衆議院

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第1号 平成20年2月6日(水曜日)

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平成二十年二月六日(水曜日)

    午後二時八分開会

    ―――――――――――――

平成二十年二月六日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     逢沢 一郎君     中山 成彬君

     森  英介君    田野瀬良太郎君

     伊藤 達也君     山本 幸三君

     遠藤 利明君     小此木八郎君

     西  博義君     石田 祝稔君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 逢沢 一郎君

            副議長 中山 成彬君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     池口 修次君     小川 勝也君

     尾立 源幸君     櫻井  充君

     榛葉賀津也君     津田弥太郎君

     羽田雄一郎君     水岡 俊一君

     仁比 聡平君     近藤 正道君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 櫻井  充君

            副議長 小川 勝也君

    ―――――――――――――

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 逢沢 一郎君

   副議長 中山 成彬君

     森  英介君    田野瀬良太郎君

     伊藤 達也君     山本 幸三君

     遠藤 利明君     小此木八郎君

     西  博義君     石田 祝稔君

  参議院

   議 長 櫻井  充君

   副議長 小川 勝也君

     池口 修次君     尾立 源幸君

     榛葉賀津也君     津田弥太郎君

     羽田雄一郎君     水岡 俊一君

     仁比 聡平君     近藤 正道君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委 員 部 長 緒方 輝男君

        予算委員会専門員       井上 茂男君

  衆議院法制局

        第 二 部 長 橘  幸信君

  参議院事務局

        委 員 部 長 諸星 輝道君

        予算委員会調査室長      村松  帝君

  参議院法制局

        第 四 部 長 長野 秀幸君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

平成十九年度一般会計補正予算(第1号)

平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)

平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

    〔逢沢一郎君議長席に着く〕

議長(逢沢一郎君) これより平成十九年度一般会計補正予算(第1号)外二件両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には櫻井充君、副議長には小川勝也君、衆議院の協議委員議長には私、逢沢一郎、副議長には中山成彬君がそれぞれ当選されておりますので、この際、御報告申し上げておきます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務をとります職員以外の方は御退席をお願いいたしたいと存じます。

 まず、平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)の三案について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 先ほどの両議院の協議委員議長及び副議長の打合会の申し合わせに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。中山成彬君。

中山成彬君 衆議院における平成十九年度一般会計補正予算(第1号)外二案の議決の趣旨につきまして御説明申し上げます。

 我が国の財政は、国、地方を合わせた長期債務残高が平成十九年度末において対GDP比一五〇%程度となる見込みであるなど、極めて深刻な状況にあります。小泉・安倍内閣より続くこれまでの財政健全化の努力を福田内閣においても緩めることなく継続し、徹底した歳出改革に取り組んでいかなければならないところであります。その一方、昨年発生した能登半島地震、新潟県中越沖地震等による災害被害の早期復旧、昨今続く原油価格高騰対策等喫緊の課題への対応も要求されているところであります。

 以下、政府原案を可決した主な理由について申し述べます。

 その第一の理由は、追加額については、国民生活の安全、安心、原油価格高騰への対応等に配慮しつつ、災害対策費を初めとして、緊急かつ真に必要な経費が計上されていることであります。

 まず、災害対策費につきましては、平成十九年及び過年発生に係る地震、台風、豪雨等の災害による被害を受けた公共土木施設等の災害復旧等のための事業費のほか、今後の災害防止等に向け緊急に対応すべき治水、道路の整備等を推進するための緊急防災事業費、さらに学校等の耐震対策などの施設費等を追加するなど、緊急に必要な経費を計上しております。

