないですか。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 林政府広報室長。

林政府参考人 今の件につきましては、お時間いただいて早急に確認したいと思いますので、お時間いただければと思います。

五十嵐委員 要するに、非常におかしな処理がされているということは、今まででも明らかになってきていると思うんですね。

 まず、日付が、デッドラインなるものが、二月の六日までにとにかくまかなきゃいけないということは、恣意的な、主観的なデッドラインであります。こういうことで緊急性が認められるのであれば、どんな予算でも、これはコンペなし、相みつなしで随意契約でできてしまうことになるんではないでしょうか。緊急性の範囲というのを非常に広く解釈しているというふうに見えますが、そういうことではないんでしょうか。

 改めて、それでは法規課長、いらっしゃいますか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急性につきましては、いろいろな場合がございますが、個別の契約事例が随意契約によるための要件に該当するか否かの判断につきましては、予算の執行を行う各省各庁の責任において判断することと会計法上されております。

 本件につきましては、具体的な契約の詳細を承知する立場にないことを御理解いただきたいと思います。

五十嵐委員 ちょっと待ってください。要するに、緊急性は個別に判断するんだと言うけれども、こんなに先の話を緊急だということはあるんですか。

 しかも、実際には第二弾が用意されていて、第二弾は三月か四月にまくことになっていました。村上龍さん相手に第二弾をやることになっていたんでしょう。合計三億円だったはずなんです、これは一億五千万じゃなくて。第二弾は都合でやめられたんです。第二弾は、ですから、コンペしないとその緊急性にひっかかるから多分やめたと思うんですよ、緊急性にひっかかるから。そして、二月の六日のものも結局は二月の二十日になりました。延ばせたんですよ。二週間も延びちゃったんです。

 これは緊急性じゃないじゃないですか。おかしいんじゃないですか、この緊急性の判断。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、会計法の制度は所管してございますが、その会計法上、個々の契約につきましては、各省各庁の長が責任を持って判断することとされてございますので、詳細を承知する立場にないことを御理解いただきたいと思います。

五十嵐委員 個別のことを言っていないんです。そういう一般論としてこんなに緊急性の解釈が幅広くていいんですかということを申し上げているんですから、あるいは前例があるんですかということを申し上げているので、これはおかしな法解釈だと思います。

 それから、もう一つ重大なことは、これはやはりさかのぼっている点ですよ。さかのぼっていますね。こんなにさかのぼることが認められるんですか。さかのぼりについて、では改めてお伺いします。

向井政府参考人 契約につきましては、本来、その契約をされた日付にやることが本来のあるべき姿だと思いますが、したがいまして、一般論を申し上げれば、さかのぼることは好ましいことではないと思います。

 ただ、国の契約につきましては、森羅万象、種々ございます。その個々の具体的なものにつきまして、さかのぼる合理性のあるものもあるものですから、さかのぼったからという一言をもって違法だとは言えないと考えております。

五十嵐委員 私、それもちゃんと法規課に聞いて確かめているんですよ。

 さかのぼることができるのは、例えば物理的な要件です。契約に郵送を使って、その郵便のやりとりの期間これはさかのぼるということが可能です。それから、四月一日に一斉に各省庁で清掃等をする、そういう多量の契約を一遍にやるというときは、そんな集中的にやれませんから、合理的に後からさかのぼって四月一日契約に直すというようなことがあるんです。しかし、こんなに長期にわたって、理由なくさかのぼるという例はないはずです。

 どうしてこんなことが認められるんですかねと言ったら、不思議ですねと法規課の担当官は言われました。不思議です、いろいろ疑問がありますということを法規課自身が言ったんですよ。それは、不思議ですねと言うのが精いっぱいだったと思うんですが、これはかなり違法性が強いということだと思いますが、いかがですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、基本的には、先ほど申し上げたとおり、その日付でやるのが原則でございます。特に、長期にさかのぼるのは必ずしも好ましいこととは思ってございません。

五十嵐委員 先ほども言いましたように、最終的に、朝日オリコミ社、これは朝日新聞の関係会社のようですが、朝日オリコミが実は折り込みの見積もりを出してきたのは一月の下旬なんですね。ですから、相当さかのぼっているんですよ、これは。めちゃくちゃなさかのぼり方なんですね。ですから、これは異常なんです。何でこれほど異常なことをしなければならないのかというのは、これは不思議でたまらないんですね。

 それから、先ほど言いましたように、デッドラインも延びました。事実上デッドラインはなかったと同じなんですね。二週間延ばしちゃったんですよ。

 そのときにいろいろな問題が生じました。そのことは、資料の十三ページをごらんください。これは、役所の中でいろいろ問題点を、さすが役所ですね、整理したんです。これはなぜ延びたかというと、二月の二日に自民党の総務部会で、決まってもいない、法律もできてもいないのに宣伝するのはけしからぬという決議が出たからでしょう。自民党の皆さんが良識を発揮されてこう言ったんです。それで迷ったんですよ、二月の六日に予定どおりまいていいか。それから、文書の内容も、今までどおりのバラ色案を出しているものですから、与謝野政調会長さんの方から、いや、先細り論で統一しろとこう言われて、先細り論に変更するかどうかというのが政府部内で問題になったんですよ。それで、修文をするかどうか、延期をするかどうかの問題点を整理したのがこの十三ページの表でございます。

 これは政府部内の検討でこういうことになったんですが、この検討は、これは政府の中から出たものではないと言い張られますか、それとも、これはどうも政府部内で検討した経過と一致するとお答えになりますか。

中城政府参考人 この資料は、事務的に事務官が何か考え方を整理したものであるかと思いますけれども、五十嵐委員が言われたような、要するに、延期するかどうかということについての事務的な議論があったということだと思います。

五十嵐委員 要するに、この資料を事実と認めたということですね、今のは。そういうふうに解釈できると思うんです。

 ここで一番問題になるのは倉庫保管料ですよ。何しろ二月六日に千五百万部ですから、千五百万部を印刷させてまく予定だったのが、二週間とめ置かれて、これは三週間かけないといろいろな変更ができないというお答えが事務方から上がってきたので、これは竹中さんが決断で、いや、もとの文章のまま修文もしないでまいてしまえということで、二月の二十日に実はチラシ配布をすることにしたということなんですが、それで間違いありませんか。そういう経過だったと覚えておられますか、竹中さん。

竹中国務大臣 いろいろな議論をしているさなかで、広報をどのようにやるか、当時確かにいろいろな御議論があったというふうに記憶をしております。

 最終的には、国民に民営化があたかも立法府を含めた国全体として決定したかのような誤解を与えることのないようにすべきだという御議論がありまして、それで、配布に先立って、念のため、順次新聞突き出し広告によりまして、これからその立法過程に入るんだというような趣旨の広告を出した。これは、政府内で話をしてそのように決めたということを記憶しております。

五十嵐委員 言いわけをするために先に別途新聞に突き出し広告を出すという、珍妙というか奇妙きてれつな予算のむだ遣いをしているわけですよ、これは。これは大変おかしな、そこまでしてごまをするかという話だと思うんですけれども、そういうふうに、竹中さんの顔を立てるために、そういうわざわざ予算の支出の仕方をしたんですが、倉庫保管料はどうしたんですか、結局。倉庫保管料はどうなりました。おわかりになりますか。これはどちらが持ったんですかね。

林政府参考人 今の保管料ですか、それは払わずに済んでおります。

五十嵐委員 表上は折り込み会社が持ったことになっているんです。三月二日に、支払いは全部当初計画どおりに予算支出がされております。確かに保管料は入っていない。でも、保管料は相当な額に上りますから、つまり、この保管料を折り込み会社が持ってももうかるということであれば、最初の見積もりがいいかげんであったということなんですね。つまり、業者さんの言いなりに随意契約したからそういうことができた。最初は、だって二週間分の保管料を予定していないんですから。要するに、その分は利益で本当は乗っていたはずなんですね。

 ですから、それを折り込み会社が持ったとすれば、これはもう王手飛車とりみたいな話なんですが、最初の契約がいいかげんであった、国費のむだ遣いであったと。どうして契約し直して保管料を政府から正式に支出しなかったのか、これはわけがわからぬのですよ。これは、だから最初の随意契約が、随意契約というのはいかに危険なものかということの証明になるんですよ。いかがですか。

林政府参考人 今は、その見積もりが審査をちゃんとしていなかったんではないかみたいな……(発言する者あり)申しわけございません、という趣旨のお尋ねでございますが、私ども、ちゃんと審査して払っております。

五十嵐委員 だって、きちんとしたラフ案が一月七日まで出てこなかったということを先ほどお認めになりましたし、見積書も一月十二日になってやっと出してきた、しかも、一番肝心な折り込み料の見積もりは一月の下旬まで出てこなかったと、こういうことなんですから、これはちゃんと審査したとは言えないんじゃないですか。それはもう明らかなことだろうと思いますよ。

 ちゃんと審査したというのはどういうことなんでしょうかね。

林政府参考人 先ほどからお答えしておりますように、私ども、十二月十五日に企画案が提出され、十七日にヒアリングを行い、年末まで精力的に向こうと情報交換をして、それで詰めてきたわけでございます。その中で、どのぐらいのお金がかかるかということは当然ながら把握しておりましたので、それは、きちんとそれでやっていけるということで私どもは契約を実質的にやったわけでございます。

五十嵐委員 それから、緊急性に戻りますけれども、結果として、十二月二十八日の実質合意契約日にお金が出たわけでもないんですね。それから、その間の用紙の調達も結局印刷会社が持ったわけですから、結局それはデッドラインではなかったんですよ。結果として、一月六日に用紙の手配は、契約があろうとなかろうと実はできたわけですね。実質的にそうなんですよ、実質契約は後でさかのぼって契約書ができたわけですから。

 そのかわりに、一月の六日に業者さんを谷部さんは広報室に連れていっているでしょう、二人。連れていっているでしょう。そこで、間違いなく私の後ろには政府のお墨つきがありますから、この話は進めて大丈夫ですねということを証明していますよね。どうしてそこまでサービスするのかわかりませんけれども、スリード社が連れていった二人の業者さんに面会して、確かに実質合意がもうできるから大丈夫ですよということを一月の六日にしているんじゃないですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 私、お答えしておりますように、十二月二十八日に両方契約の合意に達しておるということで、一月六日と、そういうようなことではございません。一月六日は、むしろ、年明け早々に紙を確保するという意味での一月六日でございまして、十二月二十八日に実質的な契約の合意に達しておったわけでございます。

五十嵐委員 一月の六日にスリード社の谷部社長は二人の業者さんを政府広報室にお連れになって、確かに契約が成りそうですというお話を政府広報室の方で証明してあげたはずですけれども、そういう事実はないと言うんですか。

林政府参考人 今のお尋ねでございますが、一月六日にスリード社が二人の業者の方を広報室に連れてきたという話でございますけれども、私は会っていないと思います。ただ、部屋に連れてきたというような意味の御趣旨であれば、ちょっと確認はいたします。

五十嵐委員 結局、正式な契約書がないのにやみからやみへ随意契約でいいかげんなことをやり、そしてその日付も、これは公文書ですから、おかしいんですよ、こんなに長期にわたってさかのぼるなんということは。これが通るんだったら、本当にみんな随意契約でできてしまうということになるじゃありませんか。このことは非常に重大な法令違反だと私は思いますから、これは、国民の大切な税金を勝手にむだ遣いが官ができるという仕組みをみずから自分たちで白状しているようなものですから、これは大変重要な問題だと思います。このことは、引き続き同僚議員も含めて追及をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これに関連して重大な疑惑が竹中さんに浮上してまいりました。それは、二月にPHPから出された郵政民営化の竹中さんの御著書でございます。この御著書について、これは、当然忙しい方ですから、口述筆記をされてつくられているんですね。それで、この口述筆記代を、これはいわば編集料ですね、どこから出すかということで政府部内でおもめになっている様子がうかがわれます。

 九ページの資料をごらんいただきたいと思います。これは、政府広報室の方、下の方はお気の毒ですからわざとお名前を隠してありますけれども、本物でございます。井上秘書官と打ち合わせした結果、竹中大臣に次のように秘書官から伝えてもらうことになりましたと。

  大臣は、本の緊急出版をするべく、懇意の編集者に口述筆記させるようなことを、二十二日のレクで口走っており、その「編集料」を、広報予算で面倒をみてもらいたい、とのことであった。が、これについては、会計課とも相談したが、「全く」無理。結局、「買い上げ」しかありえない。よって、出版社からその編集者に結果として払ってもらうしかありえない。

  なお、その場合、税金を投入するのだから、大臣のポケットに原稿料がはいるのは、避けるべきことも伝え、あわせて大臣に伝えてもらうこととなった。

極めてこれは正常な感覚でお話をされているんですね。

 自分で書く暇がないから口述筆記にしたので、本来ならば自分の印税から口述筆記代を出せばいいところを、実質的に広報室に面倒を見てくれ、こういうふうに竹中さんの方が要求し、それを、その方法について、直接広報予算で出すのは、これは大臣の本業に別途お金を出すようなものだからできない、だから、やるとすれば買い上げしかないんだということを、だけれども買い上げの方が目立つとか後でやりとりがあるんですが、こういうことを言っているんですね。

 私は、本来、いわゆる政府の民営化政策の広報は大臣の本業ですから、これで原稿料やあるいは印税を取ること自体が何か割り切れないなと思うんですが、口述筆記代まで税金で持たせようなんというのはとんでもない話だと思いますが、これはこういう事実はありますか、竹中さん。

竹中国務大臣 それは、今、政府の内部で、内部の方かどなたか知りませんが、どういうやりとりをしたかというのは私は存じ上げません。

 ただ、もうこれは当然おわかりのように、私が今回はPHPで出版をいたしました。私がPHPで出版をするに当たって、その編集料を政府がお金を出すなんということはこれはあり得ない話でありますし、そんなことはしておりません。また、私がPHPから出した本を政府が買い取るなどということも、もちろん全くしておりません。

 私は、これは説明責任の一環として、本屋に一冊も、一冊もというか、最近の郵政の本がない、したがって、私が正月休みを返上して、それで、これはPHPの編集者にも手伝っていただいて本を仕上げた、あくまでも私がこれは民間出版を行ったものでございますから、これは、一切、政府の方から、広報予算等々から政府が買い取ったり編集料を払ったりしたという事実は全くございません。

五十嵐委員 そうなんです。広報室から抵抗を受けたものだから、広報室は、結局編集料は出せない、それから買い上げも難しい、そういうお返事だったのであります。そこで何度かやりとりがありますが、実質的に面倒を見てもらいたいという言葉が大臣サイドから出されて、実質的にというのは怖いんですけれどもねと言っているんですね、政府広報室の方は。そういう話がある。

 この文章がうそだと言うんだったら、続けて書いてある九ページの、「テレビキャラバン関係で、電通をいれての井上秘書官との調整結果」としてのこの日程はうそですか。日程調整はうそですか。見てください。お答えできる人がいたらどなたでも、秘書官でもあれでも結構ですよ。この井上秘書官との調整結果の大臣日程はほかの人にはわかるはずがありませんから、大臣日程は私どもが勝手につくるわけにいきませんから。この日程は事実ですか、事実と違いますか。

竹中国務大臣 ちょっと、すぐにこれはわかりませんですけれども、山梨に行ったというのは事実でございますが、ここに書いている何か「箱根発」とかというのは、私は箱根に泊まった覚えは、このときは泊まっていないと思うんですが、これは今はちょっとわかりません。確認はできません。

五十嵐委員 それでは確認してください。調整結果ですから、これは、実際の、実質的に日記ではありませんから、こういう予定になりますということなので、予定が変更になることもあるでしょうけれども、実質的にこんな細かい時間まで私どもが創作してつくり上げることはできませんから。この調査結果は、数字の、時間等のこれは確認しようと思えばできると思う。井上さんはそこにおられますから、確認をしていただきたいと思いますが、いかがですか。確認をしていただいて、理事会へ御報告いただけますか。お諮りください。

二階委員長 理事会において後刻協議をいたします。

 質問を続行してください。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 結局、どういう方法で実質的に面倒を見たのかははっきりいたしません、結果的に。しかし、そこで疑わしいのは、ですから、先ほど出てきた知識人対策費というのは何でしょうかということにまたなってくるんですが、実は、事前に少し調査を私の方でもしているんです。

 これは、知識人対策というのは、本当かうそかわからないんですよ、政府側では、予算が余ったときにすぐに使えるように、シンポジウムといいますか、そういう知識人の会議をやるための費用として枠をとっているんだけれども、今年度は、今年度というか、この年度は使えませんでしたというふうに言っているという話があるんです。これは本当ですかね。それとも、知識人対策というのがあって、例えば、これは電通の文書に関連して出てきますから、電通に最初から知識人対策費として渡して、その中で、向こうで、電通の方で、広告会社の方で適当にその対策をやってくれ、こういうことなんでしょうか。その辺の事実関係をお調べをいただきたい、こう思っています。

