衆議院

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第9号 平成21年3月31日(火曜日)

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平成二十一年三月三十一日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    小島 敏男君

      佐藤  錬君    平  将明君

      玉沢徳一郎君    土屋 正忠君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    原田 憲治君

      宮腰 光寛君    矢野 隆司君

      泉  健太君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    岡本 充功君

      小宮山洋子君    階   猛君

      田島 一成君    田名部匡代君

      田端 正広君    桝屋 敬悟君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         栗本まさ子君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山本 和史君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           梅田  勝君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局食糧部長)         奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       塚本 和男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 見上  彪君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       田口 義明君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     原田 憲治君

  田名部匡代君     岡本 充功君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     永岡 桂子君

  岡本 充功君     田名部匡代君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長見上彪君、独立行政法人国民生活センター理事田口義明君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君、内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、公正取引委員会事務総局審査局長山本和史君、警察庁生活安全局長巽高英君、警察庁刑事局長米田壯君、総務省大臣官房審議官望月達史君、消防庁次長株丹達也君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、農林水産省大臣官房審議官梅田勝君、農林水産省総合食料局食糧部長奥原正明君、農林水産省生産局畜産部長佐藤一雄君、農林水産技術会議事務局研究総務官塚本和男君、国土交通省大臣官房審議官小川富由君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江屋信広君。

近江屋委員 自由民主党の近江屋信広です。

 本日は、野田大臣並びに民主党の提案者に対しまして、幾つかの質問をさせていただきます。

 まず、野田大臣に対してであります。

 二十四日、二十六日、二十七日と、参考人質疑を大変熱心に本委員会は行ってまいりました。その参考人質疑の中で、やはり、消費者庁というものを設置して、しっかりと法律を所管し、そして内閣の中で司令塔機能を果たす、そういう消費者担当行政機関をつくるということについては、参考人の皆様の大方の賛同が得られたものだと私は思っております。

 また、論点の一つである地方消費者行政については、これを充実させ強化していかなければならない、それが重要な事項でありまして、政府といたしましても、この点はしっかりと取り組んでいただくのは当然でありますが、その地方消費者行政の実務をどこがやるのか、やはり自治体の自治事務において行うべきではないか、そのことが参考人の皆さんの大方の御意見ではなかったかなと思います。

 そんな点を含めて、野田大臣から、参考人質疑を踏まえてどういう所感をお持ちか、ちょっとお聞かせください。

野田国務大臣 おはようございます。

 参考人質疑につきまして、私は、テレビで拝見したり、また議事録の速報等々でじっくりと勉強させていただきましたが、今、近江屋先生おっしゃったとおり、おおむね参考人の皆さんは、やはり新たな行政組織は内閣のもとにある方が望ましいという大勢の意見があったことを理解しておりますし、また、消費者政策委員会、まあオンブズマンという発想もあるけれども、今時点ではそのオンブズマン単体で何かできることは極めて難しい中、消費者政策委員会がかなり強い力を持ってそういう監視に、役所が暴走をしないような、国民から見て透明性の高いそういう行政組織づくりの担い手として、消費者政策委員会に寄せる思いの強さを感じました。

 さらに、地方につきましてもいろいろ御意見がある中、やはり基本的にはこれまで培った地方自治ということを大切にする中で、国が絶大なる支援をしていけというようなことなんだと受けとめています。とりわけ最前線で活躍されている消費者団体、たくさんの消費者団体から構成されているユニカねっとや、または相談員の皆さんからは、やはり国家公務員化というのはなじまないという御意見があったことをしっかり受けとめていきたいと思います。

 いずれにしましても、消費者庁創設に向けて多くの参考人の皆さんが賛同していただいたことに意を強くしまして、しっかりと皆様方の審議の中で一日も早くこれが創設されることを心から願っているところであります。

近江屋委員 ありがとうございました。

 続きまして、先ほど申し上げました地方消費者行政に関しまして民主党の提案者にお伺いいたしたいのでありますが、民主党の提案者の発言、二転三転しておるのではないか。ちょっとわからない点がありまして、提案者の答弁等を振り返りながら少し御見解を承りたいと思います。

 まず、小宮山議員の発言についてであります。小宮山議員は十八日の委員会で、相談員を国家公務員とするということについて、これはある意味緊急避難的な措置ということも言えると思いますので、ずっと国がやるべきだと言っているわけではありません、将来的には地方公共団体が扱っていくことを否定するものではないと発言されております。

 その後、公明党の大口議員から、これはちょっと地方の現場で頑張っておられる相談員の方々の地位をもてあそぶものじゃないかという指摘がありまして、それに対して小宮山議員は二十五日の委員会で、民主党に政権を任せていただけたら分権の政治にして、権限だけではなくて財源もしっかり地方に渡すので、そうなれば惨たんたる現状の地方の窓口がしっかり充実する体制になる、その日は余り遠くないという思いから緊急避難的と申し上げたけれども、そんなに国家公務員、地方公務員と身分がくるくる変わるという意味ではありません、このように申しております。

 これがちょっと私理解できなくて、小宮山議員の二十五日の発言を見ましても、やはり相談員の方々は、身分は地方公務員から国家公務員になりまして、そして地方の窓口が機能するようになれば再び地方公務員になるということを想定しているとしか解釈できなくて、地位が、身分がくるくる変わるのではないとおっしゃっていますが、このまさに身分がくるくる変わるということではないかと思いますので、その点は小宮山議員、いかがでしょうか。

小宮山(洋)議員 御質問いただきましてありがとうございます。

 二十五日に申し上げたとおりだというふうにお答えをしたいと思うのですが、私たちは、きのうも枝野議員と総務副大臣のやりとりでもおわかりいただいたように、三年間は基金を積むけれども、それは人件費には使えない、研修費などにしか充てられないということがわかっておりますね。そして四年後からは地方交付税にするということですが、きのうのやりとりでもおわかりのように、消費者相談員の皆さんの年収を二倍にするとか、あるいは数を一・五倍にするといっても、その分ということで確定をして、地方に使いなさいということは、自治事務上、言えないわけです。

 私どもが一番言いたいのは、いろいろ質疑でもおわかりのように、全国で格差がひど過ぎる。それこそ、この間御質問になった土屋議員のところの武蔵野市など、非常によくやっていらっしゃるところもある。だけれども、全国、地方の方へ行きますと、それこそ、窓口がない、あるいは、あっても週のうちに何日か、二、三時間しかいないということもある。今、本当に現場の方の声を聞いても、以前は暮らしの相談だから非常勤の人がやってできたけれども、最近は本当に高度な専門性がないと解決ができない。それなのに、研修をする時間さえないということが、人数がある程度いらっしゃるところでも言われています。

 私たちが一番目指したいのは、本当に今回のこの法案の肝というか核心になるところが、地方の消費者窓口がしっかりと、全国津々浦々どこにいても、私どもは消費者の権利が守られることは保障されなければいけないというふうに思っておりますので、自治事務を否定するものでは全くありません。ただ、政府の方は、では四年目以降、そして三年目までも、人件費という形で、どういうふうに確信を持って、こういう形で充実しようとやっていらっしゃるのか、そこが見えないわけです。

 私どもも、この法案は一年以上かけて、じっくりと現場の声も聞きながら、しっかりとつくってきたつもりなんですね。私たちが検討に検討を重ねた結果、自治事務である限り、そこの人件費を保障することができないんです。

 それで、苦肉の策と言うとまたいろいろ言われそうですけれども、いろいろ考えに考えた結果、別に自治事務を否定するわけではないけれども、今や県とかをまたがったいろいろな事件なども起こりますね。それをたまたま取り上げたそこの県の財政、県の税金だけを使ってやるのがおかしいとか、いろいろな御指摘も現場からございますし、これは国が責任を持ってきちんとそこの人件費を手当てしない限り、全国津々浦々、しっかりした窓口というのはつくれないと思っているんです。

 そのためには、今のあり方の中では、国家公務員という形で国が財源を見ることしか、自治事務でやっている限りどうやってもできないんです。どういうふうにできるかをぜひ与党からもお示しいただいて、それができるということであれば、私どもは別にそんなに国家公務員にこだわるものではありません。これしか方法がなかったから、こういうふうにしているんです。

 それで、よく現場の方でも、何か急に中央からだれかが来るかとか、相談員が国家公務員になったら地方の窓口との連携がとれないんじゃないかとか、そんなことは全くありません。今の人数では足りないから、もちろん外からも入っていただかなきゃいけないけれども、今までやっていた方が五年で一人前というのに、三年、五年で肩たたきに遭う、本当に官製ワーキングプアだなどと言われて、能力も上げられない、身分も保障されないのを、きちんと処遇したい。そのためには、私たちが考えに考えた結果、人件費をきちんとやるためには国がやる、そのためには、今の仕組みでいくと国家公務員しかないということです。

 緊急避難的と申し上げたのは、この間申し上げたように、ずっと未来永劫そうやるのかという質問があったので、未来永劫なんて思っていません、一日も早く各地の自治体がそういう力を持って、みずからできることを願っていますと。ただ、それがいつになるのかわからないけれども、ぜひ政権交代していただいて、私たちは消費者、納税者、生活者の党ということが結党以来のあれでございますので、国の事務はスリム化したいけれども、この消費者の問題については国がしっかり責任を持つべき重要な柱だと思っておりますので、そういう答弁をさせていただいたということでございます。

近江屋委員 小宮山議員は二十五日の発言のとおりだと言われまして、また、先ほどの答弁でも、政権交代をしたら、こうおっしゃいました。

 しかし、政権交代という、あるかないかわからない、私はないと思っていますが、そういう不確かな要素をもって、その法律の適用の対象となる方々の身分を左右する、相談員の身分に作用する。自民党がいろいろその批判を受けてもしっかり受けとめますが、そういう関係する方々がいるわけですから、政権交代云々ということを軽々に言うべきではないんじゃないかなと思いますね。

 民主党は、現時点では一応国家公務員にすると言っておくが、実際に政権交代したら地方公務員に戻すというのは、まさに大口議員の言われたように、相談員の方々の身分をもてあそぶものではないかと思いますので、まことに不見識じゃないかと……(発言する者あり)仙谷議員は今やじを飛ばしておられますが、ある業界紙のインタビューで、自分たちが政権をとったら消費者庁は御破算だと言っておられる。それは、外で言うのは勝手、自由なんですけれども、この正式機関の委員会で、政権交代という、あるかないかわからない要素でもって法律を考えて、そして実際、現実に働いている相談員の身分云々にかかわるようなことは、これは不穏当な、不適切な発言だと言わせていただきます。

枝野議員 まず、今の御議論、よくわからないんですけれども、政権交代はあるかもしれないし、ないかもしれないし、あったときでもなかったときでもいいような仕組みをつくろうということを国会では議論しなきゃいけないので、政権がかわるかわらないは関係なく、どちらでも通用する制度をつくるというのが国会の役割だと思うので、ないと思うから、ないことを前提に議論するみたいな話もあり得ないわけでございます。

 その上で、私たちが申し上げているのは、政権交代をして、私たちが理想と思っている分権改革を行った場合には、例えば消費生活相談員の皆さんだけではなくて、あらゆる公務員についての、あらゆる公権力行使についての、すべての見直しを一からやりますから、すべての公務員についての身分をもう一回、一から議論をし直します。

 ですから、当然のことながら、政権交代をしたらそういうことをやろうということを考えている中で、もしかすると地方の独自財源でしっかりと、津々浦々で相談業務を自主財源でやっていただけるような構造にしたいと我々は思っていますが、そうなったときにはそういう整理がされるでしょうが、そのときは、消費生活相談員の皆さんだけではなくて、現在の国家公務員も地方公務員も特別職も一般職も、すべてあるべき分権の姿の理想に向けて見直しますので、そのことが、ころころ変わるということとは全く次元が違う。

 しかも、当然のことながら、それだけの大改革を我々は政権をとらせていただいたらやろうと思っていますので、それは、例えば一年とか二年とかという短期でできることだと思っていません。それは、できるところから手をつけていきますが、申し上げた理想像をつくるまでには五年、十年という時間がかかっていく中で、その中で地方消費者行政のすべてを分権できて、財源も確保できるならばそうしたいということを申し上げているのであって、ころころ変わるということとは全然次元が違うというふうに思っています。

近江屋委員 政権交代があろうとなかろうと、ころころ変わるというような言葉遣いは使わずに、そういう意味合いではなくて、どんな場合でも、国家国民のために安定した、安心できる制度をつくろうということだろうと思います。

 続きまして、次に、消費生活センターの位置づけについて御質問させていただきます。

 枝野議員の趣旨説明、提案理由説明と、きょう別の委員会でおられませんが、階議員の発言と、ちょっと矛盾があるのかなという感じがいたしますので、そこのところを質問させていただきたいと思います。

 十七日の本会議の趣旨説明、それから委員会提案理由説明で、枝野議員はこのように言われています。「現在の消費生活センターの多くは、この地方消費者権利局やその支局、つまり国の機関に移行します。」こう発言されています。ところが、二十五日の委員会では、階議員がこう述べておられます。「丸抱えということではなくて、今ある消費生活センターはそのまま活動していただく、我々のつくる地方権利局とか支局については、そこと連携しながらやっていくということをこの間も審議のときにお話ししました」と発言されております。

 枝野議員の趣旨説明では、消費生活センターは国の機関に移行すると言われたのですが、一週間後の委員会で、今ある消費生活センターはそのままとおっしゃる。これは、どうも矛盾しているような感じもいたしますので、その点について枝野議員から御説明をお願いいたします。

枝野議員 若干言葉が足らなくて、誤解を与えたとしたらおわびをしたいというふうに思いますが、私の趣旨説明等でも「多くは、」と申し上げております。

 それから、階議員の答弁の趣旨は、それぞれの地方自治体が消費生活センターをそのまま維持したいという御希望があればそのまま続けていただくということの意味で、その部分の言葉が足りなかったとしたら、補わせていただきたいと思っています。

 私たちは、国の責任で地方消費者権利局が津々浦々での相談窓口をしっかりつくる一方で、自治事務としての消費生活センターをそれぞれの自治体が自主財源で従来どおり、あるいはさらに拡充させて運営をされるということについては、これは否定をしないというよりは、むしろ望ましいことだと思っておりますので、それぞれの自治体が、それは国がやってきても、おれたちは歴史と伝統があって財源もあるからやりますということだったら、どんどんやっていただく。

 ただ、この「多くは、」という言葉が言葉足らずだったのかもしれませんけれども、現状の地方の財政の状況を考えたとき、それから地方消費生活センターの実情を考えたときには、全国津々浦々のうちの多くの部分では、消費生活センターを今お持ちの自治体が、国ができるんだったらそちらの方に移行してくださいという御希望があるのではないかと予測をしていますが、そういう御要望があれば、地方の権利局の方で従来の蓄積や従来の経緯というものを踏まえた上でしっかりと引き継がせていただくということでございますので、両者の答弁は矛盾をしないということでございます。

近江屋委員 枝野議員は今、多くは国に移行する、希望があればそのまま自治体に残るということで、これはどうも併存するということなのかなと感じます。

 しかしながら、地方の消費生活センターが併存するという記述は一切要綱にもありませんし、それから、民主党で出されているパンフレット、これは「地方の消費生活センターのヒト(人員)・カネ(予算)を国の責任で確保」すると。民主党案が出ておりまして、まず消費者権利院があって、その下に地方消費者権利局があって、その下に消費生活センターというものが属する、この上下関係で政策パンフで説明されておるので、併存するということであれば、きちんと要綱にもパンフにも書いておくべきだったかな。

 その点は、ちょっと今答弁がありましたので、そういうことかなと、おっしゃることは理解しますけれども、国民に発信する資料には、その点、大事な点でありますので、きちんと書くべきではなかったかなと思う次第であります。

 その消費生活センターに関してでありますが、先ほど野田大臣には地方消費者行政に関してお伺いいたしましたが、この消費生活センターの位置づけについて、野田大臣からちょっと御答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 御審議いただいている消費者庁創設に関する三法案なんですけれども、実は、消費者庁をつくることが大事ではなくて、やはり地方の消費者行政、今までだんだん疲弊してきて、人もお金もという中で、首長さんのリーダーシップいかんと言われればそれまでですけれども、やはりそれを促すだけの国の支援なり意気込みというか、旗は掲げていかなきゃならないという一つが消費者庁であり、一番大事なところは、地方の消費者行政がますます地方の消費者にとってよきものであり、安全、安心をしっかり守れるものとならなきゃならないということ。

 そういった意味で、センターというのは都道府県においては中核的な位置づけになって、そこを介してどんどん市町村にそういう消費者行政という流れをつくっていただくことと、どこに住んでいても、国の消費者庁ではなく、やはり目の前にあれば、消センですか、消費生活センターの相談員の人たちが国民のパートナーとなって、何かあったらすぐに応援ができる、支えになるというような、そういう連携をつくっていく、いわゆる地方消費者センターというのは、この消費者行政の主役だというふうに位置づけております。

近江屋委員 ありがとうございました。

 その消費生活センター、しっかりと機能するように御努力のほどをお願いする次第です。

 続きまして、消費者権利院に対する民主的なコントロールの問題について、民主党の提案者に対してお伺いいたしたいと存じます。

 政府案において消費者庁は、内閣の統括のもとにある、通常の行政機関たる内閣府の外局として位置づけられているのに対しまして、消費者権利院は、国会の議決を経て、内閣が任命する消費者権利官が長となって、内閣から独立して権限を行使する組織であるという位置づけであります。この点で、人事院に類似する機関なのかなと承知しております。

 このように内閣から独立した組織として何と六年間も、長期間の任期を持つ消費者権利官、その任命を国会の議決だけに係らしめる、それだけというので果たして民主的なコントロールというものが十分なのかどうなのか、国民の代表者である国会、それが内閣を通じて、強大な権限を持った消費者権利官をきちんと民主的にコントロールできるのに十分なのかどうなのか、その点をちょっと枝野議員にお伺いいたします。

枝野議員 消費者権利院の性質上、行政からの高い独立性を持たないと、これは意味がない機関であります。

 その上で、国会による人事の議決という、大変国会による強い関与をしていて、なおかつ、それは人事院の総裁などもそうですけれども、必要があればこの権利官は国会に出てきていただいて説明などをする責任が当然のことながら生じます。

 これでもし民主的コントロールが及んでいないとすると、行政機能の一部を担っている、例えば日本銀行総裁なども国会が同意人事で同意をするだけであって、あとは国会に呼んでやりとりをするということだけで、それ以上の、国会が直接関与する権限はございませんが、こうした機関も全部だめになってしまうし、人事院もだめになってしまうということになります。

 問題は、事柄の性質上、そういった高い独立性が許容される、あるいは必要とする機関であるかどうかということが重要であると思っていまして、まさに行政を監視するというその役割からすれば、これはこういった高い独立性を持たせないと逆に機能しないということだというふうに思っております。

近江屋委員 私どもは、この権利官制度の仕組みを見てぱっと思ったんですが、どうも小沢さん的な考え方かなという感じがいたしました。というのは、私は自民党幹事長だった小沢さんのもとで一年数カ月仕えていて彼の考え方はよくわかっているつもりでありますが、その小沢さんの考え方は、要するに、任命とか選挙で選ばれたら、その後そんな説明とか了解とか要らないんだ、要するに何でもできるんだというのが彼の基本的な考え方で、それに対して我々は、やはり、任命を受けた後でもきちんと民主的なコントロールを受けるのが民主主義だと思っていて、小沢さんの民主主義と我々の民主主義は違うといって、船田委員長も同じですが、小沢側近がずっと離れていったという経緯もあります。

