衆議院

メインへスキップ



第4号 平成25年10月31日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十月三十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大串 正樹君    大野敬太郎君

      鬼木  誠君    門  博文君

      金子 恵美君    神山 佐市君

      熊田 裕通君    小島 敏文君

      國場幸之助君    白須賀貴樹君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      中谷 真一君    比嘉奈津美君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    務台 俊介君

      村井 英樹君    八木 哲也君

      山田 美樹君    泉  健太君

      大西 健介君    武正 公一君

      中根 康浩君    上西小百合君

      河野 正美君    東国原英夫君

      山之内 毅君    國重  徹君

      浜地 雅一君    椎名  毅君

      三谷 英弘君    穀田 恵二君

      青木  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 昭裕君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 荻野  徹君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     山崎 史郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 昌稔君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     大野敬太郎君

  豊田真由子君     白須賀貴樹君

  比嘉奈津美君     國場幸之助君

  藤原  崇君     石川 昭政君

  宮崎 謙介君     熊田 裕通君

  宮崎 政久君     岩田 和親君

  務台 俊介君     村井 英樹君

  山田 美樹君     神山 佐市君

  東国原英夫君     山之内 毅君

  三谷 英弘君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     青山 周平君

  岩田 和親君     中谷 真一君

  大野敬太郎君     秋本 真利君

  神山 佐市君     山田 美樹君

  熊田 裕通君     宮崎 謙介君

  國場幸之助君     八木 哲也君

  白須賀貴樹君     大串 正樹君

  村井 英樹君     門  博文君

  山之内 毅君     東国原英夫君

  椎名  毅君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     藤原  崇君

  大串 正樹君     豊田真由子君

  門  博文君     務台 俊介君

  中谷 真一君     宮崎 政久君

  八木 哲也君     比嘉奈津美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第六〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、内閣提出、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村昭裕君、警察庁長官官房審議官荻野徹君、消費者庁次長山崎史郎君、消費者庁審議官川口康裕君、厚生労働省大臣官房審議官成田昌稔君、厚生労働省医政局長原徳壽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 皆様、おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 集団的消費者被害の回復の制度導入を図ろうとする本法律案につきましては、私も前の国会で質問させていただきましたし、きのうも、参考人質疑、そして質疑が行われて、本当にほぼ論点は出尽くしているのではないかなと。これはもう、ほかの委員の方も御指摘をされておりましたけれども、私もそのように思っております。したがって、早期に、また今国会において確実にこの法案を成立させなければならないのではないかというふうに思っております。冒頭、まずそのことを申し上げておきたいというふうに思います。

 今回の審議を通しまして、私は、相当に理解が深まっているというふうに思いますけれども、しかし、当初は、誤解がある部分あったのではないかなと。つまり、例えば、メディアはしばしば日本版クラスアクションという言葉を使っておりますけれども、大臣みずから何度も御説明をされているように、本制度は米国のクラスアクションとは明らかに異なる制度であります。そこで、懸念されている濫訴も、きのうの審議の中でも大臣は濫訴はないんだということを力強く答弁しておられました。また、この点については、だんだんと経済界の理解というのも深まってきているのではないかなというふうに私は思っております。

 きのう参考人として本委員会に出席をいただきました経団連の経済基盤本部の阿部泰久本部長、私が読みましたある雑誌の記事では、現在ある十一の適格消費者団体が濫訴を起こす心配はないというふうに述べられています。また、ほかにも、日本商工会議所の企画調査部の杤原克彦部長、この方もこのように述べられています。訴訟窓口が一本化をされ、訴訟や補償の手続が一括できることは、消費者のみならず、企業側にも意義があることと述べられています。

 ただ、経済界にはもちろん懸念もあります。代表的なものとしては、経済同友会が提出した意見書の中で、「本制度の導入により、企業には集合訴訟に応訴する負担のみならず、本制度の対象事案となりうる全ての活動を一から見直すこととなり、そこに発生するコストは膨大なものになると思料される。」と述べておられます。

 訴訟に直接かかわるコストだけじゃなくて、この制度が導入されることによって、経済界は一から業務フロー等を見直さなきゃいけない、そのコストが膨大になるという御指摘ですけれども、この点については本委員会でも繰り返し他の委員からも御指摘がありましたけれども、きょう、皆さんのお手元に資料として朝日新聞の記事を配付させていただいております。

 この記事も何度か取り上げられている記事でありますけれども、岩本隆慶応大学大学院特任教授の試算ということで、最大で十九兆円というすごい数字が示されております。この同じ記事の中では、東証一部上場企業の昨年三月期の純損益が十二兆円、この十二兆円の利益よりも大きい額がかかる。つまり、これだけの利益が吹っ飛んでしまうというふうな記事になっております。

 戻りまして、先ほどの同友会の意見書の中ではこのように書かれています。「アベノミクスの足を引っ張り、ひいては賃金上昇の足かせ要因となって、勤労者でもある多くの消費者にとってかえって不利益を及ぼすことが懸念される。」こういうふうに書かれているんですけれども、この今の十九兆円という数字については、以前、本委員会で、椎名委員の方から、この数字を示した上で、大臣にどう思うかということで御質問があったかと思います。そのときの答弁なんですけれども、大臣はこのようにお答えされています。試算というのは非常に難しい問題である、企業側の試算は、ぜひ委員のような方々にお示ししていただきたい。

 私は、この答弁というのは、ちょっと不十分じゃないか。つまり、今、同友会の要望書の中には、アベノミクスという今の政権の看板政策、この足を引っ張るとまで指摘をされている。本当に東証一部上場企業の利益が吹っ飛ぶんだったら、それはそれで私も問題だと思います。

 そういう意味では、この数字というのは、もちろん、前提の置き方とか条件によって数字というのは幾らでもつくれるんだと思いますけれども、私は、大臣には、この数字というのは、前提の置き方とか条件の置き方によって過大な数字が出てくる場合もあるけれども、そういう心配はないんだということをある程度はっきり言っていただかないと、私も逆に、こんなに本当にコストが生じるんだったら、これは多くの皆さんが心配されるのも当然だというふうに思いますので、もう一度、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。

森国務大臣 アベノミクスの三本の矢の三本目の成長戦略、これを実行するためにこそ必要だというふうに安倍内閣は認識をしています。それだからこそ、安倍内閣において本法案を提出させていただきました。

 消費がふえ、新たな投資を誘発するという好循環を実現するためには、消費者の安全を確保するとともに、その不安を払拭し、健全で活気と厚みのある消費市場を構築することが不可欠、つまり、ウイン・ウインの関係であるということでございます。そして、消費者安心戦略というものも打ち出しております。

 さらに、経済産業大臣、茂木大臣が国会答弁の中で、この法案についても、「消費者が商品やサービスを安心して選択し、消費が活発になることで、健全な市場の形成を通じて、経済活動の拡大が期待されます。」というふうに答弁して、安倍内閣一体となって、この法案の成立を目指しているところでございます。

 先ほどお示しの私の答弁の中でも、この試算については、まず、消費者庁の方の理解としまして、消費生活相談に寄せられている被害金額の合計が一年間で約二千二百億円。この二千二百億円というのは、悪質な業者からだまし取られた金額が非常に多いというふうに思います。

 ですから、経済団体に所属をしておられる良質な企業がこの金額を損失として出したことではないというふうに言った上で、企業側の試算の根拠、こういうことをお示しいただきたいというふうに申し上げたところでございます。

 先ほどお示しの経済的効果を十九兆円、企業コスト最大十兆円、適用制限をしない前提で十九兆円という試算がありますけれども、この試算は、まず、違法な行為をした事業者の費用負担を積算したものにすぎませんで、消費者の被害回復を通じた消費の活性化など、経済のプラスの効果を考慮していません。

 先ほどお示ししたように、消費生活相談に寄せられたような、だまし取られたような金額が、この法案成立によって消費者の方に戻りますと、それは消費者の所得がふえるということがございます。また、そのような市場が形成されることで、消費者が安心して、経済効果がまたプラスになるという効果がございます。

 そういうことも考慮しておりまして、また、二つ目には、団体の数、人員体制に制約がなく、かつ消費者被害として申し出のあった事案全てが救済されるということを前提とするなど、試算の前提が、この本法案によりますような主体の限定、それから対象事案の限定という、本制度の正確な理解をされておられないという点。

 三つ目には、試算の基礎となった事案の具体的件数や被害額が不明であるなど、試算の過程が不透明である。

 そういうことで、しっかりと根拠をお示し願いたいということを私の方で申し上げたところで、私は、この試算については、その妥当性については疑問のあるところでもございます。

大西(健)委員 試算というのはいろいろなやり方があると思いますので、私は、今の御答弁で、前回の御答弁より明らかになった部分があるのではないかと思いますので、ぜひ、本当におっしゃるとおりで、企業側にとってもメリットがあるんだ、ウイン・ウインの関係になるようにしたいというふうに思います。

 それでは、先ほども触れた濫訴の話ですけれども、私は、経団連の方々が言われているように、本当に非常に厳しい要件が課せられている特定適格消費者団体というものの中で濫訴が起こるおそれというのは余りないというふうに思うんですが、かといって、一〇〇%ないとは言い切れない。ならば、まずこの制度を運用してみて、仮に濫訴が起こるようであれば、そのときに見直しをすればいいんじゃないかというふうに思っております。

 本法の附則では、施行後五年を経過した場合に、法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとしています。濫訴が問題になるようなことがあれば、この見直しのときにやればいいと思うんです。

 ただ、そうした場合に、見直しが五年後ということになっていますけれども、これはいささか長過ぎるんじゃないか。例えば、三年後ぐらいに、施行状況を見て、濫訴のことも含めて見直しをしてはと思うんですけれども、この五年という期間が適切かどうかについて、大臣の御所見をいただきたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 見直しの時期を本法の施行後五年を経過した場合としたのは、附則三条に書かれてありますが、一つに、本法律の施行後に特定適格消費者団体の申請及び認定の作業が始まること、二つ目に、認定された特定適格消費者団体が実際に訴訟を提起し、共通義務確認訴訟、簡易確定手続等を経て事案の終結に至るまでには数年を要すること、三つ目に、本制度による訴訟の追行の状況を踏まえた検討をするためには、手続が全て終了した事例が集積するのみならず、仮差し押さえや民事執行が行われる事例についても相当程度の事例の集積が必要不可欠と考えられることから、これらの集積のためには、少なくとも五年程度必要になると考えられることによるものであります。

 また、規制改革推進のための三カ年計画において、原則五年経過後に新設の規制の見直しを行うこととされていることも参考にして定めたところであります。

 法律の施行後五年を経過する前であっても、委員御指摘のように、見直しについての検討をすることは不可能ではなく、法律の施行の状況等を踏まえ、必要があれば見直しを行うことになりますので、御理解を賜りたいと考えております。

大西(健)委員 今の副大臣の御答弁は、ある部分では理屈が通っていると私も思います。確かに、特定認定をして、実際に動き出して、事例が出てくるまでに時間がかかるんじゃないか。

 ちなみに、六十九条で特定認定の有効期間三年というふうになっていますけれども、そうすると、これは何か、三年というのは、認定を受けて、やり出したらもうすぐ次の更新時期を迎えるという感じがするんですけれども、この三年というのはどういう根拠なんでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 六十九条第一項に定めてございますが、特定認定の有効期間でございますが、これは、特定適格消費者団体の負担等も勘案しつつ、特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保し、制度に対する信頼性を維持する観点から、適格消費者団体の認定の有効期間が三年とされている、これは消費者契約法十七条第一項でございますが、このことも踏まえつつ、当該期間を三年としたものでございます。

大西(健)委員 それでは、もう一つお聞きしておきたいのは、きのう、泉委員の質問の中で触れられたんですけれども、答弁がなかった点についてお聞きしたいと思います。

 被害の把握について、二段階目の手続の中で、事業者は、対象消費者の氏名、住所、連絡先が記載された文書やデータの開示を拒むことができないということになっていますが、正当な理由がなく命令に従わないときの過料は三十万円ということなんですけれども、三十万円というのでは、罰則として実効性があるのか。つまり、三十万円払えば出さなくて済むんだったらば出さないということが起こるんじゃないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 過料とした理由でございますが、情報開示命令の違反は手続上の義務に違反して秩序を乱すものでございますので、類例なども踏まえ、三十万円以下の過料に処すということにしたものでございます。

 ただし、過料も罰則でございます。罰則である以上、通常は、事業者としても過料に処される事態に陥るのを避けようとするものであり、一定の実効性を有するものと考えてございます。

 なお、事業者に対しましては、本制度の周知の際、情報開示により紛争の一回的解決を図ることができる、これは先ほど委員御紹介の事業者にも理解が浸透しつつあるところでございますが、そういう利点があることを説明しつつ、理解と協力を求めていきたいと考えております。

大西(健)委員 こういう部分についても、本当に実効性があるのかどうなのかは、また見直しのときにぜひ検証していただきたいというふうに思います。

 多くの国民にとって、こういう制度が必要なんだということを理解していただくためには、例えば、こういう事例がこの制度が導入されたら救われるんだということをわかっていただくのが一番いいんじゃないかと思います。

 私は、前回の質疑の中で同窓会名簿商法というのを御紹介して、これはどうなんだというお話をしましたけれども、今一番話題になっている、こういう問題、あの事件の被害者がこれによって救われるんですよということになれば、国民の皆さんは、一番、腹にすとんと落ちるんだと思うんです。

 そういう中で、今世間を騒がせている、阪急阪神ホテルズのメニュー表示と異なる食材を使った料理を提供していた問題。現在、ホテル側は自主的に返金等に応じているということですけれども、これがもし、返金とか賠償に応じずに訴訟になるような場合は、私は、このスキームに乗る可能性があるんじゃないかというふうに思っております。というのも、消費者としては、高級食材だと思ってそれに見合う代金を支払っている、そこに金銭的な被害が生じているというふうに言えると思います。

 例えば、宴会場のパーティー料理の一部として提供されたシバエビとイカのクリスタルいため、一キロ二千五百円のシバエビじゃなくて、一キロ千四百円の安いバナメイエビが使用されていました。また、レッドキャビアとして、仕入れ値が三分の一程度のトビウオの卵が使用されていた。

 一回ランチで食べたぐらいでは、確かに、被害額というのは非常に小さ過ぎて、これはなかなか難しいかもしれませんけれども、例えば結婚式の披露宴とかになれば、それなりの額になるというふうに思うんですね。

 また、社内調査では、メニューと異なる料理を提供された客の数が約七万九千名に上る。もちろん、この全てが被害回復の対象になるとは思われませんけれども、相当多数の被害者が発生しているという可能性があると思います。

 この事案が一般論として集団的消費者被害の回復スキームに乗るのかどうなのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

川口政府参考人 一般論でお答えさせていただきたいと思います。

 まず、一般的に、事業者の自主的対応により消費者の被害が実際に填補されているような場合につきましては、もはや共通義務を確認する意味はないと思われますので、特定適格消費者団体が訴えを提起することはないというふうに考えられます。

 ただ、そのような被害が実際に填補されていない場合ということでお答え申し上げたいと思います。また、御指摘の事案につきまして、ホテルのレストランにおいて提供する料理に使用する食材の産地やブランド等について、メニューに実際とは異なる表示をして提供していたという事例であると仮定した場合について申し上げたいと思います。

 このような事案におきましては、虚偽表示の対象となった産地やブランド等の商品を提供すべきことが契約の内容となっている、そういうふうに解する余地がございまして、そういう場合には、虚偽表示された商品を購入した消費者は、事業者に対して、支払い金銭相当額と本来価格の差額について、債務不履行に基づく損害賠償請求、または不法行為に基づく損害賠償請求、さらには、場合によっては、消費者契約法第四条第一項第一号の不実告知に該当し、その契約を取り消し、不当利得返還請求をするなどのことが考えられるわけでございます。これらはいずれも本法案で列挙している請求内容でございます。

 また、多数の者に対し、一律に同じメニューを用いて商品を提供していたということについては、共通性等の訴訟要件を満たし、本制度の対象となり得るものというふうに考えております。

大西(健)委員 私も全くそのとおりだと思います。もちろん、一般論として、あるいはいろいろな仮定を置いてということでありますけれども、こういうものがこの集団的消費者被害回復のスキームに乗るということは、私は、非常に国民にとってわかりやすいんじゃないかというふうに思っています。

 せっかくの機会ですから、この点についてもう少しお聞きしたいんですけれども、先週の二十四日、阪急阪神ホテルズは初めて記者会見を開かれました。出崎社長は、偽装ではなくて誤表示と強調しました。しかし、その後、世論の批判等もあって、再度、二十八日に記者会見を行っておられます。

 皆さんのお手元に、資料として、メニュー表示と異なる食材を使った料理が提供された代表的な事例と、それに対する二度の記者会見の中でのホテル側の説明をまとめた資料を配付させていただいています。

 先ほど申し上げたシバエビの欄、これをごらんいただきたいんですけれども、発注段階で既にバナメイエビとして発注されている。調理担当者が小さいエビはシバエビと表示していいという認識をしていたというのがホテル側の説明なんですけれども、食材にこだわっている一流のホテルのシェフがそんな基本的な知識がないというのは、私は、ちょっと常識的には考えられないんじゃないかと。

 あるいは、九条ネギ。途中で仕入れが変わったけれども、添え野菜の変更は表示の必要がないと判断した。それは、あくまで提供側がそう勝手に思っているだけで、客である消費者の側からすれば、それは知ったことじゃないというふうに私は思います。

 共通して言えることは、二度目の記者会見でホテル側自身がそういうふうに言われているわけですけれども、どう言いわけしようが、客にとっては、目の前で信じていた料理がメニューと違ったという事実があるのみであり、偽装ではないというのはあくまで会社側の理屈であり、消費者の立場に立てば、偽装と受けとめられてもいたし方がない、二度目の記者会見ではこのようにおっしゃっているわけですね。

 対象となる料理も四十七種類に上っている。うっかり二、三件間違ってしまいましたというのであれば、誤表示というのもあるのかもしれませんけれども、私は、これは誤表示というようなことを超えているんじゃないかと。

 消費者庁は今、優良誤認で景品表示法に当たるかどうかというのを調査して、必要であれば行政処分を出すと言っておられますけれども、私は、これが誤表示で済んでしまうんだったら、これは同じようなことが幾らでも起こってしまう、あるいは、消費者からすれば、何を信じていいのかわからなくなってしまうというふうに思いますので、今の時点で言いにくいと思いますが、十分調査をした上で厳しい処分をしていただきたい。

 それについて、大臣の御決意を伺いたいと思います。

森国務大臣 消費者の信頼を損なうような表示が起こったということはゆゆしき事態であります。

 そして、今、委員が、誤表示で済んでしまうのであれば消費者はたまったものじゃないというような御指摘ありましたけれども、たとえ誤表示であったとしても、これは景品表示法の違反に当たります。つまり、故意、過失を問いませんので、偽装表示だろうが誤表示だろうが、これは、一般の消費者に優良誤認されるような表示は、景品表示法で禁止されている不当表示に該当いたしますので、消費者庁としては、しっかり調査をして厳正な対処をしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 私は、大臣から力強い御決意があったというふうに思います。厳正な処分をぜひ期待したいというふうに思います。

 あわせて、処分をするだけじゃなくて、同じようなことが二度と起こらないようにしていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、そういう意味で、再発防止に向けた取り組みですが、残念ながら、この阪急阪神ホテルズ以外にも、毎日のように全国のホテルが、いや、実はうちにも不適切表示がありましたということで記者会見が開かれている。

 これが際限なく広がっていくと、まさに消費者の側からすれば、何を信じていいかわからない、不安が本当にどこまでも広がってしまうというふうに思いますので、この際、何が不適切表示なのか、何が誤表示なのか、これについても、それぞれ受けとめ方があるわけですから、こういうものはやはり誤表示ですよ、不適切表示ですよということを何か示していただく。

 あるいは、ホテル側の会見を聞いていても、メニューや食材のチェック体制ができていなかったという話もありますので、例えば、こういうチェック体制をできるだけとってくださいねみたいなことを、これは関係する厚労省や農水省とも協力をしていただいて、関係のところに、事務連絡になるのか何になるのかわかりませんけれども、発出していただいて、皆さんもう一度しっかりチェックをしてくださいねということをすることによって、再発防止に向けて取り組んでいく必要があるのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

森国務大臣 こういったことが次々と起こっているということを大変遺憾に感じておりますけれども、消費者にとっても大変ショックな話であると同時に、真面目にやっているホテルにとっても、これはもう正当な競争になっていないわけですから、そういう意味でも、しっかりと表示をしていってもらいたいと思っております。

 そのような中で、ばれなければいいというような思いがあるとしたら、それはとんでもないことで、消費者庁は、消費者庁設置以来、景品表示法の優良誤認で二十件処分をしておりますけれども、処分をされたら企業名も公表されます。このようなリスクもしっかりと認識をして、業界全体としてまず自助努力をしていただきたいということを、業界と、しっかりとこの全体像も調査をしてほしいということを消費者庁から申し渡すように事務方に指示をしたところです。

 その上で、全体それから現状をしっかり把握した上で、委員御指摘の点についても、今後の再発防止に向けてしっかりと検討してまいりたいと思います。

大西(健)委員 ありがとうございました。

 今の大臣の御答弁を通じても、消費者の側に立ってしっかりやるという意識が伝わってきたと私は思います。

 本法律案も、つくっただけじゃなくて、これから運用が大切だというふうに思いますので、その運用の部分においても、今御答弁にあったような、消費者側の立場に立ってしっかりやるんだ、また、そのことによって真面目にやっている事業者もプラスがあるんだ、そういう意識で、ぜひこの法律案、我々もしっかりと早期に成立をさせたいと思いますので、運用の方もぜひその思いでやっていただくようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 残余の時間、質問をさせていただきます。

