衆議院

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第3号 平成21年3月18日(水曜日)

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平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    近藤三津枝君

      佐藤  錬君    清水清一朗君

      平  将明君    玉沢徳一郎君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中川 泰宏君    中森ふくよ君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    馬渡 龍治君

      宮腰 光寛君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    泉  健太君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      小宮山洋子君    階   猛君

      田島 一成君    田名部匡代君

      田村 謙治君    田端 正広君

      桝屋 敬悟君    吉井 英勝君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮島 守男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐村 知子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山田友紀子君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     中川 泰宏君

  土屋 正忠君     清水清一朗君

  とかしきなおみ君   馬渡 龍治君

  中森ふくよ君     冨岡  勉君

  西本 勝子君     近藤三津枝君

  田島 一成君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     西本 勝子君

  清水清一朗君     安井潤一郎君

  冨岡  勉君     中森ふくよ君

  中川 泰宏君     近江屋信広君

  馬渡 龍治君     とかしきなおみ君

  田村 謙治君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     土屋 正忠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君、総務省大臣官房審議官宮島守男君、総務省大臣官房審議官佐村知子君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、農林水産省大臣官房審議官小風茂君、農林水産省大臣官房審議官山田友紀子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。

岸田委員 おはようございます。本日から、消費者庁設置法案など閣法三法、そして消費者権利院法案など衆法二法、これらの法律の委員会での審議が始まるわけですが、ようやくこの審議が始まるなというのが正直な感想であります。

 閣法三法につきましては、昨年九月二十九日に国会に法律が提出をされました。残念ながら、その後、昨年は一度もこの法律は審議されることなく終わってしまった次第です。そして、ことしに入りまして、一月五日からことしの通常国会が開幕をしました。その冒頭、当消費者問題に関する特別委員会が設置されたわけでありますが、その後、閣法三法につきましては、重要広範として本会議においてつるされてきたという経緯が続き、ようやく、三月に入り、三月十七日、昨日本会議において閣法三法の趣旨説明が行われることが議運のやりとりの中で決まった。その上で、先週、消費者権利院等衆法二法が国会にようやく提出されて、そして、きのう本会議が開かれ、本日委員会におきましてこれらの法律の審議が始まったというのが経緯でありました。

 本当に長い道のりを感じざるを得ないんですが、こうした国会でのやりとりの背景には、日本の国、日本の国民生活の中でいろいろな不安を感じさせるような事件、事案が続いてきたわけです。

 振り返ってみても、昨年の一月末ですか、中国の冷凍ギョーザの薬物中毒事案、こうした事件が発生をしました。昨年の二月あたりは日本じゅうで、食の安心、安全、あるいは食料自給率、こういった問題について大変な議論が行われていた、こんなことを思い返しています。

 そうした事件に続きましても、食品の表示の偽装の問題、産地偽装の問題、汚染米の問題、あるいは中国のメラミン入り乳製品の問題等々、食の安全、安心にかかわる事件が次々と続いたわけであります。コンニャクゼリーによる死亡事故の発生、こうした事件もありましたし、また、エレベーターによる死亡事故、製品あるいは施設の安心、安全にかかわる事案も続きました。また、国民生活センターの苦情相談の中で最も多い、取引の安心、安全にかかわる件。こういった事案につきましても、エル・ジー、円天といったマルチ商法ですとか振り込め詐欺の多発等々、社会問題になるような大きな事件や事案が次々と続いたわけです。

 こうした社会の状況を受けて、国民の安心、安全にかかわるこうした消費者トラブル、消費者問題について多くの関係者が思いをめぐらし、さまざまな努力をしなければいけないと強く感じたところかと思います。そして、こうした事案に対応するためには、本当に多くの関係者がいろいろな角度からいろいろな努力をしなければいけない、こんなことを改めて強く感じています。

 商品の流通にしても、生産、流通あるいは販売、それぞれの過程においていろいろな努力が必要なのでありましょうし、消費者の意識という面でもいろいろと考えなければいけない。また、法律や制度、システム、市場、こういったものにおいてもいろいろと考えなければいけない点があるのではないか。いろいろな課題を我々日本の社会に突きつけてきたというふうに思っています。

 そして、そういったさまざまな努力の中にあって、行政の組織、行政のあり方もいま一度見直さなければいけないのではないか、こういったことから、今回、消費者庁設置法案とかあるいは消費者権利院法案、こういった法律が国会に提出されることになった、このように認識をしています。

 こうした経緯を振り返りながら、まずは政府側に、今の消費者行政、行政組織を初めとする消費者行政全体のありよう、端的に言って何が問題なのか、どういった認識を持っておられるのか、その点につきまして、まずは、野田大臣、御所見をお伺いできますでしょうか。

野田国務大臣 お答えする前に、岸田委員におかれましては、私が八月に担当大臣に就任した直前の御担当でございまして、今提出させていただいている関連三法案をほぼつくり上げていただいた功労者でもあるわけでございまして、ようやくきょう委員会でこうやってやりとりができることを本当にうれしく思うとともに、当時、関係各位、大勢の皆さんとの話し合いの中でここまでお取りまとめいただいた御労苦に対して心から感謝を申し上げまして、質問にお答えしたいと思います。

 これまでの消費者行政の組織の問題点は何かということでありますけれども、幾つかございます。まずは、消費者からいただいた情報が一元化に集約されていなかったということ、さらに、関係省庁間、縦割りでございますので、情報が共有されていなかったこと、さらには分担、連携の不足、そしてそれぞれの権限の不行使ないしは権限の不備などの問題がある場合があったと承知しております。

岸田委員 行政の現状について、情報の集約あるいは共有、またその対応についていろいろと考えなければいけない、こういったお答えだったわけです。こうした行政のあり方は、行政の立場からもいろいろと考えていかなければいけないと思いますが、一方で、国民の視点からも、国民から見た行政がどうあるべきなのか、どう見えるのか、こういった点についてもいろいろと考えていかなければいけない点があるのではないかと私は思っています。

 本当に、国民から見た場合、今の日本の行政、どうもわかりにくいなと思う点が随分あるのではないか。苦情とか相談を持っていく場合、あるいはどこが対応してくれるかと期待する場合、本当にわかりにくい点がいっぱいあるんだなということを私自身強く感じています。

 私もいろいろな人からいろいろな話を聞いたんですが、その中で大変興味深いなと思ったのは、例えば、国民生活に大変大切な殺虫剤、家庭用の殺虫剤一つとっても、例えば、蚊とかハエとかゴキブリ、ノミ、南京虫、こういった害虫が対象の殺虫剤は、厚生労働省が担当するわけです。一方、クロアリ、シロアリ、ハチ、ブヨ、こういった害虫を対象とする殺虫剤は、経済産業省が担当するわけであります。一方、イヌノミとか、こういった動物の寄生虫を対象とする殺虫剤、これは所管が農林水産省になるんだそうであります。

 さらに言うと、殺虫剤の表示に不備があった場合は、厚生労働省が担当するんだそうです。それから、殺虫剤のエアゾール剤の使用によって引火が発生した場合は、これは経済産業省が対応するんだそうです。一方、スプレー式接着剤の吸引によって肺炎を起こした、そうしたら、どこの役所が出てくるのか。そうすると、今度は厚生労働省が出てくるというようなことでありまして、殺虫剤一つをめぐっても、対象害虫によって、あるいはトラブルの内容によって、責任を持つ役所がみんな違うということ、これはなかなか国民から理解されないんではないか。

 あるいは、コンニャクゼリーによる死亡事故、これはもう、すき間事案の典型的な例だということが前々から指摘されているわけですし、また、それ以外にも、例えば英会話教室が経済産業省の所管とか、どうも国民から見てしっくりこないような事態、どうもわかりにくいなというふうに思うような事態が随分多いんではないか、こんなことも感じています。

 衆法の提出者の皆さんにも、現状の日本の行政のあり方についてどんなように感じておられるか、どんなふうに思っておられるか、ちょっと御所見をお伺いできますでしょうか。

階議員 御質問にお答えします。

 今の御質問も、今消費者行政においてどういうことをすべきか、何が問題なのか、そういうことだと思います。何が問題なのかと言われると、大きく三つあるかというふうに考えております。

 まず一つ目は、今まで消費者行政というものが独立の行政分野として位置づけられていなかった、まさに今岸田先生がおっしゃられたとおり、縦割りの中で、消費者行政という横断的な分野として確立されてこなかった。しかも、個別の省庁が対応するに当たっても、いわば付随的な位置づけといいますか、産業振興や業者規制の派生的なものとして消費者行政が位置づけられてきた。そのような派生的な位置づけであり、かつ、しかも、一義的には従来の行政府というのは産業振興を目的とするわけですから、消費者行政を同じ機関が担うということは利益相反的なことも発生し得るわけです。そういう問題点もあるということです。

 それから、二つ目の問題点としては、最近の市場経済の発達に伴って、事業者と消費者の間の情報の非対称性が拡大しています。その結果、事業者と消費者が、もはや、元来日本の民法が考えていましたような私的自治の原則、当事者対等の原則、こういったものが当てはまりにくくなっているのではないか、そういう問題もあるかと思います。

 それから、第三の問題でございますけれども、これは先ほど来野田大臣も御指摘のとおりでございますが、消費者問題が生じた際に行われるべき正確な真相究明と被害救済、そしてその後適正な情報提供を行う制度というものが不十分であった。

 大体このような三つが問題であるかと考えております。

岸田委員 ありがとうございました。

 今お話があった中で、例えば消費者行政が派生的な位置づけになっているという点については、これは政府も意識を共有しているんではないかなというふうに思います。日本の国は明治以来、やはり日本の行政組織自体が、生産者あるいはサービスの提供者、こういったものを念頭に役所の組織ができ上がってきた。経済産業省、厚生労働省、農林水産省、どの役所をとっても、生産者あるいはサービスの提供者、こういった立場を念頭に組織をつくってきた、これは事実だと思います。

 ただ、こういった仕組み自体は、明治以来の殖産興業、富国強兵のこうした時代、あるいは戦後の経済発展が国の最大の目的だった時代、こういった時代においては大いに威力を発揮したというふうに認識をしておりますが、ただ、結果として、消費者行政担当部門が、それぞれの生産者、サービス提供者を念頭につくられた組織の出口部分にみんなばらばらに張りついてしまった、分散して存在するようになってしまった。しかし、消費者行政の大切さはどんどんと高まっている。それぞれは頑張っているんだけれども、どうも連携がうまくいっていない、こういった流れがあるんだというふうに思っています。

 今提出者の階先生の方からも話がありました。そして、政府の方からも認識の開陳がありました。今言ったような点については認識は共通する部分があるんではないか、そんなふうに思っています。こうした認識のもとに、それではどういったアプローチでこの問題に対応していくのか、どうやってこの問題を解決するのかをそれぞれの立場で検討された、これが今回の法案の提出につながったというふうに思います。

 現状に対する認識という点ではかなり共通する部分があるんではないかと認識をしていますが、それでは、この問題にどうアプローチするか、どのように解決策を求めるかということにつきましては、示されました閣法三法、そして衆法二法、それぞれ見ておりますと、それぞれ特色があるようです。違いがあるというふうに感じています。

 まず、内容を見て、大きく二つポイントがあると思います。一つは、まず消費者行政を考える際に、国の組織、中央に中核となる組織をどのようにつくっていくのか。そしてもう一つは、全国に情報ネットワーク、地方組織をどのように張りめぐらしていくのか。この二つの点が、これは閣法、衆法、両方に共通する議論の整理として、課題として上がってくるんではないかというふうに思います。

 まず一つ目の、中央にどのような消費者行政の中核組織をつくるかという点についてでありますが、この点について、閣法と衆法、それぞれ特色を示しています。まず、閣法の方は、行政組織の中で、内閣府の外局として消費者庁を置くという体制をとっています。一方、衆法の方は、消費者権利院、この法律の第一条、内閣の所轄のもとに置くという条文を設けられています。要は、行政の外側に組織をつくるというふうに理解をしているのですが、まずもってこの法第一条の規定、どういう趣旨で、どういう意味なのか。この点につきまして、まず衆法の提出者の方に御説明をお願いいたします。

枝野議員 お答えをいたします。

 一般的に、普通の、内閣のもとにある省庁は内閣の統括のもとにあるというふうに言われます。統括の場合は、「上級の行政機関等がその管轄権の下にある他の下級の行政機関等を包括的に総合調整しつつ、すべること」を意味すると、法令用語辞典などでも言われております。

 一方、私たちは所轄とさせていただきました。これは、現在の制度のもとでは、人事院が内閣の所轄のもとにある、それから、国家公安委員会と公正取引委員会がそれぞれ内閣総理大臣の所轄のもとにあるということで用いられておりまして、講学上は、やはり法令用語辞典によりますと、「当該機関の独立性が強くて主任の大臣との関係が最も薄いものにつき、行政機構の配分図としては一応その大臣の下に属するという程度の意味を表す」というふうにされております。

 私たちは、消費者行政を適切に執行していく上で一番重要なことは、今、岸田委員からも御指摘があった、各省庁に分かれているさまざまな多様な権限について、消費者の視点から、消費者の立場から一元的に適正行使をさせる、これは行政監視的性質を持つものであろう、行政監視的性質を持つということは、管掌される側の、内閣からの独立性が高いことが求められるというふうに考えました。そして、現行憲法上で内閣からの最も高い独立性を有する機関をつくろうということになりますと、現行憲法でも人事院が認められているように、内閣の所轄という形で一定の距離を置くという形にすることが、行政監視権限を独立性を持って十全に機能させる上で不可欠であるということでこういう規定の仕方をした、こういう意味でございます。

岸田委員 内閣の所轄のもとにということについて御説明いただきました。

 ただいま人事院を例に挙げられましたが、そうしますと、この消費者権利院の強い権限というのは、現状の人事院の勧告、こういったものをイメージしたらよろしゅうございますか。

枝野議員 法律的な意味で言えば、人事院の勧告の持つ強制権限といいますか実効性とほぼ同様だろうというふうに思っております。

 ただ、私どもは、この消費者権利院の権限は、法律上の権限と、それから、それは実際に実効的にどういう力を発揮するかということで、実はこの組み立てをいたしました。行政内部におけるさまざまな、例えば事実上の勧告その他の権限についてでありますが、内閣のもとにある各省庁間におけるさまざまなやりとりというのは、これは内閣一体の原則があります。行政権は内閣に属しているわけでありまして、閣内不一致が生じますと政治問題になります。したがって、国民の目につかないうちにといいますか、事前に内部調整で結論を出すということが原則になります。実際に、各省庁間のさまざまな調整もそういった形で行われています。これでは、多くの消費者の皆さんが問題の所在もなかなか知り得ない。

 特に、幅広い、広範な消費者被害を及ぼしつつあるような事案に対しては、しっかりと独立した立場で問題点を指摘して、そのことを内閣に対して外部からしっかりと、我々の場合ですと勧告をいたしまして、そしてそのことが、国民世論に対して、なるほどこういう問題点を消費者権利院が行政監視的見地、消費者の見地から言っている、さて内閣はどうするんだろうかというようなことで、国民の監視のもとで、人事院が持っている人事院勧告については、当事者、利害関係者が一部ですからなかなかそういった問題になりませんけれども、消費者問題の場合は利害関係者が事実上全国民でありますから、そうすると、政治的には、実効的には、人事院勧告以上の強い影響力を持ってその権限が行使される、こういうふうに考えております。

岸田委員 今、枝野委員の方から、内閣の中での調整の話がありましたが、今お話を聞いておりまして、それでは、消費者権利院と内閣の間で意見が対立した場合の調整というようなことも問題になってくるのかなと思いながら聞いていたんですが、いずれにしましても、今説明があったように、内閣とは離れた、内閣の外側にそういった組織をつくるということになりますと、当然の帰結として、消費者権利院はみずから法律を所管するとか執行するとか提案するとか、こうした機能は持ち合わせないということになると思うんですが、こうした、みずから直接は法律を所管したり執行したり提案する機能を持たないということについて、何か不都合が生じることはないんでしょうか。その点について、提出者にお伺いできますか。

枝野議員 まず、法の企画立案的な要素については、我が党の消費者権利院におきましても、内閣及び国会に対し、必要な法令の制定または改廃に対する意見の申し出をすることができるとなっておりまして、国権の最高機関である国会に対してはその遵守義務などは課すことができませんけれども、内閣に対しては尊重義務を課しております。

 それから、そもそもが立法ということであれば、立法権を持っているのはあくまでも国会でございまして、内閣には立法権限はございませんので、内閣の内側に立法機能を持たせるかどうかというのは本質ではない。むしろ、独立性を持って、あくまでも消費者の立場に立った消費者権利院が、例えば地方の消費生活センターなどを通じたさまざまな事象に基づいて立法の必要があると判断をして、それを国会に対して勧告した場合、後は、我々立法府の判断として、それは内閣から法案が提出された場合も一緒でありますけれども、それに基づいて立法すればいいということであって、企画や立案、立法ということについては全く問題がないというか、国会が立法機関であるという原則に立てば、むしろこちらが筋ではないかというふうに思っております。

 それから、個別の消費者関連法律を執行する権限を持っていないということは御指摘のとおりでございますが、私たちも、消費者の権利を守るために必要がある場合には、みずから事業者等に立入調査を行う等の権限を有しております。そして、それに基づいて、個別の具体的な行政処分権を持っている行政機関に対して勧告等を行うという形で、例えば実際の被害の防止あるいは被害の救済ということを進めていけばいいわけでありますし、また、緊急事態であって、そうした勧告等を待っていると被害拡大をしてしまう、しかもそれが甚大であるというような場合には、私たち、消費者権利院そのものが直接に、ただし、裁量の非常に大きな分野になりますからしっかりとしたチェックという意味で裁判所の手続を経て、裁判所の手続といってもこれはいわゆる保全手続などのように即決的な手続をとって、そのチェックを得た上で一カ月間の行為の禁止または停止を命ずるということができますので、行政庁に対しての勧告に基づき行政庁が動くのを待っていたらまずいというような緊急事態においては、この手続をとった上で、一カ月以内に行政庁がその勧告に基づいて対応すれば十分に間に合うといいますか、問題はないというふうに考えております。

岸田委員 ただいま、みずから法律を所管しない、そして、執行しなくても問題はないという御説明をいただきました。

 それでは、消費者行政の中核組織がみずから法律を所管しても問題はないというふうに理解してよろしいでしょうか。

枝野議員 消費者関連の法制度には、ちょっと見て二種類あるだろうと思っています。

 一つは、消費者契約は民民の関係ですから、民法の特別法に該当するような裁判規範性を持っている消費者関連法、製造物責任法であるとか消費者契約法の大部分であるとか、こういった民法の特別法たる裁判規範について、行政の内部において、それを法務省の特別機関と言うのがいいのかどうかよくわかりませんけれども、そういった意味では、そういった法制度を集中的に企画立案するような組織があるということは、これは十分考えられることだろうと思います。従来も国民生活局がそういった役割を担ってきたのかなというふうに思っていますが、ここを強化するということについては全く異論はありません。

 問題は、従来、各行政機関に分かれていた、事業官庁に分かれていた規制権限をどのように考えるかということだろうというふうに思っています。率直に申し上げて、私たちも党内における議論の当初は、その中で、消費者庁的なものに権限を移管して直接権限行使をするものとそうではないものということを仕分けするというようなことも模索、検討をいたしました。

 しかしながら、では、そのどこまでが消費者庁が所管をし、どの部分が従来の事業官庁が所管をするのかということの仕分けということは、これはもう全く事実上不可能であるというのが私たちの帰結であります。

 今回の政府案を見ても、貸金業は若干かかわっているけれども、銀行はかかわっていない。でも、実際のトラブルは、貸金業でも銀行でも両方起こるわけであって、では、貸金業は消費生活に近くて銀行は消費生活に遠いのかといったら、日常的に多くの普通の国民の皆さんが接している金融機関は、サラ金などに接している皆さんよりも、銀行に接している皆さんの方が多いわけですから、消費生活と密接に関連しているんだったら銀行法が入っていないのは明らかにおかしいということになるわけでありまして、あくまでもそこは恣意的に分けざるを得なくなるし、その場合には、消費者庁が所管をする消費者関連法と、消費者庁が所管をしない消費者関連法との間でどういう差がつくのか、あるいは、その差がつくことをどう考えたらいいのかということについては、なかなか解決ができないということになりました。

 あるいは、では、消費者関連の法律を消費者庁的なところで所管をしたときに、いわゆる事業規制的な官庁でその分野のところを一切さわらなくていいのかということになれば、実際に今回の政府案もかなりの分共管などという形になっておりまして、そうすると、我々、ちょっと勘違いをすると、例えば消費者庁と経済産業省は別の組織と勘違いをいたしますが、あくまでも憲法上行政機関は内閣であって、その内閣、閣議のもとで一体となっている中で、こっちが中途半端に権限を持ち、こっちが中途半端に権限を持ちなどという共管になりますと、実はかえって責任の所在がはっきりとしない。何かトラブルが生じてそれに対する行政の対応がおくれたときに、共管だった場合、どっちの責任だったんだという、あえて言えば、責任のなすりつけ合いみたいなことがやりやすくなってしまうなどということも出てきます。

 そうすると、こうした部分についてはむしろすっきりと、それぞれの業あるいは事業の種類、性質ごとにそれぞれの専門性を持って従来のような業者規制が行われる一方で、消費者の立場から、あくまでも徹底して消費者の立場からその行使が適正に行われているかどうかをタイムリーにチェックするという位置づけの方がより機能性が高いということを、私たち自身がこの間の党内の議論を経て結論に至ったということでございまして、ぜひ委員会の議論を充実して進めていただければ、皆さんにもそうした帰結になっていただけるのではないかと確信をいたしております。

岸田委員 御丁寧な御説明、ありがとうございました。

 ただ、私に与えられた時間は限られておりますので、ぜひ答弁は整理して、ひとつ簡潔にお願いしたいと存じます。

 そして、今御説明を聞いておりまして思ったことなんですが、要は、民主党も法律の所管について御検討はされた、しかしなかなかこの線引きは難しい、整理は難しい、難しいのでやはりもう全部やめてしまおうということになったというような御説明のように聞こえたんですが、何でこんなことをお伺いしたかというと、きのう、本会議の議論を聞いておりまして、大変複雑な思いをいたしました。

 民主党の消費者権利院法案は、要は、直接所管する法律はゼロという法律であります。そして、その法律を提出している民主党の関係者の方から、政府が所管する法律は二十九本だけではないか、もっとたくさん法律があるのではないかといって批判をされておられる。所管ゼロの法案を出している方が、所管する法律を出している政府に対して法律の数が少ないといって批判している。これは、法律を所管するのはいいのか悪いのか、多いのがいいのか悪いのか、あれを聞いておりまして素直に疑問を持った議員も多かったのではないか、こんなふうに思ったので、今お伺いしたわけです。

 加えて、今説明の中で共管の話がありました。この法律の共管というのは、大変イメージが悪い、何か中途半端だ、評判が悪いわけですが、共管にもちゃんと理由があるということ、これはしっかりと確認しておかなければいけないというふうに思っています。

 例えば、新しくつくるこの消費者行政の中核組織というのは、全国の多くの国民の皆さんからしっかり声を集めなければいけない。全国の情報を集約して、一元的に集めて、それに対応していかなければいけない、こういった役割を担うわけですが、こうした情報が集まった際に、中核組織は、入ってきた情報を右から左に全部受け入れるという無責任な対応では、責任ある対応はできないものです。こうした情報、これは何万、何十万という情報が入ってきます。その情報を整理した上で、その情報が本当にどうなのかという裏づけをとる、確認をする、こういった作業がどうしても必要なわけですが、こうした作業をする際には、行革の関係上、この中核組織、新たに地方支分部局を持つとか、大量な実動部隊を持つというのは、なかなか難しいわけです。

 ですから、法律を共管することによって、従来その法律を主管している省庁が持っている地方支分部局、実動部隊を、新たに消費者担当大臣、内閣総理大臣がこの実動部隊を活用して、その情報の裏づけをとる、確認をとる、こういったことができるようにする。さらには、みずから消費者担当大臣が検査に入ることができる、こうした体制をオール内閣でつくるために共管という手法をあえてとっている。行革、あるいは、新たにできる消費者行政の中核組織が決して裸の王様にならない、しっかりとみずからも情報を確認できる体制をとる、こうしたさまざまな政策要請にこたえるために共管という手法をとって、こうした法律の移管を考えているということ。

 共管というのはこうした前向きな、積極的な理由があるんだということはしっかり頭に入れておかないと、共管はみんなだめだ、全部移さなければだめだ、全部法律を新しい中核組織が抱え込んだらそれでいいんだというような単純な話ではないということ、これはやはり我々しっかり認識しておかなければいけないのではないかと思っています。

 今までのやりとりを聞いておりまして、法律の所管あるいは移管、共管について、野田大臣、御所見がありましたらお願いいたします。

野田国務大臣 消費者庁をつくるということは、行政改革なんですね。政府というのは常にその時代に応じた国民のニーズにこたえていかなければならない。明治のときには、やはり産業育成というのが国策であり、国民のニーズだったと思います。

 ただ、今の時代においては、成熟した国家の中にあって、多様な消費があふれる中でのさまざまな被害にきちっと対応し切れていないという国民の声を受けて、行政改革をしなければならない。派生的でばらばらな、岸田委員がおっしゃった、ばらばらになっているものを統合させて、日本で初めて、国民、消費者をパートナーとする、国民、消費者を対象とした新たな行政組織をつくるというのが消費者庁でありまして、なおかつ、法律を持つということは、先ほど権利院は法律を持たないということで、勧告をするからという話でしたけれども、勧告をするということは、やれやれということなんです。法律を持つということは、みずからやるやるということなんですね。その違いは大きいのではないかと思っています。

 法案の移管、共管の考え方についてですけれども、まず、消費者利益の擁護及び増進等を任務とする組織ということでありまして、スピーディーに、そして的確な法執行を行い、そして基本的な政策の企画立案を行うことができるよう、これは福田前総理のお言葉なんですけれども、消費者に身近な法律というものを二十九本移管し、または共管するところにしました。これは、もう岸田委員がみずから御尽力いただいたことなので言うまでもないことですけれども。これによって、今までの消費生活センターに上げられている苦情の大半、消費者の方から来ている被害の大半をカバーすることができるという現実があります。

 消費者に何らかの意味がある関連法律として、おっしゃっているように、二十九本以外にたくさんあるんですね。でも、それを全部持ってしまうと、巨大な官庁になってしまう。何万人必要とするかわからないような巨大な官庁になってしまう。これはやはり、ある意味、国民が政府に望んでいる行革とは一線を画するもの、違うことではないかと思っています。

 ですから、今回の消費者庁というのは、そうした考え方をとらなくて、消費者行政に関する政府全体の司令塔、消費者のパートナーとして新しく存在し、かつ機動的に、すぐやれるように対応する簡素で効率的な組織として所管していくことが不可欠である法律二十九本を抽出して、その他の法律に対しては、必要に応じて所管する官庁に措置要求ができるようになっています。ですから、二十九本だけではなくて、それ以外のものについても今度の関連法律の中でちゃんと担保されていて、消費者庁が消費者の立場に立って措置要求ができるようなことになっていることで網羅されていると理解いただければありがたいと思います。

岸田委員 ありがとうございました。

 今、まずは今回提出された法律の一つ目のポイントであります、中央の消費者行政の中核組織についてお伺いをさせていただきました。それ以外にも、すき間事案の対応ですとか、そもそも、先ほど行革の話を申し上げましたが、中央組織の人員、規模、こういったあたりもちょっとお伺いしたかったんですが、御丁寧に御説明をいただいたこともありまして、時間が大分押しておりますので、きょうはもう一つのポイント、全国の情報ネットワーク、地方組織の部分について話を進めていきたいと思います。

 この全国の地方組織につきましても、閣法と衆法、それぞれ特色を示しています。違いを示しています。全国の地方の消費者行政あるいは消費者行政組織、こういったものが大切だということについては両方とも意識を共有しているのではないかなというふうに思うのですが、それに対しまして、閣法の方は、地方の消費者行政はあくまでも地方自治体の自治事務だという建前に立って地方の消費者行政の充実に努めている。一方、衆法の方は、地方の消費者行政については国が責任を持って、国の組織に取り込んでしまうという手法をとっています。こうした特色を持っています。

 まず衆法の提出者の方にお伺いしたいのは、この国の組織に取り込む、こういった手法をとった意味合いについて御説明をいただけますか。

階議員 お答えいたします。

 私、地元は盛岡なんです。消費生活センターがかなり一生懸命やられているということで、先日、野田大臣も視察にいらしていただきました。岩手県にあるんですけれども、岩手県は、盛岡はそういうふうにちゃんとしているんですが、ほかの地域は、全くその相談員すらいないというような状況があるわけです。

 そういった中で、今までのように地方の自由でこの消費者問題を扱わせていいかどうか、単なる自治事務ということで国が関与しなくていいかというと、ナショナルスタンダードというものが非常に保たれない、つまり地域によって消費者問題への取り組みについてかなり跛行性が生じる、こういう問題があるということで、今回、我々は、ナショナルスタンダードを実現するという意味で、国の関与を全国に及ぼす、そういう発想に立っております。

 また、相談員の方々の身分保障という意味でも、今、非正規雇用で雇いどめがあるような方が現場に配置されている。こういった方たちの御意見をお聞きしますと、やはり短期で首を切られるかもしれない、そうなってくると、専門的知識を習得するモチベーションもなかなか出てこないし、仮に専門的知識がついたところで首を切られてしまうと、また新しい人が一から勉強し直さなくちゃいけないということで、専門的知識が全く蓄積されていかない、そういう問題もある。そこで、我々は、地方の消費者相談員の方々を任期つきの国家公務員というふうな位置づけにして、安心して専門的知識を涵養していただける、そういうような仕組みにしたいと思っております。

岸田委員 ありがとうございました。

 確かに地方の消費者行政に対する取り組み、かなり温度差があるというのは事実だと思います。大変寂しい地域もある一方で、地域によってはかなり熱心に、創意工夫を凝らして、我々も感心するぐらい消費者行政に熱心に取り組んでいる、こうした創意工夫を凝らしている地域もたくさんある、これもまた事実であります。

 そして、国の組織、公務員という形で身分保障をという話ですが、提案された法律ですと、一万人の国家公務員をこれから採用するということであります。その辺が現実的にどうなのか、こういったことも感じるわけですが。

 一方で、政府案、閣法の方は、地方の消費者行政、地方自治体の自治事務だという建前のもとに、国としても、全国の消費生活センターを法律的に位置づけることによって、それを根拠にしっかりとした国の財政支援等も考えていこう、地方の自治事務をしっかりと支援していこう、こういった方策を考えておられるわけですが、この思い、趣旨、目的、ねらいにつきまして、野田大臣、ひとつよろしくお願いします。

野田国務大臣 今委員おっしゃるとおり、まずは消費者行政を考えるに当たって地方自治と定めているのは、国と地方の役割分担については、地方自治法において、住民に身近な行政、消費者行政が当てはまると思うんですが、できる限り地方公共団体にゆだねることを基本としています。

 さらに、平成十六年、全会一致で成立している消費者基本法においても、地方公共団体は、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有することが明記されているわけです。

 これらを踏まえ、地域住民である消費者の声に真摯に耳を傾け、それに丁寧に対応していくということは、地方分権のもとで地方公共団体が地域住民に接する姿勢そのものであると思いますし、ですから、地方の消費者行政組織は地方公共団体の自治事務の担い手として位置づけるものというふうに理解しております。

 実際に、地方における消費者行政、他の部局と密接に連携し合っています。消費生活センターの相談員の人たちがいろいろ相談するのはそこの市役所であったり、そういう担当部局の人でありまして、そういうことも考えたときに連携が分断されるおそれがある、そういうことを考えると、やはり地方でしっかりと頑張っていただかなければならない。

 それを踏まえて、安全法において、今御指摘のとおり、法律でしっかりと都道府県の消費生活センターを位置づけておりまして、これによって、同法によって定められた国及び国民生活センターは、都道府県に対する援助と相まって、地域の中核センターとして機能することが期待されるというふうに示してあるところであります。

岸田委員 あくまでも地方の自治事務という建前を大切にしながら、これを最大限生かすためにどうしたらいいのか工夫をされているということなんですが、それが生きるためにも、またさらなる努力も必要だというふうに思います。地方の消費生活センター、都道府県の消費生活センターは中核センターと位置づけているわけですが、これが他の国の機関あるいは地方自治体とどれだけ密接に連携することができるのか、行政組織の外に組織をつくるとこの連携の部分についてどうなのか、こういった心配があるわけですが、逆に、行政組織の中に、そして地方の自治事務を尊重した形でこうした体制をつくっていくということになりますと、この連携という意味で強みを発揮できるように、しっかりと工夫していただかなければいけないと思います。

 また、いろいろな環境整備についても、現在、PIO―NETという情報ネットワークが、国民生活センター、消費生活センター、こういった組織で使われているわけですが、そもそもこのPIO―NETというのは、どちらかというと事例集、字引みたいな使われ方をしていた歴史があるものですから、情報の集約、情報の伝達ということについては、どうもこのスピード時代に追いついていないのではないか、こういった指摘もあります。こういった部分についても、内閣において、今バージョンアップを考えておられるというふうに聞いております。事実、平成二十一年度の予算にもこういった予算が盛り込まれているようですので、こういったあたりをしっかり活用していただかなければいけないというふうに思います。

 また、今、予算の話を申し上げさせていただきましたが、平成二十年度の第一次補正予算、平成二十年度の第二次補正予算、そして平成二十一年度本予算、この三つを合わせますと国だけで三百五、六十億、消費者行政予算を確保しています。昨今の地方の消費者行政予算、全国、全部合わせても百八億、百億程度であります。それに比べて、国の予算として三百数十億を用意し、なおかつ、地方の予算として、地方活性化交付金六千億を初めさまざまな地方支援の予算を用意した。

 こうした予算のありようを見るときに、ぜひしっかりこの予算を活用してもらわなきゃいけない。これは新しい組織を前提に確保している予算もありますので、こういった予算がせっかく確保されようと、まだされようとしているわけですが、されようとしている中にあって、体制が整わないから結局予算が不用ということにならないように、無駄にならないように、ぜひこの体制づくりも予算に追いついてもらわなければいけないと思いますので、政府において努力をしていただかなければいけないこと、本当にたくさんあると思います。

 そして、予算の中で、特に多くの地方の組織から強い要望が出ております地方の相談員の皆さん等の処遇の問題、これについて成果が上がるように努力をお願いしたいと強く思っていますが、今申し上げました中核センターの連携の話、あるいはPIO―NETの拡充の話、あるいは予算の活用の話、こうした政府の努力に対する要請ということにつきまして、野田大臣、御所見をお願いいたします。

野田国務大臣 都道府県の消費生活センター、中核センターとしてどのような役割をということですが、先ほども階議員からもお話がありましたように、必ずしもすべて、全国津々浦々、平均的に消費生活センターが整っているわけではありません。

 ただ、これは地域性がありまして、必ずしも同じようにやればいいという問題ではない。先ほど盛岡のお話がありまして、私も盛岡に視察した折は、大変優秀な盛岡市の消費生活センターだけれども、必ずしも周辺町村に小さな消費生活センターを置くことをよしとしないと。むしろ自分たち盛岡市が厚くなることで、そこから広域的に、消費生活センターを持たずともやはり十分なことができる等々ありまして、そういうことを支援していきたいなと思っております。

 そのための予算なんですけれども、今も岸田委員がおっしゃったとおりでありまして、一次補正、二次補正にかけているものは、消費者庁をつくることが目的ではなくて、やはり地方の消費者行政が十分機能することが重要だということで、前倒しで、地方の消費生活センター等々に使えるようなお金を今つくっているわけでありますし、基金を造成します、都道府県に造成するわけですけれども、そこにおいて、相談員が研修に参加するための旅費の支援とか実質的な処遇改善に活用することができるとともに、センターの設置なんかにメニュー方式をとってどんどん広げていただきたいということ。

