衆議院

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第3号 平成25年4月11日(木曜日)

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平成二十五年四月十一日(木曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 吉川 貴盛君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 永岡 桂子君 理事 西川 京子君

   理事 郡  和子君 理事 重徳 和彦君

   理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    木内  均君

      小島 敏文君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      豊田真由子君    比嘉奈津美君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      船橋 利実君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    生方 幸夫君

      大西 健介君    篠原  孝君

      若井 康彦君    岩永 裕貴君

      上西小百合君    河野 正美君

      東国原英夫君    伊佐 進一君

      浜地 雅一君    三谷 英弘君

      穀田 恵二君    小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          原  早苗君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 山下 史雄君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 正木  靖君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           平山 佳伸君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       新村 和哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山  亨君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           藤井 直樹君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     木内  均君

  浦野 靖人君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     船橋 利実君

  河野 正美君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     務台 俊介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

吉川委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長原早苗君、警察庁長官官房審議官山下史雄君、消費者庁次長松田敏明君、消費者庁審議官菅久修一君、外務省大臣官房参事官正木靖君、厚生労働省大臣官房審議官平山佳伸君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、厚生労働省健康局長矢島鉄也君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君、経済産業省大臣官房審議官中山亨君及び国土交通省大臣官房審議官藤井直樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 おはようございます。

 福岡二区選出の鬼木誠でございます。国会初質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私がこの消費者問題に関する特別委員会にみずから手を挙げまして希望した理由について、そこからお話を始めたいと思います。

 一般的に、消費者は立場が弱いものとして、近年その権利保護が進められてまいりました。しかし、消費者の権利が伸長する一方で、生産者はさまざまな規制や罰則で厳しい経営を余儀なくされているという側面があります。

 確かに、世の中の全ての人が消費者ではありますが、消費者が世の中の全てではないということも言えます。生産者や経営者も元気でなければ世の中は豊かなものにならない、そういう中で大事なことは、私はそのバランスだと思います。消費者の権利を守りながら生産者の元気を損なわない、バランスが大切であるというふうに私は考えます。このバランスを保つ役割を果たしたいと、当委員会への配属を希望したところでございます。

 今回触れます問題も、消費者の権利と生産者の元気、そのバランスというテーマに係ってまいりますので、そのことを先に申し上げた上で、質問に入りたいと思います。

 食品の放射線量基準が厳し過ぎることによる風評被害について質問をいたします。

 まず、三・一一東日本大震災の前、食品の放射能汚染に対しては、原子力安全委員会策定の飲食物摂取制限に関する指標という基準がありました。三・一一震災直後に、厚生労働省は、この指標を準用して暫定基準値とし、この数値を上回る食品については販売等を禁止してきました。ここでの数値は、年間五ミリシーベルトを上限とするという基準であったと思われます。

 ところが、その後、当時の小宮山厚労大臣は、政治主導の名のもとに、食品中の放射性セシウムの線量上限を年間五ミリシーベルトから一ミリシーベルトに引き下げました。この基準の引き下げによって、基準値以上の放射線量値を示す食品がたくさん発生いたしました。そして、発生するごとにテレビや新聞で危険なものとして殊さらに取り上げられ、消費者は不安心理が高まり、そして野菜や魚の生産者は、安全である、食べられる食品まで売れなくなる、そうした風評被害で苦しんでいるという状況が続いております。

 まず最初の質問ですが、この年間一ミリシーベルトという新基準値は、どういう根拠に基づいて引き下げが決定されたのでしょうか。

新村政府参考人 お答え申し上げます。

 福島原発事故の直後に設定いたしました食品中の放射性物質の暫定規制値につきましては、先生御指摘のとおり、緊急的な対応として、原子力安全委員会で定められていた指標に基づき設定したものでございます。そのため、長期的な状況に対応する基準値のあり方を検討することとしておりました。

 昨年四月の基準値の設定に当たりましては、まず国際機関の指標で食品からの被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えないこととされているという点、またモニタリング検査の結果で多くの食品からの検出濃度は時間の経過とともに相当程度低下傾向にあったということを踏まえまして、食品からの被曝線量が暫定規制値で許容していた年間線量五ミリシーベルトから年間一ミリシーベルト以下となるよう、新たな基準値を設定したものでございます。

 国際放射線防護委員会、ICRPの勧告によりますと、この年間線量よりさらに厳しい規制を行う必要はないとされているものでございます。

鬼木委員 この国際基準は、コーデックス委員会という委員会で定められたとされている被曝の許容上限に年間一ミリシーベルトという基準があるそうなんですが、コーデックス委員会、EUでは、全食品で放射能汚染している割合を一〇%として計算してあるわけです。

 ところが、日本の個別の食品に至る基準ができる際には、全食品の放射能汚染している割合を、日本は五〇%の食品が汚染されていると設定しているので、ヨーロッパより五倍高い、厳しい基準が今設定されているということになっているわけなんです。

 それで、当時の枝野官房長官も、新基準の前の暫定基準の段階で、暫定基準値を超えたものを口にしたとしても健康に影響を与えるものではないと、消費者に冷静な対応を求めていらっしゃったわけです。ですから、その後さらに厳しい基準が設定されて、消費者も不安になる、生産者も売れなくなる、そういう状況で非常に混乱しているわけです。

 そこで、本当に厳し過ぎる基準が、不安をあおり、風評被害を誘発しております。安全を唯一絶対の物差しとし、絶対安全を目標とするのなら、目指すところは限りなくゼロベクレルとなってしまいます。しかし、それでは世の中が成り立たない。世の中は、安全という尺度だけでは構成されていないわけです。被災地の農家は、生きていくために生産をし、販売をしていかなければなりません。食べても健康に影響がないものが販売できない、基準値以下の農作物も風評によって売れない、こういう現状は是正しなければならないと考えます。

 食品の放射線量の基準値については、科学的根拠に基づいて安全性を確保しつつ、経済や国民の安心にも配慮したものにしていかなければならないと考えますが、現在の基準値を変更することについて、森大臣、福島出身の消費者担当大臣として、いかがお考えになるか、お答えください。

森国務大臣 ありがとうございます。

 消費者庁は、消費者と生産者のウイン・ウインの関係を構築する、これが設立の趣旨でございまして、消費者を害するような悪質な企業者は市場から撤退していただき、良質な生産者と良質な消費者で適正な市場を構成する、そういう立場に立っておりますので、鬼木委員の最初の言葉は大変頼もしく思っております。

 さて、この食品の放射性物質に関する基準値でございますが、基準値が動いたということによって消費者に不安を与えているということは、そのとおりであると思います。消費者庁の仕事は、基準値以下のものを消費者が不安によって買わないという風評被害を払拭させるために消費者の理解度を深めていくということでございますので、この分野に限って、放射能と食品の安全性に関する消費者理解増進チームを結成いたしまして、消費者の理解をしっかり深めるように、消費者庁で取り組みを行っているところでございます。

 お尋ねの、基準値をどうするかというところは厚生労働省の所管でございますので、しっかりとそこは厚生労働省が、基準値をどうするかということは御検討いただきたいと思いますが、消費者庁としては、消費者が基準値以下のものまで口にしないという風評被害を払拭するため、さらなる努力を続けてまいりたいと思います。

鬼木委員 思いをともにしていただいているということで、大変うれしく思いました。

 また、消費者庁としては、この風評被害をなくすように理解を求める活動をしていただけるということで、本当によろしくお願いしたいと思います。

 事故原発から何百キロも離れた土地でとれたシイタケから基準値を超える放射線が検出されたということで、この何百キロも離れた地のものが全く売れなくなってしまった。その地がどこかというのをここでぽろっと口に出せば、またそこが大問題になるということで、どれだけ離れているのかということをお示しできないんですが、そういう悪循環に陥っております。

 あとは、一遍厳しくしたものを緩めるということは本当に難しいと思うんですが、ここは私は、改めて厚生労働省にも機会があれば質疑をしていきたいと思います。

 ぜひ、風評被害から生産者を守る、そして、消費者と生産者のウイン・ウインの関係をつくることに森大臣の一層の御活躍をお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。私も鬼木先生と同じ福岡に住んでおりまして、九州比例単独の公明党の議員でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、前職は弁護士をしておりまして、実際、事務所を開いて、九州の場所でいわゆる消費者の保護及び企業側の顧問業務ということで、やはり消費者保護ということも一生懸命やってきたわけでございますけれども、大臣にお聞きしたいのが、前回の大臣の所信の中でこのような言葉がございました。真に消費者目線に立った行政を推進し、主体的に自立した消費者を育成する各般の施策を推進していきたいというようなお言葉がございました。

 この中で大臣が言われました、真に消費者目線に立ったという意味でございますけれども、そのあたりのことを教えていただければと思っております。

森国務大臣 よろしくお願いします。

 私も弁護士出身で、消費者分野を二十年近くずっとやってきた立場から、この国に消費者庁という役所がないという、先進国と比較して、日本が消費者保護の分野で五十年近く先進国の中でおくれをとっているという現状から、参議院選挙に初めて立候補したときに、消費者庁をつくるべきだということを公約に掲げて、そして立候補したわけでございます。その消費者庁ができて、私が最初に消費者庁をつくるべきだというふうに申し上げましたその趣旨、そして日弁連と主婦連が、もう五十年、二十年という長い月日を、消費者庁の設立を目指して戦ってきたその趣旨が、真に消費者目線に立った行政なんでございます。

 この意味は何かと申しますと、戦後、敗戦の大変厳しい状況から経済成長をするために省庁がつくられました。その省庁は、それぞれの産業界を応援する省庁でございまして、その後の戦後復興に一定の役割を果たしたと思います。しかし、それがそれだけであったために、つまり、産業側の目線だけでずっとやってきてしまったために、消費者の力と、それから産業側の力に格差が生じてきてしまった。

 これは市場経済学の中でも市場の失敗と言われるところでございますが、そういう意味で、消費者の目線も本当は各省庁の中に入っているべきですけれども、そうではない歴史をたどってきてしまったということで、消費者の目線を各省庁に思い出してもらうために、横串を通して、省庁縦割りの弊害から消費者を救済するために仕事をする役所という意味で、真に消費者目線に立った行政という言葉を使っております。

浜地委員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣の御答弁の中で、やはり、大企業との中で埋没してきた消費者をしっかりとクローズアップして、横串でしっかり対応していくんだというお言葉がございました。

 私は、一点感じることは、弁護士をしていて、当然、消費者保護ということを重点にやってまいりましたけれども、最近また景気が非常に悪い中、消費者を守るいろいろな法律ができて、いろいろな類型化がされて、非常に消費者が権利主張をしやすくなったという点では、この消費者庁の設置の目的というのは非常に高かったと思っております。

 しかし、先ほど鬼木委員からのお話もございましたとおり、実際に被害者という言葉もしくは消費者という言葉で一くくりにされて、やはり少し権利が、保護が強くなっているんじゃないかというところを、実は弁護士の業務をしながら感じておりました。実際、これは労働省の話になりますけれども、労働審判制度あたりができて、いわゆる訴訟がしやすくなったり、権利主張がしやすくなったという点がございます。

 私の考えとしては、真の消費者目線というのは、当然、消費者保護を図りながらも、消費者が安心して消費できる社会をつくり、もって消費者保護とともに、やはり消費市場というのをしっかりと活性化するという点も大事ではあろうかと思っておりますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

森国務大臣 よい質問をいただいてありがとうございます。ちなみに、労働法制とはまた別でございますので、その点は付言させていただきます。

 消費者保護というのは、先生、ちょっと質問の中で大企業とおっしゃいましたけれども、大企業から守るということではなくて、悪質業者から消費者を守るということでございまして、大企業も良質に消費者目線でやっていただいているところは、市場の中でやはり企業活動していただいて結構なのでございます。

 そこが消費者庁創設の理念なのですが、三年半前に消費者庁が創設されたその理念が、必ずしもこの三年半の間でまだ浸透していないという面があると思います。ですので、例えば弁護士さんもそうですし、大企業さんもそうですし、中小企業の皆様、消費者団体の皆様、ステークホルダーの皆様が、消費者庁とは何か、消費者の保護とは何かということをしっかりと認識していただくということが大切なんだと思います。

 消費者法の生みの親、竹内昭夫東大教授、お亡くなりになりましたけれども、その本の一番最初に書いてあります、良質な企業と消費者がウイン・ウインの関係で適正な市場をつくっていく、そして、消費者は会社に行けば生産者であって、一人の人間が生産者でもあり消費者でもあるんだ、対立するものではないということを、私が就任いたしまして消費者教育の推進会議を立ち上げましたので、そこで広く啓蒙してまいりたいと思います。

浜地委員 大変ありがとうございます。私も同じ意識で、与党の新人議員としてまたしっかりとお支えしながら頑張っていきたいという決意でおります。

 ところで、少し話がかわりますが、私の手元には四月五日金曜日の日経新聞の記事があるんですけれども、消費者安全調査委員会の調査が非常に進んでいないという記事がございました。新聞記事によりますと、六十五件の消費者事故の調査の申し立てがございましたけれども、実際には五件の調査が始まったばかりで、発足されてまだ間もないということもあるんですけれども、まだいわゆる調査報告書というものが上がってきていない状況でございます。

 先ほど大臣がおっしゃいました、やはり消費者の保護を通しながら悪質業者を排除し、安全な消費市場をつくっていくという点については、この消費者事故調査委員会の役目というのは大きいわけでございますけれども、まず、この消費者事故調査委員会に課せられた使命をどのようにお考えか。あと、六十五件のうちまだ五件しか調査を行っていないという体制不備があろうかと思うんですけれども、このあたりの今後の運用についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思っております。

森国務大臣 消費者安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は大変重要な任務を背負っております。

 さまざまな省庁の中に事故調というものがあるんですけれども、そこで必ずしも消費者目線の調査が行われてこなかったということで、シンドラー・エレベーター事故でありますとかコンニャクゼリー事故等々について、ちょうど私が当選した六年前ぐらいから、与党内で大きな議論をいたしました。当時、それぞれの担当省庁の中で調査を始めていただきましたが、不十分であるということで法律ができました。

 ところが、法律ができてから約一カ月で施行はされたんですけれども、私が大臣になってみましたら、実は、まだ専門委員が選任されておりませんでした。ですから、ことしになってから専門委員の選定を始めて、政権交代のごたごたもあったからだと思います。ただ、それが消費者に対する言いわけにはなりませんので、今、急がせているところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ましたのでこれで質問をやめますけれども、また、集団的消費者の被害に関する訴訟等の法案もございます。この法案の審査の点でも、先ほど申し上げました、消費者目線及び最終的には消費市場をしっかりつくっていく、この観点からまた御質問をする機会があろうかと思います。そのときは、ぜひどうぞよろしくお願いをします。また、皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。

 まず、冒頭、大変遅くなりましたけれども、森大臣におかれましては、大臣御就任おめでとうございます。消費者救済に努められた弁護士の経験を生かして、真に消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができるように、どうぞ全力を尽くしてお取り組みをいただきたいと思います。

 ところで、就任早々だったかと思いますけれども、日本消費経済新聞のインタビューで、大臣は、消費者庁は小さく産んで大きく育てるということだったが、民主党政権は、小さく産んで小さいままと痛烈な皮肉をされました。

 我々のときには、反省もあるわけですけれども、消費者の目線で予算も増額し、人員もふやし、また消費者安全法、特商法、そして、議員立法ではございましたけれども、消費者教育推進法を御成立いただき、取り組みを進めさせていただいていたところです。そしてまた、今国会で審議する予定になっております食品表示法、新しい訴訟法、この準備も重ねさせていただきました。

 また、消費者庁消費者委員会設置法附則第三項に基づく議論も随分と重ねさせていただいたつもりでございます。このことに関して、政権がかわってもとに戻すということなく、議論を無駄にしないというふうにそのインタビューの中でもお話をされていたので、胸をなでおろし、期待をさせていただいているところです。

 目指すところは同じだというふうに思っております。特に、大臣も、地方消費者行政の強化というのを一番に挙げられていると承知しております、私も同じ思いでございます。

 だからこそ、私たちは、消費生活センターや消費生活相談員の拡充を図ってきた地方消費者行政活性化基金の期限が到来することを前提にいたしまして、昨年の夏、平成二十五年度の概算要求におきまして、単年度予算主義に基づく毎年度の安定的な交付金として、およそ四十億円の地方消費者行政活性化交付金を創設することを目指したわけでございます。

 政権交代後の予算案では、平成二十四年度の補正予算で基金を大幅に上積みされました。しかしながら、概算要求しておりました交付金は計上されておりません。なぜこのような組み替えを行ったのでしょうか。その経緯や考え方、また変更のポイント、これを明らかにしていただきたいと思います。

森国務大臣 郡委員は、消費者庁の政務官として御活躍しておられたこと、そして目指す方向が同じであるということで、大変尊敬を申し上げております。

 御質問の予算の点でございますけれども、概算要求で非常に挑戦的な交付金ということを要求しておられたこと、大変評価をしております。

 ただし、先ほどもほかの方の質問に答えたとおり、ちょうど政権交代が年末になりました。その中で、このような動きがございました。

 各自治体におきまして、郡委員も御存じかと思いましたけれども、これまで基金において充実強化されてきた消費生活相談員の任用などの消費生活相談体制や、二十五年度に実施予定の事業、例えば、消費者教育推進法の制定を受けた消費者教育の推進などが、法律が通りましたから予定されていたんですけれども、各自治体では、残念ながらそれを縮小するというような動きがありました。

 例えば、年度当初からの事業実施が困難であると見込んで事業規模を縮小したり、それから、二十五年度は、これまで基金で増員していた相談員の契約の終了をしたり、新規事業の実施を見送ったり、そういう動きの情報が入っておりまして、大変心配されるところでございました。

 郡委員も質問の中でおっしゃったように、地方の消費者行政がこの国の消費者行政を底支えしております。そういう状況を踏まえまして、二十四年度から二十五年度にかけて、越年で切れ目なく円滑で計画的な事業実施ができるよう、また地方自治体に対して、大丈夫だよ、やめないでねというメッセージを出すことということで、私も大変悩んだのではありますけれども、二十四年度補正予算において、複数年度にわたって使用可能というふうにした基金として措置をいたしました。そして、概算要求で四十億要求されていたものを、私、財務省と頑張って闘いまして、六十・二億ということで、金額を大幅に増額した、そういうわけでございます。

郡委員 先般、消費者庁が公表いたしました地方消費者行政に対する国の財政措置の活用期間に関する一般準則、少し大臣も言及されましたけれども、これを見てみますと、地方消費者行政活性化基金等の財政措置の活用期間、これは、通常は七年ないし十年で、特例に該当する場合は、今後、九年ないし十一年も地方消費者行政に対して国として財政措置を続ける意図が読み取れるというふうに私自身も思っているところです。

