衆議院

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第3号 平成18年11月16日(木曜日)

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平成十八年十一月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席小委員

   小委員長 近藤 基彦君

      愛知 和男君    加藤 勝信君

      葉梨 康弘君    福田 康夫君

      船田  元君    保岡 興治君

      枝野 幸男君    鈴木 克昌君

      園田 康博君    赤松 正雄君

      笠井  亮君    辻元 清美君

    …………………………………

   日本国憲法に関する調査特別委員長         中山 太郎君

   議員           加藤 勝信君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           船田  元君

   議員           保岡 興治君

   議員           枝野 幸男君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           園田 康博君

   議員           赤松 正雄君

   参考人

   (慶應義塾大学法学部教授)

   (弁護士)        小林  節君

   参考人

   (上智大学大学院法学研究科教授)         高見 勝利君

   参考人

   (大東文化大学法科大学院助教授)         井口 秀作君

   衆議院法制局第二部長   橘  幸信君

   衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局長  内田 正文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外五名提出、第百六十四回国会衆法第三〇号)

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、第百六十四回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

近藤小委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び第百六十四回国会、枝野幸男君外三名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題とし、特に憲法審査会その他国会法改正部分に係る事項について審査を行います。

 本日は、両案審査のため、参考人として慶應義塾大学法学部教授・弁護士小林節君、上智大学大学院法学研究科教授高見勝利君及び大東文化大学法科大学院助教授井口秀作君に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。

 議事の順序について申し上げます。

 まず、小林参考人、高見参考人、井口参考人の順に、それぞれ二十分以内で御意見をお述べいただき、その後に懇談を行いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 御発言は着席のままでお願いいたします。

 それでは、まず小林参考人、お願いいたします。

小林参考人 小林節でございます。

 レジュメを事前にお出ししてございますので、それに従ってお話し申し上げますが、アクセントは三に置きたいと思っております。その他事項も、書いていないことも、時間が許せば発言させていただきたいと思っております。

 この二つの法案は読ませていただきました。それで、一のところはちょっと教科書的に確認なんですが、やはりもう憲法改正論議、これからの段階は審査だけではなくて起草、そして起草されたものを提出する権限に及ぶのが自然な流れであると思いました。ただ、後で述べますように、お考えがあってこれは常任委員会としての憲法委員会ではなくて憲法審査会としておられるのはなるほどと思うのですが、つまり、事柄の性質上、かなりまだ調査のたぐいのお仕事が残っていると感じます。

 二でございますが、審議手続にさまざまな特則を予定しておられることもごもっともであると思います。とりわけ、この対象は、国民主権国家日本において、主権者国民に十分に知らしめて進まないとならない重要な課題であるという点だと思います。

 したがって、会議公開の原則、これはある意味では憲法五十七条の原則でありますし、それから公聴会の開催を義務づける、これは繰り返しますが重要案件では当然のことであります。同じ理由で、審査省略、中間報告制度の不適用も当然であると考えます。それから、閉会中審査のための手続が不要であるというのは、これは当然のことで、釈迦に説法のたぐいでございますが、この憲法改正というマターは、与野党が会期あるいは会期末をにらんでテクニカルに争うべき話題ではない。本質的な重要案件であるからであると理解いたします。それから、合同審査会による勧告が可能であるというのも、このマターにつきましては現行制度で両院対等であるということと、それぞれ別々の人と、選挙によって選ばれてきますので、特に参議院が半数改選制度を前提としておりますので、当然に両院の認識のずれが生じ得る問題でありますから、その調整は必要になり得るということで、この合同審査会及びそこに勧告権を与えるというのも極めて合理的なシステムであると考えます。

 三に移らせていただきますが、一番関心がございますのは、この憲法審査会の基本的な性格あるいは国家構造の中におけます位置づけでございます。

 問題として、常任委員会と同じなのか、特別な常設機関なのか。私は、やはり、名は体をあらわすと申しますが、特別な常設機関と認識すべきであると考えております。それは、次の行に理由があるのですが、調査にまだ重点を置かざるを得ない現実があると思います。

 具体的な話で申しますと、今、集団的自衛権をどうするかということが大変重要な政治的課題になっておりますが、政治の法としての憲法にその議論の根拠があるわけでありますが、例えばいわゆる一般の人々に集団的自衛権を、もちろんこれは憲法問題なんだけれどもと問いかけてみますと、実は、ほとんど何が何だかわかっていない。

 もちろん、日本海が不穏になって、日米両艦が並んでお仕事をしているときに、片方にだけ弾が飛んできたら日本は離脱するのかというようなケースで言うと、そういう問題がありますねと思うんですが、それが憲法問題であることが全く理解されていない。これは本当にそら恐ろしい話で、政治の法たる憲法、日本国憲法のもとで六十年間暮らしてきていて、そんなこともわかっていない。そういう意味では、本当に問題の整理と、それを国民にきちんと知らしめるためにこの公開の憲法審査会はお仕事をしなければならない状況にある。

 もちろん、これは、前回、ここでも自民党の先生方のお顔を見ながら言わせていただきましたけれども、権利と義務の関係とか、憲法って何とか、それから愛国心については触れたかどうか覚えていませんが、触れそうでありますが、そういう憲法の基本問題が、全く前提が整理されていないし、理解されていない。それは高見先生みたいな伝統的護憲憲法主流派の方たちにも申し上げたいんですけれども、みんなこれまで何をしていたんだろうということであります。そういう意味で、国民投票法という手続法の周知期間として二年間置かれておりますが、それとは別に、公開で調査をし、主権者国民を教育することが不可欠な前提があって、そういう意味でこの憲法審査会があるのではないかということであります。また、あっていただきたいということでございます。

 それはまた、別な言い方をすれば、そういう調査啓蒙活動をお続けいただくことによって国会内合意をまずつくらなければ話にもなりませんが、それ以上に、先ほどの会議公開とか公聴会という点でも触れさせていただきましたが、何よりも主権者国民の合意を形成する必要がありまして、そういう意味で、その中心責任機関が審査会であろうと思います。

 そういう意味では、御議論の中に出ておりましたけれども、私は、国民予備投票的なものも、審査会が、手続法は別として、それはお決めいただければいいことでありまして、一考に値するのではないか。

 よく言われておりますように、憲法改正は、一度試みて失敗したら、もう何十年は立ち上がれない。これは不幸なことだと私は思うんです。つまり、私たちは縁があってこの時代にこの国で国民生活という共同生活をしていて、国家といういわば権力機関でありサービス機関があって、その合理的な調整のもとに皆で幸福を追求しているわけですが、そういう意味では、国家運営の基本マニュアルである憲法が、時代に合わせて微調整というかモデルチェンジがなされていないことは道具として使い勝手が悪過ぎます。そうなると、規範についての根本からこの際無視しようというようなことにもなりかねない。そういう意味では、きちんとした憲法体制を整備するのは、やはり一に国会、二に主権者国民の責任だと思うんですね。

 そういう意味で、失敗のなき、よりよき憲法の制定を願うならば、論点整理のような意味において、国会でまとまってから出してみて国民にたたかれてしまったんでは全く意味がないですから、論点整理の一助として、呼び方が正しいか、国民予備投票、これはいわば有権的な公式の世論調査、世論調査なるものは幾らでもありますけれども、あれはある意味では社会学的にも不安な点がございますし、もちろん法的には全く正当性はないわけでありますけれども、そういう意味で、それを有権的に、国会、とりわけ憲法審査会がイニシアチブをとっておやりになるなどということは、結果の質と安全性という意味で意味があるのではないかと資料を拝見していて思いました。

 レジュメは以上なんですが、あと、資料をけさ読み直しまして、落としていた論点、二つ触れさせていただきます。

 一つは、広報協議会の件であります。

 これは、ネーミングでありますが、憲法改正案広報協議会よりは国民投票広報協議会の方が、要するに印象として間口が広い。つまり、一連の国民投票手続の中で憲法改正が題材として出てくるわけで、そういう意味では、恐らくただのワーディングの問題です、言葉選びの問題にすぎないのかもしれませんけれども、言葉に意味を感じているならば、国民投票広報協議会の方が私はよろしいと思います。概念が広いという意味であります。

 それから、これは先ほども触れましたけれども、憲法改正というのは衆参対等マターでありますから、両議院の議員数にかかわりなくその協議会に選出される議員数が同数であるのも当然で、これはまた逆に動かしがたい条件であると思います。

 最後に一点。例の民主党の案にだけある国民投票の対象事項に、憲法改正のみならず国政重要問題を加えるという案には納得できないということを申し上げておきたいと思います。

 それは、逆に議員の先生方に申し上げるならば、議会制度の自己否定に等しいと思います。やはり、現憲法のもとでやるわけですから、この憲法は間接民主制、代議制を前提としていて、例外的に憲法明文で認めたもの以外国民の直接投票関与は認めていないはずのものを、それ以外にさらに国会が選んで国民投票にかけるというのは、現行憲法体制にはそぐわない、なじまないと私は思います。むしろそういうものを憲法改正でお入れになるという発想は一考に値しますが、私は個人的には賛成しませんが、そういうお考えもあると思いますけれども、現行憲法のもとで法律レベルでそれを入れるというのは、急に何か憲法優等生の民主党がここだけ狂ったというような印象を持たざるを得ません。

 早いですけれども、以上でございます。

近藤小委員長 次に、高見参考人、お願いいたします。

高見参考人 本日は、このような陳述の機会を賜り、まことにありがとうございます。早速、本題に入らせていただきます。

 憲法改正手続に関して、国会法改正にかかわる部分、とりわけ憲法改正原案及び日本国憲法の改正手続に係る法律案等の審査を行うための機関として設置が検討されている憲法審査会について、その権限、手続等について思いつくままに感想めいたことをお話ししてみることにいたします。

 憲法審査会の規定につきましては、与党案も民主党案も、ともに国会法第十一章の二において設置されている憲法調査会を発展的に改組した後継機関として、従来の調査権能に加えて、国会法上は第五章の委員会に付与されている法案等の審査権能も兼ねたものを考えておられる点で、その権能に違いがないようでありますので、ここでは両案を一括して取り扱うことにいたします。

 この両案の規定を一読して受けた第一印象は、調査対象の飛躍的な拡大が目指されているのではないかということであります。

 憲法調査会は、これまで、もちろん日本国憲法の諸規定に関連する各種の法令等についても広く調査の対象にしておりますが、しかし、主として成文憲法典を対象とした調査を行ってきたものと思われます。ところが、憲法審査会では、日本国憲法に加えて、日本国憲法に密接に関連する基本法制についても広範かつ総合的に調査を行うものとされております。

 ここで基本法制とされているものとして、教科書的には次のような実質的な意味の憲法に当たる諸法律が直ちに思い浮かぶのであります。すなわち、皇室典範、国事行為の臨時代行に関する法律、皇室経済法、元号法、国旗・国歌法、国籍法、請願法、人身保護法、個人情報保護法、男女共同参画法、宗教法人法、情報公開法、行政機関個人情報保護法、生活保護法、教育基本法、国会法、議院証言法、公職選挙法、政党助成法、政治資金規正法、内閣法、内閣府設置法、国家行政組織法、国家公務員法、国賠法、行政手続法、自衛隊法、武力攻撃事態法、国民保護法、周辺事態法、裁判所法、検察庁法、恩赦法、財政法、会計法、会計検査院法、地方自治法などの諸法律であります。この調査対象の量的な拡大は、格段の調査権能の強化を要請することになるでありましょう。

 これら憲法関連法律ないし憲法附属法律について、従来常任委員会マターとされてきた法律に関しては憲法審査会の調査との調整の必要が生じてこようかと思われます。もちろん、その点について十分考慮した上で調査対象の拡大が図られたものと思われますが、その際、法案に基本法制という文言を用いたことで、今例示的に列挙した諸法律から、さらに基本的なものとそうでないものとを区別するといったことが考えられているのでありましょうか。また、調査と審査とでは、その作用が本質的に異なるので重複はあり得ないというふうにでもお考えなのでありましょうか。法案の審査に際しては、いわゆる立法事実に当たるファクトファインディングの調査を伴うものと考えますので、既存の委員会との間で競合が生じ得る可能性があるものと思われますが、この問題の調整は、議院、ハウスの内部事項でありますので、国会法マターではなく、議院規則マターとして処理すればよいというふうにお考えになっているのでありましょうか。

 第二に、憲法改正原案の審査に関して、閉会中の審査手続が不要とされ、会期中、閉会中を問わず、付託された原案を審査することができるものとされている点についてであります。

 これは、会期不継続の原則を定め、閉会中審査を行う場合には議院の議決による付託の手続を要するとした国会法六十八条の特例を定めたものと思われます。各会期は独立して活動し、会期中に議決されなかった案件は後会に継続しないとする国会法第六十八条の会期不継続の原則については、議院、ハウスの人的構成に基本的に変化がない総選挙から次の総選挙までを一つの立法期ないし選挙期と考え、その間の一つ一つの会期を独立して考えない制度に改めるべきだとする主張が学説上も有力であります。

 今回の特例措置は、この従来の会期制度の見直しをも視野に入れたものなのでありましょうか。そうではなくて、憲法改正原案に特化した特例にすぎないということでありましょうか。後者だといたしますと、では、なぜ通常の案件と違って憲法改正原案についてのみかかる特例とする必要があるのか、その根拠が示されなければならないでありましょう。

 第三に、与党及び民主党案によれば、「各議院の憲法審査会は、憲法改正原案に関し、他の議院の憲法審査会と協議して合同審査会を開くことができるものとする」とし、その上で、合同審査会は各議院の憲法審査会に勧告することができるとして、合同審査会に各議院の憲法審査会に対して勧告を行う権能を付与している点が問題になると思うのであります。

 憲法原案に関して両議院の意見が異なる場合、両院協議会を開くことができるかどうかについては、日本国憲法第九十六条は何も明記しておりませんが、一般的には、つまり通説的にということでありますけれども、妥協によって発議を成立させるために両院協議会を開いても差し支えないものと解され、むしろ開くのが望ましいと考えられております。与党案、民主党案は、ともにこの通説的な見解に基づいて国会法の両議院関係規定を追加修正し、後議の議院、ハウスが憲法改正原案について送付案を否決もしくは修正した場合、先議の議院がこれに不同意のときには両院協議会の開催を求めることができ、また、先議の議院が後議の議院の回付案に同意しなかったとき、後議の議院も両院協議会を求めることができるとしております。憲法改正原案に関して両院の意思が一致しない場合において、通常想定される妥当な解決方法であると思われます。

 ところが、これと関連して、与党案、民主党案の両案には、各議院の憲法審査会の合同審査会についての根拠規定を置いた上で、この合同審査会に独自の勧告権を付与しております。この合同審査会は、先議または後議の憲法審査会が、憲法改正原案の審査に際し、他の議院の憲法審査会と協議して開かれることが予定されているのでありますが、その場合の素朴な疑問は、一院の審査途中で一体何が合同審査の対象になるのかということであります。すなわち、審査中の憲法改正原案について、他院の審査会と合同して勧告に至るような何を審査し、決めようとするのかという点が疑問であります。

 与党案及び民主党案の各要綱では、ともに「合同審査会は、憲法改正原案に関し、各議院の憲法審査会に勧告することができるものとすること。」とあることからして、合同審査会では憲法改正原案を対象に何らかの協議をし、協議が調った部分について、ということは、衆参の憲法審査会の間で意見が一致しない問題に関して合同審査会で調整を試み、調整が整った箇所について各議院の憲法審査会に勧告を行うことが想定されているのでありましょう。

 もし、合同審査会がこのような原案に関する両院の意見調整の場だとすると、それは、本来、それぞれの議院、ハウスの意思が明らかになった後に、いずれかの議院、ハウスの求めに応じて開催される両院協議会で扱うべき事項ではないのか。従来の実績から見て、両院協議会で成案が調い、両院で可決成立する見込みが極めて乏しいことを見越した、事前の協議機関としてこの合同審査会の設置というものが考えられているとするならば、そもそも、一定の時間差を設け、異なる視点から二度の審査、審議を尽くすという憲法の両院制の趣旨からして、大いに問題のあり得る制度ではないのかと思われるので、あらかじめ十分に議論を尽くしておく必要があるものと考えます。

