衆議院

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第7号 平成25年5月23日(木曜日)

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平成二十五年五月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉川 貴盛君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 永岡 桂子君 理事 西川 京子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    小島 敏文君

      田畑  毅君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      比嘉奈津美君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    務台 俊介君

      生方 幸夫君    大西 健介君

      篠原  孝君    若井 康彦君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      浦野 靖人君    伊佐 進一君

      浜地 雅一君    三谷 英弘君

      穀田 恵二君    小宮山泰子君

    …………………………………

   参考人

   (一般財団法人食品産業センター理事長)      西藤 久三君

   参考人

   (主婦連合会会長)    山根 香織君

   参考人

   (日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進室室長)         鬼武 一夫君

   参考人

   (宮城県産業技術総合センター副所長)       池戸 重信君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 食品表示法案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

吉川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、食品表示法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、一般財団法人食品産業センター理事長西藤久三君、主婦連合会会長山根香織さん、日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進室室長鬼武一夫君、宮城県産業技術総合センター副所長池戸重信君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと存じます。

 本日は、大変御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず西藤参考人にお願いいたします。

西藤参考人 おはようございます。一般財団法人食品産業センターの西藤でございます。

 本日は、このような貴重な機会をお与えいただきまして、まずもって御礼を申し上げます。

 私の不注意で風邪を引いてしまったもので、ちょっとお聞き苦しい点はお許しをいただきたいと思います。

 食品産業センターは、食品製造業の業種の枠を超えた業種横断的な組織でございまして、業種別の食品団体や食品企業のほか、各県の食品産業協議会等を会員といたしております。事業といたしましては、お手元に御参考までに私どもの概要をお配りしておりますが、食品の品質管理や食品表示関係の情報提供を行うほか、食品業界の意見の取りまとめ等を行っているところでございます。

 本日は、食品事業者の立場から、今国会に提出されました食品表示法案について意見を述べたいと存じますが、その前に、食品業界の現状といいますか最近の状況につきまして、少しお話をさせていただきたいと存じます。

 食品は国民生活に一日も欠かせないものであり、安全な食品の安定供給は何よりも重要なことでございます。我が国の食品産業は、日々、国民に対して、安全で品質のよい多種多様な食品、特に加工食品の生産を通じて、国民生活の根幹である食料の安定供給に努めております。

 また、食品産業は全国各地に立地し、地場産業として地域の雇用に寄与するとともに、地域の特色ある農林水産物の活用等により、地域の活性化に寄与しているところでございます。御参考までにお手元に状況についてお配りしている資料がございますが、ごらんいただければ幸いでございます。

 御存じのように、食品産業は、製粉あるいは植物油脂、製糖のような素材型のものから、お菓子なりレトルト食品、冷凍食品や弁当、総菜など加工型のものまで、多種多様な業種から構成されておりますが、そのほとんどは中小・小規模事業者が占めており、その経営基盤は必ずしも強固なものとは言えない状況でございます。

 こうした食品産業を取り巻く最近の状況を見ますと、三つの大きな課題に直面しているというふうに思っております。

 一つは、これまで食品企業が専ら販売先としてきた国内市場が、今後、少子高齢化と人口減少により量的な拡大が見込めない一方、高齢者向けの食品等、ニーズの多様化が進行し、きめ細かな対応が求められているということでございます。

 二つ目は、我が国は、原料農産物の多くを海外に依存しておりますが、国際農産物価格は、近年、需要の拡大等から従前の二倍から三倍まで上昇し、高どまりをいたしております。あわせて、そういう状況の中で、従来に比べ、海外からの原料の調達に苦労することが多くなってきております。

 一方、長期にわたるデフレ進行によりまして、国内の食品の製品価格は長らく低迷しており、最近の円安傾向も加わって、原料高の製品安の状況に陥っております。このため、食品企業の経営は、今後一層厳しさを増すものと危惧されるところでございます。

 三点目は、食品の安全性の確保という面につきましても、一昨年三月の原子力発電所の事故により、放射能汚染の問題が加わり、いわゆるゼロリスクを求める消費者の皆さんの声が強まり、その対応に苦心しているという状況でございます。

 こうした状況の中で、政府におかれましては、長年の懸案であった食品表示の一元化を実現するため、食品表示一元化検討会による一年間の検討を経て、昨年八月に報告書が取りまとめられ、今般、食品表示法案として国会に提出されました。この間の御労苦、御努力に対して敬意を表するものでございます。

 ただ、法案には、検討会では全く検討されなかった事項、適格消費者団体による差しとめ請求や、ほとんど議論されなかった事項、酒類を追加することが盛り込まれておりますので、施行に当たっては、経緯を含めて関係者の理解を求める取り組みをお願いいたします。

 さて、食品の表示につきましては、御承知のように、現行の制度のもとでは、複数の法律及びこれに基づく政省令や告示、加えて、多くの通達やQアンドAがかかわっていることから、消費者の皆様にとってわかりにくいだけではなくて、食品の製造現場で食品の製造に日々当たる食品事業者にとりましても、ルールに適合した表示を行うために多大の労力を費やさざるを得ない状況に置かれております。

 このため、食品表示の一元化が実現すれば、消費者の皆さん方の食品表示に関する適切な理解を増進するのみならず、食品事業者にとりましても、食品表示を遵守するコストを大いに削減することが期待されております。

 食品表示法案の内容を見ますと、食品衛生法、JAS法、健康増進法の食品の表示に関する規定を統合し、整理したということが基本になっておりまして、具体的な食品表示の項目や表示の方法については、食品表示法案第四条に基づいて、内閣府令として策定される食品表示基準の中で明らかにされることになっております。

 本法案は、国会で成立して公布された後、二年以内に施行されると定められておりますが、二十七年中にも施行されるものと考えられますけれども、今後、食品表示基準の検討に当たっては、食品業界の意見につきましても十分耳を傾けていただきたいと存じております。

 その際、さきに御説明しましたように、食品業界が多種多様な業種から構成され、そのほとんどが中小・小規模事業者であるという実態に十分御配慮いただき、できる限りわかりやすく実行可能な食品表示基準をお示しいただきたいと考えております。

 さて、食品表示をめぐりましては、食品表示の一元化のほかに、加工食品の原料原産地表示のあり方、遺伝子組み換え表示や食品添加物表示の取り扱い、インターネットで販売される食品の表示のあり方などさまざまな課題があり、今後検討されることと思います。

 本日は、時間の関係もありまして、個々の問題については意見を述べることは差し控えさせていただきますが、食品表示のあり方を検討するに当たってぜひとも御配慮いただきたい事項を三点に絞ってお話を申し上げます。

 まず一点は、食品表示は、消費者にとってわかりやすいものでなければならず、消費者の誤認を招くものであってはならないということでございます。

 高齢化と世帯人員の小型化が進み、高齢単身世帯の急増する中、多くの原料を用いて製造される調理済み食品の割合が高まるとともに、食品の小型化の進展、食品の包装容器の面積も従前よりは狭くなる傾向にあります。

 一方、近年、IT技術を利用した情報通信技術の発展は目をみはるものがあり、多くの情報を食品企業のホームページ等によって提供することが可能になっているほか、消費者のさまざまなお問い合わせに応える食品企業のお客様相談室の機能も、年々拡充してきております。

 また、消費者庁が一昨年十二月に実施されました消費者の意向調査によりますと、食品表示をわかりやすくするためには、「表示項目を絞り、文字を大きくする」との回答が七割を超えており、「小さい文字でも多くの情報を載せる」との回答の二七%を大幅に上回っている状況にございます。

 食品表示のうち最も重要な事項は、検討委員会でも指摘されておりますが、消費者が実際にその食品を摂取する段階での食品の安全性にかかわるものでございます。

 このため、食品の名称や原材料、内容量等の基本的事項に加え、期限表示や保存方法、アレルギー表示等は食品の包装容器そのものに記載しなければならないものでありますが、お話ししましたように、高齢者単身世帯の増加や情報技術の急速な進展等を踏まえれば、食品の容器包装に表示しなければならない事項は食品安全に係る情報を最優先し、その他の事項は実態に即して見直すことが望ましいと考えております。

 したがって、食品の安全性に直接関係しない表示、例えば、加工食品の原料原産地表示等につきましては、容器包装における一律的、義務的な表示ではなく、これを知りたい消費者、関心のある消費者に対しては、食品企業のホームページやお客様相談、さらには商品情報提供等で対応する自主的な取り組みを助長することが望ましいと考えております。

 第二に、事業者の実行可能性に十分配慮し、食品表示を遵守するコストの増加を招かないようにしていただきたいということでございます。

 既に申し上げましたが、食品企業の多くは中小・小規模事業者であり、必ずしも経営基盤は強固なものではありません。このため、食品表示のルールを遵守するために割くことができる人員も限られており、きめ細かなルールを定められても、これを実行することには多大の努力を要します。

 例えば、栄養表示につきましては、公的なデータベースの整備等、小規模事業者の実行可能性を担保する支援措置が不可欠であります。

 また、輸入原料に依存する企業も多々あり、昨今の状況の中で、原料の需給、価格の動向いかんによっては輸入先が頻繁に変更されるほか、原材料に関する詳細な情報を入手できないケースもあり、こうした事情も御理解いただきたいとお願い申し上げます。

 なお、食品表示法の執行体制につきましては、農林水産省の機関である地域センターや都道府県の保健所が指導監督されると思いますが、表示ルールに関する食品企業からの問い合わせ等に対して、一元的に対応できる体制を早急に整備していただきたいと思います。

 最後になりますが、三点目は、国際基準、とりわけコーデックスで定められたルールとの整合性を重視していただきたいということでございます。

 御存じのように、コーデックス委員会は、消費者の健康保護や、食品の公正な貿易確保を目的として、一九六〇年代にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格や食品表示のルールの策定等を行っております。農産物、食品の国際的な交易が拡大し、海外需要を取り込んでいくことが、今後の我が国食品産業の成長戦略にとって欠かせない状況でございます。

 このためには、食品の表示ルールを定めるに当たりましても、国際基準との整合性を欠いた検討は我が国の食品産業の発展を阻害するおそれがあり、我が国でしか通用しないルールは極力避ける必要があります。

 国際基準との関係で、例えば、加工食品の原料原産地表示につきましては、コーデックスでは要求されておらず、現在、原料原産地表示の義務化の対象になっている加工食品についても、国産の加工食品のみが義務化の対象になっており、輸入された加工食品は対象外となっております。

 このため、国産品の競争条件に影響を与えかねず、国内の生産工場の海外移転や国内産業の空洞化につながりかねず、ひいては国内農産物の販路の喪失等を引き起こしかねないと危惧されております。

 加えて、加工食品の原料原産地表示は食品の安全性を示すものではないにもかかわらず、消費者庁による先ほど申しました調査によれば、消費者の多く、回答者の六一%は、原料原産地表示は安全性を確認するためと回答されております。

 食品の安全性について消費者を誤認させ、福島県産や中国産の忌避を招き、風評被害を助長するなど多くの問題があると考えられますので、食品表示とあわせて消費者への情報提供の充実が求められます。

 以上、三点にわたりお話ししましたが、いずれにしましても、食品表示のあり方について検討する場合には、丹念に実態を調査し把握するとともに、長年にわたって積み上げてきた食品表示をめぐるさまざまな議論の経過、背景を十分踏まえた上で審議をお願いしたいと思います。

 少し長くなりました。ありがとうございました。(拍手)

吉川委員長 ありがとうございました。

 次に、山根参考人にお願いいたします。

山根参考人 主婦連合会の山根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。食品表示法案の成立を強く望んでおります。

 消費者の商品選択に資する適正な食品表示を求めることは、六十五年前の主婦連合会発足のときから運動の柱の一つです。それは、偽装表示、不適切表示を追放して、食の安全を守るために頑張ってきた歴史でございます。表示は、輸入の増加、産地の多様化、加工食品の増加など社会の動向と必要性に対応する形で変化をしてきまして、長い議論の積み重ねのもとに現在のルールができています。産地、原材料、添加物、遺伝子組み換え、アレルギー、栄養成分の表示等々が整備をされてきました。消費者が適切に選択できるように改善をし、充実させることが求められています。

 表示の目的は、商品選択に役立つこと、安全の確保、正確で誤認を生じさせないことと考えています。表示はなぜ必要かを考えれば明確ですけれども、消費者は表示によってその食品がどういうものかを知って、自分の望むものか、購入に適したものかを判断します。うそ偽りがなく、誤認、誤解を招かない、選択に必要な情報を得ることができる、そうした表示が消費者の権利として整備をされることが何より一元化で求められて、消費者庁の発足でやっと実現する一元化の根本のところだと思っています。

 今回閣議決定された法案に、消費者の権利の尊重が明記されたこと、また、栄養成分表示の原則義務化や適格消費者団体による差しとめ請求権等が盛り込まれて、また、主婦連が主張してきた、お酒に関する表示も対象となったことをとても評価しております。

 一元化検討会では、加工食品の原料原産地表示の拡大や遺伝子組み換え表示、食品添加物表示等の見直しについても方向性が取りまとめられることが期待をされましたけれども、まず三法の表示部分を統合するということで、個別の議論は法案成立後に開始することとされました。今後のそれらの検討が、消費者の権利の尊重という視点で的確に進められることを望んでおります。

 原料原産地表示は、新法に基づいた、拡大のための新しいルールづくり、消費者に誤認を与えない産地表示のあり方について議論が必要だと思います。

 遺伝子組み換え表示は、日本は義務対象の食品が少ない上、不分別といったような表現などが適切ではなく、組み換えが使用されているのかいないのかわからないため、対象食品と表示方法、また、意図せざる混入率についての改善、検討が急がれます。

 食品添加物表示では、一括名、簡略名などの見直しが求められます。一括名表記では、実際には幾つもの添加物が使われていても、その内容がわかりません。何がどう使用されているかがわかる表示が重要であり、物質名を明記することはアレルギー患者にとっても必要な表示の充実につながることから、改善が求められると思います。

