衆議院

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第1号 平成20年3月28日(金曜日)

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平成二十年三月二十八日(金曜日)

    午後七時四十四分開会

    ―――――――――――――

平成二十年三月二十八日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     逢沢 一郎君     中山 成彬君

     森  英介君    田野瀬良太郎君

     山本 幸三君     遠藤 利明君

     増原 義剛君     小此木八郎君

     西  博義君     石田 祝稔君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 逢沢 一郎君

            副議長 中山 成彬君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     池口 修次君     小川 勝也君

     尾立 源幸君     櫻井  充君

     榛葉賀津也君     津田弥太郎君

     羽田雄一郎君     水岡 俊一君

     仁比 聡平君     近藤 正道君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 櫻井  充君

            副議長 小川 勝也君

    ―――――――――――――

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 逢沢 一郎君

   副議長 中山 成彬君

     森  英介君    田野瀬良太郎君

     山本 幸三君     遠藤 利明君

     増原 義剛君     小此木八郎君

     西  博義君     石田 祝稔君

  参議院

   議 長 櫻井  充君

   副議長 小川 勝也君

     池口 修次君     尾立 源幸君

     榛葉賀津也君     津田弥太郎君

     羽田雄一郎君     水岡 俊一君

     仁比 聡平君     近藤 正道君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        予算委員会専門員       井上 茂男君

  衆議院法制局

        第 二 部 長 橘  幸信君

  参議院事務局

        委 員 部 長 諸星 輝道君

        予算委員会調査室長      村松  帝君

  参議院法制局

        第 四 部 長 長野 秀幸君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

平成二十年度一般会計予算

平成二十年度特別会計予算

平成二十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

    〔逢沢一郎君議長席に着く〕

議長(逢沢一郎君) これより平成二十年度一般会計予算外二件両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には櫻井充君、副議長には小川勝也君、衆議院の協議委員議長には私、逢沢一郎、副議長には中山成彬君がそれぞれ当選されておりますので、この際、御報告申し上げておきます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務をとります職員以外の方は御退席をお願いいたします。

 まず、平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算の三案について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 先ほどの両議院の協議委員議長及び副議長打合会の申し合わせに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。中山成彬君。

中山成彬君 衆議院における平成二十年度一般会計予算外二案を可決した趣旨につきまして御説明申し上げます。

 我が国経済は、バブル経済崩壊後の長い低迷から脱却し、新しい成長の姿を確立していく重要な時期にあるものの、少子高齢化に伴う人口減少、経済のグローバルな競争、公債残高の増大等、我が国経済を取り巻く内外の状況は厳しさを増しております。

 平成二十年度予算は、こうした中で、経済成長を持続させ、国民の生活をより豊かなものにしていくため、成長力強化と財政健全化の双方を着実に進めていくものとして、現状において編成し得る最良、最善の予算であると確信するものであります。

 以下、政府原案を可決した主な理由について申し述べます。

 その第一の理由は、本予算案が地域の活性化、成長力の強化、国民生活の安全、安心といった重要な政策課題にきめ細かく配慮し、予算配分を重点化したものとなっている点であります。

 すなわち、地方の活力の再生を通じて我が国全体の成長を図るための取り組みを推進するため、地域間の税源偏在の是正に対応するための地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の創設、地方税の偏在是正効果を活用した地方再生に必要な財源を確保するための地方再生対策費の創設、地域住民の暮らしの確保、質の向上のためのまちづくり交付金、地域再生交付金の拡充などの措置を講じております。

 また、国民が未来に夢や希望を持ち、より安心して生活できる基盤となる社会保障制度を維持するためにも、生産性を向上させ、成長力を強化することが重要であることにかんがみ、次世代スーパーコンピューターの整備や再生医療の実現化プロジェクト等の成長分野の育成、新現役チャレンジ支援事業や地域イノベーション協創プログラム等の人材育成、中小企業育成による生産性の向上、スーパー中枢港湾の整備、空港等機能高質化事業等の物流インフラの整備など、成長力の強化を図るための重点化をしております。

