衆議院

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第1号 平成19年4月18日(水曜日)

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平成十九年四月十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      猪口 邦子君    岡下 信子君

      木原 誠二君    近藤 基彦君

      鈴木 馨祐君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      丹羽 秀樹君    林田  彪君

      山内 康一君    小川 淳也君

      森本 哲生君    横光 克彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

  財務金融委員会

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 山本 明彦君

   理事 池田 元久君 理事 古本伸一郎君

   理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    江崎洋一郎君

      大野 功統君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      萩山 教嚴君    橋本  岳君

      原田 憲治君    御法川信英君

      武藤 容治君    小沢 鋭仁君

      楠田 大蔵君    田村 謙治君

      仲野 博子君    福田 昭夫君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   財務副大臣        田中 和徳君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 正徳君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    篠原 尚之君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  伊藤 盛夫君

   政府参考人

   (国民生活金融公庫総裁) 薄井 信明君

   政府参考人

   (国民生活金融公庫理事) 山本  繁君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫理事) 村田 泰夫君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫副総裁)            横田 捷宏君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫理事) 塚原  治君

   政府参考人

   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   近藤 純一君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出第四六号)

 株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより内閣委員会財務金融委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関委員 私は、自由民主党の関芳弘でございます。

 政策金融機関の形態の変更、統合に関しまして、本日はいろいろ質問させていただきたいと思います。

 今、政府の方では、筋肉質な政府、筋肉質な国家をつくっていこうということで、非常にいろいろな施策がとられているところでございますが、先般にも、衆議院の本会議場で渡辺大臣が、筋肉質な政府をつくるんだとジェスチャー入りで説明していただきまして、私は、あのお姿を見て初めて、筋肉質な政府とはどういうことかということがイメージできたわけでございます。恐らく背広の下には筋肉が大分隠されていることだと思うわけですが、このような強い筋肉質な政府、金融機関、国家をつくっていくためには、今回の政策金融機関の形態の変更については、大変重要な役割が担われていると思うところでございます。

 まず一つ目の質問でございますけれども、政策金融機関の形態についてでございます。

 今回は、株式会社日本政策金融公庫へ統合する機関、また、ほかの機関への統合、これはJICAを指しますが、三つ目には完全民営化をする機関、そして四つ目には廃止をする、四種類に今回、合理化される形態がいろいろ分かれるわけでございますけれども、行革法の理念のもと、この四種類に分かれた内容につきまして、その理念をまず渡辺大臣に御説明していただきたいと思います。

渡辺国務大臣 筋肉質の政府をつくるためには、やはり相当戦略的な思考で鍛えていく必要があるかと思います。私自身は、最近トレーニングするチャンスが非常に少なくなっているものですから、筋肉がちょっと落ちぎみなのでございますが、安倍内閣にあっては、まさに戦略的思考のもとで、今、関委員が御指摘のような四つの形態に政策金融を分けていこうという決断、これは小泉改革の延長線で行われてきたものでございます。

 御案内のように、政策金融改革は、国民の資金の入り口である郵政民営化、この出口の改革でもございます。やはり国民の貯蓄というものをより効率的に運用し、改革していくことによって、大切なお金が民間部門で活用され、経済の活性化につながっていくことが大事であると考えております。こうした目的を実現するために、民業補完、この観点に立って先ほどの分類を行ったわけでございます。

 まず、現在政策金融機関が担っております機能を抜本的に見直した結果、一つは完全民営化・廃止される機関とする、そして、この部門は政策金融の外側に切り出すということを行いました。必要最小限の政策金融業務、民業補完を徹底した業務を一つの機関にまとめてしまおう、その方がはるかに筋肉質の政府がつくれるではないか、そういう発想でございます。

関委員 今までであれば、政策金融の統合、合理化というのは本当に非常に難題だというところで、よくよく以前から伺っておったわけでございますけれども、本当にこの切り口を、突破口を開いていただいて、私も、今回の新機関の統合の、合理化形態につきましては、今回の形が一番いいと思っておるところでございますので、今回の政策金融の編成につきましては、ぜひとも成功しますように全力で頑張ってまいりたいと思うところでございます。

 つきましては、今回統合されます、新しくできます株式会社日本政策金融公庫につきまして、続いて質問をさせていただきたいと思います。

 この日本政策金融公庫でございますけれども、今回目指すところには、政策金融の的確な実施ということと、もう一つは効率的な運営という、二つが両立することが大事だということがうたわれておるところでございます。この二つの項目につきましては、通常の業務運営からいきますと相反する、相矛盾するような内容と実際には受けとめられるぐらい、非常に難しい両立の項目であると私は考えております。このような中で、効率的な運営、もう一つ、的確な政策金融としての実施につきまして、中身のところを質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、効率的な運営のところについて質問させていただきますが、効率的な運営ということで考えますに、いかに合理化を図っていくか。合理化といいますのは、金融機関でも普通の一般の企業でも同じだと思いますが、大きく分けて二つが考えられると思います。まず一つは、人員の合理化。人員の合理化、組織の合理化でございますが、人を減すということだと思います。二つ目は、人が減ったところに対して、ではいかに店舗戦略をとっていくのかというふうな二つに大別されると思うんです。この二つのうち、後先になってしまいますけれども、店舗の統合のところから、まずはいろいろ質問してまいりたいと思います。

 店舗の合理化は、人員の合理化が行われて初めて行っていけるものだと思うわけでございますけれども、今方向性として言われておりますのは、四つの機関が今現在二百三十三支店ございますが、この二百三十三支店ありますうちの八十店舗が県庁所在地等に重複店を持っているというところでございます。ここのところについていろいろ合理化が図れるのではないかということを検討されていこうということを伺っておるわけでございますが、この点につきまして、御説明をいただきたいと思います。

大藤政府参考人 店舗の合理化についてのお尋ねでございます。

 先生今御紹介ございましたように、今回統合されます国内の三公庫で、全部で二百三十三の店舗がございます。内訳で見ますと、国民公庫が百五十二店舗、中小が五十九店舗、農林が二十二店舗となっております。このうち、六十地域で同一地域に複数の支店が存在しております。ということでございますので、これを極力統合していくとの方針のもと、現在、関係省庁及び関係機関の間で検討作業を行っているところでございます。他方で、現在いずれかの公庫の支店のある地域から店舗がなくなるようなことがないようにしまして、利用者の利便性にも配慮する方針でございます。支店の統合に当たりましては、利用者の利便性の維持向上がむしろ図られるようきちんと対応していきたいと考えております。

 具体的には、第一に、支店に各専門分野に明るい担当者を適切に配置いたしまして、主要な支店等におきまして、新公庫の提供するすべての金融サービスに関するワンストップサービスを提供したいと考えております。第二に、業務に関するノウハウの共有等による、新規創業の支援でありますとか事業再生支援といった、共通の課題についての連携した取り組みも行ってまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、支店の統合によりまして、利用者の利便性が後退することのないよう対応してまいりたいと考えております。

関委員 実際の店舗統合というのは、本当に非常に難しい作業だと思います。いろいろなシステム的な移行もさることながら、人事面だとかいろいろなことがかかわってまいりますし、顧客の利便性というところまで考えますと、本当にいろいろな対策をとらないといけないわけです。

 一つお願いを申し上げたいのは、そういうふうな対策をとられますときのコストが、実際には店舗統合しなかったときの方が安かったというふうなことも、いろいろな企画をされます際に逆ざやになるようなことも出てくることもあるかと思いますので、その点につきましては、コスト意識を高く持っていただきまして、一番いい、本当に合理性のある店舗統合をお願い申し上げたいと思います。

 効率的な運営の二点目でございますが、こちらの方はさらに店舗統合よりも難しい内容だと思います。

 ここは人員の合理化、事務の合理化でございます。人員の合理化というのは事務の合理化ができて初めてなされるところだと思いますので、統合したがゆえにこれぐらいの人は落とせるだろうというふうな乱暴なやり方というのは、通常、やったら本当に大きな混乱が発生するところでございます。まず、本当に理論的に、これだけの事務がこれだけ統合によって合理化ができるのであって、これだけ人も合理化ができていくんだというところで実際にこれから進めていっていただきたいところでございます。

 実際に、案件の進め方といいますと、まず案件の受け付けをされて、その次に審査をされて、その次に方針を決定されて、では実際にどのようにしていくかという最後に事務作業があると思います。その事務作業より以前のところはフロント事務と金融界ではよく呼んでおりますが、事務作業のところはミドル、バック事務とよく呼んでいるところでございます。実際に金融機関等が統合されますときに合理化できるところといいますのは、そこのミドル、バック事務のところだと思います。それ以外のフロントのところといいますのは、やはり窓口のところでございますので、その点については合理化ができないのが普通でございます。そこら辺のところにつきまして、ちょっと今回質問させていただきたいと思います。

 今聞いておりますところでは、四機関では管理部門は千百人ほどいらっしゃる。先ほども少しお話がございましたが、共通する業務の一元化等をこれから図っていかれようというところでございます。しかしながら、その管理部門だけでなくて、一方、先ほど申し上げたようなミドル、バックの業務のところ、いわゆる事務部門、例えば伝票をいろいろさわっていって、いろいろな証左を残していくとか、いろいろな事務作業、後方事務のところが業務の中では大半を占めていくところだと思うんです。

