衆議院

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第8号 平成26年4月22日(火曜日)

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平成二十六年四月二十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      小倉 將信君    大見  正君

      鬼木  誠君    金子 恵美君

      川田  隆君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    小島 敏文君

      小林 茂樹君    斎藤 洋明君

      新谷 正義君    末吉 光徳君

      助田 重義君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      辻  清人君    豊田真由子君

      野中  厚君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      泉  健太君    大西 健介君

      武正 公一君    中根 康浩君

      上西小百合君    河野 正美君

      清水鴻一郎君    國重  徹君

      浜地 雅一君    柏倉 祐司君

      井坂 信彦君    穀田 恵二君

      青木  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     山崎 史郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 昌稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       石田  寿君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      松本 恒雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     小林 茂樹君

  金子 恵美君     斎藤 洋明君

  小島 敏文君     末吉 光徳君

  田畑  毅君     新谷 正義君

  武井 俊輔君     宮内 秀樹君

  比嘉奈津美君     大見  正君

  宮崎 謙介君     三ッ林裕巳君

  宮崎 政久君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     野中  厚君

  小林 茂樹君     青山 周平君

  斎藤 洋明君     金子 恵美君

  新谷 正義君     田畑  毅君

  末吉 光徳君     小島 敏文君

  三ッ林裕巳君     黄川田仁志君

  宮内 秀樹君     武村 展英君

  八木 哲也君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     辻  清人君

  黄川田仁志君     宮崎 謙介君

  熊田 裕通君     助田 重義君

  武村 展英君     武井 俊輔君

  野中  厚君     比嘉奈津美君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     川田  隆君

  辻  清人君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     穴見 陽一君

  川田  隆君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事長松本恒雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君、警察庁長官官房審議官宮城直樹君、金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、消費者庁次長山崎史郎君、消費者庁審議官川口康裕君、消費者庁審議官菅久修一君、厚生労働省大臣官房審議官成田昌稔君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省医政局長原徳壽君、厚生労働省健康局長佐藤敏信君、農林水産省大臣官房政策評価審議官石田寿君、農林水産省大臣官房審議官福島靖正君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑(裕)委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 今回、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する法律案の審議に、質問に立たせていただき、山本委員長初め理事の先生方、諸先輩方の御配慮に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 また、森大臣初め副大臣、政務官の皆さん方におかれましても、日々の衆参での議論等、公務、大変御苦労さまでございます。大臣におかれましては、少子化担当大臣として、また、男女共同参画担当大臣も兼務をなさって、日々、日本のため、また、御地元福島のために、福島の復興と子供たちのためという信念のもとに御活動なさっていることに心から敬意と尊敬の念を申し上げる次第でございます。先週末も、佐賀県や福岡県の方にも御視察にお出かけに行っていらっしゃったということでございます。本当に精力的で、御苦労さまでございます。

 私は地元が富山市でありますが、大臣は、富山市の市長さんと名前が一文字違いでありまして、森雅志。森大臣の御講演にも一度いらっしゃる予定だったんですけれども、航空機のトラブルでいらっしゃらなかったことを懐かしく思い返しているわけでありますが、富山県は女性の共働き率も全国でもトップクラスの地域でございます。ぜひまた一度御縁をいただきまして、私の地元の富山の方にもお越しいただけたらと思う次第でございます。十分また心労等にはお気をつけいただきまして、御公務をお願いする次第であります。

 さて、本題に入らせていただきたいと思います。

 この法案の審議も四月に入りましてから精力的に行われており、いろいろ論点があぶり出され、積極的な、前向きな答弁もあったのかと認識をしているわけであります。

 そもそも、ホテルや百貨店、またレストランで表面化をした一連の食品表示等の不正事案、日本の食を、非常に信頼を失墜させた大変な問題であるわけであります。そのことに端を発して食品表示等適正化対策が取りまとめられ、それを受けて、事業者のコンプライアンスの確立であったり、景品表示等の周知徹底及び国、地方の消費者行政体制の強化を柱とするこの法律案が提示をされているんだと思っております。

 一方、高齢社会の進展に伴って、悪徳商法の手口が巧妙化をし、高齢者を中心に消費生活相談が年々増加もしているわけであります。ここはしっかり立法を、厳格に規定をして、その撲滅のために強化をしていかなければならないわけであります。

 そこで、まず一番最初に、現状認識といいますか、消費者庁におけますこれまでの景品表示に関する指導や監視体制の評価と課題についての御認識を大臣にお伺いをする次第であります。

森国務大臣 消費者庁では、景品表示法に対する指導監視体制でございますけれども、私は、決して十分ではなかったというふうに思っております。

 私が大臣に就任をした段階で、食品に関する偽装表示については過去十七件の行政処分が打たれておりましたけれども、大変遅い行政処分でございまして、今回、課徴金ということも課題に入れさせていただいておりますが、課徴金制度がございませんので、行政処分というのは業務改善命令という内容でございまして、業務停止もないわけでございます。改善してくださいという処分、それにすぎない。しかし、それさえも、長いもので一年十カ月もたってから打たれているというような状況でございました。

 それを迅速化させるために、どのようなプロセスで行政処分まで至っているのかということを見させていただきまして、私も金融庁で検査官をしていた経験等がございますので、短縮できるところは短縮をし、迅速に打つということが何より大事だということで取り組んでまいりました。

 平成二十五年度においては、四十五件の景品表示法に関する措置命令を行いました。また、都道府県との間でのネットワークを活用しまして、情報共有を密に行うことで、都道府県との連携を図ってきたわけでございます。こうした中、昨年秋に一連のメニュー・食品偽装表示問題が起こりまして、三件の措置命令を今までで一番早く、迅速に行ったということになります。

 そういった経緯を踏まえて、今般の景品表示法改正案では、都道府県の権限も強化をさせていただきたいと思いますし、消費者庁が中心となって法執行する体制の中で、今般のように、多数の事業者を対象として監視指導を適切に行っていくための執行体制の強化、それから、事業者によるコンプライアンス意識が鈍磨しているという現状に当たりまして、それもやはり、今までの行政処分が必ずしも十分でなかったということから、業者の方は表示違反があってもこの程度の行政処分で済むのだなという甘い認識に陥ってしまったということもあると思います。そこで、しっかりと監視指導体制を強化するとともに、事業者におけるコンプライアンス意識も高めていただくという意味で、事業者の中に責任者を置いていただく等の取り組みも行いました。

 また、今般、措置命令を打つに当たりまして、過去の処分例、これは今までもありましたけれども、さらにわかりやすくつくり直しまして、それを全ての事業者団体にお配りをし、それでさらに周知徹底をしていただくということをお願いするとともに、ガイドラインの方についても整備をさせていただいているということでございます。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 情報通信分野の進展に伴って、本当に、こういうような悪徳業者がのさばる社会がいつの間にか築かれてきたのではないかと思います。大臣の御答弁でも、十分でなかった、そこにはいろいろなあやがあろうかなと思うわけでありますが、やはり、何よりも、悪意を持ってそうした商取引をやろうとする業者をしっかり、厳格に取り締まっていただきたいなと思うわけであります。

 今回、都道府県に措置命令権限を付与するということ、より監視執行体制の強化を目指すということになろうかと思うわけでありますが、今ほどちょっと答弁にも触れられましたが、その中の効果であったり、これまでも国と地方、当然連携をしてやっていかなければいけない、やってきていたということに相なるわけでありますが、そこによって何がどう変わっていくのか、そのことについて参考人の方にお聞きさせていただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、御指摘のように、都道府県に措置命令権限を付与いたします。また、このほか、調査権限と合理的根拠提出要求権限についても付与することとしております。これによりまして、各地域での不当表示等に関しまして迅速かつ厳正に対処することができるようになりまして、行政効率が向上するという効果を期待しているところでございます。

 また、本法案では、国と都道府県等の密接な連携に関する規定、第十五条でございますが、これも設けておりまして、景品表示法につきまして、統一的な解釈が行われ、整合性のある運用がなされるよう、個別事案の事務処理手続を定めるなどしまして、情報共有を密に行うほか、研修会を実施いたしましたり、都道府県が事案の調査を進める際に、その都度相談に応じまして適切にアドバイスをしていく、そうした密接な連携を確保する、そうしたことによりまして、しっかりとこれからも対応していきたいというふうに考えております。

田畑(裕)委員 もちろん、とりわけ都道府県の方において、今御答弁もありましたが、事業者に対する調査権限等、このことについて、いろいろ現場の市町村や都道府県の方々にお聞きするにつけ、やはりしっかりとした情報伝達といいますか、例えば調査権限の範囲であったりとか、そもそも、法解釈や運用基準についての国の方からのしっかりとした通知、伝達を求める声がありますので、密接な連携を求めるものでございます。

 また、先ほどから御答弁にも出ておりますが、事業者のコンプライアンス意識を改革し、また体制の確立をしっかり行うこと、必要な指針、ガイドラインを定めることということでありますが、このガイドライン、これもやはり現場とすれば早く知りたい、そしてまた、どのような形で連携をしていくのかという中身についてのお問い合わせもよく聞くわけであります。

 具体的な内容ですとか今後のスケジュール、また、まさにこの自主的な取り組みを促すための方策について、国として、政府として考えていることについて参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この指針の具体的な内容ということにつきましては、例えば、表示を管理するための担当者をあらかじめ定めておくということ、また、表示の根拠となる情報を確認する、さらに、必要な情報の伝達を確実に行う、そうしたことが考えられるところでございます。

 スケジュールにつきましては、法案成立後、事業者また事業者団体等の意見を聞きながら、できるだけ早い時期に指針の原案を作成いたしまして、事業所管省庁と協議をするとともに、消費者委員会の意見も聞きまして、さらにパブリックコメント手続を経た上で成案を得ていきたいというふうに考えております。

 また、事業者また事業者団体から意見聴取をする中で、他の事業者にも参考となる具体的な事例、こうしたものを収集いたしまして、これらも指針の中で示すことによりまして、事業者の自主的な取り組みを促していきたいと考えております。

 また、指針作成後におきましては、事業者また事業者団体に対する説明会、こうしたことがあると思います。こうした機会を利用いたしまして、また、公正取引協議会といったところも利用いたしまして、積極的にこちらから説明をいたしまして、さらに事業者の自主的な取り組みを促していきたいというふうに考えております。

田畑(裕)委員 事業者全体がやはり社会的な規範意識をしっかり持ち合わせて、当然事業展開を行っていかなければいけないわけであります。

 消費者庁と向き合っている事業者であったりですとか事業者団体、そういう方々は、当然ルールを守って事業展開をなさっているだろうと思うわけですね。その中でも、悪意を持っている悪徳業者と言われる方々は、恐らくそうした業界全体には主に出入りはしていないのではないかと思うわけでありますから、いろいろな連携といいますか情報収集の中で、犯罪につながるような芽をしっかり監視できるようなこと、その視点も忘れずにとり行っていただきたいと思います。

 もちろん、業界団体や事業者の方々に、今言われました指針の明確な啓蒙啓発活動、このことを丁寧に行っていくことを要望いたしたいと思います。

 それでは、続いて、大臣に、課徴金について、改めて確認を込めてお聞きをさせていただきたいと思います。

 これまでの御答弁にもありますとおり、現在は、消費者委員会の中で専門調査会が設置をされ、検討がなされているわけであります。当然、法施行以降、速やかにそのことについて実施できるようにという御答弁もあったわけでありますし、現在、海外での事例についても庁内でいろいろお調べをして、中身を精査しているということでもあろうかと思います。

 また、これまでの御答弁でも、どうして課徴金を課すかというと、偽装表示を抑止するという抑止効果が主たる目的であるということで御答弁をされているわけであります。

 故意や重過失といった主観的な要件は必要であろうかとも考えるわけでありますし、また、何よりも、消費者の被害の回復といったような要素も私は非常に大事でなかろうかと思うわけであります。

 当然、導入に向けまして前向きに進めていくべきだと考えるわけでありますが、これまでのこの委員会での答弁も含めて、審議も含めて、大臣の決意を改めてお聞かせをいただきたいと思います。

森国務大臣 課徴金制度については、導入したいというふうに思いまして、法案の中にも書き込ませていただきました。

 不当な収益を剥奪して不当表示への抑止力を高める、こういう趣旨の課徴金制度でございますが、違法収益の剥奪をする方策について、今まで消費者庁では長年検討会という場で議論をされてきておりますけれども、はっきりした結論が出ないまま今に至ったわけでございます。

 私としては、しっかりと違法収益を剥奪して、先ほどから議論になっているような事業者のコンプライアンスが鈍磨をしたという現状の中において、しっかりと抑止効果を出していくということが重要であるというふうに考えまして、消費者委員会の方に諮問をいたしました。現在、消費者委員会の方で課徴金制度専門調査会を設けて、論点を一つ一つ検討していただいているところでございます。

 さらに、その結論が出てからということでは遅くなってしまいますので、大臣室直轄で課徴金制度検討室を置きまして、同時に課徴金の制度設計を進めさせていただいているところでございます。

 六月にも予定されております消費者委員会からの答申を踏まえまして、改正法施行後一年以内のできる限り早い時期に、課徴金制度導入に係る法案を提出することとしたいと思います。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 続きまして、消費者安全法改正について議論をさせていただきたいと思います。

 先般の十七日の当委員会におきましては、新宿区の中山区長さん、弁護士の池本先生、またNPO法人高齢社会をよくする女性の会の樋口理事長さんのお三方の参考人にお越しをいただき、御意見も賜ったところでございます。

 私自身も、地方政治に長年携わってまいりまして、地方の消費相談の現場、現状については把握をしてきたつもりでもございます。もちろん、消費者庁の御指示といいますか御指導のもとにそれぞれの地方において現場で頑張っている多くの方の御意見も賜ってきたところでございます。それぞれやはり、地域によっても、当然、相談の傾向であったり、また、各地方自治体における体制整備の状況もいろいろな差異があるのではないかなとも感じているわけであります。

 ちなみに、私の富山県でありますが、地域における相談実態も、富山は、県行政、県の消費生活センターへの相談件数というのが市町村を上回る形になっているわけであります。全国平均でいいますと、二十四年度におきます統計でありますと、県行政に対しては三二%、市町村の消費センターであったり窓口への相談というのが六八%という統計が出ているようでありますが、私の地元では、県の消費生活センターへの御相談は六四%、市町村の窓口やセンターには三六%という現状の数字も聞いているわけであります。

 実態を含めて、全般的なお話になりますが、地方消費者行政の現状についてどのような御認識なのかを参考人の方にお聞きをしたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の安全、安心を確保するためには、地方消費者行政の充実強化を図ることが重要でございまして、これまで、地方消費者行政活性化基金を通じまして、その充実強化に向けた地方公共団体の取り組みを支援してきたところでございます。この結果、消費生活センター数の増加など、どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくりに向けて着実な成果を上げていると認識しております。

 しかし、小規模な地方公共団体を中心に、例えば、消費生活センターが十分設置されていない、相談員が配置されていない、あるいは市町村によっては相談窓口すらないというところもあるなど、相談体制の実質的な強化には課題が残っておるところでございます。また、基金への依存度も高いなど、地方消費者行政の充実強化はいまだ道半ばの状況と認識しております。

 そうした中で、高齢者の相談の増加、深刻化などの問題が生じているという認識をしているところでございます。

 以上でございます。

田畑(裕)委員 道半ばということでありまして、誰もがこう感じていらっしゃるのではなかろうかなとも思うわけであります。

 そのことも踏まえて、地方の強化をしっかりするということが盛り込まれているわけであります。

 私の地元の富山市は、中核市でもありますので、その分人的な余裕もあったということもあろうかと思いますが、相談支援体制は非常に分厚い形にもなっているのではないかなとも一方感じているわけであります。

 ちょっと御紹介をしたいと思います。

 富山市の消費生活センター、所長が一名、職員が四名、消費生活専門相談員、嘱託の職員になりますが、六名という体制でありまして、これは基金もしっかり活用させていただき、平成二十二年度から相談員が六名体制ということであります。全員、消費生活専門相談員の有資格者ということでもあります。四十二市の中核市の平均の相談員数というのは五・六人ということでありますから、平均以上ということであります。

 ただ、相談件数は地方都市の中でも結構少ない方でありまして、大体年間二千件弱ぐらいの推移ということであります。二十四年度は千七百三十七件、中核市平均では二千五百三十四件ということでありますから、少し少ない。これは、実際にそこにまで足を運んだりですとか電話相談をしない数というのも、氷山の一角としてわからない部分もあるのではないかなと思っております。

 特色として御紹介をしたいのは、相談員みずからが公民館等で開催される出前講座で講師を務めて、足を運んでいるということが言えるわけであります。日ごろ消費生活相談を受けている相談員みずから、相談の中で発生しているさまざまな状況をそうした出前講座で直接市民の皆さんに伝えるといったこと、啓発活動、啓蒙活動の効果は非常に高まっているのではないかなと思います。

 直近のデータでは、年間百二十七件の出張講座への参加があったということであります。これは、中核市平均は二十七件余りということでありますから、全国的にも特出して大きいのではないかなと思っています。

 いろいろ相関関係はわかりにくいわけでありますが、そうしたことを踏まえた中で、相談件数というのも全国平均から少なく抑えられているということも言えるのではないかなと感じるわけであります。

 そうは申せ、高齢者被害も当然年々増加をしているわけでありますので、今回、法改正によりまして、より、消費生活相談の体制であったりですとか、高齢者の被害の防止、このことについて、改めて大臣の決意もお聞きをさせていただきたいと思います。

森国務大臣 消費者安全法の改正は、高齢者等の消費者被害の深刻化など消費者問題の実情を踏まえ、地方消費者行政を初め、地域体制の強化を図る必要があることを踏まえて提出をさせていただいたものでございます。

 具体的には、地方公共団体等が見守り等の活動を行う消費者安全確保地域協議会を組織できるようにすること、消費生活相談等の事務について、都道府県が市町村に対して助言及び協力するほか、事務の共同処理等に関する必要な調整等を行うこととすること、都道府県が市町村の消費生活相談の事務の実施に関し、実践的な援助を行うため、都道府県の消費生活相談員の中から一定の実務経験等を有する相談員を指定するよう努めること等を盛り込んでおります。

 これらの措置を講ずることにより、消費者がどこに住んでいても、質の高い消費生活相談が受けられる体制を構築することとしてまいりたいと思います。

田畑(裕)委員 もちろん、地方、各自治体は、都道府県行政であったりですとか、市、先ほど御紹介しました中核市のほかにも当然小規模な自治体もあるわけでありますので、これまでも、県行政は、例えば専門的な弁護士や司法書士などの苦情処理の専門員を配置したり、小規模な自治体のサポートにも当然回っていらっしゃるのではないかなと思います。このことを、やはり有機的に、また補完的に体制をしっかりとり行っていただきたいとも感じるわけであります。

 今回、消費生活相談員、この職と資格を法的にしっかり位置づけるということ、当然それは相談員の質の向上にもつながっていくのではなかろうかと思うわけでありますが、実態といえば、そうした相談員、非常勤の職員が約七五%を占めているというデータも拝見をしているわけであります。

 そうした現状であったりですとか、こうした法的に相談員を位置づけること、このことによって、さらには処遇の改善であったりですとか体制強化をどのようにつなげていくのか。これは、通告ではちょっと二つに分けていたわけでありますが、あわせて参考人の方に御答弁をお願いする次第であります。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、消費生活相談員は、法律上職として明確に位置づけられていないということでございまして、消費生活相談員資格についても、内閣府令で三つの資格と付与団体が限定列挙されているのみでございます。このため、相談員の職や資格の法律上の位置づけが不明確であるという問題がございまして、問題といたしまして、まず事業者との関係でございます。

 消費生活相談員があっせん等に当たりまして、事業者等からどのような資格を有しているか問われても納得を得られず、十分なあっせん等を行えないという問題、あるいは地方公共団体で、御質問にありました、職務にふさわしい処遇が得られない、あるいは研修機会が十分確保されないなどの問題の原因の一つにもなっていると理解しております。

 このため、消費生活相談員を職として法律に位置づけるとともに、消費生活相談員に必要な知識、技術等を十分に担保する新たな資格試験制度を法律で整備いたしまして、資格付与団体に対する国の関与の仕組みを規定することによりまして、消費生活相談員の職務や能力についての、消費者、事業者、さらには行政、地方公共団体の中での理解を高める。これとともに、消費生活相談員の質の向上、人材の確保を図りまして、もって、大臣から御答弁申し上げました、どこに住んでいても質の高い相談を受けられる体制を確保するということにしたものでございます。

 また、御質問のありました、相談員の処遇、地位でございます。

 御指摘のように、非常勤職員の占める割合は七五%ということでございます。地方公共団体におきまして消費生活相談員をいかなる採用形態とするかについては、地方自治体の首長の御判断のもとに行われているものでございますけれども、財政的な支援として、消費生活相談員の処遇改善のための費用を、地方消費者行政活性化基金、この対象としているところでございます。

 また、この法案によりまして、先ほど申し上げましたように、職及び任用要件が定められることによりまして、消費生活相談員が地方公共団体の中でその職務と能力にふさわしい専門職としての適切な評価を得られ、消費生活相談員の処遇改善にも資すると考えております。

 改正内容の周知を図りながら、相談員の専門性、その果たしている重要な役割に見合う処遇を受けられるよう、都道府県知事あるいは市町村長への消費者庁からの直接の働きかけを含め、地方公共団体への働きかけを行っていくなど、あらゆる手段を通じて御支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 今、御答弁の中でも、特にやはり相談員の皆さん方が、各地方公共団体の中での立場というか、そこについてもこれまで少しおろそかな面があったのではないかと思います。行政職員の消費者問題に対する意識も高めていかなければいけませんし、専門職の相談員、やはりこれとの立場というか、それを超えて有機的にしっかり連携をして、それぞれの現場の消費者相談にしっかり対応していく体制、これを構築していただきたいと思います。

 今回、その中でも特に地域の協議会をしっかりつくっていく、これも法的に位置づけて行っていくということであります。

 地方公共団体はもちろんのこと、さまざまなセクターの方々、民間の方を問わず団体や個人の皆さん、そうした方を巻き込んで協議会をつくっていこうということ、これは当然賛同するわけでありますが、改めて大臣から、これはいろいろ、警察行政であったりですとかさまざまな、消費者庁だけでは対応できない、そうした各省もまたがっての対応になろうかと思いますが、その狙い等についてお聞かせをさせていただきたいと思います。

森国務大臣 深刻化する高齢者等の消費者被害に対応するためには、地域の関係機関等が連携して、地域の実情に合わせて、消費者被害に遭いやすい特性を有する方に見守り等を実施し、消費者被害を防止することが有効です。

 このため、本法案では、国及び地方公共団体の機関が、病院、教育機関、地方公共団体の長が委嘱する消費生活協力団体または消費生活協力員を構成員とする消費者安全確保地域協議会を組織することができることといたしました。

 また、今般の改正では、個人情報保護法制において第三者への提供制限についての特例が認められる法令に基づく場合となるよう、構成員に守秘義務を課すとともに、協議会の構成員から他の構成員に対して必要な情報を提供できること等を規定しています。

 これらの規定により、見守り等の活動に当たっては、関係機関等がそれぞれに有する個人情報等の情報を必要に応じて必要な方が共有することが可能になり、より強力な見守り効果が発揮できるものと考えます。

 私、おととい、佐賀県に視察に行ってまいりまして、消費者被害を防止する活動をしているさまざまな立場の方と車座でお話をさせていただきましたけれども、それぞれの方がしっかりと情報を持って活動しているんですけれども、横の共有がほとんどないんです。学校の先生とか民生委員の方、消費生活相談員の方、消費生活相談員を引退してNPOで活動している方、さまざま、自分の持っている情報だけを活用して、精いっぱいほとんどボランティアの形で活動してくださっているんですが、そういった情報を共有するということで、より効果的な見守りができるというふうに考えております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 先週の参考人の樋口先生のお話の中でも、やはり個人情報保護法の、法の理解であったりですとか、運用の見直しについても言及をされたわけでありますが、やはりいろいろな方々、有機的にどうつなげていくか、これまでも取り組んでいらっしゃったわけでありますが、特に警察行政とか、そのことについても、この協議会の設置を契機に、より効果を上げることを御期待させていただきたいと思います。

 やはり一人でも高齢者を含めた犯罪被害であったりだとか詐欺被害、消費者被害を根絶、撲滅をするために、私も微力ながら取り組んでいきたいと思いますが、消費者庁の森大臣初め皆様方の御奮闘も御期待を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 今回のこの不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する法律案は、かなり審議は進んできたと思いますけれども、きょう三十分時間をいただきました。まことにありがとうございます。

 まず、森大臣は、消費者庁の所管以外の、子育ての件であるとか、または十月の臨時国会の大変な法案もございましたけれども、私も一国会議員として拝見をしておりまして、本当にその御奮闘に心から敬意を表したいと思っております。

 余りそれを言うと怒られるんですけれども、そういう審議の場じゃないよというふうに言われるんでございますけれども、先ほども、佐賀まで消費者の被害の問題を見に行かれて、自分の目で現場を歩いて行われたところを今お聞きしまして、改めまして、この大臣であればしっかりと消費者行政、特にこの法案のいわゆる実務の部分も含めてやっていただけるんじゃないかなというふうに、私一個人としても今確信をさせていただいた次第でございます。

 まず初めに、課徴金制度について、少し深くお聞かせをいただきたいと思っています。

 正直申し上げまして、先ほどの委員からもお話ありましたとおり、課徴金制度については、これは附則じゃなくて本則に入っております。まさに一年後のこの施行を目指すということでございますけれども、これが附則でなくて本則に入っているところにまたこの本気度も見えるわけでございますけれども、御存じのとおり、この課徴金制度は、この景表法が公正取引委員会の所管にあったころから、これを取り入れてはどうかということでございました。

 しかし、消費者庁の所管に移って、その目的は、いわゆる公正取引委員会のときは、公正な競争の確保というものを目的として課徴金制度を導入してはどうかということで、売り上げの何%が課徴金に適切か云々という話があったわけでございます。

