衆議院

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第5号 平成18年12月12日(火曜日)

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平成十八年十二月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席小委員

   小委員長 近藤 基彦君

      愛知 和男君    加藤 勝信君

      葉梨 康弘君    福田 康夫君

      船田  元君    保岡 興治君

      枝野 幸男君    鈴木 克昌君

      園田 康博君    赤松 正雄君

      笠井  亮君    辻元 清美君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   日本国憲法に関する調査特別委員長         中山 太郎君

   議員           加藤 勝信君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           船田  元君

   議員           保岡 興治君

   議員           枝野 幸男君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           園田 康博君

   議員           赤松 正雄君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石村英二郎君

   参考人

   (読売新聞東京本社論説副委員長)         上村 武志君

   参考人

   (毎日新聞論説委員)   近藤 憲明君

   参考人

   (産経新聞東京本社論説副委員長)         中静敬一郎君

   参考人

   (日本弁護士連合会副会長)            吉岡 桂輔君

   参考人

   (日本弁護士連合会憲法委員会事務局長)      菅沼 一王君

   衆議院法制局第二部長   橘  幸信君

   衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局長  内田 正文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外五名提出、第百六十四回国会衆法第三〇号)

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、第百六十四回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

近藤小委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び第百六十四回国会、枝野幸男君外三名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題とし、特に国民投票運動規制・罰則並びにメディア規制・国民に対する周知広報に係る事項について審査を行います。

 本日は、両案審査のため、参考人として日本放送協会理事石村英二郎君、読売新聞東京本社論説副委員長上村武志君、毎日新聞論説委員近藤憲明君、産経新聞東京本社論説副委員長中静敬一郎君、日本弁護士連合会副会長吉岡桂輔君及び日本弁護士連合会憲法委員会事務局長菅沼一王君に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 議事の順序について申し上げます。

 まず、石村参考人、上村参考人、近藤参考人、中静参考人、吉岡参考人の順に、それぞれ御意見をお述べいただき、その後に懇談を行いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 御発言は着席のままでお願いいたします。

 それでは、まず石村参考人、よろしくお願いいたします。

石村参考人 日本放送協会の石村です。

 さきの通常国会では四月にこの憲法調査特別委員会に参考人として出させていただき、憲法改正に関する国民投票制度とメディアとの関係について意見を述べさせていただきました。その後、憲法改正の手続を定める与党案と民主党案が提出されまして、今の国会でも精力的な審議がされているものと承知しております。

 さきの意見陳述の際には、報道、とりわけ放送だけを規制することは憲法に保障された表現の自由との関係で問題があると申し上げました。また、自主規制や、いわゆる第三者機関の設置も受け入れがたいとも申し上げました。今出されている二つの法案を見ますと、私どもが主張した方向に沿って修正がなされ、報道は原則自由というふうになっています。このことは評価申し上げたいと思います。

 委員会や小委員会の議事録を読ませていただきますと、メディアとの関係で論点が幾つかに絞られて議論されているようですので、そうした点に触れながら意見を申し上げたいと思います。

 まず、NHKの基本姿勢を簡単に確認させていただきたいと思います。

 仮に、今後、国会が憲法改正案を発議されれば、当然、戦後初めてのことになります。主権者である国民の多様な意見が幅広く反映されて、活発な議論が行われる必要があると考えます。

 公共放送であるNHKは、報道機関としまして、自主自律の立場で公平公正に的確な情報をわかりやすく放送し、国民の理解が促進されるよう努める考えです。また、番組の編集に当たっても、放送法に示された基本的考え方やNHKの国内番組基準と新しい放送ガイドラインに基づいて、質、量ともに多角的な放送に取り組んで視聴者の要望にこたえたいと考えております。

 こうした基本的な姿勢を踏まえて、幾つかの論点に絞って考えを述べさせていただきたいと思います。

 まず、メディアにおける意見広告を無制限に認めることが適当かどうかという点なんですが、先ほど述べましたように、我々は報道機関として報道の自由を守るべきであると申し上げております。今出されている二つの法案でも、放送が原則自由であるとの趣旨を踏まえれば、一般論としてはメディアにおける意見広告も原則自由であるというふうに思います。

 ただ、NHKは公共放送です。他人の営業に関する広告放送は放送法四十六条で禁止されています。この点、民間放送とは全く違う立場になります。その上でもう一言発言させていただければ、一律的で厳格な放送の抑制は好ましくないと思います。一方で、資金量によって放送される賛否の量が著しく偏るようなことがあれば、これはさらに好ましくない状態になろうと思います。

 この委員会でお調べになっている諸外国の例を見ますと、広告等を放送できる期間に一定の歯どめをかけている例もあるようです。さらに検討すべき課題であるというふうに認識しております。

 また、賛否の放送量がなるべく同じくらいになるように工夫することも必要ではないかと感じています。今直ちに私の方に具体案があるわけではありませんが、総時間や放送回数などについて広く納得が得られる仕組みづくりに知恵が必要ではないかなと考えております。

 次に、投票日七日前から広告放送を制限することについてです。

 二つの法案には、何人も国民投票の期日前七日に当たる日から投票の期日までの間、広告放送をしてはならない、ただし政党等による無料放送を除くという内容の記述があります。先ほど申し上げましたように、NHKは放送法四十六条で広告放送を禁止されています。法案にあるこの制限規定は、一般の放送事業者つまりNHK以外の民間放送に関する規定であると理解していますので、余り主体的に申し上げることはどうかと思います。

 報道機関の立場から、あくまで一般論として述べますと、報道は原則自由であるとの法案の趣旨を踏まえて、放送事業者の自主的、自律的な判断をまず尊重していただくようお願いしたいと思います。

 広告を出すスポンサーの資金量の多い少ないによって放送される賛否の量が左右されることや、テレビの影響力の大きさなどの理由によって、この規制を提案されたと承知しております。

 しかし、皆さんも実際に選挙を戦われて、投票日一週間前というのは、どの選挙でもそうだと思うんですが、投票日が近づけば近づくほど盛り上がってくるのが通例と言えます。その最も盛り上がってくる時期に一切の広告放送が禁止されることが、国民にとって本当に適切なことなのかどうか、国民の知る権利にこたえることになるのかどうか、この点はさらに委員会の方でもっと議論をしていただいたらいいんじゃないかなと思います。

 我々放送メディアは、とりわけテレビの影響力の大きさを十分認識していますので、我々自身がしっかりとした判断をしなくてはならないことは言うまでもないことだと思います。

 それから次に、政党にのみ無料放送を認めることの是非について申し上げたいと思います。

 法案には、政党等は憲法改正案に対する意見を無料で放送することができる、NHKや一般放送事業者は政党等が録音、録画した意見をそのまま放送しなければならないとの趣旨が記載されています。公職選挙法の政見・経歴放送とよく似た内容と受けとめております。この点については、国会に議席を有する政党だけが無料で放送を使うことが適当なのかどうか、さらに議論をしていただきたいと思います。

 先ほど触れた公職選挙法では、現に国会に議席がある政党以外のいわゆる届け出政党とか立候補者も政見放送ができることとされております。選挙の公平を期す意味からは当然の規定だろうと思います。

 憲法改正に関する国民運動は、議員や政党を選ぶ選挙とは違いますから、公職選挙法の規定を準用することはないと思います。ただ、改正される内容に対する賛成、反対それぞれの理由は実にさまざまで多岐にわたるのではないかと想像されます。我々もそのことを踏まえて、報道に当たっては多角的に放送しなければならないと考えております。

 そうした状況が予想されるだけに、政党だけに無料放送を認めるのであれば、その理由を明確に示す必要があるのではないかと考えます。その一方で、数多くの団体に仮に無制限に近い形で認めることになれば、どういう団体に認めるのか、放送時間やその調整はどうするのかなど、多くの課題があることも事実です。放送局側にとっても、物理的に限界があるという点もあると思います。

 政党以外に認めない場合の合理的な理由、政党以外に認める場合の判断基準は、さらにもう少し具体的な検討が必要であるというふうに感じております。

 次に、無料放送の割り当て基準について述べます。

 両法案には、政党に対して、衆議院及び参議院の議員数を踏まえて広報協議会が定める時間数を提供しなければならないとの内容があります。この規定については、委員会での熱心な議論の過程で、与党、民主党とも、国会での議席数に応じて割り当てると国民に判断を仰ぐ際にバランスを失するおそれがあるので、賛否の意見が平等になるように検討するとの趣旨を委員会で発言されたことと承知しております。この点については、これまで委員会で出された意見とほぼ同様です。

 憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議することとなっております。衆議院と参議院の議員数を踏まえて各政党が無料放送を行うということになりますと、当然のごとく改正に賛成の意見が初めから多くなります。このような大きな量的な差があることは国民の判断に影響があり、運動期間中の割り当ては別に考える方が妥当だろうと思います。賛否の量がなるべく平等に、放送事業者が基準の一つとしています公平公正になるようにすることが望ましいと思っております。与党、民主党ともにそうした方向で修正されるものと伺っておりますので、その方向でぜひ修正していただければと思います。

 次に、広報に関する機関、法案では広報協議会などとなっていますけれども、広報協議会を国会に設置することについて述べさせていただきます。

 憲法改正を発議した国会が、名称はともかくとして、広報に関する協議会を設置して広範な広報活動を行うことは、ある意味で当然の流れだと考えております。ただ、報道の自由、表現の自由に対する配慮は忘れずにお願いしたいと思います。

 次に、広報協議会の設置については特段の異論はありませんけれども、その構成や役割、具体的な内容などについてはまだ検討の余地があるのではないかと思っております。

 法案によりますと、広報協議会の委員は衆参の議員各十人で構成し各会派所属議員数に応じて選任する、反対の議決を行った会派にも割り当てるよう配慮する、決定は出席者の三分の二とするなどの規定になっております。国会議員だけで構成されると、当然、憲法改正に賛成の委員が多くなります。運動期間中は賛否の放送がなるべく同じようになるよう法案を修正されると聞いておりますので、その趣旨も踏まえて、構成についてさらに工夫がなされる余地があるのではないかなと思います。

 例えば委員の構成については、総数が十人と仮定しない場合、まず各会派から一人ずつ選んでそのあとの数を比例配分するとか、そういうことも考えられるのではないかなと考えられます。また、組織の面でも、広報活動を円滑公正に行うために、外部の有識者などから成る幾つかの専門部会を設けることもあり得るのじゃないかと考えます。

 広報協議会が広範な意見を吸い上げて公平公正な広報活動を行っていることを国民の目に見える形で示して、かつ実行していくことが必要です。この辺はさらに検討していただければと思います。

 最後に、広報協議会が行う国民投票公報の内容について述べます。

 法案によりますと、協議会は、憲法改正案の要旨や解説、賛否の意見を掲載した公報の原稿の作成や、説明会の開催、広報に関する事務などを行うとされています。改正案の詳しい説明、さまざまな関連資料を多くの観点から分析し、わかりやすく掲載する必要があると思います。当然、賛否の分量は均等だと思います。我々報道機関が求められていることとかなり似ている面もあると感じております。

 ただ、この文面だけではイメージがいま一つわきません。先ほど申し上げましたように、有識者や専門家などから成る専門部会をつくって、具体的な作業を想定されながら、さらに詳細な検討がなされることが望ましいのではないかなと考えております。

 NHKは、日々、ニュースや番組を通じて国民に幅広く情報を提供しております。憲法をめぐるさまざまな議論や動きも多くの観点から伝えております。委員会で審議されている法案には放送事業者に関する規定が何項目もありますが、NHKとしては、まず国民の期待にしっかりとこたえる放送を出すことが第一であると考えております。それが最大の使命です。その上で、国民的な議論が高まり、国民の判断になる材料をなるべく多く伝えるために、現実的にできることをしてまいりたいと考えております。

 どうも長い間御清聴ありがとうございました。

近藤小委員長 次に、上村参考人、お願いいたします。

上村参考人 読売新聞の上村でございます。

 それでは、私の方から少し考え方を述べさせていただきます。

 読売新聞は、今回の改正手続のための国民投票法案について、この法律が整備されていない点については、かねて立法府の不作為として法整備を訴えてきたところであります。今回、与党と民主党の間で修正合意が進展したと伺っておりますけれども、成立に向けて大きく前進していると受けとめ、早期成立を期待しているところでございます。

 それから、各党案の中に虚偽報道の禁止などメディア規制がございましたけれども、これが事前に削除されたことについては、報道の自由を大前提にして、国民投票実施におけるメディアの役割と責任を最大限尊重していただいたものと受けとめております。

 さて、本日意見を求められましたテーマについては、読売新聞社として社内論議を踏まえて公式の見解をまとめるには至っておりません。したがいまして、本日の意見陳述はあくまでも小生の個人的な見解であるということをあらかじめお断りしておきたいというふうに思います。

 その上で、本日のテーマについての基本的な考え方でございますけれども、やはり国民投票に当たっては幅広い自由闊達な議論が望ましいということは言うまでもないことであります。そういう観点からすれば、本日のテーマに関しても、規制あるいは制限は基本的に最低限にとどめるのが望ましいということは当然のことであると考えます。

 ただ、その一方で、国民投票に関する運動並びに投票そのものは国の将来への責任を負うことでもあります。極めて重大な投票の運動であり投票行為でもあります。そういう観点からしますと、この論議、運動あるいは投票そのものの公正さのために、必要な規制とか制限措置は講じるべきであると考える次第でございます。

 まず第一の、メディアにおける意見広告を無制限に認めるかどうかという点でございますけれども、この無制限ということがどういう意味なのか。一般的には量的な問題なのかと理解されますけれども、質、内容の問題という観点もあるいはあり得るかもしれません。その視点の置き方によって考え方も変わってくるかと思います。

 ただ、量的な面と言えるんでしょうけれども、よく言われますように、資金力の豊富な団体が圧倒的な量の広告を打つようなことは、さきに申し上げました国民投票の公正さを損なう面というものも当然考えられるわけでして、こういうことについては何らかの対策が必要だということは確かであろうかと思います。