 この新しい、四機関が統合されていくことによって、いわゆる同等の作業をしているところを統合することによって、いわゆる統合効果、通常であれば、全く同じ事務を二つばらばらのところでやっておりますのを一カ所に集めますと、一割五分から二割、一番最大で三割ぐらいが合理化できるというのが金融界での一般的に言われているようなところではございます。

 では、今回、このように政策金融の統合、合理化を図っていきますときに、そのようなミドル、バック事務の合理化まで含めて、全体的な合理化、事務、人員の合理化についてどのようにお考えなのか、その点について御説明をいただきたいと思います。

大藤政府参考人 新公庫の人員面の合理化についてのお尋ねでございます。

 新公庫の役職員数の縮減につきましては、既に、行政改革推進法に基づく総人件費改革によりまして、五年間で五%以上の人員の純減または人件費の削減を行うこととなっております。その上で、本店の間接部門の一元化や、共通する業務の簡素化、合理化等を徹底的に進めてまいるということでございますけれども、一方で、今の先生のお話にもございましたように、フロント等におきます円滑な業務遂行に必要な職員は確保する必要がございます。

 こういったような必要な職員は確保しつつ、さらなる人員や経費の縮減の努力、ですから五%の人員の純減または人件費の削減に加えまして、さらなる人員や経費の縮減の努力を新公庫につきましては行っていただきたいと考えているところでございます。

関委員 ぜひとも、今回これだけの大なたを振るわれるところでございますので、効率的な業務運営というのを、モデル的な、今後の、後世に残るようなすばらしい対応をとっていただければと思うところでございます。

 続きましての質問でございますが、先ほど申し上げましたように、効率的運営とは相反するのではないかと一見思われるような、いわゆる政策金融としての的確な役割の実施というところにつきまして質問をしたいと思います。

 一方、合理化を進めていきますと、その規模からしますと、顧客の利便性を確保しようとしつつも、やはりいろいろなところで支障が出てまいるところでございますけれども、そういうところを十分にカバーし得るような政策金融、国家としての大切な機能だと思いますので、その点について二つ質問させていただきますが、まず一つ目でございます。

 貸出残高のところでございますが、今般、今後の貸出残高についてはどんどん減少させていこう、今回のこの政策金融というのは民業の補完だけに業務を絞っていくんだというような話でございますけれども、その点については行革法でも明確化されているところだと思います。平成十六年の末では三十兆円残高があって、その翌年、平成十七年の末では二十八兆円と二兆円ぐらい落ちていって、このような方向性というのは、今後もますます減っていくところだと思います。

 十六年度末の貸出残高の対GDP比で、平成二十年の末には半分以下ぐらいにやろうというふうな方針も出ているところでございますけれども、このように目標設定をしていくというのは非常に大事なことだと思います。しかしながら、この目標設定が実際のいわゆる経済界において十二分な責任を果たし得るのかどうなのかというところにつきましては、やはりしっかりと我々のところで見ておかないといけないところだと思うところでございます。

 この点について、この目標設定と経済界の資金ニーズのところ、この点が十分マッチしているんだ、整合性があるんだというところを林副大臣に御質問させていただきたいと思います。

林副大臣 関委員には、党で最終的な取りまとめをいたしましたときに積極的に御議論に参画をしていただいたことを、今思い出しておりました。

 この半減目標というのは、諸外国と比べまして、貸付残高の政策金融の占める割合が非常に大きいというそもそもの問題意識からスタートして、最終的にこういう形になってきたということは委員御承知のとおりでございます。

 GDP半減目標というのは、平成十四年の経済財政諮問会議で、今申し上げたような議論がございまして、金融資本市場をゆがめているというような御議論もあってこういう形になってきたということでございますが、実際に御議論賜ってこういう形になりました。

 そのときに、今まさに御指摘がありましたように、今の政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直す、また完全民営化・廃止される機関の機能を政策金融の外に切り出す、商工中金や政投銀はそういう形になっていくわけでございまして、これをやることによって、この半減という目標は確実に達成ができるだろう、こういうふうに考えておるところでございます。

 一方で、今やっている政策金融機関の機能のうちで、やはりどうしても民間ではできない、今委員から御指摘のあったように、どうしても政策金融としての需要があるという部分については、きちっと政策金融として残すべきものは残すという対応を、委員の御承知のようにしたわけでございまして、この機能の部分につきましては、新しく設立いたします日本政策金融公庫に担わせて、中小企業への融資を初め、きちっと必要なところに資金が的確に供給されるように措置をしたところでございます。

関委員 よくわかりました。

 やはり、ほかの海外の金融機関の状況と政策金融の状況というのをよく御勘案され、しかも日本の経済状況についてしっかりと御検討されたという点がよくわかったところでございます。

 続きまして、政策金融のまたもう一つ大きな役割でございます危機管理という点につきまして、御説明をしていただきたいと思います。

 私も関西出身でございまして、今も神戸が選挙区でございますが、阪神大震災を経験してまいりました。あのときの混乱というのは本当にもう言葉では言い尽くせないほどのところがございまして、人の命が奪われる、また、そのような中、では、生活もしていかないといけない、お金をどのように回していくのか。一方、地震での震災が終わって、では、これから立て直しをやっていこうというときの資金の供給だとか、また、そのような中、人の心がすさむ中での事務運営はどうするんだとか、非常に大変な問題がございました。

 また一方、経済界の方では失われた十年と言われたように、経済が非常に停滞した時期もございまして、本当に、経済危機、金融危機がいろいろな事象のもと起こってくるところはやはり避けがたいところだと思います。そのような中、この政策金融の役割というのは、通常の民間の金融機関では担えないようなところまでしっかりと対応をされているところだと思います。

 その中で、御説明をいただきたいのは、今般、日本政策投資銀行とか商工組合中央金庫につきましては完全民営化がされるというふうな形でございます。この大切な二つの金融機関が民営化されることによって、社会的には、いろいろな金融危機が発生したときに十二分に経済が対応できるように、資金供給ですとか金融混乱が起こらないように本当に対応できるのかなという不安な声も聞くところがあります。

 その点について、十分だというところについての説明をいただきたいと思います。

林副大臣 委員が大変大事な点を御指摘になったというふうに思っております。

 内外の金融秩序の混乱ですとか、また、お地元の例を引かれましたけれども、大地震のような大規模な災害、またテロリズムというのも昨今非常に頻発をしておるわけでございますし、それから、この議論をいただいたときに、ちょうど鳥インフルエンザ、私のところの山口県でも発生をいたしましたけれども、こういう感染症のようなものによる被害に対処するというのは、今委員御指摘のあったように、必要な金融が迅速かつ円滑に行われるということが非常に大事なことでございます。

 そういうことを踏まえまして、この法案におきましても、まずは新公庫、これは政策金融として残るわけでございますから、ここに必要な機能を担わせようということで、新公庫みずからの貸し付け等によって、まずは迅速かつ円滑に危機対応を実施するということに加えまして、まさに今委員が御指摘をいただきましたように、商工中金と政策投資銀行というのも今までは政策金融機関として役割を果たしてきたわけでございますので、この危機対応の部分につきましては、この商工中金や政策投資銀行、これは完全民営化するわけですが、これを含む民間の指定金融機関を活用する危機対応制度というのを盛り込んだところでございます。

 なお、商工中金と政策投資銀行については、この指定を、もうこの設立のときにされたものとみなすということで、自動的に指定の金融機関になるということも御承知のとおりでございまして、こういうことをすることによりまして、危機による被害に対処するために必要な制度的手当てを行うということを法案に盛り込ませていただきました。

 こういうことを合わせわざで、新公庫の成立後も危機対応に万全が尽くされていくもの、こういうふうに考えておるところでございます。

関委員 今の御説明を伺っておりまして、本当に危機対応というのが大事であるということと、今回の制度設計におきましても十二分な対応がとられておるというところで安心をいたしたところでございます。

 本当に、今回の株式会社日本政策金融公庫、この制度設計につきましては、先ほども申し上げましたけれども、効率的な運営、それと政策金融としての役割を十分に担う、的確に実施をしていくんだという、この相反する、相矛盾するような非常に難しいところを両立させるところ、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後でございますけれども、この日本政策金融公庫の経営面につきまして、少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ガバナンスのところでございますけれども、これは質問ではなくて私の感想だけ申し上げたいと思います。

 今回、いろいろ制度設計をされましたときに、非常に高い理想、志のもと、いろいろな項目がこの日本政策金融公庫の今後対応していくところにうたわれております。事業計画の情報開示や企業会計原則の導入などをいろいろ今回入れていこう、これは本当に非常に大切なところだと思います。今回の政策金融のいわゆる合理化、見直しの理念に最ものっとったところだと思います。