 しかし、消費者庁に所管が移りますと、この課徴金の趣旨は、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限、禁止するということで、当然ではございますが、より強く消費者保護に動いたわけでございますので、やはりその趣旨に沿って、消費者の被害回復というところにも重点を置いて議論すべきでありますし、現在、そう行われているというふうに、私も大臣の答弁を聞いていても感じる次第でございます。まさにやり得を逃さないために課徴金制度を導入し、かつ、やり得だけでなく、やはり消費者の被害につながるという点を導入することが、消費者庁に移された非常に大きな使命であろうと思っております。

 その意味で、今回は、私の個人的な意見も入っておりますが、もしこの課徴金制度に消費者被害の回復の部分が盛り込まれなかったとすると、では消費者はどういった手だてで被害回復をしていくのか、その方法はあるのかという点にまずスポットを当てて質問をしたいと思っております。

 例えば、ステーキと言っていて牛脂が混入されていたり、あとは、加工肉ですか、いわゆる合成肉だったと。私、実は、高校時代、寮におりまして、ステーキが出ると楽しみに食べておりましたが、食べようと思ってナイフを入れても違う方向に裂けておりました。多分、それは合成肉だったんじゃないかなと思って、寮費が安かったのでそれはそれで金額的には問題はないのでございますが、当時、高校生で、これがもし千円とか二千円で、楽しみにしているステーキが自分のナイフと違う方向に裂けたりすると、やはり非常にショックを受けるんじゃないかなと思っております。

 例えば牛脂が入っていたりまたは加工肉だったりする場合、これも一応、レストランで申し込みをしますと、メニューを見て自分がこれを欲しいといういわゆる契約、この商品の提供をしてほしい、そしてレストランの方として、わかりましたと言ってそれを出すわけでございますので、口頭による契約が成立しますので、私は、これは消費者契約法の対象になって、消費者契約法で、いわゆる、料金を返せと、被害の人が多ければそれをみんなで集団で裁判をして返せという方策があろうかと思うんですが、これは、今のケースで消費者契約法の対象になりますでしょうか。その点についてお願いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の消費者契約法でございますが、この四条一項一号というところで、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げること、このことによりまして、消費者が、告げられた内容が真実であると誤認し、それによって契約を締結する意思表示をした場合、消費者は、その意思表示を取り消すことができるということを定めております。この点、今御指摘ありましたメニューの偽装表示の事案につきましても、この消費者契約法の適用対象となり得るというふうに考えられます。

 また、意思表示を取り消すことができた場合、この場合には、支払った対価と本来の価格の差額相当額を請求することができるというふうに考えられます。

 ただ、この請求を実現するためには、民事の手続ということになるわけでございますが、差額が一般的には少額であることが多いと思われますけれども、一方、返還請求を行うためにはさまざまなコストがかかるという点がございます。また、実際に消費者が飲食をして代金を支払ったことの立証ができるかというと、なかなか容易でない場合もございますので、事業者の方が任意に返してくれるということであればいいんですけれども、そうではなく、個々の消費者が消費者契約法によります意思表示の取り消しに基づいて返還を受けるというのは、必ずしも容易ではないというふうに考えられます。

浜地委員 今、一応適用はあるというふうにお答えいただきましたが、実は私もわかっていて質問しているんですけれども、これはいわゆる勧誘行為が必要でございます。そうなると、ただ単に、もしそこに偽装のメニューがあったとして、それをメニューに出しました、消費者は、本当のステーキといいますか、生肉だと思ったら、実は加工肉だったということで、注文をして、本当はすごく安いんですけれども四千円、五千円とられたとしても、いわゆる勧誘行為がないというところが問題じゃないかなと思っております。

 積極的に、このメニューがいいですよ、これはすごく安くて、本当の意味で生肉を使っていて非常にお得ですよというふうな、恐らくこれは、そのときのホテルの方だったりレストランの方がそういった強い行為をしないと、消費者契約法の要件には当てはまらないんじゃないかと思いますが、その点については、もう一度お答えいただけますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この場合ですと、レストランの方から、ある意味でメニューを積極的にお客様に示しております。つまり、自分の料理を食べてほしいということで積極的に示しておりますので、基本的にはこれは勧誘、この場合の勧誘ということに、それ自体で当たるというふうに考えられると思っております。

浜地委員 ありがとうございます。

 勧誘に当たる場合には消費者契約法が適用されるということでございますが、先ほど御答弁のあったとおり、一人でやるには非常にコストもかかるし、実際の損害の金額という算定も難しいと思っております。

 この消費者契約法は本当によくできた法律だなと思っておりまして、もしこの消費者契約法がなければ、いわゆる一般法であります民法の詐欺や錯誤といった非常に立証の難しい根拠をもって取り戻しをしなければならなくなりますので、そういった部分では、私の問題意識としては、この消費者契約法というのは、やはりしっかりとした、運用といったら裁判所の判断でございますけれども、また今後、要件も含めてしっかりとこの問題、これがしっかりと現場に即した法律かどうかという部分も含めて注目をしていきたい、そのように思っております。

 そうなりますと、もう一点は、先ほど金額が非常に安いしという話もしましたけれども、昨年の秋にこの消費者特別委員会で審議をしました、被害回復のための集団的訴訟というものもやはり一つの手ではあろうかと思いますが、どうしてもあと三年、準備期間にかかってしまうということもございます。ですので、やはり今現在で起きますと、やはり一人一人の個人がこういった被害に遭ったときに、自分で被害回復をできるのは消費者契約法の要件に当てはまりますが、やはり費用の面その他また立証の面で困難であろうというふうに私自身も感じております。

 そうなりますと、昨年のメニューの表示の偽装について、実際にはどんな行政処分、先ほどは民法の話でございましたけれども、行政としての処分をされたのか。私が聞いた限りでは、たくさん偽装表示があったわけでございますが、指摘されたのは三件というふうに聞いております。その三件がどういった事例だったのかを、改めて、事例とその処分の内容についてお聞かせいただきたいと思っています。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月十九日に景品表示法に基づきます措置命令を行ったわけでございますが、正確には、三件といいますか、事業者三社に対しまして措置を命じております。

 三社の、それぞれの問題にした表示というのは、さまざまございまして、例えば、メニューにクルマエビのチリソース煮と、クルマエビを使っているかのような表示をしていたけれども、実際にはブラックタイガーだったとか、先ほど議員からもございました、肉の関係の表示とか、さまざまなものがございました。

 それらに対しまして、この三社に対して命じたことでございますが、不当な表示によります顧客の誘引を防止するためということで、一つとしては、行っていた表示が景品表示法に違反するものである旨を一般消費者へ周知徹底するということ、それから、再発防止策を講じて、それを役員と従業員などに周知徹底すること、それから、今後、同様の表示を行わないことという命令をしたものでございます。

浜地委員 今、簡単な事例と、あとは処分の具体的内容を改めてお聞きしましたけれども、周知徹底と防止策の徹底というのが、二つですので、非常にやはり弱いというのを、ぱっと聞いても印象を受けます。

 それで、課徴金制度については、被害回復の分を盛り込むかどうかでさまざま今議論がされているのは承知をしておりますけれども、海外の事例で、先ほどの委員からも御質問ありましたけれども、研究が進んでいるというふうに言われました。私が知る限りでは、アメリカで、被害回復に充てるための課徴金制度のようなものがあるというふうに聞いておりますけれども、そのアメリカでの事例について、もう少し詳しく説明をしていただけますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の被害回復を図る制度といたしましては、今御指摘のアメリカにおきましてディスゴージメントという制度がございます。これは、行政機関、連邦取引委員会でございますけれども、この行政機関が裁判所に対しまして違反者の不当な利得の剥奪を命ずるよう申し立てるということでございます。そして、裁判所を通じて得られました金銭、これによって形成されました被害回復基金から被害者への分配などをするというものでございます。

 なお、消費者庁で調べた限りでございますが、徴収した課徴金を、今のように裁判所を通じてということではなく、行政機関が直接被害者に配分する制度などのように、行政機関のみの判断によって不当表示による被害の回復を行う制度というのは主要国では見当たっていないというところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 アメリカのディスゴージメントという制度を説明いただきました。

 アメリカの連邦取引委員会が申し立てをするわけでございますけれども、私の調べたところによると、これは、だから、行政処分に対して裁判所が分配の金額について決めていくという制度のようなんですね。そうなりますと、行政処分という処分のところなのに最後は被害者に分配をするという、少し民事的な部分が入ってくる制度でございまして、非常に珍しいなと思っています。

 日本の今の司法制度ではこういった制度ができるのかなと。日本は、行政処分は行政訴訟、民事訴訟は民事訴訟ということで分けられてやっておりますので、行政処分に対して分配だけを裁判所が決定していくというのは、なかなかこれは珍しい制度でありまして、今の日本の司法制度の中では導入するのは少し難しいのかなと。

 そうなりますと、今、消費者庁が審議をされております、実際に行政の方が、行政処分の中でお金を、被害回復分を受領して、それを仮に分配するという制度になると、これは世界にまれに見る制度になろうかと思っております。ですので、さまざま制度上の問題等がありますし、また乗り越えるべきところは多いと思います。ですから、これは減額の制度、行政処分をしたときに被害回復を自主的にしたものに対しては課徴金を減額するという方法でどうかといった議論もされているというふうに承知をしております。

 ですので、趣旨としては、被害を最終的には回復するために何とか分配までできないかという気持ちは私にもあるんですけれども、いろいろな制度上の問題もあろうかと思っておりますが、そこをしっかりとまた審議していただきながら、よりよいものにつくり上げていただきたいなと思っております。

 今の話を踏まえまして、先ほどの私の前の委員も課徴金の制度の話をされましたので、改めまして、ぜひ大臣には、何となくこれは審議会で今検討中でございますというところも承知をしておりますが、個人的な思いもお話しできる範囲で少し、この課徴金制度についての思いを大臣に語っていただければと思っております。

森国務大臣 違法収益の剥奪というのは私、弁護士時代からのライフワークでございまして、ニューヨークに留学をして、その制度を研究しました。金融庁にいるときも、これはアメリカ、イギリスと調査に行きました。

 御指摘のディスゴージメント、それから、そのほかにもリスティテューションという制度があるんですけれども、FTCが行っているディスゴージメントは、FTC自体が原告になって裁判所に訴訟を申し立てる、違法収益の剥奪をするための凍結を申し立てるというような制度であって、行政機関たるFTCの中に弁護士の職員が多数おりまして、実際上、その弁護士が原告代理人弁護士のような形で裁判をして、そして取り上げたものを分配するというような仕組みになっております。

 その制度は本当に特異な制度でございますので、我が国にすぐ導入できるかというと難しいかと思います。

 そこで、私は、やはり今回の場合のような消費者被害については、現在、我が国にもうある制度として、金融庁それから公正取引委員会の方で運用されている課徴金制度、これを採用することによってやり得を剥奪する、そのことによって違法行為を抑止するということを主な目的に置いております。

 ですので、その中で被害回復ができればそれは望ましいというふうに思っておりますが、あくまでも主目的は、このような偽装表示が行われないような抑止効果を狙うという行政処分、行政行為としての目的、これが主目的でございます。

 被害回復については、その制度の中に組み込む形で、今委員御指摘の、例えば、任意に返金した場合には課徴金を減額する、または、任意に自社内で調査をして、自分から申し出て偽装表示が発覚した場合等も減額をするというような制度を組み込んでいくということも論点になろうかというふうに思います。

 しかし、それを導入したときに、かえって行政処分の執行の速度がおくれるということがないようにしなければいけないというふうに思っております。

浜地委員 本当に海外の事例にも精通されている森大臣でございました。非常に説得力のあるお話を今聞きまして、やはりこの制度は、導入しようといってからかなり時間がたって、なかなか導入ができなかったわけでございますが、まさにそこもしっかりと理論を持たれて、かつ、自分の信念を持たれている森大臣であれば、これはもう必ず導入できるなというふうに確信をいたしましたので、先ほどの趣旨も踏まえながら、よりよい制度につくり上げていただきたいなと思っております。ありがとうございます。

 次に、ちょっと時間が余りましたので、個人情報保護法についてお話をしたいと思っています。

 個人情報保護法というのは、漠然とした、何か情報を出してはいけないんじゃないかなということで、非常に過剰反応があることが前回の参考人質疑、樋口恵子先生の発言でもございました。

 実際に私の地元でも、例えば、中学生あたりが同窓会名簿をつくるのに、個人情報保護法があるから名簿はつくれませんといって、同窓会が開けないんだとかいう相談もあったり、やはり地域の中で、本来の趣旨から若干外れて運用がなされているような面もあろうかと思っております。

 そこで、まず、整理としてきょうは資料をお配りさせていただいておりますが、この個人情報保護法制が全体としてどうなっているのかを改めてこの委員会の場で整理をする意味でお聞きしたいと思っています。個人情報保護制度というのはどんなたてつけになっているのかをお聞かせください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の個人情報保護法制でございますが、まず、個人情報保護法、これが全体をカバーしてございまして、ここにおきまして、基本理念さらには基本方針の策定等が定まってございます。

 その上で、個々の個人情報を取り扱う主体に関しましては、その主体によって法令が異なってございまして、個人情報保護法の対象になりますのは民間部門でございます。これに対しまして、国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体等につきましては、それぞれの法律や条例で規定されているところでございます。

 このうち、個人情報保護法上の対象になります民間事業者は、五千人分を超える個人情報を事業活動に利用する個人情報取扱事業者となってございまして、それぞれの事業分野ごとにこれは主務官庁がガイドラインを定めている、こういうものでございます。

浜地委員 そうですね。まず、個人情報保護法という基本法があって、その下に、事業分野ごとに二十七分野四十のガイドラインがありまして、運用しているわけでございます。その中に、個人情報取扱事業者、いわゆる民間業者のところが規制をされる。その他、国の機関はまた別で、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というものがあって、独立行政法人、今回の国民生活センターもそれに入るんですが、独立行政法人を縛る個人情報の取り扱いの法律がある。各地方自治体には、地方自治体が条例で定めた個人情報のものがあるということで、さまざまメニューは分かれているわけでございます。

 今御指摘ありました民間事業者のいわゆる個人情報の取扱事業者、これは民間じゃなくても、公的な部分も含めるんですけれども、これは五千名を超える顧客や情報がある場合ということでございますので、やはり、ここのアナウンスが少なくて、さっきの同窓会になると、もしクラスの単位でやると、多分三十人、四十人規模だと思うんですね。これが卒業生も全部合わせたものとなると、五千人を超えるということで取り扱いをしなければいけないんですけれども、非常に過度に、同窓会の名簿、また連絡網までつくれないというような事態が起きていますので、そのあたりの周知徹底というのは、逆に改めて必要であろう、そのように思っております。

 今回のこの消費者安全法に目を移しますと、協議会のところで、実際こういったものが機能するかどうか、または個人情報保護法が足かせになるんじゃないかということも、前回の参考人からの質問がございました。

 樋口参考人からは、例えば、ホームヘルパーさんが病院に一緒に行っても、何も教えてくれずに、二時間そのまま隣に、いわゆる待機だけしておいてくださいと、介護はしてほしいんですけれども、内容は教えてくれないといったものがあったり、そのヘルパーさんは、その御老人が倒れたときに、これを家族に知らせられるのか、病院はそういうことをやっているのかなというふうに心配になったという声もありました。

 実際、この個人情報保護法の中では、これは厚生労働省の所管になると思うんですけれども、病院で倒れた場合に、その家族にいろいろな病状を知らせたり、または、そこで個人情報を開示するというのは大丈夫なんでしょうか。ガイドラインの中で例外規定としてなっているんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 病院でございますが、民間部門の医療機関に関しましては、厚生労働省でガイドラインが定まってございまして、このガイドラインの中では、「患者への医療の提供に必要であり、かつ、個人情報の利用目的として院内掲示等により明示されている場合は、原則として黙示による同意が得られている」、そういうふうに考えているところでございまして、家族等に個人情報を提供することを認めてございます。

 また、個人情報保護法自体におきましても、生命、身体を保護するために必要があり、本人の同意を得ることが困難な場合は、本人の同意を得ずに個人情報を第三者に提供することができる、このように定まっているところでございます。

浜地委員 そうですね。個人情報を外に出していい場合は、まず本人の同意があることと、それと、これは条文には書いてあるんですが、同意がなかったとしても、根拠法令、この場合は例外として出してもいいと。当然、本人の利益になる場合が限定列挙されているわけでございます。

 ですので、先ほど私も聞きましたが、院内掲示、もしあなたが病院に担ぎ込まれたときには、あなたの情報を必要な人に出しますよということで、黙示の同意があったとみなしますし、もしそれがなかったとしても、これは緊急事態でございますので、個人情報が出せるということなんですが、これは恐らく、消費者庁の方は、もう当然のことというふうに思われていると思うんですが、世間一般がそうは思っていないというのが問題で、なかなか、個人情報に対する過剰反応というのは、理解を説くのには、少し踏み込んで努力が必要ではないかというふうに思っております。

 今回つくられます消費者安全法の中の協議会の中では、しっかりと例外規定として、この個人情報、さまざまな、例えばこの前、中山新宿区長が言われていましたが、主に介護事業者の人が今活躍をされています、介護事業者の方が、やはりこれは高齢者の保護のために必要だ、また、消費者被害を防止するために必要だと思ったときに、いろいろな情報を見たときに、それを実際、協議会の場に出すことができますか、それをきちっと法令上明確に書いてあるかどうかをお聞かせください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者安全確保地域協議会の構成員につきましては、改正後の消費者安全法の規定に基づきまして、必要に応じて、他の構成員に対して個人情報を含む情報を提供することが可能であるというふうに規定をしております。

 可能である趣旨で規定をしておりまして、これは、各種個人情報保護法制におきまして、法令に基づく場合が例外というふうになるわけでございますが、本法で規定いたしますと、法令に基づく例外と扱われるということでございます。

浜地委員 そうですね。きちっと例外規定を設けて、これは、協議会の場に個人情報は出せる、そこでいろいろな情報共有ができるという、まさに根拠条文、例外規定が列挙されているわけでございます。

 しかし、支えられる側、今度はこの情報を、いわゆる協議会としては、これは高齢者にとって必要だと思っていろいろな場に、協議会の場に出されるわけでございますが、ただ、出された方は、確かに自分のために使ってはくれているんだろうけれども、やはり自分の情報が外に出てしまうのは怖いというのは当然の感覚だと思います。

 そこで、実際には、ホームヘルパーさんあたりが持ってきた情報を協議会の場で共有して、いろいろな協議会の団体の方に、この人は今こういう病状にあったりとか、または、少しこういった財産の被害に遭ったねとかいうことがあって、やはりどうしても個人情報というのは少しずつ漏れていくわけでございますね。

 そうなると、では、例えば、この高齢者の担当をしてみよう、この人を注視してしっかりと保護していこうという、今度は、その任せられた協議会のメンバーの一人が行ったときに、その人が漏らさないのか。要は、いろいろな情報を有効にとってきたけれども、では、担当になった協議会のメンバーの方が個人的に漏らすんじゃないかという心配が例えば高齢者の方にあった場合、ここの担保はどのように考えられていますか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者安全確保地域協議会の中での共有については先ほど御答弁したとおりでございますが、この構成員が協議会の外に秘密を漏らすということにつきましては、この地域協議会の構成員には秘密保持義務を課しておりまして、この規定に違反して秘密を漏らした者には罰則が科されるというふうにしております。一年以下の懲役または五十万円以下の罰金ということでございます。

 また、「協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。」というふうに十一条の六で規定しておりますので、協議会において個人情報を含む情報が適切に利用されるよう、協議会における具体的な運用ルールを定め、それを各構成員が正しく認識し、活動することが求められるというふうにしておりまして、その運用ルールの参考となるよう、消費者庁において、運用指針等を策定し、考え方あるいは参考事例を示していくこととしたいと考えております。

浜地委員 そうですね。いわゆる協議会のメンバーに守秘義務が課されるのは情報が出なくてよくないんじゃないかという議論がありましたけれども、そうじゃなくて、個人情報の例外として、協議会全体には情報が入って情報共有できる、しかし、それを個人的に漏らした場合には、その場合で守秘義務がきいてくるということでございますので、この守秘義務というのは私は個人的に必要であろうと思っております。

 では、最後に、済みません、時間がもうなくなりましたけれども、大臣に、個人情報保護法に対する世の中の過剰反応、これに対して最後一言、どのように取り組んでいかれるか、大臣の所見をお聞きして、私の質問を終わります。

森国務大臣 個人情報保護法へのいわゆる過剰反応と言われる状況が見られることを認識しております。

 これについては、消費者庁が積極的に改善に取り組むべきものと思っておりまして、現在、パンフレット、リーフレット、ウエブページでの動画の配信など、個人情報保護法の趣旨及び内容を国民の皆様にしっかりお伝えするという周知徹底に努めてきておりますので、なお今後もしっかりとこの説明の徹底を行ってまいりたいと思います。

浜地委員 済みません、ちょっとオーバーしました。申しわけございません。

 終わります。ありがとうございます。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日は、この法案についての審議をさせていただきたいと思います。

 まず、国民生活センターの相談業務についてということであります。

 いろいろとこの数年間の消費者行政の充実で、いわゆる相談体制が整備をされてきた。それで、各地方においても、土日祝日の相談も含めて、徐々にふえてはいるという状況であると思いますけれども、しかし、まだまだこの消費者ホットラインの認知が進んでいないということも含めて、まだ途上にあるというふうに思っております。

 そういう中で、国民生活センターの土日祝日の電話相談については、聞くところによりますと、電話相談の回線数が減る傾向にあるというふうに伺っております。平成十三年度が十六回線、そして、ことし六月には十二回線に削減をされるというふうに伺っておりますけれども、この削減の理由をお聞かせください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターの土日祝日消費生活相談業務でございますが、土日祝日に相談窓口を開設している消費生活センター等が限られているということから、全国共通の消費者ホットラインに寄せられた相談のうち、土日祝日に開所されている消費生活センターの地域以外に住んでいる消費者からの相談を広く受け付けているものでございます。

 回線数については、前年度の実績等を踏まえまして、今申し上げました土日祝日消費生活相談業務の趣旨に沿いまして、国民生活センターの責任において決定しているものというふうに承知しております。

 今御指摘がございましたが、本年度の回線数でございますけれども、昨年度、二十四年度から二十五年度にかけまして相談件数が一七%程度減少しているということを踏まえ、総合的に考えながら、本年度、回線数を削減する方向というふうに聞いております。

泉委員 これは国民生活センターの方で柔軟に、そこは、毎年の利用状況を見た上で回線数は動かしていいということになっているという理解でよろしいですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁が独立行政法人国民生活センターに指示をしている中期目標、これが消費者庁が国民生活センターについて関与している形でございますが、ここでは、土日祝日相談等を実施し、あっせん等を積極的に行う、そういう抽象的な形でいわば指示をしているわけでございます。

 国民生活センターは、みずからの責任の中で経費を総合的に効率的に使用するということで、理事長の責任のもとで、回線数については柔軟に決定できるという形になっております。

泉委員 一方で、地方の消費生活相談センター、地方のセンターですね、あるいは国民生活センターということでそれぞれ電話相談をやっているわけですけれども、いただいた資料ですと、例えば土日祝日相談業務の実績ということでいうと、平成二十五年度で七千六百三十六件、これは回線一時間当たりでいうと〇・八件というようなデータをいただいております。

 一時間に一本弱ぐらい来ているという理解でいいのかなというふうに思っているわけですけれども、消費者庁として、どれぐらいの処理想定をしているのかというか、電話一件というのは長い電話もあれば短い電話もあるわけですが、基本的に一時間に三件ぐらいの処理を目安と考えているのか、一時間に一件の目安を考えているのか、三時間で一件でも構わないというものなのか、基本的な考え方というのは何かございますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 結論的に申し上げますと、具体的な数字についてめどを持っているものではございませんで、国民生活センターの方では、平日におきましても直接国民から相談を受けるという形が幾つかの形において実現されておりますけれども、土日祝日相談窓口を開設する趣旨というのは、先ほど申し上げましたように、現在、土日祝日に相談窓口を開設している消費生活センター等が限られていることから、土日にそういう現状を踏まえまして国民生活センターの方で行っているということでございますし、また、消費者ホットラインを信頼してお電話をかけてきた方が、国民生活センターに最後つながるという仕組みをとっているわけです。

 その趣旨が実現する限りにおきましては、具体的な数字については国民生活センターの方で適切に御判断いただければということでございまして、具体的な数値の目安については、私ども消費者庁としては持っていないというところでございます。

泉委員 それは消費者庁で持つのか、国民生活センターで持つのかというのはあると思いますけれども、実態に合わせてこの電話相談の回線数を決めているということだと思いますが、一方で、あっせんは積極的に行っていくということであろうと思いますし、お伺いをしていますと、たしか消費者庁が、この〇五七〇―〇六四―三七〇という番号ではわかりにくいから、三桁の番号にしていこうというふうに考えているということを伺っております。

 大臣、それはそういったことで、三桁の番号を探すということでよろしいんですね。今、もし状況がわかれば教えてください。

森国務大臣 そのとおりでございまして、わかりやすい、三桁と決まっているわけではございませんけれども、少ない桁数の番号にしたいというふうに思っております。

泉委員 こういうことも含めて、これから、また社会を騒がせるような大きな事例があれば一気に相談件数というのはふえてくるというものでもありますし、年度途中での回線の増設等々が可能であるというふうにも思いますので、国民生活センターの方をきょうは呼んでいませんけれども、ぜひそういったところを柔軟にお考えいただいて、適時適切に相談が受けられるような状態というのは常に確保していただきたい。

 前年度が減ったから今年度また減らしますという単純な話ではないのかなというふうに思いますので、そこは、国民生活センターの方にはよくその旨を消費者庁としてお伝えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川口政府参考人 土日祝日消費生活相談業務でございますが、これは、国民のニーズに応えるため、相談業務の質を担保するということが重要だというふうに考えております。その機能が十分発揮されるよう、国民生活センターにおいて適切に取り組んでいただきたいと考えているところでございまして、ただいま御指摘がありましたような今後のニーズを踏まえつつ、必要があるというふうに私どもが判断した際には、回線数の増加ということも場合によっては働きかけてまいるというふうにしたいと思います。ただ、最終的には国民生活センターの方で御判断されるものと理解しております。

