衆議院

メインへスキップ



第3号 平成25年4月3日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年四月三日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 西村 眞悟君

   理事 岩屋  毅君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 橋本  岳君 理事 松本 洋平君

   理事 中根 康浩君 理事 今村 洋史君

   理事 江田 康幸君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      大串 正樹君    大野敬太郎君

      神山 佐市君    神田 憲次君

      工藤 彰三君    國場幸之助君

      助田 重義君    高木 宏壽君

      武井 俊輔君    武部  新君

      辻  清人君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      野中  厚君    藤井比早之君

      船橋 利実君    細田 健一君

      前田 一男君    牧島かれん君

      宮内 秀樹君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      中丸  啓君    馬場 伸幸君

      三宅  博君    石井 啓一君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   防衛大臣政務官      左藤  章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 相星 孝一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    上村  司君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森  雅人君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   衆議院調査局海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別調査室長           湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     國場幸之助君

  冨樫 博之君     神山 佐市君

  西銘恒三郎君     工藤 彰三君

  橋本 英教君     井野 俊郎君

  藤井比早之君     石崎  徹君

  宮内 秀樹君     細田 健一君

  玉木雄一郎君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     橋本 英教君

  石崎  徹君     藤井比早之君

  神山 佐市君     冨樫 博之君

  工藤 彰三君     武井 俊輔君

  國場幸之助君     津島  淳君

  細田 健一君     宮内 秀樹君

  寺島 義幸君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     西銘恒三郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官能化正樹君、警察庁警備局長高橋清孝君、外務省大臣官房参事官相星孝一君、外務省北米局長伊原純一君、外務省領事局長上村司君、国土交通省海事局長森雅人君、海上保安庁長官北村隆志君、原子力規制庁審議官山本哲也君及び防衛省大臣官房審議官吉田正一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐でございます。

 本日は、今国会の海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会で最初の質疑の機会をいただきまして、心より感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、一月にアルジェリアで発生いたしましたテロ、及びそれまでも多くのテロ事件がありました。犠牲となられた多くの方々の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思っております。

 さて、まず最初でございますけれども、昨日、テロというよりは、以前、テロ支援国家と言われ、事実上、国ぐるみでテロ行為を行っている、そうした隣国の北朝鮮が、核関係施設の再稼働、これを発表いたしました。状況として、イランの核開発疑惑、それ以上の、恐らく国際的には脅威がこれからさらに増してくるのではないかと思っておりますが、そういった中で、今、国連あるいは多国間の枠組み、あるいはバイの枠組みでも、さまざまな制裁が両国に対して行われ、検討されているところであります。

 そういった中で、ちょうど来週のきょうになりますか、G8の外相会談もございますので、そうした場で外務大臣として他国にどういった働きかけを御検討されているのか、あるいは今後の取り組みとしてどういったものが必要とお考えなのか、御答弁をいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮につきましては、たび重なる挑発的な行為、言動を重ね、そしてそれをエスカレートさせている、こうした状況につきましては、我が国のみならず、国際社会の平和と安定に対する挑戦であり、脅威であります。これはまことに遺憾に思っております。

 そして、北朝鮮に対しては、国際社会とも連携しながら、これまでの六者会議合意ですとか、あるいは国連安保理におけるたび重なる決議、こうした合意を履行するよう求めていかなければなりませんし、こうした挑発行為をこれ以上エスカレートさせないように国際社会が連携して働きかけていかなければならない、このように考えております。

 そうした意味から、米国、韓国、ロシア、中国を初め関係国との連携は大変重要だと思っております。その中にあって、来週、もし国会のお許しをいただき、状況が許せば、私はぜひG8外相会談に出席をしたいと考えております。そして、出席したならば、G8の中で唯一アジアから出席している我が国の立場として、こうしたアジアの地域情勢についてはしっかりと説明し、関係各国の理解を得なければならないと考えております。

 恐らく、イラン情勢についても、これは各国の大きな関心事だと存じます。こうした国際社会における平和と安定にかかわる重大問題について、ぜひ、関係国としっかりと意思疎通を図り、連携をする、こうした体制をつくっていければと考えております。

鈴木(馨)委員 まさにG8の場は、これまで北朝鮮の問題も相当検討されてまいりましたけれども、しかし、どちらかというと関心がイランの方に寄っている傾向も、これは参加国の経緯もあって、あるんだろうと思います。そういった場で、今後さまざまな機会を捉まえて、外務大臣にもぜひともこうした発信をしていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 テロの問題でございますけれども、実は個人的にも、もう十一年半前になりますが、二〇〇一年の九月十一日、私はペンタゴンのツーブロック横に住んでおりまして、その翌年、転勤をした先のニューヨークでも、グラウンド・ゼロのツーブロック横で仕事をしておりました。

 ある日突然に何の罪もない人間の命が奪われる、まさにこれがテロでありますし、正直に言えば、やはりテロには大義も正義もあるはずがない、私は、単なる犯罪行為だというふうに思っております。

 そういった中で、アルジェリアの事件もありました。ああいった中で、恐らく多くの日本の企業の方、あるいは多くの日本人の方々が国際社会でどんどんとこれからも活躍をされるんだろうと思います。そういった中で、やはり私は、政府としても、外国における事案も含めて、テロを今後どうやって起こさせないのか、このことをきっちりと議論をし、そして対策を打ち、発信もしていかなくてはならないんだろうと思うんです。

 そして、テロをどう抑え込むか。まず一つは、テロリストに、テロを起こしてもメリットがない、このことをきちんとわからせること、そして資金面をきちんと断つこと、さらには、その社会の中で、社会の一般のイスラムの方であったりあるいは多くの方々と、テロリストという異端の分子をきっちりと隔離することだ、私は、そういった点がこれからの取り組みの中では求められていくんだろうと思うんです。

 そういった中で、私はやはり、テロリストに対して、テロをしてもメリットがないんだ、このことをきちんとわからせる必要があると思います。

 そういった中で、これからも多くの日本企業が海外で進出をしていく中で、日本の政府として、テロリストとは交渉もしないし、あるいはテロリストの大義を認めることもしない、その背景について、必要以上のそうした背景を探って、それを喧伝するようなこともしない、そういったことが恐らくは一番の対策になるのではないかと思うんです。

 そういった点について、大臣の御見解、テロリストとの間での交渉であるとか、こういったことを私は一切するべきではないと思いますけれども、ぜひこうしたことをきちんと発信していただきたいと思うんですが、御見解をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 我が国政府のテロに対する基本的な方針ですが、人命を最優先とする、こうした人命を最優先としつつ、一方、テロは断じて許容せず、テロリストの要求には屈しない、この二つを基本方針として掲げております。

 政府としてのテロへの具体的な対応は、個々の事案によって異なります。人命を最優先にしつつ、テロリストの要求に屈しない、この二つの命題を追求することは時として難しい場面もあるかとは思いますが、政府としては、難しくてもこの二つの命題、原則をしっかり確保するべく、あらゆる手段を尽くしていかなければならない、我が国政府の基本的な方針はそうした方針で臨んでおります。これはともに大切な課題であり、原則だと認識をしております。

鈴木(馨)委員 おっしゃる趣旨は非常に明快でございますし、政府として、万が一日本の国民が巻き込まれた場合に、しっかりとなるべくできる限りの努力をもって人命を尊重する、これは非常に大事なことだと思います。

 しかし、同時に、やはり日本政府としては一切交渉しない、この場ではおっしゃることはできないかもしれないけれども、恐らくそうした方針というものも日本という国の中で私は存在をしているんだろうというふうに思います。そして、そのことが日本に対するテロをこれから抑止していくことにもなりますので、そうした意味で、これから発信の仕方は非常に難しいと思います、そこはぜひいろいろなことも勘案をしながら御検討をいただきたいと思います。

 次の論点に移りますけれども、先ほど申し上げました三つの柱のうちの第二の柱として、やはり私は、資金の問題、これはきっちりと対応していかなきゃいけないと思うんです。

 先ほど冒頭に申し上げました北朝鮮の問題あるいはイランの問題、これもやはりファイナンスをどうやってきちんと断っていくのか、このことが回りくどいようでありますけれども一番効果があった。過去の北朝鮮への対応をめぐっても、バンコ・デルタ・アジアをめぐってのああした制裁が一番効果が大きかったものの一つだと私は思うんです。

 そうした中で、やはり資金源をどうやって断っていくのか、そのことが一番大きな課題かと思いますけれども、事こうしたテロの問題、一つ絞って申し上げれば、二〇〇一年以降のアルカイダの対策、この中での資金の問題について、国際的にこれまでどういう取り組みがされてきて、さらには、アルカイダであればパキスタンであったり、あるいは今回のアルジェリアの事案であったらアルジェリアの政府であったり、それぞれの国内における法整備あるいは対応、その個別案件と国際的な取り組みの両方について、今、現状、どうなっているのか、その点を外務省に伺えればと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、テロに対してはどう対応するかという基本方針とあわせて、テロの背景に存在するさまざまな課題の解決に取り組む、こうした努力が重要だと認識をしております。

 二〇〇一年の米国同時多発テロ、九・一一テロ以降、国際社会は、二国間、国連あるいはG8等、さまざまな枠組みを活用して連携を強化し、緊密に協力をしております。

 その中にあって、テロとの闘いについて、まずは政治的意思を強化するということ、またテロ関連情報の交換、国際的な法的枠組みの整備、そして御指摘のテロ資金対策、これについても取り組みを行い、さらには開発途上国のテロ対策能力向上のための支援、こうした支援も行い、そしてさらに大きな課題として貧困対策、貧困削減、こういったものにも取り組んできました。こうした取り組みは一定の成果を上げつつあると認識をしております。

 こうした取り組みによって国際テロ組織アルカイダの本体は弱体化しているというふうに国際社会は見ておりますが、一方で、中東、アフリカ等のアルカイダ関連組織、あるいはイスラム過激派組織、これは引き続き活動を活発化しています。テロの脅威は依然として深刻であると認識しておりますので、こうした資金面を含むテロの背景に存在する諸問題についても、しっかりと国際的な連携を引き続き強めていかなければいけない、このように認識をしています。

鈴木(馨)委員 まさに御指摘のとおりでありまして、この資金の問題については、それぞれの国内の法制度の充実度だとか、あるいは国際的な情報の共有であるとか、こういったことが非常に大きく問われてくるのだろうと思うんです。

 そういった意味で、これからもぜひとも国際社会全体として、金融はグローバルですから、そういった中でそれぞれの金融機関にきちんと、こうしたウオッチも含めて、あるいは日本であれば外為法になると思いますが、こうした制裁において、例えば団体を指定するとか、いろいろなことが手法としてあるんだろうと思います。国内の対応、さらには国際社会としての対応への働きかけ、これも外務大臣にはこれからもリーダーシップを持って世界の場で発信をぜひしていただきたいと思っております。

 そして、今、大きな背景ということをおっしゃいました。私はかねてより、どうしてもテロというとイスラムの過激派が多いものですから、そして、私もアラブのあるいはイスラムの人間と話をすると、やっていることはいかぬけれども、彼らの主張もある程度わかるんだ、そういった声がそうした諸国にはあるのも事実であります。しかし、だからこそ、私は、そうしたテロリストの、彼らの大義をきちんと潰していくことが必要なんだろうと思うのです。

 そのためには、中東和平の問題、パレスチナの問題、これは極めて大事な問題でありますし、日本は、言ってみれば中東地域においてはいい意味で色がついていない、こういった背景もあるわけですので、ぜひともこれから中東和平についてもイニシアチブをとって進んでいっていただきたいと思いますけれども、大臣のそうした中東和平についての御所感というか、これからどういった展開を考えておられるのか、御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 テロの根本的な原因としましては、一般論として挙げれば、政治、民族、宗教、思想等に根差した対立があると考えられますし、また、貧困、経済開発のおくれ、格差の拡大といった社会経済状況がテロを助長している、こういった指摘もあります。

 我が国としましては、人間の安全保障という援助理念に基づいて、テロを生む社会的、経済的背景にある諸問題の解決のために、ODAを戦略的に活用する、あるいは途上国における政府のガバナンス能力向上、生活安定化、経済基盤の構築、こういったことを図っていかなければならないと思っています。

 ことし六月、横浜でTICAD5、アフリカ支援会議が開催をされます。また、G8サミットにおいても、アフリカ諸国など、テロ対処能力向上のための支援のみならず、平和構築あるいは定着、貧困削減等、幅広い支援を積極的に取り組んでいく。御指摘の大義という部分において、しっかりと我が国としてやるべきことをやってテロ撲滅につなげていかなければいけない、このように思っています。

 そして、今、中東和平について御指摘をいただきました。アルカイダ等の国際テロ組織がパレスチナ問題をテロの大義の一つに掲げているということ、このことについては認識をしております。

 中東和平については、我が国としても、早期交渉再開に向けた政治的働きかけ、パレスチナ支援、あるいは信頼醸成といった取り組みを進めています。

 ことし二月に、アジア地域のこれまでの経済発展の経験や知見をぜひパレスチナ支援に活用しようということで、東京で第一回目のCEAPADという閣僚級会議を開催いたしました。こうした取り組みを通じて、中東和平についても我が国としてしっかりとした役割、責任を果たしていきたいと考えております。引き続き国際社会とも連携していかなければならない、このように認識をしています。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 ぜひ外務大臣には、この点、これからリーダーシップを持って、国際社会への働きかけも含めて御尽力をいただければと思います。

 最後に一点お伺いをしたいのでありますけれども、この海賊行為への対処、これは、インド洋における、あるいはアデン湾におけるそういった活動だと思いますけれども、当時、この延長云々の話のときに議論があったのが、仮に日本がこれを担わなければ、恐らく中国がこの海域に進出をしてくる、そういった話だったと思います。

 そういった点で、一点だけ質問させていただいて終わりたいと思いますけれども、パキスタンにグワダルという港がありまして、当初漁港だったのが、中国がばんばんお金を突っ込んで、今度恐らく軍港として使用するだろうということが言われております。我が国のまさにシーレーンにかかわるところでありますので、そこのところをどうお考えなのか、防衛大臣よりお伺いできればと思います。

小野寺国務大臣 鈴木委員の問題意識は私も共有をしております。

 ことし二月、私の指示で河野海上幕僚長をパキスタンに派遣いたしまして、現地の政府と、このグワダルを含めて、安全保障環境についてさまざま協議をさせてきております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございました。では、質問を終わらせていただきます。

西村委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本年一月、アルジェリアにおいて、我が国企業である日揮の関係する天然ガス精製プラントがイスラム過激派の武装テロ集団により襲撃を受けて、日本人十名を含む多数の方が犠牲になられました。

