衆議院

メインへスキップ



第3号 平成24年8月7日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松宮  勲君

   理事 菊田真紀子君 理事 田村 謙治君

   理事 津村 啓介君 理事 吉田 統彦君

   理事 馳   浩君 理事 松野 博一君

   理事 大谷  啓君 理事 遠藤 乙彦君

      石森 久嗣君    稲富 修二君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      大泉ひろこ君    大西 健介君

      大畠 章宏君    柿沼 正明君

      川内 博史君    熊田 篤嗣君

      空本 誠喜君    高木 義明君

      竹田 光明君    橋本 博明君

      松岡 広隆君    水野 智彦君

      柚木 道義君    江渡 聡徳君

      河井 克行君    近藤三津枝君

      佐田玄一郎君    吉野 正芳君

      菊池長右ェ門君    中野渡詔子君

      三輪 信昭君    斉藤 鉄夫君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     古川 元久君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   文部科学副大臣      高井 美穂君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            殿川 一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤  地君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       朝日  弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   参考人

   (独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長)    立川 敬二君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     高井 美穂君

同月九日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     岡田 康裕君

五月九日

 辞任         補欠選任

  平山 泰朗君     柿沼 正明君

七月三日

 辞任         補欠選任

  平  智之君     三日月大造君

同月四日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     高松 和夫君

同月六日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     小野塚勝俊君

  大山 昌宏君     大谷  啓君

  高松 和夫君     中野渡詔子君

八月七日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     松岡 広隆君

  熊谷 貞俊君     菊池長右ェ門君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     空本 誠喜君

  菊池長右ェ門君    熊谷 貞俊君

同日

 大谷啓君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

松宮委員長 これより会議を開きます。

 この際、去る七月六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の補欠選任を行います。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松宮委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に大谷啓君を指名いたします。

     ――――◇―――――

松宮委員長 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長立川敬二君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長殿川一郎君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、外務省大臣官房審議官佐藤地君、文部科学省高等教育局長板東久美子君、文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、経済産業省大臣官房技術総括審議官朝日弘君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松宮委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょう、私は、宇宙開発戦略について伺っておきたいと思います。

 まず、三菱電機のJAXA、内閣衛星情報センターと防衛省への水増し請求の問題が大きな問題として浮き彫りになってきて、指名停止となっておりますが、そこで最初に、内閣衛星情報センターとJAXAの方に、それぞれ一体幾らの水増しがあったのか、伺っておきたいと思います。

殿川政府参考人 三菱電機によります情報収集衛星の開発等に係る過大請求につきましては、本年一月に同社から報告を受け、情報収集衛星の開発等の事業にかかわる全ての契約を対象といたしまして、事実関係の全容解明を図っているところでございます。

 御質問の過大請求額につきましては、事実関係の調査を終えた上で算定をする必要がございまして、現在鋭意調査中でございまして、現段階でお答えすることは困難でございます。

立川参考人 お答えいたします。

 JAXAは、CSICEからの受託によりまして三菱電機との契約を結んでいるわけでありますが、今回の件が発生しましてから鋭意調査をしているところであります。

 JAXAとしては、副理事長を本部長として対策本部をつくり、当然、職員、及び外部の会計監査人も入っていただいて調査をしておりますが、現時点で過大請求額を確定できておりません。鋭意、この確定に努力をしているところでございます。

吉井委員 内閣衛星情報センターにしてもJAXAにしても、「はやぶさ」を成功させるぐらいの技術を持ちながら、水増し請求の話が出て非常に長く時間がかかっておりますが、いまだに全容の解明もできない、明らかにできないということは、これはなれ合いと言われても仕方がないということを指摘し、やはり徹底解明に早期に努めていただかなきゃ困る、出どころは税金なんですから、これははっきりしておきたいと思います。

 次に、内閣衛星情報センターは、JAXAに委託して情報収集衛星の研究開発を今やっているわけですが、JAXAは、三菱電機との間で物品製作請負契約、及び三菱電機に研究開発を行わせています。三菱電機が請け負っているものの中に、「光学系試験装置の大型化対応に関する試作研究」というものがありますが、これはどういうもので、三菱電機はどんな取り組みをやっているんですか。

殿川政府参考人 情報収集衛星の光学センサーの大型化の調査研究につきましては、宇宙基本計画に定められている、商業衛星を凌駕する解像度にするということによる情報の質の向上のために行っているものでございます。

 御質問の、三菱電機への調査研究の委託につきましては、これまで、光学センサーの大型化に関する技術課題の整理及び開発計画案の検討等を行ってきているところであります。

 なお、過大請求ということがございましたので、昨年まではそういった調査研究をお願いしておりましたけれども、ことしは、同社におきましてはそういった調査研究は行っていないという状況になっております。

吉井委員 NECの大型光学センサーの地上実証の話を聞いているんじゃないですからね。私が伺っているのは、光学系試験装置の大型化対応に関する試作研究というものを聞いているわけです。

 皆さんのお手元に資料を配らせていただいております。黒塗りの資料なんですが、これはJAXAと三菱電機が交わした契約書の中にある経費区分の一覧表です。

 一番左のナンバーの右側に事項という欄があり、三つが黒塗りされております。今の話は、この黒塗り部分に書いてあるのではないですか。

殿川政府参考人 光学センサーの大型化につきましては、これまでも調査研究をお願いしております。また、本年度の予算から地上実証の研究等もしていただくことにしておりますが、この表にございますのは、これはあくまでも現実の、今後運用していこうと考えている光学の五号機とそれに関連する実証衛星システムの研究という関係のものでございます。

 ここの黒く塗ってある部分は、通常の衛星の開発の工程で普通出てくる項目と違う、私どもの情報収集衛星の特殊な性能にかかわる段階がございますので、この部分は非公開とさせていただいているものでございます。

吉井委員 NECなんかの大型光学センサーの地上実証の話を聞いているんじゃないですから。今はあくまでも、三菱の方の光学五号機と実証衛星システムの開発の方について聞いているわけです。

 私の手元に調達仕様書というのがあるんですが、その中で見ると、調達仕様書項番、ここにも項番が三列目のところにありますが、この中では、例えば四、三、一、五の一というのは光学系試験装置の大型化対応に関する試作研究その一、光学系試験装置の大型化対応に関する試験研究その二、その次の黒いところは、光学系試験装置の大型化対応に関する試験装置その三と明記されておりますが、これはそのとおりでいいですね。

殿川政府参考人 大変恐縮ですけれども、今、先生が御指摘になった契約書、ちょっと手元にございませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

吉井委員 ちゃんと言ってあるんですけれどもね、こういうことを聞くという話を。手元に準備しておいてもらわぬと困るんです。

 私の手元にある調達仕様書を見ると、調達仕様書項番、今言ったのは、光学系試験装置の大型化対応に関する試作研究その一とはっきり書かれているんですよ。

 契約の相手側についてはどう書いているかというと、「整備する地上支援装置のうち、熱真空環境下における光学系の総合性能を検証するダブルパス干渉計については、将来の光学系大型化を効率的に行うため、さらなる口径拡大に対応するための仕様設計、スペースチャンバ及び附帯設備等の試作に着手すること」というふうに明記されております。それは内閣衛星情報センターがお出しになっている資料の中にちゃんと書いてあるわけなんです。

 JAXAは、筑波宇宙センターに既に大型スペースチャンバーがあります。これは私も見学させていただきましたから、よく存じ上げております。

 では、一体なぜ三菱電機は、JAXAの予算を使って、情報収集衛星のためのスペースチャンバーと附帯設備をつくる必要があるのか。一体、そのチャンバーはどこにつくるということになっているんですか。

殿川政府参考人 スペースチャンバーはいろいろなものがあろうかと思いますけれども、一般的に申し上げれば、委託をしたメーカーの施設の中に設けられているものを一般的には使用されているというふうに理解しております。

吉井委員 要するに、水増し請求で指名停止になっている三菱電機の鎌倉製作所の中に、JAXAに組んだ予算でもって三菱電機がスペースチャンバーを、既に持っているんですよ、新たにつくるというのがこの問題なんですね。

 その延べ床面積は七千七百平方メートル、新たな人工衛星生産棟を建設中ということに今なっています。年間衛星生産能力を四から八機へと倍増するなどいろいろ取り組んでいるのは、一民間企業が商売をあれこれやるだけのことについて私があれこれ言うわけじゃないんです。そうじゃなくて、内閣衛星情報センターが黒塗りにした部分は、三菱電機が情報収集衛星の開発のためにスペースチャンバーと附帯設備を製造するということに関することなんですよ。