 この消費者裁判の手続の特例法、消費者がこれまで泣き寝入りをするしかなかった少額の被害を回復させるための新しい制度をつくるということで、長い間にわたって検討を重ねてようやく国会に出てきて、さきの通常国会、そしてこの臨時国会と、さまざまな面から審査を進めてきたわけでございます。

 いわゆる濫訴への危惧に対して、あるいはまた、経済活動の負担がふえてくるんじゃないだろうかということに対する対応など、適格消費者団体への特定適格消費者団体の支援のあり方や、訴訟の対象となり得る被害の範囲、これについてもさまざまな議論が行われて、政府側の答弁を聞かせていただいたところですけれども、改めて方針などを確認させていただきたいというふうに思っております。

 まず、濫訴への危惧の対応ですけれども、特定適格消費者団体がこの制度を濫用して訴訟が頻発をする、また、これによって企業に風評被害が発生するといった事態への懸念について、政府の御答弁では、制度の対象範囲を狭くしているんだということ、それもさることながら、この手続の追行主体となる特定適格消費者団体は内閣総理大臣が認定をして消費者庁がしっかりと監督をするんだ、こういう点を強調されていたというふうに思います。また、団体が受け取る報酬費用についても、ガイドラインを作成して一定の上限を決めるんだということでありました。

 このガイドラインについてなんですけれども、報酬費用の基準のほかに、特定適格消費者団体の認定要件の詳細についても作成する旨の御答弁があったと思います。しかし、監督の指針ですとかガイドラインとかさまざまな言い方がなされておりまして、必ずしもその全体像というのが明確ではないというふうに思っているところです。

 報酬費用基準、あるいは認定基準の特定の項目ごとにばらばらにこれらを作成するのか、また、そのほかどのような項目を盛り込もうとしているのか、政府がこの法案の成立後に作成するとしている監督の指針もしくはガイドラインの具体的な内容について、御説明を願いたいと思います。

 また、これを検討する仕組み、枠組みについてですけれども、どのように考えておられるのでしょうか。その際には、消費者委員会をどのように活用していく方針なのか、お尋ねしたいと思います。

福岡大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、郡委員御指摘いただきましたみたいに、私どもとしては、認定、監督に関しますガイドラインを策定することを考えております。

 その際、御承知のとおり、現在、特定がつかない適格消費者団体の認定、監督等に関するガイドラインというものがありますから、それを参考にしながら、項目としましては、活動実績、業務の体制、経理的基礎などの具体的な判断基準、また、被害回復関係業務に関して支払いを受ける報酬または費用がある場合についてのその額または算定方法、支払い方法などの基準、また、業務規程に記載すべき事項の詳細などについて、その中で定めていくことを想定させていただいております。

 また、具体的にガイドラインを策定するに当たりましては、事業者団体、消費者団体、学識経験者等によって構成される検討会を開催させていただきたいというふうに思っておりますし、あわせまして、パブリックコメントを通じて、各界各層からの御意見も反映させてまいりたいというふうに思っております。

 また、御意見がございました消費者委員会とも連携をして検討してまいりたいというふうに思っております。

郡委員 この新しい制度が動き出しますと、特定適格消費者団体の財政的な負担、これが重くなる、これまでの差しとめ請求とは比べ物にならないぐらいに負担が大きくなるということがこの委員会の中でもたびたび言われ、そしてまた、きのうの参考人質疑の中でも、参考人から、特段の支援をお願いしたい旨の御発言があったと思います。

 政府といたしましても、この六月の委員会の中で、幅広く関係者から意見を伺って、必要な支援について検討をしていくという御答弁をいただいておりますけれども、この特定適格消費者団体が被害回復業務の適正な遂行に必要な資金を確保できるように、政府としてどのように具体的に支援をしていくおつもりなのか、その後の検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

 これまで適格消費者団体にも行ってきた支援よりも、さらに格段踏み込んだ支援が必要だというふうに思っているわけで、いかがでしょうか。

福岡大臣政務官 御指摘をいただきましたように、資金確保については、多くの方々がその御懸念を示されているところでございます。

 まず、前段としましては、私ども、この特定適格消費者団体に対しては、その認定に当たって、一定の経理的基礎を求めておりまして、その経理的基礎をもとにして自立した活動をしていただくということが基本になるだろうと思っています。

 その上で、そういった経理的基礎を、より基盤を強固にしていただくために、消費者庁としましても、適格消費者団体に対しまして、この適格消費者団体の知名度を向上させ、同団体の財政基盤である会費等の収入をどうやってふやしていくかというようなことであったり、認定NPO法人制度の活用による寄附金の受け入れの促進を図っていったり、また、地方自治体による適格消費者団体を含む消費者団体への補助金支出等を可能とする地方消費者行政活性化基金事業の整備といった支援を行っているところでございます。

 また、それだけで十分なのかという御指摘もございますので、引き続き、その業務の適正な遂行に必要な資金の確保と支援のあり方については、法案成立後も速やかに検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

郡委員 まさに、この特定適格消費者団体がしっかりと任務を遂行できるように支援をしていかねば、全くこの制度は動かないわけですから、よろしくお願いをしたいと思います。

 この制度、今の段階でも、適格消費者団体が差しとめ請求をするに当たっても、財政的な支援のほかに団体の皆さんたちが求めていたのは、情報面での支援、これだったと思います。

 具体的には、全国の消費生活センターに寄せられた情報というのを直接活用できるようにしてもらいたい、そういう要望があったかと思います。より適時適切な業務の遂行が可能になるには、やはりPIO―NETの活用というのも欠かせないというのが御要望でありました。

 現在でも、適格消費者団体は、いわゆるPIO―NETの情報を検索できる端末を導入できてはおりません。これまで、本当に長い間検討してきているにもかかわらず、現時点でもなお適格消費者団体がPIO―NETの端末を利用できない理由というのは何があるのでしょうか。また、消費者庁として、適格消費者団体への情報面における支援をどのように行っていく方針なのか、お尋ねします。

福岡大臣政務官 委員御指摘のとおり、PIO―NET端末の利用の可能性については、これまでも検討を進めさせてきていただいております。

 その中で懸念される事項としましては、これまでのPIO―NET端末の利用を行政機関以外に広げることについては、地方の消費生活相談の現場等から、個人情報が流出するリスクがあるのではないかとか、また、民間団体が相談情報を閲覧できるということで、相談者が気軽に相談をしようということが、情報流出のリスクもあることからちゅうちょしてしまうような要因になってしまうんじゃないかというような御意見もあって、端末の配備に当たっては、どうやってそういった懸念を払拭するかということが一つの課題となろうかというふうに思っています。

 適格消費者団体に対する情報の閲覧範囲及び情報の管理に関する規定の整備等をしっかり行っていく中で、活用できるように検討を進めてまいりたいというふうに思います。

郡委員 前向きな御発言なんだと思うんですけれども、この間もずうっと検討をしてきて今なおできていないということです。

 いつごろをめどに御回答を出されるのでしょうか。

川口政府参考人 具体的なめどを決定しているわけではございませんが、今政務官から答弁いただいたとおり、地方の消費者行政の現場の理解を得ていくということが非常に重要になっておりますので、この法案の成立後速やかに作業を加速して、少なくとも施行までには結論が出るようにということで検討を急いでまいりたいと思っております。

郡委員 政府がこの新しい画期的な制度を検討してきた中で、消費者そして事業者、さまざまな立場から意見を積極的に取り入れられて、この法案はそれこそ、それぞれが少しずつ不満を抱えながらでもありますけれども、まずは第一歩を踏み出そうじゃないかということで仕上がったというふうに思っています。

 本則で九十九条にも及ぶ大変大きな立派な法律だというふうに私も認識しておりますけれども、このような画期的な制度を新設するに当たっては、あらかじめ法律の中にいわゆる検討条項というのを設けておくということが不可欠なんだろうというふうに考えています。この法案でも附則第三条で規定されています。「施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討」というふうにされています。

 先ほど大西議員の質問にもありましたけれども、施行後五年というのは、施行まで三年あってその後五年ですから、この変化の激しい社会においていささか気が長いなというふうな気がするわけですけれども、先ほどの副大臣の御答弁では、五年を待たずに検討を行う可能性もあるんだということについて言及をされたんだろうと思います。

 先の話でもありますけれども、その見直しの期間、ぜひ五年を待たずにやっていただくように御努力をいただきたい。私どもは、せいぜい三年ぐらいでやっていただけないものかということを強くお願いさせていただきます。

 そして、その際、濫訴への懸念や訴訟の対象となる請求、損害の範囲のあり方ですとか、これまでこの委員会で議論をさせていただきました論点については、必ず検討に当たってチェックをするんだということをお約束いただきたいと思います。

岡田副大臣 今、本法の附則第三条の検討について郡委員から御質問がありましたけれども、先ほど大西委員に答弁をしたとおりでありますが、この法律の施行後五年を経過する前であっても見直しについての検討をすることは不可能ではなく、法律の施行の状況等を踏まえ、必要があれば見直しを行うことになりますので、御理解をいただきたいという答弁をさせていただきました。

 今、郡委員からもお話がありました濫訴の懸念を払拭するためのさらなる措置や対象事案の範囲のあり方などについても検討をさせていただきたいと考えております。

郡委員 ありがとうございます。

 今回のこの法律は、事業者への配慮ということもあって、施行前の事案については及ばないということでございます、適用しない規定になっています。

 これに関して、同一事案が施行の前後にわたって発生している場合への対応としては、この法律案では、創設される手続で被害を回復できない方々については、国民生活センターのADRや消費生活センターのあっせんを活用できるように体制を整備していくということでありました。

 この点について、もう少し具体的に内容を御説明していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

岡田副大臣 委員御指摘の、同一事案が施行前後にわたって発生している場合における施行前の事案についての国民生活センターADR、国民生活センター紛争解決委員会による重要消費者紛争解決手続や消費生活センターのあっせんの活用については、具体的には以下のとおり対応することを検討してまいりたいと考えております。

 一つに、特定適格消費者団体は消費者庁へ一段階目の判決の内容通知を行い、それを受けて、消費者庁が一段階目の判決の内容等を国民生活センターや消費生活センター等の関係機関に周知徹底をする。その際、PIO―NET利用者が閲覧できる掲示板等を活用することが考えられます。

 二つ目に、関係機関においては、消費者に対し、一段階目の判決の内容等を情報提供するなどして、必要に応じて国民生活センターADRの紹介を行う。

 そして三つ目には、ADRは、申請を受け、一段階目の判決の内容を踏まえ、和解の仲介手続を実施する。そして、この際、消費者が申請をし手続を追行することになるものの、国民生活センターは消費生活センターとも連携して手続について消費者を支援し、利用が容易になるようにするということであります。また、消費生活センターがみずからあっせんを実施することも考えられます。

 消費者庁としては、国民生活センターのADRについて十分な対応が可能となるように、必要に応じて人員や予算に係る措置等も図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

郡委員 国民生活センターのADRを活用するということで、昨日の参考人で国民生活センターの前理事長野々山さんが、ADRのスタッフの拡充、今の状況ではとてもやり切れないということをはっきりおっしゃっておりました。

 そもそも、国民生活センターを含む消費者行政の体制全体のあり方というのを今御検討中というふうに認識をしております。七月でしたか八月でしたか、中間取りまとめも拝見させていただきました。特に、国民生活センターのあり方については、ADRのみならず、相談、商品テスト、研修といった各種機能を今後ますます強化していく、そういうことが重要であるというふうに私自身も思っているわけですけれども、いつまでに、どういう方向で結論を出すおつもりなんでしょうか、大臣に伺います。

森国務大臣 国民生活センターのあり方については、今まで大きな紆余曲折がありまして、国民生活センターは時代の中で翻弄されてきたわけでございます。

 民主党政権になりまして、独法の改革というのがありまして、平成二十二年十二月七日に、国民生活センターの直接相談は廃止、そして、国民生活センターそのものも独法として廃止をするということが決定されました。

 これは、独法の中で天下りであるとかわたりであるとか、そういうものが多く指摘されて、また、予算の無駄であるとかいうような、そういう着眼点で独法改革が始められたということ。着眼点はそれなりに理由のあるものだったと思いますが、その結果として、大変弱いものから切られていってしまったということで、女性会館も一つですけれども、女性とか消費者とかいう分野の独法が最初にやり玉に上げられてしまいまして、そして、国民生活センターの研修施設もなくなってしまいました。

 その後、民主党政権の中で三回の会議が開かれて、まずタスクフォース、それから検証会議、それから体制の在り方検討会ということで、最後の体制の在り方検討会の報告書、二十四年八月二十二日に出されたときが、郡委員が消費者庁の政務官としてお務めになっていたころだと思いますが、このときの報告書には、独立性を法的に担保した特別の機関として消費者庁に移行するということが決められました。

 その後、安倍内閣になりまして、民主党政権の独法の改革については、まずゼロベースで見直すこととさせていただきまして、凍結をさせていただきました。その上で、私のもとで、なかなか決められない、翻弄されてきた中で、消費者団体の皆様方からも大変、もう疲れたというようなお声をいただきまして、一年で決めましょうというふうに言わせていただいたところでございます。

 私のもとで会議を立ち上げまして、そもそもの独法の目的に立ち返り、独法というのは、行政に企画をさせて独法で実施をしていくんだ、ただ、そこをスリム化、効率化していこう、無駄をなくしていこう、天下りなんかはとんでもない、そういうところをしっかり見ながら、実は、その独法、国センに天下りがあったんだろうか、わたりがあったんだろうか、予算の無駄があったんだろうか、国民のためになる仕事をしていないんだろうか、そういうところをしっかりと議論しながら、適切なあり方をしていこうということで、中間報告をさせていただきました。

 一年以内に結果を出してまいりたいと思いまして、前回、五回目の会議を開かせていただいたところでございます。私、会議には全て出席をさせていただいております。五回目の会議では、先ほどの民主党政権の最後のときの取りまとめは、やはり独法改革の全体の方向性がまだ見通せない中で、やむを得ない次善の策であったということが委員の一人からも発言のあったところでございますので、やはり独法改革全体の趣旨をしっかりと見通しながら、独法改革、ここは稲田大臣がしておりますので、稲田大臣と密接な意思疎通をしながら、結果を出してまいりたい。そのときに、郡政務官が今おっしゃっていただいた独法の機能をより強化する方向でしていきたいというふうに思っております。

郡委員 昨日、大臣の御答弁の中で、研修センターを復活させたというふうに胸を張っておられました。

 私ども、この研修センターの是非については、稼働率がどうであるのかということもしっかりと見きわめながら一定の方向性をつけたんだというふうに今思い出しておりますけれども、たしか稼働率は一割台だったかというふうに思っております。

 なぜ、そこに全国の消費生活相談センターの相談員の方々が研修に集まれないのかといえば、地方のそういう消費者行政が非常に煩雑であって人員が足らないという問題ですとか、あるいはまた待遇の問題など、多々あるかと思うんです。施設をそのまま復活させれば済むというお話ではないなというふうに感じたので、一言申し添えさせていただきたいというふうに思います。

 この法案が目指す制度が機能するためには、消費者と事業者、それぞれ双方においてこの制度をしっかりと熟知する必要があるんだというふうに思います。制度を周知するといっても、予算を無尽蔵に使うわけにはまいりませんで、単に情報を垂れ流すだけでも周知が進むとも思えませんし、知恵を絞っていただきたいというふうに思います。いろいろな御提案も出ていますけれども、アンケート調査などを活用しつつ、ぜひ適切に、それぞれの認知度というのを確認しながら広報活動をしていただきたいというふうに思います。

 この委員会でもいろいろ提案がございました。政府としてどのように受けとめて、どのように検討を進めていくのか、その内容をお伝えいただきたいと思います。

 最後に加えて、大臣のこの制度の実効確保に向けた決意も伺わせていただきたいと思います。

森国務大臣 今、誤解があったようでございますが、この研修センター、復活に向けて私の方で申し出ているというふうに言いました。まだ復活をしておりません。なぜなら、閣議決定を民主党政権のときにされてしまっておりまして、その結果、研修施設は今使えない状態となっておりますが、ここを売ろうと思っても、一体となった施設で、半分使われていて、つながっている施設でありますので、売るに売れず、そして、研修そのものは別の民間施設をお金を出して借りていますので、さらに予算がかかってしまっている。

 無駄の排除どころか、国民の税金をさらに使ってしまっているという状態ですので、その予算の使い方のあり方と、それから稼働率をこれから上げていくための工夫を私の方で提案した上で、研修施設を再開したいということを申し出ているということでございますので、答弁を、説明を付加させていただきました。

 そして、広報のあり方でございますけれども、消費者被害回復の実効性を確保するためには、今、郡委員がおっしゃったように、適切な広報をして、事業者、それから消費者団体、関係者等に対して十分な周知をしていくことが大変重要だと思います。

 そのため、施行までの間において、一般消費者、事業者を対象としたシンポジウムを開催するほか、消費者庁職員が全都道府県に出向きまして、消費者団体、特に適格消費者団体がこれから特定適格消費者団体に上がっていくとすると、そこのところにもしっかり説明をするなど、また、事業者団体、都道府県の担当者向けにも説明会を開催してまいります。業界を所管している官公庁の担当者に対しても説明会を開催して、しっかりと認識を共有していきたいと思っております。また、実際に地域で消費者の相談を受けている法テラス、全国にある消費者センターの窓口担当者に対しても説明を行うこととしておりまして、一般消費者及び事業者に対して、制度の普及が複層的に行われることを期待しております。

 さらに、本制度の国民への周知度、今委員から御意見があったところについては、機会を捉えまして、意識調査を実施するなどして何回も把握を重ねまして、しっかりと周知をさせるように努めてまいりたいと思います。いずれにしても、施行までの間に、関係各所とも連携をしまして、最大限、周知啓発に努めてまいりたいと思います。

 それから最後に、もう一問御質問がございましたけれども、本法案の成立に向けて、そして成立後の施行に向けて、消費者の安心、安全のために全力を尽くしてまいりたいと思います。

郡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 今国会で消費者問題に関する特別委員会の委員に加えていただきました。また、今回早々に、長時間、六十分にわたる質問の機会をいただきまして、関係の先生方に心より感謝いたします。

 本日は、現在審議されておりますいわゆる消費者集団訴訟法案を中心に質問をさせていただきますが、この法案、もうかなり長時間審議されておられますし、何分新任委員でもございますので、これまでの審議と重複する点も多々あるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入ります。

 まず、法案策定に至る経緯についてお尋ねいたします。

 集団的な消費者被害を訴訟により救済しやすくする仕組みは、平成十二年、消費者契約法の附帯決議以来、これまで長い間、問題意識として認識されてきたと思っております。また、消費者庁消費者委員会設置法の附則では、「施行後三年を目途として、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。」とされております。

 さらに、平成二十二年三月三十日閣議決定され、平成二十三年七月八日一部改定された消費者基本計画では、平成二十三年夏を目途に制度の詳細を含めた結論を得た上、平成二十四年通常国会での法案提出を目指すとされております。結果として、今回の法案提出は施行後三年を超えて、ようやくことしになって国会に提出されました。

 当初の想定よりちょうど一年遅いペースじゃないかと思っておりますけれども、なぜ時間を要したのかを伺いたいと思います。

川口政府参考人 御説明申し上げます。

 本制度につきましては、消費者庁におきまして、委員御指摘の消費者庁設置法附則第六項、また消費者基本計画を受けまして、できる限り早期の成案化を目指して検討を進めてきたものでございます。

 ただ、本制度は、我が国の民事訴訟制度の大きな例外となり、他の分野にも前例がなく、消費者、事業者にも影響が大きいところ、我が国に適合した制度とするため、慎重に検討を行う必要があったところでございます。

 そこで、制度の骨子及び概要について、その都度、意見募集、パブリックコメントを行いまして、さまざまな団体、関係者に対する説明会、意見交換会を実施するなどして、関係方面からの意見も聞きつつ、丁寧かつ慎重に検討を進めてきたところでございます。

 法案化に当たりましては、広く国民の皆様から御意見をいただき、消費者、事業者を含め、広く社会の理解を求めながら行うことが必要であり、こうして醸成された意識こそが制度創設後の本制度に対する理解につながり、ひいては制度の適切な活用を通じて消費者の権利の真の実現につながっていく、そうした判断があったところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 また、前述の法案が衆議院で審議された際、附則に規定された見直しに関する検討につきましては、消費者委員会の意見を十分に尊重し、所要の措置を講ずるものとされております。

 このことは、消費者委員会が、消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みであり、消費者問題について調査審議し、建議等を行うとともに、消費者庁や関係省庁の消費者行政全般に対して監視機能も有する独立した第三者機関として位置づけられているからであると思っております。消費者委員会は、その独立した立場から、消費者目線で、さまざまな制度に対して意見を言う役割を求められているものと考えております。

 同年の、二十三年の八月、消費者委員会は、専門調査会報告書を取りまとめた上で、速やかな立法化を目指して検討作業を進めるよう意見を示しております。そこから現在まで、はや二年二カ月が過ぎております。この間の検討過程は、速やかな立法化というには時間を要しているように感じますが、現在の政府の立場ではいかにお考えでしょうか。また、なぜここまで時間がかかってしまったのか、御苦労された点についてもコメントをいただけますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回提出いたしました法案でございますが、この法案のもとになった制度でございます。

 これにつきましては、委員御指摘の消費者委員会の集団的消費者被害救済制度専門調査会におきまして、消費者、事業者、学識経験者の幅広い関係者を網羅した検討が行われたものでございます。特定適格消費者団体を手続追行主体とした、オプトイン型の二段階型の訴訟制度という本制度の基本的枠組みは、当該専門調査会の報告書に沿ったものでございます。