 質問に入ります前に、本年一月に発生したこのアルジェリア邦人拘束事件におきまして不幸にもお亡くなりになられた方々に、心からの哀悼の意を表します。

 本日は、このアルジェリア邦人拘束事件について質問をさせていただきます。

 テロは世界的脅威であります。絶対に許せない非人道的行為でございます。世界各国とこれは連携して撲滅していくとともに、海外で活躍する在外邦人の保護に我が国は万全を期していかなければなりません。

 そのような意味で、きょう御質問をさせていただきますが、まず、このアフリカ地域、特にマリやアルジェリア情勢について政府がどのように認識をしていたのかについて、お伺いをさせていただきます。

 今回のアルジェリア人質事件は、このマリ国内においてフランス軍の武力行使が背景にあったと言われております。今回のアルジェリア人質事件において、武装勢力側は犯行声明を出して、フランス軍のマリへの軍事介入の停止やアルジェリア政府に逮捕されている過激派メンバーらの釈放などを要求いたしました。ともあれ、隣国の治安の悪化によって、新興国に海外展開している日本企業の社員の安全と事業継続にこれは重大な影響を及ぼしたわけでございます。

 政府は、このアフリカ地域、特にアルジェリアの治安状況についてどのような認識をお持ちであったか、また、このイスラム過激派等の活動状況についてどのように認識して、そして分析されていたのか、今回のような邦人系企業を狙ったテロが起きることがその情報により想定をできていたのかどうか、伺いたいと思います。

あべ大臣政務官 お尋ねの件でございますが、外務省を初めといたしまして、我が国の各関係機関におきまして、アルジェリアを含むこのマグレブ地域におけるイスラム・マグレブ諸国のアルカイダの活動の拡大傾向、また、フランス軍の介入により、マリ情勢の緊迫化の傾向、及び、AQIMなどのアルカイダの関連組織、外国人を狙った誘拐事件を起こす危険性については認識を共有していたところでございます。

 また、中東・アフリカ地域におけるテロ情勢につきましては、いわゆるアラブの春、この後の独裁政権崩壊による政府機能の弱体化、また、リビアからの高度な武器の流出、アルカイダ中枢の新指導者がこの地域におきましてテロを行っていることを背景に、アフガニスタン、パキスタン地域から西アフリカにかけて、さまざまなイスラム過激派組織が各地域で活動を活発化させている状況であることを認識しておりました。

江田(康)委員 今、政府はアルカイダ等々を初めとするイスラム過激派等の活動状況等々について、また認識を共有していたということでございます。

 それでは、さらに質問をさせていただきますけれども、今回の事件を受けて、情報収集をある意味ではアメリカやメディア等に頼るという政府の情報収集能力について、さまざまな課題も指摘されているところでございます。

 今回の事件におけるアルジェリア軍の突入については、これは英国大使館から伝えられたという報道がございます。我が国がこの安全保障分野で独自に、また、各国との連携を持って万全に情報を収集しているかどうか、ここが邦人、企業等々の安全を確保する上においても非常に大事でございます。

 そこで質問をさせていただきたいわけでございますが、外務大臣にお伺いをいたします。

 在アルジェリア日本大使館は、専門調査員を含めて十三名の体制でありますけれども、そのうち、情報収集に動けるのは半数くらいということでございます。これで在アルジェリア日本大使館の情報収集体制が十分に機能しているのか、このことについてもお伺いをいたします。

 また、大使館員は、フランス語を専門とする職員は複数配置をされているわけでございますけれども、アラビア語を専門とする職員はいない。そういうような状況の中で、複雑な治安状況、テロの活動状況をどのように情報収集を行っていくことができたのか、そこについてもお伺いをさせていただきます。関係各国、国内外の報道機関、企業からの情報は錯綜していたと思われますけれども、政府の情報に対する分析体制もどうであったか。

 さらに、私は、このような情報収集体制また分析体制を万全にするためにも、現地語、アラビア語を専門とする職員の配置も強化していかなければならない、そのように思うわけでございますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 この在アルジェリア日本大使館の関係者は、御指摘のように十三名でありました。この十三名の体制で、定期的に軍や治安関係者を含むアルジェリア政府関係者と面会し、人脈形成あるいは情報収集に努めてきた、現在でも努めているわけでありますが、その中にありまして、まず、言語について御指摘がありました。

 アルジェリア大使館において、フランス語の専門家しかいなかったのではないか、こういった御指摘についてですが、まずもって、アルジェリアにおいてはフランス語が広く使用されているため、特にアルジェリア政府関係者との会話は通常フランス語で行われているということから、大使館におきまして、大使、次席以下、フランス語を専門とする職員を配置していた次第です。

 しかし、今後とも、政府として、関係機関との間の一層の信頼関係の醸成及び情報源の開拓、こうしたことに努めることが必要であるということは言うまでもありません。そのため、この地域情勢や言語に通じた要員の確保、アルジェリア大使館におけるアラビア語を専門とする職員の配置、こういった必要性については感じているところであります。

 ぜひ、こうしたアラビア語を専門とする職員の配置についても検討をしていきたいと考えております。

江田(康)委員 さらに、防衛大臣にお聞きをいたしますが、防衛省は、現在アフリカ地域でエジプトとスーダンの二カ所にしかいない防衛駐在官を増員する方向で、今検討に入られているとお聞きをしておるところでございます。

 この防衛駐在官の未派遣地域に対して、新規派遣そして兼轄をふやすことによって、その情報収集や分析を行う体制が、私も、これは非常に重要で拡充できると思っております。

 小野寺防衛大臣は、アフリカの状況を見た場合、軍対軍で情報をとる努力が必要だということを述べられておりますが、現在、政府において、この適切かつ効率的な人員配置について検討されているところだと思いますけれども、私は、やはり防衛駐在官の増員強化は、広大なアフリカの地域で二カ所しかいないというような状況は早く改めて万全を期すべきだと思いますが、具体的な検討状況について、今後の方向性について、大臣から答弁をいただきたいと思います。

左藤大臣政務官 失礼します。政務官の左藤ですが、大臣にかわりまして、江田先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、防衛駐在官は、駐在国の国防当局や他国の駐在武官などから軍事情報を収集する上で、大変重要な役割を果たしております。

 政府の在アルジェリア邦人に対するテロ事件の対応に関する検証委員会検証報告書において、次のように言われております。「アフリカ等の防衛駐在官を派遣していない地域に関して、調査を実施した上で、我が国にとって有益な情報を入手可能な国があれば、未派遣国への新規派遣や兼轄、未派遣地域に影響力を有する国への増員など、防衛駐在官の体制の強化・拡充を図る必要がある。」とされております。

 与党在外邦人の安全確保に関するPT報告においても、同様な要請がされているところでございます。

 そのため、現在防衛駐在官が配置されていないアフリカ地域を初めとする国々において、在外公館を通じ、また、一部の国々は職員を現地に派遣して、我が国にとって有益な情報が入手可能か、必要な調査を今実施しているところでございます。

 今後、さらに調査を進めつつ、また、調査の結果を踏まえて、防衛駐在官の新規派遣を含め、防衛駐在官の体制の強化、充実を図るためにも、具体的な方法の実施については、外務省と連携をしながら検討を進めさせていただきたいと思っております。

江田(康)委員 冒頭に言い忘れておりましたが、我が党と自民党は、今おっしゃられましたように、一月の二十九日には在外邦人の安全確保に関するPTを設置して、議論を重ねて、PTとしての提言を総理にさせていただいているところでございます。そういうような観点から、きょう、質問を、またこの主張をさせていただいているところでございます。

 最後に、自衛隊による在外邦人等の輸送についても確認をさせていただきたいと思うわけでございます。

 現行法で在外邦人等の輸送については政府専用機や自衛隊船舶に限られておりまして、陸上輸送というのは対象になっていないところであります。

 与党PTでは、自衛隊の車両による陸上輸送を可能とするようにも提言を行ったところでございます。これは、過去の邦人退避で日本政府のチャーター車両を使用した実績、また、今回のアルジェリア人質拘束事件における対応に鑑みて、車両輸送のニーズが発生することは今後否定できない、在外邦人の命を守る保護の手段を多様化するという観点から、自衛隊による陸上輸送も可能と提言をしたところでございます。

 まず、この輸送の安全についてお伺いをさせていただきます。

 派遣先国の空港、港湾等において輸送の安全が確保されていない場合に、あえて輸送を実施したとしても、それは邦人に事故が起こり、在外邦人の安全確保というそもそもの目的を達することができなくなるおそれがある、このことから、輸送の安全は必須要件であると考えられます。しかし、一方で、安全が確保されているなら民間機で輸送すればいいという議論もあると承知しております。

 この点、PTの提言書におきましては、現行のまま、輸送の安全について、これが確保されていると認めるときとする、その一方で、当該輸送を行う地域において、輸送を行うことが可能と認められるときという表現、両論併記で検討していくことを政府に提言させていただいたわけでございますけれども、この検討状況について、防衛大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

小野寺国務大臣 御指摘のように、自衛隊法八十四条の三、輸送の問題ですが、これは今のところ、航空機そして船舶でしか行えない。これをやはり陸路でも行うべきではないかという御指摘を与党PTからもいただいております。

 現在、この前提条件、現行法であっても輸送の安全ということについては明確に規定をしておりますが、これは安全だからということではなくて、基本的には、当該輸送を行うことができる、航空機でも運航ができるということがこの安全の定義というふうに私ども承知をしております。

 この表現ぶりについては、今、最終的にどうするか、鋭意進めさせていただいておりますので、今後自衛隊法改正の内容がまとまり次第、私ども、与党PT含めて、また御説明に上がって、しっかりとした御意見をいただきながら、一日も早い成案に努力していきたいと思っております。

江田(康)委員 最後でございますが、今回のような事案を配慮すれば、現行法では輸送の対象となる者は邦人もしくは外国人に限定されているわけでございますけれども、陸上輸送に際して必要となる要員、つまり、邦人の家族、そしてまた企業関係者、政府の要員なども含めることをこの条文上に明記すべきではないか、このことも重要であるということで提言をさせていただいております。

 邦人保護に関して必要とする法の整備がさまざまあるかと思いますが、これらを踏まえて、自衛隊法の改正ということも必要であるということを与党のPTでは提言させていただいているところでございます。

 改めて、防衛大臣のこの法整備についての政府の考えをお聞きして、終わりたいと思います。

小野寺国務大臣 現在の輸送対象者は、保護を要する邦人、外国人のみということになりますが、今後さまざまなことを考えますと、邦人の家族、企業関係者、政府の要員、いろいろな方々が輸送の対象になると思いますので、そういう実態に合わせた形で考えていきたいと思います。

江田(康)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 私は、海賊対処について主として伺ってまいりたいと思います。

 二〇〇九年から部隊を派遣しておりますけれども、そのかいあってと申しますか、二〇一二年におきましては、海賊事案が三分の一ぐらいに減ったというふうに聞いております。二百四、五十件あったものが、アデン湾・ソマリア沖におきましては七十五件ですか、ことしに入っても、まだ数件しかないというふうに伺っております。

 これは、自衛隊の存在もあり、また各国の協力もあり、そういったことが功を奏してこういうことになってきているんだと思いますけれども、改めて伺いたいと思いますが、二〇一二年に急に海賊事件が減少したという理由について伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 自衛隊の海賊対処事項でございますので、防衛省から御説明をさせていただきます。

 自衛隊による海賊対処につきましては、我が国及び国際社会にとって極めて重要な海上交通路でありますソマリア沖・アデン湾における重火器で武装した海賊による事案の多発に鑑み、平成二十一年より、護衛艦、P3C哨戒機を派遣して、船舶の護衛及び海域の警戒監視を実施してきたところであります。

 こうした活動や、民間武装警備員の乗船、船舶の自衛措置等が功を奏し、平成二十三年に二百三十七件を超えた海賊事案は、平成二十四年においては七十五件まで減少しました。

 一方、平成二十二年以降、ソマリア海賊の活動海域がソマリア沖・アデン湾からオマーン湾、アラビア海まで広く拡散してきたことから、こうした状態に効果的に対応すべく、国土交通省を中心として、諸外国でも行われている民間武装警備員の乗船を日本船舶においても認めるための法案を現在検討していると承知をしております。

 こうしたことから、防衛省としては、この海域における海賊事案については、平成二十三年まで高い水準にあったことを踏まえると、依然として予断を許さない状態であり、また、ソマリア沖・アデン湾が極めて重要な海域であることに変わりがないということでありますので、これからも引き続き、この海域における自衛隊の海賊対処行動を確実に実施する必要があるという考えであります。

奥野(総)委員 今、三つ理由を挙げられましたけれども、やはり自衛隊のプレゼンスが大きかった。アデン湾内においては特に大きくて、たしか中国とかインドとかとも協力されていると思いますが、アデン湾内の海賊事案はほとんどなくなって、むしろ、外の外洋の方に広がっているということで、そこは成功して日本の評判もよくなった、日本の自衛隊ここにありということだと思いますけれども、しかし、一方で、外洋の部分、自衛隊が行かない部分については、なかなか手が届かなくなってきている。

 今、三つ理由を挙げられましたけれども、BMPの話でいえば、マニュアルに従って自分で身を守ってくださいということでありますし、おっしゃった、民間の武装警備員の乗船の話だと思いますけれども、これもやはり、自分の力で身を守ってくださいということだと思うんです。

 これは、なかなかテロというのは難しくて、いつどこで起こるかわかりませんし、基本的にはやはり邦人の安全は国家が最終的には責任を持つべきだと思いますけれども、いつ起こるかわからないということを考えれば、今理由に挙げられたことのように、民間もある程度自分で守っていかなきゃいけないというふうに思います。

 これは通告していませんが、大臣、その辺はいかがでしょうか。

小野寺国務大臣 おっしゃるとおり、私どもも努力をしますし、それから、主要国はそれぞれ、この地域にこのような海賊対処の行動をしております。ただ、どうしても、海賊行為はいついかなるときに発生するかわかりませんし、また、それぞれ所有する火器がどの程度の威力を持つかもわからない。そういう中で、私どもとしては、今後も継続して、この海域において、特に我が国のシーレーンの中心でもありますので、しっかり対応していきたいと思っております。

奥野(総)委員 そこで、民間武装警備員の特措法についてこれから少しずつ伺っていきたいと思いますが、諸外国の状況についてまずは伺いたいと思います。

 私は、国家が責任を持つのが原則だと申し上げました。ある意味、その原則にのっとって、民間じゃなくて、海上保安官あるいは軍とか、公的な警備員、ガードを民間船に乗せて警備している国というのはあるんでしょうか。