 ただ、一般論として、新聞とテレビ、ラジオの放送媒体とではやはり違う面もあるのではないかというふうに考えます。新聞の場合、意見広告についても、国民投票のあり方という観点からどう考えるべきかという議論が当然あり得るわけでございます。

 読売新聞社の場合、意見広告についても規定した厳格な広告掲載基準というものがございます。恐らく各新聞社にもこれはあろうかというふうに思います。この中で、意見広告について、公共性とかあるいは公正性というものをきちんと考えなければいけないということも読売新聞の場合には明記しております。ただ、国民投票における意見広告というものについては、またやはり改めてきちっと議論をする必要があろうかと考えているところでございます。

 それから、投票日の七日前からの広告放送制限ということは、七日前という期日の設定の根拠とか理由がよくわからないのでございますけれども、基本的に放送の問題でもあるということでございますし、新聞社の立場からの直接のお答えは差し控えたいという面もございます。ただ、投票一週間前となれば、相当報道が盛り上がるということは当然予想されるところです。国民投票が国の将来に責任を持つ極めて重要な投票であるということを考えますと、報道が活発になるということと、過熱してかえって問題点をゆがめるようなことにならないか、そういうことも含めて考えなければならないというふうに考えます。

 例えがいいか悪いかわかりませんけれども、国民投票報道というものが過熱化し、それによって有権者、国民の冷静な判断を失わせるような事態がもし生ずるとしたら、これは極めてゆゆしいことであろうかというふうに考えます。恐らく、一定期間前の放送広告の制限というものもそうした趣旨の考え方から発しているのかなと思いますし、そういうことであれば理解できる面もないわけではございません。ただ、現実に禁止にするかどうかについては、今申し上げたような視点も踏まえて、もっと議論があってよいのではなかろうかというふうに考えております。

 次に、政党にのみ無料広告を認めることについてでございますけれども、これは妥当なことではないかと考えております。発議に国会議員の三分の二が必要でございますけれども、発議に賛成または反対した会派がそれぞれの主張をし、問題の論点を明確にするために国費を投じて支援するのは、これは必要なことであると考えます。

 もちろん、なぜ政党だけに無料広告が認められるのかという議論はあり得るでしょうけれども、政党以外の団体に無料広告を認める場合、その範囲あるいは要件をどう確定するのか、なかなか難しい面もあろうかと思われますし、やはり政党にのみ無料広告を認めることでよろしいかというふうに考えております。

 それから次に、無料広告の割り当て基準についてでございますけれども、賛否の意見を広く周知させる、それによって幅広い論点を明確にするということで、この賛否平等というものも理解はできないわけではございません。

 ただ、議席数の案分ということにも一定の理由があるのではないかというふうに考えております。それは、憲法改正に関する発議から国民投票に至るプロセス全体を考えてみました場合に、まず、憲法改正は最も重要な政治課題でございますけれども、その問題に対する政党の立場、主張への賛否というものがある程度事前に民意として各党の議席数にはもう反映され、それが憲法改正の発議にもあらわれていると考えられるのではないかと思うからでございます。政党の議席の多寡というものの中に憲法改正という基本的な主張に対する賛否、姿勢というものも含まれ、それが議席に反映しているということも言えるのではないでしょうか。

 そういう観点からしますと、もちろん少数会派への配慮というものは必要でありますけれども、一方で単純な平等論というものにも議論の余地はあるのではないだろうか。平等ということと公正ということは必ずしもイコールではないのではないかというふうに考えるからでございます。

 次に、広報協議会を国会に設置すること、委員を所属議員数に応じた比率にすることについても、基本的に妥当であるというふうに考えております。立法府の発議で行われる国民投票には、広く国民投票の意義を訴え、多数の有権者の参加を得るよう、国会が責任を負うのは当然であります。

 ただ、広く国民に論点その他を知らしめ得る広報協議会の役割というものを考えた場合に、それは国会内部でのみ議論すべきことではなく、やはりその中に外部の意見を広く受け入れる、そういう組織なり機会を設けるという配慮は当然必要なことであろうかというふうに考えます。

 それから、国民投票の公報の内容についてですけれども、これは、これまでの議論を伺いますと、基本的には中立的、客観的な説明ということで、それ自体にややあいまいな点はございますけれども、多様な議論というものの主要な論点、それから、何がどう変わるのか、具体的な審議事実の経緯などというものを含めてきちっと国民に問題の所在を明示するということで、特に問題はないのではないだろうかというふうに私は考えております。

 概略、以上でございます。

近藤小委員長 次に、近藤参考人、お願いいたします。

近藤参考人 毎日新聞の近藤と申します。

 まず、総論として、三つの立場を明らかにしておきたいと思います。

 一つは、メディア規制は憲法で保障する報道の自由に反するものでありまして、あらゆる規制に対して基本的に反対の立場を表明したいと思います。報道や広告の公正を担保する手段としては、法律で規制するのではなくて、報道機関の自主的判断に任せるべきだというふうに思っております。

 二番目の柱としては、憲法改正の賛否を問う国民投票は、やはり主権者である国民が公正に判断するために、でき得る限り自由な憲法論議を保障するように法案の内容も制度設計するべきであるというふうに思っております。

 三番目の柱は、きょうのテーマでもあります広告ですが、広告も表現の一形態でありまして、自由な意見表明それから情報流通を阻害するような規制には基本的に反対します。

 以上の三つの原則に立ちまして、以下、各論について意見を述べさせていただきます。

 一つ目は、メディアにおける意見広告を無制限に認めることの是非ということですが、まず、意見広告についても、メディアに対する規制は基本的に行うべきではないというふうに思います。

 なぜならば、主権者である国民が憲法改正についてその賛否を判断するためには、前提として自由な意見交換が欠かせないからであります。自由な意見表明を阻害するものであれば、広告についても同じ立場です。

 ただし、これは難しいところなんですが、無制限に認めますと、やはり資金力の差で不公平が生じることも当然考えられます。お金を持っている人や団体の広告ばかりになるのは公正を欠きますので、より公正、平等な広告掲載のルールづくりをメディア全体で今後検討していくことも必要になるかもしれないというふうに考えております。

 逆側からいいますと、無料広告の場合は賛否平等が望ましいという方向で今お話が進んでいるというふうに聞いておりますが、無料広告ではない、自主的に出す有料広告については、広告を受ける側だけでなく、政党を含めた広告を出す側も自主的ルールをつくるべきではないかというふうに思っています。例えば総量規制だとか、そういう形での自主的ルールを考えるべきではないかというふうに考えております。

 二番目の柱、投票日の七日前から広告放送を制限することの是非についてということですが、これも制限を設けることには反対します。

 まず、一週間前という根拠が薄弱でよくわかりません。それから、放送広告では理性よりも感性に訴える力が強いというふうに言われておりますが、仮に、広告のキャッチコピーだとか出演者の人気度、身ぶり手ぶりで投票者に対して大きな影響を与えるという観点から規制しようという動きになったのでしたら、余りにも国民を愚弄しているのではないかというふうに思います。

 また、意見広告と放送媒体の関係が未成熟なので何らかの歯どめが必要だという意見もあるやに聞きますが、放送法に規定している原則、四つぐらいあるんでしょうか、公序良俗に反しないだとか、政治的公平だとか、真実の報道だとか、多角的論点の明示、こういう原則が遵守されるのならば、新たに規制を設けるのではなくて、放送局の自主的判断に任せればいいというふうに思っております。

 さらに、例えばネガティブキャンペーンというものがありますが、こういうキャンペーンは避けた方がいい、禁止されるべきだというふうに考えておりますが、これとても放送するサイドの公正中立を旨とする自主的判断で排除するように努めるべきだというふうに考えております。

 活字媒体は一切規制がないのに放送媒体だけ差別するのはいかがなものかというふうにも考えております。

 三番目の論点として、政党にのみ無料広告を認めることの是非について意見を述べよということですが、基本的には市民団体にも無料広告を認めるのが望ましいというふうに考えております。

 ただ、すべての団体について国民投票運動の一部公営、国費による補助ですかを認めると、どこで線を引くのか非常に難しいということは私も理解できます。どういう線引きが可能なのか、国会議員の先生方も知恵を絞っていただきたいなというふうに思っております。

 それから、四番目の柱です。無料広告の割当基準ということで、議席数の案分でいくのか、政党間の平等でいくのか、それとも賛否平等なのかという議論がなされているやに聞いておりますが、私の立場は、国会はあくまでも憲法改正を発議するまででして、発議後は主権者である国民が判断することであります。

 議席数の案分なら三分の二が改憲賛成なので賛成の広告ばかりになる。やはり公平性の見地から、賛否双方が平等になるように割り当てるべきだというふうに思っております。それから、政党間平等ということは、そのときの政治状況に左右されるということになりますから、法律の条文として書くのは不適当ではないかというふうに思っております。

 それから、五番目の柱、広報機関、広報協議会を国会に設置することの是非について意見を求められていますが、日弁連などは国会外の第三者機関とすべきだというふうに主張していると仄聞しておりますが、仮に国会内に置かれるとしても、最低限の条件として国会議員以外の外部からの有識者委員を入れるべきだというふうに考えております。

 それから、与党案、民主党案を見ますと、広報協議会の事務の中に、憲法改正案に関する説明会もやるということになっておりますが、この説明会というのは、何となく、やらせ質問で問題になりましたタウンミーティングをちょっと想像しますので、これと同じにならないような保障があるのかどうなのか、逆に聞きたいなと思っています。

 それから、六番目の柱として、広報協議会の構成について意見を求められておりますが、これも、これまで申し上げてきましたように憲法改正の賛否を判断するのはあくまでも国民でありますから、賛成と反対の意見が平等に割り当てられるように委員を選任すべきだという考え方です。委員を政党の議席数に応じて案分すべきではないということでございます。

 それから七番目、国民投票公報の内容についてですが、これはちょっと求められている質問の意図がよくわからないんですが、こういうふうに答えておきます。

 国民に対する周知や広報というのは、やはり賛否平等とわかりやすさが原則になるのではないかと思いますので、公報の内容も、お役人言葉でやるとなかなかわかりづらい国民も出てくると思いますので、やはり外部の委員を入れて、わかりやすさを原則にしていただきたいなということしか、ちょっと今は申し上げられないわけです。

 以下ありますけれども、それについては私よりも法曹関係者の方が適任でありますので、省略させていただきます。

 以上でございます。

近藤小委員長 次に、中静参考人、よろしくお願いします。

中静参考人 産経新聞東京本社の論説副委員長の中静です。きょうはお招きいただきましてありがとうございます。

 まず、基本的な考え方として、産経新聞は「産経信条」というものを持っていまして、そこに「民主主義と自由が国民の幸福の基盤であり、それを維持し発展させることが言論機関の最大の使命であると確信する。」こういうことを言っていますし、この立場に立ちまして、今回の憲法改正のための国民投票実施に際して、多種多様な情報や材料を正確かつ公正に国民に提供することが使命と考えています。

 日本国憲法第九十六条、こんなことを説明することもないんですが、憲法改正への国民の承認として、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」としています。衆議院がこの憲法改正手続に関する法律案の作成に入っているわけですが、これは、かねてから指摘されている立法の不作為を解消するものでありまして、大変大きな意義があると思っております。

 現在、自民、公明、民主、三党の間で九項目の合意がまとまったという話を承知しておりますが、できるだけ多くの政党が参加して、よりよき憲法改正手続に関する国民投票法案を早期に成立させることを期待しております。スピードが求められると思っております。

 産経新聞は言論機関でありまして法制定の機関ではありません。今回、十項目のテーマに対する見解、考え方を求められましたが、一応、社としての論議を踏まえ、きょう私が参考人として述べるわけですが、まだ途中過程というか詰めていない部分が多々あります。これも読者とともに論議を深めていきたいと思っております。

 まず一番目はメディアにおける意見広告を無制限に認めることの是非ということですが、基本的には意見広告も幅広く情報や判断材料を提供することができるものでありますから、制限を加えるべきではないと考えます。これは非常に難しい問題もあるんですが、おかしなものは淘汰されていくという日本の国民の意識、その健全性と成熟さということを私は信じております。

 二番目の、投票日の七日前から広告放送を制限することの是非。これも、投票日の直前というのは一番ホットイシューになっていまして、議論が最も活発です。投票日二、三日前の論点で投票の結果に影響を与えた国政選挙もあります。ですから、基本的には、これはやはり禁止することは望ましくない、禁止するべきではないと考えます。

 三番目の、政党にのみ無料広告を認めることの是非。これは、やはり政党を基本と考える。政党以外はどうするか、いろいろな意見が出ていますが、慎重に判断すべきだと考えております。

 四番目の、無料広告枠の割り当て基準。これは特にいろいろな意見が出ていますが、やはり少数意見は最大限尊重されるべきだと思います。ただ、基本的には、憲法改正が各議院の総議員の三分の二以上の賛成で発議されたことを尊重することが望ましいと考えます。やはり三分の二以上の発議は非常に大きな意味を持つ、代表民主制という観点からも、これを無視していいのかどうか、ここは私は非常に大きな問題だと思っております。

 五番目の、広報協議会を国会に設置することの是非。これは、憲法改正案を客観的かつ中立的に周知広報する機関であると理解しております。

 六番目の、広報協議会の構成、委員の割り当て基準。これも、賛否の意思表示をきちんと可能とする委員の割り当ては必要だと思います。ただ、基本的には発議を尊重した基準が望ましいと考えます。それは、先ほど四番目に言った理由と基本的には同じです。

 七番目の、国民投票広報の内容。これも今かなり国民の関心が高いかというと決してそうではないので、どういうふうに国民の関心を高めていくのか。なぜ憲法を改正するのか、どうしてこの項目で、なぜ改正しなくてはいけないのかという、多分、これをきちんと説明することが非常に大きなことだと思っております。国民が理解を深めることが基本。この憲法改正の理由をきちんと説明した上で、賛否を併記すべきだと考えます。