 御指摘の消費者委員会の意見におきましては、「消費者委員会としては、関係省庁に対して、本専門調査会報告書を踏まえて、制度の具体的な仕組みづくりを進めることを求める。」ということ、それから、「今後、集団的消費者被害救済制度の具体的な仕組みづくりを行う過程で、幅広く関係者から意見を聴取した上で、速やかな立法化を目指して検討作業を進める」ということを求めるものでございました。

 私どもとしては、この委員会の意見の中にある「幅広く関係者から意見を聴取した上で、」ということを忠実に行ってきたところでございまして、同専門調査会のまとめた報告書を踏まえつつ、制度の骨子及び制度の概要についてそれぞれ意見募集を行い、また、さまざまな団体、関係者に対する説明会、意見交換会を実施して、関係方面からの意見を真摯に検討した上で法制化作業を行ったところでございます。案ができましたので、前通常国会に提出したところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 いろいろ学識経験者の意見を聞いて、二段階式の訴訟ということで非常に新しいタイプなのかなということで、大変な御苦労をされたと思います。

 この間、選挙によって政権交代がございましたが、その影響というのは何らかあったんでしょうか。コメントいただけますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、本件、消費者庁の設置法に附則がついて、先ほど御指摘の附則第六項というものがございまして、この附則六項は、当時、全会一致でつけられたものと記憶しております。これに沿いまして検討を進めてまいりましたので、政権交代にかかわらず、与野党幅広く御説明をしながら検討してきたものでございますので、本法案提出に当たりましても、選挙がございましたが、与野党を超えて御説明をし、御理解を得ながら提出したものでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 ということは、やはりじっくり審議して、学識経験者等の意見を聞くので時間がかかったということかなと思います。

 次に、施行期日についてお尋ねをいたします。

 本案では、施行が三年後となっております。四月五日の日本消費経済新聞によれば、法案の施行は公布から二年とされていたのが、三年に延長されたと報道されております。

 与党に示された法案の原案では二年だった施行期日が、与党審査の後、三年に変更されたと記事から受けとめられますが、この報道については事実でしょうか。

川口政府参考人 本法律案でございますが、与党関係調査会、部会等を含め、各方面に制度の骨格案をお示ししつつ、御議論いただき、消費者団体、経済界、法曹界を含む各層の幅広い意見を積み重ねながら、肉づけをし、政府として閣議決定をしたということでございまして、いろいろな御説明をしておりますが、各界幅広い御意見を聞く中で、その場その場の骨格案、消費者庁としての考え方を御説明してきたというところでございます。

河野(正)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、そういったことで二年から三年に延びてしまったということで、今いろいろな説明をしてきたとおっしゃいましたけれども、具体的にこれだという説明は何かあるんでしょうか。

川口政府参考人 御説明申し上げます。

 基本的に、先ほど御指摘の消費者委員会の調査会の報告書がございます、まず、この中身を私どもは各界に御説明をしました。これは与野党でございます。その上でさらに、制度案というものを消費者庁で立案し、これを説明してまいりました。

 ですから、制度の骨格をまず御説明し、御理解をいただき、御意見をいただき、反映をしてきたということで、これは各党への御説明にあわせて、各界、国民各層に御説明をしてきたということでございます。

山本委員長 施行期日について答えなきゃ。

川口政府参考人 はい。施行期日については、何年が適当かということについて御議論をいただきまして、与党の中で三年が適当であるという御議論をいただき、それを踏まえて法案を作成したということでございます。

河野(正)委員 何で三年が適当になったのかを聞きたかったんですけれども、ちょっと先に進みます。

 施行前の消費者契約への適用、いわゆる遡及効というのも、与党による法案審査過程で削除されていると思います。与党内の審査だけで決まっていくということは極めて不明朗であり、国会の形骸化とも捉えられかねないのかと思っておりますが、遡及効を削除された理由についても教えていただけますでしょうか。

川口政府参考人 委員御指摘の御質問は附則についてのことかと思われます。

 施行日前の契約に適用されないとしたところでございますが、本制度は、特定適格消費者団体が消費者にかわり訴訟手続を追行し、特定適格消費者団体による通知、裁判所による公告、事業者による公表、情報開示等を経て、可能な限り一回的解決を図ろうとするものでございます。

 本法施行前の事案について本制度を適用するとした場合でございますが、事業者は一時期に多数の消費者からまとまって金銭の支払いを求められることになり、事業者においてはあらかじめ支払いの準備がなされていない可能性が高いということ、それから情報開示義務など本制度特有の新たな義務が課されることへの対応を余儀なくされることから、事業者の予測可能性が害される側面があるということでございます。

 その際、考慮いたしましたことは、消滅時効につきましては、権利を行使する、不当利得等に係る請求では十年であること、不法行為のときからでは二十年を経過するまで損害賠償請求権を請求することができる場合もあることということでございまして、こうした過去の事案が一時期にまとまって請求されると、場合によってはその時点での事業者の支払い能力を上回るような請求額になるということもあり得るということでございます。また、悪質性の程度もさまざまでございまして、必ずしも故意、過失を問わないという場合も不当利得が発生する場合がある。これらを総合考慮したものでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 施行日の設定につきましては、消費者保護のために極めて重要な問題になるのかなと思っております。施行前の事例に適用できないのであれば、施行をできるだけ早い時期に設定すべきではないかと考えます。施行日を早く設定するなど、より消費者の目線になって判断すべき問題ではないのかなと思います。

 最終的にそういうふうに変更されてきたわけですが、このような削除や修正を判断し、決定したのは、最終的にはどなたになるのかなと思います。消費者担当大臣であるのか、総理大臣の判断であるのか、お教えいただきたいと思います。

 また、あわせて、先ほどから若干かみ合っていなかったと思うんですが、判断に至った理由もお聞かせいただきたいと思います。

森国務大臣 まず、法案の提出がなぜおくれたのかと。先ほどの質問で一生懸命事務方が言っていましたが、民主党政権時代のことでございまして、私はわかりません。ただ、安倍内閣になりまして、政治主導ということで、事務方の説明はありますけれども、その当時の政権がどう判断したかということは私はわかりませんよ。

 だけれども、安倍内閣になりまして一番最初の国会で提出させていただきました。それは、消費者庁の設置法に書いてある、そして委員会の意見も出ている、そしてOECDからも勧告を受けている、本当に最大の課題であるということで、安倍内閣として最初の通常国会で出させていただいたということで、御理解をいただければと思います。

 そして、法案の内容でございますけれども、消費者庁としては、法案の骨格をパブコメに出しています。パブコメに出していますが、それは骨格なんです。細かいところまでは書いておりません。なぜなら、パブコメでさまざまな方からの御意見が来ます。そのパブコメを見て、パブコメに書くだけでなく、いろいろなところから消費者庁または大臣室に、消費者団体、業界団体、さまざまな方から御意見をいただきます。そういう御意見に耳を傾けて細目から、細目を決めていって法案というのはつくるものだと私は思います。

 そして、さまざまな御意見を伺った上で、先ほど遡及効のことをおっしゃっていましたけれども、これは正確に言えば、法律用語で言えば遡及効ではございませんね。遡及効というのは施行日の前の要件についてわざわざ遡及させていくことで、遡及効を削除したとおっしゃいましたけれども、遡及効の規定なんか、そもそもパブコメに書いていないんですよ、遡及なんかできないんですから。それを削除したんじゃないんですよ。骨格には適用関係は何にも書いておりません。その後の、さまざまな方々の御意見を聞いて、こっち側の意見もこっち側の意見も、それを、バランスを利益衡量した上で、適用関係や施行の時期などの細目を書き込んで法案を提出した、そういうことでございます。

河野(正)委員 非常に明快でわかりやすい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 先に参ります。

 そもそも、消費者庁と消費者委員会の設置法附則には、平成二十四年中には必要な措置を講じることが求められていたはずであります。今国会で法案は成立したとしても、現状では、仕組みが動き出すのは二〇一六年末、平成二十八年末になってしまい、予定より五年近く遅くなってしまうという問題であろうかと思いますので、この点はゆゆしき問題じゃないかなと思います。

 その間、集団的な消費者被害に対する対策はどのようにとられるのか。裁判外紛争解決手続、ADRということで先ほどからも議論あったかと思いますけれども、ADRの充実だけでは不十分じゃないのかなという思いもございますので、その辺について大丈夫でしょうか。取り組みについてお答えください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者被害は多数生じておりますので、そのものについての救済を図るということは、法律の施行前でも当然必要なところでございます。

 国民生活センターの裁判外紛争処理制度をつくるということは、ごく歴史の浅いことでございまして、まだ数年、実績を上げてまだ四年、五年というところでございます。ここに重要消費者紛争という概念がございまして、この中で、御指摘のような案件についてはしっかり対応していくということでございます。

 ですから、これは法律の施行前でも、まさにきょう、あすという事件においても、国民生活センターのADR機能をしっかり確保し、充実させていくということについて、消費者庁として努力しているところでございますし、また、全国各地、七百二十四カ所に消費生活センターがございます。これらを通じまして、具体的な消費者問題について、あっせん、あるいは相談ができるということについて努力をしているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 本来、法案を審議するということは、立法府である国会に課せられた大きな使命でございますので、法案に問題があるのであれば国会、委員会等で十分練っていくということで、与党内の事前審査等々で決めていくというのはどうかなということで御質問して、その上で、森大臣の御見解を伺いたいと思っておりましたが、先ほどの答弁で十分大臣の見解は理解したつもりでございますので、この点は省かせていただきます。

 次に、閣議決定が迫った三月二十五日、日米欧の七つの経済団体、経団連、日本商工会議所、経済同友会、在日米国商工会議所、アメリカ商工会議所法改革機関、欧州ビジネス協会及びビジネスヨーロッパが、日本における集団訴訟制度に関する緊急提言というのを発表されておられます。

 この中では、

  団体は被害を受けた相当多数の対象消費者から授権を得ずに、自らの判断のみで訴訟を提起することができる。また、仮にこの制度が施行された場合に、施行前に締結された契約から生じた損害も訴訟の対象とすることができるとすると、

これはないんでしょうけれども、

 一層その影響が大きくなり得るので遡及適用をすべきではない。

  安倍総理の主導により加速の気配を見せ始めた日本経済の再生プロセスに少なからぬマイナスの影響を及ぼすおそれがある。消費者に対する実効的な救済を実現するとともに、雇用創出、賃金上昇、イノベーションおよび経済成長といった政府の経済再生プログラムと整合的な制度とするために、十分に慎重な検討が必要

といった、本法案に対して極めて否定的というかネガティブな主張をされておられます。

 また、二〇一三年三月二十九日の日本経済新聞によりますと、三月十九日に自民党の日本経済再生本部に招かれた経済同友会の冨山和彦氏がデフレ促進法案と批判したところ、出席議員の方から賛同の声が上がったというふうに報じられております。

 安倍内閣の進める成長戦略を阻害しかねない法案であるという意見につきまして、森大臣の御見解はいかがでしょうか。

森国務大臣 確かにこのような御意見をいただきました。各方面からいろいろいただきました。先ほど言ったように、法案の骨格が出た段階で、これはまだ細目が出る前でございますけれども、経済団体からもこのような御意見、また、消費者団体からもまだまだ不十分じゃないかというような御意見はいっぱいいただくんですよ。

 その上で、政府としてもしっかりと、さまざまな御意見に耳を傾けて法案をつくっていきましたし、また、自民党の方でも、経済団体をヒアリングして、しっかりと意見交換をして、与党の方からも政府に対して御意見をいただきました。

 また、私は、安倍内閣が進めているアベノミクスにかかわる重大な問題でございますので、経済団体と私本人が膝詰めで議論もさせていただきました。官房長官がしっかり行ってこいということで、私、経済団体の方とお話をして、このような御説明をしたんですよ。

 本制度の活用によって、相当多数の消費者に生じた財産的被害を適切に回復し、消費者が安心して経済活動を行うことができる市場を整備することは、消費者の市場への信頼を高め、消費の拡大、ひいては経済の成長を促すというプラスの効果が期待できる、いわゆるウイン・ウインの効果でございます。

 違法な行為をした事業者にとっては、法律に違反して得た不当な利益を消費者に返還することとなって、違法な事業者は市場から撤退いたします。きれいな市場になります。そうすると、消費者の方に戻ってきた利益及び損害が、また戻ってきた財産が、消費者の安心がまた確保されることによって、今度は適法な事業者との消費活動に使われるということが期待されますから、撤退したそういう違法な事業者の不法な行為も抑制されますし、市場の健全化の中で消費者が安心して消費をすることになって、全体として消費がふえ、新たな投資を誘発するという好循環が実現し、民間需要を刺激することになり、デフレの解消にもつながり、経済の成長を促すことになる。これは安倍内閣の全体の共通の認識でございまして、茂木経済産業大臣も国会で同様の答弁をしているところでございます。

 そして、経済団体の方も、経団連を初め、私のこの見解を理解していただきまして、また、法案を実際に作成する中でもさまざまな工夫を施しまして、この法案の提出に至ったということでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 経済団体の方も十分説明をして納得していただいているということと解釈いたしました。

 次に、適格消費者団体等の団体についてお尋ねをいたしたいと思います。

 現在、適格消費者団体は全国で十一あると聞いております。この主たる事務所所在地の内訳を見ますと、東京が二カ所、さいたま一、名古屋一、京都一、大阪一、神戸一、広島一、福岡一、大分一、そして北は札幌が一つということで、東北、四国には見当たりませんし、まず、現在の段階では地域に偏りがあるのではないかなと思います。

 今後の認定に際しまして、どのように対応して認定をするのか、また、こういった団体の数をふやしていくための何らかの仕掛けや対策などというのを行っていかれるのか、対応についてお教えいただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 適格消費者団体についての御質問でございますが、適格消費者団体が地域に偏りがあるというのは委員御指摘のとおりでございまして、地域的に空白地域があるところでございます。

 ただ、そういう状況ではございますが、認定に当たりましては、消費者契約法にのっとりまして厳正に行うという方針で行っているところでございます。

 他方、消費者庁におきましては、地方自治体における適格消費者団体、今の適格消費者団体についての支援ということで、適格消費者団体を含む消費者団体への補助金支出等を可能とする地方消費者行政活性化基金事業を整備するということをしておりますし、さらに、地方消費者行政活性化基金事業を活用いたしまして新たな適格消費者団体をつくっていく、そういう事業に対してもこの基金を活用できるような仕組みを整えているところでございます。

 各自治体、各都道府県に適格消費者団体の卵のような消費者団体がございますので、そうしたところ、自治体との連携のもとに活用いただきながら、適格消費者団体が、申請がこれから出てくること、これは大変いいことだというふうに思っておりまして、出てきた申請に沿いまして厳正に審査をして、条件を満たしたものは認定をしていく、そういうことでございます。

河野(正)委員 本法案は経済界に非常に警戒感が強い法律であるかと思っておりましたし、企業法務に詳しい弁護士さんの中には、サイレントマジョリティーをクレーマーにする法案じゃないかと危惧されている方もあるようでございます。また、一定のガイドライン等を用いて、きちんと適格性を担保していっていただきたいなと思います。

 本法案の第七十五条におきまして、二項で「特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。」というふうにされております。

 「不当な目的でみだりに」などの文言につきましては、きのうも何か、懸念を参考人の方が言われておりましたので、こういったものをある程度具体的に書き込んでいくことによって、これらの団体に透明性を持たせれば経済界も安心していただけるのではないかなと思いますが、この点はいかがでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 七十五条第二項に「不当な目的でみだりに」という言葉がございます。これは特定適格消費者団体の責務ということでございます。

 ですから、責務をしっかり守っていただくよう、内閣総理大臣、消費者庁として監督をしていくということになりますので、本法案の成立後、施行までに策定する認定、監督の指針、いわゆるガイドラインでございますが、この中で、七十五条第二項に規定する「不当な目的でみだりに」の内容について、本委員会の御議論も踏まえまして、できるだけ明確に示すこととしたいというふうに考えております。

 委員御指摘のように、そういうガイドラインを示し、公開するということになれば、団体自身が、監督、どういう監督があるかということについてわかるという意味での透明性もございますが、適格消費者団体がどういうものかということについて経済界の御理解も得られるものではないかというふうに思っております。

 指針策定に当たっては、事業者団体、消費者団体、学識経験者等によって構成される検討会を開催し、検討することとしたいと思っております。

 以上でございます。

河野(正)委員 しっかりと経済界の方も安心していただけるようなガイドラインをつくって、制度をやっていただきたいと思います。

 今でも既に差しとめ請求の団体訴訟等は展開されておりますが、訴訟に至るまでの調査を初め、費用負担が相当長くになるのではないかなと懸念しております。一つの案件当たり実際どれぐらいかかっているのか、もし、国として把握されていれば現状をお教えいただきたいと思います。

川口政府参考人 一件当たりどの程度かかるかというのは案件によってさまざまでございまして、平均値ということで、一件当たり数十万円程度のものはかかるというふうには承知しておりますが、具体の事案、具体の団体の規模等によってさまざまでございますので、一概に申し上げることは難しいのではないかというふうに思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 例えば、将来的に、今回入っていませんけれども、医療問題であるとか複雑な事象の訴訟案件が生じた場合、かなり理論武装して闘っていかなければ裁判は勝てないんじゃないかなと思っております。今後、専門性の高い訴訟案件が生じるとすれば、非常に財政力の乏しい団体もございますので、かなり難しいのかなと思っております。

 手元にある消費者庁の資料によりますと、十一団体の正味財産というのが、それぞれ、千九百三十六万、二千六百四万、一億二百四十六万、二百二十七万、まあ省略しますけれども、数百万単位、一番多いところでも一億円をようやく超えたぐらいということで、極めて脆弱な財政基盤の団体ばかりであると思いますが、この辺、心配されていないのでしょうか。お伺いしたいと思います。

川口政府参考人 適格消費者団体の財政基盤につきましては、適格消費者団体という業務を担うことに足りる経理的基礎があるかどうかという観点から審査をして、足るものがあるということで認定をしております。

 ただ、その際、差しとめということになりますと、一定程度のボランティアを活用することができるかということも考慮に入れて経理的基礎を判定するということにしております。

 ただ、いずれにせよ、財政基盤が盤石、十分だということではない、大変厳しい状況だというふうに認識はしておりまして、適格消費者団体については幾つかの支援ということで、計画的に制度の周知を進めることにより、適格消費者団体という制度そのものの知名度を向上させ、財政基盤である会費等の収入増に寄与するということに努力しておりますとともに、地方自治体による適格消費者団体を含む消費者団体への補助金支出を可能とするよう、地方消費者行政活性化基金事業を整備するなどの支援を行っているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 制度自体は、悪質な事業者を市場から退場していただくということで、大多数の善良な事業者の活動を支えていくというものでございますが、その活動を担う消費者団体への財政的な支援というのは、国が直接資金援助をするというようなことは非常に難しいんだと、わかっておりますけれども、先ほどの質問でもちょっと触れられていたかと思うんですが、基金などをこれに対して設立して、適格消費者団体を支援していくというような考えはありますでしょうか。

川口政府参考人 現在、適格消費者団体がありまして、そこから認定される特定適格消費者団体というものが本法案の被害回復業務を担うということになっております。被害回復業務においては、消費者から報酬及び費用の支払いを受けることが認められております。これは、現在の適格消費者団体には認められていないということでありますので、その点につき工夫をしたところでございます。

 今後、業務の適正な遂行に必要な資金の確保等支援のあり方につきましては、適格消費者団体の方々など関係者の意見を十分お聞きしつつ、法案成立後、速やかに検討を行ってまいりたいと思っております。

河野(正)委員 今お答えいただきましたけれども、やはりしっかりと支援していくということを考えていただいて、基金など頑張っていただかないとなかなか難しいのかなと。専門性の高い事案に対応していくのは、先ほどボランティアという言葉が出ましたけれども、ボランティアに頼っていくというのもいかがなものかなと思いますので、ボランティアが来てくれればありがたいですけれども、最初からボランティアを利用してということを言われると、どうなのかなと思います。

 また、今後、認定に対しましては、内閣総理大臣が認定されることになると思いますが、更新制や立入検査、認定取り消しなども規定されているようですので、しっかり、こういった団体に対して、ハードルも高くするけれども経済的なことも考えるというような形でやっていって、確かなものにしていただければなと考えております。

 きょうは厚生労働省の方も来ていただいていますので、専門性ということで、ちょっと話題が脱線ぎみになるかもしれませんけれども、PL法、製造物責任法に絡んでくるのであれですが、お話を伺いたいと思います。

 実は、平成二十五年五月二十九日に、厚生労働省医薬食品局の総務課長と安全対策課長お二人連名で、都道府県などの衛生主管部局宛てに次のような文書が出ております。表題は、「医薬品服用中の自動車運転等の禁止等に関する患者への説明について」ということであります。内容は、「添付文書の使用上の注意に自動車運転等の禁止等の記載がある医薬品を処方又は調剤する際は、医師又は薬剤師からの患者に対する注意喚起の説明を徹底させること。」というものであります。

 近年、薬物服用中に大きな自動車事故などを起こす方が散見されまして、非常に不幸な事例になっていますが、そのことで改めて注意喚起文が出たのかなと思っております。

 ところが、この文書によって、臨床現場で頑張っておられる医師にとっては極めて重大な関心事でありまして、非常に混乱している方もおられます。私も医師でありますけれども、PL法ができた後、かなり多くの薬品に驚くような注意書きが書いてあります。

 改めて調べてみましたが、例えば、医薬品の二〇一一年度製品別国内売上高を見ますと、私の専門である精神科の領域では、抗うつ薬で第一位はパロキセチンというのがあります。商品名でいうとパキシルというお薬なんですが、これの添付文書を見ますと、「重要な基本的注意」の一番目に、「眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。」と書いてあります。