 もう一つは、報酬が低いということが問題になってきましたけれども、地方公共団体における改善の一つとして、平成二十一年度の地方交付税の算定において相談員の報酬を約三百万円へ増額すること、大幅拡充することということにしておりまして、これまでいただいた要請を十分に踏まえて取り組んでいるつもりでございます。

岸田委員 政府におきましても、ぜひしっかりとした対応をお願いしたいというふうに思います。

 きょうは、与えられた時間の中で、二つの柱、一つは中央における消費者行政の中核組織のありようについて、もう一つは全国の地方消費者行政組織、全国の情報ネットワーク、こういった点、この二つの柱を立てて質問をさせていただきました。

 こうした議論をまたぜひこれからも深めていきたいというふうに思うのですが、きのうも本会議で、この五本の法律について大変熱弁が振るわれました。その際に、民主党の先生方の方から、民主党という政党は立党以来、消費者行政について大変力を入れてきた、これを大変重要視してきた政党だという力強い御発言がありました。きのう、私のところに質問取りに来られた民主党の職員の方にお伺いしたら、民主党の立党というのは一九九八年だというふうにお聞きをしました。

 そうしますと、私自身も、民主党の立党より前、自民党の中で消費者行政について仕事をしていた立場として、思うところを申し上げさせていただくならば、私は最初、消費者行政とのかかわり、かつて衆議院に、今回の消費者問題特別委員会じゃなくして、昔の消費者問題特別委員会、別の消費者問題特別委員会が存在しました。かつて物価対策特別委員会、物特と言われた特別委員会の流れをくんだ別の消費者問題の特別委員会があって、その委員会の理事をやらせていただき、そして、その委員会に遺伝子組換え食品の表示問題に関する小委員会というのをつくって、私が小委員長になって議論をした、あのあたりから本格的にかかわったと思うんですが、それとてもう十何年も前の話であります。

 そこから始まって、食品安全基本法の議論があったり、それから消費者基本法の議論、当時、昭和四十三年にできた消費者保護基本法を改正して消費者基本法をつくろうということで、私もこの議員立法、法律の提出者として法律を提出させていただいた。結果的には、各党、全党の了解をいただいて委員長提案という形にさせていただいたんですが、あのとき、全党同じテーブルを囲んで、消費者基本法をどうするんだといって条文のやりとりをしたのを思い返しています。当時の民主党のメンバーの方はきょうのメンバーとはちょっと違いましたけれども、民主党を初め各野党全員そろっていただいて、同じテーブルで議論のやりとりをした、こんなことを懐かしく思い返しています。

 そして、消費者基本法の後も、公益通報者保護制度の設立ですとか、あるいは、今回も消費者団体訴訟制度の改正案が出ていますが、消費者契約法を改正して消費者団体訴訟制度をつくるとか、それから、消費者団体訴訟制度を景表法等ほかの法律に拡大するとか、あるいは国民生活センターにADR機能を持たせるとか、本当に、消費者行政にかかわる法律にずっとかかわってきて、特にこの消費者行政をめぐる法律的な環境は、ここ数年間で今画期的に変化しているということを感じています。

 そして今回、いよいよ、この消費者行政そのものについて、我々は大きく転換を目指しているということであります。こういった流れというのは大変貴重ですし、ぜひ大切にしていかなければいけないというふうに思っています。

 そして、消費者の立場自体も、かつて昭和四十三年、我々の先輩方がつくった消費者保護基本法の時代には、消費者というのは保護する対象という位置づけでありました。そして、平成十六年の消費者基本法にあっては、確かに情報とか経済力とか交渉力の非対称性には配慮しながらも、やはり消費者というのは自立した存在だということになったわけです。そして、今や、特に欧米諸国においては大きな主流になりつつありますが、消費者というのは、単に自立した存在ではなくして、環境問題とかエネルギー問題とか、こうした社会問題に積極的にかかわる、こうした積極的な主体でなければならない。消費者市民社会という言葉が使われていますが、こうした流れができ上がっている。こうした大きな流れ、これはぜひ大切にしていかなければいけない、そのように思っています。

 こうした流れを振り返って、野田大臣にもぜひ頑張っていただきたいんですが、野田大臣、この流れを振り返り、また、これからの消費者行政に向けての決意、御所見をお伺いできますか。

野田国務大臣 ただいま岸田委員のキャリアを拝聴しておりましたけれども、当時私は郵政行政に一生懸命取り組んでいたことを非常に懐かしく思っております。

 十年、長い間、皆様方の御尽力で、消費者のニーズにそれぞれこたえ得るような個別の法律ができ上がってきている、基本法も変えられてきた。その中で、冒頭おっしゃったように、それがばらばらでは十分な機能を果たせないんだろう。

 やはりこれからは、消費者をパートナーとした、消費者の方に顔を向けた新たな行政組織が、国の信頼のもとでしっかりと皆さんの不安を解消し、消費者の利益の擁護や増進のために取り組んでいく、そういう新しい国づくりのために、この消費者庁の創設に向けて皆さんの御理解をいただけるよう頑張って取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございます。

岸田委員 ぜひ野田大臣にも頑張っていただきたいと心からエールをお送り申し上げる次第です。

 今回の消費者行政改革、これは大変歴史的な行政改革だというふうに私は思っています。日本の行政改革というのは、ややもしますと、法律と権限と組織と人員というのが意外とセットで動くという行政改革が多いようです。

 それぞれの役所が持っている権限や法律、人員を全部引きはがしてきて集めるという行政改革は、同じような例を振り返りますと、昭和四十六年の環境庁をつくったときにさかのぼるのではないか。三十八年ぶりの画期的な行政改革ではないかなというふうに思っています。環境庁の方は、昭和四十六年以来、やはり環境問題は大きな注目を集めて、サミットのテーマにもなり、そして、これから未来を考える際に、環境問題抜きでは我々は物事を語れない、これだけ大きく環境問題に対する関心が高まりました。

 ぜひ、消費者行政においても、今回の行政改革を一つの契機にして、消費者行政に対する関心の高まりにつなげていただければと思います。そのためにも、我々政治にかかわる者は結果責任を負っています、ぜひしっかりとした議論を行って、結果を出さなければいけない。幾ら立派な議論をしても、それで残念でしたということでは、我々は責任を果たすわけにいかない。

 多くの関係者の理解を得ながら結果を出せるように頑張りたいと思いますので、政府においても、また衆法提出者の皆さんにおいても、ぜひ御尽力いただきますようよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、やまぎわ大志郎君。

やまぎわ委員 おはようございます。自民党のやまぎわでございます。

 きのうは、本会議で自由民主党を代表して質問をさせていただきました。この基本的な消費者庁設置法案と、長い法律なので関連法案と言いますが、関連法案につきまして、その意義とメリットにつきまして、野田大臣から、また麻生総理からも本当に前向きな御答弁をいただきまして、これで消費者行政は変わるなと私自身も実感をした次第でございます。

 きょうは、きのうに引き続きまして、少し具体的なところに入って質問させていただきたいと存じます。

 昨日、野田大臣は、消費者庁設置後の消費者問題への対応、また国民生活へのメリットに関しまして、四つ挙げられました。特に、消費者庁への情報の一元的集約を通じた早期の問題発見による、消費者への迅速な注意喚起を行う体制の整備。二つ目として、みずから法律を所管するとともに、各省庁に対して法執行の要求を行い、さらに、すき間事案に対する権限を行使することによる消費者被害の防止体制の強化。そして三つ目として、消費者契約法等の被害者救済のための諸制度を所管することによる被害者救済の体制整備。そして四つ目として、消費者政策委員会を設置することによる消費者行政全般への消費者の声を反映する仕組みの強化という形でございます。

 じっくり読み込みますとそのとおりなんですけれども、やはり少々難しゅうございまして、そこで、イメージがみんなにわくように、私自身も含めてわくようにするのに、具体的な例を挙げて、こういうことをお話ししていくのがわかりやすいのではないかと思います。

 そこで、まず最初に、増原副大臣にお聞きしたいと思いますが、我が国の食の安全を揺るがした事案として、事故米の問題というものがつい最近起こりました。こういう具体的な例を挙げて、こんな問題が再び起きた場合に、消費者庁ができていた場合にこれはどのように対処をしていくのか、御答弁をいただきたいと存じます。

増原副大臣 御答弁申し上げます。

 昨年の夏に、いわゆる事故米の問題が大きくクローズアップされまして、実は、これは大変だということで、当時の福田総理が野田大臣に対して、政府一体となってやるようにという御指示がありまして、野田大臣からは、プレ消費者庁のつもりでやりなさい、こういう御指示を賜りまして、私がヘッドになって、関係省庁、農水省はもとより厚労省、経産省、あとは警察庁等も含めて、統括官会議というのをつくってやりました。

 まず最初は、そこで驚いたことは、各省庁、情報がばらばらなんですね。先ほどやまぎわ委員が御指摘になったとおりであります、ばらばらでした。そこで、まずこれは、各省庁の持つ情報をみんなが共有する必要があるなというふうに思いました。

 さらに、その前は、農水省は農水省で発表をする、あるいは関西地域や九州地域で、各都道府県、都道府県は都道府県でまた発表するとか、その新聞情報を切り集めてというふうなことであったものを、とにかくこの統括官会議に全部集約するようにということでもって、まず情報の共有化を図りまして、それをまとめて私の方からプレスリリースをするという体制をとりました。それが、このたびの法案にも、情報収集の一元化と消費者に対する注意喚起という形で、消費者庁がそれをやるということで出ているんだろうと思います。

 それから、それをやっておりますと、まさに九十数回、農水省は検査をしました、わかりませんでした、こういうことなんですね。要は、検査体制がいかに従来どおりの、事業者寄りとまではいかないと思うのでございますが、そういう点があったことは間違いないと思います。この体制を、行政の執行としましてよろしいのかどうか。

 その当時は、契約に基づいて立入検査というようなことをしましたということですが、それでは弱いということで、最終的に、食糧法に基づく立入検査をしっかりやるということを決めて、これも統括官会議で決めてやったような次第であります。それから深度ある検査ができ始めたのではないかと思っております。

 そういう意味で、このたび、関係省庁に対して、業者に対する自主改正要請を含めた行政指導とか、所管法律に基づく、とり得る行政処分等の迅速な対処を促すということが、この消費者庁ができれば、消費者庁が指示をしてできることになろうと思います。さらには、必要な場合には関係大臣に対し、所管する法律に基づくとり得る行政処分をはっきりと、しっかりとるようにという措置要求を行うことができます。このほか、必要な場合には、要は、このたびつくろうといたしております消費者安全法、これに基づきまして消費者庁みずからやっていくことができる、措置ができるということであります。

 とりわけ、先ほど自治事務の話がございましたが、このたびのものでも、地方自治体の消費生活センターに来る情報、実は多くは保健所なんですね、保健所に来るわけであります。それを取り上げてどうするか、検討してどうされるかというふうな方向で進みました。そういう意味で、これは自治事務として自治体の中でしっかりやっていただいてと。最終的には、捜査ということになりますと、各都道府県警という形になります。そういう意味で、地方自治体の中でどういうふうな有機的な情報交換をされて措置をとっていくかということも非常に大きなことであったな、そのように思っております。

 そういう意味で、情報にしましても、とるべき処分にしましても、消費者庁ができますと、極めて迅速に、また一元的にできるということではなかろうかと思っております。

やまぎわ委員 わかりやすい答弁をありがとうございました。

 今答弁を伺っていても、これまでの行政のあり方というものは、我々全員で反省をしなくてはいけないなと思う部分もたくさんございますし、また、情報というものがいかに大切なものかということもよくわかりまして、それの扱い、それも、一元管理をしていくということが必要だということもよくわかりました。

 そこで、また次に移りたいと思いますが、情報管理や一元管理や、あるいは行政の側が幾ら努力をしたとしても、やはり日本は法治国家ですから、法律で定められたこと以外のことを、そののりを越えてやるということは当然できないわけでありまして、そののりを越えるというか、すき間におっこちてしまった事案というのも、この近辺で、先ほどコンニャクゼリーの話が出ておりましたが、出ているわけですね。これは本当に痛ましいなと思います。

 実際に私もコンニャク入りのゼリーをよく食べますけれども、非常においしいですし、健康な方が食べていれば何の問題もないかもしれませんけれども、ここ数年間で二十数人の方が事故に遭われて命を落とされている。一体どうしてそうなっちゃったのと少し説明を聞いてみたら、結局、これは食品衛生法の網にもJAS法の網にも実はかかっていないんだという話で、では、何でかかっていないのと聞いたら、食品衛生法というのは食品が衛生的であるかどうかというものを見ているんだという話ですね。JAS法の場合は、中に成分が何が入っているかとかという話になるんでしょうけれども、結局、食べる行為は同じなんですけれども、それは衛生的であってものどに詰まるということは想定していない、そこは法律に書かれていないから、そこがすき間になってしまって迅速に対応できなかったという話でございました。

 これについても、今回、当然、消費者庁をつくるに当たってはこういったことに対しての対処がしっかりできるようにするというお話、きのうの本会議でもさわりの部分はお答えいただきましたけれども、改めまして、野田大臣から、どう対処されるのかということを御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 具体的に申し上げた方がいいですか。

 今お話がありましたコンニャク入りゼリー事故のようなことに対して、消費者安全法案、新しい新法ですけれども、消費者被害の発生または拡大の防止を図るためのほかの法律に基づく措置がない場合、これをいわゆるすき間事案といたしまして、その場合には、重大事故について内閣総理大臣がみずから措置を講ずることができることを規定します。

 今回のコンニャク入りゼリーにつきましては、具体的にどういうふうになるかと申し上げますと、物理的、形状的に問題があると疑われた食品について、食品衛生法、JAS法及び消費生活用製品安全法のいずれにおいても適用がなく、今おっしゃったとおりです、いわゆるすき間事案として法律の不備及び責任官庁の不存在が問題であるわけですね。

 ですから、消費者庁ができて、その新法である消費者安全法に基づくと、まず重大事故等に関する情報として、情報の一元的集約ルートをたどって、事故情報が地方公共団体等から消費者庁に直ちに届けられる。そして、消費者庁は、例えばゼリーの形状、大きさ、摂食状況、摂食者の年齢等、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表して、消費者に対する周知をするとともに、強い注意喚起を促すことができるわけです。

 また、必要な場合には、事業者に対し、例えば注意喚起の表示をつけなさいとか、店頭での購入者に対する危険性の周知とか、そういう被害拡大防止措置をとるように勧告いたします。さらに、被害拡大または同種事故発生の急迫した危険性があり、消費者安全法の要件を満たす場合には、同法に基づき、譲渡、販売ですね、引き渡しを禁止し、消費者の口に危険な食品が入らないよう措置を講ずるなどの対応ができることになります。なお、必要な場合には、消費者安全法に基づき、みずからまたは地方公共団体が立入調査を行うことともしております。

やまぎわ委員 ありがとうございました。

 きのうの質問に引き続いての質問はこれぐらいにしておいて、きょうは、消費者問題というものが、当然ですけれども私たちの生活に密接にかかわっている話ですから、生活というのは総体として見れば経済ということになりますので、消費者にかかわる問題というものが我々の日本の経済にどのように影響をしているかということについて、概論になるかもしれませんけれども、少しお伺いをしておきたいと思います。

 当たり前の話かもしれませんけれども、どこかで消費者被害なり問題が出ると、当然その問題があったことについて物が買われなくなったり、単純な話ですけれども、そこで経済的な被害が起きるということから、もっと大きな意味においては、消費者と事業者との間の信頼関係が失われることによって消費者の購買意欲が低下するなどといったような形での、経済に対するマイナスのインパクトというのも当然あるんだろうと思うんです。

 そこで、消費者被害が経済に対してどれぐらいの影響を与えているのかということについて、もし統計等々の数字があるようでしたら、お答えをいただければと思います。

野田国務大臣 平成二十年度版国民生活白書の推計でありますけれども、平成十九年度の我が国の消費者被害による経済的損失額は最大約三兆四千億円と推計されていまして、GDPで比較すると〇・七%程度でありまして、無視し得ない規模の金額と言えます。

やまぎわ委員 三・四兆円というのは実は無視し得ないどころの話じゃないですね。日本の経済成長率が実質で一%を切るか切らないかなんという話をしているときに、GDPの〇・七%分が、最大ではあるかもしれませんけれども、この消費者被害というものがあることによって失われているかもしれないという数字であります。

 逆に言うと、消費者被害というものを未然に防止するなり、あるいはどうしても起きてしまったものを、その被害が拡大しないようにするということによって、数兆円単位で経済効果があるということなのではないでしょうか。消費者に関して、直接的なプラスのインパクトだけではなくて、この数字以外の、先ほど申し上げたとおりに、信頼関係という意味でもこれは大切な話で、そこまでひっくるめれば、本当にこれは消費者問題を解決していくということにおいて大きな景気対策になるのではないかと思います。そういう観点からも、ぜひ消費者の味方になった行政というものをここで構築していただきたいと思います。

 そして、一方では、私も実は零細企業を経営していた人間ですが、どうしても自分がなりわいをしていることに関係をしている省庁から規制を受けるわけですね。ですから、事業を営んでいる側からしますと、事業者というのも消費者の一部でもありますから、行政が大きく変わるということに関しては、それはいいものに変わるか悪いものに変わるかは別にして、変わるということに対して、当然これは非常にいろいろな意味で影響が与えられることだというふうに思うんです。

 消費者庁をつくりますという話をいたしますと、どうしても、ともすると消費者に対してこれを守るんだという方向にかじが大きく切られるんだなというメッセージが国民に対して発せられると思うんですね。そうすると、逆に、事業者の側からすると、何だか知らないけれども事業者は一方的に悪者であるかのような扱いにされるのではないか、そういうおそれが出る可能性がございます。消費者と事業者の信頼関係というものを構築するのが目的だという御答弁もきのういただきましたけれども、この議論を進めていくときに、事業者側にもメリットがあるんだということを示していく必要があると思うんです。

 そこで、この議論を詰めていく中において、今までの中で、経済団体等々から意見というものを聞いてきたということはあるか、それと、その意見があればどういったものがあるかを教えていただければと思います。

野田国務大臣 まさに、規制が強化されるので事業者にとって死活問題だとか、さまざまなうわさとかデマが流れた時期がございましたけれども、実はそうではなく、善良な事業者がしっかりと市場の中で活躍していただくための消費者庁であらねばならない、消費者とよき事業者のウイン・ウインの関係をつくるというのが大きな目的の一つでありますので、今回の政府案を作成するに当たり、消費者行政推進会議ワーキンググループにおいて、三つの経済団体、日本経団連、日本商工会議所、全国商工会連合会からヒアリングを実施いたしまして、事務局からも随時これらの経済団体に政府案についての説明を行ってきました。その結果、いずれの団体からも消費者行政一元化の必要性について理解が示されておりまして、政府の消費者庁関連三法案についても特段の反対意見は寄せられていません。

 つまり、先ほどおっしゃった、失われた三兆四千億円は悪い業者に行ってしまったんです。もしそれがきちっとした消費者行政の中でいれば、それらは健全な事業者のところに行くわけでありまして、それが結果として市場の健全性を消費者に提供することができるという意味でも、経済界からも期待をされているところであります。

やまぎわ委員 経済団体から特段反対意見はなかったというお話を伺って、多少ほっとするところもあるんです。これは、政府がきちんと説明をし、中身についても理解をしてもらっているということだと思うので、そこは評価をしたいと思うんですが、一方、今伺った経済団体というのはいずれも大きな経済団体ですね。私ども、一市民にいつもいつも触れている立場からして、消費者庁の話は知っていますか、消費者行政はどう変わると思うか、何が問題ですかみたいな話をしますと、当然、議論はきのうから始まった話ですから周知徹底されていないのは当たり前ですけれども、まだまだ地域というか一国民レベルにまではこれは落とし込まれていないというのが現状であります。

 それで、そういう中にも、特にこういう大きな行政の改革が行われるときには、その透明性を高めてほしいという声が随分上がっていますし、また、これは消費者と事業者との間の話なんだろうから、事業者間で何か取引をするなんというときにまでそういう影響が及ばないような、そういうことがきちんと示されるように議論を進めてほしいなんという意見もいただいております。

 そういうことはこれからの議論を進める中で当然国民に広く知らしめていくことだというふうに思いますけれども、過剰規制であったり二重規制にならないようにという意見、あるいは事業者間の取引に過剰に行政が介入しないようにといったような不安、これに対して、消費者庁に個別の法律を移管する整備法案において、こうした点に対する配慮はどのように行われるのかということについて、野田大臣から御答弁いただきたいと存じます。

野田国務大臣 今回の整備法案、消費者に身近な法律について、消費者庁に移管し、または共管するものであります。これらの法律については、各省庁との役割分担を明確にしておりまして、二重規制にならない仕組みは既につくってございます。

 例えば、JAS法とか食品衛生法等については、表示の策定権限を消費者庁に一元化して専管としています。そして、行政処分の権限を消費者庁のみにしております。また、四業法あるわけですけれども、旅行業法等の業法については、行為規制の企画立案、ルールづくりを関係省庁と共同して行う一方、観光庁長官が旅行業者等に対して行う処分に関しては、消費者庁が協議を受けて、また必要な意見を述べる等の仕組みを設けています。などのように、二重規制を回避しつつ、実効的な行政を確保しています。

 なお、今回の法案により新たに設けられる規制としては、消費者安全法案に基づくすき間事案における権限があるわけですが、当該権限の行使は、消費者の生命身体に重大な被害が生じる場合に限定されたものでありますし、また、事業者として当然守るべき責務に対するものであり、さらに厳格な要件が規定されていることから、過剰規制にはならないということになります。

やまぎわ委員 丁寧な御答弁ありがとうございました。

 ただ、今のお話を伺ってわかるように、今のお話を広く国民にしたときに、一回聞いてわかる人がいるかというと、多分いないんですね。ということで、非常に自分たちの生活に密接に関連していることを行政が変えていくという話であるがゆえに、丁寧に丁寧に説明をし続けていただくということが大切なんだと思います。ですから、これからあらゆる機会を利用しながら、消費者行政がこう変わっていくんだということをアピールし続けていただきたいと思います。

 消費者を守るということを行っていけば、当然、それは消費者にとっては、安全であるとか信頼であるとかというメリットが生まれてくるわけでありまして、逆に、それは事業者の方からすると、それが新しい規制のように見えるかもしれないけれども、そうではなくて、ルールが明確になっていけば、当然これから、行政行為が、何をやればどういうことが起こるかというその透明性も増しますし、また、こういうことをやると先に何が待っているかという予見性も上がるということで、業者の側からしても、これは安心してというか、何をやってよくて何はやっちゃいけないという部分が明確になる分だけ、安心してそれは事業を展開していく、新サービスを提供したりあるいは新しい商品を開発したりという、環境が整備されたことによって事業者の側にもメリットがある、こういうふうに理解をしております。

 あらゆるところで言われておりますけれども、日本の社会が今まで坂の上の雲を目指して、どんどん、みんな同じ方向を向いていた時代から、成熟した社会になってきた、こういう認識はだれもが共通のものとして持っていると思いますけれども、我々、成熟した社会になると、これからは、物をつくるというのも大事ですけれども、そのつくられたものを我々自身が消費をしていく、言ってみれば消費社会になっていくということなんだろうというふうに思います。その消費社会を我々が構築していく上では、これは事業者とそして消費者との間の信頼関係というものがなければ、当然消費社会が成熟していくわけもありませんし、また、消費をする側の国民一立場としては、それは、この商品を買っていいのかな、どうかなという決めがなければ買い控えるということにもなりますから、そういう意味においては、この多様化して複雑化した社会において、事業者と消費者の間の信頼関係をしっかり構築していく、その一助というか確実な一歩にこの消費者庁の設置というものがなると思っております。

 さて、きょうは、私、もっとたくさん質問しようかと思ってはいたんですけれども、この消費者庁の大体の今の流れというものがつかめてまいりましたので、これからまた具体に、一つ一つのことについて落とし込んで質問をさせていただくことにして、次の質問に移らせていただくことにして、きょうの私の質疑はこれにて終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 きょうは、消費者問題の特別委員会ということで、消費者庁あるいは民主党案の消費者権利院法案等々を審議する大変重要な委員会がスタートということで、私も大変光栄に存じております。

 また、船田委員長を委員長といたしまして、この委員会が公正そして広範な国民の期待、負託にこたえられる、そういう委員会になっていくように、私からもお願いと、そして委員の皆様方の御協力をもって進めさせていただければなというふうに思っておる次第でございます。

 また、この委員会のいわば特別な役割というものは、きのうの本会議の場でもありましたけれども、やはり何といっても昨今の消費者問題、これは、さまざまな具体的な事例の案件でもそうでありますが、国家行政のあり方、先ほど来も議論がありましたけれども、これを大きく転換を図っていく、そのきっかけになるものであろうと思っておる次第でございまして、そういった点では、ここに参集されておられる委員の皆様方が、あるいはそれだけではなくて、立法府に身を置く議員として、しっかりとこの議論をさせていただきながら、国民の皆様方との連携を図っていかなければいけない、そういう重要な委員会であろうというふうに私は認識をさせていただいているところであります。

 ぜひこれは、お互いが党利党略という話の中で、いわば何か政局的な話が盛り込まれるようなことにならないように、しかも、この問題をきちっと議論していくためには、何か途中で議論が収束して、それで、はい、では、今までの通例によるとこれで審議時間が来たんだからもう終わりだということではいけないものだろうと私は思っておりますので、その点は、ぜひ皆さん方との協力の中で、少しでも前に進めていけるように私も努力をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。

 さて、先ほど、与党の皆さんからも消費者行政に対するお考えがいろいろ明らかになってきました。改めて私からも、民主党のトップバッターということでございますので、野田さんと、そして民主党の提案者の方にもさらにお伺いをしたいと思っておりますけれども、今いろいろお話があった具体的な事例の中で、消費者あるいは消費者行政というものをどのようにとらえるかによって、この消費者問題というものに対する姿勢が明らかになってくるのではないかなというふうに思っております。

 そういった点で、まず、昨今の消費者行政のいわば現状について、先ほどもお話ありましたけれども、改めて野田担当にはお伺いをしたいと思っております。

野田国務大臣 先ほど増原副大臣から答弁がありましたように、昨今、事故米穀の不正規流通問題を初めとして、さまざまな製品事故、そして食品の表示偽装、高齢者をねらった悪徳商法の横行など、消費者の安全、安心を脅かす問題が次々とこの国では発生しています。

 また、これまでの消費者行政は、繰り返しになりますけれども、明治以来の各府省縦割り行政のもと、そもそも、産業育成という名のもとに立ち上がった役所が、付随的なテーマとして、または派生的なテーマとして後発の消費者行政を担ってきているわけであります。

 また、今の世の中、グローバル化しておりますし複雑化している中で、消費者の問題は、先ほど申し上げたすき間事案のように、各省庁にまたがっていたり、またはどこにも存在していなかったりということで、従来の縦割り行政では完全に対処することができなくなってしまっている。そういう社会を迎えて、これは成熟したと言うべきかもしれませんが、国民が安全、安心や豊かな生活を重視しておられる中、我が国の行政のあり方というのは大きな転換を求められています。

 その大きな転換というのは、やはり消費者中心、消費者をパートナーとする国のあり方であるかと思いますが、その利益を守る全く新しい、行政改革として、行政組織をつくることで消費者の利益を守る体制を現実的に一日も早く整備することがぜひとも大切だと考えております。

園田(康)委員 消費者行政のいわば推進をしていく際に、今大臣からも御答弁いただきましたように、今までの対応の仕方とは全く違う行政組織のあり方というものを考えていかなければいけないということであります。

 先ほど、一方、民主党案は行政組織の外だというようなお話がちょっとあったわけでありますけれども、あくまでも、広い意味での行政の中にはあると私は思っております、内閣のいわば外にあるという形でありますので。内閣そのものがすべて行政だということではないと私は思っております。行政という広い範疇の中で、しかも、それを担う一つの機関として内閣というものがまずそこに存在しているものではないかというふうに私は理解をさせていただいておりますけれども。

 そうしますと、では一方、先ほど民主党の提案者からもお話がありました、いわゆる契約の側面、あるいはそれが、いわば民事、民法の特別ルールの中から対応していかなければならないものであるということと、それから、やはりいわゆる今の縦割り行政の弊害というもの、これをいかにコントロールすることによって消費者行政の問題に対する対応ができるかどうかということにまず国家の組織のあり方としてはかかってくるのかなというふうに、私も、党内のさまざまな勉強、あるいは有識者の皆様方からのお話を伺わせていただきながら、一つのいわば光明といいますか解決策、これからのあるべき姿というものを見出してきたつもりであります。今回、そこに結びつくための権利院法案というものが民主党の提案者からも提出をしていただいているということであろうと思っております。

 しからば、その今の問題の本質をしっかりととらえていかなければ、何が問題になるのか、そしてそこに対する対応策はどうだということがやはりうやむやになってはいけないのかなと思っておりますので、この点、民主党の提案者からも、今の消費者行政の現状、そして問題、そしてそれに対する対応策という形をもって御答弁をいただければなというふうに思います。

階議員 お答えいたします。

 先ほど、岸田委員からの御質問、最初の御質問で、今の消費者行政には大きく三つ問題があると申し上げました。

 はしょって言いますけれども、まずは、従来の縦割り行政の中で消費者行政というものが派生的な位置づけにすぎなかった、かつ産業保護という目的も行政機関が有していることから利益相反という問題が生じていた。これが一つです。二つ目は、市場経済の発達とともに情報の格差というものが生まれて、業者と消費者との間に著しい力の差が生まれ、そして民法などの私法が予定しているところの私的自治の原則、当事者対等の原則というものが成り立たなくなってきている。さらに三つ目としては、消費者問題が多々生じている中で、正確な真相究明と被害救済、適正な情報提供、そういうものがなかなか行われにくくなっている。そういう問題が三つある。

 これに対して我々はどういうふうに考えているかというと、そもそも、役所をつくったからといって、こういう問題は直ちには解決されないだろうと。大切なのは、今の仕組みが十分に機能しているのかどうか。つまり、業者に対する監督の仕組み、それから私人間での消費者問題のトラブルを解決する仕組み。前者を業者ルール、後者を民事ルールというふうに称するとすれば、こういう業者ルールと民事ルールが十分機能していない、これを機能させるような仕組みを我々はつくっていかなくてはいけない。

 つまり、役所をつくるときにも、役所といいますか、新たな行政組織をつくる場合でも、そういったところに重点を置いて考えていかなくてはならない。そこがポイントなんだろうなというふうに私は考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 すなわち、やはり消費者という定義がどこになるのかというところに私はまず問題の本質があるのではないかなというふうに考えています。

 すなわち、事業者とそれから消費者とのいわば力関係ということをもって考えれば、やはり国家権力と国民との、権力者と非権力者との対応関係を考えていただいても容易に出てくるのかもしれませんけれども、生産者、事業者というのは情報を持って、そしてそれを販売していくわけであります。それに対して、消費者というものは、情報が限られた中での取得しか行えないのではないかというところにまず第一のポイントがあるのではないかというふうに思っております。

 それをやはりいかに理解をされておられるかどうかというところからして、まず、野田担当でございますけれども、消費者というものをどのようにとらえて、そこから消費者行政といったものをどういう形で定義づけられるかというところの大臣のお考えはいかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 消費者の定義につきましては、消費者契約法や消費者安全法案において、事業を行う場合におけるものを除く個人という趣旨の規定が置かれています。一方、消費者行政の定義につきましては、法律において明確に規定されたものはございません。

 なお、消費者基本法において、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策を消費者政策と定義をしているところです。

園田(康)委員 そうしますと、これは法律上の定義でいくということになれば、当然ながら、今までの国家権力あるいは行政の施策の中において消費者というものの権利を擁護しようというところに端を発してしまっているんだろうというふうに思っております。

 私は、今回、この法律を審議するに当たり、あるいは消費者問題をとらえる際には、やはり消費者自身が権利性を有しているんだというところからまず出発をしていこうではないか、主体的に消費者自身が権利を持っているのではないか。

 すなわち、まず情報を知る権利というものが消費者にはあるのではないか、あるいはまた、商品あるいは役務、サービスを選ぶ権利というものもありますし、次にはそれが安全であることを求めるんだというところに来るのかなというふうに思っております。また、何かそこでトラブルが起きた際には、やはりきちっと消費者が主体性を持って、事業者あるいはさまざまなサービス提供者に対して意見を言うという形の根本的な消費者が持っている権利性、これをしっかりとまず御認識をこの委員の皆様方とも一緒に私は共有をさせていただきたい。そして、そこから消費者が持つさまざまな権利というものをどのように発展させていくのかというのが、まさしく消費者問題を扱うこの委員会に求められた使命だろうと私は思っております。

 したがって、この委員会が設置されるに当たり、恒常的委員会というような形に持っていこうではないかというお話があったわけでございますので、ぜひ今後、消費者問題にかかわる幅広い議論を、この委員会を単なる特別委員会だけに終わらせるわけではなくて、恒常的なものとして、国家のあり方がこの中から語られる、そういう委員会になっていくということをお願い申し上げておきたいというふうに思っております。

 そこから、では具体的に、この消費者庁設置法案に関しての議論に入っていきたいと思っております。

 今回、まず一番最初にお伺いをしたいのは、先ほど私が消費者の権利というものは何なのかというところを申し上げていたわけでありますけれども、つまり、消費者の意見をいかに反映させることができるのか、いかにその問題をとらえて、そして、消費者の意見をきちっとこの施策の中に、あるいは消費者行政というものの中に反映をさせていくことができるのかというところをやはり制度として考えていかなければいけない。

 したがって、先ほど我が民主党から、その提案があったように、内閣という行政体の中ではなくて、内閣の外から徹頭徹尾消費者の立場に立った組織というものをつくろうではないか、そこにスタートがあったから、そういう制度を主張させていただいたわけであります。

 では、そこにおいて、消費者庁というものが徹頭徹尾消費者の立場に立てるかどうか、ここがやはりまず第一のポイントになってくるのではないかと思うわけでありますけれども、そのときに、さまざまな法律の策定の間に、役所の方とも、内閣府あるいは官房の方ともいろいろお話をさせていただいたときに、途中から、やはり消費者政策委員会、これがいわば消費者の意見を代弁するものですよ、そういうシステムを組み込みましたよというふうに教えていただきました。

 では、その政策委員会がどういう役割を示していくのか、そして、先ほど私が申し上げたように、消費者の権利というものがどのようにその消費者政策委員会の中で担保できるのか、その点を大臣から御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 この法律案の議論の中で、やはり役人だけでは心配だという声は当然ございました。

 そこで、国民の声を直接受けとめる、または役所が暴走しないようにちゃんと監視ができるようなカウンターパートの必要性というのは、ずっと議論されてきた中で、消費者政策委員会というものをしっかり置こうと。これも、最初のうちは盲腸のような形で、いわゆる今の審議会のようであったのを、全くイーブンの立場で働いていただこうという形で設置させていただいています。具体的に申し上げるならば、消費者庁設置法第六条により設置されます合議制の機関であります。

 消費者行政推進基本計画において、消費者庁の運営に消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みとして、有識者、いわゆる国民代表から構成され、消費者政策の企画立案や消費者庁を含めた関係府省庁の政策の評価、監視に関することとともに、消費者庁が行う行政処分等に関して、諮問への答申や意見具申を行うこととされています。

 消費者基本法においては、消費者の利益擁護及び増進に関する総合的な施策の推進は、今先生がいろいろおっしゃったわけですけれども、消費者の権利を尊重することを基本として行うことが定められておりまして、我々はこの趣旨を受けて、消費者の利益の擁護及び増進を任務とする消費者庁に置かれる消費者政策委員会は、消費者の権利を尊重するという趣旨にのっとり活動していただくことになるわけであります。

