衆議院

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第7号 平成26年4月17日(木曜日)

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平成二十六年四月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      小倉 將信君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    小島 敏文君

      桜井  宏君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    豊田真由子君

      福山  守君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      前田 一男君    宮崎 政久君

      村井 英樹君    山田 賢司君

      山田 美樹君    泉  健太君

      大西 健介君    武正 公一君

      中根 康浩君    上西小百合君

      河野 正美君    清水鴻一郎君

      國重  徹君    浜地 雅一君

      柏倉 祐司君    井坂 信彦君

      穀田 恵二君    青木  愛君

    …………………………………

   参考人

   (新宿区長)       中山 弘子君

   参考人

   (弁護士)        池本 誠司君

   参考人

   (NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)  樋口 恵子君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     前田 一男君

  武井 俊輔君     青山 周平君

  豊田真由子君     勝沼 栄明君

  比嘉奈津美君     福山  守君

  宮崎 謙介君     桜井  宏君

  山田 美樹君     山田 賢司君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     藤井比早之君

  勝沼 栄明君     豊田真由子君

  桜井  宏君     安藤  裕君

  福山  守君     比嘉奈津美君

  前田 一男君     穴見 陽一君

  山田 賢司君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     村井 英樹君

  藤井比早之君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     武井 俊輔君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、新宿区長中山弘子君、弁護士池本誠司君、NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長樋口恵子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、主に消費者安全法の部分につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず中山参考人にお願いいたします。

中山参考人 新宿区長の中山弘子です。

 私は、ただいま審議が行われております消費者安全法の一部改正について、消費者に最も身近な、最前線の消費者行政を推進する基礎自治体の長の立場から意見を申し述べたいと思います。

 今回の消費者安全法の一部改正は、特に次の二点から、現実に的確に対応する意義あるものと考えます。

 一つ目は、平成二十一年九月一日の消費者庁発足以降、より明らかとなった高齢者の消費者被害の増加等の現状に対応していること。また、二点目は、地方の消費者行政にばらつきや温度差が指摘される中で、全国的に一定レベルの消費生活センター機能の確保について、都道府県の役割の明確化や消費生活相談員の法定化などです。

 そうした観点から、地域の見守りネットワークの構築と、消費者行政職員及び消費生活相談員の確保と資質の向上について、新宿区の取り組みも踏まえ、意見を申し述べたいと思います。

 まず、地域の見守りネットワークの構築についてです。

 今回の改正では、消費者安全の確保のための取り組みを効果的かつ安全に行うため、関係機関により構成される消費者安全確保地域協議会を組織できることとしております。

 新宿区では、高齢者の消費者被害の増加に対応し、今から八年前、平成十八年度に、みずから声を上げることが困難な高齢者に接する機会の多い介護保険事業者、民生委員、高齢者総合相談センター、保健センターなど、高齢者の生活に密着したサービスを行う事業者や相談機関等の協力を得て、高齢者の被害を早期に発見し、消費生活センターに通報してもらい、被害の回復を図る悪質商法被害防止ネットワークを立ち上げ、大きな成果を上げてまいりました。

 こうした取り組みにおいては、通報を受けて、必要に応じて消費生活相談員が高齢者宅へ迅速に訪問相談を行い、事業者とのあっせん交渉を行うこととあわせて、ネットワーク協力者に早期発見を図るための悪質商法の手口やポイントを中心とした研修の実施、また、高齢者に対する二次被害の防止に向けた電話や訪問による定期連絡、そして、高齢者総合相談センターの介護教室などの機会を捉えた出張相談会の開催など、具体的に事業展開を図っていくことが重要です。

 こうした取り組みを効果的に行っていくためには、本法律案に関する資料でも紹介されております、地域における取り組み事例等を各自治体が参考にして、より効果的な取り組みができるよう、法の運用に際して、消費者庁及び都道府県の情報提供や事業支援の役割が大きいものと考えます。

 また、消費者安全確保協議会について、その運営については、各自治体が判断することはもとより、各自治体が取り組んでいる関連の既存のネットワークの活用を図ることが効果的、効率的であると考えます。

 次に、消費生活相談員の法定化及び消費生活相談員に任用されるための要件の法定化についてです。

 今回の改正規定において、消費生活相談員の位置づけを、消費生活相談及びあっせんの事務に従事させるものと明記するとともに、消費生活センターを設置していない市町村に消費生活相談員を置くよう努力義務を課すこと、並びに消費生活相談員の任用要件の法定化を行うことは、消費生活相談員が消費者、事業者双方からどのような役割や資格を有しているのかわかりやすいものとなるとともに、相談員の地位の向上や処遇改善、能力の維持向上に資すると考えます。

 新宿区においては、六名の相談員全員が、現行の消費生活相談員に関する三つの資格のいずれかを取得しており、かつ、現在も東京都や国民生活センターの実施する研修に積極的に参加し、能力の維持向上に努めております。

 消費生活相談、あっせんは、消費生活を取り巻く環境の変化に対応するための知識やコミュニケーション能力等の、実務能力の向上が欠かせません。こうした点からも、消費生活相談員の任用要件の法定化は必要であるとともに、現行三資格の資格保有者が引き続き消費相談業務を担えるよう、円滑な移行措置が必要です。

 なお、消費者行政の最前線を担う消費生活センターが十分機能するかどうかは、消費生活相談員の専門性やコミュニケーション能力、他の機関と連携する能力等に大きく依存するところが大きいと考えております。そのため、消費生活相談員の能力の維持向上は欠かせません。

 そのため、新宿区では、研修の機会や処遇にも配慮をし、非常勤職員として、六十五歳まで長期間にわたり能力を発揮して勤務できる環境を整えております。

 最後に、消費者庁におかれましては、全国的に一定レベルの消費生活センター機能を確保していくためにも、各自治体の消費生活センターを初めとした消費者行政の取り組みを促進する財政的支援や情報提供等を、消費者行政の司令塔として今後とも担っていただきますよう切に願いまして、私の意見といたします。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 次に、池本参考人にお願いいたします。

池本参考人 池本でございます。おはようございます。

 貴重な発言の時間をいただきまして、感謝申し上げます。

 発言用のレジュメを事前に配付させていただきました。その一番後ろに、「市町村消費者行政の機能と地域体制づくりの政策課題」という一覧表をつけました。これを最初にごらんいただきながらまずお話をさせていただきたいのですが、今回の消費者安全法改正での審議をしていただくときに、その改正された項目が消費者行政全体のどこをよくしようとするのか、そして残されている課題がどこにあるのかということをあわせて、全体像をきちんと位置づけていただきながら審議をお願いしたいという趣旨でつくりました。

 消費者庁設置以来、地域に消費生活相談窓口をつくって、いつでも相談できる体制をつくろうということが進められてきました。

 もちろん、これもまだ完全ではなくて、各地で本当に地域の消費者に情報が伝わり、あるいは相談がいつでもできる体制にするということを広げることもまだ課題として残っておりますが、単に相談を受けておしまいでは困るわけで、その相談をきちんと専門的知見を持った相談員が解決する、被害を救済するという機能があってこそ、消費生活センターの役割が果たされるわけです。その意味で、相談員の資質を向上するということが不可欠である。

 さらに、個別に来た人だけを救ったのでは、消費者行政としての役割を果たしたことにはならない。その情報を活用して、地域で同種被害が起きないように被害防止の啓発活動などをやっていくこと、これまでもチラシを配布したりさまざまな取り組みがありましたが、もっときめ細かにやっていくために、今回議論されている地域協議会とか協力員とか、そういう提案が出ているというふうに理解していただきたいと思います。

 そして、そこまでが今回の改正案なんですが、実は、そのさらにもう一歩先、自治体の行政が全ての住民に情報を届ける、あるいは情報をキャッチするといっても、そこには限界がある。むしろ、地域の中でみずから考え行動する消費者を育成して、そういう人たちが地域の中で情報を発信したり、集めたり、そして行政と連携をする、そういう消費者市民を育成するということ。実はこれは消費者教育推進法の課題でもあるわけですが、これは連続している、全体像であります。

 そして、私は、一番これまでの議論の中で落ちているのではないかと思うのは、相談窓口をつくり、解決し、情報を発信し、あるいは地域の中で官民連携を図ることの一番のコーディネート役である消費者行政担当職員の資質向上あるいは配置ということがこれまで十分議論されていなかった。それがなければ、地域連携なんかは動かないと考えていただくべきだと思います。

 そういうことを前提に、レジュメの一ページ目で、まず第一点目として、今回の改正案の中で、民間委託に関する条件づけの規定が入れられることになっております。消費生活相談の業務を適切に実施することができるものとして内閣府令で定める基準に適合する者に委託することができる、こういう規定を入れるということについては私も賛成であります。

 ただ、気をつけなければならないのは、最近、さまざまな業務を民間委託するという流れがありますが、とりわけこの消費生活相談業務について言うと、一定の要件をクリアすれば民間委託していいんだという、推奨するかのような趣旨で広がっていくということは、私は危険であると考えます。

 むしろ、昨年、消費者庁で開かれた地域体制のあり方検討会でも議論されたところは、相談業務を本当に自治体の中で機能していくためには、個別相談だけではない、本課やあるいは他の部署とも連携をしながら、しっかりと総合的な救済あるいは啓発をしていかなきゃいけない、さらには官民連携もしていかなきゃいけない、そういう消費者行政の一番中核ですから、安易な効率化のための民間委託ということは抑止しなければいけないんだ。

 その意味では、この規定を入れたのは、何でもかんでも競争入札で民間委託していいのではない、きちんとした実施体制がなければいけないという、むしろ抑止のための規定であるということをしっかりと押さえていただきたいし、そういう趣旨で発信をお願いしたい。

 とりわけ、内閣府令で今後定めていく基準という中で、一件解決だけではない、庁内連携をして総合的な消費者の救済、支援が実施できる体制であることとか、あるいは、単に効率的に、助言だけしておしまいでは困るわけで、専門的知見に基づいて、きっちりとあっせん処理をする、解決まで見届ける、そういう体制が整っていなければいけないとか、あるいは、例えば事業者に向けた有料セミナーとか、相談情報の目的外利用ではないかと疑われるようなことがあっては、地域の消費者の信頼を失っては困ります。

 その意味で、しっかりとした適正な体制が必要であるということを絞り込んでいただくべきであるし、さらに、それを発信する際も、安易な民間委託は慎むべきであるということを発信していただきたい。

 二番目に、レジュメの二ページ目ですが、消費生活相談員の国家資格化の問題です。

 今回、消費生活相談員を職として法律上規定し、国家資格化し、複数の登録試験機関を認める、こういう制度枠組みをつくっております。それから、既存の三資格を有する者も、一定の実務経験があれば合格者とみなす、こういう規定を設けております。

 私も基本的にこの制度枠組みについては賛成するものでありますが、特に注意していただきたいこと、それは、昨年の検討会の中でも議論されたのですが、なぜこの国家資格化を進めようとしているのか。

 それは、現在の相談窓口の体制を見ても、地域によって有資格者の配置にばらつきがある。首都圏では、もう九十数%、ほとんど一〇〇%に近いのですが、地方に行くと、五割前後、五割に満たない地域もあるんです。そういうところできちんと有資格者を確保するということが必要ではないかということ。

 だとすれば、単に資格試験の中身を難しく高度化していけば、しっかり能力のある人が集まるということが自然に流れていくのではなくて、むしろ、そういう有資格者の少ない地域でしっかりとした学習機会を提供する、連続の講座もきちんと予算立てをして実施して、そういった地域で有資格者がきちんと確保できるような施策とセットでなければならないし、東京、大阪だけで試験をやったのでは困るわけです。さまざまな地域で試験が実施されるような体制が必要ではないか。そういうような意味も含めて、複数の団体でやるということ。

 あるいは、これまで四十年間、三つの資格、それぞれの地域で実施し、そして配置されてきた、それとの連続性をきちんと保っていかないと、いきなり難しい国家試験にすると、地方では逆に有資格者の確保が低下することになるのではないかという心配もあるわけです。そういった現実的な選択ということも含めて配慮していただく必要がある。

 もっと言えば、これまで消費者庁は、行政の窓口の相談員の養成のことは議論していましたが、企業の相談窓口、今回の一連の法案の、例えば不当表示の問題とか、そういうことをきちんと企業の中で監視する専門家も必要ですし、地域の中での消費者運動のリーダーとなる人も育成しなければいけない。そういう消費者行政あるいは消費者政策全体の専門家の育成という観点も忘れないで、全体像の中で今回の位置づけを考えていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それから三番目に、消費生活協力団体あるいは協力員を構成員として、地域に消費者安全確保地域協議会を設置する、そして、必要に応じて、その協力団体、協力員には、高齢者等特に見守りが必要な方について個人情報の共有もできるようにしよう、こういう提案が上がっております。

 これも、昨今の高齢者被害がふえている状態の有効な防止策の一つとして、私も賛成するところであります。

 ただ、ここでもやはり注意していただきたいことは、個人情報の保護ということから考えれば、その個人情報も共有するところの協力員というと、ある程度限定的にならざるを得ないと思います。そういう小さな枠組みの構成員による協議会だけつくればいいんだ、こういうふうに誤解されては困る。

 むしろ、先ほどの将来的な第四段階、地域の中で活動する消費者市民を育成するという消費者教育推進法の観点と、それから地域の中できめ細かな見守りをするという両方の観点を考えていけば、できるだけ幅広い、さまざまな民間の団体も構成員とする、これはどちらかというと消費者教育推進地域協議会で目指しているような幅広い構成と、それから、コアメンバーによる、個人情報も共有して、この地域のこういう人を気をつけてあげてくださいという情報を提供できる方、この二つを併存させる、そういう配慮が必要だと思います。

 もちろん、二つ全然違う組織をつくれということを申し上げているのではなくて、幅広い組織の中で、個人情報を共有する方を個別に、この地域についてこの方をというふうに情報を限定していけばいいわけですから、そこは大きな一つの組織の中で使い分けるということでも構わないと思うんです。