 しかしながら、基金の期限というのは、期限のない復興特会の計上分を除きまして、平成二十三年度から一年ごとに延長されて、現状では平成二十五年度までとなっております。

 つまり、このような状況では、活用期限までの財政的な裏づけがないのではないかと大変心配、危惧をしているわけでして、具体的にどのように財政措置を行うおつもりなのでしょうか。この一般準則を担保するためにも、毎年の交付金である地方消費者行政活性化交付金の創設にぜひ再チャレンジすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 御指摘のとおり、基金は、今回延長したとしても二十五年度までの時限措置となります。地方自治体において自主財源化に向けて中長期的に取り組んでいただきたいというメッセージを出しておりますし、重要だと思っております。各自治体において消費者行政が定着するまでは、地域の取り組みの下支えが必要だと認識をしております。

 このため、その後の恒常的な措置をどうするかというのは重要な課題でございまして、改めて、今の御指摘も踏まえまして、来年度の予算要求に向けてしっかりと検討してまいりたいと思います。

郡委員 先が見通せない状況では、やはり地域の中で的確な相談というのもできないんだろうと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。私どもも後押しをしたいというふうに思っております。

 大臣も御承知だと思いますけれども、全国消費生活相談員協会が会員の実態調査を行っております。

 それによりますと、相談員の雇いどめにつきまして、二二・四%があるというふうに答えております。五年までが五三%、三年で雇いどめを加えますと何と七割になってしまうという状況でありました。

 ある市では、毎年更新の時期に、毎年履歴書の提出を求められて、毎年公募が広報誌に掲載をされる。そして、公募した上で応募者の中から採用するかどうか判断される、その繰り返し、繰り返しということでございます。

 大臣の選挙区でもございますが、福島市、それから千葉県、東京都ほか、雇いどめに対する要望書などが、この協会を通じて出されております。

 先ほどの話にもありましたように、先の見通せない予算措置では、消費生活相談員の雇いどめ問題や処遇改善などについて、実効性のある対策を講じているというふうには言えないと思いますけれども、いかがでございましょうか。

森国務大臣 消費者相談員というのは、継続して長年やることでスキルアップしてきて、深刻な相談にも対応できるし、また後任者を指導できるという面がございます。しかし、残念ながら、いまだに消費生活相談員の雇いどめ問題が指摘をされております。

 消費生活相談員の処遇改善については、地方交付税措置において相談員の報酬単価を倍増いたしました。それから、地方消費者行政活性化基金において、平成二十二年八月に、従前の相談員の配置、増員に加え、処遇改善にも活用可能となるように見直すなどの措置を消費者庁が行ってまいりました。また、先ほど言った二十四年度補正予算については、二十五年度まで延長し、六十・二億円の上積みを行いました。

 さらに、雇いどめについて、実態として、非常勤の行う業務の中にも、先ほど言ったような恒常的な業務があること、そして、任期ごとに客観的な能力実証を行った結果としての同一者の再度任用は排除されないことについて、制度を所管する総務省と認識を共有しておりまして、昨年夏より、三回にわたり消費者庁長官から自治体首長宛ての通知等を発出することにより、働きかけを行ってまいりました。

 加えて、先ほどの、ことし二月に自治体向けに発出した基金等の活用期間及び使用割合に関する一般準則の中で、自治体が相談員の雇いどめをしている場合に、一部の事業についての基金等の活用期間を短縮するということにいたしまして、自治体の雇いどめ抑止に向けた取り組みを促すこととしたところでございます。

郡委員 消費者庁として、お願いベースであったり、あるいはインセンティブをつけるなりして取り組んでいるということですけれども、基本的に、これは地方自治体の人事権によるものなんだろうと思います。

 近時で見られる傾向として、この調査の中では、やはり五年で一旦解雇をする、ハローワークで一般公募をして、試験や面接でまた新採用という形になって採用されるということも続いている。長年培ってきた経験ですとか、それから専門的な知見、また資格というのは一切考慮されていないんですね。これは、その方に大変申しわけないというよりも、この国の経済活動の中でも大変な損失になるんだろうというふうに私は思っております。

 昨年八月、消費者庁で、消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会というのを立ち上げて、中間報告をまとめさせていただき、公表をいたしました。消費生活相談員の資格を法律に位置づける必要性について、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

 相談員は、大臣もお話しになっていらっしゃいますけれども、消費者の抱える問題を消費者行政につなげる最も重要な役割を担っているわけでして、その信頼を裏づけるとともに、より一層の専門性を発揮していただくためにも、ぜひとも法的な位置づけが必要だというふうに思っています。

 先ほど申し上げました中間報告、夏の時点での中間報告でございますけれども、この消費生活相談員資格のあり方の検討をあれからどういうふうに続けられたのか、そしてまた、今後、具体的にどのように行っていくつもりなのか、できる限り早く法制化すべきだというふうに思っているわけですけれども、いかがでしょう。

森国務大臣 情報や交渉力等において事業者との間に構造的格差のある消費者を支えるのは、消費生活相談の現場にいる消費生活相談員です。その水準の確保と質の向上は、消費者の権利尊重及び自立の支援のために不可欠です。

 一方、現状では、消費生活相談員資格の法律における位置づけが不明確であることから、事業者に、保有している資格を伝えても納得を得られずに、あっせんにおいて支障が出る。無視されたり、回答してもらえなかったり等の問題が生じており、重要な課題です。

 先ほど御指摘の、消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会においては、こうした問題意識に立って、相談員資格を法律に位置づける必要性等において中間報告がまとめられたものと承知しておりますが、その内容は、私が弁護士のときからずっと言われてきた、必要性は書いてあるんですけれども、ではどうするのかというところまでは、必ずしもまだしっかりとした内容がございませんでした。

 以上を踏まえて、消費生活相談業務の一層の質の向上と体制の整備を図る観点から、法律への位置づけは私も重要だと思っております。ですが、多分、郡委員も御存じのとおり、さまざまな越えるべき壁があり、難しい問題がございます。ここを、具体化に一歩一歩進むように、関係者の意見も伺いながら、できる限り早期に法案等の形にまとめられるように頑張ってまいりたいと思います。

郡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、リーダーシップを発揮していただいて、乗り越えていただきたいというふうに思います。

 財政措置も不透明なために、思い切った対策に取り組めないのが当該自治体の方々なんだろうというふうに思います。法律で、任期の定めのない専門職任用制度というようなものを創設するなどして、そこに相談員など一定の資格、専門性が要求される職種などを具体的に例示して、それを国としてバックアップしていったらどうだろう、そういう御提案もさせていただきたいというふうに思います。

 ぜひ知恵を絞っていただいて、私が今申し上げました、そういう特別の任用制度というような創設も、ぜひとも総務大臣とも御協議をいただき、認める方向でお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

森国務大臣 地方自治体の特別の任用制度ですか。御通告がなかったので、今初めて聞きましたけれども、検討の一つにしたいと思います。

 問題は、この問題は本当に古くて新しい問題ですけれども、相談員の資格は、今、三つございます。それぞれの相談員の団体がまとまっていないというか、それぞれいろいろな要望があるのでございます。私は、消費者の立場から見て、その相談員資格はがちゃんこして一つにして、国としてしっかり法律的な位置づけを与えてあげて、そして相談窓口で業者としっかりと渡り合えるようにしたいと思う。

 相談員がどんなに言っても、業者は、ふんということで、もう無視。悪質な業者だけが野放しにされ、良質な業者の方が、相談員さんに聞いたら、はい。これでは先ほどと逆であって、良質な業者が萎縮しちゃって、悪質な業者がのさばるのでは、適切な、適正な市場は形成されないのでございます。

 ですから、この本当に大きな課題、認識は共有しておりますので、知恵を絞って、何とか相談員さんの資格をより強固なものにしてまいりたいと思います。

郡委員 少しすりかえた御答弁をされましたけれども、ぜひ、重要な視点だというふうに思いますので、御検討いただければというふうに思います。

 次に、消費者委員会ですけれども、昨年七月、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」というのを出されました。これに対しまして、おとといですか、九日に、消費者庁の方から実施状況の詳しい報告を受けたというふうに承知をしております。

 消費者委員会は、この「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」に対する消費者庁の実施状況、これをどのように評価されているでしょうか。この建議の実施状況ですけれども、万一、実施率が一〇〇%とならないのであれば、何が足りない、足らないというふうに認識をされているのか。また、実効性を担保するために消費者委員会として具体的にどのような取り組みをなさっているのか。きょうは消費者委員会の原事務局長においでいただいておりますので、御答弁いただきます。よろしくお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、四月九日、一昨日開催をいたしました第百十七回消費者委員会において、昨年七月の、消費者委員会としては第二回目の地方消費者行政に対する建議だったんですけれども、それについて、実際の進捗状況について、消費者庁及び総務省に御出席をいただいて、御指摘の建議の実施状況報告に関する調査審議を行ったところです。

 議事録については、まだもうちょっとお時間をいただきたいというふうに思っておりますけれども、そのときの議論の取りまとめにおいて、河上委員長からは、個々の建議事項について消費者庁と総務省がそれぞれ真摯に対応していることについては評価をいたしました。とともに、地方消費者行政に対する国からの財政支援のあり方や消費生活相談員の処遇改善の問題等については、一定の前進があったものの、依然として課題が残されており、関係省庁におけるさらなる取り組みを求める旨の取りまとめの発言を行ったところです。

 地方消費者行政活性化基金等を通じて整備した相談体制を確立して、質の面でも向上を図るのは、やはりこれからが正念場と考えております。

 消費者委員会としては、引き続き、建議事項の実施状況を注視するとともに、三月から地方消費者行政専門調査会を再度立ち上げて議論を開始しており、少し中期的な姿も描きながら審議を進めてまいりまして、どういった形、体制の整備を図っていくべきかについて、必要に応じて意見表明を行っていくというものと考えております。

 それから、地方消費者行政は本当に大切で、消費者委員会としても、地方に出向いて、地方消費者委員会というのを開催しております。当時の郡政務官にもお越しいただきましたけれども、昨年一月からこの一年余りに七回の地方消費者委員会というのを開催してきておりまして、知事それから市長さんにも消費者行政への理解を求めております。

 委員会からは以上です。

郡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、消費者庁、消費者委員会ともに、地方消費者行政の充実に向けて御尽力をいただきたいというふうに思います。

 済みません、次の質問に飛ばせていただきます。

 原発事故に伴う風評被害対策についてです。

 被災地出身であられる森担当大臣が、早速、食品と放射能に関する消費者理解増進チームというのを設置して取り組まれたということを、先ほども御答弁の中でお話しなさいましたけれども、これについて大変期待も寄せています。

 風評被害対策の、風評というのを流布しているのは、生産者ではなく、実は十分な情報を得ていない消費者の側であるんじゃないだろうか。そして、被害に遭っているのが生産者であるというふうに私自身は捉えております。

 この風評の流布を食いとめて、さらに被災地産品の評判を回復していくというためには、どのような施策が最も効果的だとお考えになっていらっしゃるでしょうか。

森国務大臣 風評被害は大変深刻でございます。そして、福島県を初めとした風評被害を受けている幾つもの自治体、また生産者の方々がおっしゃるのは、直後よりも、三年目に入った今の方がきつい、事後は応援ということもございましたけれども、だんだん風化が進むとともに、風評の方のダメージが非常に大きくなってきておるということでございます。

 私は、風評を流布しているのが消費者だとは思わないんですけれども、消費者と生産者という切り口ではなくて、一般的に、国内または国外に風評が広まってしまっていると思います。ただ、それを受けとめる消費者の方の理解が進んでいないということで、それが実際の被害に結びついているというところは、危機的な認識を持っております。

 そこで、先ほどの増進チームを就任直後に立ち上げまして、消費者庁は大変人員が少ないのでございますが、みんな兼務でございますが、一生懸命頑張って、三・一一に間に合わせようの合い言葉で、二年目の三月十一日に結果を公表いたしました。これは、全国の消費者の意識を調査いたしました。それは公表されておりますけれども、私たちがもやもやと感じていた風評被害が数字でしっかりと、残念ながら、風評被害は非常にきついということが出ています。

 例えば、食品中の放射性物質の基準値。基準値以下のものは生涯食べ続けても十分に安全なレベルだという理解が全体の三割にとどまってしまっているということや、基準値以内であっても、やはりできるだけ低線量の食品を希望する方が大変多いということや、被災地の購入をためらっている、そういう実態が明らかになりました。

 今は、この増進チームは、消費者ではなく、今度は生産者とか小売店の方の調査をしております。それらをまとめまして、効果的な風評被害対策、施策を発表する段取り中でございます。

 例えば、その中で一つ今申し上げますと、子育て世代向けのミニ集会を全国展開してまいりましたりとか、双方向で参加者の疑問や質問にきめ細かく対応できる集会の開催等に努めたり、そういった地方自治体の仕組みを支援したり、そういったことを全国展開していこうというふうに思います。

 市場に流通をしている被災地の農産物等の安全性について、今、記者さんたちにも一生懸命説明して、マスコミにも取り上げていただくように情報発信をしてまいりたいと思います。

郡委員 そうなんですね。消費者と生産者と、双方向でいろいろと情報交換をしていくということも大切ですし、先ほどおっしゃったマスコミ対策というのも重要なんだと思います。私が申し上げたのは、十分な情報を得ていない、理解できていない消費者の方々というふうなつもりで申し上げたつもりです。

 この風評被害対策ですけれども、消費者庁のみならず、農水省、厚労省といった関係省庁との連携が不可欠であります。この増進チームと関係省庁とは、具体的にどのような役割分担になるのでしょうか。

 それから、復興庁においても、復興大臣が福島県の出身ということもあって、風評被害対策のためのチームを設置したというふうにも聞いております。風評被害対策における復興担当大臣と消費者担当大臣間の役割分担などをどう考えておられるのかも御説明いただきたいと思います。

森国務大臣 私は、食品の風評被害の担当でございます。これは、就任の当日に、総理の指示書ではっきりと、食品と放射能に関するコミュニケーションの強化を進め、風評被害の防止を図るべし、そういう指示をいただいているところで、これは閣内でも共通認識でございます。そのもとに、先ほどの増進チームを立ち上げて、いろいろやってまいりました。

 ただ、風評被害は食品だけではございませんでして、製造物もございますし、農産物という面でいえば農水省にも関係ありますし、それから、輸出の面であるというと観光の方も関連してまいりますし、外務省の方ももちろんかかわってくるということです。

 私の方が、官邸にあります復興推進会議という、全閣僚がメンバーになっている会議がございます。こちらで、一月の段階で提案をいたしました。私は食品の風評被害をやっているけれども、それ以外の大臣の皆様も関係するので、これは横串の、復興のための風評被害払拭チームをつくってください、それは、やはり復興庁が復興全体を見ていますから、根本大臣のところでリーダーシップをとってやってくださいというふうに御提案を申し上げました。

 それに応える形で、根本大臣の方にチームができまして、そしてチームの成果としてパッケージを四月二日に公表して、それぞれの省庁で取り組んでいる、それを根本大臣がまとめている、そういう状況でございます。

郡委員 時間になってしまいました。残念ながら質問を少し残してしまいましたけれども、また機会があれば御質問させていただきたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

吉川委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 皆様、おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 私は、この消費者特の委員になるのは今回が初めてであります。どうぞよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 森大臣には、予算委員会等で、他の担当分野についてはこれまでも御質問させていただく機会がありました。きょうのこの委員会の御答弁をお聞きさせていただいておりまして、本当に消費者問題については他の分野よりも自信に満ちた御答弁で、さすがに長年この消費者行政に弁護士としても取り組んでこられた大臣だなと思って、感心して聞かせていただいておりました。ぜひ御活躍を期待したいというふうに思います。

 森大臣にはこれまでもほかの委員会でも質問させていただく機会がありましたので、きょうは、冒頭、副大臣、政務官に対して、基本的な政治姿勢に関することについて御質問をまずさせていただきたいというふうに思います。

 伊達副大臣、プロフィールを拝見させていただきました。副大臣自身が検査技師であり、そして昭和三十九年に札幌臨床検査センター株式会社を設立されて、代表取締役に就任されたということであります。

 そして、皆様のお手元にきょうは資料をお配りさせていただいております。一般社団法人日本衛生検査所協会の会長としてこのホームページでは御挨拶が載っておりますけれども、現在も会長をされているということでよろしいんでしょうか。御確認です、お願いします。

伊達副大臣 そのとおりでございます。会長を務めております。

大西(健)委員 ありがとうございます。

 皆様のお手元にもう一つ、大臣、副大臣、政務官規範というのをお配りさせていただいております。このお配りをさせていただいた後半の部分、(2)2の部分ですけれども、「公益法人その他これに類する諸団体については、報酬のない名誉職等を除き、その役職員を兼職してはならない。」ということになっております。

 副大臣のホームページを拝見しますと、例えば日本近代五種協会名誉副会長というのにもつかれています。これは文字どおり、名誉副会長ということですから、名誉職ということだというふうに思うんですけれども、今申し上げました日本衛生検査所協会の会長というのは、これは、私は、一見するところ名誉職というのではないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、報酬を受けられているかどうかも含めて、これが政務官規範に抵触するものではないかどうかという部分について、お答えをいただければと思います。

伊達副大臣 お答えいたします。

 これは社団法人、公益法人ということで、無報酬でございます。

 それで、かつて小泉内閣のときに政務官も務めさせていただきました。そのときも、このことについて相談をさせていただいたら、無報酬であるということで、公益法人だし、よろしいという見解をいただいて、そのまま今もやっているということでございます。

大西(健)委員 私は、ほかのところでちょっと拝見をすると、報酬を受けているか受けていないかというのが一つの基準ではあるんですけれども、それ以外に、例えば理事会だとか総会とかに常に出席をしていて、会長職として動かれている場合には名誉職等に当たらないというような話も、過去の国会会議録の中にもございました。ぜひ、そこのところは、今、確認をとってということでありましたけれども、いま一度しっかりと御確認をいただきたいなというふうに思います。

 それから、先ほど申し上げました政務官規範の中には、先ほど読み上げましたところの次のところでありますけれども、「なお、報酬のない名誉職等を兼職した場合」も、少し飛ばしまして、「副大臣等にあってはその上司である国務大臣に、届け出なければならない。」というようにありますけれども、森大臣、届け出というのは受けられましたでしょうか。確認です。

森国務大臣 突然の御質問でございますが、受けております。

大西(健)委員 どうもありがとうございました。しっかり御説明をいただけたというふうに思っております。

 それでは、亀岡政務官についても一点お聞きをしたいというふうに思います。

 亀岡政務官に関して、二月二十日付の朝日新聞等に、政務官の後援会のゴルフコンペに暴力団関係者が参加をしていたということが報じられました。これについては、政務官自身も取材に対して、暴力団関係者とは知らなかったというふうにお答えをされています。

 少し前のことでありますし、知らなかったということでありますけれども、本件については、今後の政務官としての公正な消費者行政の遂行にも関係する問題だというふうに思いますので、御自身のお口で御説明をいただければというふうに思います。

亀岡大臣政務官 今質問いただきましたけれども、たしか五、六年前か、ちょっと忘れましたけれども、私の後援会が、四名記入できる申込用紙を配りまして、パーティーに参加してくださいというお願いをしておりました。