 こうした検討が、海外の進んだ事例を参考にしながら、消費者を代表する委員と情報開示を積極的に実践している事業者により、速やかに開始されることを求めたいと思います。

 課題はまだまだございまして、例えば無添加を強調、アピールする製品が多くありますけれども、何が添加されていないのか、それをもって品質がよいと言えるのか等々、全く正しい情報が伝わらず、これもすぐにでも改善すべき問題です。

 また、商品に描かれた図柄や写真、商品名にも、産地や入っているものやその量などを誤認させるものが多くありまして、一元化に合わせて検討を進めてほしいことです。

 お酒は、今、さまざまなタイプの低アルコール飲料等、実にたくさんの商品が開発をされて販売されています。清涼飲料との境も曖昧になっておりまして、誤飲などの問題もありますし、一元化で、食品として統一した表示ルールで整備されることを期待しています。

 一元化検討会では、今後、表示の文字を大きくすることを検討するとされました。見やすくするための工夫、また表示スペースの少ない小さな商品への配慮などは必要ですけれども、文字を大きくすることで現行の表示事項を削減するということは避けるべきです。義務表示の経緯、必要性、ニーズが重視されること、そして、表示の充実、情報開示は国際的な動向でもあり、逆行する安易な簡素化には反対です。

 次に、執行体制についてですが、一元化の目的を果たすためには、執行体制も一元化をし、強化させることが必要です。厚労省の食品衛生監視員、農水省の食品Gメン、お酒は財務省の地方機関、そして、消費者庁に新しく設置される部署等あると思いますが、それらを合体、強化させて、総動員で執行に当たっていただきたい。違反表示であることを確認する検査・研究機関、自治体などとの連携も重要です。

 なぜ悪質な偽装表示や違反行為がなくならないのか。消費者はもちろん事業者も、違反表示を繰り返すような悪質な事業者に多大なる被害、迷惑をこうむっているわけですので、食の信頼向上、公正な競争のために厳しい監視、執行を求めます。

 そして、これから表示基準の策定が進められるわけですが、その表示禁止事項には、虚偽、誇大広告の禁止も盛り込むべきです。表示で禁止されることは当然広告でも禁止されるべきでありまして、誇大広告が消費者へ不利益を与えないよう、広告にも十分な対応をするための整備をしていただきたいと思っています。

 次に、輸入食品のいわゆる水際の表示の監視体制についてですが、とても弱く、十分でないというふうに聞きます。体制を強化し、検疫所でしっかり監視、指導がなされるよう、必要な措置を講じていただきたいと思います。

 最後に、食品事業者に今求められるのは、情報を消費者に開示するという基本姿勢であって、それを支えるためにトレーサビリティーの充実が求められると思います。消費者の権利に応えてどう表示させるのがよいか、それを今後の議論のベースにも置く必要があります。零細事業者への配慮は必要ですけれども、事業者も、安全でおいしい、自信を持ってつくっている商品を、もっとよく表示を見て、どんなものかを知って買ってほしいと思っているはずです。

 消費者教育推進のための法律もできて、消費者市民社会の構築が目指されている今、自分の食べるものがどこでどうつくられて、何が入っているかを正しく知って選択する消費者になるために、表示、情報提供の充実は不可欠です。よりよい表示が実現することを期待しています。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

吉川委員長 ありがとうございました。

 次に、鬼武参考人にお願いいたします。

鬼武参考人 おはようございます。御指名を賜りました、日本生活協同組合連合会の鬼武一夫でございます。

 この間、消費者庁の健康食品の表示に関する検討会、栄養成分表示検討会、並びに食品表示一元化検討会の委員を務め、現在は消費者委員会の食品表示部会の委員を担っております。

 お手元に私の名前の入りました資料がございますので、それをごらんになりながらお聞きいただければと思います。私の方は、具体的なお話を少しさせていただければというふうに考えております。

 初めに、生活協同組合は、食品の品質、安全性にかかわる問題について、世界の生協、ヨーロッパの生協との交流を通じて取り組んでまいりました。とりわけ、消費者の関心の高いテーマの一つである食品表示に関しては、消費者に特化した組織であることに加え、グローバルな視点から重点的に議論を行ってきました。

 また、日本生協連は、国際協同組合同盟が一九九五年にコーデックス委員会からオブザーバーの地位を与えられて以降、国際協同組合同盟、ICAのメンバーとして、コーデックス委員会食品表示部会の会議を含め、さまざまな会議に参画してまいりました。

 今回、EUにおける食品表示に関する法令の状況及び国際規格であります、コーデックス委員会が採択しております食品表示に関する規格を参照し、日本における新しい食品表示法案について、六項目の提言を行いたいと思っております。

 一点目。リスク分析の枠組みに沿って、リスクアセスメント機関である食品安全委員会の役割を明示してください。

 その理由は、食品を摂取する際の安全性の確保については表示が重要な役割を果たすために、安全性に関連する表示事項に関して科学的な評価がなされるべきです。このことから、食品安全委員会との関係を明示すべきであると考えます。

 例えば、昨今課題となっております、食品中の、アレルギーを誘発するおそれのある物質や公衆衛生上に影響を及ぼす可能性のある特定の栄養成分などがこれに該当するものです。

 現在、我が国における食品安全性を確保する上で、あらかじめリスクを管理し、食品を消費するまでの適切な措置を講じるべきであるという考え方は、国際的な共通認識となっております。食品表示はリスクマネジメント措置として重要な役割を果たしており、そのリスクマネジメント措置のベースはいわゆる科学的なリスクアセスメントであり、このリスクアセスメントを担っているのが食品安全委員会であるからです。

 二点目。食品の安全に関する事項として、アレルゲンを挿入すべきであるというふうに考えます。

 食品の安全性に関する項目としては、アレルギーを誘発する物質が国内的にも国際的にも注目をされております。

 現行の法のもとでも、義務づけや推奨されておりますアレルゲン項目はあるわけですが、EUのように、これを法律の上で明示すべきであると思います。それが第四条第一項第一号に係る部分でございます。

 三点目。消費期限、定義としましては「食品を摂取する際の安全性の判断に資する期限をいう。」は修正されるべきであり、さらに、消費期限は日付表示に置きかえられるべきだと考えております。

 その理由は、現行の食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令において、消費期限とは、「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」と定義されております。

 今回、食品表示法第四条第一項における消費期限は、食品衛生法施行規則の定義とは明らかに異なっております。本法第四条の定義はどのような検討に基づいて策定されたのか、また両方の定義は今後どのように使い分けるのか、議論が必要となると思います。

 なお、新しい定義であります食品表示の言葉の中で、判断という言葉は、恣意的な、または個人によって大きく変わり得る基準に基づく言葉であるため、ここでは、安全性の決定に資する期限というふうに置きかえられるべきだと思います。

 さらに、先ほどから、ほかの委員からも出されておりますが、食品表示は、消費期限だけではなく日付表示とすべきであると思います。日付表示には、消費期限、賞味期限及び酒税法に基づく製造年月が存在することが表示法の上でも書かれるべきだというふうに思っております。

 四点目。食品衛生法第二十四条における食品衛生監視指導計画と同じように、日常的な食品表示の監視体制も極めて重要であるということでございます。

 五点目。適格消費者団体が食品関連事業者に差しとめ請求を認める場合は、食品表示基準に違反の立証を義務づけられていますが、適格消費者団体自身による立証は可能であろうかという点がまだ残されていると思います。

 なお、第八条に書かれております立入検査等では、内閣総理大臣が必要であると認めた場合が適用されておりますが、食品表示基準に違反が実証されることは前提となっておりません。この点は矛盾があるというふうに理解しております。

 六点目。栄養表示基準の一部改正でございます。

 この間、この特別会議の中でも、栄養表示の重要性について委員の方からも意見が出されているかと思います。ただし、今、栄養表示基準の一部改正の中で、ただし書きを記載することで、正確でない値の表示をもって誤った情報を伝えてもよいことを正式に認め、消費者を混乱させ、かつ誤認させることになると思います。

 栄養表示は、WHO、世界保健機構が提案している、いわゆる非感染性疾患の予防の観点から、栄養バランスが重要であり、そのことに対しても、栄養表示が、ラベル表示として正確な値がきちんと書かれることが基本であるというふうに考えております。そのため、今の改正案については、国際的に見ても、極めて希有な、問題である規定だというふうに考えております。

 以上、駆け足になりましたが、六点、法案の中についての具体的な問題点を提起させていただきました。

 委員長、御清聴ありがとうございました。(拍手)

吉川委員長 ありがとうございました。

 次に、池戸参考人にお願いいたします。

池戸参考人 宮城県の産業技術総合センターの池戸でございます。昨年までは宮城大学というところにおりましたが、震災復興のために、今、かけ持ちをして仕事をさせていただいています。

 私の方からは、消費者庁の食品表示一元化検討会座長を務めさせていただいたという立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

 申し上げるまでもございませんが、食品は、人間が生きていくためにも、また、日々健全な生活を営む上でも必要不可欠なものです。こうした中、食品の表示は、消費者の権利として位置づけられている安全の確保とか、自主的かつ合理的な選択の機会の確保などを図る上で、重要な役割を果たしているものです。

 特に、一般に、消費者と事業者で保有する情報の質と量の格差がある中で、供給サイドから消費者へ情報を提供することによりまして、消費者がみずから求める食品を適切に選択、利用できるようにしていく上でも、表示は重要な情報媒体の一つと言えます。こうした中、食品表示に関する制度につきましても、社会の変化等に応じて、常によりよいものに見直していくことが求められています。

 食品表示一元化検討会では、以上のような状況を踏まえまして、一元化に当たってあらかじめ決めておくべき食品表示制度の基本的な考え方、及び、食品表示の一元化の機会に、より多くの消費者が実際に商品を選ぶ際に役に立つわかりやすい食品表示の実現を目指すための検討事項につきまして、十六名の委員により、十二回にわたり検討を重ねてまいりました。毎回、予定の時間を延長しての大変熱心な議論を重ねて、報告書として取りまとめた次第でございます。

 以下、今回の法案及び今後制定される基準等に関連した内容につきまして、検討会での主な検討結果を踏まえた意見を述べさせていただきたいと思います。

 初めに、目的、基本理念に関してですが、消費者基本法における基本理念を踏まえまして、消費者の自立を図る上でも特に表示の機能は重要であり、中でも食品につきましては、生命身体を維持するため、そして健全な生活を送るためにも欠くことのできないものであるという観点から、検討会におきましては、新たな法律の目的の定め方として、まずは、食品の安全性確保に係る情報が消費者に確実に提供されることを最優先し、それとあわせて、消費者の商品選択上の判断に影響を及ぼす重要な情報が提供されることと位置づけることが適当であるとしたところでございます。

 もちろん、この目的の前提としては、消費者基本法の基本理念である消費者の権利の尊重及び消費者の自立の支援という考え方があり、こうした基本法の理念と食品表示の役割についても、検討会において明確にされたところでございます。

 次に、情報の重要性の整序の観点です。

 どういう情報を表示としてどのようにわかりやすく伝えるかという点では、消費者庁のウエブアンケート調査結果なども参考にしながら検討しました。

 情報の重要性は、消費者によっても、また食品によっても異なり、そして、商品に表示されている事項の全てを見ている消費者は必ずしも多くないということを踏まえれば、できる限り多くの情報を表示させることを基本に検討を行うよりも、より重要な情報がより確実に消費者に伝わるようにすることを基本に検討を行うことが適当と考えられ、そして、この場合、行政が積極的に介入すべき情報のうち、アレルギー表示や消費期限、保存方法など、食品の安全性確保に関する情報が確実に伝えられるべき情報として位置づけられるべきとしたところでございます。

 次に、わかりやすい表示についてです。

 食品表示を利用する主体はあくまでも消費者であり、表示及び表示の制度もわかりやすくする必要があります。

 これまでの制度は、目的等が異なる複数の個別の法律に基づいていましたが、一元化されること自体で、用語の定義の統一やルールの整理がなされ、わかりやすい制度になると期待されます。

 一方、ウエブ調査結果において、ほとんどの表示事項で「文字が小さいため分かりにくい」との回答が最も多く、特に、今後高齢化が進展する中で、文字を大きくすることの必要性は高いと考えられます。また、文字の大きさのみならず、確認のしやすさ、要するに、文字にコントラストをつけるとか、こういったいろいろな工夫も重要かと思われます。

 次に、義務表示事項についてです。

 表示を義務づける事項の検討に当たって、食品の安全性確保にかかわる事項を優先的に検討する必要があるということは、さきに述べたとおりです。一方、食品の安全性確保にかかわらない事項について表示の義務づけを検討するに当たっては、個々の消費者にとっての重要性は消費者によって異なることを留意すべきです。

 表示するためのコストや供給の制約による消費者の利便性への影響等も踏まえ、消費者にとってどのような情報が真に必要な情報であるか否かをよく検証することが必要であり、また、表示を義務づける以上、基本的に、規模の大小を問わず全ての事業者が実行可能なものであるかどうか、また、表示内容が正しいか事後的に検証可能なものであるかどうかの検討も必要であります。

 このため、消費者への情報提供を充実させていく上で、商品への表示がよいのか、むしろ、代替的な手段によって商品に関する情報提供を充実させた方がよいのか、事業者の実行可能性に影響を及ぼすような供給コストの増加があるのか、さらに、監視コストなど、社会コストといったものも含めて総合的に勘案した上で、消費者にとってのメリットとデメリットをバランスさせていくことが重要だということでまとめております。

 次に、事業者による自主的取り組みの促進です。

 義務表示項目としない任意表示事項につきましても、ガイドラインの整備等により、事業者の自主的な情報提供の取り組みを充実させることが、消費者と事業者の信頼関係を構築する上でも非常に重要であると考えられます。

 また、消費者への普及啓発の充実ももちろん重要でございます。

 消費者みずからが表示に対する知識を高めていくとともに、情報の中から自身が必要なものを取捨選択し、適切な商品選択ができるようにしていくことも重要で、そのためには、行政として、食品表示制度や食品に関するもろもろの情報に関する普及啓発を充実させていくことが必要です。

