衆議院

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第1号 平成21年3月27日(金曜日)

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平成二十一年三月二十七日(金曜日)

   午後四時十五分開会

    ─────────────

平成二十一年三月二十七日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     衛藤征士郎君     鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     根本  匠君     山本  拓君

     小島 敏男君     村田 吉隆君

     西  博義君     富田 茂之君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 衛藤征士郎君

            副議長 鈴木 恒夫君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     石井  一君     犬塚 直史君

     北澤 俊美君     小林 正夫君

     自見庄三郎君     前川 清成君

     峰崎 直樹君     森 ゆうこ君

     大門実紀史君     近藤 正道君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 北澤 俊美君

            副議長 石井  一君

    ─────────────

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 衛藤征士郎君

   副議長 鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     根本  匠君     山本  拓君

     小島 敏男君     村田 吉隆君

     西  博義君     富田 茂之君

  参議院

   議 長 北澤 俊美君

   副議長 石井  一君

     犬塚 直史君     小林 正夫君

     自見庄三郎君     前川 清成君

     峰崎 直樹君     森 ゆうこ君

     大門実紀史君     近藤 正道君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委員部長    山本 直和君

        予算委員会専門員 井上 茂男君

  衆議院法制局

        法制企画調整部長 伊藤 和子君

        第二部長    橘  幸信君

  参議院事務局

        委員部長    諸星 輝道君

        予算委員会調査室長 村松  帝君

  参議院法制局

        第一部長    岩崎 隆二君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

平成二十一年度一般会計予算

平成二十一年度特別会計予算

平成二十一年度政府関係機関予算


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    ─────────────

   〔衛藤征士郎君議長席に着く〕

議長(衛藤征士郎君) これより平成二十一年度一般会計予算外二件両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には北澤俊美君、副議長には石井一君が当選され、衆議院の協議委員議長には私、衛藤征士郎、副議長には鈴木恒夫君が当選しておりますので、この際、御報告申し上げておきます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務を執ります職員以外の方は御退席をお願いいたします。

 まず、平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算の三案について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 両議院の協議委員議長及び副議長打合会の申合せに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。鈴木恒夫君。

鈴木恒夫君 衆議院における平成二十一年度一般会計予算外二案を可決した趣旨につきまして御説明申し上げます。

 現在、我が国経済は、米国発の金融危機の影響を受け、輸出や生産の減少、消費の停滞といった景気悪化が進み、雇用不安の増大など生活への不安感が日々高まっております。

 政府は、このような経済金融情勢に対応するため、「安心実現のための緊急総合対策」、「生活対策」、「生活防衛のための緊急対策」といった、総額七十五兆円規模の景気対策を切れ目なく実施することとし、そのために、平成二十年度第一次補正予算及び第二次補正予算に続き、平成二十一年度予算を編成しました。この平成二十一年度予算は、「景気回復三段ロケット」と言われる一連の景気対策実行のための重要な財政措置であり、国民生活と日本経済の安定のため、新年度から速やかに執行させることが必要であります。

 以下、政府原案を可決した主な理由について申し述べます。

 その第一の理由は、国民が感じている様々な生活の不安を解消するための措置がなされていることであります。日々高まる雇用不安に対しては、雇用保険料の引下げや給付の見直し、住居を失った離職者に対する住宅・生活支援、中小企業等への雇用維持支援等を実施し、社会問題化している医療不安に対しては、医師確保のための支援、救急医療機関に対する支援などを実施することとしております。また、出産育児一時金の引上げ、新待機児童ゼロ作戦の推進などの出産・子育て支援策も行うこととしております。

 その第二の理由は、将来を見据えた成長力の強化・地域の活力向上に取り組んでいることでございます。ノーベル賞につながるような基礎研究や最先端の研究開発支援の充実、世界をリードする環境エネルギー革新技術の研究開発支援や、地域の自立・活性化に向けたインフラ整備・ソフト事業を行うための地域活力基盤創造交付金の創設、食料自給力の向上策等の施策を行うこととしております。

