衆議院

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第14号 平成21年4月16日(木曜日)

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平成二十一年四月十六日(木曜日)

    午前十時十四分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    小島 敏男君

      佐藤  錬君    平  将明君

      玉沢徳一郎君    土屋 正忠君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    宮腰 光寛君

      矢野 隆司君    泉  健太君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      小宮山洋子君    階   猛君

      田島 一成君    田名部匡代君

      田端 正広君    桝屋 敬悟君

      吉井 英勝君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。

岸田委員 おはようございます。

 三月十七日、審議が始まりました当消費者問題特別委員会の議論も、いよいよ本日、大詰めを迎えることとなりました。

 振り返りますと、昨年一月ですか、中国製冷凍ギョーザの薬物中毒事件が発覚し、国民の消費に対する安心、安全の意識の高まりを受けて、二月には消費者行政推進会議、有識者会議が立ち上がり、消費者行政の一元化、新しい消費者行政組織についての議論が本格的に始まりました。そして、その後、六月には消費者行政推進計画が閣議決定され、そして昨年九月、政府の方から消費者庁関連三法案、この関連法案が国会に提出をされました。

 そして、さらには、ことしの一月の五日、当通常国会の冒頭でありますが、当消費者問題特別委員会が設置をされ、そして三月十七日、先ほど申し上げましたように、ようやくこの消費者庁関連三法案、さらには民主党提出の対案、こうした法律の審議が始まったわけですが、本日、ようやくこの議論が大詰めを迎えたということであります。

 もちろん、その背景としまして、例えばコンニャクゼリーですとか、あるいはエレベーターの事故による死亡事件、さらには食品偽装事件ですとか、あるいは汚染米の事件もありました。さらには、さまざまな取引をめぐる消費者事件等々、大変残念な、また痛ましい事件も次々と報じられる等、こうした社会の状況もありましたし、こういった中で、国民の意識の変化、消費における安心、安全に対する意識の高まり、こういったものもあったんでありましょうし、そして、明治以来の我が国の行政組織のあり方、生産者あるいはサービスの提供者中心の行政から、より消費者にしっかりと視点を据えた消費者中心の行政というものを考えていかなければいけない、こういった議論の高まりも背景にあったわけです。

 そもそも消費者庁という言葉自体、大変歴史のある言葉だというのが参考人の質疑の中でもたびたび指摘をされました。消費者庁という言葉は、消費者団体あるいはこの関係団体にとりましては、二十年、三十年来の長年の夢だったというような言葉もありました。込める思いとか中身はさまざまだったでしょうが、こうした消費者庁という言葉が、今具体的な形になろうとしています。

 当委員会の議論も五十六時間に上りました。四日間にわたって参考人質疑も行いました。そして、地方公聴会も神戸、札幌、二カ所に出かけていきました。関係大臣も、たしか八大臣だったでしょうか、それぞれ一人ずつこの委員会に御出席をいただきました。そして、何よりも、総理には、この審議開始の時点で委員会に御出席をいただき、そして本日また再び御出席をいただく。一つの特別委員会に総理が二度も御出席をいただくということ、これは大変異例なことだというふうに思っています。

 このように、先ほど申し上げました消費者問題について、総理も並々ならぬ意欲をお示しいただいたというふうに感じておりますが、その総理としまして、今日までの議論のありよう、また背景となりましたさまざまな議論を振り返られまして、御所見を承りたいと存じます。

 あわせて、この問題につきまして担当大臣として対応されてこられました野田国務大臣にも、御所感をお伺いしたいと存じます。

麻生内閣総理大臣 今、岸田委員からも御指摘がありましたように、これまでの行政組織というものを考えてみますと、生産する側もしくは事業者といったような、明治以来、そういった組織を育てるということに主な力点を置いて日本の行政組織というのはこれまで発達してきて、敗戦後も基本的にはその姿勢は変わっていなかったと思っております。

 傍ら、消費者庁は全くそれとは逆の発想で、利用者、使用者、消費者の側に立った行政というので、生活者、使用者、いわゆる消費者の味方をするという発想のものは、これまでの行政組織にはなかったものだったというところは思っておりますので、これまでの行政のあり方を消費者に大きく転換する突破口になるものだと思っております。福田前総理からの引き継ぎの一つでもあったものでありますけれども、消費者団体やら、それから日弁連でしたか、いろいろな方々の長年の思いが最終的にきょう結実しつつあるということは大変喜ばしいことだと思っております。

 これまでの消費者行政、こういった消費者庁構想、今の言葉は二十年前、ちょっと私はそんなに前から知らなかったんですが、消費者庁構想をこれまでずっと支えてこられた方々がおられますでしょうし、また、この問題に当たって、みんなでこの法案を成立させるに当たって、いろいろ修正やら何やら、現場の理事として御協力、調整をいただいた与野党の方々に対して、心より敬意を表したいと思っております。

 やはり、消費者の被害、すき間というものの話がありましたり、いろいろしましたけれども、そういったもので、これが早く成立をいたして、そして関連法案を含めまして、実質的にこの消費者庁が行政をスタートさせていけることを心から期待をいたしております。

野田国務大臣 昨年の八月にこの担当をいただきまして、今日まで本当に大勢の消費者行政に打ち込んでこられた皆様方の支えがあって、この関連三法案が誕生し、ここで御審議をいただき、そして、いよいよ、すべての公党の皆様方の御理解のもとで、消費者庁の設置に向けた大きな第一歩が始まろうとしていることを心からうれしく思っています。

 冒頭から、私は、この関連三法案はお預かりしたものという意識で取り組んでまいりました。それは、今岸田委員がまさにおっしゃいました、数十年にわたって消費者被害を目の当たりにし、その対策の最前線におられた消費者団体の方々、そして日弁連の方々が温めてこられた構想がまさに土台となってできている関連三法案でございますから、私としては、どの場所においても、これはベストであると言い切れたのは、自分が創作したものではなく、そういう専門性の高い皆様方の長年にわたるそういう蓄積がまさにこの三法案だったので、堂々と答弁をさせていただいてきたところでございます。

 法案ができる前、そして法案ができ提出させていただき、さらにこの審議の中でも、そういう関係の皆様方の大変な御支援のもとで活発にこういう委員会を開かせていただきましたことは大変うれしいことであり、やはりいろいろな政策がある中、消費者行政というのは、言葉はあっても、なかなかその実態がこの国では十二分に浸透していなかったのではないか、また、地域によって大変な格差ができているのではないか、そういうことを踏まえた中で、この特別委員会での長時間にわたる審議というのは、多くの国民の方々にこの消費者行政の大切さをお伝えできた、すばらしい機会ではなかったかと思っています。

 さらに、これにつきましては、いろいろと政治的な背景を乗り越えて与野党の皆さんが修正協議等々をしていただき、合意をしていただいたということは大変感激でありますし、心から、御担当に当たられた皆様方には感謝を申し上げたいと思っています。

 これからもしっかりと、今総理がおっしゃったように、恐らくや、数年後、数十年後、振り返ってみて、消費者庁が日本にできたことは、日本の歴史を変える大きな一歩になったのではないか、そういう思いをする中で、地道に消費者庁の設置、創設に向けてこれまで以上に頑張ってまいりたいと思っております。

岸田委員 麻生総理そして野田大臣から、この問題に対する強い思いを聞かせていただきました。

 今回の特別委員会、振り返りますときに、与野党六会派の委員それぞれがこの問題に真剣に取り組んだと感じております。そして、その中にあって、民主党は特に独自の対案を用意して国会論戦に臨まれた、こうした御努力には心から敬意を表し申し上げたいと存じます。そして、その上で、各党が知恵を持ち寄って、各党が努力をして、そして閣法を修正する形で、あともう少しでこの委員会において修正可決できるところまで来ました。

 こうした経緯を振り返られまして、民主党の衆法提出者におかれましては、どう感じておられるか、一言お願いできますか。

小宮山(洋)議員 今回、消費者の皆様、消費者団体の皆さんの強い思いを受けて、私どもも非常に自信のあるオンブズパーソンの法案を提出いたしまして、これまで六十時間近く、参考人の方にもたくさん来ていただいて質疑をした結果、理事の皆さんの二日間にわたるマラソンの修正協議、そしてそれを支えました各議員の努力、さらに縁の下の力持ちであった法制局、調査室、皆さんの協力によりまして、余り小さく産み過ぎると働かないという思いが強くございましたけれども、少なくとも世の中に出して、しっかりとそこに、もちろんだれがやるかという人の問題が大変大きいと思ってはおりますけれども、働ける仕組みの法案が六党合意をしてできたことは本当によかったというふうに思っております。

 ただ、残された課題もたくさんございまして、これだけ与野党修正で、条文修正が十四項目、そして附則をつけたものが六項目、さらに合意事項が二項目、全部大切なもので二十二項目あるわけでございます。特に消費者委員会、これをなるべくオンブズパーソンに近いものにということで検討をして、大分権限を強化いたしましたが、ここの常勤化の問題ですとか事務局体制の問題、また消費者庁も二百人という人数でやりますので、本当にそこに骨を埋める覚悟ぐらいで皆さんがされないと難しいと思います。

 そうした問題ですとか、あるいは地方の問題が非常にまだまだ心残りな部分がございまして、今回、与党も最大限努力をされて、基金も人件費に使えるようにするということもされましたけれども、これも三年のうちにきちんと見直すということで、私ども申し上げましたような配置基準を決めて財政措置もするというようなことも含めてこれから検討する必要がございますし、私も提出者になりました団体訴訟に損害賠償を入れる件につきましても、これは先に持ち越しましたので、ぜひそういうことは、この委員会も常設の委員会でございますから、しっかりフォローをして、オンブズパーソンは政権をとってからつくらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員 社会はどんどんと変化しておりますし、消費者問題をめぐる課題、被害者救済ですとか消費者教育ですとかさまざまな課題があります。一回の努力だけで消費者問題を解決できるほど生易しいものではないと我々も強く感じています。

 今回の論戦を振り返りましたときに、やはり消費者庁という看板をつくるだけではだめだ、実質的に中央にしっかりとした司令塔組織をつくり、そして地方にしっかりとした消費者窓口、情報ネットワークをつくる、こうした内容が伴わなければだめだ、こういった議論がしっかりと行われたというふうに思っています。

 そして、その結果として、消費者庁に執行機関としてのしっかりとした権限を与え、そして閣法で言うところの消費者政策委員会において監視機関としてしっかりとした独立性を確保する、さらには地方の消費者行政の財政支援として、国としてもしっかりとその仕掛けをつくっていこう、こういった議論が進められたというふうに認識しておりますが、これとて、やはりどう運用するか、これが問われるわけでありますし、また、今後の世の中の変化の中でどう活用していくのか、これが問われなければなりません。

 こうした一つの成果が今もう少しで出ようとしていますが、この成果を今後将来に向けてどのように活用するのか、これが大変大きな課題だというふうに思っています。ぜひ、これからこうした新しい体制をどのように運用していくのか、さらにはどう拡充していくのか、こうした将来に向けての決意を野田担当大臣にお伺いしたいと存じます。

野田国務大臣 御指摘のとおり、一つの役所をつくって、はいおしまいではなく、ここがまさにスタートになるわけでございます。

 消費者庁が創設されたその日からフルに、消費者の利益の擁護、増進のために働かなくてはならないということで、具体的には、まず、二百四人が少ないという指摘もありますけれども、それ以外に、やはり専門性の高い、さまざまな、執行に知見を持っている人とか法執行なんかできる専門的な人たちを非常勤の職員で活用したり、その次には、関係省庁または地方支分部局、都道府県等の知見、体制を活用し、立入検査等の執行を行ったり、さらには、まさに緊急時には、消費者庁みずからタスクフォースを立ち上げて迅速に的確に対応していくということで、専門性を確保し、かつ効率的、機動的な業務運営を行う、これが消費者行政の推進を図っていくことになると思います。

 さらに、御指摘のとおり、多様化していく中で、当然、消費者被害、トラブルもさまざまな広がりを見せてきているわけですから、責任というのは非常に重要になってきているわけです。これにしっかり対応するためには、所掌事務、関与のあり方、体制整備について常に見直しを行う中で必要な措置を講じていくことが大切だと思っています。

 とにかく、小さい、大きいの議論がありましたけれども、しっかりと専門性を持って、全力で働いていくということが大切ではなかろうかと思っています。

岸田委員 終わります。

船田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 二度にわたって総理も御出席される、きょうを入れますと五十八時間の審議になる、そして、総理、担当大臣ほか八名の大臣にも出席していただく、さらに、与野党本当に目的が一つということで、十時間以上ですか、修正協議もやって、今ここに至った。感慨深いものがあると思います。また、ユニカねっとの皆さんとか日弁連の方々も本当に毎日のように傍聴していただきましたので、皆さんと一緒に今回つくらせていただいたんだな、こういう思いがいたします。

 そういう精力的な議論を踏まえて、消費者政策委員会改め消費者委員会を内閣総理大臣直轄の組織として位置づけ、消費者庁のもとではなく内閣府本府に置き、権限も強化する旨、昨日の与野党間の修正協議において合意がなされたものでありますが、このように、消費者委員会の独立性の担保及び権限、機能の強化が行われた後の消費者庁と消費者委員会との関係に関する総理の所見はいかがか。また、今後、消費者委員会から総理への建議、勧告等がなされた場合、これをどのように尊重していくことになるのか。これをお伺いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、大口先生御指摘がありましたとおり、長い時間をかけての与野党間の協議の結果、修正することで合意されましたいわゆる消費者委員会につきましては、これは消費者庁から独立し、そして総理直属というような組織として、消費者庁を含む消費者行政というもの全般に関していわゆる監視機能を持つことになるという修正ができるということになりつつあります。

