衆議院

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第2号 平成25年4月1日(月曜日)

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平成二十五年四月一日(月曜日)

    午前十一時四十一分開議

 出席委員

   委員長 西村 眞悟君

   理事 岩屋  毅君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 橋本  岳君 理事 松本 洋平君

   理事 望月 義夫君 理事 中根 康浩君

   理事 今村 洋史君 理事 江田 康幸君

      池田 道孝君    池田 佳隆君

      岩田 和親君    勝沼 栄明君

      神田 憲次君    助田 重義君

      武部  新君    津島  淳君

      辻  清人君    中川 俊直君

      中谷  元君    中谷 真一君

      永山 文雄君    西銘恒三郎君

      野中  厚君    橋本 英教君

      藤井比早之君    前田 一男君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      湯川 一行君    渡辺 孝一君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      中丸  啓君    馬場 伸幸君

      三宅  博君    樋口 尚也君

      大熊 利昭君    林  宙紀君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         小野寺五典君

   衆議院調査局海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別調査室長           湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     岩田 和親君

  高木 宏壽君     勝沼 栄明君

  船橋 利実君     渡辺 孝一君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     大野敬太郎君

  勝沼 栄明君     高木 宏壽君

  渡辺 孝一君     船橋 利実君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件(在アルジェリア邦人に対するテロ事件)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 この際、太田国土交通大臣、小野寺防衛大臣及び岸田外務大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。太田国土交通大臣。

太田国務大臣 国土交通大臣を拝命いたしました太田昭宏です。

 委員長、また理事の皆様、そして委員各位には、大変お世話になりますが、よろしく御指導いただきますようお願い申し上げます。

 本特別委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

 国土交通行政において、海洋の安全確保とテロ対策は、国民生活と経済活動の基盤を安定的に確保する上で、最優先の課題の一つであります。

 海洋の安全確保において重要性を増している海賊事案については、二〇一二年に全世界で二百九十七件が発生しております。東南アジア海域における海賊被害のほか、ソマリア海賊による被害は、インド洋やアラビア海にまで拡大するという憂慮すべき状況にあります。

 対策として、まず、ソマリア周辺海域については、海上自衛隊護衛艦への海上保安官の同乗等を通じ、引き続き海賊対策に適切に対処してまいります。

 さらに、ソマリア海賊の出没海域が、我が国の原油タンカーの主要ルートにも拡大する傾向を見せております。

 これに対応して、国土交通省としては、民間警備会社による日本船舶の警備強化のための新たな措置について、関係省庁と連携して検討してまいります。

 次に、テロ対策をめぐる状況ですが、海上保安庁においては、原子力発電所等の臨海部における重要施設の警戒監視を強化するため、情報収集体制の強化等、体制の整備を進めます。

 航空分野においても、引き続き国際民間航空機関及び関係国との連携のもと、航空保安対策の強化に取り組みます。

 港湾においては、国際港湾を含めた水際対策に万全を期してまいります。

 さらに、他の交通機関、所管の重要施設等においても、テロ対策のためのさまざまな取り組みを行ってまいります。

 西村委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

西村委員長 次に、小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 防衛大臣の小野寺五典でございます。本日は、西村委員長を初め、理事及び委員の皆様に防衛大臣として御挨拶を申し上げます。

 初めに、本年一月十六日、アルジェリアで発生した邦人拘束事件において、とうとい人命が奪われたことは、まことに深い悲しみであり、心から哀悼の意を表します。いかなる理由があっても暴力を使うことは絶対許されず、テロ行為を断固として非難します。

 防衛省・自衛隊としては、この事件に際し、外務大臣からの依頼を受け、速やかに政府専用機をアルジェリアに派遣し、無事が確認された七名の方々の輸送、及び残念ながら死亡が確認された九名の方々の御遺体の搬送を行いました。

 在外邦人の保護は、政府一丸となって取り組むべき重要な責務であり、先般、政府において取りまとめられた検証報告書を踏まえ、防衛省・自衛隊としても、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

 次に、海賊対処について申し上げます。

 海賊行為は、海上における安全と秩序の維持に対する重大な脅威です。特に、海洋国家として資源や食料の多くを海上輸送に依存している我が国にとっては看過できない問題です。この海賊問題に対する取り組みが国際社会全体で行われている中、我が国としても、国際的な責任を積極的に果たしていくことが必要であると考えております。

 かかる考え方に基づき、自衛隊においては、平成二十一年三月より自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動を開始し、同年七月からは海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に基づく海賊対処行動を現在に至るまで実施しております。

