衆議院

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第3号 平成26年10月28日(火曜日)

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平成二十六年十月二十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 亀岡 偉民君 理事 木原 誠二君

   理事 後藤田正純君 理事 とかしきなおみ君

   理事 冨岡  勉君 理事 中根 康浩君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      池田 道孝君    岩田 和親君

      小倉 將信君    大岡 敏孝君

      大久保三代君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    菅野さちこ君

      木内  均君    小島 敏文君

      佐々木 紀君    桜井  宏君

      末吉 光徳君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      辻  清人君    豊田真由子君

      根本 幸典君    橋本 英教君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    前田 一男君

      牧島かれん君    宮崎 謙介君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      山田 美樹君    生方 幸夫君

      大西 健介君    近藤 昭一君

      柚木 道義君    井坂 信彦君

      上西小百合君    岡本 三成君

      浜地 雅一君    田沼 隆志君

      松田  学君    佐藤 正夫君

      穀田 恵二君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            有村 治子君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 島根  悟君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    岡田 憲和君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    服部 高明君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井波 哲尚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           谷  明人君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      松本 恒雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     大岡 敏孝君

  小島 敏文君     末吉 光徳君

  田畑  毅君     辻  清人君

  武井 俊輔君     津島  淳君

  比嘉奈津美君     八木 哲也君

  宮崎 政久君     桜井  宏君

  山田 美樹君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     金子 恵美君

  桜井  宏君     牧島かれん君

  末吉 光徳君     木内  均君

  津島  淳君     前田 一男君

  辻  清人君     田畑  毅君

  根本 幸典君     菅野さちこ君

  八木 哲也君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     武部  新君

  菅野さちこ君     佐々木 紀君

  木内  均君     宮澤 博行君

  前田 一男君     武井 俊輔君

  牧島かれん君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     大久保三代君

  佐々木 紀君     山田 美樹君

  武部  新君     藤井比早之君

  宮澤 博行君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     宮崎 政久君

  橋本 英教君     小島 敏文君

  藤井比早之君     比嘉奈津美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事長松本恒雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府男女共同参画局長武川恵子君、警察庁長官官房審議官島根悟君、消費者庁次長川口康裕君、消費者庁審議官河津司君、消費者庁審議官岡田憲和君、消費者庁審議官菅久修一君、消費者庁審議官服部高明君、総務省統計局長井波哲尚君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、経済産業省大臣官房審議官谷明人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民主党の中根康浩でございます。

 きょうは、十二時四十分までの質疑と、その後、派遣法の審議入りということで、時間厳守を委員長から厳命されておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 けさの報道ということでございますので、実は通告しておりません。事実関係をこの場で大臣に確認させていただきたいと思います。

 報道等によれば、平成二十年七月から二十二年の六月までの二事業年度分の法人税を脱税していた明興テクノスという会社から大臣が献金を受けていて、その処理がどうなのかということなのでございます。

 時系列的に申し上げますと、今申し上げましたように、平成二十年の七月から二十二年の六月までの二事業年度分の法人税、これを脱税していたということでございます。大臣に対するこの会社からの献金は、平成二十三年の六月と平成二十四年の八月、二回にわたってそれぞれ三十万円ずつ献金されていた。その後、平成二十五年の二月に脱税容疑でこの会社並びに元経理部長が起訴をされ、同年、平成二十五年の四月に有罪判決を受けたということでございます。

 私どもが問題にといいますか、まず明らかにしてもらいたいのは、脱税をしていたということ、それと、大臣が献金を受けていた間に、献金の見返りにこの脱税企業からこの事件に関してのもみ消しの依頼があったかどうか、こういうことでございますけれども、こういう事実は、大臣、ありましたか。そういう依頼を受けたことはありませんでしたか。

有村国務大臣 おはようございます。お答えをいたします。

 今、委員から御指摘いただきました報道は承知いたしております。

 私に献金をしていただいた企業が脱税で有罪判決を受けたことを、私も報道機関からの問い合わせで今回初めて知りました。そして、事務所に確認をさせていただいたところ、当該企業が起訴、有罪となる以前に献金を受けていたことの事実が判明しております。

 この事実関係を踏まえて、過去当該企業から受領した金額については全て返還するように即刻事務所に指示をいたしまして、今回、返還の手続を全て完了いたしております。

 平成二十三年、二十四年、及び、今御指摘がありましたけれども、その前に、平成二十年及び平成二十一年にもそれぞれ三十万円の寄附をいただいておりまして、合計百二十万円を全て、これは有罪判決という報道が出る前にいただいている、その以前にいただいているものですけれども、そもそも、このようなことをお知らせいただいて、私が知った以上、主権者たる国民の皆さんに対する説明責任を果たす上でも、寸分のちゅうちょなく一切返金をさせていただくようにということで、銀行振り込みをさせていただいて、その返金は完了いたしております。

 なお、お問い合わせいただきました、そもそも、寄附をいただいていたのは二十年、二十一年、二十三年、二十四年でございますが、その後、二〇一三年の四月に有罪が確定し、そのときに、鹿児島での報道はなされていますが、東京では一切のテレビや新聞報道は全くありませんでしたので、知る由がありませんでした。

 その間、このことに関しての、うちの事務所に問い合わせやあるいはそういうもみ消しの依頼があったかといえば、全くありませんし、私は、当該企業に、そもそもその企業にお伺いしたことも一切ありません。

 以上です。

中根(康)委員 今、少し聞き取りにくかったんですが、鹿児島で報道があったのはいつだったんですか。もう一度教えてください。

有村国務大臣 今回の報道を受けまして私が調べたところ、四月に有罪が確定された時点で、鹿児島で鹿児島ローカルの新聞の報道があったということが確認できております。

中根(康)委員 その報道も含めて、私どもは、二十五年の二月に起訴された段階で少なくともというか遅くとも何らかの対応をすべきだったのではないか。例えば、それは不適切だということであるならば、返金をするとかということも含めて。

 それが、今になって、さまざまなほかの大臣のお金にかかわる不祥事が発覚をして、それで報道されて慌てて返金をするというように見受けられるわけでありますけれども、本来、二十五年の二月に起訴をされる、あるいは四月に有罪判決が出た、この段階で何らかの対処をすべきだったのではないでしょうか。いかがですか。

有村国務大臣 今ほど申し上げましたが、その報道がなされたことは、鹿児島ローカルでなされて、東京では全くその動きを知りませんでしたので、知った途端にすぐに返還手続をしたということでございます。

 そもそも、その脱税をした企業から寄附を受けていたというわけではなくて、寄附を下さっていた企業が翌年脱税をされて起訴、有罪になったという事実関係は時系列で御報告させていただきたいと存じます。

中根(康)委員 いや、そうではありませんよ。脱税していた企業から、脱税という事実があった後、献金を受けられたわけです。

 だから、平成二十年の七月から始まった事業年度からの分についての脱税があったわけでありますので、例えば、平成十八年とか平成十五年とかにも献金があったならば、それは古いつき合い、長いつき合いの中でということだったかもしれませんけれども、この二十年の脱税という事実以降に急に大臣に対する献金が始まっているわけなんです。これは何か意図的なものがあったのではないかと勘ぐりたくなるということでございます。

 そして、鹿児島だからとか、東京だからということは、これは僕は言いわけにならないと思います。鹿児島はそんなに大臣から見て情報を得るのに難しいほど遠いところなんですか。大臣は大体、全国区で選挙に出ていらっしゃるんじゃないですか。全国、北海道から沖縄まで、それぞれ情報を入手しながら政治活動、選挙活動をやっているはずでありますので、この点は、まだ大臣の御説明は十分ではない、十分納得できるものではないと言わなければなりません。

 もう時間がありませんので、次の話題に移ります。

 この資料の一ページでありますが、林道義さんという東京女子大学の教授、この方は、極端な専業主婦推進論者というふうに見受けられるわけであります。有村大臣は、安倍内閣の看板大臣の一人、女性活躍内閣というふうに銘打った看板内閣の一人だということでありますので、有村大臣がどのような考え方をお持ちなのかということは、安倍内閣の本質をあらわすものと言えるわけであります。大臣がどういう考え方を持っておられるかということなんですが、この資料一ページは「諸君!」という雑誌に掲載をされたものでありますが、大臣と林道義さんは、鼎談というか対談というか、こういうものをしておられるわけであります。

 有村大臣は林道義さんにかなり心酔をされておられるというふうに伺っておりますけれども、この林さんという方がどういう考えをお持ちなのかということでいえば、二ページからその関連のところがあるんですが、多様な家族は欠陥形態という考えをお持ちなんですね。

 三ページにありますが、多様な家族とは、親が離婚した片親家族とかあるいはシングルマザーとか、こういうように列記をされておられて、その後の三ページの真ん中から少し右ぐらいのところに、多様な家族とは、「プラス面として評価できる要素がない」と言い切っておられるわけであります。

 それから、この三ページの一番後ろの方に、「「多様な家族」が「欠落家族」だ」という表現もしておられるわけでありますし、それから、四ページ、「欠落家族はマイナスやリスクを与える可能性の高い形態であることに変わりはない。」と言い切っておられるわけであります。

 それから、五ページ、「あくまでも「基本家族」を」、基本家族というものがどういうものかというのはこの中に書いてあるんですが、この「「基本家族」を守るように、法律や政策を整えていく必要があると私は考えている。」というふうにこの林道義先生はおっしゃっておられて、基本家族を守るような法律や政策をつくるべきで、欠落家族としての多様な家族、つまりはシングルマザーだとか母子家庭だとかそういうものに対しては全く否定的な考え方をお持ちの林道義先生と有村大臣は大変ウマが合うということであるようでありますけれども、大臣はこの林先生のお考えに賛同しておられるということですか。

有村国務大臣 委員、大変恐縮ですが、私の名誉にもかかわりますし、政治指針にもかかわることでございますので、先ほどの前後関係の事実だけは御報告させていただきたいと思います。

 そもそも、起訴、有罪、報道がなされたときに初めて過去の経過の罰則があったということでございますから、それまでに献金をいただいていたということで、有罪判決を受けてから献金をいただいたという事実は全くありません。私の名誉にかけて、これは事実関係として御報告をさせていただきたいと思います。

 また、全国区でございます。全国紙で全国の動きは当然とっておりますけれども、鹿児島の一ローカル新聞の極めて限られた側面を私が見ているかといえば、見ていません。ですから、全国区で、全国紙で報道されていたら当然その報道は見ますけれども、そのことに関しては全く知る由がなかったというのが事実でございます。

 御下命いただきました林先生でございますが、十一年以上前にシンポジウムでお目にかかっています。これは、対談とか鼎談は一切いたしておりません。第一部に基調講演を林先生がされて、第二部のシンポジウムのパネリスト、コーディネーターとして私が呼ばれているというのが事実でございます。

 そして、シンポジウムでお目にかかっていますが、私は林先生に心酔しているということは全くありません。逆です。むしろ、林先生が断定的で決めつけ的な発言をされて、男女の固定的役割に固執しておられるように当時の私でさえ感じられ、私はその主張に全く共感できませんでした。

 また、この中にも書いていますが、発展途上国は文化が発達していないから言葉も男女別に分化していない、アメリカも同様に文化も伝統もないなんて言い切っておられますけれども、私はこういう言葉自体に極めて反発を覚えます。

 私の友人も、大阪で私がコーディネーターをするということで、友達もわざわざ駆けつけてくれたんですが、第一部の林先生の基調講演を聞いている途中で気持ちが悪くなって、途中で帰ってしまったぐらい反発をしました。

 私も、アンケートによって、この方が基調講演をするのは甚だ時代錯誤だというアンケートを私自身が残して、その会を立っております。

 全く御縁がありませんし、その後、お目にかかったことも一切ないということを事実として御報告させていただきます。

中根(康)委員 まず、明興テクノスからの献金に関しての問題でありますけれども、これは、事実関係を明らかにしなければなりませんので、大臣、その時系列的な物事の経緯を何か紙に書いて、ペーパーにして、この委員会に御提出をいただきたいと思います。

 委員長、理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鴨下委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

中根(康)委員 はい、お願いいたします。

 いろいろと質問も用意してまいりましたが、あと残り五分ということになりますが、この十二ページからの親学ということについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この親学、有村大臣も大変共感をしておられて、自民党の中の議員連盟の有力メンバーだということでございますが、この親学、伝統的な子育てで発達障害が予防できるという考え方のようであります。

 そういった、発達障害をこの親学で予防できるということは本当ですか、大臣。

有村国務大臣 事実関係を御報告いたします。

 親学については、過去二回、一回がシンポジストとして、もう一回は、国会で超党派で開かれた親学の関係の勉強会に一参加者として、ひな壇ではなくて、一参加者としてその講演を聞きに行ったことがあります。過去二回です。

 その中で、高橋先生が、発達障害と親子のスキンシップということについてのお話をされましたが、親学ということで発達障害が治るとか治らないとかというような共通の理解があるわけでは全くないというふうに承知をいたしております。

中根(康)委員 この親学の議員連盟の皆様方は、報道ですけれども、十三ページの新聞記事、東京新聞でありますけれども、子供の規範意識低下対策として、教育委員会、自治体及び関係機関は、これから親になる全ての人たちや乳幼児の子供を持つ保護者に、親として必要な親学を学ぶ機会を提供すると明記した議員立法を考えておられるということのようでございますが、特定の考え方を法律にして国民に押しつけるというようなやり方は、決して適切なものではないと考えさせていただきます。

 大体、きょうの、政府も四十人学級を復活するなんということを言っているようなわけでありますけれども、この親学も含めて、教育が後退をしてしまうような今の政府、内閣の考え方だということで、とんでもないと言わざるを得ないわけであります。

 この親学に大臣が共感をしておられる、共鳴をしておられるということと安倍内閣の女性支援ということが相矛盾するということにはなると大臣はお考えになりませんか。いかがですか。

有村国務大臣 そもそもでございますが、今委員が御指摘をいただきました、親学と四十人学級というのは、一切関係がございません。

 また、親学に関する会議に参加したことはあります。その賛同趣旨は、私たちは、学科、教科のことは教えてもらうけれども、親になるための教育は教えられる機会がないなと。それであれば、賛同する方は学ばれればいい、そういう機会やそういうコンテンツを、どうやって安全に子供をだっこするかとか、夜泣きを少なくするようなあやし方とか、そういうことを学ぶ機会があるのであれば、学びたい人は学べばいい、そういう機会をつくっていくのは賛同しようということで、私は、その参画をしただけでございまして、いわゆる親学に参画したことがあるのは事実ですが、国民に特定の育児方針を押しつけるような意図は、高橋先生も含めて、また、超党派の与野党の親学推進議連のメンバーも含めて持っていないというふうに認識をしています。当然、私も持っておりません。

中根(康)委員 親学というのは、家事は女性の役割だ、こういう伝統的な家族形態を重んじるというような考え方のようでございまして、このことと女性の社会参画ということとは、なかなか両立しにくいものだと言わなければなりません。

 したがって、大臣がこうした親学に大変強く共感をしておられるということが、女性支援に逆行することである、相矛盾することであるというふうに考えなければなりませんし、この親学が、最初に申し上げましたように、発達障害について、伝統的な子育てによって予防できるというような考え方を持っているということが、大変危険な考え方である、不適切な考え方であると言わなければならない。そのことに大臣がかかわっているということが、ある意味不適切だというふうに言わなければならないということを御指摘申し上げまして、時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 今、中根委員からは、大臣の家族観というお話がありました。私からは、国の基本になる憲法についての大臣の考え方を冒頭少しお聞きしておきたいというふうに思います。

 大臣のホームページを拝見しますと、応援団ということで、さまざまな団体の先頭に神道政治連盟という団体が挙がっております。反対に、神道政治連盟のホームページを拝見しますと、山谷大臣、そして有村大臣のホームページへのリンクがトップページに張ってあります。

 また、皆さんのお手元に、資料の三ページ目ですけれども、神道政治連盟の地区協議会の講演会のビラというのをお配りさせていただいていますけれども、「神道政治連盟推薦」ということで、「神社界にとって極めて重要な政治家です。神道政治連盟は、ありむら治子議員を強力に応援しております。」というふうに書かれております。

 そういう意味では、本当に、組織内候補と言うのがいいのかどうかわかりませんけれども、非常に神道政治連盟と密接な関係を持って政治活動をされているということだというふうに思います。

 では、神道政治連盟さんはどういう憲法についての考え方を持っておられるかということでありますけれども、これも資料につけさせていただきました。神社新報という新聞の記事でありますけれども、この中で、神道政治連盟首席政策委員の田尾憲男氏がこのように書かれています。「そこで重要となるのが統治権の総攬者としての天皇の地位恢復。つまり、祭り主としての天皇陛下が国家統治者として仁政をおこなふとともに皇室祭祀を継承されることで、表の政治権能と裏のお祭りが一体となって国が治まる。」と。

 その後のところもぜひお読みいただきたいと思いますけれども、この考え方というのは、いわゆる祭政一致という考え方だというふうに思いますけれども、大臣は、この憲法についての考え方、これが正しいとお思いになりますか。(発言する者あり)憲法は国の基本なんだよ。

有村国務大臣 今委員がおっしゃいますように、憲法は国の基本でございます。国務大臣として、憲法を尊重し、遵守する立場にあることは明確でございます。

大西(健)委員 今大臣が言われたとおりで、憲法の九十九条には憲法の尊重擁護義務というのが書いてあるんです。

 ですから、信教の自由が保障されていますから、田尾氏がどんなお考えを持とうが、それは私は自由だというふうに思いますが、この祭政一致という考え方は、私は現行憲法の考え方とは全く矛盾するものだというふうに思います。

 かつて、森元総理が神の国発言というのをされました。これも実は神道政治連盟の議員懇談会という場でされた発言で、大きな問題になりましたけれども、今大臣が言われたとおり、大臣は憲法尊重擁護義務があるわけですから、ということになれば、この考え方は明らかに現行憲法とは一致しない、間違っているとはっきり言っていただかないと困ると思いますが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 恐れ入ります。これは、神社新報に報道されている、平成二十年ということで委員が出していただいていますが、六年前に、この田尾先生のお考え、責任において講演がなされた、その講演録が載っているものでありまして、当然、これは安倍政権の憲法観とは異なるものであるというふうに明言いたします。

大西(健)委員 そこは、ぜひ私ははっきりさせていただかなければならないと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、森元総理の神の国発言というのがかつて大変大きな問題になった。ところが、先ほども見ていただいたように、神道政治連盟のホームページ、トップページには、有村大臣と山谷大臣のリンクが張ってある。仮にそういう神道政治連盟と全く同じような憲法についての考え方を持っておられる方が安倍内閣に二人も閣僚として入っているということになれば、まさにこれは神の国発言と同じような問題が私は生じると思いますので、今しっかりと、これは安倍内閣の憲法に対する考え方とは違うという御発言をいただきましたので、そこはしっかりとこれからも守っていただきたいというふうに思います。

 それでは、消費者問題について入っていきたいと思うんです。

 大臣は日本マクドナルド社の御出身ということでありますけれども、マクドナルドでは、つい先日、中国の食肉加工工場から輸入した期限切れの鶏肉を使ったことによって大変売り上げが激減をする、こういうことがありました。まず、このニュースをお聞きになって、大臣もどう感じられたかということもお聞きをしたいんですけれども、恐らく多くの消費者の皆さんは、えっ、マックのチキンナゲットって中国産だったの、知らなかった、これが私は率直な感想じゃないかなというふうに思うんです。

 資料としてチキンナゲットの箱の写真をつけておきました。これは私、金曜日にすぐ近くのマクドナルドに行って買ってきたんですけれども、十分なスペースが箱にあります。しかし、この箱にはQRコードがついているだけなんですね。ですから、QRコードを読み取れるような携帯電話やスマホを持っていればこれを読み取ることはできますけれども、それがなければ、箱を見ただけでは、このナゲットの原料がどこの国のものなのかというのは消費者にはわからないようになっているんです。