 この消費者委員会からいろいろ建議がなされたり勧告がされたり、いろいろあるんだと思いますが、法律に基づいたものでありまして、これは大変重く受けとめて、総理としては真摯に対応してまいりたいと考えております。

大口委員 次に、同じ修正協議の中で、「初代の消費者委員会の委員の内三名については、常勤的に務めることが可能となるように人選し、財政上の措置を行う。」という合意がなされたわけであります。

 消費者委員会の委員は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者のうちから任命することになっています。消費者委員会が積極的な機能を機動的に果たすためには、広範多岐にわたる分野から第一線で活躍する有識者を結集するということとともに、委員のうち三名については常勤的に務めることが可能になるような人選が重要なことと考えています。

 この合意を十分踏まえて、政府としても、委員の人選や財政上の措置等についてしっかりと対応していただきたいと考えますが、この点、野田大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 修正協議の結果を受けとめまして、常勤的に務めることとなる委員の任命に当たりましては、本職やほかの審議会の兼職の状況も踏まえた人選をしてまいりたいと考えております。

 また、財政的な措置につきまして、三名の方が常勤的な勤務を行っても委員手当が不足することのないよう、所要の措置を講じてまいるつもりでございます。

大口委員 国民目線の消費者行政の充実というのは、これは地方自治そのものであるというふうに考えるわけでありますが、いつでも、どこでも、相談員による一定水準の助言、あっせん等を得て問題を解決できるよう、やはり相談窓口へのアクセスの確保と適切な相談員の配置、特に相談員の処遇改善が急務であり、そのためにも、当委員会で国の支援が重要であるということについては認識を共有したと考えております。

 今回の修正協議においても、今般拡充された地方交付税措置を活用しつつ、今回の補正予算により新たに基金に上積みをし、支援対象を集中育成・強化期間において増大する業務に関する人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くする旨を定めることにより相談員の処遇改善、社会保険への加入等を含む、を図る旨、合意がなされたわけであります。

 平成二十一年度補正予算により、地方消費者行政活性化基金について、既存の百五十億円に加え、約百十億円の積み増しを行い、交付要綱等によって相談員の処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くするといった措置を通じて、交付金を相談員の人件費に活用するというような形で、具体的にどのように地方自治体や指定管理者を含む委託先団体で雇われている相談員の方々の処遇改善等を行っていくのか。野田大臣の強い、また中身のある答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 地方消費者行政の充実強化が最重要課題であるということは委員御指摘のとおりでございまして、この委員会においても本当に与野党多くの皆様方から熱心な御審議をいただいた結果、さきの修正協議におきまして、地方消費者行政強化についての合意がなされたということを承知しているところであります。

 政府としましては、これまでの御審議やその合意事項を踏まえて、既に造成されています百五十億円の基金の活用も含めて、集中育成・強化期間において増大する業務に係る人件費、これの支援を対象とすべく、交付要綱等の見直しを含め検討してまいります。そういうことでよろしいですか。(大口委員「積み増しも」と呼ぶ)はい。含めてです。おっしゃるとおりです。

大口委員 ですから、この基金、積み増しも予算が通らなきゃいけませんけれども、二百六十億円を相談員の人件費に使うという、今、野田大臣の明確な答弁があったわけでございます。

 ただ、これは三年間でございますので、その後どうなるのか。これが、委員会でもたくさんの皆さんからそういう御指摘がありました。

 これにつきましても、修正協議で、今後三年程度の集中育成・強化期間後の国による支援のあり方や、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿について、工程表も含め消費者委員会で検討を行う旨、合意がされたところであります。

 この集中育成・強化期間後、三年後の地方消費者行政への国の支援に関する総理の強い決意をお伺いしたいと私は思います。よろしくお願いします。

麻生内閣総理大臣 今、大口先生も述べておられますとおり、これは、地方の方がやはり直接消費者と接する機会というものが多いであろう、まずそう考えておかねばならぬと思っております。

 したがいまして、消費生活センターの設置とか、これは全然ないところもありますし、窓口もない行政体もありますので、そういったことを考えますと、相談員の設置もしくは相談員の処遇の改善というものがないと、こういった仕事をしていただける方はなかなか育たないんだと思っております。したがいまして、集中育成・強化期間の後におきましても、この状況は変わることはない。

 できたにしても、今度はそのでき上がったものがきちんと、これはつくるのが目的じゃありませんから、つくるのは単なる手段ですから、その目的がきちんと達成されるためには、そこに奉職しておられる方々の処遇等々は物すごく大事なところだと思っておりますので、地方消費者行政の支援というものは引き続き重要なものだと考えて、真剣に取り組んでいきたいと考えております。

大口委員 国の支援というものを皆さん期待しておりますし、せっかく窓口がこれからできる、センターもできる、新規のものもできる、拡充もする、それで相談員の方もふやしていただく、また養成もする。この三年間でやるわけです。その後、四年後、国の支援がなくなったということになりますと、これは困るわけですね。

 この集中期間を一生懸命やる、それには、やはり三年後の保障といいますか、これがあってまた地方自治体も安心してできるわけでございます。そういう点で、ぜひとも、そういう地方の思いといいますか、これを、総理、御理解を十分いただいている答弁でありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、被害者の救済についてでございます。

 とにかく、とうとい命が本当に失われている。もっと早く手をつけていれば、そのとうとい命を失わせることにはならなかった、私どもは、非常に反省をしているわけでございます。そして、被害者に生じた被害、あるいは非常に不当な収益、こういうものについて剥奪をしていくことが大事であるということも、これは当委員会の共通認識であったわけです。

 被害者救済について、この重要性を認めつつ、なおさまざまな論点について慎重な検討を要するということにもなったわけでございますけれども、「政府は、消費者庁関連三法の施行後三年を目途として、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。」旨の附則も、修正という形での合意がされていると承知しているわけでございます。

 今後、期限を切って、消費者庁において、関係各省庁の協力を得つつ、精力的に被害者救済の制度の構築を図っていかなきゃいけないと思いますが、この点についての総理の決意をお伺いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これはケースによって違うと思いますが、少額ではあるけれども多数というようなことになりますと、個々の消費者がみずから訴えを起こすというのは、これはなかなか難しいのだと思っておりますので、そういった意味で、我々としては、消費者が要は泣き寝入りするということがないように配慮するというところが一番のところだと思いますので、その仕組みを充実させるということが一番の観点だと思っております。

 この委員会の議論も踏まえまして、消費者庁において、これは関係省庁、多省庁にまたがりますので、そこのところの協力も得ながら、検討をきちんと進めさせていきたいと思っております。

大口委員 今、総理が的確におっしゃいましたように、少額であるけれども多数の被害がある、それを、マルチ等の悪質業者がしっかりと利益をため込むということをやはり剥奪するということとともに、そういう剥奪をしなければますますはびこってしまうという面がありますので、しっかりこれは、期限が切られていると私は考えております、よろしく、これから野田大臣を中心に進めていっていただきたいと思います。私たちも一緒に検討していきたいと思います。

 そういう中で、やはり消費者教育が非常に大事であるわけです。法律の整備をする、そしていろいろなことをする、しかし、賢い消費者を育てていかなければいつまでたっても被害者は減らない、こう思います。

 そういう点で、被害者を未然に防止するために、行政側の機能強化も必要でありますけれども、それと同時に、消費者基本法の基本理念をしっかり踏まえ、消費者の自立を支援していくことも極めて重要。

 消費者教育の推進というのは、消費者庁の重要な仕事であります。学校教育、社会教育における諸施策を含め、あらゆる機会を活用して関係省庁が連携し、政府全体として消費者教育にしっかりと取り組むべきである、こういうふうに考えますが、この消費者教育につきまして、では、総理、何かお考えをと思います。

麻生内閣総理大臣 これは、学校の中においてとか家庭においてとか、いろいろな場所で、利用する側もきちんと対応しておかないと、だましたやつも悪いけれども、だまされた方も、そんなのにひっかかる方が悪いんじゃないかという話はよく出る話でもあります。

 そういった意味では、きちんとした消費者教育というものは、ある程度、物をお金を払って買うというのは、結構、今では小学生ぐらいから始まりますので、そういうときから、パンを食べるの何を食べるの、そのころから始まる話でもありますので、きちんとした教育というのは大事なところではないか、私どももそう思っております。

大口委員 以上で質問を終わらせていただきます。またこれからが大事でございますので、しっかりよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛でございます。

 私、民主党案の提出者として、これまで答弁の方もさせていただきましたけれども、きょう修正案がまとまるということで、新聞などにはちょっと辛目の評価の仙谷理事のコメントが載っていましたけれども、私どもとしましては、むしろ私どもの案を政府の方が大胆に取り入れていただいて、政府の方としても、ベストの案だということで野田大臣がおっしゃっていた中で我々の案を大胆に取り入れたということは、やはり我々の案、非常に、いろいろな意味で長所があったのかな、そういう評価をいただけたのかなというふうに考えております。

 それで、きょうは、せっかく総理も来ていらっしゃるので、冒頭、少しだけ、最近のトピックについて、通告はしていないんですが、お聞きしたいんです。

 総理、先日、安心社会実現会議という会議が立ち上がりました。私、このネーミングを見て一つ思ったのは、今までの日本というのは安心がなかったのかなということを思ったわけです。だからこそ安心社会をこれから実現していかなくてはならない、そういうことを今会議を開くということは、これまではどうだったのかなと思ったのが一つ。

 それから、もう一つ。今回の消費者の問題の関連でいえば、安心社会を実現する上では、消費者の関係する、消費者にまつわるいろいろな問題について、やはり政府が積極的にこれを解決する取り組みを示して、これでもって安心を与えていかなくてはならない。したがって、消費者問題への取り組みというものは、安心社会の実現にとって非常に大きな要素であるというふうに考えております。

 私、きょう、朝日新聞にその会議の翌日、記事が載っていましたので持ってまいりましたけれども、その中に、首相の冒頭のコメントということで、「日本がめざす安心社会の見取り図に照らし、医療、雇用、年金、保険、介護、子育てといった生活者支援分野の政策目標や優先施策を示して頂きたい」ということで、残念ながら消費者の問題が上がっていないんですけれども、消費者問題と安心社会の実現ということに関して、私は消費者問題への取り組みというのは必須であると思っていますけれども、その点について、ひとつお考えをお聞かせ願えますか。

麻生内閣総理大臣 階先生、予定外の質問なのであれですけれども、そういう言葉じりだけ探していったらもっといろいろなことが抜けていますから、消費者だけが抜けたわけじゃない、もっといろいろな言葉があるんじゃないかという話になり、それを全部言えといったって、それは無理です。まず、基本的にはそういうものだと思ってください。それが一つです。

 もう一点は、安心社会ではなかったのかといえば、最近、安心社会にほころびが出ているんだ、私はそう思っております。介護の話にしても、医療の話にしても、たらい回しの話にしても、何も限りませんが、コンニャクゼリーの話にしても、輸入食料の話にしても、全部そういったところは関連しているところなんだと思っておりますので、安心という部分に関して大丈夫だと思ったものの内容が違っていたということは、明らかに安心社会にほころびが出つつあるのではないか、そこが問題なんだ、私はそう思っております。

階委員 ほころびが出ているのを直すという意味であれば、安心社会実現ではなく修復会議というのが正しいネーミングだと思います。

 あと、このメンバー、与謝野大臣のお声がかりということで、メンバーを見ますと、電通の成田さんとか、あるいは連合の高木会長とか、与謝野さんもそうですけれども、東大の野球部、私も後輩でございますので、何かそういうメンバーが集まっていて、私は非常に、こういう方たちであれば安心社会の実現につながるのかなというふうに思っておりますので、ぜひその辺の有識者の御意見を取り入れるよう御努力願えればと思います。

 本題に入りますけれども、今回、消費者庁設置法、修正によって多少文言が変わりましたけれども、第三条というところに任務規定が置かれております。この任務規定の中で、「消費者の利益の擁護及び増進、」という文言がありますけれども、この消費者の利益の擁護及び増進、その意味について、総理、お考えをお聞かせいただけますか。

麻生内閣総理大臣 最初に、これまた予定外のあれでしたけれども、私は、東大の法学部だけ集めたらむしろ危ないと思っています。(階委員「違います、野球部です」と呼ぶ)ましてや野球部だけ集めたらもっと危ないと思っています。

 御質問の趣旨の消費者の利益の擁護及び増進というものは、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会、これは法律の中に書いてあるとおりですので、実現を図ることであると考えております。現在御審議中の消費者庁は、まさにこの任務というものを担う組織なんだと理解しております。

階委員 総理に聞いても余り生産的な話にならないので、野田大臣に聞きますけれども、今の任務規定との関係で、このような消費者の利益の擁護及び増進というのが任務とされている以上、これまで御議論のあった、重大事故の中に財産上の問題が含まれないということでございましたが、やはり消費者の利益の擁護及び増進のためには財産問題も重要ですから、重大事故には含むべきというふうに改めて考えております。