 あと、八、九、十で、国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲、それから公務員、教育者の地位利用による国民投票運動の禁止の是非、それから買収・利害誘導罪の是非という問題が与えられていますが、これは、基本的には国民投票の公正さをどう確保するか。国民投票の公正さを確保するためには、私は、与党が提出した法案百三条の特定公務員の禁止規定、それから、地位利用に関しては与党が提出した法案第百四条、百五条の禁止規定、それから、組織的な買収・利害誘導罪の是非についても、与党が提出した法案第百九条で問題はないと考えております。

 以上で私の意見を終わります。

近藤小委員長 次に、吉岡参考人、お願いいたします。

吉岡参考人 本日も、当小委員会で日弁連の意見を述べる機会を得られましたことにつきまして、まず感謝申し上げます。

 これまで配付させていただきました、日弁連の二〇〇五年二月十八日付及び二〇〇六年八月二十二日付の二つの意見書を、本日のテーマにつきましても御参考にしていただければ幸いであります。また、本日のテーマではございませんが、日弁連は、与党案、民主党案の中の憲法改正の発議のための国会法の一部改正についての意見書を、つい先日、十一月二十二日の理事会で採択をして公表しております。本日配付させていただきました。

 それでは、本日のテーマにつきましては、レジュメに沿って順次陳述をしていきたいと思います。

 まず、国民投票運動を規制することについてであります。

 憲法改正国民投票運動に対する規制につきましては、十一月二日の小委員会でも意見を述べさせていただきましたが、そのとおりであります。

 憲法改正手続においては、公職選挙法の手法による規制がなされるべきではなく、いかに主権者である国民が萎縮することなく自由に憲法改正についての意見表明ができるか、憲法改正の最終決定者である国民の間においていかに自由闊達な議論ができるかといったことが特に重要であります。

 次に、国民投票運動が規制される特定公務員の範囲について述べます。

 裁判官、検察官は、法曹として、諸立法について専門家として意見を述べたり関与する立場にある者であります。これらの者について、法律の上位にあり、かつ、法律等が合憲か違憲かの判断の前提となる憲法の改正の是非について自由に意見を表明することを規制するということについては反対いたします。

 また、公安委員会の委員、警察官についても、これらの者が憲法改正の是非についての意見表明をするという自由を全面的に規制することも合理的根拠がないものと考えます。

 それから、公務員、教育者の地位利用による国民投票運動の禁止についてであります。

 与党案においては、公務員と教育者について、地位を利用しての国民投票運動も禁止しております。しかし、地位を利用してという概念は、極めてあいまい、不明確でありまして、どのような行為が地位を利用したことになるのかということの特定ができず、公務員や教育者が憲法改正についての意見表明や活動をすることはすべて地位利用に該当するというような解釈運用がなされるおそれがないとは言えません。このような地位利用という不明確な概念でもって公務員、教育者の活動を規制することは、これらの者の意見表明や活動を萎縮させる現実的危険性を持つものであり、反対であります。

 公務員が、公務員の地位を利用して、職務権限に直接絡めて賛成投票もしくは反対投票をすることを強制するなどの事態が万一にも生じた場合には、職権濫用罪その他既存の法規にも抵触するものでありまして、憲法改正手続法に規定を置くという必要はありません。

 教育者につきましても、この地位利用の規定が教師に対して萎縮効果を与える可能性があります。そのため、学校において憲法改正についての議論がタブー視される、そして、本来、これからの社会を担っていくべき学生たちにこそ議論してほしい憲法問題が、学校では議論されないという現象すら生じかねないものがあります。

 次に、組織的多数人買収・利害誘導罪の設置についてです。

 与党案は、組織により多数の投票人に対し買収や利害誘導等をした者に対する罰則規定を設けております。しかしながら、通常の選挙と異なりまして、そもそも憲法改正国民投票に関して買収や利害誘導等がなされ得るのか、また、罰則で禁止することは投票についての自由な活動を阻害しないのかなど、このような罰則規定を設けること自体疑問があります。

 また、同罪の構成要件を見ますと、極めて不明確な要件のもとに、広範な規制を招きかねない内容となっており、罪刑法定主義に抵触するとともに、憲法改正にかかわる国民の自由な表現活動を萎縮させる危険性が高いものと言えます。この点、より限定的な規定にしようという意見もあるようでありますが、国民の自由な表現活動を萎縮させることについての危惧を容易に払拭することはできません。

 メディア規制における広告表現の規制について述べます。

 本日のテーマのうち、憲法改正国民投票に関するメディアにおける広告表現のあり方などにつきましては、十一月七日の小委員会で意見を述べさせていただきました。したがいまして、本日は、その際に述べました意見の要旨を述べさせていただくとともに、投票日前のテレビ、ラジオによる広告表現の一律禁止の規制について、多少敷衍して意見を述べさせていただきます。

 まず、メディア規制における意見広告です。

 この点についての日弁連の基本的な考え方は、できるだけ制限をしないで自由に認めるという原則に立ちつつ、憲法改正案に対する賛成意見と反対意見とをできるだけ対等に扱う。例えばテレビ、ラジオといった放送であれば賛成意見も反対意見も同じ時間が使える、新聞であれば賛成意見も反対意見も同じような回数、字数が使えるといったような工夫が必要であるということであります。また、いわゆる資金力のある方が多く意見広告をすることができるという、公平性を欠くような事態を生じないような工夫も必要と考えております。

 政党にのみ無料広告を認めることについて述べます。

 両法案とも、政党等のみが無料で放送や新聞による広告をし得るとし、しかも、無料広告の放送時間や広告回数、新聞広告の寸法や回数はいずれも当該政党に属する議員の数を踏まえて定めるとしていることに対し、日弁連は、これでは国会における多数意見、少数意見がそのまま反映されることとなり反対であるとの意見を述べておりました。

 このうち、政党等については、賛成意見も反対意見も、同等の時間、同等の回数の放送や広告が利用できるようにする方向での修正意見が有力になりつつあると聞いております。しかし、これにとどまらず、政党等以外の団体や市民も、無料で放送や新聞広告による広報活動ができるようにするための工夫も検討されるべきであるというふうに考えております。

 投票日前の放送規制についてであります。

 両法案は、投票の七日前からは、政党等によるものを除いて、テレビやラジオを使用して国民投票運動のための広告放送をし、またはさせることができないとしております。さらに、最近では、この期間をもっと延長すべきであるとの意見や、発議から投票までの間、一切禁止するとの意見もあると伺っております。

 これに対しては、テレビやラジオが国民の情報取得の大きな手段であることを考えましたとき、これを利用した広告活動の一切を禁止することは、主権者たる国民の正しい判断の道を損ねることにもなりかねず、表現の自由を侵害すると言わざるを得ず、到底許されないものと考えます。

 確かに、テレビ等の影響力の大きさは事実上無視し得ないものがある一方、テレビ等の電波は限られた媒体であり、多大の費用がかかることからすれば、資金力のある者のみがテレビ等を利用できるという不公平なことになりかねないとも言えます。その点から、テレビ等の利用については、広く国民が意見広告を平等、公平に利用できるようにするためのルールづくりを慎重に行う必要はありますけれども、そのためには、政党以外の市民や団体なども無料でテレビ等を使えるような工夫や、賛成意見も反対意見も同じ時間が使えるような工夫こそがなされるべきであります。

 政党のみがテレビ、ラジオを無料で利用でき、政党以外の市民や団体はたとえ有料でもこれらを利用できないというのでは、国会は憲法改正を発議する機関であり、憲法改正の主体は国民であること、その国民の中においてこそ自由闊達な議論がなされるべきであるということを軽視しているのではないかと考えざるを得ません。

 憲法の定める表現の自由、特に民主主義社会を根底から支える政治的な言論の自由を規制することについては、極めて慎重であるべきであります。一たび言論の自由を法律で規制できるのだというような例をつくってしまいますと、民主主義社会そのものを揺るがす取り返しのつかない事態を起こしかねないと考えます。

 国民に対する周知広報についてであります。

 国民に対する周知広報についての日弁連の意見も十一月七日の小委員会で述べたとおりですが、ここでは、その中でも特に広報協議会については、周知の公正性、平等性を担保するために、賛否の意見が平等に反映されるような委員を選出すべきであるとともに、外部委員の選出も検討すべきであることを強調しておきたいと思います。

 その他、最後になりますが、日弁連におきましては、本日のテーマ以外においても意見を述べておりますが、特に、真に憲法改正についての国民の承認を経たと言えるためには最低投票率を定めるべきであること、国民に十分に意見を表明し議論をなし得るために発議から投票までもっと長い期間を置くべきであるという意見を述べていることを強調させていただきます。

 また、十一月二十二日の理事会において採択した、先ほどお配りいたしました意見書におきましては、憲法改正案を審議する常設の機関として憲法審査会を設置することの問題点、さらに両院の憲法審査会の合同審査会を設置すること及び両院の意見が不一致の場合に両院協議会を開催することのそれぞれの問題性などを指摘しておりますので、ぜひお読みいただければと思います。

 以上、御清聴ありがとうございました。

近藤小委員長 これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。

 これより懇談に入ります。

    〔午前九時五十八分懇談に入る〕

    〔午前十一時五十六分懇談を終わる〕

近藤小委員長 これにて懇談を閉じます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。小委員会を代表して心から御礼を申し上げます。

    ―――――――――――――

近藤小委員長 この際、お諮りいたします。

 ただいまの本小委員会における懇談の記録につきましては、本日の小委員会議録の末尾に参照として掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤小委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔懇談の記録は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤小委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

懇談の記録



近藤小委員長 これから懇談形式にて順序を定めずに発言をしていただきます。

 一回の御発言は五分以内とし、その範囲内で発言並びに参考人及び法律案提出者に対し質疑を行っていただきます。

 なお、その際には、小委員長の指名に基づいて、氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。

 時間の経過につきましては、終了一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 御発言を御希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。

 それでは、ただいまから御発言をお願いしたいと思います。

船田小委員 自民党の船田元でございます。

 きょうは、各参考人の皆様には、大変お忙しいところ、貴重な御意見を御開陳いただきましてありがとうございました。

 私からは二問ほど御質問いたしますが、まず石村参考人に一問、それから近藤参考人と吉岡参考人に、同じ内容なんですが、二問目を質問させていただきたいと思っています。

 まず石村参考人にでありますが、例の有料意見広告の扱いということで、NHKさんは放送法によりまして広告放送禁止でありますから、これを御質問するのはどうかと思ったんですが、逆に言うと、客観的にお話ができるだろうということもございましたので、あえて質問をさせていただきます。

 先ほどの石村参考人のお話の中で、投票一週間前からの広告制限、有料広告の制限についてお話がございまして、やはりこの制限を加えるということは知る権利あるいは言論や表現の自由というものからして好ましくないのではないか、こういうお話でありました。

 しかし、私ども、なぜこの七日間ということを考えたのかといいますと、もちろん、一つは電波メディアの影響力の大きさ、それから、投票日前のややエキサイトした状況の中でのそういった放送については国民に対しての影響が大き過ぎる、あるいは、もし誤った報道があった場合にはそれを是正することができないうちに投票日を迎えるんではないかということで、冷却期間を置こうというのが一つの理由であります。

 もう一つの理由は、これは後の御議論にも出てきましたけれども、やはり資金量によって賛成、反対の量の平等性ということが崩れてしまうのではないか、金に糸目をつけずに放送をばんばん行うということの問題点が一方である。量的規制と言ってはちょっと言葉が強過ぎますけれども、一定程度の量的な制限をこの七日間禁止ということで担保する、そういう部分もあっていいのではないか、こういうことで提案をさせていただきました。

 お聞きしたいのは、私どもが考えた、そのような七日間禁止の理由の一つである量的な規制ということ、あるいは量的な制限ということについて、どう石村参考人はお考えであるか。

 また、当然、有料枠については今のような制限を加えますけれども、一方で無料枠については制限がございませんし、また、有料であろうとも、活字メディア、新聞等への意見広告も制限はございません。また、各放送局が自主的に討論番組とかそういうことで報道されるということは一切自由でございますので、そういう点では言論の規制とかそういったことには当たらないんではないか、こう思っておりますが、それをお聞きしたいと思います。

 それから、二問目でございますが、近藤参考人は、無料広告、あるいは有料につきましても、賛否平等ということを特に強調されております。それから、吉岡参考人におきましても、メディアにおける意見広告においては、同等の時間、同等の回数の放送や広告を利用できるようにしたいということで、これまた平等ということを非常に強調されております。

 確かに、有料広告の場合、今申し上げたような資金量の多寡によってどうも賛否平等ということが保障されにくいんじゃないかということを私どもは非常に心配をしておりまして、例えば、総量規制ということはともかくとしましても、取り扱いの平等、つまり、新聞であれば何面にその広告を載せるのか、あるいは何曜日に載せるのか、朝刊に載せるのか夕刊に載せるのかという問題とか、放送でいえばどの時間帯に放送するか、そういった取り扱いの平等ということについて、これをやはり何か、単なる放送法あるいは各メディアの中での自主規制ということだけでこれが担保できるのかどうかというのは私はやや疑問に感じておりまして、もし可能であれば、もちろんこれは強制ではありませんけれども、各メディアの皆様には有料広告の取り扱いについては賛否平等に近くなるように取り扱っていただきたい、そのような訓示規定のようなものを法案の中に入れられればいいのかなというふうに考えているんですが、このことについての御見解があればお聞きしたいと思います。

 以上でございます。

石村参考人 今、船田委員から御質問がありましたけれども、私どもとしては、有料の意見広告については、基本的には、やはり放送事業者の自主的な判断というのが基本だろうと思います。

 それで、今、船田委員は、委員会の中の論議等で、非常にエキサイトした時期だし、誤った情報等も出るかもしれないし、影響力等についていろいろ懸念もあると。この辺は、多分普通の国民も、活字メディア、テレビの無料の意見広告並びにいろいろな番組とかニュース、それと有料広告等も含めたすべてを、多角的に情報を入れて判断していくというのが基本ではないかなと私は考えていますので、これは直接は関係ありませんけれども、本当に、私個人の意見としては、事業者にもう少しゆだねられて、余り制限を設けない方がかなり多角的な情報が皆さんのところに入ってくるんではないか、基本姿勢としてはそちらの方がいいんではないかなというふうに私は考えております。