 ただ、今回の事件があったことによって、七月二十九日以降は、マクドナルドのホームページに行きますと、商品別に各素材の加工国、産地の情報がPDFで公開されています。ただ、消費者は、ここにあるように、メニューや包装を見ただけでは、その原料の原産地というのがわからない。これが現状なんですね。

 これは別にマクドナルドに限ったことではなくて、外食とかインストア加工については原料原産地の表示義務がないために、例えば消費者として中国産の食材を使ったものは避けたいと思っても、そうした情報というのは今消費者には与えられないんです。それが現実なんですね。

 大臣も母親ですよね。安心、安全なものを子供に食べさせたいという思いはお持ちだというふうに思いますけれども、こうした外食、インストア加工の食品について、消費者にはその産地情報が与えられていないという現実を、大臣として、母親として、今後どうしていくべきだというふうにお考えですか。

有村国務大臣 委員からは、主に二つの点で食の安全についての御下問をいただきました。

 本年七月の報道によって明らかになりました、マクドナルドに関係して、中国の食品加工会社が期限切れ鶏肉を加工、販売していた問題は、輸入食品に対する我が国の消費者の信頼を大きく揺るがしかねない事案であったと認識をしております。

 本事案については、本年八月、厚生労働省が中国政府に対して、効果的かつ実効的な再発防止策を講じるように要請したというふうに理解をしております。

 今後、万一、食品の安全性に関する問題が発生した際にも、食品の安全性に関する情報の収集、関係省庁の連絡会議の開催等、食品の安全に関する取り組みを積極的に実施していかなければならないと考えております。

 なお、御指摘がありましたように、私は以前、日本マクドナルド社に勤務をしておりましたが、今回の一連の動きに関するやりとりは、こちらからも連絡を一切とっておりませんし、先方からも何の照会もありません。当然ながら、特段の配慮等についても一切ございませんことを申し添えます。

 また、インストア、外食の原料原産地表示について義務化の可否ということでございますけれども、やはり委員がおっしゃるように、食品の原材料の情報は、消費者が商品選択をする上で極めて重要な情報であると私も考えております。

 同時に、外食やインストア加工でつくられる食品については、提供される食品の種類が多い、そして、原材料も日々頻繁に変わるということで、その都度表示を切りかえることが一般的に困難であり、また、インストアということでございますから、営業形態が対面販売で、購入前に消費者が食品の内容を店頭店員に確認することができるということで、義務づけは行っておりません。そういう意味では、表示についても表示義務を果たしていないという現状がございます。

 ただ、こうした情報は、消費者の食品選択、商品選択における関心事項の一つであることは当然でございまして、事業者においては、農林水産省が定められる外食における原産地表示に関するガイドラインに即して自主的に情報提供に取り組んでいただくことを期待いたしております。

 消費者においても、知りたい情報を積極的に店頭店員に尋ねられる等、主体的に情報選択、商品選択をしていただきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 私は、今の大臣の答弁を聞いていても、本当にそうしたいのか、消費者のためにやりたいという思いが伝わってこないんですね。今見ていただいているように、箱を見ると十分スペースがあるわけですよ。だから、ここに書けばいいじゃないですか。QRコードで読み取ったら、ホームページには載っているわけですから。何で書かないかというと、やはり、中国産と書いてあると売れなくなるからなんですよ。

 だから、結局そこは、やはり消費者の側に立つ大臣なんですから、強い思いを持ってやっていただきたいと思うんです。

 それからもう一つ、食品に関する事件として記憶に新しいのが、冷凍食品にマラチオンという農薬が混入された事件がありました。資料をお配りしていますけれども、「お詫びとお知らせ」ということで、群馬工場商品の回収の御協力のお願いという広告が新聞掲載されましたけれども、ただ、実は、消費者が冷蔵庫の中にある冷凍食品の工場とか製造所を確認しようと思っても、確認できないケースというのがあるんです。

 次の資料をごらんいただきたいんですけれども、そこに製造所固有記号というのが書いてあります。この製造所固有記号というのはアルファベットと数字を組み合わせたものなんですけれども、食品衛生法では、製造所の名称と所在地を記すということがルールなんですけれども、消費者庁長官に届け出た製造所固有記号でかえることができるということになっているんです。

 この製造所固有記号というのは、驚くべきことに、実は、事業所ごとに勝手につけられるんです、ばらばらにつけられるんです。ですから、同じアクリフーズの群馬工場でも違った記号がついている。この記号というのが、実は全部で今、約八十八万あるということなんですね。これでは、製造所が同一内容の食品を例えばOEMによって複数の販売者に提供しているような場合には、今回のような事件が起きたときに、それを回収しようと思っても非常に手間がかかってできないということになってしまうんですね。

 この固有記号の廃止に対して、事業者の人たちは反対をしています。ただ、それは何でなのかというのが私はどうもよくわからないんですけれども、いろいろ言われているのは、例えば、固有記号があることで、土産物が観光地とは無縁の工場でつくられているようなケースを隠すことができる。これは消費者の側からいうとふざけた話で、全く消費者の選択に資さないというふうに思うんですね。

 私は、消費者の利益に立てば、この製造所固有記号というのは廃止していいんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

有村国務大臣 商品に関しての情報という意味での委員の問題提起について共感をいたします。

 加工食品については、製造所の所在地などの表示を義務づけております。これは委員も御指摘のように、食中毒などの食品の衛生上の危害が発生したときに、関係行政機関が対応を円滑に行うためでございます。その代替的な表示として製造所固有記号制度を現在も認めておりますが、委員御指摘のように、やはり、消費者への情報提供という観点からは見直しを検討すべきだという附帯決議を、衆議院において平成二十五年五月に、また、参議院においては六月にいただいております。

 そういう意味で、今回の食品表示法に基づく食品表示基準の検討においては、製造所等の情報を知りたいという消費者ニーズ、また包材の共通化という事業者メリット、その双方を勘案して、消費者が固有記号から製造所の情報を確実に取得できる措置を講じた上で、事業者が固有記号を使用できる場合を限定する案が適切と考え、それを、専門家から成る消費者委員会食品表示部会において、現在審議をいただいております。その審議結果を踏まえて、関係省庁とも調整した上で、来年六月までに施行させていただきたいと考えております。

大西(健)委員 大臣、私、もう非常に問題だと思うんです。さっきも言いましたけれども、八十八万もあるんですよ、ばらばらにつけられるんです。

 これは、ぜひ委員の皆さんにも知っていただきたいんですけれども、消費者庁に毎月五千件の新規の届け出があって、そのデータを処理するためにも、消費者庁の職員だけでは手に負えないので、外部委託しているんです。それに幾らお金がかかっているのか。

 それから、今度、今、見直しの話がありましたけれども、この固有記号のデータ管理をしているデータベースを再構築するということを検討されているそうですけれども、今申し上げました、データの入力の外部委託と、それからデータベースの再構築に幾らお金がかかるか、事務方から簡潔に御答弁をお願いします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 製造所固有記号につきましては、事業者から消費者庁への固有記号の届け出を受け、消費者庁が固有記号のデータベースに追加する形としておりますけれども、この中で、届け出のあった固有記号をデータ化するための入力作業に係る所要額といたしまして、平成二十六年度予算において約百四十万円を計上しているところでございます。

 この入力作業以外のデータベースの管理コストにつきましては、消費者庁LANシステムの機器賃貸借等に係るシステム経費の中で手当てをしているところでございます。

 また、今回の食品表示法に基づく食品表示基準の検討におきまして、製造所等の情報を知りたいという消費者ニーズを踏まえまして、製造所固有記号データベースの消費者への公開等の措置を講じることを予定しておりまして、そのための所要額として、食品の新たな機能性表示制度に係るデータベース構築のための所要額を含め、平成二十七年度予算概算要求におきまして約九千六百万円を計上しているところでございます。

大西(健)委員 毎月百四十万かけて入力していて、今度データベースを再構築するのに一億円またかけるという話ですから、これは、消費者の利益に立てば、固有記号なんかはやめて、ちゃんと製造所を書けばいいんですよ。それだけのことだというふうに私は思いますので、大臣、ぜひこのことを再検討していただきたいというふうに思っております。

 それから、次は、大臣、コアラのマーチというお菓子を食べたりとか、お子さんに食べさせたことはありますか。

有村国務大臣 当然、母親ですから、母も子もございます。

大西(健)委員 大臣も食べたことがあるということですけれども、大変人気があるお菓子ですね。日本だけじゃなくて、実は世界じゅうでこのコアラのマーチというお菓子は販売されているんですね。ただ、国によって栄養成分表示というのが実は異なっているんです。

 消費者委員会の食品表示部会の立石委員という委員が、実際に海外で売っているコアラのマーチを買ってきて、その包装の食品表示を比較した資料というのをつくられています。

 皆さんのお手元の資料にそれを配らせていただいたんですが、これをごらんいただきたいんですけれども、日本で売っているものというのは、箱の底の方とか、あるいは別のバージョンだと箱の側面の下の方の小さいところに表示がされているだけなんですけれども、例えば下の方のカナダだと、箱の側面の二面を全面使って、日本語表示まで書いてあるんです。非常に丁寧に表示をしてある。

 そして、次のページだと思いますけれども、栄養成分表示の脂質というところに注目をいただきたいんですけれども、日本では脂質十四・一グラムと表示をされているだけなんですけれども、カナダで販売されているものは、日本語表示の方にも、翻訳がありますけれども、脂質十二グラム、(トランス酸三グラム)と書いてあるんですね。

 次のページには、香港、台湾のものもつけておきましたけれども、やはり、トランス脂肪酸の含有量というのがちゃんと表示をされているんです。

 では、日本で売っているコアラのマーチにトランス脂肪酸が入っていないかというと、そんなことはないんですね。次の資料として、ニッポン消費者新聞という新聞の記事をつけておきましたけれども、これは消費者団体から公開質問状でメーカーに対して質問をしたところ、トランス脂肪酸の含有量は一箱当たり〇・一グラムから〇・二グラムと。海外で売っているものよりは少し少ないようですけれども、含まれているんです。

 私は、三月二十五日の本委員会で、トランス脂肪酸の過剰摂取というのは、動脈硬化の増加や、妊産婦が摂取した場合には低体重児の出産とか流産等にも影響があるというのが調査研究で明らかになっている、このトランス脂肪酸というのは日本でもちゃんと表示すべきじゃないかという議論があるにもかかわらず、これがちゃんと食品表示部会の中でも議論されていないんじゃないかということを当時の森大臣に御指摘をさせていただきました。

 大臣、これは、カナダとか台湾とか香港の人たちにはちゃんとこのリスクのある成分が含まれていることが表示をされているのに、日本人の安心、安全は、カナダや台湾の人たちより軽視していいんですか。これは、ぜひ日本でもちゃんと皆さんに知らせるべきだというふうに私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 各国の栄養成分表示の表示事項については、それぞれの国の食習慣、栄養摂取の状況、生活習慣の状況等を踏まえて設定されるもの、ゆえに、各国間において栄養成分表示の事項が異なることはあり得るものという前提がございます。

 その上で、やはりこれから、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性、国際整合性ということで、日本は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの量の五つが義務表示の対象ということで、消費者委員会の食品部会で御審議をいただいておりますけれども、トランス脂肪酸に関しては、中立的な観点から専門家がリスク評価を行う、食品安全委員会がそういう見解を示しております。

 その結論としては、摂取エネルギー比の一%未満を、下回っていて、通常の食生活では健康への影響が少ないとされているために、現在、消費者庁としては、公衆衛生上の懸念となっているとまでは言いがたいという認識でございます。

 以上のことから、現時点では、トランス脂肪酸の表示を義務づける状況にはないというふうに認識をいたしております。

大西(健)委員 安倍内閣は、世界のグローバルスタンダードとか、そういうことをよく言われるわけですけれども、先進国、カナダとか台湾とか、ほかの国でやっていることなのに、何で日本でできないのか。

 この記事を見ていただくと、例えば、では、メーカーに、海外で表示しているのに何で日本で表示しないんだというふうに質問をすると、メーカーは何て答えているかというと、まさに今の大臣の答弁と同じようなことですよ。「弊社は日本の表示ルールに準じて栄養成分表示をしている。今後も行政、業界団体との取り決めに準じて対応していく」と答えているんです。つまり、日本のルールがそうなっていないから表示していないだけで、そうなればそれに従うと。

 今言ったように、同じものを売っているんですよ、コアラのマーチは。ほかの国で表示されているのに、何で日本で表示できないのか。これは、普通に考えたら、極めておかしな問題だというふうに私は思います。

 大臣、トランス脂肪酸が健康に危害があるということは、これは各国で認められて、みんな表示しているんですから、日本の子供たちの健康を守るためには、海外で表示できるものは日本でも表示していただく、このことをぜひお願いをしておきたいと思います。

 最後に、公益通報者保護法の改正についてお聞きをしておきたいと思うんです。

 資料の最後に、アルツハイマー病の研究の国家プロジェクト、J―ADNIのデータ改ざん疑惑、厚労省が研究者からの内部告発メールを告発対象のチーム責任者に漏えいした、これを受けて、森前大臣の指示で、公益通報者保護法を強化する省庁向けガイドラインの改正というのが行われたという記事です。

 このこと自体、私は、森前大臣の大変御英断だというふうに思いますが、ただ、こういうガイドラインの見直しだけでは不十分で、やはり法改正が必要だというふうに思っています。

 今回も、これは厚労省が公益通報と認めなかったんです。その理由としては、刑法に触れる告発内容ではないということ、それからもう一つは、告発者は研究者であって、法律上の保護の対象となっている労働者には当たらないということなんですけれども、普通の人は、これはちょっとまずいんじゃないかなと思っても、それが刑法に触れるかどうかなんて、正直わかりません。それから、労働者と研究者が違うというのも、何か、一般的な考え方からすると、非常にわからないところなんです。

 また、トナミ運輸とかオリンパスの事件でも明らかになっているように、通報者がその後非常に陰湿な嫌がらせを受けるとか、こういうことも多く見られているので、やはり告発者を守る、そのための、報復措置に対しては厳しい厳罰を科す、そういうことをやっていかなきゃいけないんじゃないか。

 公益通報者保護法というのは施行後五年で見直すということになっていて、もう既に八年が過ぎているんです。八年が過ぎているのにいまだ見直し、法改正が行われない。これは、私は全く問題があるというふうに思っているんですけれども、ぜひ大臣、この法改正への強い決意をお示しいただきたいと思います。

有村国務大臣 委員御指摘のとおり、公益通報者保護法の問題点としては、公益通報を理由とした不利益取り扱いを行った事業者に対する罰則がないこと、また、通報者の保護範囲が狭いことなどが指摘されています。ただ、こうした点については、それぞれ賛否両論のさまざまな御意見があることも事実でございます。

 そこで、消費者庁では、法改正を含む制度の実効性を向上させる方策を検討する必要があることから、本年五月より、有識者や実務家から幅広く御意見を伺うヒアリングを実施してまいりました。公益通報に係る実情、実態を把握し、論点整理を行った上で検討を進めます。

 また、見直し規定に言及いただきました。やはり、公益通報に係る実情、実態を踏まえて課題を把握していくことが重要、その上で、法改正も含む制度の実効性を向上させる方策を検討していく必要があると、私自身、大臣として認識をしております。

大西(健)委員 今の一連の答弁を聞いていても、官僚の皆さんがつくった答弁書を読まれているような感じがしてなりません。やはり、大臣として消費者の利益をしっかり守るんだ、そういう強い決意でぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 有村大臣は所信挨拶の中で、「消費者の安全、安心を確保する消費者行政は、消費の拡大、ひいては、経済の好循環を達成するためにも、重要な役割を担っています。」こう述べました。消費拡大、経済の好循環を達成するために頑張るということだと思うんですが、そのためには、今、日本経済、国民の生活はどういう状況なのか、正しい認識が大前提だと思います。その点できょうは議論をし、ただしていきたいと思っています。

 消費税の税率が四月に五%から八%に引き上げられて丸六カ月になります。増税によって消費者物価は大きく上昇しました。八月の全国消費者物価指数は前年同月比三・一%上昇、これは十五カ月間連続の上昇です。一方、八月の勤労者世帯の実収入は実質前年比五・四%減と、十一カ月間連続減少しています。この間、わずかに名目賃金は上昇しましたが、それを上回る物価上昇で、結局、実質賃金は低下している。

 しかも、物価上昇の中身を見ると、食料品、電気代、ガソリン代など、生活必需品の物価上昇率が高い。実質賃金の上がらない家庭には大変厳しい負担になっていると言わなければなりません。

 今日の物価高に対する大臣の認識をまず伺いたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 消費税率の引き上げについては、担当ではないことでありますので、お答えする立場にはないですが、総理がそう遠くない将来にお決めになられることだと認識をしております。

 委員の御指摘の消費者物価については、この十月の消費者物価の報告のとおり、月例経済報告のとおり、四月以降緩やかに上昇していたが、足元は上昇テンポが鈍化しているという認識を私も共有しております。

 特に、生活関連物資については物価の上昇が見られますし、このことについては動向として引き続き注視しなければならない状況にあるというふうに認識をしております。

穀田委員 担当ではないというような話でされると、閣僚と違ったのかと思いますよね。消費者担当として、消費者全体が、動向や価格や、それが消費税増税によってどういう影響があるのかということを見るのは、それは最低限の仕事だと思いますよ。

 大臣がおっしゃったように、鈍化しているという認識は共通しているとかなんとか言っていましたけれども、私は、消費者物価上昇率が名目賃金上昇率より高い、この事実を指摘しているわけですね。だから、これは、消費税増税による影響であって、暮らしが大変だという実態なんですよ。

 博報堂のネット調査によりますと、消費税増税後の主婦の約六割が買い控えをしたと答えているんですね。また、増税をきっかけにとるようになった消費行動はという問いに対して、チラシをよくチェックする、外食を控える、割引券やクーポンの利用等が上位を占めていると報道されています。

 これを裏づけるように、増税後戻らない消費に危機感を示すスーパー、コンビニなど大手小売業のトップの発言が相次いでいますから、こういう認識が必要なんだということを私は言っているわけですね。

 そこで、では、増税後も消費はふえているのかという問題について、消費の角度から少し聞いてみたいと思うんですね。

 アベノミクス、三本の矢により始まりつつある経済の好循環、これは私が言っているんじゃないですよ、日本再興戦略で言っているんですけれども、ほんまかいなと誰もが思うわけだけれども、一過性のものに終わらせず、持続的な成長軌道につなげるべきということで閣議決定しているんですよね。

 その中で、「日本経済は、この一年間で、大きく、かつ確実な変化を遂げた。」とし、「「経済の好循環」が動き始めた。このような環境の下で、本年四月には、十七年ぶりに消費税率を引き上げ、経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。人々の将来への「期待」に灯がともり、澱んでいたヒト・モノ・カネが成長に向かって動き始めたのである。」ということを言っているんですね。

 これには、私、ここにおられる自民党の方々も地方の出身の方も多いわけだから、こんなのどこの話かいなと思うものばかりですよね。

 それで、「消費税率を引き上げ、経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。」とか、「ヒト・モノ・カネが成長に向かって動き始めた」と、大臣もこういう認識のもとにあるのか、そして消費者の消費はふえているのかということについて、認識をお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 委員御言及いただきました本年六月の閣議決定、「日本再興戦略」改訂二〇一四、「経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。」とされています。内閣の一員として、同様の認識を持っております。

 ただ、御指摘いただきましたように、アベノミクスが全国津々浦々にということは、そのような実感がまだまだないというのも市井の偽らざる声でございまして、それをどのように広げるかということについては、課題が、これからまだまだ伸び代があるというふうに認識をしています。