 我々、やはり、今の民主的なコントロールの点でちょっと不十分なのかなという点がありますので、引き続き検討していきたいなと思っております。

 続きまして、消費者権利院が法律を所管しないことについてであります。

 政府案は、新法である消費者安全法に加えて、既存の省庁が有していた二十九本の法律を消費者庁に移管をしまして、みずから企画立案をして、そして執行を行うなど、具体的な権限を背景に消費者行政を強力に推進することを予定しております。消費者権利院は、法律を全く所管しない、国会や政府に勧告するだけであるということで、迅速かつ実効性の上がる、そういう対応が果たしてできるものなのかどうなのかという点についてお伺いしたいと存じます。

枝野議員 これは所管ということの意味によるんだというふうに思いますが、例えば、裁判所は法律を所管しているのかと言われたら、すべての法律を所管しているし、一本の法律も所管をしていない、最高裁判所規則だけは所管しているんでしょうかね、法という意味では。

 ということになりますが、私たちは、まさにこの機関の位置づけと、それから、今必要なことは、いずれにしても、消費者庁的な内閣の縦割り一機関に消費者関連の法律を所管させたとしても、全部の消費者関連の法律を所管させることは不可能である、しかしながら、消費者の立場からすれば、いつどこでどういう種類の問題が生じるかわからないときに、常に消費者の立場でしっかりとそれを担ってくれることが求められている。だとしたら、その縦割りになっていて、消費者庁が持てるにしろ持てないにしろ、他の省庁が持つにしろ、あらゆる法律を駆使して消費者を守るということについてしっかりと働いてくれる機関が必要だということで、外側から行政監視的に各役所を動かしていこうということでございますので、そういった意味では、あらゆる法律を使えるようにしたという意味では、すべての法律を所管している。

 ただし、まさに行政監視的な役割ですから、直接に法律そのものを動かすということの権限を持たせたら、これは行政監視ではなくなってしまいますので、まさにこれは、あえていえば、内閣の内側で消費者の立場に立って、ある一定の消費者関連法のある部分を直接所管する役所と、それから外からすべての法律を所管してチェックをする機関というのは両立をし得る機関であるというふうに思いますし、全く違う次元での問題であるというふうにも言えるんじゃないかというふうに思っています。

近江屋委員 二十四日、二十六日そして二十七日に行われた参考人質疑において、参考人の皆さん、皆消費者庁は法律を所管すべきだと主張していると思います。

 また、二十六日の紀藤参考人、消費者権利院のようなオンブズマン的制度……(発言する者あり)やじを飛ばされた仙谷委員は、やはり先般のインタビューで北欧型のオンブズマン制度が不可欠だとおっしゃっていますが、そういうことが背景にあるんだと思います。ここまで精密につくられてきた御苦労は評価しますけれども、このオンブズマン制度だけを創設するのでは消費者生活としては不十分だとその紀藤参考人は主張しておりますが、私も同感であります。

 時間が来ましたが、いずれにしても、消費者庁というものをつくりまして、消費者の安心、安全を確固たるものにして、各党が協力をして、そして政府一体となって、実際に消費者問題に効果が上がるという体制をつくっていきたいものだなと心から念願をして、私の質問を終わります。

 以上です。

船田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。

 大臣また民主党の提案者の皆さん、大変に御苦労さまでございます。

 私も、十七日の本会議で質問させていただいて、そして、この委員会でもきょうでここに立つのが三回目だと思いますが、精力的に熱心にお互いに議論をさせてきていただきました。そして、私なりに、今までの議論、今までのやりとりを聞きながら、また私の思いも込めながら少しお話しさせていただきたいことは、枝野先生も小宮山先生も、今までどちらかというと、消費者問題等でもいろいろなところで会合を御一緒にさせていただいたり、むしろ引っ張っていただいていたのが、何か向こう側に行ってしまったなという感じを今ちょっと持っております。早く戻っていただきたいな、こう思うんですが。

 むしろ、私は、今日までの議論の中でいろいろなことを感じます。消費者団体の皆さんも、ちょっと戸惑いを持っているんじゃないかと思います。きょう、ユニカねっとの皆さんが大変たくさん傍聴されておりますけれども、そういう意味では、むしろ、この議論の成り行きを大変注目されている。どう落ちつくんだろう、どう決着するんだろう、そういう思い、期待とともに、心配もされているんではないか、こう思います。

 それで、例えば全国消費者団体連絡会の皆さんも三月十七日に声明を出されていますが、これを見ますと、「今回提案されている新しい消費者行政組織の創設は、私たちの長年の願いを実現するために行政が大きく転換する歴史的なできごとであると考えています。」こういうことをおっしゃっています。これは、まことに実感がこもっていると私は思います。その後の結びのところで、「二〇〇九年度中に「消費者のための新しい行政組織」としてスタートすることを切に願います。」こういうふうに結論づけているわけでありますが、そういう意味では、まさに消費者庁ということを想定しておっしゃっている、こう思います。

 このユニカねっと、消費者主役の新行政組織実現全国会議、全国六十八団体あると聞いておりますけれども、この三月十七日の声明を見ても、「充実した審議で一日も早い消費者庁の創設を!!」というのがタイトルです。そして、いろいろおっしゃっていますが、結論は、「今こそ国会は、党派を超えて建設的で充実した議論のうえ、来年度中早期の消費者庁創設のため、今国会において全会一致で同三法案を成立させるべきです。 よりよい内容で法案が成立し、消費者のための新組織、消費者庁が一日も早く創設されるよう強く望みます。」こういう本当に強い御意見をおっしゃっています。

 それで、私も本会議で話させていただきましたが、我々としても、早期成立、こんな本当にかつてなかった、今までの消費者行政、消費者の立場に立った消費者一元化という、大きな流れを変える、これは大変重要な法案であり、消費者庁の創設である、そういう思いでお話をさせていただきましたが、野党の皆さんも、民主党は対案を出されていますけれども、ほかの社民党、共産党も国民新党の皆さんも、一様にこれは前向きにお示しになっているわけであります。

 それで、この本会議のときに、共産党の吉井議員は、「今、国民の皆さんが望んでいる消費者行政の一元化、強化を図るために、各会派が知恵を持ち寄って、本当に消費者の立場で機能する法律に仕上げていくことが重要であります。」こうおっしゃっています。

 それから、社民党の日森議員も、「消費者保護基本法から四十年、ようやく消費者行政を統一的、専門的に所管する行政機関ができつつあることに感慨深いものを感じています。」そして、「国民の、消費者の権利利益の擁護、確立のために今何をなすべきなのか、与野党がそれぞれ英知を絞ってよりよいものに仕上げていくのが国会の役割と考えています。」こうおっしゃっておるわけです。

 そういう意味では、野党の皆さんもこういうふうにおっしゃっている。そして、国民新党の下地議員の質問も大変前向きなお話であったと思っております。

 こういう中で、我々も、ずっと先週は参考人ということで、トータル八人でしたか十人でしたか質疑をさせていただいて、参考人の先生方の皆さんはもう一様に、基本的には消費者庁の早期成立ということもおっしゃっているわけであります。そういう意味ではまさしく、何十年ぶりかはともかくとして、これは行政機構の大変大きな改革であるという意味では、まさに気持ち、意見は一致してきているのではないか、こう思っております。

 そこで、野田大臣は、自民党の法案を取りまとめるに当たっての責任者としてずっとやってこられて、いよいよこの法案が国会に提出され議論になった、そういう意味では大変な思いを持っておられるのではないかと思いますが、所感をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 先ほど近江屋議員から、自民党はこうであるというような話がありましたけれども、実は私自身、消費者行政との直接の出会いというのは本当にまだまだ数年でありまして、ここまで自民党の中で消費者行政がコミットされたというのは、自民党においては革命に近いのではないか、そういう思いであります。

 でも、それを提供してくださったのは、実は今、田端先生のお話に出てきたユニカねっとの皆さん。そうやって、本当に長年消費者を痛めつけてきた被害に対して支援の手を差し伸べ、また被害拡大防止に努めておられた最前線の方たちが約二十年ぐらい前から練りに練ってつくってこられたそういう構想を、私たちがある意味垣根を越えて手を結び合い、これからの国民の幸せ、そして消費者の安全、安心のためにということでスタートさせていただいたのは福田政権のときでありました。

 今でも忘れられないのは、早々にできた、自民党消費者問題調査会という新設された調査会のセンターテーブルにユニカねっとの代表の皆さんがお出かけいただきまして、私たちは呼ばれて自由民主党に来ました、でもこれからは日本のために、国民のために、そういうこれまでのことは乗り越えて、やはり消費者優先の、そして消費者をしっかり守れる行政組織をこの国で根づかせていくために頑張りましょうということをおっしゃっていただいたのが、ついこの間のことのように、すごく胸に熱い思いが上がっています。

 これは、私は大臣でありますけれども、あくまでもそういう皆さんからお預かりしている法案でありますので、民主党の皆さんとの対案でいろいろ議論がされていますけれども、最終的には、やはり今、大勢のコミットされた皆さんが経験をもとに二十年の歳月をかけてつくられた構想のもとにあるこの関連三法案だと自信を持って皆様方にお勧めさせていただいている担当大臣としては、ぜひとも与野党を超えて、一日も早くスタートさせることが今の国民の心配を取り除く第一歩であるということで御理解いただきたいと心からお願い申し上げます。

田端委員 ありがとうございました。まさに私も同感でありますし、私もちょうど一年ほど前に、福田前総理のところに消費者庁創設ということで申し入れにも行きました。そして、その後、麻生総理になってからも、麻生総理も積極的にこの法案提出に取り組んでいただきまして、そういう流れの中でようやくここに議論が始まったわけであります。

 そういう意味では、本当にこんな機会、チャンスといいますか、大きな流れは今までなかったことで、産業中心といいますか産業重視をしてきた日本の行政の中にあって、消費者の立場に立つそういう行政機関をつくろうということは、私は環境庁以来だと思っておりますけれども、そういった意味では本当に大きな流れだという認識で今回もずっと議論に参加させていただいております。

 そこで、民主党には通告していないので申しわけないんですが、これは民主党も大変大きな提案をされている、しかし、ここで何らかの接近といいますか、すり合わせはできないのかという思いもあるものですから、枝野先生にお伺いしたいと思います。

 そういう国民の盛り上がりがあって、そしてここに大きく議論が進んできている中で、ここから先は少し、建前だけではなくてやはり国民の気持ちを酌んだ本音の議論もお互いにしなきゃならない、そろそろこれからそういうときになっていくのではないか、こういう思いでいるわけでありますが、枝野先生の御所見をお伺いしたいと思います。

枝野議員 私ども自身も、少なくとも、十年ちょっと前の結党以来、消費者を代弁するというか、消費者の利益を守る行政機関の必要性というものを求めてきた立場でございますので、できるだけ早く、幅広い合意に基づいて、そうした行政システムができ上がることを強く望んでおります。

 それに向けて、我々自身、もちろん、出すに当たってはベストと思って消費者権利院法案を提出いたしておりますが、与党の皆さんからの質疑等を踏まえて、改めるべきところがあれば柔軟に対応したいというふうに思っておりますし、逆に政府案に対しても、与党の皆さんも柔軟に対応していただけるならば、しかるべく、幅広い合意のもとにそういった機関をつくることは可能であるというふうに私は思っております。

田端委員 ありがとうございます。大変に誠実な御答弁をいただきまして、本当に心強く思いました。

 そういう意味では、思いは同じ方向を向いているということでは一致した、こう私は思います。それは法律ですから、そこはどういうふうに仕上げていくかということは、これはまた議論をしながらということでありますので、ぜひ、そちら側からこちら側に一緒に来ていただければという思いもいたしますが、どうぞ今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 さて、それではちょっと個別のことで、きょうは国家公安委員長がお見えになっていただいておりますので、お伺いします。

 これまでもここで何回も議論になりましたコンニャクゼリーの問題で、つまり、一九九五年七月から去年の七月までの間に死亡事故が十七件発生していて、これはそういう意味ではすき間事案の一つと我々の議論の中で言われているわけであります。これは消費者問題でもありますが、しかし、それだけの事件が起こっているわけでありますので、このような事件を認知した場合に、警察当局としてどういうふうな対応をしてきたのかということは、やはりちょっと私もお答えいただきたいな、こういう思いがしますので、よろしくお願いします。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 多くの場合でございますけれども、このような事案では、検視を行って死亡原因を特定しているものというふうに伺っております。一般論になって恐縮でございますけれども、検視の結果、犯罪性が認められるということになれば、法と証拠に基づいて厳正に対処をするということにしております。

田端委員 それは、警察は警察の立場があろうと思います。しかし、いろいろな消費者問題の中には、警察にもぜひ捜査をしていただくような事件というのはたくさんあろうかと思いますので、消費者庁が設置されたそのことと、これはまた連携といいますか、ある種大きな関係性もあろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、今回、シンドラーエレベータの事故のことについて、警視庁捜査一課と三田署で、実はきのう、業務上過失致死容疑ということで、シンドラーエレベータと、それから管理会社の計六人の方の書類送検をされたということであります。この事件も、大体三年、二年十カ月近くかかっていると思うんですけれども、これもいろいろな理由があろうかと思います。

 しかし、これは少し時間がかかり過ぎているのではないのかな。やはり、事故が発生した段階で、いろいろな形で検討、報告があり、検討され、そして捜査もし、やってこられたんだと思うんですけれども、少しこれは、よかったのか悪かったのか、遅かったか早かったか、議論はありますが、しかし、今後やはり、事件があったときにはそれに対応するという、そこのところは一つの教訓にしていただかないといけないんじゃないか、そういうふうに私は個人的には思っていますが、大臣の今後の方針をお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 お尋ねの事案につきましては、平成十八年の六月に港区所在の高層住宅において、高校生がエレベーターからおりようとしたところ、事故が起きて、挟まれて亡くなられたという事案だと思います。お亡くなりになられた市川さんの御冥福をお祈りするとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 では、なぜ二年半もかかったのかというお尋ねでございますけれども、業務上過失致死事件につきましては、一般的に、現場の実況見分、検証、証拠品の押収、関係者からの事情聴取、専門家に対する意見聴取や鑑識嘱託等、幅広い捜査を実施する必要がございます。その結果、長期にわたる事例が多いというふうに報告をいただいております。

 本件についても、警視庁においてこのような捜査を推進いたしまして、事故原因の解明や因果関係、刑事事件の所在を明らかにするため、捜査が長期に及んだものというふうに伺っておりますが、先生おっしゃられる趣旨は十分に理解でき得ますので、今後、迅速な対応ができるかできないかについてもしっかりと検証してまいりたいというふうに思っております。

田端委員 やはり、小さな事故、一つの事故であっても、これはまた、そういう犠牲をどこで、どこまで防ぐかという意味では、本当にもう最初の段階からちゃんと調べていただくということは、今後ともいろいろなことについて言えるのではないかと思っておりますので、今回のこのような痛ましい事故、もう再び起こらないように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それで、実は、最近ちょっと多い事件といいますか、事故、トラブルがあるようですが、エステティックサロン。このエステの関係で、例えば、脱毛行為をやっているとか、つまり医師法違反的なことをやっている場合とか、あるいはそのほか、誇大広告、やって効果があるとか、あるいはそのほか、高額な化粧品とか高いオプション料金とか、そういう金銭トラブルです。健康上の被害あるいは金銭的トラブル、多数あるかと思いますが、実はこれは年間一万件ぐらいの何かトラブルがあるというふうに聞いておりますけれども、これはもう大変なことだと思います。

 それで、健康被害は厚生労働省に当たるんだと思いますし、金銭トラブルは今までは経産省、特定商取引法になると思います、これが今回、消費者庁に移管されるということになれば、この消費者庁ということになろうかと思います。

 そこで、この消費者庁ができた場合に消費者庁はどう対応されるのか、これは野田大臣にお伺いしたいと思います。そして、それが、消費者庁はもちろんそうですが、今度は、そういう意味ではいろいろな、事件性ということもあって、これは国家公安委員長として全く消費者庁に任せきりというわけにもいかないのではないか、こう思いますが、両大臣からお願いしたいと思います。

野田国務大臣 エステティックサロンにつきましては、昨日の委員会でも同様の御質問がございましたけれども、強引な勧誘行為が行われたり、また、今御指摘のように、医師免許を持たない者が医療行為に該当する行為を行うなどの被害が多数生じているところです。

 消費者庁は、悪質なエステティックサロンによる消費者被害が発生した場合、一元化された情報集約ルートをもとに集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対してまず注意喚起を行います。

 また、今先生御指摘のとおりですが、誇大広告や不実告知等、みずから所管する特定商取引法に違反する事実が疑われる場合には、消費者庁がみずから所管します特定商取引法に基づき、事業者に対して立入検査を行い、その結果、必要な場合には業務停止命令を実施するなどの対処を行わせていただきます。さらに、医師免許を持たない者が医療行為を行った、そういう場合には、警察に対して告発を速やかに行います。

 このように、消費者庁みずから所管する法律を執行するとともに関係省庁に法執行を働きかけるなど、消費者行政の司令塔として政府全体の調整を行わせていただきます。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたようなこと等々、今野田大臣からおっしゃられた、医師免許を持たない者を医師法違反で検挙をしたという報告等々もございまして、今後とも、厚生労働省を初めとして関係省庁と綿密な連携を図りまして、国民の健康被害を伴う悪質な事案につきましては、健康被害の拡大防止の観点からも、速やかに対応するように警察を指導していきたいというふうに思っております。

田端委員 ありがとうございます。

 野田大臣にちょっと確認させていただきますが、消費者庁が何らかの情報を、全国の情報を一元化されるわけですから、そこに入ってきた情報の中で、これは警察でぜひ調べるべきだというふうな判断をされるようなことがあった場合に、警察関係に例えば消費者庁からの連携ということは、それはもう当然あるというふうに考えているんでしょうか。

野田国務大臣 そのとおりでございます。

田端委員 私は、これは消費者庁ができることによって、国民の意識も変わるし、そしてまた事業者の、経営者の、事業家の意識も変わっていただきたいなという思いで、ちょっと一例を申し上げます。

 一九八二年、アメリカで起こったことでありますけれども、ジョンソン・エンド・ジョンソンという会社、これが頭痛薬タイレノールというのを製造しているわけですが、これにシアン化合物が混入されていたということで七人の市民が亡くなった。そして、シカゴ警察がそれを突きとめて発表した。このときに、私は大変経営者がすごいなと思ったのは、ジェームズ・バーク会長がみずから記者会見をして、そして、タイレノールは飲まないようにというテレビ広告を打って製品の回収に全力を挙げた。これがいろいろな報道をされて、一説には一億ドルぐらいかけたと言われておりますけれども、市場に出回っていたものを回収して、しかも、回収したものに対しては、今度引きかえ券を渡して後に安全な新しい薬と交換する、こういうことをやられたようであります。

 この六カ月後に、異物が混入できないようにカプセルや包装形態も全部変えて、そして新たな広告を出してキャンペーンをやったところ、タイレノールは九〇%もとへ戻って売り上げを回復した。こういうことで、このバーク会長は最もすぐれた経営者ということで当時称賛された、こういうことであります。

 こういう事件が起こったときに、企業もやはり迅速な対応ということが、被害を拡大しない、防止するという意味では一番大事なことであり、しかも大変な努力、犠牲まで払って、しかし、信用というものの大事さを本当にお金をかけてまでそういうふうにしてやったという、これが大事だろうと思うんです。

 だから、消費者庁ができることによって意識がこういうふうに変わっていくように消費者庁がリーダーシップを発揮しなきゃならないし、そしてまた、こういう事件に対して迅速に手を打っていく、これが大きなポイントだと思うんです。例えばグリコ・森永事件のような、これは同じころなんですけれども、あれは結局うやむやになってしまっていて、わからなかったということであります。