 また、統合されることによって勘定区分が一つになってくるところでございますが、そのところにつきましては、一つ一つの案件またそれぞれの項目によって勘定区分を分けてきっちりと管理をしていこう、採算性を見ていこう、このことについても、私としましては、本当に今まではなかったような、非常に細かくきっちりとした制度設計、理念を持った対応を入れられたんだな、非常に感心をしておるところでございます。この点については、ぜひとも、本当に今までなかったような点でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、最後の質問になるわけでございますけれども、経営上、収支差補給というのを今後は実際上の原則にはやっていかないんだということがうたわれているところでございます。いわゆる収支に予想外に差が発生してしまって、その点についてはもう補給をしていかないんだよという。これは、実は非常に厳しいことを今回の制度設計の中に入れられたんだなということを思うところでございます。

 いざ、万が一、実施しないといけないことが発生したときには、経過や実態を透明化してオープンにするんだ、責任を非常に明確化するんだよということをうたわれているところでございますが、例えば平成十六年とか十七年のそれぞれのこの統合四機関の数値を見ておりますと、補給金の収入を入れましても赤字だということが言われておるようなところでございます。非常に経営は、いろいろ救わないといけない企業を救うがために赤字になりがちだというところがうたわれているところでございますけれども、そのような中においても、経営者の責任は非常に厳しく見ていかないといけない、今後、そこのところをきっちりしていくんだ、責任をきっちりしていくんだというところ、うたわれているところだと思います。

 このように、責任を非常に厳しく見ていこうという中で、私が思いますのは、経営責任の明確化が図られます中、初めの計画自身を甘目にしておいて、ただ、赤字が発生しないようにしよう、責任者の方に責任が及ばないようにしようだとかいうことがもしとられたり、また、採算ぎりぎり、これは黒字かな赤字かなというふうな採算ぎりぎりのところの案件がもし出てきたときには、これは実施をやめておこう、そうしたら赤字が発生しないだろうとかいうふうな、いわゆる黒字をつくろうというための行動がもしとられたりしますと、せっかくの政策金融の役割が十分に担えないところも危惧するようなところでございますので、経営者の責任を非常に明確化すると同時に、もう一つ、甘目の計画にならないような点をお願いしたいと思うところでございますので、その点につきまして、渡辺大臣がどのように今後実際面で取り組まれていくのか、その方針について聞かせていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほど来、関委員が御指摘になっております、政策金融として的確な実施を行っていくという要請、もう一つは、できるだけ赤字を出さないように効率的な運営を行っていくという要請、この二つのエレメントが相反するのではないかということでございます。

 世の中には、こういった一見相反するかのような要請を同時に達成していく、そういうわざが求められる世界がたくさんございます。政治の世界もそうですし、行政や経営の世界もそうだと思うんですね。したがって、持続可能な政策金融を行っていくには、赤字が継続的に出ちゃう体質なんだというのでは、これはもう今の時代に合わないわけでございます。

 したがって、新公庫法におきましては、透明で効率的な事業運営を図る、一方で政策金融の的確な実施を行う、この二つの役割を新経営者には求めているわけでございます。

 行革推進法及び新公庫法の規定によりまして、経営者の選任を行います。まず、新公庫の設立目的とその担う金融業務に照らして必要と認められる識見及び能力を有する人から選びますよということを言っております。また、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることはないようにします。つまり、どこそこの事務次官だから自動的に天下りポストでここの代表者になりますよということはやめるということでございます。

 こうしたことを踏まえて、適切な人選を行います。主務大臣の認可と閣議の口頭了解が求められておりますので、新公庫のトップとしてふさわしい経営者を選んでまいりたいと考えております。

関委員 ありがとうございました。

 今回の政策金融機関の合理化、本当に非常に今後の日本の発展に対して重要な点だと思いますので、私も今週末、また地元に帰りまして、筋肉質な気持ちを持った国民をつくるように、渡辺大臣のジェスチャーを地元に広めてまいりたいと思いますので、頑張ってまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

河本委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 本日、我々も、もちろん一つ連合審査というのは大変重要な場であろうという思いを持ってまいりましたし、そもそも、主務大臣が合併後も多岐にわたる、また国民の注目も高い財投の出口改革でもあるということでありますので、連合審査はもちろんでありますが、もっと大きな舞台で集中的に審議をやる必要があるのではないか、今でもそうした思いを持っております。

 また、私ごとでありますが、昨年末に復活をして、一年余りお休みをいただいておりましたので、その間に行革推進法の議論がされていた、そこに参加をできなかったのは非常に私としても残念な思いを持っておりますが、そうした悔しさもにじませながら、今回の議論、まだこの法律の議論をする余地がありますので、そうした思いで立たせていただいております。

 まず、先ほどの関委員とも重なるかもしれませんが、政策金融改革論議の中で、唯一、政策金融機関としてこの日本政策金融公庫を残すものとしてつくり、そして今回この場に提出をされてこられたわけでありますが、政策金融改革論議の全体の中で、一つの政策金融機関として金融公庫というものをつくることにした思いと、そして意気込みというものを、まず渡辺大臣からお答えいただければと思います。

渡辺国務大臣 先ほどもお答えいたしましたのですが、郵政民営化というのは国民の貯蓄が相当入り込んでいるところでございます。こちらの入り口の方の改革は終わったわけでございまして、今、着実な実施体制にございます。一方、出口の方の改革が途上でございました。小泉改革から安倍改革に引き継がれまして、国民の大切なお金というものをより効率的に運用していこうということで今回の政策金融改革を行ったわけでございます。

 やはり大事なことは、必要最小限の政策金融は残しますが、あくまで民業補完であるということを徹底させていくことであろうかと思います。そうした観点から、完全民営化・廃止される機関を、今回、政策金融の外側に切り出しをいたしました。そして、必要最小限の業務を一つの政策金融機関に担わせるということにした次第でございます。

楠田委員 せっかくの財務金融との連合審査でありますので、尾身大臣からも、その点、御見解をよろしくお願いします。

尾身国務大臣 今渡辺大臣から話がございましたように、入り口の改革に対して出口の改革と位置づけられるものであるというふうに考えておりまして、全体の流れ、官から民へという流れの中で、しかし、やはり必要な金融はやっていくということで、機能を見直しながらしっかりと対応していくという考え方であります。

楠田委員 両大臣にお答えいただきましたが、まず、民業補完というところの答えがありました。また、出口改革ということのお答えもありましたが、私自身の思いとしましては、入り口改革であった郵政の件からしますと非常にあいまいな部分が多いのではないかという思いと、また、民業補完と言いながら、どこの部分が本当に民業がやるべきところで、どの部分が補完すべきところであるかという色分けも実際はまだ不十分ではないか。そうした思いを持っておりますので、そうした思いのもとで質問に入らせていただきます。

 まず、先ほど、これまた関委員と重複をいたすところでもありますが、もう少し総合的な観点から、今回せっかく四機関を合併させる、それぞれ役割も違うと思われるような機関も合併をさせるわけでありますから、その戦略において、先ほどの質疑で戦略的という言葉もありましたけれども、この戦略において、まず、合併にかかるコスト、今回この四機関を合同する際にかかるコストと、そして、そのコストに見合う統合によるメリット、追加的なコスト削減、こうしたものが当然試算をされていてしかるべき重要な問題だと私は思っておりますが、この点に関してお答えをお願いします。

林副大臣 お答えをいたします。

 まずコストの方でございますが、十九年度の予算におきましては九十一・四億円というものを計上しております。

 主な内容は、取引照会システム開発や企業会計への移行に伴うシステムの開発の費用というのが四十六・六億円ということで計上しております。また、店舗統合、移転等に伴います仮店舗の借料や、店舗統合を実施するために必要な固定資産の取得というものが約三十五億円、資産、負債の評価、いわゆるデューデリをやる、このことにかかる業務経費等で九・八億円というのが内訳でございます。

 また、二十年度の予算におきましても、統合準備のために一定の費用が必要になってくるというふうに考えておりますが、今申し上げたようなところは、一回限りのものもございますので、二十年度予算以降はそういうものは落ちてくる、こういうことであろうかというふうに考えております。

 効果、メリットの方でございますが、これは、定量的に特に短期で把握し得るものと、長期でずっと出てくる、短期で定量的に把握するのがなかなか難しいものがあるというふうに考えております。定量的にしっかりと取り組んでいかなければいけないものの第一は、やはり支店の統合であろうというふうに考えておりまして、国内三公庫に今二百三十三の店舗がございますが、六十地域で同一地域に複数の支店が存在をしている、二つないし三つの支店が同一地域にある、こういうことでございますので、これを極力統合していこうという方針を立てまして、十九年度から順次店舗統合を進めることにしておるところでございます。

 また、新公庫の役職員数の縮減ということについても定量的に検討していくことになっております。

 行革推進法に基づきまして総人件費改革ということが決められておりますので、五年間で五%以上の人員の純減または人件費の削減を行う、こういうことになっております。また、これに上積みをしまして、間接部門の一元化等により、先ほどの議論でもございましたけれども、フロント等の円滑な業務遂行に必要な職員は確保しながら、さらなる縮減努力を行っていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 なお、具体的なコスト削減の数値につきましては、今度新しい公庫の経営責任者によくよく御検討いただいた上で、効率的な運営や円滑な業務遂行という面も御配慮いただきながら検討いただかなければならないと思っておりますが、我々の行政改革推進本部としても、行政減量・効率化有識者会議にワーキングチームを設けていただきまして、そこでしっかりと見ていただかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