 この間、新聞記者の方が来られて、暴力団の奥さんが参加をしていましたねと言われましたけれども、我々はそういうことは全然わかりませんでしたし、職業は皆さん書いてありませんので、暴力団の奥さんということは全くわかりませんでした。参加していたかどうかもわかりません。

 この間、新聞記者が来られて、それを持ってきた。どういう方かもわからなかったものですから、わからないと答えました。今後は、きちんと職業も書いてもらうようにしたいと思っております。

大西(健)委員 委員会の場でしっかり御説明をいただいたということでありますけれども、これは我々、政治活動をする者にとっては共通することでありますので、それぞれ襟を正してやっていかなければならないなというふうに思います。

 それでは、先ほどもお話が出ておりましたけれども、風評被害の問題について。

 大臣は、地元福島県産品の風評被害の払拭のためにこれまで心を砕いてこられて、その姿勢と行動力について心から敬意を表したいというふうに私は思います。

 そういう中で、大臣が、一月二日の福島民報のインタビューで、県産品の販売促進について法制化をすべきだと。その法制化の内容というのは、本県、福島県を特区に指定して、国は小売店に対して、その地域の産品を扱うように命令をしたり、店頭で販売した店舗を優遇することができるようにすると述べられております。気持ちは大変よくわかります、それぐらい強いお気持ちがあるんだなと。

 ただ、これを読んで、営業の自由がある小売店に対して、あるものを置けと命令するとかというところまでいくと、直観的にはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思いますけれども、ほかにそういう立法例があるかどうかを含めて、役所の方に大臣としてどういう具体的な検討の御指示をされているのかということについて、御説明をいただきたいと思います。

森国務大臣 質問していただいて大変ありがたいんですが、このインタビュー記事が不正確でございます。

 私は、これが出た後に、記者さんがこうやって録音をしていたので、その録音したものを起こしたものを持ってきてくださいと言ったんですが、それは、その上に別のインタビューを録音してしまったので、もうないですということなんです。

 私は、ここでこの記事、皆さんのところには配られていないんですが、今御指摘いただいた記事のところに、「憲法で「営業の自由」が認められている小売店に対する命令に、どの程度強制力を持たせられるかが今後の焦点の一つになりそうだ。」という記述があるんですが、私が申し上げたのは、命令するんですかと記者さんが応えられたので、それに対して、私は、憲法で営業の自由が認められている小売店に命令するのは難しいと思いますというふうに答えたんですが、それが、後から記者さんの感想の形で入っております。

 ですので、私もそのインタビューのときに十分な説明ができていなかったので、記者さんに誤解を与えたのかもしれませんけれども、私自身も、命令をするというところは、やはり営業の自由との関係上難しいと思っております。

 ただ、今は、被災地の食品が市場で卸されるときから非常に廉価であったり、小売店に並べられるときに、いつも、消費期限が過ぎた商品と一緒に端の方に置かれていたり、そういう非常に心痛む現状があるものでございますから、法制化できるかどうかはともかく、消費者理解増進チームの方で、事業者、小売店の現状を今調査しているところですが、それを踏まえての政策になるとは思いますけれども、例えば、小売店で被災地の食品を置くときに、そこでその説明をするものを置くとか、それを生産者が希望するときには、例えば生産者自身とか、または風評払拭Gメンのようなものを私は今ちょっとアイデアとして考えているんです。

 そういう方々を置かせていただくことができる、そして、その方がちゃんと説明をしたりチラシを配ったりすることができるようなことで、消費者が単なる誤解で被災地の食品を買わないということがないような何か制度をというふうに考えているところです。

大西(健)委員 福島民報の記事は若干不正確なところがあったということと、それからまた、法律で強制するというのはなかなか大臣自身も難しいとお考えになっているということがよくわかりました。

 その上で、今、Gメンの話とか具体的なアイデアもお示しいただきましたので、ぜひこれからも、今までに増して、風評被害払拭のために行動されることを御期待申し上げたいというふうに思います。

 それでは、電気料金の値上げについてお聞きをしたいというふうに思います。

 三月二十七日、森大臣は茂木経済産業大臣と会談をされて、関西電力と九州電力の電気料金の値上げについて合意をしました。ちなみに、今回のこの料金原価の見直しを伴う本格的な値上げというのは、二つの会社、両方とも、第二次石油危機以来三十三年ぶり、そういう大幅な料金改定だということであります。電気代などの公共料金というのは、家計への影響が非常に大きいということから、値上げに当たっては、利用者の視点、消費者の視点に立って消費者庁がチェックをする仕組みということができています。

 そういう中で、最終的に値上げを認可するのはもちろん経済産業大臣でありますけれども、森大臣がうんと言わなければ、これは物価関係閣僚会議を開くことができないという仕組みになっております。

 昨年、思い起こせば、夏の時期に、東京電力が家庭用電気料金の値上げをやりました。当時は松原大臣が大臣でありましたけれども、松原大臣は、筋の通らない値上げは許さないと、値上げ幅の圧縮に本当に精力的に行動して汗をかいている姿というのが私にとっても非常に印象的でありましたし、報道等を通じてもそれは大きく取り上げられておりました。

 今回、森大臣と茂木大臣の会談、失礼な言い方ですけれども、私は、非常にセレモニーのような形にしか映らなかったんですけれども、ぜひ森大臣から、主婦目線でこの家庭用電気料金の値上げに対してぎりぎりの交渉を自分もやったんだ、そういう姿が残念ながら私には見えなかったような気がいたしますけれども、値上げ幅を圧縮させるためのどういう御努力をされたのかということを御説明いただきたいと思います。

森国務大臣 松原大臣の御活躍を私もテレビで見て、やはり、消費者庁ができて、消費者大臣がこのように消費者目線で発言してくださるということで、本当によかったなというふうなことで、松原元大臣の指導力を率直に評価しております。

 あの当時、三十二年ぶりの家庭用電気料金の認可申請ということで、消費者目線で反省すべく、極めて精力的に取り組まれておりました。私も、それを見習って、今般の関西電力と九州電力、家庭用電気料金値上げの認可申請に対して、国民生活に与える影響が公共料金の中で一番大きいですから、頑張ってまいりましたけれども、特に、マスコミに露出して、やったのよみたいなことは余りしませんでしたけれども、しっかりと取り組んだつもりです。

 具体的には、松原大臣のときにチェックポイントがつくられました。それが第一回目だったので、その後の松原大臣の交渉なんかも含めて、もう一回チェックポイントをさらに充実したものにつくりかえました。そして、それをばんと経産省に投げまして、何回も交渉を繰り返した結果、松原大臣のときよりもさらに大きな数字を獲得できたというふうに思っております。

 最終的に茂木大臣とお会いする、このときはマスコミを入れましたけれども、しっかりと取り組んでまいりましたし、今後も、電気料金の値上げ、それからそれ以外のさまざまな物価に対しても、消費者目線ということでしっかりと目配りをしていきたいと思います。

大西(健)委員 松原大臣が敷いたレールをしっかり引き継いで、これからも消費者目線に立って電気料金の問題についてもかかわっていくという強い御決意を披瀝していただいたというふうに思います。円安が進んできていて、プラスの部分もありますけれども、今後は、電気料金の値上げというのもまた起こるかもしれませんので、そのときにはぜひ、今の御決意のとおり、森大臣の御活躍を期待したいというふうに思います。

 それでは、次に、生レバーの禁止の影響という問題をちょっと取り上げたいというふうに思うんです。

 先ほど来、複数の委員からもお話が出ていましたけれども、私も、消費者行政については、もちろん、消費者の保護というのが一番重要であることは言うまでもありませんけれども、消費者側の責任ということも忘れてはならないというふうに思っています。何でもかんでもお上が過剰な規制をするということについては、私も若干の違和感というのを持っています。

 そこで、ユッケや生レバーの規制の話をしていきたいんですけれども、その前に、森大臣、今はもう食べることができませんけれども、生レバーはお好きでしょうか。

森国務大臣 レバーは好きでございます。

大西(健)委員 好き嫌いが分かれる食べ物でありますけれども、いまだに生レバーを食べたいという声が多く私のところにも寄せられているんです。

 そもそも、事の発端になったのは、ユッケによる食中毒の死亡事故でありました。この事故を引き起こした業者というのは、従来から法律等で定められている衛生基準等も実は守っていなかった。しかも、その業者というのは、実は、ユッケ一人前二百八十円で出していたんですね。私は、言い方は適切かどうかわかりませんけれども、消費者の側にも、二百八十円のユッケというのは大丈夫なんだろうかと思う感覚というのも必要ではないかと思いますし、この事故で被害に遭って亡くなった方は、やはりお子さんとかお年寄りなんですね。

 ですから、高齢者であったりとか、あるいは子供、それから体調の悪い人は生ものを避けるようにするというのは、消費者側の責任というのも、ある部分では、しっかりとそこは確認をしなければいけないのではないかなというふうに思います。お上が法律等で、あれを食べるな、これを食べるなというのをやり出すと、生レバーの次は、では、生ガキはどうなんだ、こういうふうにだんだんなっていくと私は思っています。

 規制を強化することというのもある部分ではやらなきゃいけないのかもしれませんけれども、消費者がみずから判断できる環境を整えることの方が私は重要ではないかというふうに思いますけれども、今の観点について、消費者担当大臣としての御見解をお聞きいたしたいと思います。

森国務大臣 レバーの生食の禁止は、あのユッケの事件で小学生の男の子が死亡したり、五人死亡しました。それがきっかけでレバーの生食の方も禁止をされた。これは食品衛生法に基づき、昨年六月二十五日に決定されている。厚生労働省が決めたことでございますけれども、理由は、厚生労働省の方が言っているのは、レバーの内部に腸管出血性大腸菌が存在することが一部の検体から確認された一方、現時点ではレバーを安全に生食するための有効な予防策を見出せていないと、国民健康保護の観点から決定されたものということでございます。

 厚生労働省がこの点は所管をしているのでございますが、委員御指摘の、消費者がしっかりと身を守るための消費者教育、これは本当に大切なことだと思います。やはり、規制ばかりして過剰に業界に萎縮効果を与えてしまうということは消費者にとってもよいことではございませんので、そういう意味で、消費者教育推進法が施行されまして、それに基づいて消費者教育推進会議を私のもとに設置して、消費者教育を推進しているところでございます。

 加えて、私が感じているのは、やはり業界側の、仲間内で、法律で決まっている衛生手段さえもとっていないようなところには、業界内の自主規制というか、そういうものもしっかりとしてほしい。そうすると、お上がしゃしゃり出ていく必要もなくなるわけでございます。

 ですから、消費者教育の推進とそれから業界の自主規制の推進というものをあわせて行ってまいりたいと思います。

大西(健)委員 業界の自主規制というのは、私も重要な観点だというふうに思います。ただ、例えば全国焼肉協会という団体がありますけれども、残念ながら、加盟率というのは決して高くない。団体の方としては、非常に自助努力というか自浄作用というのは働かされていると思いますけれども、それ以外の企業というのがなかなか守っていないというところがあるのかなというふうに思います。

 今、厚生労働省が規制をしているというお話がありましたけれども、生レバー禁止によって今どういうことが起こっているか。皆様のお手元に新聞記事を配付させていただきました。

 これは、規制がかかるときに、こういうことが起こるだろうなというふうなことは私も思ったんですけれども、例えば裏メニューみたいな形ですね。実際にメニューに載っていないけれども、お得意様だけには出すとか、あるいは、加熱用ですよということで出しているけれども、焼かないで食べることも黙認するとか、あるいは、規制対象外になっている豚のレバーを生レバーとして出すとかということが今だんだん広がっているんじゃないかということが報道されています。

 厚生労働省、きょうは、とかしき政務官にお越しをいただいておりますけれども、厚生労働省として、こういった生レバー規制、禁止以降の実態というのをどのように把握されているのか、また、それに対してどういう問題意識をお持ちなのかについて、お答えをいただきたいと思います。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 生レバーのお話、先ほどから大臣からも御案内がありましたように、昨年の七月、食品衛生法に基づきまして生レバーの生食を禁止いたしました。そして、焼き肉店等を中心に立入検査を行っておりまして、加熱をしていないで提供したというところで、違反事例が一件報告されております。

 また、お話のございました豚レバーにつきましては、これは平成二十四年の十月四日に、都道府県宛てに、生レバー、豚のレバーを加熱せずに食すると、E型肝炎やサルモネラ菌、さらにカンピロバクターなどの食中毒を起こすリスクがあるということで指導をさせていただいております。

 この指導を受けまして、実態調査、一斉取り締まりを行いましたところ、生食用として提供していた八十店舗の飲食店が見つかりまして、その後、改善指導を行いまして、十店舗が生食用としての提供をやめたと報告を受けております。

 このような努力もありまして、O157のこういった腸管性出血大腸菌の感染症の患者数は減少しておりまして、今後も、事業者の皆さんの理解を求めながら、さらに、お話のございました、消費者の皆さんにもきちっとした情報提供、生食にはそれなりのリスクがあるんだということを情報発信しつつ、安全性の担保を図っていきたい、このように考えております。

 ありがとうございました。

大西(健)委員 実態把握にも努めていただいているということもわかりましたし、これから夏にかけて、ますます食中毒が起こりやすいという季節になりますので、引き続き、またその実態というのをしっかりと把握していただきたいなというふうに思います。

 先ほど申し上げましたように、私は、できれば生レバーを復活できないのかなということをずっと考えていまして、実は、業界の皆さんともいろいろ連携をしながら、厚生労働省の皆さんにも、安全が確保できる方法が見つかれば解除してほしいということをお願いしてきました。

 その中で、厚生労働省さんの方も、それを受けて、ある程度御理解いただいて、今、放射線照射による殺菌効果の研究というのを、ちゃんと予算をつけて始めていただきました。これは本当にありがたいなというふうに思っているんです。

 先ほど来、放射能による食品の、消費者の理解に関して増進をするということを消費者庁でもやっておられるということなんですけれども、食品への放射線照射というのは、消費者の方の拒否感というのもあって、日本ではなかなか広く行われていないんですけれども、国際的に見ると、広く行われています。

 例えば、アメリカなんかはよくバーベキューをやりますけれども、バーベキューに使うパテを生焼けで食べてしまって食中毒になるケースがあるということで、そのパテに放射線照射をして殺菌した、そういう専用のパテが普通にスーパーで売られている。また、日本では、芽どめジャガイモといって、ジャガイモの発芽を抑えるために放射線を照射するというのはもう既に行われています。

 それから、食品ではありませんけれども、例えばお祭りとかでフランクフルトとかを売っていますけれども、あの刺している串に放射線を照射して殺菌するというようなことは行われているというふうに聞いております。

 そこで、放射線照射による殺菌効果の研究が厚生労働省の中で現在どのように行われているかについて、これは事務方からで結構ですので、御説明をいただきたいと思います。

新村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の牛のレバーに対する放射線照射による殺菌手法に関する研究につきましては、平成二十四年度、厚生労働科学特別研究事業で行っております。この事業では、放射線照射による殺菌手法などにつきまして、照射線量あるいは照射時間などに関する検討、また、発生する副産物に関する検討などの研究を実施しております。

 最終的な報告書は取りまとめ中でございますが、現時点におきましては、高い殺菌効果を有する実用可能な方法はまだ確立できていないと聞いております。そのため、実用化にはさらなる研究が必要でございますので、平成二十五年度の厚生労働科学研究においても研究を実施していくこととしております。

 その研究内容としましては、殺菌効果に影響を及ぼす要因の解析ですとか、流通する食肉の汚染レベルを十分に殺菌できる照射レベルの確定、あるいは、目的の殺菌効果が得られる照射条件における品質変化の指標の評価、あるいは、殺菌効果の判定方法の確立などにつきまして研究を進めていくことにしております。

大西(健)委員 ありがとうございました。ぜひ、これからも研究の方をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、焼き肉メニュー表示の適正化という、焼き肉に絡んで、また焼き肉の話なんですが、皆様、回転ずし等に行くと、最近、とろサーモンとか、とろサバとかというネタがありますけれども、とろというのは、別に、いわゆるマグロの部位のとろを指しているわけじゃなくて、脂身の多い食感というのを指して使っているんだというふうに思うんですね。同じような感覚で、焼き肉の業界では、長年、脂身の多い肉はカルビ、赤身はロースというような曖昧な使い方をずっとしてきた。ただ、それはもう商習慣としてそういうことが広く行われていた。

 ところが、二〇一〇年の秋になって、急遽、消費者庁が、リブロース、肩ロースといった部位じゃないとロースと言ってはいけないと。それ以外のもの、例えば、業界では、外ももの肉をロースとして焼き肉店で出すことは一般的に商習慣として行われていたわけですけれども、それをもしやったら、これは景品表示法違反の不当表示に当たるので、厳しく取り締まるということを急遽言い出しました。

 私は、これはちょっとナンセンスな規制じゃないかなと。どれだけの消費者が肉の部位について詳細な知識を持ち合わせていて、いや、ロースと書いてあるから、おまえ、金払ったけれども、これはもも肉じゃないか、金返せなんということを言う消費者が一体どれだけいるんだろうかというふうに思います。

 五十年以上ずっとこれでやってきたわけです。五十年以上やってきたのに、今ごろになって、急に何でこんなことを言い出すんだと。それによって業界は大混乱して、メニューを変えなきゃいけないとか、負担というのも大変なものがありました。これについて、まさにそういう商売をやられている人の不安、混乱というのを役人の皆さんはどう受けとめられているのかということを、私はどうしても感じてしまいます。

 この点について、今の私の話を聞いて、どのような御感想、御所見をお持ちになったかということで、大臣からお答えをいただければと思います。

森国務大臣 これは、通告をいただいて調べたところ、平成二十二年の十月七日に、焼き肉メニュー表示の適正化についてということで、消費者庁が、ロース以外の部位の肉をロースというふうに、何々ロースというような感じで表示をすると消費者が誤認をするということで、景品表示法に違反するということを明確にいたしまして、業者及び消費者に対して注意喚起を行ったということでございます。

 この当時のプロセスを私は詳しく存じ上げませんけれども、表示の観点で消費者が誤認するようなことがあれば、それは是正していくべきだと思いますが、そのときに、委員が御指摘のような、業界に与える影響等も勘案して、よく業界と意見交換をしてから行うべきと思います。この当時が行われていなかったということではなくて、存じ上げませんが、今後はしっかりとそのようにしていくべきだと思います。

大西(健)委員 ありがとうございます。

 私は、きょうは焼き肉の質問をしましたけれども、これは別に焼き肉のことにこだわっているわけじゃなくて、何を申し上げたかったかといえば、まさに、過剰な規制をすることばかりではなくて、消費者が正しい判断ができるような環境を整えていくという目線に立った消費者行政に、ぜひこれからも取り組んでいただきたいというふうに思います。

 きょうは、ありがとうございました。

吉川委員長 次に、上西小百合さん。

上西委員 おはようございます。日本維新の会、上西小百合です。よろしくお願いいたします。

 私は、大学を出てからまだ七年しかたっていませんし、昨年の十一月の衆議院解散まで、普通の会社員をしていて、普通のお給料をいただいて、普通の暮らしをしておりました。そして、さきの総選挙で国会議員の一員に加えていただき生活が一変しましたが、その大変化の一つが、毎日毎日、非常に大勢の皆さんが、現在のなりわいの中でさまざまな悩みやトラブルを抱えていらっしゃる、その声が届くようになったことです。