 次に、新たな食品表示制度における栄養表示についてです。

 健康、栄養政策に関連して、栄養表示は、健全な食生活の実現に向けて、個人の行動に変化を促すための環境づくりの一環として重要な役割を果たすことが期待されます。このような健康、栄養政策の重要性、さらにはコーデックス委員会における義務化に関する検討や諸外国の実態等国際的動向も踏まえ、検討会としては、新法の施行後おおむね五年以内を目指しつつ、環境整備の状況を踏まえつつ導入時期を決定するのが適当としています。

 ここで言う環境整備とは、現行制度における新たな表示方法の導入、事業者への働きかけ、それから消費者等への普及啓発の推進や認識醸成の環境づくり、それから公的なデータベースの整備などです。また、零細な事業者に過度の負担がかかるようであれば、適用除外とすることが適当としています。

 その他、検討会で残された課題ですが、中食、外食におけるアレルギー物質の表示やインターネット販売の表示、加工食品の原料原産地表示、さらには、パブリックコメントで多くの意見が寄せられた遺伝子組み換え表示など、時間的制約のため検討し切れなかったり、合意に達しなかった事項も幾つかあります。これらはいずれも重要な課題であるため、別途、専門家等により慎重な検討が必要と判断されます。

 以上、検討会の検討内容を踏まえた意見を述べさせていただきました。

 今回の法案に規定されている目的、基本理念、表示基準等の内容につきましては、基本的には一元化検討会での検討結果を踏まえたものとなっており、評価される内容となっていると思います。今後、具体的な基準づくり等に当たりましても、検討会の報告や検討経緯等を十分踏まえたものとなりますことを願っています。

 食品表示は、消費者が健全な食生活を送る上で必要不可欠な情報伝達媒体であり、消費者が表示を通して食品に関する知識や理解を深める役割も担うとともに、供給サイドとの信頼のきずなでもあります。新たな法律のもとで、実効ある運用がなされることにより、両者間の信頼関係が一層強まり、また国際的にも高く評価される食品表示制度をつくっていただきたいことを切にお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

吉川委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

吉川委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子さん。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 きょうは、参考人の皆様方には、お忙しい中、貴重な意見を伺わせていただきまして、ありがとうございます。また、今まで食品衛生法、JAS法、健康増進法に分かれていたこの制度というものを、また省庁も違う中を、一元化するということでの、さまざまな御意見や取り組みの御労苦に心から感謝を申し上げたいと思います。また、一元化をされていく中で、その思いというものが、多くの消費者そして事業者ともに、さらに使いいいもの、そして安全な食品が日本においてつくられていくこと、そのことを願ってやまないものでございます。

 まず最初に、座長であります池戸参考人におきましては、本当に大変な御苦労があったかと思います。また、先ほど意見の中にございましたけれども、残された案件、中食、外食の問題や、そして多くの方が思っている遺伝子組み換えの問題など、これも専門家によりましてさらに慎重に検討を加えていただきたいというようなお話もありました。私自身も、その点は同意をいたします。

 今回のこの一元化に際しましては、やはり何といっても、消費者が選ぶことができる、そういう意味では、一元化されたからこその一番のメリットは消費者にあってほしいという思いもございます。

 そこで、まず池戸参考人に伺いますけれども、食品表示制度や食品に関する諸々の情報に関する普及啓発というものを重要視しておりますが、どのような方向で取り組んだらよいか、その点に御意見がございましたらお聞かせください。

池戸参考人 御質問ありがとうございます。

 今委員がおっしゃられた、全くそのとおりでございます。

 表示そのものは、利用主体はあくまでも消費者でございます。消費者が、その表示を見て、理解して、それを活用するというところまで持っていって初めて、生きた制度になるかと思います。その点では、これはいろいろな言い方があるんですが、食育の一環として、いろいろな省庁の連携のもとで普及啓発をしていくということが極めて重要かと思っております。

 あと、個別の、栄養表示とかそういうのは、また機会がございましたらお話をさせていただきたいと思います。

小宮山委員 続きまして、本日、西藤参考人からいただきました資料、「食品産業の位置付け・現状」という中を見ますと、食品製造業だけで三十・一兆円規模、加工品などは三十九・一兆円、また外食産業は二十兆円という、大変大きな産業であるということがわかります。

 やはりこれだけ、私たちの生活や、また日常にも食品の表示というものは影響してくるんだというふうに、いただいた資料を見まして大変考えさせられるものもありますし、また、この表示というのは推進するものであってほしいという思いもあります。

 そこで、先ほど意見の中にございましたけれども、事業者への配慮。これは確かに、過度にしてしまえば、中小零細や、その土地土地だけで頑張っている、そして、それでこそ地域の経済に寄与しているような事業者に対しては、さまざまな配慮が必要かとも思います。この点に関して、どのようなことが考えられるのか。

 表示から少し離れるかもしれませんけれども、意見がございましたらお聞かせいただければと思います。

西藤参考人 資料をごらんいただきましたように、食品産業といいますか食品製造業、一年間の我が国での飲食料支出は大体七十四兆円程度でございますが、農産物、野菜、あるいはお米を含めて、いわゆる生鮮品として家庭に入る割合は、十四兆円程度、二割弱でございます。その他は、加工食品、外食を通じて消費者に入っていく。

 また、資料の最後にも整理させていただきましたが、食品製造業の特徴というのは、全国で食品製造業が存在しない地域はございませんし、それは地域の農産物を原料としているということにも由来いたしますが、あわせて、非常に小規模事業者の割合が高いという状況だと思います。

 それで、事業者への配慮という点では、先ほども、例えば、栄養表示におけるデータベースというような形で申し上げましたが、実行しやすい枠組みをそれぞれのところでどうしていただくか。取り締まりの法律という面もあるわけですけれども、事業者みずからが消費者との信頼ということで、実行しやすい枠組みをどういうふうに整備していただくかということが基本だというふうに感じております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 私自身も、恐らく、これから伸びる地方の味というものもあるかと思いますが、しかし、大きなところはやはり表示をしていただきたい。大量生産をするようなところというのは、きちんとした表示をする、もしくはその内容物がきちんと消費者がわかるというようなことは、やはり義務づけの方向でしていただきたいと思います。

 例えば、クーラーであったり窓の断熱材とか、そういったようなものに関しては、経産省を中心にトップランナー制度というのがございます。こういう中においては、上位の大手、生産量にこの場合はなるのかもしれませんが、そういったところに関しては、きちんとした表示がされるとか開示が義務づけられるとか、規模によっての違いというのもあり得るのかなということを、きょうの皆様のお話を聞きながら感じているところでもございます。

 こういった点に関しましても、ぜひ、最初は表示義務の要らない小さなところかもしれませんけれども、もしかするといずれは世界に羽ばたいて、原材料等がきちんと全て開示されるような大きな会社も出てくるかもしれません。そういったことも期待をしつつ、この部分に関してはこれからさらなる検討を加えていただきたいなということを、皆様のお話を聞きながら感じたものでございます。

 特に、今回お話を聞きまして、やはり違いがあるというのは、コーデックス委員会の基準の関係かと思います。

 日本での食品表示と諸外国の動向によると、特に原料原産地はコーデックス委員会では表示すべき項目に入っておりません。栄養成分表示についても、日本では義務づけてはいないが、コーデックス委員会では義務化の方向であったり、そういったことにおいて、消費者としましては、これだけ輸入食材等が入っている中で、また、先ほど参考人からもありましたが、今後、世界に出るということにおいては、この整合性というのは大変重要かと思います。

 できることなら、やはり日本の基準というものが世界に通用するほどになって、この食品表示法の一元化をきっかけに、ある意味信用性が出るような制度になるといいなと思いますので、その点では、遺伝子組み換え表示、これは私は、やはり世界標準になる、そういう表示につながればと思っているところでもあります。

 また、産地偽装につきましても、日本の場合、生鮮食品ではありますけれども、一番の水揚げ漁港は成田空港だと言われるようなこともございます。どこから来たのかということは、やはり消費者の食べる、特に日本人は四季を大切にし、そういう中で食文化を育んできた。鮮度の高いものであったり、由来等、そういったものを大切にする文化もございます。その中で、産地表示というのは必要かと思いますし、また、原産地表示というものは、やはり私自身もあった方が参考になるなと思います。

 これも生鮮品で申しわけないんですけれども、あるとき、グリーンピースを冷凍食品で買いましたら、ふだん買っているのと違う産地でございました。正直、これで表示義務等がなければ、それは国ですのでありますが、二度と買いたくないというようなグリーンピースでございました。できれば前に買っていたのを引き続き買いたいなと思うような判断基準も、そういう意味では、消費者の側としましては、表示がされることによって自分で選択をできるというふうに思います。

 この点に関して御意見がございましたら、ぜひ鬼武参考人また山根参考人から御意見を重ねてお聞かせいただければと思います。

鬼武参考人 少し意見を述べさせていただきます。

 私どもは国際的コーデックス委員会に参画しておりまして、そこでの議論の経過を含めて、少しコメントさせていただければと思います。

 お手元の参考資料の四をごらんいただけますでしょうか。これは国内外の食品の制度の中における義務表示の可否でございます。

 例えば、名称、原材料名等につきましては、日本、国際規格でありますコーデックス委員会、EU、米国、韓国を初め、名称については全て記載されることになっております。

 この中で少し注目していただきたいのは、この間議論となっております原料原産地の表示、それから遺伝子組み換えの表示でございます。これは、国際機関の中でも非常に長い間議論されてきておりますが、最終的には合意が得られていない事項であります。日本におきましても、加工食品における農林水産省時代からの検討会並びに食品表示一元化検討会の中でも多くの時間を割いてきたものでございます。

 原料原産地について少しお話をさせていただきますと、原料原産地表示は、そもそもは、生鮮食品は品質に差異があるということで、生鮮に近いものが対象ということについては、国際的にも理解できるものと思っております。先ほど小宮山委員の方から御質問がありましたグリーンピースも、冷凍になっておりますが、ほぼ生鮮に近いものでございます。

 他方、いわゆるパンでありますとか、今義務化されていない加工食品というものは、あらゆる食材が混和されてつくられたものです。それに原料原産地表示をつけること自体が事業者にとっても困難性があるという視点から、少しまだ無理な点があると思います。そういう点では、事業者による努力が最初に必要だというふうに考えております。

 以上でございます。

山根参考人 日本の食品表示法が新しくできるわけでして、この新しい食品表示法が世界に誇るものになるためにも、海外の進んだ取り組みをぜひ積極的に参考にして取り入れて、今後の個別議論にも生かしていただきたいというふうに思っています。

 遺伝子組み換え食品表示にしても、改善、拡大、充実が求められますし、EU等の進んだ取り組みをぜひ取り入れていただきたいと強く願っております。原料原産地表示の拡大につきましても、韓国ではほとんど全ての食品に義務づけが進んでおります。コストも大してかかっていないという調査結果も出ております。そういった事例もぜひ参考にして、今後の検討に生かしていただきたいというふうに思っています。

小宮山委員 ありがとうございます。

 私自身は、やはりなるべく情報はあった方がいいんだと思います。アレルギー物質についても、それぞれ、メジャーなところはわかるんですけれども、それ以外に反応する方もいらっしゃるということを考えると、また、油脂に関しても、植物性由来とか書いてありますが、これも実際に何が使われているかわからないということも多々あると思っております。

 そういう中では、消費者教育というものも大変重要だと思っております。高齢者の方も知っていただかなきゃならないんですけれども、やはり子供のうちから、エネルギー、栄養素、そういったものを、教育というものを重視する日本であることで、本当に消費者が表示を見て自分で判断ができるというところにまで持っていかなければいけないと考えております。

 そこで、時間があれなんですけれども、皆様方に、一言ずつで構いません、消費者教育というもの、エネルギー、栄養素の表示について、何歳ぐらいから、どういった形で、義務教育の中でちゃんとプログラムを持つべきなのか、簡単にお聞かせいただければと思います。

池戸参考人 今のお話で、私どもの大学でもいろいろと卒論なんかでやらせていまして、私自身としては、子供さんが買い物に自分で行けるような年齢、しかも、早い時期にお母さんと一緒にそういうことを学ぶ、見方なり活用の仕方、そういうのが有効かなというふうに考えております。

鬼武参考人 栄養表示に関する教育でございますが、私も、小学校時代に、学校給食で、給食が始まる前にまず献立表が出て、そこで栄養表示を学んだ記憶がございます。そういう面では、小学校の時代から栄養表示を行うということが重要かと思います。

 それと、さらに、アメリカでは、肥満ということで、かなりの形で栄養表示はされておりますが、実際に使えないということになっています。その点からしますと、アメリカでは、いわゆるフロント・オブ・パッケージということで、前面に栄養表示をわかりやすく表示して、それを選んでもらうということも今検討されているというふうに聞いております。そういう視点も、今後、日本の中で検討していく必要があるというふうに理解しております。

 以上でございます。

山根参考人 消費者教育は、家庭においても、学校でも、あといろいろな地域においても、幅広くなされることが重要だと思っています。自分の食べているもののもとの形であるとか産地であるとか、そういったものに思いをはせて、いろいろ考えながら食べられるように、いろいろなところで進めていただければというふうに思います。

西藤参考人 なかなか難しいんですが、それぞれが食に関心を持つようにしていくことが基本なんじゃないかと思います。関心を持つときに合わせて対応していく。

 そういう点で、例えば放射性物質の問題について、消費者庁では、大変体系的に情報提供とあわせて取り組みを強化していただいております。そういう取り組みは各層に対してやっていただくということではないかと思っております。

小宮山委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。いい消費者がいい製品を選び、それがすばらしい生産者を生むんだという思いで、これからも皆様の御意見を生かしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、務台俊介君。

務台委員 ありがとうございます。自由民主党、長野二区選出の務台俊介と申します。

 きょうは、四人の参考人の皆様、本当に貴重な話を伺って、勉強になりました。

 西藤さんは食品産業の立場から、それから山根参考人は消費者の立場から、それから鬼武さんは流通の立場から、それから池戸先生は学識経験者として、バランスのとれたお話を伺えたと思います。