 だから、そういう意味では、意図的なこういう犯罪、今後テロとかそういうことも考えられますから、それぞれの生産過程における、製造工程における管理あるいは流通段階、そして販売、そういったところに至るまでのあらゆるガイドラインというものを想定した上で、消費者庁は企業に対してもある種リーダーシップをとって、いろいろなことを言っていっていただくことが、このような事件、犯罪を防ぐことにもなるんではないかと思います。

 消費者行政担当大臣として、この辺のところをどう具体化させるか、お願いしたいと思います。

野田国務大臣 そもそも、消費者被害が多発するさまざまな原因、特に指摘されていたのが、明治以来、殖産政策のもとで立脚している今の行政組織のあり方、縦割り行政にあるんじゃないかということは、先生御指摘のすき間事案とか、またはパロマのように、役所が聞いていたけれどもなかなかきちっとその情報がオープンにされず、事故がどんどん拡大していったとか、さまざまな、行政の中で反省すべき点があります。

 そこの根底にあるのは、常に消費者の立場に立って自分たちの行政サービス、行政組織が動いていたかというところに大反省があると思い、そんな中で、やはり内閣総理大臣のもと、内閣にかぶるような形で消費者庁というのができることで、とにかく常々、日々日々、消費者最優先という思想がやはりこの行政サービスの中にも組織の中にも根づくことで、何か事故があったときに、誤操作を疑うのではなくて、そこの製品に何かあったんじゃないか、そういう速やかな思考がこの国の中で蔓延することによって、やはり消費者最優先の新しい国家と、消費者にとって安全、安心の国づくりがなし遂げられるのだと思っております。

 そういった意味で、消費者庁というのは何だか事業者いじめじゃないかということをおっしゃる方がいるけれども、そういうモラルの高い、安全、安心な、マーケットの中で生き残った事業者こそやはり消費者にとってよりよきパートナーで、今おっしゃったジョンソン・エンド・ジョンソンのような名誉をかち得ることができるし、やはり世界的にもそういう権威を持てる、その実力を発揮できる、そういう健全な事業者として育っていただけるものと。つまり、消費者庁というのは消費者を守るだけではなくて、やはり消費者にとって信頼に足る事業者が健全な市場をつくっていくという、経済的においても、双方がウイン・ウインになるような、そういうバランスのとれた社会をつくっていく意味では、大きな役割を持っていくと思っております。

田端委員 佐藤大臣も、警察関係も消費者庁ができたことを一つのきっかけにして、犯罪に対しての意識も、そういう意味ではぜひ被害を防ぐ、そして拡大を防ぐ、できるだけ迅速に対応する、こういうことをまたさらに御徹底いただいて、そしてより犯罪のない、そしてまた健康被害のない、そういう社会に、ぜひよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日もこの法案についての質問をさせていただきます。

 実はきのう、私の国会事務所に準備室の方から電話がかかってきました。これまでの議論を踏まえて意見交換をしたい、室長がというお話がございまして、ちょっと意図がよくわからなかったものですから、現段階ではお断りを申し上げました。

 公務員制度改革のときもよく言われましたけれども、いわゆる政治家が求めない状況の中で、官僚の皆さんが、事務局の皆さんが議員会館内を立ち回られて、さまざまな、御意見伺いと称した形での根回しを行う、このことは随分と公務員制度改革のときにも批判をされたのではないかなというふうに思うわけですが、大臣は、こういった動きについては御存じの上で、御了解をした上でこういったことになっているんでしょうか。

野田国務大臣 直接それを命令したとか、そういうことではないんですけれども、恐らく、先日、国民生活センターを先生が御視察されたという話は私の方に、私が担当しておりますので、いろいろと見ていただいたということも聞いておりましたので、どういう状況だったのかな、実際に国センを見ていただいて、どういう御感想を持たれたのかなという情報を担当である大臣に届けたいという意向も十分あったのではないか。

 ありとあらゆる、ここでは語り尽くされないいろいろな話もフランクに聞かせていただく中で、別に根回しとかそういうことではなく、いろいろな意見を聞かせていただくということではなかったかと思っております。

泉委員 松山室長にお伺いをしますけれども、こういった議員のところを、議員から求めがなくてもさまざま御説明に回ってはおられますか。

松山政府参考人 お答えを申し上げます。

 大臣、先ほど答えていただきましたように、なるべくいろいろな皆様のお考えを伺わせていただければということで、もちろんお忙しい、御都合がつかない方もおられます。そういうことでありますので、無理なことは申し上げておりませんけれども、いろいろな方からお話を伺って、勉強しながらやっていく、そういうつもりで取り組んでおります。

泉委員 ちなみに、室長にもう一問お伺いをしたいんですが、つい先日も参考人質疑がございました。さまざまな参考人の方から非常に貴重な御意見をいただくわけですけれども、こういった参考人の方々に対しても、事前に例えば現在の審議の状況ですとか、そういったことを説明されているんでしょうか。

 もう一つは、今度また四月六日に地方公聴会もあるわけですが、その公述人の方々に対しても、やはり事前に現在までの質疑の状況ということで、皆様から御説明をされることはあるんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 参考人の方々、それからまた地方公聴会におけます参考人の方、それぞれお求めがあれば、こちらの方から、少なくとも政府として提出させていただいております法律の内容につきまして、これはできましたら正確に御承知おきいただいた上で陳述をやっていただけるのがありがたいというふうに思いますので、お求めがあればそういうことは御説明をする、そういうふうにいたしております。

泉委員 まず、それは現段階でされたものがあるということですか。求めがあればということで、求めがあって、現になされたということでよろしいですか。うなずいていただきましたので。

 今お話がありましたけれども、一つは、こうした参考人という形で御意見をいただく方というのは現場も非常に御存じで、法案の中身もよく知っておられる、そういう方々に説明をされる必要も果たしてあるのかということも思います。

 もう一つは、求めがあればという話でございましたが、そこが実は必ずしもそうではないのじゃないかというふうに我々は疑念を持っている状況でございます。そういった意味では、事務局から御説明に伺いますということをこれまで我々は許してきたわけですが、しかし、それも我々は気をつけなくちゃいけないと思います。

 事務局の御説明が、必ずしもそれが与野党の両案を公平に説明をしているわけでもないでしょう。ましてや政府案をつくってきた方々なわけですから、その方々が、ある意味我々からすれば、場合によっては一方的な説明になったとしても、民主党案の説明をする機会は事前にはないわけですので、そこは事務局としては、求めがあって説明をできる範囲というものはよくよくお考えをいただいて、行動をしていただきたいということは、まず最初に申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、中身に入らせていただきたいと思います。

 前回の質問では、通知の件について取り上げさせていただきました。やはり、重大事故等の情報を集約するといっても、その重大事故という定義がはっきりしなければ各機関は動けない、そしてまた、その端緒から重大事故かどうかというものを判断することが大変難しいんではないかということを申し上げさせていただきました。特に、きょうお呼びをしています警察、消防、こういった組織なんかについてはなかなか、警察でいえば捜査情報もあり、これまでは、これが消費者被害につながるものだ、消費者被害に該当するものだというような認識をすぐ持つことができなかったということがあったんではないかと思います。

 そういった中で、野田大臣、前回の御答弁では、重大事故等とは、死亡、重症、一酸化中毒等としているというふうに、速記録を見ればですけれども、そういうふうに書かれております。これは理事会に出していただくようにということでお願いをしておりましたが、現在どのような状況になっていますでしょうか。

野田国務大臣 私、ちょっと確認していませんが、きょうの理事会で提出させていただいたけれども、正式には受理をされていないということでよろしゅうございますか。一応、提出はいたしました。

泉委員 提出はいただいたということでありますが、実は余りに中身が漠としているものでありまして、これでは説明不足だということで、我々はさらなる説明を求めておるわけです。

 結局は、一つ一つの事例は、まさに消費者事故等、重大事故等に当たるかどうかということによって、これは全体の権力の発動も大きく変わってくるわけですので、そこが非常に大事じゃないかというふうに私は思っておりまして、この政令で定めるとしているものについての見込み事項ということで出していただいたわけでございます。

 例えば、ちょっとお伺いをしたいわけですが、重大事故等、きょう提出があった案のものでございますけれども、死亡、重症、一酸化炭素中毒等というふうなものを想定されているようですが、重症とは何を指すのか、準備室、お願いいたします。

松山政府参考人 重大事故等におきます死亡、重症、一酸化炭素中毒のうち、重症につきましての御質問でございます。

 当然、具体的には、本委員会での御議論も踏まえまして今後検討していくこととなるわけでございますけれども、消費生活用製品安全法の重大製品事故報告・公表制度というのがございます。昨日も御審議がございましたけれども、その基準、そういったものも踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

 ちなみに、消費生活用製品安全法の施行令におきまして、重大製品事故の要件といたしまして、重症につきましては、「負傷又は疾病であつて、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治つたときにおいて主務省令で定める身体の障害が存するもの」、そういう規定がございます。

泉委員 まさに、そういったことを書かずにきょう文書が出されているわけですね。やはり、今こうして御答弁いただけるのであれば、もう少し詳しく説明をしていただきたい、そういった資料をつくっていただきたいということを、改めて出し直しを委員長にはお願いしたいというふうに思います。

船田委員長 ただいまの件につきましては、さらに理事会において協議をさせていただきます。

泉委員 ありがとうございます。

 やはり重大事故が明らかにならなくてはならないわけですが、もう一つ、「重大事故等の要件」というところに(二)というのがございまして、「(一)のおそれがある事態の具体的要件」というものが書いてございます。この中に、具体例としては、重要部分の破損・故障等、毒物・劇物等の含有・付着、窒息、火災等の異常事態ということでございますが、ここで言うところの火災というのはどこまでを指すのか。例えば、ぼやですとか、あるいは焦げですとか、やけどですとか、さまざまあるわけですが、この火災というのは何を指すのでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 火災の定義についてでございますけれども、これも私ども今御審議も踏まえながら検討中でございますが、ちなみに消費生活用製品安全法の規定を参考にいたしますと、火災については、火災という規定のみになっておりまして、かなりの程度のものまで含み得る、そのように考えております。

泉委員 これは後でまた質問の中で少し触れていきたいと思います。

 そういった中で、事故情報がどのように伝達をされるかというところも気になるところでございます。きょうは国家公安委員長にもお越しをいただいておりますが、まず野田大臣にお伺いをしたいんですけれども。

 情報の連携ということで、国民生活センターと現場のさまざまな機関が連携をすることになっている。その中で、警察も含まれているわけですね。国民生活センターと警察が連携をされるということが一つあるわけですけれども、それは日常からの連携というものも含まれてのことであると。そうすると、例えば重大事故の際に、都道府県警というのは都道府県知事を長とされるわけですね。一方で、警察組織、これは警察庁がございます。重大事故については、警察庁はどちらのルートを使って現場から消費者庁に情報を上げようということを想定されているのか、大臣、お願いいたします。

野田国務大臣 消費者安全法、これの十二条に、消費者事故等に関する情報を消費者庁に一元的に集約することを目的とする規定がございます。この趣旨を踏まえて、国の行政機関への情報集約システムが確立されているような場合については、そのルートで通知すれば足りることとしています。都道府県警察の情報につきましては、警察庁において全国的な見地から情報の収集、集約が行われると聞いておりまして、これが十分機能するのであれば、警察庁を通じて消費者庁に情報を通知してもらうことになると考えております。

泉委員 警察庁の方も改めて確認ですが、では、これは都道府県知事から通知が行われるのではなくて、警察庁の方からこの重大事故等の通知が行われる、これでよろしいですか。

佐藤国務大臣 今、野田大臣がお答えのとおりだというふうに承知しております。

泉委員 ありがとうございます。

 これも、これまでの中で都道府県知事の方からではないかというような話がございましたので、今回の件ではっきりできたかなというふうには思います。

 それで、少し具体的な例に入っていきたいと思いますが、きょう資料をお配りしております。横書きの表になっている資料でございますが、三枚ございます。これは、「国民生活センターから関係省庁・業界団体等への要望・情報提供の状況」というものでございます。「(主なもの)」と書いてありますけれども、国民生活センターは、例えば商品テストを行ったり被害が多発しているケースについては、情報提供や要望を行っているということでございます。国民生活センター、きょうお越しをいただいておりますけれども、この業界団体や関係省庁への要望、情報提供、これはどういった基準で行われているものなのか、また何件ぐらい行われているものか、御説明いただけますか。

田口参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターにおきましては、PIO―NETで収集されます相談情報等をもとに、消費者トラブルが著しく増加していたり、あるいは重大な被害が生じている事案など、その時々において重要な問題を取り上げまして、苦情相談の特徴あるいは問題点を整理、分析いたしますとともに、消費者への周知等を図り、また行政機関や業界団体等に対し情報提供を行っているところでございます。

 こうした中で、制度、政策面の対応や規格基準の設定等が必要なものにつきましては、事案の内容に応じまして、関係の深い行政機関や業界団体等に対して必要な改善方策を要望しているところでございます。

 件数についてのお尋ねでございますが、国民生活センターにおきましては、通常、月に二回程度、記者説明会を行っておりまして、この場で各種のその時々の重要な問題を取り上げて情報提供をしております。これは月三、四件というようなペースで行っておりまして、その一般消費者への情報提供とあわせまして、行政機関あるいは業界団体等への要望、情報提供等も行っているところでございます。

泉委員 ここで、情報提供がこれまで行われてきたわけですけれども、どのように機能していたのかということを少し確認したいというふうに思います。

 例えば、平成二十年、一枚目の紙ですけれども、「シートベルトのロック機構にご注意」というのがございます。

 これは実は、最近、シートベルトをみんなが、後部座席でもシートベルトを着用するようになったわけですけれども、子供さんなんかを中心に、急ブレーキをかけたときにシートベルトにロックがかかる、このロックが、時に、通常運転している際に子供さんがさわっているうちに自動的にかかってしまって、それを外そう、外そうと思っているうちに、どんどん締まってくる。締まってきて、締まってきて、最後は窒息をするというような状況、あざができるとか、いろいろなそういう被害が起こっていて、国民生活センターから「シートベルトのロック機構にご注意」ということがテーマとして出されて、情報提供先に警察庁長官官房、これは総務課の広報室の方ですけれども、こちらの方に情報提供がされた。

 警察庁にお伺いをしたいと思うんですが、これはどのような御対応をされたでしょうか。

巽政府参考人 お答え申し上げます。

 警察といたしましては、国民生活センターからいろいろな情報提供を受けまして、必要に応じて関係都道府県警察に情報伝達するなどの対応を行っているところでございますが、ただいま委員から御指摘の当該シートベルトのロックの情報に関しましては、この情報を受領いたしました警察庁の総務課広報室において、担当者の手控え的な参考情報として取り扱ったというふうに聞いております。

泉委員 国民生活センターに改めてお伺いをしますけれども、今警察庁がおっしゃったように、参考情報として広報室に置かれたということでございますが、この対応で十分だということでございますか。

田口参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のシートベルトのロック機構の問題でございますが、これにつきましては、そういう製品上の問題があるということで、消費者の方々への情報提供あるいは注意の喚起というようなことも非常に重要だということで、消費者の方々へのアドバイスを中心に提供いたしました。

 あわせて、関係の行政機関に情報提供を行ったわけでございますが、この際におきましては、情報提供としては、こういう問題があるということを御指摘するということで、直ちに特段の対応を求めているというものでは必ずしもございません。行政機関側においても、そうした状況を十分御認識いただくとともに、消費者の側においてもそういう事故につながらないように御注意をいただくということで情報提供いたしたものでございます。

 その対応が十分であったかどうかというのは、私どもの立場からはお答えは控えさせていただきます。

泉委員 警察庁にもう一度お伺いをしますけれども、例えば国民生活センターからこういった情報提供がございました、この「シートベルトのロック機構にご注意」ということで、過去の被害事例なんかは御調査なされましたか。

巽政府参考人 警察庁におきまして具体的にこの情報を受けて何か対応をしたかという点でございますけれども、私の承知している限りでは、あくまでも参考情報として取り扱わせていただいたということでございます。

泉委員 公安委員長、これは、例えばこういうことだと思うんですね。

 国民生活センターは、さまざまな事例があって、例えば事例が幾つか挙げられております。小学校二年生の息子を後部座席に座らせ、シートベルトをするように指示した、子供が痛いと言い出したので調べてみると、ベルトが締め上がっていた、どうやっても外せずベルトをはさみで切った、おなかに二ミリ幅の青あざができていた、販売会社に申し出たが親の不注意だと言われた。

 あるいは、この国民生活センターの説明資料の中には、「二〇〇一年に群馬県で、駐車中の車内で四歳の幼児が窒息死した事故がシートベルトのロック機構が作動したことによる可能性が高いとされている」、こういうことも記者発表の中で出ているわけですね。

 死亡事例もあったかもしれないというような情報提供が国民生活センターから警察庁になされたときに、国民生活センターは関係機関にも知っていただきたいということでありますけれども、現在は広報室に据え置かれてしまった、恐らく組織全体には伝わっていないでしょうということですね。

 こうなっている状態、こういう死亡事例もあるかもしれないということについて、では、公安委員長、よろしいですか、これまでは仕方がないかもしれない。しかし、これは死亡事例があるかもしれないという状況であれば、やはり今後は調べて、場合によってはこれは重大事故にもなっていくのではないのかなというふうに思うんですね。その辺、今のやりとりを聞かれていて、今後はどのように変えていくべきだと感じますか。

佐藤国務大臣 先生から今お話にございました点等々、十分に把握をできるようなシステム等々をよく考えた上で、対処いたしますような体制をとっていきたいというふうに思います。

 確かに、広報だけでの判断では誤ってしまうというところもございますし、そういう情報伝達がしっかりと上まで伝わるようなシステム等々も警察庁としては考えてまいりたいと思いますし、指導していきたいというふうに思っております。

泉委員 私、何の情報でもという話ではなくて、国民生活センターがわざわざまとめて分析をされたそのデータですから、それが余り意味がないという話だったら、これは何のためにやっているのという話にもなると思うんですね。

 そういった意味で、国民生活センターの方にも、もちろん情報提供ということで、要望先ということと別に情報提供先というものがありますから、ある意味、情報提供先ということは要望は何もありませんということの証明かもしれませんが、しかし、本当に何かをしてほしいのであれば、やはりそこはもう少し目的を持った情報提供をしていただくべきではないかな、あるいは事前にもう少し連携をした上で情報提供していただくべきではないかなと思うんです。

 その一つの例なんですが、もう一つ挙げると、平成二十年三月、そのシートベルトのロックの下のところでございますけれども、「危険!!レーザーを用いた違法な玩具などが売られている!!」ということがございます。この情報提供先がまた警察庁長官官房広報室、こちらの方にされておるわけです。国民生活センターはなぜこの情報を警察庁に提供したんでしょうか。

田口参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のレーザー玩具でございますが、この事案におきましては、消費生活用製品安全法におきまして特定製品ということで指定されておりますが、この場合、法律で義務づけられておりますPSCマークをつけることが必要なわけですが、本件におきましてはPSCマークをつけずに販売されておりまして、この違反には罰則が伴いますことから、警察庁に情報提供を行ったところでございます。

泉委員 警察庁にお伺いをいたします。この情報提供を受けて、何か行動はされましたか。

巽政府参考人 この情報につきましても、警察庁の総務課広報室が受領したわけでございますけれども、参考情報として扱ったというふうに聞いております。

泉委員 これは見事ですね、大臣、この連携のなさ。思いませんか。本当に今まではこうだったんですよ。それに対して、今後どうするかと本当に考えなきゃいけないですね。本当に考えなきゃいけない。特にやはり国民生活センターが、私は、悪い言い方をあえてすれば、定期的に情報をいろいろなところに送っている、仕事のルーチンとしてもう常態化してしまっていて、実はそれ以降のことは余り思いをはせていなかった。本当に何とかしてほしいという思いの中でやっておられていたのかどうかというところ、それがあれば、もう少し関係省庁とやりとりをされていてもいいんじゃないかなと思うんですね。