 それから、資金量については、量的な部分をどう考えるかなんですが、これは先ほど近藤参考人からも出ていましたけれども、総量規制的な部分は何か考えざるを得ないと思うんです。ただ、そのために全体というか資金量云々、それは、ある人が当然うんと出していくことになるんでしょうけれども、総量規制をある程度かけることによって、その部分はある程度の公平性に近づくんではないかなという気がするので、そこのかけ方の問題が非常に難しいとは思うんですが、これから知恵を出していただければと思っております。

近藤参考人 船田委員の御懸念は非常によくわかります。私も、先ほどの意見表明の中で、資金量の差によって有料広告の場合に不平等が生じるのではないかという懸念があるというのは指摘しましたんですが、そのためには、一つは、やはり広告を受ける側、具体的には民放とか、新聞社もそうですが、新聞協会がどういう掲載基準で平等性を確保したらいいのかということを、自主的にルールをつくるような検討をするということが大切なことになってくるんではないかと思います。

 それから、逆に、受ける側でなくて、先ほども申し上げましたように出す側、政党を含めて、団体も含めて、出す側も総量規制など何かルールづくりが必要ではないかというふうに考えております。法案の中で訓示規定とか規制を設ける、条文で書くというよりも、それぞれの団体が自主的なルールをつくるということで処理していきたいなというふうに考えています。

吉岡参考人 今の、いろいろな問題のある広告、コマーシャルが懸念されるということは、確かにあると思うんですね。しかし、一方では工夫されたよいコマーシャルということも十分あり得るわけでありまして、ですから、私どもの方は、直前であろうと一律禁止することについては反対という見解を述べたわけであります。

 その上で、今、船田委員のおっしゃる平等をどう確保するかという点は、確かに大変重要な問題だと思います。とりわけ放送の時間帯、つまり、例えば前の日のゴールデンアワーなんとなったら、どちらがとるか。それこそ、それを資金量の多い者がとるというようなことがあったりしてはまずいと思いますし、一方だけがその枠を全部買い占めるということもよくないと思います。その意味では、賛否平等にという工夫については、しかしそこはさすがテレビその他メディア側も、それについては十分自主規制その他さまざまな工夫がなされるんではないかというふうに私は考えます。ですから、まず第一義的には、そこの工夫を待ちたいと思います。それでどうしてもというときには、今おっしゃったような訓示規定ということもあるかもしれませんが、まずはメディア側の方で十分工夫をしていただきたいというふうに考えます。

糸川小委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私からは、新聞各社様に対しまして、一問質問をさせていただきたいと思います。

 放送メディアにつきましては、放送法三条の二におきまして政治的公平が定められておるわけでございます。ただ、新聞等の活字メディア等につきましては、そうした規制がございません。しかしながら、本日参考人としてお越しの新聞の各社様は、論説等で自社の主張というものを述べられながら、記事の解説等でさまざまな角度からの意見を紹介され、国民の知る権利の実質化に努める、そういうこととされているというふうに認識をしております。

 諸外国では、例えばスイスにおきましては、新聞というものは、国民投票の問題についてその主張というものを明確にしているとも聞いております。

 将来、憲法改正の国民投票が行われるときに、新聞として憲法改正案に対する自社の主張を明確にするおつもりなのか。また、そうした主張を明確にするということと、解説や客観報道の部分において憲法改正問題の各論点についてのさまざまな意見というものを紹介され、国民的な議論が高まるようにするという新聞に求められている本来の役割、この関係についてどのようにお考えになられていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

上村参考人 ただいまの御質問の件、極めてもっともな点だと思います。

 まず、将来、憲法改正に関する国民投票が行われた場合、例えば読売新聞としてその主張というものをどういうふうにされるのかという御質問の第一点でございますけれども、読売新聞は、御承知のように、憲法改正については一九九四年に初めての改正試案を発表して以来、三次にわたって改正試案を発表しております。憲法改正を積極的に行うべきであると一貫して主張しているわけでございます。

 これは、単なる報道機関というよりも、提言、報道という二つの役割を担う機関としての立場からでございますけれども、そういう経緯からいたしまして、国民投票という以前に発議というものがございますけれども、そういうプロセスを通じて、読売新聞としては一貫して憲法改正をすべきであるという主張は明確にやっていく、展開していくという考えでおります。

 それから、他方、解説その他いろいろございますけれども、読売新聞の立場は、主張は主張として、しかしこういう憲法改正という国の将来について極めて大きな責任を負う、それが幅広い国民の理解によって進んでいくことが望ましいという観点からすれば、当然、多様な論点について幅広く国民に、国民というよりも私どもの場合には読者ということになりますけれども、読者にそういう視点、考えるべき問題点は何であるのか、どういう主張というものが多様にあるのか、そういうことを適切に読者に提示していくのは言論報道機関としての当然の責任でございます。

 したがって、社説とか、まあ私ども論説委員会ですから社説を担当しておりますけれども、社説は別にしても、当然のことながら、各面において編集局を中心に憲法改正に関する多様な論点というものを読者に示していくということは当然重要な役割、責任として担っていくものと考えています。

 以上です。

近藤参考人 まず、毎日新聞の立場なんですが、憲法は不磨の大典ではないということで大いに議論すべきである、憲法改正については大いに議論すべきであるということで、これは造語なんですが、論憲という立場を今とっております。それで、ここはちょっと読売新聞さんとは違うんですが、自分の方から改正案を出すのではなくて、あくまでも国会で各政党がつくられた案について賛否を表明したり批判を加えたりするという立場をとっております。

 それから、糸川委員がおっしゃった、具体的に発議されたときに案について新聞社としての主張を述べるのかということについては、当然述べていくというふうに思います。

 それから、解説については、社の主張とは別に多様な論点を読者に明示していくということになると思います。

 以上です。

中静参考人 中静です。

 まず、憲法改正に対する考え方に関しては、産経新聞は、昭和五十六年に憲法改正が必要だという社説、「主張」ですが、掲載しました。以来、一貫して憲法改正が必要だという社論を張っています。

 ただ、これから出る憲法改正案がどういうものか、それの評価はまだ非常にわからないわけなので、それは具体的なものを見て、どう評価し、それが国民にとってどういう意味合いを持つのかということがやはり非常に大きなことだと思っています。ですから、社説とちょっと離れた報道の立場は、国民に多種多様な情報、材料を提供し、国民に判断してもらう。賛成、反対いずれもきちんと対処することが必要だと思っております。

 以上です。

赤松(正)小委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私の方からは、きょうおいでいただいた参考人の皆さんお一人お一人に簡単な質問をさせていただきたいと思います。

 まず、石村参考人に対しましては、先ほどの船田委員の質問とも関連するんですが、投票日一週間前からの広告制限という問題について、投票直前に広告放送が禁止されることが適切かさらに議論が必要だというお話でございますが、NHKは、放送局の性格上、そういう広告というものは禁止をされているわけですけれども、逆に言うと、広告の持つさまざまな、今日本の社会において展開されている広告のありようというものについて深く見抜いておられるというか、考えをお持ちだろうと思うんですけれども、一週間前、広告は禁止しますけれどもさまざまな報道、評論、討論番組等で落ちついた感じで憲法改正の中身についてきちっと知らせることはできる、そういう観点ではNHKの存在というのは一段と重要になる、そんなふうにも思うわけですけれども、改めて、期間は別にいたしまして、そういう広告制限をするということについての考え方を聞かせていただきたいと思います。

 それから、読売新聞の上村参考人に対しましては、先ほど、無料広告の割り当て基準として賛否平等も理解できないわけではないけれども議席数案分にも理由があるんじゃないか、こんなふうなお話。これは、理解できないわけじゃないけれども片っ方で理由があるということは、議席数案分の方に力点を置いた考え方を提示されたんだと思いますけれども、ある程度民意はあらわれている、ある程度確かに民意はあらわれていると思いますけれども、今の小選挙区制の仕組みという観点から見て、必ずしも民意が正確には反映されていない。そういう観点を踏まえて、結論はもっと議論しろということでございますけれども、改めてその議席数案分にこだわっておられることについての考えを聞かせていただきたい。

 毎日新聞の近藤さんには、むしろ今の読売の考え方に対して、毎日の考え方、その辺の議論はなかったかどうかということについて聞かせていただきたい。

 それから、産経の中静参考人に対しましては、ちょっと角度は違うんですが、インターネットについて。新聞社としてインターネットはなかなか興味のある存在だろうと思うんですけれども、一般的な公選法においては、インターネットを利用した投票運動は現在の時点で規制をされているわけですけれども、それはいわゆるネガティブキャンペーン等に利用されるケースが多いということだろうと思うんですが、今回の国民投票運動についてはそういう心配がないということで規制はされていないわけですけれども、それでいいかどうか、その辺のお考えがおありでしたら聞かせていただきたいと思います。

 それから、日弁連の吉岡参考人に対しましては、先ほどしっかり読んでもらいたいと言われた、この日弁連の意見書、今急速に読ませていただきましたけれども、その中で一点、憲法調査会を憲法審査会に改めることについて否定的な見解を示しておられますけれども、憲法調査会について二つ日弁連のお考えを聞かせていただきたいんですが、今現在の調査特別委員会の前身であります憲法調査会が五年の審査を経た結論をどう日弁連は見ておられるのか。二つ目に、憲法審査会に改組する立法には合理性があると思われないとおっしゃっているんですが、その憲法調査会の結論を、今後その中身を生かしていくということについてどういう手だてをとるべきか、どんなふうに考えておられるのか、その二点について聞かせていただきたいと思います。

 以上です。

石村参考人 広告放送の禁止のところの規定、有料放送で流す広告がどんなものであるかというイメージも、それぞれ皆さんお考えが、今の公選法でやっているような有料放送を描かれている方とか、いろいろな、イメージは違うと思うんですが、私は多種多様なCMのあり方はあると思うので、そういう中で考えた場合、基本的に、最初に規制があるよりは、そこは放送事業者の自主的な判断に任せて、果たして皆さんが御懸念されるような弊害になるのか、ゆっくりした環境で考えられなくなるような部分を助長するようなものなのかどうかというのがちょっとはっきりイメージできませんけれども、そこまで余り疑われないで、もう少し放送事業者の方の判断とかを信頼していただいた方が、私はそちらの方が賢明だというふうに考えております。

上村参考人 赤松委員からのお尋ねの件なんですけれども、小選挙区制のもとでというお話のように、必ずしも政党の考え方、意見の反映というものは議席案分でなくてもいいのではないかという御主張かと思われますけれども、私の方からちょっと申し上げたいのは、憲法改正というものが仮に具体的に現実的な課題となるような状況、発議に至る以前の政治状況であるとか、あるいはその前後、そういったものがどういうものであるのかというふうに考えた場合に、もし三分の二の賛成によって発議ができるそれ以前の政治状況のもとでは、衆院選であれ参院選であれ、国政選挙でも相当程度憲法改正というものが重大な国民的関心事になっている状況が想定されるのではないか、そのように考えるわけです。そういたしますと、そういう国政選挙を通じて、その結果として国会において国会議員の三分の二以上の賛成でもって発議できる状況になってくる、そういうことになるわけでございます。そうしますと、発議の時点での国会の議席の勢力の中に、既に実は相当程度有権者の、国民の憲法改正の問題に対する意思というものがあらわれているのではないか、そういうふうに私は考えるわけでございます。

 そういたしますと、現実的なそういう状況というものをある程度はきちっと考慮するということがやはり必要ではないかというふうに考えるわけです。これは、何も無料広告の割り当て基準としての議席案分というレベルにとどまらず、ほかの問題を考えるに当たっても相当程度私はきちっと考えるべき問題でなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう趣旨でもって、先ほどは無料広告の割り当てというものについて議席数案分にも理由があると申し上げたわけです。

 ただ、先ほども私が申し上げましたように、国民投票は、できるだけ幅広い議論、広範な自由闊達な議論が当然なければならないということで、その場合、やはり少数の会派の方の主張というものも当然配慮しなければいけない、そこは考えなければいけない。単純な賛否平等にも議論があるし、その一方で、議席案分といいましても、全く少数意見というものを無視するような状況というのも好ましくない。そこに平等、公正との観点というものをどう考えるべきか、その辺についてもう少し御議論いただいて適切な結論をいただきたい、そういう趣旨で私は先ほど申し上げたわけです。

 そして、今ちょっと御疑問の点もありました、小選挙区制という選挙制度のもとで、恐らくそれはそういう民意の反映ではあるけれども、小選挙区制というのは、基本的には大きな政党二つが争い、片一方が当選するということによってできる、さらに、そのほかの第三党以下の方々の意見というものが議席数という点では十分に反映されていない。しかし、有権者あるいは国民のレベルで考えた場合には、必ずしも議席数だけで判断できない側面があるのだという御主張かと思いますが、それは全くそのとおりだと私も思っております。

 でございますので、そういう点も含めまして、まさしく、最後に私がこうすべきであるというふうに申し上げることをせず、そういうことも含めてもっと議論を詰めていただきたいと申し上げたのは、その辺も配慮した上で申し上げたつもりでございます。

近藤参考人 私は上村参考人とはちょっと考え方が違っておりまして、まず、国政選挙で有権者が選ぶ基準というのは、各政党がマニフェストとかいろいろ出すわけですけれども、憲法改正に賛成とか反対という基準だけで選んでいるわけではなくて、その他の政策、それからその人の人柄だとかいろいろな基準があって総合的な判断で人を選んでいるわけです。

 ところが、憲法改正の国民投票というのは、そういうことではなくて、いわゆる将来の国のあり方について国民に問いかけるものであって、全く別な異質のものだというふうに考えます。ですから、国会の議席数の案分による無料広告の配分ではなくて、できるだけ賛否平等に近づけるのが正しいあり方ではないかというふうに思います。