 その中で、聞いていてなるほどと思ったのは、西藤さんは、やはり食品産業の面から、コスト、負担ということが大いなる懸念事項だというお話でございます。一方で、主婦連の山根様は、できるだけ多くの情報が消費者に的確に伝わるという、一種の価値観の相違でしょうか、そんなお話があったと思うんです。その中で、鬼武さんの方からは、コーデックス委員会の中の議論に参画されているという立場から、国際的なバランスというお話を伺えたんですが、日本の食品表示のあり方というのが、一体全体、国際的な議論の中で、分野によって違うんでしょうけれども、どういう位置づけなのか。相当進んでいるのか、あるいはおくれているのか、まあまあの水準なのか。ちょっとそこら辺、私はこの分野は素人なんですが、お四方にこの分野で知見がおありになりましたら教えていただきたいと思います。

西藤参考人 先生おっしゃいましたように、項目によって各国の取り組みは異なる状況だと思いますが、我が国の状況が全体的に言ってどうかというのはなかなか判断が難しいんですが、我が国の特徴は、表示が決まったことについては、事業者も消費者も、ちょっとしたミスに対しても非常に厳格だというところに非常に特徴があって、例えば印字ミス。印刷ミスがあってもその商品を回収しなければならないというようなところは、国民性もあるんだと思いますが、非常に厳格な対応になっている。全体の評価はちょっとよくわかりませんが、一番感じているのはその点でございます。

山根参考人 食品事業者の方々は大変御努力をされていると思いますけれども、日本の表示がとても大きくおくれているということは事実だと思っております。

 例えば、EUでは、遺伝子組み換え食品表示につきましては全ての食品に、また添加物にも義務づけができておりますし、意図せざる混入が許される割合も〇・九%でございます。それに対して日本は五%まで認められているといった状況でございます。

 加工食品の原料原産地表示につきましても、韓国などではほとんど全ての食品に義務づけが進んでおりますが、日本は限られた食品ということがございますので、ぜひ、そういった進んだ取り組みを参考にしていただければと思います。

鬼武参考人 私は、十年間、コーデックス委員会の部会でいきますと、食品表示部会それから栄養素等の部会、二つの部会に参画してまいりました。

 その中で、今の御質問の点ですけれども、日本がどういう位置にあるか。中ぐらいだろうというふうに思っています。決してトップランナーではないというふうに理解をしております。むしろ、今、新興国が国際基準を求めて、それを参考にしているということからすると、新興国の方が日本に迫っている状況にあるというふうに私は理解しております。

 中でも、栄養表示については、今後、実効性も含めてそうでしょうが、世界の中で栄養表示を義務化していないのは日本だけです。そういう点からすると、栄養表示の実効性についてはあるにしても、WHOが既に国際戦略としている生活習慣病の予防の観点からも、栄養表示がラベルに表示をされていることが必要だというふうに理解をしております。その点はやはりかなりおくれておりまして、国際会議の中でもその辺の主張は日本は余りできていないというふうに思っております。

 以上でございます。

池戸参考人 国際的な並びという話からいけば、先ほどから出ていますように、コーデックスの委員会の基準、規格に準じているという点では、水準には達してやられていると思います。

 実際にそれで実効ある執行をしているか、そういう観点で見ますと、これは二種類ありまして、要するに偽装の取り締まりとかそういう観点なんですが、社会的な検証、書類ベースとか帳簿とか、そういう面で見る検証の方法と、それから、もう一つ重要なのが、科学的検証、要するに偽装を科学的に鑑別するというんですか、そういう点からいくと、日本は、科学的検証、特に、いろいろな分析法、遺伝子分析とかあるいは無機元素の分析とか、こういうのをかなり公的機関が開発してやっているという点は、一番前に進んでいる分野ではないかと思っています。

務台委員 ありがとうございます。

 鬼武さん、池戸さんにちょっと伺いたいんですけれども、進んでいる分野もある、ただ、全体の評価から大ざっぱに言うと中くらいだということなんですが、なぜ日本は、これだけ国民が健康食品に対する関心が高いのに、国際基準という面でいうとなかなか進んでいない、その原因はどこら辺にあるとお思いでしょうか。

鬼武参考人 私の個人的見解といたしましては、やはり日本における食品表示の法律制度が各省今までばらばらであったということが一つ大きな原因というふうに考えております。

 しかるに、国際会議に出ておりますのは、農林水産省でありましたりほかの部局、今ですと消費者庁ということで、やはり国際会議に出るには、継続性とそこで発言をしていくということが重要になると思いますから、その点が私は日本の一番弱い点だというふうに思っております。

池戸参考人 栄養政策という観点からいきますと、まず、栄養表示の前に、栄養政策がいかに浸透しているかという話が重要かと思います。

 これにつきましては、もう既に西暦二〇〇〇年に食生活指針というのが閣議決定されて、それが普及してきたわけです。それから、あと、食事バランスガイドとか、さっきお話ししましたように、これの普及そのものが、関係省庁が幾つにもまたがっているために、やはり連携する必要があるわけです。教育分野は文科省、それから、あと、栄養士関係だと厚労省とか、つくる方は農水省と。そこがまず重要で、それで、今回の食品の表示は、加工食品あるいは外食、中食、そういった購入する立場では非常に参考になります。

 その前に、それぞれの消費者の方が自分で例えば材料を買ってきてつくったものについて、どのぐらいのカロリーがあるか。例えば、今ここにおられる先生方もそうなんですけれども、御飯一膳が何カロリーか、あるいはみそ汁一杯に食塩がどのぐらい入っているかというのをある程度常識的に知るぐらいのレベルまで、要するに栄養政策そのものをやはり重点的にやる中で、その一環として表示というのが生きてくるという形だと思いますので、これはさっきから何回も繰り返すのですが、省庁だけじゃなくて、業界の方も含めて、総合的にやはり推進していって初めて、生きた栄養表示制度というのが出てくるんじゃないかと思います。

務台委員 ありがとうございます。

 所管省庁がばらばらで、一貫した主張が国際会議の場でできないという問題、耳が痛いと思うんですが、一方で、事業者の立場からすると、先ほど西藤さんからも話がありましたように、地域に密着した小規模な事業者が多い中で、関係省庁が事業者の立場を考えて、余り高いハードルを設定するのもいかがなものかという、そんな側面があったんじゃないかとも思うんですが、そこら辺を西藤さんはどのようにお考えでしょうか。

西藤参考人 表示の問題の前提の一つとして、各国の食料消費の実態なり食料供給の実態というのは、かなりそれぞれ区々でございますので、全てを一律にというのはなかなか難しいとまず思っております。

 よく議題になります原料原産地表示なり遺伝子組み換え食品の表示にしても、確かに基準を持っておられる国があるんですが、一番やっている国のものを全部持ってきて我が国で全部こなすとなると、多分、表示事項は物すごくふえる形になると思います。

 冒頭に申し上げましたように、食品業界の場合、中小・小規模事業者の割合が、事業所数とすれば、お配りした資料にありますように、九九%が中小・小規模事業者という状況でございます。繰り返しになりますが、そういう者がやはり実行できる枠組みをどういうふうに整備していただくか。情報提供をしないということを言っている事業者は誰もいないと思います。しかし、それが実行できるような枠組み。

 ちょっと長くなって恐縮ですが、食料供給も、私が冒頭に申し上げましたように、かつて、例えば大豆であれば、十年前までは大部分はアメリカからの輸入でした。ところが、大豆だけではないんですが、世界の需給状況が変化する中で、我が国への大豆の輸入は、もちろんアメリカが一番ですが、カナダがありブラジルがありアルゼンチンがありということで、その時々でそういう供給状況は変化しますから、それを一律の形で何か対応するというのはいろいろ課題があるんじゃないかな、実行できるようにどうしていくかということだというふうに思っております。

務台委員 ありがとうございます。

 確かに、基準だけ設けても実行できないとやはり問題が起きる、それ自体がまたさらなる問題に発展するということなので、実行性の確保と理想的な基準をどういうふうに設定するかというのは本当に大きな問題だと思います。

 ところで、鬼武参考人に伺いたいんですが、生協では、特に生協ブランドの商品の中で、国の基準を上回る自主基準をもとに内容を表示するという取り組みが行われているというふうに承知しておりますが、これまで、義務化すべき、あるいは自主的に努力すべきというそんな議論がある中で、どこら辺をそのメルクマールとして義務化と自主性の判断を行うべきかという、素朴な基準というか、生協の実践の中での考え方というのを伺いたいと思います。

鬼武参考人 参考資料を少しごらんいただけますでしょうか。参考資料の一枚目です。「CO・OP商品表示例」ということで、スライス食パンというものが書いてございます。この中で、国の法律で決められている基準よりも少し上乗せをして書いているものがございます。

 例えば食品添加物については、乳化剤ということの一括名でいいわけですが、私どもは、物質名であるグリセリン脂肪酸エステルという、この部分は任意に表示を加えている部分でございます。

 それから、栄養表示は別の枠組みで書いておりますが、これは現行の法律では義務化されてございませんので、栄養表示は任意でもう一九八〇年代から。それとあわせて、日本人の場合は塩分の摂取が問題になっておりますので、食塩相当量ということで欄外に書いております。

 その他、製造者、販売者を書くなり、アレルゲンの表示をわかりやすく書く、ここら辺が任意表示でしているものでございます。

 ただ一方で、任意表示で、先ほどの添加物の表示で、乳化剤で括弧に物質名を書いておりますと、一般消費者の方は生協ブランドの方が何で添加物が多いのだということで、その説明も一方では難しいということもございまして、そういう点もあるということをぜひ御理解いただければというふうに思っております。

 最終的に、今、日本の表示でどういうことが必要かというと、やはりこれは、全体的な議論とすると、栄養表示を義務化することに全事業者としてはやるべきでありますし、ほかのものについて、個別の問題については、事業者の努力によって一つの表示ができて、それがガイドラインなり法整備になるような手法の方が、積み上げていく形の方がいいというふうに思っております。

 以上でございます。

務台委員 ありがとうございます。

 先ほど来申し上げておりますが、日本の場合は本当に、食の安全、実際には世界でも最高の安全の度合いが確保されていると思います。にもかかわらず、日本の基準が国際基準に全くなっていない。むしろおくれている国の食品表示基準が国際ルールになっているというのは非常に残念なことなので、今回の食品表示法の改正をきっかけに、我が国の基準をどんどん国際的な場に出していく。

 場合によってはTPPで基準・認証の議論が出てくるかもしれませんが、そのときに日本の基準を国際ルールとしてやるべきだというふうに言っていくことが、逆にTPPにおける攻めの材料の一つになると思いますので、またそういう観点から関係各位の知恵を頂戴できればというふうに思っております。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 きょうは、参考人の皆様方には早朝からおいでをいただきまして、大変貴重な御意見をいただいたと思っております。私からも感謝を申し上げたいと思います。

 今回の食品表示の一元化については、これまでは、衛生上の危害発生の防止、それからまた、品質に関する適正な表示であるのかどうか、国民の健康の増進ということが主な目的だったわけでして、消費者の権利の尊重、それからまた自立を支援するという意味でこういう法律ができるということは、私自身も大変喜ばしいことだと思っていることで、一日も早く成立をさせていかねばならないというふうに考えております。

 この間、池戸参考人には一元化検討会の座長として大変御苦労をいただきました。消費者の利益を守っていくという観点と、それからまた、お話の中にもありましたように、事業者の皆様方の理解と実行可能であるのかどうか、このバランスをどういうふうにとっていくのかという、とても難しい課題について御検討いただき、取りまとめをいただいたものというふうに思っております。

 毎回、検討会には多くの事業者の方々も傍聴に来られていたとお聞きしておりますけれども、双方それぞれがウイン・ウインの関係になることが重要なんだろうというふうに私自身思っております。

 そのためには、消費者また事業者の方々の対話の場というんでしょうか、こういうものが貴重であり重要であろうというふうに思っているわけですけれども、池戸参考人にまず伺わせていただきたいと思いますけれども、お取りまとめをいただいた中の御苦労と、今私が申し上げました双方の理解をどう深めていくか、どう調整を図っていくのか、この点についてお話しいただければと思います。

池戸参考人 お心遣いありがとうございます。そんなに苦労したことはないんですが。

 ただ、今まで、この表示につきまして、長い歴史の中でこれだけまとまった議論をする機会というのは余りなかったんじゃないかということで、その点では、この委員会だけではなくて、我が国としても非常にこれは貴重な検討会ではなかったかと思っております。延べ三十八時間以上ですね。

 ただし、先ほど申しましたように、逆に、非常に限られた時間だったものですから、残された検討事項がいっぱいあります。ぜひ、これも検討会を通じて、今後引き続き御検討いただきたいと思っております。

 それで、今のお話なんですが、やはり、今委員が言われたように、表示というのは、供給サイドと消費サイドをつなぐ、言い方からすると、一つの信頼のきずなという言い方もできるかと思います。この機会に、表示を通じて、どういう状況にあるか、あるいは食品というのはどういうものかということ、そういうものを、相互の理解を深めていく一つのきっかけづくりにもなれば非常にありがたいなというふうに感想として思いました。

郡委員 ありがとうございます。

 そういう機会を通じて、先ほど、生協さんが自主的な取り組みで表示の拡大をされてきたことを御紹介いただきましたけれども、法律によらず、取り組めるところは、ぜひその拡大ということについても御尽力をいただけるような方向性であるべきだろうというふうにも思っておるわけでございます。

 今回、義務化に伴いまして、加工食品の原材料、原産地表示、それから中食、外食、アレルギーの表示、添加物の表示基準の見直し、この法案が成立いたしましたらば、速やかに検討のための機関が設けられて計画を策定することになるんだろうというふうに思いますけれども、この食品表示基準の策定に当たっては、消費者の皆さんたちが表示に何を求めて何を活用しているのか、あるいはまた、製造や流通についての実態はどうなのかということを的確に捉え、それに応える必要があるんだろうというふうに思っております。

