衆議院

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第1号 平成21年1月27日(火曜日)

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平成二十一年一月二十七日(火曜日)

   午後三時五分開会

    ─────────────

平成二十一年一月二十六日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     衛藤征士郎君     鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     岩永 峯一君     山本  拓君

     小島 敏男君     村田 吉隆君

     西  博義君     富田 茂之君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 衛藤征士郎君

            副議長 鈴木 恒夫君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     石井  一君     小川 勝也君

     北澤 俊美君     自見庄三郎君

     西岡 武夫君     福山 哲郎君

     峰崎 直樹君     簗瀬  進君

     大門実紀史君     近藤 正道君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 北澤 俊美君

            副議長 石井  一君

    ─────────────

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 衛藤征士郎君

   副議長 鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     岩永 峯一君     山本  拓君

     小島 敏男君     村田 吉隆君

     西  博義君     富田 茂之君

  参議院

   議 長 北澤 俊美君

   副議長 石井  一君

     小川 勝也君     自見庄三郎君

     西岡 武夫君     福山 哲郎君

     峰崎 直樹君     簗瀬  進君

     大門実紀史君     近藤 正道君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委員部長    山本 直和君

        予算委員会専門員       井上 茂男君

  衆議院法制局

        第二部長    橘  幸信君

  参議院事務局

        委員部長    諸星 輝道君

        予算委員会調査室長      村松  帝君

  参議院法制局

        第一部長    岩崎 隆二君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)


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    ─────────────

   〔衛藤征士郎君議長席に着く〕

議長(衛藤征士郎君) これより平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には北澤俊美君、副議長には石井一君が当選され、衆議院の協議委員議長には私、衛藤征士郎、副議長には鈴木恒夫君が当選しておりますので、この際、御報告申し上げておきます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務を執ります職員以外の方の御退席をお願いいたします。

 まず、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 両議院の協議委員議長及び副議長打合会の申合せに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の説明をお願いいたします。鈴木恒夫君。

鈴木恒夫君 衆議院における平成二十年度政府関係機関補正予算を可決した趣旨につきまして御説明申し上げたいと思います。

 それに先立ちまして、この議題とちょっと離れますけれども、さきの両院協で多くの意見が出されました両院協議会の在り方について、その主な点を衆議院議長に先ほど報告いたしましたところ、議長からは、しかるべき議会のグラウンドで両院協議会のあるべき姿について協議を参議院側とも連絡しながら検討してまいりたい旨の表明がありましたことを御報告申し上げておきます。

 さて、本題に戻ります。

 政府原案を可決した理由は、百年に一度と言われる世界的な経済危機の影響を受け、特に厳しい経済情勢下に置かれている中小企業への対策として、日本政策金融公庫において一般会計からの受入れ等を行うこととしており、その一日も早い成立が望まれているところであります。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたく、お願い申し上げる次第でございます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、参議院の議決の趣旨の説明をお願いいたします。福山哲郎君。

福山哲郎君 参議院側が、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。

 世界的経済危機の影響により、我が国の経済が急速に悪化する中で、特に中小・小規模企業の経営環境は厳しさを増しております。昨年夏以降、ほぼ二けた台の増加が続く倒産件数は、その厳しさを如実に示しておりますが、最近では運転資金の不足が原因とされる倒産が急増しており、中小企業の資金調達環境は極めて悪化しております。

 この背景には、世界的な金融の収縮を背景にした金融機関の貸し渋りや貸しはがしがあるのは明らかでありますが、このようなときこそ民間金融を補完する政府系金融機関がその役割を十全に果たすべきであると考えます。

 しかしながら、本補正予算に盛り込まれた日本政策金融公庫に係る補正は、現下の深刻な中小・小規模企業の資金繰り状況への対応としては不十分であるとの認識であります。

 両院協議会といたしましては、当該問題点を除去することにより、平成二十年度政府関係機関補正予算が成立できるよう御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) これにて参議院の議決の趣旨についての説明は終わります。