 三菱電機の新しい人工衛星生産棟というのは、結局JAXAの予算、つまり国費なんですよ。国民の税金を使って、スペースチャンバーと附帯設備を民間企業が自分のところに建設する。民間企業がもうけようと思って設備投資するのはよくわかるんですよ。しかし、そうじゃなくて、JAXAが何かやるために必要なものを、JAXAには既にスペースチャンバーがあるのに、新たにその金を使って三菱電機がスペースチャンバーを建設する。これは誰が考えても合理的な説明ということにならないと思うんですが、どうなんですか。

殿川政府参考人 私どもとしては、私どもの性能要求を満たす衛星の研究開発に真に必要なものについて予算を使うという考え方で取り組んでおりまして、必要性に応じて対応しているところでございます。

吉井委員 私、おかしいと思うんですけれどもね。そういう言い方をしたら、国民の税金で幾らでも民間企業に、設備投資だということで施設をどんどんつくれるわけですよ。それも、国にないならまだ話はわかるんだけれども、筑波には立派なスペースチャンバーがあるんですよ。巨大なものですよ、私も実際に見せていただきましたが。それがあるのにわざわざ、三菱がつくるためにその設備投資を国がやってやろうというのは、これは筋が通らないということを言っておきたいと思います。

 六月十四日の内閣委員会においてJAXA法の改定が行われました。このとき、平和目的を削除して安保条項を加えるということに私たちは反対したわけですが、これまでと違って、これまでの宇宙開発委員会委員は国会同意人事だったんです、それを外して、そして秘密にこそこそっとやることにも道を開くということがされました。

 七月三十一日に第一回会合が開かれたわけですが、私が指摘したとおり、これは非公開でやられたんです。

 そこで、大臣に伺っておきたいんですけれども、宇宙産業界の利害や宇宙軍拡にかかわる重大な審議の開催を事前に公表しないということもおかしいし、審議を公表しない、公開しないという理由は一体何なのか。もともと、宇宙開発委員会のときは公開しておったんですよ。なぜ今度は公開しないのか。

 それから、委員の人選についても、委員長になった葛西さんという方は、宇宙開発や宇宙技術に関する専門知識を持ち合わせていないんですよ。前は、専門知識を持った人ということで国会同意人事だったんです。これを外して、産業界の代弁者として宇宙政策を有利な方向に誘導しよう、こういう立場の方なんです。青木節子さんという委員は、自公政権時代から一貫して、法制度の面から日本の宇宙法制を軍拡に傾斜させよう、この主張を一貫してやってきた人なんですよ。なぜこういう方を国会同意人事でないやり方で人選したのか。

 私は、この二点について最後に伺っておきたいと思います。

古川国務大臣 おはようございます。

 まず、今回の宇宙政策委員会は、文科省に設置されておりました宇宙開発委員会とは異なりまして、内閣総理大臣等の諮問に応じて専ら調査審議を行うということを任務といたしておりまして、また、非常勤の委員から構成をされております。そういった意味で、他の八条委員会等と同様に、国会同意を委員任命の要件とはしない形で任命をさせていただいたということでございます。

 人選につきましては、これは総理とも御相談をさせていただいて、適材適所の観点から人選をさせていただきましたが、特定の企業の利益とかそういうことにかかわらないようにということで、関係者などは人選からきちんと外させていただいて人選をさせていただいたということで御理解をいただければというふうに思っております。

 また、議事等も、ブリーフィング、議事要旨、そしてまた議事録もすぐ公開をするということになっておりますので、そういった意味では、きちんとお伝えするべきところはお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。

吉井委員 時間が参りましたから終わりますけれども、まず、昔のように公開するのがこれは当然の話なんです。

 それからもう一つは、人事について、宇宙軍拡をずっと主張してきたような人を人事に入れる、専門家は入らない、こういう人事のあり方というのは根本的に考え直さなきゃならないし、改めなきゃならない、このことを主張して、質問を終わりたいと思います。

松宮委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。

 まず、古川大臣にお伺いします。

 古川大臣は、若くて、能力があって、そして将来性があって、これからの日本を引っ張っていってくれる大きな大きな政治家だと思っています。

 私は、大臣よりは年を重ねております。一つ苦言を呈したい。

 前回の私の質問、核燃料サイクルについて、古川大臣、どう思いますか、こういう質問をしました。大臣は、通告がないから一切答えなかったんです。そして、そのことが理事会で問題になりました。決着は、通告を受けた役人が大臣に通告を、こういう通告がありましたと言わなかったということで決着を見たんです。

 自分の部下に責任を押しつけて、そして決着をしたということは、私は、将来性のある古川大臣にとって大きなマイナスだな、こう思いますので、今後、気をつけていただくことを要望したいと思います。

 さて、大臣の理解している核燃料サイクルについてお伺いをしたいと思います。

古川国務大臣 おはようございます。

 まず、委員初め委員会の皆様方に大変御迷惑をおかけしたこと、おわびを申し上げたいと思います。そしてまた、大先輩の御意見、しっかり承りたいというふうに思っております。

 核燃サイクルについて御質問でございますけれども、これは一般的には、天然ウランの確保、また燃料体の加工など、原子炉に装荷する核燃料を供給する活動と、また使用済み燃料の再処理、そして放射性廃棄物の処理処分など、使用済み燃料から不要物を廃棄物として分離処分する、一方で、ウランやプルトニウムなど有用資源を回収し、再び燃料として利用する活動から構成されるものであるというふうに承知をいたしております。

 この核燃料サイクルにつきましては、原発と同様に、安全性を第一とすべきであるということは言うまでもございませんけれども、使用済み燃料の再処理のかなめとなります民間の再処理施設につきましては、現在、竣工に向けた確認作業が進められているところであります。

 また、再処理施設で取り出したプルトニウムを利用する高速増殖炉につきましては、現在、原型炉の段階でありまして、実用化の段階には至っていないというふうに認識をいたしております。

吉野委員 ありがとうございます。

 次は、私の地元、原発事故です。

 今、廃炉に向けた道筋、一生懸命、約三千名近い方々が作業をして、収束、安定化に向けて努力をしているところです。

 昨年十二月十六日に野田総理は、ステップツーは終了しました、このことをもって原発事故は収束したという収束宣言を出しました。古川大臣、どう思いますか。

園田大臣政務官 今、大臣へのお問い合わせでございましたが、まず私から、原発事故収束の担当の者として事実関係をお答えさせていただきます。

 先生御案内のとおり、今おっしゃっていただきました、まさしくステップツーが完了いたしました。昨年の十二月十六日でございました。

 その際に、御案内のとおり、あの爆発事故が起きて、原子炉の状態を、いわば循環注水冷却に基づいて何とか安定をさせなければならない。そしてその際に、やはり住民の皆さん方に避難を余儀なくさせてしまったという状況からすると、私どもとしては、ああいった爆発事故によってまた二度と、住民の皆さん方にそういった不安とそれから避難をさせてはならない。そういった状況を早く、発電所の事故の中身、サイトの中でございますけれども、ここをつくっていかなければいけないということで最大限の努力をさせていただいた結果でございます。それがステップツーのまず目標でございました。

 冷温停止状態、それから大量の放射性物質がこれ以上拡散をしない、そしてまた避難を余儀なくさせない、この部分をまずステップツーの目標として掲げさせていただき、それが、いわばステップツーのまず完了ということをもって、発電所の事故そのものは収束をしたということを申し上げたところでございますが、先生御指摘のとおり、発電所の外、まだ不安を持っていらっしゃる住民の皆さん方がいらっしゃいます。そしてまた、そういった健康の管理であるとか賠償の問題であるとか、一日でも早く帰っていただく、そういう状況をつくっていかなければいけないのは当然でございます。

 そのために私どもは、そのときも野田総理からお答えをさせていただいておりますし、細野大臣も再三申し上げておりますけれども、そういった意味での事故は収束をしていない。原発との闘いについてはしっかりとこれからも取り組んでいかなければいけませんし、一日でも早く住民の皆さん方に戻っていただけるような状況をつくり上げていくのが私どもの責任であるというふうに考えているところでございます。

吉野委員 今答弁になったのは、ステップツーが終わった、完了した、これは誰もが認めます。でも、このことをもって原発事故は収束した、オンサイトの事故は収束した、これは日本語じゃないと思います。古川大臣、どう思いますか。