 実際、今し方は、事業者の九九%近くが中小零細であって、大変な負担も想定される御心配なところもお話をいただいたわけですけれども、一方で、鬼武参考人からは、食品の栄養表示の基準の改正について、第四条第一項ですけれども、ただし書きを記載することで正確でない値を表示してもよいということは、消費者を混乱させ、かつ誤認させることにつながるのではないか、そういう御意見もございました。具体的にどのようにすべきと思っておられるのか、少し詳しく触れていただきたいと思います。

鬼武参考人 お答えいたします。

 まず、お手元の資料をごらんいただけますでしょうか。参考資料の二でございます。

 今、消費者庁の方で、栄養表示基準の一部改正と出されている案がこの中身でございます。現行は、栄養表示基準については、何らか強調した表示である場合には、必要となるエネルギーほか、たんぱく質、基本的な五項目の表示が必要となっております。これが左の図でございます。

 今回、栄養表示の義務化に当たって、原則はこのプラスマイナス二〇%の枠に入るということで抑えておるわけですが、それができない場合には、幅は別に構わないと。ただし書きで、表示例として、この表示値は実際と乖離があります、推定値のため乖離があり得ますというような、下のような表示例になります。これは、消費者に対して、ラベルに書かれた表示があたかも間違いであるかのように誤認をさせるというふうに私は理解をしておりますし、こういうような法律の制度設計自体は、国際的にも海外でもありません。

 そのためには、もう一度、栄養表示基準の持っております五項目についてのいわゆる較差ですね、アメリカの場合は、例えばナトリウムというのは過剰の方が問題になりますので、プラスの方については制限をするんですけれども、マイナスの方は規定をしない。また、ほかの例でいきますと、ビタミン類は多い方がいいわけですから、下限値の方を規定する。そういうふうなルールの緩和によって栄養表示基準を策定するということも十分に可能でありますし、EUの場合、もしくはアメリカの場合も、産業界のデータベースも含めて、行政がそういう支援をしております。

 最後になりますが、繰り返しになりますが、今行っております合理的な手法ということで、ただし書きを書くという手法自体は消費者を混乱させるもとだというふうに私は思いますので、再度、EU及び海外のいわゆる較差、どれぐらいの幅で、数値が、ある程度入っていていい。実際には、分析というのは難しゅうございます。と申しますのは、サンプリングの仕方でありますとか分析する人でありますとかが違いますから。

 そういうことも含めて、基本的な制度の枠組みとして、栄養表示、もうこれは十年以上たっております、厚生労働省の時代から。今回、新たに消費者庁の方で規定を決めるのであれば、その制度設計を含めて対応しないと、これは国際化には対応できないというふうに私は理解しておりますし、ぜひその点を再考していただければというふうに思っております。

 以上でございます。

郡委員 ありがとうございます。

 そこで、西藤参考人に伺わせていただきます。

 今の御意見を踏まえて、これは、大変小さな事業者、例えば個人商店などでの取り組みについて、かなり負担になってくるかと思うんですけれども、政府としての支援はどういうふうにあるべきだとお考えでしょうか。

西藤参考人 栄養表示の観点で申し上げれば、いろいろな取り組みがされているのはそのとおりですが、例えば農産物。最初の農産物の状況を見ましても、先生方もお感じになっていると思うんですが、季節によって、地域によって栄養価自体が違う。それを原材料として製品をつくっていく。そういう状況で、中小・小規模の事業者が内容を分析して栄養表示を実行するということは、かなり困難なことだと思います。

 そういう点では、今ほど鬼武参考人からもありましたように、政府あるいは準公的な機関でもあれですが、そこのデータベースといいますか、整備されて、計算すればできるというぐらいの枠組みを整備していただきたいというふうに思っております。

 若干、それと、事業者のいろいろな取り組みという点で、先生、先ほど自主的な取り組みを支援するということで御指摘がありましたが、例えば、私は原料原産地表示についてすごく否定的なことを言っているように皆さんお受けになるかと思うんですが、自主的な取り組みは、義務化されているものよりもはるかに多くのところで、事業者はできるところはやっております。それを一律に全部というのがなかなか難しい。

 それと、対話ということでいえば、お客様相談、これは状況によって違いますが、私どもの会員のところのお客様相談なんかの実況を見ますと、平均的に一日二百件程度お客様相談が入ってくる。そういう点で、消費者の対話にも努めているところでございます。

郡委員 ありがとうございます。

 その基準値をつくって、それに当てはめて、計算式というのでしょうか、こういうものをつくって、多くの方々がこれを活用して、できるだけよい表示にしていただくように、国としても努力をしなくちゃいけないということだろうと思います。

 実は、先日の委員会質疑の中で、これまた執行体制についていろいろと、これではどうなんだろうという質問、やりとりもございました。

 例えば、原産地表示の違反を確認していくためには取引伝票を一枚一枚確認していくことが必要であったり、また、栄養表示についても、お話にあるように、いろいろな分析をしていかなくちゃいけない。いわば確信的な疑義情報が上がったものについてだけ調査をするしかない、摘発をするということにならざるを得ないんじゃないだろうか、この執行体制が心配であるというような議論にもなったわけなんです。

 この点について、いろいろと参考人の皆様方からもお話があったかと思います。よりよい体制のために、これまで一元化できていない例えば問い合わせですとか対応についても、やがて一元化できるように頑張っていかなくちゃいけないわけなんですけれども、ぜひとも、ここについても団体の皆様方にも応援をいただきたいというふうにも思っておりますし、政府としてもなるべくできるように、急ぎたい、私どもも後押しをしたいというふうに思っております。

 今のこの執行体制、監視体制と、それからまた、適格消費者団体の差しとめ請求権の規定が盛り込まれたわけですけれども、これに対しての、あり方というのでしょうか、これについても御意見を伺わせていただきたいと思うのですが、山根参考人そして鬼武参考人に伺わせてください。

山根参考人 適格消費者団体による差しとめ請求権が新しい法案の中に盛り込まれたことを、とても評価しております。

 ただ、これも、始まって後の検討事項にもなるかと思いますけれども、適格消費者団体はとても数も少のうございますし、どれだけきちんと期待される活躍ができるかどうか。具体的には財政的な支援等々を含め、消費者団体にはそうした支援が必要だと思っておりますので、それも含めて今後の課題としていただければというふうに思っております。

鬼武参考人 執行体制という前に、まず、法律制度として食品表示が十分に機能して、できるものであるかということが前提だというふうに理解しております。

 その上で、今、消費者庁自体は自分のところで監視する体制を持っておりません。ですから、従前からあります農林水産省の地方農政局でありますとか、厚生労働省の管轄であります保健所の活用、その両方が重要になると思います。

 従前は、農林水産省の方は品質表示だけでありましたし、厚生労働省の方はいわゆる食品衛生、危害の防止の部分と栄養の方の部分だったと思いますが、今後は、一元化され、その全職員が同じように監視ができるという、まず、そこがスタートポイントだというふうに理解をしています。

 それから、私は、もう少し、これは全てを、例えば買い取りとか分析をする必要はないというふうに理解しております。いわゆる執行体制としては国でも地方でもいいんですが、やっているという抑止力が一方では必要だというふうにも思っていますから、その中で、抜き取りなり、いろいろな形の優先順位が、やはりコストもそんなに行政機関もかけることができませんから、やる必要があると思います。

 それから、適格消費者団体については、経費は、ちょっと私の方も、最終的にどういう形で入ったか、ここについては余り理解をしておりませんが、そういう消費者団体としての見方として、そういうことができるということは重要かと思います。ただし、その立証をするということは、消費者団体自体も無理ではないかというふうに思っておりまして、私は、意見、コメントにそういう点を書かせてもらった次第でございます。

 以上でございます。

郡委員 ありがとうございました。

 時間が来ておりますので、最後に、消費者の教育推進法というのも施行されておりまして、この間、加工食品の栄養表示等々、生協の皆さんたちはいろいろな活動、取り組みもされていて、消費者の理解を深めるためにも活動いただいているわけですけれども、なお一層お取り組みをいただいて、それぞれによりよいものになるように頑張っていきたいと思いますので、御協力を今後ともよろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。

吉川委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦と申します。

 きょうは、参考人の皆様方、貴重なお時間、そしてお話をいただきまして、まことにありがとうございました。

 さて、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、私は、アレルギー表示につきまして少し質問させていただきたいと思います。

 私は、本会議でも実は質問に立たせていただいたんですけれども、そのときにも申し上げました。私、子供が三人おる中の一人が非常に重いアレルギーに悩まされておりまして、赤ちゃんのころは、乳製品と小麦と卵、これはいずれもだめだという状況でして、パンを初めて口にしたときに、本当に顔が腫れ上がって、急いで救急車で病院に運んで、そもそも、アレルギーなんというものがこんなものなんだということすら、親として、そのときまで全く知らなかった。食物アレルギーを持つ子がどういうことになるのかということは、そのときに初めて知るに及んだということでありまして、そういう意味では、ある種、消費者教育というものを私自身が受けてこなかったことなんだなというふうにも反省をしているところでございます。

 これは、少しずつ、子供たちも大きくなるにつれて、今は、うちの子供に関して言えば、小学校に入る年齢になったんですが、小麦と卵は克服をいたしまして、でも、やはりいまだに乳製品は、かなり微量の乳製品にも反応する、こんな状況であります。

 そういう意味で、子供が生まれたときからこの六年間というもの、必ず、食品表示は、手にとって、小麦が入っていないのか、乳製品が入っていないのかということを確認してきたものでございます。

 食品表示に関しては、例えば乳化剤。少し紛らわしいですね。これは乳なんだろうか、乳化剤というのは一体何なんだろうか、アレルゲンなんだろうかどうだろうかということも、一般消費者の方の中には、乳化剤というからには乳が入っているんじゃないかというふうに誤解されている方もいらっしゃって、私もしばらく、そういう慎重論があったものですから、乳化剤が入っているものは子供に食べさせてはいけないんじゃないかというようなこともございました。

 このあたりも消費者教育の問題になろうかと思うんですけれども、ちょっとお恥ずかしいレベルなのかどうかもわかりませんが、こういうことも現にあるということで、アレルギーの表示があると食べちゃいけない、過度に食べちゃいけないと思ってしまう面も状況によってはあり得るという意味からも、正確で必要十分な表示が必要だというふうに考えております。

 そうした中で、先ほど鬼武参考人から、食品の安全性、第四条一項の中で、アレルゲンという言葉を挿入するべきであるという御提言をいただきましたが、この点については、アレルゲンというのもいろいろ多岐にわたると思いますし、最近では甘味料がアレルギー反応を引き起こすものだというような調査結果なんかも出ておりまして、このあたり、アレルゲンを条文に挿入するべきだという提言はもちろん基本的には賛同するんですが、その難しさだとか課題についてももし御認識がありましたら、教えていただきたいと思うんです。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

鬼武参考人 お答えいたします。

 今委員がおっしゃるように、アレルギー問題というものは、まだ、メカニズムの解明を含めて非常に難しい点がございます。昨今、一番最近の事例でいきますと、NHKでも報道にありました、甘味料エリスリトールによる即時性アレルギーの疑いがあるということが報道されております。

 私は、まず重要なことは、日本の中でアレルギーなり食物アレルギー疾患のことについて、表示の観点なり、従前は厚生労働省の方で専門家の会議がございました。今は、そういうものがあるかというと、まだ多分ないというふうに理解をしております。

 そういう点では、EUの方では既に、EFSA、ヨーロピアン・フード・セーフティー・オーソリティー、食品安全機関の中に、専門部会としてアレルギー専門部会が立ち上がっておりまして、そこで、定量的な評価に基づくアレルギーについての検証、問題点、課題を整理しております。

 そういう点から申しますと、私が先ほどコメントで出させていただきました食品安全委員会なのか、いわゆる専門家集団のところでアレルギー問題についてはぜひ定量的かつ科学に基づいた評価をまず行っていただいて、その上で、リスク管理上の措置として表示が必要なのか、もしくは、表示でなくて、そういう食品を使わないということが必要なのかという検討が次に来ると思います。

 そういう点からしますと、やはり科学的な評価委員会というものが必要というふうに理解しております。

 以上でございます。

重徳委員 今の点について確認なんですが、EUの体制、定量的かつ科学的な研究というか調査できる機関というものが日本においては全く不備な状況であるという、ちょっとその程度の差を、済みません、教えていただきたいと思うんです。

鬼武参考人 私も詳細には理解をしていない部分もあります。私の知っている範囲でということでお答えしてよろしいでしょうか。(重徳委員「はい」と呼ぶ)

 まず、日本の場合ですけれども、昨今のテレビ報道でありましたのは、いわゆる消費者庁の事業調査ということで、これまでアレルギーなりのいろいろ調査をしていまして、その中で、甘味料のところも全国の病院の調査の中で出てきたものでありまして、その研究員の成果として、一部が学会で報告をされたということであります。

 それは学会レベルであって、今の問題となっております甘味素材が実際にどれぐらいの症例であるのか、メカニズムを、私どもの調べた文献の範囲では十本ぐらいしかありませんし、この間、症例としても四例ぐらいしかございませんので、リスクとしては百万分の一ぐらいのアレルギーを起こすリスクだというふうには理解をしておりますが、そういう点からすると、日本は、私はこれは専門家でもありません、私見です、これまでのいろいろな情報を持ったものですが、それが、国として専門家機関として存在していないと私は思っております。

 一方、EUの場合はいろいろな、EFSAの中に、もしくはDG―SANCOといいます保護総局の中に、そういう活動をする部隊がおりまして、専門的な報告書、レポートも出ておりますから、そういう点からすると、日本とヨーロッパはかなり異なっているんだというふうに理解をしております。

 以上でございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 次に、アレルギーに関しても、これは今後の検討課題なんですけれども、中食、外食についても、これだけ多くの子供たちがアレルギーに悩まされているという状況ですので、家族生活を営むにおいても、子供が、何人か兄弟がいても、一人がアレルギー体質だと、行けるお店がほとんどなくなっちゃうというようなこともございますし、一方で、ハンバーガー屋さんでも、ライスバーガーで全くアレルギー抜きだというメニューが用意されているハンバーガーショップも現にあるんですね。