 さらに、国民生活の安全、安心を図るため、安心で質の高い医療の確保、災害に強いまちづくり、安心して子供を産み育てる環境の整備について重点的に配分しております。

 加えて、京都メカニズムクレジット取得事業、企業の地球温暖化防止支援、超長期住宅先導的モデル事業など、地球環境と両立する社会への転換を図ることを推進することとしております。

 また、文教分野においては、教職員定数の千人増・外部人材活用事業、学校支援地域本部事業などの信頼できる公教育の確立に資する施策等に重点的に配分しております。

 その第二の理由は、これまでの財政健全化の努力を緩めることなく、歳出改革路線を堅持している点であります。

 政府・与党は、二〇一一年度における国、地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成すべく改革に取り組んでいるところであります。

 本予算においては、効率化、重点化による公共事業関係費の削減、公務員の定員の純減等による公務員人件費の削減など各分野の歳出改革を着実に実施しているほか、道路特定財源、社会保障など、制度、施策の見直しについても適切に予算に反映しているところであります。

 税収の伸びが小幅にとどまる中で、これらの改革により、新規国債発行額は二十五兆三千億円と四年連続の減額を実現しております。また、資産・債務改革、特別会計改革等を踏まえ、財政投融資特別会計の準備金のうち九・八兆円を国債の償還に充てることにより国債残高を圧縮させており、内外に我が国が財政健全化を進めていく姿勢を示したものとなっております。

 その第三の理由は、無駄の排除のため、徹底した予算の効率化を図っている点であります。

 随意契約の見直しに当たっては、各省庁における随意契約の見直し事例の把握に努め、予算段階で単価の見直し等を図り、その結果約三百八十億円の節減として反映されているほか、予算執行調査における事務事業や制度の必要性等の検証結果についての前年度予算以上の反映、会計検査院の決算検査報告についての適切な反映、独立行政法人向けの財政支出の見直し、特別会計の歳出の見直しなどが行われております。

 以上、政府原案を可決した主な理由について申し述べました。

 平成二十年度予算は、財政健全化路線を堅持しつつ、我が国のさまざまな重要課題に対処していくために必要不可欠なものであり、その一日も早い成立が望まれているところであります。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上であります。よろしくお願いいたします。

議長(逢沢一郎君) 次に、参議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。羽田雄一郎君。

羽田雄一郎君 参議院側が平成二十年度一般会計予算外二件を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。

 否決の第一の理由は、道路特定財源を維持し、暫定税率についても大幅に延長しようとしていることであります。

 道路特定財源制度ができて約半世紀が過ぎ、今や、年金、医療、教育、環境など、重視すべき施策の分野は幅広く、道路だけを特定財源で優先的に整備する意義は失われております。しかも、近年、シーリングのもと、道路予算が減少する一方、暫定税率が維持されてきたため、道路財源が余り始め、政府は、その余剰分を道路整備とは直接関係のない本四公団の債務処理などに回してきたのが実態です。

 特定財源維持の前提とされる五十九兆円に上る中期計画についても、明らかに大幅な過大見積もりで、そもそも政府の歳出改革における公共事業費の削減方針とも整合性がとれておりません。今後も、政府が歳出抑制の方針を続けるのであれば、計画は必然的に五十兆円を下回り、加えて現実味のない大型プロジェクトの廃止、随意契約や談合の徹底的な排除などにより、さらなる規模圧縮が可能であります。

 道路特定財源の暫定措置を一刻も早く廃止するとともに、これまでの道路財源は、すべて一般財源化した上で、国民が本当に求める支出に充てることができるよう、抜本的な制度の見直しを行うべきであります。