 むしろ大事なことは、コアメンバーの小さいのだけつくれば済むということで、自治体がそこだけやっておしまいとならないように、全体像の、消費者行政全体の展開の中できちんと位置づけて推進をしていただくように、そういう発信をこの国会の審議の中でもしていただきたいというふうに考えます。

 そして最後に、消費者行政担当職員の配置の問題です。

 この間、消費者庁ができて、平成二十一年度には消費生活相談員が二千八百人だったところが、平成二十五年度には三千三百七十一名、順調にふえております。ところが、消費者行政担当職員というのは、同じ平成二十一年度、五千百九十人から、二十五年度、五千百五十八人、わずか三十二人ではありますが、減少しているんです。

 消費者行政活性化基金が投入されて、相談員もふやし、窓口もふやし、消費者行政は活性化しなければいけない、充実強化しなければいけない、明治以来の産業育成という観点から、地域の住民の暮らしの安心、安全に行政の役割が大きく転換するんだ、こういう大きなスローガンのもとで消費者庁がつくられ、地域に消費者行政を推進しようというはずなのに、消費者行政を担当する職員が減っているというのは何ですか。つまり、お金が注がれたから、その範囲はやります。しかし、本当の意味で、自治体が、消費者行政重視という政策判断ができていないからではないでしょうか。

 とりわけ、今回の法改正によって、地域連携を進める、協議会をつくる、協力員も広げていく、こういうことをやるためには、消費者行政職員をもっともっとふやして、しかも、資質を高めて、きちんと研修をして、何をやらねばならないかということを自覚する、そういう職員を大幅にふやす必要があると思います。

 このあたりも、今回の法改正を本当に実現するためには不可欠の課題だと思いますので、ぜひそのあたりも踏み込んで議論していただき、大いに国会からも発信をしていただきたいと思います。

 以上です。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 次に、樋口参考人にお願いいたします。

樋口参考人 ありがとうございます。

 私は、NPO法人高齢社会をよくする女性の会という全国に約八十から九十のグループがございまして、各地で政策提言や地域の見守りなどをしております団体の長として話をさせていただきます。

 その前に、ちょっと私自身の、日々消費者として考えてというよりも、実際に出会っていることを、自己紹介を兼ねてさせていただきます。

 私、八十一歳、立派な後期高齢者でございます。いまだに仕事をさせていただいておりますが、とはいえ、七十歳で大学を定年退職いたしましてから、昔に比べればずっと家にいる時間がふえてまいりました。そして、この間、高齢者は狙われているということを日々痛感いたしております。

 私、今や全く高額所得者でも何でもございませんが、恐らく、地域のPTAの名簿とか、あるいは、ある時期、一千万円以上の所得者の氏名を公表していた時期がございましたから、そこに載っていた時期があったんじゃないかと思うのですけれども、まず、かかってくる固定電話のうちの半分はこうした電話でございます。仕事の電話は半分か四割ぐらいでございます。

 どんな電話がかかってくるかと申しますと、いわゆる犯罪を構成するであろうような、詐欺につながる電話も全部かかってきております。オレオレ詐欺、これは二回かかってきました。さすが、うちにかかってくるのは、俺、俺ではなくて僕、僕と言っておりましたけれども。

 それから、還付金詐欺。あなたの医療費が払い過ぎであると。これは杉並区保険課を名乗ってやってまいりました。

 比較的最近がアポとり詐欺。千葉市中央警察署捜査一課を名乗ってかけてまいりましたが、一般の警察署には、捜査一とか二とかいう数は、後で聞いたらないそうでございます。これは、あなたのカードがと。カードなど手元に持っていると申しましても、ナンバーごと大きな犯罪に巻き込まれているからそれを持って最寄りの駅まで来いということで、断りましたら、警察車両をあなたのうちの前に横づけにしてやるぞという仰せでございまして、どうぞと言いましたが来ませんでした。

 これらは、もちろん私は、関係方面、警察署及び私どもの地元の警察署及び消費生活センターなどに全て届けてはございます。

 というぐあいで、まさに、もう相手様が組織的、ネットワークを組んで、日進月歩で攻撃をしまくっている。そこを私たち高齢者は、御案内のように、高齢者の世帯形成は、今、ひとり暮らしが二五%、そして老夫婦が三〇%、これだけで過半数を超えております。それと、私などのように、未婚の子と高齢者が住む家庭がそろそろ二割近くと数えてまいりますと、昼間一人という高齢者は全高齢世帯のほとんど四分の三に達しております。

 そして、消費者教育推進法ができましてまことに結構と思いますが、なかなか体の弱った高齢者はそうした教育の場には出てくることができません。全く無防備に、言ってみれば、昔は三途の川というのは本当に一またぎだったんですけれども、今は老いてからの時間が長くなりまして、生と死の間に老いというものがあり、この老いというなかなか判断力が一〇〇%とかいかない間が、三途の川が、何か揚子江かミシシッピかというぐあいに長くなりました。

 政府は、常に外国への安全渡航情報ということをテレビなどを通して流してくださいますが、今や本当に、国の法律制度をもって、高齢者老いの川安全渡航法というのをつくっていただきたいと思うぐらいでございまして、今回の改正も、それの一部を形成する重要な要素だと思って、私ども、部分的には申し上げたいことはございますけれども、基本的に大賛成しているところでございます。

 そのほか、かかってくる電話でいえば、ほとんどが電話勧誘。金融商品が多くて、こちらは名立たる大企業もたくさんございます。しかし、ほかに、年ですからお墓の勧誘、女ですから和服の勧誘、このごろはなぜでしょう、結構なカニの勧誘という、さまざまなものがございます。

 このごろは、買います、不用品、古本。特に、かつて、自己使用の小マンションを人に貸しておりますのですけれども、これを売れという、これは本当に、ちょっと怖いぐらいです。断りますと、なぜかと。答える必要はない、今高い値段がついていると。今は別に売る必要はないのだ、今売らないと後でほえ面かくぞということまで言われました。ちょっと恐怖を感じる、押し買いですね。その点、今回の法律ではありませんが、特商法の中に、初めは訪問販売の押し売り的なものが対象でしたけれども、押し買いの方も対象に入れていただいて、大変私は心強く思っております。

 さて、私どもの会員も、消費者被害に遭った人は、友人の夫はインターネットをやっていてひっかかりましたし、もう本当に被害者は数を知れずでございます。一生懸命働いて、ささやかな虎の子の蓄えを持っている程度の高齢者までみんな狙ってくる、これはむしろ、人間の安全保障として、国家ぐるみで、私たち一人一人も気をつけると同時に、守っていただきたいテーマだと私は思っております。

 さて、私どもの会でございますが、全国的に、地域の中での見守りや、例えば、ひとり暮らしの方がいるときには、積極的に、我々の会員はある程度勉強をしている人が多いですから、成年後見人になっている人もいますし、それに近い、もっと身近なところで、病院へ付き添ったりということをボランティアとしてやっている人がたくさんございます。

 最初に申し立てがあったのは京都からでございますけれども、京都のグループの会員が、一人、親しい友人をお世話していた。ところが、要支援二ぐらいで、ヘルパーさんが来ているんですけれども、ヘルパーさんが来ているときに倒れていたので、救急車に運び込んだのはいいんですけれども、緊急連絡者としてうちの会員が名前が書いてあったので、すぐ連絡して、すぐ行ったのです。お医者さん、病院側は、あれせい、これせい、何買ってこいということはおっしゃるんですけれども、この人は何がぐあいが悪くて倒れたんでしょうかと聞いても、個人情報保護法があるから言えませんと。

 要するに、脳出血なのか、心臓麻痺なのか、貧血で倒れたのか、それによってはちょっと、そんな細かいことは医者でないからわかりませんから言っていただかなくてもいいけれども、どこが悪くて倒れましたよぐらいのことを言ってもらいたいのに、もし親族が出てきて、その前にあんたに言ったということがわかったらえらい目に遭うから、個人情報保護法であると言われました。

 それから、これも京都の方のかなり大きな病院には、玄関の入り口に、個人情報保護法により患者様の情報はお伝えできませんといまだに張り紙が出ている病院があるそうでございます。行政機関へ行きましても、ちょっとしたことでも、個人情報保護法があるからといって断られることが多い。

 個人情報保護法ができた趣旨に私どもは反対するわけでも全くございません。インターネット時代を迎えて、大量の個人情報の流出、プライバシーの保護というものに関して、法律がなかったからつくってくださったんだということはよくわかっておりますけれども、にもかかわらず、皆様御案内のように、大企業の中から何十万、何万、何千という数の個人情報が流出しているのも御承知のとおりでございます。そして、それに対して誰がどのような責任をとったのか、私どもは知らされておりません。

 個人情報保護法は、趣旨は結構と思いますけれども、大変理念的なものであり、問題はむしろ具体的なところで起こってきてしまいますので、個人情報保護法のあるべき姿よりも誤解の方が先行してしまって、結果としては、病院施設や窓口、行政機関などが何もしないことを保護する法律になっているような嫌いがあると存じます。

 これは、内閣府の調査でも、個人情報保護法で生活に不便を感じるという調査が、たしか半分ぐらいあったというような記憶がございます。

 ということで、私どもは、京都、東京で二回の勉強会を開きまして、その結果、もちろん、その間、内閣府や特に厚労省などは複数回通達をお出しくださって、これはそういう趣旨ではない、市民生活の安全を守るためには例外の部分もちゃんと書いてあるというようなことを通達してくださっているんですけれども、一向におさまりませんでしたので、資料としてお渡ししてございますように、一昨年、平成二十四年九月末に、消費者庁長官と厚労省の局長さんに対しまして、私と京都の会の連名で、「個人情報保護法の運用に関する要望書 地域の支えあいをすすめるために」という要望書を出しております。

 これは、このように独居が進んでまいります、助けを必要とする、しかし助けの声が向こうからなかなか上げにくい高齢者を抱えた地域の中で、何よりも自立した市民同士の支え合いが必要でございますから、そのような支え合いに対して過剰反応しないように、御担当の方に通達や研修を通してそのような考え方を広げていただきたいという要望書でございます。

 次のペーパーは、京都がなぜこういう提案をするに至ったかという具体的な事例を列挙してございます。

 一番最後は、私どもの勉強会を収録いたしました会報でございまして、「おひとりさまを地域で支える・見送る 新しいご縁づくりもラクじゃない」といって、二つの勉強会を収録いたしております。

 というわけでございますから、私どもは、今回の消費者安全法の一部改正、新しい項目がつきましたことに基本的に賛成でございます。

 そして、何よりもこのごろは本当に家族のいない人がふえてまいりました。先ほど高齢者世帯の内訳を申し上げましたけれども、血縁はいるのだけれどもそばにいないという人がこれからますますふえて、最近の人口問題研究所などの推計でも、恐らく、若い人を含めて、いずれひとり暮らしが四割を占めるであろうと。

 これを原因分析して、これからもう少し夫婦世帯や子供さんがふえるようにするということは私どもももちろん賛成でございますが、今しなければならないのは、まずそうした世帯や特に高齢者をどのようにさまざまな被害から守っていくか、これは水際作戦と長期展望と両方、ぜひ政治家の先生方にはお願いしたいと思っているところでございます。

 昔、ファミリーレストランというのができました。行ってみますと、ファミリーもいらしていますけれども、我々年配の高齢者がぽつんぽつんと食べている姿も目立ち、字を変えてもらいたい。ファミリーレストランじゃなくて、ファミリーレス、ファミレスレストランという時代がやってきて、よくも悪くも、その時代をとにかくみんな一生懸命働いて生きてきた人々の老後をどのようにして見送るか、支えるかということはやはり国家社会の品格にかかわる問題だと私は心から思っております。

 もちろん、そこの中を生きます私たち高齢者一人一人が健康に気をつけ、健康寿命を延ばし、医療費、介護費がそちらの面からも少なくなるように努力するのは当然でございますけれども、認知症になりました節はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の中で、私が最も御賛成しております点は、消費者安全確保地域協議会の組織でございます。敵は、あえて敵はと言いますけれども、敵は日進月歩のスキルを研ぎ澄まし、しかもネットワークというのは彼らのためにあるのではないかと思うぐらいすばらしいネットワークを組んで、しかも証拠隠滅の高度テクニックを擁し、こちらも一生懸命組織化を図る、ようやくそのような組織ができまして、消費生活協力団体、消費生活協力員ができましたこと、この活用は全く大事でございまして、地域の力をこの制度はぜひバックアップするものであってほしいと思っております。

 そして、そこにかかわる人が罰則つきの守秘義務を持つのは当然のことでございまして、個人情報保護法も随分誤解されましたけれども、それまで余りプライバシーというようなことを本格的に考えている日本人はおりませんでしたから、プライバシーが大事なんだということを広めたという意味では、あの法律はとても意味があったと思っております。

 そして、ぜひ、地域の中で実力のある善意の人が消費生活協力員に任命されてほしいと思っております。別なことのようですけれども、昨年、長野県が日本一の健康長寿県であるというときに、御担当の課長さん、お医者さんでしたけれども、理由の御説明を聞きました。

 減塩と思っているけれども、もうそうではない、その効果は出尽くした。もしあるとすれば、長野県が、日本一の公民館数で、出会える場所があること。それから、今のことです。何か小さな委員、何も内閣総理大臣から任命されるわけではないです、厚生大臣からの任命ではない、地域の自治体とか社会福祉協議会とか、そういうところからの任命程度だけれども、地域の何とか委員という方が日本一多いんだそうでございます。

 というわけで、こうした地域の活性化というのは、そういうことが健康長寿にもつながる。委員を務める人もその中に入って、地域づくりの活性化につながるということを考えますと、幾つかの注文はございますものの、今度の法律改正、特に、住民参加、全員参加で消費者を守ろう、高齢者を守ろうということに賛成だと申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