赤澤大臣政務官 失礼いたします。

 主要海運国の状況ということで、民間武装警備員の乗船を認めている国というのは非常に数が多うございます。読み上げますか……(奥野(総)委員「逆です。民間じゃない」と呼ぶ)済みません。わかりました。私、ちょっと聞き間違って失礼いたしました。

あべ大臣政務官 奥野委員の質問にお答えいたします。

 自国籍の船に民間の武装警備の乗船を認めていない主要海運国はどこか、また自国籍の公的武装警備員の乗船を実施している国はどこかということでございますが、主要海運国におきまして、海賊からの襲撃に備えるために自国籍船に民間武装警備員、また軍人で構成される公的武装警備員の乗船を認めている国があると私ども承知しておりまして、また、こうした武装警備員の乗船を可能にするために、法整備を現在準備または検討中の国もあるというふうに承知しているところでございます。

 政府といたしまして、武装警備員の乗船に関しまして、主要海運国の動向を網羅的に把握しているわけではございませんが、この民間武装警備員の自国籍船への乗船を認めていない国として、ギリシャ、スウェーデン、我が国がございます。また、公的武装警備員の自国籍船への乗船を実施している国といたしましては、フランス、オランダ、イタリアがあると承知しているところでございます。

奥野(総)委員 今、民間武装警備の法的手当てをしていないと、次に聞こうとしたことまでお答えいただいたわけでありますけれども、公的なガードを乗せている国というのは、代表的なのはオランダがそうですね、海運国の中でオランダがそういう仕組みをとっている。一方で、その他の国、多くの国はもう民間の警備員を乗せている、日本はまだそこはできていない、そういう答弁だったと思います。

 だからこそ、日本としても今回こういう法案を出されるということと思いますけれども、この点について、オランダのような仕組みはとり得ないのか、人員をふやして、公的なガードを乗せて警備する、こういう仕組みはとれないのか。あるいは、なぜ民間に委ねるのかというところについて伺いたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員の御指摘、海上保安官を初め公的な人を乗せるということだと思いますが、海上保安官について、乗船して警備を行うことについては、海賊の発生海域が拡大していること、あるいは他の重要な任務などが増大している状況も踏まえれば、対応は物理的に困難な状況ということで、お尋ねの法案については、実はまだ国会に提出しておりませんで、閣議決定もこれからの法案でありますから、申し上げることは全て、今その方向で準備をしているということで、検討中ということでお許しいただければと思います。

 民間警備員の活用については、他の主要海運国でも広く採用されている措置でありまして、海賊対策として極めて有効であるとされておりますので、我が国としてもこれを活用する方向で今検討を進めているところでございます。

奥野(総)委員 諸外国に倣って民間の武装警備員を乗船させていくということであります。公的ではなくて民間にここは委ねていくということだと思います、諸外国もやっていると。

 そこは通告していないんですけれども、現実に、日本船籍の船というのを調べますと、大体今百五十隻弱なんですかね、旗国として日本に登録されているのは。日本の商船というのは、これもネットで調べたら、大体二千八百隻、三千隻弱なんですね。ほとんどの船は日本船といいながら外国籍の船になっていまして、恐らく、こうした船はもう民間の武装警備員を雇って乗船させているんじゃないかと思うんですが、これはちょっと通告していませんが、どうなんでしょうか。

森政府参考人 御質問の件についてお答えします。

 先生御指摘のとおり、日本籍の九五%はいわゆる便宜置籍船でございまして、パナマを初めとしたいわゆる外国籍船になっております。

 こういったパナマとかリベリア等の便宜置籍国は、先ほどの御答弁にもありましたけれども、既に民間武装警備員を乗せられるように措置をしておりまして、海域によってでございますけれども、日本の海運会社も既に民間武装警備員を乗せた警備を実施しております。

奥野(総)委員 現実には、多くの日本の船がそうした形で民間の武装ガードを乗せてやっている、現実がそこまで進んでいて、それを後追いしていくということだと思います。

 しかし、これはなかなか法律にすると難しいんだと思います。まだこれは閣議決定前でありますから、なかなか発言しにくいかとは思いますけれども、日本船籍であれば、船の中は日本国、日本の法律が適用になるということだと思います。

 では、ここで伺いたいんですが、法案は検討中だということだと思いますが、重火器の使用について想定しているのか。当然、武装警備員でありますから武装して銃を持ってということでありますけれども、では、実際に戦闘になったとき、交戦を想定して仕組みを今考えておられるのかどうかということを伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、民間武装警備員ですから、武装、小銃を持つようなことは想定はしております。

 そこで、一般的には、もちろん、そういう民間の武装警備員が海賊が出てきたら警備するポイントというのは、こちらがそういうもので武装していますよということを相手に見せつけて認識させて、それで相手に接近を諦めさせるということがまずポイントであります。

 したがいまして、相手が、海賊が近づいてくれば小銃を顕示する、見せる、さらに、それでも近づいてくれば、海賊船舶の上空だとか海面だとか、そういうものに警告射撃をするみたいなことが一般的に考えられるわけでございまして、こういうふうな段階的に射撃を行うというのが一般的な民間警備員による対応であると承知しております。

 さらに、もちろん、こういうふうなことをやっても相手が、海賊が退散しない場合もあるわけでございまして、撃ち合いになるという状況も考えられないわけではございません。これについては、一般的な刑法上の急迫不正の侵害に該当する場合には、仮に相手を殺傷したとしても、一般的に正当防衛として違法性は阻却される、こういうふうな仕組みであろうと考えております。

奥野(総)委員 この武装警備の話は随分前から上がっていまして、海賊の話が出たころから、日本の船舶にもという話があったかと思うんですが、なかなか進んでこなかった原因、恐らく、我々の政権のときもそうでありますけれども、このあたりがなかなか難しかったんじゃないかと思うんです。日本国内でありながら銃を発射するというのは、現に日本列島の中ではなかなか起きない事案でありますし、想定されていないと思うんですね。

 今、正当防衛、急迫不正の侵害とおっしゃいましたけれども、たしか日本では、正当防衛はなかなか判例なんかでも認められにくいと思うんですよね。だから、そのあたり、現実に戦闘になったときに本当に銃は発射できるのか。発射するのがいいとは言いませんけれども、実際に、重火器の使用について現実にできるのか、この仕組みの中でできるのかと非常に疑問でありますということを申し上げておきます。

 何が言いたいかというと、つくるからには、やはりきちんとワークするような仕組みにしていただきたいと思います。これから実際に審議に入り、そこでまた我が党の方からも質問させていただくことになるかと思いますけれども、きちんとワークするような制度を考えていただきたいということを申し上げておきます。

 それから、最後、時間がなくなってきましたけれども、確かに海賊の数は減ったんですけれども、これは急に減っているんですね、二〇一二年にがくっと。それまでも自衛隊はいたし、武装ガードは恐らく認められていて、急激に三分の一に減ったというのはちょっと私も不思議に思ったんです。

 いいことですよ。減るのはいいことだし、確かに皆さんの頑張りもあるんだし、さっきも申し上げたように、アデン湾の中では自衛隊の活躍で減ったということはありますけれども、外洋の部分についても急激に減っているというのはちょっと不思議に思ったんですね。

 私は、ソマリアの方の知人がいますのでちょっと聞いてみたんですけれども、これは彼が言っているだけで、私が見てきたわけではないので、事実と異なるかもしれませんが、プントランドという地域がソマリアの中にあって、プントランドの自治政府が海賊を逮捕し出した。今、千人ぐらい刑務所に入れているんだ。まあ、大げさなのかもしれないけれども、それをどんどん捕まえているんだ。それが原因で海賊が減っている、こういうことを言っていました。全部本当かどうかはわかりませんが、これだけ急に減っているのを見ると、そういうこともあるんだろうなと思います。

 ですから、この今の法案を、武装ガードを乗せたから海賊が減る、それだけで減るというわけでもない。やはり、きちんと現地の政府が機能して、内政をきちんと掌握してということが最も大事だと思います。

 プントランドというところは、比較的安全だと聞いている。比較的治安が、ソマリアの中ですから治安がいいと言っても語弊がありますが、自治政府がきちんとワークしているというところだと聞いています。

 ソマリア全土について言えば、ようやく昨年大統領が決まって、正式な政権が発足したということでありますけれども、そのソマリアの現状について、まず伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、海賊問題の根本解決には、ソマリアの国内の情勢安定化、これは不可欠であります。

 ソマリアにつきましては、一九九一年以降、全土を統一的に支配する政府が不在でありましたが、国際社会からの後押しも受けて、今御指摘のように、昨年九月に新大統領が選出された、十一月に内閣が発足したなど、二十一年ぶりに統一政府が誕生いたしました。着実に国づくりが進んでいる、このように認識をしております。

 ただ、治安状況は、依然不透明な、不安定なものがあると認識をしております。

 引き続き、情勢については注視していきたい、このように思っています。

奥野(総)委員 あのあたりの海域は、どうもマグロがたくさんとれて、私の知人が言うには、韓国とか台湾はあそこで密漁をしているということなんですね。この間、あるテレビ局で、日本の某おすし屋さんの社長が、ソマリアに行ってマグロをとるんだと、実際に行ったかどうかはともかくも、言っています。

 日本政府として、きちんとソマリア政権に、今の正統な政権に援助をして、まずは治安を取り戻すということだと思いますが、その先に、やはり食べていかないと、結局、食べられないからみんな海賊に乗り出すわけでありまして、水産資源が豊富な土地ということでありますから、きちんと支援をして、産業の振興に協力していただきたいと思います。その決意を伺って、終わりにしたいと思います。

岸田国務大臣 新しく誕生した政権に対しても、御指摘のように、海上の安定のためにしっかり努めてもらわなければならないと思っています。

 将来的には、海上保安機関の設立なども検討されていくものとは思いますが、それまでの間は、隣国ジブチおけるJICAによる沿岸警備能力強化支援ですとか、国際海事機関、IMOを通じた周辺国を中心とした海上保安能力強化支援、こうした支援を強化していかなければと考えております。

 そして、そもそも同国の国内情勢の安定化が不可欠であります。治安能力強化ですとか人道支援、インフラ等の分野で、我が国は国際機関を通じて総額二億九千二百九十万米ドルによる経済協力を今日まで実施しておりますが、今後も適切に支援を実施していきたいと考えております。

奥野(総)委員 以上で私の質問を終わりにしたいと思います。

西村委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党新人議員の林宙紀と申します。

 まず初めに、本来は民主党さんの質疑のお時間でありますが、私の他の委員会との質疑の兼ね合いもございまして、御好意により、順番を交代していただきました。また、委員長そして与野党の理事の皆さんにも御承認いただきまして、まことにありがとうございます。

 まず初めに、改めまして、アルジェリアの事件を含めまして、その他の海外で図らずも命を落とされてしまった、奪われてしまった方々に対しまして、御冥福をお祈りいたします。

 そして、これは質問ではないんですが、私は新人ということで何もわからなかったというところで言いますと、国会の開会を前にしてアルジェリアの事件が発生した際に、私は、この委員会が日を置かずにすぐに開かれるんじゃないかというふうに勝手に思っておりました。

 ここまでの二カ月、諸事情あって開かれずに、きょうの開催になったというところは理解はしているんですけれども、何よりも、国の役割というのが国民の命を守るというところに最優先すべきであるという観点でいえば、やはりこの委員会に関しては、もっと早く、何としてでも開くべきだったんじゃないかなというふうに個人的には思っております。それは今でも変わりませんし、ぜひ今後もそういう気持ちを持って取り組んでまいりたいというふうに存じております。よろしくお願いいたします。

 では、まずアルジェリアの事件からお伺いをしていきたいと思います。

 たしか二月の二十二日、先月だったと思うんですが、我が党の方に外務省の御担当者の方にお越しいただきまして、その際の説明では、今回事件が起こりましたアルジェリアの国境付近というのは、外務省さんの提供している危険度の情報においては最上位、退避勧告になっていたとの、当時はその説明だったと記憶しています。その後いろいろ確認をさせていただいたところ、実際は上から二番目の渡航延期という状態になっていたとの報告をいただきました。

 いずれにしましても、この地域付近にありました今回の当該日系企業、ここにつきましては、渡航延期というものを前提として、では当時、外務省の方からは、どのような形で事前の注意勧告並びに警告をお伝えいただいていたのか、状況を確認させていただきたいと思います。

岸田国務大臣 在アルジェリア大使館におきましては、官民で情報を共有する等の目的のために開催されます安全対策連絡協議会、これを定期的に開催し、日揮関係者を含む現地の邦人企業代表者等の間での情報提供、意見交換をずっと行ってきたわけですが、この事件の発生前も、これは昨年の十二月十六日ですが、日揮アルジェリア事務所長も参加して同協議会を開催し、アルジェリア治安情勢等に係る情報提供、意見交換を実施しておりました。

 また、ホームページを通じての注意喚起ですとか、特に重要な渡航情報については、在留届を通じて、滞在を把握している在留邦人に対してメールとか電話を通じて注意喚起を行う、こうしたことを行っておりました。

 ただ、今回の事案を受けて考えなければならないこととして、こうした渡航情報等がどれだけ企業に安全にかかわる重要情報として真剣に受けとめられていたのか、このことについては、いま一度検証しなければならないと思います。どう受けとめられ、そしてその情報の内容及び提供手段、こういったものについても検証する、こういった必要は感じているところです。

林(宙)委員 私も、九・一一の事件の後に、アメリカではありませんが、ある東南アジアの地域に長期滞在をしていたこともありましたので、実はその兼ね合いで外務省さんから情報をいただいたという経験はございました。今大臣がおっしゃったとおり、それをどの程度重大なお話だと受けとめるかは、やはり個人あるいは企業にかかってきてしまうところはある。

 しかしながら、今回は重大な事件が起こったわけでして、やはりこれは今のうちに、こういった情報が発せられたときは、基本的には重い情報なんだと受けとめていただくような指導の仕方をしていただきたいなというふうには個人的には非常に強く思います。

 そして、調べてみたところなんですが、現在、特に中近東あるいはアフリカといった地域には、先ほど申し上げたとおり、危険度が最上位、外務省さんのホームページにある地図ですと、赤い色塗りがされている地域になります退避勧告の地域なんですが、今の情報でいうと、例えばシリアとかリビアあるいはイエメン、そういった国々が今、国全体が退避勧告の地域になっている。