園田(康)委員 そうしますと、その消費者政策委員会という中で、大臣、済みません、ここは少しこだわりたいものでありますので、もう一問これに関してお願いをさせていただきたいんですが、消費者の利益を代弁するというか権利を代弁するような形で内閣総理大臣に対して意見具申をするという形の制度ですね。そうなりますと、意見を述べることによって消費者の権利というものがどのような形で担保されるのか。すなわち、それが政策立案という形にどのように直結するのかなと。意見だけ言うのは確かにそれはそうだろうと思いますけれども、意見を言われて、はいそうですかというふうに本当になるのかどうかという点が、ちょっと私は心配をしている点であります。

 同時に、ここに事務局が置かれるわけでございますけれども、政策委員会をいわばサポートする事務局体制というものがやはり私はもう一つのポイントになってくるのかなと。すなわち、事務局が、いわば各省寄せ集めのと言っては大変失礼になるかもしれませんけれども、消費者庁ができました、そして、またさらにこの事務局体制の中に役人の方々が入ってこられて、サポートとはいえ政策委員会の議論をいわば引っ張られるような形、青写真をかかれてそして引っ張られるような形になってしまうと、本当の意味で消費者の権利がそのまま直結して内閣総理大臣に率直に伝わるというところがどのように担保されているのかなというところがまだちょっと私は見えないものでございますので、これは大臣、質問の項目に入っておりませんでしたけれども、もしその点御説明ができるのであれば、大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 極めて重要なことで、私自身も、役人だらけの消費者庁をつくることが大事なことではなく、やはり風通しのよい、本当に、消費者といってもさまざまですから、そういう多種多様な消費者の意見を仲間として受けとめる、これまでも何となく役人の人には言いづらい風情があるわけですから、そうでない、仲間の委員会がしっかりと存在するということが国民にとっては一つの勇気にもなるのではないかと思っています。

 そこで、消費者政策委員会がどのくらい有効かどうかという質問だと思いますが、消費者政策委員会というのは、設置法に基づいて、内閣総理大臣、関係各大臣または消費者庁長官に対し、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等についてみずから意見を述べることが可能。

 これらの意見具申は、強制はできません、関係行政機関の行動を強制できるものではありませんが、有識者から構成される消費者政策委員会が法律上の根拠に基づき意見を述べるものであることから、特段の事情がない限り、関係行政機関はその意見を受けとめて対応する必要があるということであります。

園田(康)委員 それが、大臣、私も議員にさせていただいてからまだ五年強というところでありまして、まだ未熟なところがあるかもしれませんけれども、役人的な言葉でいきますと、対応という言葉は、つまり、きちっと施策として言われたことに対して推進しますよということではなくて、推進することもあり得るけれども、それを、違いますよ、そういう形ではできませんよという形で拒否される場合も、それも対応の一つになりますね。そうですよね。

 したがって、ちょっとまだこれは今後議論を深めたいと思っております。その対応するというのは、すなわち、いわば今後の政策委員会から、消費者を代弁する有識者の方々から御意見をいただいたときに、それに対して、そのまま立法作業に、あるいは政策立案等々に直結するような形になっていくのかどうか、その点をもう少し今後の議論の中で明らかにしていきたいと思っております。きょうはちょっとまだたくさんありますので、また議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 それでは、先ほども少し議論がありました、今回の消費者庁が所管をされる法律の案件の内容でございます。先ほど少し気になる御発言があったわけでありますけれども、岸田委員からは、民主党は、法律を置いて内閣という中に消費者庁というものを設置して、そしてその中で、数が少ないじゃないか、もっと多くしろということを民主党が指摘をしているのではないかと。一方、消費者権利院は、中ではだめなんだから外で対応しなければいけないんだということと矛盾をするのではないかという御懸念をいただいたわけでありますけれども、では、その点について、民主党の提案者からちょっと誤解も解く形で御答弁をいただきたいと思っております。

枝野議員 まず、民主党案の所掌する法律はどこまであるのかということ自体の物の考え方が、そもそもここが両案の本質的な違いの部分だというふうに思うんですけれども、現在の憲法といいますか内閣法のもとでは、内閣のもとでは行政は分担管理ということで、内閣法自体で縦割りが決められているわけであります。

 それに対して、今回の消費者権利院にしろ消費者庁にしろ、いずれにしろ、そこに横ぐしを刺そう、そういう考え方である。ここは共通をしているんだろうというふうに思います。

 横ぐしを刺すということ自体が既存の内閣法の分担管理という制度設計とはある意味では矛盾をするということになるわけだと思います。縦で分担管理をしているところに横ぐしを刺そうとすれば、消費者関連のものを全部消費者庁に持ってくるということになるのか、それとも、今回の消費者庁法案のように、一部だけ持ってきて、残りはちょっとどうなるのかよくわからないという形になるのか。いずれにしろ、これは、従来の内閣制度の枠組みの中ではこうなることはやむを得ないことだろうと思っています。

 そこで、私たちは、縦と横なんですから、全然違う次元で物を考えてみる。つまり、内閣の内側においては分担管理ということで、何省がどこの法律を所管するということを縦割りで何らかの形で決めなければならないけれども、しかし、それを一貫してすべてについて横ぐしで刺せる方法がある。それは、すべての法律を所管して、すべての法律についてすべての省庁に対して必要があれば何でも言えるという形にすることによって、この内閣制度の分担管理、縦割りということと、消費者行政は横ぐしでいかなければならないということの矛盾を解消しようとしたということであります。

 そういう意味では、すべての法律を我が党の提案している消費者権利院は所管をしている、従来の内閣における分担管理とは違う意味で所管をしているということになるというふうに思っておりまして、逆に、政府案について申し上げると、直接、では従来の分担管理という枠組みの中で何とかしようということをお考えであるとするならば、今の法律の本数では余りにも少ないし、なおかつ、共管その他で実質的に消費者庁が強く権限行使できる部分はほんの一部に限られてしまっているのではないですか、こういう問題意識を持っているということでございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 すなわち、消費者行政というものを考えたときには、先ほど申し上げたように、私も国民ですが、私たち国民の生活すべてがいわば消費者にもなり得るんだということだろうと思っています。したがって、野田大臣もそうでありますし、いわば最高責任者であります総理大臣もそうでありますけれども、すべてが執行する側にもなるし、またそれを消費する側にもなり得る話であります。そうなると、内閣の中でこことここだけ分担をするということではないんですよと。本来ならば、すべてにおいて消費者行政はかかわってくる話でありますから、そこの中にいかにそれを機能させることができるのかということを、まじめに真剣にというか突き詰めて考えると、何かこういう所管をするような法律体系を持った庁を設置するよりは、外に持っていった方がいいのではないかという発想からなのであります。

 そこで、ちょっと皆さんのお手元にお配りをさせていただいております私の資料、カラー刷りのものがあります。一―一でありますけれども、これを一―四まで四ページにわたって、今回私ども民主党で作成をさせていただいた、消費者庁の所管される法律がどのようになるのかなというふうに色分けをさせていただいたわけでございます。

 ちょっと色が薄くて大変申しわけございませんが、青色っぽく見えるところはいわば消費者庁が所管をされるというふうに読み込んでいるものでございますし、また、紫色が、先ほど来お話が出ておりましたけれども共管だと言われているもの、さらに、ピンク色については各府省が所管をしている内容のものであるというところであります。

 一枚目が表示に関する法律、そして二枚目が取引に関する法律、そして三枚目が安全に関する法律、そしてその他の法律ということで、この四パターンに分けさせていただいて、それぞれ、消費者庁が所管、あるいは共管、そして各府省が持っているものという形で色分けをさせていただいたわけであります。

 改めて大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、今回、二十九本と先ほど来言われておりますが、これが消費者庁の所管という形になったその理由を少しお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 この法律案ができるまでに消費者行政に関係している多くの皆様方から御意見をいただき、積み重ねていく中で、消費者庁というのは、消費者利益の擁護及び増進等を任務とする組織ということで、先ほど申し上げましたけれども、消費者に身近な法律二十九本を所管することにいたしました。

 この二十九本というのは、一部ではなく、消費者庁が、これまで消費生活センターの相談事案というのがあるわけですけれども、その大半をカバーすることが可能ということになって、消費者にとっては必要な二十九本であり、これによって消費者庁がスタートできるのではないかと思っているところであります。

園田(康)委員 そうしますと、そのうち、この二十九本のうち、いわば共管、再委託あるいは委任という形になっていない法律は何本になりますでしょうか。すなわち、消費者庁が専管して行うことができる、ほかの府省が関係しない純然たる法律は、それは何本になりますでしょうか。そして、どの法律になりますでしょうか。

野田国務大臣 専管とか共管というのは、いろいろな意味が、さまざまになるんですけれども、今回は、一つの整理として企画立案機能に着目した場合ですが、消費者庁が所管することとなる二十九本の法律のうち、法律の全部について消費者庁が専管となっているものは九本、一部が専管になっている法律は五本ということになります。

 法律の全部について専管となっている九本の法律は、景表法、家庭用品品質表示法、消費者契約法、預託法、製造物責任法、消費者基本法、国民生活センター法、個人情報保護法、公益通報者保護法。それで、法律の一部について専管であるが全体として共管となっているのは、食品衛生法、JAS法、健康増進法、食品安全基本法、消費生活用製品安全法ということであります。

園田(康)委員 全部消費者庁が意思決定できる法律というものは九本だということであります。

 本会議でもきのう御指摘があったわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、消費者行政というものは大変幅広いものでありますし、また、複雑化、多岐化しているこの現状の中で、さらにまたいろいろ法律案件がふえてくるのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、その中で九本しかそれを持っていないということからすると、それが本当に先ほどおっしゃっていただいた消費者の司令塔の機能として果たすことができるのかなというところがまだ疑問が残るところでありまして、これもやはり、一つ一つ事例をもって具体的にどういう対応ができるのかというところは、先ほどもコンニャクゼリーの話も出ましたけれども、また後ほど少しお話をさせていただきたいと思っております。

 それで、今度はお配りをさせていただきました資料の五枚目でありますけれども、資料の二であります。これが、いわゆる消費者行政推進会議の中で議論になったものでございます。すなわち、先ほどお話がありました二十九本の法律以外に、本来ならばこの消費者庁で扱わなければいけないものではないかというふうに指摘をされた法律であります。

 この中には、いわゆる昨今大変問題になっている振り込め詐欺の救済法であるとか、あるいは商品取引所法であるとか、経済事案にかかわる、あるいは金融商品取引法というような、先ほど大臣がくしくもおっしゃっていただいた、消費者にとっては大変身近な、救済法であるという法律が何本か挙げられているわけでございます。残念ながらというか、今回この法律はいわば消費者庁の対象とはならなかった法律だというふうに私は理解をさせていただいたんですけれども、それはそういう理解でよろしいでしょうか。

野田国務大臣 二十九本というのは、まさに消費者庁が消費者利益の擁護及び増進等を任務とする組織であり、迅速でかつ適確な法執行を行い、そして基本的な政策の企画立案が行われるよう、極めて消費者に身近な法律、中核的なものをいただいているところでございまして、くどいようですけれども、これまでのいろいろな消費者被害の中の大半をこの二十九本がカバーできるということを確信しております。

 そこで、その四十三本の法律についてですけれども、これは消費者行政推進会議で出されたものでありまして、これ以外にも、今後引き続き幅広い関与について検討の必要があるんじゃないかということで、例示として四十三本示されたということがわかっています。

 ただ、前にも答弁しましたけれども、消費者にかかわる法律というのは、正直、幾つというふうに多分法務省もお答えができないんじゃないかと思うわけで、さっきおっしゃったように国民すなわち消費者であれば、すべての法律が消費者の法律になるわけですから、その区切り自体が定かではない中、私たちが必要としているのは、今国民がこの世の中で必要としている中核の法律はしっかりと責任を持って組織の中で対応するということであって、どこまで手を広げるかわからない法律を取り込んでいくということは、多くの人々を集めた巨大な官庁をつくるということになるわけですね。どれだけ人がいればいいのか、どれだけそういう建屋があらねばならないかという大変な話になってくるわけです。

 消費者庁は今回そういう形はとりません、そういう考え方はとらずに、司令塔として、つまり、全身になるのではなく、本当にヘッドの部分として、これは行革にもうたわれています、機動的に対応できる簡素で効率的な組織として所管しておくことが不可欠な法律をしっかり持とうと。ほかの法律につきましては、必要に応じて所管している役所に対して措置要求を行っていくことができるわけであります。

 そこで、四十三本の法律について今回移管しなかった理由を申し上げるならば、まず第一に、消費者利益の擁護及び増進を法律の主たる目的としていない、または法律の規制の内容として消費者利益を直接に保護するものが主たる内容となっていないということが挙げられますし、また二番目には、生産や流通の段階における規制が主たるものになっている、そして三番目には、当該分野における専門性が極めて高いことから、各省庁がその専門性を生かしつつ所管し、消費者庁は必要に応じて措置要求等を行うことが政府全体の行政運営として効率的であることなどの理由によりまして、今回、消費者庁の所管とはしなかったものであります。

園田(康)委員 となりますと、少しこの法律の中身を一本一本これから詰めていかなければいけない、本当にそういう判断でよかったのかなと。きょうはやりませんよ、ちょっと時間がないのできょうはやりませんが、まだ長い時間のこの特別委員会の中で一つ一つ今後やらせていただきたいと思っておるんですけれども。

 消費者の利益の保護、擁護という形が主たる理由となっていないから、中核的な役目となっていないから今回所管にならなかったんだということをおっしゃられますと、薬事法でもそうでありますけれども、本当に身近なところで、しかも二年前には、大臣も御案内のとおり、肝炎問題が大変大きなこの国会の対応の問題にもなっておりました。これは、与野党超えてしっかりとお互いの知恵を絞り合いながら対応をさせていただいたというところはあったんだろうというふうに思っておりますので、そういう点では、その理由だけをもって今回外したというのは、少し私はまだ納得のできるものではないということ。

 それから、おっしゃるように、先ほど本当に大臣とこれを共有できているのかなというふうに思ったんですけれども、消費者行政をしっかり取り組んでいくならば、全省庁が、一つのまとまった事業官庁として、消費者問題に取り組む相談窓口の官庁であり、あるいは、そこから事業者の、実施する官庁と二つに分かれる、そういう省庁になってしまいますから、したがって、内閣の中でつくると、突き詰めるとそういうふうになってしまうから、外につくった方が、効率的に、しかも先ほど大臣がおっしゃったように、行革の中で示されているその理念にも合致するような形でつくり上げることができるのではないか、まず中央に関してはですよ、というふうに私は考えているわけであります。

 その点、民主党提案者の方からすると、何か所管する法律という形になっていないというのは、私は合理的な理由に基づいて設置されようとしておられるんだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。

枝野議員 御指摘のとおりでございまして、実は、今、野田大臣の御答弁なども伺っておりますと、ああなるほど、ここが我々との考え方の違いかなと少しわかってきたところがございまして、今、共管ではないということの御説明をされた法案、企画立案部門のところであります。もちろん、消費者行政において企画立案は大変重要な要素でありますけれども、企画立案の最終的な立法権限は国会にあるのであって、内閣が何もしなくても、国会がちゃんとやれば消費者を守るための法律は幾らでもつくれるわけでありまして、行政における消費者問題の中核が企画立案にあるとは思いません。

 行政がやらなければならないという意味での消費者問題の一番のポイントは、一つには、消費者の被害の相談に応じて、裁判手続を要することなく被害救済を図るということのサポートをすることで非対称性を補うということが一つの大きな柱であり、もう一つは、被害を発生させないため、あるいは被害が生じたときにそれを救済するために必要な行政規制権限を行使する、この部分こそが消費者行政としての一番中核部分であって、そこでいろいろな情報があるんだから、それを立法府にお伝えするという意味で企画立案ということももちろん重要であるけれども、それは三番目の要素であると思っております。そこのところの根本的な考え方の違いが大きいのではないだろうかというふうに思っております。

 先ほど園田委員が示された表を見ても、企画立案のところをとれば、今大臣が御指摘になったとおり、幾つか専管の部門がありますが、結局、法執行の部分、つまり、行政の規制権限を適切に行使して被害を防ぎ、あるいは被害救済を図るという部分については、残念ながら裁判規範性を持っている部分を除けばほとんどないし、あっても、委任などを通じて実際に行政執行権限を行使するのは従来の省庁であったり都道府県であったりということで、実は消費者庁をつくってもほとんど実態が変わらない。

 そして、所管にならない二十九本以外の法律についても、政府の言い方ですと、勧告ではありませんけれども、事実上同じような制度ですが、そういうやり方をするという意味では、結局、行政の内部において他の省庁に対する行政監視をするということでないと機能しないという意味では一緒ではないだろうかというふうに思っています。

 そして、行政監視の機能をしっかりと果たすということであるならば、外に置いてしまって、所管の法律という概念を持たずに、あらゆる法律について、あらゆる問題について行政監視ができるということの方が、すっきりとわかりやすく、あらゆる事態に対応できるというふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 したがって、やはりこの点については、まだもう少し議論を深めていかなければいけないのかなというふうに思っております。決して、私は、消費者行政の一元化、内閣の中での消費者行政の一元化の体制そのものを否定しているわけではないということは御理解をいただきたい。いかにして消費者からの相談に対して早期に危険の周知をして喚起を促して、そこから救済に結びつけていくのか、その流れをどのようにつくっていくのかということは、やはりお互いにこれからまた考えていきたいなと思っておるところでございます。

 そこで、もう一つ、ちょっと時間がなくなってきましたので、具体的な事例、先ほどもコンニャクゼリーの話がありましたけれども、経緯については先ほども少しお話がありましたので、これは省かせていただきたいというふうに思います。

 この中で、一つの事例、本当に痛ましい、この事件、事故が起きたことに対して私も本当に心を痛めさせていただきました。こういうときにはどのような対応が必要なのかなというところで、昨年、野田大臣も、まだ消費者庁ということではありませんでしたけれども、担当大臣としてさまざまな案件に従事されたというところは私も見させていただいて、大変な御苦労に対して敬意を払いたいというふうに思っております。

 その中で、大臣が御答弁というか記者会見でお話をされておられる中で、コンニャクゼリーの事故というものがまさしくすき間事案であったということで、それは御指摘もありましたので、そうであった、このすき間を埋めるための消費者安全法が今回出されたというふうに理解をさせていただいているわけでありますけれども、この消費者安全法によって今の消費者行政がどのように変わっていくのかというところは、ここの具体例をもって少し見ていきたいなと思っております。

 大臣はそのときに、まず、通報を一元的に受け取ることができて、事案に対して速やかに調査に入ることができますというふうにお答えされて、そして、消費者安全法案によりますと、それが重大な事故に広がる、多くの犠牲者を出すことが予見されたときにはその販売を禁止する、そういうところまで消費者庁としては立ち入ることができるんですよと御答弁をされておられる。したがって、現状からするとかなり違う対応ができるんだということを記者会見で述べられておりますし、また、迅速な取り組みができるのではないかと思いますとおっしゃっておられる。

 例えばこのコンニャクゼリーの案件であったならば具体的にどれだけの期間が早くなっていくのかというところは私としては少し気になるところでありますので、大臣から御答弁をいただきたいというふうに思っております。

野田国務大臣 まず、民主党、社民党、自民党、各党からこのことについては強い要請がございまして、当時対応させていただきましたけれども、十分に対応ができないところもあったことは事実であります。

 例えば情報の話も出ましたけれども、実は、直接情報が入る場合は非常に少なくて、後々国民センターに問い合わせがあったり、そういうことが今実は横行しています。というのは、救急車で運ばれたりするわけですけれども、今のところ、そういうルートができていないものですから、今後、消費者庁ができたときには、消防とか救急であってもそういう消費者事故がある場合には努めて情報を上げていただくというような要請が可能になってくることを前提といたしまして、具体的には、先ほどの繰り返しになりますが、消費者安全法という新法に基づき、重大事故等、今回の場合そうですけれども、コンニャクゼリーに関する情報として、情報の一元的集約ルートをたどって、事故情報が地方公共団体等から消費者に直ちに届けられる。今はこれがないわけですね。これは十二条です。

 消費者庁は、例えば、ゼリーの形状、大きさ、そして摂食状況、摂食者の年齢等、消費者庁で集約、分析した情報を消費者にわかりやすい形でスピーディーに公表します。そのことによって、多くの消費者に対してお知らせをすることにより、強い注意喚起を促すことができるわけです。これは、いまだできていないことであります。これは十五条。

 また、必要な場合には、事業者に対して、例えば、注意喚起の表示をつけていただいたり、店頭等での購入者に対する危険性の周知といった被害拡大防止措置をとるように勧告いたします。十七条。

 さらに、被害拡大または同種事故発生の急迫した危険性があって、消費者安全法案の要件を満たす場合には、この法律に基づいて、譲渡、いわゆる販売、引き渡しを禁止し、消費者の口に危険な食品が入らないように措置を講じます。十八条です。などの対応を行うことができるということになっております。

 なお、必要な場合には、この消費者安全法に基づきまして、みずからまたは地方公共団体が立入調査を行うとしております。二十二条であります。

園田(康)委員 それは、法文上の流れといいますか、権限行使の際にかかわってくるものでありますけれども、したがって、今回のすき間事案と言われるもので時間がかかってしまった、最初の、初動の調査に入るか入らないかを判断してから、そこからいわば結論が出るまでに多くの時間を要してしまったというところだろうなと思っております。

 したがって、農林水産省の方、恐縮でありますがきょう来ていただいておりますけれども、当初、農林水産省ではきちっとその点を、最初の事故発生から、これは、いただいた資料によりますと九五年でありますから、もう十年以上前に起きている事案なわけでありますけれども、そこからすると、どうなんでしょうか、大臣、もうこんなに期間がこういう結論が出るまでにかからない、スピーディーというふうにおっしゃったんですけれども、もうそういったことはなくなるんだ、消費者庁であれば本当になくなるんだということが言えますでしょうか。

野田国務大臣 まさに、これがすき間事案でありまして、どこにも法律に基づく措置が存在しないもので、農林水産省初め各省とも対応がこれまでできなかったものであるわけですね。消費者庁は、このすき間事案については直接の権限を有しますから、遅滞なく適切な措置、勧告、譲渡等の禁止、制限等を行うことができることになります。

園田(康)委員 そうしますと、ではちょっと農林水産副大臣にお伺いをしたいと思っておりますけれども、これまでの対応というものは、この案件についてどのような対応をされましたでしょうか。

石田副大臣 答弁申し上げたいと思います。

 コンニャク入りゼリーにつきましては、食品による窒息事故について、現在、厚生労働省が調査研究を行っていると承知しております。

 一方、農林水産省におきましては、関連する食品事業者の取り組みに資するため、平成十九年に、コンニャク入りゼリーについて、製造、販売等の実態、物性の測定及び注意表示等に関する調査を実施し、その結果を公表いたしました。この公表のときに、一つは、警告表示をさらに大きくわかりやすくすること、ゼリーの大きさ、かたさ、容器の形状、タイプなどを改善すること、そして、販売業者に対する注意情報の掲示等の協力要請や、販売の際の事故防止の工夫を行うこと、こういうことの対策を早急に講ずるよう、業界団体を指導してきたところでございます。

 きょう、理事会のお許しをいただきまして、具体的にどういう形になったか、ちょっと持ってまいりまして、製品名は申し上げませんが、こういうゲル状のタイプのものに一つはなりました。もう一つは、注意についてでありますけれども、以前のものは、委員からも見ていただけるでしょうか、このぐらいの大きさでございましたけれども、その後、改善をお願いいたしまして、字を大きくしたということと、表にも「小さなお子様や高齢者の方は絶対にたべないでください」、こういう大きな字で、子供さん、高齢者にバツの印をつけた、こういう具体的な形でも業界では取り組みをしていただいております。

 以上です。

園田(康)委員 そうしますと、いわば昨年の段階にでも農林水産省で既に、この調査といいますか、これは食品総合研究所というところでの調査であろうというふうに思っておりますけれども、案件について、今現在は厚生労働省、野田大臣からの指示、あるいは昨年は前福田総理からの指示であったわけでありますが、農林水産省においてもその対応はされておられたということであります。したがって、各省庁の対応をきちっとさせておけば、いわば調整、調整というような流れの中でここまで時間がかかるようなことはなかったのではないかなというふうに私は思っております。

 この案件については最後になりますけれども、したがって、消費者安全情報総括官会議、ここでの決定で、先ほど石田副大臣からもお示しをしていただいた改善前のコンニャク入りゼリーを含めた窒息問題全体についての調査を現在行っていらっしゃるというところでありまして、この三月までにはその調査結果が出るというふうに私は聞いておるんですが、その点、いかがでしょうか、野田大臣。

野田国務大臣 ちょっと威張るわけじゃないんですけれども、農林水産省がやっておられるとおっしゃったんですが、それは、さっき申し上げたように、各党からの申し入れを私がいただいて、そして農林省を呼んでやらせた。つまり、残念ながら、このことについて農林水産省は主体的にやっていただいておられなかったということが問題であります。ですから、消費者庁というものができれば、一大臣の権限ということではなく、役所としてそういうことをやっていけるんだということを御理解いただきたいと思います。

 また、コンニャク入りゼリーによる窒息事故の問題につきましては、今おっしゃったとおり、消費者安全情報総括官会議において再発防止策を取りまとめたところであります。現在は、同取りまとめに基づいて、コンニャク入りゼリーに限らず、食品による窒息事故の再発防止等にかかわる科学的知見の集約等を行っており、その集約等の結果を踏まえ、食品安全委員会においてコンニャク入りゼリーの物理的、化学的等要因が人の健康に及ぼす影響についての評価を行うこととなっております。

園田(康)委員 大臣、しかしながら、では、消費者庁を設置しなくても、今の権限でできるということになるんじゃないですか。そうですよね。昨年の段階で野田担当は、今の立場で農林水産省に対してやらせたとおっしゃいましたね。今の段階でもそれがきちっとできているというふうになるわけでありますから、わざわざ消費者庁なんというのをつくらなくてもいいんじゃないかというふうになりますよということです。

 ちょっと時間がありませんので最後に、いろいろきょうは用意をさせていただきましたので、またたくさん時間があると信じておりますので議論をさせていただきたいと思いますが、せっかくつくってまいった資料を皆さん方にもやはり見ていただきたいというふうに思っております。

 後ほどの議論でも出てくるかもしれませんけれども、やはり地方の消費者行政の現状であります。ごらんいただいたように、これは調査室、出典そのものは内閣府さんの作成だろうと思っておりますが、都道府県の現状あるいは自治体の現状、大変ひどい状況になってきた。だからこそ、今回、先ほどもお話がありましたけれども、予算措置あるいは基金を創設してというところになったのかなというふうに聞いておりますが、これによって、では、大臣、どれほどのいわば改善策というか、まずは人員、人数が、ここの数字でいきますと、資料の三でありますけれども、年々年々減ってきて、一時期は三千七百三十二名いらっしゃった相談員の方が昨年は二千七百三十四人、一千人も減ってしまったという状況になります。

 いわゆる官製、官製ではありませんけれども、ワーキングプア状態に陥っている。ここの、本来ならば身近な相談相手としての地方の相談員の方々の処遇改善をまず第一に考えていかないと、いわば消費者庁という一番、中央組織だけしっかりしたものをつくって人員を配置したとしても、屋台骨というか土台の地方行政を担う相談員の方々の待遇改善をきちっとしておかないと、幾ら上だけ、上というのも表現が変で余りしたくありませんけれども、消費者庁というものをつくったとしても、そこがぼろぼろであるならば、つくっても何の意味もないという形になってしまうのであります。

 大臣、それに対して、予算も含めてどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 処遇以外のことも含めて申し上げればいいですか。処遇だけですか。(園田(康)委員「はい、処遇だけでいいです」と呼ぶ)

 おっしゃるとおりです。消費者庁をつくることが目的ではなく、やはり地方の消費者行政にかかわっている人たちが生き生きとその専門性を生かして国民を幸せにしていただくことのために消費者庁があるわけですから、それはもう大前提であります。

 そこで、今回は、地方公共団体における処遇改善の取り組みを促すために、平成二十一年度の地方交付税の算定において、相談員の報酬を約三百万円へ増額することなど、大幅に拡充することとしております。さらに、都道府県に造成する基金を活用した事業においても、相談員が研修に参加するための旅費の支援など、実質的な処遇改善に活用することが可能になっております。

園田(康)委員 本当にそれがかなうかどうかというところはこれからの審議だろうというふうに思っておりますので、ぜひ、それが単なる予算措置だけで何も改善しなかったということにならないように、これからさらに内容を詰めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 記念すべきこの消費者問題に関する委員会の初日に質疑の機会をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 先ほど来、野田大臣の大変誠意ある御答弁ぶりをお聞きしておりますと、お尋ねするのが非常に気の毒な気もいたしますが、私としてはこれは避けて通れませんので、ちょっとお尋ねいたします。

 大臣、ことしの予算委員会で、平成八年の商工委員会での御質問について、葉梨委員からお尋ねをされたと思います。野田大臣の御発言、平成八年当時ですが、今までの連鎖販売、マルチ、イコール悪であるというような考え方を大きく転換して、日本の次代の産業を支えるいわゆるベンチャービジネスの一つ、新産業として認知をし、かつその業界の健全な発展を支援するという立場で云々ということを御発言しておられます。

 その後に、日本アムウェイの方と面会をされたこと、まあパーティー券どうのこうのは申し上げません。日本アムウェイの方と面会をされて、質問の依頼はあったか、質問の依頼はありませんと答弁されています。ということは、これは御自身の意思で、マルチ業界に対する振興、発展という趣旨の御発言を国会でされたということでよろしいですね。

野田国務大臣 それは、ちょうど十三年前、私、小川委員と同じ当選一回のころだったと思います。商工委員会で、たしか訪問販売法の一部を改正する法律案の質問をしろと先輩議員から言われまして、私は、全くその法案を存じ上げておらず、景色がわからなかったものですから、時の、派閥におりましたので、派閥の先輩にしたところ、その訪販法の中にいる事業者を紹介してやるということで御紹介いただいた方が、日本アムウェイの総務の方だったと思います。その方に私の方から、実際、訪問販売法というのはどういう法律で、連鎖販売取引というのはどういう法律なのかということをお聞きしたわけでございまして、相手から何かお話をいただいたということはございません。

 しかしながら、マルチ商法につきましては、ここ数年、消費生活センターや国民生活センターに二万件を超える苦情をいただいているなど多くの消費者被害が発生しておりまして、当時を振り返りますと、十三年前、一年生議員とはいえ、消費者側の視点について大変勉強不足であったということを反省しております。

 現在は、約二年前から、先ほどの岸田委員と違って私は消費者行政にコミットするようになってまだ日が浅い人間でございますけれども、自民党の消費者問題調査会の中で、消費者団体の方たちからマルチについての厳しい情報を真摯に教えていただいたり、こういう法案の作成の中、または国民生活局との仕事の中で事の重大さというのを改めて学ばせていただいたところであり、消費者行政を預かる大臣として、被害者を一人でも減らせるよう対策をしっかりと進めてまいりたいと思います。

小川(淳)委員 反省というお言葉までいただきましたので余り深追いはいたしませんが、しかしながら、法案をよく知らなかった、あるいは派閥の先輩に関係の会社の方を紹介された、そこでやはりぴんとこないとだめですよね。歴史的な消費者行政の責任者であられるわけですから。私のような駆け出しが非常に厳しいことを申し上げますが、どこかに危うさがないのか、あるいは被害に遭われる方がいらっしゃるのじゃないか、そういうことに関しては、非常に繊細な感覚といいますか、それをお持ちじゃないと、この消費者行政の責任者として今回の法案を含めて議論していくというのは非常に不足じゃないかと思います。

 のっけから大変厳しい指摘で恐縮ですが、ひとまずここを押さえさせていただきたいと思います。

 それから、きょう、行革担当副大臣にお越しをいただきました。お忙しい中、ありがとうございました。

 午後から麻生総理がいらっしゃいますので、大きな話はそこでさせていただきたいと思うんですが、地方の関係あるいは国民生活センターの強化に関してちょっとお尋ねいたします。

 平成十三年十二月十八日の行政改革推進事務局、特殊法人整理合理化計画の中で、国民生活センターに関して、「直接相談を段階的に縮小し、最終的には地方公共団体の設置する消費生活センターからの経由相談に特化する。」つまり、国民生活センターは相談はもう受けないんだ、地方の消費生活センターに全部行ってもらって、そこからの間接相談に特化するという記述があります。

 一方、平成十九年、十九年になっても同じような議論をされたんですかね。「消費者相談業務について、直接相談を実施しつつ、地方消費生活センターからの経由相談の解決能力の向上を図る」、これは言っていることが平成十三年と十九年で全く違います。

 これは、こういうことでいいんですか。小泉・竹中路線は、小泉総理の誕生が平成十三年ですから、国民生活センターでの相談なんてやめちまえとおっしゃった。平成十九年、これは福田総理ですか、やはり相談を受けようじゃないかというふうに切りかえられた。そこは大きく変わったということでいいんですか。その点だけちょっと確認させてください。

谷本副大臣 小川委員の御質問、国民生活センターの直接相談の事業について、その経緯ということでございますので、お答えをさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、まず、国民生活センターの相談事業については、平成十三年十二月の時点で、特殊法人等整理合理化計画の中におきまして、当時はとにかく、特殊法人をできるだけスリムにしろ、無駄をどんどん省いていけ、そういう流れの中で、直接的な相談は地方に設置する消費生活センターで受ける、その直接受けたものの経由した相談をこの国民生活センターで受けるようにした方がスリムになっていいという議論がまずございました。しかし、その当時においても、何でもスリムにすればいいというものじゃない、こういう部分は本当はしっかり残さなきゃいけないんじゃないかという議論も実はございました。ただ、その時点ではスリム化の方に進みました。

 しかしながら、平成十九年度に入りまして、今御指摘あったとおり、十九年の十二月、独立行政法人整理合理化計画の中ではこの業務を残すという話になりましたのは、その議論、検討の過程におきまして、長期的に見た場合に、非常に消費者トラブルが増加をしてきている、そして国民の安心、安全に対する関心が非常に高まってきている、こういう中で、消費者行政をやはり強化しなきゃいけないという観点に立ちまして、この直接相談を維持しようという方向に変換をしたところでございます。

 もちろん、そういう意味では、流れに沿って、その状況によって考え方を変えてきたということでございます。

小川(淳)委員 この消費者行政に限らず、あらゆる面で、小泉・竹中路線から転換される面があるとすれば、ひとまず私どもとしてもこれはよく拝見したいと思いますが、では、それが本当に現実に役立っているのか、成果につながっているのか。

 委員長のお許しをいただいてお配りさせていただいた資料をちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは、地方の実際の消費生活相談件数とこれに係る消費者行政予算の推移をグラフにまとめさせていただきました。

 今からさかのぼること十数年、平成六年、七年あたりには二百億あった地方の消費者行政予算が、今、午前中の先立つ質疑でもございましたように、わずかに百億。一方の相談件数は、当時の二十万件前後から、一時は二百万件、そして多少低下したとはいえ、なお百万件。地方の現場が、予算と、そして恐らく人員もでしょう、大変厳しい現状に置かれ、ふえ続ける相談に対応できていないという推察が容易に立つわけでございます。

 もう一つ資料をおめくりください、二枚目。既に議論になっているかと思いますが、消費生活センターの相談員は九五%が非常勤だということが報じられている様子であります。そしてさらにおめくりいただきます、三枚目。その相談員はほとんどが年収百五十万円以下、ワーキングプア化しているということを報じる記事であります。