泉委員 その点はぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、景表法についてです。

 これは、先ほどから、あるいはこの数日間の審議の中で多くの方がおっしゃられているとおり、表示は正確でなければならない、そして、それは人の命、身体にかかわることでありますので、その徹底をすべく、今回の法改正ということなんです。

 一方では、仮にアレルギー等々ではなくても、やはり違和感というか不快感というか、自分が食したものが考えていたものと違っていれば、そこは、気味が悪いことも含めて、食全体に対する不信ということにもつながっていくだろうし、それは、食品業者に対する不信あるいはまたモラルハザードということにもつながっていくのではないのかなというふうに思います。

 資料としてはお配りをしておりませんが、今、各都道府県には指示の権限があるということで、各都道府県がその指示を発動されております。とはいえ、そんなに積極的な運用状況ではないということも、これまでの中で明らかになっているわけです。

 例えば、私の地元京都府におきましては、ちょうど一昨年の十二月から昨年の一月までの約一カ月半、ある業者が、ハマグリ及びウナギのかば焼きについて、原産国名が中国であるにもかかわらず、ハマグリにあっては三重県産と称し、ウナギかば焼きにあっては鹿児島県産または宮崎県産と表示し販売をしたという事例がございました。これに対して京都府が、不適正表示ということで指示を出したわけであります。

 一カ月半、この商品が販売をされて、ハマグリについては、把握できたところでいうと、少なくとも八パック、ウナギのかば焼きは少なくとも二百六十三尾、販売がされたということであります。

 これに対して、当然のことながら、京都府は指示をしたわけでありますけれども、その結果、この業者は、双方の、表示を改めるとともに、ウナギのかば焼きについては販売を中止するということに至ったわけであります。そしてまた、違反があった事実等については、消費者に対して店頭告知にて公表していることを確認しています、こういうような中身になっております。

 さてはて、これで消費者は、特に買ったお客様は果たして納得をされているんだろうかということを、やはり我々は消費者の目線で考えなければいけないのではないのかなというふうに思います。

 現在のところ、この業者が、この指示を見る限りは、払い戻しをしたというふうには書いておりません。もしかしたら、自主的にしたのかもしれません。もしその辺、現在消費者庁の方で把握されている状況で、私が今説明した中で足りないものがあれば、消費者庁、何か御存じのことはございますでしょうか。

菅久政府参考人 お答えを申し上げます。

 申しわけございません、今先生からまさに御説明のあった内容、これが、京都府からのそのときの、二月六日のいわゆるプレス発表ないし報道で出されているものでございますが、我々もこれを報告を受けておりまして、それ以上現在は承知していないところでございます。

泉委員 事前にこの質問をする際に、一応京都府に消費者庁さんも確認をされると伺っていたので、返金についてのことはお答えいただけるかなと思ったわけですけれども、基本的には返金等は行われていないということだと理解をしております。

 そういうことでいうと、この法律改正の契機になったホテルにおける一連の食品の偽装ということについては、ホテルによっては、お客様のレシートをもって返金に当たるとか、レシートが場合によってはなくても、そこで食事をされたということがある程度証明できれば返金をするだとか、そういう対応もあったように思いますが、これは一律ではないわけですね。それぐらいに、今できることというのは販売の中止というところになってしまうわけですけれども、やはり消費者にとっては、これは国産だからというふうに、パックを見て、だから買ったということはよくあるわけです。

 先日も、この消費者特の中で別の委員の方が、たしか、お豆腐ですか、納豆ですか、国産ということについてのことを取り上げたことがありましたが、私も宿舎の近くのスーパーにはよく行きます。自炊もいたします。結構、やはり国産を買いますね。お豆腐、納豆については国産をやはり買います。もしそれがうそであれば、大変残念に思います。

 そして、やはり業者としては、あるべき業者の姿という意味でいえば、真摯に反省をし、そして雲隠れをするのではなくて、場合によってはスーパーに委託をしてでも、五十円ずつ払ってほしい、百円ずつ払ってほしい、それが会社側の誠意ではないかというふうに思うわけです。

 そういった意味で、しかし、なかなかそれが、先ほどもお話があったように、現在は民事に訴えるしかない、しかし、それは経費もかかる、時間もかかるというようなことで、ここで今行き詰まっている状態であると思います。そういった意味で、課徴金ということも出てこざるを得ないのかなというふうに思っております。

 そういった意味では、この課徴金、これまでもさまざまな参考人の御意見にもあったように、例えば、加工した業者の方も確認をできなくて、結果的にそれが表示と違っていた、悪意はなかったという場合については、これは一定の配慮をしていいというふうに私自身も思います。しかし、意図的、故意ということについては、やはり課徴金というものはしっかり課していかなければいけないというふうに思いますが、まずはそこまでのところで、現在どのような議論がなされているか、お答えください。

森国務大臣 不当利得がそのまま残ることは国民から見て不公平感がありますので、これを、やり得を残さないということ、そして、それを剥奪することによって将来の違法表示を抑止させるという目的で課すものでございますので、これについては、主観的要件をどうするかということは、その目的に一番資する形で考えていくのがいいかというふうに思っております。

 現在の議論としては、課徴金を課す要件として、故意や過失といった主観的要素を不要とすると、御指摘のような、事業者が意図せずに不当表示をしてしまった場合、また、かつ十分な注意を尽くしているときにも課徴金を課すことになると、事業者の事業活動に不当な影響を与えるおそれがあるとの指摘がございます。また、消費者委員会が先般取りまとめた中間整理では、故意や過失がないことが証明された場合には、例外的に課徴金賦課の対象外とするとの意見が多数でありました。

 いずれにせよ、消費者庁としては、消費者委員会における御議論をにらみながら、故意、過失などの主観的要素の要否を含め、課徴金制度の内容が適切なものとなるよう検討を行ってまいりたいと思いますが、私としては、主観的要件というのは、通常、刑事罰のときに要求されるものでございまして、行政処分でこれが要求される例は私はちょっと存じ上げません。ですので、今のような議論の趣旨を踏まえながら、どのような制度設計が可能であるか、事業者に、特に良質な事業者に過大な萎縮効果を与えることがないようにという観点も加味しながら検討してまいりたいと思います。

泉委員 その線でぜひお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、この課徴金については、性質はいろいろと議論されている最中ですけれども、制裁という側面があるのかないのかということも含めて、課徴金はどうあるべきかということですが、これまでの、過去、公取所管のときには、売上額掛ける三%というようなものが一つ出てきていたわけであります。

 この考え方そのものは私もそんなに悪くはないと思いますが、たしか消費者委員会の中では、掛ける一〇%という御意見もあった等々のお話もありますけれども、現在、この点について、額について、算定の仕方をどのようにお考えになられているか、お答えください。

森国務大臣 御指摘の、平成二十年に政府から一度提出したことがあります景表法の法案では、過去の違反業者の営業利益率を参考に、三%という算定率を定めたものというふうに承知をしております。

 一方で、今般の改正に向けて消費者委員会が先般取りまとめました中間整理においては、課徴金金額の算定方法については、行政の事務効率を考慮すると、個別ではなく一律に定めるべきという意見でまず一致をいたしまして、また、平成二十年の提出法案の考え方も踏まえて検討すべきという指摘もあったところではございます。なお、三%という算定率では事前抑止効果として十分ではないという意見もありました。

 課徴金額の具体的な算定方法については、このような考え方を参考にしながら、課徴金が不当表示の抑止という政策目的の達成のために必要な措置として機能するように、過去の処分事例を分析しながら検討を行ってまいりたいと思います。

泉委員 あと、いわゆる課徴金が入ってきた後の取り扱いですね。これは、消費者団体からは、基金という形もあり得るんじゃないかという御意見がある。

 これは、私たちが消費者庁を担当していたときからも、さまざまな形でとにかく適格消費者団体の支援が必要だという議論から常に出てきている話ではありますけれども、そういったことをよくよく踏まえて、やはり消費者団体に対する支援、訴訟に至るまでさまざまな経費がかかる、また訴訟以降、通知等々でもいろいろな経費がかかるというところの悩みを抱えている適格消費者団体をどう支援するかということを、これは課徴金と分けた形でもよいので、とにかくしっかり早く議論していただきたいというのが本音であります。

 適格消費者団体はそれだけ必死に活動しているし、いろいろと、天下り云々というのは違う話として今委員会の中でも議論がありますが、私は、消費者団体に関しては、随契だとか天下りの問題というのはほぼないというふうに認識をしておりますし、そういう性質の団体ではないというふうに思っておりますので、本当に善意の、日本の消費者意識を高めていこうという方々の手弁当で成り立っている団体でございますので、そういった意味でも、ぜひ、そういったところに対する、公的な役割を果たしているところを踏まえて、支援をお願いしたいというふうに思います。

 あと、質問ということではなくて、私は、案として大臣にちょっとお伝えだけしたいことがありまして、今回のホテルにおける偽装、そして払い戻し、これは非常に、なかなか難しいというか手間ですね。個人の利益を回復するというか、損失を回復するのは難しい。これはホテルに限らず、恐らくスーパーでもそうでしょう。

 いろいろな商品を買った後の払い戻しというのは大変難しいことでありますけれども、全ての消費者がそういうことができるわけじゃありませんが、レシートというのがあるときに、消費者側の方でも、例えば自宅にあるパソコンで簡単に自分の消費行動が管理できるような、そういう仕組みをつくることもありではないかなと。

 今は、エクセルに手で入力して、電子的な家計簿として例えば家のパソコンに保存しておくというのはできるかもしれません。でも、それは、いただいてきたレシートによって、それを一個一個手で入力していくとなれば、よっぽどきちょうめんな方であれば、自宅で家計簿を、手書きじゃなくパソコンに打ち込んでなんていうことをやるかもしれませんが、もっと簡易な形で、一般の誰でもが、自分がお店から買ってきたそのレシートを持ってパソコンに例えばぴっとかざすなりすればそれが入力をされる、そうすると、自分の消費行動がわかる、自分の生活がわかる、家計の管理にもつながるし、過去買ったものの履歴がわかるということになりますね。

 これは、いろいろな意味で、後々、自分がどういう消費行動をしたかということを把握するということにもつながりますので、うそがない仕組みになるんじゃないのかなというふうにも思います。まあ、まだ知恵の段階ですけれども。

 そんなことも今後、お店側ではどれぐらい販売できたかというデータはあって当たり前なわけですけれども、お客様の側、個人の側でも、そういうことを蓄積したい方が簡単に蓄積できるようなシステムというものをぜひ今後検討していただきたいなということも、消費者の意識を高めていく意味でお願いをしたいなと思います。

 さて、次の課題に移りたいと思います。

 表示といっても食品の問題じゃないので、現在のところは、消費者庁に当たらない問題となってしまうことをお許しいただきたいと思いますが、水銀の問題なんですね。

 とはいえ、私は、これは主には、水俣条約の中で外務省が条約交渉等々をやり、そして、主に経産省と環境省の中でこの水俣条約の検討が進められているということになるわけですけれども、消費者庁も、商品という意味では、場合によっては消費者の側からの被害をさまざま通知を受ける可能性があるという意味では、常に耳は傾けていただきたいというふうに思っております。

 さて、二〇一三年十月十日、水俣条約が採択をされました。現在の締結国はまだアメリカのみということでありまして、これは我が国も、せっかく水俣条約という名前がついておりますので、早期のこの条約の発効を目指して頑張っていただきたいというふうに思っておりますが、二、三年後にはこの条約は発効するであろうということで、今、各国で国内手続が進んでいるという状況であります。

 この日本においても、年内に中央環境審議会でまとめて、その後、条約締結に向けてやっていくということになりますけれども、まず、環境省の方に、国内での条約の体制整備の検討体制がどうなっているかと、何をどのように検討する必要があるかをお答えください。

塚原政府参考人 お答えします。

 水俣条約は、水銀の採掘、利用、環境への排出や廃棄に至ります水銀のライフサイクル全般にわたりまして、適正な管理を求める内容になっております。

 水俣条約の締約に当たりましては、これらのさまざまな条約の規定につきまして、既存の法制度の実態を踏まえつつ、必要な措置について検討していくことが必要だというふうに考えております。

 このため、関係府省連絡会議というのを昨年の十二月に設置させていただきまして、そのもとで、関係各省が連携して検討作業を進めているというところでございます。

 また、環境省におきましては、中央環境審議会における審議を進めることとしておりまして、先月、諮問をさせていただいております。今後、その下にございます関係する部会の方で、場を移して検討を進めることになると思いますけれども、そのような今準備をしているというところでございます。

 引き続きまして、関係府省と連携しつつ、関係者の御意見も伺いながら検討作業を進めてまいりたいと考えております。

泉委員 これは結構大きな条約でして、今ちょっと、この委員会室の上のライトがLEDなのか否かというのは私はよく存じ上げませんけれども、普通の蛍光灯であれば水銀が入っているというものでありますので、そういった意味では、私たちの生活に大変身近ですね。体温計、血圧計というところにも微量ですが含まれているというものであります。乾電池は、もう現在のものは水銀は入っておりませんが、過去、ずっと以前につくったものが家の中に置いたままになっているということがありますので、そういったことも含めて大変身近なものでありますが、これが、二〇二〇年の段階でいうと輸出入の禁止ということになるわけです。

 これは、我が国が燃料をいっぱい輸入します。その中に水銀が含まれています。条約が二〇二〇年までに輸出入禁止にしても、燃料は輸入しなければいけないわけですから、そうすると、国内の水銀自体はどんどんたまっていくというようなことにならざるを得ないわけであります。そうすると、輸出入禁止ですから、現在は、こういった燃料から生まれてきた水銀を我々として精製をしてというか集めて、それを海外に輸出したりしているわけですが、これができなくなってしまう。国内の消費量はごく一部。ということも含めて、できなくなるとなると、今度はそれをどこかに保管管理をしなければいけない。では、これを誰がするのか、どこがお金を出すのかということも含めて、大変大きな条約であるということであると思います。

 そういった中で、努力をしているところがあります。水銀というのは、皆さん御承知のとおり、水俣病ということも含めて、有機水銀、無機水銀の違いはあれど人体に害を与えるものでありますので、回収をしっかりしなければいけないわけでありますが、一方で、特に先ほどお話をした蛍光灯あるいは体温計、そして血圧計ということについてですけれども、もし、環境省、わかれば、このいわゆる回収率、数字でわかりますでしょうか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国で今、例えば蛍光灯等のランプあるいは電池に使われている水銀については、それぞれ三トン、それと一トンといったようなレベルでございます。

 私どもの推計によりますと、こういった廃蛍光管等のランプにつきましては、量としては、年間使用量、今新たに使っている使用量を分母にして、今回収しているものを分子として計算をすれば、五六%程度の水銀が回収をされているというふうに推計をしております。

 また、市町村に対しましてアンケートをしておりますけれども、その結果によりますと、千五百五十市町村から回答をいただいておるのでございますけれども、そのうち、破損していない蛍光管につきましては約七六%の市町村、そして、破損をしている蛍光管につきましても五七%の市町村が、分別回収あるいは拠点回収、店頭回収、持ち込みといったような形で回収作業を行っている。

 電池につきましては、先ほどと同じような推計でいきますと、約五五%の水銀が回収されているというふうに推計をしております。

 また、市町村における回収ということになりますと、先ほどと同じように、千五百五十市町村のうち、乾電池につきましては約八四%、ボタン形の電池につきましては六九%、小型二次電池につきましては六一%の市町村で分別回収、拠点回収、店頭回収または持ち込みの回収がなされているというアンケート調査結果になってございます。

泉委員 これを高いと見るか低いと見るか、これまでの努力で積み上がってきたものですから、そこは否定はしません。しかし、市町村、行政ですから、そろそろ、この率というのはもう一〇〇%というものを狙っていく時期が私は来ているというふうに思います。

 これは、条約が発効して国内の体制を整備してから進めるということではなくて、もうこれだけの、半分以上の市町村が取り組んでいるわけですから、取り組んでいない市町村に対して、ぜひとも環境省として、やはり、そういった拠点は置くべし、回収をする場所、蛍光灯なり電池を置ける場所、これは必ず設置すべきという指示は出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 水銀を含む廃棄物につきましては、その大宗が、先ほど先生おっしゃられたように産業的な利用から出てくるものでございますけれども、一般廃棄物として身近な形で出されますものについても、これまでの努力に従いまして、相当量の回収がなされているものと思っております。その結果、現在、そういった水銀を含む廃棄物につきまして、不適正な処理が行われている実態ではないというふうに考えてはございます。

 しかしながら、今般、水俣条約の締結に向けて、中央環境審議会の循環型社会部会のもとで水銀廃棄物適正処理検討専門委員会というものを設け、水銀を含む廃棄物につきましての適正な管理について改めて検討することとしております。その中で、委員の御指摘も踏まえながら、適切な回収そして管理の体制について改めて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

泉委員 これは、市町村で、さっき言ったように、七六%とか六九%とか八四%という数字ということは、住んでいるところによってそういう仕組みがあるなしと分かれてしまうわけであって、国民全体が努力をしているという姿にはなっていないということだと思います。そういった意味では、せめて、行政段階ではやはり一〇〇%を目指していただきたい、これがまず一つのお願いです。

 京都においては、蛍光管リサイクル協会という団体が発足をしておりまして、これは自主的に、オフィスビルを回りながら要らなくなった蛍光管を回収するというスキームをつくっているわけですね。

 あるいは、医師会の中で先んじて頑張っているところは、体温計と血圧計を医師会として集める、これは非常にいい取り組みですね。医療機関なんかに行きますと、水銀が入ったそういった、あっ、今報告がありました、委員会室の照明はLEDだそうでございます。よかったですね。であるならばこそ、国民誰しもがそういった水銀の被害に遭わないような状況をつくるべく頑張りたいなと思います。

 話を戻しますが、こういった体温計、血圧計についても、全国の医療機関に対して呼びかけをしていただけば、相当な回収は可能じゃないかな。では、その呼びかけは、もしかしたら厚生労働省が間に入るのかもしれませんが、端緒は環境省にぜひお願いをしたいというふうに思いますので、そのこともぜひ内部で検討していただいて、医療機関における、体温計、血圧計、場合によっては、こういったものは学校の保健室にもあって当たり前ですね、そういったところの回収がどうなっているのかということについても確認をお願いしたいというふうに思います。

 さて、もう時間も余りありませんので。

 ということで、今後、この水俣条約の法的整備を国内的にやっていくわけですけれども、廃棄物処理法の中において、やはり、水銀含有廃棄物、そういう枠組みをつくるべきかなというふうに私は思います。

 先日も、ある量販店に行きまして、私は、現在売っている蛍光灯の表示を確認してきましたけれども、こういう丸形のものであったり蛍光管であったり売っておりますが、水銀のことについての言及は、水銀ゼロということを売りにしているものはあっても、水銀が含まれているということを表示している製品というのは余りないですね。売り上げにも影響するからということもあるんでしょうが。

 やはり、幅広く国民が何に水銀が使われているのかというのはわかっていただいた方が私は本来はいいんだろうなというふうにも思いますし、だからこそ回収の意識というものも出てくるんだろうなというふうに思うわけですが、それも含めて、この水銀含有廃棄物という概念、これをつくるということについてはいかがお考えでしょうか。

梶原政府参考人 水銀を含む廃棄物につきましては、現在でも、例えば水銀を含む汚泥とかそういったものについては、それ用の処分基準、特別な処理の基準をつくって処理をしているところでございます。

 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、水銀を含む廃棄物の処理につきましては、それによって現在不適正な処理の状況が起こっているということではございませんけれども、先ほど申しましたように、今般、水俣条約の締結に向けて、廃棄物処理法に基づきます水銀廃棄物の適正な処理に関する事項について改めて検討することとしております。その中で、今の先生の御指摘も念頭に置きつつ、水銀廃棄物のより適正な管理をするためにどうすればいいのかといったようなことについて広く検討をさせていただきたいというふうに考えてございます。

泉委員 繰り返し、不適正な事例はないと思われるということをおっしゃられるところは、私は、そこは建前は余り言わない方がいいかなと思います。

 大きいルートでの処理についてはそうだと思うんですが、一般家庭ですとか、あるいは家の解体作業ですとか、そういうときには、場合によっては蛍光灯がついたまま解体されている家屋があるとか、やはりまだまだ事例はあるんですよ。そういう認識を持ってやるべきであって、何もスキーム全体が怪しいと言っているわけじゃありませんので、ぜひ、やはり一般消費者レベルにおいてはそういったものが多数あるんだよということを認識していただきたいと思います。

 最後に、訂正でありますが、やはり上の電灯はLEDではないということでありました。ここの回収もどうなっているかというのは大変気がかりでありますので、まさかここの蛍光管が不適正な処理がないようにということは最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 二十分間、限られた時間でございますけれども、大臣、副大臣と議論させていただきたいと思います。

 まず、特定保健用食品、いわゆる特保についてでございます。これまでも恐らく、この委員会を初めとするいろいろなところでこれについては議論がなされてきたことと思いますけれども、私自身も、日ごろから、同じような飲み物であれば少し高くても特保と表示されているものを愛用、愛飲させていただくことが多い消費者の一人として、きょうは具体的に少し聞いていきたいと思います。

 商品のよさをメーカーや販売をする方々が自賛するのは当然ではございますけれども、特保の場合はさらに消費者庁がお墨つきを与えるということでありますので、これに対する消費者の期待は大変大きなものになるのは、信頼される政府であればこそこれは高い、大きなものになるわけでございます。

 これは紹介するだけなんですが、二〇一三年度、特保市場は約六千三百億円だということでございます。国が健康強調表示を許可する制度として一九九一年からスタートして、二〇一三年の十二月時点で特保として許可された食品は、百九十一社が千九十五品目を取得しておられる。

 特保の開発には数億円もかかるということだそうでありまして、特保は一般商品よりも価格が高くなる。だからこそ、期待した効果がなければ消費者は納得をしない、買わないということであります。買わなければ、メーカーも特保を開発するメリットはないということであります。だから、消費者庁がお墨つきを与える、そして結果的に価格が高くなる特保には、それに見合った効果、効能が、確かなものがなければならない。特保という制度は、そういうことでなければ、かえってやめた方がいいということにもなりかねないということでございます。

 特保商品の有効性などについて、我々消費者は、ほとんど、テレビCMとかあるいはせいぜいその商品そのものに書いてある表示からしか得られないというのが実情であると思いますが、公益財団法人日本健康・栄養食品協会のプレスリリースというものをちょっと拝見したんですけれども、下田理事長さんという方のお名前で、消費者に対する正しい使用方法等の情報提供を推進し、特保のさらなる普及に努めていきたいということをおっしゃっておられるわけであります。

 そもそも特保の正しい使用方法というものは、全体的に言って、どんなものだというふうに大臣はお考えになられますか。これはもしかしたら、このこと自体、今後ろの方が苦々しい顔をされましたのであれなのですが、通告をしておらなかったかもしれませんけれども、先ほど読んだ資料にあったものですから、申しわけありませんが、もしお答えいただけるのであれば。

森国務大臣 先ほど読んだ資料というのはどの資料のことか、ちょっとお示しいただければと思います。済みません、お願いいたします。

中根(康)委員 それはともかくとして、特保の正しい使用方法ということについてはどう思われますか。では、これは最後に聞きましょうかね、ずっと議論を進めていって。

 それで、例えば、私が先日手にしたある特保商品には、原材料表示に難消化性デキストリン(食物繊維)というものが入っているということが書かれておりました。そのほかにはこの商品には特に特別なものは記載をされていなかったように思います。

 つまりは、この難消化性デキストリンというものが入っているということが、私のような素人から見れば、この商品が特保というものを名乗ることを許可された理由なのかなということを率直に思うわけであります。

 難消化性デキストリンというものは、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにするということもあわせて表示をされていたわけでありますが、難消化性デキストリンが入っていれば、特保に許可される必要十分な条件を満たしているというようなことで、消費者は捉えてもよろしいのでしょうか。

岡田副大臣 お答えいたします。

 難消化性デキストリンの、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにするの表示につきましては、食事と一緒に難消化性デキストリンを含む特定保健用食品を摂取するグループが、摂取をしないグループに比べ、その食事に含まれる脂肪や糖の吸収が穏やかになるということが事業者により十分に示されたことから、消費者庁としては表示を許可しているものであります。

 特定保健用食品は、食生活等が原因となって起こる病気にかかる前の人を対象とし、特定保健用食品の摂取を契機としてみずからの食生活を改善して、健康の維持増進に寄与するための食品であり、病気の予防、治療を目的とするものではありません。

 このため、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにするという表示につきましては、予防等を意味するものではないということも御理解をいただきたいと思います。

中根(康)委員 難消化性デキストリン(食物繊維)と。食物繊維、例えばゴボウなんかを食べればお通じがよくなるとか、これは別に特保でなくたって、もう日本古来から、そういった生活の知恵としては、よく国民はおじいちゃん、おばあちゃんから代々伝え聞いているわけでありますので、難消化性デキストリン(食物繊維)ということで仰々しく特保にしなくたって、日常的に食物繊維をとれば健康にいいですよというようなことなんだろうという感じはいたします。

 今副大臣が御答弁されたことの中に含まれていたかもしれませんけれども、この難消化性デキストリンというのを摂取することによって、健康になって、何かの病気を予防するという科学的根拠が、この特保という表示許可の中に消費庁としては含んでいるんですか、いないんですか。疾病予防とか、あるいは健康になるというようなことが、この特保表示の許可の中には意味されているということですか。どうでしょうか。

岡田副大臣 今の御質問につきましては、この難消化性デキストリンにつきまして、例えば、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにするという表示は、先ほども答弁しましたように、予防等を意味するものではありません。しかし、これによって、一定の、今までこの申請が出て許可したという中で、食事に含まれる脂肪や糖の吸収が穏やかになるということが事業者によって十分に示されて、そして、検討の結果、表示を許可したということで御理解いただきたいと思います。