 私も、外務省さんの方に問い合わせをして、いただいたデータ、これは最新で平成二十三年十月ということだったんですけれども、シリアにも日本企業の支店が当時二つほどあるという情報でした。その後のデータは私はいただいていないのでわかりませんが、現段階で、退避勧告となっている国や地域について、日本の法人あるいはその支店がどの程度あるのかということ、そして、もしそういった法人が一社でもあった場合、それらに対して今どのような対策をとっているか。

 注意喚起、警告というのは、もう先ほどの繰り返しになりますが、受け取る個人や企業の主観によってしまうところもありますので、例えば、現地国の政府に十分な対応を要請して、時々それはどういう状況で実施されているのかを確認する、そんなところまでやったりしているのかどうかという点について教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、外務省では、現在、二十二の国におきまして、全体あるいはその一部の地域に退避勧告を出しております。これらの国に進出している日系企業として登録された総数、約百九十ありますが、これらの国で退避勧告が出ている地域、この部分において活動している企業はほとんどないと考えております。

 いずれにせよ、一般的には、退避勧告の危険情報が発出されている場合、同国あるいは地域に滞在している邦人に対して国外の安全な地域に直ちに避難するよう強く呼びかけ、その一方で、そういった状況にあっても、真にやむを得ない事情、例えば経済協力等ですね、こうした事情があり、現地に渡航、活動せざるを得ない企業関係者を含む在留邦人については、その所在の把握と安全確保のための対策を徹底するよう指導しているところです。

 そして、ふだんより当該国の関係機関との間で企業関係者を含めた邦人所在情報の共有に努めるとともに、安全確保要請を当該国や国際機関に対しても行っているところです。

 ぜひ、こうした当該国との連携、協力も重要でありますし、外務省としても、しっかりとした情報提供、そして提供の仕方、方法も含めまして、しっかりと検討していきたいと考えています。

林(宙)委員 アルジェリアの事件の例でいえば、退避勧告ではなく、危険度としてはその下の渡航延期の段階での事件だったということもありますので、例えば、退避勧告地域の中じゃなくても、その地域に割と距離的に近いなという部分などでもかなり危険は差し迫ったものがあったりするパターンもあると思いますので、それについては、今外務大臣がおっしゃったように、検討していただけるということですから、まずはその経過をぜひ私も見守らせていただきたいなというふうに思います。

 この事件に関して少し気になっていたのは、アルジェリア政府による救出作戦、これが遂行された後に、安倍総理が当時、ぶら下がりの取材だったと思うんですが、アルジェリアの軍事オペレーションで日本人が亡くなったといったようなことをおっしゃったと記憶しています。その後、たしか城内政務官だったと思いますが、それについてはそういう意味ではなくてというお話だったんです。

 要は、つまり、テロリストの銃弾によって我が国の方々が亡くなってしまったのか、それとも、アルジェリア軍がその救出作戦中に放った銃弾によって亡くなってしまったのかという意味で、安倍総理の発言、私はそういう意味でとってしまったんですけれども、日本政府としては、今、これはどのようにお考えなんでしょうか、見解をお願いします。

あべ大臣政務官 林委員の質問にお答えいたします。

 御指摘の発言に関しまして、その後、城内政務官は、軍事オペレーションの中で日本人が亡くなられたわけではあるが、どのような形で亡くなったかについては、まだ詳細がわかっていないというふうに述べているところでございます。

 我が国といたしまして、本事案の真相解明が重要との認識のもと、アルジェリア軍による制圧の作戦の詳細を含む事態の全容について、アルジェリア政府に対して随時この説明を求めているところでございまして、先般訪日いたしましたアルジェリアのユスフィ・エネルギー鉱業大臣との会談におきましても、菅官房長官また岸田大臣によりまして、事件に関する捜査の進展及び結果について、随時共有するように要請をいたしましたところでございます。

 これに対しまして、ユスフィ大臣の方からは、日本側の要請にできる限り配慮を払いたいということのお話があったところでございまして、我が国といたしまして、アルジェリア政府に対しまして引き続き情報共有を求めていくことを含め、今後も引き続き事態の全容解明に努めていくところでございます。

林(宙)委員 わかりました。ぜひ、真相というか何かわかった時点で、公表できるところまででも結構ですので、御教示いただきたいなというふうに思います。

 次なんですが、国内について、特に原子力発電所の安全について問いたいと思います。

 当然、テロ等に対する備えは万全だと思っていますが、その前提で、お話しいただける範囲で御答弁をいただきたいと思います。

 先日、原子力規制委員会が発表した新安全基準の骨子案というものがございます。これはウエブ上で簡単に検索できる資料ですので、完全公開の資料だということになりますね。ここに、航空機テロなどへの対策として、特定安全施設というものに言及がなされております。さらに、すごく気になったのが、この特定安全施設というものが、原子炉から例えば百メートル離れたところに設置するのような形で書かれているわけです。

 この特定安全施設がどういうものかは皆さん御承知のとおりだと思うんですけれども、私、これを見たときに、仮に私がテロリストだったらという視点で見ると、なるほど、では、例えばと書いていますから百なのか二百なのかわかりませんが、大体そのぐらい離れたところに何か新しい建設物が建った、そうしたら、テロリストとしては、これは標的にしてしまうんじゃないかなというふうに率直に思ったわけです。

 この特定安全施設というのは、そもそも、セキュリティーという面でいったら余り公開しない方がいいんじゃないかなという趣旨のものだと思うんですが、公開されてしまったので、私も今ここで質問をしているという状況です。

 今後、どうなんでしょうか。こういった情報まで、完全公開の原則というのがあるのかもしれませんが、政府としてはこういったところをどのようにお考えなのかという御見解をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、現在、私ども原子力規制委員会におきましては、原子力発電所の新しい安全規制の一つの対策として、今御指摘のありました特定安全施設といったものの規制上の要求をつくろうとしているところでございます。

 これは、意図的な飛行機などの衝突、テロでございますけれども、こういったことによって炉心が著しい損傷を生じるおそれがあった場合に、放射性物質の放出を抑制する、原子炉を冷却するなどをするわけでございますけれども、そういった機能を果たすものとして、新しい規制基準の中でその設置を求めていくということにするものでございます。

 それで、規制委員会といたしましては、今御指摘ありましたように、基本的には意思決定のプロセスを含めまして規制にかかわる情報の開示を徹底すること、これを活動の原則としているところではございますけれども、セキュリティーにかかわるようなところ、特にテロの標的にならないようにするというために情報を厳重に管理する、これは極めて大事な点でございますので、これまでもそういう情報につきましては非公開の扱いをしているところでございます。

 それで、特定安全施設の今後の取り扱いでございますけれども、この設置を求めることは、これは規制基準という形で制定をして公表はいたしますけれども、これを具体的に各電力会社、各原子力発電所におきましていろいろな対策がこれから立案されて、私ども規制委員会の方に認可申請という形で申請されますが、この具体的な内容、つまり特定安全施設をどう整備するのかとか、どういう体制でやるのか、こういったことについては、先ほど御指摘のありますように、厳重な情報管理をしていくべきものの対象になり得るというふうに考えてございます。

 したがいまして、御指摘のように、テロの標的にならないように、具体的な方策についてはしっかりと情報管理をしていくような形で具体的な対応を検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

林(宙)委員 まさしくこれはかなり重要なことだと思うので、私が申し上げるまでもなく、もともと政府の方ではそのようなお考えのもとにやられている、さっきの例えば百メートルというのも、実はあえてだますためにそう書いているんじゃないかと私は期待をしたいなと思うんですけれども、そういう意味で、ぜひとも私も今後そういった情報が、何か危険なものがないかというのはチェックをさせていただきたいなと思っておりますので、何か疑問があったらまた御質問させていただきたいなというふうに思います。

 最後の質問になりますが、原子力発電所に関連して御質問させていただきましたので、これはこれまでも何度か議論されていることなんじゃないかなと思うんですけれども、今、原子力発電所の事故というものがありました関係で、大変原発に関する注目が集まっているというところもあった上で、もしかしたら、例えば原子力発電所はどのぐらい安全なんだろうかと結構不安に思っていらっしゃる方、安全なのかというのはテロ対策という意味でですね、思っていらっしゃる方も多いんじゃないかなというふうに思っております。

 仮に武装勢力などが襲撃をした場合ということになるんでしょうが、これが対応が十分な体制になっているということを改めて政府に確認させていただきたいなということでお願いをします。きょうは、お三方、お願いをしておりますので、まず警察庁の方にお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、二〇〇一年の米国同時多発テロ事件以降、全国の原子力発電所にサブマシンガンやライフル銃、それから耐爆、耐弾仕様の車両等を装備しました銃器対策部隊を常駐させまして、海上保安庁とも連携しつつ、二十四時間体制で警戒警備を行っております。

 二年前の福島第一原子力発電所の事故によりまして、その脆弱性が国内外に明らかになったことを踏まえまして、さらに人的体制の充実、装備資機材の整備拡充、警戒要領の見直し等、テロ対策の強化を図っているところであります。

 また、情勢が緊迫しましたときには、銃器対策部隊をさらに増強、派遣するほかに、高度な制圧能力と機動力を有します特殊部隊、SATを迅速に投入することとしております。

 さらに、仮に一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合には、治安出動が発令されることとなります。

 治安出動が発令された場合における警察と自衛隊との連携に関しましては、あらかじめ協定等を締結しておりまして、これらの協定等に基づき、実際に両者が円滑かつ緊密に連携して対処できるよう共同訓練を行うなど、対処能力の向上を図っているところであります。

 警察としましては、引き続き、関係省庁、事業者等とも連携しながら、各種訓練の実施や警備体制の強化等を図り、原子力発電所の警戒警備に万全を期してまいる所存でございます。

林(宙)委員 では、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、あと海上保安庁の方からお願いします。

北村政府参考人 国内の原子力発電所の海上におけます警備でございますが、海上保安庁では従来から、全国十八カ所に所在します原子力発電所などの周辺海域に巡視船艇を常時配備しております。さらに、必要に応じて、航空機により周辺海域の監視警戒に当たらせております。

 また、万一、武装勢力などによる襲撃事件が発生しました場合には、直ちに所要の勢力を緊急展開させ、迅速かつ適切に対処することとしております。

 さらに、福島第一原発の事故などを踏まえまして、原子力発電所に対する警備体制の強化の一環として、巡視船艇なり航空機の対応体制の強化、また資機材の整備、必要な人的体制の充実などの措置を図ってきておるところでございまして、今後とも、海上保安体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

林(宙)委員 最後、防衛大臣にお願いをしていたんですが、ちょっと時間も来てしまいましたので、短く、もしよろしければお願いいたします。

小野寺国務大臣 同じ宮城ですので。

 一義的には警察、海上保安庁が対応しますが、一般の警察力をもって治安を維持することができないような緊急事態の場合には、治安出動等により、自衛隊と警察、海上保安庁が緊密に連携する対応ということになります。これに備えて日ごろの訓練をしっかりしております。

林(宙)委員 以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西村委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 まずは、今回、アルジェリアのテロ事件で犠牲になった方々の御冥福をお祈りいたします。

 さて、その事件についてですが、在アルジェリア邦人に対するテロ事件の対応に関する検証委員会の報告書が出されていますけれども、私がこれを拝見してまず疑問に思いましたのは、情報を日本大使館が入手してから、これが十五時三十五分となっておりますけれども、官邸に連絡するまでに約一時間かかっております。

 この間、外務省での情報確認作業とか、そういったところはどうだったのか。それと、外務大臣御自身がこの事件をお知りになったのが、恐らく事件発生の第一報が大使館に入ってから一時間ぐらいたっていたのではないかというふうに考えます。その点について、外務大臣御自身がどのようにお考えになられるのか、もっと早く情報を上げてほしかったとおっしゃるのか、その辺のところをお聞きしたいと思っております。

岸田国務大臣 まず、今回の事件に際しましては、一月十六日十五時三十分、現地時間七時三十分ですが、イナメナスのプラントが襲撃されている模様という一報が入りました。日揮アルジェリア事務所から在アルジェリア大使館にもたらされ、これを受けて、同大使館は外務省に一報したということであります。

 そして同日、今度は十六時三十分、一時間後でありますが、在アルジェリア大使館から外務省に対し、日揮関係者が武装集団により拘束され、人質になっている、こうしたより具体的な情報が、第一報、もたらされました。ほぼ同時刻、日揮本社から外務省に対して同様の連絡が行われたということであります。

 十五時三十分の時点では、襲撃されている模様という第一報が入り、十六時三十分の時点で、日揮関係者が武装集団に拘束され人質になっている、こうした具体的な情報が入ってきた、こうしたことであります。

 そして、邦人が拘束されているという第一報を受けて、一月十六日十六時四十分、拘束されているという一報を受けてから十分後、領事局長を長とする対策室を立ち上げ、そして、私は、その十分後、十六時五十分に報告を受け、十七時、私を長とする緊急対策本部を設置したというのがこの事件への一連の対応でありました。

 一時間のこの違いは、日揮関係者が武装集団により拘束され人質になっている、こうした具体的な情報が入ってきた、この違い、一時間前の情報との違いはそこでありまして、その情報を受けて、外務省としては今申し上げたような対応をしたということであります。

 現地は、アルジェリアの首都アルジェから一千百キロ離れた隔地にあります。各国とも情報収集には苦労していたわけですが、その中にあって、今申し上げました情報に対して我々は全力で対応した、こうしたことでございます。

今村(洋)委員 では、大臣におかれましては、ガスプラントが襲撃されているという時点での官邸への報告は必要なかったというふうにお考えになるのでしょうか。

岸田国務大臣 この事件を通じて感じることですが、さまざまな情報が錯綜いたしました。ですから、第一報を受けた、このことは大変重たく感じていますが、やはり情報についてしっかり確認をし対応に混乱を来さない、こういった観点も重要だと考えております。このバランスの中で、情報の確認とそして迅速な対応、この両方をしっかり考えていかなければならないと思っています。

 今回の対応については今御報告申し上げたところでありますが、こうしたことにつきましても、現在、外務省の中にも、こうした検証チーム、対策チームを立ち上げて、検証作業、官邸におけるこの作業と並行して進めております。ぜひ、この辺についてもしっかりと検証し、今後につなげていきたいと考えております。

今村(洋)委員 外務省では例えば過去に、二〇〇八年三月に、長崎、佐世保に入港した米軍の原潜が放射能漏れ事故を起こした。それがその年の七月末になって米軍側から外務省へ報告が入って、そのことを外務省は佐世保市にすぐに報告せずに、また翌々日ぐらいになって報告したというような事例があるとか、とにかく、情報を入手するその一番のフロントラインに立っているのは大使館であり、ひいては外務省でしょうから、そこが肝心の官邸に情報を上げないというようなことは、今回、安倍内閣では日本版NSCというものを立ち上げるということをお聞きしておりますけれども、ぜひ、そういった情報の、今おっしゃった一元化ができる、それから責任を持って指示を出せるというような機関というものが必要になってくるのではないか、今回の事件は特にそのことを指し示しているのではないかというふうに考えております。

