衆議院

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第4号 平成17年10月11日(火曜日)

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平成十七年十月十一日(火曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 柳澤 伯夫君

   理事 山崎  拓君 理事 原口 一博君

   理事 馬淵 澄夫君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    井澤 京子君

      井上 信治君    上野賢一郎君

      遠藤 宣彦君    越智 隆雄君

      大前 繁雄君    奥野 信亮君

      片山さつき君    北川 知克君

      小杉  隆君    佐藤ゆかり君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      関  芳弘君    高市 早苗君

      長崎幸太郎君    橋本  岳君

      馳   浩君    平口  洋君

      牧原 秀樹君    宮下 一郎君

      矢野 隆司君    石関 貴史君

      大串 博志君    古賀 一成君

      篠原  孝君    田名部匡代君

      中井  洽君    永田 寿康君

      長妻  昭君    松野 頼久君

      三谷 光男君    笠  浩史君

      石井 啓一君    田端 正広君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君    滝   実君

    …………………………………

   議員           大串 博志君

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           仙谷 由人君

   議員           永田 寿康君

   議員           長妻  昭君

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)     村上誠一郎君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  井出 道雄君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十一日

 辞任         補欠選任

  馳   浩君     遠藤 宣彦君

  長妻  昭君     田名部匡代君

  笠  浩史君     篠原  孝君

  滝   実君     亀井 久興君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     馳   浩君

  篠原  孝君     笠  浩史君

  田名部匡代君     長妻  昭君

  亀井 久興君     滝   実君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第一号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第二号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第三号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第四号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第五号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第六号)

 郵政改革法案(松本剛明君外七名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに松本剛明君外七名提出、郵政改革法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君及び農林水産省経営局長井出道雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。私も新人でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日、二〇〇五年の十月の十一日、長年の懸案でありました郵政民営化法案が衆議院に上がる、こういった記念すべき日に、先輩たちを差しおき、私、新人が質問させていただくということを大変ありがたく、そしてまた申しわけなく思っております。そしてまた、短い期間で極めてコンパクトな対案を出されました民主党に対して、敬意を表したいと思います。

 さて、私の質問のスタンスでございますが、この法案、長時間にわたって審議を重ねられ、そしてまた、今まで各界でさまざまな論点が浮き彫りになってきた。まず、こういったことを考えまして、総論的あるいは総括的な話、そしてまた、今回のこの郵政の民営化法案が改革の本丸であると同時にこれからの改革の入り口である、そういった認識に立って、これからの改革の方向性についてお尋ねをしたいと思います。

 そして、私の質問の基礎となります私のバックグラウンドについて、多少触れさせていただきたいと思います。

 私自身、郵政省の出身でございます。昭和六十三年に入省いたしまして、社会経済が大きく変化する中で、郵政事業の行方をずっと見守ってまいりました。その中で、非常に大変ユニークな大臣があらわれた。だれかといいますと、小泉総理大臣。九二年に小泉さんが郵政省の大臣としてやってきました。私自身も、郵政事業について、このままでもつのかな、このままで大丈夫なのかなと思っていたところに小泉郵政大臣がやってきまして、非常に刺激的といいますか画期的な意見を述べられるに至りました。

 そして、私は翌年に地方の郵便局長に赴任をいたしました。長野県の六万人の都市であります。そこで大変現場を見る機会をいただきまして、あわせて、特定郵便局長会、労働組合、さまざまな団体との交流、そして議論を重ねる場をいただきました。個人的に、特定局長会においても、非常に私自身が郵政事業に関して関心が深い、あるいはさまざまな議論をしてきたという経験を買われまして、何十回も地方に講演に呼ばれた、あるいは労働組合において現職の郵便局長で初めて新人研修に呼ばれる、そういった経験もさせていただきました。

 その後、郵政の民営化論について、役所において、特命事項といいますか、それを専門に調査する郵政研究所の主任研究官という立場で、今出ておりますような論点、さまざまな問題点について研究する機会を与えられました。

 そして、橋本行革を迎え、その時点においては民営化というものは先送りになったわけでありますが、こういった郵政事業についていろいろな角度で勉強させていただく機会をいただきながら、ある種の限界といいますか、ある種の壁といいますか、そういったものを感じまして、二〇〇〇年に政治の世界に転じたわけでございます。

 さて、社会経済が、冷戦終了後、中国やあるいはベトナムという共産主義の国から安い賃金や安い労働力、安い製品がどんどん入ってくる、アメリカが激しい調子で規制緩和の要求をしてくる、こういった大きな社会の変化の中で、郵政の民営化という、私自身、ぜひともなし遂げていかなければならない課題がなぜ今まで先送りになってきたのか、これについてあえて申し述べたいと思います。

 郵政事業においては、三事業一体、独立採算、そして国営維持、こういった呪文にある種縛られてきた。そしてもう一つ、三つの政治勢力、特定局長会、全逓、全郵政という労働組合、こういったもので担保されることによって、今までなかなか進まなかった。しかしながら、多く議論されているように、今この民営化がなし遂げられようとしています。

 九六年、小選挙区制度の初めの選挙がありました。短期的には見える票が非常に重要な選挙、その直後に、改革というものがどうしてもその政治勢力に阻まれてなし遂げられなかった。しかし、私あえて、内部を知る者として申し上げたいと思います。特定局長会の内部も、そして労働組合の内部も、このままではもたないということを多くの方々が指摘している。そして今も、そういったところから私のところに、これから自分たちの力を発揮できる場がようやく得られるんだという喜びの声が届けられていることを、まず申し上げておきたいと思います。

 さて、この郵政の民営化の法案、さまざまなテクニカルな問題は七日の日に私どもの委員が多く質問をした。政治的な立場から、政治家というのは主計官でもエコノミストでもない、そういったこともございましたので、この郵政の民営化法案を見る政治の立場の視点として、三つほど挙げたいと思います。

 一つは、この施策が国家国民にとって安心や安全に資するのか。二つ目は、国家国民にとって、経済あるいは社会の発展あるいは繁栄につながるものか。そして三番目が、この郵政民営化法案が国家国民の尊厳や威信を守るものであるか。こういった視点が極めて大切だと思います。

 郵政民営化の法案に当てはめますと、まず、安心、ここから質問に入りたいと思いますが、国民あるいは国家の安心や安全に資するものであるかどうか。これは具体的に申し上げれば、ネットワークの維持がなされるかどうか、そして民業を圧迫しないかどうか、そして三番目に雇用がきっちりと守られるかどうか。本日、総括的な質問と申し上げましたように、まず、この点につきまして御質問をしたいと思います。

 竹中大臣に御質問を申し上げます。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 遠藤委員、今、安全、安心、そして経済の繁栄、尊厳の問題、大変重要な三つの御指摘をされたと思います。我々も、ある意味で非常に遠藤委員の御指摘とダブるのでございますけれども、ちょうど今から二年前ぐらいに、経済財政諮問会議でこの議論を本格化させた時期に、郵政の改革に関する五原則というのを立てております。

 経済を活性化するものでなければいけない、その他の改革と整合的でなければいけない、国民の利便性を高めるものでなければいけない、そして、今ある公社の資源を活用するものでなければならない、そして、雇用等々しかるべくしっかりとした配慮をしなければいけない。切り口は少し違いますが、今の委員の御指摘と私はやはりきっちりとダブっているというふうに考えております。

 まず、その中で、安全、安心について、ネットワークの維持についてのお尋ねがございましたけれども、これは御承知のように、全国あまねく利用されることを旨として設置されることを義務づけるということ、これを法律の中に明記しておりまして、その後に省令でしっかりと設置基準を定めることを明記しております。

 その省令として考えている内容につきましても、国会で御答弁をさせていただいておりますけれども、過疎地については、法施行の際現に存するネットワークを維持することを旨として設置するということでございます。もちろん過疎地以外の地域につきましても、今ある公社の設置基準に準ずるものを定めるつもりでございまして、その意味では、この郵便局のネットワークは水道のようなライフラインにも匹敵する重要なものだというふうな認識をしておりますので、そういう点からも、国民の利便に万が一にも問題が生じないようにしっかりとした配置をさせていただくつもりでございます。

 また、雇用、待遇等々、そういうものもございましたけれども、我々は、民間の経営の自由度を持っていただきたい、それによってしっかりと活性化していただきたいということを民営化の大きな目標として掲げておりますが、同時に、今公社が持っている公的な機能については、これはしっかりと引き続き果たしていただかなければいけないと考えております。

 そういった公的な機能は依然として残すということを定めた上で、今お尋ねの公社の職員の雇用や待遇につきましては、雇用はしっかりと確保する、待遇につきましても法律の中で例えばこれまでの雇用の条件について配慮することを義務づける、退職金については公社の時代のものと通算して考える等々のきめ細かな定めを行っているところでございます。

 その意味で、委員御指摘の三点のうちの一つ、安全、安心につきまして、我々なりに十分に配慮した法律構成にしているというふうに自負をしております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 次に、国家国民にとっての繁栄といいますか発展、こういった点において、具体論を申し上げますと、恐らく、三百四十兆円の資金がすべてとはいかないにせよ民間にきちっと流れるかどうか、あるいは、従来どおりあるいはそれ以上の郵便局サービスが展開されるかどうかという点において多くの方々が心配をされている。さらに、先ほどの安心の点においてつけ加えますと、金融やあるいは保険の面だけでなく、郵政事業に付随するさまざまな業務、例えばホテル業やあるいは旅館業、そういったものについても、メルパルクやあるいはかんぽの宿、そういった付随したものが共存共栄をしながらいくというような点においても、社会経済そして国民生活の発展に資するものであるかどうかという確認を、きょう衆議院に上がる前に確認をさせていただきたい。

 そして、あわせて、巷間言われるように、今回の民営化がアメリカに言われたからやったのではなく、生田総裁が指摘するように何周もおくれているこれを取り戻す、そして小泉総理は以前から、あるべき社会の一つの方向として主張してきたこの点について、再度確認をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

竹中国務大臣 御質問は、経済の活性化、委員のお言葉で言うと経済の繁栄、これがどのような道筋で実現されていくのか、詳細を説明しろという御趣旨であろうかと思います。

 まず、大変重要なポイントは、今郵政が抱えている三百四十兆という巨額の資金。これは、政府が政府保証をつけて集めたお金であるがゆえに、安全資産でしか運用できないという宿命を負っているお金でございますけれども、我々は、まずこの入り口のところで民営化をすることによって、民間の市場の中での責任あるALMを行っていただく、その中で、市場の競争の中で最適規模が実現されていく、しかるべき規模に収れんしていくであろうというふうにまず考えるわけでございます。

 しかる後に、その運用に関しましても、公的な資金という性格がなくなるわけでありますから、民間のリスクマネー、信用リスクビジネスに入っていける、そういう道が開かれている。十年間でその資金の約四分の一ぐらいがそんなふうに信用リスクビジネスに入っていくだろうというふうな想定を行っています。

 そういう形で、まさに資金の流れを通して経済を活性化させる、極めて重要な役割があるというふうに考えております。

 第二に、やはりこれは小さな政府をつくる。国家公務員約二十六万人が、常勤雇用が今度国家公務員ではなくなるわけでございますから、小さな政府をつくることが、そのものがやはり市場経済を活性化することにつながるというふうに考えております。

 そして、委員も御指摘の経営の自由度を増すということがやはり大変重要なポイントでございます。経営の自由度の中で、我々政府の中から見ていると考えられないような新しい民の工夫が出てきて、それを通して消費者の利便を高めながら経済を活性化する、経営を強くしていくという効果が必ずや出てくるものと思っております。

 さらに、今委員、メルパルクホール、かんぽの宿等々に言及をされましたけれども、我々としましては、民間企業になる以上、いわゆるコアビジネス以外のもの、ノンコア、これはやはり、今、生命保険会社がホテルチェーンを持っているという、非常にある意味で不自然な形になっているわけでございますから、こうした関連施設につきましては、法律で平成二十四年九月三十日までの五年間の間に譲渡または廃止するということを明記しております。コアビジネスに特化をしていただいて、その部分で経営の自由度を発揮していただく。

 もちろん、経営の自由度を発揮するに当たっては民間とのイコールフッティングに十分配慮しなければならない、それを保障するような民営化委員会の仕組み等々もつくっておりますので、まさしく、しっかりとした経営を通して経済の繁栄、経済の活性化に資するものであると考えております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 郵政の問題というのは、非常に深くて、そしてまた広い課題を持っておると思います。

 私自身が郵政省という役所におりましたが、役所をやめてから、自分のけじめとして一度も門をくぐっておらないわけでございますが、この郵政事業を支えてきた三つ、特定局長会あるいは労働組合そして郵政省の役人というそれぞれの人たちは、ひいき目ではなく、それぞれがみずからの職責を一生懸命やってきた。情に流されるわけではありませんが、地域の特定局長、懸命に貯金を集め、懸命に公の使命を果たしてきた。労働組合は職員の雇用を守るために一生懸命やってきた。そしてまた、旧郵政省の役人も組織をどう発展させるのかというふうにやってきた。

 しかしながら、合成の誤謬といいますか、それぞれが一生懸命やっても世の中がどんどんおかしい方向に行ってしまうことがある。例えば、特定局長。地域の名士で発言力があるがゆえに、時にその意見というものが財政圧力になっていく、必死に貯金や保険を集めることで肥大化を加速させる、そういった弊害もありました。

 しかしながら、これからネットワークを維持する、今竹中大臣指摘されましたように、国民の安全を守っていくという観点から、この特定局長たち、これから民間ではあるけれども極めて公の仕事になじみやすい立場とするならば、官から民への流れの延長として、自治体から特定局といいますか、地域の郵便局にまずできるものは仕事を委託していく、それが一つのスリム化の方向ではないかと思います。

 そしてまた、今国勢調査が行われておりますが、地域のことをよく知っている郵便局員、彼らにやらせてみてはどうかという意見がもう十年前からある。極めて官になじむ民間人になるというこの資源をどう活用するかということが、今回の郵政の民営化、これの成功か失敗かの分かれ目だと私は思っております。

 今申し上げたこと、いわゆるワンストップ行政サービスを今後拡大し、従来持っている、地域においての信用を得ている特定局長たちをどう活用していくのか、郵便局にどうやって委託していくのか、地方自治体のスリム化。そしてまた、郵政の労組が民営化によって自治体労組との違いがはっきりと出てまいります。公務員は首にならない、そして守られているということから離れて、懸命に競争していく。私自身は、自治体職員とそして郵政の職員の競争が始まると思います。

 これから、公務員改革あるいは地方自治体改革、この観点から、この郵政改革をどう結びつけるかということが極めて重要ではないかと思いますが、麻生大臣にその所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 大変大事な指摘だと思っております。

 基本的には、今既にいろいろな形で、戸籍謄本、印鑑証明、外国人登録証等々、委託を既にしているものもありますし、今現在で百十九市町村で既に実行済み、郵便局四百四十二のうち四百二十一は特定郵便局ということになっておりますのが現状ですので。

 今言われましたように、地方における信用力が極めて大きいという、長い、親子三代、四代にわたっている方もいっぱいいらっしゃいますので、そういった意味では、私どもは、こういった人脈また信用というものは今後とも大事にされてしかるべきものなんであって、そういった意味で、住民の方の安心、見たこともない人に見せるよりは、この知っている特定郵便局長に渡した方が、からもらった方がいいという意味でも値打ちがあると思いますので、ワンストップサービスを含めまして、町村合併が進んでまいりますので、その分はどんどんやっていかねばならぬ、私どももそう思って、御指摘の線に沿って今やっていきたいと思っております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 もうそろそろ時間なので、まとめに入りたいと思いますが、二〇〇五年の十月の十一日、大げさに申し上げるわけではありませんが、大きな歴史に刻まれる重要な日だと思います。官から民へという流れ、そして民にできるものは民へという大きなこのコンセプトのもとに、郵政の民営化がいよいよ衆議院に上がる。

 この改革、ここだけで終わらせることなく、これからの公務員改革、地方改革、財政改革あるいは年金改革、さまざまな改革の入り口である、改革の本丸である。これをこの先、私たちも含めて次の世代のために、どうか力を合わせて頑張っていきたいと思います。

 この郵政民営化、法案が上がりまして、そして次の課題、必ず、多くのこの選挙において我が党に投票してくださった有権者に、あれがやはり改革の始まりだったでしょうと言われることを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。

二階委員長 次に、関芳弘君。

関委員 自由民主党の関芳弘でございます。

 私は、先般のいわゆる郵政改革におきまして、初めて選出していただきました一年生議員でございます。本日、このように質問させていただきます機会を与えてくださいまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、先般の通常国会におきまして郵政民営化関連法案が参議院で否決され、小泉総理は、信念のもと、郵政民営化が本当に必要であるのかないのか国民に問うべく、衆議院を解散されました。私も、小泉総理の信念を信じ、また小泉改革全体の実施に生涯をささげようと、急遽、八月に勤め先を退職し、選挙に挑戦いたしました。

 私は以前より、今の日本の状況を考えますに、明治維新に匹敵するほどの大きな大胆な改革をしていかなければならないと思っておりました。財政再建を初め、非常に多くの事象におきまして制度疲労が起こっております。そして今、平成十七年、骨太の改革を推進すべく、改革の本丸に郵政民営化を掲げ、明治維新ならぬ平成維新を実施していくべく、国会にて郵政民営化の論議を進めております。

 衆参国会での論議も約二百時間に至り、郵政民営化が行政の構造改革であり、経済の構造改革であり、そして政治の構造改革であることも、今までの論議を通して国民の皆様にも十分伝わり、今回のような選挙の結果が出たものだと思いました。

 ここで、竹中大臣にお伺いいたしたいと思います。

 繰り返しになり恐縮ではございますが、総括の意味も込めまして、一つは、今回の衆議院選挙の結果に関しましての思いと、もう一つ、郵政民営化におきます意義に関しまして、御意見をお聞かせください。

竹中国務大臣 今委員も御指摘くださいましたけれども、やはり今、日本の方向をしっかりと改革する大変重要な時期であると思っております。

 そこで、総理は、官から民へ、民にできることは民にということで、小泉内閣の推進する構造改革の大原則としてこれを掲げて、改革を進めているわけでございます。そして、その改革の本丸である郵政民営化関連法案、これが、御承知のようにさきの通常国会におきまして参議院で否決、廃案となりました。それを受けて、小泉総理は改めて国民の信を問うために衆議院を解散した、そういう経緯でございます。