 大臣は先ほど、盛岡の施設ですか、直接ごらんになったというふうにお聞きをいたしましたが、そのときどういう感想をお持ちになったか。それから、ほかにどこかごらんになったことはありますか。

野田国務大臣 盛岡、そしてこの資料に出ています滋賀県の生水さんがいらっしゃるところも訪問させていただきましたし、滋賀県の消費生活センターの方も訪問させていただいておりますが、率直に申し上げて、今の地方の消費者行政の担い手、消費生活相談員の本当に愛と根性と涙で辛うじて保たれているなという現状は十分把握しました。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 私も、もう一枚おめくりいただきたいと思うんですが、地元が香川県高松市でございまして、実際に香川県の消費者行政の現場と、それから高松市の現場を拝見してまいりました。

 資料の四枚目でごらんいただきたいのは、高松市の消費者行政に関する報告資料から抜粋したものでございます。やはり全国的な傾向に従って、多分に漏れず、平成十二年には九百件近かった件数が、今や二千件をはるかに超えるという相談件数。そして、契約当事者の年齢、これは世相を反映していると思いますが、非常に高齢者の方の相談が多い。そして、三段目でございますが、内容的にはほとんどが金融関係の被害だという実態が明らかになっているわけであります。

 今回、法案の中で、例えば金融関係商品に対する対応が十分なのかどうか、この辺も議論をしていかないといけないわけでありますが、ひとまず、先ほど来見てまいりました、相談件数がふえる一方で予算が減っている、人員も減っている、一人当たりの待遇も、去年五月の全国消費生活相談員協会の調査結果でありますが、御紹介しますと、年収二百万円未満が六〇%、三百万円を超える人はわずかに二%というのが現状だそうです。

 そこで私、県の担当者、市の担当者の方に聞きました、一番欲しいのは何ですかと。大臣、容易に御推察いただけると思いますが、とにかく人を採用して養成して賄っていくための費用だ、これが地方の現場の担当者あるいは責任者の声であります。

 そこで、直截的にお尋ねいたしますが、政府が、これは鳴り物入りと言っていいんでしょうか、消費者庁の設置に伴って、総額で三百億円余りの予算を来年度予算で準備された。そして、そのうちの百五十億の予算は、基金として地方の消費者行政を充実させるために使うんだというふうなことを表明されておられます。まず、この百五十億の基金、地方公共団体の消費者行政を強化するために具体的にどのように使われるお金ですか、御説明いただきたいと思います。

野田国務大臣 この都道府県に置かれる基金につきましては、国からいろいろ指示を申し上げるのではなくて、メニュー方式をとっておりまして、それぞれの地方公共団体が選ぶなり、オリジナルをつくっていただくのは自由ですけれども、例えばそれが消費生活センターの設置であったり、または増強であったり、さまざまなことに使っていただけるんじゃないかと思っています。

 支援メニューの中には、例えば、消費生活センターの設置、拡充または消費生活相談窓口の開設、機能強化、管内の消費生活相談を担う人材の養成、相談員への研修開催、研修参加支援、高度に専門的な消費生活相談への対応力向上、市町村が連携して相談事業を実施、食品表示、安全分野の対応力を強化、地域独自の消費者行政活性化の取り組みを支援。

 例えば、今、市町村が連携して相談事業を実施というのは、盛岡がそういうふうに言われまして、盛岡市の場合は、自分たちが周辺の市町村と連携をして、それぞれに一人ずつ相談員が行くのは効率的ではない、これだけ実力のある自分たちが中核となってそこに手を伸ばしていきたいみたいなお話を受けて、メニューに加えさせていただいているところであります。

小川(淳)委員 香川県の担当者の方はおっしゃっていましたですね。ここには数字は入っていませんけれども、県の一年間の消費者行政予算が大体四千八百万円なんだそうです。予算総額が大体五千億前後ですから、〇・〇一%ぐらい消費者行政予算に使っているということだそうです。

 この百五十億の基金なんですが、香川県なりに試算をしたところ、三年間で二億円くらい来るんじゃないかというふうに算段しているようです。三年間で二億円ですから、一年当たりで七、八千万は来るんじゃないかということを期待しています。

 先ほどごらんいただいたように、年間の消費者行政がピークに比べれば今は半分です。全国的な傾向、この例に漏れません。四千八百万でやりくりしているところに一年間八千万の予算が来るというのは、確かに大変大きなことだと思います。しかし、担当者はこう言っていました。さっきと重なりますが、一番欲しいのは人だ、人を採用して、人を養成したいと。

 この基金は、さっき大臣御答弁になられましたね、設置、拡充。これはどういう意味ですかね。そして、人材の養成。これは、今いる人の養成ですか。あるいは、研修参加。自腹で行っている人も今まではいたようですね。そして、対応力向上。これはどういう意味ですかね。活性化の取り組みの支援。上っ面といいますか、表面上きれいなメニューが並んでいるわけですが、これは具体的にどういうことですか。

 新しい人、例えば人員を、高松市の消費者センターだったら、予算二千万円で、三名の相談員で回しています。三名の相談員で、一人交代で休んで、二名が窓口に出て、月―金、九時から五時、もう給料に関しては申し上げませんが、全国の例に漏れません。これを何とかしようと思えば、このせっかくいただいた基金で人を雇って拡充したい。これは、やってもいいですね、可能ですよね。

野田国務大臣 この基金に関しては、相談業務そのものへの報酬は支援の対象にしておりません。消費生活相談窓口の機能強化に際して、消費生活相談を担える者の拡充を支援することとしておりまして、相談員養成のための研修参加者への日当相当を含む支援に活用することは可能です。

 あわせて、地方公共団体の処遇改善、人件費ですけれども、平成二十一年度の地方交付税の算定において、相談員の報酬を約三百万円へ増額することなど、大幅に拡充することとしております。

小川(淳)委員 交付税、三百万円に拡充される。それは幾らから三百万円になるんですか、もしわかれば。わからなければ、また次回以降で結構です。

野田国務大臣 百五十万です。

小川(淳)委員 大臣、私もともと自治省におりまして、交付税というのは、確かに単位費用で組むんですね。根拠はあいまいなケースも多いです。しかし、問題は総額でありまして、単位費用で積みましたというのは、勢い、これは言いわけに使われることが多い。やったふりをしたということに使われることが多い。

 そこで、もう一回お尋ねしますが、地方は本当に人を採用したいんですよ。それは、今いる人の研修も大事でしょう。大事でしょうが、二人で月曜日から金曜日まで、九時から五時、年間二千件に余る相談をやるのでもう手いっぱいだ、電話もとれない、消費者に迷惑をかけている。

 大臣、もういいじゃないですか、三年間に限定かもわかりませんが、これをぜひ地方の自由に使わせてあげるようにしましょうよ。

野田国務大臣 委員の方が地方交付税措置についてはお詳しいわけですが、鳩山総務大臣の御答弁もいただきつつ、大幅に拡充してきたわけでありますけれども、具体的には、都道府県では、人口百七十万人の標準団体の基準財政需要が、平成二十年度の約三千万円、それの倍増、市町村では、人口十万人の標準団体の基準財政需要が、平成二十年度の約五百万円、それを約倍増させていただくことになっています。

小川(淳)委員 大臣、ここで水かけ論をしてもしようがないんですが、交付税というのは、一応見積もりを立てて、その中で税金が幾ら入るか。税金が入ったら減るんですね、トータルの財源不足額を許された財源の範囲で分配する基準にすぎませんから。ここは、余り私を相手にこの議論に深入りしないようにぜひしていただきたいなと思います。

 そこで、大臣、これは御存じですか。ことしの一月十九日、全国知事会の総務常任委員会委員長、岡山県知事の石井正弘さんから、大臣御存じかどうかあれですけれども、全国知事会としても要望が来ていますよ。資料の五枚目、ごらんください。大臣に受け取った記憶があるのかどうかあれですが。

 二、とにかく地方の実情を踏まえてくれと。地方の実情を踏まえた支援策じゃないと、本当に効き目がありませんよ。(二)、相談事業の核となる相談員の人件費等への充当も認めてくれ。知事会から来ていますよ。そして(三)、基金の取り崩しに当たっては限度額の設定等の条件を課すな。三番目、これは際限ない要望になるでしょう、三年後、この基金による支援が終わった後も長期的な財源手当てについて別枠で配慮しろ。

 この三項目、これは切実な地方の声、本気で消費者行政を拡充しようとするなら、この声にこたえる責任があると思いますが、大臣、もう一回答弁ください。

野田国務大臣 岡山県知事からこれをいただいていることは了解しております。

 いろいろとこういう御意見も踏まえて検討させていただいた結果が先ほどの私の答弁になりまして、繰り返しになりますけれども、基金としては自治事務としての相談業務そのものへの報酬は支援の対象としていません。しかし、消費生活相談員の育成を支援することとしており、相談員養成のための実務的研修への参加者に対して日当相当を含む支援に活用することが可能ということであります。さらには、基金のメニューの中に、相談員が研修に参加するための旅費等の支援や、弁護士等の専門家を消費生活センターにおいて活用するなど、相談員の負担軽減のためのメニューを用意しております。

 それぞれ各地方で、これらのメニューを上手に組み合わせていただくことで、実質的な処遇改善や相談窓口の機能強化に基金を使っていただきたいと願っています。

小川(淳)委員 人件費に使ってはならないという理由は何ですか。

野田国務大臣 消費者行政は自治事務であります。

小川(淳)委員 何で自治事務の方、人件費は出せないんですか。

野田国務大臣 そもそも、地方自治法等々で、そういう住民に身近な行政は地方が主体的に行う、それを踏まえて消費者の基本法があり、今日に至って今三法案を出しているところであります。ですから、大前提はやはり、地方の消費者行政というのは、そこの知事さんなり市町村長さんなりがしっかりと責任を持って、そこにいらっしゃる地域の皆さんの消費者行政を図っていかなければなりません。

 そもそも、そういう御施政をいただく中で、できる限り国の方で、これまで減ってきたことが大変ゆゆしきことだ、それは十分受けとめた上で、基金なり交付税措置等々で御活用いただきたい、そういうふうに願っているところであります。

小川(淳)委員 定額給付金も自治事務、自治事務と盛んにおっしゃっていますが、人件費を八百億の経費の中に入れているんでしょう。わかる人がいれば、わかる人がいなければ次回で結構です。

 わかる人がいれば答えてください。わかる人がいなければ次回以降でも結構です。

 いや、大臣、わからないならわからないと言ってください。

野田国務大臣 正確に通告を受けていなかったので、後日。

小川(淳)委員 その点、ちょっと今の御答弁との整合性、後日、理事会なりに、委員長、お取り計らいをいただきたいと思います。

 それで、まどろっこしい議論をいたしましたが、民主党案、これはどうするんですか。地方は今ごらんいただいたような状況ですが、民主党は、これはかぎだと思いますよ、どうやって地方の消費者行政の充実を、体制強化を図るんですか。

階議員 お答えいたします。

 今、人件費の問題などが中心になっていたかと思いますけれども、民主党案で言う、国が整備するところの地方の消費者行政の体制と予算について説明させていただきます。

 まず、消費者権利院の地方機関としては都道府県ごとに地方消費者権利局を置きます。そして、その長として地方消費者権利官を置きます。さらに、その事務を分掌するための機関として、人口三十万人当たり一カ所、全国で四百三十三カ所の支局を置きます。

 そして、その人員なんですけれども、消費者権利局の本局と今申し上げた支局を合わせて、常勤職員五千百四十人、非常勤職員七千六百五十一人、合計一万二千七百九十一人を配置しまして、予算としては約一千億を予定しております。

小川(淳)委員 これは聞いてもいいのかな、財源はどうするんですか。

枝野議員 我が党は、従来の予算の組み方、予算の使い方を特別会計も含めて抜本的に見直すことを想定しております。それによって十兆円単位の財源を生み出すことになっておりまして、定額給付金などの事務費と大して変わらない、わずか一千億ぐらいの予算は簡単に生み出せると思っております。

小川(淳)委員 ほっとしました。ありがとうございました。

 やりましょうよ、本当に。何でもかんでも地方分権じゃありませんよ。やはり全国的におくれているものは国家が責任を持って、昔は鉄道だって国が引きました、電話だって国が引いた、そして郵便局も国営で始まった。

 民主党案にもう一つお尋ねします。これは将来的に分権の可能性まで否定しなくていいんでしょう。

小宮山(洋)議員 民主党案で地方での消費者行政を国の責任で担うことにしたのは、余りにも今現状が惨たんたるものだからです。先ほどからありますように、予算も人員も一時の半分ぐらいに減っています。ですから、全国一律に一定の水準まで速やかに引き上げる必要があるということで考えております。

 ですから、これはある意味、緊急避難的な措置ということも言えると思いますので、ずっと国がやるべきだと言っているわけではありません。将来的には地方公共団体が担っていくことを否定するものではなくて、質のよい消費者行政を全国ができるようになることを望んでおりますので、そうなるまでの間ということです。

小川(淳)委員 安心しました。その点、そのあたりに着地点を置いた制度設計が恐らく一番理解が進むんではないかと個人的に思います。

 さて、午後の質疑につなぎたいと思うんですが、きょうは法務省にお越しいただきました。

 今回、消費者庁に移管をする法律、先ほど来議論になっています、二十九本と言われていますが、大臣、二十九本ですよ。二十九本で、そのうち消費者庁が専管します、専門管理しますというのは、わずかに九本です。しかも、九本のうち六本はもともと内閣府の法律ですよ、これは。実質外から持ってきたのはたったの三つだ。これは本当に消費者庁、闘ったんですか、準備室は。また追ってこの点を明らかにしたいと思います。

 法務省に事実関係だけお聞きします。世の中に法律というのは何本あるんですか。

 そして、消費者行政を担当するお立場から、このうちどのくらいが消費生活に関係しているんですか。それだけお答えいただいて、ひとまず午前中は終わりたいと思います。

深山政府参考人 法務省におきましては、法令それから法務に関する資料の整備、編さんを所掌しておりますけれども、この所掌事務を通じて把握しているところでは、平成二十一年、本年二月末現在、公布されて現に効力を有している法律の数は千七百九十五あるものと承知しております。(小川(淳)委員「どのくらいが消費生活にかかわるか」と呼ぶ)

野田国務大臣 直接、間接、何らかの形で消費生活に関係していると考えられる法律はかなりの数に上るものと認識しています。

小川(淳)委員 またその辺をちょっと具体的に午後あれしたいと思います。

 ひとまずこれで終わります。ありがとうございました。

船田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君。

七条委員 総理には、わざわざこうしてお運びをいただいて、当委員会、本当に感謝を申し上げます。

 総理がおいでをいただいたことで、きょうからこの委員会が動くようになった。いよいよ、こういう形の中から大きく広がっていくのではないかと思うところでありますが、時間が二十五分ということで限られておりますので、すぐに消費者問題について入らせていただきます。

 この数年、消費者問題が、随分と問題を起こしたことが続発してまいりました。一つは、エレベーターの事故で死亡者が出た。あるいは、事故米、お米の不正流通が起こった。コンニャクゼリーの事件では、子供さんが随分亡くなられる事件があった。あるいは、高齢者をねらった悪徳商法の横行がある。あるいは、さまざまな製品事故やら食品の表示の偽装というのが非常にたくさんあった。そして、中国から輸入をしたギョーザ事件はいまだに解決をしておらない。

 こういうような消費者問題の非常に難しい問題やら長年かかってきた問題、これを本当に今は早く解決する、あるいは消費者サイドに立って物を考えていかなきゃならない時代になっていると思いますけれども、こうした消費者問題は早急に画期的な対応措置を講ずることが必要であることは、もう言うまでもありません。

 この意味で、今回提案された消費者庁設置法案等三法案、政府法案でありますが、パネルを出させていただきました。パネルと同じように資料を皆さんにもお見せいたしておりますけれども、このことについて、これからこのパネルに従って質問をしてまいりたいと思います。

 まず、総理、この消費者庁の設置をすることに当たって、今までの消費者行政を大きく変えなければならない、あるいは政府機関として考え方を大胆に変身させていかなきゃいけないことが起こったはずなんだろうと思います。

 我々自由民主党が考えてみましても、自由民主党の中では、どちらかといえば産業の育成ということを考えたり、あるいは生産者保護ということを中心に考えたりする中で、産業の中の消費者ということを考えてきたのでありますけれども、今回はこうした自由民主党の従来の考え方にさらに上積みをして大きく広げて、消費者保護やらあるいは生活者支援やら、それにまつわってきた被害者の支援にまでかんがみてこの法案がつくられているわけでありますが、そういう意味では、自民党も大きく反省をしたし、あるいは変身もしているのではないか。

 そういう意味で、自民党の総裁でもある総理に、政府案をつくったときの見解についてまずお伺いをいたしておきます。

麻生内閣総理大臣 今、七条先生言われましたように、やはり明治にさかのぼって殖産興業、戦後も経済成長、こういったような日本の長い間の行政というものは、基本的には生産者側もしくは事業者側に立った行政というものが主たる行政の主眼に置かれている部分が多くて、消費者とかそれを使って生活している生活者側に対する行政というものの比率は相対的には小さかった、少なかったんだと思っております。

 これに対して、今回は、今言われましたように、食料に限らず、製造物に限らず、いろいろな分野において、それを使っている消費者の側にいろいろな災害もしくは被害、そういったようなものが多々出てきたのがこの数年、その声が大きくなってきたんだと思っております。

 そういう状況にあっては、政府としては、これまでの発想とは全く逆の発想に立って、それを使っている利用者、使用者、生活者側の立場に立っての行政というものを考えてしかるべきではないかということで、このたび創設をすることになりました消費者庁というのは、その背景なんだと思っております。

 少なくとも今回は、今言われましたように非常に大きく発想を転換しておりますので、いろいろな意味での突破口になっていく最初の第一ステップともいうべき大きな変換だ、私どももそう思って取り組んでまいらねばならぬと思っております。

七条委員 今総理から、大きく転換をすると。いわゆる消費者行政というのは、どちらかといえば、なおざりにされたということではなかったかもしれませんが、今まで、行政と行政の間の一つのひずみというのがあった、法と法の間のひずみがあった。そして、縦割り行政のために各省庁間でうまく連係プレーをとることができなかったというのも、そのために被害者をすぐに救済することができなかった一因にあるんだろうと思います。

 ですから、この消費者行政を一元化していくということは非常に大事な話だろうし、そういう意味では、消費者庁をつくってそれをやっていこうという今の総理のお気持ち、大切にしていかなきゃならないんだろうと思うところであります。

 では、政府案に対して民主党案が今出ておりますが、民主党案は、消費者権利院をいわゆる政府の外、内閣の外につくろうとするものである。そして、消費者の利益あるいは消費者の権利を守ろうとすることはよくわかるのでありますけれども、最初から内閣の中では消費者の権利や利益を守ることができにくい、そういう決め方をしてしまうことに私は危険性があると思うんですね。

 ですから、そういういろいろなことを考えて物を考えていくならば、私は、まず今の制度、今の内閣の中にある各省庁がお互いに連係プレーをとる。そして、さらに地方と国との間の連係プレーをとっていくために、今地方では、消費生活センターだとか、あるいは私の地元の徳島の上板町には消費者協会なんというのもあるんですけれども、いろいろ末端でボランティア活動だとか、本当に小さな予算でやっていただいている方があるわけでありますが、そういう方々と連携をしていくことが一番大事なんだろうと私は思うんですね。

 そういう意味で考えたときに、この民主党の法案、これをどう思うかということも総理にお伺いをいたしておきたい。

麻生内閣総理大臣 これは、読んだときに全部深く熟読玩味したわけではありません。しかし、行政自体のあり方に全く手をつけないで、そして、内閣の外に新たな機関というものを設置するという案なんだと思うんですね、その案は。したがって、消費者の権利とか利益の保護に結びつくかねと、正直、見たときにすぐそれだけはそう思ったところです。

 少なくとも、今回の消費者関連のこの原因に関しては、これは行政内の情報の共有というもののあり方が、これまで各省庁縦割りだったものを基本的に共有するというところが大事なところ。そして、当然のこととして、各省庁で連携協力ということが大事なのであって、そこの間に入ってくるすき間事案の存在、そういったものについて問題がいろいろ指摘されているのだと思っております。

 もう一点は、地方の消費者行政というのは、地方公共団体の他の部局とやはり密接に連携をしないといかぬのではないかと思っております。これで読んだところで、国家公務員化するんですかね、たしか。そういった意味で、国に移した場合、そういった連携というのは図りやすくなりますかねと正直思っておりますので、私なりに率直に見て、消費者の利益に資するか否かというのは、私どもから見て疑問だと思っております。

七条委員 そういうふうなことの中で、私も同じようなことをさっき申し上げたつもりでありますが、今やらなければならないということは、消費者行政を一元化させる、その中で国として何ができるかということを考えていくことだと思うのであります。

 先ほど総理も言われておりましたけれども、すき間事案についてという話がありました。このことについては、では野田消費者担当大臣にお聞かせをいただきますけれども、午前中の論議の中にも、コンニャクゼリーで死亡された方がたくさんあると、きょうボードを持っていただいているやまぎわ委員からもお話があったわけでありますが、このコンニャクゼリーの事件が多発した、その被害者の方々が何を今訴えられているんだろうか。これは簡単明瞭に、先にまずお聞かせいただけますか。

野田国務大臣 コンニャク入りゼリーによる窒息死亡事故の発生については、非常に痛ましいことであります。

 実は私の手元に、二〇〇八年九月九日、ユニカねっとの集会でいただきました、男の子、お子さんを亡くされたお母さんからのお手紙がございます。手短にということで、手紙の全部は読み上げませんけれども、その中には、子供の命を奪ったコンニャク入りゼリーをすべてなくしてほしい、このような悲しい事故が二度と起きてほしくない、そのため消費者庁の設立を願っているというお声をいただいているところであります。

七条委員 では、もう一つ。

 今、そこまで消費者庁のようなものをつくってほしいという話があるということを聞きましたが、このコンニャクゼリーの事件が縦割り行政や法律のすき間の事案の一つであるということもあります。

 私が考えてみましても、コンニャクゼリーが、食品衛生法ではこれは合格するんだろうと思います。ところが、それを食べたり飲み込んだりするときの形の問題だとか容器の問題で、やはりそうすると、これは食品衛生法には合致をしない、法律と法律のすき間ができちゃうということになるのであろうと思いますけれども、まさにこういうときに、今度のこの三法案、政府法案としてはどういう形で対処ができるんだ、法律と法律のすき間をうまく埋めていくんだということを、国民の皆さん方にもちゃんとわかるように説明していただけませんか。

野田国務大臣 消費者の生命身体に重大な危害を及ぼすおそれのある行為には、今おっしゃったようなさまざまな種類や態様がございます。将来起こり得る問題のすべてをあらかじめ予想することはできないわけで、現実的に、予想して個別規制を設けることというのは不可能なんですね。

 他方、私たち国としては、消費者の生命身体について安全を確保することは、国として果たすべき重要な責務であるわけです。問題が発生したときに、行政としても何も打つ手がない、必要な措置がとれないということでは、今のような国民の行政に対する期待、消費者の声または要望にこたえたものとは言えません。

 そこで、消費者被害の発生または拡大の防止を図るための、今おっしゃったような、ほかの法律に基づく措置がない場合、いわゆるすき間事案については、内閣総理大臣が必要な措置をとることができるよう、消費者安全法案という新法に規定を盛り込むこととさせていただきました。

七条委員 今お話がありましたように、内閣総理大臣を中心にして、消費者政策の担当の大臣がある、そして消費者庁をつくって各地方と連携をする。今、地方にある組織、例えば、先ほど言いましたような消費生活センターというようなものがある。そういう消費生活センター、都道府県や市町村にあるものと連携をしていくということが非常に大事だろうし、そこから情報をうまく仕入れる、あるいは入った情報に対して適確に国としての責任を果たしていく、あるいはそれを被害者の保護につなげていく、あるいは消費者サービスにつなげていくということが大事なんだろうと思います。

 では、そうするとき、これから、民主党案の中には、地方分権の流れに逆行するような内容があるんですね。これはどういうことかといいましたら、政府案では、地方の消費者行政の強化充実は極めて重要であるという認識のもとで、従来、地方が担ってきた消費者センターや、先ほど言った消費者協会など、そうした事務を引き続き地方に担っていただいて、そして、国としてできるものは何か、国として必要な支援をどうすればいいかということを考えて消費者庁を設置するわけでありますが、民主党案はというと、そういう消費者行政の地方の事務を国に移す、移管をしてしまうというふうに書かれているわけですね。これでは、地方と国との間がどうも分断してしまうんじゃないだろうか、地方と国がうまく連係プレーをとってやることができないのではないか、こういうふうに思えてしまうわけですね。

 ですから、これをどういうふうに考えたらいいのか。今回はどういう形で、地方公共団体あるいは地方の消費者団体の御支援をいただけるのかどうか。あるいはもう一つ、民主党案に対して、日弁連、日本弁護士連合会は、どういう形でこれを態度としてあらわしておられるのか、わかれば教えていただきたい。

野田国務大臣 私が存じている限りでは、相談員の国家公務員化を望む、そういう声を地方の消費生活センターや消費者団体などから聞いたことはございません。むしろ、例えば国家公務員では地方の行政事務との連携がうまくいかなくなるといった声が多いということです。

 実際にいただいているので申し上げるならば、滋賀県の相談員の方からは、消費生活相談業務は自治体の組織にしっかりと位置づけて直営でやることとか、先ほど盛岡の話も出ましたけれども、盛岡の方は、事務職員が地方公務員で相談員が国家公務員になると指示系統がまずくなるという御意見がございました。また、町田の消費生活センターの相談員の方は、国家公務員として採用されると地方の行政事務との連携がやりにくくなるのではないか、現在も事業者指導や行政処分など担当部署と意思疎通を図りながらやっているという御意見がございました。

 さて、もう一つ、日本弁護士連合会についてでございますが、一貫して消費者庁の設置と地方消費者行政の充実を要望しておられ、政府の消費者庁関連三法案を評価していただいており、民主党案を支持されてはいないと理解しています。

 実は、先ほどもお話がございましたけれども、自民党が反省しなければならない、その中で、我々は消費者庁の法案をつくろうということになりました。その前段として、私たちは自民党に、遅まきながら消費者問題調査会というのを設置し、そこで、消費者庁をつくるに当たってどういうものが必要かということで、出ていただいたカウンターパートの代表の皆さんが日本弁護士連合会の皆さんでございました。

七条委員 今御答弁いただいたように、地方の組織、特に消費生活センターのようなところ、特にボランティア活動を通して、余り給料がない、少ない状況の中でも、ボランティア活動のように、地方で頑張って消費者行政を支えていただいている方々、これを国に移管してしまったというと、やはりそこで分断してしまうということがはっきり見えてくるんだろうと思いますし、支援をしていくことと支援をされないということの中で、やはり今の組織を効率的にやっていくことが予算も少なくて済むのではないか。国の出費する予算も、できるだけ今はそう多くしなくて済めばいいわけであります。

 そういう考え方からすると、もう一つ聞きたいのは、これは総理にもお聞きをしたい、あるいは野田大臣にもお聞かせをいただけたらと思います。

 民主党案では、地方公共団体あるいは地方の消費者団体あるいは日弁連の声が今どうだということも聞かせていただきましたが、国民の声に真っ向から逆らっているんじゃないだろうかと思えてしようがない部分もあるんですね。

 これはどういうことかといいましたら、国民が望んでいるのは、今はともかく消費者行政として国が責任を持って、ここにも書いておきましたが、消費者庁は政府の一員として国民に対して明確な責任というものを果たしていく、国の責任の範囲はここまでだから、ここまでは何とか皆さん方に心配をかけないようにやるということをはっきり言うことではないか。そのために、消費者庁として内閣の中にこれをつくっていくべきであろうかと思いますから、これも含めて、総理やあるいは担当大臣のお気持ちを聞かせていただきたい。

麻生内閣総理大臣 冒頭に申し上げたとおりで、これはきちんと行政の中でやっていくというのが正しいので、内閣の外に置くというのは、基本的には私どもとしてはいま一つ理解のできないところだと思っております。

 また、地方分権というものがよく言われている中でもありますので、地方においてこれがきちんと実行できていくように、これまでも地方消費者センター、いろいろ地域によって随分活躍をしておられる状況は違いますけれども、いずれにしても、そういったようなものがきちんと地方に根をおろしていきつつあるところもいっぱいあります。

 そういったものが突如国家公務員とかいう話になると、また話が、意思の疎通、いろいろな表現があると思いますが、そういったところが種々問題を起こす可能性は避けた方がいいに決まっておりますので、そういった意味では、地方がきちんと運営できるように、政府としてそこの部分は支援をしていくというような形で、いわゆる消費者行政に関して言えば、地方交付税でいろいろな形で補てんするなどなど、やり方はいろいろあろうと思いますけれども、そういった形で、消費者庁ができるのを機会に、少なくとも、国民からの最もこのところ要望の多かった消費者行政に対しての第一歩だと思っておりますので、これはきちんと運営できるようにやっていかねばならぬと思っております。

野田国務大臣 担当になりましてから、全国幾つかの地方の消費生活センターを視察させていただきまして、最前線におられる相談員の皆さんの率直なお声を受けとめてきたつもりです。現状、本当に今、地方の消費生活センターは厳しい。人数も少ない、そして働いている方に対しての報酬も少ない、さらにいろいろな負担がかかっている、この現実はございます。

 だけれども、その中にあっても、やはり地方自治、また地方主権の最たる一つの柱であるものこそがこの地方消費者行政であるとするならば、苦しいながらも頑張ってきた人たちに敬意を表しつつ、その地方でともされているともしびを消さないように、やはり国の方で側面支援なり、背後からの支援で、地方で築き上げてくれたこういうものを全国に広げていただけるような取り組みをしていくことが消費者行政にとって一番必要なことだと思っております。

七条委員 今、国民の皆さん方がこの消費者行政に望むものというのは、消費者サイドで考えることと同時に、生産者の場合は、安全、安心なものをできるだけたくさん使ってほしい、その安全、安心のためには表示をマークしてほしい、あるいはもう少しそういうものを消費者にもわかっていただきたい、いわゆるトレーサビリティーとして生産者の顔が見えるような形で、消費者はそれを望んでおられるんだろう。

 一方で、生産者側にとってみたら、やはりそういう安全、安心のためにはコストがかかるんですけれども、少々高くなっても安全なものをきちっと出したいために、安心して使っていただけるもの、食べていただくものを出したいために、そのコストがかかろうとも、そのこともわかっていただきながら御理解をいただきたい。いわゆる生産者と消費者がうまく連携をしていくというためにも、地方の相談員の皆さん方やら、地方で頑張っておられる消費生活センターの皆さん方のそういうたゆみない努力でうまく連係プレーとしてやっていくことで、私はやれるんだろうと思うんですね。

 そういうことを考えていったら、最後に、私は、地方分権の流れに逆行することをやってはいけない、これは民主党案の中でそういうふうに思えてしようがないわけでありますが、政府案の場合ならば、いわゆるそういうことがない。

 そしてもう一つ、民主党案の中には、いわゆる行政改革にも逆行するのではないかと思えてしようがないんですね。

 これはどういうことかといいますと、先ほど言いましたような地方で頑張っておられる相談員の皆さん方を国家公務員化する、これが民主党案の中にはっきり入っているんですね。そうすると、これで大体一万人とか一万三千人の方々が国家公務員に新しくなってしまったらどうなるのか。これは行政改革を考えたときにはどうもおかしい。総理、どう思いますか。

麻生内閣総理大臣 今、七条先生御案内のように、一万九千人の国家公務員の削減ということで、五・七%の純減ということを目指しておるところであります。したがって、今回の消費者庁の創設に当たりましても、いわゆる行政組織の肥大化というものを招かないために、機構・定員については原則各府省庁から振りかえさせるということにいたしております。

 したがって、行政改革の観点からいって、新たに一万三千人がふえるという話でしたけれども、それは明らかに今の行政の流れからすると逆行しておると思います。

七条委員 もう時間が来ておりますからこれで終わりたいと思いますけれども、要は、やはりこういう行政改革に逆行してはいけないし、これを国家公務員にしてしまうということは、予算の面でも大変なものが出てまいります。ただ、地方の相談員の方々も、本当に小さな予算だけではなくして、もう少し相談員が働きやすいような環境をつくる、あるいは、その給料や年収も上げてさしあげるという努力はしなきゃならないし、我々もそれを努力していくことをやらなければならないと思うわけでありますから、消費者庁という政府案の中で頑張っていかなければならないことを表明して、私のすべての質問を終わらせていただきます。

船田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 総理初め野田大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 さて、ことし一月五日の本会議でこの特別委員会が設置されまして、今回ようやく審議が始まったわけでございます。

 その中でございますけれども、例えば、中国の冷凍ギョーザの事件がありました。保健所、地方自治体、関係省庁との情報連絡が不十分であった、あるいは、食品に関する全体的なリスク管理が問題があった、司令塔がなかった、安全基準は適切であったか、こういう問題点があります。

 あるいは、ガス機器一酸化炭素中毒事故につきましても、これは、事業者から報告徴収が不十分であったんじゃないか、あるいは、経産省の関係部署間での事故情報の共有が不十分であったんではないか。長期にわたって適切な対応がなされなかった、そして死亡事故が続発して、とうとい命が失われた。

 また、コンニャク入りゼリーの事故につきましても、事業を規制する法律がなかった、こういう点ではすき間になっていた。

 これまでの行政のあり方につきまして、こういういろいろな問題があったわけでございます。

 そこで、今回の政府案でございますけれども、やはり、今のこの状況を考えますと、行政にメスを入れていく、そして今までの行政はどこが悪かったのかということをしっかりやっていく、そして行政の中に消費者庁をつくる、また地方の消費者行政というものを充実させる、これが大事だということで、今回法案ができたわけでございます。

 そういう点で、民主党の案は、どちらかというと、行政の外ということで、隔靴掻痒の感があるわけですね。監視機能だということを聞いておるわけでありますが、むしろ行政の中で、行政の仕組みを変えていく、こういうことが私は大事ではないかと思う次第でございます。

 そういう点で、今回のこの消費者庁の関連三法案、これを国会に提出するに至ったわけでありますけれども、行政についてどのように問題があると考え、今回のような法案になったのか、消費者庁設置の意義とともに、総理自身から、国民に対して御説明をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、大口先生からも御指摘ありましたとおり、これまでの行政組織というものは、明治にさかのぼって殖産興業、戦後も経済復興、いろいろスローガンを掲げてやってきたときには、生産者、製造者、もしくは事業者という方向に、育成していくという立場にあった行政が主になされてきたんだと思っております。

 しかし、現実問題、今言われましたいろいろな事例が挙げられておりますとおり、最近、ここ数年、いろいろな問題になった事件というものは、間違いなくこれは、食料に関して、またエレベーター等は物に関して、いろいろな分野にわたって、それを利用している消費者にとりまして多くの問題が起きているというようなことが事件としてなっております。人も亡くなっておられる。

 そういった状況の中にあっては、少なくとも、縦割り行政でだれの責任といったときに、単純にその役所の所管であるのが明確であればよろしいんですが、先ほど事件、例を挙げられましたように、多省庁にまたがるというようなことになりますと、なかなか問題は簡単にいかないということが出てきて、複数省庁横断的になってきていると対応はどうしてもおくれる。結果としてそれは被害者にとって原因の究明がおくれる、対応がおくれるということです。

 今回は、消費者の関連三法案というものは、こうした課題、今申し上げたような課題に対処するために、新たに消費者庁というものをつくって、各省の持っております法律をここに集中させて、一元的に、かつ横の連絡は迅速に、そういったようなことをやり、かつ自分なりにやれる、自分の省で決断をしてやれるというような形にしていって、いわゆる生活者に立った方向に転換をさせていくというところが今回の法律を出させていただいた主たる背景であります。

