衆議院

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第5号 平成21年3月25日(水曜日)

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平成二十一年三月二十五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    佐藤  錬君

      平  将明君    玉沢徳一郎君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中森ふくよ君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    宮腰 光寛君

      矢野 隆司君    泉  健太君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      岡本 充功君    小宮山洋子君

      階   猛君    田島 一成君

      田名部匡代君    田端 正広君

      西  博義君    桝屋 敬悟君

      吉井 英勝君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   農林水産副大臣      近藤 基彦君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         栗本まさ子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 平松 賢司君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           梅田  勝君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           竹谷 廣之君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           佐々木昭博君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 見上  彪君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       田口 義明君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     岡本 充功君

  桝屋 敬悟君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     泉  健太君

  西  博義君     桝屋 敬悟君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長見上彪君、独立行政法人国民生活センター理事田口義明君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君、内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、警察庁刑事局長米田壯君、外務省大臣官房審議官平松賢司君、文部科学省研究振興局長磯田文雄君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省医薬食品局長高井康行君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、農林水産省大臣官房審議官梅田勝君、農林水産省総合食料局長町田勝弘君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、農林水産省消費・安全局長竹谷廣之君、農林水産省生産局長本川一善君、農林水産技術会議事務局長佐々木昭博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善太郎君。

亀井(善)委員 おはようございます。亀井善太郎です。

 本日は、野田大臣、石破大臣、また民主党の法案提出者の先生方、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは何を伺おうかなと思っておったんですけれども、やはり消費者行政、これまで少し議論が始まってまいりました中で、消費者庁をつくるとか消費者権利院をつくるとかそういう箱の話ではなくて、やはり消費者行政を充実させていかなきゃいけないんだ、これが極めて大事なことなんではないかなと思っております。これは党派を超えてそれぞれがお考えになっていることであって、ここは恐らく大きな一致を見ている。

 そういう中で、やはり国民にとっては一番近いところというのは消費生活センターであります。自分の近くじゃなくて、実は遠い国民生活センターがいいというような声もありますけれども、消費生活センターにまずは一義的に、この前総理も御答弁をされていましたけれども、おらが村長に聞くという話と同じ感覚で、近くの消費生活センターに行かれる。

 ところが、この消費生活センター、これは恐らく大臣も御認識をされていらっしゃると思いますし、恐らく民主党の法案提出者の先生方も御認識をされていらっしゃいますが、理想とはほど遠い状況であります。きょうは、そうした問題から少しお話をさせていただきたい、このように考えております。

 消費生活センターの現状については、もう今さら改めて確認をするまでもないわけでありますが、予算というのは、なかなか地方の財政が厳しい、こういったこともあって、だんだん減少してきている、それから、これを担っている人は減少してきている、これは、ここに入っている委員会の先生方については共通認識、常識でありまして、この図表は大体見ておるわけであります。

 私自身も実際、地域を見ていて、ここにはあるけれどもここにはないとか、あるいは、全部あることはあるんだけれども、ここら辺はあるんだけれども実は毎日やっていないとか、こういったことが結構あるわけでございまして、ここのところを、もう一度改めて、政府参考人の方から政府の今の現状認識についてお話をいただければと存じます。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活センターの現状について、予算規模、人員等についてどのようであるかということでございますが、まず、以下に申し述べます数字につきましては、国民生活局が毎年、全都道府県、全市町村に御協力をいただいたアンケートの結果として得られました現況調査というものによっている数字でございます。

 それによりますと、地方公共団体の消費者行政関係予算につきましては、平成十年度は約百六十四億でございましたが、平成二十年度には約百九億円となっております。うち、政令市を含む市町村の消費者行政予算は、平成十年度、平成二十年度ともに約六十四億円ということでございました。

 消費生活センター、これは先ほどの調査によりますと、私どもの定義というか記載の要項におきましては、週四日以上相談業務を行っているところということで記載を求めておりますが、こうした消費生活センターにつきましては、平成二十年四月時点で全国におよそ五百八十六カ所設置されております。

 そのうち、政令市を含む市区町村の消費生活センターは四百三十八カ所でございます。消費生活センターを設置している市町村数は四百三十二で、全市区町村の約四分の一、二三%強ということでございます。したがいまして、四分の三の市区町村には消費生活センターがないということでございます。

 ただし、人口で見ますと、都市部の人口が多うございますので、市区町村レベルで消費生活センターがあるということで人口比をとりますと、全国人口の約七〇%がカバーされているところでございます。

 政令市を含みます市町村の消費生活センターの人員につきましては、平成十年度が約千四百名でございましたのが、平成二十年度が二千九百名となってございますが、相談員を配置している市町村の数が平成二十年度で七百四、全市区町村に占める割合が約四〇%という状況でございます。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 今のお話をお伺いしてなるほどなと思ったのは、人口ベースでは七割はカバーできている、しかしながら、実は市町村で見ると四分の一しかカバーできていない。つまり、どういうことかというと、大都市部、都市部はうまくいっている、ところが、恐らく地方と言われるところはなかなかうまくいかない。

 これは何でかといえば、恐らく財政格差でありまして、地方の自治体の財政によって、余裕がある自治体というのは今どきなかなかないのかもしれませんけれども、相対的に見て余裕があるところにはちゃんとできている、ところが、そうでないところについてはなかなかそこまで手が回っていない、これが現状なんではないかなというふうに考えております。やはりこれじゃ問題なんだと思うんですね。

 というのは、相談員の皆さんと、実際私も消費生活センターを幾つかお伺いをさせていただいて、お話を直接させていただいたことがあります。そのときに、お話をさせていただくと、大体の相談が、結構クーリングオフを教えてあげることで済むことが多い、こういうお話を伺うんですね。これは、いや、解約の電話をかければいいのよ、契約したのはいつと聞いて、ああ、この日にち以内なら大丈夫と。

 もちろん、クーリングオフはそれぞれの商品やサービスによって違うわけでありますけれども、これはどういうことを言っているかというと、時限性があるということであります。やはり毎日やっているかやっていないか、場合によったらその一日でクーリングオフの期間が切れてしまう、切れてしまわない、これは消費者にとって問題ですし、さらに言えば、本来であれば、その日にあいていればクーリングオフで解決できたものがそうでなくなってしまう。これは問題をより複雑化させるわけでありまして、消費者にとっては不幸なことであるわけであります。

 まさにそういった意味で、より身近な消費生活センターをより充実させていく、これは私は極めて大事なことではないかと。そしてその一方で、地方の負担という中で、なかなかそこを負担し切れない現実がある。こういう中で、私は、この消費者庁の設立というのも大事かもしれないけれども、これだけではなくて、消費者行政担当大臣として、これはぜひ何とか前に持っていっていただきたいな、このように考えているわけでありますけれども、大臣のお考えをぜひお聞かせいただければと存じます。

野田国務大臣 おはようございます。よろしくお願いします。

 全く私も同じ考えでありまして、今回は消費者庁をつくることが消費者行政を円滑に進める目的ではありません。まさにデーリーベーシスで、日々消費活動を行っている人たちに何か起きたときに、すぐアクセスができて、相談ができて、解決が迅速にできるということが、やはり一番の安心、安全につながるということで、特に地方の消費生活センターの充実、またそこで働く相談員の皆さんの増員とかレベルアップというのは、極めて今回の委員会の審議の中で重要な柱だと認識しております。

 そのため、私どもは、都道府県に基金というのを造成してあります。そこでは、消費生活センター、今はないところが多いわけですけれども、まずはその設置をしてくれるための費用であったりとか、さまざまなメニュー方式、その地方に応じて消費者行政がどうあるべきかというのはさまざまだと思うので、その土地土地に合ったサービスを仕組んでいただければいいわけですけれども、そういう選んでいただくメニュー方式の中で基金を使っていただきたいということになっています。

 また、その中には、相談員の養成というのが、やはり今おっしゃったように偏在化してしまっている。これは、一つには、格差もさることながら、研修制度自体が相模原の国センに集中して、これまでそこしかできなかったので、やはり大都市の人は研修を受けやすいけれども、遠くの人たちは、いろいろな宿泊とか交通費なんかを考えてしまうとなかなかおっくうになってしまうということで、極めてそこら辺はわかりやすく偏在化が起きてしまっています。ですから、やはりこれからの喫緊の課題というのは、相談員の皆さんを一人でも多く、そして一人でもスキルのある、国民にとって安心、安全のパートナーとして存在していただくことではないかと思っています。

 具体的に、では何ができるかということなんですけれども、消費生活センターや相談窓口の設置、拡充を図る際に人を確保すること。全然いらっしゃらないところもたくさんあるわけですから、そういうところでまずはしっかりと研修を受けていただき、その研修参加者についても日当相当をお支払いすることが可能であります。

 研修については、いろいろな法律を抱えるわけですけれども、それについてのいわゆる座学研修だけではなくて、実際に消費生活センターの窓口で、他の相談員の方たちと一緒に、OJTというんですか、そういう実地研修なんかをしていただくということも含まれていますから、それはあわせて、繁忙な消費生活センターの業務面の手助けということにもなってくるわけであります。

 これは新規の方たちの話ですけれども、今の既存の相談員の方たちに対しても、研修日というのを設けていただくと、そこに対しては研修目的で日当相当の支給が可能になってくるわけで、そういうものも含めて実質的な処遇改善につながるということを信じております。

 お手元に配付をした、それを見ていただくとわかるんですけれども、基金の相談員養成事業の実務的研修の活用例なんですね。

 まず、重複になりますけれども、左側の方ですね、相談員を新たに確保する場合は、週五日間研修に参加していただいて、実地研修として消費生活センターの現場で実務に携わりつつ、経験豊富な相談員等による指導を受けたり、座学研修に参加することが可能です。その場合は、そこに示してあるとおり、五日分の日当相当を支給させていただきます。

 二つ目、右側ですね、既存の相談員が一層のレベルアップを図る場合。これは週三日が白で書いてあります。これはもう既に支給されている報酬ですけれども、新たに二日間の研修に参加することが可能でありまして、その二日分の日当相当がまた支給されるということになります。

 地方公共団体におかれましては、地域の実情に応じて、こうした支援メニューを存分に活用していただいて、設置、拡充、相談員の養成に取り組んでいただきたいと考えております。

亀井(善)委員 詳細なお話までありがとうございました。

 やはり人の育成が大事でありまして、箱をつくればいいというわけじゃない。まさにお話のとおりでありまして、ここはぜひ、特にやはり地方、国民の皆さんが、何か遠くの方で消費者庁ができたという形じゃなくて、やはりおらが町に、ああ、よくなったな、いつも相談員さんが元気に働いている、相談すればいろいろなことを答えてくれる、こういうことが非常に大事なのかなと思っております。

 これは、ヨーロッパと比較しちゃいけないのかもしれませんけれども、ある資料で拝見させていただいたのは、ヨーロッパ各国と比べて、国が消費者の権利を守ってくれているのかという調査があったかと思います。これで、日本の場合は消費者の権利という考え方がまだまだなかなか確立していない中で、適切な調査かどうか、私はここはいろいろな見方があるんだと思いますけれども、やはりまだまだそういった認識が国民の中に広まっていないというようなこともあると思いますので、やはり、国が消費者の権利をちゃんと守ってくれているんだ、そういったことを認識していただけるような、まずは拠点づくりというところをぜひお願いをさせていただきたいと思います。

 今度は、民主党さんにぜひお伺いをさせていただきたいと思っておるんですけれども、私、問題意識は多分同じなんじゃないかなと思っています。そういう中で、今回の政府提出案は、消費者庁という形になる、地方の分は引き続き地方にお任せをして必要なサポートをしていく、こういう形で今考えているんだと思います。民主党案の場合は、消費者権利院の場合は、これを国で抱える形を考えていらっしゃる。私は、今の現状がこういう状況だからそういうことを考えられたんではないかなと私なりに理解をさせていただいているところであります。

 そういった私自身の理解が正しいのかどうかを含めて、現状認識に対する御理解と、それから今回国が抱えることにされたその御意図について、ぜひお伺いをさせていただきたいと存じます。

階議員 おはようございます。質問ありがとうございました。

 今の現状についての我々の認識なんですけれども、私は岩手なんですが、岩手ですと、消費生活センターというところがちゃんと機能しているところは盛岡しかないんですね。あとの市町村というのは、窓口は辛うじてあるものの、そこに専任の職員がいないということで、非常にお寒い状況ということです。

 我々は、これを何とかしないといけない、全国津々浦々に相談員が置かれるようにしなくてはいけないということで、先般もお話ししましたけれども、地方に、まず都道府県ごとに地方消費者権利局というものを置かせていただきます。そして、相談員を大体人口十万人当たり一人という割合で置かせていただくということでございます。都道府県ベースでは、今申し上げたこと。さらに、その下に支局というものを置きまして、これは大体人口三十万人当たり一カ所の割合で置かせていただこうかなということで、これを四百三十三ぐらい全国につくります。

 それで、各場所に相談員を配置するんですが、支局レベルでは大体人口二万人当たり一人ぐらいの割合で置かせていただくということになりますと、大体相談員が、四百三十三支局にトータルで六千三百八十一人という相談員が置かれます。それと、先ほど言った都道府県は、権利局の方にトータルで千二百六十人ぐらい相談員が置かれるというふうになります。

 それで、なぜ国が抱えることとしたかということでございますが、地方の自治事務ということでずっと進んでまいったこの消費者行政でございますけれども、なかなかそれですと、先ほども申し上げたように、自治体によって温度差があり、また財源的な問題もあって、進むところと進まないところと非常に差が激しいということで、やはり消費者行政というものは、全国一律に、ナショナルスタンダードといいますかある程度の水準を確立しないと、よく言われることは、悪徳業者というのはそういう消費者行政の弱いところをねらってはびこっていくんだと。

 だから、例えばさっきの盛岡の例でいいますと、盛岡は割と相談員がちゃんとしていますので、そういうところでは被害が少ないんですね。一方で、ほかの地域では業者がどんどんはびこっているということで、部分部分だけしっかりしていてもしようがなくて、全国にそういうものを、すべからく相談員が置かれるようにしないとまずいということで、このような国が関与していくという仕組みをつくったわけです。

 ただ、丸抱えということではなくて、今ある消費生活センターはそのまま活動していただく、我々のつくる地方権利局とか支局については、そこと連携しながらやっていくということをこの間も審議のときにお話ししましたけれども、権利院法案五十三条二項に緊密な連携を保つというようなことも入れておりますので、そういったことで、あくまで国がすべてを持ってくるのではなくて連携してやっていくということでございますので、御理解をお願いできればと思います。

 ありがとうございます。

亀井(善)委員 ありがとうございました。

 問題意識はやはり共有しているんだと思います。そこをどう進めるかという話でありまして、ただ、先ほどいみじくもちょっとおっしゃいましたけれども、地方事務というものをどう考えるかという話でありまして、私は、例えば治安とか防災というのは、これは極めて国としては、いわゆるナショナルミニマムなんだと思うんですね。だけれども、警察も消防も地方にお任せをしている。そういう現状の中で、消費者行政も同じ列に置くことができるんじゃないかなというのが私の考えでありまして、今の基本的な問題意識のもとでどう進めていくか、多分、問題意識は同じなんだけれども、そこの方法論の違いなんだと思います。

 ここは極めて大事なところだと思います。いろいろな形で意見調整、あるいは場合によったら修正なのかもしれませんけれども、国会の場で知恵が出せるところなのではないかと私は思っております。ぜひ、そこはいろいろな形でこれからまた審議を進めていただければというふうに思っております。

 ちょっとほかの話も聞きたいので、今度はほかのところに行きたいと思います。

 大事なのは、拠点それから人員、実際に会う相談員のおばちゃん、おばちゃんというのは失礼だな、お姉さん、こういう話でありますけれども、こういう中で、今やらなければいけないのは、実は私は情報ネットワークなんだと思っております。こういう大変なことが起きているよ、あるいは危ないものがあるよ、こういった情報をきちんと国でもって共有することができる、これが極めて大事なわけであります。

 ところが、今のPIO―NETというのは、これは私も実際見てみましたけれども、一言で言えば極めてお粗末であります。このお粗末な状況というのをやはり何とかしなきゃいけない。実際に、さっきの話ではありませんが、相談員の方ともお話をさせていただきましたけれども、やはり使い勝手が悪い。

 実はこの前、私、地元であるハウスメーカーが倒産をして、これは計画倒産なのかどうか、これは今、また司法が判断をするところだと思いますけれども、そういう被害に遭われた方がいらっしゃいます。そういう被害に遭われた方はほかにどのぐらいいらっしゃるのかなと思って、自分のすぐ近くの市の消費生活センターに聞いたら、これはすぐ相談員の横のネットワークでわかりました。では、神奈川県にどのぐらいあるのかと聞いてみたら、聞いてから情報が返ってくるまで二週間かかりました。結局、三件ありました、こういう話なんですけれども、やはり二週間かかるというのはいかがなものなのかなと。消費者相談は、命にかかわるもの、あるいは命の次に大事な財産にかかわるもの、こういうお話が大変たくさんあるわけでありまして、やはり今のPIO―NET、これはちょっといかがなものかなと思っています。

 一方で、PIO―NETについては、新しいPIO―NETを導入していく、これは予算ももう既に手当てがされているわけでありますし、そういったようなお話も承知をしております。そういった状況について、政府の認識をお伺いできればと存じます。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 PIO―NETは非常にお粗末な状況であるという御批判は甘んじて受けなければいけないと思っておりまして、抜本的な改革に取り組んでいるところでございます。PIO―NETは、昭和五十九年に導入されまして約四半世紀がたちますが、抜本的な改革ではなく、パッチワーク的な改善でやってきたためにこうした事態になりました。

 御批判の最も多いところは、相談があったところからきちんと情報が登録されるまでに約四十日かかっている。これも、つい数年前までは八十日ほどかかっていたというのを、努力をしてきましたけれどもまだ四十日もかかっている。これは、相談のツールとして使うにはまだしも、その中から被害の未然防止のための情報を早くつかみ取っていくというためには非常に問題なところであるというふうに考えてございます。新しいシステムでは、仮登録というような形で即日登録が可能なような仕組みに向けて設計を進めているところでございます。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 きちんとしたシステム、それも特に、今までは多分業務日報的な感じのシステムだったんじゃないかなと思います、これをやはり情報を共有するためのシステムに、名前は同じだけれども中身を完全に刷新していく、これが非常に大切なことだろうなと思っています。

 大臣も現場の消費生活センターをごらんになっていただいたので多分よく御存じなんだと思うんですけれども、私も行ってびっくりしたんですが、PIO―NETの端末はどこにあるのと言うと、あっちにあると言うんですね。相談員の皆さんが働いている、消費者の皆さんからの電話を受ける机がある。目の前にあるのかなと思ったら、実は何か向こうの方にあって、全部業務が終わると、終わった後にまとめて入れる。ちょっとイメージが全然違います。

 今民間では、電話がかかってきて、コールセンターというのがありますけれども、みんな、こう耳から口につけて、お話を聞いて、そこで答える。目の前には画面がある、情報がとれる。ああ、これはやはり悪徳なんだ、ほかにもたくさんあるわ、こういったことを確認しながら消費者の皆さんの声を聞く。ところが、向こうの方にあったらそれはできないわけであります。どうも聞いていると、端末の普及状況は、消費生活センターに一台とか、四人で一台とか、こういう状況では極めてこれもお粗末でありまして、ここはぜひ新しいシステム導入にあわせて普及を進めていただかなきゃいけないなというふうに思っております。

 ここら辺のところをぜひ大臣に、今後の御予定、あるいは具体的に消費生活センターがどういうふうな形になっていくのか、御説明をいただければと存じます。よろしくお願いします。

野田国務大臣 御指摘のとおり、私もPIO―NETは非常にお寒い限りだということは認識しておりました。恐らく意識として、ネットという名のもとにありますけれども、昔でいうワープロみたいなもので、とりあえず蓄積しておいて、それで必要なときにいろいろなあっせんのやり方を確認するような、そんな手引書の電子化みたいな形であった。これから消費者庁をつくって、やはり情報の一元化、そして迅速な処理が必要とされる中では、同じ名前でも大きく中身は衣がえしていかなきゃならないということは認識しています。

 そこで、新しいPIO―NETにおいては、平成二十一年度中に試行運転を始めまして、平成二十二年度には本格運用するわけですけれども、まずは、勤務されている相談員の方一人に一台が可能な限り行き渡るよう端末を配備する予定にしています。

 さらに、平成二十年度の補正予算によりまして、実はPIO―NET端末が設置されていない市町村、ないところもございます、これについては約五百カ所を前倒しで追加配備をしているところで、一月までに調査したところでは約二百八十カ所について決定しておりまして、さらにそういうところに追加配備をしていこうとしています。それによりますと、消費生活センターからの要望は、まず置くことに対しては要望がほぼ満たされるということになると思います。

亀井(善)委員 ありがとうございます。

 極めて大事なところであります。やはり国民の皆さんからいただいたお電話に対してすぐにきちんとお答えすることができる、大変寂しいというか厳しいという状況の中で今相談員さんがお仕事をされている、やはりこれはすぐに改善をしなければいけないところでありまして、ぜひよろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 もう時間が少ししかありませんので、最後に一点、お話をお伺いさせていただきたいと思います。

 昨年、国民生活センター法が改正をされました。私、自民党の消費者問題プロジェクトチームの事務局をお預かりさせていただいてこの問題をやらせていただいたんですけれども、いわゆるADR、裁判外紛争手続というものが国民生活センターでできるようになった、こういうことであります。

 これに伴って、この前に実は地方の苦情処理委員会というのがあるわけですけれども、これが実は国民生活センターより前にこういう法的な権限を与えられて活動しておるわけであります。ところが、実際に件数を見てみると極めてこれもまたお寒い状況であります。きょうは寒い話ばかりなんですけれども、五件とか六件とか、日本全国、苦情処理委員会がありながら、そのぐらいしか付託をされていない。

 この原因についてはいろいろと言われております。そもそも知事がそこに乗り気じゃない、予算が十分でない、あるいは事業者を呼ぼうとしてもそこのあっせんの場に呼ぶ権限がないとか、こういった問題があります。

 今回、昨年の国民生活センター法を改正するときに、さすがに権限まで付与するのは、これはいろいろな問題があったものですから、来ないと名前を明らかにしちゃうぞとか、こういう形で、今国民生活センターの方では、これから四月になりますけれども、ADRができるようになる。これは消費者にとって極めて大事で、裁判だけが解決策ではないと私は思っておりますので、そこら辺のところはぜひ進めていただかなければいけないと思っております。

 ただ、国民生活センターに全部行くというのは必ずしもどうかと思っておりまして、先ほど来お話ししているとおり、やはり地方でできるものは地方でやっていく、これは極めて大事であります。低迷している苦情処理委員会の活動状況、こういった中で、これはぜひ、あくまで地方自治ではあるけれども、大臣が一つの旗を上げていただくことが大事なのではないかなというふうに私は思っておる次第であります。

 大臣のこうした問題についてのお考えを最後にお伺いできればと存じます。

野田国務大臣 都道府県にある苦情処理委員会がうまく機能していないというのはかねてから話がありまして、今先生御指摘のとおり、公益性とかいろいろ厳しい要件があることと、あとは、逆に消費生活センターのあっせんでうまくいく場合があったりとか、または、いろいろ労力がかかる割には強制力がないところなので訴訟にした方がいいとか、そういう意味ですっぽ抜けている感があるんです。

 そうはいっても、やはりしっかり頑張っていただかなきゃならないんですが、まだノウハウの蓄積とかも非常に弱いらしく、国民生活センターでADRが四月から始まるわけですけれども、そこでの紛争処理なんかを見ていただいて、そこでノウハウなんかを習得していただくことも大事。あわせて、今度造成する基金においても苦情処理委員会なんかの活性化について措置ができるようになっておりますので、そういうことも大いに活用していただいて、努力していただきたいなと思っております。

亀井(善)委員 ありがとうございました。

 きょう、お話を大きく分けて三つさせていただきましたけれども、消費者庁という箱ではなくて今実際に動いているもの、ここをいかに活性化していくかというのが極めて大事だと思っております。現場で大変御苦労されている方々がいらっしゃるわけでありまして、あるいは、現場には実はそういった仕組みがあるんだけれども、うまくそこが生かされていない。私は、これは前に進めるのは政治のリーダーシップであり、まさに大臣のリーダーシップだと思っております。ぜひ大臣のリーダーシップを心から期待させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

船田委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 消費者特、初めての質問ですが、早速始めさせていただきたいと思います。

 初めに、私の事務所に寄せられた相談事の事例を少し御紹介して、御所見をお伺いしたいと思います。

 最近の相談事の中で、例えば簡易保険、今かんぽ保険ですが、相談がございました。

 手術をしたら給付金がもらえるというので保険に入ったのに、請求してみたらこの手術方法では対象にならない、何とかしてもらえないかという相談がございました。契約時にはそのような話は聞いていなかったという話です。支給されない理由は約款で決まっているという説明でございますけれども、その約款は契約した後しか渡されないということのようです。

 生保業界では、保険金不払い問題を契機に、契約前に約款を渡したり、それからホームページに載せるなど、今努力をしております。この点について、他の会社の動向を見ながら考えるというふうにかんぽ生命側が言っておりました。本来ならば、かんぽ生命が率先してこうした重要事項に当たる約款などの情報提供を行うというぐらいの姿勢があって当然だというふうに思うんですが、そのようなことで消費者との公正な契約をまず率先して結んでいくということが大事ではないか、こういうふうに思うわけでございます。

 もう一つ、地方税の滞納の問題がございました。

 今まで滞納していた市民税を少しずつ払ってきておりました。ところが、御主人が病気になったので、年金の差し押さえの条件を変えてほしい、こんな相談でございます。地方税の回収機構が自治体からの滞納案件の移管を受けて徴収の業務に当たっている、こういう事例でございます。

 機構から差し押さえ調書というものが届き、不服がある場合には六十日以内に異議申し立てをすることや取り消しを求める訴えに関する説明が載っている。しかし、実際にはこれらの手だてでは支払い猶予というものは受けられない、その条件に入っておらないということでございます。地方税には徴収猶予という措置があり、災害、病気などの不測の事態が起きた場合、納税者側から申請することができるというふうになっておりますので、本来ならば、こうした情報については最初に相談を受けた回収機構が教えておくべきでございますけれども、それがなぜか教えられていない。

 そんな事例、今二つ挙げましたが、今回の消費者庁の設置が行政全体のあり方を見直すきっかけになってほしい、こういうふうに考えるからでございます。官が率先して消費者の目線に立って行政を行う、そのことによって民間業者の理解もさらに深まる、そういうことでなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。それが、今後消費者行政を行う上でかなめになっていくんではないかというふうに私は思っております。

 大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおり、昨今、消費者をないがしろにしたりとか、消費者を脅かしたりとか、とにかく食品から取引からさまざまなサービスから、そういう問題が次々と起きているわけであります。

 その一つの背景には、これまで、この国にそれぞれの役所があるわけですけれども、行政というのは、明治以来、殖産目的、つまり産業振興とか業界の健全発展が主たる目的で設置されたところが多く、その受け手である消費者の権利とか利益の擁護、増進というのはまずは主体ではなかったと思います。ただ、結果として、そこに被害が起きたときに、頻発するようになった結果、付随的とか派生的という形でそういうことが行われてきている。また、縦割り行政ですから、こんなにグローバルになってこんなに多種多様になったさまざまなサービスに、一つの役所が責任を持って対処できるような時代でもなくなってきている。ここでもやはり消費者の生活が取り残されている。

 そういう時代の中にあって、今般、皆様方の御理解をいただきまして、明治以来初めて、直接国民、消費者と向き合う、パートナーとなる行政組織をつくろうというのが今回の大きな行政改革で、歴史の転換ではなかろうかと思っています。今まで産業側に立っていた行政の中にあって、消費者の利益に立つというのは画期的なことでありまして、そういうことを踏まえ、そして消費者庁ができることによって安全法が施行されて、それによっていろいろな相談の実施とか安全確保のための情報の一元化とか、目に見える形で消費者が主役、国の中にあって消費者が主体だということがあからさまになっていく中で、多くの行政のあり方とか、または恐らく民間のあり方というのにすごく影響を及ぼしていけるということを信じて、この消費者庁の設置に向けて取り組んでいるところです。

 一番大事なことは、国民本位の政治を取り戻す行政組織を、本来あるべきだったけれども、遅きに失した感もあると言われますが、ようやく皆さんの御理解のもとで今御審議をいただいているという状況だと思っております。

西委員 ありがとうございます。

 ややもするとお上意識というのが抜けないと言われていますけれども、その発想を転換して、官から、やはり住民本位、消費者本位の行政をするために、そういう意味では消費者庁は大変重要な位置づけだと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 相談する消費者から見たら、先ほど自治事務という話がありましたが、相談事務がどこの自治事務であるかどうかというのはいわば関係のないことでございます。消費者が望むのは、相談窓口の総合案内役が欲しい、きちっと解決してくれる人が欲しい、またその道筋を責任を持って見つけていただきたい、こんな思いだと思います。そうした要望にこたえられるように努力していただきたい、こう思うわけでございます。

 そこで、新しい消費者行政では消費者の相談にどのように対応していくのか、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一つの問題は、消費者がどこに相談していっていいかわからないというところがございます。これに関しては、だれもがアクセスしやすい一元的な相談窓口という言い方をしていますけれども、具体的には、国民周知になるような統一的な電話番号で、ここへ電話をかけて相談すれば相談に乗っていただけるのだということを準備しようとしております。また、先ほど亀井委員の御質問に対してお答えしたように、まだまだ相談に行く先としての相談窓口が不足しております。かつ、そこで親身になって相談していただける、能力のある、問題のわかる、レベルの高い相談員がもっともっとたくさんいなければならないということでございます。

 そうしたことでございますので、今回の施策におきましては、先ほども大臣から説明しましたように、都道府県に基金を造成しまして、一つは窓口そのものの数をふやしていく、センターの設置、充実を図っていくということ。かつ、今センターでは、かなりのセンターで一人相談員というような状態が生じております。既に窓口があるところでも人が足りないということ。かつ、どんどん消費者問題が難しくなってございますので、常に相談員のレベルアップ、養成とともにレベルアップを図っていかなければいけない。こうしたことに対応する養成事業も基金で行うことができるようにしてございます。

 もちろん、地方それぞれの場所で問題が解決して、あるいはあっせんが進んでいただければいいのでございますけれども、そうでない場合、かなり難しい問題だというときには、それでは国民生活センターに相談をするかということで、国民生活センターは国の中核的な実施機関として、地方では解決が難しいというものを、経由相談という形でそこのレベルの高い相談員の方が御相談に乗ります。

 それから、先ほどもございましたように、それでもまだまだ難しい場合、何か法律的な問題があるような場合には、今度は国民生活センターにADRというのが設置されていますので、そうした場で解決を図っていくというような重層的な構造で対応させていただければと思っております。

西委員 次に、消費者安全法案についてお聞きをしたいと思います。

 重大事故が発生した、この場合に内閣総理大臣はさまざまな権限が行使できるわけですが、勧告、命令、それから譲渡の禁止、制限、それから回収等の命令、この三つの権限が行使できる、こういうふうになっております。勧告や回収の命令以外は、その発動する要件として、あらかじめ消費者政策委員会の意見を聞かなければならないということになっております。

 この消費者政策委員会の委員も実は常勤ではありませんから、迅速性に欠けるのではないか、こういうふうなことを危惧しておりますが、いかがでしょうか。また、譲渡の禁止、制限に関しては、有効期限六カ月以内というふうにされていますけれども、延長、再延長というのが考えられるのかどうか、あわせてお答えを願いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の消費者庁からの命令、例えば商品等の譲渡等の禁止、制限につきましては、事業者に対する権利の制約の程度や社会に対する影響が大きいために、過剰規制とならないことを担保するためにも、有識者から成る消費者政策委員会の意見を聞くことといたしているものでございます。

 ただ、御指摘の迅速性の確保ができるのかという点でございますが、例えば、確かに常勤の委員ではございませんけれども、持ち回りで委員会を開催するというようなことも含めまして機動的な開催を行い得るよう、これは委員会がスタートいたしましたら委員会の方でそうした仕組みを考えていただきたい、そのように考えております。

 それから第二に、禁止、制限措置を講ずる場合の期間を六カ月以内としているという点でございますけれども、これにつきましては、通常は、この期間内に、例えば立法措置を講じていただくというようなことによりまして、適切な制度的な手当てがなされるというふうに考えておるわけでございますけれども、仮に、御指摘のように重大な消費者被害が拡大している、そういう状況がございまして、法律上の要件を満たすということがあります場合には、延長ということもあり得る、そのように考えてございます。

西委員 ありがとうございます。

 次に参りたいと思います。

 事故米の不正流通事件が発生いたしました。政治的にも大変な議論が行われました。このときに、最終的には汚染米を購入した企業の名前を公表いたしました。このことにつきましてもさまざまな意見がありましたが、その公表という結果をめぐって、この法律を適用する場合に、あの事例をもとにしますとどういうふうに対応することになるのか、参考のためにお伺いをしてみたいと思います。

増原副大臣 事故米につきまして担当したものですから、私の方から御答弁申し上げます。

 御承知のように、先生、事故米のときに、当時の福田総理、そしてそれを受けて野田大臣から、プレ消費者庁をつくってでもやれという御指示がございまして、そのときに一番痛感しましたのは、情報の一元化ですね。農水省からの情報、それから厚労省からの情報、とりわけ地方自治体の衛生部局からの情報、これを一元化して、それを公表していくということでありました。

 その中で、いろいろ、今おっしゃいましたいわゆるディスクロージャー、情報公開でありますけれども、あのときは非常に悩ましかったわけですね。先生御承知のように、善意の事業者の方もいらっしゃる、これを発表しちゃうと商売上がったりになっちゃうよねというようなこともありましたが、農水大臣とも相談いたしまして、やはり消費者被害の拡大を防ごう、これが第一だというので、公表に踏み切りました。これは、特にこれといった権限はございませんでした。そういうことでございます。

 このたびの法案では、消費者安全法第十五条に、御承知のように、消費者被害の発生または拡大の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、まさに消費者被害の防止に資する情報、これを公表すると定めております。一方において、これは第三条二項におきまして、「消費者安全の確保に関する施策の推進は、事業者による適正な事業活動の確保に配慮しつつ、」ということも一方でかかっておりますので、なかなか難しいことではあると思います。