 その結果、郵政民営化の実現を訴えた与党が過半数を大きく上回る議席を得たところでございまして、政府が再提出した郵政民営化関連法案を早期に可決、成立しまして、そして官から民への構造改革を一層加速すべきであるというのが、やはりこれは主権者たる国民の意思であるということが明確になったというふうに私自身は確信をしております。

 したがいまして、私としては、やはりこの郵政民営化関連法案を一日も早く可決、成立させたい、そうすることが国民に対する政府・与党の責務でありまして、そのために最大限の努力をしなければいけないと思っております。

 郵政民営化そのものに関しては、これはやはり、小さな政府、簡素で効率的な政府をつくっていくためのすべての行財政改革の重要な突破口であると考えております。

 郵政を民営化しますと、三百四十兆円の官のお金を民のお金にしていくという道が着実に開けていくわけでございます。二十六万人の国家公務員が民間人になるということで、小さな政府をつくっていく道が開かれます。経営の自由度を増すことによりまして、利用者に対するサービスも必ずや向上するであろうということが期待をされます。そうしたことは、国民の利便性を高める、そして経済を活性化させる、さらには、小さな政府をつくって財政にも貢献する。その意味で、やはり郵政民営化こそ改革の本丸であり、どうしても避けて通れない重要な改革課題であるというふうに考えております。

関委員 ありがとうございました。

 今、郵政民営化の意義を繰り返し伺い、この郵政民営化が真に国家国民に対して非常に大きなメリットを与えてくれる、まことに大切な改革の本丸である旨を改めて強く認識いたしました。

 さて、このように国民の支持を受け、国家国民に対して大きなメリットのある郵政民営化でありますが、私は、今回の衆議院の選挙期間中に心に強く思うことがありました。

 今回の選挙は真夏の選挙でございました。私の選挙区は兵庫県神戸市の須磨区、垂水区であります。明石大橋が美しく見える、非常に坂の多いところでございます。私は選挙カーの中から有権者に手を振っておりますと、その横を何度も何度も、真っ黒に日やけし、恐らく暑さのために汗をいっぱい流していると思われる郵政公社の方が、あの見なれた赤いオートバイで郵便物をまじめに一生懸命配っておられる。家族を愛し、恐らく子供の幸せなどを考えながら、真夏の炎天下のもと、郵政民営化、郵政民営化と大声で叫ぶ私の横を、目もくれずに、汗をいっぱいかいて一生懸命働いていらっしゃいました。

 また、郵便局の中では、来店されたお客様のいろいろな御要望をてきぱきとこなして、一生懸命働かれる職員の方々がおられることだと思います。毎日毎日、何十枚も何百枚もの紙幣や伝票を扱い、機械の操作を行い、一日の終わりには、恐らく指は疲れ、肩は凝って、本当に汗だくになっていることでしょう。その郵便局の前を、私は大きな声で郵政民営化、郵政民営化と、選挙運動を繰り返してまいりました。公社の方々はどのようなお気持ちで選挙戦を見てこられたことかと思いました。

 そこで、私は心に強く思いました。郵政民営化は国家国民のために大きなメリットをもたらすものでありますが、それにも増して、郵政公社で働く方々においても非常に大きなメリットをもたらすこと、これをきちんと説明しなければならない。そうすれば、郵政公社の方々も民営化に喜んでくださる。そして、我々は政治家としてそのような改革にしていかなければならないと心に強く思いました。

 それは、民営化後におきまして、郵政公社のメリットとしまして、経営者の判断により自由な業務運営が可能となることでございます。そこには二つの面があります。一つは、今まで論じられております、海外郵便事業など新しい業務による収益チャンスを獲得していくことでございますが、もう一つ、専門的でありますがゆえに余り今まで論じられてこなかった部分でございます、現行業務の効率化の実施でございます。

 私は、民間金融機関に先般八月まで十七年間勤め、業務、事務の効率化の企画担当者、また課長として、今までの経験より述べさせていただきますが、現行の業務につきまして、民間企業の知恵を生かし、例えば、業務分野別における民間企業との業務提携による効率化、また業務集約による効率化、またオペレーションやパック商品化による効率化、搬送・運行方法の効率化など、民間企業とうまくタイアップをして、民間の知恵をどんどん導入して、効率化が実現されていきます。削減できましたコストは新しい投資に向けてもよいでしょうし、自由に発想し、自由に発展させていくことができていきます。その点において、各職員の方々は、アイデアを絞り出すことによって業務への情熱もますます盛んになり、すばらしい郵政公社の未来形につながっていくと思います。ネタは幾らでもあります。私は、郵政公社が将来の日本にとって必ずや大いに役立つ企業になっていくと信じております。

 竹中大臣、郵政民営化につきまして、この方面でも大いにメリットがあることにつきまして、お考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 今、関委員が、公社のまさに最前線の方々が本当に汗を流してしっかりやっておられるというお話をされました。私自身もよく似た経験をしょっちゅうしております。

 実は先般も、私のマンションのエレベーターの中で、私が帰ってきたときに、ばったり、書留か何かを届けられるんでしょうね、郵便局員の方と、ぱっと、エレベーターの中で一緒になりまして、向こうはびっくりしまして、もう緊張して直立不動になって、お手やわらかに願いますというふうにおっしゃって、私は、いや、そんなに緊張しないでください、民営化で必ずよくなりますから、これは皆さんのためになりますからというふうに申し上げて、そのとき、やはり私自身も関委員と同じように、やはり現場で皆さん頑張っておられるんだな、こういう方々のためにもよい改革をしなければいけないんだということを強く感じた次第でございます。

 今、その意味では、実は郵便事業そのものを取り巻く環境が大変厳しくなっているということを改めて我々は認識しなければいけないと思います。Eメール等々が世界的に普及する中で、日本の郵便物は毎年二%から三%減少している、去年は郵便全体で二・三%の減少、通常郵便物は何と五・三%、一年間で減少しておりました。そういう中で、やはり大変厳しい環境になっていく、ますます厳しくなっていくということを覚悟しなければいけません。

 一方で、金融の技術革新などで今さまざまな金融商品が民間で提供されている、関委員もそういうお仕事に携わっておられたわけですが、そういう中に郵便貯金の業務、簡易保険の業務が置かれているということ、したがって、残高が今後減っていくということもやはり覚悟しなければいけないでしょう。一方で、物流サービスでは国際環境が激変していて、ドイツやオランダでは郵便会社による国際展開が、これは世界的にも注目をされている、日本ではまだそれができない状況になっている。

 そういうことを考えますと、私は、郵便局の職員のお立場からしましても、今後民間企業になってますますその活躍の場が広がるということに大いなる期待と誇りを持っていただきたいというふうに思うんです。今委員が効率化も進められるだろうというふうにおっしゃいました。一方で、例えばですけれども、今、郵政の公社、私がビジネスの素人なりに拝見していても、物すごい不動産を持っておられますね。これは東京駅の前、大阪駅の前はよく言われますが、各地方都市におきましてもすばらしい不動産を持っている。しかしそれが、やはり周りの状況から見て本当に十分活用されているのかな、この不動産を十分活用するだけでもいろいろな、地域を活性化する、そしてその中心として仕事ができるという、やはりやりがいが私はあるんだと思います。地域に密着してこれまでやってきた郵便局、郵便局の皆さんであるからこそできる地域密着型の民間企業としての新しい業務というのが私は本当にたくさんあるというふうに思っております。

 ぜひとも郵政民営化を実現して、そういう中に職員の皆さん、そういう環境の中に皆さんを置いていただいて、そしてますます頑張っていただきたい。それが公社をよくすることであり、公社の職員の生活をよくすることであり、そして日本経済全体をよくすることであるというふうに考えております。

関委員 ありがとうございました。

 私ごとですが、私は毎朝、国会に出てくる前に、二人の娘の寝顔を見詰めてから出てきます。国家国民の方々全員が、郵政公社の職員の方々まで含めた、いわゆるあまねく国民が幸せになれますように、郵政民営化を成功させてまいりたいと思っております。

 さて、いよいよ郵政民営化法案の論議も大詰めであります。約二百時間ほどの衆参の論議の中で、いま一度、念を入れて政府案に対しまして確認をさせていただきたい内容がございます。それは、六月二十七日提出の修正案の内容のうち、国会答弁により明らかにした次の内容のものでございます。

 一つは、郵便局の設置基準についてであります。万が一にも利便性に支障が生じないよう十分に配慮との政府の決意を答弁されたこと。二つ目は、株式の持ち合いについてでございます。完全処分前の郵便局会社による金融二社株式の取得、保有について、民営化の実質実現の決定後は可能とすることを答弁されたことでございます。三つ目でございますが、移行期の預入限度について、政令の制定につき経営者の意見の尊重をする意思を答弁されたことについてでございます。

 この三点につきまして、御回答をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 委員のお尋ねは、恐らく六月三十日、二十七日の提出の案を受けて六月三十日の委員会におきまして、柳澤議員の質疑の中で政府が明らかにした三点であろうかと思います。

 郵便局の設置基準、国民の利便に万が一にも支障が生じないようにしっかりやる、株式の持ち合いについて、そして移行期の預入限度額に関する政令の制定に際して経営者の意見を尊重する、そういう御指摘であろうかと思います。

 今国会に再び提出しています法案は、民営化の実施スケジュールを半年延期するといった形で、前国会で御審議いただいた法案から若干の修正をしておりますけれども、骨格について変更しているものではございません。したがって、この六月三十日の本委員会における柳澤議員の御質問に対する委員御指摘の政府側の答弁を含めまして、前国会の法律の審議における政府側の答弁は、今回の法案にもそのまま当てはまるものでございますので、我々は当然、これをしっかりと遵守していく考えでございます。

関委員 私たちの目指すべきものは、郵政民営化に伴う国家国民への大きなメリットであります。真に国家国民を愛し、発展を願うものであります。そのために、金融の信用秩序の維持に我々は十分に配慮しなければならないと思います。

 今大臣からもございましたが、民営化のスケジュールにつきましては、平成十九年四月一日から平成十九年の十月一日に半年先延ばしし、システム上の問題がある場合には民営化の実施時期を延期するか否か、危機対応措置の判断時期を平成十八年九月から平成十九年三月に修正されました。

 私は、民間金融機関に勤めております際に、二回の大きな合併によるシステム対応を身をもって実施、経験してまいりました。どうぞ十二分の準備を行っていただき、日本の金融界の信用秩序の維持と今後のますますの発展を私も十分にかみ込みたいと思いますが、大成功させていきたいと思っております。

 最後になりましたが、今回の郵政民営化につきまして、民主党より対案が御提出されました。法案をつくられることは簡単なことではございません。短期間のうちでおまとめされ、本当に大変であられたことと思います。国会に法案を提出し、ともに論議し、最終、よりよい法案ができ上がっていく道筋がこれからでき上がったものと、国会の活性化という非常にいい方向につながっていくものと、私は今回の民主党の法案提出に深く賛同いたしました。今後ともぜひ、各議題につきましていい論議ができますよう、継続して進めていきたいところと思います。

 さて、今回の民主党の提出されました法案内容につきまして、さきの論議で片山議員や佐藤議員が御質問された簡保分割の論議や経営試算の論議等々につきましては繰り返し申し上げませんが、いま一つ、貴党のおっしゃる、資金を官から民へ確実に流すため預入限度を五百万にすることに関する事務負担につきまして、どのように対応される御予定か。千六百万人も該当者がいらっしゃいます。その対応方法につきまして御説明願えればと思います。

大串議員 お答え申し上げます。

 まず、預け入れ限度額を引き下げることにつきましては、定期性の預金につきましては、経過措置を入れまして、年限が来たところから預け入れの限度額を引き下げていただくということによってスムーズな移行を図りたいと思っております。

 通常貯金につきましては、満期というものがございませんけれども、これにつきましては、皆様に周知徹底、広報を図りまして、理解を求めて引き下げをお願いするということになります。これにつきましては、今郵政公社の方で進めていらっしゃいます名寄せ、一千万円超の貯金を持っていらっしゃる方に対してこれを引き下げていただくという作業といわば同様な作業を行っていくということになりますけれども、これは、郵政民営化準備室からいただきました資料によりますと、通常貯金で、定期性預金以外のところで五百万円超の預金を持っていらっしゃる方は全体の預金者の方の中で三%から四%程度ということになっておりますので、対応は可能かというふうに思っています。

関委員 もうそろそろ、ちょっと時間も迫っておりますので最後になるかと思いますが、私の経験上からいきますと、この限度額を下げるという試算では、新たにお客様による伝票の作成や検証、記帳、また検証を行い、現金の引き渡しを行う等々、一件当たり十五分以上の事務負担が発生してまいります。一年で新たに二千人を超える人を雇って、定期性のものの満期の問題もございますが、二千人以上の人を雇い、場所を準備し、別途機械操作を準備し、五十万個以上の現金の入るトランクケースに現金を詰めて搬送し、お客様への通知、連絡だけでも、八十円の郵送を行いますと十二億円を要し、かつまた、お客様の来店時間を調整して、店頭対応能力、いわゆる店頭が混雑しないような調整等々、大変な事務負担が発生してくるのは確実でございます。預入限度を上げるよりも預入限度を引き下げる負担というのは非常に大きいものがございます。

 しかも、一たん七百万円に来年度中に下げることをうたわれております。今、一千万円超の預入限度を超える方への適正化を公社の方では進められておりますが、約百六十万人の該当者と伺っておりますが、その十倍もの新しい負担が現実ベースで本当に実施できるのか。またもう一度、そこのところにつきましては私も一緒に議論させていただきたいと思いますが、その事務負担のところにつきましては、多々大きな負担があるということを一言申し上げたいと思います。

 いよいよ時間が参りましたので最後になりますが、この郵政民営化法案、約二百時間を超える衆参の議論が行われてまいりました。我々は、全員で全力をもって、政治家全員として、いい郵政公社民営化を進めてまいりたいと思います。その点につきましては、自由民主党だけでなく、公明党また民主党からも、民営化については皆様が御賛成されております。我々力を合わせて、政治家が全員で郵政民営化を推進していきたい、また大成功させていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 本当に長い審議をしてまいりました。本日、一般質疑ではありますけれども、こうした議論ができるということについて、野党の理事の皆さんにも、この対応にも敬意を表しながら審議をしたいと思います。

 今、自民党の同僚委員の議論を聞いておりまして、本当に若々しい、すばらしい新人の議員さんの議論、感銘しながら聞いておりました。我が党も新人を出したいのでありますが、我が党、新人が余りおりませんで、まことにうらやましいことだなと思いながら、半分複雑な心境で聞いておりました。

 今御発言をされた遠藤さんや関さん、前の国会で、一回一回、一言発言するたびに委員長の周りに理事が飛び込んでいくような、そういう緊張感の中で議論させてあげたかったな、こうも思っているのでありますが、どうぞ先輩議員の皆さん方が、そういう時代もあったんだということをぜひ御教示もいただきたい。大変な歴史の中でこの百時間を超える審議が行われているということも私は理解していただきたいな、こう思っているわけであります。

 さて、本会議でも私、議論させていただきました。いよいよ郵政民営化法案成立が確実になってきました段階で、改めて本会議でも例の確認書について質問させていただきました。竹中大臣からも御答弁をいただきました。

 私は、竹中大臣の御答弁をいつも聞いておりまして、本当にお言葉が上手だなと。選挙のときもそう感じたのでありますが、後から冷静に議事録を読み返しますと、おやおやと思うこともあったりしまして、今発言をされた新人の議員さんもぜひそういう作業をされた方がいいんじゃないか、きょうの発言の内容をしっかり確認した方がいいだろう、こう思っております。

 この前の竹中大臣の御答弁は、私、一番ひっかかっておりますのは、覚書、確認書を三大臣で交わしたと。これは、生田総裁から、郵政民営化の入り口部分から経営の自由度というのは大事だと。もちろん、民業圧迫という批判もあるわけでありますから、そのバランスをいかにとりながらかということが大事な視点ではありますけれども、私は、これから民営化された会社が本当にひとり立ちしていくために大事な視点だという思いで質問させていただいたわけであります。

 竹中大臣は、この内容は、覚書は、確かに確認書は交わしました、これは政府・与党の合意の枠内です、範囲です、こういうふうに御答弁をされまして、この辺がうまいところだなと思うんですね。後から私は考えてみて、政府・与党の合意の範囲内なら、改めて確認書を何のために交わしたんですか、それは違うんじゃないですかと。あの政府・与党の合意、もちろんその範囲の中かもしれませんが、より重点的にあの中で三大臣で確認をしなきゃいかぬ要望なりニーズがあったのではないか、こう思ったりしているわけであります。

 こう伺いますと、竹中大臣がまたどういう御答弁をされるか私は心配になるわけでありまして、決して竹中大臣を信頼していないわけではないのでありますけれども、大臣は、この前の委員会、この場の委員会でも言われました、スタート時においては現在のサービスをまずは維持するんだ、その上で段階的にと。こういう御発言かもしれませんが、私は、今回交わされた確認書の内容というのは、もちろんそうした政府・与党の合意の範囲の中で、改めて、民営化の初期段階、いわゆる入り口部分、二〇〇七年十月から経営の自由度、適度な経営の自由度とそれから適度な新規業務の開始というものが求められているんだろう、これが公社側の切実なニーズじゃないのかな、こう思ったりしております。

 したがって、もちろん、早い段階で民営化委員会を立ち上げて準備をするということでありますけれども、その民営化委員会、どういう運営がなされるか。これも、この委員会で随分、恣意的な運営がなされることがあってはならないということも指摘をさせていただきました。

 竹中大臣にはこの前伺いましたから、麻生大臣、確認書を交わされたお一人だというふうに聞いておりますけれども、この確認書の意味、どういうことが主たる目的であったのか、改めて御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 本年四月の二十七日の確認書、官房長官、総務大臣、郵政民営化担当大臣、三大臣による覚書のことを言っておられるんだと存じます。