林政府参考人 知識人対策という言葉でございますけれども、いわゆる有識者の方に御理解をいただくという、政府広報の中でいわゆるターゲット別のことはございますから、それは概念としてございますけれども、私どもの今の記憶では、今、五十嵐委員おっしゃいましたように、使ってはおりません。それから、今、電通の枠としてあるのではないかみたいなお話であって、それはございません。

 それから、済みません、お時間いただいて、先ほどのお話でございます電通から一月十二日に、日にちまでおっしゃっていただいたわけで、今至急調べたんですが、御指摘の点につきまして確認しましたんですが、記録は、申しわけございませんが残っておりません。それで、このような連絡があったかどうかということで、ですから、確たる記憶はございません。

五十嵐委員 それは直接ないという意味ですか、それとも、例えば、広報はほかのグループがありますよね、内閣広報もありますし、あるいは準備室とも連絡はありますから、その経由でも全く何の連絡も入っていませんか。そんなことはないはずですね。記録が残っているはずです。それは電通から直接にはないのかもしれませんけれども、どこかを経由してこの内容が入っているということはあると思うんですが、全く入っていないということはあり得ないんですが、どうですか。

 それから、先ほど、時間の関係で二点続けて申し上げて申しわけないんですけれども、要するに、知識人対策というのは見たことも聞いたこともないような答弁が最初だったんですが、今、知識人対策はありますという答弁に変わっているんですね、ここも。有識者に御理解をいただくためにターゲット別にそれはあるんですが、私が言ったように使ってはいません、それから電通の枠というものはありませんというお話だったんですが、それは、知識人対策なんというのは聞いたこともないという答弁ともう食い違っているんじゃないですか。知識人対策五千万という数字は、ではどこから出てきたんですか。これは私がつくった数字じゃなくて、私はそんなことは何も知らないんですから、これは政府部内の数字なんですよ、政府部内で流れている数字なんですよ。これはどういう数字なんですか、それでは。

林政府参考人 申しわけございません。知識人対策というような熟語があるような感じで私が言ったとしたら、それは申しわけございませんが、私がさっき申し上げましたのは、私どもは、一般国民という場合もございますけれども、ターゲットとして主婦層とか、そういう考え方としてはやはり有識者の方、知識人対策という言葉は、先ほど言いましたように、ちょっと私が知っていたというようなことを言えばそれは本当に申しわけございませんし、有識者という方々に、やはりそういうターゲットは、広報はそれなりにまた考える必要があるという一般的なターゲット別ということの中にはございます。

 ですから、そういうことかと思いますが、ただ、五千万円とってあったとか、そういうことは全くございません。

五十嵐委員 よくわからないんですが、有識者にターゲットを合わせて広報をそれなりに考えているという御答弁でした。それはお金を使わないでおやりになるんですか、それともお金を使っておやりになるんですか。

林政府参考人 あくまでも、国民の皆様、老若男女いろいろな職業の方がおられるという意味では、一律ということもあり得ますけれども、やはりターゲットを考えてという意味でのもので、当然お金がかかる場合がございます。

 ただ、先生お尋ねのは、そういうのが、枠があって五千万円というようなことではないのかというお尋ねで、それはございませんという意味でございます。

五十嵐委員 ちょっとよくわからなくなってきたんですが、有識者というのは個別の方じゃないんですか。有識者と言うときは、普通は、大学の先生だとかテレビに出てくる評論家だとかコメンテーターだとか、そういう方をターゲットと言うならわかるんです。そういう方をターゲットに、政府の考え方を理解してもらうために懇談会を開いたり、あるいは政府広報誌に書いていただいて謝礼を払うとか、そういう方法もあるかもしれませんし、そういうことが思われるわけですけれども、有識者に御理解をいただくというのは、そういう意味での有識者じゃないとおっしゃるんですか。

林政府参考人 お答えします。

 先ほどから私が申し上げていますのは、要するに、ターゲット別の広報ということは私ども日ごろから考えておるということで、その中で、学者の先生とか、一般的に有識者と言われる方々、そちらの方に伝わる広報というのも考えることは一般論としてあるということですが、先ほどから申し上げていますのは、それが、今回について何か枠があって、それが電通でとか、そういうことは全くないという、ターゲット別という意味での一つであれば、それは日ごろからターゲットを考えているという意味で申し上げているわけでございます。

五十嵐委員 いや、だから、そのターゲットを考えてターゲットに実際にどうやって伝えるんですか。ターゲットを、ターゲットということは的ですからねらい撃つわけですよね。どうやってねらうんですか、何をねらうんですか。

林政府参考人 さっきから申し上げているターゲット別というのは、やはり、私ども広報をやっていく上で恐らく基本になると思っております。ですから、若い人に訴えるべきときには、やはりその若い人が接触率の高い媒体を使うとか、そういうような意味で、若い人という一つのカテゴリーがあってそれがターゲットになる、そういう一般論はあるということを申し上げているわけでございます。

五十嵐委員 どうもわけのわからぬ答弁で。

 それから、なぜその日にちに随意契約をしたのかも、随意契約の日にちをなぜこんなにさかのぼったのかも全然わかりません、解明ができません。不思議なことだらけでございますので、引き続きやらせていただきたいと思います。

 最後に、一点だけ具体的にちょっとお伺いをしたいんですけれども、一つは、簡易郵便局というのが全国で四千四百ばかりあって、そのうち個人が三千三百ぐらいあるんですが、これは民間なんですね。それで、民間の方々は、十三万ぐらいのお金で、金銭的には全く恵まれていないんですけれども、地域のために一生懸命、半分ボランティアでお仕事をされている。この人たちは、民間企業の金もうけのためには、もうそんなことをやるんだったら、町へ出ていって別の職業をした方がいいやという方の方が多いと思うんです。

 ですから、この民間の簡易郵便局を民間会社になった郵便局会社が引きとめることはできない。民民を、これを無理やり法律でつなぎとめてそのネットワークを維持するということはできないはずなんですね。ですからこれは、いわゆるネットワークの水準を維持することを旨とするといっても、全然その法律の枠の中には入らない話、やめたいと言えばやめていかざるを得ないんではないかな、こう思うんです。

 現実に、これは民間では、民間といっても個人ではないんですが、私の地元でも一カ所農協さんが受けていましたから、金融は農協のあれですのでもともと金融はやっていませんでしたけれども、農協が撤退したら簡易郵便局がなくなっちゃったんです。本当に地域の人は不便になっています。こういうことが大勢起きるんじゃないんですか。要するに、ボランティアのようにやっている簡易局は、それは生協や農協が、いや、漁協が受けようと個人が受けようと、これらを縛ることはできなくて、なくなるときはなくなるんじゃないですか。

 ですから、これを、全体のネットワークとして維持することを旨とするといっても、実際には維持できない。ここにも一つのお得意の詐術があるんではないか。一言だけそのことについて御答弁をいただいて、私の質問を終わります。

竹中国務大臣 簡易局は、特に地域で大変重要な役割を果たしております。そのとおりで、大変、委員の御指摘のとおり重要な役割を果たしていると思います。

 簡易局も、これは郵便局でございますから、いわゆる設置基準が適用されます。この設置基準で、今、現状維持を旨とするということを明記するつもりでございますので、万が一にも地元の農協が困るということであるならば、それは代替的な別の工夫をするなり、そういう形で設置基準がしっかりと守られていくように、総務大臣の一般監督権限のもとでこれはしっかりと対応していくということであろうと思っております。

五十嵐委員 いやいや、縛るといっても、民間、民間の話だから、やめたいと言ったら、もうそれをとめる手だてはないでしょうということを申し上げているので。

 終わります。

二階委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 民主党の中塚一宏です。

 まずは官房長官に、会期延長をして初めての委員会なものですからお伺いしたいんですが、国会が会期制をとっている趣旨について、政府としてどういうふうにお考えになっているのかをまずお述べいただきたいと思います。

細田国務大臣 お答えいたします。

 国会は、言うまでもないことでございますが、唯一の立法機関であり、国権の最高機関であります。国会が会期制をとっている趣旨については、国会の権能に属するものと考えておりますので、政府としてお答えする立場にございませんので、御理解を賜りたいと思います。

中塚委員 お答えは御容赦をいただきたいということですけれども、皆さんは与党の一員なわけですね。

 私は、まず初めに申し上げなきゃいかぬと思っているのは、今の広報の随意契約の問題もしかりですし、こうやって与党の中でもいろいろな意見がいっぱい出ているわけですね。あらかじめ百五十日ということで会期が設定をされ決まっているのなら、ちゃんと審議が十分にできるように、もっと早目に提出をされればいいはずなんですよ。それが、四月二十七日まで提出自体がおくれてしまって、そしてこういう形で、審議の時間がなくなって、多数を頼んで会期延長をすることというのは、それは私は本来の会期制というのとは違うと思うんですね。(発言する者あり)

 今、山崎筆頭から、何で審議拒否をしたんだというふうにおっしゃっておられるからちょっとお話をしたいんですが、会期が決まっているからこそ、やはり野党は長く延ばそうとする、そして与党は早くしようとするのは、それは当たり前の話ですね。でも、早くしようというふうに皆さんお考えになったって、やはり世論が、関心はあったって成立は望んでいないというようなことがあるからこそ、皆さんだって現実問題として審議を急いでいるわけじゃないということになるわけなんです。

 だから、本当は、百五十日たっても審議がいまだに尽くせないということになったら、一遍国会を閉めて、みんな一度おのおのの選挙区に帰って、国民の声、有権者の声をちゃんと聞きましょう、それが本来の国会の持っている会期制の趣旨ということなんじゃないでしょうか。官房長官、いかがですか。(発言する者あり)

細田国務大臣 この重要な郵政民営化関連法案につきまして、大変提出時期がおくれましたことについてはまことに申しわけないと思っております。議院内閣制という制度上の問題もあり、与党との意見調整等時間を要しました。したがって、おくれて提出したことについてはまことに申しわけないのでございますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中塚委員 会期が終わって国会を閉めて国民の意見を聞くということの最たるものは、実は解散・総選挙なわけでありまして、今、解散のことを言っているんじゃないだろうなという不規則発言もございましたけれども、私はそれを否定するものじゃない、排除するものじゃないということをまずは申し上げておきたいと思います。

 次に、法案の中身についてお伺いをいたしますが、竹中大臣、今回、私はまず貯金会社、貯金バンクのことをお伺いしたいんですけれども、要は、ユニバーサルサービス義務というのはもう今回放棄をされるわけですね。郵便貯金法というのを廃止されるということだから、郵便が、例えば郵便貯金法第一条、「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、」云々と書いてあるわけですが、これを廃止するんですから、もうユニバーサルサービスは行わないということでよろしいんですよね。

竹中国務大臣 いわゆるユニバーサル、全国一律の義務づけにつきましては、これは委員御承知のように、郵便事業についてはこれを引き続き義務づけるわけでございます。しかしながら、銀行、保険という金融につきましては、これは何といっても信用が一番大事だ、そういう意味から、一般の商法人になっていただいて、できるだけ自由にやっていただく。その意味ではやはり義務づけは極力少なくしなければいけない。ちなみに、先進工業国の中で金融についてユニバーサルなサービスを義務づけているというところは、一般には見受けられないわけであります。

 そうしたことも含めまして、金融のユニバーサルサービスは法律上は課さない、義務づけない、できるだけ自由にやっていただく。しかしその一方で、金融サービスが特に地方において大変重要であるということは我々も大変認識をしておりますし重視をしておりますので、さまざまなそのための実効あるサービスが結果として提供されるような工夫を講じているというところでございます。

 詳細はもう委員御承知でしょうから繰り返しませんが、長期安定的な代理店の契約、そして、仮に過疎地などで問題が生じた場合の地域・社会貢献基金の活用、そのような枠組みを準備しているということでございます。

中塚委員 法律では義務を課さないけれども実態的にはというお話があったわけなんですが、それははっきり言って逆ですね。法律で義務づけてあるから今はユニバーサルサービスというのが行われているわけで、民営化されるわけですよね、民営化されるということは、はっきり言って、民間会社になってしまえば経営者の判断なんだから、それを、大臣の今の、ここでいろいろな御答弁されていますけれども、そのことでずっと拘束をしていけるということはあり得ないですよね。それだから民営化ということになるわけなんでしょう。

 具体的にお伺いいたしますが、代理店契約のところ、民営化法の第九十八条の「業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる代理店が継続的に設置されていること。」ということを書いてあるわけでありますが、伊藤大臣、この「業務の健全、適切かつ安定的な運営」というものの意味するところは一体何なんですか。

伊藤国務大臣 みなし免許を付与するに当たって、郵貯銀行が、業務が健全そして適切に運営されることが求められているわけでありまして、そうした観点から、今まで郵政公社というのは、窓口ネットワークというものを活用して、そして地域に密着した業務というものを行ってきた、それを引き続き、民営化されてもその業務というものを円滑に引き継いで、そして業務を行っていくということが重要であります。

 そこで、みなし免許というものを付与して、そして業務を健全かつ円滑に運営していくために、その営業基盤となる代理店網というものが安定的に供給されることが重要でありますので、その観点から、代理店契約というものを安定的に締結する、そのことを求めているわけでございます。

中塚委員 今、御答弁の中でまず一つのポイントは、要は、郵便貯金銀行が業務を健全に、郵便貯金銀行が適切かつ安定的な運営を維持するため、そのために代理店を置くということですよね。今、そういう御答弁だった、そうじゃないですか。

伊藤国務大臣 そのとおりでございます。

 もう一度繰り返し答弁をさせていただきたいと思いますけれども、銀行免許を付与するに当たって、民営化されて、公社が行ってきた業務が民営化された後も円滑かつ適切に引き継がれることが重要でありますから、そうした観点から、みなし免許を付与するに当たって、私どもとして、安定的に代理店契約が締結されることを求めているわけでございます。

中塚委員 それで、私の二つ目の問いなんですが、今、二回目の答弁でもありましたが、円滑ということをおっしゃったけれども、円滑ということはこの法律のどこにも書いてないですね。今郵政公社でやっておる、それを貯金と保険を民営化するんだ、貯金と保険は民営化されても今と同じで変わらないですよということを何とかごまかしながらでもおっしゃりたいんだと思うけれども、円滑ということはどこにも書いてないですね。

 私が何でこのことを聞くかというと、郵便貯金会社、それは保険会社でも同じですけれども、業務が健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる代理店契約ということは、契約の形式はどうなるのかわかりませんが、それもぜひ教えていただきたいと思っていますけれども、要は、今と同じように郵便貯金なり簡易保険が代理店契約を結んで営業をするということが、逆に業務の健全性とかを損なう場合というのも出てくるんじゃないですか、いかがですか。

伊藤国務大臣 円滑の意味というのは、先ほどもお話をさせていただいたように、今まで公社で業務を行ってきた、そして、民営化されても、その業務というものが引き続き、切れ間なく継承されていることが重要なことであります。私どもからすれば、そうした観点から、みなし免許を付与するに当たって、安定的な代理店契約というものを締結することが重要だというふうに考えておりますし、また、実施計画を認可するに当たって、銀行法上の観点から、適切になされているかどうか、そうした点を審査して、そしてこの実施計画というものを認可していく、そうした手続になっております。

中塚委員 だから、私の聞いたことに答えてないんだけれども。

 あなたはいつまで大臣やっているかわからないし、あなたはいつまで政治家やっているかわからないんですが、法律で書いてあれば、少なくともやはりそれは法によって拘束を受けて、ユニバーサルサービスというのはずっと続くわけですよ。でも、ここに書いてあることはそういうことが書いてあるわけじゃなくて、郵便貯金銀行が業務が健全であること、そして適切かつ安定的な運営が維持できることというのが免許の条件なわけでしょう。だったら、これのどこに、今と同じサービスを提供するんだというところが読めるのか。これのどこに、円滑とさっきから何度も何度もおっしゃるけれども、法律には円滑なんという言葉は一つも書いてないじゃないですか。どうやってこの法律だけでそういうことになるんですか。もう一回、ちょっと御答弁いただけますか。

伊藤国務大臣 これは、百五十九条のところに基本計画のことについて規定をされているわけでありますが、「内閣総理大臣及び総務大臣は、公社の業務等の承継会社等への適正かつ円滑な承継を図るため、本部の決定を経て、公社の業務等の承継に関する基本計画を定めなければならない。」このように規定されているところでございます。

中塚委員 いや、だからどうだっていうんだということなんですが。そう書いてあるから、ではどういう契約をおつくりになるのか、またそれも時間をかけてゆっくりと伺いたいと思いますけれども。

 でも、それが書いてあるからといって、では、何で今と同じようなサービスが提供されるということになるんでしょうか。私は、少なくとも法律には担保されていないですねということをお伺いしているわけであって、場合によっては、業務の健全性とか適切かつ安定的な運営を維持するためには、もうからないところとは契約しない方がいいという判断だって出てくるんじゃないですか。どうですか、そこは。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほどもお話をさせていただきましたように、今まで、公社というのは窓口ネットワークというものを活用して地域に密着した業務というものを展開してきたわけであります。この民営化に当たっては、今まで公社が行ってきた業務というものを引き継いで、そして健全性を確保しながら適切な業務運営をしていくことが求められているわけでありまして、みなし免許の付与に当たっても、こうした観点から安定的な代理店契約の締結を求めているわけであります。