古川国務大臣 今、政務官からお答えをさせていただきましたように、ステップツーが完了したという意味でそうした言葉を使わせていただいたと思います。

 ただ、これは、今回、エネルギーと環境に関する選択肢の件でも、福島のところで意見聴取会を行わせていただきました。細野大臣が出席をさせていただきましたが、私も報告を受け、また、そこで出されたさまざまな御意見というものも拝読させていただいております。そうした福島の皆様方の思いというのは、原発事故がまだまだ続いている、そういう認識を持っておられる。そういった意味では、引き続き福島の皆さん方の思いというものをしっかり受けとめて、原子力政策初め、エネルギー政策もそうでありますけれども、やっていかなければいけないことだと思っております。

 この前まとめさせていただきました日本再生戦略の中でも、福島の再生なくして日本の再生なしと、やはり原発事故をしっかり収束させて、そして福島の皆さん方に、将来に対して明るい希望を持っていただけるような、その福島の再生の過程の中で日本の再生のモデルをつくっていく、そうしたことを最重要な課題として位置づけさせていただいております。

 今後とも、先生初め福島の皆様方、しっかり声を伺っていきながら、福島の再生に向けて、政府を挙げて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

吉野委員 今、双葉郡で、戻れる町と戻れない町の線引きをしております。戻れる町の方々は、オンサイトの事故が収束していないので、また爆発が起こるかもしれない、だから戻るのが嫌だという方々がたくさんいるんです。ですから、オンサイトは、ステップツーは完了しています。しかし、事故が収束したということはありませんので、ぜひとも古川大臣、閣議においても、野田総理に、この収束宣言を絶対撤回するように申し伝えてください。

 次、東京電力からオンサイトについてのロードマップが発表されました。

 私は、この原発事故は、人類と原発事故との闘いだと思っています。人類がつくった原発ですから、ここが事故っても、そんな事故に人類は負けちゃいけないんです。ですから、人類と原発との闘い、総力を挙げて、国家プロジェクトとして、一民間の東京電力にロードマップもつくらせる、事故対応、安定化対策もやらせる、国は後ろに隠れている、こんな形では、絶対この原発はおさまらないと思います。

 国家プロジェクトでいろいろな分野、学問、特にロボット、IT産業、あと心理学、働く人々の心、ここのところも総合的に入れた、まさに古川大臣が原発の収束の司令塔になって、全ての学問を網羅してこの対処に当たるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 私からお答えをさせていただきますが、司令塔という意味では、先生御案内のとおり、今、中長期対策会議、これは枝野経産大臣そして細野原発担当大臣が共同議長という形で、政府・東京電力中長期対策会議というのを設けさせていただき、また、その下に、私が共同議長をさせていただいておりますけれども、私の責任において、ロードマップの運営をしっかりと進捗管理していく、そしてそのフォローアップもきちっと行っていくという形にさせていただいています。

 その中に、さまざまな専門家の方々にも入っていただいております。今まで、昨年のステップツーの完了の間のロードマップの中においては、民間の方、メーカーの方あるいは学者の方というものは入っておりませんでした。したがって今回、この中長期は、もうおっしゃるとおり、長い年月をかけた廃止措置、これは、先生の言葉をおかりさせていただければ、人類がつくった原子力に対してしっかりと管理をしていく、そしてそれを廃止に向けたという今までにないチャレンジングな挑戦を科学的、技術的な面で行っていかなければいけないという認識を私どもも持たせていただいています。

 そういった意味で、そういった方々にも入っていただいて、ロボットの専門家、原子炉の専門家あるいは除染の専門家等々も含めて、まずはその中に入っていただいておりますが、まだまだ、それからさらに学術的な部分で申し上げれば、国内外でさまざまな技術者の方々に集まっていただくようなワークショップも開催をさせていただいて、それぞれ、アメリカやヨーロッパ、あるいはチェルノブイリを含めたウクライナ、ロシアにも派遣をさせていただいて、さまざまな国内外の方々の知見もしっかりと英知を集めさせていただく形で、今、このロードマップの司令塔という形で進めさせていただいているところでございます。

 また、日本学術会議からもさまざまな御提言をいただいておるところでございますし、さまざまな学界の取り組みも私どもはしっかり受けとめさせていただいておりますので、このロードマップの中できちっとそれを盛り込んでいけるように、さらに努力をしてまいる所存でございます。

吉野委員 今、国内また海外の学問の英知を集めて司令塔としてやっていくという政務官からのお話、心強いものがありますけれども、口だけではだめなのね。

 だから本当に、海外の学者、専門家、特にこれは、原子力よりも機械工学的な部分が私は大きいと思います。あと、建物が本当にいいのか、建築学、また土木。原子炉もそうですけれども、それよりも機械工学的な、またIT、ロボット化等々、こちらの大きな学問のところの参加をやはり国家主導で、これは東京電力主導で今のところやっているんですよ、現実には。

 なぜ国家主導で、国家プロジェクトという形でそこまでできないのか。私、じくじたるものを持っているんですけれども、その辺のところ、本当にこれから国家主導で、そして予算も国の金を使って研究するんだというくらいの力強いところをお願いします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先ほど、ちょっと私、付言するのを忘れました。

 中長期対策会議のもとで運営会議を私が共同座長でさせていただいているというふうに申し上げましたけれども、さらに、先生おっしゃるように、研究開発推進本部というのを設けさせていただいています。これは、いわば私ども政治が主導させていただいておるところでございますので、そういった点で、そこに研究者の方々が集まっているということでございます。

 ただ、先生おっしゃるように、先ほど作業員の心理的な部分もという御指摘をいただきまして、それは確かにございませんでした。今後、そういった作業員の皆さん方の労働環境改善という点も含めて私どもは考えていかなければいけないという認識をちょうどいたしているところでございましたので、その点も参考にさせていただいて、この研究開発という部分、これは先ほど来申し上げておるように、本当に今までにないチャレンジングな挑戦をしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。予算も含めてきちっとやっていきたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

吉野委員 特に、やはり研究開発は予算ですから、予算をけちらないで、削減しないで、この研究開発の予算はもう莫大な、全力投球してお願いしたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 ことしの四月二十七日に、国連の大陸棚限界委員会から新しい大陸棚を我が国は認めていただきました。これはすごいことなんです。

 海底の地下資源は全部我が国のものになる。EEZの場合、海の中、魚も日本のものになるんですけれども、大陸棚は、地下資源は全部なるということなんです。日本の国土面積の約八割を認めていただくことができました。戦争をしないで、血を流さないで領土を獲得したということは、まさに我が国の科学の英知がこの領土をかち取ったわけでありますので、本当に喜ばしいことだと思います。

 大臣はどう御理解をしているのか、お聞かせ願いたいと思います。

古川国務大臣 委員から御指摘ございましたように、ことしの四月、大陸棚限界委員会によりまして、沖ノ鳥島北方の四国海盆地域を初めとした四海域におきまして、約三十一万平方キロメートルに及ぶ我が国の大陸棚の延長が認められました。これは、海底地形や海底下の土質など、日本の科学技術の総力を結集して取り組んだ調査結果に基づく申請によるものであります。

 実際に、二〇〇一年なんかにロシアが申請しているんですけれども、データの精度や量の問題から認められなかった、そういう例もあるわけでありまして、日本が認められたということは、日本の政府一丸となった取り組み、そしてまた科学技術のそうした分野の技術の力、そういうものが非常にすぐれていたからだというふうに思っております。そういった意味では、科学技術担当大臣としても大変私は喜ばしく思っております。

 この海洋の戦略的開発利用、これは日本再生戦略の中でもグリーン成長戦略として、大変重要な取り組みとして位置づけております。特に大陸棚では、海底及び海底下の天然資源の探査及び開発の主権的権利が得られるわけでありますので、日本の持つ科学技術の力を最大限に活用して海洋資源の開発利用に取り組んで、これを日本経済の再生や、また国としての力にしていきたいというふうに考えております。

吉野委員 新たに、資源が眠っている海底が我が国のものになったわけですので、そこのいわゆる探査、どういうものがあるのか、そしてそれを掘り出す技術、ここも、これから大いに古川大臣の手元で研究開発を続けてほしいというふうに思っております。

 この大陸棚を限界委員会で日本に認めていただいた大きな功績をした方がいるんです。東京大学の教授をしていた玉木賢策先生です。玉木先生は、大陸棚限界委員会の委員として、外務省の参与として我が国のために御尽力をしていただいた方です。