中根(康)委員 あわせて、また、この商品には、脂肪の多い食事をとりがちな方にいいとは書いていないんですね。脂肪の多い食事をとりがちな方と表示がしてあるんですけれども、この場合に、まあ、我々は、脂肪の多い食事をとりがちな方にいい、有効だというふうにそれは当然受けとめますよね。

 そういう場合に、この商品を愛用すれば、油っこい食品を多くとるというような食習慣があったとして、その食習慣はそのままであっても、この商品を摂取すれば、健康になれる、あるいは健康を維持できるということになるのか、それは、そこまで考えるのは消費者の考え過ぎだ、深読みをし過ぎだ、そこまでこの商品は期待してもらっても困るということなのか。どうなんでしょうか。

森国務大臣 特定保健用食品のパッケージには、許可された機能の表示とともに、バランスのとれた食生活の普及を図る文言をあわせて表示することを義務づけております。例えば「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」というような文言でございますけれども、このような表示を義務づけた上で、脂肪の多い食事をとりがちな方に適しているという表示を許可したものでございまして、御指摘のような誤解を与えないように措置をしているところでございます。

 あわせて、特定保健用食品の制度に関する消費者向けパンフレットの作成等を通じて、制度そのものへの消費者の御理解を増進することを図っているところでございます。

中根(康)委員 大臣に余りこういう細かいことをお尋ねするのは心苦しいんですけれども、今の質問、脂肪の多い食事をとりがちな方、自分もそうなんですけれども、その難消化性デキストリンの含まれている特保の例えばお茶を飲んでいれば、油っこい食事習慣はそのまま続けていってもよろしいんでしょうか。

森国務大臣 油っこい食事はなるべく改善をしていっていただきたいと思っておりまして、この特定保健用食品も、消費者みずからの食生活の改善のきっかけとして利用をしていただくことが重要であるというふうに思っております。

 そのため、先ほどのような、食生活は主菜、副菜もとりましょうというようなことをあわせて記載し、食生活の改善に向けてメッセージも出しているところでございます。

 なお、消費者の皆様にこの制度の周知を図り、誤解のないように努めてまいりたいと思います。

中根(康)委員 バランスのいい食事をとるというのは当たり前の話で、それを記載したからといって何か、ほかの何やらの責任が免れるというようなことではないような気がしましてね。

 つまりは、メーカーとしても高い研究開発費を使って、それで、消費者もそのことによって割高な価格を強いられるとは言いませんけれども、高いものを買って、だからこそ、メーカーにとっても消費者にとっても、やはりそれは当たり前のこと以上の何か有効なことがなければ、消費者庁がお墨つきを与える特保という制度の意味合いが余りよくわからないんですね。そんな問題意識でずっと質問をさせていただいているんです。

 例えば、一日の摂取の目安量が三回の食事ごとに一本ずつ、つまり、三回の食事をすれば三本までと書かれているような場合、その目安分だけ摂取しないと効果があらわれなくても仕方のないということなのか。つまりは、二百円の商品ならば一日に六百円使わないと、これは効果があらわれなくてもしようがないということになるのか。あるいは、目安以上に摂取した場合に、体に変調を来すリスクはあるのかないのか。このことについてはいかがでしょうか。

岡田副大臣 特定保健用食品の許可表示は、一日当たりの摂取目安量を摂取した場合における人を対象とした試験において効果が認められた場合に許可をしているものであり、目安量未満の量での効果は確認されておりません。

 また、目安量以上摂取した際に健康への影響が懸念されるような場合については、個々の食品の特性に応じて、摂取をする上での注意事項の表示を義務づけているところであります。例えば、体質、体調、飲み過ぎにより、おなかが緩くなることがありますとか、こういうことも表示の例として書かれております。

 以上です。

中根(康)委員 だからこそ、さっき申し上げましたように、二百円のものが三本で六百円、一日当たり使う、これをずっと続ければ一月で一万八千円、それなりに結構な金額になっていって、しかも、これはお薬じゃないからすぐに効き目はありませんよ、長期間使い続けなければ、それはなかなか有効性はあらわれませんよということになって、半年、一年と信じて使い続ければ、それもそれなりの金額になっていくわけでありますので、果たしてそのことに見合う効果が特保という制度にあるのかということでいうと、どうも、今までの答弁から聞くと、明確なものが余り示されないような気がするわけであります。

 おなかの調子を整えるとあった場合に、翌日お通じがよくなるということを消費者は期待してもいいんでしょうか。あるいは、例えば難消化性デキストリンという成分は、何かの薬との飲み合わせ上好ましくないケースは全くないものなのかということについては、二問一緒に質問するにしては組み合わせが少し悪いんですが、いかがでしょうか。

岡田副大臣 先ほども答弁しましたように、難消化性デキストリンのおなかの調子を整えるの表示につきましては、便秘ぎみの人を対象とした試験によって、あるいは摂取をしたグループ、摂取をしなかったグループに比べて排便回数等が増加し、便通が改善することが事業者により十分に示されたことから、表示を許可しているわけであります。

 先ほど、注意事項の表示の例の一つを挙げましたけれども、例えばこれも、多量に摂取することにより、疾病が治癒するものではありません、こういうことも表示をしているわけでありますので、御理解いただきたいと思います。

中根(康)委員 特保商品というものに対して期待した効果が得られないということを消費者が感じたとき、消費者庁やあるいはメーカーに何らかの責任を問うということはできるんでしょうか。

森国務大臣 まず、特定保健用食品に関する消費者からの苦情については、消費者庁の担当課でも受け付けておりますし、消費生活センター等において相談に応じており、その内容は消費者庁も共有をしております。例えば、摂取したが効果がないのではないかという苦情や、摂取をしたところ、調子が悪くなったという苦情等もこれまで寄せられたことがあったと承知をしております。また、各事業者においても相談窓口を設置し、消費者からの相談等に応じているところもあると承知しております。

 なお、特定保健用食品について、許可後の科学的知見の充実により、その有効性に係る表示をすることが適切でないと判明した場合にあっては、消費者庁長官は当該特定保健用食品に係る許可を取り消すことができることとされております。

 直近の相談状況を見る限り、特段の措置を講じる必要性は現在のところは認識をしておりませんが、相談状況は常に注視をしてまいりたいと思います。

中根(康)委員 今、責任を問うことができるかどうかという問いに対しては直接的な御答弁はなかったんですが、つまり、余り今まで事例がないということは、可もなく不可もなくというようなものである、そして、いつまでに効果があらわれるのかも、これはよくわからない、期間を限定されても困るし、それもできない、薬とは違うから、薬と同じ期待をされても困るしというようなことで、いろいろと逃げ道はあるんだということですよね。

 私がきょう事例に挙げた商品でいえば、難消化性デキストリン(食物繊維)というもの以外に、この商品がいいものだということであるとするならば、それ以外の添加物とか香料とかが入っていなかったんですね。それは、その商品はなかなか立派だなと思いました。

 だから、余分な、体に余りよくないような添加物や香料みたいなものが入っていないことの方が消費者にとっていいわけで、特保に指定される理由の、この食物繊維が入っているから特別に価格が高く設定される、あるいはメーカーも研究開発費をそこに大量につぎ込むというようなことになるような特保制度というものは、どうもよくわからない。

 本当の意味で消費者に十分理解されるような、高い価格を支払ってでも有効性があるというようなことが納得されるような制度として成長していってもらいたいと願うわけでありまして、その意味できょうはいろいろ具体的に質問させていただきましたが、引き続き、また機会があれば行わせていただきたいと思いますが、きょうはこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょうは十五分という短い時間ですので、早速質問に入っていきたいと思うんです。

 法案の質問に入る前に、十八日に総務省が、消費者取引に関する政策評価の結果に基づく勧告というのを行っています。この勧告の中では、消費者被害対策について、政府全体の目標、施策体系が不明確である、あるいは、地方消費者行政活性化交付金の効果、検証が不十分なことを指摘していまして、改善を求めています。

 今回のような法改正をしても、政府全体の取り組み目標が不明確だとか、あるいは交付金だってちゃんと効果が上がっているのかどうかよくわからないということでは、これは法改正をしても意味がありませんので、ぜひ、その前提になる部分についてこうした勧告を受けていることに対して、大臣としてどう受けとめておられるか、また、どのような方針で臨むというおつもりか、お答えいただきたいと思います。

森国務大臣 去る四月十八日に公表されました総務省の勧告でございますが、新藤総務大臣から消費者取引に関する政策評価の結果に基づく勧告を受けたものでございます。

 これが、今手元に本体がございますけれども、まず、さまざまな御指摘がありますが、一つ、政府全体の目標が不明確ということにつきましては、平成二十二年三月三十日に閣議決定されました消費者基本計画について、その内容が不明確であるという御指摘をされております。

 これについては、私もかねてより感じておりましたところでございまして、有識者の検討会において、国全体の消費者被害額の推計手法を検討し、今年度の消費者白書での掲載に向けて準備をするなどの改善策を講じているところでございます。

 また、地方消費者行政活性化交付金につきましては、最大限の政策効果が発揮されるよう、効果的、効率的に支出される必要があると考えておりまして、地方消費者行政の現況調査というものが毎年行われておりますが、その項目を充実いたしまして、消費者行政の充実の度合いを把握するように努めてまいっているところでございますが、さらに調査項目を充実することを、この指摘を受けて検討しております。

 いずれにせよ、さまざまなところで私も、消費者庁の今までの取り組みについて、目標、それからその手法について、設置当初の理念、目的に沿っているかということについては十分ではない点もあるというふうに認識をしたところから、この指摘される前でございますけれども、消費者行政の、消費者庁設立後の今までのレビューを行うことを事務方に指示いたしまして、現在レビューを行っているところでございます。

 その検討を踏まえて改善策を、消費者庁の来年度の予算、機構・定員要求や、今年度に策定する予定の次期消費者基本計画などなどの政策に反映してまいりたいと思います。

大西(健)委員 一番基本的なところですので、今大臣御答弁あったようなことも踏まえて、ぜひしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に、先日の参考人質疑で、地方における消費生活相談員の雇いどめが、なぜ消費者庁から何度もお願い文書とかを出してもなくならないのかということを参考人にお聞きしました。そのときに池本参考人がお答えになったお答えというのが私は大変興味深かったんですが、次のように言われています。

 自治体の中で、総務とか人事の部署は総務省を向いている。消費者行政の担当職員は、消費者庁から来た通知は目にするでしょうけれども、自治体の中では力が弱い。総務省としては、全てが一律で、非常勤は期間を限定せよというのではなく、職務の性質に応じて、例えば、こういう職務、こういう職務については実務経験こそ重要なんだ、そういうところに雇いどめを安易に入れてはいかぬということを総務省の側からも発信していただき、自治体の総務、人事の部署も、そういうふうに頭を切りかえてもらわなければならないというふうに言われています。

 つまり、消費者庁が幾ら文書を発出しても、消費者担当の職員は見ているけれども、人事、総務の人間は見ていない。人事、総務の人間は何を見ているかといったら、総務省から来ている通知を見ている。総務省の通知は、非常勤は一定の期間が来たらかえてくださいと書いてあるから、かえるということを言っておられるんですね。これは非常に興味深いと思うんです。

 そういう意味では、総務省の方に、非常勤職員といっても、消費生活相談員のように実務経験が物を言う、こういう場合は、一律ではなくて別に扱うべきだということをぜひ通知していただきたいと思いますが、総務省、いかがでしょうか。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 地方公共団体における臨時・非常勤職員は、その職の性質から、本来長期にわたって勤務することは想定をされていないところでございますが、ただいま委員御指摘のとおり、消費生活相談員のように専門的な知識や資格を要する職は、地域の実情によって人材を確保することが困難なこともあることから、再度の任用が必要なケースも考えられるところでございます。

 総務省といたしましては、消費生活相談員を含む臨時・非常勤職員の任用のあり方に関しまして、平成二十一年に通知を発出し、その中で、任期が原則一年以内である臨時・非常勤職員について、任期満了後も、客観的な能力の実証を経て、再度任用されることはあり得る点を示したところでございます。

 また、通知発出後も、各地方公共団体の人事担当者の会議の場において、同通知の内容の周知徹底に努めてまいったところでもございます。

 特に、平成二十四年度に当たっては、消費者庁が地方消費者行政の充実・強化のための指針を地方公共団体に送付いたしました際に、内閣府の特命担当大臣名によりまして、総務省としては、まず、1として、実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること、2として、任期ごとに客観的な実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されないことについて、消費者庁と認識を共有している旨を記載いたしましたメッセージについても発出をし、留意をするように呼びかけたところでございます。

 しかし、今委員が御指摘のとおり、なかなか周知徹底がされていないという現実があるようでございますので、消費者庁、総務省一体となりまして、このようなことがないように努めてまいりたい、かように思う次第でございます。

大西(健)委員 力強く、消費者庁、総務省一緒になってというお答えをいただきました。ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 総務省はここまでで結構ですので、政務官、もしよろしければ。

 次に、先日の参考人質疑で、消費者安全確保地域協議会について、樋口参考人が次のように言われていました。組織図をつくってネットワークの絵を描いたからといって、何も動かないんですね、屋上屋を重ねるようなネットワークを幾つつくっても、私は同じだろうと思います。私は、樋口先生のこの御指摘というのは非常に共感をいたします。

 そしてもう一つ、池本参考人は、消費者教育推進協議会と安全確保地域協議会は一つの組織であっても構わない、広い組織とコアメンバーというものを区別すればいいというようなことを述べられておりました。

 さらには、中山参考人は、新宿区において行っている先駆的な取り組み、悪質商法被害防止ネットワークのことを紹介されていましたけれども、こういう既存のネットワークというのもうまく活用すべきじゃないかというふうに思っております。

 そこで、改めて、今回新たにつくる消費者安全確保地域協議会ですけれども、これは、屋上屋を重ねるようなものにするのではなくて、既存のさまざまなネットワーク、特に消費者教育推進地域協議会を初めとした既存のネットワークをうまく連携、活用すべきだというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

森国務大臣 御指摘のとおりだと思っておりまして、消費者安全確保地域協議会は、地方公共団体がその実情に応じて取り組むことができるようになっておりますが、既存の消費者教育推進地域協議会、または介護保険法に基づく地域包括支援センターの相談支援ネットワークや防災関係のネットワークなどの既存の地域ネットワーク等を活用して、またはそれと一体となって見回り活動に取り組むことが可能でありますし、またそれが現実的であるというふうに思っております。

 消費者庁としても、ネットワークが複数設置されて、過剰な負担や混乱、形骸化が生ずることなく、地方公共団体において、庁内連携が円滑に進展するよう、関係省庁とも相談しつつ、地域協議会の進め方の参考となるようなガイドライン等を策定して、取り組み事例とともに地方公共団体に提供してまいりたいと思います。

大西(健)委員 ぜひ、屋上屋を重ねることがないようにお願いしたいと思います。

 時間がなくなってきたので、せっかく資料を配りましたので、この資料なんですけれども、週末、私は、地元知立市の文化センターというのに用事があって行ったときに、いろいろなチラシが置いてある棚をチェックしていたら、消費者関係のチラシというのも幾つかありました。その一つをちょっとお配りしたんですけれども、これは、きんさん、ぎんさん、あの名古屋のきんさん、ぎんさんですけれども、日本最高齢キャンペーンガールと銘打って、ぎんさんの、四姉妹が高齢者向けの悪質商法への対処方法を説明しているんですけれども、大変親しみやすくて、中身も非常にわかりやすくなっています。中身はお配りしていませんが、それから必要な情報、クーリングオフの方法とか連絡先とかもうまくまとまっていて、非常にいいチラシだなというふうに拝見をしました。

 ただ、私も、恥ずかしながら、これまでこういうものがあることさえ知らなかったですし、いっぱいチラシがある中で、かなり注意して見ないと、こういうものが置いてあるというのはわかりません。

 それから、続いて資料の二枚目なんですけれども、トラブルに遭った高齢者のうち、本人が何らかの対応をしたというのは全体の三割なんですね。しかも、では具体的に何をやったかというと、悪質商法の事業者と直接交渉する人が半数。市町村や消費生活センター等の行政機関の窓口に相談したというのは、被害に遭った人の一三・八%しかいないんですね。

 また、資料の三、消費生活センターの認知度、信頼度を尋ねたデータなんですけれども、認知度は八割近い。皆さん、そういうものがあることは知っておられる。ただ、次の数字、信頼しているという回答は、一三・一%にとどまっている。

 つまり、被害に遭った高齢者御本人が相談するということは少ないし、また、具体的な行動を起こすというのは少ないし、実際には、半分は事業者と交渉している。なかなか相談に行かないというのが現実なんだというふうに思うんです。

 これを見ていて私が思うのは、高齢者というのは、待っていても相談には来てくれない。ですから、そういう意味では、日ごろから信頼関係を築いて、そして、こっちからおせっかいをやいていって初めて相談をしてくれるんじゃないか。

 そういう意味では、今回新たに設置をされる消費者安全確保地域協議会、先ほどさまざまなネットワークを活用するという御答弁もいただきましたけれども、その中では、アウトリーチ、みずから、こっちから行って、おじいちゃん、おばあちゃん、何か困ったことはありませんかということを問いかけていかないと、待っていても相談してもらえないというふうに思うんですが、このアウトリーチの重要性についてお答えいただけますでしょうか。

森国務大臣 まさに、高齢者の場合には、消費者被害に遭ったとしても、だまされたこと自体気づいていないとか、誰にも相談しないという傾向がございます。そのため、対応がおくれて被害が拡大している、また、二重、三重に被害に遭うといった深刻な状況にございます。

 このため、委員おっしゃるようなアウトリーチ型の取り組みが必要であると思っておりますので、この消費者安全確保地域協議会で、そのメンバーの中にも、常日ごろ高齢者と身近に接して既に信頼関係を得ている方にも入っていただきまして、そういったネットワークを生かしながら、実効性のある高齢者等の消費者被害の未然防止、早期発見、拡大防止を図ってまいりたいと思います。

大西(健)委員 時間がなくなりましたので質問はいたしませんけれども、資料の最後のページですけれども、これは、今回、消費生活相談を民間委託できるようになるということですけれども、既に民間委託を行っている五十二の自治体にアンケート調査を行ったところ、大体九割は秘密保持というのを契約だとかそういうものに書いている。ところが、まだ三分の一については、消費生活相談で得られた情報の流用の禁止について契約書や規程がないところがある。さらには、PIO―NETの登録情報の保護とか管理については、半分の自治体で契約書や規程がないということであります。

 今後、民間の事業者が委託を受けた場合に、こうした情報が不適切に取り扱われるのではないか、こういう懸念、危惧がありますので、ここのところはしっかりやっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 本日は、四十五分間の質問時間で、国民、消費者目線の質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 現在、食材や産地の偽装などの不正多発、高齢者などの社会的弱者の消費者被害の増加等の問題が山積する社会情勢の中で、今回の改正二法案の早期成立を私は願っている立場であることをかねがね当委員会で述べさせていただいておりますが、本日もその旨を冒頭で繰り返させていただきました上で、通告に従って順次質問をさせていただきます。

 まず、消費者安全法改正案では、消費生活相談員の法的位置づけが明確化され、都道府県や市町村に置く職として法定化され、消費者、事業者双方にとってわかりやすい存在になり、その任用要件が法定化されることは、質の高さを担保し、相談に伺う消費者の安心度が高まり、相談員の方々も大いにモチベーションが上がるものと期待をいたしておるところでございます。

 しかし、そのような期待とは裏腹に、今まで、国センの土日祝日消費生活相談業務について、何度かその不透明さについて疑義を述べさせていただきましたが、先日の当委員会でも、一者応札の応札者側にして契約相手側の公益社団法人全国消費生活相談員協会専務理事からも御説明をいただいたところ、国センと全相協の御答弁に看過しがたいそごが多数見られますので、改めてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、これまでの御答弁を整理いたしますと、三月二十五日、国セン松本理事長は、落札金額約六千二百六十四万円の基準となった入札予定価格の積算根拠を尋ねた私の質問に対して、相談員の日当一万五千円、平均二十二名、百十一日で積算した、このように明言をされました。

 また、業務は、基本的に、その場で即答可能な範囲のアドバイスをすれば終わり、対応できなければ平日の担当者に引き継ぎをする等の緊急避難的なものでしかない、このように、相談員のスキルも能力も余り必要ではないのではないか、そのように感じられる御発言をなさいました。

 特に、日当に関しましては、御答弁の用意すらなかったので、事務方のメモによって一万五千円と答弁されましたから、その金額はまさに国センの積算金額そのものであることは、疑う余地もございません。

 ところが、理事長の御答弁どおりに計算をすると、三千六百六十三万円にしかならず、落札者の余剰金が二千六百万円以上にもなります。

 そして、翌日、この余りに不可解な実態がマスコミに報道されると、急遽、国センから、一万五千円は一番未熟な消費生活相談員の日当であり、その金額をベースに、休日出勤手当や、仕様書に記載してある経験年数に達した者の加算があるといった形で説明が変遷し、四月十五日の当委員会で参考人として出席された全相協の専務理事は、報酬プラス休日の割り増し、交通費、研修費、相談カードを正確につくるための残業、これらがあり、とても日当一万五千円ではおさまらないというふうにお話しになられました。

 要するに、休日出勤手当三五%が加えられているから、その分の費用は増すとのお話でした。

 しかし、これは、私は子供だましの詭弁にすぎないと思っております。なぜならば、休日手当は、従業員が事前に労働基準法に基づいて決められた法定休日に出勤をやむを得ずさせられたときに生じる手当であり、また、それを行うには、いわゆる三六協定を労使が締結していなければならないはずです。

 労基法に対するこうした私の認識は正しいでしょうか。厚生労働省から御見解をお聞かせください。

大西政府参考人 労働基準法についての御質問でございます。

 労働基準法第三十五条では、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」という規定がございます。この労働基準法三十五条の休日に働かせるためには、労働基準法三十六条で労使協定を締結して、労働基準監督署長に届け出る必要がございます。

 また、この労働基準法三十五条の休日に使用者が労働者を働かせた場合には、法令の規定により、三割五分以上の割り増し賃金を支払う必要がある、そのようなことになっております。

上西委員 ありがとうございます。

 休日に働かせるには、三五%。休日ということで、今御答弁をいただきました。

 そうしますと、土日祝日相談業務従事者にとっては、土日祝日こそが通常勤務日であり、土日は休日ではあり得ません。言うなれば、この方たちにとっては、逆に、ウイークデーが休日なんです。

 それに加えて、全相協理事長は、残業手当の支給も示唆されました。

 休日でもないのに休日手当を三五%支給し、おまけに残業手当二五%も支給していたとなれば、六〇%の割り増し分は、まさに不当利得、不正支給でございます。町のコンビニやハンバーガーショップで土日祝日の出勤者募集広告があっても、その方々にとってはその日が勤務日なんですから、三五%の手当を要求するパートの方など当然いません。

 私が会社員をしていた業界は、月曜日が休日、こういった習慣があります。しかし、土日祝日に働いたからといって、割り増しの賃金がもらえる、こういったふうに考えている人など全くおりません。その日は世間的に休みでも、その方々にとっては勤務日なんです。

 国セン理事から、先ほどの厚労省の御答弁を念頭に、三六協定をどのような形で誰と誰が結んでいるのか、休日出勤手当の支給は正しいと思われているのか、また積算に当たって休日割り増しを実際に考慮したのか、これを詳しく御説明いただきたいと思います。

松本参考人 国民生活センターが一般競争入札により委託契約を行っております土日祝日消費生活相談業務は、土日祝日に相談窓口を開設していない消費生活センター等を補完するため、その相談業務においては、相談者からの幅広いジャンルの相談に対してしっかり聞き取り、さまざまな問題点を整理して、相談者自身で自主交渉できるようなきめ細かい助言をその日のうちに行う必要があるということから、聞き取りのスキルやあっせん経験が豊富な消費生活相談員を確保しなければならないという状況でございます。

 そのために、平日に各地の消費生活センター等に勤務しております経験豊富な消費生活相談員を休日に確保し相談業務を実施する必要があることから、労働基準法に規定されております休日の割り増し賃金という考え方を参考に、予定価格を積算しているものでございます。

 次に、労働基準法上の三六協定の件でございますが、国民生活センターは、土日祝日電話相談業務を行う相談員と雇用関係はございません。本事業の外部委託先であります公益社団法人全国消費生活相談員協会が、相談員と労基法三十六条に規定する協定を結んでいるかどうかにつきましては、国民生活センターでは承知をしていない状況でございます。

上西委員 わかりました。

 今御答弁いただいて、業務内容、その日のうちに解決ということで今おっしゃられたんですけれども、一番最初に私がいただいた御答弁では、解決できなければ平日の担当者に引き継ぎをするという御答弁をいただいております。そして、緊急避難的なものでしかないというふうに御答弁いただいています。また今回も答弁が変わったわけでございます。

 そして、休日出勤手当、これは、参考にされている、平日は別の消費者センターで働いているので、その方を土日御勤務いただくから割り増しを参考にしていると。参考の意味がわからないんですけれども、再度御説明いただけますでしょうか。

松本参考人 いわゆる積算の根拠として幾らぐらいを考えるかということでございます。

 平日勤務している人を確保するとすれば、相当な報酬を払わないと来ていただけないのが現実ではないかということから、積算段階では一定の割り増しをしておるところでございます。

 実際に業務委託先がどのような報酬体系をとっておられるかということは、それは業務委託先の判断ということになると思います。

上西委員 ありがとうございます。

 レクでは、いつも、全相協の家賃とか会員数を尋ねると、全相協のことを聞かれても存じ上げる立場にないというふうにおっしゃられるのに、個々の会員の就労状況まで、こういったものを把握されているのには大変今驚いているところでございます。

 まず、今、平日消費者センターで働いているから、そういった方が休日を使って土日祝の業務に当たっていただけるから休日手当に対するものが必要だというふうにおっしゃいましたが、まず、国センが全相協に外部委託、アウトソーシングしているわけなんですけれども、これはなぜかというと、国センの職員にさせると、休日分働く休日手当を支給しなければいけないから、少しでも安く上げるために外部委託するとこの前御答弁があったんじゃないかと思うんですね。

