衆議院

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第10号 平成18年11月10日(金曜日)

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平成十八年十一月十日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 森山 眞弓君

   理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君

   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 町村 信孝君 理事 中井  洽君

   理事 牧  義夫君 理事 西  博義君

      阿部 俊子君    井澤 京子君

      伊藤 忠彦君    稲田 朋美君

      猪口 邦子君    岩永 峯一君

      上野賢一郎君    浮島 敏男君

      臼井日出男君    江崎 鐵磨君

      大島 理森君    大塚 高司君

      岡部 英明君    海部 俊樹君

      金子善次郎君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      小坂 憲次君    島村 宜伸君

      平  将明君   戸井田とおる君

      中山 成彬君    長島 忠美君

      西川 京子君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    平口  洋君

      藤田 幹雄君    馬渡 龍治君

      御法川信英君  やまぎわ大志郎君

      安井潤一郎君    吉川 貴盛君

      市村浩一郎君    川内 博史君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      田嶋  要君    土肥 隆一君

      西村智奈美君    野田 佳彦君

      羽田  孜君    松本 大輔君

      三日月大造君    横山 北斗君

      斉藤 鉄夫君    坂口  力君

      石井 郁子君    笠井  亮君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

      保利 耕輔君

    …………………………………

   議員           藤村  修君

   議員           大串 博志君

   議員           高井 美穂君

   議員           笠  浩史君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           高市 早苗君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山中 伸一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房タウンミーティング担当室長)   谷口 隆司君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   衆議院調査局教育基本法に関する特別調査室長    清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     阿部 俊子君

  稲田 朋美君     井澤 京子君

  臼井日出男君     藤田 幹雄君

  小坂 憲次君     吉川 貴盛君

  佐藤 剛男君     浮島 敏男君

  中山 成彬君     長島 忠美君

  松浪健四郎君     金子善次郎君

  森  喜朗君     岸田 文雄君

  渡部  篤君     大塚 高司君

  西村智奈美君     田嶋  要君

  古本伸一郎君     三日月大造君

  横山 北斗君     川内 博史君

  石井 郁子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     岡部 英明君

  井澤 京子君     稲田 朋美君

  浮島 敏男君     平  将明君

  大塚 高司君     北村 茂男君

  金子善次郎君     伊藤 忠彦君

  岸田 文雄君     森  喜朗君

  長島 忠美君     中山 成彬君

  藤田 幹雄君     御法川信英君

  吉川 貴盛君     小坂 憲次君

  川内 博史君     市村浩一郎君

  田嶋  要君     西村智奈美君

  三日月大造君     小宮山泰子君

  笠井  亮君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     江崎 鐵磨君

  岡部 英明君     安井潤一郎君

  北村 茂男君     馬渡 龍治君

  平  将明君     平口  洋君

  御法川信英君     臼井日出男君

  市村浩一郎君     横山 北斗君

  小宮山泰子君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     松浪健四郎君

  平口  洋君     佐藤 剛男君

  馬渡 龍治君     渡部  篤君

  安井潤一郎君     井脇ノブ子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 教育基本法案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第八九号)

 日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外六名提出、第百六十四回国会衆法第二八号)


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     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、教育基本法案及び第百六十四回国会、鳩山由紀夫君外六名提出、日本国教育基本法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山中伸一君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、大臣官房タウンミーティング担当室長谷口隆司君、規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局長清水潔君、高等教育局私学部長磯田文雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本大輔君。

松本(大)委員 おはようございます。民主党の松本大輔です。

 お手元に資料をお配りしております。一ページ目、二ページ目。三ページ目は二ページ目の添付資料です。それから、四ページ目。委員長、これはきのうの理事会に内閣府から提出された資料という理解でよろしいでしょうか。

森山委員長 どれですか。

松本(大)委員 今お手元にお配りしております配付資料の一ページ目と二ページ目と、それから、四ページ目のコピーなんですけれども。

森山委員長 これは、先ほど理事会でお示しいただいたものと同じものですね。

松本(大)委員 はい。

森山委員長 結構です。どうぞ。

松本(大)委員 委員長からは、先ほどの理事会で提示いただいたという御発言だったんですが、きのうの理事会で内閣府から我が党の理事に対して出されたものというふうに承っております。

 念のため、官房長官にも御確認をさせていただきたいと思いますけれども、この一ページ目、二ページ目。それから、三ページ目は二ページ目の添付資料だというふうに申し上げました。それから四ページ目。この三通、メールのコピーになっておりますけれども、これは内閣府から本委員会に対して提出をされた資料ということで間違いございませんでしょうか。念のため確認をさせてください。

塩崎国務大臣 三通のメールについてのお問い合わせということでございますね。

 今示されました資料としてのメールの写しは、送信先である八戸市教育委員会から入手したものでございます。また、発信者である内閣府の担当者も送信したメールの写しであることを確認しているため、真実のものであるというふうに報告を受けており、また、これは昨日の理事会に提出をされ、きょう、理事会で資料として提出されるということが認められたものだというふうに理解をしております。

松本(大)委員 物がメールだけに、ちょっと念のため確認をさせていただきました。

 先ほど官房長官からもおっしゃられたとおり、これはすべてあて先が八戸市教育委員会教育政策課総務企画グループ、そして、発信者はいずれも内閣府大臣官房タウンミーティング担当室ということでありまして、まず一通目が、八月二十四日に出されております。

  お世話になります。

  現在、参加者の最終調整に入っておりますが、発言者について、もう少し増やしておきたいと文部科学省よりお願いがありまして、あと三名程度お願いしたいのですが。

  なお、この三名については、発言内容を文部科学省から提示しますので、その内容について発言して頂きたいと考えております。(できたら公務員以外の方でお願いしたいのですが)

とあります。

 二通目が、資料の二ページ、八月三十日付です。

  お世話になります。

  大変遅くなりましたが、ようやく、文科省から発言内容がきましたので、よろしくお願いします。

  このような趣旨で、もう少し自分の言葉を足したような感じで発言していただきたいとのことです。(できるだけ公務員以外の方でとのことですが…)

 そして、その文科省からの発言内容ということで添付ファイルがついていまして、それが次のページの三ページ、タウンミーティング八戸質問項目案というものであります。1、2、3、いずれも教育基本法の改正について言及がされているということであります。

 四ページ目が八月三十一日に出されたメールでありまして、

  お世話になります。

  依頼発言者、ありがとうございます。文科省依頼分(三名)は必ず当たります。

  また、それ以前にお願いした四名についても、たぶん当たります。(特に学生は当たります。)最終的に申込者数がけっこう多くなってので、

これは誤植だと思いますが、

 全体で十二人ぐらい当たるのではないかと思います。

  なお、依頼発言についての注意事項ですが、

  できるだけ趣旨を踏まえて、自分の言葉で(せりふの棒読みは避けてください)

  「お願いされて…」とか「依頼されて…」というのは言わないで下さい。(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)

  また、当日の受付で本人を確認していただき、文科省依頼の三名については文科省の担当者が追っていき、位置を確認します。また、残りの四名については、受付の方でマークするような形になります。

以上であります。

 にせものであってほしいなというふうに思うぐらいのとんでもない内容だと思うんですけれども、官房長官、改めて確認をさせてください。本当にこのような内容のメールを、いずれも内閣府から八戸市の教育委員会の教育政策課総務企画グループに対してお出しになられたんでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほどお答えいたしたとおりでありまして、これは真実のものであるというふうに報告を受けております。

松本(大)委員 火曜日、十一月七日の理事会に、資料の五ページ目、六ページ目、七ページ目の資料が提出をされております。教育改革タウンミーティングのいわゆるやらせ質問の件に関して、内閣府が理事会に対して調査結果を報告しております。

 資料六ページ目の八月二十四日、一番下の欄ですが、「文部科学省からの連絡を踏まえ、内閣府は、八戸市教育委員会に発言者の追加を依頼。」

 めくっていただいて、七ページ目、八月三十日のところには、

  文部科学省から、内閣府に質問項目案を送付。

  これを踏まえ、内閣府は、八戸市教育委員会に送付。

  八戸市教育委員会は、県教育庁にも、これを送付。

  県教育庁より送付を受けた県三八教育事務所が、管轄の学校のうち、タウンミーティングに参加予定者の多い学校に、資料四2のような意見を持つ発言候補者がいないか打診し、質問項目案を同校長に送付。

八月三十一日、

  県教育庁及び八戸市教育委員会から三名の発言候補者について内閣府に連絡があり、内閣府より、発言についての留意点等について市教育委員会、県教育庁に連絡。

  連絡した留意点

  できるだけ趣旨を踏まえて

  自分の考えを自分の言葉で

  棒読みにならないように

  意見発表を依頼されたということは言わないように

ということでありまして、先ほど御紹介をした三通のメールにいずれも対応した形で、内閣府もこれを認める形で調査結果を報告されています。

 ここでちょっと注目をしてみたいのが、資料の六ページの八月十日及び十一日のところでありまして、この報告書を素直に読むと、「内閣府が、八戸市教育委員会及び青森県教育庁を訪問し、タウンミーティングの広報、参加者への呼びかけを依頼。」とありまして、「同時に、対話のきっかけとなるような意見を述べてくれる人を探して欲しいと依頼。」「その際、テーマの趣旨に対して賛成・反対を問わないこと、発言は強制しない旨を説明。」というふうにあるんですね。

 つまり、当初は、内閣府の意向としては、振りつけはしないよと。発言してくれる人は探すけれども、テーマの趣旨に対して賛成、反対は問わない、強制もしないということで、振りつけはしないという方針を決めていらっしゃったにもかかわらず、二十四日に、文部科学省からの連絡を踏まえて、振りつけ質問の依頼があったときには、それをそのまま八戸市の教育委員会に指示として流してしまった。

 これは、本来であれば、振りつけはしないという方針を、これは素直に読めばですけれども、内閣府内で立てられたのであれば、文科省に対して、やはりそういうふうな振りつけ、やらせはやるべきじゃないと毅然とした態度でやはり押し返されるべきだったんじゃないか。これを見て見ぬふりをしたということは、内閣府さんとして大いに責められるべきではないかなというのが一点目。

 二点目は、八月三十一日の木曜日のところですが、資料の七ページ目ですけれども、先ほどメールは紹介しましたけれども、「できるだけ趣旨を踏まえて」「自分の考えを自分の言葉で」「棒読みにならないように」「意見発表を依頼されたということは言わないように」ということで、文科省からのやらせ質問だということを、ばれないようにというか、その偽装工作に対して内閣府は積極的に加担をしてしまった形に結果としてなっているわけですね。

 この点について、私は非常に問題があると考えているわけでありますけれども、官房長官のコメントを求めたいと思います。

塩崎国務大臣 この問題につきましては、記者会見で昨日も明確に御説明申し上げたところでありますけれども、やはりこれは大変遺憾なことが起きたということだと思っています。

 特に、現場の行き過ぎとはいえ、タウンミーティングという、国民と内閣、政府との大事なコミュニケーションの場がこのような形で、言ってみれば、質問をこういうことでやってくださいということでお願いをしているという事実が発覚したわけでありますので、我々としては大変反省をし、そして、とりあえず八回分の調査については、この委員会を含めて皆様方に経緯を明らかにしたところでございます。これはもう隠すところなく皆様方にお示しをいたしました。

 と同時に、これまで百七十四回、この八回分を除くと百六十六回の調査がまだ済んでいないので、この際でありますから、これまでの百六十六回についても一切合財点検をやり直そうじゃないかということで、昨日、内閣府の内田事務次官に指示をしたところでございます。

 したがって、これは外の方の目も入れながら、この百六十六回分についても今回のような調査をきちっとして、それで国会に御報告を申し上げよう、そして、その間にさまざまな問題について、恐らく問題点が発見をされると思うわけでありますが、それらを踏まえた上で、新しい、不信感を招かないような、信頼されるタウンミーティングのやり方というものをこれからしっかりと築き上げて再構築した上で、安倍内閣として初めてのタウンミーティングをできるだけ早く開催して、本来あるべき姿である国民との対話の場としてのタウンミーティングをやっていきたい、こう思っているわけでございます。

 先ほどの経緯につきましては、御指摘のとおり、八戸につきましては、十日の段階では賛否を問わない、こういうことを明確に言っているわけであります。ところが、どんなふうな方々が御発言してくれるかなと調べたところ、手を挙げようというふうに思っていらっしゃる方々はたまたま教育基本法については何もお触れになる御予定がなかったものですから、そうなると、やはりどなたかが触れた方がいいのかなということで、多分文科省が内閣府の方に、先ほどの添付ファイルにあるような案を出してこられた。そのときの説明が、先ほどのメールに残っているような、さまざまなやり方についての指示があった。

 こういうことであって、いずれにしても、現場で行き過ぎたことをやっていたということを我々は率直に認めながら、反省をしつつ、これからの残りの部分についての総点検をして、そして新たなるルールを築き上げた上でタウンミーティングを再開したい、このように考えているところでございます。

松本(大)委員 後で触れようと思っていたんですが、資料の十一ページ目なんですけれども、理事会に出していただいた内閣府さんからの八戸以外の調査報告書をもとに、それから過去のタウンミーティングの議事録八回分に目を通して、一体全体その全容はどうだったのかというのを一覧表にしたんですけれども、先ほど官房長官からは、八戸のタウンミーティングでは、たまたま教基法に触れることがなかったということでこういう趣旨の発言を盛り込んだんだということでありましたけれども、このときが一番悪質なんですね。

 つまり、三問やらせ質問を用意して、三問ともこの教基法改正に賛成の立場の振りつけを行っているんですよ。これは、その他の回の振りつけ、やらせ質問と比べてもこの特徴は顕著でありまして、まさに教基法の改正案がさきの通常国会に提出をされて、閉会中であった、もう審議中なので焦りを感じていらっしゃったのかもしれませんが、教基法改正に賛成の立場の意見のみ、三問ともそれにしてしまった、これは私は非常に悪質だと思います。それに対して、内閣府さんとして、やはりそれを毅然として押し返さなかったということは大いに責められるべきだと思います。

 さらに、これはまた後で申し上げようと思っていたんですが、きのうの理事会で提出をされた八戸以外の教育改革タウンミーティングについての調査結果、お手元の資料でいうところの八ページから十ページまででありますけれども、確かに文科省が主導しました、振りつけを主導しました、やらせを主導しましたというのは、一回目の岐阜県、それから三回目の松山、あと最後の八戸ということになるんですかね。ただ、四回目と五回目、和歌山市と別府市については、ここに内閣府さんみずから調査報告書にまとめていらっしゃるとおり「内閣府が、」「発言のための資料を作成し、」というふうにありまして、要するに、これは内閣府も文科省も同罪ということなんですね。文科省のみがやらせ質問を作成して、内閣府はあくまでスルーしたということではなくて、少なくとも四回目、五回目、和歌山市と別府市については、内閣府さんがみずからこのやらせ質問を作成されて、そしてそれぞれの教育委員会に送付されているんですよ。

 したがって、今の官房長官の御答弁は、過去にさかのぼって全部調べるんだと、その努力にはまさに敬意を表したいと思いますし、率直に評価を申し上げたいところであるのですが、ただ、内閣府自身もやはりこのやらせ質問の作成に主導的役割を果たした、積極的に関与したということについては、もう少し陳謝なり、信頼を傷つけたということに対して率直におわびの言葉があってもよかったのではないかなという感じがいたします。

 ちなみに、このタウンミーティング、政府主催でやりますよね。八戸では、一体どのぐらいの公費が使われたんでしょうか。事務方で結構です。

山本政府参考人 お答えいたします。

 八戸市で行われたタウンミーティングにつきましては、現在、経費を精査中でございますが、平成十五年から平成十七年六月までに七回開催されておりますが、一回当たりの平均開催費用は約九百六十一万でございます。

 それから、平成十七年度に行われました二十三回のタウンミーティング一回当たりの平均開催費用は、約一千百万円程度でございます。

松本(大)委員 直接的な御回答はいただけなかったというふうに理解をしましたが、要するに、八回のタウンミーティングのうち、八戸を含めて五回のやらせ質問が行われました、そこにかかった公費の総額は幾らなんですかということをお尋ねしたかったわけでありますけれども、今の九百六十一万というのは十八年ということでしたか。

山本政府参考人 教育改革タウンミーティング七回の平均費用が九百六十一万、今回のものは現在経費の精査中というぐあいでございます。

松本(大)委員 私がちょっと理事に確認をしたところ、八戸のタウンミーティングにはおおむね一千万ぐらいの費用がかかっているのではないかというような御発言があったと聞いているんですが、精査中ということでありますけれども、理事会に報告をした数字というのは……(発言する者あり)わかりました。

 八戸を除く七回の平均が九百六十一万円だとすると、仮に八戸も同じぐらいかかったと仮定をすると、九百六十一万円が、五回のやらせ分、掛ける五ということは四千八百万ぐらいということになるんですよね。五千万円弱もの公費が、本来は政策への国民的な理解を深めるためのタウンミーティングの場に用いられてしまった、これは、本当に納税者をこれほどばかにした話はないと思うんですね。こんな税金の無駄遣いはないというふうに考えます。

 内閣府の長というのは、設置法上は内閣総理大臣ということでありますし、先ほど最も悪質だと私が申し上げた八戸のタウンミーティングが開催された当時、このやりとりが内閣府と文科省と八戸市教育委員会との間で交わされた当時、これは小泉政権下でありますから、当時、官房長官は現在の安倍総理でありました。つまり、現在内閣府の長である安倍総理、さらには八戸のやらせ質問が行われていたときの内閣府の事務を統括する立場に、当時官房長官にいらっしゃった安倍総理、その方が率いていた、あるいは率いている内閣府がこのような税金の無駄遣いを行っていて、国民との信頼関係を大きく損ねてしまった。

 これは、ひいては、そもそもタウンミーティングの制度自体は、小泉政権が登場したときに、国民に対して政策への理解を深めてもらうという趣旨で設けられたものでありますから、これは前政権の政策の正当性あるいは今の政権の政策の正当性まで問われかねない私は重大な問題だと考えるんですね。

 ですから、先ほど官房長官は、過去にさかのぼって、百六十六回のタウンミーティング、全部調査をされるとおっしゃいましたが、まず、これについてはいつごろまでに調査を完了させるおつもりでしょうか。

塩崎国務大臣 時期については、今定かに言えるような状態ではございません。今回のこの八回分の調査だけでも相当な手間がかかりました。しかしながら、こういう大事な問題で、先生御指摘のとおり、重大なことだと我々も思っておりますので、鋭意スピードアップしてやりたいと思っています。

 ただ、今申し上げたように、それぞれの先方にも確認をしていくという作業が必ず起きてまいりますので、大変手数のかかることでございます。しかし、それをできる限り早く御報告できるようにやりたいと思っております。

松本(大)委員 これはやはり重大な問題だからこそ、けさの新聞でも総理のコメントを私は読みましたけれども、国民との信頼関係を危うくしてしまったことは大変残念であり、遺憾だとおっしゃっているわけでありまして、やはりこれは期限を区切って、いついつまでにほかのタウンミーティングまでも、つまり、小泉政権下で行われたほかのすべてのタウンミーティングが茶番だったわけではないんですよということを、やましいところがないなら、早急に調査を完了して国会に対して報告するということが私は国民との信頼関係を取り戻すための唯一の手段だと考えますし、それこそが説明責任だというふうに考えますので、ぜひとも期限を区切って、いついつまでにやられるのか、明言をしていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生おっしゃるように、この問題が重大であるということは我々も全く認識を同じゅうするわけでありますが、何分にも、大量な書類を大量な人数で全部調べていかなきゃいけないし、やはり漏れがあってはいけないということで、期限を切るというほど簡単な作業ではないわけでございまして、我々としては誠心誠意、これは人材を投入して調査をいたし、また、国会にできるだけ早く御答弁できるようにやりたいと思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。

松本(大)委員 期限を区切るということに関しては明言をしていただけないわけでありますけれども、新しいタウンミーティングのあり方を模索されるというような趣旨の御答弁、あるいはこれまでの会見での発表がありましたけれども、これはつまり、新しいタウンミーティングのあり方が確定するまではタウンミーティングは行わないよという理解でよろしいですか。

塩崎国務大臣 そのとおりでございます。

 やはり、今回出てきたような、国民の信頼を失いかねないようなやり方は一切やめるということでありますので、それをやらずに、いいコミュニケーションの場として、どうタウンミーティングを運営するかということを、皆で知恵を出してやっていきたいと思いますので、それができてから新しいやり方でタウンミーティングを開催したい、こう思っております。

松本(大)委員 内閣府ばかりに聞いても、ちょっと残り時間の関係もありますので。

 そもそも、さっき御紹介をしたこの資料の一ページ目から四ページ目までのメールなんですけれども、発信者が墨塗りになっているんですね。「内閣府大臣官房タウンミーティング担当室」までしか書いていないわけでありますけれども、これを実際に発信されたのはどこの省庁の御出身の方なんでしょうか。

山本政府参考人 文部科学省から内閣府に出向している職員でございます。

松本(大)委員 内閣府も積極的に関与をしたということでありますけれども、実態はこのメールの送信者も文科省から出向されている方ということでありました。

 先ほど御紹介した四ページ目には「できるだけ趣旨を踏まえて、」とか「せりふの棒読みは避けて」とか「「お願いされて…」とか「依頼されて…」というのは言わないで下さい。(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)」というのがあったんですが、これは、出向者御自身がみずからの判断でこのような振りつけを発案されたのか、それとも、大もとは、出向前のというか、もともと所属されていた文科省の側からの発案だったんでしょうか。お答えください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省においては、例示としてこういう案がどうだということで内閣府に送られ、それを受けた内閣府の職員が、そこを確認せずに、それをそのまま市の教育委員会に送付をして、こういう趣旨の発言をお願いしますということでお願いした、こういうぐあいに承知をいたしております。

松本(大)委員 文科省からの指示を内閣府の担当者が確認をせずにそのまま流してしまったということですか。つまり、発案者は文科省ということですか。

山本政府参考人 発言項目案を作成して内閣府に送りました。これは文部科学省において行われたわけであります。送付を受けました内閣府の職員が、その趣旨を文部科学省に確認をしないで、これはこういう趣旨の発言をしてほしい、そういう人を探してほしいというぐあいに受け取って、市の方にお願いした。したがって、これは内閣府の職員の判断でお願いをしたということでございます。

松本(大)委員 発言の依頼というものを、その項目を流したのはそうだということだったんですが、私が伺っているのは、できるだけ趣旨を踏まえてとか、自分の言葉で、せりふの棒読みは避けろとか、お願いされて、依頼されてというのは言うなとか、あくまで自分の意見を言っているという、こういう事細かな振りつけをされたのはだれの発案なんですかということをお伺いしているんです。

山本政府参考人 内閣府の職員の方の考えでこういうことを申し上げているということでございます。

松本(大)委員 こういうメールを打たれる方というのは、多分現場の方で、ひょっとしたらまだそんなにお年を召していない方なのかなという感じもするんですが、そういう現場の人が、現場だけの判断でこんな事細かな振りつけを本当に発案されるものでしょうかね。必ず上司に見てもらうなり、あるいは、もともと自分の母体から振りつけされたということでもない限り、かなりの創意工夫を加えて、こんな事細かな指示を出すとは私には到底思えないんですけれども、これは本当に、今の答弁だと、つまり、内閣府大臣官房タウンミーティング担当室のこの墨塗りになっている担当者がみずからこういうことまで考えたというふうにおっしゃっているわけですか。いかがですか。

山本政府参考人 この者は、この八戸タウンミーティングの主担当を務めておる人間でございます。したがいまして、このタウンミーティングが活発に、そして円滑なものにしたいという気持ちもあったと思います。非常に多忙な中で、組織として、タウンミーティング室として、しっかりと、そういったものの把握が十分に必ずしもできていなかったというのが今回の現状でございます。

松本(大)委員 私は、現場にだけその責任をなすりつけて、言ってみればトカゲのしっぽ切りみたいなことで責任の連鎖を断ち切りたいという思惑が何か透けて見えてしようがないんですけれども。

 事務次官のコメントだったと思いますが、政府として、関与した人の処分を検討したいという話をされているんですが、今の話だと、全くもって、この担当室のこのメールを書いた人だけが責任をとるというような趣旨にも聞こえてしまうんですが、責任者の処分とおっしゃっているのは、一体どういう範囲でその責任者、関与した者というものを想定されているんでしょうか。ちょっと官房長官にお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 私の方から、処分とかそういうような話は一切しておりません。まずは、ファクトファインディング、つまり、今までのすべてのタウンミーティングの実態を調べる、その上でどういうことが可能なのかということを考えるということを言っているわけで、私どもは、処分に関しては一切言っておりません。