 次に、義務的経費等の追加につきましては、老人保健法に基づく保健事業費負担金及び老人医療給付費負担金、国民健康保険法等に基づく国民健康保険助成費における療養給付費等補助金等の平成十八年度における精算不足額及び平成十九年度にも見込まれる不足額を補てんするために必要な経費など所要の額を計上するとともに、中小企業金融公庫の経営基盤の確保を図るため、中小企業信用保険事業に係る準備基金に充てるための同公庫に対する出資等に要する経費、国際連合が行う平和維持活動部隊等の紛争発生地への派遣、停戦の監視及び治安の維持に係る分担金等の支払いに必要な経費、さらに、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき創設される高齢者医療制度等の円滑な実施を図るため、保険者等が設置する基金に高齢者医療制度円滑導入臨時特例交付金を交付すること等により、高齢者の保険料負担等の激変緩和措置を講ずるために必要な経費を計上しております。

 このほか、最近における原油価格の急激な高騰に対応するための原油価格高騰対策費を計上するとともに、水田農業等緊急活性化関係経費、中国残留邦人支援関係経費など、必要性、緊急性の高い事項について所要の経費を計上しているものであります。

 その第二の理由は、財政規律の維持の面から見ても評価できる点であります。

 すなわち、既定経費の節減に取り組むとともに、公債の償還財源に充てるため、財政法に基づき、平成十八年度の決算上の剰余金の二分の一に相当する額を国債整理基金特別会計へ繰り入れることとしております。また、税収の減額補正があるものの、公債を増発せずに編成を行っていることであります。

 以上、政府原案を可決した主な理由について申し述べました。

 財政規律を緩めないとの方針のもと、国民生活の安全、安心の確保等に配慮しつつ諸般の取り組みを適切に進め、緊要の課題に対して責任ある行動を示すことが重要であり、そのため本補正予算を速やかに成立させることこそが国民の期待にこたえるものと信じております。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上であります。よろしくお願いいたします。

議長(逢沢一郎君) 次に、参議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。羽田雄一郎君。

羽田雄一郎君 参議院側が平成十九年度一般会計補正予算外二件を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。

 否決の第一の理由は、高齢者医療制度の導入を前に、一時的凍結というその場しのぎの対応に終始していることであります。

 本年四月から始まる高齢者医療制度は、年金課税の強化や定率減税の廃止など高齢者の負担増加が相次ぐ状況のもとで、政府が導入を強行したものであります。国民世論の強い反発を受け、政府は、急遽、負担の一時凍結を決めたのでありますが、今の段階で制度の一部凍結を行わなければならないこと自体、高齢者医療制度に重大な問題があったことを示す証左にほかなりません。凍結などという小手先の対応ではなく、制度そのものを抜本的に見直すべきであります。

 否決の第二の理由は、税収見積もりに慎重さを欠いている点であります。

 本補正予算では、税収を約九千億円減額修正し、五十二兆五千億円余としておりますが、前年度決算の税収と比べれば七・一%増、額にして三兆五千億円近い増加を見込んでおり、過大見積もりの可能性が濃厚であります。政府は、十八年度においても、補正予算で一兆四千億円に上る大幅な税収の過大見積もりを行っております。

 まして、今年度においては、既に企業収益にも陰りが見られるなど、景気の先行き不透明感が一段と強まっており、かかる状況にもかかわらず、慎重な税収見積もりを怠る政府のやり方は容認できません。

 否決の第三の理由は、補正予算の編成要件から見て、妥当性を欠く経費が計上されていることであります。

 財政法第二十九条は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の追加及び変更を補正予算の要件としております。しかし、本補正予算には、二十年度から導入予定の高齢者医療制度の負担凍結に必要な経費や農業活性化対策の経費など、本来、当初予算に計上すべき経費が大幅に追加されております。こうした措置は、補正予算を利用して当初予算の歳出を抑制するシーリング逃れそのものであり、財政規律の面から、到底認めることはできません。

 否決の第四の理由は、原油高対策が不十分なことであります。

 昨年後半以降、再び原油価格の高騰が顕著になっており、既にガソリン、食料品価格の上昇が目立つなど、国内においてもその影響がじわじわと広がり、国民生活への圧迫は日増しに強くなってきております。