 それから、先ほど小選挙区制は必ずしも民意を反映しているとは言えないというのも、私はそのとおりだと思っていまして、一票でも勝った方が当選するわけでして、それが国民投票をした場合にはひっくり返ることは当然あると思いますので、なるべくやはり賛否平等に近づけるような形での配分が望ましいという意見でございます。

 以上です。

中静参考人 インターネットのお尋ねなんですが、私は社を代表して意見を述べる立場でもありませんし見解もないんですが、個人的な非常につたない意見ということでしたら……。

 基本的には、やはり自由な議論、自由な評論、言論というのが基本だと思うんですが、特にインターネットの場合は物すごくいろいろな問題があることは事実です。ただ、インターネットを使う人が、インターネットで情報を発信する人が、自由な権利というのがある以上、これを濫用してはならないというのと、公共の福祉のために利用するという責任を負うというのが憲法十二条に出ていますし、やはりこれをきちんと守っていくということではないかと思っております。

 以上です。

吉岡参考人 先ほどの日弁連の意見書を早速お読みいただきまして、ありがとうございました。

 今の赤松委員の御質問の、これまでの憲法調査会が、大変長期間にわたってさまざまな角度から、また各議員の自由な発言のもとになされた大変貴重かつ有意義なものだというふうには評価しております。

 ただ、ここで自由にそういう形で憲法について調査したことと、これが直ちに改正の要否あるいはどこの部分を改正するのかというようなことについてはまだまだいろいろと幅があると思いますし、何といっても、国民の間の関心についてはまだまだだというふうに思います。ですから、これを直ちに提出権があるような審査会に改めるということについてはいかがかという点をここで述べているものでございます。

 以上でございます。

菅沼参考人 ちょっと補足を。

 今の点でございますけれども、憲法調査会、それから報告書について日弁連として正式にどこかで意見を述べているわけではないので、ただし、昨年、鳥取で人権大会をやったときに改憲論の問題について議論もしましたし、それの報告書も、憲法委員会として、憲法委員会というかそのときはシンポジウムの実行委員会として作成して日弁連の名前で出しておりますので、その範囲でお答えをしたいと思います。

 まず、調査会は、今回の意見書にも書いてありますように、日本国憲法について広範かつ総合的な調査を行うと。ですから、ある意味では、憲法をどう改正しようかだけではなくて、今までどういうふうに憲法が生かされてきたのかとか、また、これからどう生かしていくのかといったような問題点についてももう少し御議論いただくのかと思っておりましたけれども、憲法を改正すべきかどうか、あるいは、この点について改正意見が多数とか少数とかということにかなり集約された議論が多く、また、報告書もそうなっているという点については、もう少し、まだ広く本当の意味の広範かつ総合的な調査を行う必要があったのではないかということの意見をその報告書でも述べております。

 それから、議案提出権を持たないという前提でつくっている調査会を審査会に連続性があるような立法というのはいかがなものかという意見も申し上げたいと思いますが、与党案、民主党案いずれも、八十六条の二で、憲法調査会を憲法審査会に改めるという規定を置いているわけですけれども、議案提出権を持たない調査会を憲法の発案をする審査会に改めるというのは、これは連続性として、全く新たなものをつくるということではないのかなという点がやや疑問に思っているわけであります。

 それからまた、憲法審査会を新たなものとして設置することとした場合についての問題点は、今回の意見書で書かせていただいたとおりですので、お読みいただければと思います。

 以上です。

    〔小委員長退席、愛知小委員長代理着席〕

辻元小委員 きょうは、皆さん、お越しいただきまして、貴重な御意見をありがとうございました。

 その中で、広報協議会の構成につきまして、日本放送協会の石村参考人、それから毎日新聞の近藤参考人、そして日弁連の吉岡参考人の方から、外部の有識者などから成る専門部会の設置を検討したらどうか、それから外部委員も入れた方がいいのではないかというような御提案をいただいております。

 きょうも外部から皆さんの御意見を伺いまして非常に参考になっているわけなんですけれども、何か具体的なイメージをお持ちでしたら補足をしていただきたい、御意見を伺いたいというのが一点目。

 それから二点目は、毎日新聞の近藤参考人の方から、CMに関しまして、広告を出す側も自主的ルールを考えてみたらどうかという御発言が先ほどありました。

 これは、新しい視点ではないかと私の方は受け取りました。といいますのも、この間、皆さん御指摘の資金量の多寡による問題ということが多くの方から指摘されているわけなんですけれども、テレビでのCMの場合、広告を制作する段階からお金が大分かかるんですね。この前も指摘したんですけれども、例えば有名タレントとかスポーツ選手とか、何千万とか一億円とかのギャラを払って広告なんかに出る場合があるわけなんですけれども、そういう制作にも資金量の多寡というのが影響してくるという点もあると思うんです。

 ですから、メディアの側が賛否平等、偏らないようにという規制と同時に、では、つくる側もどうなんだというところは本委員会でも指摘が出ておりましたので、その点も踏まえて、もう少し追加で御意見をいただきたいと思います。

 それから、もう一つ。日弁連の吉岡参考人の方から、これはメディア関係ではないんですけれども、国民投票運動の規制ということで、公務員や教育者への規制の御発言がありました。これは、意見表明や活動を萎縮させる現実的危険性を持つということで反対であるという表明だったんですが、そこで、追加でお伺いしたいのは、国家公務員法及びそれに基づく人事院規則などがございますけれども、これについてはどうお考えか。

 今、本委員会では、民主党の提案者の皆さんはこのようにおっしゃっています。国民投票運動においては、現在、国家公務員法及びそれに基づく人事院規則において国家公務員に禁止されている政治的行為とはなされないという御発言もあったわけです。与党の方はここはまだ原案、規制が残っているという状態なんですけれども、国家公務員法及びそれに基づく人事院規則の適用についてどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。私は適用すべきではないと思っておりますが、御意見を伺いたいと思います。

 以上です。

石村参考人 広報協議会にいろいろな分野の方々を入れてやった方がいいというのは、私、基本的にはそう思っています。

 ただ、具体的なイメージとしてどういうことが考えられるかなというところになると、ちょっと私も知恵が余りないんですが、例えば憲法のいろいろな説明資料等についても、国会の中で設置されるということなら、かなり斬新な発想をお持ちの民間の方のいろいろな知恵なんかも入れてつくれるような体制をつくった方がいいのじゃないかなという気がいたします。

 余りイメージはわきませんけれども、例えば、漫画の入った文書とかそういうことだっていいだろうし、動画で何かつくるならアニメで簡単につくるとかそういう方法もあるでしょうし、そういうのを知恵を出せる分野の人たちをどんどん入れてやっていったらどうかな。そういう意味では、皆さん方の知恵にさらに新しい知恵を加えた方がもっとわかりやすく国民に説明できるんじゃないか、そのように考えております。

近藤参考人 私は辻元委員から二つ御質問をいただいているわけですが、まず一つは、広報協議会の構成で外部の有識者を入れた方がいいという意見を述べたら、その具体的なイメージはどういうものかということです。

 私個人としては、やはり第三者機関、つまり国会の外に置いた方がいいという意見を持っていますが、そうしますと例えば広報の権威というものがなくなるのでしたら国会内に置くのもやむを得ないという考え方でして、国会内に置くのでしたら、当然、衆参の国会議員は入るんでしょうけれども、最低限の条件として外部の有識者委員を入れるべきだ、こういう二段階の考え方ですね。具体的にどういう方を入れるかというのは、ちょっと今はイメージしておりません。

 それから、二番目の御質問ですが、広告を受ける側だけの自主ルールではなくて広告を出す側も自主ルールをつくるべきだということを申し述べましたけれども、私がイメージしているのは、例えば日本経団連だとか、その他お金をいっぱい持っている団体が、投票日直前というか集中的に有料CMをいっぱい流すということを避けるためには、例えば出す側の団体も、一日に一本であるというような総量規制の枠をはめた方がより平等が保てるのではないか、そういうイメージで申し上げているわけです。

 もちろん、広告を受ける側も自主的ルールは、多分日本新聞協会でこれから議論が煮詰まっていったら検討することになるんだというふうに僕は予測しておりますけれども、受ける側だけではなく出す側も何か総量規制のようなものが必要ではないかというふうに考えております。

吉岡参考人 まず、広報協議会の外部委員の点です。

 具体的にどなたという、もちろんあるわけではないんですけれども、この役割が、要するに国民にわかりやすく広報するという面がまずあります。ですから、先ほども出ましたように、そのために、そういうようなことにたけた方ということもあるかもしれない。

 それからもう一つは、やはり公平公正に、客観的に報道する、国民に知らせるという面でも、もちろん国会議員の方も良識を持ってきちんとできるとは思うんですけれども、やはり、それぞれが賛成か反対かを担って委員になっている部分もあるわけでしょうから、そこに客観的、中立的にできる立場の委員というのも必要ではないかな、こういうイメージで考えております。

 それから、もう一つの公務員の方の関係につきましては、菅沼参考人の方からお答えいたします。

菅沼参考人 この問題は日弁連として公式にお答えはちょっとできないので、若干私見が入ると思いますけれども、国家公務員法や人事院規則の解釈についてもかなり広い狭い、いろいろ解釈の幅があるかと思うので、こういう憲法改正についての意見表明がそもそも当たるのかどうかというところの議論もあろうかと思うんですね。それから、国家公務員法だけではなくて地方公務員法でも類似の規定があるわけですので、その辺をどう考えるか。

 それで、ちょっと私見になっちゃいますが、これは入らないだろうという、入らないというのは政治的行為とは別物であると考えられますけれども、これを仮に立法するときにはその辺の議論もきちんとされた上で規定を置いていただいた方がというのは、要するに、国家公務員法に抵触するけれども今回の法律で入れないというふうにやるのか、そもそもこういうものは国家公務員法の政治的行為にはならないけれども注意的に規定をするのかというその辺の議論もされた上で規定を置いていただいた方がよろしいかなと思います。

 結論的には、政治的行為とは別だというふうに考えています。

笠井小委員 日本共産党の笠井亮です。

 この国会でもこの法案、両法案の審議をしてきまして、私は、改憲手続法がないことで戦後六十年、国民の権利が侵害されたという事実はないし、現に改憲や手続法を求める国民の世論と運動が盛り上がっているわけでもない。なぜ今改憲手続法なのかということでいうと、やはり九条改憲の条件づくりというのがいよいよはっきりしてきたなという印象を持っているということが一つと、実際法案の中身でも、先ほど来お話ありましたが、政党の無料広告スペース、これは賛否半々にするという方向での修正という話もありますが、余りに批判の強いものは変えようという話もありますけれども、やはり全体として改憲を通しやすくするような法案の中身になっているという、主権者国民から見た問題点というのは基本的に変わっていないと思っております。

 これは前置きみたいな話ですが、きょうのお話を伺っていて、そもそも論とは別に、いろいろ御意見があるとしても、まだまだ多々問題点があるんだなと御指摘を伺いながら感じたところです。

 そこでまず、石村参考人、上村参考人、近藤参考人、中静参考人に共通して伺いたいんですが、メディアの役割との関係なんですけれども、先ほども石村参考人から主権者国民の多様な意見を反映するというのがメディアの大きな役割だという話もありました。それから、この両法案が出される前に、四月十三日と二十七日に参考人質疑がある中でNHKと新聞協会から参考人にお越しいただいたときに、放送あるいは新聞は国家のためではなくて国民のためにあるんだという趣旨のことを言われて、それは放送が要請される公共性、それから新聞を含めたメディアの権力からの自律の問題、あるいは憲法が定める国民主権とか基本的人権の保障などの要請からだということを強調されていたのを記憶しております。

 しかし、実際その後に出された両法案を見ますと、いずれも先ほども御指摘ありました部分があるんですが、国会に議席を持つ政党等に対しては放送、新聞の広告無料枠を与えたり、投票日前の一定期間は政党の無料枠の放送広告以外は禁止するということなど、周知広報の主体があくまで政党になっているということで、やはりそのことによって主権者国民が放送や新聞を通じて自由闊達に意見表明したり議論したり運動する上で結果的にはさまざまな制限が加えられている中身になっているというふうに思うんです。

 そこで、先ほど来、そういう点に関連しては、政党主体ということについてはさらに議論、検討が必要という御意見、あるいは妥当であるという御意見、あるいはほかの団体にも認める必要があるという御意見さまざまでした。そして、一週間前からという規制については賛成という御意見は一つもなかったというふうに全体として言えると思うんですけれども、メディアの役割あるいは国民のためという本来の役割を新聞や放送が果たされていくという観点から見て、政党が主体になっているというこの仕組みについて、技術的な問題というよりも本来の役割から見てどういうふうにお考えかということについて御意見を伺えればというふうに思います。

 それからもう一つは、公務員や教育者の地位利用の問題なんですけれども、これは読売の上村参考人と日弁連に伺いたいんですが、上村参考人、お話の中では触れられなかった部分で、レジュメにはあるんですけれども、公務員、教育者の地位利用に関連する御意見ということで、どういう趣旨なのかというのを一つ伺いたいということ。

 それから、日弁連は、先ほど陳述の中でもありました。これらの者の意見表明や活動を萎縮させる現実的危険性を持つということで言われたわけですけれども、これは各界からかなり批判が強いということについて、それを受けて与党の側では二つのことを修正という方向で行っているのかなというふうに私思っているんです。一つは地位利用と国民投票運動の定義を明確にする、それからもう一つは罰則を設けない、この二つでよしという話が与党の側からの説明であるように私は理解しておりますけれども、そうした修正をしたとしても、この禁止規定というのは網羅的に公務員や教育者にかかるわけで、しかも罰則を設けなくてもやはり公務員法上の懲戒処分の事由になるというふうに思うんです。

 そういう点では依然として、やはりそういう修正があったとしてもそもそものところで萎縮効果ということは全く変わらないんじゃないかと思うんですが、その辺をどのようにお考えかということで伺いたいと思います。

    〔愛知小委員長代理退席、小委員長着席〕

石村参考人 まず、笠井委員からの御質問は、国会中心で進められている部分についてのメディアとしての立場はどうかというようなことだろうと思います。

 憲法改正の問題、特に国民投票法に関することについて、国会が当然、国政の最高機関として、なおかつ憲法改正の発議権を持っている機関として、憲法問題について非常にオープンに長い間議論されていること自体については、私は当然やるべき仕事であろうと思っております。