 両議院の国家基本政策委員会が合同審査会の方式で実施している党首討論はともかくとして、なぜ合同審査会が国会発足当初の第六回国会までに都合十二回しか開かれていないのかを、この際、十分検証してみることが必要なのではないでしょうか。

 さらに、この合同審査会に独自の勧告権が付与されている点も、十分に議論を深めておく必要があると思われます。

 各議院の常任委員会が他の議院の常任委員会と協議して開く合同審査会の場合、常任委員会合同審査会規程第二十条によれば、合同審査会を終わったときは、各議院の常任委員長または理事から審査の経過及び結果を委員会に口頭もしくは文書で報告しなければならないものとし、委員会への報告を義務づけておりますが、そこでは勧告をすることができるといった権限まで付与されていないのであります。

 両議院に対して勧告権が付与されていた機関として直ちに思い浮かぶのは、申すまでもなく、一九五五年の国会法改正により姿を消した両院法規委員会であります。この委員会は、しかしながら、各議院の委員会の協議により開かれる合同委員会ではなく、国会法により両議院の常設機関として設置された独立の勧告機関であります。

 新たに設置されようとしている各議院の憲法審査会の合同審査会は、アドホックに組織される点で、かつての両院法規委員会とは異なるものであります。しかし、それは、独自の勧告権を有する点で、両院法規委員会に類似するものでもあります。議院に対して独自の勧告を行うことができるこの強力な合同審査会を、憲法の両院制から導かれる独立活動の原則のもとで、また、現行の国会法制の中でどう位置づけ、整理するのかということも、この際、よく議論しておくべきことでありましょう。

 第四に、調査という活動の内容に関して、同じ調査という言葉を用いても、憲法典と法律とではその性質ないし作用に大きな違いがあると思われますが、その点をどう考えるかという問題であります。

 もちろん、憲法典に関する調査の場合でも、当該憲法典の運用実態を調査するために関連する法令まで広く調査が及ぶことは言うまでもありませんが、憲法審査会の調査項目とされる憲法典に密接に関連する基本法制の調査に際しては、憲法典である日本国憲法と調査対象の法律ないし広く法令との整合性ないし適合性の有無も、広範かつ総合的な調査活動の重要な一部を構成するものと思われるのであります。

 すなわち、そこでは、成文憲法を支えるいわゆる憲法事実である諸法令の実態を明らかにするという意味での調査にとどまらず、憲法規定とその下位法規でありその具体化法であるさきに列挙した諸法律との関係、つまり、当該諸法律の憲法適合性の有無を精査し、調査報告書を作成するといったことまで、当然その調査活動の枠内に入ってくるのではないかということであります。また、さきに列挙したような基本法制にかかわる法律でない場合であっても、当該法律規定の中に憲法上疑義のある条項があるときには、その性質上、広範かつ総合的な調査の枠内に入ってくるということも考えられるのであります。この意味で、新設される機関の名称を憲法審査会、審査会としたのは、まさに基本法制等の憲法適合性を常時広範に審査する機関の性格を適切に言いあらわしたものではないかと思うのであります。

 法律の憲法適合性の審査権につきましては、もちろん、日本国憲法は第八十一条で最高裁を頂点とする裁判所にその権能をゆだねているのでありますが、この裁判所の審査権は、あくまで施行後の法律に対する事後審査であって、法律の制定やその改正に当たって事前にその憲法適合性を審査するという性質のものではありません。事前の審査につきましては、内閣が提出する法案について内閣法制局の審査があり、議員提出法案についても衆参各院の法制局で審査が行われておりますが、議院、ハウスの内部において、その構成員である議員、メンバーがみずからの責任で事前に当該法案等の憲法適合性審査を行うことは、法制官僚による審査に屋上屋を重ねるということにはならないものと考えます。そして、それはまた、憲法保障の観点からも、裁判所の事後チェックに頼るのではなく、国会という政治機関みずからが憲法に対してよりセンシティブな機関に脱皮するためにも、大変望ましいことだと考えております。

 ただ、憲法審査会が専ら基本法制等の憲法適合性を審査するためだけの機関であるとするならば、衆参各院に二つも同じものがある必要はなく、両院もしくは国会憲法審査会といった名称の機関を一つ設置すればよいといった議論もあるかと思います。与党案及び民主党案の立案者のお考えは、憲法審査会の主たる任務は、もとより憲法改正原案と憲法改正手続法案の審査にあり、憲法関連法律の憲法審査にあるわけではないということでありましょうから、この点は、そもそもこの法案に対する私の一方的な思い込みに基づく議論であるかもしれませんので、これ以上、この点については深入りしないことにいたします。

 最後に、与党の憲法改正案広報協議会及び民主党の国民投票広報協議会の構成について、一言述べておくことにいたします。

 この点は、既に国民投票法案をテーマにした審議の中で相当議論されておりますので、一言だけお話しすることにとどめておきますが、この協議会については、与党案、民主党案とも、国会に、各議院、ハウスにおいてその議員、メンバーの中から選任された同数の委員で構成すること、すなわち、国会それ自体が国民に対する広報の主体となるものとしているのであります。しかしながら、立法措置としてこの選択が妥当であるのかどうか、私にはどこか釈然としないところがいまだもって残っております。

 憲法改正に関して、日本国憲法上、国会は憲法改正案の発議機関であり、国会の役割は国民に対する発議で尽くされるのであります。しかも、既に、国会の構成員である議員は、憲法改正案の発議においてその原案に対する賛成または反対等の意思を表明することでみずからの立場を鮮明にしておられるのであります。その旗幟鮮明な議員が、同時に、その提示した憲法改正案についてこれから賛否いずれかの意思を形成しようとする国民に対する広報活動の責任主体となり、改正案の賛否に公平中立が要請される広報という作用に携わるには、余りにも色がつき過ぎていてふさわしくないのではないでしょうか。むしろ、国会議員は身を引いて、国会から独立した第三者機関を立ち上げる努力がなされてしかるべきではないのでしょうか。

 もとより、この広報活動は、発議された憲法改正案の普及活動ではないはずであります。普及活動であるならば、かつて、日本国憲法が制定、公布されたとき、憲法普及会なる団体が組織され、そこに憲法改正案の審議に携わった帝国議会の議員が積極的に参加したように、当事者である議員がその内容の説明に当たることも十分に理由があるように思われます。しかしながら、その場合であっても、帝国議会ないしその議員が普及の主体となったわけではなく、半民半官であったとはいえ、憲法普及会という独立した団体が組織され、有志の議員がその一員となって普及活動に従事したのであります。

 しかし、ここで問題となっているのは、憲法第九十六条の改正手続に基づく国民投票に際しての広報のあり方であります。そこでの国民投票とは、国会が発議した憲法改正案について、主権者たる国民が最終的にその成否を決める法的作用であります。その国民に対して投票の際の判断材料を公平に提供するのが、ここでの広報であります。したがって、国民に伝える広報の内容をどうするかという以前の問題として、その広報の責任主体について、そもそもその主体は公正中立な構成員から成るものでなければならないということになるのではないでしょうか。

 国会がこれにかかわるとしても、この広報協議会に、所定の書式に従って、関係議員が国民投票公報に記載する賛成または反対意見の原稿を提出することくらいではないでしょうか。また、広報協議会の仕事の内容からして、委員の員数もせいぜい数名で足り、多くとも十名を超えない範囲で済むということにならないでしょうか。

 この問題は、本委員会でも議論が尽くされていて、既に決着済みの問題かもしれませんが、あえて最後に一言申し述べておく次第であります。

 以上であります。

近藤小委員長 次に、井口参考人、お願いいたします。

井口参考人 大東文化大学の井口と申します。

 私が呼ばれた趣旨は、立派な先生の後で、国会法改正について何でもいいからしゃべろ、そういう趣旨だというふうに理解をして、少し違う話をしようと思います。

 ただ、私だけレジュメが二枚ですので、これは全部しゃべれないなと思いますので、ひょっとしたら小林先生が私に五分ほどプレゼントしてくれたのかもしれませんが、それでもしゃべり切れないと思いますので、省略しながらしゃべろうと思います。

 少し制度設計の基本的な考え方のところに触れようと思っています。そのことが制度の適切な運用に資するというふうにも考えているからです。

 レジュメの一番目の、憲法改正の発議の位置づけというところです。これは当たり前の話なんですが、確認しておきたいというふうに思います。

 憲法改正の発議というのは、国民に提案される憲法改正案を国会が決定すること、一般的にこういうふうに定義されるわけです。イメージとして、下のように図をつくってみました。これは先ほど小林先生が憲法問題というふうに語ったような場面ですね。これは、ある問題に対して、憲法を改正する、明文の憲法を改正することによって解決することが必要であるという認識に基づいて、ある改正案が国会でつくられる。この場合、Aという問題に対して、A1という憲法改正案がつくられる。これの承認の手続が国民投票ということになるわけです。

 当たり前ですが、それは、一つは、発議がなされなければ国民投票がなされないという意味でもあるし、逆に、発議に対応した国民投票であるという意味もあって、そのことを確認しておきたいというふうに思います。

 二番目の、国民投票の意味というところですが、今申し上げましたように、発議された憲法改正案に対して国民の過半数の承認があるかどうかということが問われているわけです。上の図で言えば、A1という憲法改正案についての過半数の承認が国民の中にあるのかどうかということが問われているということです。

 若干、この特別委員会で次のような趣旨の発言があったように聞いております。大多数の国民が改憲を望んでいないという改憲反対派の主張を実証するためには、国民投票で否決するのが筋であるという、この種の発言があったように伺っております。これは恐らく手続法制化に反対するなという文脈で言われたのだというふうに思いますが、若干これは気になっております。

 というのは、憲法改正案が否決された場合であっても、それは大多数の国民が改憲を望んでいないということを実証したことにはならないわけです。例えば、上の図で言えば、A1という改正案が否決されたというだけであって、国民の大多数は、実はA2とかA3とか別の改正案を望んでいたかもしれないわけです。あるいは、別の問題、Bの問題についてのB1、B2という改正案、あるいはCという問題のC1、C2という改正案を望んでいたかもしれないわけです。

 ですから、あくまでも、日本国憲法の九十六条の憲法改正国民投票制というのは、発議された憲法改正案に対する国民の過半数の承認があったかどうかを確認する手続であるというふうに理解すべきであると思っています。

 残念ながら、国民の過半数が、圧倒的多数が憲法改正を望んでいないということを実証するための国民投票というのは、憲法は予定していない。というのは、憲法改正しないことを発議する権限は、憲法九十六条によって国会には与えられていないからです。そう考えるべきだというふうに思っているわけです。あくまでも、図で言ったら、A1という国会が発議したものに対する賛否が問われているにすぎないわけです。

 そうでなくても、憲法改正に反対だったら国民投票で反対すればよい、こういう主張があるわけです。これも、よく吟味してみると、誤解を招くようなことではないかなというふうに思います。

 実際に発議されて国民投票ということになれば、反対する人は言われなくても反対をするわけです。問題は、発議の場面でそのことを言われた場合どうなるかということです。

 非常に生々しい例で申しわけありませんけれども、あくまでも仮定の話だというふうに理解をしてください。

 自由民主党が、昨年まとめたような新憲法草案を憲法改正案として国会に提出したとします。この場合、民主党がそれに反対すると国民投票は行われないわけですね。もし民主党がこれに反対であれば、発議に反対ということになるわけですから、発議が不成立で国民投票が行われないということになるわけです。その場合、憲法改正案に反対だけれども、それは、国民投票を行わないということによってその意思を選択したということになるわけです。その場合、反対だったら国民投票で反対せよというのは、それは筋がおかしいというふうに僕は思っています。

 もし、これは国民投票で決めるべきだというふうに言って、民主党も賛成して、国民投票をやると、これはなれ合い国民投票というべきものですから、これは憲法が予定していないものであるというふうに僕は思っています。

 そういう点で、国民投票の意味というのは、あくまでも発議された憲法改正案に対する過半数の承認の有無が問われているということにすぎないわけです。とすると、発議に対応した国民投票ということですから、発議に意味がないと、国民投票の意味がないものというふうになるように思います。

 レジュメの三番目ですが、不適切な発議は意味のない国民投票をもたらすというところです。

 これは、よく、条文と現実が乖離しているから憲法改正をしよう、こういう主張があるわけです。ここでは余り生々しい例を出すとよくないので、私学助成の場合を例にして、たまたまきょう三人とも私立大学の教師でありますので、いい例かなというふうに思ってしゃべろうと思います。

 よく、私学助成が憲法に違反している、だから憲法を変えろ、こういう議論があるわけですね。では、私学助成を合憲化するような、はっきりと合憲化とわかるような憲法改正案を国民投票にかける、これで国民が賛成をすればどうなるかというと、別に何も変わらない。私学助成は今までもあったわけですから、何も変わらない。では、国民投票でこれが否決されたらどうなるか。私学助成がなくなるのかというと、多分なくならないと思いますね、今でもあるんだから。なくすのであれば、私学振興助成法ですか、これをなくせばいい。つまり、法律を改正すればいいということになるわけです。

 だから、現実と憲法の乖離が憲法改正の正当化事由とよく指摘されますが、国民投票というのは、発議というのは、ある意味では、国民は何を選択するんだという、実は何にも選択できないということになるのではないのかというふうに思うわけです。

 よく、条文と現実が乖離しているから解釈改憲によって憲法改正をする、これをこのままほうっておくとどんどんどんどん憲法がなし崩しになる、こういう議論があるわけですね。今言ったように、そのような改正案が仮に承認されたとしても、現実は変わらない。否決されたからといって、国民の否決の意思を、もっともっと解釈改憲をやっていいという意味にとるのは全くおかしなことになるわけですから、実はこれは何にも変わらないではないのかというふうに思うわけです。

 だから、そういう不適切な発議が意味のない国民投票をもたらすという点、あるいはそういう発議をすることの責任ということを理解しておく必要があるのではないのかというふうに思っております。そういう意味では、国民投票にとって発議は重要な意味を持っているというふうに思っています。

 もう一つ、レジュメの四番目、発議過程の情報提供機能というところです。

 先ほど言いましたように、あくまでも国民投票は、Aという問題に対して国会がA1という発議された解決策を提案して、国民がそれを承認するかどうかということが問われるわけです。その際、国民にとってAという問題に対してA1しかないのかどうかということ、これを知っているかどうかは国民投票にとって重要な機能、意味を持つというふうに思います。つまり、A2やA3の可能性があるのかどうかということ、これが重要な意味を持ってくると思います。つまり、他の選択肢の可能性ということですね。この点で、発議の過程でどれくらい少数派の意見が酌み入れられるのかということ、これが重要なことではないのかというふうに思っています。

 両法案とも、これは国会法改正案というふうに言った方が正確なのかもしれませんが、いずれも通常の法律の場合よりも議員の憲法改正原案の提出について要件を加重しております。言ってみれば、その分だけ少数派にとっては別の対案を出しづらいというふうになっているのではないのかというふうに思います。修正動議についても同じような取り扱いがなされています。

 これは学説でも、確かに、憲法改正の発議については可決の要件が加重されているんだから、提出の段階で要件を加重することも合理的であるという考え方の方が多分強いように思います。しかしながら、私自身は、今言ったような少数派にむしろ提出の可能性あるいは修正の動議の可能性を認めることによって、同じAという問題に対してA1以外の選択肢、A2、A3というものがあるんだということを知って国民投票が行われるかどうかは非常に重要なことであるというふうに思いますので、この国会法改正案については少し疑問が残るところです。

 もう一つ、民主党案の中の諮問的国民投票の方についても発議要件が加重されていますが、これは少し私は意味がよくわからないところでございます。

 続いて五番目ですが、恐らく、憲法審査会の部分を除くとすると、制度設計の中で重要な意味を持つものは、国会法改正案六十八条の三の「内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」という、この部分であろうというふうに思っています。

 法案では、憲法改正原案の提出の場面で内容において関連する事項ごとに区分をして行うというふうになっていますが、いわゆる個別投票、個別発議の原則というのは、国会が国民に対して問題を投げかけるときに個別でなければいけないということですので、法案は原案の提出の部分でそれを要求していますが、これは出すところでも要求されるということだというふうに思っています。つまり、憲法九十六条一項の意味での発議の場面での要請であるというふうに思っています。