 でも、ことしの四月二十七日に認められたんですけれども、実は昨年の四月に、玉木先生、ニューヨークで講演をしている場で病に倒れちゃったんです。そして、病院で亡くなってしまいました。ここに対して、ある意味の、日本のために御尽力をされた玉木先生に対して、昨年の四月七日に外務大臣談話という形でお悔やみの談話を外務大臣は発表しております。

 でも、奥様の話、私は又聞きなんですけれども、労災認定をしているようなんですけれども、なかなからちが明かないというようなお話を伺いました。この辺はどういうふうになっているのか。政府としてきちんとした対応をとっていくべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 先生御指摘のとおり、玉木前委員は、海洋地質学におきまして国際的な第一人者として、国連海洋法条約で設けられました委員会において大変な功績を残されました。玉木前委員の御逝去はまことに悲しい出来事でございました。

 お尋ねの公務災害の認定でございますが、玉木先生の多大な功績に照らしても、私どもとして、認定に必要な資料づくりに万全を期すということで、誠心誠意資料集めに取り組んでまいりました。

 御指摘もありましたし、なお一層努力をいたしまして、なるべく速やかに、効果的な認定作業が早く進むように努力させていただきたいと思います。ありがとうございます。

吉野委員 ぜひ、玉木先生の御冥福を祈るためにも、速やかなる手続を進めていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松宮委員長 次に、江渡聡徳君。

江渡委員 自由民主党の江渡でございます。

 質問時間がかなり短いものですから、大臣にはできるだけ端的な答弁をいただければありがたいなというふうに思っております。

 まずもって、質問通告はさせていただいていないんですけれども、どうしても大臣にちょっとお聞きしたいなと思うところが二点ほどありますので、まず、そのことに対して大臣の率直な御意見を聞かせていただければありがたいなというふうに思っております。

 まず第一に、民主党政権になりまして、特に事業仕分け等が行われまして、科学技術関連予算というものがかなり大幅に削られたわけであります。例えばスーパーコンピューターの問題とかいろいろなことがあったわけでありますけれども、やはりこういうことというのは、これからの日本の科学技術振興について果たしていかがなものかなということで我々は思っているわけでありますけれども、大臣の率直なお考えをお聞かせいただければなと思います。

古川国務大臣 おはようございます。

 まず、事実関係から申し上げますと、予算は減ってはおりません。むしろふやしております。その点はまず申し上げさせていただきたいと思っています。

 あと、この科学技術分野にかかわらず、政権交代後、行政刷新会議において事業仕分けというものを行いました。これは、これまでやってきた行政のあり方、それを一回、言ってみれば棚卸しをして、そういう中で、本当に重要なもの、あるいはやり方とか何かを工夫したらいいじゃないか、そういう視点から、まさに外部の人の目も入れていろいろなものをチェックして行ったわけであります。ですから、科学技術だけ取り出してやったわけじゃなくて、あらゆる分野について、外部の人の目を入れて、どういうふうに見えているのかということのチェックをさせていただいた。

 そういうものを踏まえて、スパコンの話がございましたけれども、まさに、有識者の皆さん方の御意見も踏まえて、スパコンを使える人たちの数をふやしたりとか、もともと税金でやっているものでありますから、むしろ、より多くの国民の皆さん方あるいは研究者の皆さん方、そういう人たちの利用に資するような形で研究開発を進めさせていただいた。

 結果として、まさに世界一もとったわけでありますし、そういった意味では、私は、事業仕分けによって一度見直していったということは、科学技術に対する国民の皆さんの信認を得て政策を強力に進めていく上でも意味があったと思います。

 そしてまた、この分野にかかわる方々についても、やはり税金でやっていく以上は国民の皆さん方の理解も得てやっていかなければいけない、そういった意味では、今、この委員会などもまさにそういう委員会だと思いますけれども、科学技術・イノベーションに対する国民の皆さん方のコミュニケーションをやっていく、そうした意識も高まってきたんだと思います。

 そういった意味では、科学技術・イノベーションが日本にとって極めて重要なことでありますけれども、それは国民の皆さん方の理解を得ながらやっていく、そういうスタートになったのではないかというふうに私は認識をいたしております。

江渡委員 今の大臣のような答弁、やはりこういう形で、いかに国民の方々にしっかりと知らしめていくか、このことは私も一番大事だと思っています。ただ、あの事業仕分けの場において右往左往してしまった。そういうところは、見直すべきところはしっかりと見直していただければありがたいなというふうに思っています。

 もう一点、今、日本のエネルギー自給率というのは、水力を含めてもわずか四%であります。そして今、原子力の問題ということで、国内でいろいろな形の議論があるわけでありますけれども、そういう中において、原子力の位置づけということを科学技術担当大臣としていかにお考えかということも、今具体的に思っている考えだけで結構ですので、お聞かせいただければなというふうに思っています。

古川国務大臣 これはやはり、昨年の原発事故を踏まえて、原発に依存しない社会をつくっていきたい、私も含めて多くの国民の皆様方がそういう思いを共有しておられるんだと思います。そうした思いを受けて私どもは、原発への依存度を下げていく、その代替エネルギーといたしましては、再生可能エネルギーを初めとするグリーン、ですから、原発からグリーンへというそうした大きな方向性をお示しして、今グリーン成長戦略というものをまとめさせていただきました。

 先ほど吉野委員のお話もありましたけれども、福島の皆様方の思い、そして今、原子力に対する、行政に対する不信感や、まさに科学者の、関係する皆さん方に対する信任というものも今はないわけでありますから、やはりこうしたものを一つ一つどう回復していくのかということをしっかりやっていきながら、国民の多くの皆さん方の思いを受けて、原発に依存しない社会をつくっていく、そのために着実な一歩ずつの努力をやっていくというところが極めて重要なことだというふうに思っております。

江渡委員 今、原発に依存しない社会をつくっていくということでありますけれども、しかし、そういいながらでも、やはり自給率がわずか四%、そういう流れの中においてどうスムーズな移行をしていくかということが、これからの一番の大切なことではないのかなというふうに思っています。

 なぜ私がそのようなことを質問したかといいますと、もう日本は人口減少社会に入っておりますし、また、資源の大変乏しい国であるわけでありますからこそ、これからの成長、発展ということをしていくためには、大臣の担当しておりますこの科学技術・イノベーション政策というものをしっかりと加速しながら、産業界をきちんとリードしていくということが、私は一番大切なことだと思っています。

 そのためにも、必要な予算、限られた予算というものをどううまく重点配分していくか。あるいは、将来に向けて安定的で安価なエネルギーをどう確保していくか。この辺のところがきちんとなっていきませんと、産業界にしてみれば、電気、エネルギーの値段ばかりがどんどん上がっていくというふうになりますと、なかなか国内ではというふうな形になってくるわけであります。ですから、そういうところをきちんと考えながらしっかり対応していくということが、私は重要であろうなというふうに思っています。

 それゆえに、我が国が持続的成長、発展していくためにも、研究開発のための投資というのはどうしても必要不可欠であるわけであります。しかし、リーマン・ショック後、我が国の企業の研究開発投資というのは十四兆円台から十二兆円台まで急減し、また、昨年の三・一一の大震災やあるいは円高の影響によってかなり低迷が続いているというのが現状であるわけであります。他方、中国とか韓国は研究開発投資を大幅に増加させておりますし、我が国との差というのは急速に縮まりつつあるというのもまた現状であるわけであります。

 我々自民党が政権を持っていたとき、そしてまた、今の現政権においてもそうですけれども、科学技術の創造立国を目指して頑張っていこうと言っていた、そういうことが、ある意味危機的な状況にあるのではないかなというふうに考えています。ですからこそ、科学技術・イノベーション政策の司令塔機能の再構築あるいは抜本的な強化というのは、図る必要があるのではないのかなというのが私の考えであるわけであります。

 そのためにやはり大事なことは、総合科学技術会議の権限とか体制とか予算システムというのを抜本的に見直して、強化することが必要ではないかなというふうに考えているわけであります。

 そこで、大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、現行の総合科学技術会議の権限というのは調査審議等に限定されておりまして、政府の科学技術政策の柱であります科学技術基本計画の策定権限すら持っていないというのがあるわけであります。これでは、強力なリーダーシップというのは発揮することができないんじゃないのかなというふうに考えています。

 ですからこそ、内閣府に、科学技術基本の戦略計画とか、あるいは科学技術予算に関する各省の調整というものを初めとしながら、科学技術に関する総合調整の全てを移管するということが大切じゃないかなと思いますけれども、その辺について、大臣のお考え方をお聞かせください。