 ちなみに、入眠薬、いわゆる皆さんでいうところの睡眠薬とか呼ばれる薬の一番手はゾルピデム、商品名でいえばマイスリーというお薬があるんですけれども、こちらも入眠剤ですから、自動車運転のことは書いてあります。しかし、副作用の中に、眠気、三・四%というのが書いてありまして、睡眠薬で眠気が来るのは当たり前じゃないかなと思うんですけれども、そういったものも副作用に書いてあるということであります。

 こういったことから、臨床現場の先生はかなり過敏に反応されている通達なんですけれども、今回の法律が定着してきますと、悪質な業者は別としまして、善良な企業が使用上の注意や取扱説明書などに、これは薬に限らずですが、自己保身的に多くの事柄を書き込んでいく懸念があるんじゃないのかなと思っております。

 そういうふうになってきますと、注意書きがどんどんふえていく、こういう場合は使っちゃだめだとか、いろいろな制限があった場合、せっかくの善良なよい製品が使いにくくなってしまうという懸念もありますが、これについてはいかがでしょうか。

成田政府参考人 御説明させていただきます。

 医薬品は、治療効果のほかに、重篤な副作用を起こすおそれがあることから、薬事法では、添付文書に、その安全な使用のために必要な情報の記載を求めているところでございます。

 そのため、厚生労働省では、添付文書がわかりやすい記載となるよう、例えば警告は赤字で冒頭に記載するなど、医薬品の製造販売業者に対し、添付文書の記載要領を定めております。また、医薬品医療機器総合機構、PMDAでは、適切な記載となるよう相談、指導を行っているところでございます。さらに、必要に応じまして、医療関係者に伝えるべき重要な注意事項について、パンフレット等の注意文書以外の媒体による情報提供を行うよう企業を指導しております。

 これらの取り組みを進めることによりまして、医療関係者等に必要な情報が適切に提供されるよう努めているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 非常に、医薬品に限らず、添付文書にいろいろなことが保身的に書き込まれていきますと、現実とそぐわない場合も出てくると思いますので、その辺は注意して見ていかなければならないのかなと思っております。

 次に、第二段階の手続におきまして、被害者への通知、公告が、広く被害を救済するためにとても重要となってまいります。しかし、それに要する費用は、団体が負担するものと定められております。

 先ほどからお話ししておりますように、極めて弱い財政基盤の団体が多い中で、これらの団体に公告費用を負わせていくのは厳しいのかなというようにも思います。

 第一段階で消費者被害を回復することが決まり、第二段階はそのための具体的な手続を進めるわけでございますので、事業者が一定程度の負担を負うということも仕方ないように思いますが、こういった考えは検討されておりますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 通知、公告のための費用を事業者が持つという考え方についてでございます。

 通知、公告でございますが、これは、二段階目の手続に消費者の加入を促すための準備行為でございまして、消費者の被害回復のための本制度が特別に設けた手続でございます。

 また、通知、公告の方法については、団体が一定の範囲内で適切に判断して行うことができるというようにしておりまして、その方法及び金額は定型的ではないということでございます。ですので、団体の判断により一定額におさまるものではなく、上限等もないという性格がございます。

 通知、公告がこのような性質を有するため、それに要する費用については、二段階目の手続で事業者が敗訴したとしても、そのことを根拠に事業者に負担させることは難しく、本制度において通知、公告費用を事業者に負担させる旨の規定は設けないということにしたところでございます。

 ただし、通知、公告に伴う団体の負担が過重にならないような配慮というのはいたしておりまして、通知の方法として電子メールなどの電磁的方法を認める、あるいは、公告の方法を相当な方法というふうに、二十六条第一項としておりますが、これにつきましては、団体のウエブサイトの掲載という方法を認める方向で検討しております。

 また、事業者にも、公表義務、あるいは、特定適格消費者団体に対する対象消費者の氏名、住所などの情報開示義務などを課しておりまして、対象消費者が二段階目の手続に加入するための周知義務というのを課しているところでございます。

 その他、消費者庁としても、可能な範囲での支援、これについては考えていきたいと思っております。

 以上でございます。

河野(正)委員 かなりお年寄りの被害とかであれば、インターネットを見るか、電子メールを見るかという問題もあると思いますので、やはり、新聞広告とか、あるいは、場合によっては、テレビとかになるとかなり巨額のお金になってくると思いますので、先ほどから言っておりますように、財政基盤数百万円しかないようなところが、まあ、後から請求できるという話もあるのかもしれませんけれども、一時的にでもそういう契約を結んで公告していくというのは非常に厳しいんじゃないかなと思っておりますので、今のお答えでは、ちょっと厳しいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

川口政府参考人 通知、公告、対象消費者にできるだけ広く届くべきという点につきましては、私どももそのように思っておりまして、委員御指摘のように、インターネットを使わないお年寄りという方もいらっしゃるわけです。そうしますと、対象消費者の住所が団体に判明している場合には書面で通知するということも十分考えられるところだと思います。

 消費者庁といたしましては、消費者庁自身に判決の公表義務、第一段階目の判決についての公表義務が定められているところでございます。これは九十条第一項でございますが、消費者庁については、公表というだけにとどまらず、国民生活センター、全国七百二十四カ所ございますが消費生活センター、それから法テラス等に一段階目の手続の結果等の必要な情報を提供し、情報が対象消費者に伝わるように努めてまいりたいと考えております。

 また、消費生活センターを初め地域の幅広い関係者が参画する見守りネットワーク、昨日御答弁申し上げましたが、見守りネットワークを通じて高齢者等の方々が対象消費者である可能性があることがわかった場合には、簡易確定手続が行われること等を説明する、こういうことも考えられるところでございます。

 このような取り組みを含め、高齢者等にも丁寧に対応できるように、さまざまな、制度以外の消費者庁としてできることについて工夫をしていきたいと思っております。

河野(正)委員 やはり周知徹底、期間も短いと思いますので、しっかりと的確に、確実に広く伝わるように、そういう手段を考えていただきたいと思います。

 次に、消費者側から見ますと、こういった連絡が来るということで、自宅に手紙や電話などで、あなたは被害者です、お金が支払われますといったものが届くと、何か新手の詐欺じゃないかと受けとめられる方も少なくないのではないかなと想像します。

 お手元にお配りしましたように、四年以上前ですが、まさに同じような事件が起こっておりまして、封書が届いて、金融被害者救済及び集団返還訴訟に関するお知らせということで、お手元の資料を見ていただけたらわかるかと思うんですが、一律三十一万五千円の被害金返還が決定したということで、それに対して手数料を払いなさいというようなことがあったようです。

 こういった事件が起きているということで、本法案が詐欺に利用されないように、行政として対策がきちんと必要であるんじゃないかなと思います。例えば、先日私の事務所でお話を伺った弁護士さんの案では、封筒や手紙の文書に何らかの公的な証明を織り込むなどする、あるいはオリジナル封筒を作成、利用などの工夫が必要じゃないかというふうにおっしゃっておられました。

 政府として、これが詐欺に利用されないような何かいいアイデアというのは、消費者庁の方でお考えでしょうか。

川口政府参考人 通知を行うに際しまして、特定適格消費者団体をかたるものに悪用される、こういうことがあってはならないことでございまして、消費者庁として、例えば消費者庁をかたる案件とかそういうものがあった場合には厳正に対処しているところでございますけれども、特定適格消費者団体をかたるものに悪用されないような通知の仕方を工夫ということについては、委員御指摘の点を踏まえ、今後十分検討してまいりたいと考えております。

 ガイドラインの策定について御答弁申し上げますが、ガイドラインの中でも、どのように消費者に通知するかという点について、結論が出たものは盛り込んでいきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 しっかりと通知の方法についても考えていただかないと、そもそも悪質な業者さんであれば、いろいろなことを考えてイタチごっこになるんじゃないかなと思います。オリジナルの封筒をつくってそれを周知徹底したとしても、熊のマークが本当なのにパンダのマークにしていたりとか、いろいろ紛らわしいものをつくったり、そもそも偽造してしまうかもしれませんので、そういった点は、しっかりと今後、ガイドラインなりなんなり、考えていただきたいなと思っております。

 こういったことで、今、警察庁の方では一生懸命、振り込め詐欺の被害防止啓発ということで徹底されていると思うんですけれども、この啓発運動の成果に水を差すようなことになってしまわないかなと。

 警察庁の見解をちょっといただきたいと思います。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺におきまして、悪質商法等の被害者を被害の回復を口実にだます、そういう手口があることは事実でございます。

 警察としましては、取り締まりを強力に進めておりまして、その際に犯人から名簿を押収することがございます。そういった名簿につきましてはいろいろ流通をしておって、他の犯人がその名簿を活用して新たな犯行を行うということがございます。そういったことから、犯人から押収しました名簿を活用しまして、いろいろ注意喚起を図る。あるいは、いろいろな犯罪の手口があるということの広報を行っております。こういったことで被害の予防を図っているところでございます。

 引き続きまして、消費者庁等関係機関とも緊密に連携いたしまして、この種の被害の抑止に努めてまいります。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 このせっかくの法案が、悪質業者の退場だけではなくて、詐欺の登場にならないようにしていただきたいなと思っております。

 次に、医療にまつわることというのは、紛争は、今回、人身損害というのは対象外というふうになっておりますけれども、医療にまつわる紛争に関して今回のような仕組みが今後導入されていく可能性、見通し、これまで検討された状況はあるかどうかについてお聞かせいただきたいと思います。

川口政府参考人 私からは、本制度の対象になるかという観点からお答え申し上げたいと思います。

 医療機関、医療関係者、これも消費者契約法では事業者になり得るということでございますが、医療事故事案では、被害者が、施術の失敗を理由とした診療契約の相手方に対する債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求をするということは、個別の事案では考えられるところでございます。

 もっとも、本制度の対象、本法案の対象となるには、債務不履行または不法行為に該当する施術の態様が相当多数の消費者に共通するものであることが必要でございまして、個々の顧客に対する施術が多様であり、施術の失敗の原因がまちまちであるというときには、共通性を欠きますので本制度の対象とならないと考えられます。

 仮に、本制度の訴訟要件、共通性などの対象要件を満たしたという場合におきましても、本事案についていえば、既払いの施術代金等の損害について、これについては制度の対象となり得ますが、人の生命身体を害されたことによる損害については三条第二項第五号で除外をしておりますので、本制度の対象とならないということでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 残り時間の関係もありますので、事前に通告していた質問をちょっと割愛して話を伺いたいと思います。

 医療とは若干違いますけれども、美容とかエステにまつわる被害というのが、かなり消費者窓口に寄せられている、消費者相談窓口にそういったトラブルが寄せられているというふうに聞いております。

 これまで国に寄せられている情報について、何か問題点、傾向等あれば、具体的にお話しいただけますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁の事故情報データバンク、ここによりますと、美容エステに係る危害、危険情報の件数でございますが、平成二十一年度以降、ほぼ毎年度、六百件程度となってございます。

 具体的には、美顔エステ、脱毛エステ、痩身エステ等によりまして皮膚障害ややけどを生じたという相談が多く寄せられてございます。

河野(正)委員 これらの美容とかそういった問題につきましては、健康食品などもそうでしょうけれども、我々男性でも頻繁に目にするぐらいいろいろなところで、雑誌やインターネットでもそうですし、情報が氾濫しているような状況じゃないのかなと思います。中にはそういうふうに極めて多い宣伝広告によって被害に遭われる方もおられると思いますので、こういった被害を未然に防止するという観点から、何らかの規制、広告規制等、医療に関してはありますけれども、こういう美容などに関してというのは講じられているんでしょうか。お教えください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今話題になりましたいわゆる美容整形などの自由診療につきましても、医療法の中では、医療機関でございますので、広告についての規制は当然ながらかかるわけでございます。

 医療機関につきましては、やはり、実際の事業の内容からいきまして、客観性及び正確性を担保し得る限定的な事項について認められているところでございます。

 特に美容整形については、今、話題になりましたように、多々いろいろな訴訟も起こったりしておりますので、医療広告のガイドラインなどを定めまして徹底をしているところでございます。

 また、広告についての違反につきましては、各都道府県で、雑誌等、いろいろなものを、屋外広告物に限らず、常時監視をするということにしておりまして、違反事例については適切な対応がなされていると考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 また、高齢化社会がさらに進んでいきまして、健康や長寿への関心が高まる一方で、いろいろお年寄りが被害に遭うということも少なくないと思います。そして、やはりインターネットを通じてとかいうことでございますけれども、なかなかお年寄りは、インターネットを使っておられる方は今の段階では少ないのかなと思いますので、やはり非常に今後問題となってくると思いますし、独居老人等であれば近くに相談をできる方がいなかったりとか、いろいろ被害に遭われる方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。

 また、ちょっとこれとは、ずれるかもしれませんが、最近、老人ホームなどで、経営的に厳しくなったということで経営譲渡や転売などが行われていると聞いております。こういった中で、新しい事業者になって、入居者にとって不利益な条件変更が強制されるということもよく耳にしております。

 例えば、二十四時間看護師さんが在駐しているはずが、いなくなって、非常勤になっていたりとか、あるいは、入居時に徴収した一時金の償却期間が過ぎたお年寄りが、病気になって、表の病院などに一旦入院されると、もう帰ってきてくれるなということがあったりとか、非常にそういった問題があると思いますけれども、これらについて、高齢者、老人ホームなどに入居されている方の現状認識とか、取り組みなどはされていますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、先生御指摘のとおり、老人ホーム関係は、今、いろいろな面で、入居者の方も大変ふえておりますし、逆に言いますと、それだけ要望が大変強いという面がございます。

 したがいまして、逆に言いますと、ちゃんとしっかりしたサービスを提供していただくということが大変大事でございますので、これはもちろん消費者庁、消費者行政という面でも取り組む必要がございますが、特に、老人ホーム関係の基準、さらに運営をしっかり監督しています厚生労働省と一緒になって、その入居者についても適切なサービスが提供されるように進めていく必要がある、このように認識している次第でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 もう時間が余りないので、食品表示についてちょっとお伺いしたいと思います。

 四月十七日の党首討論におきまして、我が党の石原慎太郎共同代表が、これはTPPのことで言われたんですけれども、米国が、我が国の東京都などにおける遺伝子組み換え食品のステッカー表示について、その撤廃を求めていると仄聞したということで、これは論外じゃないかと言われております。このことに関して、安倍総理は、しっかりと、食品の安全、消費者の健康、これはまさに最大の国益だから頑張っていくということで答弁されておられますが、この点に関しまして、TPPに限った話ではなくて、遺伝子組み換え食品のステッカーとかそういった制度をきちんと守っていくというお考えはございますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、食品の表示は、食品を選択する際の重要な判断材料でございまして、消費者が求める情報が適切に表示され、安心して食品を購入することは大変大事だと考えてございます。

 したがいまして、消費者庁としましては、国際交渉におきましても、食品表示を含め、消費者の安全、安心に資するため、全力を尽くしてまいる所存でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 六十分ということで、かなりたくさん問題提起を用意していたんですけれども、時間も足りなくなってまいりましたので、最後にちょっとお聞きしたいと思います。

 今回の法案における経済団体の訴えなどを見ておりますと、先ほど森大臣がおっしゃっておられましたように、ちゃんと膝詰めで頑張ってきて、御理解をいただいているということですが、今後、本法案は五年後見直しなど、折々において、まあ適宜見直しという話もございましたので、厳しい交渉や意見が出てくるのかなと思います。

 ガイドライン等を設けていくということでありますが、その中でもいろいろ異論が唱えられることもあるかと思います。これに関しまして、今後の交渉を見据えて、森大臣の決意を最後にお聞かせ願いたいと思います。

森国務大臣 本法律案では、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。その検討課題は、本法律の五年間の施行状況を踏まえて設定することになるというふうに考えますけれども、さまざまな御意見を出されていることについて、五年の間にもしっかりと検討をして、この法案が当初の趣旨にかなったものとなるように、全力を投じてまいりたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 いずれにせよ、消費者というのは、やはり製造者、業者等に比べて、情報量というのは少ないと思いますし、そして、今後、高齢化社会等に向かっていきまして、高齢の方々が被害に遭うという可能性も高くなってまいると思いますので、今後もしっかりとした法律にしていただきまして、もちろん我々も頑張って発言していきますけれども、いい法律として、被害が少なくなって、悪質な業者さんが退場していただけるというような法律として成立することを願っております。

 本日はありがとうございました。

山本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。私、みんなの党の椎名毅でございます。

 本日、消費者被害回復のための集団訴訟制度に関して、最初の質疑ということで、四十分の時間をいただきました。本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 六月の十三日それから六月の二十日、各三十分ずつ、私自身、質疑時間をいただきまして、問題提起を幾つかさせていただきました。そして、昨日、我が党の三谷代議士から、それをさらに深掘りするような形で問題意識を明示させていただいたかと思います。

 基本的には、議論というものはおおむね尽きてきたかなというふうに私自身は理解をしておりますので、引き続き、今まで問題になったところを確認するような趣旨で質疑をしていきたいというふうに思います。

 さらにですけれども、一点申し上げておきますけれども、六月の十三日それから二十日の質疑のときにも申し上げましたけれども、基本的には、私自身の立場として、本法施行によって、事業者側、ビジネス側に対して過度に大きな影響が生じないだろうかという懸念を潰していくという趣旨から、質疑、確認をさせていただきたいなというふうに思っております。

 まず、質疑に入る前に、もう一点コメントをしたいんですけれども、六月の十三日の私の質疑の中で、この日本経済に対する影響ということで、試算が数字として出ていますという話をさせていただきました。総額、中長期で十一兆円、こういうところを指摘させていただいたところでございますけれども、この点について明確な回答というか、数字を挙げた反対の意見をいただけなかったというところについては、比較的残念だというふうに思っています。

 それでは、質疑に入りたいというふうに思います。

 先ほど民主党の大西先生の方からも指摘があったかと思いますけれども、昨今、食品偽装の問題が騒がれております。阪急阪神ホテルズという会社ですけれども、レストランで提供している食品について、一部偽っている部分があった。例えば、バナメイエビをシバエビと表現している、それから、冷凍魚を鮮魚と言っている、それから、普通のジュースをフレッシュジュースというふうに言っている、こんなようなことを言っております。

 これは、それなりにレストランで食事をしている人たちはたくさんいるので、法律的に考えていくと、相当多数の人々から不当利得の返還に該当するような事案ではなかろうかというふうに思います。しかし、他方で、政府答弁においてもたび重なりずっとですけれども、被告となる事業者というのは、基本的には、悪質な業者を対象としているというふうにおっしゃっていただいているかと思います。

 こういった昨今問題となっている食品偽装、偽装表示、こういった事案に対して、本法適用があり得るという理解でよろしいんでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今問題となっている事案ということについて、詳細について正確には個々に確認が必要でございますが、仮に、御指摘の事案について、以下二点の事案というものを想定した場合ということでお答え申し上げます。

 一点目は、ホテルのレストランにおいて提供する料理に使用する食材の産地やブランド等について、メニューに実際とは異なる表示をして提供していたという場合、もう一つは、小売業者において、例えば米を使用した食品について、実際は輸入米が混入しているにもかかわらず、原材料に国産米と表示して販売していた、そういう事案があったというふうに考えます。

 このような事案においては、虚偽表示の対象となった商品を提供、販売することが契約となっている、そういうふうに判断できる場合には、虚偽表示とされた商品を飲食、購入した消費者は、事業者に対して、支払い金銭相当額と本来価格の差額について、債務不履行に基づく損害賠償請求または不法行為に基づく損害賠償請求、あるいは、消費者契約法の四条の重要事項ということになっている場合には、委員御指摘の不当利得、取り消しに基づく不当利得、そういうことも考えられると思います。

 また、共通性の論点でございますが、多数の者に対し、一律に同じメニューや表示を用いて商品を提供、販売していたという場合には、共通性等の訴訟要件を満たし、本制度の対象となり得るものというふうに考えられます。また、相当多数の要件についても、おおむね満たす場合が多いのではないかというふうに考えられます。

 以上でございます。

椎名委員 ありがとうございます。端的に一言で、適用されるんだというふうに思います。

 しかし、こんな例は世の中にたくさんあるわけですよ。ことしの六月、私が通常国会で質疑をするときに質問しようと思っていたころには、東京ディズニーリゾートだったと思います、あとプリンスホテルだったと思いますけれども、同じような事案が生じていたかというふうに思います。

 我々、居酒屋にはよく行くわけですけれども、例えば、居酒屋でシシャモとして売られているもの、これの大半がシシャモじゃないですよね、キャペリンという魚です。回転ずしで白身魚として売られているもの、これは別にタイとか白身魚じゃなくて、ティラピアという魚を使っている場合もあります。さらには、回転ずしのトロ、マグロとして売っているもの、これはアカマンボウという魚を使っていたりすることもよくあります。例えば、てんぷらのサイマキであったりクルマエビと言って売っているものは、ブラックタイガーを使っている場合もよくあります。

 こういった事案をわざわざ明らかにして、掘り出して、全部訴訟の対象にするんですか。一般人が気づいていない、気づいていても放置をしている、要は、回転ずしなんかだと、そんなに安くマグロは食えるわけないよねと半ば思いながら食っているようなものだったりするわけですけれども、そういった気づいていないようなもの、気づいていても放置をしているもの、こういったものを少額多数被害であるということで適用していくのか、掘り起こしていくのか、これこそ濫訴じゃないんですか。

 濫訴の定義というのを改めて確認したいと思います。

川口政府参考人 濫訴一般につきましては最高裁の判断もあるところでございますけれども、本法の適用という関係では、団体の認定の際に確認をしていくということでございまして、不当な目的を持ってみだりに訴訟を行うというものを濫訴ということでございます。