 この点について、野田大臣のお考えはいかがでしょうか。

野田国務大臣 御指摘のように、消費者安全法案におきましては、内閣総理大臣によるすき間事案の措置の対象となる重大事故等は、消費者の生命身体に対する重大な被害事案のみを指し、財産に関する事案は重大事故等に含まないということにしております。

 このように重大事故等を生命身体に関するものに限定しましたのは、消費者安全法案は、分野横断的に幅広く適用されるものであるところ、事業者にも事業活動の自由が保障されていることを踏まえて、営業の自由を過度に制約せず、事業者が事業活動を行う上で当然果たすべき最低限の責務を果たさなかった場合のみ権限を発動するという考え方に基づいているからであります。

 財産に関する事案につきましては、当事者の予見可能性を害するおそれがあることや、重大性の基準を設定することが困難であること等の問題点があることから、内閣総理大臣による措置の対象となる重大事故等に含めることとしなかったものであります。

 すき間事案に対して行政処分等を行い得るという法制度は前例がなく、おのずと対象が限定されるということについてはぜひとも御理解をいただきたいと思っています。

 ただし、消費者庁は消費者の利益の擁護及び増進をその任務とするものである以上、消費者庁設置後、消費者の財産に対して重大な被害を与えるすき間事案については、横断的新法による対応も含めて、行政として何らかの対応を検討していくことは重大な課題の一つになるものと認識しております。

階委員 ありがとうございます。

 任務規定にそういう文言がある以上、やはりこれがすべての出発点だと思いますので、今のような方向でぜひやっていきたい、我々もそのように考えております。

 また同じような話でございますが、やはり任務規定の中に「消費者の利益の擁護及び増進、」という言葉がうたわれている以上、地方の消費者の利益を守る地方の消費生活センター、それから相談員の方々、こういった方々は国の責任で充実させるべきではないかというふうに思うわけでございます。やはりこの任務規定と絡めて、大臣のお考えをお聞かせください。

野田国務大臣 国と地方の役割分担につきましては、御承知のとおり、地方自治法におきまして、国は、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動などを重点的に担います。そして、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本としているところです。消費者基本法におきましても、地方公共団体が地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有しており、苦情の処理やあっせんを担うものと規定をされているところでございます。

 消費生活相談というのは、御承知のとおり、長年、各地方公共団体が、限られた予算と人員のもとで、絶え間なき努力と創意工夫の中、積み重ねてきていただいたものであります。こうした地方の消費者行政の発展の経緯、実情、さらには地方自治法や消費者基本法の原則を踏まえれば、地方消費者行政の充実強化に当たっては、国は、これまで積み重ねられてきた地方の努力を無駄にすることなく、その発意と創意工夫を引き出すべく、責任を持って最大限支援をしていくということが重要だと考えているところであります。

階委員 最後に、その任務規定の関係でもう一点だけ。

 被害に遭った消費者の救済の仕組みということなんですが、今回、我々の案は、残念ながらすぐには取り入れられることにはならず、今後の検討課題とされているわけでございますけれども、やはり被害に遭った人たちの利益をいかに守るかということは大切な問題です。任務規定に照らして、早急にこの手当てはすべきではないかというふうに思います。

 この点についても、改めて大臣のお考えを聞かせてください。

野田国務大臣 もちろん、消費者庁は、消費者被害の未然防止及び拡大防止に加えて、被害者救済の体制を強化するものだと御理解いただきたいと思います。

 少額多数の被害が発生するという特徴がある消費者被害ですので、費用及び労力との見合いから、それぞれの消費者がみずから訴え、提起することを断念しがちである一方、違法な行為をした人に多額の利得が残るということになりかねない大きな問題がございます。ですから、こうした問題に対処して実効的な被害者救済の仕組みということを充実していくことが、消費者庁の重要な課題と私は認識しております。

 ですから、内閣府では、消費者庁の創設に先立ちまして、もう既に関連する国内外の諸制度の調査とか研究をしているところであります。消費者庁では、その成果を踏まえてしっかり検討していきたいと思います。

階委員 それでは、地方の消費者行政について、少しスポットを当てて御議論させていただきたいと思います。

 今回、与野党の合意事項として、資料一につけておりますけれども、「地方消費者行政」、大きな二番ということで、かなりの分量ここに書かれているわけでございます。後段の方を見ますと、「今後三年程度の“集中育成・強化期間”後の国による支援の在り方や、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿について、工程表も含め消費者委員会で検討を行う。」ということで、地方消費者行政については、今後しっかりとした検討を行うということが与野党間で合意されているわけです。

 そこで、総理大臣にお尋ねしますが、地方消費者行政の充実にとって、総理として、一番必要なものは何であるとお考えなのか、お聞かせ願えますか。

麻生内閣総理大臣 これは、地方の場合は地域住民ということになろうと思いますので、地域においては、まず基本的には、消費者センターとか、そういったもののない地方というのがかなりな数だと思っております。岩手県はどうか知りませんけれども、かなりなところは、僕は、大きなところじゃないとないのが現実だと思っております。

 したがって、消費者行政の基本としては、そういういろいろな窓口をつくった上で、かつ、そこのところはまだなれていない人もいっぱい、初めてやることになりますので、いろいろなところでかなり初歩的な間違いが起きたりいろいろするんだと思いますが、やはり丁寧に真摯な態度で聞くというのが大事なところだと思っております。したがって、生活相談員、そういった人たちの教育を含めて、いわゆる充実強化というのがまずこれは一番大事かなというのが率直な実感です。

 ちょっと盛岡は知りませんけれども、大都市圏以外のところで、これは担える人がいないという話は結構よく聞く話でもあります。したがいまして、最前線の窓口になりますいわゆる相談窓口というものの設置、拡充かつ強化、加えて、生活相談員レベルというのを、ゼロから養成するのか、ある程度生活した、消費した、その種のことを経験のある人がやるのか、これはいろいろまたやり方が違ったり、いろいろ意見が出てくるんだと思いますが、いずれにしても、そういった窓口で、消費者が持ち込んできた苦情やらクレームというものをきちんと話を聞いて、かつ適切に、ああ、これはといってその場で解決できればいいし、また、上に上げるもよし、直接いろいろほかのこと、やり方は人によって、さばける能力は違うと思いますので、ぜひその点は、訴えてこられた方々の気持ちに立ってきちんとした対応ができるようにするというのが一番大事かなと思っております。

階委員 今、窓口と相談員の充実が大事だというお話でございました。

 資料二というものをごらんになっていただきたいんですが、これは、今総理のお話に出ました私の地元岩手の、実は岩手、総理もおっしゃったとおり、盛岡以外のところは余り消費者行政というものが発達しておりません。その中で、盛岡の第一線で活躍されている吉田さんという方が、日ごろ講演でこういうペーパーをもとにお話をされているということで、ちょっとお借りしてきました。

 それで、「充実化へのフロー」というところを見ますと、「地方消費者行政充実化に一番必要なのは人員とそれに伴う予算」だと。やはり、何もないところに窓口とか人は持ってこれないわけでございまして、予算が大事だということでございます。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、地方の消費生活センター、予算を効率的に使う意味でも、また人を効率的に使う意味でも、市町村レベルでそれぞれつくるのではなくて、ある程度まとまった市町村ごとに、そういった複数の市町村でいわば広域連合という形で設置した方が消費者行政が活性化するのではないかというふうにこの吉田さんという方もおっしゃっております。そこで、大臣、広域連合で消費生活センターを設置することについて御見解をお伺いできますか。

野田国務大臣 理想を申し上げれば、市町村レベルそれぞれに消費生活センターがあって相談員の方がいらっしゃるということが望ましいわけですけれども、今の御指摘、私も吉田さんから同じような話を聞きましたので、事情によってはやはり単独で設置することが難しかったり、むしろどこか強いところで集中的にネットワークした方が効率的だという話もまさに吉田さんからのお話で承っておりましたので、考えられることだと思います。

 ですから、こうした場合、複数の市町村が連携して消費生活センターを設置、運営するなど、とにかく地域の実情に応じて主体的に効率的な相談体制をつくっていただきたいということを考えておりますので、今おっしゃった広域連合を設立するということも、私は選択肢の一つであると思っています。

階委員 その場合問題になるのは、今回つくっていただいた基金の方が、市町村単位とか自治体単位でないと使えないという問題がございます。広域連合にした場合もそういった基金が使えるようにするとか、あるいは、それ以外でも国が支援を行っていくという、広域連合向けの支援のメニューというのも必要ではないかなと思うわけでございます。

 そこについて、大臣の御見解、いかがでしょうか。

野田国務大臣 いろいろ調べてみたら、既に鈴鹿亀山地区というところで広域連合で取り組んでおられるということがわかりましたし、基金におきましては、地方公共団体の広域的な取り組みを支援するということにしてあります。実際、基金の運営要領に明示はしていないんですね、書き込んではいないんですけれども、そうした御要請があれば、当然、支援の対象にしていきたいと思っています。

階委員 ありがとうございます。

 資料二の、先ほどごらんになっていた紙の下の方を見ていただくと、矢印が一番下に下がってきていて、最後の方ですけれども、「充実化へのフロー」の中で「職員に魂を入れ、知識・見地を高め、住民の「正義の味方」になる工夫をする」ということもおっしゃっております。やはり、人は幾ら能力があってもモラールが高くないと活躍できませんし、また、先ほど総理もおっしゃったように、技能を高めていくというのも必要でございます。

 そういった消費生活相談員の士気、モラールと技能、スキルを高めるために国としていかなる支援を行うべきと考えているか、大臣からお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 この場でも何度も何度も、何が一番大事かというと、まさに消費者の一番身近なパートナーたる消費生活相談員の皆様方のやはりそのやる気であり、そしてその専門性であると。ただ、今余りに処遇がひどく御苦労されているということが大きな問題になっていることはよく理解しているところです。

 今現在としての取り組みは、都道府県に造成している基金におきまして、相談員の人たちが、これまで研修、とにかく専門性を高めるためにはいろいろな研修を受けていただかなきゃならないんですけれども、そういうのも、ひどいところでは、自前で行けとか、もう出せないから研修を受けられないみたいな状況が今ずっと続いてきているわけですから、そういうところへの支援。

 また、地方交付税措置において、相談員の報酬を約三百万円確保する、増額するということで、大幅に拡充をして積極的に地方公共団体の方に働きかけておりますし、この場でも随分お願いをさせていただいているところです。

 また、相談員の処遇改善の必要性につきましては、委員会では与野党を超えて大変熱心な御審議をいただいた結果、さきの修正協議におきまして、地方消費者行政の強化についての合意がなされたものと承知しておりますので、政府としましては、これまでの審議またはその合意事項を踏まえて、地方公共団体における相談員の処遇改善に向けた取り組みをさらに促進するべく検討してまいりたいと思います。

 また、今後三年程度の集中育成・強化期間後の国の支援のあり方についても全般的な検討を行ってまいりたいと思います。

階委員 それでは、消費者委員会について少しお尋ねしたいと思います。

 今回、与野党協議の中で、私どもは、消費者委員会の権限として、独自の業者に対する立入調査権とかそういう権限を認めるべきだということを訴えていたわけでございますけれども、二重行政になるということでこれは認められなかったわけでございます。

 ただ、かんがみますと、既存の制度として、金融庁の下に置かれている証券監視委員会、SECですね、こちらの方は独自に立入調査権を行ったりして、まさに私、金融機関にいましたけれども、金融機関には金融庁の検査と証券監視委員会の検査、両方入ってくる、そういう状況があったわけです。これはこれで意味があるのかなというふうに思っていたわけでございますけれども、今回も、証券監視委員会と同様に、消費者委員会に独自の調査権を与えてもいいんじゃないかと思うんですが、ここについて、なぜ認められなかったのかなという思いがあります。そこについてお考えを聞かせていただけますか。

野田国務大臣 修正されることになります消費者委員会ですけれども、まず、消費者の声が直接届く透明性の高い仕組み、これはとても大切ということで、消費者政策の企画立案や、消費者庁を含めた関係府省庁の政策の評価、監視に関与するとともに、消費者庁が行う行政処分等に対して、諮問への答申や意見具申を行う役割を担うことを踏まえると、立入調査は、消費者庁を含めた各省庁が実施すべきであると判断いたしました。

 消費者委員会が独自の調査権限を持つということは、今御指摘ありましたように、私どもは二重行政を招くということと思っておりまして、適当ではないと考えています。公党間の修正協議により盛り込まれている、消費者委員会の関係行政機関の長に対する資料提出等を要求する規定を活用していただき、委員会の業務を円滑に遂行してまいりたいと思っています。

階委員 最後の質問でございます。

 総理にお尋ねしたいんですが、消費者庁が適切な権限行使をし、真に消費者から信頼を受けるためには、私は、消費者庁だけではなくて、消費者委員会の役割というものが非常に大きいと思っております。すなわち、消費者庁も消費者目線の組織だと言われておりますけれども、これも霞が関の役所の一つでございますから、それを民間の視点を持った消費者委員会でしっかりチェックしていく、こういう仕組みが必要ではないかと思うわけでございます。