 そのことは私の意見として、次に、外務大臣におかれましては、この委員会で所信を述べられたときに、「一、国際テロ情報収集、分析の強化、二、平素からの海外安全に関する官民の情報共有、連携の強化、三、事件発生時の邦人保護機能の強化」とおっしゃられています。

 この具体的な内容と、それが今回、外務省における緊急展開チームというものをお聞きしておりますが、その辺の関連も含めてお聞かせいただければというふうに思います。

岸田国務大臣 今回のような緊急事態が発生した際には、迅速に現地に人員を派遣し、初動体制を整える、そして邦人援護のための体制を整える、こうした必要性を強く感じております。

 具体的には、海外における緊急事態が発生した場合に、迅速に現地に着けるよう、領事、邦人保護の担当を初めとする人員を緊急展開チームの要員としてあらかじめ指定しておく、こういったことを検討しているところです。

 緊急事態発生時には、これらの要員を派遣し、現地において、事態及びその後の展開の把握、とるべき体制の検討、そして情報収集など初動として必要な対応を行うことを想定しておりますが、こうした緊急事態における初動体制の重要性を考え、こうした緊急対策チームを今後設置することを検討したということであります。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。

 それでは、次に、核テロについてお聞きしたいと思います。

 核テロというものは、大きく分けて二つあります。いわゆる通常の核爆弾、核爆発ですね、それと、核物質、放射性物質を何らかの形で拡散する、こういった二つ大きく分けると考えられますが、この第二の方法について、今回お聞きしたいと思っております。

 この第二の方法は、放射性物質を通常爆弾に組み込んで爆発させる、これがいわゆるダーティーボムと言われているものであります。あるいは、先ほど委員からも御質問がありましたけれども、原子力施設へ移送中の核物質を爆破によって広く広範囲へまく方法、放射性物質をそっと散布する、混入するといったようなことが考えられます。

 特に、放射性物質さえ手に入れば、これはセシウム137とかコバルト60とか、あとはイリジウム192などがありますけれども、こういう核テロが実行可能であり、特に政府機関が集中するような霞が関、ここですね、などで被害を想定すると、政府機能へも影響が出る、機能が麻痺してしまうのではないかというおそれがあるというふうに考えます。

 今回、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部が「原子力発電等に対するテロの未然防止対策の強化について」ということで、テロ対策の措置を発表されておられますけれども、その中に、「内閣官房、原子力安全・保安院、警察庁、海上保安庁、防衛省等関係省庁は、テロ発生時の対応手順や役割を再認識するとともに、実践的な共同訓練の実施等において引き続き連携を強化する」とあります。

 これは一体、どの部署がどの事態に責任を持って対処するのかというところをお聞かせいただければ、これは明らかになっておらないと思いますので、よろしくお願いいたします。

左藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のダーティーボムというのは、通常爆弾と放射性物質を組み合わせることによって放射性物質を拡散させる装置の一種と私どもも思っております。

 万が一、放射性物質が拡散し、自衛隊が対応する場合においては、自衛隊が有している核・生物・化学、NBCですね、兵器対処能力を最大限活用することになると思います。

 そういう中で、先生がおっしゃった、霞が関とか含めて入れるとどうなるのか、こういう問題もございまして、防衛省・自衛隊としては、これまでのNBC偵察車や除染車等を装備する化学科部隊というのがございます。十七個部隊なんですが、これを保持するなど、化学兵器などによる攻撃への対処能力の向上を図るため、必要な部隊や装備の充実を今しております、努めております。

 万が一、放射性物質を用いたテロにより災害が発生した場合には、これら化学科部隊が中心となって動くわけであります。

 主に、このNBC偵察車や各種線量計等を用いて、放射線除染状況をまず測定します。そして、個人用防護装備や化学防護衣類を着ている隊員によって負傷者等の搬送をさせていただく。そして、除染車や除染装置等によって除染をする、この三点を主に活動することが可能と考えております。

 それと、もちろん、先ほどお話があったときに、どうするんだということも踏まえながら、これは東日本の地震もありました、こういうことも教訓に踏まえて、二十五年度の予算もこのような必要な能力の充実を図りたい、このように思って頑張っておるところでございます。

 それともう一つ、先ほど具体的におっしゃった霞が関やその辺はどうなるのかということになりますと、このダーティーボムというのは、まずはこの材料となる放射性物質を厳格に監視、管理をすることが必要でございますので、原子力規制庁等との関係省庁と連携をして対応させていただいている、このように認識しております。

 霞が関にもしそういうテロが来た場合は、これはどうするのかといえば、一義的には警察機関が行うことになってはいるんですが、そういう化学兵器となると対応できない可能性もございます。そういうときには、防衛省・自衛隊としては、災害派遣や国民保護等派遣により、自衛隊のNBC対処のための装備品を活用して、放射線量の測定、住民の避難、除染等を実施させていただきたいと思っております。

 また、当然、自衛隊にも、先ほどお話ありましたように、市ケ谷なんかに来たときにどうなるのか、こういうことですが、市ケ谷の方は今、同じような対応をするとともに、平素から、金属探知機やエックス線装置を用いて省庁に入る外来者への手荷物検査などを実施しながら、警備に万全を期しております。

 以上です。

今村(洋)委員 国民保護法第十五条において、都道府県知事は、防衛大臣に、自衛隊法第八条の部隊等の派遣を要請するということができるとなっておりますが、この場合、要請があったときに、指揮権といいますか、責任を持った指令を出すのは防衛大臣ということでよろしいんでしょうか、それとも現場の指揮官ということでしょうか。

小野寺国務大臣 それぞれの事態がさまざま想定されると思いますが、例えば、この間のような東日本大震災が起きた場合には、まずそれぞれの部隊がすぐに対応できるような状況になっておりますし、従前は、災害の派遣等については知事の要請というのが必要でありましたが、今は、東日本大震災あるいは阪神・淡路大震災の経験も踏まえて、我が省としても独自で動けるというふうになったと理解をしております。

今村(洋)委員 私がそのことを強く何度も、責任、それと指示を出す人は誰かということをお聞きするのは、やはり緊急の災害時、テロにせよ、いわゆる地震等の災害にせよ、責任を持って指示を出す機関というものが絶対必要であろうというふうに思っているからであります。ですから、安倍内閣でお進めになっている、第一次安倍内閣で頓挫してなくなってしまった日本版NSCというものは、ぜひなし遂げていただきたいというふうに考えているものでございます。

 それと、最後に、私がこの国会の方へ通うというか顔を出すようになって、セキュリティーというものが非常に甘いというふうに感じております。

 といいますのは、昔々、多分お知りになっている方もいらっしゃるかと思いますけれども、「太陽を盗んだ男」という映画がありまして、核爆弾を実際につくってしまうという話でしたけれども、核テロ、私が今申し上げた、ダーティーボムではなしに、単にそれを拡散する、まき散らすというだけでも、もし私がテロリストであれば可能だろう、例えば、議事堂内に入っても、議会中に何らかの行動を起こすことは可能ではないかというふうに考えます。

 ですから、そういったところも含めて、セキュリティーの甘さというものが議会内においてある。私ども国会議員はやはり国の中枢を担う者ですから、その辺のところもお考えいただければというふうに考えております。

 最後に、せっかく各大臣に来ていただいていますので、日本版NSCに関して何か、まだはっきりおっしゃられることはできないかもしれませんけれども、御所見をいただければと思います。

小野寺国務大臣 今、これは、安倍政権におきましては、このNSCの所管は内閣官房長官ということになります。そのもとで有識者がさまざまな議論をされているということを伺っておりますし、私どもも議論については注視をしていきたいと思っております。

岸田国務大臣 今防衛大臣からありましたように、現内閣におきましては、今、有識者会議によって議論をお願いしているところです。

 私の立場からも、こうした課題の重要性を認識しながら、有識者懇のこの議論をしっかり見守り、そして適切に対応していきたいと考えています。

今村(洋)委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 同じく日本維新の会所属の三宅博でございます。

 前回の当委員会におけます各大臣の挨拶及び報告をお聞きいたしまして、アルジェリアにおける悲劇、ああいったことが二度と起きないように、質問をさせていただきたいと思います。

 一昨日の委員会におきまして、小野寺大臣の方からの御挨拶に、いかなる理由があっても暴力を使うことは絶対に許せないとの御挨拶がございました。思いはわかるんですけれども、この思いは、我々には通じるんですけれども、テロリストに果たしてどの程度通じるかということなんですね。

 彼らは、テロと言います、テロ行為、この暴力が有効だと思っているからこういうふうな行為に走るといいますか、割が合う、彼らはそういうふうな判断のもとでこういう行為をしているんですね。そういった連中に対して、単に、暴力はいけませんというきれいごとだけじゃなしに、いざというときは、日本の国を守るため、軍事力の行使、これは力の行使ですね、これをして、国防全般を統括されるお立場といいますか、国民を守らなければならない小野寺大臣の率直なお考えをちょっとお聞きいたしたいと思います、今の私の言葉に対しまして。

小野寺国務大臣 テロは絶対に許せないことということは、もう委員も同じ認識だと思っております。

 そして、国内ではさまざまなテロ対策の強化を行っておりますし、国際的な協力の推進、そしてまた途上国等でテロ対処能力の向上、こういうことで、一元的に私どもは取り組ませていただいております。

 この中で、当然、テロリストは許せないということでありますが、私どもが最近のテロ事案で一番悩みますのは、実は、最大の対価というのは恐らく自分の命だと思います。今のテロリスト、ある面では、自分の命は二の次でテロの目的を果たすということを行う、そういうテロリストもいると思います。こういう広い全体の状況に関しては、やはり、それぞれのテロリストが持っている背景あるいは社会的な貧困の問題、こういうこともあわせて対応すること、これが最近のテロ事案の根っこの部分での対応にとっても必要だと思っております。

 委員と同じく、私どもとしても、テロは絶対に許せない。そして、テロを少なくとも未然に防ぐ努力を今後もしていきたいと思っております。

三宅委員 これは岸田大臣にお聞きしたいんですけれども、一昨日の大臣挨拶で、テロ組織のアルカイダ本体は弱体化しているというふうに見られると御報告をされましたけれども、その弱体化した原因、これをどのように分析されているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 国際テロ組織アルカイダ、この本体につきましては、二〇一一年五月に、ウサマ・ビンラディンを初めとする幹部が次々と死亡したり、あるいは拘束をされてきております。

 また、国際社会、各国政府によって、こうした組織の背景にある資金ですとか、あるいは貧困ですとか、こうしたさまざまな背景にある課題について対応が行われている。こうしたことによって、アルカイダ本体のテロの実行能力は弱まってきていると判断しています。これは米国を初め各国ともそうした見方をしている、こうした状況であります。

 ただし、アルカイダ関連機関ですとかイスラム過激派、こうした組織は依然活動を活発化し続けています。このアルカイダ本体の動向も含めて、こういった組織については引き続き注視をしていかなければいけない、しっかりと対応はし続けなければいけない、このように認識をしております。

三宅委員 今、大臣がおっしゃったように、幾つもの要因がある。しかしながら、オサマ・ビンラディンが、幹部連中が、アメリカの手によって殺害された。アメリカは、このオサマ・ビンラディンを殺害するために十数年以上の歳月をかけて、地の果てまで追いかけていって彼を殺害したわけですね。こういったアメリカの執念といいますか、こういう部分がやはり弱体化に非常に大きな影響を及ぼしているというふうに思いますね。

 してみると、テロリストに対しては、最も有効な手段は復讐、これが非常に有効な手段じゃないか。今、小野寺大臣は、いや、中には命の対価をいとわずに行く連中もいるということで、非常に難しい部分もあるということはおっしゃいましたけれども、暴力を基本的に有効と考えている人間には、集団には、暴力をもって報復するという部分が最も有効ではないかな、こういう見方もあるというふうに私は思います。

 これは一つの事例として、もう皆さん御存じなんですけれども、過去の事件をちょっと紹介させていただきます。

 ミュンヘンのオリンピック事件がございまして、あのときにイスラエルの選手団がイスラム過激派によって襲われた。結局、西ドイツ政府は、イスラエルとの間に立って非常に困った立場で、イスラエルに対して交渉許可を得たところが、イスラエルは、ゴルダ・メイアさんはこれを拒否した。もう結果的に強硬策しかなくなったんですね。最終的には、選手、それからテロリスト、全て殺害された。選手まで巻き添えにされたんですね。このことについては、ドイツも非常に大きな教訓として、その後に政策として反映していったんです。

 また、イスラエルの方は、ゴルダ・メイア首相は、彼女は、その後、報復といいますか、これを決意いたしまして、神の怒り作戦というものを発動しまして、この事件の首謀者、こういった連中を全て暗殺をしていったということなんですね。

 それから、今度は昭和五十二年にダッカの日航機のハイジャック事件がございました。日航機がハイジャックされて、赤軍派の要求どおり六百万ドルの身の代金と、それから服役中の囚人六名が釈放されて、なおかつ、日本の正規のパスポートまでつけていった。これは、釈放された服役囚がその後世界各地でまたテロ行為を行った、テロの輸出ということで批判をされまして、このとき、福田政権ですね、福田赳夫さんは、一人の生命は地球より重いということで、超法規的措置というふうな形でこのことを決断された。

 ただ、そのときの福田一法務大臣でしたか、その直後に引責辞任された、抗議の辞任であったというふうに思いますけれども。

 それから、同じくその昭和五十二年に、今度はルフトフハンザのハイジャック事件がありました。これはドイツの赤軍派が起こしたことですね。ひょっとしたら日本のダッカのハイジャック事件の二匹目のドジョウを狙ったのかもわからぬけれども、そのときに、日本は福田政権がこれに対して超法規的措置というもので犯人の要求に屈服して彼らの要求を通してしまった。ドイツは、その五年前のミュンヘン事件のあの教訓を糧としまして、特殊部隊をつくりまして、このときは強硬策で、モガディシオですね、そこに突入して犯人を全員射殺したということでございます。機長だけ、たしか一人亡くなりましたけれども、非常に大きなドイツと日本の対応の違いというものがここに見られるわけなんですね。その福田政権の対応、犯人の要求に屈服したものが、いまだにずっと日本に継続しているような気が私はいたします。

 なぜこのようなことを皆さん方に御説明するかということは、やはりこういった事件を防止していかなくてはならない、二度と起こしてはならない、こういう観点で今のお話をさせていただいているわけなんです。