 その第三の理由は、厳しい財政事情の中、無駄の排除を徹底し、歳出改革に取り組んだ予算となっていることであります。公益法人、独立行政法人向け支出の削減、レクリエーション経費、タクシー代、広報経費などの行政経費の大幅な削減を実施しております。

 以上、政府原案を可決した主な理由について申し述べました。

 平成二十一年度予算は、我が国が直面する様々な重要課題に対処し、国民生活の不安を解消するために必要不可欠なものであり、その一日も早い成立が望まれているところであります。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたく、お願い申し上げる次第でございます。

 以上であります。

議長(衛藤征士郎君) 次に、参議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。峰崎直樹君。

峰崎直樹君 参議院側が平成二十一年度一般会計予算外二件を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。

 否決の第一の理由は、本予算が現下の深刻な経済情勢への認識が欠如しており、景気対策としての効果が全く期待できない点であります。

 世界的な金融経済危機のあおりを受け、我が国経済は輸出、生産が急速に落ち込み、昨年十月から十二月期の実質GDPは年率で一二・一%の減少と、戦後二番目の大幅なマイナス成長となりました。急速な景気悪化の影響は特に雇用情勢に現れており、有効求人倍率や失業率の悪化はもとより、非正規雇用者が十五万人も職を失うという非常事態に陥っています。

 しかるに本予算は、深刻な経済情勢を直視することなく、ゼロ成長、すなわち来年度も今年度と同程度の経済状況が続くことを前提に編成されております。IMFなどの国際機関が我が国の大幅なマイナス成長を予測し、日本銀行もマイナス二%という見通しを示す中で、政府は恣意的な経済見通しに基づいた非現実的な予算を成立させようとしています。このような日本経済の現実を無視した予算に、雇用の回復や国民生活を守る効果は期待すべくもなく、二十兆円に達するGDPギャップを埋めるにも到底力不足であり、日本経済を再びデフレスパイラルに陥れる予算と言わざるを得ません。

 さらに、本予算に対する真摯な議論が続けられているさなかに、与党において補正予算の編成が検討され始めたことは、本予算が欠陥予算であることの証左であり、このような予算は到底認めることはできません。

 否決の第二の理由は、基礎年金の国庫負担引上げの財源を埋蔵金に求めるという安易な対応を取っている点であります。

 二十一年度までに国庫負担を引き上げるに当たっては、税制の抜本的改革を行った上で安定財源を確保することが前提であったはずです。しかし、政府・与党は、選挙を前にして無責任にも税制改革論議を先送りし、存在しないと明言していた特別会計の埋蔵金を当てにするという場当たり的な措置で取り繕いました。財政投融資特別会計の積立金は一度使えばそれきりのものであり、到底安定財源とは言えません。年金制度を維持するためには、まず負担と給付の率直な見通しを国民の前に示し、説明責任を果たすことこそが政治の基本姿勢であるにもかかわらず、議論を棚上げしたまま、何らの責任も果たそうとしておりません。このような政府の態度を厳しく非難するものであります。

 否決の第三の理由は、財政民主主義に反する多額の予備費が計上されている点であります。

 予備費は、その使途については事前に国会の承認を受けないことから、例外的かつ制限的に計上されるべきものですが、本予算には、三千五百億円の予備費に加え、一兆円もの経済緊急対応予備費が計上されております。予期せざる事態により新たな支出が必要となった場合は、補正予算を編成することでその使途を国会の事前議決に付すのが原則であり、予備費の計上は必要最小限にとどめるべきであります。予備費の上限を定める規定はないとはいえ、一兆三千五百億円という巨額の裁量的予算を政府が保有することは、国会の事前議決の原則を定めた憲法の趣旨を逸脱するもので、断固容認できません。