 確認書の内容につきましては、過日の答弁で竹中大臣の方から答弁があったこととそう違っていることではない、違っていてはまた逆におかしいんですが。基本的には、準備期間内のできるだけ早い時期に設置される経営委員会におきましては、郵政公社と準備企画会社がいわゆる並立することになるんですが、ダブルトラックみたいにならないようにするということで、そういった意味で、中期計画の推進というのはやっていかないかぬわけです、向こう二年ぐらい。そこで新会社の移行準備期間が円滑に進むように配慮するということをやらぬとぐちゃぐちゃになりますので。それが第一点。

 それからもう一点は、民営化委員会というのは準備期間内において設置をしますが、その中で、これはあくまでも民営化の準備を円滑に進めるためのものですよ、それ以上でも以下でもないのよということでありまして、運営をするに当たっては、民営化後できるだけ早い時期、生田総裁なんかが言っておられますように、新規業務が適度、適切に開始され、経営の自由度の拡大が促進されるようにすることということが確認をされたものであります。

 法案成立ができました後は、この趣旨に沿った配慮がなされるというように思うのは当然でありまして、趣旨の確認につきましては、実効性が今確保されているものと理解をいたしております。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

桝屋委員 ありがとうございます。

 私は、この確認書というのは、とりわけ生田総裁、公社側が、民営化の入り口部分からできるだけ新しい業務を開始したいという切実な思いだろうというふうに思います。そういう意味では、私は、民営化委員会を含めた、例えば新規業務をするにしても、認可手続など、そうした検討、さらには準備作業というものを本当に全力を挙げてやってもらいたい、こういうニーズだろう、こう思っておりまして、そのことがこの確認書によって確保されている、こういうふうに理解をしたいと思います。竹中大臣、結構でございます。いや、いいです。

 大臣にまとめて伺いたいと思うんですが、もう一つ、やはり大臣のこの前の答弁を聞いていて思ったのは、税の問題。これは要望にとどめたいと思っておるんですが、きょうは財務大臣がいらっしゃいませんが、消費税の問題。

 これは、私も参議院の委員会をずっと聞いておりまして、きょうこの席にいらっしゃいますが、柳澤先生あたりからも適切な御助言をいただいて、政府・与党挙げて前向きに検討するんだ、こういう議論があった。それがどうも、前向きがちょっと後ろ向きに、あるいは二歩も三歩も後ろへ下がっているような気もいたしまして、ただ、一言、与党の議論を踏まえて、与党の議論を見ながら、こうおっしゃったわけでありまして、私、与党の一員として、今後与党の税調の中で、私の個人的な思いは、消費税よりもやはり積み立てのところ、ここはぜひ与党の中でしっかり議論していきたい、こういう決意をきょうは申し上げて、なお、何か大臣、先ほど手が挙がりましたけれども、何か御発言があれば。いいですね、またひっくり返されてはたまりませんから。

 時間もありません。野党の皆さんにお尋ねをしたいと思います。時間もないので一点だけ、野党の提案者、民主党の提案者に伺いたいと思います。

 我々は、この民営化法案策定段階から、先ほど竹中担当大臣からも御説明がありましたけれども、一番悩んだのは、五原則、五原則の中でも雇用への配慮ということでありました。実際に民営化するその移行期間を経てどういうふうに雇用が守られるのかということが一番頭の痛い話でありました。とりわけ私自身は、五原則の中でも雇用への配慮原則を一番大事にしたいと思ってきた一人であります。

 民主党の法案では雇用への配慮ということが明記されているのかどうかということを確認させていただきたい。役職員の削減あるいは規模の縮小ということがずっと書いてあるわけでありまして、果たして雇用への配慮ということは民主党案の中でどうなっているのか。やはり大きな改革をする上では、私は、実行可能な改革でなければならぬ、こう思っているわけでありまして、そういう意味では、労務管理計画、これからどのように民主党案ではお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

馬淵議員 お答えいたします。

 今、桝屋委員の方から、雇用の問題につきましての御質問をいただきました。配慮原則についてということでございますが、私どもは、雇用というものは当然ながらに政治の責任として一番に守られなければならないものと考えております。

 その上で、今回の私どもの案、まず、政府案の中にありました、公社職員、現在で二十六万人いらっしゃいますが、五十歳以上の方がその二十六万人の中の二五%、七万人いらっしゃいます。したがいまして、平均的に言いますと、毎年七千人ほどの自然減が見込まれるということが骨格経営試算の中でも提示されておりました。私どもの試算におきましても、人員削減につきましては、これらの自然減を前提としまして、新規採用の抑制などという形で十分に対応するということを考えております。

 また、こうした中で、万が一おさまらないということも当然ながらに考えられるわけでございますが、その場合にも、経営合理化ということもしっかりと推進をしながら、無理のない範囲の中で雇用というものを安定的に守っていきたいというふうに考えております。

桝屋委員 民主党の皆さんが対案を提出される、この委員会が開かれる前に説明をいただきました。常任委員長室で御説明をいただいて、私もすぐ、やはりこの雇用への配慮ということがどううたわれているのか、一番心配でありまして、法案を見させていただきました。

 今まさに馬淵委員がおっしゃったように、民主党においても一番目に守らなければならないことだ、こういう御答弁をいただいたわけであります。法案の中の基本理念の中に、国の責任あるいは国民の権利、これをとりわけおっしゃったわけでありますが、資金の流れであるとか国民へのサービスの向上、あるいは地域経済の活性化、国の財政の健全性、こうした基本理念を法案の中にはうたっておられるわけでありますが、やはり御党がつくられるのであれば、雇用への配慮というのは一丁目一番に入ってしかるべきではないか、私はこう感じたわけであります。

 やはり、基本理念というからには、大事にするものは言葉としてうたわなきゃならない。民主党の皆さんは、さきの国会で、例えば金融サービスについても、言葉がないではないか、規定されていないではないかと何度も何度も厳しくおっしゃったわけでありまして、一丁目一番、一番大事なんだとおっしゃるのであれば、私は、理念の中に高らかとうたうべきではないか。それはうたわない方がいいという判断があったのではないか、このようにも感じるのでありますが、いかがですか。

馬淵議員 今回の私どもの案の中では、先ほど委員の方の御指摘がございましたように、国民の権利の保障、この改革の中では、安心の改革であるということを真っ先に訴えなければならない。そして、それを政府案との対比の中で皆さん方、国民にお伝えするためには、まず、官が行うべきことは何であるか、そして民が行うべきことは何であるか、このことを真っ先にお伝えすることが私どもは大事だと考えておりました。

 そして、御指摘のとおり、この雇用の問題においては、一丁目一番地であること、これは私どもの中でも何の変化もございません。これは私どもが結党以来の理念として掲げているものでございますから、今国会に提出させていただいた法案の中に改めて盛り込むまでの必要のない、私どもの結党の理念であるということをお伝えさせていただきたいと思います。

桝屋委員 結党の理念、魂は変わっていない、こういう御答弁を伺って、少し安心をいたしました。

 しかし、皆さん方がさきの国会で随分政府案について厳しい御指摘をされた。その御指摘された手法というのをずっと今思い返しておりますけれども、やはりイの一番に、心にある、魂にあるんだとおっしゃるよりも、法律ですから、ここは立法府でありまして、法の中にその配慮原則というものは入れてしかるべきであったのではないか、私はこう思っているわけであります。ただ、イの一番に国民にわかりやすい対案を示すという意味では、皆さん方の手法、私は是としたいと思います。

 ただ、最近私、選挙が終わりまして、民主党は変わったんじゃないかと心配しておりまして、小泉総理と一緒に改革の競争をされるというのはそれはそれで結構でありますけれども、やはり私ども、ともに昔は一緒に歩んだ仲でありますから、一番大事にされる部分、これをないがしろにしてはならぬという魂の部分があるんだろう。そこを私は信じている一人でありますが、であるならば、法文の中に入れていただきたかったなと。

 もう一つ、ついでに、きょうせっかく仙谷先生がお座りでございますから伺いたいのであります。

 さきの国会で、私は、この対案があれば本当にわかりやすい議論ができた。だって、思い出してください。議事録を読むと、さきの国会で、この衆議院の審議時間の大部分を使って、法案の中身よりも周辺部分の問題ばかりが議論された。もう本当に残念だったんです。こういう対案があれば、私は、本当に国民にわかりやすい議論ができたのではないか、その結果、違う流れもできたのではないか。

 なぜさきの国会で対案が出されなかったのか。聞きますと、いや、前からあったんだ、考えていたんだ、こうおっしゃっているけれども、私は、お出しにならなかった理由も実は私なりに感じております。そこがある意味では民主党のよさでもあったし……(発言する者あり)いや、ずるいとは……。ごめんなさい、静かにしていてください。

 なぜ、前回、前国会で対案を出せなかったのか、そしてお出しにならなかったのか。出せなかったんじゃなくて、お出しにならなかったのか。そして、この国会でお出しになったのか。お出しになった以上、一番大事な一丁目一番、抜けてはいませんか。このことだけ仙谷委員に伺いたいと思います。

仙谷議員 お答えをいたします。

 対案があるとかないとかという抽象的な言い方がされるわけでありますが、つまり、法律案として出すか出さないかということをお聞きになっているんだろうと思います。それはその時点での執行部の判断でございます。その時点では、民主党の当時の執行部が、法律までつくってこれを対案として出すまでもないという政治判断をしたということに尽きます。

 以上であります。(発言する者あり)

桝屋委員 ちょっと静かにしてください。

 私も今、頭の中が真っ白になっておりまして、仙谷委員の今の御答弁、私は、もう少しお考えを開陳できるかな、こう思ったわけでありますが、やはり今回お出しになった対案は、確かに竹中大臣が御批判をされているように、分厚い政府案に比べてたかだかという議論がありますけれども、私は……(発言する者あり)いやいや、まあ聞いてください。基本理念として、野党が……(発言する者あり)

石破委員長代理 静粛に願います。

桝屋委員 ちょっと静かに。聞いているんじゃないですか。(発言する者あり)いいんだ、いいんだ。私が質問者ですから。

 野党が提案される場合はこうならざるを得ない。私が野党でもこれでいいと思っています、いいと思っているんですよ。こういう理念、まさに理念法としてお出しになって、そして理念を闘わせるというのは、私はそれは大事な姿勢だ、こういうふうに思っているんですよ。

 ただ、であれば、前回それをおやりになればいいじゃないかと。どうしてあのときできなかったかということ。そして、選挙が終わって民主党は変わったのかどうか、この一点。変わらないという答弁を実は私は期待しているわけでありまして、どうして雇用の一丁目一番が入らなかったのか、再度伺いたいと思います。

仙谷議員 法律案にまで至らない我々の対案としては、郵政改革に対する基本的な考え方、民主党の考え方、これをお読みいただければ、現在法案として出しているものの基本的なところはちゃんとすべて書かれていると私は自負をしております。したがいまして、選挙戦になりましてからも、この考え方をもとにして、わかりやすく数字を入れようということで、我々の主張を展開したということでございます。

 そして何よりも、我々が、例えばダウンサイジングの問題を、ちゃんとした数字を出そうという前提で、私は随分、去年の秋から郵政公社あるいは民営化準備室に、数字を持ってこいと。例えば、名寄せをできているのかどうなのか、名寄せをした段階で一千万を超える定額貯金の貯金者はどのぐらいいるのか、そしてまた、この定額貯金の満期が一年後、二年後、十年後までどういう分布になっておって、あるいはこれと財投機関からの償還の対応はどうなっているのか、すべて求めましたけれども、一切出てこない。

 こういう数字のもとでは、我々は、金融サービスと決済サービスと、郵便については公的に確保すべきだ、金融、保険については、この巨大な金融、保険をどのように我々がこなしていくのかということとの関係で、数字がなければちゃんとした法律案は書けないということでありました。

 私どものところに数字が来たのは、実はこの国会が始まってからじゃないんでしょうか。聞きましたら、郵貯定額貯金の数字については名寄せはしていないということを彼らは言明したわけであります。あるいは、満期ごとの数字はないということを言明しておったわけであります。よくまあこういう分析のもとで民営化法案、大胆なことをなさるものだなということを私は思っておりまして、質問の中では、これは全部民営化委員会にほうり投げている。こんな民営化委員会に丸投げをしているような法案を出されて、さあ、金融あるいは国債管理の観点からこれで通用するのかと今も思っております、今も思っております。

 先ほど雇用の話を、実は雇用の話というのは、私は、日本の公務公共サービスの世界の雇用問題全体から考えますと、これは一つは、私どもの今度の法案でも、ある種の経営でありますから、経営的観点がまずあって、そして経営者と労働組合が当事者主義に基づいて交渉する、この原則がない限り、雇用を今からどのぐらい削減するとかしないとか、そんなことを考えるのは全くナンセンスだと私は思っております。

 それからもう一つ。公務公共サービスでの人員計画は、今の日本は縦割りのもとで、横移動というか水平移動を全く前提にしていない雇用計画であります。これでは極めてナンセンスだ、こういうふうに思っております。

 私は、今郵便局にお勤めの方々でも、数字が必要なほかの職場で役に立つ方々というのは、ある一定期間の訓練を施せば、あるいは御希望に応じてそういうところへ行っていただければ、例えば税務署、国税局でも働くことができる、税務署、国税局のこれからの所要人員というのは物すごくふえてくるのではないか、そういうふうに考えておりまして、そういうものと一体として雇用人員計画というのは考えなければならない、こういうふうに考えているところであります。

桝屋委員 終わりますが、言葉が多いと言いわけに聞こえます。一文、言葉を入れる、これが私は一番必要ではないかと思う。

 御党にかわって、我が党がしっかり守っていきたい、このように決意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

石破委員長代理 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男でございます。

 私も今回初当選でございまして、きょうが国会での初質問ということになります。もっとも、先週の金曜日に答弁の方を先にやらせていただきました。民主党郵政改革法案の提出者の一人として初めて答弁をさせていただきました。しかし、質問は今回が初めてということになります。ふなれでございますのでぶしつけな質問もあろうかと思いますが、どうかお許しをいただきたく存じます。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。竹中郵政担当大臣にお聞きをいたします。

 総理を本部長といたします郵政民営化推進本部のもとに設置されます郵政民営化委員会、委員は有識者五名ということになっておりますが、この具体的なイメージとして、どういう方々によって構成されるのでしょうか。これを教えてください。

竹中国務大臣 郵政民営化委員会の人選についてのお尋ねだと思いますが、郵政民営化委員会といいますのは、郵政民営化が、経営の自由度が拡大されること、民業圧迫がないこと、これはコインの両面であるというふうによく申し上げますけれども、そのコインの両面、経営の自由度と民業圧迫をしない、そのバランスをとりながら推進されますように、また行政の判断が有識者の中立的、専門的意見を踏まえたものになるように設立されるということでございます。有識者の中立的、専門的意見を述べていただくということにその主眼がございます。

 具体的に、主務大臣が民営化会社の業務拡大等の認可を行う際に意見を述べる、そして三年ごとに郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行い、その結果に基づき本部長に意見を述べる等々の権限を付与されております。

 この法において、郵政民営化委員会については、「優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」というふうにされておりまして、先ほど申し述べた郵政民営化の役割を踏まえまして、まさに中立的、専門的な知見を述べられるような的確な人物が任命されることになるというふうに考えられております。

 御承知のように、民営化に関する分野は、銀行の仕事であるとか保険の仕事、物流、窓口サービス等多岐にわたりますため、各分野の学識経験者等からバランスよく配さなければいけないというふうに考えております。

三谷委員 再度、竹中大臣にお聞きします。

 郵政民営化委員会、これは法案を読みますと、大変大きな権限を持っているように思えます。郵便貯金銀行、郵便保険会社の民営化移行期における業務範囲を事実上決定する権限を持っていると理解してもよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 いろいろな新しい新規の業務をやる場合にどういうことになるか、どういう手続になるかということを申し上げますと、これは、民営化当初は公社と同じ業務からスタートする、しかし、これは株式を処分していきますから、株式を処分することによって国の信用、関与の度合いが低減していく、その度合いに応じて、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、あくまで主務大臣が認可する、主務大臣の認可によって新規業務が認められて、業務範囲が拡大をしていくということになります。主務大臣とは、ここでは内閣総理大臣、具体的には金融庁でございますけれども、それと総務大臣でございます。

 この法案の中で明記しておりますのは、主務大臣は、郵便貯金銀行から例えば新規業務の認可申請があった場合には、まず第一に、持ち株会社の株式保有割合その他イコールフッティングの状況がどうか、第二に、郵便貯金銀行の経営状況がどうかを考慮しまして、他の金融機関との間の適正な競争関係などを阻害するおそれがないと認められるときは認可しなければならないというふうにしております。また、その際、民営化委員会の意見を聴取することとしております。

 したがって、民営化委員会は、今言ったイコールフッティング、経営状況、しっかりと意見を専門的な立場から述べることが求められているわけでございますが、認可権限はあくまで主務大臣にございます。主務大臣としては、当然、専門家が意見を述べておりますから、しっかりとその意見を聞いて、主務大臣としての責任ある判断をされるということになります。

石破委員長代理 質問者は許可を得てから発言してください。

三谷委員 竹中大臣にまた引き続きお伺いをいたします。

 今おっしゃられました、郵政民営化委員会の意見を聞きながら、郵便貯金銀行、郵便保険会社が移行期において、多分、民営化の進展に応じてということになるんだろうと思いますが、業務内容を拡大していく。白紙のような話に思えますが、具体的な現時点での判断基準というようなものはあるんでしょうか。

 例えば、郵便貯金銀行においては移行期において新規の貸し付けを行うのか否か、あるいは行うとするならば、それは株を何%ぐらい放出したときに新規の貸付業務をどれぐらい始めるというような判断基準というのはあるのかどうか、教えてください。

竹中国務大臣 委員、わざわざこの問題を聞いてくださっているということは、郵政民営化委員会の機能が大変重要であるという御認識、実はもう全くそのとおりだと思っております。ただ、これはよく一般的な批判があるところで、そこに白紙委任をしている、丸投げしているというような御批判があるわけでございますが、これは決してそうではないというふうに御理解を賜りたいと思います。