松本(大)委員 事務次官のコメントとして、関係者の処分を検討したいというようなニュースがあったように記憶をしておりますが、それでは文科大臣にお伺いします。文科省として、この件について何らかの処分は検討されているんでしょうか。

伊吹国務大臣 事実関係は官房長官が御答弁をしたとおりだと思います。そして、我々が省内で、質問依頼をしたかどうかということは調べさせております。

 この件については、当初、八戸のタウンミーティングの際に、先ほど官房長官から御答弁があったように、教育基本法関係の質問がない、せっかくタウンミーティングするんだから、教育関係の、教育基本法関係の質問をしてもらいたいということで、質問や何かをつくって送ったようですね。

 率直に言えば、やらせの質問も感心しませんし、やらせの答弁も感心しませんから、私はつくったものは一切読まずに答弁をいつもいたしますが、文科省としては、内閣府のことに対しては指示権もありませんし、処分権も人事権も一切ありません。出向した限りは、その省庁の職員として誠心誠意仕事をするというのが公務員のあるべき姿です。

 しかし、文部科学省の中の当時の職員で、そのようなものを送って、今先生の言ったようなことを指示したという事実は、今の調査のところではありません、振りつけまでを送ったということは。しかし、事実関係を詳細に調べて、そして判断に誤りがあるということであれば、それは現場だけの責任であったのか、あるいはどこまで決裁というのか了解をとっておったのか、これは調べてやらないと、何か担当者だけがいけないみたいな幕引きは私は感心しないと思っております。それをよく見てから判断をしたいと思います。

松本(大)委員 今、大臣の答弁の中で、担当者だけが何か処分を受ける、そういうことではなくて、実際に上司なり上の判断を仰いでいたのかどうか、ちゃんとその事実関係を調べてから考えるということでしたので、これはそういう事実関係を徹底的に調査された上で処分を検討するということでしょうか。まず、それをお願いします。

伊吹国務大臣 その後、最後までよく調べて、そして私が判断をいたします。

松本(大)委員 文科省のだれがこのような振りつけを行ったのかということは、内閣府としては把握をされているんでしょうか。つまり、理事会に提出された報告書というのは、内閣府として、この調査報告書を理事会に上げられているわけですから、当然文科省とも確認をしながらつくられたはずですよね。したがって、文科省のだれからこのような指示が出ていたのかというのは当然確認をされていると思うんですが、内閣府の答弁を求めたいと思います。

伊吹国務大臣 先生、御質問の中の言葉をところどころおかえになると非常に混乱しますから……(発言する者あり)一切かえておりません。よく速記録を精査してそれは御発言ください。

 指示をしたという言葉を今お使いになっていますが、私は、内閣府に対する指示権はありませんということを御答弁申し上げております。そして、内閣府に質問を依頼したということを先ほど申し上げたわけです。振りつけという言葉を今お使いになりましたが、振りつけをしたということと指示をしたということは、私の答弁の中では申し上げておりませんので、その点だけは確認の上、内閣府にお尋ねをいただきたいと思います。

松本(大)委員 内閣府が理事会に対して提出をされたこの報告書では連絡という言葉が使われているんですけれども、これは通常、依頼をしたということですよね。メールの中では文科省依頼分とかと書いてあるわけですから、文科省が内閣府に対して依頼をしたという理解でいるわけですけれども。だから、質問事項については文科省から内閣府に送られてきた。

 では、このばれないようにといいますか、「自分の言葉で(せりふの棒読みは避けてください)」とか「「お願いされて…」とか「依頼されて…」」とか「あくまで自分の意見を言っている、」というような振りつけ、偽装工作というのは一体だれの発案だったんだ、この調査報告書では内閣府さんとしてその点も調査されているんでしょうかということをお尋ねしているんです。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今回の件につきましては、先ほどもお答えしましたように、文部科学省の方は項目案を、要するに、教育基本法の趣旨の発言がないので、項目案をおつくりになって我々の担当の者に送ってきました。その項目案を文部科学省の中でどなたがおつくりになったかまでは私どもは承知をしておりませんが、文部科学省から送られた。

 それから次に、今お尋ねの、それを受け取った内閣府の職員が、その趣旨をしっかりと文部科学省に確認しないままそれを市の方に流しまして、そして、この調査報告書にもございますように、こういったような依頼を、要するに、棒読みにならないようにとか頼まれたとは言わないようにとか、こういったようなことは内閣府の室の方で市の方に依頼をしたということで、そこは分けて御理解をいただきたいと思います。

松本(大)委員 ちょっと処分の話に戻りたいと思うんですが、要するに、こういう指示をしたというのは、一体だれの責任で、それをどういうふうに決着させようとされているのかということをお伺いしたいわけです。

 内閣府としては、さっき処分ということはコメントしていないというふうにおっしゃっていましたけれども、このメールが、こういう振りつけが内閣府の一担当官の発案でやられたんだ、だけれども処分等は検討していないと。逆に文科省としては、このような、できるだけ自分の言葉でとかというふうな振りつけまではやっていないけれども、質問事項はつくりましたよと。質問事項をつくった人はこれから把握をして、その人については処分を検討する、こういう理解でよろしいんでしょうか。官房長官と大臣からそれぞれ御答弁をお願いします。

伊吹国務大臣 先ほど来官房長官も答えておられるように、やはり、私は、タウンミーティングというのは広く国民の意見を聞くべきだと思います。ただし、国会の参考人だって、一般に公募するケースもありますし、各党推薦というケースもやはりあるわけですよ。ですから、特定の期待している項目に質問がない場合に質問をつくったと。しかし、そのことは結果的にタウンミーティングを、極めて不透明な感じを今先生が御批判なすっているように与えてしまった。そういう質問をつくって内閣府に送った、そのときの作成のプロセス、上司がそれに了解を与えて、これでやってもらえと言ったとか、そういうことは私がすべて、文科省の中のことは責任を持って調べます。そして、その結果、不透明なタウンミーティングという印象を与えたことの一端の責任はやはり担わねばならないわけですから、その際には私の判断においてしかるべく措置をしたいということを先ほど来申し上げているわけです。

塩崎国務大臣 何度も申し上げますけれども、今我々がやろうとしていることは、八件のケースで出てきたことをよく見ながら、あと百六十六件についても洗いざらい点検をしてみましょう、その上ですべてを判断し、また新しいやり方もつくり上げましょうということを言っているわけでございます。

松本(大)委員 何で私はこんなにこだわっているかというと、教育基本法の改正に向けた議論の中で、このタウンミーティングというものをこれまで文科省さんが非常に重視されてきたからなんですよ。

 これは何かといいますと、例えば、資料におつけしましたけれども、十二ページ目から十六ページ目、これは全部、教育基本法の特別委員会でタウンミーティングに関連した答弁が行われたところなんですね。

 例えば十四ページ目、これは下の方ですね、8と書いてあるところですけれども、十八年五月二十六日、糸川委員、「この教育基本法改正について、国民的議論を活発にするため、どのような取り組みを行ってきたのか、また、今後どのように行っていくのか、文部大臣の決意をお聞かせください。」とありまして、小坂前大臣がこれに対して、「これまでの活動の中で、」と述べられていらっしゃいまして、とりわけ、この傍線を引かれたところ、「答申をいただきましてからは、教育改革フォーラム、教育改革タウンミーティングなど幅広く国民の議論を聞く機会を設けて、議論に参加していただいたわけでございます。」とあります。

 それだけではありません。十二ページに戻っていただくと、今の与党の教育特のメンバー、町村元文部科学大臣であるとか河村元文部科学大臣も御質問を行われていらっしゃって、要するに、基本法改正というのは拙速な議論じゃないんだよ、これまでタウンミーティングとかいろいろな場面を通じて国民的議論を醸成してきたんだ、深まったんだ、この政策への理解はもう得られたんだ、だから十分なんです、こういう根拠づけにタウンミーティングをこれまで使われてきたんですよ。それなのに、その肝心のタウンミーティング、幅広く民意を酌み取る仕掛けであったはずの、その根拠とされていたタウンミーティングが実はやらせだったんだと。

 資料を先ほど申し上げましたけれども、十一ページ目にあるように、やらせの質問がなければ、教育基本法改正案、政府案に賛成だという自発的な意見は四件しかなかったんですよ、この八回のタウンミーティングで。それに対して、教育基本法改正案に反対だという意見は十七件を占めていた。つまり、このやらせ発言があった上でも実は八対十七なわけでありますけれども、やらせ発言がなければ賛成四、反対十七ということで、これは国民的な理解が改正について深まってきたということには全くならない。

 タウンミーティングがこれまで行われてきて、何度も繰り返し行われてきて、もう十分ですよ、きのうきょうの議論じゃないんだ、改正に向けた土壌というものはもう熟したんだ、このようにおっしゃっていたからこそ、その正当性はもはや根底から揺らいだんじゃないんですか。

 そのことについて、文部科学省のトップとして、大臣、いかがお考えなんですか、そのことをお伺いしているわけであります。どうですか、大臣。

伊吹国務大臣 やらせで意見を集約するということは不適当だと思います。それは先生おっしゃるとおりでしょう。ですから、今回の一連のことは、私は必ずしもいいことではないと思うし、タウンミーティングを所管している内閣府も、塩崎官房長官が御答弁になっておられるとおりの気持ちを持っておられると思います。

 しかし同時に、いろいろな世論調査、新聞の論調、それから、特定の組合が動員されたのかどうかわかりませんが、議員会館を取り巻いて、これも一種の自発的なんでしょうかね、よくわかりませんが、そういういろいろなことがあります。

 それを総合的に判断をして、それから、タウンミーティングに自発的発言者として出てきておられる方々がどういうお立場の方々なのかということ、いろいろなことをやはり総合的に判断をして、国民世論の熟成度というものは判断しなければならないと思います。

松本(大)委員 問題は、文部科学省の意に沿う形の振りつけ質問を依頼された方は手を挙げれば必ず当たる。だけれども、大臣のおっしゃるような、それはいろいろな考えを持った方が参加されたのかもしれませんよ。でも、あくまでも自発的に参加をされて、手を挙げて当たるかどうかはわからない状況だったわけですよ。このやらせ質問の悪質さというのは、他の人の発言機会を奪っておきながら、その一方で、文科省の意に沿う形の賛成の趣旨の質問については必ず当てるようにした。これが民意の誘導じゃなくて何なんですか。(発言する者あり)

伊吹国務大臣 お答えは委員長の御指示によってやりますから。

 民意の誘導というか、不透明なタウンミーティングのあり方については、私は適当なことじゃないということを再三申し上げておりますよ。ですけれども、同時に、タウンミーティングだけで今度は民意を判断したというような答弁をしているということ自体も私は問題だと思うけれども。

 しかし、民意というのはいろいろな把握の仕方がありますから。タウンミーティングでも、反対意見だってたくさん出ているじゃないですか。賛成意見もありますよ。そういうものをすべてやはり総合的に判断して民意というものはやるのであって、最後は、私たちがもし間違った判断をすれば、それは有権者の判断で、選挙で我々が負けるというのが、これは民主主義のルールなんですよ。

松本(大)委員 最後は選挙という結果責任で民意を問えばいいんだ、その間の過程については何をやろうと関係ないんだというような御趣旨の発言については、私はいかがかと思いますよ。

 先ほど、タウンミーティングで民意をはかろうとした、何か国民的な議論の広がりをタウンミーティングだけで判断しようとした答弁はいかがかと思うというのは、この委員会に所属をされている元大臣のお二人を愚弄しているんじゃないかと逆に私は思いますし、もしもそれが適切な答弁でなかったんだとすれば、では、大臣、この場で、この十一回に及ぶ過去の大臣の答弁を削除されますか。

伊吹国務大臣 先生、やはり美しい日本語で正確に話さないといけませんよ。

 それは、私は、選挙で結果責任を問えばあとは何をしてもいいようなことは一言も言っておりませんよ。いろいろな民意の受け取り方がある、その中で、タウンミーティングというのは一つの大切な民意を受けとめる場であるのに、それを不透明な形で運用したということについては、タウンミーティングの所管である内閣府の担当である官房長官が、先生と同じ、申しわけなかったという気持ちを表明しているんじゃないですか。

 ですから、私はその上に立って、タウンミーティングでこうであった、ああであったということだけで、まあ、答弁技術としては、タウンミーティングその他と言えばよかったと私は思いますが、だけれども、タウンミーティングでそういう民意の広がりがあるということを申し上げたということは、やはり今から思うと余り適当じゃなかったということを言っているわけですよ。

 だけれども、いろいろな民意のとり方がありますから、これは、当時の大臣はそういう判断で答弁をされたわけですから、私に削除権なんというものはありません。

松本(大)委員 答弁が、それは前大臣の考え方だ、答弁はちょっといかがかなというふうに思うけれども、でも私に削除する権限はないとおっしゃるのであれば、では、この不適切であったタウンミーティングについては、それを国民的議論の深まりの根拠とされるのであれば、このタウンミーティングはやはりやり直すべきじゃないですか、大臣。

伊吹国務大臣 だから、それはいろいろな民意の反映の仕方があるので、官房長官はこれからタウンミーティングのあり方をしっかりもう一度つくり直してと言っているわけですから、いろいろな場面でまたタウンミーティングを使うということは当然あるでしょう。

松本(大)委員 この教育基本法の改正の審議の過程で、やはり根拠とされているこの八回のタウンミーティングの、そのうち過半数、五回までがやらせだったわけですよ。そして、そのやらせの質問を除けば、教育基本法の改正案に反対の自発的発言が十七件で、賛成の自発的発言は四件しかなかったんですよ。

 つまり、国民的な議論は広がりを見せていない、理解についても広がりを見せていない状況の中で、やはりこれはタウンミーティングをこれから新たにやり直して、その中で、その間、審議を続けていくべきではないですかということを私はお尋ねしているんですよ。

伊吹国務大臣 私は、そうは思いません。

 一番の民意は何でしょうか。それは、日本国憲法によれば、日本国憲法によって先生御自身も国民の負託を受けられてここへ来ておられるんじゃないんですか。全国民を代表しているのは、日本国憲法によって国会なんですよ。国会の議論こそ、民意の最大の集積の場所です。

松本(大)委員 今のはまさに本音が出たという感じですよね。

 つまり、小泉内閣で、政策についての国民的な理解を深めるんだ、抵抗勢力について最大の突破口はまさに世論なんだという趣旨で、鳴り物入りで始まったんだけれども、いや、そんなものは聞きおくだけで、決めるのはやはり国民の代弁者である政治家なんだ、だから聞きおくだけですよ、そんなものふりです、アリバイづくりだというふうに私は聞こえましたよ。

伊吹国務大臣 また、発言をしていないことを私が発言したように言われると困ります。

 それは、タウンミーティングだとか世論調査だとか、あるいは、これはどういうインセンティブで集まっておられるのかわかりませんが、いろいろな方が議員会館を取り巻いて反対を叫んでおられることとか、そういうことすべてを、先生御自身も国会議員としての責任を持って判断されて御結論を出されるんじゃないんですか。

松本(大)委員 もちろん、受けた意見をそのまま伝えるわけじゃないですよ。いろいろな意見を聞いて、最終的に判断するのはもちろん、それは、私ももちろんそうだと考えていますよ。

 だけれども、直接国民の意見を聞く場を設けるというのは、それはそれで間接民主制を補完する手段として重要なんじゃないんですか、今の御趣旨は、その意義を否定しかねないような、そんな危険性を持っているというふうに僕は申し上げているわけですよ。

伊吹国務大臣 それは、間接民主主義を補完する仕組みとしては、否定なんて私一言もしていませんよ。間接民主主義を補強する手段として、先生の御判断の中にインプットされるんじゃないんですかということを言っているんです。

松本(大)委員 タウンミーティングでやらせの質問をさせておいて、それで国民的な議論は深まったんだ、理解も深まったんだという、そんな偽装工作を行っておいて、やはりそれは問題なんじゃないんですかとここで何回も何回も大臣の見解、もっと率直な御答弁を私は求めたわけですけれども、何度聞いても大臣はやはりお認めにならない。

 私は、この質疑をネット中継で聞いていらっしゃる方は、きょうはどういうふうに思っていらっしゃるのか、ぜひ後で地元に帰って聞いてみたいものだと思いますけれども、今回、教育基本法の改正の中で、子供の道徳心だとか規範意識だとか公共心だとか、さんざん言っておいて、こういう非常に不適切な事例があった。もし、これはやましくない、全く問題ないとおっしゃるんだったら、なぜ先ほどのような処分を検討しなきゃいけないのか。あるいはまた、やましくないんだったら、できるだけ自分の言葉でとか、こんなばれないように偽装をする必要がないんですよ。

 やはりやましいことだからこそ、ばれちゃいけないような不適切な事例だからこそそのようなことが行われたわけであって、そういう観点からすると、子供に対して道徳心とか言っているのであれば、これはやはり率直に過ちを認めて、国民に対しておわびをされるべきではないですか。いかがですか。

伊吹国務大臣 もう少し、それはいろいろ野党のお立場がありますから、おっしゃることは結構ですよ。しかし、私が申し上げているのは、まず、過ちがなかったなんて一言も言っていないじゃないですか。さっきから、官房長官の発言があったように、まことに遺憾だ、そして、こういう意見を聞く場が不透明に運用されたことについて、適当なことじゃないと。

 だから、それは内閣府でどうしたかは、私が直接、指示権も人事権もありませんから、わかりませんけれども、文部科学省の中では、内閣府からそういうことが来たときに、教育基本法関係の質問がないからこれを出してくれと言ったことが、結果的に不透明な引き金を引いた一つの原因になっているわけですから、そのことを調べて、そして結果責任をとらなければならないなということは言っているじゃないですか、さっきから。全く関係がないなんて一言も言っていないですよ。

 その上で私が申し上げているのは、いろいろな世論の把握の仕方がある、タウンミーティングもその一つで、これを非常に不透明に運用されたということは感心したことじゃないと私は言っているんですよ。

 しかし、そのすべてを踏まえた上で、国会議員というものは国民の負託にこたえて最終的な判断をしなければならないので、国会議員としてのやはり自信と責任を持って、ここはおかしいのならここはやめだ、これはだめだという判断をすればいいんだし、その結果は最後に、我々が判断したことはこの次の選挙で我々が責任を問われるんですよ。だから、一度も私は、タウンミーティングがこういうことで運用されたことについてほおかむりをしたとか、何も悪いことをしていないなんて一言も言っていませんよ。

松本(大)委員 私は、遺憾だとおっしゃったことについては、その部分については率直に評価をしますが、ただ、これは、遺憾だという一言だけで済まされる問題ではないんじゃないんですかということを申し上げているんです。

 これまで、国民的に幅広い議論を聞く機会だという、その論拠とされていたタウンミーティングがやらせだったわけですから、遺憾だ、あるいはその責任論ということに加えて、被害者たる国民に対して、得べかりし利益ではありませんけれども、本来であれば自由に意見を表明できる機会だったはずのタウンミーティングの場をやはり補てんすべきじゃないか、補償すべきではないかということを申し上げているんですよ。いかがですか。

伊吹国務大臣 ですから、先ほど来申し上げているように、そういう結果になったということも含めて、これは最終的にやはり国会が判断をしていただいたら私は結構だと思います。

松本(大)委員 国会が判断というのは、これはどういうことなんですか。

伊吹国務大臣 それは、教育基本法をどうするかということについてということです。

松本(大)委員 このやらせ質問を主導したのは国会じゃないんですよ。院じゃないんです、行政なんですよ。行政の責任についてどう考えているのかというふうに申し上げているわけで、その答弁で本当にいいんですか、大臣。

伊吹国務大臣 だから、その点については、先ほど来タウンミーティングの所管である官房長官も私も、適切なことじゃなかったということを申し上げているわけです。その上で、世論の把握の仕方というのはいろいろな仕方があるから、そういう全体の世論の把握の中で、先生がおっしゃったような、間接民主主義の補完の一つの手法であるところが不適切に運用されたということを言っておられるわけだから、それは官房長官も認めているわけですよ。それを前提に、最後は国民の代表である国会に御判断をおゆだねする。

 行政の中の瑕疵については、先ほど来私が申し上げたように、文部科学省の中のことは私が責任を持って処置いたします。

松本(大)委員 タウンミーティングをやり直すべきだということが国会に所属する私が行政に対して求めていることなんですが、それについては、やり直す必要はないということですか。

伊吹国務大臣 これは、タウンミーティングをやり直すということも先生の御提案としてはあるでしょう。だけれども、それを含めていろいろなプラス、マイナスを考えて、最終的にこれは理事間で協議をして御判断をいただいて、教育基本法の御判断をいただくということを私は申し上げているわけです。

松本(大)委員 理事会で協議していただくということですね。

伊吹国務大臣 いや、違いますよ。

 タウンミーティングをやるかやらないかを理事間で協議をしていただくということを申し上げているわけじゃありません。教育基本法の扱いをどうするかというのは、国民の負託を受けた国会の御判断にゆだねなければならないということを申し上げているんです。

松本(大)委員 そんなことは当たり前です。

 終わります。

森山委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 ふだんは総務委員会でございますが、きょうは初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)

 ルールを守らなきゃいけないということで、本当に、今までの議論をいろいろ聞いてまいりまして、私は、怒りを通り過ぎて、非常に悲しい気分でございます。まさに教育基本法の議論の中で、これまで大臣も、安倍総理のおっしゃるところの規範意識ということを再三にわたっておっしゃられました。私は、この法律の中身に関することではないかもしれないけれども、ここで突然出てきたタウンミーティングに関する一連の出来事、残念ながら、やはり順序として、この問題をはっきりさせないと先には進めない。これは、別に嫌がらせとかそういうことじゃなくて、国民すべての皆さんの素直な感覚じゃないかと私は思います。

 規範意識ということ、私も大臣のこれまでのこの委員会での議論をすべて読み直しました。もう至るところで規範意識、僕は、全くおっしゃるとおりだと思います。今の日本、失われた最大のもの、やはりそれは規範意識だと思います。そこを取り戻さなきゃいけない。おっしゃることはよくわかるんですが、自分の足元から崩れている。文部科学省に、内閣府に、政府に全く規範意識がない。そのことが、今回、これではっきりしてしまったわけでございます。

 私は、非常に残念、愕然、怒りを覚えますけれども、大臣、規範意識、規範意識と言ってこの法律改正をする前に、やはりこの問題をはっきり決着させなきゃいけない、私の本当に素朴な気持ちとしてそのように思っておりますが、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 先生の今おっしゃったことに私は何ら異議を唱えているわけじゃないんですよ、さっきからの答弁で。やらせという言葉が適当かどうかはわかりませんが、結果的に、質問をつくって、そして質問者にその質問をしてもらって答えるというようなことは適当なことじゃないということを先ほど来から私申し上げております。

 あえて言えば、それだけが世論であるということを、また、つくったものだけを世論であるというような、いろいろなところでの発言も、それは余り感心したことじゃないということも私申し上げているわけですよ。

 ただ、国民の負託を受けて議論をしてきたこの法律の扱いについては、今、国会で、先生も、それは国会、衆議院に議席を持っておられるんだから、どういう段階に来ているかということはもう御承知のことだと思いますよ。そのときに、タウンミーティングをもう一度やり直して、そしてそれをやり直すまでは何もできないんだということではないんじゃないかということだけを申し上げているわけです。

田嶋(要)委員 私もタウンミーティングをやり直すべきだと思いますが、私が今申し上げたのは、タウンミーティングそれ自体をやり直すかどうかということよりも、今回出てきたこのタウンミーティングに関係する話が、まさにこの教育基本法に絡む八回のタウンミーティングにとどまっているのか、底なしの状況なのか、その辺をはっきりさせないと、これは、まさに間接民主主義の中で、もちろん国会が最高の国権機関ではあったとしても、それは、政府として必要性があるから、タウンミーティングを小泉内閣時代からずっと百七十回前後やってこられたわけですね。その根幹にかかわる、信頼がもう地に落ちているわけですよ。だから、そこをはっきりさせないとほかの議論はできないんじゃないんですか。