 ですので、休日、そういった、安くするためにアウトソーシングをするのではないかなというふうに思っているんですが、これは違うんですかね。

松本参考人 トータルの経費が安くなるようにするというのが一般競争入札による業務委託の狙いだというふうに理解しております。

 個々の相談員を国センが直接雇用の形で確保する場合、それから、そうでない団体あるいは派遣事業者が確保する場合において、一定のスキルのある、すなわち仕様書に定められているような経験を持った方を確保するためには、かなりの報酬を払わなきゃならないだろうというふうに考えておる次第でございます。

上西委員 何をおっしゃっているのか、ちょっと、はっきり言ってわからないんですけれども。例えば、会社員が副業で休日を使ってアルバイトをする、こういった場合、そのアルバイト業務にはもちろん休日手当はつかないんですね。そういうことを考えられて、どう思われますか。その休日手当に相当する分をお支払いになっているということをどう思われますでしょうか。

松本参考人 委託先が優秀な相談員を確保してこの事業を仕様書どおりにやるために、一定の報酬を払わなければ確保できないだろうと考えております。それには、土曜、日曜であるということからくる割り増しというのは、おかしくはないのではないかと考えております。

上西委員 一定の報酬というのが、だから一万五千円じゃないのかなというふうに思うんですけれども、ちょっと水かけ論になってきますので、またの機会にお聞かせをいただきたいと思います。

 今まで何度も申しましたが、この業務の原資は国民の皆さんの血税なんですね。ですので、一円たりとも無駄にしてはいけないということなんです。そのことを重々に肝に銘じて、今不当でないというふうにおっしゃいましたが、私から見れば、そして国民の皆さん、消費者の皆さんから見れば、これは不当でございます。来年からは、この不当な休日割り増しに当たるこういった費用の金額を次回の際は計算せずにはじき出し、今年度の契約は錯誤無効で白紙に戻すべきだというふうに私は強く考えているんですけれども、いかがでしょうか。

松本参考人 来年度におきましても、一般競争入札を実施する場合は、土日祝日に相談窓口を開設していない消費生活センター等を補完するため、その相談業務においては、相談者からの幅広い相談に対して経験豊富な消費生活相談員に休日も相談業務を実施してもらう必要があるため、労働基準法に規定されている休日の割り増し賃金を参考に予定価格を積算することを考えております。

 今年度の契約につきましては、不当な積算を行ったものではなく、かつ契約を無効とする錯誤は存在していないと考えております。

上西委員 何回も同じような御答弁をいただいているんですけれども、私の話を聞いてくださっているのかなというふうにちょっと思うんですけれども。今回、そういったことを改善するおつもりはないというふうな御答弁ですが、これは、私、もう今この場で追及してもこれ以上出てこないんでしょうから、またの機会に、改めまして会計検査院の方に確認をしたいと思います。

 それでは、次に参りたいと思います。

 これまで、国センの理事長、全相協専務理事、お二人の御答弁を聞き、私は、土日祝日相談業務へ実際のところ一体何名の方が出勤されているのだろうというふうに単純な疑問を抱いております。

 松本理事長は、当初、積算時には二十二名の出勤を想定していると話され、四月十日には十七名に下方修正をされました。しかし、全相協のホームページによれば、昨年度の事業計画案では十八名で電話相談をすると明記されているのは、お配りしております配付資料のとおりでございます。派遣相談員が二十二名を割っているとなれば、全相協は、公益社団法人であるにもかかわらず、より多くの余剰金を抱えることになりますが、加えて、次のような単純な疑問が普通の社会人なら湧いてまいります。

 公表されたデータでは、平成二十四年度、この事業での相談件数は九千百七十七件です。理事長のお話のとおり計算をすれば、百十一日で割ると、一日平均八十二・六八件、電話は十六回線ですから、一本平均五・一七件。出勤者の人数を二十二名と言ってみたり十七名と言ってみたり十八名と言ってみたり、本当にはっきりしないんですが、入札を執行した国センは、全相協から毎回派遣される消費生活相談員の数をどのような形でチェックされているのか、甚だ疑問に感じております。

 マックスの二十二名とすれば、必要な人件費は確実にアップしますが、そうすると、相談員一人が一日に受ける件数はわずか三・七六件しかありません。逆に、ミニマムの十七人とすると、一人の相談員の一日の対応数が四・八六件になりますが、日当一万五千円ならば、必要な人件費がわずか二千八百三十万円、先ほど休日割り増しを参考にするとおっしゃっていましたから、そちらの積算ではもう少しかかるのかもしれませんが、二千八百三十万少々しかかからないということになります。

 そこで、間をとって、一人の相談員が一日四件の相談を受けたとすると、以前の理事の御答弁によると、簡単な電話対応ということですし、本当は数分で終わるケースも多いように現場の方々からも伺っていますが、相談時間が仮に三十分だとすれば、三十分掛ける四件で二時間、カード作成も、甘く見積もって一枚三十分とすれば、四回作成で同じく二時間、合計で四時間あれば業務は遂行できるのではないかと思うんですが、残業まで本当にする必要があるのか。私の方で試算をするために御答弁をいただけばいただくほど、おっしゃっていることがよくわからなくなります。

 そこで、伺います。

 一つには、国セン側は、実際、全相協から来る相談員の数をどのような形で確認し、本当にきちんとした数が掌握できているんでしょうか、御答弁お願いします。

 また、レクチャーのときの資料や委員会中の御答弁をもとにした私の計算では、国センの予定価格も、全相協の落札価格、すなわち契約金額も余りに高過ぎると思いますが、改めて国センの御所見をお聞かせください。

松本参考人 土日祝日相談の相談員の人数の管理につきましては、毎月、翌月分の担当相談員の名簿の提出を受けております。

 その名簿に記載された相談員が実際に当日担当したかどうかは、押印のある出勤簿を、翌営業日、すなわち月曜日に確認するということで管理をしております。

 それから、不当であるという点については、何度も同じ答えを繰り返さざるを得ませんが、我々としては不当だというふうには考えていないということでございます。

上西委員 わかりました。

 今御答弁いただいたところでは、出勤簿、いわゆる全相協からの報告書で人数が上がってくるというふうにお答えなんですけれども、そうなると、電話は国センの中にあるわけですよね。そして、そこへ外部の方々が入るのに鍵の管理がどうなっているのかなど、不思議なことがたくさんあります。国センも、目で確認せず、相手の報告をうのみにしているからこそ、人数も時間も時により多くなったり少なくなったり、こういうふうなことがあるのではないかと思っています。

 でも、これは国民の血税なんですよ。だから、一円も無駄にせぬように、しっかりと実態を把握して発注をするべきだと思っているんですが、いかがでしょうか。

松本参考人 国民生活センターの施設内で業務を行っておりますから、施設の鍵につきましては、管理員から受け渡しをし、その時間等は全て記録をしております。

 それから、出勤簿だけではなくて、さらに、受け付けた相談を消費生活相談カードとしてPIO―NETに登録するということも業務として入っております。その際には、それぞれの相談員に付与されました土日祝日相談専用のIDとパスワードでログインするということになっております。したがって、担当した相談員の名前が相談カードに自動的に表示されるという状況でございます。

 毎週、国民生活センターで全相談カードを確認しておりまして、その際に、どの相談員がどの相談事例を担当したかまで正確に把握できております。

上西委員 わかりました。そういった形で、データでしっかりと管理をされているということですね。

 今、ちょっと何点か聞きたいことがあるんですけれども、鍵の受け渡しに、鍵の管理人ですか、そういった方がいるということなんですが、これはどういう方になるのか、ちょっと教えていただきたいのと、あと、先ほど申し上げましたように、一件大体三十分ぐらいで終わるのではないかというふうに感じておるんですが、この相談解決のために要する一件の時間とかもデータに残ってくるんでしょうか。お答え願えますか。

松本参考人 少し言葉が足りませんでしたが、我々は施設の警備業務を外部に委託しておりまして、警備員の方が常駐しておりまして、鍵の管理等を全て担当していただいております。

 それから、相談カードを見ても、何分かかったか等については、そこに記載されているということではございません。

上西委員 記載されているわけではございませんで、残業代等も必要だということで前にお話を伺ったんですけれども、残業代も支給するような状態であるんだったら、支給する前に、一体一件がどういった時間がかかるのか、そういったことを把握するのは当然だと思いますし、しっかりと対応をしていただきたいというふうに思います。

 ですので、相談カード、何分間対応されたかわからないということでしたら、今後は、一件に対して何時何分から何時何分ぐらいまで対応したか、そういったことも記載するようにしていただいてはいかがかと思います。よろしくお願いいたします。

 次に参ります。

 また、先般多少触れたところですが、国センは消費者問題出前講座の委託業務も入札に付しており、これも毎年全相協が一者応札で落札の上、契約を締結しています。その金額は、平成二十五年度が二千三百二万三千七百七十円、同じく平成二十五年度の土日祝日消費生活相談の落札価格が六千二百六十四万三千七百九十八円ですから、双方合わせると八千五百六十万円が国センから全相協に支払われたことになります。

 そこで、気になって、全相協の二十五年度正味財産増減予算書というものを調べますと、経常収益合計は一億六千八百四十二万四千円で、国センの二つの事業からの収益の占める割合は五一%にも上る、こういった状態です。

 松本理事長は、国センのあっせんによるとか、現在はといった常套句で私の質問の真意をはぐらかす御答弁を続けられていますが、現に国センから全相協への人の流れもあれば、全相協の元理事長が国セン理事になられているのもありますし、最近まで国センに全相協が同居していたのも紛れもない事実です。そして、今五一%と私申し上げましたが、ここまで予算の依存度が高いのはまさに癒着そのものではないかと思うんですが、国センの御所見をお聞かせください。

松本参考人 全国消費生活相談員協会の現在の事業において、国民生活センターからの委託事業のウエートが高いという認識はしております。一方、同協会は、昭和六十二年に社団法人として設立されており、消費者問題出前講座は平成二十年度から、土日祝日相談は平成二十一年度から受託しているというところでございます。

 国民生活センターといたしましては、今後も引き続き一者応札の改善に取り組んでまいりたい所存でございます。

上西委員 一者応札、こういった状況の改善。これは前回も改善に対して何らかの対応をしていくということでありましたが、前回、改善策を実際に、具体的にどのようなものがあるのかまた教えてほしいということをお伝えしたんですが、何か対策は考えられたのでしょうかということと、全相協の元理事長が国セン理事になられている、こういった癒着。これは国民からすれば、そして消費者の皆さんからすれば、特に信頼して国民が相談に行く場所、こういったところがこういう癒着の状況で、何をしているのかわからないような状況でお金を使っている、こういったことは本当にあるまじき状況だと思うんですね。

 ですので、この一者応札に対するまず改善策、そして、国センと全相協間の人事交流、今もあると思います、これに対して改めて御所見をもう一度お願いします。

松本参考人 土日祝日相談業務は、一般競争入札の結果におきまして一者入札となったものでございます。今後は、人材派遣会社など複数の事業者にヒアリングを実施し、いただいた意見を仕様書に反映させていくということを検討するとともに、入札公告を官報に掲載することにより、入札の参加の機会拡大を図るということを考えております。

 それから、全国消費生活相談員協会との関係につきましては、平成二十二年の四月二十八日に開催されました行政刷新会議ワーキンググループ、事業仕分けにおいて、継続的な取引関係の見直しを指摘されました。また、平成二十二年十二月七日の閣議決定、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針におきましても、「事務所の場所、契約等を通じ密接な関係を有する社団法人全国消費生活相談員協会との関係を見直す。」とされました。

 これらの指摘を踏まえ、従来、企画競争により同協会に委託をしておりました土日祝日相談業務については、平成二十四年度の当該業務委託から、より競争性の高い一般競争入札、総合評価方式により調達をしております。

 国民生活センター東京事務所内に賃借していた同協会の事務所の契約につきましては、平成二十四年十一月二十四日で解約をいたしました。さらに、国民生活センターと同協会との役員兼務は平成二十二年五月に全て解消いたしました。

 特定法人との関係につきまして疑念が生ずることがないよう、今後もしっかりと取り組んでまいりたい所存でございます。

上西委員 ありがとうございます。

 今、競争入札に対して、一般の人材派遣会社にヒアリングを実施したり、意見を聴取してやっていくことを検討されているということですが、私の事務所にも、そういった一般人材派遣の会社から、これはどういった業務なんですかというふうに質問が実際ありましたので、検討ではなく、必ずしていただくようにお願いをいたしたいと思います。

 また、ちょっと入札のお話が出ましたので、一者入札が連続するのは、これは今私ずっと申し上げておりますが、本当に理解に苦しむ状況でございます。これを、考え方を変えて、なぜ、指名競争入札、こういった方法にすることはできないんでしょうか。ちょっとお答えをいただければと思います。

松本参考人 指名競争入札につきましては、入札参加機会の均等及び公正性の保持の原則に適合していないという面もありますことから、引き続き一般競争入札を行い、広く多数の入札参加者を集めることにより、競争性を確保してまいりたい所存でございます。

上西委員 競争性を確保するためにということですので、ぜひこの競争性をしっかりと確保した入札をお願いしたいと思います。

 それから、電話回線を十六本引かれているということなんですが、十六台という高いハードルに設定をすることが、十六名以上の消費相談員を自由に派遣できる、多くの相談員を会員として抱える団体しか応札できない状況をつくり、結果的に全相協のみが応札できる状況を醸し出している、それが一者入札の要因だと断言される方もおりまして、私はそれを聞いております。

 例えば、電話の設置場所を地方に分散し、事業を分割して入札するのも、公平さを追求する上で一案だと思いますが、この私の案に関して、国センの御所見をお聞かせください。

松本参考人 一者応札の要因につきましては、入札資料を交付したが応札しなかった者に事情を尋ねたところ、仕様書に記載している相談員の要件を満たす人員を土日祝日に常に確保することが難しいという返答がございました。

 一者応札の改善策につきましては、今までも繰り返し述べてまいりましたが、まず、入札の公示方法につきまして、国民生活センターホームページの調達情報欄に入札公告を掲載するとともに、国民生活センター相模原事務所及び東京事務所の掲示板に掲示を従来しておりました。

 今後の改善方法といたしましては、仕様書の作成に当たって、人材派遣会社など複数の事業者にヒアリングを実施して、いただいた意見を仕様書に反映させていくことを検討するとともに、入札公告を官報に記載することで広く事業者に知らせていきたいと考えております。

 委員から御指摘いただきました電話の設置場所を分散する方法につきましても、仕様書の作成に当たって参考とさせていただきたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 私の案も参考にしていただけるということですので、ぜひ、いろいろな業者さんから意見を聞いて、しっかりと公平性が保たれる、そして国民の血税が無駄にならない、そういった形でぜひ業務を委託していただけるように、心より強くお願いをいたしたいと思います。

 そして、次に移らせていただきます。

 日ごろ私たちがシシャモと呼んで食べている細長い魚は、正式には英語でカペリンといい、寒い海で漁獲が多い、日本名をカラフトシシャモと呼んでいた、うろこが小さくて多く、食べるときもうろこが気にならないもので、北海道で少量とれる、うろこが大きな本来のシシャモとは全く違うものです。

 しかし、二〇〇三年のJAS法改正で、カラフトシシャモを子持ちシシャモ、こういうふうに称して売ってよくなり、本来のシシャモとは全く異なるものをそのように称しているのが現状です。それで、子持ちシシャモ(雄)という、卵がどこにもない不思議なパックが店先へ並ぶ現象も許されています。

 また、特に回転ずしでは、アナゴといいながらウミヘビの一種のマルアナゴが登場したり、縁側といえばヒラメのものと思いきや、カナダの方の大きなアブラカレイのものであったり、今でもそのような名称で使われているのが一般的だそうです。まさに国を挙げて新しい名称をつけた立派な偽装のように私は思えてなりません。

 また、韓国では、体にクルマエビ独特の模様がなく、尾だけが黒っぽいコウライエビをチャセウというふうに呼ぶようですが、チャは自動車、セウはエビのことなので、直訳すればクルマエビ。日本で韓国のクルマエビと称して販売されたり料理で提供された場合、今度の改正法で違法性は追及できるんでしょうか。

 また、今列挙した事例のような、常識的に既ににせものであることを消費者も認識している例、今や全くの別物の本物、これが存在するものを俗称で呼んでいる例、輸入先の国の慣例が日本とそごがある場合の例について、消費者庁の御見解をお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、事業者のコンプライアンス体制の確立でありますとか、また、行政の執行体制の強化を行うものでありますけれども、景品表示法違反として取り締まる対象、これは改正前後で変わるものではございません。

 したがいまして、事業者は、引き続き、国内において一般消費者が表示をどのように受けとめているかという観点を考えていただくということになろうかと思います。

 したがいまして、今御指摘いただきましたさまざまな表示でございますが、まずは、実際のものと表示から受けます一般消費者の印象、認識の間に差が生じるかどうか、また、その差異がそれぞれの商品の内容について著しく優良であるということになるか、そういうことを個々の表示ごとに具体的に判断していくということになろうかというふうに考えております。

 また、そういう文言だけではなく、実際に全体としてどういう表示があるか、また、一般的なメニュー、料理の名称として表示されているのか、それとも使用している材料自身を強調しているのか、そういうことも考えて判断する必要があるというふうに考えております。

上西委員 今いろいろ御対策をお話しいただきましたが、今後も、国の規制とか、そういった現状を把握して対策を立てる、こういったことをしっかりとお願いしたいと思います。

 そして、昨秋の一流レストランなどの例では、高級食材を用いているだろうと誰もが信じているところで、ブラックタイガーを使ってクルマエビのフライであると称したり、バナメイエビのチリソースをシバエビと称したから問題だったわけで、クルマエビやシバエビの品質や産地などが全く度外視され、クルマエビやシバエビを表示どおりに使っていればセーフだったということに私は若干の違和感を覚えました。

 森大臣は、おとついのフェイスブックに、メニュー表示について意見交換した会場である佐賀県のホテルで全く違反がなかったことをもとに、ホテルとしてのプロ意識を感じました、こういうふうにコメントをされています。

 要するに、当該ホテルでは、ちゃんとクルマエビやシバエビを法律どおり使っていた、お客様をだますことなく使っていたという評価をされたことだと思いますが、これは、プロというよりは、消費者から見れば当然のことであります。

 その上で、クルマエビ一つにしても、名産地である愛媛県や大分県の天然物か、あるいは養殖物か輸入物か、また、状態に関しても、生きたまま調理されているのか冷凍物であるのか、それによって味や食感も全く異なります。

 私は、一流の店にはそこまでの表示を期待するものであり、例えば、愛媛産天然クルマエビ(冷凍)くらいの表示をしてこそプロ意識を感じ、今回の改正法のその部分にはやや不満を抱いているのですが、森大臣の御感想をお願いいたします。

森国務大臣 今回の改正法は、偽装表示を取り締まるものでございますので、本来のものでないものを表示して、消費者に著しく優良と誤認させる表示を禁止するものでございます。ですから、御指摘の件は当たらないと思います。

上西委員 著しくということなんですけれども、今私が指摘させていただいた理由なんですけれども、スーパーでは、産地や冷凍か等の状態を表示する義務があるのに、飲食店では、今の段階ではその義務がない。これも、消費者から見れば、同様に口に入るものでありまして、大変不思議な状態だと思います。

 ぜひ、今後も、その表示方法に関しまして、表示義務に関しても御考慮をくださるよう、大臣の方にお願いをいたしたいと思います。

 次に、賞味期限の問題をお尋ねします。

 閉店直後のスーパーをのぞくと、大きなビニール袋二つも三つも詰め込んだドーナツや、まだ十分新鮮そうな野菜や果物が大量に廃棄されているのを目の当たりにします。また、大手のコンビニのお弁当の配達業務を請け負っている運送業者の方から伺った話ですが、交通渋滞などで納品時間に十五分おくれたら、全品店頭販売価格で買い取らされ、それを転売することも禁止されているので、焼却場へ運んで廃棄するしかないそうです。

 先日、テレビで、人形焼のようなあん入りカステラの製造業者がお話をしていたんですが、夏場でも製造から最低四十日は十分おいしく食べられる商品の賞味期限を、七掛けして二十八日としているが、駅やデパートでは、賞味期限が半分を割れば全て回収させられる。したがって、十五日目には全て廃棄するんだが、それから二十日ぐらいの間が、あんと生地が一番なじんで最もおいしくなるときで、最高の状態のものを廃棄するのは忍びない、このように語っていらっしゃいました。

 ASEAN諸国やアフリカなどで飢餓にあえぐ方々のことを思うと、本当に今の日本の状態は申しわけないなと思います。少なくとも、賞味期限の算出方法をめぐっては抜本的な見直しをすべきだと思いますが、政府の御見解をお聞かせください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の賞味期限でございますが、御指摘のように、食品ロス削減の観点からは、適切な設定が重要と考えてございます。

 この具体的な期限を、いつ、どのように設定するかでございますが、これは各事業者が、食品の特性等に応じまして、微生物試験、理化学試験等の結果に基づきまして、科学的、合理的に行っているというものでございます。

 その上で、消費者庁の方では、この試験結果に基づいた期限に、食品の特性に応じて乗じます、いわゆる安全係数でございますが、これに関しましては、それを過度に低く設定する、結果として賞味期限が短くなるわけでございますが、そういったことがないようにという点で指導を行っているところでございます。

 御指摘の点につきましては、企業におきましても、昨今の生産衛生技術、包装技術の進展を踏まえまして、賞味期限の延長へ取り組んでいるというふうに承知しているところでございます。

上西委員 わかりました。

 先ほど、交通渋滞等で納品時間に十五分おくれたら、全品店頭販売価格で買い取らされ、それを転売することも禁止されているので、焼却場へ運んで廃棄するしかないコンビニの下請運送業者のお話をさせていただきました。

 一般論とすると、強者が弱者に無理を押しつけるケースを取り締まったり、監視を相談する窓口はあるんでしょうか。また、どのような対策を講じてもらえるんでしょうか。御答弁をお願いします。

原(敏)政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のケースにつきまして、独占禁止法上問題となるかどうかにつきましては、両当事者の契約内容等が明らかではございませんので、一概には申し上げられませんけれども、一般論といたしましては、事業者が自己の優越的な地位を利用して、取引の相手方に対し、一方的に取引の条件を設定することなどにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となります。

 公正取引委員会は、事業者からの相談窓口や違反行為に係る情報提供の受付窓口を、本局や全国の地方事務所等に設置をしております。公正取引委員会に対して、優越的地位の濫用に関して具体的な情報が寄せられた場合には、独占禁止法の規定に基づき、厳正に対処してまいりたい所存でございます。

上西委員 今、窓口は設置されていてということでしたが、公正取引委員会の方でも積極的にそちらの状況を把握して改善をしていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時八分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 不当景品類及び不当表示防止法の一部改正案、消費者安全法の一部改正案に関しまして、三十分の質問時間をいただいております。消費者の視点を重視した上で質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、内閣府、平成二十五年度消費者行政の推進に関する世論調査に関連してお尋ねをいたします。

 消費者問題に対する関心の高い分野として、食中毒事故や食品添加物の問題などの食品の安全性が八割を超えています。その次に、偽装表示など事業者による商品やサービスに関する偽りの情報についてが七割弱というふうになっています。

 前回の調査時と比べてやや低くなったものの、同程度の関心が続いており、食品の安全性、情報の真偽への関心が高くなっているのかなと思っております。

 したがいまして、商品やサービスが公正な表示となっているかが問われており、景表法の果たすべき役割はますます高くなっているものと認識しております。

 平成二十六年二月にまとめられました福岡県消費生活に関する県民意識調査でも、食品の安全性や表示に関心がある方が九七%にも及んでおられます。

 そして、商品やサービスを選ぶときに何を意識するのかとの問いに対して、機能や品質が八六・三%、価格八四・九%、安全性八三・一%というふうになっております。つまり、商品やサービスの内容を消費者がいかに正確に把握できるのか、表示や販売方法が適切に保たれることが何より重要ではないかと感じております。

 これらの調査結果に関しまして、まず森大臣の認識をお尋ねいたします。

森国務大臣 福岡県の意識調査もお示しをいただきまして、大変参考になりました。

 表示は、事業者が供給する商品、サービスを一般消費者が選択する際の基礎となるものでございますので、消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示がなされないように防止する必要性があるということは、この意識調査からも明確であると思います。

 今般生じた食品表示等の問題は、この表示の信頼性において、消費者に、広く、多くの不安を与えたものであり、このことを真摯に受けとめ、こうした事態をなくし、適正な表示を確保するため、景品表示法の監視指導体制を強化するとともに、その遵守を徹底して図っていくことが重要であると考えております。

 消費者庁としては、このような認識のもと、景品表示法の遵守の確保の観点から、事業者に対する景品表示法の周知徹底をさらに促進させつつ、景品表示法の違反に対しては、その厳正な執行に努めるとともに、行政の監視指導体制と事業者の表示管理体制を強化するために必要な措置を講ずるべく、今般、改正案を提出したところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 では次に、健康関連被害の多発についてお尋ねをいたしたいと思います。

 昨今、美容や健康に役立つというふれ込みで、多くの商品、サービスが提供されています。たくさん世の中に出回る中で、本当に役立っているのかが疑わしいものもふえてきているように思われます。まず、美容、健康分野における消費生活相談の状況についてお聞かせください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の消費生活センターに寄せられた医療に関する消費生活相談件数でございますが、平成二十一年度一万八十二件から、平成二十五年度は一万二千百四十五件と増加してございます。そのうち、消費者が危害を受けたものは、平成二十一年度は千八十八件でございましたが、平成二十五年度は千六百四十件、こういう形でふえている状況でございます。

河野(正)委員 健康被害というのが非常に問題になってきているのかなというふうに思われます。

 まず一例を挙げさせていただきますが、昨年の十月十七日、消費者庁は、パワーヘルスという商品に措置命令を出しておられます。町中の店舗などで、高血圧や糖尿病、がんが治るなどと説明し、家庭用電位治療器パワーヘルスというものを販売していたということであります。こうした説明による販売方法が、景表法違反の優良誤認に当たるとされたというふうに聞いています。