古川国務大臣 科学技術政策の司令塔機能を強化していかなければいけないという方向性は、これは前政権時代から一貫した、別に党派にかかわらずそういう認識を共有いたしておりまして、そうした視点を持って、また科学技術をやはりイノベーションと結びつけてちゃんと、せっかくの技術開発を実用化して、産業やあるいは生活を変えていく、そういったところにつなげていかなきゃいけない。そうした推進体制の強化のあり方につきまして、昨年、私のもとに有識者研究会を設置いたしまして、科学技術とイノベーションを一体的に実施する司令塔体制の構築に向けた検討を行って、十二月に報告書を取りまとめたところでございます。これを受けて、今、法案の提出に向けた準備も進めております。

 したがいまして、今、委員から御指摘があったような点、法案の提出の中でも、どう今の総合科学技術会議の形を少し変えて、むしろ強化していくのか、そうしたことについてはしっかり私ども今検討しているところでございますので、この検討結果を踏まえて、また国会にも法案を提案させていただきたいと思っておりますので、その折にはぜひ御審議をいただき、また御協力をいただければというふうに思っております。

江渡委員 これから法案が出てくるというわけでありますけれども、できるだけ、今回の議論やさまざまな今までの経験というものをうまく生かせるような形の改革としての法案を出していただければありがたいなと思っております。

 その中において、先ほど政務官からも少しあったわけでありますけれども、産学の一級の人材を結集していくというようなお話もあったわけであります。そして、結集したイノベーション全体を担うための総合科学技術会議の有識者議員の体制ということ、これもやはり再構築が必要ではないのかなというふうに思っています。

 特に、現行の構成というのは、産業界出身者より学界の出身者の数がかなり多いのではないかなと思っています。こうなりますと、バランスを失しているというふうな感じがしますけれども、もう少し、基礎的な部分から実用化までにおいて推進力を出していこうというふうに考えた場合に、私は、産業界の方々の有識者議員というのはふやすべきだと思っていますけれども、大臣、いかがお考えですか。

古川国務大臣 法案作成はまさに先ほど申し上げたとおりなんですけれども、そうした考え方を先取りするような形で、産官学の皆様方にお集まりをいただいて、医療イノベーション推進協議会というものを今立ち上げて、そこで、今回のアクションプランなんかの取りまとめにつきましてもかなめとして御議論いただいております。

 まさにここには、要するに、単に研究者だけじゃなくて、実際に企業などで活動している方々、そうした視点もいただいて、やはり科学技術をイノベーションにつなげ、そしてそれを実用化につなげていく、その一気通貫の流れをつくっていこうということで、既にそうした取り組みは行っておりますので、今後とも、そうした取り組みをしっかり行って、そこがこうした科学技術・イノベーション政策をリードしていけるように運用してまいりたいというふうに考えております。

江渡委員 今、大臣の方からお答えもありましたけれども、そういう中において、第四期の科学技術基本計画に基づきまして、総合科学技術会議のもとに設置されましたイノベーション戦略協議会、ここにおいて、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、震災復興の三つでありまして、ある意味、検討範囲というのはかなり広範なものになっているのではないのかなと思っています。こういうような状況ですと、戦略的に重点的にいろいろやっていこうということは難しいんじゃないかなと思っています。つまり、総花的になりかねないのではないかなというふうに私自身は危惧しております。

 ですからこそ、真にイノベーションを急ぐ重点分野を早急に設定するとともに、あるいは、その分野ごとに産学の新進気鋭の専門家集団を構築し、また、重点分野ごとの国家戦略というものを策定すべきではないのかなというふうに思っています。

 ですから、総花的にならないようにしてほしいし、予算を重点的に配分してほしいと思っていますけれども、その点について大臣はいかがお考えでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まさに、これは総花的にならないようにということで、復興再生そしてグリーンイノベーション、ライフイノベーション、この分野を最重要の分野として、その中で、資源配分を重点化すべきそうした政策課題の取り組みを示して、これから予算編成も行ってまいりたいというふうに思っております。

 そういった意味では、委員御指摘のように、総花的にならないように、特に震災復興並びに再生、そしてやはり、新しい経済成長の大きなメーンエンジンでありますグリーン成長と、そして医療を初めとする医療イノベーション、ライフイノベーション、こうした分野に重点特化した予算編成をこれから行うことによって、今御指摘のような、総花的にならないような形でやっていきたいというふうに思っております。

江渡委員 今、総花的にならないようにということで大臣からお話がありましたけれども、やはりそういう形でやっていこう、そして実際に実用化まで持っていこうといった場合においては、ある意味、しっかりとそれぞれの分野においての、コーディネートしていくあるいはマネジメントしていく、そういう人材というものが一番大事になってくると私は思います。

 幾ら、産官学でそれぞれがすばらしい人たちであったとしても、それをどう取りまとめていくか、そしてそれをどうやって成長分野として育てていくか、こういうところの人材というのをどう広く世間から集めようとしているのか、あるいは民間から集めようとしているのか。そういう点では、大臣はどのようにお考えでしょうか。

古川国務大臣 お答えします。

 先ほどちょっと申し上げました推進協議会などは、まさにそれぞれの分野で一線級でやっていらっしゃる方を民間からも集めさせていただいておりますし、また、例えば医療イノベーション推進室、ここには、民間でまさに実践でやっておられる方やあるいは第一線の研究者の方、そういう方にも推進室のメンバーになっていただいて、さきにまとめました医療イノベーション推進五カ年戦略などは、まさにそういう実際の先端の人たちにも加わっていただいてまとめております。

 そういった意味では、計画段階から実践の方々、そういう人たちも加わって計画をつくっていく、そして、そのことによって実行を加速させ、そして担保していく、そうした取り組みを行っておりますので、こうした取り組みをほかの分野においてもやっていきたいというふうに思っております。

江渡委員 なぜ、今私がコーディネートやマネージングの人が大切かといいますと、例えば京大の山中教授、iPS細胞なんかで一生懸命頑張っているわけですけれども、そういう先端的な部分になりますと、どうしても海外との特許の部分、特許の申請のこととかあるいは市場調査でどういうものを先にやっていけばいいかというようなことも大切になってくるわけであります。そうなりますと、同じ産官学だけではなかなかいかない、いかにチームプレーでやっていくか、そうなった場合においてのマネージングをどうするか、あるいはコーディネートをどうするかという部分が大切になってくると思っています。

 ですからこそ、協議会だけではなくて、もう少し下に落とした部分において、よりよい人材をどう確保していくかということも考えていただきながら、それに対する対応の予算ということも考えていただければありがたいと思いますけれども、いかがですか。

古川国務大臣 iPS細胞の研究など、まさにこれは国家プロジェクトとして、それこそ、研究者だけではなくて、弁理士の方々等ですとかいろいろな方々が集まって、一体としてやっていけるようにしております。

 やはり、日本でイノベーションがなかなか実現しない、起業とか創業が難しい一つには、そういう技術があっても、それをうまく周りで支えて、それにちゃんと水をやって芽を出すという、これはまた、やはりちょっと技術開発とは違う側面がありまして、そのコーディネーター機能が弱いということは私も委員と同じような認識を持っておりますので、まさに、そういう人材を養成するということも非常に大事だと思います。

 ですから、そうした人材養成であるとかも、これからの取り組みの中ではしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

江渡委員 それから、先ほど基礎研究から実用化まで一気通貫で頑張れるような体制をということで大臣がお話しされたわけでありますけれども、そうなればなるほど、やはり一番大事なところは予算配分のところ、予算をどう確保していくか。そういうような形になりますと、かつての科学技術庁が所管していたような科学技術振興調整費というようなもの、これが今、ある意味ないんですよね、多少はあるんですけれども。この辺のところをどれだけうまく確保できるか、そして、それをどう効率的に配分するかということが大切だと私は思っています。

 となれば、やはりそれらのものにかわるような形として、内閣府が一括調整して予算を確保して、そして各省に配分する、そういう形の調整機能を持つということも必要だと思うんですけれども、その予算の確保について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

古川国務大臣 委員のお考えも一つのお考えだというふうには思っておりますけれども、まず今のところは、資源配分についての方向性をきちんと示して、またアクションプラン等を用いて各省庁の予算編成を誘導していく、そのことによって、予算の重複排除、こういうことのないようにやっていきたいというふうに思っております。

