衆議院

メインへスキップ



第1号 平成20年4月25日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十年四月二十五日(金曜日)

    午後一時五十三分開会

    ―――――――――――――

平成二十年四月二十五日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     平沢 勝栄君     三原 朝彦君

     河野 太郎君     高木  毅君

     山中あき子君     三ッ矢憲生君

     根本  匠君     岩屋  毅君

     西  博義君     石田 祝稔君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 平沢 勝栄君

            副議長 三原 朝彦君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     浅尾慶一郎君     池口 修次君

     犬塚 直史君     小川 勝也君

     榛葉賀津也君     徳永 久志君

     白  眞勲君     藤田 幸久君

     井上 哲士君     近藤 正道君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 浅尾慶一郎君

            副議長 小川 勝也君

    ―――――――――――――

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 平沢 勝栄君

   副議長 三原 朝彦君

     河野 太郎君     高木  毅君

     山中あき子君     三ッ矢憲生君

     根本  匠君     岩屋  毅君

     西  博義君     石田 祝稔君

  参議院

   議 長 浅尾慶一郎君

   副議長 小川 勝也君

     池口 修次君     犬塚 直史君

     榛葉賀津也君     徳永 久志君

     白  眞勲君     藤田 幸久君

     井上 哲士君     近藤 正道君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委 員 部 長 緒方 輝男君

        外務委員会専門員       清野 裕三君

  衆議院法制局

        第 三 部 長 鈴木 正典君

  参議院事務局

        委 員 部 長 諸星 輝道君

        外交防衛委員会調査室長    堀田 光明君

  参議院法制局

        第 一 部 長 岩崎 隆二君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

    〔平沢勝栄君議長席に着く〕

議長(平沢勝栄君) これより日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には浅尾慶一郎君、副議長には小川勝也君、衆議院の協議委員議長には私、平沢勝栄、副議長には三原朝彦君がそれぞれ当選されておりますので、この際、御報告申し上げます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務をとります職員以外の方は御退席をお願いいたします。

 まず、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 先ほどの両議院の協議委員議長及び副議長打合会の申し合わせに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたしたいと思います。三原朝彦君。

三原朝彦君 衆議院の議決の趣旨の説明。

 衆議院において在日米軍駐留経費負担特別協定の締結について承認を求めるの件を承認すると議決した趣旨につきまして御説明申し上げます。

 アジア太平洋地域には、東西冷戦終結後も、北朝鮮の核開発問題を初めとして中国の不透明な軍備増強、地域紛争や地球規模の課題でもあるテロとの闘いなど、依然として不安定で不確実な要素が存在しております。

 このような情勢のもと、本特別協定を締結することは、日米安全保障条約の目的達成のため我が国の施設・区域を使用する合衆国軍隊の効果的な活動の確保に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えます。

 以下、本特別協定の締結について承認を求めるの件を承認すると議決した主な理由について申し述べます。

 第一の理由は、在日米軍の駐留経費を負担することは、米国の同盟国として果たすべき責務であり、健全な日米同盟を維持強化していく上で非常に重要な施策である点であります。

 戦後六十年以上にわたり、我が国は日米安全保障体制のもと、驚異的な復興を遂げ、平和と繁栄を享受してまいりました。この日米安全保障体制が、我が国のみならず、周辺地域の平和と安定の確保に大きな役割を果たしてきたことは言うまでもありません。

 我が国と米国は、自由、人権、民主主義、市場経済、法の支配という普遍的な価値観を共有し、太平洋を越えて結びついた両国による安全保障体制は、今やアジア太平洋地域全体の安全保障のかなめでもあります。日米両国は、これまで以上に日米安全保障体制の円滑な運用を図り、同盟の能力強化に努めなくてはなりません。本特別協定を締結し、在日米軍労働者の労務費、在日米軍の光熱水料、地元負担の軽減につながる訓練移転の経費の全部または一部を負担することは、同盟国として我が国が果たすべき責務と言えます。

 第二の理由は、我が国の厳しい財政状況にも目配りした内容となっている点であります。

 本特別協定は非常に重要な協定ではありますが、一方で、引き続き我が国の財政状況は厳しく、また、在日米軍再編に関連して、今後、大きな財政支出が見込まれております。

 このような財政事情への配慮として、光熱水料について負担する経費の算定方式を変更し、原油価格の高騰で単価が上昇した場合でも負担額が膨らむことを避けられる仕組みとしております。また、負担額の上限についても一定の削減が図られ、本特別協定に基づく経費負担として三年間で約八億円減額されております。

