衆議院

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第1号 平成26年5月21日(水曜日)

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平成二十六年五月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

  総務委員会

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    白石  徹君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中村 裕之君    西銘恒三郎君

      松本 文明君    山口 俊一君

      近藤 昭一君    福田 昭夫君

      上西小百合君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣

   (行政改革担当)     稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      長屋  聡君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      市川 健太君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            大下 政司君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  渡会  修君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      松本 恒雄君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(松本剛明君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより内閣委員会総務委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 各案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬戸隆一君。

瀬戸委員 おはようございます。自民党の衆議院議員、瀬戸隆一でございます。

 今回の独法通則法の改正につきまして、まずマネジメントについてお聞きしたいと思っております。

 今回の法改正によりまして、独立行政法人を中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人の三つに分類したということでございます。一律に規定している現行制度を見直して、そして、業務の特性に対応した法人のマネジメントを行うということでございますが、現在、理化学研究所につきまして、マネジメントがいろいろ言われているところであります。

 国立研究開発法人のマネジメントについてお聞きしたいと思います。

 現在の国立研究開発法人が研究成果を上げるには、研究員のモチベーションを上げることが重要だというふうに言われております。研究員にとって一番気になりますのは、自分の給与と研究費ではないかというふうに思います。

 国立研究開発法人について、給与が低いために、研究者の引き抜きが行われたりとか、また、研究成果によって自己収入を得ても、次年度の運営費交付金の算定からその分を引かれてしまうという、モチベーションが上がりにくいという問題がありました。今回の法改正によって、研究員の給与や研究費が、モチベーションアップにつながるようにどのような改善がなされるのか、稲田大臣にお尋ねいたします。

稲田国務大臣 今委員が質問の中で述べられたように、今回の改正で、法人を三つの類型に分類して、それぞれのマネジメントという仕組みを設けております。

 また、御指摘のとおり、これまでは、一律的で過度に厳格な制度の運用により、法人や職員のモチベーションの向上に必ずしも結びつかないという側面がありました。今回、それを踏まえて、改革法案では、研究員等の職員の給与について、業績給等の柔軟な給与制度の導入促進を図るとともに、独法の給与水準を国家公務員と同等となるよう努めるとしていた従来の抑制方針を見直して、法人の事務事業の効率的、効果的な実施に必要な場合には、法人及び主務大臣が説明責任を果たした上で、職員の給与水準を国家公務員以上とすることも可能といたしました。

 また、自己収入の増加が見込まれる場合に、運営費交付金の要求時に、自己収入の増加見込み額を充てて行う新規業務の経費も要求できることとして、運営費交付金の要求に当たって、その分を減額して今までは要求しなければならないとしていたものを、減額しないでもいいようにする等の弾力化を図ることといたしております。

 これらの措置を通じまして、法人の自主性、自律性、インセンティブの仕組みが最大限機能するよう、法人や主務大臣の説明責任、情報公開の推進も含めて努めてまいりたいと思っております。

瀬戸委員 今後、また各法人において運用ルールの見直しが行われるようでありますけれども、研究員のモチベーションが上がるような運用ルールの見直しをよろしくお願いしたいと思います。

 さて、研究員のモチベーションを上げると同時に考えなければならないのが、リスク対策であります。研究不正が起きないように、また、起きたときのルールづくりが大切であります。理化学研究所につきましては、研究不正の有無が言われているところであります。

 今回の法改正では、各府省の評価委員会の評価やそれに対する総務省の意見が毎年度は行われなくなりました。チェックの機会が減少したことによって、独法の評価疲れを減らすことにはなります。それは評価されるべきことだとは思っています。しかし、チェックの機会の減少は、ガバナンスの低下を招くことにもなります。

 今回の法改正によりまして、研究不正等の違法行為に対しましてどのような措置がなされるのか、後藤田副大臣にお尋ねします。

後藤田副大臣 瀬戸委員にお答えをいたします。

 今回の法改正におきまして、まず、独法全体に共通する規律と、そして研究開発業務の特性を踏まえたマネジメントというのが、二つ、大きく申し上げると分かれております。

 今お話ありましたように、理研のSTAP問題でございますが、あれも不正行為のガイドラインというのはあったわけでございますが、実は、それが実効性があったのか、こういう御指摘の中で、まさに今、いわゆる主務官庁を初め理研の方で、そのガバナンスについて内部でのいろいろな検討がなされているところでございます。

 今回の法案におきましては、例えばそういったことを防ぐためにも、業務方法書というものに内部管理体制の記載を義務づける、これは第二十八条でございますが、まさに内部管理体制というのは、そのガイドラインをつくって、それが実効性があるのかどうか、こういったところをしっかり記載を義務づけさせる。また、その遵守の確保につきましては、監事の権限や役員の責任を強化する、これは第十九条でございます。また、主務大臣に業務改善命令の権限を付与する第三十五条等の規定が設けられることとなっております。

 一方で、研究開発の業務の特性を踏まえたマネジメントの方でございますが、研究開発型法人や研究開発業務にかかわる特則を措置しております。例えば、総合科学技術・イノベーション会議が作成する指針案の中に、研究開発業務の適正確保等の観点が盛り込まれていることが重要と考えております。これは第二十八条でございます。

 このように、研究開発業務を含めて、独法の業務を適正に実施する体制につきましては、目標、評価、指針等でルール化をいたしまして、その遵守をチェックする仕組みを整備したところでございます。

瀬戸委員 一度研究不正が起きますと、やはり研究開発法人のイメージ悪化につながるということでございますので、しっかりとした対応をよろしくお願いします。

 近年、独立行政法人のイメージというのが余りよくなくなってきておりますけれども、ただ、研究開発の中には多くの見るべきものがあるというふうに考えております。

 そこで、総務省所管のNICTの研究についてお聞きしたいと思います。

 ことし、NICTは、衛星「きずな」と小型地球局との世界最高速の衛星伝送に成功したという報道があったところであります。この技術は、4K映像も非圧縮で送れるとありまして、震災対応に非常に有効ではないかというふうに考えております。

 昨年、地元の香川県の総合防災訓練にも、この小型地球局が参加してくれまして、被災地を走行して、現場の状況をリアルタイムで動画で送ったということがありました。

 東日本大震災の発生直後、DMATの医師が災害現場に駆けつけたんですが、災害対策本部と衛星携帯電話だけでは、会話だけではなかなか時間がかかって、緊急を要する患者の移送先病院を探すのに非常に時間がかかったということでありました。

 多数の患者の搬送先病院を探すには、やはりパソコンとか、高精度な映像を送れる情報通信ネットワークが機能していることが重要だというふうに考えています。

 今月末、香川県で開催される、さぬきメディカルラリーにおきましては、小型地球局が参加し、南海トラフ地震を想定した医療との連携の実証実験を行うことになっておりますが、これは、震災直後の高速通信ネットワークを使った医療対策の実証実験としては画期的なものではないかというふうに思っております。

 せっかくのNICTの技術として広く広めていただきたいというふうに考えています。NICTは、技術は持っていてもそれを実用化することは得意じゃないんじゃないかという話もあります。

 この衛星伝送技術を災害現場で実際に生かしていくためには、NICTと医療や消防等の関係者との連携が重要であります。実用化に向けては、総務省の政策による後押しも必要と考えますが、いかがでしょうか。新藤大臣、お願いします。

新藤国務大臣 まさに御指摘のとおりだと思います。

 したがって、高度な技術も、どのように実用展開していくか、これがまた我が国の成長力の起爆剤になると私は思っています。

 総務省の中においても、ICTの成長戦略会議というのを設けて、今のような最先端な技術をどのように、社会的課題の解決であったり、医療や教育、さらにはインフラの管理、そして、私どもは今、海洋資源開発にもICTの技術を使えば、これまでとは違った効率的な技術開発ができるというようなことも考えておりまして、御指摘も踏まえまして、ぜひこれを実用化させるべくやっていきたいと。

 既に、ヘリサットという、衛星の通信を経由して直接現場の映像を送れる、これも現在五機、ヘリから直接災害映像が通信局に送れる、こういう機能も整えました。

 それから、今年度、海のブロードバンドということで、今まで、海洋資源開発をやっても、そこで得た調査データは、その船が陸に戻るまで分析できないんですね。容量が大き過ぎて送れないんですよ。ですから、そういうのを衛星を使って送るようにしたらどうだ、こんなようなこともやっておりますし、また、4Kも、これは非圧縮で映像を伝送できる、この実験に成功した、これは画期的なことだと思います。圧縮せずに送れるということは、即座にそれを活用できるということでありますから、さまざまな展開をこのICTを活用したパッケージの中で生かしていきたい、このように考えております。

瀬戸委員 独立行政法人の研究レベルの高さを広く国民の人に知ってもらうためにも、よろしくお願いしたいと思います。

 さらに、NICTの研究についてもう一つお聞きしたいと思います。

 NICTにおきましては、多言語音声翻訳システムが研究されているということであります。二〇二〇年のオリンピックの開催の際に、おもてなしとしまして、外国人観光客に対する通訳の需要が高まることが予想されております。

 現在、このシステムは、ドコモやauの翻訳サービスに提供されているということであります。このシステムの開発の進捗状況、また、今後の経済に与える影響の大きさなどについてお答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 私どもの、これはニクトと呼んでいますけれども、情報通信機構が画期的な技術を開発しているんです。私は、これをグローバルコミュニケーション計画と名づけまして、社会に応用展開していこうと思っているんです。

 それは、皆さんが持っているスマホに自分の言葉で吹き込むと、それを一、二秒で相手の求める言語に対応できるんです。今現状で、二十七カ国語の自動翻訳が可能で、そのうちの十七言語は音声入力ができ、かつ十四言語は音声で出力できるんです。

 私は、この間、オーストラリアに行ったときに、オーストラリアの大臣と、これからICTの共同開発をやらないかと。あなたにお会いできてうれしい、これから一緒に仕事をしていきましょうと日本語で言うと、それが東京に行って、通信させて、すぐ英語でもってぽんと出るんですよ。もうびっくりして、すぐ始めましょうということになりました。

 これから、東京オリンピックのときに、世界じゅうの人が日本においでになります。例えば、タクシーに乗って、相手の言葉で、僕は何々したい、どこどこに行きたい、そしてそれをそのまま日本語に翻訳して、タクシーの運転手さんが、ここでいいですかと言ったら、それで即座にコミュニケーションができる。それは、今の状態で五カ国語で五人までつなげられるんです。

 ですから、そういう新しい仕事、言葉の壁を越えるなんてことができれば、これは世界のコミュニケーションがもっと進むに違いない。そういったことももう実用化しているんです。これはVoiceTraというアプリで、無料で出ています。本当はここでデモをやりたいんですけれども、委員会の規則があってできないということでございますから、ぜひお試しいただければありがたい、このように思います。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 来日外国人の人数をふやすためにも、また、自己収入をふやすという研究、そういったもののモデルといった意味でもぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、独法通則法について質問をさせていただきます。

 このたびの法改正におきましては、総務大臣によって目標あるいは評価について指針を策定することとなっているわけでございます。PDCAサイクルが機能するためには、この指針が大変重要であるというふうに考えるわけでございます。

 法人の種別によっても違いますけれども、これは大枠五つぐらい類型化できるのかなと思っておるんですけれども、目標の期間、法人の本来業務の質の向上、そしてまた、業務運営の効率化、財務内容の改善、その他業務運営に関する重要事項といった項目が法文上明記されているという状況でございます。

 しかし、これは必要十分であるのか、このことをしっかり問うていかなければいけないと思うんですね。運用しながら改善していく、これこそがPDCAサイクルを回すに当たって大変重要な点であるというふうに考えます。そうなると、法改正が必要になってくるのかもしれないなというふうに思うわけでございます。

 柔軟に変更できる必要があるのか、あるいは、明記された字句の中で柔軟に対応することが適当なのか、稲田大臣の見解をお伺いできますでしょうか。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、柔軟な運用というのは大変重要であるというふうに思っております。

 今回の独法制度の見直しにおいては、目標設定の具体性、評価の適正性を確保するため、これらの統一ルールを総務大臣が指針として策定するとともに、引き続き、中期目標など記載事項を大くくりで記載することといたしております。目的記載事項を大くくり化することで、主務大臣の政策判断で個々の法人に対応した目標設定、そして、今回は評価も主務大臣に課すことにいたしておりますので、主務大臣の評価が可能であるというふうに考えております。

 また、総務大臣が策定する指針等の運用において、過度に画一的な扱いとなって細目まで縛ることのないよう、法人の業務の特性を踏まえた目標設定、業績評価となるよう柔軟な運用が図られるべきものだというふうに考えております。

濱村委員 今大臣もおっしゃったとおり、細目まで縛る必要はないということは非常にそのとおりだなというふうに思います。

 ただ、細目をどのように立てていくのか、ここも大変重要なポイントでございますので、ぜひ、こういった細目についてもしっかりと政府を挙げて見ていくということを取り組んでいっていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 少し通告と質問の順番を変えさせていただきますが、続いて、独法のガバナンス強化について質問をさせていただきたいと思います。

 このたびの法改正におきましては、監事あるいは会計監査人の調査権限を明確化、役員の不正行為等の主務大臣等への報告や監査報告の作成を義務づけることというふうになっているわけでございます。

 例えば、これをスポーツ界あるいはスポーツ団体における不正経理が根絶できるのかという視点で、ちょっと具体的に例示をしてみて検討してみたいというふうに思います。

 今、スポーツ団体におきましては、不正経理の問題があったわけですけれども、これは、国費あるいは運営費交付金、スポーツ振興基金助成金というような公的資金が流れているわけでございます。この公的資金がさまざまなルート、形態で配分されているわけでございますし、ましてや説明責任もないという状況であります。これを独法通則法に従って、説明責任が明確な独立行政法人に一元化して、そこから各団体に配分されるというようなガバナンス強化について、しっかりと方向づけができるのではないかというふうに考えるわけでございます。

 そうした意味からいきますと、法人内部だけではなくて、外部環境も含めた上でのガバナンス強化に資するいわば枠組みづくりといったような議論はどこの場で議論されるのか、お伺いしたいと思います。

後藤田副大臣 濱村委員にお答えいたします。

 私も委員と全く同じ問題意識を持っておりまして、現に、私は今、公益法人の担当も稲田大臣のもとでやらせていただいていますが、まさにモグラたたきのように、この二年で各スポーツ団体の不祥事が起こっております。

 これは、ガバナンスをどうするかというと、文部省も権限がない、公益法人部局は、公益法人に移行した際はしっかり権限があるわけでございますが、例えば、では、公益法人をもうやめるだとか、そういうことを言うと誰も管理できなくなる、そういう意味で、本当はスポーツ団体も含めたガバナンスもしなくてはいけない。

 ただ、今回の独法の中では、まさにスポーツ振興センターという独法がその一つに含まれておりますが、委員おっしゃるように、そこからスポーツ競技団体とか選手に行くお金のチェックはできても、公益法人であるJOCから選手に行ったり団体に行くものについてはチェックできないわけなんですね。

 その点で、まさに委員がおっしゃったように、これからそういう意味で、一つの案として、スポーツ議員連盟からも出されておりますように、一つの独法に集約して、お金の流れについてはしっかりガバナンスしていくということが提言されているようでございますが、我々どもも、年末の基本的方針に、「国からの運営費交付金や民間からの資金等を用いて行う資金の助成・給付業務について、不正防止策を強化するとともに、受給団体のガバナンス強化に対する支援を行う。」こういう方向を示させていただいて、受給団体も含めて、今おっしゃった外部環境の、ガバナンスについての助成・給付業務の強化を図る、こういう取り組みを今行っている最中でございますが、委員おっしゃるように、抜本的に大きな改革については、文部科学省の取り組みも含めて、我々もフォローアップしてまいりたいと思います。

濱村委員 今、団体の中でしっかりとガバナンス強化をできるようにサポートしていくというお話がありました。その上で、抜本的に枠組みとしてガバナンス強化をできる、そういった取り組みも必要であると思いますので、ぜひ、文科省さんも含めて、引き続き御検討いただきたいというふうに思うわけでございます。

 次の質問に参りますが、次は、法人の主要な事務あるいは業務の改廃についてお伺いいたします。

 総務省は、独立行政法人評価制度委員会を設置して、中期目標管理法人、国立研究開発法人においては、中期目標期間終了時における見直しに際して、法人の主要な事務あるいは事業の改廃について主務大臣に勧告をするということでございます。となると、これはタイミングが来ない限り事業の改廃とかしないんですかという話にもなるんですが、そうではないと思うんですけれども、これを少し例示してお話をさせていただきたいと思うんです。