 その安定的な代理店契約を求めるに当たっては、その営業基盤というものを安定的に維持していくということが重要でありますから、そうした観点からも、安定的な代理店契約というものを求めていく、そして移行期間中をカバーして、そして移行期間を超えるものについても妨げないというふうに考えているところでございます。

中塚委員 だから、私の聞いていることに全然答えていないんだけれども。

 業務が健全に行われるかどうか、適切かつ安定な運営が維持できるかどうか、これは伊藤さん、金融担当大臣としてやはり御意見があるんじゃないですか。郵便貯金銀行を民営化するんでしょう。だから、本当にこの銀行がちゃんとやっていけるかどうかということについて、金融担当大臣として御意見あるはずですよね。

 それは、あなたが今おっしゃっているのは、今の公社と同じことをずっとサービスしていくということが前提で、そういう契約を結ぶために、総理大臣がどうのとか何とかかんとかというふうにおっしゃっているが、ただ、金融という意味で大切なことは、業務が健全にやれるかでしょう。適切かつ安定的な運営が維持できるかということでしょう。そうしたら、二万四千何ぼかですが、今と同じように契約を結んでしまえば、業務が健全にならない、適切かつ安定的な運営を維持できないということだってあるんじゃないですかということをお伺いしているんですよ。いかがですか。

伊藤国務大臣 少なくとも、郵政公社は今まで三事業というものを行ってきて、その三事業を行うに当たって健全性に問題が生じていたわけではありません。そうした観点からも、基本的に、私どもとして、今委員が御指摘をいろいろございましたけれども、問題であるというふうに考えているわけではなくて、郵貯銀行の健全性を確保していくためにも、その営業基盤となる安定的な代理店網というものを確保していくことが重要だ、そうした観点から代理店契約を安定的に締結することが重要だというふうに考えております。

中塚委員 今ちゃんとやっているから民営化したってちゃんとやっていけるんだというふうにおっしゃるが、だったら、竹中さんは何で見えざる国民負担とかそんなことばかり言っているんですか。それを顕在化させるというのが民営化法案の意味なんでしょう。見えざる国民負担が顕在化するんでしょう。だから税金払わすんでしょう。預金保険料だって払わせるんでしょう。その上で、山間僻地の郵便局まで代理店契約をして、果たしてこの銀行はちゃんとやっていけるんですか、それを聞いているんですよ。

伊藤国務大臣 この点も先ほど来お答えをさせていただいているように、みなし免許を付与するに当たって……(発言する者あり)ちょっと話を聞いていただけませんか。

二階委員長 御静粛にお願いします。

伊藤国務大臣 みなし免許を付与するに当たって、銀行の健全性あるいは適切な業務の運営の確保ということは極めて重要であります。今まで、公社は窓口ネットワークというものを活用して、そして地域に密着した業務を展開してきたわけであります。したがって、郵貯銀行に民営化される場合に当たっても、その営業基盤となる代理店網というものが安定的に維持されることが重要でありますから、そうした観点から安定的な代理店契約というものが締結されることが重要だというふうに考えておりますし、また、銀行法上の観点ということにつきましては、先ほど来答弁をさせていただいているように、この基本計画を審査するに当たって、銀行法上の観点からその適合性が十分担保されているかどうかということを審査するわけでありますから、その審査を通じて、銀行法上の健全性、適切性というものを十分に審査した上で基本計画というものを承認していく、こうした手続になっております。

中塚委員 今まで政府がつぶれないと言っていた銀行だってぼこぼこつぶれているんですよ、はっきり言って。だから、それは、あなたはそういうふうに、郵政公社と同じようなものをつくるということを前提に、逆に話をしていらっしゃるんだけれども、私は、この郵便貯金銀行が本当にやっていけるのかどうかということについて質問しているんですね。わかりますか。

 では、ちょっと聞き方を変えますが、その契約、移行期間を下回らない、上回らない、とにかく十年を過ぎてもいいということですね。長期でも構わないということですね。どうなんですか、これは。どなたがお答えいただけるんですか。

竹中国務大臣 政府・与党の話し合いの中でも、移行期間を上回ることを妨げないという合意をしております。

中塚委員 移行期間を上回ることを妨げないと。ということは、今のところ移行期間は十年ですか。だから、十年以上の契約であっても構わないということになっておるわけですね。ただ、けれども、移行期間は少なくとも十年であって、十年たったら完全な民間会社になるんでしょう。これはただの銀行になるわけですよね。郵便貯金銀行になる。

 それで、何度も何度も竹中大臣もここでおっしゃっているけれども、要は、国の関与を減らす、株を処分するというふうに言っているわけですよね。そうしたら、もう完全に民間会社になってしまえば、幾ら契約の期間が長かろうが、その銀行はこの郵便局のネットワーク会社と契約を結ぶ必然性なんか全然ないんですよね。そこはいかがですか。

竹中国務大臣 国の関与という意味は、出資でありますとか一般の銀行法の規定を上回る追加的な許認可等々の関与、そういうものはなくなるわけでございますけれども、通常の銀行行政の中での監督、そうした形でのかかわりというのは当然のことながら残るわけでございます。

 これについては、追加的に何か新しい規制をかけるということは当然念頭にはないわけでございますけれども、当初のみなし免許の条件としてそういうものを課すということ、その契約は残るわけでございます。

中塚委員 いや、だから、当初のみなし免許付与の条件で、要は、今と同じように郵便貯金を郵便局でやっていくということでスタートしたとしても、完全な民間会社になってしまえば、その契約というのは、切れた時点で新しい契約を結び直すのか。あるいは、二万四千幾らと契約を結んでおったら郵便貯金会社も経営が成り立っていかないから、この際違約料を払ってでも解約したいということを言い出したとしたって、もうそのときは民間会社だから、皆さんはそれがだめだとは言えないんでしょう。そこはどうなんですか。

竹中国務大臣 契約そのものは民事の契約でありますから、その民事の契約のルールに従う。解約等と言われましたけれども、解約はできない契約に当然なろうかと思いますが、当然のことながら、これは期間を決めて契約をするわけでございますから、これは当然、その契約期間、義務を履行していただかなければいけないということになると思います。

中塚委員 いやいや、それは、けれども、契約は契約の中身なんだから、どういう契約の中身になっているかということによるんだから、それは契約の中には解約の条項だってあるかもわからない。そんな話をするんだったら、では、この契約の中身を今すぐ出してくれということを言わなきゃしようがないじゃないですか。どうなんですか、それは。

竹中国務大臣 どのような契約にするかという、期間等々含めて経営の判断でございますけれども、伊藤大臣がおっしゃったような点も踏まえまして、これはしっかりと承継計画の中で確認をしていくということになります。

 ただし、法律では、最低限移行期をカバーしなければいけないというような趣旨でございますので、これについては、移行期をカバーできないというような、そういう条項がある場合は、みなし免許の条件、みなし免許を出すに当たって当然これは引っかかってくるということになると思います。そのことを申し上げているわけでございます。

中塚委員 いや、そんなことは私もよくわかっているんだけれども、私が申し上げているのは、移行期間を少なくとも下回らないですか、だから、最低十年でしょう。十年以上でも構いませんと。それは二十年になるか三十年になるかわかりませんが、でも、はっきり言って、取締役の任期以上の、そんなにロングの契約なんてちょっと理論上あり得ないですよね。やはり取締役の任期内ですよ、契約というのは、いずれにしたって。常識的なことを言えばですよ。

 いずれにしても、十年済んだら、あるいは契約の期間が終わってしまえば、それはもう銀行の勝手なんでしょう。そうですよね。終わってしまえば勝手なんでしょう。そこはどうなんですか。

竹中国務大臣 契約期間が終了してしまえば、これは契約の義務をそれ以上果たす必要というのは当然ないわけで、そこで適切な経営判断が行われていくということになると思います。

中塚委員 というわけで、当初の十年の間は、私は、そういう契約が本当に郵便貯金銀行の経営の、業務の健全性に役立つかどうかはちょっとわからないけれども、いずれにしても十年はそういう契約を結びますよと。十年を下回らない期間の契約を結んだ場合であっても、要はその契約が切れちゃえば、もう貯金銀行は、ユニバーサルサービスの義務というよりも、そんなものはもともとないんだけれども、今と同じことをやる必要はないんですよね。だから、不採算なところからはどんどんどんどんと撤退をしていくという選択肢がとれるわけですよね。

竹中国務大臣 一般の商法会社としての郵貯銀行に関しましては、経営判断に基づいて契約をするかどうかということになります。

 しかし、一方で郵便局は設置基準に基づいてずっと残っているわけでございますから、この郵便局という拠点をどのように活用するかということは、これは郵便局会社にとってもちろん重要でございますが、金融機関にとっても大変重要である。二万四千の、二万を超える拠点を新たに築くというのは現実には大変なわけでございますので、そうした中で適切な経営判断がなされていくというふうに思っております。

中塚委員 では、その移行の契約が期限が来れば、あるいは期限の前でも違約料を払うなりなんなりして解約ということに至れば、この郵便貯金銀行というのは、要はもう郵便局で貯金のサービスを提供する必要というのはないということですよね。それだけ確認できればいいんです。

 要は、民営化というのはそういうことなんでしょう。だから、民間会社にするんだから、あとはもうどうぞ御自由にということで、何も、縛るなんてことはあり得ないということですよね。そうですよね。

竹中国務大臣 法律上の義務等々に関して申し上げますと、当初の長期契約の移行期間、それが過ぎた以降は経営の判断ということになります。しかし、現実にどのようになるかということに関しましては、先ほど申し上げましたように、ここは新たに二万を超えるような拠点をつくるというのは現実には不可能でございましょうから、引き続きそういうビジネスモデルを継承するのではないかというふうに想定をされます。

 また、郵便局というのは大変重要なネットワーク価値がありますから、他の民間銀行等々もここを拠点にして、ここと代理店契約を結びたいということも当然に出てまいるでございましょうから、それに関しましてはまさに経営の判断で適切に対応していただくということになろうかと思います。

中塚委員 この二万何ぼのネットワークが重要だとおっしゃる。それを今からつくるのは大変だから、恐らくそれをずっと継続して契約することになるだろうとおっしゃる。それはあなたの描いたフィクションであって、そういうふうになるわけなんかないですよ、はっきり言って。

 だって、二万の郵便局のネットワークでATMを置くなりなんなりすれば、そういう保守点検のコストだって大変にかかるわけですよ。はっきり言って、もうからないところは畳んだ方が、選択と集中という言葉だってあるんでしょう、あなたの好きな言葉の一つじゃないですか、選択と集中という言葉のとおりで、不採算部門を切るのが一番郵便貯金銀行にとって効率を上げる、収益を上げる近道だということじゃないですか。

 だから、今から新しいネットワークを引くなんて、そんなことするわけないと私は思いますよ。あり得ないですよ。それよりは、不採算部門を切っていった方がいい。だって、二万四千の郵便局のうち、貯金は収支相償方式でいくと半分近くは赤字なんでしょう、郵便貯金自体は、貯金単体で見れば。そういうことを考えれば、どんどんどんどんと先に細っていくわけじゃないですか。

 仮にこの郵便貯金会社にTOBがかかって、要はほかの資本に買収をされるということになった場合に、当然そういったインセンティブが働いていくんじゃないですか。そこはいかがですか。

竹中国務大臣 やはり一点、ネットワーク価値というものに対する委員と私たちの見解は少し違うのかなというふうに思います。

 委員御自身、これからネットワークをつくるなんて大変でしょう、そんなことしないでしょうというふうにおっしゃいました。まさにネットワーク価値があるということの証明であろうかと思います。これは、ネットワーク価値があるからこそ、クロネコヤマト等々でも全体の三割とか三分の一は店としては赤字だけれどもネットワークを維持するわけでございますから、金融についてはとりわけネットワーク価値が重要であるというふうに思っております。

 そういう観点からいいますと、それでもネットワーク価値が維持されない場合のようなことも想定をしまして、過疎地の最前線については社会・地域貢献基金を活用できる、それによって地域の金融が保持されるような仕組みもつくっているわけでございます。

 なお、今、委員は収支相償方式で数多くの赤字店があるというふうに御指摘をされましたが、全体収支方式で見ますと現実の赤字の局というのは非常に少ない、それよりはるかに少ないわけでございますので、そうした現実についても考慮をする必要があろうかと思います。

中塚委員 今、地域貢献基金のお話もされた。これもへんてこな話ですよね。何で民間会社に特殊会社がお金を上げてまで仕事をしてもらうんですか。何でこんなことまでしてやってもらうんだったら民営化する意味があるのか、私はそういうふうに思いますよ。

 大体、私の言っていることをねじ曲げて答弁するのはやめていただきたい。ATMの話にしたって、じゃ、何で銀行は、今、山間僻地にATMを置かないんですか。郵便局と同じように置くでしょう、ネットワークの価値が重要なんだったら。今あるものだって採算がとれなければ畳んでいくわけですよ、それは。

 民営化したら、株主はやはり企業価値を最大限に高めるべく要求し行動をしていくわけでしょう。そうしたら、採算のとれないところは閉めろと。そういうインセンティブが働くに決まっているじゃないですか。今ある資産だけを有効に活用して企業の価値を高め、株価を上げ、配当を上げるということを要求してくるんじゃないんでしょうか。そこはいかがですか。

竹中国務大臣 銀行は撤退しているじゃないかと。これはまさに、銀行というビジネスモデルと、これから生まれるであろう郵貯銀行のビジネスモデルがかなり違うということであろうかと思います。

 郵貯銀行は非常に全国津々浦々に張りめぐらされました地域密着型のビジネスモデルでやってきたわけでございますし、それも当面続く、それが彼らの強みであるというふうに想定されるわけですから、そうしたネットワークを大変大事にする。さらに加えて申し上げれば、恐らく郵政そのものは、明治の早い時期から全国でネットワークを展開して、そのネットワークの樹立、維持のコスト等々についても、後発の民間については非常に大きなアドバンテージを持っているということであろうかと思います。

 そうした観点を考え合わせますと、私が申し上げておりますように、やはりここは地域密着型の、大変地域重視のビジネスを展開していくということになろうかと思っております。

中塚委員 ビジネスモデルの話だけでも本当は丸一日ぐらい議論ができるんですけれども、大体、竹中大臣は、そもそも郵貯も先細りだとおっしゃっていたんじゃないんですか。先細りなんでしょう。だから民営化して何とかするというんでしょう。今のままのビジネスモデルじゃうまくやっていけないから民営化するんでしょう。今のビジネスモデルじゃなくて、民営化して新しいビジネスモデルに変わるというのは、今の不採算部門を切るということじゃないですか。何で今やっているビジネスに付加をして、よりそれがもうかるようになっていくんですか。今の説明は全然破綻していますよ。いかがですか。

竹中国務大臣 今の中塚委員の御批判は、基本的には、金融機関ですから調達して運用するわけでございますけれども、調達と運用につきましてやはり区別をして議論をしなければいけないということだと思います。

 この資金の調達等々に関しては、全国津々浦々にめぐらされたこの郵便局の窓口を活用するというのは大変重要な強みであろうかと思います。しかし、今の郵政のままではこの運用面で非常に大きな制約があるわけでございます。国が集めて安全資産でしか運用できない。それを、我々は骨格経営試算で示しておりますように、約四分の一ぐらいを一%の利ざやが追加的に取れるような信用リスクビジネス等に運用していく。

 そういう、調達、運用、その両方につきまして、これは組み合わせでビジネスモデルが決まっていくわけでございますから、今までのよいところ、今までのビジネスモデルのよいところは活用をしていく、しかし、変えていくところは変えていく、そのためには、民営化、自由に運用ができるということが大変重要になってくるということを申し上げているわけでございます。

中塚委員 地域密着型の今の地域金融機関あるいは協同組織金融機関、経営者と一回でもお話しになったことありますか。本当ですか。だったら、今みたいな答弁にはならないはずですよ。

 今、協同組織金融機関の経営者が言っていること、もう預金、貯金なんて集めてこなくてもいいと言っているんです。集まってきたらその分預金保険料を払わなきゃいけないから、負担が高くなってそれは大変だと言っているんです。金が集まってきたって貸し出す先がないわけじゃないですか。全国で銀行貸し出しはずっと減っておるじゃないですか。

 だから、あなた、その調達と運用、運用の話なんかだったら、それはもっと無理ですよ、はっきり言って。調達と運用のどっちが難しいかと言ったら、それは運用の方がはるかに難しいわけでしょう。それが、急に、民営化した途端に、万々歳で運用ができるようになる、三十五兆円の運用ができる、運用する。大体、日本全国で四百兆円ちょっとしか銀行の貸し出しなんかがないのに、何で十年たったら急に三十五兆の金が貸せるようになるんですか。どうなんですか、そこは。

竹中国務大臣 今、地域金融機関が調達について、調達へのウエートをむしろ下げようとしているという御指摘がありましたが、まさにそこに郵貯の強みがあるということだと思います。それは、郵貯は調達コストが、全国津々浦々に小さな店舗を配置して安く調達できる、そこはやはり銀行に比べて調達面での大変な強みになってくるわけでございます。