 この海賊対処のための部隊として、護衛艦二隻から成る水上部隊及びP3C哨戒機二機等から成る航空隊を派遣し、約六百名の自衛隊員が現地で任務に当たっております。

 水上部隊においては、最長で約一千百キロメートルにわたる航路において船舶の護衛を行っており、活動実績については、本年二月末日現在、護衛回数四百三十八回、護衛隻数三千十四隻に達しております。

 また、航空隊においては、同海域を警戒監視し、収集した情報については我が国及び外国の艦船に提供しており、活動実績については、本年二月末日現在、飛行回数八百五十一回、飛行時間約六千五百九十時間、情報提供約七千五百回に達しております。

 海賊行為の発生状況に鑑みれば、ソマリア沖・アデン湾における海賊行為に引き続き対処しなければならないことから、昨年七月、海賊対処行動を一年間継続することを閣議決定いたしました。

 現在、同海域における海賊事案の発生件数は減少傾向にあるものの、これまで高い発生水準にあったことを踏まえれば、依然として予断を許さない状況にあり、我が国のみならず国際社会にとっても引き続き脅威となっています。防衛省・自衛隊としては、かかる脅威である海賊行為に対して、我が国の断固たる姿勢を示し、また同海域の安全な航行を確保するため、引き続き海賊対処行動に着実に取り組んでまいります。

 最後に、西村委員長を初め、理事及び委員の皆様の一層の御指導と御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

西村委員長 次に、岸田外務大臣。

岸田国務大臣 外務大臣の岸田文雄でございます。

 衆議院海賊・テロ特別委員会の開催に当たり、委員各位に御挨拶を申し上げ、海賊対策及び国際テロ対策に関する政策について、所信を申し述べたいと思います。

 海洋国家である我が国にとって、海上航行の安全確保は極めて重要な課題です。ソマリア沖・アデン湾の海賊事案の発生件数は、我が国を含む国際社会及び海運関係者のさまざまな取り組みの結果、昨年大幅に減少しました。しかし、一昨年まで高い水準であったことや、今なお多くの人質が拘束されていることを踏まえれば、引き続き予断を許さない状況です。

 二〇〇九年から実施されている自衛隊及び海上保安庁による海賊対処行動は、日本国民の生命及び財産の保護、海上輸送の安全確保の観点から、極めて重要な役割を果たしています。こうした活動は、我が国の海運関係者及び各国からも高い評価を受けており、今後とも継続していくことが必要です。

 この観点から、二〇一一年に整備されたジブチにおける自衛隊の活動拠点を安定的に運営していくことが重要です。ジブチとの良好な関係の構築を含め、外務省としても引き続き協力していく考えです。

 また、日本籍船への民間武装警備員乗船を認める新たな措置を国土交通省が準備しており、外務省としても情報収集等で引き続き協力していきます。

 さらに、我が国は、国際的な海賊対策の枠組みであるコンタクトグループや国際海事機関、IMOを初めとする国際社会の海賊対策に積極的に参加していきます。

 我が国は、ソマリア沖・アデン湾の海賊問題の根本的な解決を重視しており、本年六月の第五回アフリカ開発会議、TICAD5に向けて、ソマリア及びソマリア周辺国の海上取り締まり能力の向上や、不安定なソマリア情勢の安定化のための支援等の多層的な取り組みを強化していく考えです。

 本年一月に発生したアルジェリアにおけるテロ事件では、日本人を含む多くの罪のない人々の命が奪われました。このような卑劣なテロを断固として非難します。今回の事件を受け、海外における日本人や日本企業の安全対策を強化するとともに、国際テロ対策の強化、サヘル、北アフリカ、中東地域の安定化支援、イスラム諸国、アラブ諸国との対話、人的交流という三つの柱の政策を進めていきます。

 現在、アルカイダ本体は弱体化していると見られていますが、各地のアルカイダ関連組織及びその他イスラム過激派組織は活動を活発化させ、テロや誘拐等新たな脅威を増大させており、国際的なテロの脅威は依然として深刻です。引き続き、多国間、二国間の枠組みにおいて、情報交換や途上国のテロ対処能力向上支援等の国際テロ対策を国際社会と連携しつつ強化してまいります。