山本委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 自由民主党の堀内詔子でございます。

 本日は、お忙しい中、消費者問題特別委員会の参考人として御出席くださいまして、ありがとうございます。

 私自身のことになりますが、今はもう亡くなりましたが、祖父母たちが話し聞かせてくれる人生訓のようなものを聞くのが私は大変好きでした。人生には、いわゆる自分が身をもって体験しないとわからないことが多くあり、年齢を重ねるというのは、貴重な宝を一つ一つ集め重ねていくことなのだと思っております。

 今御高齢になられた方々は、厳しい戦争の後、日本を敗戦から立ち直り発展させてきた、まさに功労者です。そして、今頑張っている現役世代を生み育ててくださった方々でもあります。私は常に、人生の先輩でいらっしゃる方々に感謝と尊敬の念を持っております。

 ところが、現在、高齢者の方々が抱える、お金、健康、孤独などの不安に悪質業者がつけ込んだ消費者被害が後を絶ちません。一昨日、四月十五日の、地元、山梨日日新聞にも、振り込め詐欺や金融商品の取引を装った特殊詐欺の被害額が昨年の七倍にも上ったという記事が載りました。

 振り込め詐欺は、悪質業者が子供や孫を思う母心につけ込むもので、女性の被害者が多く、そして一方、金融商品は、一家の大黒柱として家族を経済的に支えるぞという責任感の強い男性の被害者が多いと言われています。

 被害者の中に占める割合に高齢者の方々が圧倒的に多いと言われるこれらの悪質販売が横行していること、高齢者の方々に対する敬意を欠く消費者被害が後を絶たないことに怒りの念を感じます。

 では、質問に入らせていただきます。

 中山弘子区長様にお伺いいたします。

 区長様は、日本で一番、消費生活相談に御理解のある区長さんとお伺いしております。このたびの消費者安全法の改正案第十一条の三において、新たに、消費者安全確保地域協議会を設置することができるようになりました。この協議会の設置により、高齢者の見守り活動などが行いやすくなるのではないかと考えます。

 新宿区では、相談受け付けだけでなく、御高齢者の玄関に玄関用ステッカー、さらに、電話のそばに消費者緊急連絡ステッカーなどを用意し、悪質訪問販売業者から御高齢者の方々を守る試みをなさったとお伺いしております。

 効果のほどはいかがでしたでしょうか。区長様にお伺いしたいと存じます。

中山参考人 今御質問のございました新宿区における取り組みですけれども、多分、この「悪質商法被害防止ネットワーク 見守り中」というような、こういったステッカーを、平成十八年度に取り組みを始めたときにつくりました。そしてあわせて、高齢者の電話のところには、通知をできる警察署等の電話番号、消費生活センター等の電話番号も張りつけられるようなものとしたところです。効果はあったと思います。

 しかしながら、この点については、例えば、こういうのを張っていると、ここは高齢者がいるからということで、逆効果だというような御意見もありましたので、希望するところに配るというようなことで、それともう一つは、新宿の場合には、七十五歳以上のひとり暮らし、もしくは御高齢世帯のところには、おせっかいやき事業として、こちらから月に二回、孤独死、孤立死防止というようなことも兼ねて、見守りの活動も行っております。

 そうしたところで、今は、互いに地域の中で活動する人たちの大きな気づきをつないでいくという、連携することが非常に効果がありますので、こうしたステッカーとあわせて、そのようなあらゆる面で見守るというようなことを行っております。

堀内委員 ありがとうございます。

 さまざまな方法で、相談センターから出て、お年寄りの御自宅に寄り添おうとするその御姿勢に敬意を表したいと思います。このような姿勢をより多くの自治体が取り入れてくださると、地域全体の見守る機運がもっと出てくるのではないかと考えます。

 次に、池本誠司先生にお伺いいたします。

 このパネルは、山梨県で御活躍の劇団さくらっ子の皆様で、十年前に結成され、男女共同参画社会、環境問題、そして三年前からは社会問題オレオレ詐欺の寸劇を山梨県内で上演くださり、いきいきサロン、老人クラブなどで百回以上巡回していただいています。私も拝見させていただきましたが、深刻になりがちな問題を身近な笑いにかえながら提示してくれる、楽しいものでした。

 弁護士でいらっしゃる池本先生も、寸劇と講演を積極的に開催し、消費者力アップを、町々に出かけて献身的に取り組んでいただいております。このような活動を通じ、先生は、消費生活相談の現場において、消費生活相談員に必要となる知識及び技術として、具体的にどのようなものがあるとお感じになられますか。御意見をお聞かせいただきたいと存じます。

池本参考人 御質問ありがとうございます。

 消費生活相談員は、先ほど冒頭でも話したように、相談窓口できちんと相談を受けて救済をすると言いましたが、相談員になるためには、現在、三資格、それぞれ試験や養成講座があります。よく、ベテランの相談員が最近の相談員はと言うときに、こういうふうに言うんですね。知識は豊富になってきている、しかし、知識は豊富だけれども、あなたの場合はこれとこれはあるけれども、ここが要件が足りないから、法律では救いにくいですね、難しいですねという、どちらかというと評論家になってしまっている嫌いがあるということはよく言われています。

 そういうことも踏まえて、今、相談員研修などで特に訴えているのは、まずは相談者からしっかり聞き取る能力、それからそれを判断するときに、今の法律で形式的に当てはまるかどうかだけではなくて、本当にこれが許されていいのか、普通の生活をして、普通に注意をしていて同じようなことが起こるとすれば、それは法律が不備なのであって、この人はやはり救わなければいけない、そういう感覚を持ってほしいということ、そういった適正な判断力。そして三番目に、粘り強く事業者へ連絡をして説得をする力。場合によっては、相談者に無理な要求があれば、相談者も説得しなければいけませんが、そういう説得の力。このごろ、なかなか積極的にあっせんに入らないで、これはこうですよ、こうですよという助言だけして終わろうとする相談員がふえていて困っているということをよく現場から聞きます。そういう説得をする力。

 その意味では、聞き取り、話をし、説得をする、全体をバランスよく調整をするというコミュニケーション能力、そういうものをつけなければいけないんだというふうに考えております。

 以上です。

堀内委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。これからも積極的に町に出て皆様を御指導いただきますようお願い申し上げます。

 時間も残りわずかとなってまいりましたが、これは、高齢者の消費者トラブルの見守りガイドブックの表紙と裏です。山梨県では、ケアマネジャーさんやヘルパーさんなど、日ごろ高齢者に接している皆さんに、高齢者を悪質商法から守る見守り活動に御協力いただく取り組みをしております。

 ところで、樋口恵子先生にお伺いいたします。

 樋口恵子先生は、高齢社会をよくする女性の会の理事長様として、数々の貴重な御提言をされておいでです。今回の法改正についてのお考えをお聞かせください。

樋口参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほどの意見陳述でも申し上げましたように、今回の法改正は、私どもが改正を望みまして要望書を出したものにほとんど沿っていると思いますので、大賛成でございます。何よりも、協力員というような形で、地域の消費者市民がお互いさまという目線で消費者保護に携われる、そうした道ができましたこと、罰則規定を持った守秘義務などを持って、一定の責任を持って当たられることが、とてもよいことだと思っております。

 ただ、もう一つ申し上げるとすれば、組織図をつくって、ネットワークの絵を描いたからといって、何も動かないんですね。ですから、ぜひ今度の法改正の中で、運用の場ででございますけれども、この協力員の方々、誰がキーパーソンになるのか、誰が責任を持って政策を受けとめてくれるのか、そのキーパーソンと組織の動かし方、貨車はできた、だけれどもエンジンは誰か、そのあたりをどうぞしっかりお考えいただきまして、そして、今地域にたくさんできておりますさまざまな行政機関の一つ、例えば福祉の方の地域包括支援センターとどのような連携を持ち、誰が責任者になっていくかなんということをぜひ明確にしていただきたいなというのがお願いでございます。

堀内委員 ありがとうございました。先生の御意見をしっかり踏まえて、前向きに取り組んでまいりたいと存じます。

 先生がお元気でますます御活躍くださいますことが後に続く者の励みとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、時間となりましたので、質疑を終了させていただきます。

 本日はありがとうございました。

山本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西でございます。

 本日は、参考人の皆様、大変お忙しい中お越しをいただきまして、貴重な御意見を賜り、まことにありがとうございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入ってまいりたいというふうに思います。

 池本参考人のお話の中で、地方消費者行政活性化交付金もふやしてきた、それから、地方交付税の消費者行政関係費の基準財政需要を増額してきたということもあるというふうに思います。そうやって国は財源をふやしてきたんだけれども、残念ながら地方がそれに応えていないという話がありました。特に、地方の消費者行政担当職員はふえるどころか、わずかですけれども減っていると。私は、この話は、国の立場にいる者としてはちょっとショッキングな話だなというふうに思っております。

 この点、池本参考人は、先ほどのお話にもありましたし、私も書かれたものを読ませていただきましたけれども、例えば制度上の財源の使途についての制約とかそういう問題もあると。あるけれども、一番の問題は、財源は配ったけれども、そこに理念をしっかり伝えてこなかったんじゃないか、そこが何より大きな問題ではないかということを指摘されています。

 今の、国が財源を投入しても地方公共団体の消費者行政の強化に残念ながら結びついていないということについて、いま一度、池本参考人から、どこに問題点があるのかということと、それから今度は中山参考人にも、地方行政をつかさどっている立場から、国が財源を配ってくれるのはいいんだけれども、こういうところが使い勝手が悪くてなかなか難しいんですよ、あるいは職員をふやすというのはなかなか難しいんですよというようなことがあれば、あわせてお願いをいたしたいと思います。

池本参考人 御質問ありがとうございます。

 地方自治体がなかなか消費者行政重視というところにかじを切っていない。実は、選挙などでは、暮らしの安心、安全は私のモットーですというふうに発言はあるんですが、現実に、活性化基金で使途が特定されたものは注がれるけれども、独自財源がさらに上乗せというところが難しいし、一番端的なのが、先ほど御指摘のあった、職員がふえていないというところだと思います。それは、まさにお金は注いだけれども、思想が伝わっていない、今御指摘いただいたとおりだと思います。

 では、どうすればいいのかということですが、今、一生懸命国民生活センターに対してお願いをして準備を進めているのは、消費者行政担当職員の研修を大幅にふやすことです。

 実は、私はもう十数年前から国センの研修担当もしているんですが、もう十数年前から、消費生活センター所長会議という研修の場と消費者行政担当職員研修という二こま、二種類あるんです。しかし、それは消費者庁ができる前も後も、いまだに同じです。

 国センの方に、これでは足りないじゃないですかと言うと、相談員研修にも職員の方は大いに出ていただいて結構なんです、全て門戸を開いています、こういうふうにおっしゃる。いや、それではだめなんだ、むしろ、コーディネーターとして自分が企画立案をして、自治体の上に向けて、ここへ予算と人を注げ、そういう企画立案能力のある人を育てなきゃいけない。そのために、職員に特化した研修をしっかりやっていくこと。では、どんなこまでやればいいのかということ、実は今、そういう検討をやり始めているところなんです。

 しっかりしたカリキュラムをつくって、それが全国の四十七都道府県それぞれで実施できるようなところまで押し上げていくこと、これが不可欠だと思います。

 以上です。

中山参考人 自治体での消費者行政の職員がふえない。それから、なかなか力が入らない。これは、池本参考人からもお話にございましたような点も多々あると思います。

 それとあわせて、私は、消費者被害を撲滅する、そうしたことが暮らしの安全を守る基本であるといったような、消費者イコール生活者イコール住民全てであるというような認識を、首長自体が持つことというのも重要であると思っております。ですから、社会全体として、消費者問題は生活者全体の問題である、そうした認識をしっかりアピールしていくこと。

 それで、首長は住民が選ぶわけですので、そういった方々の認識を、住民自身も、それからこういったことをよくわかっている先生方からも、いろいろなところで主張していただくということが大きな力になると考えております。

大西(健)委員 今の、国と地方がうまく連動しない部分についてもう一つお聞きしたいんですけれども、先日の本委員会で、私は、消費生活相談員の九五%が非常勤職員、それから、二二・四%で雇いどめが起こっているということを指摘して、森大臣にも処遇改善を求めました。森大臣は、活性化交付金についても、雇いどめをしているところについてはとめたりとかいうペナルティーもかけているんだということをおっしゃっていました。

 雇いどめについては、消費者庁長官から自治体宛てに、雇いどめをしないでくださいという要請の文書というのも出されています。ただ、残念ながら、まだ雇いどめはとまっていない、逆に少しずつふえているということです。

 国のこの要請が地方自治体に届かない、この理由について、池本参考人と、また中山参考人、それぞれの立場からお答えをいただきたいと思います。

池本参考人 池本でございます。

 消費者庁長官名で、あるいは、その前には大臣名も含めて通知を繰り返し出していただいているのですが、雇いどめがとまらない。これは、幾つか理由はあると思うのですが、やはり、一番大きいのは、自治体の中で、総務課とか人事の部署は総務省を向いている。消費者行政の担当職員は、消費者庁から来た通知は目にするでしょうけれども、自治体の中では力が弱い。自分が自治体の中でこの分野は別なんだということを押し上げていく力がない。もちろん、その職員一人の責任にするわけにはいきません。

 総務省としては、全てが一律で、非常勤は期間を限定せよというのではなくて、職務の性質に応じて、例えば、こういう職務、こういう職務については実務経験こそ重要なんだ、そういうところに雇いどめを安易に入れてはいかぬということを総務省の側からも発信していただき、自治体の総務、人事の部署も、そういうふうに頭を切りかえてもらわなければいけない、その両方が必要だと思います。

 以上です。

中山参考人 雇いどめについては、私は本当にばかげていると思っております。

 消費生活相談員は、先ほどもお話し申し上げましたように、いわゆる知識だけではなくて、あっせん交渉を行うようなコミュニケーションスキルや交渉能力、そういったものが必要で、そのためには、実務を積み重ねていくこと、常に研修等で自分の知識等々を押し上げていくことが大切です。