 まさに、言い出しっぺ、言っている本人が規範意識、本人というのは大臣だということじゃないですけれども、文科省そのものが規範意識が崩壊しているんですよ、内閣府も。つまり、役所のやっていることは一から十までやはりでっち上げなんじゃないか、そういうふうに国民は疑うようになりますよ、それは。一事が万事。信用しない。

 そんなことをトップがやっているときに、教育委員会はおかしいとか学校の校長先生が報告しなかったとか、そういう話にまでいかないですよ、これは。おかしいと思いませんか。どうですか。

伊吹国務大臣 言葉はやはり正確に議論しないといけませんが、トップがやっているとおっしゃったのはどういう意味ですか。

田嶋(要)委員 私が答弁ですね。文部科学省という意味です。

伊吹国務大臣 そういう御趣旨でおっしゃったのなら、私は、先ほど来内閣府の官房長がるる説明しておりますが、文部科学省が質問をつくったということについては、結局、不透明なタウンミーティングを動かしていく中の一翼を担っているわけですから、これは、私はやはり規範意識その他から見て適当じゃないということを先ほどから再三申し上げているわけです。

 そして、タウンミーティングというものが、広く民意をもう一度聞いてみる。我々は選挙で選ばれた、憲法によって国の意思を決めるためにここに集まっている者だけれども、何度かに一度の選挙で選ばれた者がすべてを自分の判断だけで決めていいのかという、やはり謙虚さを持たねばならないわけですから、世論調査も見ているわけですよね。そして、タウンミーティングも一つのその手段です。新聞の論説も読みますし、選挙区へ帰っていろいろな御意見も伺います。組合が議員会館を取り囲んで教育基本法反対と言っておられるいろいろな言葉の一つ一つも、やはり判断の材料になるんでしょう。そういうものの中の一つが毀損されていたというか不適当であったということについて、私は本当にそれはよくないということをさっきから言っているわけですよ。だから、それではタウンミーティングが根本からもう一度見直されなければ何事も動かないよという趣旨のことをおっしゃるのは、それは違うんじゃないかということを言っているわけです。

田嶋(要)委員 しかし、これは本当に小泉政権のもとでの一つのシンボルですよね、国民との直接対話。透明性、直接会話、コミュニケーション。しかし、本当にこれは一事が万事なんですよ。これは全部こうだったんじゃないかというふうに思いたくなる人は多いと思います。

 私自身もタウンミーティングに参加したことがあります、この教育基本法ではございませんが。そういう中で、いろいろな人が意見を言っていました。やけに政府のスタンスそのままの意見だなというような印象を受けたケースもありますよ。実際それはわかりませんけれども。しかし、そういうふうに一事が万事、疑い始めているのが今の状況じゃないですか。

 私は、大臣あるいは官房長官、事の重大性を過小評価しているんじゃないかと思うんですよ。いかがですか、大臣。

伊吹国務大臣 私は、このことはかなり、かなりと言うとまた美しい日本語になりませんが、とても、民主主義の一つの間接代表制を補強する仕組みとして使われていたものがこういう形になっているということは、とても重大なことだと思いますよ。それは、何ら私は否定しておりません。

 ただ、そしてあと、ほかの運用がどうなっているかというのは少し内閣府に聞いていただきたいと思いますが、ここは教育特の場ですから、そのことが、タウンミーティングすべてを解決というか、もう一度すべてを点検して解決し直さなければ物が動かないんだよということは少し違うんじゃないかということを申し上げているわけです。

田嶋(要)委員 ここは教育特なんですよ。だから内容に入りたいですけれども、まさに一番頻繁に発言されるポイントが規範意識の回復とおっしゃるのに、足元からそれが崩れている。文科省だけじゃないわけですよ。今回は明らかに内閣府も。しかし、この先どこまで広がっていくかわからない。今調査中ですよね。そういう状況の中で、ほかの議論ができないぐらい深刻な問題が発覚しているという事態認識があるのかどうかということですよ。

 官房長官はいらっしゃらないので、副大臣にもお伺いしますけれども、これは明らかに内閣府と文科省が、この件に関しては共犯だった、どちらも同じように、積極的にこのやらせに加わったという認識はございますか。

林副大臣 お答えをいたします。

 今の御質問は、文科省と内閣府、それぞれかかわっていたのか、こういう御質問だったと思いますが、まさにおっしゃるとおりでございまして、八戸市を含め、もう官房長官が答弁になられたと思いますけれども、八回のうち五回、内々に特定の方に発言案として文書をお示しするという逸脱した運営が行われたということが明らかになっております。

 これはやはり大変に遺憾なことであり、今委員の御発言を聞いておりましたけれども、信頼を築き上げることに対する労力と、これを失う労力と、失う方は一遍に失われるわけです。再びこれをまたとり直すというのは、最初に信頼をかち得るためにかけたコストを、もっとたくさんかけないと回復できない、こういうふうに思っております。

 まずは、官房長官から先ほど御答弁あったと思いますけれども、タウンミーティングすべてにつきまして再点検を行うということの内閣府の指示をいただいておりますので、私は担当の副大臣でございますから、すべてのタウンミーティングの再点検に全力を挙げて取り組みまして、今回のような逸脱した運営はもう二度と行わないということがまず第一点でございます。そして、安倍内閣の新しいタウンミーティングというのを、それを踏まえて確立していきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 今、副大臣、大変いい言葉で私が言いたかったことを言っていただきました。信頼というのは築くのに大変時間がかかる、しかし、地に落ちるときは一日で落ちる。もうこれはみんながわかっていることなんですよ。民間でも同じです。みんなわかっているのにもかかわらず、なぜ今回こんなことをやってしまったのか。本当に私は許しがたいことだと思う。

 副大臣のコメントは、私はいい部分もあったと思いますが、しかし本当に現状認識、これが相当危機的な問題だということをもっと強く私は認識をしてもらいたいというふうに思います。

 今、両方に問題があったということなんですが、もう一回、副大臣、お伺いしますけれども、内閣府のその担当は基本的に組織全体としてこういうものにかかわっていたという理解でよろしいですか。

林副大臣 お答えいたします。

 私も、これが出てからいろいろ聞いてみましたが、むしろ委員がおっしゃるように組織的にやっていたということであれば、とめられるといいますか、もう少しやりようがあったんではないかというふうに思いますが、まさに逸脱でありまして、組織として対応できていれば本当には食いとめることができたんではないか。それで、また情けなく思うわけであります。

 ですから、むしろこれは、改めて聞いてみて、タウンミーティングに向けた準備業務の態勢というのがやはり少し不十分だったかなということは否めないところがございまして、そういう少ない人数でやっている中で、その担当者が逸脱をしてしまったということではないかなというふうに私は今思っておりまして、今後、体制のあり方を含めて、やはり運営方法を見直していくことが不可欠であるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 何か組織に問題が起きた場合、当然調査をしなきゃいけないわけですが、今回、問題が起きているのは内閣府と文科省ですね。この調査というのはどこがしているんですか、副大臣。

林副大臣 お答えいたします。

 調査は、内閣府におきまして、官房長の指揮のもとで、官房の総務課とそれから会計課の協力を得まして、タウンミーティング担当室が、内閣府に保存されていた資料と、担当職員からの聞き取り、これは当然のことでありますが、それに加えて、文部科学省及び都道府県等の開催地の関係機関にも確認をいただきまして、それに基づきまして調査を実施したということであります。

 今回の調査は、時間的制約がありましたので、できる限り関係者からの聞き取りなどを行って、客観的に結論づけた事項を明らかにしたということでございます。

田嶋(要)委員 今後の調査の進展にもよると思うんですが、私は普通、調査というのは、やった本人のところがやるものじゃないと思うんですね。やはり、それは外から見ると、またその調査自体がやらせじゃないか、そういうような不信も出てくるわけですよ。内閣府が事の発端ですよ、文科省とセットで。で、何で内閣府が調査して終わらせようとするんですか。私は、内閣府じゃなくて、もっと、第三者機関みたいなところがしっかり調査に入らないとおかしいんじゃないかなと。

 この報告書の中身自体、例えば、八つのうち五つだ、残り三つではこういう問題は起きていない。何でかなと私は思いますよ。ひょっとしたら、もっと巧妙に隠ぺいされているんじゃないですか。何でこの三つだけ。同じ方々が同じような仕組みであちこちでタウンミーティングをやるわけですよ。何で五カ所だけで起きたのかなと、私は素朴に疑問を持ちます。三つが本当に白だったのか、そういうことを私は思うんですけれども、おかしくないですか、その調査の仕方。

林副大臣 お答えいたします。

 先ほど私が申し上げましたように、やはり信頼回復というのは非常に多大なコストをかけなければならないと思っておりますので、非常に時間的な制約がある中で、今回は、先ほど申し上げたような調査をいたしまして、発表した事実が今時点でわかっている、こういうことでございますが、今後、全タウンミーティングについて調査をするというときに、関係機関等の協力を得るのは当然のことでございますが、責任を持って調査をする場合に、今委員がおっしゃったように、自分のところでやったことを自分で調査するというのは、やはり信頼を回復するという面から、私も今内閣府の人間でございますから、副大臣ということで、厳しくやっていきたいと思っておりますけれども、私ですら、やはりおまえも内閣府の人間ではないか、こういうふうに言われかねないところもあるわけでございますので、問題点の分析や改善等の立案のために、外部の有識者の方等を入れていただいた点検委員会のようなものをやはり考えていく必要があろうか、こういうふうに考えておるところでございます。

田嶋(要)委員 このタウンミーティングという政策というかプログラムは、それぞれの省庁に対して内閣府がスポークに対するハブみたいな役割を担ってこれまでやってこられたわけですね。そこで問題が起きているときに、内閣府が調査をするというのは、私は、これはまたへんてこりんな話だなと思うんです。

 文部大臣、国民の目から見て、これは確かに信用できる、今度こそは、この調査の中身は信用してもいいかなと国民が思うような調査の仕方はほかに思いつきませんか。

伊吹国務大臣 先生、これは、先生がおられた当時のNTTであれ世銀であれ、それは内部にやはり監査組織というものがあり、それと同時に、必要に応じて、例えば上場している場合には公認会計士の監査を受けるとか、そういうことがあるわけですよ。

 ですから、内閣府のことは、今、林副大臣がお答えしたとおりだと思いますが、文部科学省においては、当時だれがこの質問をつくったなんということはもうみんなわかっているわけです。これはもうきちっと把握はしております。しかし……(発言する者あり)いや、全く違わないんですよ、それは。私がこれから調べると言ったことの中身は、先ほど私が御答弁を申し上げたときに言っておるように、現場の、つくった人間だけの責任だということで解決しちゃいけないんですよ、こういうことは。私も役人をやっていたからよくわかるんですよ。

 ですから、当時だれが、それでは、質問をつくって持っていったのは君だけれども、どういう関係でこういうものが来たのかどうかということは、やはりきちっと調べる。調べるのは担当部局とは違うところでやるわけですね。そこに大臣官房というものがあります。そして議院内閣制だから、私を含めて国会から入っている者が五人いるわけですよ。この人間を信用していただかなかったら、議院内閣制というのは崩壊しますよ。

田嶋(要)委員 大臣、お伺いしますけれども、今回の案件は、これはやらせだったというふうにお認めにはなっているんですか。

伊吹国務大臣 やらせかどうかは、内閣府がどういう形でおのおのの人たちにお願いをして、どうしたかというプロセスをしっかりと把握するのは、これは内閣府のタウンミーティングの責任者、内閣府の判断です。

 結果的にこれだけの騒ぎになった引き金である質問をつくったのは文科省ですから、文科省のだれがどういうプロセスでこの質問をつくったのかということについては私の責任で調べて、そして、これだけ結果的に世間を騒がせて、先ほど来私が申し上げているように、間接民主主義を補完する一つの仕組みであるタウンミーティングの信頼性、先生のお言葉、クレディビリティーを結果的に毀損したということの一端の責任がありますから、それは私の判断で措置しますと言っているわけです。

田嶋(要)委員 やらせという認識でいいんですか。これはマスコミではやらせと書いてあるんですけれども、何か殊さらその表現をお避けになっているような感じもするんですが、副大臣、これはやらせでいいんですよね、やらせがあったと。

 やらせというのは、もう御承知のとおり、一九八五年ぐらいからあちこち出ているわけですね。それは、マスコミ関係でもいろいろありました。そういうのはやらせなんですよね。事の中身は、これは文科と内閣府の共謀によるやらせだということでいいんですね、そこは。お認めですね。

林副大臣 先ほど御答弁を申し上げましたように、特定の方に発言案としての文書をお示しするという逸脱した運営が行われた、こういうふうに認識をしておりまして、その事実について、どういうふうにお呼びになるか、名前をおつけになるかということについては、委員の御意見を今お伺いしておりましたけれども、我々としては、今申し上げたようなことが明らかになったということで、大変に遺憾に思っているというふうに申し上げた次第でございます。

田嶋(要)委員 よくある答弁ですけれども、私の質問は明確でございまして、政府は本件をやらせであるというふうに認めているかどうかということをお伺いしているんですけれども、もう一度お願いします。

林副大臣 御質問でやらせというふうにお聞きになっておられますので、やらせという言葉の定義ということだと思います。

 ですから、私が先ほど申し上げたことが、それは田嶋委員のお考えではやらせと呼ぶべきものでないかということであれば、そういうことになりますでしょうし、我々としては、逸脱した運営が行われていたことが明らかになっているというふうに認識をしております。

田嶋(要)委員 言葉には定義が必要で、定義も持ってきましたけれども、やらせとは、事実関係に作為をしておきながら、それを隠匿し、作為等を行っていない、事実そのままであると、またはあるかのように見せる、称することをいうという定義ですね。すべてのやらせに共通するのは、打ち合わせなど、事実関係に手を加えておきながら、それを読者や視聴者などの受け手から隠ぺいすることであるというふうに書いてあるわけですね。

 マスコミはこれをやらせというふうに言っておるわけですが、なかなかそれをお認めにならないのは、私はよくわからないんですよ。これは、事態をなるべくそんな大きなことにしたくないという意図がやはり働くんじゃないかな。これは本当にやらせなんですよ。深刻な問題ですよ。しかも、これからどこまで広がっていくかも全然わからない。

 もう一度お伺いしますよ、大臣。これはやらせですよね。(発言する者あり)

伊吹国務大臣 私が答弁をいたしますから。

 先ほど来申し上げておりますように、八戸の教育委員会、あるいは、そのときのタウンミーティングに出られた方あるいは発言された方との接触は文部科学省の担当じゃないんですよ。文部科学省は、内閣府から御連絡をいただいて、そして当時の質問の中で、教育基本法の部分の御質問がほとんどないので、こういう質問をしていただきたいということを内閣府へお願いした、これが先ほど山本官房長がずっと答えていることなんですね。だから、その後の、今先生がお読みになった定義に当たるかどうかについては内閣府へお尋ねください。

田嶋(要)委員 振られましたけれども。

 では内閣府、もう一度。

林副大臣 たびたび出てまいりましたが、先ほどお尋ねのあったとおり、どう呼ぶかは別といたしまして、特定の方に発言案としての文書をお示しするという逸脱した運営ということを事実としてやっております。今からたくさんの調査をしていく中で、この事実関係が、もう少し全容が明らかになってくる、こういうふうに思いますが、今の段階では、今申し上げたように、逸脱した運営ということを認識しておるということでございます。

田嶋(要)委員 そこまでしか言えないんですかね。

 いずれにしても、やはりこういうのは、マスコミもそういうふうに書いておるわけですが、だれの目から見てもやらせなわけで、私は、そういう言葉を回避していること自体が規範意識が足りないんじゃないかな。そういうところを素直に認めることが、これまでの政治の姿勢からもう少し国民にわかりやすい政治に切りかえていくきっかけになるんじゃないかな。こういうことを素直に認めなきゃいけないと思うんですよ。まず、やらせでした、ごめんなさいと言うところから始まらないと、逸脱しているとか、結果的には御迷惑をおかけしているとか、そういうまくら言葉がつくことが、やはり国民の目から見ると、何かちょっと不誠実じゃないかな。そう思いませんか。私はそのように思いますけれども、答弁は結構でございます。

 通常、これまでのいろいろなテレビチャンネルあるいはマスコミ、やらせが起きると、二つありまして、一つは、その番組、テレビであれば即放送中止になるわけですね。それと関係者の処分ということになるわけですけれども、関係者の処分ということでは、もちろん今まだ調査中ということですが、これは広がりによっていろいろその範囲も変わってくるとは思うんですが、最終的にこのタウンミーティングの責任者、最終責任者はだれだというふうに決まっておるんですか。もう一度、林副大臣。

山本政府参考人 組織の中の担当は内閣府大臣官房にタウンミーティング室というのがございますが、内閣府の長は内閣総理大臣であり、事務を統督するのは内閣官房長官という組織になっております。

田嶋(要)委員 これは今文部科学省の関係だけ表に出ているわけでございますが、調査の結果によって他省庁も同じような、他省庁の関係したタウンミーティングも、例えばBSEに関して、私も参加しましたけれども、そういうのもいろいろございました。厚生労働省、農水、いろいろありますね。他省庁にも、やはりこういうようなやらせがあったかどうかの結果、最終的に問われる責任者は変わってきますか。

山本政府参考人 八回分につきまして調査をいたしました。残りの百六十六回、これから全力を挙げて点検、調査をいたします。全く予断を持たずにしっかりと調査をしたいと思います。そのことによって、どういう問題点があって、どういうことがあったのかというのが明確になると思います。そういったものを踏まえて判断をすべきであると思います。

田嶋(要)委員 要するに、いずれにしても最終的に責任を問われるのは官房長官ということですね。

山本政府参考人 全く予断を持たずに調査をいたしますが、タウンミーティングの実施についての権限というかお仕事は、内閣府が責任を持って行うものでございます。

田嶋(要)委員 先ほど御自分からも官房長官という言葉が出たので、もう一度確認をさせていただいているんですが。

 これは今、文部科学省と内閣府の両者の問題としてありますが、これからちゃんと調査をしていただくということで、内部の内閣府がやっておられますから、私は、大変信用性、国民は不安がっておると思うんですが、いずれにしても、とりあえず、まず内部の内閣府の調査。先ほど言ったスポークとハブのスポークじゃなくて、ハブのところでございますから、内閣府がやるのがいろいろ早くできるのではないかと思いますが。

 仮にいろいろ出てきますね、そういったことの最終責任は官房長官であるということですか。そして、それは今の官房長官なんですか、責任は。タウンミーティングは過去数年、小泉政権のもとで行われましたけれども、どの官房長官が責任をとられるんですか。

山本政府参考人 百七十四回のタウンミーティングすべてについて点検、調査をいたします。今、どういうものだったのかということについては全く予断を持っておりません。したがって、調査をして、その問題点が摘出されるであろう。したがって、タウンミーティングは平成十三年からスタートをしておりますから、それぞれ、内閣府に大きな問題点があった場合もあるかもしれませんし、あるいは関係省庁の方に問題点があった場合もあるかもしれませんし、ないかもしれません。これは調査をして判断させていただくということを申し上げているわけでございます。

田嶋(要)委員 調査をすれば、この問題のボリュームに関しては、今とは全然違うものだということがわかってくるかもしれませんが、その質に関しては、文科省だけじゃなかったということがいろいろわかってくるんじゃないかと私は思うんですよ。だから、これは質と量のことでいえば、量の方は、これからもっと調査していただければ、ほかの役所もいろいろ関係していた、あっちでもあった、こっちでもあったと出てくると思いますけれども、質はもう明らかなんですよ。共謀している、捏造している、やらせがあったということですね。だから、質は変わりませんよ、それはもうはっきりしているんだから、この時点で。

 だからこそ、副大臣お答えください。これは最終的には官房長官、小泉政権下の官房長官の責任だということでよろしいですか。

林副大臣 今、委員は、小泉政権のとおっしゃられたというふうに聞きましたが、これは調査をして結果が出てきた場合、予断を持って言うわけにはいきませんが、関係機関等の協力を得つつ、こういうふうに先ほど御答弁を申し上げましたので、過去において関係機関等でいろいろなことがもしあったとした場合に、その時点でそこに関与しておったということであれば、その時点の責任者が責任をとりますし、今この時点でわかったことで、内閣府の責任でやっているということであれば、そのときの結果責任は、現内閣でそれぞれ責任ある方がとっていただく、こういうことになるんじゃないかと思います。

田嶋(要)委員 何度聞いても出てきませんけれども。

 先ほど申し上げたとおり、処分の問題と、それから放送中止というようなことが通常あるわけでございますが、このタウンミーティングも記者会見で既に、真相をすべて究明されるまでは、再開はしないということでございますが、私は、基本的に今のようなことをいつまで続けていても再開はできないんじゃないかと思うんですよ。

 要するに、これは文部大臣にもお伺いしますけれども、どういうふうにやったら、この失われた信用を回復できると思いますか。これは私は仕組みの問題じゃないと思うんですよ、もうこれは規範意識がないんだから。そう思いませんか。やり方を変えたって、悪いことをやろうと思ったら、みんなできるんですよ。規範意識がなくなっているのに、仕組みを検討してチェック機能を働かせたといったって、チェックしている側も同じような規範意識だったら、また起きますよ、これは。どうやってこれを再開させるつもりですか。再開できないんじゃないですか。

 番組は、放送停止になったらもうそれで終わりですよ、終わり。処分されて終わり。タウンミーティング、私はいいアイデアだと思いましたよ、残念ながら、まさかこういう規範意識の人間がいるとは思わなかった。だから私はショックですよ、ショック。だけれども、起きちゃったわけです。そうすると、これはやり方を変えても無理だと思いますよ。これは復活不可能、そう思います、残念ですけれども。コミュニケーションの場は必要ですよ、大変いい試みだった。しかし、こういう裏切り行為があったと私は思うんです。これは復活できないと思いますけれども、どうですかね、やり方を変えたって無理だと思いますよ。どうですか。

伊吹国務大臣 タウンミーティングそのものを再開するかどうかは、これは内閣府の、あるいは官房長官の最終的な判断にまたねばなりませんが、先生がおっしゃったことがまさに保守主義の真髄なんですね。いろいろなことが出てくると制度や法律をすぐに変えたがるけれども、基本的には規範意識がなければだめだということは、私、そのとおりだと思います。全くここは意見が一致いたしております。

 再開をするならば、私が言及することではないけれども、もし私が官房長官であれば、事実関係をやはりまず明確にすること、その後で、そういうことを二度と起こさないという気持ちを持った人に運用させること、それに尽きるんじゃないですか。

田嶋(要)委員 副大臣、再開させるためには、何をしたら再開できると思いますか。

林副大臣 今、文科大臣が、非常に事の真髄に触れる御発言がありました。私もそのとおりだと思いますし、冒頭に申し上げましたように、一番大事なことは失われた信頼を取り戻すということでありますから、信頼が取り戻せないような格好で幾らやってみても、それは委員が御指摘のように、もうタウンミーティングに来る人はいなくなっちゃうんじゃないか、こういうふうに思います。

 ですから、あそこに行っても仕方がないのかなというような状況の中では、これは当然いけないわけでございますので、やはり信頼が回復をするということを第一の目標に置きまして、そのために何をしたらいいのかということを中心に、まず調査をし、そして新しいやり方を検討していく、こういうことになろうかと思います。

田嶋(要)委員 だれでも参加できる、だれでも政府の政策に関して直接聞き、そして意見ができる、そういう場がこれほど踏みにじられたことというのは、いまだかつてなかったんじゃないかな、私は本当にそう思うんですよ。だから、本当に真摯に反省をしているということを、政府、内閣府としてもう少し表に出さないといけないんじゃないんですか。

 国会で議論をしている、過ちがあったことは認めたとしても、もうちょっと国民に対して、シンボルとしてずっと行われてきた、百回以上、二百回近く行われてきたこの試みがすべて不信の塊になっていったわけですよ。そのことを例えば全面新聞広告で謝罪するとか、何かもうちょっと形にあらわして国民に訴えないと、深刻だと思っているということは伝わっていないですよ。

 これは教育基本法の中身に入るための嫌がらせをやっているんじゃないですよ。規範意識と大臣がこれだけ言っていて、おっしゃるとおりだな、重要だな、だけれども、規範意識の足元から完全に崩れたんですよ。わかっていますか、その深刻さが。恥ずかしいと思います。政府として、本当に国民の前に土下座して謝るような話ですよ、これは。