 政府は、昨年末、原油価格高騰に対する緊急対策をまとめ、その一部を本補正予算に計上しておりますが、規模も小さく小出しの対応が目立ち、全く力不足であります。

 原油高が国民生活へ深刻な影響を与えていることを踏まえ、政府は、一刻も早く、揮発油税の暫定税率を廃止し、ガソリン価格の引き下げを図るとともに、高速道路料金の一律三割引き下げを実現するほか、中小企業者や漁業・農業従事者に対しても負担軽減のための万全の措置を講じるべきであります。

 否決の理由は多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した平成十九年度補正予算に反対する諸事項を除去することによって平成十九年度補正予算三案が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(逢沢一郎君) これにて各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入りたいと存じます。

 順次御発言をお願いいたします。津田弥太郎君。

津田弥太郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、平成十九年度補正予算三案に反対した理由を申し上げます。

 第一は、財政規律を無視した編成が行われていることであります。

 本来、補正予算には、当初予算編成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費など、極めて限定的な経費しか計上できないことになっておりますが、本補正予算には、高齢者医療関係経費や農業活性化策など、十九年度当初予算に計上が可能であった経費が数多く盛り込まれております。シーリングにより当初予算を厳しく抑制したといいながら補正で歳出を積み増す手法は、国民の目を欺くものであり、到底容認できるものではありません。

 第二は、甘い税収見積もりにより、つじつまを合わせていることであります。

 景気の悪化が懸念されているにもかかわらず、補正後の税収見積もりは十八年度決算を大きく上回っており、極めて非現実的であります。国債の増発を避けるべく税収を過大に見積もったことは明白であり、このような見せかけの財政健全化は国民を愚弄するものであります。

 第三は、高齢者医療制度の導入間際になって突如として負担を凍結したことです。

 今回の措置により、この制度に根本的な欠陥があることが明白となりました。負担の凍結などという小手先の手法で取り繕うのではなく、制度の実施を取りやめ、抜本的に見直すべきであります。

 第四は、原油高対策が極めて力不足で、国民の期待を裏切っていることです。

 政府が打ち出した対策は、対象者が限定されているほか、金額も国民経済の大きさから見れば極めて小さなものにとどまっております。暫定税率の引き下げ等により、広く国民全体に及ぶ対策を実施すべきであります。

 さて、私は、参議院予算委員会の理事として、補正予算審議のやりとりを最前列でつぶさに見届けてまいりました。

 国民注視の年金記録問題に関して言えば、今もって政府の対応は極めてずさんであり、実質二百一億円という貴重な国民の血税を社保庁の不始末に追加することは到底認められないことであります。さらに、道路特定財源の議論では、閣内不一致が明らかになるとともに、国土交通省のでたらめな答弁や対応で昨日の参議院予算委員会の審議が大幅にストップするなど、政府の対応は極めて不誠実でありました。

 以上、主な理由を列挙しただけでもこれだけの問題があることから、民主党・新緑風会・国民新・日本は、本補正予算案に反対したものであります。

 以上です。

議長(逢沢一郎君) 次に、仁比聡平君。

仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 二〇〇七年度補正予算三案について、災害対策や中国残留邦人への支援などに対して補正予算を組むのは当然でございます。しかし、三案は、以下の三点で重大な問題を含んでおり、反対であります。

 第一に、米軍再編関係経費に百七十一億円もの予算を計上していることです。

 岩国基地への米空母艦載機移駐経費は、岩国市民が二度にわたって示してきた、移駐反対、米軍再編反対の声を踏みにじるものです。また、名護市辺野古沖への新基地建設は、地元住民が強く反対してきたものです。こうした在日米軍基地と自衛隊基地の再編強化の予算は、地球的規模での日米軍事一体化を推し進めるためのものであり、断じて認められません。

 第二に、原油価格高騰対策費五百七十億円のうち、その二二%を自衛隊の訓練などの燃料購入費が占めており、漁業の燃油対策、離島航路や地方バスへの補助などの経費を上回っています。これは、原油高騰によって重大な影響を受けている国民生活より軍事を優先する政府の姿勢を示すものにほかなりません。