 先ほどもございました、独法としての日本スポーツ振興センター、JSCが、災害共済給付において給付した学校事故についてしっかりとまとめていらっしゃる、学校事故検索データベースをつくって公開しておられるわけでございます。これはJSCの成り立ちを考えれば非常にそのとおりだな、目的として、スポーツの振興以外にも、児童生徒の安全とか学校給食、こういったことも含まれているのがJSCの目的でございます。

 こういったJSCの目的を二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを踏まえて考えたときに、例えばですけれども、この二つの機能、おおむねスポーツ振興と児童生徒の健康保持、こういった側面を分離して考えた場合に、JSCはスポーツ振興のための独法であるということで一つ機能を分離した、こういうことになったとします。そうなると、PDCAサイクルとは別の理由で独法の事務事業の改廃が必要になってくるわけであると思いますけれども、この事業の改廃、あるいは、今申し上げたような場合でいうと、学校の児童の安全あるいは学校給食といったところについての業務、これはどこの法人が担うんですかという話になります。

 そうなると、一つの法人だけではなくて、そもそも法人そのものの統廃合が必要になったりするわけでございますけれども、どういう措置をとればこういった事例に対して対応ができるのか、お示しいただけますでしょうか。

後藤田副大臣 お答えをいたします。

 今、具体的な例示として、JSCにあるスポーツ振興と、そして災害、災害といってもいわゆる事故という災害の方でございますが、災害共済給付等による児童生徒の健康保持促進、これが一緒になっているということの中で、今おっしゃったように、二〇二〇年へ向けてスポーツ振興をしっかり独立させれば、こういう御意見でございます。

 前段の御質問の中で、まさに独法、いわゆる中間的にしっかり見直すことができるかということも踏まえてお答えをするわけでございますが、独法の目標という形でどのような業務を行わせるかというのは、主務大臣が中期目標期間の終了時に限らず適時適切に判断していくことがまず必要であるということでございますし、また、国民生活また社会経済など独法を取り巻く環境が大きく変化する場合には、最終年度を待たずして、政策評価、行政事業レビュー、また総務省の行政評価・監視などの結果も参考に、主務大臣の政策判断によりまして、目標の変更指示で、業務の追加だとか見直し、委員おっしゃる統廃合等の組織の変更が適切に行われるということが必要だ、このように考えております。

 ただいまのJSCにつきましてでございますが、今おっしゃるように、分離して前者に特化すべきという御提案は一つのお考えだと私は思いますが、その是非につきましては、政策実施機能の強化というものが図られるか、機能分離の具体的な姿、またその財源をどう手当てするかということにつきまして、既存の行政改革の基本方針との整合性を含めまして、一義的には文部科学省さんにおきましてしっかりと検討していただくものと考えております。

濱村委員 ぜひ、適時的確にやっていただくということですので、枠組みに頼らなくてもできる、そういった政府における絶え間ない改善ということで取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 最後の質問とさせていただきますけれども、現行制度でございますと、運営費交付金につきましては、独法が経営努力を行おうとも、これで収益を上げたとしても、運営費交付金が削られてしまうということにつながっていた、いわゆる収支差補填があったというふうに聞いております。そしてまた、利益の残余を積立金として整理、あるいは経営努力が認められれば中期計画に定められた使途、使い道に充当可能ということでございましたけれども、両者とも財務大臣協議が必要となるということでございます。これは非常に運用上ハードルが高かったというふうに聞いておるわけでございますけれども、これをどのように改善されるのか、お示しいただけますでしょうか。

市川政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、自己収入と運営費交付金の関係でございますが、運営費交付金のもともとの性格上、長期的には自己収入がふえていけば運営費交付金への依存は減るという関係にございまして、これは今回も変えるものではございません。

 ただ、問題は、従来の予算要求等における硬直的な取り扱いのもとでは、そもそも法人に自己収入をふやそうというインセンティブが湧かなかったという点でございます。

 このため、今般の改革では、自己収入の増加が見込まれる場合、運営費交付金の要求時に、自己収入の増加見込み額を充てて行う新規業務の経費も要求できるようにいたしました。この部分を運営費交付金の要求から減額しなくても済むというようにする等の弾力化を図ることといたしました。

 次に、経営努力についてでございますが、制度上、経営努力による利益は、主務大臣の承認を得ればあらかじめ中期計画で定められた使途に使用できるということになっておりましたが、その経営努力と認定する運用上の基準が厳し過ぎるという批判がございました。

 このため、今般の改革では、恒常的な業務であっても新たなテーマや工夫による取り組みについては新規の利益として認める、また、必ずしも前年度の利益額を上回らなくても、過去の平均実績を上回っていれば努力と認定するなど、その要件を改善することといたしました。

 なお、これらにつきましては、当然のことながら、予算査定や財務大臣協議という形で、引き続き国庫を担当する財務省の関与が必要でございます。

 また、今回の改革では、こういう法人の主体的な経営努力を促すインセンティブを高める措置とあわせて、透明性を高めるという措置も講じてまいりたい、そのように考えております。

柴山委員長 濱村君、質疑時間が終了しました。

濱村委員 はい。

 以上で終わりますけれども、経営努力、これを認める要件を緩和するということでございますので、しっかりとこの辺も運用をお願いしたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会、松田学でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、この独法の法案の審議において、主として行政改革の観点からいろいろと今までも議論させていただきまして、先般の本会議でもその観点から何問か御質問させていただきました。

 基本的に日本における行政改革というのは何なのかということを考えると、既に何度も申し上げているように、量的な規模の意味では、日本の政府というのは、OECDなんかで比べても、先進国で最も小さな政府に入っている。こういう状態において、日本の行革というのは何なのか。

 もちろん、さらに無駄の削減は当然しなければいけませんが、量的なスリム化を図るよりも、まずやはり質的な改革、いろいろな仕組みの改革をする。それも、コスト削減も大事ですけれども、これは企業もそうですが、やはりいかに効果、コストよりも効果というか生産性を上げていくということにおいて、その結果として、小さな政府、極小の政府、先進国に、世界に例のないぐらいの極小の政府になっていく。これは、超高齢化社会に日本が直面するわけですから、政府がそうなっていくということについての日本のチャレンジといいますか、新しいチャレンジをやっていくんだというぐらいの、それぐらいの覚悟を持って行政改革は臨むべき分野だろうと思っています。

 その上において、生産性向上という言葉で申しましたが、そのためにやはり必要なのは、人材をいかに公共分野に確保していくか。人材を確保するためには、やはり公務というのが魅力ある職業でないといけないというところに先般の公務員改革のポイントもあったと思いますし、この独法改革もそういう観点から見ていくべきだろうというふうに思っています。

 この点から、きょうは、まず最初に取り上げたいのは再就職のあっせん。

 これは当然、公務員であれば今再就職のあっせんは禁止でありますし、公務員型の独法はそれが適用されるわけですから、それはわかるんですが、例えばほかの公務員型以外の独法についてちょっと聞いてみましたら、従来、再就職のあっせんについては、特に何か規制がされていたとか、あるいは何か管理がされていたとかいうような状況ではなかった、この前、総務省の方に聞いたんですが、という状況だったんですけれども、今回こういうふうにできてきて、法案の五十条の四でも中期目標管理法人についていろいろ書いてありますけれども、そこで非常に中身も弾力的にやっていくというのもわかっての上での質問なんです。

 ただ、先般の日本版NIH法案のときも、ある参考人の方から、研究者は非常に身分が不安定で、今度、NIHが、そこをセンターにしていろいろな研究機関に行ったり来たりできるような、そういうセンターになってほしいというぐらいの要望が実は民間側から出ている。

 だから、民間からいい人材に来てもらうために、こういうところできつい縛りがばっと出ているような印象を与えるのは余りよくないんじゃないかという懸念も少し持っているんですが、この点については稲田大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 基本的な認識として、常日ごろから委員が御指摘のとおり、今回の独法改革でも、独法の質を向上するということが非常に大きなポイントだと思います。そして、その中核にいい人材を確保するということも大変重要だというふうに思っております。

 今回の独法改革では、御指摘のとおり、過去において独法のOBが再就職した企業と独法との間での談合が発生し、独法の業務運営の公正性、透明性を図るため、今回、非公務員型の独法に再就職あっせん規制を導入することといたしております。これは、改正法の五十条の四において規定をしているところであります。

 ただ、その際、独法においてすぐれた人材を確保するということは大変重要でありますので、教育研究機関から任期つきで採用した研究者、また、基礎研究などの政令で定める円滑な再就職に特に配慮を要する業務に従事する役職員の再就職のあっせんについては規制の適用除外として、いい人材をきちんと集めるようにしているところでございます。

松田委員 総務大臣もぜひ、そういうことであります、よろしくお願いしたいと思います。もし何かございましたら、いかがでしょうか。(新藤国務大臣「今のとおりです」と呼ぶ)

 はい。よろしくお願いいたします。

 それで、組織の中においても、次の課題は、職員の創意工夫をきちっと引き出すような組織設計になっているかどうかということが大事だと思っています。

 我々日本維新の会は、公務員を魅力ある職業にする前提で、身分から職業へということをうたっているんですが、職業としての魅力を上げるためには、いわゆる独法の仕組みというのは、そもそも、企画立案と執行というのを分離するんだという考え方からスタートしていると思います。

 これは先般の本会議でも私は取り上げさせていただきましたが、ただ、企画と業務執行というのはそもそも完全に分離できるものでもありませんし、政策目的、与えた目標そのものが間違っていたりすると独法側も非常に困るというか、やる気をなくすということもあります。

 これは先般、参考人の方から、雇用・能力開発機構の私のしごと館というものが例に挙げられて、あれは非常に赤字を垂れ流していたと批判を浴びたんですが、それも確かに独法がつくったものではありますけれども、もともと目標の中に入っていた、これは非難されるべきは役所の方であって、独法側ではないんじゃないか、独法側にはそういった目標設定に対しては拒否権のようなものを与えるべきではないかというふうな参考人の御意見もございました。

 そこまでいくかどうか別にしまして、イギリスのエージェンシー制度も、主務大臣と独法との協議で目標をつくるというふうな仕組みになっているようでございますし、先般の私の質疑に対する本会議での稲田大臣の御答弁では、十分意思疎通を図る、現場での創意工夫や自主性に配慮した目標設定を行うのが重要だということで、ぜひそうしてほしいと思っております。

 ただ、これはそういう方針だということですけれども、何らかの形で制度的に独法も、目標設定に書かれるようなことを、政省令でも何でもいいんですが、担保した方がいいんじゃないかという気もまだしているんですが、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回の改正で、独法の自主性、自律性を高めるということは非常に重要なことであります。そのため、三条でも、今回では「独立行政法人の事務及び事業の特性並びに独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。」というふうに規定しているところでございます。法人やその役職員が参加意識を持って業務に従事をし、創意工夫や経営努力、改善に主体的に取り組むことが重要だというふうに思っております。

 通則法においては、法人は主務大臣の業績評価を受ける際にみずからの業績を記載した報告書を提出するとともに、法人は主務大臣の評価結果を業務運営の改善に反映させるとすることのほか、昨年末の独法改革の基本方針で、運営費交付金の算定ルールなどの運用見直しにより法人の経営努力を促進する方向性を打ち出したところでございます。

 こうした法人や職員による業務や経営の改善努力の成果は、主務大臣と法人とが意思疎通を図り、新たな目標を設定する際に大いに役立つものと認識をいたしておりまして、相互にいい影響、そして意思疎通を図るということが極めて重要だというふうに考えております。

松田委員 これは先般も本会議の際に質問させていただいた、レスポンシビリティーとアカウンタビリティーという二つの責任が区別されているという議論がありまして、私は、制度設計において、この辺をはっきりさせた方がいいんじゃないかという、その点をちょっと取り上げたいと思います。

 レスポンシビリティーというのは、先般も申し上げましたが、例えば職務の結果が思わしくない場合に非難を引き受けるという意味での責任というふうに言われているのに対して、アカウンタビリティーというのは、一定の職務について説明すべき権限と義務とを排他的に引き受けて、違法あるいは不当な業務執行があればしかるべき事後措置を講じるというのがアカウンタビリティーということで、これに対しても大臣の方から一応の見解、つまり、レスポンシビリティーとアカウンタビリティーの分配がどうなっているかという観点で一応のお答えが示されたと思います。

 今、目標設定の話をいたしましたが、法人側が目標設定に関与するということは法的には立場がないということでありますと、先ほどの私のしごと館じゃありませんが、企画立案側に由来する問題が生じた場合のレスポンシビリティーというのは法人側でなく主務大臣側にあるということになるのかどうか、新藤大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 本法案において認められる独立行政法人の三類型ですね、中期目標管理、国立研究開発法人及び行政執行法人、いずれにおきましても、法人の目標設定を主務大臣が行うことになっておりますから、企画立案側に由来する問題が主務大臣の設定した目標自体から生じたものであるならば、その責任は主務大臣にあることが法案上で明白になっているということであります。

 例えば、法人業績の低迷の要因が設定された目標自体にあるとするならば、それは、主務大臣は目標変更などの適切な対応が求められる、こういうことで理解をしていただきたいと思います。

松田委員 今回の改革は、主務省、主務大臣でPDCAサイクル、いわゆる主務省におけるPDCAサイクルというのをしっかり確立した。その意味では、各省大臣の責任が非常に重くなったというふうに思っております。

 その意味で、アカウンタビリティーというものを考えますと、主務省のレベルでPDCAサイクルを確立することで、アカウンタビリティーの面での責任を負うという、その面での主務大臣の位置というのが非常に強くなったという理解でよろしいかどうかという点なんです。

 同時に、総務省所管の第三者委員会、こちらは、各大臣はアカウンタビリティーを果たしているかどうかということを主として見ることになるのか。

 また、そういったことの結果として、日本国全体の視点から、国会がこれをチェックするとか関与する仕組みは、今のところ何らないんですけれども、やはり、何かこういったことも考えた方がいいんじゃないかと思いますが、これは稲田大臣でしょうか。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回の改革で、主務大臣が、目標設定だけでなくて評価もすることによってきちんとPDCAサイクルを回していくということにより、主務大臣の説明責任というものをきちんと果たしていただく、そして、それを明確化するという仕組みを盛り込んだわけであります。

 また、総務省の独法評価制度委員会が、中期目標期間の評価結果、また中期目標期間終了時の見直し内容を点検して、今委員が御指摘になったように、主務大臣が、きちんとアカウンタビリティーを果たしているかどうかをチェックする、そういう仕組みにいたしております。

 今、国会の関与の御指摘がありましたけれども、今回、国会の関与という仕組みは設けてはいないんですけれども、主務大臣の評価結果のほか、主務大臣の見直し内容、独法評価制度委員会の意見は、通則法で公表を義務づけております。また、主務大臣や委員会の活動の検証が可能な透明性の高い仕組みといたしておりますので、そういう意味で、国民に対してきちんと説明責任が果たせるのではないかというふうに思っております。

松田委員 国会もこういうことにもっと関心を持って、私はきちっと監視していくべきだと。やはり、政治家としての責任、主務大臣も政治家でありますから、そこのところはお互い政治家としてきちっと見ていくということを、私はもう少し考えた方がいいんじゃないかなというふうな感じがしております。

 それから、今回の改革は、ある意味で、各省庁がしっかりと評価をして見ていくというのは、私は現実的だと非常に思っていまして、私自身も、いわゆる評判の悪い現役出向というのを役人時代に某独法にしていたことがありますが、確かに、毎年毎年、自分のところの評価委員会で評価をやって、さらに親委員会のところでも評価をやる、評価疲れという言葉はまさにそうでございまして、何のために仕事をしているのかなということも思ったことがあるんです。

 もう一つ大きな弊害は、役人が、第三者委員会の委員の中に説明がつくことしかできなくなるということが結構あります。何か新しいことが起こってくると、私は実は、あるNPO、言論NPOというのを昔個人でやっていたんですが、それを、例えば政策論の舞台をつくるといって、各省庁からいろいろな調査委託を受けるとか、議論をつくる委託を受けるときに、言論NPOなんて全然聞いたことがない、過去の実績とか従業員とか、それからそういった形式要件を細かく聞く、そうじゃないと第三者委員会に説明できないと。

 役所の方は、これはすごくすばらしいものなのでぜひやってほしいと思っているんですが、やはり役人自身が形式論理で拘束されてしまっているというような、最近は独法に限らず、こういう事例が結構多いんじゃないか。そこはやはり、各省庁のプロの人間の目でちゃんとこの価値判断もできるようにしていくというのは、それを事後的に、ちゃんと適正に行われているかどうか評価すればいいのであって、そこまで何となく萎縮してしまっているのはどうかという気がしないでもなかったんですね。

 ただ、私は、そういう意味で、いいと思うんですが、逆に言うと、この改革をやりますと、本来、独法というのは、行政からある程度自立したところの自主性に任せるというところがあるんですけれども、評価のPDCAをやりますよというその名のもとに、日本では各省庁というのは基本的に官僚主導でありますので、そこのところは、やはり、逆に事実上の官僚の介入というのが強まってしまうんじゃないか。