 いずれにしましても、これは個別事案ごとにやはり判断をしていくことになるのではないかと思っております。

 なお、ちなみに、せんだっての事故米につきましては、補正予算で善意の事業者につきましては営業上の補助をするという措置をとっておりますことをつけ加えたいと思います。

 以上でございます。

西委員 ありがとうございました。

 これからはそういう法律にのっとって判断をしていくことになる、こういうお話でございました。

 最後のテーマでございます。

 遺伝子組み換え作物というのが最近たくさん出ております。大豆についてお伺いしたいんですが、この遺伝子組み換え大豆が本格的な栽培をするようになって十数年になります。この間、遺伝子組み換え大豆は世界じゅうの大きな傾向になっておりまして、作付面積で七〇%が既に遺伝子組み換え、それからアメリカにおいては九〇%を超えている。いわば、組み換えでない大豆を探す方が難しい、こういう事態になっております。これは、病虫害の問題、それから除草剤その他薬の問題等考えますと、どんどんまだまだふえていく可能性があるんじゃないか、こう思っております。

 現在、国内の大豆の消費量、そのうちの国産と輸入の割合、それから遺伝子組み換え大豆と組み換えでない大豆の量についてお答えをいただきたい。それから、遺伝子組み換え大豆はどんな形態で消費されているのか。それから、組み換えでない大豆の輸入についてはなかなか入手が難しくなってきているというふうに報道では伝えられておりますが、その実態を説明をいただきたい。もとの種についても御答弁をいただきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇八年の大豆の需要量でございますが、三百九十五万トンでございます。このうち、国内生産が二十三万トン、全体の六%、輸入が三百七十一万トン、同じく九四%となっております。

 遺伝子組み換え大豆と非遺伝子組み換え大豆の量についてでございますけれども、これは食品事業者からの聞き取りになりますが、豆腐、納豆といった食品用は百四万トンほどありまして、全体の四分の一でございますが、このほぼ全量は非遺伝子組み換え大豆が使用されているということ。また、製油用等、全体で二百九十二万トン、七四%、四分の三でございますが、これには遺伝子組み換え大豆が使用されているというふうに考えております。

 今、委員御指摘いただきましたように、海外での大豆の生産状況を見ますと、遺伝子組み換え大豆が大変ふえてきているということでございます。このような中、輸入商社、また関係業界から聞き取ったところによりますと、まず種の問題でございますが、海外における非遺伝子組み換え大豆の生産に当たりましての種子の調達でございますけれども、アメリカ等におきましても相当の需要量があるということで、これまでのところ、支障を来すような状況ではないということでございます。また、国内におきましても、昨年、国際相場の高騰によりまして非遺伝子組み換え大豆の安定的な供給に不安が生じたものの、これまでのところ、お金を出せばということになろうかと思いますが、必要量の確保に支障が生ずるような状況にはないというふうに考えております。

西委員 もちろん、生産効率が悪いわけですから、結構高い大豆ということにはなるんだろうと思います。しかし、今のところは供給は十分いけるという判断のようでございます。

 先ほど申し上げましたように、遺伝子の組み換えの目的といいますのは、殺虫効果を出すとか、除草剤に対して耐性を持つような遺伝子を組み込むとか、また、特定成分を付与する、例えば栄養とかそういうプラス面での効果を植物に与える、こんなさまざまな理由で遺伝子の組み換えをしているわけですが、この遺伝子組み換えについて食品安全委員会ではどのように評価をしているのか。大豆についてで結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。

栗本政府参考人 お答えいたします。

 遺伝子組み換え食品の安全性評価につきましては、食品安全委員会において、国際的にも整合した評価基準を定めて科学的な評価を実施しております。評価に当たりましては、遺伝子組み換え食品とこれまでに食べられてきた食品、両者を比較いたしまして、安全性に差がないかを確認することを基本的な考え方としております。

 具体的には、挿入された遺伝子によって生産されるたんぱく質の毒性やアレルギー誘発性等の有害性、また、挿入された遺伝子により新たな有害物質の産生等の意図しない想定外の悪影響がないか、さらに、従来の食品と比較して含有される成分が大きく変化していることがないかといったことにつきまして、詳しく調査審議を行っております。

 今後とも、国民の健康保護が最も重要であるとの認識のもと、最新の科学的知見に基づいて中立公正に評価を行うことにより、遺伝子組み換え食品の安全の確保を図ってまいります。

 以上でございます。

西委員 今お答えいただきましたように、遺伝子組み換え大豆を使っても安全である、そういうものしか出回っていない。もちろん、試験段階では毒性やらアレルギー性があって途中で研究をやめたりというようなことはあるようですが、今出回っているものについては安全である。

 ただ、私もちょっと点検にスーパーへ行ったんですが、豆腐の中で遺伝子組み換えをしている豆腐というのは、スーパーには一つも見当たりません。全部、遺伝子組み換えでないと表示している。表示する義務がないにもかかわらず、きっちり、どこそこ産の遺伝子組み換えをしていない大豆ということがキャッチフレーズになっております。納豆も同様でございます。そこに国民の皆さんの安心というものが含まれているのかなというふうに思うんです。

 農林水産技術会議におきまして、遺伝子組換え農作物等に関する意識調査というものが最近なされました。遺伝子組み換え食品をめぐる国民の意識として、七割が不安を持っている、こういう結果が出ております。

 なぜ遺伝子組み換え大豆を今回取り上げたかといいますと、食に関しては、科学的には安全と、先ほどの食品安全委員会の結果もそう出ておりますが、消費者からはそれ以上に安心ということが求められているということではないのかなと思っておりまして、そこにこの食品行政の難しさがあるように思います。BSEの全頭検査もそういう意味ではいい例で、国は食品安全委員会の結論をもとに二十月齢以下の牛についての検査は不要というふうにしましたけれども、結果的には全頭検査を続けている、こういう実情もあります。

 そんな意味で、消費者行政の位置取りというのは非常に難しいというふうに考えられますが、食の安全と安心に関して消費者庁はどういうスタンスで取り組まれようとしているのか、大臣に基本的な方針をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 消費者庁は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進等に関する事務を行う、そういう組織として創設されることになります。

 食品の安全性の確保につきましては、今説明がありましたとおり、科学的、中立的に行われる食品健康影響評価、リスク評価というわけですが、その結果に基づいて行われることが重要だと考えています。

 一方、先生御指摘のとおり、食品については、安全という言葉と安心の距離感というのが大層広くて、それを縮めていくことがとても重要でして、関係者相互の情報及び意見の交換を図るリスクコミュニケーションを促進することが重要なかぎとなります。つまりは、科学的知見、私もそう持っておりません、リスク評価をされても、にわかに自分のボキャブラリーの中でそしゃくできないというのは消費者に間々あることです。

 ですから、そのリスクコミュニケーションを通じて、こういう評価はこういうことなんだということを、そういうことに日々接していない消費者にやはり理解していただくような、そういう場が必要なんだと思うわけですけれども、このリスクコミュニケーションに係る関係行政機関の調整については消費者庁が所管することになります。

 具体的には、食品の安全性に関する施策の策定に当たり、消費者等の関係者に情報を提供し、意見を述べる機会を十分に確保することなどにより、つまり、こういうふうに言われてもよくわからないとか、いろいろなやりとりがある中で、一番多くの消費者にとってリスク評価をしっかりと受けとめられる教育の場というか、消費者教育にも通ずることがあると思うんですけれども、関係者相互間の理解が深まるように、そこを消費者庁がみずから担っていくということになっております。

西委員 今、大臣からお答えいただきましたけれども、広く国民の皆さんに、食の安全に対する国の判断といいますか、食品安全委員会も当然のことですが、そういうものを丁寧にやはりお伝えするということがこれからさらに求められてくるのではないかというふうに思います。

 お聞きすると、大豆も、遺伝子組み換え大豆だけれども大変おいしい大豆というのは北海道のどこかに一カ所売っているというお話もちらっと聞きましたけれども、いろいろな選択肢があるんだと思いますし、そういうことが国民の側にもきちっと理解できるよう伝える責任があるのじゃないかと思います。ただ、リスクという考え方は非常に難しいというか、はっきりしないこともあります。ですから、粘り強くやはりやっていただく以外にないのかなというふうに思うわけです。

 先ほども、大豆についての食品安全委員会の結論は出ましたけれども、たかが十年のことです。科学的に見ればそういうことは絶対安心だと言われても、人間は、長い間いろいろなものを食べてきて、安心だということを積み重ねてきて今の食べ方、また食物の選び方を決めているわけですから、本当に十年で安心と言えるのかというのは、ここはまたリスクの問題ともかかわってくるんだと思いますし、注意深く見ていく必要があろうかと思います。

 最後に一問だけお願いしたいと思います。

 重大事故の情報については直ちに総理大臣に通知しなければならない、こういうことになっておりますが、情報の受け手側、消費者庁の体制についてでございます。

 三百六十五日二十四時間、何らかの形で職員が常駐するということになるのかどうか。あらゆる情報を集約して消費者庁で責任を持って対応するということですが、どうなのかということです。

 通知方法としては、これは後から政令等で決めるんでしょうが、ファクスを入れておいた、メールを打っておいた、これだけではなかなか情報伝達としては十分じゃないというふうなこともあり得るように思うわけです。業務に携わる職員の皆さんは大変だと思いますが、やはり確実に人から人に伝わる、そういう体制で、いつどういうことが起こったとしても対応できる体制をぜひともつくっていただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 重大事故等に関する情報に関しましては、都道府県、市町村、関係行政機関が消費者庁に直ちに通知をしていただくことになっております。こうしたことから、情報通知を受けます際に、消費者庁側の体制についても、これを見逃したり伝達し損なったりするようなことのないように、適切な体制を整備することが非常に重要と考えております。

 具体的に申し上げますと、例えば、いついかなるときにも重大事故等に関する情報を受けることができるように、職員等による受信体制、これを整備いたしますとともに、その通知の方法に関しましても、先生御懸念を示されましたけれども、電話によるほか、ファクシミリによる場合には、アラームがきちんと鳴って見逃しがないようにする。また、受信をした情報を即座に関係者に共有できるように消費者庁内の緊急連絡体制を構築する、そういった工夫が必要というふうに考えております。

西委員 以上でございます。ありがとうございました。

船田委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは五十分という時間をちょうだいいたしまして、初めてこの消費者特別委員会で質問いたします。どうぞよろしくお願いをいたします。

 きょうは、石破農水大臣も、お忙しい中時間を割いていただき、この委員会に御出席をいただいたにもかかわらず、石破大臣の御登場の機会がなくて、大変心待ちにしていただいたんだろうと思いますので、私、たっぷり用意をしてまいりました。どうぞひとつ的確に御答弁をいただきまして、これからの消費者行政に対してどのような熱い思いを持っていらっしゃるのか聞かせていただきたいというふうに思っておるわけであります。

 とはいいながら、この消費者特別委員会がスタートをいたしまして、我が党、民主党からも、消費者権利院法案を初め提出をさせていただき、政府案と我が民主党案との違いをできる限り皆様に、その違いを明確にしながら、消費者行政に対して私たちはどう考えているかをやはり伝えていきたい、そんなふうに思っておるわけでありますが、どうも、これまで、与党議員の皆さんが、民主党の法案に対していろいろな疑問等々をお持ちであるにもかかわらず、どなたに聞いていいのかおわかりになっていらっしゃらないのか、法案提出者に聞くどころか野田大臣にお聞きになられたりとかして、大変お困りの様子を私は委員席から拝見させていただいておりました。

 十八日のこの特別委員会で、自民党の議員の質疑で、消費者権利院法案並びに消費者団体訴訟法案に対して、地方分権に逆行する流れだとか、地方と国とを分断するといったような質問が野田大臣の方にありまして、ある意味、本当に私どもも、なぜ目の前に提出者がいらっしゃるのにお聞きにならないんだろうか、そんなふうに実は疑問に思っていたところであります。

 野田大臣の方も、どうも民主党法案の趣旨を御理解いただいていないような答弁だったと私はちょっと認識をいたしましたので、衆法提出者の方から、十八日の質疑を振り返っていただいて、改めて、この地方分権に本当に逆行するのか、地方と国を本当に分断してしまうのかというあたり、もう一度答弁をいただけないでしょうか。

小宮山(洋)議員 この地方分権と私どもが考えている地方の組織についてですが、先日の答弁のときに、私が国家公務員にその身分を保障するためにすることを緊急避難的措置と申し上げたことがいろいろな波紋を呼んでいるようですので、もう少し丁寧に説明をさせていただきたいと思います。

 民主党に政権を任せていただいたら、私どもは、分権の政治にして、権限だけではなくて財源もしっかりと地方にお渡しをいたしますので、そうなれば、今の惨たんたる現状の地方の窓口がしっかり充実する体制になる、その日は余り遠くないという思いから緊急避難的と申し上げたんですけれども、そんなに国家公務員、地方公務員と身分がくるくる変わるという意味では決してございませんので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思っています。

 御承知のように、地方の窓口は本当に格差がありまして、うまくいっているところはうまくいっていますけれども、いないところは、週のうちの何日か、何時間かしか相談が受けられないようなところもあります。これを自治事務だからといって地方に任せた場合には、全国津々浦々どこにいても消費者の権利がしっかり守られる、その窓口に行けばちゃんと相談に応じてもらえて、私どもが考えている消費者権利院の仕組みやら消費者団体訴訟制度の仕組みを使ってしっかりと権利が守られ、被害が救済される、そのことを私たちは願っているわけでございます。

 そのためには、やはり政府のように基金を三年間積んでもその先がどうなるのか、地方交付税で措置をしてもそれがここに使われるとは限らない。そこで、私どもは、国家公務員としたことで地方の今までの体制と遊離するのではないか、分断されるのではないかというような御懸念もあるようですけれども、今までやっていた方と、それから、さらに充実させるためにもちろん新しい方にも入っていただきますが、あくまでも私たちが思っているのは、窓口で、本当にここがかぎになります消費者相談員の皆さんの身分が、今は割と雇いどめとか、本当に研修に行きたくても行く時間がないような状況にあるので、そこを何とか改善したい。それは政府のお考えも私たちの考えも違わないと思います。

 ただ、自治事務にしてしまうとそれができないと、これはもう私どもも考えに考え抜いた結果、国が責任を持ってしっかりと財源を保障して、その身分の保障をして、研修も受けて技能を高めていただくためには、これは任期つきの国家公務員とするしかないということで、私どもは、任期を十年として、再任可能な国家公務員として、国の財政負担で身分と任期を保障して、安心して相談業務に当たることができるようにするという意味でございます。

 もともと、地方での消費者行政がやっていることと、当然そこにいる人たちがそのままやったり、あるいは新しくそういう知識を持った人をふやすということですから、連携がとれるということは何の心配もない、今までやっているところに身分保障と技術を高めるための保障をつけたということだと解していただきたいと思います。

 ただ、もちろん自治事務である消費者行政を否定するつもりは全くございませんので、それぞれ力のある、そういう思いのある地方自治体が、さらに消費者センターを数多く設置して、さらに多くの相談員を配置するということは望ましいことだというふうに思っています。そのような地方の組織と密接な連携をとりながら消費者の権利を守る、そういう活動ができるように、しっかり身分保障をするために国家公務員としたということを御理解いただきたいと思っています。

 与党の方もうなずいていただいていますので、このあたりはぜひ力を合わせて、しっかりと地方の窓口が充実する方法を考え出したいと思っています。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 私が聞くというよりも、与党の議員にぜひ聞いていただきたかった答弁であったというふうに私は思っておるわけであります。

 せっかくですから、いきなりですけれども、農水大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 これまで、農水省としても、消費者のとりわけ食の安全という点では、大変先頭に立って御苦労いただいてきたところだと思います。実際に、今回、この消費者庁が設置をされることに対して、石破大臣として何を御期待されているのか。そして、この先、消費者庁ができたとするならば、具体的にどのような協力連携というものを考えていらっしゃるのか。まず、その覚悟、思いをお聞かせいただけないでしょうか。

石破国務大臣 この消費者庁は、恐らく今までも累次答弁があったかと思いますが、一元的窓口という機能を持つのだということであります。そして、勧告によって関係行政機関にきちんとした対応を求めるということで、要は消費者行政を司令塔としてつかさどるというんですか、そういうことになるんだろう。

 つまり、これはどこの役所がやるんだ、農水省なのか、厚生労働省なのか、はたまた経済産業省なのか、消極的権限争いみたいな話になって、うちじゃない、うちじゃないというような話になりがちだ、あるいは、いろいろな企画立案もどこがやるんだということになってしまいやすい。それは、結局のところ、消費者の利益を大きく損ねることになるだろうということだと私は思います。

 消費者行政を一元化する、企画立案もそうですし、そしてまた、どこに権限を与えるかということもそうですし、そういうような一元的な機能を担うということは私どもとしても非常に期待をいたしておるところでございます。(田島(一)委員「具体的な協力も続けて」と呼ぶ)

 それでは、具体的な協力をどうするかということでございますが、例えて言いますと、JAS法に基づく取り締まりなぞというのがありますが、これは消費者庁と農水省の両方がそれぞれの特色を生かして連携をすることになるわけであります。例えば、両者が一体となって取り締まるというようなことにおいて効果を上げたいということですね。

 あるいは、食品表示ですが、消費者庁がJAS法、食品衛生法、健康増進法といった関係法律、これを横断的に所管をするのだということになるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、一元的に企画立案を行うことになるわけであります。

 だから、法律を一元的に所管をするということは極めて重要だというふうに思っておりまして、あとのことは、先ほど申し上げましたように、いかに連携を図るかということに配意をしていくべきものだろうと思っております。

田島(一)委員 今答弁の中で消費者行政の一元化というふうにお話しいただいたんですけれども、その続きに、一元化をするのは窓口機能だというようなニュアンスのことをおっしゃいました。窓口を一元化するということと消費者行政を一元化していくということ、これは似て非なるものでありまして、非常に微妙なところなんですね。

 では、消費者庁ができたから、もうこの消費者の窓口的なことは農水省は一切関係ありませんよというわけにもなかなかいかないでしょう。それだけに、消費者庁とどういうような連携を深めていくかというのが非常に重要であると思います。

 私は、次に野田大臣にお伺いしたいんですけれども、では、おつくりになろうとしている消費者庁としては、農水省と協力連携、どのように考えていらっしゃるのか。現在、現場で最先端の窓口となりますのは消費生活センターであるわけでありますが、この食の問題というものが果たして、大臣が事あるごとにおっしゃる、消費者をたらい回しにしないという文言に沿った形で消費生活センターできちっと自己完結できる、ワンストップの対応ができるというふうに思っていらっしゃるのかどうか、このあたりの覚悟と決意をぜひ聞かせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 今の農水大臣とほぼ類似の答弁になってしまうんですけれども、繰り返して申し上げると、消費者庁の事務を掌理する消費者政策担当大臣は、同時に食品の安全性の確保に関する総合調整に関する事務を担うこととなります。また、消費者庁は、JAS法など食品表示に関する法律について横断的に所管するほか、食品安全基本法に基づく基本的事項の策定を担うなど重要な役割を果たすことになります。

 一方、農林水産省は、食品の生産、流通段階における施策を所管する立場にあり、食の問題については農林水産省と密接に連携が図られることが不可欠となってまいります。

 したがって、消費者庁と農林水産省とは、こうした役割分担のもと、情報の共有、専門的知見の提供など、協力連携を図っていくこととなると考えております。

 さらに、消費生活センターにおいてですけれども、現状においても保健所など関係部局と連携しながら消費者の皆さんの相談対応を行っております。食の問題については、昨今さまざまな事案の発生を踏まえまして、先ほども話をしました都道府県における基金において、食品表示、安全分野の対応力の強化を図る消費生活センターを支援するということにしています。

 地方公共団体におかれましては、地域の実情に応じ、基金による支援メニューを活用していただき、消費生活センターにおける食品表示、安全分野の対応力強化や保健所など関係部局との連携強化を図っていただきたいと考えております。

田島(一)委員 わかりました。

 では、これまでの具体的な農水省の消費者行政の対応等々をひもときながら質問を進めていきたいと思います。

 まず、ここでコンニャクゼリーの問題、ほかの委員からもいろいろと質問がありましたけれども、改めて私の方からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 流通食品の安全を守る、それが農水省の役目でありました。残念なことに、自分の仕事ではない、所管ではないということで、これまで対策が後手後手に回り、本来ならば立法手当て等々も考えられるべきではなかったかなと私は思っていたわけでありますが、このような状況でこれから先も農水省が考えているというのであるならば、とてもこの消費者庁をつくったところで全く形骸化してしまうように私は心配をいたします。

 今ほど連携ということで両大臣からもお話があったとおり、霞が関全体で国民本位の立場に立った発想でこれから取り組んでいく、転換をしていこう、こういう姿勢をやはり持たなければ、政府がおっしゃっている消費者庁ができても、我々民主党が提案をしている消費者権利院ができても、決してうまく機能することはないと私は考えております。

 そこで、このコンニャクゼリーの問題、もう一度振り返りたいんですけれども、過去、農水委員会の方ででも質疑があったかと思いますが、一応この消費者特別委員会の中ででも整理をするという意味で御報告をいただきたいのですけれども、これまでこのコンニャクゼリーで多数の国民がお亡くなりになられている。その中で、農水省はどのように対応されてきたのか、お伺いをしたいのです。

 その一方で、国民生活センターも十年以上も前から何度も何度も警告を発していたということは農水省の方にも相当連絡があったかと思います。

 きのう、この特別委員会の中で参考人からの意見聴取をさせていただいた中で、お越しいただいた原さんという金融オンブズネットの参考人がおっしゃっていた話を聞いて私大変びっくりをいたしました。農水省の方に製造、販売禁止を求めていたんだけれども、それだけは勘弁をしてください、中小企業がこれでようやく活路を見出したのだからというような回答をされたということであります。

 その段階でしっかりと食いとめることができていたならば、一年の間に六人も死亡事故が続くというようなことはあり得なかったでありましょうし、農水省が製造業者の立場にしか立っていなかったことが今回のこのコンニャクゼリー問題の事件を大変大きくしてきたのではないかというふうに私は思うわけであります。

 これまでの対応の経緯について御報告をいただけないでしょうか。お願いいたします。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、コンニャクゼリーの事件につきましては大変痛ましい事件であったというふうに受けとめている次第でございます。

 この経過につきましては、私ども、このコンニャクゼリーの問題につきまして、先ほど委員からお話ございましたように、国民生活センターの方からも何度かにわたりまして情報をいただいておりますし、また、私どもの方の出先機関であります地方農政局なり地方農政事務所などにおきましても消費者の部屋という消費者の相談の窓口を設けておりますので、そういったところで情報をいただいておるわけでございます。

 そして、そうした情報が入ってくる中におきまして、私ども、業界団体に対しましてコンニャクゼリーの問題について、一つは、注意表示といいましょうか警告表示、お子さんあるいはお年寄りの方は食べないでくださいといった警告表示がございますが、そういったものをしっかりと表示し、また改善していただくというようなこと、あるいは物性でありますとか形といったものを改善していただくというようなことを業界団体を通じてまず指導してきたわけでございます。

 しかしながら、なかなか業界団体の取り組みというのは進まない面もあったわけでございますけれども、昨年の九月三十日になりまして、これまた痛ましい事件でございますが、お子さんがコンニャクゼリーで亡くなった事案が国民生活センターの方から公表されました。それを踏まえまして、一層指導を強めまして、具体的に、注意、警告表示をより大きくすることを指示いたしました。また、ゼリーの大きさも、あるいはかたさといったものも改善していただくように指導をいたしたわけでございます。また、販売に当たりましても、これは普通のお菓子ではないんだということを明確にして、お菓子とは別な場所で売るようにということについての指導をしていったわけでございます。

 さらに、昨年の十月に、内閣府が中心になりまして、関係省庁が集まりまして、消費者安全情報総括官会議におきまして申し合わせを行ったわけでございます。そうした中で、いろいろな事項が申し合わせにありますけれども、私どもの関係で申せば、今までのそうした指導を一層強めるという意味におきまして、改善がなされなければ流通をしないようにということを強く申し入れをいたしたわけでございます。そうした過程の中で、販売方法なりあるいは表示方法が改善をして少し前進をした、また物性についての改善にも取り組みを始めていただいているといった状況でございます。

田島(一)委員 十年たって、人が相当死なないと流通をとめるぞという警告が出せない、そんなふうな時間的なものに対する認識の甘さをやはり私は本当に強烈に反省をしなきゃならないと思うわけであります。

 表示の改善を申し入れてきた、しかしながら、それでも事故はなくなってこなかった。いっそのこと、カップ全体を真っ黒に塗って「危険」とでも書かせますか。そうやってでも事故は起こっていくのではないでしょうか。現に、消費者団体等々からこのコンニャクゼリーの危険性の警鐘が農水省の方にまで伝えられていながら、業界に対しては、とにかく業界を守るということだけに終始してきた。その結果が、死亡者を次から次へと生んできたという事実ではないでしょうか。私は、果たして、これまで農水省としての対応が本当に徹底されていたのかどうか、今なお疑問に感じています。

 例えば、厚生労働省と話し合いをこれまで重ねていらっしゃったのかどうか。またあわせて、食品安全委員会とも協議をされてきたのかどうか。あわせて、その経緯も簡潔に御報告いただきたいと思います。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 コンニャクゼリーの事案につきましては、国民生活センターから情報をいただきました際に、関係行政機関、すなわち厚生労働省あるいは内閣府と情報を共有いたしまして、その際に、どういった対応をそれぞれとれるのかという打ち合わせ協議を進めてきたわけでございます。

 そして、そうした協議を積み重ねてまいりました結果、昨年十月の、先ほど申し上げました消費者安全情報総括官会議申合せという形で、各省がそれぞれの分担におきまして取り組める事項を取り組んでいこうということでまとめた次第でございます。

 そうした中で、私どもの方は、業界団体を通じまして指導を強めていくという取り組みをしていったわけでございますし、また厚生労働省におかれましても、健康の評価の問題、あるいは食品安全委員会におかれましても、物性などの評価の問題などに取り組んでいただいているというふうに承知をいたしている次第でございます。

田島(一)委員 通告にないんですけれども、大臣、御存じでしょうか。韓国では、このコンニャクゼリー、どういう対応がされたか御存じですか。

石破国務大臣 正確に存じておるわけではありませんが、輸入あるいは販売等々が禁止をされたというふうに、不正確かもしれませんが承知をいたしておるところでございます。

田島(一)委員 おっしゃったとおり、一件の死亡事故があったことを受けて、非常に素早く輸入、製造、販売禁止がなされました。隣の韓国ではそのような迅速な対応をされているけれども、日本では、十五件も死亡事故がありながら、こうして今なお製造、販売が行われている。消費者のレベルでは、もともとなかったものに対しての必要性は求めていないんだけれども、相も変わらず、農水省がかたくなに製造、販売を許しているとしか私は思えないわけであります。いろいろと、これは私の考えだというふうに受けとめてください。

 業界団体に今まで改善を申し入れたり指導してきたけれども、全然進まなかった。つまりは、農水省の指導力が発揮できなかったということでもないかなと私は実は思うわけであります。これが、消費者庁ができたことによって、果たしてどこまで被害が減るのか、多くの国民が期待を寄せているところだというふうに思いますが、またこの質問については、続き、同僚議員等からもあろうかと思いますので、時間の限られた中、次の質問の方へ移らせてください。(発言する者あり)まだ後で出番が用意してあります。

 続いて、事故米の問題にちょっと入らせてください。

 農政局の農政事務所は、それこそ調査に百回近く入っていらっしゃった。にもかかわらず、不正を発見できなかった。このあたり、もう何度も何度も大変議論があったかもしれませんけれども、この理由はそもそも何だというふうにお考えなのか、大臣、お答えいただけないでしょうか。

石破国務大臣 これは、九十六回行って見抜けなかったということですね。マニュアルもなければ、何のために行くのだかも、ミッションが明らかではない。行ってお茶を飲んでいたんじゃないかという話があるぐらいで、私も実際現場に行ってみました。異常なし、異常なしとか、そういうようなペーパーは、報告書みたいなのもありましたが、一体どの項目をどのように検査をしなければいけないのかということがなかった。本省からそれが現場にも伝わっていなかったし、現場も、何のために行くのかという認識もなかった。そして、報告も上には上がっていなかった。これは単に行くことに意味があるのであってというような認識だったとしか思えない。

 それは、現場だけが悪いと言うつもりは私はございません。きちんとしたマニュアルをつくらなかった、ミッションに対する意識がなかった、農林水産省全体の問題でございます。そういうものが欠如をしておったがゆえに、こういうことが起こったというふうに私は認識をいたしております。

田島(一)委員 その答弁も今まで農水委員会等でも何度もおっしゃっていたわけでありますし、それを受けてマニュアル作成等々、新たな対応に踏み切ってこられたと思います。やはり現場と本省との意思疎通がきちっとできているかどうか、先ほどもおっしゃったように、ミッションの目的等々を共有し合っているか、これがやはり何より大事であろうかと思います。

 この食品偽装監視業務というものに対して、私も大変重要視をしているわけでありますけれども、実際この業務に当たっている農水省の職員、それこそ本省と出先の機関を合わせると大体何人ぐらいになっているのか。それぞれの数字をまずお示しいただきたいのと、この食品偽装監視業務について、そもそも大臣はどのような御認識をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

竹谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 人数でございますけれども、食品表示の偽装などに対応いたします業務に携わっております食品表示Gメンでございますが、本省は二十名、そして地方段階におきまして約千八百名の要員で対応いたしているところでございます。

石破国務大臣 私は、この食品Gメンという人たちが、本当に昼夜を分かたずいろいろなところへ行き、そして表示が適正かどうかということを確認をし、あるいは消費者の方からのいろいろな情報を受けて、またそれが適正に流通しているか、消費の現場に供されているかということを見ている、それは大変に大きな役割を果たしているだろうと思います。また、大きな抑止力も持っているだろうというふうに考えております。

 この食品Gメンの人たち、職員、これをこれから先どのようにしていくか。今までどおり、農林水産省が所掌するというか農林水産大臣の指揮命令のもとで行うか、それともそれを分けるべきかという議論は政府の中でもございました。そのことについてまた委員の御意見も承りたいと存じますけれども、私は、食品について農林水産大臣の指揮命令のもとに行うということと、この消費者行政というものがそごを来さないように、そこはよく考えていかねばならないと思っております。

田島(一)委員 二千人近い食品表示Gメン、監視員が、この消費者庁関連三法案のもとでは、組織上、身は農水省に置きながら、今後消費者庁の意向で業務を遂行していくという流れになるというふうに理解をしているんですけれども、この状況で果たして現場が混乱しないのかどうか、農水大臣に対しての命令等をこれから先されていくわけですけれども、果たしてその連携がうまくとっていけるのかどうか、私自身、ちょっと心配をしているわけであります。これから先、その現場と本省と、それこそ今回の事故米問題等ででも意思疎通が図れていけなかった、ミッションを共有していけなかったというような問題がある中で、さらに屋上屋を重ねる消費者庁がその上に上がってくるとなると、果たしてこの現場はうまく機能していくんだろうか、そんな心配がありますし、実際に現場で働いている方々も、その点を不安に思っていらっしゃるようであります。

 その辺に対して、農水大臣として、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 御懸念はごもっともであります。指揮命令系統が複線化すると、大体目的は成就されないことになっておりまして、これは常に単線でなければなりません。そうすると、どういうことを単線というふうにイメージするかというと、消費者庁から要請があった場合に、農林水産大臣の指揮命令に基づいて行動するということでございますから、そこで混乱は避けられると思っております。消費者担当大臣が、そのときに消費者庁長官というのか何というのか私はよく存じませんが、消費者庁をつかさどる者が指揮命令をするということはございません。

 また、農水省の側から申し上げましても、消費者庁側からの要請というものをお断りするというようなことはございません。常に指揮命令系統は一本でございますし、消費者の利益のためにという認識、そしてまた、関係法令について、農林水産省そして消費者庁、常に一致をしておれば、そごを来すこともないし、混乱を起こすこともない、私はそのように認識をいたしております。

田島(一)委員 現在の食品偽装監視業務でどのような対応をされているのか、具体的にちょっとお伺いしたいんですけれども、悪質な業者に対しての強制捜査や摘発というのは現段階では可能なのかどうか、お示しいただけないでしょうか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 地方農政局、地方農政事務所におきましては、消費者の部屋などを設けまして、あるいは食品表示一一〇番などを設けまして、いろいろと疑義のある表示などについての情報が入ってまいります。また、それに対する受け答えは、先ほど申し上げました食品表示Gメンが対応しているわけでございます。そして、この食品表示Gメンがまた日常的に巡回調査を行っておりまして、小売店等におきまして疑義のある表示がないかどうかということを見回っております。

 そうした中で、問題のあるものがございまして、軽微なものにつきましては、その場で指導等をしておるわけでございます。さらにいろいろと問題がありそうであるということにつきましては調査をかけまして、そして、調査の中でやはり大変悪質であるという案件につきましては、指示という形で、その指示の結果を公表するという形で、ある意味では社会的に、その事業者が偽装表示をやっているといったことを明らかにしながら、社会的なペナルティーがかかるような形での対応というものを行っているわけでございます。

 ただ、その過程におきまして強制的な捜査権があるわけではございませんし、立入調査権は持っておりますけれども、強制的なものではございません。そうした中での取り組みでございます。

 したがって、一定の限界がありまして、隠そうとしたりする方もいるわけでございますが、そういった方につきましては、関係省庁といいましょうか、警察庁とも連携をするということで連携協定を結んでおりまして、情報をシェアいたしまして、場合によっては警察庁の方の捜査で対応していただくという形での連携をとっての取り組みをしているところでございます。

田島(一)委員 表示違反で行政処分を受けても、刑罰を受けるケースというのは非常に少なく、そのまま経営を続けているケースというのも、全国見渡しても随分あります。

 たしか去年の五月だったでしょうか、テレビの報道番組で、神奈川県内のスーパーの中にテナントとして入っている食肉業者が、オーストラリア産の牛肉を国産牛肉と表示をして販売しているのをスクープのように報道されていた番組を私は拝見いたしました。大臣等は御存じないかもしれませんが。

 実際に、農水省が捜査等々、調査に入ろうと思っても、県内のみでの営業をしている場合は、都道府県が調査、また指導等々をしなければならないというふうになっているので、農水省としても、調査に入りたい、またきちっとそれに対しての指導等々に踏み込みたいと思っていてもできないという、いわば自治事務的な法律の問題点で踏み込むことができなかったという事実も報道をされておりました。

 このように、本来刑罰を受けなきゃならない、行政処分を受けても刑罰を受けないケースなんかがやはりあるということ自体が消費者をごまかしているかのような感じにもなりますし、また、のほほんと、消費者に謝るでもない、罪を償うでもない、平然とした顔をして経営を続けている悪徳業者がまだまだはびこっているという現実、これはやはり相当問題視をしなければならないと私は思うんですけれども、大臣、このようなケースというものも含めて、その原因は何だというふうにお考えなのか、こういう、ある意味、行政処分を受けても刑罰を受けることが少ないという事実をどのように受けとめていらっしゃるのか、お答えいただけないでしょうか。