 運用面で大変難しいというのは、これはそのとおりでございます。しかし、すぐそういうことができるというふうには我々考えておりませんで、だから、段階的にそういう運用面、そういう新しいビジネスを認めていく、その段階的にやっていくというところに大変重みがございます。

 三十五兆円、新たに一%の追加的な利ざやを取ってビジネスができるのかという御指摘、これは今後の運営上大変重要な問題でございますが、我々の「改革と展望」及びその後の二十一世紀ビジョン等々のシナリオで総合いたしますと、二〇一七年までに日本のGDPは約一・五倍になる。その間に、今のGDPそして貸し出しの比率等々を考えましても、民間企業への貸し出しはやはり二百兆円ぐらいふえる可能性がある。そのような中で、三十五兆程度のマーケットをとるために努力をしてもらいたいという一つの骨格経営試算を示しているわけでございますので、やはりそういう経済全体の拡大の中で適切な運営をしていただきたいと思っております。

中塚委員 あなたがいつもおっしゃっているとおり、GDP、実質ではふえているわけでしょう、ずっと、この低成長であっても。GDP実質でふえていたって、銀行貸し出しは減っておるじゃないですか。何でGDPがふえたら銀行貸し出しがふえるんですか。その二つにどういう相関関係があるんですか。そんな、人を瞞着するような話をしちゃいかぬですよ、それは。

 だから、私がとにかく申し上げたいのは、要は、民営化すれば、はっきり言ってそれは資本の論理によって動くんでしょう、民営化すれば資本の論理によって動くわけですね。だから、そういう意味で、ユニバーサルサービスはもちろん法律として義務づけてもいないし、契約として、それで契約で縛ったということだって、その契約自体をきっと解除されるような事態になりかねない、私は多分なる、そういうふうに思っているわけなんです。

 ここで、生田総裁にきょうお越しをいただいていますのでちょっとお伺いをいたしますけれども、今度、準備企画会社で日本郵政株式会社、これは日本郵政ホールディングスですね、ホールディングスができる、そこに経営委員会ができるということですが、総裁は、求められればこの経営委員会のメンバーにおなりになりますか。

生田参考人 大変難しく、かつ微妙な御質問なので、お答えに窮するんですが、経営委員会は、主体的には、〇七年の四月に民営化されるとすれば、その後の経営に責任を持つ人が入ってみずから主体的に考えるべきであろうと思います。

 ただ、私には、同年の三月末まで、民営化されるとすれば、それにスムーズに移行できるように今の体制を持っていく責任があると思います。

 いずれにしても、そこにかなり密度の濃い引き継ぎを要すると思いますから、何らかの格好で、そういう意味において、参画を求められて力を出せということであれば、これは私の使命の範囲だろう、こう思っております。

中塚委員 伊藤大臣が円滑に円滑にとおっしゃるものだから、一番円滑にやるのは、生田総裁がこの経営委員会に参加になるということが一番円滑なんじゃないのかなと思うんです。

 経営者の立場からお答えをいただきたいんですが、私が今竹中大臣やら伊藤大臣と議論をしておりましたけれども、やはり会社というのは、はっきり言って、公開会社であれば常に買収というリスクにさらされるわけですね。敵対的であれ、そうでない場合であれ、買収というリスクにさらされてくる。その買収というのは、要は、買収されることがいい場合もあるし、悪い場合もある。悪い場合には、企業価値を損なうような場合には、企業の防衛策というものが入っておる。でも、仮に企業価値が高まるようなものであるならば、それは、一括してそれが敵対的だというふうに言うことはできないはずですよね。経営陣にとって、要は自分の保身のために買収をされるのは嫌だという話にはならないはずですね。企業の価値が高まる、株主の利益が高まるための買収というのは常にあるということだと思うんです。

 そういう意味で、今、郵便貯金の会社がTOBをかけられてどこかに買われる、買われた上で経営者が総取っかえになって、こんな田舎で貯金サービスなんかを提供するというのは会社の利益にそぐわない、あるいは株主の利益にそぐわないということであるならば、撤退するというのは私は十分考えられるというふうに思うし、もう一つ、その日本郵政ホールディングス、これだって、特殊会社ではあるけれども、やはり一般株主というのもいるわけですよね。三分の一は政府保有でしたか、三分の二はマーケットに出ている。ということは、この三分の二の株主からの、要は経営合理化圧力みたいなものはかかってくる、いい意味でですよ。いい意味でかかってくるはずなんですね。

 そうすると、実は、郵便局、窓口会社には設置義務というのがあって、田舎の方は残せとか、政令で決めろみたいな話が出てくる。そのこと自体は、私は本当にそれで大丈夫かなと思う。やはり三分の二の株主の圧力が、その田舎の郵便局なんてもうやめた方がいい、その方がこの会社は企業価値が高まるという圧力をかけてくるということはあると思う。

 同時に、都会の郵便局だってこんなにたくさん要らぬだろうと。経営を効率化しようとすれば都会の郵便局だってこんなに要らぬ。現に都市銀行だってどんどんどんどんと支店は減っていますよね。合併なんかして支店は減っているわけです。そういう圧力がかかるんではないのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

生田参考人 まず二点、前提的に申し上げると、これはまさにおっしゃった非常に真髄に触れる政策問題ですから、政府御自身が本来お考えになる、お考えになっていますけれども、という問題だということと、今度は企業の立場、ホールディングカンパニーの立場でどう思うかというのは、これは、私が実はその立場でお話しするのは、非常に難しいというか僣越といいますか、できないんですけれども、そんな難しいことは横に置いて、私の個人的な経営者としての感じをお話しさせていただきます。

 まず一番目の買収の件ですけれども、買収というのは日本ではやっと今かなり出てきましたけれども、諸外国ではもうずっと前からどんどんあるわけで、余り驚くことはないと思います。

 それで、外資がいい悪いというのはありますけれども、外資だけ買いというビディングはないわけで、日本人も買えるわけですから、たまたま外人が買っていくわけですから、外人が買ったから悪いということは決めつけられない。いい買収と悪い買収がある。その意味において、先生がおっしゃったように、企業価値が上がることは一つの前提だと思います。

 それから、民営化するとすれば、公社を引き継ぐであろう民営化会社はやはりパブリックということをよほど考えないといけないと思います。これはそこに入る経営者の経営理念に通ずるわけで、経営者としてはステークホルダーを大事にする、その中にはちゃんと地域社会というのもあるわけです。社会に貢献するというのもあるわけです。従業員というのもあるわけです。だから、そういったものに対して十分なバランス感覚を持った配慮の上でいいものを自分で選べるのなら選ぶということになるだろうと思います。

 それから、二番目の御質問であった、都会における郵便局についてお話しします。

 私もずっと、公社へ入ることが決まって以来、その前半年も随分回りました。あちこち回って、非常に郵便局が生活インフラになっていて、重要であって、それは金融を含んでいるということは肌で感じましたから、諮問会議でも強く申し上げて、大体それは今生かしていただいている格好になってきていると思います。田舎の方は設置基準、それだけの設置基準というものをきちっとおつくりいただくのが重要だと私は思っています。

 ところが、それは都会が入っていないから都会が心配だというお話がありましたけれども、都会は、再び経営者が考えるわけですけれども、どっちかというと、余りお好きな言葉じゃないでしょうけれども、資本の論理から見ても都会の方は結構利益率がいいわけです。だから、数が多いから単に減すという単純な発想では経営者は当然考えないと思うし、ただし、ビルが隣り合っているのに隣同士みんなあるような格好はむだじゃないかというのは、これはもう常識の線における効率化において、やはりある程度の合理化は行われるだろう、こう思います。

中塚委員 だから、私は経済効率性というのがいいとか悪いとかいう話をしているんじゃなくて、民間会社というのはそれに沿って動いていくものでしょうということを言っているわけなんですね。

 もう一つ、すごい日本的に、ウエットな部分でいうと、さっき総裁がおっしゃった、地域の部分のことも考えなければいかぬ、パブリックというのも考えなければいかぬ、もちろん会社というのは株主のために仕事をするわけだけれども、要は、これから株主になってくれるような人にもいろいろアピールをしなきゃいかぬ、それも含めてIRなわけですから、それはもちろんよくわかるんですが、山間僻地、過疎地からなくしちゃいかぬじゃないか、そういう浪花節的な理屈がある一方、裏腹で、やはり都会はそういう意味では整理しやすいんじゃないのかと。

 今もおっしゃっていた、隣り合ってあるということも言っておられたわけでありますけれども、やはり都会の方が、まあそうだな、こんなにたくさん要らぬなと。要は、銀行もあるし何だってあるし、じゃ、都会の郵便局はこんなにたくさん要らぬだろうと。下手したら、それは、郵便の会社も別に郵便局だけと契約を結ぶかどうかというのはわからない、ほかのいろいろなところと契約を結ぶかもわからないので、郵便局だって要らないということになるのではないのかと私は思っていて、そういった意味でお尋ねをしたわけなんですけれども、東京とか大阪とか、大都会の郵便局の方が減らしやすい。それはもちろん、減らして損するようなことにはならないと思いますが、損しない範囲で減らしていくということは、私は十分にあり得る、そっちの方がやりやすいんじゃないかと。

 それで、現実問題、今、大都市の郵便局を減らすということについて具体的に検討をされていたりするのかどうかということもお聞かせをいただけますか。

生田参考人 先日、郵便局の採算の表を出しましたけれども、あれは物すごい難しいんですね。私も入ってすぐに、そんなのもなければ経営できぬじゃないかということで作業にすぐ入ってもらったんですけれども、やっと出し得たということで、ただし、あれも中途半端といいますか、非常に大胆な前提を置いた二通りですから、あれで必ずしもわからないわけであります。

 それで、郵便局の問題を今後どうするかというのは、やはりこれは店舗政策というのはどんな事業でも大変重要なので、今まさに、これから少し勉強してみようと。それで、もし民営化になるとすれば、その経営者たちに参考になる程度の勉強をしておこうということを議論している最中であります。

 それから、さっきちょっと一つだけつけ加えさせていただくと、経営者、株主、資本の論理、金もうけだけ考えるというのは、必ずしも今はそうじゃないんです。かなり色濃くステークホルダー、さっき申しましたように地域社会への貢献とか従業員とかお客様とか、そういうものをみんな考えて、その中には資本もありますけれども、それのある程度バランスをとりながら考えるのが経営者であり株主ですから、それほど単純な、お金だけでは決して動かないということが一つ。

 それからもう一つ、さっきからお話を聞いていると、郵便局のネットワークが非常に重荷になるという前提で議論が進んでいるんだけれども、私は、あれは非常に潜在力のある、日本列島にまたがる唯一の営業資産だというふうに、公社では入って以来言っているわけです。ところが、それが余り生かされていない。それを生かすことを考えることによりましてもう少し価値を生むことができるんじゃないか、そうすると金融ももっと使いやすくなるんじゃないかというようなことを考えているということをつけ加えさせていただきます。

中塚委員 だから、それは公社でやっているからそういうことなわけで、それをばらばらにした上で郵便貯金銀行というのをつくって、果たしてそれでうまいことやっていけるかどうかというと、私は別なんじゃないかと。

 だって、銀行は銀行でしょう。銀行は銀行ですよ。それは、それこそ経営者の良心に従って、やはり田舎でもサービスしなければいかぬ。それは企業だって、レピュテーショナルリスクというのがありますから、余りひどいことばかりすれば人気もなくなる、株も下がるということなので、そういうことにはならないと思いますけれども、でも、それでもやはり銀行になってしまえば銀行の論理で動いていくというのは、それは当然のことだと思うわけなんですね。

 いずれにしても、きょうは時間が来たのでこの程度で終えますけれども、今いろいろと郵便局の配置の計画をしているということを御答弁、プランニングしているというふうなお話もありましたから、ぜひまた次回はその辺について詳しくお聞かせをいただきたい。特に、やはり私は、都会の郵便局の今後の動向、それについて再度お伺いをしたいと思います。

 以上で終わります。

二階委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 岩國哲人でございます。民主党を代表いたしまして質問いたします。

 まず最初に、細田官房長官。先ほども、この国会の審議時間、国会の立場に対してコメントをいただきました。立法府に対しては最大の敬意を払っていらっしゃるということでありますけれども、立法府に対する最大の敬意というのは、誠意ある答弁、誠実な答弁こそ私は最大の敬意ではないかと思うんです。

 この委員会の三日間、四日間は一体何だったでしょうか。そして、三日間の我が党の質問に対しましてけさいただいたのは、この四つのおわびです。三日間におわびの四連発。今までも大臣初めいろいろな方からおわびがありました。この委員会はおわびの回数が余りにも目立ち過ぎるんじゃないでしょうか。こういうことについて、細田官房長官、御所感をお願いいたします。

細田国務大臣 御質問、答弁のやりとりの中でさまざまな実態についての議論が進んでおりますことは、非常に国会御審議のまた意味が大きいと思っておりますし、政府といたしまして、いろいろな誤りがあれば修正していくということも大切なことであると思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

岩國委員 今までも、何回、そしてこの三日間で四回、こうした政府側の答弁の非常に誠実さが足りない、正確さも足りない、また、答弁席へ歩いてくるその歩き方も遅い、こういうことも含めて、本当にこれが内閣の最重要法案なのかどうか。私は、この点、大いに反省していただきたい、そういうふうに思います。

 そして、おわびをいただくたびに、そこから審議のまたやり返し、後戻りして。おわびを引き出すために使われた時間、これからおわび一回ごとに十時間のロスタイムを、委員長、私は要求したいと思います。この特別委員会における審議時間は、おわび一回ごとに十時間ずつ補てんしていただきたい、失われた十時間というものを。しかもそれは、質問者だけではありません。この五十人近い、我々も含めて全部そのロスタイムの被害者なんです。このことはぜひ理事会でお諮りいただきたいと思います。

 こうした、質問をして、何度も何度も質問し、そしておわびがやってくる。質問するたびにおわびが特別送達でやってくる。何回やってくるんですか。きょうも幾つかのあしたのおわびの材料が残っておりますでしょう。特別送達が、生田総裁、これからの一つの懸念事項として挙げられておりますけれども、こんなおわびが特別送達でやってくるような委員会というのを、私はこの九年間国会におりますけれども、今回ほどひどい委員会を見たことはありません。私以上に経験のおありの方は、いや、もっとひどいのがあったよと、あったらぜひ教えていただきたい。そのことをまず最初に申し上げ、ぜひとも理事会において、このおわび一回ごとにどれだけのロスタイムを入れていただけるのか、我々全委員に対してきちっと回答を出していただきたい、そのように思います。

 きょうは全銀協の代表の方にわざわざおいでいただいておりますので、まず、全銀協の皆さんが、昨年の四月、自民党に対して、八月に公明党に対して、我々民主党に対しては十一月、決して遅いからといって苦情を言っているつもりはありません。最も新しい感情、御意見を聞かせていただいたという点で我々民主党も感謝しております。その要望事項、お手元にお配りいたしましたけれども、数多くの要望事項、そして昨年の九月二日付で全銀協として、全国銀行協会、そして全国地方銀行協会、社団法人信託協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、農林中央金庫、連名でこの決議文も発表していらっしゃいます。

 これに関連してお伺いしたいのは、全銀協として郵政民営化に関し、自民党、公明党、そして民主党その他の政党にそれぞれ申し入れをされたわけですけれども、その内容について、今でもこの御意見に変更はありませんか。まずその点を確認させてください。

斉藤参考人 ただいま先生から御質問のございました、この全銀協の考え方についてその後変更がないかというお尋ねでございますけれども、これが最後の考え方の開陳でございます。それ以後に変更はございません。

岩國委員 というお答えをいただきましたのでお伺いいたしたいと思いますけれども、これらの決議文、要請、申し入れに対して今回のこの民営化法案というのは、全銀協の立場からこれはほぼ受け入れられる、全面的に受け入れられる、そのようなものになっておるかどうか、御意見を聞かせてください。

斉藤参考人 政府案について、全銀協の要望を満たしているかという御質問かというふうに承りました。

 全銀協におきましては、かねてから主張してまいりましたのは、公正な競争条件の確保であるとか、具体的には、政府保証の廃止、納税義務の賦課、預金保険制度への加入、民間金融機関と同一の監督下に置くこと、こういうようなことについては、今回の政府案についてはおおむね確保されたものと認識をいたしております。

 また、適切なリスク遮断の観点からは、四分社化による事業間のリスク遮断、あるいは新旧勘定の分離を図る等の措置が講じられることは、少なくとも前向きな方向であるというふうにとらえております。

 以上でございます。

岩國委員 こうした、九月十日付、全銀協の名前でこれはホームページにも掲載していらっしゃいます。この中でいろいろな項目を挙げておられますけれども、規模の縮小、これについては受け入れられるということですか。二番目に、規模縮小を図るための具体的な仕組みが明示されていないことについて懸念があると、この懸念は解消されたということですか。三番目、民有民営の定義、これは、全銀協の皆さんは民有民営というのはどのように解釈していらっしゃるのか。そして、今の民営化法案はその線に沿ったものになっておると納得しておられるのか。