大口委員 そういう中で、政府案では、表示、取引、安全、業法、その他ということで、二十九本の法律が移管されたわけですね、消費者庁に。これにつきまして、二十九本の移管法以外に、他の省庁に対しては勧告できないのではないかというような誤解が今あるわけでございます。

 この二十九本というのは消費者に身近な法律ということで、この二十九本の所管を移しますと、大体消費生活相談の関係で大半はカバーできるということで移されたわけでありますけれども、これ以外の法律についても、これは勧告とかあるいは措置要求とかいろいろできるわけでありますが、そこら辺の誤解について、野田大臣の方からわかりやすく説明していただきたいと思います。

野田国務大臣 消費者庁は、新法消費者安全法案に基づいて、各省がそれぞれ所管する法律の規定に基づく措置を速やかに実施するよう関係大臣に対して要求する権限を持つことになります。この措置要求は、消費者庁がみずから所管または共管することとなる二十九本の法律による措置以外を対象とするものであり、消費者被害の発生または拡大の防止を図るために必要な措置を広範にカバーするものでございます。

 きのうの本会議で、民主党の田名部委員から、金融分野や薬事、医療関連などの問題に消費者庁は関与できないのではないかという御懸念をいただいたところですが、それは全く誤解でございまして、消費者庁は幅広に各省庁に対して措置要求をすることができます。

 この措置要求は、内閣の一員たる内閣総理大臣から同じく内閣の一員たる各大臣に行うものであり、かつ各大臣は内閣の統括のもとに一体として行政機能を発揮するものであることからすると、各大臣がこれに応ずることが期待される、大変実効性の高いものだと思います。

 以上です。

大口委員 このイメージ図を見ていただきますように、この右の上に勧告、措置要求があるわけですね。これで各省庁に対して要求できるということになるわけです。これによって被害の発生とか拡大を防止するということで、総理大臣の名前でやるわけですから、非常にこれは効果がある、こういうふうに考えているわけでございます。

 そしてさらに、消費者庁というのはいろいろな権限を持っているわけでありますけれども、私は、大事なことは、この真ん中の長官という下に、情報を一元的に集約し、調査分析する、それから、消費者行政の司令塔として各省庁に対し勧告をする、また、縦割りを超えて新法を企画立案する、さらに、この二十九本の所管をするとともに、消費者安全法に基づき、各省への措置要求、すき間事案への対応、こういう形で、しっかりとした権限を持っているわけです。

 例えば、マルチ商法の被害について言えば、新しい法律また改正というようなことが企画立案できるわけであります。そして、消費者庁みずからも立入検査をしたり業務停止命令、こういうこともできるわけでございます。

 あるいは、コンニャクゼリーについて言えば、すき間事案であって、厚生労働省、農水省、経産省の規制の対象外というわけでありますけれども、消費者安全法によって、この左下にありますように、消費者事故について公表、注意喚起、こういうことができますし、また、事業者に対して、勧告、これは安全使用の方法、あるいは、譲渡、引き渡しの禁止、回収命令、こういうこともできるようになっておりまして、かなり強力な権限を持っている、こういうふうに私は考えております。

 それから比べますと、民主党の消費者権利院の方は隔靴掻痒の感があるんじゃないかな、私はそう思うわけでございます。

 そして、消費者政策委員会、これは非常に大事な委員会だと私は思います。この緑の、消費者政策委員会、これは、消費者の声、意見というものをやはり消費者行政に反映させなきゃいけない。それから、消費者庁、二百四名ですか、これは役人ですね。それに非常勤の専門家も八十人ぐらい入るそうです。この中には民間の方をどんどん入れてもらいたいと思いますが、さらにこの消費者政策委員会、ここがやはり消費者の意見や声がしっかり届く、そういう点でいえば、消費者庁を透明化する非常に重要な委員会である、こう思います。

 そこで、有識者と書いてあるんですが、私は、その構成員として、消費者団体、消費生活センターの相談員の第一線で頑張っていただいている方あるいは長年にわたって消費者問題に携わっている実務に詳しい弁護士、こういう人がやはり現場の声を代表できる人ということで入っていただきたい、こういうふうに思います。

 もう一つは、消費者政策委員会の事務局、これも大事でございまして、これは役人任せではないんだ、消費者政策委員会というのは消費者の声が反映できるんだ、こういうことからいきますと、事務局につきましてもやはり消費者サイドの事務局でなきゃいけない。そういう点では、消費者サイドを担保できるような、そういう事務局をどうこれからつくり込んでいくか、これが大事だと私は思いますが、野田大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、消費者庁ができることがすべてではなく、やはりそれをしっかりと国民目線、消費者目線で監視し、その運営がちゃんと運んでいるかどうか、そういうやはり強いカウンターパートがいなければならないわけで、今委員がお示しいただいた図の中に、見てわかるように、長官と消費者政策委員会というのは同じ位置にあるわけですね、立場が。そのくらい強力なものをやはり想定させていただきたいと思います。

 委員につきましては、設置法に基づいて、消費者が安心して安全そして豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関してすぐれた識見を有する方のうちから内閣総理大臣が十五名以内で任命するということになっておりますので、今委員がおっしゃったような方々も含めて、いろいろ幅広く検討していただくことになると思います。今、具体的にどのような方ということは言及できませんけれども、最も適任の方々に参画いただくことが重要だと考えております。

 また、事務局につきましても、おっしゃったように、独立性をしっかり担保して務めていただかなければならないというふうに思っております。

大口委員 ここは肝ですから、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、この消費者政策委員会というのは、これはちょっと誤解があって、政府からの諮問があった場合にしか調査審議し意見具申ができないというようなことではなくて、消費者政策委員会が独自に、当然、調査審議し意見具申ができる、こういうことでございます。そこが政府で一般に置かれている審議会と違う、非常にこの消費者政策委員会というのは権限が強い、ここについても御答弁願いたいと思います。

野田国務大臣 大口委員おっしゃるとおり、一般の審議会とは異なり、消費者政策委員会は、広範かつ強い権限を有するものとなっております。

 具体的には、消費者政策の基本方針等の企画立案、消費者庁を含めた関係府省庁の政策の評価、監視について意見を述べるとともに、内閣総理大臣が各省大臣に対し個別の行政処分を求めるなど消費者安全法の執行に関する意見を述べる権限を有しているということになります。

大口委員 そこで、総理、この消費者政策委員会、これは、みずからの判断で必要だと考えました重要事項について意見具申ができる、その意見を踏まえて、内閣総理大臣がみずからの責任のもとで各省大臣に対して措置を講じるよう求めることができる、こういう仕組みになっているわけでございます。

 消費者庁が一日も早く発足していただきたいわけでございますけれども、消費者政策委員会から総理に対して意見具申された暁には、麻生総理としてどのような対応をされるのか。そして、政府案に対して、時の総理のやる気次第で、実効性がないというような批判もあるわけでありますが、この意見具申というのは制度的にも非常に実効性のあるものだ、こういうふうに考えております。総理の御意見を賜りたいと思います。

麻生内閣総理大臣 消費者の政策委員会というのは、ここに書いてありますとおり、消費者の意見が直接届く、透明性の高い仕組みということで設けられたものであります。したがいまして、法律に基づいて、消費者行政にかかわります、いわゆる重要事項とか、消費者の被害の発生の拡大が防止される、そういったようなことを考えたときに、これは、内閣総理大臣に直接具申ができるということにしてある仕組みというか、組織なんだと思っております。

 当然のこととして、そういう組織からの意見具申というのは大変重要なものでありまして、これは、どなたであろうと、内閣総理大臣という立場になれば、消費者に拡大しようとするのを防止するというのは一つの例ですけれども、そういった意見が出されたときは最大限尊重するのは当然のことだと存じます。

大口委員 今回の法案のもう一つのポイントは、霞が関改革だけではなくて、消費者行政の最前線といいますか、消費者にとって最も身近な地方公共団体における消費者行政機能の充実が重大な課題である、こういうふうに思うわけでございます。

 ところが、この消費者問題の現場の最前線の消費生活センターの相談員の方々、事件は四倍も五倍もふえる、しかし予算は半減だ、そういう中で大変な思いをして仕事をされているわけです。そして、相談員の方々は、それこそ、相談者の心を開いて、そして問題の本質を聞き出す能力が必要ですし、また、事業者に対して説得したりあるいは指導したりするということで、事業者に対してもそういうことをやらなきゃいけない、身の危険を感じることもある。また、新しい悪徳商法だとか新しいサービスですとか商品、販売形態というのが出てきますので、自己研さんもやる。法律もどんどん変わっていますから、それにも追いついていかなきゃいけない。こういうことで、相談員の仕事というのは、非常に高度で専門性を要求されるわけでございます。

 しかしながら、この相談員の方々は、非常勤の一年更新、中には三年や五年の雇いどめがあり、給与水準も低い、退職金もボーナスもないのが現状です。ちなみに、相談員の年収について、全国消費生活相談員協会の平成二十年五月の報告書によりますと、一カ月十七日以上の勤務者の場合で、百五十万円から二百五十万円未満が七〇・八%、こういう状況になっているわけでございます。

 そういう点で、今回予算で、平成二十年度の第一次、第二次の補正予算あるいは二十一年度の予算で、財政的にかなり力を入れたと考えます。例えばその中で、都道府県に地方消費者行政活性化の基金を百五十億積む。その中で、やはり相談員の養成が大事ですし、研修に皆さん行きたいんですね。だから、上限一日一万五千円という手当もつくというようなこと等、配慮はしていると思うんです。

 それから、この地方消費者行政活性化基金の方は人件費が出ないんですね。ですから、鳩山大臣にも聞きました。また、野田大臣も努力されていますが、地方交付税の基準財政需要額、これを倍増した。単価でいえば百五十万を三百万にした、こういうことなんです。

 ですけれども、実際に、では相談員の方がその給与が上がっているかというと、それは努力しようとしているところもありますけれども、私は総理にやはり、地方分権ということはもちろん踏まえなければいけませんが、大号令をかけていただきたい、発信していただきたい、こう思うわけでございます。

 そして、私、実は午前中の民主党の質問の中で、小宮山提案者に対して、実は相談員の身分について、また消費生活センターについて国の事務だということで、国家公務員の身分なんですね、民主党の場合。それは緊急避難的な措置だ、いずれ地方に戻す可能性がある、こういう答弁をされているんです。だから、国家公務員というのはあくまで緊急避難的なものであって、いずれ地方に戻すと。それに対して小川委員の方から、ああよかった、こういう発言が出ているわけでございます。

 私は、第一線で苦労されている相談員の方々が、この身分が国に行ったり地方に行ったりというようなことを、私はそういうことを答弁されるのはいかがなものかと。本当に、この消費生活相談員の方々がこれを聞いて、身分が国なのか地方なのか、それは緊急避難なんだ、こういうことも私は問題かなと思っております。総理から御答弁願います。

麻生内閣総理大臣 大口先生、今の話だけですと、私はほかの方がいろいろ言っておられることが正しいと思っているわけじゃありませんよ。ただ、あなたの話だけだと、その発言をされた現場におりませんので、ちょっと何ともお答えのしようがないのですが、一回国家公務員にしてからまた地方公務員に戻す、何のためにですか。その意味が理解できないので、ちょっと、今聞いた範囲だけだと、何のために地方公務員を国家公務員に、また地方公務員に戻すか、何の意味か、目的がさっぱりわからぬと思います。

大口委員 もう少し説明しますと、相談員の待遇をばらつきをなくすためにとりあえず国家公務員にする、これは緊急避難だ、だからまた地方に戻す、こういうことでありました。

 では、総理、この待遇を改善する、これについても一言答弁をいただきたい。相談員の待遇を改善するということもお聞きします。

麻生内閣総理大臣 待遇の改善については、多分これは鳩山大臣の方から、たしか百五十から三百とかいろいろお話を既にしておられると思いますが、これは地方に対して交付税などなど、いろいろ措置をさせていただいております。

 ただ、それをきちんと使っていただいて対応していただくというのが大事なところで、そういった意味では、それがきちんと使われているか否か、これは総務大臣なり消費者担当大臣なりがきちんとそれをフォローしてもらわなければならないと存じますが、こういった新たな仕事をしていただくためにしかるべき処遇をするのは当然のことだと考えております。

大口委員 本当に消費生活相談員の方々の処遇というものを、鳩山大臣も、これは地方交付税であるから、地方分権というのがあって、ただ、お願いはすると。それから、野田大臣も、各首長さんに対してお願いをするということでございまして、やはり首長さんの意識を高めていただく、そういうことは総理ができると思うんですね。

 そういうことで、しっかり努力していただきたいと思いますが、その点、もう一言御答弁願います。

麻生内閣総理大臣 新しい役所ができて、それに基づいて法律ができて、きちんとその意識が地方、千八百の行政体、いろいろな表現がありますけれども、そういったところに徹底していくのに少々時間はかかるとは思います。

 しかし、意識を変えるというのは大変大事なところでありまして、そういった意味では、今申し上げたように、きちんとしたそれに伴う処遇、待遇というものを考えるのは当然のことだと思いますので、最大限の努力をさせていただきたいと存じます。

大口委員 ありがとうございました。以上で終了します。

船田委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 与党の委員の方々が非常にロープ際に追い込んで答弁のしようがないということで、民主党の提案者の方は大変フラストレーションをためておられると思いますが、少々お時間をいただきたいと思います。

 麻生総理、ようこそ消費者委員会へお越しいただきました。麻生総理大臣、ここ数年来の消費者事案とおっしゃっておりますが、歴史は長いですよ。ミルクに砒素が入っていたのが一九五五年、イタイイタイ病や水俣病といった公害病もありました。にせの牛缶が見つかり、サリドマイド事件、カネミ油症にスモン病、サラ金被害に薬害エイズ、マルチ商法にからしレンコン、ガス湯沸かし器に豊田商事、C型肝炎にコンニャクゼリー等々、大変歴史の深いこの消費者問題、ぜひこの間の犠牲者の方々また遺族の方々、御家族の皆さん、そしてその方々を支援しておられる方々の思いをよくよく拝察しながら、短時間ですけれども、議論をさせていただきたいと思います。

 総理と野田大臣、ちょっとこれは細かく御準備いただいていないと思いますので、お答えになれる範囲で結構です、お考えをいただきたいと思うんですが、午前中の審議でありました、千八百の法律が世の中にはあります。このうち消費者庁に移管するのは二十九、専属で担当するのは九、そのうちもともと内閣府が担当しているのが六本です。私たちは、大きな看板を掲げられるわけですから、思い切って消費者庁に説明のつく限り移したらどうかという議論をしております。

 平成十八年、シンドラー社のエレベーター事故で、市川大輔さん、きのうも本会議で議論になりました。高校二年生、まだまだ将来がある中で命を落とされました。私自身、高校球児だったからかどうかわかりませんが、大変にシンパシーを感じております。お母さんの正子さんは、本当に一生懸命、これを何とか解決したい、消費者庁にすごく期待しているんですよ。

 しかし、消費者庁ができたって、これは建築基準法ですね、エレベーターは。消費者庁の所管法律には全くならないんでしょう。

 総理、消費者にとって身近な法律を消費者庁に移すとおっしゃるんなら、耐震偽装事件もありましたよ、三年前。エレベーターの事故もあった。対処をして、ことし二月にまた二名亡くなりました。総理、ぜひこれは移すように御指示いただけませんか、消費者庁も関与できるように。総理にお聞きしています。

野田国務大臣 個別の法律案のことにつきまして、担当の大臣から答えさせていただきます。

 建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低限の基準を定めることにより、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする法律である。同法は、住宅、事務所、店舗、学校、病院等の建築物が備えるべき構造、建築材料、形態等の最低限の基準を定めているが、建築物を利用する者が消費者である場合とその他の場合で差を設けておらず、必ずしも消費者が利用する建築物に限って基準を定めているものではない。また、いわゆる集団規定として、良好な市街地環境を確保するための基準についても定めているところであります。

 このように、同法については、その目的及び規制内容に照らし、消費者庁の所管とはしなかったものでありますが、必要がある場合には、消費者安全法に基づき、内閣総理大臣が国土交通大臣に対して必要な措置を要求することができるとします。

 なぜ所管しないのかということでありますけれども、仮に消費者庁が消費生活に何らかのかかわりがあると考えられる法律のすべてを所管するとした場合には、広範な分野の専門家等を集めた巨大官庁をつくることが必要になります。

 消費者庁としては、こうした考え方はとらず、消費者行政に関する政府全体の司令塔として機動的に対応する簡素で効率的な組織としつつ、所管していくことが不可欠な法律二十九、とりあえず二十九を所管することとし、その他の法律については、必要に応じて所管する各省庁に対し措置要求等を行っていくこととしており、こうした役割分担が内閣全体として適切であり、かつ効率的に消費者の利益の保護を図ることができるものと考えております。

小川(淳)委員 そんなことを言っているから、半世紀にわたって引きずっている消費者問題がずっと今まで残っているんでしょう。

 これは、資料をお配りしましたが、総理もごらんになってください。

 保険金の不払い事件、保険業法、これは金融庁ですよ、消費者庁に移管対象外。カードのスキミング事件ありましたよ、偽造・盗難カードの預金者保護法、これも対象外。振り込め詐欺の救済法、対象外。消費者金融、対象外。やみ金、対象外。円天、対象外。ガス器具、対象外。これは全部対象外じゃないですか。

 これは全部役所の都合、国民の側から見たら関係ないんですよ。国民が求めているのは、真摯に相談してくれる機関、原因を究明してくれる機関、そして救済に働きかけをしてくれる機関、そして、二度と同じような思いをする人をつくらないでください、そのために活躍してくれる機関が欲しいんですよ。

 民主党、ちょっとストレスがたまっていると思いますが、国民が求めているのは、どの法律が所管だとか一部共管だとか、そんなことじゃないでしょう。消費者の気持ちに立って、相談を受け付けて、救済してくれる機関を求めているはず。その点、民主党の考えをお聞きしておきたいと思います。

枝野議員 委員御指摘のとおりでありまして、また、野田大臣がおっしゃられたことも全くある部分は同感です。

 つまり、世の中にある森羅万象のさまざまな事象、ほとんどのことが消費者と関連をしています。ですから、世の中の法令のほとんどすべてが消費者と関連をしています。

 これに対して、従来の日本の行政システムは、明治以来百年余り、分担管理という仕組みでずっと動いてきました。これが日本の行政システムの古典的な考え方です。残念ながら、今回の消費者庁設置に当たっても、政府は、この行政の分担管理という古い構造の中で、何とかそこに消費者庁を位置づけようということをお考えになったのではないかと思います。

 これは、業種ごとに、あるいは事業ごとに縦割りで各役所をつくって所管を持たせるということになっていますので、その隅っこに消費者庁をつくっても、所管は非常に狭いものになったり、他の役所が所管を離さなくて、せいぜい共管にすぎなかったりということになります。

 今やらなければならないのは、各業種の種類とかに関係なく、常に消費者の立場に立って、横ぐしで消費者の立場で行動する仕組みをつくらなければいけないということなので、従来の内閣制度のもとにおける分担管理の縦割りの枠の中で幾ら組みかえをしても、抜本的な解決にはならない。

 ですから、我々は、その内閣の縦割り行政の外側に、だけれども、広い意味では行政の内側に、横ぐしで、あらゆる問題についてすべて自分たちの主たる役割として所管できるという形を考えるならばこういう形にしかならない、こういう帰結になったわけであります。

小川(淳)委員 法律を所管するとかなんとかという議論に余り費やしても、消費者の側から見れば不毛ですよ。いっそ、すべてに対してオールマイティーで対応するという議論があっていいと思いますよ。

 総理、各法律には必ず業界団体があります、監督している業界団体がある。その先には天下りしている役人がいっぱいいますからね。またこれは、時間のあるときに議論をさせていただきたいと思います。

 私、総理のこの間の御発言で、経営者としてのお立場を強調されるシーンというのをよく拝見してまいりました。いろいろな会社の経営の御経験があるんでしょう。

 少し気になるものも含めて、幾つか、過去のものでありますが、平成十九年の五月の外務委員会、経営者というものはもうからなきゃいけないんですよ、極めて簡単です、赤か黒か、それだけですから、もう答えは紙一枚、それが赤になるか黒になるかにしか興味がありませんからねと一人称で語っておられます。

 経営者からこっちの世界に、実業から虚業、これは政治が虚業という意味ですか。ぜひ実業にしていただきたいと思いますが、内閣総理大臣の力で。

 そして、平成十七年の十月、これは大丈夫ですかね、天下りに関してこうおっしゃっていますよ。経営者としては、天下りをしないといって定年ぎりぎりまで全員雇うと、よっぽどコストがかかって大変なことになる、そっちの方がむしろ気になりますというような発言もございます。

 総理、今回の消費者庁の設置法案は、長らく続いてきた生産者側に立った行政、産業振興を、消費者の目線、生活者の目線に大きく切りかえていくというのが主眼だと思います。総理からこの間伝わってくる生活実感といえば、ホテルのバーがどうだとかカップラーメンの値段がどうだとか、そんなことしか伝わってきませんよ。

 総理、本当に被害者の方々、一般の生活者、庶民の生活感情、こういうことをしっかり踏まえて消費者行政に当たっていただく必要があると思いますが、御決意をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 基本的に、暮らしの安心と安全ということ、これは最初からずっと言ってきたんだと思いますが、政権の主要課題の一つとして、消費者庁というのは九月に出させていただきました。しかし、今日まで審議されなかった。どういうわけだか知りませんけれども、審議をされなかったのは大変残念だった、私どもはそう思っております。

 しかし、この種の問題に関して、我々は今、消費者にかかわる問題がいろいろ出てきております。カネミ油症というのは私どもの選挙区のすぐ近くの話でしたので、私どもはそういった話をかなり昔から知っておるところでもあります。そういった意味で、私どもとしては、この問題というのは長い間、昔はちょこちょこ、たまに出ると大きな事件でしたけれども、最近は、このところ頻繁に輸入のものに関しましても多く出てきておるというような事態というのは、今回のお米のカビの話にしても、いろいろな輸入されたものがそういったものが出てくるというようなことになってくると、これは国内の製造業だけをというような話とは少し違ったものになってきておるという状況は、明らかに被害者の枠が広がる、確率が広がるということを意味しております。

 そういった意味では、この消費者庁をつくって、消費者側に立った行政をやるという重大性というのは、これは極めて大きくなってきておるのであって、当然のこととして、それに対応すべき政治の場として、我々としては真剣にこれを考えて、今回の消費者庁法案を出させていただいた背景であります。

小川(淳)委員 総理から、経営者側に立ったような価値観を何度も聞いてきたわけでありますが、経営団体、日本経団連それから同友会は、消費者行政に関しては、みずからの判断と責任において主体的に選択ができる自立的な消費者を育成することが行政に求められるとか、これは本当に時代に合った価値観で物をおっしゃっているのかどうか、私はこの点、非常に疑問に思っています。

 総理の経営者側に立った発想とこの経営団体の意見、それから自民党政治そのもの、今政治献金のあり方がいろいろ議論になっていますけれども、例えば経団連の会長はキヤノンでありますが、これはどのくらい献金しているんですか。総務省、ちょっとお越しいただいたと思いますが、自民党の政治団体、国民政治協会に対するキヤノンの献金額、直近の報告でどのくらいになりますか。

佐村政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねのありましたキヤノン株式会社につきまして、財団法人国民政治協会の平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、年間五万円を超える寄附として、キヤノン株式会社から五千万円と記載があるところでございます。

小川(淳)委員 これは時間をかけて本当はもっと議論したいんですが、国民政治協会が十九年度に収入したのは四十一億円、そのうち企業・団体献金は三十五億ですよ。一千万以上献金した会社、団体が八十六者、こういうもので成り立っているんですよ、今の政治というのは。それで消費者、生活者と言われたって、実感がこもりませんよ。政治献金と政治構造、また、先ほどの各省縦割りではありませんが、官僚の利権とか官僚の発想とかを乗り越える消費者行政、今回、この消費者庁の設置法案をぜひきっかけにさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間が限られておりますので、同僚議員につなぎたいと思います。ありがとうございました。

船田委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田でございます。

 引き続きまして、総理に対しまして、この消費者庁あるいは我が党、民主党の権利院法案、これについての質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 総理、先ほど、少し、総理は、内閣の外に置くのが意味がよくわからないというふうにおっしゃっておられたわけでありますし、また、内閣の中から、行政の中からこの改革をしていくんだというふうにおっしゃっておられました。

 しかしながら、私どもは、今までの事例をたくさん拝見をさせていただきますと、先ほどのコンニャクゼリーでもそうでありますけれども、結局は各省庁の横並びの中の権限争い、ここの中であらゆる手段を使えば、そしてきちっと、それに対してどのようにチェックをやらせるかということの、その権限が不明確なままに各省庁間の調整になってしまっているのではないかという危惧から、私どもは、外から行政に対してきちっと意見を言っていく、そしてそれを公表することによって国民の皆さんにいかに注意喚起をしていくのかというような形から、この権利院法案というものを提案させていただいているわけでありますけれども、総理、中から本当にこの改革というものができるというふうにお考えでしょうか。

麻生内閣総理大臣 御指摘の点、先生が言われた点、私どもとして、そういったこれまでの過去の反省に基づいて今回の消費者庁というのをつくったいきさつなんだ、私もそう思っております。少なくとも、縦割りと言われた表現、各省庁に分断されております権限などなどがありますので、少なくとも、今言った消費者側もしくは生活者側に立って、何か問題が起きたときの対応が、なかなか、各省庁にまたがっているときにはその対応が極めて難しかったというのがこれまでの反省、おっしゃる点、指摘されている点は正しいと思いますよ。

 したがって、私らは、こういったものを解消していくために、これまでの発想と全然変えて、今度は生活者もしくは消費者側に立った行政というものを考える必要があるのではないか、これがこのところずっと議論されてきた背景だと思いますので、それに基づいて、今回このような形で、いろいろ問題が起きたときには消費者庁の窓口に相談する。

 かつ、これは地方に住んでおられる方は非常に多いわけですので、地方の消費者行政というものを考えていった場合も、地方に、やはり生活があるその地元の市なり村なりに行かれるということになろうと思いますので、そういった消費者生活に対する相談員というような組織というものは、今、きちんとしているところ、なかなか扱いが確固たるものになっていないところ、これはいろいろ地域によって差があると思います。そういった問題を考えるときに、生活相談員は幸いにして増加の傾向にはあるんですが、その身分やら何やらについてはきちんとしていないなどなど、多々問題があることは確かです。

 したがって、これは明らかに行政の中の話でもありますので、そこらのところが一番、地方にとって身近な相談員を考えた場合に、私は、きちんとした行政の中の一員として対応していく、地方分権の流れからいってもそれでやらせていただく方が現実的ではないだろうか、私自身はそう思っております。

園田(康)委員 そうしますと、総理は、まずは内閣の中でこの消費者庁というものを設置すると。ここで言うところの内閣の中ですよね。そうすると、ほかの省庁とやはり横並びになってしまうんじゃないでしょうか。そして、総理が最終的に権限を持つというふうに言っても、その消費者庁から総理まで上がってくる上においては、各省庁の横並びの調整に基づいてしか、内閣という位置関係で外に発することはできないんじゃないでしょうか。私はそのように考えているんですよ。どうですか。

麻生内閣総理大臣 消費者庁というのは、これは基本的に内閣府になるということになりますので、その意味では、先ほどの御指摘のありました点、何とかやっておられた点と同じことを申し上げるようで恐縮ですが、基本的に、上がってきた答えに対して、内閣総理大臣から各大臣に対して直接言えるというのが今度の消費者法の一番肝心なところの一つだと思っております。

園田(康)委員 それで、私が懸念しておりますのは、総理大臣が果たして、その判断をする際に、各省庁間の縦割りの協議の中において、権限を行使するということを決断できるかどうか。ここが今まで、申しわけないけれども、自民党政治でそれがうまくいってこなかったから、先ほどの小川委員の指摘にもあったように、これだけ消費者問題がないがしろにされてきた。これをやはり、どこかできちっとした形で大きな変革を起こさなければいけない。そのために、民主党から提案をされた今回の権利院法案というものは、私は理にかなっているというふうに思うわけであります。

 さらに、予算は少なくて済むんだというふうに先ほどおっしゃいました。でも、その考えが、先ほどくしくも総理がおっしゃった、地方の予算がどんどん削られてきて、いっときの三分の一、ここまで減ってしまったんです。これによって、地方の消費者の相談員の方々、その方々の待遇も悪くなった。待遇も悪くなれば当然やめていってしまう。だからこそ、私たちはそこをきちっと、地方まで相談員の待遇改善、ここが消費者相談の行政をきちっとつかさどるまず一番のポイントだというふうに提案をさせていただいたんです。民主党、どのようにこの辺お考えでしょうか。

 それから、あと、先ほど地方との連携がとれないということの御指摘がありましたけれども、その点もいかがでしょうか。お答えください。

階議員 お答えします。

 委員の問題意識はごもっともでございまして、消費者問題というのは、この永田町や霞が関で起きている問題ではないんです。地域で起きている。幾ら中央に立派な組織をつくっても、地方の相談窓口がなくなり、あるいは地方の相談員がいなくなってしまえば、全く意味がない。ですから、我々は、地方の相談窓口の充実と地方の相談員の待遇改善ということに力を注いでいるところでございます。

 具体的に申し上げます。

 まず相談窓口の充実ということですけれども、地方における消費生活相談窓口については、地方消費者権利局、これを各都道府県に設けるとともに、その支局を全国四百三十三カ所設ける、そして日本全国どこに住んでいても容易に消費生活相談窓口にアクセスする体制を整備する、こういうことでございます。

 それから、相談員の方々の処遇ということでございます。今、現状は官製ワーキングプアなどと言われておりますけれども、先ほど来お話が出ているとおり、年収二百万以下の方が七割を占める、こういう状況でございます。そこで、民主党においては、消費生活相談員を任期つきの国家公務員として、十年間の任期、この間安心して任務に邁進していただける、そしてその仕事に見合った待遇を保障する、こういうことでございます。

 最後に、御懸念の、各自治体の消費者行政との連携が保てるかどうか、このことについてですけれども、我々は、法案の、消費者権利院法の第五十三条二項にもちゃんと明記させていただいておりますけれども、「地方公共団体の消費生活に関する業務を担当する部局と緊密な連絡を保ち、相互に協力しなければならない。」こういうことをしっかりと明記しておりまして、地方における消費者行政が地域に根差した地方自治体の行政活動と密接に連携を保てるように、この点は十分にやっていきたいと考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ここにパネルで示させていただきましたけれども、すなわち、私どもの権利院というものは内閣の外にある、これはまず総理も御理解をいただけるものだと思っています。

 それから、この権利院と地方の今の現状の自治体、ここから総理にお伺いをしますけれども、当然、その地方の財政状況を上げていく、地方交付税で措置をしたというふうにおっしゃっていただけるんだろうというふうに思いますけれども、ここの、地方自治体の行政部門、これも同時にきちっと上げていかなければいけないものだというふうに私どもは考えています。

 したがって、政府が今、平成二十年度の追加の第一次補正予算、第二次の補正予算、そして二十一年度の本予算、ここにおいて予算措置としてやっていただいているもの、こことこの権利院とがきちっと結びついていくものだというふうに私は思っておるわけでありますけれども、総理が地方においてどのような措置をとろうとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、権利院と関係あるかと言われましたか。(園田(康)委員「はい」と呼ぶ)権利院とは関係ないです。私どもは権利院の話をしているのではなくて、今御指摘のありました、地方に対してしかるべきという点につきましては、国から交付金というものによりまして、今、都道府県に合計百五十億円の基金というものを造成して、消費者行政活性化の取り組みを支援することにいたしております。

 加えて、地方公共団体の自主財源というものをきちんとやっていくために、今回の予算で、消費者行政にかかわる地方交付税を九十億円から百八十億円に拡充するということをいたしておりますので、まずはこういった基金の積極的な活用とか、また交付税措置を踏まえた自主財源の拡充をやらせていただくことによって、今御指摘のありました点、地方の消費生活相談員のきちんとした処遇などなど、御懸念の点は十分に我々としても考えねばいかぬと思っておりますが、直ちにその身分が不安定だからといって一挙に国家公務員にするという考えはございません。

園田(康)委員 そうしますと、総理、この今おっしゃっていただいた地方交付税措置は、人件費に使えるというふうに理解してよろしいんですね。明確に。

麻生内閣総理大臣 地方交付税というものは、地方のいわゆる権限を持っている首長さん、もしくはその団体においてまことに自由に使える金だというのは、御存じのとおりです。

園田(康)委員 それからさらに、二十年度の二次補正におけるこの基金、今、都道府県でこれを造成いたしますけれども、この基金も人件費として使っていいというふうに理解してよろしいですね。

麻生内閣総理大臣 相談員養成のための研修参加者への日当相当を含む支援に活用することは可能というように理解をしております。

園田(康)委員 ということは、研修をするしかそれを使えないということになってしまいます。したがって、先ほどおっしゃった、今の、百五十万円で働いているワーキングプアと言われている消費生活相談員の方々の給料面、人件費として上乗せをするということは、ここは使えなくなってしまっているんですよね。それには使えない状況になっているんです、今、総理がおっしゃったのは。使えないんですよ。先ほど野田担当もおっしゃったんです。ちょっと、ちゃんと理解をしてお答えをお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 地方交付税は自由に使えます。先ほどお答え申し上げたとおりです。しかし、基金に関しましては、今申し上げたように、そのものへの報酬は支援の対象としておりません。御存じのとおりです。直接には使えません。

園田(康)委員 そうしますと、ただ単に百八十億の地方交付税措置、こちらだけしか今回は手当てできなかったということで、私は理解をさせていただいています。

 つまり、今回の消費者庁設置法に基づくその案件は、いわゆる百八十億で地方を整備しようというだけのものでしかなかったんだというところで、私どもはもっともっと、一千億という、先ほど提案理由説明としてありましたけれども、一千億を使って地方をさらに活性化をしていく、そのことを訴えさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 いよいよきょうからこの消費者行政に関する法案を含めた特別委員会の議論が始まったわけでありますが、組織論あるいは権限論というのは、わかったようでわからない。特に国民の皆さん方にはわかりませんので、消費者庁ができたら何でもできるというような雰囲気のお話がございますけれども、具体的事件に即して一体全体どうなるのかということを、したがって権利院だったら何ができるか、消費者庁だったらどうなるのか、これを今からケースメソッドをさせていただきたいと思います。

 ここに、円天事件について、私なりにかいつまんで円天事件の経緯を書いたものを皆さん方に資料としてお配りをしてございます。PIO―NETで平成十二年ごろからこういうふうに苦情というか相談がどんどんと来て、いわば、平成十九年、千二百四十三というところが頂点になっておるわけでありますが、十六年から百二十七、十七年から二百四十七、平成十八年から二百四十九、こういうことであります。

 エル・アンド・ジー、結局のところ、現時点では管財人が、破産手続が開始されたのが平成十九年の十一月二十六日、その前に保全管理命令が裁判所から出ておりますけれども、その破産に基づいて管財人が回収したものが二億二千万円。ところが、エル・アンド・ジー、円天グループが集金したのが二千二百六十億円、対象者の数が推計五万人、これが管財人の報告でございます。

 そこに、平成十八年の二月に円天市場GINZAというのがオープンされた以降、弁護団がつくられたのが十九年十月十日、それから出資法違反容疑で強制捜査が本社に入ったのが十九年の十月三日というふうに書いてございます。

 最終的に刑事事件として平成二十一年二月五日に波ら二十二人が詐欺容疑で逮捕されて、ことしの二月二十六日、組織犯罪処罰法違反で再逮捕されておりますが、こういう経緯をたどった事件で、総理、これは消費者庁ができたら、どの時点で何がだれの手によってできたんでしょうか。後で民主党にも聞きます。総理、答えてください。総理大臣の権限でできることとできないことが法律に書かれているわけですから。