石破国務大臣 それは、どういう刑罰が科せられるかということは、先ほど局長からも答弁を申し上げましたが、私どもは捜査権を持っているわけでもございませんで、ここは、警察との連携協定に基づいて警察がどのように動いてくれるか、そして、その後はどのように司法の判断が下されるかということでございますので、私どもとしては、余り立ち入って申し上げる立場にはないのです。

 ただ、私は思うんですけれども、都道府県によって、指示をすることは何なんだ、指示をしないことは何なんだということがあいまいであるということがございます。また、指示をしても、公表する、しないで県によって差があるということがあってはならないことだというふうに私どもは考えまして、本年の一月に、指示、公表の指針について、指示する場合はどのような場合かという要件を明確化いたしました。そしてまた、指示した場合は必ず公表すること等を内容とする改定を行ったところでございます。

 これは、この後どういうことになるかといいますと、地方自治法に基づきます技術的助言として、この旨を都道府県知事に対して通知をしたところであります。よって、そういうことが行われれば必ず公表される、結果として、どこの業者が何を行ったのかということが消費者にも知れ渡ることになるということであります。

 今のオーストラリア産と国産みたいなお話がありましたが、要は、消費者を偽った業者はかくかくしかじかこのようなものであるということが広くあまねく知れ渡ることによって、それは経営上非常に困難になるだろうと思っております。今の時代に消費者の信頼を裏切るということは、営業の継続は困難ということとほとんどニアリーイコールだと私は思っておりまして、そういうものをどうやってきちんと公表するようにするか。

 そして、あわせて、Gメンについても、だからこそその職責が重要になるのであって、例えば、普通の人がオーストラリアン・ビーフと国産牛とどこまで見分けがつくか。まず、見た目、見分けはつきません。そして、食べてみて、よほどの通であればともかくも、これはここが違うということがわかる人がどれだけいるか甚だ怪しいというところがございまして、だから、そこに偽装がつけ込む余地があるのだと思っております。

 そういうことは許しませんよということで、Gメンの活動というものをもっと強化したい。そして、消費者の方から寄せられた情報というものは、それはまず真実であるというふうに考えて対応しなければいけない。そういうことで悪徳の商法というものを根絶しなければいかぬし、消費者の信頼を獲得せねばならぬ、私どもの責任はそのようなことであると認識をいたしております。

田島(一)委員 現場でこうして二千人近い食品偽装監視員が動いている、その指揮をされている農水大臣に対して、きちっと今後要請等々を消費者担当大臣がやっていけるのかどうか。組織の数だけで比較するのは大変失礼だと思うんですけれども、定員がわずか二百人というような定数だと聞いていますし、非正規職員もどんなに頑張ったって百人程度だろうというように仄聞しているわけでありますけれども、果たしてこれで、今現場でいろいろと苦虫もかみながら扼腕を抱えている状況の農水省に対して、きちっと食品監視業務に十分対応できると考えていいのかどうか。

 もっと言えば、今、地方の出先機関というものも消費者庁自体は持たずに、情報収集であるとか、立入調査だとか、本当に長期戦で臨まなければならない事態が想定されているわけでありますけれども、果たしてこのノウハウを持ち得ていない消費者庁で十分にできるのかどうか、私はその点心配しておりますし、現場からそれを皮肉るような声も新聞等々で躍っているのを見ていると、やはり大変不安になるわけであります。

 その辺について覚悟があるのかどうか、御意見ありましたら、ぜひお聞かせください。

野田国務大臣 覚悟はございます。

 先ほどの農林水産省との連携を、まず消費者庁側から流れをお答えさせていただいた上で、後、今いただいた二問について答弁させていただきます。

 先ほどは、JAS法の品質表示基準の執行の仕組みということになると思います。これについてこちらから説明させていただくと、農林水産省の二千人のGメンは、農林水産省に在籍します。そして、農林水産大臣の指揮のもとで業務を行います。

 具体的には、農林水産大臣がGメンに立入検査や報告聴取を実施させた場合には、その結果を消費者庁長官に通知するものとしており、また、農林水産大臣が指示を行おうとするときは、あらかじめ消費者庁長官に通知することを規定しております。このため、消費者庁長官は、通知を受けた後あるいは指示を行う前に、必要がある場合には農林水産大臣と所要の調整を図ることとなります。

 消費者庁としては、農林水産大臣との協力のもとに法執行を行います。したがって、現場の混乱を引き起こすことになるとは考えておりません。一気通貫で仕事をさせていただくことになります。

 そういうことも踏まえ、消費者庁の定員が少ない、二百四名ということになっておりまして、そこでちゃんとできるかどうかという話でありますけれども、私たちは、このたびは簡素で効率的でスマートな行政組織をつくるべきだということに立脚しております。その消費者庁の主導、リーダーシップのもとで、関係省庁の今のような地方支分部局等を活用することによって効率的な業務遂行を行うこととしています。

 さらに、今先生からお話がありましたように、消費者からの相談情報の分析や困難事案への助言、専門的な知見を要する表示基準等の調査分析とか法執行などの分野で非常勤職員を活用することとしております。これは約六十名ということにしております。緊急時にはタスクフォースを設けて各種事案に迅速かつ適確に対応する等、機動的な運営を心がけ、消費者庁関連法案に盛り込まれた機能を発揮して業務を全うすることは可能であると考えております。

 さらに、出先がなくノウハウもないのに大丈夫かという御質問ですけれども、組織については、今申し上げたように簡素で効率的な仕組み、なおかつリーダーシップを持つ、主導するということがとても大事だと思います。そのもとで関係省庁の持つ専門的な知見等や地方組織を活用していくことが非常に有効ではないか、必要であると思っています。

 今、JAS法の話について農林水産大臣とのやりとりを申し上げましたけれども、まずは、これについても、地方の消費生活センターに寄せられた消費者の苦情相談情報を消費者庁は一元的に集約するだけでなくて、その法律に基づく申し出を消費者庁として受け付けることによって情報収集を行うことができるようにしてあります。

 また、法執行面では、消費者庁に最終的な行政処分である措置命令の権限を持たせた上で、立入検査等を農林水産省、都道府県に実施させ、その報告を受け付けることにより、消費者庁みずからが地方に出先機関を持たなくても地方における法執行が可能となる仕組みを設けております。そして、これらの事務を行うために必要となる人員を置くため、農林水産省から二十一名の定員を移管しました。

 農林水産省、都道府県の密接な協力連携のもと、各種の情報をしっかり蓄積して、業務を適切に推進してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 農水省から二十一名を移管した、そうおっしゃったわけでありますけれども、果たして本当にそれだけでうまくいくのかな。つらつら申し上げて本当に恐縮ではありますけれども、どなたも小さく産んで大きく育てたいなんということをおっしゃっていますが、小さく産んで小さいままに育っちゃうんじゃないかな。育つならばいいんだけれども、何かこれで省庁間の壁、縦割りの弊害が相当出てくるのではないかなというふうに私は思うわけであります。

 その点も踏まえて、一方の民主党の衆法提出者の方、それこそ立入調査等々も踏まえて、民主党として、私が今提起させていただいた問題点等々、どのように対応されようとしているのか、説明をお願いできないでしょうか。

枝野議員 お答えをいたします。

 今、私も聞かせていただいていて、ああなるほどと思ったんですが、御理解いただいているとおり、政府案においても、結局、食品偽装の部分については、消費者庁が農林水産省のやる仕事を監視、チェックをするということに実質的にはとどまっているというふうに思います。実際の動きは農林水産省が今までどおり行うということであるならば、どちらが監視、チェック機能が働くのかということは、内部チェック的な要素の強い消費者庁よりも、外部チェック的な要素の強い消費者権利院の方がより機能するということについては御理解をいただけるのではないかと思っています。

 あるいはまた、例えば、先ほどの汚染米の話のように、実際に業者などに対して検査をしていても検査が機能していないなどというようなことが、この間、食品偽装の問題については出てきているわけでありまして、そういったことに対して、では何が消費者行政の観点からできるのか。

 例えば政府の消費者安全法案では、何か消費者問題が起こらないと動けないというような基本的な枠組みになっているかと思いますが、私たちは、消費者問題による被害の発生を防止するために必要があると認めるときにも、各行政機関、例えば農林水産大臣に対して調査を求めることができます。ですから、例えば輸入米についてどういうチェックをしていて、どういう体制でどういうふうにやっているのかというようなことなども、つまり、監視、チェックのシステムそのものについても調査を求めて報告をさせて、それがおかしければおかしいんじゃないかということも言える。被害が発生してからではなくて、問題を発生させないようにということについても調査を求めることができるということもあります。

 それから、例えばJAS法では具体的な基準その他がない、非常にあいまいな部分のところについても、我々の消費者権利院であれば、それが消費者の権利を害する、つまり消費者に間違った情報を与えるとか、場合によっては安全性に問題があるというようなことがあれば、JAS法などの根拠法の有無にかかわらず、消費者権利院は、みずからも立入調査を含めて業者に対して立ち入ることができて、それに基づいて、既存の法律を運用できるならば既存の法律の運用を例えば農林水産大臣に求めるなどということができるようになっておりますので、この間、いろいろな食品の安全性や表示について出てきている問題についてオールマイティーにきちっと対応ができるのは、我が党の提案ではないかというふうに自負をいたしております。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 聞けば聞くほど、提出した党の者として、私、やはり自信を持ってきたところなんですね。もう一度、やはり与党の皆さん、本当に問題があるんだったら、ぜひ民主党の提出者に聞いてください。

 私自身、今回、例えば、時間が本当になくなってきたので、この後、消費者安全法の関係の質問を実は用意させてもらっていたんですけれども、全般を見渡しても政省令に委任されている部分が余りに多過ぎて、これで国会で通してくれ、賛成しろというふうにおっしゃられても、大変厳しいなと私は思うわけであります。

 きょうは、一番最後に用意していた質問に対してお答えをぜひいただきたいんですけれども、審議の現段階で政省令で考えている中身というのをやはりしっかり示していただいて議論に付していただくのが提出者の当然の使命だというふうに思うんですけれども、予定されている政省令の提示はこれからきちっとされていきますか。それだけお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 政省令への委任については、例えば重大事故等について、死亡、重症等を想定しているわけですけれども、その詳細につきましては、この委員会の皆様方の御審議も踏まえて内容を具体化していくこととさせていただいております。

田島(一)委員 またこの後は同僚議員の方に任せていきたいと思いますし、私自身もまだ質問、用意していたもの以外にもありますので、またこれから先の委員会の中で問うこととし、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは、消費者問題に関する特別委員会で質疑の時間をいただきました。委員、理事各位、委員長を初め、皆様に感謝を申し上げたいと思いますが、その中で、まず幾つか聞いていきたい問題があります。

 野田大臣が大変意欲的に今こちらを見ていただいているわけですけれども、その前に、大変恐縮ですけれども、石破大臣がせっかくお越しでありまして、私は、先般質問主意書でお聞きをさせていただいた話を一問だけ、消費者特に関係がないんですけれども、お聞きをしておきたいと思っているんです。一つだけ聞かせてください。

 北朝鮮に関するミサイル発射のことで質問をしたときに、当たるか当たらないかわからないという話、要するにミサイルの迎撃ができるかできないかわからないという趣旨について私が問うたところ、それについては明確な答弁がいただけなかったんですが、その後、政府筋からさまざまな答弁が出たときに、かつての議事録を見ると、石破大臣が、相当程度当たる、こう言っているという話になっていて、それぞれ言っていることが違って、もう切迫をしている中でありますから、そういうことでは困るので、きちっと統一をしていただきたいということをお願いしておきたいと思うんですが、その点だけお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 所掌外で恐縮であります。

 私はかつて、防衛庁長官在任中あるいは防衛大臣在任中に、相当程度当たるということを申し上げました。また、百発百中ではございませんという答弁もしたような覚えがございます。

 それは、抑止力というのは重層的に構成をされるものでございまして、ミサイル防衛という拒否的な抑止力、そしてまた国民保護という、これも拒否的な抑止力、あるいは、報復的とも懲罰的とも申しておりますが、そのような抑止力、これをいかに組み合わせるかということが大事なのでありまして、相当程度当たるということは、私は、その後よほどの事情の変化でもない限り、それは変わっているものではないというふうに考えております。

 ほかの方がどのような発言をなさったか、私は前後を聞いておりませんので、そのことについて私が申し上げる立場にはございませんが、政府として一貫した答えがなければいけない、国民に御不安を与えるということは、私はそうだと思っておりますので、そうあるべきではないかなということは個人として申し上げたいと思います。

岡本(充)委員 それでは、皆様のお手元に資料も渡ったと思いますので、本題に入っていきたいと思います。

 まずは、これまでさまざま食の安全に関する問題について私も取り上げてまいりました。一つきっかけになったのが米国産牛肉のBSE問題でありました。

 それで、皆様のお手元に届いております、国民の皆さんにも大変関心が深い米国産牛肉のBSEの問題について、二〇〇七年の十月十八日、政府は、「米国の規制改革及び競争政策に関する日本国政府の要望事項」という要望事項の中で、二重線を引いております、日本の食品安全委員会において二〇〇五年十二月の米国産牛肉等に係る食品健康影響評価の結論の附帯事項としてどういうことが挙げられたのか、それを述べているわけであります。

 その中でもとりわけ私が重要だと考えておりますというか、この中にも書かれておりますけれども、一つには、いわゆる「SRMの利用の禁止が必須である。」ということ、「牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」とし、二番目には、「健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。」、こういうふうにされているわけであります。「最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要である」、こういうふうに書かれている。

 ところが、これは昨年の秋の農林水産委員会でも指摘をしたわけですが、二〇〇八年の十月十五日発行の要望事項には全くこの飼料規制とサーベイランスの指摘がなくなっている、こういう状況であります。

 この間、アメリカ政府としては、二〇〇九年の四月から新しいいわゆる飼料規制を行って、その飼料規制をもとに日本に対して改善をしたということとしたかったのかもしれませんけれども、この内容というのは、日本がSRMと規定をしている二十カ月齢を超え三十カ月未満のいわゆる牛の脳や脊髄は今後ともレンダリングに回って、そしてフードチェーンの中に入っていく。つまり、それを食べる動物が、豚や牛以外の動物ではアメリカでは存在し続けるということでありまして、結論として、そのフードチェーンが残っている限り交差汚染のリスクが存在するわけであります。

 実際のところ、異常プリオンが牛の口に入りますと、それがわずか〇・一グラム以下であっても牛に感染をすると言われている。つまり、豚や鶏が一緒の農場で飼育をされている場合、そのえさを誤って牛が食べてしまったときに交差汚染が起こり得るという意味では、問題が残っている、まだ飼料規制を続けていただかなければいけないであろうと私は考えるわけでありますが、日本政府として早々と、改善をしてくれという要望をおろしてしまった。

 と同時に、サーベイランスについても、米国は日本のように全頭検査をしているわけではありません。限られた牛をリスク牛と称してその検査をしておりますが、このリスク牛についても、日本の定義と必ずしも一致するものではありません、後ほどお話をさせていただきますが。サーベイランスについても、頭数自体は、二十数万等検査をしていたものを、既に四万頭にまで減らしてしまっている、こういう現実がある。

 こういうことを踏まえても、本来であれば、日本政府は、継続的なサーベイランスをするべきだということを二〇〇八年の要望書にも載せるべきだった。ところが、いつの間にかこの要望が落ちている。しかも、昨年の秋の委員会で、これは石破大臣に指摘をさせていただきましたけれども、厚生労働省は寝耳に水だったということを答弁されているわけでありまして、こういうことでは困るということで、前回の委員会で既に、その点についてはきちっと連携をするようにということで御答弁をいただきましたが、こういう実態があるということをぜひ委員各位の皆様にもお知りをいただいた上で、きょうは食品安全委員会にもお越しをいただいていると思います、食品安全委員会の方から見解をお聞かせいただきたいと思います。

 私が今指摘をさせていただきました飼料の交差汚染、それから米国のサーベイランスの問題、これは、次のページにも出ておりますけれども、「「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価について」、この中で述べられているいわゆる結論及びその附帯として述べられていることに合致するのかどうか、これについて御答弁をいただきたいと思います。

見上参考人 お答えいたします。

 平成十五年の食品安全委員会の米国、カナダ産牛肉等に関する評価は、現行の飼料規制を前提に行ったものです。しかし、BSEの暴露、増幅リスクを低減させるためには飼料規制が強化されることが望ましいと考え、附帯事項としてこれを記載したものです。

 今回、米国の飼料規制の改正案につきましては、昨年十一月の食品安全委員会において、農林水産省から、BSEの交差汚染防止の観点から、三十カ月以上の牛の脳や脊髄等について、ペットを含むすべての動物の飼料に使用することを禁止するものとの報告を受けました。これは、現行の飼料規制を強化するものなので、食品安全委員会としても一定の評価はしております。また、農林水産省に対して、実施状況の把握を含めまして、今後とも情報の提供をしてもらうよう要請しています。

 また、サーベイランスに関してなんですけれども、米国におけるBSEサーベイランスにつきましては、平成十八年八月に、従来二年間行われて、委員も御指摘の拡大サーベイランスから、全月齢のBSEが強く疑われている等の牛及び三十カ月以上の高リスク牛に対象を絞りまして、年間約五万頭の検査を行う現行サーベイランスに変更されたと承知しております。なお、OIEのサーベイランス基準において、高リスク牛を対象とすることに高い評価が与えられているところでございます。

 現行のサーベイランスにつきましては、食品安全委員会において平成十九年一月に、今回公表されたサーベイランス計画は、百万頭に一頭のBSE感染牛を発見する目的からすれば、サンプルの数そのものが少なくなるからといって一概に問題であるとは言えないと考えるとの見解を出しました。

 すなわち、サーベイランスは、米国のBSE浸潤状況を把握するための一手法であり、サーベイランスの変更が米国のBSE浸潤状況そのものに影響を及ぼすものではないので、評価結果を見直す必要はないと考えております。

岡本(充)委員 評価結果を見直す必要はないというか、私が聞いているのは、これで十分だと考えているんですか、十分だとお考えじゃないんじゃないんですかということを僕はきのう聞いていて、先ほどもお話ししましたように、三十カ月齢以上の飼料規制はしますよ、でも二十から二十九のSRMは今後ともフードチェーンに入っていきますよという話をしている。まだ十分じゃないという認識は、この部分は、日本の定義でいうSRMですよね、SRMがまだ今後ともフードチェーンに入っていく、アメリカの飼料規制はまだ十分じゃないですよね。その一点だけお答えをいただきたいと思います。

見上参考人 初めてなものですから。

 我々としましては、世界におけるBSEの発生状況等も踏まえまして、OIEにおいても規制をどんどん緩和している状況です、そういうことで、現段階において十分だ、そのように思っております。

岡本(充)委員 では、SRMがフードチェーンに入っていってしまう、今後とも二十から二十九カ月齢の牛のSRMがフードチェーンに入っていってしまう現状を食品安全委員会はそれでいいとされるのかどうか、そこをお答えいただきたい。それで本当にいいんですか、委員長。

見上参考人 何か一たん座らなきゃいけないらしくて、ごめんなさい。

 先ほども申し上げましたけれども、SRMがフードチェーンに入るというのは、飼料を介してだと思います。米国における飼料規制に関しましても、牛由来の骨粉はほかの動物にも使わないというような飼料規制を行うというふうに伺っています。

船田委員長 見上委員長、一度席にお戻りください。

岡本(充)委員 ちょっと一回、よく事務局に聞いてください。二十から二十九カ月の牛のSRM、日本の定義するSRMは、今後ともほかの動物の飼料へは利用をし続けられるわけですよね。それがフードチェーンに入っていくことがまずいんじゃないかと二〇〇五年に指摘をしているわけですよ。指摘をしているわけですから、これはまずいんじゃないんですか、私はそう言っているんです。

 この三ページをごらんください。三ページの3で「SRMの利用の禁止が必須である。牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」こう言っているわけですから、当然これは禁止しなきゃいけないんでしょう。この見解を変えたんですか。そこをはっきりしてください。

見上参考人 何だかよくわからないですね。

船田委員長 委員長の許可を得てから発言してください。

見上参考人 はい、わかりました。

 それで、質問は。

船田委員長 それでは、岡本君にはもう一度質問をしていただきたいと思います。

 見上委員長は一度自席にお戻りください。

岡本(充)委員 委員長、よくお聞きをいただきたいんです。

 私の資料の三ページ目をごらんいただきたいんです。3のところに、「SRMの利用の禁止が必須である。牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」こう言っているわけですよ、食品安全委員会が二〇〇五年に。

 ところが、日本が定義をするSRM、いわゆる二十カ月から二十九カ月の牛のSRMは、今後とも米国においてレンダリングに回るということが、今回の二〇〇九年四月施行の施策をもってしても続くわけです。したがって、この部分のSRMが今後ともフードチェーンに入っていく以上は、まだこのときの結論が生きているとするならば、ほかの動物の飼料への利用も禁止する必要があると言っている状況が十分満たせませんよね。もし、先ほど言われたように、これで十分だと言われるんなら、この見解を変えなきゃいけないということになるんだと思います。

 そのどちらなのかということをお答えいただきたいと言っているわけです。

見上参考人 サーベイランスに関しましては、先ほども述べましたけれども……(岡本(充)委員「サーベイランスじゃない、飼料規制の話を聞いているんです」と呼ぶ)ですけれども、飼料規制……(岡本(充)委員「僕はえさの話を今しているんですよ」と呼ぶ)ですけれども、二十カ月、フードチェーンに入るからという……

船田委員長 ちょっと議論が混乱しておりますので、岡本君にはもう一度質問していただきまして、一度、見上委員長には自席にお戻りください。

 見上委員長お戻りいただいて、岡本君、もう一回整理して質問していただきたいと思います。

岡本(充)委員 私は飼料規制の話を聞いているんですよ。飼料規制の話を私は聞いているんです。

 今度、四月から米国は新しい飼料規制をするんです。三十カ月齢以上の牛をレンダリングに回さない、そしてほかの動物の飼料にも回さない、こういうふうに言っている。それはそれで一歩前進です。そういう答弁をこれまでされてきている。そこまで私は知っています。

 その中で、日本がSRMと定義をする、例えば二十五カ月、二十六カ月の牛は今後ともレンダリングに回りますよね、ほかの動物のえさにはなっちゃうんですよ。こういう状況は、ここの、私がこの資料で出している、食品安全委員会が二〇〇五年に出した答申の、必要があると言っている部分と反しますよね。だから、まだ十分じゃないという答弁をいただければ、それはそのとおりなんだし、十分であるというんならば、これを見直さなければいけません。どちらなんですか。先ほど委員長は十分であると言ったから、これを見直すんですかと私は聞いたんです。お答えください。

見上参考人 わかりました。飼料規制に関して、現行の飼料規制をむしろアメリカにおいて強化するというものなので、食品安全委員会としても一定の評価はしております。

 また、農林水産省に対しても、状況把握を含めまして今後とも提供してもらうということです。

岡本(充)委員 答弁になっていないことはここにいる委員の皆さんはもう全員わかっていると思うんですね。委員長、それは私の問いに答えていません。きちっと答えを出していただかないと、これ以上質問ができないんですよ。お願いします。

船田委員長 見上委員長に申し上げますが、岡本君の質問に対して、的確にお答えいただくように整理をしてお答えいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

船田委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの岡本君の質疑の扱いにつきましては、後刻理事会において協議をいたしたいと思いますので、質疑を続行していただきたいと思います。

岡本(充)委員 多くの委員の皆さんには、この矛盾が御理解いただけたと思います。それをぜひ踏まえて、次回の委員会のときにはきちっと答弁をしていただきたい。それをお願いして、体細胞クローンの話に少し行きたいと思います。

 これも食の安全にかかわる話で、大変私が懸念しておる話ですが、日本で体細胞クローンが誕生して十年ですけれども、体細胞クローン牛の寿命も来ない中で食品としての安全性をこの時期に諮問したのはどういうことか。

 つまり、牛は、ホルスタインであれば二十数年生きると言われている。しかし、体細胞クローンの牛ができてまだ十年しかたっていない。つまり、その生態がまだわからない。もしかしたら、その牛の老齢期に特殊な病気を発症するかもしれない。まだわからないこの時期に、体細胞クローン牛、豚が肉として安全かという、この一点だけで食品安全委員会に厚労省が諮問をしたわけですね。

 こういう諮問でありますけれども、この諮問をなぜこのタイミングにしたのか。私のその問題意識を踏まえて、参考人から御答弁いただきたいと思います。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 体細胞クローン家畜由来食品の安全性につきましては、従前における国内外の研究や評価によりますと、従来の繁殖方法による家畜と同等であるとされておりますことから、厚生労働省としては、特段の規制措置を講じていないところでございます。

 しかしながら、体細胞クローン技術が全く新しい技術であるということ、そして諸外国でも関係行政機関が食品健康影響評価を行っていることなどを踏まえまして、慎重を期するため、昨年四月、厚生労働省より食品安全委員会に対し、体細胞クローン家畜由来食品に関する食品健康影響評価を依頼したところでございます。

岡本(充)委員 私が指摘をしているのは、牛の生態が大体二十数年かかる、体細胞クローンができてまだ十年しかたっていない、最後のこの残りの十数年にどういう事態が起こるかわからない、まだだれもわからない状況で、肉質だけをもって体細胞クローン全体が安全なのかどうかのイメージを植えつけるようなこういう諮問の仕方はどうなのか、問題だと言っているわけです。

 きょうは文科省にも来てもらっています。文科省のとあるホームページを見たら、無性生殖を繰り返すことで種へ影響が起こるということも書いているわけです。どんな生物でも、有性生殖と無性生殖を行うものでも、無性生殖だけを繰り返していって、最終的にそれだけで生きていくというのはなかなか難しい、どこかのタイミングで有性生殖をして、そして生物の遺伝子の多様性をもってさまざまな環境変異を乗り越えていくというのがその考えのポイントであるということが、文科省の旧科学技術庁のホームページに載っておったわけですけれども、この点については異論がないのかどうか、文科省の見解をいただきたいと思います。

磯田政府参考人 クローン技術につきましては、科学的には、マウスの実験によりまして、有性生殖に比べ低い出生率や肥満、短寿命などの問題点が指摘される一方、異常がある場合については生まれる前に淘汰されるということから、後代への影響はないとの指摘もございます。

 また、無性生殖を単に繰り返すだけでは種への影響が及ぶことはないものと考えられておりますが、技術的に無性生殖のみを行うということになりますと、クローン動物だけとなり、御指摘の遺伝性多様性を失うということが言われております。

岡本(充)委員 そういう意味では、きょうは農水大臣にもお越しをいただいていますが、畜産振興という観点でいえば、単においしいからとか、単にミルクがたくさんとれるからということで、ある種の遺伝子のクローン牛もしくは豚のみが安価になったからといって飼育をされると、何らかの、例えば未知の感染症、これから起こるさまざまな疾病に対して遺伝子の構造上弱いということも予想されて、その種としての存続に影響を及ぼすのではないかということを私は懸念するわけでありまして、大臣、この答申これだけをもって、クローン牛、豚の流通を認めるとか飼育をこれからしていく、今価格面で難しいからということだけじゃなくて、そういうことにはなりませんね。そこは確認をいただきたいと思います。

 この答申だけで飼育や流通を認めていくという話になっていくと、これはただ単に肉の同質性を言っているだけであって、これが種全体にどうなのかとか、もしくは畜産振興の観点からどうなのかとか、こういう観点でまだ疑問点が残っているわけです。ほかにも議論があると思います。

 そういう意味では、このパブコメを経れば、厚労省が諮問したこの答申をもとに、価格の面は除いて、クローン牛、豚が畜産の舞台での主役になっていくということにはならないということだけはお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 すなわち、そういうことになるかといえば、ならないというのがお答えになるだろうと私は思っております。

 今後、食品安全委員会において、パブリックコメント、意見交換会を経て、最終的な評価結果等が取りまとめられるというふうに承知をしております。

 畜産振興の観点、当省としてはそういうことになるわけですが、これはもういろいろなものを含むわけでございます、畜産振興の観点からも、この技術をどう取り扱うかということは、省内でよく検討しなければいけないことだというふうに考えております。

 したがいまして、最終的な評価結果を踏まえた上で省内で検討を行うということになりますので、それがすぐそのままそうなるということでは当然ございません。

岡本(充)委員 この答申の内容は、あくまで肉質を比べているだけでありますから、そこはくれぐれも指摘をしておきたいと思います。

 それからもう一つ、受精卵クローン牛というのがもう既に流通ルートに乗っているともお話を聞いておりますが、この受精卵クローン牛の表示は、現状、どうなっているんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 受精卵クローン牛の表示につきましては、平成十二年三月三十一日付で農林水産省から試験研究機関等に対しまして発出した通知におきまして、受精卵クローン牛由来生産物の流通及び販売に当たっての表示は任意とする、また、受精卵クローン牛の通称は受精卵クローン牛またはCビーフとするとしているところでございます。

 この通知の発出以降、平成二十年九月三十日までに食肉処理された頭数は二百二十頭でございまして、そのうち、通知に示された表示を行ったものは百五頭となっております。

 なお、平成十九年度でございますが、食肉出荷四頭で、そのうち三頭が表示されているところでございます。

岡本(充)委員 こういう形で、表示をされていない牛が流通をしているという実態が明らかになるわけで、食品の表示というのは消費者にとって大変重要なポイントなんですよ。それで、知らずにクローン牛を買っているという消費者がこの日本にいるということ自体、野田大臣、ちょっと問題意識を私は思うわけなんです。

 そういう中で、先ほども同僚議員が聞きましたけれども、今の観点も含め、あわせてお答えいただきたいんですが、食品の表示偽装の防止という観点では、消費者庁ができ上がるとどういうメリットが国民にあるのか、お答えをいただきたい。

 こういう話を聞くと、例えば、先ほどのCビーフという表示が任意で、余りされていないという話を今聞いた、なるほどと思った、それでは早速、それはちょっと何とかできないかと考えるように、検討してみるとかそういう形で、より消費者寄りの気持ちを持って行政に当たっていただけるのかどうか、そういう点もお答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 消費者庁が創設されますと、今先生御指摘の表示につきましては、一元的に消費者庁が責任を持つことになります。さらに、消費者の声を踏まえて、消費者の権利がしっかりと守られ、利益の擁護、増進を図るための表示のあり方について、みずから企画立案をさせていただくことになりますので、その方向で進めていくことをお約束できると思います。

岡本(充)委員 そのCビーフもしくはクローンの牛についての表示も、消費者庁ができた暁には、任意ではなくてきちっと行うということですね。その方向で検討するということですね。

野田国務大臣 はい。

岡本(充)委員 そこで、もう一つお伺いしておきたいんですが、消費者庁ができても、偽装表示をもとに経済的被害を受ける人が出てくる可能性があるわけですけれども、その場合にはどのような救済措置がとられるのか、消費者行政担当大臣と法案提出者それぞれからお答えをいただきたいと思います。

野田国務大臣 偽装表示ですね。(岡本(充)委員「ええ」と呼ぶ)消費者庁ができますと、今申し上げたように、まずは地方の消費生活センター等々から情報が上がってきまして、それを一元的に収集し、そして分析することによって、偽装が明らかになれば、そこの所管の、例えば、ごめんなさい、頭が混乱しちゃった。偽装表示が発覚した折には……(岡本(充)委員「どういうふうに救済をするか」と呼ぶ)ごめんなさい。ちょっと済みません。(岡本(充)委員「ちょっと、とめてくださいよ」と呼ぶ)とめてください。(岡本(充)委員「とめてくださいと大臣が言っているんですよ。大臣がとめてくださいと言っている」と呼ぶ)済みません。(岡本(充)委員「とめましょうよ、委員長。もう時間がなくなっちゃいます。大臣に聞いているんですよ。ちょっと、とめてくださいよ」と呼ぶ)ごめんなさい。偽装表示で被害に遭われた場合の救済ということですね。

 それにつきましては、まずはその相談されました地方の消費生活センターのところで救済に対するあっせんをさせていただいたり情報提供をさせていただくことになります。また、これは、今までは法律できちっと根拠がなかったんですけれども、消費者安全法案の八条と十条において地方消費生活センターにそういう業務を法的に位置づけましたので、その実効性を確保することになります。

 あわせて、その後、救済の一つとしては、国民生活センター、四月からADRが始まることになりまして、そういうところを踏まえて被害の救済に当たっていきたいと思っております。

枝野議員 被害に遭われた方がもし残念ながら生じてしまった場合には、全国津々浦々、必ず地域に存在をする消費生活センターの相談窓口に御相談をいただき、そこで、なるほど、これは被害救済をしなければならない案件だということになれば、我々も、法律に基づいたしっかりとした権限に基づいて、業者に対してあっせん等を通じて解決を図るということは、まず一義的に行われます。

 しかし、残念ながら、業者の方が、その損害額といいますか、その補てんに応じないというようなケースの場合、もちろん、いろいろなADRの機関を通じてということもあるかもしれませんが、応じていただけない、任意で応じていただけないという結論の場合には、私どもは、適格消費者団体による損害賠償等団体訴訟という制度を用意いたしております。つまり、食品偽装の場合ですと、表示偽装の場合ですと、身体生命に影響が及んでいる場合ではないわけですから、経済的な価値の損失、しかもそれは、例えば食品の場合、単価の決して高くないものであれば、損失額は一人一人にとっては大変小さいというケースが想定をされますので、個々人で任意に応じない業者に対して損害を、補てんを求めるということは事実上不可能であろう。そうした場合に、私どもは、適格消費者団体にある団体訴訟でその被害を、集団的に訴訟を通じて支払わせてそれを分配するという形で被害救済を図るというところまで、きちっと用意をさせていただいております。

 以上です。

岡本(充)委員 どちらがいい内容か、もう委員各位におわかりいただけたと思います。そういう意味では、私は、今回、法律案の中身、ちょっと最終的に時間の関係で細かなところまでは触れられませんけれども、やはり被害救済というのは大変重要なスキームの一つですから、そこはきちっと大臣にも御認識をいただいて、そういう意味では、答弁書を見なくても御答弁いただけるとありがたいなと思っております。

 最後に、私の資料の七ページを見ていただきたいと思います。

 組織のあり方について、ちょっと苦言を呈しておきたいと思うんです。これは食品安全委員会の組織でありますが、平成十五年にできて以降、それぞれこれは課長補佐級以上の皆さん方の出身と、異動元と異動先というのを食品安全委員会事務局につくってもらいました。見ていただいてわかるとおり、厚労省から来た人は厚労省へ、農水省から来た人は農水省へ、こういう形で、基本的に厚労、農水がきちっと線引きをされていて、前任が厚労省であれば厚労省の人が継ぎ、また農水省の人が前任であれば農水省、こういう形で、まさに役所の縦割りが事務局の組織の中までこれは浸透していると私は指摘をしておきたいと思います。