 第三に、高齢者医療費負担増の激変緩和措置は、負担増凍結の期間はわずか一年間で、凍結とは名ばかりのごまかしにすぎません。しかも、後期高齢者医療の保険料徴収の凍結対象はわずか百六十万人で、千三百万人の後期高齢者の大半を占める国保加入者の保険料は予定どおり四月から徴収され、わずかな年金からも保険料が天引きされます。高齢者が長生きを喜べない差別医療制度は、凍結ではなく、きっぱり中止すべきです。

 以上の理由で、二〇〇七年度補正予算三案を否決した参議院の結果を衆議院側も重く受けとめていただきたいと存じます。

 以上です。

議長(逢沢一郎君) 次に、近藤正道君。

近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。

 本補正予算案には、災害対策など前向きに評価されるものも盛り込まれてはおりますが、以下のような重大な問題点があり、賛成できません。

 その第一の理由は、これまで政府・与党が数の暴力で強行した理念なき政策の欠陥を根本的にただすことなく、総選挙目当てのびほう策として多額の税金が使われているということであります。

 まず、高齢者医療負担軽減策の千七百十九億円ですが、約二百万人の保険料減免、七十歳から七十四歳の窓口負担の据え置きについては〇八年度のみであります。二〇〇六年の医療制度関連法がもたらす医療崩壊には全く思慮が及んでおりません。後期高齢者医療制度の凍結、抜本見直しを行うべきであります。

 また、水田農業等緊急活性化経費についても、政府・与党が経営安定化対策によって中小農家を切り捨ててきたところにこそ本質的な問題があり、戸別所得補償制度の早急な導入を行うべきであります。

 第三の理由は、国民生活より対米関係を優先しているということであります。

 原油価格高騰対策についても、最大のものが、インド洋での自衛隊の補給活動のための油購入費差額分であります。その一方で、国民は寒さに震えておるのであります。さらに、米軍再編関係経費や普天間飛行場移設に伴う海上警備行動のための経費も問題であります。

 第四の理由は、税収減の問題であります。

 税収の見積もりがいいかげん過ぎるということであります。

 第五の理由は、国債整理基金特別会計への繰り入れの使い道についてであります。

 賃金が上がらず、公共料金や日常生活必需品の物価上昇が国民生活を襲おうとしている今日、生活関連予算の充実をまず図るべきであります。

 以上ですが、参議院の議決は直近の民意に近いものでございます。衆議院として、この直近の民意に近いということをぜひ重く受けとめていただき、参議院の議決に御賛同いただきたい、そのことを最後に申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。

 以上であります。

議長(逢沢一郎君) 次に、森英介君。

森英介君 参議院側から、ただいま、それぞれのお立場で補正予算案について否決の意見が述べられました。

 反対の理由はおおむね四点に集約されると思います。かかる参議院側の御意見に対しまして、まず、私から前半の二点について衆議院側の見解を申し上げまして、残余の二点については、公明党の石田祝稔委員から御説明を申し上げます。

 第一の高齢者医療制度についてでありますが、被用者保険の被扶養者であった者の保険料負担や、本年四月から二割負担になる予定であった七十歳から七十四歳の医療費自己負担の激変緩和措置につきまして、市町村や広域連合等における準備に万全を期すため、本補正予算に計上することとしたものであり、改革を円滑に実施するためのものであります。

 なお、新たな高齢者医療制度については、急速に高齢化が進む我が国において、高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中、現役世代と高齢者の負担の公平を図りつつ、将来にわたって持続可能な制度とすることが重要であり、その理念や方向性は適切なものと考えております。

 第二に、税収の減額補正についてでありますが、税収の見積もりについては、直近の課税実績、足元の経済動向、各種経済指標等を考慮しつつ行っているところであります。御指摘のとおり、平成十八年度決算では、法人税や配当金の減収もありまして、一兆四千億円の減額となったわけでありますが、こういう経済の流れを考慮して、本補正予算においては、マイナス九千億円の減額補正が行われているところであります。