 ただし、内容において関連する事項ごとに区分するという、この区分というのを今まで割と肯定的に私も評価していたときもあったんですが、よく考えてみると、区分というと、大きなものがあって区分するということになると思うんですね。何を区分するのかというと、大きな改正案があって、これをこう区分するということだと思うんですね。そう考えると、どうも私が考えているのとやはり違うんじゃないかというふうに思うんですね。

 私の考えは、先ほど図にかいたように、Aという問題があったら、それに対してA1という改正案が出てくる、それが幾つかの条文にわたるときがあるということですから、これは区分することはあり得ない。むしろ問題なのは、Aという問題に対するA1という改正案なのに、そこに別の問題を入れるなということだと思うんですね。つまり、内容において関連しないことをくっつけるなということになるというふうに思います。つまり、僕の言葉で言ったら、個別発議、個別投票の個別の単位というのは、その問題ごとだということになるわけです。

 これも例で申し上げると、これはちょっと生々しいかもしれませんが、例えば、現行の自衛隊を憲法上何らかの形で位置づけるべきであるという問題がある。それに対して、いろいろな、A1、A2、A3というような立場があり得ますね。例えば、自衛のための必要最小限度の実力として自衛隊を置くというような規定を置く。あるいは、自衛のための戦力として位置づけるという改正案がある。いろいろな改正案の可能性がある中で、憲法改正の発議を国会は行うわけです、一つの案として。もう一つ、そこで位置づけられた自衛隊がどういう活動をするのかということについて、例えば海外での活動について、文字どおり集団的自衛権を認める、あるいは国連指揮下のもとでだけ認める、あるいはそうではない形のものを認めるといういろいろな改正案がある中で、一つの改正案ができる、そして提示されるということですから、これはそれぞれ別の問題に対する改正案というふうに僕の考え方では理解すべきものだというふうに思っています。そこを、両方とも安全保障にかかわる問題であるから、これは内容において関連するものであるというふうにくっつけるということは、できない、するべきではないというふうに思っています。

 ただ、私が今言ったようなことは、多分、条文化するのは非常に困難だというふうに思っています。自分で考えてみても、具体的にどういうふうに条文にすればいいのかということがやはり難しいんだというふうに思っています。なので、今私の言ったような立場と同じであるという可能性の限りにおいて、内容において関連する事項ごとに区分するという点は支持したいというふうに思っています。

 今の点にかかわって、全面改正と部分改正という話があります。

 全面改正も、内容において関連する事項ごとに区分して個別に国民投票にかけるということはできるではないかという見解があるわけですが、この点は、多分、僕と高見先生は少し意見が違うのかもしれませんが、文字どおりの、例えば制定過程そのものを問題にしている、押しつけ憲法だからこれはよくないというような議論というのは問題が一個なわけですね。それに対して一つの別の憲法をつくるということですから、僕自身はそういう全面改正は憲法上できないというふうに理解していますが、その場合というのは、やはり分割できない、区分できない、だから一つのパッケージでしかかけられないということになると思うんですね。

 というのは、制定過程が問題だと言っておきながら、象徴天皇制は押しつけられてもいいけれども九条は嫌だというのは、実は制定過程は問題にしていないわけです。区分できないはずなんですね。その点では、全面改正というのは一括でしかかけられないということになると思います。

 それでも、全面改正であっても、それぞれ問題がいっぱいあって、全部くっつけて、全部問題なんだというふうにしてやれば分割できるじゃないか、こういう議論はあるんだと思いますが、これも、ふと考えてみると、あくまでも仮定の話ですが、明治憲法から日本国憲法への転換、これは一応帝国憲法の改正手続に沿ってなされているわけですね。この場合、厳密に制定と言わずに、こだわらずに、一応改正と言っておこうと思います。もし仮に、日本国憲法が明治憲法の全面改正だと。この場合、もし国民投票にかけたときに、個別にかけていったときに、第一章の天皇は明治憲法のまま残っちゃって、あとは全部日本国憲法というのはあり得ないということだと思うんですね。そういう点で、全面改正でも個別にできるというのは、私は若干違うのではないかというふうに思っております。

 次に六番目の国民投票における国会の位置づけということですが、これは、今高見先生が言われたとおりであるというふうに思っております。あくまでも発議機関としての国会ということです、そこに徹するべきであるというふうに思っています。どうもイメージとして、国民投票で、護憲派と改憲派という二元論的な対立があって、そこで闘うみたいなイメージを持っているかもしれませんが、まずは国会と国民が向かい合うということになっているはずですね。

 国民投票の場面で、無料の意見広告について、賛成、反対派について両方均等にという議論がなされているようですが、私は、そもそもなぜ政党を優遇するのかよくわからない。これはどういう憲法改正案か前提としないという議論をしているわけですから、仮に、全会一致で憲法改正案が発議される可能性はあるわけですね。そうすると、全政党が賛成ということになるはずです。その場合でも、国民投票で国民に賛成か反対かを問うということになるわけですね。今のような場面では、賛成派だけに無料の広告枠が与えられるということで、やはり変わりがないということになるのではないかという点で、政党の優遇制度そのものに少し疑問を持っております。

 ただ、ではどうすればいいのかという具体案、よい代替案を出せと言われると、少々、これについても、ないというのが現状でございます。

 七番目の憲法審査会。これについては、今小林先生、高見先生二人の方からお話あったところだと思いますので、省略したいと思います。

 八番目の立法化をめぐってというところも省略をして、最後の九番目の終わりにというところに行きたいというふうに思っています。

 こういう発言はふさわしくないのかもしれませんが、私自身は、法制化することについて、今憲法改正手続を制定するということに若干の懸念を持っております。

 六十年前につくっておけばいいというのは、そのとおりかもしれません。しかし、六十年前と同じスタンスでつくる、これはそもそも不可能です。それができるんだったら、憲法も六十年前に戻りましょうよという議論になるはずです。真空の状態で、こういう法律がいい、こういう憲法がいいというのは我々憲法学者がやればいいことなのであって、国会議員の先生方は、生身の、政治的、社会的な状況の中で立法化の仕事をされているはずです。現実の情勢の中で立法化をして、それを実際につくることがどういう政治的な効果とか歴史的な意味を持つのかを無視して法律を制定するというのは、やはり僕は無責任であるのではないかというように思います。

 もちろん、私自身は、あらゆるタイミングで、どんな内容であっても、憲法改正手続法を制定することに反対という立場ではありません。しかし、現状では、多分、隣のお二人の先生方が言ってきたことと関連するんだと思いますが、誤った憲法論というか誤った改憲論というか、あるいは僕から見た誤った国民投票論というものにつながる、むしろそれを促進する可能性があるから反対というふうに思っています。

 これは、十月に、先月、学会の中で、私じゃなくて隣の高見先生が報告された中で、実は、憲法改正の発議がなされて国民投票が行われるころには、いわゆる憲法改正はもう全部完成している、そういう状況になるのではないかということを言われておりました。これは、私、全くそのとおりだというふうに思っています。

 つまり、最初、あの表に基づいて、Aという憲法を変えなきゃいけないような問題があるのに、実を言うと法律でやる、内閣法制局の解釈を変えてやるというような動きがあるわけです。つまり、国民投票を行わないで実質的な憲法改正を進めていく。そういう状況で行われると、多分、まともな憲法改正にも、まともな国民投票にもならないというふうに私自身は考えているので、今憲法改正手続を立法化することが、むしろそういうよくない国民投票論というか憲法改正を助長する可能性があるので反対であるというふうに思っています。

 一番最後に、これはフランス語なのですが、これは、私が、比較的昔、大学院のころ読んだフランスの憲法の教科書の言葉なんですが、訳を間違うとよくないので、原文でそのまま書いておきました。これを一応直訳すると、一八七五年憲法は不完全なものではあるが、しかし、我々は憲法改正に反対するのはなぜかということです。我々はというのは、著者は二人います、一人は政治家でもあるんですけれどもね。つまり、憲法が不完全だから変えましょうという議論ではないんだという。憲法改正という試みは、不完全だから改正しましょうというものではないんだということです。その理由をこの後ろで二人の著者は書くわけですね。それは、私なりに理解するところでは、今述べましたように憲法改正というのは現実の政治、社会状況の中で行われるものであるから、そういうことをよく考えろということだというふうに思っております。

 最後にこの一節を御紹介して、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。

近藤小委員長 以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。

 これより懇談に入ります。

    〔午前九時五十六分懇談に入る〕

    〔午後零時二分懇談を終わる〕

近藤小委員長 これにて懇談を閉じます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、大変ありがとうございました。小委員会を代表して、心より御礼申し上げます。

    ―――――――――――――

近藤小委員長 この際、お諮りいたします。

 ただいまの本小委員会における懇談の記録につきましては、本日の小委員会議録の末尾に参照として掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤小委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔懇談の記録は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤小委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

懇談の記録



近藤小委員長 これから懇談形式にて順序を定めずに発言をしていただきます。

 一回の御発言は五分以内とし、その範囲内で発言並びに参考人及び法律案提出者に対し質疑を行っていただきます。

 なお、その際には、小委員長の指名に基づいて、氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。

 時間の経過につきましては、終了一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。

 それでは、ただいまから御発言を願いたいと存じます。

枝野小委員 三先生、ありがとうございました。いろいろと参考になりました。

 幾つか提案者にお尋ねのような趣旨のことがありましたので、一応現時点で思っていることをお話しさせていただいて、また御批判をいただければというふうに思っています。

 特に高見先生から、一点目の基本法制の調査の絡みですが、提案者の意図としては、あくまでも、憲法本体の議論をするに当たって、どうしても関連する基本法制のことを調査しないと、それこそ、例えば先ほど井口先生からあった私学助成の話で言えば、私学助成の現行法が合憲なのか違憲なのかということと当然絡んで変える必要があるのかないのかとか、それから、例えば皇室典範のような話は、恐らく天皇制についてもし議論をすることがあるとすれば当然絡めながら議論をしないといけないだろうということで、あくまでも、憲法についての議論との関連において、基本法制についての調査権限を持っていないと調査がしにくいだろう、こういう意図でございまして、個々の法律について具体的な立法と絡む調査ということは、少なくとも私どもは想定をしていないということであります。

 それから、会期不継続の原則につきましては、あくまでも特例、例外という扱いで、全体について会期不継続の原則をやめてしまおうという想定を現時点ではしておりません。

 ただ、これは先ほど小林先生から御指摘ありましたとおり、きのうあたり自民党の幹事長が妄言を吐いていましたので、自民党の中も一部は違うようですが、ここの現場にいる人間の間では、政党間、特に与党と野党第一党の間の政治的対立の道具にしてはいけないという前提に立っておりますので、会期不継続の原則が実際にどういう機能、役割を果たしているかということを考えたときには、むしろ落ちついて、時間をかけてしっかりと議論をするということのために、憲法については会期不継続の原則の特例を置いたということであります。

 それから、合同審査会と勧告でありますが、これはまさに、もし誤解を与えるんだったらまた条文を考えなきゃいけないなと思うんですが、イメージといいますか、想定しているのは、むしろ原案は、合同審査会のもとの小委員会のようなところで原案を起草するという形でないと、恐らく現実的な憲法改正の発議には政治的に至らないだろうと思っています。つまり、どこかの党が原案を国会に提出して、それを修正して合意が形成されるということは政治的にあり得ないだろうと。つまり、憲法のような重要案件について、ここはいいから、こっちはうちのを入れてくれたら、こういう取引で、ではみんなで賛成しましょうというプロセスはあり得ない。したがって、どこかの党が原案を提出してそれをたたくではなくて、超党派で原案を起草するという形でないと不可能だろうという想定をしています。

 その原案を起草する場は、今度は政党間ではなくて、衆参二院制との兼ね合いで言うと、衆議院のもとの原案起草委員会とか、参議院のもとの原案起草委員会ということでは、これまたどちらが先にやったとしても、別のハウスの方はなかなか政治的にメンツの問題でうまくいかないだろう。両院合同で原案起草委員会をつくって、そこのもとで原案を起草したら、それを両院で十分に時間をかけてたたくということでないと現実的なプロセスにならないのではないかということを想定して、そのための仕掛けとして、合同審査会と、そこで我々はこういう原案をつくったのでそれぞれの院でこれをきちんとたたいて議論しろという勧告をするという、こういう想定であります。

 それから、密接に関連する基本法制の調査と憲法適合性審査の機能ということですが、一般的に、現時点で憲法適合性審査機能をそこがすぐに果たすということは必ずしも想定はできないかもしれないなとは思っています。むしろ、先ほど申したとおり、具体的な憲法改正の議論の中で、前提として、ここまでいっちゃうと違憲だよなとか、ここまでだったら合憲だよなとかという議論が結果的に影響を与えるということの想定です。

 ただ、個人的には、将来的には、高見先生御指摘のように、ハウスがまずは一義的に個々の法律の合憲性のチェック機能を果たした方が望ましいとは思っていますが、現状ではそこまでは考えておりません。

 それから、広報協議会の話でありますが、あくまでも、我々は、今御指摘のような問題があるので、する広報は客観的なものだけにとどめよう、裁量の余地が入る部分のところは外そうということで議論をしてきています。

 井口先生を含めて、両先生とも御指摘ありましたとおり、これが必ずしもベストではないなと思いながらも代案がない。国会がだれか指名したら中立公正で信用してもらえるのかとか、内閣がやるよりはましじゃないかとか、いろいろと消去法で考えると、具体的に言うと、社民党や共産党もちゃんと入っている場で、公開でコンセンサスに基づいてやる方が無難ではないかという、消去法であります。

 それから、最後に、小林先生のところから、我々の一般的国民投票の話について消極的な御発言をいただいたんですが、一方で先生の御発言の中で予備投票も一考に値すると。これは我々の条文のつくり方がよくないのかもしれませんが、憲法改正の予備投票のようなことをきちっとやろうとすれば、こういう仕掛けが要るのかなという思いが実はかなり大きいところでありまして、どうすればそのあたりのところの整理がつくのか、知恵がいただければむしろありがたいなと思っております。

 以上です。

船田小委員 きょう、三先生に大変意義のあるお話をいただきまして、ありがとうございました。

 それで、小林先生のお話に対する一つの感想でございますが、私ども、憲法審査会という仕組みをつくったからといって、いきなりこれですぐ憲法改正案の議論をするというふうには到底考えられないと思います。やはり、国民の皆様の憲法に対する、あるいは憲法の問題点に対するさまざまな調査、あるいは国民に周知していただくという段階というのは当然必要であって、私は、この法案ができた後二年間は少なくともこの調査に専念をするということを明文化して、例えば附則に加えるというようなことで対応したい、こう考えておりますので、そのあたり、また御指導いただきたいと思っております。

 それから、高見先生でございますが、今、枝野議員からそれぞれ適切なコメントをつけていただきまして、私もほとんど同じ考えでございます。基本法制の調査まで及ぶということは、これは我々、憲法の改正案、どのように変えるか、また変えないかという議論をしていく中では、基本法制も検討せざるを得ないあるいは調査をせざるを得ないというふうに当然のこととして考えております。ただ、このことが、調査を超えて、逆に勧告を与える、あるいは他の委員会にこの法案を変えなさい、法律を変えなさい、そういう権限まではもちろん考えておりませんので、そこは御理解いただけるのではないかと思います。

 会期の不継続の原則につきましても、これは憲法を審査するという点で、本当に慎重審議を我々は想定しておりまして、そういう中では、会期が終わるとすべて終わってしまう、また次の会期から話を始めるということでは、むしろかえって慎重審議を拒むことになりかねないということで、これは憲法審査会に限っての特例ということで、他の委員会の持ち方とか、あるいは国会における会期制の問題を変えるという意図は全くございません。

 それから、合同審査会の勧告権、これは枝野先生が申し上げたとおりであります。

 それから、憲法の適合性に対する審査を将来行うことがあるのかないのかということでございますが、私は、現時点におきましては、憲法審査会があくまで憲法の調査を行い、そして憲法改正をするのであれば、どこをどう変えるかということの中身を議論していく、これが当面の目標でありますけれども、同時に、将来におきまして、他の基本法制が憲法に適合するかどうかということを、事前ではなくて事後的に議論するということはあってしかるべきだというふうに思っております。