 このほか、中東・アフリカ地域においては、アフガニスタン、イラク等で引き続きテロ事案が発生し、無辜の市民が犠牲になっており、その解決に向け、引き続き各国と協力しながら取り組みます。また、マリにおいては、フランス軍及びマリ近隣国より派遣されたアフリカ主導国際マリ支援ミッション、AFISMA等によるイスラム過激派との闘いが続いており、我が国としても、国際社会と連携しつつ、AFISMAへの支援を含め、テロとの闘いや地域の安定化を支援していく考えです。

 ソマリアにおいては、テロや海賊問題の根本的解決のためにも、昨年、二十一年ぶりに樹立された新統一政府の国づくりを国際社会と協力しながら後押ししていく考えです。こうしたアフリカにおけるテロとの闘い等は、本年六月のTICAD5でもしっかり議論をする考えです。

 以上のような諸課題に、私は、関係省庁と連携して全力を尽くして取り組む考えです。西村委員長初め、委員各位の御支援と御協力をお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、在アルジェリア邦人に対するテロ事件に関して政府から発言を求められておりますので、これを許します。岸田外務大臣。

岸田国務大臣 在アルジェリア邦人に対するテロ事件について御説明いたします。

 日本時間一月十六日午後一時四十分、現地時間午前五時四十分ごろ、日本大使館のある首都アルジェから一千百キロ離れたアルジェリア南東部のイナメナスにおいて、ガスプラント等が武装集団に襲撃され、日揮邦人関係者を含む外国人多数が拘束され人質となりました。これを受け、十七日以降、アルジェリア軍が武装集団に対して制圧作戦を行いました。

 外務省では、邦人が拘束されているとの第一報を受け、日本時間十六日午後四時四十分、領事局長を長とする対策室を立ち上げたのに続き、同日午後五時、私を長とする緊急対策本部を設置し、事件への対応に当たりました。

 また、首脳、大臣レベルで、アルジェリア政府に対して累次にわたり働きかけを行ったほか、関係各国と緊密に連携し、城内外務大臣政務官を派遣し、続いて鈴木外務副大臣を総理特使として現地に派遣するなど、総理を初めとして、私以下、副大臣、政務官も含め、政府として全力を傾注して事態に対処しました。

 それにもかかわらず、今回のテロ事件によって、海外の第一線で活躍する邦人十名を含む多数のとうとい命が犠牲となったことは、痛恨のきわみであります。改めて、犠牲となった方々及び御家族に深い弔意をささげるとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。テロは、断じて許容いたしません。今回のテロ事件の全ての責任はテロリストにあります。事件は極めて卑劣なものであり、断固として非難すべきものです。

 今回の事件を受け、私は、一、国際テロ対策の強化、二、サヘル、北アフリカ、中東地域の安定化支援、三、イスラム、アラブ諸国との対話、交流の推進という三つの柱を打ち出しました。外務省としては、この三つの柱のもと、具体的な取り組みを積極的に進めてまいります。

 あわせ、外務省としては、今回の事件の背景や外務省としての対応を検証し、今後の対策等を取りまとめることを目的として、私のもとに、海外における企業・邦人の安全対策の強化のための対策チームを設置し、官邸に設置された検証委員会とも連携して作業を進めてまいりました。二月二十八日に発表された官邸検証委員会の検証報告や、現在行われている有識者懇談会における議論をも踏まえ、外務省としては、一、国際テロ情報収集、分析の強化、二、平素からの海外安全に関する官民の情報共有、連携の強化、三、事件発生時の邦人保護機能の強化の三つの観点から、具体的な施策を検討していきます。

 第一の国際テロ情報収集、分析の強化という観点からは、情報収集・分析体制の強化、公開情報の一層の活用、治安・情報機関を含む各国関係機関との関係強化等について検討してまいります。

 第二の平素からの海外安全に関する官民の情報共有、連携の強化という観点からは、渡航情報等の海外安全情報が海外に渡航、滞在する邦人に重要情報としてしっかり受けとめられるよう、情報の内容や提供手段の検証も含め検討していきます。また、民間との間でより効率的な情報共有・協力体制を構築していく所存です。在留届制度の運用の見直しや遠隔地の在留邦人との情報共有等についても検討していきます。

 第三のテロ事件発生時の邦人保護機能の強化という観点からは、現地で十分な数の通信機器等を用意するとともに、現地の初動体制をさらに円滑に構築するため、領事、邦人保護の担当者に、警察等の身元確認の専門家等も加わった緊急展開チームの整備などを検討してまいります。

 以上、在アルジェリア邦人に対するテロ事件についての御報告とさせていただきます。

西村委員長 これにて発言は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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