 これより協議に入ります。

 順次御発言をお願いいたします。峰崎直樹君。

峰崎直樹君 民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)に反対した理由を申し上げます。

 各種統計やアンケート調査の結果が示しているように、中小企業の資金繰りは悪化の一途をたどっております。資金調達ができる大企業と調達が困難な中小企業の明暗がはっきりと分かれており、今後、年度末に向けて中小企業の資金繰りが大きく懸念されています。個別企業の経営状態を精査せず、貸し渋りや貸しはがしに走る金融機関の姿勢には疑問を呈さざるを得ませんが、日本の企業数の九九%を占める中小企業の経営悪化は我が国経済の長期停滞に直結することから、万全の支援が不可欠であります。

 本補正予算では、株式会社日本政策金融公庫について、セーフティーネット貸付けのほか、信用保険等業務、危機対応円滑化業務等を拡充するとしておりますが、内容、規模において、中小企業の厳しい現状を改善させるには全く力不足であり、到底賛成できるものではありません。

 以上ではございますが、一言付け加えるといたしますと、郵政民営化の結果生まれた政府系金融機関の統廃合あるいは民営化、そういったものが一体今日の金融危機の中でどのような機能を果たしているのか、そういった点についての疑問、さらには、貸し渋り、貸しはがしの背景にある、例えば銀行の株式の持ち合い、依然として続いている問題、さらには国際的なBIS規制の在り方が、果たして日本の金融機関あるいは世界の、今回のサブプライム問題等に与えた影響なども含めて十分に議論する必要があることを付加させていただいておきます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、大門実紀史君。

大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。政府関係機関補正予算に反対した理由を述べます。

 本補正予算案において、政策金融公庫は危機対応円滑化業務で政策投資銀行を通じて二兆円のCP、コマーシャルペーパーなどの買取りを行うこととしています。また、その原資は同公庫が短期の政府保証債を発行して調達するとしています。

 この経済危機の中、大企業の資金繰りも逼迫しているのは事実でありますが、既に、大銀行は中小企業への貸出しを減らす一方で、大企業への貸出しを六兆円以上も増やしております。この上、政策投資銀行が個別企業からCPを買い取るという異常な手段で資金供給をするというのは、大企業への大盤振る舞いという批判は免れません。日本銀行の企業の社債やCPを担保に資金を金融機関へ供給する対策と併せて考えると、中小企業救済に比べ政府の大企業に対する対策は余りにも手厚い、それだけの財政資金等の余裕があるなら、中小企業対策にもっと回すべきであります。さらに、その対象となる大企業を認定する条件は、中小企業の緊急保証の条件に比べ緩やか過ぎて、恣意的な救済がされる懸念が強く存在します。しかも政府保証債でその原資を調達することは、損失が生じた場合国民負担につながるものです。

 これらのことから、今回の政府系金融機関による大企業のCPの買取りに反対でございます。

 この間、中小企業の倒産件数が激増、特にいわゆる資金繰り倒産が急増しており、年度末に向け中小企業の資金繰り支援の抜本的強化が求められています。この点では、政府の緊急保証だけでなく、政府系金融機関による直接貸付けの大幅増が求められています。

 本補正予算案では、政府系金融機関が貸し付けた際の損失の一部負担などの中小企業向け資金供給対策が含まれているものの、現下の中小企業の危機的状況に対しては余りにも貧弱で不十分と言わざるを得ません。

 以上のことから、本予算案に反対したところでございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、近藤正道君。

近藤正道君 社会民主党・護憲連合の近藤正道です。〇八年度政府関係機関補正予算案(機第2号)に反対する理由を申し上げたいと思います。

 政府関係機関補正予算には、企業の資金繰り対策として、政府系金融機関である日本政策投資銀行などによる企業発行のコマーシャルペーパーの購入、中堅・大企業やREITなど不動産業界への最大二兆円枠の融資などが盛り込まれております。生活支援の一環としての中小企業支援を名目にしながら、税金を使った金融機関、大企業、中小企業、中堅企業、不動産業界への過度な救済であり、生活支援の名に値しないものであります。

 生活支援というのならば、現下の経済・雇用危機に対して、低所得者層などに対象を絞った減税や、九九年改正以前のポジティブリスト方式に戻して、登録型は原則禁止、製造業派遣は禁止する労働者派遣法の抜本改正、雇用は期間の定めのない直接雇用を原則とする有期雇用規制、賃金、セーフティーネットについて、正規と派遣、期間工、請負労働者など非正規労働者の均等待遇の実現を柱とした労働者保護法制を実現するのが責任ある政府の努めではないでしょうか。