 否決の第四の理由は、政府自ら決定した財政改革路線が完全に頓挫している点であります。

 無駄遣いの根源となっていた道路特定財源制度については、福田前総理が廃止の方針を打ち出し、昨年五月には一般財源化することを閣議決定したはずです。しかし、本予算では一般財源化は名ばかりのものとなり、地域活力基盤創造交付金を創設することなどにより、揮発油税等の財源のほとんどが引き続き道路整備に回され、社会保障の財源として一般財源化されたのはわずか六百億円という有様です。

 また、社会保障費を毎年度二千二百億円削減する目標についても、特別保健福祉事業資金の清算などによる新たな財源によりつじつまを合わせただけであり、実質的な削減はごくわずかな額にとどまっております。これにより、削減目標は二十年度、二十一年度と二年連続して達成されないこととなり、社会保障費の削減目標は既に絵にかいたもちとなっております。このような実現不可能な目標は速やかに撤回し、社会保障の充実に方針転換すべきであります。

 さらに、政府は無駄の徹底した排除によって重複を含め約三兆円の削減を行ったと説明しておりますが、どの経費を幾ら削減したのか、その詳細を全く示しておらず、誇大宣伝のそしりを免れません。

 このように、否決の理由は多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した諸事項を除去することによって平成二十一年度予算が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) これにて各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入ります。

 順次御発言をお願いいたします。自見庄三郎君。

自見庄三郎君 それでは、民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、私は国民新党でございますが、平成二十一年度予算三案に反対した理由を簡潔に申し上げます。

 第一に、急激に悪化する我が国経済に対する危機意識を欠き、景気対策の視点が全く不十分であると思っております。昨年の秋のリーマン・ショックの影響を受けて、与謝野大臣はハチに刺された程度だと表現し、今年に入ってからも、麻生総理大臣は日本の現状は欧米先進国ほどひどくないなどと発言をしております。その後の金融危機の世界的な拡大、さらに、昨年十月から十二月の主要国の成長率の中で日本のみが御存じのように二けたの大幅なマイナスになった事実を見れば、政府の危機意識の欠如は明らかであります。

 この原因としては、もう皆さん方よく御存じのように、ちょうど十年前に我が国は、まさに第二次橋本改造内閣のときでございますが、山一証券が崩壊する、北海道拓殖銀行が崩壊する、その後金融危機があったわけでございますが、その後、我々はデフレの中で十分な、財政支援と申しますか、投資を公的にも民間もしてこなかった。むしろ、どんどんデフレの中にもかかわらず緊縮財政を組み、むしろ外需に頼って景気を回復してきたといったことで、まあ昔、二十年ぐらい前は日本国の外需というのは大体一〇%でございましたが、今は外需依存が一八・二%。このまさに外需依存によって何とかデフレスパイラルを脱却したという政策的な大きな間違いが、まさに私は今、今日のこの二けたのマイナス経済成長をもたらしたと、こう思うわけでございますけれども。

 そういったことを考えても、我々は明らかに、そういった中で政府のまさに危機意識のなさということが平成二十年度第二次補正予算の提出の遅れ、この失態、さらに景気への配慮が全く不十分な平成二十一年度予算の編成という事態を招いたというふうに考えております。

 悪化する景気に対応していかないばかりか、日本の将来のビジョンを示すこともなく、こういったときこそ、いわゆる賢明な歳出と申しますか、利口な歳出をする必要がある、景気対策をする必要があるわけでございますが、まあ率直に言えば各省庁の旧態依然とした政策をホチキスで留めたというような、ただ積み上げだけの本予算には到底私はこの国家的危機において賛成できません。

 第二は、今話にも出ましたように、簡単に申しますと予備費でございます。これは一兆円を超える巨額の計上をしておりますが、皆さん方御存じのように、国会というものが歴史上できたのは、イギリスにおいて、王様が戦争をするときに勝手に人民から税金を取るということで、これはおかしい、代表なくして課税なしということが民主主義における、皆さん御存じのように、国会というものができた大原則でございます。そういった意味で、財政民主主義というのは議会制民主主義のある意味大原則でございますから、そういった中で一兆円を超える巨額の予備費を取ってあるということは、今さっき反対の理由にも申し上げましたけれども、私は極めてこれは議会制民主主義の原則から考えてもおかしいことだと思っております。