 それで、この中で、メディアとして、我々の見方としては、やはりこうした憲法改正みたいな最大の案件にヒットをするわけですけれども、この手の問題については、やはり広くオープンにさまざまな形で議論を深めていくということが基本にあるのかなと思います。そういう意味では、投票法案そのものの制定に関しても、やはり制定までには広く国民の世論を喚起する土壌づくりというか環境づくりをきちんとやっていくことが非常に大事なことかなと思っています。

 そういう意味では、我々参考人を含めてさまざまな立場の方々から御意見をよく聞かれて議論をされているという形で、一つずつ何か前へ進んでいるなという感じを私としては受けております。

上村参考人 御質問が二点であったかと思います。

 まず、政党に無料の広告その他を認めるという政党主体の問題と新聞の役割との関連ですけれども、私は、先ほどの意見陳述の中でも、やはり政党が主体であることは基本的に妥当であるという考え方を申し上げた次第です。

 それで、これはもちろん、国民投票は憲法改正に関する問題であるわけですから、幅広い意見、幅広い考え方、視点、そういうものがさまざまに提起されて活発な議論が展開されることは当然望ましいわけです。したがって、政党以外の市民団体その他、それが個人であれ団体であれ、活発な意見が交わされることが望ましいということは当然であろうかと思います。

 ただ、例えば一つ挙げれば、こういう国費を投じた無料の意見広告などをどうするのかという場合に、先ほどもちょっと触れましたけれども、政党以外の団体とか、ましてや個人だとなお難問であろうかと思いますけれども、どういう団体に認めるのか、その要件をどう考えるのか、これは大変難しい問題だろうと思います。国費を投入し無料の意見広告なんかをやってもよろしいという団体として認定すること、そしてまただれがどういうふうにして認定するのか、そういうことを考えますと、私はやはり政党が望ましいのではないかということです。

 それから、これの方がむしろより重要かもしれませんけれども、やはり日本の政治制度、政治の仕組みが間接民主主義、間接代表制ということ、その中で政党が担っている大きな役割と責任は当然重視しなければいけないということ、これが根本であろうかというふうに考えております。

 それから、これは蛇足かもしれませんけれども、きょうの場合、どちらかといえば広告放送とか意見広告とかそういうことが議論の中心になっているわけですけれども、国民投票が行われるという局面になれば、一般報道でも非常に活発に多様な意見というものが交わされる報道番組その他いろいろなものが当然あるわけです。そうしたもの全体を通じて考えてみれば、やはり、恐らく国民の多様な意見というものは十分反映されるだろう、その中で新聞の役割というものは、もちろん多様な意見というものをしっかりと読者に伝えていくところにあることは先ほども申し上げたとおりでございます。

 それから、レジュメには書いておきましたけれども触れなかった点として、投票の運動が禁止される特定公務員の範囲の問題とかその他三点ぐらいございますけれども、投票運動禁止の特定公務員の範囲をどうするか、これはその運動というものをどうとらえるのかにもよるのだろうと考えます。

 当然のことながら、行き過ぎた行動は現状でも公務員法などによる規制もあるとは思います。基本的には直接投開票業務に携わる選管職員のみで十分だという考え方も当然あるわけですけれども、ただ、一方で、なぜ選管職員だけなのかという疑問が出てもおかしくはないというふうに考えます。

 選管職員は、当日は選管の職務に直接携わるでしょうけれども、当然、そうでないときには普通の一市民として生活もするわけですし、そういうところで友人なんかと話す中で自分の意見を述べたり主張するということも当然あるでしょうし、そういうことの範囲というものを踏まえながら、一体どこまで何らかの規制なり罰則なりがあり得るのか、なかなかこれも難しい問題であろうと思います。

 こういう点についても、私は、こうすべきであるという明確な意見をきょう時点で持っているわけではございませんで、もっと議論を深めていただければなと思っているところです。

 それから、公務員、教育者の地位利用の問題については、これまでもいろいろ議論がありましたように、地位利用の定義がやはりはっきりしないということはもうそのとおりだというふうに思います。禁止されるべき地位利用とは一体どういうものなのか、これはやはり厳密かつ具体的に示すことが必要なのではないかなというふうに感じます。

 それから、組織的多数人買収・利害誘導罪についてもやはり要件の厳格化というものが必要であろう。そうでなければ、こういうものの恣意的な適用が仮にされるようなことがあれば、やはり国民投票の運動というものの活発化を阻害する要因になりかねない側面があることは否定できないのかなというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤参考人 政党が主体になることについてどう思うかということなんですが、現行憲法が憲法改正の発議ができるのは国会だけということを規定しているわけですから、国会を構成しているのは政党が主ですから、それはやむを得ないことだというふうに思います。まず一点。

 それから、メディアの役割との関係で、意見広告も政党主体でなくもっと団体なんかに広げるべきではないかという御主張が裏に潜んでいると思うんですが、私は、メディアが多様な意見を自由闊達に議論する場を提供するという役割を持っているわけですから、そういう意味からも団体までに無料広告枠を広げるのは望ましいという意見でございます。先ほどもそういうふうに申し上げました。

 ただし、ではどこで線を引くのか、どういう団体だったらオーケーでどういう団体だったらだめなのかというのが、私の知恵ではちょっと思い浮かばないので、逆に、笠井委員に何かお知恵があるんだったら聞かせていただきたい、そういうふうに思っています。

 以上です。

中静参考人 政党の主体については、これは多少重複になると思うんですが、基本的には発議をするのが国会だということで、やはりこれは政党が主体にならざるを得ないんでしょうし、私はそれは、ある意味で、いろいろな経緯なり問題点を政党はきょうの議論のように交わしているわけですので、それはやはり当然なことではないかと思っています。

 また、メディアの役割についてちょっとお尋ねがありましたが、何で憲法改正が必要なのかということはいろいろな角度からやはりきちんとメディアとしてはっきり示す必要がある。これは賛否両論を含めて、いかにわかりやすく、なるほどなと国民が思えるように、それを努力することが非常に大事なことだと思っております。

 以上です。

菅沼参考人 まず、地位利用の問題を限定できるかということですけれども、本日、先ほどの意見陳述でも申し上げましたように、職務権限に直接絡めて賛成投票もしくは反対投票をすることを強制する、こういった事態については職権濫用罪という規定で規制が現実にできるわけですから、それ以外の場面で果たして地位利用ということが、そもそも規制をしなきゃいけない地位利用があり得るのかどうかという点がまず一点、問題かと思います。

 それから、罰則がなければいいかという問題ですけれども、ほかの法律関係でも、例えば公務員で言えば、罰則はなくても、それに基づいて通達で徹底をさせて、それに違反したら懲戒処分というようなこともあり得るわけですから、この法律で罰則がないから萎縮効果はありませんということにはなかなかなりにくいなと思います。

 それから、限定の中でもう一つ、今出ている法案の百二条の「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為」、これをさらに限定するのかという問題も一つあろうかと思うんですけれども、これをさらに限定するということ自体はあり得るとは思います。ただ、その場合でも、きょう議論されている七日前というときに、どういう行為がいけないのかということの議論の前提で、本当に七日前には、賛成に投票してください、反対に投票してくださいと言わなければほかのことは自由だということではなくて、もう少し広げた発想でいろいろ議論をされているかと思うんですね。

 ですから、この定義を厳格にしたからといって、そこで問題が完全にクリアされるというよりは、それの運用も含めて、規制にならないようなきちんとした配慮ができるのかどうか、その辺は十分御議論いただく必要があるかなと考えております。

 以上です。

枝野小委員 参考人の皆さん、ありがとうございます。

 参考人の皆さんのお話を伺いながら、若干誤解を受けている点があるのかなと思いますので、まずその点について改めて説明をしたいと思います。

 広報協議会と国民投票公報についてなんですが、憲法改正の発議がされている段階で、これについてわかりやすく伝えるということを、賛成論、反対論双方にとって中立公正なものをだれかがつくって両方がみんなそれで納得するだなんということはあり得ないという前提に立っています。

 それは新聞の皆さんなんかもそれぞれ中立な立場で解説を書くと当然おっしゃるわけでしょうけれども、多分、産経新聞の解説は朝日新聞は違うと言うだろうし、朝日新聞の解説は産経新聞は違うと言うだろうし、それはまさに、民間の皆さんが報道の自由の中でそれぞれの責任と判断で中立公正にやっているということでいいんですが、公権力の立場でそういうことであっていいのかというと、そうではないだろう。

 したがって、とにかく広報協議会でやることというのは、裁量の余地のない部分しかやらない。そして、賛成の立場からわかりやすく解説する、反対の立場からわかりやすく解説するというのは、枠を対等のスペースを確保して、その中についてはそれぞれの立場が自由にやってくださいと。漫画を使ったりなんというのは、それぞれの、賛成論のグループの中でそういう人を引っ張ってきてうまくやってもらうとかいうことがこの法案の想定している広報協議会であり国民投票公報であるということをぜひ知っていただければというふうに思います。

 その上で、特に日弁連の皆さんと議論させていただきたいんですが、私も迷っている話です。

 つまり、テレビCMについて、規制はしない方がいい、自由にした方がいいという一方で、賛成意見も反対意見も対等に扱う、資金力による不公平が生じないような工夫をする、これは実は相矛盾をする話ではないのかと。

 実際にテレビCMのとり方ということを考えると、先ほど来出ているとおり、時間帯とか曜日によって全然意味が違います。そうすると、時間帯とかそういうところも全部、賛成論、反対論、公平にしろということであるならば、テレビ局は相当、国民投票の発議がされた時点から普通のコマーシャルの売り方はできなくなるということになるわけであります。

 普通は、何カ月先までも欲しい時間帯は大手広告代理店がしっかり押さえているわけで、一たん押さえたものを放せとかそういうことをやらないといけないとか、そういうことになりかねないし、あるいは、広告代理店に規制をかぶせてあるいは自主規制をさせて公平にやりなさいということになるのかということではないのか。こういうところに介入する方が、一般的にやるなという話よりも、ずっと実際には報道機関に対する介入になるのではないかという思いがあるわけです。

 さらに言うと、総量規制も、これは広告発注者の表現の自由ということを考えたときに、例えば賛成論の広告の出稿が十ぐらいしかなくて、反対論の出稿が百ぐらいありましたと。そうすると、賛成論が十しかないんだから反対論の方の九十の人は意見表明の自由がないのか。しかも、賛成論のCMを出すところ、反対論のCMを出すところが、一つの団体が十出す、百出すだったらまだしも、こっちは十の団体があって、十の団体が十ずつ百やります、こっちは一の団体が十出しますと。さあそうすると、九の団体はやれないのか、それとも全部一ずつやるのか。

 こういうところを本当に総量規制でやったときに、逆に、意見表明の自由という、広告出稿者の側の規制にむしろ深刻な話になるのではないのか。むしろ、形式的論理、形式的平等で、例えば全面的に禁止をしてしまう方が、報道機関、テレビ局に対して公権力が介入する程度は小さいということになるし、それから、いろいろなケース・バイ・ケースで、ある人たちは意見表明の自由が抑えられ、ある人たちは全面的に認められるとかというアンバランスが出てこないのではないのか。

 こういう観点から、むしろ全面的にテレビCMについてはやめる方向の方が実はフェアだし、介入の度合いが小さいんじゃないか、こんなことを迷いながら検討、議論をしているんですけれども、今の点について日弁連の皆さんの御意見を伺いたいんです。

吉岡参考人 確かに悩ましい問題だと思うんですけれども、きょうの意見で言いましたとおり、まずは、前回メディアの方が来たときも、それは自主規制でやるんですというふうに言っているわけですね。ですから、そこをメディアの側の工夫が全くないというふうに決めるような形にして、その弊害を恐れて全面的に規制するのか。やはり、しかしそうはいっても全くそれを禁止しちゃうというのはいかがというところで、私どもは、表現の自由とメディア側の良識とその工夫を前提に、この意見を述べているところなんです。

 ですから、今枝野委員の言うような悩ましさは確かにありますけれども、だからといって全面的に今直ちに法律で規制してしまうのはいかがかなということで、お答えさせていただきたいと思います。

枝野小委員 例えば、私たちはテレビCMを選挙のときなどに出稿する側で、テレビ局の考査を受けたことのある側なんですよ。自主規制というのは、公権力との関係では自主規制というのは正しいことなんですが、広告を出したいと思っている側からすると、何でこのCMはだめだとはねられて、何でこのCMはオーケーで流されるのかということは、テレビ局の勝手な判断なんですよ。これは、まだ選挙の場合は、政党が広告を発注する主体ですから、それでも公権力の側かなという感じはしないでもないので、それはしようがないかなと思わないではないのですが、民間の市民団体がテレビ局にCMを持ち込んだら、これは考査の関係でこんなCMは出せませんとけられるケースは当然出てくるわけですね。

 それをまさに自主規制でやることが、逆に今度は、要するに、公権力とテレビ局との関係だと自主規制というのは正しいかもしれませんが、広告を発注する、出したいと思っている市民団体の方との関係では、逆に、オーソライズなき権力が勝手に判断されるということに現実的にはなるんだと思うんですよね。そういうことがあって本当にいいのかどうか。発注者は権力を持っている団体だけではなくなるわけですから、今度は。

 そういうところを考えると、では本当に自主規制でいいのという、そんな感じがするし、それから、最終的には、自主規制ということになると、先ほど言った時間帯とかなんとかということを考えると、本当の意味で賛否フェアには絶対にならないと思うし、あるいは、さらに極端なことを言うと、三つのテーマを同時に発議するようなときは、Aには賛成、Bには反対だなんという広告についてはどう扱うんだとか、現実的には自主規制ということには相当問題があるのではないかと思うんですけれども、どうでしょう。