 また、実施方法についても、買取り対象企業の選定は政府の裁量に任されております。官僚OBが二度、三度と天下りを繰り返し、そのたびに高額な退職金を手にするわたりを可能にする政令とも相まって、政府と企業との不明瞭な癒着や新たな天下り先の開拓に利用されると懸念されております。霞が関には経済危機を利用して既得権益を拡大しようとする動きもあるとの報道もあります。

 日銀もCPや社債の買入れを決めましたが、日銀の指針には、日銀による買入れが個別企業への恣意的な資金配分となることを回避することと記載されております。日銀が企業から直接買い入れるわけではなく、民間銀行などを経由した間接的な買入れになるということであります。このような恣意的な資金配分は、不健全な癒着だけでなく、非効率な経済構造、政官業の利権構造を温存する危険性もあります。例えば、民間銀行を介して民間銀行が買ったCPを政府が買い取ろうとするような裁量の余地を減らす買取り方法が必要であります。

 社会民主党・護憲連合は、以上のような考えに基づいて反対と結論をいたしました。

 衆議院におかれましても、直近の民意を代表する参議院の議決を是非とも重く受け止めていただき、参議院の議決に御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) 次に、佐田玄一郎君。

佐田玄一郎君 自民党の佐田玄一郎です。参議院の否決理由に対する衆議院の反論を述べさせていただきたいと思います。

 参議院側から、それぞれのお立場で本補正予算に対する否決についての意見が述べられましたが、参議院側の御意見に対して、まず私から本補正予算の大要について御説明申し上げます。本補正予算の意義については、公明党の西委員から衆議院側の見解を申し上げたいと存じます。

 本補正予算は、最近の経済情勢等にかんがみて、生活対策の一環として、中小・小規模企業等支援対策の推進を図るため、セーフティーネット貸付けの拡充等を行うこととしたことによる株式会社日本政策金融公庫への出資金及び補給金の受入れの追加など所要の補正を行うものであり、速やかな成立が望まれるものであります。

 以上、私から本補正予算の大要を御説明申し上げました。

議長(衛藤征士郎君) 次に、西博義君。

西博義君 公明党の西でございます。それでは次に、本補正予算の意義について、衆議院側の見解を御説明申し上げます。

 本補正予算に盛り込まれております株式会社日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けの拡充は、中小・小規模企業等の資金繰りを支援するため、金利や貸付条件の見直しを図るものであります。また、内外の金融秩序の混乱時における危機対応業務の円滑化を図るための出資金等の追加など、現下の経済情勢にかんがみ、速やかに成立すべきものであります。

 衆議院側といたしましては、可決した本補正予算を最良、最善のものと考えております。参議院側におかれましても、本補正予算に対し、この場で改めて御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) これより懇談に入ります。

 御意見のある方はどうぞ。

村田吉隆君 政府関係機関補正予算についてでございますけれども、参議院側の趣旨説明をお伺いをいたしましたけれども、例えば日本政策金融公庫にかかわる補正は不十分である、だから賛成し難いと、こういう御主張でございました。

 実は、今回の政府関係機関予算の総則には、中小企業に対する緊急保証を六兆円の枠から二十兆円の枠に拡大するという措置が含まれておるのでございます。予算総則の第三条におきまして保険価額の総額というのがございまして、従来は九兆二千億円、この中にさっき言いました六兆円が含まれているんでございまして、この補正によりましてこの保険価額の総額を二十一兆八千余にしたいと、こういう我々は提案をしていたわけでございまして、この二十一兆の中に先ほど申し上げました二十兆への枠の拡大措置が入っておるわけでございます。

 参議院側の御主張で、政策金融公庫に対する対応が全く不十分だとはいえ、先ほど来、前回の協議会でも富田委員あるいは佐田委員からも繰り返し申されていたように、直近でもこの六兆円の保証枠はもう五兆円を使い切ろうとしている現状でございます。だから、六兆円の天井に近づいているんでございまして、それを参議院側は、不十分だといえ、この二十兆円の増額を認めないということになれば、その対策は不十分どころか、ともかくやっていけない状態になるわけなんでございます。したがいまして、参議院側の御主張は、さっきの趣旨説明の趣旨に反して、極めて中小企業対策としては過酷なことにならざるを得ないかということを主張せざるを得ないんでございます。