 そういう消費者委員会のチェックの重要性、特にも消費者庁に対するチェックの重要性について、どのようにお考えでございますか。

麻生内閣総理大臣 階先生が言われるように、やはりこれは消費者からの信頼が一番よ。これがなけりゃ、多分だれも言いに来ないということになるんだと思いますね。したがって、信頼が不可欠なんだと思いますが、少なくとも、直接そういった声が届く透明性の高いものにする、いわゆる仕組みがそうなっていないといかぬので、消費者委員会というのを設けさせていただいたということだと理解をいたしております。

 したがって、法律上は、消費者庁という行政組織に対しても意見を述べるということができておりますので、そういった意味では、チェック機能が働くという仕組みになっておるんだと思います。

 したがって、この機能はいわゆる消費者委員会においてさらに強化されるということになるんだと思いますが、これは一つ一つ、初めてのことですから、いろいろやっていくと、階先生、いろいろ出てくるんだと思いますよ。その段階で、またこの委員会なり他の委員会できちんと、もっと具体的なものとして修正した方がいいというのであれば、その段階で修正をされていかれるという方が現実的かなという感じはいたします。

階委員 これで質問を終わります。

 総理、野田大臣、ありがとうございました。

船田委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 民主党のしんがりを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 麻生総理には、積極的に御出席をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 当初、我が党案と政府案との間には、哲学も含めて大変な開きがある、大きな開きがある、そう感じておりながらの審議のスタートでありましたが、実質、与野党間で一定の結論に達した、修正協議が結実をしたというけさを迎えております。まず、このことの意義について、総理大臣と、そして民主党案の提出者から、それぞれ一言ずついただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 与野党ともに、これは消費者行政を強化するということに関してはもともと目的は一緒だったんだ、私はそう理解をして、どこから登るかという話なんだというような感じがしておりましたので、お互いに歩み寄って合意に至ったということは大変意義深いものだ、私自身はそう思っております。

 この合意というのは、日本の行政がいわゆる消費者行政というものへ大きく転換していく突破口となり得るかなという感じがいたしておりますので、こういったものが、これは全党で合意するというのが意義があるということで、少なくとも、いろいろありましたけれども、小異を捨てて大同にとか、いろいろな表現を多分言われるんだと思いますけれども、いずれにしても、与野党の方々でいろいろ十数時間修正協議などなど、岸田先生がさっき言っておられましたけれども、こういったことに関しましては敬意を表したいと思っております。

 いずれにしても、こういったものは、言われて大分久しいことになっておりますので、とにかく長い時間かけてここまで来たので、後はとにかく迅速にスタートをさせるということで、一日も早く消費者庁が設立され、設立するのが目的じゃなくて、消費者庁を設立するのは手段ですから、この手段を使ってきちんとした所期の目的達成がなされることを期待しております。

枝野議員 消費者行政重視への転換というのは明治以来の日本の行政の枠組みそのものを大きく転換するものであると私どもは認識しています。そのために、本来であれば、明治以来の行政の基本的な構造、特に分担管理という枠組みに風穴をあけること、あるいは戦後の国と地方との関係というものに風穴をあけることが不可欠であると私どもは思っております。

 ただ、まさにこの行政、明治以来の行政や戦後六十年間の国、地方の関係の根本のところに変更を加えるというところになかなか与党の皆さんには踏み込んでいただけないという前提の中で、つまり、現在の分担管理の行政のあり方や、国、地方の関係の中では、その中で消費者行政を充実させる最大限のところまで、与野党協議の理事の皆さんの御努力によって、特に与党の皆さんにも踏み込んでいただきましたので、現行の大きな枠組みの中では百点満点に近い成果を得られたということについて、理事の皆さんの努力と、それから特に与党の皆さんの譲歩は高く評価をしたいというふうに思っております。

 ただ、その根本のところの枠組みにメスが入っていないということで、多くの部分が運用にゆだねられる結果となっております。まあ、長くても残り半年だと思いますが、現在の内閣の皆さんには、この合意と、それからこの後決議される附帯決議に基づいて、しっかりとした御準備と運用をしていただきたいというふうに思っております。

小川(淳)委員 一昨年の参議院選挙以降、大変国会ではねじれが強調され、また与野党の対立が大きく報じられてきたという経過があったと思いますが、そのことに照らしてみても、今回、こういう歴史的な消費者行政の転換において与野党が歩み寄ったということは、私は、その意義は本当に大きい、小さくないという気がいたします。

 また、我が党のことで恐縮でありますが、仙谷理事を初めとして、大変な決意を持って修正協議に臨んでいたその後ろ姿は大変に美しく、感動的ですらありました。御本人は六十点という評価をみずからされ、それが報道されたようでありますが、きのう、どうも八十点に修正されたようですし、また外部からは九十点という評価をいただいたこと、付言をさせていただきたいと思います。

 そこで、今回のこの議論を振り返りますと、私どもは、この消費者行政をどうか実効性のあるものにしていきたい、出発点において心配したことが二つです。まず、強い中央機関をつくらなければならない、実効性のある強い中央機関をつくる。これは、一つは、これまでともすれば業界寄りだった日本の行政を、生活者、消費者の目線に置きかえられるかどうか。もう一つは、各省縦割りだった、その縦割り行政の間に埋もれてはならない。この二つが、強い中央機関をつくるということでは大きな論点だったかと思います。そしてもう一つは、後ほど議論しますが、十分な地方機関、十分な地方行政を措置していく。この二つが大きな論点だったと思います。

 そこで、それに照らしますと、今回、我が党は消費者権利院。内閣からも外へ出した形で、強い独立性と権限を持った機関を主張いたしました。これに対して、政府案は消費者庁、霞が関に数ある役所の一つの形態。

 そして、その下部に、単なる諮問機関として消費者政策委員会を置かれるということを想定しておられた。これが今回、消費者委員会。消費者庁からも独立をし、内閣府が直轄をする。しかし、民主党から見れば、依然、内閣の中にとどまっている。ここがまさに折衷案としての今回の結論だと思いますが、この点について、民主党はこれで十分だと考えられるか、この点についてのコメント。そして、政府からは、せっかくつくっていただいたこの独立性の強い機関ですから、今後どう実効ある運用をしていくか。

 この点について、それぞれコメントをいただきたいと思います。

枝野議員 先ほどの話ともつながる話ですが、日本の行政は、明治以来、一つは行政の無謬性、行政がやることは間違いがないんだということで、基本的に、これに対する監視、チェックというシステムが十分につくられてきませんでした。それから、これは委員も御承知のとおり、日本の今の行政システムは、内閣法などの、全体の枠組みとして分担管理ということが決められておりまして、縦割りが批判をされていますが、内閣法そのもので縦割りが決められております。その中ではなかなか消費者行政が理想的な形にならないという思いで、その無謬性と分担管理という縦割りを、現行の内閣制度、内閣法のもとでも何とか乗り越えられる制度として我々は今回の提案をいたしました。

 今回の修正の結論は、その縦割りという前提のもとでつくられたものではありますが、その現行内閣法の枠組みの中では最大限の独立性と権限を持たせる形に理事の皆さんの御努力でつくっていただきましたので、しっかりとした委員の人選、それから常勤的という運用のやり方、あるいはそこの事務局に対する人事、こういったところがしっかりとすれば、我々が消費者権利院に期待した機能のかなりの部分を担うことはできるという意味で高く評価をしておりますが、まさにそれは、今後の運営、運用にひとえにかかっているというふうに思っておりますので、その点については、残り、長くても半年間の間の、今の内閣の努力に期待をしたいというふうに思っています。

野田国務大臣 与野党協議の結果修正することで合意されました消費者委員会は、消費者の声が直接届くという大変透明性の高い仕組みになっています。この消費者委員会が独立性の強い機関として誕生することは、行政のあり方を消費者重視に大きく転換していく突破口として大変有意義だと思っています。今までにないわけですから。この考え方のもとで、法案が成立した後には、本委員会での委員のいろいろな御提言も踏まえて、消費者委員会が円滑に業務を実施できるようしっかりと努めてまいりたいと思っています。

小川(淳)委員 内閣の外に出すことを当初主張した私どもからしますと依然課題は残る状況ですし、先ほど提出者から御答弁あったとおり、運用面をぜひ国会でもしっかりとチェックをしていく必要があろうかと思っております。

 それに当たりまして、まず、せっかく独立性を強めた、権限を強めた消費者委員会ですから、実効ある機関として機能していくためには幾つかルールなり原則が必要ではないかと思います。一つには、各省横並びに埋もれないためには、ある程度の外部性が必要でしょう。そして、複雑多岐にわたる消費者問題ですから、専門性も必要になるでしょう。さらには、政府に対して遠慮をしてはなりません。職務の遂行における独立性、こうしたものが必要になると思います。

 これらを担保していくために、消費者委員会の委員、実務的な修正協議の結論としては十名というふうにお聞きをしておりますが、これはやはり外部から、民間から登用すべきだと思いますが、この点に対する考え方、お聞きしたいと思います。

野田国務大臣 修正することとされています消費者委員会の委員長及び委員は、すべて民間から登用することとしております。

小川(淳)委員 あわせて、事務局、実際にその委員の仕事を支えていく事務局の体制の充実、これが大変にかぎを握ってくると思いますが、この事務局の体制、そして事務局員の外部、民間からの登用、さらには専任体制として十分な体制をとっていくおつもりがあるかどうか。この点、お聞きしたいと思います。

野田国務大臣 この修正される消費者委員会は独立した第三者機関ですから、事務局はしっかりとした体制とすることが必要であると思います。職員につきましては、専任とするよう努めるとともに、多様な専門分野にわたる民間からの登用を行うことを考えております。

小川(淳)委員 消費者委員会また消費者委員会の事務局については民間からという明確な御答弁をいただきました。

 さらに、現在、国家公務員制度全般をめぐっていろいろな議論がございますし、また、天下り等々の弊害については、ここ数年来、最大の国家行政組織上の問題の一つと言っても過言ではないかと思います。

 ここはぜひ麻生総理大臣の御見識をいただきたいと思いますが、民間登用、民間登用と一口に申し上げても、それはさまざまなケースが考えられます。その趣旨からして、縦割り行政の弊害に埋もれない、あるいは政府に対して遠慮をしない、あるいは長らくの業界寄り行政から脱却をすることからいえば、少なくとも、中央官庁の幹部の出身者等が直ちに消費者委員会の委員ということはこの民間登用の原則に明らかにもとるでしょう。

 しかし、非常に微妙です。公的部門とはいいましても、今回の審議を通じて、たくさんの地方の現場で働いておられる方々が参考人としてお越しをいただきました。本当に消費者行政の現場で働いておられる。ああいう方々をこの際中央機関の幹部としてお迎えをする、これは大いにあっていいことだと思います。

 そこで、その境目について、民間登用と呼び得るのはいかなる人材か、あるいはその原則にもとるのはいかなる人材を指すか、麻生総理大臣の原則的な御見識を御答弁いただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 少なくとも小川先生はなれない。わかりますよね。国会議員がなるとか、もとの職場の自治省の職員だったとしてもなれない、基本的にはそういうことです。

小川(淳)委員 いいですね、麻生総理、本当に。持ち味を発揮しておられるというか、非常に政権運営にもあれでしょうか、ゆとりを最近お持ちなのか。敵失もあるのかもわかりませんが、まあ余計なことはあれにして。

 私も、せっかくのこういう機会をいただきましたので、もちろん消費者行政に関してより知見を深めてまいりたいと思いますし、横から縦から、いろいろな形でお役に立てるようにこれからも力を尽くしたいと思います。

 しかし、経歴に照らしていえば、総理がおっしゃるとおりかもわかりません。参考までに申し上げますが、私、九年三カ月、中央官庁で勤めをさせていただきました、九年三カ月。もう離れまして六年、七年近くになります。私が幾つのときにそういうことになるのかわかりませんが、私のような人材がだめだと今はっきりおっしゃった以上、数十年前、数年間、中央官庁に籍を置いたということをもってしても、これは厳しくチェックをしていただく責任が今総理には発生をしたということだと思います。

 この点、国会の方も厳しくチェックをしてまいりたいと思いますし、今の原則をいささかも緩めることなく、今後の登用をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 そして、野田大臣には本当に、連日の御答弁、御慰労を申し上げたいと思います。

 その中で、私、一つ確認したいことがございます。

 この間、消費者庁が出発点に当たって二十九法律を所管するということが果たして十分なものかどうか、さんざん議論を重ねてまいりました。私自身も、きょう、都合六回目の質疑の機会をいただきました。建築基準法、エレベーターの問題に絡めてお尋ねをしました。電気通信事業法、北海道への地方視察を踏まえてお尋ねをいたしました。いずれも、野田大臣からは、使用者が消費者に限られないんだ、いわゆる消費者と呼べる方以外の方々が使用しているから、消費者庁としてはここの関係法律の共管に消極的だという御答弁をいただきました。

 これから、消費者庁は、きょうあす、臨月を迎えることになるわけですが、いよいよ産み落とされたその後も大きく成長していただかなければなりませんし、その一つの着眼点はやはりこの所管法律、物を言うことのできる法律の拡大だと思います。既に推進計画にも四十余りの法律が移管の検討対象として俎上に上がったのは去年のことであります。