 明確に具体的にとれるアクションはありませんか。早くやった方がいいと思いますよ、これ。どうせそのうちいろいろと見つかってきますから。ですよね、今までだってそうですよ。一件、二件出てきた。未履修が四カ所で見つかった、何年か前に。こんな事態になる前に、何をやっていたんだということですよ。感度が余りにも低過ぎる。感度が低過ぎるのと同時に、規範意識がないわけでしょう。そのことをもう少し前に出ていって謝った方がいいですよ。どうですか、副大臣。

林副大臣 まさに委員御指摘のように、信頼がかなり損なわれているということでありますから、何度も申し上げるようでございますが、まず信頼を回復する、そのために何がいいのかということを中心に考えていきたいと思っております。

 その中で、今、またやっていくと出てくるのではないかということがございましたが、全量を調査して全容を把握した上で、その上で信頼を回復するためには何がいいのかということを考えていく必要があるので、例えばこの時点で、八つのうち五つだったからこうでございます、ああでございますということを言って、その後出てきて、また繰り返しになるということではなくて、全容をきちっと把握した上で、その上で信頼を回復するために何がベストなのかということを考えてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

田嶋(要)委員 とにかく、内閣府による調査では、これは内閣府がつくった問題なので、やらないよりやった方がいいかもしれないけれども、いまいちだなという感じは強くいたします。

 やはり内閣府の調査とセットで、内部監査、外部監査、先ほどの話のとおりですよ、内部監査もやってくださって結構ですよ。だけれども、そもそも、怪しいと思われている張本人の方々が自分たちでまた調査して出してきたって、その調査がまたでっち上げかもしれない、そのことをよく考えて。

 国民の目からどう見えるかですよ。それをもう少し考えて、さらにしっかりと調査をしていただきたい。

 それから、もちろん処分の問題。今後どういうふうに再発防止を図っていくか。

 私は、タウンミーティングはそんな簡単に再開できないと思いますよ。できない。もう崩れた信頼ですから。

 それと、終わったことではありますけれども、しっかりと謝罪をしないといけないと思いますよ、本当に。

 そういう素直さを持って、国民の目から見て、ああ、ひどいことはしたけれども、とりあえず明確に謝ったな、そういうことをちゃんと訴えるようにしてほしいと思います。

 質問を変えます。

 規範意識の欠如と並んで、私は、今回の未履修の問題も、本当に感度の問題として、これはどういうことだと思うわけであります。これも大変悲しい問題。かつて四回出てきたわけでございますが、四つの県で出てきたときに、全県に対しての調査を依頼するということはされなかったと聞いておりますけれども、これは、その四県の非常に個別な事象であるというふうに判断された根拠というのはあるんですか、大臣。

伊吹国務大臣 当時は、私は大臣であるからよくわかりませんが、この四つの県の中で幾つかの学校について、先生がおっしゃったような未履修の問題が出てきたわけですね。当時の話を私が伺いまして、当時の判断としては、その県に特有の問題であるから、その県の全高等学校の調査をして、一校、二校が出てきたわけですよ、ある県において一校、二校が出てきたのでその県のすべての高等学校の調査依頼をして、そうするとかなりの数が出てきた。そこで、その県について是正をするように当時の県の教育長に、命令はできませんから依頼をして、そして各県で処理をした、当時はそういう判断でやったと私は報告を受けました。

 私は、先生の言葉をかりれば、それは君ら、感性がないじゃないかと。一つの県でそれだけの問題が起こっているなら、当然、他の県にも同じようなことがあるのをなぜ調べなかったのと私は言ったわけですよ。多分、文部科学省の連中は、私に対して、後講釈では何でも言えるよ、そのときはその県の問題として自分たちはとらえて、最善を尽くしたと思っていたんじゃないかと思うんです。だから、今回の問題が出たときに、今度の大臣はえらいことをやらせるなと思ったかもわかりませんが、私は、日本全体の、私立に至るまでの調査をしてみろと言ったのが、今回のことなんですよ。

 ですから、ある意味では、私が当時のことを批判する、身内のことを批判してはいけませんが、当時としては、やはりこのことが、全国規模で広がっていく問題であったのか、あるいは県単位で終わっていた問題なのか、それはわかりません、これから調査をいたしますから。民主党さんからも国民新党さんからも言われておりますから調査をいたしますが、その当時の判断としては、一県の問題であったのか全体の問題であったのかの判断が甘かったということは、私は後講釈ですけれども言えると思います。

田嶋(要)委員 一県目が出てきて、翌年に二県目が出てきて、さらに兵庫かどこかでは五十数校みたいなのが出てきて、普通の感覚だったら、四つも出てきたら疑ってみないといけないんじゃないですかね。今回のタウンミーティングと一緒でしょう。八つのうち五つ出てきたんだから、全部調べるんでしょう。百七十数件調べるんですよね。普通の感覚でいって、それは特殊な事例と思うのは私は理解ができないですね。

 では、今回は何で全国調査をかけたんですか。

伊吹国務大臣 私が必要だと判断したからです。

田嶋(要)委員 それはまあ、新しいリーダーがやってきて状況が変わったということかもしれませんけれども、私は、この感度の問題というのは本当に深刻だというふうに思うんですね。

 もう一つは、これは新聞でも取り上げられましたけれども、四年前からわかっていたんじゃないかという話。委託の調査をされておったわけですね。委託の資料も取り寄せたりしていろいろ見ましたけれども、この中に明確に、教育接続というんですか、高校の履修と大学の話というのがちゃんと研究項目に上がっておるわけですよ。その第二章の二の三のところに、高校での履修等に関する質問事項ということで上がっております。その中身を見ると、世界史が必修科目になった後も、実際にどのぐらいの子供たちが、高校生が履修をしているかということをちゃんと調べておるんですね。

 これは、普通に考えるとちょっと変な感じですよね。だって、必修科目なんだから一〇〇%に決まっているから、調べる必要はないと考えてもいいわけですよ。しかし、これを実際には調べておる。なぜかというと、やはりそれは、実態としてはそうなっていないということは、もうその当時、こういった研究者の間ではある程度知られていたということだと私は思うんですよ。ちょっとヒアリングもしましたけれどもね。

 そういうことというのは全く感覚としてなかったわけですか、文科省は。大臣は当時違いますけれども。

    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

伊吹国務大臣 それは私がお答えしなければいけないことですから。

 この調査を平成十三年にしたとき、調査の委託をしたのは、高等教育局といって大学を所管している局なんです。この調査を依頼したのが、大学生に対し、大学での学習に対する目的意識、意欲、関心、職業観、社会観に対する調査を行って、学習に対してどの程度のモチベーションがあるかという意図でやった中で、先生が今おっしゃった高校の履修のことを調べているわけですね。

 そこで、結果が出てきて、先生がおっしゃったとおり、世界史の未履修が平均して一六%あったと。そのことは、高等教育局としては、こういうことがあったよということを高等学校を所管している初等中等局へ連絡すべきなんです。それが感性というものなんですよ。役人の仕事というのは本来そうするべきなんですよ。

 残念ながらそのときにそれができていなかったということについて、局が違ったということと、もう一つ大きな理由があるんですよ。それは、私も、まあ、そう言われればそうだなと。しかし、それで役人の言い分を認めたわけじゃないんですよ。これは、全国で三百三十五の大学で四百七十七の学部を調べているわけです。総調査数が三万三千人なんですよ。ところがこれは、一年、二年、三年、四年と分けて調べておるわけですね。だから、平均すると一学年で約九千人弱なんです。高等学校の三年生の生徒は、今回の調査でもわかるように百十八万人いるんですよ。結局、その百十八万人の〇・一%を調べたわけですね。そして、その三万三千人の中で約二万人が私学なんですよ。ところが、高等学校の数からすると、私学の高等学校は非常に少ないです、公立が非常に多いです、百十八万のうち。

 だから、これは我々の選挙の世論調査と一緒だと思いますが、〇・一%の抽出率でやって、しかもサンプルが私学に偏っていた調査をしたときに、それを軽んじたという気持ちがあったんじゃないかと私は思うんですね。

 いずれにしろ、これが出たときに担当の局は必ず高校を所管している担当の局に通知をするというのは、ごく当たり前のことだったと思います。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおりですね。ただ、この発注した高等局の方も中身をちゃんと見ているのかどうかということも、私は疑問だと思いますよね。やらせただけで、受け取っただけなんじゃないか。感性が足りない。

 もう一つ、これは、教育の最終責任という意識がやはりないんじゃないですかね。私がヒアリングしたお役所の方々も、何となくちゅうちょされると言うわけですよ。要するに、教育委員会とかにいろいろ質問する。それが指示じゃなくて調査だとしても、要するに権限内のことであったとしても、いろいろ全国調査をするということは彼らのやっていることを疑うということだ、管理しているように受け取られる、だから、ちゅうちょされるというふうにおっしゃるんですね。

 だから、この教育基本法の中身に関してやはり最大の問題の一つは、最終的な責任が不明確なままにしてあるということが僕はどうも腑に落ちない。その点、民主党は明確にされているような気が僕はします。

 せっかくですから一つ質問しますけれども、民主党の方の法案の中で、最終的責任を明確にする、その必要性に関してちょっと一言教えていただけますか。

藤村議員 田嶋委員御指摘のとおり、民主党案において、教育の責任というものを、普通教育においてその機会の保障等は最終的に国にあると。それから、今現在ある都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校という、この中のところは、ある意味では、我々は教育委員会廃止ですから、なくして、しかし、全般の教育の大半のことを、学校、つまり子供に最も近い、地域に最も近い、家庭に最も近い、その学校にまた大半の責任を、そういう意味では非常に両極に責任をはっきりさせたい、こういうことでございます。

 すなわち、学校理事会というのをまだ皆さん余りイメージされてないので、地方の場合、何か首長に責任を預けてしまっていいのかという懐疑的な御意見あるいは疑問があるかと思いますけれども、その意味では、今までのイメージとは違って、本当に現場に、つまり家庭、地域、学校、この一番現場に学校理事会が大半の権限を持ってやる。そこには保護者やら、もちろん先生も入りますし、地域の、教育の専門家も入る。

 そういうことで、今、学校理事会の権限について我々が想定しているのは、学校運営の基本方針の決定、それから国の基準を踏まえた上での教育課程の編成と、さらに教職員の任用についてまで具申するというあたりまでを学校の理事会に預けて、そして教育行政については、今、形骸化がと言われておりますが、教育委員会を、実際に機能する教育監査委員会、仮称でありますが、これに改組をして、そして情報をオープンにし、地域の民意を酌み取りつつ教育行政をチェックする。さらに、学校理事会も、保護者、地域住民等多様な主体が参加し、これも情報をオープンにしつつ学校の運営を行う。

 このような仕組みを考えておりますので、首長が担う教育行政にしっかりとした民意によるチェックが働く、このように考えています。

田嶋(要)委員 ですから、要するに、それぞれいろいろな分野ごとの分担はありますよ。だけれども、今回の未履修の問題もそうですけれども、予期できないことというのはさまざま出てくるわけですよね。そういうときに、では、だれが最終責任だという話が最後に出るじゃないですか。普通、私は民間におったり国際機関にいたりしましたけれども、最終責任者というのはいなきゃおかしいんですよ。そう思いませんか。どこの国だって大統領は一人だし、会社の社長は一人ですよ。社長が三人いますという会社はないんですね。最終責任者を設けない法律というのは僕は変だと思いますよ。教育ですよ、教育の最終責任者。どうでしょうかね、大臣。

伊吹国務大臣 先生がおっしゃるとおりだと私思います。全く意見の違いはございません。

 それで、ただ、正確にこれから各法律の、民主党案の各法律、書いておられることを具体化していく各法の中身を見ないと、私は、これは軽々に御批判してはいけないんだけれども、民主党案では、教育の責任は国にあると書いてありますね、最終責任は。しかし同時に、今の学校、そして教育委員会を廃止して、都道府県知事に管理監督権を与えて、実際の学校の運営は理事会で行うということになりますね。

 そうすると、法律の構成をよく見ないと、軽々にと言ったのはまさにそういうことなんですが、最終責任は国にあるんだけれども、国にある最終責任をどういうふうに担保するかという法律の書き方の中身を見ないと、今のことだけで判断をしますと、残念ながら、首長の政治的意図がどこまで反映するのかということと同時に、理事会で、いろいろな今回のようなことをやられた場合に、国がどう責任を持って、最終責任をどういうふうに反映させて責任をとるのかということが、なかなかやはりわかりにくい。

 私は、政府案では、国と地方が分担して責任を負うと書いてあるわけですよ。その中で、教育委員会の法律の書き方、あるいは、かつての教育長の文部科学省による承認権を地方へ渡しちゃったわけですね。それから、義務教育の国庫負担金も今三分の一になっておりますよね。それから、今回のようないろいろ間違ったことがあったら、措置命令権というのが教育委員会の法律の中にあったわけですよ。これを、地方分権をすることがいいんだ、いいんだということで、地方自治法の一般法の中へ移しちゃっているわけですよ。だから、その辺をもう少し手直しすることによって、最終的な責任はやはり国がとれる、そして管理の責任は地方がとるんだということを明確にできるようにしたらいいと私は思います。

田嶋(要)委員 大分、意見的には一緒のような感じもするんですが、私は、最後のところは、言葉として何がそこに入っているかということだと思うんですよ、法律ですから。だから、最終責任は国であるということを一言言うということが、どれだけ今、教育の荒廃、そういうことに関して心配な多くの国民に安心感を与えるか。その中身の問題はいろいろ懸念があるかもしれない。だけれども、そこの手前の話ですよ。それはやはり一言、明文化することが極めて重要だということを私は申し上げているんです。それをやっていただきたいんですよ。

伊吹国務大臣 これは、二つの法案が今現場で御審議をいただいているわけですよ。不規則発言を時々いただく中井筆頭理事がおられないので残念なんですけれども、これは、先生のおっしゃったことを踏まえて、ぜひ現場で議論をしてくださいよ。まさにそれが大切なところなんですから。

田嶋(要)委員 いずれにしても、時間になりましたので。

 しかし、大臣、教育が一番重要だ、安倍政権の最重要課題だとおっしゃるんでしたら、それは最後は言葉にしないと、途中の議論が幾らあってもやはりだめだと思います。それはどういう場合でも同じですね。

 だから、私は、民主党案の中のGDP比の話も、それは大変重要だと思いますし、最終責任を明確化するということに関しても、私は、今の政府案というのは、最後の最後のところで逃げをつくっているような感じがしてならないんです。一生懸命やるということはだれでも言える。しかし、一生懸命の中身をどこまで縛れるかということですよ。逃げも隠れもできないんですよ、GDP比で見たり、最終責任は自分たちだというふうに言ったら。そういうことが今の政府案にないことが大変残念だということと、それから、やはり規範意識を回復する、そして、もっと感度のいい役所になるということを最後に祈念いたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

森山委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。文部科学大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 時間が限られておりますので、高校で発生をしている未履修の問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 文部科学大臣は、文部科学省の感度が悪かった、あるいは、今になって、すべての高校をなぜ調査しなかったのか、調査するべきであったのだと言うようなことは後講釈であるということをおっしゃられていらっしゃいます。しかし、私は、感度が悪かったのではなく、文部科学省は知っていた、薄々は知っていたということを論証していきたいというふうに思います。

 まず、先ほど田嶋議員の質問に対して、今大変に話題になっております調査レポートのことについて、大臣は、「大学生の学習に対する意欲等に関する調査研究」、このレポートに関して、サンプルの数が少ない、あるいは私立大学に偏っているという、具体的に数字を挙げて御説明になられました。それでは、このレポートが出されたときに、このレポートを実際に手にし、それを読まれた方はだれなのかということを事務方から答えていただきたいと思います。

伊吹国務大臣 先生、これは議事録も速記録もとられておりますし、マスコミの人たちもみんないますから、言葉は正確に御発言いただかないと、私の立場がございます。

 申し上げたのは、私が、こんなにいろいろ県ごとに問題が出てきたときに、なぜ全国的な調査をかけなかったんだと言ったときに、速記録を見てください、多分彼らは、大臣、後講釈でそんなことを言っても、そのときは県の問題だと考えていたのではないかと思いますと言ったわけで、私が質問者に対して、後講釈であるなどということは一切申したことはございません。

川内委員 そんなこと言っていないじゃないですか。後講釈ではいろいろなことは言えるだろうという趣旨のことをおっしゃっていますよねということを言っているので、そんなくだらない議論をするためにここに来ているんじゃないんですよ。私の聞いたことに答えさせてください。

清水政府参考人 この報告書についてでございますけれども、報告書本体は、生涯学習局の政策課が受け取り、それから高等教育局の学生課に回付された、こういう経緯をたどっております。

 お尋ねのあれではございますけれども、少なくとも、担当の係においてそれを受け取ったということについてはある程度まで私ども確認できるわけでございますけれども、その報告書本体の詳細についてどこまで目を通したかということについては、現実に、今、当時を振り返ってみてはなかなか明確ではないというのが率直なところでございます。

川内委員 今、大臣、お聞きになりましたか。だれがそれを読んだのかということについては、たった四年前のことですよ。わからないと言ったんですからね。それを大臣は、先ほど、さもそのときに分析がなされたかのようにおっしゃられたが、その当時はこの調査レポートをきちんと読んでいる人が文部科学省の中にいなかったということですよ。わからないと言っているわけですから。

 さらに、もう一つ加えて聞かせていただきますが……(伊吹国務大臣「わからないと言っているんです」と呼ぶ)では、だれが読んだのか、ここで答えてください。(発言する者あり)

清水政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、生涯学習局の政策課、そして高等教育の学生課、大学入試室、それから回付された担当者は少なくともそれを目にしているということではございますけれども、先生のお尋ねでいえば、二百八十六ページにわたる資料でございます。そういうあれの中で、すべてそのデータに目を通しているという意味でならば、そこのところは定かでないということでございます。

川内委員 だから、今、目にしているとおっしゃられて、読んでいるとは答えないわけですよ。言えないわけですよ。そこが、先ほど大臣が、さも詳しい分析をした上で連絡が不行き届きであったかのような御答弁をされたが、当時は詳しく読んでいる人がいなかったということですよ。そのことをしっかりお認めになられることが大事だというふうに思いますけれども。

 この問題をそんなに長くやるわけにいかないので、次の問題に行きますが、私は、この未履修の問題で、十月二十四日にNHKの昼の全国ニュースで富山県の高校について報道がされ、NHKニュースの報道の前に富山県の地元の新聞で報道がなされたというふうに聞いておりますが、文部科学省として、今回の問題を知った端緒、それから、十月二十五日の夜だそうでありますが、全国の都道府県教育委員会に対して調査を求める文書を発出していらっしゃいます。この文書を発出した人はだれなのか、そしてだれが決裁をしたのかということについて、御答弁をいただきたいというふうに思います。

銭谷政府参考人 文部科学省では、十月の二十四日に、富山県の教育委員会から高岡南高校の未履修について報告を受けました。その後、一部の地域や学校にとどまらず、他の複数の県でも相当数の学校において同様の事例があるとの状況が判明をしてまいりました。特に、卒業資格が得られない三年生が多数いるのではないかという報道もなされました。このため、全国の高等学校の実態を至急把握する必要を感じ、二十五日の夜に緊急に全国調査を行ったというものでございます。

 この間、私どもとしては、いろいろな報道等によっても、これはかなり全国的な広がりがあるのではないかということを感じておりました。(川内委員「だれの名前で発出したか。だれが決裁したか」と呼ぶ)

 失礼しました。それで、私どもは、担当の教育課程課長の名前でやりました。

 なお、この間、いろいろ報道があったときに、私ども、未履修の問題について、省内でもいろいろ報告をしていたわけでございますけれども、大臣から、きちんとこういうものは全国的な調査をやはりやるべきではないかという御指示もいただいて、私ども、やったところでございます。

川内委員 大臣から指示はあったと。教育課程課長の名前で文書を発出している。決裁権者も教育課程課長ですね。

銭谷政府参考人 これは教育課程課長名で行っておりますので、教育課程課長の決裁で行っております。

川内委員 その教育課程課長の前職というか、教育課程課長にいらっしゃる前の職をお答えください。

銭谷政府参考人 教育課程課長は、前職は広島県の教育長でございます。

川内委員 教育課程課長の前職は広島県教育長であるということでございますが、それでは、その広島県教育長に在任をしていた期間をお答えください。

銭谷政府参考人 現在の教育課程課長が広島県の教育長に就任をしていた期間は、平成十三年の七月の十日から平成十六年の六月の三十日まででございました。

川内委員 教育課程課長が広島県教育長であったのは、平成十三年七月十日から平成十六年の六月三十日ということであります。

 それでは、本委員会でもたびたび議論に出てきております、今回の未履修問題が全国的な規模で議論をされる前に起きた事例、広島県でも未履修の問題が起きているわけですが、その広島県で未履修の問題が起きたときの教育長は、今私がいろいろ局長にお尋ねしている現職の教育課程課長、当時広島県教育長で間違いないですか。

銭谷政府参考人 広島県では、平成十三年の八月に、県立高校で必履修科目の一部を生徒に履修をさせていないということが明らかになっております。

 先ほど申し上げましたように、現在の教育課程課長が広島県の教育長に就任しましたのが平成十三年の七月でございますので、現在の教育課程課長が広島県の教育長のときに、広島県における必履修科目の未履修問題が判明をしたということでございます。

川内委員 当時の広島県議会の議事録を読ませていただきます。

 この未履修問題が起きたときの議事録を読みますと、県議会の先生のお一人が、私はね、これは氷山の一角だと思うんですよ、こういうことがほかの学校で行われていないか調査する必要があるとおっしゃられ、さらには、この問題にはいろんな問題が含まれていると思うんです、それは、この学校だけではなく、形が違ってほかにもある、チェック機能が行われないということが問題なんですということを県議会の先生が発言をされ、さらには、この広島県議会の文教委員会には、出席説明員として、これは議事概要ですが、教育長が出席をしている。すなわち、現在の教育課程課長が出席をしているということが明確に記されています。

 私は、当時、この現在の教育課程課長がどのように文部科学省とやりとりをし、どのような方針をとられたのかということについて、今回の未履修問題と深く深くかかわる問題であるというふうに思います。したがって、本日、委員長、私は、教育課程課長の出席を求め、当時の詳しい状況をお聞きしたいということを申し上げておりましたが、理事間で協議が調わないということでありましたけれども、恐らく与党の先生方の方に文部科学省から、頼むから出さないでくれという依頼があったのではないかなと、これは推測いたします。推測いたします。(発言する者あり)であるならば、今御説明申し上げたとおり、当時の状況を詳しく知っている当事者に本委員会でこの未履修問題についてぜひ御証言をいただきたい、御発言をいただきたいというふうに思います。

森山委員長 まず、銭谷局長から説明してもらいましょう。

 銭谷初等中等教育局長。

銭谷政府参考人 私の方から御説明をさせていただきます。

 先ほど申し上げましたように、広島県では、平成十三年の八月に、必履修科目を履修させていない高校があることが判明をしたわけでございます。当時の広島県の教育委員会は、これは県内のほかの学校にもこういうことがあるのかないのか、それを調べる必要を感じまして、県内の県立高校について調査をいたしました。その結果、平成十三年の九月だったと思いますけれども、県内の全体的な状況がわかった。その結果、広島県内の十四校におきまして、地理歴史科等において必履修科目の履修がなされていないという実態が明らかになったわけでございます。

 そこで、広島県の教育委員会は直ちにその是正の指導に入りました。その結果、各未履修があった高等学校につきましては是正をさせ、さらに、必要な補習等も行わせてこの問題を処理した。加えて、関係した校長等につきましても処分を行ったということでございます。

 なお、その間、文部科学省に対しましては、広島県の教育委員会の方からきちんと連絡が入っておりました。文部省としては、広島県のこの問題に対する処理について、きちんとやっているということを確認していたところでございます。

 そこで、文部科学省としては、平成十四年の一月の初等中等教育局の所管事項説明会、これは各都道府県の教育委員会の方に出席をしていただいているわけでございますが、この平成十四年一月の初等中等教育局所管事項説明会、あるいは平成十四年六月の高等学校新教育課程説明会、さらには平成十四年十一月の高等学校各教科等担当指導主事研究協議会、こういった場で、各都道府県に対しまして、実は広島県以外にも事例はあったわけでございますので、こういう必履修科目の未履修ということが生じた県があるので、高等学校においては、学習指導要領にのっとって教育課程を編成し、実施をしていただく必要があるので、各県、そういう必履修科目の未履修などということがないように、文部科学省としても指導をしてきたわけでございます。