 もう一度、岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、一昨日の委員会において、第一報を受けて、一月十六日午後四時四十分、緊急対策本部を設置し、事件への対応に当たりましたというふうな御報告でございました。この事件への対応というのは、具体的な中身は何なのか、ちょっとお聞きしたいんですね。

 何ら有効な対抗手段をとっていなかったんじゃないかなというふうに、なすすべもなく、事件の推移を指をくわえて見守っていただけじゃないのかなというふうに思うんですね。まあ、安倍総理は、人命尊重、人命尊重ということをずっと叫んでおられましたけれども、日本政府の安倍さんのそういうふうな声明も、あるいは我々の願いも全く通じなかった。結果的にああいった悲劇に至ったということなんですけれども、その辺の、具体的な対抗手段、何をされたのか、ちょっとお聞きしたいんです。

岸田国務大臣 まず、この事件発生を受けて、我が国としましては、外務省の中に領事局長を長とする対策室を立ち上げ、そして私を長とする緊急対策本部を設置し、対応に当たり、また、在アルジェリア大使館においても、一月十六日十六時三十分に、川田在アルジェリア大使を長とする現地対策本部を立ち上げて、事件の対応に当たりました。

 そしてさらに、現地に城内外務大臣政務官を派遣する、また鈴木外務副大臣を総理特使として派遣するなどの対応をとったわけですが、あわせて、我が国としては、総理からはアルジェリアの首相に対し、そして私からはアルジェリア外務大臣に対し、まず、我々はテロは絶対許さないという基本方針とともに、人命尊重という考え方を伝えさせていただきました。

 そして、この事件に関しては、さまざまな国々がかかわっておりました。フランス、イギリス、こうした外務大臣とも私は電話会談を重ねまして、情報共有はもちろんでありますが、アルジェリア政府そして軍における対応についても、ぜひ各国連携して働きかけるということを模索した次第であります。

 現地におきましても、城内大臣政務官が各国外交団とともに共同で行動する、ともにアルジェリア政府に対して働きかける、こうした体制を組んで、具体的な働きかけ、対応を行った、こうしたリーダーシップを発揮したわけであります。また、この城内大臣政務官は、今回の事件を受けて、海外から入った政府高官としては一番早く現地に入り、アルジェリアのエネルギー大臣等とも連携しながら現場で対応した、このようなことを行った次第であります。

 厳しい状況、環境の中ではありましたが、こうした対応を重ねることによって、まずは邦人の安全確保に努めながら、テロに屈してはならないという我が国の姿勢をしっかりと示しながら対応したというのが現状でありました。

三宅委員 外務省として、今回の事件を受けて、今後を見据えて対策チームを設置して、三つの方針を決めた。国際テロの情報収集、分析の強化。平素からの海外安全に関する官民の情報共有と連携の強化、これは二番目ですね。三番目は事件発生時の邦人保護機能の強化というふうな三つの観点から具体的な施策を検討していきますということなんですね。

 結局、全体を見渡して、情報の収集の強化あるいは分析という、どうも手段と目的が逆転しているみたいに思うんですね。情報収集というのは、あくまで、こういった事件を未然に防ぐ、あるいはまた、できるだけ犠牲を少なくするために情報収集する。ところが、どうも情報収集に終始しているみたいに見えてしようがないんですね。

 特に、三番目の事件発生時の邦人保護機能の強化、これに注目してちょっと読んだのですが、中身は、現地で十分な数の通信機器を用意する、また、やはり情報なんですね。こういったことばかり繰り返していては、なかなかこういった悲劇の再発を防止し得ないんじゃないかなというような思いがいたします。

 我々が外務省に抱いておりました期待が消え去ってしまったんですね。やはり、こういった空念仏の連呼みたいな、そうじゃなしに、本当の意味で実効性のある対策をしていかなくてはならない、そうでないと国民に対して申しわけないというふうな思いが私はいたします。

 では、有効的な対策は何か。これは、さっき御説明させていただいた反撃能力ですね。やはり復讐するというふうな体制を整えていくべきではないか。単にやられ放題にやられるんじゃなしに、やられたらやり返すというふうな決意を我々は持っていかなくてはならないんじゃないかなというふうに思います。それにあわせて、そういう国防体制の強化も当然必要だと思うんですけれども、これに対して何か御意見がございましたら。

岸田国務大臣 こうしたテロ事件に対しましては、まずは、我が国としてしっかり対応を考えていかなければならない。御指摘の情報収集、分析について、しっかりと具体的に対応を検証していかなければいけない。そして、こうした対応は状況の変化によって刻々と新たな対応を迫られるわけですから、不断の見直しをしなければいけない、これはまず当然のことだと思っています。

 あわせて、こうしたテロ集団あるいはテロ犯に対して対応するためには、我が国のみならず、国際社会全体で立ち向かっていかなければならない。特に、サヘル、北アフリカの地域のように、テロの危険がある、可能性がある地域においては、現地におけるテロ対策支援の体制をしっかりと我が国としても支えていく、こういったことによってテロに対する対応能力を高めていく、こういった発想も重要だと思っています。

 先日、六月に我が国で開かれますTICAD5、アフリカ支援会議の準備閣僚会合のために、私はエチオピアに行かせていただきましたが、こうした地域に対する平和と安定のための支援ということで、我が国の支援を発表させていただきました。アフリカ現地からも高く評価されたところであります。

 このような形で、テロに対して具体的にどう対応していくのか、我が国として何ができるのか、こういったことを考えていかなければいけないのではないか、このように思っています。

三宅委員 ちょっと話を拉致の方に転じたいんですけれども、さっき言いました日航機のハイジャック事件、あるいはルフトハンザ機のハイジャック事件、そのときに象徴的な拉致事件が起きたんです。

 これは、宇出津事件といいまして、久米裕さんという東京の三鷹市役所のガードマンをされた方が昭和五十二年の九月に北朝鮮の手によって拉致された。拉致した真犯人が警察に全て白状したんですね。ところが、これに対して、日本の政府は何ら有効な手段をとらなかった。

 同じく福田赳夫政権ですよ。福田さんは、さっきの日航機のハイジャック事件のときに、一人の生命は地球より重しと言って、犯人の要求に屈服した。この拉致事件のときも、恐らく、どのレベルまで知っていたかはわかりませんけれども、北朝鮮に対して反撃を全くしなかった。その結果、直後には横田めぐみちゃんが拉致されて、数百人の犠牲者が北朝鮮に恐らく拉致をされたというふうな感じなんですね。

 言ってみれば、情況証拠をずっと並べてみて、これを見てみますと、日本政府は、かなりの拉致事件の全容を把握していたというふうに思えて仕方がない。それに対しては、やはり二度とこういうことの拡大、あるいは再び起こらないように、国の総力を挙げて反撃、報復体制をとっていかなくてはならない。単に情報収集で終わるんじゃなしに、やはり実効的な対策を講じていかなくてはならないというふうに思うんです。

 防衛大臣、その辺のところを、急にあれなんですけれども、ちょっと投げかけますけれども、お考えがあれば、よろしくお願いしたいと思います。

小野寺国務大臣 拉致の問題、これは許すことはできない内容だと思っております。また、防衛省の役割というのは、我が国をしっかり守るということでもあります。

 今、北朝鮮は、核実験そしてまたミサイル事案、さまざまございます。私どもとしては、強い懸念を持って見ていきたいと思っております。

岸田国務大臣 拉致の問題につきましては、我が国は、拉致、核、核実験、ミサイル等、こうした課題を包括的に解決していかなければなりません。拉致の問題の解決なくして国交正常化はないと、強い気持ちで臨まなければならないと考えております。

 そして、ぜひ、拉致被害者の方々の安全の確保そして無事帰国、拉致犯人の引き渡し、実態の解明、この三つについてしっかりと求めていかなければならない、このように考えています。

三宅委員 ありがとうございました。これをもって質問を終了させていただきます。

西村委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 昨日、四月二日夕刻、東京タワーが青く染まったというのを御存じだと思いますけれども、これは、四月二日が自閉症啓発デーということでございます。

 テロとか戦争とか、こういうものが起こったときに一番つらい思いをする、しわ寄せがもたらされるのは、いつも弱い立場の病気を持った方であるとか、障害を持った方であるとか、子供たちであるとか、お年寄りであるとかということになります。テロを憎む、そんな思いできょうは委員会が開かれておると思いますし、私も、今から二十分間、持ち時間を使って質問をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 レアメタルとかレアアースと言われる希少、貴重資源、ニッケル、あるいはクロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム、さまざまあるということでございます。

 これは、いきなり通告していない質問で恐縮なんですけれども、経産政務官にお越しいただいておりますので、こういったものがもし日本に入ってこないということになってしまうと、例えばどんな産業に大きな影響がもたらされるということになるんでしょうか。大体で結構です。

平大臣政務官 御質問いただきましたが、通告をいただいていないので、手元に資料がありませんので、また再度お答えをさせていただきたいと思います。

中根(康)委員 申しわけありません。通告していない質問には一切答えない、こういう姿勢がわかりましたので。

 僕も詳しく知らないものですから質問したわけなんですけれども、日本の基幹産業である自動車であるとか電子機器であるとか、そういう日本を支える製造業に必要不可欠な素材であるということは、間違いないということであろうと思います。

 この安定供給確保は、我が国の産業の強化の観点から極めて重要である。そういった意味で、我が国では、平成二十一年七月に経済産業省においてレアメタル確保戦略が策定をされました。

 海外資源確保、リサイクル、代替材料開発、備蓄をさらに強化し、我が国の総力を結集して、中長期にわたり、確実なレアメタル安定供給確保実現のために産学官の連携を強化するということもここには書かれております。

 具体的には、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構等の機能を積極的に活用し、資金需要に応じた規模のリスクマネーを安定的に供給する必要がある等の方針が示されております。

 これを受けて、平成二十二年に独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部改正がなされ、我が国企業による資源確保の支援を強化するため、レアメタル等の金属鉱物の採掘権等の買収に係る出資業務の追加及び政府保証つき長期借入金等の対象の拡充等の措置が講じられる。

 そして、さらに、平成二十二年九月七日に尖閣諸島周辺で発生した中国漁船と我が国の海上保安庁の巡視船との衝突事件に端を発した中国によるレアアースの対日輸出停止問題によって、日本のみならず、全世界のレアアース資源に対する関心、注目が高まったということ。

 そして、現在レアアース原料鉱石の産出の九五%以上を中国が占めている。中国政府は、自国内資源と環境保護を名目に、平成九年から発給を開始した輸出許可証の発給枠を年々減らしてきた。また、平成十七年から輸出に対する増値税還付制度というものを廃止した。平成十八年から段階的に輸出税の適用を拡大した。平成二十三年五月には、中国政府が生産輸出管理強化を表明したことを受けて、品目によっては一カ月で約三倍の価格に急騰する等の影響が出た。

 このため、我が国としては、中国の依存から脱却し、他の地域における資源確保や国内でのリサイクルの拡大、さらにはレアアース代替素材の開発を急いでいる、こういうことでございますが、こういった政府の御努力も、テロが起きてしまえば全て一瞬のうちに台なしになってしまうということになるわけでございます。

 そうした中で、先ほども岸田外務大臣がエチオピアに赴かれたというお話もありました。六月に横浜でアフリカ開発会議、これは先ほどから何回かお言葉として出されておりますけれども、アフリカ開発会議というものも行われていくということでございますが、大臣もこういうさまざま御努力をされておられる中で、資源の確保ということでいえば、日本にとってはまだまだ未開のフロンティアというのがアフリカ大陸ということであろうと思います。

 フロンティアだからこそ、企業にとっては一方でさまざまなリスクも伴うということであります。しかし、リスクを伴っていて、ちゅうちょしていては、中国を初めとするほかの国に資源の権益を奪われてしまうことにもなりかねない。資源ポテンシャルの高いアフリカへ、我が国企業の積極的な進出を国を挙げて支援をしていくという必要があると考えております。当然、その支援ということの中には、テロ対策ということも含まれてくると思います。

 先ほど申し上げましたレアメタル確保戦略推進ということでございますけれども、積極的にリスクをとって進出し、我が国の国民生活向上、経済安定のために御貢献をしていただく日本企業を支援していくということのためにも、テロ対策ということが必要不可欠だという思いでございますが、まず、アフリカにおけるレアアース、レアメタルの埋蔵量調査というものが政府としてどの程度進んでいるか、どの程度把握しているかということをお示しいただければと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 レアアース、レアメタルのリスク管理上、分散化をしていく、オプションをふやしてくというのは、極めて我が国にとって重要でございます。

 我が国といたしましては、世界的な資源獲得競争の中で、アフリカを資源のフロンティアと位置づけておりまして、先ほど委員御指摘いただいたJOGMECを通じて、資源の探査を進めてきているところでございます。

 具体的には、平成二十年の七月に、南部アフリカ開発共同体、SADCと申しますが、事務局のあるボツワナに、JOGMECのボツワナ地質リモートセンシングセンターを設置いたしました。人工衛星を使った探査手法に係るセミナー、現地の方々、現地の政府関係者とのセミナーや、人材育成などの実施をしているところでございます。

 人工衛星自体はアメリカのものですが、日本のセンサーを使って、熱の吸収パターンを判読して物質を特定する技術を持っておりますので、そういう技術を活用して、現地で共同作業をしているということでございます。

 平成十九年以降は、JOGMECにおいて、アフリカ南部に位置する天然資源の豊富な十一の国々と覚書を締結しております。先ほど申し上げた人工衛星から取得したリモートセンシングデータを用いて、共同で資源のポテンシャル評価を実施してきており、このうち七カ国において、もう既に現地調査を実施してきているところでございます。

 JOGMECがアフリカ諸国と締結をしている覚書の中には、こういう日本の技術を使って資源のポテンシャルが判明をした場合には、日本企業の参入促進に向けた取り組みを行うこと、現地政府に行ってもらうということとしております。

 具体的な資源プロジェクトにつながるように、今後努力をしてまいります。

中根(康)委員 埋蔵量調査がどの程度進んでいるか、どのように資源のありかを把握しているかということの質問でございましたが、アフリカにおいて、さらに、きょう申し上げておりますレアアース、レアメタル確保の観点から、こういったものの埋蔵量が豊富だ、我が国としてそういう意味で重要だというような国や地域というものが具体的にお示しをしていただくことができるのか、また、そういったところにおけるテロの危険性というものがどの程度のものであるか、どういうふうに認識しておられるかということをお示しいただければと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 今の委員の御質問は、我が国にとってどの国がレアメタル、レアアースの観点から重要かということだというふうに思います。