 まず第一に、日本郵政株式会社の保有する議決権割合その他イコールフッティングの状況がどうであるのか、そして第二に、郵便貯金銀行または郵便保険会社の経営状況を勘案して、他の金融機関との競争関係等を阻害するおそれがないか等々、そういうことについてしっかりと判断の基準にしなければいけないというこの主務大臣認可に際しての判断の大枠は、法律の中で定めております。今申し上げました二点ですね、イコールフッティングの状況、経営状況。したがって、決して何か白紙委任ではなくて、その二つの大きな問題についてしっかりと判断の基準を述べるということになります。

 委員のお尋ねは、もう少しさらに具体的に、どのような条件がクリアされたらどのような制限が緩和されるのか、あらかじめ子細に決まっているのか、そういう意味があったかと思いますが、そういうことを子細に決めておきますと、将来における実情に即した現実的、柔軟な対応を阻害することにもなりますし、これは現実問題として、これからの金融市場がダイナミックに変わっていくということも考えますと、なかなか現実問題としても難しいというふうに思います。

 ただ、我々としては、判断の透明性、公正性を確保することは重要であると考えておりまして、したがいまして、民営化委員会は、郵政民営化法に基づき意見を述べたときは、遅滞なくその内容を公表するということにしております。その公表によってその中身の透明性を確保していただく。さらに、例えばですけれども、民営化委員会がみずからの準則として判断基準となるガイドラインを定めておくようなことは、これは十分に考えられるというふうに思っております。

 いずれにしましても、民営化委員会の運営につきましては、民営化委員会自身の御判断もあるというふうに思いますので、政府としては、委員会及び事務局の設置後、適切な関与を行ってまいりたいと思います。

三谷委員 竹中大臣、それでは、民営化委員会がこの移行期において、先ほど新規の貸し付けの話を申し上げました、郵便貯金銀行に対して新規の貸し付けを行ってもいいという判断を下した場合には、新規の貸し付けは行われるんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、その判断をするのは主務大臣でございます。

 民営化委員会の意見を聞きます。民営化委員会がそのときに、先ほど言いましたような大きな二つの軸からいってどのような意見を申し述べるか、これはいろいろなケースが想定されるというふうに思いますが、主務大臣がそうした意見を踏まえて適切に判断をしていくということになります。

三谷委員 重ねてお伺いするんですが、この移行期において郵便貯金銀行が新規の貸し付けを行うことができるのか、あるいはその可能性があるのか。今のお話からしますと、では、主務大臣がまた決断をいたしまして、新規の貸し付けを行うことはできるんでしょうか。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 これは主務大臣の認可が必要でございますが、認可があれば法律上はできるということになります。

三谷委員 認可があればできると。

 しかし、日本郵政株式会社は政府の一〇〇%の子会社であり、また、四つの事業会社はそのまた一〇〇%の子会社。もちろんスタート時はそこから株を放出していくわけですけれども、移行期におきましては、どの会社におきましても、全部放出するまでは政府関与の会社という形態は確実に残るわけです。

 その際、郵便貯金銀行ですけれども、移行期において、この郵便貯金銀行も政府関与の会社には違いがありません。その郵便貯金銀行が、今のお話のとおり、新たに貸付業務を行う。そしてまた、貸付業務だけにとどまりません。ほかに、今のお話からすると、主務大臣の認可があれば業務を行うことができる。そのこと自体問題にはならないんでしょうか。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、郵便貯金銀行、郵便保険会社については、全株を処分するまでは政府出資の形で国の信用と関与が残るという状況は続きます。加えて、この組織は規模が巨大であるということがあります。そして、一般事業会社を子会社に持つ持ち株会社の傘下に置かれるということが特例的に、これは民間企業には認められていないわけですけれども、認められている。そういった意味で、一般の金融機関には見られない競争上の優位性を持っていると考えられるわけです。であるからこそ、我々は、そうした点を踏まえてしっかりとした制度設計をしているつもりです。

 具体的には、郵便貯金銀行、郵便保険会社は、まず特殊会社ではなくて一般の商法会社として設立をして、そして全株処分によって国の信用、関与を断ち切るということを義務づけております。そして、移行期当初は公社と同様の業務範囲からスタートをしていただいて、そして、株式の処分状況等々、つまり政府の関与が、影響度がだんだん減ってくることを勘案して、そして、民営化委員会の意見をさらに聞いた上で、段階的に業務範囲を拡大していくというふうなシステムをとっているわけでございます。

 委員が御指摘のような形で、国の信用、関与があるから特別の優位性があるというふうに判断される場合は、これは認可をしないわけです。そうではなくて、実態的に、株もかなり減ってきている、金融市場の状況等々から考えて、規模等々から考えて、これはまだそういった経営の自由度を与えても民業圧迫にはならないという判断をする場合には認可がなされる、そういう仕組みをとっているわけであります。

三谷委員 それでは、伊藤金融担当大臣にお伺いをいたします。今の話の関連です。

 公的部門、つまり国ということになりますが、この場合、先ほど商法上の会社と竹中大臣はおっしゃいました、銀行法上の銀行の株を持つ、あるいは保険会社の場合は保険業法上の保険会社ということになりますが、国が銀行法上の銀行の株を持つということについて、このことが金融秩序に与える影響について、金融庁としてはどのようにお考えになりますでしょうか。

 それともう一つ、移行期の郵便貯金銀行、郵便保険会社が、先ほどのお尋ねと一緒です、新規の貸し付けを初め民間で行っているさまざまな業務を行うことについて、金融庁としては問題があるとは思いませんでしょうか。

伊藤国務大臣 二点御質問がございました。

 まず最初の点でありますけれども、移行期間中におきまして持ち株会社が金融二社の株式を保有することが認められておりますのは、これは民有民営の実現に向けたプロセスにおける経過的な特例であると考えております。

 そしてもう一点の、民営化することによる民業圧迫の懸念についてでありますが、金融・資本市場の影響等を踏まえて、先ほどから竹中大臣の御答弁がございましたように、移行期間当初は公社と同じ業務範囲とした上で、民営化委員会の意見を聴取の上、主務大臣認可により、透明、公平なプロセスのもと、段階的に業務範囲を拡大することとされていると認識をいたしております。

 そして、新しい業務を拡大するに当たっては、やはり一定のノウハウ、スキルを身につけていくことが大変重要であります。この金融二社につきましても、そうしたノウハウというものを徐々に身につけて自立されていくものと考えておりまして、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、金融・資本市場に混乱がないように適切に金融行政上の対応をしてまいりたいと考えております。

三谷委員 竹中大臣に再度お伺いをいたします。

 先ほどの移行期におきます業務内容の拡大についてなんですが、同じ話になりますが、判断基準というものが法令の中にはほとんどありません。この基準を法令化しない理由というのは何かあるんでしょうか。

竹中国務大臣 これもちょっと先ほど御答弁したこととダブってしまう部分があるかもしれないんですが、まず、法令の中には判断の大枠は明確に示しております。その大枠というのは、もう一度申し上げますと、日本郵政株式会社の保有する議決権割合その他イコールフッティングの状況がどうかをちゃんと見きわめて判断の基準にする、そして、郵便貯金銀行または郵便保険会社の経営状況がどうかということをしっかりと見定める、これを判断の大枠として法律に定めているわけでございます。

 それを超えまして、具体的に例えばもし収益率が何%を超えたら新しい貸し付けを認めるとか、そういうような具体的な基準をイメージする人もおられるかもしれません。しかし、これはやはりその時々の状況、極めてやはり総合的な判断になりますので、そういったことをあらかじめ法令に子細に決めておくということは、これは将来における実情に即した現実的な対応、柔軟な対応をやはり阻害してしまうことになるというふうに思います。

 現実問題として、そういうことを決めるというのは、技術的にもこれは難しい、極めて難しいというふうに思います。一方で、だからこそ私たちは、判断の透明性、公平性を確保するために、それについて意見を述べたときは公表してください等々の仕組みを、これも法律の中で定めているわけでございます。

 ただし、私は、現実には、これは民営化委員会の委員の御意見も尊重しなければいけませんけれども、みずからの準則として、判断基準として、みずからが何らかのガイドライン的なものを定めておかれるというのは、これはあり得ると思いますので、そういう方向で私たちもしっかりと関与していきたいと思っております。

三谷委員 そうはいっても、つまり、このお話を何度もお聞きいたしますのは、政府案の中でどういう郵便貯金銀行、銀行をつくろうとしているのか、どういう郵便保険会社、保険会社をつくろうとしているのか、この法案の中ではなかなか読み取ることができない。もちろん、民営化をするんだから、民営化をして、当たり前の、民間の銀行、民間の保険会社と同じようなものをつくるんだというようなことが答弁の中ではありました。けれども、理念と申しますか、形づけられる、イメージづけられるものというのが、丸投げということではありませんということではありますけれども、受けとめ方からいたしますと、郵政民営化委員会に、その形づける部分におきまして、ゆだねているところがどうしても大きいように思えてならないのです。

 例えば、我々の民主党案ですけれども、これは、理念においては、どういう銀行をつくるのかということにおいては大変明快なところがあります。国民の権利は何なのか、国が行うべき責務というのは何なのか、そこを非常にはっきりさせた上で、必要最小限の業務を、実際には、決済機能、加えてせいぜい預金限度の個人貸し付け程度を行う会社をつくる、そういう話になるわけですけれども、もちろん、民業の圧迫になるような余計なお世話は行わないという、ある意味、非常に方向性、理念がはっきりしているわけでございます。

 しかし、法案を読む限り、ではどういう銀行なのか。ただ民営化をするんだ、イコールフッティングなんだ、一般の民間の銀行、保険会社をつくるんだということ以外にないように思うんです。そこを、例えば、この法令化に私もこだわりますのは、こういう国会の審議を通じて、どういう銀行をつくっていくのか、あるいはどういう保険会社をつくるのか、それを明確に指し示していく、あるいは法令の中に盛り込むことによって指し示していくというお考えは全くないんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、私たちは民営化をするわけでございますので、その民営化というのは、民間の経営に任せるということをまさに意味しております。したがって、これは民営化委員会に何かを投げているのではなくて、民間の経営者にしっかりとやっていただく、そこが私たちの基本的な民営化の思想でございます。

 それに当たっては、しかし、一方でイコールフッティングの問題があるから、民営化委員会でその機能をチェックするということ。したがって、民営化である以上、我々としては、これは民間の経営を重視しなければいけないと考えます。しかし、それでも経営そのものが成り立つかどうかについては一定の確認はさせていただいている。それが骨格経営試算に当たるもので、その中では、十年後に約四分の一ぐらいの資産が、いわゆる信用リスクビジネスに入っていくということを想定するという形でお示しはしているつもりでございます。

 委員、あえておっしゃいましたので、一点だけ私もそれでは反論させていただきますが、では民主党の案ではどうかというと、これは保険については民営化ですよね。では、保険についての民営化で、民主党の案ではどういうイメージを示しておられるんでしょうか。これはやはり同じじゃないですか。つまり、これは民間に任せるから、そういうことを事細かに決めてはいないわけです。やはり、決めたら民営化にならないわけです。

 やはりそこは、民営化するかどうか、銀行を民営化するかどうかということについて、基本的な理念の違いはございますが、民営化する以上は、民主党さんの場合の保険についても同じような考え方をとっておられるというふうに私は理解しておりますし、私たちは銀行も民営化でありますので、そのような形で、民間の経営を重視する、しかし、大枠の経営がうまくいくかどうかの確認は骨格経営試算でさせていただいている、そのような趣旨でございます。

三谷委員 それでは、竹中大臣にあえてお聞きするんですが、完全民営化後のこの郵便貯金銀行、そして郵便保険会社は、民間会社と全く同じだと考えていいんでしょうか。

竹中国務大臣 民有民営実現の後ですから、株式が全額処分された後ということになろうかと思いますが、これは、全く同じということの意味でございますけれども、まだまだ資産構成等のものは民間銀行とはまた違ったものになっていると思います。四分の一、信用リスクビジネスに入っていけるとしても、まだまだ入っていっていない部分もありますから、民間の金融機関と財務上で全く同じかと言われればそうではないかもしれません。しかし、法律上の扱い、これは、銀行法の適用を受け、その他の一般法令の適用を受け、その他の特別の規制を持たないという意味では、民間の金融機関と同じ扱いになります。

三谷委員 時間もありませんので、銀行の方だけ聞きます。

 この郵便貯金銀行ですが、資金量が余りに大きいのです。先ほどの答弁の中にもございました、余りに大きい。ほかにも有利な点がございます。時間がありませんので、あえてその資金量、見通しをお伺いすることはしません。

 当たり前の民間銀行ならば目指しているのはまさにこの政府案でございます。民間会社なら収益をふやすことがまず第一義です。たくさんの収益を上げるためにたくさん預金を集めることになる、貯金を集めることになる。しかも、この銀行はもともと官立銀行で、移行期十年間は株を徐々に放出するとはいっても政府関与が残る銀行になりますし、また、民営化後も貯金を預ける側からすると暗黙の政府保証がついているようにも見受けられます、そのようにきっと受けとめられるでしょう。そして、資金を集めるという点ではこれはもう強いに決まっていると思うんです。これだけでも十分に特殊な会社だと言うことができます。

 しかも、株式の持ち合い、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株は一たん全部放出することになっていますが、他の二つの事業会社との株式の持ち合いを許す、さらには政府が三分の一超を持つ持ち株会社の買い戻しが許されることになっています。買い戻しがなされるとするならば、これは完全に政府関与の銀行ということになります。もちろん、先ほどの暗黙の政府保証ということでいったら、なおのこと暗黙の政府保証がつくと預金者は多分みなすでしょう。いよいよもって、資金を集めるということでは圧倒的に強い銀行がつくられることになります。

 民間会社が民間の株を買うのは自由だという総理の答弁、あるいは竹中大臣の答弁があったように記憶をしておりますが、本当に自由なのか。そして、あわせて、竹中大臣と、最後でございますので、これも伊藤金融担当大臣にお伺いをします。

 このように政府が三分の一超を持つ政府関与の会社が、完全民営化後の銀行法上の銀行、先ほどと同じような質問になりますが、銀行法上の銀行、保険業法上の保険会社の株式を一定割合持つことに対して、金融秩序に与える影響は本当にないと言えるんでしょうか。そのことをお尋ねいたします。

竹中国務大臣 御質問がありましたので、二点、ぜひ申し上げたいと思います。

 まず、委員御指摘の収益を最大化するだろうと。民間企業ですから、収益最大化に、利益最大化に当然のことながら励まれる、民有民営化の後は特にそうだと思います。しかし、だから預金量をたくさん集めることになるだろうというふうには全く考えておりません。

 例えば、金利が固定で一定の利ざやが稼げるような固定的な管理された金融市場であるならば、預金量が多ければ多いほどこれは利益が最大化されます。しかし、現実の資本市場は、金融市場はそういうものではございません。まさに民間企業としての厳しい資産負債管理、ALMをもうやらざるを得ないんです。運用できるんだったら集めればいいです。でも、運用できないんだったら集めてはいけない。そのALMのメカニズムが働くからこそ適正な規模に収れんしていくというのが私たちの基本的な考え方、これが第一点でございます。

 暗黙の政府保証がつくことに結局なるのではないかという御懸念、第二の点も、これは確かに重要な点だと思います。しかし、だからこそ、私たちは、まずすべての株式を処分するということを義務づけて、政府の関与を切り離すわけでございます。その後は、例えば、ひょっとしたら特殊会社である郵便局株式会社がわずかな株を持つかもしれません。経営判断で持つかもしれませんが、しかし、それで暗黙の政府保証が生じるとは全く考えません。

 一つの例でお考えいただきたいのですが、完全民営化された後は完全に自由でありますから、今後はこの郵便局株式会社が、例えば東京三菱銀行の株を持って提携するということは十分考えられます。委員の論理でいくと、東京三菱銀行の株を持ったら東京三菱銀行に暗黙の政府保証がつくというふうに認めるかということになるわけです。そうではないわけですよね。それは、一定のルールの中で一定の株式を持つということはあり得るかもしれませんけれども、そうかといって、それが一般のルールの中で行われるわけですから、暗黙の政府保証になるということは全くございません。

伊藤国務大臣 私にも御質問がございましたので、お答えをさせていただきたいと思います。

 移行期間終了後におきましては、郵便貯金銀行そして保険会社は、通常の民間の金融機関となります。したがいまして、持ち株会社が金融二社の株式を保有するか否かの問題につきましては、持ち株会社の会社の目的や法律で定められている業務範囲といった点を考慮しつつ、通常の民間金融機関の株式を保有するかどうか、保有するとすればどの民間金融機関の株式を保有するかの経営判断の問題であると考えております。さらに、金融機関の株主となるという観点からは、銀行法そして保険業法の適用を受けることになります。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、そうした経営判断を前提として、適切な検査監督を実施し、そして金融機能の安定確保や預金者、契約者保護の観点から金融行政上の対応をしてまいりたいと考えております。

三谷委員 もっとお聞きしたいことがあるんですが、もう時間を大分超過してしまいました。これで質問を終了させていただきます。このような銀行を国民は望んでいないということを最後に申し上げまして、終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

二階委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党・無所属クラブの篠原孝でございます。

 十七分間という短い時間をいただきまして、押し迫っておりますけれども、二点に絞りまして質問させていただきたいと思います。資料を早くお配りいただきたいと思います。特に自民党席の方には早くお配りいただきたいと思います。

 今、もう何か押し迫ってまいりまして、この間の通常国会でどのように議論されたかというのを余り顧みないで議論されているような気がいたします。ちょっと思い起こしていただきたいんですが、簡単なことです、衆議院で可決し、なぜ参議院で否決したかというのを。

 いろいろな理由があるんでしょうけれども、一番簡単な理由は、参議院の方が地方の声が入りやすい。つまり、一票の格差があって、一対五とかいうのがありますね。なぜかというと、日本は特殊な国です。離島がたくさんあります。山ばかりです。過疎地域を抱えております。そういったことを考えますと、地方で郵便事業はなかなか民営化は難しいんじゃないかと。