 消費者の安全を確保して、その不安を払拭して、安心して消費できる環境を整えることが、消費の拡大、経済の好循環を達成するために極めて重要だと認識をしております。

穀田委員 そうすると、同様の認識だということだと、私はちょっと納得できないんですよね。

 では、聞きますけれども、四―六期のGDP速報値は九月八日に発表されました。そこの中で、特に消費の問題を私は聞いたんだけれども答えがなかったので、個人消費の落ち込みが大きくて、年率換算では一九・〇%の減となっているわけですよね。前回の消費税増税直後、一九九七年の四―六期には一三・二%の減なんですね。これを大きく超えて、過去二十年間で最大の落ち込みとなっている。

 そうしますと、この落ち込みは、政府が言うところの増税前の駆け込み需要の反動減であって、大臣はこの状況を想定内だと考えているんですか。大臣の見解をお聞きします。

有村国務大臣 確かに、委員が御指摘のように、GDP成長率、特に個人消費は、駆け込み需要の反動があったというふうに認識をしています。そして、その後、やはりなかなかに消費が落ち込んでいて、天災も多かった、それから土日の雨も多かったということで、決して楽観できる状況ではないというふうに認識をしております。

穀田委員 楽観できないのは、それは確かなんですよ。問題は、この状況というのはある意味で想定内なのだというふうに理解しておられるのかということを聞いているんですよ。

有村国務大臣 私が担当として、想定はこの域だということを発表しているわけではないですけれども、予断を許さない状況であるというふうに存じます。

 その上で、総理がこれから景況感ということをしっかり判断される時期でございますので、このことに関しては、私自身、閣僚の一員でございますので、それに影響し得るような発言は控えさせていただきます。

穀田委員 それは違うでしょう。自分の見解を持って堂々と議論して、あかなんだらあかん、いいんだったらいいというふうにやったらいいんじゃないですか。それは、お互いに影響を与えつつやるということが本質的な議論と違いますか。赤澤さんもうなずいておられるから、そうだと思うんだけれども。

 それで、私は、そうなってくると話が違うと思うんだよね。公式の見解を今言われたけれども、緩やかな回復基調は続いているという見方は変えていないわけですよね、安倍さんは。

 増税を見越して、一月から三月期の個人消費は前期に比べ二・〇%ふえたわけですよね。しかし、増税後の四―六期は一転、五・一%の落ち込みで、国内総生産、GDPは、実質成長率が年率換算は七・一%という大幅な下落なんですね。これは、東日本大震災時の六・九%を超えて、とても経済の好循環が動き始めたとは言えない状況となっている。これは誰でもそう思うんですよ。

 しかも、その実態は、増税前の駆け込み需要の反動減という段階にとどまらないという実態が問題なんですね。これは、先ほど私が述べたように、今の物価高が、実質賃金の下がっている家庭に対して、大変厳しい負担になっているという深刻な状態が広がっています。大臣、ちょっと、答弁書を見てんと。

 総務省の家計調査の中身をよく見てみると、特に所得の低い階層の実収入、消費が大きく落ち込んでいるというのが特徴なんですね。収入階層別に五段階に分けた中の最も低い第一分位、収入でいうと四百三十三万円以下、平均収入三百三十万円世帯の落ち込みが一番激しくなっているんですね。これは、既に私どもの大門議員が参議院の予算委員会で質問されたし、御存じかと思うんです。

 特に重視しなくちゃならぬのは、働く女性の四三%が年収二百万に満たない状況に置かれているという問題なんですよね。

 だから、この二つを重ね合わせると、この層がいかに消費税増税の打撃を受けているのか明白だと思うんですね。

 したがって、男女の賃金格差をなくすために、非正規雇用から正社員への道を大きくすることなど、男女参画大臣の仕事であるということについては今言っておきたいと思うんですね。それは頑張っていただかなきゃならない。

 そこでもう一つ、次に、では、中小業者、中小零細業者に与える影響はどうかという問題です。

 森前大臣は、四月一日にスーパーを訪れて、価格に転嫁できているか視察したと報道されました。私は、当委員会でこの点について質問したんですけれども、視察の立場が違うんじゃないかということを言ったわけですね。同時に、実際の中小零細企業が価格に転嫁できない苦労、上げたら客が減る、上げなんだら税金は払えへんという現実を見ることが大事じゃないかと指摘したわけですね。

 大臣は、中小零細企業が消費税を価格に転嫁できていると認識していますか。率直な認識をお答えいただきたいと思います。

有村国務大臣 転嫁できるように努めていかなければならないというふうに思っております。

穀田委員 それは、はっきり言って、答弁になっていないんじゃないですか。

 要するに、転嫁できていると思うか、現実はどうなっているのやという話を聞いています。(発言する者あり)

有村国務大臣 今お声が飛んでいますけれども、そもそも、中小零細企業の消費税転嫁の状況については経産省ということで、お答えを最短にさせていただきました。

 転嫁できているかどうかということですが、経済産業省が実施した消費税の転嫁状況の九月の月次モニタリング調査によったら、全九千七百七十五事業者から、全く転嫁できていないと回答した事業者は、事業者間取引で四・三%、消費者向け取引では五・三%という数値が出ています。全て転嫁できていると回答した事業者は、事業者間取引で八二・七%、消費者向け取引では七三・四%ございます。

 そういう意味では、全てできているかといえば、全てできている状況ではないというふうに私自身認識をしております。関係省庁が連携して消費税の転嫁対策に取り組んでいくことが極めて重要だと認識をいたしております。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

穀田委員 経産省のアンケートに基づいてお答えになったわけだけれども、ということは、そういう認識で同様だということですな。

 要するに、七三%近くのところは転嫁できている、だから、ほとんど転嫁できていると思っているということですな。

有村国務大臣 そのような意図で申し上げたわけではなかったんですが、全て転嫁できているかといえば、全て転嫁できているという状況ではないというふうに先ほども申し上げました。

穀田委員 全て転嫁できているとは思えないということは、圧倒的なところはできているということですな。

有村国務大臣 データが経産省さんの九月の直近のモニタリング調査でございますので、その数値、全て転嫁できている八二・七、消費者向け七三・四をどのように解釈するかによって受けとめ方は異なってくると思います。

 客観的に申し上げて、全てが転嫁できているという状況ではないというふうに私も認識をしております。

穀田委員 消費者にとって極めて大事だから、あなたの、大臣の認識を聞いているので、それは、経産省の資料はそうです。

 私、配りましたけれども、全国商工会連合会、実際にやっておられる方々の、ことしの五月から六月、九月の二度、全国中小・小規模事業者に対して、消費税の価格転嫁等の実態把握を目的として調査したものであります。

 これによれば、消費税八%の引き上げが行われた四月以降、一回目の調査で、全体の四一・一%の中小・小規模企業が消費税引き上げ分を転嫁できていないと答えています。二回目の調査でも同様に、約四割、四〇・九%が転嫁できていないと回答しています。

 見ていただくとわかるわけですが、中身をさらによく見てください。規模の小さな事業者ほど転嫁できていない。これは、一部転嫁できない、全くできていないを含むという数字ですけれども、あります。例えば資料一ですね。個人事業者では四二・七%、資本金五百万円以下の法人では三三・二%が転嫁できていないと答えておる。つまり、グラフを見ますと、資本が大きくなるにつれて転嫁できないという答えは減っています。さらに、課税売上高を見ても、一千万円以下の事業者の実に四八・三%が転嫁できないと答えています。

 さらに、先ほど大臣は、今後の話、総理の話として言っていましたけれども、今後の見通しに対して、転嫁できると答えているのは、一回目の調査の三三・三%から若干減って、三二・一%。転嫁できるかわからない、今後も転嫁できないと不安を抱えている事業者が、四二・一%から四二・八%へ逆にふえているわけですね。資料三のところを見ますと、今後の転嫁状況の見込みについても、一千万円以下の規模の場合では四八・七%が難しいと言っているわけですよね。

 こういう実態、事業者の声、これが直接、消費者にとって極めて大事な問題としてかかわりがあるのではないのか。だから、全て転嫁できているわけではないとかじゃなくて、およそ半数の方々が困難だと。しかもそのことは、そこにおる、働いている方々が、営業なさっている方々も含めて、極めてつらい選択をしているということの背景を見る必要があるわけですね。だから、経産省の、ええところの話だけちょこっと持ってくるということ自体に、私は、その大臣の考え方の根本にちょっと違うところがあるなということを思うんですが、いかがですか。

有村国務大臣 委員の御指摘で、価格転嫁ができた理由というのには、以前よりも消費税の転嫁への理解が定着しているという回答も多い、また、消費税を分けることにより交渉しやすくなったというのもあるのですが、価格転嫁ができない理由として、取引先との力関係で立場が弱かったためと、まさに問題意識を委員がおっしゃっていただきました。そういうところの声も実際に出ています。買いたたきや減額や本体価格での交渉拒否などの転嫁拒否行為ということも報告をされています。

 その上で、各省庁、都道府県、中小企業団体に相談窓口を設置して、転嫁拒否等に対する相談対応を強化します。我が消費者庁としても、便乗値上げに関する情報や、相談窓口を設置いたしております。また、事業者に対しても、約二十万事業者に対して転嫁特別措置法の遵守について要請文書を発出しております。公取と経産省、それから私たち消費者庁が連携をして要請文書を発出しております。

 引き続き、この分野に関しては、関係省庁と連携をして、おっしゃるように、中小、小規模という弱い立場に置かれる方が転嫁で泣き寝入りをすることのないように、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。(発言する者あり)

穀田委員 そういう決意は誰でも言うんですよ。よしというあれが飛んでいますけれども、そういう実態でなかったから大変なんですよ。四八%の人たちが転嫁できないという見込みを示していることにどう心を寄せるかという問題なんですよ。

 今見てきたように、労働者の賃金が減っている、物価が上がっている、営業をなさっている方々が大変だ、こういう状況を見たときに、今、消費税増税で国民生活はかつてない危機に瀕していると私は思うんですね。だから、国民の間には、今、経済がさらに悪化することへの不安とともに、消費税の再増税はやめるべきだという声が渦巻いています。

 首相は、一〇%の消費税増税について総合的に判断すると述べているんですが、総合的にという中には国民の意見も入るのか、判断の材料になるのかということをお聞きしたいんですね。

 つい直近の世論調査を見てみたいと思うんです。先ほど、大臣は、地方にはどうのこうのとか言っていましたけれども、そうじゃないんですよ。景気回復を実感せず、共同通信では八四・八%がそう答えているんですね。それから、消費税増税反対は、毎日が七三%、朝日も七割を超えている、読売も日経も、いずれも七〇%を超えているんですね。予定どおり上げるというのはわずかに二〇%台で、いずれも反対の意見が七割を超している。

 消費者行政をつかさどる大臣として、国民の声を反映させるべきじゃないのか、さらなる消費税増税はやめるべきだと閣議で意見を述べるべきじゃないのかと私は思うんですが、いかがですか。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

有村国務大臣 当然、総理がお仕えになられている、内閣が仕えるのは主権者たる国民でございます。その国民の皆さんの声を聞くということは、当然なされていくことだと認識をしております。

穀田委員 だから、国民の声はこのように出ているんだが、消費者行政、つまり、消費というのは、収入があって可処分所得があって、これが消費に回るわけですわね。それで、あなたは拡大する、こう言っているわけですやんか。それが縮小している。これは増税したらまた縮小するんじゃないか。だから、消費者行政をつかさどっている大臣としては、今の段階では上げるべきじゃないんじゃないかということを言うのかと言っているわけですよ。それとも、上げろと言っているのか。どっちを言おうとしているのか聞いているんですね。

有村国務大臣 最終的にこれは総理がお決めになられることでございますが、消費者の担当の大臣としては、消費税の是非について、物価に関連が出てくることですから、その動向も踏まえて御判断くださいということは言っていかなければなりません。

穀田委員 もう一度聞きますけれども、物価の判断という話は、上がっているわけですね。二%を超えて上がっているわけですよ。しかも、実質賃金は下がっている。消費の土台である収入が下がっているという現実で、大臣は、消費の拡大ということを言っておられる。これで拡大していないと。ということは、消費の拡大で好循環をもたらそうという大臣の所信表明とは違う事態が起こっている。では、これはあきませんねと言うんですねと聞いているんですよ。論理の話をしているんですよ。

有村国務大臣 大変恐縮でございますが、消費者担当大臣としては、やはり、消費の拡大ができるような状況を御判断くださいということを申し上げることに尽きると思います。

穀田委員 それでは、消費者の立場に立って物を言うてるとか、それから、所信で消費の拡大で好循環だなんという話は、一体全体、何のために言うてんのやと言わざるを得ませんわね。

 私は、先ほど述べたように、全国商工会連合会は、アベノミクスの効果により、回復基調とよく言われているが、地域の中小・小規模企業にとっては、引き続く原材料の高騰や商圏人口の減少に伴う購買力の低下などにより、いまだ景気回復の実感を得ているとは言いがたい状況が続いている、かかる状況を踏まえると、消費税率一〇%への引き上げについては、慎重に判断すべきである、ここまで言っているわけですね。

 私は、今まで述べたように、生活実感、営業している者の実感、そして実質賃金が下がっている、こういったことからすれば、再増税すれば国民生活に決定的な打撃を与えることは明白であり、実質賃金が下がっているもとでさらなる増税で所得を奪うことは、日本経済の土台を壊すことになる、絶対やめるべきだということを述べて、質問を終わります。

鴨下委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 通告に先立ちまして、ちょっとまず二点ほど。

 まず、先ほどの民主党さんの質疑のこれは確認ですけれども、大臣が寄附を受けた脱税会社というのは二〇〇八年から二〇一〇年まで脱税を行っており、大臣が実際に寄附を受けたのは脱税終了後の二〇一一年と一二年という前後関係で、これは間違いがないかどうかだけお伺いをいたします。

有村国務大臣 事実関係を御報告させていただきたいと存じます。

 有村事務所として寄附をいただいているのは、平成二十年、二十一年、それから二十三年、二十四年ということでございまして、その翌年の平成二十五年になって、このようなこと、脱税をされているということが、起訴されて、有罪が確定した時点で報道がございましたので、それ以前にいただいた寄附に関しては、全て返金を完了させていただいた事態でございます。

井坂委員 起訴との前後関係は、さっき御答弁いただいたとおりですが、実際の脱税と寄附の前後関係は、私が申し上げたとおりなんだろうというふうに思います。

 この政治と金の問題がやはり注目をされている国会ですので、李下に冠を正さずで、ぜひよろしくお願いをいたします。

 ちょっともう一点、通告に先立ちまして、七つ大臣を兼任されておられる件で、予算委員会で我が党の片山虎之助議員の方が、七つ全部言えますかとお尋ねをしたところ、そのときはお答えがなかったというふうに伺っております。本日ここで同じ質問を繰り返すことはいたしませんが、消費者行政をお尋ねするまず大前提として、単純に考えれば、七つの仕事があって、平日が二十一日あって、では消費者行政に割ける時間は合計すると三日程度か、こういうことを心配するわけであります。

 消費者行政の重要性、また七つあるお仕事の中で、特にこの消費者担当大臣というのは、消費者庁という実際の組織がぶら下がっている仕事でございます。これはもう大臣に端的にお伺いをいたしますが、ほかの大臣の仕事の時間を減らしてでも、月の半分ぐらいはこの消費者行政に割く御覚悟があるのかどうか、お伺いをいたします。

有村国務大臣 前回、片山虎之助先生からも、本日、委員からも御指摘いただきましたとおり、七つの所管をいただいております。女性活躍、行政改革、国家公務員制度、内閣府、規制改革、男女共同参画、少子化対策、消費者及び食品安全ということでございますけれども、それぞれに大変責任の重い、また日本の置かれた状況に鑑みて重要な分野だと思っております。仕事の内容とその社会的な影響の大きさを考えると、文字どおり身が引き締まる思いでございます。

 その中で、では消費者庁にどれだけの時間や思いを割くのかという御下問でございますけれども、やはり、七つを均等に時間を割くということで効果が出るというよりは、効果的に働かなきゃいけないということを、着任のデーワンから、秘書官とも、またそれぞれのスタッフの皆さんとも共有をしています。

 その中で、消費者及び食品安全が極めて大事だというメッセージを限られた時間の中でどうやって出そうかということの私の判断の一つが、九月四日に初登庁したのは、七つの所管の中で、まず消費者庁でありました。また、国会が始まる前に全国の視察に行くということも、七つの中で初めて出張させていただいたのは、静岡市の消費生活センターということで、消費者庁関係の、実際に静岡の方と膝詰めで話すということを何よりもベリービギニングでやるということを着任当初から考えて実行させていただきました。

 確かに、七つで時間は限られますけれども、その中で、だからこそ効果的に動いていかなきゃいけないという思いと、対策と、それにキャッチアップできる体制を、スタッフも含めてやっていきたいというふうに思っております。

井坂委員 この件、大臣御自身が悪いわけではなくて、七つまとめて任命した人が悪いんじゃないかと私は思いますので、これぐらいにいたします。

 消費者担当大臣に、所管事項をお伺いいたします。

 この夏、私ずっと、危険ドラッグの調査を行ってまいりまして、今月十日には危険ドラッグ禁止法を提出させていただきました。また翌十七日の厚生労働委員会では危険ドラッグに関する一般質疑が行われたわけですが、いまだに横行しているネット販売サイト、これを取り締まれない理由として、氏名や住所を正しく表示していない業者が多いため、薬事法に基づく中止命令がなかなかできないんだ、こういう答弁が厚生労働省側からされているわけであります。

 ここで、おやっと思うんですが、特定商取引法、所管の法律でございます、この十一条で、ネット販売業者の氏名、住所はホームページに表示をしなければならないと義務づけられている。それに違反すると、十四条で是正指示、十五条で業務停止命令、こういう法律になっております。

 消費者庁、どこまで取り締まっているんですかとお伺いしますと、ことしの三月以降で、危険ドラッグの通販サイト百四十六あるうち、七十七に表示違反がありましたと。それにメールで是正要請を行ったり、またプロバイダーに削除要請も行った結果、厚労省の仕事とも相まって、結果、五十サイトが閉鎖、十五サイトが表示修正、五サイトがもう販売をやめた、残り数件は従わず今の違反のまま、こういうお返事をいただいております。

 海外サイトも、海外のプロバイダーだった場合も、ちゃんとこういうメールでお願いしていますかといったら、それは、先週末はやっておられなかったんですが、本日の質問に先立って急いでされたというふうに伺っております。

 それはやっていただいてよかったというふうに思いますが、この消費者庁のいただいた違反リストの中で、既に閉鎖されたと消費者庁が認識をしている業者、私、これを全件、サイト名を検索したら、出るわ出るわで、四十一サイトがほかのアドレスでまた営業を再開している。さらに、それに加えて、十二サイトは、ホームページではなくてツイッターのページでまた営業を再開している。

 しかも、わかりにくいどころか、アドレス、URLの最後、ドットコムだったところをただドットネットに直しただけ、こういうサイトもたくさんありますし、閉鎖されたサイトから新しいサイトに誘導をしている例などもあり、消費者庁がこれらのサイトを閉鎖されたサイトというふうに数えるのは、私は認識が甘過ぎるというふうに思うわけであります。

 再調査、それから定期調査をしているのか、お伺いをいたします。

有村国務大臣 まずもって、委員が危険ドラッグの、命にかかわることに対して真摯に取り組んで対応されていることに心からの敬意を申し上げます。

 その上で、委員が御指摘のように、私もスタッフから報告を受けましたけれども、かなりイタチごっこの現状が続いているという認識を私自身も持ちます。

 消費者庁が表示の是正要請を行った七十七サイトのうち、十月十五日時点で改善が見られなかったサイト、特に海外事業者も含むサイト、再度是正要請を行いましたが、海外のプロバイダーに対しても、当該サイトの削除措置を講ずる協力要請も行ったんですが、まだまだ温存されているような状況です。

 再度やるかということですが、当然、特定商取引法上の表示義務に違反しているおそれのあるサイトの運営業者に対しては、表示の是正要請を行っております。

 それで、五十八サイトの閉鎖を確認しておりますけれども、委員が御指摘のように、ほかのアドレスで営業が再開されているとか、あるいは、我が方が確認したところで二サイト、違法状態のまま再開しているというところもございます。そういう意味で、十月二十一日、改めて事業者及びプロバイダーに対してサイトを閉鎖させたところでございます。