 否決の第二の理由は、政管健保の国庫負担を健保組合からの拠出で肩がわりさせている点であります。

 政府は、基本方針二〇〇六で定められた社会保障関係費二千二百億円の抑制策として、政管健保の国庫負担を健保組合の拠出で賄う措置を講ずることにしておりますが、国民の間から聞こえてくるのは、なぜ政管健保の国庫負担を健保組合が出さなければならないのか、その理由が全くわからないという声ばかりです。

 舛添厚生労働大臣でさえ、極めて筋が悪い対応で、社会保障予算の抑制はもはや限界との発言をした旨が報じられております。これは、政府の歳出改革が既に実質的に破綻していることを示すものにほかならず、こうした措置は直ちに撤回すべきであります。

 否決の第三の理由は、景気の停滞感が強まっているにもかかわらず、中小企業対策が不十分であるなど、景気への配慮を欠いている点であります。

 今回の景気回復は輸出関連の大企業が中心であって、低迷する内需に依存する多くの中小企業には景気の恩恵が及んでいません。しかも、改正建築基準法施行の影響により、建築着工が大幅におくれ、中小建設業者の中には、資金繰りの悪化などから倒産に追い込まれる企業さえ見られます。さらに、昨年後半以降、米国経済の減速に加え、原油価格高騰の影響が顕在化し、中小企業を中心に、企業収益を大きく圧迫し始めております。

 このように、中小企業はもとより、企業の経営環境が日増しに厳しさを増しているにもかかわらず、政府の対応は、小出しの政策が目立ち、全く力不足であります。

 否決の第四の理由は、税収見積もりに慎重さを欠いている点であります。

 本予算における税収見込み額は五十三兆五千億円余と、景気悪化が懸念されているにもかかわらず、十九年度の補正後税収より一兆円もの増加を見込んでおり、過大見積もりの可能性が濃厚であります。

 近年、政府の税収見積もりは過大見積もりの連続で、十八年度の一兆四千億円もの過大見積もりに続き、十九年度も当初税収が補正予算で九千億円の減額修正を余儀なくされております。しかも、現在は景気の先行き後退感が一段と強くなってきており、こうした状況下でも慎重さを欠いた税収見積もりを繰り返す政府のやり方は、到底認められません。

 否決の理由は多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した平成二十年度予算に反対する諸事項を除去することによって平成二十年度予算三案が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(逢沢一郎君) これにて各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入りたいと存じます。

 順次御発言をお願いいたします。まず、津田弥太郎君。

津田弥太郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、平成二十年度予算三案に反対した理由を申し上げます。

 第一は、道路特定財源の維持とガソリン税等の増税が盛り込まれていることであります。

 道路整備だけを優先する制度は、財源に余剰が生じていることなどからして、完全に意義を失っております。五十九兆円の中期計画も金額が過大であり、政府の公共事業費削減方針と全く整合性がとれておりません。加えて、道路特定財源を使った無駄遣いも次から次に明らかとなり、もはや制度を維持する合理的理由は何一つありません。

 第二は、財政健全化が大きく後退していることであります。

 国債発行額は前年度より削減されていますが、これは、政管健保国庫負担の健保組合への押しつけや交付税特別会計の借入金返済の先送りにより、表面的に歳出を圧縮した結果にすぎません。天下りや談合などの根絶に向けた抜本的な改革を先送りし、安易な負担の押しつけなどで取り繕った本予算は、財政健全化の進展を大きくおくらせるものであります。

 第三は、税収が過大見積もりになっていることであります。

 十九年度に比べて一兆円も増加するという税収見積もりは、現下の厳しさを増す経済情勢からして、明らかに過大であります。国債発行の減額を意図した税収の過大見積もりは、結果的に国債の増発、ひいては将来世代の負担増につながることから、厳に慎むべきであります。