 済みません、資料の一ページ、お配りいただいたのをちょっと見ていただきたいんです。地方の実情をいろいろ考えた人、もちろん、賛成された方も地方の実情を考えておられるんでしょうけれども、私がそんたくするに、私のつたない分析ですけれども、地方の過疎地のことを非常に心配して反対された方がこれだけおられるんじゃないかと思うんです。

 それから次ですけれども、ほかにも有識者はいっぱいおられるだろうと思いますけれども、大蔵省とか通産省、経済産業省の出身の方々、これは金融、財政に通暁されておられる。それから、古屋さんと小西さんは保険会社でやっておられる。民間の立場からやはり危ういんじゃないかと。それから、下のその他官庁というのは、国家の運営を考えてこられた方、その立場からすると危ういんじゃないかと思われた方がおられるんじゃないか。

 それから、一番右ですけれども、これは余興的になって恐縮ですけれども、郵政大臣経験者はやはりいろいろ考えておられる。それから、父親の遺言か何かわかりません。それから次は、親分への忠誠心、これはちょっと表現が適切じゃないかもしれませんけれども、そう考えて、こういうふうになるんじゃないか。

 実は、ここで申し上げたいことは、圧倒的に地方の立場を代弁しておられるということじゃないかと思います。滝先生なんかもおられますけれども、ちょっと言って恐縮でございます。

 その次のページも見てください。次のページの写真、おわかりいただけますでしょうか。ここで突っ立っているのが、やせこけたへんちくりんな男が、好男子かどうかわかりませんけれども、私でございます。何かというと、長野市の中山間地域の代表、西の方にあるんです、芋井地区、長野駅まで二十五分かかります。県庁まで二十分ぐらいですかね、車でですけれども。そこの公民館の玄関です。

 ここに置いてあるのは何でしょうか。郵便箱です。何が配られるんでしょうか。これは携帯の写真なんですが、下の信濃毎日新聞がここに配られているんです。もちろん、ほかの全国紙も配られておりますけれども。

 つまり、中山間地のところに一軒一軒配っていたら採算が合わないので新聞社はもう配らない。困るわけです。では、公民館には配ってくれということで、公民館に郵便箱が置かれて新聞が配られています。郵便は各戸配付されております。これが実情です。

 どのようなルールになっているかというと、次の三ページを見ていただきたいんです。左が普通の配達の仕方ですけれども、右は、バス停に行きまして、持ってきて、一軒一軒、農家が大半ですけれども、この三十七戸の郵便箱に新聞を入れるんです。そして、何と驚いたことに、広告の折り込みをしている。そして、新聞店のかわりをして、一万円もらっているからありがたいことだということでやっているわけです。

 これは、なぜしつこく私が申し上げているか、こんな図表を出しているかというと、その次、四ページは当番表です。

 民間の収益と先ほど竹中大臣はおっしゃいました。そういうことを考えたら、三戸五キロ先にある、四戸二キロ先にある、こういうところは同じ料金で配れないです、新聞を。だから、こういうふうになってしまっているんです。勝手にとりに来いということになっているわけです。郵便もこのようになるのは私は自明の理ではないかと思いますけれども、学者の立場からいかがお考えでしょうか。竹中大臣にお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 久しぶりに学者と言っていただきましたけれども、担当大臣としてお答えをさせていただきます。

 基本的に、今の各戸サービス、各戸配達のサービスが今後もなされるのかという御質問であったというふうに理解をしておりますけれども、新しい我々の民営化された法律におきましても、郵便のユニバーサルサービスは義務づけられております。これは法律で義務づけております。

 民間企業だからすべて利益だけ出せばよいというのではなくて、民間企業でも一定の義務を負った民間企業というのがございます。NTTもそうです、当初JRもそうでございました。郵便事業を行う郵便事業株式会社に関しましては、このような一定の義務を負った民間会社、すなわち特殊会社でございます。

 そして、この義務に関しましては、先ほど郵便のユニバーサルサービスと申し上げましたけれども、これは郵便法が存続しておりまして、それが引き続きこの会社に義務づけられることになりますけれども、郵便の各戸配達というのは、全国均一料金制でありますとかポストの設置などとともに、郵便のユニバーサルサービスの重要な要素でございます。その実施を日本郵政公社に今義務づけているわけでございますけれども、こうした義務につきましては、民営化によって日本郵政公社から郵便のユニバーサルサービスを引き継ぎます郵便事業株式会社においても何ら変わるところはございません。

 したがいまして、郵便の各戸配達については、郵便事業会社の経営判断によって中止することは法律上できないというものでありまして、民営化されれば過疎地で各戸配達が行われなくなるのではないかといったような懸念は杞憂であるというふうに考えております。

篠原委員 今、肝心な部分、珍しく竹中大臣、答弁書を読み上げておられました。

 私は、それは、法律にはそう書いてありますけれども、現に民間で同じように配っている新聞が各戸配達されない。そうしたら、そんな山のてっぺんまで同じ料金では配れなくなるのが自明じゃないかと思います。ですから、いろいろなお金が必要になってくる。こういったものを独立して民営化というのは、私はもともと無理だと思います。なるべく民営化したりしていった方がいいというのは私も賛成です。しかし、できるものとできないものがある。できないものの典型が郵便配達であるということ、こういったことを配慮すべきだということ、これを申し上げておきます。

 なぜこれを私がしつこく申し上げるかというと、憲法二十五条に、日本国民はあまねく平等に最低限の生活ができるんだ、するべきなんだ、そういう権利があるんだと書いてあるわけです。

 ちょっと、資料の中に、五ページのところに雑なもの、これは生活水準、病院だとか教育施設なんかもみんなそうじゃなくちゃいけないわけですけれども、選挙のときの残りの資料で済みませんけれども、公営掲示場の配置が、一掲示場当たりの有権者数が全然違うというのがわかったんです。

 栄村というのは、長野、新潟県境地方の一番の過疎地です。陸の孤島とか呼ばれているところです。ここは一公営掲示場当たり四十一人の有権者しか見ない。それだけ優遇されている。

 つまり、どういうことかというと、公職選挙法で、投票するには日常生活でちゃんと見られる範囲に公営掲示場が置いてなくちゃいけないと決められているわけです。こういった配慮がいろいろなところでなされているわけです。これは郵便も同じです。

 しかし、病院とか何かはだめなんです。携帯もだめなんです。支持者訪問、数少ないんですけれども、ほとんど自民党の支持者なんですが、たまにおるので行くんです。そうすると、秘書が、済みません、ただいま現在地不明ですと言うんです。ナビもきかないんです。携帯もきかない。やっと着きましたと行くと、さっき来た集落だったりするわけです。

 こういう状態じゃ過疎がどんどん進むわけです。これは、やはり国がいろいろしてあげなければいけないんじゃないかと私は思います。

 こうしたときに地方を支えているのが、やはり第一次産業、農業なんです。農協が同じような組織としてあるわけですけれども、その農協について、規制改革・民間開放推進会議が、郵政改革の次は農協改革だというようなことをいって中間報告をまとめようとした。ところが、よくわからないんですが、これは六ページにありますけれども、インターネットから出したんですが、農協解体を改革のターゲットにしていると参議院議員の方が言って、反発が強まった、衆議院選挙中も、九州などの同党の前衆議院議員、どなたかわかりませんけれども、農協改革に否定的な主張を繰り返した、その報告から取り除かれているというようなことが書いてあるんですが、村上大臣、この議論はどのように進展しておるんでしょうか。

村上国務大臣 お答えいたします。

 規制改革・民間開放推進会議において、御高承のように、あらかじめ聖域を設けることなく、規制改革、民間開放にかかわる課題について幅広く検討してまいりました。篠原委員御存じのように、農業分野についても、同会議の前身である総合規制改革会議の時代から継続して議論を行っているわけであります。

 今年度においては、農業の競争力強化、地域経済の活性化につながる規制制度の改革を推進する観点から、実効性ある転用規制等による農地の効率的利用の推進並びに農協のあり方を含めた農業関連流通等の改革について審議を進めてきているところであります。

 こうした中で、農協の経済事業の合理化、効率化等に資する施策の選択肢についても多様な議論が行われているものでありまして、同会議においては、今後、さらに農林水産省を初めとする関係者の皆さん方の意見も聞きつつ議論を深めていく、そういう状況であります。

篠原委員 農協と郵便局、皆さんは御存じだと思いますが、似通っているんです。七ページをごらんいただきたいんですが、ちょっと比較対照してみました。

 地方のネットワークの代表ですね。地方というか、全国のネットワークの代表的なものじゃないかと思います。特に地方では大事だと思います。対象、それから総数ですね。よく言われています二万四千七百。農協は一万二千。それから、過疎地に多い。それから、非常にヒントになるのは、農協の設置数の右下に書いてあります、うち農協に簡易郵便局併設、六百二十四局とあります。農協が郵便局のかわりをしているわけです。こういうのがあるということ、これを頭の中に入れていただきたいと思います。減ってはきていますけれども、まだいっぱいある。職員数は約二十四万人と二十八万人、これも似通っております。

 今度は下です。事業はどういうのをやっているか。金融事業に対して信用事業、保険事業に対して共済、いっぱいあります。下を見てください。三百四十五兆円とよく言われますけれども、約三分の一の百十七兆円がある。だから、これに食指を動かそうとする人たちがいるというのは仕方のないことだろうと私は思います。

 そして、その他事業として、営農指導事業、販売事業、購買事業というのをやっている。大事なのは一番下。郵便は三つの事業を兼業している。農協も同じなんです。これを分断してやるなんというのは、私は愚の骨頂だと思います。

 それは、採算は合わなくちゃならないんですけれども、農協の現場、営農指導員が貯金デーということで貯金を集めに来るわけです。営農指導員が、どの家がちゃんとした農家かどうかということをわかっているので、あっちには貸していいけれども、こっちには貸しちゃいけないというようなこともやっている。一人の人間がいろいろなことをしている。こういった蓄積がきちんとあるわけですね。一人で何でもこなしているということです。似通っているんです。

 ですから、農協も解体して分断などということじゃなくて、これは提案です、私の提案です。民主党法案にも入っていないです。これは飛びはねた案ですけれども、そんなけちなことを言わずに、解体して分社化なんて言わずに、地方をきっちり支えるんだ。過疎地域自立促進法というのもある。みんな地方を支えていかなくちゃいけない。だから、農協の組織と郵便局の組織を合体して地域のネットワークとして活用していくということも考えてもいいんじゃないかと思いますけれども、竹中大臣と農林水産副大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 では、私の方から先に申し上げさせていただきますが、恐らく今の委員の御指摘の念頭にある一つの典型的なパターンとして簡易郵便局のようなものがあるんだと思います。今の委員の御資料の中にもありましたけれども、農協で簡易局を併営しているところが六百ぐらいございましたですかね。簡易局全部で四千五百ぐらいですから、したがって、そのうちの一五%ぐらいが実は農協と提携しているということになります。その意味では、既にそういった姿の原型はもう見られているということなんだと思うんです。

 一方、農協からしましても、ゆうパックとの提携で、いろいろな地域農産物が販売できる、販売強化の戦略の一環としてそういうような提携もあるというふうに承知をしております。

 したがいまして、私は、ともに地域密着型の一つのビジネスモデルを目指すことになるでありましょうから、いろいろな形で競争と協力をしながら地域の住民に資していくということは、これはもう十分にあり得ることであると思っております。それを政府主導でできるかどうかというのは、いろいろな御意見があるかもしれません。しかし、ここはまさに地域の知恵、そして経営者の知恵、そういうものを大いに発揮していただいて、委員がイメージしておられるような、より力強いといいますか、活力ある競争と協調の関係を私は農協と郵便局の間で築いていっていただきたいというふうに期待をしております。

宮腰副大臣 郵便局とJAにつきましては、今ほど委員の方からも御指摘がありましたけれども、農村地域におきまして総合的に地域住民に対するサービスを提供いたしておりまして、お互いに協調しながら住民へのサービス提供とみずからの経営の効率化を図ることが望ましいというふうに考えております。

 また、競合する部分につきましては、今ほど竹中大臣からもお話がありましたとおり、お互いに競争し合いながらいい姿を構築していくということが大切だと考えております。現在でも、JAによる郵便物の引き受けや郵便貯金の事務代理など、JA店舗を活用した郵政関係業務の受託、これは簡易郵便局を六百数十局受託をしているということでありますし、またゆうパックとの連携による地域農産物の販売強化などの連携協力を行っているところであります。

 JA系統といたしましては、郵政民営化後においても引き続き郵便局ネットワークとの連携を図るということで、組合員を初めとした地域住民への信頼を確保しつつ、各種の商品やサービスの提供を行うことが重要と考えております。

 以上であります。

篠原委員 前向きな答弁だったと思います。

 せっかく資料を用意しましたので、八ページ、九ページを見てください。これは、私の選挙区の郵便局と自治体のいろいろな協定です。高齢者への生活状況の確認。お年寄りばかりがいると黄色い旗が立ててあるんです。このうちには一週間に一回は行ってくれというふうに協定が結ばれているんです。おばあちゃんもしっかりしていまして、男前の郵便の配達が来たときに限って、時計が三分おくれているから直してくれと頼むような人もいるわけです。そういうことになっているわけです。こういったサービスが民間で一体できるかどうかというのが心配なわけですね。ここに書いてあるのをよくごらんいただきたいんです。

 それで、ネットワーク問題です。ネットワーク問題、非常に大事でして、私は、今、日本の社会の混乱とかいうのは一体どこにあるか、安定した地域社会が崩壊しているからじゃないかという気がいたしております。

 最近、宮台真司という売れっ子作家、社会システム論の作家が、過剰流動性とか、ややこしいことを言っています。地域社会がばらばらだということですね。ですから、そういったことを考えると、郵便のネットワーク、農協のネットワーク、大事なんじゃないかと思います。

 これは、最近、宮本常一さんという民俗学者がブームになっています。これも、日本の社会の安定したのがよかったんじゃないかということに気がつき始めた人たちが私はたくさんいるんじゃないかと思います。

 金融の、日銀総裁まで務められた渋沢敬三さんという人を皆さんは御存じだと思う。この方は最後に民俗学に傾倒されていかれるわけです。ここからはまた私の推論ですけれども、おじいさんの渋沢栄一さんが西洋の仕組みを取り入れて競争原理というのを取り入れたんです。これでいいのかという疑問を持たれて、おじいさんのやられたことを修正しようとされて民俗学のパトロンになられたんじゃないかと思います。渋沢栄一路線は小泉、竹中、ホリエモン路線です。これに対して、渋沢敬三、それから宮本常一、宮台真司は違う路線。私は当然後者の路線です。

 これから一緒に議論してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

二階委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 初当選でこの貴重な機会をいただきましたことを大変ありがたく思っております。自民党で先頭で質問をされました遠藤宣彦委員は、私が旧郵政省で大変お世話になった先輩でいらっしゃいます。こういった場でまたまみえるということに若干の感慨を持っておりますが、過去の追憶に浸ることなく、前向きに早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、今回提出されております民主党案、そして政府案の最大の違いは何か。それは、郵貯、金融のユニバーサルサービスを全国の国民の皆さんにお届けすることをしっかりとお約束しているものか否かということであると思います。政府案では、郵貯を完全に普通の銀行とする全国の郵便局で金融サービスを提供すること、これを法律上義務づけないというものになっております。政府が大丈夫と説明されてきたものも、竹中大臣の御答弁を聞きますと、最終的には経営者の判断であるということだと認識をしています。

 この春、フジテレビさんもホリエモンさんに買収されそうになりました。また、十年前にはテレビ朝日さんもフォックスのマードックさんに支配されそうになった。また、今、阪神タイガースも村上さんの経営となるかもしれない、こういった状況になっています。

 普通の銀行にするということは、資金さえ調達ができれば郵貯銀行を支配して経営者になることができるということだと考えます。経営者はだれとなるのか、ホリエモンさんかもしれませんが。つまり、今回の法案で経営者の利便は確かに高まるということですが、国民そして利用者の利便は全く担保がなされていないということだと考えます。

 そこで、お伺いをいたします。

 民間の銀行、そして農協の平成九年度末と平成十五年度末の店舗数をお尋ねいたします。

伊藤国務大臣 私から、まず民間の銀行の全国店舗の合計についてお答えをさせていただきたいと思います。

 平成九年度末につきましては一万六千五百二十一店舗、そして、平成十五年度末につきましては一万四千六十店舗になっております。

石関委員 それでは、農協について。

井出政府参考人 信用事業を行っております農協の店舗数でございますが、平成九事業年度においては一万五千六百十一でございました。その後の農協合併の進展等によりまして、平成十五事業年度においては一万二千八百七十五になっております。

石関委員 随分減少しているということがわかります。

 今回の法案では、結局、政府案では、どの郵便局で金融のサービスを行うかということが先ほど申し上げたような経営者の判断に任せられるということになると理解をいたします。また、今、二万四千局、全国の郵便局で提供されています郵貯のサービス、これも社長の御判断で行われるということですから、田舎の郵便局からこういったサービスが行われなくなってしまうということも大変懸念をされます。こういった経営判断のもとでは郵貯をやらない郵便局がほとんどに結局なってしまうんじゃないかな、このようにも懸念をされます。

 そこで、民主党案の提出者にお伺いをいたします。

 民主党案では、郵便貯金のサービスを全国の郵便局を通じて国民に提供することを保障しておられるんでしょうか。

仙谷議員 民主党案では、郵便貯金法、郵便振替法及び郵便為替法に基づき、あまねく全国において送金、決済サービス及び少額貯蓄サービスを提供することといたしております。

 金融のユニバーサルサービスを確保するという観点から、国が責任を持ってこれらのサービスを提供させます。

 付言をいたしますと、この金融の決済サービスや少額貯蓄のサービスというのは、やはりここで私どもが、こういうサービスとネットワークが地域社会において社会的共通資本と言い得るものであるのかどうなのかという判断、論議をきちっとやらないと、単に民間会社がやればうまくいくという話ではないということであります。これは、あらゆる交通機関やJRをごらんいただいても、民間会社が過疎地やあるいは中山間地で営業を展開しても、このものがライフラインとか社会的共通資本だという前提で維持しようとすれば、必ず何らかの格好で公的な助成が必要になってまいります。JRの四国と九州と北海道の経営安定化基金というのが、二〇〇六年でしたか、切れます。切れて、後どうするのかが、これは多分その三島JRをどう維持するのかしないのかという論議になるはずであります。