 どんどん複雑化して、どんどん変えていけることができるので、イタチごっこという現状を踏まえながら、当然、こちらも、イタチごっこと言われながらも、それを追って一つ一つを消していくような努力でたゆみなく歩んでいくしかないというふうに考えております。

井坂委員 イタチごっことおっしゃいますが、これは私、本当に、数時間調べてすぐわかったことなので、要は、やればすぐできることであるわけです。このあたりが、私が冒頭お伺いしました、消費者行政に本当にどこまで時間を割いていただけるのかということにかかわってくると思っておりますから、ぜひ、御答弁のとおり、頻繁にやっていただきたいというふうに思います。

 さらに、消費者庁のリストで、表示違反なし、または言ったら是正をしてくれましたとなっている業者の住所に、三件ほど訪問、現地調査をかけましたところ、三件とも、表札には全く違う氏名あるいは全く違う会社名が書かれていて、ノック、呼び鈴を押してみても出てこなかった、こういう事実がございます。

 危険ドラッグの通販サイトに記載された住所に、ホームページ上は実際書いてあったとしても、本当にその住所に記載されている氏名の販売者が存在をしているのか、こうした現地調査、確認をしておられるか、お伺いをいたします。

有村国務大臣 消費者庁からの是正要請にもかかわらず表示義務違反を繰り返す事業者については、実際に現地確認を行っております。本年九月八日に、特定商取引法に基づく指示処分を行ったところでもございます。

 委員御指摘のように、そのほかの表示が是正されたサイト、すなわち、実在の住所を表示しているサイトについても、実際には記載された住所に記載されている氏名の販売者が存在しないという可能性がこのほかにもあると思いますので、関係省庁と当然連携は必要でございますが、現地確認をこれからも行っていく必要がある、そしてそれをやっていくという思いでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この問題、普通であれば、ネット上で幾つもあるいいかげんな氏名や住所のサイト、一々全件やれとは申し上げませんが、今回まさに厚生労働省が、住所がわからないネットサイトが多いからやるべきことができないんだ、こういう答弁に逃げておりますので、この点だけ消費者庁にお願いをしたいと思って、本日させていただいております。

 あと、まだまだやりますけれども、危険ドラッグに限らず、過去に、どんなものを売っていても、通販サイトにおける住所の記載がなかった、あるいはうその住所が書いてあった、こういうことで、法律に基づく指示、処罰、何件行った実績があるのか、お伺いをいたします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 特定商取引法の通信販売規制における表示義務違反のみで通販サイトに対して行政処分を行ったのは、本年九月の指示処分が初めてでありますが、住所の表示義務違反を含む行政処分、指示と業務停止の命令は、消費者庁が発足した平成二十一年九月以降、合計で七件行っております。

 その中には出会い系サイトも入っているというふうに承知をしております。

井坂委員 特定商取引法にはっきりルールが書いてある、しかし、実際、この法律どおりに指示あるいは営業停止命令、そして処罰というところまで行っているのは、本年、まさに危険ドラッグのサイト、アロマ屋というところで初めてやっていただいたというふうに伺っています。ただし、これも指示どまりであって、営業停止とか、あるいは処罰といったところには至っていない。

 このあたりも考えますと、やはり法律にはっきりルールがあって、きちんと取り締まれるわけでありますから、最後まで、しかもきちんと、問題のあるところはたゆまずやっていただきたいというふうに思うわけであります。

 実際、本年、アロマ屋という危険ドラッグサイトに実際の法律上の指示をされるまでには、現地調査を重ねたり、大変な御苦労があったというふうにも担当の方に伺っております。指示処分を一つ出すだけでも、書面を実際に相手方に届けたり。

 ところが、この問題は本当に矛盾がありますのが、住所がいいかげん、あるいは住所がわからない、それが罪の内容であるのに、その処罰のために、相手の住所がわからないとできないような手続がそこに必要とされている、こういう状況になっているわけであります。

 行政手続法では、不利益処分の際には弁明の機会の付与の通知は書面で行わなければならない、こういうことになっておりますが、住所不明のネット販売業者に対してはメールをもってこうした手続の書面にかえることは可能なのかどうか、お伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘のとおり、行政手続法では、弁明の機会の付与は書面により通知しなければならないとされておりますので、メールによる通知は行えないものというふうに考えております。

井坂委員 通常であれば、もちろん公文書ですから書面が当然と思うわけでありますが、先ほど申し上げたように、住所が書いてないからだめだというその書面を、何で住所がわからないところに届けなきゃいけないのか。ここは本当に法律上の矛盾があるのではないでしょうか。

 重ねてお尋ねをいたしますが、この指示処分、行政手続法十五条三項の消費者庁における掲示、こういうやり方、公示送達と言われるようですが、このやり方で済ませることは可能なのかどうか、お伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の行政手続法十五条三項、これは不利益処分を行う前の聴聞に関する規定でございますが、特定商取引法上の指示処分につきましては、今お話ありました公示送達、いわゆる消費者庁における掲示、こうしたことに係る特別の規定は置かれておりません。

 このため、指示処分の手続を消費者庁における掲示で行うことはできないというふうに考えております。

井坂委員 特定商取引法には個別の定めが置かれていないため公示送達による不利益処分はできない、こういうお答えかと思います。

 大臣、ちょっと再質問でお伺いをいたしますが、今のやりとりを聞いていただいて、逆に言えば、個別法、特定商取引法にちゃんとその定めを置けば、住所がわからない、その罪をやりとりする場合に限っては、私は当然、特定商取引法の中にこういう個別の定めを置いてこういうことができるようにするのが自然ではないか、当たり前ではないかと思うわけでありますが、御見解を伺います。

有村国務大臣 委員の御提案を敬意を持って拝聴いたします。

 公示送達というのは一つの方法ではないだろうかという問題提起でございますが、私自身もそのような一つではないかと思ったときもあるんですが、公示送達の申し出が簡易裁判所で却下された例もあるものでございますから、公示送達の申し立てを行うことを可能とする学説もあるので、ここはちょっと両方の意見と、それから裁判所での却下された例ということを、しっかりと判例を学びながら、妥当なラインを考えていかなければならないというふうに考えております。

井坂委員 先ほど、消費者庁で唯一行われたアロマ屋という危険ドラッグ業者、本当に一番軽い、営業停止命令よりまだ軽い指示処分を行うためだけでも相当な手間暇をかけられたわけであります。指示を出す段階でそこまで手間暇をかけるのではなく、そこは速やかにやってしまって、そして、その指示違反をもって営業停止命令あるいは処罰、こちらの方に注力すべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

有村国務大臣 委員のお気持ち、意図に本当に共感したい思いでいっぱいでございます。

 同時に、相手の住所がわからなければ速やかに指示、処罰できない、どう守るのかというところですが、事業者が運営するサイトのプロバイダーに対しては削除依頼を行い、消費者に対して危険ドラッグの危険性を啓発し、関係機関の相談窓口を周知して、乱用防止のためにしっかりと取り組んでいくということを充実させるということに専念させていただくことが妥当だと現時点では考えております。

井坂委員 プロバイダーに対していろいろやりとりする、でも、これは単なる削除要請でありますから、法的実効性はないわけであります。プロバイダーが良心的なところであれば、うちのプロバイダーにこんなサイトがあった、これはいけませんねとなりますけれども、そうはならないケースも多いわけであります。

 本日議論しているのは、特定商取引法で住所を書かなきゃいけませんよと法律に書いてあるのに住所を書いてない業者に対して、住所がわからないから行政手続がとれなくて処罰ができない、おかしくないですかとお尋ねをしておりますので、お答えをいただきたいと思います。

有村国務大臣 当然、そういう制約を受けながら、スタッフも日夜現場を確認し、また正確な住所を割り出している、そのスタッフが適正人数なのか、適切なマンパワーが向けられているのかということも含めて、国会で御審議をいただく予算にもかかわってくる話でございます。

 やはり抜け穴を防いでいくような、そういう体制が一日も早く来ることを私も願っております。

井坂委員 時間が参りましたが、マンパワーの問題ではなく法のたてつけがおかしいと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上です。

鴨下委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学でございます。よろしくお願いいたします。

 私は消費者特委は初めてでございまして、初めての質問になりますが、そういったこともありまして、消費者行政とか消費者庁の基本的な、どういうような観点から進めていくべきなのかどうかについて大臣の所見をお伺いしながら、いろいろと議論を進めていただきたいと思っております。

 消費者庁ができたのは、まだ私も現役の役人をやっていたころですが、福田政権のころにイニシアチブがとられて、当時大きな期待がかけられたように記憶しております。当時の福田政権は、生活者、消費者を主役とする社会というのを掲げておられて、それを実現するために真に消費者や生活者の視点に立った行政ということを目標として掲げて、それを具体化させたのが消費者庁だったというふうに記憶をしております。

 当時はいろいろな議論がありまして、私も民間の言論NPOというものを個人的にお手伝いしながら、政策評価とかいろいろ手伝ったことがあるんですが、そのときの議論でも、従来の戦後の日本の社会がどちらかというと生産者や供給者を主役とする社会、つまり生産者側を向きがちな仕組みに設計されていた社会だ、それを大きく生活者、消費者の視点というものに転換していく一つの大きなきっかけになればいいなという期待を寄せていたわけであります。

 生活者、消費者の視点といってもいろいろな視点があるんですが、福田政権の場合は、安全、安心ということに特に重点を置いた。当時、御記憶の方もいらっしゃると思いますが、耐震強度偽装問題とか中国のギョーザ問題、ちょうどそのころもありまして、安全、安心ということに対する国民の関心も高まっていた。

 一方で、経済社会のいわゆる閉塞感というのもあって、明治以来百四、五十年間続いてきたキャッチアップ型の成長、発展モデルから、大きく社会のパラダイムを変えていかなければいけない。

 そういうときに、単なる安全、安心を超えて、日本の全体システムを再設計するという大きな考え方のもとに、お配りした紙に少し図が描いてありますが、これは私がいろいろと御指導を仰いでおります社会システム・アーキテクトの横山禎徳さんがいつも使っている図なんですが、いわゆる縦割りの、業界横断でできてきた戦後の社会を、ここに横串をかけて、例えば、医療システムであれば、ここにかかっているのは何も病院業という縦割りだけではなくて、いろいろな業界がかかっている。生活者、消費者に、エンドユーザーに対して価値を提供して保障していくものとして社会システム全体を設計するというのがこれからの日本のあり方、そんな議論をしていた記憶があります。

 そういう議論の中で、この消費者庁というのは、そういったことに、社会を転換していく上での一つの大きな役割を果たしてくれる役所になるんじゃないかという期待を込めながら、私もその設立を歓迎していたものであります。

 そういった、いわゆる生産者に基点を置いた戦後システムからエンドユーザー基点の社会システムへと、国の全体システム再設計に寄与する役所であるという役割を担うべきだと私は思いますが、大臣はどういうふうに御認識されているか、お聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁の創設時の理念は、御指摘いただきましたとおり、消費者を主役とする政府のかじ取りとして、消費者の不安、不信を招いた個々の事件への政府全体の対応力の向上を目指すということで、反省が前にあったというふうに認識をしています。

 当時書かれました、閣議決定をなされました消費者行政推進基本計画をいま一度私も拝読をさせていただいておりますが、「今や「安全安心な市場」、「良質な市場」の実現こそが新たな公共的目標として位置付けられるべきもの」ということで、消費者の権利の尊重、自立の支援を積極的に指示し、行政のパラダイム、価値規範の転換の拠点であり、「真の意味での「行政の改革」のための拠点である。」ということで、相当な強い思い入れを持って明治以来の日本の政府機能の見直しを目指すものであった、大変格調高い閣議がなされているということを、私も改めて拝読をいたします。事業者優先の発想のもとで行われてきた過去の我が国の行政を改めて、消費者、生活者が主体となる国民本位の行政に転換するための拠点となることが期待されていたものと読み取れます。

 その上で、創設時の理念というのは、委員御指摘の、生産者基点の戦後システムからエンドユーザー基点の社会システムへと、全体システムの再設計に寄与する役割というのと重なるものがあるというふうに私も拝聴して思いました。

 創設時の基本理念を体しながら、国民一人一人に貢献できる消費者行政を目指していかなければならないと考えております。

松田委員 当初の設立の大きな理念が継続して今も共有されているということを聞いて、安心をいたしました。

 それで、戦後システムというものそのものが、振り返ってみれば、所管省庁があって、業界団体があって、そして業界があるという、それが、業界ごとに縦割り、分断になっていて、役所も、中央集権といいながら実は中央分権であるというようなことがずっと言われてきたわけでありまして、そういったところをどうやって変えていくかということで、やはり消費者というのが一つの重要な観点になるわけです。

 そもそも、消費者の利益という言葉が出てきたのも、振り返ってみると一九八〇年代の後半と言われていまして、これを代弁してきているのが、日本に構造協議を迫っていたアメリカである。内需拡大のために構造調整しろ、それも全て消費者のためである。前川レポートなんかもそんな立場だったと思います。

 今、日本の経済の現状を見てみると、家計という観点で考えてみれば、アベノミクスも円安で随分家計に、実質所得を低下させるということで、どうも、アベノミクスがかつての日本の戦後レジームである生産者基点の方に戻った政策じゃないか、そういう議論も出かねないような状況なんですけれども、日本経済のこれからというのは、投資主導型、中国なんかは投資主導型ですが、やはり、消費主導型の経済成長ということを考えていくと、消費者を保護するということもそうなんですが、いかにエンドユーザーに価値を提供する上での機能的な再編を生産者側に対して促していくかということも、私は非常に重要な消費者庁の存在意義だと思っています。

 したがって、事業者に対決するという側面だけでなくて、エンドユーザーに対して的確に価値を提供、保障していくようなそういう方向に生産者側をバックアップしていくようなことも、もしかすると、消費者中心の行政ということであるのかもしれないというふうに考えます。

 そういったように考えていきますと、消費者庁は、単に消費者からのクレームを受けて、ミクロレベルでいろいろ消費者の立場を代弁するんじゃなくて、国のいろいろな政策分野、例えば、これは私ども次世代の党の立場でもありますが、農産品なんかも高関税でずっと守ってきた。しかし、それというのは、多額の税金をつぎ込んで、生産調整をさせて、米の供給を削減して、高い米を買わせる、税金と高い値段ということで、消費者に二重の負担を課していくことで農業保護をやってきた。これは、ヨーロッパ型のいわゆる財政方式に転換するということが消費者の利益になる、価格が下がるということは。立場もいろいろあろうかと思います、農政について例として言えば。

 そういった観点から、消費者庁が、消費者の立場に立っていろいろな国の政策について物申す存在というふうな形になっているのかどうか。現状について、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁は、国の消費者行政の司令塔、エンジン役としての役割を果たすことが期待され、そのように設置をされています。その中で、消費者庁としては、消費者に当然寄り添うということもありますが、食品ロスをどのように削減させるか、食品表示の問題をどのように的確にするかというような連携会議ということを参集したり、関係省庁に積極的に働きかけをする、また、公共料金の決定に関しても省庁への意見具申などを実際に行っております。

 具体的には、先般、北海道電力による電気料金の値上げ認可申請に対して、私ども消費者庁としては、私も何度もこの会議に入らせていただきましたが、北海道民の消費者の意見を反映しながら、消費者利益の擁護の観点、そして、これから冬で北海道は非常に寒くなりますから、いわゆる光熱費が非常に高くなるということで、そこに関しては、再度値上げをしないですねというようなこと、そして、もし泊原発が再稼働したら、そのときにはしっかりと値下げをしていただけますねというような、消費者庁ならではの意見具申をして、それを反映させていただいた次第でございます。

松田委員 恐らく、縦割りの業界所管省庁というのが日本の役所の中では力関係においては非常に強い、そこに対して、横串的な消費者庁というのは、どちらかというと、力関係では必ずしも強くないんじゃないかというふうなことを最初から心配していたんです。

 そういった状況がもしあるとすれば、例えば、縦割り省庁に穴をあけて官邸主導でということでは経済財政諮問会議が非常によいパフォーマンスを上げているわけですけれども、消費者行政では消費者委員会というのがありますので、そういうところにどんどんいろいろなことを、経済財政諮問会議では民間委員がいろいろな提言を出していますが、消費者委員会の機能を高めて、聞いてみると、消費者庁そのものが分かれているようですけれども、消費者庁そのものがその事務方となって、例えば内閣府と経済財政諮問会議の関係のような形になれば、より強力なパワーを霞が関、全省庁に対して発揮できるんじゃないかと思いますが、そういった議論についてはどのようにお考えでしょうか。

有村国務大臣 これまでも消費者庁と消費者委員会の設置のあり方というのは議論されてまいりましたけれども、現在、消費者委員会は、専門的な見地からの建議を行っており、その事務局とともに内閣府に置かれているのは、委員御案内のとおりでございます。消費者庁とは別の組織に現在なってございます。

 この過程は、国会審議におきまして、消費者庁を含む消費者行政全般に対する監視機能を消費者委員会に十分に発揮させる、その力を持たせるために、与野党の全会一致の合意のもとで、あえてこの委員会を消費者庁に設置するものから内閣府に設置するものとの修正が行われた、この事実に基づいて移動がなされております。

 消費者の権利の一つである消費者の意見の消費者政策への反映を具現化していくため、また、消費者行政の各省庁の取り組みを充実させるために、これからもしっかりとした提言を行って、消費者庁がエンジン役、司令塔として機能を果たすということをやっていきたいと思います。当然ながら、消費者庁と消費者委員会の緊密な連携はこれからも図っていって、そのメリットを最大限発揮させるようにしていきたいと考えております。

松田委員 よく行政組織を議論するときに、私も旧大蔵省にいましたときに、証券取引等監視委員会というのをつくったときに、あれを三条委員会にすべきか八条委員会にすべきかという大議論をしたことがありました。三条委員会にして公取みたいにすれば、とにかく独立性があっていいんだという意見が多かったんですが、行政との連携関係といいますか、それが非常に有効に機能する上でも大事だ、委員会そのものが独立していれば、機能が独立していればいいのであって、組織の独立というのは本当に意味があるのかということで、結局、八条委員会に落ちついたんです。その後、日本版SECが独立性において大きな問題があるという議論は聞いたことがないので、やはりそこは、もう少し行政の機能強化という観点から、余り組織の独立ということにこだわらなくてもいいのではないかという感想を申し添えたいと思います。

 次に、消費者行政は、消費者の立場に立つというのは非常にいいんですが、先ほどもちらっと申しましたけれども、単に事業者に対峙するというポジションをとるだけでは、いろいろな意味で、かえって事業者をシュリンクさせてしまうとか、あるいは事業者に過大な負担を与えたりとか、新しい事業の芽を潰してしまったりとか、そうすると逆に、消費者、エンドユーザーに対していいものが提供されなくなるおそれがあるわけですね。

 事業者もいろいろな意味でのチャレンジをしていただく必要があるので、この辺のバランスも重要なんですけれども、余り消費者、消費者と言うと、本当にエンドユーザーの利益にならない場合もあるんじゃないかというような観点から、以下、幾つか具体的な点についてお伺いしたいと思います。

 まず、先般成立した消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律というのがございますが、ここでは、濫訴というのが心配されたので、濫訴を防止するという規定が置かれていますけれども、やはり事業者側には濫訴が起こるんじゃないかという懸念が強いということで、本制度の趣旨については、幅広く事業者、国民に理解されることが必要であろうと思います。法の附則の第三条にも、速やかにそういった事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について検討を加え、措置を講じると。この実施状況とか、あるいは広報活動なんかもあわせて、どの程度理解が進んでいるか、御答弁いただければと思います。