 先ほど申し上げましたいわゆる覚書を締結している十一カ国、これは、当然のことながら重要な国になってまいります。その上で、今、七カ国とは既に現地調査を実施しているということでございます。

 しかしながら、この十一カ国のみならず、今後、我が国企業がさらなる資源投資を行う可能性のある国々がございます。ですから、そういった意味では、この十一カ国にとどまらず、アフリカのその他の国々に対しても重要だという認識をしているところでございます。

 ちなみに、TICAD5、先ほどからお話が出ているかと思いますが、この関連イベントとして、ことしの五月十八日に、茂木経済産業大臣と南アフリカ共和国のシャバング鉱物資源大臣を共同議長として、アフリカの資源担当大臣にお集まりをいただきまして、日本とアフリカ諸国の資源分野における協力について議論をするということになっております。

 ちなみに、さらに具体名をといったところに関しては、TICAD5やその関連イベントにおいて今後交渉していくものですから、ここでどの国が重要だと言うと、それに言及をしない国々に対して悪い影響を与える可能性がありますので、言及は控えさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、今答弁がありましたように、どの国が重要かということになりますと、具体的な国名は挙げにくいのですが、我が国企業が資源ビジネスに意欲を見せている国ということでいうならば、南アフリカとかモザンビーク、ザンビア、ボツワナ、アンゴラ等、これは概して南部アフリカの諸国が挙がっていると認識をしております。

 アフリカにおけるレアアース、レアメタルの埋蔵量、世界の中でも割合が高く、我が国の一部のレアメタルの七割以上をアフリカから輸入している、こういった状況ですが、昨今、テロの危険性が増大している地域は、このレアアース、レアメタルの主要埋蔵地域とは必ずしも一致をしていないと認識をしております。

 アフリカでは、AQIM等が活動するサヘル地域ですとか、ボコ・ハラム等が活動するナイジェリアですとか、アルシャバブが活動するソマリア、こうした地域を中心に、イスラム過激派のテロリストグループが活動を活発化させていますが、これは、概して北部アフリカであります。

 ですから、現状においては、テロの危険が指摘される地域とレアアース、レアメタルの主要埋蔵地域は必ずしも一致していないと認識はしておりますが、ただ、状況は今後流動しないとも限りません。こういった状況をしっかりと注視しながら、いずれにしましても、邦人そして日本企業の安全確保に万全を尽くしていかなければならない、このように考えています。

中根(康)委員 平政務官が十一カ国とか七カ国とかおっしゃったものですから、具体的にはどの国ですかとお聞きをしようと思ったら、これはいろいろな理由で具体的なことは明らかにできないということでございましたが、これはそんなに秘密にしなきゃいけないことなんですかね。

平大臣政務官 済みません、ちょっと言葉足らずでございました。

 十一カ国というのは、JOGMECとアフリカの中で覚書を締結している国ということでございまして、これは公表されておりますので、ボツワナ、南アフリカ、ザンビア、モザンビーク、アンゴラ、ナミビア、マラウィ、タンザニア、レソト、コンゴ民主共和国、スワジランドでございます。

 その上で、今後さらに広く声をかけているものですから、そちらの方は、どこに声をかけてどこが重要かというのは言及を控えさせていただきたいということでございます。

 委員は経産大臣政務官経験者でございますので、ちょっと説明が言葉足らずで失礼をいたしました。

中根(康)委員 大臣が、テロの危険性があるところとレアメタルの資源が存在するところとは必ずしも重ならないということではございましたけれども、この資源を目指して、そこに企業が進出すれば、そこにまたテロリストが目を向けるというようなことも当然あろうかと思いますので、またその意味でも警戒といいますか、企業支援は怠りなくお願いを申し上げたいと思います。

 それで、あっという間にあと五分切ってしまったものですから、TICADのことについては、ちょっと質問を用意しておりましたけれども、またの機会といいますか、何度も出ておりますのできょうはちょっと省かせていただいて、テロ抑止、テロ防止という意味合いにおいても、私は、アフリカとは限らないんですけれども、世界各地で日本ファンをつくっていくということが大切なことの一つであろうというふうに思っております。

 先ほど岸田大臣から、人間の安全保障という言葉もお使いになられましたけれども、レアアース、レアメタル鉱山、資源のある周辺の地域で、我が国が支援をして、インフラの整備、つまりは、道路や港や電力、鉄道、水あるいは環境、防災、そして学校とか病院とか、こういうものを整備する。この中でも、私は、特に日本の医療システムというものが世界でも大変高く評価をされていて人気が高いと思っております。

 アフリカは遠いんですけれども、遠隔医療というようなことも含めて、例えばアフリカでいえば、アフリカの人々の命やあるいは貧困を救うということで、ぜひ日本びいきになっていただいて、もちろん日本がこの分野で稼ぎ出していくということもありますけれども、そういった意味で、テロの温床を未然になくしていくというようなことにもつながるのではないかと思っています。

 こういったパッケージでのインフラ輸出、あるいはまた、今、政府としても推し進めておられるクール・ジャパン、こういったものを総合的に駆使してテロの未然防止というようなことにつなげていくということも大切なことであろうと思っておりますが、改めて、この観点からの経産省の考え方をお聞かせいただければと思います。

平大臣政務官 もちろん、テロ、アルジェリアの建設現場での悲惨な事件などがございました。そういったこともありますので、しっかりと、邦人企業、邦人の安全確保は重要であろうと思います。

 今、外務大臣から、比較的資源が豊富なエリアとテロリストが活発なエリアは違うという御指摘はありましたけれども、いずれにしても、レアアース、レアメタルをアフリカにおいて我々が主導権をとって調達していかなければいけない、そこにまたテロリストの動きがあれば、これは外務省としっかり連携をして、政府として対応をしてまいりたいと思っております。

中根(康)委員 今申し上げたのは、インフラのパッケージ、パッケージインフラを輸出することを通じてテロ抑止につなげていってほしい、こういうことを申し上げたわけで、当然、そのことは理解し、把握しておられるということであろうと思います。

 TICADのことについて最後に申し上げて終わりますけれども、ぜひこれはアフリカの方々に喜ばれるような、いい、有意義なものにしていただきたいと思いますし、資源確保ということで、もう当然、中国なんかも虎視たんたんとアフリカに目を向けていくということになろうかと思います。中国に先を越されないといいますか、そういった、いいTICAD5になるように期待をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 両大臣におかれましては、昨日の安保委員会でも議論を交わしたところでありますが、きょうはテーマをかえまして、対テロ戦争の検証の問題、これらについて、両大臣にお聞きしていきたいと思います。

 それで、先月の二十日、イラク戦争の開戦から十年がたちました。一昨日の新聞報道では、米軍による熾烈な軍事掃討作戦の場となった中部ファルージャで、非常に高い確率で子供の先天性異常が確認されていることが報じられていました。両手足の指が六本ずつある七歳の子供の写真が載っておりました。子供たちの毛髪からは、健常児に比べて数倍の鉛や水銀が確認されているとの調査結果も紹介をされておりました。改めて、この戦争がイラク社会にもたらした重大さを痛感したところであります。

 十年前、当時の小泉内閣は、開戦を支持し、その後、自衛隊をイラクに派遣し、米軍によるイラク占領を支援いたしました。しかし、戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器は発見されず、国際テロ組織アルカイダとの関係についても否定されました。

 外務大臣に伺いますが、今振り返って、開戦を支持し、占領を支援した当時の政府の判断について、どのような認識をお持ちですか。

岸田国務大臣 まず、イラク戦争につきましては、これは前政権の時代の話ですが、外務省内で、昨年十二月に、検証を行った上で、この検証の主なポイントを発表したと承知をしております。

 この発表で指摘をされている情報収集・分析能力の強化といった外交力強化に向けた課題については、今後、適切に取り組んでいきたいと思っていますし、また、イラクの大量破壊兵器が確認できなかった、この事実につきましては、厳粛に受けとめる必要があると考えております。

 そして、その後の復興における我が国の支援ですが、我が国は、自衛隊による人的貢献、ODAによる支援、さらには、さまざまな外交努力を通じてイラクの復興支援を主体的に支援しております。これらの取り組みは、イラク政府、国民からも高い評価を得ていると認識をしております。

 今後とも、この中東地域の平和と安定に、我が国としても積極的にかかわっていかなければならないと認識をしております。

赤嶺委員 イラク戦争開戦を支持したのは当時の小泉内閣、自公政権でありました。有志連合が次々とアメリカと一緒になってイラクに侵略戦争を行う。日本がサマワに復興支援をやったとはいえ、一方で、航空自衛隊は、米軍の兵士もバグダッドに運んでいたわけであります。占領軍の一員として日本政府がイラクで活動した、この問題については極めて重要だということを私は申し上げておきたいと思います。

 ただ、去年の民主党政権のイラク戦争に関する検証結果、「イラクに大量破壊兵器が存在しないことを証明する情報を外務省が得ていたとは確認できなかった。」ということで、情報収集能力を強化することなどを指摘しているわけです。

 しかし、情報収集が足りなかったことに誤りの原因があるわけではありません。当時、大量破壊兵器が存在しないという情報を得ていた国はなかったはずです。

 問題は、国際社会の圧倒的多数の国々が疑いを持ちながら査察の継続を求めていた中で、なぜ日本が開戦を支持していたかというこの点は検証されなければなりません。この点をきちんと検証しない限り、今後も同じことが繰り返されていくのではありませんか。いかがですか、外務大臣。

岸田国務大臣 イラク戦争のこの検証については、先ほども申し上げさせていただきましたが、イラクの大量破壊兵器が確認できなかったという事実、このことについては、事後的に、厳粛に受けとめなければならないと認識をしております。

 こうした検証の結果のポイントを受けて、我が国としても今後の外交にしっかりと生かしていかなければいけない、これは当然のことだと思っています。ぜひこの検証のポイントで示された点については、しっかりと受けとめて、今後に生かしていきたいと考えています。

赤嶺委員 民主党政権時代の検証の結果というのは、あの戦争の性格が間違っていたにもかかわらず、先制攻撃戦争であったにもかかわらず、いち早く日本政府が支持し、そして自衛隊を送ったというところにまで踏み込んでの検証は何もないんですね。だから、そういうところまで踏み込んで検証しないと、過ちを繰り返すのではないかということを私は申し上げているわけであります。

 何で今このようなことを申し上げるかといいますと、決して過去の問題ではないからです。今に引き続く問題だと思います。

 イラク戦争の大もとにあった考え方が、いわゆるブッシュ・ドクトリンでした。当時のブッシュ米大統領は、二〇〇二年の国家安全保障戦略で、必要な場合には単独で先制的に行動することも辞さない、このように明記をいたしました。国連安保理の決定に基づく集団措置または武力攻撃が発生した場合の自衛権行使を除き、武力行使一般を禁じた国連憲章の原則との関係で、これは大きな議論になりました。

 その後、オバマ政権のもとで、国際社会との連携が強調され、イラク、アフガニスタンからの米軍の撤退が進められてきました。しかし、その一方で、ブッシュ政権以来のこの戦略を、根本的に変更はあったのか、それとも放棄されたのか、この点については明確にされていません。

 外務大臣はどのような認識をお持ちですか。

岸田国務大臣 先ほどの議論を聞いておりまして、まず、我が国がイラク戦争において武力行使を支持するに至った当時の問題の核心は、クウェートに侵攻して国際社会の信用を失っている中、査察への協力を通じて大量破壊兵器の破棄をみずから証明すべき立場にあったイラクが、即時無条件の査察受け入れを求める安保理決議に違反し続け、そして、大量破壊兵器が存在しないことをみずから積極的に証明しなかったということであります。この点をしっかりと強調しておかなければならないと存じます。

 そして、御質問として、アメリカのこの戦略について御指摘がありました。

 アメリカの戦略の真意について、ちょっと私も申し上げる立場にはありませんが、こうした国際情勢については、引き続き大きな関心を持って、しっかりと見ていきたいと考えております。

赤嶺委員 イラクが査察を受け入れればよかったんだと。しかし、国際社会に参加している国はイラクが査察を国際社会の力で受け入れるまで継続しようという議論の中で、査察を打ち切って、先制攻撃、戦争に踏み切った。小泉首相は、アメリカが攻撃を開始するのであれば武力行使を支持すると言った。これは、紛れもなく侵略戦争への加担でありますし、大きな過ちであります。

 オバマ政権のもとでのそういう先制攻撃戦略についてもうちょっと伺っていきたいんですが、オバマ政権のもとで二〇一〇年に出された国家安全保障戦略では、武力行使に対する考え方を記述した箇所で、必要な場合には単独で行動する権利を保持しなければならない、このように明記しています。

 ことし二月の報道では、オバマ政権が、外国からサイバー攻撃を受ける確証を得た場合には、有害なコンピュータープログラムを送り込んだり、遠隔地のコンピューター網に侵入したりして先制攻撃を命令できるとする、こういう政策をまとめたと報じられております。

 形を変えて、ブッシュ政権以来のいわゆる先制攻撃戦略の根幹は維持されてきていると思いますが、外務大臣はいかがですか。

岸田国務大臣 御指摘の指摘等につきましては、我が国として引き続き大きな関心を持って注視していきたいとは思いますが、米国のこの戦略の真意について、私の立場から申し上げる立場にはないと考えております。

赤嶺委員 アメリカの戦略とかかわってですが、アメリカの国内外で大きな問題になっているのが無人機による空爆であります。

 圧倒的な軍事技術を背景にして、相手の攻撃を受けないで、米国内の基地から操縦し、パキスタン、アフガニスタン、イラク、イエメン、ソマリアなど世界各地で、テロリストを狙ったいわゆる標的殺害を繰り返しております。パキスタンでは、四百人とも八百人とも言われる民間人が巻き添えになって死亡したと報じられております。他国の主権を侵害し、多くの市民を巻き添えにしている、こういう国際社会の批判を踏まえて、ことし一月から国連が調査を開始いたしました。

 外務省に確認しますが、アメリカ政府は、こうした無人機による攻撃の国際法上の根拠についてどのような説明を行っているんですか。

伊原政府参考人 まず、いわゆる無人航空機については、その保有あるいは使用を禁止する条約というのは存在しておりません。

 一方で、アメリカ政府は、この無人機によるものも含めまして、米国の軍事作戦は、関係法規、例えば戦時国際法といった法規でございますけれども、関係法規に従って行われているということを対外的にも説明してきております。

赤嶺委員 アメリカ国務省のホームページによりますと、同省のハロルド・クー法律顧問は、二〇一〇年三月に行われたアメリカの国際法学会において、アメリカが今なおアルカイダとタリバンその他の関連組織との武力紛争下にあり、国際法上の固有の権利である自衛権に沿って武力の行使が可能との見解を示しています。