 そういった観点から、雇いどめというのが、非常勤職員として、法的に何ら、性質によって問題ないということを、先ほどお話にありましたようなことをもっとしっかり国からも、それから社会全体、そういったところで認識を持ってもらうこととあわせて、私は、自治体こそ、縦割りではなくよこ糸を通して、総合的に施策を展開できるところであると思っております。

 ですから、ぜひ委員の先生方には、それぞれの御地元でどういうふうになっているのかということに関心を持っていただいて、そうした働きかけをしていただくことがいい消費生活行政の展開につながると考えております。

大西(健)委員 今、中山参考人がよこ糸というお話をされました。それから、先ほど来、新宿区では、ケアマネジャーとかヘルパー、民生委員、区民ボランティアが区と連携して、高齢者の消費者被害を早期に防止するために悪質商法被害防止ネットワークというのが既にもう運用されている、これは私は本当にすばらしいことだなというふうに思います。

 今回、この法律で、消費者安全確保地域協議会という新たな組織をつくるということなんですけれども、これも、先ほど樋口参考人が、さすがにいいことを言われるなと私は思ったんですけれども、組織図を描いて、単にネットワークの絵を描いただけじゃこれはうまくいかないんですよと。まさに、この消費者安全確保地域協議会というのをつくっても、それがうまく実際に運用されないと意味がないというふうに思うんです。

 その中で、樋口参考人は高齢社会をよくする女性の会の理事長をされていますけれども、今、高齢者福祉の分野では、地域包括ケアというのが進んでいます、まだまだいろいろ改善すべきところがありますけれども。高齢者はなかなか遠くに出かけていけない、今、免許も返上しなきゃいけない、歩いて行けるところ、そういう意味では中学校区というのが地域包括ケアの一つの単位になっているわけです。

 先ほども、今は新宿区でやっているような既存のネットワークをうまく利用するとか、あるいは、まさに地域包括ケアという一つの、これは目的は違いますけれども既存のネットワークがあるわけですから、そういうものをうまく活用していくことが、この新たにつくる消費者安全確保地域協議会というものを、単に絵に描いた餅ではなくて魂を入れていくことにつながっていくのではないかなというふうに私は思うんですが、今私が申し上げたような地域包括ケアとの関係で、この消費者安全確保地域協議会というのを、どうやったら絵に描いた餅ではなくて魂が入れられるのかについて、樋口参考人から御意見を賜れればと思います。

樋口参考人 御質問ありがとうございます。

 今委員おっしゃいましたように、これからは本当にその協議会が一つの核になると思っております。屋上屋を重ねるようなネットワークを幾つつくっても私は同じことだろうと思います。

 ただ、一つ希望を持っておりますのは、私も全国各地を歩いていろいろお話を伺って取材しているわけですけれども、消費者問題というのはほかの問題に比べるとずっと敷居が低いんですね、一般の方々の。要するに、介護しましょう、何しましょうというとちょっと尻込みする方々も、消費者問題ならばお手助けしましょうかという、そういう非常に敷居の低いテーマである。つまり、消費者市民といったら誰か。誰でもない、みんなそうなんだと言える特性を生かして広げていっていただきたいなと思いますことが一つ。

 地域包括ケアという中学校区というあり方は、恐らく、もしかしたら二十一世紀の国民生活行政の最後のとりでになるんじゃないかと私も評価はしておりますけれども、そこにこの消費者行政のフォーカルポイントを持ってくるのは、今のところ、ちょっとまだ地域包括支援センター自身の基礎が固まっていないんじゃないか。ですから、ここから先は、私は、この問題は大もとは中央集権で、私は地方分権推進委員会の一番最初の七人の委員の一人でございますから、基本的に分権論者でございますが、でも、長い時間を重ねてきまして、やはり、国民は国民として、国民の安全保障のために絶対国がやってくれなきゃならないこともあると思いました。

 消費者行政というものもまさにそれで、基本は今度の法律のように国の法律で、だけれども、やり方は、地方分権が出ていますから、だから、予算は国がぜひつけてください、それで、やり方はその地域地域で、例えば今新宿区長さんのお話を感銘を持って伺っていたんですけれども、東京都内では、例えば私どもの検討会の事例として出てきてくださった足立区なんかもとてもいいことをやっていますし、つい最近、これは私の個人的体験ですが、練馬区光が丘、人口、今四万ぐらい在住していらっしゃる方が、見守り隊とか何かそういうものが各地域にばらんばらんにあったんだそうですけれども、今度統一いたしまして、一つの冊子をつくり、それも名前も光が丘団地おせっかいの会というんです。それで、出せる限りの情報を出し合いながらみんなで守っていこう、こういう好事例といいましょうか、下からの市民の力をどうぞ御担当の方はうまくキャッチして、それぞれの地域に合ったやり方を進めていただきたいと願っております。

大西(健)委員 時間が参りました。

 本来であれば、私は、相談員の国家資格化、これは、今回、登録試験機関が複数認められるということなんですけれども、その場合、受験者の奪い合いが起きたりとか、あるいは水準とか試験問題の難易度とか、そういうものが本当に質の確保は保てるのかとか、あるいは先ほど民間委託の話がありましたけれども、民間委託ということになると、また指定管理で入札かけるわけですから、そうすると、また今度は相談員の処遇の低下とかにつながらないのかとか、あるいは、そこで得た情報が、民間企業ですから、目的外使用されないのかとか、そういうことについても、本来、池本参考人にお聞きしたいところだったんですけれども、時間が参りましたので、さらに、きょういただいた意見をしっかりと踏まえて、充実した審議につなげていけるようにしていきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

山本委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、お忙しい中、参考人各位におかれましては、このようなところで発表していただきまして、心より感謝いたしたいと思います。

 まず、中山参考人にお聞きしたいと思います。

 消費者に関して、相談窓口を設けていない自治体があるということで、平成二十五年の設置率が九四・五%ということであるんですけれども、新宿区はしっかりとされていらっしゃるというふうに認識しておりますけれども、なぜこういった状況に、まだ一〇〇%になっていかないのか、コメントをいただけたらと思います。

中山参考人 相談窓口を設けていない自治体があるということですが、これは、ある一定の人口規模があるところでは既に設けられていると思います。設けられていないところというのは、人口規模が小さい、そうすると職員の数も少ない、そうした中で財政力もないというようなところがあると思います。

 ですから、先ほど樋口参考人からもお話にありましたように、自治体が、この消費者行政は自治事務として行っておりますけれども、国からの財政的な支援や情報提供等によって段階的に各地方が一体となってやったり、もしくは都道府県が一定の部分はカバーするといったような、現実に見合った対応をしていくこと、そうすることによって、国民全体の、消費者の権利、もしくは安全が守られる、そんなふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 ということは、やはり、小さい市町村、村とか、そういう単位になってくると、どうしても専門の窓口をつくっていくのが難しいという認識でよろしいでしょうか。

 そういったことであれば、逆に、相談窓口としてはオープンにしていないけれども、そういうことをきちんとお受け付けいたしますよというシステムが要るんじゃないか、そういう啓発とかも必要なのかなと思いますけれども、その点、ちょっとコメントいただけますでしょうか。

中山参考人 今、私が知る限りでは、例えば東京都においては、東京都がまだカバーをしているところもあります。そうしたことは、どこに相談をできる、今は東京都でも、直接の消費者相談窓口、総合センター、それは、各自治体、基礎自治体を支援するとともに、直接に受けるというような事業を持っています。

 各自治体をしっかり支援するためには、現在の相談業務、それから消費者課題がわかっていないと的確な支援ができません。ですから、実務と各自治体の支援業務というのを行っているのが、各都道府県、同様にあると思います。ですから、各県が相談業務を行う窓口をしっかり持っていること、それから、巡回の相談も行っているのではないかと思います。そうした情報をしっかり出していくこと、それから、国の独法の国民生活センターでも直接に受けるということもやっていると思いますので、そうしたPRを的確に行っていくことであると思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 もう一点、先ほど池本参考人の方から話があったかもしれませんけれども、これはちょっと中山参考人にお聞きしたいんですが、消費者行政担当職員が減少しているということも言われておりましたけれども、これは、地方自治体というか、区長さんの立場からして、どういうふうに思われているでしょうか。

中山参考人 現在、地方自治体における財政状況というのはかなり厳しいものがあります。そうした中で、人件費という問題は大きな問題です。ですから、そうした意味で、なかなか行政職員がふえないというようなことは現実的な問題としてあります。

 しかしながら、私は、基礎自治体にあっては、先ほども申し上げましたけれども、日本の行政は縦割りにすることによっていわゆる専門性を保ってきたわけですけれども、生活者に最も近いところでは横にそれをつないでいくというようなことで、先ほどございました高齢者の地域包括等についても、新宿区ではそれに区費を投入して、そこと一体となって、顔が見える関係で行っているというようなこともありますので、核となる職員は必要ですが、一概に、少なくなっているというだけで弱体化というふうにもならない。やはり、首長が消費者行政の視点、意識を持って横断的行政運営に力を尽くすことが大事であると思います。

河野(正)委員 本当に、そういう自治体レベルで一生懸命頑張っていらっしゃるということで、敬意を表するものでありますけれども、それでは、逆に、そういう厳しい予算の中で、人員配置もできないということでやっていらっしゃるところがあるということで、国に対する要望とかあれば、せっかくのこういう場所ですから言っていただければと思います。

中山参考人 国におかれましては、先ほども申し上げましたが、使いやすい財政支援、それと、何といっても情報提供、研修の機会の提供、こういったことは非常に大きな働きとなります。ですから、そういったことをより一層、先ほど池本参考人からもお話がございましたような、消費者行政職員の研修並びにその他、現状についての多くの情報提供をしていただくこと、働きかけをするということをお願いしたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 池本参考人にお伺いしたいんですけれども、弁護士会の会長もされていたということでございますけれども、被害者救済等に関して弁護士会の取り組み、無料相談などやっておられるのでしたら、その現状を教えていただきたいということと、また、やっておられるのであればその運営費用など、あるいは国への要望がありましたら、お聞かせください。

池本参考人 弁護士会では、実は、昨年、国民生活センターと協議をしまして、従来から消費者問題の相談窓口は各弁護士会がつくっているのですが、消費生活センターから弁護士のところへ来るというのもさらにまた限られる、ではどうするかということで、昨年の三月、四月、五月に全国で消費生活センターのアドバイザー養成研修というのをやったんです。四十カ所以上で、恐らく四百人以上が研修をやりました。一番最後には、日弁連でやって、各地で中継をして、当時の理事長にも出てもらってディスカッションをしました。

 つまり、消費生活センターの窓口で、単なる助言でおしまいではない、そこできちんと解決できる、見届けができる力を相談員に持っていただきたいし、本当に困ったときにはアドバイザー弁護士に連絡をして、アドバイザー弁護士がそれに対してタイムリーにアドバイスをできるようにする。弁護士の方も、裁判所に持っていったらどうなるだろうか、これまでの判例であればどうかというコメント役ではだめなわけで、センターで、どういう観点で、どう説得するのか、そういう弁護士を養成しなきゃいけないというようなことで、消費生活センターと弁護士会が連携をして、相談窓口の質の向上を図る。そして、本当にどうしても解決できない案件、裁判しかないというときには、いち早く引き継ぐ、そういう体制を今各地で広げようとしております。

河野(正)委員 費用とかそういったものについてはいかがですか。弁護士会さんがかぶっているということになるんでしょうか。

池本参考人 今のところ、活性化交付金をお出しいただいていることによって、アドバイザーとして公式に出るところについては、そこから、自治体の方から支出していただいております。ただ、それも十分ではないので、埼玉などでは有志の勉強会がそれの二倍ぐらい県内あちこちで開かれているというようなところがありますので、やはり、我々弁護士がもっと全国でこういう体制を広げていく上では、これは、ルートとしては自治体を通じてということでもよろしいのかもしれませんが、そういう専門性、資質の向上、相談処理の質を高めるということについて、もっともっと支援をいただきたいというふうに思います。

 以上です。

河野(正)委員 いろいろなシステムを各種団体が検討されて、一生懸命頑張っておられると思うんですけれども、それに対する十分な予算が伴っていないというのが現状なのかなと思っております。その点、我々がしっかり考えていかなければいけないというふうに認識しております。

 続いて、また池本参考人の方にお聞かせいただきたいんですが、私どもの党でもいろいろ話をしていた中で、消費者みずからが意見を発信できるような、消費者目線で発信していけるような法制度にしていかなければいけないんじゃないのかということで、先ほど参考人がおっしゃいました、地域の中で行動する消費者を育成していくんだというふうにおっしゃいましたけれども、具体的な考えというのはございますでしょうか。

池本参考人 今、消費者教育推進法ができ、消費者庁でも消費者教育推進についてのプログラムがつくられています。その場合、消費者教育という言葉を使うと、何か学校で生徒に教えるという面が強調されて、もちろんそれも重要なのですが、私は、地域の中でみずから考え、行動する消費者となると、知識を与えて、あとは、では一人で頑張ってくださいと言っても、それは続かない。やはり地域で、消費者団体のような形で地域のグループをつくって活動する、その活動の場や活動についての支えを自治体で継続的にやっていただく必要があります。

 以前には、地域ごとに、それぞれの市町村で、消費者展だとか消費者大会だとかということを自治体も積極的に応援して、そこでの発表へ向けてグループでいろいろ調査活動、検討をやるというのがあったのですが、その部分の予算がどんどんなくなって、このごろは消費者団体もそれこそ高齢化して、新しい人が入ってきていない。

 今回の消費者教育推進法によって、もう一度地域の中でそういう行動する消費者、あるいは消費者グループ、消費者団体を育成するんだ、そういうところにぜひ目を向けていただきたいし、先ほどの地域のネットワークづくりというのが、個人情報を共有するコアメンバーの部分と、一番広い、多くの消費者も参加するものということをイメージしていただきたいというふうに思います。