 これは自民党の先生方も、この議論を本気でやはりもう一度、この郵便ネットワーク、それから貯金の決済サービスをどのようにして維持するのかという議論は本気でやらなければならないわけであります。このことを私どもは国の責任で必ず行う、こういうふうにはっきりと言明しているということでございます。

 以上でございます。

石関委員 さきのこの委員会で、子だくさんの馬淵議員からも指摘がありました。郵便貯金というのは子供のお年玉からお年寄りの年金、おじいちゃん、おばあちゃんの年金まで、まさに国民に親しまれる経済生活のインフラである、このように考えます。

 そこで、郵政公社にお伺いをいたします。

 郵貯のATMは土日、休日の手数料は無料になっているというふうに思いますが、それでは、土日、休日のATMの利用件数というのは何件あるんでしょうか。

斎尾参考人 郵貯のATMでのお取り扱いは土日、休日でありましても無料としておりますが、その利用件数は、平成十六年度実績で見ますと年間約一億八千万件、一日当たりにしますと約百五十八万件となっております。

石関委員 今、ほかの民間銀行は、手数料百五円とか二百十円とか、こういう引き出し手数料を取っているということでありますので、これも、郵貯が民営化をされてしまうと、せめてこの百五円はいただきたい、こういった考えを持つんじゃないか。こういう誘惑に駆られて百五円の手数料を取ってしまうということになると、今二億件弱、約二億件という扱いの数ですから、これを取ると二百億円ほどの売り上げがふえるということになります。こういったことを考えると、百五円を取ってしまおう、こういった考えも出てくるんじゃないかなというふうに思います。この二百億という数字は郵便の利益にほぼ匹敵をする額ということになります。

 そこで、竹中大臣にお尋ねをいたしますが、政府案で、郵便貯金のサービスが今までどおり無料で受けられるような設計になっているんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど石関議員が、いろいろ日本の消費者の利便が民営化されると維持できないという趣旨の御発言をされたわけですけれども、ちょっと確認のために申し上げますけれども、我々は、銀行業においても保険業においても、民営化して、そうした利便は守られるというふうに考えるわけです。

 民主党さんの案では、保険業は守られる、保険業は民営化してもいい、でも銀行業はだめだ、そのような判断をしておられるというわけですけれども、我々は、繰り返しますが、それは、銀行業も保険業もこの市場経済の中でしっかりとしたサービスが提供されるであろうということを基本に考えているわけでございます。

 お尋ねの、無料で受けられるのかということでございますが、民間においては、利用者のニーズに応じたさまざまな、今、民間のサービスというのは本当にさまざまです。

 例えば、民間銀行の状況を見ると、大多数の銀行は、口座維持手数料が無料という口座を提供しています。もちろんそうじゃないのも提供していますけれども、無料というのを大多数の銀行が提供している。また、ATMの手数料、これは百五円の話をしましたけれども、ATMの手数料を無料にしている民間銀行もございます。委員御承知だと思います。そして、郵政公社の手数料よりも安いものも含めまして、サービスの内容に応じたさまざまな手数料が設定されているというのは民間の段階でございます。

 これは当然のことながら……(発言する者あり)これは詭弁じゃなくて事実でございますので、民営化によって、こうしたそこのことを損なうことなく、創意工夫を凝らして多様なサービスを提供していただく、これがやはり、競争を通した、消費者に対してよいサービスを提供していくメカニズムであると思います。

 とりわけ、郵貯銀行のビジネスモデルというのは、地域密着型で、小口の預金を大切にするということでほかよりも競争力を発揮できるものでございますから、当然、そうした小口の消費者を大切にした料金設定がなされていくものというふうに考えております。

石関委員 まさに大臣が御答弁されたとおり、いろいろなサービスがあるということだと思います。政府案においては、郵便貯金法が廃止をされるということです。今までは、この郵貯法があるために、郵貯は一千万円以下の世帯を顧客として、土日、休日のATMも無料になっていたということですが、民間の銀行は、今御答弁にもありましたけれども、いろいろなパターンができてきているということです。

 例えば、みずほ銀行さん、こちらの経営戦略、大臣御存じだと思いますが、みずほ銀行さんは、一千万円以上の預金者を重点顧客というふうに名づけているそうです。一億円以上の預金者を富裕層、五億円以上の預金者を超富裕層、こういうふうに呼んでいる。これらお金のあるお客にきめ細かいサービスを提供する、これはホームページにも出ております。

 一方で、一千万円以下の預金者はマス顧客、こういう呼び名をされているそうです。マス顧客に対しては、店舗の統廃合、窓口での細かい相談にはもう応じませんよということで、ATMなりインターネットでサービスを利用してくださいということですから、また、このATMとインターネットではしっかりと手数料を取っていくんだ、こういう戦略をとられているそうです。

 小泉首相、そして竹中大臣、郵貯法を廃止して、郵貯を郵貯銀行として普通の銀行にする、先ほども私も申し上げました、こういったお考えだということですが、郵貯を普通の銀行にしてしまうということは、額に汗をして本当に頑張っている国民の皆さん、まさにマス顧客、みずほ銀行さんがマス顧客と位置づけているこういった皆さんを相手にしない銀行ができてしまうんじゃないかなということで、国民そして利用者からすると大変なマイナスであるというふうに私は思います。

 郵貯に関しては以上で、引き続き、政府が進めるこの郵政民営化、これについてはアメリカ政府の影が常にちらついている、こういった指摘もございます。

 前回の国会で、この米国のいわゆる圧力について指摘をした議員がいらっしゃいました。自民党の造反組の城内実さん、また我が党の山花さん、こういった議員から指摘があった。私は、城内先生御自身とお話をいたしまして、御本人の感想として、タブーに触れてしまった、こういった表現をされていらっしゃいました。

 城内実さんが前回の国会の郵政特別委員会で質問したところ、郵政民営化準備室は、昨年四月からこれまで、米国関係者と十七回の面談を行っている、こういった答弁がありました。

 そこで竹中大臣に確認をいたします。

 郵政民営化準備室は、昨年四月からこれまで、米国関係者と何回の面談を行われておりますか。十七回なんでしょうか。

竹中国務大臣 郵政民営化は、言うまでもなく、国益を考えて、国民のことを考えて我々はやっているわけでございますが、お尋ねの郵政民営化準備室、アメリカの政府及び民間関係者との会談でございますが、昨年四月二十六日から現在まで、十八回会談を行ったという報告を受けております。

石関委員 十七回というふうに思っておりましたら、十八回、一回会談がふえているということですので、我々がこういう議論を行っているときも緊密にアメリカの方へ御注進をされている、こういうことなんでしょうか。

 それでは、この会談の内容、どういったことが話されているのかということですね、何を話し合っているのか、この内容をしっかりと御教示いただきたいと思います。

竹中国務大臣 機密に何か連絡をとっているという事実は全くございません。

 一体何を話し合っているのかということでありますが、これは会談でありますので、外交上の会談内容や民間関係者との面談内容、または相手方の氏名等をその相手方の了承なくしてこの場で個別具体に申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、一般的に申し上げますと、アメリカを含む政府、民間関係者からの要請に応じまして先方の主張を聴取するというのが一つ。それと、当方から、郵政民営化の基本方針や郵政民営化関連法案の内容等を説明している、そのような内容でございます。

石関委員 アメリカは、郵貯を完全に民間に払い下げる、こういった要求を継続的に行ってきたというふうに認識をしておりますが、今回の法案について竹中大臣は、郵貯銀行の株を完全に民間に売却するということに最後までこだわりを持たれていた。また、あわせて、外資による日本の会社の完全買収、これを容易にするための法改正、これは一足先に前国会で成立をしております。一方で、ゴールドマン・サックスなどは一兆円規模の資金の調達を既に始めているというふうに聞いております。九〇年代、長銀が破綻をしました。このとき、本当にわずかな資金で外資に買収をされた、そのことによって多額の国民の税金が海外に流出をしたということを覚えていらっしゃるんだろうというふうに思います。

 そこで、また竹中大臣にお伺いいたしますが、アメリカの要求どおりの政府案が成立をする、そのことによって、アメリカの投資会社によって郵貯銀行が乗っ取られる、支配をされるということになったら、ここで、この経営によって、まさに経営判断によって地方が切り捨てられて、我が国を支えてきた地方の中小企業ですとか成長産業、こういった産業が切り捨てられてしまうんじゃないか、こういう懸念を持っておりますが、このことはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、アメリカの要求によって制度設計をしているという事実は全くございません。我々は株式の完全処分を十年間で義務づけておりますが、これは、金融、つまり銀行、保険という信用をベースにした非常に特殊な業種でありますので、国の信用、関与をしっかりと断ち切らないと本当の意味での民営化はできないというふうに考えてそのような措置をとっているわけでございます。アメリカの主張とは関係はございません。

 その上で、委員は、万が一にもそういう外資の影響を強く受けるようになったらどうするのかということでございますが、我々は、外資脅威論を殊さらにあおるというようなことはやはりいかがなものかというふうに思っております。もちろん、委員がそうだということではございません、そういう方が一部にいらっしゃるということを懸念しているわけでございますけれども。

 これは、銀行でありますから、当然のことながら、やはり健全な経営をしていただかなければいけない。適正、健全な業務運営が求められるわけでございますので、これに関しては、別に資本の内外を問わず、私たちの国にはしっかりとした法律の枠組みがございます。この郵便貯金銀行、当初から銀行法の適用を受けますので、外国資本を含めまして、会社の二〇%を超える株式を取得する場合には、監督当局であります内閣総理大臣の認可が必要になる。株主として、安定的な適正な経営をするのに適格かどうかということをその時点でしっかりと判断するという仕組みがございます。もちろん、そのほかにも独禁法の枠組みもございます。

 それと、もう一つ議論になる問題としては、やはり敵対的買収の問題もあろうかと思いますが、これは、今委員が御紹介くださいましたけれども、会社法の改正等々も議論をずっとされてまいりました。その一般的な会社法の規定を適用して防衛策を講じるということにしております。民営化でありますので、一般の民間の企業と同じような、会社法の枠組みの中で適切な防衛策を講じていただこうというふうに思っております。

 最後に、地方切り捨てになるのではないか、中小企業や地方が切り捨てられるのではないかという御懸念、今委員からございましたけれども、そうならないように、郵便局をしっかりと設置基準をつくって設置するということ、その上で、長期安定的な代理店契約や基金も活用して、しっかりとした金融サービスが提供されていくようにさまざまな工夫をしているところでございますので、そのような法律の構成趣旨を何とぞ御理解いただきたいと思います。

石関委員 それでは、郵政民営化を行えば行財政改革が進みますよ、こういったことを看板にしてこの施策を進めてきたということだと思いますが、このことは真実かどうか。今の郵政公社というのは、職員の給料も事業の収入から払っているわけですから、ここについては税金も一銭も使われていないということですし、郵政公社は、御承知のとおり無借金経営をしている。

 それでは、年金を預かる社会保険庁はどうなんでしょうか。税金で豪華な宿舎を、これは税金でです、豪華な宿舎を都心の一等地にどんどん建てているという状況です。税金を使っていない郵政、そして借金をしていない郵政を民営化しても、国の借金というのは全く減らないということです、行財政改革にはつながらないということです。

 国の借金を減らす行財政改革をやるんだということであれば、税金をむだ遣いしているこういった社会保険庁や各省庁や、また特殊法人のむだ遣いをなくすというのがまず先にやるべきことだろうと思います。私は、こちらの方が改革の本当の本丸であって、郵政が本丸というのはとても順番が違う話だというふうに思います。

 竹中大臣にお伺いいたしますが、社会保険庁や官僚の腐敗から国民の目をそらせるために、税金を使っていない、税金を使っていないから各省庁の腹が痛まない、この郵便局の改革と称するものを推し進める、やり玉に上げられているんではないかなというふうに思いますが、このことはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 郵政公社が税金を使っていないということに関しては、これは、専門家も含めていろいろな議論がございます。払うべき税金を払っていないのではないか、預金保険料が免除されているではないか等々の議論があることは議員も承知だと思います。

 我々は、目をそらせるために、社会保険庁等々の問題から目をそらせるためにやっているというようなことでは全くございません。これはぜひ政府の骨太の方針をじっくりごらんいただきたいと思いますが、これは社会保険庁の改革等々の問題も含めて、非常に今総合的な改革を進めております。経済財政諮問会議においても、厚生労働大臣、社会保険庁の長官に何度もおいでをいただいて、しっかりと総理を中心に議論も今進んでいるところでございます。その意味で、やはり改革というのは非常に幅広く総合的にやっていかなければいけない。

 その中で、やはりしかし、郵政の問題というのは、行財政改革を考えてみた場合に、いろいろな意味で極めて大きな本丸としての意味を持っていると思います。もうこの場で随分議論したので繰り返しませんが、国家公務員の数を減らせる、三百四十兆円のお金が民間に流れるような仕組みをつくっていける、そういうこと等々を含めまして、私は、やはり郵政は改革の本丸であると思います。同時に、委員御指摘の社会保険庁改革も含めて、しっかりと我々としては対応しているつもりでございます。

石関委員 今、税金が入っているかどうかは議論があるということは私も承知をしております。ただ、ただ郵政を民営化すれば国の借金、国債の発行が抑えられる、減るというような言いぶりを今までされてきたというふうに思いますが、このことが真実かどうかというのは私は大変疑問を持っております。

 そこで、これに関して、平成十七年度末の国債の発行残高、そして民営化が完成する二十九年度の国債の残高、試算、予測をお尋ねいたします。

 あと二点ありますので、一緒にお尋ねします。

 また、郵政を民営化したことでもたらされる国の歳入増というのは一体幾らになるのか、このことをお示しいただきたいと思います。

 三点目、もう一点あります。郵政民営化による国の歳入増額が二十九年度の国債発行残高に占める割合、パーセンテージをお示しいただきたい。

谷垣国務大臣 まず、私から国債発行残高についてお答えいたします。

 政府は資金繰り表というのをつくっておりまして、正式の名称は、国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算。これは、国債整理基金の資金繰り状態をある程度考えるためにつくった表でございます。一定の前提のもとにいろいろ試算をしておりますが、それによりますと、平成十七年度末、五百三十八兆円が国債残高でございます。それから、最終的な民営化時点、平成二十九年度末は八百九十二兆円となっておりますが、この数字は、もちろん目標であるとかそういうものではありませんで、実際の公債発行額は毎年の予算編成の中で決められていくものでございます。

竹中国務大臣 あとの二点について御答弁させていただきます。

 まず、国の歳入増でありますけれども、税収に関して言いますと、骨格経営試算によりますと、移行期間十年間の民営四会社の租税の総額は約四・三兆円というふうに見込まれますので、この四・三兆円というのは歳入の増ということになります。

 もう一つ、株式の売却収入というのが期待されるわけでございますけれども、これは、三分の一以上は保有していなければいけない、三分の二まで売却するということになりますが、一つの非常に単純な計算として、四事業会社の資本の額の合計、七・五兆円でございますので、七・五兆円の三分の二と考えると五兆円、これが簿価になります。もちろん、簿価を上回って売れることを期待するわけでございますが、控え目で簿価で計算をいたしまして五兆円、先ほどの四・三兆円と足しますと九・三兆円という数字が出てまいります。これを単純に、先ほど財務大臣の答弁にありました八百九十二兆円、二十九年度の国債発行残高見込みで割りますと、そのウエートは一%強ということになります。

石関委員 一%強ということでありますから、これは大変に小さな割合というふうに普通に認識をするんだろうというふうに思います。改革の本丸ということで位置づけて進めてこられたわけですが、改革の一つのターゲットとしてこの郵政の改革も必要だろうということを私も十分承知をしておりますが、本丸というより、小さな出城一つとるかどうか、このくらいの改革のメニューなんじゃないかな、今御答弁いただいて、私はそのように改めて認識をしました。

 それではもう一点。指標が改善をしている部分もある、景気がよくなったということがありますが、進めてこられたいわゆる改革で大変恩恵を受けているのは東京や都会の大企業だけではないか、地域を支えている中小企業、零細企業は大変厳しい環境にあるというふうに認識をしています。私も、これまで郵政をやめてから市会議員、県会議員、地域で密着して仕事をしてまいりましたので、そのことを私も十分骨身にしみて感じているところです。

 竹中大臣は、郵政を民営化すれば自由だということで、郵便局がコンビニやクリーニング、不動産屋、八百屋さん、何でもできるというふうに御説明をされています。それでは、政府案では郵便局会社は何でもできるということですから、それであれば、民間企業の宿命というのは、これは業務を拡大して利益を上げる、そしてその利益を株主や社員に還元していくということですから、このことを一生懸命頑張っていったら、地域の小さな商店が、今まさに中心商店街、シャッターが閉まっていくという状況ですから、ここへの大変な影響があるんじゃないかと思います。このことについてはいかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 郵政、経営の自由度を持っていただくということでございますから、その意味では、創意工夫をしていろいろな新しい試みをしていただきたい、これは心からそのように思っております。

 同時に、しかし、地域等々の問題を考えて、我々はまず移行期間においては、同種の事業を営む事業者の利益を不当に害することのないように配慮義務を課すということを法律で明記しております。そして、移行期間終了後につきましても、いわゆる分野調整法、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律によりまして、中小企業者の利益を不当に侵害することのないような配慮義務が課されるということになります。

 むしろしかし、決して地域の経済というのはゼロサムではなくて、一方が事業を拡大すれば片方が減るというものではなくて、むしろ健全な競争を通して市場そのものを拡大していく、そういう需要を拡大していくという効果があるわけでございますので、そういう効果を私は期待しております。

石関委員 ありがとうございました。

 私も、本当の、真に国民のためになる改革、本物の改革が行われることを大いに期待しまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

二階委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 郵政民営化の特別委員会が始まったと思いましたら、もうきょう質疑終局、採決だという話であります。私は、理事会の中でも徹底審議を求めましたけれども、こういうふうになったことに大変唖然としております。何よりも、さきの国会でも最初から審議にも参加をして、徹底審議をやってきた中でこういうことになったことを大変残念に思っております。