 先日の委員会で、森まさこ大臣から、消費者が安心して暮らせる社会を実現し、トラブルに遭っても泣き寝入りせずに済むように、各省庁の縦割りの弊害をなくし、地域において消費者の苦情や相談に対応する身近な窓口であるというコンセプトをもとに、三年半前に設立された消費者庁が設立時の理念に立ち返り、司令塔としての機能を発揮し、真に消費者目線に立った行政を推進し、主体的に自立した消費者を育成するとの意気込みをお伺いしました。まさに私は、その地域の消費者なので、その視点から質問させていただきます。

 まず最初に、近年増加していたいわゆる悪徳商法は、不況を反映してか、年々巧妙さを増すとともに、被害者、被害額が随分増してきています。そのような中でも、特に金の価格の高騰と異常なまでの円高が同時に起こったここ数年、それに比例して急増した、いわゆる押し買いは、独居老人の家をこわもての男性が訪問し、貴金属はないかと手にしたが最後、亡き夫の形見だからと返還を求めても応じず、二束三文で買い上げていくような事例です。

 トラブルの多発を受け、ことし二月、特定商取引法を改正し、押し買いにもクーリングオフ制度を適用させたり、悪徳押し買い業者の処罰規定を設けたことは、まさに時宜を得たものですが、マスコミなどで押し買い被害が大きく報じられるようになったのは随分前のことでした。被害は、実例は年々増加し、被害額も相当にはね上がり、国民生活センターへの相談数も前年比約二倍に迫る勢いでどんどん伸びていったと伺っています。

 押し買いの取り締まり、処罰を規定する構想の発表から、実際に特定商取引法の改正法が施行されるまでに結構時間がかかっています。もう少し早くできなかったのかと私は思ってしまいますし、多くの国民の皆様がそう思っているのではないかと思えてなりません。そのように立法に長い時間を要した理由を大臣からお聞かせいただけますでしょうか。

森国務大臣 前政権下のことではございますが、立法の時間が長いか短いかということを申し上げますと、なかなかその判断基準はないと思います。

 今、上西委員が、高齢者の悪質な被害について熱く語るのを見ていて、私は本当に頼もしく感じました。

 同じような被害が何十年間もずっとこの国では続いておりました。そして、法律さえもなかったんです。そして、それを取り締まる省庁さえもなかったんです。その中で、長い間、消費者団体の皆様や弁護士、そして国会議員の取り組みにより、ようやく消費者庁ができ、そして消費者庁の中で法律ができるようになってきた。そういう意味では私は進歩があったと思います。

 しかし、今現在、若い上西委員がまだまだ遅いと言っているのは国民の声だと思いますので、さらに早く、スピードアップをしていくことが、今後の私たち政府そして国会議員の責務なんだと思います。

 経緯を申し上げますと、平成二十三年四月に閣議決定をされました規制・制度改革に係る方針において、平成二十三年度中に消費者を保護するための法的措置について検討し結論を得るというふうにされました。そして、それを受けて消費者庁が七月に研究会を設置し、改正すべきとの結論を得て、改正案を最初の方針どおり年度中の平成二十四年三月に出しまして、施行までの期間が六カ月、平成二十五年二月二十一日となっています。

 当時、自民党は野党でありましたけれども、野党も協力し、そして与党・政府も頑張って、それまでの法律の手続の中では私は早い方だというふうに思っております。

 ただ、消費者被害というのは、こういうことのずっと繰り返しでございまして、追いかけっこなのでございます。法律をつくると、またその法律の網の目をくぐるようにして、新しい被害が生じます。

 ですから、法律をつくるのをできるだけ早くしても、やはりこうやって審議をしたり、省庁の中で検討したりする絶対的な時間というのがどうしてもかかります。そうしますと、法律だけではなく、三権分立の中の立法というのが法律ですけれども、行政の分野で何かできることがないか、司法の分野で何かできることがないかということを常に考えていくことだと思います。

 行政の分野でいいますと、そういう意味では消費者庁をつくるときに消費者安全法というのをつくりまして、また、今般、新しい改定もできまして、取引分野にも新しい行政措置ができるようにしたんですが、そこで、すき間の法律がない分野において悪質商法が発生した場合には何らかの措置を打てるようになりました。

 また、司法の分野も、弁護士そして裁判所が頑張って、できますように、訴訟法案というのを今度提出しようとしています。

 そのように、あらゆる場面で消費者被害に迅速に適用していける制度というのを、知恵を出し合ってまた今後もつくってまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 世の中は、真っ当に貴金属の買い取りをされている業者さんも多いわけですし、また、その方々への周知期間というものがどうしても必要になってくると思います。そして、今お答えいただいたように、さまざまな行政手続があったということで時間がかかってしまうということは理解できましたが、それでもやはり、一般の消費者目線としては、国民の皆様に申しわけない気持ちでいっぱいになります。

 貴金属は、幾ら今回クーリングオフ規定が制定されたといいましても、溶かされたり、大きなダイヤだったら崩されて数をふやすなど、原形をとどめたまま次の流通に乗る方が珍しいアイテムです。親の形見など、その物への所有者の思い入れは金額には換算できないものがあり、強引に買い取られたその物が返還されないと意味がない、そういうものが多いはずです。

 戦国時代の大盗賊石川五右衛門が釜ゆでになる際に、浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじと言ったように、歴史は繰り返し、悪徳業者は次の悪徳業法を虎視たんたんと準備しているかもしれません。あつものに懲りてなますを吹く、その心構えで消費者保護に御精進いただきまして、警察などとも連携して厳しく監視をしていただけたらと思っております。

 案件や相談センターへの件数は法施行後かなり減ったとはお伺いしていますが、それでもゼロではありません。押し買い問題を解決するためにも、今後は改正特商法の厳正な執行が重要です。改めて、大臣の今後の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

森国務大臣 改正特商法を厳正に執行してまいりたいと思います。

 虚偽の説明等、販売方法に問題があるなどのいわゆる悪質商法は、消費者被害に遭ってしまった方のうち約四割の方が、誰にも相談せず、被害が回復されないまま、いわゆる泣き寝入りの状態となっています。こうした状況を受けて、消費者庁としては、悪質商法の防止のため、関係省庁と連携して、今言っていただいた厳正な法執行、そのほかに、消費者に知っていただくということで、消費者に対する啓発や注意喚起、この両面で取り組んでまいりたいと思っております。

 先ほど言いました、消費者安全法のすき間事案に対する行政措置も導入して、本年四月一日から施行されたところでございますので、今後も、特商法、消費者安全法など、悪質商法に対応した法執行の強化に努めてまいりたいと思います。

 また、啓発、注意喚起としては、これまでテレビ、新聞、ポスター等のさまざまな媒体を使って相談窓口の周知等に取り組んでまいりましたけれども、さらに、消費者団体や学校教員等による啓発活動の促進に資するように、消費者教育ポータルサイトを通じて、各方面の消費者教育の現場に利用していただける教材や取り組みなどの情報を提供してまいります。また、平成二十四年に消費者教育の推進法ができましたので、会議を今立ち上げたところですけれども、さらに消費者教育を推進してまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 引き続き、取り組みの強化の方をよろしくお願いいたします。

 先ほど私は、押し買いのために高齢者宅を訪問する方がこわもてだと申しましたが、紳士風の方、顔見知りの方からの被害もしばしば耳にします。資産家の御高齢者に被害が多いのですが、顔見知りの紳士、例えば有名デパートの外商の方の事例です。

 私は事例というよりも被害と呼びたいのですが、年間の買い物額が大きいので、その方々は、お得意様カードなどと呼ばれるスーパーVIPにランクづけされています。そして、年に数回、上得意様限定内覧会を催し、言葉巧みに、必要でない高級品を買わせたり、旅行パックを買わせたりする事案です。

 特に、超高級ブランド牛肉やマグロの切り身など、生鮮食品を必要以上に購入させる例が多いのもこの被害の特徴です。家に帰って冷静さを取り戻した後、解除を申し出ても、訪問販売ではないのでクーリングオフの対象外ですし、食料品は日もちがしません。結局、泣き寝入りをせざるを得ないそうです。

 その他、量販店ならば安く買える浄水器や布団などを買わせるマルチまがい商法、異性からの電話で呼び出して宝石類を買わせるデート商法、未公開株販売や振り込め詐欺、そして、やがて公党の党首になられる経済評論家が広告塔になっていながら破綻した安愚楽牧場問題に象徴されるオーナー商法など、悪質であったり問題視される商売方法は枚挙にいとまがありません。そして、被害者は、まだ世間を知らない二十代の若者や、年金生活の高齢者が圧倒的に多いのが現実です。

 そのような被害が多発していると聞くのですが、ほかの悪徳商法の実態と、行政省庁としての法施策などの取り組みについて、弁護士でもいらっしゃる森大臣の御所見をお聞かせください。

森国務大臣 今いろいろな悪質商法の事例が紹介されて、懐かしいなと思ってしまう私が本当に悲しい。つまり、同じ被害がずっと続いているということですね。高齢者のお年寄りに優しい紳士風の方が行くというのは、豊田商事という事件を思い出しますけれども、世間的に有名な大事件でございました。

 そのような被害が今もなお行われているということですが、高齢者の保有資産がこの国では多いんですけれども、その資産が悪徳業者に取られてしまい、それを海外に全部流しているんですよね。この間、スイスの方の銀行に五十億ぐらいそういった悪質業者の被害財産がありまして、それを取り戻す仕組みもないんです。

 アメリカとスイスの間には、それぞれ法律があり、条約で提携しているので、アメリカで行った消費者被害がスイスの銀行にあったらば、返してくれといったら五十億ばんと返ってくるんですが、日本の場合、それは何もありませんので、外務省が交渉して、それは日本人のお金だからということで、半分の二十五億を返してもらいました。そこから消費者被害の私の先輩弁護士が、一生懸命公告したけれども、名乗り出てくる人が少ないから、全額は返せなくて国庫に入りました。

 そういうふうに悪徳業者に取られるんじゃなくて、高齢者が持っている保有資産で自分の買いたいものを買う、例えば孫のひな人形を買ったりして、地域の経済が活性化したらどんなにいいか。それこそアベノミクスに資するのでございますが、そういった悪質商法の被害者、被害額のトップがやはり高齢者の被害でございます。それから、被害人数のトップは若者、御指摘のとおりでございまして、今はインターネット等のサイトを使った被害が若者の場合は多いんですけれども、そういった近年の悪質商法の特質、状況をしっかりと把握して、消費者庁では施策を打ってまいりたい。

 まず一つは、相談体制の充実ですね。頑張ってとりました六十・二億を各都道府県にお配りいたしましたので、地方消費者行政活性化基金をしっかりとつくっていただいて、地域で取り組みを進めていただきたいと思います。

 さらに、今委員がおっしゃった、同じような種類の被害が多発している、同種で多発する被害の実効的な回復を図るために、消費者被害の集団的な回復に係る訴訟制度を創設するための法案を今国会に提出したいと思いまして、準備を進めているところでございます。

 これは、念のため申し上げますが悪質な業者に対する施策でございまして、それをやることによって、良質な業者がより市場で商売しやすくなるということで、適正な市場を確保するための法案でございますので、ぜひ委員の皆様の御理解、御協力をいただきたいと思っております。

上西委員 ありがとうございます。今、トラブル解決のためには、立法が不可避ということを御答弁いただきました。

 次に、国民のほぼ全員が定期的に、男性の場合ならほぼ毎月利用する散髪屋さん、そしてパーマ屋さんの理容師法、美容師法について質問させていただきます。

 一九四五年八月、太平洋戦争が終わり、日本社会は荒廃し切っていましたが、誰でも必ず一定期間を過ぎると散髪をするので、理美容業者は比較的安定した収入が得られ、多くの散髪屋さんが登場したと言われています。営業する側の絶対数がふえればよくない業者があらわれるというのも世の常で、不当に高い施術料を取ったり、衛生観念もない、消毒をろくにしない悪徳業者が蔓延したのも事実です。

 そこで、一九四七年秋に国は理容師法を定め、一九四八年元旦から施行をしています。そのような形で、現在でも、免許制度を確立し、国民の安全のため、安心のために御尽力をいただいてこられた理美容関係者には敬意を表し、そして、その免許体制を継続して、不当な無資格業者があらわれないように監視していただくのは当然のことです。

 しかし、一日じゅう立ちっ放しとか、休日が習学中の子供と重なってしまうので家族団らんの時間がない、毎日の売り上げが安定しないなどの理由から、後継者不足が著しい業界だとも言われています。

 理容師法が制定された戦後の動乱期までは、男性は理容室、女性は美容室へ行くのが常識的でしたが、世相は大多数の女性がパーマをかけられる状態ではなく、パーマネントは余り普及していなかったからか、美容師法は約十年おくれて一九五七年九月二日に施行されています。

 しばしば、美容院と理容院の相違点として、かみそりが使えるのは理容院で使えないのが美容院だと識別されてきました。しかし、美容師法施行から六十五年もたった現在、ジェンダーレスの時代とも言われ、ファッションや装飾品など、男女の別が厳格化しなくなった現在、髪形やセッティング方法も男女の区別がなく、男性が美容院へ行ったり女性が理髪店へ行ったりするケースもふえています。法律もその解釈も、時代に即したアップ・ツー・デートなものにしなければならず、所轄の厚生労働省により随時通知や通達が出されていることは十分承知しています。

 その歴史の中で私が注目しているのは、一九九八年四月、両者の免許が各都道府県知事発行から厚生労働大臣発行に変わるのと時を同じくして、受験資格者が避けては通れない養成施設、いわゆる専門学校への入学資格が原則として高校卒業者に引き上げられたことです。

 昔から、義務教育を終えた者が既存店にでっちのような形で就職し、タオル洗いや掃除などの手伝いをしながら資格を得る、こういったケースが多く、この未成年就業者の家庭は余り裕福なところばかりではありません。そうした母集団は時代が変わっても大差はなく、アルバイトをしながら専門学校へ通う方、もっと正確に言えば、アルバイトをしないと専門学校へ通えない生徒さんが非常に多いのが事実です。

 しかし、平成二十二年九月十五日付健康局長の衛生管理要領の通知第三条二項四号により、補助業務従事者の業務範囲は、清掃、タオル絞り、道具整理等は認められるが、理容または美容の本質的作業に独立して従事することはできないものとされています。衛生面から国民の健康被害防止を意図し、そのための免許制度であることは十分理解しています。

 また、理美容業に従事されている方の中には、聾唖の方また足が不自由な方など身体障害をお持ちの方も少なくなく、そのためにも、正当に真っ当に営業されている皆さんの営業を妨害してはならない、そういったことを十分理解した上で、あえて厚生労働省に質問いたします。

 そもそも、法によれば、理容とは、頭髪の刈り込み、顔そり等の方法により容姿を整えること、美容とは、パーマネントウエーブ、結い髪、化粧等の方法で容姿を美しくすることです。

 そこで、専門学校などの養成機関で一定水準の衛生理論や技術を学んだ方、そういった専門学生の方が、実習以外で、例えばパートやアルバイターとして洗髪をすることの可否について、厚生労働省の見解を求めます。

矢島政府参考人 お答えを申し上げます。

 理容、美容のシャンプーにつきましては、先生御指摘のように、理容師法の第六条において、「理容師の免許を受けた者でなければ、理容を業としてはならない。」、また、美容師法の第六条におきましても、「美容師でなければ、美容を業としてはならない。」というふうに定められております。

 御指摘のシャンプーについてですが、これは、理容ですとか美容、そういうふうなものの一環として頭皮ですとか毛髪を洗浄して清潔にするものということで、頭皮や毛髪の状況に応じたシャンプー剤、これは化学物質ですけれども、シャンプー剤の選定ですとか、頭皮のマッサージなども含めて、その後の他の技術がスムーズに行われるような基礎をつくるという大変重要な、総合的な技術でありまして、じかに人体に接するというものでございますので、必要な衛生措置を適切に講じるための知識を修得した理容師や美容師の業務として確立しているということでございまして、やはり消費者の安心、安全、要するに良質なサービスということの観点からも、我々は、こういうふうな業務というものは、確立した業務がすごく大事だというふうに考えております。

 それから、今委員御指摘の学生さんですが、理容師、美容師の養成施設の学生さんについては、理容所、美容所の現場で技術を実地に学ぶ、逆にそういうことを学ぶということがカリキュラムに入っておりまして、すごく我々は重要だと思っています。その実習の一環として、まさに、理容所、美容所において、理容師、美容師の適切な指導監督のもとで、シャンプー業務の実施を行うことになっていますので、むしろ、資格を取っていただいた後にまさにやるべき業務ではないだろうかというふうに私どもは考えていますので、そこのところの、やはり消費者の方々の安心、安全ということも含めて、今そういうふうな形で我々はやらせていただきたいというふうに考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 薬事法にかかわる薬剤を使用する毛染めやパーマネントウエーブは厳しいとしても、私は、それ以前のシャンプーや、髪を切り、髪の形を整える間になされる洗髪は、家庭では個々人が行い、そして、それができない幼児や疾病者、高齢者に対しては保護者や介護者が理容師や美容師の資格がなくても日常頻繁に行っている行為でありますし、容姿を整える前段階の措置ですから、補助者が行うのに何の問題があるのか、少し理解ができません。

 また、既に述べたとおり、専門学校生は裕福な家庭の子ばかりではありませんから、アルバイトをしたい。雇用側も、例示されたような単純作業だけでは雇いにくい、十分な賃金が払いづらい、しかし人手は欲しい。労働と雇用をめぐるエンプロイヤーとエンプロイーの需給バランスはあるのに、極めて根拠の薄い法解釈からそれが実現されていないのが実情です。

 厚労省は雇用の創出や失業率低下を目指して頑張っている役所だと思いますので、何とぞ、大いに検討をお願いしたいところです。

 厚労省の方と話をしている中で、そのことは、むしろ免許業者の職を圧迫するだけで、逆に雇用の喪失だと事務方から伺いました。確かに、客席が一つで、一つの免許業者が行っている形態のお店ならば、補助員は必要ありません。しかし、時代の流れで、例えば、テレビ番組でカリスマ美容師などの称号が与えられたりすると予約が満杯になるような客席が幾つもある、そういったシチュエーションを事務方は全く想定していないと思います。

 そのような理美容師が何人かいるお店では、何人か補助員を雇いたい。しかし、道具を並べたりタオルを洗うだけの人には安いペイしか払えない。働きたい専門学校生も、それだけ安い時給ならほかの業種でアルバイトをしようというのが現実です。それが、シャンプーを手伝わせることができるだけで経営者は時給アップができると言われています。

 また、理美容以外のアルバイトについた専門学校生がそのまま理美容業界へ就職しない例、これが非常に多いのが事実、これも理解いただきたいと思います。ですので、シャンプーをする程度の行為を養成所や専門学校生に認めるだけで後継者育成にもつながる、これは私だけでなく多くの理美容業者が言われていることです。