服部政府参考人 附則第三条の実施状況等についての御質問でございます。

 消費者庁では、消費者裁判手続特例法附則第三条の趣旨を踏まえまして、本年五月から、事業者団体、消費者団体、有識者によって構成されております特定適格消費者団体の認定・監督に関する指針等検討会を開催しております。

 この検討会では、特定適格消費者団体の認定、監督の指針のあり方につきまして検討を行っております。消費者裁判手続特例法第七十五条の、ただいま御指摘ございました、いわゆる濫訴防止規定を踏まえた具体的な方策についても検討が行われているところでございます。

 また、広報等でございますが、消費者裁判手続特例法の公布後、周知のための説明会を開催しております。さらに、まずは制度の名称、及び御指摘ございました趣旨、概要について広く周知したいと考えており、ポスター、パンフレット、DVD等を作成しているところでございます。

 今後、検討会の取りまとめを踏まえまして、制度の詳細についても国民の皆様の御理解をいただくように、引き続き周知活動に取り組んでまいる所存でございます。

松田委員 あともう一つは貸金業法なんですが、これは、消費者の立場に立って多重債務問題とかそういった問題に対応していくということで貸金業法が施行されているんですが、一方で、銀行から融資を受けにくい中小零細企業にとっては金が回らなくなったという悲鳴も上がっていた、行政というのは現場を知らないんじゃないかという意見も他方でいろいろ私も耳にしたところであります。最近では、自民党でも、貸金業の金利規制を緩和しようとする動きもあるという報道もありました。これも、余り事業者を締め過ぎると、エンドユーザー、中小零細企業もエンドユーザーの一部だと思いますけれども、そのニーズに反する結果をもたらすということがあり得るんじゃないかと思います。

 こういった、規制を緩和すべきとの議論について、消費者庁としてはどういうふうに考えているか、お聞かせいただければと思います。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の貸金業法は、多重債務問題の解決に向けまして、抜本的かつ総合的な対策を講じるという観点から、平成十八年十二月に、国会におきまして全会一致の賛成によって成立をしてございます。

 その後の状況でございますけれども、多重債務者等の数が平成十八年度と比べて減少しているというようなことでございまして、多重債務者対策の上では相応の効果があったものと認識をしておりまして、消費者庁といたしましては、現時点で制度につき直ちに見直すべき点はないというふうに考えております。

松田委員 昔、私も医療問題についてちょっと取り組んでいたことがありますが、ADR、裁判外紛争処理手続、これは、消費者を救済するシステムとしては、先ほど取り上げた集団的な手法の一方で、個別の案件について、煩雑で時間がかかるような裁判手続を、どうやってその負担によらずに解決していくかという、当事者間で解決していく仕組みとして、国民生活センターにもこういった委員会を設けられているというふうに承知しておりますけれども、医療について、特にADRというのが叫ばれて久しいと思います。

 日本では、医療事故が起こりますと、医師が突然刑事被告になるということで、医師が治療に対して非常にシュリンクしてしまって、本当はやってもいいような治療もやらないとか、やたら過剰な検査をするとか、産婦人科がいなくなってしまうとか、そういった、いわゆる供給側がどんどん縮小して、かえって患者のニーズに即さないような結果をもたらす一つの事例ではないかというふうに思うんです。そういった場合、やはり、このADRというものを医療についてもどんどん導入していくべきであろうと思いますし、一方では無過失補償制度という議論もあります。

 そういった意味で、医療事故に対する救済システムというのは厚生労働省所管かもしれませんが、消費者行政の立場からいろいろと物申していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のございましたADR、裁判外紛争解決手続でございますが、一般的に申し上げますと、時間と費用を要する裁判によらず、当事者の合意に基づいて迅速かつ簡便に紛争解決を行う方法でございますので、消費者の権利の実現のための実効性を確保するという観点からも、その整備は極めて重要な課題だと考えております。

 ただいま御指摘がございましたように、独立行政法人国民生活センターには、法律を改正いたしまして、平成二十一年度より、独立して職権を行う公正中立な紛争解決委員会を設置いたしまして、重要消費者紛争につきまして、その解決のための和解の仲介及び仲裁の手続を実施しているところでございます。

 医療機関と患者との医療事故に係る紛争も消費者紛争の一つということが言えますので、重要消費者紛争の要件を満たせば国民生活センターのADRでも取り扱うことは可能でございまして、実際、主として美容医療の分野における返金あるいは解約といった紛争については実績があるところでございます。

 一方、医療事故に係る紛争のように、個別事案の対応に極めて高度な専門知識が必要となる分野につきましては、一般的なADRで対応することには限界があるという側面もございまして、どのような紛争解決システムが適当であるか、あるいは無過失の補償制度が必要かどうかにつきましては、それぞれの紛争の特質について専門的知見を持つ省庁が中心になって検討することが適切と考えているところでございますが、国民生活センターの実績等につきましては、必要があれば提供をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

松田委員 ぜひ、患者も医療という医療サービスの消費者でありますので、その立場に立って、救済システムについて、より負担の少ないものということで、各省庁に対しても推進を働きかけていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 それから、これはちょっと大臣にお考えをお伺いしたいということなんです。

 私ども次世代の党の基本理念に自立ということがありまして、これは、私も以前、日本維新の会におりましたときから言っていたことで、維新の党も共有していることだと思いますけれども、自立ということから経済政策のあり方を考えたときに、従来、経済政策といえば、政府が介入するか自由放任主義で市場に任せるか、この二項対立みたいなものがあって、しょっちゅう揺れ動いてきたんですけれども、第三の解決の道として最近よく言われているのが、緩やかな介入主義ということが最近は行動経済学の立場から言われるようになっています。

 これは、消費者とか個々人に、企業でもいいんですけれども、いろいろな選択肢のメニューを与えて、情報をできるだけたくさん与えて、選択するとどれぐらいそれぞれの選択肢にコストがかかるかということを明示していくと、消費者みずから、個々人みずからの納得の上で選択が行われて、その結果として社会が望ましい方向に導かれていく。そういういわゆる社会が望ましい方向に行くような選択肢をいかに設計するかということに、結局、個々人の選択の結果として経済が動き、社会が動いていくということで、これも自立という考え方にそぐう考え方だと思うんです。

 まさに、これは消費者行政、あるいは規制改革全般についてもそうだと思うんですが、私は、こういう考え方でもっと積極的に取り組んでいけば、結果として行政のコスト、全て行政の方で、これをやれと言えば、それについて行政は責任を負うわけですから、それで何か事件が起こると損害賠償だと、また大きなコストを背負うことになりますし、それよりは、ある程度個々人と国とがリスク分担しながら、個人が納得していく、しながら進んでいくという規制のあり方がいいと思いますけれども、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

有村国務大臣 委員の御指摘、敬意を持って拝聴いたしました。

 消費者政策は、消費者の自立を支援することを基本としています。消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保が、消費者の権利として基本理念に位置づけられているからです。

 リスクやコストを含めた幅広い情報を提供することは、当然、生産者と消費者、事業者と買い手というのには情報の非対称性もございますから、そういう広い情報を開示して、消費者の選択の意思決定に資する情報を出していくということは極めて大事なことだと認識をしております。

 その一方で、消費者の安全の確保、消費者に被害が生じた場合に適切に迅速に救済していくことも消費者の権利であることが消費者基本法に定められております。そういう意味では、消費者の生命、安全の確保、消費者被害の相談体制の充実の取り組みも同時に大事だと思っております。

 そういう意味では、双方の取り組みを進めていくことが肝要だというふうに認識をいたしております。

松田委員 いろいろな意味で、消費者がやはり納得をしていく、これは、個々の経済主体が納得をした結果については受け入れるということもありますし、先ほどのADRも、結局いろいろと当事者間で話し合いをしていくと納得という、結果を受け入れやすくなるという環境をつくるものということで、諸外国でも実績を上げていると聞いていますが、やはりそちらの方に、納得できるような解決に導いていくような仕組みをつくっていくというか、それが消費者行政、非常に重要ではないかというふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、ちょっと消費者庁の勉強をさせていただいて、いろいろと資料もいただいたんですが、その中で、高齢者、障害者等の消費者被害救済のための地域の見守りネットワークの推進というのがあります。

 実は、ある商店街で超高齢化社会の拠点づくりをしようということで、いわゆる高齢者見守りシステムというのを進めている事業者も結構いらっしゃって、それは単に、消費者庁の資料にありましたような悪徳商法から高齢者や障害者を守るという視点だけじゃなくて、例えば、これは個人情報の問題になるんですけれども、もちろん本人の同意を得た上でですが、その人の趣味、嗜好、高齢者の趣味、嗜好であるとか、健康状態とか、あるいは家族関係とか、いろいろなものをデータベースにして、その方に適時適切にそういったサービスが提供しやすいようにしていく、それに町全体で取り組んでいく。

 私は、こういう、いわゆる安全、安心ということだけではなくて、積極的なバリューを高齢者に提供していくという意味での見守りシステムというのは非常に重要じゃないかとかねがね思っているんです。このIT時代に、こういったものにITを活用していくということについて、消費者庁も少しイニシアチブをとるべきではないかという気がしておりますが、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 興味深く拝聴いたしました。

 高齢者の安全、安心の確保の観点からは、孤立しがちな高齢者の方々を地域で支え合うための仕組みが実際に求められていて、地域の見守りネットワークの活動をより強固にする必要があると思っております。

 せんだって、着任してすぐに、静岡市に消費者行政の担当大臣としてお伺いしました。そのときに大変興味深いことを教えていただきました。認知症が出始めた高齢者の方々が、最初にその認知症が疑われる兆候が出るのは消費行動によってである、ここでやはりみんなが見守りをして、そして対策を立てることが極めて大事な初動だということを学んでまいりました。

 また、その消費行動の多くは布団に関することから始まるということも、地元ならではの知識がありましたので、静岡市さんは先進的な事例で本当に有名なケースですけれども、やはり高齢者の健康福祉の増進といった、超高齢社会における価値の創造に資するものだと認識をしています。

 当然、委員御指摘のように、見守りネットワークの担い手に対して、ITを活用して、適切、最新の情報を提供し、担い手から情報を高齢者の方々に伝達していただく。わかりやすい、高齢者の方々にメッセージが伝わってこそ意味がありますので、そういう通信媒体、コミュニケーションのあり方もさらに検討を深めていくべきものだと考えております。

松田委員 ITということでいえば、個人情報保護の観点というのが、これも消費者庁がいろいろ取り組んでおられると思いますが、マイナンバー制度が今度、税金と社会保険料と防災の三分野に限定して、小さく産んで大きく育てていくということで進められているんですが、一部には、マイナンバーが現実のものになってくると、個人情報保護に対して、逆にそっちの要請が強まって、なかなかマイナンバー進展に対して阻害要因になるんじゃないかと懸念する声もあります。

 しかし一方で、マイナンバーがもたらす可能性というのは、私も北欧諸国を内閣委員会の視察で去年回ってまいりましたが、いろいろな意味での、例えば遺伝子情報を全部バイオバンクに集約して、それでいろいろなイノベーションを起こしていく、あるいはデンマークなんかは、個人番号制と個人の医療情報が対応していて、番号さえあればどこの病院に行っても同じようにきちっと診てもらえるとか、医療の効率化とか、いろいろなところで社会の効率化やイノベーションに役立っている。いわゆる保護から利活用へという観点は非常に重要になってきているんじゃないかと思います。

 そういった点でも、消費者庁は保護から利活用、例えば利活用ということで言えば、今例えば大震災が起こったときに、家の中にどういう家具が置いてあるかによって住んでいる方がどういう被害に遭うかということまでシミュレーションできる技術、東大が地震シミュレーションという技術を持っていますけれども、それなんかも実はプライバシーの情報ですが、誰かがちゃんと自分のプライバシーを見守ってくれているという価値も、これからの超高齢化社会、これから災害も非常に多くなる、意識も高まっている中で、重要なバリューになると思いますが、大臣の御所見を最後にお聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。高齢者の見守り、委員御言及いただきました災害対策の場面において、法の定め以上に個人情報の提供を控えてしまって、いわゆる過剰反応ということも、まだ依然見られております。

 このため、消費者庁の創設以降、全国で延べ六十四カ所、一万五千人に対して個人情報のあり方の説明会を行ってまいりました。現在、内閣官房において、個人情報及びプライバシーの保護を図りつつ、これが大前提ですが、個人情報の利活用促進の観点から、本人の同意がなくてもデータの利活用を可能とする枠組みを導入することなどの個人情報保護法の改正が検討されているということを伺っております。いわゆるビッグデータの情報をどのように利活用するかということだと理解をしております。

 今後も、個人情報を守っていく保護と、それから利活用の重要なバランスをしっかりと見ながら取り組みをしていきたいと考えております。

松田委員 どうもありがとうございました。

 このように、私は消費者庁ではなくてエンドユーザー庁という名前にすればいいんじゃないかと思うんですが、そういう発想で取り組むと、実にいろいろな可能性といいますか、日本の社会システムの再設計の上で、いろいろなこれからの課題というものが、今ちょっと議論しただけでも出てくるんじゃないかと思いますので、ぜひそういった大局的な視点で消費者行政に取り組んでいただければと思います。よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 維新の党の上西小百合でございます。

 私も、本日は、これまで取り上げさせていただきました、国民のために存在すべき国民生活センターについて質問をさせていただきます。

 国センは、ナビダイヤルの番号、「守ろうよ、みんなを」に象徴されるように、一般消費者から直接、あるいは自治体の消費生活センターを通じて間接的に、消費生活に関する相談を受け付け、危害情報の収集、蓄積、それに基づいた情報の提供、市販商品テストや結果に基づいたメーカーへの改善などの要請を行っている独立行政法人で、土日や祭日でも消費者が相談しやすいように、休みの日でも電話相談をしている機関と認識をしております。

 しかし、若干疑義を生じた部分もありましたので、通常国会中、何度か国センに対して質問をさせていただきました。その中で、私が解せない点を本日も少し聞かせていただきたいと思います。

 まず、過去十年間の国センのファクス受信状況を知りたくて、ファクス用紙かインクの使用量か購入量のデータをお示しくださるように資料を求めました。しかし、国センではコピーとファクス兼用の複合機を使用されているとのことでしたので、そういった資料を皆様に配付させていただいております。

 いただいたデータによりますと、平成二十年から平成二十三年にかけて、その前後の年度に比べると、コピー用紙もコピー機の消耗品も桁違いに異常に多く使われていることが見てとれると思います。これを国センでは、どういった原因がある、どういった理由に基づく変化とお考えでしょうか。お聞かせをいただければと思います。

松本参考人 国民生活センターでは、ファクス、コピー、プリンター機能を持った複合機につきまして、保守及び消耗品の供給に係る年間契約を締結しております。

 したがいまして、複合機の消耗品消費量だけを区別して計算することはできませんが、保守及び消耗品の供給に係る契約の支払い金額は、平成十九年度は約七百六十万円でありましたが、平成二十年度で約一千百五万円、二十一年度で一千二百五十一万円、二十二年度が一千三百五十四万円、二十三年度が一千四百四十二万円、二十四年度で約九百七十万円、二十五年度が約九百十一万円となっております。

 平成十九年度に比べまして、平成二十年度以降において支払い金額が増加した理由としては、平成二十一年度に消費者庁が設置をされ、消費者行政が強化をされたこと、それから、平成二十二年度以降、国民生活センターの国への一元化の議論がなされたということもございますが、とりわけ、平成二十一年四月から裁判外紛争解決手続、ADRを開始いたしました。また、その準備に平成二十年度から当たっていたということが大きな要因として挙げることができます。

 平成二十四年度以降に保守及び消耗品の供給に係る契約の支払い金額が減っておりますが、これは、機器の更新をいたしまして単価が下がったことによるものでございます。

 今後も、より安価な単価での契約に取り組んでまいりたい所存でございます。

上西委員 今いろいろ御説明をいただきまして、消費者行政の強化、ADRの準備、そして、確かに、民主党政権発足当初、独法が事業仕分けの対象となりましたから、さまざまな資料の作成の必要があったと思います。

 しかし、それだけでここまで、約二倍近くですね、二倍近くの支払い額になるのか、こういった疑問も生じるわけでございますし、そして、その後単価が下がったから減ったのだという御説明もありましたが、それだったら、もう少し早く見直す必要があったのではないか、こういうふうにも感じるわけでございます。

 ことし七月二十五日、千葉県在住の男性が、大手スーパー、イオンに対して長年にわたり大量の苦情ファクスを送り続け、業務妨害したということで逮捕され、現在公判中の事件がございます。

 当然、国センの理事長も御存じのことだと思いますが、少しだけ御説明をさせていただきますと、この男性は、数年前から国センに文書相談を行っていた、二〇〇九年後半ごろ、文書担当管理職の命令であなたへの対応はもうできないと告げられて急に国センからの返信が途絶えたので、国センの多くの部署へ、約三年間にわたって、住所と実名を記して大量のファクスを送って消費相談を願い出たと証言していたと言われています。

 そして、現に私が独自のルートで入手したそのファクス、このファクスなんですけれども、受取人が国セン、住所もちゃんと高輪、そういう所在地になっておりまして、送信人は千葉県の方で、名前は逮捕された男性と同じでございます。内容に関しましては、何様のつもりだ、誠実に対応と返答しろ、何度連絡していると思っているんだ、こういう怒りがつづられているわけでございます。

 加えて、その大量のファクスを送ったと男性が証言している時期と、国センのコピー用紙の消費、消耗品の消費が異常値を示している時期が余りにも一致するわけなんですけれども、国センの多くの部署へファクスが何度も何度も大量に送りつけられた事実はありませんでしたでしょうか。

松本参考人 私の就任前のことではございますが、そのような事実があったということは聞いておりますが、適切な対応をしたということも聞いております。

上西委員 このファクス自体はごらんになったことがあるんでしょうか、ちょっとよくわからないんですけれども。

 要するに、この男性は、二〇一二年秋口に国センへのファクスが受信拒否をされてしまった、こういうことで、半年後からターゲットをイオンに向けたと証言している模様なんです。

 幾らいわゆるクレーマーであったとしても、消費者相談に乗り、国民の消費者生活向上に寄与すべき国センが、消費者トラブルを解決するどころか、結果的に相談者を刑事犯罪に走らせ、罪人をつくらせたのではないか、こういうふうにさえ思うわけでございます。何かあれば、お答えをいただきたいと思います。これが事実無根だと言われるのであれば、それでも構いません。御答弁をお願いいたします。

松本参考人 国民生活センターの相談員、職員の対応については、適切に対応していたというふうに聞いております。それ以降の、相談者がイオンに対してどのようなことを行ったか等については、警察の方で適切な判断をされるんだろうと思います。

上西委員 この数値にしてもそうなんですけれども、非常に大量のファクスを送られていまして、外国を経由するとファクスの送信料が無料になるということで、そういった経由などを使ってかなりの量のファクスを送っているということなんですね。こういった事実も把握をしていただいていないということは大変に問題であると思いますし、こういった事実があったということは、国センの職員の皆さん方に、就任前の話だからと、そういうふうに済ませていただくのではなく、しっかりと調査をしていただき、こういった刑事犯罪が発生したということを、改めて、あわせて真摯にお考えいただきたいということをお願いし、次に移りたいと思います。

 次のことも、通常国会で質問させていただき、新聞等でも大きく取り上げていただいた件の関連でございますが、全相協へ委託をしている土日休日相談に関して質問をいたします。

 以前、相談員の日当がそもそも高額過ぎ、しかも、それに休日手当まで付加されているのは納得できない、理解できないという旨を指摘いたしましたが、国センが全相協へ支払う人件費の中には、スーパーバイザーという監視だけをする人や、チェッカーと呼ばれる、相談カードのチェックだけをして朝から晩までソファーで座っているだけの方の給料も含まれているとのことですが、実態をお聞かせいただけますでしょうか。