 むしろ、悪く考えればこういった、総選挙、いずれ半年以内にあるわけでございますが、前にした時期にこういった多額の予備費を計上したことに対して、選挙対策のばらまきに使うんではないかという疑念が生じるのも当然じゃないかと私は思うわけでございまして、今からでもこれは撤回すべきであるというふうに思っております。

 第三は、御存じのようにこれは歳入欠陥でございます。詳しくはもう申しませんけれども、いろいろありましたように、今、歳入がIMFでも五・八%のマイナス成長じゃないか、こういうふうな予測の中に、この税収不足、歳入欠陥を生じる可能性極めて強いわけでございますが、そんな中でも、本来の予算、たしか二十年度とほぼ同額の一般会計税収四十六兆円も積まれておりますが、これは明らかに私は、日本の財政、過去も景気後退局面において何度となく歳入の過大見積りを繰り返してきましたが、そういったことは、まさに足下の経済情勢を無視した税収見積りを行う政府に厳しく、我々は立法府でございますから、我々がきちっと可決して予算を決めるというのは我々の一番国民から預けられた貴重な権能でございますから、このことを厳しく私は非難をしたいと思っています。

 最後に、これは予算が国会に提出された後、これは中川昭一財務大臣のいわゆるローマでの発言、これは国際的な悪い影響を与えたということは大変私も残念に思うわけでございます。また、一昨日でございますか、平田財務副大臣が、これは御存じのように株を、金融商品取引法の大臣規範にも抵触しているんじゃないかということを言われましたし、また、専門家に言わせれば、国会でもこういうように論議が出ておりますが、金融商品取引法でインサイダー取引と言われかねないような疑惑を含んでいるわけでございまして、これは、大臣、副大臣が予算の国会における審議中に辞職をせざるを得なかったということは議会人として大変残念ではございますけれども、そういったことも我々きちっと、こういった政府の、与党あるいはそういったことの姿勢、そういったことできちっとやっぱり私はけじめを付けねばならない、そういったことでございます。

 以上、簡単に申し上げましたけれども、民主党・新緑風会・国民新・日本が本予算に以上の理由、今日はもう簡単にいたしますけれども、反対した理由でございます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、大門実紀史君。

大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。

 平成二十一年度一般会計予算外二件に反対した理由を具体的に述べます。

 反対理由の第一は、消費税増税を前提にした予算となっていることです。関連法案の附則に消費税増税法案を二〇一一年度までに成立させる方針を明記し、増税のレールを敷いております。

 消費税は、言うまでもなく所得の低い人ほど税負担の重くなる逆進性を持った税制であり、深刻化する貧困と格差を一層広げ、景気悪化をもたらすものです。国民の審判を経ることもなく消費税増税のレールを敷くことは到底許されるものではございません。

 第二の理由は、更に格差を拡大する予算となっていることです。

 大企業や大資産家優遇税制の継続、拡大が行われようとしています。海外子会社から日本国内の親会社への配当を非課税とする国際課税の改定は、海外展開する日本の大企業への減税優遇措置であり、限りない法人税引下げ競争につながるものでもあります。また、上場株式の譲渡所得や配当への軽減措置の延長は、一部の資産家に莫大な恩恵を与え、格差を一層拡大させるものです。

 第三の理由としては、道路特定財源の問題です。

 今回、道路特定財源を一般化するとする一方で、揮発油税について暫定税率を維持しました。暫定税率は、道路整備の財源を確保するために導入されたものであり、一般財源化に伴い本則に戻すべきでございます。

 今求められているのは、内需を直接温めることです。それには国民の可処分所得を増やすこと、すなわち社会保障を削減の方向から充実する方向に転換し、雇用を確保し、賃金を引き上げることでございます。その点において本予算は、我が党が既に提案してきたような抜本的な組替えが必要な予算と言わなければなりません。到底賛成できるものではないということを申し上げて、反対の理由といたします。