河野(正)委員 時間がもうありませんので、三人の方に最後にお聞きしたいと思います。

 樋口参考人からは、本当に、非常に笑いもありの、現実的な、いろいろな示唆に富むお話をいただきました。

 個人情報保護ということが非常にネックになって、いろいろ過度に行われてしまって、情報がそこにとどまってしまい、情報が共有されないことによって被害が拡大するという懸念が確かにあると思います。私、もともと医師なんですけれども、精神科の医師をやっていまして、そういう中で、やはり患者さんの情報とか、厳しく扱わなければいけない。

 以前、僕もいろいろな病院団体の役員もさせてもらっていたんですが、その中で、大規模な事故があったときに、被害に遭った方が救急車であちこちの病院に行く、自分の家族がどこに行っているのか教えてくれと言っても、病院が個人情報だから教えないということで混乱したということですね。これにつきましては、医師会と警察が相談をして、こういうときはやはり例外的に、どこにどういった方が入院されている、今手術をされているということをお伝えしようというような、協定みたいなものを結んだように記憶しております。

 今回、相談を受けるに当たって、やはり罰則規定等がございますので、本当に情報を共有して効果的にやっていけるのかどうか、この点について懸念はないのか、お三人の方から最後にお聞きしたいと思います。

中山参考人 個人情報の保護については、非常に過敏に対応されているところが多いと思います。

 新宿区におきましては、必要な機関と個人情報について共有をする。並びに、それから個人との間でも、手挙げ方式で、私の情報は出してもいいですよというような了解をとることによって共有をするというような形で運営しています。そうすることが必要であると思います。

池本参考人 もともと、個人情報保護法が、営利目的の営業活動で活用するものと、非営利的あるいは公益的、本人のための活動とを区別せずに一定のルールを定めた。これは漏れがないようにするためにやむを得なかったのかもしれませんが、今後は、公益的なものと営業的なものを区別する方向性をつけていく必要がある。

 今回の安全法で、地域の協力員に情報提供ができるというのは、その突破口になる非常に大事な規定だと思います。これをさまざまな分野でもっともっと柔軟に広げていっていただきたいと思います。

樋口参考人 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、私は、罰則規定というのはちょっと厳しいんじゃないかなと思う面もございましたけれども、しかし、こういう新しい行政に携わる以上、その点はきちんと研修をしていただきまして、罰則規定が発動するようなことのないよう、守秘義務の大切さということを徹底させて、しかし活動が萎縮しないようにやらせていただきたいと思っております。

河野(正)委員 時間が来ましたので終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

山本委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一です。

 きょうは、参考人の皆様、本当にありがとうございます。示唆に富むお話をお伺いしまして、本当にたった十五分では短いなというふうに感じております。

 私は九州の比例区の選出でございまして、比例だけで選挙区がございますので、正直言いまして、この協議会ができるときに、私が住んでいる福岡という大都市だったり、あとはほかの、福岡以外が田舎とは申しませんが、地方の小さな自治体がございまして、この協議会の体制づくりにやはりいろいろな濃淡が出てくるんじゃないかというふうに心配をしております。

 その中で、中山区長にまずお伺いしたいんですけれども、まず、先進的な取り組みとして、新宿区がまさに、特に高齢者を中心とした地域挙げての見守りの制度を構築されておりまして、非常に参考になるだろうなと思って今聞いておりました。しかし、中山参考人の時間は十五分しかありませんでしたので、もっと深く新宿区の取り組みの内容をこれからお聞きしたいと思うんです。

 あらかじめいただきました資料によりますと、まず、見守りのための登録事業者を募っていらっしゃるんですね。登録事業者を募集ということで、「高齢者見守り登録事業 広げよう支えあいの輪」ということなんですが、今現在、新宿区では、こういった登録業者、見守りを行う方の、支える方の登録業者としては主にどういったところが業者としては多いのか、また、その中で業者として特にキーの団体になるようなところはどこなのかを、経験に基づいてで結構ですので、お伝えください。

中山参考人 今、ネットワーク連絡会の事業者としては七十五事業者が参加をしております。この事業者は、私どもが、高齢者やそれから障害を持った方々、そういった方の近くにいる、簡単に言えば、家の中に入る介護事業者のホームヘルパーさんとかケアマネジャーさんであるとか訪問看護師、それから社会福祉協議会の見守り相談員でありますとか、新宿区では地域包括支援センターを高齢者総合相談センターという形で強化しておりますので、そこにはケースワーカーからケアマネ、また看護師等がおります。

 出かけていく取り組みをしておりますので、家の中に入って、例えば、昔でいえば、羽毛布団がまた来ている、浄水機がまた来ている、それから何かおかしな業者が来ているようだということをすぐ通報してもらって、そこに消費生活センターの職員並びに消費生活相談員が出向いて、その方がわからなくなっている場合には、了解を得て家の中を捜して、契約書を見つけて、クーリングオフの手続をして、お金を取り戻すといったような、そういったことをやっております。

 一番キーになる事業者は、介護保険事業者であったり、それから、新宿区の場合には高齢者総合相談センターと言っていますが、地域包括支援センターの職員とは常に顔が見える関係をつくっておいて、あそこがちょっとおかしいとか、それから、今、四千五百人くらいの七十五歳以上のひとり暮らしの見守りをやっておりますので、それを月に二回、二週間あけないで行けば孤立死、孤独死もないだろうといったようなことで、その見守りで、例えばこういう「ぬくもりだより」という、これはツールなんです。これは、持っていって、コンコンとやって、渡すための、これを配るということをツールにしながら、そのときに、年に四回は必ず、その時々の「区からのお知らせ」、「送り付け商法などの悪質商法にご注意」「おかしいなと思ったら、すぐ消費生活センターへ」というのを働きかけている、そんなところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。突然私が細かい話を聞きましたので、大変申しわけございません。

 今の中山区長のお話を聞きますと、やはりケアマネジャーの方とか、介護の方が中心になると。これであれば、例えば地方でも、やはり地方も福祉の施設は多うございますので、そういった方々が中心となって、こういった効果が上がるのであれば、地方の方でもできるのかなというふうに、今私も感じさせていただきました。

 もう一つお聞きしますと、今回の協議会では、金融機関や、または警察との連携ということも国は予定をしていると思うんですが、先行した取り組みとして新宿区では、先ほど、ケアマネジャーの方とか社会福祉協議会の方で言われましたけれども、金融機関や、または警察等との協力体制、こういったものはもう既にでき上がっているんでしょうか。

中山参考人 金融機関及び警察との連携というのは、これは詐欺行為に関しては、ある意味でいえば必須です。オレオレ詐欺等で徹底して連携をしております。

 おもしろいことに、この地域は、これは疑わしいなということで、消費生活センターの職員、それから警察等も一緒に立ち向かうこともございます。そういったことをやると、大体、事業者というのは、ここの地域はこういったことを行う、新宿の場合には、都営住宅等の非常に高齢化した団地もございますので、そうすると、そこからそういった電話がかからなくなるといったような抑止効果があると考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 本当に具体的なお話を聞かせていただきまして、私も少しイメージが湧いてきました。ぜひ、この新宿の取り組みをまた参考にしながら、全国に広げるような体制づくりを国としてもやっていかなきゃいけないなというふうに決意をさせていただきました。

 次に、池本参考人にお聞きいたします。

 民間委託に対する注意喚起がございました。そこで、あらかじめいろいろと資料もいただきまして、ありがとうございます。内閣府令に定める条件というものはどういうものがいいだろうかということで、逆にお問い合わせもあったわけでございますが、先生が消費者相談の現場にいらっしゃって、なぜ民間委託がまずいのか。

 ただ、例えば若者サポートステーションみたいなところは、都道府県の事業であるんですけれども、どうしてもマンパワーが足りずに、民間のNPOに委託をして、民間の方がやっていらっしゃるというのが現状でございまして、消費者庁としても、また都道府県の出先としても、やはりこの機関を自分たちで持つというのは、予算的にも、マンパワー的にもなかなか苦しいというところもあろうかと思います。

 そういった点は当然おわかりの点で、踏まえての御発言でありますので、逆に、またそういった背景がありながらも、民間委託に対する注意喚起をされるところで、特に具体的に感じられる点、もしくは、逆に先生の方から、内閣府令に定めるべき条件というものを、御経験に基づいてあれば、教えていただければと思います。

池本参考人 大事なポイントを御質問ありがとうございます。

 私は、地方自治体がさまざまな事業で民間委託を一切やっちゃいかぬなどとは到底言っておりません。本当に住民サービスの中で、民間のノウハウを活用する分野というのは、当然あっていいんだろうとは思うんです。ただ、消費生活相談という業務は、冒頭でお示しした、この機能の一覧表でごらんいただいたように、消費者行政全体を動かしていく、一番中核になる情報なんです。

 例えば、一人の相談者を救うためにも、相談員一人で交渉しては解決できないわけで、高齢者福祉の分野とか、あるいは多重債務の問題であれば税務の当局とか、自治体のいろいろな部門と連携しながらきちんと解決していくし、あるいは、被害防止についての情報発信も、消費生活センターだけからは住民には十分届かない。そうすると、高齢者福祉とか子供の分野とか、さまざまな分野の、自治体全体で動かしていく。むしろ、消費者行政こそ、自治体全体を動かす司令塔に、自治体の中の司令塔にならなきゃいけない。その情報の吸収源である消費生活センターを切り離して外に出すと、そこと本課との間でまず連絡をとって、それからそれを外へ出してということでは迂遠になってしまうということを一番心配しているわけです。

 実は、北海道とか全国でも、相談員、専門家団体によって十年、二十年と継続的に続けている、民間委託の形をとっているところはあります。それは独自に連携も工夫しながらやっているのですが、私が一番心配しているのは、最近の、効率化の観点で競争入札にして、期間を限って、また期間を過ぎたら競争入札にしてと、三年か五年たってようやく一人前で相談業務ができる時期に、今度は団体全体で雇いどめをするというようなことですから、これは相談業務の本質と全く矛盾してしまう。

 その意味で、内閣府令の中では、やはり専門的知見に基づいて、あっせん処理、解決まで見届けることをちゃんとできる体制や業務であること、あるいは、そのために庁内連携や地域団体との連携もできるような業務として位置づけること、そして、期間についても、短期間で競争入札という形ではなくて、安定性、継続性を尊重すること、そういったようなことが不可欠かと考えます。

 以上です。

浜地委員 本当に御指摘のとおりであろうと思っています。民間委託、一年限りの更新、更新でやっておりますので、いわゆる支える側の方、NPO、たとえ民間委託がいいとしても、やはり、そこで働いている方が御不安に思って力が入らない、または非常に処遇も悪い、待遇も悪いということで、御不安の声も私も地元でよく聞いておりますので、先生の御指摘を踏まえて、また次の質疑に生かしていきたいと思っております。

 最後に、樋口参考人、お聞かせください。

 個人情報保護法の問題でいろいろと要望をいただいております。私も、前職時代、法曹でございましたので、この個人情報保護法の問題は、ちょっとこの法律は、プラスの面もあるんですが、やはりマイナスの面も随分出てきているなというふうに感じております。

 先ほど河野委員が具体的に聞かれましたけれども、主に、この要望をされる中で、さまざまな方と、たくさん名前を連ねてやっていらっしゃいますが、先生の御経験以外の部分で、先生のお話は大変楽しくあるんですけれども、何か、まさに高齢者の方々を守るために個人情報保護法が逆に足かせになっている、もっと具体例があれば、聞かせていただければ。ほかのメンバーの方のお話でも、話せる限りで結構でございますので。

樋口参考人 ありがとうございます。

 大体、医療機関で何かを教えてくれなかったというのが多うございます。先ほどお話ししたように、窓口にそんなことを掲げているところもありまして、先生方の方から救急車のたらい回しというようなことがございましたけれども、行政機関に行きましても、それは個人情報だからと。

 それから、これは消費者かどうかわかりませんけれども、実は、消費者関係のミーティングの中で、ある有名な大学の先生でいらっしゃいますけれども、ゼミの学生の名簿が欲しいと。ゼミでも二、三十人いらっしゃるんだそうですけれども、それを、学務課というんですか、学生課へ行きましたら、個人情報保護法がありますので出せません、ゼミの学生名簿は、先生がゼミの席で、学生の了承を得てつくってくださいと。

 それで、私たちも非常に腹が立ちましたのは、個人情報保護法をよく読んでみますと、事業体は五千人以上の規模なんですね。ですから、我々規模の団体は制約をされるはずはございません。しかし、考えてみると、その大学は非常に大規模な大学でございまして、学生数一万人ぐらいいるような大学なんですね。だからそういったことかと思いましたけれども、事ほどさように、高齢者の被害防止ということだけでなく、日常的に、そういう、ゼミの先生が非常に不自由を感じるとかいうことがございまして、先ほど申し上げましたように、法設立の趣旨はそれなりに納得できることながら、誤解の方が拡大してひとり歩きをし過ぎてしまった。

 ですから、この際、このような改正によりまして、その縛りが一定程度解けるということは、私は、市民のお互いの協力を促進する方法で、今までの個人情報保護法をそのまま読みますと、例外規定は書いてあるんですけれども、誤解が先走りして、何というか、市民助け合い防止法、抑止法になってしまう機会がございましたので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

浜地委員 先生、ありがとうございました。

 先生のように具体的に言っていただいて、また権威のある方が言われると、本当に、我々、この委員会全員が恐らく身にしみた、今の先生の御発言でございます。本当に参考になる御意見でございました。ありがとうございます。

 終わらせていただきます。ありがとうございます。

山本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。

 きょうは、本当にお忙しい中、わざわざ当委員会に駆けつけていただきまして、ありがとうございます。

 まず、樋口参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほどいただきました資料を一読させていただきました。非常に興味深いといいますか、ぷっと笑ってしまうような内容もありまして、実は、私の母親も樋口さんと同世代といいますか、そういったような感じで、いつ消費者被害に遭うのか、毎日心配をしなきゃいけないような状況でございます。ただ、樋口さんのように、舌鋒鋭く切り返して撃退するというようなまねは、なかなか皆さん、できないわけでございます。