楠田委員 大まかなお答えをいただきましたが、まず一つ、合併をして四つ一緒になりますが、勘定は別々、七個の勘定に分かれるというお答えをいただいております。

 そうした中で、システムの統合、先ほどのお答えでは、取引照会システム開発、企業会計への移行に伴うシステム開発費用ということでお答えがありましたが、この銀行自体のシステム全体を民間の合併のように統合するお考えというものはありますでしょうか。

鈴木(正徳)政府参考人 システムの統合の件でございますけれども、ただいま副大臣から御説明申し上げましたとおり、一つは、企業会計原則を適用いたしますので、そのシステム対応が必要になります。それからもう一つは、これまでそれぞれの三公庫に別々に来られている同一のお客さんがございますので、その方の取引の照会システムが必要になろうかと思っております。

 そのほかの、いわゆる融資の際のさまざまなシステムでございますけれども、例えば、国民生活金融公庫の事業貸し付けでございますと百三十万件、また、中小企業金融公庫の貸出先でございますと数万件ございます。これらの方々のものを一つに短期間でするということは、今の時点ではまだ困難かと考えております。

 ただ、先生御案内のとおり、こういうものは将来的に一つになることが望ましいことは間違いございませんので、引き続き検討は進めてまいりたいというふうに考えております。

楠田委員 先ほど、システム統合が望ましいというお話がありましたが、確認ですが、やはりこれも公庫の新経営責任者に任せるということでよろしいですか。

鈴木(正徳)政府参考人 先生御指摘のとおり、これは公庫の経営責任者の方がしっかりと公庫の業務を把握していただきまして、大変そのシステムは難しい問題でもございますので、やはり経営責任者の方々にお決めいただくということになろうかと思います。

楠田委員 数値的な面でなかなか出てこないところがありますが、まず、総人件費改革としての五%以上の純減、これはもちろん行革全体の問題として決められておりますので当然であると思いますが、間接部門の一元化が図られるというお答えがありました。それによって一層の上積みの純減をするというお答えもあったところであります。

 また、もう一つは、給与の面での見直しをどこまでするかということも重要な観点ではないか、せっかく合併をするわけでありますから。この点に関しては、何か数字的に出せるものはありますでしょうか。

    〔河本委員長退席、伊藤委員長着席〕

鈴木(正徳)政府参考人 先生御指摘のとおり、給与につきましても検討の課題でございます。最終的な給与の水準につきましては、経営責任者の方が国民の方々にしっかりと説明をできるような水準にお決めいただくということになろうかというふうに考えております。

 ただ、私ども、過去のさまざまな、統合といいますか、事例等もございますので、その際にも、望むらくはできる限り一本化、ただし、それぞれ職員の方のまた専門性等もございますので、それも配慮しながらの給与体系をつくっていただき、かつ国民の方にしっかりと御説明できるようなものにしていただきたいというふうに考えているところでございます。

楠田委員 説明ができる水準というものがどのようなものかは、私も何ら今のお答えではわかりませんが、私が申し上げたいのは、今回の質問において、当然、この合併にかかるまずコストと先行的な投資の部分、そして、それによって得られる将来的な利益、コスト削減の部分、これを定量的に出していただきたいという要求をしていたわけでありますが、あくまで十九年度予算の部分にとどまっておりますし、それ以外の部分においてはまだまだ決め切れていない、次の新経営責任者に任せるという話であったと思います。

 私がこのような質問をいたしましたのは、実は、先ほどの関委員も住友銀行の先輩でありましたが、私も住友銀行出身でありまして、入ったときが最後の住友銀行、二年目が、合併をした三井住友銀行になったわけであります。その二年目に私はやめておりますが、それはそれとしまして、合併の変わり目というのを経験したわけであります。

 私は当時二十五歳でありましたが、そのときの動きをみずから顧みますと、看板のつけかえであるとか備品の名前張りかえ。例えば、ボールペンに住友銀行という名前が書いてありますが、これにシールを張って三井住友銀行に変えるというようなことを日夜やっていたというような、支店の一人の行員でありましたので、そうした記憶もあります。そうした一つ一つとっても大変な労力であったという記憶がありますし、この際に、生き残りをかけて民間の方は緻密な計算をして、合併をすべきか、それともしないべきか、こうした議論を重ねていたわけであります。

 当時西川頭取は、今郵政のトップになられましたけれども、我々行員にも積極的に説明をし、数値的に裏づけをしながら、人員の士気向上そして利用者の方への説明というものも果たしていったわけであります。私は、結果としてそれは成功したのではないかと思っておりますが、さらに今回の公庫に関しましては、国民への説明責任。いかに税金の無駄を省くか、これによって新たな税金負担もふえるわけですから、この点をしっかりと説明してから初めて合併するかどうかを決める、これが適正な順番ではないかと思っているわけであります。この点に関して大臣から。

渡辺国務大臣 民間の銀行の合併というのは、恐らく、世界的な金融の大競争に勝ち残る、生き残る、そういう要請が一つあったんだろうと思います。

 また、金融ビッグバンが行われているさなか、残念ながら、我が国金融は大変危機的な状況にございました。恐らく委員もその最前線で御経験をされたものと思いますが、資本不足に見舞われたわけでございます。したがって、民間金融機関がこうした大変な二重苦、三重苦の状況の中で合併という選択をしたのは、決して間違いではなかったと私も思います。

 たしか、私が国会議員になりました十年ぐらい前には、いわゆる都銀と呼ばれる銀行は二十一ぐらいあったような記憶がございます。今はもう本当に、三つですか、そんなグループになってしまっているわけでございまして、この間の変わりようはすごいものがあるなとつくづく感じます。

 一方、政府系金融機関においては、御案内のように、財政資金の配分という観点から行われてまいったと思います。

 昔、統制金利の時代に、長期固定の財政資金を官のコントロールのもとに流していく、そういった政策金融は絶大な力を発揮してきたのだろうと思います。しかし、気がついてみましたら、ほかの先進国に比べて、政策金融の世界が突出して大きい国になっていたという現実がございました。

 今回の改正に先立って行われました住宅融資などは、昔は、住宅金融公庫のお金を借りられないと住宅が建てられないと言われる時代さえあったわけでございます。そうすると、住宅金融公庫の基準に合わない住宅はつくりようがないという形で、日本人はウサギ小屋に住んでいるなどとやゆされた時代もございました。

 そういった画一的な官のコントロールから脱して、国民のお金を、より効率的な市場メカニズムを使った配分をやっていこうということから財政投融資改革が行われ、入り口、中間、出口の切り離し、そして郵政民営化、出口の改革、こういう形でつながってきたものと思います。

 統合というものが、縦割りの財政資金の世界からよりシナジー効果を目指した、なおかつより効率的な政策金融のあり方を目指した、そういうものであることはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、シナジー効果と効率化、この両方の観点から新しい政策金融の運営は行っていく必要があろうかと思います。

楠田委員 時間が限られておりますので進んでまいりますが、先ほど、民間の場合は世界的な競争にさらされて生き残りという話もありましたが、私は、この日本という国自体も、非常に借金が膨らんで、逆に税金の負担、それらの負担に苦しむ国民の方がおられる国に今なってしまっているわけでございますから、国自体も、もちろん私は、そうした世界的な危機にさらされているということは間違いないと思っているわけであります。

 そう考えれば、そうした税金をいかに使うかということを考える我々の仕事にかんがみて、今回の件におきましても、もっと緻密な試算がなされるべきであるし、それがなされた後の合併であるべきであるということは私は思いを強くしているところでありますので、今回の件に関しては不十分であると言わざるを得ないと思っております。

 また一つ例を挙げますと、先ほど話がありましたが、三メガバンクになっておりますが、その資料を取り寄せますと、私が所属していたところでは、十三年の三月末の合併直前の人員をとれば、二万七千二百十一人であったのが、十八年の三末では二万三百九十八人。単純に、四分の三、二五%減、七千人減となっているわけであります。また、平均の年間給与というものも、それぞれ五十万から三十万ほど減っているわけであります。まさにこうした比較的なものもあるわけであります。みずほに関しましては、人員は三〇%減であります。

 先ほど、国民に説明できる水準というお答えが事務方の方からもありましたが、説明できる水準というのは、こうした民間と照らし合わせても遜色ない程度とは言えるでしょうか。この点をお答えいただきたいと思います。

鈴木(正徳)政府参考人 現在、三公庫、また、新たに今御審議をお願いしております日本政策金融公庫につきましても、給与水準、役職員ともにでございますけれども、これは公表することになっております。公表いたしまして、その結果、経営責任者の方々は国民の方々に御理解されるような水準を決めていただき、公表していただき、説明責任を果たしていただく、そのようになろうかと思います。

楠田委員 もちろんお答えはいただいていないわけですが、過去の民間の例もあるわけですから、当然そうした例に照らして国民の見る目というのは決められていくと思っておりますので、ぜひそうしたものも参考にしながら、どこも頑張ってやっているということを御理解いただきたいと思います。

 さらに具体的な話に進んでまいりますが、今回、もう既に何度も各委員会で質問があったと思いますが、役員人事と、あと、職員の人事の融合の件なども重要な問題だと思っております。