 そうすると、やはり、そういう問題を抱える家族、家庭としては本当に助かる。現にアレルギーを持っている子の周りの方々、家族を初めとしたそういう方々にとっても、非常に生活の豊かさにつながることではないかというふうに感じております。

 一方で、イカのアレルギーで、おすし屋さんでイカを握った後にマグロを握って、本当にイカの成分が払拭されているかどうかというと、これまた保証の限りではないという意味では、提供する側にとっての負担というのも、実際的な、負担というか、そんな無理を言うなよというレベルのことまであり得ると思うんです。

 中食、外食について、アレルギー表示を行う上での課題というものにつきまして、これは、消費者の立場から山根参考人、それから、事業者の立場から西藤参考人に御意見を伺うことができればと思います。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

山根参考人 アレルギー表示につきましては、充実が強く求められているわけですけれども、まだまだ実態調査や課題等の抽出、整理が必要だと思っています。義務の範囲の拡大もそうですし、充実させるために、専門家また患者を含めた議論が早急に始まることが必要だというふうに思っています。

 外食、中食にももちろん求められていて、充実されるべきなんですけれども、そのあたりも、まだこれから議論だと思います。一元化検討会の中ではこの議論はしてございませんし、これから消費者庁の中でもきちんと議論が開始されること、消費者庁、消費者委員会のところで消費者目線で議論がされることを期待しているところでございます。

西藤参考人 少なくとも、容器包装で提供される食品について、先ほどありましたように、定量的、科学的評価に基づくものは義務表示の対象に当然すべきだというふうに思います。

 ただ、包装食品に表示されていることと、それを食べるということの間に調理過程なりが入るわけですので、それは外食の問題にも同じ形でかかわっていくわけですが、やはりそういう対話、教育を通じて、いかに情報提供をしていくか、みんなの関心をそこにあれしていくかということが、義務化するかどうかということよりも、実効的に極めて意味があることだというふうに感じております。

重徳委員 ありがとうございます。

 これは、少し皆様方の専門分野とも外れる可能性のある質問になりますが、もしもお考えがあれば御参考までにお聞かせ願いたいんですけれども、このアレルギーというのは、本当に現代病というか、食べ物に関しては、今申し上げました食べ物アレルギーになりますけれども、ほかにもアトピーとか、ぜんそくだとか、あるいは花粉症とか、もう国民病のようになっておりまして、これは今後、社会を挙げて解決をしていかなければならない問題ではなかろうかというふうにも感じているわけでございます。

 そういう意味で、食べ物アレルギーに限らず、こういった何か現代に蔓延しているアレルギーという問題について、広い意味での解決も含めて、何かしらこれまで御議論だとか問題意識をお持ちであれば、どなたでも構いませんので、もしあればお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

池戸参考人 アレルギー問題につきましては、一元化検討会でも非常に重要な案件になっております。

 それで、多分、どの項目を見るかというアンケートの中では、総数としては極めて低い方になっているんですが、逆に、今委員が言われたように、その疾患を持っている御家族からすると、そこは物すごく重要な問題になると思います。

 それこそ、自分のところの畑や田んぼでつくって、原材料も自分で確認して食べるということであれば可能ですけれども、今のように、食の外部化が進んで加工食品も非常に多い、また、ほかの人と一緒に食べなきゃいけないとか、そういう場面の中では、やはり消費者としては、食べるものに本当にアレルゲンが入っていないのかどうか、そこが一番気になりますし、また、売る方も、精魂込めてつくった立場で、お客さんが発症するということは非常に不本意な話だと思います。

 ただ、難しいのは、ほかのものと違って、特定の方にとっては非常に影響力があるということなので、目的のところも、食品の安全確保じゃなくて摂取する際の安全確保という言い方をしたのは、そういう意味も込めて多分書いたと思います。

 ちょっと話が長くなりましたけれども、提供するサイドとしても、自分たちが提供しているものの中に本当に入っていないかどうか、これは極端な話、材料が何にも入っていなくても、例えば、使ったスプーンとか器具とかでほかのものを使った場合でも発症するぐらいの、非常に敏感なものもございます。

 だから、その辺を含めて、検討会の結論としては、専門家を集めて、そのルートも含めて実態をまず十分慎重に検討すべきだという話になっておりますので、私どももそれを期待している次第でございます。

重徳委員 ありがとうございました。

 この食物アレルギーの件は、時に人の命まで奪ってしまうような極めて重要な問題だと思っております。何より、家族、その本人が一番意識が高いわけなんですけれども、そのあたりは、何かを信じて食べたらそれで被害に遭ってしまったという、非常にデリケートな部分であり、重い課題だということを重々私自身も認識をしておりまして、この課題にこれから私自身も取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうか皆様方、引き続き御指導願います。

 きょうはありがとうございました。

吉川委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 きょうはさまざまな質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ケネディ大統領がおりますけれども、我々は皆消費者であるという言葉を残しております。我々公明党も、生活者の目線に立った政治というものをこれまで一貫して行ってまいりました。ですので、消費者行政というのは非常に我が党としても力を入れてきた分野でございます。

 しかし、反面、難しいのはバランスだろうと思っております。悪質な業者をこの市場から退出させる、そのためには規制をする。しかし、やはり規制をすることになりますと健全な事業者まで過度な負担が起きてしまうというところで、やはり消費者の、特に、きょうは食の安全また安心という観点と、それと事業者に過度な負担を与えないという、このバランスというものを図ることは非常に難しかろう、そのように思っております。

 今回の食品表示法におきましても、やはりどこまで表示義務があるかということで議論がされておるわけでございますが、一転、話をかえますと、事業者の皆様にとっても今回の食品表示法というのは非常にメリットがあるのではないか。事業者にとってのメリットという点も、一つ話題にしてもよかろうと思っております。

 例えば、ある業者が製造したものをバルクで買ってくる。それを小分けにして、こん包して、いわゆる卸がやりますと、その卸の方は、いわゆる食品衛生法の方だと製造者、しかし、JAS法になると加工者というようなこともございます。

 また、例えば干し柿をやります。これは例えば食品衛生法だと生鮮食品になるんでしょうか。JAS法だとこれは加工物ということになりまして、非常にこれまでも事業者さんたちの御苦労もあったかと思います。

 今回この食品表示法が整備されることによって、事業者のお立場からどのようなメリットがあるのか、またこれまでのいろいろな表示の御苦労も含めて、西藤参考人に事業者の立場からお答えいただければと思っています。

西藤参考人 今先生御指摘されました用語の問題なんかは、やはり表示のもとの法律の目的に照らして、多分、用語が整理されてきたというふうに思っております。

 そういう点では、一元的な管理がされる中で、当然、そういう統一すべきものは統一していただく。かつて期限表示が食衛法とJAS法で別々でしたが、それが統合されてきたように、統合されることは事業者にとっても表示上非常に意味があると思います。

 それとつながっていくわけですけれども、統一されることによって、表示についての実行上の懸念なり、何かの照会という点では、やはり一元的な窓口で管理されていくということが非常に大きいんではないかと思っています。

 と申しますのは、やはり、消費者庁ができる前、それぞれ各省で法律を施行されていて、同じ事案について、保健所へ相談し、あるいは農林水産省の事務所へ相談する。あるいは、同じ保健所であっても県によって見解が異なるというような事例が指摘をされております。

 そういうようなところが統一的に運用されていくことが、やはり事業者にとって、照会に対する対応も、非常にそういうことがメリットになることを、ぜひ実行上やっていただきたいというふうに思っております。

浜地委員 西藤参考人、大変ありがとうございます。

 法律で統一したからといっても、運用の面でしっかりやることが事業者の皆様にとってはこれを積極的に導入した意味があるということが大変わかりました。しっかりと頑張っていきたいと思います。

 片や消費者の観点に目を移しまして、山根参考人に聞きたいと思います。

 これまで山根参考人が一元化検討委員会の中でさまざまな御提案をされまして、自分で法案をつくって提出されているという記事も読ませていただきまして、主婦の立場として大変御尽力をいただきましたことに、まずここで敬意を払いたいと思っております。

 その中で、山根参考人は、例えば加工品については、やはり全て原産地表示をしたらいいんじゃないか。また、遺伝子組み換え等々、さまざまな表示を多くしてほしい。その気持ちは主婦のお立場として大変わかるところでございます。

 私、きのう、実は、セブンイレブンに行ってサラダを買いました。きょう質問するので、いろいろと裏を見たり表を見たりしたんですが、やはりこれは、全部書くとなると、何のサラダかわからないといったことも、いわゆる表面に書いてしまうと、また大きい文字で書いてしまうと、かなりわからないという点もあろうかと思います。

 特に加工品の原産地表示におきましては、業者の方が仕入れてくる中で、例えば、国の市況によって、やはり生産地を変えなきゃいけない、輸入地を変えなきゃいけない。または、国内であっても、季節によってさまざま、とれるところが違ったり、また値段が違ったりするという現状もお聞きしております。

 それと、やはり遺伝子組み換えについても、粉にしてしまうとDNAが検出できないということで、なかなか難しいのではないかといった議論もございます。

 その中で、例えば、さまざまな表示の中で、これから検討されるのでございますが、優先順位をつけるとしたら、主婦連合の立場から、どの表示がやはり最重要視されるのか、またその理由も含めて教えていただけると大変ありがたいんですが。

山根参考人 表示量の問題も、検討会の中でもたびたび議論になりましたけれども、今の表示量が多いとは思ってございません。私どもの希望をかなえていただいたとしても、特段、表示量が二倍にも三倍にもなるというものでもございませんし、そうした整理された情報をきちんと消費者が理解をして選ぶ、そういう進め方ができればありがたいというふうに思っています。

 御質問は……

吉川委員長 優先順位。

山根参考人 優先順位がとても難しいです。(浜地委員「個人的な見解で結構でございます」と呼ぶ)はい。

 検討会の中でも課題として出ました、加工食品の原料原産地表示の拡大、遺伝子組み換え食品表示、食品添加物、この三つは特に、すぐにでも検討をスタートしていただきたいというふうに思っております。

 二年間で表示基準をこの法案成立後に整備して、また、栄養表示に関しては検討や何かの整備に五年間という期間がある。その後にまたこうした議論がゆっくり始まるということでは、五年先、十年先になっても整備が進まないということになりますので、急ぎ検討をスタートしていただきたいというふうに思っております。

浜地委員 ありがとうございました。

 表示の点について、ちょっと国際的な点から、鬼武参考人に聞かせていただきたいんです。

 原産地表示は、きょういただいた資料によりますと、各国、これは表示の義務が余りないように思われます。いわゆるコーデックス委員会、国際的な基準として原産地表示が義務化されていないことが多いと思うんですが、そのあたりはどういった理由で国際的にも表示されていないのか、教えていただければと思っています。

鬼武参考人 御質問の点ですが、まず、国際機関で何で合意できていないかということでございます。

 例えば、EUが、今度の新しい法律の中で、加工食品の原料原産地の一部、食肉加工品ということで、ソーセージ等については、やはりヨーロッパの国民としては知りたいということで表示がされております。アメリカでもそういうような形で表示をされておるんですが、国際間の商取引となりますと、非関税障壁ということになって、それが原料原産地表示の大きな問題だというふうに、いわゆるWTOで、WTOの方は今は科学がもとになっておりますので、それ以外のものについてはなかなかハードルが高いということになっているのが実情だというふうに理解をしております。

 以上でございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 次に、添加物のお話をしたいと思います。

 先ほど、山根参考人からも、添加物の点は表示をしてほしいというお声がございました。私も、きのうも、それこそサラダの話ですけれども、ドレッシングを見ながら研究をしておったんですが、研究というか初めて詳しく見たわけでございます。

 その中に、要は、添加物の一括表示という問題がございます。例えば、クエン酸ナトリウム、これはpH調整剤ということで、一括表示でpH調整剤とだけ書いてあるんですが、実は、このクエン酸ナトリウムというのは保存のためにも使われるということでございます。しかし、実際には、一括表示があるためにpH調整剤としか書けずに、この食品には保存料は使われていません、不使用というふうな表示がなされてしまう。実際は保存の効果があるのにといったことがございます。

 これはやはり、消費者の観点からいうとかなり紛らわしいし、また安全の面でも非常に危険ではないかというふうに私も勉強させていただきました。

 その点で、これは池戸参考人にお聞かせいただきたいんですが、添加物の一括表示について、この検討委員会の中でどういった議論が上がったのかという点と、あと、鬼武参考人に、添加物の表示についての国際的なスタンダード、基準というのを聞かせていただければと思っています。

池戸参考人 検討会では、本当に、委員がおっしゃられたような非常に個別の課題も含めて検討すればよかったんですけれども、残念ながら、ちょっと時間的制約があって、重要なんですけれども細かいところまでは至らなかったということです。

 それで、一括法による表示ということなんですが、今はpH調整剤という定義なので、今の規則ですとpH調整剤という形で書かなければいけない。ただ、それが本当に保存料という形のものであれば、保存料という位置づけにして、やはりきちっと書くという話だと思うんです。

 だから、そこら辺は、やはり御専門の分野のところの検討会の方で議論していただいた結果として、それで、科学的な根拠から、どうもそれは保存料じゃないかという話になれば、そうすればはっきりしてくるんじゃないかと思います。

 ただ、残念ながら、検討会としては、そこまではなかなか検討する余地はなかったということでございます。

鬼武参考人 お答えします。

 私も、今手持ちの資料がございませんので、全てのことが正確にお答えできるかどうかはあれですが、その点は御了承いただければなと思います。

 まず、EUの方は、原則、今、添加物は物質名を表記してあるというふうに思っております。ですから、原材料のほかに添加物の物質、化学名が、例えば言っていたクエン酸ナトリウムでありますとか、そういうことが記載されております。