 私の母親は、幸いにして、耳がちょっと遠いものですから、電話が来てもほとんど対応できないという、これはメリット、デメリットあるかと思うんですが、補聴器を買ってあげたんですが、なかなか、日中そういうことがあって心配で、つけさせていいものだろうか、どうしようかと迷っているところでございまして、きょう、その辺のところも、私、決めさせていただきたいと思います。

 前段が長くなりました。済みません。

 ずっとおっしゃっていた、御主人がネットで被害に遭われたとか、いろいろな被害を御自身で未然に防がれております。

 これは失礼な話で恐縮なんですが、私が興味を持っているのは、今、終活と言われるものがございます。みずからの人生の終わりに向かって、いろいろな、冠婚葬祭といいますか、お葬式等々、またその前段に至る老人ホーム等々の購入も一つの終活の大きなアクションなわけですけれども、こういった終活の勧誘、御自身でどれぐらいおありになるのか。身の回りの方、近しい方で結構です、どうやって撃退していらっしゃるのか、実例があれば教えていただきたいと思います。

樋口参考人 ありがとうございます。

 本当に、終活についての一番多い私のところへの勧誘はお墓でございます。それから、御葬儀の計画はというようなことも聞かれます。お墓は本当に一日に一件かかってくるぐらいと言っても差し支えないと思いますし、今度は逆に、私はメディアなどで人生相談の回答者をいたしておりますけれども、御高齢の方からの御質問の中に、墓の問題、そして葬儀の問題についてどうすればいいだろうと。おひとり暮らしもふえましたので。それから、郷里のしゅうと、しゅうとめとは一緒に入りたくないというような御意見も含めまして、人間の終わりについて、やはり非常に多様性が出てきたので、皆さん迷っていらっしゃる。

 昔は、親が気に入らなかろうと、夫が気に入らなかろうと、その家に嫁いだ人間はその墓に入るのが当たり前でございまして、いい、悪いは別として、一つのおきてとして厳然に社会にございましたから、余り迷いがなかったのです。

 しかし、お葬式も、派手なものから、全く、言ってみれば、個葬というか、家族葬まで含めて、実に多様な選択の中で迷い、ここから先は私の推察でございますけれども、迷いの中でとんでもない消費者被害と言われるものにひっかかる可能性も十分にあると思っております。

 お産については周産期学会というのがあるんですね。それでみんな専門家が集まっているんです。でも、このごろ言われますことは、人間の死に向かって、それこそついの住みかをどう選ぶか。サつき住なのか、有料老人ホームなのか、在宅なのか。医療をどこまで選ぶのか。それこそ延命治療を望むのか、望まないのか。これはまた法律が出てくると思いますけれども。

 では、どういうふうに、誰と葬ってもらいたいのか。実は、私は、一人で生まれ、人間は一人で死ぬという言い方は余り好きじゃございません、一面の事実ですけれども。しかし、人は人々に見守られながら生まれ、そして、それこそこの消費者被害も含めて、人々に見守られながらあの世へ旅立っていく。これは、私は人間のあかしだと思っております。

 周産期だけじゃなくて周死期に関する、言ってみれば、安楽にあの世へ、しかも、被害にも遭わず送られていくことを見送っていくような、それを法案でどうできるのかどうかわからないですけれども、さっき私の言ったことで申し上げれば、老いの川安全渡航法とか、そういうものをぜひつくっていただきたいなと思っております。

 私自身、これは後で議事録を削除していただけるでしょうか、お墓に預けておいた、私の亡くなった夫の遺骨が、改葬しようと思ったらなくなってしまっていて、それで今、これから法律的手続を経て、交渉に及ぶところでございます。

 大規模な墓地ができる、そして改葬するとか改造計画もある、そういうときに、一々立ち会うわけでもない、よろしくお願いしますで、私などは、以来三十年、管理費を払い続け、墓参りへ行っては、空っぽのカロートの前に。

 私は夫の骨で慰謝料をもらおうとは別に思っておりませんが、消費者問題として見たとき、日本人にとって遺骨というのは、かつての交戦地のところまで行って取り戻したいと思う日本人独特の心情があることでございますから、こうした管理なども、それこそ、終活のある末の一つの消費者問題として、ぜひ先生方にもお心の隅にとめていただかれまして、早晩、こういう問題全体を網羅する法律制度なども必要になるのではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 今、私の遺骨の件は係争中でございますので、ちょっと……。

柏倉委員 非常に参考になるお話、どうもありがとうございます。

 そのお墓の話、これはもう切実な問題でございまして、私の母親も、最近はぶつぶつ、どこどこのお墓は嫌だとか、そういったことをぽろっと、何のそういう話もしていないのに脈絡なく出てきたりします。私の嫁はまだそういうことは言わないんですが、ただ、ひょっとしたら、近い将来そういったこと、やはり個人の多様性というものが常に今重視をされる。そのニーズに応えて、終活、消費者被害、これはやはりスイートスポットに当たった法案整備をしていかなきゃいけないんだなというふうに改めて思いました。

 あと、樋口参考人の配付なされた資料の最後に、いみじくもこのようにお書きになっていらっしゃいます。「おひとりさまにしろ何にしろそこにかかわる人は、さわやかな風が吹いているうちに、おおかたのことを形づけること、それがどれほど大変で大切なことかをあらためて思った。」というふうにお書きになられていました。まことに含蓄が高いお言葉だと思うんです。

 やはり今、終活に関してはいろいろな、医療だけじゃありません、お墓、お葬式、それこそ多岐にわたる消費財をもって、ひとつの終活、人生の終わりが形づくられるわけです。

 私、これはもう個人的な意見なんですが、消費生活相談員というのが今後新しくできますが、やはり終活相談員的な国家資格も必要になってくるんじゃないか、いや、むしろあった方がいいんじゃないかと。

 私は、年金暮らしでつましく生活していらっしゃるお年寄りがこういう消費者被害に遭う、それで最後、人生に絶望感を感じて亡くなっていくということだけは避けたいと思っているんです。

 私、実は内科医でございまして、人様の生き死にというものをこの目で直接、その瞬間まで見させていただいております。やはり、家族にみとられながら幸せに旅立たれるということ、これを可能な限り国がセットアップしていく、これがやはり私は国の責務だと思っています。

 そういう意味で、この終活相談員、国家資格としてもしあれば、樋口参考人、いかがでしょうか、活用していただけますでしょうか。

樋口参考人 これから確かに大きな問題になると思います。

 そして、今回、立場が多少とも評価されました。待遇改善は私は本当に心から望むものでございますが、弁護士さんにだって、民事が得意な方、刑事が得意な方、いろいろございますように、消費生活相談員の中にも、ある分野、特に終活、これは、これから膨大な人々が人生の終わりに向かっていくわけですから、そのエキスパートとか、あるいは消費生活相談員の研修の中に、これは池本先生にお願いすることかもしれませんけれども、研修科目の中にぜひそんなことも入れていただきたいし、国会議員の先生方は、ぜひそういうようなことも推進していただきたいと思っております。

柏倉委員 ありがとうございます。身にしみる御意見でございました。

 次は、新宿区長の中山参考人にお伺いしたいんですが、区長として消費生活の最前線で区民に御奉仕されているということで、敬意を表しながら質問させていただきたいと思うんです。

 高齢者の方で消費者被害に遭われている方はたくさんいらっしゃるかと思うんですが、この認知度と被害、人数、額でも結構です、やはりどれぐらいの相関性があると御自身で、これは感触で結構です、教えていただければと思います。

中山参考人 新宿区でそうした統計をとっているところではありませんが、おっしゃられるように、やはり自分で声を上げられない、それから、相手の方がより上回って、いろいろな知識を持って劇場型で迫ってくるというところに対抗できないのが、かなり、例えば高齢になって認知度も少し下がってきている方が多いというふうに感じております。それは、先ほどもお話ししましたように、自宅にホームヘルパーさんが入っている方、訪問看護師さんが入っている方、そうした見守りの中から通報があるということからも言えると思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 これから消費生活相談員というのは国家資格化してしっかりと消費者被害を予防していこうということ、大いに区長も御賛同していただいているかと思うんですが、新宿というのは物すごく昼間の人口流動性が高いところだと思います。今後、国家資格をお持ちの相談員になられる方、そういった方で、やはり新宿区にお住まいの方が理想か、それとも、通ってこられるのであれば、それでちゃんと職責を果たせればいいじゃないかというお考えか、その辺、もしありましたら、お聞かせいただければと思います。

 実はこれ、消費生活相談員という国家資格になりますと、地域地域でその合格者がやはり減ってくる可能性を池本参考人がおっしゃっております。私も地元が栃木県の地方でございまして、やはり危機感を持っております。とすれば、隣接する都市からお借りするというようなこともひょっとしたら考えなきゃいけないのかなということも私は思っております。そういった関連のお考えをもしも区長がお持ちでしたら、参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

中山参考人 消費生活相談員が住民であることが不可欠であるということは、全くないと思います。消費生活相談員として、的確な知識、コミュニケーションスキル、交渉力、そういったものを持っていることが重要であると思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 やはり、国家資格ですので、当然、地域地域で格差が合格者に出てくると思うんですが、そういった、今の実際の肌感覚、これをやはり今後、配置に関して流動性を保てるような法律のたてつけにしていかなきゃいけないのかなと。要は、借りてきてもいいよというような、検討をできるような法律にしていかなきゃいけないのかなというふうに思いました。

 どうもありがとうございました。これで終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、含蓄のある貴重な御意見を本当にありがとうございました。

 私自身は、今回の法案については、今まで消費者相談に尽力をされてきた消費生活相談員の皆さんの長年の願いに応えるものである、また、全国で努力されている自治体の皆さんの奮闘の結果でもあるということで、おおむね賛成しています。しかし、本法案が改正されても幾つかの問題点が残ると私は考えていまして、今後の質疑の中でも取り上げていきたいと思っています。

 第一に聞きたいのは、国の役割との関係であります。

 全参考人にお聞きしたいと思います。

 私は、さきの委員会でも指摘したんですけれども、地方消費者行政の予算が、一九九六年度には合計で百九十億円ありました。ところが、二〇〇八年度には約半分の百億円、その後少し持ち直したものの、昨年度は百四十五億円と減っています。消費者庁にかかわる肝心な、法律の附則四項では、政府は、消費生活相談員の待遇の改善その他地方公共団体の消費者政策の実施に対して国が行う支援のあり方について必要な措置を講じろ、こう書いているわけですね。

 ですから、先ほど述べた実態からしまして、予算は減らしている、人は減らしているという現実がありますし、その一方で、強化しろ、強化しろと言っても、私は、今皆さんからお聞きした消費者行政の性格といいますか重要性からして、本当に法の言う必要な措置は講じたと言えるんだろうかということを考えています。

 したがって、その法にあります支援のあり方という大きな命題について、お三方から、一言ずつでもいいですし、お聞きしたいと思います。

中山参考人 消費者庁、国からの支援として地方自治体が最も必要としていることは、何度か申しましたが、財政支援と情報等の支援でございます。財政支援は大きなものがあります。

池本参考人 池本でございます。

 ぜひ国で考えていただきたいのは、今、地方分権ということが一方で叫ばれておりますが、消費者行政は、明治以来百年の歴史の中で、ほんの五年前に消費者庁ができて、各地で頑張ろうと言い始めたばかりです。ナショナルミニマム、最低限の水準をつくるところまでは国でやはりきちんとリードしていただき、それは考え方も財政支援も含めて、そして、一定水準まで到達した後、さらに自治体で柔軟にやっていくという、現在はまだスタートしたばかりのところ、よちよち歩きのところで各地で自由裁量でやれということでは、これは維持できないと考えます。

 以上です。

樋口参考人 ありがとうございます。

 私も、先ほど申し上げましたように、発足したばかりの消費者行政でございますし、消費者市民などという言葉もようやく言われるようになり、同時に、消費者教育推進法などもできたところでございます。ですから、財政を含めた大枠は中央集権できちんと確保する、そして具体的な方法は地方の実態に合わせてと思っております。

穀田委員 では次に、民間委託について中山参考人にお聞きします。

 私は、消費生活センターの業務というのは、本来、行政が直接担うべきであるし、極めて重要な課題、部分といいますか、そういうものを占めているというふうに考えます。ところが、現在、七十八ぐらいですか、地方自治体が民間委託を行って、それを今回追認する形で、八条の二で、「内閣府令で定める基準に適合する者に委託することができる。」としています。

 私は、その意味では余り賛成できないという立場なんですが、しかし、現在、何の規定や基準もなく民間委託を行っている現状を見れば、消費者トラブルに利害関係を有しない者であることは当然として、せめてこの内閣府令を定めるに当たって、専門的知見に基づく適正なあっせんの処理ができる、また、情報の目的外利用の禁止や公正さが確保できる、情報処理に当たっては総合的な相談支援が行える、消費生活センターと地域の関係機関とが被害防止の連携ができる等々、これらの要件というのは最低限必要じゃないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

中山参考人 消費生活センターの民間委託についてですが、これは、現状、いろいろな経緯の中で行われているところもあります。そして、そこにはそれなりの仕組みもできていると思います。

 新宿区としては、先ほど池本参考人からもお話にございましたように、消費者行政というのは、ある意味でいえば、暮らしの安全を守っていく、そこが司令塔となるような行政でもあります。それは現場を持つことがその自治体の行政をより豊かにするというような考え方で、民間委託は考えておりません。

穀田委員 暮らしの安全という土台のところだという位置づけは極めて大切かと思いました。これを生かしていきたいと思います。

 では、今度は池本参考人にお聞きしたいと思います。

 雇いどめ問題です。

 これは、何度も私どもも議論しているんですけれども、なかなかとまりません。問題は、先ほど中山参考人も社会全体の問題だということを特におっしゃっていましたが、それは確かにそのとおり、私もあると思っているんです。