 現行の仕組みでは、消費者庁が情報を探知し、それをもとに調査し、措置命令という権限行使に至ったものと思われますけれども、具体的に、措置命令を出すに至った経過を説明していただけるでしょうか。あわせて、他省庁との協議があったかについてもお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますが、株式会社ヘルスが、パワーヘルスなどと称します家庭用電位治療器、これを一般消費者に販売するに当たりまして、平成二十二年十一月ごろから平成二十五年四月ごろまでの間に、無料体験会場などにおきまして、あたかも、この商品を継続して使用すれば、頭痛、肩凝り、不眠症そして慢性便秘が緩解するというだけではなくて、それが治癒するかのように、また、高血圧、糖尿病、腰痛その他の特定の疾病または症状も緩解または治癒するかのように示す表示を行っていたというものでございます。

 消費者庁は、これに対しまして、景品表示法四条二項の規定に基づきまして、こうした表示の根拠となります資料の提出を求めましたが、同社は期限内にこうした表示に関する裏づけとなる資料を提出しなかったというものであります。

 通常、この規定に基づき求めた資料につきまして提出がありました場合には、消費者庁において、そうした資料が表示の裏づけとなる合理的な根拠を示すものかどうか、必要に応じて専門家の御意見を聞きながら判断するということでございますが、同社におきましてはこうした資料の提出がなかったということで、この四条二項の規定に基づき、景品表示法の優良誤認に当たるということで措置命令を行ったというものでございます。

 また、他省庁との協議ということでございますが、一般的には、いわゆる景品表示法の調査中の事案ということでございますと、内容が漏れると、その調査対象の事業者に風評被害のおそれもございますので、厳格に情報管理をしております。消費者庁内でも必要最小限の関係者にしか情報を共有していないということでございまして、調査中の事案で、省庁の間で、例えば事案の具体的内容とか詳細を明らかにしながら協議を行うということは、通常しないようにしている、むしろしないようにしているということでございます。

河野(正)委員 ちょっとこれは今お聞きしていて思ったんですけれども、通告していない問題ではありますけれども、協議をされないということであれば、例えば、これは健康器具ということで、かなり厚生労働省とかに専門的な方もおられるのかと思うんですが、何か専門性のあるものに対する問題であったとき、食料品であっても何でもあれですけれども、ちょっと専門性の高いものにそういう措置命令を出さなきゃいけない場合というのは、これは協議しないんですか。消費者庁だけで大丈夫なんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 当事者が明らかになるような形で聞くというのは普通はしないのでございますが、例えば内容について、例えば電位治療器がどういうものかとか、その制度がどういうことかとか、必要に応じてそういったことを、事案の中身は申し上げられないがということで教えていただく、そういうことは必要に応じてやっております。

 また、出てきた例えば資料につきまして、それが根拠があるものかどうか。これは、他省庁というよりは、そうした分野の専門家の方にそうしたことの御意見を伺うというようなことをしているということでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 やはり専門性の高いものというのはあると思いますので、そういった連携は、内容の漏れない範囲であってもしっかりやっていただきたいと思います。

 この件に関しては、今、資料が提出されなかったということなんですが、措置命令後も同社は営業を続けているということでございますが、販売方法は本当に適切に変わっていったんでしょうか。消費者が誤認しないように、被害に遭わないように、果たして改善しているのかという点について、お聞かせいただきたいと思います。

 新聞記事等を見ていましたら、こういった、がんが治るということで、子供さんたちが、本当に治るのか、病院にかかりなさいと言っていたにもかかわらず、親御さんが真剣にこれを信頼するがために親子げんかをして、そのままお亡くなりになった、死ぬまで不幸な親子関係で終わってしまったといったことも書いてありましたので、そういった点、ちゃんとしていただかなきゃいけないと思うんですが、この点、改善しているのか、確認されていますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 措置命令の内容といたしまして、一般消費者への周知でありますとか再発防止、また、同様の表示を行わないことということを命じております。

 この措置命令については、その結果についての報告というのも受けておりまして、これまでのところ、この措置命令に関する違反、つまり、引き続きこういう問題のある表示をしているということは確認されていないということでございます。

 なお、この電位治療器、先ほど申しました、頭痛、肩凝り、不眠症及び慢性便秘が緩解するということについては、そもそも効能があるというふうになっております。それを超えた表示、さまざまな疾病に効くという表示をしたということで問題になったものでございまして、少なくとも、これまで我々が把握している限りでは、そうした問題のある表示というのは見受けられていないところでございますが、もちろん、そういう問題のあることをやっているということであれば、改めて措置をとるということになろうかと思っております。

河野(正)委員 かなり高額な商品だと思いますので、不眠とかそういった問題で高額なものを買われる方というのはなかなかいないのかなと思います。その点では、やはりがんが治るとかいう言葉を信じて買ってしまう方というのがたくさんいらっしゃると思いますし、そういうふうに、実際に命を落とされるということになって、しかも、周りの方がとめていたにもかかわらず、親子関係にひびが入る、そのまま亡くなってしまうということがあれば、非常に不幸な出来事だと思いますので、その点、しっかりとしていただきたいと思います。

 次に移ります。

 さらに、最近の例になりますけれども、ことし三月二十七日に、いわゆる空間除菌グッズを取り扱う十七社に対して、消費者庁は表示変更などを求める措置命令を出しておられます。

 私のふるさとでもあります福岡県では、PM二・五などの問題もありますし、非常にこういったものに興味を示す方も多いんじゃないかなと考えております。また、福岡に限らず東京都内の通勤風景でも、マスクをされている方、電車の中でマスクをして通勤されている方はたくさんおられるんじゃないかなと思います。今日、全国的にきれいな空気を求める声というのが非常に大きいものがあるんじゃないかというふうに考えております。

 また、インフルエンザなどが近年大きな社会問題にもなっておりますので、そういった商品は、空間除菌グッズというのは望まれるべくして誕生してきたものではないのかなというふうに思います。

 まず、命令に至る経過についてお尋ねいたしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本件は、違反行為者十七社でございますが、空間除菌グッズと呼ばれているものでございます。これを販売するに当たりまして、この空間除菌グッズには携帯型と据え置き型がございますが、これらについて自社のウエブサイトその他におきまして、こうした空間除菌グッズを使用することで、この空間除菌グッズから放出されます二酸化塩素が生活空間におきましてウイルス除去、除菌、消臭等をするかのように示す表示を行っていたというものでございます。

 これに対しまして、景品表示法四条二項に基づきましてこうした表示の根拠となる資料の提出を消費者庁から求めたということでございまして、十七社はそれぞれ期限内にこうした表示に係る表示の裏づけとなるとします資料を提出したわけでございますが、これらの資料はこうした表示の裏づけとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであったというものでございます。

 そのため、こうした表示は優良誤認に当たるということで措置命令を行ったというものでございます。

河野(正)委員 この措置命令を受けまして、一社、大幸薬品という会社は新聞等に広告を出しておられると思います。

 ちょっと手元に持ってきていないんですが、この内容は、簡単に言えば、効果はありますという内容でもあり、消費者庁へ反論しているのではないかと感じた方も少なくないような書きぶりになっていると思います。

 この大幸薬品の反論かとも思える広告に関しまして、消費者庁としての受けとめをお伺いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、措置命令後の三月三十一日に、その事業者、一事業者でございますが、「一般居住空間における検証も行っております。」などと、今回の措置命令の対象となった表示に裏づけがあるかのように一般消費者に誤認されるおそれがある新聞広告が掲載されたところでございます。

 これに対しまして、消費者庁としましては、この新聞広告が出ました三十一日に、担当課から事業者に対しまして、今回の措置命令の対象となった表示に裏づけがあるかのように一般消費者に誤解を与えてしまう懸念があるということを厳しく伝えております。また、四月三日にも改めてこうした懸念を厳しく伝えたところでございます。

 先方からは、表示の改善等を早急に検討したいという返答がありまして、その後、その新聞広告と同様の表示を行っていたウエブサイトにつきまして一部修正を行った旨の途中経過の報告を受けているところでございますが、これに対しましても、消費者庁からは、さらに引き続き一般消費者が誤認するおそれのある表示について修正を行うよう求めているところでございまして、現在、事業者側で修正に向けた作業を行っているところというふうに聞いているところでございます。

河野(正)委員 文章をちょっと手元に持ってきていないので何とも言えませんけれども、僕も最初に見たところ、これはかなり反論してきたんじゃないのかなということで、消費者庁はばかにされているんじゃないのかなとはっきり言って思うような感じだったんですけれども、これは通告していませんけれども、森大臣、よろしければ何か御意見ございますでしょうか。

森国務大臣 現在、経緯を報告させているところなんですけれども、この新聞広告が、処分が出る前にもう掲載が決まっていてそれがそのまま出てしまったのか、それとも行政処分を出した後にわざわざこういった文章で出したものかどうかなど、事実関係をしっかり把握するように私のところで指示をしたところでございます。

 行政処分した後に改善命令ということでかけておりますので、それに違反した場合には、それなりの措置も法律上あるわけでございますので、まずは事実関係を正確に把握するようにということで、指示を出しております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 そういうふうに反論のような広告が出てくると、せっかくいい法律をつくっていても、それだけを見てしまうと、また信頼して買ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんし、しっかりと毅然とした態度で対応していただきたいと思っております。

 いわゆるこの空間除菌グッズというのは、薬局などで、レジ横にいわゆるPOP広告というのをつけて置かれるなど、目につくようにして販売されているケースが多いんじゃないのかなと思っております。POPというのをつけるのは、薬局や、あるいはメーカーの担当者などがつけるようですけれども、これらの文言等について何らかの規制というのはあるのでしょうか、お聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法の表示でございますが、これは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品または役務の内容などにつきまして行う広告その他の表示ということでございますので、御指摘の、店舗が行うPOP広告、これは、店舗が自分で商品を売るために行う表示ということでございますので、景品表示法が対象とする表示に該当するということでございまして、景品表示法の規制の対象となるものでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 それらの点もしっかりと見守っていただきたいところであります。

 これらの措置命令が果たしてちゃんと今後守られていくのか、継続的にチェックしていくという必要性も高いと思いますけれども、実効性を高めるために、こういった継続性についてどのように取り組みをされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 措置命令を行った場合、一般的には、一般消費者への周知徹底、再発防止、また同様の表示を行わないこと、こういうことを命じるわけでございますけれども、こういう措置命令をした場合、これらの、例えば今件ですと十七社が行っております、一般消費者に対する周知徹底、また再発防止策、こうしたことにつきましては、事前にその内容について消費者庁で確認を行っております。また、とった措置について、文書をもって報告させるということで、命令のフォローをしているということでございます。

河野(正)委員 措置命令に当たっては、各事業者から根拠となるデータを提出させた上で判断しているというふうに思いますけれども、消費者庁自身が、商品の内容が表示に合ったものかどうか、実際に検査する体制は整えておられるかという点をお聞かせいただきたいと思います。消費者の立場から商品をチェックする組織の必要性についてもお聞かせいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの、いわゆる効果、性能の表示などを調査する場合に、必要な場合には、消費者庁自身がそうしたものを持っているわけではございませんが、専門の研究機関、検査機関などに検査を依頼するということがございます。

 また、商品自体の効果を検証する仕組みとして、例えば国民生活センターなどでは、消費者被害の未然防止、拡大防止の観点から行う、注意喚起のための商品テストということを行っております。

 国民生活センターは、この商品テストを行うに当たりまして、消費生活に関する幅広い商品の問題、例えば安全、品質、性能、表示、こうしたことを明確にするために、取扱説明書の使用方法でありますとか、そうした規格基準だけにとらわれない、生活実態を踏まえたテストを実施し、その結果、必要に応じて注意喚起ということを行っているというふうに認識しております。

河野(正)委員 それでは次に、被害回復の方策についてお尋ねをしたいと思います。

 パワーヘルスなどの事例では、実際に病気を抱えた方々が、治ると信じてサービスを受けていたというようになったわけであります。こうした方々が、実際には効果のないサービスを受けてしまったために被害を受けたということで、被害を回復するためにどのような方法が考えられているのか、何か個人に対する対応策がありましたら、お聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現行でということで申しますと、不当表示、すなわち、事実と異なることを表示した場合ということにつきましては、これが、消費者契約の締結について勧誘をする際に重要事項について告げられたものということになりますと、消費者契約法の四条一項一号による取り消しをすることによって代金の返還を求めるということは考えられます。

 また、このほかの、民法を根拠として代金の返還を求めることとか、不当行為に基づきます損害賠償、こういうことも考えられるわけでございますが、一般的に、民法上の取り消しというのは、消費者契約法上の不実告知による取り消しよりも要件は厳格であると考えられます。

 また、昨年十二月に成立いたしました消費者裁判手続特例法、これの施行後に発生した事案ということになりますと、その被害が相当多数の消費者に生じているなど一定の要件がありますが、それを満たす場合には、この法律の適用対象となるということも考えられます。

河野(正)委員 代金が返ってくればいいという問題でもないと思いますので、その点はしっかりと継続的に頑張っていただきたいと思います。

 また、事業者が責任を負わない、負っても軽いものであれば、いわゆるやり得になってしまい、そういったことを許してしまうことになりかねません。これらの健康商品というのは、原材料費に比べて極めて高額で販売されている状況にあるんじゃないかなと思っております。

 事業者に責任を負わせるような仕組みが必要なのではないでしょうか。この点、いかがでしょうか。

森国務大臣 不当表示事案により違反事業者が得たいわゆるやり得をそのまま保持させておくということに合理的な理由はないわけでございます。

 違法収益の剥奪や被害回復という点については、消費者庁の中で長年議論し、さまざまな意見が出されておりますけれども、現在検討している課徴金制度において、やり得を剥奪する、そのことによって不当表示の抑止をするということを検討しております。さらに、消費者被害の回復という要素を何とか織り込んでいきたいというふうに考えております。

 六月にも予定される消費者委員会からの答申を踏まえて、できる限り早く課徴金制度導入に係る法案を提出することとしたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。本当にしっかりとした御答弁をいただきました。

 続いて、高齢社会における健康商品対策についてお尋ねをいたしたいと思います。

 今後さらに、高齢社会あるいは超高齢化社会というのが進んでいくのが我が国の現状だと思います。健康長寿への関心は高まる一方だと思います。それに合わせて、いわゆるまがいものなども出てくるんじゃないか、どんどんそういった不適切なものも出てくる可能性があると思います。

 消費者が、適切に商品やサービスを選べるように、正確に情報を把握し、判断できるようにする、心配になったとき、それが適切なものであるか消費生活相談窓口などで調べられるようにする、そうした取り組みが必要になってくるかなと思います。

 私も医師として高齢の患者さんをたくさん見てまいりましたけれども、お年寄りというのは、もう死んでしまいそうだとか言う反面、生への執着心がすごく強い方たちが多くて、やはり死にたくないというのが裏返しにあっているかと思います。

 そういった点では、非常にそういう被害に遭いやすいと思いますし、この前から参考人聴取でもお聞きしていましたけれども、独居老人というのがすごく大きな問題になっておりますので、そういった点では、そういう消費者相談の窓口とか、誰か寄り添って相談に乗ってあげるというのが非常に大切だと思います。この前の参考人質疑では、樋口参考人の方からも、大変示唆に富む、途中、笑いも漏れながら、いろいろな御意見を頂戴したところであります。

 森大臣の問題意識やお考えについてお尋ねをいたしたいと思います。

森国務大臣 高齢者の消費者被害というのが金額的に言うとトップでございまして、そして、その中でも高齢者は健康関連に優先的にお金を使いたいと考える傾向にございますので、身体機能の衰えによる不安につけ込むような消費者被害、これの防止対策が重要であるというふうに考えております。

 そのため、これまでも、御指摘のような健康に関する効果をうたう商品も含め、不当表示に該当する事案に対する景品表示法に基づく厳正な対処でありますとか、製品の安全性に関する消費者への注意喚起、健康食品に係るリスクコミュニケーションなどを行ってきたところです。

 さらに、健康に関連する商品も含め、地方公共団体の消費生活センターにおいて、高齢者を含む消費者からの相談の受け付けや情報提供等を行っておりまして、消費者がどこに住んでいても質の高い相談を受けられる地域体制の整備が必要でございます。

 今般の法律案では、景品表示法の監視指導体制の強化、消費者安全法による消費生活相談員の質、量の確保、消費生活相談員の職の安定化などを内容としておりまして、今後とも、高齢化の進展をにらみながら、消費者被害の防止策の充実強化に努めてまいりたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 やはり、森大臣のお言葉にもありましたように、生への執着心というのから、本当にそこにうまくつけ込まれると、どうしても高額な商品を買ってしまうとかいうことはあると思いますので、その辺をきちんとただしていかなければなりませんし、そういう相談窓口、本当に相談相手というのが、今後、独居高齢老人のふえる中でただしていかなければならない問題だなというふうに考えております。

 質問をたくさん用意していたんですけれども、残りの時間もあと少しになりましたので、ちょっと割愛してお話を伺いたいと思います。

 最後に、ちょっと話が飛んでしまうんですけれども、消費者委員会ということについてお聞かせ願いたいと思います。

 消費者委員会の委員を務めておられた方の新聞投稿というのがあるんですけれども、建議や提言に当たり関係省庁と協議をする際、反対に遭って対応に苦慮をした、関係省庁を説得しそのまま勧告できたこともあれば、内容を改めることもあったというふうに実情を示されていらっしゃるようです。消費者の立場に立って各行政機関に改善を求め、行政の取り組みを検証できるようにすることが消費者委員会の大きな役割でありますけれども、行政を第三者機関が動かしていくというのは非常に厳しい、困難な問題に直面されることが多いというように感じております。

 当初、消費者委員会に期待されていた役割が、各省庁の行政の壁に直面しているように感じられるわけでありますけれども、間もなく発足五年を迎える消費者庁、消費者委員会の現状について、森消費者担当大臣の認識、問題意識などについてお聞かせください。

森国務大臣 消費者委員会は消費者庁とともに発足したわけでございますけれども、そのときは消費者庁の中に設けるという案もあったんですが、それをわざわざ外に外出しにしたことは、やはり、消費者委員会のチェック機能というものを重く見よう、そこを強化しよう、そういう考え方から設けられたわけでございます。

 しかし、その設立当初の理念どおりに運営されてきたかといえば、そうではなかったという意見もあります。そして、消費者団体等から、もうちょっとしっかりと動いてほしいというような意見書が出されたというような経緯もございました。

 そこで、私のもとに、消費者委員会、消費者庁、国民生活センターの三者の在り方検討会というのを設けまして、一年間ずっと検討してきたところでございます。その中で検討をしながら、並行して消費者委員会の運営についても私のもとで改革を重ねてまいりました。

 具体的には、消費者委員会の事務局の独立性を確保するために、その人事体制を強化しましたり、これまでは消費者庁が消費者委員会の事務局運営について強く関与をしていたわけでございますが、そこを切り離して運営し、報告は担当大臣である私に委員会から直接するようにというふうにあり方を変えてきたところでございます。

 今後も、消費者委員会の機能を最大限に発揮できますように、消費者問題を所管する特命担当大臣としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 力強い御答弁も多々いただいたと認識しております。健康被害を初めとして、消費者の方々が被害に遭わないように、しっかりとこれからも引き続き職務を頑張っていただきたいと思います。

 それでは、時間も来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 先般の参考人質疑で、樋口参考人から、終活、人生の最期の終ですね、そちらの方の活をいろいろお聞かせいただきました。その中で私の母親の事例を出しまして、実は、耳が悪くて、それで、昼間電話が来てもなかなか聞こえない、それで何とか、そういう消費者被害は、不幸中の幸いといいますか、防いでいるということを申し上げましたら、その後うちの母親からクレームが来まして、何でそういうプライバシーにかかわることをそういった公の場で言うのかということで、親不孝者ということで怒られてしまいました。私としても、個人的に反省しておりまして、ここで御報告する必要はないんですけれども、これで母親に対する言いわけをさせていただきたいと思います。

 そろそろゴールデンウイークが近づいてまいります。もうこの後、何日かでゴールデンウイークかなと思うと私もうきうきしてくるところでございますが、大臣は、ゴールデンウイークはどちらか御旅行等は御予定されているんでしょうか、どこもないんでしょうか。

森国務大臣 旅行の予定はございませんが、調査等の検討をしているところでございます。

柏倉委員 通告をしておりませんでしたが、答えていただきまして、ありがとうございます。

 森大臣は御地元は福島だと思うんですが、実は私、栃木でございまして、栃木の日光市というところがございます。そこは実は会津とくっついております。休日なんかは、会津からおそばを食べに来たり、こっちからまた会津の方におそばを食べに行ったり。今、ネットで、どこのおそばが、どういうのがおいしいんだというのがありまして、それを見て行くわけですね、こういうサービスがありますよと。なんですが、やはり、そのサービスどおりというのは半分ぐらいかなという印象があるということでした、地元の人ですね、三依というところなんですが。

 今はやはりいろいろな広告媒体で行きますので、実は、先般質問をしたのは、県をまたいだときにそういう不当表示があった場合はどこが管轄するのか、それは消費者庁がやりますということだったんですが、小さいものはなかなか消費者庁まで上がってきません。今、ネットの時代ですから、当然、県境をまたいで人が行き来して、情報も行き来して、そこでやはりネット被害、消費者被害に遭うわけですね。そこのところを都道府県に任せっきりではなくて、その県境のところも、デリケートな部分ですが、しっかりと詰めてほしいというお願いをさせていただきました。

 きょうは、実は、そのことに関して、大変大事な案件でございますので、大臣にも御答弁いただこうと思って、まず一問目をさせていただきたいと思います。

 いろいろな意見があるんですけれども、県と県でばらばらに運用されているんじゃないかというような不安もあるわけです。やはり、全然こういう指導が入らない県からまめに入る県まで、いろいろあって、これは本当に全国で統一された基準があるのか。人がそれを判断するわけですから、同じ人じゃないんですから、当然ばらつきはあるんですが、余りにそういう差があり過ぎるんじゃないかという不安も前回申し上げました。

 特定商取引法の例になりますけれども、ある県から行政処分を受けた事業者が、その処分を受けた後、ほかの県に移って被害を起こすというようなこともあったようです。こういったことがないようにぜひしていただきたいと思うんですね。

 現在でも、年度ごとに、「景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」というのをホームページで出されているようですけれども、これをぜひ有効活用していただきたいと思うんですね。しっかりと、研修用のテキストとしてこれを再構成していただいて、国、都道府県の担当者の間に、取り締まり対象となるような不当な景品類の提供行為とか不当表示の判断基準についてやはり共通認識を醸成してもらう。これは県の判断でという、各個の県に任せるんじゃなくて、やはり、全県でのある程度の共通の認識をここで判断してもらうような努力をしていただきたいと思うんですね。

 この「景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」というデータをやはり有効活用して、どのようにこの共通認識を醸成させていっていただけるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

森国務大臣 消費者庁では、これまでも、都道府県との間で景品表示法の解釈、運用について必要な情報交換を行ってまいりました。また、都道府県の担当職員に対して、過去の措置命令案件を取りまとめた資料等を用いて研修や広報を行ってまいりました。本法案により都道府県知事に措置命令権限等が付与されることに伴いまして、こういった研修や広報を一層充実させていくことが重要であると考えております。

 今般、地方消費者行政活性化基金の方にも、そういったメニューも用意させていただいております。先生の御指摘を含めて、必要な対応をとってまいりたいと思います。

柏倉委員 現在までも資料を用いて研修をしている、都道府県の人たちを集めてということなんですが、それでも、現状、十一か十二の県はこの十年で一回も措置命令を出していないという現実があるわけですね。

 人が違えば、当然、その理解も違う、判断も違ってくるというわけです。それが積もり積もって、十年でそれだけ差がついているわけですから、これはやはりしっかりとした、今まで以上の研修、それをぜひやっていただきたいんです。合同のカンファレンスをやはり定期的にみっちりと、もう合宿でやるとか、いろいろなことがあると思うんですね。そういうことを、ぜひ合宿をする場合はうちの地元の日光でよろしくお願いいたします。

 そうしましたら、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、適格消費者団体による差しとめ請求権についてお伺いしたいと思います。

 景品表示法に係る差しとめ請求権の実情なんですけれども、景品表示法には、適格消費者団体による差しとめ請求権の規定が設けられております。実際に、この差しとめ請求を行った事例というのはどれぐらいあるんでしょうか。内容もかいつまんで説明していただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 適格消費者団体によります景品表示法に基づく差しとめ請求の件数でございますが、不当表示に対しまして差しとめ請求ができるようになりましたのが平成二十一年四月一日でありまして、これから、つい最近ですけれども、平成二十六年三月三十一日までの間ですと、合計三十九件ということでございます。

 具体的な例といたしましては、美容外科クリニックによります、確実に若返る効果が得られるような表示でありますとか、腫れがなく、翌日から洗顔やメークが可能であるかのような表示でありますとか、健康食品会社によるものですけれども、その健康食品を摂取することで症状が改善されるかのような表示、また、インターネットの接続サービスとパソコンのセット販売で、パソコンを例えば百円と格安で購入できる、それだけ書いていて、接続サービスの月額料金、こうしたことが表示されていなかったという事例、そうしたものに対する差しとめ請求というのはこれまでございます。

柏倉委員 景品表示法に関する差しとめ請求というのは恐らくこれからどんどんふえてくるんだと思うんですが、ふやしていかなきゃいけないと思うんです。これだけ物が多くなっているわけですからね。

 そこで、今回の法案で、消費生活協力団体、消費生活協力員という方に見守り活動をお願いしているということなんですが、でも、実際にこの見守り活動をされる方も、今まで何となくは、これはおかしいなという雰囲気はわかっていると思うんですが、ただ、一定の基準というもの、そういったものをしっかりと理解して、ちゃんと摘発といいますか、その措置をできるようにしてほしいわけです。