 ただし、そのとき、文部科学省としては全国的な実態調査は行わなかったわけでございます。それは、例えば広島とか、あるいは熊本とか長崎とか兵庫県、大体この四県でございましたけれども、大体、ほかの県ではこういう指導もしたわけでございますので、もう是正されるであろう、あるいは、ほかの県ではそういうことは余りないんじゃないかというふうに当時思ったんだろうと思いますけれども、全国的な調査はしないで、そのかわり、全国的な指導をしたということでございます。

 それで、今、私ども反省いたしますと、やはり、きちんと全国的な調査をするというその感度が私どもちょっと低かったということは、今反省をしているところでございます。

 事実関係を言いますと、広島県におきましては、繰り返しになりますけれども、この問題については、事例が明るみに出たときに、きちんとこの問題について対応をしてきたということでございます。(発言する者あり)

川内委員 今、町村先生は明快だな、こうおっしゃられたんですが、私は明快ではないというふうに思います。それはなぜかならば、今回、先ほど申し上げたとおり、大臣からの強い指示もあったけれども、全国調査は、課長が決裁をし、課長名で調査ができる、課長の権限でできる調査であります。当時広島県の教育長であった現在の教育課程課長が当時の教育課程課長とどのように話をし、どのように問題の処理に当たろうという文部科学省としての方針をお決めになられたのか、私はそこがとても重要だと思います。

 なぜかならば、私は、教育の現場は、ここは大臣と認識が全く一緒だと思うんですが、子供たちのために一生懸命やっていると思うんですよ。一生懸命やっている。子供たちのためにやっている。しかし、こういうことが起きた。学習指導要領に適切に準拠すべきか否かということに関しては、平成十年の教育課程審議会の答申の中にも、弾力的に運用をされるべきであるというような書きぶりもありますし、さらには、最近、中教審の教育課程部会の地理歴史・公民何とか部会という、要するにその辺のことを議論する部会の中でも、現在の学習指導要領は現状と合わなくなってきている、無理があるということを議論されているわけですね。

 教育の現場に携わる方たちにとっては、この未履修の問題というのは、半ば、教育課程を弾力的に読みかえるということは、ある種いたし方のないことである、子供たちのためにいたし方のないことであるということで行われてきていたのではないか。私はそれを悪いとは思いません、子供たちのためですから。文部科学省としては、それは法令違反だというお立場だと思いますが、しかし、私が言いたいのはここじゃないですから。私が言いたいのは、そういうすべての責任を文部科学省は引き受けなければならないというふうに思うんですね。

 だからこそ、広島県の教育長であり、現在教育課程課長に就任をされていらっしゃる方が、当時どのように行動をされたのか、どのように思ったのか。その県に特有の問題であると判断したというふうにおっしゃっていらっしゃる。しかし、ではその根拠は何なのか、その県に特有の問題であると判断した根拠は。当時、文部科学省とどういうやりとりをして、これは広島県だけの問題だ、ほかでは絶対ないと判断した根拠は何だったのかというようなことを聞かなければ、私はこの未履修の問題というのは片がつかないと思いますよ。

 だから、ぜひ教育課程課長にお運びいただいて、当時の詳しいことをお聞かせくださいと。それが国民の皆さんに対する文部科学省としての説明責任ですよ。

伊吹国務大臣 先生も、大和銀行という銀行におられたようですから、銀行でもいろいろ、営業に出る人、支店の支店長代理等もあって、自分たちで最終的にお得意さんとの間の決断はすると思いますが、しかし、支店長代理が決断ができたからといって、支店長の了解を得ないでそういうことをするということは、実際はできない仕組みになっていないとおかしいですね。

 ですから、今回のことも、当初私のところへ上がってきたときに、私は、これは至急全国調査をしろと言ったわけですから、私の判断で。しかし、調査通知を教育課程課長が出しているわけですよ。

 教育課程課長が広島県の教育長にいたとき、先ほど先生議事録を読んでいただきましたけれども、それは、十三年の何月の議事録でしょうか。(川内委員「十月です」と呼ぶ)十月ですね。そのときに、今局長が御説明したように、当時の教育長は全県下の学校を調査したわけですね、今のやりとりにあったとおり。そして、その結果、今局長が御答弁を申し上げたように、未履修の学校がそれだけあった。ですから、これをやりとりして、そのやりとりの内容は、十分でなければもう一度政府参考人に説明をさせますが、今申し上げたようなやりとりをして、そして県下の一円の高等学校にも通知をして、その結果を受けて、全国に今度は指導しているわけです。

 ですから、当該教育長としては、自分の広島時代に経験をしたことがまた起こったなとは思ったと思いますよ、今度は教育課程課長として。だからこそ、今度は一県の問題じゃないんじゃないかというので、局長に上げ、局長が私のところへ来て、私は、全部調査しろと。それで、そのときに、私立には権限がありませんというようなことを言ったから、いや、それは都道府県知事にもきちっと通知させろ、どうあろうと学校教育法というのは私立、国公立を問わずすべての学校に適用される法律ですから、それは知事にも調べろと言ったのが今回のことなんですよ。

 ですから、教育長としてそういう苦い経験はしておりますけれども、帰ってきて、全国で未履修の問題があったことを教育課程課長が知っていたということは、私はないんじゃないかと思うんです。

川内委員 私は、知っていたということを言っているんじゃないんです。なぜかならば、調べていないから、その当時は。調べていないから、知っていたことにはならない。しかし、そういうことが全国で起きているのではないかという推測をされていなかったのかということをお聞きしたいんですね。そういうことです。だから、当時の広島県教育長、現在の文部科学省の教育課程課長にお運びをいただきたい。

 さらに、委員長、こういう委員会の場に役所のその部門の直接の責任者である課長さんが説明員としていらっしゃって、御答弁をいただくというのは、よくあることだとは言いませんが、時々あることであるというふうに思います。

 私は、不当な要求をしている気は一切ないです。国民の皆さんにこの未履修の問題というものを正確に理解していただき、そして、事態を子供たちのために収拾するために教育課程課長にお運びをいただきたいということを申し上げているわけで、ここに教育課程課長が来て、私は何も変な質問をするなんて言っていないですよ。(発言する者あり)いや、委員会の場で答えていただくことが大事なんです、正式な発言ですからね、お願いします。(発言する者あり)

森山委員長 銭谷局長が答弁しようとしておりますので。

 では、伊吹大臣。

伊吹国務大臣 先生の御質問を伺っていて、当時の広島県の教育長がこれが全国的広がりのあるものだと認識をしていたかどうかということを確かめたいとおっしゃるのは、ごもっともだと思います、それは。

 ただ、失礼でございますが、私が若干国会の先輩だという立場で申し上げますと……(発言する者あり)いや、国会の先輩という立場で申し上げますと、国会内のいろいろな国会改革がずっとありまして、その中で、もう政府委員というのはなくなっちゃって、政府参考人を呼ぶんだ、そして政府参考人もできるだけ絞るんだと。そして、その中で、大臣はもちろんですが、副大臣、政務官をもって答弁に当たらせるという国会の流れがあるわけですよ。

 ですから、それは理事間で最終的にお決めいただくことですから私は理事会の判断に従いますが、そこまで先生が御質問の趣旨をおっしゃっていれば、きょう来ている政府参考人が、先生の意を体して、当然、その教育課程課長が広島県の教育長にいたときにどういう認識であったのかきちっと聞いてきて、ここで答えるべきです、それは。まずそれを聞いてやっていただけないでしょうか。

森山委員長 局長が御答弁申し上げたいということですので。

 銭谷局長。

銭谷政府参考人 当時の広島県の教育長、現在の教育課程課長が、平成十三年のころ、広島県における必履修科目の未履修の問題に直面をいたしまして、そしてその問題を処理して、そして彼はまた文部科学省の方に平成十六年の七月に帰ってきたわけでございますけれども、彼に聞きましたところ、未履修の問題が広島県で生じたわけでありますが、その時点で、この未履修の問題については厳正に指導を行い、その問題は広島県内で是正され、そして広島県内限りの問題であるというふうに認識をしていたということであります。したがって、文部科学省に戻ってからも特にこの問題が全国的なものであるとの認識は持っていなかったというのが彼の認識でございます。

 先ほど言いましたように、文部科学省としては、全国的な実態調査はしませんでしたけれども、こういう問題がほかの県でも起きないように、平成十四年、全国の指導主事会議等を開催して、指導したということでございます。

森山委員長 もう一度説明をしてもらいましょう。

 銭谷局長。

銭谷政府参考人 私が申し上げておりますのは、当時、平成十三年に、広島県でこういう問題があったわけでございます。その前、平成十一年に、長崎県と熊本県で、やはり必履修科目の未履修の問題があったわけでございます。

 文部科学省では、先ほど言いましたように、この兵庫県、あるいは広島県、熊本県、長崎県、こういった事案を踏まえまして、当時こういう指導をしているわけでございます。

 学習指導要領は、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、実質的な教育の機会均等を保障するため、国が学校教育法に基づき学校が編成する教育課程の基準として定めたものであり、いずれの学校においても遵守すべきものです。最近でも、一部の都道府県において、必修教科科目等を開設しない、必修教科科目は開設するが、選択履修として扱い、すべての生徒に履修させない、あるいは、教科科目等に必要な授業時数を充てていないなど、法令及び学習指導要領に反するような事案がありました。これは一部の都道府県にありましたということを言っているわけです。各教育委員会におかれては、今後とも、各学校において教育課程が適切に編成、実施されるよう、御指導いただくようお願いします。

 こういう内容の指導を、平成十四年の一月、初等中等教育局所管事項説明会、平成十四年六月、高等学校新教育課程説明会、平成十四年十一月、高等学校各教科等担当指導主事研究協議会、平成十五年五月、全国高等学校各教科等担当指導主事連絡協議会、こういうところでしているわけでございます。

 広島県の教育長でありました現在の教育課程課長は、このときはずっと広島県の教育長でございました。ですから、彼は、自分の県のことが一つのきっかけとなって文部省が全国の教育委員会に注意喚起をしたということは知っていたかもしれませんけれども、少なくとも、この問題は、広島県においては、彼がきちんと教育長として指導をして、問題は解決をして、そして、そういう意識を持って文部科学省に戻っているわけでございますから、その後、彼が戻ってから、こういう問題も全然、この十月の二十四日まで特段の報告等はそれほどあったわけではありませんので、彼としては、これは広島県の問題をきちんと片づけて、こういうのが全国的にあるという認識は持たないでいたというふうに彼は言っていたわけであります。

川内委員 私は、教育課程課長の認識を聞いているのではなく、認識というのは、事実に基づいて認識するわけですから、全国調査をしなければ認識という言葉は出てこないわけです。したがって、当時の広島県教育長、そして現在の教育課程課長がそのときにどのように思われたのか、どのように想像をされたのかということをお聞きしたいんですね。

 わざわざ広島県特有の問題であるというふうに御答弁されていらっしゃいますが、特有というふうに言葉をつけた根拠は何なのか。特有じゃないからわざわざ特有と言わなければならなかったのではないかということを私は想像するわけです。想像するわけです。

 だからこそ教育課程課長の、その当時の御感想なり、あるいは御所見なり、あるいはどのように当時の文部科学省の方とお話しになられたかということを聞かなければならない。大いに関係があるわけでありまして……(発言する者あり)

 それでは、何か町村先生に物すごい怒られているので、ちょっと視点を変えて、実は委員長、私は、もう一人きょう説明に来ていただきたいということで文部科学省の方を要請しておりました。それは、主任視学官という方であります、主任視学官。

 この主任視学官という方を英語で訳すると、これは初中局に所属しているんですよ、初中局に所属するこの主任視学官を英語で訳すると何という役名になりますか。

銭谷政府参考人 通常、視学官は、インスペクターではないかなと思います。

川内委員 インスペクターというのは、いわゆる査察をする、調査をするという役職の英語ですよね。

 そのインスペクターという視学官、この方たちはどういうことをやっていらっしゃるのかというと、実はテレビ番組に、視学官を退職されて今大学の先生をやっていらっしゃる方が、このように答えていらっしゃいます。視学官というのはどんな役職なんですかという質問に対して、視学官というのは、余り耳なれない言葉だと思いますけれども、これは、学習指導要領に基づいて、実際にどういう教育が行われているか、学校現場の実施状況を把握して、そして同時に、それをこれからの政策に反映させるという仕事になります、それが視学官というわけですというふうにお答えになっていらっしゃいます。学習指導要領の実施状況を調査するのがこの視学官の役目であるというふうに、元視学官であった方がインタビューに答えておっしゃっていらっしゃいます。

 私は、初中局にこの視学官が何人いるのかということをまず答えていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 視学官についてのお尋ねでございますが、現在、初等中等教育局には、主任視学官一名を含めまして十名の視学官がおります。そのうち三人は他の職と併任をいたしております。

川内委員 この十名の視学官の方々が、教育課程についてどのような調査をされているのか。特に、今回、高校の未履修の問題が大きな問題になっているわけですけれども、高校の教育課程の実施状況について、インスペクターたる視学官の方々がどのようなお仕事をされてきたのかを主任視学官にお聞きしたいということで、本委員会にお運びをいただいてお話をお聞かせくださいということをお願いしておったわけですけれども、これも与党の反対ということで実現をしておりません。

 私は、現場で実際にお仕事をしていらっしゃる方々のお話を聞きたいということを申し上げているわけで、特に大きな問題になっているから聞きたいというわけで、それは過去にも例はいっぱいあるわけですよ。しかし、それにもかかわらずこのようなことというのはどうにも理解できないので、教育課程課長並びに主任視学官について、お話を本委員会において承るということがとてもとても大事なことであると思いますので、委員長においてどのようにお取り計らいいただけるのか、ここで一言いただきたいというふうに思います。

森山委員長 きょう、この後、お昼にも理事会をやる予定でございますので、その席で、また理事さんたちと御相談しようと思います。

 銭谷局長が説明したいということですので。

 銭谷局長。

銭谷政府参考人 先ほどお話のございました、初等中等教育局の視学官でございますけれども、今十人いるわけでございます。

 視学官につきましては、文部科学省組織規則におきまして、視学官は初等中等教育に係る専門的、技術的な指導及び助言に当たるということが、その職務として規定をされております。

 実際に、視学官には、各教科ですとかあるいは生徒指導の問題とか、そういったことに堪能な小中高等学校の教職員の経験のある方、あるいは大学関係の方とか、教育委員会で行政の経験のある人とか、そういう人が任命をされるケースが多いわけでございます。視学官は、任命されました以上、文部科学省の職員でございますので、文部科学事務官ということになるわけでございます。

 視学官は、日常の仕事といたしましては、各教科や生徒指導、あるいはいろいろな領域というのがございますけれども、情報教育ですとか国際理解教育とか福祉教育とか、こういったような各領域の教育とか、それから教員研修とか、そういったそれぞれの専門分野について、分担をして、教育委員会等に対して専門的なあるいは技術的な指導や助言を行ったり、私ども初等中等教育局には十課あるわけでございますけれども、その課の仕事に対しても、そういう専門的な立場からいろいろとアドバイスをいただいているということでございます。

 なお、先ほどインスペクターということを言いましたけれども、これは今の仕事の内容から見ると、個々の学校を、あるいは個々の学校の教育課程をチェックするとか、そういうことは視学官の仕事としてはほとんど行っていないわけでございまして、むしろ、情報教育なら情報教育について、最近の新しいいろいろな取り組みとかそういうものを視学官が集めて、それを全国の指導主事さんなんかに御紹介したり、そういうことが非常に仕事としては中心になってくる。また、そういうことを踏まえて、学習指導要領の改訂などに当たって、局内の作業に参加をしているといったようなのが視学官の仕事でございます。

川内委員 インスペクターという訳は実態と合わないと初中局長おっしゃられたので、訳はお変えになられた方がいいと思いますけれども。変えますと言った方がいいですよ、ここで。

銭谷政府参考人 実際は、例えばインスペクターという側面よりは、カリキュラムのアドバイザーとか、何かそういう方が、それもシニアアドバイザーかもしれません、そういう形の方が、訳の方がいいのかなという感じもしておりますけれども、そこはよく考えてみたいと思います。

川内委員 では、余り時間もなくなってきましたので、大臣……(発言する者あり)いや、私の時間がということですよ。

 私は、文部科学省は高等学校における未履修を認識していただろうとは言っていないんですね。薄々知っていたのではないかということを申し上げているわけです。認識というのは、事実がなければ認識できないので、そういう想像はしていたのではないかということを申し上げているわけです。

 そこで、初中局長にお伺いしますが、初中局には三百五十名の職員の方がいらっしゃるというふうにお聞きをしておりますが、その三百五十名が、全員、今回のこのような事態は予想もしていなかった、わからなかったというふうに局長はおっしゃいますか。

銭谷政府参考人 現在、初等中等教育局には、定員の職員としては二百六十人ぐらい……(川内委員「きのう、三百五十人と言ったじゃない、レクで。ひどいよ」と呼ぶ)の職員だと思います。ただ、国立教育政策研究所ですね、そことも併任をしている人もいますので、あるいは非常勤の職員というのもおりますので、先生に担当者がどう言ったか、ちょっと私確認していないので、そこは申しわけないんですが、定員上は二百六十人程度だったと思います。(発言する者あり)いや、それは隠しているとかそういうことじゃなくて、今、定員上のお話を申し上げているわけでございまして。

 そこで、今回の必履修科目の未履修の問題につきまして、過去に県にいたときにそういう事態に対応した人もいるわけでございますけれども、そうでない人の方が圧倒的に多いわけでございまして、私もそうでございますけれども、この必履修科目の未履修の問題が、私ども調査して、今結果が出てきたわけでございますけれども、こういう状況にあるということは私は想定外のことでありまして、私は、少なくとも、学習指導要領に基づいて、各学校ではそれを尊重した、それを踏まえた教育課程の編成がなされているものと思っておりました。

川内委員 今、まさしく初中局長が、私はとおっしゃられましたね、私は想定外だと。

 初中局には、きのうレクのときは、大臣、三百五十名と私に言ったんですからね、今ここへ来て二百六十名とかおっしゃっているけれども。とにかく、その二百六十名から三百五十名に近い方々がだれ一人そのことを想定していなかったのかという私の質問に対して、初中局長は、私はとしか答えない。だからこそ、教育課程課長や主任視学官がどう思っていらっしゃったのかということをお聞きしたいわけです。三百五十人全員来てくださいなんて言いませんよ、私は。

 実は、委員長、これは私の質問の前置きで、本当は教育基本法についてきちんと聞きたいんですよ。だけれども、きちんと答えないから、もう私の質疑の時間は終わってしまうじゃないですか。本当に残念なことですよ。

 文部科学大臣、私は、認識をしていたなんて言っていないですからね。認識はできないんです、調査していないから。しかし、文部科学省初等中等教育局は、初中教育のプロ中のプロが集まっていらっしゃる、教育行政のプロが集まっていらっしゃる部署であります。その部署にいらっしゃる方々が、今回のことを想定もしていなかったと。

 それは、現場を守るために必要なんです。文部科学省が、悪かったと言わないと、現場に責任を押しつけて、教育委員会が悪かったとか校長が悪いんだとか言っちゃっては、現場の人たちはかわいそうなんですから。一生懸命なんですから、現場は。文部科学省が、全部責任を引き受ける、薄々知っていたけれどもほっていたんだということを言わないと、これは大変なことになりますよ、熱心に現場で頑張っている人たちは。先生方もそうだし、子供たちのためにやっているんですからね。

 そこで、最後に大臣に答弁を求めます。

 認識はしていなかったが薄々は知っていたのではないかということを文部科学大臣として御答弁いただきたいというふうに思います。

伊吹国務大臣 川内先生は、未履修があると認識はしていないけれども薄々知っていたと推定しておられるんですか。私は推定はいたしておりません。

川内委員 それであれば、初中局は、文部科学行政に責任を持っている部署として、現場のことを何にも知らずに、何にもわからずに文部科学行政をしているということをみずから告白されたのに等しいということを申し上げて、終わらせていただきます。

森山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております両案につきまして、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る十五日水曜日開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 質疑を続行いたします。市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。

 この特別委員会でこうした質疑の時間を与えていただきまして、本当に感謝を申し上げます。

 伊吹大臣におかれましては、さきの通常国会、行革特の委員長をされていまして、私は、非常に公平なさばきをされていたということに感銘を大変覚えておりましたので、きょうは伊吹大臣とこうして議論させていただくことを大変楽しみにしてまいりました。

 それで、第一番目にまずお尋ねをしたいことは、今回の我が党民主党の日本国教育基本法におきまして、例の愛国心と一般的によく言われるものでございますけれども、民主党の表現としては「日本を愛する心を涵養し、」ということでありますが、これは理念に入っております。しかしながら、政府案の「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という表現は、目的に入っています。ということは、何かを目的としてこの表現を入れているということだと思いますが、もし政府案が通った場合、では具体的に教育現場ではどういうことが起こってくると想定されてこの文言が入っているのか、そのことを具体的に教えていただきたいと存じます。

伊吹国務大臣 今先生が御示唆になりましたように、政府案では、伝統、文化を尊重しというのがまずあるわけですね。そして、伝統、文化をはぐくんできた我が国と郷土を愛する、こういうことですから、伝統、文化を尊重するために、伝統、文化をはぐくんできた我が国と郷土のということですから、伝統、文化はどういうプロセスではぐくまれてきたんだろうかと。

 例えば、外国から元寇の乱だとか何かで侵略を受けたときにはどういうふうに対処し、黒船が来たときには、日本人はどういう心情でそれを受けとめ、また、入れてはいけないものを取捨選択したんだろうか。その間に、日本の、今申し上げたような、歴史的な流れを主導していた人物の心情はどうであったんだろうか。

 あるいはまた、近代においては、国際社会に出て活動された新渡戸稲造先生のような方がいらっしゃいますね。この方は、御承知のように、アメリカ人と御結婚になっています。しかし、宗教意識が非常に希薄な日本において、なぜ日本人というのはこんなに秩序正しく暮らしてきたんだろうか、それを、アメリカのキリスト教的自己抑制の信条を持っていた新渡戸稲造さんの最愛の妻は、非常に疑問に思った。それは、日本というのは実は武士道というものがあるんだよということを妻のために英語で書いてあげた本なんですね。

 そういうことをいろいろ教えることによって、この国の伝統と文化がどういうふうにはぐくまれてきたのか、それを尊重してもらいたい、それを尊重するためには、それらをはぐくんできた土壌である我が国の国土、我が国と郷土というものを愛する態度を養っていくんだ、そういう論理構成でこれはつくられている文章だと思います。

市村委員 よく、賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、こういう話もあります。歴史というものの大切さということも含めておっしゃっているのではないかというふうに思います。

 すなわち、今のお話だと、そういった意味での、授業の内容が、これまでもそういうのはあったと思いますけれども、先生によってはそういったことも踏まえながら授業をされていた先生もいらっしゃると思いますが、なかなか、通り一遍の教科書をなでるような教育であったようなところもあるかもしれませんので、もう少しそういった、ある意味では人物が生き生きと描かれるような、例えば歴史教育というのも行われることになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。確認だけさせていただきます。

 世の中一般には、この愛国心に対する懸念というのは、それと違う意味でとらえられている部分もあります。また、いわゆる戦前の、昭和の初期のころの状況に戻って、結局、愛国心を押しつけながら、国のために死ぬ、国のために戦う、そういう気持ち、心というか、これは大切かもしれませんが、しかし、現実にそういうことになってはならないということでありまして、しかし、それを押しつけてきた。押しつけてきて、紙切れ一枚で戦場に送って、無辜の民が何百万人も命を失うということがあった。このことに対して、やはりきちっとした反省に基づかないと、こういったことはいけないよということだと思います。

 そこはないということだと思いますが、一言だけ、そういうことではないということだけ、確認させてください。

伊吹国務大臣 愛国心という言葉を直接使いますと、これはよく言われることですが、国というのは主権のもとにあるわけで、主権を持っている国民と、そして領土と、その国民が領土の中で営々として築き上げてきた国民の営み、この三つが実は国家を形成しているわけですね。その営みの中の一つが、一部がですよ、営みの大部分は我々が積み上げてきた規範だとか文化だとかそういうものだと思いますが、その一部が、今先生がおっしゃった統治、国家をいかに治めるかということです。