 ですから、絵的には今後きれいになりますが、ふだん、これまでの情報提供だとか連携というのはこんなものなんですよということをよくよく認識していただかなきゃならないし、そして、消費者庁だけできればいいという話ではないということは野田大臣も再三おっしゃっていますけれども、まさにそうで、各省庁がよほど意識を変えないと、これは、いただいた情報はその部局の中だけでとめ置いておきます、全く次の参考情報になりませんということが、今回こういった形で明確に示されているんじゃないかというふうに私は思います。

 きょうは消防庁の方にもお越しをいただいておりますが、消防庁の方にも幾つか質問させていただきたいと思います。

 例えば、これまたきょうの参考資料の一枚目でございますが、平成二十年二月、「ガステーブル等のグリル火災に注意!」ということがございます。

 何と、東京の消防庁で調べたところ、火災原因の三番目がガステーブル等ということで、もちろん半分はてんぷら油の火災ということなんですが、このガステーブルのグリル火災というものも相当多いということが国民生活センターからのこれまた発表資料の方で明らかになっております。実は、一番冒頭の質問に戻るわけですけれども、先ほどの政令規定見込み事例ですね、この中の重大事故のおそれがある事態の具体的要件の中に、窒息、火災等の異常事態というものが入っておりまして、火災というものは重大事故だという位置づけだというふうに思います。

 この「ガステーブル等のグリル火災に注意!」ということについては、国民生活センターは要望先としてはどこにも要望しておらない、情報提供の中に総務省消防庁が入っているということでございますが、消防庁さん、この件については消防庁としてどのような対応をされたでしょうか。

株丹政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました、二十年の三月に国民生活センターからちょうだいをいたしました情報につきましては、消防庁の担当課におきまして情報の共有を図る等をしてございます。しかしながら、消防庁からの改めての外部への情報提供等はしておらないというところでございます。

泉委員 国民生活センターさんは、本当に消防庁にお伝えをして満足だということでこの情報を提供されていたんでしょうかね、火災という事例で。しかも、このガステーブルのグリル火災については、PIO―NETの中に、火災としても九件、発火、引火が四十三件、その他いろいろありますけれども、相当な事例が挙がってきております。

 さらにもう一ついきたいと思いますが、アメリカ製のガス衣類乾燥機による火災というものがございました。二枚目の資料の真ん中ほどですが、二十年十月、「米国製ガス衣類乾燥機により火災―リコール対象品の改修漏れによる事故―」、これについては、情報提供先に消防庁すら入っていないんですね。内閣府国民生活局と経済産業省商務情報政策局のみに情報提供となっている。

 国民生活センターさん、これはどういう理由からなんでしょうか。

田口参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のガス衣類乾燥機による火災の事案につきましては、こうした情報提供を受けまして、既にメーカーの方からリコールの社告が出ておりまして、リコールが進みつつあったということで、この情報提供の目的としては、回収促進のための消費者への情報提供、これを第一義に考えたところでございます。したがって、このような情報提供先とした次第でございます。

泉委員 今の国センの説明も、消費者に対して製品がおかしいからという情報提供を優先させたということでありますが、一方で、火災の危険性があるということについて消防関係からは何も情報は伝わっていないし、私も地元の京都で消防団をやっていますけれども、恐らく、消防団の方にもそういった通知だとか広報というのは一切来ていないわけですね。いわゆる地域の消防隊、消防署にも、恐らくこの情報は来ていないでしょう。

 まさに、メーカーにさえ伝えればいいというところが、メーカーから消費者にやってくれるだろうという、このことがいわゆる消費者目線じゃないということの証明じゃないですか。消費者目線で物事を考えていなかったということではないでしょうか。実は、自然と国民生活センターですらそういうことにもうなれてしまっていたという状況ではないかと私は思います。

 この参考資料の二枚目の一番下、十一月に「製品の不具合が目立つハロゲンヒーター」というのがございます。先ほど国民生活センターさんの方からは、リコール対象品で、ガス衣類乾燥機についてはリコールが進んでいるという状況もありましたのでという話がありましたが、実は、このハロゲンヒーターについては、倒産した会社ですとか非常に不安定な輸入代行業者みたいなものがあって、回収が全然進んでいないという例がいっぱい出てきております。しかしながら、ここについても、要望先にも情報提供先にも消防庁は全く入っておらないという現状でございます。

 そういった今の状況、一つ一つ取り上げましたが、警察に関して、そして消防に関して、消防庁のホームページも見ましたけれども、消防庁の出している、いわゆるこの火事に気をつけましょうという情報と国民生活センターが出されている情報とがほとんどリンクしていないんですね。非常にリンクしていない。

 消防庁の方では、セルフスタンドにおける火事に気をつけましょうとか、あるいは消火器の販売に気をつけましょう、こういうのは出ているんです。でも、せっかく国民生活センターから出てきたこの情報提供についてはほとんど無視ですよ。これではとても連携とは言えませんね。ではこれをどうやって消費者庁で改善するんですかということがわからなければ、私は、実は絵にかいた連携ではないか、これは実際には何も変わらないのではないかというふうに思います。

 野田大臣、今の状況を聞いて、改めて御見解をお願いいたします。

野田国務大臣 今、泉先生の御指摘を聞いていればいるほど、急いで消費者庁をつくってしっかりとそういう不備を改めていかなければならないなと強い思いに駆られているところでございます。

 国民生活センターは消費者庁ではございませんから、やはり、情報をPIO―NET等で集めて、そして国民生活センターのレベルにおいて、危険を察知したら情報を公表したりとか商品テストをするということを今一生懸命取り組んでおりますけれども、当然、独法ですし、法的な裏づけがないまま他の省庁に措置要求とかできないわけでありまして、それはここまでがやはり国民生活センターの限界であり、その限界があるにしても、今度は消費者庁ができることにより、国民生活センターはそのもとでやはり集中的に情報の一元化の担い手となっていく、基地となっていくわけですね。

 消費者庁というのは、その責任のもとで、国民生活センターに寄せられた、または地方消費生活センターに寄せられた、さらにはさまざまな行政機関に寄せられたものを一元的にきちっと責任を持って集める。そして、それを集めるだけじゃなくて、分析をして調査をするなりして、正しい情報を、注意喚起のために消費者には速やかに全国にこの情報を流すとともに、やはり権限を持ってそれぞれの対応している役所に対して措置並びにいろいろな、みずから立ち入りをするなどして、今滞っているという話がありましたけれども、そういうことも踏まえて、やはり消費者庁は反省のもとに新たな行政組織をつくるんだということで御理解いただければありがたいと存じます。

泉委員 私は、まさにそこで民主党案、政府案についても一つ違いがあると思っていまして、消費者事故等、そして重大事故等と分けていく中で、やはりそういった分類が分かれるようになってしまうと、現場が非常に混乱すると思うんですね。

 何が消費者事故で、何が重大事故でということが今徐々に示されつつはありますが、そこが非常に混乱をするということで、例えば、さっき、火災ということが重大事故等には含まれておりますけれども、今私が挙げたようなガス衣類乾燥機による火災、あるいはガステーブルのグリル火災、あるいはハロゲンヒーターでも火災、さまざまこういった火災事例がある。では、本当にこれが重大事故として位置づけていただくということであればいいですが、非常にここはわかりにくいですね。現場に浸透するまで本当に大丈夫なのかという気がします。

 一方では、民主党案というのは、消費者問題を一括してとらえて、問題があればちゃんと上に上げるという情報提供の仕方になっていますので、そこが、私は政府案に対して非常に不安を感じるところでございます。そういったことを御指摘しておきたいというふうに思います。

 残り十分でありますので、もう一つ。

 その前にもう一つお伺いをしておきたいんですけれども、法案の中に分析というものが幾つか出てまいります。例えば八条一項二号のハには、都道府県が商品あるいは相談のさまざまな分析をするということが書いてあります。一方で、十三条、十四条にも分析というものが出てくる。

 いろいろな形で分析、調査というのが行われるわけですが、今、正直言いまして、消費者関連の予算がどんどん減る中で、都道府県の商品テスト室は閑散とした状況である、せっかくの機材も放置をされてほこりをかぶらざるを得ないという状況にございます。そういったことも含めて、国民生活センターも、今一生懸命頑張ってはいるわけですけれども、これまた人材が少ない。

 では、果たして今後、例えば今私が幾つも挙げた事例についても、国民生活センターが商品テストをされたものも幾つもございます、消費者庁は御自身で分析をされるのか、それとも国民生活センターやNITEに依頼をして消費者庁そのものは分析というものは行わないのか。あるいは、都道府県をどのように位置づけるのか。この辺の役割分担がいまいちはっきりしないんですね。

 法案においてもさまざまな書き方がありますけれども、この分析というものについて消費者庁としてはどのように行うつもりなのか、もう一回御答弁をお願いします。

野田国務大臣 今の御指摘は、消費者安全法第十四条におきまして、「内閣総理大臣は、」「関係行政機関の長、関係地方公共団体の長、国民生活センターの長その他の関係者に対し、」「消費者事故等の原因の究明のために必要な調査、分析又は検査の実施その他の協力を求めることができる。」としておりまして、つまり、消費者庁の業務に必要な商品テスト、今御指摘の商品テスト等の実施に当たりましては、ここでも何度も話しましたけれども、消費者庁みずからが行うには体制面からの限界がございます。ですから、消費者庁の主導のもと、国民生活センターや今のNITE等の関係機関に対し、今の法律に基づき協力を求めることにしています。

 以上、検査についてはこういうことになっています。

泉委員 さらに、きょう、公安委員長にもお越しをいただいておりますが、推進会議の中で所管の法律二十九本以外に検討なされたものとして、警備業法が挙げられておりました。ただ、一方で、警察庁の方から事前に御説明いただくと、別に推進会議の方からは事前に問い合わせはなかった、あくまで推進会議側で御検討なされたのではないですかということでありましたけれども、公安委員長、そういった見解でよろしいでしょうか。

巽政府参考人 警備業法の関係につきましては、もちろん事前のいろいろな協議の段階で私どもとしてもいろいろなお話を申し上げたところでございますが……(泉委員「協議はしたんですか」と呼ぶ)紙の上でいろいろな私どもの意見を出したところでございますが、最終的には推進会議の方で決定をされたというふうに伺っております。

泉委員 済みません。私が御説明を事前に部屋で聞いたときには協議はされていないというふうにお伺いをしていましたので、全く違う御答弁でありましたのでびっくりしましたが。

 もう一つ、探偵業法、これは議員立法でありますけれども、実は探偵トラブルというのは非常に多いわけですね。国民生活センターに対しても、興信所に関する苦情相談というのが一年間で千件以上、常に来ております。これは、やはり契約に関するトラブルが非常に多くて、最初は安い値段で探偵をやってくれると思ったら後で高い値段を吹っかけられた等々、そういった事例が非常に多いということで、業界の方からも業界の適正化と消費者の保護ということを求めながら、これは議員立法で探偵業法というものがつくられました。

 そういう中で、ただ、この推進会議の中では、こういった探偵業法は議論にもどうやら上がっていないということでありまして、その辺は理由はよくわからないわけですけれども、警察庁、何かわかることがあれば、御説明をお願いいたします。

巽政府参考人 探偵業法につきましては、これも最終的に推進会議の方の御決定だというふうに伺っておりますが、それ以上のことについては私どもとしては承知しておりません。

泉委員 先ほど警備業法の方は協議をされたとおっしゃいましたね。事前に協議をされたんですね、警備業法の方は。ちょっともう一回整理してください。

巽政府参考人 済みません。警備業法につきまして、先ほど私は書面の上で私どもの意見を出したということで申し上げたつもりだったんですけれども、この点につきましては、そういう意味で協議というものがあったのかどうかという点についてはちょっと自信がございませんので、確認をさせていただきたいと思っております。

泉委員 そうしますと、これは、推進会議から警備業法を検討させてくれ、出してくれというふうに言われて、検討材料を出されたということなんでしょうか。あるいは、探偵業法については、警察庁の方から、これも非常に被害が多いので一緒に俎上に上げてほしいということは言わなかったのでしょうか。

 ちょっともう少し警察庁の方で整理していただいて、野田大臣、警備業法が上がっていて探偵業法が上がっていないということについては、私は少し不思議な感じがするわけですね。さまざまな法案を並べるときの基準があって、そのときに、消費者被害がやはり多いものだとかいろいろなものがあったわけですけれども、警備業に関する苦情というのは年間約二百件、警備サービスに関するというのも入れると大体三百件ぐらいですね。探偵業については千件を超えている。国民生活センターで常にコンスタントに千件を超えるというのはなかなかそうないのじゃないかなと思いますけれども、この探偵業法については何か全く視界に入っていなかった雰囲気すら覚えるわけですが、抜け落ちていたという雰囲気すら覚えるわけですが、何か理由があるのでしょうか。野田大臣、お願いします。

野田国務大臣 警備業法も探偵業法も、それぞれ資料要求はしまして検討はいたしました。結果として、それぞれ業法ですけれども、その目的、行為規制の内容から判断して、消費者庁として所管すべき二十九本の法律には該当しないと判断いたしました。

 以上です。

泉委員 理由もちょっとわからないのと、今資料要求されたと言ったけれども、警察庁、資料要求あったんですか。さっき、警備業法しかやっていないと言っていましたよね。

野田国務大臣 資料要求はしたけれども協議はしていません、そういうことです。一方通行。

泉委員 理由を教えていただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 探偵業法につきましては、探偵業につきまして必要な規制を定めることによりまして、その業務の運営の適正化を図るということでございまして、例えば、届け出制度でございますとか重要事項の説明、書面交付義務といったものを定めている法律でございます。

 検討のプロセスにおきまして資料要求を推進会議の方でされまして、検討は内部的にはされたものと承知しております。ただ、探偵業法につきましては、探偵業務の適正化を図ることが主たる目的になっている、消費者利益の擁護、増進自体が主たる目的となっていない。また、行為規制といたしまして確かに重要事項の説明、書面交付等はございますけれども、契約内容を明らかにしてその後の契約関係をめぐる紛争の予防に資するために、それを主たる目的としてそういう制度が設けられているというふうに理解をしております。そういうさまざまな御判断の中で、対象にしなかったということだと承知しております。

泉委員 そのまさにさまざまなというものが全く我々へ見えてこないですね。

 この探偵業法にしたって、業界の適正化をもってやはり消費者、国民の利益ということが大もとの目的なわけでして、業界を適正化すればそれでいいという法律ではないはずです。そういった意味では、非常に消費者被害も多いこういったものについてもカバーをできていない。

 もっと言えば、推進会議の中の検討例でも示されてもいないということで、この検討例で示されているものの中にも消費者被害がいっぱいあるものもございますけれども、それが外れているということについては非常に不十分ではないかとやはり思わざるを得ません。

 そういった議論がやはり透明になっていかなければ、今後消費者行政を透明化していくというふうに言っても、全くその議論の中身がわからない。

 きょう、実は触れたくて触れませんでしたけれども、例えば、消費者政策委員会の常勤、非常勤の問題についても、実は、消費者政策委員会の文言というのは、この推進会議の議論の中でほとんど出てこないんですね。推進会議の方で最終的に閣議決定された基本計画の中でも常勤、非常勤については明確に触れられていない状況にもかかわらず、九月の段階では、これは全員非常勤ということになってしまった。

 その点も実は、我々からすると、合点がいく理由が全く見えてこないということで、やはり消費者行政を透明化していただくのであれば、まずはこの議論の過程をもっと透明化していただきたいし、事務局の持っていただいている案をもっと透明化していただかないと、これはこの先が思いやられるというふうに言わざるを得ません。

 そのことをお伝えして、私の質問を終わらせていただきます。

船田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十九分開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 野田大臣には、連日、質疑への対応、お疲れさまでございます。

 まず、午前中の泉委員の質疑を少し追っておきたいと思います。当局から事前に参考人に対して説明がなされるというのは、時によって予断を持たせかねない、また無言の圧力になりかねないと思いますが、大臣、その点いかがですか。

野田国務大臣 一般論になるかもしれませんけれども、やはり参考人はそれなりに見識をお持ちですし、専門性の高い方です。また、議事録等、速報とか、いろいろな情報も既に入手された前提で臨んでいただけると思っておりますので、そういう接触があったとしても、それなりにキャリアの中で築き上げている何かを御披露しに来られるわけですから、そんなに大宗に影響するものではないと思っております。

小川(淳)委員 いや、大臣、御認識が甘いと思いますよ。中央官庁の幹部の方というのは、やはり一般の方からしますと大変敷居の高い方です。私でもやはり怖いですものね、いろいろと御説明いただくときは。

 それで、そこは、中立公平な委員会審議の信頼性をより高めるために、ぜひ抑制的にお考えをいただきたいと思いますし、委員長にもお願いを申し上げたいんですが、参考までに、これまで当委員会で多数の参考人が意見をお述べいただきました、その方々に対して、いつ、だれが事前に接触を図ったのか、一覧にして当委員会へ御提出をいただきたいと思います。大臣の御答弁、または委員長のお取り計らいをいただきたいと思います。

船田委員長 ただいまの小川君の御要望につきましては、理事会において協議をさせていただきます。

小川(淳)委員 大臣、お出しいただけますね。だれが、いつ、どの参考人に事前に御説明に上がったかの一覧を当委員会へお出しいただけますね。

野田国務大臣 今まさに委員長おっしゃったとおりで、委員長の方でやっていただけると思います。

小川(淳)委員 それから、前回の委員会質疑、少しこれもフォローしておきたいと思いますが、地方はとにかく人件費に使いたいんだ、せっかくいただく基金ですから。手薄な人員等については、前回申し上げました、これを補充したいという声が切実であります。

 これは、なぜ人件費に使えないんだというお尋ねをいたしましたら、自治事務だという御答弁をいただきました。まさにことしの定額給付金は、自治事務だといって、その上で人件費を手当てしているんでしょう。総務省からお越しをいただいていると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。

倉田副大臣 定額給付金は自治事務かというお尋ねかと思います。(小川(淳)委員「いや、人件費を手当てしたか」と呼ぶ)そういう意味ですね。そのとおりでございます。それに関して、人件費についても補助金が出ているのではないか、こういうお尋ねでございますか。あらかじめ御質問もいただいておりますので、そういう趣旨でお答えをいたします。

 定額給付金給付事業は、国の生活対策における重要な施策の一つであり、景気後退下での生活者の不安に対処するため、家計への緊急支援として行う単年度限りの施策であります。このため、この制度の構築は国が責任を持って行い、それに要する経費は、給付金のみならず、事務費についても国が全額負担することとし、地方財政法第十六条の国庫補助金として地方団体に交付する、こういうことになっているわけでございます。

 御質問の人件費についても、定額給付金の給付事務に関連する時間外の勤務手当を対象経費とする方式で国庫補助金の対象としているところでございます。これは平成十年度の地域振興券の際に時間外勤務手当を補助金の対象とし、全額国費で措置したのと同様の措置でございます。

 以上であります。

小川(淳)委員 野田大臣、お聞きのとおりですので、法的には問題ないみたいですね、人件費に充てるのは。時間外でも結構ですよ。

 とにかく、地方の現場では今どういう議論が起きているか。何かこういう営業が来ているんだそうですよ。基金で大きな画面のテレビを買いませんかとか、トイレをシャワートイレにしませんか、あるいは、もういっそのこと、これは本当に使いたいところに使えないから思い切り無駄遣いしてしまおうかと言っている人たちもいるらしいですよ、大臣。

 やりたくもない事務を自治事務だと言って押しつけて、言葉は悪いですが、はした金を押しつけてやらせて、やりたい事業に、自治事務だというへ理屈で人件費に使えない。これは大臣、何とかお願いできませんか。超過勤務でも結構ですよ、人件費に使わせてあげてください。(発言する者あり)