 トップをそれぞれ見ますと、四機関のトップともそうそうたる顔ぶれで、中公だけが民間出身に今なっております。今回合併をして、勘定がそれぞれ分かれるということでありますが、もしや勘定ごとに担当の役員のようなものがつくような形になるのではないか、そうした危惧も持っているわけであります。新しいトップができるとともに、それぞれ旧公を担当する役員ができるような形であれば、私は、合併の意味は全くないし、むしろ国民負担がふえるのではないか、そうした思いも持っておりますが、この点に関して、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 合併をするわけでございますから、当然これはシナジー効果が発揮されなければなりません。新公庫の役職員が融合をしていくというためには、やはりマネジメントがきちんとできているということが大事なことだろうと思います。

 新公庫の役員人事については、株主総会の決議、そして主務大臣の認可、内閣のチェックを経て行われるプロセスになっております。職員の人事については、一義的には、組織の一体化を踏まえて新公庫が決めます。その際、業務の内容、専門性を総合的に勘案する必要がございます。この際、行革推進法においては、国内と国際部門ごとに専門能力を有する職員の配置、育成を可能とするとされていることにも配慮をする必要があろうかと思います。

 いずれにしましても、新公庫の運営に当たっては、強力なガバナンスのもとで一体的かつ効率的な組織運営が図られることが大事であります。

 国会の審議も踏まえ、もう既にございます行政減量・効率化有識者会議のもとにワーキングチームをつくり、人事の融合も含めて業務統合のプロセスなどについても専門的な立場から議論を深め、評価、検証を行っていく予定になっております。

楠田委員 私の具体的な質問にお答えをいただいていないわけであります。

 例えば、その中で国際協力銀行は対外的な名前としてこれからも存続できる、使えるという話がありますが、この分野のトップなどが誕生しますと、これは対外的には国際協力銀行の総裁として残るわけでしょうか。この点はどうでしょうか、具体的に一つ挙げれば。

尾身国務大臣 国際的な業務の中で、例えば、資源エネルギーの確保等におきますJBICの果たしてきた役割というのは非常に大事でありますし、また、少なくとも国際的な顔としてはこれからも大事な役を果たしていかなければならないというふうに考えております。

 そういう点で、統合のメリットを生かしつつ、かつ国際的な顔として、資源エネルギー等の問題も含みながらしっかりとやっていただけるような体制をつくっていきたいと考えております。

楠田委員 要は、その中で、もしや、日本政策金融公庫総裁と別に国際協力銀行の総裁というものが誕生するような事態はない。仮にそうした対外的な面から国際協力銀行総裁という名前が必要だとしても、新公庫のトップと国際協力銀行のトップは当然一緒の人と考えてよろしいですか。

尾身国務大臣 この点についても今後の課題であるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、いわゆる新公庫の中で、国内的な、今までの国民金融公庫とか中小企業金融公庫等の業務と国際的な業務との間には、かなり現実問題として違いがございます。

 そういうわけで、私どもとしては、国際的業務を行ういわゆるJBICの顔という立場は、国全体の将来を考えますと必要であるというふうに考えておりまして、これは、人事も含めまして、どういうふうにしていくか、今後検討していきたいというふうに考えております。

渡辺国務大臣 委員御案内のように、新公庫は株式会社でございます。したがって、まず役員の選任を行いますが、これについては主務大臣が認可をいたしますし、常勤役員については官房長官と協議をすることになっております。官房長官がオーケーを出さないと常勤役員にはなれないということであります。次に代表取締役がございます。これも、主務大臣が認可をいたしますが、常勤の代表取締役の選定については官房長官と協議をいたします。代表取締役会長、社長の選定につきましては、閣議の口頭了解が必要となります。こういったチェックをかけるわけでございます。

 国際部門の代表者が新公庫の経営責任者なのか、こういう御質問だったかと思いますが、国際部門の責任者が経営責任者に該当するかどうかは、今後の具体的な職務や役割分担等を勘案して決めていくことになるわけでございまして、今、国際部門の代表者イコール新公庫のトップということには全くなっておりません。

楠田委員 今なっていないということですが、今後なり得る可能性もあるというお答えのようにお聞きしました。

 そもそも、私また我々は、分野がそれぞれ違うものをなぜ一つにするのか。一つにしてそれぞれ頭が別々である、そうしたことが起こり得るのであれば、お話を先ほど来していますような、合併にかかるコストをかけてまでこうしたわかりにくい体制にする必要は何らないのではないかという思いを持っているわけです。かりそめにも、合併をするということになるとすれば、当然、二頭体制、三頭体制というような形は何としても起こらないような体制にしていただきたい、私はそのように思っておりますが、この点はどうですか、大臣。

渡辺国務大臣 水と油のような合併だというのはちょっとおかしいと思うんですね。

 安倍内閣が掲げております方針というのは、オープンとイノベーションということでございます。今まで旧輸銀が培ってきた海外業務、これは大変なノウハウがあろうかと思います。今、安倍内閣において、例えばアジア・ゲートウェイ構想というのは、まさしくアジアの経済成長と日本経済をドッキングしていこうということでございます。直接投資の受け入れと同時に、日本の中小企業がアジアや世界に向かって羽ばたいていこうという人たちだって大いに出てきてほしいわけでございます。そういった中で、例えば中小企業金融公庫や農林漁業金融公庫とお取引のあったところが海外展開をしていきたいというときに、旧輸銀の培ったノウハウというのは大いに参考になるのではないでしょうか。

 したがって、そういう観点からも、今回の合併が全く水と油の合併だなどとは私どもは考えておりませんし、大いにシナジー効果が発揮できる合併であると考えております。

楠田委員 そう言うのであれば、先ほど申しましたようにトップが何人も誕生するような体制はなくしていただきたいという思いと、勘定もすべて合同にするような話を考えていただきたいということを申しているわけであります。それぞれの効果がもちろん全くないわけではありませんから、それを考えつつも、いかにその効果を発揮するために人事的な面でも考慮していただくか、この点を言っておるのでありますから、御理解をいただきたいと思います。

 少しここで確認ですが、先ほどワーキングチームの話がありました。このワーキングチームは、もちろんこの公庫だけではなくて、これから民営化をしていく政投銀や商工中金等にもチェックが人事面も含めてきくと考えてよろしいですか。

大藤政府参考人 ワーキングチームは行政改革推進本部のもとに置かれるわけでございまして、今後、新公庫に加えまして、完全民営化機関、それから、廃止されます公営公庫の後継機関につきましても、それぞれ、そのプロセス等につきましてフォローをすることになっております。

楠田委員 ありがとうございます。

 時間も迫ってまいりました。具体的な部分での民業の補完というお答えもありましたので、一つ例をとって、本当に補完になるのかどうか、その域を出ないのかどうかを聞かせていただきたいと思います。

 今回合併することによって、国金、中公、この二つも一緒になるわけでありますが、この二つの貸し出しに関しては、期間であるとか、金利の面、固定かどうか、あと額の面でそれぞれ違いがあるというふうには聞いております。しかし、中公の中に含まれる信用保険の部分、この部分においては国金と非常に重なってくる部分があるのではないかと思っております。そうしますと、新公庫が、貸し金の面でも保証の面でも一つの会社の面倒を見ているということが起こり得るのではないか、このように思っております。

 まず、その点において、融資先が重なっている場合、この勘定分担を合併後どのようにされるのか、この点をお聞きしたいと思います。

林副大臣 今御指摘が委員からございましたように、国民公庫は主に小規模零細事業者に対して小口の事業資金を貸し付ける、中小公庫は中小企業者に対して長期で大口ということの相違があるわけでございますが、平成九年に、法人等の整理合理化についてという閣議決定をしてございます。原則としては、国民公庫については従業員数二十人以下を対象とする、中小公庫については従業員数二十一人以上を対象とするということで決めております。実態上も、十七年度末の数字でございますけれども、国民公庫の平均の貸付残高は大体六百万円であるものに対しまして、中小公庫の平均貸付残高は一億四千万と、かなり資金の種類が違っているのかな、こう思います。

 貸し付けではなくて信用保証の方という今委員の御指摘もございました。これは、まさに統合していくわけでございますので、政策目的が同じであるにもかかわらず重畳的になっているものについては統合のメリットをきちっと出していただく必要があると考えておりますが、一方で、別々の政策目的で政策金融をやっている場合につきましては、これはどちらかを必ず落とさなくてはいけないということには一義的にはならないものと考えておりますので、このあたりは、新しい経営者の方々に、この原則に基づいてきちっと判断をしていただくことになろうか、こういうふうに考えておるところでございます。

楠田委員 そのようなお答えをいただきましたが、私としましては、新たに合併をして、例えば民間で考えれば、ほかの支店がそれぞれ、ある支店とある支店が同じ会社に貸し金をするということは、ナンセンス、あり得ないことであると思います。たとえ政策目的が違うとしましても、同じ支店の部門部門で、これからの特に新規の部分で、二つの部門が同じ会社にアプローチをかけて、しかも先順位の担保をとるような形になってくれば、これはまさしく私は民業圧迫以外の何物でもないと思うわけであります。この点に関してどのようにお考えですか。