 それ以上に、本来は総理がここに出席すべきものなのに、総理も、この締めくくり総括質疑に当たるべきこの場にもいない、本会議の質問にも答弁に立たなかった。総理の姿勢そのものも問われているんじゃないでしょうか。

 総理に聞きたいところですけれども、残念ですが、仕方がありませんので竹中大臣にお伺いをいたします。

 確認ですけれども、分社化をして成り立つという見通しを示す上での政府の制度設計、その際に、人件費についてどういうことを考えておられたのか。これは、人員の縮小については自然減でいって、また、給与水準についても現状維持をする、自然退職、定年退職などが中心でのそういった見通しを持っておられての制度設計だ、これが前提になっていると思いますけれども、その点を確認させていただきます。

竹中国務大臣 骨格経営試算において収支が成り立つということを我々は確認しておるわけでございますが、その際、人件費につきましては、まず郵便事業については、郵便の取扱量が中期平均で一・一%減になっていくというふうに我々は想定をしておりますので、一・一%物量が減る分に関しては生産性を上げてくださいという意味で、人件費は一・一%、それにパラレルに、平行して減っていくということを仮定しております。郵便貯金及び郵便保険の総人件費は横ばいという前提を置いております。

 ちなみに、公社の職員の自然減、年間二・五%ぐらいでございますので、二・五%数が減っていくということを想定しますれば、そういう自然減の中で十分に人件費は賄えるであろうというふうに考えているわけでございます。

塩川委員 総理御自身も、今回の民営化は人員削減を目的とするものではないと述べておられます。また、四十万人近い国家公務員の方々の雇用、身分というものを考えないといけない、国家公務員から民間人になって路頭に迷わすようなことはしない、生首を切るようなことはしない。ですから、常勤職員であれ非常勤職員であれ、民営化後も職員に対する退職強要などは行われない、このことが前提となっている制度設計だということを銘記して今後事に当たるべきだ、このことを最初に申し上げておくものであります。

 その上で、ネットワークの問題ですけれども、これはこの委員会でも随分議論がありましたが、郵便局があったとしても郵便貯金業務の義務づけがありませんから、郵便局が残ったとしても郵貯がないという場合があり得る。現行でどうかということではなくて、この先の話ですけれども。小泉総理は義務づけなくても民間はできると説明をしてきましたが、どうしてそんなことが言えるのか、この点を最初にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 この点は、前国会でも塩川委員と直接議論をさせていただいたことがあるかというふうに思いますが、我々は、やはりまずこのネットワークそのものに、郵便局のネットワークというのは、全国二万四千張りめぐらされた非常に貴重なものである、それにネットワーク価値があるというふうに考えるわけでございます。

 ネットワーク価値というのは、たとえ一部が赤字でも、全部のネットワークを維持することによって全体の価値が高まるんだ、つまり、東京から大阪だけではなくて、私のふるさとの和歌山の山間部にもいろいろなネットワークを持って、そこにもいろいろなものが送れる、そこと資金もつながっているし郵便物もつながっている、それに価値があるんだ、ネットワークとしての価値があるんだというふうに我々は考えるわけでございます。

 そうした観点から、ネットワークの価値を維持するという観点から、まず郵便局を設置して、その上で金融のサービスも引き続き提供されるであろうというふうに基本的に考えるわけでございますが、それでも幾つかの観点から懸念されることがないわけではありませんので、それに対してさまざまな観点からの補強をこの法律の枠組みの中で行っております。

 まず、移行期間に関しては長期安定的な代理店契約が存在することが必要である、これは金融行政上の判断で、この長期安定的な代理店契約、移行期を十分にカバーする長期のものを義務づけております。

 そして、それ以降についても、必要があれば基金の利用が可能なようにしている。そして、経営判断に基づいて一体的な経営が必要であるというふうに考えるならば、資本の保有についても通常の法律の範囲内でそれを認めている。そのような二重三重の重ねた手当てをしているところでございます。

塩川委員 このネットワーク価値の問題については、大臣は、経営判断、経営判断と、民間の判断として尊重されるわけですけれども、この場合だけは、ネットワーク価値があるから経営者はそちらを選ぶだろうということをおっしゃっておられるわけですね。でも、実際には経営者の判断ですから、それは、いろいろな経営者が出てきた場合には、違う判断だって当然あり得るだろうと思うわけです。

 ですから、例えば郵貯銀行が、もうかる郵便局だけをつなぐ、もうかる郵便局だけをつなぐそういうネットワークを維持する、ネットワークをつくるということはこのスキームで禁じられているんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 ネットワーク価値というのは、例えば今クロネコヤマトが全国で宅配業を展開しておりますけれども、クロネコヤマトの営業所のうちの三分の一は、その営業所だけ見ると赤字でございます。しかし、三分の一は赤字だけれども、これが全国でつながっていることによって全国のサービス網が維持できて、企業価値が維持できるというふうに考えるわけでございますから、これは経営者の判断というよりは、私は、もちろん微妙な判断の違いはあるにしても、非常に大きくやはり企業の利益を規定する部分でありますから、経営者の非常に小さな思惑で変わるような問題ではないと思っております。現実に、生田総裁御自身も、このネットワークの価値というのはすごいんだ、郵便局のネットワークは宝なんだということを再三この場でも御答弁しておられたと思います。

 したがいまして、私は、経営者がかわってネットワークの価値が大幅に変わるとか、そのようなものではないと認識をしております。

塩川委員 クロネコヤマトは物流会社ですよ。比較をされるんだったら、何で民間金融機関と比較をされないんですか。民間金融機関とこそ郵貯銀行は比較の対象とすべきなのに、そうなさらないで別の話をする、それはもうすりかえじゃないですか。

 それで、民間金融機関はどうかといえば、この場でも随分議論をしたように、過疎地においては過去六年間で二五%も減らしている。全体の中でも二〇%店舗網を減らしている。要するに、過疎地だろうと都市部だろうと、もうからないところでは撤退をしますというのが今の民間金融機関の実態で、だからこそ多くの方が心配をされておられるんじゃないでしょうか。

 ですから、ネットワーク価値がある、正しい判断をすればそういうネットワークを維持するんだというお話ですけれども、もう一回聞きますけれども、正しい判断をしない、そういう経営者がいた場合がある。大臣はそうするだろうと思うけれども、そうじゃない場合だって当然あり得るわけですから。例えば、基金が想定する以上のネットワークの縮小を図るような経営者が生まれた場合には、そのネットワークの縮小をやめさせるということはできるんですか。

竹中国務大臣 民間の企業というのは、非常に厳しい民間企業としてのガバナンスが働きます。したがって、間違った経営判断をするような経営者がいれば、そこで直ちにそういうガバナンスが働いて、そして正しい判断をする経営者にかえていく、これがまさに民営化において我々が期待している非常に大きな問題の一つでございます。

 その上で、何か問題が生じたときどうするのかという塩川委員のお尋ねでございますけれども、そのために私たちは、民営化委員会で三年ごとの総合的な検証を行います。そして、その総合的な検証の中には、郵便局の設置状況等々についてもしっかりとチェックをさせるということ、このことも明確にしております。

 したがいまして、移行期間においてそういったことはしっかりとチェックがなされていくというふうに考えます。そしてその後は、民間の企業体としてのまさにコーポレートガバナンス、厳しいガバナンスによって正しい経営が行われていくようにしっかりと見ていくことになります。

 なお、特殊会社に関しましては、それとは別に、これは恒久的措置として主務大臣の監督権限がございます。

塩川委員 完全民営化をしてからそういうことが可能なのかという問題が問われてくるわけです。

 ですから、私など思うのは、もうかる郵便局だけで郵貯のネットワークをつくることは排除されていない、そういう経営の自由は認められているわけです。そういう意味でも国民サービスの後退は必至なわけで、もしネットワークを維持するということを言うのであれば、大体、郵貯の持ち株会社は三分の一が国が持っているわけであります。一たんは完全処分かもしれないけれども、その後の買い戻しを認めているわけで、グループ経営というのを認めているわけです。ということであれば、郵貯銀行に対して国が、株式保有の立場から、株主の立場から物を言うことも当然可能なわけですから、基金を上回るようなネットワークサービスを切り捨てるような経営者が生まれた場合に、株主の権利を行使してこういうことをやめさせる、こういうことを言うということは考えていないですか。

竹中国務大臣 この会社は、銀行と保険会社は商法の一般法人でございます。商法の一般法人である以上、これは普通の銀行、保険会社として自由に経営をして、経営の自由度を発揮していただくということが基本でございます。

 委員の御指摘は、これを特殊会社にして政府が何らかの形で関与するようにしろというような御示唆もあるのかもしれませんが、我々は、信用が基盤になる銀行、保険業においてはそのような措置はとるべきではないというふうに考えております。あくまでも商法の一般会社として設立して、自由な経営をしていただきたいと思っています。

塩川委員 グループ経営をしたとしてもユニバーサルサービスの維持に役に立つと言えないということが言えると思うんです。金融のセーフティーネットになってきたのが郵便局、郵政公社の役割であります。それを失うということがこの日本における新たな金融弱者を生み出す、金融排除を生み出すことになる、こういう法案には反対だと申し上げて、質問を終わります。

二階委員長 次に、重野安正君。

重野委員 本委員会もいよいよ大詰めを迎えているというふうに認識いたしております。前国会での審議時間も語られました。そして、きょう、私にとりましては、二十分と十一分、三十一分質問する機会を得ましたが、それで終わりという点については本当に問題ありと指摘をしなければなりません。

 多くの方々からいろいろな角度にわたりまして質問がございました。質問の重複を避けながら質問させていただきますけれども、まず一つは、法によりますと、民営化委員会、これは極めて重要な位置を占めていると私は認識いたしております。

 この民営化委員会の所掌事務の一つであります、民営化の進捗状況について総合的な検証、当初は検証と言われていましたけれども、それが見直しというふうに今回手直しされております。このことによって、三年ごとに国会に報告される内容が変わるのかどうか、この点について一つ。国会に報告するということは国民に報告するということでありまして、そうである以上、この条文上の見直し、これは国民にとっても極めて重要な内容を包含している、このように思いますが、この点について、竹中大臣の見解をお聞かせください。

竹中国務大臣 三年ごとの検証ないしは見直しの問題でございますが、この問題につきましては、さきの通常国会の衆議院における御審議におきましても、その趣旨とか検証の範囲はどうなのかというところに関しましてさまざまな御議論があったところでございます。

 それを受けて、与党におかれては、当初検証だったわけですが、検証というのでは、事実を確認したことについて意見を言う、そういうちょっと狭い範囲にとどまるとのニュアンスが強いのではないかというのに対して、見直しとすれば、これは、民営化委員会は、事実の検証をして、その基礎の上に立って何らかの改善策、誤りがあったら直す、このようなところまで意見を言うということになるという意味で、その意味で衆議院で修正が行われたというふうに理解をしております。

 この修正を含めまして、さきの通常国会の衆議院において行われた修正につきましては、これは、我々政府としましても、郵政民営化に係る国民の不安感でありますとか懸念の払拭に大いに役立つものであるというふうに考えております。また、現実にこれらの修正を含めた郵政民営化関連法案が国民の方々から大きな支持を受けたものというふうに考えております。このため、今国会では、衆議院でのさきの修正内容を織り込んで郵政民営化関連法案を提出させていただいております。

 もう一点、国会の報告でございますけれども、郵政民営化推進本部によります国会報告の規定というのは、これは民営化法の第十一条二項に規定されておりますが、この規定には何ら変更はございません。本部は、まさに、三年ごとの総合的な見直しの結果に基づきまして民営化委員会が述べた意見の内容を国会に報告するということが定められております。

重野委員 次に、民営化委員会は進捗状況について三年ごとに総理大臣に意見を述べるとされております。一方、法百五条の一項、百三十五条一項の規定によりまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社については、十年間の移行期間を待たずして郵便貯金銀行、郵便保険会社に関する特例措置、これは二〇一七年十月前、つまり、十年という期間を待たずに失効する、このように規定をしております。その際に、これら条文のそれぞれ二項におきまして、「民営化委員会の意見を聴かなければならない。」、このように規定をされております。

 そこで伺いますが、内閣総理大臣及び総務大臣の決定と民営化委員会の意見とが異なる、こういう場合も想定されるわけでありますが、そういう場合にどうなるんだろう、こういう疑問を持つわけですけれども、これについて総務大臣、答弁をお願いします。

麻生国務大臣 急なお尋ねですけれども、基本的にはそういったことのないようにせないかぬところだとは思いますが、最終的には決定権がある総務大臣ということになろうとは存じますけれども、民営化委員会の方々とよく話を詰めて双方で納得いくような形というのが常識的な答えなんでしょうけれども。

 要は、その決定が新しくスタートするいわゆる郵政会社にとって利益を生むか生まないかというのが非常に大きな観点になろうか、私は基本的にはそう思っておりますので、五原則を踏まえてということが決定の一番の基本をなすものだと判断をしております。

重野委員 今大臣の答弁を聞いていますと、そういうことは起こり得ないとは言っていませんが、それに近いようなニュアンスに聞こえたわけです。そうなると、そもそもこの民営化委員会というものの存在価値あるいは人格というもの、これはどうなのか。私は、民営化された以降の新しい会社がどういうふうに進んでいくのかという点においては、この民営化委員会の判断というのは非常に重いものがあるんだろうと思うんですが、そうなったときに、基本的には政府の方向とこの民営化委員会の方向というのはそもそも同じであらねばならぬというふうな判断に立つのか、いや、そこには意見のそごが当然起こり得る、そのときには双方の意見調整あるいは話し合いというものが当然持たれるんだ、そういう二つがあると思うんですが、その二つの方向をどのように大臣は考えているんですか。

麻生国務大臣 当然意見が異なることはあり得ると思っておかないと、丸々金太郎あめみたいに皆同じ人を選ぶという方がおかしいわけですから、基本的には、いろいろな方が意見を述べられる、その同じ民営化委員会の中でも割れるであろう、当然のことだと思います、経営判断ということになろうと思いますので。

 そこで、民営化委員会から出てきた話と、総務省なりなんなりで、金融庁なりでやっていた意見とまた意見がずれる、それもまた十分に考えられるところなんですけれども、したがいまして、先ほど申し上げましたように、判断をする、最終的によって立つところは、重野さんが言うからこれしてやらないかぬとかいうような判断ではなくて、少なくとも五原則というものに基づいてきちんと総合的な判断を、最終的には総務大臣が結論をおろさないかぬところだと存じます。

重野委員 そこで、三年ごとの進捗状況の見直し、これについては国会に報告されることになっております。同じように、総理大臣及び総務大臣の決定に対する民営化委員会の意見、この意見についても当然国会に報告されてしかるべきものというふうに思うんですが、この点はどうなるんでしょうか。

竹中国務大臣 これは、いろいろな見直しの場合とか、百五条決定の場合とかいろいろございますけれども、民営化委員会が意見を述べたときは、それを、三年等々の場合、国会に報告しなければならないことに決められておりますので、意見が違おうが違うまいが、それについては、我々政府としては国会に報告しなければいけないということになっております。

 先ほどの点について若干法律のたてつけをぜひ申し上げさせていただきたいんですけれども、これは、各大臣はみずからの責任においてやはりしっかりと判断をするということになりますので、その意味では、理屈の上では民営化委員会の意見と違う場合というのが当然あります。しかし、あえて民営化委員会の意見と異なる判断をする場合には、関係各大臣はみずからの判断の妥当性とか合理性について当然説明責任を負うということになる。

 また、関係各大臣等は、民営化委員会の意見に基づいて措置を講じた場合、その旨を民営化委員会に通知をすることになります。これも法律で決められております。したがって、民営化委員会もどこが違うのかということを知ることができる。

 そして、関係各大臣等の措置が不十分であるというふうに民営化委員会が考える場合には、民営化委員会は本部長に対して再度意見も述べることができるということも法律上定められておりますので、その意味で民営化委員会の意見は十分反映されると思いますし、それは政府の責任で国会にも報告をされるということになってまいります。

重野委員 以上で質問を終わりますけれども、この法案審議の最後の質問になりました。短い期間の中で、各大臣の答弁も拝聴いたしました。しかし、我々党としてその答弁を納得するものと評価するわけにはまいりません。我々は、この法案については反対ですということを明確にして、終わります。

二階委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 いよいよ最後の質問になったわけでございます。私ども、前国会において政府案に反対をしたわけでございますが、今国会、残念ながら政府案が成立をすることが確実になったような状況でございます。私ども、今回民主党さんも案を出しておられますけれども、もう限られた時間でございますので、民主党の案について質問をする時間がございません。政府案についてだけ若干の御質問をしたいと思いますが、政府案に多くの問題点、矛盾点がございます。そのことについて一々議論をする時間がございませんので、基本的な問題について若干指摘をいたしまして、その上で、まとめて竹中大臣から御見解を伺わせていただきたいと思います。

 まず、そもそも論で大変恐縮でございますけれども、郵政三事業というのは、国民、利用者からすれば、当然のことながら、公共性、公益性というものを持っているということは政府も認めておられると思います。また同時に、事業でございますから、採算性、収益性というものも重視しなくてはいけない、これも当然のことでございます。

 その企業性と公益性を両立させる経営の仕組みとしてどういう仕組みがいいのか、そのことをさんざん議論した結果、平成十年に中央省庁等改革基本法がつくられまして、その基本法に基づいて公社法を政府が提出され、成立をして、そして一昨年に郵政公社が発足をした、こういう経緯でございます。

 しかも、郵政公社、生田総裁のもとで一期四年の中期経営計画を確実に実行しておられて、現在、黒字経営をしておられる。もともと郵政公社発足のときの議論でも、公社の資本金が過少である、そういう議論を随分いたしました。その過少資本を補っていくために、今、一生懸命経営努力をされた結果、その黒字を資本金に積み増していく、そういう措置をとっておられるわけでございます。

 なぜ、こういう状況にあるときに、一期四年の中期経営計画が終わるところまで待てないのか。そこまで待って、黒字を十分に資本金に繰り入れて、いずれ民営化するにしても、今度のように持ち株会社を含めれば四つに分社化される、それぞれの資本金がすべて過少資本にならざるを得ないと私は思います。財政資金からお金を入れれば別ですけれども、それをやらないといえば、当然、過少資本である。