 以上、本特別協定の締結について承認を求めるの件を承認すると議決した主な理由について申し述べました。

 本特別協定は、在日米軍労働者の安定的な雇用を維持し、在日米軍の効果的な活動を確保するために必要不可欠なものであり、一日も早く発効することが望まれているところであります。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたく、お願い申し上げる次第であります。

 以上であります。

議長(平沢勝栄君) 次に、参議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。藤田幸久君。

藤田幸久君 参議院の議決の趣旨の説明をさせていただきます。

 在日米軍駐留経費負担特別協定の締結について承認を求めるの件を参議院側が賛成少数で承認しないと議決した趣旨を申し上げます。

 承認しないこととした第一の理由は、在日米軍基地の役割について、日本の防衛に比べて米国の世界戦略を達成するための目的が著しく増大している中で、我が国の厳しい経済財政状況にもかかわらず、年間千四百億円の負担額が実質的に据え置かれたままとなっていることであります。

 労務費及び訓練移転費については、前協定の枠組みが維持されたままであり、年間二百五十億円以上を負担している光熱水料等についても、三年間でわずか八億円の削減にとどまっています。政府の財政制度等審議会の建議においてさえ、「日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変わってきており、従来どおりの負担の継続は適当でない」と指摘しており、このような負担を安易に継続していくことについては国民の理解が得られません。

 承認しないこととした第二の理由は、諸外国との比較において、我が国の米軍駐留経費の負担が突出していることであります。

 米国防総省の報告書によると、二〇〇二年における我が国の負担額は約四十四億ドルで米国の同盟国の中でトップです。第二位のドイツの約三倍を負担し、同盟国全体の負担額の半分以上を我が国だけで負担していることになります。こうした状況は、政府の言う同盟の片務性の問題だけで説明がつくものではありません。

 承認しないこととした第三の理由は、米国の経費節減の取り組みについて、政府は十分な検証を行っていないことであります。

 在日米軍駐留経費に係る非効率的な支出については、国会において、従来から問題点が指摘されてきております。本協定には、米国による節約努力の規定がありますが、これは具体的措置を実施することを義務づけたものとなっておりません。政府は、米側負担額の確認や在日米軍による節約努力の取り組みやその成果について、十分な検証を行わないなど、国会や国民に対する説明責任も果たしておりません。

 承認しないこととした第四の理由は、米国に対して言うべきことが言えない政府の姿勢にあります。

 米兵による相次ぐ事件を契機として、容疑者となった米兵の身柄の引き渡しの問題など、日米地位協定の改定が求められているにもかかわらず、政府は運用改善による対応に固執しています。政府は、同盟国と言いながら、米国に対して言うべきことを言えず、その姿勢は、地位協定同様、本協定をめぐる日米交渉においても見られるものであります。

 両院協議会としましては、以上、参議院側が指摘した問題点を踏まえ、本協定を承認しないことについて、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(平沢勝栄君) これにて各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入ります。

 順次御発言をお願いいたします。犬塚直史君。

犬塚直史君 民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、本協定の承認案件に反対した理由を申し上げます。

 私どもの安全保障政策の基軸は、日米同盟、日米安全保障条約にあります。また、米軍基地で雇用されている日本人労働者の雇用の確保も重要な課題として認識しております。しかし、そうした基本的立場のもとでも、以下の点で、本協定の内容と政府の対応に問題があり、反対せざるを得ませんでした。

 反対の第一の理由は、我が国の膨大な負担額が実質的に据え置かれたままとなっていることです。

 日米両国を取り巻く社会、経済、財政状況が大きく変化し、また、在日米軍基地の役割も変化してきており、我が国の負担についても、その変化に応じた見直しがなされるべきであります。

 反対の第二の理由は、我が国の米軍駐留経費の負担が、諸外国と比べて、金額的にも内容的にも突出していることであります。

 米国防総省の報告書によると、二〇〇二年の我が国の負担額は約四十四億ドルで、米国の同盟国の中でトップであり、第二位のドイツの約三倍を負担しています。日米同盟の重要性を認識した上でも、我が国の負担だけがこれだけ突出していることは、到底国民の理解を得られるものではありません。これに加えて、我が国の負担割合について、米国政府は七五%、日本政府は五〇%と発表しており、こうした基本的な情報ですら日米両国の国民に同じ説明がなされていないことも非常に問題であります。