松本参考人 国民生活センターが全国消費生活相談員協会へ支払っております人件費の中には、委員御指摘のとおり、スーパーバイザーやチェッカーの分も含まれております。

 まず、スーパーバイザーについてでございますが、土日祝日相談の相談員が国民生活センターの方針に沿った相談処理を行うためには、その指導を行う責任者が必要でございます。特に、相談処理の方針決定や新規事業者情報、重点的に聞き取りの必要のある事案の追加、変更など、業務連絡の内容を直近の相談に反映させるためには、相談員の指導を行う責任者であるスーパーバイザーを定めて行うことが必要でございます。

 次に、チェッカー、すなわち相談カードの作成責任者についてでございます。委託先の相談員は、相談処理については経験を積んだプロでございますが、相談カードの記載ルールに則して正確な相談カードを作成するためには、統一的に相談カードをチェックする役割が必要でございます。国民生活センターの相談カードは全国の消費生活センターの模範とされておりますので、より正確に書くことを仕様書で求めておりました。そのため、相談の内容を統一的かつ正確に相談カードに反映させるためには、チェッカーの配置が必要だということでございます。

上西委員 御答弁をいただきましたが、スーパーバイザーという方は指導も行われているということなんですけれども、そういった指導というのはどういった形で行われているんでしょうか。それもお聞かせをいただけますでしょうか。

松本参考人 相談日当日以外における国民生活センター側との打ち合わせ、連絡等、当日の朝早くからの朝礼等における徹底、それから、実際の業務が行われている間、その相談業務が適切に行われているかをチェックする、指導する、そして、個々の相談員が対応に困っているような状況が見られた場合には、そこにアドバイスをしたり介入をしたりするというようなことでございます。

上西委員 今お答えいただいた内容ですと、打ち合わせだったり、連絡の引き継ぎだったり、朝礼での徹底だったり、何も別に、特別、そのプロ中のプロ、働いていらっしゃる方はプロ中のプロということでお伺いをしておりますから、さらにスーパーバイザーという立場の方がわざわざ朝礼での徹底なんかをする必要があるのかなと非常に不思議に感じたわけなんですけれども、これまでの御説明では、スーパーバイザーは、いわゆるクレーマーなどの電話が来ると相談員にかわって対応する、こういうベテランで、そういった万が一のときのために待機をしている、こういった実態等をお示しいただいたのだと理解をさせていただきます。

 そして、チェッカーと呼ばれる方も、正確な相談カードをつくるためと。非常に、プロ中のプロの方が働いていらっしゃる現場でこういった方が本当に必要なのかなと疑義を呈したいところではありますが。

 それでは、以前伺った、外部委託をしている相談員は百戦錬磨のプロ中のプロだから、高い日当を払わないと人が集まらないんだ、こういう回答を私は頂戴しておりますが、これと非常に矛盾をしていると感じるわけなんですけれども、なぜ、プロ中のプロが集まっている現場に対して、さらにスーパーバイザーという方だったりチェッカーという方々がついてフォローしなくてはいけないのか。そして、そういった方々にさらなる高給を出す必要があるのか。こういうことをお聞かせいただきたいと思います。

松本参考人 先ほども御説明いたしましたが、直接電話でオペレーションを行う相談員がそれぞれ勝手に対応しているということでは不十分だということでございまして、国民生活センターの方針に従って統一的に対応してもらうために、その全体の管理をする責任者が必要である。その意味でスーパーバイザーを設置してもらっているということでございます。

上西委員 ですから、私が申し上げているのは、でしたら、その相談員の方が、前に申し上げたように、プロ中のプロで百戦錬磨の方だ、そういう回答と矛盾をしているのではないか、こういうふうにお伝えをしているわけでございます。

 民間企業でしたら、なるべく経費を削減して効果を出す、成果を出そうとする、こういったことが当然でありますから、民間企業ではないような状況だと思いますが、国センが今現在そういう状況であるということはわかりました。

 また、相談員に関しては、相談内容を相談カードに記し、精査するので超過勤務になることが多いとか、国センの職員の中に相談カードをチェックする人がいて、非常に専門性が求められるという御答弁もいただきました。

 しかし、これは、ダブルチェックというには無理があり、単なる重複作業と言うしかありません。委託業者と国セン職員が全く同じ作業をする必要性を私は見出すことができませんが、国センはどのように捉えているんでしょうか。

 角度を変えれば、以前の御答弁では、相当のエキスパート、プロ中のプロと表現された方々が作成された相談カードなのですから、それを委託業者の中へ、チェックするためだけの者がいて、さらに国センが翌日以降、平日にそのカードをチェックする、右にあるバケツの水を左のバケツへ移し、そしてまた右のバケツへ移しかえる、こういったダブル、トリプルの作業ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

松本参考人 先ほど申し上げたことの一部繰り返しになりますが、相談員、オペレーターは、相談に関してはプロではございますが、相談カードの記入に関しましては、全ての方が、国民生活センターが求めているルールに従って、その後、全国の相談員の方、あるいは行政が利用するためのいわゆるデータベース入力用の様式に従ってできるとは限らない、そこの品質を高めるためにカードチェッカーが必要だということが一つでございます。

 それから、国民生活センターが行っておりますチェックというのは、それと同じことではございません。業務の重複ではございません。委託先のチェッカーが行うカードチェックは、相談内容が相談カード記載ルールに基づいて正確に記載、入力されているかを確認するものでございますが、他方で、国民生活センターの側で翌営業日に行っているカードチェックは、土日祝日における消費者からの相談事例において、どのような傾向やどのような問題があるかという点について、迅速に情報を把握することを主な目的として行っているものでございます。

上西委員 ルールに従って書かなければいけないからということでありますが、ルールぐらいきっちり説明して、そして決めておいたものにプロ中のプロの方が従えない、そういうのもいかがなものかと思います。やはり、おっしゃるように念には念をというのも悪いことではありませんが、この作業が国民の皆様から頂戴している血税で成り立っているということを御認識いただいているんでしょうか。

 先日の朝日新聞で、景気の悪化からくる八月の実質賃金はマイナス二・六%、こういう数字が示され、国民の皆様方には加えて増税で大変な御苦労をおかけしている、こういう感覚をお持ちの方であれば、無駄は省き、効率よく作業を行う、こういうのが当然であると思うのですが、このやり方を見直される、こういうおつもりはありませんでしょうか。

松本参考人 もちろん、委員御指摘のように、国民生活センターのあらゆる業務におきまして、無駄を省き、効率化を進めるという方針で対処しております。

上西委員 しっかりと見直していただきたい。民間企業と同じように効率性を持って、そして経費を削減して、国民の血税を使っているという御認識でやっていただきたいと思います。

 そして、次に参りますが、土日祝日相談をセンター職員がした場合の人件費の積算額を以前質問したとき、休日出勤手当三五%が加算され、委託をした方が断然安価である、こういう返答も受けたことがあります。しかし、積算の人件費、このベースが課長補佐クラスや課長クラスのもので、実情と乖離していると私には思えてなりません。

 特に、国センの就業規則第七条には、理事長は職員の勤務日を変更できる、こういう旨の項目がありまして、職員の休日と平日を交換することもできるわけですから、通常、国センの職員に休日出勤手当が支給されるのはレアケースであり、休日出勤手当を前面に押し出してこの場で答弁をいただく理由が皆目わからないような状況であります。

 それで、本当に外部委託をした方が国セン職員の皆さんが休日相談を担当するよりも安価なのでしょうか。その御説明をお願いいたします。

松本参考人 もし国センでその業務を内製化した場合との比較でございますが、内製化する場合には、現在、委託先において実施しているスーパーバイザーやチェッカーの役割については、当センターの課長クラス、課長補佐クラスの職員を充てることが妥当だというふうに考えたところでございます。

 その際、内製化の場合の人件費積算につきましては、課長クラス、課長補佐クラスの職員の休日出勤手当は加算をしておりません。それは、委員御指摘のとおり、国民生活センター就業規程第七条におきまして、「理事長は職員の勤務の特殊性に応じ、勤務日の割振りを変更することができる。」としていることから、職員は、この規定に基づき出勤することを想定しております。

 休日割り増し……

鴨下委員長 松本理事長に申し上げます。

 答弁は簡潔に。時間が来ております。

松本参考人 失礼いたしました。

 ということで、割り増しを払うということは、職員に関しては考えておりません。

上西委員 割り増しを払うことを考えていないということでありましたら、やはり見直していただければ、そして、適切に人事を行っていただければ、外部委託よりも国センの職員の皆様がやっていただいた方が適切であると思うんです。

 やはり、今の理事長の御答弁では、国民の皆様方は御納得いただけないと思います。ですので、やはり、繰り返しになりますが、国民の皆様の血税で行われているということを、しっかりと改めて考え直していただき、適切な、適正な税金の使い方を心よりお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 早速、質問に入らせていただきますが、順番が遅くなりますと、大体重複した質問が多々ありまして、維新の党の井坂先生、それから、民主党の方とも重複をいたしました。通告にない質問が飛び出すかもしれませんが、大臣の思いを聞かせていただきたい、このように思います。

 まず、大臣所信についての御質問でありますから、この大臣所信について数点お尋ねをさせていただきたいと思います。

 ダブった質問で非常に申しわけないんですけれども、大臣は、担当しているのは七つですか。先ほど、宙で言えますかと言われて、なかなか言えないですよね。先ほど、読みながら一生懸命言われていましたが、これからは宙で言えるようにしていただけたらと思います。

 その中で、先ほど来、消費者問題をどの程度の比率で取り組んでいくのかという質問がありましたから、そこはもう省かせていただきたい、しっかりやっていただきたいと思います。

 そこで、この大臣所信を読ませていただきますと、連携が必要だという言葉が何度も出るんですね。各いろいろなところと連携しなきゃならない。確かにそうです。しかし、消費者庁は、基本的には出先を持っていませんよね。ここが一番大きな点だと思うんです。そうすると、その出先を持っていないところでどう連携をとりながら消費者問題を解決していくのかということになろうかと思います。

 そこで、まず最初にお尋ねをしたいのは、身近な消費者行政を実現するために、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる地域体制を整備することが必要ですと書いています。出先機関を持たない消費者庁が全国どこでも身近な消費者行政を展開するために、各省、都道府県等々、それから農水、それぞれの出先機関とどのように連携を図っていこうとお考えなのか、まずお尋ねをさせていただきます。

有村国務大臣 委員が冒頭おっしゃっていただいたところの七つは、そらんじて言えます。別の委員会でもそらんじて申し上げております。念のために手元に持っているだけでございまして、それはしっかりと把握しております。ありがとうございます。

 その上でですが、おっしゃるとおり、出先機関を持っていないのではないかと。だからこそ、やはり地域との連携ということは極めて大事なことだと認識をしております。やはり、私も所信で申し上げました、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる地域体制を整備することに意味があると思います。

 具体的に申し上げます。

 消費者庁から都道府県に対して、地方消費者行政活性化交付金による財政支援を行う一方で、本年一月に定めました地方消費者行政強化作戦に基づいて、都道府県ごとに相談体制の質の向上等の目標達成のためのさまざまなレベルでの会合、情報交換を定期的に行うなど、地域体制の整備に向けて、国と地方が連携して取り組んでおります。そして、この取り組みを強化したいというふうに考えております。

 また、特定分野に関する地域体制の整備に当たっても、当然、各省庁との連携も重要でありますが、具体的には、消費者教育の推進では文部科学省との連携、多重債務問題における金融庁との連携などに取り組んでおります。

佐藤(正)委員 いや、だから、さっきから言うように、連携はわかっているんですよ。それから、地方消費者行政活性化交付金、これをやったからといって、すぐ連携できるものじゃないですよ、大臣。

 だから、大臣は今、答弁を読むだけだからだめなんですよ。皆さんがそこを言っている。役人さんが書かれた答弁書をたらたら読むんじゃだめなんですよ。こんな交付金を渡したら都道府県は全部やると思いますか。それこそ、まさに上から目線の消費者行政じゃありませんか。

 だからこそ、どういう連携をするのか。例えば、今お年寄りの問題が出ましたよ、見守り隊。地域で一生懸命、本当にやっています、いろいろな意味で。私の地元でも、お年寄りが集まったときに、いわゆる警察の方が来ていただいて、こういうオレオレ詐欺はだめですよ、こんなことを小まめに実は地方はやっています。だから、そういうところから、国からではなくて地方からもっと御意見を吸い上げるような仕組みを考えられたらどうでしょうか、大臣。

有村国務大臣 委員の大事な御指摘だと拝聴をいたします。

 その上で、全国の自治体に相談窓口をあけるということの空白地域が沖縄に四カ所だけ残る、残りあと四カ所というところまでやってきました。そういう意味では、本当に、消費者庁ができて六年目でございますけれども、その中での消費者行政の信頼ということを糧に、各自治体ももっと学びたい、そして相談員の研修もやってほしい、そして通信技術の向上にも、常にアップデートしていただきたい。そういう地元の声をしっかりと聞き届けて、予算をとって、予算を反映していくというサイクル、PDCAサイクルをやって、より強固に地方とつながっていきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 ぜひやっていただきたいと思いますね。

 それから、例えば、総務省が行政相談窓口をやっているんですよね。行政書士だとかを活用されてやっているんですね。そういった例えば行政書士だとか司法書士さんのお力もかりるべきだと私は思うんですよね。

 総務省はやっているんですよ。だから、連携をするときに、そういう今やっている部分を活用することもできるんですよ、実は。そういうところに目配りをつけていただきたいんですよね。そこが各省庁との連携になると思いますが、大臣、いかがですか。

有村国務大臣 今委員、総務省とということでおっしゃいましたけれども、基本的に、総務省が所管される地方自治体との連携を図るというのは、総務省さんによらずとも、やはり消費者行政としても直接携わっていくことが大事だと思います。消費者行政ブロック会議等の定期的な会議を開催しております。

 また、地方自治体の課長会議等の団体が主催する各種会議にも、消費者庁から直接人員を派遣して、可能な限りフェース・ツー・フェースの関係をつくるように引き続きやっていきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 フェース・ツー・フェース、いい言葉だと思います。ぜひやっていただきたいと思います。

 消費者行政というのは多岐にわたるから、いろいろなことが起きるんだろうと思います。先ほども質問の中でありましたけれども、いろいろなことを、例えば、法律に違反するかしないかわからないけれども相談したいというのも多々ある。だから、先ほど、センターの方も大変だろうとは思いますよ。いろいろな質問、いろいろな御相談が多種多様にやってくる、そこをきちっと選別していかなきゃいけない。それは、何も連携だけではなくて、やはり地方で頑張っているところをしっかり後押しもしていただきたい、このように思います。

 それから、例えば各省庁の連携、これは、担当大臣なんだけれども、ここは消費者委員会だからお答えできないというふうにお聞きしておりますけれども、十月の十五日に、地方創生委員会で私は赤澤副大臣にお尋ねをしました。それは、森前大臣のときに、少子化対策等々で、横の連携、横串をどのように刺していますかという御質問をさせていただきました。有村大臣は少子化担当もなされているということですが、この委員会では何かお答えできないというふうに事務方から聞いておりますので、まず副大臣、わざわざ来ていただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

 そのときに私が申し上げたことは、いわゆる居所不明の子供たちをどうするのかという問題です。これは、居所不明で子供が虐待を受けたとか亡くなったとかいうときに、マスコミがばあっと盛り上がって、それから間があくと、また何か忘れ去られるんですね。これは大きな大きな大問題です。しかも、この大きな問題には行政が役割を果たしていないという現実があるんです。

 それは、十月二十七日、読売新聞にまたまた出たんですけれども、読売新聞が独自に調査をしたそうです。「住民登録抹消の子九百四十人」という見出しの記事が出ました。

 これはまさに居所不明に値する、いわゆる調べたけれども子供が住んでいないから住民登録を削除しちゃいましたよというケースなんですね。ところが、よくよく調べていくと所在がわかったとか、さらには、よくよく調べていくと殺人事件に巻き込まれていたとか、こういうケースです。

 これは実は、少子化担当大臣の役割としては大きな仕事だろうと思うのは、まさに横串を刺さなきゃいけないんです。住民登録、住民票は総務省になりますよね。学校は文科省ですよね。それから厚労省、それから警察。多岐にわたるところ、いろいろな省庁にまたがっています。

 ですから、私がその当時、森大臣にお尋ねをしたんです。森大臣は、横串を通して大臣間でやりますよと。その前には、私が問題提起をしていました薬物依存症の問題をやっていたんですけれども、そのときも、横串を刺してやってくださいねと。

 そのとき森大臣は、大臣の皆さんが集まるときに朝御飯を自分でつくっていくそうですよ、有村大臣、おにぎりか何かを。地元のお米でおいしいおにぎりをつくって、各大臣に朝御飯を食べていただくそうです。そうすると、胸襟を開いて話をよく聞いてくれて、そして、やることをすぐやってくれるんですよ、こう国会で答弁してくれたんです。わあ、それはそのおにぎりを私も食べたいですねと言ったんですが。そのときに私が申し上げたのは、ぜひ、そのおにぎりをつくって、この居所不明の問題も横串を刺してやってくださいというお願いをし、質問をしました。

 それについて赤澤副大臣、再度ですが、どのような結果になったのか、お答えください。

赤澤副大臣 佐藤委員が一貫して居所不明児童について高い関心をお持ちで、大所高所から御指導いただいていることについては心から感謝を申し上げます。

 御指摘のとおり、十月十五日の地方創生特別委員会で御質問いただきまして、そのときに申し上げた内容とかぶるところがございますが、御指摘を受けて、森大臣も当然受けとめ、政府としても、居所不明児童の問題、関係省庁が連携して取り組むことが非常に重要であるという認識でございます。

 本年八月からは、世耕官房副長官を議長とする児童虐待防止対策に関する副大臣等会議が開催されて、その中で、居住実態が把握できない児童について、政府一体となって全力で把握に努めるとの方針が示され、今まさにそれに取りかかっているということでございます。現在、この方針に基づいて、関係省庁の協力のもとで、厚生労働省において実態調査が進められております。

 今後とも、先ほど申し上げた副大臣等会議を通じて、先生御指摘の関係省庁の連携をしっかり図って、一体となって対応してまいりたいというふうに考えてございます。

佐藤(正)委員 しっかりやっていただきたいんですが、私がお願いしたのは、大臣間でやりましょうと。だって、さっき、おにぎりを食べたのは大臣ですからね。大臣がみんな集まってきておにぎりを食べて、そこで話が進むんですよと、森大臣が二、三回、僕におにぎりの話をしましたから。だから、ぜひ大臣がやってほしいんですよというお願いをしたんですね。

 有村大臣、おにぎりとはいかないかもしれませんが、大臣がお答えになるのはどうかとは思いますけれども、せっかくですから、すごく大事な問題でもありますので、大臣の決意をお尋ねしたいと思います。

 大臣、ちょっと言ったらいいじゃないですか。だめなんですか。では、副大臣。

赤澤副大臣 先生の御指摘については、大変重要なものと受けとめております。

 実は、けさも、森議員、当時の大臣とちょっとお話しさせていただいて、森議員からは、朝食の話については私は何回か触れたかもしれないけれども、一応幼児教育無償化の話についてさせていただいたので、それ以外の重要問題であるこの問題については、先生の御指摘をいただきながらしっかり今後とも各省連携していきたい、そういう思いを共有して頑張ろうじゃないかというお話でございました。

 よろしくお願いしたいと思います。

佐藤(正)委員 いやいや、おにぎりを食べたら前に進むんですよという話だったから、そう言ったんです。

 だから、有村大臣、今お聞きした、赤澤副大臣がわざわざお見えになって答弁していただきましたけれども、しっかり受けとめて、この居所不明の問題については取り組んでいただけませんかね。答弁できないということでありますので、うなずくだけで結構、いや、お願いします。