 そういう状況にあるときに、なぜ急いで民営化をしなくてはいけないのかということの説明が、依然として私どもには納得ができない、理解ができない、そのことについてどういうように考えておられるのか、そのことが一点。

 それから、もう一つ大事な視点は、官から民へということを言われるわけでございます。今三百四十兆のお金が公的セクターでだけ回っている、これが市場経済に生かされるようにすることが改革の本丸だ、そういうことを言われている。

 ですから、いわば郵政三事業、公益性と企業性というものを両立させなくてはいけないわけですが、政府、竹中大臣、小泉総理としては、その企業性というところに重点を置いて、そこを切り離して市場経済に役立てよう、そういう選択をされたわけでございますから、公益性よりも企業性というものを重視したということとして受けとめざるを得ない。しかし、同時に公共性というものも何とか配慮しなくてはいけないから、郵便局は減らしませんよとか、新たなサービスがいろいろできますよとか、そういうことをおっしゃっているわけでございます。

 基金をつくったということもその一端でございまして、最初は一兆円、これをさらに二兆円まで積み増せますよということを言っておりますけれども、その基金にしても、財政資金から入れるわけではなくて、郵政公社の自前でもってつくりなさい、そういう話でございます。そうすると、その基金が本当に底をついた場合に一体どうなるのか。それでも公共性、公益性というものを守るために郵便局のネットワークは国の責任において維持しますよということをはっきり言われるのか。それだったら、財政資金の投入もやりますよ、そこまで言われるんであれば国民は納得するんだろうと思いますけれども、そこはおっしゃらない。自由経済の本家本元のアメリカでさえ、郵便事業は国民にとって不可欠なサービスだということで国営でやっておられるということも御承知のとおりだと思います。

 ですから、そこの整理をどういうようにされるのか。私は、もう基金が底をついたら、もうそれ以上採算のとれない郵便局の面倒を見られませんよということを正直に言われた方が、国民はわかりやすいんじゃないか、そのようにも思うぐらいでございます。

 それから、官から民へと言われるけれども、今民間が、それだけ民間の金融市場がそんな大きな金を必要としているんだろうかということでございます。

 現実に、国債の大量発行、先ほども議論ありましたけれども、十七年度末で五百三十八兆、財務大臣の御答弁にありました、二十九年度末で八百九十二兆ですか、大量発行がずっと続いてまいります。そうすると、公社が民営化されようが公社のままであろうが、いずれにしたって国債をだれかが引き受けなければならないということはわかり切ったことで、これを外国が引き受けるわけはないわけですから、国内のだれかが引き受けなくてはいけない。

 今、資金需要がありません。ですから、量的緩和をずっと竹中大臣の主導で続けてきました。それで、日銀の当座預金残高、三十兆から三十五兆円をずっと維持してきた。ところが、それが貸し出しにうまく回っていかない。それは、私はやはり経済政策の失敗じゃなかったのかなというように思います。

 やはり、欧米の先進諸国がここ十五年で平均で二・四倍、経済規模を大きくしている。その中で日本だけはゼロ成長。そういう中で、当然、経済が大きくならなければ企業も収益を得られない、個人の所得もふえない。だから税収がどんどん減ってくる。十五年間で約二十兆の税収が減ってくる。税収不足になるから国債を出さざるを得ない。それのいわば悪循環に陥っているんだと思います。

 ですから、やはり私は大事なことは、思い切って、需要を創出する積極的な経済政策というものが同時に行われなくてはいけない。入るをはかって出るを制するというのはまさに財政の基本だと思うんですけれども、出るを制するというところに物すごい重点を置いて、入るをはかる政策をとっていない。それが私は基本的な誤りではないかというように思っております。

 そういう中で、資金需要がありませんから、ですから、結局、民間の金融機関がどんどん国債を買っている。もう百兆円以上の国債を買っている。そのときに、官から民へ資金を移動させるということは同時にそのリスクも移動させることになるんじゃないですか。もし国債が売れなくなった、国内で消化できなくなったというときに、信用不安が起こりますね。そのときに、その信用不安のツケというものは、結局、民間の金融機関、民間経済が負わなくてはいけなくなってくる。私は、新たな金融危機というものはそこで出てくる可能性が極めて高いんじゃないかというように思っております。その点をどう考えられるかということ。

 それからもう一つ、やはり外資規制の問題でございます。先ほど来御心配がございましたけれども、やはり、国内で三百四十兆のお金が民間経済にもうまく使われ、また国益にも貢献をするということであって初めて意味があることであって、これが外国の国益に貢献をするようなことを優先されるということがあってはならない。ですから、アメリカ国債をどんどん買う、そういうようなことになったら、これは預金者も納得できないであろうと私は思います。

 外資規制ということについて、なかなか、純民間会社ですからそれも難しいかもしれませんけれども、そのことについてどうお考えになるかということをお聞きしたいと思います。

 それから最後に、竹中五原則というのを基本方針をつくられたときに打ち出されましたけれども、その五原則と政府案の中身というものを対応してずっと調べてまいりますと、どうも何か竹中五原則とは相反するような中身になっているのではないかというように感じるわけでございます。

 そういうことを含めて、私は、この民営化が将来本当によかったなと国民の皆様方が思ってくださるような民営化であってほしい。私は、今思いますと、残念ながら民営化しなければよかったなという結果になりはしないかという懸念を強く持っておりますので、そのことを強く御指摘申し上げまして、御答弁をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 亀井委員から大変重要な質問、今五点ございましたけれども、また別の機会等々でぜひしっかりとした議論をさせていただきたいと思いますが、駆け足で少し御答弁をさせていただきます。

 まず第一の点は、なぜ待てないのかという点でございます。公社を設立した経緯は私も承知をしておりますが、しかし、それ以降も郵政を取り巻く環境は極めて厳しい。郵便物量の低下、金融の改革、そして何よりも、国際業務の展開の必要性、これは生田総裁御自身が熱望しておられることでもある。その意味で、やはり一刻の猶予もなく改革に取りかかりたいというのが私たちの気持ちでございます。

 二点目は、収益性と公益性、企業性と公益性ですね。企業性に重点を置いているのであろう、それでネットワークが維持できるのかという御指摘でございますが、私たちが収益性、市場のメカニズムを重視する最大の目的は、やはり経営の自由度を持っていただいて、経営の自由度を発揮していただいて、しっかりとした収益基盤を持っていただきたい、そうすることがネットワークを維持する最大の力になると考えているからでございます。

 ここは哲学の差という問題もあるかもしれませんが、我々としては、そういうメカニズムの中でネットワークがしっかりと維持されるような仕組みをこの中にビルトインしているつもりでございます。

 三番目は、むしろ、より大きな経済政策のあり方をということでございました。重要な点は、今、実質成長率は日本は非常に高い。ことし前半の経済成長率、実質ベースでは、日本はG7の中で最も高い成長率でございます。しかし、相変わらずデフレが続いている。デフレが続いているので、名目成長率が低い、名目GDPが伸びない。この名目GDPを伸ばしていくことが、今後の財政再建も含めて大変重要であるという強い認識を持っております。政府、日銀、そうした点では、引き続き気持ちを引き締めてしっかりとデフレ克服に当たらなければならないと思っております。

 外資規制につきましては、これは先ほども答弁させていただきましたが、まず、健全な経営をしていただくための仕組み、主要株主の健全性をチェックする仕組みというのは、銀行法、保険業法等々で持っておりますので、それをしっかりやる。それに加えまして、新しい会社法の敵対的買収の対策、それへの対応をしっかりと行わせたいというふうに思っております。

 最後、五原則、二年前に私自身が五原則を打ち出させていただきまして、私の気持ちとしましては、今回の法案はこの五原則に見事に沿ったものになっているというふうに考えております。この点については、引き続きいろいろな形での議論をさせていただきたいと思います。

亀井(久)委員 終わります。

二階委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

二階委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 私は、自民党、公明党を代表いたしまして、内閣提出の郵政民営化関連六法案について賛成の立場から、民主党提出の郵政改革法案について反対の立場から討論を行うものであります。

 まず、内閣提出の郵政民営化関連六法案について申し上げたいと思います。

 本法案は、民営化のメリットを最大限に引き出すと同時に、郵政事業が果たしてきた公的な役割についても十分配慮されたものであります。

 郵政事業は、従来から、公共的、福祉的な役割を果たしてまいりました。このような全国の郵便局が果たしてきた役割については、民営化後においても引き続き果たされ、利便性が低下しないようにすることが極めて重要であります。

 本法案は、郵便局の利便性が低下しないよう十分な配慮がなされており、例えば、過疎地を初め、都市部においても必要な郵便局ネットワークを維持し、また、代理店契約や社会・地域貢献基金など、貯金、保険の金融サービスが低下しないようさまざまな措置が講じられております。このように、市場における自由で公正な競争を通じて、民営化のメリットを最大限引き出すような制度設計が行われると同時に、郵政事業の果たしてきた公共的な役割、利便性の確保については確実に担保されるよう工夫されております。

 本法案は、民間の知恵や力を生かすことにより、我が国の力を最大限伸ばすものである一方、郵政事業の果たしてきた役割について十分な配慮が行われており、郵政事業を改革するために必要な法案であると考えております。

 続いて、民主党提出の郵政改革法案について申し上げます。

 本法案では、郵便局で提供されてきた郵便、郵貯、簡保の三事業を中心とするサービスの提供の保障がなされておりません。郵便と郵貯については全国の郵便局で提供するとうたっておりますが、それを確保する具体的かつ現実的な方策は何ら示されておらず、簡保に至っては、郵便局に業務委託されること自体、何ら保障されておりません。

 むしろ、本法案は、定額貯金の廃止や貯金限度額の引き下げ、簡保の廃止など、現在郵便局が行っている業務範囲をさらに制限しようというものであり、郵政事業の経営の見通しに楽観が許されない状況にある中、現行サービスの水準を維持することも雇用を守ることも困難な事態を招来しかねないものと言えます。

 このように、国民、利用者の立場から見ても、また、職員の立場から見ても、本法案による郵政改革は改悪以外の何物でもなく、到底賛同できるものではありません。

 最後に、政府においては、引き続き国民に対し、さまざまな場において郵政民営化の必要性、重要性を丁寧に説明していくことを要請し、私の討論を終わります。(拍手)

二階委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の郵政民営化関連六法案に対し反対、松本剛明君外七名提出の郵政改革法案に賛成の立場で討論を行います。

 政府の郵政民営化法案に反対する理由の第一は、政府案は、官がやるべき部分までも民にやらせようというものであることです。郵便と決済、少額貯金のサービスを受ける権利は国民の権利であり、これを保障するためには、これらの業務は国の責任で行うべきであります。

 これに対し、松本剛明君外七名提出の郵政改革法案では、郵便と決済、少額貯金のサービスはすべての国民が等しく受けられるべきであることが明記されており、まさに安心の改革案という名にふさわしいものであります。

 第二に、政府案は、民営化、民営化といいながら、現実には民の顔をした巨大な官の特殊会社をつくるものであり、民営化の名に値しないことであります。持ち株会社は国が三分の一超の株式を保有する特殊会社、郵便と窓口ネットワークの新会社はその一〇〇%子会社、貯金と保険の新会社とは株式を持ち合い、事実上の一体経営が続きます。

 これに対し、民主党案では、郵便は公社、郵便貯金は公社の一〇〇%子会社で行う一方、簡易保険は廃止し、郵政保険会社の株式も五年以内に完全処分することとしています。一たん処分した株式を買い戻したりすることはありません。

 第三に、政府案によってできる新会社は民業圧迫をもたらすことが確実であることです。郵便局にコンビニや貸し出し、株式仲介や不動産、果ては住宅リフォーム仲介などの新規業務をやらせれば、とりわけ地方の事業者は皆淘汰されてしまいかねません。

 これに対し、民主党案は、民間にできることは官が手を引くという理念のもと、政府案のような新規業務は行わないこととなっています。しかも、郵便貯金についても、定額貯金を廃止し、預入限度額を引き下げることで民業の補完に徹することが明確にされています。

 第四に、政府案では、郵貯・簡保資金は官から民へと流れないことです。郵便貯金銀行及び郵便保険会社は実質的には政府系金融機関ともいうべきものであり、小泉内閣がこれまでどおり野方図な国債、財投債発行を続ければ、それらの資金は決して民間部門へと流れることにはなりません。

 これに対し、民主党案では、定額貯金の廃止と預入限度額の引き下げによって百兆円規模の資金が民間金融機関や直接金融などへ流れることになります。この結果、地方の金融機関に分散した資金はその地域の中小企業などに貸し出され、地域経済も活性化します。しかも、郵政公社や郵便貯金会社による財投債の購入を禁止し、財政規律を働かせようという重要な措置も盛り込まれています。

 さきの通常国会における審議で明らかになった郵政民営化法案の矛盾や問題点は、今国会における審議でもとうとう解消しませんでした。総選挙で示された民意は、郵政民営化には賛成であっても、矛盾や問題だらけの政府案を無条件で容認するというものではありません。

 以上申し上げて、討論を終わります。(拍手)

二階委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、郵政民営化関連六法案に反対の討論を行います。

 小泉総理が郵政民営化一本に絞って国民に賛否を問うたさきの総選挙で、与党の得票は小選挙区で過半数に至りませんでした。国民投票なら明確に否決であります。

 しかも総理は、郵政公社には一円の税金も投入されていないことなど、重要な基本的事実を国民に全く語ってこなかったのであります。

 ところが、与党の議席の多数をもって信任されたと強弁し、わずか一日半という極めて短い審議で押し通すなど、断じて容認できません。

 本法案に反対する最大の理由は、国民に基礎的な金融サービスをあまねく公平に提供する国の責任を放棄するものだからであります。

 貯蓄や決済など基礎的な金融サービスを受けることは、国民の権利です。郵便局は、障害者対応のATMを一〇〇%設置し、口座維持手数料も取らず、すべての市町村に金融ネットワークを張りめぐらせ、この権利を保障してきたのであります。

 今、世界では、この基礎的な金融サービスを公的にどう保障するかが問われています。アメリカで低所得層の三八%、イギリスで五世帯に一世帯が銀行口座を持てず、大きな社会問題となっています。ニュージーランドでは公営のキウイ銀行が郵便局の中に復活するなど、各国でも新たな取り組みが始まっています。ところが、日本では反対に、国の責任を放棄し、民間任せにしようとしているのです。

 郵政民営化は、世界の流れにも、時代の流れにも逆行する愚行そのものと言わねばなりません。

 なお、民主党の対案は、国民の権利を保障するといいながら、貯金限度額の引き下げ、簡易保険の民営化など、国民に保障されていた権利を後退させるものとなっており、反対であります。

 そもそも郵政民営化は、国民が求めているものではありません。郵貯、簡保三百四十兆円の開放をビジネスチャンスとして要求してきた日米金融資本にこたえるものにほかなりません。まさに国民にとっては百害あって一利なし。断固反対を表明し、討論を終わります。(拍手)

二階委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、郵政民営化関連六法案に対する反対討論を行います。

 反対の第一の理由は、郵政民営化が国民の支持を得たとは到底言えないからであります。与党側からは、総選挙の議席増をもって国民の大多数が郵政民営化に賛成し決着がついたかのように語られます。得票数で見れば、賛否相半ばしているのが実態です。

 反対の第二の理由は、公共性や利便性よりも採算性や経営判断が優先されることになり、数多くの民営化コストを国民、利用者に負わせるとともに、全国一律の身近で便利な郵便及び金融のネットワークとユニバーサルサービスを崩壊させ、特に過疎地域や離島での生活や高齢者の利便性を損なうからであります。

 第三の理由は、選挙中から強調されてきました、郵政民営化は小さな政府につながるであるとか、官から民へ資金の流れを変えるなどということが、根拠のないまやかしにすぎないことが明らかであるからであります。

 第四の理由は、郵貯、簡保の三百四十兆円の庶民の生活用貯蓄を、投機のためのリスクマネーやアメリカを初めとする外資の攻勢にさらそうとするものであるからであります。

 第五の理由は、郵政職員の民営化後の雇用の確保や配置、労働条件が極めて不十分であるばかりか、非常勤職員や短時間職員に対する保障がないからであります。

 第六の理由は、ファミリー企業や特定局長制度には十分なメスが入っていないからであります。

 今求められているのは、国民生活の安心や安全を提供する社会的公共サービスであり、民間企業や外資のビジネスチャンスのために無用なリスクを国民に強いることではないはずです。

 今回の政府案は、参議院で否決された法案とほとんど変わりなく、これまでの審議で明らかにされた本質的問題点は解消されておりません。

 社民党は、国民の立場での郵政改革を求め、あくまで郵政民営化には反対していくことを表明し、反対討論を終わります。(拍手)

二階委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党・日本・無所属の会を代表して、政府提出の郵政民営化関係法案及び民主党提出の郵政改革法案に反対の立場から討論をいたします。

 まず、政府提出の郵政民営化関係法案についてでありますが、日本郵政公社が発足後まだ二年半しかたっておらず、現在黒字経営を行っているにもかかわらず、なぜ今民営化を急がなければならないのか、その点についての政府の説明は不十分であり、納得できません。

 また、官から民へ資金の流れを変えることを政府は強調いたしております。しかし、郵政事業の保有する資産の状況と国債の管理状況を勘案いたしますと、今後数十年間は官から民へ資金の流れを変えることが期待できません。いたずらに流れを変えることを急ぐとすれば、日本経済に混乱を招くおそれが大きいと言わざるを得ません。

 多くの問題点と矛盾点が解明されていない今日、郵政民営化の問題はもっと議論を尽くすべきであり、政府提出法案に反対せざるを得ません。

 なお、民主党提出の郵政改革法案についてでありますが、考え方に共感できる部分があるものの、貯金限度額の急激な引き下げ、簡易保険の廃止など、時間をかけて検討すべき重大な事柄であり、にわかに賛成できるものではないことを申し上げて、反対討論といたします。(拍手)

二階委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

二階委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、松本剛明君外七名提出、郵政改革法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、郵政民営化法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、日本郵政株式会社法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、郵便事業株式会社法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、郵便局株式会社法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

二階委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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