 役所にいた人間としては、どうもそっちの方に流れてしまうんじゃないかという懸念を抱かざるを得ないんですが、新藤大臣、その辺の運用をどういうふうにしていくか、お聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 まず、国会の関与でございますが、私は二代ぐらい前の決算行政監視委員長を務めておりました。参議院にも、行政監視委員会というのがあります。そういった機能はぜひ発揮をしていただける、このように思っております。

 それから今回の独法改革は、方向性として、ミッションの明確化とガバナンスの強化。この通則法で横串を刺したのはよかったんですが、刺し過ぎていて、物によっては成果の最大化を図らなきゃいけないものも、これから業務の管理をすべきものも同じになってしまっていた、ここを改善したわけであります。

 それらをミッションの明確化をして、主務大臣がミッションを定めるわけですから、もちろん、独法と連絡をとりながらですよ。そうすると、その結果の評価も主務大臣が行っていくんだ、それを第三者機関として総務省において新しい委員会を設けて全般的にチェックをする、これもこういうPDCAのサイクルをつくったわけでありますから、あとは、何よりも今回の独法は、成果をいかに上げるか。それぞれの三類型をつくりましたけれども、その類型ごとにきちんとした目標設定をして、それを原点に置いて、それに必要なPDCAも含めてこの運用をしていくということだと思っております。

 やはり、形に加えてそういう精神を大切にしていく必要があるのではないか、私どもとしてもそういったことを心がけていきたいと思っております。

松田委員 横串横断的にこの独法の評価を所管していく総務大臣に、ちょっと認識をお伺いしたいんです。

 日本で、九〇年代の行革、今回の省庁再編につながる行革が行われたときに、この独法というのを当時イギリスではやっていたエージェンシー制度というのを参考に日本に導入した。もちろん、イギリスのエージェンシー制度と似て非なるものなので完全に同じものではないんですが、当時はやっていたのがニュー・パブリック・マネジメントという考え方ですね、目標を与えて、それを評価していくという。まさに、これが今回強められるような改革のように見えるんですけれども。

 ただ、ニュー・パブリック・マネジメントも、実際イギリスでやってみると、先ほど私が申し上げたレスポンシビリティーとアカウンタビリティーの配分の問題で結構いろいろな問題が起こって、いいことがあれば大臣が自分の成果として誇り、悪いことがあると法人の長が追及される、そんな事例もあったようで、必ずしもニュー・パブリック・マネジメントがうまくいっているわけではないという議論も聞いたことありますが、総務大臣、このニュー・パブリック・マネジメントについてどういう御認識、またどういうふうに取り組んでいかれるか、お聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 まさに、現状の独法制度というのは、このニュー・パブリック・マネジメントの考え方を中央省庁の改革時に導入してできたものであります。そして、行政における企画立案部門と実施部門を分離する、また、この企画立案部門の能力を向上させる一方で、実施部門に法人格を付与して裁量を与える、そういった中で業務の効率性、それから質の向上を図る、こういうことになったわけであります。

 しかし、実際に運用してみて、現状の課題といいますか、この反省点といたしましては、主務大臣が目標を示すのみで評価に関与しない、主務大臣の目標が不明確であるようなことで適切なPDCAの確立になっていないのではないか、こういう御指摘がございました。

 それから、無駄の排除や業務運営の適正化が必ずしも自律的に行われていない、また、さまざまな業務を行う法人に一律の制度が適用されていないといったことで、政策実施機能が十分発揮できていないのではないかと。これはいずれも、ゼロ、一〇〇ではなくて、こういった側面があるのではないかという御指摘がございました。

 それらを踏まえて今般の独法の改革を行おうということでありまして、先ほども申しましたが、主務大臣と独法の関係を主軸としたミッションの明確化とガバナンスの強化、そしてPDCAサイクルが機能する目標管理評価、そしてインセンティブが機能する仕組みの構築、こういったものを含めて独法の目的を明確化して、成果の最大化を図ろう、こういったことを考えているわけでございます。

松田委員 先般の参考人質疑の中で、なるほどと言われる指摘が幾つかあったんですが、今は特に研究開発の方の話が中心になると思いますけれども、世界的にイノベーションの競争をしている時代にあって、独法の通則的な管理運営というのが、これは定型的な業務を繰り返しやっているようなものを管理するのには向いている仕組みでありますが、しかし、個別具体的な、もっとより専門性のあるような、そういった業務を評価する上で、あるいはサポートしていく上で、いろいろと制約もあるんじゃないか。

 いわゆる画一的な管理統制の論理と個別的自主性、柔軟性の論理というのが、これはどうも二律背反のような面があって、どちらかというと、もう少し自主性、柔軟性というところに時代の要請があるというような、例えば競争入札ということをやっていますと、時間と労力と費用をかけている間にどんどん研究というのは先に進んでいってしまって、日本側で研究事業のタイミングを失することもある、スピーディーに成果に結びつける工夫というのがもっと大事である、あるいは、情報公開も大事だけれども、全ての研究状況の情報を公開するとまずい場合もある、評価に当たってはその分野の専門家の意見をしっかり聞くべきであるというような参考人の意見も結構ありました。

 これは、主務大臣の側では結構そういうことがわかった上での評価をすると思いますが、横串横断をやる総務省のいわゆる第三者委員会の方で、こういった専門家的な観点で十分見ながら、かつ独法の通則的な管理運営とバランスが非常に重要になってくると思うんですが、それについてはどういう取り組みでいかれるおつもりか、大臣にお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 研究開発法人の個別性、自主性に配慮した柔軟な評価、これが極めて重要だというふうに思っております。それは紙一重なんですね。ルーズになってしまうのか、それとも柔軟かということであります。ですから、そこはよくよく研究していかなければいけないと思います。

 特に、そうした意味で、研究開発法人についてはその側面が強くなりますから、私どもとすれば、法律に定められた事務を行うに当たりましては、総合科学技術・イノベーション会議が作成する評価の指針案などを考慮しまして、そしてまた、そこに指摘された個別性、自主性などもよくよく勉強させていただいた上で、そして、研究開発法人の活動そして実績、こういったものもきちんと熟知をして、そういった勉強を重ねることで通則的な要請に応えるべく臨まなければいけない、こういう体制を整えたいと考えております。

松田委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、独法側のモチベーション、先ほどの質疑でも出ていましたが、いわゆる経済的インセンティブといいますか、これもやはり独法にとってもある程度必要だろうと。自己収入の目標を達成して利益計上した場合に、剰余金の処理で経営努力として認定する部分をつくるとか、私もこれは非常に大事なことだと思っています。

 これはどちらの独法とは言いませんが、私もある独法的組織にいたときに、独法に行った人はみんなわかっていることですけれども、いかにして剰余金を計上しないようにするか。剰余金を計上すると国庫に召し上げられてしまうので、いかに剰余金にしないで、いろいろなことに使ったことにするか。かえって今までの縛る仕組みというのは、無駄遣いというとあれですが、非効率な支出につながりかねない要素が、実は独法にいた人はみんな常識なんですけれども、そういうところもありました。これが事実であります。ですから、努力をすれば自分の独法の仕事でよりいろいろな仕事が、いい仕事ができるようになるんだという仕組みというのは、私は非常に大事なことだと思っています。

 今回もいろいろな改革をされたことは、私はそれはそれで評価しておりますが、さらに、これは、例えばコスト削減をした、もう少し管理会計的な手法をしっかりさせて、コスト把握をしっかりさせて、コスト改善をしたものについてはパフォーマンスとしてきちっと業績評価に反映させるとか、剰余金を上げたら、これだけの努力をしたということ自体を評価する物差しのようなものも評価に当たってつくってはいかがかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 独法において、経営努力により生じた剰余の資金を積み立てて、その全部または一部を法人が認可を受けた中期計画に盛り込んだ使途に充てることができる、そういう制度があります。例えば特許などで得た利益は、これは全額手元に戻せるんですね。それから、運営費交付金の節約によって生じた剰余金、これは二分の一を国と独法で分ける、こういうルールになっています。

 これに、経営努力を認める要件というものを今回の改革でさらに改善をしよう、このように考えておりまして、例えば恒常的な業務であっても新たなテーマや工夫による取り組みについて、新規の利益として認めましょうとか、それから、前年度実績のみではなくて、過去の平均実績の利益を見ようとか、こういったものを入れようと思っています。

 本来、政策評価の中には、そうした経営努力の評価、経営努力の結果、剰余金を出した、これも評価の項目になっているんですが、そこのところはさらに重要だということ、こういったものを私どもとすれば視点に入れていきたい、そして、積極的な運営を積極的評価をするような、そういうことを心がけたい、このように思っております。

松田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、横串第三者委員会の本来の役割というのは、やはり、ニュー・パブリック・マネジメントのもともとを考えてみると、官の一番の問題というのは競争がないことで、競争がないところに、いわゆる法人の長に、公募をして、企画書を持ってくる、この企画書で一番すぐれたところにやってもらう、そのかわり、できなかったら損害賠償とかいろいろなことがあってと。そういう形で官の分野に一定の競争を持ち込んできたのが私はニュー・パブリック・マネジメントだと。

 日本はそこまでは行っていないと思いますけれども、ただ、評価をして、民間でできるものは民間でやらせる、あるいは無駄なものは統廃合していくということが、やはりアウトプットとしてなければいけないんじゃないかと私は思います。

 これまでも、そういった評価を総務省はやってきたと思いますけれども、そういった観点から、どんな検討が今まであって、これからどういう方針で臨んでいかれるか。総務大臣、ちょっとお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 今回の改正法の評価の視点また方針につきましては、これまでの政府における独法評価の取り組みの経験を踏まえまして、まず第一に、法改正による評価の主体の変更がございます。評価委員会が、今度、目標を設定する主務大臣が評価することになるわけです。

 そして、二つ目として、主務大臣の是正命令の創設と総務大臣の指針設定などを考慮した所要の変更を行う、こういうことになっているわけであります。

 一方で、毎年度評価に、総務省に設置される第三者機関が必ず関与するものではなくなることについては、これは、法人の目標期間の節目節目での十分な関与を可能とするものでありまして、そのことによって第三者視点による評価体制の弱体化は招かないようにしよう、このように考えております。

 私どもとすれば、目標設定や評価に係る適切な指針の策定を、今回の改正により、総務省が行う行政評価・監視の調査対象に新たに独法が追加されたことでありますから、独立行政法人評価制度委員会の精力的な調査審議を支えて、そして、独法の行政評価における第三者的視点の活用を図っていきたい、このように考えております。

松田委員 その第三者的な観点も踏まえて、基本的に、独法のあり方そのものとか、そういう点についても行政改革の観点から切り込んでいくような、そういう評価をしていただければと思います。

 最後に、せっかく総務大臣に質問するいい機会でもありますので、行政改革、財政再建の観点から、地方財政制度というものとの関連について少しお聞かせいただければと思っています。

 昨年末の時点で、日本の家計の金融資産は、よく千六百兆円と言われていますが、千六百四十五兆円、民間非金融法人が千兆円近くありまして、ほかにも、政府が持っているものを合わせて、グロスで日本は金融資産を三千百兆円持っているという状態にあります。

 その運用先、これは金融部門を通じて運用されるんですが、家計部門千六百四十五兆円、これが、預貯金等でその半分以上ですが、八百七十四兆円運用されまして、ほかのものと合わせて、金融部門から政府部門に九百六十五兆円、これは大半が国債を、まあ国債だけじゃありませんけれども、つまり、日本の資金フローというのは、家計が蓄積した預貯金が金融機関を通じて国債に行くという、これが一番日本のメーンの資金ルートになっている。

 でも、これはよく考えてみると、汗水垂らして稼いだ貯蓄を、国債、しかもその国債も、発行残高は今年度末は七百八十兆円ですが、うち五百兆円を超える金額が特例公債。特例公債は、御案内のように将来にツケだけを残すもの、資産を残さない。資産を残さない資金運用をして、将来の税金を先食いしているわけです。

 つまり、富を生むために運用すべきものを、富を先食いするために運用しているのが日本の資金循環の構造になっている。タコが自分の足を食うような運用をしているというのは、この日本の金融資産のポートフォリオの質がよくない、これを改善することが日本経済、財政の最大の問題だと私は思っているんですね。

 そういうマクロ的な観点から見て、今よく聞かれる話が、例えばPFIとかレベニュー債とかそういったいろいろな民間資金活用のスキームをつくってみたところで、やはり、地方自治体の地方債制度があり、そこに交付税交付金が元利償還負担をしてくれるような非常に便利な仕組みがあると、やはりみんな、一生懸命案を考えてPFIをやってみるとか、そういうことをしなくなってしまう。

 やはりこの辺は、地方自治、地方財政制度もそろそろ抜本的に考えていかないと、本当の意味での行政改革、財政改革が進まないんじゃないか。交付税交付金は十六兆円と、社会保障に次いで大きいんですが、ここは聖域化しちゃっているんです。

 この辺について、最後に新藤大臣のお考えをちょっとお聞かせいただければと思います。

柴山委員長 質疑時間が終了ですので、短くお願いします。

新藤国務大臣 まず、民間資金を活用しようと、PPP、PFI、コンセッションと呼ばれるシステムも我が国に導入しようではないかと。それは、二日前でございますか、十九日の経済財政諮問会議におきましても、安倍総理の方から、劇的にこれを導入しよう、こういう御指示が出されたところであります。

 それから、あわせて、私どもも今、地域の元気創造事業というのをやっておりますけれども、この仕事は地域の金融機関から融資を受けられる、その同程度を国の交付金として出しますよと。ですから、自治体が仕事をしたいのならば交付金を用意しますけれども、それは地域からも借りてくださいと。結局、国が出したお金と同額を地域の金融機関から受けることで、投資効果が倍になりますね。しかも、地方の信金、信組は預貸率が五〇%ですから。

 ですから、私たちの国の中にはまだまだ使われ得るお金があるはずと委員が御指摘いただきました、そういったものを、少し視点を変えながら、そして工夫をしながら、ぜひ効率的な運用、また、我が国の金融資産を全体的に回していけるような、そういう仕組みをつくりたいと総務省も考えてやらせていただいております。

松田委員 どうもありがとうございました。また、別途この議論をさせていただければと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

柴山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十四分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは連合審査ということで質問の時間をいただきまして、関係の各位に感謝を申し上げたいと思います。

 まず、質問させていただきたいと思います。既に連合審査の前に、当然質問として出ておると思いますが、改めて、民主党の総務委員の立場から各質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、議員立法、野党案、民主党案の特徴ということで、改めてお伺いをしたいと思います。具体的にどの点が政府案と違うのか、また、提出者として、どの点が政府案と異なり、この点がすぐれている、こういうふうにお考えなのか、お知らせをいただきたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 今回の我々民主党、みんなの党で提出しております衆法は、民主党政権時代に政府から提出された閣法がベースとなっております。また、今回の政府から出ている閣法も、前回の閣法であるこの法律を踏まえて検討されてきたものと理解しています。その意味で、大枠の部分で似ているところも多いんですが、我々の衆法の特徴、すぐれている点といえば、独立行政法人改革へのより厳格な姿勢と透明性にあるというふうに考えております。

 今回の閣法の方では、現行の独立行政法人制度を維持した上で、三分類に分ける形をとっておりますけれども、我々の衆法では、現行の独立行政法人制度が、組織のあり方、業務運営の両面でほころびが露呈しているという厳しい認識に立って、独立行政法人制度を廃止することとしています。その上で、国立研究開発行政法人を含む中期目標行政法人と公務員型の行政執行法人の二分類として、それぞれの業務の特性に合わせて、機能、特性を最大限に発揮できる組織体制を確立しようとするものであります。

 また、主に次の三点において、国民にとってより透明性の高い制度となっています。

 第一に、役員の公募に関する点であります。

 私どもの案では、役員の任命に当たっては原則公募を行うことを明記しております。また、同じ役所出身の方が多くなり過ぎないよう考慮しなければならない、こういった旨も規定しております。これらを通じて、さまざまな分野から広く有為な人材を確保することを可能とすることによって、役員人事における法人と各所管省庁との関係の透明性が高まって、国民の適切な監視のもとで法人運営ができることになると考えます。

 ちなみに、これまで閣議決定に基づいて実施されてきている役員の公募制の導入によって、独法役員に占める退職公務員比率というのは、民主党政権前の二九・五%から、民主党への政権交代後は六・九%まで下がりました。退職公務員の天下りによる役員就任が大幅に減ることによって、内部職員からの役員昇格の可能性が大幅に高まることは、何より役職員の士気向上と現場の活性化につながるものと考えます。