 そういう意味で、見守り活動員と言われる方への啓蒙活動ですとか周知徹底等々、これは景品表示法違反の疑いのある事案について速やかに情報収集等をしてもらう必要があるかと思うんですが、そういったものに対する政府の対応策等々、もしあれば聞かせてください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案の中で、消費生活協力団体または消費生活協力員から適格消費者団体に対しまして、不当表示等の情報を提供することができるという規定を入れているわけでございます。

 したがいまして、今後、この法律が通りますれば、そうした協力団体、生活協力員の方々にも、こうした景品表示法の規定があること、また、景品表示法についてのそうした研修といったものも行っていくことを考えたいというふうに思っております。

 具体的には、こうした協力員の方々でございますけれども、地域で高齢者などの見守り活動を行っていただくわけですが、そのときに、例えば、ひとり暮らしのお年寄りが、効果が疑わしい高額の健康器具をチラシやパンフレットなどに表示があってそれを見て購入している、そういう状況があった場合には、ぜひ、こうした事実また広告宣伝物を適格消費者団体へ提供する、そうしたことを期待しているところでございまして、こうした条文が入ったということをしっかりと周知していきたいというふうに考えております。

柏倉委員 一つだけちょっと確認なんですが、この見守り活動員として御尽力される方、そういう人たちに対するインセンティブ、これはお手当でも結構です、そういったものは見込んでおられるでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 法案としては、手当というのは、国として、これらの方々に報酬を出すということは、とりあえずは見込んでおりません。地方自治体の実情の中で工夫をしていただくべきことというふうに考えております。

 ですから、さまざまな実情の中で、財源をにらみながら必要な措置をしていただけるものと期待しております。

柏倉委員 この質問をしたのは私だけじゃないのも十分承知をして質問をしているわけなんですけれども、やはり、特に地方、悪い言葉で言いますと田舎、僻地の人は、介護関係者、社協の人たち、見守りというのは、医療的な見守り、介護的な見守りで今はもう精いっぱいなわけですね。そういった中で、この消費者被害を未然に防ぐ、それは大事なことなんですが、やはりそういう財源的な手当、インセンティブというのをつけてやれば、なお一層その気でやってくれると思うんです。

 やはり人間ですので、ただやってくれと言われて、真面目にやる人の方が多いかもしれません。でも、やはりそういった細かいところへの心配りというのも、ぜひぜひこれは国と地方が一体になって考えていただきたいと思います。これは本当に、絵に描いた餅とどなたかおっしゃっていましたけれども、そういったことにならないように、しっかりと財源的なところも考えていただきたいと思います。これは要望でございます。

 そうしましたら、次は、課徴金制度について、またお伺いしたいと思います。

 先般、参考人質疑で、中村参考人から、JAS法その他の法令についても課徴金制度は勘案する必要があるということの発言がありました。

 この課徴金制度を景品表示法には設け、JAS法その他には設けないというその根拠をまず説明していただけますか。

森国務大臣 JAS法は、一般消費者の商品選択に役立てるため、事業者に対し、飲食料品等を対象に品質に関する表示を義務づける、表示の義務づけでございます。景品表示法は、表示を行う事業者を広く対象に、義務づけの表示であるかそうでないかにかかわらず、不当な表示を禁止するというものであって、そもそも両者は、その趣旨、目的が異なります。また、JAS法には、課徴金はございませんけれども、原産地等の違反に対しては直罰がございます。

 現在、不当な表示は、飲食料品以外の多様な商品、業種において発生をしています。ですので、すき間なく、幅広く、一般的に消費者利益を守るためには、景品表示法違反に対する執行力を強化することによって、全般的に対処をする必要があると思います。このため、事業者からやり得を剥奪するということで、不当表示に対する抑止力を高める仕組みとして、課徴金制度を景表法に導入するということが適切であると考えたわけでございます。

柏倉委員 両方とも表示に係る義務及び罰則規定ということだと思うんですけれども、消費者から見ますと、どちらも表示ですから、まとめてパッケージで、そういう法的な情報も国に提示してもらえるとわかりやすいんですね。細かい人は見ているところは見ていますので、そういうJAS表示とか。それは管轄が違うのかもしれません。しかし、消費者目線に立って、わかりやすい説明だけでもまずしていただきたいと思うんです。

 次は、不実証広告に対しての課徴金を適用する必要性に関して、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 これも参考人質疑で、不実証広告を不当表示として課徴金の対象に加えることに関しては賛否両論ありました。やはり企業側が萎縮してしまうという意見と、やはりこれは不当は不当だからしっかりとした罰則規定を設けるべきだという消費者の立場に立った意見と、二つあったかと思います。

 ただ、よくよく考えますと、不実証広告というのをどうやって不当表示であるということを、証明するのもなかなか難しいかなと思うんですね。

 どうやって不当表示というふうにやっているかといいますと、健康食品ですよね、もう何度も言われています、食べるだけで痩せると言ったところ、その合理的根拠を提出しろと言われたら提出できない、こういう場合は不実証広告、不当表示だということで措置命令が出せるということなんですけれども、不当抑制の観点から考えれば、この不実証広告とされるものが全て不当で課徴金に値するかどうかというのは難しいんですが、やはり、不当抑制の観点でやった方がいいんじゃないか、課徴金をしっかり適用した方がいいんじゃないかという意見がかなり多いように思うんです。

 それで、大臣も、四月十日の私の質疑の中で、これは不当表示全般なんですけれども、課徴金制度のあり方に、被害回復の要素が盛り込まれる課徴金制度にできればしたいというような前向きの御答弁もいただきました。

 この不実証広告に課徴金を課すべきかどうかというものに対する考え、そして、もう一回お聞かせいただければと思うんですが、やはり被害回復の要素をしっかりと盛り込んでいくかどうか、その決意も含めてお答えいただければと思います。

森国務大臣 まず、不実証広告規制でございますけれども、消費者委員会の中間整理が出たところでございますが、「積極的に否定する意見は見られなかった」というふうに取りまとめられております。

 そもそも、委員の今の御指摘のとおり、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料がない表示は、実体法的にも不当表示である蓋然性が高いものというふうに考えられますし、これまでの措置命令事件の適用状況を見ましても、措置命令件数百十件のうち三十件が不実証広告規制の適用によるものでございますので、こういった経緯、それから消費者委員会の議論を踏まえつつ、消費者庁としては、しっかりと検討を進めてまいりたいと思っています。

 二点目の被害回復でございますけれども、この課徴金の制度の主たる目的は行政処分としての抑止効果を主目的としておりますが、被害回復、または適格消費者団体等への支援も含めました広い意味での消費者被害の救済という視点についても、しっかりと検討してまいりたいと思います。

柏倉委員 企業倫理と消費者の方々との相克があってなかなか難しいかとは思うんですが、やはり消費者の皆さん本位の政策をぜひぜひ貫徹していただきたいと思います。

 次なんですが、今の問題と少し相矛盾しますが、今度は、逆に課徴金の減免措置をやはり検討した方がいいんじゃないかというような方もいらっしゃいました。

 根岸参考人がおっしゃっているのは、故意、過失といった主観的な要素を不要としつつ、主観的要素を欠くことを事業者側が証明した場合は賦課対象から除外すること、及び、下請法に倣って事業者の自発的な申告や被害回復措置を要件に課徴金を減免することというような提案もありました。

 景品表示法への課徴金制度の導入の趣旨からいえば、これはもう十分、こういった例外規定ではなくて、条件設定をしっかりするということも検討に値するんだと思います。

 この課徴金の減免制度措置について、現状の検討状況というのをお聞かせいただければと思います。

森国務大臣 根岸参考人の御指摘のとおり、課徴金の減免措置というのは参考になるというふうに考えております。

 違反行為者が自主申告や自主的返金を行った場合に課徴金額を減免するという制度設計について、消費者委員会においてもそのような意見があったわけでございますので、現在、消費者庁の方でも並行して議論をしているところでございます。

 それから、主観的要件のことについても御指摘がございましたけれども、主観的要件にするかどうかはともかく、良質な事業者が全く落ち度なく課徴金を課されるというようなことによって萎縮効果が生じないような制度設計を検討してまいりたいと思います。

柏倉委員 今大臣おっしゃっていただいたように、本当に罪の意識なくといいますか、偶然の事故ですよね、それで品質が一時的に低下したとかいうことも今後十分あり得ると思います。そういったものに対してしっかり配慮していくというのは、消費者を守ると同時に、やはり企業の人たちの萎縮をなくすという意味でも非常に大事なことだと思いますので、そこのところは、決して二律背反ではなくて、しっかりと両てんびん、きっちりバランスをしていただきたいと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。

 次は、消費生活相談員に関して質問させていただきます。

 今後、国家資格にして、相当な専門性の高い、高度なスキルを持った職種にする、それで消費者被害を未然に防ぐ、こういった大きな役割を担ってもらうということなんですけれども、これはかなりの気合いを入れた資格だと思います。

 そこで、この資格、どれぐらいのレベルの資格にするのか。これは答えるのはなかなか難しいかもしれません。ただ、国家試験の国のホームページを見ますとランクがあって、SとかAとかBとかCとかあるんですね。Sですと、弁護士さんとか公認会計士さんとか、そういった方がSなんですね。ランクづけがあって、ただ、合格率というのはそれとは比例していないわけですよね。例えば、Sに医師国家試験も入っていますが、これは合格率九割ですから。逆に、Bというところに入国警備官という方、これは二・三%しか合格していない。

 合格率とは関係なく、あえてランクづけした場合に、どこに、どれぐらいに位置づけるぐらい難易度の高い、社会的認知度の高いものにしていくのか、見解を聞かせていただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談の現場を見ますと、商品、サービスの複雑化、多様化、また取引方法、決済方法の多様化という中で、消費生活相談には高い専門性が求められるという状況にあります。政府としては、どこに住んでいても質の高い相談が受けられる体制を全国に構築するという方向でこの制度を考えているところでございます。

 また、この制度は、消費生活相談員になってから一定の経験の中でさらに実力を磨いていただくということも想定しているところでございますが、今回の登録試験機関制度におきまして、どの試験機関が実施する試験におきましても、消費生活相談を行うために必要な知識と技術を有するということをしっかり確認できるもの、そういうものを目指したいということでございますけれども、ほかの資格試験との比較という意味においては整理を行っておりませんので、抽象的な消費者政策の必要性としての私どもの考え方ということで答弁にかえさせていただければと思います。

柏倉委員 概念的なところはよく把握しております。

 ただ、もうこれはキックオフするわけですから、この資格を目指して勉強する人もこれから出てくるわけですね。内容そして難易度、こういったところでどれぐらいの相談員の方、人材が集まるのかというのは決まってきますので、地域間格差をなくしてほしいということを前回申し上げました。やはり地方の方がどんどんチャレンジできるレベルで、なおかつ、実のあるレベル、こういった内容的なものも、ぜひできるだけ早目に決めていただいて、広報していただきたいと思います。やはりチャレンジしたいという方は必ずいますので、ぜひ早目によろしくお願いいたします。

 もう最後の質問になりますが、消費生活相談の広域連携の可能性についてちょっとお伺いしたいと思います。

 一番最初、県境の事例はどうするんだというお話をしました。今度、これは県内で消費生活相談員が各市町村単位に分かれて活動するわけなんですよね。やはり自分たちの専門分野というのは違ってくると思うんですね。ある人は、健康食品だとかそういうものだったりするし、ある人は、終活に係るものだったりするし、いろいろなやはり専門性というのができてくると思うんですよね。

 ただ、その専門性の人が全部そろう市町村なんというところは、大都市以外ほとんどないと思うんです。となれば、ほかの市町村ともやはり同一県内で連携を図るということも前もって考えていくべきだと思います。

 ほかの市町村に専門性の高い人がいたら、その相談をその人に求められる、こういった相補的な関係を同一県内ではすぐにでもつくれると思うんですが、ここの、同じ域内の市町村のスーパーバイザーとして役割を果たすことが期待される消費生活相談員、県単位の広域連携について、現状、考えていることがございますでしょうか。よろしくお願いします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の相談員の実力という意味では、地域、各地さまざまな事情があろうかとも思いますけれども、一般論で申し上げますと、小規模な市町村において専門性の高い相談を受ける体制を構築することはなかなか難しいというふうに認識しております。

 一方、都道府県におきまして、市町村との連携を図りつつ、主として高度の専門性または公益の見地への配慮を必要とする消費生活相談及びあっせんが行われているというものと承知をしているところでございます。

 また、こうした背景のもとで、本法案におきましては、都道府県の市町村に対する援助の内容ということで、事務といたしまして、必要な助言、協力、情報提供その他の援助として新たに明確化したところでございまして、市町村の行う消費生活相談及びあっせんの事務に対して必要な助言、協力、情報提供その他の援助を行うことを職務とする指定消費生活相談員を置くということを都道府県の努力義務としたところでございます。

 商品、サービスの複雑化、多様化、取引方法、決済方法の多様化が進む中、こうした改正の内容を踏まえ、各都道府県におきましてできる限り幅広い問題への相談対応能力を確保していただきまして、小規模の市町村を含めまして、消費者がどこに住んでいても質の高い消費生活相談が受けられる体制を構築していきたいと考えております。

 また、国民生活センターにおきましても、さらにそうした都道府県をバックアップしていただきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

柏倉委員 域内の広域連携に関して、現状、余り考えていないというところでございます。これからの制度ですから、まだできていないのが当然なのかもしれません。ただ、そういう問題意識をぜひ持って、これから起こるであろう消費者問題を都道府県に任せっ放しということがないように、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、景品表示法の第七条について、それから、先週の金曜日に発表されました総務省の消費者取引に関する政策評価の内容について主にお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、今回の法改正の一つの目玉というか肝であります景品表示法第七条について伺います。

 今回、七条の改正というよりは、七条が丸ごと新たに新設をされたというような形になっております。どういう内容かといいますと、この第七条で、事業者が、自己が供給する商品、役務、取引について、これこれこういうことをやらないように管理体制を整えなければいけない、こういう七条の内容でありますが、よく見ますと、七条の前にある第四条、以下の表示をしてはならないと、やってはいけない表示が第四条に三つ並べて書かれております。いわゆる優良の話、それからあと有利誤認の話、そして三つ目に、そのほか総理大臣が指定した内容、この三つがやってはいけない表示として並んで列挙されて四条にはあるわけであります。

 一方で、七条の方には、この優良誤認のことしか法文上は書かれていないように見えます。私は、この七条にも、四条一項に記載してある有利誤認表示と、それから総理大臣による指定告示事項、これを七条にも追加をするべきだというふうに考えますが、恐らく御答弁は、その他に含まれていますということではないかと思います。しかし、ここは、本当によくよく見ると、やはり入れなければおかしいというふうに思うわけでありますが、その点について大臣の見解を伺います。

森国務大臣 七条第一項に基づいて事業者が講ずべき措置は、「景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害すること」を防止するために「必要な体制の整備その他の必要な措置」でありまして、これは、優良誤認表示のみならず、有利誤認表示、指定告示事項等、景品表示法で規制される事項全般、全てが当てはまるものとして規定をされております。

 前段で、景品表示法全体に係る目的規定の文言を引用することによって、後段の「必要な措置」には、法の目的を達成するために必要な措置として法に規定されるものは全て含まれるということを想定させた上で、禁止される過大な景品類の提供と不当な表示の例について、条文上、それぞれ簡潔に示すこととしております。

 本規定の趣旨については、今後、第七条二項に基づく指針の策定等において明確に示していくとともに、事業者等に対して丁寧に説明して、広く周知してまいりたいと思います。

井坂委員 七条の「その他」に入るんだろうなということで、ただ、実際、事が起こって、最後の最後、裁判などになったときに、では、そういうときに、「その他」の中に本当に有利誤認とか指定告示が入るのかどうかというのが曖昧になるのではないかという指摘を、私も地元の法律家から受けまして、議論をさせていただいているわけであります。

 これは、七条をやはりよく見ますと、少なくとも、「その他」には、有利誤認あるいは指定告示は入らないというふうに思うわけでありますが、どういうことかといいますと、四条の一項の一でどう書いてあるかというと、商品または役務の品質、規格その他の内容について、実際より優良な表示はだめですよ、こういうふうに書いてあるわけです。四条一項二には、また別建てで、商品や役務の価格その他の取引条件について有利なものはだめですよというふうに書いてあります。

 こういうふうに、同じ「その他」でも、「品質、規格その他の内容」、「その他の内容」となっているのが四条の一項の一で、四条の一項の二は「価格その他の取引条件」ということで、「その他の取引条件」、「その他の内容」ということで、「その他の内容」を全然違うふうに書き分けてあるわけであります。

 ところが、七条の方にはどう書いてあるかというと、「商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するため」の体制を整えなさいということで、少なくとも、この「その他」の中には有利誤認や指定告示は入らないというふうに思うわけでありますが、その点、私はやはり三つここに、コンパクトでもいいんですけれども、併記すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 少し繰り返しになってしまうかもしれませんが、七条では、「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、」「必要な措置を講じなければならない。」というのが全体でございまして、その例として、その間に「景品類の価額の最高額、」云々「その他の」というのが入っているというふうにこの条文はつくったということでございまして、そういう意味で、この規定でございましても、先ほど大臣から御答弁がございましたように、景品表示法上の対象となる全てのものについての必要な措置ということを講じなければならないというふうな意味というふうに考えているものでございます。

井坂委員 全部入る、ただ、いわゆる優良誤認だけをここに例として表示したんだということでありますが、もしそうであれば、私はやはり、せめて、本当に書かないとしても、では、七条の中に、「商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示」の後に、その他なのか表示等なのか、何かその辺が入らないと、何か本当に限定され過ぎているような気がするんですけれども、これは大丈夫なんでしょうか。

森国務大臣 「その他」という文言が七条一項の中に二カ所ございますね。委員の方が前半の方の「その他」の内容を引いて今御質問なさっていますけれども、私が一番最初の答弁でお答えしたのは最後のところにある「その他の必要な措置」の部分でございまして、こちらで全部読めるというふうに御答弁を申し上げているところでございます。

井坂委員 何かちょっと最初の「その他」は対象に係る「その他」だと思うんですね。最後の「その他」はやることに対する「その他」だと思うんですけれども、何か、普通に素直に読むと、最後の「その他」には、「体制の整備その他の必要な措置」ということであって、対象が何かそこの「その他」で拡大されるようには読めないんじゃないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

森国務大臣 いいえ、そういうことではございませんで、対象も含みます。

井坂委員 地元の法律家の方からは、なかなか出た法案は変わらないだろうから、しつこく聞いて、そうではないということぐらいは最悪確認をしてくれ、こういうことでありましたので、では、最後の「その他」の方で対象も、あくまで、最初に列挙されているもの以外も全部含まれるということで、ちょっと不満ではありますけれども、時間もありますので、以上とさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、楽天の問題について伺いたいというふうに思います。

 楽天がネットモールの出店業者にいわゆる二重価格表示を勧めていたのではないか、こういう疑惑、可能性について、消費者庁が調査を開始したというふうに伺っておりますが、その調査結果はどうなったか、参考人に伺います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この件につきましては、現在、まだ事実関係を調査中という段階でございます。

 したがいまして、ちょっと詳細については控えさせていただければと存じます。

井坂委員 楽天の調査に関しては調査中ということで、具体的なお答えはいただけないということでありましたので、一般論で次にお伺いをしたいと思います。

 いわゆるインターネットモールの運営会社、これは別に楽天の話ではなくて、あらゆるインターネットモールの運営会社は、これは本法律の範囲外、対象外となるかと思います。今回、楽天がどうなるかわかりませんけれども、もし、いわゆる有利誤認表示をモール会社の方が教唆というか、やった方がいいですよ、やった方がホームページの上の方に表示されますよ、こういうようなことをモール運営会社がやっていた場合、これは本法律では全く何もできないおそれがあるわけでありますが、法律の変更、追加、または、それができないのであればネットモール運営会社に対しては別途明快な対処が必要ではないかと思いますので、その点について大臣にお伺いをいたします。

森国務大臣 消費者に対して商品、役務の提供を行っている事業者が対象でございますので、ネットモールの運営会社については通常は景品表示法の対象とならないことが多いと考えられますが、運営会社と出店業者が共同キャンペーンを行うなど、販売を共同して行い、共同で広告を行っているといった事実が認められる場合には、運営会社も商品、役務の提供及び表示を行っている事業者というふうに認定をできることから、そのような事実が認められる場合には厳正に対処してまいります。

井坂委員 共同のキャンペーン、あるいは共同のそういう何かをやっている場合は対象にも含め得るという御答弁だったというふうに思いますが、共同でキャンペーンをやっていなくても、あるいは、要はネットモールの仕組み上、何かそういうことをやった方がいいような形になっていることも考えられるわけでありますけれども、そういった今おっしゃったような共同キャンペーンでなかった場合は、これはもう法律の対象にならない、そして、そこには消費者庁としてはもうおとがめなしということになるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法の対象は、自己の供給する商品または役務についての表示、そういう表示をしている人がまさにその不当な表示をするわけでございますので、そういう事業者が対象ということでございます。

 したがいまして、ネットモールについては先ほど大臣から御答弁があったとおりでございますが、これはネットモールだけではなく、例えばショッピングセンターでありますとか百貨店の中にある店舗、これも同じでございまして、基本的には、その商品、役務を供給した方がした表示が不当表示であれば、その方が、その人、事業者が違反の対象になるということでございます。

 ただし、先ほどもありましたとおり、共同でやっている、つまり、運営会社の方も表示をしたと言えるような場合にはその運営会社も対象になるということでございます。

井坂委員 今のお答えは、共同キャンペーンをやったとは認められない場合は、ネットモール会社についてはおとがめなしということになるという理解でよろしいでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる現実にある不当な表示があった場合に、その表示をした人が景品表示法の対象になりますので、その運営会社がまさにその場所を貸しているだけということでございますと、一般的には景品表示法の対象ではないということになろうかと思います。

井坂委員 今回の楽天の件、よく調査をしていただきたいというふうに思うんですよ。

 もちろん、最終的にどうなるか、私も確定的なことは申し上げられるわけではありませんけれども、ただ、おっしゃっているのは本当に単なる場所貸しで、そこでどんな商売が行われているか、貸している場合は貸している側は一切わからない、こういう単なる場所貸しであれば、何もそういう場所貸しをしている側は指導や処分の対象にすべきではないともちろん思いますが、ただ、今回の楽天の場合がどうなるか、あるいは、今後そういうネットモールが出てくるかわかりませんけれども、およそもう単なる場所貸しとは言えないような、かといって、共同でキャンペーンをやっている、共同でこの商品を売ろうとたくらんでいる、そこまでも言えないような非常にグレーな事案に、調査の結果、なろうかというふうに思います。

 そういった場合に、本当にこの法律できちんとやるのか、あるいはこの法律の外側で対処するのか。私は、多分、今の参考人のお答えだと、ネットモールの場合、このグレーな事案については消費者庁として対応できないのではないかというふうにやや危惧をするわけでありますが、この問題は、最後に大臣に今のやりとりを聞いていただいてどのように考えておられるかお伺いをして、終わりにしたいと思います。

森国務大臣 景品表示法の目的は、消費者が商品を選択するときにその選択権を保障するために正しい表示をしてください、その正しい表示が不当な表示であった場合には、そこを行政処分することによって、消費者の商品選択の権利を保障するというところにございますので、その不当な表示をどこが行っているかということの認定にかかってくると思います。

 出品業者が行っていれば出品業者に厳正な処分をするということで、消費者利益の確保が図られると思いますけれども、個別の事案については、その仕組みがどうなっているか等もしっかり精査をして、処分を行っていくということになると思います。

井坂委員 原則論は大臣がおっしゃったとおりだと思います。そういう表示をした側が罰せられるべきだと思うんですが、ただ、今回のように、では、それを唆したらどうなるのか、あるいは、明示的に唆さなくても、不当表示をした方がいわゆるモール上で有利な位置に表示されるとか、仕組み上そういうインセンティブが働いていた場合はどうなるのか。そういうインセンティブ設計をした側、あるいは暗に唆した側に対して、おとがめなしでよいのかというのが私の問題意識ですので、ぜひ今回の調査の結果も踏まえて、漏れのないようにしていただきたいというふうに思います。

 次に、総務省から出されました、消費者取引に関する政策評価書の内容について伺います。

 午前中に民主党さんからも一部言及がありましたので、飛ばさせていただきますが、具体的に問題として挙げられている中で、幾つか質問をいたします。まず、PIO―NETの問題について伺います。

 消費者安全法三十八条に基づく注意喚起、この注意喚起をすれば、その後はそういう商品を買う人、購入契約する人ががくっと減っていますよ、いい効果が出ていますよというふうに、行政評価をする総務省側から言われているわけでありますが、ただ、一方で、その注意喚起をするタイミングがやや遅いのではないですかというふうに指摘をされております。大体、消費者相談のピークを過ぎてから四カ月以上たってからようやく注意喚起された。要は、多くの人が被害に遭った後で、もう下火になりかけたころに注意喚起がされた例が全体の半数近くあるというふうに指摘をされております。

 当然、もっと早く注意喚起をすべきなのは、これは疑うところはないわけでありますが、なぜそうなったのかという主な原因の一つとして、そもそもこのネットへの登録が大幅におくれているという指摘がされているわけであります。

 これも、消費者センターによって登録の早い遅いがあるわけでありますけれども、相談受け付けから登録まで、全国平均でも三十三・一日である、一番長いところだと平均で百五十六・七日かかっている、そういうセンターもあるということでありますから、これだけかかっていると、何かネットで情報共有している意味がないというふうに思うわけであります。

 当然、その点、指摘を受けたわけでありますけれども、今回のPIO―NETへの登録が大幅におくれている現状、大臣としてどう是正されるのか、伺います。

森国務大臣 PIO―NETへの情報登録に時間がかかり過ぎたという指摘は、複雑化、多様化、広域化する消費者被害の発生、拡大の防止に速やかに対応する観点から、直ちに改善すべき課題であると認識をしております。