 一方において、前の両院協議会において、定額給付金については認め難いけれども、ほかの措置についてはこれは認めると、こういうことでございました。私どもは、今回の政府関係機関補正予算のこの六兆円から二十兆円の保証限度の増額に関連して、この政策金融公庫に対する出資金を四千三十九億円積んでございます。そちらの方はお認めせっかくいただけるような御主張でございましたので、なぜこちらの政府関係金融機関の補正予算に含まれる予算総則の改定というものを否定されるのか、私は全く理解に苦しむわけでございます。どうかそこら辺の御説明をいただいたら大変有り難いというふうに思います。足りないという主張は私も理解します。しかし、限度額に、詰まってきている現状を見れば、足りないとはいえ緊急の二十兆円という増額を認めるべきではないかというのが私どもの考えでございます。

 以上でございます。

福山哲郎君 我々はもとより、金融危機、現下の金融情勢の対応に対していち早く行動プランを作らしていただいて、この政策金融公庫による危機対応業務等について主張させていただきました。

 更に申し上げれば、金融庁が金融検査マニュアルを十月に改定をいただいたんですが、これはいわゆるリスケジュールや金融の貸出条件の緩和等について一定の緩和をしていただいたんですけれども、それがなかなか地方に伝わっていかない、地方の銀行に伝わっていかないということで、実態としての貸し渋り、貸しはがしについてはなかなか改善をされないという状況の中で、我々は中小企業の事業者に対する金融機関の信用の供与等について、もっとしっかりとリスケジュールに対して対応するべきだということを国民新党さんと社民党さんとの共同提案をさせていただいた次第でございます。

 更に言うと、信用保証枠の拡大についても、政府が二十兆円と主張されていることよりも、我々は実は上回ってそのことを主張してきましたので、今回の対応につきましては、残念ながら今の現下の状況に対しての問題意識について足りないということで、我々としてはこのことについては非常にまだ不足であると、もっと積むべきだ。更に申し上げれば、そのことをもって、二兆円の定額給付金に使うぐらいなら中小企業対策や雇用対策の方にお金を回して積むべきだということも含めて反対をさせていただいた次第でございます。

村田吉隆君 いや、その金融検査マニュアルの方につきましては、それは金融庁の指導等によりまして徹底を更に強化するということが必要かと思います。一方において、この信用保証枠については、私も先ほど申し上げましたように、足りないという御主張はよく理解しました。しかし、先ほど申しましたように、六兆円の枠に、今現在五兆円に近づいてまいりますので、ひたひたと天井に近づいているわけなんです。

 したがいまして、足りないとはいえ、やっぱり緊急的に増額を認めていただかなければ皆さん方の足りないという主張すら満たされないわけでございまして、だから、そこは私は、この政府関係機関補正予算を否決されるというのは、反対されるというのはいかがかと、こういうふうに思うわけであります。

福山哲郎君 このことに関しては二点ありまして、我々は当初の六兆円では足りないということを秋口から申しておりました。ですからこそ、六兆円は、村田先生御案内のように、一次補正の枠でした。だから、早く我々は二次補正を年内に提出をしていただきたいということを御主張していましたし、更に言えばそのための規模としても足りないということを言っておりました。更に言えば、そこに二兆円というものを定額給付金に使うんだったらもっと別の形で大きくしてくださいという話をしておりました。

 我々としては、さきの協議会でも申し上げておりましたとおり、定額給付金以外の第二次補正予算のものに対しては、いろんな課題はあるとしながらも賛成をさせていただいておりますが、でき得るならばその定額給付金に使う二兆円を更に付加をしていただいて中小企業対策に盛り込んでいただきたいということで、先ほどの法案とこの法案と両方セットでその意思を明確にするために反対ということを申し述べさせていただいた次第でございます。

自見庄三郎君 私が昨日申し上げた中に、御存じのように、昨年の九月十五日のリーマン・ショックの話をしたその背景としまして、三十年前から経済のグローバル化、ソ連では冷戦構造が崩壊したと、アメリカは独り勝ちになりまして、経済のグローバル化、その中心は金融のグローバル化だったんですね、御存じのように。御存じのように、どんどんどんどん金融のグローバル化、そういった中心が何だったのかと。昨日申し上げましたように、それは投資銀行というものだったんですね、結局。世界には五つ、ゴールドマン・サックス始め、倒産したリーマン・ブラザーズ、メリルリンチ等々とありますよね。これがもう御存じのようにマネーゲームをやったわけですね。