議長(衛藤征士郎君) 次に、近藤正道君。

近藤正道君 近藤正道です。

 社会民主党・護憲連合の立場から、〇九年度予算三案に反対した理由を申し上げます。

 まず、かんぽの宿問題に象徴される郵政民営化の私物化、改革利権の疑惑、憲法上の疑義もあるソマリア沖への自衛隊派遣の問題など、重要な課題に関する議論が尽くされていないことを冒頭指摘しなければなりません。

 この予算案は過去最大の規模となりましたが、そのことをもってばらまきと批判しているのではありません。世界的金融危機が日本経済に大きな影響を与える中で、輸出依存型の経済社会構造をどのように変えていくのか、雇用、暮らしを守り、新たな雇用をどう創出するのか、その戦略がまるで見えないからであります。

 また、今年十二月に迫ったコペンハーゲンでの気候変動枠組条約締約国会議では、ポスト京都議定書の国際的な枠組みを決めるにもかかわらず、温暖化対策を相変わらず経団連や経産官僚に丸投げで、政治的リーダーシップが全く見えません。国民の暮らし、とりわけ子供たちの未来を切り開くための安全、安心の予算とは程遠いものであります。

 反対理由の第一は、年金を始めとする社会保障の空洞化に対処することなく、消費税増税に道を開くことです。既に破綻した社会保障費の自然増二千二百億円の抑制目標にいまだにこだわり、後期高齢者医療制度や障害者自立支援制度も廃止されませんでした。

 第二の理由は、新設される一兆円規模の地域活力基盤創造交付金もその八割を道路整備に充てるもので、道路特定財源の一般財源化が骨抜きにされたことです。

 第三の理由は、米軍関連予算が大幅増額されたことです。米軍再編関連は六百八十九億円と、〇八年度当初の三・六倍になっております。今後、海兵隊グアム移転に関する日米協定に基づき、米政府からの要求が更に膨れ上がる可能性があります。

 第四の理由は、一兆円の経済緊急対応予備費です。財政民主主義を侵し、総選挙直前の最後のばらまきの原資ともなりかねないものです。

 第五の理由は、農林水産業予算が九年連続マイナスとなったことであります。食料主権、食料安全保障、雇用創出、地方活性化のかぎとして、農林水産業を重視するという方向への政策転換が必要です。

 第六の理由は、借金頼みの地方財政を放置していることです。

 第七、最後の理由は、憲法改正国民投票関連予算が四十七億円と大幅増額されたことです。国民投票制度には附則や附帯決議で義務付けられた十八項目もの検討課題があるにもかかわらず、何ら結論が出ていない投票人の名簿システムの構築が先行することには疑問を抱かざるを得ません。

 今政治に求められているのは、福祉、医療、農林水産業、自然エネルギー分野を中心とするいのちと緑の公共投資、ヒューマン・ニューディールを進め、内需主導の経済社会に転換し、国民の暮らしを再建することであります。

 以上、社民党・護憲連合が予算案に反対いたします、直近の民意を代表する参議院の議決の重みを是非重く受け止め、これを尊重していただきたい。そして、長期的な国家戦略を冷静に検討できる国会を取り戻すべく早期に衆議院の解散・総選挙を行うべきことを付言いたしまして、私の意見表明とさせていただきます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、佐田玄一郎君。

佐田玄一郎君 それでは、自民党を代表いたしまして、参議院の否決理由に対する衆議院の反論をさせていただきます。

 参議院側からそれぞれのお立場で平成二十一年度予算に対する御意見が述べられたところでありまして、これらの意見に対して、まず私から本予算の概要を改めて申し上げ、衆議院の見解については公明党の西委員から御説明申し上げたいと思います。

 本予算は、百年に一度と言われる世界的な経済金融危機に直面している中で、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する生活防衛のための大胆な実行予算であります。本予算は、国民生活を守るため、雇用対策、医師確保・救急医療対策、出産・子育て支援、防災対策などの施策を講じるほか、日本経済を守るためのセーフティーネットや将来の成長力強化のための施策を盛り込んでおります。