野田国務大臣 消費者庁は、いわゆる円天事件のような利殖商法に対処するため、出資等に関する規制を定める出資法、いわゆる和牛商法等の物品預託契約に関する規制を定める特定商品預託法、悪徳商法等を規制する特定商取引法等を所管することとしております。消費者庁は、経済社会の変化にいち早く対応し、適切な法令を整備すること等により、消費者被害の未然防止の体制整備に努めることになります。また、消費者庁は、みずから所管する消費者安全法や特定商取引法等の執行を通じて、消費者被害の未然防止や被害の拡大防止に関して実効性のある対応をとります。

 具体的には、新法である消費者安全法等に基づき、地方の消費生活センター等からの相談情報等が消費者庁に届けられます。消費者庁は、そこで集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対して注意喚起を行います。また、上記情報を通じてみずから所管する特定商取引法上の連鎖販売取引に関する規制に違反している事実が認められる場合には、同法に基づく指示及び業務停止命令等の発動を行います。このほかに、みずから所管する出資法違反及び詐欺の事実が強く疑われることから、同法違反または詐欺の事実を認めた段階で警察に告発を行うこととします。迅速に対応できることとなります。

仙谷委員 では、民主党の方で答えてください。

小宮山(洋)議員 マルチ商法を初めとする悪徳商法への対応につきましては、被害者の皆さんは、その発生、拡大を防止すると同時に、違法に得た収益を剥奪して、それで損害賠償をしてほしい、救済をしてほしいということを強く要望しているところですので、私どもは、消費者団体訴訟法案にそれがきちんとできる仕組み、消費者権利院と連動してできる仕組みを盛り込んでおりますが、政府案には全くこの部分が盛り込まれていないということは、消費者の皆さんが望んでいらっしゃる大きな柱が欠けていると言わざるを得ません。

 この円天事件の経緯に照らしてみますと、現金の配当が停止された平成十九年の二月までには事件が顕在化しています。この時点までに、消費者権利院は、全国各地の地方消費者権利局の消費者相談窓口で、被害を受けた消費者に接することになります。そして、消費者権利院の全国ネットワークを通じて相談内容が共有され、問題の広がり、被害の大きさを全国的に認識することができます。

 消費者権利官は、これを受けて、速やかに事業者に対しみずから立入調査を実施すること、これによって、エル・アンド・ジーの事業が組織的詐欺であるということが解明されます。

 こうした調査によってその悪質性を認識して、このまま放置をすると財産が散逸し、被害者の救済ができなくなるおそれがあると考えられますので、消費者権利官は裁判所に対し、エル・アンド・ジーの財産保全命令の申し立てを行い、その財産が差し押さえられます。これによって、被害者救済の原資が、かなりの額、保全されることになります。

 また、消費者権利官は、その悪質性、緊急性にかんがみて、行為の禁止または停止命令の申し立てもあわせて行い、新たな勧誘行為が裁判所の命令によって禁止されることになります。こうしたやり方で新たな被害の発生は防止されることになります。

 整理しますと、被害顕在化から立入調査、そして財産保全命令及び行為の禁止、停止命令に至るまで、およそ一カ月程度で緊急的に取り組むことができると考えます。

 これと同時並行的に、消費者権利官は、適格消費者団体に一連の情報を迅速に提供し、その情報に接した適格消費者団体が損害賠償等団体訴訟を提起することになります。その結果、被害者には消費者権利官の申し立てを受けて発せられた財産保全命令によって凍結されていた財産から賠償金が支払われ、可及的速やかにその被害が回復されることになったと考えます。

 また、損害賠償等団体訴訟には、必要に応じて消費者権利官が訴訟参加することによって訴訟が迅速に進み、一年以内に損害賠償を命ずる判決が下されることも十分可能になります。

 ちなみに、今回、回収できたのは、被害総額二千二百六十億円に対してわずか二億円しかありませんでした。また、被害対策弁護団は、この件の破産手続費用の予納金として二千万円を納付したということですが、消費者権利院が関与する一連の財産保全命令などの手続では消費者の皆さんにこのような負担が生じることはなく、私どもがつくったものであれば速やかに対応できると考えます。

仙谷委員 時間がありませんので、もう一点だけ総理大臣に聞きますが、総理大臣、いいですか。事業者に対する勧告、命令、譲渡等の禁止または制限、回収等の命令というのが、内閣総理大臣が、商品または役務が消費安全性を欠くことにより重大事故が発生した場合にはそのような措置をとれる権限があることになっているんですね。

 これは、民主党の資料にも出してありますが、消費者の経済的な利益、つまり個別契約における利害侵害の問題、市場取引における利害侵害の問題、この二つの範疇の消費者問題については、今私が申し上げた権限、事業者に対する措置ですね、勧告、命令、譲渡の禁止または制限、回収等、これは権限が及ばない、つまりできませんね。イエスかノーかだけでいいです。

 もうちょっと法律を勉強してきてもらわなきゃ困る。そういうことは総理大臣はできませんねと言っているんです。

麻生内閣総理大臣 できません。財産に関する話でしょう、これは。(仙谷委員「はい」と呼ぶ)できません。

仙谷委員 終わりますが、極めて法律違反の重大な発言でありますから。つまり、重大事故しかできないというふうに書かれているんですね、法律には。重大事故は、生命、身体の安全に関することです。財産については書いてありません。そんなでたらめなものをつくって解釈をしようとする、危なくてしようがない。これはきちっと……(発言する者あり)いや、でたらめなんですよ、今のあなたの講釈は。できるというのは極めてでたらめ。できないと書いてある。できるようには全く書かれていない。(発言する者あり)できない。できないでしょう。では、できないんだったらできないでいいです。よろしいですか、はっきり答えてくださいよ。(発言する者あり)

船田委員長 少々静粛に願います。

 もう一度正確にお答えをいただければと思いますので。

麻生内閣総理大臣 先ほどお答え申し上げたとおり、できませんとお答え申し上げました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、麻生総理に、消費者庁設置法案などを考え出された出発は、輸入ギョーザや三笠フーズ事件を初め、やはり輸入食品の残留農薬あるいはカビ毒など食の安全に対する国民の不安から始まったというふうに思うんですが、最初、これについて伺っておきます。

麻生内閣総理大臣 いきさつを吉井先生は聞いておられるのですね。消費者庁の発想のもとは食品からかという御指摘ですか。

 これは正直申し上げて、私がこの種のことに最初に関心を持ったのはカネミ油症事件です。私、実は選挙区が近かったものですから、これは私にとりまして、悲惨な話でしたので、非常に関心を持ったのが大分前のことで、まだ解決しておりませんので、これがそもそものもとであったと記憶しています。次は、多分、先ほどどなたかが言われたエレベーターの話だったと記憶しますが、いずれにしても、昨今の輸入ギョーザの話、それから、たしか肉のだんごの中に段ボールが入っていたという話もありましたね。

 そういった意味で、こういった、輸入米の話を含めて、輸入食品というものはかなり、日本における国内生産というものをきちんと管理してやった上でもこういったものが起きるという事態、しかも食料ですからかなり広がるということが、私にとりましては今回これは事は急ぐという気にならせた非常に大きなもので、多分福田前総理も同じようなお考えを持っておられた、あの当時お話をしたときにそう記憶をいたしております。

 たしかあちらの場合はもう一個、産地の偽装の話を群馬県としていろいろ言っておられましたので、このようなことが今回の法案提出に至った直接の背景だと存じます。

吉井委員 それで、福田総理もみんな、これは所信表明の中で、食品表示とか中国製ギョーザ、食の偽装問題ですね、これからだということをちゃんと言っておられるわけです。

 私、三菱総研の研究レポートといいますか調査報告を読んでいまして気がついたんですが、二〇〇八年一年間を通じた最も怖いと感じたニュースについて、設問で挙げた三十七のニュースのうち何が一番怖かったかというので、中国製ギョーザ農薬混入問題が第一位なんです。第二位が世界金融不安なんです。つまり、金融不安よりも食品安全の問題の方が国民にとっては物すごく危機に感じているというのが大事なところです。

 そこで、総理のところにもグラフを置いておきました、ごらんいただきたいんですが、消費者重視、消費者主役と言うのならば、やはりまず食の安全に総理として一番全力を挙げて取り組んでいくということが必要だと思うんです。

 ところが、このグラフを見ておわかりのように、輸入食品の検査率の方です、一九八九年の大体一八%ぐらいあったものが二〇〇一年には七%へと、半分以下なんですよ。今ようやく少し持ち直して一〇%ぐらいですが、輸入検査率というのは極めて低いんです。

 これに輸入量を掛けなければ問題がはっきりしませんけれども、届け出検査数は左軸の方です。今度は大体七十万件から百八十万件ですから、大体三倍ぐらいにふえているんです。これは届け出件数なんです。数量の方もあります。私、数量も調べました。一・五倍にふえているんです。つまり、輸入食品検査にかかっていない九割の食品が食卓にそのまま上がり、どんどんどんどんふえている、これが現実の姿であります。そうしたら、この輸入検査率を政府として計画的に引き上げるのが当たり前じゃないですか。

 ところが、昨年五月二十二日の参議院農水委員会で、我が党の紙智子議員が検査率を五〇%以上に高めるべきじゃないかと質問をいたしますと、これは総理の方に資料もお届けしておきましたけれども、こういうパネルも皆さんに見えるように持ってきましたが、ちゃんと表を置いておりますが、「私ども検査率そのものを特定して設定していくという考え方はこれまで取っておりません」と。つまり、検査率を引き上げるつもりはないとはっきり答えているんです。

 総理はこの答弁についてどうお考えになられるか、伺います。

麻生内閣総理大臣 今、吉井先生の御指摘のありましたとおり、食品に関する関心の方が経済危機よりでかいという御指摘は、私も感情としてはよく、自分の腹の中に入る話なので、これはそちらの方がよほど関心としては高いだろうな、私自身もそう思います。こういう立場じゃなかったら多分食べ物の方が直接関心があったんじゃないか、私自身もそう思っております。

 加えて、食料自給率が御存じのように極めて低いという状況の日本の中において、これはいろいろ検査をしていくところですが、今、御存じのように、大量に多種多様なものが実に多くの国々から日本に輸入されてくるようになりましたものですから、食品群ごとにいわゆる違反率などというものに応じて抜き取り検査とかいろいろ検査をやっているんだと思っておりますが、こうした検査は、今言われたとおりに、全体の約一一%ぐらいしか対象になっていないというのも事実だろうと思っております。こういったものは統計学的な観点から決められたものだと聞いておりますけれども、国際標準には合致しておる、そのように理解をしております。

 ただ、昨年の中国産のギョーザ事件の後を受けて、加工食品の検査の充実というものに関しては、これは実効性の高い監視を行う必要がある……(吉井委員「総理、そんなのようわかっています」と呼ぶ)わかってまんの。どこが一番わかりまへんところですか。

 少なくとも、検疫所の人員の拡充というところやら何やらが一番御関心かと思いますが、検査機器の整備、また検疫所の人員の拡充というものは、これは必要だと思ってやらせていただこうと思っております。二十一年度の予算にも既に一部のっております。

吉井委員 これは、一昨年の秋に最初に福田総理が消費者庁のことなどを口にされたときから、福田総理も輸入食品の監視体制を強化しますとはっきり言っていることなんですよ。それぐらい大事な問題ですから、麻生総理は、この検査率を大幅に、六%や七%とかちびちびの話じゃなくて、大幅に抜本的に引き上げる、そのお考えがあるかどうか。あるかないかだけ伺います。

麻生内閣総理大臣 先生、抜本的と言われるとまた定義が難しいので、これはなかなかうかつに、おまえ、あのとき抜本的と言うたやないかと言われると、話がちょっと忙しくなりますので。

 少なくとも、平成二十一年度は二十七名増員することにしておりますので、今後とも、この検査の方向というのは、ふやす方向で検討するべきだと思っております。

吉井委員 機器の充実だとかそういうことも当然なんですけれども、一番の問題は、結局、輸入食品検査官が少なくて、図一のように検査率が半減している、食品の九割が国の検査なしに食卓に上がっている、これが大問題なんです。絶対量で一・五倍もふえております。現在、検査官は三百四十一人ですが、東京、成田、関空を除いたら、北海道はたった五人ですよ。広い北海道で、国際航路もいろいろある中で、五人しかいない。だから、ほとんど検査なしでたくさんの輸入食品が入ってきて、日本じゅうに回っているんです。

 これをやはりチェックする体制をふやしていく上では、二十七人とおっしゃったけれども、せいぜい六、七%のもので、志が小さ過ぎるんですよ。少なくとも十倍の三千人規模にしようと思ったときには、現在の自衛隊の人件費一兆八千五百九十七億円からしても、わずか一・五%。国民の安全保障にとって最大のものは食の安全保障でしょう。そのことになぜ金を使おうとしないのか。ここが一番求められていると思うんです。

 だから、私は、この問題については、抜本的に増員して、せめて検査率を五〇%近くに引き上げるということをやらなかったならば、食の安全だとか消費者主権だとか言ったって始まらないじゃないか、そのことに真剣に取り組む必要があると思うんですが、総理に伺っておきます。

麻生内閣総理大臣 まことにごもっともな御指摘だと思います。

 吉井先生、人員と機器の話、機械が随分発達したせいもありますが、人員と両方やらぬと、ただただ人をふやしてというのは、くみするわけではありませんが、基本的に検査をきちんとして、もって国民の安心というものに寄与する。当然のことだと感じております。

吉井委員 食の安全に努めるということが今最も必要なことだ、こういう立場でこれからも質疑に臨んでいきたいということを表明して、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 消費者庁の設置ということについて、これは、総合的、統一的な消費者行政を担保するために貴重な一歩を踏み出したというふうに評価をしております。しかし、消費者庁という名前を冠した役所を設置するだけでは、これを担保したことにならないというふうに思うんですね。

 そういう意味では、民主党案についても私ども一定の理解はしています。それは、ある意味では、与党案には入っていますが、消費者政策委員会の機能強化をするということも一つの考え方としてあっていいのではないかというふうに私たちは思っているわけです。

 そこで、消費者庁が横並びで、各省庁に物が言えない役所であっては全く意味がないわけでありまして、そういう意味では、関係官庁が消費者庁の指示に従ってどれだけ協力することができるのか、動くことができるのかということが大変重要になると思うんです。そういう意味では、各省庁の消費者庁への協力義務、これは明記しなきゃいけない、法律で定めるということも当然必要となると思うんです。この辺は総理の指導力を発揮してぜひやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

麻生内閣総理大臣 日森先生、消費者庁というところは、これは基本的には消費者行政の司令塔ということになりますので、その機能を果たしていくためには、当然のことですけれども、今回できます消費者庁設置法というものやら消費者安全法というようなものによって、関係の行政機関、事案ごとに違うと思いますが、今度いろいろ関係してくる行政機関に対して資料の提出、説明など協力を求めるのに加えまして、当然のこととして、それに対して必要な措置というものを迅速に実施させしめ、そして、その措置の実施状況について報告を求めさせるというものを法律で担保されることになります。

 これらのことは、特段の事情がない限り関係行政機関というのは対応せざるを得ないということになりますので、これは法律でそのようにいたしておりますので、今御指摘の点を踏まえて迅速に対応ができるように努めたいと考えております。

日森委員 それから、私たちは、消費者行政の本丸は地方自治体にあると。これはもう皆さんおっしゃっていることなので当然といえば当然なんですが、そこの実態が、きのうも本会議で申し上げました、極めて厳しいと。

 きょうもいろいろな委員からお話が出ておりますが、自治体の消費者行政予算合計、ピーク時の平成七年度の二百億円から今半分になっちゃっている、百八億円になっている。人員的にも、担当職員が一万三千六百六十四人から一万二百十二人に減っちゃっている。これは、総理が地方が疲弊している、疲弊しているとおっしゃっているので、このことを見事に反映していると思うんですね。

 そういう意味では、ここをどれだけ強化できるのか、ここに本当に実態としてさまざまな意味で権限もきちんと持たせて、ここが本当に消費者の期待にこたえる機関としてきちんと仕事ができるのかということが最大の課題だと思うんです。

 しかし、残念ながら、今お答えいただいたような基金の問題だとか交付税の問題とか、これではとても、地域で、まさに消費者行政の本丸である地方自治体の消費者行政をきちんと構築することはおぼつかないというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 その意味で、改めて、どういうふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思っています。

麻生内閣総理大臣 今、日森先生の御指摘がありましたように、地方の消費者行政というものにつきましては、言われたとおり、予算やら、また事務職員の数は減少傾向にあることは否めない事実であります。

 この背景は、やはり財政事情が厳しいというのが一番大きな理由なんだと考えておりますが、こうした流れというものをとめる、反転させるためには、ある程度きちんとした財政の裏づけがないとなかなか難しい。知事が幾ら意識があってもなかなか市長さんの言うとおりにはならないということだと思いますので、いわゆる生活相談員とか地方公務員、地方公共団体の事務ということを明確に位置づけたとしても、やはり金がないとできないという話にきっとなっているんだと思っております。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、地方公共団体の自主財源というものは、やはり一番地方が使いやすい金というのは交付税、特別交付税、地方交付税でありますので、この地方交付税を、今回、約九十億円から、この部分に関して百八十億円に拡充するというようなことをいろいろして、今指導をいたしておるところで、これが行っても、もっと金がないからほかのところに使われちゃったりいろいろするのはきっと出ると思いますよ。もう千八百あるんだから、それはいろいろあるとは思いますよ、地方によって地域に差がありますから。

 しかし、それは、知事なりまた総務省なりがそういったところはきちんと、消費者庁ができて、それにあわせて、地方で一番関心があるのは、先ほどのお話にもありましたように、やはり最大の関心は、景気より食料とか食べ物の安心、安全というのは関心が高いというのが国民の世論としての実態というのを踏まえれば、これは、きちんとやらなければならない責任は、首長さん、おたくにはきちんとした法律もできた上に、それに支援するだけの財政支援も行ったでしょう、きちんとそういったものを使ってやってもらわなければということは、我々としては指導していかねばならぬ大事な観点だと思っております。

日森委員 相談員なんかの数が減っちゃっているわけですから、これはもう国の方で、人口などを基準にして配置基準をきちんと定める、置かなきゃいかぬよ、そういうことにする。まあ、小さな市町村は共同でやっても結構ですが。そして、一〇〇%補助金でこれをしっかり支えていくというぐらいのことを考えないと、実際には地方の消費者行政などはとてもできません。そういうことについてもぜひ検討いただきたいと思います。

 突然の質問で申しわけございませんが、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 ちょっと、突然の御質問だったので。

 今言われたように、大都市圏とか政令都市とかいうところ以外の小さな町村というところにおいては、地方公務員の絶対量が足りないというふうに多分なっているんだと思っております。とにかく緊急的な話でもありますので、これは、今言われましたように、ある程度町村ごとにその分だけ合併してやるとかいろいろなやり方があるんだと思っておりますので、相談員の養成を含めて取り組まねばならぬところだと思っております。

日森委員 もう時間がありません。これもちょっと通告していないんですが、総理の率直な気持ちをお聞きしたいと思うんです。

 大変重要な消費者庁という役所ができて、役所だけじゃだめなんですが、初めて消費者行政を本格的にやっていこう、権利それから義務、利益を守っていくんだということですから、これは、与野党が一致できるところは本当に一致をして成立させていかなきゃいけないというふうに私は思っているわけです。

 しかし、きのう、野田大臣は実に冷たい答弁をされました。実に冷たい答弁で、ベストであるから一日も早くこの三本を通してほしい、こうおっしゃったんです。政府にとってはベストかもしれないけれども、本当に国民、消費者の側から見ると、いやいや、まだ足りないぞというところがたくさんあるんですよ。

 というところについてきちんと受けとめて、さらにすばらしい、本当に消費者の利益を擁護できる、権利さえ擁護できる、そうした消費者庁にしようという思いは、総理、ございますか。(野田国務大臣「ちょっと私が」と呼ぶ)いやいや、あなたはきのう聞いた、大臣はきのう聞いた、冷たい答弁を聞いたから、温かい答弁をきょうは総理にお伺いしたい。

野田国務大臣 冷たく響くようでありましたら、まことに申しわけなかったと思います。

 先日も、福島みずほ党首、わざわざ消費者庁創設に向けての申し入れもいただいたところで、ぜひとも先生を通じて、与野党いろいろうまくいくようお取り計らいを願いたいと思います。よろしくお願いします。

麻生内閣総理大臣 これはもう既に委員会に付託をされておりますので、政党間協議ではなくて、これは現場の委員のレベルで、きのうだか、雇用法の関連法ができたのと同じように、現場でやっていただく話になるんだと思っております。

日森委員 ありがとうございました。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 きょうから本格的にこの議論が始まるわけでございますが、麻生総理は、さきの国会の所信表明演説において、いわゆる事故米の流通の問題に関しまして、流通させた企業と見逃した行政について、処断とそして反省をした上で、再発を絶対許さないために全力を挙げていくんだということをおっしゃられたと思います。その後、これは総理は満足されているかどうかということはわかりませんけれども、農水省では実際、関係職員の処分も行ったわけでございます。

 今、米の流通のシステムの見直しというのも行っているというふうに聞いておりますけれども、まずこの点について、総理は、御自分で所信表明演説の中でおっしゃられたわけですから、この農水省の処分やこういうものに対するこれからの見直しについて、御満足をされているのかどうか。(麻生内閣総理大臣「農水省」と呼ぶ)はい。総理が所信の中でおっしゃられたわけですね。農水省の事故米の流通問題に対しての処分であったり、そういうことをしっかりとしていくということをおっしゃられていると思うので、そのことについて、まずは納得をされているのか。

麻生内閣総理大臣 これは糸川先生、この種の問題が起きたときの答えに百点という答えはないんだと思いますが、少なくとも、従来の農林省の対応とかこれまでの行政の対応に比べれば、石破大臣のもと、かなり迅速にやった方だ、私はそう思っております。

 結構それなりに厳しい反応をばんとやってのけたというところは、いろいろ御相談がありましたけれども、思ったとおりやってくださいというお話を申し上げ、そのとおりしていただいたと思っております。

糸川委員 また、すき間という部分で考えますと、例えばコンニャクゼリーという問題が非常に大きく出ておりますが、昨年の十月の消費者安全情報総括官会議、こういうものにおいて、コンニャクゼリーによる窒息事故の再発防止についての申し合わせというものもなされたわけでございます。

 ただ、農水省について言うと、事故米の問題が発覚する以前に、BSEの問題もございましたね。その反省が実際生かされていたのかな、この事故米の問題も考えて、反省というものがあったのかなというふうに言わざるを得ませんし、コンニャクゼリーの事件、これについて言えば、十年以上前から死亡事故例というのが国民生活センターにおいて公表されていた。ただ、その中で対策が進んでいなかった。いまだにこれもすき間の事案というふうにされているわけですよね。

 昨年来の事故米の問題であったりとかコンニャクゼリーの事件での政府の対応、こういうもので、政府側の意識の持ち方によっては、消費者庁を設置していない今の現時点であってもしっかりと対応できるというふうにも思えるわけです。

 そういう一方で、権限がありながら、例えば事故米問題に対応できなかった農水省であったりとか、コンニャクゼリー問題をすき間事案として十年以上放置してきてしまったという行政の不作為、こういうものを見ると、今回の消費者庁設置というのが、役所の体質が変わっていないのにこういうものをつくって本当に国民本位の行政への転換になるのかなということを、ちょっと不安も持っているわけでございます。

 そこで、総理が、消費者庁の設置によって、食の安全やすき間、こういう事案が解決できて、本当に国民の安全と安心が確保できるというふうにお考えなのかどうか、これによって国民の生活がどのように変わっていくのか、この点についてお答えをいただければと思います。

麻生内閣総理大臣 糸川先生、物すごくいい指摘というか、多分、今回の問題で一番肝心の指摘はそこなんだ、私もそう思っております。

 少なくとも、今回は事業者側だけじゃなくて生活している方、消費者側、使用する側に立って今度消費者の行政を進めるということが重要なんですが、この種の話をよくすると、いわゆる組織論ありきみたいな話でスタートしかねないところがあります。改革がいつの間にか目的になったりしますから。改革は単なる手段であって目的じゃありませんから。

 そういった意味では大事なところなんであって、消費者を守るための行政への、行政側に立った価値観というものを大幅に変換、転換するというのが今回の消費者庁をつくるという改革の目的です。これが目的ですから、いわゆる消費者を守るための行政というところをやらないかぬ、これが目的ということになろうと思います。そのための器がいわゆる消費者庁なんだと思っております。

 したがって、器ができたものが、今言った消費者を守るための行政たる器になったけれども、実際それがきちんと実践されていけるかいけないか、これはかかってそこに奉職する行政官の志であったり矜持であったり使命感であったり、また、それをきちんと実効あらしめるように立法府としてもきっちり監視するということが大事なんだと思っておりますが、いずれにしても、これが第一歩になり得ることだと思って、私は期待をいたしておるところでございます。

糸川委員 実際、箱をつくっても、やはり職員の気持ちというものが変わらないと、隠ぺい体質であったりとかそういうものが続いているのであれば、幾ら、消費者庁をつくる、民主党の案の権利院をつくる、そういうものをつくったとしても何ら変わらないのかなということも不安として思っているわけです。

 例えば今回の事故米の問題であったり、それからコンニャクゼリーの問題であったりというときに、では、その現場の声というのはどこから出てくるかというと、やはり地方から、消費者の方から一番最初に接する地方の行政であったりというところに声が最初に届く。

 そこで、これはちょっと総理に通告していないところでもあるんですけれども、例えば人口が少ない地方なんかでは、特に消費者行政として窓口になっていく地方公共団体と消費者庁との関連というのは、非常に関係がうまくいかないと消費者庁というのは絶対機能しないわけですよ。

 そこで、総理の今回の意気込みというんでしょうか、施政方針演説の中でも、これは絶対成立させていただきたいんだということの意気込みもありましたので、地方で、特に人口の少ない地方はこの相談員というのを専門に置くことすら難しいかもしれない、そういうところとの格差をどういうふうに考え、そして、消費者庁の中でこの問題に対してしっかりと対応するんだというその意気込みもしっかりお聞かせいただいて、日本全国あまねくこの消費者問題に対して対策が打てるということをここで表明していただきたいなというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 すごくいい指摘だと思います。

 これは、限界集落を含めて結構私どもの選挙区も似たような問題がありますので、これは当然のこととして考えておかねばならぬ大事なところだと思っております。

 たしか、消費者庁は電話を統一していくんだと。それは最初にその話をしましたので、いや、メールとか言うから、メールができないおじいさん、おばあさんはどうするんだ、せめて電話だという話をした記憶がありますので、多分、電話でなっているんだと思っておりますが。現実に、何人かにちょっと聞いてみたんですけれども、聞くと、やはり最初に聞くのは、それは村長に聞くと必ず言うね。村長に聞くわと言って、大体御年配の方は皆、三人に聞いたんですが、三人とも同じ言い方だったのが印象に残りました。いずれにしても、一番頼りになるところはそこなんだと思っておりますので、受けた村長は、基本的にそれをもとにして電話なりなんなり対応していってもらうというのが現実的なところだと思います。

 いずれにしても、こういったものがきちんとした形で、地域が異なるがゆえにそういった被害に対応できなかったということは避けたいと思っております。

糸川委員 地方の実情というか、人口はこれから少子高齢化が進んでいくと特に過疎地域というのがふえてくると思うんですけれども、そのときに、やはりその地域だから仕方がなかったんだということがないように消費者行政を進めていただければなというふうに思います。

 終わります。

船田委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 大臣もそれから野党の提案者の皆さん方も大変にお疲れでございます。テレビもこれでとまったと思いますから、落ちついた議論をしっかりやりたい、そういうところでいつも私は発言をさせられるわけでありますけれども、しっかり充実した議論を進めたいと思っております。

 私は、最初に、きょうは初めて、入り口でありますから、個別の議論も大変気になる点がたくさんあり、厚生労働委員会に所属しておりますから、先ほど大臣からお話がありました、きょうは、雇用保険法、与野党で修正合意をいたしまして、仕上げてこの委員会に来させていただきまして、したがって、医療の分野であるとか消費者行政に格段の思いもあり、しっかりそこは議論させていただきたいと思います。

 きょうは、まず、総論として、行革の観点から、大臣それから野党の提案者の皆さんのお話も聞いてみたい、こう思っているわけであります。

 私も、長い間行革に携わってまいりました。我が国の行革は、第一次臨調、そして一九八一年から始まりました第二次臨調、それから中央省庁等の改革、統廃合がございました。あの省庁合併、大変な思いをしたわけであります。そして、大臣も随分お悩みになったと思います、郵政民営化。一緒に随分議論したことを覚えているわけでありますが、その後の行革国会、行革推進法などなど、私は、いろいろな批判もありますけれども、時代に即した我が国の政府のあり方、あるいは公務員のあり方、模索が続いてきた、こう思っております。

 行政改革の理念も、伝統的ないわゆる無駄ゼロといいましょうか、あるいは倹約というようなことから、官から民へ、本当にどこでも言われる言葉でありますが、あるいは国から地方へというようなキャッチフレーズで語られたように、そんなこともございました。

 さらには、政治改革ということがこれに加わって、政治主導ということ、政治家主導ということ、ただいまも公務員制度改革、その点で大変頭を痛めているわけでありますが、激しくおっしゃった大臣は今自民党を去っておられるわけでありまして、この作業をやると複雑な思いに我々公明党もなるわけであります。

 私は、今はまさに二十一世紀型の行政改革が求められている、そういう時代だと考えて、私自身も作業に入っているわけであります。

 こうした一連の我が国の行革の流れを見ますと、消費者行政推進の担当大臣であります野田大臣として、今回は消費者庁関連三法案、この任に当たる、こういうことでございますが、どんな感慨を持っておられるのかな、一回聞いてみたいなと前から思っておりました。あわせて、御感想と同時に、一連の行革、今日まで営々と続けてきた行政改革の中で、今回の消費者行政を一元化するというのはどういう位置づけになるのかというようなことを大臣の口からお聞きしてみたい、このように思っております。

野田国務大臣 いろいろと御配慮いただき、ありがとうございます。

 行政改革というのはいろいろな幾つかの流れがございまして、まずはやはり時代の国民の声に政府がしっかり対応していく、常に変身をしていかなきゃいけない中にいろいろな行革の歴史があったと思います。

 また、それと同じ流れで、行政が肥大化をしてはならない、官製の国家ではなくて、極力民が活発に動けるようなことをしなきゃいけないというので、行政の肥大化はだめだ。

 そういう観点の中で、今回は、やはり国民のニーズというか、悲鳴に近い形で、消費者被害が多発する中、これまで食品から製品、サービスに至るまで数多くの消費者被害が発生する中、後手後手に回ったり被害が拡大するさまざまな要因の一つの柱には、今の行政のあり方そのものに問題があったんじゃないかと問われています。

 一つは、総理がおっしゃっている、縦割り行政のもとで、それぞれが所管している法律では想定できなかった事案が発生した場合には、たらい回しになってしまって、その結論を得ることができない。もう一つは、そもそもが生産者とか産業の育成官庁として育ってきた役所の中で、後発的ではありますが消費者の権利を守るためにさまざまな消費者関連の法律ができるけれども、やはり同じ屋根の下にいるとなかなかやりとりがやりづらい。そういう中で、時間が経過してしまう中で被害の拡大がふえてきた。

 そういうことを含めた上で、ここは新たに、一つの、時代の行政改革として、消費者がこの国ではどこよりも安全、安心で暮らせるという国家目標のもと行革をするんだ、環境庁がかつてできたように、消費者庁をつくることによって、日本の国で初めて消費者、国民と向き合うパートナーとしての行政組織をつくることによって、国民本位へ行政を大きく転換させる取り組みだと思っているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 まさに、二十一世紀型行政改革の一環として、国民に向き合う省庁、今までの役所の価値観を思い切って変えていく、そうした改革としてどうも大臣は位置づけておられる。私も、その感想は是としますし、全く同じ思いでおります。ある意味では遅きに失したといいましょうか、郵政民営化よりもこっちの方が先だったかもしれないなと思うぐらい大事な作業だろう、こう私は思っております。

 そういう意味で、野党の皆さん方、特に枝野先生は論客でございますが、今の私のような問題意識、行革の一連の流れ、あるいは二十一世紀型の行政改革という観点でこの問題をどのようにとらえておられるのか、お尋ねしてみたいと思います。

枝野議員 先生も行政改革を熱心にこの間やっておられますが、私も、当選一回のときから、当時の自社さ政権の与党の行革プロジェクトの座長を一回生でやらせていただいたりして以来、行革は私のライフワークの一つでございます。

 そうした観点から、二点、私どもの提案は、やはり一連の行革の流れから考えてきております。

 一点は、この間、私が関与してからでも十五年ほどこの国の行政改革の努力を続けてきているんですが、十五年たっても相変わらずしているというのはどういうことかというと、やはり行政の無駄などをきちっとチェックをし尽くすことができないということになっています。

 この間、行政の内部において行政の無駄をいかにチェックするのかという観点で、内部チェック的な仕組みというのは何度か模索をされてきましたが、しかし、内部からのチェックではやはりなかなか物事が働かないというのは、行政改革の分野においても、この間出てきている、明らかになっている結果だろうというふうに思っています。

 どうしても行政の、霞が関の内部というのは、内閣一体の原則がございますから、外に話が出てくるときまでに事前の役所間の調整、課長補佐ぐらいの人たちのところから始まって、問題が大きくなってもできるだけ事務次官の調整で話をまとめてしまおう、こういうことが役所間の行政の無駄を役所の内側でチェックをさせようということをなかなか困難にさせている。

 そうした認識に基づいて、行政をしっかりと機能させるためには、行政の内部ではなくて、事前の内部調整の対象にならない仕組みの中でチェックをしていかなきゃならない、こういう行政改革に対しての一般的な問題意識がありまして、いわゆる無駄遣いチェックという意味では、私ども、行政監視院というのを過去にも提案させてきていただき、今もそういう主張をしておりますが、そういう視点に立って、消費者行政の観点からも各省庁の行政をしっかりと消費者目線でやらせる、チェックをさせるというのは外部からやらないといけないのではないかというのが一つの視点であります。

 それからもう一点。長年の行革の流れの中で、この間やはり問題があったとすれば、例えば、横並びで予算を削ればいい、横並びで人員を削ればいいという傾向が若干あった。あるいは、削るためには横並びでないとやりにくい、こういう傾向があったのは間違いないだろうというふうに思っています。何しろ裁判所まで行政庁におつき合いをして、毎年毎年、一定数削減した上でその分補う以上の増員をするみたいなばかなことを、何で裁判所がつき合うのかわけがわからないんですが、というようなこともやってきています。

 ところが、今求められているのは、社会情勢の大きな変化と行政の役割の大きな変化の中で、減らすべきところは大胆に削り、しかし必要性が高まっているところはむしろふやさなければならない、このめり張りがこの間の行革の中で若干欠けてきたというふうに思っています。

 今回、私どもは、消費者権利院で人員がふえます、人員がふえますけれども、基本的に任期つき公務員という形で、キャリア公務員システムによる組織防衛の理屈とか、それによる人件費等の無駄遣いの生じないような形で、必要なところに必要な人員を、そしてその人たちに、必要最低限と言っては申しわけないんですけれども、その人たちが安心して仕事ができるぎりぎりの財源だけは確保するという形で、行政改革で無駄を削るという流れに沿った、しかしながら必要なところにはしっかりと人員を確保する、こういう提案をさせていただいています。