 反対の第三の理由は、在日米軍の経費節減の取り組みについて、政府の検証が全く不十分なことです。

 米軍基地内での光熱水料等の使用実態や在日米軍の節約努力の具体的な取り組みとその効果などについて、政府は説明責任を全く果たしておりません。日本国民の血税で賄われているこれらの経費について、政府はしっかりとその使用実態を把握し、米側に改善を求めていく責任があると考えます。

 反対の第四の理由は、今後、我が国の経費負担の増加が見込まれる米軍再編関係経費について、その総額を明示できないばかりか、今後の協議の動向等についても詳細を明らかにしないなど、米軍関係の経費負担全体のあり方に関する政府の説明が不十分なことにあります。

 米軍関係の経費負担の全体像が明らかにならない中で、本特別協定に係る在日米軍駐留経費負担がほぼ現状維持となったことをよしとする政府の姿勢を受け入れることはできません。

 反対の第五の理由は、日米地位協定の見直しの問題も含めて、主権国家として、また同盟国として、米国に対して対等な立場で発言のできない日本政府の外交姿勢です。

 政府は、本協定の締結交渉において、米国とぎりぎりの交渉を行ったと説明していますが、米国側の駐留経費の負担額が明らかにされない状況を放置するなど、とても国民の立場に立った交渉であったとは思えません。

 以上の理由から、民主党・新緑風会・国民新・日本は、本協定の承認案件に反対したものであります。

議長(平沢勝栄君) 次に、井上哲士君。

井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。

 在日米軍駐留経費負担特別協定の締結を承認することに反対の意見を表明します。

 反対理由の第一は、そもそも、地位協定第二十四条は、在日米軍の維持経費について「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定しており、我が国に負担義務は一切なく、本特別協定はこの原則に反するものだからです。

 政府は、一九七八年、思いやりと称して米軍駐留経費の一部負担を開始し、一九八七年には、地位協定の解釈からも説明のつかない負担受け入れのために特別協定を締結しました。それ以降、暫定的、特例的、限定的と繰り返しながら、基地従業員の給与本体・諸手当、光熱水料等、訓練移転費へと負担は拡大され、米軍人軍属の給与以外の駐留経費はほとんどすべて我が国負担となり、思いやり予算の総額は五兆円を超えております。

 本特別協定の継続は、地位協定の負担原則を重ねて踏みにじるものであり、絶対に容認できません。

 第二に、政府の財政制度等審議会でさえ「日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変わってきており、従来どおりの負担の継続は適当でない」と指摘しているように、政府が、米軍が困っているからと始めた思いやり予算を続ける理由は、今や全く成り立たないからであります。

 しかも、訓練移転費や娯楽施設にかかわる人件費など、思いやり予算は至れり尽くせりのものとなっています。

 政府は、財政赤字を理由に次々と国民生活予算を削減し、今月からは後期高齢者医療制度が始まっています。まさに、思いやる相手が違います。基地あるがゆえの米兵による凶悪事件も繰り返されています。思いやり予算をこれ以上続けることを国民は到底納得するものではありません。

 今回の特別協定は、我々の反対で、参議院においては承認されませんでした。一院において条約が承認されないのは、現行憲法下で初めてであります。両院協議会においては、この事実を重く受けとめ、本協定を承認しないことについて御賛同をいただきたくお願いをいたします。

 以上です。

議長(平沢勝栄君) 次に、近藤正道君。

近藤正道君 近藤正道です。

 社会民主党・護憲連合の立場から、本案に反対した理由を申し上げたいと思います。

 反対理由の第一は、日米安保条約を頂点とする安保法体系が、我が国の最高法規である憲法法体系を侵食していることであります。

 先日、名古屋高等裁判所で、イラクでの航空自衛隊の活動は憲法違反であるという判決が出ました。政治部門の解釈改憲に対する司法府の警告であり、重く受けとめるべきであります。本案の特別協定は、安保法体系の一角を占め、米軍の長期駐留を財政面から支えることにより、国民の安心、安全を脅かしております。

 反対理由の第二は、厳しい財政事情の中で、国民の安心、安全に不可欠な社会保障費などが抑制される一方で、米軍への思いやり予算が支出されることであります。

 千四百三十八億円というのは、米兵一人当たりで比較いたしますと、世界の平均の二倍を超え、突出した金額になっております。日本政府にとっては、地位協定第二十四条の原則を超え、当初の暫定的、特例的な措置から、永続的、一般的な義務へと変質をしております。他方、米側が負担すべき騒音裁判や労働関係裁判での敗訴賠償額は、分担支払いが履行されておりません。