菅沼参考人 これは、この問題だけではなくて、憲法というものとほかの法律や規制との関係を前提に考えた場合に、こういう一定期間にしろ全面的に表現を認めないということが憲法上認められるのかどうかということが非常に議論にはなっているんですね。というのは、確かに、今、個々的な問題を、この問題だけとらえて話をするといろいろ問題がある、そこには工夫をするのが非常に困難だという問題もあります。

 ただし、これを一たん認めてしまうと、法律によって、場面によって人権は、しかもここで言う人権というのは、政治的な意見を言う言論の自由を規制できるんだということを一たん認めてしまうと、では、ほかの問題もどうなんだと。特に、民主党さんの場合は、国政に関する重要な問題という場合にも国民投票を御提案されておるんですよね。そうすると、立法にかかわる問題で国政の重要問題だ、では今度国民投票にかけましょう、あっ、これも規制をしないと、これについての意見もテレビやラジオで言えないようにしましょうということになってしまった場合に、今の憲法の構造からそういうことをそもそも認めていいのかという問題をまず根底から考える必要があると思うんですよね。

 それと、確かに工夫が問題だということは、これはちょっとこちらも不勉強かもしれませんけれども、では現実にやるときにテレビで放送するについてはどれだけの費用がかかるんだ。例えば、何分やるのにどれだけかかるんだ。それから、当然これは、無料の場合もテレビ局さんがボランティアということじゃないでしょうから、恐らく税金でやるということになれば、一体、無料の時間をどれだけ使える、それについてはどのくらいの予算を組まなきゃいけないのかと。

 だから、そういうことをもっと、数字も入れて、いろいろシミュレーションをして、いわゆる全面規制というような憲法の根幹にかかわるような規制ではなくて、工夫ができないのかと。この辺をもっと議論していただきたいし、こちらも研究すべきかなと思っているんです。

 だから、まず、市民団体その他については、従前から申し上げているように、無料で使える枠をどれだけ使えるのか。ただ、それももちろん、費用というのは最終的には税金で賄う部分があるわけでしょうから、無制限にできるわけではない。それから、自主規制で賄えない部分はどのくらいあるのか。

 だから、もっと個別の問題でクリアするということと、先ほどの繰り返しになりますけれども、憲法の大前提、この規定は表現の自由を害さないんだという理由をどうやってつくるのかという点はクリアできないんじゃないかというふうに考えております。

 以上です。

園田(康)小委員 私からも、きょうは参考人の皆様方からさまざまな御意見をいただきまして感謝を申し上げたいと思います。

 そして、先ほど辻元議員からも御質問のあった広報協議会の構成について、もう少し私からもお伺いをしたいというふうに思っております。

 特に、先ほど石村参考人から、まだ具体的なイメージはないけれども専門部会なるものを広報協議会の中に設けてはどうかという御提案もありました。これは本来ならば、先ほど枝野委員からもお話を申し上げたように、裁量の余地のない部分に関して、これをきちっと行える、そしてオーソライズしていくのがまず一義的には広報協議会の役目、役割であろうというふうに思っておるわけであります。

 その中で、どのような形をその広報の中に取り入れていくかという参考になる意見として、きょうのような皆様方からの参考意見をお伺いするというようなことを念頭には置いていたわけでありますけれども、もう一歩踏み込んで、もし仮にこの中で、例えば法案の規定の十八条に両院議長の協議決定への委任というのがありまして、広報協議会に関する事項について、両院の議長が協議をしてそれを定めるということになれば、おっしゃったように広報協議会の中にまたさらに専門部会のようなものを設けるということは可能であるのかなと。その中で外部のそういった参考になるような方々の御意見を拝聴する、委員を中に取り入れるといいますか、来ていただくというようなことは、ひょっとしたら可能になるのかなというふうに思っておりますが、完全にこの広報協議会そのものの中に対する外部委員というのは、今の規定の中では少し難しいわけでありますし、もともと、この発議をする国会の中に設置をすると、先ほど近藤参考人からは国会の外に第三者機関として設けるのが望ましいのではないかという御意見をいただいたわけでありますけれども、私どもの考えておりましたのは、この発議をする国会の中に、しっかりと審議をしてきたこの国会の中に設けるという形が今の中においては前提となってくるのかなというふうに考えていたわけでありますけれども、その国会の中に設けるという場面の中において、さらにこの広報協議会の専門部会なるものを設けるということに対しての見解をもう少しお伺いしたい。

 それから、これは近藤参考人あるいは日弁連の吉岡参考人からもお話があった、賛成、反対同数の割合で広報協議会を設置することが望ましいのではないかという御意見をいただいたわけでありますけれども、仮にこういうことが、私は望ましいと思うわけでありますけれども、全会一致という形で国会内の各会派が一致をした場合の選任方法というものが逆に難しくなるのかなというふうには思うわけでありますけれども、その点を想定した上で、この構成の部分がどういう形で行われるか、もう少し御意見をいただければなというふうに思っております。

石村参考人 広報協議会につきましては、ちょっと私も勉強不足かもしれませんので、先ほど枝野委員から、賛否両方の公平性を担保するための協議会という意味合いが強いということをおっしゃいましたけれども、私自身として思うのは、国会が憲法改正を発議して広報協議会を設けるということになれば、その役割というのは、国民にいかに活発にこの改正論議の賛否を問うかということを基本に、どうやったらそれが周知徹底できるのか、どうやったら活発な論議が行われるのか、そういった点を議論の中心に置くべきではないかなと。その上で担保すべきものは担保すべきという部分があってしかるべきで、単なる賛否の担保をするだけとしてこの広報協議会があるとしたら、何か非常に、ちょっとわかりにくいというか、逆に第三者にしてあげた方がいいじゃないのというぐらいの感じがするんですけれどもね。

 ですから、本当に広報協議会を機能的なものにするということならば、単に賛否があって、それをどうやったら平等に出せるかということをお互いに監視し合う形でやるだけだったら何か余り意味がないような気もいたしますけれども、だから、私が言っているのは、もう少し国民に広く訴えるという視点で設けられる広報協議会かなという気がいたしますので、それだったら、やはりさまざまな知恵を取り込んで宣伝活動並びに周知活動をやった方が妥当ではないかな、そのように思っております。

近藤参考人 質問の趣旨を取り違えていたらごめんなさい。要するに、広報協議会のメンバーは賛成、反対同数が望ましいということについてあなたはどう思うかというふうな質問でよろしいですか。

園田(康)小委員 と同時に、全会一致という場面も起こるかと思うんですが、そのときに国会内で構成が難しくなるのかどうか。

近藤参考人 わかりました。

 先ほど枝野委員が、広報協議会の役目として、公正中立なんというのはあり得ない、つまり、裁量の余地のない部分でそれぞれ賛成、反対の枠を決めて、その中に回答を埋め込んで、それをオーソライズして広報をするんだ、こういうふうな御説明でしたので、もしそれが担保されるのでしたら、構成メンバーは賛成、反対同数にするということは余り意味がないわけでして、担保されるならという前提に立ちますけれども、それはそれで構わないというふうに思います。それから、全会一致も意味ないと思います。

 以上です。

菅沼参考人 全会一致ということを想像しながらこの議論をするということはかなり困難があるかと思うんですけれども、だから、それについてのお答えまでは正直言うと準備してございません。

 それで、賛成と反対というのが、要するに国会で決めたときはもちろん三分の二以上ですから圧倒的に数は優位なわけですよね。ただ、ここで広報協議会がやる任務というか役割というのは、数の優位をそのまま持ち込むのではなくて、それぞれの問題点を洗い出して国民に考えてもらうための材料をどうつくるかと。それで枝野先生がおっしゃるには、中身をつくるんじゃなくて仕組みをつくるのが協議会だという御意見ですけれども、いずれにしても、そういう問題点を提示するための協議会であって、そのまま数を持ち込むということではないということを強調する意味でやはり構成もということを申し上げているんです。

 全会一致の場合についてはさらに考えたいと思います。

愛知小委員 憲法改正を発議した後、国民にどうそれを周知徹底するかというようなことが議論に、この法案がそうですから当然なんですけれども、私はむしろ発議に至るまでの経緯を国民にどう広報するかというところの方が大事であって、それが綿密に国民の目の前に議論の経過が広報されて、それでこういう発議になりましたということが国民が周知すれば、国民は正しい判断ができるんじゃないか、こんなふうに思うんですね。

 特にそういう点からいうと、NHKの役割は極めて大きいであろう。憲法審査会が設けられて審査が始まったら、NHKにできるだけ多く国会中継をやってもらいたい。この間も、初めてこの憲法特の審議の様子が、NHKが中継してくれましたね、あれで国民の認識は極めて高まりましたね。ですから、NHKの役割は大きい。憲法の話はほかの法律とちょっと違いますから、場合によっては必ず憲法審査会の様子は国会中継するというぐらい、NHKにはやってもらってもいいんじゃないか、私はそんなふうに思うんです。

 それと若干関係しますけれども、国会の審議がNHKの都合によって左右されるということがあるんですね。この憲法の話も、前国会でNHKの国会中継をしてほしいと与野党を挙げてお願いしたんですけれども、だめだったんです。できなくて、この国会で初めてそれが実現しました。つまり、NHKの都合で国会の審議が左右されるというのはいかがなものかと私は思うんですね。

 NHKを批判するようなことを申し上げて恐縮なんですけれども、役割が大きいということを言いたいんでありまして、ぜひ国民に正しい理解をしてもらうために、NHKのみならず、ほかのマスメディアもそうでございますけれども、役割は大きいということをぜひ強調したいと思うんですが、NHKの石村さん、ちょっと御意見を伺いたいと思います。

石村参考人 国会の中継については、さまざまな委員会等も展開されますので、基本的には、通常国会にしろ臨時国会にしろ、衆参両院の総理の所信表明であったり施政方針、代表質問、予算委員会の各党の一巡、それから重要法案については適宜こちらの編集判断で判断する。それから、今回の憲法問題等のような重要法案といいますか、特別ないろいろな審議が行われる場合には、これはこれからさらに論議が煮詰まってくれば当然最重要課題の法案となってくるということもあるんでしょうし、その辺はいろいろな国会の審議状況とか全体を見きわめて総合的に判断していきたいと思います。

 基本は、憲法問題については、当然国政の中でも最重要な課題であるということは十分認識しておりますので、その線に沿ってそれぞれの状況下で判断をさせていただきたいと思っております。

中山委員長 私が発言をするのもどうかと思っておりましたけれども、愛知委員からNHKに対する強い御要望がございましたが、これは、委員長としても、また委員の皆さん方とともに強く要望してきた経緯がございます。

 私がもう一つ石村参考人にお願いしたいことは、NHKの海外放送で、この日本の憲法改正の論議がどういう経過をたどっているかという報道というものは、これから特にアジア地域の各国との関係が非常に大きく影響を受けると思います、そこで、ぜひ公正な報道をしていただきたい。私どもは、それぞれの立場で、議員として各国にも連絡をするつもりで準備しておりますけれども、これは国家の大きな一つの体質の転換でございますので、その点はぜひ十分御協力をお願い申し上げたい。これはお願いを申し上げておきます。

船田小委員 自民党の船田でございます。二回目の質問、お許しありがとうございます。

 私からは、これは質問ということではなくて、これまでの参考人のお話、それから委員の皆様からの提言等を踏まえまして、与党の立場として少し説明が必要かなと思う点を幾つか申し上げたいと思っております。もしその後参考人の方々で御答弁されたいという方があれば、結構でございます。よろしくお願いします。

 それから、制限時間を超える可能性がありますので、その点、お許しください。

 まず、辻元委員から先ほど御質問といいますかお話がございました中で、公務員の政治活動の禁止規定の扱いについて、民主党はこの規定につきましては採用しない方向でというお話でございましたが、これについて与党は何も言っていないのではないかという御指摘でありましたが、先般の十一月二日の当委員会といいますか、親委員会の方で私がこのように申し上げました。公務員法を適用すると、国家公務員法と地方公務員法では政治的行為の内容が少し違っているということがあるので、その点を踏まえてきちんと調整をしなければならない、こう申し上げました。

 ただ、これは内容にはまだ触れていないものでございまして、その後、与党内で検討しました結果としまして今申し上げられることは、この国民投票運動については、国家公務員法、地方公務員法等の政治活動の禁止等に関する規定は適用しないものとすることというふうに修正を加えたい、こう考えております。この点で、民主党との間での調整がしかるべく行えるであろうということを期待しております。

 それから二つ目に、これは参考人の方々から、公務員、教育者の地位利用による国民投票運動の制限の問題、この問題は国民投票運動そのものを萎縮する効果がどうしても出てしまうのではないか、こういう御指摘がございました。したがいまして、私どもとしては、一つは従来の地位利用の定義をさらに厳格化するということで対応しようとしておりますが、もう一つ御参考までに申し上げたいのは、「国民投票運動」の項目におきまして、その最初に「適用上の注意」ということを書かせていただいております。それは、読み上げますと、国民投票運動及び罰則の規定の「適用に当たっては、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」ものとすることと、あえて「適用上の注意」ということで注意喚起をさせていただいているということでございますので、この規定と地位利用の規定をあわせ読んでいただく、あるいは、これを適用する場合にも、あわせ適用するということが可能であると思いますので、ぜひその点は御理解をいただきたいと思っております。

 それから、その次、三番目の話でございますが、石村参考人、近藤参考人、吉岡参考人からは、無料広告放送、無料の新聞広告において、政党に限定することなく、しかるべき団体にもそれが利用できるようにすべきである、こういう御指摘をいただきました。そこで、私ども与党の中でもさまざまな議論を続けておりまして、修正の方向としては、やはり政党がその中心、責任を負わなければいけないと思っておりますけれども、それぞれの政党がその指定する団体に、当該放送、つまり無料の放送あるいは無料の新聞広告の一部を団体にも行わせることができる、政党が主体となって政党が指定した団体に一部その枠を開放することができるような仕組みをつくりたい、このように考えております。