 そこで、野田大臣、ぜひこの点は明快に御答弁いただきたいんですが、かねてからの私自身の主張です。消費者以外が使うから消費者庁の所管法律とはしないんだという考え方をぜひ改めていただき、消費者以外がそれは使うこともあるでしょう、しかし、消費者が使うんだから、ここはぜひ消費者庁として、消費者行政担当大臣として、その法律所管の必要性を積極的に検討していく、ここの基本的な哲学だけはぜひ切りかえていただくことを明快に御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 私の答弁の前に、先ほどの総理のお言葉で、ちょっと受けとめのずれがあったので再確認しますけれども、総理がおっしゃったのは、国会議員たる小川委員はなれませんということで、行政機関の職員や現職の国会議員が委員になることは想定していないというふうな総理のお言葉でございまして……(小川(淳)委員「そういう趣旨にはとれない」と呼ぶ)そういうことであります。

 先ほど、何十年前にさかのぼって行政機関のどうのこうのというお話がありましたけれども、私は担当大臣として、例えば行政機関の職員のOB、かつて役所にいらして、そして今は違う仕事をされておられるOBであっても、一定期間民間でしっかりと活躍されていて、消費者行政に対して大変な専門性とか知見を持っておみえになるのであれば、民間登用と呼べるのではないかと思っています。だから、かつてどこどこの役所にいたから、今は消費者行政の専門家であるけれども、その人は民間ではないというような言い方はちょっと違うのではないかと思っています。

 もう一点の、例の建築基準法とか電気通信事業法の取り扱いについてですけれども、ここで何度も申し上げたことになるんですが、仮に、消費者庁をつくるに当たって、要するに消費生活に何らかかかわりがあると考える法律をすべて手繰り寄せると膨大な数になるということは明らかで、私たちは、そういう巨大な官庁をつくるというスタートに立っておりませんでした。むしろ、内閣の司令塔として、コアな、ぎゅっと凝縮された、新たな消費者のパートナーとしての行政組織として、他の各省庁にさまざまな影響を及ぼすような、そういう司令塔的役割をとるべきという判断で、一番消費者に身近で消費者被害の大方をカバーできると言われている二十九本の法律をしっかりと取り扱わせていただこうということになりました。

 ただ、将来にわたりまして、消費者庁が所管すべき法律は今の二十九本というふうに決めつけているわけではないんです。ですから、消費者庁が設置されて、そして運用が始まって、さまざまな事案と遭遇する中で、やはりそういう中で消費者行政をさらなる強化をしていくためにはという整備の観点からいろいろと企画立案を行うわけでありますし、その都度都度で社会情勢も変わってくる、そしていろいろな事案も変化していく中、二十九本以外の消費者庁が所管すべき法律について、私自身はさらなる検討を行っていくことが必要であると認識しております。

小川(淳)委員 その点については、とにかく消費者以外が使っているから所管になりませんというのは、これは理由にならないと私は思います。バランスはとっていただいて結構です。何も巨大官庁を望んでいるわけではありませんし、森羅万象すべてをと申し上げているつもりもありません。しかし、理由づけにおいて、消費者以外が使っているからというおっしゃり方は、これはやはり誤解を招く。多くの消費者行政に期待されている方々の目線からすれば大きな誤解につながりかねない。この点はぜひ申し上げたい。

 それから、総理、今国会議員の議席を預かっている私がこの委員にならない、こんなことは当たり前です。私は、そんなことを総理が御答弁されたとは甚だ思いませんが、私、自分のことを言われてやや複雑な思いでしたけれども、それだけの決意を持って、覚悟を持って総理がおっしゃるんならこれはありがたいということで、すんなり次へ行ったわけです。

 総理、もう一回、その趣旨をはっきりさせてください。

麻生内閣総理大臣 基本的には、これは民間登用といった場合の民間の定義ということに、多分そういうことなんだと思うんですが、いわゆる現職の国会議員はなれません、簡単に言えばそういうことですよ。国会議員はなれないって、あなた今現職なんだから。国会議員がなれない。それから、行政機関の現職の職員もなれない。でしょう。だから、あなたのもとおられた自治省ということをあえて申し上げたのも、そういった意味であります。

小川(淳)委員 では、退職後すぐこの消費者委員会の委員になることができるということですか。そういう趣旨でおっしゃっていて、今、野田大臣はすべて民間から登用するとおっしゃった。その趣旨はその程度の意味しかないんですか。

野田国務大臣 退職後すぐということではなく、私の考えでは、役所におられて、おやめになって、民間の例えばいろいろな消費者団体とかでお勤めをされていて、大体三年ぐらい、私の考え方で三年ぐらい、そこでしっかりとお仕事をされれば民間登用というふうに理解してよろしいのではないかと思います。

小川(淳)委員 本当に、これは消費者問題に限らず、国家の統治のあり方あるいは国家公務員制度、国家行政組織のあり方において根本的な問題の一つですよ。

 今、野田大臣は三年なんておっしゃいましたけれども、人事院の天下り承認が離職後二年ですよ。(発言する者あり)いや、これは、消費者委員会を独立させた趣旨を今申し上げました、修正協議をした。そのことを実効あらしめるためには、その人材の登用が極めて重要だと申し上げている。(発言する者あり)

船田委員長 御静粛に願います。

小川(淳)委員 それは、やめてから二年や三年の国家公務員をそのまま登用しますということが想定されていること自体、今回の修正協議の趣旨に反すると思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 私たちが必要としている人は、やはりだれよりも消費者行政において専門的な知見を有している人を委員として入れたいのであって、その前歴に縛りをかけると、本当に消費者にとって必要とされる知識を持っている人が委員会に入っていただけないというような阻害要因になるのではないかと思っています。御理解いただきたいと思います。

小川(淳)委員 私、きょうは対決モードを控えたいと思ってこの場に参ったんですね。そこは、今後もこれは国会として注意深く拝見させていただきたいと思います。

 時間の都合もございますので、お聞きしたいと思っていたことも含めてちょっと指摘にとどめる点も出ようかと思いますが、これから、とにかくスタート地点において、強い中央機関と十分な地方機関、この両者を両立していくことが大事だと思いますし、今後もこの消費者行政はさらにお育てをいただきたい、これは我々一同の責任だと思います。

 その観点から、今、消費者安全法案は、重大事故の対象、つまり、消費者庁が能動的に動くことのできる重大事故の対象が、生命身体の安全にかかわる事案に限られています。しかし、この間、財産被害、詐欺まがい、犯罪まがいのものを含めてでありますが、金融被害やさまざまな商法の犠牲者、被害者がたくさんいらっしゃいます。こういうものについては、これからぜひ積極的に消費者庁が動けるように、法案の修正を含めて御検討いただきたい。

 そして、地方機関の整備でありますが、先ほど人件費への充当を認めるということを明快に御答弁いただきました。定額給付金のときは、どうもこれは残業代にしか当たっていなかったようですが、基本的な賃金の部分を含めて柔軟な対応をお願いしたいと思います。そして、いかんせんこの基金は三年間しかありませんから、やはり四年後以降に向けて、今全国の相談員の皆様あるいは地方機関の皆様は、三年後まではよかった、四年後は一体どうなるんだろう。これは大きな課題だと思います。この点に関しても、明確な地方機関としての位置づけ等について鋭意御検討をいただきたい。

 そして、先ほど階委員も指摘をされましたが、広域連合のような形もあっていいでしょう。あるいは、私の地元香川県は、日本一面積の狭い県域であります。県の事務所が全部で四カ所あります。県の担当者は、各市町村に一人ずつ担当を置くような体制よりは、むしろ県下四カ所の出先の事務所を充実して、そこである程度人を集積させていろいろなノウハウを蓄積していきたいというような意見がありました。私は、こういう地域の実情に応じた消費者行政の推進の仕方、柔軟なあり方というのはあっていいと思います。

 最後に、個別の点でまことに恐縮ですが、消費者相談窓口で一本化された電話番号ができるとお聞きしています。これは非常に象徴的でもありますし、また実利的でもあるだろうと思います。

 これが、最近ですから携帯電話からかかる可能性が大いにある。携帯からかかった場合には、どうも各都道府県の中核センターに電話が集中することも懸念されているようです。

 たくさん申し上げましたので、どれもというわけにはいかないと思いますが、少なくとも、携帯電話で各都道府県の機関に集中した場合の見通しなり対策、これについては具体的な御答弁を、そして、財産被害を加えること、地方の体制充実については何らかのコメントをいただきたいと思います。

野田国務大臣 電話のことはとても大切なんです。一般の消費者にとって、消費者庁ができて、そして地方の消費者行政窓口が充実すると一番身近に感ずる手段の一つが、この統一された電話番号、だれでも覚えやすい番号を使って、何かあったらすぐにアクセスできるということで、大変重要な指摘をいただいたと思っています。

 もう既に、私もそういう思いがございまして、今のような御指摘を踏まえて、そういう電話がわっとかかってきたりとか、当該地域につながらないんじゃないかとか、いろいろなことを想定して今検討を始めているところで、固定電話または携帯電話、どちらからかけてもしっかりと同じように相談窓口につながるような、そういう仕組みをつくるよう、今やっているところです。

 地方につきましても、もう本当にそこが原点だと思っています。地方がいて、これまで頑張ってくれたからこそ、どちらかというと国会では余り議論されなかった消費者行政が、地方の相談員の皆さんの本当に血のにじむような努力でともしびを燃やしてくれていた。でも、これが本当に大切だということで、改めて私たち国会にいる人間は、反省を踏まえて、これを機に、そういう人たちの御労苦に報いるよういろいろな支援をしていかなければならないと思っています。

 また、財産被害等につきましても、何度か御答弁を申し上げたように、しっかりこれからは、消費者庁ができた暁には検討させていただくということを申し上げて、御理解いただきたいと思います。

小川(淳)委員 なお、実際の運用ですから、総理が冒頭御答弁されたとおり、やはり運用にかかってくる、そういう意味では決して楽観できる状況ではないと思いますが、それにしても、今回の与野党合意については、私は、歴史的な意義が大きいと思います。そのことに触れ、委員長初め各党理事の皆様、また委員の皆様、そして御当局の皆様、また法制局で大変お力添えいただいた皆様、さらには、連日のように審議を見守ってくださいました関係団体の皆様、そして多くの被害者、御家族の皆様、その方々の思いにともに想像を働かせながら、質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、野田大臣に伺っておきたいと思います。

 消費者問題解決で最も重要な一つは、やはり現場力といいますか、そこが大事だと思うんです。ところが、例えば東京都のような財政力のあるところでさえ、消費生活総合センターの消費生活相談員は五年で雇いどめとなっています。参考人からも公述人からも発言があったように、やはり、資格を取っても、五年、十年と経験を積んで、蓄積して力が発揮できるというものでありますから、その点では、五年で雇いどめというのはやはり本当の力が発揮できない、こういう発言等も、この委員会で参考人などの皆さんからもありました。

 そこで、消費生活相談員の雇いどめ問題などをどのように解決をしていくのか、まず、このことから伺っていきたいと思います。

野田国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、相談員の方たちというのは、研修を積まれて、そして実地でいろいろな被害相談に乗る中であっせんのキャリアを積み重ねていくということで、非常に年数というのは大切だということを、むしろこの委員会で明らかにさせていただいたのではないか。

 これまでの地方行政のリーダーの方たちには、そういう学習をなされていなかったがゆえに、むしろ雇いどめをする方が地方公共団体の消費者行政にとって損失になるということをこの場で皆様方に明らかにしていただいて、今後はやはりそれに基づいて、それぞれの地域の消費者行政の円滑な推進のためにはそういうキャリア、ベテランの人たちが非常に大切なんだという意識を持っていただきたいと思っているところです。

 政府としては、そういう望ましい地方消費者行政の検討をする中で、相談員の雇用の安定についてしっかり検討を行ってまいりたいと思います。

吉井委員 まず、雇いどめをどのように解決するのかということを伺ったんですが、とりあえず検討していくということですから。どうも、検討だけではなかなか進むものじゃありませんから。

 そこで、私は、以下、総理に伺っておきたいと思うんです。

 雇いどめの解消はもとより、消費生活相談員の官製ワーキングプア状態を改善するために、賃金とか身分保障など処遇改善の財政措置を緊急にとるということがまず必要だと思うんです。

 ところで、消費者行政に関する地方財政措置、これは、総理も総務大臣をやっておられたときに私も総務委員会におりましたから、地方交付税や地財法のことはよく議論いたしましたけれども、消費者行政に関する単位費用、こちらの算定基礎額の歳出の計は、骨太方針二〇〇三を受けた二〇〇四年度予算で三位一体改革といって地方交付税の削減を始めて、これは道府県分で見ますと、実は毎年三千六百万円台でこの算定基礎額というのは推移しておったんですが、二〇〇五年以降は三千三百万円台へと、三百万円、ですから約一割カットになっていますね。二〇〇八年度で見ますと、これは三千万円へと、大体六百万円、約二割カットというふうになってきております。

 このときもちろん、二〇〇五年のときは総務大臣を務められたわけですが、やはりあなたの手で消費者行政の財政措置の削減が進められてきたわけですから、ですから地方交付税での算定基礎額の増額もそうですし、それから、私、この委員会でも、自治事務だから地財法上人件費は出せないということじゃなくて、地財法上の工夫もあるんだということを言ってきました。