 第四は、悪化する経済情勢に全く対応していないことであります。

 賃金の低下や物価上昇により、国民生活は日に日に厳しさを増しております。しかるに、政府は、有効な対策を全く打ち出さず、反対に、ガソリン税等の増税というさらなる負担増を国民に強いようとしております。こうした国民の期待を裏切る経済運営を厳しく非難するものであります。

 さて、私は、参議院予算委員会の理事として、予算審議のやりとりを最前列でつぶさに見届けるとともに、みずから二度の質問を福田総理ほか関係閣僚に対して行いました。

 道路問題に関する政府の迷走ぶりは言うに及ばず、年金記録問題についても、年度末を目前に控え、これまでの政府の公約はでたらめ以外の何物でもないことが明らかになりました。

 さらに、経済財政諮問会議の主導のもとに行われた社会保障費の二千二百億円の削減に至っては、与党議員の中からも、見直しを求める声が寄せられたほどであります。

 以上、主な理由を列挙しただけでもこれだけの問題があることから、直近の民意を代弁する民主党・新緑風会・国民新・日本は本予算案に反対したものであります。

 以上です。

議長(逢沢一郎君) 次に、仁比聡平君。

仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 来年度予算案には数々の問題がありますが、特に重大な三点を申し上げます。

 第一に、首相が言う生活者や消費者が主役となる社会どころか、貧困と格差を一層拡大するものであることです。

 小泉・安倍内閣で進められた構造改革路線による貧困と格差の広がりは深刻です。ところが、本予算案は、労働者派遣法の抜本改正に背を向け、社会保障費の自然増二千二百億円を抑制する路線を継続し、年金、医療、介護、障害者施策、生活保護などを切り捨てるものとなっています。この構造改革路線を転換し、大企業から国民、家計に軸足を移して日本経済を立て直す予算の抜本的組み替えこそ求められております。

 第二に、沖縄の少女暴行事件、海上自衛隊イージス艦の漁船衝突事件で改めて浮き彫りになった対米従属と軍事優先、隠ぺい体質の反国民性は極めて重大です。

 その真相すら解明されないまま、米軍再編関係経費やミサイル防衛関連経費を含む約五兆円の軍事費は許されません。米軍再編と海外派兵型体制づくりの予算は大幅に削減し、社会保障、雇用、農業などに振り向けるべきです。

 第三に、日本共産党は、道路特定財源が道路を際限なくつくり続ける自動装置になっており、その全額を一般財源化して、福祉にも教育にも道路にも使えるようにすべきだと主張してまいりました。審議を通じて、道路中期計画の中心が高規格幹線道路、地域高規格道路、六本の長大橋まで含む高速道路、大型道路であることが明らかとなりました。

 首相は、昨日、二〇〇九年度からの一般財源化を明言しました。世論と国会論戦で追い込まれた結果です。しかし、一方で特定財源をこれから十年間維持する関連法案はそのまま成立させろというのは全くの矛盾です。〇八年度から直ちに一般財源化すべきです。

 また、首相は、道路中期計画の期間を五年間にすると表明しましたが、五年間であろうと、総額先にありきに最大の問題があります。道路中期計画はきっぱり撤回すべきであります。

 一般財源化するのなら、暫定税率を維持する根拠はなくなります。不要不急の道路建設を加速させる役割を果たしている暫定税率の引き下げは当然です。関連法案の四月末の再議決が示唆されていますが、そのような企ては決して許されません。

 以上の理由で、二〇〇八年度予算案を否決した参議院の結論を衆議院側も重く受けとめていただきたい、このことを強く申し上げ、発言といたします。

議長(逢沢一郎君) 次に、近藤正道君。

近藤正道君 近藤正道です。

 社会民主党・護憲連合の立場から、〇八年度予算三案に反対した理由を申し上げたいと思います。

 反対の理由の第一は、今回の予算が格差是正と国民生活の安全、安心の予算となっていない点であります。

 賃金の増加を伴わないまま、原油高騰を初め物価上昇が進み、生活の困難をもたらしているからこそ、地方、医療、雇用の再生に大きくかじを切るための予算とすべきであったにもかかわらず、社会保障費の自然増の二千二百億円の抑制を続けるなど、基本的に小泉内閣以来の構造改革路線を踏襲したものとなり、国民本位は口先だけであります。年金記録漏れ、医療崩壊への対応も極めて不十分です。