 認定の際、あるいは監督の際に、そうしたもの、具体的内容につきましては、これをもう少し明らかにする必要があるという御指摘を当委員会でいただいておりますので、これにつきましては、認定、監督の指針、ガイドラインを策定する中で盛り込んでいきたいということでございます。

 一方、ただいま委員御指摘の点でございますが、形式的にここに当たるというものが直ちに、具体的な特定適格消費者団体が全て訴えの対象にしていくというふうには考えておりませんで、昨日の参考人、ケーシーズの西島参考人がおっしゃっておりましたが、まさに、本法におきましては、特定適格消費者団体の中に具体の事案の検討を行う部門を設置する、それから、理事会で執行を決定するという仕組みを入れております。これは六十五条の四項の三号と四号でございます。

 そういう検討を行う部門、それから、理事会におきまして適切に事案を選定し、訴訟を起こすに足りる案件を選定して訴訟を起こすということを予定しておるものでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 まず、最初にお願いだけしておきますけれども、認定、それから監督の際のガイドラインというのは、本当に事業者側の意見も聞いた上でぜひ定めていただければというふうに思います。

 それで、この件についてちょっとコメントしますけれども、まず、監督というのは事後なんですね。訴訟が起きた後の問題なんです。しかし、濫訴を防止したいというのは、訴訟が起きる前の話なんです。時点が違うんですね。したがいまして、基本的には、事後的に監督をするからいいという問題では必ずしもないんだというふうに思っております。

 さらには、特定適格消費者団体の方で、それが訴訟するに妥当するものかどうかということを審議するということだというふうに思います。形式的には妥当したとしても、要は、それが経済的に合理性があるのか、さらには消費者のためになるのか、そういったことを検討した上でやっていくということ、それはそのとおりなんだと思います。

 もう一点、さらに、濫訴かどうかについては裁判所の御判断になると先ほどおっしゃっていただきましたけれども、それもそうなんですけれども、要は、こういった裁量なり不安定要素があることそのものが、事業者側にとって予測可能性が立たないということなんです。

 したがいまして、なるべく事前に一定程度わかりやすくしておくことが一番重要なんだというふうに思います。形式的に当たるんだったら訴訟されるリスクがあるよと、弁護士だったらアドバイスをするんだというふうに思います。

 そういうことをうまく整理していくためのガイドラインだと思うので、ぜひとも事業者側の意見は聞いていただきたいなというふうに思います。これはお願いをして、次の質問に行きたいと思います。

 先ほど審議官の方からお話がありましたが、例えば、今の食品偽装の件でも、期せずして審議官がおっしゃったとおり、債務不履行の損害賠償請求、不法行為、不当利得、そのいずれも成立し得るみたいなお話をしていただいたわけでございます。法律家であれば当然理解をしていると思いますけれども、これが請求権競合というお話なんだと思います。

 これは、私が六月二十日の時点に問題提起をさせていただきました。この請求権競合という話、まさに今審議官がおっしゃったように、不法行為、債務不履行の損害賠償請求それから不当利得、この三つがいずれも成立し得る、債権として立ち得るようなそういう事案において、問題になるのが附則の二条です。

 この附則の二条の括弧書きを読むと、要は、不法行為請求については、法律の施行前に締結された消費者契約について、法律の施行後に行われた加害行為については適用されるというふうに読めますけれども、改めてちょっと確認ですけれども、これはそういう理解でよろしいですか。

川口政府参考人 附則第二条でございますが、契約締結後に加害行為があった場合ということについて言えば、施行後に加害行為があった場合には、本法が適用になり得るということでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣がおっしゃっていただいたように、一つの事案について三つ債権が立つ可能性がある、そういう場面があるわけですが、要は、何でこれを問題視するかということですけれども、結局、ビジネス界は、この附則の二条で、遡及的適用がないということ、これをもって、この本法について、少なくとも法律が施行された後以降に対応すれば済むだろうということで、法律が施行される前の、例えば約款とか契約書とか、そういったものを見直さなくて済むという理解で、例えば、この制度に対する対応コストが一定程度読めるということから許容したわけです。

 それだけではもちろんないですけれども、その点が一番やはり大きいわけでございます。自民党の部会の中でも、そういう話があったやには仄聞しております。しかし、附則の二条のこの括弧書きの中で、債務不履行と不当利得と不法行為について別異に扱われているというところに問題があるわけです。

 要するに、同じ事案について債権が三つ立つ可能性があるわけですけれども、不法行為、債務不履行、不当利得、三つ債権が立つ可能性があって、訴える側は、債務不履行の損害賠償請求で訴えれば、それは、この附則二条があるから訴えは否定されるわけですけれども、同じように不当利得で訴えると、訴えるとと言っているのは、ここは施行前の事案、施行前の消費者契約で、施行後に何かが起きたような事案という意味ですけれども、こういう事案について、債務不履行という選択肢をとると、それは訴えは否定されるわけです。これは、この附則の二条によってそのとおりです。不当利得の請求をすると、それもこの附則の二条に基づいて否定をされるわけです。

 しかし、不法行為という法律構成を選択して請求をすると、施行前に締結された消費者契約についてであっても、訴訟が進んでしまって認められる可能性があるということになるんだと思うんです。

 この点について、私自身はすごい問題視をした上で、さきの六月二十日の質疑でもこれを指摘させていただきましたし、きのうの三谷代議士の質疑でも同じ問題点を指摘させていただいたんだというふうに思います。

 これは、遡及的適用を否定するものに対して、いわば抜け穴なんじゃないかというふうに思うんですけれども、これに対する大臣の御見解をいただければと思います。

森国務大臣 全く抜け穴だとは思っておりません。

 先ほどの質問も、ぺらぺらぺらぺらとしゃべって、委員の皆様が議論に参加できないような議論になっておりますけれども、きのうも言われたんです。弁護士同士で空中戦をやっていて、よくわからない。消費者の皆様、それから国会審議を見ていらっしゃる方にも、わかりやすく答弁の中で説明したいと私は思いますけれども、そもそも、この法案を出したのは、消費者が、椎名先生とか三谷先生みたいな立派な弁護士を雇えないんですよ。それで、専門知識がないから、こうやって言われたときに言い返せないんですよ。専門弁護士を雇う資力もない、専門知識もない、そういう皆様方に対して、ボランティアの消費者団体や、それからボランティアの消費者弁護士が今までやってきた、そういうことでこの法案があるということ。

 まずその大前提に立って御答弁申し上げますと、先ほどのも、ホテルの優良誤認。ホテルで、高級なサービスを受けよう、お客様をもてなそう、金額も高いですよ。そのときに、著しく優良と誤認されたら、それは景品表示法違反でしょう。それと、居酒屋の話や回転ずしの話を出して、こんなことは世間によくあるなんて言われて、ぺらぺらぺらとしゃべって、法的に言われて、言い返せないんですよ。私は、それはちょっとおかしいなと思っておりましたが、事務方から答弁したとおりです。

 そして、今の御説明も、全く私はおかしくないと思う。なぜなら、これは第一段階。第一段階の訴訟というのは、共通義務確認訴訟というふうに言われておりまして、三条の柱書きに、共通義務確認訴訟と書いてありますけれども、この第一段階目の裁判をするときの、三条に、一号から五号まで、こういうものに当たる場合には第一段階目の訴訟をできます。特定適格消費者団体が消費者の味方になってできます。有名弁護士は雇えないけれどもやります。

 そういうときに、契約が施行前にあったときには、なりません。だけれども、契約は施行前にあったかもしれないけれども、契約後に有害行為をしたときは、不法行為をしているんだから、それは、不法行為のときには共通義務確認訴訟になりますよ。それは、施行前の契約に、もし契約をしたときはそうであったとしても、その契約に乗ってずっと別に悪いことしていなければいいですよ。だけれども、施行後に不法行為をしているんだから、これは文句を言えないんです。

 そして、法律的に申し上げますと、共通義務確認訴訟というのは、共通な義務があるか、つまり、主な原因が共通であるかというところを確認する。主な原因というのは、契約のときは、契約のところで確認できますけれども、不法行為のときは、有害行為がその訴訟の主な原因なんですから、不法行為のもとになる契約のところでは確認できないんですよ、法律技術上。だから、有害行為のときになる。

 そして、強いて言いますけれども、三番目の反論を申し上げますと、三番目の反論は、そもそも、この適用を限定する、遡及というふうにおっしゃったけれども遡及じゃないですからね。適用を施行後に限定するというふうにした趣旨は、経済界の皆様に、業界団体の皆様に、予測可能性を保障しようということなんです。

 ところが、施行日の後にみずから不法行為、有害行為をしているんだったら、その皆さんの予測可能性は害しないわけなんです。施行後のみずからの企業行動については、それはチェックすべきなんです。もとの契約を全部見直せなんて言っているんじゃないんですよ。施行後の企業行動をしっかり、それは当たり前のことでしょう。それは別に、この法律があってもなくても常にやっていなきゃいけないことですから、過大な負担も課していない、予測可能性も害していないと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 別に僕自身は優秀な弁護士ではないので、その辺は否定をさせていただいておきますけれども。

 見解の相違かなという気はしますが、一応指摘をしておきますと、例えば、昨今、金融業界と適格消費者団体の間で問題になっているのが、生命保険、医療保険等の無催告失効条項というのがあって、ちょっと不払いすると、催告もないまま解約されてしまう、そういう条項が約款に入っているわけです。

 こういった約款を無効にし、この条項を適用することを差しとめるという形で、差しとめ訴訟が起きています。最高裁まで行って、それで差し戻しを受けて、今、高裁判決もたしか出たかというふうに思います。これは、無催告失効条項というものが、一回、高裁で無効だという判断をされたこともあります。最終的には最高裁で否定されていますけれども。

 こういった、約款の一部条項の、例えば消費者契約法十条または九条といったところで該当性を確認して、それを無効ではないかという争いが起きる可能性があります。これは、本制度を含めて、起きるだろうというふうに合理的に予測ができます。

 こういった制度について、何を加害行為と呼ぶのか。今大臣はまさに有害行為だというふうにおっしゃいましたが、要するに、不法行為の損害賠償請求ができる故意または過失行為というのは、比較的、結構広目だったりするわけですね。何をもって有害行為、加害行為というふうに評価をするのかという、要は、最終的にはそこの解釈論に終始するかなという気はします。

 したがいまして、そこの解釈論に終始をするというと、裁判所に委ねることになるということで、事業者側としては、事前に予測が立たない、勝つか負けるかわからない、そういう訴訟が乱発される可能性があるんじゃないかという危惧を持つことになるということです。これが、予測可能性が立たないということの意味です。

 大臣が、この附則二条の趣旨は予測可能性だと言ったのは、それは別に否定をするものでもないですし、それはまさにおっしゃるとおりだと思います。例えて言うなら約款です。

 同じく、今、適格消費者団体とそれから事業者側で差しとめに関する事例がいろいろあります。

 皆さん、スマートフォンなんか使っていらっしゃる方も多いと思いますけれども、スマートフォンを契約すると大体二年定期契約みたいなのがあって、途中で解約すると解約金を多く払うみたいな、そういう約款になっているのは御存じかと思います。途中で解約するとちょっと高額なんですね、この解約金が。

 例えば、こういう規定の約款、こういう規定について、消費者契約法に反して無効ではないかという差しとめなんかも起きたりしています。一応これは裁判所では基本的には否定されていますけれども、今現状、こういった事案が幾つも起きているわけです。

 こういった事案の中で、まさに予測可能性が立つか立たないかでいうと、この括弧書きの部分で、不法行為だけ施行前の契約にも適用されてしまうおそれがあるということであれば、法律構成を変えることによって本法が遡及的に適用されてしまって、本法の訴訟の対象になってしまうんじゃないかという危惧が残るんじゃないかというふうに私は思います。

 ここは多分見解の相違だと思いますし、最終的には、施行前の消費者契約について、施行後に行われた加害行為について、消費者を保護すべきなのか、事業者の予測可能性を担保するべきなのかという価値判断の差だと思うので、大臣のおっしゃっていることは、僕は、それはそれで十分理解をしていますし、消費者庁の立場という意味で理解をしています。しかし、私自身は立っている立場が違うだけだというふうに思っています。

 なので、次に行かせていただきます。ちょっと一つ飛ばします。

 質問項目五というところで書いておいたものですけれども、訴えられる被告の適格というところについて確認をしたいんですけれども、不法行為について、三条三項二号を見ると、「消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者」というふうに書いてあります。

 この「勧誘を助長する事業者」ということについて伺いたいんですけれども、一応、本法については、三条の部分ですね、基本的には、製造物責任と俗に言われる消費者とメーカーとの訴訟、これは対象にはなっていないというふうに理解をしています。これはなぜなら、消費者契約の相手方ではないからだ、そういうことだったというふうに思います。

 しかし、事不法行為については、消費者契約の締結の勧誘を助長したという人も含んでいます。ごくごく当たり前だと思いますけれども、メーカーはテレビCMを打っていますし、商品の購入についてキャンペーンを打っています。各小売店で、小売店の店舗のところに出張っていって、この商品はすばらしいですよみたいなキャンペーンをやっていることすらあります。

 そういった場面で、最終的に消費者契約を締結するのは、何とかカメラとか、何とか電気とか、そういうふうに呼ばれる小売店と消費者との関係かもしれませんけれども、テレビCMや新聞広告なんかをしたりとか、実際にブースを出して、この商品はすばらしいですよみたいな宣伝をしているということそのものが勧誘を容易ならしめる行為に該当はしないか、助長すると言えないかというふうに思いますけれども、それはどうでしょう。御意見をいただければと思います。

川口政府参考人 まず前提でございますが、消費者契約、第三条におきまして、対象を消費者契約に関する請求というふうに限っておりますのは、原則としては、直接販売等のないメーカーは直接消費者契約を消費者と結んでいないという前提で対象にならないということでございます。

 その上で、三条三項二号の御質問でございますが、ここでは勧誘を助長するというふうに書いてございます。これにつきましては、勧誘を容易ならしめる行為全般をいうというふうに考えておりまして、例えば、勧誘のために必要な物品を提供し、当該勧誘の手法を教示することなどは助長に当たり得るというふうに考えております。

 他方、メーカーがテレビCMあるいは新聞広告を行うのは、一般大衆に対して商品を宣伝するものでありまして、意思形成に個別の働きかけを行っているものではないと考えております。小売店に対して勧誘の手法を教示するものではないので、勧誘を助長していることにはならないというふうに考えております。

 なお、このような事業者の方が関心の高いところにつきましては、本委員会の審議を踏まえまして、コンメンタール等にきっちり書き込んでいくということで誤解のないようにしたいと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 ぜひ、コンメンタール、逐条解説、そういったところに、これが入らないということを明確に入れてほしいと思います。

 ちょっと追加で確認なんですけれども、事業者は小売店に対して、この商品を例えば勧めてほしいとかいう営業というのをしていることもあるかと思いますけれども、それは勧誘を容易ならしめる行為には当たりますか。

川口政府参考人 今の御質問だけで一概に判断しかねるところがございますけれども、具体的な違法な共通義務の対象となります、事実上共通の勧誘の、その当該勧誘の手法をメーカーが教示をしたという場合には当たり得るのではないかというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 そうすると、例えば小売店に対して事業者が営業をかけるということも、一定程度、多分、制約されるというか、方法が制約されることにはなると思うので、ぜひとも明確にしていただきたいというふうに思います。

 引き続き、その三条三項の解釈の話ですけれども、一応、もう一点追加で伺いたいんですが、メーカーは商品を小売店を通じて消費者に売っているわけですけれども、保証の約款みたいなものをつくっています。製品を買うと保証書申し込みみたいなはがきがついていて、料金別納郵便みたいなはがきがついていて、そこに何か必要な情報を書き込んで送ると、これはその保証の約款に、契約的には承諾かなんかの意思表示に恐らくなるんだろうというふうに思います。

 これをすることによって、消費者とメーカーとの間で、いわば保証契約のような契約が結ばれることになると思いますが、これは、ここで言う消費者契約、本法の適用される消費者契約には該当しますか。

川口政府参考人 委員御指摘の論点につきましては、消費者契約が成立するかどうかにかかっているのではないかと思っております。

 保証書が交付されたとしても、サービスとして無償修理等を提供しているにとどまり、メーカーと消費者の双方に契約を締結する意思がなければ消費者契約は成立せず、本法の対象にはならないというふうに考えております。

椎名委員 約款があって、その約款で保証してもらいたいからはがきを送るので、約款というのは保証サービスを提供することを皆さんにアピールするためにつくっているので、それは意思表示はあるんじゃないかなというふうには思いますので、今の話をまとめると、適用はあるということに、消費者契約に該当するというふうに理解せざるを得ないんですけれども。

 本法は債務の履行請求等についても一応適用があるということなので、三条の一項の一号で、契約上の債務の履行請求というのが本法の対象にはなっているので、今の話だと、保証という名の消費者契約がメーカーとの間で成立する可能性があるということなんですけれども、もう一回、ちょっとお願いします。

川口政府参考人 お答え申し上げましたのは、消費者契約が成立するかどうかで、消費者契約が成立しない場合には本法の適用はないということでございますし、消費者契約が成立するかしないかはメーカーと消費者の双方の契約の締結意思を確認する必要があるということでございます。

 他方、本法は金銭の支払い義務を対象としておりますので、無償の修理をするという債務は本法の対象ではないということであります。

 ですから、消費者契約が仮に成立したといたしましても、保証するという債務をめぐって訴訟を起こすということは本法の予定しているところではございません。

椎名委員 ありがとうございます。

 世の中に存在している保証に関する約款を全部見たことはないので、私も何とも言えないんですけれども、例えば返金等の言及が仮にあったら、やはりそれはそれなりに問題かなというふうに思ったので、一応確認はさせていただいたという趣旨でございます。

 基本的には、幾つか、ガイドラインまたは逐条解説等に書いていただくことによって事前の予測可能性は大分立つと思いますので、こういった逐条解説それからガイドライン等の整備に当たっては、事業者側の御意見を、事業者団体、三つありますし、いろいろな方々からぜひ聞いていただきたいなというふうに思います。

 あと残りは、幾つかあるんですけれども、ちょっと十二番というところで記載をしていた質疑項目をさせてください。

 本法は、附則三条で見直し条項がついています。五年たったら見直しをするということだというふうに理解をしています。

 この見直しの中で、どういったことについて何を見直すのかということについて、やはり懸念があると思います。

 本法では、一応、現状、慰謝料だったり、逸失利益だったり、拡大損害だったりというところについては適用されていませんけれども、将来的にこの見直しの範囲は、対象となる債権の範囲まで見直しがされるのかということと、それから、三年後に施行され、その後五年で見直しがされるわけですけれども、五年で見直しをされたときに、遡及的適用を原則否定した附則の二条みたいな、こういったところについても見直しの対象となるのか、ぜひ教えていただければと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 本法律案では、「施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」としております。附則第三条に書かれてあるとおりでありますが、その検討課題は本法律の五年間の施行状況を踏まえて設定することとなると考えます。

 したがって、今委員御指摘のありました、拡大損害等についての具体的な事項が検討の対象となるかどうかについては、本法律の五年間の施行状況を踏まえた検討課題の設定によるところであります。

椎名委員 ありがとうございます。

 検討課題の設定というところ、それは役所がやることなんだろうというふうに思うので、対象となる債権の範囲を拡大するということ、これについては消費者の団体の皆様方からさまざまな御要望等あると思います。明確にするなと申し上げるつもりはございませんけれども、ぜひ慎重に御審議をいただいた上で、対象の範囲を広げるか否かというところについては御検討をいただきたいなというふうに思います。

 質疑時間も終わりそうなので、一応、私の見解を申し述べておきますけれども、別にこの法案を全くもって否定したいと思っているわけでは決してありません。消費者団体がこういった形で訴訟を起こしたいという、情報が限られていて力が弱い、そういった消費者の方々が、集団でまとまって、団体を使って訴訟を起こしたいというニーズがあるということは十分理解をしています。この制度は、そういう意味でいうと、何らかの形で存在はするべきなんだろうというのは十分理解をしています。

 その中で、六月の十三日にありました、私が指摘させていただいた、日本の経済に対する経済的なインパクトの可能性というところについて、やはりそこが大きな問題だということなわけです。過剰に消費者を保護するのも問題ですし、過剰に事業者側に寄るのも問題だというふうに思っています。相互にバランスのとれた形でこの制度を設計していくこと、それこそがまさに日本の経済を活性化させるんだと私自身は思っています。どうぞ事業者側の方にも配慮をしていただければというふうに思います。

 もし大臣にお言葉があれば。

森国務大臣 椎名委員の企業側のゼロリスクをあくまでも徹底的に追求するという立ち位置は、大変立派なものだと思います。

 安倍政権は、誤解ないように申し上げておきますけれども、デフレ脱却を目指しております。企業の、経済界の発展を目指しております。そのために必要だと思ってこの制度を入れております。つまり、ウイン・ウインの関係を目指しております。

 アメリカのクラスアクション制度のような副作用がたくさん指摘されている制度ではなく、良質な企業の皆様にも配慮した、非常に制限をかけた、入り口の狭い、そしてオプトイン型の訴訟制度を入れておりますし、委員の御指摘もございますので、今後しっかりとガイドライン、逐条解説に書き込んで懸念を払拭するとともに、これからの意見交換会等には必ず、経済団体の方、そして企業団体の方、業界の方を、消費者団体の皆様とともに意見交換をしていただいて、お互い理解をし合ってウイン・ウインの関係を講じていって、真に悪徳な業者を市場から両者が協力して撤退させて、きれいな市場をつくっていけるように頑張ってまいりたいと思います。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 これで終わります。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木です。