 この三点、お願いします。

斉藤参考人 「規模縮小を図るための具体的な仕組みが明示されていない」という御意見を申し上げました。それから、「貸付等が段階的に拡大できるとされていること」について問題であるということを申し上げました。それから、「「民有民営」の定義、「銀行法の特例法」における規定、「公社勘定」の資産を新契約と一括して運用すること等については、その内容次第で対等な競争条件の確保が困難となること」ということをこの場で申し上げております。

石破委員長代理 斉藤参考人、どうぞ前の列でお聞きください。

岩國委員 全銀協としては、昨年九月十日のこうしたいろいろな要望事項に対して、すべて受け入れられる、そして民営化法案については反対する理由は失った。この郵便貯金銀行が全銀協に加入を申請された場合には、もちろん、何の条件もつけずにその加入を認められるということでよろしいでしょうか。

 そして、ついでながら、東京都の石原銀行あるいは木村剛銀行、こういう最近話題の銀行については加入の申請がなされておるか、あるいは、申請されたけれどもそれは受け入れられなかったのか、それもあわせてお答えいただけますでしょうか。

斉藤参考人 お答えをいたします。

 まず最初に、全銀協に加入の条件でございますが、これは、私ども理事会がございまして、理事会で了承をすれば入れるということでございます。

 そして、この加入の際にどんな条件があるかというのは、規則上は一つだけでございまして、これが、本邦における銀行業の免許を受けているんだということだけでございますけれども、具体的には、これは民間の金融機関の集まりということでございますので、ここに例えば非常に国の関与のある銀行とかあるいは公的な資金が入っているような銀行さん、こういう場合に、それでも構わず入れるかということになりますと、ここは、審査のところではやはり問題が起きてくるんだろうというふうに思っております。これが一つでございます。加入の条件ということで無条件に認めるかという話については、以上のお答えでございます。

 それからもう一つ、日本振興銀行とか、それから新銀行東京のお話も多分念頭におありになるのかなというふうに思いますけれども、ここは加入の申請というのは特にございません。今、外資系で入っている銀行では、シティバンクとJPモルガン・チェースの二行が正会員ということで入っております。それから、三十九行が準会員として加盟をいたしております。それから、日本振興銀行は準会員ということで昨年の四月に加盟いたしておりまして、新銀行東京は加盟いたしておりません。

 以上でございます。

岩國委員 それは、全銀協発足以来、今まで加入を申請して受け入れられなかった銀行は過去においてありますか。

 そして、何度も何度もおいでいただいて恐縮ですから次の質問もさせていただきますけれども、全銀協に加入している銀行はすべて預金保険料を支払うということが義務となっているのか、なっていないのか。常識的にはなっているだろうと私は思いますけれども、預金保険料を、例を挙げて、年間一番多く払っている銀行はどこの銀行で幾らなのか、一番少なく払っているのはどこの銀行で幾らなのか、それを御説明いただきますと大体の規模がわかると思います。その点、よろしくお願いします。

斉藤参考人 お答えをいたします。

 最初の御質問でございますけれども、全銀協は昭和二十年に設立をいたしておりますけれども、設立以降で、加入申請があってお断りをしたという事例はございません。

 それから、預金保険のお話でございましたけれども、預金保険についての個々の保険料が幾らかというようなことは承知をいたしておりません。

 それから、預金保険に入っていることが全銀協の資格と関係するかという御質問もあったかというふうに受けとめましたけれども、これは特にリンクづけていないということでございます。

岩國委員 そうすれば、全銀協に加入していながら払わない銀行があったとしても、その会員資格は停止されることはないというふうに理解してよろしいですね。

 それからもう一つは、預金保険料を年間幾ら払っているかということは経営上のそんなに極秘事項なんでしょうか。有価証券報告書にも発表しない、銀行以外には一切公表されていないことなんですか。つまり、全銀協という協会の加入団体が、それぞれの銀行がそういう預金保険を幾ら払っているかという基礎的なデータというのは、常識的には当然持っていなきゃいけない、こう思うわけですけれども、それを、全銀協としてはそういう数字を所有していないということを確認していただきたいということ、有価証券報告書その他にも一切外部には公表されていないということも、その二つを確認してください。

石破委員長代理 金融庁佐藤監督局長。(発言する者あり)委員長が指名しております。

佐藤政府参考人 預金保険制度にかかわる話でございますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 全銀協に加盟しているかどうかということと、預金保険制度に義務的に加入しているかどうかということとは別の基準で行われておりますので、日本国内に本店を置く民間預金取扱金融機関というのは、預金保険制度の加入が義務づけられているということでございます。

 それで、お尋ねの、全銀協の会員で預金保険料を支払っていない銀行というのが幾つかございます。それは、一つは、預金保険制度に加入していない外国銀行の在日支店、これは払っておりません。それから銀行持ち株会社、これも払っておりません。あと、破綻処理にかかわる銀行、中間的な特別な位置づけでございますけれども、特別危機管理銀行は払っておりません。つまり、今でいいますと足利銀行というのは払っていないということでございます。

岩國委員 私の先ほどの質問は、全銀協の斉藤常務に、全銀協という組織を運営しながら、加盟銀行が払っているか払っていないかということさえも把握していないのが実態なのかということを確認していただきたいということ。

 二番目に、各銀行は、有価証券報告書、そういったものについて、これは、悪い総会屋に幾ら払った、そんなことは発表したくないでしょう。しかし、堂々と預金を守るために払っている正しいお金、必要なお金をなぜ公表できないのか、一体そこにはどういう哲学があるのか。この二つを教えてください。

斉藤参考人 お答えをいたします。

 ただいまのお話にもございましたけれども、預金保険の制度そのものというのは、全銀協とリンクをしていないというのはただいまお答えがあったとおりでございまして、全銀協としてどれだけの経営上の計数を把握していくかということにつきましては、全銀協の運営上必要な数字であるかどうかということに係るわけでございまして、今までの段階で、この辺のところを個々につかむということがどうしても全銀協の運営上必要であるという状況がなかったということがあるのかもしれません。

 いずれにしても、なぜそれをつかんでいないんだという御質問でございますので、そこのところに明快なお答えにはならないと思いますけれども、この数字については、把握していなかったという事実だけが残っていると、こういうことでございます。

 それから、有価証券報告書への記載というお話については、これもちょっと全銀協の立場として、私として、それがなぜ有価証券報告書に個々に記載しないでいいんだろうかという御質問については、ちょっと私どもの方からお答えする立場にはございません。

岩國委員 この質問は通告してあります。なぜ、お出かけになる前に、一つの銀行だけでもいいから、有価証券報告書に記載してあるかどうかぐらいのことを、調べてお出かけいただくのが常識じゃないかと思います。時間があったのに調べない、調べたくないというのは、何か別な理由でもあるんですか。

 次に質問を変えます。

 この郵便貯金銀行が銀行協会に加入する、そして預金保険料を払う。預金保険機構の方にお伺いいたします。年間幾らというふうに試算をしておられるのか。当然のことながら、入ってくるぞ、入ってくるぞ、あれだけ大きいものが入ってくる、楽しみに一日千秋の思いで待っていらっしゃるでしょう。その一日千秋の思いを少し数字で述べてみていただけませんか。

永田参考人 お答え申し上げます。

 この郵政民営化の関連法案によりますと、民営化初年度に納付されます預金保険料は、同法の施行日以降二月を経過する日までの預金の営業日平残に預金保険法第五十一条に規定する保険料率を乗じた金額とされております。

 政府においては、一定の前提のもとに試算をすれば四百億円程度の預金保険料になると見込まれているものと承知しておりますが、私どもなりに、前提を置き、郵政公社から公表されております十五年度の通常貯金残高の平均残高、これは約五十兆円でございますけれども、これに現在の保険料率でございます〇・〇八%を乗じて単純な機械的計算を行うと、ほぼ同額の金額が算出されるわけであります。

 ただ、お尋ねではありますが、現時点では、平成十九年度の法施行日以降二カ月間の一般預金等及び決済預金の預金平残というのがどの程度になるかはわかりませんので、見積額を正確に推測することは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

岩國委員 これは、骨格経営試算、そういったものについても郵貯銀行が払う数字というものが出ております。この試算の数字は、受け取る預金保険機構の方から見てもその数字はほぼ妥当だというふうに考えておられますか。

永田参考人 お答え申し上げます。

 私どもの預金保険法で定まっておりますところの預金保険料率、これを適用した上、計算するとこうなるということでございますので、計算としては妥当だというふうに考えております。

岩國委員 それではお伺いします。

 例えば百万円の預金をした場合に、今、利子に対してどれぐらいのその預金保険料のコストがかかっていますか。

 これは試算をしてもらいました、郵政民営化準備室の方で。百万円について幾らのコストになるのか、まあ、いろいろな前提は置いてありますけれども、これは、百万円について運用収益は八千五百円、預金保険料は七百五十円。百万円について七百五十円ですか。百万円について、今、一年定期というのは利子からいうと三百円。三百円の利子をもらうために七百五十円の保険を払うんですか。そういう計算になっておるのか。まして普通預金になれば〇・〇〇一%、つまり、一年間に百万円で十円玉一個もらうために保険料を幾ら払うことになるのか。お答えください。

永田参考人 お答え申し上げます。

 今の百万円当たりの御計算でありますが、確かにそのようになるんですけれども、時々によりまして利率というのは変わってまいりますし、現在の預金保険の料率というのは、これまでの何年間の結果といたしましてこういう料率が決まっておりますので、この時点では先ほどおっしゃったような関係になるかもしれませんが、時代が変わればまた違う状態になるということだろうと思いますので、制度として御理解いただければありがたいと思います。

岩國委員 一般の人が聞いたら、これは全くわからない話ですよ。そうした、政府の準備室が試算した、十年分の預金保険機構にこれだけ払いますという数字を具体的に出しているでしょう、試算として。そしてあなたは、先ほど、その試算は妥当なものだと思っていらっしゃるわけでしょう。全く違っているんだったら、受け取る側からして、こんなにたくさん要りませんよ、一けた違いますとか、そういうことをおっしゃらなきゃいかぬでしょう、みんなで議論しているわけですから。(発言する者あり)だから、もっといただきたいんだったら、もっと上げろということを言わなきゃいかぬし、そして、今のこの七百……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。そういう、一年間定期にして、一年間お金にただ働き、まあただ働きということはありませんけれども、一年間百万円のお金が働いて、もらってくる給料が三百円、そしてそれに対して払う保険料が七百五十円、今はそういう異常な状態だということですか。世界のどこの国でもこういうことをやっているわけですか。この三百円の利子をもらうために七百五十円の保険を払わなきゃいかぬのか。まるでそれでは、銀行にお金を預けるということは、預金保険料を払うためにお金を預けに行くようなものでしょう。こういう試算は本当に正しいんですか。この試算が全然違うんだったら、我々は今ここに骨格経営試算とかいうものをいただいておりますけれども、あっちもこっちも全部これは検証して歩かなきゃいかぬ。

 そして、この預金保険機構に郵貯銀行が大きな保険料を持って入ってくる、そうすれば、全銀協加入の銀行は今までの保険料率よりもうんと安くなって経営が楽になるという考え方もあるんじゃないですか。とすれば、これは現在の料率で計算しておりまして、将来の数字などは考えたこともありません、私はそんなことはあり得ないと思うんです。本当にまじめに仕事をしておられるんだったら、預金保険機構のこれからの維持管理、これからの料率を少しでも下げて国民に奉仕したいという気持ちが少しでもおありになるならば、骨格試算のこの数字をもっともっとたたいて、吟味してやらなきゃいかぬでしょう。

 全銀協の斉藤常務理事も同じことですよ。銀行協会の利益団体の代表であるならば、保険料率を少しでも下げるような努力をしているのか。こういう要望だけ出すときは熱心ですけれども、そういう保険料率を、これが入ってきたらどれだけ下がるということを試算し、そしてそれに対して、この銀行は加入させた方がいいのか、加入させれば大きなリスクを抱え込むから、むしろ銀行協会の外にいていただいた方がいいのか、私が経営者だったら当然そんなことを考えますよ。入ってきた方が今までの仲間にとっていい話なのか、持参金をたくさん持ってきていただいて、いやいや、その持参金というのは、あのつづら箱の中には借金の証文ばかりいっぱい入っておるから、とんでもない、これは家へ入ってもらっては困るんだ、そういうことなのか、そういうことを考えるのが私は全銀協だと今まで思っておりました。

 そして、預金保険機構にしましても、こうした料率については、今現在はこうだということであれば、政府の準備室が出しているこの十年間の試算というのは、毎年毎年、一千何百億というのが出ています。これは一体、どういう試算を準備室はどこから持ってきたのか。全銀協からもデータは来ない、預金保険機構からもデータは来ない、一体、どういう専門家のデータをもとにしてこの預金保険料十年間の試算というのはできているのか、竹中大臣、お答えください。

竹中国務大臣 この試算でございますけれども、これは、旧契約については政府保証が引き続きつくわけでございますから、新契約分の当初の預金額を五十兆円、そして預金保険料率を〇・〇八三%、これは現在の一般預金等決済預金以外の預金にかかる料率でございますけれども、これと仮定して計算をしたものでございます。

岩國委員 そうすると、それはことし一年ぐらいもつ数字であって、一体、十年先をどうやって試算されたんですか。全くおかしな、二年目、三年目、四年目、五年目はどういう料率を掛けておられるのか。どうぞお答えください。

竹中国務大臣 これは、率は一定というふうに置いております。そして、先ほどの〇・〇八三%という料率は一定であるというふうに仮定をして計算をしております。

岩國委員 そうすると、我が国の一般預金者に対する対応というのは、払う利子よりも多い保険を負担させると。〇・〇八三ということは、〇・〇三よりも二倍、三倍大きいわけです。一の利子をもらうために三のコストを保険として払わされるのか。こんな保険業務というのはあるのでしょうか。私は全く理解できません。

 次に、竹中大臣に関連して、土曜日の夜のテレビで、竹中大臣、その番組に出ておられて、たまたま私は見ておりました。そこで、貯金を幾ら持っていらっしゃいますかということで、少しですけれども持っていらっしゃるというふうにお答えになっていました。大体アバウトで結構です、どれぐらい貯金は持っていらっしゃるんですか。

竹中国務大臣 必要な情報は資産公開で開示しているとおりでございます。

岩國委員 私はそのとき気になりましたのは、竹中大臣は貯金を持っておりますと言われたんですね。預金についてはお触れにならなかったんです。貯金と預金はどのように竹中大臣の頭の中では区別されているんですか。貯金と預金の違いを御説明ください。大臣がお答えになったその貯金は持っているということは、貯金以外に預金も持っているという意味で貯金はありますとおっしゃったのか、あるいは預金も貯金も一緒にして貯金とおっしゃったのか、その点に私は関心があるんです。どうぞお答えください。

竹中国務大臣 厳密な経済の番組、政策の番組ではございませんので、聞かれた方が貯金と言われたので、貯金、預金あわせた概念としてそのときはお話をしたと思います。(岩國委員「それで区別は、頭の中で貯金と預金はどういうふうに区別して使っていらっしゃるんですか」と呼ぶ)

石破委員長代理 伊藤国務大臣。(岩國委員「竹中大臣に伺っています」と呼ぶ)

伊藤国務大臣 今、委員長から御指名をいただきましたので。

 預金、貯金の定義につきましては、法令における明文の規定はありませんが、法令における用法を見ますと、預金は、銀行、信用金庫、信用組合等、郵便貯金は日本郵政公社、貯金は、農業協同組合等がそれぞれ受け入れるものに用いられております。いずれも、金融機関を相手とする金銭の消費寄託であり、法的性質は同じものとなっております。

岩國委員 竹中大臣、こういう貯金と預金の区別さえ、ほかの大臣にお願いしないと説明できないんですか。あなたはいろいろなところで講演もしていらっしゃる。学校でも、わかりやすい経済教室、わかりやすい経済教室の根本は、貯金か預金か、これが一番大事なことじゃないですか。株式と債券の違いのように、わかりやすく説明できなきゃいかぬ。なぜ貯金と預金が、書類を見てみたり、ほかの大臣に頼まないと答えが出てこないのか。私は、テレビで貯金とおっしゃったから、それに絡んで説明するチャンスを今差し上げているわけです。ああなるほど、竹中大臣はうまい説明をされるなとそれを期待しておりましたけれども、なぜ貯金と預金の区別の説明をお避けになるのか。

 それでは、全銀協の斉藤常務にお伺いします。この貯金と預金の区別はどういうふうに理解しておられますか。

斉藤参考人 お答えをいたします。

 預金と貯金の区別についてでございますけれども、ただいま大臣からもお答えがございましたが、預金と言っておりますのは、銀行とそれから信用金庫、信用協同組合、労働金庫でお預かりいたしております金銭消費寄託契約でございまして、農業協同組合それから漁業協同組合、日本郵政公社では貯金という名称で取り扱っております。