船田委員長 御静粛に願います。

野田国務大臣 三月十八日の委員会に、小川委員から、なぜ自治事務では人件費が手当てできないかという御質問をいただきまして、宿題ですねという話をさせていただいたと思います。

 まず、今回、基金を都道府県に置かせていただくわけですけれども、約三年、これは集中育成・強化期間と位置づけて、消費生活センターの設置、拡充、相談員の養成、レベルアップなど、消費生活相談窓口の強化等を図ろうとする地方公共団体を支援するもの。

 今そういう話を聞きましたけれども、それはもう許されないことでございまして、むしろそれを聞いたらしかりつけていただきたい。先生の地元でそんな話が出たら、そんなための基金ではないということをむしろ厳しく御注意いただかないと、やはり正直申し上げて、相談員の待遇改善もそうですけれども、相談員そのものがいない地域もまだまだたくさんあるわけですね。私たちは、この基金、約三年をめどにしているのは、そういうところにもやはり消費者行政というのを根づかせたい。そのためには窓口が要るでしょう、そのためにはそこで相談に乗ってくれる相談員が要るでしょう。でも、そこに人がいないのであれば、まずは研修等々で人を育てていくということから始めていかなければならないような状況でもあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 地方公共団体に対する補助につきましては、人件費というのは経常的な経費ですね。先ほどの定額給付金というのは今回限りということで限定されていますが、相談員の方は、これから末永くずっと地域で消費生活の相談をしていく限り頑張っていただかなきゃならないという、一回限りの話ではございません。ですから、安定的に、やはり地方自治の責任のもとで、一番地域住民に身近なサービスの一つとして消費者行政窓口が根づいているわけですから、そういう地方の自主性を失わせることも地方自治の本旨に反するわけでありますから、そういうことで、基金というのは、ダイレクトに人件費そのものの報酬に対しては対象外と、区別をさせていただいているところです。

 繰り返しになりますけれども、私も議員もやはり人が大切だというところには変わりがありません。今いらっしゃる方もそうですけれども、まだまだその相談員の数すら間に合っていない中、まずはこの三年の期間をもって、そういうこれからの消費者行政の窓口の最前線に立っていただける人材を育てていくということでしっかりと御利用いただく中で、その研修参加者に対しては、たくさんの時間をいただくことになるわけですから、その分の日当相当ということで支給することにさせていただいております。

小川(淳)委員 大臣、水かけ論をしてもあれなんですが、人を育てることも大事でしょうけれども、絶対的に足りないと言っているんですからね、地方は。人件費が九五%だそうですよ、消費者行政予算に関連して。

 これをとにかく自由に使わせるようにしないと、何でこういうことが成り立つんだろうなと私なりに考えるんですけれども、やはり結果が問われないんですね、成果が問われない。今、電話相談も四件に一件しかつながらないところもあるそうですよ。そこから、具体的にどのくらいがあっせんにつながっているかという、やはり、成果で勝負します、結果で勝負しますというふうに政府が本気になったときは、こんなつまらない限定をかけて本当に使いたいところに使えないなんということはあり得ないと思いますよ。

 これは大臣の一存でしょう。法律で決まっているわけでもない。予算の補助要綱だけでしょう、人件費を使わせないのは。これは大臣の一存だと思いますよ。ぜひ、改めて御検討をいただきたいと思います。

 ちょっと時間の関係もありますので先へ進みたいと思いますが、きょう、国土交通省それから国家公安委員長、お忙しい中ありがとうございました。資料にお配りをさせていただいたとおり、午前中の中にもございましたが、きのう、シンドラー社を初めとした市川大輔さんの事件に関連した方々、合計六名が書類送検されたという報道がございます。事実関係をお尋ねしたいと思います。

佐藤国務大臣 お尋ねの事故につきましては、平成十八年の六月、東京都港区所在の高層住宅において、男子高校生がエレベーターからおりようとしたところ、挟まれて亡くなられたというものでございます。大変痛ましい事故で、お亡くなりになられました市川さんの御冥福をお祈りするとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 この事故につきましては、警視庁において事故原因の解明や因果関係、刑事責任の所在などを捜査した上、昨日、製造会社及び保守管理会社の社員等六名について、業務上過失致死罪で書類送検したとの報告を受けております。

小川(淳)委員 そういう意味では、責任の追及は私ども一同待ち望んでいたことですので、これからもこの推移をしっかりと見守ってまいりたいと思いますが、野田大臣、この事件は、消費者安全法案に言う消費者事故、そして重大事故に該当しますね。

野田国務大臣 します。

小川(淳)委員 ということは、関係各省庁に対する措置要求、そして、関連する業界に対する勧告権限を近い将来お持ちになるかもしれないという前提でお答えをいただきたいと思うんですが、まず、事故の原因、これは、被害者のお母様正子さんが最も待ち望んでおられた見解だと思います。保守点検の不足ということでよろしいんですね、国家公安委員会。

米田政府参考人 事故の原因は、エレベーターのブレーキライニングを開閉させる回路がショートをいたしまして、ブレーキドラムと接触した状態で長時間使用させたがために、このライニングの摩耗が進行し、ブレーキの制動力が低下したということによるものでございます。

 それで、昨日書類送致をいたしました被疑者六名の過失でございますが、まず、エレベーター製造会社、これが当初は保守管理も担っておったわけですが、平成十六年当時に生じたこのブレーキライニングの摩耗に関して根本的な原因調査や再発防止の措置を行わず、また、平成十七年以降に保守点検を行うこととなった業者に対して、この摩耗の再発可能性防止のための措置に関する情報を提供せずに、漫然と事故機の走行を継続させたという過失でございます。

 それから、保守管理会社の役員等三名につきましては、担当者に事故機の保守点検を行わせる際、ブレーキ構造等に関する十分な調査や、これに基づく点検実施計画等の策定などの措置をとらず、漫然と保守点検を開始、実施させた過失でございます。

 それから、当該メンテナンス担当社員につきましては、ブレーキの構造あるいは保守点検方法等について十分な調査を行わず、ブレーキライニングの摩耗を発生しないと軽信するなど、漫然と同機を走行させた過失であるというように報告を受けております。

小川(淳)委員 いずれも、保守点検に関する過失というふうに承りました。

 国土交通省は、このエレベーター事故の原因、どう評価しておられるんですか。

金子副大臣 この大変痛ましい事故でお亡くなりになられました市川さんの御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆さん方に改めてお悔やみ申し上げたいと思います。

 昨日、関係者が書類送検された東京都港区シティハイツ竹芝エレベーター事故の事故原因につきましては、今もお話がありましたように、ブレーキライニングの摩耗や不適切な保守管理といったことが指摘されておりますけれども、昨年十二月三日に、捜査当局の御協力のもと、社会資本整備審議会の専門委員等によりまして行われた事故機の調査におきましても同様に、ブレーキライニングが摩耗していたことが確認されております。これが物理的な面での直接的な事故の原因ではないかと考えております。

 本件の事故を踏まえまして既に基準の強化等を行ったところでございますが、今後、昨年十二月の調査結果等も踏まえまして、関係省庁と連携をいたしまして、社会資本整備審議会のもとに本年二月に設置いたしました常設の昇降機等事故対策委員会におきまして、事故原因の解明を進めます。

 これによりまして、適正な管理のあり方など、さらなる対策の必要性が明らかになれば、速やかに措置を講じてまいりたいと思っております。

小川(淳)委員 既に副大臣が御答弁の中で触れておられますが、昨年十二月に、これは直接調査に入ったんですね、警察の御協力をいただいて。

 逆のお尋ねです。これをなぜ昨年十二月までほっておいたんですか。事件が十八年六月に起こって、二年半なぜほっておいたか。お尋ねします。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 この本件事故につきましては捜査当局による捜査を優先してきたということでございまして、捜査の結果、新たな検討事項が生じた場合には、改めて事故対策部会等におきまして再発防止等の対策の検討を行うこととしていたところでございます。

 しかしながら、捜査の結果が明らかにならないまま二年以上が経過したことを踏まえまして、昨年六月に国土交通省の方から警察庁の方に、こういう社会的な関心が高く、かつ再発のおそれの大きい建築事故に的確に対処していくため、相互に連携協力し情報交換をしていく旨の申し合わせをいたしました。

 これを踏まえて昨年十月十五日に警視庁に申し入れをし、昨年十二月三日に、警視庁の協力のもとで審議会の専門委員等が調査を行うということになっております。

 また、こういった経過を踏まえまして、本年二月六日に、社会資本整備審議会のもとに、事故原因解明に関する調査あるいは再発防止策等の検討を行う組織といたしまして、常設として昇降機等事故対策委員会を設置いたしまして、この委員会につきましては、警察庁と協議を行い、重大事故の場合には、事故発生直後から、警察の協力のもと、建築の部局、これは地方でも建築の部局がございますが、そういう部局が事故現場への円滑な立入調査、こういったものが実施できるといった体制を構築したところでございます。

小川(淳)委員 野田大臣に、これは重大事故だという前提で評価をお伺いしたいんです。

 これ、調査まで二年半かかったことと、送検まで三年近くですか、二年八カ月……(発言する者あり)ですか、かかったことは、消費者行政、後続の事故を防ぐ、あるいは被害者の感情に救済を与える、いろいろな役割があると思いますが、遅きに失すると思いますが、御判断いただきたいと思います。

野田国務大臣 このエレベーターの事故は本当に痛ましいもので、市川さんそしてお母さんには、心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 こういう痛ましい事故があったがゆえに、やはり我々は、迅速な対応ができる行政組織を持たなければならない、その犠牲を無駄にしてはならないということで、速やかにその中核的な役割を担う行政組織としての消費者庁の創設に向けて、今皆さんと力を合わせて頑張っているところだと理解しております。

小川(淳)委員 やはり時間がかかり過ぎでしょうね。二年半調査もできない。あるいは送検、これだけはいろいろな要素があるでしょうね、捜査に関しては。これは何とも私も申し上げにくいところはありますが、しかし、警視庁がブレーキ異常だと断定した、これは事故の二週間後ですよ、報道ベースで。やはり、本当に親身になってどんどんやるべきことを進めていけばもっともっと早い解決がこの事件に関してもあり得たんじゃないかと思いますし、消費者担当大臣としてのお立場からいえば、この被害の救済もそうでしょうし、それから、何より再発防止に向けても、多くの方々に安心感を抱いていただけるような施策が必要なんだと思います。

 そこで、ちょっと構造的な問題点を指摘したいと思いますが、お配りをした資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。これは、被害に遭われた方々を弁護しておられる弁護団からいただいた資料でありますが、下線部、今回の事故は、警察当局もそれから国交省も保守点検の不備だということを認識しておられると思います。これは事件に至るまでの保守点検の推移を示したものであります。もともとエレベーターの製造会社であるシンドラー社が、そのまま平成十四年から十六年まで保守点検を行っておりました。そして、十七年に日本電力サービスにかわっている。十八年に、今回容疑の対象となりましたエス・イー・シー株式会社に保守点検が移っています。

 これは保守点検ですから、場合によっては十分な費用と人手をかけて、手間をかけてやっていただく必要があると思いますが、もともと四、五百万かかっていた保守点検が、事件を起こした、容疑の対象になっているエス・イー・シー株式会社では百二十万で保守がなされている。これで十分な保守点検ができたかどうか。これは、事故の再発防止という観点からも極めて重要な視点だと思いますよ。

 この点に関しては、既に、公正取引委員会にきょうお越しをいただいていると思いますが、対処をされたのは二〇〇二年ですね。ちょっとこの間の経緯、勧告の内容も含めて御報告をいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 二つのことをちょっと混同しておられるのではないかという心配を今しつつ答弁席に立っているんですが、公正取引委員会が問題にいたしましたのはシンドラー社の件ではございませんで、平成十四年の六月に、三菱電機ビルテクノサービス株式会社が、独立系のエレベーターの保守点検業者から三菱電機製のエレベーターの保守に必要な部品の調達依頼があったのに対して、一言で申し上げますと取引妨害をした、必要のないのに納期をおくらせた、それから納入価格が他の相場よりも高かったということによりまして、独立系の保守点検業者の業務を妨害したということでもって排除勧告をいたしました。それは平成十四年の七月に決着を見ております。

小川(淳)委員 二〇〇二年の排除勧告は三菱系列だとお聞きをしています。しかし、公正取引委員会委員長、せっかくお越しいただいたのであれなんですが、エレベーターの保守分野が非常に寡占的な市場だという基本的な問題意識はお持ちなんでしょう。それなしで単に排除勧告をやっているんですか。

竹島政府特別補佐人 私どもは、独禁法に違反する事案につきまして、関係人からの申告であったり、または公正取引委員会が職権によって探知をしたという場合に、それを審査して、違反行為が認められる場合には勧告をする、命令を出す、こういうことをやっているわけでございます。

 ただ、背景といたしましては、委員御指摘のとおり、エレベーターにせよ立体駐車場にせよ、主要なメーカーというものが大変大きなマーケットシェアを持っております。それで、そのメーカーが自分の子会社として保守会社を持っている。したがって、縦系列になっていまして、三菱は三菱、東芝は東芝というふうになっているわけですが、これらのマーケットシェアが非常に高い。それに対して、独立の保守業者というのがいるわけで、彼らは、主要なメーカーの保守業者に比べると安い価格でもって一生懸命仕事をしている。

 私どもとしては、そういうときにいわば公正な競争が行われる、その結果として需要者にとってよりいいサービスがより安く得られるということが望ましいわけでございますので、その保守業者間の競争がちゃんと行われるように、大きなシェアを持つ、その結果として、いわば優越的地位の濫用であるとか取引制限とか拘束条件をつけるとかというようなことが行われないようにウオッチをしている、こういうことでございます。

小川(淳)委員 御答弁のとおりで、単に三菱ビルテクノがどうだこうだ、三菱が独立系の会社に対して部品の納期をおくらせたとか、そういうことに対して、今回は具体的に二〇〇二年に勧告されている、これは確かに個別の問題ですよ。しかし、それらを受けて、平成十五年に発表しているじゃないですか。マンションの保守管理に関して、エレベーターの保守分野のような寡占的な市場構造、これに対しては十分な監視が必要だとみずからおっしゃっているじゃないですか。

 それで、大臣、基本的な問題意識として、エス・イー・シーが悪いとかシンドラーが悪いとか言っている分にはまだまだ問題の本質に行き当たっていない可能性があるわけです。

 それで、資料の三枚目もあわせてごらんいただきたいと思います。

 今回、あえて国土交通省にお願いをして、エレベーターの保守点検に関して調べていただきました。三段に分かれておりますが、一番上、日本エレベーター協会の会員企業、これはいわゆる大手メーカー系です。公正取引委員会は御存じだと思いますが、シェアが八割から九割近いと言われています。エレベーターの保守点検業界においてですよ。二番目のエレベータメンテナンス協会と、三番目、エレベーター保守事業共同組合、この二つの協会は、いわゆる独立系と言われていますが、大手メーカー系以外。ですから、この二つのグループが必死に残り一割から二割のシェアを奪い合っているわけです。

 下に少し注記をしております、注の三番をごらんいただきたいと思いますが、エレベーター協会の会員会社は九十八社、全体で六十三万件の保守管理をやっていますから、一社当たり大体六千台から六千五百台。独立系は、二グループともに一万台余りを十八社、十七社で担当していますから、計算上、大体一社当たり八百から九百。ということは、さっき落札金額もごらんいただきました、ぎりぎりのマーケットの中で大変苦しい環境下に置かれている。

 この表を見ますと、二〇〇二年がまさに公正取引委員会が排除勧告した年です。それから数字がとれた二〇〇七年まで、寡占状態はむしろ進んでいるんじゃありませんか。公正取引委員会、いかがですか。その後ウオッチしているんですか。何らかの対処をとっていますか。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会がウオッチしていますのは、そういうシェアの大きいようなところがそうじゃない者に対して取引妨害をしたり、拘束条件的な取引をしていないかということ、その行為をウオッチしているわけでございまして、その業界がどういう構造になっているのか、寡占なのかそうじゃないのか、これは、我々はいわば与えられたものとして見ております。

 したがって、その業界の構造改革をするという仕事を公正取引委員会がしているわけではありません。例外は、企業結合、合併の場合に合併を審査していますのは、それは予防的に、大きなものを認めてしまうと競争を実質的に制限することになりかねないということでチェックしていますが、そうじゃないケースにつきましては、今申し上げたとおりでございます。

小川(淳)委員 仮にそうだとしても、これは警戒すべきでしょうね。こういう寡占市場で、どういう力任せのことがやられるかわからない。

 そこで、国土交通省に何らかの警鐘を鳴らしましたか。国土交通省は何らかの対応をとりましたか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の排除勧告、平成十四年のでございますが、公正な取引確保の観点から、いわば保守業者に対して保守用部品を不当に高い価格で販売する行為等をとりやめるよう勧告したものというふうに承知をしているものであり、私どもとしては、特段の対応というものはとっているものではございません。

 一方、安全性の確保という点からは、当然、こういうメーカー系列か否かにかかわらず、エレベーターの保守管理が適切かつ円滑に行われることが重要でございます。先ほどの事故の後に設けられました建築物等事故対策部会の、これは平成十八年九月に出た中間報告でございますが、適切かつ円滑に保守管理業務がなされるよう、エレベーターの保守管理に必要な技術情報が関係者の間で共有されることが重要であるという指摘をいただいております。

 これを受けまして、国土交通省といたしましては、建築基準法の施行規則を改正いたしまして、本年九月から、保守点検の内容、いわゆる保守管理マニュアル、これを確認申請に当たって添付する図書の一つに位置づけるということで、所有者がこういった保守管理マニュアルを所有し、それを関係の保守管理業者に提供できる体制を整えたというところでございます。

小川(淳)委員 まず、野田大臣には、これは重大事故という前提で議論を進めていますので、業界構造がこういう構造だということについてもぜひ理解をいただきたいと思います。

 関連してもう一点、今回送検の対象になった方だと思いますが、実際に点検をしていた方、この方は保守点検の資格を持っていなかったということが疑われていると思いますが、この点、警察の方にお聞きしましょうか、間違いありませんか。

米田政府参考人 保守点検の資格は持っていたということでございます。

小川(淳)委員 それでは、報道は誤りですか。

 そうしたら、一般論にしましょうか。保守点検を行う資格に関しては、相当な割合の方々が、経歴を詐称するあるいは実務経験が足りない等々、虚偽の申請をしている、こういう実態があると言われておりますが、国土交通省、この点、いかがですか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 恐らく、御指摘の点は、平成十九年三月に、昇降機検査資格者が、これは講習などを受講することによって与えられる資格でございますが、受講するに当たり必要となる実務経験を詐称していたということが明らかになって、これは会社名でいうと、シンドラーエレベータで五十三名、それから、これは独立系の保守業者と伺っておりますけれども、株式会社ハインで十四名、そういったものが出たということがございました。

 これにつきましては、当然ながら、国土交通大臣が定める要件を満たさないということになるため、資格を喪失させております。

 また、その余の状況につきましては、業界等に調査を指示し、またサンプリング調査などもこの後実施をするという形になっております。

小川(淳)委員 これは、経歴詐称等の虚偽で取得をしても何の罰則も行政処分もないんでしょう。いかがですか。

小川政府参考人 処分としては、資格の取り消しという処分でございます。

小川(淳)委員 野田大臣、こういうのはいかがですか。重要な保守点検に関連してエレベーターの事故がたび重なっているわけでありまして、この保守点検というのはこれからますます重要な資格なり業務になるんだと思います。これは虚偽で取得をしても取り消ししかないんですけれども、ぜひ罰則あるいは処分等を設けるべきだと思いますが、消費者庁の立場から、いかがですか。