 特に雇用対策では、住宅、生活支援、雇用の維持、再就職支援等に取り組み、また中小企業対策では、信用保証制度等の中小企業金融の基盤強化や下請取引の適正化などを推進することとしております。

 これらの重要施策については、重要課題推進枠を活用することなどにより、思い切っためり張り付けがされております。

 以上、私から本予算の概要について申し上げました。

 以上です。

議長(衛藤征士郎君) 次に、西博義君。

西博義君 公明党の西博義でございます。

 佐田委員に続きまして、参議院の否決に対する衆議院の本予算についての見解を御説明申し上げたいと思います。

 まず、本予算は、既に成立いたしました平成二十年度第一次補正予算及び第二次補正予算と合わせて総額七十五兆円規模の経済対策の枠組みとして位置付けられております。経済対策に盛り込まれております国民生活と日本経済を守るための施策が来年度当初から切れ目なく直ちに実施されるためには、本予算を速やかに成立させることが必要不可欠であります。

 また、経済緊急対応予備費の新設は、経済金融情勢の変化に対し果断な対応を機動的かつ弾力的に行うためのものであり、一兆円を計上しております。

 さらに、財政規律を維持する観点から、基本方針二〇〇六に基づく歳出改革を継続し、特別会計の積立金、余剰金を活用することにより赤字国債の発行を極力抑えたほか、政策の必要性を厳格に精査することによって行政支出の無駄の削減を図り、公益法人向け支出や広報業務等の行政経費の大幅な削減を行っております。

 加えて、社会保障に対する国民の安心強化を図るための中期プログラムが閣議決定されており、税制抜本改革の方向性も示されております。

 以上、何点か申し上げましたが、衆議院といたしましては可決した予算を最良、最善の予算と考えております。

 参議院におかれましても、この場で改めて御賛同いただきますようにお願いする次第でございます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) それでは、これより懇談に入ります。──これにて懇談を閉じます。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、参議院側石井一君。

石井一君 ただいま両院からの意見を聞いておりまして、参議院側といたしましては、趣旨説明峰崎委員、そして意見表明を三党代表が行いました。与党側からも、自民党側から、公明党側からも御意見がございましたが、何と申しますか、お互いが平行線をたどり、ここが協議をする場所かと唖然とするような一面がありました。お互いが妥協し、何らかの結論を得るということができない協議会になっておる。また、過去を振り返りましても、このような形式的な儀式的な形骸化した両院協議会が続いておるということは誠に残念なことだと言わなければなりません。

 予算案はいわゆる衆議院優位という期限の設定があり、さらに、現在は三分の二条項がありますので、あらゆる法案に対しましても何らかの措置がとれるわけでありますが、将来を展望いたしましたときに、一体、我々がそちら側に座る場合もあるかも分かりませんし、その逆があるかも分かりませんけれども、三分の二の条項がなくなって、予算案、条約その他を除いて、与野党の意見が対立した場合に、意見がまとまらず硬直状態になります。これまでなかった、余り危機的な状況を感じられませんけれども、近い未来には必ずそういう状況が起こってくるのではないか、私はそういうことを非常に政党人として危惧をしておるわけであります。

 今回、実はその片りんが見えまして、一月の二十六日、二十七日に相当な時間を掛けて皆様方にもお付き合いをいただいて議論をいたしました。その一つの成果は、従来、話合いの中での議事録は取らないし、それは公開しないということになっておりましたけれども、今回、両議長の合意の下に一歩前進をいたしまして、今後協議会の内容については公開しようという合意ができたのは一つの前進であります。