 そうした取り組みをしっかり進めていく、その中で、それでも足りないということになれば、それは委員のお考えになっていることも一つの考えではないかと思いますが、まずは、やはりここは、私のもとのところで重複を排除していく、そして、アクションプランに基づいて各省庁の予算編成が行われるようにリードしていく、そのことをきちんとやってまいりたいというふうに思っております。

江渡委員 この辺のところ、特にこれからまた法案が出てきますから、しっかりと議論させていただきたいと思うわけでありますけれども、どちらにしても、やはりこれからの日本が生きる道というのは、この科学技術・イノベーションをどううまく発展させていくかということが大事になろうかと思っております。ですからこそ、これからも大臣に一生懸命頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。

松宮委員長 次に、中野渡詔子君。

中野渡委員 おはようございます。国民の生活が第一、いつもにこにこ元気印、中野渡詔子です。

 本日は、古川大臣の所信に対して御質問をさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。この委員会に所属をしますのも、また質問をさせていただくのも初めてでございますので、大臣の科学技術・イノベーションに関する基本的なお考えについて集中してお伺いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、平成二十二年六月十八日に閣議決定されました新成長戦略では、総合科学技術会議を改組して科学・技術・イノベーション戦略本部を創設するという方針が掲げられましたけれども、現在は、総合科学技術イノベーション会議に移行するということがまず検討されている、そういうお話を聞いています。

 この会議と戦略本部の創設の現状というのが今どうなっているのかということを教えてください。

古川国務大臣 科学技術・イノベーション政策の推進体制の強化のため、昨年、私のもとに有識者研究会を開催いたしまして、そのもとで、科学技術とイノベーションを一体的に実施する体制の構築に向けた検討を行って、十二月に報告書を取りまとめたところであります。これを受けまして、科学技術政策とイノベーション政策を一体的に推進するための法案の提出に向けた準備を進めているところです。

 科学技術政策とイノベーション政策を一体的に推進するためには、予算等の資源配分だけではなくて、規制改革や需要創出といった、成果を発展、活用するための方策についても総合的に推進することが重要であります。そのための戦略の企画立案機能、また各省の取り組みの調整機能、政策助言機能を強化することが必要である。

 こうした考え方に立って、今検討しております法案では、こうした機能を強化し、また関係府省と連携して、政府の施策が総動員できるような体制を考えてまいりたいと思っておりますので、また、法案が出たときにはぜひ御審議いただき、御理解をいただければというふうに思っております。

中野渡委員 戦略本部の創設というのは、結構大きな期待を集めていたと思うんです。でも、平成二十二年の六月からと考えますと、二年以上経過しているわけですね。震災があったというのは十分踏まえているんですけれども、だからこそ早急に立ち上げるべきだったんじゃないかなと今でも思っておりますし、予定では今年度にはもう発足して動き始めていたんじゃないかなという思いも強く持っております。何でも時間をかけて丁寧にやればいいというものではないと思っておりますので、できるだけ早く法案も出していただいて、審議に入らせていただきたいとお願いを申し上げます。

 戦略本部には、科学的助言を行う顧問を置いて、行政庁のトップに対して、科学的知見に基づいて客観的な助言ができる機能を持たせるということを検討されています。日本では、政治からの要請として、英国をモデルに導入が検討されているようなんですけれども、顧問による科学的助言機能がきちんと機能するためには、特に緊急時に専門家のネットワークから迅速に知識、情報というのを集約することが必要ですし、そのような背景を持つ人というのが顧問として任命されなければならないとも思っています。官僚がその役目を負うのではなくて、官僚組織から独立した中立的な立場の科学者の助言というものも必要だと考えております。

 今のところ、法案が出るまで全てが検討中というところではあるんですけれども、大臣はどんな方がこの顧問というものにふさわしいのかということをお考えでしょうか。

古川国務大臣 今委員からも御指摘ございましたが、まさに昨年、震災、そして原発事故が起きまして、特にその後、科学者の皆様方の御意見、多分委員もそうだと思います、私もそうなんですけれども、人によって言うことがみんな違って、専門家でない人間からすると一体何を信じていいのかわからない。やはり科学者に対する不信感というのが非常に高まったんだと思います。

 そのときに、実は、イギリスの科学技術顧問、ベディントンさんという方ですけれども、この方が、原発事故の後、非常に冷静なステートメントを出されて、これは、日本に在住のイギリス人はもとより、多くの人が、この科学技術顧問から出されたステートメント、非常に信頼性が高かったと。

 そういった意味では、そういうことも踏まえて、昨年、私どものところでまとめました科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会報告書におきましては、科学的助言機能の強化の一つとして、科学技術イノベーション顧問を設置するべきだということが明記をされたところでございます。

 この報告書におきましては、科学技術イノベーション顧問というのは、総理大臣、関係各大臣が、科学技術・イノベーションについて的確に理解し、適切に事務を執行するために、各府省の行政から中立な立場で、科学技術・イノベーションに関する助言や一元的な情報発信を担う、役割を担うこととされております。

 また、この報告書では、顧問は内閣総理大臣が任命することを検討すべきというふうにされるとともに、科学技術全体を俯瞰し、中立公正な立場で、みずからの責任で最適と考える助言を行うことができる人物であることが必要であるというふうにされております。

 現在、この報告書も参考にして、科学技術会議の改組法案、こういうものとの連携も踏まえつつ、科学技術顧問のあり方についても検討をしているところでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 本当に中立な立場で、要するに、自分が何か専門的に研究をしていれば、やはりその分野に厚く重点を置いてほしいという思いがどうしても生じるのが人間のさがだと思いますし、そういう意味でも、的確な、本当に中立な助言ができる方というのをしっかりと選んでいただきたいとお願いを申し上げます。

 第四期の基本計画では、これまでの個々の研究開発の成果が社会的な課題の達成に必ずしも結びついていなかったから、基礎研究の抜本的強化に取り組むんだというふうに記されているわけですが、社会的な課題の達成に結びついているかいないかというのは、どのように判断されて結論づけられるものなんでしょうか。

 細かいことかもしれないんですけれども、私も学生のときには基礎研究の科に籍を置いておりました。専攻は大脳生理学です。恐らく、自分の研究テーマというのは、間接的であっても何かしら社会に対して貢献していたものなんだろうと勝手に想像しているわけですけれども、同じ研究室には、微生物学からゾウリムシの研究をされていた先生が移籍をされてきていました。ゾウリムシが運動するときに繊毛を動かすわけですけれども、そのメカニズムを研究されていて、世界の同じ分野の研究者の方々から本当に注目をされていた、そういうものだったんですけれども、ゾウリムシが運動をする、そういう研究テーマというのは、社会的な課題の達成に結びついていたと判断されるんでしょうか。

 基礎研究を社会的課題の達成に貢献しているかいないかというところで判断されるというのを、非常に大きな心配をしているんです。この社会的な課題というのは具体的に何を指していらっしゃるのか、教えていただけますか。

倉持政府参考人 基礎研究は、我が国の国力の源泉となる高い科学技術水準の維持発展、あるいはイノベーションによる新たな産業の創出や安全で豊かな国民生活を実現していくための基盤をなすものと認識しております。

 このような基礎研究には、今委員御指摘ございましたけれども、まさにイノベーションの源泉たるシーズを生み出す、多様性の苗床と申しますか、そういった観点で行われている基礎研究と、今ゾウリムシのお話もございましたけれども、非常に、自然の原理とかそういったところを理解する、広く新しい知的、文化的価値を創造し、直接的あるいは間接的に社会の発展に寄与するものと、そういったものがございまして、両面ある。両面性を持ちながら、基礎研究というのは、その意義や重要性が高まっているというふうに認識しているわけでございます。

 こうした重要性にどう応えるか、これがまさに社会的課題でございますけれども、第四期の科学技術基本計画では、国として、独創的で多様な基礎研究を重視して、これを一層強力に推進していくことが不可欠でありまして、基礎研究の抜本的強化に向けた取り組みを進めるとしております。

 去る七月三十日に、総合科学技術会議の本会議で資源配分方針というのが決定されましたけれども、そこにおきましても、基礎研究につきましては、特に、最近、我が国の基礎研究の国際的な地位の低下が危惧される傾向にあるということから、国際的な地位の低下を食いとめて、競争力の回復を図ることが優先課題だというふうにされているところでございまして、そういった観点でしっかりと関係府省とともに取り組んでいきたいと思っているところでございます。