 雇用主側、専門学校生側、双方から、るる述べた傾向があるかどうか、調査したためしはないと思いますが、厚労省で一度サンプル調査をしていただけないでしょうか。御答弁をお願いいたします。

矢島政府参考人 シャンプーにつきましては、その理容所、美容所の技術評価につながるくらいすごく重要な技術であるというふうに考えておりまして、関係の業界の方々もそういうふうな基本的な認識を持っておられるというふうに聞いております。理容や美容の現場においても、理容師や美容師の業務として既に確立しているものでございまして、理容師や美容師が行っている業務を理容師や美容師の養成施設の学生が行うとすれば、理容師や美容師の業務を減らすことにつながるだけであり、全体としては、雇用の拡大につながらないのではないだろうかというようなことの御指摘もございます。

 むしろ、理容師や美容師の技術を大切にしていくということが、学生が目指す理容業ですとか美容業全体の継続的な発展の観点からも重要であると考えていますし、それとともに、消費者に安心、安全で良質なサービスを提供していくということもありますので、そういう点も御理解をいただければありがたいと思います。

 そうはいっても、本件につきましては極めて慎重な判断が必要な問題と考えておりますので、まず、実際に現場で理容業ですとか美容業をやっている方々、それからあと養成施設、そういうふうな方々のお話をまず聞かせていただきたいというふうに私は思っております。

上西委員 ありがとうございます。

 それでは、絶対にしていただくようにお願いいたします。理美容業界を守るためということでしたが、本当に後継者育成にもこれはつながることだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 年配の男性にお話を伺うと、理髪店でシャンプーをしてもらい出したのは、給湯器や瞬間湯沸かし器が普及した一九七〇年代後半のことで、少なくとも、理容師法が施行された戦後の動乱期には想定もされていなかった施術ではないかと思います。そして、洗髪は専門学校生の実習としては必修科目で、免許保持者の監督のもととの条件がありながらも、学生は鍛錬を積んでいる行為です。

 法制定の当時には、今のような県境を越えて他府県にわたって事業展開をする理美容のチェーン店の発想もなく、ある種カルテルのような同一地域同一価格の典型例で、散髪代のデフレ化なども想定されていなかったことと思います。

 お客様の衛生面でそうまで悪影響が生じるとは思えない洗髪行為を補助行為に加え、本質業務ではないとお認めいただくと、私としては、本当に大きな雇用創出になると考えていますし、また、理美容関係者には後継者育成にもなり、経営者、専門学校生、利用者全ての方に歓迎される状況になると考えますが、それでも検討の余地はないのでしょうか。もう一度、厚労省の御所見をお願いいたします。

矢島政府参考人 委員御指摘のように、理容、美容につきましては、いろいろな意味ですごく重要な課題があるというふうに我々は認識しておりますので、シャンプーのことで御指摘を今いただいて、これを学生にさせることについて、むしろ、学生はそれを勉強しなければいけないという立場で、やるということよりも、それを実習で技術として修得する。むしろ、その資格を取った後で、それを実際にその中で役割分担としてどういうふうにやるかというのはあると思うのですが、そういうふうなこともございますので、本件につきましては極めて慎重な判断が必要だというふうに考えておりますので、私は、まずは、理容業、美容業をやっている現場の方々、それから養成施設の方々、そういう方々から少しお話を聞かせていただきたいというふうに思っております。

上西委員 それでは、よろしくお願いいたします。

 せめて、消費者サイドから、森大臣には、理美容業界にも関心を持っていただき、消費者施策を遂行していただきたいと要望させていただきます。

 それでは、次の質問に移ります。

 先日、BSE対策として十年来我が国で行ってきた食肉用の全頭検査の地方への補助金打ち切り、そして、制度を廃止する内閣府の食品安全委員会の方針が提示されました。

 世界じゅうでBSE感染牛の症例が出なくなって久しいですし、世界じゅうから全頭検査が非科学的だと嘲笑されていたとも伺いますが、全頭検査や、牛の出生から精肉処理されるまでの全行程が判明するトレーサビリティー制度など、国や自治体の努力を見て、そして、さまざまな啓発活動を目の当たりにして、消費者である国民は安心して牛肉を食べることができたところが大きいはずです。

 今月から検査対象の牛を二十一カ月から三十カ月に引き上げたばかりで、畳みかけるように、その検査自体を廃止するともなれば、国民の不安ははかり知れないように思えてなりません。

 時あたかも、既に歴史上の話のように思われていた鳥インフルエンザ、H7N9が中国で猛威を振るい出したところです。二度とこのような惨禍があってはなりませんが、BSEや口蹄疫被害がいつ何どき起こるかもしれない、そのもしものときに備えて、憂いない状態、すなわち、今まで続けた検査を残すべきだと多くの国民が思っているのではないかと思うのですが、厚生労働省の御所見をお聞かせください。

新村政府参考人 BSEについてお尋ねをいただきました。

 四月八日の食品安全委員会におきまして、国産牛肉のBSE検査対象月齢を四十八カ月齢を超えるものとしても、健康影響は無視できるというリスク評価案が示されております。現在、食品安全委員会においてパブリックコメントが実施されているところでございます。

 また、来月には、OIEという国際機関におきまして、我が国はBSEについて無視できるリスクの国に認められる見通しと承知しております。

 このように、国産牛肉の安全性が国内外で確認される状況を踏まえますと、これまで実施されてきました全頭検査につきましては、見直すべき時期に来ているのではないかと認識しております。

 しかしながら、見直しに当たりましては、消費者の方々、あるいは生産者の方々、また、実務を担う地方公共団体の理解を得て進めていくことが必要と考えておりますので、今後、国民への説明会の開催、あるいはパブリックコメントの実施など、関係省庁とも連携して、丁寧に説明を行い、進めていきたいと考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 このたび、検査対象が三十カ月に引き上げられた、それが緩和されただけで、大手牛丼チェーン店の吉野家では、来週から牛丼を二六%以上値下げすると発表しました。同業他社も追従するものと思われますが、先ほどの答弁からすると、逆に今までの検査や規制が厳し過ぎたということなのでしょうか。もう一度、厚労省の御答弁をお願いします。

新村政府参考人 国内産牛肉のBSE検査の対象月齢につきましては、食品安全委員会の科学的な評価をいただいて、それに基づきまして実施をしております。もともと、月齢を問わず全頭検査をしておりましたけれども、平成十七年には、二十一カ月以上にしても健康影響上問題ないという食品安全委員会からの答申をいただいておりまして、同年、二十一カ月齢以上にするというふうにしております。

 今回も、食品安全委員会からの評価をいただいて、一旦、三十カ月以上としましたけれども、さらに四十八カ月以上という答申を正式にいただければ、それに応じて対応していきたいと考えております。いずれにしましても、食品安全委員会における科学的な評価に基づいて進めてきているということでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 国民の思いはやはり非常に繊細で動きやすいものですので、政治や行政の過ちから、取り返しのつかない、そういった事態に陥ることも珍しくありません。

 そのような思いをめぐらせるときに、森大臣の地元福島では、一昨年の三月、東京電力福島第一原発事故に起因するような、さまざまな風評被害が生じています。

 放射能被害に対する大臣の思いのたけをお聞かせください。特に、風評被害対策の今までの取り組み、そして今後の取り組みに対して重点を置いて、お願いいたします。

森国務大臣 風評被害というのはいろいろ原因があるんですけれども、福島の原発事故に起因する風評被害というのは、原子力発電所の事故による放射能の汚染が原因ですから、何か病気がはやったとか、毒が盛られたとかいうことではなくて、やはり国の責任が非常に重大であると思っております。

 そのことによって、今まで安心、安全な農作物を初めとした食品をつくるために尽力されてきた方々が、一夜にして買ってもらえなくなる、取引してもらえなくなる。また、食品だけではなくて、観光や輸出等にさまざまな影響が起きており、それがまた、事故直後よりも、三年目を迎えたことしが非常に深刻になってきている。それと逆方向で賠償の金額は少なくなっているということで、看過できない損害があると感じております。

 私が大臣就任直後に、消費者庁内に食品と放射能に関する消費者理解増進チームを設置しまして、現在、現場の意見を把握する観点から、三月十一日に結果を公表した消費者の意識調査や、その後の生産者を含めた事業者に対するヒアリングにより、実態把握をまず進めているところでございます。

 今後、この実態把握の結果等を踏まえて、今月をめどにさまざまな施策を発表してまいりたいと思いますが、例えば、一つには、子育て世代向けのミニ集会の開催促進など、リスクコミュニケーションの強化を初めとする消費者理解増進のための効果的な施策、事業者及び小売店の皆様の協力を推進する施策等を取りまとめまして、関係省庁や関係自治体と連携しながら、風評被害の防止に努めてまいりたいと思います。

 そのために、まず、食品の放射能に関しては、その検査の徹底ということが大事でございます。消費者庁では、自治体へ放射性物質の検査機器を貸与しておりまして、現在、二百七十八自治体に三百九十二台を貸与しております。

 消費者の目の前で検査をしていただくということによって、より理解を増進していただきたいと思いまして、二十四年度の補正予算で、地方消費者行政活性化基金への上積み六十・二億円、こちらによっても使えますし、当初予算も、その点もさらなる増強を今要求しているところでございます。

 いずれにしましても、地域における食と放射能のリスクコミュニケーションの取り組みを支援し、市場に流通をしている各地域の食品は安全であるということについて、消費者の正しい理解を推進してまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございました。それでは、質問を終わらせていただきます。

吉川委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 引き続き、日本維新の会、重徳和彦が質問させていただきます。

 残りの時間で最大限質問をさせていただきたいと思いますが、まずは森大臣、私は二年ほど前の愛知県知事選挙で自民党愛知県連推薦という形で、その当時は森大臣にも大変応援をいただきまして、まことにありがとうございました。

 人生いろいろあって、不条理なこともありますし、いろいろなことがございます。そういう中で、現在、野党の日本維新の会の一員でございますけれども、私は繰り返しいろいろな場で申し上げておるんですが、足を後ろに引っ張る野党ではなくて、政府をもっと前に引っ張っていく、そういう野党たりたい、そういう気持ちで今仕事をさせていただいております。

 また、私はもともと総務省という役所で働いておりましたけれども、当時、私がいろいろな地域に転勤をさせていただいたときに、公務員としての仕事だけじゃなくて、例えば地域の町おこしに参画する、お祭りをみんなで立ち上げようとか、NPOを立ち上げようとか、交通問題に取り組もう、あるいは、おやじの会を結成して子供たちにいろいろなことを教えてやろうとか、いろいろなことの、一市民の立場から活動をしておりました。

 そして、そういう中で非常に実感したのが、やはり役所の中から見た社会、あるいは役所の型にはめた社会というものは、かなり実社会とは違うということなんです。

 わかりやすく言うと、先ほど大臣もおっしゃっていたような趣旨なんですけれども、例えば、農林水産省という役所がある、農林水産省から見ると農業者というのは農業者でしかないわけなんですけれども、しかし、農業をやっている方というのは、当然ながら生活者であって、家庭に帰れば、もしかしたら介護をしなきゃいけない親御さんがいるかもしれない、子育て中かもしれない、子供たちは子育てとともに教育だってやらなきゃいけない、そして、当然、買い物をすればそれは消費者でもあるということで、人間というのは本当に多面的なものなんですよね。

 そういう中で、この消費者特別委員会は、まさに大臣が最初に言われたように、消費者であるけれども仕事の場では生産者でもあるということを、それを一つの消費者という切り口から捉えた日本においては初めての役所だということで、消費者庁が立ち上がったのは非常に画期的、歴史的なことであったと思うし、それだけに、これまでのほかの役所とは大きく違う立場からいろいろな局面に挑んでいただきたいという思いがございます。

 滋賀県に野洲市という市がありまして、そこの市役所は、一言で言うとワンストップサービスということなんですけれども、実は、消費者問題ということを切り口に、その窓口から、縦割りを超えたいろいろな問題解決に当たっている。

 つまり、消費者の問題、トラブルがあるんだ、契約トラブル、多重債務、こういったものを何とかしてほしいといって窓口に飛び込んできた一人の方が、実際にはほかにもいろいろな問題を抱えておられるということが往々にしてある。こういうケースに対して、普通の役所というのは、いろいろな課が縦割りにあって、そこに来たい人は来てちょうだい、自分の課と関係ない問題であれば、それはよその課に行ってくださいといってたらい回しにする、こういう風潮が、ともすると役所というのはあるんですね。

 それに対しまして、野洲市のワンストップというのは非常にすぐれていまして、一つの問題を抱えているといって消費者窓口に飛び込んできた方が、実はよくよく聞いてみると、税金を滞納している、家賃も滞納せざるを得ない状態、あるいは、その背景としては、失業中で仕事がなかなか見つからないとか、何か障害があったり、病気だったり、家庭の問題があったり、人間はいろいろなことで困窮、困っておられる方というのはいるわけで、そういう人が一人来たら、役所の消費者窓口の担当の方が、それだったら税務課の人間にも来てもらおうとか、家賃は公営住宅に住んでいたら公営住宅の担当課にも相談に乗ってもらおう、あるいは就労支援のセクションの担当にも来てもらおう。みんなでその本人を取り囲んで、その方の生活再建を総合的に支援していこう、こういう体制ができているわけでございます。

 この議論をするに当たりまして、まず、役所として把握しているデータとしては、通常、税金を滞納しているとか、公共料金、水道料金を払っていないとか、こういうことは役所として一番把握のしやすい情報だと思うんですが、一つの事例、サンプルとしまして、多重債務者が債務の問題で悩んでいる、だけれども、一緒に税の滞納をしている、あるいは公共料金を滞納している、こういう複数の問題を抱えている方の割合というのは、もし把握していらっしゃったら、どのぐらいあるのかということについて御答弁いただければと思います。

森国務大臣 私は多重債務担当の課長補佐だったんですけれども、貸金業法というのができまして、貸金業規制法を改正して貸金業法にしたときのたった一人の担当課長補佐であったわけでございます。ですので、多重債務者がさまざまな点で、例えば税金、公共料金も家賃も滞納している、それが役所の縦割りの中でなかなか救済されないということをよく存じております。

 野洲市にもスーパー市役所職員がいまして、彼女が頑張って今のような仕組みをつくりました。その前には、奄美大島の奄美市にやはりスーパー市役所職員がいまして、退職したかな、彼が多重債務の本を出しまして、私はそこに推薦の言葉も書かせていただきましたけれども。

 奄美市は、一番最初に縦割りを打破する仕組みをつくりました。ソフトもなかったので、本人が、市役所職員がつくって市長にかけ合って、とにかく、多重債務だけではなくて、税金でも公共料金でも家賃でも、学校でも何か滞納していたり、そういうことがあったら全て連携して連絡がとり合えるようにする。つまり、人に注目をするという、縦割りの業務じゃなくて、人一人に注目して、みんなで救い上げていくという制度がございました。

 現在、消費者庁の方で把握している数字でございますけれども、多重債務相談は今三万九百二十六件ございますけれども、その中で、相談者から詳しくヒアリングを行った結果、税金や公共料金の滞納が判明するといった事例があることは消費者庁でも把握をしております。

重徳委員 正確なデータ、数値までは仮にお持ちではないにしても、もちろん誰よりも森大臣御自身が、そういう状況が現によくあるということは御存じのことかと思います。

 おっしゃる、人に注目した仕組みというのは、これは私も役所にいたときにかかわっていたのですが、パーソナルサポートという民主党政権のもとで始まった仕組みですけれども、内閣府だとか厚生労働省が中心に取り組まれたことでありまして、今申し上げました役所のワンストップサービスだけでなく、NPOだとか弁護士さんとか司法書士さんとか社会福祉協議会とか、役所以外の方々も含めた連携体制をしっかりとつくって、本人に寄り添う、一番困っている本人に寄り添って、そして後押しを、背中を押す、あるいは伴走していく、一緒に走っていく、そういうサポートシステムというものを構築しつつある。全国的にモデル地区が幾つかあって、そういう取り組みが今進んでいるという状況なんです。

 私自身も実は、横浜市において、若者の就労支援という一つの切り口からだったんですけれども、就労の問題で困っている、貧困の問題で困っている、障害とか病気のある方だとか、いろいろ複数の問題で困っている方を何とかみんなでサポートしていこうという取り組みを、これも、一公務員としてというよりは一市民、一NPO人として、国に対して構造改革特区の提案をしたりして、半分役所の人間、半分民間の人間というような形で、少し特殊な仕事の仕方を私は一時期していたんです。

 そういうことで、また野洲市に話を戻しますが、野洲市の場合は町内の連携が非常に進んでいるものですから、消費者の窓口に訪れてくる方は年間五百人ぐらいいらっしゃるようですが、そのうち三分の二は、ほかの部署の方が消費者問題もあるから一緒に考えようやということで話を持ち込んでくるということもかなり多いわけであります。それから、相談者一人当たりの問題の領域、つまり、一つだけの問題じゃなくて、一体幾つあるのかというと、平均すると三つぐらい抱えている。借金だけじゃなくて、ほかの問題を抱えているというような統計があるようでございます。

 そういう意味では、消費者庁が真に消費者目線に立った役所というものを目指しているということが大臣の所信の中でもお話がありましたけれども、本当にそういうふうに機能するためには、今きちんと正確に細かい数字は把握されていないようですけれども、しかし、それは実際に感覚をお持ちの大臣御自身はいいかもしれませんけれども、組織として消費者庁がオールラウンドで真に消費者の目線に立ち、そして司令塔として各省庁を引っ張り込んでいくというためには、やはり数字的なものもきちんと押さえていく必要があると思うんですが、その必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

森国務大臣 おっしゃるとおりであると思います。まず数字を把握して、人に注目した救済ができるように検討をしてみたいと思います。

重徳委員 検討というか、もう少し前向きな御答弁がいただけないものでしょうか。非常にこれは大事なところだと思うんです。

 消費者問題、これは正直、消費者庁という名称そのものも、実はきのう事務方の担当の方と打ち合わせをしていたときに、例えば、市町村の職員の研修をやります、その中のメニューの一つとして消費者行政についての研修項目があるから、各自治体から希望者があればというふうに募ったそうなんですけれども、一人も応募がなかった、だから結局その講座はなくしてしまったという話も聞いております。

 これからまだまだ消費者庁も大臣のもとで頑張っていくという強いお気持ちを持っておられると思います。しかしながら、例えば一首長さんが、消費者の問題ということが、やはり首長さんというのは一人ですからね、どのぐらい大きな問題として、今いろいろな問題がある中で消費者の問題というのが極めて重要だ、あらゆる分野の問題よりも本当に五本の指に入るぐらい重要なんだというところまで認識が多分いっていないと思うんですね。

 野洲市も、消費者の窓口を担当している課の名前が、それまでは消費生活相談室という名前だったところを、今申し上げましたように、狭い意味での消費者問題というよりは、あらゆる問題があるものですから、市民生活相談課という名前に名称を変更したぐらいに、やはり一つだけの、これまた結局縦割りになってしまっていると思うんです。確かに、生産者側じゃない、国民目線だということはあると思うんですが、それにしても、やはり消費者と言ってしまうと非常に狭く捉えられてしまうと思うんですね。