 今回の再締結に当たり、当初大幅な削減を目指すとした政府方針は、完全に腰砕けに終わり、抜本的見直しからほど遠い内容となりました。訓練移転費や光熱水費等の節約努力規定も、実効性がありません。米軍基地内住宅は約二割が空き家であり、劇場や米軍人アルコール中毒患者の施設建設費まで負担するという、日本国民の税金の無駄遣いを許す構造を放置しておきながら、到底賛成することはできません。

 なお、特別協定による労務費負担については、駐留軍労働者の安定的な雇用の維持に資することを目的として日本政府の負担とした歴史的経緯があります。駐留軍労働者については、雇用主は日本政府であり、特別協定の有無にかかわらず、日本政府が駐留軍労働者の雇用主としての義務を負い、特別協定が雇用契約に影響しないことは既に明らかであります。

 しかし、使用主たる米軍は、労働基準法、労働安全衛生法上の使用者としての義務を履行しておりません。かかる違法状態を放置して思いやり予算を支出することは許されません。

 また、基地周辺住民の負担軽減、中でも米軍基地の七五%が集中する沖縄の人々の基本的人権、生活権を保障する責任を放棄したままで米軍に対する思いやり予算だけを支出することには、国民の理解は得られません。

 以上、社民党・護憲連合は、本案に反対をいたします。条約承認の件が一院で否決されるのは、日本国憲法下で初めてのことであります。この歴史的経緯、歴史的な事実、さらには直近の民意を代表する参議院の議決であること、これらをぜひ重く受けとめていただき、参議院の議決に御賛同いただきますことをお願い申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。

 以上です。

議長(平沢勝栄君) 次に、河野太郎君。

河野太郎君 自由民主党の河野太郎でございます。

 参議院の方から当協定に反対の御意見が述べられましたので、若干それに反論をさせていただきたいと思います。

 在日米軍駐留経費の負担合理化、節約化、これはしなければならないことでございますが、この協定は、前協定を単純に延長したわけではなくて、平成十九年度予算より一・五%削減をしております。御指摘のありました光熱水費に関しても、二百四十九億円で固定をする。今、原油価格がどこまで上がるかわからぬということを考えると、そこで固定をするということは、八億円しか削減されていないではないかという御指摘がありましたけれども、今後を考えれば、これは八億円を優に超える節約になるのは間違いないということでございますので、御指摘は当たらないのではないか、むしろ、合理化、節約化に向けて大きな一歩を踏み出したのではないかというふうに思います。

 それから、ほかの国々と比べて突出して負担が大きいという御指摘もございましたが、冷戦が明らかに終結し、ワルシャワ条約が崩壊しているヨーロッパのドイツと、北朝鮮と直接対峙をしている、あるいは国防費が非常に激しい勢いで伸びている中国と直接対峙をしている我が国におけるそれぞれの米軍の果たす役割を考えれば、これは単純に比較をして額が大きい少ないという議論にはなかなかならないだろうと思います。

 それぞれの国の安全保障をめぐる環境を考えた上で、そこに果たすべき米軍の役割というのが当然あるわけですから、そこは、御指摘のとおり日本の負担が重いのはそうではありますが、安保をめぐる状況を考えれば、それはそれで、ある面、いたし方がないところはあるんだろうというふうに思います。ただ単純に数字を比較して、多いからいかぬという議論にはならないのではないかと思います。

 それから三番目に、米軍も節約をせねばいかぬ、これはおっしゃるとおりでございまして、第四条に米軍に節約をせいという努力規定を入れてあります。これは大変大きな一歩だと思いますし、日本側の支出が固定されている以上、米軍がみずからの支出を減らそうとすれば、それは何らかの節約努力を米側もしなければならないわけでありますので、そこのところは米側もきちんと節約努力に向けて歩み出す、そのための第四条でございます。