中野渡委員 ありがとうございました。幅広く取り組んでいただきたいと思っております。

 第四期基本計画では、平成二十三年度から五年間で投資規模が二十五兆円とされています。でも、これは、第三期も二十五兆円規模でしたし、第二期では二十四兆円規模ということで、実際の予算額というのは下回りまして、どちらも二十一兆円強と、目標額は達成されませんでした。

 科学技術に力を入れていくという意気込みの割には、平成二十四年度の予算も前年度より〇・六%という微増になっていまして、失礼な言い方かもしれないんですけれども、本気度がよく見えてこないというか。科学技術の弱体化を懸念していながら、予算規模も結局はいつもどおりになっていて、中身で勝負ということなのかもしれませんけれども、研究職の方たちからすれば、どれだけ国が本気を出してくれるかという期待をされているときに、逆に、限られた予算の中で、一方的な判断で基礎研究が淘汰されてしまうんじゃないかという心配をされているんです。そういうことについては、大臣、いかがなように思っていらっしゃるのか。

 特に、平成二十三年の十二月十九日にまとめられた、大臣もお話をされている、科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会の報告書では、第四期基本計画において、自然科学だけでなく、人文社会や社会科学の視点も取り入れとあるんですけれども、その一方で、人文・社会分野の研究というのは、人間の存在や認識の深い問題を扱っているので、全てを対象とするには慎重な検討が必要であるというふうにもされています。

 ここで深く議論をするつもりはないんですけれども、先ほどからお話ししているように、切り捨てにつながるんじゃないのかなとか、あと、人命とか生活にかかわるというところ、産業とかそういうところにかかわるもの以外は、分野が何であっても、強化する基礎研究には当たらないと判断されてしまうんじゃないかというふうに感じております。

 基礎研究というのは、結果が出るまで長時間を要します。また、何が最終的に実を結んでいくのかというのは今時点ではわからない、想像がつかないという面も持っています。

 できれば、どこかで線を切るんではなくて、全ての基礎研究が対象となるように最善を尽くしていただきたいと大臣にお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

倉持政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術関係予算につきましては、委員御指摘のとおり、第三期基本計画で二十五兆円という投資規模を目標にいたしまして、実績二十一・七兆円でございました。昨年度からの第四期の科学技術基本計画につきましても、同じく五年間で二十五兆円という目標を掲げているところでございます。

 昨年は、本当に未曽有の大震災を受けまして非常に復興等の資金需要も高まる中でございますけれども、それらも含めまして、ほぼ前年度並みの、先ほど委員から伸び率も御指摘いただきましたけれども、大変厳しい中でございますけれども、そういう科学技術基本計画に目標額を掲げながら毎年その確保に努めているという状況でございます。

 それから、幅広く人文社会の関係者も含めてということでございますが、もちろん研究の内容によりまして、国としてどこまで関与するか、そういう問題があるわけでございまして、いわゆる学術研究につきましては、非常に研究者の主体性というものを重視しながら推進していくことが重要であろうというふうに心得ているところでございます。

 ただ、今私どもは、科学技術の成果を実際の社会にいかに還元していくか、まさにそれをもってイノベーションを達成していこうという課題に取り組んでいるわけでございまして、社会実装となりますと、これはいわゆる自然科学系の研究だけではなくて、いろいろな制度であるとか社会システムであるとか、さまざまな課題に総合的に取り組んでいかなきゃいけないということでございまして、幅広くそういう人文・社会科学の御専門の知識もかりながら、個々の研究開発成果を少しでも社会実現につなげていく、そういう努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 社会にいかに還元していくかという点では、例えばなんですけれども、都道府県でも、地方独立行政法人として産業技術センターなんかを設置して、地域のさまざまな産業の研究開発に努めています。

 青森県にももちろん産業技術センターがありまして、例えばその中の水産総合研究所では、陸奥湾養殖のホタテガイの貝毒の研究をされていたり、地域の産業に非常に密着をした研究を進めています。そのセンターでも、やはり基礎研究を進めるには長期的に安定な財源が必要だと訴えられています。もちろん外部財源に頼っていまして、文部科学省からの研究費にも頼っているところです。

 本日は、文科省の方から神本政務官にもお越しをいただいております。お忙しい中、本当にありがとうございます。

 いわゆる科研費というのは、競争主義の中で奪い合う、言葉は悪いかもしれませんけれども、奪い合うものだというんですけれども、地域の生活にはなくてはならないこれらの研究開発センターの研究テーマというのは、その成果というのをいかに地元に、地域に還元していくかというのが最終目標であるわけで、これを競争主義の中に入れてしまうというのはふさわしくないと思いますし、別途支援をしていくべきではないかというふうに思うんですけれども、政務官、いかがでしょうか。

神本大臣政務官 先生おっしゃるように、まさに地域に密着した、地域の特性を生かした科学技術に関する研究を支援するということは非常に重要なことだと思っております。そのことが新産業や新市場の創出、あるいは地域の雇用拡大にも結びついていくというようなことから、文部科学省といたしましては、先ほどから先生おっしゃっています第四期科学技術基本計画あるいは日本再生戦略、こうしたものを踏まえまして、地域主導のすぐれた構想を効果的に支援するために、大学や公設研究機関等の研究段階から事業化に至るまで連続的な展開ができるように、地域イノベーション戦略支援プログラムというものを実施しておりまして、その中で研究者の集積や研究の補助者の配置などを促進するための支援を行っているところでございます。

 青森県におきましても、これは二十二年度から今年度までの期間ですが、都市エリア事業において、弘前を中心とした地域におけるヘルス・ビューティー産業クラスター創生に向けた支援というものを実施しているところでございます。

 いずれにしましても、地域の科学技術の振興というのは、地域活性化のみならず、我が国全体の科学技術の高度化、多様化にも貢献するということで極めて重要であると考えておりますので、引き続き文部科学省としても支援をしてまいりたいと思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 民主党政権になって、地域でできることは地域でという言葉が合い言葉のようになって、事業仕分けが行われる中で、地域にとって必要な制度であったり施策というものが仕分けされてしまうということが多々ありました。与党の中におりまして、地域主権というものがしっかりと確立をしていない中で仕分けだけが先行してしまうということは非常に無理があると思うということ、そういう意見も申してきたんですけれども、なかなか聞き入れてもらえなかったということもございました。

 地域の自立を促すためにも、その前にまずてこ入れをしていくということも必要だと思います。こういうことは本当に簡単な話ではないと思うんですけれども、今政務官から力強い、これからもということでお話をいただきましたが、常に念頭に置いていただいて、ぜひ御支援をいただけるようにお願いをしたいと思います。

 政務官、お忙しい中、本当にありがとうございました。どうぞ御退席いただいても大丈夫です。

 先ほど、自分も基礎研究をやっていたというお話をしたんですけれども、大学時代の友人とかの多くは、それぞれに研究とか、その実践の分野で活躍をしています。もちろん、大学、独立行政法人の研究機関、そういうところが多いわけですけれども、どこで活躍していても、やはり一様に、科研費を上げてほしい、研究費が欲しいということを口にされるわけです。

 研究室によっては、年間数十万の科研費のために、給与から自費を持ち出して研究を続けざるを得ない、そういう研究室というのもありまして、実態は非常に悲惨なものだとも思っております。

 基礎研究の抜本的な強化を行うためには、独創的で多様な基礎研究の強化や世界トップレベルの基礎研究の強化を図るということももちろん大事なんですけれども、それと同時に、全体を底上げしなければならないとも強く思っています。

 この点についてどう受けとめられるかお聞きしたいのと、あと、人材育成の強化を挙げられているんですけれども、なぜ本当に優秀な研究者、日本人の研究者というのが海外に流出してしまうのか、その原因は何だと思われるのか、お考えをお聞かせください。

古川国務大臣 私、大臣になってから、かなり若手の研究者の皆さん方といろいろ意見交換をさせていただいたりもしております。

 特に、委員や私たちの世代の研究者は、上の方々はなかなかずっとやめないし、下は入ってこない。ですから、研究だけじゃなくて、事務的なことの、雑用みたいなことに物すごく時間も割かれてと。また、同じような仲間なんかで、海外で研究をしていて、本当は日本に戻ってきたいんだけれどもポストがない、ですから、結局、なかなか日本に戻ってこれなくて海外でと。海外で研究をしたいからというよりも、やむを得ずやっている、そういう人も多いんだと。