 これは、どのように成長していくかというのはおかしいんですけれども、どのように機能を付与していくかということについては、これはすべて国会がきちんと議論をしながら慎重に進めていく問題である、こう考えております。

 それから、最後に井口参考人への感想でございますが、おっしゃるとおり、憲法改正案は、一つの問題については一つの回答ということで国会が出します。しかし、その議論の過程におきましては、A1のみならずA2、A3という代替案ということもあって、それで、しかしながら、まずベストと思うのはA1だということで国会が発議をするわけですが、その過程ですね、つまり、A2もありました、A3もありましたということはやはりきちんと国民の皆様にお知らせをして、その上で判断をいただくということをすれば、先ほどの問題はある程度解決するのではないかというふうに思っております。

 それから、国民投票は一回ではございません。もしある部分において否決をされた場合に、その後またもう一度我々国会で議論をして、そして、A1がだめであったから、ではA2、A3というものを入れた改正原案をさらに出して、また何度でも国民投票に付するということで問題は解決していくのではないかな、このように考えております。

 以上、感想のみでございました。

笠井小委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょうは、小林参考人、高見参考人、そして井口参考人、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。三人の参考人の方々に、私、二点、それぞれの御意見を伺いたいと思っております。

 まず第一点目は、現実に描かれている改憲スケジュールとの関係なんですけれども、御案内のように、きょうの小委員会は、昨日国会では与党が単独で教育基本法の改定案の採決を強行した、そういう重大な情勢のもとで、せっかくこうやって参考人の方々にお願いしたということで特例的に開かれているものでありますが、あの問題でも、いじめや未履修とか解明が必要な喫緊の課題があって、その上にやらせ質問とかサクラ謝礼などの世論誘導まであったということまで発覚しました。

 NHKの世論調査でも、基本法について、今国会で成立させるべきが三三%だったのに対して、今国会にこだわらず時間をかけて議論すべきが六六%ということで、まさに徹底審議と解明が必要なときに、教育の憲法とも言われる教育基本法の改定が、衆議院においては議席の三分の二を占める与党によって委員会で強行されるということになったわけです。早速、各紙の社説の中でも、成立を急ぐ余り、肝心の国民が置き去りにされるようでは将来に禍根を残すというような危惧が表明されております。

 この問題で、私の内閣で最も重要な課題だから改正が必要だと述べた安倍総理は、憲法についても、最近の海外のメディアのインタビューに対して、繰り返して、自分の自民党総裁としての任期というのが三年で、二期までしか務められない、任期中に憲法改正を目指したいということで、具体的な日程も含めて、憲法を改定するという改憲のスケジュールまで踏み込んで言及をしているわけです。

 今度の法案では、成立後に、直後の国会で、先ほども御意見ありましたが、憲法審査会が設置されて、いわば安倍総理の言う改憲スケジュールにきっちり組み込まれた機関として運用されていくようになるというふうに私は見ています。

 そこで、お三方に質問なんですけれども、憲法改定といういわば最も重要な問題で、発議や改正を急ぐ余り、憲法制定権者である肝心の国民が置き去りにされたり、ましてや、この間問題になっているような世論誘導みたいなのが行われたりすることは絶対あってはならないと思うんですが、これはある意味当たり前のことかもしれませんが、それぞれ御意見をいただければというのが一点です。

 それからもう一点。二点目の御質問ですが、憲法審査会の国会への設置と憲法の原則との関係なんです。

 与党案と民主党案の憲法審査会というのは、いずれも改憲原案を審査する権限を持つ機関として国会に常置するというふうにされているわけです。この法案が成立をすれば、その次の国会から憲法審査会が設置されて、調査も含めて常時憲法について議論されて、その結果によっては改憲原案を審査、提出するということになっております。調査権限のみを与えられていた憲法調査会とは明確に性格を異にする機関であると、先ほども御意見がありました。

 しかし、憲法というのは、公権力の行使を制限するという立憲主義の原則のもとで、硬性憲法としての性格を持っているということで私も理解しているんですが、しかも、国会議員には憲法尊重擁護義務が課せられているというのがあると思うんです。にもかかわらず、一般の法令を扱うがごとく、もちろん、特別のというような、常設というような御意見もあったわけですが、憲法について常時議論する機関を国会に設けるということ自体、今の憲法の予定していることなのかどうか、憲法の諸原則とのかかわりでどのように見たらいいのか、御意見をいただければと思うんです。

 以上二点です。よろしくお願いします。

小林参考人 安倍総理が御自分の任期マックス六年あり得る中で改憲とたびたび論及しておられる、それは安倍総理の思想、良心の自由ですし、政治家としての発言の責任をとろうとしておられる、それはそれでよろしいことと思うんですが、ただ、今、議員がおっしゃったのは、それを急ぐ余り世論誘導などをしてはというお話でしたけれども、それは一般論として、世論誘導などということは民主主義を機能不全に陥らせることですからいけないとしか抽象的に言いようがありません。

 むしろ、私が時間を割きたいのは、改憲のための審査会を立法府に常置することが立憲主義、硬性憲法、憲法尊重擁護義務に反するかというお話ですが、これも、一般論としては私は全然反しないと思うんですね。

 つまり、憲法も特定の時代状況の中で急ぎつくられたものでありますし、不完全な人間がつくったものでありますから、道具としてメンテナンスが私は必要だと思うんです。そういう意味で、そもそも憲法は九十六条を置いているわけです。そういう意味では、今までそれがなされてこなかったことの方が問題であります。そういう意味では、この雰囲気の審査会であるならば、私は、置いておいた方がきちんとした議論、さっきの船田先生のお話にもありますけれども、そういうものはあるべしだと思うんです。逆に、だからこそ、共産党も社民党も御自分の立場で強く主張する機会があるではないですか。

 それに、最近の憲法状況を見ている限り、この間伊藤真さんから聞いたんですけれども、何か神戸で十一月三日に会合を開いたら七千五百人も集まったと。そういう、慌てて護憲派がいろいろ運動していますけれども、そういうものもこういう状況だからこそ力が入って効果がある。

 そうやって本当の意味での問題が公平に明らかになっていくので、私は、議論を避けてはならないという民主主義の原則から、それから、憲法九十六条の存在からしても、常設機関としてあってしかるべきと考えます。

 以上でございます。

高見参考人 二点ございましたけれども、第一点目の問題は、要するに国民と国会というか議会との間の憲法改正問題についての情報ギャップの話だと基本的に理解しております。

 憲法改正は、もちろん、憲法九十六条で、国民投票で国民が決めるということですね。それについて国会の方で発議するということになっております。ですから、要するに最終的に国民がイエス、ノーという、あるラストワードを持っている。それが国民主権ということで、まさに国民主権そのものをこの場に発動する、そういう仕組みになっているわけですね。ですから、国会と国民との間の、この問題についてフィードバックというか絶えず国会の方は多分情報を流さなければいけないわけだし、国民の方はそれを受けてこの問題を考えていかざるを得ない。それがなければ国民投票でイエス・オア・ノーの回答を出せないわけですね。ですから、いずれにいたしましても、そういうフィードバックという中でしか進んでいかないんだろうというふうに思うわけですね。

 ですから、タイムスケジュール云々ということがあったとしても、それはあくまでそういう方針で今の政府がやりたいということであるわけでしょうけれども、しかしながら、そういうふうにいくかどうかというのは、これはまた話は別というふうに考えます。

 それから、二番目の問題ですけれども、これはさっき枝野先生、船田先生の方から御回答のあったところと関連するわけなんですけれども、私は、この憲法審査会という機関というのは、当面はというか、タイムスケジュールはわかりませんけれども、多分設置されれば憲法改正の原案づくりということになっていく、そういった舞台になるだろうと思うんですね。でも、将来的に考えると、結局それが一段落すれば、その後の作業というのは、仕事というのは、基本法制と憲法の間の関係を絶えず見直していくというか調査していく作業にかかわっていくだろう。もちろん、その中でまた不都合があれば改正するか、あるいは法律を変えていくか、これはいろいろなやり方があると思うんですね。そのための機関というのが国会の中にあるというのは、これはやはり自然だというふうに考えます。そういう意味では小林先生と意見は同じなんですけれども。

 イギリスでも、今世紀に入ってから上院に憲法委員会というのを設けている。それから、もちろん、私もこれは調査会に同行して調査に参りましたけれども、フィンランドでは憲法委員会。もちろん、諸外国では憲法に憲法委員会という規定を置くかどうかは別にして、少なくとも国会の中で議員が責任を持って、この憲法問題について、憲法上の問題点ですね、常時それを監視していく、あるいは議論していく。イギリスの場合ですと、種々の法案について憲法上の問題点があるところについて上院の憲法委員会が報告書を出して議論の場に送り込む、そういうシステムですよね。やはり、そういったシステムというのはあっていいし、あるべきであるというふうに私は考えております。

 以上です。

井口参考人 一番目の御質問ですが、国民との関係では、当然のことながら国民を置き去りにしてはいけない、これは一般的に言われることであって、憲法問題について国民が意思を何らかの形で表明するのは国民投票に尽きるものではない。これは当然のことながら、三分の二という国会の発議の過程についても、国民の意思は、当然、一定程度反映されていなければいけない。あくまでも、繰り返し言いますけれども、国民は発議されたものにイエスかノーと言うだけであって、自分が好む憲法改正案が出てくるとは限らないわけですから、言ってみれば、望ましいのは、国民の望むような憲法改正案が出てくることが望ましいわけですから、当然のことながら、何らかの形で国民の意思が反映されなければいけないというふうに思っています。

 その三分の二の形成について、たまたま何かの論点で解散して三分の二、やるぞみたいなのはだめだというふうに僕は思いますね。ましてや、ほとんどよくわからないうちに、中で取引で、合わせたら三分の二、これも望ましいことではない。それを国民投票で嫌だったら反対すればいいじゃないかという理屈は、僕はどう考えてもおかしいというふうに思っています。

 二番目の憲法審査会については、多分、お二人の先生とちょっと僕は違うというふうに思っています。

 やはり、常設の機関としてそういうものがあるのは、僕が最初にかいた図からするとイメージが合わない。個別にそれぞれ国会の中でいろいろな審議があって、その中でこれは憲法を変えなきゃいけないんだという、先ほど私学助成の話をしましたが、そういうときに、いろいろな、何とか委員会とかある中で、これは法律でやっちゃいけないんだ、だから憲法の問題だというときに初めてそういう憲法の議論をするということがあるわけですから、仮に、そういう場合にその委員会ではなくて憲法審査会みたいなものでやるということになったとしても、それは常設である必要は全くないというふうに僕は思っています。何か憲法上問題があるかどうかというのは通常の委員会で普通に議論してくれればいいことであって、むしろ、その方が健全な憲法が根づくというふうに私自身は思っています。

 そもそも、憲法といっても、象徴天皇制と地方自治は全く違うわけですよ。それを一つの委員会で議論しているのは、僕はちょっとおかしいんじゃないかというふうに思うときが時々あります。

 以上です。

辻元小委員 皆さん、どうもありがとうございます。

 私は、まず、国会法の改正の部分と、いわゆる国民投票にまつわる法制度の部分、制度設計に関して、最初に自分のひっかかっているところ、問題点を述べさせていただいた後、質問をしたいと思います。

 私は、そもそも、この二つが一つの法案の中に入っていることに非常に違和感を感じてきました。順序で言えば、国会法の改正の部分を、例えば国会の中で憲法論議をこうしようとか、国会で発議する場合はこうしようという議論、これは通常であれば議院運営委員会の所管なんです。そこで国会の中の機関をどうするかとか、国会の中での物事の発議のルールをどうするかということは、国民投票をその後行うということと性質を異にするのではないかというふうにずっと思ってきているわけですね。

 なぜかといいますと、提出者の御答弁の中には、個別か一括かとか、関連する事項があると言うわけなんですけれども、法の性質上、院内のルールと、それが発議された後の院外のものというのは認識として別に扱うべきものではないかと思っております。その上で、まず、国会法の部分について院内で十分議論して、発議についてはこうすべき、ああすべきが上がった上で、国民投票にかけるときにはということで別個に法律をつくっていくというのが筋じゃないかと実は私は思っているんですね。

 ところが、先に国会の中で憲法改正の常設機関をつくってしまえとか発議の方法をこうしようというと、政治的になかなか進みにくい。ですから、本来の順番とは逆に、国民投票、手続がないのはおかしいじゃないかというところから入ってきて、そして、憲法審査会なるものも含めて国民投票法案という中に、本来であれば先に院内で十分議論すべきことを入れ込んでいるというような、何か違和感を持った法体系になっているんじゃないかと私は思っております。

 そこで、この点についてまず井口参考人にお聞きしたいと思います。

 井口参考人が先日お書きになったものに、ちょっと長いですけれども読みます。

  憲法九六条の規定によれば、憲法改正の国民投票の前提は、国会による発議である。現在の国会法には、国会の発議に関する規定がないため、憲法改正のためには国会法の改正も必要となる。今回提出された法案は、与党案も民主党案も、「国民投票法」の制定と国会法の改正の両方を含むものであり、その意味では、「憲法改正手続法案」とよぶべきものである。

私は、ここのところは、国民投票だとか単なる手続法だと言っているけれども、実は、改憲準備法案じゃないかというように主張してきたんですね。この点を最初からしつこくこだわってこの委員会でも指摘した点なんですけれども。

 その後に、

  このような法案を「国民投票法案」とよぶことは、その基本的性格を曖昧にさせるものである。与党案も民主党案も、その施行期日を「公布の日から起算して二年を経過した日」としながらも、国会法改正の部分だけは、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日」としていることからしても、法案の重点は国会法改正にあるともいえる。その中核は、憲法調査会を、憲法審査会に改組することにある。

ちょっと略しまして、「ポスト憲法調査会の機関の設置が目論まれていること自体、憲法政治的には非常に重要な問題である」「国会法改正さえ成立すれば、憲法審査会において、改憲論議は着実に進行することとなろう。」という指摘をされているのを読みまして、これは私と同じような視点で見ているんじゃないかなというふうに思いましたので、この点について、先ほど省略されましたので、御意見をいただきたいことが一点。

 そして、船田提出者に、先ほどこの点に対して二年間は憲法改正議論はしないんだ、附則にあらわしてもという発言がありましたけれども、ということは、二年たったらするのかという話なんですね。ですから、これはもとから性質が違うので、私はここは切り離すなりとずっと主張していることは御存じのとおりなんですけれども、やはりこの点は慎重に取り扱わないといけないと思っております。

 さて、もう一点。憲法審査会に付与されている権限の話が先ほどありましたけれども、これは答弁者なんですね、「私たちといたしましては、これらの機関は憲法の調査、解釈において内閣法制局よりも強力な権限を有すると考えております」という答弁をしています。

 小林先生にお伺いしたいんですけれども。

 前来ていただいたときに、今の国会での憲法論議、懸念があるというようなことをおっしゃいました。そもそも、憲法観について逆立ちしていると。国家権力を縛るというものではないような憲法観が国会の中でも見受けられることとか、イラク戦争へのなし崩しということで懸念されていました。

 私は、その権限というのは、そのときの政治状況とか、どんな議員が選ばれてくるか、どんどん改正されたら変わりますので、そこで内閣法制局よりも強い権限を持つものを今の私たちが決めてしまって、今後、憲法の解釈の取り扱いが非常に乱暴になるんじゃないかと政治状況を気にしていますが、その点についてぜひ率直な御意見を、私たちに耳の痛いことでも結構ですので、この際いただいておいた方がいいなと。機関としてはあった方がいいとか他国にあるという話ではなくて、やはり、私たちは生の政治の現場でこれは扱っておりますので、道を誤るわけにはいかないと思いますので、御意見ください。