 そういうことを考えますと、御指摘の点、なるほどというところもございますが、よくよく考えてみると、それに対してはきちんと新協定で手を打っているわけでございます。今の日米同盟が我が国をめぐる安全保障の基軸であるということに若干御異論のある方もいらっしゃるかもしれませんが、大多数の参議院の代表者の皆様は日米同盟が基軸であるということに御異論がないということだろうと思いますし、米軍が日本に駐留するのも、それを考えれば、ある面、現時点ではやむを得ない、そのための経費負担を日本が思いやって、やってあげましょうという、これまで民主党が賛成されてきた協定に対して、ここで新協定に反対されるという理由は余りないんだろうと思いますので、ぜひこの両院協議会で成案を得て、しっかりと新協定を発足させていきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

議長(平沢勝栄君) 次に、石田祝稔君。

石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。

 今、河野委員から三点お話がありましたが、私の方からは、残る二点についてお話をさせていただきたいと思います。

 在日米軍再編に係る経費負担のあり方についてであります。

 在日米軍再編の詳細な計画については、日米間で検討が進められていることから、現時点で、政府が具体的な経費負担額を明らかにすることは困難であると理解しております。

 この点、本特別協定は、在日米軍再編の最終的な経費負担の全体像が見えていないことにかんがみて、従来のような五年間よりも短期の三年間の協定とされております。

 また、日米両政府は、本特別協定の発効後速やかに、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするための包括的な見直しを行うとしております。二〇一一年以降の在日米軍駐留経費負担が、国民のさらなる理解と支持を確保し、日米安全保障体制の信頼性を向上させるものとなることを期待するものであります。

 第五に、米国に対する我が国の外交姿勢についてであります。

 日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であり、政府は、同様の考えのもと、これまでに種々の分野で米国と交渉を行い、運用改善の成果を着実に積み上げてきております。特に、起訴前の身柄引き渡しについては、同様の地位協定を定めているドイツ、韓国などと比べても、我が国が運用面で最も進んでいるところであります。

 また、本特別協定に関する協議において、米国側は、議論の中で、日本側負担の増額を求める場面もあったとのことであります。これに対して、政府は、厳しい財政事情の中、在日米軍駐留経費負担についても節約合理化の必要があることを踏まえ、負担の減額を求めて鋭意交渉を行い、日本側負担を一定限度削減することができたと承知しております。

 政府は、日米安全保障体制を中核とする日米同盟の維持強化のため、イコールパートナーとして米国と真摯な交渉を行ってきており、米国に対して言うべきことが言えないとの御指摘は当たらないと考えております。

 以上、申し上げましたとおり、衆議院側といたしましては、本特別協定は適切なものと考えております。参議院側におかれましても、本特別協定について御賛同いただきますよう改めてお願い申し上げます。

 以上であります。

議長(平沢勝栄君) それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

議長(平沢勝栄君) 速記を起こしてください。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、参議院側小川勝也君。

小川勝也君 参議院としてのまとめの意見を申し上げます。

 参議院側といたしましては、両院協議会において、本協定を承認しないことにいたしたいと考えます。

 既に参議院側の趣旨説明及び意見表明で述べたところでありますが、厳しい経済財政状況にもかかわらず、実質的に負担額が据え置かれたままとなっていること、諸外国との比較において、我が国の米軍駐留経費の負担が突出していること、米国の経費削減の取り組みについて、政府は十分な検証を行っていないこと、米軍再編協議の動向や基地移転経費の問題などを含めた在日米軍に係る経費負担全体のあり方について、政府による説明責任が果たされていないこと、米国に対して言うべきことが言えない外交姿勢が政府に見られることなど、本協定を承認することについては多くの問題があると考えております。

 以上、参議院側が指摘した問題点を踏まえ、参議院の議決どおり本協定を承認しないよう、衆議院側に御再考いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上です。

議長(平沢勝栄君) 次に、衆議院側高木毅君。

高木毅君 参議院側の御意見につきましては十分承ったところでございます。

 しかしながら、先ほど衆議院側協議委員が明快に申し述べたように、本特別協定は、在日米軍の効果的な活動の確保に資するものであり、在日米軍駐留経費負担について一定の削減が図られるなど、厳しい経済情勢にも目配りした内容となっておりますので、衆議院側といたしましては、到底参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 また、平成十八年に締結された在日米軍駐留経費負担特別協定は既に失効しており、本特別協定の一日も早い発効が望まれるところであります。

 よって、憲法第六十一条の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じます。

 以上でございます。

議長(平沢勝栄君) それでは、いろいろ御協議をいただいたわけでありますが、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(平沢勝栄君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後二時二十四分散会



<注>本協議会の正式な名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件両院協議会」


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.