林副大臣 まさに御指摘のとおりであろうか、こういうふうに思います。

 政策金融は、そもそも、政策コストをかけて行う、なかなか民間ではできないところをやっていくということでございますので、政策金融のコストをどういった勘定で負担していくのかという問題が民間の金融機関とは違ったところであろうか、こういうふうに考えておりますので、そういう観点が一つあるということでございます。

 そういう観点を踏まえた上で、同じ方のところに、違う部門、また違う支店の者が行って、しかも担保をそれぞれ争う、こういうことをやっていては、まさに何のために統合したかわからないということでございますので、どこの政策目的にコストを負担させるのかということは、これはきちっと仕分けをした上で、お客様に一番メリットのあるサービスということを考えていっていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

楠田委員 そうした観点からも、私は、勘定の将来的な統合、主務大臣の分け方も非常にわかりにくいわけでありますから、考えていただきたいと思いますのと、証券化の話も新たに加わりました、保証の部分もやっていくと。むしろ、私は、こうした民間支援のもとで側面的なバックアップをしていく、これこそが民業補完ではないかと思っているわけであります。

 新たな貸し金をふやしていくというよりも、新たな分野での役割を伸ばしていく方向に進めていただければ、進むべきではないか、そうした指摘もいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは、連合審査の段取りを内閣委員会の方でいただきまして審査が実現したことに、関係の皆様に感謝を申し上げます。

 冒頭、長崎市長の悲報が届いております。私たち、政治の場にいる者として、国民の一人として、謹んで哀悼の誠をささげる次第でございます。

 その上で、これは通告とかそういうレベルを超えて、今実は、調査室に調べてもらいますと、我が国のけん銃の押収状況の推移というのを、たった今もらった数字ですから申し上げますと、平成十八年で四百五十八丁押収されているということであります。これは実は、この五年間で七百丁レベルから六百丁、四百丁、そして平成十八年で押収けん銃は四百五十八丁ということになっております。

 警察は内閣の所管でありますし、きょう両大臣にお越しいただいています。もちろん公安委員長の御担当ということは承知の上でありますが、どこか平和ぼけしているんじゃないか、日本にはけん銃はないという大前提で私たちは暮らしを営んでいるわけでありますが、内閣の委員会でのこういう機会でありますので、冒頭、そういう問題意識を披瀝させていただいた上で、何か御感想があれば、両大臣から一言ずついただきたいと思います。

尾身国務大臣 長崎市長の件、まことに痛恨のきわみでございまして、心から御冥福をお祈りしたいと思います。そしてまた、同時に、政治信条に基づく行動をしていた政治家がこういうことで命を失うということは、まことに遺憾なことであり、かつ、基本的な民主主義に対する挑戦であるというふうに考えております。

 私どもとしては、あらゆる手段を遂行しながら、こういうことが二度と起こらないように、政治的な立場を超えて、自由主義、民主主義を守るために全力を尽くしていかなければならないと考えております。

渡辺国務大臣 けさのニュースを聞いておりまして、凶弾に倒れた市長さんが高校生のときから市長を目指しておられたというエピソードを聞きました。私自身も子供のころから政治家を目指してきた人間として、本当に胸の痛くなる思いを持っております。

 こうした政治テロがどういう背景で起こったのか、その動機の解明は今捜査当局において鋭意行われているものと思いますが、今報道されているようなことが動機であるとするならば、本当に寒い話だなと思わざるを得ません。

 一方、凶器に使われたけん銃がどのような経路で入手されたかについては存じませんが、委員御指摘のような密輸という形で日本に相当大量のけん銃が入ってきているというのはゆゆしき事態であると思っております。こうした密輸けん銃が横行するというのは我が国の治安にとっては大変な脅威でありますので、私も内閣の一員として、このけん銃密輸の問題については関心を持ってまいりたいと考えております。

古本委員 両大臣におかれましては、力強い御決意を承ったと思います。それぞれ国務大臣でいらっしゃいますので、国家公安委員長へのお働きかけも含め、内閣を挙げての、このような事態が二度とないように、ぜひ全力を挙げて対応していただけるものと承りました。

 さて、本題の方に入らせていただきたいと存じます。

 ただいま楠田議員から質問があったくだりを少し引き取りたいと思いますが、このJBICが、水と油でいくと、それに当たらないんじゃないかという御指摘でありました。

 委員長のお許しをいただきまして、資料を今配付させていただきたいと思います。

 これは、実は、調べてみますと、財投の出口改革であるということでありますが、財投の出口改革という前提に立てば、では、それぞれの四機関がどういう資金繰りの状況で今日運営をなさっておられるかということで、資料の三の一、二、三を少しごらんいただきたいと思うんです。

 国金庫の財投依存度は、シェアでいえば大体三割から四割、四割弱と絞ってきていますが、依然として高いです。それから、国からの補給金という意味では、コンマ一。低いですね。他方、財投機関債は、少しではありますがふえてきています。

 それから、めくっていただきまして、三の二でございますが、中小企業公庫。これもシェアで見ますと、財投は依然として高いですね。二割ございます。財投機関債は、微増ではありますが、四・五%と、ふえてきております。

 他方、農林公庫。財投依存度は、シェアで二割。理由は補足があれば拝聴しますが、逆にふえてきている。そして補給金の依存度は絞っている。機関債は二%弱で、横ばいのような状況とお見受けします。

 そして、問題のJBICでありますが、財投機関債の依存度は、実に二けたになんなんとする勢いです。これは、何をか言わん、それぞれの四機関の使命が違うからだと思うんです。

 きょうは、それぞれに、総裁、副総裁にお越しをいただいております。お忙しい中、国会にお越しをいただきまして感謝申し上げます。どうぞ順番に、皆様方の公庫が担っておられる使命、これは、たとえリスクをとってでも、あるいは利益を出さなくても、国民の資金ニーズにこたえなきゃいけないというミッションを担っておられますという方はそうですと、ぜひ御説明いただきたいです。いや、違います、むしろ利益を出さなきゃいけないんですと、そういう使命を担っておられる中で、業務の中身も精査する中でそういう努力をなさっておられますと。

 これはそれぞれ性質が違うというふうに認識をいたしておりますが、私の認識について、ぜひ現場の責任者から生の声を拝聴したいと思います。

薄井政府参考人 国民生活金融公庫におきましては、地域の小企業の方々の小口融資に対応するという事業資金対応と、それから、マル教といいますか、教育関係のローンを私どもは担っております。ただし、教育関係につきましては、収入の非常に高い方は民間でやっていただくことになっておりまして、私どもは一定水準以下の方に対応しております。

 今御質問の点でございますが、私どもは政策金融ですから、少なくとも、現在の法律に基づいて読めば、民間金融機関から融資を受けることが困難な方に融資するということを私どもの使命と思っております。ただし、金融機関ですから、補助金のように与えっ放しということはあり得ないわけでして、返済していただける方に御融資する、これが基本でございます。ただし、融資を受けた方々が経済事情や何かでなかなかそうもいかないケースも結果的には出てきます。

 そういうことで、収支の点についての御質問ですが、私どもは、御指摘のように、財投から低利の資金を調達することができるようになっておりますので、その分をコストに反映させることによって、そしてできるだけ収支じりでは赤字を出さないようにするということを考えてきておりまして、平成十五年度以降、収支差補給金は一切いただいておりません。しかし、そのことは、融資を厳しくするという意味ではなくて、一つ一つについては可能性のある方々にできるだけ融資していく、そういう姿勢でやっております。

 以上です。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの役割というのは、いわゆる農林水産業者に対する、これも民間金融機関でできない分野、長期、低利の資金ということでございます。

 農業について申し上げますと、今、農政改革ということで構造改革が進められております。私どもは、その農政改革の方向に即して担い手を育成支援する、それを政策金融という手法で行っていくということでございます。私どもは、基本的に長期、低利ということでございますから、運転資金は基本的に扱っておりません、設備資金が中心でございます。農業の場合、生産のサイクルが大変長いとか、それから天候、疾病の影響を受けやすい等々、大変リスクの評価が難しいということもありまして、民間金融機関はなかなか、長期、低利の分野には今のところ参入してきておりません。

 私どもは、その点については、いわゆる業務協力を結んで、私どもが持っているノウハウを民間金融機関に提供するなどして、できるだけ農業金融の分野に民間金融が参入してきやすいようにいろいろな努力をしております。今のところ、長期、低利の分野と、それから運転資金の分野、民間金融機関と私どもの間は、どっちかというと役割分担という関係で進んでいるように思います。私どもとしては、民間の参入をさらに進めるようないろいろなサービスをしていきたいと思っておりますが、民間がこの分野に、運転資金等はともかく、すぐに参入は難しいと思います。

 そういうことでございますので、私どもの場合、長期、低利ということになりますと、農業で、長いものはスーパーLという資金がございます。これは二十五年という長期でございますので、そういう中で考えますとどうしても利差が出てしまう。また、それに伴ういろいろな業務運営、これについても……(古本委員「聞いていないよ、そこは」と呼ぶ)