 これは、民主党さんも実は多数を占めれば政府を形成されることがあるんですね。自民党支持者に民主党を愛しろということを強制するわけにはいきませんし、民主党の支持者に自民党の統治、仕組みを愛しろということを強制するわけにいきませんから、そこのところを非常に注意深く避けた表現になっているというふうに御理解いただいたら結構かと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 午前中、やらせというようなことでいろいろ話がありました。とにかく、こうした教育の議論というのを、今回は教育基本法特別委員会ということでやっておりますけれども、ふだんのたゆまざる議論が必要だ、こう思います。そういった流れの中で国家百年の計を考えていくべきだと思います。そして、そのための人材教育ということだと思います。

 きょうは、もうちょっと大きな意味での教育ということについて、私は少し議論をさせていただきたいと思います。

 日光東照宮に有名な三猿があります。これは、一般的には、何か都合の悪いことを、いわゆる見ざる、言わざる、聞かざるというような意味でとらえられているところもありますが、実はこれは教育訓だということを、私は日光東照宮に行って、あの三猿を見て、あの説明を見て、なるほどなと思ったことがあります。すなわち、子供のころには悪いものは見せない、言わせない、聞かせない、これが日光東照宮の三猿の意味だということを聞きまして、私は、なるほどなと大変な感銘を覚えたことがあります。

 どうも今、そうした、ある意味では非常に当たり前のことが教育から欠けていまして、議論はいいんですけれども、当たり前に、小さいころには、やはり悪いものは見せちゃだめだよね、言わせちゃだめだよね、聞かせちゃだめだよねと、何か素朴なこうした当たり前のことが欠けているような気がしてなりません。実は、そういうことが結局は長じていくに当たって手に負えないような状況になってしまって、そして、今さらもう手に負えないわけですね、大きくなってからは手に負えない。もうほったらかしにする。そして、だれもそれを言ってくれる人がいなくなってしまって、究極のところまで行って、いろいろな犯罪とかを起こす種になってしまっているのではないか、このように思っています。

 それで、教育というのは教えるということでありますけれども、一方で、教育の目的は何かというと、私もいろいろと調べていまして、私は非常に漢字の語源というのにこだわっていく人間なんですが、先日、十月三十一日に第一人者の白川静先生が亡くなられまして、大変すばらしい書物を残されているんですが、この先生の書物をまたちょっと今回に関係のあるところだけ読み返しておりましたら、教うるとは学ぶことの半ばなり、こういうことでありまして、やはり学ぶということが大切なんですね。

 学ぶというのは、これはもう大臣御存じかと思いますが、まねるということと同じ意味であります。まねるということなんですね。では、何をまねるのかなんです。何をまねるのかが重要なんですね。

 教えるというのは、昔は、いわゆる氏族の長が自分たちのまさに伝統とか文化を、メンズハウスなんですね、昔は大体指導するのは男でしたから、今は女性の方もたくさんいらっしゃいますけれども、古代は大体男、女系家族などもありますけれども、男でありまして、男が、氏族の長が集っていわゆる子弟を教えるというところだったんですが、何を教えるかというと、まさに伝統や文化なんですね。

 私が大臣にお尋ねしたいのは、まず、この日本において、では教えるべき伝統とは何か、また教えるべき文化とは何か、また教えるべき生活の規範とは何か。ここが実は教育論の一番重要なところだと思うんですね。例えば、日本人として何が生活の規範として必要なのか、もっと日本人を超えて、別に日本人、何人、関係なく、まず人として何が必要なのか、こういうことだと思いますが、ここの部分がやはりないと、幾ら教えることを論じても、学ぶことを論じても、何を教えればいいのか、何を学べばいいのかということになってくると思います。

 そういうところで、まず、文部科学大臣である伊吹大臣が、一体何をこの国では教えるべきで、何が足りないと思っていらっしゃるのか。何か足りないからこそ今回教育基本法の改正があると思いますから、そこをぜひとも大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

伊吹国務大臣 これは民主党も対案を出されたわけですから同じ思いを持っておられると思うんですが、今の教育基本法は、率直に言って、私は非常によく書かれていると思うんです。

 ただ、これを読みますと、インドへ持っていっても、アメリカへ持っていっても、アフリカへ持っていっても、人間がすべて大切にすべきもの、権利だとか自由だとかは書かれておりますね。しかし、やはり日本には日本特有の日本社会を成り立たせてきたルールのようなものがある。それを具体的にみんな列挙しろと言われると、私はもちろんできません。しかし、これは、大多数の日本民族が、大和民族が日本という国に住んで、祖先の営みの中から築き上げてきた暗黙の了解事項というのがあるわけですね。この暗黙の了解事項が、実は法を超えて、法よりはるかに強い社会の秩序維持の根底にあるわけです。

 これは、英国もそう歴史の古い国じゃありませんし、英国を支配している今の体制というのはノルマンから渡ってきた人たちですから、英国という国はそんなに古い国ではないけれども、しかし、アメリカなんかに比べればはるかに古い国。ここにあるのはやはりコモンローということですね。このコモンローというものが、実はリトゥンローを超えてはるかに我々の人間社会をコントロールする力としては大きい。日本には日本のやはり暗黙の了解事項があるじゃないか。それが、先生が一番最初に引かれた、この国と郷土を愛する心です、養うという、その前段にある思想なんですね。

市村委員 まさに、民主党も対案を出しています。多分議論になったと思いますが、もし今の大臣のお言葉を素直にとれば、やはり民主党の、日本国教育基本法ということであえて日本国という言葉をつけたという意味の方が、私は恐らく評価をされていらっしゃるんではないかというふうに思います。

 私も、改めてこの二つの教育基本法案を読み返しているときに、私は別に民主党だからということじゃなくて、やはり民主党の案の方がしっかり書いてあるなというのが正直なところなんですね。それは、何か今のこの議論の中でも、やはりマスコミやいろいろな評価でも、なかなか民主党案はいいじゃないかという評価はあるんですね。

 だから、私は、この議論を通じて、かたくなに政府が出したからこれでいこうということじゃなくて、やはり民主党案のいいところも取りまぜて、一緒にまた考えてもいいじゃないかと私は大変思っておるんですね。その中で、またいろいろな教育というものを、これは基本ですから、基本のところで何を教えるかということですから、そういうところで、もう一遍、今大臣がおっしゃったような、人としてよりも、まず日本ということなんだから日本なんだというところの部分をもう少し強調されてはいかがかなと私は思うんです。

伊吹国務大臣 民主党案は、私も何度も何度も読ませていただきました。非常に感銘を受けて、いい部分もあります。ところが、各条におりていきますと、率直に言って、各条を担保するその他の法律の内容がわからないまま余り批判してはいけないのですが、午前中議論になっていたように、都道府県知事に教育権を渡して、学校の運営を理事会にゆだねて、そして教育の責任、最終的な責任は国にあるという構成で、午前中議論があったような未履修の問題を防げるのかどうなのかとか、そういうことを考えていくと、各条におりてくると、随分いろいろ問題があるなという気はするんです。

 しかし、先生のおっしゃっているお気持ちは、私は、現場の理事さんもある程度共有しておられるのであれば、やはり現場で理事同士のお話をしていただければいいし、余り選挙だとか国会対策だとかということを意識せずに、先生のような方が早く党首になり幹事長になってくだされば、まことにありがたいことだと思っております。

市村委員 ですから、私は、今回この法律ではなくて、こうして今議論が続いているわけですから、例えば、何か一部に、来週通すとかそういう話ではなくて、安倍さんが訪米する前にとかいうことではなくて、やはりこういうものは、本当に国家百年の計にかかわることですから、しっかりとお互いの議論を煮詰めて、いいものを取り合うということが必要でないかということを申し上げたいわけであります。

 先ほどの議論にちょっとまた戻りますが、やはり教育のことを考えるときには、僕は、学ぶということを一方で重要な柱として立てなくちゃいけないと思っているんですね。ですから、その部分については、この教育基本法については、その学ぶということについての重要性というのがまだちょっと見受けられない。実はこれは民主党案もそうなんですけれども、見受けられないところがあります。

 学ぶというのは、さっき言ったように、まねる。そのまねるものは何かということは、さっき議論がある。また、学習という言葉があります。同じような言葉ですね。学ぶに習うをかけて、学習という言葉があります。実は、これは哲学的な言葉というか、哲学的と言ってはなんですけれども、大分考えられた言葉なんですね。

 習うというのは何かというと、あの漢字はどういうことかというと、羽を重ねることなんですね。鳥が何度も何度も羽を重ねる中で飛び上がっていくということが習うことなんです。つまり、まねて、何度も反復練習するということが学習なんですね。こうしたことが、教えることの一方で、まさにそれを学んでいく、まねていく、そして反復練習していくということなんですね。だから、そうしたことを、教育基本法を論ずるときには、一方で学ぶということもぜひとも議論の中に入れて考えていくべきではないかと私は思います。

 また、教学相長ずとか、さっきも申し上げましたけれども、教うることは学ぶことの半ばなりとかということでありまして、教えることと学ぶことというのは相長ず、ある種お互いがお互いを補完し合う、そしてよくしていくということだと思います。だから、教育基本法ですから、もうちょっとこうした原点に立ち返って、もちろん、日本国民としての一つの伝統、文化を愛する心というのも大切かもしれません、それを涵養する心も大切かもしれません、しかし、まず人として、人類として何が大切かということもしっかりと教え、また学ぶ、まさにそうしたことを重要視するということが大切だと私は思うんですね。そうした議論をしながら教育基本法というものがつくり上げられていくことが大切ではないかと私は思うんですね。

 そして、そうした基本に立って、学校教育のあり方とか、さっき大臣はちょっと御批判になられましたけれども、民主党案という部分で、教育の責任はどこが負うのかということであると、国は教育基本法とかいうことはつくるべきだと僕は思いますが、やはり現場のところで責任は持っておかないと、国の役人が一律に全国の教育現場を見て回っているわけではありませんので、ここに責任を負わせても無理なわけですね。現場を知っている方たちが、それは先生だけじゃありません、地域の方、親、またそういった親にかわる役割をされている方々がしっかりと責任を持っていくということで、そうした人たちの声をしっかりと集め、そしてその人たちが話し合って、そして責任もあなたたちですよという方が理にかなっていると私は思うんですね。

 だから、そういった意味でも、民主党案の方がその部分でもいいかな、すぐれているかなと私は思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 先生、これは現場にかなりの責任を持たせないと、国がすべてのことに、はしの上げおろしに目を光らせていることはできません。だから、おっしゃっていることはそのとおりだと思います。しかし、民主党案には、教育の最終的な責任は国にあると書いてあるわけですよ。この国にあるという意味をどう担保していくかというのは、教育基本法の下につくいろいろな法律の構成によって決まってくる。

 先生御自身も、例えば沖縄県と北海道で義務教育の子供が全く別のことを教えられていいとは思っておられないと思うんですよ。ある程度の基準は国が示さねばならないんですね。それが今でいえば学校教育法による指導要領なんですね。この指導要領どおり、責任を持っている各学校が、今だって各学校が責任を持っているわけですから、学校がカリキュラムの編成権、それから卒業の認定権、みんな学校長が持っているわけですから、もし国が示した北海道から沖縄まで同じ基準でやってくれないという今回の未履修のようなものが生じたときに、最終的な責任が国にあるとおっしゃっている限りは、その責任を担保する権限を渡してもらわないと困るんですよ。その権限が、どうも学校の運営は理事会にあって、都道府県の知事が教育権を持っているということではうまくいかないんじゃないかということを私は申し上げているわけです。

市村委員 未履修の問題を今おっしゃったんですが、この問題は要するにもっと現場のところでいいと私は思っているんですね。

 ただ、大切なのは、まさにきょう冒頭で議論させていただいたように、一番肝心なことを教えていないということが重要な問題でありまして、これは、まさに、コモンローとおっしゃいましたけれども、常識がちゃんと伝わっていれば、何を一番最初に教えるか、それは歴史に決まっているんですよ。歴史観に決まっているんですね。それは別に、日本史、世界史と分けられるものじゃないんです、こんなものは。分けられるものじゃないんです。単に日本だけでずっと二千年やってきたのと違うわけですね。当然、大陸との関係、北方との関係、南方との関係、また、太平洋を渡ってきたアメリカと言われている国との関係、そういったことで、実は世界史と日本史というふうに分化できないものだと私は思っているんですね。

 だから、私は、国が責任を負うというよりも、やはり地方、地域で、コモンローではそんなの当たり前、教えるのは当たり前であって、日本史、世界史、どっちか選択しろなんということの方がそもそもおかしいと思っています。そうした当たり前のことが当たり前に地域でしっかりと根づいていくようなことをしていくことがやはり国のこうした議論の大切なところだと私は思うんですね。

 今でも確かに学校長とか現場にゆだねられている部分もあるんでしょうけれども、やはり一方で、今問題になっているのは、教育委員会というのがあって、そこはどうも、いわゆる国との関係の中で、何かどこか国としての指導要領に基づいたコントロールをしているのではないかと。そのコントロールが、そうした当たり前のことを当たり前に考えて当たり前に行うことによって成り立っているんならいいんだけれども、どうも何か国が、国の言うことを聞けみたいな話を、学習指導要領がこうだから、がちがちにこれでやってくれというふうなことでは私は違うと思うんですね。これは違うと思います。

 やはり、現場で、その地域で、その地域の人たちが責任を負って教育を行う、そして大切なことを教えていく。それは、それこそ北海道だろうと沖縄だろうと同じである、まさに大臣がおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、現場のことは現場に任せる、地域に任せる、そのかわりそこで責任もとってもらうという仕組みの方がやはり私はすぐれた仕組みじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 民主党案では、教育の最終的な責任は国にあると書いておられるんですね。(市村委員「財源ですね」と呼ぶ)いやいや、財源だけではないと思いますよ。

 ですから、先ほど私が答弁したことに対して先生はうなずいてくだすったと私は思ったんですが、北海道から沖縄まで、少なくとも義務教育では、日本人は、やはりある程度の共通の基礎学力と、今で言えば共通のコモンセンスを持つということなんですね。ですから、それはやはり国が基準を決めないと私はいけないんじゃないかと思いますよ。決めたときに、それがそのとおり行われない場合に、それを行わせるという権限がないと、これはやはり担保できないんですよ。

 だから、地方に渡して、地方に責任を持ってやらせて、コモンローを教えられるという、しかも教育権は民主党案では都道府県知事にゆだねるということになっているわけですから、都道府県知事は選挙によって選ばれてくるわけですから、いろいろやはり問題があると私は思いますね。

 ただ、自民党と公明党の案が、我々内閣が出した案がすべていいとは思っていませんから、それは先生がおっしゃるように、先生のようなお気持ちで民主党が筆頭理事間で話をしたいとかどうだと言ってくだされば、自民党は喜んでそれに応ずるんじゃないかと思いますがね。

市村委員 それはぜひとも筆頭理事間の方でやっていただきたい、こう思います。

 私は、今の社会保障費、例えば子供にかけているお金と大先輩方にかけているお金、私が聞いた範囲では一対八十ぐらいだというふうに聞いておりますが、もう少しやはり次代を担う人材を育てていくということにお金はかけるべきでありまして、その意味で、国がやはり税金を国税として一番中央集権的に吸い上げているわけですから、そういった意味で、国が私は財源的には責任を持つべきだというふうには思っています。ただ、やはり身近なところで責任まで持ってもらってやる仕組みの方がいいと思います。

 ただ、きょう冒頭から議論させていただいているように、日本という国に生まれた以上は、日本の成り立ちとか日本人とは何かということは当然一律に、余り幅広い解釈じゃなくて、ある程度の基準というものはやはり決めて、これはぜひとも最低限教える、または学んでほしいということであると思いますので、きょう三十分しかなかったんですが、ぜひとも、またこの議論が深まることを願って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 当委員会における前国会の教育基本法改定法案の審議の中で、私も何度か質問に立ちました。与党は早期採決を主張しているようでありますが、言語道断であります。

 今、重大なことは、政府、文部科学省に、教育基本法という教育の根本法の改定法案提出者としての最低限の資格が問われる一連の問題が提起されているということであります。

 特に、いわゆるやらせ質問の問題で、この問題に国民の怒りが沸騰しております。私も、内閣府が七日と九日に提出した教育改革タウンミーティングに関する調査結果、報告を読みましたけれども、政府主催のタウンミーティングで、少なくとも、青森そして岐阜、愛媛、和歌山、大分、五県の会場でやらせ質問が行われていたことが明らかになった、驚くべきことだと思います。

 そこで、まず文部科学大臣に伺いますが、内閣府の七日の調査結果によりますと、お手元に資料があると思うんですが、本年九月二日の青森県八戸市での開催自体が、冒頭にあります、ことし六月の文部科学省から内閣府への依頼によるものであったこと、さらに、八月二十二日には、また文部科学省から、議論の活発化のために教育基本法の改正についての議論があった方がよいということから、質問項目案を作成すると内閣府に連絡をして、いわゆるやらせ質問を提起して、八月三十日には、文部科学省から内閣府に質問項目案を送付した、こういう経過が明らかになっております。

 そこで、伊吹大臣もこの調査結果を見て驚かれたと思うんですが、この報告のとおり、質問項目案をつくったというのが文部科学省だった、それは間違いないわけですね。

伊吹国務大臣 そこのところだけを取り出して議論するのは適当じゃないと思いますので、少し説明させてください。

 タウンミーティングをやる際に、国会でもそうでしょう、参考人をする、公聴会をするという場合に、一般に公募をする。しかし、なかなか適当な人が集まらない場合にどうするかとか、みんないろいろ知恵を出すわけですね。参考人招致には、共産党も自分たちの推薦する参考人を出してくれといって、理事会の協議を経て参考人をお出しになる。

 そして、この八戸のタウンミーティングのときは、どういう質問があるんだということを内閣府で集めてくれたときに、教育基本法に関する質問がないんですよ。なかった。だから、文部科学省としては、今教育基本法をこの国会で御審議を願い、これからの日本のことを考える教育基本法をぜひ成立させたいという思いがあったので、こういう質問がありますということを内閣府へお取り次ぎをした。それは、午前中、内閣府の官房長がるる御説明になったことと私が言ったことは平仄が合っております。その後の扱いについては、午前中、内閣府の官房長が御説明になったとおりの運びになっていると思います。

笠井委員 大臣、そこが問題なんですよ。事前になかったというのは、国民の側からは教育基本法の改正は必要ない、それをしてもらわなきゃ困るという意見がなかった。それを見て文部科学省の側が、これじゃ困ると思って、お願いします、だれか言ってくださいと。そして、質問項目案を出した。(発言する者あり)まさにそこが問題でしょうが。それがやらせ問題の本質的な問題なんですよ。それこそやらせじゃないですか。

 その質問項目案が、同じく八月三十日、内閣府、八戸市教育委員会、県教育庁、学校長を通じて注意事項とともに発言候補者に渡って、二人が発言した。予定者がいなかったから、文部科学省は困るなと思ったので、これじゃ法案を通せないと思って、頼んで、そのとおり二人が発言されたという結果になったわけであります。これこそまさにやらせということでありまして、こういう質問など、教育に携わる文部科学省としてはやってはならないことだ、まさに規範意識も何もないと私は言わざるを得ないと思うんです。

 こんなやらせ質問が、九日の内閣府の調査結果によれば、このほかにも、七回の教育改革タウンミーティングのうち、初回の平成十五年十二月十三日の岐阜市以来、少なくとも四回、文部科学省が主導し、関与して行われてきた。これは間違いありませんね、大臣。端的にお答え願います。

伊吹国務大臣 文部科学省としては、教育基本法の質疑をぜひお願いしたい、お願いするとすればこういう質問があるということを内閣府にお取り次ぎをしたわけですから、あとは内閣府の扱いをぜひ御質問いただきたいと思います。

笠井委員 よそごとじゃないんですよ。文部科学省は、これじゃ困ると思ってお願いしたわけですからね。内閣府主体という話じゃないんです。もともと主導してきた。八戸だって、先ほど言いました、文部科学省から内閣府に依頼をして、教育問題タウンミーティングをやってくれと言われたわけでしょう。そして、岐阜、愛媛にしても、文部科学省が県教委に発言候補者推薦依頼までしている。何かこれは、内閣府がやることについて文部科学省がお手伝いして、そして、やるならこういうことをやってくれと言ったんじゃないんですよ。経過としては、主導したのが文部科学省、そして実行したのは内閣府という構図、明らかじゃないですか。

 ところが、政府の報告では、一連の経過に文部科学省のだれが関与をして、その関与がだれの責任と指示で行われたかという基本的な事実さえ、これを拝見しますと、明らかにされていない。そして、文部科学省の責任と反省については、一言も言及がありません。

 八戸市のタウンミーティングについて、一体どの部局、どの課が内閣府に開催を依頼し、だれが連絡をとって、そしてだれが質問項目案をつくったのか、その実態の調査を文部科学省としてはされましたでしょうか。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の八戸のタウンミーティングにおきます質問項目案の作成に関しましては、文部科学省の中におきましても調査をしたところでございまして、現実には大臣官房の総務課の広報室の方で担当をしておったところでございますけれども、具体的な個人名等は差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 今、大臣官房の総務課の担当者ということでありました。

 今私が聞いたのは、依頼したのはだれかと。そもそも開催依頼です。だれが連絡をとってやってきたのか、それについてはどうでしょう。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 開催の依頼につきましては、国会が閉会されたということで、今後、教育基本法の改正案についても国民に周知を図っていきたいということで、文部省におきまして、教育改革フォーラムと同時にタウンミーティングも開かせていただきたいということで、文部省の方から内閣府の方にお願いをしたものでございます。

笠井委員 文部省のだれがと聞いているんです。

田中(壮)政府参考人 タウンミーティングの開催に関しましては、文部科学省の生涯学習局、私どもの方で必要があるということを決定し、お願いをしたものでございます。

笠井委員 局のどなたがされましたか。

田中(壮)政府参考人 内閣府に連絡をした者の名前に関しては、控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 では、役職を言ってください。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省の総務課広報室の広報室長でございます。(笠井委員「生涯学習局じゃないの」と呼ぶ)いや、要するに、タウンミーティングを開きたいということは生涯学習局で決めまして、文部科学省の中で総務課広報室にお願いをしたものでございます。

笠井委員 まさに主導して開催をお願いしたんです、大臣。

 では、内閣府に伺いますが、その依頼を受けたのはどなたが受けられたんでしょうか。

山本政府参考人 内閣府タウンミーティング担当室の担当主査でございます。

笠井委員 その担当主査は、報道されているような文部科学省からの出向者でしょうか。

山本政府参考人 そうでございます。

笠井委員 それでは、内閣府に伺いますが、六月に依頼を受けて、「文部科学省に、公表資料の開催趣旨文の作成を依頼。」というふうに今回の報告書にありますけれども、文部科学省のどなたに作成を依頼しましたでしょうか。

山本政府参考人 総務課広報室に先ほどの担当主査が依頼をいたしました。

笠井委員 八月二十二日に、内閣府は、発言希望者の「発言趣旨を、参考として文部科学省に提供。」とありますけれども、文部科学省のどなたに提供したでしょうか。

山本政府参考人 窓口が総務課広報室でございますので、同じく総務課広報室の担当者に内閣府の担当主査が連絡をしたものでございます。

笠井委員 九日の調査結果によりますと、大分などの場合には、発言趣旨の一覧といいますか、事前の項目についての一覧が出されておりますけれども、八戸についてもあるわけですね、当然。

山本政府参考人 八戸市のタウンミーティングを行うに当たりまして、討論のきっかけをつくるような発言希望者を募っております。自由な意思で、自分の考えでそういった発言ができる人を選んでほしいということでお願いをいたして、四名の方が八戸市から報告がございました。

笠井委員 その一覧というのは出していただけますか。

山本政府参考人 この発言の希望者につきましては固有名詞と、それから発言趣旨が入っておりますので、これは理事会の方にもお出しを控えておりますが、四名の方からそういう希望のお話があったということは明確にお答えいたします。

笠井委員 委員長、それの提出を、その件については理事会で諮っていただきたいと思います、要求すると。

森山委員長 何の……(笠井委員「そのリストです、四名の」と呼ぶ)リストですか。

 理事会で協議いたします。

笠井委員 文部科学省に伺いますけれども、同日、発言趣旨を文部科学省に提供した後、文部科学省のどなたが、質問項目案を作成するというふうに内閣府に連絡しましたでしょうか。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省の総務課広報室の担当者が内閣府の方に御連絡を申し上げたところでございます。