 第二に、法人の役員報酬についてであります。

 衆法では役員報酬に上限を設けることとしております。閣法にはこのような規定はありません。行政法人の業務は公共上の見地から行われるものであって、国の行政機関と同じく、役員の報酬についても国民の理解と高い透明性のもとに支出が行われるべきであって、一定の抑制のもとに置かれるべき面があると考えます。

 第三に、独法役員の定年についてであります。

 民主党、みんなの党案では、各独法において定年を定めるとしておりますが、閣法にはこのような規定はありません。

 現行では、平成十四年三月十五日の閣議決定に基づいて、役員の在任は原則六十五歳まで、理事長、副理事長相当職で特別な事情がある場合は七十歳に達するまでとなっております。

 この現行の閣議決定の基準は、現時点では合理的なものだと考えますけれども、実際に今、各独立行政法人におられる役員の年齢を見ますと、余り守られておりません。内閣官房行政改革推進本部事務局で調べていただいたところ、平成二十六年四月一日現在で、理事長、副理事長相当職で七十歳以上の方が十四名おられます。その他の役員で六十五歳以上の方が七十一名おられます。

 これは、この閣議決定が余り守られていないというふうにも思えるわけでありまして、今回の衆法で、定年についてきちっと各法人が規程を定めて主務大臣に届けるべきだというふうに考えます。

 最後に、無駄の削減、財務の効率化についてであります。

 これは法律の条文という形ではないのですが、民主党政権時代の閣議決定において、法人内部の不要資産の留保防止の仕組みの構築、不要、過大な会費支出のチェック、関連会社との契約や随意契約の透明性確保など、財務面でも徹底した無駄の削減を進めることとしております。

 このように、衆法では、行政法人の事業実施に必要不可欠な人材をより広く公正に求めるとともに、国民の適切な監視のもとで法人運営を行うことができるという点で、閣法よりもすぐれているものと考えます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今提案者からも御説明がありました、そうした厳格性、いわゆる行政改革をしっかりと進めていく、あるいは人事登用をしっかりと厳格に、公平性を持って行っていく、そのために透明性も持たせたシステムをつくる、そのための法案だと。そしてまた、そもそも論として、シャッフルといいましょうか、しっかりと新たに構築していくということで、一旦法人を解体して、新たなスタートを切っていく、こういうことだと思います。

 そして、そういう中で、公募をし、今いろいろと数値を挙げての御報告もありました報酬の上限、これは公共性を持って公共上の見地から行っていかなくてはならない、そうした事業を効率よくどのように行っていくか、そうした法人のあり方をより厳格に進めていくんだということだと思います。

 そしてまた、定年も、今、七十歳以上の方が七十一名おられるということも御例示をいただいて、そうしたことを仕組みをつくって推進していかなくてはならない。もちろん、それぞれの年齢の方、経験のある方も、そうしたある種の知恵とまた御経験があるとは思います。でも、若い人たちにもチャンスを持っていただく、また、新たな展開をしていく、そういう意味でそうしたことも重要だというふうに思います。そして、そういうことを仕組みとして提案しているんだということで理解をさせていただきました。

 そうしますと、そういう観点から幾つか閣法についての質問をさせていただきたいと思います。

 政府案の二十八条二項で、「業務方法書には、役員(監事を除く。)の職務の執行がこの法律、個別法又は他の法令に適合することを確保するための体制その他」「業務の適正を確保するための体制の整備に関する事項その他主務省令で定める事項を記載しなければならない。」とありますが、監事による内部ガバナンスを徹底するために、例えば、独立行政法人の役職員は、不正の行為をしたりそのおそれがあると認められるときなどは直ちに監事に報告することを業務方法書に書き込むべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 独法制度は、御案内のとおり、法人の自主性、自律性を重視する制度でございます。

 まず、一般論でございますが、業務方法書に記載する事項として、どのような内部統制の体制整備に係る事項を記載するかにつきましては、多様な業務を行う各法人がそれぞれ抱えるリスクを踏まえて検討し、主務大臣の認可を得るべきもの、これが一般論であろうかと思います。

 そのような中で、監事の機能強化の一環として、各法人に共通する事項としてどのようなものを業務方法書に記載させるか、これにつきましては、法案が成立しましたところで独法制度を所管する総務省を中心として検討されるもの、そういう手順を踏むことになります。

 その際に、法人の役職員から監事への報告、これにつきましては、現在、独立行政法人の監事さんたちの集まっている連絡会が作成している報告書がございまして、監事監査に関する参考指針と言っておりますけれども、この中で、法令違反行為等について、関係者は監事に速やかに報告する、こういったことが記載されております。

 こういったことも踏まえつつ、監事機能や内部統制の強化に資するものとなるよう、そのあり方につきましては総務省と今後相談してまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 いろいろと相談をしていくということでありますが、やはり、私は、今民主党案の中でも触れられていた、透明性を維持していく、そしてガバナンスをしっかりしていくという意味で、これからということでありますが、ぜひそのことについてはしっかりと書き込むべきだと考えております。

 幾つか質問が、確認をしたいことがありますので次に参りたいと思いますけれども、役員の定年の規程についてであります。

 今、議員立法の提出者の方からも話がありました。定年の問題について、野党案では、法人は、社会一般の情勢を勘案し内閣総理大臣が定める基準に基づき、その役員の定年について規程を定め、主務大臣に届け出なければならないとしているわけであります。

 少なくとも、各独立行政法人は、役員の定年に関する内部規程を設け、少なくともでありますが、公表すべきと考えますが、いかがでありましょう。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の役員につきましては、今回の見直しにおきまして二点ございます。

 一つは、国家公務員とか民間企業を見ましても、独法役員のように何年というような任期を付して任用されるようなケースにつきましては、法律上の定年制は設けてございません。

 それから、人事運用の中では、高齢者の能力の活用、こういったことも含めまして、まずは適材適所の人材登用が最も重要であろうということで、一律の基準を導入することは妥当ではないのではないかということで、法案の上では定年に係る規制を導入することはしなかったものでございます。

 運用におきましても、高齢者の能力の活用も含めました適材適所の人材登用、こういった観点から、各法人において、その業務の特性等を踏まえて個別に判断されることが望ましいであろうということで、こうした、一律に役員の定年に関する内部規程を策定する、こういったことを義務づけるということは現時点で妥当ではないのではないかと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 おっしゃったことは、私もさっき申し上げたように、それぞれ、よりよい、公共上の立場からやるべき施策を進めていくということに人材を登用していかなくちゃいけないということは、私も理解しないことではないわけです。

 ただ、どうでしょうか、先ほど野党案提出者、民主党案提出者からもありました、七十歳以上の方が七十一名であるというのは、私は、人材登用、いろいろな見地からといっても、やはり世間的に、一般的に言うと、私の感覚かもしれませんが、多いと思いますが、いかがでありましょう。

長屋政府参考人 若干、数字面でございます。申しわけございません。

 七十歳以上の者というのは十四ポストということでございます。六十五歳以上の者が七十三ポストということでございます。全体を合わせると六百三十六というポストの中でございます。

近藤(昭)委員 大臣、いかがでありましょう。

稲田国務大臣 今、七十歳以上、十四名が多いかどうかということですけれども、私、再チャレンジ担当大臣もやっておりまして、最近の内閣府の調査では、六十五歳以上の方も半分以上の方が働きたいということをおっしゃっています。

 また、先日、シンガポールに行きましたときに、大変著名な、ある大学のがんの権威の教授がシンガポールで研究を続けておられて、それは、日本では定年制でそれ以上働くところがなかったということもおっしゃっておられました。

 役員の場合は任期もございますので、もちろん、余り高齢というのはいかがなものかという視点もよくわかりますけれども、年齢にとらわれるということもなく人材を登用するという面もあっていいのではないかというふうに思います。

近藤(昭)委員 それぞれ、特殊なといいましょうか、特徴ある経験とか豊富な経験とかあるいは知識といいましょうか、そういうのもあるんだと思います。

 ただ、やはり私は、逆に、今、稲田大臣が言及されたことで言うと、今、六十五歳以上も働き続けないとなかなか家計が苦しいということでもあったと思います。つまり、社会全般で経済状況が非常に厳しい人たちが多い。だから六十五歳以上でも働き続けないと難しい。生活をしていけない。そういう中から、六十五歳以上も働き続けたいということが第一の理由だったと思います。

 そういうことも考えると、私は、もちろんそうした人材を登用していくことは大事ですが、やはり、限られた予算の中でやっていく、そうしたことが独立行政法人をつくったそもそものところでもあると思うんです。ですから、そこはしっかりと、バランスという言葉は余りにも曖昧かもしれませんが、やはりそこは大きな見地で考えていただきたいと思います。

 そういうことで申し上げますと、役員の報酬についてお伺いをしたいと思います。

 何も私は、報酬を下げろ下げろと、その方の能力に応じた報酬というのはきちっとあるべきだとは思います。ただ、それも、今申し上げた限られた財源の中でそれぞれの人にしっかりと働いてもらう、そういうことでいうと、定年制もそうですし、また報酬のことも、ある意味、これは全体の中でしっかりとしたある種の抑制も持っていかなくてはならないと思うんです。

 そういう意味では、民主党案では、役員の報酬等について、中期目標行政法人の「役員に対する報酬の額は、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬その他の事情を勘案して内閣総理大臣が定める額を超えてはならない。」と上限設定を定めているが、運用面においても役員報酬について上限の設定を求めないのか、お聞かせをいただきたいと思います。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の役員報酬につきましては、これまで、平成十九年の閣議決定である独立行政法人整理合理化計画において、法人の長の報酬は事務次官以下とするとされ、これが各法人一律の上限となってまいりました。

 一方、各法人は、業務内容、法人規模など、それぞれ異なる特性を有しておりますことから、こうした画一的な方法では法人が必要な人材を確保できないおそれがあるとの指摘もなされてまいりました。

 今回の改革では、法人の自主性、自律性やインセンティブの仕組みが最大限機能するよう、一律的で過度に厳格な運用は見直すこととしており、この役員報酬につきましても、これまでの取り扱いを改め、法人の事務事業の効果的、効率的な実施に必要な場合には、法人及び主務大臣が十分に説明責任を果たすこと、これを前提にした上で、必要があれば法人の長の報酬を事務次官以上とすることも可能にする、そういう見直しをしたところでございます。

 このように、今回の改革では、説明責任の上で役員報酬の柔軟な取り扱いを可能にすることとしたものでありまして、その上に何らかの上限をかぶせるというようなことは、そのような規定を法案には盛り込んでおらず、運用面においてもこのようなことは考えておりません。

近藤(昭)委員 改めて民主党案提出者にもお聞きしたいと思いますけれども、多分そこは、柔軟な運用とおっしゃいますが、私はやはり、逆の意味でいうと、先ほど、年齢にかかわらず、本当に能力を持った、あるいは経験を持った人を登用していくということも、ある種の幅で考えるならば、やはり役員報酬については、上限を設ける中で、その中で、逆に言うと、いいとは申し上げませんが、年齢の高い方も雇用していく、しかしそれは大きな枠の中ではしっかりと上限を設けていくんだ、こういうことが必要ではないかと思いますが、民主党案提出者、いかがでありましょうか。改めて、民主党案、野党案で出ている考え方。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 上限はしっかりと設けるべきだと思いますし、例えば、非常にこの人でなければならないという方を高額でどうしても招聘したいというような特別なケースは、そういった特別なケースはそういう上限を特別に定めればいいわけであって、いろいろなことを考えながら上限を定めることができるような規定になっておりますので、例えば、役所のOBの方なんかのイメージとノーベル賞級の方を連れてくる場合のイメージというのは、若干違ってもいいと思うんですね。ですが、そういった特殊なケースがあり得るから上限を設定しないんだとして、結局、その他多くの方々もそこに引きずられて上限なきままに高い報酬になってしまう可能性があるというのは、本末転倒ではないかというふうに考えます。

近藤(昭)委員 よく趣旨がわかりました。私も、そういう、本当に難しい厳しい時代でありますから、柔軟性を持って、しかし、そこはやはり全体のバランスといいましょうか、一つの一定の歯どめと申しましょうか、そういうものが必要なんだと思います。

 さて、次の質問に行きたいと思いますが、不要財産の国庫納付についてであります。

 独立行政法人は、毎事業年度、財務諸表を主務大臣に提出し、承認を受けるに当たっては、「独立行政法人の保有資産の不要認定に係る基本的視点」、平成二十四年一月の二十日行政管理局改定に基づいて不要財産とみなされたものについては、毎年度、毎年度であります、国庫納付すべきと考えますが、いかがでありましょう。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 「独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。」と法律上されておりまして、独立行政法人の保有資産につき、国庫納付を念頭に不要財産か否かの判断をする際には、御指摘のとおり、総務省の通知、保有資産の不要認定に係る基本的視点に沿って、法人の業務にとっての必要性を個々に勘案する必要がございます。

 その上で、不要財産と判断されたものであって、当該財産が政府からの出資または支出を原資として取得したものである場合には、遅滞なく、主務大臣が財務大臣に協議の上、認可をし、国庫に納付することとされております。

 このため、御指摘はおおむね妥当なものというふうに考えておりますが、技術的な点を申し上げますと、このような不要財産の認定等は随時行われ得るものでございまして、必ずしも財務諸表の承認時に限定する必要はございません。

 他方、国庫納付というものは、個々のケースによっては、合理的な理由により事務処理に一定の時間を要するものもございまして、御指摘のありました毎年度国庫納付というものが、仮に、判定と同事業年度内に国庫納付するという意味であるならば、そこまでの義務づけは、若干対応困難になろうか、そのように思っております。

 いずれにいたしましても、各法人、主務大臣において、既に不要となっている資産が独法内に留保されないよう、不断に不要保有資産の状態を確認するなど、適切に対応することは必要と考えております。

近藤(昭)委員 困難な状況があるという御説明もありましたが、やはり私は、技術的と申しましょうか、そうしたものを超えてというか工夫をして、毎年度国庫納付していく、それがわかりやすい透明性を生んでいくんだと思います。

 それでは、ちょっと時間が限られていますので次に参りますが、独立行政法人の統廃合の組織の見直しに当たっては、原則として、政府の責任において当該法人職員の雇用を確保すべきと考えますが、いかがでありましょう。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 独立行政法人がその政策実施機能を十全に発揮する上で、各法人の職員が誇りと使命感を持って働くことができる環境整備は不可欠であります。

 その観点から、昨年末の改革基本方針の閣議決定においても、改革を推進するに当たっては、独立行政法人で現在働いている職員の士気の向上や雇用の安定にも配慮する旨を盛り込んだところでございます。

 こうした前提に立ちつつ、職員一人一人が自発性、創意工夫を大いに発揮し、各法人が経済成長や国民生活の向上に最大限貢献できるよう、しっかりと改革の実現を図ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 それは、雇用を確保すべきかということについては、どういう考え方なんでありましょう。

市川政府参考人 組織見直しにおける法人の職員の雇用につきましては、民主党政権下で行われました二十四年の閣議決定においても、昨年末の改革基本方針の閣議決定と同様、独立行政法人の職員の雇用の安定に配慮するという旨を盛り込んでおりまして、それ以上に踏み込んだ考え方を示されてはいなかったというふうに承知しております。

 私どもも、今の立場は、独立行政法人の職員の雇用に配慮するというものでございます。

近藤(昭)委員 さまざま、体制といいましょうか状況が変わっていく中であります。そういう中で、働く人たちが、もちろん諸条件があるわけでありますが、翻弄されないようにお願いをしたいと思います。

 それでは、職員の給与についてであります。

 独立行政法人の職員の給与等は、自主性及び自律性の発揮という制度本来の趣旨並びに職員に適用される労働関係法制度に基づき、法人の労使交渉における決定に基づき対応すべきと考えますが、いかがでありましょうか。

稲田国務大臣 独立行政法人の職員の給与は、独法通則法に定める支給基準を設定する際の考慮事項に基づき、労使交渉を経て各法人が自主的、自律的に定めてきたものというふうに承知をいたしております。

 今回の通則法改正においては、職員の給与の支給基準を設定する際の考慮事項に関する規定を改正し、第五十条の十において考慮事項の明確化を図ることといたしております。

 ただし、通則法の規定はあくまでも考慮事項を規定しているものであり、個別法人の給与の具体的な支給基準については、これまでと同様、労使交渉を経て各法人が自主的、自律的に定めていくものというふうに理解をいたしております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 さまざまな課題もある、そういう中で労使でしっかりと交渉するというシステムで行っていただきたいと思うわけであります。

 さて、改めて、民主党案の中の一つの大きな目的として、透明性を担保していくんだ、こういうところがすぐれている、こういう言及が提出者の方からありました。

 さて、それでは情報公開についてお聞きをしたいと思います。

 情報公開については、事業部門、間接部門別職員数、公務員OB再就職先との取引状況、会費等契約によらない支出の状況、交付金の使途や資産保有状況にかかわる情報等を含め、各法人のホームページ等々で自発的かつ定期的に行うべきであり、さらに総務省は、これらの情報を総括的に、わかりやすくホームページで閲覧可能とすべきと考えますが、いかがでありましょう。