 アメリカの方も同じようにされておるんですが、日本と同じように、例えば、これは保存の目的であるのか、着色の目的であるのか、そういうことについても記載されてございます。

 あと、加えて申し上げますと、例えば日本の場合は、組み合わせておりますが、最終的には順番どおり、多い順番で書くということがルールになっておりますが、海外では、組み合わせた場合は、組み合わせたもの別に添加物の中身が書かれていて、入っている中身が違う。この部分についてはこの添加物が使ってある、この部分については、例えば総菜でいえば、ちくわであれば、ちくわの部分については保存料が使ってあって、お米の部分については着色料は使っていないとかがわかるようなことになっております。

 日本は、原則は、添加物は物質名表記であって、一番知りたいということがあるということによって、八用途については、保存料とか着色料は、保存料(ソルビン酸カリウム)というふうに、併記をするようになっています。

 それから、一括名表記については、いわゆる添加物の名称が用途として多いわけです。例えば、調味料でいいますと、アミノ酸の中でグルタミン酸でありますとかイノシン酸でありますとか、その物質名を全部書くことができないので、今、代替として物質名、化学名称のかわりに一括名表記がされているという実情にあると思います。

 以上でございます。

浜地委員 大変お詳しい御答弁ありがとうございます。

 最後の質問になります。

 これは、今、鬼武参考人が一番最初に意見を述べられたときに、いわゆる適格消費者団体の差しとめ請求という話が出てきていましたので、ちょっと一つ質問したいと思います。

 先ほど鬼武参考人は、いわゆる立証責任の転換ですね、業者側にいわゆる立証責任を負わせたらいいんじゃないかという議論でございました。私は実は法律家でございますので、少しやはり、立証関係の転換ということなりますと、過度な事業者の負担になろうかとは思います。その点、そうはいいましても、やはり消費者の側が、例えば原産地がどこにあるか、伝票を一々調べるということは事実上確かに不可能だと思っています。

 その点、業者側という面で西藤参考人にお聞かせいただきたいんですが、いわゆる立証責任を図る上で、事業者としてどういった点をやはり協力すべきか、また、できる範囲ということが、もしおありになればお聞かせいただきたいと思っております。

西藤参考人 一元化検討会の経過を含めて、差しとめ請求について、私ども、法案が出てくる段階で見せていただいたという状況でございます。

 具体的な立証を含めて、どういう運用になるかということについては、もう少し中身について丁寧な御説明を聞きたいと思っておりますし、なおかつ、そういうことにはならないと思いますけれども、今までも差しとめ請求ということで、いろいろな法律で事例がございます。そういう実態も含めて、共通の理解に立つ取り組みをぜひお願いしたいというふうに思っております。

浜地委員 ありがとうございます。

 私も、消費者の食の安全、安心という点と事業者の過度な負担という、バランスを考えながら、また皆様方の御意見をお聞きしながら、しっかりと運用に取り組んでまいりたいというふうに決意を申し上げます。

 きょうは大変ありがとうございました。

吉川委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、大変お忙しいところ当委員会にお越しいただきまして、貴重な御意見、まことにありがとうございます。

 きょういただいている御意見、そしてさまざまな質疑の中の見解は本当に勉強になって、今後の消費者行政というものに生きてくる、こういうふうに私も実感をしているところでございます。

 さて、参考人の皆様お一人ずつに質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、西藤参考人に対して伺いたいと思います。

 西藤参考人のおっしゃったこと、わかりやすいものであるべきだというような表示の立ち位置、そして国際基準との整合性というものは、本当にそのとおりだなというふうに考えているところではあるんですけれども、原産地表示の点についての見解を改めてお伺いいたしたいと思います。

 西藤参考人の御意見として、この原産地表示というのは何のためにやる、表示するのかしないのかを考えるべきだというふうにお考えなのでしょうか。

西藤参考人 若干、原産地表示の経緯を私が感じている状況で申しますと、農産物の貿易は昔からございましたが、生鮮品、野菜等の貿易が拡大してきたのは、昭和から平成になったころからだったかと思います。そういう背景をもとに、まず、生鮮食料品についての産地表示が始まりました。これはまさに、国内でもそうですけれども、産地によって、例えばお米ということを考えても、同じ品種であっても産地によって明らかに差がある、それは具体的には価格に反映されている、そういうような実態を踏まえて整理をされてきたというふうに思っております。

 そういう生鮮品の原産地表示の行く先で、原料原産地ということで、一番最初に議論されましたのは、たしか梅干しとラッキョウ漬けだったというふうに記憶をいたしております。これはそれぞれ日本の歴史的にある食品でございますけれども、現実に、和歌山県産梅干しといいながら、製造地は記入しますので、中国の塩蔵された梅を最終的に産地で加工する。そのときに、やはり価格差がすごくある。それが消費者にとってもよくわからない。価格差があるということは、やはり品質に相当の差があるという状況だということでの整理だったというふうに思っております。

 そういう中で、コーデックスの世界で原料原産地表示はかつて議論されましたが、現在、私の記憶では、原料原産地表示についての議論は中断して、されていない。そういう点で、一部、お隣のお国ですとか、ありますが、やはり日本国においても、現在、二十二品目群と四個別品目について原料原産地表示されておりますが、冒頭に申し上げましたように、国内で製造、加工するものについてだけ表示が義務づけられております。

 例えばキムチ。漬物でキムチは国内でもつくります。韓国からも、本場ですから、輸入されます。韓国から輸入されるキムチについては、もちろん韓国産ということは表示が義務づけられておりますが、その白菜が例えば中国のものなのか、どこのものなのかということは義務づけられておりません。日本国で製造、加工したものだけに義務づけられている。

 それはやはり、なかなかそういう枠組みでの整理が国際的なコンセンサスにならないというところが背景にあるのではないかというふうに思っております。

三谷委員 今お答えいただきましたこの原産地表示、なかなか国際的なコンセンサスがとれないというところではございますけれども、ただ、何でそうやって価格差が出てくるかといえば、もちろん品質に差があるという点もあれば、やはり安心してそういったところのものなら買えるというような、さまざまな視点があるわけでございまして、この原産地表示というものは、消費者がどの食品を買うのか、同じ食品の中でも、Aというもの、Bというものを選ぶ際に、一つの重要な指標となる、このように私は考えておるんです。

 先ほど、この原産地表示については、参考人は風評被害を助長するというような指摘をされました。この風評被害というところとも絡めてお話しいただいたわけですけれども、ここでおっしゃる風評被害というのは、具体的にどのようなことでしょうか。

西藤参考人 産地表示を否定する意味で申し上げてきたわけではございません。

 ただ、消費者庁の調査でも、二十三年の暮れの調査だったと思いますが、原料原産地を必要だという方は非常に多いんですが、なぜ原料原産地が必要なのですかという問いかけに対しては、安全性を確認するために産地表示が欲しい、そういういわば消費の実態があるわけでございます。

 そういう中で、さらに個別具体的な消費者の産地表示についての要望としては、具体的に公表されている資料でも、福島県産は買いたくない、あるいは中国産は買いたくない、だから産地表示が必要なんだと。一方で、福島産の安全問題あるいは中国産食品の安全問題は、特に福島産の安全問題は、流通するものは基準値をはるかに下回っている。

 実際の摂取の状況においても、一ミリシーベルトというものの一%未満だ、そういう現実の状況があるにもかかわらず、やはりそれを拒否したいという状況が、それを私は風評被害という表現をしたかどうかはあれですが、影響があるんじゃないかと。

 だから、これはやはり、検査結果等を公表しながら、消費者のそういう理解を求めていく取り組みとあわせて実行されないと、特定の産地が事案が何か起きるたびに疲弊するということにつながるおそれがあるというふうに思っております。

三谷委員 今お答えいただきました風評被害というものの位置づけですけれども、もともと、全くもってその安全性等々に影響がないにもかかわらず、評判が悪いということで売れないことを意味しているのではないかというふうに考えております。

 残念ながら、今回の福島第一原発の事故というものによってどのような影響が出るのか、食品に含まれる放射性物質でどのような影響が体に出るのかということについては、今は実証的な見解というものは出ていないというところが現実ではないかと考えております。

 チェルノブイリ原発の事故の後でも、十年後、十五年後に、そこに住んでいる児童の甲状腺がんが急増したというような例もありますから、現時点の事故があって一年、二年しかたっていないというようなところで、安全だから食べても大丈夫だということで、むしろ福島県産のものを食べることの支障となるのではいけないということで原産地表示をなくすべきだということであるとすれば、原産地表示はむしろするべきだろうというふうに今、思った次第でございます。

 この点はまた改めて考えていきたいというふうに思っております。

 続きまして、山根参考人にお伺いいたしたいと思います。

 主婦連合会は、以前から、例えばオレンジジュース事件、不当なオレンジジュースというものを排斥するですとか、消費者の目から見て安全、安心なものをどのように提供していくのかという観点で多大なる尽力をされてきた、そういう団体だというふうに理解をしております。

 きょうの意見の中でも、適切に選択する、そのための情報をしっかりと提示していくということをおっしゃっておりました。その意味で、どう見えるのかというのが重要だということをおっしゃっていたというふうに考えておりますけれども、そういう意味では、食品表示として書いてあることだけではなく、商品全体の表示ということが商品の選択というものに非常に重要な位置づけを担っている、そういう理解でよろしいでしょうか。

山根参考人 表示ももちろん、広告、あとネーミング、その他全て含めて食品の情報ということで、正しい、適切なものを求めていきたいというふうに思ってございます。

三谷委員 その意味では、書いてあるからオーケーということではないんだろうというふうに理解をしております。

 少し具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどの原産地表示というものにも絡むんですけれども、メード・イン・チャイナというような商品は、最近は表記が実は変わっているというような例があるということを伺っております。

 最近は、メード・イン・チャイナという記載にかえて、メード・イン・PRCというふうに書くという話があるわけです。このPRCは何かといえば、ピープルズ・リパブリック・オブ・チャイナ。結局、中華人民共和国のことを意味しているんですけれども。そうすると、実際に売り上げが伸びたというような話もあるわけですけれども、そういった表示は実際よいというふうにお考えでしょうか。

山根参考人 中国産が怖い、日本産が安全ということでは決してございませんし、そういった紛らわしいというか、わかりづらい簡略名のようなことは不適切ではないかと思っています。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、オレンジジュースの件も、全く果汁が入っていないのにオレンジジュースと言うのはおかしいですとか、サワーも、ジュースと間違えるような表記をしているんだったら、やはり子供も飲んじゃう。そういう消費者の観点というものが、まさに消費者行政という意味では重要な視点ではないかと考えておりますので、ぜひとも、さまざまな御意見をこれからも提言していっていただきたい、このように考えております。

 続きまして、鬼武参考人にお伺いをいたします。

 本日いただいた資料の中に、さまざま重要な御指摘がございました。その御指摘について、若干、意見の明確性というか、その内容を補足していただきたいと思って質問させていただきます。

 まず、四条のところですけれども、食品の安全性については、消費者委員会に加えて、さらに食品安全委員会というものの意見を聞くべきだというふうにおっしゃっておりました。

 ここで言うと、一つの考え方としては、食品表示として要求されるものは、ある意味、全て安全性に関するものというふうにも言えるかと思うんですけれども、その中で、具体的に、この部分については食品安全委員会の意見を聞くべきだというふうに、どの部分についてお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

鬼武参考人 お答えいたします。

 二ページのところに書いておりますが、例えば、現行では、栄養成分の過剰による問題については、食品安全委員会の方で専門委員会はございません。ですから、そういう面では、栄養成分の重要な、公衆衛生に影響を及ぼすようなものについてやる必要性があると思いますし、先ほどからも何度も強調しておりますが、いろいろな形の食物アレルギー、それから、食品素材だけではなく、添加物のアレルギー問題も見逃せないことだと思います。

 そういうことについては、やはりリスク管理部門だけではなくて、どういう実態にあるのか、リスク評価として、どういう発症メカニズムであるのか、量的にとればどういう形で発症するのかを含めて、食品安全委員会の方にそういう専門家委員会が必要であると思いますし、その結果に基づいて、厚生労働省なり消費者庁の方でリスク管理措置として表示をするなり適正な運用をすることが必要だというふうに思っております。

 以上でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今のお答えも、今消費者行政において求められているものは、やはりしっかりとした情報を提供するものは提供していく。その上で、結果として消費者が判断をしたことについては、できる限り情報を与えられた上でしっかりと自分で判断したんだからというようなことで、ある意味責任をとるというところも含めて、消費者の自立というものへとつなげていくことができればというふうに考えているところではございます。

 いただいた意見の二点目についても伺いたいと思います。

 食品の安全性に関連する項目としてアレルゲンを挿入すべきというふうに書いてありますけれども、ここでアレルゲンというものは、どの範囲でのアレルゲンというものを含めていくということを考えていらっしゃるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

鬼武参考人 お答えいたします。

 この法案の中に入れていただきたいのは、従前からありますように、食べ物原材料と、それから、いわゆる加工食品に使われている添加物を含めて、その二つでございます。

 以上でございます。

三谷委員 失礼いたしました。質問のやり方がちょっと明確でなかったかもしれません。

 アレルゲンというものは、例えば大豆ですとか乳製品ですとか、そういうメジャーなものもあれば、必ずしもメジャーではない、極めて限定的な、そういう意味では広がりの余りないというようなアレルゲンもあるかと思いますけれども、どの範囲でそれを考えていらっしゃるでしょうか。

鬼武参考人 大変失礼いたしました。

 現行の法律でも、いわゆる卵なり乳アレルギーというのは、重篤度において義務表示の部分と、それから、そんなに重篤ではないけれども発生件数があってということで、それは推奨表示と今でも表示の上ではなっております。

 ただし、私は、法律の条文に入っていないのは明らかにおかしいというふうに思っておりますし、EUでは、今回、消費者の高い健康保護の中で、いろいろな措置の一つとして、やはりアレルゲンも目玉として訴えております。