 以上です。

    〔小委員長退席、愛知小委員長代理着席〕

井口参考人 学会の中で私の論文を読む人は余りいないんですけれども、紹介していただいて非常に光栄です。

 御指摘の点、そのとおりだというふうに思いますが、国民投票というふうに語ってきたのは、僕は、ある種巧みな戦略というか、そういう部分であったというふうに思います。

 私のレジュメの二枚目の八番目のところはそこだったのですが、かつてでは国民投票法というふうに言ってきた。今であれば、つながっているのは、憲法改正手続法というふうに言っているわけですね。

 しかしながら、二〇〇一年の、憲法調査推進議員連盟のいわゆる議連案というのが出たときに、国民投票法については立法の不作為というふうに語っていたわけですが、そこにあるように「一般的に、国会法の改正については各会派合意の下、議会制度協議会等で議論された後、議院運営委員会から改正案が提出されることが多いようである」というふうに言っている。その後に、だから政治的な判断としてやむを得ず日本国憲法改正国民投票法案のみを先行して成立させるという選択肢も一つであろうかというふうに言っています。

 何で政治的な選択で憲法改正国民投票法案だけを先にするのかというと、僕は、盛り上げ論だと、何となく国民投票という魅力的なものを見せるということに意味があったんだろうというふうに思います。実際、この憲法調査特別委員会の議案の審査の対象は、日本国憲法改正国民投票制度に係る議案の審査ということになっているはずですね。ここでも日本国憲法改正国民投票ということになっているはずなわけです。しかしながら、今度の国会法改正案では、「日本国憲法の改正手続に係る法律案等を審査する」というふうになって、ここで置きかえというか、すりかえということが行われているというふうに思っています。

 実際に法案を見ても、先ほど辻元議員が指摘されたように、国会法改正部分だけはすぐ、あとは二年置くということは、やはり別だったというふうに制度設計者も考えているから、それを一つにくっつけることに意図的なものがあるというふうに私は思っております。

    〔愛知小委員長代理退席、小委員長着席〕

小林参考人 国会に違憲審査機能があるというのは、たまたま司法の八十一条みたいに明文がないだけのことでありまして、憲法構造上、当然のことでありまして、先ほども御指摘があった憲法尊重擁護義務があって、そして法律をつくったり改廃している機関がありますよね。国会ですよね。そうすると、当然、法というのは憲法から段階構造があるわけですから、その段階の中に矛盾があったらいけないに決まっているわけですから、先生方は法律をつくりながら、こんな法律をつくって憲法に触れないかなと日常的にやっておられるんですよ、実は。

 そのときの補助機関として法制局が各院にある。内閣にも法制局がそういう意味での補助機関としてある。そういう意味では、法制局というのはたかだかそういう機関でありまして、この辺にもいると思いますけれども、それだけのことです。

 となれば、ただ裁判所みたいな、ああいう形でやらないだけの話であって、国権の最高機関としての、立法機関としての国会は常時違憲審査をしているし、していなきゃいけないんです。だからこそ、こういう先生方が何か言うと、そういう先生方が提案して、これは憲法上問題があるんじゃないですかと。これが違憲審査です。ですから、そういう意味では、機能は当たり前。

 それを、ある意味では憲法にフォーカスを当てた常設審査機関ができることによって、国会の違憲審査機能ということが、つまり、憲法保障機能ということが直視されるのは、私はいいことだと思います。そういう意味では、先生方にも頑張っていただきたいと一国民として思います。

 ただ、その際、わかりやすく言えば、実際にやる方たちの観点とか、もっとぶちまけて言えば、知識とか大丈夫ですかと。確かに選挙というのは、国会議員というのは、実は統計すると非常な高学歴社会ですけれども、実は学歴でも資格試験でも選ばれていなくて、人気投票で選ばれてくる。でも、結果的に高学歴社会というのはとても不思議だと思うんですけれども、それはやはり人間社会だからだと思うんですね。

 それで、私は船田先生とか保岡先生を個人的にも存じ上げているし、広い意味で教養があることも、御人格があることもわかっていると同時に、でも、先生、ここは異論がございますという点もあるし、言えば聞いてくださるし、そういう関係を私は誇りに思っているんですけれども。そういう意味でいけば、常設機関になって審査を厳しくやり合えば、逆に辻元先生が誤解しておられるところも直るかもしれないし、船田先生が、ああ、そういう意味だったのかと。

 それぞれ、そういうときに法制局がリサーチして材料をくれますし、私の方でも真剣に調べているんですけれども、憲法とは何かというのは、歴史的に、理念的に、価値的に言うと、私どもの言う憲法観は正しいんですけれども、ただ、価値判断をせずにざっと統計的にやれば、しょせん人間がいろいろな政治状況でつくったものですから、憲法によって国民に枠をはめたり、憲法によって国民に変にいわゆる倫理道徳を締めつけたりという、私に言わせれば、それは誤用でありますけれども、確かにそういうものも出てくるんですね。

 だから、そういうところを公平に議論なさればみんなが成長する。私はたまたま個人的に存じ上げている、もちろん、中山先生も、もっと安心な方ですけれども、そういう意味では。そういう意味で、そういう事実を前提に言えと言われたら、なおさら、ここでやってみればむしろ生産的であろうと私は思います。悲観していません。

 以上です。

船田小委員 辻元先生からまた御指名いただきまして、光栄に存じております。

 先ほどの私の発言で、憲法審査会の機能として、当然のことながら憲法改正の原案について議論をする、あるいはそれを発議する、そういう役割は予定されるわけですが、その部分については、二年間、少なくともそれは凍結をする、そして、その間は日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連をする基本法制についての調査に専念をする、こういう趣旨で、できれば附則に書いておきたい、またおくべきであるというふうに申し上げたつもりでございます。

 法律というのは、もう釈迦に説法で申しわけないんですが、これを書いてこれを書かないと、ではこっちがすぐ起こるのかという議論に必ずなるんですけれども、そこはやはり国会の常識として、二年間、調査に専念をしたその委員会なり組織が、その二年を経過したらすぐにぱっと手のひらを返すように、すぐに調査権限を越えて改正原案を発議しよう、こういうふうになるかというと、現実問題としては必ずしもそうはならない、むしろ、絶対にそうはならないというふうに私は確信をしております。

 ここは、この二年を経過した後の、まさにこの憲法審査会あるいはそこに置かれるであろう合同審査会での議論、そこはもう与野党各政党がみんな入って、大変慎重な議論をそこから始めていくわけですから、そのような、二年たったらすべてが改正に向けて動くかということになると、私はそうは理解しておりません。

赤松(正)小委員 お三方の先生方、ありがとうございました。

 今、辻元さんと船田さんの方で議論がございましたけれども、それと関連をする話でございますが、私は与党の側にいるんですが、与党の側にいるというか提出者の側なんですけれども、私はもちろん公明党でございますので加憲という観点で憲法を変えるということについて賛成の立場に立った上で、将来において、この法律の中に規定されている憲法審査会の方向性というものは当然認めるわけですけれども、その前段階として私が強くこだわりたいと思っておりますのは、実は憲法調査会の五年というものをどう見るかということでございます。

 憲法調査会の五年は、要するに、改正を前提としない、広範囲な立場から自由に一九四六年憲法を議論した、こんなふうに私は理解をいたしておりまして、それが終わった途端に新しい憲法の話が常設の機関で出るというのは、ちょっと真ん中を飛ばしちゃっているというふうに実は思うわけでございます。つまり、それは船田委員の方から、あるいは先般の当委員会の議論の中で、私の質問に対して与野党ともに提出者の方から答えがあったわけですけれども、それではまだ足りないと。つまり、憲法審査会の仕事を前半部分と後半部分に分けて、一つのパックにくくっておいて、時間がたったら前半から後半に移るというのではなくて、まずは、憲法調査会の次の機関としての性格を持った場所で、今の一九四六年憲法を俎上に上げて、改正を前提にした上でありとあらゆる角度から議論をするというものをしっかりやらないといけない。つまり、急がば回れである、こんなふうに思っております。

 お三方に、小林先生の意見はさっき少し出しておられましたが、改めてお三方に、憲法調査会の位置づけと、それから次に来る憲法審査会との関連性で、私が今申し上げたように、すき間の二年でやるというのではなくて、しっかり看板をかけかえてやるべしという意見に対してどう思われるかというのが一点。

 それからもう一点は、さっき小林先生のお話の中でございました国民予備投票的なるものということ。私も、実は、国民の意思をどう見るのかということについては、なかなか一般的な世論調査等だけでは難しいなと。だからといって、憲法を改正しますよという国民投票をいきなりぶつけるというのもおかしいし。ただ、あらゆる意味において、先ほど言った、ポスト憲法調査会で一九四六年憲法を、どこをどう変えるか、変えなくていいのか、法律で対応できるものはどこなのかというようなことをしっかり議論する。その終わったと同時ぐらいというか、ある一定の形を持ったときに、国民予備投票的なるものをした方がいいというふうに思うんですけれども、小林先生は、先ほどに加えてもう少し具体的なイメージをお話ししていただければと思うのと、あとのお二方には、今申し上げた、そういうふうな国民の意思をどう酌み上げるのかというのを、最終段階の国民投票ではない、前段階でやるということに対してどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。

小林参考人 二つあったと思うんです。

 今伺っていて私も頭を整理したんですが、確かに、かつて憲法調査会があって、今この特別委員会があって、次に憲法審査会が来る。そうすると、前段はやはり後段突撃みたいになると、私の憲法学者としての活動での認識では、事実認識として、まだ国民が混乱しているというか、すると思うんです。そういう意味で、辻元先生に言葉をとられるとかいう意味ではなくて、与党の側もこのまま突入していいのかということを冷静にお考えになった場合、私は、中間段階、もう少し本気で調査に軸足を置いたお仕事が、成就するためにも必要ではないかという印象を持っております。これが一点。

 それから、国民予備投票というのは、むしろ私が先生の案をどこかで見て使っているような気がするんですが、さっき枝野先生から一般的な国民投票はいけないと言っておきながらここは小林さんは認めているという御指摘があったんですが、これは当然の話でありまして、これは憲法改正に関することですから、憲法改正は憲法の例外分野であって、それに関連する限り直接国民に問うことは原理的に私は許されると思うんです。

 そして、何よりも、先ほど来申し上げております、今の政治情勢はこのままいったら大混乱すると私は思うんです。私自身も、納得してこのままいったら受けとめられないと思うんですね。気づいてみたら、やはり良心に照らして反対いたしますなんという話に私がなってしまうのは情けないと思うんですけれども。そういう意味で、ある程度御議論が煮詰まった段階で、少し抽象的な選択肢を国民に出して、これは国民投票ですから、要するにお伺いですから、可否を決めてもらうことじゃないわけですから、そういう意味です、なさったらいいと思うんです。

 それで、さっき先生がおっしゃった加憲というのも、初めは公明党の加憲というのは荒唐無稽な話だと思っていたんですけれどもね。あるいは単なるテクニークかと思っていたんですけれども、よく考えたら、日本国憲法、本当にぎりぎりぎりぎりこの歴史状況の中で困っているのは九条、これはどうにもならないと思うんですね。いずれにせよ、整理しないとぐちゃぐちゃ。その他のことは解釈や下位法で間に合う、テクニカルには。となると、九条についてだけ整理するんだったら加憲なんですよね。

 そういう意味でも、ある程度、私が今個人的に思っているのは実はそれなんですけれども、その方向が御議論を続けていれば出てくると思うんです。そのときに、この方向でいかがかなと、これは、単なるアンケート型の国民投票は法的にも技術的にも可能だと僕は思います。それを考えております。

 以上でございます。

高見参考人 二点ございましたけれども、前者の方ですが、調査会の仕事が終わって、衆議院の場合には調査特別委員会が組織されて、今は小委員会ですか、その小委員会の中で憲法審査会という常設の機関が議論されている状況であろうかと思います。それは論理的には非常にわかるわけなんですが、ただ、もちろん、これは憲法改正問題ですから、極めて政治的なイシューなので、論理だけでは済まないということであろうかと思います。そういう中で、常設機関としてどういったものを考えるか、これは国会法の改正ということになりますので、やはり大いに議論しなければいけないし、議論していただきたいというふうに思うわけですね。

 では、どうして特別委員会ではいけないのかということですね。あるいは従来の常任委員会のような制度ではどうしていけないのか、それとは別に、憲法調査会という別建ての組織が必要なのか、そういった問題は多分これまで議論されてきたかと思うんですけれども、そういう選択肢を含めて、私は先ほど申しましたように、将来、非常に長いスパンで考えた場合に、そういった常設機関を置くことは大変重要な意味があるだろうというふうに考えておりますけれども、何せ憲法改正については極めて政治的なイシューになるわけですから、純粋な憲法保障のための制度といった視点からだけでは議論ができないものでございますので、その辺、時間をどうとるか、あるいはどういった形で、特別委員会で継続してやるのかどうかというようなことについては、これは議論していただければいいことだというふうに考えております。

 後者の方ですけれども、ちょっとわかりません。要するに、国民予備投票ということのイメージが、抽象的に憲法改正に反対か賛成かを問えということもあり得るんじゃないかということでありますけれども、これだと新聞社等が世論調査で、ある意味でしょっちゅうやっているわけですよね。改めて国会のこの機関がそういうことをやるということは、どれだけの意味があるのかということについては非常に疑問を持っております。

 それから、もし国会という公的機関がそういうことをやるということになると、一種、特定の方向に向けた世論誘導というか、勘ぐればそういうことも考えられるということで、なぜそういうことをやらなければいけないのかということについて、私はちょっと理解に苦しんでいるということです。

 以上です。

井口参考人 前者の方ですが、私は、何のための調査かよくわからないということがあります。

 というのは、先ほど小林先生が、国会は日常的に違憲審査を行使しているんだ、こういう話がありましたが、同じく憲法に関しても調査をしているということも言えるのではないかなというふうに思うんですね。

 ある問題にかかわって、これは法律ではなくて憲法にかかわる、これは憲法にかかわって憲法違反だからできない、これはできるというような議論。これは違憲審査と同時にそれに付随することの調査にかかわるので、そこからここまでは法律でできるけれども、これ以上はできない、じゃ、どうするか。

 違憲だということは、そこで終わるんじゃなくて、ひょっとしたら、じゃ、憲法改正をして、発議をして国民投票によって承認を得ようということだってあるわけですから、それは日常的に国会の中で行われることではないのかなというふうに思っているので、どうも調査のための調査というか、そういう機関を設けることについて私は若干違和感を持っています。

 予備投票についてですが、その前提は多分国民の意思をどう酌み取っていくかということだったと思うのですが、何も憲法改正にかかわらず、国民の代表としての国会議員というのは日常的に国民の意思を酌み取っていくという立場にあるはずですから、その点は何ら憲法改正についても違いがあるわけではないというふうに思っています。

 あえて予備投票をするのかということについて考えれば、多分、先ほどの図でかいた私の憲法改正のイメージからすると、ちょっとそぐわない。ただ、ひょっとして小林さんはこういうイメージなのかなというふうに思うと、それはまさに大文字の憲法論ではないかなというふうに思うんですね。

 また極端な例で申しわけありませんけれども、自民党の新憲法草案、民主党の憲法提言、これはどれがいいですか、あれはどれもだめですかとか、こういうのを聞くものなのかなというふうに、それでどれが一番多いかということを参考にするのかという、これは、私自身は憲法の全面改正を否定しているという立場なので、やはりそぐわないというふうに思っています。むしろ、後で、最終的に国民投票で国民は承認するけれども、むしろ通常の国民と国会の関係、選挙があって、その民意に対して国会議員が対応する、そういう形で国民の意思というのが憲法改正に反映されるというのが筋ではないのかなというふうに思っております。

 以上です。

辻元小委員 引き続き発言をしたいと思います。

 今の御議論で、私ももとの憲法調査会を継続するなりして、船田委員の御発言ですと二年間という話もありましたけれども、そこで憲法について議論するということでいかがかと、前も申し上げたとおりなんですね。