新藤国務大臣 今回の独法改革において、昨年十二月に閣議決定を行いました。「これまでの一律的で過度に厳格な運用を見直し、弾力化することと併せて、法人の業務運営や財務状況等の透明性を向上させるため、国民に分かりやすい形での情報公開の充実、すなわち「見える化」を推進する。」このようにされているわけであります。

 これまでも、各法人に関する情報の公開を進め、総務省においても、総務省ホームページ、e―Govというのがございますが、そうしたところで総括的な情報開示を進めてきたところでありますが、今般の独法改革を受けまして、さらにわかりやすい形での情報公開という観点から、各法人におけるさらなる取り組みを促すとともに、インターネットによる情報の総括的な提供なども含めて、今後、情報公開の充実を図ってまいりたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 大臣、どうもありがとうございます。

 つまり、図っていくということで、可能としていくということの理解でよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 このたび、長年課題となっておりました独法改革、独立行政法人改革の通則法の審議、いよいよ佳境を迎えているということでございまして、稲田大臣そして事務局の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。

 各論に入る前に、独立行政法人はどういう経緯でこれまで制度が導入されてきたかと申しますと、九七年に最終報告があって、二〇〇一年から導入をされたいわゆる橋本行革、この中央省庁の再編の大きな文脈の中で独立行政法人についても整理が行われて、今の制度が導入されたということでございます。

 今私たちは、ここでは独法の話をしているわけですけれども、一方では内閣府、内閣官房のあり方、当時の、省庁再編によって縦割り行政を打破していこう、横串をしっかり刺すことによって、一方では行政の専門性を担保すると同時に、総合調整の機能も強化していこうということが橋本行革の高い理念だったと思うわけですけれども、十三年を経て、いろいろと今日的な課題も見えてきた。そういう中で、一方では、与党におかれても内閣府、内閣官房のあり方を議論されていると思いますし、また、菅長官も何度か言及をされておられます。

 そうした中で、全体像を持ってちょっとこの議論をさせていただきたいんですけれども、稲田大臣が橋本行革を、どういう意義を感じておられるか、そしてまた、今日的な課題として、どういう新たな課題として認識されているか、全体像をお聞かせいただきたいと思います。

稲田国務大臣 私は、橋本行革が示していた理念、そしてその改革の方向性を承継していくべきだというふうに考えております。

 最近の行革といえば、ややもすれば、無駄排除、人員の削減というところに重点があり、それはそれで、もちろん国民の政治に対する信頼を回復する上で大変重要だというふうに思っておりますが、橋本行革がそうであったように、本来の行革というのは、将来のあるべき姿というものを議論して、そのための改革を進めていくものであるというふうに考えております。橋本総理は変革と創造、私は伝統と創造なんですけれども、さまざまな改革の中で、この行政改革というのはその中核を占めるべきものであるというふうに考えております。

 そして、その意義としては、橋本行革において、内閣、官邸機能の強化と中央省庁の行政目的別の大くくりの再編を行い、従来の一府二十二省庁が一府十二省庁に再編をされた。また、行政における企画立案部門と実施部門を分離し、企画立案部門の能力を向上させる一方、実施部門に独立の法人格を与えることで業務の効率性と質の向上を図るため、独立行政法人制度が導入をされました。この改革によって、総理主導、官邸主導による行政の仕組みが整えられたというふうに理解をいたしております。

 橋本行革の、この国のあり方、改革のためには政治がリーダーシップを発揮する、そのために、内閣の機能強化、そして行政の縦割りの弊害を排するということは非常に重要であると思っております。

 御党の賛成も得て先月成立をいたしました国家公務員法改正法は、内閣人事局のもとで内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現し、縦割り行政の弊害を排することができ、こうした取り組みをさらに強化するものというふうに認識をいたしております。

 独法制度については、この発足後から十年以上がたって、さまざまな課題が明らかとなってきて、このため、制度本来の趣旨に立ち戻って、法人の政策実施機能の最大化を図りつつ、官の肥大化防止、スリム化を図る観点から、改革の集大成として、制度、組織両面で抜本的に見直しを行うこととして、今回の法案の提出に至ったものであります。

 他方、御指摘のとおり、内閣官房、内閣府にさまざまな事務が追加されてきた結果、業務が肥大化して、意図してきた本来の機能を発揮しにくくなっているのではないか、そういう課題もあろうかというふうに思っております。

 橋本行革が掲げた改革の理念は今日でもいささかも古くなっておらず、まだ改革の途上であり、行政改革というものを不断に進めていかなければならないという認識のもとで今回の法案も提出させていただいているところでございます。

津村委員 大臣は一番冒頭に、橋本行革の理念は大臣として承継していくというお話をされましたし、今、最後も、いささかも理念が古くなっているものではないというふうにおっしゃったんですが、実際には、いろいろな形で、もともとは縦割り行政を、横串を刺すという話から始まっているわけですけれども、残念ながら、内閣府あるいは内閣官房の中にさまざまな本部ができて、それごとに、前回、内閣委員会の議論でその話はさせていただいたんですが、ある本部は伝統的にある省庁が事務局をずっと務めているとか、こちらはずっと同じ参事官が同じ出身官庁で務めているとか、ある意味では内閣府や内閣官房の中に各府省の出先といいますか、植民地といいますか、そういうのがどんどんできてしまっている。

 例えば、三月に、維新の会の杉田さんの質問だったんですけれども、各府省との併任者はどうなっていますかという質問に対して、平成十三年には二百二人だったものが、平成二十四年には五百七十四人と、約三倍にふえていると。

 私が申し上げたいのは、大臣は先ほど、内閣府、内閣官房の肥大化ということについて触れられて、これを効率化、スリム化していく必要があるということをおっしゃったんですが、規模的にそれをスリム化していく、効率化という意味ではいいことかもしれませんけれども、私は、むしろ内閣府、内閣官房の機能が低下してしまっているんじゃないか、横串機能が十分発揮されていないのではないかという趣旨で質問をさせていただいているので、数を減らしますというと、余計何か機能が落ちていくように思うんです。

 確かに、たくさんの会議体があり過ぎて、大臣や副大臣の兼務が多過ぎて、その結果、政治主導、先ほど政治的リーダーシップとおっしゃいましたけれども、それが発揮しにくくなっている。そこをスリム化することで機能を強化しようという方向はわかるんですけれども、もう少し、スリム化、効率化というダウンサイジングではなくて、機能を強化する前向きな検討というのはされていないんですか。

稲田国務大臣 全く認識は一致をいたしております。単にスリムにするとか人員を減らすとか、そういうのが本来の意味での行革ではなくて、また、内閣府、内閣官房、内閣の機能を強化するという意味での省庁再編の理念というものを最大限発揮していかなければならないと思います。

 その意味において、今回、内閣人事局をつくって人事における横串を刺すというのは、まさしく先ほど委員が御指摘になった、このポストはこの省から来る者であるというような固定的なポストを廃するという意味も含まれておりますので、そういった人材戦略等も含めて、機能強化に努めてまいりたいと思います。

津村委員 内閣人事局のトップに政治家の方がつかれるという報道も出ているようですが、ぜひその趣旨を貫徹していただきたいというふうに思います。

 もう一つ、それに関連して、内閣府の採用、そして人事について伺いたいんですけれども、やはり内閣府や内閣官房が十分に調整機能を発揮していくためには、そこに優秀なプロパーの職員の方がおられるのが非常にいいと思うんですね。他省庁から来た方がトップを占めていらっしゃったら、どうしてもそこは、先ほどの植民地という話ではありませんけれども、出身官庁にある程度影響されるんじゃないかということを、第三者から見ると懸念するわけです。

 そういう意味で、内閣府にどういう人材が集まってくるかというのは非常に重要だと思うんですが、残念ながらというか、内閣府の構成が、経済財政だとか科学技術、防災、沖縄といったふうに、あるいは食品安全、消費者庁という形で、ある意味では、非常に、専門性という意味ではばらばらなものですから、これをやりたいから内閣府に入るという、新卒の方がイメージを持ちにくい。あるいは、インセンティブというか、これをやるから内閣府に入るというイメージが持ちにくいという構造的な問題があるんじゃないかと思うんですけれども、そこはどういう工夫をされていますか。

稲田国務大臣 私が内閣府における人事管理についての権限を有しているわけではないんですけれども、所感を申し述べますと、内閣府の役割、知恵の場として、内閣官房の戦略機能を助けて横断的な企画調整機能を行うという内閣府の機能に着目した人材というものが必要であるというふうに思います。

 したがいまして、旧経済企画庁時代とはその担うべき役割は大きく異なっていて、経済財政政策のほか、男女共同参画、防災など、国政上の重要な多くの業務を担っております。

 また、業務の性質上、他省庁、民間からの出向者、併任者も多く、内閣府採用職員はプロパー職員として、人事管理等で中核的な役割を担うことが期待をされているというふうに思います。

 このようなことから、高度な専門性、多様な業務に対応できる柔軟性を兼ね備えた人材を採用、育成できるようにしていくことが必要であるというふうに考えております。

津村委員 同様に、採用人事については、二〇〇一年にできた各府省でさまざまな試行錯誤をされていると思うんです。

 新藤大臣に伺いたいと思いますけれども、総務省、これはいろいろな経緯があったと聞いておりますけれども、自治省と郵政省、総務庁、どれだけ仕事が近いのか、関連があったのかよくわかりませんが、一つの省になった。採用も大変だと思うんですよね。例えば、技術職については情報通信、統計、消防というふうに区分して採用されているようですし、そういうことは技術職ですからあるのかなという気がするんですが、事務系について、インターネットなんかで霞が関の官僚志望の方々がいろいろブログとかを書いていたり、官庁訪問の情報交換をしているようなものがあるわけですけれども、人気官庁の一つとして総務省自治分野というのがあって、そういうワーディングで出てきます。

 総務省の事務職というのは、一つの採用体系にはなっていないんですか。

新藤国務大臣 総務省においては、平成十三年の発足以来、総務省職員として一括して新規採用を行っておりまして、そういった事務系の採用区分を分けているわけではございません。

津村委員 なぜ総務省自治分野というふうに称されているんだと思いますか。

新藤国務大臣 採用においては一括採用で、ですから、そのときに、旧省である自治、郵政、それから総務庁、それぞれに枠を設けているわけではないわけであります。本人の希望とそれから適性、そういったものを踏まえて一括採用する。

 しかし、仕事としては、旧自治系の部門とテレコム系の部門、また総務系と、これはそれぞれ系統がありますから、主に、それは本人の希望であり、また適性を見るということでありますが、私どもの中にそういう分野があるわけでありますから、そこについての専門性を持った職員を育てていく。

 また、私とすれば、総務省全体として、他分野というか、ほかの課の仕事についても関心を持つようにという意味での人事交流などはやらせております。

 しかし、もともとの仕事が幾つかに分かれておりますから、その中で便宜的にそういう言葉が使われているんだろうと思いますが、我々は、採用区分の中でそういったものは設けているわけではないということであります。

津村委員 総務省を悪く言いたいわけではなくて、どこの役所でも専門性、多岐にわたることはありますし、あなたは主にどういうことをやりたくてうちの役所に来たんですかということは面接で当然聞くと思いますので、ある程度の得意不得意が出てくるのは当然だと思うんですが、外から見ると総務省は特にその色彩が強い印象を受けたものですから、あえて問題提起をさせていただきました。

 なぜかといえば、自治分野というのは総務省の中でも数も多いんでしょうし、そういうわけで人気官庁として出ていましたから光が当たる分野なのかもしれませんが、そういう採用にツートラック、スリートラックということがもしあれば、やはりモチベーションにかかわってくるとも思いますので、そこはぜひ大臣として、これから採用の時期になります、来月、再来月が非常に大事な時期だと思いますが、まさに政治家としてしっかりと目を光らせていただきたいということで取り上げさせていただきました。

 続きまして、独法の話に入ってまいりますけれども、まず後藤田さんに伺わせていただきます。

 今回、独立行政法人改革の中で、新たに一般研究開発法人という類型ができました。そこで、総合科学技術会議が新しい役割を担うことになるわけですけれども、総合科学技術会議は一昨日、五月十九日に、今国会で成立した内閣府設置法の改正によって、総合科学技術・イノベーション会議に衣がえをしたと思います。体制はどのように変わったんでしょうか。

後藤田副大臣 お答えをいたします。

 まさに司令塔機能強化ということで、先般も委員会でも御質問をいただきましたけれども、総合科学技術・イノベーション会議ということになりましたが、体制につきましては、人員ということだとは思うんですけれども、人員については、事実関係としては、人数は変わっておりません。

 あと、中の、出身の省庁等々、そこでプラスマイナスはございますが、前と後では事実関係としては人数は変わっておらないというのが現状でございます。

津村委員 予算とかマンパワーとか、そういうリソースを限られた中でどう割いていくのかというのが政治的リーダーシップだと思いますし、それがその政権のその分野への力の入れようをあらわしているんだと思うんですが、今回、大仰に法律を変えて、名前も変えて、新しく総合科学技術・イノベーション会議を立ち上げたけれども、一昨日看板を入れかえただけで、人員は何も変わっていないというのは、重要性は増していないということなんですか。

後藤田副大臣 お答えをいたします。

 委員も総合科学技術会議の応援団として、いろいろな意見をいただいております。

 まさに、おっしゃるように、独法の改革の基本方針、昨年の閣議決定におきましても、研究開発成果の最大化ということで、これが第一目標が達成できるようにする、そういう必要な考えのもと、まさに独法通則法におきましても、総合科学技術・イノベーション会議が研究開発等々の指針の案をつくるほか、主務大臣が策定する目標の管理、また目標期間の終了時の見直し等々、こういったものをチェックしていくわけでございますが、まさにまだお恥ずかしい状況ではございますが、これから、前回の委員会でもお答えをいたしましたけれども、さらなる事務局体制の強化が求められていることは委員のおっしゃるとおりでございますので、それに対応できるように、産学官の協力を得ながら、体制整備をしっかり行っていきたいと思います。

津村委員 今私が質問を差し上げたのは、既に成立した内閣府設置法改正の話ですが、今回、さらに加えて、この独法改革によって、総合科学技術会議、総合科学技術・イノベーション会議の役割はさらに付加されるわけです、プラスアルファ。

 これからは、研究開発法人の指針作成に当たって、さらに先ほどの話プラスアルファで体制を強化していくというお考えはあるんですか。具体的には来年の定員の議論だと思うんですけれども、プラスアルファ何人程度、増員を考えていらっしゃいますか。

後藤田副大臣 委員御指摘のように、今回の法律では、研究開発法人につきまして、民主党案は総科が目標、評価に意見を述べるということになっておりますが、我々は、今まさに人員の問題もございます。

 総科・イノベーション会議が、私どもの法案では、いわゆる一般的な国立研発法人につきましては、目標及び評価の指針案の作成にとどめます。一方で、特定の国立研究開発法人につきましては、目標及び評価にみずから意見を述べて強く関与するというところで、まさに先ほどの御議論のように、司令塔強化の中で、特定国立研発についてはしっかり関与していくということでございます。

 もちろん、やはり人員の問題、事務負担の増大ということもございますけれども、研究開発法人の中には、国交省の所管の例えば建築研究所だとか土木研究所だとか、いわゆる建築基準、基準を研究するようなところもございます。そういうところに総合科学技術会議という司令塔機能を、まさに国家戦略を考えるところが一つ一つ関与するというのは、本来の役割とはいささか違うのではなかろうか、このように思っております。

 ただ、特定国立研究開発法人につきましては、目標策定におきましても、事後評価につきましても、今の体制をまずは維持しながら意見を述べていくということでございますが、必要があればその強化に努めてまいりたいと思います。

津村委員 後藤田さん、今、土木研究所等の例を出して、総科・イノベーション会議は、大局的なものを考えるのであって、一つ一つ、各省所管の小さいものに手を出すわけじゃないということをおっしゃいましたが、後藤田さんや山本大臣がされていることは、僕は逆だと思いますよ。

 SIPとかもそうですけれども、自分たちで、三百億、五百億という、全体から見たら本当に微々たる予算を手元に置いて、そこをいじくって、何かリーダーシップを発揮していると胸を張られますけれども、そんな五百億や六百億の話を、わざわざ総科のあの限られた人員で事業官庁のまねごとをしなくたって、全体としてしっかりとした大局的な指針を示されればいいわけですから、今そうおっしゃったんですから、ちょっと、おっしゃっていることとやっていることがちぐはぐだと僕は思います。