 私の意見としましては、今回、三法が一つになったということだけの説明でありますと、私ども消費者協同組合の組合員に説明しても、何のために三法が一緒になった、目的が、目玉となるものがないではないか、そういう点も含めて言いますと、アレルゲンについて、日本がきちんと、表示を含めて、リスク評価なり管理措置も含めて今後やっていくという決意を含めてあれば、やはりそういうものが法律の条文に書かれるべきだと思いますし、現状では特定原材料という言い方しかされておりませんので、あえて強調したのでございます。

 以上でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 池戸参考人にも伺いたいと思ったんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。池戸参考人の御意見の中で、消費者に対する啓発というものをしっかりとやっていくことが重要だというふうにおっしゃっておりました。私自身もそういう意味で余り意識が高くなかった部分もあるかと思います。しっかりと消費者への啓発、これは本当に党派を超えて、そして業界を超えて取り組んでいただきたいというふうに思っておりますので、その点も含めて、ぜひともよろしくお願いいたします。

 これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉川委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 四人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見をありがとうございました。

 私は、TPPとの関係で、全員にお聞きしたいと思います。

 私は、さきの当委員会で、TPP交渉参加をめぐって、食品安全の問題などアメリカと事前協議されていることを取り上げました。国民の不安は、TPPで食の安全はどうなるかということであります。幾ら首相が守るべきものは守ると言っても、重要農産物の聖域確保の保証はありません。

 四月十二日のアメリカとの事前協議合意では、アメリカ側の発表文書に日本の重要農産物についての言及は一切ありませんでした。それどころか、米国通商代表部が四月に発表した二〇一三年版外国貿易障壁報告書、これは外国の貿易上の課題の是正を求めるものでありますが、この中で、貿易障壁の一つとして、日本が食品等について成分と食品添加物の名称、割合、製造工程等の表記を求めていることに対して、負担が大きいとして、食の安全性確保のための措置を緩和するように求めています。そして、貿易障壁報告書と同時に発表された衛生植物検疫措置報告書でも、食品添加物の認可手続の迅速化や防カビ剤使用の規制緩和などを求めています。

 以上のような動きは、食品表示の対象拡大、改善を求めている国民、消費者の願いに逆行するものと言わざるを得ません。求められている食品表示がいささか危うい状況になっていると私は感じますが、参考人の皆さんは、TPPとの関係でどのように思われるか、御意見を伺いたいと思います。

西藤参考人 TPP問題につきましては、日本の交渉参加が決まっているわけでございますけれども、具体的な枠組みについては非常にまだわからないことが多い状況だと思います。

 一般論として申し上げれば、食の安全というのは、先ほど来議論がありますように、基本中の基本だと思っています。ただ、安全についても、いろいろなルールの中で処理されている。だから、コーデックスだけで全部決まるかというと、現状でも、各国の消費の実態なり自然条件の状況に応じて、科学的に説明できる事項については当然そういう実行ができるわけでございます。

 ですから、添加物の実情について、アメリカとの関係、あるいは今度EPA交渉が始まっておりますEUとの関係においても、それぞれ状況の違いがあると思いますが、やはりそれぞれの国での実態を含めて、先ほど来議論があります科学的な検証が食品安全委員会で整理をされ、その整理に乗っかった上で実行されていく事項であって、一方的に何かこうだからこうだということにはならないのではないかというふうに思っております。

山根参考人 主婦連合会は、TPP参加断固反対を長く表明しております。食の安全、命の大切さのためのルール、消費者の権利を守るための基準等が、経済利益優先のために切り崩されることはあってはならないというふうに強く思っているからです。

 表示の充実と本当に全く相反するもので、消費者の権利を大きく奪うと思ってございますし、食品添加物表示、遺伝子組み換え表示等々、日本には日本の安全、安心の考え方、取り組み、長い食文化、環境、気候等々があるわけでございます。そういったものを世界標準ということで無視をして、経済優先ということで参加をして、安全が脅かされるということはあってはならないというふうに思ってございます。

鬼武参考人 お答えいたします。

 まず、TPPへの参加についてですが、私どもは、国民への情報提供、食品の安全、安心にかかわる政策、食料自給率向上を目指した施策、必要な制度などが後退することがないような取り組みを、この間、政府に求めてきております。

 その中で、私がお答えできるのが、食品の安全、それの中でまた添加物の話をさせていただきますと、現状、二〇〇三年より、日本は、食品安全基本法、食品衛生法の改正によりまして、リスク評価とリスク管理を分ける、いわゆるリスクアナリシスの枠組みの中で、最初、リスクマネジメントの立場から厚生労働省が食品添加物の使用の資料を集めて、それに基づいて食品安全委員会の方でリスク評価がかかります。そのリスク評価に基づいて今度は厚生労働省の方に返って、基準の必要性、あわせて、現行では消費者庁の方で表示の是非についての議論がされるというふうに理解しております。

 そのような点からしますと、日本は今、現行で食品衛生法、食品安全基本法という二つの健常なる法律のもとに日本の食品の安全性についてはカバーされておるわけですから、まず、そのことが前提であるということが重要であると思います。

 その点からしますと、いまだ表示の部分で、食品の安全の問題について、食品安全委員会がかかわらない分野、先ほど申し上げたアレルゲンの問題でありますとか栄養表示の成分の問題については食品安全委員会はかかわっておりませんので、何度も強調しておりますが、そういうものがリスク評価としてサイエンティフィックなレポートができたら、海外でも、それはSPSであろうとTBTであろうと、そういうものについては証明ができるわけですから、そのことが重要というふうに考えております。

 以上でございます。

池戸参考人 表示の関係でちょっと申し上げたいと思うんですが、TPPとの関係でいえば、もちろん、先ほどから参考人がお話ししたのと同じで、安全だけじゃなくて安心というのもセットで、これは非常に重要な、国益に関連する問題だと思います。

 法律上も、食料・農業・農村基本法の中にも、表示とは書いていませんが、情報の関係も書いています。それから、先ほど出ました食品安全基本法の中にも、これは一条立てで、安全と表示とは密接な関係がある、そういうところが明記されておりますので、ぜひともそういう観点で守っていただければと、お願いでございます。

穀田委員 守りたいのはみんな同じなんですよね。

 相手が一方的に来るということも事実で、西藤さんも一方的なという話がありましたけれども、相手の方が一方的に来るということなのかを見ておかないと、これはえらいことになるということだけ言っておきたいと思います。

 そこで、今度は山根参考人にお聞きしたいんですけれども、表示に対するコスト論について少しお聞きしたいと思うんです。

 検討会の報告書では、「コスト上昇を引き起こすおそれがある」「表示切替えに伴うコストが相当なものになる」、こういうふうに記されているんですね。食品業界等からも、表示には膨大なコストがかかるとの心配が提起されています。

 これに対して山根参考人は、例えば、原料原産地表示について、実際の韓国の例を取り上げて、それによれば、単価五百円の商品の場合、これは三十五銭から一円二十五銭内でできると述べられています。すなわち、それほど重い負担ではないとの御意見だと思うんですね。

 表示に対するコスト論について、実態を踏まえて、もう少し詳しくお話しいただければと思います。

山根参考人 韓国の事例は、調査をした方から情報をいただきまして、一元化検討会の中でも公表してございます。

 韓国でなぜ何百という食品に義務化ができているか。零細事業者は別途配慮が必要だとしても、ある程度の規模の食品事業者でしたら十分可能であるということで、十分機能しているということを一元化検討会の中でも説明をさせていただきました。

 それから、その後も、国内でも、前向きに表示の情報公開に取り組んでいる事業者の方からも、またJAの方等からもいろいろと伺いますと、大幅増というようなことはない、逆に、曖昧な表示で問い合わせを多く受けるというようなことの方が手間暇がかかるといったような回答もいただいてございます。

 こういったように、日本でも幅広く加工食品の原料原産地表示の拡大が可能だということは確かなことだと私は考えてございますし、今回新しく三法が一元化をしまして、新たな視点で、閣議決定もされています拡大のあり方というのが、今後きちんと議論をして方向性が決まっていくと思いますので、見守っていきたいというふうに思っております。

穀田委員 最後に、皆さんに、執行体制と、それから今後の国会や政府の役割についての御意見をお伺いしたいと思うんです。

 顧みますと、一九九七年ぐらいから、特に国会では遺伝子組み換え食品の問題が議論になって、その安全性の是非、表示の義務づけの可否を中心として取り上げられました。表示問題は国会の審議の中心になって、小委員会までつくられた経過がございます。その意味では、食品問題についてのさまざまな議論を、国会も一つの役割を担ってリードしてきた側面もあったかに私は思います。また、その役割を果たさなければならないと私は考えています。

 そこで、皆さんの中を見ますと、例えば、課題の先送りで報告書は不十分なものとなったという御意見もございますし、それから、執行体制のあり方も議論されず、このままでは表示体制が後退するのではないかと心配しているということも書いておられました。

 したがって、二つの点、執行体制についてどのようにすべきかということをお四方からお伺いし、また、食品表示制度充実のために国会や政府は今後何をすべきかという点について、御意見を賜りたいと思います。

西藤参考人 現実の食品表示の執行体制は、先ほど来御論議がありますように、各省庁にまたがっている、あるいは都道府県を含めてまたがっている状況でございます。ただ、法律を含め、企画立案は消費者庁に一元化されているわけでございますので、先ほども申しましたように、その運用についての一元的な対応を通じて、それは事業者にも消費者にもメリットがあることにつながるんだろうというふうに思っております。

 申しわけありませんが、国会との関係についてもお尋ねでございますが、なかなかそこまでは、私、すぐには思いつかない状況でございます。

山根参考人 執行体制につきましては、先ほども申し述べましたけれども、今回の一元化の期待される目的を果たすためにも、執行体制も一元化をして強化させることが必要だと思っております。厚労省、農水省、財務省、消費者庁、一元化をして強化をして、執行に力強く当たっていただきたいと思っております。検査機関、研究機関、自治体とも十分に連携をとって進めていただきたいというふうに思っております。

 今後ですけれども、三法が、表示の部分が一本化をしてスタートされる、それはまだまだ入り口ということでございまして、課題が山積しております個別具体的な検討がこれから始まると思いますので、十分情報公開していただいて、幅広く国民で議論をしながら、よりよい食品表示法がまとまっていければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

鬼武参考人 二点御質問をいただきました。

 執行体制につきましては、ほかの参考人からも出ましたように、今回は一元化のもとにということになりまして、やはり消費者庁がイニシアチブをとるかどうかが一つの大きな鍵となっていると思います。そのもとで、地方農政局なり保健所がいかに迅速に一元化の中で動いてもらえるか、その点が重要だと思います。

 それと、二番目に、食品表示全体について国会で論議、これも個人的になりますが、少し僣越でございますが、参考資料の三を見ていただけますでしょうか。

 少しお話ができませんでしたので、これは実は、オーストラリア、ニュージーランドの食品表示に対する報告書であります。これは、オーストラリアの元厚生労働大臣がもととなって報告書を書いたものでありまして、すなわち、食品表示は人によって価値も違うし、いろいろな価値観でもって優先順位も違ってくるわけです。

 その点からすると、今回、一元化の報告書の中で、食品の安全性にかかわることが最優先でされるべきであるというふうに記載されております。その点からしますと、新食品表示法の中でも、この中に書かれております食品の安全性にかかわる問題、予防的公衆衛生といいますと、いわゆる栄養成分表示なり、その辺が行政の介入としては順位が高い分野であります。

 一方、新規テクノロジーとしては、これは遺伝子組み換え作物でありますとか、それからナノテクノロジー、この分野については、政府の介入については期限つき義務だというふうに書いております。その報告書の中でユニークな点は、例えば、遺伝子組み換えについては、三十年後かどこかで検証しろというふうに、つまり、食経験の中で安全性が確認されるからということで、中ぐらいの位置になっております。

 それから、品質を選ぶ、いわゆる消費者の価値問題ですね。それは行政の介入としては一番低いというふうになっておりまして、これがいわゆる食品表示のヒエラルキー、階層として区分されたものであります。

 まず、そういう点をぜひ全体で議論していただいて、日本が、今、食品表示としてどの分野に何を求めるか、最終的には、消費者にわかりやすい表示は何なのか、実現のために何が必要なのかという点が重要だと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

池戸参考人 まず、執行体制ですが、ルール等が幾ら立派でも、執行体制によって実効性が変わってきます。

 先ほど参考人の方々が言われたとおりなんですが、私自身としても一つプラスして申し上げたいのは、抑止効果としても、規制というのはかなり効果がある。今まで、過去の例からいっても、不正をした一部の業界のために、消費者に非常に多大な影響を及ぼすだけじゃなくて、特に中小企業とかそういったところの過度な負担になっているということもございますので、ぜひ適正な監視なり的確な指導をやっていただきたいということです。

 そのためには、やはり特殊な分野なので、人材育成みたいなものも非常に重要だと思います。これは非常に、ノウハウ的なものが伴わないと、なかなかチェックができないというところもございますので、今いる地域センターの千数百人の方のより効率的な、効果的な使い方というんでしょうか、活用の仕方というのも含めて、ぜひやっていただきたいというのが一つです。

 それから、あと、この制度全体がうまくいくかどうかというのは、まずは消費者自身が、どういう制度になるかというのをぜひ理解を十分していただいて、活用していただくというところまで必要かと思いますので、そういったところに対する普及啓発。

 それから、あと、こういう動きについて、大手の企業さんは、うちの検討会でも、オブザーバーで、アンテナを高くして、いつも熱心に聞いておられるんですが、大半が中小企業でございます。ですから、中小企業の方々に対しても、これは企業さんからすると、消費者というのはお客様ですから、求められているものをお客様に対してぜひ情報提供したいという気持ちはあるかと思いますので、今の制度の仕組みそのものが、今どういう動きがあるかも含めて、決まった後ではなくて、今の動きの状況も踏まえて、きめ細かに提供していただければありがたいなということでございます。

 以上です。

穀田委員 ありがとうございました。

 中小零細企業に対する配慮は特別に必要だということはよくわかりました。

 ありがとうございました。

吉川委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る二十八日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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