 こういったことだと、せっかく食品安全委員会ができても、事務局が出身省庁の方をちらちら見ながら考えてしまうということになりはしないかということの指摘を私はしているわけなんです。消費者庁も、できていきなり民間から人を集めることは、それは確かに無理でしょう。いろいろな役所のそれなりの知識のある方をそれぞれ異動する、またポストも移管をするということでありますけれども、こういうことにならないようにしていただかなければいけないと思うわけですが、野田大臣、いかがですか。(野田国務大臣「食品安全委員会のことですか、それとも消費者庁」と呼ぶ)いや、消費者庁。

野田国務大臣 消費者庁は、今回、二百四名ということで、コンパクトで効率的な行政組織ということで取り組んでいます。ただ、数が問題ではなくて、そこの中身の濃さということで、それぞれ今回の場合は各役所からの張りつけというか、それぞれの専門性を持った人たちが集合していただくということで、消費者行政に専門性の高い人たちが集まっていただくことで、これでやはり集中的に、純粋に消費者行政に取り組んでいただけるという土壌をつくっていくことと同時に、やはりそれぞれ骨を埋める覚悟で来ていただくということを常に申し入れておりますので、それについては頑張っていただけると信じております。

岡本(充)委員 では、食品安全担当大臣として、この食品安全委員会事務局の構成についてはやはり問題があるというふうにお考えなんですかね。なぜかというと、食品安全委員会の中で骨を埋めている人はいないわけです。みんなそれぞれ時期が来れば戻るという話であって、今の話で、骨を埋める人をやはりつくる、そういう決意ですか。

野田国務大臣 食品安全委員会の方も骨を埋める覚悟で日々お仕事にいそしんでいただいているものと思っていますし、食品安全委員会というのは極めて中立で科学的知見に基づきますから、客観的なリスク評価をしなきゃならないところですから、そういう偏ったような判断はできないような仕掛けになっていると思いますので、それについての心配は要らないと思っております。

岡本(充)委員 いや、出身省庁にこれはみんな戻っているんですよ。骨を埋めると言うけれども、骨を埋めていないし。

 では、事務局で人を採用していないでしょう。食品安全委員会の事務局で人を採用して人を育てるということをやってみえますか。そしてまた、これからやるつもりがおありですか。ことしも採用するつもりはないですよね。

野田国務大臣 骨を埋めるつもりでということで、決して骨を埋めなきゃいけないということではなく、また、これ以外にやはり民間の方たちも技術参与として採用しておりますので、そういった意味で、そんなに偏りのない中立公正な中でしっかりと評価をしていただいていると理解しています。

岡本(充)委員 大変苦しい答弁だと思いますね、それは。私は、この食品安全委員会が、ある意味、政治的に、恣意的に利用されているという懸念をずっと指摘しているわけです。これがなぜそうなるかというものの一つが、この農林水産、厚生労働、それぞれの役所の人がやってきて、その時期が来ると帰る、答申案の文面も事務局がつくる、こういう状況になっている。

 しかも、きょうはちょっと時間の関係で指摘できませんでしたけれども、どういう案件を調査するか、食品の健康影響評価を行うかということも、実はそのほとんどが、みずから評価ではなくて省庁からの諮問によってなされている。この五年間で食品安全委員会は千二百件近くの食品健康影響評価等をやっていますけれども、そのうち、みずから評価はわずか七件、五年間で終わったみずから評価はたったの一件ですよ。千二百件近く諮問を受けているこの実態。つまり、農林水産、厚生労働からのそういう諮問に追われて、結果として、本来自主性を持って行う調査というのをほとんどやっていないこの実態は、大臣はもう否みようがない話だと思いますよ。

 こういう実態を踏まえて、やはり反省を踏まえてやってもらわないと、消費者行政だって、結局、出身省庁の顔色をちらちら見ながらやるという話になったら困るんですよ。それを私は指摘しておきたいと思います。

 もし答弁があれば、それを受けて終わりたいと思います。

野田国務大臣 委員がおっしゃっていることは常に気をつけていかなければならないことで、取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、現在は委員会もまた専門調査会の会議や議事録というのは原則としてすべて公開されておりますし、そこで第三者にちゃんと監視していただくことで、透明性が高い形で、恣意的ではないというリスク評価を提供できているのではないかと思っています。

 ただ、今おっしゃったように、出身官庁を気にするようなこと、そういうそぶりがあってはならないということは常に言明していかなきゃならないと思います。

岡本(充)委員 ありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、きょうは国民の食に対する安心、安全の問題について取り上げたいと思うんですが、せっかく農水大臣に来ていただいておりますから、まずそこからお伺いしたいと思うんです。

 今、遺伝子組み換え食品の問題とか、クローン技術による食品の流通の問題とか、国内の場合は監視がきくんですけれども、海外から来るものについては、実際のところ、なかなかわかりにくいという問題がたくさんあります。そこを入りますと、またそれはそれで議論したいと思っているんですけれども、とりあえず、きょうは、まず信頼が大きく損なわれることになった一つの三笠フーズの問題とか、残留農薬、発がん性カビ毒に汚染された農産物、それから産地偽装の野菜や魚介類など、食の安全、安心が脅かされている問題についてです。

 農水大臣に伺っておきたいのは、こうした輸入農産物の安全が脅かされるというのは、農水省に検査を可能にする権限が法律上きちんとないから問題が出てくるのかどうか、ここのところについての大臣のお考えというものを伺っておきたいと思います。

石破国務大臣 これは当省がどういう立場に立つかということによって異なってまいります。

 例えばお米でありますと、国家貿易を行っておりますので、輸入する者であり売る者でありということになるわけで、それでは、その売る者としての責任はちゃんと果たしましたかということが問われているのだと思っております。

 他方、例えば、中国からの、別に中国からでなくたっていいんですが、冷凍食品についてはどうなのかということ、それは入ってくるものによって与えられている権限を行使する権限というのは異なっているのだろうと思っております。

 米について申し上げれば、我々は売る側でもありますので、そこできちんとした検査を行うということが課せられるわけですが、食料についての法令を相当改めました。そのときに、法令上は、例えば組織改革の中で、米に関する業務を担当する組織は、本省、地方組織を含めて大幅に縮小した。その際、米の売買といった現業業務は、新しい組織体制で的確に行うための業務の見直し、改善を適切に行ってこなかった。

 つまり、制度の問題と体制の問題、制度に体制がついていかなかったというのが米の問題ではないかなというふうに私自身は思っておるところでありますし、そこはこれから先、業務の見直しの中で、よく検討していかねばならないことだと思っております。反省点でございます。

吉井委員 昨年夏の三笠フーズの問題が起こったときに、私も京都の農政事務所の方へ行ってお話を伺ったりいろいろしたんですが、さっぱり要領を得ないという実態などはありましたけれども、一応それは置いておくとして、改めて、食品衛生法第六条二号、四号に該当するのに、この法律を主管する厚労省も、これを使って国民の米穀など食の安全に責任を負うべき農水省も、なぜ使いこなしていないんだろうか、このことを非常に不思議に思いました。

 農水大臣に改めて伺っておきたいのは、法律上の検査権限が不十分で使いこなせなかったのか、あるいは、法律があっても使うつもりがないといいますか、農水省でこの意識が非常に弱かったのか、あるいは、行革などで人員不足を来してしまって、そのつもりはあっても検査権限が十分行使できないような体制になってしまっているのか、一体どこに問題があったというふうにお考えなのかを伺いたいと思います。

石破国務大臣 権限はあるがその意識が十分でなかったということが一番だと私は思っております。人が足りませんでしたなぞということは、内輪に向かっては言える話ですが、外に向かって言うようなお話ではございませんです。

 それは、権限はあるがきちんとやらなかったということが一番なのでありまして、そのことについての意識が徹底されていなかった、食の安全を守る省庁であるという意識がなかったということだと思っております。人員が十分であったかなかったかということは省内でよく見直しますが、そんなことは何のエクスキューズにもなりません。

吉井委員 私は、権限を行使しようと思ったら、それに見合うだけのものはきちんとつくらなきゃいけないというふうに思うものです。

 実は、先日我が家で食べたタケノコの真空パックなんですけれども、国産となっていて、大体私は国産の方を中心に買うんですけれども、後でわかったんですが、外国産がブレンドされていたと。それで、これは業者の側から逆に早く通知をもらったからわかったんですけれども、なぜ次々と食の安全を脅かす問題が出てくるのか。

 これは、食品加工業者のモラルが大きいというのはもちろんあるんです、それはよくわかるんですが、しかし、ウナギにしてもアサリにしても魚介類ですね、それから米やタケノコなど農産物であれ、やはり産地偽装、残留農薬、発がん性カビ毒など、見逃されてしまう食の安全検査体制ということについても、これはこれできちんと見なきゃいけないと思うんですが、その問題について、石破大臣のお考えというものを伺いたいと思います。

石破国務大臣 タケノコブレンドというのはどういう代物であるかちょっと私もよくわからないところなのでありますが、おっかないのは、先ほどの答弁でも申し上げましたが、見た目わからない、そして食べてみても、これはどっちだということが言える人が余りいない、そこにつけ込む余地があるのであって、そこをどうやって防いでいくかということについてできる限りのことはしていかねばならないと思っております。

 また、今ウナギのお話をなさいましたが、委員、あるいは長いものルールというのを御存じだと思いますが、生まれたのは中国です、しかし育ったのは日本ですとか、どっちで長く生きておりましたかということによって産地が変わるとか、あるいは私の選挙区で……(発言する者あり)申しわけございません。あるいは、私の選挙区にはラッキョウなんぞというものがございますが、中国でつくったラッキョウであるが加工したのは鳥取県であるというと、一体何と表示をするのだ、さらには、中国産と書きながら、加工は日本なので、山陰の味とかいって書いたら一体どうなるんだというような話があります。この辺はどういうふうにしてきちんとそれを規制するか、消費者にちゃんとした情報を伝達するか、検査の体制をどのようにするか。

 私は、検査というのは、これは私見でございますが、性悪説に立たないとだめなんだろうと思っております。できるだけ抜き打ち的にやらねばならないし、できるだけ広い範囲でやらねばならない。そうでなければ、どうせ見つからないんだという人は後を絶たないのだと思っておりまして、消費者行政をどのように行うかという議論の中で、やはりそういうことは徹底をしていかねばならないものだ、そしてまた、それに必要な人員は確保していかなければ実効性は担保されないと思っております。

吉井委員 JAS法により、原産地表示、それから原料の原産地表示なんかは求めていますけれども、ところが、これをくぐり抜けようとして、原産地偽装というのが出てくるわけですね。

 しかし、農産物の原産地確認については、例えば、日本業者が種を日本から持っていって海外で育てて持って帰ってくる、これはDNAだけじゃなかなかわからない話ですね。しかし、その種が育った生育環境、それは、土壌の持っている重金属の分析などを行えば、原産地表示が本当なのかどうか、かなり輸入品についてもできるんじゃないかと私は思うんですが、こちらは政府参考人の方に伺っておきます。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、産地の偽装があまたあるわけでございますけれども、そういったものを解明する手法といたしまして、近年、農林水産省の関係の独立行政法人等におきまして分析の手法を開発いたしました。また、それを実際に現場に応用できる形にするために、今度はつくばではなくて、さいたま市の方にございます独立行政法人の農林水産消費安全技術センター、俗称FAMICと言っておりますけれども、こちらの方におきまして分析手法として確立をして、幾つかの野菜について、例えばネギでございますと、中国産のネギであるのか国産のネギであるのかという産地の判別手法というものをきちっと確立しております。

 ほかの野菜におきましても、順次その範囲を広げるべく、それぞれ独法の職員の方がいろいろと手法を凝らしている。また、機器の整備を自治体に充実して、そういった検査ができる体制を整えているといった状況にあるところでございます。

吉井委員 いずれにしても、DNAによって日本産か外国産かを見分けることもできるし、仮に日本から持っていった種であったとしても、生育環境、土壌の重金属の分析によってつかむことができる。

 つまり、輸入食品の原産地表示が本物かどうか、これは確認することができるんですが、実は、今もおっしゃった独立行政法人農林水産消費安全技術センター、私、これは資料を届けていただいてびっくりしたんですけれども、もともと国の機関だったんですね。運営費交付金等を含めた予算について、もっと前からと言っているのに、いただいたのは二〇〇〇年ですから仕方ありませんが、八十一億九千六十万円だったのが、今年度七十六億七千七百八十万円と後退しているわけです。ここのセンターの人員も、一九九八年で七百三人だったのが六百八十八人とか。輸入量は一・五倍とふえているわけですよ。ですから、本当だったら検査しなきゃいけないのに、この前は食品衛生監視員のことで、検査率が半分になったという話をしましたけれども、実は、そちらの方でも大きく実態としては後退しているんじゃないか。

 まずは、予算、人員の面について、ことしの分と独法化以前についての数字を私今指摘しましたが、確認しておきます。これは政府参考人で結構です。

竹谷政府参考人 失礼いたします。

 委員御指摘のように、独立行政法人農林水産消費安全技術センターにおきましては、これまで人員の削減に取り組んでいる部分もございますし、また、独立行政法人の通則法に基づきます中期目標、中期計画によりまして、人件費の削減にも取り組んでおりまして、委員御指摘のような形で予算の削減にもなっているという次第でございます。

吉井委員 大臣も今お聞きいただいたように、非常に大事な機関で、私は、技術屋という発想からいうと、日本の技術というのは非常にすぐれていると思っているんですよ。すぐれた機器も開発してきました。しかし、現実には、これが実は後退してしまっているというのが実態です。なぜ、原産地表示を摘発できるそういう力を持っているところまで、国の機関の外に出してしまうのか。

 JAS法が本当に生きたものとして機能していくようにするには、この独立行政法人農林水産消費安全技術センターの強化が逆に必要だと思うんですね。食品偽装表示を見つけるのは、やはり人をふやすのも大事なんですが、ふやしただけじゃだめなんです。分析機器の拡充と、それを使いこなして熟練した分析官、つまり人の役割もやはり大事なんです。ところが、やったことは、神戸センターの大阪事務所、岡山事務所の廃止、札幌センター小樽事務所の廃止、管理費の一〇%削減と称する機能の削減、業務の削減なんですね。

 私は、この独立行政法人については、このセンターについては、検疫所と同じように、やはり国の機関に戻して、産地偽装を見抜き、食の安全を守る体制の強化を今真剣に考えていかなきゃならぬと思うんですが、農水大臣、どうですか。

石破国務大臣 農林水産大臣としてお答えできる範囲には限界がございますが、委員の御指摘に、私としてはそうだろうなと思うところがございます。というのは、だれが責任を負うんだという話なんだと思うんです。

 人を減らさなきゃいけない、簡素な政府をつくらなきゃいけない、それはそうなのですが、それ自体が自己目的ではなくて、どうやって行政の目的が遂行されるか、そしてだれが責任を負うかということを考えたときに、この監視体制のあり方は何が一番望ましいのか。今のままでよいということであれば、それはなぜよいのかということが立証されなければいかぬのだろうと思っております。私は、委員がおっしゃいますように、もう一回国へ戻すべきだということを申し上げているわけではありませんが。

 そしてまた、予算等も、補正予算等々を活用いたしまして、検査機器の充実等を図ってまいりました。それが本当に目的をきちんと達しているかということ、そして、だれが最終的に責任を国民に対して負うべきかという問題意識は持って、私はこの御指摘を受けとめまして、このセンターをよくウオッチしてまいりたいと思っております。

吉井委員 独法化して国の外に出してしまうとか、それから、無理やり押しつけ圧力米といいますが、MA米の入ってくる問題とか、その他、輸入農産物や加工食品が物すごく今急増しているんです。そういうもとで、しかし、食品衛生監視員もそれに見合って本当はふやさなきゃいけないんだけれども、ふえていない。農水省の現場で、監視、検査に当たる人が減っているというのも実態なんですね。

 しかし、国民は、要するに、私も物を食べようと思ったら、これは安全であると信じないことには、食そのものが成り立たないんですよ。イワシの頭も信心からというのはありますけれども、本当に、今やみんな新興宗教に無理やり入れられてしまうような事態になっているというのが食の安全問題だと思うんです。

 そこで、私は農水大臣に、やはり体制も人も減らしてしまったんじゃどうにもならないわけですから、これは農水省としても、消費者担当大臣とはまた何度も議論する機会はあるんですが、農水大臣としてはとりあえずきょうがその機会ですから、農水省としては本当にどういう方向でこの体制を強化していこうとお考えなのか、農水省自身の、大臣としての考えというものを伺いたいと思います。

石破国務大臣 安心と安全というもの、やはり安全というのは科学的にきちんと出るものですね。その上に乗って安心があるわけで、安全の確保なくして安心などというのはあり得ないのだが、安全じゃないのに安心感みたいなものをふわっと与えちゃうというところが恐ろしいところなんだと私は思っています。

 ですから、その安全の確保、先ほど来御指摘があるような、科学的にきちんとそれがどうなのか、その体制が庁内でちゃんと整備されているか、あるいは、独法で出したとしても、そことの連携がちゃんと図られているか、そこはよく見ていかなければいけないことだと思っています。

 安全と安心というものをきちんとよく理解しながら、今後とも当省として行政に当たってまいりたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森でございます。

 農林水産省の消費・安全局、ここに基本理念があるそうなんですが、理念の中で、第一に「消費者の視点を大切にして、国民の健康を守ることが何よりも重要であるという考え方の下で、「食」の安全と安定供給を確保し、消費者が「食」に対する信頼感を持てるような政策を実施します。」というふうに書かれておりまして、三つの基本理念があるようですが、いずれも消費者庁に直接かかわるものになっていると思います。

 ここは府省における数少ない消費者政策専任セクションと言っても過言ではないようなところで、これは経産省とここぐらいにしかないんじゃないか、専門的に消費者問題の。そういう意味から考えると、消費者庁と消費・安全局の協力分業体制、具体的にどういうふうにその形成をされていくのか、現段階でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 法案等々の御説明がずっとなされていると思いますが、消費者庁は、情報の一元的窓口の機能を持つ、そして勧告によって関係行政機関に適切な対応を求めるということになっています。窓口は一元的だ、そして関係行政機関は私どもも含みますが、それに対して勧告をすることによって適切な対応を求めるということになっておるわけでございます。

 こういうような仕組みのもとで、食品安全行政におきましても、消費者庁が、食品安全基本法、これは消費者庁の法律になりますので、これに基づきまして基本方針を策定する。この基本方針のもとで、当省を初めとして関係省庁が連携して取り組むということになるわけでございます。

 私どもといたしましては、この基本方針に基づき、消費者庁あるいは厚労省等関係府省庁と連携を図りながら、私どもが持っております専門性そして地方組織、これを活用して食の安全確保に取り組みたいと思っております。

 私どもは、知識そして地方組織というのを持っておるわけでありますが、それをどれだけ活用していただけるかということでありまして、消費者庁からのいろいろな方針の提示あるいは勧告、そういうものに基づきまして適切に対応する。そのためにスキルを上げていかねばならないし、体制を充実させていかねばならない、そういうことだと思っております。

日森委員 これはもう少し明確にした方がいいのではないかという気がするんです。

 これはちょっと通告していないんですが、具体的には、例えば消費者庁が消費・安全局に対して政策提案であるとか執行だとかいうことを具体的に勧告できるというような仕組みみたいなものは、野田大臣の立場で言うと、どんなふうにお考えでしょうか。それで、受ける側としてはどうでしょうかという話です。

石破国務大臣 担当大臣から農水大臣に、あるいは消費者庁長官から大臣にという形になるというふうに考えております。もちろん、それが長官から局長にということもあるのかもしれませんが、仕組みとしては、私が理解をしておりますのは、大臣から大臣、あるいは長官から大臣というのが基本であるというふうに認識をいたしております。

野田国務大臣 消費者庁の事務を掌理する消費者政策担当大臣は、同時に、食品の安全性の確保に関する総合調整に関する事務を担うことになります。ですから、今農林大臣がおっしゃったことと同じ答弁です。

日森委員 少し整理して、これはもうちょっと議論していきたいと思います。

 それから、これは直接関係ないのかもしれませんが、農水省改革というのが今議論されていまして、消費者庁との円滑な協力分業体制を確立していく必要性もここで議論されるのか、余り関係ないよという話になるかもしれませんが。また、組織の見直しも行われるようで、分権との関係が出てきていて地方組織が大分見直しをされていくという問題もありまして、消費者庁との関係でどういう格好になっていくのか、ちょっとその辺を教えていただけたらと思います。

竹谷政府参考人 まず、消費者庁が発足に当たりまして、先ほども御紹介ございましたけれども、私どもの農林水産省の方から定員を二十一名移す、振りかえていくという形になっているところでございます。

 それから、地方との関係でございますけれども、現在、委員御案内のとおり、地方農政局あるいは地方農政事務所におきまして、食品表示の偽装問題等に対応するために、先ほど来出ております食品表示Gメン千八百名というものを中心といたしまして、食の安全、また消費者の信頼確保の問題に取り組んでいるわけでございます。そうした体制と同時に、都道府県におきましては、JASの法律制度を動かすために約千名程度の方が従事していただいているというふうに承知しております。

 この両者の関係につきましては、私どもの農政局、農政事務所の職員におきましては、広域案件、すなわち、偽装等疑義のある表示を行った事業者が広域に展開している、一つの県ではなくて複数の県にわたりまして営業所等を展開している、そういった案件を対象として仕事をしているわけでございます。他方におきまして、都道府県におかれましては、県域業者ということで、県内で事業所を構えて仕事をされている方の疑義の表示の問題等に対応していただいているというわけでございます。

 もちろん、両者連携をとりまして取り組んでおりますし、また、各県の対応というものがばらばらになってはいけないので、先ほど大臣からも御紹介させていただきましたが、本年一月に通知を出しまして、悪質案件に対する指示、公表、それから軽微な案件に対する指導の基準というものをはっきりさせていく、また、公表も、きちっと指示をした場合には出していくというような方向性というものを明確にいたしているところでございます。

日森委員 まだ質問していないことまでお答えいただいたような気がするんですが、まあサービスだと思って受けとめていきたいと思います。

 食品Gメンが千八百人ですか。二千人ではなくて千八百人はいらっしゃるということで、さまざまな活動をされているということは今御報告がありました。

 しかし、消費者庁は市場に対する独自の調査というのはなかなかできないわけで、地方のときどうするかとか、いろいろな問題が出てくればまた別かもしれませんが、他の省庁に指示するか、お願いするか、勧告するかとかいうことで仕事をしていかざるを得ないということになるんですが、農水省の関係で言うと、食品Gメンの活動等も含めて、農水省、消費者庁の協力関係というのはどういうふうになっていくのか。

 食品Gメンの活動について、もちろんこれは表示の問題などをやるわけですから、消費者庁の意向はどの程度重視をされて、このGメンの活動が行われるようになるのかということについて、お答えいただきたいと思います。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、地方農政局、地方農政事務所に千八百名の食品表示Gメンが活動いたしております。この活動に当たりまして、現状におきましては、それぞれ、みずから情報を収集して対応していく、あるいは他省庁から情報が入ってまいりますと、現在既に内閣府を中心にいたしまして関係省庁で情報をシェアする体制ができておりますので、その情報が私どもに入ってまいりますと、それを端緒といたしまして、また国民生活センターの方から入ってきた情報も端緒といたしまして、偽装表示の調査を行うといった取り組みを行っているところで、そういった形で連携を図っているところでございます。

 今後、消費者庁が発足いたしますと、JAS法関係の業務につきましては、JAS法の中の品質表示基準の業務につきましては、企画立案は消費者庁の方でおやりになりますけれども、取り締まりにつきましては両省で行うわけです。もちろん、農林水産省として独自に取り組むだけではなくて、消費者庁の方から御要請があれば、農林水産大臣の指揮命令系統のもとではございますけれども、そういった消費者庁の御要請にこたえた形で取り締まりの調査等を行っていく。

 また、その情報につきましては、今までどおり情報をシェアするという意味合いにおきまして、消費者庁の方に報告をしていくといった形で連携をとっていくというふうに考えておる次第でございます。

日森委員 時間がありませんので、最後に一つだけお聞きをしておきたいと思います。

 事故米の不正流通問題で、内閣府に、これはプレ消費者庁というそうなんですが、事故米穀の不正規流通に関する対応検討チームというのができて、さらに、事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議というのが設置をされてきたわけです。そこで、原因究明、責任の所在の明確化、さらに米穀の流通の実態を踏まえた消費者の安全、安心確保のための抜本的な改善策について検討されたというふうに聞いています。

 これについて、野田大臣がその有識者会議で問題を検証し、農水省幹部の処分には成功したがそのほかの対策ではほとんどリーダーシップを発揮できなかった、プレ消費者庁は農水省や厚労省から情報を集めて報道発信するだけ、農水省の幹部はプレ消費者庁のことを報道発表文をまとめるだけのホチキスと呼ばれていると皮肉っていたという論評がありました。

 対応検討チームあるいは有識者会議というのはプレ消費者庁というイメージでいうと、もちろんこんなものじゃなくて、もうちょっときちんと権限を持ったものになるんですが、ちょっとイメージとして、こんなことだったら、おいおい一体何だよという気もしたものですから、内閣府の方がどんなことをやってきて、それを受けた農水省はどういう総括をされたのか、これを最後にお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 事実関係を御報告申し上げます。

 事故米穀の不正規流通問題につきましては、その広域性や社会的影響の大きさにかんがみ、政府一体となって取り組む必要があるとの認識のもと、内閣府に、増原内閣府副大臣をヘッドとしまして、関係府省の担当官をメンバーとする対応検討チーム、プレ消費者庁と称しているわけですけれども、これを設置し、九月二十二日に緊急対応策を取りまとめ、流通経路の早期解明・回収、迅速な情報提供等を進めました。

 今後の対応とされていた課題としては、その後の、農林水産省などにおいて、米の流通・取引に関する検査体制の強化、法令違反の事業者に対する厳正な措置、不正取引を行う事業者に対する罰則強化の措置などに取り組んでまいりました。

 また、内閣府に設けた事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議におきましては、九月下旬から十一月末にかけて、原因究明や責任の所在の明確化等について検討いただいたところでございまして、さらに、米穀の流通実態等の問題点への対応を含めた、消費者の安全、安心確保のための抜本的改善策について、引き続き御議論が行われるものと承知しております。

 至らないところがあったというお話もございましたけれども、だからこそ、きちっとした正規の消費者庁をつくることによって、法律できちっと根拠を担保しまして、この中で、十分なし遂げることができなかったことをやはり本当の消費者庁ではやっていくべきだなというふうに思っております。

石破国務大臣 内閣府にできました有識者会議におきまして検証が行われ、報告書がまとめられました。そこでは、当省の責任の所在と、あわせまして、食の安全の確保の重要性に対して認識が欠如している、消費者の目線が欠如している、業務の縦割り意識と組織の硬直性というような、当省の体質あるいは行政についての厳しい御指摘をいただいたものであります。

 私どもとして、やはり食の安全にかかわる官庁なのだという認識が足りないということと、いろいろな業者さんはいるのですが、その先にいらっしゃる消費者をちゃんと見ていたかということ、あるいは生産現場の生産者一人一人に本当に目が向いていたか、団体とかそういうものを見ていなかったかということだと私は思っております。

 私どもとして、消費者あるいは生産者あるいは流通に携わる人たち、そういう人たちから、農林水産省は親切な役所だね、丁寧な役所だね、そして正直な役所だねというふうに言ってもらえないと、この役所の存在意義はございませんので、そこはもう省員一人一人に至るまでこの意識を徹底させなければいかぬと思っておるところでございます。

 そういう意味で、内閣府に設けられた有識者からいただいた御指摘は本当にありがたいものであったというふうに私は思っておるところでございます。

日森委員 もう時間です。終わります。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 きょうは、石破大臣にも質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどから事故米の問題の話がいろいろと出てまいりました。昨年来の事故米の問題、このことを受けまして、今国会、米穀のトレーサビリティーというのを導入して、産地情報を消費者まで伝達するということを義務づける法律が提出されたわけでございます。同法案と牛トレーサビリティー法、そしてまた消費者庁の関係についてお伺いをしていきたいというふうに思うんです。

 まず、野田大臣にお尋ねをしたいんです。消費者関係の法律のうち、表示関係については、JAS法を初めとして消費者庁に移管、共管するというふうにされていますが、牛トレーサビリティー法につきましては、消費者行政推進会議で、議論にはなりましたが実際消費者庁の関与については引き続き検討ということになっているわけでございます。

 この牛トレーサビリティー法の消費者庁の所管というのが見送られた理由、これについてお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法につきましては、牛の個体識別のための情報の適正な管理と伝達に関する特別の措置を講ずることにより、BSEの蔓延を防止するための措置の実施の基礎とするとともに、牛肉に係る個体識別情報の提供を促進し、これらの結果として、畜産業などの健全な発展と消費者の利益の増進を図ることを目的とするものでございます。具体的には、牛の個体識別台帳の作成義務、牛の出生等の届け出義務、牛肉の販売等の際の個体識別番号の表示等を定めております。

 牛がBSEにかかっているかどうかを牛の死亡の時期等から判断していくことについては、高度な専門性を必要とするものであり、また、同法が、生産から流通に至る、牛の個体識別番号の国による管理を主たる内容としていることからすれば、農林水産省において同法を所管させることが適当であり、消費者の利益擁護及び増進を任務とする消費者庁が所管することについての妥当性、必要性は相対的に低いと考えております。

 ただ、必要がある場合には、消費者安全法がございまして、内閣総理大臣が農林水産大臣に対して必要な措置を要求することや、また特命担当大臣による勧告などで対応することができまして、常に消費者利益の保護を図ることができるというふうに考えております。

糸川委員 では、石破大臣に、今度は米のトレーサビリティー法についてお聞きします。

 事業者への勧告、立入検査等を行う内閣総理大臣の権限の一部について、今度は消費者庁長官に委任することというふうにされているわけでございますが、牛のトレーサビリティー法について同様の規定を置く改正を行う見通しについて、大臣にお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 牛のトレサ法についてでありますが、今野田大臣からも答弁がございましたが、これは家畜伝染病予防法と一体的に動かすべきものだというふうに思っております。つまり、BSEの蔓延防止措置が適切に、的確に実施されるということがこの牛トレサ法の最も眼目とするところでございます。牛肉の安全を直接、あくまで直接ですが、牛肉の安全を直接確保するという法律ではございません。そうすると、法律のつくり方からして、これを消費者庁に移すというよりも農林水産省がそのまま所管をした方が、このBSEが蔓延することを防ぐという目的には資するものではないかというふうに考えております。

 それでは、この牛についてはどういうことになるのといえば、今野田大臣から答弁があったとおりでございまして、必要に応じて内閣総理大臣が農林水産大臣に対していろいろな権限が行使できるというような仕組みではないかと思っております。

糸川委員 これからこれが所管になっていくのかどうかということも含めてまた検討していただいてというふうに思いますけれども、消費者の皆さん方がやはり安心して口に入れるために、どこの省が担当しようが、消費者庁なのか農林水産省なのか、それは関係ないわけですね。消費者の皆さんからすれば、とにかく安全なものが自分のところに入ればいいということですから、その辺は今後も閣内でしっかりと御検討いただければなというふうに思います。

 この消費者庁の関連三法案の閣議決定後、昨年の九月、事故米問題を受けて石破大臣が、農水省の食の安全に関する業務を消費者庁に移管することを検討するという考えを示したというふうに報道されていらっしゃいます。その後の検討状況を石破大臣にお聞きしたいのです。

石破国務大臣 昨年、就任直後に私は、食の安全に関して、消費者庁というものを意識いたしまして、農水省から移管をすべきではないか、これも一つの考え方ではないかということを申し上げたことは事実でございます。

 私どもとして、農林水産省の中の一つのセクションの中ですべてやる、輸入も行い検査も行い、こういうことはまことにもって不適切であって、省内で分けることがよいのか、それとも省の外へ出した方がいいのかという議論は、どちらがいいのかという比較考量の問題なのだろうと私は思っております。

 私としては、これを外へ、消費者庁に移管をするということも一つのやり方かなというふうに思いましたが、そのときに、組織全体のバランスとしてどうなんだろうか、人員等々どうなんだろうかと。消費者庁は司令塔としての機能に徹する、そして、私どもの農林水産省を初めとしてそのほかの省庁は、まさしくその司令塔の指令といいますか、これを受けて適切に機能するというあり方の方がよりよいのではないかということでございます。

 そこにおいて、農林水産省が消費者庁の意識を受けてきちんと対応するということが担保をされれば、消費者庁に全部移行する、権限を移管するということでなくても目的は達せられるのではないかと今は考えております。

糸川委員 今回の事故米の問題以外にも、例えばギョーザの問題とかいろいろございましたけれども、石破大臣の今の、例えば今後消費者庁の指令を受けて、それから適切に対応したりとか調査をしたりということがそもそもいいのか。

 やはり私は、この問題が、消費者庁というところに情報が集まってくるということはいいと思うんですけれども、では、どれが危険な情報で、どれが重要な情報で、どれはそれほどでもない情報なのかということをしっかりと分けていかなきゃいけないですよね。その中で、情報を共有して、例えばこういうものが消費者庁に情報として上がっていますよということを農林水産省に伝え、農林水産省が、これはやはり調査をする必要があるんだとか調査をしなくてもいいんだとか、そういうことを考えていくのか。それとも、消費者庁がすべて、これは調査しなさいということを指示していくのか。どういう形が一番いいのかなと、まだ正直、私自身も理解ができない、わからないですね。

 例えば、これはちょっと通告していないんですけれども、石破大臣の率直な御感想として、今の事故米の問題、ギョーザの問題でもいいです、要は、省内でしっかりと調査をし、そして大臣が御納得できる原因の追求であったりとか調査の結果、経過、そういうものというのは、今現在、御納得がいくものなのか。それとも、今後消費者庁ができないと、消費者庁からそういう指示を受けないとなかなか動けないのか。その辺は今どういう率直な御感想をお持ちですか。

石破国務大臣 事故米問題に限って申し上げれば、米の販売を行う者が取引についての検査もあわせて行うということだったわけですね。これはおかしいだろう。販売を行っている者が検査もやるということは、それはどう見たって変な話で、これを分けねばならないねということがそもそもの問題意識だったわけです。

 そういうように検査を行うという部門を消費者庁に持っていったときに、それでは、お米に限らず食品に関するもの、あるいはいろいろな工業製品、あるいはその他のもの、そういうものについても消費者庁というのは膨大な役所になって、そして、それが司令塔も持ち検査も行いということになるのは、行政のあり方としてどうなんだろうかという議論だったんだろうと思うんです。私は、その司令塔の指令を受けてきちんと適切に動く体制がつくれるかどうか、少なくとも当省においては米の検査の体制は全くなってなかった、これはもう抜本的に改めるということでやってまいりました。