有村国務大臣 事務方の整理でこのような答弁の形になったんだと理解をしております。

 このことについては赤澤副大臣からも逐次御報告をいただいておりまして、委員が大変重要な問題だと取り組んでいらっしゃるということにも敬意を表します。

 その上で、世耕副長官を中心として連携してやっていく、結果を出すことが大事だと思いますので、引き続き、赤澤副大臣が頑張ってやります、森まさこ前大臣とも連携をしてくださいということを私も指示いたしましたし、そのようなことで結果が出るように努力していきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 ぜひ早急に関係大臣が集まって取り組みを進めていただきたいと思います。

 政治主導でやるんですから、大臣がやはりこの問題を真摯に受けとめていただいて。今、地方創生も全て子供の問題ですよね。少子化の問題ですよ。そして、女性の問題でもあるんです、この問題は。いろいろな虐待問題も含めて非常に多くの問題を抱えておりますから、ぜひしっかりやっていただくことを期待しておきたいと思います。

 それから、先ほど公益通報者保護法の質問がありました。

 これもかぶってしまいましたけれども、実はこの法律は、先ほど来出ましたけれども、いわゆる公益通報者保護法の附則第二条に、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とあります。

 先ほどの質問と重なるかもしれませんが、オリンパスの闇と闘ってという、御本人からサインをいただいて、この間、一緒に一時間ぐらい話をしました。大変、今も闘っているということです。中身は何かといえば、もう御存じだと思いますが、公益通報者でやったらその後にひどい仕打ちに遭っていますよということなんですね。

 ですから、なぜ通報した人が、これまで守るといいながら現実は守られていない、そしてそれをやっている事業主が何の罰則もない、ここがおかしいのではないか。先ほど民主党の方も同趣旨で質問をされたと思いますが、同じ答弁になるかもしれませんが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

有村国務大臣 やはり、内部告発を端緒として、消費者の安全、安心を損なう事業者の違法行為が発覚するということは実際あります。そういう意味では、公益通報者の保護制度の実効性を向上、担保させていくことは極めて大事なことだと私も認識をしています。

 その中で、現在の法制度の意義や内容を周知することも大事ですが、やはり何よりも、公益通報者の保護を図る、そして、事実に反する内部告発によって関係者の正当な利益が害されることがないよう、これも配慮しなきゃいけない。

 また、五年後の見直し規定という時期は、先ほどの議論でも答弁をさせていただいておりますが、過ぎています。

 ゆえに、やはり、その実態を把握した上で、法改正を含む制度の実効性を向上させる方策を検討していく必要があるというふうに大臣として認識をしております。

佐藤(正)委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっとここにメモをしてきたんですけれども、オリンパスの件は、社内コンプライアンス制度があって、それに基づいて上司に不正を内部告発した、ところが、そのコンプライアンス室の室長が告発した社員の氏名を公表したりして、そして全く経験のないセクションに三回も異動させられたというようなケースです。

 それでも彼はまだ闘っています、会社をやめずに。なぜなんですかとお聞きしたら、オリンパスが好きなんです、だからしっかりと内部でやりたいんだというふうに言われていました。

 こういうことを考えますと、やはり事業主に何らかの罰則が必要ではないかなと私も思いますので、ちょっと検討していただけたら、このように思います。

 あともう一問だけ質問をさせていただいて終わりたいと思います。

 お年寄りにオレオレ詐欺だとか、訪問して、いわゆる不招請勧誘の禁止ですか、例えば先物取引等々についてなんですけれども、これは本当かどうかはちょっとあれなんですけれども、例えば、農作物の先物だとか金融商品の先物だとかがあります。そういったものが禁止を、いわゆる家に行っておじいちゃん、おばあちゃんを勧誘するというのはだめなんですよということになっていると思いますが、今後もこの方向性は変わりませんか。

有村国務大臣 御質問でございます、そもそも、商品先物取引市場は素人が参入する分野なのかというところに関しては、議論が分かれるというふうに思っております。情報の非対称性もございます。

 十分な知識や判断力、資金力を持たない一般消費者が先物取引のトラブルに巻き込まれるということにならないように、経済産業省、農林水産省と引き続き協議を進めてまいりたいと存じますけれども、本当に、この危険性ということは、私たち、消費者側の立場に立って、明確に、そもそもの危険性ということを冷徹に、冷静に伝え続けていきたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 先ほど、認知症になるのには、消費動向を見たらわかる、その行動でわかるんだろうと。そういう方に訪ねていっていろいろ言ったら、わからないうちに印鑑を押しちゃったとかいうケースはやはりあるんですね。非常にこういうケースがふえています。ですから、ぜひここはしっかりと、規制は外さないでいただきたいと思います。

 終わります。

鴨下委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 私は、消費者問題特別委員会、初めての所属でございます。そして、初めての質問でございます。どうか、有村大臣、しっかり受けとめていただきたいと思います。

 きょうは、大臣の所信的挨拶に対する一般質疑ということで、今後の委員会の質問に資するような、大臣の基本的な認識、考え方について、それを中心にお伺いをしたいと思います。

 若干、消費者行政から離れますけれども、先ほども消費税の話が出ておりましたが、消費税について大臣の御認識を二点ほどお伺いしたいと思います。

 御承知のとおり、この四月に増税をされました。その後、消費が、年率でマイナス七・一%というひどい落ち込みになった。その上、円安による物価高、輸入価格による物価高。そして一方では、収入が伸びない、実質賃金がマイナスだということで、国民生活にとって本当に今、厳しい状況にあります。と同時に、企業側も、消費がふえない、物が売れないということで、在庫がふえていると言われておりますし、いわゆる景気の後退局面に入ったのではないか、そういう意見もございます。

 そういう中で、直近の世論調査では、国民、もちろん消費者でもあるわけですけれども、消費税の再増税について七割前後の方が反対だというふうに考えを示しておられます。

 消費者の生活、消費者の立場に立つ消費者担当大臣として、消費税の是非について御見解、御認識をお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 消費税率のあり方については、総理が述べておられますとおりに、経済状況を総合的に勘案しながら、主権者たる国民の動向ということをごらんになりながら、本年度中に総理がお決めになられることでございます。

 安倍内閣の一員として、まさに予断を許さないこの時期に私がみずからの見解を申し上げることは、大変恐縮でございますが、控えさせていただきます。

村上(史)委員 微妙な時期だということはわかるんですけれども、また、十二月にそういう決定をされるという状況なんですが、ただ、もう少し、木で鼻をくくったような答弁ではなくて、大臣も、やはり消費者の立場からすればちょっと大変だよねというぐらいの、思いがにじむような答弁が欲しかったなというふうに思います。

 それと、消費者の中には、高額所得者もいらっしゃれば低い所得の方もいらっしゃいますし、年金だけで生活をする方もいらっしゃいます。消費税は低い所得の方々に対して逆進性が強いと言われております。

 そういう面で、与党でも議論をされていると思いますけれども、消費者の生活の観点から軽減措置は必要だという認識はお持ちでしょうか。

有村国務大臣 これに関しては、まさに、平成二十六年度の与党の税制改正大綱を踏まえて、与党税制協議会において軽減税率が現在検討されているということを理解しておりまして、まずは与党における検討を見守っていく立場にございます。

村上(史)委員 型どおりの答弁だと思いますが、生活をする立場からすれば、やはり負担が軽い方がいいに決まっています。そういうことを考えるならば、もう少し大臣も違った答弁があっていいのではないかなというふうに思います。いかがでしょうか。

有村国務大臣 当然、どのような判断をなされても、消費者庁として物価動向を見ていく、丁寧に見ていくということは極めて大事な仕事だというふうに思っております。

 同時に、総理が国会で今までるる述べていらっしゃいますように、国の信認を維持するとともに、社会保障制度を持続可能なものにする、なかんずく子育て支援を充実していくための消費税ということの引き上げの是非ということでございますと、私自身、少子化担当でもございまして、子ども・子育て支援新制度を成功させていくという意味では、しっかりとした財源が確保されることということも、次世代に対する大事な責任だという認識も一方で持っていることも御報告させていただきたいと存じます。

村上(史)委員 所掌が違うということで、このやりとりはこれで終わりたいと思います。

 それでは、本来の所掌に関する質問をさせていただきたいと思います。

 平成十六年六月に、消費者保護基本法を改正して、消費者基本法が成立をいたしました。それまでの消費者保護から、消費者の権利の尊重、また消費者の自立支援へ理念が大きく転換したと言われております。従来の縦割り、また産業優先の行政から、消費者を主役とする国民本位の行政に転換をしたというふうに私も考えております。

 大臣は、安倍内閣の一員でいらっしゃいます。当然、規制改革派だと認識をしております。ただ、企業サイドの色彩が強い規制改革という立場と、消費者本位の行政をつかさどる消費者担当大臣として、この両者の調整がどうあるべきか、どういうふうに整合性を持たせていくのか。消費者行政を進める上においてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

有村国務大臣 委員御指摘のように、私は規制改革の担当の大臣でもございます。日本の経済を再生するに当たっての阻害要因を除去し、民需主導の経済成長を実現していくためには、規制改革も不可欠の取り組みであるというふうに認識をしております。

 ただ、規制改革を進めるに当たっても、私自身、冒頭、規制改革関係の会議では申し上げておりますが、やはり守るべきものは守るというところの視点も大事で、その守るものは何かということは、安全性や信頼性をより効果的な手法で確保することということなので、やはり経済活性化だけで、これが価格が安いから、悪いからというわけではない、もっと丁寧に見ていった上で、国民の豊かな安心、安全につながることをやってこそだというふうに思っております。

 そういう意味では、規制改革担当大臣でもございますし、消費者行政の担当大臣、食品安全の担当の大臣でもございますが、これは二律背反するものではなくて、むしろ、双方の視点を生かして、安全とそれから国民への実利をとっていくということのラインを目指していきたいというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに、今大臣がおっしゃったとおり、そういうお立場で今後行政を進めていただきたいなというふうにお願いをしたいと思います。

 それでは次に、消費者教育についてお伺いをいたします。

 消費者問題を考えるとき、企業サイドにだけ責任あるいは義務があるとは私は思っておりません。やはり消費者サイドにおいても、賢い消費者でなければならないと思っております。そのために、消費者への情報提供あるいは教育啓発が必要と考えます。

 また、消費者教育の推進に関する法律の施行をされましたし、内閣でも、その法律に基づいて基本的な方針を決定され、また、消費者教育推進会議で具体の検討をされていると聞いております。その内容等について大臣の方からお話をいただければと思います。

有村国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、平成二十四年八月十日に議員立法で消費者教育の推進に関する法律が成立しております。同年の十二月に施行されて、閣議決定は平成二十五年の六月に行われています。

 まさに、この法律によって我が消費者庁に設置されましたのが、消費者教育推進会議でございます。これからどのように消費者教育を推進するかという具体的な議論をまさに進めております。

 その中で、現在、地域でどのぐらい消費者教育が進んでいるのかということで、地方の協議会の設置をお願いしているところでございますけれども、四十七都道府県の中で二十五都道府県にやっと協議会設置が確認を十月二日現在でなされています。

 そして、これからも、消費者教育の推進計画の策定をしていただきたいということを、引き続き強化していきたいと思います。

 計画の策定がなされているのが、四十七都道府県中の十三都道府県、一政令市というふうに現在把握をしております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 本当に賢い消費者であるには、いろいろな形で、知識も必要ですし、そのための重要な情報というのは、積極的に行政の方からどんどん国民に発信していくということが必要だと思いますので、今後とも充実に努めていただきたいと思います。

 それでは、次に、消費者庁並びに地方の体制について、二点お伺いをいたします。

 消費者庁を設置されて六年になります。その後、守備範囲も広くなりましたし、問題も複雑化しております。そういう状況の中で、現体制はおよそ三百人体制だというふうに聞いておりますが、今後、この体制を充実させるためにどのような対策をお考えなのか、また、そのことが来年度予算にどのように反映をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

 あわせて、消費生活センター、これは消費者安全法によって、都道府県では必置となっております。市町村では努力義務となっております。市町村でも九割が設置をしているんですが、問題は、そこで相談に乗る相談員の配置がまだ六割前後である、全部に相談員が配置をされていないという状況でございます。この現状をどう見ておられるのか、また、そのためにどのように措置をしていこうと考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

有村国務大臣 お答えをいたします。

 委員から一挙にたくさんの問題をいただきましたので、万が一抜けていたら、後でちょっと御指摘をいただければありがたいと思います。

 御案内のとおり、六年目の消費者庁でございます。平成二十一年九月、二百二人の定員で発足しましたが、その後の法整備あるいは監視体制の強化による業務の拡大によって、今年度は三百一名というふうになっています。

 私自身、大臣になって思うことですけれども、各省庁から優秀な方々が消費者庁にお越しになっていただいて、この六年の歴史をまさに生き字引として知っていらっしゃる川口次長を初め、本当に御尽力いただいた方がいらっしゃるんですが、やはり、消費者庁で採用をして、消費者庁の本当にプロパーで動く、そういう若手も育てていくことも極めて大事だというふうに思っております。そして、消費者庁が担当する業務、責任に応じた体制整備をすることが大事だと思います。

 御下問の予算要求についてでございますが、来年度は、増員分の人件費に係る増額、それから地域体制の全国的な整備、先ほどおっしゃいました相談員の育成などもございます。そういう意味では、全体として百五十三・九億円の要求をさせていただいております。

 この費用の中には、地方公共団体を支援するための地方消費者行政活性化交付金も入ってございます。消費者センターということで、相談窓口、今、空白行政区もございますので、特に沖縄に集中しているんですけれども、それを速やかに設置していただいて、全国で、どの市町村でもアクセスがあるという状況をなるたけ早くつくっていきたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 ばたばたと質問して、大変申しわけなかったなと思いますが、今後また、この件についても当委員会で質問させていただきたいと思います。

 それでは、最後に、具体の質問をさせていただきたいと思います。それは、食品の新たな機能性表示制度についてでございます。

 私もこの委員会に参りまして初めて知ったという不勉強を恥じるところなんですけれども、今、動いている状況を確認いたしました。

 この新たな表示制度は、昨年閣議決定をされた規制改革実施計画に基づいて、健康食品を初めとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、二十六年度中に、企業等の責任において科学的根拠をもとに機能性を表示できる新たな方策を確立する制度をつくっていく、結論を得るというふうに聞いております。

 そこで、この七月に、検討会がなされまして、報告書が提出をされました。きょうは、この中身については時間がございませんので後日に譲りたいと思いますけれども、あらかたのスケジュール感をお聞きしたいというふうに思います。今後、実施までのスケジュールはどういうふうに手順を踏んでやっていくのか。

 また、ガイドラインも今作成中だとお聞きをしております。細則、細かい内容についても今作成中だと聞いております。このガイドラインなんですけれども、一体どこで、また誰がその作成に当たっているのか、そして、ガイドラインはいつごろ表に出てくるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 食品の新たな機能性表示制度につきましては、七月三十日に検討会の報告書を公表しまして、この報告書の内容をもとに作成しました食品表示基準案について三十日間のパブリックコメント手続を実施、現在、いただいた意見を取りまとめているところでございます。

 今後、これらの意見を踏まえまして、消費者庁において必要な検討を行った上で、食品表示基準案を消費者委員会へ諮問し、その後、厚生労働省、農林水産省及び財務省との法定協議を経て、規制改革実施計画及び日本再興戦略に基づき、本年度中に措置する予定でございます。

 それから、委員から御質問がもう一点ございましたが、ガイドラインについてでございます。

 食品の新たな機能性表示制度の細則を決めるガイドラインにつきましては、消費者庁が主体となりまして、規制改革実施計画及び日本再興戦略において所管省庁とされております厚生労働省及び農林水産省とともに検討を進め、通知として発出し、公表することを考えてございます。

 ガイドラインの具体的な内容につきましては、今後の消費者委員会での食品の新たな機能性表示制度に関する御審議の内容も踏まえて検討を進めるということにしておりまして、本年度中のできるだけ早い時期に公表したいというふうに考えております。

村上(史)委員 今、なかなか具体のお話はなかったと思いますが、表に発表するのは近いうちだという……(発言する者あり)早いうちですか。早いうちにということですけれども、今後もまたこの問題については引き続きフォローをしていきたいと思います。

 また、ガイドラインの中に表示例が具体的に示されるのではないかということも聞いております。例えば、ブルーベリーの中に含まれるアントシアニン、これは目にいいとよく言われております。そういうことが立証されれば、表示として、ブルーベリーは目にいいですよという表示ができるとか、あるいは大根に含まれるジアスターゼ、これは消化にいいよということも、科学的に示されればきちっとそれを売り出せる表示ができるというような内容になるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 食品の新たな機能性表示制度におきましては、科学的根拠に基づけば、体の特定の部位も含めた健康維持、増進に関する表示ができるということにしておるところでございます。

 御質問の、ブルーベリーに含まれる何々は目にいい、こういったような表示につきましては、企業等が科学的根拠に基づき、その責任で表示するという本制度の性格上、個々にその是非を判断するのは難しい面もございますけれども、仮に、科学的根拠に基づく健康の維持、増進に関する表示であれば、本制度に基づく表示が可能になるというふうに考えている次第でございます。

 なお、本制度で可能な機能性表示の範囲の考え方につきましては、ガイドラインやQアンドAで規定することを考えているわけでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 ただ、大臣、この新たな表示制度、私は不勉強だったから知らなかったのかもしれませんが、恐らく大多数の国民の方は、余りこういう動きがあるというのを御存じない可能性があります。

 いわゆる内閣府令に基づいて物事が動いているようなんですけれども、法案とは違うので、なかなか国会で議論されるというケースが少ないということもありますが、この新しい制度、国民にもわかりやすく説明するために、企業サイドあるいは消費者サイドにとってどんなメリットがあるのか、その点について御説明をいただきたいと思います。

有村国務大臣 委員御指摘のように、消費者行政と食品安全というのは国民にとって極めて身近な課題でございますから、その動向が伝わるように努力をするというのは極めて大事なことだと思います。

 食品の新たな機能性表示に関してのメリットでございますが、従来のいわゆる特保、これは、国が、商品ごとに有効性や安全性に関して、いわゆるヒト試験のデータをもとに許可を出しています。それには莫大な時間と予算がかかるわけで、特に中小企業の方々からは、時間的、またコストが高いという指摘を受けております。

 そのために、新制度においては、ヒト試験ではなくて、いわゆる研究のレビュー、論文をどれだけレビューしてきたかという評価でも可能とする、また、個々の許可制ではなくて届け出制とするということで、機能性の表示をしたいと思う事業者に対しての時間と費用が削減できる、また、食品の機能性に関する表示の情報を消費者に提供しやすくなるという、双方に一定のメリットがあると考えられます。

 食品を消費者の方が選択する際の合理的な商品選択の一つの役立つ情報になり得るというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 今ざっと、上っ面の質問で終始いたしましたけれども、この問題は、先ほど申し上げましたように、まだまだ国民に周知はされていないなという実感を持っておりますので、大臣また関係する省庁にもっともっと発信をしていただいて、消費者にとってどういうメリットがあるんだ、また、安心、安全の表示のあり方、また、それを摂取する側としての消費者への情報のサービスということに今後とも注力をいただきたいなと。そして、私自身も、この消費者問題特別委員会で機能性表示制度についてフォローアップしていきたいなということをお話し申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、宮崎謙介君。

宮崎(謙)委員 自由民主党の宮崎謙介でございます。

 鴨下委員長初め理事の皆様には、本日、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また、有村大臣、赤澤副大臣、越智政務官、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 野党席が少し寂しいのでありますけれども、質問させていただきたいと思います。

 昨今、ますます悪質な詐欺による消費者被害、消費者問題が広がっているわけであります。電話勧誘販売や振り込め詐欺などが有名でありますけれども、そういった被害が後を絶たない中で、この問題がなぜ起こるかといえば、やはり悪質な企業が存在するからというものが一つございます。

 一方で、消費者の方にも課題というか問題があるわけであります。消費者側の意識、また認識の不足に原因があるわけでありますけれども、消費者が賢く知恵をつけてリスクに対する認識と危機意識を持ってもらうことで未然に防ぐことができるのであります。つまり、消費者に対する教育、消費者教育が重要になってまいります。