 今回の総務省からの指摘は、平成二十四年度までのPIO―NETの運用状況を分析して、今回の勧告を受けたものでございますけれども、二十四年度の後の二十五年度からは、国民生活センターへの中期目標を消費者庁の方で定めるんですけれども、こちらの方でPIO―NETの刷新を行うことを定めまして、刷新後における平均登録日数を十日以内まで短縮することということを指示し、そのように記載をさせていただきました。

 具体的には、地方公共団体の理解と協力を得て、入力項目の削減を実施するとともに、事業者名や件名といった一部の項目について、仮登録データとして他機関の閲覧に供する仕組みを導入するなどの方策を進めているところでございます。

 また、刷新への取り組みに加えて、地方公共団体に対し、登録の迅速化を要請するとともに、登録の短縮化に成功している地方公共団体の事例を紹介するなど、PIO―NETへの登録迅速化に向けた取り組みを多角的に進めてまいりたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 いろいろ理由はあるでしょうけれども、最長百五十六日かかっているところもあれば、平均で三・八日でやれているところもあるわけでありますから、ぜひ、全国、相談から登録まではそれぐらいのスピード感でできるようにならしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、複数の都道府県にわたる広域被害の情報共有について伺いたいと思います。これは参考人にお伺いをいたします。

 消費者被害、複数の都道府県で被害情報の共有まではされている。ただ、共有はされていても、結局、最後の行政指導は単独の県でやってしまって、その結果、その県では被害が減るけれども周辺の県では被害が引き続き起こる、あるいは、その指導があった県から周りに逃げて、場合によっては周辺の都道府県が被害がふえる、こういったことが実際に起こっているようであります。

 広域被害に対する都道府県との連携、協議について、今回総務省から指摘をされたわけでありますが、この点、どのように改善をするのか、参考人にお伺いをいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、特に特定商取引法等の広域被害に対します都道府県との連携、協議でございますが、これに関しましては、今回の勧告を踏まえまして、従来から、都道府県と国との連絡会議を開催したりでありますとか、さらに、都道府県と国で一緒に合同調査を行う、こういう場を設けてございますが、これをさらに一層活用していきたいと思っています。

 特に、その中では、行政処分等の実績については都道府県によってかなりばらつきがございまして、特にそういう実績の低い都道府県に対しましては、こういう場を通じて、必要な助言、相談対応を強化してまいりたい、このように考えている次第でございます。

井坂委員 そうした各都道府県のばらつきというのは、今回の委員会でも本当に各党から指摘をされている部分ではあろうかというふうに思います。

 そういった指導方法の標準化でありますとか、もちろん最後は標準化したものを研修して、きちんと現場で実施してもらうということでありますけれども、まず、標準化ということについて、どういうふうにやっていかれるか、重ねてお伺いをいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この点も今回の勧告等で御指摘いただいてございますが、都道府県に対しまして、まさに調査手法に関する標準的なものを提示していくという形で、これは、国の方において積極的にこれを提示するなど、支援、助言を行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

 そういう形で、それぞれの都道府県の弱いところといいましょうか、そういうものについては強化をし、全国的なレベルアップを図っていきたい、このように考えている次第でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、総務省がいろいろ行政評価の視点から消費者庁の仕事を見ているわけでありますけれども、今回の効果を総務省なりに測定しているわけです。その中で、各種の法改正によって、その後、相談件数がどれだけ減ったかということで、実際の被害の数もそれに応じて減っただろうというふうにみなして指標をつけているわけであります。

 その中で最も法改正によって相談件数が減った事例、これが平成二十一年に法改正をされました商品先物取引法であります。商品先物取引業の規制を強化した平成二十一年の法改正によって、法改正前と後で相談件数が八六・六%減った、これが今回最も数字の上で効果が出たと総務省に評価をされている法改正ではないかというふうに思います。

 ところが、先般からこの委員会でも問題視をされておりますように、一方で、今政府では、商品先物取引の規制緩和、七十歳より下の方で、そして七日間の熟慮期間があれば、またこれまでのように営業を行ってよいという大きな抜け穴がつくられようとしているわけでありますが、この間最も効果のあった法改正である平成二十一年の商品先物取引業の規制強化、これを、思い切り時計の針をもとに戻して、効果を無に帰してしまう可能性があると私は危惧をしているところでございます。

 参考人にお伺いしますが、さきの委員会の中の大臣の答弁で、協議をしていく、少なくとも意見を言わせてもらう場を求めていく、こういう答弁をいただいたわけでありますが、その後、協議はどうなったかということについてお伺いをいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますが、消費者庁としましては、消費者取引の安全性を確保し、消費者被害の未然防止、拡大防止を図る観点から、商品先物取引における不招請勧誘規制のあり方について、経産省、さらに農水省との間でしっかり協議を進めてまいりたいと考えてございます。

 今週中にも正式の協議の場を設けるべく、現在、調整を進めているというところでございます。

井坂委員 今週中に協議ということで、ぜひ強くやっていただきたいのは、消費者庁がこれまでされた法改正の中で最も相談件数を減らした法改正が巻き戻されようとしている、こういうことでありますから、ぜひ、協議とか意見を言わせてほしいというレベルではなく、絶対に許さないという立場で当たっていただきたいというふうに思いますが、大臣、一言、その決意をいただきたいと思います。

森国務大臣 本日、消費者委員会で、まさにこの商品先物取引法施行規則改正の趣旨について、両省が集まり、農水省と経産省が委員会の場で説明を行う予定でおります。

 それを受けて三省の協議の場が設置されるわけでございますが、先般の御質問にも御答弁申し上げましたとおり、閣議決定の場で、顧客保護の視点をしっかり書き込んでおりますので、消費者庁としては、その点をしっかり申し上げていきたいと思います。

井坂委員 二十一年の法改正で相談が八六・六%減ったのが、また今回抜け穴ができて相談件数が二倍、三倍にふえた、あるいは、平成二十一年より前の段階に戻ってしまった、くれぐれもこういうことのないように、消費者被害を減らすという、ある意味、消費者庁の一つの大きな目標が達成できている大事な大事な成果でありますから、きちんとそこは死守をしていただきたいというふうに申し上げて、本日の質問を終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 前回の質疑に続きまして、まず、景品表示法の改正関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 法案の柱の一つでありますが、他省庁等への権限の委任についてお伺いします。

 他省庁等への権限の委任については、消費者の利益擁護の観点から、不当表示撲滅に向けた実効性のある運用でなければ意味をなさない、前回の法案審議から強く訴えてまいりました。

 現在併任されています食品表示Gメンについて、森大臣がおっしゃる恒久的の意味するところ、すなわち、現在の併任から本法施行後の委任まで、切れ目なく食品表示Gメンに調査業務を続けさせられるのか、さらには、特に高齢者で被害が増大をしている金融商品関係に関して、金融庁の関係職員への恒久的な調査権限の委任についてお尋ねをいたしました。また、食品表示関係では、食品衛生法に基づく都道府県の食品衛生監視員についても委任の予定をお尋ねいたしました。

 しかし、森大臣以外は、いずれの答弁も、今後検討します、よく相談をしていきたいと思います、予定はありませんなど、景品表示法改正の重要な柱であるにもかかわらず、委任を受ける省庁側の答弁が大変心もとないものばかりで、この法案の成立をぜひとも応援していきたいと私どもも考えているところではございますが、その一方で、成立後に本当に有効に活用されるのか、甚だ心配でなりません。

 その理由は、まさに、先般集中して質問をいたしましたとおり、この規定は、各事業所管大臣に委任することができるという規定、すなわち、委任ですから、消費者庁長官は委任できるだけで、実際は、どのような体制で、どのような範囲を、どのように調査等を行うのか、あるいは行わないのか、当該所管大臣の指揮命令のもとで行われることになるというものだからでございます。

 したがって、どれだけ事前に協議を交え、決め事をつくっておき、問題が拡大する前に、円滑に他省庁による調査等業務が行えるかがポイントになるというふうに考えます。

 さらに、この規定に例示されています緊急かつ重点的に対処する必要があるとき、すなわち、一時的重大性のある事案が発覚したときだけの運用になっては、数年置きに繰り返されます食品偽装表示の問題がまた繰り返されることは明白だということであります。

 だからこそ、その他政令で定める事情の中身に踏み込んで、繰り返し質問をいたしてまいりました。

 そこで、改めてお尋ねをいたします。

 同規定に基づきまして、農林水産省は、現在消費者庁と併任の食品表示Gメン等を、本法施行後、併任から、切れ目なく恒久的に業務遂行できるよう、消費者庁からの委任を受けるということでよろしいでしょうか。政府参考人に、再度、確認の意味でお伺いをさせていただきます。

福島政府参考人 青木委員にお答えします。

 食品表示Gメン等の消費者庁職員の併任につきましては、昨年秋に表面化した外食等におきます不適正表示事案を受けまして、現行の法制度下で早急に実施可能な臨時的措置として行ったものでございます。

 今回の景品表示法改正案におきましては、御指摘のように、第十二条第三項におきまして、事業者に対して、命令、勧告を効果的に行う上で必要があると認めるときに、消費者庁長官の調査権限を事業所管大臣である各大臣に委任するということになっているわけでございます。

 外食等におきます表示の適正化、これは非常に重要な問題でございます。この改正法のもとで、消費者庁長官から農林水産大臣に対しまして調査権限を委任する、そういうことになりましたら、農林水産省といたしましても、消費者庁と調整を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

青木委員 少々曖昧な御答弁かなというふうに思うわけでございますが、再度御確認をさせていただきますが、本法施行後、併任から切れ目なく業務遂行するということの確認でよろしいでしょうか。

福島政府参考人 この改正法案におきます委任の中身につきましては、十二条第三項におきます規定が、政令で定める事情があるために、事業者に対して命令、勧告を効果的に行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところによって、消費者庁長官の調査権限が委任されるということでございます。

 その政令で定める中身等については、これから政府内で決定していくわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、外食等におけるそういう表示の適正化の問題に鑑みて、適正に対応してまいりたいと考えております。

青木委員 さらに、警察庁、そして金融庁、厚生労働省についてもお伺いをさせていただきます。

 いざというときに機動的に対応が図られるよう、消費者庁との日常的な情報交換、あるいは定期的な協議会を設ける等、関係省庁の連携強化をぜひ図っていただきたいというふうに思いますが、警察庁、金融庁、厚生労働省にそれぞれお伺いをさせていただきます。

宮城政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、不当な表示等に関しまして、食品表示等関係府省庁会議の場を活用するなどいたしまして、情報の交換を行ってまいりました。こういった中で、消費者庁から情報の提供を受けて捜査が大きく進展したという例もございます。今後とも、消費者庁を初めとする関係行政機関とは緊密に連携をしてまいりたいと考えてございます。

 また、御提案のありました定期的な協議会でございますが、これについても、消費者庁から御提案があれば、これに適切に対応してまいりたい、このように考えてございます。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましても、消費者庁との連携につきましては、個別の事案につきましても、あるいはその普及啓発活動につきましても、自来、連携を図っておりますし、また、金融トラブル連絡調整協議会、これは金融庁主宰のものでございまして、消費者庁あるいは国民生活センターの方も入って、自来、長らく定期的に開催している協議体がございます。

 また、消費者庁主宰の担当課長会議もございまして、これも金融庁から積極的に参加しまして、その連携を図ってきているところでございまして、先生御指摘のような消費者庁との連携というのは、金融庁におきましては、投資者、被害者保護は大変重要な政策課題でございますので、しっかり連携を図ってまいりたいと思っております。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 食品表示の不正事案につきましては、厚生労働省といたしましても、食品表示等関係府省庁等会議の方針を踏まえまして、消費者庁と連携をいたしまして、関係業界に対しまして表示の適正化の徹底を求めるなどの対応をとってきたところでございます。

 今般の景品表示法改正法案におきましては、行政機関の相互の連携の確保や事業所管大臣への調査権限の委任に関する規定が盛り込まれていると承知しております。

 厚生労働省としても、こうした景品表示法の改正の趣旨も踏まえまして、緊急かつ重点的に対応する必要がある場合等における機動的な対応ということも視野に置きまして、日ごろから消費者庁と緊密な情報交換を行うなど、連携強化を図ってまいりたいと考えております。

青木委員 御答弁ありがとうございます。

 私どもの心配が払拭されるまではちょっと至らなかったのでございますけれども、森大臣にぜひお伺いをさせていただきたいというふうに思いますけれども、今、消費者庁からの提案があればとか、あるいは緊急かつ重点的な場合とか御答弁の中にございましたけれども、今の各省庁の政府参考人の皆様方の御答弁を聞いて、森大臣として、今後、他省庁への権限委任が実効性ある運用につながるというふうに思われましたでしょうか。

森国務大臣 何が何でも、いつでもどこでも委任をするということになると、事務が膨大になってしまいまして、逆に適正な行政処分が遅延するということもあると思います。

 私は、食品については、やはり食品の安全ということにもかかわりますし、大変重大な問題だというふうに認識しておりますので、特に農水省の食品Gメンに臨時的に今回措置をしたところでございまして、これは、ぜひ切れ目なく行ってまいりたいと思いますので、法律が成立いたしましたら、これは委任をしたいというふうに思っておりますので、農水省と調整を進めてまいりたいと思います。

 しかし、その他の省庁とは常日ごろ連携をしておりまして、消費者庁が主宰している消費者政策担当課長会議において関係省庁が出席をしていただいておりまして、連携をとっておりますので、重大かつ緊急な事案のときには、この法律に書いてあります発令も視野に入れながら検討をしてまいりたいと思います。

青木委員 御答弁ありがとうございます。

 むしろ、森大臣の御答弁の方がちょっと前向きに響かなかったのですけれども、ぜひ関係省庁、この事案も幅広うございますので、日ごろから連携を図っているという御答弁を伺いましたので、引き続きのお取り組みをお願いしたいというふうには思いますが、緊急かつ重点的にという、これは、一時的な重大性のある事案が発覚したときだけの運用になるのではないかという心配があるものですから、こうした不正表示撲滅に向けた、あくまでも消費者の利益擁護の観点から、実効性のある運用に、ぜひ消費者庁として森大臣にも頑張っていただきたいというふうに思います。

 各省庁におかれましては、ぜひとも、今後とも、消費者庁と連携を図りながら、事前の省庁間の協議をしっかりやっていただきたいということを強く御要望申し上げたいというふうに思います。

 各省庁の参考人の皆様におかれましては、この論点につきましてはこれまでにいたしたいと思いますので、御退席をいただきまして、大変ありがとうございました。

 それでは、次に、消費者安全法の改正の関係について、質問を移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、都道府県における消費者行政についてお伺いをいたします。

 消費者庁の調査によります地方消費者行政の現況を拝見いたしますと、消費生活センター、相談窓口の設置数など、地方消費者行政関係の数値は全体として増加傾向にありますけれども、都道府県については、センター設置数が、平成二十一年の百二十三から、平成二十五年、百六に減少、相談員数は、平成二十二年、七百三十六人から、平成二十五年、六百八十七人に減少、受け付け相談件数は、平成二十一年度、約四十万五千件から、平成二十四年度、約三十万六千件に減少、消費者行政予算は、平成二十三年、七十五億円から、平成二十五年、五十五億円に減少、消費者行政担当事務職員数、平成二十三年、一千九十三人から、平成二十五年、一千五十三人に減少、いずれも減少いたしております。

 まず、消費者行政担当事務職員についてお伺いをいたします。

 都道府県の消費者行政担当事務職員数については、消費者庁の設置のころから増加傾向にありましたけれども、再び減少いたしまして、消費者庁設置前の水準、平成二十一年、一千六十二人でございましたが、設置前の水準に戻ってしまったように見受けられます。

 今回の改正案によりまして、都道府県に措置命令等の権限が付与されることとされておりますが、都道府県において、景品表示法に従事をする専従職員数と兼任を含めた人数、何名でしょうか。その数の推移も御存じでしたら、その傾向を御説明いただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県での景品表示法に従事している職員の数ということでございますが、都道府県から報告を受けております数がございますが、これは兼任者も含めた数でございまして、専任者のみというのはちょっとないものですから、申しわけございませんが、兼任者も含めた景品表示法に従事する職員数ということでお答えさせていただきます。

 これは、平成二十六年四月一日現在ということで約二百八十人でございます。この職員数は、平成二十四年度以降、増加傾向にあるという状況にございます。

青木委員 ありがとうございます。

 まずは、この景表法の実行部隊であります担当事務職員の確保、これはまず手当てをされなければならないだろうというふうに思うわけでございますが、景品表示法の消費者庁移管後に措置命令権限を都道府県に付与するための改正が行われなかった、その背景として、体制不備などの理由で、都道府県側が必ずしも権限付与を望んでいなかったというふうに伺っています。

 平成二十三年十月から平成二十四年一月に開催された景品表示法のブロック会議におきまして、都道府県の景品表示法担当部署から消費者庁が意見を聴取いたしましたところ、合理的根拠の提出要求権限の付与については三十七都道府県が賛成をいたしましたが、措置命令権限の付与については、積極的に賛成したのが十都府県であり、そのうち、付与を希望したのは三都府県にとどまったとのことであります。

 このときの都道府県からの反対意見といたしまして、訴訟リスクの大きい措置命令のみだと、執行に後ろ向きにならざるを得ず、結果的に執行力が弱体化する、合理的根拠の提出要求権限を付与されても十分に使いこなせないという反対意見があったとのことであります。

 その後、平成二十五年十二月に全国知事会から都道府県への権限付与について改めて要請があったわけですが、果たして現場での受け入れ体制が整っているのか、懸念がございます。

 消費者庁では、都道府県の景表法担当部署の体制整備について把握されていますでしょうか。平成二十四年に都道府県側から出された反対意見については、その問題は解消されているのかどうか、お伺いをさせていただきます。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十三年の十月から平成二十四年の一月に開催した景品表示法ブロック会議において意見を聞いたところでは、先生今お話があったとおりでございまして、それぞれ反対意見もあったところでございます。

 ただ、昨年の十二月に、今もお話がありましたが、全国知事会から、措置命令権限等の付与、これについて知事会としての要望というのが出されまして、それを踏まえて本法案を提出しているところでございます。したがいまして、この間に都道府県の方のお考えも大きく変わったのではないかというふうに考えております。

 また、都道府県の方で、現在の状況でございますが、先ほど申しましたとおり、全体の数というのは聞いておりまして、ここ三年間増加傾向にあるというものは見てとれるわけでございますけれども、まさに今、改正を見越して、例えば部署を強化しているかどうか、この状況は具体的には今は把握はしていないところでございますけれども、この知事会からの要望ということもございまして、また、実際に従事する職員数は、このところ、わずかながらも増加傾向にあるということでございます。

 各都道府県の御努力というものにも大きく期待したいというふうに考えているところでございます。

青木委員 今後、この景品表示法施行に関する都道府県担当職員については、質、量ともにその増強が望まれるところではございます。

 先日来の質疑の中で地方消費者行政の活性化基金の活用について答弁されていますが、都道府県側から、改正を見込んで景表法担当部署の強化に動き出したところは実際ございますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在まさにどういう動きかというところについては、残念ながら、ちょっと今把握しておりませんけれども、地方消費者行政活性化交付金でございますが、いわゆる景品表示法の担当職員に対する研修など法執行の強化を図るための事業にも使えるということでございまして、実際にもそういうことを考えているところはあるように聞いております。

 したがいまして、この積極的な活用というものも大いに期待しているところでございます。

青木委員 この景表法はことしの終わりにももう施行されるというふうに思いますので、今から動き出してようやく間に合うというような状況だというふうに思います。ぜひ、消費者庁といたしまして、今からこの都道府県の動きにやはり注視していただく必要があろうかと思いますので、早急にその辺のお取り組みをお願い申し上げたいというふうに思います。

 もう一点、お伺いをいたします。

 先日、都道府県が行う措置命令はその県域内にしか効果がなく、複数の都道府県にまたがる事案については消費者庁が取り扱うという御答弁がございました。

 現在でも、関東の五都県や関西の四府県、不当表示に関して連携して調査をしたり指示を行ったりという事例がございます。また、特定商取引法についても同様に、都道府県が連携して同時に行政処分を行う例がございます。

 県域をまたがる事案については、消費者庁が行えばその効果が全国に及ぶという点で大変効率的と思いますけれども、こうした都道府県連携の強化とともに、今後は消費者庁も複数の都道府県と共同で措置命令を出すという形がよいと考えますけれども、実際、そのような形も想定されているのでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 従来から、消費者庁は都道府県と連携して法執行を行ってきたところでございます。今般の法改正によりまして、都道府県においても措置命令を行うことが可能になるということで、基本的には国と都道府県の役割分担ということが必要になろうかと思っております。

 したがいまして、基本的には、都道府県は主としてその県域内にとどまる表示、また、それ以外のものは国ということになろうかと思っておりまして、しかしながら、まさに御指摘のとおり、現在でも複数の都道府県が共同して事案を行っているというものもございます。

 したがいまして、都道府県単独または複数の都道府県で執行する、さらに消費者庁も複数の県域にまたがるものを執行するということで、三者で一番適切なやり方というのを情報交換しながら選んで、効率的に進めていきたいというふうに考えております。

青木委員 大変よくわかりました。よろしくお願いいたします。

 次に、都道府県の相談体制についてお伺いをさせていただきます。

 平成二十四年度における都道府県のあっせんの割合、政令市の七%、市町村の九%と比べますと、六%弱と低い状況にございます。経験豊富な相談員が多いと考えられる都道府県においてあっせん割合が低い、この状況をどのように分析されていますでしょうか、消費者庁にお伺いをいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活センター等の相談窓口において受けた個別紛争に係るあっせん率につきまして、都道府県、市町村等との比較ということでございます。

 御指摘のように、都道府県の割合につきましては、市区町村におけるあっせん率と比較すると低くなっております。

 その要因につきましてでございますけれども、都道府県と市区町村との役割の違いというふうに考えますと、まず一番目に、都道府県の場合は、広域的な見地を必要とする相談に応ずるということになっておりますので、複雑かつ高度な案件を取り扱うケースが多いのではないかというふうに考えております。

 それから第二番目に、都道府県は、市町村相互の連絡調整及び技術的援助を行う、現行法でもそういうふうになっておりますので、市町村からいわゆる経由相談ということで御相談があるというケースが多いということと理解しておりまして、市町村に対する助言指導というのが仕事のうち一定数あるいはかなりを占めるという場合があろうかと思います。そういう場合には、事業者と消費者の間に立って交渉をするという意味でのあっせんというものが相対的に低くなるのではないかというふうに考えているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 都道府県は、全相談件数のうちの三分の一を受け付けていますが、相談員数は全体の二割にすぎません。あっせんの割合が低いことも含め、業務量に比べて十分な数が配属されていないのではないかというふうに考えられるわけですけれども、その点について、消費者庁にお伺いをいたします。

川口政府参考人 都道府県におきまして、業務量に比べ十分な相談員が配置されていないのではないかという御指摘についてでございますが、都道府県は、市区町村の消費生活センターに比べますと、幾つか特徴がございます。

 まず、平均開所日数、一週間のうち何日あいているかということでございますが、これが総じて長いという傾向にございます。それを反映いたしまして、相談員一人当たり週当たりの勤務時間が長い傾向にあるということが考えられます。それから、二番目でございますが、先ほど申し上げましたことでございますけれども、相談の受け付けのほか、市区町村への助言指導を行っているという特徴がございます。ですので、相談件数及び相談員数の全体に占める割合のみで、十分あるいは不十分といった判断はなかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、市町村への助言指導を行う都道府県と消費者の身近な窓口である市区町村がそれぞれに求められる役割に応じて相談員が配置され、充実した活動を行っていただくべく、地方消費者行政活性化基金等を通じまして支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

青木委員 御答弁ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたとおり、都道府県にかかわるさまざまな相談員数あるいはその割合、さまざまな数字が減少しているわけですけれども、その数字の意味するところをまずしっかりと評価をしていく必要があろうかというふうに思います。

 最後の質問になります。

 都道府県の現状への評価、そして消費者行政の目標値の設定について最後にお伺いをさせていただきます。

 消費者相談に関しまして、都道府県はその中心的役割を担うということが期待されているかというふうに思います。その旨は消費者基本法においても規定されておりますし、今回の改正案において指定消費生活相談員制度を設けたのもその一環と存じております。

 地方消費者行政強化作戦におけます政策目標は大変結構なものでございますけれども、地方消費者行政が全体として上向いている中で、都道府県だけが予算も人員も大きく減少しているということを大変懸念しているところでございます。

 地方消費者行政強化作戦においては、人口五万人以上の全市町に消費生活センターを設置、人口五万人未満の市町村は五〇%以上に消費生活センターを設置といった目標を掲げていますけれども、都道府県に対しても何らかの目標を掲げるべきではないかというふうに考えます。

 近年の都道府県の消費者行政の現状を見ますと、消費者行政を市町村に任せて、みずからは撤退しているようにも思えてなりません。市町村の相談体制が充実をしても、地方消費者行政の充実・強化のための指針にもありますように、センター・オブ・センターズとしての都道府県の役割は変わることはありません。

 都道府県が、相談、あっせん業務、また法執行等において地方の中心的役割を担い続けるためには、これ以上の減少に歯どめをかける必要があると考えます。消費者庁では、都道府県のこうした傾向についてどう評価をされ、また都道府県にも何らかの目標値を掲げてはいかがかと思いますけれども、消費者庁の御答弁を求めます。

森国務大臣 大変よい御指摘だと思います。

 地方消費者行政活性化基金の活用により着実な成果が出ている一方で、小規模な地方公共団体を中心に消費生活相談体制の実質的な強化に課題が残る現状を踏まえまして、本年一月に地方消費者行政強化作戦を定めまして、御指摘のような市町村を中心にゼロ地域をなくしていくという具体的な目標を定めたところでございますが、今般の改正法案においては、広域連携に係る調整や指定消費生活相談員による市町村への助言ということが都道府県の事務として想定をされているわけでございますので、こういった都道府県の新たな役割に鑑みましても、都道府県における相談員や職員に係る政策目標を、どのようなものが適当か、検討してまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 都道府県と市町村の役割について、特に都道府県の役割について、またその認識を新たにしていただきまして、今の都道府県の現状を踏まえて今後の地方消費者行政の活性化に向けたお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、来る五月八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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