 御存じのように、大体人間の体重を五十キロとしますと、私は医者でございますので、大体人間の体重というのは、十三分の一なんですよ、五十キロの体重だと四キロ血液があると、大体臓器とか、みんな関連だとか媒介、これは心臓と肝臓と腎臓との媒介というのがうまくいくんですよ。ところが、もう御存じのように、今度はマネーの額の世界、実体経済がある。日本のGDPは五百兆円ですから、その十倍、五千兆円ぐらいでしたが、マネーの世界で二京円あったんですね。ですから、体重五十キロの人間に二百キロ血液があるという話なんですよ。それが、ばあっとこの四、五年でどんどんどんどん、もう戦後一番の経済発展をしましたから。

 それで、結局その二京円の世界というのは何かというと、実際二京円あるわけじゃないんですから、昨日私、レバレッジと言いましたけれども、一万円で三十万円になって返ってくる。それがどんどんどんどん金融を膨らませていったんですね。それが、昨日私が申しましたように、要するにサブプライムローンだとか金融工学だとか証券化だとか、そういう金融工学を駆使しまして、アメリカが中心のいわゆる金融工学、世界最強のビジネスモデルは金融工学だと。何も私が言うんでなくて、例えば武藤さん、この前、財務省の事務次官して日銀の副総裁した方がはっきり朝日新聞で言っていましたね。投資銀行がやっぱり世界で模範的だと、日本の政策はそれをまねせいと言ったと書いてあるんです、はっきり。彼は正直ですよね。

 ところが、御存じのように、それがぱあんと爆発したんですよ。それは何でかというと、昨日も申し上げましたように、レーガン、サッチャーさんに始まった新保守主義、新自由主義の流れ、それを極限まで追い詰めたのがブッシュさんの金融政策だったという話を私、昨日申し上げたと思いますがね。まさに投資銀行に何も規制を掛けない、もう規制緩和だと、それから官から民で、それからもう市場原理主義だと、それからまさに小さな政府だと、それがもう押しまくってきたんですね。

 それで、今、峰崎先生が言われたように、公と民、官と民と、何かという話で、結局、日本は、私は理念なき郵政民営化に反対して政党を三年半前につくった国民新党の副代表でございますから、是非申し上げておきたいのは、官から民へという場合、これは結局、アメリカの一番模範的なのが爆発したわけですよ。ということは、私、率直に言いまして、私もかつて責任がございますけれども、小泉、竹中さんという、小さな政府、規制緩和、市場原理、官から民へ、推し進めた典型的な政策が郵政民営化だったと思いますよ。

 それから、日本の金融だって、それはもう民間の金融に任せろと、もう公的金融はやめちまえといって、どんどんどんどん、もう御存じのように、公的金融機関は合併していったんですね。しかし、今はこんなように、アメリカは自由放任の金融政策、金融資本主義の結果、それが爆発しちゃって、結局、アメリカで一番大きなAIGなんという、世界で一番大きな民間生命保険会社が八〇%国有化せにゃいかぬ。アメリカはもう七十兆の金出してどんどんどんどん、投資銀行はもう全部なくなりましたよ、一か月半で。五つ、六つも、全部投資銀行なくなって銀行に合併されると。こうなって、むちゃくちゃですよね、もう。

 だから、それは結局何が言いたいかといいますと、要するに金融というもの、特に、やっぱり変えてはならないものは変えてはいけない勇気、変えねばいけないことは徹底的に変えにゃいかぬのです、世の中というのは。ところが、変えてはいけないものを変えたと私は思ってますよ。要するに、お金というのは、やっぱりある程度公のものが関与していないと、規制をある程度しておかないと、何も規制でがんじがらめにせいというんじゃないんですよ。ある程度きちっとやっておかないと、結局、お金ばかりじゃ欲のまた裂きになるんですよ。一九二九年、人類はひどい目に遭ったんですから、大恐慌になってね。その失敗をまた繰り返したんですよ。