 逆に、パイロットといいますか、プロジェクト的に五百億に非常に意味を持たせるのであれば、それはそういうやり方もあるかもしれませんが、今回のやり方はそれとはまた違うやり方になっちゃっていると思うんですけれども、いかがですか。

後藤田副大臣 委員は、まさに新しい司令塔機能につきましても本当に御支援いただいているお立場だと思いますし、内閣府の中でもお仕事された御経験からのお話で、大変おっしゃるところもよくわかるわけでございますが、前回の委員会でも御答弁させていただきましたように、例のSIPにいたしましても、これはまず第一歩として、いわゆる科学技術政策を一つにまとめたところでございまして、五百億程度では司令塔機能としてどうなのか、これはまた、まさにおっしゃるとおりでございますが、その第一歩を踏み出したということもございます。

 そしてまた、さまざまな総科、またイノベーションの役割というものもこれからたくさんふえてくることが想像される中で、それはまた査定当局等とも我々は真剣に議論をしながらやっていきたい。まさに、今いわゆる行政改革の中でも、総人件費の抑制等々、そういった観点、切り口もある中で、なかなか人員をふやせないという中で、戦略的な国家戦略につきましては、しっかりその点を主張しながら、委員おっしゃる方向に向けて努力はしてまいりたいと思います。

津村委員 独法の話に戻りたいと思いますけれども、民主党の提案者後藤さんに一つ伺った後、稲田大臣に伺いたいと思います。

 二つの、閣法、衆法があります。これで、研究開発法人に対する姿勢というところで、どう違うのかということを、これは先週金曜日の内閣委員会で、たしか維新の会の杉田さんが御質問になったときに、大臣そして後藤田副大臣は、研究開発法人というのを政府案では一つ類型とし切り出しているんだ、それが民主党と違うんだ、自分たちは研究開発法人に手厚いんだということをアピールされたわけです。

 私は、先ほどの人員の話を見ても、名前はそうかもしれないけれども、実態としては、民主党、みんなの党案に比べて、研究開発法人への支援の姿勢が薄いというふうに思うんですけれども、ぜひ反論していただきたいんです。

 まず、後藤提案者に伺います。

 民主党案の研究開発法人への手当てといいますか、どういう形で支援をされるのか、簡潔にお願いいたします。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 形式としては、我々は二つに分けておりますけれども、その中で、研究開発法人だけに適用されるルールについての規定もございますので、政府案に比べて、我々がそこについて軽視しているといういわれは全くないと思いますし、むしろ、そこの差はほとんどないものだというふうに考えております。

 ただ、細部というか個別論において随分違うところがありまして、一つは、研究開発法人の目標期間は、我々は、三年から七年の間で定められるという意味で、より柔軟な目標期間の設定が可能になっているということ。

 あとは、研究開発法人の長及び監事の任期について、政府案は目標期間と同じ期間となっておりますが、我々の案では三年から五年ということにしておりまして、目標期間の方がこれらの任期より長い場合には、目標期間の途中段階で法人の長や監事の任期が到来することになって、それまでの評価を踏まえた人事がその後可能になる、こういう点があると思います。

 あと、一番大きな点としては、今少し御議論がありましたが、総合科学技術・イノベーション会議の関与のあり方であります。

 今回出ている政府案より前に我々の案というのはもともとできていたわけでございますけれども、これは、主務大臣が個別法人の中期目標を定める際に、あらかじめ総合科学技術・イノベーション会議の意見を聞くということになっておりまして、これによって、会議が個別法人の目標策定に関与して、国全体の科学技術イノベーション政策の推進を個別の分野で的確に図るということが可能になると考えます。

 政府案では、会議は、独法全体に適用される目標、評価に関する指針のうち、研究開発業務についての指針案を作成するということになっているだけでございまして、個別法人の中長期目標そのものに会議が関与する規定はございません。これでは、個別法人の目標が国全体としての研究開発成果の最大化の観点から適切であるかどうか、十分に確保されないおそれがあると思います。

 ですが、我々の案が成立した場合には、個別の法人の目標に対して会議が意見を言うわけでございますから、当然、事務方としての強化も必要になってくるものと考えます。

津村委員 今の後藤提案者の話を聞いて、改めて、民主党、みんなの党案の方が研究開発法人に対して強いサポートになるのではないかと私は考えるんですが、稲田大臣あるいは後藤田副大臣、いかが反論されますか。

稲田国務大臣 今回の政府案におきましては、国立研究開発法人という一つの類型を特出しをいたしております。

 これは、やはり、研究開発の重要性、研究開発法人の重要性というものを一つ特定の法人の類型として出したところに意義があると思います。その目的は、研究開発の最大限の確保を目的としておりまして、目標期間は五年から七年、そして目標に研究開発の成果の最大化に関する事項を置いております。また、研究開発審議会が主務大臣を支援し、総合科学会議が指針を作成し、法人の長の任期の特例等を設けることによって、我が国の科学技術水準の向上、経済社会の健全な発展に資するというふうに考えて、今回の法案を提出しているところでございます。

津村委員 今のお話を聞いても、やはり先ほどの後藤田さんとの議論もそうですが、総合科学技術会議にイノベーションという名前をつけてみたり、あるいは今も、新しい類型として名前だけ切り出してみたり、名前を変えても実態が変わらなかったら、何も変わらないと思いますよ。安倍政権のやり方かもしれませんけれども、ぜひ裏づけのあるチャレンジをしていただきたいというふうに思います。

 最後、一問だけさせてください。

 先ほど、六十五歳以上、七十歳以上という、原則の定年を超える数字が出ていました、十四人と七十三人だったと思いますが。私たちは、公募ということに非常に着目というか、公募を導入するべきだということを重ねて申し上げているわけですけれども、この定年を超えている方々の中で公募で採用された方というのはどれだけいらっしゃるんですか。通告させていただいていると思います。

稲田国務大臣 平成二十六年四月一日現在の独立行政法人の役員のうち、六十五歳以上の理事、監事、七十三ポストで、公募実施ポストはいらっしゃいません。また、七十歳以上の理事長、副理事長、十四ポストで、公募実施のポストの方はいらっしゃらないというふうに聞いております。

津村委員 やはり人事ですからいろいろなケースがあると思いますので、画一的な議論をするつもりはありませんけれども、そうやって例外をつくられるのであれば、公募のような、一般国民にわかりやすい仕組みの上で例外を進められるべきではないか、そういう意味でも公募制というのは非常に重要ではないかということを問題提起させていただいて、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合です。

 本日は、三十分間というお時間をいただきましたので、独法のあり方ということで質問をさせていただきたいと思います。

 過日、私は、日本維新の会の国会議員団女性局で、私の地元大阪・吹田市にあります独立行政法人の国立循環器病センターを視察いたしました。最先端の医療機器の数々、それを駆使するハイレベルの医療関係者に感服し、また、その中でも、最初のオリエンテーション時に多くの女性幹部が同席をしてくださっているのに驚くとともに、大変感激をいたしたところでございます。

 国立循環器病センターは、一九七七年の設立以来、ナショナルセンターとして大きな役割を果たしてきましたが、二〇一〇年四月一日から独立行政法人国立循環器病研究センターに再編され、循環器疾患の最先端の医療と研究にさらに今までよりも強く発展、展開をされております。

 そして、その視察の際に、独法になって一番大きな変化は部長級セクションへの女性登用が大幅に進んだことだ、このように御説明をいただきましたので、独法改革を進める当初、独法化することのメリットとして優秀な人材が確保できると挙げられていたのを、今さらながらに思い返しておりました。

 独立行政法人の制度の創設以来、ほかの独法でも若手の管理職の登用や女性の管理職の登用は同様に進んでいるというふうに信じておりますが、独法が制度化された十五年前と今とでは、女性の社会進出率や社会情勢も全く異なっているのも事実だと思います。

 国循の女性役員の話では、今や、時代の流れで、国家公務員も、世界でも同じなのかもしれませんが、独法になる前と現在の女性管理職や代表者の数や割合をお伺いしたいと思うんですが、比較するのは難しいと思いますので、二十年前の一九九四年ごろと現在の女性国家公務員の課長、室長級以上の数と割合をお聞かせいただけますでしょうか。

    〔高木委員長退席、柴山委員長着席〕

大下政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの二十年前と現在の女性国家公務員の課長、室長級以上の職員の在職状況でございますが、平成七年三月時点では、行政職俸給表(一)及び指定職俸給表の適用を受ける職員のうち、本省課室長相当職以上の女性職員の人数は八十三名、割合は〇・九%でございましたが、平成に入りましてから、採用者に占める女性職員の割合がふえている状況にもありまして、平成二十五年十月の現在では、本省課室長相当職以上の女性職員の人数は二百八十七名、割合は三・〇%となっております。

上西委員 わかりました。

 今御答弁いただいたところによりますと、大幅に女性の登用数がふえているということで、本当にこのようにしっかりと女性の活躍の場を確保いただいているのだなということで、本当にありがたいことだなと思っております。

 また、女性の採用数、総合職における女性の採用数割合というものもしっかりとふやしていただく、こういったこともお願いするとともに、まだ、私の周りの公務員の方々からお話を伺いますと、産休だったり育休だったり、こういった制度がとりにくいというふうに感じていらっしゃる方も現実にいらっしゃいますので、ぜひ、女性が働きやすい環境づくり、精神面のこともあると思いますが、こういった環境改善ということにぜひ御注力をいただきたいというふうにお願いを申し上げまして、次に参りたいと思います。

 私は先日来、消費者問題に関する特別委員会で、国民が悪徳商法の被害に遭ったり、各種食品の摂取で健康被害に遭ったときなどの最も身近な相談窓口である独立行政法人国民生活センターの重要性を述べさせていただき、その中で、国センの外部委託業務の余りにもずさん、そして不透明さを数点質問させていただきました。

 例えば、例を挙げさせていただきますと、土日休日にも開放されている国センの土日祝日消費生活相談業務は、制度が始まって以来ずっと、入札に応札し落札をするのは常に決まって公益社団法人全国消費生活相談員協会で、国センと全相協間では人事の交流も非常に盛んに行われており、契約金額は、私が常識的に積算をさせていただくよりも格段に高い。

 こういった点は、国センの理事長のほか全相協の専務理事からも御答弁をいただいておるところでございますが、両者の御答弁にはかなりの食い違いがあり、委員会で私が質問させていただけばさせていただくほど、実際の真相はどうなのか、事実はどうなのかと、実際に疑問がどんどん湧いてくるありさまでございます。

 松本参考人の、契約金額の積算方法や土日祝日相談業務の内容などについて、こういった御答弁、御説明もいただいておりますが、これも質問の回を重ねるごとに随分と変遷をしております。このあたりに関しまして、今までの質問を振り返りましてどのように思われているのか、率直な御所見を最初にお聞かせいただきたいと思うんです。

松本参考人 委員に対して私の発言がやや曖昧な印象を与えたということに関しましては、おわび申し上げます。私は、従来、昨年まで大学教授をやっておりました関係で、こういう場は初めてだということもございまして、言葉遣い等、誤解を与えるような表現を使った可能性がございますが、おわび申し上げます。

 とりわけ、緊急避難的という表現を最初の委員会で使わせていただきまして、非常に軽微なものである、すなわち、電話がかかってくれば、わかりました、では、あしたここに電話してくださいと言えばいいというような印象を与える表現だったという点は反省をいたしておる次第でございます。今後気をつけたいと思います。

上西委員 今、緊張して曖昧な印象を与えてしまったというふうに御答弁をいただきました。それは、こういう場に立つ、私も最初のころ緊張いたしましたので十分にわかるんですけれども、ただ、私が聞いているのは事実でございますから、もちろん、御答弁も御用意をいただいておる上で御答弁をいただいている。事実をお伺いしているわけですから、これに対してはきっちりとしたことで御答弁をいただきたい。

 そして、私も実際に現場の方々から、現場で御勤務されている方からいろいろ現状をお伺いしていますが、御答弁と現状が違っている、こういったこともありますので、ぜひきょうは、しっかりと、そういった懸念を払拭できるように、正しい、事実に基づいた御答弁をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 今回独法の制度や組織の見直しをする背景には、主務大臣や監事による法人の外部、内部のガバナンスが不十分になりやすいという組織規律の問題と、運営費交付金の使途が不透明で無駄や非効率な業務運営が生じているという財政規律の問題が大きいと言われていますが、国センの現状は、率直に申し上げて、よくぞここまで野放しにされたなと実際あきれ返るぐらい、末期的な状況だと断ぜざるを得ません。

 私の質問が実際に新聞報道されたりしましたので、全相協の会員である消費生活相談員の方や国センの関係者の方から、先日のあの答弁者の説明はおかしい、中には、あの答弁は虚偽だと断言される内容のお手紙やお電話を頻繁に事務所の方にいただいております。

 先ほど申し上げましたが、そのような疑念をきょうこそ払拭するために、本日は、明確で、そして国民の皆様にも御納得をいただける正しい御答弁、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 まず最初に、土日の相談電話回線数についてお伺いをいたします。

 以前も、何度も十六回線と御答弁をいただきまして、そして、かつ、その内容を報告書にまとめなくてはならないので、相談員は大変な時間とスキルを要するのだというふうに御答弁をいただきました。

 しかし、平成二十四年度、この事業での相談件数は年間九千百七十七件と公表されています。それを、御答弁等で聞かされたとおり年間稼働日が百十一日だとすれば、一日平均八十二・六八件。電話は十六回線ですから、電話一本で平均五・一七件の相談しか受けていない計算になります。

 そうすると、御答弁とは逆に、むしろ十六回線では多過ぎるのではないか、このように私は考えるわけなんですが、いかがお考えでしょうか。

松本参考人 国民生活センターの土日祝日消費生活相談業務は、土日祝日に相談窓口を開設している消費生活センター等が限られているということから、全国共通の消費者ホットラインに寄せられました相談のうち、土日祝日に開所されている消費生活センター以外の地域にお住まいの消費者からの相談を広く受け付けております。

 回線数でございますが、平成二十六年五月までは十六回線でございます。ただし、外部からの受け付け用はそのうちの十四回線でございます。でありましたが、当センターの厳しい財政事情等を踏まえまして、平成二十六年六月からは十二回線とする予定で仕様をつくっておりました。

 なお、仕様書では、必要に応じて回線数等の変更ができるようにしておりますので、回線数の削減によって、土日祝日に相談窓口を開設している消費生活センター等が限られているために実施しておるこの業務という趣旨に支障が生ずるという事態が生じましたら、回線数をふやすなど、適切な回線数を確保してまいりたいと思っております。

上西委員 今いただいた御答弁でも、これまでの質問と比較しますと、本当に、何だかなというような感じなんですけれども。今御答弁いただいたとおりですと、今予算の都合もあるとはおっしゃっていましたが、十六回線でなくて十四回線でいいということなんですね。

 私、今申し上げましたが、一日電話一本で平均五・一七件の相談しか受けていない計算になりますが、この十六回線に対して、これは多過ぎたということでよろしいんでしょうか。それだけ端的にお答えをいただきたいと思います。

松本参考人 回線数だけで、多過ぎた、少な過ぎたという評価はなかなか難しいところがございますが、直近の実績を見ますと、二十五年度の一日一回線一時間当たりの土日祝日消費生活相談業務の相談件数は〇・八件でございます。平日バックアップ相談につきましては一・六件、お昼の消費生活相談は三・一件ということで、総体的には件数が少ないという要素も考慮いたしまして、さらに財政事情も考慮いたしまして、当面、四回線縮減をしたということでございます。

上西委員 だから、今の御答弁を聞いていると、予算の都合というよりは、多過ぎたんですかね、回線が。

 そして、電話回線で判断するものではないという御答弁でしたが、これは電話で対応する業務ですよね。だから、電話回線で判断するものではないというふうにおっしゃられても、それはいかがなものかと思うんですけれども。

 次に参りますが、今現在十六回線ということで、十六回線を設置しなければならないというこの条件が、私からすれば、応札のハードルを高くし、一者応札、すなわち、限りなく随意契約の形態になってしまった一因ではないのかというふうに考えているんですね。

 なぜなら、応札する者は、最低限十六名以上の相談員を確保できる業者でなくてはならないわけで、その条件をクリアできるのは全相協に限定されてしまうのは火を見るより明らかだと思います。

 そのような中で、ことしの落札金額が一気に二五%も減額されていた。これは先ほどおっしゃいましたように、来月から四回線廃止されるからだというふうに今御答弁いただきましたが、私も、現役の消費生活相談員を名乗る方から、投書という形で現状は把握をさせていただいております。

 私、不思議に思うんですけれども、来月から回線を減らす、こういうことなんですが、普通だったら、年度初めの四月に減らす。国民の税金を使って入札する、こういった業務でありますから、もちろん計画を立ててされていると思うんですね。それにもかかわらず、年度初めの四月ならまだしも、六月、来月に減らす、こういった理由はなぜか、教えていただいてもよろしいでしょうか。