 今、全体が、そういう雇いどめだとか、それから非正規雇用という問題が出ているという背景にあったりして、その問題はその問題として私はあると思うんですが、しかし、消費者にかかわる問題としますと、こういうことがどれほど悪影響を及ぼすかということについて、我々自身が、せめて消費者特別委員会にいる者自身が認識を深めるということは大事だと思うんです。

 そこで、三つばかり聞いておきたいと思うんですけれども、非常勤職員の雇いどめは、確かにさまざまな分野に生じています。ただ、消費生活相談員について特に問題だと思うのはどうしてか。それから二つ目に、その雇いどめによってどのような弊害が生じているか。それから、先ほど私言いましたけれども、今皆さんからもありましたけれども、大体、雇いどめについては抑制するようにという通知を出したりペナルティーを科すということをいろいろ言っているわけですけれども、そういうことがあったとしても、今、その後の自治体ではこの問題が改善されてきているんだろうか。

 この三つの件、簡単にお願いします。

池本参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、雇いどめというものが、消費生活相談業務、相談員についてなぜ不適切なのかということでいいますと、相談業務というのは、そもそも、今後もずっと末永く必要な恒常的な業務です。何よりも、交渉力あるいは聞き取り能力というのは、一発試験で高められるものではなくて、実務経験の中で、人間を相手にしていって初めて培われるもので、私など、相談員と勉強会などをずっとやっていると、四、五年たってようやく一人で交渉できるかなというぐらいの実務経験はもう不可欠なんです。

 その時期に雇いどめをするなどということは、全く業務の本質とも反するだけではなくて、実は、幾つかのところで相談員養成講座を担当していて、それぞれのところで聞くと、何日もの研修を受け、難しい試験を受け、しかし、採用されても四、五年で首になって、その先はわからない、となると、そこまで頑張ってやってどうなるのかなと。つまり、有能な人材の供給すら危うくなってしまう、そういう問題があります。

 その意味で、雇いどめというものが自治体のあらゆる業務で不適切だということまで申し上げるつもりはありませんが、少なくとも、恒常的で、なおかつ実務経験こそが物を言う相談業務について、雇いどめは決してあってはならない。

 にもかかわらず、これがいまだにおさまらないのはなぜか、長官から通知を送っても動かないのはなぜか。

 これは、先ほど御質問いただいたときにも申し上げましたが、消費者行政部署が自治体の中でまだまだ弱いということと、もう一つは、総務省からの発信が、やはり一律に雇いどめが原則であるかのように出したままである。

 私どもは、むしろ、専門性があって、しかも継続性が重要なものについては、任期の定めのない非常勤職員とか、そういう新しい雇用形態というようなことがあっていいのではないかと。その方については、むしろ専門的な研修の中で適切さを確認すればいいわけで、そういったことも含めて、総務省、国の側で、一律の、他の分野と同じ、非常勤だから一定年限で雇いどめはやむを得ないんだ、この発想を切りかえていただきたいと思います。

穀田委員 私は、大体、今はやっている人員削減といいますか、それから、効率化とかいう名前で全体として公務員を減らしたり、国家公務員を減らしたりやっていて、国家の行政の中でも非正規雇用がたくさんいるなどという、そういうあほなことをやっている事態自身についていかがかと思っているものですから。

 最後に、見守りについて中山参考人と樋口参考人にお尋ねしたいと思います。

 深刻化する消費者被害の問題、特に高齢者が多いということなので、その点では、今度の法改正も、消費者の安全確保を進めるという点でも一つのポイントになっています。そこで、見守り、それから地域の連携体制をつくっていこうというものであります。

 先ほどお伺いして、よこ糸といいますか、それを軸としてやっていくということについては非常に私は感銘を受けたわけですけれども、では、なぜこういうものが、これほど一つの先進的な例がありながらも、さまざまなことがうまく進んでいかないんだろうか。もちろん、他の自治体を悪く言うつもりはないんですよ、そういう意味じゃなくて、体制をつくっていくために、多くのところに広げていくために、何をポイントとして突破しなくちゃならなかったんだろうか。その教訓をお聞かせ願いたい。

 それと、樋口参考人には、先ほど資料を見せていただきましたけれども、二〇一二年に消費者庁長官に、「地域の支えあいをすすめるために」ということで、ここにありますように、「個人情報保護法の運用に関する要望書」を出されていますよね。政府だって、保護する側面が強調されていて有益な利用がされていないということをわざわざ文書まで出しているわけですよね。それが、各省庁がいろいろなことを言っていながら、依然として打開されない。

 ところが、個人情報というものについて言うならば、これは、国家と個人というだけでなくて、その間にいるさまざまな行政機関とかさまざまな人たちのつながりをどうしていくかという、いわば大きな問題なわけですよね。これがなかなか突破できない、打開できないというポイントは何だと思われるか、そこだけお二方にお聞きして、終わります。

中山参考人 見守りの活動がなぜ大きく広がらないかということですが、見守りについては、行政が、今まで縦割りであったところをよこ糸をつなぐというような、新たな取り組みでもあります。そうしたことについては、ノウハウをしっかり、都道府県等が中心となりながら、モデル実施を行い、働きかけていくことによって、現在のような、単身世帯がふえ、高齢者がふえ、こういう被害が課題となっているときには、しっかり背中を押せば広まることと考えております。

樋口参考人 ありがとうございます。

 これまで広がらなかったのは、何といっても、日本のいわゆる弱い立場の人々の救済ということが、全て福祉は申請主義でございまして、こちらから行かないと動かなかった。今回は、もうそんなことを言ってはいられない、こちらから行かれないのに大変な被害に遭っている、あるいは自分が狙われているなどと気づかない人々がたくさんいる。となりますと、今度はアウトリーチというんでしょうか、行政なり責任者の側からアプローチしていかなければならない手法、それが日本の社会福祉の面でそもそも欠けていたということが広がらない現実だと思います。

 ですから、今回、こういう法律ができて、先ほど各参考人、各先生方からもお話がございましたように、やはり、家の中に入っていける人に一定の情報や、権限と言うと言い過ぎでございますけれども、責務を与えて、そして、家の中へ入っていけば消費者被害なんてありありとわかることがございますから、そういうところを進め、そして、お願いしたいのは、消費者対策といたしまして、救急の対策、要するに、今ある被害をどうとめるか。一一〇番と一一九番があるんだったら、何にしたらいいでしょうかね。三桁の番号を言ってすぐ、とにかくこれをとめてくれる。

 だって、火事よりも、救急の病人よりは少ないかな、何しろ、火事よりも何よりも殺人よりも、高齢者の消費者被害なんて大きいんですから、三桁の番号ですぐ救急的に発動というか連絡できるところと、それから今ありますような相談などを通して解決する方法と、それから三番目の一番後方部隊は、消費者教育推進法でございます。

 今皆さんは、六十歳というのはお元気でいらっしゃいますけれども、あと二十年たてば、高齢者が一番ふえるときに一番だまされやすい人になるわけですから、今からきちんと人生後半の、言ってみれば学習機会を国家の義務教育としてぜひ推進していただくようにお願いします。

穀田委員 学習しました。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日、皆さんにそれぞれお伺いをしたいと思いますが、まず中山弘子新宿区長に、予算、人員体制についてお伺いをしたいと思います。

 池本弁護士の方から、先ほど、行政の職員が減っているではないかと。これは、実は私の方も前回のこの消費者委員会で、まさに大臣に対して、地方の行政職員が特に二〇〇〇年以降激減しているではないか、実際これでどうやって各都道府県あるいは各自治体、執行を満遍なくやっていくのか、こういう質問をさせていただいたところであります。

 中山区長にお伺いをしたいのは、とはいえ、本当に限られた各自治体予算の状況があります。その限られた中で優先順位をつけ、特に強化すべきだとお考えになる人員体制あるいは予算の項目、こういったことについて何かお考えがあればお伺いをしたいというふうに思います。

中山参考人 新宿区は、消費者等担当課長という課長職を置いている数少ない自治体の一つです。しかしながら、課長は就労支援、今、地域においても就労支援は重要になってきていますので、それを兼務するというような状況で、かなり力を入れていても辛うじて置けるというような状況です。そうしたことと、全体の中での人員の配置とあわせて、消費生活相談員を本当に専門職として機能し得るような処遇、そういったことを行っていくことが重要であると思います。

 新宿区では、相談員が六名おりまして、そして、一日七時間勤務、週二十八時間、月十七日勤務で報酬は月額二十八万四千円、時間単価にしますと二千三百四十一円、それで六十五歳まで勤めていただけるというような形で専門性を確保しています。

井坂委員 ありがとうございます。

 次に、池本弁護士にお伺いをいたしたいと思います。

 いろいろ最初の御説明の中で、消費者教育推進協議会のような幅広いメンバーのいる場所と、その中で個人情報を取り扱うようなコアメンバー、二重の形で地方の組織を展開してはどうか、こういうお話があったわけでありますが、私の方も先日の質疑の中で、消費者安全確保地域協議会、また、これまでにつくった消費者教育推進法に基づく地域協議会、本当に、各法律だけ見ていると、いい仕組みが地方にできるなと思う反面、この前つくったのにまた同じような組織をつくらなければいけない、こういう声も実際現場から聞いておりまして、この二つを重ねることの是非、あるいは、先ほどおっしゃった、広いものとコアのものという二重論について、ちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

池本参考人 まず、消費者安全法で今回つくろうとしている消費者安全確保地域協議会の業務として、第十一条の七の第二項というところに業務がさまざま書いてあるんですが、それは、地域での情報提供や情報集約など、非常に幅広い業務です。これはむしろ、個人情報を共有する人だけではない、もっと広い人が集まることを想定した規定なんです。他方で、十一条の四第三項で、情報提供ができる、個人情報を含めて提供できるという条文が別のところにあるんですね。この二つを全くイコールにしてしまうと、個人情報が共有できる人だけで組織するというふうに解釈すると困るということなんです。

 むしろ、消費者教育推進協議会とこの安全確保地域協議会は、私は一つの組織であっても構わないと思うんです。むしろ、より広く、地域の中でさまざまな活動をする人が連携をとれる、自治体の諮問機関で答申しておしまいではない、そこの中でお互い情報交換ができる組織をつくり、そこの中で、では、あなたにこの地域のこの方の情報をお願いしますという、情報の提供ができる人というのをさらにその中で選んでいける。その意味で、広い組織とコアメンバーというものを区別する。

 ここをちゃんと議論しておかないと、何か、大勢に広げて、その人へ全部地域の情報を流したら個人情報はどうなるんですか、こういう誤解が出てきますから、そこはちゃんと区分けをして発信をしていただきたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、樋口理事長にお伺いをいたします。

 敵は日進月歩である、こういうお話でありました。まさにその日進月歩の最たるものが、コンピューターであったり、インターネットであったりということだと思います。

 まだまだ年配の方でコンピューターやインターネットを日々使っておられる方の割合は少ないのかなというふうに思うんですが、そうはいっても、私の周りでも、本当に、お子さんやお孫さんの写真をコンピューターで加工してそれをメールでお孫さんのところに送ったりとか、あるいはスマホを使ったり、そういう年配の方も随分見受けられます。

 理事長が御存じの範囲で、インターネットによる消費者被害、あるいは非常に危ない不当な勧誘、こういった例をもし御存じであれば御披露いただきたいというふうに思います。

樋口参考人 ありがとうございます。

 私が、幸いにして今のところ消費者被害に、撃退すべきものは撃退し、ひっかかっておりません最大の理由は、コンピューターが苦手だからだと自覚いたしております。

 パソコンは持っております。メールアドレスも持っております。しかし、自分からいろいろな情報を加工して送り出すとか、自分のサイトを持つとか、私のような執筆業の人は結構そういうものを持って発信している方もありますが、怖いので一切やりません。メールのやりとりだけでございます。

 しかし、先ほどちらと申し上げました、友人の夫がひっかかったと申し上げましたのは、まさにそのコンピューターからでございまして、技術屋さんだったものですから、定年後ずっと飛びついているんですね。何もなければ、一人で遊んでいてくれるから奥様としてもありがたいんですけれども、そのうちにひっかかっちゃったわけですよ。

 四千万円当たりましたと、ひところ、はやっていましたでしょう。あなたは何万人の中から選ばれて、四千万円当たりました、ついては、手続をするから、三十万円でしたかね、二十万円ぐらい、それを現金で払い込め。そこで妻が気づいてとめましたけれども、御立派な方なんですよ、ああ、だまされていたらしいなとわかるまでに半年ぐらいかかったようです。

 ですから、本当に、今、高齢者の消費者被害がこの程度で済んでいるのは、七十歳以上のコンピューター利用率が今、六割か七割ですか、若い方に比べればぐっと低いですから、これから大変なことだと思いますので、ぜひ、お若い先生方に、自分たちがどうだまされないかという対策を立てていただきたいと思います。

 と同時に、ですから、これは二律背反なんです。私は、これをどうしていいか、迷っています。例えば、私どもがそれなりに国外と連携をとり、国内でもいろいろ、例えば東日本大震災なんというとき、すぐ、高齢者による高齢者の支援ということを私たちは始めました。それはひとえに、パソコンあればこそなんです。

 ですから、スウェーデンなどは、高齢者に、パソコン嫌い、わからないなんて逃げることを許さないぐらい徹底的に講習をして、例えば福祉の受給なども、パソコンから入力する。実際、入力する人と電話をかけたり歩いてくる人とは受給開始の時期が違うというぐらいの、一種のペナルティーを科して、高齢者を甘やかさず、時代についていくというふうにやっておりますし、私どもの会にも高齢者が多いんですけれども、パソコンの手だれの人はおりまして、こういう時代だから年寄りも、テクノロジジイ、テクノロウバにならなきゃいけないと。私どもも実は、そのための研修会を、我々の会としても、高齢者もパソコンになれましょうという研修会を開いております。