 そこで、消費生活相談員の人件費を増額するということで、地交法上の措置もあれば地財法上の措置も含めて、どのように進めていこうという決意なりお考えをお持ちかを端的に伺っておきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、吉井先生御指摘にありましたように、いわゆる地方交付税措置のことなんだと思いますが、今年度、平成二十一年度です、拡充された地方交付税措置というものを、これは、それを預かられる一千八百に及ぶ地方公共団体が実際の予算に結びつけていかれるということが重要なんだと思っております。この点は担当大臣にきちんと状況をフォローさせないかぬところですけれども、平成二十一年度では倍額ですから、九十億だったものが百八十になっていると存じます。

 また、その他のいわゆる財政措置として、国費で、平成二十一年度、それから今これからやろうとしておりますいろいろな措置というものを考えますと、本委員会において、これは与野党の間でいろいろ御審議をいただいた結果、修正協議において地方消費者行政というものの強化について合意をされたということを承知いたしております。ちょっと、理事からの報告ですので違っているかもしれませんけれども。

 政府としては、こういったこれまでの御審議をいただいておりますので、このいわゆる合意事項というものを踏まえて、少なくとも、地方分権という考え方のもとで、地方消費者行政の支援というのは、財政支援、今一つの例を引きましたけれども、そういったものを含めて、地方行政の中において消費者行政というのはきちんと進んでいかないと、中央で幾らやっても、地方で現実なかなか動かなくなる、先ほど小川淳也先生の御指摘の中にもありましたけれども、そういうことだと私どもも理解しております。

吉井委員 地方交付税というのは一般財源ですからね。ですから、それとは別に、やはり確実に人件費がアップするとか処遇改善につながる方途を、これは所要の法的措置を講ずるということで確認しておりますので、やっていただきたい、やっていかなきゃならないというふうに思います。

 次に、消費者委員会の役割はやはり大事になると思うんです。

 重大な消費者事故が発生したときには、これは消費者庁であれ消費者委員会であれ、事故調査委員会などを立ち上げて、そして原因究明とか、どこに責任があるのかとかを解明して、消費者委員会は消費者委員会として、消費者被害の拡大防止などを消費者庁に物申す、そういう役割の発揮が大事になってくるだろうと思うんです。

 そのためには、それぞれの省庁が消費者委員会に全面的に協力することが重要な問題になってきます。修正案で報告徴求などを求めるということにしておりますが、総理として、ここは関係省庁に全面的に協力させるという強い指導が求められるところだと思うんです。これは総理の決意というものを伺っておきます。

麻生内閣総理大臣 修正ということで合意をされておりますこの消費者委員会の業務ということなんだと思いますが、これは、御指摘のあったとおり、消費者庁はもちろんのこと、各省庁の協力があって初めて実行に移せる、実効を上げるということになるんだと思っております。

 したがいまして、消費者委員会というものは、今御指摘のありましたように、法律上、報告やら資料の提出など協力を求めることができるということになると認識しておりますが、いずれにしても、そういったものを得て、消費者委員会なり消費者庁なりから各省庁にきちんとした対応というものがなされて、対応がまたきちんとされなきゃいかぬという面を御指摘されておられるんだと思いますので、政府といたしまして、これにしっかり対応するようにさせたいと存じます。

吉井委員 次に、本来、この委員会でもたびたび取り上げられました、例えばパロマ製ガス湯沸かし器とかシンドラー製のエレベーター事故、こうしたもの、あるいは大和都市管財事件のようなものについては、本当は、現行法でも使い切ればもっと違った展開というものはあり得たものだと思うんです。実際に使っていった中で仮に法的根拠の面で限界があれば、それは法律改正が必要になるわけです。それから体制上問題があれば、専門家の配置など体制強化を図るということがやはり必要になると思うんです。

 ですから、消費者庁をつくっても、共管になるものと、もとどおりの役所に残る法律など多数ありますから、一体これまでなぜこれだけもたもたしたのか、解決できなかったのかということについて、やはりどこにどんな欠陥があったかということを点検して、そしてどう正していくのかということを明らかにしていかないと、一本の法律をつくってとか一つの役所をつくってというだけでは解決する問題じゃありませんから、それだけじゃ力は発揮できませんから、そうした問題に総理としてどのように取り組んでいかれるか、伺っておきます。

麻生内閣総理大臣 これは吉井先生の御指摘のありましたとおり、消費者庁ができればおしまいというわけではありません。先ほども申し上げましたが、消費者庁をつくるというのは目的ではありません、これは単なる手段ですから。消費者委員会を含めまして。したがいまして、組織をつくることが目的ではなくて、行政としては、先ほどいろいろな議員から指摘されました、これまでとは全く逆の発想で、いわゆる生活者重視に大きく転換していくことなんだという、最初の岸田先生からの御指摘もあったとおりだと思っております。

 したがって、この消費者庁ができました後も、おのおのの分野において、体制の整備というのも消費者側に立った見方で見るという癖を、他の省庁もふだんからやっておくという癖をつけておかぬと、習慣、そういったものをつけておかないと、これはたびたび法律をつくるというんじゃなくて、そういうことが起きないようにあらかじめということをやっておきさえすれば法律をつくる必要がないということにもなります。

 そういった意味では、法律さえつくればいいというあれではないと思っておりますので、ぜひ、こういった観点に立って、消費者庁を中心に、これは関係機関ときちんと連携をしていかないかぬのは当然ですけれども、いずれにしても、こういったものを実りのあるものにしていくために、あらかじめ他省庁とよく緊密に連絡をとらせるということは必要だ、私もそう思います。

吉井委員 私も、本会議でも、それから最初に総理出席のもとでのこの委員会でも取り上げましたように、やはり消費者問題の中の出発点の大きな一つは、最近の食の安全、安心にかかわる問題ですね。これは、特に日本が食の輸入大国ですからなおのことそこが大事で、この点では、輸入食品検査率が約半分に減ってしまっているという問題なども、グラフを出して提起いたしました。

 だから、その点では、輸入検査率をどれぐらい高めていくのかという目標を持って取り組んでいくこととか、食品衛生監視員の不足をどう解決するかとか、それから、問題が起こってから外国政府に、そっちの方で検査をやってくれたらその保証書でいいんだという、基準・認証の規制緩和などで食の安全初め消費者行政が後退してきたというのがこの間の経過としてあると思います。

 そこで総理に伺っておきたいのは、やはり規制緩和を重ねる中でこういうふうに後退してきたものを、基準をきちんと強化するとかあるいは検査率を高める目標を持つとか、どのように回復をさせていくのかという、そのことが今大事だと思うんですが、伺っておきます。

麻生内閣総理大臣 このたび、この消費者庁設置法以外に関連法案、一連の経済対策などによりまして、いわゆる消費者庁の設立それから地方消費者行政への支援の充実など、これは消費者行政について抜本的な強化を行ってきたところですが、今御指摘のありました輸入食品等々の検査など、今後、まだ詰めていかねばならぬところがいろいろ出てくるんだと思っておりますので、基本的には、常にこういったものは国民本位の行政というものの視点に立って進めてまいりたいと考えております。

吉井委員 輸入食品の検査というのは、絶対量が、輸入品がどんどんふえていますから、それだけに抜本的に体制を強化する、現場力というのは、地方とともに国の方でも現場力を強めていかなきゃならない、このことを申し上げまして、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 大変長時間な集中的な審議が行われまして、修正協議で本法案に関して与野党の合意が得られたことを私は心の底から歓迎したいというふうに思っております。

 これは委員各位がそれぞれ御努力された、ルビコン川を渡り、清水の舞台から飛びおりたというお話が双方からございましたが、そういう努力もあったんですが、一方では、消費者行政の一元化をずっと求め続けてきた消費者団体の皆さんやあるいは日弁連の皆さん、それから何よりも、消費者行政を一番末端といいますか最前線で支えてくださってきた相談員の皆さんなど、そうした皆さん方の努力の結果だ、成果だというふうに思っているわけです。

 しかし、これはあくまでも出発点、総理もおっしゃったとおりなんですが、出発点でありまして、これから本当に消費者目線に立った行政ができていくのかどうかというのは今後の課題にもなっているんだと思います。

 そういう意味で、そんなことを踏まえて、幾つか御質問させていただきたいと思います。

 この委員会討論や修正協議の中でも、論点、大分絞られて、例えば消費者庁の任務であるとか消費者委員会の権限、独立性の問題であるとか、あるいは自治体における消費者行政の充実ということがかなり大きな論点としてありました。

 なぜここがこれほど委員会あるいは修正協議の中で議論になったのかということについて、改めてその御認識をお伺いしたいというふうに思います。

野田国務大臣 御指摘のあった点につきましては、政府案におきまして、消費者の利益の擁護及び増進等を任務とする新しい考え方のもとで、新しい行政組織たる消費者庁をこの国につくる、そしてそれだけではなく、行政組織をしっかりと監視しつつ、本当に一般消費者の人たちの声が直接届くような、透明性の高い仕組みとして、消費者庁の中に消費者政策委員会を置く、さらには、地方消費者行政活性化基金を設けることとして、今までおろそかでありました、むしろ後退ぎみであった地方の消費者行政に対する支援を十分に行うというふうに取り組んできたところです。

 今委員御指摘のように、議論の中で、消費者庁の任務にもっと消費者の権利の尊重を加えるべきではないかとか、または消費者政策委員会にもっと大きな独立性と権限を持たせるべきではないかとか、または御苦労されている相談員の方々の人件費、これに対しても国がもっと支援するべきではないか等についてそれぞれ御指摘をいただき、そして、その経緯を踏まえて先ほどの修正協議が行われたものと承知をしています。

 皆様方の総意で、これから生まれるであろう消費者庁をもっともっとよくしていかなきゃならないという熱い思いを感じさせていただいています。ですから、私は、修正協議におけるそういう真摯な議論をいただきまして今回結論をいただいたということは大変有意義なことだと思っておりますし、政府としても、それらの合意事項をしっかり踏まえつつ、消費者庁を消費者目線に立ったすばらしい機関として進めていくよう、しっかりと努力をしてまいりたいと思っております。

日森委員 ぜひお願いしたいと思うんですが、基本的には、こうした問題が議論になった背景は、やはり、消費者行政に対する国民の不信感と言ったら言い過ぎかもしれませんが、不満があったんじゃないか。いろいろな消費者事故が起きるけれども、なかなか対応が迅速にできない、後手後手に回ってしまう、こうした問題が相次いでいる中で不信が高まっていた。

 実は、そうした問題を引き起こしてしまった根幹には、規制緩和に次ぐ規制緩和、特に安心、安全とかいう問題も含めて規制緩和が進んで、事後チェックでいいぞということが一つあったと思いますし、さらに、行政改革で、チェックすべき機関が非常に弱体化しているということもあったんじゃないかというふうに私は思っているわけです。これは質問じゃありません。

 ですから、これはもう消費者庁あるいは消費者委員会だけの課題ではないんですが、政府としても、改めて消費者行政を本当に消費者目線で進めて、安心、安全をきっちり確保していくんだということであれば、こうした問題についてもちゃんと点検、検証していくようなことをぜひやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それから二点目に、これも既に質問が出ているんですが、野党側としても何度も質問して恐縮なんですが、改めて確認の意味で総理にお聞きをしておきたいと思います。

 地方の消費者行政が非常に弱体化してしまったというのはもう総理も御認識のとおりでありまして、先ほど、これに対する総理の決意もお聞かせいただきました。基本的には、五兆円を超える地方交付税が、これは総理御存じのとおりで、三位一体改革の段階ですね、三年間で五兆円交付税が削減をされる、補助金もそうだということがありまして、結局、一番弱いと言うとおかしいですが、消費者行政などがその削減の対象にされてきたということがこの間あったんじゃないかと思います。

 そういう意味では、ここを強化しなければ本来の意味での消費者行政の充実につながっていかないというのは共通の認識であるわけですから、相談員の処遇改善も含めて、消費者行政への国の支援ということについて、総理の決意を改めてお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、日森先生から御指摘のありました点につきましては、これは与野党の間で熱心に議論がなされたところだと思っております。その結果、修正協議というものの中において、地方消費者行政の強化ということについて合意がなされたと、私どもとしても高く評価をいたしております。

 これは、先ほどから数々議員の御指摘があっておりますように、地方の消費生活センターというところがないところを含めまして、いろいろありますので、きちんとここが整備をされないとどうにもならぬ、整備するには金が要る、人が要る、そういったことになっていっているんだと思います。

 したがいまして、これを支援するいろいろな形での、交付金とか地方交付税とかいろいろやっておりますけれども、いずれにしても、それを受け取った側が、それを消費センターの従業員の人件費に充てるということをきちんとやってもらうのは地方の首長さんの責任ですから、そこのところはきちんとやる。それをどこかほかのところに流用するということではなくて、これにきちんと使ってもらいたいということは、きちんと我々として言ってまいりますけれども、現場の方々としては、それは、ちゃんと使っているかどうかのチェックは地方議会等々が重要な役割としてこういったことはぜひ実行していただかないかぬところだ、我々もそう思っております。

日森委員 言いたいことはあるんですが、ちょっと時間がもうないので、もう一問だけになると思います。

 消費者行政の司令塔として消費者庁、消費者委員会ができるということになりましたが、これも私も何度も質問しているんですが、他省庁が消費者庁にまず積極的に協力するという体制がなければ司令塔としての役割を果たせない、そういう構造になっていると思います。そういう意味では、設置法の五条とか安全法の十四条、これが修正されたということは大変大きな意味を持つものだというふうに思います。