 ですから、消費者庁との連携によって本当に食の信頼が確保できるかどうかということは、これをさらなる契機としてちゃんと見ていかねばならない。仮に今度消費者の信頼を損なうようなことがあるならば、これはもう農林水産省というものは少なくとも国民に対して存在意義を失うというような意識を持って、危機感を持ってやっていかねばならないことだと私は思います。

糸川委員 今、石破大臣の御見解というのは、それは率直な意見だなというふうに思います。

 これから消費者庁ができても、例えば、やはり省内でしっかりとその改革を進めていっていただいて、今までの検査体制というのはよくなかったんだ、できてなかったんだということであるならば早目に、官僚の皆さんの考え方なのか省内の皆さんの考え方なのか検査の体制のあり方なのかというのはわかりませんけれども、これはやはり農林水産省の中の改革を行っていただいて、自分たちの考え方というのを変えていっていただかないと、消費者庁ができて、そこから専門性を持たれた方が入ったとしても、実際、その検査のやり方が変わらない、意識の持ち方が変わらないというのでは、何も体制として変わらない。ただ単に情報が消費者庁に集まっただけということにしかならないような気がするんですね。

 専門性の確保ということを考えたときに、先ほども、BSEなんかの問題のときには、これは非常に高度な専門知識を持った人が指揮に当たっていかないといけないわけです。ですから、農林水産省にそのまま所管というのを置いていった方がいいんではないかと。でも、消費者庁としても、そうはいうものの、やはり、かかわりがないとは言えないところでもあると思うんですよ。

 そのときに、では、その専門性の確保、それから調査のスピードというところに関しては、今のトレーサビリティー法なんかを農林水産省に置いておいたままで専門性の確保、要は消費者庁の中に、ある程度の専門性の確保が必要になると思うんです。農林水産省の調査官の方が非常に高い専門性を持っているのに、消費者庁の担当の方はそこそこの調査能力しかないということでは、話ができないと思うんですね。要は、農林水産省の言いなりになってしまうようなところもあると思うので、ある程度の知識が必要だと思うんですけれども、そういう担保。

 それから、法律は確かに所管というのは農水省でしょうけれども、消費者庁としてしっかりと調査の迅速性とか専門性を担保できるのかなという疑問もあるんですが、その辺どうでしょうか、大臣。

野田国務大臣 まず二百四名でスタートし、かつ、非常勤で非常に専門性の高い方を予算計上で六十名ほどお願いすることになると思います。もちろん、そこの人選に当たっては、だれにも負けない専門性の高さを有する、いわゆるエリートの方たちに来ていただくということが最優先だと思いますけれども、大切なことはやはり、連係プレーというか、きちっと消費者庁に上がってきた情報が一元集約されて、そして分析されて、スピーディーにそれぞれの関係府省庁の担当への指示が行くということだと思っています。そこら辺がしっかり整理できていれば、別にけんかをし合うわけではなく、協力し合う、やはり司令塔と現場ということで、スムーズな、円滑な捜査ができることが大事だと私は受けとめております。

糸川委員 時間でございますので、終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中森ふくよ君。

中森委員 お世話さまでございます。きょうは質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。自由民主党の中森ふくよでございます。よろしくお願いいたします。

 消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、そして消費者安全法案、この三法案が去年の九月に閣議決定されてから、はや六カ月がたとうとしております。ようやくではございますけれども、当委員会での審議が始められることになりましたが、開始されましたことには感謝を申し上げたいと思っております。

 ここで、まず初めに、本法案における提案理由の中に、国、地方公共団体その他の関係者が一丸となって、消費者の生命、財産そして身体を守る総合的な政策を推進し、国民が安全、安心な消費生活を営むことができる社会を実現していくことが喫緊の課題となっておりますとございます。

 この点に関しまして、与野党とも意見の相違はないわけでございます。にもかかわらず、この半年間、これらの法案が審議もなされず、この間におかれましても円天のような事件が続き、国民の安全と安心を守るための、やらなければならない合意や結論を得る努力をしなければならなかったのではないかと考えますと、非常に残念でございます。

 政局ばかりに気をとられ、国会が本来果たすべき責務を怠ってしまったのではないかと考えますが、まず野田大臣の御所見を伺いたいと存じます。

野田国務大臣 政府としては、昨年の九月に関連三法案を国会に提出させていただきました。以来、ずっと早期の審議入りをお願いしてきたわけでありますが、さまざまな国会の御事情があったかと思っておりますが、ようやく先週から審議をしていただいております。

 私としては、一日も早い消費者庁の設置に向けて、担当大臣として全力を尽くしてまいる所存です。よろしくお願いします。

中森委員 私は、県会議員の時代から、県と県民のタウンミーティングを年に二、三回開催してまいりまして、実は、舛添大臣にもおいでをいただいたことがございます。ありがとうございました。

 そういうことで、昨年は石油や輸入小麦等の高騰も相次ぎまして、日本の食物の安全確保という観点から食資源を見直そうというタウンミーティングを四回ほど開催させていただきました。いずれも、一般消費者や農産物の生産者団体、そして国の行政機関の皆様にも参加していただきながら開催ができました。

 その食資源を見直すタウンミーティングの結果が、去年十一月に野田聖子消費者行政推進担当大臣に寄せさせていただきました十一万四千余名の署名でございまして、賞味期限、消費期限の見直しを求めたものでございます。また、石破農林水産大臣には、変形野菜の有効活用、すべての農地の有効活用の要請をさせていただきました。

 本日は、この要請いたしました賞味期限、消費期限の見直しについて御質問をさせていただきたいと存じます。

 御存じのとおり、日本では食料の七割を輸入しておりまして、その三分の一、千九百万トンを廃棄しているわけでございます。もったいないの一言に尽きるわけでございますが。廃棄される千九百万トンのうち、一般家庭が千百万トン、食品関連事業者の廃棄は約八百万トンとなっておりまして、あるパン屋さんは、毎日、売れ残ったすべてのパンを社内規定で廃棄しています。あるハンバーガーショップでは、商品ができ上がって数時間でこれまた廃棄され、コンビニエンスストアでは、お弁当など販売時間を少しでも過ぎると自動的にレジが受け付けないようになり、これまた廃棄されております。実際にはまだいただける食品が大量に廃棄され、我が国はまだ大量生産、大量廃棄を繰り返しているというのが現状であります。

 そこで、お伺いをいたします。

 消費者行政担当大臣として、大量廃棄を繰り返している事業者に、消費可能分、まだいただける食品でございますが、消費可能分については安価での販売を促す等の指導ができるのではないでしょうか。事業者みずからは行えないことであっても、国の指導や勧告がきっかけとなって、事業者の大量廃棄、そして少しでもその大量廃棄が軽減されればどれほどの節約につながるかと存じます。

 この時間中も世界じゅうで、貧困にあえぐ人々が飢えに苦しんでいるわけでございます。日本も来るべき食糧難も視野に入れておくことが必要であろうかと存じますので、御答弁いただきたいと存じます。

野田国務大臣 先日はいろいろと、たくさんの御署名とあわせてお話をいただきましてありがとうございました。

 先生御指摘のとおりですけれども、まだまだ消費可能な食品が大量に廃棄されているということは、資源の有効利用、地球環境への影響など多くの問題につながっているというふうに理解しております。まさにそこに、食品の賞味期限とか消費期限について、先般、厚生労働省と農林水産省が共同して制度を統一して、普及啓発にも取り組んでいると承知しています。

 食品の表示制度は、一般の消費者の自主的かつ合理的な選択の確保に資するものでありまして、仮に、皆さん御審議いただいた後、消費者庁ができた後は、その横断的な体系化に進んで取り組むとともに、消費者、事業者双方に対して制度の趣旨、内容についての普及啓発を消費者庁の方で一層進めていくことになると思います。

中森委員 済みません、ちょっと質問が後になっちゃったんですけれども。いや、いいんです、先に答えていただいて。

 今、農林水産省のJAS法と、厚生労働省の食品衛生法に分かれていることが、食品表示をわかりにくくしているのではないか、こうした点について従来の行政体制に比べてどのようなメリットがあるかということを正確にはお聞きしたかったところでございますが、もう一度、従前の行政体制に比べてどのようなメリットがあるかということを再度お尋ねしたいとともに、法律は立法の趣旨と解釈が正しくなければ正しい運用はできないわけでございますので、そこのところのメリットを教えていただければと思います。

野田国務大臣 先走り過ぎまして済みませんでした。

 食品表示の件ですけれども、農水省と厚労省とに分かれていたりすることでわかりにくくなっているのではないかみたいな話ですけれども、まず、JAS法に基づく品質表示の基準と食品衛生法に基づく表示基準については同じ食品に重複して適用されるものでありまして、その両方が整合的な内容となって全体として我々消費者がわかりやすいものにする必要があると考えています。

 消費者庁が設置されることによりまして、消費者庁にこれらを移管することになります。そして、いずれも消費者庁がそれの策定権限を持つことになるわけです。これによって、私たち消費者の目線を反映して、そして商品の表示を、全体としてより一般消費者の自主的かつ合理的な選択に資するものになるよう消費者庁自身がみずから企画立案を進めていくということが可能になり、これがメリットだと思います。

 消費者庁におきましては、賞味期限と消費期限について、JAS法と食品衛生法の運用について整合的なものとすることにしていますが、そうした運用を踏まえて、さらに食品表示一般についても横断的な体系化を検討していくことになります。

 以上です。

中森委員 ありがとうございます。

 食品は、自分で食べるものは自分で選んで、そして自分自身の判断でいただける、自分自身でいただけるというか、自分で選別するということが基本であろうかと本来的には思うわけでございます。人間も基本は動物で、人間である前に動物でございますので、それが本来の姿だとは考えますが、これが一たび消費期限や賞味期限という表示が義務づけられてから、日付表示が判断基準となってしまった。日付基準によって、店は日付を過ぎたものは売らなくなり、廃棄するようになり、消費者もまた廃棄するようになってしまった。この現状がよいことだとはどうしても思えないでおります。

 つまり、法律が消費者の食品期限の判断基準になっていることに問題があると考えているわけでございます。廃止するか正しく認識できるものに改め、本来必要な、消費者が判断するに足る情報量を消費者に提供することでございます。

 例えば、特に加工食品等における内容物やその原産地等について、消費者庁の創設によって、消費者にわかりやすく詳しい内容が表示される方向で検討されることを期待していいのでしょうか。現在のさまざまな食品のパッケージにある内容物表示は事業者の最低限の表示であり、少な過ぎると存じます。必要な情報量をより詳しく消費者に提供することにより、かなりのトラブルも未然に防止できるのではないかと考えております。

 お尋ねをいたします。消費者の安全や権利を守るための消費者庁であるわけでございますから、食品表示における消費者の視点に立った情報開示の問題にどのように取り組まれていくのか、御所見を賜りたいと存じます。

野田国務大臣 消費者庁ができますと、食品表示に係る制度、これはさまざまな役所が今所管していますけれども、JAS法とか食品衛生法とか健康増進法、こういうものはすべて消費者庁が所管することになります。

 今先生御指摘のとおり、表示というのは消費者が選択するのに大変重要なものでありまして、消費者庁ができるとどうなるかというと、より一般消費者の目線という立場から制度のあり方について検討していくことが可能になります。

 今御指摘の加工食品等における原材料名や原産地の表示につきましては、消費者にとって必要でかつ十分な情報がどのようなものであるかなということをしっかり精査をして、そして、今申し上げたように、自主的かつ合理的な選択に資する、そういう適切な表示がなされるかどうかということも消費者庁の方で企画立案を進めさせていただくことになります。

中森委員 済みません、ちょっとよく理解できなかったのでもう一回申し上げますが、情報の提供ということについてはかなり前向きにやっていただけるという理解でよろしいんでしょうか。

野田国務大臣 消費者庁ができますと、一般消費者を代表する形で政策委員会もできまして、そういう意見具申をいただきながら、これまでは役所がそれぞれの観点から食品表示をしてきたけれども、これからの食品表示のあり方は、消費者の側を向いて、消費者にとって、きちっと選択ができるかどうか、そういうサインとして適切かどうかをきちっと消費者庁の中で精査して、それで企画立案をさせていただけるようになるということで、前向きにやらせていただきます。

中森委員 ありがとうございます。今まではどちらかというと業者の指導を徹底していたというところがありましたけれども、今の御答弁では、消費者の側を向いてというお話をいただきまして、消費者庁ができることによって、大変ありがたいなというふうに思わせていただきました。

 また、本法案によりますと、連日出ておりますが、設置される消費者庁に移管または共管となる法律が二十九本とされているわけでございまして、二十九本の法律を特に所管することとしたという理由は何でございましょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁が二十九本の法律を所管することとなった背景でございますけれども、御存じのとおり、消費者に何らかの意味で関連をする法律というのは非常にたくさんございます。それらの中でも、消費者庁という組織を司令塔的な組織にする、機動的で弾力的な組織にするということで、そういうたくさんの法律を所管いたしますと巨大官庁になってしまうということで、消費者に最も身近な法律二十九本を所管することといたしました。

 この二十九本の法律を所管することによりまして、今現在、消費生活センターの方に毎年百万件程度の消費生活相談が参るわけでございますけれども、その百万件程度の苦情相談の大半について、その背景となっている法律を消費者庁が所管して、いわば責任を持って対応することができる。

 例えて申しますと、取引の分野では、特定商取引法、消費者契約法、こういった分野のこれらの法律に係る御相談がたくさんございます。それから業法に関しましては、旅行業法、宅建業法、こういったところが非常に御相談が多い。それから金融分野に関しましては、貸金業法、割販法、こういった分野。また、表示につきましては、先ほど来先生から御指摘のございますJAS法、食品衛生法、また景表法というようなことで、こういった法律に係る御相談が多いものですので、二十九本の法律を消費者庁が所管することで、こういった御相談にきっちりカバーしておこたえすることができる。また、情報収集、消費者庁が頼りになる組織になっていくことによって、消費者等から寄せられる情報、相談というものもふえてくるということでございます。

 また、消費者庁がこういう法律を所管することによりまして、消費者のニーズを踏まえて、これらの法律の内容について企画立案をする、そして閣議決定を経て国会に提出することが当然できるようになるわけでございます。

 また、法律だけではなく、これらの法律のもとに政省令、ガイドライン、こういうものが非常に重要でございます。経済動向の変化等によりまして機動的にそういう対応をしていくというのは、政省令、ガイドラインの変更等を通じて行われることが多いわけでございますけれども、そういったことも可能になっていくというふうに考えております。

 それからまた第三に、処分等の権限でございますとか申し出について規定した作用法を所管することによって、当該法律に基づいて、消費者等からの公益通報、それから申し出、消費者庁みずからがこういった消費者からの法律に基づく御相談というものに一元的に応じることができるということで、情報の一元的収集という意味においても、これら二十九本の法律を所管することは非常に重要であるというふうに考えております。

 そういったことを理由といたしまして、この二十九本の法律を所管することにしたということでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 今、一元化ということが言われましたけれども、同時に、一元化されますと、窓口に消費者からの相談が殺到するということが十分に考えられるわけでございまして、すべて一般市民は、窓口は消費者庁だということになるのではないか。そのときに、消費者庁がみずから処理するものと、また関係省庁に振り分けをする、こういった事案も生じるわけでございますが、これについては、一番懸念されることが、振り分けた瞬間に責任の所在ということがあいまいになってしまうのではないか。いたずらに時間ばかりが浪費されてしまって、逆に、消費者庁をつくったことで誤解を招くことになりはしないかということでございます。

 言ってみれば、消費者庁が受信から返信まで、最後までフォローアップをしていくというような責任があるとは思うのですが、この点についていかがでございましょうか。

松山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、中森委員御指摘の点は、消費者の皆さんが地元の消費生活センター等に御相談に来られて、苦情相談の情報が消費者庁に集約されてくるというプロセス、そこで、消費者庁みずからが所管をしていない法律の分野についての御相談等に対して、どのように対応していくのかということであるかと思います。

 これは基本的に、消費者庁は、収集した情報につきましては、迅速に関係省庁と共有することはもちろんでございます。それから、消費者と直接接しております消費生活センター、ここも、消費者からの苦情として、たらい回しにされるとか、役所については、相談に行ったんだけれどもなかなかちゃんと応じてくれなかった、ほかに行きなさいと言われたというようなことも御指摘されておるわけですけれども、消費生活センターを拡充することによりまして、基本的には消費者からの苦情は何でも受け付けていただく。

 そして、消費生活センターでみずから御相談に乗って処理できる案件もございますけれども、それで済まないものもたくさんあるわけですね。そういったものは消費者庁に上がってまいります。そして、消費者庁から各省庁に行く。各省庁に、こういう相談、苦情が来ているというようなことが連絡をされまして、そして各省庁がみずから対応される、消費者の苦情相談に対して何らかの対応をされることも当然あるわけでございます。また、対応できない場合ももちろんあろうかと思います。

 そういったことを、消費者庁並びに窓口であります消費生活センターが、そういった各省庁に係るような案件につきまして、伝えっ放しではなく、その後もフォローをしていく、そういう体制を基本的には構築していこうということでありまして、聞きっ放し、言いっ放しといったようなことにならないような体制を構築していく必要がある、そのように考えております。

中森委員 ありがとうございます。

 すると、一般の国民は、消費者庁ができれば、きちっと最後まで責任を持ってやっていただけるという理解あるいは先例ができるということですか。

 実は、民主党さんが消費者権利院というのをお出しになりましたけれども、やはり、そこら辺のところがいつも動いてもらえないんじゃないかという不信感があるからだという部分もありまして、これは一長一短あるのでございますけれども、そこのところがやはりいまいち、はっきりと明確に消費者庁として打ち出してもらいたいなというふうに思います。

 それから、いわゆるすき間事案への対応についてでございますけれども、消費者安全法が提出されております。今現在できない対応について、どのようにこれから変わり、何ができるようになるのか、具体的に御説明いただけないでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるすき間事案への対応につきましての御質問でございます。

 消費者安全法におきまして、消費者被害の発生または拡大の防止を図るために、他の法律に基づく措置がない場合、すなわちすき間事案というふうに呼んでいるわけでございますけれども、その場合に、重大事故等が発生をいたしますと、内閣総理大臣がみずから措置を講ずることができるということを規定しております。

 具体的に申しますと、事業者に対しまして、必要な点検、それから安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善、そういった勧告または命令を行うことができるということになります。さらに、急迫した危険が存在する、そういった場合には、譲渡等の禁止または制限ということで、かなり強い措置をとるということになります。これに違反して、売ってしまった、譲渡してしまった場合には、回収を命令するというようなことが法律に規定されているわけでございます。

 これらの措置によりまして、幅広い消費者被害につきまして、政府としまして、すき間のない責任のある対応をとれるようになる、そのように考えているわけでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 これはちょっと通告していないんですけれども、中国のギョーザ問題がございました。あれも、もちろん裁判では解決できませんし、消費者庁でも解決できないわけでございますね。そういった場合に、やはり国民は、それが宙に浮いたままの、これは通告していないのでお答えがなければよろしいんですが、消費者庁ができて、そういった事案についてはどのようになるのかなというところをお答えできればありがたいと思います。

松山政府参考人 御質問は、いわゆる中国製の冷凍ギョーザ、昨年起こりましたような事案が発生した場合でございますけれども、これにつきましては、まず保健所、それから警察、そういった関係機関と関係省庁との間の連携、これが非常に重要であるにもかかわらず、ギョーザ事件に関しては必ずしも十分ではなかったといった点が指摘されているところでございます。

 消費者庁は、仮にそういう同様の事件が発生する場合には、消費者の安全、安心を確保するために、政府一体となった迅速な対応、その中核的な役割を担うということになろうかと思います。

 具体的には、先ほど申しました新法でございます消費者安全法、これに基づきまして、重大事故等に関する情報として、消費者に対する注意喚起をまず行う、これがまず第一でございます。それから、その情報をもとに、消費者政策担当大臣の指示のもと、緊急対策本部を必要に応じて設置いたしまして、厚生労働省や農水省、さらには警察、輸入品の場合には外務省もあり得るわけですが、そういう関係省庁間での緊密な連携協力を図りまして、関係のある当該省庁に対しまして、例えば事業者に対する自主回収要請をする、そういう措置を講ずることを要請するということが考えられます。さらに、必要な場合には、関係大臣に対しまして行政処分を行うよう措置要求を行うというようなことが想定されます。

中森委員 ありがとうございます。

 最後の質問でございますので、大臣の御所見をいただきたいと思います。

 これからますます多様化そして高度化、複雑化する消費者世界の中で、需要や取引において生じるさまざまなトラブルに将来にわたり対応していくためには、消費者庁みずからが、これからは迅速に、そして時代に対応して、積極的に企画立案、この機能を発揮していくということが今回の時代に応じた法改正というふうに思うわけでございますが、この点について再度大臣の御所見をいただきたいと思います。

野田国務大臣 やはりこれまでの縦割り行政であったり、各役所の中の情報の共有がきちっと図られていなかったり、さまざまな既存の問題がある中で、消費者庁という、消費者の側に立った、消費者の利益の擁護や増進のための任務を背負った役所をつくること、そこにまた二十九本の法律を持ってみずから執行することができることによって、消費者の被害を迅速に一元的に情報を集め、分析して、そして注意喚起等々、さまざまな措置もできるようになるわけでありまして、ぜひとも、こういう形でさらに企画立案能力を持つことで、次々と、予想しない、想定されないようなトラブルに、法律のみならず、その根拠とした政省令とかガイドラインを迅速に運用していくことで対応していく、そういう機動的な行政組織として消費者庁を運営していきたいなと思っております。

中森委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。きょうは、ありがとうございました。

船田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 大臣、また民主党の提案者の皆さん、連日、大変御苦労さまでございます。

 今回、消費者庁の設置関連三法案の審議が精力的にこういう形で議論されるということを本当に私も喜んでいる一人でありまして、我々としてこの消費者庁設置を望んできた立場からすれば、本当にこの議論がさらに深まることを願っているところでございます。

 さて、ちょっと冒頭お伺いしたいんですが、生活支援であり、また、消費の喚起を起こすということで、定額給付金ということで、いよいよ今給付されるという段階に入ってまいりました。

 その中で、三月十九日、大阪堺市で、八十八歳のひとり住まいのおばあさんが、六十歳ぐらいの男が訪ねてきて、市役所の者です、五万円出してもらえればすぐに給付金の手続ができますから、こういうことで、そのおばあさん、おかしいなと思ったらしいんですけれども、役所だと言われたものだからつい信用してしまって五万円出して、じゃ、十分ほどですぐ帰ってきますからといって、そのまま逃げ去られたということです。後で気づいて、大変だということになったわけであります。

 少し心配していました定額給付金をめぐるこういった詐欺事件といいますか、こんな事件があってはならないと思っていたことが起こってしまったということでありまして、そういう意味では、私は、これはぜひ関係省庁が連携をとり合って対応をよろしく重ねてお願いしたい。再発を防ぐということ、そして、さらに一層の広報活動をやっていただくことが大事かと思います。きょうは警察庁がお見えいただいているかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

米田政府参考人 御指摘の事件は、委員のおっしゃるとおりでございまして、現在、大阪府警において被害者の方から詳細な事情聴取を行った上、周辺の検索、目撃情報の収集等、鋭意捜査に努めているところでございます。現在までのところ、まだ立件には至っておりません。

 定額給付金をかたった詐欺事件ないしは詐欺事件の前段と思われるような事件が、昨日現在までで百二十二件、私どもは把握をしております。御指摘の事件以外に実際にお金を取られたというものはございませんけれども、いろいろな周りの方の配慮で、あわやというところで防げたというものが三件ほどございます。

 いわゆる振り込め詐欺につきまして、警察庁は昨年から、その急増に対して官民挙げての取り締まり活動それから予防活動を推進してまいりまして、ピーク時の昨年前半の一月三十億円ぐらいから、ことしは一月十億円を下回る程度まで抑え込んでおるわけであります。その中で、やはり、定額給付金をかたる詐欺というのは私どもも大変問題であろうと思っておりまして、その防止に、警察庁としては、総務省と連携をして、さらには都道府県警察に対しまして指示をいたしまして、それぞれの市町村それから市町村の周りで束ねる都道府県と連携をして、広報啓発活動等の防犯対策、それからこの手の犯罪の予兆事案の情報の共有等を進めるようにいたしております。

 もちろん、起こりましたら、その取り締まりを徹底するということも指示をしているところでございます。

田端委員 ぜひ、総務省及び自治体と連携をきちっとしていただいて、広報活動もさらに重ねていただいて、対応をよろしくお願いしたいと思います。

 私、本会議でも食の安全については特に気を配って質問させていただきましたが、きょうは引き続いて、その問題について、過去のいろいろな事件を通して、消費者庁ができればそういった事案がどういうふうになるのかということを具体的に質問させていただきたい、こう思います。

 今から五十四年前になりますか、一九五五年、森永砒素ミルク事件ということがございました。森永乳業の製造過程の中で、森永ドライミルクの中に不純物である砒素が含まれてしまったために、一万三千人の乳児が砒素中毒になり、百三十名の方が亡くなったという大変痛ましい事件が起こったわけであります。当初、何かよく原因がわからなくて奇病扱いであったりしたんですが、岡山大学の医学部の方で突きとめていただいて、それが厚生省に報告されて、事件となって明らかになったわけであります。

 まず、消費者庁が創設されていれば、こういう事件が起こった場合にどう対応されるのか。この事件のときには裁判ざたになりました。そして、和解、損害賠償という形になっているわけでありますけれども、こういうことは、即対応する、緊急性、早く対応する、これが大変大事かと思います。被害を防ぐ、できるだけ食いとめるという意味で、措置要求というのは消費者庁がどこまでどういうふうにできるのかということを、この事件を通してお答えいただければと思います。

増原副大臣 御答弁申し上げます。

 ただいまのような事件のケースでありますが、このような具体的な事案が発生した場合でありますが、消費者の安心、安全を確保する、さらに被害の拡大を防ぐという観点から、やはり政府一体となった迅速な対応が必要であろう、不可欠であるというふうに思っておりまして、消費者庁は、その場合、その中核的な役割を担うことになると思っております。

 具体的には、消費者庁は、まず、新法であります消費者安全法に基づきまして、地方の消費生活センターあるいは保健所等を含め、関係行政機関等から収集しました情報を一元的に収集、分析する。そして、それに基づいて、消費者にわかりやすい形で迅速に消費者に対してディスクロージャーしまして、注意喚起を行う。私は、まずここが初動動作としまして極めて大事であるというふうに考えております。

 そしてまた、食品安全担当大臣でもあります消費者行政担当大臣の指示のもとで、恐らく、緊急対策本部、こういったものを直ちに開催しまして、厚生労働省等関係省庁と緊密な連携協力のもとに、原因と考えられる食品が判明した場合には、当該省庁に対しまして、業者に対する自主回収要請とか、あるいは所管する法律に基づきましてとり得る行政処分、例えば、食品衛生法に基づく危害除去、除去命令の発動、こういったようなことにつきまして措置要求を消費者庁が行う、こういうことになると思います。

 このほか、必要な場合、消費者安全法に基づきまして、消費者庁みずから、あるいは地方公共団体に立入検査をするという形になろうと思います。

 こうした対応によりまして、いわゆる消費者行政の司令塔として政府全体の調整を図っていく、こういうことであろうかと思います。

田端委員 おっしゃるように、消費者庁みずからが先頭に立って、厚生労働省あるいは警察関係とも、あるいは自治体とも連携をとりながらというのは、それはもう当然のことだと思いますけれども、こういう事件はたくさんあります。被害が出る、その被害が出るまでにまた別の風評被害ということもあったりして、食に関することだけに、非常に健康、命の問題にかかわるということで、過去にはいろいろな事件があります。

 それで、もう二つ申し上げますが、BSEのときには、これは輸入禁止ということで、措置をとるまでに時間がかかって、その後、焼き肉屋さんとか大変な被害になって、倒産する人も出てきたりしました。

 それから、O157の事件もありました。これも結局よくわからなかったということなんですが、厚生省の方が、かいわれ大根説をあのときに出しました。それで、私の大阪の羽曳野のかいわれ大根業者が全く倒産して、後に訴訟事件になったと思いますけれども、こういうことが起こると、国民の心理として、もう肉は食べない、かいわれ大根も食べない、こういうように必ずなるわけであって、そこのところがはっきりしないときに右往左往して対応が遅いがゆえに、これがさらに大きな社会的不安を広げてしまう、こういうことだろうと思います。

 だから、これらに類するようなことがもし今後発生した場合に、消費者庁の役割というのは私は大変大事だし、大きなものがあると思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

増原副大臣 御答弁申し上げます。

 午前中の審議でも一つ申し上げたのですが、いわゆる事故米のときも同じような問題がありまして、要は消費者の被害を早く食いとめなくてはいかぬということと、国民の安心、安全に対する懸念というところもありました。

 一方で、善意の事業者もいらっしゃるというところでありまして、どのくらい一体これをディスクロージャー、公表していいものかと。当時は根拠がありませんでした。それを農水大臣の御理解を得まして、あのときは大胆な公表をいたしたわけでありますが、このたびは、今御提案申し上げている消費者安全法第十五条によりまして、消費者被害の発生または拡大の防止に資する情報を公表するという形になっております。

 また一方で、第三条二項では、「事業者による適正な事業活動の確保に配慮しつつ、」というのもあるわけでございますが、いずれにしても、ディスクロージャー、公表する法的な権限がこのたびの消費者安全法でもってしっかりと位置づけられるということでございます。

 できるだけ被害の拡大を防ぐためにやっていかなくてはいけない。一方で、善意の事業者の方々をどうするかという問題が残っております。そういう意味で、ケース・バイ・ケースでいろいろな状況を勘案しながら、個別的に判断をしていくことになろうかと。その際、消費者政策委員会あたりの御意見も十分踏まえてやっていくことになるんだろうというふうに思っております。

田端委員 情報が一元的に集約されるということがこの消費者庁の設置の最大の売りになっているわけですね。だから、その情報をいかに正確に分析して公表してそして対応するかという、そこがポイントだと思います。それでなければ司令塔の役割をなさないわけですから、ぜひ司令塔が司令塔としての役割を果たせるように、こういう緊急事態に対しても適切な判断と措置が必要だ、こう思います。

 ここが、今の答弁だけだと私まだちょっとという感じもいたしますけれども、ぜひこの点はさらに検討いただいて、こういった事件に対しての対応も今からいろいろなことをやっておいていただきたい、こう思います。

 もう一つ申し上げますが、一九八四年の五月にグリコ・森永事件というのがありまして、これは、朝、毎、読、産経等各紙に、かい人二十一面相と名乗る者から、グリコの製品に青酸ソーダを入れたという挑戦状のようなものが新聞社に届き、そして兵庫県西宮のコンビニに「どくいり きけん たべたら しぬで かい人二十一面相」と書かれた紙を張ったグリコ製品が置かれていて、そのお菓子の中に青酸ソーダが混入されていたということで、その事態を受けてスーパーはグリコの製品を撤去した、こういうことがありました。

 そして、その後、大阪、兵庫、京都、愛知等のスーパーに、そういった不審な森永製品も発見されました。そして、これも「どくいり きけん たべたら しぬで かい人二十一面相」という紙も張られていた、そのお菓子の中にも青酸ソーダが混入されていた、こういうことでありまして、そのほか、丸大食品それから不二家、駿河屋なども脅迫されたという事件がありました。結局この犯人は捕まっていません。

 それで、しかし、こういうことが起こると社会的不安は大変なことになります。消費者は大混乱です。メーカーさんも大変だと思います。そういう意味では、こういう卑劣な犯罪に対して、これは消費者庁の役割は大変大きいだろうと私は思っています。

 異物混入、毒入りの食料品、悪意を持ってこういうことが行われた場合どう対応するか。もっと言えば、こういうことを利用してテロをやろうとした場合、テロのそういう行為に対してどう安全な管理体制をとるのかという、ここが今後やはり考えておかなければならないことではないかと思います。

 つまり、食料品の場合、原料から商品になって出荷されるまでのいろいろな段階があると思いますが、その各段階で想定し得るいろいろなこともやはり危険性と対峙するという意味で考えておく必要があり、そして品質管理やあるいは部外者が立ち入るとか入らないとかそういった安全確保のための措置、こういうことが、すべてやはりシミュレーションした上でいろいろなことをやっておくということが大事ではないか。

 そういう意味では、トレーサビリティー対策といいますか、そこまでさかのぼって考えて今後はしなければならないんじゃないかという思いもしておりますけれども、いずれにいたしましても、消費者庁の指導力といいますか指導性、これが今後大きく問われていくことになると思いますので、この辺についての御決意をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 ただいま先生御指摘のトレーサビリティーというのは、食の安全を確保する意味では極めて重要な課題だと認識しております。

 今、仮に悪意の毒物混入事件のような事案が発生した場合は、一義的には、これは犯罪事案でありますので、警察が捜査をするべきことであります。だけれども、消費者庁の責任というのは、消費者の安全、安心をしっかりと確保することでありますから、政府一体となった迅速な対応を行うことが不可欠で、消費者庁はその中核的な役割を担うということになっていきます。

 消費者庁は、情報の一元集約ルートをたどって届けられた情報をもとに、担当大臣の指示で速やかに緊急対策本部を設置し、そしてその担当の厚生労働や農林水産、さらには警察等の関係各省に集結していただいて、緊密な連携協力を図るということをさせていただきます。

 具体的にどういうことをするかというと、消費者庁はそれぞれの役所に対しまして、とり得る行政指導とか行政処分の迅速な対処を促すことができます。必要な場合には、関係大臣に対して、所管する法律、例えばこの場合であると、農林水産大臣に対して流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法、または厚労大臣に対しては食品衛生法に基づく危害除去命令の発動等々の行政処分を行うよう、措置要求を行うことができるわけであります。

 再発防止策の策定につきましては、担当大臣の指示のもとで緊急対策本部の枠組みを用いるなどしまして、毒物混入等の防止をするため、企業による自主的な取り組みを促すことを含めて、安全な流通管理体制を確保するよう、それぞれの省庁に対して促すことが想定できます。

 消費者庁は、こういう対応をとることによりまして、毒物混入に関する消費者被害に対しても、政府一体の取り組みを推進していくことになってまいります。

田端委員 社会というのは、何が起こるかわかりません。特に食べ物に関しては、ぜひ細心の注意を払って、いろいろなことを予測しながらその危険性を防ぐ、そういう役割もぜひ消費者庁がリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それで、ショッキングな事件は、私は、中国冷凍ギョーザのメタミドホス混入事件が象徴であった、この事件が消費者庁を設置する大きな根拠の一つにもなったと思っておりますが、この事件というのは、私、いろいろな教訓を含んでいると思っています。