桝屋委員 ありがとうございました。

 枝野先生とやっていると私はあと一時間ぐらい時間が要るなと思うのでありますが、今のお話は多分私が想定したような答えでありました。

 私はあえて、今回の民主党の皆さんがお出しになっている法案を意識して聞いたわけではないんでありますけれども、二つお答えになりました。

 民主党の皆さん、枝野先生から見て、今の行政の姿というものは十五年全く変わらない姿、したがって、やはり行政とは別の世界でというお気持ちはわからぬでもありません。ただ同時に、どうも僕は、民主党の皆さんを見ていると、役人はもうどうしようもない悪であって、あそこと一緒にやっている限り、絶対に国民にプラスになるような世界はできないと思っておられるんじゃないかというふうに思えてなりません。しっかり連携をしなきゃいかぬということもあるんだろう、こう思っております。

 それから二点目にお答えになった話も、予算の姿、あるいは今までの行革の中で総人件費改革一律にというようなこと、これはもう少し工夫の余地があるというふうにおっしゃったわけで、そういう意味では、選択と集中ということで大胆にやってきたつもりでありますが、まだまだ御納得いただけるレベルでない、こういう御批判かなと聞かせていただきました。

 そこで、これから野田大臣と何点か確認をしたいんでありますけれども、二十一世紀型の行政改革ということがきょうの私のテーマなんでありますが、そうした観点から、今回の法案は、消費者行政の一元化というものは時宜を得たものかどうかということを確認したいわけであります。

 平成九年十二月、行政改革会議最終報告では、二十一世紀型行政改革として追求すべき仕組みあるいは特性として必要な四点が挙げられております。一つは総合性、戦略性の確保、二点目は機動性の確保、三点目は透明性の確保、そして四点目に効率化、簡素化の追求、この四点がまさに二十一世紀型の行革として求められるんだろう、こういうことが挙げられているわけであります。

 私もそのように思っている一人でありまして、そういう意味では、本日は、この行政改革会議の最終報告書の理念に沿って、今回の政府案について確認をさせていただきたいと思っているわけであります。

 最初に、もちろん消費者行政推進基本計画、この中でこうした理念が生かされているというふうに理解をした上でお尋ねをしたいと思っておりますが、まず、総合性そして戦略性ということでありますけれども、果たして、大臣、今回のお出しになっている三法案で、この総合性、戦略性ということは国民に十分説明できるだけの確保がなされているかどうか。総論でありますが、まずお答えをいただきたいと思います。

野田国務大臣 そもそも、これまでの日本の行政組織の中に国民、消費者と向き合う場所がなかったということが問題だったと思います。その結果、被害が拡大し、先ほどもお答えしましたけれども、一年で約三兆数千億円という被害。これがもし良質な事業者に回っていれば、この国で良質な市場形成ができた、大変プラス材料になったはずですけれども、そういうことが行われている。これをやはり速やかに解決していかなきゃいけないのが二十一世紀の日本の大きな課題だと思っています。

 そんな中で、何が問題であったかというと、行革が進められる中、努力はしてきたけれども、先ほども申し上げたように、被害を発生する者と被害を受ける者に対して一つの役所がそれぞれ法律を持つ。とりわけその被害を受ける消費者の方は派生的にできている場面が多く、なかなか機能がいかなかった。または、法律に限られたことしか行政はできませんから、コンニャク入りゼリーのような、想像できなかったことに対しての対応が全くできない。そういう意味では、戦略的に動けなかった。

 官僚が悪いとか官僚機構が悪いという以前に、仕組みそのものが動きづらい、やりづらいような状況になっていたとするならば、そこをやはりしっかりと切り離し、分断し、消費者のために中核となって、政府の中で司令塔たる消費者庁というのが必要であると思いますし、また、それぞれの役所が法律がない中で発生した事案について、やはり迅速に対応できる機動的な組織が国民にとって今必要だと言われています。

 そういうことで、戦略的には、先ほどの総理のお言葉をかりるわけじゃありませんが、一〇〇%というのはなかなか難しいけれども、とにかくまずは始めていかなければならない大きな行政改革だと信じています。

桝屋委員 ありがとうございました。

 まさに消費者を主役とする政府のかじ取り役ということで一元化を図りたい、こういうことでございます。したがって、まさに二十一世紀型の行革として、総合性、戦略性、一歩でも前へ進めたい、こういう大臣のお気持ちかと思います。

 同時に、やはり大臣の制約は大きな行革の中にあるわけでありまして、二重行政を回避しなきゃならぬというような思いであったり、消費者庁をつくって、その主導のもとに、国の出先機関、他の出先機関を活用したり、あるいは都道府県の機能を活用するということで、本当にそれが主導できるのかどうかという問題が一つ。

 それから、今回、消費者庁にどこまで法律の所管を移管するかということで昨年随分議論いたしましたけれども、例えば特定商取引法、特定電子メール法あるいは預託法などの取引関係などを見ても、消費者庁に執行体制は移管をする、そして具体的には地方の経済産業局を直接消費者庁が指揮監督するというような仕組みなども取り入れて、実態的に、実質的に執行体制を一元化する、こういうことでありますが、先ほどの枝野先生のお話ではありませんけれども、ある意味、指揮命令系が競合する場合もあるんじゃないか。

 とりわけ、大臣がおっしゃった、一つの省で二つの機能を持っているということ、それは省を超えて消費者庁以外のところでそういうことがあるわけでありまして、利害が反するような事態があるのではないかというようなこと。あるいは、もうちょっと言っておきますと、安全関係でも、例えば消費生活用製品安全法の重大事故報告制度、これは確かに消費者庁に移管はされますけれども、しかし、これで本当に迅速な情報公開ができるかどうか。片方で、経産省は依然として事務も権限もお持ちのところもあるわけであります。

 私は、大臣の御決意はわかりますが、実態として、今の仕組みで、今回のこの体制で本当に戦略性あるいは総合性ということは大丈夫かなという思いはまだ持っている一人でありまして、この委員会を通じてしっかり点検をしたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

 たくさん言いまして済みません。

野田国務大臣 まず、行革のもと、簡素な行政組織というのがある意味義務づけられておりました。

 恐らく今回は、日本で初めてかもしれませんが、新しい行政組織をつくることに当たって新規の増員というのがほとんどなく、それぞれの各省が、派生的とか付随的と言われながらも、消費者のために必要となる法律を持っているわけですね。その法律とあわせて人と予算も振りかえ、さっきのはがし込んでくるという話。そういう形で、極めて専門性の高い消費者のための組織集団というのを、これまでのそれぞれの役所では存分に力が生かし切れなかった、機能が働かなかったかもしれないけれども、それが集中的に一元化されることによって、消費者被害のプロフェッショナルの中核組織集団が消費者庁であるというふうに受けとめていただきたいと思います。

 そんな中で、消費者庁の組織を重ねて効率的な仕組みとするために、作用法、いわゆる個別法の執行に当たっては、消費者庁の主導のもと、国の地方支分部局や都道府県の機能を活用するというふうに定めているところであります。

 例えば、今お話が出ましたけれども、訪問販売などを規制している特定商取引法の執行業務については、経済産業省本省における執行体制を消費者庁に移管するとともに、地方の経済産業局長が消費者庁長官の指揮監督を受けるものとしておりまして、実質的に消費者庁がみずから主導する仕組みとして整備したところであります。

 また、二十九の法律を移管するということについてですけれども、消費者庁は、とにかく地方の消費生活センターや関係行政機関から消費者被害に関する情報をいち早く一元的に集約し、早期に問題を発見することができるようになってくるわけです。

 全国的に消費者被害などが生じた場合には、消費者庁の主導のもと、国の地方支分部局や都道府県を活用して機動的に対応、同じことになりますけれども、稼働することが可能ということが定められております。

 今申し上げた続きにありますけれども、今の特商法では、例えば直接に経済産業局に指揮監督権を有していますので、消費者庁の主導のもと、経済産業局の機能を生かして立入検査等を行うことが消費者庁はできることになります。

 また、消費者安全法においては、幅広い消費者事故について、都道府県にも立入検査を行わせることができるようになります。

 そしてさらに、あわせて、必要な場合には、消費者庁みずからにそのためのタスクフォースというのを立ち上げて、みずから立入検査を行うことができるというような適切な行動をとることができているわけであります。

 一応、お答えになったと……。

桝屋委員 ありがとうございます。

 いっぱい尋ねたものですから、これから具体化していきたいと。

 私の問題意識は、主導ということは、これはきれいな言葉ですけれども、こんな難しいことはないと思っているわけでありまして、それぞれの各省の地方の出先、地方機関と、まさに新しくできる消費者庁、主導と大臣何度もおっしゃいましたけれども、果たして実効性があるのかどうかということについて、具体例で今後議論をさせていただきたい。ここはまさに私のきょうのテーマでいきますと、機動性の確保という観点から極めて大事な点でありますので、これは抽象論よりも具体論で今後議論をしていきたいというふうに思っております。

 それから、もう一点、透明性の確保。今回この体制をつくられる中で、透明性の確保ということについては、消費者にとって便利でわかりやすいというような観点であったり、あるいは透明性の確保ということを盛んに国民向けにアピールされようとされておりますが、大臣、本当に消費者にとって便利でわかりやすい消費者行政の一元化ということで、本当に国民に目を向けた、そうした体制になるのかどうか。もう一度、大臣の言葉で御説明をいただきたいと思います。

野田国務大臣 透明性を担保するにはいろいろととらなければならない方法があると思いますが、一つは、やはり役人だけの消費者庁ではいけない。民主党案で権利院というのが盛んに言われるのは、内部でもみ消したりとかごまかしたりとか、そういうことが間々起きるのではないかという懸念がやはりあるからで、私もそれは感じております。

 消費者庁というのは、消費者側に分断された専門家組織集団ですから、今までのような省対省のすり合わせみたいなこととはまた違うので発生しづらいとはいえ、やはり、よりその透明性を担保するために国民を代表する人たちが常に傍らにいて、その行動を監視していただかなきゃいけないし、国民の声を直接意見具申として届けていかなければならないということを感じています。

 ですから、消費者庁の傍らに同等の形で消費者政策委員会というものを設置することで、十五人以内の委員から構成される予定になっていますけれども、非常に消費者行政に明るい人たち、識見のある人たちによって、常に消費者庁が、またそれ以外の役所が監視されているというあり方を必ず確保していきたいなと思っています。

 あと、消費者にとって、透明性というか、身近でなければいけない。特に透明性でないのが、まずは消費生活センターの場所とか電話番号であったりするわけですね。場所については、基金を造成しましたので、都道府県のもとで、それぞれ今できていないところには順次その基金を使って設置していただくように取り組んでいただくとともに、消費者庁としては、法案が成立した暁には、全国でだれでもわかりやすい電話番号を持つことによって身近にアクセスできるような、そういう国民本位の消費者行政というのをまず具体的につくり上げていきたいと思っています。

桝屋委員 行革の今日までのいろいろな作業の中で、例えば公益法人改革であれば公益認定等委員会をつくったり、今回も、まさに透明性という説明の中で、有識者から成る機関、十五人以内の消費者政策委員会を設置すると大臣も今お話しになりましたけれども、この手法は、国民から見ると全然透明でないと思うんですね。私も悩んでいる一人なんです。こういうものをどれだけ透明性の担保として機能させられるかというのは本当に大きな課題だなと私は思っている一人であります。

 むしろ、大臣がおっしゃったように、現場の消費生活センター、この機能をどれほどアンテナを広く、また市民の声をキャッチできる、そのアンテナを強くするか、それをこの委員会にきちっと上げられるような仕組み、これがまさに透明性なんだろうな、こう思っておりまして、このシステムも一度この場で議論をしたいなと思っております。

 時間が来ました。きょう午前中、野党の皆さんと合意できた雇用保険法をやったばかりなものですから、これも何とかならぬかなと思って話を聞いておりますけれども、なかなか距離があるようでありますが、知恵は必ず出るというふうに思っておりまして、しっかり議論したいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 先ほどに引き続いて、きょうはまず食の安全の問題から、最初は汚染米問題から入りたいと思うんですが、後ほど地方消費者行政についても伺いたいと思います。

 まず最初に政府参考人に伺っておきますが、ミニマムアクセス米のカビの発見、何か急にふえていますね。この急増はいつからなのか、伺います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 政府が食品用米として販売しております以上、食品の衛生管理、品質管理は重要でございます。その改善に力を注いでいく必要があるというふうに考えてございます。

 このため、昨年十二月八日から、輸入米の販売後にカビが発見されるということを極力なくすために、従来、輸入の袋のままの状態で販売していたそのお米につきまして、販売前にそのすべての袋をあけ、詰めかえる、そしてカビの目視確認を徹底するということをやってきております。

 また、それから、二月十九日から、販売の直前の目視確認を従来やってきたわけですけれども、これに加えまして、カビ毒の分析を実施し、関係法令に適合するもののみを販売する、そういうことをいたしてきております。

 そういうことも関係してきているというふうに考えております。

吉井委員 昨年の月別のカビの発見状況、四月が二件、五月一件、六月三件、七月一件、八月一件、九月四件、十月六件と、大体二、三件という状態なんですね。十一月には十二件ありましたが、十二月に入ったら二十九件で、一月は三十件。

 つまり、ミニマムアクセス米を中心として、政府が責任を持たなきゃいけない食の管理の問題について、これまではどういう点検方法に問題があって、つまり、目視だけでとどまっておったのか、あるいは少し検査筒を突っ込んでとれた分だけサンプル的にやっておったのか。もっときちんとした検査をやらなかったために昔は少なくて、まじめにと言ったら変ですけれども、まじめに検査したらたくさんカビ毒が見つかった、こういうことなのかどうなのか。この検査の手法等について、もう少し詳しく伺いたいと思います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、十二月のところで、まず、その以前は、従来は、袋に入ってきて輸入されてきたわけですけれども、それを、政府の管理の在庫をして、その袋のままで販売していたということでございます。これを、十二月の八日、十二月からは、その袋をあけまして、その中にカビなどが入っていないかということを目視確認するということをいたしました。

 それから、さらにまた、目視確認だけではなくて、販売するもの、これをロットに分けまして適正に管理して、食品衛生法なり飼料安全法、こういうものに適合したものにできるかどうかということを実はサンプリングして、ロット管理をする、そういうことを検討いたしまして、二月十九日からは法令に適合したものだけを販売するような手法に変えた、そういうことでございます。

吉井委員 つまり、二月十九日以前は法令に適合していないものが随分たくさん出回っておったということになると思うんですが、これまで袋のまま販売しておったというお話が冒頭にありましたけれども、つまり、全く検査していないで出していたということでいいわけですね。

小風政府参考人 お答えいたします。

 まず、MA米、輸入される段階では、産地のサーベイランス、あるいは輸出時のサンプリングというもので一応検査しております。また、当然ながら、水際で入るときには厚生労働省の検疫、食品衛生法に基づく検疫ということを受けておりました。その後、御指摘のとおり、先ほども申し上げましたけれども、販売時には開袋なり確認ということはしていなかったわけでございます。そのままの形態で販売ということはしておりました。

 二月からはそういうことのないように管理を徹底した、そういうことでございます。

吉井委員 三笠フーズ事件の問題というのは、汚染が確認されて食用に回してはいけないというもので、完全に焼却等廃棄処分するか、それとも、のり等非食用の加工に限ってということでやっていたはずなのに、実はそうなっていなかったというものですね。

 しかし、今の問題というのは、汚染がわかった場合は、それでも違反したのは三笠フーズですけれども、そもそもこれはわかっていなかった。そして、きちんと調べてみたら、異常に輸入米の多くでカビが発見された。

 そうすると、これは汚染米を売った方も悪いけれども、そもそも汚染を確認しなかった方も極めて責任が重いと問われてくるんじゃありませんか。

小風政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、昨年の事故米の不正規流通、この問題につきましては、国が事故米として食用に回らないようにということで売ったものが食品の方に回ってしまったということで、その点についての管理が農林水産省として不適切、不徹底であったことはおわび申し上げます。済みません。もちろん、この点については全く御指摘のとおりでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、今度、そのMA米の食品を国が事業者として販売する、これにつきましても、どのような形にすれば食品の品質管理、衛生管理が徹底できるかということを反省いたしまして、科学者の方と御相談しまして、どういうふうにすればロットの管理、品質の管理ができるかということを改善措置を講じたということでございます。

吉井委員 これまでも、通常、検査筒というんですか差し込んでサンプル調査をやっているわけでしょう、幾つかについては。

 きのうも先ほども、総理は統計学的手法とかなんとか言うてはりましたけれども、しかし、二〇〇五年にミニマムアクセス米で十二件のカビが発見されておったんですね。翌年の二〇〇六年は三十四件ですから、およそ三倍近くにふえているんですね。二〇〇七年は四十一件ですから、二〇〇五年に比べれば四倍近くにふえている。そして、昨年は八倍近くにふえている。

 ですから、ミニマムアクセス米の中での通常やっておられるサンプル調査によっても、汚染が進行している、ふえているということは本当はわかっていたと思うんですが、昨年の十二月になって全部開封して見つかった、なぜその前の年やさらに前の二〇〇六年とか、異常にふえているときにこれを見つけようとしなかったのか、伺いたいと思います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 委員最初に御指摘なさいましたけれども、水際で、輸入されるときに、二重管穀刺し、入ってくる輸入米、MA米に対して検査ということもやってきておりました。また、御指摘のとおり、件数につきましては年度によって若干振れがございますけれども、従来からも適正なものが輸入されるようにというのを管理してきたわけでございます。

 ただ、その手法におきまして、ロットの管理、それから、先ほども申し上げましたようにまだ開封、目視確認ということもしていなかったということは、その点についてはまず真摯に反省しております。

 それからまた、さらに、目視確認だけではなくて、例えばフレコンに入りましたMA米につきまして、個々にそれがしっかり、食品衛生法に違反していないかどうか、こういうことを、例えばEUのカビに対するサンプリングの方法などを参考にいたしまして、どういうふうにやったらいいかということで二月から改善措置を講じてきたということで、従前に比べてしっかりした管理ができたのではないか。

 これについてもまたさらに改善を加えていきたいというふうに考えております。

吉井委員 これは、通常の場合ですと、輸入食品は、検疫の場合は厚労省ですが、この場合は農水省が水際段階で責任を持っていたのか、そして水際の検査率というのは一体どれぐらいだったのか。水際検査が非常に少なくて、じゃじゃ漏れ言うたらおかしいですけれども、たくさん入ってきて販売しておったのを、たまたま開封して見てみたらたくさん汚染米が見つかったということになっているのか。

 もともと、こういう農産物の性格として、熱帯地方をずっと輸送船で長期にわたって輸送しておれば、輸送中にもカビは繁殖するものですね。保管中にも、温度管理、湿度管理をきちんとしなかった場合には、やはり繁殖していくものですね。そうした問題について、ロット管理と簡単におっしゃったけれども、そもそも一体どういう検査をし、どういう扱いをしてきたのか、伺います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 輸入米穀につきましては、産地から積み出しをされるときに、農林省の契約に基づく商社の方がサンプルをとりまして、現地の検査機関、これは農薬でありますとかカドミウム、そういうような有害化学物質、それからカビ毒、こういうものの検査ということもしておったわけでございます。それからまた、水際で、日本の国内に入りますときには厚生労働省の輸入検査ということをしております。このときにまた確認をいたしまして、農薬あるいはカドミウムあるいはカビ毒、こういうものについても検査をしてきたわけでございます。

吉井委員 先ほど総理質問のときにも表を出して質問したんですが、輸入検査率が二〇〇一年で七%ぐらいに下がって、そして今は一〇%台に戻っているんですけれども、しかし、これは全体を丸めての話ですから、この米については、ミニマムアクセス米については、何%水際での厚労省の検査をやっているんですか。

石塚政府参考人 私ども、モニタリング検査につきましては、百二十六の食品群ごとに行っておりますが、御指摘の輸入米の検査につきましては、過去の違反の実績等に応じまして検査件数を設定しております。結果として、検査率についてはほぼ五〇%程度というふうに見ております。

吉井委員 五〇%検査したというのに異常にふえてきたのはどういうわけですか。

石塚政府参考人 検査率につきましては、さまざまな検査項目について行っております、残留農薬というものが中心になってくるわけでございます。

 先ほど来御質問いただいておりますカビというものにつきましては、サンプリングした際に目視で行いますが、これにつきましては、入ってからの保管状況等もいろいろ条件がございますので、水際で発見される、目視で見つかるカビというものが異常にふえているということがあるかどうかについては、定かには承知しておりません。

吉井委員 つまり水際では検査していないということですね。

 しかし、輸出国側には、農水省が契約した商社などが検査機関を使って、一応大丈夫だと言っていると。しかし、カビというのは輸送中に繁殖するんですね。入ってくるときにきちんと調べなかったら、五〇%検査したみたいなお話をさっきされたから、ああ、ようやっているんだなと思ったら、実はこれは残留農薬の方で、ほとんどカビは調べていないと。カビを調べてみたら、農水省が調べたら、十二月に二十九件、急にふえた、一月は三十件だ。もうびっくりするような事態なんですね。

 つまり、これは現在の検疫体制と言われているものでは、特にカビ毒の中でもアフラトキシンとかオクラトキシンとか、これは、カビの場合は熱によっても分解され消滅するということがないんですね、残留農薬の方はまだ熱によって比較的に分解していくけれども。だから、私は前に質問主意書でも出しましたけれども、コーヒー豆の場合、オクラトキシンが出てくる、二百度ぐらいの焙煎をやってもこのカビは分解されないで、飲むときにちゃんと飲むコーヒーの中に残っている。これは衛生研究所などの調査によっても論文が出ているわけですね。

 ですから、私、伺っておきたいのは、厚労省としては、やはりこれまでの水際での、実質的にはカビについてはやっていない、見たといったって、全部あけて見たわけじゃないんですから、全部あけて見たら農水省の方はたくさん見つけたわけですから、やはり抜本的に検査体制の強化と検査率の引き上げをやらなければいけないと思うんですが、どうですか。

石塚政府参考人 米の検査についてのお尋ねでございますが、カビにつきましては、先ほどお答えしましたように、サンプリングの際に目視で確認を行っている。その目視の結果としましては、異常にカビの発見率がふえているというデータは今のところございません。

 今後のあり方につきましては、ほかにも残留農薬の問題等々もございます。検疫体制の充実には努めてまいりますけれども、すべての袋について検疫段階で開封して調べるというものには限界があるということについては御理解賜りたいと存じます。

吉井委員 目視という話は、さっき農水省の方はしたわけですね。今までは、袋の外から目視をして変色はないかどうかを見るだけだったと。これは、袋をあけたらカビがいっぱい見つかったという話ですね。ですから、限界があるというのは、多分、人的な、マンパワーの問題だと私は思うんです。私自身は、検査機器の開発や充実も必要だと思うんです。しかし、同時に、その機械を使う人をふやさないことには検査できないわけですから。

 そこで、野田大臣、やはり本当に消費者重視の、そういう消費者庁をお考えならば、こういう輸入検査体制を、機器の充実は当然の話なんです、マンパワーの方で抜本的に増員を図っていくということをやらなかったら、きょう、とりあえずお米の問題だけ取り上げておりますけれども、本当に解決する力は生まれてこないと思うんですが、お考えを伺いたいと思います。

野田国務大臣 輸入食品の安全につきましては、特に日本は国民の多くがそれに依存せざるを得ない状況でありまして、実は、私が大臣になってまだ半年ぐらいですが、その間にも、先ほどもメラミンの話が出ましたけれども、やはり外国産のいろいろな問題、食の問題というのが頻発しているところであります。

 そういった意味では、先生御指摘のとおり、輸入食品に係るそういう懸念が著しく高まっておりますので、私どもは、昨年の十一月六日に、それを踏まえて、まだ消費者庁もありませんので、その前段階ということで消費者安全情報総括官会議というものを持っておりますが、そこにおきまして、輸入食品等の安全・安心の確保策について申し合わせを行ったところであります。

 今お話がありましたように、検疫所における人員の拡充とか検査機器も含めてですけれども、在外公館への食の安全担当官の設置、外から来るものですから、あとは輸入食品の流通実態の把握のための緊急調査などを現在推進しているところであります。

 この申し合わせを初めとする輸入食品を含めたそういう安全、安心については、引き続き政府一体で取り組んでまいりたいと思います。

吉井委員 在外公館に力を入れはるのもいいんです。それは大事なことなんです。しかし、外で調べてみても、輸送中にカビなどは繁殖するんです。ですから、入ってきた時点できちんと調べる、その体制をとらなかったら、本当に食の安全というのは守れないということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 あわせて、農水省の政府参考人にもう少し伺っておきますが、このカビの見つかったもの、これは確実に焼却処分がされたということを農水省自身が確認しているのか。あるいはまた、民間に回っているもの、これは民間業者が物によっては検査しましたという検査書を検疫所長に出すだけで、実際に焼却処分したかどうかさえ確認されていないものがありますね。これをどういうふうに扱っているのかを、民間の方は厚労省でないとわからぬというんだったら厚労省の方もあわせてお答えいただいたらいいんですが、どうですか。

小風政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明申し上げました、二月から販売直前のカビのチェックということを導入しております。これによりまして、食品衛生法あるいは飼料安全法、こういうものに適合しないというものにございましては、そのロット全体を廃棄処分にする、そういうものについては、農林水産省の農政事務所の職員、こういう者が立ち会いまして確認する、そういうことで対応するということでございます。

石塚政府参考人 ミニマムアクセス米についてのお尋ねでございますと、これは……(吉井委員「いえ、民間の分です」と呼ぶ)民間といいますと、米以外ということも含めてですか。(吉井委員「そうそう」と呼ぶ)

 以前、御質問いただいたコーヒー豆のような、米以外のものについてでございますけれども、いろいろな食品がございますので一概には申せませんが、例えばコーヒー豆の場合につきましては、すべて、産業廃棄物として焼却処分をするか、あるいは積み戻しということを行っております。

 この確認につきましては、産業廃棄物となりますので、産業廃棄物処理業者がどのような処理をしたかということをその委託者に書類を発行しますので、その写しをチェックするということで対応しておりますし、また、積み戻しのような場合には、船主が委託者に、何をどこへ運んだかというような契約、その書類を発行しますので、それを確認しているというところでございます。

吉井委員 結局、焼却処分しなきゃいけないというものが見つかっても、これは業者任せにして、業者が処分しましたという証明書を一筆書くだけで、実際には、焼却処分したかどうかも見つかっていないんですよ。そのことが、これは以前も内閣委員会で御紹介いたしましたが、名前は挙げませんけれども安売りのコーヒーなんかのチェーン店なんかにそれがまぜられて回ってくる。そういう問題が、これはコーヒー業界の方から私は伺っているわけであります。

 だからこそ、やはり国の方で、検疫所の所長が証明書をもらえば済みだということじゃなしに、実際に、特に食の安全にかかわるものについてはきちんと検査をする。ところが、例えば北海道でいえば、あの広い北海道でたった五人しか食品監視員の方がいない。だから、厚労省の方がやろうと思ってもできないのが実態なんですよ。

 やはり、そういうところを本当に目を向けてやっていくということが、私は今、消費者担当大臣としての野田大臣に求められると思うんです。改めて伺います。

野田国務大臣 事の深刻さは十分理解しているところでございます。

 これまで、行革の名のもとに、いたずらにというか、さっきも横並び的にという話がありましたけれども、どんどん人員の削減等があったことも一つの問題点だったと思います。

 先ほど総理大臣の方からも、検討をされるということでございましたので、引き続き、先ほどの答弁と繰り返しになりますけれども、検討してまいりたいと思います。

吉井委員 あわせて、政府参考人に伺いますが、今度、開封したらカビがたくさん見つかったわけですね。そうすると、小麦の場合はどうなのか。それから、コーンの場合は農水省なのか厚労省なのかよくわかりませんけれども、コーンの場合は現実にはどうなっているのか。

 とにかく、熱帯を通過して、輸送中に、もちろん温度管理を非常に厳しくやって下げておった場合は別として、そうするとコストがかなり高くなるわけです、そこの管理が甘かったら増殖するわけなんです。

 この小麦やコーンなど、これらについてどのように検査をしているのか、伺います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 輸入小麦について、私の方から御説明いたします。

 輸入小麦、これも国家貿易で輸入を行っているということでございます。これは、厚生労働省の輸入検疫のほか、農林水産省といたしまして、小麦を輸入、販売するという立場でございます。その麦の安全性をみずから点検するために、輸入業者に対して、契約で、残留農薬とそれからカビの検査というものを義務づけております。具体的には、産地の一般的な麦から採取したサンプルについてのサーベイランス検査、残留農薬の検査をしております。また、輸出国の船積み時に採取したサンプルについて実施する残留農薬、カビ毒、船積み時の検査ということをやっております。

 また、当然ながら、食品衛生法に基づく、厚生労働省が実施する検疫検査ということが行われて、それで安全性を確認できた小麦を買い付けているということでございます。

 大体、輸入小麦、年間約五百万トンぐらい輸入されてございます。記録で確認できました過去六年間の輸入小麦をちょっと調べてみましたら、義務づけをしております残留農薬、カビ毒の検査、輸入検疫の検査で残留基準を超えた事例はなかったというふうに承知しております。

石塚政府参考人 検疫所におきましては、飼料でなく食料用として入ってきたものについて検査を行っておりまして、平成十九年度におきましては、トウモロコシ、二千七百三十二件、検査いたしまして、六十四件の違反がございました。平成十八年には二千九百二十四件の検査を行いまして、百七十七件の違反がございました。この後、どういう処理になったかという数値は今持っておりませんが、ほとんどが飼料用として入ったものということになっております。

 小麦につきましても、平成十八年、百五十二件、検査を行いまして、事故貨物で二件ということでございます。検査では違反は発見されておりません。この事故物につきましても、飼料用かあるいは廃棄になったものというふうに承知しております。

吉井委員 何か危ないものは飼料用みたいなお話ですけれども、その飼料というのは、牛乳なりなんなりを飲んだ子供たちが、飼料として使われた汚染されたものが蓄積して、蓄積したものを我々の後の世代に続く人たちが摂取していくことになるんですよ。

 ですから、この問題というのは非常に深刻な問題だということを申し上げますとともに、やはり業者にいろいろやってもらっているから、業者に業者にという話はあるんですが、官から民へと言ってきたけれども、この民間業者のところで、三笠フーズを初めとして大きな問題を起こしているんです。やはり官は官としての責任をきちんと果たすということをやらないならば、消費者の安全というのは守れないということを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 消費者庁設置法案第三条、「任務」についてですが、「消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者に」云々という文章になっているわけですが、ここでは、これまでも質問が出ていますが、「消費者の利益の擁護及び増進、」となっていて、どうも納得できないのは、消費者の権利というのが書かれていないわけですね。これは、例えば消費者基本法でいえば、「国の責務」として第三条で、基本理念に即して「消費者の権利の尊重」ということが明記をされているわけです。

 消費者を単なる保護の対象とする位置づけであったら、これは極めて不十分で、権利主体として消費者をちゃんと位置づける。何か、保護してやるぞ、助けてやるぞみたいな発想では、時代おくれというか時代錯誤も甚だしいというふうに思うんですね。

 そういう意味では、消費者の権利ということをやはり明記すべきではないのか。実際には、権利も含んでやるんだよ、大体そういう答えになるんですが、しかし、信用できないわけじゃないけれども、だったら書いたらいいじゃないかというふうに思います。なぜ書かなかったのかよくわからないということなので、改めて御説明いただきたいと思います。

野田国務大臣 お見通しの御答弁になってしまうんですけれども、消費者基本法においては、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進は、消費者の権利を尊重することを基本として行うことが定められているところであります。

 このたびの消費者庁設置法案におきましては、その消費者基本法の趣旨を受けて、消費者庁が消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進における中心的な役割を果たすため必要な、具体的な任務について定めることとしておりますので、こうした消費者庁の役割を踏まえると、現在の法案に規定されている任務規定等は適切なものだと考えています。消費者庁は、もちろん消費者基本法の理念にのっとり取り組んでいくことになるわけであります。

日森委員 だったら書いたらいいじゃないというのが私の思いなんですよ。何か邪魔になるんですか。書くと問題が起きるということなんでしょうか。

野田国務大臣 消費者の権利については、理念としての権利として定められているものと、具体的な法的権利として定められているものがあるわけですけれども、消費者基本法においては理念としての権利が定められているものと理解しておりまして、消費者の権利の擁護を消費者の利益の擁護及び増進に重ねて設置法の任務として規定することは、消費者庁の任務に照らし、適切ではないと今考えているところであります。

日森委員 それは、政府はそう判断をされている。国民にわかるようにちゃんと書いて、国民のための法律、消費者のための法律なんだから。そういう意味では、よくわからない。これはまた少し議論をしていきたいと思いますが、私は、ちゃんと国民にわかるように、消費者の権利をきちんと擁護するための法律なんだということを明記した方が、より一層消費者庁の位置づけが明確になるんじゃないかというふうに思いますので、それをぜひ要望しておきたいと思います。

 それと関連して、消費者庁が本当に消費者の権利を擁護する機関として機能するかどうか、これは大変重要な課題だと思います。私どもは、これがすべてではありませんけれども、重要な焦点として、消費者政策委員会がどう機能していくのかということは、この消費者の権利擁護とかなり密接に関係してくるというふうに考えているわけです。

 政策委員会は、消費者目線で消費者庁を監視し、監視というとちょっと大げさかもしれないですが実態はそうなると思うんですね、監視をして、その業務の補完もきちんとやろうじゃないかということが任務として必要になるわけで、そういう意味では、法律で消費者政策委員会の任務を明確化する必要があるんじゃないかというのが私どもの思いなんです。

 設置法案では、内閣総理大臣、関係各大臣または長官の諮問に応じ重要事項を調査審議するというふうになっていて、積極性が感じられないという、極めて受動的な、受け身的な、そういう位置づけになっているように感じます。それが監視組織としてちゃんと機能するためには、諮問によって調査するなんというのは当たり前の話であって、今でもそんなところはたくさんあるわけですよ。当たり前の話であって、それ以上に、みずからの発意で、これで調査審議することも可能だということが必要ではないかというふうに思っているわけです。その辺についてちょっとお考えをお聞きしたいということ。

 さらに、調査審議するだけでは、これは井戸端会議じゃないけれども、それで終わってしまうようなことにもなるわけで、実際にその結果について必要な措置をとる必要があれば、これはできるという規定まで踏み込んで法律で定めておく必要がある。それで、本来、政策委員会としての機能、オンブズマン的になるのかちょっとわかりませんけれども、そういう一定の独立性を持った機能が発揮できて、それが実態として消費者の権利を擁護することにつながっていくんじゃないかというふうに思いますが、その辺の御見解をお願いいたします。

野田国務大臣 おっしゃるとおり、本当にこの消費者政策委員会というのは極めて重要でございまして、しっかりと透明性を担保し、そして、国民、消費者は多種多様ですけれども、広くたくさんの消費者の声を吸収し、そしてぶつけていかなければならないということで、本当に有能な、立派な方たちになっていただかなきゃならないわけです。

 法律におきまして、今先生御指摘のように、六条の二項の一のところでは、確かに、内閣総理大臣、関係大臣または長官の諮問に応じ次に掲げる重要事項を調査審議することと書いてありますが、つらつらと下がっていただきますと、二のところには、それだけではなく、内閣総理大臣や関係各大臣、消費者庁長官に対してみずから意見を述べる権限を行使することができるとされていますので、これを十分に御活用いただきまして、そういう直接の声をお届けいただきたいなと思っております。

 また、消費者安全法案の方にも触れておりまして、この政策委員会は、内閣総理大臣に対して消費者被害の発生または拡大の防止に関して必要な意見を述べることが法律上定められているところで、これも十二分に政策委員会で御活用いただきたいと願っています。

日森委員 それはちょっとまた後で触れたいと思いますが、同時に、この政策委員会が調査審議する重要事項、七項目あるようですけれども、これもずっとこの委員会、きのうの本会議で議論になりましたけれども、消費者被害の予防、救済に関する項目というのが入っていないということなんですよ。