 預金と貯金につきましては、ただいま申し上げましたように同じ法律効果でございまして、表現の違いはございますけれども、経済効果に差異はないというふうに承知をいたしております。

岩國委員 経済効果に差異はないということですけれども、竹中大臣、貯金と預金はどっちが安全なんですか。一般の人はどういうふうに理解していると理解しておられますか、お答えください。

竹中国務大臣 私が答えなかったのは、つかさつかさで御担当の金融大臣にお任せしたわけでございますので、預金と貯金の違いは、ちゃんと御心配いただかなくてもわかっております。

 御質問は、一般の方がどちらが安心と思っているかということだと思いますが、いろいろな方はおられると思いますが、預金と貯金を余り区別しておられない方も多いのではないかなというふうに思います。私にテレビで質問されたタレントの方はやはりそうだったと思いますし、そういう方が多いのではないのかなと思います。人によっては、貯金という場合、郵便貯金は政府が保証しているからこれは安心だと思う方もあるかもしれません。

岩國委員 では、伊藤大臣にお伺いします。

 銀行へ行って我々がもらうのは預金通帳ですね。銀行で貯金通帳も発行できるのかどうか、端的にお答えください。――大臣に聞いています、大臣に。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関が商品にどのような名称を用いるかということは、基本的には経営判断の問題だというふうに思っております。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、預金も貯金も金融機関を受寄者とする金銭の消費寄託でございますので、法的性格は同じということでございますので、そういった観点から、どのような商品名をつけるかということについては経営判断の問題、したがいまして、貯金というような商品名をつけるということについても、特に基本的に差し支えはないのではないかというふうに思っております。

岩國委員 伊藤大臣、これはそんなに難しい問題じゃないと思うんです。一般の人に、銀行へ行って貯金通帳をもらえるんですかと聞かれたときに、あなたならどう答えるかという程度の話なんです。それをわざわざ、局長だか部長さんだか知りませんけれども、そういう方を呼ばないと自分の知識が頼りないというんでは、私は日本の金融行政は危ないと思いますよ。竹中大臣のように預金と貯金の区別がすぐに説明できない、銀行は預金通帳か貯金通帳どっちを発行できるのかそれも即答できない、こういうことでは、一体どうなっているんですか。

 もっとわかりやすく、例えば今、郵便貯金銀行というのをつくろうとしているわけでしょう。貯金銀行という看板を書く人、あなた方じゃないですか。そして、銀行と書いたら、銀行法には何と書いてあるんですか。預金を扱うと書いてあるでしょう。つまり、扱わない貯金を看板に掲げさせようという大胆不敵な発想を持っておられながら、なぜ貯金と預金の区別さえも吟味されなかったんですか。全くうかつに書いちゃったということなのか。貯金と預金では、みんなどっちでもいいから、そのときの気分でつい貯金と書いちゃって、その法案を郵便貯金銀行とこうやって持ってきましたという程度の非常に軽い、楽なお話なんですか。

 それは十分に吟味された上で郵便貯金銀行という看板をかけるという決意は、つまり、全銀協に加入している銀行で貯金通帳というのを発行しているのを私は見たことがありません。全部試したわけじゃありません。しかし、お調べになれば一行もないはずですよ。その仲間に、貯金通帳を発行しますという仲間が入ってきたらどうするのか。貯金と預金と両方できるのはこの銀行だけですと言ったときに、アピール度はどうなる。私は、自分で銀行をつくったらそういう宣伝をしてみたいと思います。日本で初めて貯金と預金が両方扱える銀行ここに誕生、お客さんがたくさん来ると思いますよ。つまり、それがねらいじゃないですか、郵便貯金銀行は。

 貯金が扱えないということをわかっていながら、先ほど貯金通帳も出せるとおっしゃいましたけれども、今この議論を聞いて、あしたから、では私のところは貯金通帳で貯金も扱いますと言って、金融庁はそれを差しとめるということはしませんね。両方ともやっていいということをあなたははっきりおっしゃったわけです。経済的には差がない、預金も貯金も両方扱えます、すばらしい答弁ですよ。あしたから、次々と今度は貯金という新商品が銀行界に誕生することになるでしょう。伊藤大臣、そういう理解でいいんですね。

伊藤国務大臣 先ほども答弁をさせていただいておりますように、貯金と預金について、その法的な性格は同じでありますので、そういう観点からすれば、どのような商品名をつけるかは、これは経営判断の問題であると考えております。

 ただ、商標登録の問題がございますので、これは私の所管でございませんけれども、その商標登録という観点からここは一つ議論のあるところではないかというふうには思います。

岩國委員 では法務大臣、お伺いします。

 まず、げたしか売らないげた屋さんが靴屋という看板を掲げて靴の組合に加入できるのか。靴もげたも同じ履物だ、都会ではちょっと違いますけれども、田舎へ行けば同じようなものですよ。そうすれば、同じようなものだから履物に変わりはないでしょう。たとえ靴屋という看板を掲げたって、私のところはげたしか売っていません、そんなところでも靴の組合に入れるのか、げたの組合に入れるのか。掲げている看板は靴としか書いていない。

 この郵便貯金銀行というのは、明らかに、貯金通帳を発行する計画はない銀行でしょう。すべてこれは銀行法の適用を受けて、預金という預金通帳しかない。ある変わった人は、私はおじいさんの代から貯金以外してはならないと遺言に書いてあったから、何が何でもこれは貯金通帳を発行してもらわなきゃ困るんだと言って、郵便貯金銀行に行ってこれは受け入れてもらえるならともかく、受け入れないというのがこの郵便貯金銀行であるならば、これは商号登録は認められるんですか、明らかに、そういう世間一般に誤解と混乱を招くような名前は。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 郵便貯金銀行の正式の名称、これは商号といいますが、につきましては、その設立の際、発起人たる日本郵政株式会社によって定められるものと承知いたしております。一方、会社の商号の定め方については、我が国は基本的には、商号に、それが用いられる企業の主体、内容などの企業の実態と一致することを要しないとする商号自由主義の立場をとっております。

 このような商号に関する基本的な考え方からしますと、郵便貯金銀行の商号が郵便貯金銀行株式会社として定められたとしても、この商号に係る登記は許されるものと考えております。

岩國委員 それは、世間一般では、貯金というのは政府の保証がついているものと、これは、明治二十三年に郵便貯金ができてから、そういう前提、そういう信用でもって今まで受け入れられてきたんです。貯金という言葉は、法律的には預金も貯金も同格、私もそう思います。しかし、経済的には、暮らしの感覚の中では、信頼感の中で、安心感の中で、貯金というのは政府の安心がついている。だから、おじいさんはそういう遺言を残していくんですよ。預金してはならない、必ず貯金をしなさいと。親孝行のお孫さんはどうするんですか、これは。貯金銀行へ行って預金通帳をもらってきて、お盆が来たら、おじいさんのお墓の前でどうやって報告するんですか、今まで親不孝を一遍もしたことのない息子は。

 そういういいかげんな名前をつけさせるのがいいのか、なぜ貯金という名前を削れないのか。法務省としては、商号自由主義、何でも勝手におつけなさい。しかし、世の中の混乱を起こさせないのが法務省の仕事でしょう。何でも自由にやりなさいだったら法務大臣は要らないんですよ、はっきり言って。法務省も要らない。法務省が要るのは、法秩序で社会的な混乱が起きてはならない、それだからこそ法務省は存在しているんでしょう。その一番の最高責任者が、こういうありもしない商品を掲げて貯金銀行と今から出ようとするときに、ちょっとそれはお考えなさいと言うのが法務大臣の役目じゃありませんか。それでもこれは認めるとおっしゃるのかどうか、お答えください。

南野国務大臣 先生御質問の、登記を認めるかどうかということは、これは、公序良俗に反するかどうか、取引を混乱させるおそれがないかどうかといった観点から判断するわけでございますので、預金も貯金も金融機関を受託者とする金銭の消費寄託を意味するものと考えられますので、このようなことを考慮しますと、公序良俗に反するとは言えないわけでありまして、したがいまして、登記をする上で問題はございません。

岩國委員 それでは、全銀協にお伺いします。

 全銀協のメンバーの中に、貯金という名前を使った銀行はありますか。ないはずでしょう。仮に、この貯金銀行という名前の銀行が加盟を申請すれば、名前についても何の異議も申し立てないでこれは加入を認められるのか。三番目。日本政府投資信託銀行という銀行が設立されて、投資信託を銀行の信用を使ってどんどんどんどん売ろう、そういう銀行が加盟してきても、それも受け入れられるのか。その三つをお答えください。

斉藤参考人 お答えいたします。

 三点御質問がございました。

 一つは、銀行窓口といいますか、銀行で貯金というものを扱っているところはあるかということだと思いますけれども、これはございません。全銀協の加盟の銀行の中で貯金を扱っているところはございません。

 二点目の御質問でございますが、貯金銀行という名前を冠した金融機関が全銀協に入ろうというときに認めるかというお話につきましては、これは検討してみたことがございません。申しわけございませんけれども、ちょっと私、回答ができません。

 それから三点目でございますが、政府系金融機関が加盟を申請したらどうするかと。これにつきましては、私どもの統一見解というわけではございませんけれども、私自身が感じるのは、全国銀行協会というのは、全国の銀行が集まってきて、しかもそれは民間金融機関が集まってきて、いろいろな施策についても検討するし、基本的には決済のインフラをつくるということで日本の経済を支えているつもりでございますけれども、そういうところでございますので、そこに、政府系の金融機関、あるいは国家の意思が経営に反映されるような部分が入ってくるということについては、銀行協会にとっては相当抵抗感の強いことでございます。

 以上でございます。

岩國委員 斉藤常務、ありがとうございました。相当勇気の要る御答弁だったんじゃないかと私は思います。きょうは全銀協の会長にお願いしましたけれども、どうしても公務ということで、やむなく常務理事に御出席いただきまして、その点は大変感謝しております。

 しかし、今の点について、加盟銀行の中に貯金という商品を扱う、そういう計画を持った銀行が入ってくる場合にも、それは加盟を認めるのか。貯金という看板で、貯金の信用を利用して競争上有利な立場で営業を展開しようとする銀行があった場合に、その名前にも異議を申し立てないのか。この二つについて、全銀協として一日も早く、この審議の途中に間に合うように意見を表明していただきたい、そのことを要望しておきます。

 次に、伊藤大臣にお伺いします。

 この郵便貯金銀行の管轄は伊藤大臣の方へ多分なられるわけでしょう、銀行のいろいろな行政指導は。今の三菱銀行とかそういうようなものと同じように。そうですね。とすれば、この郵便貯金銀行の営業計画、業務計画の中に、預金以外に貯金も扱うということをはっきり計画に書かれておるのかどうか。それは議論された上で、ダブルでいこう、預金以外に貯金も扱おう、だから郵便貯金銀行、この看板を使っていこうという説明がなされ、また、そういうことで了解しておられるのか。大臣、お答えください。

伊藤国務大臣 預金、貯金というのは、先ほどもお話をさせていただいたように、法的性格は同じであるということ、それから銀行法上は、「銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない。」とされているのみであります。

 これを踏まえますと、民営化後に郵便貯金銀行という商号で銀行免許を与えることに、銀行法上の問題はないものと考えております。

岩國委員 要するに、銀行という名前だけが義務づけられているということは、それが私は一番すっきりしていると思うんです。投資信託銀行だとか生命保険銀行だとか、こういう紛らわしい、紛らわしいどころか、売りもしない商品を掲げてお客さんを窓口に吸い寄せて、そしてその営業を拡大していこう、こういう銀行が出てきたら混乱するばかりじゃありませんか。

 はっきりと、貯金という商品は扱わないのだということをここではっきりとお答えください。

伊藤国務大臣 先ほど来、貯金と預金ということは法的性格は同じでありますし、また、どのような商品名をつけるかということについては、これは経営判断の問題であると考えているところであります。そして、銀行法の規定も先ほど御説明をしたとおりでございますので、郵便貯金銀行という商号で銀行免許を与えることに銀行法上の問題はないと、重ねての答弁で恐縮でございますけれども、私どもはそのように考えております。

岩國委員 明快に御答弁いただきましてありがとうございました。要するに、担当の大臣も担当の局長も、これから日本の銀行は貯金という商品を扱ってもよろしい、そういう名前の商品を扱ってもよろしいということをこの国会の場ではっきりと答弁されたわけですから、私はそれを踏まえて、次に麻生大臣にお伺いいたします。

 この三つの事業、これは分離しなければならないという方向で今この民営化法案は審議が進められておりますけれども、前任者である大臣はどういうふうに国会で答弁しておられたのか。この三事業は分離という方向を出しておられたのか。例えば、片山大臣は国会でどういうふうに答弁しておられたのか。その三事業分離ということはもう既に言っておられたのか。だれもそれを言った人はなかったのか。お答えください。

麻生国務大臣 明確に記憶をしておりませんけれども、するともしないとも明確なことを言っておられなかったのではないかと記憶します。

岩國委員 これは、三年前の六月、総務委員会で自民党の谷本議員、黄川田議員がこれについて質問しておられます。三年前の六月の総務委員会。そして、片山大臣、佐田副大臣がそれについて答弁しておられますけれども、この三事業一体で公社化に移行するという件につきましては、いろいろな説明がありました。三事業一体で、また、この三事業で成り立っておったという現実も踏まえて、これが国民の生活基礎サービスの郵便局ネットワークを活用して、そういう意味において非常に国民に密着しておる、こういうふうな現実も踏まえてこういうことが結論されたと私は理解しておりますと。つまり、公社化という一つの基礎は三事業一体であるということを、片山大臣もそして副大臣も答弁しておられるんです。そして、この国会がそういうふうにお決めになった。何度も御答弁申し上げていますように、一体的に実行しよう、全体として三事業一体でやろう、これはとりあえず公社に移行してそれを実現しよう、こういうことが決まったわけであります。

 三年前の国会で三事業一体ということはこれほど明確に決められておるんです。麻生大臣も同じ考えでいらっしゃるかどうか、お答えいただけませんか。

麻生国務大臣 今の出しております法案自体を見ていただければ答えは明白でありまして、四事業、四つに分けるという形で法案を提出させていただいておりますので、その方向で事は進んでおりますし、私自身も、法案を提出させていただいた一人として、分社化という形で考えております。

岩國委員 こういう、同じ政権でありながら、内閣がかわるたびに考え方がころころくるくる変わるのでは、一体我々は何を信用したらいいんですか。同じ小泉内閣の中で、三年前の総務大臣が、公社化にするために、三事業一体で遂行するために公社化でやるんだということを説明し、国会の皆さんに決めていただいたと感謝されながら、三年たったら、大臣がかわったらまた別のお話が出てくる。三年たったら今度はまた別の大臣で、あの民営化は失敗だったから、今度は公社化へ後返りします、法案はたった一行、会社はすべて公社と読み直す。すばらしい、短い公社化法案、公営化法案。そのために、郵便貯金という名前もそのまま残してあるし、郵便局という名前もそのまま残してあるし、郵政という名前もそのまま残してあるし、三枚の昔の看板が、三年たったらいつでも後返りできるようにこういうふうになっておるのかと疑いたくもなります。

 なぜ、こんな大事な国の方針の、国民生活に密着しておるとまで総務大臣がはっきりと認識しておられる大切なサービスを、わずか三年で、しかも、公社化で、生田総裁の経営手腕が非常に貧弱で次々とその欠点が出ておるということでも全くないわけでしょう。生田総裁がさっきから一生懸命説明されておる。私は、この特別委員会に入る前までは、それほどの実績、高い成績を上げておられるということを、残念ながら我々議員も評価不十分でした。そのことを率直に恥じ、おわびしたいと思います。

 そして、その民間の感覚を使って、ムダ、ムリ、ムラ、こういうものを直す。それは、私が若い新入社員のころ新入社員教育で受けたそのものが、すべて民間のサラリーマン、順序は違っておりました、ムダ、ムラ、ムリ、まとめてダラリの法則と言っておったんです。そういう形で我々は覚えて、そして、日常業務の中でムダ、ムラ、ムリを省く、それを実行しておられると聞いて、私は我が意を得たような喜びを覚えました。そういう実績を細かいところにまでやっておられる、これほどの総裁以下職員も。そしてもう一つうれしかったことは、入ってみて職員の優秀さがわかった、この職員に対する心遣い。

 こういう立派な経営が行われているのに、まるでこの二年間の公社経営が、あの三年前に、三事業一体でやるという方針に全く逆らったような結果が出ているならまだ我々わかります。そうでもないのに、なぜ三年の間にころころくるくる言うことが変わって、三事業分離がいい。そして今度は三年たったら、やはり三事業一体がいいからまた法案を出します、そして、暑い最中我々は集められてまたこれですよ。

 何度こんなことを繰り返すんですか。大臣、政治家として恥ずかしいと思いませんか、こういう内閣を支え、内閣の一員であって、しかも、三年前の大臣と全く違うことを言わなければならないということ。お答えください。