 特に、日本の今の食料事情といいますか、この自給率、カロリーベースで四〇%ということですから、そういう意味では、原材料を輸入に頼るという食品、輸入食品というものが非常にふえています。我々の冷蔵庫の中を見ても、原産中国という食品がどの家庭でも三割はあるだろうと言われているわけでありまして、そういう意味では、例えばお豆腐が入っていても、そのお豆腐の大豆は中国から輸入している、こういうことになれば、もう本当に我々の食卓の周辺は輸入食品ということが圧倒的に多いのではないか。それだけに、この事件が大変な大きな事件であった。

 そこで、この事件が一昨年の十二月に起こっていながら、一月の終わりころに表に明らかになった。こういうことでは、一カ月前後おくれたと思いますね。正月を挟んでいたということもあったんだろうと思いますけれども。これはしかし、いまだに明確になっていませんが、そういう意味では、その後は捜査がどうなっているかということも私は疑問に思っております。

 そして、この後、製造元の河北省の天洋食品が保管、管理していた、回収、管理していたはずのこの冷凍ギョーザが、去年の四月―六月ごろに、同じ河北省の鉄鋼メーカーに横流しといいますか、そしてそれを食べた従業員、家族の中から下痢、嘔吐等の被害者が出ていたということが、マスコミ報道で私も知りました。

 これは実は、一月以降に残っていたものだと思いますが、二月以降から発売しようとしていて、包装が変わっているわけですね、新しい感覚のデザインの、刷新した冷凍ギョーザでありまして、日本国内に流通しなかった。それがなぜか中国で出回った、こういうことで中国国内の事件となって被害者が出た、こういうことでございます。

 したがって、これらの事故から思うことは、もう少し日本政府として中国に対しても毅然たる態度できちっとしておけば、中国の人の被害も防げたのではないか、こんな思いもいたします。

 日中で被害者が出たということについて、しかも、この事件はいまだにすっきりしていないということもあって、消費者庁はこれを今後どういうふうに、消費者庁ができればこの問題はやはり取り組んでいただかなきゃならないし、こういうことを起こしても再発防止しなければならないと思いますので、総括官会議を開いて協議するというようなことも聞いておりますけれども、そんなことで果たして食いとめられるのかどうか、今後の対応、消費者庁の役割は、この事件を通して何を教訓としてお持ちになっているのかをお尋ねしたいと思います。

野田国務大臣 先生御指摘の冷凍ギョーザ事件につきましては、中国国内において加工された食品が日本に輸入され、また本邦内において健康被害を生じさせた事案でありまして、外交ルートを通じた情報収集等の対応も大変重要でございます。

 消費者庁ができたらということですが、同様の事案が発生した場合には、先ほどの繰り返しになりますけれども、担当大臣の指示のもとで緊急対策本部を開催することになります。そして、担当、厚生労働、農林水産、そして輸入食品ということで、事件ということもあり警察、そして外務省で緊密な連携協力体制をとらせていただきます。

 この枠組みを通じて、消費者庁は、それぞれの役所に対しては、業者に対する自主回収要請を含めた行政指導とか、所管する法律に基づいてとり得ることができる行政処分を促すほか、外務省に対しては、外交ルートを通じた中国当局からの情報収集を含めた迅速な対処を促すことが可能になります。さらに、必要な場合は、関係大臣に対して、所管する法律に基づきとり得る行政処分等を行うよう措置要求を行うことができます。

 こうした対応により、消費者行政全体の司令塔として政府全体の調整を図るということになってまいります。

田端委員 もう一点、外国から輸入で関係する事件を申し上げますが、おもちゃですね。済みません、舛添大臣、お待たせしました。一点お伺いしたいと思いますが、アメリカのおもちゃメーカーのフィッシャープライスが、中国製のプラスチック玩具から鉛が出たということで、二〇〇七年、約百万個販売されていた、人気キャラクターのエルモとかビッグバードとかというおもちゃを販売されていたわけですが、アメリカの消費者製品安全委員会、CPSCが自主回収措置を打ち出して、日本の大手スーパーでもこれがあったわけで、販売中止ということにもなりました。

 その後、我が国でも、人気アニメの「クレヨンしんちゃん」をかたどった中国製の縫いぐるみの塗料からやはり鉛が検出されたということで、これも自主回収になりました。

 おもちゃというのは、乳幼児、赤ちゃんにとれば、これはもう何でも口に持っていくわけですから、なめてしまう。そういった意味では、鉛ということは健康に非常に有害な物質でありますから、こういうものが輸入製品の中に、そういったものが今後も起こってきた場合、今もこういうふうに起こっているわけですから、あり得るということも想定した上で、食と同じように、食品衛生法上の位置づけで今後はきちっとした対策を出さなきゃならない。

 そういう意味では、消費者庁と連携をとりながら厚生労働省がしっかりと対応していただくことが大事か、こう思いますが、大臣、よろしくお願いします。

舛添国務大臣 今委員御指摘のように、乳幼児がなめたりしちゃう、そういうときにそれに有害物質があれば危険なわけですから、こういうのを指定おもちゃということで、食品衛生法上の規定に基づいて規制をする措置を講じておりますが、厚生労働省におきまして、昨年三月、ISO規定との整合化の観点から、この指定おもちゃの範囲を拡大するとともに、指定おもちゃの塗装から溶け出す鉛などの量に関する規格を強化したところでございます。

 国際的なこういう動向も踏まえ、このおもちゃの安全性ということをきちんとやっていきたいと思いますし、消費者庁ができた暁にもそういう連携はきちんととってやっていきたいと思っております。

田端委員 ありがとうございました。

 食の安全の中で、過去の事件、今起こっている事件等も含めて申し上げて問題提起をさせていただきましたが、なおまだ、いろいろと今後もこれらについては掘り下げていく必要があろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 仙谷でございます。

 きょうは、まずは、消費者行政は分権的に行うべし、自治事務であるから民主党のように国が消費者行政を担うというのはおかしいのではないかということを、民主党の消費者権利院法案に対する批判として、なぜか、消費者運動等を一生懸命なさった方がドグマのように繰り返されるんですね。

 内閣府の御教育がよかったのかどうか知りませんが、消費者問題というものを地方でなければできない、分権的でなければできない、自治事務でなければできないと、どこで取りつかれたのかわからないけれども、そういうドグマに取りつかれている。これは、国の事務と共存をできるのかどうなのか、共存をした方がいいのか、あるいは国がすべてやってしまった方が効率がいいのか、こういう問題を含むわけであります。

 そもそもの問題としては、消費者問題というのは基本的に民民の問題です。民間の事業者と個人の取引、つまり、民間の契約の問題でありますから、行政は民民の問題については不介入というのが原則であった。これに介入するとすれば、司法という機能で介入するというのが原則であります。当然のことながら、日本においては、司法機能、司法というのは国の事務であります。これは地方の自治事務にはなっていません。したがって、もし強制的な仲裁等々が都道府県知事によって行われるとすれば、それは何らかの憲法上の留保というものがなければできない、原理的にはそういうことになります。

 ところが、時代がこうなっていますから、いや、そうじゃないんだ、やはり公的なADR機能が必要なんだということになりますと、司法機能の緩やかなものの一部を民間に移す、あるいは地方自治体に移す、こういうことが許されないだろうかというのが現在の消費者問題にも出てきている問題なのであります。

 そこで、私は、たまたまでありますが、弁護士として四十年前から労働事件にも携わってまいりました。そのときに、労働問題、労使問題というのは、基本的には、団体的労働関係は労働委員会、地方労働委員会、そして中央労働委員会は国の事務でありますが、中央労働委員会で処理してきた。ところが、個別の労使紛争は、裁判所へ、お恐れながらといって仮処分をかけたり、裁判を起こす以外に解決の方法がなかったんですね。

 いや、もっと厳密に言うと、県庁の中に、どこの県にも産業労働部とか商工労働部というのがあって、出先まで持った労政事務所というところがございまして、ここが、いろいろ事実上のあっせんをしたり仲介をしたりして、個別紛争の解決に多少は役に立ってきたかなと。

 これも、都道府県で比べますと大変ばらつきがあります。東京などはこの成績がまあまあいい方ということでございますが、どうしてもこれは、県庁においてはエリートコースでない分だけ、なかなかうまく運ばないというのが実情であったように見ておりました。

 ところが、平成十五年から地方労働委員会でも、つまりこれは自治事務ですが、さっきの労政事務所のあっせんも自治事務なのでありますけれども、地方労働委員会で平成十五年から個別労使紛争の調停、あっせんを扱えるようにしたというんですね。現にやっております。さらに、それと同時並行的に、私の記憶では平成十四年からは、厚生労働省の各県に置かれた労働局が、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律というのをつくって、乗り込んでいって、国の事務として個別労働関係紛争のあっせんをするということで、相談、あっせんに乗り出したということであります。

 さらに、この時期に、裁判の中でも労働審判制度という、勝つか負けるかという判決をつくるのではなくて、裁判手続の中で、労働紛争の訴訟の中で、労働審判という格好で、このぐらいのお金で解決しませんかとか、そういう和解的な解決を専ら旨とするような仕組みもできた。つまり、裁判も、本来的な労働裁判と、ややソフトな労働審判、そして、いわば官製ADRとでも言えるような、労働局、つまり厚生労働省労働局の個別労働紛争解決制度というのもできた。

 しかし、これは、各地域においては本来は自治事務。自治事務として労政事務所のあっせんがあり、あるいは労働委員会で個別労使紛争も扱うという状況であったのに、何ゆえに労働局が乗り出したのか。このことについて、舛添大臣のお答えをまずいただきたい。

舛添国務大臣 今、官製ADRとでもいうということでおっしゃった、これは平成十三年に制定しました個別労働紛争解決促進法ですけれども、なぜできたかというのは、今も非常に雇用情勢が悪うなっていますが、当時は、雇用情勢が非常に悪い、悪くなれば当然労働紛争が増加する、それから、企業の労務管理上もいろいろな問題があった。

 そうすると、例えば解雇ということを言われたときに、それは権利濫用だということになれば、今おっしゃったように民事訴訟ですから、司法に解決を求めないといけなくなる。それは労働者だって、弁護士費用とか何から考えれば、そういうことは簡単にできる話じゃありません。しかし、自治事務といってほったらかしておくわけにもいかない。それで、今の、解雇するかどうかは司法の判断に任せる、しかし、仮に、三十日前には予告しないといけませんね、そういう手続上に瑕疵があったときには、これは国が決めた労働基準法というのに明確に背反するわけですから、国の責任としてそこに介入する必要がある。

 そうすると、個々の紛争を見たときに、民事上の問題と、今言った労働基準法や何かの労働関係法令の違反事項がある、さあ、これをどう解決するか。いわば、両者が入っているときにワンストップ的に解決する手があった方が、紛争当事者、とりわけ労働者保護のためにはいいだろう、こういう思いから十三年にこの法律をつくったということであります。

 これは、自治事務だからやらないとか、いや、国が全部やるべきだということではなくて、紛争を一番いい形で、しかも訴訟にまで訴えるということではなくて、まさにADR的に解決する、そういう発想から行ったもので、要するに、国がやるとか地方がやるとかいうことではなくて、何が一番問題の解決に、そして紛争当事者にとって一番有効であるか、そういうデュアルシステムというか、複眼的、複線的な解決を模索するということでこの法律を施行させていただいているというのが説明でございます。

仙谷委員 自治事務としての労政主管事務所といいましょうか労政事務所の労働相談、それから労働委員会の労働相談及びあっせんがありながら、なぜ国がいわば直轄事業として乗り出したのか。

 つまり、消費という問題でいえば、これは実は概念的には、個人の労働力を会社が買って消費しますから、労働力の消費者は消費という概念では会社なんですが、しかし、情報量の情報格差のもとでとか力関係の格差のもとで紛争が起こったときにどのように解決するかという点では、もうほとんど同じ。

 つまり、個人からいえば、どこか相談に行きたい、相談に行って、法律のみならず当不当の問題も含めて早く解決したい、裁判所へ行くのにはお金がないとか、面倒くさいとか、手間がかかるとかいろいろなことがあって、そういう行政サービスといいましょうか、行政の相談からあっせんぐらいまでできるのがあったらいいなということだろうと思うんですが、あえてそこへ乗り出されたのは、やはり自治事務として地方に任せきりでは、労働組合の組織率、さらには派遣等々の非正規労働者の増加とか、労働構造が圧倒的に変わって、行政が手を差し伸べなければならぬけれども、地方に任せておいただけでは、どうもこれでは解決しないぞというのが、労働基準監督署や職業安定所やそういうところを通じて見えてきたから。そうじゃないんですか。

舛添国務大臣 今おっしゃるように、労政事務所や労働委員会はありますが、労働基準監督官は専門知識を持ち、これは権限がありますから、立ち入る権限がある。それから、ハローワーク、公共職業安定所長、ここは今の内定取り消しの問題なんかについても強力な権限を持って指導することができます。こういう専門職員がきちんとやることにより、さまざまな紛争の解決が早くなる。そういう発想から、今おっしゃったように、やはり労働者というのは相対的弱者なんですね、使われている方の方が。そういう意味で、法の執行者として、いわば護民官として、言葉がいいかどうかわかりませんが、国の法律による権限を持った執行として入る、これが紛争解決に資する、そういう発想であると私は理解しております。

仙谷委員 そこで、平成十四年からですから、まだ歴史はそれほど古くないわけであります。

 舛添大臣と民主党の提案者にお伺いしたいんですが、資料として提出しました三枚目、これは、いわゆる厚生労働省の各県に置かれた労働局が扱った相談、紛争相談、助言・指導、それから紛争調整委員会のあっせん申請の平成十九年度の数です。つまり、相談が百万件、あっせん申請が七千件というものです。

 次の四ページを見ていただきますと、労政事務所の相談の実施状況、これはほとんど電話だと思いますが、相談が十二万件、労働委員会への相談が千百六十五と書いてありますが、約千件。この量的な差。

 さらに、あっせんを見ていただきますと、労政主管事務所というのは、東京だけはできているけれども、ほかの県は全くと言っていいほどできていません。福岡が八十件あるだけです。あとは労働委員会が全国通じて三百七十五件のあっせんをこなしている。片や労働局は七千件である。

 これをごらんになって、つまり自治事務でやることは全然差し支えないんだけれども、そこに中央直轄のこの種の相談とかお世話役とかあっせん事務が乗り出すことの意味というものについて、舛添大臣それから民主党の提案者、お答えをいただきたいと思います。

舛添国務大臣 これは、労政事務所でやるか労働委員会でやるかは、それは県で自由ですけれども、今委員がお示ししましたような数のように格差があります。

 したがって、私は、先ほど申し上げましたように、どっちがいい、自治事務の方が完璧だとか、それは全部国がやった方がいいということを申し上げませんが、労働者保護とか紛争解決のために役に立つ制度は上手に組み合わせて使えばいい、そういう感想を今の数字からも持ったところでございます。

枝野議員 御指摘のとおり、個別的労働紛争の解決に当たっては、自治事務としてやっている地方自治体の仕事の成果に対して、国が直接行っている仕事の成果が数字の上で圧倒的に大きい。これは恐らく、地方自治体の大変困難な財政状況等が大きな背景にある中で、なかなか自治事務の分野のところに、しかも、どちらかというと政治的圧力の大きくない立場からの仕事でありますから、どうしても予算であれ人員であれ少な目になってしまうという中で、一種必然的に生じている現象ではないかと受けとめています。ただ、やはり数字を見ますと、想像以上にこの差が大きいというふうに思っています。

 消費者紛争の問題についても、同じように、地方自治体は財政状況厳しい中で、自治事務としてもっとやりたいという思いはたくさん持っていらっしゃるかもしれませんけれども、労働紛争に対する対応同様に、なかなかそこに予算を割けないという状況がありますので、そういった部分については、自治事務は自治事務としての意味にかんがみて、それを残しながら、国がしっかりと責任を持って対応するということが必要ではないかと、この数字を見て改めて感じているところであります。

仙谷委員 舛添大臣にこの質問に対するお答えをいただければ、もう私の持ち時間の範囲では御退席いただいて結構なんでありますが、薬害肝炎事件とこの消費者庁問題といいましょうか消費者権利院問題といいましょうか、こういうことをちょっと聞いてみます。過去の事件ですから大変難しいと思うんでありますが。

 つまり、薬害肝炎問題というのは、消費者問題といえば消費者問題なんですね。患者からいえば、医療過誤問題といえば医療過誤問題。それから、薬剤メーカーとの関係でいえば、製造上の重大なミスによってフィブリノゲンという薬剤に対して肝炎ウイルス菌が混入してしまったという、要するに製造工程上の重大な過失問題といえば過失問題、つまり厚生省の守備範囲の話です。

 多分、この種のものは、まず都道府県の消費生活相談センターに飛び込まれる、あるいは消費者権利院に飛び込まれるというよりは、病院でこれはおかしいぞということで、各県の保健所なり、あるいは医療現場から厚生省に直接副作用報告なり薬害報告ということで上がってくるのかもわかりません。これは消費者問題でもあるわけですが、この種の問題に対する、消費者庁なりあるいは消費者権利院というような存在があった場合に、この存在との関係をどう考えるか。

 といいますのは、今度の消費者庁法案関連で、消費者安全法十二条に、行政機関の長は、「重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、」つまり消費者担当大臣になりますが、「内閣府令で定めるところにより、」この府令がまだできておりませんからよくわかりませんけれども、「その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。」こういう規定があります。

 厚生労働大臣としては、そういう報告を受けたときに消費者庁に通知しなければならない。まあ、通知するのはそれは御自由ですけれども、通知するより、したところで、専門的な範囲のところで原因究明にまず当たる方が先というか、そっちの方が大事というふうに思うのでありますけれども、こういう規定についてどのようにお考えになりますか。御感想をお聞かせください。

舛添国務大臣 まず、具体的に内閣府令をどう定めて、それによってここに書かれていることが実効性を持つかということが法律上の問題だと思います。しかし、今委員おっしゃったように、副作用の問題というのは非常に難しい。それで、大体、医薬品の副作用は年間三万件報告があります。これは、例のPMDAで副作用報告をしてもらって、そして、その報告は私、厚生労働大臣に上がることになっております。

 この十二条に基づいて内閣総理大臣に通知をする。ただ、それは非常に、今、薬の副作用について周知徹底させるという大きな効果は消費者庁がかかわることで、あると思っていますが、しかし、現実的に有効な対策をとるということは、私は、厚生労働省の大臣の権限において直ちにやるべきことなので、ここもまた、二つあるから無駄じゃなくて、国民をこういう副作用から守るということに資すれば、複数のシステムがあってもそれは構わないと思っております。

仙谷委員 民主党の消費者権利院法案の提出者にお伺いするわけですが、皆さん方がお考えになるところ、例えば薬害肝炎事件であれば、権利院であればこういうことができるけれども、消費者庁では多分無理だろうと思われるようなことはありますでしょうか。

枝野議員 大きく二点といいますか、三点と言うべきなのか、あると思っております。

 私どもは所管法という概念はございませんので、あらゆる消費者問題について報告を各行政機関に求めることができます。我が党の法案の三十二条にございますが、詳細は消費者権利院規則で、消費者権利院ができましたらそこで決めていただきますけれども、薬害というのは被害が発生をしてからでは遅い、あるいは発生の初期の段階でできるだけ早く把握をして対応しなきゃならないというのは薬害エイズ、薬害肝炎などを通じてはっきりしていることでございますが、残念ながら従来の厚生労働省の初動がおくれている、これまた繰り返されていることでございます。

 したがいまして、政府案では重大事故が発生をしませんと通知の義務などが生じません、責任が生じませんけれども、私どもは、三十二条の報告義務の規定に基づいて、そもそも、副作用情報を含めて、まずは消費者権利院の方にすべての情報を報告しろということを厚生労働省に課すことをまずするということによって、厚生労働省の、つまり自分たちで許認可を与えた薬で何か起きているということについては、やはりどうしても人間のやることですから、いや、ミスはないはずだということに基づいて物事動きがちでありますが、第三者である消費者権利院が副作用情報等を全部厚生労働省と共有することによって、おかしいぞということがあったときにより早くチェックをさせることができる。

 それができましたときに、これまた消費者権利院であれば、所管法に関係なく、例えば厚生労働省に調査を命じたりとか、あるいはみずからで関係医療機関等に調査研究の嘱託をしたりという形で、許認可をした厚生労働省とは別の視点から本当に大丈夫だったのかということをチェックできる。

 薬の場合は、厚生労働省は、患者の命を守ると同時に許認可を与えた当事者という立場になりますから、それは、それをチェックするには適する立場ではないというふうに思っています。

 それからもう一点は、実は、被害の救済のときに、薬害エイズにしても薬害肝炎にしても、大変な難しい裁判を経て、どちらも和解で解決をいたしておりますが、特に初期の段階においては弁護団を組んで被害原告団を組むこと自体が大変困難でありますけれども、私どもの制度であれば、適格消費者団体による損害賠償請求団体訴訟の対象に当然なり得ますから、特に薬害肝炎の場合は、被害者がなかなか名乗り上げない、当事者がわからないというような状況の段階から、適格消費者団体による損害賠償訴訟を提起することによってより迅速に被害救済に向けた動きを立ち上げることができ、なおかつこのことが、特に薬害肝炎のような、被害者自身に自覚がない、多くは自覚がないケースが多いケースにおいては、世論喚起と情報提供という意味からも大きな意味を持つのではないか、こういうふうに思っています。

仙谷委員 先ほどの、分権自治事務と国の事業といいましょうか国の事務の関係に返りますが、舛添大臣、よかったらどうぞ、お引き取りいただいて結構です。

 先ほど、労使紛争といいましょうか個別労働紛争解決、この問題での相談とあっせんの、自治事務傘下のといいましょうか、自治事務下の事務の量と質の惨状というのが、ここで私が示した資料で見ていただけると思います。

 十一ページを見ていただきますと、平成十四年から、先ほど申し上げたような個別労働紛争解決制度みたいなのと時期を同じくして始まった苦情処理委員会等への付託案件数という、この十一ページの表九というところに書かれておる案件をごらんいただきまして、さらにその中で、あっせん、調停の内訳、東京都以外の都道府県や市がどこに存在するのかというふうに見ますと、この惨状たるやますます大変な状態である。先般から議論がございますように、予算がこの十年間で半減しておるということも、そのとおりというか、そういう実態もある。

 つまり、枝野委員が先ほどおっしゃられた、要するに、自治体が、懐ぐあいからして、どうも労使紛争相談、あっせんというようなことに力が入れられなくなっているんじゃないか。あるいは消費生活センター、あるいは苦情処理委員会でのあっせん作業についても、まあふえているといっても微々たるものだみたいな話とか、相も変わらずやっていないところは全く機能していないとか、これも、人の問題もあるでしょうけれども、権限の問題と、やはり財政の問題が大変大きいと思うんですね、こういう惨状になっているのは。自治事務という以上は、せんだって初めて自治事務に十分の十の補助金という珍妙きてれつな制度を定額給付金でやりましたけれども、しかし、本来は、自治事務という以上は自主財源でやっていただかなければならない、こういう話になるわけであります。

 そこで、これは野田大臣にもお伺いしたいわけですが、自治事務下でこの消費生活センターの消費生活相談員の処遇が問題になっております。資料としては八ページに載せてございますが、この八ページの、正規職員が十七人、嘱託を含む非常勤職員千七百七十二人、九八・五%、それから給与は、平均年収額が百六十五万円、平均時給千三百七十二円ということになっておるわけです。

 これは感想でもいいんですが、あるいは私はこうするというんだったらそう言っていただいてもいいんですけれども、消費者庁法案ができて、これから先、非常勤身分の方々は非常勤のまま、非常勤身分の相談員という方はいつまで続くんですか。どこかでこれが改善の余地がある、あるいは政府が、政府というのは中央政府ですが、何かできるということになるんでしょうか。

野田国務大臣 今拝見しているものは内閣府の資料でございまして、私も事実として十分承知をしております。

 消費者庁を設置する関連三法案というのは、霞が関に行政組織をつくるということではなく、そもそもは、やはり地方の消費者行政をよりパワフルに、スキルを上げて頑張っていただきたいというところから始まっておりまして、その一つの問題には、最前線で頑張っておみえになる消費生活相談員の方々の処遇が非常に厳しいということでございまして、まさにこのとおりでございます。

 非正規のままなのかという話でありますけれども、消費生活相談員の身分につきましては、それぞれ各地方公共団体において、全体の定員や、例えば交通事故相談員とか行政相談員とか、他の分野の相談員との比較考量を踏まえてそれぞれの地域が検討されているものだと思います。

 国としては、相談員が地方公共団体の中で専門職としてプロフェッショナルな位置づけをしっかり確立することが大変重要だと考えておりまして、先ほどからお話し申し上げております都道府県に造成する基金におきまして、相談員の方のまずは研修の充実とか、または、数が大変足りないということでありますので、新規の皆さんの研修等々に支援をさせていただきたいと思っております。それが間接的にはそういう処遇改善の一助になると思っております。

仙谷委員 昨年の一月に内閣府が消費生活相談員の方々にアンケートを出して、アンケートをまとめられたのが野田大臣の手元にもあると思います。今のような答弁は、結局何にもできないわ、自治体任せだわと。ということは、今まで十年、二十年続いてきた非常勤、非正規職員、常勤的非常勤職員、これが果てしなく続くということ以外の何物でもないんですよ、私に言わせれば。

 これをどうやって解決できるのか。たった唯一の道は、私どものように国が雇い上げる。国の公務員としての特別職なのか、ともかく、雇い上げて身分を安定させて、それに伴う権限を付与するということがない限り、いいですか、この非正規の職員というのは条例で書かれていないんですよ、定員外なんですよ。こういう方々にどんな権限があるというんですか。

 あの昨年の一月の調査結果を見てもそうじゃないですか。我々は何なんだ、我々もあっせんを事実上しているけれども、相談を受けているけれども、このことの法律的裏づけは何なんだと、みんな悩んでいるじゃないですか。それは悩みますよ。

 ここをしっかりしない限り、ここをちゃんと位置づけない限り、国じゃなくても、ちゃんと違う法律をつくるとか、条例がその職員を位置づけるんだったら、それはそれでいいのかもわからない。定員に入れて、条例上の地方公務員として権限を与えるという方法もあるかもわかりません。だけれども、それを促すための、例えば今の警察庁と都道府県警察のような、これは極めて特殊ですがそういうテクニックを使うか、考えられるんだけれども、何か考えないと、このまま、非正規のままずっといきますよ。

 民主党の提案者、この点について何か御意見ありますか。

階議員 おっしゃるとおりでございまして、地方に任せていては今までの官製ワーキングプアという状況は変わりませんし、また、私、盛岡の消費生活センターの職員の方に聞いてきましたけれども、今委員がおっしゃったとおりでございまして、自分たちの権限がないので、業者の方がなめてかかってくる、あっせんをしようとしても、なかなか自分たちの言い分を聞いてくれなかったりする、そういうような問題もあるそうです。

 そういった中で、我々は、相談員を国家公務員にします。任期を十年としますけれども、これは再任も可能ということで、権限を与え、そして身分を保障して、安心して任務を遂行していただく、その結果、スキルアップもどんどん図られていく、こういうことです。

 そして、その財源でございますけれども、これは国の一般財源として手当てをしていくということを考えております。

 我々は、そういうことを通じて国家公務員として身分を安定させるんですけれども、一方で、公務員となりましても、今までのような働き方を続けられたいという方、例えば一週間のうち二日、三日パートタイムで働きたいという方は、当然のことながら、それを尊重して、パートタイムでも働いていただけるようにする。ですから、非常勤とは申しますけれども、それは別にパートタイムだけではなくて、フルタイムで働く方も含めます。そして、その人その人の御都合に応じて、一週間フルで働く方、あるいは二、三日働く方、こういうことをやっていきたいと思っております。

 そして、我々は、自由な任用を確保していきたい。普通は、国家公務員となりますと、競争試験で任用されなくてはならないというのが原則なのでございますけれども、それでいきますと、地方の場合はなかなか人材を柔軟に登用できないということで、自由任用にするという意味でも、これは非常勤という形の方がやりやすいということでございます。

 こういうようなやり方で地方の相談員を充実させていきたいというふうに考えております。

仙谷委員 この点について、野田大臣、何かお考えはありますか。お考えがあるんだったら御答弁ください。なければ結構です。ただし、御答弁いただくときに、ほとんどが非正規職員なわけですが、この人たちは地方公務員法上でどういう位置づけになるのかもあわせてお答えください。

野田国務大臣 まず、位置づけについてですけれども、地方公務員法上の位置づけに関するデータというのは持ち合わせておりませんが、地方公務員法第三条三項三号の非常勤の特別職に該当する方が多くを占めていると考えております。

 非常勤職員の職務権限については、各地方公共団体の消費者行政に係る規則等や非常勤職員に関する規則等で記載されている場合など、さまざまなケースがございます。手元には浦安市のものがございますけれども、これでは、三条に、「相談員は、地方公務員法第三条第三項第三号に規定する特別職の公務員」ということであり、職務も、第六条で「相談員は、消費生活センター所長の指揮監督に服し、次に掲げる職務を行うものとする。」等々、列記されております。

 そこで、先ほど、厳しい御意見でございましたけれども、いつまでもふらふらしたままじゃないかという御指摘でありましたが、この関連三法案のうちの一つ、消費者安全法案の中におきまして、これまで明確にしておりませんでした相談員の方たちのいわゆる職務、あっせんとかそういう職務につきましては、この法律の中でしっかりと国が位置づけておりますし、また、相談員に対する適切な処遇については、同じ法律案の中で地方公共団体の努力義務を規定させていただいているところでございます。

仙谷委員 そこまでおっしゃるのならば、もう一つ、今度は、国民生活センターの消費生活相談員の地位といいましょうか処遇についてお伺いします。

 これも内閣府からいただいた資料でありますが、七ページをごらんください。国民生活センターの消費生活相談員の数というのは、ここに記載された平成二十年で合計二十四名ということでよろしいでしょうか。そして、注一のところに「上記相談員は、いずれも非常勤職員。」と書いてあります。地方は金がないからしようがないわなということできていたのかもわかりませんが、国民生活センターの消費生活相談員がすべて非常勤職員で、賃金面での処遇は日額一万五千五百円。十五万じゃないんですよ、一万五千五百円。月十四日と書いてあります。計算しますと、二十一万円ぐらいですね。雇用契約期間が半年単位、こういうふうになっておるわけであります。

 これは、結局のところ、相談、カウンセリング、コンサルティングということをプロフェッショナル、プロフェッショナルと言葉でおだてながら、何らプロフェッショナルに対する処遇になっていない。地位も保障されていない。半年単位で雇用どめがある可能性がある雇用契約になっている。

 こんな状態は、このとおりなのか、ここの紙に書かれているのが間違っているのか、まずそのことと、消費者庁ができたときには、これは当然のことながら、もう早急にというか直ちに改善されるということなんだろうと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 この先生の資料で間違いございません。

仙谷委員 これほど消費者庁法案を大変フレームアップしてというか、これで日本の消費者行政が変わるんだとおっしゃっておって、その中核の国民生活センターの相談員が、あなた、全部非正規の、非常勤の職員で、それがプロフェッショナルだと。いや、これは、弁護士とかそういう資格を持っている人だったらいいんですよ。あるいは、社会保険労務士、さっきのように。だけれども、この方々が全部非正規というか非常勤職員で、たった月給が、月収で二十一万円ぐらい、半年で雇用どめがある。

 つまり、消費担当大臣の足元がこんな状態で、まともな消費生活相談やあっせんや紛争処理、官製ADR、それの事務局につながるような相談、あっせんができるのか、こういうことを聞いているんですよ。

野田国務大臣 これは、独法の厳しい規制のもとで定員がこういうふうに抑え込まれていることは事実であります。これはある意味、日本の政府の別な取り組みの一環でこういう形になっておりますが、これから消費者庁ができる、そして消費者、国民のニーズがやはり増大する中で、こういう特殊な独法に関して国民のニーズが高まれば、当然やはりここに仕事が厚くなってこなければならないということで、今現在はそういう独法の規制によってこういう状況でありますけれども、極力、皆さんのお力をかりて努力をしていかなければならないと思っています。

仙谷委員 結局、独法だからできないと。では、自治体も金がないからできないと言ったら、だれもできないじゃないですか。

 つまり、国家経営というか国家戦略上、消費者行政が極めて大事だということを感じ取って、そこに今回は重点的に注力するんだという、政策を展開する第一歩として消費者庁法案あるいは消費者安全法案を提起するというんだったら、当然のことながら、予算もこういうふうにつけますということがないと符牒が合わぬじゃないですか。

 独法だからといったって、私、この間、独法のがんセンターの問題もやっているんですよ。どんどんどんどん、あなた、運営費交付金は減らすわ、借金は背負わすわ。独法でさあ出発せよといったって、これはがんセンターにしてもナショナルセンター六法人にしても、これだったらもうまともな研究はできません、現場はこうなりますよ。つまり、そういう高度医療の世界をどうするのかという国家戦略があって、そこにどういうふうに予算をつぎ込むかというのが、これが内閣の仕事じゃないですか。

 だから、今度、消費者庁がそんなに大事ならば、当然のことながら、大事なんでしょう、それだったら、質的に飛躍した予算をつける。たかだか、こんな二十人や三十人の非常勤職員の給料を倍にしたり、あるいは年収五百万以上とか七百万以上ぐらいにできないで何がプロですか。二十人に七百万を掛けてくださいよ、大した金額じゃないじゃないですか。そんなことを財務省に行って交渉できない、そんな内閣総理大臣あるいは消費担当大臣だったらやめればいいじゃないですか。そういう話じゃないですか、お金の話というのは。あなた、やりますか、どうですか。

野田国務大臣 大変な激励をいただいていると理解しております。

 今、行革の中にあって、新たな行政組織をつくる、また地方の消費者行政を充実させるということで、本当に限られた財源の中で大変自分なりに頑張ってきたつもりですけれども、たくさんの応援をいただいたところでございます。

 ただ、無尽蔵にお金があるわけでないので、厳しい状況の中、とりあえずは前倒しの形で、一番御苦労されている地方の消費生活センターまたは相談員の皆様方に、基金という形で、今の御不便を少しでも覆していただこう。または、人件費直接ではないけれども、それとほぼ同じの日当相当という形で、研修をしていただいたり実務研修していただく中で補てんさせていただくというようなことを取り組んでいるところでございます。

 さらには、なぜ地方にこだわるかと申し上げますと、やはり、地方自治法にものっとり、また消費者基本法にもありますように、この消費者行政というのは、まさに地方の住民の皆さんが身近に感じる安全、安心でありますし、それをしっかり守るのが地方の役割ということを踏まえて、各地方の皆さんがこれまで歯を食いしばって頑張ってきた、そういう流れがございます、それをやはり尊重し、敬意を表して、その今の皆さんの足らず前の部分に国がしっかりと支援することで、その地方ならではの、それぞれの地方独自の地方消費者行政というのを伸ばしていただきたいなという熱い思いがあるわけでございます。