野田国務大臣 今の保守点検についてのお尋ねですけれども、新法消費者安全法第十六条一項においては、消費者被害の発生、拡大の防止を図るために実施し得るほかの法律の規定に基づく措置があり、かつ、消費者被害の発生または拡大の防止を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは措置要求を行うことができると規定されておりまして、そういうふうに消費者庁は動いていくと思います。

小川(淳)委員 罰則は必要なんですか、必要じゃないんですか。どう思われますか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 建築基準法の体系ということでございますが、一度できてしまった建物といいますか、適法につくられた建物がしっかりと適切に維持管理をされる、これが非常に重要で、特に不特定多数の方がお使いになるところについては重要でございます。これを踏まえまして、所有者あるいは管理者に、そういう適切な維持管理の状況を報告させる義務を課しております。もちろん、報告しない、あるいは虚偽の報告、こういった場合には罰則を規定しております。

 一方、この検査の資格者でございますが、これは、所有者、管理者の義務を適切に履行することに資する目的で設けられたものでございまして、いわゆる不誠実な行為といったものについては、資格の取り消しといったような処分で担保しております。

 もちろんのことながら、財産の被害でありますとか反社会的な行為、あるいは生命身体などに及ぼすような行為につきましては、これは一般的な刑法で担保しているというところでございます。

小川(淳)委員 野田大臣、いずれ、もしそういう権限をお持ちになったら、これは罰則が必要だとかつけろとかいうことをおっしゃらないといけないわけですからね、御自身が。措置要求の是非を一々御判断されないとだめなわけですから、ぜひ、せめてシミュレーションといいますか、当事者意識を持ってお考えをいただきたいと思います。

 そして、エレベーターに関してもう少しお尋ねしますが、審議官の御答弁の中でも触れられたと思いますが、幾つか改善点、今回の市川さんの事件を受けて、去年の四月以降、定期点検に関する改善点があろうかと思います。また、ことしの九月から施行される政令、政省令の改正部分がございますね。これの内容をちょっと御説明いただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 改善点といいますか改正点でございます。

 一つは、昨年二月に建築基準法の施行規則の改正を行いまして、定期検査報告制度について、検査方法、エレベーターにつきましては、例えばワイヤロープのたわみといいますか、すり減り、摩耗、そういったものを具体的に計測した上でその記録を提出する、あるいは、ふぐあいがあった場合にどういう措置をしたのかといった内容もあわせて報告をしていくといった、検査方法等のより一層の具体化をいたしました。

 それからまた、昨年九月に、これは技術基準の施行令を改正いたしまして、いわゆる今回の事故にありましたように、戸が開いたままエレベーターが動くということを防止するために、新しい、二重の安全装置を義務づけをいたしました。これは、本年の九月二十八日に施行する予定でございます。

 それから三点目といたしまして、先ほど答弁させていただきましたいわゆる保守点検マニュアル、これについて、建築確認申請に当たって添付する図書の一つとして提出を義務づけをした。これも本年の九月二十八日から施行という、この三つの措置をしております。

 なおまた、今回、送検等の事実があったわけでございます。これについて、さらに事故原因等について先ほど申しましたような昇降機等事故対策委員会によって調査中でございますが、またさらに、さらなる対策が必要であるということであれば、速やかに追加措置を講じてまいりたいと考えております。

小川(淳)委員 ちょっと、そこなんですが、ことしの九月から施行される部分、安全装置を追加で設置する等々ございますが、去年の四月、これは保守点検に関連して、基準の明確化それから資格者の明記、結果表の添付などの義務づけを行ったわけですね。

 その後、事件がまた多発したんでしょう、ことしの二月。この両者の関係はどうなっているんですか。あるいは、調査に行ったんですか、行っていないんですか。ことしの二月、再び、二月の十六日、新宿区の信濃町のエレベーターで転落死、二月二十五日、兵庫県の姫路市でやはりこれは転落と思われる事故死。いかがですか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 新宿のエレベーターの事故及び兵庫県姫路市のエレベーターの事故、ともに事故発生直後から警察の協力のもと、特定行政庁であります都道府県、市等が事故現場への立入調査を実施するとともに、この昇降機等事故対策委員会の委員等が立ち会い調査を行っているところでございます。

 このように、非常に迅速に事故原因調査についての立ち上げを行っているところでございますが、現在、警察当局と連携をとりながら、その事故原因の解明に当たっているところでございます。

 現在のところ、まだ特定はされておりませんが、事故原因の解明に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

小川(淳)委員 こういうのは完全にというのは、ひょっとしたらそれはなかなか難しいのかもわかりません。しかし、対策が後手後手に回っているようでは、こういう事故は防ぎ切れないと思いますし、保守点検に関するマニュアルを建築確認に添付するようにしたとお聞きいたしましたが、その内容についてはどうなっているんですか。何か標準化されているんですか。こうこうこういうことで保守点検をやりなさいということが建築確認のときにきちんとルール化されているんですか。そこはいかがですか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 それぞれのメーカーによって機種が、もちろん構造、設計的に違うわけでございますので、それぞれの会社によって今はどういったものを点検マニュアルとして添付するかということはお願いをしているところでございますが、私どもといたしましても、当然関係者の間で、先ほど申しましたように、情報の共有が適確に図られるということが重要でございますので、そういった標準的なものになるのかならないのか、そういった検討は今後とも進めてまいりたいと考えております。

小川(淳)委員 大臣、お聞きのとおり、建築確認のときの保守点検の内容については、まだ標準化されていません。それはもう、幾らやってもこれは事故を繰り返すということ、現実はなかなかそうなのかもわかりませんが、とにかくそういうお立場に立たれて、これからより大きな権限を持たれるとしたら、こういうことにやはり口を出していかないとだめなんでしょう。口を出して手を出してやっていくことこそが、消費者の立場からすれば求められているんだと思いますよ。

 きょうお聞きしました、国交省の調査、二年半後、これは遅くありませんかと大臣にお聞きした。そして、資格の不正取得に関する罰則がありません、これは消費者の立場からすると不足じゃありませんかというお尋ねをしました。そして、この建築確認に対する保守点検の内容、標準化されていないこと、これもぜひ私は大臣に、標準化すべきだという措置要求をするに該当することじゃないかと思います。

 以上三点、もう一回いかがですか。(野田国務大臣「消費者庁ということじゃなくて、今ですか」と呼ぶ)いや、将来的に。

野田国務大臣 将来的にという話でありますけれども、今のように、罰則を設けるとかそういうことを国土交通省に働きかけること、これは消費者行政担当大臣の勧告権の中に含まれると考えていますけれども、今のような個別の本事案につきましては、今ここで予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。

小川(淳)委員 こういうことは、一義的には所管官庁だという定例的なお答えの仕方があるんでしょうけれども、それを言い続ける限り、これはやはり被害者の、積極的にやっていきますとか、そういう御答弁がせめて出てこないと、これは利用者、消費者側からするとほとんど期待できないじゃないですか。

 民主党の提出者はいかがですか、これは。権利院の立場からすると。

 私は、三つ申し上げました。調査に素早く入るべきだと言った。これだけの重大事故の遠因になっているはずの保守点検資格については、より厳しい規制なり罰則を設けるべきだと申し上げた。そして、保守点検の基準についても、建築確認のときからきちんと標準化してルール化すべきだということを申し上げました。この三つを前提に、権利院だともう少しはっきりしたことをおっしゃれるんじゃありませんか。いかがですか。

階議員 お答えします。

 私、弁護士時代に犯罪被害者の支援の仕事をしていまして、被害に遭われた方がどういうことを一番大事にしているかというと、まず一つは、真実が知りたい、それから、二度と同じようなことを繰り返してほしくない、この二点なんですよ。この二点について、被害者の立場、そこに立って仕事ができるかどうか、それがこの消費者権利院、我々の考えているものが対応できるというふうに思っています。

 まず、我々は、消費者権利院法の三十一条によって、このような事件が起きた場合に、消費者権利官が、国交省や自治体や警察などに資料の提出を求めることができます。それから、三十四条によって、独自に立入調査を行うこともできます。

 また、原因究明のことについてなんですけれども、二十九条二項によって、我々の消費者権利院法案では、国民生活センターを消費者権利院の組織に取り込んでいることによって、商品テストをしっかりと行うことができる。また、五十三条一項によって、専門的知見を有する国の研究機関や大学等に協力を依頼して分析を行うことができる。

 以上のような原因究明に基づいて、必要があれば、行政処分の勧告であるとか、あるいは立法提言などを行う、こういうことを我々はやろうとしております。

小川(淳)委員 ぜひ期待したいと思いますし、野田大臣、これは、私、前回、建築基準法を何で所管しないんだ、口出せるような関係をつくらないんだというお尋ねをしたときに、こうお答えになりましたよ。この法律は、建築物の利用が消費者である場合とその他の場合で差を設けていない、必ずしも消費者が利用する建築物に限って基準を定めているものではないという御答弁をされました。

 確かにそうでしょう、消費者だけが利用するわけじゃない。しかし、消費者が利用するんですから、恐らく大半はそうでしょう、今の権利院のような積極的な御答弁がここで出てくるようじゃないと、これは消費者庁ができたって期待できませんよ。

 以上申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

野田国務大臣 私も全く同じようなルーチンをたどると思っていますが、消費者庁ができた暁には、例えばこのようなエレベーター事故が起きたときには、速やかに緊急対策本部とかを設けまして、関係の国土交通省や警察庁と意思疎通を図りながら迅速な対処をしていくわけですけれども、必要な場合には建築基準法に基づく地方公共団体による違反建築物是正のための措置がとられるよう、国土交通大臣に対し、地方自治法に基づく技術的な助言または勧告を速やかに行うよう、新しい消費者安全法に基づき措置要求を行うことができるので全く遜色はない、しっかりやっていけると思っております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

船田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、野田大臣にお伺いをいたします。

 消費者被害、とりわけ、私はきょうはやみ金の被害の問題を取り上げたいと思いますが、被害は後を絶ちません。警察との連携を密にして対応するということも大変重要だと思っております。

 消費者行政を推進する大臣として、やみ金対策で警察に何を期待されているか、まず答弁を願いたいと思います。

野田国務大臣 消費者庁を創設させていただきましたらどういうことになるかと申し上げたいと思います。

 やみ金融につきましては、暴力団との関係も指摘されることから、消費者への注意喚起に加えて、警察との連携協力が大変重要であるということは論をまちません。

 消費者庁ができますと、やみ金融のような問題が発生した場合、政府一体となった迅速な対応の一環として、消費者利益の擁護の観点から関与させていただくことになります。

 具体的には、消費者安全法に基づきまして、まず、一元化された情報集約ルートをたどって地方公共団体等から消費者庁に事故情報が寄せられる、届けられることになります。

 そして、消費者庁は、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対して速やかに注意喚起を行わせていただきます。

 そして、これとあわせて、所管する出資法、高金利の処罰や、貸金業法、無登録営業に違反する疑いがある場合には、消費生活相談に訪れました消費者に対して警察への通報を促すとともに、消費生活センター等を通じて警察への情報提供も行わせていただきます。

 さらに、犯罪が行われたと認められる場合には、警察への告発を行いまして、迅速な捜査を促してまいります。

 このような形で警察との連携協力を進め、被害の未然防止及び拡大防止に努めてまいります。

佐々木(憲)委員 迅速な捜査を促すということでありますが、佐藤大臣にお聞きをいたします。

 やみ金業者の中でも、〇九〇金融という携帯を使った悪質なやみ金の被害というものが広がっております。やみ金が利用している携帯というのは、本人名義ではなくて、他人名義の携帯なんですね。被害者から奪った携帯などを使っているという場合もあるわけです。したがって、被害者が、この電話番号はやみ金の電話番号だ、こういうふうに情報提供をするということが捜査を前進させる上では大変重要だと私は思うわけです。

 そこで、やみ金が使っているという携帯電話の番号の情報の提供を受けた場合には、警察というのは一体どういうふうに対応するのか、それを伺いたい。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、やみ金融事犯に使われているとされる携帯電話の電話番号を認知した場合、被害関係者等から事情を聴取するなどいたしまして事実関係の把握を行い、犯罪であると認められるものについては捜査を推進するなどして、厳正に対処しているところでございます。

 また、被害拡大の防止の観点から、やみ金融事犯に使用されていることが判明したときには、警察において、相談者の要望に応じて、当該電話に架電して警告を実施しているほか、携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認の求めを行い、事業者において利用停止の措置をとっていただいているところでございます。

佐々木(憲)委員 ここに、携帯電話不正利用防止法という法律の解説をしたリーフ、これは総務省、警察庁が共同でつくったものでございます。これを見ますと、「警察から携帯電話が犯罪利用されている等の通知を受けた場合、携帯電話事業者は契約者の確認を行うことができます。」そして、「本人確認を行い、確認ができないときはサービスの停止等の措置をとることができるようになりました。」こうなっているわけです。つまり、本人のものではない、あるいは本人確認が不可能であったという場合は、この電話の使用を禁止するということができるわけですね。つまり、それ以上被害をふやさないというためにはこのことが必要なわけであります。

 それから、政府の多重債務者対策本部が決定をした多重債務問題改善プログラム、これを見ましても、「警察は、ヤミ金による取立てを少しでも早くストップさせるよう、携帯電話不正利用防止法に基づく携帯電話の利用停止の制度を積極的に活用すること」、こういうふうに書いてあります。

 こういう立場でやるということでよろしいですか。

佐藤国務大臣 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 そこで、具体的にお聞きしたいんですが、二〇〇五年にできました携帯電話不正利用防止法の施行後、この法律に基づいて警察が本人確認のために携帯電話会社に照会した件数、これは何件あるでしょうか。

佐藤国務大臣 都道府県におきまして契約者確認の求めを行う準備が整ったものとして、警察庁が事前に調整するために把握した件数は、法の施行以来本年三月三十日までに約二万一千件でございます。

 このうち、実際に携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認の求めを行ったことによりまして停止した携帯電話の件数は、同法の施行以来本年二月二十日までに一万四百五十六件であると伺っております。

佐々木(憲)委員 ここに「多重債務問題改善プログラムの実施状況について」という、これは実績をまとめた、多重債務者対策会議でつくったものですけれども、この中にこういうことが書かれているわけです。「平成十九年中のヤミ金融事犯に係る電話警告件数は一万五百五十七件、同じく携帯電話契約者確認要求件数は二百六件を実施。」と書いているんですよ。これは二百六件なんですね。さっきの一万件と、これはどういう関係にあるんですか。たった二百六件。どうしてこういう数字になっているんですか。

巽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど国家公安委員長が申し上げました数字につきましては、これはやみ金に限らず、携帯電話不正利用防止法に基づいて行った本人確認調査ということで照会した件数でございまして、先ほど委員がおっしゃられた二百六件というのは、やみ金に関連して携帯電話不正利用防止法の契約者確認を行った件数でございます。

佐々木(憲)委員 ですから、私が聞いているのは、やみ金にかかわって具体的に携帯電話契約者確認要求件数は何件かと聞いたわけですよ。これは二百六件、非常に少ないんですね。やみ金被害というのは四万件以上あるわけですよ。

 その中で、今、〇九〇やみ金というのは非常に大変な被害を広げているわけですけれども、この問題についての対応というのは法律ができてもまともにやっていないんじゃないかということが、私がきょう問題提起をしたい点であります。

 具体的にお聞きしますけれども、大阪でやみ金の被害に遭った方々が、こういう携帯電話番号のやみ金から私は被害を受けました、そういう人たちを全部集計しまして、千五百件あったわけです、これを大阪府警に提供しました。この新聞記事にもはっきりとそのことが報道されて、こんな大きな活字で書かれているわけです。そういうことに対して、例えば今のこの大阪府警の対応というのは、具体的にどのようにされたんでしょうか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 平成二十年の七月十八日に、いわゆる携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認に資するものとして、大阪府警察において、御指摘の団体からやみ金融事犯に使用されているとされる電話番号等の情報提供を受けたというふうに伺っております。

 提出を受けた資料には、名称等、屋号等々と電話番号のみが記載されておりまして、大阪府警察においては、当該携帯電話がやみ金融事犯に利用されていると認めるに足りる相当の理由の存否についての判断ができないため、携帯電話不正利用防止法第八条に定められた契約者確認の求めを行うなどの措置はとっておりませんで、必要に応じ、捜査その他の警察活動を行う上での参考資料として取り扱っていると伺っております。

 今後、これらの情報のうち、被害者の方からの個別具体的な申し入れがありまして、携帯電話不正利用防止法の要件を満たす場合には、契約者確認の求めを実施するものというふうに思います。

佐々木(憲)委員 大体、多重債務者を、被害を救済するということで政府が立ち上げた会議でも、被害を広げないためには迅速にやらなきゃならぬと書いてあるわけですよ。ところが、千五百件も、被害を受けた方々が、私はこの番号で被害を受けました、こう言って大阪府警に届けたら、判断ができない、何もやっていないと言う。

 具体的に、携帯電話会社に対して、千五百件のうちどのぐらいの数を照会したんですか。何もしなかったということなんですか。

巽政府参考人 この件につきましては、ただいま国家公安委員長が申し上げましたとおり、携帯電話不正利用防止法の八条、「契約者確認の求め」というのがございますが、この求めを行うに当たっては、一定の罪について「罪に当たる行為に利用されていると認めるに足りる相当の理由がある場合」という要件がございます。

 先般いちょうの会からいただいた資料につきましては、単に名称と電話番号だけが書いてあるということでございますので、果たして今申し上げました法律に定める相当の理由がある場合に当たるかどうかという点について判断ができないということでございまして、お越しになられたときに、あわせてさらなる資料を出していただきたいというようなことも申し上げたというふうに聞いているところでございます。

 そういうことで、被害者の方の具体的な話、あるいはいろいろな疎明資料等をもとにこの契約者確認の求めというのは行わなくちゃならないというふうに考えているところでございまして、そういった資料がそろった場合には迅速にこの求めを実施するものと考えております。

佐々木(憲)委員 大体、まともな対応をしていないということですよ、それは。利用されていると認めるに足る相当な理由があるかないかというのは、被害者が、利用されて、私は被害を受けましたと言っているわけですよ、相当なる被害を受けているわけですよ。本人がそうだと言って申し出ているんですよ。それにもかかわらず、判断できないと。

 判断できるかどうかというのは、照会したらわかるじゃないですか。この番号はだれのものですかと本人確認すればいいんですよ。本人確認して、本人のものではない、あるいは確認できない、法律上はすぐ停止できるんですよ。それをやれば被害は広がらないんだ。何もしていないじゃないか、去年の七月から。千五百件のうち何の調査もしなかったということですよ。そんなでたらめな警察があるか、一体。私は、その対応は本当にひどいと思うんですよ。

 佐藤大臣にお聞きしますけれども、この千五百件をこのままいつまでも棚上げして、放置しておいていいんですか。やはり再調査して、本人からきちっと、書類が整っていないというのなら書類を出させるとか、何らかの対応をするべきじゃないんですか。大臣の見解をお聞きします。

佐藤国務大臣 大阪府警察が提供を受けた情報だけでは当該携帯電話がやみ金融事犯に使用されているかどうかが判然とせず、仮に警察といたしまして十分な事実関係のないまま契約者確認の求めを行うと、不正利用されていない携帯電話を過って利用停止してしまうおそれがあることから、受領した情報のみで契約者確認の求めは行わなかったものと伺っております。

佐々木(憲)委員 十分な確認ができないというなら確認できるように、警察に情報を提供した方に確認をする、その上で携帯会社にこの番号の本人確認をしてくださいとやればいいじゃないですか。一切やらないというんですか。これは、放置したままで、そのままで警察は対応できたというふうに考えているんですか。