 経済の動きというものは、我が国の経済だけでなく、世界経済の動きによっても変化し、それに伴って税収も変化いたします。その状況の変化に合わせて適切に対応することが肝要であり、慎重さを欠く、過大な見積もりであるとの指摘は全く当たらないものと考えます。

 以上、私から二点について申し上げました。

議長(逢沢一郎君) 次に、石田祝稔君。

石田祝稔君 それでは、参議院側の否決理由の三点目である、補正予算の編成要件から見て妥当性を欠く経費が計上されているのではないかという御指摘についてでありますが、財政法第二十九条では、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行うなどの場合に補正予算を作成し提出することができるとされており、予算作成後に生じた事由に基づいて緊要となった経費であれば、政策的経費であっても問題はないと考えております。

 また、本補正予算については、減収を見込んでいるものの、税外収入、前年度決算剰余金及び既定経費の節減等を財源とすることにより、新たな公債の発行は行わないこととされております。また、財政法第六条、剰余金については、その二分の一を国債の償還財源に充てるため、国債整理基金特別会計へ繰り入れることとするなど、財政規律の確保の面からも評価できる内容となっております。

 第四の原油高対策についてでありますが、最近における原油価格の急激な高騰が、国民生活を直撃するとともに、十分な価格転嫁を行うことが難しい下請事業者を初めとする中小企業を中心に深刻な影響をもたらしていると認識しております。

 政府が昨年末にまとめた緊急対策においては、一、下請取引の適正化などの中小企業への業種横断的対策、二、建設業、漁業、運送業など業種別対策、三、離島、寒冷地など地方の生活関連対策、四、省エネ、新エネなど構造転換対策、五、国際原油市場の安定化への働きかけ、六、石油製品等の価格監視等の強化の六項目を柱として対策がとられているところであり、本補正予算にも関連した予算措置が盛り込まれております。

 取りまとめられた対策は、国民の目線に立ち、特に原油高の影響を受けている厳しいところに絞って国民生活に配慮したものであり、原油高対策が力不足であるとの批判は当たらないものと考えます。

 以上、申し上げましたとおり、衆議院側といたしましては、可決した本補正予算を最良、最善のものと考えております。参議院側におかれましても、本補正予算に対し、この場で改めて御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 以上であります。

議長(逢沢一郎君) それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

議長(逢沢一郎君) それでは、速記を起こしてください。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、参議院側小川勝也君。

小川勝也君 参議院側としてのまとめの意見を申し上げます。

 参議院側としては、この平成十九年度補正予算三案に何らかの修正ないし削除を加えることが必要と考えます。

 既に否決の趣旨説明及び意見表明で述べたところでありますが、高齢者医療制度について負担凍結という場当たり的対応をしていること、税収が過大に見積もられていること、原油高対策が国民の期待とはほど遠い内容になっていることなど、本補正予算には多くの問題があると考えております。

 両院の議決が異なった場合、何らかの解決策を策定するのが両院協議会の目的であります。このように協議会を開いたわけでございますから、衆議院におかれましても、我々の意見の趣旨をお酌み取りいただき、合意が得られるよう、御再考いただきますようお願い申し上げます。

 以上です。

議長(逢沢一郎君) 次に、衆議院側田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎君 参議院側の御意見につきましては十分承りました。

 しかしながら、衆議院側といたしましては、先ほど申し述べましたように、平成十九年度補正予算は、諸般の情勢をかんがみれば、現状において最良の予算であると考えておりますので、残念ながら、参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 本補正予算は、財政規律を緩めないとの方針のもと、国民生活の安全、安心、原油価格高騰への対応等に配慮しつつ、災害対策費を初めとして、必要性、緊急性の高い経費を計上したものであり、現下の経済情勢や国民生活への影響を考えると、一日も早く成立させる必要があります。

 よって、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じます。

 以上でございます。

議長(逢沢一郎君) それでは、いろいろと御協議をいただいたのでございますが、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(逢沢一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会


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