 だから、これ基本的に、日本政策金融公庫、今ちょっと峰崎先生が言われたように、やっぱりその辺からきちっと、新自由主義は何だったのかと。私に言わせれば、かつてヒトラーがヨーロッパを征服するだろうと、それならもう勝ち馬に乗れと日独伊三国同盟を結んで、間違った世界観によって、要するに三百二十万人の日本人が死んだ、六割の国富がなくなったと、その誤りを犯したんだけれども、私は、小泉、竹中さんが、投資銀行を中心としたアメリカの金融資本主義、グローバリズムが世界をもう制覇しているんだから、バスに乗り遅れるなと、公の、要するに郵便貯金も簡易保険も全部民営化してしまった。あれは、私、竹中、小泉さんの歴史的大罪だと思っていますよ。

 その中で、官から民へ。まさに金融機関は、もうけるところは何も公でなくていいですよ、大企業で、いいところは。しかし、駄目なところは全部予算でいかないと。私は九州ですから、九州の田舎に行ったら、やっぱり予算入れないと駄目ですよ。それで、真ん中があるんですよ、真ん中が。それは政策金融じゃないとやっていけませんよ、政策銀行。

 昔、よく、政策投資銀行が投資したら要するに民間銀行が協調融資をしようというのが、大体九州なんかはもう余り、まあ先生のところ、一番もう御存じ、長崎県のハウステンボスなんというのは全部あれ、公的金融が融資したからほかの銀行が融資して、九州なんかもうからぬですからね、九州なんというのは、やっぱり余り。東京、大阪はもうかりますよ、ある程度ね。そういう意味じゃ、やっぱり官と民と、公と民というのは必要なんです、使い分けがきちっと。

 それで、今度はもうこの辺を、官をやめて民にせいといって大体買い取ったから、大ごとですよ、これ、景気対策。

 私、十年前、信用保証協会、三十兆といって、甘利と自見と二階で出したんですよ、あのとき。あのとき全部政府が保証しましたよ。もう地方に半分持たせろと言ったけれども、大蔵省が、大げんかして、結局、全部政府が持つようにして、あれ今でも、中尾栄一さんが、もう自民党が戦後一番いい政策したのはあれだと言われたんですけど、それぐらい非常時なときがあるんですよ、経済。そのときは公でないとできないことがあるんですよ、公の金融でないと。そのことが非常にここの五年、十年、もうのど元過ぎれば熱さ忘れる、アメリカにもう追い付け追い越せという、アメリカのバスに乗り遅れるなと、こうやった私にも責任がありますけれども、竹中、小泉もやり過ぎた。これがそのリバウンドだと、こう思いますので、是非、そういうリバウンドでやらざるを得ないということで、反対なんだから。

 その辺の、こういうことをやると、そのことをよく議論申し上げまして、その行き過ぎた金融の自由化、それがやっぱりこういう、政策銀行をなくしちゃって合併して、いよいよ不況が来たら、もう中小企業はやっぱり政策銀行にある意味で、十年前、商工中金が一番活躍したんですよ。商工中金なかったら、もう十年前終わっていますよ、日本の中小企業は。そういうことも一切忘れて、何かもう熱病に浮かされているみたいに、もう民がいいんだ、民がいいんだ、民だといったら、民というのは利益が取れないとやっていけませんからね、先生御存じのように。

 だから、そういう意味で、やっぱり私は、こういったことをきちっと参議院の良識においてこういう主張をさせていただいて、そのことを踏まえてやったということを理解をしていただきたいとお願いをしたい。

佐田玄一郎君 私も自見先生とちょっと近いんですけれども、去年と今年じゃもう経済状況は全然変わっていると。そういう中において、以前は、例えば民間金融機関が二割ぐらい負担して協調融資するというような形になっていましたけれども、もうそれは駄目なんです。それは、全然もう今の銀行が、株が暴落していますから、ほとんど融資してくれないというのが現実です。今度の住宅ローン減税でも、ローンも組ませてくれないと、なかなか難しい部分があるんですよ。それは、だからフラット35でやるとかいろんなことも考えておりますし、野党の皆さん方にも協力をしていただきたいと、こういうふうに思っております。