 消費者が抱えている問題というのは、実は、いわゆる消費者問題、多重債務とか契約問題ということだけじゃなくて、貧困の問題から教育の問題からいろいろな問題があるんだということを世に問うていくためにも、これは非常に重要なところだと思うものですから改めてお聞きします。

 消費者の抱えているいろいろなほかの問題、滞納している問題とかいろいろな問題をどのぐらい抱えているのかというのを、数値的にきちんとデータをとるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 地方自治体のトップが消費者問題の深刻さについて認識をもっと深めていただくということは、大変重要であると思っております。従来から思っております。国から基金なり交付金なりを地方自治体に支援しても、それがなかなか有効に使われなかったり、雇いどめ等の現状がなかなか解決しないということの根幹の問題だと思っております。

 その意識を喚起するためにも、今のような多重債務問題一つだけではなくて、その人に注目すると、ほかのところも問題であるよという点を把握してもらうための数字の把握というものは重要だと思います。

 たしか、自治体は忘れましたが、仙台だったか、そのような横串の取り組みをした結果、地方税の徴収率が上がったというようなことを報告されている自治体がございました。そういう先駆的な取り組みも御紹介しながら、今の把握という点について検討してまいりたいと思います。

重徳委員 現段階、この場でどこまで踏み込んで御答弁いただけるかという問題もあると思いますので、そこはぜひとも事務方の皆さん方ともよく御相談いただきたいというふうに思います。

 要は、消費者問題というのは消費者問題にとどまらないんだということを本日は申し上げたくて、名称にこだわるわけじゃないんですけれども、私は、消費者庁というのは、本来、生活者庁ぐらいのものを究極的には目指すべきであって、今の縦割りで、それぞれ施しを与える側の役所というのは結構あるんですけれども、そうではなくて、消費者、生活者が本当に自立して、いい社会の担い手となっていけるように、そういう社会をみんなでつくっていけるような、そういう役所をぜひとも目指していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 消費者の保護の重要性ということにつきましては改めて言うまでもありませんけれども、私は、弁護士として企業法務を担当してまいりました経験を生かしまして、ビジネスの円滑な遂行、そして消費者保護の双方の観点から質疑を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

 まず、きのうからの質問通告の順番を変えて伺います。

 海外の事業者が日本でビジネスを展開する、そういう機会がふえて久しいわけでございます。海外の事業者が日本でビジネスを行う際に、消費者の保護の観点から設けられたさまざまなガイドラインというものをぜひとも海外の事業者にも理解してほしいのはやまやまでございますけれども、現状、そういうガイドラインの英語版というものがなかなかウエブに公開されていないというような状況にございます。これは予算や人員の問題であることは重々承知はしておりますけれども、消費者保護にもつながる問題ですので、ぜひここは対応を進めていただきたいというふうに考えておりますが、この点について森大臣の見解を伺いたいと思います。

菅久政府参考人 御指摘いただきました英語による情報提供、これは極めて重要でございますので、ホームページでの英語による情報提供の充実に今後努めてまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。質問通告の順番を変えてしまいましたので、ちょっと混乱が生じてしまいました。申しわけございません。

 それでは、今の問題は今ので終わらせていただきまして、続きまして、Suicaと磁気切符の問題についてお伺いいたします。

 今、手元に資料をお配りになっているでしょうか。

 JRに乗る際に、切符で乗るのとPASMOやSuicaを使って乗るのとで料金が違う場合があるということを御存じでしょうか。

 配付している資料を見ていただきたいのですが、例えば亀有駅から電車に乗って中野駅に行ったとき、切符を購入すれば四百五十円で済むところを、Suicaを使えば五百八十円もかかる。百三十円も多く支払わなければならないというようなことがあるわけです。もちろん、これは行きだけではなくて帰りもそうなんです。中野駅から乗って亀有駅に行っても同じです。ところが、多くの利用者は、切符を買っても、またSuicaを使っても、同じ金額だと信じて疑わないのが現状です。

 まず、大臣に伺います。このようなSuicaと切符とで支払う値段が違う、しかも必ずしも小さくない金額の差があるということについて、どのように思われますでしょうか。

森国務大臣 委員の配付資料を見て、大きな金額の差があることを知りました。

 金額はやはり同じであるべきと思いますが、システムの都合でこうなっているんでしょうか。きのういただいた通告で、まだ担当省庁の方にその原因を聞いておりませんけれども、やはり私は同じの方がよいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。自分自身も全くもって同様に感じているところでございます。

 続いて、国交省松下政務官に伺いたいと思います。

 そもそもこのような料金の違いがあることを御存じでしたでしょうか。また、この料金の違いがなぜ生じているのかについて御説明をいただきたいと思います。

松下大臣政務官 国土交通省です。御質問にお答えいたします。

 このシステムにつきまして、詳細は存じ上げておりませんでしたけれども、こういった御意見があることは承知しておりました。

 御指摘の点は、JR線、東京メトロ線、そしてJR線の乗り継ぎで問題になっているところでございます。いわゆる磁気券、一般の切符を買った場合とPASMOとかSuicaといったICカードを使った場合で料金の差が生じている。これは、高くなったり、低くなったり、同じ料金であったりするわけです。

 なぜこういった問題が起きるかと申しますと、JRの磁気券、一般の切符の計算方法は、乗り継ぎの場合でもJRのトータルの距離数に応じて料金が設定されております。それに対しまして、ICカードの場合は、乗り継ぎの時点で料金が加算されるという仕組みになってございます。そういった意味で、委員御指摘のとおり、こういった差額が生じております。

 JR東日本におきましては、ちょうど五年前に、委員がお配りいただいておりますけれども、そういったことの周知をしております。その後、二年半前にはポスターを掲示しておりますし、二年前には駅の券売機のところにそういった説明をしているんですけれども、なかなか御理解また周知が行き届かないという点もございます。

 私たちとしては、わかりやすい表示というのは非常に重要な御指摘でありますので、さらにJR東日本に対して指導してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

三谷委員 今御答弁いただきましたけれども、まさにこれは同じサービスなんですね。ある駅からある駅に行くということについて、切符で乗るのとSuicaで乗るのが、それによって支払い金額が非常に違うということ自体、今の理由を伺っても解せないところではございます。今まさに御答弁いただいた、これは周知をしているというふうに先ほどおっしゃいましたけれども、最大の問題はこのことが必ずしも利用者に明示されていないという点にあると言わざるを得ません。

 今おっしゃっていただきましたけれども、普通、駅には、どこどこの駅には幾らで行けるというような表示がされております。しかしながら、そのような表示がなされておりません。自分も確認をしてまいりましたけれども、この下線の駅については利用する金額が安くなる場合がありますということで、安くなる方の明示というのは喜んでしているところはあるんですけれども、高くなるということについてはそういった表示は必ずしもしていない、そういう図が一枚あります。

 それから、まさしく今配らせていただいたものを券売機の端っこに一つ掲示しているような状況はございますけれども、普通の利用者は、幾らかかるのかなというのは上を見て値段を確認するわけです。そういったところに表示されていないと思うんですけれども、この点の事実認識について伺いたいと思います。

松下大臣政務官 私もJRそしてメトロをよく利用するんですけれども、今はもう便利になって、表示板を見なくてそのまま改札の方に向かうケースもございますので、委員御指摘の点、今の実情に合ったJR東日本の対応を指導してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

三谷委員 鉄道運輸規程第八条によりますと、「鉄道ハ停車場ニ当該停車場ヨリノ旅客運賃表」「ヲ掲示スベシ」というふうにあるんですね。ですので、まず、この運輸規程第八条に基づいた表示がされているのかというようなことを、ぜひとも改めて検討していただきたいというふうに思います。

 それからもう一点、鉄道営業法第三条にはどう書いてあるかと申しますと、「運賃其ノ他ノ運送条件ハ関係停車場ニ公告シタル後ニ非サレハ之ヲ実施スルコトヲ得ス」。公告したる後にあらざればこれを実施することはできないというふうに書いてあるわけでございます。

 Suicaが導入されたのが平成十九年というふうにこちらは確認しておりますけれども、その時点で、切符を使うのとSuicaを使うので値段が変わっているわけです。これについて、公告をしたというふうに言えないのではないかと考えておりますけれども、この点についての御見解をいただきます。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる法令の規定は、今委員御指摘のとおりのものでございまして、公告した後にあらざれば適用できないということになっております。

 委員からきょう御配付をいただいたような、そういう運賃の差が出ますという資料につきましては、先ほど委員からも御指摘のあった方法によりまして掲示をし、またさらに詳細につきましては駅で見ていただく、あるいは紙で配布をするということになっておりますので、そういった点でこの法令の要件というのは満たしているものと考えております。

三谷委員 今御答弁いただきましたけれども、全くもって事実に反すると言わざるを得ません。

 何かと申しますと、例えば、亀有の駅から乗ったときにはそういった対応はしていただけます。逆に、中野の駅から乗った場合、亀有まで行くときに、幾らでしょうかという問いについて答えられるのでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の亀有―中野間、いわゆる相対の駅におきまして、まさにこういった問題があるということは、中身としては当然、組織として認識をしておるわけでありますけれども、個々のお客様と向き合う職員が全てそれをきちんと把握してちゃんと説明ができているかという点については、さらなる改善をできる部分、あるいはすべき部分が多々あると思っております。

 この点については、きょうの議論も踏まえまして、JR東日本に十分指導してまいりたいと思っているところでございます。

三谷委員 今、前向きなお答えをいただきました。

 これはまさしく、切符で乗る場合、そしてSuicaで乗る場合、よくある大きな掲示板のところに料金を二重で表記をすればそれで足りるという話ではございます。ですので、そこの点について前向きな検討をいただきたい。鉄道事業法二十三条に基づいて事業改善命令ということも発令することは国交省にはできる対象ではございますから、その点について前向きに取り組んでいただきたい、消費者の保護の観点からやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 続きまして、これもまた申しわけありません、質問通告の順番を変えさせていただきまして、丸川政務官がちょっとお忙しいということで、こちらを先に進めさせていただきます。

 レーシックの問題についてお伺いをいたします。

 以前、とある眼科におきまして、レーシックの施術について、集団感染の問題が生じたというような事例がございました。また、最近は、週刊誌の報道レベルではございますけれども、著名なサッカー選手がレーシック手術の結果、体調に不調を来しているというような情報もございます。改めて、この問題について安全性を検討していかなければならないのではないかというふうには考えております。

 そこで伺います。レーシックの施術によりましてどの程度の問題が生じているか。この点について、消費者庁及び厚生労働省双方から、この問題で、具体的な施術の総数、治療効果がどれぐらいあるのか、そして健康被害、そういった数を把握しているかについて伺いたいと思います。

松田政府参考人 消費者庁でございます。

 レーシック、角膜屈折矯正手術という御質問でございます。消費者庁の事故情報データバンクというもので事故情報を全体的に把握しておりますが、レーシックによる危害件数は、平成二十一年度からさかのぼりまして七件、二十二年度六件、二十三年度十五件、二十四年度八件という報告が届いてございます。手術後に、遠視になった、乱視がひどくなった、ドライアイが悪化した、飛蚊症や光視症になったという危害が報告されているところでございます。

三谷委員 続きまして、厚生労働省からも見解を伺いたいと思います。

丸川大臣政務官 まず、レーシックの手術の件数ですけれども、これは、レーシック以外も含めて、手術の件数を全数把握するというのは大変に難しいことでございまして、このレーシック手術のみに関しても、やはり手術の件数ということの全数は把握をしておりません。

 また、レーシックの手術を含めて、医療に伴ういわゆる有害事象の件数というものを把握しておりませんが、平成十六年以降に、医療法に基づいて、高度な医療を提供する特定機能病院など一部の医療機関に対しては、死亡や障害が残るなどの重篤な事故の報告を義務づけておりまして、その中には、現在まではレーシック手術に関する報告というのはございません。このほか、医療法では、全ての病院等の管理者に対して、医療の安全を確保するための措置等を求めております。

 また、先ほど委員がお触れになった平成二十一年の感染性角膜炎の院内感染の事例でございますけれども、この報道を受けまして、厚生労働省としましては、都道府県等に対して、医療機関の院内感染防止の徹底について指導を行うよう依頼をしておりますほか、財団法人日本眼科学会が作成したレーシック手術のガイドライン、この周知徹底を図るように依頼をしておるところでございます。

 引き続き、医療の安全確保に向けて努力をしてまいりたいと思います。

三谷委員 今のお答えの中で、手術の総数は把握していない、そして、健康被害がどれぐらい出ているのかについても把握をしていないというようなお答えだったかと理解をしております。

 要は、全く把握をしていないということになるかと思います。今、治療効果、健康被害等々も把握されていない状況ではございますけれども、多くの若い方々が著名人を使った広告に引かれてレーシックを検討しているというような状況にあるかと思います。

 もちろん自己責任というところであるかと思いますけれども、この自己責任を問う上では、しっかりと情報を提供していかなければならないのではないかというふうに考えておりますけれども、この点につきまして、改めて御見解を伺いたいと思います。

丸川大臣政務官 委員御指摘のとおり、やはり情報提供というのは非常に重要だというふうに思います。

 我々としては、まず、都道府県の方からきちんと、院内感染の防止体制の徹底というところは医療機関にお願いをします。一方で、学会が作成したガイドラインについても、きちんとそこから先に、つまり、それぞれ医療を受けたいと思われる方のところに届くように、より徹底してお知らせをしていただきたいということをお願いしてまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、時間の関係もございますので、次の問題に移らせていただきます。続きまして、パチンコの問題について伺ってまいります。

 私自身は、コンテンツを主に取り扱ってきた弁護士という観点から、コンテンツの振興にはパチンコの果たす役割というのが必ずしも少なくないということは十分理解をしておりますけれども、一方で、消費者問題という観点からは、より弊害の少ない形を目指していくことも重要だとも考えております。

 まず、いつも夏が到来するとニュースとなるのが、駐車場で子供が熱中症で亡くなってしまう、そういう例があります。毎年毎年この手のニュースというのを目にするわけでございますけれども、こういった事故を回避するために何らかの手当てを行う予定というものはございますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘になりました保護者が子供を車中に放置する、それで死に至らしめるということになりますと、これは当然児童虐待防止法で禁止されておりますいわゆるネグレクトに該当するわけでございまして、決してあってはならないことだと我々は考えてございます。

 厚生労働省では、こうした児童虐待の死亡事例を全国から集めまして、有識者が検討、検証いたしております。課題を抽出いたしまして、これに対する対策を練っているということでございまして、車中の死亡事例につきましては、一つはその危険性に対しまして保護者の方々に啓発をするということ、それから遊興施設等の駐車場におきます巡回点検などの協力を求めるということ、こういったことによって撲滅を目指していかなければならないというような指摘をいただいております。

 厚生労働省といたしましては、車中に放置することの危険性を保護者に十分わかっていただくために、例えば母子健康手帳の活用でございますとか、あるいは各種の広報資料、虐待防止のパンフレット、リーフレット、ポスター、ホームページ等々、こういったあらゆるものを活用いたしまして周知啓発を図っているところでございまして、引き続きこれに全力を挙げてまいりたいと思っております。

三谷委員 子供が熱中症で死ぬというような事故を減らすためには、もちろん業界にも全力で取り組んでいただきたいと思いますけれども、それに向けて厚生労働省さんの力添えというものをぜひともいただきたいというふうに思います。

 引き続き、厚生労働省さんに伺います。

 平成十四年に健康増進法というものが制定されまして、受動喫煙の防止の努力義務が施設管理者に課せられたところでございます。パチンコの利用者の健康等を考えますと、パチンコホールにおける分煙も重要な課題だと考えられますけれども、現在の健康増進法に基づいた分煙がパチンコホールでどれぐらい実施されているのかについて御存じでしょうか。

矢島政府参考人 パチンコ店におきます分煙に関する御質問でございます。

 健康増進法第二十五条では、「多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と規定をしておりまして、パチンコ店はこうした施設に該当をいたします。

 厚生労働省といたしましては、これまでも都道府県等を通じまして、施設管理者に対し受動喫煙防止対策につきまして周知を図ってきておりまして、直近では、平成二十四年に再度、受動喫煙防止対策について、原則として全面禁煙であるべきことなどの周知徹底を図ったところでございます。また、都道府県等が実施をいたします娯楽施設等における受動喫煙防止に関する事業に対しましても補助を行っております。

 引き続き、普及啓発等を通じて受動喫煙防止対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。自分自身も、全くもってそのとおりだと思っています。

 ちょっと話が戻るんですけれども、丸川政務官、先ほどで質問は終了しましたので、どうぞ戻っていただいて結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、またパチンコの問題、あと一つ、続けて質問させていただきます。

 パチンコの広告のあり方についてもひとつ考えていかなければならないのではないかと考えております。もちろん、ビジネスでございますから、しっかりと広告を出して、魅力的にお客さんを集めていきたいというのは当然なことではございますけれども、余り魅力的な表現にし過ぎますと、未成年者が必要以上の興味を持ってしまうというような可能性も否定できません。

 パチンコの広告につきまして何らかの規制がかけられているのか、また、あるとして、そういった規制を強めていくということを検討されているのか、お答えいただけますでしょうか。

山下政府参考人 お答えを申し上げます。

 風営法におきましては、個々のパチンコ営業者が、その営業につきまして、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告宣伝を行うことを禁止してございます。例えば、著しく客の射幸心をそそるおそれのある広告宣伝を行うことは禁止されてございます。

 パチンコ営業者から成る業界団体においては、こういった風営法で禁止される広告宣伝が行われないように、例えば、広告宣伝の内容に関するガイドラインを策定して、そして業界の構成員に対して周知をしている、あるいは、パチンコ営業者が相互に広告宣伝の内容をチェックし合う仕組みを設けるなどという取り組みがなされているところでございまして、私どももしっかりと実態を把握しながら、必要な指導監督、また、業界団体におけるこういった取り組みをしっかりと促してまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、次の問題に移らせていただきます。

 これは、コンテンツにかかる消費税というふうに題をつけさせていただきますけれども、これは以前、私も経済産業委員会の方でも別途伺った問題ではございますけれども、アマゾンと楽天、二つの事業者がございます。この二つの事業者、デジタルコンテンツのダウンロードに関しては、一方では消費税がかかる。楽天さんに関しては消費税がかかる。他方では、アマゾンさんに関しては消費税はかからないというような実態がございます。

 これは、消費者の観点からいえば、同じもの、同じサービスを受ける際に、片方が消費がかかって片方が消費税がかからないというのはどうしてもわかりにくいと思うんですけれども、その点につきまして、森大臣の見解を伺いたいと思います。

森国務大臣 消費者にとってわかりにくいと思います。議員御指摘の点は、国外取引には消費税が課税されないため、役務提供を行うものの、事業者の所在が国内か国外かによって課税の有無に差が生じることによって生じることでございます。