松本参考人 例年、四月といいますと、新たに大学に入学されるとかあるいは就職されるとか引っ越し等で、四月特有の相談というのがございます。そういう点も考慮いたしまして、かつ、財政事情等も考慮いたしまして若干時期をずらしたということでございます。

上西委員 それは毎年のことだと思うんですよね。毎年のことを、ことしに限って財政上六月にすることにしたと。本当に不可解だなと御答弁のたびに、申しわけないんですけれども、思うわけなんです。

 先ほど、緊張して曖昧な答えをしてしまったとおっしゃっていらっしゃいましたが、まず一番初めの理事長の御答弁では、土日祝日消費生活相談業務では対応できない業務は、平日、担当者に引き継ぐ、要するに、平日の緊急避難的な軽微な業務と言っていたものが、質問の回を増すごとに、電話がもうまさに鳴りっ放しで大変な激務である、こういったふうに言いかえられていた。

 もしこの御答弁のようなハードな相談業務というのが事実なのであれば、先ほど六月になると少なくて済むんだというふうにおっしゃいましたが、そんなに電話が鳴りやまない、こんな状態であれば、逆に、十二回線で対応できるんですか、四回線減らして対応できるんですか、こういうふうにお伺いをしたいんですね。国民サービスの低下につながらないのか。そういったことが本当に私は不可解でならないんですけれども、電話を、四回線を段階的にではなく一気に外される、こういった経緯を、国民サービスの低下につながらないか、こういった観点も含めてお聞かせをいただきたいと思います。

松本参考人 国民サービスという点と、それから限られた財政事情でどれだけのサービスを行うかという均衡点を探していくというのは、大変重要なことであると思います。ただし、なかなか難しいところもあると思っております。そういう試みの一つとして、若干回線数を減らしたということでございます。

 したがいまして、その影響につきましては、モニタリングをきちんとしておきまして、マイナスの影響が出てくるということでございましたらもとに戻すということは仕様書の中にも書いておるという状況でございます。

上西委員 モニタリングをされるということですが、これまでにしておいていただきたかったなというふうに思います。そして、財政のためとおっしゃるのでしたら、予算削減のためだったら、今までが高過ぎたんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

松本参考人 今までが高過ぎた、低過ぎたではなくて、何回線の消費者向けの、国民向けのサービスを行うのが適切かということでございます。国民生活センター、業務は多様なものがございまして、土日祝日相談業務というのはその中の一つでございまして、そこにどれぐらいのコストを割くかという大きな政策判断の一つでございます。ほかの業務のコストを割いてこちらにたくさん従来は回していたということに結果としてはなるかと思います。

上西委員 そうしたら、理事長の判断ということで、政策的な判断ということでこれを行われたということで、次に移りたいと思います。

 先日、国センの休日に国セン内で土日祝日相談が行われるのに、鍵の保管はどうなっているのかというふうに質問したところ、警備専門会社に外部委託をしている、こういうふうに御答弁をいただいた件について確認をさせていただきたいと思います。

 このことについても、実際、任務に当たられた消費生活相談員の方から、警備員は、土日祝日相談をする事務室の鍵だけでなく、相談情報部事務室、そして相談情報の保管室の鍵や周辺の物置部屋の鍵も同様に渡されるというふうにお話をいただきました。

 事実だとすれば、国センの職員がいないのに、国民の切なる相談事項、個人情報が保管されている部屋へ外部団体の人間が入ることができるシチュエーションを国センがつくり出していることであり、これはゆゆしき無管理状態だと思っております。

 真実はいかがなんでしょうか。事実だとすれば、情報セキュリティーの面からも改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本参考人 土日祝日相談業務を行う事務室のほかに、相談情報部の事務室、それから相談情報の保管室等の鍵をあわせて委託団体に渡していたということは事実でございます。

 土日祝日相談事務室と相談情報部事務室の鍵をあわせて渡していることの理由は、土日祝日相談において、相談対応のための資料や消耗品等が必要となった場合に、都度、事前に相談情報部土日祝日相談担当の管理職に連絡の上、相談情報部事務室内に入る場合を想定していたためでございます。

 実際、土日祝日相談事務室のプリンターのトナーの在庫が切れており、相談カードを印刷できないという旨の連絡がありまして、相談情報部内に保管してあるトナーで対処するように入室を許可した例が過去一件ございます。

 なお、個人情報が記載されました相談情報につきましては、当センターのセキュリティー規則等にのっとりまして、相談情報部事務室及び管理室の施錠されたキャビネットに厳重に保管しております。そして、そのキャビネットの鍵は委託団体には渡しておりませんので、たとえ相談情報部事務室等に入室したとしても、相談情報等にはアクセスはできないという状況になっております。

 しかし、委員の御指摘を踏まえまして、今後はより適切な管理を行うため、土日祝日相談事務室と相談情報部事務室、それぞれの鍵を分離いたしまして、相談情報部事務室等には立ち入ることができないように対処するとともに、相談対応のための資料や消耗品等の準備につきまして、より一層配慮することとしたいと思っております。

上西委員 今、御改善をいただけるということですが、本当に、事務用品が足りなくなったから個人情報が保管されている部屋に入ってしまったとか、そういったばかげた例がないように、しっかりと個人情報を守る、そういった面で対応をしていただきたいと強く申し上げたいと思います。

 そして、私は、役所と同様に、不偏不党、公正無私を貫くべき独立行政法人が、特定の公益社団法人と癒着を疑われても仕方がない今の状態であることを嘆き、さまざまな疑問点をぶつけてきたわけでございますが、常に国セン理事長から、国センと全相協は別組織であるから、全相協の内部状況はわからない、こういうふうに御答弁をいただき続けてきました。

 しかし、内部状況がわからないはずの背景の中でも、国セン理事長は、言葉の端々に、国センと全相協の情報交換が綿密である、こういったことを物語るような御答弁をされています。

 例えば、入札の予定金額の積算根拠をお伺いしたとき、理事長は、平日勤務している相談員を休日に確保するには云々というふうに御答弁され、理事長が相談員の平日の勤務状況まで詳しく把握し、平日勤務している相談員を土日祝日相談業務に充当することを明言されたわけです。

 これは、仕様書に、現在、平日勤務相談員と限定していることを物語っているのではないでしょうか。それゆえに、理不尽な休日手当を付加する話につながってくるのではないでしょうか。仮に、このように仕様書に書かれているのだとしたら、それこそ、全相協しか応札できません。今回、消費生活相談員に登用される道が拡大する法改正が確実になっておりますが、全相協会員である相談員でも、産休などで現在は休んでいる休職中や、職を求めている求職中の者もいるはずなのに、全相協内部でも、平日勤務していない者には土日祝日の相談の仕事は回らない、こういう不公平な状態となります。

 それを否定されるのであれば、なぜ理事長のこうした御答弁になったのか、御説明をお願いいたします。

松本参考人 土日祝日相談におきましては、仕様書上、現在平日勤務を行っていることというのは条件とはしておりません。土日祝日相談業務を適切に遂行するために条件としておりますのは、相談員としての資格と経験年数などでございます。

 仕様書上では、経験年数については、一年以上消費生活相談業務を経験した者等々記載をし、さらに、消費生活相談業務の経験を直近の十年以内に三年以上有する相談員を七割以上配置するというような条件をつけております。

 このような条件でやりますと、現実には、地方公共団体の消費生活センター等において平日に相談対応をしている現職の相談員が中心となるのではないかということが想定されるために、積算の際には、平日勤務を行っているということを前提として積算をしておるという発言をしたわけでございます。

 実際に、この要件を満たしていれば、平日勤務をしていなくても全く問題はございません。

上西委員 そういう条件だから、平日勤務をしているような方になるんだから、休日出勤手当、こういったものを積算に入れられている。結局、そういう縛りがある。

 こういった形の入札ですから、やはり、そういったことをしっかりと改善していって、国民の血税を使って行われる業務でありますから、入札であれば、やはり何社かが応札をする、正しい形で入札をする。そして、今実際落札されている、契約されている金額というのは物すごく高い金額でございますので、しっかり、こういった無駄がないようにしていただきたいというふうに思うわけです。

 そして、ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、国センは、今いろいろ外部委託をされていますけれども、こういった方々に日給として一万五千円というふうにお支払いをされています。そして、私が今までの質疑で、土日祝日相談業務に対して、国センとしては、契約金額、これが、国セン内部の職員で対応するよりも安くその業務が遂行できるからということで外部委託をしているということですが、私からしたらその落札金額が余りにも高いので、それだったら、国セン職員の皆さんで業務を行った方が安くできるのではないですか、国民の血税がしっかりと適切に使われるんじゃないですかというふうに御質問をさせていただきました。

 今申し上げましたように、国センが外部委託をしている、この外部委託をする際の日給は一万五千円、そして、センターの職員の給与レベル、これは国家公務員の給与比率の九五・六%というふうに公表されていますから、それよりもはるかに安くなるのではないか、こういうふうに思いますから、やはりこれから、土日祝日業務、こういったものを外部委託すると決められているのであれば、公正な入札をまず行っていただくようにする。

 そして、もし実際に、国センの内部の職員でした方が安く上がる、安く同様の業務が遂行できる、こういったことがあるのでありましたら、しっかりとこれは検討していただき、そして、国民の皆さんに適切なサービスを適切な価格で、こういった形で行っていただきたいということを強くお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日は、総務省の関係について中心にお伺いしたいと思います。

 最初に、これまでも出てまいりましたが、評価委員会とその関連についてお伺いしたいと思います。

 具体的には、第十二条の二の一項三号ですか、勧告というのがございますが、この勧告を受けて、その後どうなっていくのだろうかというところが気になるわけでございます。極端に言うと、主務大臣が勧告を無視したり、あるいは従わなかったり、そういうストレートにわかりやすいのではなくて、もうちょっとややこしい、面従腹背のような形で業務改善につながらない、こういうような事態のときに、勧告の後、一体どうなっていくのだろうかということについて御教示、教えていただければというふうに思います。

新藤国務大臣 まず、この大臣への勧告というものは非常に重いものであります。ましてや、それが行政上の省庁間においてそういったものが行われることについては、これまでもそうでありましたが、これは極めて重いものだということ。

 その上で、制度的にどうなっているかという御下問でありますから、それにつきましては、主務大臣の誠実な対応を確実にするために、委員会に、勧告内容の内閣総理大臣への報告と公表を求めております。また、主務大臣に対しては、その報告を求める権能を与えているということであります。

 そして、それでもなお主務大臣による勧告無視等がありまして、委員会が必要と認める場合には、内閣法第六条に基づく措置を求めて内閣総理大臣に意見具申をすることができる、このようになっているわけであります。

 これらの仕組みによりまして、勧告の実効性は制度的にも確保されている、このように考えております。

大熊委員 総理まで行く、意見の具申まで行くんだ、制度的にはそういうふうに担保されているんだということがわかりました。

 それから、そもそも論に戻るんですが、この評価制度というのは、これは評価項目がどんなものがあるのかを含めて、現状、あるいは今後どのように変わるのかということでも構わないんですが、教えていただければというふうに思います。

渡会政府参考人 今回の法改正によりまして、独立行政法人評価委員会の権能として、評価の制度に関する重要事項を調査審議する、そういう規定が加わりましたけれども、それは評価の制度でございまして、評価の個々の観点については従来と同様でございます。

 例えば、総合性とかあるいは有効性とか、さまざまな観点がございますけれども、特に独立行政法人評価に関しては効率性の観点というのが極めて重要であるというふうに考えておりまして、引き続きそういう観点で委員会が審議されるものというふうに認識しております。

大熊委員 効率性の観点が非常に重要だという力強い、私もびっくりするぐらい力強いお話なんですが、内閣委員会でるるお話ししてきました、その効率性にはお金の管理も、資金管理の効率性も含まれるんだ、含まれないんだ、こういう議論が繰り返しあるんですが、そうすると、力強くおっしゃっていただいた、この資金管理についても含まれるんだ、こういうことでよろしいですか。

渡会政府参考人 ただいま私が申し上げました効率性の観点というのは、評価一般論におきまして、例えば、投下した費用に対する便益という分数であらわされるものを典型的に効率性の観点というふうに申し上げております。

大熊委員 ということは、費用と便益の関係、相関ということですと、それはお金に換算できるものも含まれるから資金についても含まれるんだ、こういう理解をしてよろしゅうございますか。

渡会政府参考人 金銭価値化できるものにつきましては、その分母である投下費用についても厳しく見るということは当然あり得ることだというふうに考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 その結果として、財務諸表というのは、期末で残った現金ということで、バランス、結果でございますから、今御答弁いただいた結果として残る財産についても、当然、この効率性の視点の一環なり、延長なり、あるいは含まれるんだ、こういう理解をさせていただいたところでございます。

 続きまして、先ほどの議論でも出ました、あるいは参考人の先生から御指摘がありまして、この独法の評価に当たって、そもそもの目標自体が間違ってしまっていたとき、どうなるんだという話でございます。

 例えばの話でございますが、先ほども出ておりました私のしごと館ですね。目標そのものが評価項目として不適切であった場合にこれがどうなるんだというところが、参考人の方も、独法だけが非難されるというのはおかしいんじゃないかということなんです。

 先ほどの議論にもありましたが、この目標そのものが間違っていたんだという場合には、主務大臣なり主務省の責任なり問題点が問われるんだよというお話があったんですが、でも、普通に考えますと、その目標そのものが間違っていたんだというのは相当後の事後的にわかるはずであって、では、独法そのものを評価するんだというある時期が、評価するのは、期末が終わって、あるいは中期目標ならその目標期間が終わった直後ですから、その目標そのものが実は間違っていたんだというのは、評価がし終わった後なんじゃないかと。

 つまり、後先関係を考えて、先ほどの議論のように、目標そのものが実は間違っていたから独法そのものだけが非難されるのはおかしいねというふうに簡単に済まされないケースもあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

渡会政府参考人 各独法に中期目標期間がございまして、主務大臣から与えられた目標をその三年とか五年の間に実施をされた結果をもって評価するわけでございますけれども、御指摘のような目標そのものが間違っていたというのは、やはり、その一定の期間を経て判明するものではないかと考えております。

大熊委員 そうだと思うんですね。だから、問題は、一定の期間のその中間ですよね。私のしごと館が実は目標そのものが間違っていたんですというのは、これは恐らく大分後になってからそういった類いのことはわかるんだろうと。

 問題は、やはりそこに至らない、その間ですね。では、ここは引き続きグレーゾーンと申しますか問題点として、要するに、目標と評価の関係は残ってしまっているのではないか。これは、実は私どもが民主党さんと一緒に出している衆法でも同じような問題が残っているのかもしれません。ここは運用でという部分なのかもしれませんが、残った問題ではないかなというふうにちょっと御指摘をさせていただきたいと思います。

 もし、その点、何かございましたら。

新藤国務大臣 まさに、それはガバナンスの問題、それから、目標設定、ミッションの明確化という問題だと思いますね。ですから、これまで通則という形で横串を刺していたものを、主務大臣のミッション、この定めることの強化をいたしました。

 そういう中で、今まで以上の改善が図られるのではないか、このように思いますし、もし誤りという、結果としてそれはわかってくるわけでありますから、その際には、今度はこの目標設定の変更を、それは大臣が責任を持ってやる。それも、今までよりはより迅速に、また直接的にできるのではないか、このように考えます。

大熊委員 そのような観点でしっかりとガバナンスをきかせていただきたいということを申し上げて、続きまして、通告のところですと、評価ですね。

 ある独法が例えばとてもいい評価が出ましたというところにおきまして、その独法の役職員の方への人事評価との関係。普通に考えますと、独法がいい評価ということであれば、そこにいらっしゃる役職員の方の人事評価もリンクしてよくなるのかなというふうにも思うわけなんですが、具体的な制度として、どのようにこのリンク、関連性が制度としてできているのかを教えていただければと思います。

渡会政府参考人 一般的に申し上げますれば、ある業務の実績が低迷している法人の役職員で、当該業務を担当し、かつ低迷に責任を有する役職員の評価は、通常であれば低いものとなるわけでございますけれども、ただし、個々の法人の業務の特性も勘案して考えなきゃならないという場合もあろうかと思います。したがいまして、役職員の報酬等やその基準につきましては、人事評価や法人の業務の実績などを考慮するというような規定になっております。

大熊委員 当然、個々の独法の状況、まさに独立ということで、事業運営、事業の特性、こういうことは考慮するわけなんですが、そうした場合に、考慮する部分と、あと共通ルール、この仕分けというのは一体どのようなものなのか、簡単で結構なので、教えていただければと思います。

渡会政府参考人 独法の性格は多種さまざまでございますので、一律、画一的に考えるわけにはいかないとは思いますけれども、一般的には、勤務成績が考慮されなければならないとか、あるいは職員が発揮した能率が考慮されなければならない、そういったものが個人の人事評価につながる基準になろうかと思います。あとは、それぞれの、自分が担当している業務の実績を考慮するということになろうかと思います。