 昨日に引き続き、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、本制度とフランスのグループ訴訟制度との比較でお伺いをさせていただきます。

 大臣の記者会見の中で、森消費者担当大臣が、平成二十五年、ことしの九月一日から五日まで、フランス・パリとインドネシア共和国に出張をしたという御報告を伺いました。

 フランスではOECD科学技術産業局長と消費者担当大臣との会談が行われ、消費者行政組織のあり方や、行政機関が消費者にかわって事業者の不法収益の返還を求める訴訟制度にかかわる加盟国の状況ですとか、フランスで提案されているグループ訴訟制度等について説明を受け、意見交換を行ってきたと伺いました。

 まず、OECD理事会の勧告においては、各国の事情に応じて、消費者に紛争解決及び救済の枠組みを提供するように努力をすることが求められているところでありますが、加盟国の動向について、具体的にどのような状況報告がありましたか。森大臣にお伺いをさせていただきます。

森国務大臣 九月にフランスに行ってまいりまして、OECD、それからフランスの消費者担当大臣と面談をさせていただきました。

 フランスで検討されているグループ訴訟制度は、日本の制度と大変類似をしておりまして、二段階型のオプトインの制度をとっております。認可された消費者団体だけが提起できるというふうに、入り口のところを限定しているところも同じですね。そして、その際に個々の消費者からの授権も不要であります。そして、対象事案ですけれども、こちらも、同一の事業者による法律または契約上の義務違反等に限定をされているということで、事案を限定して、またさらに入り口を限定している、財産的損害に限っているというところも非常によく似ております。

 向こうの大臣と面談をしたときには、うちの方でも国会にかかっているよとフランスの消費者大臣が言いまして、それで、うちも、この間、通常国会でかけて、継続審議になっていますということで、お互いどっちが先に成立するか競争しよう、一緒に成立して双子法案になるといいねということで誓い合ったわけでございますけれども、この二つの制度は、OECDの担当者によると、やはり、今までのほかの制度、クラスアクションの制度などと比較しますと、クラスアクションで指摘をされている副作用の部分、つまり濫訴などの部分を防止するということで工夫をされておりますので、被害救済の実効性を確保しつつ、経済界にも配慮して、濫訴等を防止するということを考えてあるので、大変OECDとしても注目をしているということでございました。

 本法案成立に向けての御協力をまた改めてお願いするところでございます。

青木委員 フランスとも、ある意味、足並みをそろえた形で、成立に向けてお互いに努力をするということでありましたけれども、認定された団体だけであったり、対象事案が大変限定されているということでありましたので、私はフランスから何か学び取るものがあるのかなというふうには思ったんですが、酷似しているということでしょうかね。フランスから逆に日本が学ぶようなことはありませんでしたでしょうか。

森国務大臣 現在、双方審議中でありますので、先に向こうが施行されていれば、その施行後の状況等から学ぶところもあると思うんですけれども、私は、向こうの大臣と話したのは、消費者団体それから業界団体、双方からいろいろな御意見が来ておりますけれども、フランスはどうですかと言いましたら、やはり双方から、もうちょっと頑張ってという議論が来ていると。この委員会での審議でも同じですけれども、消費者団体の方は、実効性の方でもう本当に大丈夫なのかというような御意見、それから、業界団体の方からは、やはりいろいろな御懸念があるという中で、その中で、双方に一生懸命説明しながら、双方のバランスをとってこの法案を提出し、そして審議をしているところだということで、その辺も同じような状況でございました。

青木委員 今御指摘にありましたように、この法案の審議においても、日本経済への影響ですとか濫訴の懸念が議論をされているところでありますけれども、フランスにおいては、このような議論の有無といいますか、あるんでしょうか、フランスでも。

森国務大臣 あるというふうにおっしゃっておりました。

青木委員 実際、議論といいますか、濫訴というものがあるのかどうか、その場合、そういう課題について配慮規定等を何か設けられているというか、これから設けるというか、何かそんな方向性もやはりあるんでしょうか。

森国務大臣 まだフランスもこの法案は成立しておりませんので、グループ訴訟制度による濫訴というものが起こったということはございませんけれども、経済界からは、そういった不当な目的による訴訟提起が起きたときにどうするのかというような御懸念がアモン大臣の方にも寄せられている。アモン大臣としては、それに対して、いや、この制度は、今までの制度に比べて入り口を大変限定しておるということ、それから、その主体に対してもしっかり指導していくというようなことで、もう経済界の御理解も得ましたというようなお話でした。

青木委員 ありがとうございます。

 入り口を限定しているというところがちょっと気になるのではありますけれども、フランスより先にまず日本がこの制度が成立するということで、逆にフランスに対してまたアドバイスできる部分もあるのかなというふうにも思いますけれども、できるだけよいところをお互いに取り入れていったらいいんじゃないかなと、せっかく伺っていただいたので、そう思うものですから御質問させていただきました。ありがとうございました。

 続きまして、支配性の要件について伺わせていただきます。

 一段階目の訴訟要件において、「共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。」と第三条四項に記されております。支配性の要件が定められています。

 この規定について、第百八十三回国会の本法案委員会審議の中で、消費者庁は、二段階目の手続において判断すべき個別の事情については、審理を適切かつ迅速に進めることが困難となるような個別事情がある場合には、本制度による適切な判断あるいは速やかな被害回復を図ることが難しいということになる。また、時間がかかるということになると、消費者は手続追行の負担から二段階目への手続の加入をためらいかねないということも考えられる。そういう背景の中で、指摘のような、簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認められるときには、訴えの全部または一部を却下することができることを定めたものである。ちょっと長くなりますが、具体的には、例えば二段階目の手続において、個々の消費者の損害や損失、因果関係の有無等を判断するのに、個々の消費者ごとに相当程度の審理を要する場合がこれに当たると考えられる。例えば、ある商品のふぐあいが瑕疵に当たるということを確認したとしても、個々の顧客の購入した商品に当該ふぐあいがあるかどうか、この認定、判断が困難な場合などが考えられると答弁をされています。

 この規定及びその解釈、余りにも抽象的ではないか、大変わかりづらいなというのが率直な感想でございます。これでは、中小企業を含めた事業者も、そして被害消費者、そして特定適格消費者団体にとって予測可能性を欠くこととなり、本制度の実効性を欠くことになるのではないかと大変危惧をしているところでございます。

 さらに、この抽象的な条文によって、この解釈範囲が安易に狭められることも、逆に広げることも可能となり、まさに争点となる可能性もあり得ます。これでは、二段階目の審理を迅速に進めることは逆に困難になるのではないかと思われますが、御見解を伺わせていただきたいと思います。

川口政府参考人 支配性の要件についての考え方は、今委員から御紹介いただいた前に行った答弁のとおりでございますが、支配性の考え方そのものは、二段階型にしたこの制度設計そのものの考え方に由来するものでございます。

 大きく言いますと、一段階目の手続で共通義務をしっかり確認するということでございまして、一旦、この共通義務、金銭の支払い義務でございます、多数の消費者に対する、ある事業者の共通義務の確認がなされたとすれば、その判決がなされ、あるいは和解がなされたとすれば、二段階目の手続である簡易確定手続、ここでは、個別の消費者の債権確定手続、誰にどの消費者が幾らもらえるか、事業者から見れば、誰に幾ら支払うかということを決めるわけですが、ここでは、具体の、長期間かからないということが制度設計の基本でございます。

 仮に、ここで長期間、個々の消費者が時間がかかるといたしますと、多くの消費者ができるだけ簡易迅速に救済を受けられるという制度設計そのものを害することになりますので、基本は、第一段階、ここは案件のぐあいに、論点に応じまして時間がかかる場合がありますが、二段階目は時間がかからない、そういうことを前提につくってございます。

 その上で、対象となる請求の列挙、それから対象外の損害、この具体の列挙の仕方においてもこの支配性の考え方を貫いておりまして、例えば、製造物責任は入りませんということで御答弁しておりますが、拡大損害が入らない、あるいは人身損害が入らない、慰謝料が入らないということも、この支配性の考え方が背景にあるわけでございます。

 ただ、類型的に対象外の損害を決めたといたしましても、個別の案件を全部網羅することができませんので、最後に支配性の原則を条文につけて、個別の事案で、個々の請求、個々の対象外の損害という類型的なところはクリアしたとしても、個別の案件において支配性を欠くという場合があり得るだろうということで、条文をつけ、支配性の要件を欠く場合には却下ということにしたところでございます。

 具体の例については先ほど御紹介いただいたところでございますが、その他、つけ加えさせていただきますと、損害保険金不払いの事案というのがございますけれども、保険事故が生じているかどうかの認定判断が困難な場合、それが金銭支払いにどうつながっていくかわからないというような場合には、支配性の要件を欠くと評価される場合があろうかと思います。

 また、過払い金返還請求におきましても、みなし弁済が成立していないことを確認した、ここを共通義務で確認したとしても、個々の消費者ごとの貸し借りの内容や、どの範囲の取引を一体のものと見て充当計算するかなど、個別の過払い金返還請求訴訟には多数の論点、個別の論点がございます。そうした場合に、一段階目の論点だけで判断しては、二段階目の、個別の消費者が、誰が幾らもらえるかということがわからないという場合がありますので、事案によっては、この支配性の要件に基づきまして却下をする、これは裁判所の方で判断をして却下をするということを認めたものでございます。

青木委員 裁判所の方で判断をするということですよね。困難であると認めるときというのは、今御説明をいただいているのですけれども、困難であると認めるときというのをもう少し簡潔に教えていただけますでしょうか。

川口政府参考人 条文でございますが、条文では三条の四項ということでございますが、考慮要素という、裁判所が判断をしますから、究極的には裁判所が考えて、第二段階目で相当さまざまな、まず、第一段階目の共通義務確認に係る請求を認容するとしたとしても、事案の性格上、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張、簡易確定手続というのは二段階目の手続でございますが、ここでどのような主張が事業者からなされるか、予想される主張、及び立証の内容その他、こういうことを考慮いたしまして、二段階目の当該簡易確定手続において、対象債権の存否及び内容、具体的には、固有名詞のどの消費者が幾ら返してもらえるか、事業者から見ると、どの消費者に幾ら払わなくてはいけないかということについて、簡易に決めることができない、難しいということを裁判所が判断をしたという場合には、この三条の四項を使って却下をするということを定めたものでございます。

青木委員 この困難であると認めるときというのがどういうときなのかというのがちょっとまだ今のままでは曖昧なものですから、事案が却下されてしまうのではないかと大変危惧をするものですから、質問させていただきました。

 ある程度の解釈を明確化して、具体的事案を示すような検討が必要ではないかというふうに思いますので、いろいろガイドラインの議論も出されておりますけれども、中小企業を含めた事業者の立場もありながらも、やはり特定適格消費者団体のためにも、もっとわかりやすいガイドラインといいますか、方針、基準を示す必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、対象となる請求権の見直しについてお伺いをさせていただきます。

 昨日の参考人、野々山参考人からも、やはり対象範囲が狭いと考えている、そこを拡充することを今後考える必要があるという御指摘をいただきました。

 本制度は、製造物責任被害事案や食中毒などといった拡大損害、また人身損害、例えばカネボウの白斑被害のような人身損害において、慰謝料も求められるような事案は、個別性が高く複雑な事案として二段階目の簡易迅速な手続になじまないとして、現在は対象外とされています。

 しかしながら、こうした事案においても、個別争点において一定の類型化を行えば適用対象として十分対応が可能になるのではないかとも考えております。対象事案を拡大することはそもそものこの法案の趣旨でありますので、多くの被害消費者を救済するということに資すると思っております。

 対象請求権の拡大について、今後検討を行うお考えがあるかどうか、伺わせていただきます。

福岡大臣政務官 委員御承知のとおり、この法律案におきましては、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしておりまして、その検討課題は、本法律の五年間の施行状況を踏まえて設定をすることになるというふうに考えております。

 今おっしゃったような対象となる請求や損害の範囲につきましては、きのうの参考人質疑でも出たということでありますが、平成二十三年八月の消費者委員会集団的消費者被害専門調査会報告書においても、引き続き調査すべき事項であるというふうに報告された事項がございまして、そういったことも踏まえて、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

青木委員 ぜひ検討していただきたいと思います。できるだけ対象を拡大していくという方向での努力とともに、やはりこれも参考人質疑で述べられておりましたけれども、悪徳商法等に対してはこの仕組みは無力であります。むしろ行政制裁ですとか、財産の差し押さえはもちろん、刑事司法の積極的活用、悪徳商法を根絶するための別の方策もあわせて考えていかなければならないと思っています。

 方向性として、できるだけ門戸を開く、対象を拡大する、そして悪徳商法の対応をどうしていくのか、この二つの方向をぜひ今後検討していただきたいと思いますが、森大臣の御見解をいただけませんでしょうか。

森国務大臣 悪徳商法に対して無力だとは思っておりません。悪徳商法こそ、この法案の対象なんです。良質な企業は対象にしていないんです。ただ、悪徳商法の根絶がこの法案だけでできるとも思っておりません。大変困難だと思っております。

 私自身、悪徳商法と二十年余りずっと戦ってきた弁護士としては、悪徳商法と戦うための一つのツールにすぎないと思っておりますが、現在の法制度では、訴訟を提起するまでの時間が大変長くかかりました。それから、財産の散逸を防ぐための仮差し押さえなどの制度も、財産的にも、そして証拠的にも、それから被害者をたくさん集めなければいけないということでも困難が非常に大きかった。その一つ一つを簡素化し、より迅速にしている制度だと思っております。

 ただし、課題もございますので、それはしっかりと検討をしてまいりたいと思っております。

青木委員 この制度で悪徳商法を全てではないにしても対象にできるということでありました。その辺も、これから周知をしていく中で、国民にわかりやすく、個別具体例を挙げながら示していただければ大変助かります。

 最後に、周知について御質問させていただきます。

 今お話にありましたとおり、この制度でどの程度の被害がカバーできるのか。対象となるのか、あるいは対象とならないのか。対象とならない場合はどういう道が開けているのか。また、本当に悪質な被害についてはどう対応したらいいのか。法律の説明よりも、個々の事案、事例をもとに、わかりやすく、こうした内容を含む周知にしていただきたいなというふうに思っています。

 被害者は決して専門的知識があるわけではありませんので、この範囲ではありませんよとばさっと切られてしまっても大変意味がないものですから、ぜひ、消費者やまた高齢者の目線に立った丁寧なわかりやすい周知内容にしていただきたいというふうに思っています。

 最後に、森大臣に、この周知を含めてお願いをさせていただきたいと思います。

 昨日も参考人の皆様にいろいろお尋ねをして、本当に示唆に富んだアイデアをいただいたというふうに考えております。

 中で、経団連の阿部参考人からは、事業者への事前周知活動として、特に中小企業等にどうやってこの仕組みを知らせてやるか、やはり全国各地の商工会議所あるいは商工会、そのほか中小企業団体にまず知ってもらわなければならないというふうにおっしゃってもおられました。

 こうした事業者側の歩み寄りといいますか積極的な取り組み、また知恵をいただくことも大変有益であろうかと思いまして、また、それにより、よりよい市場を確保して、本当に安心して暮らせるような、そういう環境整備が必要だというふうに思っています。

 その中で、中小企業庁と消費者庁との連携でぜひとも取り組んでほしいという御発言もございました。

 また、たしか河野参考人だったと思いますが、学校現場の方で、消費者問題、消費者保護制度などの教育をする機会を設けてほしい、それに加えて、自治体の窓口や消費生活センターといった消費者と接する最前線の人たちにまずこの制度をしっかりと理解をさせて、広報を充実したものにしていくことが大事だと。

 また、別の参考人の方からは、出前講座や、あるいは行政書士会、税理士会などでも取り組みをされているというようなお話もあったかと思います。

 また、民主党の泉委員からは、事業者に会見を開いていただくのがいいのではないかという御意見もありました。私も大変有用だと思いました。

 そして、地元の消費者センターも、消費者庁の方で何か広報物を考えていただいているのではないかというふうに期待をしておりました。私たち国会議員も、ぜひ地元のいろいろな集会などで、パンフレット等をお預けいただければ、どんどんお配りもしたいというふうにも思っております。

 ぜひ消費者庁におかれましては、消費者庁の設置法によりますと、各省庁に勧告等もできるということになっているはずですし、今後、経産省や中小企業庁、総務省、あるいは文科省等々への強力な働きかけを、ぜひ森大臣を先頭にお願いをしたいというふうに思いますし、閣議の議題に上げていただきまして、関係閣僚の皆さんの御確認をいただければというふうに思っております。

 また、るる指摘がございましたとおり、施行に向けた財源の確保、そして情報がしっかりと提供できる仕組み、この点についても御尽力をお願いしたいというふうに思います。

 最後に森大臣の御答弁をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

森国務大臣 中小企業のことを言っていただいて、ありがとうございます。

 アベノミクスでデフレ脱却、経済成長していく上で、安倍内閣では、過去の反省にも基づきまして、経済成長したときのその果実は、地域に、地方に、中小企業に、そして額に汗して働く方々の手に行き渡るような仕組みをあわせてつくっていかなければならないというふうに思っています。その一つがこの法案である制度であり、そこでセーフティーネットを張っていく。つまり、デフレ脱却、経済成長の陰で、弱者が泣いてしまう、泣き寝入りをしてしまうというようなことはなくしていこう、そういう精神で頑張っておるところでございますので、中小企業の皆様を初めとした企業団体の皆様にもしっかりと周知をして、またその御意見もしっかり聞いてまいりたいと思います。

 やはり今までは、消費者と企業が敵になって戦っていて、企業側は消費者をみんなクレーマーだと思っている、消費者側は企業を全部悪玉企業と思っている、そのような、相手は悪玉、自分は善玉という妄想の中で戦っていたんですが、これはウイン・ウインを目指していかなきゃいけない。どちらの世界にも善玉も悪玉もあって、一人の人間が、家にいるときには家庭人であり消費者、そして、会社に働きに行けば生産者の一人であるということを自覚していくという中で、先ほど出た消費者教育、これは、推進法ができ上がりましたので、私のもとで教育推進会議を設置いたしまして、これが動き出したところでございまして、学校教育の中にも、そして社会人教育の中にも、しっかりと自分の足で立って、自分の身は自分で守れるような知識を持った消費者を教育するということをしておりますので、その中でも、この法制度についても徹底をしてまいりたいと思います。

 そして、報道が、やはり、一つ不祥事が起きますと、非常に過大な反応をすることで企業が自浄作用を発揮できなくなる。つまり、何か不祥事がありましたということを自分のところで認めて発表した場合には、それは一定程度評価をして、自浄作用を応援するような形にしないと、隠蔽工作がやはりまかり通っていって、ばれなければいいだろう、ばれないようにしようというような風潮が進んでしまうと思います。

 基金という話がほかの委員でありましたけれども、実は、民間の基金はファンドがございまして、私もそこに少し寄附したことがあるんですが、消費者団体の組織を運営するための基金でございます。こういったところに、例えば、不祥事を自分で発見した企業が、そこに、ごめんなさいということで少し民間のファンドに寄附をするようなことが慣習として広まっていけば、企業の自浄作用と、それから消費者団体の活動というものが正常に動いていくようになるのではないかと思いまして、そういった周知、広報についてもしっかりと努めてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

青木委員 ありがとうございます。

 ぜひ、森大臣の御専門でもありますし、また、さまざまな経験をもとに、閣内でも旗振り役として各省庁に強力に働きかけをしていただいて、消費者が安心して暮らせるように今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

山本委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 では、質問します。

 今回の法案における消費者被害に係る救済制度は、泣き寝入りする被害者をなくす、消費者の権利を保護するというだけじゃなくて、悪質な業者は市場から退出してもらい、良質、健全な事業者の発展を促す、そのことによって全ての消費者が安心して消費活動が行えることで市場の環境整備もなされるという意義を持つものであることは、この間、論議されてきたことです。

 そういうことから、私は、さきの国会で、この制度は、経済界が、日本経済にマイナスの影響を及ぼすおそれがあると言うのは逆で、日本経済の基礎である土台をきっちりとするものだと主張し、本法案の早期成立を求めたものであります。

 しかし、その具体的な規定内容については、現在起こっている消費者被害の救済には活用できるのだろうか、また、実効性があるのだろうかと懸念される点があります。また、具体的な手続面においても、制度の実効性をより確保するためのさらなる検討が必要であると私は考えます。

 これらの点を前国会で何点か質問しましたが、政府からは、検討しますとか整えていこうと思いますなどの答弁が主で、具体的施策、方針の説明がほとんどありませんでした。制度の実効性につながるよう、これまでの質疑を踏まえて何点か質問してまいります。

 一つの問題は、濫訴の問題であります。

 今回の法案をめぐって、濫訴が焦点の一つとなりました。修正案も、これを中心の一つとして朝の理事会に提示されました。私は、さきの国会でも、そんなことはあり得ないと主張したところでありますが、昨日、参考人質疑でもこの問題について意見をお聞きしたところです。

 そこで、最高裁は、昭和六十三年の判決で、不当訴訟とされる厳しい基準を明示しています。濫訴とは、この昭和六十三年の最高裁判決の基準に照らして判断されるということになるのか。まさか、最高裁判決より緩めること、司法の場より後退することはないと思うんですが、その点の答弁を伺っておきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和六十三年最高裁判決におきましては、民法七百九条の不法行為の成否を判断するに当たりまして、訴えの提起が違法な行為となる場合について、当該訴訟において提訴者の主張した権利または法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、提訴権者が、そのことを知りながらまたは通常人であれば容易にそのことを知り得たと言えるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られる旨、判示したものと理解しております。

 他方、本制度におきましては、団体の行為規範として、これは七十五条第二項に書いてございますが、不当な目的でみだりに共通義務の確認の訴えを提起することを禁止しております。