 なぜこの議論が錯綜しているかについて、逆から法律をつくっていったからじゃないかと。さっきと同じ意見です。結局、国民投票の部分だけをつくろうとすると、発議の手続がないのに国民投票だけつくれないじゃないか。では、発議の手続をつくろう。では、発議の手続というのは、こうやって憲法を変えますよという道筋が引かれていないのに、いきなり国民投票とか発議の手続というのはおかしいじゃないかというふうに、要するに、国民投票という部分からスタートして、この憲法にまつわる一連の整備というか制度設計をしようとしているところで、今の現実がそこについていっていないというように思うんですね。現実がついていっていないか、または、憲法を変えたいという動きの中のプロセスの準備を政治的に考えたら、どちらからやっていった方がやりやすいかということで、国民投票というところに着目して、そこから法整備に手をつけていっているところに今の議論がごちゃごちゃになっている点があるんじゃないかと思うんですよ。

 何回も申し上げているように、自然な形は、憲法調査会で議論、議論、議論で、私たちは憲法を変える必要はないという立場ですけれども、こう変えなくちゃいけないな。では、その改憲原案を、大体多数来たから改憲原案というものを具体的につくろうという常設機関を国会に設けるかどうか。そして、では、これは設けようと、私は反対すると思いますけれども、設けようとなる。そして、そこでもまれて一つの案ができる。そうすると、いよいよ国民に発議しようか。では、発議の手続が要るじゃないか。では、こうしようと。そして、いよいよ国民投票というのが自然な流れ。

 やはり私自身は、政治的に改憲への道筋の整備というところで、着手しやすい、また世論に訴えやすいところから、これは無意識かもしれないんです、今回のこの国民投票法案というところから手をつけているということについては。しかし、逆算してやっていっているところに、まだ調査会でいいじゃないか、赤松さんのおっしゃるとおりですよ、調査会でいいじゃないか、まだ国会でも十分議論すべきじゃないか。では、何で審査会をつくるんだ。逆から行っているものだから、そうじゃないと道が引けないということで、今私たちのややこしい議論が来ているんじゃないかなと私は思っております。

 国会の立法府としては、やはり憲法議論が煮詰まり、では改憲案をつくろうかと、そのための常設機関がないね、つくろうよ、そして、そのための発議の手続が必要だね、そうしたら、発議したときに国民投票しなきゃいけないから国民投票法案なるものが必要だねというのが立法府の自然の流れではないか。私の目から見れば、総理も発言されていますし、やはり改憲ありきのところから逆算した立法過程であるのではないかというふうな危惧を持っているわけですね。

 ですから、その中で、この憲法審査会、及び、先ほど憲法審査会の機能の中に、憲法の解釈を法制局以上に強力な機関として持たせるという、これは物すごい大きなことです、国会の中でも。今までになかった。ですから、何回も申し上げますように、そういう立法過程の矛盾点を私はずっと感じておりました。果たして立法府の立法作業の方向性としてこれでいいのかしらという懸念を持っていた。

 そして、さらには、法制局よりも強力な解釈をさせたり、または改憲原案をつくることもできるという憲法審査会を、国民投票法案ですよという名前の法律の中にひっつけて入れておくということで果たしていいのかと。何か方法はないのかと。切り落とせというような話をこの前申し上げましたけれどもね。そういうことも含めて、もう一度原点からこの問題は私たち立法の府の責任として議論すべきであると、これは意見なんですよ、考えていますが、三人の先生方はこの意見についてどのようにお考えか、ちょっと伺いたいと思います。

小林参考人 これは評論家として見ていて、政治家が国民に理解されやすい、手をつけやすいところから手をつけるのは当然のことで、要は、道路が通っていないのでどこからつくっていくか、それはそれだけのことじゃないかなと思いました。

 それから、一点だけ私がもう一度確認的に申し上げたいのは、憲法審査会ができたら、憲法審査会の方が衆参の法制局よりも憲法に関する有権解釈として強力な力を与えるとか与えないとかいう御議論がありましたけれども、それは前提の勘違いがあると思います。法制局はいわば事務局の一つにすぎないので、補助機関であります。審査会は議員によって構成される院本体そのものの一部でありますから、当然にそこに権限があるので、与えるものではなくて、もともとあるんです。ですから、ここでの御議論を拝見していても辻元先生ならば担えると思いますから、大いにその権限を行使して憲法を守る活動をなさればいいのです。これは権限を与えるではなくて、権限はあるということ。

 もう一度確認的に。三権分立の国民主権国家日本において、主権者国民の直接代表たる最高機関国会の第一院であります以上、そこに最高の有権解釈権がないはずがないわけでありまして、たまたま裁判になったときは最高裁の言うことを聞きますよという構造になっているわけで、日常的には衆議院が第一解釈権を持っているはずなんですよ。それは確認的にもう一度申し上げておきます。

 以上でございます。

高見参考人 考えてみれば、憲法調査会はまだ生きていると言うと変ですけれども、憲法調査会とこの特別委員会ですか、一応合体しているわけですけれども、そういう意味で調査会の機能というのは残っているわけなので、調査活動をもっと継続する必要があるんじゃないかということだと思うんですけれども。そうなってくると、これは政治的な判断が一つあると思うんですね。調査がこれで尽きているのかどうかについては、原案をつくる当事者ではないのでわかりませんけれども。そのタイムスケジュールをどうするか、先ほど申しましたけれども、これは国会の中で考えながら進めていくということになるかと思います。

 それで、私、今回の陳述を準備しながら感じたこと、特にきょうの部分というのは国会法の改正に係る部分ですよね。ですから、どうしても国会法の規定をずっと見ていて、それから先例集等を見ながらいろいろ考えて、つまり、国会法をベースにしますと、国会法の従来の制度設計の中で、この憲法審査会というのはこれまでなかった機関の設置だと思ったわけですね。もちろん憲法調査会が依然としてありますけれども、それと比べても、常任委員会の権限等々と比べても、ましてや合同審査会の規定を置いてというふうなことになっておりまして、継続審査も外すと。こういった、先ほどちょっと申しましたように、大変大きな国会法の大改正というかどうか私は知りませんけれども、やはり非常に大きな改正にかかわっていると思うんですね。

 ですから、その辺の切り分けというのを、私はわかりませんけれども、つまり、国会法の改正であるということでその部分はしっかり審議していかないと、将来的にできる機関の意味づけというか性格というのもはっきりしてこないだろうし、うまくいかないのかなというふうに考えております。

 以上です。

井口参考人 先ほどもっと明確に答えればよかったかもしれませんが、私自身も、むしろ切り離すというか、多分、辻元議員が引用していただいた論文の中でも述べていると思いますけれども、むしろ発議と国民投票による承認という原理の異なるものを一つの法案として入れていることによって、制度設計上、非常に問題がある場面が多いのではないのかというふうに思っています。

 そういう意味で、僕自身も、切り離して国会は国会法でという立場でいいと思うんです。先ほど紹介しましたように、いわゆる憲法議連ももともと切り離しの議論だったはずなんですね。切り離した上でどっちを先にやるかということで、今まではどちらかというと国民投票ということを表に出してきたわけですね。その点については、僕は偶然ではなくて意図的な演出というふうに思っています。

 なので、結論から言ったら、僕は、切り離して議論するということ自体は、それで賛成をいたします。ただ、切り離して、調査というのは僕はよくわからないんです、先ほどから繰り返し言いますように、何を調査するんだというのがよくわからない。それは日常的にやることだというふうに思っております。

 以上です。

笠井小委員 三人の参考人の方々にさらに二点伺いたいんです。

 一つは、先ほどもありましたが、改憲原案の提出についてなんですけれども、出されている両案はいずれも国会法六十八条の三ということで、原案の提出というのは、「内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」と定めておりますが、この規定ぶりが、先ほど御意見もあったんですが、全面改正をも可能とするとみなされるかどうかということなんですけれども。

 例えば現に自民党が一年前に出された、あの公表された新憲法草案は、まさに全面改正あるいは名前のとおり新憲法の制定を目指したものだと思うんですけれども、私はそれ自身が九十六条の改憲手続に基づいて行うことは不可能だと思っておりますが、仮に可能だとして、法案の改憲原案の提出の規定というのが、この書きぶりからして全面改正をも可能とするものなのかどうかという点で御意見をいただければというふうに思います。これが一点です。

 それから、もう一つ関連して伺いたいのは、これも先ほどの意見陳述の中でもあったんですが、何をもって内容において関連する事項なのかというのが不明確な規定だと思うんですね。どういう問題が起こり得るか。先ほど井口参考人のお話を伺いながら、例えば九条について、第二項を削って自衛のための戦力の保持を認めて、第三項として集団的自衛権を認める改憲案があった場合に、その二つを関連する事項としてくっつけることはできないというふうにおっしゃいましたが、例えばワンパッケージとして処理すると、こういう場合、自衛のための戦力の保持はいい、認めるけれども、集団的自衛権というのは認めない、行使できないと言う国民が当然いると思うんですけれども、結果としてそういう意思が反映されないことになるんじゃないか。小林参考人は、だから知らしめるんだ、啓蒙だというふうにおっしゃったんですが、にもかかわらず納得しないという国民は当然いるわけですよね。そうすると、そういう国民の意思というのは、そういうパッケージによっては反映されないことになるんじゃないかというふうに思うんですが、この点についてはいかがかということが二点目です。

 それから、あわせて井口参考人に追加的に伺うんですが、先ほど両法案における政党の扱いで優遇はおかしいという話がありました。この間も委員会の審議や議論の中で、両法案が、政党等にのみ無料の放送とか新聞の広告利用が認められたり、投票日前七日間は放送広告を禁止しながら政党等についてはその期間もできるということになっている、なぜ政党にのみ優遇するのかということで、法案提出者の説明というのは、政党等以外にどういう団体に無料の放送や新聞の広告を認めるかとなると、裁量があるから客観的判断ができないんだ、できる機関がないだろうと。それから、政党等によって活発に国民投票運動がなされる必要があるからだというような説明があったわけです。しかし、私も、これは井口参考人がおっしゃったみたいに、政党等を優遇するというふうにならないし、こういう説明も理由にはならないというふうに思うんですよね。

 そこで、井口参考人が書かれた論文の中で、国民投票においては政党も一般市民あるいは団体と同等の地位しかないはずであるというふうに言われているんですが、その政党の位置づけについての説明を、一般の団体あるいは市民と同等の地位しかないという点についてどういうふうに説明されるのか、伺いたいと思います。

 以上です。

小林参考人 「内容において関連する事項ごと」というのは何かという、これは確かにいろいろなシミュレーションゲームをやれば、九条は一つにもできるし、九条関連を分断することもできる。これは条文で決めようがないことだと思うんですね。そこをついてもせんなきことだと私は思うんです。むしろそれは政治の判断だと思います。

 そのパッケージのつくり方が下手であれば、それは国民に討ち取られてしまうと私は思っています。だからこそ、事前に国会で十分に公開で議論を尽くすことに意味があるし、それに、先生お気づきと思いますけれども、そういう議論を尽くさずに力任せで押し切って、怪しげなセットメニューをつくって国民に提案したら、不安な国民はとりあえず今のままでいい、バツをつけると思います。

 また、先生方はみんなそういうことを御承知の上でやるわけですから、今、笠井先生が心配しておられるのは、相変わらずためにする議論かなと私は思っちゃったりするんですけれども。実は、今私が申し上げたことは全部御存じのはずで、であれば、そういう質問は出てこないはずです。ですから、十分に御議論を尽くして、変なセットメニューをつくろうとするのは言論でたたけばいいわけで、それはそれで国民が許さないと思います。御心配御無用だと思います。

 以上でございます。

高見参考人 結局、この問題は、原則は私はこういうことだと思うんですね、つまり、国民が改正点についてイエスかノーかを決めるわけですよね。ですから、一番小さな単位というのは、個々の改正点について個別に問うというのが多分原則だと思うんですね。ただ、その場合に、有機的に関連している部分があるわけですよね。しかも、一方がイエスで一方がノーといった場合に、運用できないというか、憲法上、そごが生じて解釈でも補えない、そういった不備が生ずるおそれがあるところについては結びつける以外にないだろうと。これが多分その「内容において関連する」と言っているところだというふうに私は理解しております。

 ですから、全面改正ということで、つまりすべてが有機的に関連しているということであれば、これは一本の、一つの案として問うという形に基本的にならざるを得ないかもしれませんね。そういう問題ではないかなというふうに考えております。

井口参考人 全面改正については、私自身も全面改正は日本国憲法上否定されているというふうに思っています。そして、内容において関連する事項ごとに全部変えるものを区分すると、先ほど言ったように不当な結論に行く可能性があるわけだから、これはそもそも想定していないというように考えるべきだというふうに考えています。

 それから、九条二項、三項の例を挙げていただきましたが、先ほど僕も言いましたように、それはやはり条文化することは非常に難しいというふうに思っています。先ほど小林先生は国会の政治的判断だというふうに言いましたが、それに対してどう答えるかということについても国民は判断を求められるわけですね。例えば、三項は反対だけれども、でも一緒に二項はという人は困るわけですね、困った判断をする。

 結局これは何が問題かというと、僕は、これは不適切な発議の問題である、国民にとって明確な問いになっていないということですから。その場合に国民が何らかの形でその意思を表明できるような体制になっていなければいけない、つまり不適切な発議について棄権をするということに一定の意味を持たせないといけないというふうに思っています。だから、最低投票率とかそういうもので対処すべきものだというふうに僕は思っています。

 やはり、どういうふうに条文をつくっても、最後は確かに国会の判断だというふうに思います。では、それに対して国民も判断というわけだから、不適切な発議に対して、国民が答える、これには要するに答えようがないんだということを、制度設計上、設けておく必要があるというふうに思っています。

 それから、三番目の政党の問題、ここをつかれると非常に私答えづらいんですが、私の出発点は、政党の要件として、一人の議員がいることを要件にしておりますね、法案では。つまり、これは議員である。先ほど高見先生が言われたように、議員の役割というのは発議の段階で終わっている、だからゼロベースで政党も国民投票のレベルでは扱わなければいけない、これをむしろ出発点として考えるべきなんだということを基本に置いています。

 ただし、じゃどうやって賛成や反対に助成するかということによい方法はないということも私も理解しています。だから、私の論文の構図というのは、優遇する根拠は何なのかというのが定かではない、イタリアやフランスのように政党は憲法上の明示的な根拠があるわけではない、だから国民投票で、一応はゼロベースで考えるべきであるということを出発点にしています。

 もし条件をつけて優遇するとしても、議席数というのはおかしい、せめて最近の選挙での得票率とかそういうことを考慮すべきである、何らかの形でそこに国民のものを読み込むとか。もちろん国民投票だから賛成派、反対派ということも結構なんですけれども、それは先ほど言ったように、全会一致の発議ということはやはり理屈としてはあるわけですから、その場合にはなぜ賛成派だけに無料の枠があるんだというところに疑問が残る、これこそまさに理屈の上だということで、そう考えざるを得ないということでございます。

 もちろん、繰り返し言いますけれども、それに対する対案、妙案というのは私自身持ち合わせておりません。

赤松(正)小委員 先ほどのちょっと補足なんですけれども、私、私自身の憲法調査会五年に対してすごく自分の反省も含めて不満だと思っているのは、要するに笠井さんや辻元さんはいわゆる護憲、今の憲法を変えなくていいというお立場、私どもは加憲ですから大部分は変えなくていい、そういうところに立脚して五年間の議論に参画をした。自由民主党、民主党の皆さんは、自民党は改憲という立場は党是としてかつて昔からあった、民主党の皆さんは論憲ということでいろいろな角度で議論をされる、改憲もあるし護憲もあるしということだろうと思うんですね。

 私、自分も含めてすごく不満なのは、今の憲法で何であかんねんという、変えるべしということに対して、今のままでいいんだということにおけるきちっとした理論立てというものが、繰り返し言うようですけれども私も含めてなかった。要するに、変えちゃいかぬというのはしばしばお聞きした記憶があるんですけれども、なぜ変えなくて今のままの憲法でいいのかということについて広範囲な調査というか議論というものがなかったということを印象として持っていて、具体的な名前は挙げませんけれども、両党に所属をしておられる皆さん方にも言ったことがあります。それは公明党がする仕事じゃないのと言われたこともありますが、それも含めて私はそういうことをするべきだったなと。だから、先ほど言った、次の機関はやはりそういうことをしっかりやらないと、国民から見ると、繰り返すようですけれども、何であの議論から憲法改正に行くのという話がやはりわかりづらいというふうに思うんですね。