 ただ、そうはいっても、どういう団体に行わせることができるのかできないのかということが、すべて政党に任されるということも確かに問題があるのかもしれません。もしそういう事態が生じた場合には、広報協議会という場におきまして、何らかの基準、各政党が選ぶにしても、その選ぶ際の一般的基準、緩やかなものになると思いますけれども、基準を広報協議会において協議した上で決定をし、それに基づいて各政党が指定する団体をこの無料枠においての利用を可能とさせる仕組み、スキームをできればつくりたいなと考えておりますが、少なくとも、法案の修正という点では、政党等が当該放送あるいは当該広告の一部をその指定する団体に行わせることができることという方向でやっていきたいと思っております。

 最後になりますが、時間オーバーで申しわけございませんが、先ほど枝野委員から、有料広告、特にテレビCMの扱いということにつきまして、一つ提言といいますかお考えが示されました。いろいろなことを考えますと、悩ましいんだけれども、テレビCM有料につきましては全面禁止、これは多分、発議をされた後、周知期間全体を通じての禁止ということになるのかと思いますけれども、そういった御意見が出されたわけでありますが、私自身は、確かに、そういうことをやれば、先ほど私が申し上げたような賛否平等の扱いをしてくれとかあるいは量的に賛否が平等になることが非常に難しいのではないかということにつきましては一挙に解決をする、こういうことになると思います。しかしながら、やはり有料であってもこの広告を行う広告主の表現の自由とかあるいは言論の自由といったものを考えた場合には、やはり全面禁止というのはやや行き過ぎだなということを私からは言わざるを得ないのかな、こう考えております。

 ただ、その趣旨を生かしていくということであれば、投票日前七日間の有料の広告の禁止ということについて、期日前投票の期間というのが十四日間ということで、これは一般的に行われていることでありますので、七日間の禁止を例えば十四日間の禁止ということで期間を少し延ばすことによって、全面禁止ではありませんけれども、総量規制の一部に資することができるのではないか、こういったことを新たに提案してみたいというふうに思っております。

 それともう一つは、量的なバランスをとるかとらないかは大変難しいことでございますけれども、放送局あるいは新聞、メディア等に対しましては、賛否平等の取り扱い、先ほど言ったように時間帯の問題、あるいはどの紙面を使わせるかという問題、あるいは何曜日にそれを広告するかという取り扱いの平等、取り扱いの公平性ということについては、これはできれば、緩やかな規定で結構でありますので、何らかの規定を設けてメディアの皆様にお願いをする、こういうことが必要ではないかな、こう考えております。

 以上、質問ではありません、あくまでも感想と解説でございますが、よろしくお願いいたします。

笠井小委員 きょうは、お忙しい中、貴重な御意見とお答え、本当にありがとうございました。改めて感謝したいと思います。

 二度目の質問というか発言ですので、幾つか伺いたいこととコメントがあるんですが、一つは、先ほど広報協議会の構成と掲げている事務というかやる仕事の関係の話があったんですが、どちらの案でも十四条に書いてある話で、十四条、十五条、十六条にかかわってくると思うんですけれども、公報を作成するという問題が第一に書かれているんだけれども、それ以外に説明会を開催するとか、十六条でいきますと、「協議会は、憲法改正案の広報のため、委員を派遣することができる。」ということで、派遣して、そこでいろいろ説明したり話をしたりということになってくるという場面が活動の中身に入っているわけですね。それが決まった枠の中でとにかく公報は全く技術的に入れるだけだから関係ないんだと言えばそうなんですが、そうじゃなくて、今あるものについて言えば、そういうことまで含めた広範なものがあって、それを結局、この議事は出席委員の三分の二以上の多数で決する。そして、委員が派遣されたときに何をしゃべるのかという話は、いろいろな問題が出てくるということがあるんじゃないかというのは、私はこれは問題点として、今ちょっと枝野さんから何かありましたけれども、感じているところだということです。

 それから、先ほど周知広報をめぐって政党主体ということの仕組みについてお答えいただきまして、それぞれありがとうございました。関連して日弁連に伺いたいんですが、私は、主体をどうするかということで言うと、いろいろ技術的な問題はあるにしても、根本的にはやはり憲法九十六条の趣旨との関係ではないかというふうに思っているんです。

 たしか十一月七日の小委員会で、吉岡参考人が、政党等による無料の広告について、政党のみに認めることになれば国会での審議の中身がそのまま反映されることになってしまう、憲法改正が最終的には国民投票による国民の判断にゆだねることとされているのは、憲法改正の是非について改めて広く国民の中での自由闊達な議論をして、その結果、主権者たる国民一人一人の判断にゆだねるものだということで言われたし、それから、その日に、民放連の渡辺参考人も、国会の仕事は改正を発議するまでで、その後は国民の自主的な判断と幅広い議論にゆだねられるべきではないか、そこで政党のみが放送を無料で使用する特権を持つのは疑問だということも言われたんですが、両案ともに、結局政党のみ優遇というかその仕組みには手をつけないで、線引きが難しいという説明が一方で提案者からありました。

 それから、先ほど近藤参考人からも、では、笠井はどういう市民団体ならというようなことで線を引くのかということで逆に御質問を受けたんですが、私自身は今手続法は要らないという立場なので、それを考えるのは、そういう質問が出たら、それは提出者が考えて答えを出してもらわなきゃと思っているんですけれども。ただ、今船田委員から、政党以外の団体という場合には政党が指定する団体に対してその枠の中で使うというようなことでもありましたが、しかし、それでも結局は政党が基本であって、主権者国民がメディアを使って自由闊達に意見表明するというふうに、議論して運動するというふうにならないんじゃないかと思うんです。

 日弁連に伺いたいのは、技術的な問題を理由に九十六条の趣旨を踏まえないやり方というのがいいのかどうか、基本はどこに置くべきかということについてお立場を伺えればと思います。

 それからもう一点、日弁連ですが、先ほども、この間、三回にわたる意見書ということで御紹介がありまして、きょうの意見表明でもまだまだたくさん問題点があるというふうに伺ったんですが、一点だけ、十二月一日付の国会法改正に対する意見書の中で、その一で「憲法改正案の発議要件等について」ということで、議員が改正案の原案を発議する要件として、衆議院では議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要するという点について御意見を述べられています。

 私、これもいろいろ問題があるなというふうに思っている点だったんですね。ある意味、改正原案を出すときに、少数会派であっても原案を出して、それはいいと言ってみんなで話し合う場面だって当然あると思うんですけれども、この百人、五十人についての、ここで御意見を述べられている趣旨について簡潔に御説明いただければと思うんですが、お願いします。

吉岡参考人 最初の委員御指摘の九十六条の基本的な問題、これは今御紹介があったとおり、前回申し上げたとおりでございまして、やはり何といっても、憲法について、国民がみずからの憲法を選ぶということが重要でございますので、確かに発議する政党も重要ですけれども、国民の側で自由闊達なこれに対する意見表明をして選ぶということは重要だということを繰り返し述べているところでございます。

 それから、今の国会法につきましては、菅沼参考人の方から答弁いたします。

菅沼参考人 今笠井先生おっしゃったように、少数でもいいという見解も学者でもあることも存じています。ただ、硬性憲法ということを全体に言うのであれば、国会の発案のところでも同じような、百人、五十人というのが果たして数として多いのか少ないのかという議論はあると思いますけれども、国会で発議するときも三分の二という要件があるわけですから、発案のときもある程度の絞りは、これは全面的に賛成とまではこの意見書のときも言っていませんが、おおむねそこは同意を得られたということです。

 それからもう一つは、それと絡めて、憲法審査会で、百人、五十人もないまま、中で発案できるということもやはり問題ではないのか。だから、その辺もパラレルに議論をしているということだけちょっと御紹介させていただきます。

近藤小委員長 予定時間も迫っておりますので、現在プレートをお立てになっております辻元委員、そして枝野委員までとさせていただきます。

辻元小委員 先ほどから議論に出ておりますCMの規制について、もう一度伺いたいと思います。

 先ほど日弁連の菅沼参考人が枝野委員の質問にお答えになっていますので、追加でお伺いしたいんですけれども、法律などで規制したり公権力というか立法の府で決めるのは表現の自由との関係で問題がある、しかし、放送協会、民放連など、民間の団体が規制を設けるのは表現の自由との関係では問題がないという御見解なのか、そこをどのようにお考えかということをお聞きしたいと思うんです。それが一点です。

 といいますのも、民放連の方の御意見も何回かお伺いしているんですが、非常に、どのようにしたらいいのかという、規制が難しいなということがお伺いしたお話の中にも多々出てくるわけですね。

 例えば、前回この小委員会に来ていただいたときは、このようにお答えになっているんです、CMの内容によって意見の強弱や賛否の強弱など著しくアンバランスを生じた場合に、放送法の規定にもある政治的公平の観点からどのように考えるべきかなど難しい問題をはらんでいると。その後、国民投票運動にかかわるCMは、憲法改正案に賛成か反対かを視聴者にストレートに問う形の、日本のCMでもこれは余り例を見ない内容になることも想定されます。こうしたCMがまず放送媒体になじむかどうかという検討も必要であるという、そもそも論からの規制の難しさということをおっしゃっています。

 それ以外にも、これらの意見広告の広告主の範囲というものをどのように考えるのか、政党だけなのか、市民団体や有識者なども想定するのかという検討も必要であるとか、先ほど指摘しました広告の出演者、特に有名タレントの出演についてどのように考えるかとか、指摘をたくさんされたわけです。

 それをかんがみますと、現状の民放連の意見広告の取り扱いというのは、ほぼ全面的に断っていらっしゃるようにお見受けするんです。といいますのも、この前、憲法に関しましてある会社の社長さんが意見広告を出したいということを打診したところ、それは受け付けることができないというお返事だったそうなんですね。現状もそうであると。

 では、この憲法改正が実際に俎上にのってきたときに、現状はそうであるけれどもこれは大事だから変えるのかどうか、民放連の方も意見はまとまっていないと思うんですけれども、現実的に、民放連としても全面的にお受けできないというような態度になることも予想されると思われます。

 さらにまた、選挙と同じように政党だけはオーケーよ、選挙では政党の広告は取り扱っていますので、政党だけはいいですよということになってしまった場合に、一市民団体などが一生懸命募金などをして広告を出したいと、しかし、考査の段階で落とされることがありますので、例えば仮に何千万か集めてCMをつくっても、考査の段階でこれは放映できないというようなことになってしまう場合も考えられるわけですね。いろいろ問題があるわけです。この民放連の規制についてどのようにお考えか。

 それから、政党のみとなると、これも非常にアンバランスといいますか、一般の人たちはどうしてだめなのかという理由も説明できない。政党間でも、以前、社民党がテレビCMをつくったんですけれども、それは民放連の考査で放映は一切できないというようなことを、民放連の考査というか、各キー局ですね、東京のキー局ではそのようなお返事だったんですが、その理由も、私たちは何回聞いても理由がわからないような形で、社民党の広告だけそのときはキー局は放映されませんでした。そのような現状がある中で、私たち委員はかなり悩みながら、どういう現状がいいのかと。そうしますと、先ほどのお話の表現の自由との関係で、民放連の規制についてはどのようにお考えか。

 そしてもう一点、広告をいつも出している、広告主になっている企業の方などの御発言も伺ったことがあるんですけれども、企業広告についても、やはり特にテレビは影響力が大きい、それから、お金のついた言論であるという側面があるので、広告を出している方々の意見の中にも、これで果たして本当の意味での表現の自由に当たるのかというところも考慮しないといけないんじゃないかという意見もありました。

 先ほどの菅沼参考人の御意見、追加で、今の私の指摘についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

菅沼参考人 民放連なりほかの機関でも、自主規制は、この間民放連さんもいらしたように、まだこれからで、そんなに検討していないというような段階のお話ですよね。だから、日弁連としてとまで言っていいかどうかあれですけれども、自主規制だから実質的に何でもいいですよということではないわけで、当然これは報道機関として、特に電波であれば、ある意味それを独占している部分もあるわけですから、それが社会公共に役立つという面と、放送法の三条の二ですかね、公正、平等だと、そういうことを踏まえた上での自主規制をきちんとやってくださいということであって、例えば政党以外は全部お断りしますよと、それで果たして公共の電波を使っている機関としていいのかというような問題も出てくるでしょう。だから、その辺はもうちょっと、そんなに慌ててやることではなく、十分議論をする時間をとるべきではないですかということをまず申し上げておきます。

 それから、先ほど何であれくらい強調しているかというと、社民党さんからの御質問なんで、例えば社民党さんが反対しているような法案、それについては国民投票で決めましょう、それじゃ、これはまた決まるまではメディアは一切広告はお互いできませんね、そういう社会が今の憲法でそもそも認められるんですかと。そこは、法律で、憲法の人権、特に政治的な言論の規制みたいなことがそもそもできるのかということを十分考えた上でやっていかないと。この問題だけではないと思うんですよね。

 だから、それを踏まえた上で規制のやり方をどうするかという現場の、現場といっても確かに非常に難しい問題ではありますけれども、その問題が悩ましいからといって、法律で憲法を逆に規制できるんだというような仕組みをつくってしまったらば、いろんな場面でそういう問題が起きてくるんじゃないかという、法律家的には憲法と法律という上下関係の枠組みが一部にしろ変わっていくおそれを非常に感じるんですね。その辺を強調させていただいているということです。

枝野小委員 二点だけ、確認的に。

 一点は、先ほど私がCMを全部禁止したらいいんじゃないかというのは議論の提起であって、民主党としてそう考えているわけではない、まさに今悩んでいるということであります。重ねて、特に法律の専門家の団体として日弁連の皆さんに憲法との関係で、内容に立ち入った規制が自主という名前がつこうがどうであろうが行われることと、内容を問わず形式的なところで線を引くのとどちらが憲法の趣旨に合致するかという観点でさらに御検討いただければありがたい。私どもも、そこを検討したいと思っています。

 それから、先ほど笠井先生からお話がありました広報協議会の役割の中の説明会みたいな話は、最近のタウンミーティング等の状況を見ますと、やはり裁量の余地のあることだと思いますので、民主党としては、こういったものは外そうというふうに党として決めております。

 以上です。

近藤小委員長 以上で懇談を終了いたします。


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