 そういう中において、先ほど来から私も、もう既に第一次補正予算の六兆の中の四兆八千億、まあおかげさまでオーバーしないで四・八兆円まで消化したということなんですけれども、それともう一つはその件数なんですけれども、二十一万件なんですよ、二十一万件、中小零細企業。ということは、これを要するに借りられなかったら、中小零細企業はどのぐらいの失業者が出たかと。こういうことを考えたときの、やはり速やかなこの可決を是非お願いをしたいと。

 今回は二十兆までこれを枠を広げていくということでありますけれども、そういう中において足りないというふうな御意見がありますけれども、とにかくこれを早く措置しないと、もういつこれがオーバーするか分かりませんから、その辺の手続等もありますので、是非とも先生方、もう地元へお帰りになれば分かると思いますけれども、うちの群馬県の方でも大変助かっている中小零細企業の方々が相当にいますんで、その辺も今日は、共産党の方も今度加わられまして、是非その辺御理解をいただいて、是非賛成をお願いしたいと、こういうふうに思っております。

大門実紀史君 中小企業対策は、もうおっしゃるとおり、何も不十分であっても全面否定するものではないと私も思っているんです。ですから、先ほど申し上げましたように、我が党としては、この大企業のCPさえなければ賛成したかもしれません。この大企業のCPの問題も、実際にはこれは本当に使われるのかどうか分からない、何かちょっと安心させるための見せ金みたいな形で提案されていると、ちょっと政策としてはいかがなものかと。

 先ほども申しましたように、普通の今の金融で大企業には十分貸していますから、ここまでそのCPを買い取るなんていうのは、もう資本主義を超えちゃって、悪い社会主義みたいな、これは、私はそう思います。

近藤正道君 先ほど申し上げましたけれども、もう一度確認をさせていただきたいと思っておるんですが、私も今回のこの問題については、中小企業に対する対策が不十分だというふうに思っているんですが、一番反対をする最大の理由は、今ほど共産党の大門先生がおっしゃったように、日本政策投資銀行が企業の発行するCPを買う、非常にその買取り基準がやっぱり恣意的だと、ここのところがやっぱり看過できないということで反対を申し上げているわけでありまして、そこのところをもう一回言わば駄目押し的に、確認的に申し上げさせていただきたいと、こういうふうに思います。

北澤俊美君 先ほど鈴木副議長の方から衆議院の議長とのお話合いの報告がありました。今回のこの両院協議会は、先ほど来お話のありますように、新しい扉を開いたというふうに私は認識をしております。これは常設の委員会じゃありませんから、不測の事態が起きたときにこれが機能すると。そうしますと、通常何でもないときにこの体制を整えておくという、昨日今日で問題意識をお持ちになった皆さんがこれで終わってしまうとまた、まあ忘れるとは申しませんが、なかなか協議をする場がなくなりますので、先ほど議長とのお話合いの経過は誠に有り難いことだというふうに思っておりまして、参議院側もそういう意味ではきちんとしていきたいというふうに思っております。

 ただ、これで間もなく衆議院選挙があります。そうすると、我が方が勝つとねじれが解消しちゃって、しばらく両院協議会は開かれなくなっちゃう。それで忘れられちゃ困るんです。皆さんは一年半後の参議院選で勝てば、今我々があるような立場と同じになるわけですね。そうすると、そのときには多分我々は衆議院で三分の二は取っておりませんから、余計頻繁に開かれるということであります。これ、お互いに国民の代表として切磋琢磨することによって、政権が行ったり来たりする中で両院協議会の重みというのは非常に大きくなるというふうに思いますので、釈迦に説法のようでありますが、今回開いた扉が自然にまた閉じることのないようにお互いに努力しようじゃないですか、こういうことを御提言申し上げておきたいと思います。

議長(衛藤征士郎君) それでは、いろいろ御意見も出ましたが、この辺りで懇談を閉じます。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められております。順次これを許します。まず、参議院側の石井一君。

石井一君 それじゃ、私から取りまとめの意見を申し上げます。

 まず、この議案そのものにつきましては、私も今ずっと話を伺っておりまして、なぜ我が党は反対したのかなというような気持ちにもなります。しかし、これは国会対策上の問題もありますし、そのほか細かいことを言うておりましたら切りがありませんから、民主党にもちゃんとリベラルで理解をする人間もおるということを申し上げたいと思いますので、このことにつきましてはこれ以上申し上げません。