 しかし、それらを駆使しつつ、消費者庁から発信された課題について、打てば響くように各省庁が対応するということがなければいけないというふうに改めて思っているわけです。そういう意味で、他省庁が積極的に消費者庁あるいは消費者委員会に協力するように、担当大臣の指導性というものを当然発揮されなきゃいけないというふうに思うんですが、その辺の決意についてお聞かせいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 日森先生、たしかここは、大臣だけでも七人だか八人だか呼びつけて……(発言する者あり)表現が適切じゃなかった、呼ばれて、いろいろ御質問をされて、そのときに関係大臣から答弁をしております関係は、いずれも、消費者庁と緊密に連絡し前向きに協力するという話をそれぞれの大臣が発言されたというように報告を受けておりますので、当然のこととして、その言われたことは言ったとおりに実行していただくということになろうと存じます。

 いずれにいたしましても、消費者庁というのは内閣府に置かれることになりますので、そういった意味では、きちんとした対応をやらせていただかねばならぬと思っております。

日森委員 ありがとうございました。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私が最後の質疑者でございますが、先月の十八日に、麻生総理に、役所の体質が変わらないままで消費者庁をつくって本当に国民本位の行政への転換になるんだろうか、こういうような質問をいたしましたら、大事なところは消費者を守るための行政への大幅な変換、転換であり、それが消費者庁設置の目的である、こういうような御答弁をいただきました。

 この今回の修正で、消費者委員会の独立性と権限、こういうものは大幅に強化されます。また、運用面で、委員の実質的な常勤化、こういうものも可能になるように措置されるわけでございますけれども、制度面でさらに充実したのかなというふうにも思います。あとは、実際に運用する行政の気持ち、志、そして使命感、こういうものにつながっていくのかなというふうに思います。

 消費者を守るための行政という、行政全体の価値の転換、これについて総理の御意見をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これは、最初に三月の段階で糸川先生の御質問がありましたときにも、事業者というものの保護育成から消費者のいわゆる生活重視の行政へと、行政の価値観というものを転換させますのが今回の法律の目的、多分、消費者庁をつくるより、この目的という意識の方がよほど重要なんだ、私自身はそう思っております。

 いずれにいたしましても、これは明治以来の大転換、もっとその前からかもしれませんが、そういった意味で、これは組織改革だけの話ではなくて、これに携わります行政職員、いわゆる役人の意識改革というものが必要ということはもうおっしゃるとおりでありますので、我々としても、事業者行政をやるときにもその点を十分に勘案してやっていく必要があるという意識を、これは消費者庁に限らず他省庁にも同様な意識を持たせるというのが重要であると思っております。

糸川委員 そのトップが今、総理なわけですから。

 きょうは、実は総理に、これは通告してないんですけれども、ちょっとお聞きしたいなと思っているものが一問ございます。

 この委員会の中でも、参考人を何度も呼んだり、いろいろな形でいろいろな御意見を賜りました。そういう中で、一つ、シンドラーのエレベーターの問題も質問したことがあるんですね。このシンドラーのエレベーターの事故なんかを受けまして建築基準法は改正されることになったわけですけれども、それは、これから先建築するものに対しては建築基準法の改正が適用されるわけです。ただ、今現行の七十万台、まだ走っている七十万台の、今稼働しているエレベーターに対してはまだこの建築基準法が適用されないわけですね、改正されたものが適用されない。修理マニュアルの添付とかそういうものが、現行の七十万台、走ってしまっているものに対してはまだ適用されないわけです。

 でも、消費者庁というものをつくる。今、総理は、役人の意識改革、そして、消費者庁をつくっても、やはりほかの省庁とも連携をしっかりとして、これから被害者を出さないんだ、そして国民の皆さんを守るんだ、そういう強い意識をお持ちだというふうに思いますので、例えばこういう事故が起きて、これから先のものは対応しました、でも今あるものに対してはどういうふうに対応するおつもりなのか、その強い志もお聞きしたいなと。

 例えばこの七十万台、消費者庁、今回成立します、成立すれば、こういう七十万台に対しても適用させるぐらいの意気込みがあるのかどうか、お聞きしたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 これは、糸川先生、現行法じゃ今おっしゃるとおりです。これは、ほかの七十万台、既存のものに対して、新法が過去にさかのぼってそれを適用するということは法律的にはできないんだと思います。

 したがいまして、ただ、今現実に走っておりますので、そういったものに対してどういう方法があるのか、ちょっと今この段階でわかっているわけではありませんので、これは野田大臣をして検討させたいと思います。

糸川委員 総理、そこが、ぜひ意識を持っていただきたいということなんですよ。

 消費者庁をつくるということは、確かに、大きな事故、いろいろな事件とかそういうものがあってこういう設置に至ったわけですけれども、今まだ走っているものもある、例えばエレベーターだけとってみればまだ七十万台のものがあるんだ。だから、これからこれを検討しますじゃなくて、ぜひ、そういうものがあるんだなという認識を持っていていただきたい。その認識を総理御自身が持っていていただかないと、役所の方たちは恐らく持たないですよ。だから、そういう意識改革をぜひ総理からとっていただきたいというお願いでございます。

 私も、もう残った時間が少ないものですから、被害者の救済制度についてお尋ねしたいと思いますけれども、被害者救済制度の導入というのも今回の課題の一つでございます。被害者への情報をどうやって提供していくか、そして事故原因の調査、そして被害者の支援、こういうものに対して、今後のあり方。

 今回、消費者基本法においても、国の責務として、消費者の権利の尊重とともに自立の支援というものも規定しているわけでございますが、一般的に、自立するためには、みずからの身を守る、こういうすべがないといけないわけでございます。例えば少額多数被害、こういうもので、個人で闘うには割に合わない。ただ、悪徳業者というものも存在するわけで、なるべく少額で多数から何か取った方がいいのではないかという悪徳業者もあるわけです。この委員会に呼んだ参考人の方々も、やはり何らかの救済制度も必要じゃないか、そして、悪徳業者、悪徳企業のやり得、こういうものも許さない、そういう制度が必要なんだということも言われておりました。

 ですから、こういう被害者支援の今後のあり方について、総理の御見解を賜りたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これはもう糸川先生御存じのように、消費者の関連法案というものの中において、消費者被害の発生また拡大というものを防止するための情報の提供がないと、これは、こんな話があるらしいというのをほっておいたらわっと広がるということになりますので、そのための情報提供、また、何でという、その原因究明のための調査、こういったものについて、消費者庁の役割というものも新たに出てくることになりましょうし、関係省庁の協力についてもこの法案の中で規定をされておりますのは御存じのとおりです。

 また、先ほどどなたかが言われました消費者の教育とか啓発とかいうもの、救済を含めましてこういった消費者支援につきまして、これは、こういったものがあるんですよとかいうことを、多分知らない人がほとんどだと思いますね。国会議員でも、ここにいらっしゃる方はともかくとして、なかなか、えっ、できるんだってという程度の方もいっぱいいらっしゃいますので。ぜひ、この話は、消費者団体を含めて、長い間私はたまたまそういったのを聞かされる機会が多かったものですから、いろいろな意味が結構それなりにわかっている方だと思っております。

 ただ、この審議を踏まえて、消費者のより安全とかより安心とかいう確保ができるように、これは、啓発とか教育とかを含めまして今後ともいろいろ取り組んでいかなきゃならない課題というのは非常に多いという感じがいたします。でき上がった後は、こういった方面について、被害が広まらないように、もしくは被害が起きないように、消費者がそういうものにひっかからないように、そういったところの啓発というのは物すごく大事なんだ、私自身はそう思っておりますので、ぜひその点につきましても、御指摘のありましたように、この問題について取り組ませていただかねばならぬと思っております。

糸川委員 ぜひ、これは重要なことですので、総理、リーダーシップを発揮していただいて、スピード感を持っていただかないといけないということ、正確性を持っていただくということ、そういうところに取り組んでいただければと思います。

 もう時間が参りましたので質問を終わりますけれども、野田大臣にきょうは質問いたしませんでしたが、電話番号もこれから統一されていくということでございます。そういうことですけれども、私、この委員会ではなくて、別の委員会で自殺対策の話をしたときにも、まだ、ああいうものでも、電話番号は、検討しているけれども統一できていない。ですから、必要だとおっしゃるならば、ぜひ早急にそういうことも取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、この質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 これにて、ただいま議題となっております各案中、第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対する質疑は終局いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対し、岸田文雄君外十二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の六派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 消費者庁設置法案に対する修正案

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

 消費者安全法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田委員 ただいま議題となりました消費者庁設置法案に対する修正案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する修正案及び消費者安全法案に対する修正案の三案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の六会派の提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び概要について御説明申し上げます。

 この委員会では、政府提出の三法律案及び民主党提出の二法律案について、参考人質疑、地方公聴会を含め、およそ六十時間にも及ぶ熱心な審査を行ってまいりました。また、理事会や理事懇談会におきまして、オブザーバーをも含めた全会派の代表者による真摯で精力的な修正協議が、昼夜を分かたずに、連日行われました。そして、本日、全会派共同提案による修正案が提出されることとなりましたことは、今後の消費者政策の推進にとりまして、非常に重要な意味のあることであると考えております。

 以下、各修正案について、それぞれその提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 まず、消費者庁設置法案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 この修正案は、消費者政策委員会について、これを消費者庁に設置するものから内閣府に設置するものに改めるとともに、その名称について消費者委員会に改称すること、また、消費者庁の任務の明確化及び消費者委員会の権限強化に関する一連の修正を行おうとするものであります。

 その概要は、まず第一に、法律の題名を消費者庁及び消費者委員会設置法と変更することとしております。

 第二に、消費者庁の任務に、消費者基本法の基本理念に言及する形で消費者の権利の尊重を明記することとしております。

 第三に、消費者委員会は消費者行政全般に対する監視機能を有するものであることを明確にするため、その所掌事務の整備を行うとともに、消費者安全法第二十条の規定による消費者委員会の勧告等の権限を特記することとしております。

 また、消費者委員会が何らの制限を受けることなくみずから調査審議を行い、建議、勧告をすることを明確にするため、委員の職権行使の独立性を明らかにするとともに、関係行政機関の長に対する資料の提出等の要求権限を新たに規定することとしております。

 さらに、機動的な運営を確保するため、消費者委員会の委員の人数を十人以内とすることとしております。

 第四に、附則において、一、消費者委員会の委員の常勤化の検討、二、消費者の利益の擁護、増進に関する法律についての消費者庁の関与のあり方の見直し及び消費者行政に係るさらなる体制整備の検討、三、消費生活センターの適正配置や消費生活相談員の待遇改善に対する国の支援のあり方についての全般的検討、四、適格消費者団体に対する資金の確保その他の支援のあり方の見直し、並びに五、不当な収益の剥奪及び被害者救済の制度のあり方の検討など、五項目にわたる検討条項を設けることとしております。

 次に、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 この修正案は、消費者政策担当大臣の総合調整機能の発揮の明確化を図るとともに、消費者庁設置法案の修正に伴って必要となる消費者委員会についての所要の修正を行うものです。

 その概要は、まず第一に、消費者政策担当大臣による消費者行政に関する総合調整機能の発揮を明確にするため、内閣府設置法における消費者問題に関するいわゆる内閣補助事務に係る規定について、その表現ぶりを修正することとしております。

 第二に、消費者庁設置法の題名変更及び消費者政策委員会の名称変更等に伴う関係各法律の規定整備を行うこととしております。

 最後に、消費者安全法案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 この修正案は、冒頭に御説明した設置法の修正と相まって、消費者庁の主任の大臣である内閣総理大臣及び消費者委員会の権限の明確化、強化を図り、より一層の消費者安全の確保を図ろうとするものであります。

 その概要は、まず第一に、国及び地方公共団体の責務について、消費者安全の確保に関する施策の推進過程の透明性を確保するための措置として、消費者事故等に関する情報の開示を追加するとともに、消費者安全の確保に関し、国民の理解を深め、かつその協力を得るための活動として、消費生活に関する教育活動を加えることとしております。

 第二に、内閣総理大臣が消費者事故等に関する情報を集約、分析した場合における公表の対象は、その取りまとめた結果の概要ではなく結果とするとともに、内閣総理大臣は、国会に対しても、その取りまとめた結果を報告しなければならないものとすることとしております。

 第三に、消費者委員会は、消費者等から得た情報その他の消費者事故等に関する情報を踏まえて、内閣総理大臣に対し、消費者被害の発生または拡大の防止に関して勧告をすることができることとしております。

 また、消費者委員会がみずからの勧告に基づいて適切な措置がとられたかどうかを確認できるよう、内閣総理大臣に対し、その勧告に基づき講じた措置について報告を求めることができることとしております。

 第四に、附則において、重大事故等の範囲について、消費者の財産に対する重大な被害を含め検討を加える旨の検討条項を設けることとしております。

 以上が、各修正案の提案の理由及びその概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

船田委員長 これにて各修正案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これよりただいま質疑を終局いたしました各案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 与党を代表して、政府提出の消費者庁関連三法案に対する修正案について、賛成の立場から討論を行います。

 政府案は、これまで各省庁縦割りのもとで、産業振興に付随する形で推進されてきた消費者行政の仕組みを転換し、消費者の利益の擁護及び増進を任務とし、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる新たな組織を設置するものでございます。