 これは一番大事なところで、一番議論になるところだと思うんです。明示されているそれぞれの項目の中に予防、救済が含まれているんだという判断があるのかもしれませんが、しかし、消費者被害の予防、救済、これは明記をして、その項目を調査審議の項目にきちんとつけ加えておくべきではないのかというふうに思いますが、それはいかがでしょうか。

野田国務大臣 今の委員の御質問に対しましては、この消費者政策委員会というのは、設置法に基づきまして、消費者の利益擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等について意見を述べるとともに、消費者安全法案に基づいて、消費者被害の発生または拡大の防止に関し、内閣総理大臣に対して必要な意見を述べることとされております。この業務を通じて、御指摘の事項についても基本的には対応はできるというふうに考えているところです。

日森委員 基本的に対応できる場合は、対応できるんだということを法律に明記しておいた方が間違いがないのではないかという気がいたしますが、これもこれからまた議論することがあると思いますので、ぜひ大臣の頭の中にぽんとインプットしておいていただきたいと思います。

 それから、先ほど総理大臣や各大臣に意見を言うことができるんだという話がありました。確かに、政策委員会は重要事項に関して総理、関係大臣または長官に意見を述べることができるというふうになっていることは承知をしておりますが、その拘束力というか、意見を言うだけ、言いっ放しで、聞いた方も三日たったら忘れちゃうというような話であったらこれは意味がないわけで、この拘束力というのは一体どうなっているのか。これは少し説明していただきたいというふうに思います。

 消費者安全法でも、消費者政策委員会は総理大臣に対して被害の発生また拡大の防止で意見を言うことができるというふうになっていますね。これも同じ意味で、意見を言えるのはわかった、書いてあるんだからわかりますが、言ったことがどれほどちゃんと拘束力があるのかということを、もう少し明確に説明をしていただきたいというふうに思います。

 消費者政策委員会を消費者の目線に立った監視組織として機能させるためには、言いっ放しあるいは聞きっ放し、三日たったら忘れるというような話じゃだめなんだ。政策委員会の意見を尊重、あるいはそれを実行する義務を総理大臣、関係大臣等に課すべきだ。それぐらいの権限がないと、消費者の権利というのはなかなか擁護できないんじゃないかという思いもあるものですから、ぜひその辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 今おっしゃられた消費者政策委員会、これも設置法に基づきまして、先ほど、意見を申し上げることは可能だということを申し上げました。この意見具申につきましては、必ずしも関係行政機関の行動を強制できるものではないんですが、有識者から構成される消費者政策委員会が法律上の根拠に基づいて意見を述べるものでありますから、特段の事情がない限り関係行政機関はその意見を受けとめて対応する必要があるんだというふうに受けとめています。

日森委員 そういうふうに大臣は思っていらっしゃるけれども、そうならない場合がないとも限らないわけで、だから、これは厳しくきちんと法律で決めておいた方がいいのではないかというのが私の意見で、それもまた、ずっとこの委員会は多分こういう議論はこれからもやっていきますという、宣戦布告じゃありませんけれども、これからお互いにちゃんと協議をしましょうというお話できょうはさせていただいておりますので、ぜひお含みおきいただきたいと思います。

 それから、これも政策委員会、こだわっていて申しわけありませんが、ここの権限、機能に関することです。職権、職務権限ですね、消費者政策委員会の職務権限について特別の規定がどうも見当たりません。ないような気がするんですね。しかし、これは、我々から見ても、独立性を持った委員会でなければならない、恐らく大臣もそういう認識でいらっしゃると思いますが。そうするためには、委員会が独立して職権を行使できる、こうしたことも法律に明記をしておく必要があるんじゃないかということが一点あるわけです。この辺はいかがでしょうか。

野田国務大臣 政府案におきましては、消費者政策委員会というのは政府部外の有識者から構成され、所掌している権限を独立して行使する仕組みとなっており、事務局も独立して持つわけですけれども、改めて、消費者政策委員会の独立性というのはこれをもって十分担保されていると私は思います。

日森委員 ちょっと意見が違うので残念ですが、これはまたお話ししていきたいと思います。

 消費者政策委員会の権限をいかに高めるかということは大変重要だと思うんですよ。むしろ、消費者庁を設置するための一つの重大なキーポイントになっているんだと思います。せっかく消費者政策委員会というのを設置するわけだから、中途半端でないものにした方がいいのではないかという思いから、お飾り組織になっちゃいけない、そのためには、消費者行政全般にわたって、先ほど大臣もおっしゃったとおり、見識のある方を登用しなければいけない。

 同時に、きつい話だなとお思いかもしれませんが、これは、政策委員会は委員十五名と決まっているだけですよね。私どもは、委員会の委員長それから委員と分けてきちんと設置をして、これはどうしてかというと、各省庁の優秀な官僚相手にいろいろ仕事をしなきゃいけない。さっき大臣が言われた、消費者庁は調整するところじゃないんだということですから、きちんと物を言うし、やらせることはやらせなきゃいけないということが当然必要になるわけで、そういう意味では、内閣総理大臣が任命するというだけでは極めて不十分で、我々は、衆参両院の同意人事、同意を得て明確な権限が行使できるという委員会にしたらどうか、いや、そうあるべきではないかと思っていますが、きついですか。

野田国務大臣 委員には本当にいろいろと御意見を賜って、何だかすごくそっけない答弁ばかりで非常に恐縮しておりますけれども、初めて議論をスタートさせるということで、それぞれの立ち位置できょうは答弁をさせていただいているわけですけれども、私も、決して政策委員会を軽視しているわけではありません。むしろ、ここがしっかりしてくれないと国民にとっては不安材料になってしまうわけなので、できる限りそういう漏れがないように、政府案としてはさまざまな法律の中で組み立ててきたつもりでございます。

 重ねて、この人選につきましても、今回内閣総理大臣がきちんと任命するというふうに定めていることがございまして、必ずや適任者を選定することができると私は信じておりまして、国会同意人事の必要はないのではないかと思っております。

日森委員 また協議事項がふえました。

 これは、今回の法改正において、消費者の事故等が発生した場合、それは行政機関や地方公共団体、国民生活センター、これを通して内閣総理大臣に伝達をされて、そして消費者庁において情報の集約、分析がされるという流れになるんだと思います。

 ここで大事なことは、総理大臣も含めて、政府あるいは消費者庁に集約された情報が国民全体に共有化されるかどうかということが大変重要だと思っているわけです。これまでも、具体的な例を挙げることは避けますけれども、貴重な情報が一部省庁で隠ぺいされたりすることがありました。大臣も御存じのとおりで、そういうことがないようにするためには、こうした情報について消費者団体等が求めた場合は、その事故情報等について関係機関が速やかに情報を提供する。もちろん、個人情報保護ということもありますから、そこら辺の配慮はあるにしても、そういうふうなことをきちんと制度化しておく必要があるんじゃないか。これは信用していないわけじゃないけれども、そういうふうにした方が、はるかに国民全体が事故の情報を共有化できるしということになるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

野田国務大臣 確かに、私が担当大臣を拝命して直後に、そういう情報の共有がなされなかったことでかなり事案が混乱したことを経験しましたので、今おっしゃっていることは本当に大切なことだと思います。消費者庁ができることによって全国さまざまな消費者被害の事故報告というのは情報が一元化されるわけで、そういった意味ではとても大切なことだと思っています。

 これは消費者庁が専門性を持って適確に整理、分析して、消費者安全法によるわけですけれども、十三条で、集約した情報の取りまとめ結果の概要を公表するとともに、十五条において、被害の拡大または同種事故等の発生防止を図るため消費者の注意喚起が必要なときには、消費者事故等の態様等の消費者被害の発生、拡大の防止に資する情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表することとしています。

 これによりまして、消費者団体等の皆様方に対しても適切に情報が提供できるものと考えております。

日森委員 概要を報告するということになっているわけですよね。すべてというふうに我々は言いたい立場なんですが。

 ただ、消費者団体の側からそれを求めたときにはどうなんでしょうかね。もう既に一般に公表してあるから、それ以上のことは教えられませんということになるんでしょうか。

野田国務大臣 情報公開法の仕組みに従って取り組んでいくということであります。

 ただ、全部公開という話になりますと、PIO―NETだけでも年間百万件の情報が寄せられることになります。これを精査せずに全部ばらまくということは、逆に、情報の渦の中で消費者が戸惑うことも発生することになるのではないかということもございまして、そこら辺は慎重にやっていかなければならないと思います。

日森委員 何でかというと、消費者もそうですし消費者団体もそうなんですが、この人たちが能動的に関与できるようなそういうシステムが私たちは望ましいと思っているんですよ。消費者庁といって各省庁から独立をしているわけだけれども、やはり一つの役所であるわけだし、そういう意味も含めて、情報公開について消費者団体が求めたときには、少し研究していただきたいというふうに思います。

 それから、これは先ほども申し上げましたが、自治体における消費者行政の実態、これはもう惨たんたるものに今なっていて、恐らく大臣も一番心配されていると思いますし、総理もそうおっしゃっておりました。そういう意味では、基金であるとか交付税というのは、これは本当に活性化するために十分かといったら、金額の面からもそうですし、人件費に使えないとかいろいろなことがあるわけで、かなり限界があるというふうに考えているわけです。

 それで、先ほども申し上げましたが、やはり政府の側でかなり指導力を発揮しないと、出すものを出さないと、本当に、これだけ厳しくなってしまった地方の消費者行政を再構築することはできないんじゃないかという思いがあるんですよ。

 先ほど、糸川さんの質問でもありましたけれども、例えば過疎地域だとかいうことも全部含めて、都市部はともかくそれなりに実績を残しているところもあると思いますが、全体で比較すると大変な状況になっているわけで、そういう意味では、例えば配置基準を決めていくとか、時限でやっていくかどうかは別にしても、その配置基準を決めた裏づけはきちんと国で保障していくとかいうことも具体的に考えていかないと、恐らく今の地方財政の実態からいうと、後回しにされちゃう可能性もあるわけですよ。中央で消費者庁ができたけれども、まあまあ勝手にやってもらえやみたいになりかねない話で、それでは、これだけ安全、安心が壊されている状況の中で、しかも、そこをきちんと対応していく地方がそういう状態であったら、それを放置しておくことはできないというふうに思うものですから。

 必ずしも、十割の補助金をつけろということだけにお答えいただかなくて結構なんですが、それは、きのう、きょうと御答弁いただいた中身ではこれはかなり厳しい、恐らく全員そうお思いだと思うんですよ。

 そんなことで、もう一度、今ここですぐにすぱっとお答えになれないことは十分承知の上で、どんな選択肢があるのか、ちょっと検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まさに今回、地方が一番大切なんです。ですから、一次補正、二次補正等で前倒しでやはり地方の方を先にやっていこうということで、都道府県のもとに基金を置きました。少ないと言われてしまえばそれまでですけれども、さすがに財源に限りがあるし、消費者庁にばかりお金が使えない国の情勢というのも、やはり現実、政府の一員としてはしっかりと受けとめて、倹約しながらも実効性のある、限りあるお金ですから、たくさんあればこしたことはないんですけれども、いろいろな、少子化対策にも使わなきゃいけない、介護にも使わなきゃいけない。教育にも耐震にもさまざまなお金を必要とする中でやはり突出できないということで、私自身は非常に残念なところもありますけれども、これも、今後国民の理解を得て、消費者庁または地方消費者行政は大切だという思いが強くなれば、そういうことがやはり順番はふえてくるのかなと期待をしています。

 配置基準等とありましたけれども、そもそも、私も調べた限り、とにかく相談員の人たちの偏在も大変でございまして、やはり、研修を受けやすい大都市というのは資格を持っている方がたくさんいらっしゃいます。ところが、研修も結構大変ですから、なかなか研修を受けられないところに本当に一人もいないというところもあるわけで、まずは、補正によってつくられた基金、都道府県にお渡ししますので、そこで、その地域の情勢に合わせて、ここにはセンターを設置して人を置いた方がいいのか、それよりも、近くにあるきちっとやっている消費生活センターとインターネット等でリンクして、電話等でやりながら広域的なことをやればいいのかというのを、それぞれ各都道府県でまずはしっかりとらまえていただくことが大事だ。

 あとは、これまでの相談員さんが研修すら行けなかった。そこもカットされて、自腹で行けと言われたらなかなか行けません。そういう中で、基金によってそういう研修の費用をのせるとともに、新たにやはりもっと相談員が要るわけですから、新たな相談員さんをトレーニングする際には、先ほども申し上げましたけれども、日当相当のお金を出すことによって、まずは土台をやはりしっかり固めていかなければならないということで、地方交付税の話も建前でしょうという話でありましたけれども、やはりこれは地方自治ということをしっかり踏ん張っていただいて、私もですけれども、こういう審議を通じて、地方公共団体の頂点に立っていらっしゃる方々が、消費者行政というのは国会でこれだけ審議されてとても大切な問題だという意識を持っていただくように働きかけていくことを絶え間なくやっていきたいと思っております。

日森委員 私も、地方が本当に自主的にといいますか、主体的に消費者行政をきっちりやっていこうというふうにしていくのが当然だと思いますが、しかし、お金の話、人の話、全部含めて考えたときに、やはり政府が相当程度責任を持ってそのことに対して指導というか援助をしていかないと、現状はなかなか難しいと思いますよ。それは、地方分権だという意味はわかりますが、実際問題はかなり困難だといって、みんな投げちゃうと思うんですね。特にお金がないところなんかは投げてしまって、結局、偏在が直るどころかますますその偏在が進んでしまう、格差が生まれてしまうみたいなことも出てくると思いますので、どういうやり方がいいか、例えば人口で設置基準をつくるのがいいかどうかは、ちょっとこれは検討が必要だと思いますけれども、何らかの形で政府が責任を持って支援、援助していくということについて、これもひとつ御検討いただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっと時間がありませんからもう最後になりますけれども、都道府県には消費生活センターの設置が義務づけられるということになりますが、市町村では必要に応じてと。だから、必要ないと判断されたらつくらないかもしれないわけで、ちょっと心配になるんですが。

 確かに、さっき言ったように困難があると思いますが、しかし、消費者行政推進基本計画の中で、消費生活センターを一元的な消費者相談窓口と位置づけ、緊急時の対応や広域的、財政的な支援も視野に入れて、対処のために全国ネットワークを構築するということが書かれているわけで、これはまさにそのとおりだと思いますね。

 そういうことだとすると、さっき北海道の話を糸川さんがされておりましたけれども、ほかにもたくさんあると思うんですね。そういうところでは、複数の市町村で消費生活センターを設置するということがないと、例えば相談に行くのに車で三時間かかりますなんという、こういう話だったら、それは実際に緊急時の対応、広域的な問題への対処などというのはできないわけですから、どういう範囲にするかは別にしても、やはりこの辺を複数で設置を義務づけていかないと、もちろん援助の方は必要ですけれども、これもできないんじゃないかという思いがあるんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 この法律案をつくるに当たって、やはり現場をしっかり見ておかなければいけないということで各地方を回ってきましたけれども、一県に県の消費生活センターがあり、その中の一つの市に消費生活センターがあったとすると、意外と市の方が県よりも充実して、立派な相談員さんがいて問題解決に当たっているという場合がありまして、そもそも都道府県自体がシャビーであったりするわけで、まずは都道府県がしっかりと法律で義務づけられることから始めないと、その都道府県すらおぼつかないというのが今の状況なんだと思っています。

 ですから、そこでしっかりとセンターとして認識していただいて、今からお届けする基金を活用して、まずは県、そしてそこでしっかりとした位置づけ、各地域に応じた位置づけを持った上で、その仲間たる市町村に、やはりそういう伝播というんですか、伝えていくようなことをしていただかないといけないんじゃないか。やはり都道府県自体で非常に弱いところもかいま見えるということから始めさせていただいております。御理解いただきたいと思います。

日森委員 ありがとうございました。終わります。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 先ほど総理に質問をさせていただきまして、今度は野田大臣に質問させていただきたいと思います。

 この消費者行政というものを一元的に扱う新組織の形態として、消費者行政推進会議において、内閣府に置く独立官庁型のもの、これが消費者庁だというふうに思いますが、それと行政委員会型のもの、これは両方検討されてきたわけですね。結論として、内閣府の外局として消費者庁を設置することになったわけです。政府案もこれに沿ってつくられたというふうに思います。

 まず、行政委員会型を採用しなかった、そして内閣府の外局という形態とした理由というのは何なのか、そしてまた、より独立性が高い、そして権限も強い消費者省にしなかった理由というものは何なのか、まずお答えいただけますか。

野田国務大臣 御承知のとおり、消費者行政というのは各省庁横断的な行政分野になっております。新組織というのは、消費者行政の司令塔として、各省庁と連携して政策の推進を図ることが求められているところで、内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい事務であると考えられることからも、こうした事務の円滑な遂行を任務とする内閣府に置く庁とすることとし、省にはしなかったわけであります。

糸川委員 大臣、きのう我が党の下地議員が質問をして、例えばエレベーターの事故のケースなんかの話をしたと思いますけれども、もしこの消費者庁が存在していたならば、事故原因の究明であったりとか、国土交通省に対してこういう措置をすべきであるとか、そういうことというのが行えていたのか、国土交通省だったらできていなかったのかというのは、その点についてどういうふうにお考えになられますか。

野田国務大臣 国土交通省だけでありますと、事業者の担当の局があり、そしていわゆる国民、消費者側の担当があるんだと思いますが、詳しいことはわかりませんけれども、今回はどうも、そこら辺、めり張りがきちっときいていなくて、だらだらと来てしまったんじゃないかと。

 消費者庁の場合は、そこの部分を切り離して、すべての省から消費者側に立っている法律と専門性の高い人を集約して中核的な司令塔にするわけですから、その立場から、それぞれいろいろな事案が発生したときには緊急に会議を開くなり、また、事案が深刻であれば、法律のもと内閣総理大臣が国土交通大臣に急げとか、いろいろな措置命令を要求することができるということで、迅速に対応ができたんだと思います。

糸川委員 そうしますと、国土交通省というのはいかに対応が遅いのかな、例えばそういうところから言われないと、今度の消費者庁から言われないとなかなか対応ができなかったりというところなのかな、事故米の問題では農水省というのが独自では対応ができないのかな、非常に残念だなというふうに思ってしまうのと、逆に、では、その消費者庁という組織が、今度、平成二十一年度予算案では定員というのは二百四名ですか、その二百四名というのは、例えば公取であったり会計検査院と比較すると非常にコンパクトですね、小さいわけです。そこが同時にいろいろな事案を抱えることになってくると思うんですよ、消費者の問題というのはたくさんあるわけですから。

 そういうことで考えますと、例えば、消費者庁の発足後、情報の分析であったり法執行等に専門的なお考えを持たれた方、こういう方を活用されるというふうにされていますけれども、この非常勤職員では、正規の公務員と、モチベーションであったりとか待遇の面、それから他省庁との連携をということであるならば、やはり非常勤職員という方ではとり切れるのかなという思いもあるわけです。

 この消費者庁の発足後の体制というのはどういうものにするお考えなのか、どの分野にどのくらいの人員を用いるのか、他省庁との連携に対してはどういうふうにこの非常勤の職員に権限を持たせてやらせるのか、その点についてお答えいただけますか。

野田国務大臣 行革のもと、行政の肥大化は認められていない中にあって、多少私たちも窮屈ながらもようやく二百四人の確保ができたところであります。

 また、これらは、単に人がぽっと出てきたわけではなく、それぞれの法律と一緒に人とお金がくっついてくるということで、全部が集約されるという形になって、はなから専門性の高い人たちが消費者庁に集うということが前提になります。

 それプラス、例えばこれから立入調査とかいろいろやるわけですけれども、この前、農林省の立入調査がいかにずさんだったかという話、九十六回ぐらいやっても何も見つからなかったというのは、調査のやり方そのもののスキルがなかったわけで、そういうことを未然に防ぐために、そういうスキルを持った人たちを非常勤として予算計上を五十人ほどさせていただいて、現場でしっかりそういうことは立入調査等ができるようなスキルを持っている人をあわせて非常勤として置いてやっていきたいと思っています。

糸川委員 そうすると、大臣、例えば調査を専門に行える人、そういうスキルをお持ちの方をこの消費者庁に入れて活躍していただくことになると思うんですけれども、例えば、農林水産省に調査させましょうと事故米の問題で立入調査をさせる。でも、その調査のやり方が悪いんじゃないかというときに指導を行っていくということになると思うんですが、それはこの調査官も一緒になって調査をするのか、それとも消費者庁が独自に調査をするのか。

 この辺は、例えば農林水産省の中に入り込んで調査をしていくことになるのか、指揮をするのか。指揮をしないで、例えば出てくる調査が自分たちの納得するものでなければ、もう一回調査をし直せということにするのか。そのあたりはどうなんでしょうか。

野田国務大臣 農林水産省にまずはその指示ができるわけでありまして、それでもまだ不満が残る場合にはみずから立入調査をするということで、その中間にあわせてやるということも可能です。

糸川委員 ありがとうございます。

 それから、消費者庁長官の人事という問題ですね。これは大臣の下に置かれるんだろうと思いますが、こういう各省とのなれ合いの仲であっては困りますし、業界とのつながりがあったりなんかすると非常に難しいところもあるので、これは独立した権限をお持ちの方でないとなかなか実効性は上がってこないというふうに思います。

 これは、大臣、どのような方を自分の中では今適任ではないかなと、こういう枠の中というのは自分の中で今どういうものをお持ちなのか、お聞かせいただけますか。

野田国務大臣 これについて、私も最初からすごく関心がありまして、何か官にとられちゃうんじゃないか、最初からそういうふうに言われることもあったんですけれども、これに関しては、官民問わず、本当にこの人はすばらしい、トップに立てる人だという人をやはりあまねくいろいろな候補者から選んでいくべきだと思って、具体的にどうのというイメージはありませんけれども、私自身、ずっと三法案に携わってきて、本当に大変な仕事だと思いますので、そこら辺のところはしっかりと選んでいただきたいなと思っています。

糸川委員 これは所管大臣が野田大臣なわけですから、基本的に、ぜひしっかりと、そういう人選についても自分のお考えをこれから出していっていただければなというふうに思います。

 内閣府設置法の改正によって消費者政策担当大臣というのが置かれることになったわけですけれども、消費者庁の長というのが消費者庁長官、消費者政策担当大臣の権限というのは、例えばこの三法案でもほとんど触れられていないわけですね。

 消費者政策担当大臣の権限というのは、消費者庁と例えば食品安全委員会の事務全般、こういうものに及ぶのか。それから、消費者政策担当大臣と消費者庁長官との関係はどのようなものであって、大臣というのはどのような権限と役割を持っているのか、具体的にお示しいただけますでしょうか。

野田国務大臣 消費者政策担当大臣というのは、内閣総理大臣を助け、内閣の一員として消費者庁を担当する閣僚となります。一方で、消費者庁長官というのは、その担当大臣のもとで、消費者庁の長として所掌事務の実施に当たる人です。この関係は、例えて言うなら、金融担当大臣と金融庁長官の関係と基本的には同様です。

糸川委員 であるからこそ、先ほど、どういう方を人選するのかということで、人ごとではないですよ、自分の下に入るんだから、こういう人たちを自分の中では枠として選んでいきたいなということを、ちゃんともうそろそろ考えていただきたいなと。私も興味を持っているということだけではだめなわけで、大臣として責任を持って人選をする必要があるというふうに言っているわけです。

 内閣府設置法の第十二条では、特命担当大臣は、関係行政機関の長に対して、第一項で資料の提出、第二項で勧告権、第三項で勧告に基づいてとった措置の報告要求、第四項で内閣総理大臣の指揮監督権の行使の意見具申、これを定めているわけでございます。

 勧告権については他の設置法にも定められているものがあるわけでございますが、実際に、この規定によって勧告権が行使されたということがあったのか。また、縦割り行政の弊害というものが言われながら、制度として余り活用されていなかったということ、これについてはどういった理由が考えられるのか、大臣にお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 内閣府設置法第十二条第二項に基づく勧告は行われたことはないと承知しております。

 内閣府設置法に基づく勧告というのは、内閣府特命担当大臣の行うさまざまな調整手法の一つとして法律に明記されているものでありますけれども、この勧告権自体を行使しなくても、事務レベルで調整をされたり、また大臣間の話し合いまで、さまざまな調整を行うことにより、これまで内閣としての統一性の保持が図られてきたことから、勧告権の行使はなかったと考えております。

糸川委員 勧告権の行使がなかったということですけれども。

 そうすると、先ほど来の、例えば米の問題であったりとか、そういう調査が不足であったりとかというときに、しっかりと使っていてもよかったんじゃないかなと。例えば、あのコンニャクゼリーの問題でも。そういうときにこそ、この勧告なんというものも使っていてもよかったのかなという思いもあるんですけれども、その点は、大臣、どうなんでしょうか。そのときに使っていてもよかったんではないかなというふうに私は考えてしまうんですけれども。

 使っていなかった、それで、内閣の中で他省庁との連携をとりながら、大臣同士で連携をとってできているというふうに認識をされているのではあれなのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

野田国務大臣 勧告権を使わなくても、今申し上げたようなさまざまな状況に応じた中で、私たちも最適の選択をしているわけでありますけれども、その中に勧告権の行使もあり得ると思います。

 ただ、私自身がこれまでも、食の安全でいえば、事故米不正規流通があったときには、担当は石破農林大臣でありますけれども、これについてはやはり大臣間で議論をして、そしてどうあるべきかということを内閣府の方で預かって、恐らく大臣がヘッドとなって処分のあり方とか、そういういろいろな検査のやり方等を決めさせていただくというふうな形で、そういう調整をすることで、勧告権を行使しなくても、きちっと一応の結果は出てきたなというふうに感じています。

糸川委員 ただ、先ほど、大臣、何で私がそういうふうにしつこく言っているかというと、農水省の立入調査なんかでも全然結果が出てこなかったということの問題もあったものですから、実際、その勧告権を使ってでも本当はやるべきだったんじゃないかなという思いがあるからそういうことを言っているわけで、これからもう少し、大臣間で、それはもちろん親しい間柄ということもあるでしょうけれども、厳しく、やはり勧告権を使ってでも調査をさせるんだということで踏み込んでいただきたいなということでございます。

 消費者行政推進基本計画、こういうものにも、消費者庁というのは、明治以来の産業振興重視の政府機能の見直し、それから行政のパラダイム転換を目指すものというふうにされているわけでございます。この産業振興を主とする省とは意見の異なるケースも出てくるんではないかなというふうに思いますが、その際、消費者政策担当大臣による勧告権の行使というのは、密室における事前の調整と異なって、国民から見て問題がオープンになる、こういう点から積極的に活用すべきではないかなというふうに思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

野田国務大臣 勧告権を使うかどうかは別として、やはりその透明性というのはしっかり担保しなければならないと思っています。

糸川委員 ぜひ、密室における、例えば大臣同士でちゃんと話をされているとか、そういうことというのは私たちに伝わってこないんですよ、大臣とちゃんと連携をとりましたということでは。ですから、例えば勧告権がちゃんと発動されていれば、他省庁との連携というか、大臣の間でもきちっと重要視されて話をされているんだろうなとか、そういうことにつながると思っているのでこういうことも言っているわけでございます。

 先にちょっと進ませていただきますが、消費者庁というのが実際設置をされたとしても、与えられた権限を行使して、課せられた役割というのを果たせなければ意味がない、これは先ほども麻生総理に対して若干触れたところもありますけれども、行政の透明性の確保それから行政の監視といった意味で、これは先ほど日森先生もお聞きになられていましたけれども、有識者から成る消費者政策委員会の役割、これは大変重要になってくるというふうに思います。

 ただ、この法案にある消費者政策委員会の権限、これは主として、意見具申と諮問に応じた調査審議、こういうものであるわけです。その権限はやはり物足りないのかなというふうに感じるわけですが、行政監視の機能を果たすため、消費者政策委員会に内閣総理大臣に対する勧告権限を付与すべきであるというふうに思います。そしてまた、諮問によらず、みずから調査審議を行えるようにすべきであるというような意見もありますけれども、こういう意見に対して大臣はどのようにお考えか。

野田国務大臣 先ほども日森委員に御答弁申し上げたことと重なりますけれども、消費者政策委員会は、消費者庁設置法案に基づいて、内閣総理大臣、関係各大臣または消費者庁長官に対し、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等について、諮問及び調査審議をするのみならず、二において、みずから意見を述べることも可能としてあります、法律上。

 これらの意見具申は必ずしも関係行政機関の行動を強制できませんけれども、有識者から構成される消費者政策委員会が法律の根拠に基づいて意見を述べるものであることから、特段の事情がない限り、関係行政機関はその意見を受けとめて対応する必要がある、つまり重く受けとめていただくということになっております。

糸川委員 それでは、やはりそういうことをしっかりと明記してもいいのではないかというところにつながってくるのかなと。

 今回の消費者政策委員会の委員、これは非常勤ですよね。食品安全委員会というのは常勤委員が多数いらっしゃるというふうに思っておりますが、まず、この消費者政策委員会の委員がすべて非常勤である理由というのは何かありますか。

野田国務大臣 政策委員会の仕事、非常勤でも十分対応できるという判断をしたところです。

糸川委員 それはそうなんでしょうけれども、それは大臣、先ほど日森先生がおっしゃっているように、冷たい答弁だと。非常勤でも十分対応できるというだけではですよ。(野田国務大臣「失礼」と呼ぶ)では、もう少し補足の答弁を。

野田国務大臣 たびたび御指摘いただき申しわけありません。

 非常勤にしていることは、それだけではなくて、最適任者を選びたいというときに、そういう人を引っ張ってくるためには制約があるということで、御理解いただきたいと思います。

糸川委員 それでは、そういうふうにしっかりと最初から答弁をしていただいて。

 この委員の構成というのが非常に重要になってくるわけですよね、非常勤だからこそ。

 法案では、「消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者」というふうになっておりますが、例えば、消費団体とかあるいは企業団体の代表者が委員十五人のうちどの程度の割合になるというふうにお考えなのか、大臣の見通し。余り偏りがあっては困るわけですよね。ですから、その見通しというのを、当然もう委員の構成というのもお考えでしょうから、見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 消費者というのは国民をほとんど網羅するわけですから、委員おっしゃるとおり偏らないで、いろいろなジャンルの、最も適格だと思われる、そういう専門性の高い識見のある方に入っていただきたいというふうに願っております。

糸川委員 その割合というのは、今、自分の中で見通しというのはありますか。

野田国務大臣 今のところまだ未定でございます。

糸川委員 十五名ということも一応お決めになられているんですね。であるならば、やはり今、消費者問題に関する特別委員会ということで消費者庁の設置について考えようとしているわけですから、ぜひこの委員会が開会されている間にそういう方向性というのも御検討いただきたいなというふうに思いますが、いかがですか、大臣。

野田国務大臣 委員のアドバイスをいただきつつ、真剣に答えを求めていきたいと思っています。

糸川委員 本当だったらこの委員会中に、この委員会というのはきょうじゃないですよ、これから審議をされていく中で見通しぐらいは出していただけてもいいのかなというふうに思っています。

 この消費者政策委員会の委員は非常勤でございます。消費者事故等の発生等に対応するためには、この委員会の支援体制を整備しておくことが重要になるわけです。

 消費者政策委員会には独立した事務局が置かれて、評価できるというふうに思いますが、この事務局の具体的な体制というのはどういうような体制をおつくりになられるつもりなのか、そして、例えばどういう部署からどういった人材を異動させてここに配置するのか、具体的にお聞かせいただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者政策委員会の事務局の人的構成と申しますか体制についてのお尋ねでございますけれども、今具体的に定員上決まっておりますのは、政策委員会の事務局長、これは当然一でございます。それからそのもとに、参事官それから参事官補佐というところまで定員上措置をされております。

 当然それだけでは足りない部分があるというふうに考えられますので、先ほども御議論ございましたけれども、非常勤の職員、それから消費者庁の関係部局、関係部署の職員の兼務、そういったことによって機動的に対応していく、そういうことになろうかというふうに考えております。

糸川委員 それではもう一回、政府参考人でいいんですが、大体何人ぐらいの人数というのを考えていらっしゃるんですか、今の事務局というものになるものは。

松山政府参考人 人数についてのお尋ねでございますけれども、消費者政策委員会の委員会自体の構成、例えば部会をどの程度置くのか、それから専門調査会のようなものをどういった形で置くのか、こちらの方も、まだ法案の御審議をお願いしている段階でございますので、具体的にこういう形にしようというところまで詰まっておりませんで、そのことを踏まえて事務局の体制についても固めていく。実際の人員の数についてもまだ大きな幅がある、そういう段階でございます。

糸川委員 今、こういう法案の審議をしている最中に、ぜひそういう中身もだんだん見えてくるようにしていただかないと、恐らく国民の皆さんも、どういうものができ上がっていくんだろうかということを全然わからないと思うんですね。

 ですから、法案を出されていらっしゃるわけですから、そのあたりをしっかりと、これからどういう方が委員になっていくのか。例えば、先ほど大臣に割合の話もいたしました。十五人のうち、消費者団体とか企業団体がどういうふうになっていくのかとか、そういうことも含めて、また進めさせていただきたいな、わかるようにしていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間が中途半端になってしまいましたけれども、先ほど、私、総理に対して、やはり地方との連携というのが大事だよという話をさせていただきました。特に、過疎地域とかそういうところでは、相談員を置くことができなかったりということにもなってくるわけですね。

 そこで、大臣が今考えている地方の消費者行政のあるべき姿、そして国の支援のあり方、これを最後に大臣に。

 この認識、今自分が思っている、地方というのは大変だという、恐らくそういう認識もあると思います。そういう中で、では、結局窓口になる地方の行政がどのくらい支援をすると、大臣の思われている消費者問題に対応できる対策が打てるというふうにお考えなのか、そのあたりの認識をお伺いしたいというふうに思います。

野田国務大臣 やはりどの委員からも御指摘あるように、地方が一番大切だということはコンセンサスがとれていると思います。私自身もそれを心がけているところですけれども。

 まず、相談員の数が減っているという話もありました。が、数というよりも分布が問題でありまして、例えば、大都市には集中しているけれども、地方にはほとんどいない。では、消費者庁ができれば、大都市にいる方が僻地の方まで仕事に行ってくれるかというと、実はそうではないんだろうということを考えたときには、まず、やはり都道府県という地方自治体の単位の中でしっかりと消費者行政を位置づけてもらいたいということで、消費生活センターの義務づけ、設置をお願いしています。そこがやはり地域の司令塔となって、まだまだ行き届いていない市町村に対して、トレーニング、研修、また地元で人を育ててもらうということをしていただかなければならないと思います。

 常に私が心がけていることは、それぞれ地方に応じた、地域の実情も違います、海のあるところないところ、さまざまですから、やはりその地方地方の独自の消費者行政というのを伸ばすことが地方自治にかなっていくのかなと思っていることを忘れずに、国としては、まずは当面できることは、補正で基金をつくって、最初の取っかかりである都道府県のセンターがしっかりと充実してくれること。そしてあわせて、さまざまなメニュー方式を選んでいただく中で、近隣の市町村に対しての、まずは啓発活動なり、全くわからない方もおみえになるんで、看板をかければいいんだろうみたいなことをおっしゃる方もいるんです、そうではないんだということを順々にやはりお伝えいただくような、そういうバックアップ、支援をしていかなきゃいけない。

 そして、相談員の方にも特段、さっきから人件費の話が出ていますけれども、それ以外のところで、研修したくても出張費も出ないとか、そういう実情、悲惨な実情がありますから、そういうところをしっかりとカバーする中で、間接的にもそういう人たちの処遇が改善できるように、限られた財源ですけれども、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

糸川委員 時間が参りました。また次回以降、地方の消費者行政のあり方というものについて質問させていただきたいと思います。

 終わります。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十四日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十四日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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