 ですから、相談員の処遇改善につきましても、ここでも何度か申し上げましたけれども、そもそも、やはり地方の首長さんがしっかりと、この消費者行政というのを地方でしっかり自分が責任を持ってやらなきゃならぬという自覚を持っていただくことも大事でありますけれども、それにあわせて、そういうお願いをするとともに、それぞれの地方に対しては、二十一年度に消費者行政に係る地方交付税の措置の大幅な拡充をしているわけでありまして、私たちとしては、しっかりと地方の中で、これまで不足の部分をまず第一弾ということでこういう形で補わせていただいている。ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

仙谷委員 やはり、野田大臣、もうちょっと地方公務員の、あるいはこういう常勤的非常勤職員の実情というのを調べられた方がいいですよ。研修で出てきたら日当をくれる、日当を渡すようにするからそれで何とか足らず前を、こうおっしゃるけれども、研修に出たら多分、給料の方がつかないんですよ、日額になっているところが多いから。だから、それを補てんするだけになっちゃうんですよ。

 ただ、スキルアップのために研修を受けるというのはいいことなんだけれども、御本人、皆さん方もそれはそれで喜ばしいことだと思っていらっしゃると思うが、平均年収百六十五万というワーキングプアをどうするのかという話で、ここは身分と、金額で一日一万五千円か何か知らぬけれども、それで足らず前を何とかするなんという、そんな話を延々としてもしようがないんですよ、これは。全然けたが違う、けたが、ということを御理解された方がよろしゅうございます。

 それで、もう一点、違う話を聞きます。

 大臣は、これは三月十八日の岸田さんの質問に対するお答えかな、地方の消費者行政組織は地方公共団体の自治事務の担い手として位置づけるものであります、こういう言い方をしています。

 例えば、県知事が自治事務で地方行政組織を動かせるとすれば、条例をつくって、こういう地方における行政組織をつくるということができるはずです。つまり、かなりのことが権限的にもできる。

 ところが、消費者安全法を読んでおりますと、いや、そうじゃなくて、知事の立入検査権は、二十四条に書いてありますが、「前条第二項の規定により地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。」と書いてある。だって、今まで自治事務だとおっしゃっていたのに、この消費者行政を進めるについて法定受託事務と。さっきから松山さんとかいろいろな方が、何でもできる、それで立入検査権があるんだと言われている、これは立入検査権なんですよ。

 第二十二条の立入検査権、「この法律の施行に必要な限度において、事業者に対し、必要な報告を求め、」云々かんぬん、「場所に立ち入り、必要な調査若しくは質問をさせ、」「物品を集取させることができる。」ということが書かれておる権限を、消費者庁の長官から、これは都道府県知事に委任をされているわけですね。ところが、これを法定受託事務と。

 私もこの種の権限は法定受託としてしか構成できないと思いますけれども、そのことを書いてあると私は理解しました。ところが、今までずっと、身近な問題は自治事務でやらなきゃいかぬ、だから地方権利官のような制度、あるいは消費者権利院の制度はもってのほかだ、こうおっしゃってきたのとどう論理的につじつまを合わせるのか、ちょっとお伺いをしたい。

野田国務大臣 まず、国と地方公共団体との関係において、法定受託事務というのは、国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律または政令に特に定めるものをいい、それ以外の事務を自治事務というものであるというふうに地方自治法第二条に書かれております。

 消費者安全法案においては、この考え方に基づきまして、今先生御指摘の第二十四条に規定されているとおり、第二十三条の二項の規定により都道府県知事または消費生活センターを置く市町村の長に委任される立入調査等の事務については法定受託事務とし、それ以外の地方公共団体が行う事務は自治事務と整理をいたしたところです。

 なぜかということですけれども、立入調査等につきましては、地方分権推進計画において、国が直接執行する事務の前提となる手続の一部のみを地方公共団体が処理することとされている事務で、当該事務のみでは行政目的を達成し得ないという法定受託事務のメルクマールに該当するために、法定受託事務とさせていただきました。しかしながら、その他の事務は、地方自治法に定められている国と地方公共団体の役割分担の原則、すなわち住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基礎とする原則に照らし、自治事務とさせていただきました。

 また、法定受託事務の定義に照らしてみても、地域の実態に即して自治事務として行われる消費生活相談等の事務をあえて法定受託事務とすべき特段の理由がないものと考えました。さらに、全会一致で成立している消費者基本法においても、地方公共団体は「当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有する。」ものとされているところでございます。

仙谷委員 舛添さんがまたおいでいただきましたけれども、さっき示したように、国の直轄事務と自治事務が併存しても何ら差し支えないんですよ。別に、法定受託として構成するかどうかなんというのは、それは法技術上の問題ですよ。

 ちょっとこういう聞き方をしてみましょう。この間、すき間事案すき間事案、すき間事案に対処できる、こうおっしゃっておるのが十七条、十八条、十九条。例えば、この十七条、事業者に対する勧告、命令、十八条は譲渡の禁止または制限、十九条は回収等の命令、内閣総理大臣ができることになっていますね、すき間事案についてできることになっている。これとほとんど同じ条文を、主語を県知事にかえて条例をつくったら、これはまさに自治事務の範囲として、すき間事案については県知事としてこういうふうにできるという条例をつくることができますか。つくっても憲法上問題ございませんか。この問いに対してお答えください。

野田国務大臣 今先生御指摘の十七条、十八条、十九条、それぞれ、事業者への勧告、命令、譲渡等の禁止、制限、回収等の命令については内閣総理大臣の権限として規定しておりまして、都道府県知事や市町村長に権限を委任することは予定しておりません。

仙谷委員 別に委任してもらわなくてもいいんです。消費者行政全般を自治事務として行うとおっしゃるんだから、自治事務として行うんだから、都道府県知事が自治事務としてこういうところに勧告、命令をすることのできる権限、あるいは譲渡の禁止または制限をできる権限、その県の区域に限ってそういうことのできる権限、あるいは回収等をできる権限、これがないと、素早く対応するとかそんなことはできないと思いますよ。僕は、今まで発生してきた消費者問題、これについては、都道府県知事にあるいは地方自治体に自治事務といって本当にお任せするんだったら、そこまで任せないとこれは役に立たない。

 それで、皆さん方がおっしゃってきた、自治事務、自治事務とおっしゃるこの話と全く論理矛盾します。消費者行政を進めるに当たって必要な権限を、一方で法定受託にし、一方で権限はあなた方には渡せない、消費生活相談だけは、相談だけは自治事務の範囲だ、こんなことでは、つまり、強制力が裏打ちされているから相談も成り立つ、あっせんも成り立つ、そういうことじゃないと消費者行政はうまくいかないというのが今までの経験じゃないですか、どうですか。本当にこれは自治事務で都道府県知事にやらせたらどうですか、こういう条例をつくれるぞと。

野田国務大臣 消費者安全法案におきましては、すき間事案についての勧告等の実施主体を内閣総理大臣としています。どうしてかというと、消費者庁が消費者事故等の情報を一元的に集約し分析することによって、消費者庁の主任の大臣である内閣総理大臣が勧告等の必要性を適確に判断することができるものであるということを前提としているからでございます。

仙谷委員 全く答えになっていない。これは今後引き続きやりますけれども。

 民主党の提案者、この自治事務と直轄事務と法定受託事務の関係で、消費者行政が自治事務でなければならないというこのドグマも含めて、どうお考えになりますか。

枝野議員 お答えいたします。

 今、野田大臣のお答えを伺っておりまして、こういうのを自家撞着というんでしょうか、陥ってしまっているんじゃないのかなと。

 消費者行政は身近だから自治事務なんだと物すごく徹底される一方で、しかし、情報集約、一元化をするのは国の機関である消費者庁で、そこが強制権限は持つんだというのは、消費者行政といっても、身近なところでやらなきゃならないものと、国が直接強い権限を持ってやらなきゃならないものと、消費者行政にも多様なものがあるということをみずからお認めになっているのではないかというふうに思っております。

 そして、私たちもそういう認識に立つと、もちろん、暮らしに身近で、消費者問題といっても、地域ごとに個性が違っている、特性が違っている分野もたくさんありますが、今回、消費者行政の一元化ということで求められている、あるいはこれは党派を超えて一致して進めようとしているのは、消費者被害の発生を防止し、あるいは消費者被害の救済を図ろうということであって、この側面に着目をすれば、全国どこにいても消費者被害が生じたら救済しなきゃならないし、全国どこででも消費者被害が発生をしないようにしなければならない。

 つまり、消費者行政の中においても、全国一律でやらなきゃならない、国が責任を持たなければならない分野のことが今ここの委員会で問われている消費者行政でありますので、そのことについては国の責任で、どこに住んでいてもしっかりと相談をし、あっせんを受けられるようにするということにさせていただいたのであり、私どもの法案でも、まさに地域ごとに個性があるということについて、それぞれの地方自治体が自由におやりになるということは決して排除しているものではなくて、先ほどの労働行政のように、国は責任を持ってどこの地域でもやるけれども、ちょっと違った地域特性のある問題は、例えば消費生活センターが地方消費者権利局と別途独立して残ることを別に否定しておりません。うちの地域は長く歴史があって、頑張ってやっているんだから、おれたちの地域は別に持つんだ、国と並立するんだと言って何の問題もありませんので、そういった意味では、私どもの考え方の方が論理一貫しているのではないかというふうに思っております。

仙谷委員 時間が来ましたが、何かお答えになりますか。ただ、もう時間が過ぎて、終わりましたと来ているんですよ。いいですか。

 この問題、時間をかけてやらなければならないと思っておりますし、きょう予定した質問項目、まだまだ半分ぐらいしかいっておりませんので、また時間をいただきたいと思いますが、きょうはこの程度で終わっておく方がよろしゅうございますね。

 終わります。

船田委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 今、仙谷委員が大変大きな全体的な問題について取り上げましたけれども、私は、個別具体的な問題を含みながらお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、ちょっとまだ恐らくこれまでの議論は序盤戦だと思っておりますけれども、野田大臣がみずから申していましたように、今はまずは政府案を完璧なものとして皆さんにお訴えをしたい、よろしくお願いしますというようなことでありますけれども、ある意味、それぞれがこうした委員会で議論をしていく中で、直していくべきところを直していくということは非常に大事ですし、消費者庁の設置が大前提、あるいは権利院の設置が大前提、それがずっと相入れない状態というのはやはり望ましくないと思っておりますので、ぜひ国の方も、国会の状況もよく考えていただいて、閣法だから当たり前のようにこのまま通る、提案をしたら後は通していただくのが大前提なんだという考え方はもう変えていただくことがまず大前提ではないのかなというふうに思います。

 そしてもう一つ、やはりこの委員会のルール、この委員会に限らずなんですが、こうして与野党がしっかりと、野党が対案を出して、その両案が並び立って審議をされるという前提に立てば、やはり誠実な議論というものは、それぞれがお互いに疑問点を聞き合う、そして当事者に、まさに提案者に答弁をいただくということが、何より委員会質疑が誠実に行われることの大前提ではないかなと思っておりますので、そういった意味で、文句を言った後に別な方に答弁を求めるというような質疑は、ぜひ、委員長に対して、今後なるべくそういったことは少なくしていただきたいということをお願いして、私は質問に立たせていただきたいというふうに思います。

 まず、舛添厚生労働大臣、きょう来られております。政府全体が、閣議決定の中で消費者行政推進基本計画というものをつくられて、まさにパラダイム転換をするんだということでございます。このパラダイム転換というのは、消費者庁をつくることだけで終わるのではなくて、各省庁がどのようなパラダイム転換をしていくのかということを、私も大変注目をしております。

 そういった意味で、厚生労働省からは、法律も消費者庁に一部移管をされていくという中でありますけれども、具体的に厚生労働省の何が変わるのか。ただ意識が変わるということなのか、ちょっとまだよく伝わってこないんです。消費者庁ができるということだけしか伝わってこないわけですが、大臣、改めて、どのようなパラダイムシフト、パラダイム転換が行われるのかということをお願いします。

舛添国務大臣 厚生労働省自体が巨大な官庁でありまして、私が所管する分野も、年金から医療から介護から雇用まで、たくさんあります。

 例えば雇用という問題をとらえてみたときに、これは、働く人たちの権利をどう守るか、働く人たちをある意味で消費者と例えれば、まさに労働省というのは消費者庁と同じような意味づけを持っております。

 それから、基本的に、厚生労働省の仕事というのは、それは薬品の安全にしても食品衛生法にしてもそうですけれども、国民の安全をどうして守るかというのが基本にあります。ただ、その中に、例えば製薬メーカーの方を向いていたり、介護について言うと、介護を受ける国民じゃなくて介護をやる事業者の利益、そういう方を向いてはいかぬだろうということがあると思いますけれども、安全な食品を供するという立場に立ってみれば、例えば農林水産省は、これは生産者、農業従事者、水産事業者に対しての配慮も必要であるとともに、それは消費者についての配慮が必要だ。

 今回、消費者庁ができるということは、まさに、サプライサイドではなくて、ディマンド側の消費者の目から見て何が問題なのかということが一番大事なわけですから、そういう観点から、私どもは、それができたから厚生労働省の位置づけや性格がごろっと百八十度変わってしまう、そういう問題ではないだろうと思います。これは、新しい庁の消費者中心の目線でということに対して、我々の持てる医学的、食品衛生的な知見を最大限に活用して連携して、新しくできる庁が目的とする政策目標に努力する、そういうことだろうと厚生労働省については考えております。

泉委員 やはりその具体的なものが各省庁今後しっかりと出てこなくてはならないのかなというふうに思います、それは今後でありますけれども。

 そういった中で、一方で、民主党が出した案というのは、これまでの議論の中でも、時に批判をされることの一つとして、政府案は行政内部から権限行使ができるんだ、各省庁に対してもより具体的なものができるんだということで、民主党は、外から幾ら権限を行使してもそれは各省庁に響かないのではないかというふうに言っております。

 そういう中で、民主党の提案者にお伺いをしますけれども、民主党案が与党案よりも権限行使が機能しないんじゃないかということについて、これまでの行政のあり方を含めて、その問題について御意見があれば伺いたいと思います。

階議員 お答えいたします。

 きのう、参考人で郷原さんという方が来られていました。結局、内閣の下につくる、行政内部に消費者庁をつくるということになりますと、どうしても権限の分配ということが問題になってくる、権限の分配をするということになりますと、そこでまた権限と権限との間にすき間が生まれると。そういう問題があるわけです。

 我々は、外につくることによって今の行政の権限をフルに活用する、活用されていなければ、それを活用するように勧告していく、また、すき間として今の行政の内部で対応されていないものについては、我々は外から立法の提言を行っていくということで、野球に例えて言えば、政府の案というのは、グラウンドで九人守っていたところに十人目を置きましょうと。十人置いたとしても、やはりぽてんヒットというものは生まれるわけですね。むしろ我々は、九人は九人として、ただ、ポジションの配置を外から見て適切なところに、今はここに人を厚く配置しよう、そういうことを考えたりとか、あるいは、そもそもそのプレーヤーの能力を高めていこう、そういうことを考える。従来の発想とは全く違って、外からやることによってより効果的に消費者行政を行うことができるのではないかというふうに考えております。

泉委員 大変わかりやすいお話でありました。

 もう一点ですけれども、民主党案の特徴というのは、損害賠償請求権、これが今回適格消費者団体に付与されるということでありますが、現在の適格消費者団体が全国でまだ十に満たないという状況の中で、今後の適格消費者団体のあるべき姿というものも含めて、現段階でこの損害賠償請求権を付与するということについて、現実性はどのように考えられていますでしょうか。

小宮山(洋)議員 先日も申し上げましたように、この法律ができてもう二年にもなりますのに、適格消費者団体が、非常に厳しい要件を満たした認可制になっているために、全国でまだ七つしかできていない。一番西が中国までしかなくて、九州、沖縄には全くない。こんなような状況ですので、私たちは、まず、その適格消費者団体を登録制にして、きちんと各地にあるようにしていきたいというふうに思っています。

 それで、その際に、それではとんでもないのがなるのではないかという御心配も一部にありますけれども、きちんと要件を満たしたものということで、十二項目にわたる要件を課しておりますので、きちんとしたところが手を挙げてできるというふうに思っています。

 それで、財産保全命令をかけたり損害賠償等の団体訴訟で、確実に違法収益が、今までは散逸していたものをきちんと押さえることができる。そうしたことのキーになる、いわゆる消費者オンブズパーソン、消費者権利官が、情報を提供したり、支援をしたり、また一緒にやることもできるというような形の中で、きちんと適格消費者団体をフォローしながら機能するようにしていくことができると思っています。

 これまでできなかった、財産をきちんと保全した上でこれを消費者の皆様にお返しする、そこまでできるしっかりした制度を、二年前の消費者契約法には盛り込めませんでしたが、今回、消費者オンブズパーソン、権利官をかませる、そこが支援をすることによって機能する制度にできると考えております。

泉委員 民主党側の提案者に通告をしていないことを聞くのは大変申しわけないんですが、これもガチンコ勝負ということでお許しをいただきたいと思います。

 私は、適格消費者団体の登録制の問題とこの損害賠償請求権の問題については、ある意味、段階的なものでもありではないのかなと実は考えております。

 まずは現行の適格消費者団体、というのは、例えば資金的な面、各団体の財政面ですね、消費者団体全体の財政が非常に厳しい中で、なかなかすべての団体が存立し得る状況にはないということを考えると、一方でこの損害賠償請求権を付与するとなれば、それなりに継続した団体、先ほどおっしゃられたような十二の要件を満たした団体ということでありますけれども、それなりの財政規模、それなりの体制、そういったものが継続的にある団体がまず付与されてもいいのかな、それが根づいてきた中でさらに適格消費者団体のすそ野が広がっていくような、そんな仕組みでもよいのかなというふうに個人的には実は思っているわけですが、さらにもし御答弁があればお願いいたします。

小宮山(洋)議員 ただいまの資金がないということは、本当にそうです。ですから、今回私どもの法案には、訴訟を起こしたりする際に、適格消費者団体に消費者権利院が資料の提供、それから資金の方のバックアップということもできるような形にしています。

 それで、段階を追ってというのもあるんですけれども、もともと消費者被害、今は差しとめだけしかできないところを損害賠償もしてほしいということは、やはり、これも全国一律に津々浦々、九州の方もそう思うでしょうし、それはできるような体制を、力のないところはしっかりとバックアップをすることによって育てていかなければいけない。

 でき上がってからというと、なかなか日本の中では被害の回復に間に合わないという思いがありますので、多少頑張っていただくということにしても、そこを助けられる制度をこの消費者権利院の中につくっていきたいと考えています。

泉委員 次に、野田大臣にお伺いをしたいんですけれども、政府からいただいた消費者庁が設置された場合の概念図というかポンチ絵に、四条五項の中で連携というものが、国民生活センターと保健所ですとか警察だとか病院だとかというものがあるわけですね。

 しかし一方で、警察であれば、捜査情報であったり、消費者被害で事件や事故が起こったかどうかというものを立証するまでがなかなか時間がかかるのではないのかなというふうに思います。

 そういった意味では、連携といってもなかなか難しい部分が相当あるのではないかなと思いますけれども、警察ですとかに具体的にどのような協力要請をしていかれるんでしょうか。

野田国務大臣 今先生御指摘のとおり、消費者事故等に関する情報については、消費者安全法に基づき、関係行政機関、地方公共団体、国民生活センターは、まず、重大事故が発生した旨の情報を得たときは直ちに消費者庁に通知することとしており、また、これ以外の消費者事故等に関する情報についても、その被害の拡大や同種の事故の発生のおそれがあるときは消費者庁に通知すること、さらに、必要な場合は消費者庁から関係者に資料の提供を求めることができるようにしていること等から、これらを実効的に機能させることにより、消費者庁による一元的な情報集約が可能にできると考えております。

 今、警察、消防等の話がありました。警察、消防、そして公立病院については、地方公共団体の一部局ということになります。ですから、そこで得た情報は消費者安全法案に基づく情報通知義務の対象になっております。

 これらの機関への協力要請に関しては、まずは、それぞれの地方公共団体の中において一層緊密な連携がなされるように、政府としてもその推進に努めていきたいと思っていますし、また、あわせて、今ある消費者安全情報総括官会議、ここのメンバーは警察庁、消防庁、厚生労働省等々が入っているわけですけれども、そこの連携を活用させていただいて、情報の集約や共有体制や緊急時の即応体制の強化というのを推進していくよう、今、取り組む考えを持っております。

泉委員 実は、消費者安全情報総括官のところについてまさにお伺いをしたくて、消費者の安全に関する緊急時対応基本要綱、あるいは緊急時対応実施要綱、これは昨年政府がつくられていますね。野田大臣、恐らく、まさにこれが消費者庁ができたときのイメージであって、私はこれを先行実施されたというふうな認識でおりますけれども、それでよろしいですか。

野田国務大臣 当時はいろいろな消費者事故があったんですけれども、やはり、情報の共有がなかったり、情報がおくれてそれぞれがわからなかったりというトラブルがありましたので、その問題点を解決するために、全く法律ではないんですけれども、みんなのボランティア精神の中でそういう会議をつくって、迅速な情報共有に努めているところであります。

泉委員 実は、ここに書いてある基本要綱も実施要綱もそうなんですが、警察庁の部分を見ると、消費者被害に関する情報の各関係府省庁等への提供だとか、都道府県警から消費者被害に関する情報の収集という書かれ方なんですね。

 実は、恐らくこれは、さまざまな詐欺事件だとかそういったもの、非常にわかりやすい、警察が見ても消費者被害だとわかるようなものでこういった情報が上げられると思うんですけれども、例えば、人がビルから落ちました、それは、手すりが実は非常に不良品的なものであって、本当は消費者被害によって事故として落ちた。しかし、こういった情報が、恐らく飛びおりたということにおいて、警察の中では、今までは事件や事故の両面で捜査をしますとよくニュースに流れるようなものとして扱われて、消費者被害として本当に扱われるのだろうかというところが非常に心配をしております。

 ですので、ここの書きぶりを見ると、先ほど言いましたように、さまざまな詐欺被害なんかを中心に恐らく情報の提供だとかを行われる予定になっているような気がしますので、ここはぜひ、やはり警察、消防はこれまで消費者関係の情報を提供することに余りなれておりませんので、そこはもう少し詰めをしていただかないとならないなというふうにまず思います。

 時間がありませんので、具体的な中身に行きたいと思いますが、まず一つ目が、レーシック手術。あのWBCの松坂も受けたと言われるレーシック手術ですね。目の角膜の治療を受けることによって視力が回復をするというものでございますけれども、きょうお配りしている資料に「レーシック角膜炎事件の経過」というものを用意いたしました。

 銀座眼科というところ、今すべての診療を休止しているところでありますけれども、ことしの二月五日に、千葉県の病院から通報がありまして、感染性角膜炎でうちの病院に通院している人がいる、それは銀座眼科で治療を受けた人だというのがありました。それを踏まえて、東京都中央区の保健所が立入調査をし、そして手術の制限を行い、またすべての診療を休止指導しということで、結果的には今この感染性角膜炎というもので六十数名の被害者が出ている。中には重症の方もおられるということでございます。

 こういった事件に対して、厚生労働省がどのような対応をなされたのか。舛添大臣、お願いいたします。

舛添国務大臣 まず、これは管轄の保健所が立入検査等を行って、対策等の徹底的な指導を行う。厚生労働省としましては、確認すべき事項に関して、管轄の保健所に対して、こういうことを確認しなさい、それから健康被害を確認してください、それから相談窓口の設置をしてください、そういう助言を与えます。

 そして、都道府県等に対しても、医療機関における感染予防の徹底について指導する。こういうことの一連の、これは後ほど要求がありましたら、何法に基づいてどういうことをやっているかというのは、これは先ほどの仙谷委員の自治事務かどうかということともかかわりますから、時間が許せば、またこの点も後ほど御議論したいと思います。

泉委員 こういった衛生環境が悪かった結果、衛生管理の徹底がしておらなかったことによって感染者がふえていったということでございますけれども、例えば、厚生労働省、これは医療法の世界になるんですね、こういった衛生管理ということについては。今回のような事例に対して、いわゆる改善指導ですとか、あるいは告発ですとか、今回のこの眼科に対して何かされるつもりはございますか。

舛添国務大臣 そこで、まさに先ほどの仙谷委員の質問にかかわることですけれども、まず、今回保健所が立入検査などを行うんですが、医療法に定めるこういう病院や診療所に対する報告徴収とか立入検査の権限は、都道府県の自治事務として認められております。

 したがって、まさに地方自治法に基づいて、厚生労働省としては、今申し上げた自治事務について都道府県に対する助言を行うということができるわけですから、それを現実にレーシックの銀座の診療所についてはやった。

 ただ、国民の健康を守るために緊急の必要がある場合には、みずから、つまり厚生労働省みずからが医療法に基づいて立入検査をすることが可能であるということでございますので、今回は、都道府県などを通じてきちんと指導するようにと助言をするということをやっておりますので、それで実効的な効果が上がる。

 そして、現実的には、医薬品とか医療行政、そういうものに対する知見、情報、これを持っているのがやはり厚生労働省ですので、実際に医療の質を向上させるためには、私どもがきちんと関与する必要がある。そういう枠組みの中で今回の眼科に対する指導も、保健所や都道府県を通じ、そしてまた各医療機関に対して、感染者の方が来られたらこういう処置をしてくださいという指導を徹底しているところでございます。

泉委員 まさに今大臣がおっしゃられましたけれども、場合によっては厚生労働省が医療法に基づいて動かれることもあるということでございます。

 要は、現段階で確認されただけの状況でありますけれども、このレーシックの六十七名の発症について、どれくらいの認識を持つかによって、恐らく情報の集まり方、対応の仕方、すべて変わってくると思うんですね。

 民主党案の提案者にお伺いしますが、例えば今回こうした患者が六十七名出たということについては、これは民主党案においては、どのような位置づけ、どのような事件としてとらえられることになるんでしょうか。

枝野議員 お答えいたします。

 まず、今回の銀座眼科におけるレーシック手術の場合は、安全性が確保されていない役務を提供する行為の結果、多数の消費者の身体を不当に侵害するものでありますから、権利院法案二十七条の消費者問題に該当をいたします。したがいまして、権利院法案三十二条の報告義務の対象となりまして、行政機関の長は事件を把握したら消費者権利官に報告する義務があるということになりますので、今回の場合ですと、これは、千葉の病院から区の保健所に情報が入った段階で消費者権利院のところに情報が入ってくるというふうに思っております。

 今回の件がそれ以前からそうした被害があったようだということでございますので、もしこの千葉のケースが中央区役所、中央区保健所に入ってくる前に、患者さんが地元の保健所など、あるいは地元の病院に、他の眼科に行ったら、地元の保健所に伝わっていたというようなケースがあった場合、それが報告されていないと報告義務違反にその保健所がなりますので、もしそういったケースがあったとすれば、そこで情報が入ってくるだろうというふうに思っております。

 それから、今回の場合は、早かったか遅かったかという検証を現時点でするのはなかなか難しいかもしれませんが、事実上医療行為はとまっているということでございますので必要はないと思いますが、もしこれが、例えば、指導等にもかかわらず診療行為を続けていたり、あるいはそれに対して医療法に基づいての行政措置がとられない場合には、恐らく我が法案の裁判所を通じた行為の禁止、停止命令の対象になり得る。つまり、六十七名という相当数の方が失明のおそれがあるという事態に陥っていますので、被害の程度が著しく緊急の必要があるということには該当しますが、さすがにこういうケースですから、普通はそこまで至らずに解決ができるようなことにはなるかと思いますが、制度上は、もし動かなければそこで対応できるという制度になっています。

泉委員 続いて、野田大臣、政府案の場合だと、このレーシック被害、どのような展開になりますでしょうか。

野田国務大臣 消費者庁は、今御報告がありましたずさんなレーシック手術による感染被害のような事案に対しては、政府一体となった迅速な対応の一環として、消費者の利益の擁護の観点から関与することになります。

 具体的には、消費者安全法に基づきまして、地方の消費生活センター等からの相談情報、保健所からの情報等が消費者庁に届けられます。そして、消費者庁は、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形でスピーディーに公表し、消費者に対して注意喚起を速やかに行うことになります。

 また、消費者庁は、厚生労働省等に情報提供を行うなど緊密な連携協力を行いまして、厚労省に対し、所管する法律による行政指導、行政処分を含めた迅速な対処を促してまいります。

 さらに、必要な場合には、厚労省に対し、地方自治法に基づく助言や勧告等を行うよう措置要求を行うわけでございます。

泉委員 そこで、疑問というか、さらに野田大臣にお伺いしたいんですが、例えば、安全法の十二条の二、今おっしゃった通知でございますね、「行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、」と。この消費者事故等に、では今回のレーシック事件は含まれるということがまず一つの確認ですね。含まれると。

 そうすると、さらに、これが「同種若しくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるとき」にも該当すると。要は、この後に「内閣府令で定めるところにより、」と書いてありまして、実は、我々は今の段階では何もわからないんですね。

 では、これは同種、類似、発生するおそれがあると認めるものだ、このレーシックの問題についてはそういうものだというふうに認識していいわけですね。

野田国務大臣 もう一度正確に重大事故等について申し上げると……(泉委員「いや、消費者事故です」と呼ぶ)ごめんなさい。

 一応、これは我が方としては、消費者安全法案の二条の六項に規定されるものであって、事業者が供給する商品等の使用等により消費者の生命身体に生じた事故のうち、重大な被害が生じたものや、または事業者が供給する消費安全性を欠く商品等が使用等された事態であって、消費者の生命身体に被害を生じるおそれのある事態のうち、こうした重大な事故を発生させるおそれがあるものをいうとしておりまして、今回のレーシック被害につきましては、個別の被害状況にもよりますけれども、例えば相当の後遺症が残るなどの被害があるならば、基本的には、これを消費者安全法上の重大事故等に該当すると考えています。

泉委員 済みません。私がちょっと十二条の二を間違って読んでしまいまして、消費者事故等じゃなくて重大事故になるということですね。(野田国務大臣「はい」と呼ぶ)重大事故になると。

 では、何をもって重大事故とするのかというところなんですね。レーシックの今回の被害は重大事故だと。そうすると、基準をやはりそろそろ明らかにしていただかないと、我々、ちょっとどれが重大事故かというものを日々不安に思いながら、かつ各機関の長も、何を報告してよいのか、何を報告しなくてよいのか、これがわからなくなってしまうわけですね。

 今おっしゃったように、レーシックの問題が重大事故だというのであれば、もう基準ができているということだと思いますので、ぜひ公表していただきたいと思います。

野田国務大臣 政省令につきましては、委員会で御協議いただいた上、私の方で発表させていただくことになると思いますけれども、今現在は、消費者事故のうち、重大事故に該当するための要件ということで、死亡、重症、一酸化中毒等としております。

泉委員 それはぜひ委員会に提出をしていただきたいと思いますので、委員長、お諮りを、ぜひお願いします。

船田委員長 今の泉君の御提案につきましては、後日また理事会で協議をさせていただきます。

泉委員 重大事故の基準は我々にまだ全然伝わってきていないということでございます。

 そして、一方で、消費者事故等についても、十二条の二のところですけれども、「内閣府令で定めるところにより、」というふうに書いておりまして……。済みません、これはまた後にします。

 民主党案においては、このレーシック手術については、保健所が例えば情報を提供しないことそのものが違反になるというような話がありました。実は中央区保健所にお伺いをしたんです。そうしましたら、今回の件は消費生活センターに連絡をしましたかといえば、全くしておりませんでしたということでありました。

 私はこれを現段階で批判をするつもりは余りありません。ただ、恐らく現場は、先ほど言った警察や消防も含めて、今はそういう認識なんだと。都にさえ連絡すれば、後は都の方からそれぞれの機関に連絡をしてくれるだろう、そういう認識がございまして、政府が描くようないわゆる情報の連携、これは私は非常に道は遠いんじゃないのかなというふうに思います。

 今回のように、一つの保健所が、日々からは上部組織である都に対して報告をすればよい、横の組織である消費生活センター、同じ都の中にある消費生活センターの方には全くこのレーシック問題については報告をしていなかったということが現実であることは、ぜひ認識をしておいていただきたいなというふうに思います。

 さらに、もう一つお伺いをしたいと思います。

 聴覚障害者をねらったマルチ取引トラブルというのがございました。これは一キット五十三万円のものを購入すると、後から定期収入として八万円入ってくる。その結果、そういったふれ込みで商売がどんどん伝わっていって、五千五百名の被害者がおられた。五千五百名の被害者のうち、何と二千六百名が聴覚障害者だった。この世界に大変広く広がってしまったマルチの問題であります。被害総額は三十億円ということで、昨年のちょうど冬に関係者が逮捕されたという事件でございます。

 このことについて、政府案では、これは何に該当することになるでしょうか。(野田国務大臣「何に」と呼ぶ)消費者事故等、重大事故等とございますね。政府案では、これは何に該当しますか。

野田国務大臣 先ほど申し上げました重大事故等というのは、生命身体に対する被害のおそれがある事案に限られておりまして、このような場合は、一応、取引、財産ということになるので、財産被害に関する事案ということで含まれません。

泉委員 民主党の方にお伺いをしますが、三十億円の被害があり、聴覚障害者が全国で二千六百名もこうしたマルチ被害に遭ってしまった。これは社会的な問題じゃないかなと私は思うんですね。

 今後、あるいは認知症の高齢者ですとかいろいろな方々が該当するような全国規模の問題が出てくるという中で、これが重大事故に当たらないということについてはやはり違和感を感じます。

 民主党案だとどのようなものに該当し、どのような働きが行われることになるんでしょうか。

小宮山(洋)議員 私どもの法案では、これはきちんと救済されるべきだと考えておりまして、二十七条に消費者問題の定義をしておりますが、ここに当てはまります。

 そして、三十二条の報告義務、国の行政機関の長または地方公共団体の長は、事件を把握したら消費者権利官に報告する義務がある、この義務のある件に当たると考えております。

 また、三十七条の規定によりまして裁判所が行為の禁止または停止命令を発動できるかどうかについて、その被害の程度が著しく、今回は著しいわけですね、緊急の必要があるということがあれば、裁判所が行為の禁止または停止命令を出すことができると考えられます。

 そして、民主党の場合は、消費者の窓口を一元化してありますので、全国に波及する前にこれを知って告知をすることができるということ。

 それからまた、消費者権利院は、経済産業省や都道府県に対して、特商法に基づく行政処分などの勧告をすることができまして、あわせて、違法収益剥奪制度によって、消費者権利院の支援のもとで財産的被害の回復を図ることができる。