 第二の理由は、五十九兆円の道路整備を前提に暫定税率の十年間延長を図ろうとしており、政官業の既得権益と化している道路特定財源問題への切り込みが不十分である点であります。

 特定財源の流用や無駄遣い、道路の中期計画のでたらめぶりが次々と明らかとなったにもかかわらず、これを一顧だにせず原案を押し通そうとする姿勢は認めることができません。

 第三の理由は、地方の格差拡大と疲弊にこたえるものとなっていない点であります。

 ふるさと納税は規模も手法もこそくであるし、法人事業税の召し上げは分権への逆行です。三位一体の改革による地方交付税の五兆円を超える大幅削減が地方格差の拡大や地方の疲弊をもたらしており、地方交付税の復元、増額こそ必要であります。

 第四の理由は、防衛、軍事関連の強化です。

 ミサイル防衛関連の強化や次期固定翼哨戒機の導入、在日米軍再編関係経費の計上など、攻撃能力が強化され、専守防衛から海外派兵型にシフトするとともに、米軍との一体化が進むものとなっております。

 以上、主な理由を列挙しただけでもこれだけの問題があることから、社会民主党・護憲連合は予算案に反対をしたわけであります。直近の民意を代表する参議院の議決の重みをぜひ重く受けとめていただき、参議院の議決に御賛同くださいますことを申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。

議長(逢沢一郎君) 次に、森英介君。

森英介君 参議院側から、それぞれのお立場で政府予算案に対して否決の意見が述べられました。反対なすった理由はおおむね四点に集約されると思います。そのうちの二点についてまず私から衆議院側の見解を申し上げ、残余の二点については公明党の西博義委員から説明をいただきたいと存じます。

 第一の、道路特定財源制度についてでありますが、道路特定財源は受益と負担の関係が明確であり、国民があまねく同等の負担者となる福祉や教育とは違い、特定財源としてこれまで継続してきたものであります。しかしながら、特定財源制度には財政の硬直化を招くとの指摘もあり、道路歳出を上回る税収は一般財源としてきたところではありますが、今回、福田内閣総理大臣から、道路特定財源制度についてはことしの税制抜本改革時に廃止し、二十一年度から一般財源制度として活用するとの提案がなされ、今後、議論が進むものと考えております。

 道路の中期計画に関しても、過去に五年で三十八兆円、十年で七十六兆円と決められていたものが、このたびの中期計画では十年で六十五兆円とし、さらにこれが五十九兆円にまで削減されており、これが過大であるという批判は全く当たらないと考えております。これについても、福田内閣総理大臣から、道路の中期計画は、最新のデータを用いながら、五年間に短縮した上で新たに策定するとの提案がなされており、さらに厳格かつ客観的な評価に基づく計画が策定されるものと期待をしております。

 また、仮に暫定税率が廃止された場合、国と地方合わせて二兆六千億円の減収となり、地方財政に大きな影響を与え、地域の生活道路がつくれなくなるだけでなく、教育や福祉など他の分野の財源の取り崩しも起きかねないことから、暫定税率は維持していかなければならないと考えております。

 第二に、国庫負担の肩がわりと指摘された、政管健保に対する国庫補助の特例措置についてでありますが、この措置は、基本方針二〇〇六において示された歳出改革を着実に実現するという財政運営と、国民皆保険というセーフティーネットの長期的な維持、安定との両立を図るために必要な措置であるものと認識をしております。