 本来、自衛権行使の三要件に照らして極めて限定的に捉えられるべき自衛権が、十年以上にわたり、アフガニスタンだけでなく、世界各地で実行している空爆の根拠とされているのであります。

 外務大臣、こうした米軍の無人機による軍事攻撃、これについてどのような見解を持っているか、そして、こういう自衛権の解釈を認めるんですか、それとも認めないのか、これはいかがですか。

岸田国務大臣 まず、先ほども政府参考人から御説明させていただいたように、無人航空機については、その保有、使用を禁止する条約は存在いたしません。

 他方、これは一般論ですが、武力紛争における戦闘の方法及び手段は国際人道法によって規制されており、無人航空機が武力紛争において使用される場合も、同様に国際人道法の適用を受けるということ、これは当然のことだと認識をしております。

 その上で、米政府は関連法規に従っていると説明をしているわけですが、米国のオペレーションの詳細について、我が国は当事者ではありません。また、米国による行動の具体的な態様について承知する立場ではありませんので、確定的な法的な評価についてコメントすることは、私の立場からはできないと思っております。

赤嶺委員 私は、外務大臣、それは違うと思うんですよ。アメリカが何を考えているか日本がわからない、こういうことを言える立場に日本はないと思いますね。

 政府が今検討しているのは、集団的自衛権行使の容認に向けて、有識者を再び集めて、検討を開始いたしました。四類型でいいのかを含めて検討する、このように言っております。

 当のアメリカは、事実上、恒久的に、イラク戦争から十年たって、アルカイダやタリバンとの戦争を自衛権で説明している。事実上、恒久的に自衛権を行使し、現に各地で攻撃を実行しているわけです。このようなアメリカとの集団的自衛権行使が極めて危険なものであることは明らかだと思います。

 防衛大臣への質問も予定していたんですが、時間がちょっと来ましたけれども、そういう危険なアメリカの、十年間も自衛権を主張している、そういう国との集団的自衛権、危険じゃないかということについて、防衛大臣のお考えを聞かせてください。

小野寺国務大臣 集団的自衛権のことにつきましては、現在、政府で安保法制懇等の考え方を聞くという姿勢をとっていらっしゃると伺っております。この案件につきましては、官房長官を中心に今議論されていると伺っております。

赤嶺委員 終わります。

西村委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 最後の質疑者でございます。長時間でございますけれども、最後までよろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は、海賊対処にしろ、テロにしろ、まず未然に防ぐということが第一であると思います。また同時に、もしそういう有事があったとしても、そのリスクを最小限にとどめていく、これが大変重要な課題だと思っております。そのためにも想定外だという言葉はやはり必要はないというふうに思いますし、そのためには、ふだんの情報の収集または分析、また備えや抑止というものが大変重要な問題であろう、そのように思っております。その視点から、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、小野寺防衛大臣にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、奥野議員から同趣旨の質問がございました。それは、海賊事案が大きく減ったということの理由を質問されたということですので、この点については重複を避けて、二点お伺いしたいと思います。

 海賊対処行動は、昨年の七月に延長されて、今活動をされておられるというふうに聞いております。この間、今後とも継続的な活動に向けて何が必要なことなのか、また課題はあるのか、そのことをお尋ねすると同時に、間もなく七月が参ります、ことしも延長をするお考えがあるのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

 あわせて、二〇一一年に整備をされましたジブチの自衛隊の活動拠点の重要性について、お答えをいただきたいと思います。この拠点を安定的に運営していくために何が重要なのか、そのことをお尋ねしたいと思います。

小野寺国務大臣 村上委員には、自衛隊の海賊、テロ対策についての御評価をいただきまして、感謝を申し上げます。

 今、隊員は懸命に頑張っており、そして、おかげさまで海賊事案が減りつつあるということも事実であります。その中で、私どもとして、与えられた今の役割の中で精いっぱい活動させていただいております。

 今回の補正予算を含めて、さまざま、現地で使う燃料を含めた予算の使用を了解していただいているところでありますし、先般も現地の状況を確認させていただきましたが、隊員はすこぶる元気で、士気も高いということであります。大変な思いやりに感謝を申し上げます。

 また、ジブチで活動をしているということでありますが、ここで一番大切なことは、ジブチ政府との信頼関係を構築するということ、そしてまた、現地の調整所等で、現地の周辺住民の皆さんといかに良好な関係をつくって、日本の自衛隊が活動している内容について住民の方にもよく理解していただくということが大切だと思っております。現地で、スポーツ交流、文化交流を含めて、交流活動にも努めさせていただいております。

村上(史)委員 延長の件はいかがでしょうか。

小野寺国務大臣 延長につきましては、私ども、現地から評価をいただいているということでありますが、このことについては、七月という一つの期限もありますので、それまで政府内で検討していただけるものだと思っております。

村上(史)委員 自衛隊の皆さんは、こういう海賊対処行動を初め、世界的にもPKOで活動していただいて、日本だけの安全ではなくて、世界の安全のためにも貢献をされているということで、改めてエールと敬意を表したいと思います。大変厳しい、暑いところであると思いますので、皆さん、頑張っていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、太田国交大臣並びに岸田外務大臣も触れられましたけれども、ソマリア海賊の出没海域が我が国の原油タンカーの主要ルートに大きく拡大をする傾向があるということで、これに対応する形で、国交省としては、民間の警備会社による日本船舶の警備の強化を図る、その検討をしているという所信の御挨拶がございました。

 法案としてはまだ提出をされていないということで、お答えには限界があると思いますけれども、可能な限りお答えをいただきたいと思います。

 まずお伺いしたいのは、民間の武装を前提とした警備員は、日本の警備員なのか、あるいは警備会社なのか、それとも海外の警備会社に依頼をするのか、そのことをまずお伺いし、そして、行動の範囲というものはどこまで認められるのか、そのことをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お尋ねのありました法案については、委員御指摘のとおり、現在、国土交通省において、早期に国会に提出すべく準備中ですので、現在お答えできる範囲でお答えをしたいと思います。

 御指摘ありましたように、ソマリア沖の海賊、各国の連携による護衛活動により、非常に鎮静化をしておるんですけれども、海域がタンカールートであるオマーン沖、アラビア海まで拡大をしているのが非常に大きな問題になっております。

 主要海運国におきましては、既に、小銃を所持しました民間警備員による警備を各国が認めておりまして、海賊被害の減少に極めて高い効果を上げているところでございます。

 したがいまして、私どもの現在検討しております法案につきましても、昨今海賊行為が多発している海域において、原油等の輸送に従事する日本船舶の安全を確保するために、小銃を所持した民間警備員による警備を日本船舶においても認めるという内容でございます。

 御存じのとおり、日本の海運会社は、九五%、外国籍のいわゆる便宜置籍船を使っております。これらの船舶におきましては、主に英国の警備会社の武装警備員を使っております。

 法案の中身にもよりますけれども、今後、日本籍船で、このような法案ができた後は、日本の海運会社は英国の警備会社等を恐らく使うものと思われますけれども、そういった実態も踏まえて、私どもの方で法案準備を早急にしたいというふうに思っております。

村上(史)委員 それ以上はお答えにくいと思いますので結構でございますけれども、例えば、武器の携帯は小火器だと。ピストルなのか何なのかわかりませんが、どこまで許されるのか、ライフルはいけるのか、自動小銃はいけるのか、その辺のこともちょっと、お答えができるなら教えていただきたいと思います。

 あわせて、国内法との関係も当然出てくると思います。日本船籍という中で国内法が適用されるということになろうかと思いますけれども、そういう国内法的なことも含めて、エリアはどこまでそれを警備できるのか、日本のシーレーン全てを武装警備が担うのかということなんですけれども、その辺のエリアについてお答えいただけませんか。

森政府参考人 御質問のありました銃でございますけれども、世界的に使われておりますのは、いわゆる小銃でございます。自動小銃も含めてですけれども、いわゆる携帯のできる小銃を使っているというのがほとんどでございます。こういった実態も踏まえて、本法案において整備をしたいと思います。

 それから、国内法との関係は、御存じのとおり、海洋法条約で、船舶の上は国内法が適用されます。当然のことながら、日本の銃刀法も適用されますので、現状では、武装した民間警備というのはできません。したがって、現在検討中の法案の中でも、そういったことに支障がないように法案を準備したいというふうに考えております。

 それから、エリアの問題でございますけれども、これは国際的にハイリスクエリアというのが指定をされております。海賊の多発地域ということで国際的に指定をされておりますので、基本的にはその海域になろうかと思いますけれども、実際に現在ほかの国で行われている、いわゆる民間警備員の乗船地、下船地、こういった実態も踏まえて、法案の中に反映をさせていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 続きまして、国内テロ対策についてお尋ねをいたします。

 これはまた先ほども同じような質問がございました。特に原子力発電所をめぐるテロ対策ということで御質問もあり、また答弁もあったわけでございますけれども、特に我が国は海洋国家、これは言うまでもありません。と同時に、原子力発電所が海岸部に集中をしているということで、国内の警備は、先ほど警察庁の方からお話があったように、二十四時間の警備体制の中で守っているという状況はお聞きをいたしました。

 一方、日本の場合は、周辺が海でございますし、そのエリアというものは日本の領土を大きく上回る面積でございますので、海上の警備というのは大変重要であると同時に、また大変な作業だと思っております。特に日本の場合は、朝鮮半島のさまざまな今の動き、特に北朝鮮というかつてテロ支援国家として指定をされた国が、今、挑発行為を繰り返しているという緊迫した状況でございます。

 先ほど申しましたように、まさか、想定外ということではなくて、やはりそういう危険性をはらんでいる今の日本の状況の中で、海上保安庁の警備、特に原子力発電所を中心とした警備というのは大変重要な要素だと思っております。

 そういう面で、今の状態で、海上保安庁はそのままでいいのか、装備はそれでいいのか、人的にはどうなのか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 海上保安庁としまして、国内原子力発電所、この海上における警備について、海上保安庁では従来から全国十八カ所に所在する原子力発電所等の周辺海域に巡視船等を常時配備をしている状況にございます。必要に応じて航空機による周辺海域の警戒態勢に当たらせているということであります。

 またさらに、福島第一原子力発電所の事故等を踏まえまして、原子力発電所等に対する警備体制の強化の一環として、巡視船艇及び航空機の対応体制の強化、あるいは放射線に対応する装備、資材の整備、必要な人材体制の充実等の措置を図っているところでございます。

 全体的に、我が国三十八万平方キロでありますけれども、排他的経済水域四百四十七万平方キロ、エネルギーにおきましてもさまざまな点で非常に重要だ、海上保安庁の役割は極めて大きい、このように認識をしておりまして、補正予算あるいはまた本予算におきましても、これが人員においても、また巡視船の警備体制におきましても重視するという措置をとっておりますが、なお増強ということを考えながら、しっかり領海の警備というものができるようにということを努めてまいりたいと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 今、海上保安庁は、テロ対策だけではなくて、本来、いわゆる日本の領海の警備、特に尖閣諸島を初め領土問題も抱えながら最前線で頑張っていただいている。中国船も、二年前でしたか、体当たりをするということで、本当に身を挺しての活動だと思います。

 そういう面で、改めて、自衛隊の皆さんとともに、海上保安庁の皆様にも、日本の安全のために今後とも御尽力いただきますことを心からお願いを申し上げたいと思います。

 引き続きまして、最後に外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 先ほども、テロを未然に防ぐためには、情報の収集、分析、それに対する対応というものが本当に重要な要素だと申し上げました。今回のアルジェリアの人質事件においても、残念ながら、事前の情報がなかったというのか限界があったというのかわかりませんけれども、とにかく、現実には、それを未然に防ぐこともなければ、また、そういう情報も持っていなかったというのは、大いに反省すべき点だと思います。

 そして、この教訓を踏まえて、今後、情報収集能力をいかに高めていくのか、また、それを分析し、そして政府としてその情報の共有を図っていく、単に外務省からの危険情報とか、そういうことだけではなくて、やはり政府全体として、在外の邦人の安全を守ると同時に、これからの日本のさまざまな活動に対して安全性を確保していく、そういう面では、外務省の役割、特に在外公館の役割というものは大変大きなものがあると思います。

 しかし、現実には、先ほども若干触れられましたけれども、館員といいますか、在外で働く外交官の方、あるいは自衛隊から派遣をされる武官の方、また、ほかにもいらっしゃると思いますけれども、そういう方々を特にテロが多発する地域に重点的に配置をするとか、そういうことも一つ工夫をする必要がありますし、あわせて諸外国との連携、情報の交換、これはやはり極めて重要なことだと思います。

 残念ながら、日本の情報能力というのは、諸外国に比べてそういう組織もないし、また、能力が劣っているとも言われています。そういう面で、それをカバーする意味においても、外務省の役割というのは大変大きなものがあると思います。アルジェリアの今回の教訓を受けて、今後の外務省としての取り組みをお聞きして質問を終わらせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 ただいま、情報収集、分析、あるいは提供につきまして、さまざまな御指摘をいただきました。それぞれ重要な点だと認識をしております。

 外務省におきましては、在外公館、そして本省はもちろんですが、防衛駐在官も参加した上で、現地の政府、治安・情報機関関係者、各国外交団、警備関係団体、現地有識者、公開情報など、さまざまな情報源や媒体を通じて、現地の治安、テロ情報について適切に情報収集を行っていかなければならないと考えております。

 あわせて、情報の共有という点で、民間企業や在留邦人との間でも、外務省の本省におきましては海外安全官民協力会議、こうした場を通じ、また外務省トラベルエージェンシー連絡会、こうした場を通じて、旅行関係のさまざまな関係者とも情報を共有しなければいけないと思っていますし、また、在外公館では安全対策連絡協議会、こうした場を通じて、治安、テロ情報を含む情報交換、情報収集を随時行っているところでございます。

 今回のこの在アルジェリア邦人に対するテロ事件発生後も、この安全対策連絡協議会、全公館において早期開催を指示いたし、ほぼ全ての公館で開催をしている、こういった状況にあります。

 そして、今後、海外にいる邦人あるいは日本企業に対しても、適切に情報提供を行っていかなければならない。ITを初めさまざまなツールを通じて、適切な、効果的な情報提供を行っていかなければならないと思います。

 そして、あわせて、こうした情報収集体制は不断に見直すものであります。ぜひ、今後とも、今官邸で行われている検証作業と並行しまして、外務省としましても、この検証作業をしっかり進めて、検討を進めてまいりたいと考えています。

村上(史)委員 終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.