佐藤国務大臣 今後、これらの情報につきまして、被害者の方からの個別具体的な申し出があり、携帯電話不正利用防止法の要件を満たす場合には、契約者確認の求めを実施するものと考えております。

佐々木(憲)委員 大体、警察の中の手続がおかしいんですよ。今のこういう二百六件にしかならないような、何万件も被害が起こっているのに、申請を具体的に電話会社にやるのがたった二百六件。何でそうなるのか。

 まず、警察署長が契約者確認をすることを求めようとするときは、あらかじめ都道府県警本部長に報告をする。報告を受けた警察本部長は、当該都道府県のほかの警察署長による契約者確認の求めと重複しないように調整の上、警察庁長官に報告し、警察庁長官が、当該都道府県以外の都道府県における他の警察署長による契約者確認の求めと重複しないように調整する。こういうことをやって、ぐるぐる回ししているだけなんですよ。この中の処理というのはこういう手順でやられているんじゃないんですか。

米田政府参考人 先ほど、最初に大臣からお答えいたしましたとおり、法施行以来約二万一千件が警察庁において事前に把握している件数でございます。それは、そのような手順でもって、契約者確認の求めを事業者に対して、県警から、警察庁がオーケーをしたので、それで行ったというものでございます。

佐々木(憲)委員 だから、警察の中でぐるぐるぐるぐる、情報をいいでしょうかと確認して、ほかと調整して、また今度は上の方と調整して、そんなことをやっているから迅速な対応ができないんですよ。こういうことを改革しないで、なぜ国民の、消費者の被害が防げるんですか。

 野田大臣に最後にお伺いしますけれども、やはり被害を受けた方の申し出があった場合は、迅速に対応する。対応できない場合には、どこに原因があるかを明確に調査をした上で、前向きに国民の声にこたえるというのが本来の筋だと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたい。

野田国務大臣 今ちょっと、このことについて通告がなかったので、十分な答えが用意されていませんけれども、いずれにしても、今の取り組みで不十分であるならばしっかりと検討していただいて、消費者庁ができた暁には、相互に連携をして、私たちは消費者の立場に立ったいろいろな意見具申をさせていただくことになりますので、それは前向きに進められるのではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森でございます。

 最初に、公安委員長にお聞きをしたいと思いますが、警察庁は悪質商法の摘発だけではなくて、悪質な商法にひっかからないように啓発活動を行ったり、あるいは消費者からさまざま相談に応じている。その窓口としては、警察本部や、各署の悪質商法担当係というのがあるそうなんですが、ここの係や、あるいは警察安全相談窓口というところで消費者からの相談を受けているというふうに聞いております。

 警察は摘発が中心なんでしょうけれども、こういう相談をおやりになっているわけですが、窓口の方の育成とかいうのはどのようにされているのか。それから、警察に持ってこられる相談内容、その傾向はどういうものが多いのか、最近の悪質商法の特徴といいますか、という点について最初にお聞きをしたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、悪質商法に関する相談を受ける職員には、各種の関係法令についての専門知識はもとより、相談者の立場に立ってわかりやすい説明を行う能力が求められているところでございます。このため、警察庁及び都道府県警察では、都道府県警察において相談業務を担当する職員に対して専科教養を実施するなどいたしまして、担当者の育成に努めているところでございます。

 悪質商法に関する相談内容及び傾向については、詳細な統計がなく、確たることを申し上げるのは大変困難ではありますけれども、最近の悪質商法の検挙から見ると、平成二十年中において、いわゆる資産形成事犯及び特定商取引等事犯を合わせて百六十六事件、三百九十六人を検挙しているところでございます。

 資産形成事犯については、手持ち資産を運用して少しでも多くの利益を得たいという一般投資家の利殖願望につけ込みまして、元本保証、高配当等をうたい文句として多額の出資を出させるなどの手口を用いる事犯として、二十二件で百十七人を検挙しているところでもございます。

 また、特定商取引等事犯につきましては、住宅や設備等の点検を装いまして、点検商法は八十七件と検挙が多くを占め、中でも、そのままでは家が倒れるなどと言って消費者の不安をあおって高額な工事代金を請求する訪販リフォーム事犯が五十一件と目立つところでございます。

日森委員 これは後で触れますが、警察に悪質商法などの相談が来ているけれども統計がないというふうにおっしゃいました。これはちょっと問題だと思うんですね。

 これから後で情報の問題でも一緒に触れたいと思いますが、統計があってどういう傾向になっているのか、どんな相談があるのか、警察は、窓口をきちんとやっていたら、それについてきちんと把握をして、それを情報としてしっかり持っていないとだめだと思うんですね。その辺は、質問通告していないんですが、どうなんですか。統計もないから傾向はよくわかりませんという話は、ちょっとお粗末じゃないかと思いますが。

佐藤国務大臣 そういう把握に努めさせていただきたいと思います。

日森委員 検挙をするのが警察の基本的な任務になるわけです。先ほど数字を公安委員長がおっしゃいましたが、九万七千八百人の被害者がいるということが統計上出されているわけですけれども、検挙に至るまでは、警察ももちろんそうなんですが、他の関係機関との連携というのが当然あってこういう事態に至ったのではないかというふうに思うところもあるんです。

 警察だけではなくて、自治体の相談窓口や消費生活センターでも行われていますが、警察庁が検挙した事例で、警察庁が独自に入手したのではなくて、他の相談窓口への相談から検挙に至ったとかということについて、統計といいますか情報を持っていらっしゃるのかということを、一点お聞きをしたいと思います。

佐藤国務大臣 警察以外の相談窓口から提供を受けた情報を捜査の端緒として検挙した件数についての統計はございませんで、ちょっとお答えを申し上げられないというふうに思います。

 ただ、平成二十年度中に関係行政機関から警察になされた告発については、二件を把握しております。

日森委員 二件というのはわかりました。

 そうすると、相談業務を行っているさまざまな窓口があるわけですが、その窓口と警察で、相談業務のノウハウだとか情報交換だとかいうことは、日常的に、恒常的にと言っていいでしょうか、行われているんでしょうか。行われているとしたら、どんな形で日常的に行われているのか、あるいは定期的に行われているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

佐藤国務大臣 都道府県警察におきましては、警察安全相談窓口において国民からの相談を広く受けております。従来より、消費生活センター等との会議や個別事案の検討の場において相談業務のあり方や相談内容について情報交換を実施することによりまして、連携強化に努めているところでもございます。

 また、警察庁におきましては、平成二十年三月十八日、内閣府が中心となって関係省庁との間で設置された悪徳商法関係省庁連絡会議の場で情報交換を行いまして、連携を図っているところでもございます。

日森委員 そうすると、何か特殊な事例については意見交換の場があるけれども、消費者相談みたいな、悪徳商法なんかも含めて、そういうことの全体について日常的に他の相談窓口との経験交流だとかあるいは情報交換とかいうことについては、今はちゃんとした形では行われていないということで理解してよろしいんでしょうか。

佐藤国務大臣 今のお答えでございますけれども、幅広く情報交換をさせていただいておるという中で、先生のおっしゃる趣旨等々については、警察でも情報交換をさせていただいているという御理解をいただければありがたいというふうに思います。

日森委員 そうすると、私どもの方は、今後、具体的に、警察に寄せられたそういう相談、情報は、ほかの相談窓口で得られた情報あるいは相談、これときちんとリンクさせていく必要があるんじゃないかという気がするんですよ。それがないと、情報の一元化といってもなかなか十分な形にならないということをちょっと考えているものですから。

 今後、消費者庁ができた場合、国民生活センターや消費生活センター、あるいは市町村もそうですが、これが中心になる、情報の一元的な集約ということがあるわけですから、相談窓口と警察庁関係の相談窓口、これは協力体制みたいなものをきちんと具体的につくっていくのか。それとも、警察は特殊なところだからちょっと違うぜといって、警察も出したくない情報もあるかも、そんなことを言うと警察庁は怒るかもしれませんが、ということがあるので、分業体制という形になるのか。

 できたら、きちんと情報を交換し、交流し、一元的に何が問題なのか明らかにできるような、そういう体制が私は必要だと思うんですが、その辺についての御見解を。

増原副大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点、ごもっともだと思っております。

 新たな消費者庁が設置されますと、地方の消費生活センター及び国民生活センター、これが一体となりまして、だれもがアクセスしやすい一元的な消費者相談窓口を機能させていかなくてはいかぬというふうに思っております。

 このために、消費者安全法におきましても、国民生活センターや消費生活センター、都道府県警察、その他の関係者の間の緊密な連携が図られるように配慮することについて、国及び地方自治体の責務として規定をいたしております。

 地域の現場では、現状においても消費生活センターと警察などの関係部局と連携しながら相談対応を行っておりまして、今後ともこうした連携を強化していくことが必要であろうと思います。

 ちなみにでございますが、埼玉県でありますと、防犯連絡会議というのが設けられておりまして、消費者行政と警察署との連携を深めるため、県のセンター、そして市町村、警察署、関東経産局、県警本部などによりまして連絡会議を立ち上げて、情報交換をいたしております。

 今般の地方支援策におきましても、都道府県に造成いたします基金を活用した事業として、関係部局との連携強化を図るための支援メニューも用意しておりますが、こうした支援措置をも活用しながら、さらに充実した体制に持っていく必要がある、そのように考えております。

日森委員 ぜひ具体的なそういう情報交換、情報共有の場をセットしていただきたいと思いますし、具体的な話は後ほど、この二、三回先かわかりませんが、提起をさせていただきたいと思います。

 と同時に、事故情報の一元化についてお聞きをしたいと思うんですが、消費者事故が発生した場合は、消防、警察、保健所、公営病院、これはどのような情報を関係機関に通報することになっているのか。それで、この場合、通報先の選択というのはどういうふうに行われるのかということについて、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。

佐藤国務大臣 警察におきましては、消費者事故を認知した場合、被害拡大防止等の観点から、消費者安全情報総括官の枠組みをも活用しつつ、事故の発生状況や被害の程度等の情報を内閣府及び関係府省庁へ通報しているところでもございます。

 通報先は、事故の状態に応じて異なるものでございますが、事故を認知した場合、内閣府に加えまして、例えばでございますけれども、エレベーター等の建築事故は国土交通省、消費生活用製品等による事故は経済産業省に通報することとなっております。

 警察は、これまでも関係府省庁と迅速かつ緊密に情報共有を図ってきたところでもございまして、今後とも同様な対応をとってまいりたいというふうに思っております。

日森委員 消費事故が起きた場合、今事故情報データバンクが稼働に向けて準備をされていると聞いています。大変重要なデータバンクだと思いますし、これが実はある意味では消費者庁の目玉にも当然なるんだというふうに考えているわけです。

 このデータバンクについて、いろいろな御意見が消費者団体などからもおありになるということも聞いているわけですが、このデータバンクをつくることになった経過、準備状況、それから情報内容、これは改めてなんですが、これらについてまずお聞かせいただきたいということと同時に、このデータバンクとPIO―NET、それから食品保健総合情報処理システムというのがあるそうなんですが、これらとの連携がどういうふうに行われていくのかということを最初にお聞きしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 事故情報データバンクでございますけれども、これは、平成十九年六月四日の国民生活審議会で「国民生活における安全・安心の確保策に関する意見」というのが取りまとめられました。その中で、「関係機関等による事故情報・ヒヤリハット情報の収集・活用」ということで、事故情報を一元的に収集し、あるいは国民、関係機関が情報を自由に入力できるシステムをインターネット上に構築すべきという御提言がなされたところでございます。

 これに基づきまして、その具体化に現在着手しておりまして、昨年の秋以降、国民生活審議会に設けられました消費者安全に関する検討委員会における御議論を踏まえながら、構築に向けた取り組みを進めてございます。

 その具体的な中身でございますけれども、二つございまして、一つは、消費者事故に関する関係機関のデータベースからの情報の集約、情報を整理、分析、検討するようなシステムをつくるということ、この点については後ほど御説明いたします。

 もう一つは、先ほど、国民が自由に書き込めるということは、ヒヤリ・ハット情報というふうなまだ事故に至らない情報でも、国民が気づいたところは重要な情報なので、これを集めろということが、必要があるのではないかということが先ほどの国民生活審議会の答申の御趣旨でございます。

 こうしたことを実現するような書き込み自由システムというのも同時にこれに併設したものをつくるということで、現在、独立行政法人国民生活センターの中にシステムを構築することといたしまして、二十一年度中に利用することを目指して、システムの構築に着手してございます。

 データの内容とPIO―NETあるいは食品保健総合情報処理システムとの連携という点について重ねてお尋ねがございました。

 この事故情報データバンク、世の中のあちらこちらの、さまざまな機関や省庁で蓄積されている事故情報というのをとにかく一元的に集めようということからスタートしたいと考えておりまして、関係省庁、関係機関に呼びかけまして、現段階では、先ほど申されました食品保健総合情報処理システム、これは厚生省の所管で食中毒等の発生情報について収集しているものでございますが、これを含めまして十一のデータベースをリンクします。

 その十一の中にはPIO―NETも含まれてございますけれども、PIO―NETは、御案内のように、その九割以上が取引、契約に関する苦情でございますが、中には重要な安全に関する情報が含まれてございますので、これも、PIO―NETに消費者センターから寄せられた情報のうち安全に関するものは、今の事故情報データバンクに一元化をして、それで関係機関あるいは国民の皆さんに活用していただきたいと考えているところでございます。

日森委員 要望なんですが、消費者側に使い勝手のいいデータバンクにしていただきたいということをぜひお願いしたいと思うんですよ。

 だから、なかなか難しさがあって、多分、PIO―NETなんかも、二、三行しか情報がないとか、これを見てもよくわからぬみたいな話になっているわけで、そこなんかも少し改善をしていくとかいうことも含めて、ぜひお願いをしたいと思うんですが、そういう意味では、情報をどう公開していくかということが大変重要だと思うんです。

 例えば、経済産業省が〇七年の二月十六日に基準をつくった。それは、石油とかガスの関係についてはすべての情報を出す、それ以外については、いろいろ、製品に欠陥があるかどうか確認されないと出さないというふうに区別をしている、そういう基準をつくったりなさっているわけですね。

 それから、NITEなんかもそうなんですが、いろいろな情報を収集します。しかし、NITEなんかの例でいうと、情報を収集するのに、消費者からの情報というのは一・四%ぐらいしかない、極めて少ないので、公開をしても、消費者が何しろ書き込まないんですね。これはニーズに合わないような中身になっている、ニーズにこたえられないような中身になっているんじゃないか、こんな経験を持っているわけです。

 一方では、国土交通省の例のリコール情報、これはどんどん書き込んでいただいて、国土交通省が責任は持ちませんということは明記していますけれども、これを、本当に一覧表として全部わかる、検索できるというような状況があって、そういう意味では、公開、非公開、非公開というのは原則ない方がいいと思うんですが、どういう基準で公開をされていくお考えなのか。これはちょっと大事な問題だと思いますので、ぜひお聞きをしておきたいと思います。

田中政府参考人 情報の公開のあり方につきましても、先ほど御紹介しました国民生活審議会の安全に関する検討委員会でさまざまな御意見を今いただいているところでございます。

 したがいまして、現段階で結論が出ているということではございませんが、当方の考え方といたしましては、事故情報データバンク内の情報の取り扱いにつきましては、先ほどありましたが、まず全般的な事故の動向とか重大な事故に関する分析情報を公開する、これはもちろんなんですけれども、できるだけ個々の、どういう事故があったかという個々の情報についても、内容の確認を行った上で、事故の対象物でありますとか事故発生の状況などを一定の範囲で公開するという方向で検討をしたいと考えています。

 ただし、先ほど二つ重要な問題がありまして、一つは、先ほどありましたように国民からヒヤリ・ハット情報を含めて広く入れていただくということでございますので、その真実性だとか確度というもののチェックというのが当然に必要になってくるところではございます。

 もう一つ、PIO―NETなどの情報に関しましては、相談者というのは情報が公開されることを前提としていなくて御相談をしているということがございますので、そうした被害者の個人情報の保護というような点についても十分に配慮していかなければならないと思ってございます。

日森委員 個人情報保護というのはまさに当然のことでありますけれども、このデータバンクが本当に、消費者行政というか、消費者の側に立って、消費者がみずから危険とかあるいはそのおそれがあるとかいうことが判断できるような、そういう有意義なデータバンクになるように、これからもちょっと提言はしていきたいと思います。

 さらに、このデータバンクが大変重要だ、これは共通の認識になると思うんですが、警察とか病院とかいうところに参加義務がないというふうに聞いているわけです。

 先ほど、一番最初にお聞きをしましたけれども、警察で相談の統計がよくわからぬとかさまざまな問題があって、だからそのデータバンクに参加しようにもできないんだという理由があるかもしれませんけれども、実はそうではなくて、まだまだ参加している機関、十一機関ですね、非常に少ないわけですよ。一元的に情報を集約して、しかもそれはきっちり管理してそれを公表するということになっていくと、これでは余りにも寂し過ぎるという気がするんですよ。大消費者庁ができるのに、警察の情報は義務がない、病院の情報も義務がありませんというふうになっていると、本当に一元的に情報が集約できるのか、本当に消費者に資することができるのかという疑問があるわけですね。

 国生審の論点整理の中でもいろいろ検討課題としてはあるようですけれども、これはぜひ、警察とか病院、それは警察の方でもしっかり情報の集約をして、統計ぐらいはとれよ、とっているんでしょうけれども、消費者庁に報告できるような情報はちゃんとしろよという意味も含めてなんですが、これはどうなんでしょうね。

田中政府参考人 十一でお粗末だというおしかりを受けましたが、これは……(日森委員「いや、お粗末じゃなくて、寂し過ぎる」と呼ぶ)寂し過ぎる。出発点だということで、これから徐々に整備していくということでございます。

 今お尋ねになりました消防、警察、病院でございますけれども、先ほど申しましたように、現在のつくり方として、世の中に既に集まっているデータベースとして事故情報を持っておられるところとリンクを張ってというか、そこから情報を一元的に集めるということで、そういう形からシステム構築を開始したいと思っています。

 これに関しまして、病院に関しましては、病院さんの集まりで何か独特のデータベースを持っているということが現在の段階で私どもでも承知してございませんので、病院に関する情報に関しましては、国民生活センターが協力病院というところで……(日森委員「ああ、二十」と呼ぶ)二十ございますけれども、そこから入ってくる情報を国民生活センター経由で入れていただこうと思ってございます。

 それから、消防、警察につきましても、現在、警察の事案の中で特に消費者被害だけ、安全の問題だけを取り出したデータベースを何かつくられているということは聞いてございませんので、今、先ほど大臣の方からも御紹介のありました情報総括官会議というシステムが昨年の九月にできまして、これを通じて、警察が知り得た危害情報、安全に関する情報というものを逐次私どもの方の安全課というところに御報告いただいています。それから、消防についても同様にいただいております。

 当面、スタートに当たりましては、こうした役所間の関係としていただいた警察や消防の情報を内閣府の方で事故情報データバンクの方に集約していくという形から始めさせていただきたいと思いますが、将来的な課題といたしましては、当然、そうした警察や消防あるいは病院の情報というのも搭載する方向に向けて努力をしてまいりたいと思っております。

日森委員 ぜひ、警察も消防も病院も、これは国民生活の安心、安全に直接かかわる問題ですから、そういうことで、もちろん関係機関等に努力をしてもらうし、消費者庁も、こうした情報も一元的に集約できるような、そういう体制を組んでいただきたいというふうに思うのと同時に、国生審の中でも、一元的に集約された情報が関係機関の間でしか使われないようなところがあって、消費者の方に全面的に開示をするとかいうことについてはまだ、検討課題になっていたかな、たしか。