 また、政府・与党は、二〇一一年度における国、地方の基礎的財政収支の黒字化という財政健全化目標を示して改革に取り組んでおり、今回の予算編成においても、基本方針二〇〇六等に示された歳出見直しの内容を着実に実現させ、新規国債発行額は四年連続の減額、公債依存度は平成十年来の低水準にまで回復させております。さらに、財政投融資特別会計の金利変動準備金のうち約十兆円を国債の償還に充てるなど、国債残高を圧縮させ歳出改革路線を堅持するという、財政健全化に向けた政府の力強い意思が示されており、政府の歳出改革が既に実質的に破綻しているとの指摘は全く当たらないものと考えます。

 以上、私から、二点について申し上げました。

議長(逢沢一郎君) 次に、西博義君。

西博義君 それでは、残りの二点について御説明申し上げます。

 まず、第三の理由としての、中小企業対策が景気への配慮を欠くなど力不足ではないかという御指摘でございます。

 本予算において、中小企業関係予算については、中小企業の知恵とやる気を生かし、活力を高めることにより地域経済の活性化を図るため、中小企業金融の基盤強化、下請取引の適正化、農商工連携などに重点配分されているところであります。

 改正建築基準法施行の影響や原油価格の高騰についても、さまざまな施策が精力的に打ち出されており、これらを着実に実行するとともに、本予算の速やかな成立が求められているところであります。

 第四の、税収の見積もりに慎重さを欠いているのではないかという御指摘の点でございますが、税収の見積もりについては、直近の課税実績、足元の経済動向、各種経済指標等を考慮しつつ行われているものであります。

 平成二十年度の政府経済見通しにおいては、海外経済の動向などのリスク要因について注視する必要があるものの、民間住宅投資が回復し、底がたい企業収益に支えられて、設備投資が引き続き増加することなどにより、名目GDPが二・一%増加するものと見込まれております。

 平成二十年度の税収については、平成十九年度補正後予算をもとに、政府経済見通しにおける各種経済指標等を踏まえたものであり、慎重さを欠く、過大な見積もりとの指摘は当たらないものと考えます。

 以上、申し上げましたとおり、衆議院側といたしましては、可決した本予算を最良、最善のものと考えております。参議院側におかれましても、本予算に対し、この場で改めて御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

議長(逢沢一郎君) それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

議長(逢沢一郎君) それでは、速記を起こしてください。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許すことといたします。まず、参議院側より小川勝也君。

小川勝也君 参議院側といたしましては、この平成二十年度予算三案に何らかの修正ないし削除を加えることが必要と考えます。

 既に否決の趣旨説明及び意見表明で述べたところでありますが、道路特定財源を維持し暫定税率も大幅に延長していること、政管健保の国庫負担を健保組合からの拠出で肩がわりさせていること、また、原油の高騰や政府の失政による建築着工の大幅なおくれ等により景気が急速に悪化しているにもかかわらず、弱い立場にある中小企業への対策が不十分であること、税収に過大見積もりの懸念があることなど、本予算には多くの問題があると考えております。

 両院の議決が異なった場合、何らかの解決策を策定するのが本両院協議会の目的であります。このように協議会を開いたわけでございますから、衆議院におかれましても、我々の意見の趣旨をお酌み取りいただき、合意が得られますように、御再考いただきますように心からお願いを申し上げます。

 以上です。

議長(逢沢一郎君) 次に、衆議院側より田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎君 参議院側の御意見につきましては十分承りました。

 しかしながら、衆議院側といたしましては、先ほど申し述べましたように、平成二十年度予算は、歳出改革路線を堅持し、無駄の排除を徹底するとともに、成長力強化、地域活性化、生活の安全、安心といった重要な政策課題にきめ細かく配慮し、予算配分を重点化したものであり、現状において最良の予算であると考えておりますので、残念ながら、参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 よって、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じます。

議長(逢沢一郎君) それでは、いろいろと御協議をいただいたのでありますが、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(逢沢一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。心よりお礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時十五分散会


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