 いかなる場合に「不当な目的でみだり」に当たるかにつきまして、御指摘の最高裁判決は参考になるものではございますが、本制度の趣旨から定められるべきものと考えております。ですから、民事訴訟一般における訴えの提起が違法となる場合とは必ずしも一致するものではございません。

 ただ、七十五条第二項では「不当な目的でみだりに」というふうになっておりますので、主張が根拠を欠いていたことを単に知っていた、あるいは知り得たということにとどまらず、みずから第三者の利益を図り、または相手方を害する目的などの不当な目的が必要だというふうに考えておりまして、これに当たり得るものとしては、いわゆる図利加害目的など、およそ消費者の利益の擁護を図る目的がない場合、当該共通義務確認の訴えが不適法であるとして却下され、もしくは請求に理由がないとして棄却されることが明らかである場合、またはこれらが容易に見込まれる場合であるにもかかわらず、不当な目的であえて訴えを提起する場合が含まれるものと考えております。

穀田委員 いろいろややこしい話をしているみたいに聞こえるけれども、要するに、その内容は合致していて、そういうものを超えちゃならぬということですわな、簡単に言うと。そういうことですよ。

 というのは、私、きのうの参考人質疑で、この濫訴の問題についても多くの議論がありました。実際、消費者被害救済のために頑張っている全国消団連の河野事務局長や、前国民生活センター理事長の野々山さん、消費者支援機構関西、ケーシーズの西島事務局長、この方々の陳述で、少しでも消費者被害の回復のために、それぞれ本当に御苦労されていることがよくわかりました。

 記録部に間に合わせていただいた速記録では、消費者支援機構関西の西島事務局長からは、差しどめ請求がこの六年間で六件、そして、「やみくもに訴訟を起こすということ自体、当事者である私たちには想像できない」として、濫訴どころではないという話もありましたし、「生半可な心構えで提訴できるような制度ではありません。」という話もあったわけです。

 そして、一方、私が経団連の阿部参考人に、PL法のときも、差しどめ請求訴訟のときも、必ず抽象的な濫訴のおそれということが声高に言われてきたけれども、これまでに日本国内で、消費者から事業者に対する訴えで、これは濫訴だと思われる例をお聞きしたら、ないという答えだった。もちろん、その後でまた、若干補足的に、勝訴はないと。勝ったのはないということは、そういうことは退けられているということなんですよ。

 そういう話をして、まあそこで怒ってもしゃあないんだけれども、濫訴なんてあり得ないし、濫訴に関する規定は必要ないと。この問題はこの間の議論で決着がついているというのがきのうまでの議論で、参加しておられた方はわかったと思います。

 そこで、証拠保全、開示について次は聞きます。

 法案の第一条、目的で書いているように、消費者と事業者の間には情報の質、量等に格差があります。消費者被害の救済が困難であるのは、その証拠やデータの多くが事業者側にあることです。制度を有効に機能させるためには、事業者の持つ内部資料等を含め、証拠の保全、開示させることが大事になっています。証拠開示制度の検討を行う必要があると私は思うんですけれども、その辺、いかがお考えでしょうか。

川口政府参考人 一般的に、事業者が持つ内部資料等を含め、証拠の保全、開示をさせることの重要性は御指摘のとおりであると考えております。

 ただ、本制度は民事訴訟法の特例を定めるものでございますので、特例がないところには民事訴訟法が適用されるという関係になっております。事業者が持つ資料等の保全、開示を求める手段として、一段階目の手続でも二段階目の手続でも、民事訴訟法にございます証拠保全制度、これは二百三十四条でございます、文書提出命令制度、二百二十三条、これをいずれも用いることができるというふうに考えております。

 加えて、本法案では、二段階目の手続における特定適格消費者団体による通知については、事業者に情報開示義務を認め、二十八条第一項でございますが、裁判所による情報開示命令制度を設けているところでございまして、委員御指摘の観点には十分対応しているものと考えております。

穀田委員 対応していると言うけれども、それが不十分だから言っているんじゃないですか。なかなかわかってくれない人だけれども。私どもは、今後ともそういうことについては言っていきたいと思います。

 そこで、もう一つは、制度が成立し訴訟を起こしたとしても、相手方の事業者に資産が残っていないとなれば、勝訴しても、結果として被害救済が行われないことになりかねないということがありますわな。真に消費者の財産的被害の回復を図るためには、制度の早期創設とあわせて、さきの国会においても私はその検討の必要性を強く求めたところでありますけれども、やはり、悪質事業者による財産の隠匿や散逸に対して、行政機関による対応策を早期に導入することが必須じゃないかと思うんですね。改めてお伺いしたいと思います。

森国務大臣 御指摘の悪質事業者による財産の隠匿または散逸の防止のための方策としましては、二十五年六月に取りまとめをしたんですけれども、消費者の財産被害に係る行政手法研究会の報告書が、この六月ですけれども、出まして、財産の保全・凍結命令制度や行政庁による破産手続開始申し立て制度などが検討されました。海外ではディスゴージメントとかリスティテューションとか言われるような制度がございますけれども、行政の方が財産の凍結をしていくという制度が導入できるかどうかということについて議論がなされて、報告書が出たところでございます。

 この報告書を受け取って、そして、消費者庁では、現在、さまざまな観点から御指摘をいただいておりますので、その指摘を踏まえて、関連する法制度のさらなる調査研究を事務方のところでやっているという状態でございます。

穀田委員 今述べたのは、ことし六月にそういう報告書を受けたと。そうしますと、私は、これまでの検討を踏まえて、やはり実現可能な手法に向けて一歩進める必要がある。したがって、私は、来年度中には具体的な法整備にこれに基づいて着手すべきじゃないかというふうに考えているんですが、その辺はどうですか。

川口政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げました行政手法研究会において検討された手法、制度におきましては、本年六月に取りまとめられた報告書におきまして、それぞれの機能に応じて四分類に整理されております。行政による早期対応、これが一つ目、被害発生を防止するための方法、これが二つ目、事業者の財産を保全するための方法、これが三つ目、消費者の被害を救済するための方法、四分類に整理されております。

 報告書を踏まえまして、消費者庁では、まず、被害の防止に万全を尽くすことが重要ということから、行政による早期対応、あるいは賦課金制度などの被害発生を防止するための方法について、分析、検討を進めているところでございます。

 また、加害者の財産の隠匿または散逸の防止の方策である財産の保全・凍結命令制度、あるいは行政庁による破産手続開始申し立て制度などの事業者の財産を保全するための方法について、さまざまな課題が指摘されております。関連する法制度のさらなる調査研究を行うなど、内部での検討を進めているところでございます。

 報告書は中期的なテーマとしての内容も含んでいるところでございまして、個別の手法、制度の導入を考えるに当たりましては、消費者被害の状況、現在行われております法令の執行の状況を十分踏まえ、他にとり得る手法、選択肢の関連など、検討の優先順位を十分考慮することも求められております。

 したがいまして、法制的な制度設計の検討を前向きに行っているところでございますが、研究会報告書で指摘された課題を一つ一つ丁寧に解決してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

穀田委員 今ありましたように、四分類とあるわけですから、一つ一つそれはよく検討していただいて、なおかつ、先ほど言いましたように、私は、来年度中には、やはり、ここまで来ているわけだから、きちんと法整備に着手すべきだということを言っておきたいと思います。答弁では前向きにと言ってはりますから、いわゆる慣用句としてじゃなくて、現実のものとしていただくことを要望しておきたいと思います。

 次に、不当表示事案の問題ですけれども、不当表示と個別の消費者の損害との結びつきを明らかにすることが困難な場合が少なくありません。この場合、制度による救済措置を選択するより、消費者庁で検討している課徴金のような行政的な手法で対応するのがいいんじゃないかという意見もあります。

 また、それが悪質事業者に対する場合であればなおさら、不当利益や不当な事業活動によってつくられた、形成された財産を早期に剥奪する必要性は高いと言わなければなりません。したがって、この課徴金制度の実現を強く望まれている方々もたくさんいらっしゃる。

 他方、制度導入について、特定適格消費者団体は、訴訟過程において、一段階目及び二段階目の手続における事案の分析、検討、立証、和解交渉に加えて、仮差し押さえの担保、通知、公告費用の負担など多額の費用を要する。これは特にきのうるるお話しされたところで明らかでありますが、こうした費用負担を財政的に支援することのために、資金調達の手だてとして、この課徴金制度の実施による徴収金を使うことなども考えられないかと思うんですね。

 具体的な基金の仕組みができれば、通知、公告などの費用の問題も軽減されて、制度の実効性につながるんじゃないかと思うんですが、この辺はどないです。

川口政府参考人 御指摘の課徴金制度につきましては、行政手法研究会報告書におきまして、消費者に財産被害を発生させた事業者に対し、金銭的な賦課を行う制度といたしまして、財産被害の発生、拡大を防止するため意義があるとされたところでございます。

 他方、被害発生を防止するための個別の手法制度の導入を考えるに当たりましては、先ほど申し上げましたように、被害の状況、法令の執行状況を踏まえるほか、違法、不当な行為の抑止を目的とする他の手法、例えば直罰規定あるいは業務停止命令等の新設等の他の手法との関連も考慮することも求められているところでございます。

 特に、御指摘の課徴金、金銭的に賦課を行うものでございますが、金銭的な賦課を行う制度のあり方については、対象事案をどのように絞り込むか、あるいは合理的な賦課金額の算定をどうするか、それから現行法の執行への影響など、解決すべき課題があるとされているところでございますので、それらの検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 いずれにしても、報告書の趣旨を受けとめて、整理された検討課題について着実に検討を進めてまいりたいと考えております。

穀田委員 金銭的賦課をするという点で、要するに、対象の問題や金額の問題について、それはどうするかという問題はわかっているんですよ。ただ、その上で、こういった考えというのは、結構おもろい、おもろいと言ったら叱られちゃうけれども、一つの考え方であるよねと。その意味では、一つの手法として考えられるし、一定具体化して、本気になって研究してもいいんじゃないかと思っているんですよ。

 だから、私は、このことについては、今すぐどうこうしろと言っているわけじゃないんだけれども、考え方の一つとして、それを活用できるということもあるし、だからそういうことをあえて言っているんだということをぜひのみ込んでおいてほしいなと思います。うなずいておられるから、少しは考えてくれるんでしょう。

 それから、次に、被告適格の範囲拡大の問題について少し聞いておきたいと思います。

 さきの国会でも論点として挙げられていましたけれども、制度では、消費者と直接契約を締結した事業者を被告とすることにしています。これは法案の第三条の関係ですよね。そのために、製品のふぐあい、瑕疵に関する消費者トラブルの場合、被告は小売業者ということになります。

 しかしながら、製品のふぐあいの原因等は、明らかに小売業者より製造業者の方が詳しい情報を持っていると考えられる。反対の立場からいろいろ意見を言った方もそれはいらっしゃいますが、私は、客観的に見ると、どこに責任を負わせるかという問題はいろいろあるんですけれども、明らかに小売業者より製造業者の方が詳しい情報を持っていると考える。これは当たり前のことなんですね。

 したがって、速やかな被害救済制度の実現を図るために、一段階目の共通義務確認訴訟から、被告である事業者は製造業者等の関係者から資料協力が求められるようにすべきじゃないかと考えるんですが、いかがですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、被告である事業者は、対象消費者と消費者契約があることが原則でございますが、例えば、ある製品に瑕疵がないことを主張するためにどうするかということですが、まず、取引関係がある場合も多いかと思います。任意に製造業者等関係者からの資料等協力を求めることは可能な場合が多いのではないかと考えられます。

 ただ、仮に任意の協力が得られないときでありましても、先ほど申し上げましたように、民事訴訟法のさまざまな手続を使うことができます。裁判所から、文書送付嘱託、これは民事訴訟法二百二十六条、それから調査嘱託、百八十六条、をすること、あるいは文書提出命令を求めることにより、証拠を確保することが可能であるというふうに考えているところでございます。

穀田委員 法的にはいろいろな手段があるというのは、それはわかっているんです。問題は、一つ一つ言われてもあれだから、そういう考え方をきちんと入れて実行に当たってはどうかということを言っているわけです。

 では逆に、そういう問題で一つ突っ込んで言うならば、民事訴訟法でいうと、訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、訴訟に参加することができるとされている。法案の第八条は、消費者は、一段階目の共通義務確認訴訟において、特定適格消費者団体を補助するための訴訟参加を禁止していますけれども、他方、相手方事業者については、補助するための訴訟参加は禁止していないわけですよね。

 ですから、製造業者など関係者の訴訟参加が認められるというふうに考えるんですけれども、それはどうですか。

川口政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、事業者は、補助参加の利益がある限り補助参加をすることができる、民事訴訟法四十二条を本法案は排除しておりませんので、事業者につきましては補助参加をすることができるということでございます。

 例えば、小売店と特定適格消費者団体との間で商品の瑕疵に関する共通義務が争われている場合に、当該商品の製造業者が補助参加をするというようなことが考えられると承知しております。

穀田委員 そういうことで、補助参加も含めてできるということで、やはり、結局のところ、被害を受けた場合に、実際つくっている人たちを含めて、そのことによってはっきりさせる方が早いということからしても極めて大事なことだと私は思っています。これがやはり、結果的には、迅速、適切な紛争解決ということになりますし、被害回復につながると考えられるわけであります。

 私は、その点で、さきの国会において、良心的な事業者、特に中小企業に対するこの制度の周知徹底を行うように強く主張しました。政府からは、こう言うと必ず、説明会、意見交換会、それから広報物の作成、こう言うんですよね。大体この三つのパターンなんですよ。私はそのときも言ったんですけれども、相変わらずかわりばえせえへんなと言ったんです。

 やはり、製造業などの関係者の訴訟参加の意義、それを踏まえて、中小企業も含め、事業者に対する説明会等におきまして、消費者庁が、このような具体的な制度説明も含めて丁寧にわかりやすく行っていくべきじゃないか、そこに本当に力を入れるべきじゃないかと考えているんですが、大臣、いかがですか。

岡田副大臣 お答えいたします。

 消費者被害回復の実効性を確保するためには、消費者に本制度や特定適格消費者団体の活動について理解してもらうとともに、制度の円滑な運用を図る観点から、十分な周知をすることが重要であり、大事なことは、丁寧にわかりやすく周知をすることにあると思います。

 そのため、今委員からも御指摘がありましたように、施行までの間に、一般消費者、事業者を対象としたシンポジウムの開催、消費者庁職員が全都道府県に出向いて、消費者団体や事業者団体、都道府県の担当者向け説明会の開催、業界を所管している官公庁の担当者に対する説明会の開催などの取り組みを行ってまいりたいと考えています。

 また、該当する業界団体に対して消費者庁職員みずからがセミナー等を開催し、本制度に対して事業者がどのように対応すべきか等、制度に関する説明をするなど、きめ細やかに、わかりやすく、詳しく対応する予定であります。

 施行までの間に、関係各所とも連携し、最大限、周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 この前よりは丁寧に言い出し始めた。ただ、丁寧にと言ったら丁寧にと言っているだけだという気もせんでもないけれども、それは余り言わんときます。

 というのは、この問題というのは、きのうの参考人の質疑でも陳述されましたけれども、一番いいのは訴訟を行うことであって、そのことによって理解させることだと、きのう言うてはりましたわ。なるほどなと思って、私も感心したんです。

 ただ、これらの実際の周知徹底というのが、やはり、適格消費者団体なんかからの意見も聞いて、これはどないなってんのやと、こういう、いわば、やる側にとってみたり、実際にそういう被害を受けている方々の声をしっかり生かすということが大事なんですよね。

 だから、説明、説明と言ってんねんけども、やはり、実際に被害を受けられた方やそのことを頑張っておられる方々の意見というものをいかに反映させるかという視点がないと、相変わらず、この間だと、説明会でしょう、意見交換会でしょう、広報物の作成。きょう言ったのは、シンポと出向くとセミナー。ちょっと違う程度で、言葉を変えている程度で、こう言っちゃ副大臣に悪いけれども、そこに丁寧にわかりやすくと私が言ったものだから、丁寧にわかりやすくと言っているだけで、やはり、どうしたら実効性があるかということを本気になって考えなあかん。

 つまり、そこの視点にあるのは何か。そういう消費者の被害というのを本当に回復するために、きのうありましたけれども、どれほど多くの方々が努力なさっているか、しかも、それがどれほど大変かというのを踏まえて、事前に防止するためのそういうことなんかをやっているんだという意識をしっかり持ってやっていただかなくちゃならぬということを改めて言っておきたいと思う。問題は、その視点が大事だということも言っておきたいと思います。

 次に、通知、公告の費用の負担等について少し質問をしておきたいと思います。

 二段階目の手続への加入に係る通知、公告の費用は特定適格消費者団体が負担することとなっています。これは、法の二十五条、二十六条の関係ですよね。

 新しい制度の導入で、特定適格消費者団体が遂行する事務量というのは、昨日の参考人の陳述でも出されていましたが、現行の差しどめ請求関係業務に比べて大幅にふえると考えられます。そのため、財政上、公告等の費用の負担さえも困難になる場合も想定され、制度の利用を著しく制約する可能性が生じ得ます。

 本来、被告である事業者の落ち度が原因なわけですよね。それにもかかわらず申し立ての団体が負担するということは、最終的には被害者である消費者が負担するということになって、不合理ではないか。これが多くの方々が思っておられる、まず根本的考え方なんですよね。

 その上に立って、では、通知、公告の費用負担のみならず、私は、昨日、西島参考人の陳述でもあったように、名簿やシステム構築などについての支援体制はとるべきじゃないか。また、同じく参考人は、フランスでは事業者負担ですることが提案されていて、事業側もこれに反対していないと陳述しています。

 こういうことからも明らかなように、まず、そういういろいろなシステムに対する支援ということでも、消費者庁は頑張ることができるじゃないか。同時に、事業者に負担させる手続を設ける等の方策も、ここに至っては本気になって検討するべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

福岡大臣政務官 お答え申し上げます。

 通知、公告に関しましては、裁判手続そのものではなく、二段階目の手続に消費者の加入を促すための準備行為であるということで、本制度が特別に設けた手続であります。また、通知、公告の方法については、団体が一定の範囲内で適切に判断して行うことができるようにしておりますので、その方法及び金額は定型的なものではなく、一定額におさまるものでもなく、上限も定められていません。

 こういう性質を有するために、それに要する費用については、二段階目の手続で事業者が敗訴したとしても、そのことを根拠に事業者に負担させることは難しく、事業者に負担させる規定は設けないこととしております。

 今委員御指摘いただきましたように、フランスの事例については、事業者が費用負担する一方で、情報提供方式については裁判所が定めるというようなことも言われていますので、どういったやり方をされるのか、そういったものも注視してまいりたいというふうに思います。

穀田委員 だから、私、一番最初に、考え方の根本は何かということを言ったわけですよ。誰が被害を起こしているのか、その被害を起こしている方が責任なのであって、それをこっちが負担するのはいかがなものかという立場に立たなければ、何のためにこういう制度をつくっているのかということが問われはしないかと私、思うんですよ。

 だから、いろいろなことを言うけれども、特別、額がどうやとか、わからぬとかなんとか言っているけれども、きのうの話で見ると、例えばその方々にお知らせしていろいろなことをお伝えするのに、どれほど大変なことか。学生の話とか出ていましたやんか。そういうものをやろうと思ったら大変な費用がかかるという現実なんですよ。今でも大変なものなのに、これ以上大変になっていいのか。

 しかし、それを考えてみたら何やったか。この原点に戻ったら、もう少し、答弁、官僚がつくったものを読まぬと、お互いに、どないしたらこれはいけるかということを考えなあかんのと違いますか。もう一回。

福岡大臣政務官 今、委員の問題意識については理解できる部分はございますが、そもそも、やはり裁判の体系上、これはあくまでも準備行為にかかった部分ということで、それを本当に請求することができるのかということも含めて、しっかりと検証していかなければいけないことだというふうに思います。

穀田委員 というのは、こういう特定適格消費者団体に対して、通知や公告の多額費用だとか過度な労力を負担させるということは、制度自体が機能しなくなるおそれがある。つまり、この問題の根源は何かということと、この問題を解決するためにどうあらねばならないかという二つの角度から物を言っているんですよ。だから、制度を機能させるには、いかに効率よく多くの消費者に周知し、参加を促すことができるかというのがポイントになるわけですよね。

 そこで、さきの国会では、公告の実効を高めるために、申し立て者の団体からの通知、公告に加え、消費者庁のホームページ上で公告を掲載するほか、申し立て団体の求めがあれば、相手方事業者に対しても届け出期間中の公告を義務づける、こういうふうに政府は答弁しているんですね。ですから、その辺のことをぱっと言ってくれないと。話はしているわけやから、ずっとこの間、我々、私もそっちも。だから、そこの具体化をさらに次、考えてまっせというようなことを言ってくれないと、今までの議論は何だったのかというふうになりますやんか。

 そこで、しかし、この制度においては、相手方事業者からの公表というのはあくまでも求めることができるということにすぎず、その方法は、公衆の見やすい方法としか明記されていません。これは法案の二十七条ですね。これは強制的義務でもなく、しかも公表方法については任意となっている。

 そこで、例えば事業者のウエブサイトのトップページの目立つところに公表すべきだなど、ガイドラインなどで具体的方策を求めていくことが大事じゃないか、つまり次の、せっかくそこまでこの間は言ってはるのやから、もう一つ前へ行ったらどうやということを言っているんですが、副大臣にしますか。

森国務大臣 委員の問題意識は、本当に全くそのとおりなんでございます。この通知、公告を誰が費用を負担するかという大変難しい問題なんですけれども、これはさまざま法案を検討する中で、このように決めて法案を提出しております。その理由については政務官から説明があったところでございます。しかし、それに対しては、消費者側から、これで実効性が担保されるのかというような御心配の声があることも事実でございます。今後、しっかりとガイドラインにもその方法等も記載してまいりますし、また知恵を絞ってまいりたいと思います。