 このように、私どもの法案では、これをきちんととらえて対応ができると考えております。

泉委員 きょうは国民生活センターにもお越しをいただいておりますが、国民生活センターの紛争解決委員会が扱う重要消費者紛争というものがございまして、この中では、「「重要消費者紛争」として」というふうに三つ定義がございまして、この中の二というところでは、「国民の生命、身体又は財産に重大な危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある事件に係る消費者紛争」を重要消費者紛争と位置づけられているわけですね。

 国民生活センターさんにお伺いしたいんですが、このマルチトラブルの事件については、これまでたくさんの相談件数が寄せられていると思いますけれども、何件寄せられて、また国民生活センターが他の行政機関にどのような対応をとったのか、お聞かせいただきたいと思います。

田口参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターが運営するPIO―NETによりますと、聴覚障害者がかかわるマルチ取引に関する相談は、平成十七年度までは百件以下にとどまっておりましたが、平成十八年度に六百件強へと急増しております。

 このため、国民生活センターにおきましては、平成十八年十二月に、関連情報を整理いたしまして公表するとともに、消費者に注意を呼びかけたところでございます。

 また、先生御指摘のViVにつきましては、かなり多くの件数を占めておりましたことから、関係省庁に対しても情報提供を行ったところでございます。

泉委員 野田大臣、これは重大事故には当たらないということでございますが、もう一回お伺いします。そうすると、政府案ではどのようにこの問題に対処されていくのでしょうか。

野田国務大臣 消費者事故等とは、二つ大きく分けることができまして、一つは、事業者が供給する商品等の使用等により消費者の生命身体に一定の被害が生じた事故や、そのおそれのある事態のような、生命身体に対する被害事案があります。もう一つというのが、虚偽、誇大広告など、消費者の利益を不当に害し、または消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為が事業者により行われた事態のような、表示、取引、財産に関する事案があります。

 今先生がおっしゃってみえる聴覚障害者をねらったマルチ取引トラブルというのは、それらのうちの後者の、消費者の利益を不当に害するおそれがある行為が事業者により行われた事態に含まれるものと考えられるので、消費者事故等に該当するものと考えられます。

 どういう対応ができるかということになるわけですけれども、消費者庁は、マルチ商法に関する消費者被害事案に対しては、消費者の安全、安心を確保するために、所管する法律に基づき、みずから積極的な役割を果たすことになります。

 具体的に申し上げますと、まず、消費者安全法及び特定商取引法等に基づきまして、地方の消費生活センター等からの相談情報、申し出制度による通報等が消費者庁に届けられることになります。

 消費者庁は、集約、分析された情報のうち、その商法の内容、典型的な勧誘方法等について、消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、そして注意喚起を行うことになります。その際には、消費生活センターや地方公共団体の福祉部局を介し、聴覚障害者及びその関係者に対し、パンフレット等を用いて注意喚起を行うことが考えられます。

 あと、上記情報やみずから得た端緒等を通じて特商法違反の疑いがある場合は、速やかに特定商取引法に基づく立入検査を行うなどして、指示及び業務停止命令等の発動を行います。

 また、ネズミ講や出資法違反であると判断する場合には、無限連鎖講防止法や出資法違反の事実について、警察に告発を行うこととしております。

泉委員 これは最後の質問にしますけれども、十二条の二で、今おっしゃったように、消費者事故等には当たる、しかし、消費者事故等に当たるだけではだめで、実は、通知に至るまでは、さまざまな状況に照らし、被害が拡大し、同種もしくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときは通知するというふうに限定をある意味されているわけですね。今回のケースはそれに当たるということでよろしいですね。

 それが一点と、当たるということで明確におっしゃるのであれば、これまたやはり基準を示していただきたい。何をもってして、この同種、類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるのか。これがはっきりしないと、やはり長は通知しようがないわけですよ。我々も、これがはっきりしないと、何を通知してくれるのかどうかわからない状況で、法案に対してよしあしを言うことはできないんです。そこをはっきりしていただきたい。それはぜひ、今、はっきりできるのであればありがたいですし、はっきりできないようであれば、ぜひ理事会に文書で提出をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 「消費者事故等による被害が拡大し、又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるとき」に当たるかどうかということですけれども、事案の内容や同種事案の発生状況等を踏まえて、特定の基準時において判断する必要があります。時点を特定せずに、一般論として一律そのおそれがあるかどうかは判断することができません。

 しかしながら、今先生御指摘のような事案につきましては、消費者からの相談情報の蓄積状況やその手口などから考えると、一定時点で将来においても消費者被害が発生または拡大するおそれがあると認められる事態に至ったものと推察されています。

 また、「注意を喚起する必要があると認めるとき」に当たるかどうかについても、個別事案の内容や発生状況などによっても異なるものであり、時点を特定せずに、一般論として一律にその必要性があるかどうかは判断することができません。

 しかしながら、御指摘のような事案については、被害の発生件数が増加していった時点など、一定の時点で注意喚起の必要性が認められる事態に至ったものだと考えます。

 今後につきましては、ガイドラインを作成することによって対応していきたいと思っております。

泉委員 ぜひ、そのガイドラインはこの委員会の審議の中で提案をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 舛添厚労大臣に来ていただいておりますから、きょうは、食品衛生法などを中心にして、厚労大臣中心に伺いたいと思います。

 私は、九五年以降十七人の犠牲者が生まれたコンニャクゼリーの事故の問題から質問したいと思うんです。

 まずもって、犠牲となられた方たちの御冥福をお祈りしたいと思います。

 子供と老人に被害が集中しましたが、厚労省、最初政府参考人に伺っておきますが、この犠牲者を発生した事故については、いつ被害の発生や実情をつかんだのか、これは最初に伺います。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 コンニャク入りゼリーによる窒息事故の発生につきましては、厚生労働省としましては、現時点で把握している限りでは、平成十九年七月に、再発の防止に関する独立行政法人国民生活センターの要望を受けた時点で認識したところでございます。

吉井委員 これは、今のお話を伺って大変不思議なんですけれども、国民生活センターにおける注意喚起をした時期というのは、事故発生は一九九五年七月で、一九九五年十月十六日には「こんにゃく入りゼリーで、死亡事故が起きています!」というのを公表しているわけですね。今、二〇〇四年九月にようやく厚労省がつかんだということですが、九年間も全くわかっていないと。これは全く私は解せないんですが、これは一体どういうことなんですか。

石塚政府参考人 このコンニャク入りゼリーの窒息事故の問題、これが社会的な問題としてとらえられているということについて認知したということにつきましては、先ほどお答えしました平成十九年七月という時点でございました。

吉井委員 これは、国民生活センターの方が厚労省に連絡しなかったからセンターが悪いのか。この間、国民生活センターは、一九九五年十月十六日も十一月一日も、翌年の六月二十一日も、ずっと明らかにしていますね。これに全く関心を持たなかった厚生労働省の方に問題があったのか。一体どこに問題があるんですか。

石塚政府参考人 コンニャク入りゼリーの問題というものは、いわゆる食中毒事案に該当するものではございません。私ども食品衛生法を所管している立場としましては、保健所から都道府県等を通じて厚生労働大臣に報告されるような義務づけられた報告というものは、食中毒事案といった衛生上の危害に関するものに該当するものが報告されてくるということでございます。

 そういう意味では、コンニャク入りゼリーのような物理的な原因による窒息事故ということにつきましては、食中毒報告のようなものではございませんので、私どもとしても認識できていなかったということでございます。

吉井委員 食品にかかわって死亡事故が出ても何の関心も寄せないというのは、本当に驚くべき事態であります。一体どういう対応をしたのかを伺います。

石塚政府参考人 コンニャク入りゼリー問題につきましては、こうした社会的な問題ということになりましたので、厚生労働省といたしましては、例えば、児童福祉施設あるいは老人福祉施設といったような、窒息事故を起こしやすい施設につきまして注意喚起を促す通知を発出する、ほかには、内閣府の方におかれましてこういった関係行政機関の会合を持たれましたので、そういうところで緊密な情報交換を行い、今後の対応を図っていくというようなことで対応いたしました。

吉井委員 最初の事故から十二年たって、それからその間に十人の犠牲者が出てから、二〇〇七年十月十二日「「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止対策」について」とか、これもただの事務連絡なんですね。事務連絡をしただけというのが対応だということが、厚労省の方からいただいた資料でわかるんです。

 そこで、きょう舛添大臣に伺っておきたいんです。

 もともと、食品衛生法第一条の目的では、食品の安全を確保するためとして必要な規制その他措置をとることを規定し、もって危害の発生防止、健康の保護に努めるとしていると思うんですね。直ちにそういう立場で取り組むのが私は当然だと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

舛添国務大臣 食品によって亡くなった方が出ているということについて、関心はきちんと持たないといけないというように思っておりますが、食品衛生法の解釈としては、食品衛生上の規制となるのは、衛生上の危害に該当するかどうか、そこに有害物質が含まれているとか、そういうことであって、食品の形状に起因するものであることは、今の食品衛生法の法律の趣旨からいったら、カバーする対象になっておりません。例えば、それを言うならば、お正月にもちを食べる、もちをのどにつかえさせて亡くなる方がおられる、では直ちにもちを規制するのか、こういう議論もきちんとやらないといけませんから。

 ここは、まさにそういうことを考えたときに、消費者の立場から見れば、待てよ、食品衛生法の規定はわかるが、やはりこれだけ亡くなった方が出ているときにはどうするんだという話があると思いますので、そういう多角的な議論をしていきたいというふうに思っております。

吉井委員 よく、農水省だ、厚労省だといって、このコンニャクゼリーの問題についても、すき間事案だとか言っているんですけれども、私は、余り簡単にすき間事案という言葉を使っちゃいかぬと思うんですよ。

 では、政府参考人に伺っておきますが、コンニャクゼリーについて、アメリカ、EU、韓国など諸外国では、どんな規制基準を、いつごろつくっていますか。

田中政府参考人 私どもの把握している範囲でございますけれども、欧州におきましては、二〇〇二年三月に販売を一時停止した後、二〇〇三年六月に、ミニカップ入りゼリーにコンニャクを食品添加物として使用することを欧州議会及び理事会指令において禁止してございます。

 一方、米国におきましては、食品医薬品局が二〇〇一年十月に、大きさ、形状、口に含んだときの滑りやすさというきめ細かさ、あるいはかたさ等を勘案し、食品として不適切としてミニカップに入ったコンニャク入りゼリーの輸入を禁止しております。

 また、韓国でも、食品医薬品局が二〇〇一年十月に、直径四・五センチ以下のコンニャク入りミニカップゼリーの生産、輸入、流通、販売を暫定的に禁止いたしました。さらに、二〇〇七年十月に食品公典を改正し、ミニカップ入りゼリーの原料としてコンニャクの使用を禁止するとともに、その形状について、大きさは、ふたが接する面が直径五・五センチ以上、底面、高さは三・五センチ以上、弾力性については、度合いをはかる粘度を五ニュートン以下にしなければならないという基準を設けてございます。

吉井委員 厚労大臣、不思議なんですけれども、アメリカの場合でいいますと米国食品医薬品局なんですね。そこで、規制内容は、二〇〇一年八月十七日に、輸入したカップ入りコンニャクゼリーによる窒息の危険があることを消費者にまず警告しているんですよ。それ以降、四・五センチ以下とか、球形でないものについては三・一センチ以下とか、口に入れたときの表面が滑らかなものであるものなどについて、要するに、物理的な試験を行うことなく輸入することは禁止するとしているんですね。

 アメリカでは、二〇〇一年十月五日に、窒息の危険があることを消費者に再度警告して、二〇〇二年の五月二十二日には、ミニカップ入りゲル状キャンディーの押収を、リコールに応じなかったところは押収措置もとっているんですね。その根拠となる法律は、連邦食品医薬品化粧品法、日本と名前は違いますけれども、要するに、日本でいえば食品衛生法に当たるものなんですね。

 これは、EUはEU指令でやっているわけですけれども、韓国の場合ですと、保健福祉部及び韓国食品医薬品安全庁、日本でいったら厚労省ですね。規制内容は、二〇〇一年十月二十九日に、これについては、誤って摂取した場合窒息の危険がある旨の警告文を表示するよう措置をとる、二〇〇二年四月十七日には、製品の販売を禁止し、全量回収という措置をとっていますね。それから検査などもさせる。根拠としている法律は、韓国の場合も食品衛生法なんですね。

 国によって法律の体系とかが違うのはよくわかるんですよ。しかし、どこでも厚労省に当たるところが担当して、食品衛生法に類するものを使って対応しているんですよ。基準を強化しなきゃいけない、しかし、それにはこの法律はここが不十分だからここを改正したいというならば、提案すればいいんですよ。その法律に基づいて政令なり基準を定めることによって安全を守る。もともとの法目的であるのは、食品の安全を確保するためということでしょう、そのために必要な規制その他措置をとる、もって危害の発生防止、健康の保護でしょう。だから、こういうことが諸外国でもやられているんだから。それも二〇〇〇年代の初めですね。

 日本はようやく、事故から十二年たって二〇〇七年に事務連絡と、全然やっていることがずれ過ぎていると思うんですが、私は、これはすき間事案だなどという言葉であいまいにしてしまうんじゃなくて、やはりきちんとやる、きちんと対応するということが厚労省に求められると思うんですが、大臣に伺います。

舛添国務大臣 これは、新たな法律をつくるなり法律を改正するなり、そういうことを考えた場合に、形状、食品の形による規制をやることができるのかどうなのかということは、さっきのお正月のもち、これとの比較でどこまで国民を説得させることができるか。

 それから、アメリカやヨーロッパというのはコンニャクというのを食べる食習慣がないと思います。そういうところの輸入食品と、私どもはコンニャクをしょっちゅう食べている、その一つの形としてのゼリーのようなもの。これは、私もいろいろ聴取してみましたけれども、この口当たりというか、これがたまらないから食べさせたいので禁止しないでくれという人もいるわけですね。

 そうすると、では、つくった人に責任があるのか。それから、例えば法律の網でも、消費生活用製品安全法というのもありますので、こういうので網をかけるのか。

 そういうことも含めて今この消費者庁の話をしているわけですから、国民の安全を守らないといけない、これはもう委員と私は全く同感でありますので、今言ったような疑問点についてきちんと答えを出しながら前に進めるということを考えたいと思っております。

吉井委員 韓国でも、二〇〇五年以降、条件に合致したものはよろしいと。ですから、そういうふうに、私は全部禁止すればいいとかいう話をしているわけじゃないけれども、ただ、こういうときに、じきにもちの話を持ち出したり、それはやっちゃだめだと思うんですね。

 やはり問題になっているコンニャクゼリーが問題ならば、では、形状とか粘度とか材質等がどういうものだったら安全なのかということをきちんと検査もして、そして、流通する前に、その基準に合ったものはよろしい、基準に合わないものはだめなんだ、そういうことをきちんと決めるのが本来厚労省として考えるべきことではありませんか。

舛添国務大臣 ですから、それはお年寄りにとって危険だとか、何歳以下の乳幼児だとこれは危険だとか、それは薬だってそうですよ。そういうもののルールをきちんと決めてやる。恐らくコンニャクゼリーも危険表示があると思いますから、そういうことについてのルールづくりというのは、それはまさに国権の最高機関であるこの国会できちんとやればいいので、私たちは必要な指導や何かを行う、そして、今委員がおっしゃったように、いろいろな問題意識は共有しておりますけれども、極めて慎重にこれは議論を進めるべき課題だろうと思っております。

吉井委員 これは韓国なんかでもそうなんですけれども、きちんと基準を設けて、こういうものはよろしいと、一度禁止措置をとったものの解除とかをやっているわけですね。やはり、原則規制緩和をして事後チェックでという発想が長い間ありましたけれども、亡くなってしまってから幾ら事後チェックしても、命は返ってこないんですよ。

 だから、そういう点では、食の安全については、諸外国を含めて、既に二〇〇〇年代初めから各国の情報はわかっているわけだから。ですから、そういうものをきちんと、情報に基づいて規制基準をつくり、安全のための最小限の事前規制を行っていくということはやはり必要なことで、では、消費者庁を仮につくった場合、この例の場合など、規制基準づくりから、発売前の検査と承認を行うことなど、消費者の安全を守る立場での規制官庁となるのかどうか、そして、消費者庁設置法並びに関連法案にそのことにかかわる規定があるのかどうか、伺います。

野田国務大臣 コンニャク入りゼリー事故に関して、消費者庁ができたらどうなるかという御質問でありますけれども、消費者安全法案において、消費者被害の発生または拡大の防止を図るためのほかの法律に基づく措置がない場合、先生はよくないとおっしゃるんですけれども、我々はちょっと今、いわゆるすき間事案と呼ばせていただいていますが、場合には、重大事故について、内閣総理大臣みずから措置を講ずることができることを規定いたしました。

 具体的には、事業者に対して必要な点検、安全な使用方法の表示、役務の提供の方法の改善等をするよう勧告または命令ができます。さらに、急迫した危険がある場合には、譲渡、販売等の禁止または制限を行うことができます。これに違反した場合には、回収等の命令を発することもできます。これらの措置によりまして、法律のすき間に陥る事案についても適切な対応がとられることになるものと考えております。

 コンニャク入りゼリーの誤飲による死亡事故のような問題については、我々はすき間事案と呼んでいるんですが、新法である消費者安全法案等に基づきまして、安全、安心をしっかり確保するために、政府一体となった迅速な対応をとるに当たり、消費者庁が中核的な、主導的な役割を担うことになります。

吉井委員 私は、やはり大事なことは、これまでの事故一つ一つについてきちんと点検して、法律のどこに欠陥があったのか、あるいは体制上のどこに欠陥があったのか、何をどうすれば是正できるのかということをきちっとやっていかないと、何か新しい法律なり役所をつくったら解決する、そういう簡単な話じゃないと思うんですね。やはり、そういう中からあるべき姿というものを浮き彫りにしていくということが大事だ、この立場でこれからも質問を続けていきたいということで、時間が参りましたので、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 舛添大臣は消費者庁の設立に関して、消費者の観点から物事をやろうという組織ができるというのはもう大歓迎だ、こうおっしゃって、ただ、手足がないのです、新しいのをつくったときに手足がない、当時、岸田大臣が頑張ってやられても手足がない、その手足を農林水産省なり私たちなり国土交通省なりがやらないといけないので、総理の御意向をきちんと酌んで国民目線でやるということが必要ですから、これは、厚生労働大臣としては全面的に協力したいと思っていますと。大分古い話なんですが、昨年の四月にエールを送って、消費者庁を何としてもやろうということでありました。

 そういう意味では、今のコンニャクゼリーの話などもそうなんですが、厚生労働大臣としていろいろな反省もあると思いますが、これまで厚労省としてはできなかったけれども、消費者庁にはぜひリーダーシップを発揮してもらいたいという課題は、厚生労働省はかなり守備範囲が広いわけですから、かなりあると思うんですね。そうした消費者庁設置へのエールと同時に、そういうリーダーシップを発揮してもらいたいという分野、業務などについて、今、舛添大臣の頭の中に入っているものについて、ちょっと教えていただけたらありがたいなと思います。

舛添国務大臣 食品の問題にしても医薬品の問題にしても、私たちはきちんと国民の安全を守らないといけない。

 例えば、ここに牛肉があります、これは食べていいですか、悪いですかと。それは我々が検査をして、そこに有害な物質が含まれていないか、こういうことはきちんと食品衛生法でやります。ただ、安全という法律上のこととともに、やはり国民というのは安心したいなということがありますから、仮に我々が検査して安全な肉だと言っても、どこから来たのかね、国産ですか、アメリカから来ましたか、オーストラリアから来ましたかと、やはり原産地というのは知りたいわけですね。そういう原産地表示のようなことを、これは例えば、ある国から来たものは絶対食べない、野菜でも、例えば中国の野菜に対して農薬の問題とかで非常に不信感を持っておられる方々もおられます。

 そうすると、そういう選択肢を示すために原産地表示をするというのは、我々が安全という観点から検査をすることではないと思います。したがって、これを消費者庁がきちっとやるということ、例えば、一例でございますけれども、そういうことを考えておりますし、例えばクローン、これについても、今いろいろ科学的に知見をやっていて、どうするかという判断のときに、やはりこれはクローンですよ、そうじゃないですよと。しかし、安全かどうかは科学的に知見で我々は出すことができます。しかし、そこは、国民が安心したいという選択肢をきちんと示すことがさらに国民のためになる。

 そういう意味で、幾つかの例でございますけれども、安心の担保のためというのが消費者庁の設立の大きな目的であり、我々は、今委員おっしゃったように、手足として持てる力を発揮したいと思っております。

日森委員 そういう意味では期待が大きいのだと思いますが、具体的には、健康増進法、食品衛生法の表示基準の策定権限が移管されるということで、一部業務が消費者庁に移管されることになるわけです。

 こうした分野も含めて、消費者庁の設置に伴って、今後、厚生労働省の組織の再編とかあるいは見直しとかいうことがあるのかどうなのか、お考えをお聞きしたいと思います。

石塚政府参考人 お答えします。

 今般消費者庁を創設するに当たりましては、法律の移管、共管等に伴いまして、所要の機構、定員及び予算を消費者庁に移しかえるものとされております。今先生御指摘のとおり、食品衛生法並びに健康増進法の規定に基づく食品の表示が消費者庁に移管されることに伴いまして、厚生労働省の定員等の一部を消費者庁に移しかえることとしております。

 一方、厚生労働省は、国民の健康の保護を目的とする公衆衛生規制である食品衛生法の大部分を引き続き所管するため、これ以上の組織再編が必要になるとは考えておりませんが、いずれにせよ、厚生労働省としては、食品の安全性の確保を図る観点から、消費者庁において消費者や生活者の視点に立つ行政が適切に展開されるよう全面的に協力してまいりたいと考えております。

日森委員 消費者行政推進基本計画というのにおいて、個別作用法についての所管が一定整理をされて、消費者庁の所掌事務が決定されたと。しかし、今回所管の変更が行われなかったわけですが、推進基本計画において消費者庁の関与について引き続き検討を要するとされた法律も大変あるわけです、これは何度か質問が出ているかと思いますが。それらの法律の今後の取り扱いについて、もちろん厚生労働省も、五つでしたか、法律がありましたが、どのような段取りで検討を進めていかれるのか。

 厚労省関係では、具体的に薬事法、薬害問題などもあって薬事法の問題、さらには医療過誤、医療事故、さまざまありますが、医療法等々について今回消費者庁の所管とされなかったわけですが、一緒に移管されなかった理由、それから、将来どのように検討し、将来的には移行を考えているのかということについてお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 医薬品にかかわる検査というのはやはり専門的な知識が必要でございますので、我々厚生労働省がきちんとこれについては責任を持ってやる、医薬品行政というのは極めて重いと思っております。

 ただ、今委員がおっしゃったように、消費者行政推進計画におきまして、消費者庁に移管することも考えていい法律の一つに薬事法が挙げられています。これは、先ほどどなたかが御質問なさったように、重篤な被害が出るような副作用があれば、たしか十二条で内閣総理大臣に報告義務がありますから、こういう形で消費者庁が関与するということは十分あり得ると思います。

 実を言うと、今私のもとで薬害肝炎の検証委員会を行っておりますし、被害者の皆さん方も全部そこに入ってやっています。でも、こういうものについても、例えば消費者庁という発想があればどうなのかということで、今後の検討課題としたいと思っております。

増原副大臣 薬事法の関係でございますが、先ほど厚労大臣も御答弁なさいましたように、極めて専門的な知見を要するというところがございます。加えて、同法には、消費者利益の擁護または増進を直接の目的といたしていないということもまたございます。いずれにしましても、政府全体として効率的な行政を執行する、いわゆる二重行政を避ける、こういう観点から、このたびのような形で仕切らせていただいたわけでございます。

 したがって、同法につきましては、消費者安全法に基づき、内閣総理大臣が厚生労働大臣に対しまして必要な措置を要求することなどによりまして対応することが内閣全体の役割分担として適切ではなかろうか、加えて効率的に消費者利益の保護を図ることもできるのではないか、そのように考えております。なお、将来の問題といたしまして、推進会議におきまして、消費者庁による何らかの関与を幅広く検討すべきものの例として挙げられております。

 したがいまして、消費者庁といたしましては、他の法律も同様でありますが、消費者安全法や移管された法律の施行の実態、社会経済情勢の変化などを踏まえて、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。

 なお、蛇足にはなりますが、これはいわゆる製品でございますものですから、製造物責任法の対象になりまして、損害等についてはそれでカバーされていく。これは消費者庁のカバレッジに入っております。

日森委員 ちょっと時間が早いですけれども、終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まず野田大臣に質問をさせていただきますが、先日のこの委員会でも、大臣は、消費者庁の所管とされる法律二十九本は消費者に身近なものを主として選ばれたというような御答弁があったと思います。消費者行政推進会議が示された四十三の法律、これをすべて所管してしまうと巨大な官庁ができてしまうということで、そういうような答弁をいただいたのではなかったかなというふうに思っています。

 消費者に身近で生活に密着した法律というこの観点で四十三の法律というものを見ますと、厚労省所管のクリーニング業法というものが当てはまるのではないかなというふうに思うんですが、国民生活センターの消費生活相談データベース、こういうもので見ますと、クリーニングに関する相談件数は、ここ数年、大体八千件から一万件ぐらいなんですよね。消費生活センターの相談数というのが約百万件ですから、一%弱ぐらいなんでしょうか。

 このクリーニング業法が消費者庁の所管とならなかった、クリーニングなんかは身近で生活に密着しているというふうに思うんですけれども、これが所管にならなかったというのは、例えば生活センターへの相談件数というのが少ないからならなかったのか、それとも、その法律の内容というのが消費者の利益とかかわりが少ないからということなのか、どういう理由なのか御答弁いただけますか。

野田国務大臣 ただいま御指摘のクリーニング業法の大部分は、クリーニング師の設置義務、営業者の届け出義務、クリーニング師の免許制等、公衆衛生の確保をする観点からの行為規制となっており、法律の規制の内容として消費者利益を直接に保護するものが主たる内容となっていないということから、こういう対応にさせていただきました。

 また、同法の規制を適切に実施するためには公衆衛生に関する知見が要求されますが、これらの知見については、行政全体の効果的、効率的な運営という観点からは、二重行政を避けて、厚生労働省において引き続き蓄積して発展させていただくことが望ましいと考えました。

 したがって、この法律につきましては、消費者安全法に基づいて、内閣総理大臣が厚生労働大臣に対して必要な措置を要求することなどにより対応することが内閣全体の役割分担として適切であり、かつ、効率的に消費者利益の保護を図ることができると考えているところです。

 なお、クリーニング業法については、消費者行政推進会議において、今後消費者庁による何らかの関与を幅広く検討すべきもの四十三のうちの一つに、御指摘のとおり挙げられておりまして、消費者庁ができました折には、やはりほかの、同様の法律ともども、それぞれの社会情勢の変化等、いろいろな実態等を踏まえて、さらに検討はさせていただくつもりであります。

糸川委員 大臣、四十三の法律のうちの二十九本というものに関しては、これは野田大臣が選ばれた法律……(野田国務大臣「四十三プラス」と呼ぶ)そうですね、四十三プラス二十九の中の今回所管されるものというのは、大臣が基本的に選ばれたということでいいんでしょうか。

野田国務大臣 これは今の推進会議の皆さんの御意見と、また、今筆頭理事をなさっておられる岸田前大臣のもと、各大臣とのいろいろな意見交換のもとで、二十九本が適切ということで御選択されたものと承っております。

糸川委員 ですから大臣、それはわかっていて聞いている部分もあるんですが、ぜひ今後の課題の中で、今まで選ばれていなかった、この二十九の中に入っていないものも今後の検討課題にしていただいて、例えば本当に国民の、そして消費者の身近で、生活に密着しているものを選ばれるという基準を示されるんだったら、こういうものも入っていくというのも必要なのかな。やはり電話の相談なんかも多いわけですよね。

 ですから、そういう基準を明確にしていかないと、どれが入ってどれが入らないのか。生活センターには電話はするけれども、その窓口の方が、実はこれは所管になっていないんですとかということでは、要は、窓口の方が非常に困ると思うんですよね。

 そういう意味で、この法律の選定、隣にいらっしゃる岸田先生が大臣のときに、いろいろ検討もされ、そしていろいろな会議の中で選ばれたと思いますけれども、そういうところで一つの基準というものを示していかないと、マスコミが取り上げた社会問題だから所管するみたいな雰囲気になってしまうと、ちょっとその正確性がどうなのかなという部分があるので、しっかりと大臣に、検討するというならば、どういうふうに、現時点では検討の中で外れていても、今大臣は、これからもこういう法律は検討していかなきゃいけないというふうにおっしゃられるわけですから、では、検討したら、一年後にはこれが所管になるところなのか、それとも、もうならない、要は後ろ向きな検討なのか、この辺も明確にしていただいた方がいいのかなというふうに思うんです。

野田国務大臣 今現在は、消費者行政を担う行政組織というのが明確にありません。消費者庁が創設されることによって、いわゆる責任者がきちっと生まれるわけでありまして、そこで専門性を有するさまざまな議論、または政策委員会があわせて創設されますので、そういう一般国民を代表される皆様方の透明性の高い御意見、意見具申をいただきながら、前向きに検討してまいります。

糸川委員 そういう答弁が欲しかったんですね。ありがとうございます。

 では、舛添大臣に質問させていただきますが、地方の消費者行政というものが切迫した状況の中で、今のこの予算が大幅に削られているということが周知のところでございます。

 消費者行政の例えばどこが削られてきたのかというと、その一つの中には、商品テスト部門、これが挙げられるんではないかなというふうに思いますが、そのテストの依頼内容、商品のテストというのが依頼されるわけですけれども、これが多岐にわたっていますよね。内容が専門的である、そしてどんどん技術も進歩してまいりますから、技術の進歩に対応して、検査機器の更新、県レベルで商品テスト部門の維持、こういうものは困難だというふうにも聞いておるところでございます。

 ただ、クリーニング関係とか繊維関係に関しては、検査機器、こういうものが比較的簡単で済むということで、テストを今も維持されているというところもあるように聞いております。

 平成十六年のクリーニング業法の改正において、この規定の中に「利用者の利益の擁護を図ること」ということが書いてございまして、これが追加されました。利用者に対して洗濯物の処理方法等について説明するように努めること、そして苦情の申し出先の明示が義務づけられた、こういうことがございます。このように、消費者と密着した事柄であって、またクリーニング業法においても、その目的に、消費者の権利擁護、こういうものが挙げられているわけでございます。

 消費者行政推進会議に例示された四十三本については、消費者行政推進基本計画、これにおいても、今後も消費者庁の関与について検討を続けることというふうにされておりますけれども、クリーニング業法の所管について、舛添大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 まさに、今のクリーニング業法は九割方は、クリーニング師の資格がどうだろうとか、クリーニングする建物の構造、床がどうでないといけない、排水口がどうでないといけない、それから、例えば伝染病に汚染された衣服が来たときにどうするというのがあって、今おっしゃったように、三条の二で説明責任、こういう洗い方をするんですよ、苦情のときにはここに申し出てくださいよというのがあります。

 そこのまさにおっしゃったところは、これはある意味で消費者庁マターだろうというふうに思いますので、それで引き続きの検討ということになっていますが、八割から九割方の大きなところは、まさにクリーニング師に対する衛生上の規制というので、それは先ほどの薬事法とか医療法と非常に似てきたところがあります。

 恐らく苦情で出てきているのも、いや洗い方がよく落ちていなかったとか縮んでしまったとか、そういうことですから、そういう面はやはり消費者庁が関与して、そこは、だからクリーニング組合が一生懸命自発的に、今の法律に基づいて、苦情処理相談場所はここですよ、Sマークというのがあって、これはこういう基準で賠償しますよと。だから、そこのところは業者の皆さんの組合でもしっかりやってもらう、そして消費者庁ができた暁にはこうやるということ、それも関与するということですから、これは今のような方向で議論をしていく必要があると思いますから、今の法律、それをそのままどうということじゃなくて、変える必要があれば変えればいいし、二つに分けた方がよければ二つにすればいいというような、若干柔軟な発想がないと、新しい省をつくったときに立ち行かなくなるんじゃないかなという感じがしています。

 ただ、これはすべて今後の検討課題だと思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 先ほどからお話ししているように、今の消費者庁の議論をしていくと、例えば宅建業法、宅地建物取引業法は所管されるとか、いろいろ、本当は国民の皆さんに、身体とか生命にかかわる部分、ここに関しては所管をしますよと明確にしていくとわかりやすいと思うんですね。生活に関するものというと、余りにも広くなってしまうところもあります。それこそ大臣のおっしゃられるような巨大な官庁ができ上がってしまう可能性もありますし。

 ですから、そういうところは、その基準もこの委員会でもっともっと明確に示されていき、今後検討課題と言われる四十三本のものもありますけれども、それ以外のものでも、例えば今気づいていないものもあるかもしれないわけですね。ですから、どういうところだったらこの消費者庁が担当するのか、そういうものも今後示されるといいのかなと。

 今のままですと、私、今質問していくとどんどん疑問がわいてくるんですよ。だれが、これは重要で重要じゃないのかという判断基準、それは、地方の方が、これは消費者庁に報告すべきだということにするのか、消費者庁の方も、これは調査するに値するというふうに検討するのか。そのあたりが見えないところもあるので、ぜひ大臣の方で明確にお示しにならないと、消費者庁というものがどういう組織になるのか、本来だったら、今大臣のお考えになられているようなものだったら、超巨大な官庁にならないと対応し切れないんじゃないのか、そして、国民の皆さんの期待にこたえられないんじゃないかなというふうにも思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 いろいろな御議論を踏まえて、新しく創設される消費者庁は二十九本の法律を所管するということになりました。これは、何度も繰り返しで恐縮ですけれども、国民生活センター等々の、これまでの消費者被害の大半をカバーする、一番消費者に身近な法律はしっかりがっちり所管させていただく。

 今御議論のあっている四十三本についても、所管はしていないからといって人任せにするのではなく、この関連三法案ができる、消費者庁ができることによって、内閣総理大臣のもと、しっかりといろいろなコミット、関与はできることになっているわけですので、その中で、まずは一番コアの部分はしっかりと守っていきましょうと。

 さらに、消費者庁ができた折、そういう今のさまざまなリクエストオファーがあるところは、きちっと企画立案部門ができますので、そういうところでこれをどうするというような前向きな議論をしていく中で、消費者が必要とあれば、消費者庁は二百四名でスタートしますけれども、金融庁のようにどんどん必要に応じてやはり育っていくのかなと。そういう期待を込めて、まずはしっかりと、今目の前で苦しんでおられる被害の除去に向けて取り組んでいきたいと思っております。

糸川委員 時間ですので、また次回議論をさせていただきたいと思います。終わります。

船田委員長 次回は、明二十六日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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