 そういう意味から考えると、むしろこれは、消費者と消費者庁が一緒に仕事をして、本当に消費者の権利、利益をしっかり守るんだという立場になると、消費者が情報について要求した場合は、やはり消費者庁はきっちりそれにこたえて出さなきゃいけないというような制度をきちんとつくっておく必要があると思うんですよ。

 その辺について、ちょっと御見解をお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、今ずっと話してきたことの根っこの部分には、今までのそれぞれが持っているデータベースというのは、専らそこに所属している産業界とかが利用しているにすぎなく、やはり消費者が利用するデータベースというのは存在していなかったんじゃないか。PIO―NETも、実はあれはインナーの情報の蓄積システムで、相談員の方々がさまざまなあっせん業務を行うときのノウハウが蓄積されているということで、外向けでは決してない。

 そういう意味では、今先生が応援していただいているこのデータベースに関しては、やはり画期的な、消費者がつくり上げていく、そして消費者にとってもわかりやすい、なおかつ個人情報がしっかりと守られるということで、いろいろとお知恵をかりながら構築することが消費者庁の大きな役割だと信じております。

日森委員 ぜひ、消費者、もちろん団体もそうなんですが、消費者自身が能動的にかかわれる、参加ができるという消費者庁を目指していただきたいということをお願いして、ちょうど終わりましたので、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

船田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 三月二十五日の消費者問題に関する特別委員会で質疑を行いましたときに、食品安全委員会委員長の答弁が混乱をしました。文書でその内容をまとめるようにという委員長の要請に基づき、資料をつくりました。お手元にお配りをさせていただいております。議事録に残したいと思いますので、まずざっと読み上げますので、お時間をお許しいただきたいと思います。

 平成二十一年三月二十五日の消費者問題に関する特別委員会の質問の要旨。

 食品安全委員会は、平成十七年に「「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価について」答申(以下「この答申」という。)を行い、その結論の附帯事項として「SRMの利用の禁止が必須である。」とし、「牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」と飼料規制の強化を求めた。また、「健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。」として、「最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要である」とも指摘をしている。

 そこで、私は、消費者問題に関する特別委員会において、米国の飼料規制について食品安全委員会委員長はどのような評価をしているのかを問うた。

 前提として、米国が二〇〇八年四月にホームページ上で、BSEの交差汚染防止の観点から、三十カ月齢以上の牛の脳や脊髄等について、ペットを含むすべての動物の飼料に使用することを禁止すると公表し、二〇〇九年四月から実施をすることとしていることは私も承知をしている。(以下「米国の新対策」という。)これをもって、農林水産省は、米国の規制改革及び競争政策に関する日本国政府の要望事項(以下「対米要望事項」という。)から飼料規制の強化とサーベイランスの実施という二〇〇七年には掲げていた要望を二〇〇八年には取り下げたと昨年秋の臨時国会における私の質問で答弁をしている。また、食品安全委員会が米国の新対策について一定の評価をしていることは私も承知をしている。

 その上で、米国の新対策が完全に実施をされたとしても、日本がSRMと定義をする三十カ月齢未満の牛の脳や脊髄等は引き続きレンダリングに回され、牛以外の動物の飼料として出荷されることとなる事実を私は指摘をした。

 なお、この答申が出された時点で既に米国では牛に対して牛由来の肉骨粉などを飼料として給餌することは禁止されていたが、牛由来の肉骨粉などが製造され続けている現状と他の動物に給餌された牛由来の肉骨粉などが牛の飼料へ混入する交差汚染の懸念が指摘をされていた。その指摘を踏まえ、この答申ではあえて「SRMの利用の禁止が必須である。牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」としたと理解している。

 しかるに、米国の新対策が実施され、リスク管理機関である日本の農林水産省及び米国の農務省のリスク管理がたとえ万全であったとしても、米国の新対策だけでは牛のSRMは今後とも他の動物への飼料への利用がなされ、この答申で禁止を求められた状態が続くことになるのではないかとの疑念を私は持っている。

 そもそも、食品安全委員会の答申に基づいて行われた対米要望事項から飼料規制の強化に関する要望を取り下げるのであれば、米国産牛肉の輸入が続いている以上、その強化が十分になされた場合か、科学的知見をもって強化の必要性がなくなった場合しかあり得ない。いずれにせよ、食品安全委員会が評価をするべき問題であり、食品安全委員会に評価を求める前にその要望を取り下げた昨年の農林水産省の対応には、道義的にも、また食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)(以下「法」という。)第二十三条四項に照らしても問題がある。

 その指摘をされた農林水産省は、昨年十一月、食品安全委員会に米国の新対策について報告をした。その報告を受け、リスク評価機関である食品安全委員会が、米国の新対策に対して一定の評価というあいまいな表現の評価をしただけでは、対米要望事項から飼料規制強化を取り下げるのに十分と考えられる飼料規制の強化がなされたと評価をしたのか、飼料規制の強化の必要性がなくなったと評価をしたのか、それとも、米国の新対策は一歩前進であり、一定の評価をするものの、まだ飼料規制は不十分だと評価をしたのかが判然としない。

 一方、米国の新対策の報告を受けて、まずは一定の評価だけ行い、この対策が十分な飼料規制であるか否かを明らかにするのであれば、そのスケジュールを明らかにされたい。

 米国の新対策の万全な実施をもって十分な飼料規制だと評価するのであれば、次の変更が必要である。すなわち、日本のSRMの定義を変更する。

 米国の新対策のいかんにかかわらず、飼料規制の強化をする必要がなくなったと評価したのであれば、次の変更が必要である。すなわち、牛由来のSRMを他の動物への飼料として利用することの禁止を求めたこの答申を変更する。

 米国の新対策の万全な実施をもってもまだ飼料規制は不十分だと評価するならば、もしくは、一定の評価をしただけであり、十分か否かの評価に至っていないのであれば、必要十分な施策が実施をされているとの評価に少なくとも現時点では至っておらず、対米要望事項からの削除は不適切となる。

 対応としては、食品安全基本法第二十三条一項三号「前号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき、食品の安全性の確保のため講ずべき施策について内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。」、同項四号「第二号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき講じられる施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。」に基づき、食品安全委員会は、内閣総理大臣を通じ、農林水産大臣に対し、今後とも米国に対してさらなる飼料規制の強化を求め、本年の対米要望事項に列記するよう求める。

 いずれの答弁であれ、上記のいずれか一つの変更ないしは対応を食品安全委員会はとる必要がある。

 なお、米国の新対策に対し、一定の評価をするというどのようにも読み取れる文言だけで、今後これ以上の評価をする予定がないとの見解であるならば、食品安全委員会が飼料規制強化を求める答申を出しておきながら、その求めた強化策の報告を受けても評価をしないことになり、科学的知見をもとにみずからもリスク評価を行える機関としては、その存在をみずから否定し、無責任とのそしりを免れない。

 また、牛の肉骨粉は、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)第三条第一項に規定された、また、同法第二十三条の規定である製造、輸入、販売もしくは使用の禁止をされている飼料であり、法第二十四条第一項五号によれば、農林水産大臣は食品安全委員会の意見を聞かなければならないこととされており、また、同条第一項十三号では、SRMのレンダリングの禁止を規定する根拠となる牛海綿状脳症対策特別措置法(平成十四年法律第七十号)第七条第一項または第二項の厚生労働省令を制定し、または改廃しようとするときには、厚生労働大臣は食品安全委員会の意見を聞かなければならないことになっていることに反すると考える。

 また、第百七十回国会十一月十九日の衆議院農林水産委員会において石破大臣は、「私どもとして専門的な知見を持ってやっておるわけでございますが、そこにおいて食品安全委員会というものをどのように関与させるか、どのように関与させるべきなのかということについては、今後のことも踏まえまして、事務方でもう少しよく詰めさせたいということが私と舛添大臣との間の協議の結果でございます。」と答弁し、関与を求めていく姿勢を示している。

 一定の評価をするとの意見だけではいかようにも解釈でき、法の定める意見を放棄しており、法違反の疑いが残る。食品安全委員会が一定の評価以上の評価をしないのであれば、上記の指摘を踏まえ、評価をしない理由と根拠を明らかにされたい。

 リスク管理官庁の施策に反映される食品安全委員会の評価を問うたわけであり、一定の評価だけではリスク管理官庁としてもとるべき施策が判然としない。

 なお、食品安全委員会として、農林水産省に対して、米国の新対策の実施状況の把握を含めまして、今後とも情報の提供をしてもらうよう要請することは、米国の新対策の万全性を監視することであり、当然必要な措置ではある。

 ただ、上記で説明したとおり、米国の新対策がたとえ万全であったとしても、また現段階で実施されていない対策であっても、その対策が不十分であれば、実施される前であっても当然のこととしてさらなる対策を求める必要性があることは明らかであり、私の質問に対する答弁とはなっていない。

 平成二十一年三月二十五日の消費者問題に関する特別委員会での食品安全委員会委員長に対する問いとしては、米国の新対策に対する食品安全委員会の評価を明らかにされたい。

 答弁としては、上記で述べたとおり、以下のいずれかになり、答弁によりそれぞれの対応ないしは変更が必要となる。

 十分な対策と評価をしている。

 この答申において指摘した飼料規制の必要がなくなったと考えている。

 一定の評価をするものの、不十分な対策と評価をしている。

 とりあえず現段階では一定の評価をしただけで、現時点では十分とも不十分とも断じておらず、今後評価をする。であれば、評価をする時期を答弁で示す。

 一定の評価をしており、今後とも評価を行うつもりはない。であれば、その見解の根拠と理由を法に照らして答弁で明らかにする。

 これを求めたものであります。よろしくお願いします。

見上参考人 米国の新たな飼料規制に対する食品安全委員会の評価を明らかにされたいという、今先生がおっしゃった、(1)で十分な対策だと評価、(2)飼料規制の必要がなくなった、(3)不十分な対策と評価、(4)とりあえず現段階では一定の評価をしたというだけで、現時点では十分とも不十分とも断じておらず、今後評価する、(5)一定の評価はしており、今後とも評価を行うつもりはないの、いずれであるかということでございます。

 食品安全委員会の考え方は、議員の御指摘のうち(4)の、とりあえず現段階では一定の評価をしたというだけで、現時点では十分とも不十分とも断じておらず、今後評価する、に近いものです。

 それで、米国の新たな飼料規制は、飼料の交差汚染を防止する観点から、評価書の附帯事項に沿った大幅な改善であると食品安全委員会は一定の評価をしております。また、米国から輸入される牛肉の安全性の評価は、強化前の飼料規制を前提とし、飼料規制だけでなく、米国へのBSE侵入リスクや対日輸出プログラムなどさまざまな観点から総合的に評価されたものなので、飼料規制の内容に日米の違いがあっても、日本に輸出されている米国産牛肉の安全性はしっかり担保されていると考えています。

 一方で、この規制の改正案はまだ施行されていませんので、実施状況の詳細や、これが適切に実施されるかどうかを見きわめなければ、対策として十分かどうかを申し上げることはできません。このため、リスク管理機関に対して、規制の具体的な内容や実施状況を注視し、報告するように求めます。食品安全委員会では、その結果を踏まえまして、米国の飼料規制を検討し、見解を示すことを考えております。

 なお、食肉の安全性は総合的に判断するもので、飼料規制の部分だけを取り上げて食品健康影響評価とすることはありません。検討の時期は、十分なデータが集まってからとなります。具体的な時期については、今はまだわかりません。

岡本(充)委員 それでは困るわけですね。対米要望は時期が決められているわけです。またことしも出さないということになっては困るわけですから、評価をいつ行うのか。今後評価をするということを、今(4)だとお答えいただきましたから、その時期を、これはもう事前に、いつでしたか、先週の段階でこの文書をお渡ししているんじゃないかと私は思います。いつ評価をされるのか、時期だけでも明確にしていただきたいと思うのが一つと、委員長が言われたことに対して、私も言っておきたいことがあります。

 この食品健康影響評価においては、結論の附帯事項として、「SRMの利用の禁止が必須である。」とし、「牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」としているわけですから、それだけを取り上げてと言いますが、「必要がある。」と書いてある以上は、その必要性があるんですよ。やはりそれを求めていかなければいけないということは変わらない。

 したがって、それを求め続けることが必要だと言っているわけであって、私は、今のこの影響評価の結論の附帯事項と今委員長が言われたことは矛盾すると思います。時期等を含め、お答えをいただきたいと思います。(発言する者あり)

 いや、答弁者として認めていません。私、委員長に聞いています。事務局には聞いていません。事務局は答弁はしないという約束になっています。

見上参考人 最初の御質問です。明確な時期を示せということですけれども、新たな飼料規制はまだ施行されておりませんので、それについて検討する時期はいつになるか、わかりません。

 新たな飼料規制の実施状況がどうであっても、我が国に輸入されている牛肉の安全性は担保されており、急ぐ必要はないので、十分なデータの集積を待っております。

岡本(充)委員 いや、時期だけは示してもらわないと、対米要求に間に合わないんです。

 大臣、食品安全担当でもあるんですから、これは、今後評価をすると今委員長が言われているわけですから、早急に評価を求めるように大臣からもお話をしてもらいたい。その理由は今私がここで述べたとおりであります。そのように御評価をいただけますでしょうか。お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 今、見上委員長がきちっと御答弁をされたと思っております。

 米国の飼料規制については、予定どおり強化されたとしても、なお我が国と違いがある、我が国よりも緩やかだということは承知しておりまして、しかしながら、米国から輸入される牛肉の安全性の評価は、強化前の飼料規制を前提に、飼料規制だけではなく、米国へのBSE侵入リスクや対日輸出プログラムなどさまざまな観点から総合的に評価されたものなので、飼料規制に違いはあっても、日本に輸入されている米国産牛肉の安全性はしっかり担保されております。

 このように、食品安全委員会は今後とも、科学的に、中立公正な立場からリスク管理機関の対応を注視しつつ、適宜報告を求め、科学的な検討を行うなど必要な対応を続けるよう督励してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 それでは、大臣、もう米国に対して要望を出さないと言っているのと一緒ですよ。

 もう一つ重要なポイントとして、前回できませんでしたけれども、資料の六ページ、BSE牛の確認の状況についてということですが、これを見ていただくと、これは日本で見つかったBSE牛の一覧です。三十六頭いるうちのほとんどがホルスタイン種であって、いわゆる肉牛種は少ない。日本は、大体五割五割の肉牛とホルスタインの割合です。米国は、屠畜される牛のほとんどが肉牛です。八、二だと言われています。そういう中で、ホルスタインの検査は米国においてどのくらいなされているかわからないんです。

 なぜホルスタインの牛がBSEに罹患をしやすいかということは、科学的にいろいろな説が唱えられています。一つは、ホルスタイン種の場合は、子供を産んだ後にその子供に乳を上げるよりも人様にそのミルクが行ってしまう結果、代用乳を飲む機会が多いのではないかとか、それから、肉牛はより若い月齢で屠畜をされる、したがって、これで見ていただくとわかるとおり、ホルスタインも、日本の場合もかなり高齢牛が多い。そういう意味で、乳用廃用牛というそうでございますけれども、こういった牛にBSEのリスクが高いと言われている。

 日本は、全頭検査をしているから、悉皆調査でこういうことがわかっている。ところが、米国は、一体ホルスタインをどれだけサーベイランスにかけているのか。もっと言えば、米国の場合は肉牛が多いわけですから、ホルスタインの検査はなされていないのではないかという観点。

 それからもう一つは、神経学的所見があった牛、これは資料の左側に三角印で、岡本事務所でつくったものですけれども、つけました。これだけの三角印がついているのが、米国が行っている神経学的所見があった牛であります。つまり、神経学的所見がなかった、三角をしていない牛は、アメリカではこのまま屠畜に回っていく可能性があるということです。

 もう一点、星印をつけたのは、米国で処理をされる牛。三十カ月齢以上、そして、大体五歳未満の牛が屠畜をされているといいますから、六十カ月齢未満の牛について星印をつけました。

 結果として、これが米国のサーベイランスだったとすると、すべての条件、つまり丸印と星印と三角がそろう牛は一頭もいない。米国の基準でこのBSEのサーベイランスをすると、日本の三十六頭の牛はどれも検査の対象としてならずに、その網をくぐり抜けている可能性がある。つまり、日本も清浄国だという主張ができてしまうことになるわけです。あえて言えば、この十七番目の牛だけが、三十から六十カ月齢未満であり、なおかつ神経学的所見があったということですから、ホルスタイン種であったとしても、実際に屠畜をされていれば、これは検査対象になったかなと思われる牛が十七番目の一頭だけということになってまいります。

 そういう意味では、サーベイランスをより強化してくれ、統計学的には百万分の一だとかいっても、日本の実例と比較をしてみると、一頭もしくはゼロ頭という状況になってしまうということを大臣ぜひ御理解いただいて、これは米国に対してサーベイランスの強化を今後とも求めていく必要があるということをぜひ御理解いただきたいと思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

見上参考人 二つほどお伺いしまして、限定された米国のサーベイランスの評価いかんということだと思います。(岡本(充)委員「いや、評価いかん、そんな話、これを見た所見を言ってくれと言っているんです」と呼ぶ)

 所見は、ここに、確かに岡本事務所でおつくりになった丸、三角、星印というところで一致することはございませんけれども、だからといって、米国において、そういう日本のものとそごがあって、違うものをやっているんじゃないかということには、科学的にそういう根拠は何もございません。

 それで、十七頭目のお話をしました。これは死亡牛で、起立不能の牛です。死亡牛も含めまして、米国で検査しているのは、BSEのような症状を持っているものも検査していますし、日本とはほとんど変わりございません。

岡本(充)委員 僕は大臣に質問したんです。日本は全頭を調べてこういう結果だったんです。これより詳細なことはありません、悉皆調査ですから。それでこういう結果が出ている。

 これを踏まえて考えると、米国のサーベイランスの、症状があるもの、高リスク牛と言っているもので峻別をすると、日本ではゼロ頭もしくは一頭ということになり、そのほかの牛は流通してしまいますよということを私は指摘している。したがって、よりサーベイランスの強化を求める必要があるでしょうと言っているわけですから、あるんじゃないんですかということの、大臣、お答えをいただきたい。

野田国務大臣 本来これは委員長が答弁されることだと思うんですが、今御質問の、アメリカのサーベイランスの評価のことですけれども、ゼロ頭になってしまうかどうかというのはよく検討してみないとわかりませんが、米国のサーベイランスは、歩行困難牛など高リスク牛を対象とする抽出検査ですので、必ずしもすべてのBSE陽性牛を確認することができないというのは先生の御指摘のとおりです。

 しかしながら、このサーベイランス計画について、プリオン専門調査会の疫学の専門家等が検討、議論した結果、百万頭に一頭のBSE牛を発見するという調査の目的からすれば、考え方は理解できるものであり、サンプル数が少なくなるからといって一概に問題があるとは言えないという見解も出されておられるそうです。サーベイランスの目的は、あくまでもBSEの汚染状況を知るためのものであって、サーベイランスの規模により汚染状況が変わるものではない。

 アメリカから輸入される牛肉の安全性につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、アメリカへのBSE侵入リスク、飼料規制、サーベイランスのデータや対日輸出プログラムなど、さまざまな観点から総合的に評価をしており、日本に輸入される米国産牛肉の安全性はしっかり担保されているということでございます。

岡本(充)委員 もう時間ですので、最後に一言だけ言います。

 米国には三千五百万頭と言われる牛がいるんです。百万頭に一頭でも、ちょうど三十五頭になります。そういう牛が日本に回ってくるというリスクを、食品担当の大臣としても、それから消費者行政を預かる大臣としても、こういうことではまずいんだということを米国に堂々ときちっと言っていく、そういう姿勢を何も回避する理由はないんじゃないかという意味で、私は要望に出してくれと言っているだけの話であって、大臣のその御答弁ではなかなか納得できませんが、きょうは時間になりましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 次回は、来る四月二日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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