 今まで、私、金融庁にいたときに、アメリカの方に調査に行ったことがありまして、FTCとか、それからニューヨーク州の中の消費者保護庁にも行きました。

 アメリカでは、連邦のFTC、それからニューヨーク州にも消費者保護庁がある、ニューヨーク市にもあるということで、全てのレベルの中に消費者部門の行政局があって、行政機関がさっき穀田委員が言ったような違法収益の剥奪機能まで守っているんです。一方で、大変規制を緩和していることとのバランスで、そういった厳しい取り戻し権益を行政権が行使しているという、そこのバランスもあるとは思いますけれども、いずれにせよ、消費者行政庁の日々の業務の目的は、消費者被害が悪徳業者によって起こされないようにするということで、結局、悪徳業者との知恵比べが毎日行われているわけでございます。

 そして、通知、公告をするときも、もちろん消費者団体もします。それから、業者にも義務をかけます。行政庁も、先ほどのように、この法案でもそうですけれども、消費者庁もやります。

 アメリカで、例えばFTCがやっていたのは、新聞広告に、内職商法といいまして、日本でもよくありますけれども、内職しませんか、内職でもうかりますよと言って、最初の登録費用を取っちゃって、それでドロンしちゃうという、本当に、まさに少額多数被害、一万円ぐらいしか被害金額がないんですけれども、多数生じます。これについて、なかなか個人は訴訟できませんから、これを消費者団体が訴訟するわけですね。クラスアクションするわけですね。

 だけれども、これを全部の人に、クラスアクションしていますよ、参加しませんかということを通知、公告するんです。通知、公告するだけで被害金額よりも大きくなってしまう、どうしましょうかというときに、これも義務づけしているんですけれども、それを消費者庁が、FTCが業者に、このような方法でやりなさいと。

 つまり、一番最初に新聞に広告をこのように出した、それと全く同じマークで全く同じ広告を打つんです。内職をする人はもうかりまっせ、そしてその下に小さく、これについて消費者団体訴訟が行われていますので参加しませんかというふうにするというような知恵を出して、そのときには大変多くの被害者の人が集まったという話がありました。それもまた、何回もやると二次被害じゃないかというような疑念も生じてくるんですけれども。

 そのように、いろいろな知恵比べでやっているわけでございますが、消費者庁も、今後、いろいろ知恵を絞ってガイドライン等で明らかにしていく、そのときに消費者団体の皆様の、先ほどの穀田委員のように、現場の観点に立って、しっかりと検討してまいりたいと思います。

穀田委員 得意のところになると長舌に、長広舌になるんですよね。こっちもそんなに時間が、もちろん、私、時間は結構あるんだけれども。

 知恵比べじゃなくて財力比べになっているというのが、今の社会の実態ですからね。消費者庁の知恵というのがほんまに生きなければならない。また、今、担当大臣が言われたような知恵の出し方で、消費者庁がすぐれている、この設立以来、随分知恵出したなと言われているぐらい頑張っとんね、みんなが頑張っていると認めているんやったら、どうもそれもええかいなと思うけれども、どうもそうでない評価の方も結構あるさかいに、財力比べに負けぬ、知恵比べに勝たなあかんなということだけ言っときますわ。

 それで、私は、申し立て団体による通知、公告については、相手方事業者からの情報提供は極めて重要になってくる場合が多いと考えます。制度では、申し立て団体からの求めがあるときは、対象消費者が手続加入するために必要な情報を相手方事業者は開示しなければならないとしていますが、一方で、開示すべき相当な費用または時間を要するときは、この限りでないものとしています。

 この「不相当な費用又は時間」とは、具体的にどの程度で、どのようなケースのことを想定しましたか。短くでいいです、これは。

川口政府参考人 お答えいたします。

 具体的な事案によっては、開示すべき文書の範囲を特定するために要する相手方事業者の費用または時間が不相当に過大なものとなり、相手方に過大な負担を生じさせる場合も考えられることから、このような要件を設けることにしたものでございます。

 規定の趣旨に鑑みまして、対象消費者の範囲、相手方における当該文書の保管状況等を考慮して、裁判所において具体的な事案ごとに判断されることになるということでございます。

 例えば、契約書または顧客リストはある、ありますが、そこには記載されている情報は乏しい、他の資料と照合しなければ、対象消費者が記載された文書であるか特定できないような場合があり得るところでございますが、当該照合の対象となる他の資料がいろいろなところにばらばらに保管されている、かつ、その量が膨大である等の理由により、その作業に過大な費用及び長時間を要する場合などが考えられるところでございます。

 以上でございます。

穀田委員 大体それはわかりました。

 次に、申し立て団体は、裁判所に対して、相手方事業者に情報開示命令の申し立てができるとされ、相手方事業者は、正当な理由なくそれに従わない場合は、三十万円以下の過料を徴収されることになっています。昨日、野々山参考人も陳述で指摘されていました。

 この規定は、悪質な事業者など、通知、公告に非協力的な事業者を想定しての過料制裁と考えるわけですが、大規模な被害などは、過料を払ってでも協力しないということも考えられる。このようなことから、三十万円以下の過料制度では、情報開示の実効性確保が確実に行えるとは言いがたい。

 情報開示の実効性確保の観点から、相手方事業者が情報開示命令に従わない場合は、ある程度強い制裁をもって顧客リスト等の情報を提出させる仕組みが必要じゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。

川口政府参考人 本制度におきましては、裁判所が情報開示命令を発令することができることとした上で、情報開示命令違反に罰則規定を設けるということで情報開示命令の実効性を図っているところでございます。

 ただ、罰則につきましては、義務違反の態様が一般社会の法益を侵害する程度に重大であれば、刑罰に処すということが適当でございますが、本件情報開示命令の違反につきましては、手続上の義務に違反して秩序を乱す者にすぎないということで、過料に処すということにしたところでございます。

 ただし、過料も罰則である以上、通常は事業者としても過料に処せられる事態に陥るのを避けようとするというふうに考えられますので、一定の実効性を有するものと考えております。

 なお、事業者に対しましては、施行までの期間に十分な周知を行う中で、本制度の情報開示により紛争の一回的解決を図ることができるという利点があることを説明しつつ、理解と協力を求めていきたいと考えております。

穀田委員 こういうときだけは割と性善説になるんですよね。私は、一定の効用がないなんて言っていないんですよ。ただ、この問題というのは、やはりどう考えたかて、昨日の参考人の陳述にあるように、これでは実効性があるかいなという意見も、私は今後検証していきたいと思っています。

 次に、個人情報の取り扱いについて少し聞いておきたいと思うんですね。

 特定適格消費者団体による消費者の個人情報の取り扱いについては、目的外利用の禁止など個人情報の適正管理に関する規定、これは七十九条関係ですね、及び罰則規定などが定められています。これは当然だと思うんです。ただ、申し立て団体にとって使いやすい制度にするために、個人情報を適正に扱うためのガイドライン等を策定することが必要じゃないかと考えます。

 事業者にとっても、競争事業者に該当情報が渡ると競争上非常に不利になることや、個人情報保護法違反やプライバシー侵害などによる新たな訴訟の危険性もあり得ることから、事業者がこうむる不利益の可能性をなくす措置も十分に図られる必要があると考えていますが、どのような方策が必要と思うてはります。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の七十九条に加えまして、本法案では、特定適格消費者団体が消費者の個人情報について被害回復関係業務に関して知り得た情報でありますので、その情報の一つといたしまして、その管理の方法を業務規程において定めることを特定認定を受けるための要件としているところでございます。これは、六十五条第四項第二号あるいは同条第五項が該当いたします。

 特定適格消費者団体が業務規程に定めるべき内容につきましては、消費者庁から特定適格消費者団体に対してガイドラインとして示すことを考えております。

穀田委員 それはわかりました。

 では、最後に、法施行前の事案に対する適用制限の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 ことし三月に、日本経済団体連合会、経団連が発表した、日本における集団訴訟制度に関する緊急提言がありました。これを背景に、施行前に締結された消費者契約に関する請求は適用しないこととなって、当初提出されていた案文を大きく変更したとメディアは報じています。

 個別の被害者の請求権が認められながら、施行前の事案に対して制度の利用が認められないのは整合性がとれる話じゃなくて、納得できるものではありません。私たちは、消費者被害の泣き寝入りは許さないとの立場から、施行前事案についてもこの制度の適用範囲とするよう改善を強く求めていきたいと思っています。

 この制限は、本制度の導入を長く議論してきた消費者庁集団的消費者被害救済制度研究会、消費者委員会集団的消費者被害救済制度専門調査会においても議論されてきませんでした。さらに、二〇一一年十二月の集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子及びその骨子に対する意見募集、そして昨年八月の集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案等、政府から公表されたものには、同制限規定については一切盛り込まれていませんでした。

 これまで、消費者庁研究会、消費者委員会専門調査会は、学識経験者、消費者団体のほかに、事業者代表者も入って長年検討し、各会議においては、消費者団体、事業者等も含めた関係者から意見を広く聴取して議論を重ねてきたものです。

 法案の条文化作業に当たって、そのもととなった消費者委員会専門調査会の取りまとめにおいても、次のようになっています。消費者の被害を適切に救済することは、事業者の健全な成長や公正な競争をもたらすものであるから、消費者と事業者が良好な関係であることこそ、経済成長につながるものとしています。

 消費者庁は、こうした検討結果を踏まえて、まず一つ、追行主体は政府から認定された特定適格消費者団体に限定し、二、対象事案についても、事業者側の応訴負担を軽減するよう、予測可能性を確保するため、拡大損害や慰謝料を適用対象外として消費者契約のみに限定するなど、事業者側に配慮した制度設計をしたわけです。

 にもかかわらず、法案の国会提出の間際になって、施行前の事案に関して適用除外としたのは、消費者、事業者双方のバランスを欠く、事業者寄りの規定に変更したものでないかと言われても仕方がないと私は考えるんですね。

 なぜこうなったのか、お聞きしたいと思います。

川口政府参考人 申し上げます。

 法案を細部条文化する過程におきまして、本制度の適用関係を整理する附則等を立案したわけでございますが、この段階におきまして、本制度を適用するとした場合、事業者は一時期に多数の消費者からまとまった金銭の支払いを求められることになる。その時点で時効にかかっていない全ての請求権、具体的には、十年分、場合によっては二十年分の請求権が一度に支払いを求められることになる。事業者においては、その場合、あらかじめ支払いの準備がなされていない可能性が高いということでございまして、場合によっては、その時点での事業者の支払い能力を上回る請求、金銭の支払いを求められることがあり得るということ。

 それから、対象消費者の氏名、住所等を記載された文書等の開示義務を課しましたので、この開示義務など、本制度特有の新たな義務が課されることへの対応を余儀なくされることなどから、事業者への予測可能性が害される側面があるということで、事業者が本制度の適用を予測できなかったものは本制度の対象としないという考え方にのっとりまして、施行前の事案については本制度を適用しないということで条文化したものでございます。

穀田委員 予測できないものと私は思いませんけれども、それはちょっと筋が違うと思うんだけれども、やはり、ここに事業者寄りの考え方がはっきり言ってある。しかも、そのことの契機となったのが経団連の提言であるということは、客観的に見ると、どうもそういうことが言えると私は考えます。

 そこで、この制度の導入というのは、事業者による不当な行為の抑止にもつながる。だから、最初に言いましたように、悪質な事業者を市場から退出させることにもなる。したがって、また、悪質な事業者に渡っていた違法な利益が消費者に戻されることで、消費者が活発な消費活動を行うことができるということになりますよね。

 したがって、消費者を大事にする良心的な事業者であればあるほど、過失によるトラブルに対して、迅速に被害回復の義務を果たし、一日も早く通常の良好な事業活動に戻りたいと努力するだろうと考えます。したがって、この適用制限というのは、単に、施行前にやり得をする悪質な事業者をふやし、見逃すための規定になっているんじゃないかと率直に私は思います。

 したがって、いま一度、泣き寝入りをしていた消費者被害の回復を図り、健全な事業者の発展による経済の土台を構築するという趣旨に立ち返って、施行前事案についても制度の適用範囲とすべきではないか、そういうふうに改善する方向性を持つべきじゃないかと思うんです。

 あえてその点をもう一度お伺いしたいと思うんですが、いかがですか。

岡田副大臣 お答えいたします。

 本法施行前の事案について本制度を適用するとした場合、今、川口審議官からも御答弁をさせていただきましたけれども、一つには、一時的に多額の支払いが起こる可能性、二つ目には、情報開示義務など本制度特有の新たな義務が課されることへの対応を余儀なくされることから、事業者の予測可能性が害される側面があるということ。そこで、事業者が本制度の適用を予測できなかったものは本制度の対象としないこととするとし、施行前の事案については本制度を適用しないこととしたわけであります。

 もっとも、同一の事案である限り、施行前の事案であっても、事業者は同様に被害回復を図るべき義務はあり、施行前の事案に本制度の適用を制限してもそのことは変わらないと考えます。

 そこで、施行前の事案には一段階目の判決の効力を直接及ぼすことはできませんけれども、判決の内容について関係機関への周知を行い、一段階目の判決の事実上の効力を活用し、ADR等による消費者の被害回復を図ってまいりたいと考えております。

穀田委員 その次の話はそのとおりなんです。

 つまり、そういうことをやるという考えをしっかりやりながら、しかし、現実に起こる、法律上そうなっていますから、その上で救うためにはどうしたらいいかということでいうと、そのとおりだと私は思うんですよね。それはそのとおりです。だけれども、やはり、相当多数の消費者の財産的被害ということであるか、同一事案であるけれども適用制限で救済されないというのが相当多数いる可能性があるわけですね。

 したがって、今お話があったように、ADRというようなことも言っていましたけれども、私は、逆に、そのことで言うと、本当に国民生活センターなどがそういう申請に対応できるように、組織体制だとか職員の研修体制等の整備を本気になってせえへんとあかんと。

 私は、この間、消費生活センターにも視察に行ってまいりました。そこのセンターの充実は、本当に今大切だと考えています。行ったことがおありかどうか知りませんけれども、現場でやっておられる相談員の方々は、本当にさまざまな資格を有し、努力なすって、研修もされています。でも、私が行って驚いたのは、多くの方々が、その方々はある意味ではパートなんですよね。週三回、四回ということで、常勤者ではないんですね。

 だから、副大臣がおっしゃるような、ADRをやったらいいとか、それから頑張ったらいいというような話をするけれども、受ける側の体制は本当にもう四苦八苦してやっておられて、その方々の御努力には敬意を表するけれども、逆に言えば、そういうものを本当に立派なものにするために、体制を補強し、そういった非常勤雇用というんじゃなくて、そういうことも含めて厚遇する。そのことによって、多く受け入れて、研修もきちんとできるようにするということの充実が必要じゃありませんか。せっかくお答えになったんですし、最後、そこだけ聞いておきます。

岡田副大臣 体制の強化につきましては、全く穀田委員御指摘のとおりであり、また、国民生活センターのADR機能、あるいは消費生活センターのあっせんなどを活用するための体制整備をしっかりとこれからやっていきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 体制整備ということで、言葉だけにならないように、今、現実を見詰めていただいて、その現場へ行っていただければ、本当に努力されている姿がわかりますよ。その方々の努力に報いて、それで仕事がたくさんふえるぐらいのことであるならば、そこの充実を図る必要がある。

 最後に一つだけ聞きます。

 参考人質疑で、特定適格消費者団体が訴えを提起する前に、一定数、例えば百名の対象となる消費者から授権を得ることとすべきとの要望がありましたが、私は、これはおかしいと思うんですね。この精神は、少なくとも、制度設計に対しての大きな反対の、事実上、中身を根本から逸脱する考えじゃないかと思うんですが、そのことだけ最後に伺って、終わります。

森国務大臣 消費生活センターの充実については、大臣になってすぐ、基金を今までよりも多く積んでおります。そして、基金はずっと補正で積まれてきて、補正でも積んで、次、当初でも初めて積んでいますからね。そして、しかも裏負担なしのものを入れて、地方消費者行政の充実、今まで、消費者の相談の研修の方が、交通費も出なかったものも、つけられるようにしました。

 私は、福島県に戻ったら、いつも消費生活センターに顔を出しますよ。みんな顔見知りです。大変な努力をしてやっています。彼女たちのこれからのしっかりとした、まあ、非常勤ばかりと言ったけれども、常勤の地方自治体もありますけれどもね。非常勤のところが多い。そして、雇いどめも多いです。

 ところが、そういうところを、やはり地方自治体もしっかりと教育していかなければならないということで、国から国センの機能がまた重視されるわけですよ。しかし、その国センがまた仕分けで切られちゃうというところに、ピンチに瀕しているから、今、国センの見直しの会議をやっているんじゃないですか。研修施設も切られちゃったわけじゃないですか。それを……(穀田委員「違うじゃないですか。話が全然違うじゃないか」と呼ぶ)いや、そのとおりに答えますよ。

山本委員長 大臣、質疑に答えてください。

森国務大臣 いや、国センについては、今見直しの会議を始めたんですよ。国センがなくなる、廃止されるという決定を凍結して、今見直しをしているわけでございます。そのことをしっかりと御説明させていただいた上で、今の御質問に答えさせていただきたいと思いますけれども、一年間でしっかりと結論を出させていただくというふうに決めたわけでございます。

 本制度は、授権のことでございますけれども、午前中の審議で同じような御質問に答えさせていただきましたけれども、一段階目の手続を追行させて、事業者が共通義務を行うことが確定した上で消費者は二段階目の手続に加入するということで、一段階目の授権を要求しておりません。

 その趣旨は、この訴訟制度のそもそもの趣旨につながるわけでございまして、消費者が、資力がない、知識がない、だからなかなか訴訟ができないというところを、特定適格消費者団体がかわって訴訟できるようにするということでございますので、そこに授権を要求したら、そもそもの本制度の、法案の制度の趣旨に反してしまうわけでございますので、消費者が、訴訟の帰趨がどうなるか、つまり、行く末がどうなるかわからない段階で、費用とか解決にかかる時間とか訴訟に関することの困難さ、これがわからない上で授権を求めるということが非常にこれは酷であるということから、求めないということにしたわけでございます。

穀田委員 終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、本案に対し、郡和子君外十一名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案、三谷英弘君から、みんなの党提案による修正案、穀田恵二君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 各修正案について、提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。郡和子君。

    ―――――――――――――

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

郡委員 ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、以下の検討等に関する規定を附則に追加するものです。

 第一に、政府は、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について、事業者、消費者等の意見を踏まえて、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずること。

 第二に、政府は、被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援のあり方について、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずること。

 第三に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案し、その被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための措置並びに共通義務確認の訴えを提起することができる金銭の支払い義務に係る請求及び損害の範囲を含め、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 第四は追加規定ではありませんが、第三に定める事項のほか、この法律の施行の状況についての検討の年限を施行後五年から施行後三年に改めることとしております。

 第五に、政府は、この法律が適用されない請求に係る金銭の支払い義務に関し、当該請求に係る消費者の財産的被害が適切に回復されるよう、重要消費者紛争解決手続等の裁判外紛争解決手続の利用の促進その他の必要な措置を講ずること。

 第六に、政府は、この法律の円滑な施行のため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めること。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 次に、三谷英弘君。

    ―――――――――――――

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三谷委員 ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨及び概要について御説明申し上げます。

 本修正案は、この法律案の審議の過程においてその懸念が明らかとなった濫訴及び予測可能性の乏しい訴訟を制度的に防止するとともに、さらなる実効性ある紛争解決のための方策の検討及び措置を政府に義務づけ、もって消費者の保護と事業者の円滑な事業の遂行のより一層の調和を図るための所要の修正を行うものであります。

 次に、この修正案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 本修正案は、第一に、共通義務確認訴訟における特定適格消費者団体への授権に関する規定を新たに設け、特定適格消費者団体が共通義務確認訴訟を追行するには、見込まれる対象消費者の数に応じた一定割合以上の授権がなければならないものとしております。

 第二に、この法律の適用範囲を限定し、施行前に締結された消費者契約に関する請求及び施行前に行われた加害行為に係る請求に係る金銭の支払い義務にはこの法律を適用しないこととしております。

 第三に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、共通義務確認訴訟の目的である義務の存否以外の事項を含めた柔軟な和解を可能とするなど紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることができるようにするための方策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとの検討条項を設けることとしております。

 第四に、この法律の施行の状況についての検討の年限を施行後五年から施行後三年に改めることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

    ―――――――――――――

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

穀田委員 ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、以下の検討等に関する規定を附則に追加するものです。

 第一に、政府は、被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援のあり方について、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずること。

 第二に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案し、その被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための措置並びに共通義務確認の訴えを提起することができる金銭の支払い義務に係る請求及び損害の範囲を含め、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 第三は追加規定ではありませんが、第二に定める事項のほか、この法律の施行の状況についての検討の年限を施行後五年から施行後三年に改めることとしております。

 第四に、政府は、この法律が適用されない請求に係る金銭の支払い義務に関し、当該請求に係る消費者の財産的被害が適切に回復されるよう、重要消費者紛争解決手続等の裁判外紛争解決手続の利用の促進その他の必要な措置を講ずること。

 第五に、政府は、この法律の円滑な施行のため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めること。

 なお、特定適格消費者団体がその権限を濫用することは起こり得ないと考えるため、権限濫用の防止に関する検討条項は追加しておりません。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及び各修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百八十三回国会、内閣提出、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案及びこれに対する各修正案について採決いたします。

 まず、穀田恵二君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、三谷英弘君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、郡和子君外十一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.