 私も、幼いころから、親や兄弟から、うまい話には裏があるぞとか、そういった家庭での消費者教育というのを受けてきた記憶がございます。また、自然と危機意識は醸成されてきたと思うんですけれども、今の核家族化が進む中で、共働き世帯という中で、なかなか、親から、また兄弟からそういった消費者教育を受ける場が減ってきたのではないかと思っています。

 賢い消費者として育ってもらうためにも、国として消費者教育を推進していく必要があるわけでありますけれども、平成二十四年八月に消費者教育推進法が議員立法によって成立しました。そして、施行が十二月ということで、二十五年の六月二十八日には消費者教育に関する基本方針が閣議決定されました。現時点で一年が経過しているわけでありますけれども、現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。大変重要な指摘だと思います。

 議員立法の成立の経緯、それから基本方針の閣議決定については委員の御指摘のとおりですので、そこの説明は省いて、次に行きたいと思います。

 現在、この法律により消費者庁に設置された消費者教育推進会議において、閣議決定された基本方針で盛り込まれた「今後検討すべき課題」のさらなる討議が進められているところでございます。具体的には、地域の各主体の連携、協働具体策、消費生活センターの消費者教育の拠点化の具体的方法などでございます。

 また、地方においても、同基本方針を踏まえて、消費者教育推進地域協議会の設置が進められ、消費者教育推進計画の策定などの消費者教育推進に向けた取り組みが行われております。消費者教育については、地域の役割が大変重要でございまして、地域の先進事例のノウハウを収集、共有し、それを全国的に展開していくことが不可欠であると考えております。

 今後、消費者教育推進会議での議論も踏まえて、地域の消費者教育の取り組みを積極的に支援してまいります。

宮崎(謙)委員 ありがとうございます。

 今、地域の役割が極めて重要であるというようなお話があったわけでありますけれども、一方で、学校教育における問題というのがあるかと思います。

 現在では、教育課程に入れることは難しいとのことで、実態は、例えば交通安全教室ですとか防災教室、そういった類いのものと同じように、放課後ですとか土日に、あとは、学内だけではなくて消費生活センターを拠点にして、学外で取り組みが行われているというようなものが現実であろうかと思います。

 つまり、授業外で取り組みをされているということなんですけれども、学校の授業の中に盛り込んでそのような消費者教育を推進していくということを検討していく必要があるかと思うんですが、そのあたりについて、きょうは文科省にも来ていただいていると思いますので、お願いいたしたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、学校教育における消費者教育は極めて重要であるというふうに考えておりまして、従来からも、小中高等学校の社会科あるいは家庭科などにおきまして、消費生活、消費者問題等について指導が行われてきているところでございます。

 全国の学校の教育課程の基準でございます学習指導要領につきましては、特に平成二十年、二十一年改訂の現行の学習指導要領において、消費者教育を重視するという観点から、新たに、中学校の社会科、公民的分野ですけれども、消費者の自立の支援なども含めた消費者行政について取り扱うこと、また技術・家庭科では、消費者の基本的な権利と責任について理解すること、あるいは高等学校家庭科におきましても、消費生活と生涯を見通した経済の計画について理解することを加えるなど、内容の充実を図ったところでございます。

 文部科学省におきましては、消費者庁とも連携協力いたしまして、消費者教育の効果的推進のための調査研究事業、あるいは成果普及事業などに取り組んでいるところでございますが、今後とも、消費者教育推進法あるいは消費者教育の推進に関する基本方針を踏まえまして、消費者庁等関係機関と連携を密に図りながら、消費者教育の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。

宮崎(謙)委員 ぜひ、文科省、消費者庁、連携を深めて、一歩、また二歩踏み込んでいただきたいなというふうに思う次第でございます。

 また、被害者、消費者被害に遭う方々は、やはり高齢者の皆さんが多いわけであります。高齢者に対する消費者教育というのも大切であろうかと思いますが、どのような取り組みをこれまでしてこられて、また、今後、どのような取り組みをしていくのかということもお伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 高齢者の消費者教育について、消費者庁においては、高齢者や障害者の消費者被害を防ぐための見守り担い手向けの啓発資料を作成し、都道府県、政令指定都市、消費者団体などに配布するとともに、高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会を開催し、高齢者福祉団体、消費者団体などとの情報共有、意見交換を行っているところでございます。

 また、国民生活センターにおいては、消費者被害から高齢者、障害者を守るため、悪質商法の新たな手口などを伝えるメールマガジン、「見守り新鮮情報」の配信、月一回、約二万人ということでありますが、などを行ってございます。

 地域での取り組みについては、既存の地域の見守りネットワークを活用しつつ、積極的に高齢者や障害者のところに出向き、声をかけ、双方向のコミュニケーションをとる訪問支援という手法が有効でございます。こうした先進事例の具体的なノウハウを共有、紹介することにより、各地域の実情に応じた取り組みが全国的に広がっていくよう支援をしてまいります。

 さらに、消費者教育推進会議においては、基本方針の「今後検討すべき課題」に掲げられた項目について、情報へのアクセスが困難な高齢者や障害者に対する適切な情報提供方法を検討する、高齢者、障害者見守りにおける効果的な情報提供方策などや、消費生活センターが、消費生活相談だけでなく、情報を集積して地域住民に情報提供を行う仕組みを検討する、消費生活センターの消費者教育の拠点化の具体的方法の討議をしているところでございます。

 今後は、こうした地域における先進事例や消費者教育推進会議での議論も踏まえ、高齢者の消費者教育の一層の強化に取り組んでまいります。

宮崎(謙)委員 ありがとうございます。

 また、この消費者教育を推進していく上で、どのような方々が指導者として携わっていくのかということも非常に大切なことかと思います。誰が指導者になるのかということで、資格を有している人材なのか、また経験を有する人材なのか、民間人なのか、公務員なのか、どういう方々が適切であるとお考えかということを教えていただきたいと思います。

赤澤副大臣 消費者教育が非常に効果的に行われている事例では、消費者教育の指導者や、ネットワーク形成するコーディネーター的な役割を担う方々がいることが多いということはわかっております。こうした役割は、主に、消費生活センターの消費生活相談員、行政職員など、知識経験や人脈を持つ方々によって担われていることが多いと承知しております。こうしたコーディネーターの養成が重要な課題でございます。

 また、消費者教育の担い手としては、そうした方々のほか、例えば教育関係者、地域福祉関係者、事業者の中には、みずからの活動が消費者教育の活動となっていることを自覚せずに実践されている方々も多い実情にあります。こうした方々や、また元気な高齢者、それから学生さんたちも含めて、消費者自身も担い手になり得るということでございます。

 幅広い関係者、消費者が消費者教育推進の担い手となって連携を図り、さらに、ネットワークを形成することで消費者教育の具体的な取り組みを進めていただくことが望ましいものと考えております。

 消費者庁としては、消費者教育推進会議における議論を踏まえ、コーディネーターの仕組みの確立、人材確保、育成を行ってまいります。

宮崎(謙)委員 ありがとうございます。

 消費者教育の柱として、私は、自己責任というのが極めて大事になるかと思っています。

 その中で、この基本方針の中で書かれています、合理的意思決定のできる消費者の育成と明記されているわけでありますけれども、まさに、消費行動は自己責任を前提に行うべきだということを内包していると私は考えるんですが、この合理的意思決定とはどのようなことを指しているのか、教えていただきたいと思います。

赤澤副大臣 消費者の合理的意思決定とは、消費者教育に関する基本方針では、適切な情報収集や選択により、三つポイントがあります。商品、サービスに内在する危険を予知し、危険を回避したり、違法、不公正な取引や勧誘に気づいてトラブルの回避をする。それから二つ目が、生活の管理と健全な家計運営の観点から、将来を見通した意思決定を行う。さらには三番目ですが、みずからの意思決定や消費行動がもたらす影響と消費者の社会的役割を自覚した意思決定を行うということであります。

 このように、消費者は、消費者の権利の実現や消費者の被害防止のために、みずから合理的に判断し行動することが求められ、消費生活に関する知識、理解を深めるよう努めることが不可欠であると考えております。

 なお、高齢者や障害者については、その方々に消費者教育を行う機会を設けるだけでなく、地域の見守りネットワークなどの仕組みで支え合う中で、合理的な意思決定ができるよう、消費者教育がなされることも重要でございます。

 このため、消費者庁としては、消費者教育が、幼児期から高齢期までの生涯を通じて、それぞれの時期に応じ、学校、地域、家庭、職域その他のさまざまな場において推進できるよう、消費者教育推進会議の議論を踏まえつつ、具体的な方策を示してまいります。

宮崎(謙)委員 最後に、有村大臣にお伺いしたいと思います。

 女性閣僚ということで今注目を集めているわけでありますけれども、同様に、女性の暮らしの質向上の政策パッケージや、女性が快適で安心して安全に暮らせる、快適な生活を目指す、女性のクオリティー・オブ・ライフについて大臣は言及されていらっしゃいます。女性特有の消費者問題も存在している中で、大変重要な御発言だと考えております。

 女性のクオリティー・オブ・ライフの推進について、計画や方針、スケジュール、また意気込みをお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 教育行政に一生懸命取り組んでいらっしゃる宮崎先生の日ごろの取り組みに敬意を申し上げます。

 その上で、女性活躍担当大臣としても消費者担当としても痛感をすることでございますが、東日本大震災を経験した私たちの人生はおのずから、東日本大震災や、せんだっての御嶽山の本当に痛ましい被害もございました、それを経験しなかった私たちの人生とはおのずから異なるものになっていきます。そこで痛感をすることは、特別な晴れの日の、祭りの日のイベントも大事であるけれども、やはり、何げない、何もない日常こそが、実は平和の、本当にいとおしい、幸せそのものだということでございます。

 であれば、すべての女性が輝く政策パッケージにおいても、日々の暮らしの安全、快適を追求する暮らしの質、委員、クオリティー・オブ・ライフと御紹介いただきましたけれども、日々の暮らしを丁寧に見詰めて、その快適さを向上していくことは、女性のみならず男性にも益があることだということで、進めていきたいと思っております。

 消費者行政においても、やはり、生活の質の向上になる消費者行政を進めていくという意味では一体性があると思いますので、丁寧に日々の暮らしの安心と安全を築いてまいりたいと存じております。

宮崎(謙)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

鴨下委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 まず、有村大臣、また副大臣、政務官、御就任おめでとうございます。安全、安心な国民生活を守る、このことに力を発揮されるよう期待をしております。

 本日は、かねてより私が問題意識を持っておりました、物づくりに革新をもたらす3Dプリンターについて質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 政府が本年から成長戦略の一環として取り組む戦略的イノベーション創造プログラム、この個別課題の中に、3Dプリンター等の製造技術が入っております。安倍政権はこの支援に力を入れていくということが見てとれます。

 この3Dプリンター、技術革新やアイデアをもとに社会を活性化するものとして、経済効果、成果が期待をされておりまして、実際、家電量販店などでも今大量に売られております。普及をしてきております。

 この3Dプリンターの技術、我が国に起こすイノベーションの鍵の一つである、私はこのように考えております。この3Dプリンター、御存じかと思いますけれども、3Dの設計データを入力しますと、印刷するような感覚で複雑な立体物が自動で作製できるということです。これを使えば、今までのような型が要らなくなる、製作コストの削減、開発期間の短縮が見込める、物づくりに革命的な変化をもたらすのではないかということが期待をされております。

 この技術が進化をし、普及をしていきますと、先進国の物づくりのあり方、またコストが大きく変わってきまして、人件費の安い新興国に製造拠点を移すという動きが今までありましたが、その発想そのものがもしかしたら覆されるのではないかという可能性もあります。

 試作作品の造形などのほか、これは医療分野でもかなり期待をされておりまして、例えば、短時間で人工骨ができる、あるいは補聴器も、各個人の耳にフィットしたものができる、あるいはマウスピース、歯科治療のかぶせ物も同様に、このようなものも、歯科技師によって何度もつくり直したり時間を要したり、そういうことがなくなり、患者の負担も少なくなるのではないかと言われております。しかし、日本では医療分野での規制が多く、3Dプリンターの医療活用など、重要分野でおくれているのではないかと指摘もございます。

 初めに、イノベーションの成功の鍵を握る3Dプリンターについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 3Dプリンター技術に関するイノベーション、技術革新については直接の担当ではないと委員御案内のとおりですが、お問い合わせをいただきましたので、コメントをさせていただきます。

 やはり、3Dプリンターはすごいと思います。委員御指摘のように、金型をつくる必要がなくなる、そして、納期、工期が大幅に短縮できる、フィット感も高まる、そして、金型の技術やそういう工場を持たないところの新規参入組のハードルも低くなるという意味では、世界を変えていくというふうに私も痛感をしています。今後、物づくりにおいても重要な技術であり、国際競争が激しくなるというふうに私も予見をいたします。

 しかし、どのような製品や技術が発展するにせよ、消費者行政の観点からは、やはり、利便性の向上、技術の発展ということを進めるに当たっては、消費者の安全、安心に常に配慮していただくことが必要だということも同時に言えるかなというふうに思っております。

 以上です。

古屋(範)委員 私もそのとおりだと思います。やはり、これが技術革新に大きく役立つといういわばプラス面と、それから、国民生活に与える負の側面というものも、インターネットなども経験をしてきて私たちもわかるように、両面あるということを考えていかなければいけないんだろうと思います。

 先日、この3Dプリンターを使いまして拳銃を製造する、そして所持をしていたという男性が逮捕されまして、実刑判決が出されました。新技術を悪用したという事例であります。こういうことが起きなければいいなと懸念をしておりましたが、実際に起きてしまいました。裁判長が、簡単に銃を製造できることを実証し、インターネットで製造過程などを公開し、模倣されるおそれも高い悪質な犯行、危険性を指摘しています。

 さらに、犯罪に悪用される懸念は銃に限りません。例えば、カード情報を不正に読み取るスキミングマシンがあります。これを3Dプリンターで製造して、中国の工場で大量生産、二十万円前後で販売するロシアのサイトが本年三月に発見をされております。3Dプリンター自体に罪はないわけで、使う側の問題、拳銃の設計図をネットにアップをしたという行為は取り締まるべきだ、刑事罰の対象にすべきだとの声もございます。

 拳銃の製造、所持は現行法で禁じられております。これまで、銃を輸入させないなど水際作戦もできましたけれども、設計図がデータとしてアップをされてしまう、これが遮断できずに、3Dプリンターで簡単に危険物を製造することができるという危険性も否めません。この男性も、米国のサイトから設計図をダウンロードしています。

 ペンシルベニア州のフィラデルフィアでは、この六月、3Dプリンターを使った銃製造を禁じる条例を施行したと報じられております。インターネット・ホットラインセンターでは、危険ドラッグ、3D設計図データなどの違法情報の削除をする運用を始められていると聞いておりますけれども、警察庁にこの取り締まりの状況についてお伺いしたいと思います。

島根政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上の違法・有害情報については、インターネット・ホットラインセンターに、一般のインターネット利用者等からの通報の受理やサイト管理者等への削除要請等を委託しております。

 インターネット上の3Dプリンターによる銃砲の製造が可能な設計図データにつきましては、本年八月一日、インターネット・ホットラインセンターの取り扱う情報の範囲を定めておりますホットライン運用ガイドラインが改定され、違法行為を助長等するおそれのある情報として有害情報に追加されました。これによりまして、該当する情報が同センターに通報された場合には、警察への通報やサイト管理者等に対する削除要請ができることとなったところであります。

 警察といたしましては、関係機関等との連携を図り、引き続き、インターネット・ホットラインセンターの効果的な運用を推進することによりまして、3Dプリンターによる銃砲の製造図データ、その他の違法・有害情報の排除に向けた取り組みを強力に進めてまいる所存であります。

古屋(範)委員 インターネット・ホットラインセンターでの取り締まりを強化していくということでございました。

 私も同センターを訪問したことがありますが、職員は、少ない人数で大量の違法・有害情報を丸一日見ているという、非常に過酷な勤務に従事していらっしゃいます。ぜひ、ここの拡充も必要ではないかなというふうに感じております。引き続き、取り締まりの強化に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、経済産業省にお伺いしたいと思っております。

 こうしたインターネット上の違法行為を自動的に防ぐ技術というものがそもそも組み込まれていれば、こうした懸念が少なくなるのではないかというふうに思います。

 コピー機また複合機ににせ札などを作成させない仕組みが組み込まれているのと同様に、3Dプリンターにも危険なデータの出力を抑えるというような機能が組み込まれているということが一つには重要ではないかというふうに考えております。

 ある企業では、危険物やまた著作権侵害のおそれがある物体を3Dプリンターで製造できないようにする技術を開発中だという発表もございます。

 これも含めまして、今後、次世代の3Dプリンターの研究開発に向けての取り組みをお伺いしたいと思います。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 銃器などの危険物製造やキャラクター製品の模倣などの目的で3Dプリンターを操作しようとしたとき、当該対象がブラックリスト対象製品か否かを判断し、これに合致する場合、製造指示を受け付けないプログラムを大日本印刷株式会社が開発していることは承知しております。

 現状におきまして本技術開発を直接支援しているものではございませんが、さらに実用化に向けた取り組みが進められることを期待しておるところでございます。

 また、物づくり産業の競争力強化に向けた3Dプリンター開発につきましては、経済産業省では、今年度から、次世代型産業用3Dプリンター技術や材料の開発を行い、現在の十倍の高速度、現在の五倍の高精度化及び材料の多様化を実現する、三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラムを開始させていただいております。

 今後、本プログラムを着実に推進させていただきたいと存じております。

古屋(範)委員 材料も今のと違って、またさまざまなものが使えるようになる可能性があるとも聞いております。ぜひ、この分野の技術革新の支援に強力に取り組んでいただきたいと思います。

 銃の製造に限らず、3Dプリンターを使うこうした犯罪が今後も出てくるかもしれません。今、家電量販店などでは、値段も非常に安くて、六万円から十万円程度で販売をされております。実は我が家にもあるのですが、夫が家庭用品などを趣味でつくったりしております。

 悪用されるケースというものも視野に入れていかなければいけないと思います。例えば、硬貨の偽造ですとかブランドロゴの装飾品、またアニメのキャラクターのフィギュア、こういうものは非常につくりやすいのではないかと思います。商標法、それから著作権法、意匠法違反など、知的財産権の侵害になる可能性があります。新しい技術が生む課題というのは山積をしているというふうに思われます。

 これからこの点は中長期を見据えて議論をしていかなければいけないんですが、こうしたブランド品のコピーなどが、3Dプリンターの使用で、知的財産権の侵害被害が二〇一八年までに世界で年間一千億ドルに及ぶという米国の調査会社の予測もございます。このところも今後議論をしていかなければならないというふうに思っております。

 経産省では、3Dプリンターの経済波及効果を、二〇二〇年に二十一・八兆円に達すると予測をしています。こうした大きな可能性が見込まれる3Dプリンター、これは、犯罪があったからといって過度の規制は市場創出の機会を奪いかねない、そうならないように、安心して利用できる仕組みづくりを普及させなければならないというふうに思っております。

 危険物の製造回避、知的財産保護、こうしたことに配慮しつつ、しっかりと3Dプリンターの分野の技術革新を推し進めていかなければならない、このように思います。

 この点に関しまして、国民、消費者を守る立場から、消費者庁のお考えを最後にお伺いいたします。

越智大臣政務官 お答えいたします。

 古屋議員から、3Dプリンターの開発普及が進んでいく中においての課題、そして消費者庁の取り組みについて御質問いただきました。

 3Dプリンターは、議員御指摘のとおり、拳銃製造やスキミング用の機械の製造等に用いられたことがございまして、犯罪等に悪用されることを防ぐことは大変重要だというふうに考えております。

 消費者の安全、安心を確保するためにも、違法な使用を防ぐための関係省庁の取り組みが重要でありまして、消費者庁としても、必要に応じて可能な協力を全面的にしてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

鴨下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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