 消費者庁の創設は、日弁連やユニカねっとといった消費者団体など、最前線で消費者問題に取り組まれてきた皆様が長年求められてきたことであり、また、これらの皆様と一緒に推進させていただいたという実感がございます。

 政府案は、既存の省庁の権限、予算、定員を切り取り、内閣のもとに、政府全体の消費者行政の司令塔として機能する強力な権限を有する行政機関を新設し、一、みずから所管する法律の企画立案及び執行を行うほか、二、各省に対して措置要求を行い、三、すき間事案に対する執行等を行わせることにしています。このように、政府の内部から、時代の要請にこたえた画期的な改革をみずから行うことにしたものでございます。

 消費者被害に迅速的確に対応するため、一日も早く消費者庁を創設することがぜひとも必要と考えます。

 議員修正案について、討論でございます。賛成の立場から討論をさせていただきます。

 今国会の消費者関連法案の審議時間は、本日分を含め五十八時間余、担当の野田大臣以外に総理ほか八大臣が出席し、参考人十一人、地方公聴会での意見陳述者八人の皆様から貴重な御意見を賜り、その成果が、十三、十四、十五日の修正協議を経て、議員修正案となりました。

 今回の修正案のポイントである消費者委員会については、政府原案における消費者政策委員会の独立性、権限を強めるもので、具体的には、消費者庁のもとに置く形ではなく内閣府本府のもとに設置するとともに、委員が独立して職権を行使することを明確にすることで独立性が強化されるとともに、さらに、総理等への建議、勧告、勧告に基づく措置の報告徴収及び各行政機関に対する資料の提出、調査要求に関する規定が明確化されており、非常に評価できるわけでございます。

 特別委員会を通じて最も大きな論点の一つであった地方消費者行政につきましても、今般拡充された地方交付税措置を活用しつつ、今回の補正予算により新たに基金に上積みをし、支援対象を集中育成・強化期間において増大する業務に関する人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くする旨を定めることにより相談員の処遇改善、社会保険への加入を含む、を図り、今後三年程度の集中強化期間の後の国による支援のあり方や、消費生活センターの設置、相談員の配置、処遇等の望ましい姿についても、工程表を含め、消費者委員会で検討を行うとされておりまして、これも高く評価できるものでございます。

 また、消費者行政に係る体制の整備に関しては、附則において「消費者庁及び消費者委員会の所掌事務及び組織並びに独立行政法人国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずる」旨規定しております。

 消費者教育につきましても、賢い消費者を育てるということで、消費者安全法案第四条六項で言及されていることでございます。

 違法収益の剥奪等の被害者救済制度についても、附則において、関連法の施行後三年を目途として検討を加えることとしました。

 これらの点も特に評価することができるわけでございます。

 消費者が安心して安全な消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者行政の一層の促進が重要という認識については与野党変わりなく、今回の修正については評価できると考えております。

 以上です。(拍手)

船田委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま提案された消費者庁設置関連三法案に対する与野党共同修正案に賛成、また、修正部分を除く政府三法案に対しては、現状から半歩前進との評価から討論を行います。

 消費者行政を担い、推進する新たな組織をつくることは、消費者運動に携わる関係者にとって悲願とされてきました。また、パロマガス湯沸かし器中毒死事件や中国製冷凍ギョーザ事件、さらには悪徳商法などで被害を受けた方々にとっても、消費者問題を専門に扱うとされる役所ができるのは、まさに画期的と評価されていることと思います。

 消費者団体の方々の中には、消費者庁を小さく産んで大きく育てようと主張しておられる方もいらっしゃいましたが、そうした多くの国民の皆さんの期待を裏切ることのないよう、政府は本腰を入れて消費者行政を進めていかなければなりません。また、立法府に身を置く私たちも、消費者庁や消費者委員会がその役割を十分に発揮するかどうかを、国民の立場から、また現場の視点でしっかり監視していくことをおのおのが肝に銘じておくべきです。

 麻生総理は、昨晩、与野党協議が合意したことについて、消費者側に立った役所ができる、今までになかったことと評価したと報じられています。

 ただ、消費者庁ができるということに満足してはなりません。福田前総理からの懸案を片づけたと思っておられるなら、全くの認識不足だと言わなければなりません。中央に役所をつくったところで、それだけでは消費者行政の抱える問題は何も解決しませんし、きっと多くの国民、消費者は失望することになります。

 本委員会において、参考人の方々からたくさんのさまざまな御指摘をいただきました。また、地方公聴会でも、現場相談員の皆さんから切実な思いも聞かせていただきました。そうした多くの議論の中で、改めて重要だと感じたことは、やはり消費者行政を強化、改善する最大のポイントが、地方の消費者行政の現場をいかに再構築し、充実させるかにかかっているということです。

 今次修正案では今後の検討とされましたが、消費者生活センターの充実、消費生活相談員の権限や処遇の質的かつ大幅改善は必須、喫緊の課題です。麻生総理初め政府関係者はしっかりと認識し、速やかに法制上の措置をとり、必要な人員と予算を速やかに確保するべきだと強く主張しておきます。

 ただ、残念ながら、この点は自公連立政権が続く限りは不可能でしょう。本委員会の政府答弁を聞いても、この肝心な点についてほとんど期待できませんでした。政府方針とけた違いの予算を確保、投入するという民主党政権でなければ、この点は実現できないと声を大にして述べておきます。

 民主党は、結党以来、消費者政策の充実に取り組んでまいりました。本特別委員会の審議に当たっても、独自の消費者権利院法案と消費者団体訴訟法案を提案し、政府案との並行審議に臨んでまいりました。消費者行政を内閣の外側から国民目線で監視する消費者権利院、そして違法収益剥奪の仕組みをうたう民主党案の方が、消費者の立場からより実効性が上がると今でも私は確信をしています。

 今回の修正案の附則に盛り込まれました、適格消費者団体への財政的支援のあり方や、悪質な行為による収益の剥奪とその財産散逸防止のあり方、そして消費者事故の過半を占める財産被害をどのように防止し回復していけるのか、また消費者委員会の委員を常勤化するなどしてより実効性の高い行政監視体制を築けるのかについては、引き続きこの特別委員会を恒常的なものと位置づけて議論すべきであると考えます。

 今回、本特別委員会において、消費者行政の議論がかくも活発に行われたことは、大いに評価されるべきだと思います。世論の盛り上がりがいま一つであったことは少々悔いが残りますが、国民生活の安心、安全にこたえる消費者行政実現のために、立法府として、これからもこうした議論を行い、かつ行政への監視に、いわゆる憲法十二条、「不断の努力」をすることを最後に主張し、私の討論といたします。

 ありがとうございます。(拍手)

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、消費者行政の強化と一元化に関連する修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行います。

 最初に、この法律は、消費者被害に遭われた方々やそれらの方々を支援して長年にわたり消費者問題に取り組んでこられた団体や弁護団などの皆さんの取り組みによって実現する力が生まれたものであります。改めて、消費者運動に取り組まれた皆さんに敬意をあらわしたいと思います。

 しかし、この法律の実現は第一歩です。これを消費者団体の皆さんに使い切っていただきたい。そして、消費者庁にも消費者委員会にも役割を果たすことを求めるものです。そして、消費者の皆さんと共同して、国会の恒常的な消費者問題特別委員会で、法律施行後の消費者行政の本当の意味での強化を実現するためにチェック機能を果たしていくように尽くしたいと思います。

 今回の立法では尽くし得ないところがありますが、附則なども生かして、消費者の権利の実現に向けてさらに前進していく決意を申し述べて、賛成討論を終わります。(拍手)

船田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより採決に入ります。

 初めに、第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岸田文雄君外十二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岸田文雄君外十二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、第百七十回国会、内閣提出、消費者安全法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岸田文雄君外十二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、ただいま議決いたしました各案に対し、七条明君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。園田康博君。

園田(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対する附帯決議(案)

  政府は、これらの法律の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 消費者庁がその任務を遂行するに当たっては、消費者基本法第二条に定める消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり行うことが明記された趣旨にかんがみ、消費者の権利尊重に万全を期すること。

 二 消費者委員会は、自ら積極的に調査審議を行うとともに、内閣総理大臣等への勧告・建議を始め、その与えられた機能を積極的に行使し、消費者の利益の擁護及び増進のため、適切にその職務を遂行すること。

 三 消費者庁及び消費者委員会は、消費者の利益の擁護及び増進のため、各々の独立性を堅持しつつ、適宜適切に協力して職務に当たること。

 四 消費者委員会の委員長及び委員は、すべて民間から登用するものとし、その年齢・性別等の構成について十分配慮すること。

 五 初代の消費者委員会の委員の三人について、常勤的に勤めることが可能になるように人選し、財政的な措置も行うこと。またその他の委員についても、委員としての職務に専念できるような人選を行うように努めるものとすること。

 六 消費者委員会からの関係行政機関の長への報告徴求、資料の提出要求等に対しては、各行政機関は速やかに対応すること。

   また、関係行政機関の長は、その有する民間事業者に係る情報に関しても、個人情報や企業秘密、適正手続の確保に配慮しつつ、消費者委員会からの求めに対し、積極的に対応すること。

 七 内閣総理大臣、関係行政機関の長等は、消費者委員会からの建議又は勧告に対して、迅速かつ誠実に対応すること。

 八 消費者委員会の独立性を担保するため、その事務局については財政上の措置を含めた機能強化を図るとともに、その職員については専任とするよう努めること。また、事務局職員の任命に当たっては、多様な専門分野にわたる民間からの登用を行うとともに、同委員会の補佐に万全を図ること。

 九 消費者被害に関する幅広い情報が確実に消費者庁に収集されるよう、関係省庁や地方自治体との連携を密にする等、体制を整備すること。

 十 消費者庁に収集された情報の調査分析が機動的に行えるようタスクフォースの活用など事故調査のための仕組みを整備すること。

 十一 消費生活に関わる事故に関する情報は、国民の共有財産であるとの認識に基づき、消費者庁を含む関係省庁は、消費者事故等に関する情報について、個人情報保護に配慮しつつ、十分な開示を行うこと。

 十二 消費者教育の推進に関しては、消費者基本法の基本理念及び消費者基本計画の基本的方向のもと、学校教育及び社会教育における施策を始めとしたあらゆる機会を活用しながら、全国におけるなお一層の推進体制の強化を図ること。

 十三 内閣総理大臣は、消費者事故等の発生に関する情報の集約及び分析の結果の公表に関しては、適時適切に、国会に対し報告しなければならないものとすること。

 十四 消費者行政に係る体制整備に当たっては、関係機関、特に独立行政法人国民生活センター、独立行政法人製品評価技術基盤機構、及び独立行政法人農林水産消費安全技術センターを始めとした商品検査機能を有する各機関の機能強化を図るとともに、消費者庁及び消費者委員会との連携強化のため必要な措置を講ずるものとすること。

 十五 各地の消費生活センターの相談員の聴取能力及び法律知識の水準向上を図るため、独立行政法人国民生活センターを中心とする教育・研修の充実を図ること。

 十六 地方公共団体における消費者行政の推進に関しては、今回の法改正の趣旨を周知徹底し、全国あまねく消費生活相談を受けることができ、消費者の安全・安心を確保する体制が確立するよう、万全を期すること。

 十七 相談員の待遇改善に関しては、今般拡充された地方交付税措置を活用しつつ、地方消費者行政活性化基金の運用に際しては、支援対象を集中育成・強化期間において増大する業務に係る人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くすることを定めることにより、相談員の時給の引上げ、業務日数の増加による実質的常勤化、超過勤務並びに社会保険及び労働保険に関し法令に基づく適切な対応等を含め、地方公共団体における処遇改善の取組を促進すること。

 十八 消費生活センターについて、指定管理者制度や委託等を採用している地方公共団体においても、その受託機関における相談員の処遇については、各種誘導措置が講じられることにより、地方公共団体が自ら行う場合における相談員等と同様に処遇の改善が図られるよう万全を期するよう要請すること。

 十九 今後三年程度の集中育成・強化期間後の国による支援の在り方や、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿について、その工程表も含め消費者委員会で検討を行うこと。

 二十 消費者政策担当大臣が掌理する事務として、内閣府設置法第四条第一項に、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念の実現並びに消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のための基本的な政策に関する事項が明記された趣旨を十分尊重し、消費者政策担当大臣は、内閣府設置法第十二条の勧告権の適切な行使も含め、関係行政機関の総合調整に万全を期すること。また、内閣総理大臣は、消費者政策担当大臣の権限行使が十分に果たされるよう行政各部を指揮監督すること。

 二十一 消費者安全法第二十条の趣旨にのっとり、内閣総理大臣は、消費者委員会からの勧告に対し、消費者の利益を増進するため、内閣一体となった取組が行われるよう、誠意をもって対応すること。

 二十二 消費者被害の情報収集啓発を行う消費者団体に対し、関係する情報を提供するとともに、活動のための施設や資金の確保等の環境整備を図ること。

 二十三 消費者庁関連三法の附則各項に規定された見直しに関する検討に際しては、消費者委員会の意見を十分に尊重し、所要の措置を講ずるものとすること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立総員。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野田国務大臣。

野田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、適切な措置の実施に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

船田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

船田委員長 委員各位におかれましては、約一カ月という長い時間に及ぶ慎重かつ熱心な御審議に対し、委員長としまして心から敬意を表したいと存じます。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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