 そういう中でございますので、私どもとしては、政策の目的を達成するということになりますと、今のところ、どうしても一定の補給金というものをいただいてやっているということでございます。

古本委員 済みません、せっかく四公庫に来ていただいているので、ぜひ発言をしていただいた方がいいと思って今申し上げていますので、私の質問が悪かったので、もう一度、正しく理解をしていただくように申し上げます。

 資料の二をごらんいただきますと、統合四機関の国庫納付金の実績ということで、この五年間で公庫に貢献しているのはJBICだけですよ。中小公庫は一昨年若干あるようですが、ずばりJBICだけです。

 つまり、皆さんは、たとえ赤を出してでも公的機関としての使命は果たさなきゃいけないという経営をなさっていますかということを聞いているんです。それに対して、はい、そうですか、そうじゃありませんとだけを聞いているんです。ほかのことは結構ですので、そこだけ、皆さんのミッションを聞かせてください。

薄井政府参考人 金融でございますので、金融情勢によっても違うと思いますが、私どもは、できるだけ収支差補給金をもらわないで済む経営をしなくちゃいけない。しかし、状況次第では、政策金融を実施するために赤字になることもあり得ると思っております。

高木政府参考人 私どもは、先ほど申し上げましたような、政策要請にこたえる、政策目的を達成するということからいきますと、長期、低利ということで対応するということになりますと、どうしても、赤字といいますか、それはやむを得ない部分があると思います。

    〔伊藤委員長退席、河本委員長着席〕

横田政府参考人 中小企業金融公庫でございます。

 私ども中小企業金融公庫は、まさに国策であります中小企業の振興、発展のために、民間の金融機関と協力しながらいろいろな手段で資金調達の円滑化をしていく。このためには、やはりどうしても国の一定の財政的な支援もいただかないと成り立たないと考えてございますが、行政コストをできるだけ最小限に抑える、こういう経営使命もこれからさらに強化していかなければならないと考えております。

篠沢政府参考人 国際協力銀行でございます。今回統合されます国際金融業務の方についてだけ申し上げます。

 私ども、資源エネルギーの確保等、対外政策を実現いたしますための金融機関としていろいろ業務を展開しておりますが、その業務に当たりましての方針として、収支相償ということが法律に定められております。

 援助と違いまして、国際金融業務においては収支相償でございますので、利益を目的とするということではございませんが、赤を出してはいけないといういわば縛りをいただいている。その中で業務を行っておりまして、結果として、現在の金利情勢の中でかなりの黒字が出ているということでございます。それで、黒字の、収益の半額を国庫納付させていただいているわけでございます。

古本委員 そのとおりなんです。だからこそ、財投機関債の依存度もJBICは高めることができるんですよ、優良企業ですから。優良公庫と言うんでしょうか、優良会社という言い方になるんでしょうか。したがって、この四つのうち、三つと一つを比較しますと、つまり、国金庫と中小公庫と農林公庫、それとこのJBICは、法律に基づく使命が全く違うんです。

 今、いみじくもそれぞれの総裁、副総裁から承りました。改めて、渡辺担当大臣にお尋ねいたします。

 このJBICを入れることによる四つの、八つの機関を統廃合しようという、そちらの政府提案の去年の行革推進法だったと承知しています。それを受けて、この四機関に絞った理由も絡めて、改めてJBICが選ばれた、三つと一つは使命が違うんです、法律に書いてある。違うんです。再度、大臣の御所見を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 確かに、今までは旧法のもとで違った使命を帯びてきたものと思います。統合をされますとどういう効果が出てまいるかということも、ぜひ想像力をめぐらせていただきたいと思うんですね。

 今ではそんなことは想像すらできない、こういうことかもしれませんけれども、例えば、お米を輸出できるという時代になっているんですね。お米は高木総裁に聞いていただいた方が早いかもしれませんけれども、たしか、世界で消費されているのは五億トンぐらいですね。そのうち二億トンは中国人が食べているんですよ。日本では、一千万トンぐらいの生産能力はありますけれども、そんなに一千万トンも消費はしていないわけですね。台湾あたりへ行きますと、何と一キロ千円ぐらいで日本のお米が取引をされている。これはおすし屋さんのおかげなんですよ。

 ですから、例えば、お米の貿易量というのは一千万トンぐらいだと言われていますけれども、日本のお米が一俵六万円で取引されている世界がもう既にあると。信じがたい話ですよ。農林漁業金融公庫のお客さんで、では海外展開をやってみようという方が、旧輸銀の蓄積されたノウハウを使って日本のお米を輸出していくなんということが……(発言する者あり)いや、今ではそんなことすら想像だにできない世界だと思いますよ。しかし、こういう公庫を統合すれば、そういう夢のようなシナジー効果も大いに出てくるのではないかと私は申し上げているわけでございます。

古本委員 このJBICが、要は、そういう可能性もあるでしょう。それは、私は否定はできないと思います。

 では、その前提で、今、公庫が貸し出している先で、これまで海外進出をもくろんだ、もくろみだけで結構ですよ、という相談を受けたというようなところは実感としてございますか。中小公庫と農林と、それと国金庫と、聞かせてください。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの現在の取引先は約五万社ございますけれども、そのうち四千社程度は既に海外に進出をいたしておりますし、私どもも、海外の事務所が一つありますし、ジェトロとかその他の事務所に人も派遣してやっておるところでございます。JBICさんの海外のいろいろな情報とか、駐在の方々にも大変お世話になっておるところでございます。

古本委員 では、今お尋ねしますが、四千社あるとおっしゃいましたが、そのうち上場しているような会社は何社ぐらいですか。

横田政府参考人 上場に至りますと、原則として自己資金力がつくということで御卒業いただくことになるわけでございますが、経過的に若干は残っておると思います。

 私どもから上場いたしました企業は、日本の上場企業の四分の一ぐらいになっております。

古本委員 実はそうなんです。中小公庫の皆さんの御尽力によって、きょうは企業の名前は言いませんが、日本の名立たる企業が実は、卒業という言い方をなさりましたが、今巣立っています。

 したがって、国金庫から借りていた人が、少し事業を大きくして中小公庫に乗りかえて、そしてさらにステップアップしていくというのは、我が国の各企業の成長を支えてきた今日的な側面は確かにあると思います。

 しかしながら、これは税金が投入されているんですよ。きょうはあと五分になりましたので、午後もお時間をいただけるようですから、少しその部分に譲りたいと思いますが、税を投入して、結果として利子補給を受けておられるような方々が今あるわけです。そういう方々と協調して、この四つの機関が一つになって、大臣の言われるところのシナジー効果を発揮していかなきゃいけない可能性がどのくらいあって今このJBICと一緒になるかということをお尋ねしたいわけなんです。

 それぞれの機関が持っておられる使命、あるいはこれまでの担ってきた役割は全く否定しません。むしろ守るべきところもあると思っています。これは私ども民主党の立場であります。しかしながら、財投の出口改革なんです。渡辺大臣、財投は今ストックベースでどれだけありますか。これをどれだけ絞っていきますか。これが出口の改革である、こうおっしゃるのであれば。

渡辺国務大臣 財投は、ストックベースでいきますと、一番高い山だったのが平成十二年で、四百十七・八兆円、平成十九年の見込みでは二百四十九・七兆円でございます。したがって、金額ベースで半減はいたしておりませんが、三分の二程度のずうたいにはなってきているということであります。

 一方、フローでいきますと、平成八年がピークで、四十・五兆円でございました。平成十九年度は、ピーク時の三分の一まで減っております、十四・二兆円。したがって、フローの水準がさらに圧縮されてまいりますと、着実にストックベースの数字は減ってまいるわけでございます。

 御案内のように、政府系金融機関の融資残高のGDP比半減目標を掲げておりまして、これを着実に達成していこうということでございます。

古本委員 財投のフローベースは、絞ってきたとはいえ、まだありますね。この四機関が、今資料の三の一から二、三とお示ししましたが、今それぞれ依存はしています。

 これは今後限りなくゼロになっていくんでしょうか。財投依存度です、この資金調達のところのですけれども。これは財務大臣に聞いています。理財局の運用の問題ですから。

尾身国務大臣 今、一応半減というお話がございましたが、官から民へという大きな流れで、徐々にいわゆる財投として国が直接関与する部分は減ってくるんだろうというふうに考えております。

古本委員 減ってくるという、目標なり意気込みはわかります。

 では、具体的な数値目標はございますか。出口改革として四機関を統合するに当たり、シナジー効果を上げ、より効率化していく中で国民の資金需要にこたえるというミッションを果たしつつも、財投依存度をこのぐらいに絞っていきますという数値目標はございますか。

尾身国務大臣 基本方針二〇〇六におきまして、財投融資資金につきましては、「今後十年以内であわせて百三十兆円超の圧縮を実現する。」ということになっているわけでございます。

古本委員 中小公庫さんに引き続いてお尋ねしますが、民間準拠ベースで損益計算書も出されているようですが、貸借対照表も出されていますね。貸倒引当金をどのぐらい積んでおられますか。

横田政府参考人 公庫の貸倒引当金の正式な方法は公会計でやるということで、千分の六以下ということで、毎年二、三百億程度の範囲で変動をいたしてございますが、民間会計の適用をいたしました引き当ても別途作成して発表いたしております。現在、正確ではないかもしれませんが、三千七、八百億円ということで、大変大きな差がございます。