 なお、消費税の課税のあり方は税務当局にお尋ねをいただきたいと思いますが、消費者から見てわかりにくいというのは御指摘のとおりだと思います。

三谷委員 その消費者としての観点というのをぜひとも声を上げていただきたいというふうに、これは心からお願いを申し上げます。

 続きまして、最後の問題に移らせていただきます。医薬品のネット通販の問題でございます。

 医薬品のネット通販について、最高裁の判決が出て、現在の規制が違憲だというような判断が下されたところではございますけれども、この医薬品のネット通販の現状の議論について御説明をいただきたいと思います。

平山政府参考人 お答えします。

 一般用医薬品のインターネット販売につきましては、本年一月、最高裁判所において、厚生労働省令で第一類、第二類医薬品の郵便等販売を一律に禁止していることについては、薬事法の委任の範囲内と認めることはできないとされました。

 これを踏まえまして、厚生労働省といたしましては、一般用医薬品のインターネット販売等のあり方について、現在、関係事業者や医学、薬学の専門家等のほか、消費者団体の関係者もメンバーとする検討会を設けまして、鋭意検討をいただいているところでございます。

 これまでに本検討会を五回開催いたしまして、構成員や関係団体からの意見聴取などを行いつつ、これまでの御意見をもとに、今後議論すべき論点の整理を開始したところでございます。

 今後も、本検討会において引き続き十分に御議論いただき、その結果を踏まえつつ、できる限り早く安全性を確保できる新たなルールを策定したいと考えているところでございます。

三谷委員 今、これから議論を重ねていくというような見解をいただきましたけれども、その点についてさらに伺います。

 医薬品のネット通販をまた再び規制していこうというような議論もあるというようなことが今の答えの中に含まれているかと思うんですけれども、今の医薬品のネット通販を規制する、もしそうだとすれば、その根拠は何だと考えられますでしょうか。

平山政府参考人 根拠と申しましても、薬事法において一般用医薬品についての販売形態について規定させていただいておりますので、それが根拠ということですが、基本的には、消費者である一般国民の方が安全にOTC医薬品を使用していただく環境を整えるということが根本だろうというふうに考えております。

三谷委員 ネットで医薬品を買うことが消費者の安全につながらないというように考える根拠はどこにありますでしょうか。

平山政府参考人 基本的には、一般消費者がOTCの使用に関して、使用方法も含めますけれども、そのOTCがその使用者に最適であるかどうか、あるいは別の病気が隠されていて、OTCではカバーできなくて医療機関の方に受診した方がいいのではないか、そういう判断を薬剤師または登録販売者と相談しながら決めていただくというのが安全性確保にとって必要だろうというふうに考えておりますので、その点について、実際の対面販売とか、あるいはネットでの販売とかはその観点からどうかということについて今議論を進めているところでございますので、その結果については、さらに議論を深めて関係者の合意を得たいというふうに考えております。

三谷委員 規制を行う上では、その規制を行う側がその規制を行うに必要な立法事実を示していかなければいけないということが、法律を考える上では当然のことかと思います。

 その立法事実があるのかどうか。例えばネット通販を認めることによってこれぐらい事故が起きる可能性があるんだというような観点の検討がなされているのかということについて伺いたいと思いますけれども、質疑の持ち時間が終了いたしましたので、これにて質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、農事用電力料金の値上げについて聞きます。

 関西電力における農事用電力料金の規制部門と自由化部門、それぞれ値上げ率と値上げ幅はどうなっていますか。

松田政府参考人 関西電力におけます規制部門の農事用電力料金の値上げ率につきましては、改定前と比べて約一四%の値上げになるものと承知しております。

 なお、規制部門全体では九・七五%、自由化部門全体では一七・二六%の値上げとなると承知しております。

穀田委員 今、農事用電力の自由化部門の方は把握していないということになるわけですね。

 自由化部門とはいうけれども、事実上、十の電力会社の独占であって、新電力と言われている他の電力会社を選択しようがないのが実態じゃないか。だから、それらの値上げの実態をつかむのは当たり前の話なんですね。そういう点は、私は全くけしからぬと思うんですね。

 そこで、私は、滋賀県土地改良事業団体連合会の方々にお話をお聞きしました。

 例えば、農事用電力特別高圧で、関電は、電力量料金一キロワットアワー単価に二円三十九銭の加算単価を一律に上乗せしています。夏の季節でいえば三七・二%の値上げ、その他の季節で四〇・一%の大幅な値上げであります。

 森大臣、この契約が実行されれば、農業並びに消費者物価にどのような影響が及ぶと認識しておられますか。

森国務大臣 米穀等農産品の価格は、その産品の市場の状況で決まってくるので一概には申し上げられないとは思いますが、電気料金が上昇した場合、それが小売価格に反映されることも考えられると思います。

 個別物資の価格動向は所管省庁において適切に監視されているものと考えておりますが、価格が急激に上昇しますと国民生活に与える影響が大きいですから、関係省庁と連携し、価格動向を注視してまいりたいと思います。

穀田委員 一般論はわかるんやけれども、それはやはり、農事者がやっている仕事の中で、電力料金がこれだけ上がったら、それは上がりますわ。土地改良区の事業団の連合会の皆さんは、農水省にもそれから経産省にも、こういう形で要請書を出しています。

 それによると、滋賀県下の農業用水は、全農地面積の四四%が安定的な琵琶湖を水源としている。このため、揚水機を電動機によって駆動させ用水を供給、琵琶湖からの逆水に依存する土地改良区の年間の電力料金は約五億円と言われています、そう書いています。今回の大幅な値上げに大きな衝撃を受けている、土地改良区の運営にも支障を来すと訴えておられます。

 農事電力使用量合計が滋賀県で一番多い土地改良区を有する日野町の藤澤町長も、一円も上げてはならぬとは言わない、全体で年間三千万円、二七%の値上げになる、産業用の一七%値上げと比べても大き過ぎる、このような大幅値上げは、町の基幹産業である農業が潰れかねない、こう述べておられるわけであります。農業が維持できなくなる危険に直面していると言っても過言ではないと思います。

 農水省は、この事態に対してどう物を言ってきて、どう対応しようとしているのか、お答えいただきたい。

江藤副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 先生のおっしゃることはごもっともな点が多いと思います。円安もありますし、それから、農事用の電力九五%がいわゆる農業水利施設で使われているということです。ただ、先生御存じのように、もともとの課金の分母が若干違うということもありますので、率をここで一概に言うのは私ののりをちょっと越えておりますけれども、少し議論の必要があるかとは思います。

 農林水産省としては、やはりこれは農家にとって、すぐに価格転嫁はできませんし、物財費の高騰というのが農家の経営を圧迫することは、もう間違いのない事実でありますので、まずは管理費用等の予算をきちっと確保する、これも当たり前のことであります。

 それから、水の管理方式。これは土地改良区にも御協力をいただかなければなりませんが、ポンプアップをするその量、やはりポンプを回す回数を、どれだけ時間を制限するのか、減らす努力をするということがまず必要になってくるかと思います。

 それから、契約時において何ワットで契約をしているのか。二百ワットなのか二百五十ワットなのか。それによって電気料金が変わってくるわけですから、過去実績をやはり見直しをして、その契約状況が現実と合っていなければ、安い価格帯での再契約に更新をさせていただくような指導をする。

 それから、国土強靱化も含めて、若干名前は今変わりつつありますけれども、この水利施設の更新とか長寿命化、こういうときには省電力型の機械にできる限り更新をしていただく。それから、小水力発電とかいろいろございます。

 ただ、先生に申し上げても、これぞという画期的なものがないことは重々承知をいたしておりますので、基本的にはやはり電力会社さんに、もうちょっと経営努力をきちっとして、すぐに価格転嫁に結びつけるようなことは私はやめていただきたい。

 内閣として、電力システム改革を今一生懸命やっているわけでありますので、また先生からも御指導、御意見をいただければありがたいと思います。

穀田委員 やめていただきたいと言ったのは、これは画期的でして、立派なものだと私は思いますよ。政府全体が、やめてくれ、いいかげんにせいというような話にせなあきませんで、ほんまに。

 そこで、経営の努力の細かい話をしてはりました。せやけれども、江藤さん、みんなは、時間短縮して、本当にようしてはりますねんわ。そんなもの、これをやれ、あれをやれなんて、これ以上何ができますねんな。それを知っておってお互い言うてんのやからね。ほんまに難儀やなと私は思いました。分母が違う、これは、農業に対して当たり前に安くするというかつてからの、昭和の初期、戦前含めてやっていたという事態は知っていてお互いに言っておるのやから、それはあきまへんで。そういうことを含めて、これだけやはり関電に対する怒りというのは強いわけです。

 そこで、今ありましたように、関電は、国が指導すれば聞くということを日野町長に言っているらしいんですよ。だから、江藤さんが言っている中身をきちんと政府としてやっていただければ、私は大きな前進があるんじゃないかと思うんですね。

 というのは、自由化部門だけ好き勝手に料金を決めていいわけじゃないんですよ。だって、発電にかかるコストを積み上げた総原価をもとに、規制部門、自由化部門にコスト配分するという設定をする仕組みになっているわけです。だから、経産省は、その意味で与える影響を踏まえて、農水省はさっきそう言っていただきましたし、今度は経産省がそう言っていただければ、大体これで両方抑えられるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。

赤羽副大臣 今回の関西電力に対する料金値上げの認可については、極めて安易に上げたわけではございません。一昨年三・一一以来のエネルギー制約に直面する中で、状況が、火力発電の発電量の増加に伴って燃料コストの上昇が伴う。しかし、さはさりながら、この値上げ申請に対して、電気料金審査専門委員会を十回開催いたしましたし、当然、電事法に基づいて、公聴会、インターネットを通じての国民の声も伺った上に、米国からのシェールガス輸入の効果も織り込んで計算しろと、かなり厳しくした上での認可だというふうな認識をしております。

 そのこと、規制部門でそういうふうにコストを値下げすることが、私は、自由化分野の料金についても値上げ幅を圧縮すること、これは関電の会長もみずから表明もしておりますし、そういう合理性があるものだということをまず申し上げておきたいのであります。

 今の江藤副大臣のお話にもありましたように、今回、火力発電の発電量の増加に伴うという燃料費のコスト増ですから、これは、いずれの料金メニューについても、基本料金は変更せずに、従量料金については一キロワットアワー当たり二円から三円値上げしたものであって、それを率で言われると、従来的に低く抑えていた農事用の電力が十数%になってしまうというような結果だと思います。

 それをどう評価するか、そこを抑えるということは、一般家庭用電力の値上げ幅をそのパラレルとして上げなければいけないのかということにも直面するので、その辺のことはよくよく吟味していかなければいけないのではないかと思うわけです。

穀田委員 それはありませんで。やはり、農業用をなぜ安くしたかという経過を経産省はよく知っているんですよ。もともとそういうものについて、日本の国土を保全し、しかも農業関係は大事だからと安くしてきたわけですよ。そのことを含めてみんなで議論して、一般国民もこれだけでいいのかどうかということを議論したら、絶対うんと言いますよ。だから、そこは全く違うと私は思うんです。

 しかも、一七%じゃないんですよ。それは、さっき言いましたように、高電圧の関係はこれだけ上がっているという話をしているわけですからね。それとの対応をしてくれないと困りまっせ。

 問題は、滋賀県だけと違うんですよ。京都府南丹市の照明器具を使って野菜を育ててきた野菜工場が、電気代が二割も高くなるということで休業を余儀なくされ、従業員は全員解雇されたと言われています。このように、さまざまな分野で影響が出始めています。

 先ほど言いましたように、農業は安定した食料を生産し、地域経済と雇用に大きな役割を果たしているわけです。国土保全にも重要な役割を果たしている。ですから、その立場から電気料金についても監視していく必要がありますし、私は、もっと現場で起きている事態をきちんと掌握し、先ほど江藤副大臣からありましたから、こういう事態を掌握しつつ、認可申請中の東北と四国の査定にもっと厳しく反映させるべきだと思うんですが、大臣の答弁を求めます。

森国務大臣 自由化の部門は、当庁とエネ庁との協議対象外になっておりますので、なかなか答弁は難しいのでありますが、委員の御指摘を踏まえて、消費者に与える影響等をさらに真剣に検討してまいりたいと思います。

穀田委員 これは、単にそれぞれの省庁の役割というのではなくて、実際消費者に与える影響、それから起きている現象ということ自体について、きちんとやはり大臣としても協議していただいて、やっていただく必要があろうかと私は思います。

 次に、食の安全、安心とTPP問題について質問します。

 消費者は、命や健康にかかわる問題として、食の安全、安心に関して重大な関心を持っており、それに役立つ消費者行政を求めています。

 自民党は、さきの総選挙において政権公約で、TPP問題は六項目を公約として掲げました。その中の四項目めに、「食の安全安心の基準を守る。」としています。三月十五日、TPP交渉参加を表明した安倍首相も、守るべきものは守るとして、食の安全基準も含まれるとその後答弁しておられます。

 その点では、森大臣も、担当大臣として同様の見解でございますね。

森国務大臣 TPPについては、我が国として、守るべきものは守り、攻めるものは攻めていく、国益にかなう最善の道を追求していくと総理が表明されたとおりだと考えております。

 先ほどの、食の安心、安全の基準を守るといった、これは自民党のJ―ファイルの公約でございますけれども、消費者庁としても、食品表示を含め、消費者の安全、安心に資するため、全力を尽くしてまいりたいと思います。

穀田委員 では、食品添加物について聞きます。

 日本は、食品添加物の使用について厳しく制限してきました。食品衛生法で原則使用禁止にし、安全性が確認されたもののみについて使用を求める指定制度を採用していまして、約八百品目を定めています。現行では、日本で認可されていない食品添加物を含む食品は輸入できない。それに対して、アメリカは三千品目であります。食品の輸出拡大を目指すアメリカにとってこの違いは非関税障壁として、撤廃を求めています。

 米国通商代表部、USTRは、それぞれ毎年毎年の外国貿易障壁報告書では、食品添加物の取り扱いについて、日本の食品添加物の規制は、幾つもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限していると、米国政府は、食品添加物リストの審査を完了し食品添加物に関する審査のプロセスを迅速にするよう、日米規制改革イニシアチブを通じて日本に強く要請していると述べています。

 アメリカで認められている添加物で、日本で認められていない食品添加物を使った加工食品というのは、これは当然、食品衛生法違反として、現在、日本への輸入が認められていません。そのために、アメリカ政府は、アメリカで認められている添加物での審査、認可を一刻も早くするようにと日本に求めています。その要求に対して、日本政府はどのように対応しようとしているのか、厚生労働省。

新村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、米国通商代表部、USTRの報告書におきましては、米国を含む世界じゅうで広く使用されている食品添加物等につきまして、指定手続を迅速化するよう指摘されていると承知しております。

 しかしながら、食品添加物の指定につきましては、米国の要望いかんということにかかわらず、科学的知見に基づいて、内閣府食品安全委員会の評価結果を踏まえまして、あくまでも、安全性を確保するとともに、有効性があるものを指定するということにしております。

 今後とも、食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

穀田委員 日本は、安全性の認められたものだけ使用を認めるというポジティブリスト方式をとってきたわけですね。今、一つ一つ審査をし、厳格にこれは運用されてきたわけで、世界に誇るべきものだと思うんです。

 ところが、政府は、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定していますが、それを踏まえ、EPAを推進するため、国内の非関税措置を撤廃、緩和するとして、食品添加物の承認手続の簡素化、迅速化、そして、国際汎用添加物の承認手続の簡素化、迅速化に向けてルールの整備を行うと決めています。

 これは、一九七二年の食品衛生法改正の際の「食品添加物の使用は極力制限する方向で措置すること」の決議を踏みにじって、アメリカの要求に応じていくという立場じゃないのかと思うんですが、いかがですか。

新村政府参考人 御指摘ありましたとおり、一九七二年、昭和四十七年の附帯決議では、当時、食品添加物の安全性が問題となっていたこともございまして、「食品添加物の使用は極力制限する方向で措置する」と決議されております。

 その後、WTOのSPS協定が締結されるといった動きがございましたので、国際的な調和が求められる中で、一九九五年、平成七年には食品衛生法の改正がございまして、そのときの附帯決議では、食品添加物の指定等につきまして、国際的な基準も考慮しつつ、科学的な根拠による安全性評価に基づき指定等を行うという決議がなされております。また、二〇〇三年、平成十五年にも同趣旨の決議がなされていると承知しております。

 したがいまして、国際的に安全性が確認され、かつ汎用されている添加物、いわゆる国際汎用添加物でございますが、有効性と安全性を確認した上で国が主体的に添加物としての早期指定に取り組んでいるということは、これまでの附帯決議も踏まえたものであると考えております。

穀田委員 そういった話をしているんじゃないんですよ。要するに、政府の方針でいうと、簡素化、迅速化するということを書いているから、違うんじゃないかと。

 しかも、今あなたはおっしゃるけれども、何も緩めたらいいという話を国会はしているわけじゃないんですよ。国際基準に合わせると言うけれども、国際基準というのは日本に比べて緩いということは、周知の事実なんですね。

 だから、結局、国会決議というものの背後にある、附帯決議の背後にある当時の情勢や国民の理解、そして、今新しく、それこそ食品の添加物に対して多くの方々が心配をなされている、そういう事態のもとでそれを守らなくちゃならぬという話なんですよ。私は、そういう点は、そういう解釈と同時に、国民の世論との関係でいって全く違うということを言っておきたいと思うんです。

 そこで、きのうの報道では、TPP交渉参加をめぐり事前協議が行われており、食品安全などなお調整、週内の大筋合意を目指すとされています。外務省、これは事実ですか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 日米間の協議は引き続き継続中でございます。我が国としましては、我が国のTPP交渉参加に対する米国の同意が可能な限り速やかに得られるよう、引き続き取り組んでまいります。

穀田委員 それを今聞いて、みんなわかったか。わかるわけないやないですか、みんな。国民は、そういう事前協議でこうやっているのか、そして、「食の安全などなお調整 週内の大筋合意めざす」という報道があるけれども、それは事実なのかとみんな心配しているわけじゃないですか。そういう、今の食の安全に対して、安全、安心を守るとあそこまで言っておいて、こんな話が事前にやられているのか、報道はされているけれども、事実かと聞いているんです。

正木政府参考人 恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、現在、日米間で協議を引き続き継続中でございます。

 協議の内容につきましては、したがいまして、今の段階で申し上げることはできません。

穀田委員 やはり、こういうことを言えないという、それはほんまに、今のTPP問題について、事前にはわからない、交渉したら、それは秘密だ、終わっても秘密だ、こういうことを私どもは、あかんの違うかということを言ってきているわけですよね。

 しかも、アメリカがTPP交渉参加をめぐる事前協議で食品添加物の規制緩和を迫っているということが事実だとすれば、事は重大なんですよ。だから、それについて、いや、言えないなんて言っているんじゃなくて、もしそんなことがあったらだめだというふうに言うのが筋じゃないですか。だから、その点、大臣、どう思いますか。