 そこで、ここでの締めくくりの発言といたしましては、冒頭に鈴木恒夫副議長が問題を提起し、また今、北澤議長が問題を提起されたんですが、両院協議会というのは、今度確かに新しい展開を見せたと思います。それは、皆さん方の御理解は、おたくの国対委員長のように、これは衆議院の言うことを聞かぬと承知せぬぞというような意味のあるものではなく、お互いが胸襟を開いてお話しし、成案を作るということになっているわけですよ。

 ちょっとこれ重要な問題ですから御指摘しておきたいんですが、国会法の八十九条から九十八条に両院協議会のことが書いてございますけれども、例えば九十六条に国務大臣等の出席要求、「両院協議会は、内閣総理大臣その他の国務大臣並びに内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官並びに政府特別補佐人の出席を要求することができる。」、ここまで書いてあるんですよ。何も形骸化されて三十分で済ますようなことではなく、これは国会法にのっとって我々は要求する権利があるわけであって、それは予算委員会でやったと言いますけれども、そこまで想定している権威の高い機関であるということを申し上げたいんですがね。

 例えば九十二条に、両院協議会において協議案が出席協議委員の三分の二以上の多数で議決されたときに成案となると。しかし、これは成案となるということですから、今回はやりませんでしたが、将来の問題として、お互いに案を出して合わすときに、両方が三分の二以上合意しなきゃやらぬということが書いてあったんですが、その次が問題なんですね。「両院協議会の議事は、前項の場合を除いては、出席協議委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。」と、こうなっておるんですよ。

 ところが皆さん、さっきくじ引見られたでしょう。くじ引を引いて議長を取った方は、過半数取れないんですよ。だから、こちらは議長をこっちに祭り上げておいて、これまた何でもできるということになるんですよ、最後に。これは、しかも毎日変わってくじ引するんでしょう。これ、憲法の起草者が何をどうしたかということを、私も時間がなかったから十分思い当たらなかったんですけれども、この問題で、今後この重要な協議に入ったときにできるのだろうかと。動議を出した方が勝ちじゃないかと。それじゃ議長はどう裁くのかと。議長が動議を出したものを受け取るということになると、議長は自分たちの衆議院なら衆議院を裏切らないかぬことになるんですよ。そういう問題点というものがあるように思います。

 それから、もっと深刻な問題は、憲法の五十九条、特に六十条にあるんですが、「参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、」と。これがその衆議院が優位だと書いてあるんですが。その両院の意見が一致しないときというのはどういうふうに判断、だれがするのかという問題があるんですよ。そうでしょう、両方一致しないんですから、両方。反対のこと言うておるんですから。それを一致しないときと言ったら永遠にやれるんですよ。私は、腹を据えたら三十日ぐらいやったろうかと思うておった。まあしかし、良識というものがありますわね。

 けれども、ここからいえば、何といったって一致しないじゃないか、横暴じゃないかといえば、それは議長決められないんですよ。毎日これ交代するしね。だとすると、今回のこの両院協議会というのは初めての歴史に突き当たったんですよ。

 それは、何も北澤さんみたいに次はうちは政権取るとは言いません。今のこれが続くかも分かりません。しかし、昨日の敵は今日の友とかいろいろありますわな。そうなってくると、何もこっちの有利なことばっかり言うているんじゃないんですよ。皆さん方もこの国の民主主義を今後良くし改善するというためには、この両院協議会の意義というものをもう一度かみしめていただいて、その中身の、今回の経験を踏まえてどこをどうするべきかということについて、しっかりと衆議院も参議院も考えるべきであると、私はこのことを最後の結びの言葉として申し上げておきたいと思います。

議長(衛藤征士郎君) 次に、衆議院側田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎君 それでは、私の方から締めくくりの発言をさせていただきたいと思います。

 両院協議会の在り方につきましてはさておきまして、政府関係機関補正予算につきましては今、石井先生から非常に御理解のある御発言をいただきましたので、簡単に私の方から申し上げますが、先ほどから我々が申し述べてまいりましたように、衆議院側といたしましては現状においてこの予算は妥当であると、このように考えておりますので、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いをいたしたいと存じます。

 以上でございます。

議長(衛藤征士郎君) いろいろ御協議をいただいたわけでありますが、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(衛藤征士郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

   午後三時五十分散会


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