大熊委員 冒頭申し上げた、人事評価そのものの質問ではなくて、あくまでも人事評価とその独法の評価との関係の質問なので、当然、それぞれの職員の方の勤務成績、こういうことは考慮されるんだろうと思います。その手前というか前提での、その組織全体の評価がどのように反映されてくるかということなんですね。

 勤務成績が同じでも、組織自体の評価そのものが違う場合にどうなるのかという質問なんです。

渡会政府参考人 先ほど私が申し上げました個人の業績の評価等に関するものとあわせて、法人の業績も勘案しなければならないということでございます。

 役職員と一言に申し上げましても、ランクの高い、役員になればなるほど、法人の業務の実績が問われるものになろうかというふうに考えております。

大熊委員 具体的には、先ほどのお金の関係ですと、効率化ができました、これだけ剰余金が前期よりもふえました、そういうときには、株式会社でいうところの株主への還元とともに役員賞与ということがあるわけなので、そのような、厳密には結構ですが、大体そういうような仕組みというのが取り入れられているんだというようなことなんでしょうか。

渡会政府参考人 役員の報酬等につきましては、そのような考え方で決定されるべきものと考えております。

大熊委員 そのような考え方でというところのはっきりした共通ルール、紙で何か定められているとか、そこまでは至っていない、考え方ということ、何か紙で出ているとかそういうことではない、そういう理解でよろしいでしょうか。

渡会政府参考人 私も評価を担当している立場から申し上げますと、法人の業績の評価はそういうところに反映されるべきであるということを申し上げたということでございます。

大熊委員 ちょっとさらに細かくいくと時間がなくなってしまいますので、次に行きます。

 同じ十二条の七で、必要な書類の提供ということがあると思うんですが、これは、書類だけではちょっと不十分だということで、仮に、現地へ見に行くんだ、現地調査をするんだ、いわゆる民間企業でいうところのデューデリジェンスのようなことをやるんだというときは、そういった権限はあるんでしょうか。

渡会政府参考人 十二条の七によりまして、委員会は、関係行政機関の長に対し、必要な協力を求めるという規定がございます。この規定を使えばできるはずでございますし、現に、現在の政独委においても、頻繁に現地調査をやっております。

大熊委員 書類をもらうだけではなくて、現地へ行って調査をする権限もあるんだ、こういう理解をさせていただきました。

 どんどん次に行かせていただきます。

 次に、評価制度委員会の委員、臨時委員の要件についてお伺いします。

 この十二条の四のところでございますが、学識経験者ということで、要件を限定して条文に書いてあるわけでございますが、これは、そうじゃなくて、実際に、例えば各種法人、独法とは限らないいろいろな法人の経営だとか、あるいは評価等の実務経験のある方は、この条文をストレートに読む限り、該当しないというふうに読めるんですが、どうなんでしょうか。

渡会政府参考人 一般に学識経験という言葉は、学問上の知識または実際問題に関する経験を意味しているというふうに私どもは理解しておりまして、学者あるいは研究者に限定されるものではございません。したがいまして、各種法人の経営や評価等の実務を行った経験のある者もこの条件に該当すると考えております。

大熊委員 大変法律用語というのは難しいですね。学識経験というのは実務経験も入るんだ、こういうことでございます。

 実際の企業なりでそういった実務をした、あるいは企業の評価をした、そういった経験。要するに、大学で教えていたとかそういう方じゃなくて、実務の方も学識経験だ、こういう用語なんだと。学識経験等とか書けばそういうことだと思うんですが、等と入っていなくても法律上そうなんだということなんですが、一応確認のため、それでよろしいということでよろしいですね。(渡会政府参考人「はい」と呼ぶ)

 はい。大変法律用語というのは難しいなというふうなことがわかりました。

 続きまして、この臨時委員でございますが、特別の事項のときは臨時委員だということで、この特別の事項というのは、例えば具体的にどんなことなんでしょうか。

渡会政府参考人 今御指摘ございましたように、十二条の三第二項におきまして、特別の調査事項を調査審議させるために必要があるときは臨時委員を置くことができるというふうにされております。

 これは、例えで申し上げますと、特定の年度に見直し法人が集中することに伴う業務量の増加があった場合に、その増加した業務を特別に指定して、それについて委員会の意思決定に臨時に参画する、そういう委員の任命を可能にする規定でございます。

大熊委員 わかりました。特別の業務の追加というのがあるときだということがわかりました。

 続きまして、研究開発業務の評価、目標についてお伺いいたしますが、先ほど来も出ておりましたが、総合科学技術・イノベーション会議が指針案を作成し、総務大臣はその内容を適切に反映というふうにあるわけなんですが、そうじゃなくて、逆に総務大臣が付加あるいは追加をする、反映だけじゃなくて、さらに追加をするんだ、付加をするんだというのは、例えばどんなようなことがあるのか、教えていただければと思います。

渡会政府参考人 総務大臣が定めます目標策定、評価に関する指針は、中期目標管理法人、研究開発法人及び行政執行法人全てに共通する指針でございます。

 その内容でございますけれども、現時点では、今般の独法制度改革の議論と、あるいはこれまでの独法評価の経験を踏まえまして、適切な目標設定と適正かつ厳正な評価を主務大臣が行うために必要な政府統一のルールを定めるということを考えております。その上で、先ほど先生御指摘のように、研究開発の事務及び事業に関しましては、総合科学技術・イノベーション会議が指針を作成しまして、総務大臣はその内容を尊重して反映するということになっております。

大熊委員 終了ということなんですが、その共通の事項というのは何かというのがはっきりわかりませんでしたので、また金曜日、続きをやりたいと思います。

 以上で終了いたします。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に総務大臣から伺っていきたいと思います。

 今回、総務省に置かれる評価機関、この組織の改廃、勧告に関する権限が強化されているわけですが、現行制度もあります。総務省に置かれた審議会、独立行政法人評価委員会は、第三十五条第三項に基づいて、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、主務大臣に勧告することができるとあります。これまで何回勧告を出してきましたか。

渡会政府参考人 政独委が、中期目標期間終了時の見直しにおいて、主務大臣に対する勧告を行うというところまで至った実績はございません。

赤嶺委員 勧告を行った実績はない。ないけれども、今回また大変重い権限と総務大臣はおっしゃいましたけれども、今回までに勧告が行われなかったという、その理由は、大臣、何ですか。

新藤国務大臣 これは、現行の独法の通則法上、中期目標期間終了時の見直しに関して、政独委が主務大臣に勧告できるのは、中期目標期間の終了時とされているわけであります。しかし、中期目標期間の終了時に勧告を行ったのでは、それに基づく措置が次期の中期目標に係る予算要求に間に合わなくなる、したがって、次期中期目標に反映できないということにもなりかねません。

 そのために、政独委の指摘を新しい新中期目標や新年度予算に反映させるべく、これは平成十五年八月に閣議決定を行いましたけれども、勧告の実質的な前倒しとして、予算編成時期に合わせて勧告の方向性を出すこととしておりまして、その中で改善措置等に係る指摘を行っているわけであります。

 仮に勧告の方向性で指摘した内容が中期目標等に反映されていない場合には勧告を行うことと考えられておりますが、これまでにはそういった事例がない、したがって、勧告は行っていない、こういうことでございます。

赤嶺委員 勧告の方向性を出して改善してきた、しかし、今回またその勧告が強化をされていくという問題については引き続きちょっと聞いていきたいんですが、きょうはそれ以外に、この間、稲田大臣が改廃の問題についてお答えになり、私は改廃が強化されているのではないかということを指摘いたしました。この組織の改廃と労働者の雇用の問題について質問をしていきます。

 通則法案は、第五十条の四において、密接関係法人等への中期目標管理法人の役職者のあっせん等の規制を設けることとしております。このあっせん規制に対して、第二項でその例外を設けるということにしてありますが、第二項の第四号、第五号、いずれも、中期目標管理法人の役職者が離職を余儀なくされる場合について、あっせん等の禁止の例外措置を定めております。

 まず、この「離職を余儀なくされる」というのはどういう意味ですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 五十条の四第二項第四号及び第五号における「離職を余儀なくされる」とは、職員本人の意思に反して、みずからが所属する法人の職員としての地位を失うことでございます。

赤嶺委員 離職を余儀なくされるというのは、本人の意思に反してやめさせること、いわば整理解雇になっていくわけです。この整理解雇を前提にしてあっせんを認めようというのが五十条の四の第四号と五号であるわけですが、第四号であっせんが認められる場合の条件は何ですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 第五十条の四第二項第四号に基づき、密接関連法人等に対する再就職あっせんが認められる条件というものにつきましては、通則法第三十二条第一項に規定します毎年度の業績評価の結果に基づきまして、中期目標管理法人の業務の縮小、内部組織の合理化が行われるときでございまして、対象としましては、主務大臣が指定する管理職についたことがない一般職員が離職を余儀なくされることが見込まれる場合でございます。

赤嶺委員 毎年の評価に基づいて業務の縮小や内部の合理化の場合の一般職員を対象にするものであるということですが、第五号において、あっせんが認められる場合の条件は何ですか。

長屋政府参考人 その場合の再就職あっせんが認められる条件でございますが、中期目標期間終了時において、法人の存廃を含めた業務、組織の全般的な見直しを行います。その結果に基づきまして、通則法第三十五条一項の規定によって、主務大臣が法人の統廃合、業務の移管等の措置を講ずることになります。

 これによりまして、政令で定める人数以上の役職員が離職を余儀なくされることが見込まれる場合におきまして、かつ、法人が離職後の再就職の援助のための計画を作成し、主務大臣の認定を受けている場合でございます。

赤嶺委員 第五号については、つまり、中期目標終了時のあっせんが認められる場合ということになるわけですが、「業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止その他の所要の措置」ということになるわけです。

 それで、「政令で定める人数以上」、こういう規定を設けているのはなぜですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 中期目標期間終了時の業務及び組織の見直しの際には、業務の改廃、組織の統廃合などによりまして、一般職員に限らず、役員、幹部職員を含めた大勢の離職者が生じる可能性もございます。

 このために、法人の自助努力のみで離職を余儀なくされる役職員の再就職を探すことは困難であるということが想定されまして、今般、再就職あっせん禁止の適用除外とするものでございます。

 こうした中で、離職者の数が小規模にとどまる場合につきましては、密接関連法人等以外に対するあっせんは可能であり、法人の自助努力で対応すべきものとして、政令で一定の人数制限を設けた、そういうことでございます。

赤嶺委員 では、今の答弁を聞いておりますと、今回の法案は、大臣が行った評価に基づいて、業務の縮小や合理化や廃止や、あるいは移管、組織の廃止に伴って、本人の意思に反して解雇される整理解雇を想定しているということになるわけですが、特に、とりわけ中期目標期間終了後の検討に基づいて大量の整理解雇を行うことを想定しているということですか。

長屋政府参考人 政令の人数は、またこれから検討に入ることになります。また、中期目標終了時の見直しの結果に応じて事の大小というものが定まってくるということかと思います。

赤嶺委員 今回の法案のもとになっているのは、昨年十二月の閣議決定であるわけです。独立行政法人で現在働いている職員の士気の向上や雇用の安定には配慮するとあります。ところが、法案は、中期目標期間終了後の改廃に関する評価機関の勧告権限を強化して、そして、第三十五条では業務の廃止、移管、組織の廃止も掲げられ、整理解雇も想定している。特に大規模な整理解雇すら想定をしている。そういうものが、基本方針で言う職員の士気向上にならないと思うんですね。

 この法案は、基本方針に反して、独立行政法人で現在働いている職員の士気を低下させ、雇用の安定どころか、雇用を不安定化させるものではないかと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 今、一般論として、毎年度の業績評価の結果に基づく法人の業務の縮小、内部の組織の合理化、中期目標期間終了時の業務及び組織の全般的見直しにより、組織の廃止などが行われる場合がある。そして、その場合には、職員が離職を余儀なくされ、整理解雇が行われる可能性というものは、先生御指摘のとおり、否定はできませんけれども、各法人は、労働法規、判例で示された整理解雇の四要件を踏まえ、適切な対応をとるべきことは、一般論として当たり前のことでございます。その上で、職員の雇用の確保の重要性に鑑みて、昨年末の独法改革の基本方針で職員の雇用の安定に配慮する旨を盛り込んだところでございます。

 これらを踏まえて、今後、法人の業務、組織の見直し、法人の統廃合などを行う場合には、適切な対応がなされるべきであるというふうに考えております。

赤嶺委員 一般論として整理解雇の四要件、しかし、そうはいっても、基本方針の中身を踏まえて、こういうことは言っても、常識的に考えて、民間でも役所でも、業務や組織が廃止されたからといって、当然ながら、直ちに整理解雇というわけにはならないわけです。稲田大臣が所管した国家公務員法改正案、これに伴いまして、総務省には対応する組織と業務がなくなります。当然のことながら、総務省の職員は整理解雇という話はないと思います。業務が移管されれば、職員は働く場所が変わるだけで、社会情勢が変化し、国民のニーズが変わるときには、廃止される業務にかわって新たな業務が生まれてきます。

 独立行政法人の職員の士気の向上、雇用の安定に配慮するという基本方針があるのであれば、離職を余儀なくされる場合という規定をつくる前に、組織の改廃に対する雇用の保障、雇用の承継、これは義務である、こういうことを書き込むべきだと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 先ほど申しましたように、統廃合、廃止などが生じた場合には、閣議決定に基づいて、雇用の安定というものに配慮するという方針に従って適切に配慮すべきだというふうに考えております。

 その上で、委員は、それを通則法、法律の中にも書き込むべきだということでございますけれども、独法の通則法は法人の業務運営の共通ルールを規定するものであって、個々の法人の職員の採用など人事管理は、各法人で業務内容などを踏まえて必要事項を定めるべきものだというふうに考えております。

 その際、個々の法人の業務の改廃などに伴う職員の雇用の取り扱いについては、各法人が労働法規や判例などに基づいて適切に対応すべきであるというふうに考えております。

 また、過去、独法の統廃合など大きな組織の見直しが行われた際には、必要に応じて、法人と主務大臣の連携のもと、法人間の身分承継など職員の雇用に関する法的な措置がなされているところでございます。

 このため、通則法に雇用の安定に関する事項は盛り込んではおりませんけれども、職員の雇用の確保の重要性に鑑み、昨年末の独法改革の基本方針で雇用の安定への配慮を盛り込んだところでありまして、今後、組織の見直しが行われる場合には、これらを踏まえ、個々の法人の状況に応じて適切な措置がなされるものというふうに考えております。

赤嶺委員 通則法では、離職を余儀なくされるものとまでしか書いていないわけです。だから、雇用の安定には配慮するという基本方針は、この通則法からはどんなふうに読むのか、これは本当に労働者の皆さんが戸惑うところであります。

 基本方針の雇用の安定に配慮するというものになっていないということを強く指摘しておきたいと思います。

 それで、ちょっと時間がなくなりそうですので、まとめて質問をいたします。

 五十条の四の第四号と五号のあっせんの条件が違います。その二つの条項とも、離職を余儀なくされる場合に役職員に対してあっせんなどを容認する規定でありますが、第五号の方には「政令で定める人数以上」という人数の要件が入っております。

 第四号と同じように、つまり、普通の職員は大量のあっせんが必要であるといっても、意思決定の権限を有しない役職員、普通の職員は、あっせん規制の例外として人数の要件を設けないということにしてよいのではないかと思いますが、いかがですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、四号についての考え方でございますが、資本取引関係などがある営利企業等との間に不透明な関係を構築できるのは、役員や管理職などの一定以上の地位についている者でありまして、他方、管理職未満の一般職員につきましては、影響力が小さく、法人の業務運営の公正性、透明性を損なうおそれが低いと考えられます。

 ということで、四号の方では、法人の業務の縮小、内部組織の合理化が行われ、役職員に離職者が生じる場合においては、管理職未満の一般職員に限定した上で、再就職あっせん禁止の適用除外とするものでございます。

 五号の場合、より大規模な、いわばリストラが行われるような場合につきましては、そのリストラ全体を雇用の問題として取り扱うという考えのもとで第五号はできておりまして、政令に定める数以上のもので、計画等がつくられ、条件に合致した場合にはそのような対応をする、そのような考え方でつくっているものでございます。

柴山委員長 赤嶺君、質疑終了です。

赤嶺委員 時間があれば、総務大臣に能力開発機構の廃止と評価委員会の関係について聞きたかったんですが、引き続きまた次の委員会で、この問題を含めて聞いていきたいと思います。

 終わります。

柴山委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後一時六分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(松本剛明君外三名提出)

は内閣委員会議録第十七号に掲載


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