 しかし、第二の、基本的なこの両院協議会についての運営についてはまだ問題をそのまま積み残したまま今日に至っておるということで、本日お集まりの責任ある立場の二十名の委員は重く受け止めていただきたいというふうに思うんであります。両院協議会の規定は、憲法六十条に重く決められております憲法の規定による協議会でありますが、しかし、その六十条の下に、国会法八十五条から九十八条まで決められております協議会の規定の中においては、これで運営ができるのかというような疑問点が非常にたくさんあります。

 ここではもう余り細かく申し上げませんけれども、例えば国会法八十九条で、両院の議決が異なった場合においては、各議院より選挙された十名ずつの委員がここへ出てくる。委員の数はこのままでいいのだろうか、対立のままこれが続くんじゃないか、開催方法、構成、人数、議事の進め方、採決の在り方、協議会の運営等々について、私は今後建設的な議論を両議院で行う必要があるというふうに思います。

 第九十条では、互選された議長が毎回くじを引いてその議長を決めると。これも公平なやり方であると言うかも分かりませんけれども、実に前近代的な方法であると。たまたま衛藤さんが何回も引き当てたけれども、その逆の場合もあると。

 ところが今度は、九十二条では、議事は過半数で決定すると言っておるんですが、くじを引いた方が過半数が取れないと。だから、議長を引っ張った方が議事は有利に進めることはできるかも分からぬけれども、いつ動議が出て、議事をやった場合には、くじを引かなかった方が有利になると。これも、両院が決めてきたことをここへ持ってきてくじを引いて、くじに当たらなかった方が多数決で決めるなんていうことが今後放置されていいのかと。

 あるいは、九十四条、九十五条、九十六条には、この協議会には両院議長を招致する権限、内閣総理大臣、国務大臣、内閣官房副長官、副大臣等の出席を要求するというふうなことができると。傍聴を禁止したり、厳粛な議論をやらなければいかぬという規定があるにもかかわらず、この規定についてはこれまで何ら行使されたこともないというふうなことになりますから、これをこの際洗い直す必要があるということを痛感をいたします。さもなければ、今後、衆議院と参議院の議決が合わない場合には法案はほとんど成立しない、こういう状況が繰り返し続けられるという異常事態が起こってくる可能性というものがあります。

 したがいまして、今回の経験を踏まえて、この両院協議会の総意をもって議長に意見を具申し、これらの国会法の問題点について、両院の各派の代表が相集い、できるだけ速やかに一つの結論を得るということをやっておきませんと、今後の我が国の議会制民主主義に対して大変な大きな問題を提起することにはなるんじゃないかなと。

 その場になってから動かぬと、国会を開いても法律がすべてデッドロックに乗り上げるというふうなことは避けなければいかぬと思いますので、五五年体制の中での自民党の長期政権の中ではそのような御心配はなかったわけでありますが、今後そのような事態が想定される今日、この問題をそのような形で取り上げられるようにひとつ御提案を申し上げておきたい、このように思います。

議長(衛藤征士郎君) 次に、衆議院側田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎君 ただいま参議院側の石井先生の、この両院協議会の在り方も含めまして、十分先ほどから御意見を賜ってまいりました。

 しかしながら、衆議院側といたしましては、先ほどから申し述べさせていただいておりますように、平成二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する生活防衛のための実行予算であり、国民生活を守るための医師確保・救急医療対策、雇用対策、出産・子育て支援などの施策、日本経済を守るためのセーフティーネット、将来の成長の芽を育てるための施策等を盛り込んだ、現状において最良の予算であると考えておりますので、残念ながら参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 よって、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従いまして、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じておるところでございます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) それでは、いろいろ御協議をいただいたのでありますけれども、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(衛藤征士郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 この際、御報告申し上げます。

 先ほどの両院の協議委員議長及び副議長打合会におきまして、本両院協議会の議事録は公開すること、また、今後の両院協議会の在り方については、その開催方法、構成、人数、議事の進め方、採決の在り方等の運営、議事録の公開等について、これまでの在り方を踏まえつつ、建設的な方向で検討し、速やかに結論を得ること、以上、各院の議長に御報告申し上げることについて、合意いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

   午後四時五十三分散会


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