麻生国務大臣 今の話で、むだ、むら、無理という話は、お互いさまちょっとはサラリーマンをやりましたので、新入社員のときに最初にやられる方式で、ああ、どこでも日本じゅう同じなんだなと、今聞いていて、何かちょっと印象に残りましたけれども。

 今の後段の御質問のところですけれども、私どもの感じで、公社化と民営化というものは、これは全然基本的には違うというようなことも考えられる、これが第一点。違うんだと思いますが、基本的に、両方とも国営じゃぐあいが悪いというので公社化、それなりの成績は出た、確かだと思います。この二年間の生田総裁の経営に対する評価は私どもも極めて高い、このところで何回となく御答弁を申し上げたとおりで、その点に関しましては岩國先生と全く同じ意見だと存じます。

 ただ、この法案を提出するときに当たって、なぜ今民営化かと言われれば、先ほどのお話のように、郵便物というものに関して見れば、信書便に関しましては年間約五%前後ぐらい減っているんだと思いますが、そのほかをゆうパック等々で補って、トータルで二から二・五ぐらいのマイナスになっていると思いますので、そういった意味では、長期的にはということであるのであれば、今のうちに対策をすべきだというのもこれは見識の一つなんだと思いますので、いよいよになる前にというようなことを今の段階からやっておくというのはそれなりの見識なんだと、私自身はそう思っております。

岩國委員 三年間に急に郵便が減ったわけではありません。要するに、三年前の公社化法案のときの意図が、本当は公社化が一番いいものだという信念の裏づけが本当はなかったからじゃないんですか。公社化として、そして次には民営化に持っていこうということだからああいう法案でやっておる。そのときの説明が全部今ちぐはぐになってきているんです。

 そういうことに対して、まさにこれは政治不信、行政不信を招く一つの原因は、こんなに国民生活に密着した大事なインフラについて三年間で意見がころっと変わってしまう。民営化はいいとしても、民営化しても三事業一体でやるという選択肢はあったはずじゃないですか。三年前に担当大臣があれほどはっきりと二度も三度も繰り返された三事業一体というものがなぜ民営化の中で生かされないのか、その努力はされたのかどうか、私は大いに疑問に思います。

 次に、全銀協の斉藤常務理事にお伺いします。

 この郵便貯金銀行が誕生し、そして、全銀協の加入メンバーになって同じような銀行業務を展開される。その結果として、日本の中の預金口座を持っている人、預貯金口座を持っている世帯の数はふえるんですか、逆に減っていくんでしょうか。当然、全銀協だったら、自分たちの御商売のこと、寝ても覚めても、銀行を使ってくれる、銀行に口座をあけてくれる人がふえるのかふえないのか、一番心配なことはそうでしょう。小泉内閣が誕生してからどれだけ預貯金口座を持っている人が減ったのか。平成十三年、日銀発表のデータによると、一六・七%の世帯が貯蓄を保有していないんです。平成十六年、三年後にはそれが二二・一%にふえているんです。だんだん、口座を持てないあるいは持とうとしない人はふえている。

 これは、郵便貯金銀行が誕生し、そして、このスーパースターが銀行協会に加入することによって銀行に口座を持つ人が再びふえていく、そういう展望を持っていらっしゃいますか、それとも、さらにこの減っていくという傾向はとまらないと考えていらっしゃいますか。どうぞ、端的にお答えください。

斉藤参考人 お答えをいたします。

 銀行の口座数というのが全数調査なのかどうかしかと承知をいたしておりませんけれども、一定の傾向をあらわすものだということであろうかと思います。

 ただ、それが、郵貯銀行が発足してどういう形で営業されるかということについて、その他いろいろな動き方があると思いますので、申しわけございませんけれども、今、材料を持ち合わせませんので明確なお答えができないということで、申しわけございませんが、お答えをさせていただきたいと思います。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

岩國委員 突然のこととはいえ、全銀協で銀行の将来展望というものを一生懸命考えていらっしゃる方であるならば、こういった郵便貯金銀行が誕生することでどういう影響が出てくるのか、その結果として国民に対するサービスはふえるのか、もっと悪くなっていくのか、そういうことに対して公式の見解というものを一日も早く出していただきたいと私は思います。もうかなり具体的な案がこうやって審議されているわけですから、それに対して全銀協というところは、預金を使う人がこれでどんどんふえていく、その世帯数がもう限りなく一〇〇%に近づいていくのか、そのあるいはどんどんどんどんこの結果減っていくのか、これは大事な問題だと私は思います。

 今、そういう金融とか銀行のサービスというものは、かつてのように大きいもの、強いものにサービスするという時代は終わりました。二十一世紀、今、金融というのは、釈迦に説法ですけれども、小さいもの、弱いものに対するサービス、この役割がもっと重視されてくるんです。これは、ある意味の社会保障にも相当します。安心できるそういう金融サービスがある国とない国では、これは安心感が全然違ってくるんですから、世界で一番長寿化が進んでいる日本が、そういう安心、使いやすい、身近なところで、そして適切なコストで使える金融サービスが手に入るかどうか、これは大事な私は社会インフラだと思います。この社会インフラがプラスになるのかないのか、それについての端的な意見というものを早くおまとめになるべきじゃありませんか。

 そして、この郵便貯金銀行の誕生が逆にマイナスであるというならば、これは事を急がなくてはならないわけです。あるいは、何らかの大きな条件をつけなきゃいかぬでしょう。現に、この郵便貯金銀行については、限度額の引き下げということはどこにもはっきりとうたわれていないんです。要望された規模の縮小ということは、どこにも具体的、明示的に法案の中に何も出ていない。なのに、それに安心しておられるというこの楽観的なムードというのが私は全く理解できないんです。そのことを要望しておきます。

 次に、谷垣大臣にお伺いします。

 この郵政民営化によって谷垣大臣の財布にはどれぐらいお金が入ってくるのか。そして、今までのNTT、専売公社、国鉄、この三つの民営化と比べて、この郵政民営化は親孝行ぶりがどれだけいいのか悪いのか。長男、次男、三男、四男、次々と民営化して親元を離れていきます。離れていきますけれども、どれだけ親孝行してくれるんですか。今までの長男からこの郵政の四男に至るまで民営化のたびに、貢献度からいうとどれが一番国の国庫に貢献したものですか。そして、郵政民営化はどれだけ国庫の方に、つまり国民の財布に入ってくるのか。それが一つ。

 二番目に、地域貢献基金、一兆円とか二兆円とか、地域貢献基金がゼロの場合と一兆円の場合と二兆円の場合、あるいは五兆円の場合、どれぐらい国庫へ入るお金は目減りするのか。国庫へ入るべき利益が横取りされ、横取りというのは失礼ですけれども、横へ使われてしまって、国民の得べかりし利益がどれだけ失われるのか。お答えください。

谷垣国務大臣 まず、どれだけ国に親孝行するのかというお話でございました。これは二つあると思うんですね。

 一つは、税というのがございます。税が幾ら入ってくるのかというのは、これは、民営化したときの経営状態、そういうようなもので違いますので明確なことは申し上げられませんが、先ほどから御議論の、民営化準備室で一定の仮定をつくって行いました骨格経営試算をもとに計算がされておりますが、これは、初年度新たに課される租税の負担額は総額で約四千九百億円という試算でございます。一定の前提を置いてそういうあれをすれば、そのような額になるんだろうというふうに考えております。

 それからもう一つは、民営化したときの株の売却はどうなるかということがございます。それで、今まで、NTTそれからJT、これは売却予定分に相当する株式は国債整理基金特別会計に入った、それから、政府保有義務分に相当する残りの株式は産業投資特別会計にそれぞれ所属することとされたわけであります。

 それで、幾ら入ったかという数字でございますが、国庫にどれだけ収入があったのかということでありますが、NTT株式売却収入が十三・九兆円、それから配当金収入は一・一兆円、合計十五兆でございます。

 それからJTの方は、株式売却収入が一・一兆円、それから配当金収入が〇・二兆円、合計いたしますと一・三兆円でございます。

 それから、国鉄につきましては、昭和六十二年四月にJRとなったわけでありますが、その株式は、すべて旧日本国有鉄道清算事業団、ここに帰属するということにされまして、その株式売却収入それから配当金は機構に帰属しておりますので、国庫に帰属するものではございませんで、国鉄長期債務の返済財源に充てられているという形でございます。

 それで、今度の郵政の場合は、国家が保有する三分の一につきましては、骨格経営試算や同業他社の株式価値、企業一般の配当動向等を勘案して推計いたしますと、これも、そのときの株価や何かがありますから何とも申し上げられないんですが、国債整理基金特別会計に帰属する売却収入等は七、八兆円程度ではないか、それから、一般会計に帰属する配当収入は、移行期間十年間の平均で年二百二十から二百三十億円程度というふうに見込むことができるわけでございます。

 それからもう一つ、最後に、郵政民営化に当たりまして基金を出した場合、出さなかった場合、一兆の場合、二兆の場合、それぞれ国庫の収入がどのように変化するのかということでありますが、この基金は、毎事業年度の税引き後利益の一部を積み立てるということになっておりますが、この法案におきましては、企業一般の配当の動向を考慮して計算した額を一兆円に達するまで積み立てる、こういうことになっておりますので、基金積み立てが日本郵政株式会社の配当性向を損なうとか株式の価値に大きな影響を与えるようなことはないであろうというふうに考えております。

 それから、これを二兆円にする場合はどういうことかということでございますが、そこも同じように配当性向を考えて積み立てるということになっておりますので、そういう意味では、以上のような形によって株価にそう大きな変動はないのではないか、したがって、売却収入等々についても大きな変化はないというふうに考えております。

岩國委員 谷垣大臣、それは私は全く甘過ぎると思います。そうすれば、五兆円積んでも売却益には全然影響はないんですか。

 つまり、配当を払う上に基金を強制的に積み立てさせられる、これは第二の配当なんです。第二の配当負担があるとすれば、経営者としては、そういう義務がつけられている経営者と義務を負わない経営者とどちらがいいのか。株主としては、一株当たり利益というのは、その基金分、それだけ横取りされた後の利益で株価収益率を計算すると、一万円のものが七千円でしか取引されない、差額の三千円は、政府に入るべきキャピタルゲインがそれだけ失われるということなんです。これは少し株式市場を勉強した人はわかるはずですよ。

 今まで民営化を三回も経験しながら、そのたびに株式の売却益を国庫に入れて、既にそういう学習効果というものを持っていなきゃいかぬはずなのに、積み立てても積み立てなくても株価水準が全く同じなんということは、これは全くあり得ないんですよ。そんなことを一国の大臣が、これは共産主義の国の大臣ならあきらめますけれども、資本主義国の一国の大臣がこんなことを国会でおっしゃっちゃいかぬと思いますよ。株価収益率で修正するならば、一兆円の場合にはこれだけの損失、二兆円になればこれだけの株価における目減り、それをちゃんとシミュレーションすべきじゃありませんか。まるでだれも腹を痛めないかのように、一兆円が積み立てられて二兆円が積み立てられる。だれも痛みを感じないという錯覚を持たせているだけの話なんです。これはだれかが痛まなきゃいかぬのですよ、一兆円のお金が出ていくのに。そんな簡単なことが、谷垣大臣、おわかりにならないんですか。

 竹中大臣、仮にこの地域貢献というのは、地方自治体に対する負担もあるんですか、負担はないんですか。

竹中国務大臣 そのような地方自治体に対する負担を求めるということは考えておりません。

岩國委員 それでは、地方の郵便局を維持するために、この一兆円の運用益はすべて一〇〇%地方自治体の負担なしにこれは実行されるということですね、地方自治体の負担を求めないんですから。出雲の郵便局は、田舎の稗原というところに、山間地にあります。それを維持するためにぜひともこの基金を使いたい、どうぞどうぞ、そして出雲市役所の負担はゼロ、こういう理解を全国の自治体に持たせていいわけですね、負担を求めないんですから。どうぞお答えください。

竹中国務大臣 この基金は、地方の郵便局の設置を維持するためのものではございません。これは、地方で、ネットワーク価値が低下して、万が一にも金融サービス等が提供できなくなるような場合に、それについて金融の収支差額等々を地域貢献として行うものでありますので、郵便局の設置そのものは、これは設置基準によってしっかりと法律的な枠組み、省令も含めてつくりまして、そして、郵便局全体の中でしっかりと維持してもらうという仕組みになっております。

岩國委員 それでは、郵便局はしっかりと維持されていながらも、別の理由で、地域貢献という形でこのお金が使われるということはあるということですね。つまり、その地域のインフラサービス、社会的サービス、郵便局がありながらもそれでは不十分だというと、かつてのNTTのお金を全国自治体が一億円ずつ使ったとか、それと同じような性格で、郵便局のあるなしにかかわらず、その地域の郵便局の経営採算が悪かろうとよかろうと、それとは一応切り離して、判断でこのお金は地方自治体の負担もなしに使われる、そういうことでよろしいか、そういう理解でよろしいかどうか、お答えください。

竹中国務大臣 郵便局の設置そのものは法律及び省令で決まるわけでございます。その中で設置された郵便局で地域の貢献に必要な金融サービス等々がうまく行われない、そのような事態が生じた場合に、そういう金融サービス等を地域貢献として行うためにこの基金を使うということでございます。

 基金は、あくまで地域貢献、もう一つ社会貢献というカテゴリーもございますが、そういう形で使用することを想定しているわけでございます。

岩國委員 質問時間が終わりましたので、残念ながら私の質問は終わりますけれども、この地域貢献基金の使い方、そして、民営化に対する国民的な負担がどれぐらいあるか、はっきりと数字できちんと試算を出していただきたいし、また、地域貢献基金の使い方の基準についても、郵便局のあるなしと関係なしに、全く郵便局の今までもともとなかった地域に対してもそういうことが使われるというふうな解釈でいいのか。結局は、郵便局のあるなしに関係するからこそ、この郵便事業の収益が基金として積み立てられることでなければ、論理は全く一貫しないと思います。

 まだまだ我々はこの民営化法案についてのたくさんの疑問がありますので、また次の機会に他の大臣にも質問させていただきたいと思います。

竹中国務大臣 先ほど、これは預金保険料の料率〇・〇〇八三%と申し上げましたが、〇・〇〇八%ちょうどで計算しておりますので、訂正させていただきます。

二階委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、総務大臣にお伺いをしたいと思います。

 ユニバーサルサービスとは何か、郵政審議会が数年前に出した答申に「郵便局ビジョン二〇一〇」というのがありまして、こう定義をしております。総務大臣、聞いていますか。全国あまねく、いつでも、公平に提供される生活基礎サービス、すなわち、ユニバーサルサービスと定義をしておりますが、基本的にはこのとおりだと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 基本的に、貯金法の趣旨を踏まえて、これは公社の努力によるところも多いんだとは思いますけれども、今、よく言われるように、例えば障害者の対応等々、いろいろ、明確に法令において措置されておらぬではないかとか、いろいろな今御質問に関連したところがいっぱい出てくるんだと思いますけれども、郵便貯金というのをあまねく公平に利用していただくために、公社がみずからの判断で努力していくものと考えるということだと存じます。

佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、ユニバーサルサービスの定義を聞いたんです。全国あまねく、いつでも、公平に提供される生活基礎サービスという定義、これは数年前の郵政審議会が出した答申に出ておりますが、こういうことですねと聞いたんです。

麻生国務大臣 済みません。聞き間違えました。

 定義としては、今言われた基本的な定義と変わっておりません。

佐々木(憲)委員 障害者や高齢者に優しく利用しやすい、これも金融のユニバーサルサービスの重要な内容であります。これが郵政を民営化したらどうなるのかという点です。

 まず、公社に現状を確認したいと思います。

 郵便貯金業務の視覚障害者対応についてお聞きをします。視覚障害者へのサービスとしてはどのような点字サービスがあるか、まずお答えをいただきたいと思います。

斎尾参考人 お答えいたします。

 郵便貯金では、すべてのATMにつきまして、目の不自由な方にも御利用いただけますように、タッチパネルのほかに、点字表示をした押しボタンによりまして操作ができるようにしております。また、カードや紙幣の出し入れ口などがわかるように点字表示を行っているほか、ATM本体の受話器や備えつけのイヤホンによりまして、操作方法の御案内やそれから取扱金額などを音声でお知らせしております。

 このほか、目の不自由な方のために、郵便貯金や簡易保険の取扱内容や満期につきまして点字でお知らせをしたり、あるいは、点字や文字を大きくしました郵便貯金や簡易保険の御案内を郵便局窓口に常備するなどの施策を行っているところでございます。

佐々木(憲)委員 今私がお配りしました資料、これの一枚目をぜひ見ていただきたいんですけれども、この中にありますように、点字サービスというのは非常にきめ細かく行われておりますし、ATM、CDの視覚障害者対応機能というものもここに書かれているわけであります。

 具体的にどういうものかということは、二枚目の写真ですけれども、ぜひ見ていただきたいんですが、この写真を見ますと、郵便局のテンキー受話器式操作機、これが大変大事なものでありまして、テンキー部分はこの右側にあります。これは視覚障害者にとっては大変大事なものでありまして、単にタッチパネルですとわからないわけでありまして、このようなサービスをきちっと行っているわけです。