 と同時に、それはだまされる可能性を広げることで、年寄りながら情報にアクセスして活動に参加するというメリットと、まあ、そちらを生かさなきゃいけないんだと思っております。ですから、それを生かしながら何とか防止する方法を私どもも練ってまいりますので、ぜひ先生方の御指導をお願いしたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 今のお話、本当に今後被害が拡大していく分野だと考えておりまして、池本弁護士にお伺いをしたいのであります。

 本日配られた絵入りの見守りの資料は、やはり、怪しい業者さんがおうちに出入りしている、だから隣の方が気づく。あるいは、オレオレ詐欺でも、実際に振り込むときは、銀行に行くと、やはり画面の中に、それは本当に、振り込み、大丈夫ですかと最近は注意喚起されますから、まだ救いがあるわけでありますが、これがインターネットになると、だましも画面上で、完全に個人しか知らない状況でだまされて、振り込みもネット上でボタン一つで振り込めるということで、より発覚が難しくなることが予想をされます。

 池本弁護士が訪問販売やクレジット被害などにも取り組んでこられたというふうに伺っておりますが、こうしたインターネット経由の消費者被害について、どのようなお考え、あるいは対策案などをお持ちであれば、お伺いをしたいと思います。

池本参考人 御質問ありがとうございます。

 インターネットによる取引被害のことも、これから生じてくる高齢者問題となるもう一つの、非常に大きな、しかも論点がたくさんある課題であります。

 例えば、未成年者がアクセスして契約するときに、お店であれば、見るからに未成年者とわかれば、年齢を聞いたり、あるいは親に確認をしたりとできますが、インターネットだと確認できない。確認できないんだから、それはアクセスした方が悪いんだと切り捨てていいのか。むしろ、そういう子供たちが容易に入れないような一定のハードルをきちんとルールとしてつくっていかなければいけないのかという入り口の問題もあります。

 しかし、さらに一番悩ましい問題は、匿名性が高いので、問題が生じたときに、事業者に対して責任追及ができない。

 例えば、インターネットのプロバイダーに対して、この事業者は詐欺商法の事業者だから、これについての情報元を開示してくれと言っても、開示してもらえないんです。現在のプロバイダー責任制限法では、画面上出ている文字そのもので名誉毀損とかがあればともかく、言った中身がうそかどうかは私たちにはわかりませんから一切開示できません、こういうふうにして切り捨てられてしまいます。むしろ、やはり現在の詐欺商法をきちんと防止し、あるいは救済していくためには、インターネットの中における匿名性のルールについても、もう一つ見直しの規定を入れる必要がある。

 今二つだけ挙げましたけれども、五つも六つもたくさん課題があります。ぜひこの観点も取り上げていただきたいと思います。

井坂委員 ちょっとまだ時間がありますので、もう一点だけ。

 池本弁護士ばかりで申しわけないんですが、商品先物取引法の緩和が今進みつつあります。七十歳より下で、しかも七日間熟慮の期間を与えれば、また先物取引の勧誘をしていいという緩和であり、私は大変問題があると思っている立場でありますが、この問題にずっと取り組んでこられた池本弁護士の御見解を伺いたいと思います。

池本参考人 今の先物取引の分野における不招請勧誘禁止、これが昨年から、規制緩和しようということで議論がされていて、昨年十二月に、埼玉弁護士会として会長声明も出したものであります。

 つまり、過去何十年にわたって、例えば全国の消費生活センターに七千件くらいのトラブルが寄せられていた。それを、個別の行為規制ではどうしても解決できない、何度か法改正をやったけれども解決ができなかったところに、そもそも、これほどリスクのあるものを押しかけて販売する、電話で勧誘するという性質のものではない。むしろ個人の側が、本当にこれをやりたいという人が自分からアクセスしたときにやっていけば十分ではないかということで、不招請勧誘禁止を導入していただきました。それによって、最近のデータでは九百件くらいに、全国の消費生活センターに寄せられる相談、PIO―NETでは苦情が減ってきています。

 今、これを規制緩和して、また不招請勧誘を一定範囲で緩めてしまうとまた被害がふえてしまうということと、さらに言えば、法律によってルールを決めたはずなのに、政省令の中で実質的にそれを覆してしまうという、ルールのたてつけの問題からしても非常に問題があるのではないか。

 きちんと実態を見きわめて、どういうルールにすべきかということを検証して、国会で審議をして見きわめた上で何らかの見直しをするというのであれば、手続的にも許されるのかもしれませんが、今回の問題は、中身も手続も許されないと思います。

 以上です。

井坂委員 ありがとうございます。

 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、消費生活相談員の資格試験についてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正案の柱の一つでございますが、消費生活相談員の資格試験を登録試験機関がとり行うこととされました。登録試験機関といたしまして、現在、三つの関連団体が候補として考えられていると伺っております。

 今後、それぞれの登録された団体の間でその特色を競い合うことになることも考えられるわけでございますが、相談員のレベルは一定以上に保たなくてはなりませんが、この登録試験機関に対してどのようなことを望まれるか、まず、三名の参考人各位の御意見をお伺いさせていただきたいと思います。

中山参考人 登録試験機関については、先ほど来申しておりますように、消費生活相談員の必要な知識や、知識ばかりでなくコミュニケーションスキル、また交渉力等々がちゃんと認定できるような内容となること、そうしたことを望みます。

池本参考人 私は、国民生活センターとか日本消費者協会とか全相協とかNACS、それぞれ研修その他でおつき合いがある立場ですが、この問題については、どの団体に肩入れするという問題ではなくて、全国の相談体制がきちんとしていく、質を保てるためにどうするかということで考えているつもりであります。

 その意味で、これまで四十年にわたって、三つの資格によって各地で相談員が確保されてきた。それでも不十分である。特に地方で不十分である。そういう中で、相談員をきちんと確保する。そして、全体として、新しい人たちがこの相談員を目指せるようにという意味で、相談員の国家試験を導入するというときに、一部の団体では、いや、それは必要ないという意見もありましたが、私は、やはり将来像を考えれば導入すべきだということで、そういう人たちにはむしろ説得してきたつもりです。

 他方で、この制度が入ったときに、せっかく国家資格にするんだから、一本化して、中身も高い水準にしたらどうかという意見もあります。ただ、地方で相談員を十分確保できていないところを視野に置くと、余り難しい試験にして、これまで以上にその方々が資格が取れなくなってしまうのでは、これは元も子もない。やはり現場の実情を見ながら、全国総体として相談員が確保できる。

 そして、その相談員の質を高めるのは、実は、一発試験だけではなくて、それ以上に、先ほど申し上げたコミュニケーション能力は、継続的な実務研修なわけです。その部分こそ、国からきちんと予算を配分して、全国の自治体で進めていけるようにということ。

 それから、相談員になってからだけではなく、これから目指そうとする人の学習の機会が、例えば、首都圏とか関西であればさまざまな団体がやっていますが、地方にはないわけです。そういう、これから目指そうという人のための学習機会をきちんとつくっておかなければ、国家資格化しただけではとても人が集まってこない。

 さらに言えば、どんなにすばらしい資格試験であったとしても、資格がすばらしくても、その後の、その仕事が魅力的なものでなければ人は集まってきません。その意味では、処遇をきちんと改善し、相談員の役割をもっともっと高めていただくこと。そういったものの総体として、今後取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

樋口参考人 ありがとうございます。

 私どもは相談をする立場でございますから、当たり外れがあっては困ると思っております。三つの資格のどれを持った方であれ、一定の標準化された能力をお持ちになって、コンサルタントに当たったからこうだった、相談員に当たったからこうだったということのないように、国家は、きちんと一定の資質を備えた方を相談員に命じていただきたいと思っております。

 また、私どもは、相談窓口へ行きますれば、相談員の方も、二枚看板、三枚看板で、両方の資格をお持ちの方もたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、名刺を出して、あなたは何の相談資格をお持ちですかなんということは全くございません。

 ですから、もうひたすらこちらは資質の向上をお願い申し上げるだけでございますし、今回、長年の消費者行政をおぶってきた相談員の方たちが、きちんと法制化した資格になりますことは御同慶の至りでございます。

 ただ、私どものように、相談員養成について全く知見のない、一消費者、一利用者として見ますと、今一段階であった、やがて次の段階へは、一定の国家資格と一定の共通の研修というふうにまとめる段階が、次の段階としてはあっていいんじゃないかというふうに理解しております。

青木委員 ありがとうございます。

 一定のレベルを保つということと、そのためにはやはり実務研修が必要だ、そのための国の予算、そして、何よりも地方の視点が必要だ、大事だということを伺ったというふうに思います。

 重なりますが、消費生活相談員の資質というものについて、どのようにお考えになっているのか。この資格試験を経ることによって、またその資質が向上するだろうと。それに対して、また今度はその処遇改善につながっていくかと思いますが、この資質というものと、今後の仕事につながるための処遇改善について、再度御確認をさせていただきたいと思います。

中山参考人 消費生活相談員の資質ということですが、知識を持つことは大切です。あわせて、先ほど来から、各先生方からもいろいろお話ありましたように、相手の立場への想像力をしっかり持って聞くことができること、そしてまた、それを解決していくために一緒に考えてあっせんまで行えるような、そういったコミュニケーション能力、それから交渉力、そういったものが資質として重要であると思っております。

 そのことは、資格を取って以降、お話にもありましたような、実務経験を積み、かつ、研修等、常に努力をしていくということが求められていると思います。

池本参考人 私は、研修などの場で、相談員養成の際、あるいは実務研修の中で申し上げていることですが、まずは、きちんとした事情聴取ができる聞き取り能力、そして法律に照らした判断能力、そして事業者あるいは消費者を説得する調整能力、そしてカードに記載し、伝達していくカード作成能力、こういうものが必要だということを申し上げております。

 ただ、もっと本質的なところで言うと、こういう例えを出します。

 裁判官は、今の法律に照らしてその人が救えるかどうかを判断して判決を書けばいい。しかし、消費生活相談員は、日々新しく起きている事案、そのまま形式的に当てはめたら救えないかもしれない事案をもう少し掘り下げて、相談者の事情を聞き、事業者に対しても、適正な観点で考えてくださいという踏み込んだ説得をしなければいけない。裁判官以上の、本当のみずからの判断力を高めていき、説得力を高めていく、そういう力が必要なんですよということを申し上げております。

樋口参考人 ありがとうございます。

 私は、やはり専門的なことはもちろん大切でございますが、同時に、国民の生活それぞれを、また個性に満ちた生活に対応するのですから、人生百年社会のそれぞれの年代に対する問題の理解と、それから横の協力ですね、その縦と横の軸をしっかりと持った方であってほしいと思っております。

 いい機会でございますので、ちょっと言わせていただきますと、やはりこれまで、消費者行政の一番最先端である相談員、一括して相談員と申し上げますけれども、その方たちの女性比率というのは非常に高いものでございます。

 先ほどお話がございましたような待遇が、現在の給料に、相場に比べて高いか安いか、専門性に合っているか合っていないかは別といたしまして、はっきり言って、家族を養わねばならなくて済む女性の有識者の善意というものを出発点にこの行政が行われてきて、ようやく、三十年ほどの間を経て、今ここで日の目を見ているということで、どうも樋口の最後っぺと言われそうでございますけれども、ここら辺も、明らかに、女性に対する、女性の労働に対する軽視した傾向というものが出てきて、その割によく頑張ってきたじゃないかというのが私の評価でございます。

 これからは、消費者被害も、いわゆる敵方に暴力的な人たちもいっぱい、今でも多重債務などはそうですけれども、控えている時代になり、私は、男性の方々のこの分野への御参画もとても大切なことだと思っております。

 ただ、赤ちゃんから年寄りまでその生活をずっと見てきた経験を持つ女性がまた非常に活躍する分野でもあろうと思っておりますので、幸い、安倍総理大臣も女性の活躍ということに対して大変御理解があるようでございますので、この際、女性の確固たる地位を持った、資格を持った活躍できる相談員、そして、男性もまた、それぞれお力をかして参加していただける職場として発展させていただければ、この上の望みはございません。

 ありがとうございます。

青木委員 最後にもう一点、樋口参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどの足立区のプロジェクトについてぜひお伺いできればというふうに思うんですが、消費者安全確保地域協議会というものに対して、もう既に新宿区では先進的な取り組みを行っていただいているわけなんですけれども、中山区長さんを先頭に行っていただいているんですが、足立区も実は女性の区長さんで、恐らく孤立ゼロプロジェクトのことを大変評価されているのではないかと思います。

 せんだっては、もう一年ぐらい前になりますか、横浜市の市長さんがやはり女性の方で、待機児童をついにゼロにされたということで、本当に女性の先頭に立つ先生方の活躍が目覚ましいんですけれども、そうした中において、先ほど足立区の例を少し触れていらっしゃったものですから、大変すばらしいという評価をしている点を最後にお伺いさせていただければというふうに思います。

樋口参考人 ありがとうございます。

 そういうことでしたら資料を持ってくるのでございましたけれども、足立区の資料は、実は、今度、安全法改正のことなども踏まえて、消費者庁の中に地域安全に関する検討会というのがつくられまして、数カ月議論いたしました。座長は東大名誉教授の大森彌先生で、私が副座長を務めさせていただいて、法曹界から池本先生、それから自治体の方々が多くて、県では富山県、北海道というあたりで、区として足立区が御参加になりました。

 そのときにいただいた資料が非常に、何といいましょうか、目も鮮やかにというか、先生がおっしゃいますとおり、孤立ゼロプロジェクトが大変よくできておりまして、この辺がどうというのはちょっと資料を持ってこなかったので申しわけございませんけれども、もし御必要でございましたら、消費者庁に設置された検討会の中に足立区から提出された資料でございますので、お取り寄せは大変簡単ではないかと思いますし、ぜひ、そういう地域ごとの好事例というものを取り上げて広く国民に広げていただきたいと同時に、失敗例というものもしっかりと分析していただきたいなと思っております。

 ありがとうございました。

青木委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。

 こうした本当に先進的な取り組みが全国の自治体に広がりますように期待をし、また先生方の御活躍も期待をさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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