古本委員 時間が来ましたので最後にしますが、民間準拠ベースということではなくて、これは会社法上の会社になるというふうに承っておりますので、今後はそういう数値で出していく、複式の簿記で出していく、こういう理解でいいでしょうか。大臣に聞いています。

渡辺国務大臣 もう既にディスクロージャーは行っておりますが、新公庫においては、さらに透明性の確保の要請がございます。会社法適用でございますから、きちんとガバナンスを強化してまいります。

 当然、複式簿記でなければ、BS、PLを出せませんので、当たり前のお話でございます。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 日本政策金融公庫に統合される金融機関として、国際協力銀行の中の国際金融部門というのがあるわけです。この国際協力銀行を利用して、米軍のグアム移転に関連して行われるグアム基地建設の資金、これを提供しようというのが政府の計画でございます。

 そこで確認をしたいんですが、今の国際協力銀行法の第一条には「我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、」とあります。

 尾身大臣、この目的から見て、グアム基地建設の資金提供というのは目的とは違うのではないでしょうか。

尾身国務大臣 JBICの法律の目的は今お話しのとおりでございます。他方、在沖縄の米海兵隊のグアムへの移転事業におきましてJBICに求められる役割は駐留軍等の再編の円滑な実施に寄与することでございまして、御指摘のとおり、これはJBIC法第一条の目的とは合致しないところでございます。

 そのため、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法においては、現行のJBIC法第一条の規定にかかわらず、海兵隊のグアムへの移転に係る業務を行うことができるよう規定を整備したところでございます。

佐々木(憲)委員 もともと目的に全く合わないものを国際協力銀行にやらせるということ自体が問題だ、この基本性格をゆがめるものだというふうに私は思うわけです。同時に、真水部分についても、財政法上、禁止規定がないからできるという答弁が繰り返されておりますが、非常に理解しがたい苦しい答弁だというふうに私は思っております。

 そこで、具体的に聞きますが、日米間で合意されたグアム移転費用の総額、そのうち日本側の負担額、その中で出資、融資額、これは幾らですか。

大古政府参考人 防衛省からお答えいたします。

 グアム移転経費の総額については、百二億七千万ドルということで日米間で合意しているところでございます。このうち、日本の分担額につきましては六十億九千万ドルということでございます。

 この日本の負担のうち、いわゆる真水部分につきましては、これは司令部庁舎とか隊舎とか等の関連でございますけれども、これについては約二十八億ドル、上限でございますけれども、こういうふうになってございます。

 その他、家族住宅とかインフラ等の整備がございます。

 まず家族住宅につきましては、約二十五億五千万ドルでございますけれども、このうち四億二千万ドルにつきましては、過去の事例から、民活事業の導入によって効率化が見込まれるというふうに考えているところでございます。その他については、出資で約十五億ドル、それから融資で約六億三千万ドルを考えているところでございます。

 あと、インフラにつきましては、融資などで約七億四千万ドルを考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 今のその数字、アメリカの要請としてはそういう数字があったと思うんですが、日本側はこのアメリカの要請の数字にオーケーと、具体的にその額に合意がなされているというふうに理解していいわけですか。

大古政府参考人 今申し述べた数字につきましては、検討段階の米国の見積もりでございます。あくまでも概算でございます。日米の合意については、このアメリカの見積もりに基づいて合意したものではございません。

 具体的なところは、今、日米間で協議中でございますけれども、我が国の負担の部分については今後きちんと精査するということで考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 具体的にまだ確定した数字ではないというわけですね。

 今後、その額がふえるということはありますか。

大古政府参考人 防衛省といたしましては、今後きちんと精査した上で、できるだけこの金額の縮小を図りたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 米軍の家族住宅を三千五百戸つくると言いますけれども、土地は提供される。その上に、試算によると一戸当たり約八千万円を超える住宅をつくるということらしいですが、そんな豪華な住宅が必要なのか。

 グアムの平均的な家族住宅は幾らぐらいですか。

大古政府参考人 グアムにおける米軍の家族住宅の建設費用についてのお尋ねでございますけれども、この点については、施工内容とか事業者によってさまざまであると思われますので、防衛省として、責任を持って、家族住宅の一戸当たりの建設費をお答えする立場にはございません。

 ただ、いずれにしましても、今後、日米間で協議した上で、家族住宅につきましては日本国内でも米軍の家族住宅の整備はしておりますので、そういう整備の実情を参考に考えていきたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 では、日本の沖縄米軍の家族住宅を参考にすると言いますが、一戸当たり幾らですか。

伊藤政府参考人 沖縄におきます米軍家族住宅整備についての御質問でございます。

 個々の建設費用につきましては、立地条件、物価変動等の状況がございますので一概にお答えすることは困難でございますが、米軍家族住宅整備におきます現在の一般的、標準的な建設費をお答えしますと、低層家族住宅、二階建て、三寝室、約百四十五平米タイプで、基礎補強、附帯設備等を除きまして、一戸当たり約三千万円でございます。

佐々木(憲)委員 日本の沖縄の米軍家族住宅は一戸当たり約三千万円だ。ところが、グアムの家族住宅は八千万円を超えるということが予想されておって、久間大臣も、ちょっと高過ぎるという答弁をされているようです。

 大体、何で三倍近い豪華住宅をグアムにつくる必要があるのか、何のためにそこに国民の資金を投入するのか、根本的に疑問であります。

 アメリカがこのグアムの住宅をもっと豪華なものをつくれと言ってきたら、拒否できるのですか。

大古政府参考人 米軍の家族住宅につきましては米軍の中においても基準がございまして、当該軍人の階級等に応じて広さとか仕様が決まると聞いております。

 そういう観点で、今後、日本が資金を分担する部分については、日本での家族住宅の建設、それから米軍での基準等を参考にして考えていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 もっと豪華なものをつくれと言ったら、拒否する権限は日本にあるのかと聞いているんですよ。

大古政府参考人 米側から、通常の米側の基準を超えて特別華美の仕様のものをグアムで建設してくれという要望が出てくることは、およそ考えられないと思っております。

佐々木(憲)委員 全くアメリカをただただ信頼しているというだけの答弁で、拒否する権限は日本にあるとはっきり言えないところに問題があると私は思います。

 国際協力銀行は、事業主体であるSPEというものに貸し付けて回収するといいますが、この事業主体の構成、それからその比率はどうなっていますか。また、この事業所はどこに置くんですか。

大古政府参考人 お尋ねの事業主体の具体的なあり方については、今後、日米間で協議した上で決めていくということで考えているところでございます。

 その意味で、JBICからこの事業主体に出資なり融資が行われるということにはなりますけれども、その割合も含めて今後検討されるということでございます。

佐々木(憲)委員 全く明らかじゃないです。

 では、これは何年で回収するんですか、日本のお金を。

大古政府参考人 事業主体に対する融資について何年で回収されるかということについても、今後検討されることになります。

佐々木(憲)委員 四十年から五十年じゃないんですか。

大古政府参考人 米軍の家族住宅につきましては、米国政府自体が民活を取り入れてやっていると聞いておりまして、その事例では、回収期間は五十年に及ぶというような場合もあると聞いております。

佐々木(憲)委員 気の遠くなるような話ですね。

 家賃それから電力等の使用料、これは事業主体の独自の判断で決められるんですか。

大古政府参考人 家賃や電力などの使用料につきましても、今後具体的に検討していくということになります。

 いずれにしても、確実に回収できるように、いろいろ今後きちんと精査してまいりたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 結局、融資をしたり出資をしたりするその回収も家賃で回収するんだから、家賃が幾らになるかもわからない、決められない、そんなでたらめなことがありますか。

 渡辺大臣、こういう、家賃も使用料も決められない、しかし、出資はいたします、融資はいたします、回収します、四、五十年。事業主体がどうなるかもわからない、収益が出るかもわからない、出ないかもわからない。こんないいかげんなやり方で公的な日本の金融機関が使われるということについて、私はこんなやり方はとんでもない話だと思うんですが、大臣はどうお考えですか。

渡辺国務大臣 このグアム移転の話は、まず一つには、海兵隊のプレゼンスによる抑止力を維持しながらいかに沖縄県民の負担を減らしていくかというところに大きな目的があるわけでございます。したがって、この目的を達成するためのいわば苦肉の策みたいなものなんですね。

 ですから、これを取り上げて、今回の政策金融改革がおかしいという議論にはならない話でございまして、政策金融改革とは別種類の、デカップリングして考えるべき話ではないでしょうか。

佐々木(憲)委員 ということは、苦肉の策で、損失が出てもしようがない。アメリカが言ってきたから、あるいは、アメリカに対して、グアム移転をやる、そのために日本が負担しますとトップが決めたから、後は赤字が出ようが何しようが、そんなものは少しぐらい関係ないんだ、こういう姿勢が日本政府の姿勢だというのが今の答弁でよくわかりました。

 以上で終わります。

河本委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時三分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 株式会社日本政策金融公庫法案

 株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

は内閣委員会議録第九号に掲載


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