笠井委員 それを受けて、八月二十四日に内閣府は、八戸市の教育委員会に発言者の追加を依頼したわけであります。そして、そういう中でメールがあるわけですね。「八戸市教育委員会教育政策課総務企画グループ 様」ということで、「内閣府大臣官房タウンミーティング担当室」と。「発言者について、もう少し増やしておきたいと文部科学省よりお願いがありまして、あと三名程度お願いしたいのですが。 なお、この三名については、発言内容を文部科学省から提示しますので、その内容について発言して頂きたいと考えております。」まさにこういう形でやらせ質問が具体的に進められていったわけであります。

 そして、八月三十日には、文部科学省から内閣府に質問項目案を送付している。改めて、だれから、だれがつくって、だれに送付したか、答えてください。

山本政府参考人 内閣府の先ほどの担当の主査から、八戸市教育委員会の先ほどの担当者に項目案を送付いたしております。

笠井委員 そうした中で、八月三十一日に、三名の発言候補者について内閣府に連絡があって、内閣府から市教育委員会、県教育長に連絡があった。さらにメールがあって、市教育委員会あてのメールでこうあります。これも「内閣府大臣官房タウンミーティング担当室」。「依頼発言者、ありがとうございます。文科省依頼分(三名)は必ず当たります。」と。そして、この間かなり有名になっておりますけれども、そのときの注意事項、「できるだけ趣旨を踏まえて、自分の言葉で(せりふの棒読みは避けてください)」「「お願いされて…」とか「依頼されて…」というのは言わないで下さい。(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)」と。こういう形で注意事項が連絡されて、やらせ質問が行われたわけであります。

 先ほどもありましたけれども、文部科学省がそもそも開催を依頼して、そのもとに内閣府と連絡をとり合いながら、担当者という役職もありました。そして、結果として、そういう流れの中で、受けた方も文部科学省からの出向者。そして、こういう形で具体的に質問依頼があって、そして質問項目が渡されて、それで発言された。

 大臣、これは文部科学省が、何か、お手伝いしたというんじゃなくて、まさに主役として、そして実行役が内閣府、こういう共同責任の構図じゃないでしょうか。これは冷静に考えたらそれ以外ないと思うんですが、どうでしょう。

伊吹国務大臣 冷静に考えて、私は、先生のようなお考えにはくみしません。

笠井委員 今ちょっと、なぜかわかりませんから、説明してください。なぜ違うんですか。

伊吹国務大臣 文部科学省が主導して、例えば今先生がおっしゃった、こういう態度で、こういう言葉でとか、そんなことを文部科学省がやっているわけじゃありませんよ。内閣府で注意事項として添付されておられることですから。

 ですから、午前中の民主党さんの御質問にも私がお答えしたように、こういうことは私は感心したことだと思いません、私自身、確かに、それは。しかし、文部科学省が主導してと、そして何かその、我々がすべてやったような御発言は、それはちょっと違うんじゃないかということを申し上げているわけです。

笠井委員 私が紹介した内閣府のメール、読み上げましたよ。大臣はお聞きになったと思うんですよ。発言者についてもう少しふやしておきたいというのは「文部科学省よりお願い」ですよ。もともと開催自体が文部科学省からお願いがあった中で、発言予定者の一覧があって、これでは足りないということで、文部科学省の方でさらに具体的に組織してくれという話があって、そして質問項目を送りますよといって送って、それをもとに内閣府がこれを組織して、そして文部科学省依頼分の三名は必ず当たりますよと言っているんですよ。(伊吹国務大臣「だれがですか」と呼ぶ)内閣府がそう言っているんです、文部科学省から依頼した三名の方々は当たりますよと。これで主導じゃなくて何なんですか、だって。ちょっとこれは理解しがたいですけれども。大臣、ここはお認めにならないと。大臣のときのことじゃないんですけれども、しかしこれはおかしい、文部科学省は重大な責任がある、結構なことじゃないというんじゃなくて、これは大変なことだ、文部科学省として。徹底的にこれを調べてといったって、高橋千鶴子議員が提起したのは十月三十一日ですからね、内閣府がこれを認めてからだって、十一月一日、石井郁子議員がやってからもう十日たっていますよ。

 いまだに、これはうまくないけれども、しかし、そんなに責任がない、文部科学省が主導したんじゃない、責任がないというふうにおっしゃるんですか。

伊吹国務大臣 朝からの質疑をずっと冷静に聞いていただいていれば、私が責任がないなどとは一度も言っておりません。

笠井委員 しかし、私は今、大臣の発言からは、本当に真摯に受けとめて、これは責任がある、文部省が主導して大変なことをしたという言葉は全然聞かれませんよ。

 では、伺いますけれども、こうしたやらせ質問について、大臣以下のどのレベルで指示が行われて、どのレベルで承認がとられていたのか、お答え願いたいと思いますが、どうでしょうか。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 省内で調査いたしましたところ、現在まで判明しておりますことは、担当者が質問項目案をつくり、広報室の広報官でもある広報室長でございますけれども、にまで上げて提出をしたというところまで確認しておるところでございます。

笠井委員 広報室長は了解していた、承認していたということですね。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 広報室長まで担当者は上げて、内閣府に御提出をしたということでございます。

笠井委員 こういうことをやろうということを指示した方はいるんですか。どなたですか。勝手にやったんですか。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 調査した段階で申し上げますと、内閣府の方から発言予定者の発言内容を文部科学省の方にも送付いただいたわけでございまして、その発言内容を見させていただきまして、担当者の方で、教育基本法に関する話題が少ないということで、ぜひこういうことも話題に上げていただきたいということで、質問項目案をつくり、それを上司に見せて提出をしたということでございます。

笠井委員 上司は、それはまずいというふうに言わなかったんですか。

田中(壮)政府参考人 当該上司におきましても、そのような議論が活性化することは、そういうことに役立てばということで、これを承認したところでございます。

笠井委員 室長も含めて、やらせ質問が必要だと、承認してやったと。これは本当に重大ですよ。担当者が勝手にやったんじゃなくて、やはりこの状況を見たら、こういうやらせ質問をやる必要があると、室長を含めて決めたことだということであります。

 では、当時の大臣は経過を承知していたでしょうか。

田中(壮)政府参考人 大臣には御報告をいたしておりません。

笠井委員 それはおかしいですね。タウンミーティングがやられる、発言者がいろいろあるけれども、なかなか教育基本法改正という問題については意見がないという中で、やらせ質問を組織した、そして質問項目案をつくったということですから、これは、質問項目案をつくると、それに対応して、そこに出席する大臣を初めとした出席者の壇上の方々は当然それに対して答弁をするということになります。想定問答をつくっていたはずです。そうでなかったら質問項目案をつくる意味がないですから。そういう点では、当然大臣こういうことで会場から質問が来たときにはこうお答えくださいということでやっていたんじゃないですか。

田中(壮)政府参考人 そのような事実は判明しておりませんし、大臣に対してそのような報告をしたということは申してはおりません。

笠井委員 これは、大臣がそういうところに出るときはちゃんとレクをやるでしょう。

 では、想定問答はなかったんですね。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 当然、タウンミーティングを開きますので、その際に必要な資料等に関しましては、事前に大臣にお話をしておるところでございます。

笠井委員 必要な資料というのは、想定問答があったんですか、ないんですか、そこをはっきり言ってください。

田中(壮)政府参考人 タウンミーティングに関しましては、大きな柱として、こういう問題、こういう問題、こういう問題をまずプレゼンしていただきますし、それに関して質問が出たら、今の状況としてはこういうふうになっておりますという現状は、大臣に御説明をしております。

笠井委員 質問も組織していたわけです。項目案をつくっていたわけです。ですから、それに対応する答弁の案があったわけですね。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 教育基本法に関して言えば、教育基本法改正の趣旨はこういうことであって、当然もう大臣、十分御承知なわけでございますけれども、こういう項目がありますという御説明の資料をつくって、それを大臣にお渡ししたということでございます。

笠井委員 御説明の資料というのは、要するに想定問答の答弁でしょう。

 これは、愛媛の今度の結果報告の中にあります。平成十六年五月十五日、ここで質問案の中に、二というところで、国立大学の法人化についてのメリット、デメリットという話があって、それにどう考えますかという質問があります。まさにそのとおり、実際の会議の要旨を見ますと、メリット、デメリットあるけれどもどうお考えかという質問があって、その直後に河村大臣が答えているんですよ。まさにそういうやりとりをしているわけです。ここにいらっしゃいますけれどもね、河村委員。まさにそういう形でやられた。本当に、そういう点では、当然そういうことで説明をやらなかったらおかしいはずですよ。だって、官僚の方として、大臣が来るのに、どういう質問が出るか、そうしたらこう答えてくださいと当然やられるわけですから。やっていたんでしょう。

田中(壮)政府参考人 お答えを申し上げます。

 大臣に対しましては、タウンミーティングの趣旨、それからそのときに御発言していただくような内容、それからその当時の主要事項につきましては当然御説明しておりますけれども、具体的な、その、担当官が振り込んだ、振り込んだと申しますか……(発言する者あり)失礼いたしました、担当官が内閣府にお渡しをしたものに関するような想定質問をつくってはおりません。

笠井委員 これは、歴代大臣経験の方々に参考人でやはり来ていただいて、当委員会で聞いていかなきゃいけない。このタウンミーティングの間で、河村元大臣、中山元大臣、そして小坂前大臣、これにかかわっていらっしゃるわけです。説明を受けているわけですから、どういう説明だったか、知っていたか知らなかったか、これはぜひ参考人として当委員会に呼んでいただいて、そしてちゃんと聞いていただきたい。委員長、これは理事会で協議をお願いしたいと思います。

森山委員長 理事会で協議いたします。

笠井委員 今、八戸の問題をやりましたけれども、それ以外にも四カ所です、明らかになっている。私は、徹底究明と徹底審議が必要だと思います。

 それぞれについて、どういう担当者がだれに対してどういうふうに言ったのか、その経過。そして、開催を依頼、連絡をとって、質問項目をだれがつくって、どういう仕掛けになっていたか。だれが承認したのか。当時の大臣は知っていたか。文部科学省はこの全容について、いつまでにこれを調べるんですか。

伊吹国務大臣 先生、この委員会にずっと座っていただいていれば、大臣でも想定問答は一度も使わずに答弁をしているんですよ、私は。ですから、想定問答をつくっている、つくっていないということよりも、今先生が種々おっしゃっているような、質問がありますからそれへの答えはこういうものですということをつくってないということを言っているわけですから、文部科学省でいついつまでにとかということよりも、これはやはり内閣府と文部科学省と双方の責任としてやっていることで、今、官房長官が統一的にその仕事をしておりますから、私は官房長官の判断にゆだねたいと思っております。

笠井委員 先ほど来言っていますように、文部科学省として主導してきた。開催依頼から始まっているわけですから、かかわっているわけです。形としては内閣府が主催しているけれども。そして、実際に文部科学省の役人の方が、先ほど来言ったような形で関与している。どういう関与をして何をやったか、大臣が知っていたのかどうかも含めて、これは、文部科学省として調べて、その責任の所在を明らかにして、しかるべき対処をするというのは当然じゃないですか、大臣。

 実際に想定答弁を使うかどうかは別問題です。しかし、行ったときにはこういうことになります、こういう質問があの辺の席から出ますよ、そうしたらこう答えてくださいと説明している、これがこの報告書の流れですよ。それについて、あったかないかも含めて、しっかりと調べて、責任についてはきちっと対処する、これぐらいは大臣、言わなかったら先に進めないという問題じゃないですか。

伊吹国務大臣 当時のこのタウンミーティングの席上であの辺から出るかこの辺から出るかということは、これは文部科学省に調べろと言っても無理なので、それはタウンミーティングを主催している内閣府に言っていただかないと困りますよ。

笠井委員 もう終わりますけれども、そういう形で、文部科学省の役人が席を決めてやっているんです。そして具体的に、こういうふうにそこへ座ってくださいと誘導されているんです。実際に青森の方も、本当につらい思いをした、言われて、言いたくないことも言わなきゃいけなかった、こういう思いなんですよ。

 文部科学省としての責任を感じないというんじゃ、教育のことをつかさどる省庁として、やらせ体質ということでは、本当に資格があるのかという根本問題が問われる。やはりこの責任のとり方としては、教育基本法改正案については撤回しかないということを申し上げて、質問を終わります。

森山委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 伊吹大臣、まず冒頭、きょうの新聞に、この委員会で初めてお尋ねした、いじめ自殺がゼロ、これについて見直す、こういう報道がございます。十六件について再調査をするということですが、私の方からは、この文部科学省のリストに必ずしもないかもしれない、新聞報道などで疑わしき事例というものも調べていただきたい、こういうことも含めて再調査を指示なさっているというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。

伊吹国務大臣 すべてのことを調査できているかどうかは、私もそれほど胸を張って答弁できる立場にはございません。

 二つのことをやっておるわけです。

 一つは、従来の調査では、子供がいじめられたと認識していても、学校サイドで丸をつけるところによっては、いじめじゃないとかそういうことが出てきがちですから、いじめによる自殺をどうするかというときのその調査票を変えるということが一つですね。

 それからもう一つは、調査の……(保坂(展)委員「項目をふやす」と呼ぶ)項目をふやそう、そういうことです。

保坂(展)委員 また、予告の手紙という大変心痛い事態になっています。私たちは、もちろん、こういうものに負けないで身の安全を守れというふうに子供たちに言いたい。同時に、追い詰めるな、こういう事態になってとんでもないことですから、周りの子たちが人を死に追い詰めるようなことを平気でやる、そういう子供たちが今自制する、ストップする、親もしっかりそこを見ていくということが大事だというふうに思います、同じ意見だと思いますが。

伊吹国務大臣 先生がおっしゃったとおりだと思います。

 ですから、そういう今の二つのことを喚起し、関係者にもわかってもらうために、あえて私の判断で一度目のものを公表しました。そしてマスコミも、先生ごらんいただいたように、大変協力をしていただいて、彼は決してひとりじゃないんだということを類似の人たちにもわかってもらえたと思うんです。

 しかし、その後、実はきょうも、マスコミに公表はいたしましたが、匿名の同じようなものが四つ、五つと参っております。名前が特定できたものについては、これはプライバシーの問題もありますので公表せずに、きちっと本人を特定して、先生が今おっしゃったような措置ができる態勢をとりました。

 しかし、次々と出てまいりますので、これがいろいろな可能性があると思うんです、あえていろいろな可能性と申し上げますが、そして、もしも本当の手紙であったときに、公表して対策を講じていなければ非難されます。しかし、逆のケースであったときは、これは今のようなことを次々と連鎖的に呼ぶんですね。

 ですから、お互いにこの辺は自制を持って、あえて、きょう先生の御質問をいただいたので、カメラの前で、命を守るために本当に困っている人は、ぜひ、最寄りの学校、あるいは、一番大切なのは、御両親、学校、御家族、地域社会、そして、だれも対応していただかなかったら私におっしゃっていただいたら結構ですが、その人たちを混乱させたり、あるいはその機会を奪うようなお手紙だけは慎んでいただきたいということです。

保坂(展)委員 深夜、会見されたということはとても適切な判断だったと思います。

 そして我々は、追い詰められて自分の命を絶つようなことは絶対ないように、これは声を上げていきたい。そして、みんながやっているから、このくらいで大丈夫だろうといってついやってしまっている子たちには、金輪際やめなさいということを一緒に言っていきたいというふうに思います。

 では、私も内閣府の問題にこれから移りますので……(発言する者あり)わかっていない。

 これは、内閣府の第一次の資料で、八戸のタウンミーティングの資料三という紙がございます。これは、「教育改革 タウンミーティング イン 八戸」「参加募集のための広報と参加者召集のお願いについて」という文書なんですが、これは内閣府の方にお聞きをいたしますが、依頼発言者、これは、他の質問者の発言のきっかけや発言方法等をリードできる効果がある、円滑に対話を進めることができるメリットがあるということなんですが、この資料は、きのう私たちがいただいた他の箇所の資料、ありますね。他の箇所でも、発言依頼等、必ず御当地にあてたものとしてあったと思うんですね。あったのであれば、速やかに提出していただきたい。

山本政府参考人 今、委員お尋ねの八戸の積極発言を募るペーパーにつきましては、教育改革タウンミーティングの他の七回につきまして確認いたしましたところ、七回ではこれはやっておりません。

保坂(展)委員 八戸だけが詳しくこういうふうに頼んだということはにわかに信じられないんですが、より調査をしていただきたいと思いますけれども、具体的なことを幾つか聞きたいと思います。

 二百人というところで四百人近くの方が八戸には来られたというふうに聞いておりますが、一体何人から応募があったのか、応募によって会場に入れた人は一体何人だったのか、これを答えてください。

山本政府参考人 一般参加者につきましては、計百八十六人の方から申し込みがございます。全員入れております。それから、一般参加者以外の参加者、これにつきましては二百七十九名入っております。

 以上でございます。

保坂(展)委員 官房長、またこれはうそをついちゃいかぬと思うんですよ。

 私、八戸に友人がいまして、たまたま、タウンミーティングだ、教育基本法にも関心がある、何人かで応募した、だけれども当たらなかったと言っていますよ。当たらなかった、抽せんに漏れたと言っていますよ。

 外れた人がいるんじゃないですか。これは重大ですよ。申し込んだ人は全員、百八十六人ですか、これは全員が入ったのか、それともお断りになった人がいたのか。私の友人は当たらなかったと言っていますよ。

山本政府参考人 あらかじめ応募をしていただくわけでございます。八戸市の場合におきましては、応募者全員に参加証を送付しておりまして、抽せんは実施しておりません。

 ただ、あらかじめ応募をしていただくわけですから、当日その会場に来ていただく場合には、そういう方がおられれば、入場できないということはあったかもしれません。

保坂(展)委員 官房長官、これは全然違うんです、事実が、私が聞いているところで。

 つまり、はがきで申し込んだ方が、例えば五人申し込んだら、今の説明だと、全部どうぞということで会場に行ったという話ですね。そうじゃないんですよ。五人申し込んだら、四人はだめで一人だけオーケーだった、こういうふうに聞いているんですが、ここをちゃんともう一回、再調査をかけてください。

塩崎国務大臣 調べてみます。

保坂(展)委員 それでは、次に内閣府の官房長に伺いますが、とても教育関係者が多かったというんですね。例えば、校長の方、あるいは教頭、管理職の方、事務職員の方、そして八戸市の教育委員会の関係者の方等々、教育界の方が大勢いらっしゃったというふうに聞いています。ですから、私は主婦ですと名乗って話された方、主婦ですというところでどっと笑いが沸いたと。なぜなら、あれ、前の年まで校長先生だった、その前は指導主事だったということをみんな知っている関係者が多いんですね。

 一体何人ぐらい関係者が入っていたんですか、ここに。

山本政府参考人 お答えします。

 今お尋ねの、いわゆる地元の青森県それから八戸市に参加者の取りまとめを一般応募のほかにお願いしておりまして、それが計二百七十九名でございます。そうしまして、青森県、八戸市、ですから、教育委員会関係者、それから周辺市町村、ここの三戸、八戸地域の周辺市町村の教育委員、それから県立学校、周辺市町村の小中学校、こういう方が多くおられます。そのほか、市のPTAのところで百十人、それから、国立大学、高等専門学校、こういったようなところの方々、合わせて二百七十九人でございます。

保坂(展)委員 これだけ、二百人予定のところに二百七十九人関係者を集めちゃったら、一般の国民は入れないじゃないですか。だから、断っているんです、どんどん。その事実をはっきり認めなければ、これは事実に基づいた調査になりませんよ。

 断られた人がこれから出てきたらどうします。私、断られましたよという人が出てきますよ。はっきりそこはもう一回調べてください。

山本政府参考人 会場の広さにもよるんですけれども、今までの経験でいきますと、応募者は、大体、地方都市、こういうところで二百人程度ということで、ここは全員入れたんですけれども、今先生御指摘のところ、私も再確認をいたしましょう。

保坂(展)委員 今度、谷口室長の方に伺います、お願いをしているので。

 これは、結局、教育基本法に、改正賛成だという方の意見が、八戸の会場でも、その後、きのう出たものも多いわけですね。多いというか、それ以外にないですね。どうしてなんですか、これは。

 文例をつくるのなら、この八戸のものには、賛成、反対には別にこだわらないというようなことが書いてあるんですね。だから、積極的に、活発的にやってほしい。では、反対の文例もつくったらよかったじゃないですか。何で賛成だけだったんですか。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 当初、自由に発言をしていただくという方の中から、どういう発言があるかということで整理をしてみました。当初の四名の方、この方については、教育基本法関係のそういうテーマでの御発言ではなかったものですから、これは賛否ということではございません。

 それから、その後、教育基本法関係の意見が私どもの方から集められなかったということを踏まえまして、文部科学省の方から例示として送付をされたもの、これが三人、これは内容的には賛成の意見でございましたが……(保坂(展)委員「何で反対の声が、文例がなかったんですか。賛成だったんですか」と呼ぶ)これは、教育基本法に関する意見も当日発表してもらいたいというような意図のもとに文部科学省において例示としてお出しをされたものがそういうものであったということでございます。

 結果といたしましては、当日は、教育基本法改正賛成が三名、反対が二名というようなバランスでございました。

保坂(展)委員 官房長官、今回、調査をちゃんとしっかりやれという号令をかけていただいているのは、そこは評価しています。これはもう隠ぺいするというような策はとるべきじゃないという判断も正しいと思います。

 ところで、今言ったように、国民の間には、実際にこの教育基本法を改正すべしという人に、イエスかノーかでいえばそれは半々、それで、イエスかノーかのイエスの人にも、もうちょっと長い時間をかけてとか、いろいろあるんです、意見は。に対して、役所の方が、役所がこうやって教育基本法改正の意義はこれだけ大事ですという文例を示して、その人が例えばPTAの会長さんだったりする。いわば学校から言われたら断れない。自分の意見とは違うかもしれないけれども、それを、その趣旨をかみ砕いて読み上げるということは、これはやっちゃいけないことじゃないですか。これは国民の意見を、官から民へというのはこういうことじゃないでしょう。官の言葉を民が読むという、こんなあべこべなことになっていませんか。

塩崎国務大臣 もう何度も申し上げているように、今回、本来のタウンミーティングの趣旨に反するような、もとるような、そして国民から信頼感を失わしめるような行き過ぎがあったということは、もう率直に認めているところでございます。

 改めて、この資料の中に「事前に発言内容を決めた「さくら」ではないため、その発言を強制はせず、」云々、こう書いてあるわけでありまして、このとおりやっておけばよかったわけでありますけれども、そのとおりやっていなかったという重大事実を我々は発見したわけでありますから、これについては、先生おっしゃるように、これは自由な発言をしてもらうというのが趣旨であります。

 もう我々はこういうことは一切やらないということを決めていますが、新しいやり方を再構築するに当たって、どういうことが本当に起きていたんだろうかということを一切合財、今度、百六十六回も含めて、今までの八回とあわせて調べてみて、そして、その教訓から、新しいやり方をつくり上げよう、その中で、今度の安倍内閣として新しいタウンミーティングをやっていこうじゃないかと。タウンミーティングをやめようという話は多分ないと思うんですね。ただ、一辺倒で、全部反対の人ばかり出てくるようなこともあるかもわからない。しかし、これは、タウンミーティングというのは、そもそも賛否を問うような話じゃなくて、全部反対でも全部賛成でも、それはたまたまの話であります。

 それともう一つは、教育基本法のことだけをやっているタウンミーティングではいつもないわけであって、このときも、三人賛成、二人反対、そして十人発言していますから、あと五人の方々はほかのことをたくさん教育についておっしゃっているんですね。

 だから、そういうことで、これからの内容というのを新しく考えていきたい、こう思っています。

保坂(展)委員 きのういただいたほかの箇所のものを見ると、これは事前御意見というのがあるんですね。これは資料の四の2というところにとじられているんです、事前御意見というのが。和歌山の件ですね。

 この事前御意見というものが、それぞれの年齢ごとに二、三十人並んでいて、その次に、多分これは役所でつくったものと思われる、事前御意見の整理したもの、項目別にあるんです。これは官房長、答えてください。ここに、丸、三角、書いてあるんですね。これは、この意見はいいや、この意見を引っ張ろうや、こういう印なんですか。これはどういう意味ですか、丸、三角は。