 そういう意味では、言葉が適切かどうかわかりませんが、どこかで何らかの形で号砲一発というのが必要じゃないのかな、本格的にそういうことをしますよという国民に対する国会の意思表示というものが必要じゃないのかなという感じがしまして、大体その意思を形成するのにだめという人がいたら、ちょっとなかなか形成もしづらいなと。私は、例えば衆参の国会決議みたいなもの、国会決議は全部の会派が賛成しないとできないということがあるわけですけれども、そういう形でも改正に向けての議論をするんだよ、国民の皆さん、憲法については六十年たっていろいろあるけれども、いろいろな角度について、さあ本格的に議論を開始しますよということがあっていいのかなという感じを、これは感想的な物言いでございますが。

 それで、小林先生に一点追加でちょっと教えていただきたいんですが、先ほど基本的性格、位置づけの中で、国会内合意と国民的合意を形成する中心責任機関だよというお話がございましたね。今、国会内合意というのは、先ほど来申し上げておりますように、なかなか形成するのは大変な作業ではあると思います。

 この国民的合意、国会内合意、こういったものを形成していく上において、これは先ほど来の議論と違って、将来における今言われている憲法審査会の仕事なんですけれども、先生方を含めていわゆる識者、有識者、賢人と言われる人たちの日本国憲法いかにあるべしという、そういった皆さんの御意見を、場面場面で参考人という形でお越しいただいてお聞きするという形ではなくて、限定された少数の方たちにきちっと、いかなるものであるべきか、我々はこう考えるというものを、委員会というかそういうものをつくって、憲法審査会のそれこそ常設附属機関としていろいろ意見を言っていただいてフィードバックして議論する、こういうのがイメージとして私はあるんですけれども、そのあたり、積極的に中心責任機関として憲法審査会が果たす役割、国民の皆さんの意見を幅広く吸い上げるという一つの仲介的役割としての識者、有識者、学者の皆さんの位置づけというものをどう考えておられるかということをお願いいたします。

小林参考人 否定的に考えています。

 常々、国全体における審議会のたぐいに疑いを持っておりまして、やはりそれは特定の客筋というか筋の方たちが集まって予定されたことを言ってカムフラージュ的に権威づけをし、かつ本当は責任をとるところが責任をとらない。ですから、そういう意味では、憲法改正などという本当に国家の屋台骨にかかわるマターは、例えば今の構図でいけば、私みたいないわゆる有識者にしゃべらせて、ありがたいと言ってくださるのはありがたいんですけれども、むしろそれは選挙で選ばれている先生方が当落の政治責任をかけて御議論なさって、そしてそれを公開で国民に知らしめて、それで先生方が責任を持つわけですから、先生方の合意形成と国民教育、つまり国民の合意形成を同時に進めていく。つまり、有識者なる、私を含めてそれぞれ癖のある、そして政治責任をとらない怪しげな存在を用いるのではなくて、先生方が命をかけてやってくださるべきマターだと思います、原理的には。

 ただ、もう一つ、これは運用上の問題なんですけれども、さっきの御議論、だめなものはだめという、山の向こうから谷を挟んでほえているような人との議論というのはむなしいと思うんですね。そういう意味で、憲法調査会以来の運営はすばらしかったと私は評論家として見ていて思います。

 ですから、これは中山先生の個性に負うところが大きいとお見受けしますけれども、こういう本当に実のある議論のできる場を審査会として、さっき国会の決議は全会一致とおっしゃった、確かにそのとおりで、審査会だったら多数決でつくれるじゃないですか。審査会で、調査に軸足を置いた、こういうかみ合う議論をどんどんお続けになる。もちろん、そのときに、我々のようにその専門に特化したプロはおりますから、お呼びいただければ情報の提供はいたしますが、責任はとれませんので、それ以上の巻き込みはおやめになった方がいいと思います。

 以上でございます。

中山委員長 きょうは、いろいろと参考人の方々の御意見、また委員の皆様方の御意見を伺っておりまして、先ほど井口さんのお話に議連の話が出てきておりました。ちょうどもう十年近い前の話ですが、私は、当初その発起人の一人として、これに参画をして推進をしてきた人間でございます。

 そういう中で、当時は各党、自民党以外に政党が分裂した時代でございまして、いろいろな政党が混在しておったのですが、そこで呼びかけて、各党から出てこられた方々と半年以上意見を交換した結果、憲法を改正しようという気持ちを持った議員が三百人以上を超えてきたわけです。

 そこで一番やはり心配したのは、議運の、いわゆる野党の先生方であっただろうということを伺いました。つまり、議連ですべて物事を議員立法で議決された場合には非常に困るということで、憲法調査会というものをつくって、そこには何ら議決権を与えない、ただ調査にのみ権限を認める、こういう申し合わせができましたので、私は、それなら各党が必ず参加した形でこの調査を行うべきだということで、五年間、衆参に憲法調査会が設置されて今日に至っているわけですけれども、その結果は御承知のとおり、世界数十カ国を調べて、やはり歴史の流れ、科学技術の進歩に合わせて各国は自分の国の基本法である憲法を修正してきたということを与野党一緒に確認しておるわけですね。

 こういう状態の中で、やはり国家というものは、歴史の流れあるいは世界の流れの中で、みずからの国のあり方についての基本法の改正はやって当然と海外の人間は認識している。こういうところから、この調査会の結論として、各党参加の上で意見を求めましたところ、憲法は改正すべきであるというのが過半数の議員の意見でございました。これは本会議でも報告をしております。

 極めて民主的な手続で行った調査でしたけれども、こういう結論が出たために、次の段階として、それでは憲法改正をするのにはどういう方法が好ましいかということについて、この委員会が設置をされて、先生方や多くの有識者の意見を聞いてやってきたわけでありまして、これについても、私は、むしろ時間がまだ足らなかったんじゃないか、五年間の調査会の時間も一週間に一遍ということに限定されたものですから、なかなか思ったとおりの結論は出ていません。

 出ていませんということを申し上げると、具体的に現場で調査をしていない。例えば、憲法九条の問題が各党一番大きな課題になってきているし、国民も関心が高いであろう。憲法九条で決められている条項と違って、日本には海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊があり、周辺事態法が国会で承認されて、アフガンに対する攻撃をやっている多国籍軍に海上自衛隊の補給艦が給油するといったような事態が現行憲法のもとで行われている。それは、国連の加盟国であるからという一つの考え方に基づいて政府が法案をつくった。

 そういうことを考えてみますと、私は、この委員会も、両法案については提出前における委員会での調査に四十一時間かかっています。それから、論点整理のための理事懇談会に九時間半が費やされています。提出後において、今日までに委員会及び小委員会での審査に十六時間以上をかけております。そのほか、昨年及びことしの二回にわたって欧州における国民投票の実情を調べてまいりました。こういった中で、与野党間の筆頭理事の信頼に基づく協議に基づいて、議事は円満に進んできたと思います。

 こういう状況でございますので、最初から関係した人間の一人として、もう余り残っておりませんので、私が、その当時の歴史を振り返りながら、なぜこんなものが出現してきたのかといったようなことが参考人の皆さん方に御理解をいただければありがたいと思って、あえて発言をさせていただいております。

 御清聴ありがとうございました。

園田(康)小委員 委員長、ありがとうございます。

 今、本委員会での中山委員長からの御発言をいただきまして、やはり今日までの憲法調査会、衆院、参院、両院に置かれている憲法調査会で本当に広範かつ中立公正、そして慎重な調査を進められてきたということに対して私も敬意を払うと同時に、また学ばせていただいた議員の一人ということでございまして、その観点も踏まえて、きょうは参考人の皆様方からもいろいろ御意見をいただいておりますので、二点について私から御質問をさせていただきまして、また御指導いただきたいと思います。

 特に、まず、井口参考人からお話をいただきました、発議をかける際に、A1、A2、A3と、いろいろ多岐にわたって、それが国民の求める、望む改正案というものとはマッチングしないのではないかというような危惧をされていたというふうに私自身も受け取れたわけでありますけれども、それはいわゆる不適切な発議という形で、効力的にも国民投票にかけるものではないのではないかという御意見であったわけであります。

 やはりそれを防ぐためにも、しっかりとした国会での議論と、そして、先ほど小林参考人からもお話がありましたとおり、まずは国会内の合意を求めるために、これは三分の二以上の賛成がなければ発議ができないわけでありますから、しっかりとした議論をその中で行い、国会内での合意、そしてなおかつ国民的な合意を得る過程の中で、やはり国会の中で行うべきものではないのかな、そのための位置づけとして、審査会というものも私は調査も含めた形であっていいのではないかなというふうに思っているところであります。

 そこで、先ほど小林参考人からもお話がありました、私も伺わせていただきまして、予備投票という部分が、いずれの形にしろ、これを行うことによってさらに、例えば、ほかにもこういう案があったのではないのか、こういう案でもよかったのではないかというような、国民とのマッチングを行う上においても、有権的世論調査という御発言でありましたけれども、そういうようなシステムを組み込んでいくことによって、例えばより国民が望む改正案というものが形成されていくのかなというふうに私は受け取らせていただいたわけであります。

 この点について、そういうシステムを組み込むことによって、そういう国民との乖離といいますか、そういったものが防げるようになっていくのではないかという御意見に対して、いかがお考えなのかということでございます。

 そして、それに関連しまして、小林参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、国会がそういった努力をするというのは、やはり率先して行っていかなければいけないわけですし、有識者の方々からの御意見を拝聴しながら、しかしながら、国民の代表である私ども国会議員が率先した形でそれを提示していくということは、やはり国会の責任でもあるのかなというふうに私自身は考えているわけでありますけれども、予備的な投票と、それからそれに対して国会議員がどのような対応をしていくというか、有権的なというふうにおっしゃっていただいたわけでありますけれども、その点を、もう少し何かアイデアがありましたら教えていただきたいというふうに思います。

井口参考人 最初のは少し誤解があるかもしれません。A1という改正案が出て不承認だったという場合、別にこれは不適切な発議ではなくて、私が言いたかったのは、A1という案が否決された場合には、あくまでもA1というのは国民の過半数を得なかったというだけであって、憲法を絶対変えないという人間が多数派を占めたということではない、国民はA2とかA3とかを支持していたかもしれないということが言えるからという文脈で言っただけでありまして、不適切なものというのは少し違う話です。

 ただ、今、多分関係しているんだと思いますが、つまり、国民投票にかけるために国民の意思を酌み取るために、例えば小林先生が言われたような予備投票をやったらどうか、こういうことだと思います。わからないではないですが、これも同じことでありまして、では、一案、二案、三案を、どれがいいかと予備的にかける。でも、国民はそんなのじゃなくて、もっと別のものを支持していたということであれば、同じことかなというふうに思っています。

 何よりも、やはり皆さん法律をつくる立場にあるわけですね。同じように、憲法改正原案をつくる発議機関のわけです。では、皆さん、国会で法律をつくるときにどういうふうにして国民の意思を酌み込んで法律案をつくっていくのか。もう基本的には憲法改正案と同じだと思いますよ、民意を酌み込んでいくという点では。別に、憲法改正案のときだけ特別に民意が必要なのではなくて、一般的な立法についても同じだというふうに思っていますから、むしろ国民からこういうふうに憲法を改正してくれという声が強いんであれば、そういう憲法改正案をつくればいいということにすぎないわけですね。

 だから、それにとって、予備投票というのは、やはり国会がつくって、こうこうこうとかけるわけだから、国民は実は四番目、五番目を支持といったら、やはり国民の意思を酌み取ることにならないというふうに思いますので、予備投票をやれば何か的確な国民の意思がそれだけで改正案に反映されるということでは僕はないというふうに思っています。

 以上です。

小林参考人 今の話を受けて言いますと、通常の立法と同じだというのは、私は二つ違うと思います。

 一つは、戦後日本における憲法問題というのは、政治の中でも特別な風土の世界にあると思います。環境が異常であるということ。それからもう一つは、さっき枝野先生との間でやりとりがありましたけれども、事この問題に関しては、直接国民に聞くことは憲法上窓口があいている。したがって、通常の立法とは全く異なる。法的にも政治的にも異なる。これは断言しておきます。

 それから、そういう状態で実際にどのような国民予備投票を考えるかといったら、もちろん、A案、B案、C案なんという、そんな冗談みたいなことは考えてはおりませんで、やはり今一番必要なのは論点整理だと思うんですよ、論点絞り込み。これは、代議士の先生方はみんな選挙で選ばれた国民の代表ですけれども、でも、そういう意味では、選ばれた地位は憲法上全国民の代表ですけれども、実際選ばれてきた背景は、政治的にはそれぞれの選挙制度による有権者の代表なんですね、特定の。ですから、事こういう特殊マターで憲法上も許される可能性があるから、やはり私は、何をもって改憲の優先順位の論点と思いますかというような国民投票は、十分法的にも技術的にもやり得ると思います。

 それで、そのとき、園田君、私の教え子なものですから、今大学で同僚でもあるんですけれども。園田君の御指摘にあった議員の役割ですけれども、これは先ほど来出ていた私の発言の、政党の役割の話でもあるんですけれども、議員集団としての政党というのは、もはや公的資金も出ておりますし、法制度にもだんだん表に出てきておりますので、これはただの任意団体という歴史的背景とは違って、もはや代議制民主政治の不可欠な機関になっていると思うんですね。だから、そういう意味では個人と政党は違うということが一つ。

 それからもう一つは、議員集団としての政党は、国民に提案する責任を負っている以上、説明責任があると思うんです。ですから、そういう意味では、広報活動は、突然選ばれてきた第三者などを使わずに、政党の責任、政党集団、つまり議員集団の責任として、やはりこれも前面で受けて立つようにやるべきだと思うし、それと同じで予備投票においても提案なさるのは議員集団の国会が当然やるわけですから、それは説明責任ということで大いに、余人を排してでも、それぞれのキャンペーンを公的になさるべきであると思います。

 以上です。

辻元小委員 それでは、質問を一点と、先ほどからちょっと議論になっています憲法をめぐる状況について意見を述べたいと思います。

 井口参考人にお聞きしたいんですけれども、井口参考人は、先ほどお話しいただいた中に、両院協議会とか、それから一院で否決された場合のことについて余り詳しくお触れにならなかったと思いますので、ほかの先生方はちょっと触れていただいたと思うんですが、その点についてお伺いしたいんです。といいますのも、私は子供のとき憲法を習って、九十六条を見まして、衆議院と参議院で三分の二と書いてあったので、どっちかで否決されたら終わりやと思っていたんですよね、どっちかで。

 それともう一つは、国民投票というのは、かけられてそれが一回否決されたら、またゾンビのようにか何かわからへんけれども、また一定の期間をかけて同じ案がかけられるということは、一回否決されているんだからそういうことは考えられないんじゃないか。これは憲法を学んだときにそのように思っていたんですけれども、その点について意見を伺いたいと思います。

 一回否決されたものが、また同じものが一定期間を置いて提出される、問われるということについてはどのようにお考えか、この際ちょっとお伺いしておきたいんですけれども、では、高見参考人と小林参考人にその点をお伺いしたいと思います。

 それと、意見なんですけれども、憲法をめぐる議論で非常に錯綜するのは、これはヨーロッパの調査団の方も各国でその点はいろいろな御意見を伺ってこられたようなんですけれども、大上段に国家観を語るんだ、国家観を示せとかいう話から入っていくと、憲法改正の議論というか憲法をめぐる議論はわなに陥るみたいな話が、保岡さんがふんふんふんとおっしゃっていますけれども、新憲法草案を出しておきながらとかいって。

 要するにここに問題があるから、法律もそうですよね、ここに大きく問題があるから法改正をしようというのが法律の取り扱いで、憲法についても、実際に憲法改正を議論したまたは行っている国々からのアドバイスは、ここに大きな問題があるから、そして合意をしやすい部分からやらないと、いきなり国家観をそれぞれぶつけ合うともう身動きがとれなくなるというような話がありました。

 私は国家観を語るのはいいと思いますよ。私も大分語っている方ですから。しかし、事憲法というものを取り扱うときに、そこだと空中戦になるし、何か言っているようでやっていない、放言大会になっちゃうので。ですから、憲法をめぐる調査、議論というのはなかなか難しいのかなという気がしているわけです。