森国務大臣 私の所管分野ですと遺伝子組み換え食品の表示ルールのところなんですけれども、それについては議論の対象となっていないということは承知しております。

 いずれにしても、TPP交渉に参加した場合について、消費者庁は、以前から申し上げておりますとおり、食品表示を含め、消費者の安全、安心に資するために全力を尽くしてまいりたいと思います。

穀田委員 遺伝子食品の話をしているんじゃないんですよ。今、全般の話をやっているわけですよね。事前協議、食の安全などはなお調整中だ、週内の大筋合意を目指す、ここまで書かれて、どないなってんねんという話をせえへん方がおかしいと思いませんか。副大臣はうなずいておられるけれども。

 大体、中身が、それは頑張りますと。頑張りますなんというのは当たり前の話であって、問題は、それをやられていることは広く知らせて、これは間違っているとか、それから、これはあかんとか、国民的にも、こんなになっているし、えらいことになってんねん、助けてくれとかいうふうな話をするのが筋だと言っているんですよ、私は。

 こんなことをやっておったら、TPPなどというのは、本当の意味で食の安全の確保などはできやしない。しかも、今の程度の話をして、答弁で質問に答えて、やりまっさなんという話で、およそ信用でけへんということがはっきりしたと思います。

 終わります。

吉川委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 本日最後となりました。長時間ですが、大臣におかれましては、もうしばらくおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。

 さて、けさなんですけれども、新聞の記事を見ておりましたら、「脱法ドラッグ通販 行政指導従わず」ということで、消費者庁が違法な三十七サイトを公表されたという記事がございました。きょうは、具体的なものも入っておりますけれども、やはり身体に直接摂取するもの、そしてまた、こういったネットを使ってというもので消費者保護をどうやっていかれるのか、この点に関して基本的には聞き、また、本日は大臣所信に対する質疑でもございますので、大臣のお考えを伺っていきたいと思っております。

 まず最初なんですけれども、今国会で、既に予防接種法の改正案が可決成立しております。同改正によって、子宮頸がんワクチン、またHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの三種が定期接種の対象となる一類疾病に加わることになりました。

 さまざまな報道もございます。特に、子宮頸がんワクチンにおいては、女子中学生が予防接種で長期通学不能になる、歩行障害になるなどの副反応があったり、また、海外でもこのワクチンの接種に関しては喚起が言われている、また、非常に、必ずしも安全ではないと言われていることもございます。また、被害者連絡会も立ち上がるという報道もございました。

 そういう意味においては、これは接種をしなくてはならないというものではないと思いますので、ここはやはり、ワクチンを打つ側、もし重大な副反応が出てしまえば、本当に日常生活にも、健康に大きくかかわるものであります、正しい知識をしっかり持って選択をするということが必要なんだと思います。

 なぜ、Hibワクチンや小児用肺炎球菌においては大変効能もあるというふうに伺っておりますけれども、子宮頸がんに関しましてこの喚起をしなければならないと感じますのは、これに関しては、震災後は特になんですけれども、最近も、法案が通ってから、テレビコマーシャルがほかのワクチン接種ではあり得ないほど大変頻繁に行われている。これをやることによって潤うところもある、また、もちろんこれを推進している方々もいらっしゃるのも事実でございます。しかし、最終的に選択するのは接種を受ける側であります。やはり女性の身体、健康を守る、そういった意味で、これに対しましてどのような対策をとられていくのか、その現実も含めまして御答弁をいただければと思います。

矢島政府参考人 今委員御指摘のように、予防接種が強制ではないだろうかというふうな誤解があるのではないかという御指摘でございます。

 この予防接種につきましては、今回の予防接種法の改正に基づきまして、A類の定期接種につきまして、今御指摘をいただきました子宮頸がんのヒトパピローマウイルスのワクチンがそこに新しく入ったわけでございますが、このA類の定期接種につきましては、感染症の発生及び蔓延を予防するため、国として広く接種を推進しているものでございまして、対象者は接種を受けるよう努めなければならないというふうにされております。

 しかしながら、委員御指摘のように、接種は強制ではなく、予防接種の意義ですとか、それからリスク等の正しい知識を得た上で、被接種者ですとか保護者が判断をしていただくというものでございます。

 厚生労働省といたしましては、子宮頸がんですとか、それから子宮頸がん予防ワクチンの有効性ですとか効果等について、正しい情報の提供に一層努めまして、正しい知識を持ち、その理解の上で接種を受けるかどうかの判断をみずから行っていただけるよう、関係省庁とも連携をいたしまして普及啓発に努めていきたいと考えております。

小宮山委員 ぜひ、普及啓発を強くしていただきたいと思います。これは、副反応が強く出てからでは遅いんです。やはり、この正しい知識というものを入れるということは最大限努力もしていただきたいと思いますし、さまざまな教育の中でも、この点をまた入れていただきたいと思います。

 先ほどちょっと、ワクチンというものが大変な市場、マーケットになっているのではないかという懸念もございます。正直、私も、消費者庁のホームページのトップを拝見させていただき、「ご注意ください!」というところの現在トップにあるのが、「厚生労働省が販売したとしている「ワクチン債」の勧誘にご注意ください。」こんなものが出ております。

 ワクチン債なんというものを買うということ自体も不思議ですけれども、こうやって生活に入り込み、これから多くの人が接種するからこそ、こういうものが売れるんだということなのかわかりませんが、こういったことすら喚起をしなければならないということを考えますと、やはり、いま一度、消費者庁の方でもこれを喚起の中に入れていることを考えてみましても、大臣、ぜひ、各省庁さまざまなところにかかわるものでもございますので、努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 御質問ありがとうございます。

 今回の予防接種法改正を受けて定期接種の対象となったこれらのワクチンに関する危害計数、消費者庁に寄せられているものですけれども、今現在、事故情報データバンクに、子宮頸がんワクチンで三件寄せられておりまして、危害内容は、体がだるい、全身の痛み、刺された腕が痛くて上げられないといったようなものでございます。

 消費者庁としては、今の厚生労働省からの答弁も踏まえまして、リスクの情報を入手し、情報の把握に努め、消費者にわかりやすく情報を提供して、そして、知識を得た上で選択をしていただくように啓発をしてまいりたいと思います。

小宮山委員 また、私も町に行きますと、若い人たちは本当におしゃれに気をつけていらっしゃるということで、接種ではないんですけれども、カラーコンタクトの問題にぜひ触れたいと思います。

 規制対象にも、薬事法を改正してなっているわけで、その当時のコメント等を見ますと、大幅にこの問題で流通が減るのではないかなというのは、当時、厚生労働省も上げているところではございます。しかし、実際には、逆に大変普及をしたということもある。使い方においては、私自身、正直、つけまつげと同じように、また下着と一緒に、いろいろなコスメと一緒に、カラーコンタクトも現実にヘアアクセサリーの隣とかでも売っていたりします。これで本当に安全が守られるのか。これもまた、目の中に入れて、対応が悪ければ失明にも至る。大変な一生の問題になってまいります。ここの注意喚起もしていかなければならないんだと思っております。

 このトラブル事例とか、それに対してどのようなことをされているのか、この点に関しましても、ぜひ御意見をまた、対応についてお聞かせいただければと思います。

森国務大臣 消費者庁の事故情報データバンクに寄せられたカラーコンタクトレンズによる危害件数は以下のとおりです。平成二十一年七件、二十二年度五件、二十三年度八件、二十四年度九件でございます。

 主な危害内容としては、レンズの装着で目に痛みを感じた、角膜に炎症を起こした、目の中でレンズが破損したなどが挙げられております。

 カラーコンタクトレンズについては、御指摘のとおり、平成二十一年十一月四日より、視力矯正を目的としない、いわゆるおしゃれ用のものについても、高度管理医療機器として薬事法の規制対象となりました。さらに、平成二十三年二月四日以降は承認されたレンズのみの販売となるなど、厚生労働省においてカラーコンタクトレンズの適正使用に関する対策がとられていると承知しております。

 消費者庁では、事故情報を引き続き注視するとともに、厚生労働省と連携して、必要に応じて注意喚起を行うなど、消費者に向けて情報を提供してまいりたいと思います。

小宮山委員 本当に注意喚起が必要なもの、特に、やはり健康に関するものというのは大変多くあると思います。薬害の問題であったり、また、今のような装着をするものであったり。ぜひこの点に関しては、消費者庁も積極的に、各省庁と連携をとってやっていただきたいと思います。

 さて、最初に違法サイトの問題に少し触れさせていただきましたけれども、そうはいいましても、インターネットというものは、今、国会でネット選挙の解禁などを言っていることを考えても、日常のものになっているかと思います。

 電子商取引というものは、これからどんどん日常になり、そして、この分野というのは、やはり健全に成長していくことも日本の発展に寄与するものだと思います。その反面、当然、実社会でございますので、犯罪であったり、また不正アクセスや情報漏えいなど、さまざまな問題に直面しているのも確かでもございます。

 やはり、日本のマーケットというものが健全に成長するため、経産省では電子商取引の実態調査を継続されているかと思います。市場規模などを年一回報告書にまとめております。この分野が成長をしていくことというのは大変重要かと思いますので、この点に関しまして、健全な発展に対しどのような方策をとっているのか、またその阻害要因についてどのような対応をとっているのかをお聞かせいただければと思います。

中山政府参考人 経済産業省でございます。

 経済産業省の今御紹介いただきました調査によりますと、国内消費者向けの電子商取引市場は、御指摘のとおり大変な速度で拡大しておりまして、五年で二倍というペースで来ております。平成二十三年度には八・五兆円の市場規模ということで、この市場が引き続き健全に発展していくということは非常に重要なことだというふうに考えております。

 ただいま御指摘がありましたように、不正アクセスなどのサイバー攻撃の被害ということが起これば、この市場の健全な発展ということも阻害されますので、私どもといたしましては、被害の未然防止、それから万が一被害があったときにその拡大防止ということの両面で取り組みをしております。

 まず、未然防止のための取り組みといたしましては、独立行政法人の情報処理推進機構というところがございますが、ここで、民間企業などのシステムをつくる方、システム管理者向けに、安全なウエブサイトのつくり方、こういったものの手引を作成いたしまして、これを積極的に提供させていただいております。

 また、残念ながら実際にサイバー攻撃が発生したという場合に、この被害の拡大を防止するということが非常に重要でございますので、JPCERTコーディネーションセンター、これは一般社団法人でございますが、ここを通じて、こういったことが発覚したときには、攻撃に使われているサーバーを可能な限り早くまずは停止するというようなことを、関係機関とも調整を行いながら対策をとっているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、政府のセキュリティー全体を取りまとめているのが内閣官房の情報セキュリティセンターでございますので、こちら、それから各関係の省庁とも密接に連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 情報漏えいや不正アクセス、さまざまなことにおいて個人情報が漏れ、またそれがさまざまな被害につながる、そういった危険もはらんでいるかと思います。その点におきまして、消費者庁では、個人情報保護法の所管だと思いますけれども、こういうものを守る、この中におきましてどのような役割を担っていかれるのか、お聞かせください。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 電子商取引が普及するに伴いまして、それに対応した個人情報の適切な安全管理、これが事業者に対して求められることは、もう委員御指摘のとおりでございます。

 個人情報保護法は、個人情報取扱事業者に対しまして、個人データの漏えい等を防止するため、安全管理措置を講ずる義務を明文で課しておるわけでございまして、このような法律上の義務が適切に果たされるよう、保護法が採用しております主務大臣制のもと、各事業等分野を所管する主務大臣におきまして、個人情報取扱事業者を監督指導することになっております。

 実際、この各主務大臣が定める事業等分野ごとのガイドラインの中には、安全管理措置に関する具体的な記述が盛り込まれているものがあるわけでございます。

 個人情報保護法を所管する消費者庁といたしましては、こうした主務大臣制のもと、主務大臣における適切な監督指導権限の行使を期待いたしますとともに、必要に応じ、各主務大臣の取り組みにも協力する、こういうスタンスでございます。

 また、毎年度、全国各地でこの保護法に関する説明会の開催なりを行いまして、法の趣旨、内容につきまして、事業者を含む国民の皆様へ説明を行っておりまして、引き続きこのような広報啓発活動にも尽力してまいりたいと思います。

 また、言われるような、いわゆる過剰反応、こうしたことに対しても、きちっと説明を尽くしてまいりたいということで、対処しているところでございます。

小宮山委員 ネットもそうです、対面で買うのもそうでございますけれども、やはり消費者がしっかりと、後の項目に入れておりますけれども、大臣は多分消費者力とおっしゃるんだと思いますが、しっかり見きわめる力をつけなければならない。

 その中では、民主党政権下ではございましたけれども、「消費者教育推進のための課題と方向」を昨年発表した旧推進会議にかわり、同じ名前でありますけれども、法律に基づいて新たに設置されました消費者教育推進会議の開催予定、また、今後のテーマ、目的などについてお聞かせください。

森国務大臣 消費者教育推進会議、これを法律に基づいて設置するのが、私、初仕事でございまして、委員も一生懸命、任命をいたしました。この会議において、今まで救済という方におもしがあったんですけれども、いよいよ、予防、防止、啓発ということで、消費者教育について基本的な方針を、法に基づいたものを策定することとされております。

 六月ごろまでに会議を二回程度開催して、また、その会議のスケジュール感、方針、内容等も、委員の先生に聞きながら、個別のテーマを出していただいて、それを御議論いただくための小委員会も設置をしてまいりたいと思っております。

小宮山委員 その中でありますけれども、どうしても、新しいビジネスや消費者の買う行為というものが出てくるんだと思います。そういういろいろな資料を見せていただくと、消費者教育推進のための体系的プログラム研究会の発表した、消費者教育の体系イメージマップというのを見ますと、幼児期や高校生期など、また、消費者市民社会の構築だったり、情報とメディアという、表にいたしまして、こういったときにこういうものを喚起する、また学ぶというようなことも、提言として出されております。こちらを見ていますと、やはり実態のあるものというのに、どうしてもわかりやすくなってしまうので分類されているのではないかという懸念がございます。

 最近でいえば、消費者が、購入感覚の薄い課金に対する被害に遭うということもあります。以前には、コンプガチャなど、そういったゲーム物もあります。携帯電話やスマートフォンなどが普及する中で、課金の生じるゲームやサービスに関するトラブルも多発しているところであります。

 この点に関して、どのような対応をしていくのか。また、推進会議にどのようなことを提言されて、最初のお仕事ということもございます、力を入れていただきたいと思いますが、大臣の御決意を聞かせてください。

森国務大臣 携帯電話やスマートフォンが普及しておりまして、委員御指摘の、携帯電話等による課金の生じるゲームなどに関するトラブルを防止することは、極めて大切なことであると思っております。

 今御指摘なさったマトリックス、見たことがありますけれども、大変すばらしいと思いまして、その年代年代に応じてやはりきめ細かい取り組みをしていくべきだと思いますし、私はこの消費者担当以外に内閣府の方の特命担当大臣でもございまして、青少年が担当でございます。こちらの方で、携帯と特にスマートフォンの所有率が低年齢層で非常に今急激に伸びている。小学生ぐらいから持っているという現状がございます。

 そうしますと、やはりそこのトラブル、これに課金されるというトラブルも多くなってくるということでございますので、こうした問題を含め、先ほども話題に出ましたが、人というところに注目をいたしまして、今上がってきている実態の数だけではなくて、今後の消費社会において、または情報社会において、情報モラルに関して理解を深めることの重要性にも鑑みまして、個別のテーマを御議論いただく小委員会などにおいて、今の委員の意見も尊重して、取り扱うことを検討してまいりたいと思います。

小宮山委員 ぜひお願いいたします。

 また、実社会を見ていきますと、今、安倍政権になり、株価は上がり、円安は進み、相当な国債発行もし、そういう意味では景気のいい話も現実にはありますが、実際、私自身は電車で毎日基本的に地元の川越から通っております。しかし、生活実感としては、いろいろなものの物価が上がったということで、非常に苦しいとおっしゃる生活者の方や経営者の方々が多くいらっしゃるのも現実でございます。

 四月一日からの小麦の値上げを初めとして、値上げの春を迎えた。これからさまざまなものが値上げをするという中で、これだけ急速な値上がり、物価上昇という中で、これが妥当な値上がりなのか、こういったものもきちんとチェックをしていかなければ、本当に苦しいことになってしまいますし、国民の生活を守ることはできません。

 この点に関しましては、消費者庁の取り組みというのは大変大きな意味、重要なものを持っているかと思います。この点に関して、大臣の決意をお聞かせください。

森国務大臣 円安等による原材料等価格の上昇により、燃料価格それから小麦等の価格が値上がりをしております。これがやはり家計を直撃してまいりますので、安倍政権のもとで、中間層や低所得者層に経済成長の恩恵が早く浸透するように、賃金値上げ等も頑張っているところではございますが、消費者庁といたしましては、個別物資の価格動向を、しっかりと所管省庁等に呼びかけて監視をしていただきまして、それが急激に上昇すると国民生活に与える影響が多いものでございますので、物価の中でしっかりとその動向を注視してまいりたいと思います。

小宮山委員 動向を注視するというのも確かに重要だと思いますけれども、上がっていくのが目に見えている、そう推測もできます。私自身は、消費増税に反対をする、この不景気の中でこれ以上負担はかけられない、そういう思いで昨年、あの法案には反対をいたしました。

 また、既に価格転嫁もできないところ、賃金上昇も確かに必要でしょう。景気が本当によくなっていったら、それも経営者の方、本当に身近な中小零細企業、個人企業の方々も、従業員のことを大切にしております。上げたいけれども、こうやって原材料や仕入れ価格等が上がっていく中ではそれも実際にはできない。非常に苦しい立場に追い込まれているのも現実であります。

 ここを考えてみますと、本当にまた、大手や、さまざまな格差もあるのも現実です。しっかりとここは、やはり内閣の一員かもしれませんけれども、消費者の立場に立って声を上げていただきたいと思います。

 特に私、それは、消費者庁のホームページのつくり方を今回見せていただいて、ほかの省庁と随分違うなというのを痛感いたしました。

 つまり、トップをあけますと、普通ですと結構すぐ端の上の方に大臣のとかが書いてありまして、クリックすると大臣の御挨拶が入っていたり、また、結構すぐに、最初のページで見えるんですが、消費者庁は、東日本大震災があって、最初のトピックがあって、その次に、先ほど触れました、「ご注意ください!」という消費者に対しての注意喚起がしっかりとあって、その後、消費者庁が所管のことが書いてある。つまり、消費者の目線に立てば、大切なことからしっかり書いてくれているんです。

 その最後になって、実は、大臣とかいろいろ入っていまして、大臣の御挨拶というのも実際はなくて、この前の所信とかをそのままきちんと載せていただいているということでは、国会も大変大切にしていただいている消費者庁らしいホームページだなというふうに思います。(発言する者あり)

 いろいろな意見は委員の方にはあるかもしれませんけれども、この精神というのはぜひさらに増進をしていただきたいと思いますし、内閣の一員かもしれませんが、常に消費者の立場に、日本人の健康と命を守る、その立場に立っていただくことを訴えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 以上です。

吉川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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