 それから、残高が点字で浮き上がるというのも、これは左下にありますような、非常にわかりやすい、視覚障害者にとって使いやすいものになっているわけですね。

 それから、音声で説明をするのも、イヤホンの差し込み口が右側の方にありまして、右下に、このようなものになっているわけであります。これを4型と言うんですが、最新のこの4型というのは全体の四割程度というふうに私聞いております。

 公社にお聞きしますけれども、最新の数字、これがどのようになっているか、お知らせをいただきたいと思います。

斎尾参考人 お答えいたします。

 ATMの総数は二万六千四百八十三台ありますけれども、そのうち、最新のものにつきましては、十六年度実績で六百八十七台、それから十七年度予定で一千二百七台を購入予定としております。(佐々木(憲)委員「何%ですか」と呼ぶ)これでいきますと、一割ということになると思います。最新のものがです。

佐々木(憲)委員 最新のものが全体としてさらに置きかえられて普及をしつつあるというふうにお聞きしております。

 いずれにしましても、公社の郵便貯金のATMの障害者対応というのは、一〇〇%で対応されているわけです。最新型はまだ全体としては少ないけれども、しかし、そういう状況なんですね。

 そこで、問題は、民間の銀行の障害者対応ATMがどこまで進んでいるのかという点であります。この点について、伊藤金融担当大臣に数字を確認したいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 民間の状況でございますけれども、昨年十月に実施した調査によりますと、都銀五行につきましては、ATMの台数が約二万三千二百台、そしてATMのみの設置箇所数は約四千四百六十カ所、そして、視覚障害者の方々に対する対応のATMの設置数は約四千九百九十台、ATM全体に対する視覚障害者対応のATMの割合は約二二%となっており、昨年四月に実施した同様の調査と比較して約七%ポイントの増加となっております。

 次に、地銀六十五行についてでありますけれども、ATMの台数は約三万七千九百台、そしてATMのみの設置箇所数が約一万一千五百カ所、そして、視覚障害者の方々の対応のATMの設置数は約三千八百八十台、ATM全体に対する視覚障害者対応のATMの割合は約一〇%となっております。

 次に、第二地銀四十八行についてでございますが、ATMの台数が約一万一千七百台、ATMのみの設置箇所数は約三千五百三十カ所、そして、視覚障害者対応のATMの設置数が約七百五十台、ATM全体に対する視覚障害者対応のATMの割合は約六%となっております。

佐々木(憲)委員 それを平均しますと、銀行の中でどの程度ですか、パーセントでいいますと。

 私から言いましょう。一三%ぐらいなんですよ。つまり、今、銀行のレベルのATM、障害者対応は、公社は一〇〇%やっているんです、銀行は一割程度なんですよ。ですから、これは非常に民間の銀行はおくれているわけであります。いや、私もこの数字を昨年初めて財務金融委員会で五月に取り上げまして、その時点では金融庁は調査もしていなかったんです。ようやく数字が出てきて、そういう状況だと。

 それで、銀行の取り組んでいるのは視覚障害者対応のものだけであって、例えば、手が震えてしまうような障害を持った方はタッチパネルの利用が困難でありますし、車いすを利用している方には、操作画面の位置が高いということでなかなか使えない。ところが郵政公社は、このような障害を持った方や高齢者の方々にも使いやすいように考慮した設計をしております。操作画面を大型化したり、手すりをつけるということもやっております。それはお配りした資料の三枚目、郵便貯金自動預け払い機の写真がありまして、若干この説明もついておりますが、そのようになっているわけです。

 公社の場合は一〇〇%障害者対応ができているにもかかわらず、銀行は一割程度だという状況なのですが、金融担当大臣にお聞きしますが、なぜ銀行はそのように進まないのですか。その理由を説明してください。

伊藤国務大臣 進捗のおくれの理由についてお尋ねがあったわけでありますけれども、視覚障害者の方々に対する対応ATMの設置につきましては、先ほどお話をさせていただいたように、各行とも取り組みを進めており、台数について増加をしているところでありますが、コストの問題等の理由によりATMの入れかえ時に対応するなどしていることから進捗はおくれているものではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、視覚障害者対応ATMの導入も含め、利用者利便の向上のための銀行の自主的な取り組みは望ましい方向であると考えておりますので、このような銀行の取り組みを注視していきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 今おっしゃったけれども、コストの理由だと。

 では、総務大臣、公社の場合は一〇〇%対応ができているというわけですが、公社ができるわけでありますが、なぜ公社がこのようにできるのか、民間銀行と比べて、どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 これは公社の総裁に聞かれた方が……(佐々木(憲)委員「いえいえ、担当大臣」と呼ぶ)だと思いますが、それは基本的には公という意識の問題なんじゃないでしょうか。

佐々木(憲)委員 まさにそのとおりでありまして、民間銀行は利益至上主義ですから、これはコストがかかればやらない。公社の場合は、まさに公、パブリック、そういう考え方が基礎にある。

 ここに郵政省の時代の郵政研究所が発行した郵政研究所月報というのがあります。これを見ますと、「地域における障害者、高齢者福祉の担い手から見た郵便局」、こういうレポートが出ております。大変興味深く見たんですが、これは二〇〇〇年四月号ですが、ここにこう書いているんですね。「郵政事業がこのような障害者、高齢者向け施策を実施する理由としては、主として以下の二点が挙げられる。」

 一つは、「事業の有する公共性」だと。こう書いているんです。「事業の基本法である、郵便法、郵便貯金法及び簡易生命保険法においては、「公共の福祉の増進」(郵便法第一条)や「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進する」(郵便貯金法第一条、簡易生命保険法第一条)」そういうことを目的にしているわけですね。「郵政事業には高い公共性が求められている」というのが、これが第一点。まさに今、総務大臣がおっしゃった点を指摘しているわけです。

 二つ目は、「国の機関としての責務」というふうに書いております。「「郵便局ビジョン二〇一〇」において「高齢者、障害者福祉等、国の政策課題の実現に必要とされているサービスは、収益性になじまないサービスであっても、郵便局では積極的に実施している」と述べられているように、国の機関として政策課題の実現に寄与する責務があること。」というふうに書かれているわけです。

 総務省の郵政審議会で出された「郵便局ビジョン二〇一〇」で書かれているように、郵便局が国民生活を下支えする基盤である生活インフラとして機能し、ユニバーサルサービスの提供の義務があったからこそこういうことができたんだと。そういうことですよね、総務大臣。

麻生国務大臣 官と民との間に公という感覚が大事なところなんだと何回もお答えしたと思いますが、基本的に、今の郵便につきましても、同じようにこの第一条に書かれているのがその背景だと存じます。

佐々木(憲)委員 現行の郵便貯金法では、その目的を規定した第一条で、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こう書かれているわけであります。

 竹中大臣、この郵便貯金法を今度は廃止する、民営化によって郵便貯金を民間銀行並みに変質させるとなると、せっかく進んでいる障害者対応が、先ほど見たように、銀行並みにこれは崩れてしまうんじゃありませんか。

竹中国務大臣 郵便貯金のATM、CDにつきましては、視聴覚障害の方々が容易に利用できるように、現在、これは郵政公社、郵貯、すべてのATM、CDにおきまして、先ほど公社から説明がありましたように、音声による操作誘導、点字つきのキーボード、イヤホン等による操作誘導といったサービスが実施されているということは承知をしております。このようなサービスは、公社が、何か、例えば法律によってその提供を義務づけられているものではないわけでございますが、消費者利便向上のために自主的な取り組みとして行っているというふうに承知をしております。

 民営化後の郵便貯金銀行が、ATM、CDによる各種サービスを含めどのようなサービスを提供するかというのも、これはやはり同じく経営判断によることになるわけでございますが、御指摘の視聴覚障害者の方々に使いやすいATM、CDにつきましては、既に公社においてすべてのATM、CDにおいて導入が図られているところでございますし、民営化後におきましても、そのような取り組みも含め、これまで培ってきました消費者の信頼が経営の基盤になるということから、民営化によってこれを後退させるということは想定されないというふうに思います。

 視聴覚障害者の方々への対応も含めて、ぜひ、創意工夫を凝らし、多種多様なサービスが提供されることによって、より一層利用者の利便性が向上することを期待しているところでございます。

 なお、昨年、これは私が金融担当を兼務しておりますときに、民間銀行についてもそもそも広くこれを普及させていくことが必要であり、その銀行の取り組みをしっかり見守っていきたいという趣旨の御答弁をさせていただいていると思いますが、これはやはり、伊藤金融担当大臣もおっしゃいましたように、金融界全体としてしっかりと取り組んでいかなければいけない課題であるというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 法律によって義務づけられているわけではないとおっしゃいましたが、今の法律では、郵便貯金法でも第一条で、「福祉を増進することを目的とする。」と書いてあるわけですから。つまり、ユニバーサルサービスをやるんだということを明確に書いているからこそ、公的な公共性を重視してそういう取り組みをしているわけです。それを今度外すわけですから。民間銀行並みにするんだ、イコールフッティングだ、こう言っているわけですね。

 そうなると、先ほど言ったように、一割程度しか進んでいない、なぜか、コストがかかるから進まない、そういう状況になるんじゃありませんか。後退しないと想定されますと言ったって、それは勝手な思い込みであって、現実の収益中心の民間銀行になったら、そうはならないんですよ。

 民間銀行を具体的に見ますと、九八年から〇三年の五年間をとってみましても、国内の店舗数は千六百五十減っているんですよ。店舗をどんどん縮小して数を減らして、ATMに置きかえて、そのATMの数も、かなりの部分がコンビニに肩がわりなんです。コンビニでは、ATMが設置されているのは四割程度、しかも、ATMの障害者対応の機能というのは、コンビニの場合は全然ないんですよ。

 民営化されればそういうことになる、障害者への対応が後退するということになることは、もうはっきりしているんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 御指摘の点は、社会全体の取り組みとして、これは大変重要な問題であろうと思います。

 これは、障害者基本計画、平成十四年十二月に決定されておりますが、その中で、「誰もが、快適で生活しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備を推進する。 このため、障害者等すべての人が安全に安心して生活し、社会参加できるよう、」「バリアフリー環境の整備を推進する。」等々が基本方針として決められております。

 先ほど申し上げましたように、金融につきましても、全体としてそのような方向で今金融庁も御指導をしておられると思います。また、郵政としましても、これまで培ってきたノウハウをさらに生かして、利用者の信頼が経営の基盤になるということを踏まえて、民営化によって、さらにさまざまな創意工夫を凝らして、多種多様なサービスが提供されていくことになるというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 全然説得力がないですよ、それは。社会全体で何とかしましょうという話じゃだめなんです。ユニバーサルサービスを義務づけないと言ったんでしょう、郵便貯金銀行には。それが外れれば、民間銀行並みの収益中心の経営になるじゃないですか。そうなれば進まない。現実はそうなっているじゃないですか、伊藤大臣が認めたように。

 だから、公社を民営化し民間の銀行にしたら、障害者対応が崩れていく、こういうことにならざるを得ないんですよ。期待をしたいとか、社会全体がこうなればいいな、そういう漠然とした空想的な話ではだめなんです。

 二〇〇一年一月六日から、内閣に、内閣総理大臣を本部長にして、先ほど少し触れられました、内閣官房長官を副本部長、竹中大臣を初めとして他のすべての国務大臣を本部員とする障害者施策推進本部というのが設置されています。このもとで、障害者施策の総合的かつ効果的な推進に努めているはずなんですけれども、ユニバーサルデザインの観点からのまちづくりあるいは物づくりというのは、単に視覚障害者だけではない、いろいろな障害を持った人たち、高齢者が使いやすくなる、そういうことである、これは国の大方針です。大方針を直接実行するのは公社なんです。民間の銀行が直接はやりません。だから、幾ら大臣がそういう優しい社会づくりということをやっていきたいとかいろいろなことを言っても、そんなに願っているような方向には行かないわけであります。

 だから、去年の五月二十六日に大臣自身がおっしゃっていたでしょう、「我々としても、しっかりとそれをプッシュするような方向を見出していきたいと思っております。」と。銀行がなかなかやろうとしない、公社はやっているけれども銀行がやらないものですから、どうなっているんだと我々質問したんです。それに対して、なかなかそれは進まないので、それを最初は、見守りたいと言っていたんですよ。見守りたいと言ったって何も進まないじゃないかという質問をして、ようやく、「しっかりとそれをプッシュするような方向を見出していきたい」という答弁に変わったんです。

 民間銀行並みになったら、障害者対応も、先ほど言ったように、経営者の判断が基本だ、利益の上がらないところはやらない、そういうことになってしまうんじゃありませんか。もうこれは明確であります。

 幾ら言っても、同じ答弁しか来ないでしょう。まさに障害者、高齢者が使いにくくなるような、ユニバーサルサービスを外す郵政民営化、こういうやり方には絶対に反対だということを明確に言っておきたいと思います。

 では次に、郵政民営化によって、政府が三分の一を超える株式保有の日本郵政株式会社、これは持ち株会社ですね、これができた場合、郵貯銀行それから郵便保険会社は、最終的にこのグループから切り離すことになるのか、それとも、それを切り離さないでグループの一員としてグループ経営を認めるのか、これがこの委員会の一つの議論になりました。

 六月三日の答弁で竹中大臣は、銀行と保険というビジネスというのは、「まず極めて重要な信用を背景としたビジネスでありますから、」「何といっても国の関与をしっかり断ち切る。」という答弁をされた。しかし、国の関与を断ち切るという意味はどういう意味か、非常に不明確であります。政府が三分の一超の株式を保有する持ち株会社の実質子会社にしないという意味なのかどうか、確認をしたい。

竹中国務大臣 佐々木委員のお尋ねは、信用が競争上決定的に重要であるから、国の信用、関与を完全に断ち切ると言ったけれども、それはどのような意味なのか、その一点のお尋ねだと思います。

 信用、関与を断ち切る、これは、信用でありますから、利用者から見ても、その背後に、例えば極端な場合、一〇〇%国が株を持っているというような場合は、これは国の影響力が強い、ある程度その所有が減ってきても、国が関与しているというふうな、そういった思いもございますから、そういうものも含めて、国の信用、関与を完全に断ち切る必要がある、そうして初めて民間と同じ競争のラインに立つというふうに考えているわけでございます。

 このため、持ち株会社は、移行期間中に、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を完全に処分しなければならない。その中身、内容はというお問いかけでございますれば、それは、完全に処分するということでございます。

佐々木(憲)委員 大体、完全に処分という意味はどういう意味なんですか。

 郵便貯金銀行というのは、当面、貸出残高などで独禁法の適用を受けるような規模に達しないわけですから、銀行法の規制を受ける。これはこの前の質問で聞きました。五〇%まで保有が可能だ。

 そうすると、一〇〇%処分というのはどういう意味ですか。完全処分とはどういう意味ですか。この間の質疑で明らかなように、信託もできる、自社株買いもできる、実態としては実質子会社が連続的に続くということが可能になる、これと完全に断ち切るという意味と、これはどういう関係にあるんですか。

竹中国務大臣 まず、完全処分の意味でございますけれども、これは、その所有権を手放す、まさに売却するというのが完全な処分の非常にわかりやすい例でございます。

 しかし、要は国の信用と関与を断ち切るということでございますから、所有権を完全に断ち切らないような場合、例えば、先ほども御質問がありましたが、株式相場そのものがそれを実現するには大変困難な状況下であるような場合、一つの仮定として考えられるのは処分型の信託。これは、処分を前提に信託する、買い戻しをしないというような内容でございますれば、ないしは株主権を行使しないというような内容でございますれば、国の信用、関与を完全に断ち切るというような意味で、完全な処分になるだろうというふうに思っております。それが第一のポイントでございます。

 第二の点で、それ以降についての問題に関しましては、これは、ある意味で民間と同じスタートラインに立つということでございますから、民間と同じ法律の枠組みの中でやっていただく。したがって、経営判断として取引の安定化等々のために民間と同様な形で株を持つような場合があるとすれば、それをわざわざ法律で排除するものではない、そのような趣旨でございます。

佐々木(憲)委員 信用と関与を断ち切ると言いますけれども、処分型の信託というのはその一形態だと言いますが、例えば価格を設定して、これ以上で売れればいいけれども、それ以下なら戻ってくるわけですよ。そんなものは処分にならない。実質的には保有継続ということであります。それから、その後買い戻すわけでしょう。だから、保有は五〇%まで可能なんですよ。

 つまり、処分一〇〇%というのはある一瞬間だけですよ。瞬間芸のようなものだ。その瞬間だけは一〇〇%断ち切ったかのような形はとるけれども、実質的にはずっと継続している、グループ経営が可能になる。だから、国の関与を断ち切ると言ったって、国が三分の一株式を持っている持ち株会社のもとに実質子会社としてそこに入るわけだから、全然断ち切ったことにならない。

 ですから、本当に詭弁なんですよ。言っていることと実態が違う。このことをきょうのところは指摘して、引き続きこの点についても議論していきたいというふうに思います。

二階委員長 次回は、明二十二日水曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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