 そうすると、先ほど赤松委員がおっしゃった、現憲法についてどう見るか、私はこれは議論をやった方がいいと思うんです。非常に憲法議論で不幸なのは、私は、この委員会でも何回も、今の憲法についてというか内容で皆意見を闘わそうよとずっと言ってきました。一つは、何でも反対だと言う。これはもうそれを言ったら終わりになっちゃうから、では、どういう点で現憲法をどう活用していこうとか、どういう点が評価されてきたかということを議論すべきだ。

 しかし、これは、憲法を変えた方がいいという立場の人も、現憲法について、戦後私たち日本は歩んできたわけですから、ここまで来たわけですから、この点についてはよかった、ここはしかし問題だという、やはり改憲、護憲を問わず両方議論すべきだと思うんです。じゃないと、私、六十年間あの憲法はよく頑張ってきたと思いますよ、日本はここまで来ているわけですから。この点はよかった。

 例えば私なんかですと、男女平等なんというのに物すごくこだわります。六十一年前はこんなところに座っていられなかったわけですから、おかげで物すごいここで発言回数かなり多くしゃべっていますよね。ですから、これはあれがなければ実現しなかったわけです。一方で、男女平等についても、今、やはり少子化の原因は女が働いたからだという意見もあるわけです。しかし、よく働いて男女平等を徹底的に実現しているところの方が少子化がとまっているという現実もあるとか、いろいろ議論していますよね。ですから、現憲法について語るとき、いいところについても、私は護憲、改憲問わず議論するべきだと思います。

 それと同時に、私はずっと本委員会でも言っておりますけれども、そもそも憲法とは何かを集中審議するとか、やはりそういう基本的なこともお互いに議論を交わしていく中で調査、物事を進めていかないと、何か対立行動ではないと思うんですね。

 もう一つ思うことは、その中で私が不幸だなと思うのは、憲法は古いからとか、それから制定過程に問題があるといって切ってしまうと、そこで思考停止しちゃうんですよ、中身じゃなくて。そうすると、それを根拠に変えろというのは、私は稚拙な議論に踏み込みかねないと思っていますので、そうじゃなくて、中身について、では今のどこがどう古いのかという中身を言わないとだめだと思います。

 ただ、調査会でも、制定過程については、制定過程にこだわってそれに引っ張られるべきじゃないという調査の結果になっておりますので、安倍総理大臣がまだそう言っていらっしゃるので調査報告書を読んでいただきたいとは思いますけれども。ですから、そういうきちっとした議論は続けていく。その場をどこにするのかということについて、憲法審査会という性質のものよりも、もうちょっと自由に話せた憲法調査会というものの中でさらに深めていくということが大事ではないかと思っています。

 では、質問の点、よろしくお願いします。

井口参考人 二院制にかかわる部分ですが、これは私の憲法の認識で言いますと、憲法が二院制をとっている、二院制でそれぞれ独立しているのが原則である、自律権が与えられているのが原則である、両者の関係については対等であるのが原則である、憲法がその中で例外的に衆議院の優越を認めている条項は幾つかある、これが基本的な立場だというふうに思っています。

 ということは、日本国憲法の九十六条で衆議院の優越が認められていないということは、それだけそれぞれの院の独立性が強いというふうに理解すべきなのであって、やはり私は、一院で三分の二を集められなかった、成立しなかったという場合は発議の不成立であると理解すべきであるというふうに思っています。

 もう一点言っておきますと、先ほど言った三分の二の集め方の問題ですね。もし一院が否決した場合に何らか調整するというのは、まさに国民との関係を言ってみれば切ってしまって、衆議院がこうで参議院がだめだったから、では、こうこうこの程度で変えましょうということですから、これはやはり憲法がイメージしているものとは少し違うのではないかなというふうに私は思っています。

 もう一つ、同じ理由でというのは私への質問でもあるでしょうか。一般的には、衆議院の解散について、同じ理由で解散できないという、憲法習律と言ったりされるときがあります。同じことだと思うんですね、国民投票についても。ある種憲法習律というか、同じ理由ですぐ同じ発議をするということは許されないというふうに思っています。

 ただし、これは習律の問題ですから、では一定の期間を置いて永遠にだめなのかというと、それも必ずしも僕はそうではないというふうに思っています。では、期間としてはいつなのかと言われると、それはあくまで習律の問題だから必ずしも確定的な答えはできませんけれども、基本的にはそういう習律の問題として、国民投票で否決されたら同じ理由で再度すぐかけるということは許されないというふうに思っています。

 以上です。

高見参考人 後者の方だと思うんですけれども、一回否決された場合の扱いということだと思うんですが、これは、国会の中で議決したものについて、同じものは基本的にできないというか、一事不再議になりますので、それと基本的には同じだと思います。

 ですから、例えば事情が変更するとか、あるいはかけられる発議された改正案の中身が違っていれば、同一でなければ、それは新たな手続で発議に出てくるということはありですけれども、全く同じものであれば、事情変更がない限り一事不再議の原則にかかってくるだろうというふうに考えております。

 済みません、ちょっと最初に枝野先生が言われたことに関連しているところがあるので、この機会に一点だけ発言してよろしいでしょうか。

近藤小委員長 できるだけ手短にお願いします。

高見参考人 合同の審査会を衆参で開くことの趣旨として、どっちかの院で原案を審議している最中にやるわけではなくて、むしろその前に、原案を作成するところでこの合同審査会ということを予定しておられるんだということを言われたと思うんです。

 合同審査会の普通の持ち方というのはちょっと、過去の例といっても戦後すぐのものしかありませんので事実がはっきりしませんが、確かに初期には、議事録等を見てみますと、合同審査会でこれから議論すべきこと、原案じゃなくて、できるだけ粗ごなしにするということで一回か二回開いているという例はあるようなんです。しかしながら、最近の例ですと、合同審査会というか、むしろ合同協議会というか、合同会議というような形で開かれているんじゃないでしょうか。

 例えば、消費税の見直しの問題でありますとか、副大臣とか、政府委員の廃止についての国会改革のときでありますとか、あるいは国会移転、あるいは社会保障制度の見直しですか、その場合に両院の間で、合同協議会ですか、あるいは合同会議ですか、そういった名称で何か開かれておりますので、むしろそういった性格のものであれば、合同審査会はどうして消滅したのかということについてやはり検証は必要だと思うんですけれども、国会法四十四条の規定を生かして、それを憲法審査会について合同審査という形でしっかりとした枠組みをつくるのか、それともデファクトな形で合同会議といったような方式でやるのか。それは、選択肢としてはあり得ると思うんです。

 以上です。

小林参考人 一度否決された改憲案を、改めて後にそのまま国民投票に付せる、付せないはなぜかですね。

 これは、国家の資源は無駄に使ってはいけないという単純な理由がありまして、つまり、全く政治情勢の変わらないときに同じことをやっても意味がないわけであります。なぜできるかというと、政治情勢が変われば議案は同じでも条件は違ってきますから。政治というのは生き物であって、死人に拘束されても仕方ない面があるわけで、新しい時代状況の中で果敢にかじをとる。そういう観点から、形式上同じものが後に国民投票に付されることはあり得るし、あってよい。ただ、その判断は、憲法上許されるか否かは極めて高度の政治的判断で、それは後に違憲審査に付せるようなものではない。つまるところ、国民投票で判断が下るということであります。

 以上です。

笠井小委員 きょうは改めてお三方、ありがとうございました。

 もう時間が迫ってきたので、まだいろいろ聞きたいことがあったんですが、二言だけ、感想と意見をちょっと述べたいと思います。

 一つは、小林参考人から先ほど御心配なくとあったんですが、やはり、心配と国民が思うような政治の現実といいますか、民意と向き合わない政治があるということで、これは国会で我々はもっと頑張らなきゃいけないという問題だと改めて思っております。

 それからもう一つは、先ほど赤松委員からお話があって、憲法は今のままでいい、変えなくていいという議論が余りになかったんじゃないかということですが、これは我々は、そういう意味では、憲法を踏み外す政治という問題も言ってきましたし、むしろ、九条、二十五条を初めとして現憲法を生かしていくということで、大いにもろもろ発言もしてきたつもりなんですけれども、中山委員長が先ほど言われましたが、調査会以来、特別委員会ということで、我々はこれに反対をしましたが、むしろ変えていこうという流れの中で設置されて議論がされているという中で、大勢はというお話もあったんですけれども、今のままでいいという話がかき消されるというふうになってきたんではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、これまでも私どもとしては言ってきましたが、むしろもっとそういう議論があっていいという赤松委員からの提案ですので、それはせっかくの提案ですから大いに、今の憲法でいいのではないかということについても、変えなくていいという議論もやっていったらいいし、そういう御意見の参考人にも大いに出ていただいて、小委員会、委員会でやったらいいなという感想を持ちましたので、申し上げておきます。

保岡小委員 先ほど井口参考人から、両院協議会のことに関連して、両院で三分の二の多数が得られなかったときはもうそれで不成立というのが憲法の趣旨じゃないかというお話がありましたが、我々提案者の考え方をお話し申し上げておきたいと思います。

 改正手続を定める憲法九十六条一項というのは、憲法改正は国会が発議するということにしていますけれども、そもそも両院協議会というのは、衆議院の優越の有無とは別なものとして、およそ国会の議決を要する案件について両院の意思の調整を図るものとして設けられているということで、憲法改正の場面においても、両院の議決が異なった場合には両院が協議して意見の一致を図ることは否定されるべきではないと我々は考えております。

 また、事前の段階についても御意見がありましたけれども、合同審査会というものでできるだけ両院の調整をしていくプロセスを両院できちっと論議して、そして、いい論議が両院において最終的な議決につながるように努力するのは当然じゃないかと思っております。

 そういった意味で、両院の調整を図るための手続として両院協議会の開催を求めることができるとしたもので、この両院協議会は、予算などの場合のように開催が義務づけられているものではなくて、あくまでも任意ということでございます。

 そういった意味では、両院の意思の不一致は発議そのものの不成立と考えるべきではないということで、現時点において提案者としては、憲法の重要性にかんがみて、両院ができる限り論議を尽くす場として両院協議会を開催することができるものと考えているということを申し上げておきたいと思います。

 それと、先ほど辻元さんと笠井先生から、改正について消極的というか反対の立場の意見というものが、この憲法調査会以来のお互いの、この特別委員会でもそうですが、それを前提に論議を深めるということでは、私は、護憲あるいは憲法を守るという立場の方々の意見も、より多く発言の機会を持っていただいて、そして、反対の立場から議論する、いろいろな角度から議論することは問題の本質を非常にはっきりさせていく。

 それは改憲を考えている立場の者にしても逆にいろいろ考えさせられるところがたくさんあって、そしてよりよい改正につながるし、また、それは国民に理解を求める際に、当然議論のプロセスでも国民によく広報して、情報を提供しながら国民と一緒に議論を進めていくということが非常に大事であると同時に、最終的に国民の理解を得て憲法改正というものが正しく判断されるということのためにも非常に重要なことで、その点は幸い、我々この調査会、特別委員会で共通の認識じゃないかと思って、中山委員長のもとにそういう運営がされてきているんで、今後もそういうことで努力をしていくべきだと考えております。

井口参考人 質問ばかりされるとつらいので、せっかくですので質問させていただきたいと思います。

 与党案の提出者に一つ、民主党案の提出者に一つ質問をしたいと思います。

 与党案の提出者について、憲法九十六条の手続あるいはここで審議されている日本国憲法の改正手続に関する法律で新憲法の制定はできないというふうに考えられますが、その点はいかがか、あるいは、改正と制定の意味についてどう区別するのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

 それから、民主党案の提出者について、民主党案の枠組みは、一般法として諮問的国民投票、その特別法として憲法改正国民投票、こういう位置づけになっているはずです。しかしながら、規定上枠組みが逆になっているのではないかという気がしています。そのことが、諮問的国民投票でもう少し緩やかにできるもの、先ほど私の言ったA1、A2、A3という関係でどれが一番多いとか、あるいは、賛成ならマル、反対ならバツをつけるということがあってもいいのではないかと思いますが、なぜそのような制度設計をしなかったのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

近藤小委員長 予定時間も迫っておりますので、手短に御回答よろしくお願いします。

保岡小委員 自民党の新憲法草案みたいなものを仮に発議する場合は、それはいわゆる九十六条の発議の範囲を超えるものではないだろうかという御疑問であったかと思いますけれども、我々は、憲法に規定する憲法改正というものは、憲法の基本原則を遵守しつつ改正するものであれば、改正の内容をどう表現しようが、どういう形で提案しようが、それは日本国憲法に言う改正の範疇におさまっているものだと考えております。

枝野小委員 それでは、今のお答えと発言をあわせて。

 確かに諮問的国民投票であればもっと柔軟にいろいろなやり方ができるという御意見は十分参考にさせていただければと思いますが、一方で、きょう小林先生からも御指摘をいただいていますとおり、現行の憲法上は憲法改正の部分以外のところは間接民主制という原則をとっているというところとの折り合いの中で、どの程度柔軟かつ広範に諮問的国民投票というのを使っていいのかというところにはさらに若干議論が必要ではないか。

 きょう、実は逆に小林先生などの御意見を踏まえると、憲法にかかわることに限定をして諮問的国民投票制度を入れるというふうにした方がいいのかななどということをちょっと党内的にも議論しなきゃいけないなというふうに思っておりますので、その場合に、その中で、聞き方についても柔軟ということは参考にさせていただければというふうに思っております。

 その上で、最後になりまして、参考人のお三方、ありがとうございました。参考人の皆さんの前でお話をすることではないんですが、政治の世界、発言の機会があるのに発言をしないでスルーしますと認めたことになってしまいますので、別件でございますが、この場で発言をして、しっかりと記録に残しておきたいと思っております。

 昨日、自由民主党幹事長の中川秀直君が、内外ニュースなるところの講演の中、対談の中で、来年、参議院選挙後、政界再編をしてでも憲法改正を行うんだというような御発言をされました。

 言うまでもなく、本小委員会そして憲法特別委員会、調査会以来、憲法を政局の道具にするべきではない。また、国会の広範な合意に基づいて、三分の二を超える勢力の合意によって憲法そのものはもちろん発議されるわけですし、国民投票についても、それを見据えて三分の二を超える勢力の合意に基づいてやっていこうということを現場で合意して、その信頼関係に基づいてこの間議論をしてきたはずでありますが、政界再編も含めてというのはどういうことであるのか。自由民主党を分裂させても民主党案に協力して三分の二にしてくれるということであるのならば私どもとしては歓迎でありますけれども、そういう意図とは到底思えません。

 現場においての従来の信頼関係を、公党のナンバーツーという方が、しかもオフレコ懇みたいなところでお話をされるならともかく、公式に御発言をされているというのは、これは、我が党に対してというよりも、委員会に対する侮辱であると思います。

 現在、国会が不正常な状況でございますので、正常化された折には、中川秀直君に対する非難決議を委員会においてやっていただくか、または、釈明をしたいのであるならば、参考人として中川秀直君を委員会に招致すべきで、さらに、中川秀直君は安倍晋三君の意思に基づいて発言をしているというふうに報じられております。

 内閣総理大臣たる安倍晋三君には憲法について何ら権限もない。というのは、両案とも内閣に権限を求めておりませんので当然でありますが、内閣総理大臣たる安倍晋三君に国会で質問をしても、自民党総裁としての発言はしないというのが国会で慣習になっておりますので、自由民主党総裁たる安倍晋三君も、その真意を問いただすために委員会において参考人招致をされたいということを正常化されたら正式に提案いたしますので、申し上げておきます。

 以上。

保岡小委員 今、枝野先生から御発言がありましたことについては、枝野先生が触れられました、中山委員長を中心に、我々、この憲法調査会、特別委員会で築いてきた信頼関係に基づく共通認識というのはそのとおりであろうと思います。

 今、いろいろな具体的な提案がございましたので、それについては今後よく御相談をして、適切に対応していきたいと存じます。

近藤小委員長 以上で懇談を終了いたします。


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