山本政府参考人 お答えします。

 これは、残っていた資料をそのままコピーをしたものでございます。今先生がおっしゃいました資料の四の2は、地元の方からこういう意見が送られてきた、それをジャンルごとに内閣府の方で並べかえたのが四の3、それに丸、三角、無印というのが入っておりますが、これはちょっと趣旨がなかなかはっきりしません。私もよくこれを読んでみましたけれども、よくわからない。

保坂(展)委員 国民の声を事前に審査して評価をして、そして、この人はまとまりそうだからといって代表で出てもらうというのは、まさに官製のやらせ、タウンミーティングもどきで、これは本物ではありません。

 こういう中に、私は、文部科学省が現在進めようとしている、これは教育基本法改正に関する意見聴取ですからね、事はこの法案にかかわって重大なんです。

 きょうは資料をお配りしておりますけれども、大臣の手元にも届いているでしょうか。先日、共産党の石井議員が、九月二十日の日付で文部科学省の中にチームができている、こういうことですね。

 この表組みの方をちょっと見ていただきたいわけなんですね。表組みの方には、教育基本法案の二条以降、逐条で、それぞれの法案提出時期、あるいは仕事のいわば全体が俯瞰できる一覧表のような形になっております。裏をめくっていただくと、伊吹大臣ともこの委員会でやりとりをした十三条の「学校、家庭及び地域住民等の連携協力」というところには、「学校・家庭・地域の連携協力の努力義務規定などの検討」、学校教育法、社会教育法の改正作業、一応これが記されています。

 これは、大臣、ごらんになっていますか。どういう意味なんでしょうか。

伊吹国務大臣 この前、共産党の石井先生からお示しになった資料も含め、私はこれは拝見はいたしておりません。ただ、私が事務局に指示をしたことは、教育基本法だけではあらゆることは動かないので、それにぶら下がってくる各法律それから政令、告示、こういうものはどういう形で全体として動いていくのか、それを私に一度教えろということは言いました。

 しかし、石井先生がお出しになった分、今、保坂先生がお示しになった分を私が見る前に先生方がごらんになるというのは、まことに困ったことだと思いますね。しっかりとした文部科学省の局長であれば、大臣の了承を得ずにこういうものを各先生にお持ちするということはないと思いますから、どこから御入手になったかを教えていただきたいと思います。

保坂(展)委員 それは文部科学省のトップに立つ大臣なんですから。

 これは石井先生が理事会で出された後、議論になりました。実は私の方にもありますよ、スタイルが違います、表組みになっています、イメージ図もありますといって、文科省の方は理事会室で聞いているんですよ。ちゃんとした官僚なら、大臣のところに、もう少し違うものがあるみたいですよ、こう言ってくるのが当然であって、私はこの中で、ちょっと残り時間がないので、それは大臣にしっかり確かめていただくとして、前国会で、この問題については、これは十条の家庭教育、ずっとこの間、二条の目標が、家庭教育、社会教育、生涯学習、そういうところに全部かかってくるんですかということを私は尋ねているんですね。小坂大臣は、結論から申し上げれば、これに基づいて新しい法律を規定する、そういうつもりはないわけですというふうにかつて答えているんですね。

 伊吹大臣も、前回、私とのやりとりで、社会教育法という法律はあったんですが、学校教育法という法律があるんです、行政の場において法律その他でこれを実施していくのは学校教育ということを小坂さんはおっしゃったんじゃないですかと言った。私の疑問は、家庭教育や生涯学習や社会教育にこの教育基本法がかかって、それぞれの領域での法改正作業が行われる、あるいは、それぞれに教育の目標、例えば二条の五号、我が国と郷土を愛する態度というものが、社会教育法を改正する、あるいは、その社会教育法の中で地域、家庭を位置づけていく、こういう作業になるんですかということを含めて確認したいんですね。そういうことは、ないのならないとはっきり言ってください。

伊吹国務大臣 まず、先生、この資料の方について一つ申し上げておきたいんですが、私は、先ほど先生に申し上げたようなことを私にきちっと報告しろと言っております。そのときに出てまいりました資料はこの資料ではございません。これは、拝見するに、成立が十一月の……(保坂(展)委員「末」と呼ぶ)末になっておりますから、多分、現在の国会の状況を踏まえてつくられた資料よりもう少し前の資料じゃないかという気がします。(保坂(展)委員「九月二十日です」と呼ぶ)

 それから、今の御質問についていえば、家庭の教育というものは、やはりこれは社会主義者の家庭で教育をする場合もあるし、無神論者の家庭で教育をする場合もありますから、心の問題に踏み込んだ法改正というのは当然私はやっちゃいけないし、あり得ないことだと。ただ、どういう支援を積極的に、心に立ち入らずに、家庭教育の部分でどういう支援をすることができるかとか、そういうことは当然これから法案が通れば出てくると思いますが、心の中に立ち入るような改正は少なくとも家庭教育においては私はないと思いますが。

保坂(展)委員 今回、タウンミーティングで、河村大臣であるとか、あるいは小坂前大臣、いろいろおっしゃっていることを読みました、全部。そうしたら、やはり家庭教育が入ったということをすごく大きく文部科学大臣としては国民の皆さんに語っているんですね。だから、大きなポイントでしょう、この家庭教育というところは。そこは公権力の介入などないんだというふうに官房長官も前回おっしゃいましたけれども、私はぜひ確認してほしいんですね、大臣。この社会教育法の改正というのはどういうイメージで担当部局は考えているのか、あるいはイメージしているのか。これは、成立をしてから考えますということが国会答弁でしたら、我々は全権委任を役所にしちゃうことになる。立法府の審査機能を果たせないんですね。

 したがって、家庭教育にも、このメモには社会教育法の改正というのが書かれています。どういう改正なんだろうか。二条五号に照らして、社会教育の職員あるいはボランティアの人たち、登録団体、そういうことも何か審査するようなことがあってはならないと思うんですね。この辺についてしっかり調べて報告してほしいと思います。

伊吹国務大臣 それは先生、報告するまでもないと思います。私が大臣でいる限りは、今申し上げた、心に立ち入るというような法改正を提出するつもりもありませんし、何よりも、白紙委任とか全権委任をなさるんじゃないんですよ。法律を改正すれば立法府へ出てくるんですよ。そこで先生が今のことをおっしゃるんですよ。

保坂(展)委員 大臣、そういうふうにおっしゃいますけれども、これは準憲法の基本法なんで、これは普通の法律と違うからこれだけしっかりやろうとお互い与野党やっているわけで、我々はまだまだ必要だと言っているわけですね。

 ですから、基本法というのは理念法で、幾つもにも読める。読めるから、事務方でこういう検討をしているんであれば、どういう検討をしているのかこの審議段階でしっかり教えてくださいよ、そうじゃないと審議になりませんよということでございます。それで答弁をお願いして、終わります。

伊吹国務大臣 先ほど来再三申し上げているように、家庭教育の支援あるいはその方途、予算のこと、その他について、法改正が必要であれば、当然、もしこの基本法案を立法府が御承認いただければ検討することはあると思いますが、心の自由に踏み込むというような改正はあり得ないと私は思いますし、そして、それができれば必ず立法府へ御提出するわけですから、その際に立法府として、間違っていることがあれば御指摘をいただければいいと思います。

保坂(展)委員 私は、国民の信頼を失墜させたタウンミーティングをやり直してからこの法案の決着はつけるべきだということを申し上げて、終わります。

森山委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、中学校における未履修問題について大臣にお伺いをしたいというふうに存じます。

 まず冒頭、大臣、今こういう新聞等々で、今資料を配ってもおりますけれども、愛媛県ですとか香川県ですとか、そういう中学校で、これは未履修というんでしょうか、必修逃れという言葉が正しいんでしょうか、そういうことが行われているという報道があるわけですが、それに対してどのような御感想か、お聞かせいただけますでしょうか。大臣に冒頭はちょっとこの感想をお聞きしたい、こういう新聞記事が出ていることに対してどのようにお感じか。

伊吹国務大臣 おっしゃっているのは中学校ですね。義務教育は、先生が今言葉を選んでおっしゃったように、基本的に履修漏れという形にはならないと思います。教えるべきことを決めていて、そしてその中での運用を許されておりますので。しかし、最低限やるべきことはやってもらわなければいけないので、指導要領では、例えば毛筆の時間幾ら、硬筆の時間幾らというような規定をしているわけです。ところが、毛筆をやらずに硬筆で代用したとか、そういうケースがありますから。

 やはり、感想として言えば、今いろいろ民主党の野田先生からも、的確ではあるんだけれども、たくさんたくさんの御指示、御注文をいただいておりますので、これで現場も大変な、今ハードワークになっているわけです。ですから、順次このことも、やはり一度問題意識を持って調べる必要があると思います。

糸川委員 私、実は十一月の一日に、これは十一月一日付なんですが、質問主意書を出させていただきました。「国公私立小中学校における未履修に関する質問主意書」というものを出させていただきました。これの回答がけさ届いたんですけれども、これは閣議決定されておるわけですから、当然、答弁書には内閣総理大臣安倍晋三名で返ってきておるわけですけれども、大臣、これ、中身は御確認されておりますでしょうか。

伊吹国務大臣 当然、私の所管にかかわることでございますから、私も確認しておりますし、先生もいずれ大臣におなりになったらおわかりだと思いますが、立法府に提出する書類というものはすべて行政権を持っている内閣の各国務大臣がサインをして提出しているわけです。

糸川委員 これは、大臣、中を見られてどのようにお感じでしたか。

伊吹国務大臣 選挙のときも一緒ですが、有権者に対して耳ざわりのいいことを言って、結果的にそれができないことが一番信用を失うことですから、先ほど来申し上げておりますように、これは野田先生から大切な大切な御注文なんですよ。

 しかし、教育委員会というのは各県に一つしかありません。そして、その教育委員会が、今、まず高校の未履修の問題の調査を終わり、そして未履修の問題の後、この未履修をどう処理するかという通知を出し、今度はその通知の運用の基準を示し、それでもって各高校の卒業までの段取りを一生懸命やっておるわけです。その次にやらなければならないことは、高校についてさかのぼって調査をしろということを御指示いただいているわけです。それから、中学校について調査をする、小学校について調査をする。

 ですから、先生の御指摘が意味がないということは申し上げていないわけです。事実関係を率直に述べ、そして、わかりました、やりますと言って随分時間がかかっておしかりを受けるよりは、現状の正直なところをお伝えする答えになっているということです。

糸川委員 私、実はこれが返ってきたときに愕然としたわけです。この内容につきまして、皆様にはこれをあえて配付しておりません。配付するに値しないのではないかということでお渡ししませんでしたが、お読みしますと、「文部科学省は、小学校及び中学校の設置者ではなく、これを管理する立場にない。このため、文部科学省としては、小学校及び中学校における授業の実態を現段階では詳細に把握しておらず、お答えすることは困難である。」「文部科学省としては、国会における議論等を踏まえ、高等学校における必履修教科・科目の履修状況を詳細に調査した上で、中学校における教育課程の編成及び実施の状況についても調査する方向で検討してまいりたい。なお、現段階では小学校における教育課程の編成及び実施の状況を調査することは考えていない。」、こういう回答なわけです。

 でも、今我々が議論しているものというのは、教育の基本となるものを議論しているわけで、その関連の中で高等学校の未履修問題が出てきました。そういう問題が露呈してきたから、では、中学校はいかがなんですかと中学校もお聞きしました。そうしましたら、こういう新聞で出るようなことがぽろぽろぽろぽろと出てくる。

 きのう、尾木参考人ですか、参考人質疑がありました。その中で、本当の被害者というのは子供ですと。授業を受けている子供が、自分は本当は授業を受けていないんじゃないか、未履修だったんじゃないかとか、何かそういうものを感じたときに心に傷を負うということを発言されていると思うんです。

 だから、これは早くに対処してくださいということで、私は質問主意書という形で質問をさせていただきました。それは、情報だけを下さいということではなくて、実態をきちっと調査して、閣議決定をして返してほしいということで、あえてやらせていただいたわけでございます。

 ではお聞きしますけれども、そもそも文部科学省は、この中学校の教育課程についてどのようにお定めになられているのか、それから、なぜそういうような基準を定めていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

銭谷政府参考人 中学校の教育課程についてでございますけれども、国は、学校教育法の三十八条の規定に基づきまして、中学校の教育課程の基準として学校教育法の施行規則及び学習指導要領を制定いたしております。この中では、中学校で教えるべき教科等について定めるとともに、それぞれの教科等について標準の授業時数を定めております。

 これは、学校教育法に中学校の目的、目標を定めているわけでございますけれども、その規定に従いまして、人間形成という観点から、確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成を図るために定められているものでございまして、各教科等は各学校において実施をしていただく必要がございます。

 その際、学校教育法施行規則におきまして、それぞれの教科等については標準授業時数というものを規定しているわけでございます。各学校におきましては、この標準授業時数を踏まえて教育課程を編成するということになるわけでございます。どの学校も年度初めにその年の教育課程の計画というものをつくるわけでございますけれども、通常はこの標準授業時数を下回る計画というのは考えにくいというふうに思っております。

糸川委員 今局長が、人格の形成をする上で、人間の形成をする上で必要だというものを標準の授業、学習要領という形で出されたわけですよ。我々が今議論している教育基本法も、これは人間の育成を期するものだということでやっているわけですよ。

 そこに対して、調査がおくれていて、そしてこの議論の中でこれを使用することができない、先ほどの答弁では、調査しないということではなかった。ということは、これは当然調査を早くするべきだというふうに思いますけれども、大臣、御所見はいかがですか。すぐにやろうとかという気になりませんか。

伊吹国務大臣 早くやれればやりたいわけですよ。先生のおっしゃっていることの大切さを、私は何ら否定していないんですよ。

 しかし、人間が生きていく上だって、これをやりたい、あれをやりたいということはたくさんあるんですよ。しかし、その中で、例えば自分の持っているお金の中でしか生きていけないのと同じように、現場は今あるマンパワーで、野田先生からの御注文というよりも、民主党としてだけじゃなくて、これは国会としての大切な御注文を受けているわけです。そして、この高校の人たちは少なくとも三月上旬までに解決をしてやらないといけないわけですよ。そこにマンパワーを今注ぎ込んでいるわけです。

 だから、終わり次第、先生の御指摘のことを、私たちは逃げたり、嫌だと言ったり、おかしいとは一言も言っていないんですよ。現実の制約の中で、順を追ってやらせてくださいということを申し上げているわけです。

糸川委員 では、大臣、お聞きいたしますけれども、今、先ほど新聞報道に出ているようなことに関しても実際調査をされていらっしゃらないんでしょうか。

銭谷政府参考人 中学校における教育課程編成上の課題のある事例が報道等されておりまして、私どもも、教育委員会とか知事部局からそれらに関連して報告は、電話等でございますけれども、いただいております。

 必修教科等の未開設あるいは時数が著しく少ないもの、こういうものについては電話等で報告をいただいております。それから、毛筆の時間が、毛筆の時間というのは例えば中学校の場合は国語全体の時間の中の十分の一とかそういう決め方をされているわけでございますけれども、その時間よりも少なかったとか、あるいは、毛筆は、失礼しました、書写は硬筆と毛筆から成るわけでございますけれども、硬筆しかしていないとか、そういう点については御報告をいただいておりまして、それぞれ県の教育委員会や知事部局には標準の時数の確保等に努めていただきたいということは申し上げているところでございます。

糸川委員 いや、今大臣、わからない、調査していないということをおっしゃられたと思うんです、ここの中で。閣議決定で返ってきたものでは、実態を現段階では把握していない、お答えすることはできないと。でも、ある面では、愛媛県、香川県における事例についてと、皆様方におつけしていますけれども。

伊吹国務大臣 先生が御希望になっている調査というのは、例えば、今回、高等学校の全国で五千四百余校を一斉調査いたしましたね、国立、私立、公立。それと同じことを中学校でやれということをおっしゃっているわけでしょう。中学校は一万一千校あるんですよ、全国で。ですから……(発言する者あり)中学校が一万一千校、小学校が二万三千校。

 ですから、この前の例えば広島県のような事例として、個別のことは、例えば愛媛県の今の例は、それは新聞報道されれば、どうだということは聞いておりますよ。それはしかし、先生の御希望のことじゃないんでしょう。先生の御希望は、一万九百九十二校について悉皆調査をして履修漏れがあるかどうかをやれとおっしゃっているわけですから、それは時間的にまだ着手いたしておりませんということです。

糸川委員 だけれども、では、報告が来ているのは今現在何件あるんですか。

銭谷政府参考人 今現在、報道等されまして、私どものところに連絡、報告が来ているのは、まず、必修教科等の未開設及び時数が著しく少ないものとしては、都道府県で三県、そして学校で四校でございます。これは徳島県と香川県と愛媛県にある中学校についてでございます。それからもう一つは、大阪で書写における毛筆の指導の時間が確保されていないということで報告はいただいております。(糸川委員「学校数で」と呼ぶ)学校数は、必修教科の未開設及び時数が著しく少ないものは四校、三県で四校でございます。それから毛筆の指導の時間の確保の問題につきましては、これは実は今改善中でございまして、大阪府の市で、市内の中学校について、昨年毛筆を指導していなかったということでございまして、ことしは全学年で毛筆について時数を確保するということで努力しております、そういう報告でございます。

伊吹国務大臣 先生が政府に対して質問主意書をお出しになったことに沿って我々はお答えしているんですよ。

 質問主意書をもう一度読み上げます。「国公私立小中学校における未履修に関する質問主意書」とありまして、そして、ここで、公立私立五百四十校、調査済み五千四百六校のうち約一〇%に及んでおり云々というのが最初に、重大な問題と考えるの冒頭にあるんですよ。したがって、次の事項について質問する、一、現在、高等学校段階で問題になっている未履修の状況にかんがみ、全国の国公立、私立を含め小学校における同様の状況を明らかにされたいと質問しておられるわけです。(糸川委員「小中学校です」と呼ぶ)小中学校ね。

 ということは、先ほど申し上げた約一万、そして小学校においては二万、これをすべて悉皆調査して回答しろということを政府に質問主意書としておっしゃいましたから、それは先ほど来申し上げているように、今の仕事の手順からいって、こういう順番でさせてくださいということを行政府としてお答えしたわけです。

糸川委員 それはもうよくわかっているんです。

 だけれども、実際に、今この教育基本法の特別委員会というのは進行しているわけですよ。大臣がおっしゃられているのは、これはすべてが終わったら調査しようじゃないかと。この姿勢は評価しますよ、いつからやるのか後でまた聞きますけれども。でも、これは議論が進んでいる中ですから、例えば今四校があるんだったら四校とか、五校とか、お示しくださったらいいじゃないですか。それが誠意ある対応じゃないんですか。今、ここの中で……(発言する者あり)待ってください。この中でやはり議論を深めていこうという姿勢をとっているわけです。

 義務教育段階におけるこういう履修逃れというのでしょうか、こういうことが行われているということであれば、教育委員会と何か問題があるんじゃないのか、教育行政の中で何か問題があるからこういうことが起きているんじゃないんですか。どうも公立でもそういうことが行われている、必修逃れのような形が行われているということであればなおのこと。

 今大臣がおっしゃられていることも正論です。それは、私が主意書に出したのは、全部の学校を調査してからお答えくださいと言った。それはそうですよ。だけれども、もし愛媛県や香川県でこういう事例があって、もう既に調査をしてこういう対応をしているというんだったら、それをお示しいただいたって何ら問題ではないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 それは先生のおっしゃるとおりですよ。ですけれども、先生の御質問のスタートが、これをけさ受け取った、唖然とした、これでどうだとおっしゃるからこういうあれになってきたので、現時点でわかっていることを、先生がまさに、これはこれで順序として大変だということはわかった、しかし現時点で把握していることをここで公にしたらどうだと優しくおっしゃっていただけば、にこにこして答弁をすると思います。

糸川委員 そうじゃなくて、私は物すごく優しいと思うんですよ、大臣。私は物すごく優しいと思う。

 というのは、私が主意書を出したということは皆さんも知っていらっしゃるはずで、そうしたら、糸川さん、こういう事例が今あって、新聞等でやっているものに関しては今こういう対処をしています、だけれども、全部調査をするにはまだ時間がかかるからそれは御了解いただきたいというところだっていいわけじゃないんですか。

 では、大臣、これは実際いつから調査していただけますか。それはやはり時期を言っていただかないと納得できないですよ。

伊吹国務大臣 今申し上げたこちらの事情も先生にわかっていただいたという前提で、高等学校の調査を、まず、現在起こっている事態の解決ですね、最終的な解決をまず急がせて、そして、高等学校について過去にさかのぼって調査をしろということをまずやる。そして、中学校についても、この高等学校の調査が多分、現場にかなり苦労を強いることになると思いますが、並行的なことが起こってくると思うんです。高等学校の調査はまだ完全に答えは出ていないけれども、やり始めた、高等学校の方の調査が終わったところの委員会はすぐにこれに着手してくれと。

 ですから、私の考えとしましては、中学校について、十一月の下旬までには、これを目途として調査に着手して、そして、できるだけ早く結果をまとめて、理事会の方の御決定にゆだねられる状態をつくりたいと思います。

糸川委員 そうすると、もう一つ、大臣、ちょっと確認をさせてもらいたいんですけれども、今、高校の未履修問題、過去にさかのぼっても調査するということを先ほど大臣はおっしゃられました。

 これは今週中に始められるということを理事会でおっしゃられたということなんですけれども、これは間違いないかどうかだけ御答弁いただけますか。

伊吹国務大臣 やっとこの未履修問題の解決案を国民新党さんも含めて御了解いただいて、そして各都道府県の委員会と都道府県知事に送りまして、今度はその運用方針をつくって、そしてこれを送ったところなんです。だから、官房長はそのことを言ったと思いますが、それで、高等学校の調査は着手いたします、今週中に。それで……(発言する者あり)待ってください、官房長がそう言ったとおっしゃっているわけですね。それは、官房長が言ったことは私の責任でございますから、それは私が責任を持ちます。着手をするということですよ。

 それから……(発言する者あり)ちょっと、こちらへお答えせにゃいかぬのですが。それと多分並行的になると思いますが、先生の強い御要請について、十一月の下旬をめどに中学校の調査に、これも着手をしたいと思います。

糸川委員 本当はもっと早くやってもらいたいんですよね。これははっきり言って、今、新聞報道なんかによれば、出口の話をもうしているわけで、教育基本法の採決をということを言っている。

 ただ、文部科学省が、例えば中学校に対しても、今後、責任をしっかりと果たしていくということが必要になる。そのためには、例えば、学習要領に反していても、大臣がその学校に対して問題があるという指摘はできないわけですね、今、現在のシステムでは。これの改正を視野に入れるぐらいのことをやる必要はないんですか。やはり僕は国が責任を持つべきだというふうに思います。

伊吹国務大臣 それは先生がおっしゃるとおりだと思います。

 今、民主党席から拍手が出ましたが、民主党では、教育の権限は都道府県知事にあるんですよ、民主党案では。最終は国ですが、国がどういうふうに担保するかということは何で書かれるかといえば、基本法には書かれていないんですよ。基本法の次の法律、教育委員会をどうするかという法律。ですから、先生の今のおっしゃっているお気持ちと、私は、責任者としては非常に近い気持ちでおります。

 ですから、それは、教育基本法の問題である部分もありますが、多くは、その後に出てくる、例えば教育委員会の法律の書き方、改正の仕方の問題になってくるんですよ。

 だから、先生の今の御指摘は、国民新党はどうも我々と同じお考えを持っていると受けとめさせていただきたいと思います。

糸川委員 いや、それは、我々は、国民新党は国民新党の考えを持っているわけで、別に政府案がどうということではないんです。

 ただ、今こういう問題が起きてきたから、教育行政を、安倍総理も教育の再生だとおっしゃっている。だったら、今の時期にすぐに採決をするということでなく、この結果が出るまで、調査が終わるまで待ってもいいんじゃないでしょうかね。タウンミーティングの問題もある。そういう中でやはり議論が深まっていかなければ、とてもじゃないけれども、本当に責任を持った教育基本法の改正が行えるのかどうかということは疑問があるというふうなことを申しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

森山委員長 次回は、来る十四日火曜日午前八時三十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会


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