 そういうようなお話も含め、さまざま若手の研究者の皆さん方から意見も伺ってまいりました。そうしたこともこれからの政策に生かしていきたいというふうに思っております。

 科学技術、これは我が国にとって、資源のない国にとっては非常に重要な分野で、しかも、それはやはり人材によって支えられているわけでありますから、こうした科学技術分野の人材をどう育成していくのか。優秀な人たちを日本にとどめると同時に、世界からも優秀な人たちをどう集めていけるかということは極めて重要なことだというふうに考えています。

 そういった意味で、この第四期科学技術基本計画の中でも、我が国が世界トップクラスの人材を国内外から引きつけて、世界の活力と一体となった研究開発を推進していく、そのための研究施設や設備、研究開発環境の整備を進めるということが示されているわけでございます。

 そういった意味では、今委員からの御指摘というもの、問題意識は共有をいたしておりますので、そうした問題意識を具体的な政策という形でしっかり実行していくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 基礎研究の強化とか人材の育成というのは、当初の基本計画のときから毎回載っているものなんですよね。では、この第四期に来て大きく何が変わっていくのかということは、本当にこれは実践をしていかなければ見えてこないところも多々あるとは思うんですけれども、今大臣のお答えのように、しっかりと現状を踏まえていただき、そして日本で科学技術というものを産業に結びつけて、社会に結びつけて、国民の利益となるようにやっていっていただきたいというふうに、本当に心からお願いを申し上げたいと思います。

 例えばですけれども、臨床であったり実践の分野というのは、社会的な課題の解決に貢献しているかどうかというところで判断するという判断材料に使ってもいいと個人的に思う部分はあるんですけれども、今ずっとお話をしてきたように、基礎研究というのは本当に繊細なものです。なので、何が有効で何が無駄なのかということでははかれないと思っています。

 繰り返しになりますけれども、基礎研究全体の底上げをしながら、そして抜本的な強化につなげていくということを改めてお願い申し上げ、また、これから精力的に取り組んでいかれると思います古川大臣に大きな期待を申し上げまして、自分の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本当にありがとうございました。

松宮委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 きょうは、科学技術・イノベーションにつきまして古川大臣と初めて議論をさせていただきますので、もう既に前の方の質問やいろいろなところでお述べになっていることと重なることがあるかもしれませんが、もう一度原点からお聞きをしたい、このように思います。

 まず、科学技術そしてイノベーションに対しての古川大臣の基本的な考え方でございます。

 こういう日本の閉塞状況の中で、これをどう打開していくか。科学技術そしてイノベーションというのは非常に大きな役割を担っていると思います。これは日本経済を打開するというだけではなくて、我々日本が世界の中でどういう貢献をしていくか、また、そのことによって子供たちにどう将来の希望と夢を与えることができるか、我々の生き方にかかってくる問題というほど重要な問題だと思っております。

 そういう趣旨から、科学技術担当そして国家戦略担当、この二つの立場で科学技術をどのように考えていらっしゃるかということをまず最初にお聞きしたいと思います。

古川国務大臣 委員は、この分野は私なんかより大変専門家でございますので、私などが申し上げるのは大変僣越かと思いますが、私の考えを申し上げさせていただきますと、やはり、日本は今さまざまな課題に直面をいたしております。特に、今、日本が直面している課題というのは、実は世界に先駆けて、ほかに世界で直面したことのない課題というのがたくさんあるんですね。

 例えば福島の原発事故、これをどうちゃんと、廃炉をしっかりやって、そして除染も含めてやっていくか。これだけ大規模なことは、まさにこれは世界に先駆けて日本が乗り越えていかなければいけない。それが、被害に遭った福島の皆さん方、そして原子力に対して不安を持っていらっしゃる国民の皆さん方に対して国としてやっていかなければいけないことだと思いますし、また、今、それに伴って新しいエネルギー社会をつくっていかなければいけない。

 私どもは、原発に依存しない社会をつくっていこうと。原発の依存度を下げて、そのかわりは、やはりグリーン成長、再生可能エネルギーを中心とする新しいエネルギー、原発からグリーンへという、そうした方向性を示していきたい。

 この再生可能エネルギーの分野も、同時に、これは本当に安定的なものとして、そして広く広がっていくためには、まだまだ多くのイノベーション、技術革新というものがやはり必要な分野であって、こういうエネルギーや、また、委員も大臣としても取り組まれた環境の分野、こうした分野も、日本は今でも先端を走っていると思いますが、世界が直面しているさまざまな問題を考えれば、もっともっと日本がこの分野で先端を走って、そして、走るだけじゃなくてそれを広く社会にちゃんと適用して、ほかの国でも、ほかの社会でも実現できるような状況をつくっていくことが必要だというふうに思っています。

 さらには、世界に先駆けて超高齢社会に入っている。この中では、高齢化に伴って、当然、人間はやはり、体もいろいろなところ、私もそうですけれども、がたがきたりするわけですから、そういった意味では、再生治療を初め、新しい医療の分野を中心とする医療イノベーションであるとか、こうした部分も、日本は実は本当に世界のフロントランナーとして乗り越えていかなきゃいけない。

 さまざまな課題を乗り越えるためには、これはやはり、科学技術をいかに活用していくのか。今までの技術から、それを超えたもの、そしてそれをイノベーションにつなげて、そして実用化していって私たちの生活や暮らしを変えていく、そこまで結びつけていかなければいけない。そして、暮らしを変える、社会を変えるためには、やはりこの科学技術・イノベーションというものが不可欠の要素としてある。

 そういった意味では、国家の、これからの日本のあり方を考える上でも非常にキーとなってくる、そうしたエレメント、要素だというふうに私は考えております。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。私も全くそのとおりだと思います。

 しかるに、現状は、まず、シーズの部分の研究成果、我が国が優位にある研究分野というのは、十年前、二十年前はいろいろな分野がありましたけれども、現在、いろいろな世界の科学技術評価の結果を見ましても、その数がどんどん減ってきている。

 それからもう一つ問題は、先ほど大臣もお述べになりました、その成果を社会に役立てていく、死の谷をきちんと越えて役立たせていくイノベーションの能力も日本は非常に低い、こういう評価で、まさにここをどう克服するかが、日本が世界の中で本当に誇りある地位を保てるかどうかの一番大きなポイントだ、このように私も考えております。

 そういう重要な問題であるにもかかわらず、国会の中での議論が少ない。これは、我々も立法府の人間として反省しなくてはいけないと思います。昔は科学技術常任委員会があって、常時こういう議論がされていたわけですけれども、その議論が少なくなった。その反省の上に立ってこの特別委員会が持たれたわけですけれども、この特別委員会ももっともっと議論をしなくてはいけない、このように思っております。

 それと、やはり行政、政府の中での議論も余り見えてこない。もっともっと古川大臣が内閣の先頭に立って、頑張っていただいているんですけれども、どうもそれがよく見えてこないというところもございます。総合科学技術会議も開かれる頻度は非常に少なくなってきている、総理もほとんど出席されない、こういう状況の中で、ここ数年、議論が余りに少なくなってきているのではないか。

 これは、我々の自公政権時代の反省も踏まえて、それも含めてこのように思っておりますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

古川国務大臣 総合科学技術会議自体は、本会議自体は確かに、委員の御指摘にあるように、ちょっと開催は少ないことは事実であります。ただ、開催をしたときには必ず総理も御出席をいただいております。

 これはさまざまな理由、国会の方も延長になったりして、総理も多分、委員のときに比べても、今の総理は非常に国会にも出て、答弁をしている回数も多いんだと思います。そういうさまざまな事情もありまして、総合科学技術会議本会議自体は開催は少ないんですが、しかし、これはもっと私どももちゃんとPRしていかなきゃいけない、活動をお伝えしていかなきゃいけない分野だと思うんです。

 科学技術・イノベーション戦略協議会というものをつくって、復興再生であるとかグリーンであるとかライフであるとか、こういった分野については、産官学の皆さんに集まっていただいて、かなり何回も集まっていただいて議論をいただいて、今回つくったアクションプランなども、まさにそうした皆さん方の議論を踏まえてまとめていく、そうした作業、取り組みを行っております。

 また、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私もなるだけ若手の研究者の皆さん方のお話を伺う機会をつくらせていただいて、そういう皆さんの御意見を直接伺うということもさせていただいております。

 またさらに、国家戦略会議のもとでフロンティア分科会というのをつくりました。そのもとで四つの部会をつくったんですが、そのもとにも、まさに若手の科学者の皆さん方に、学術会議の中から御推薦をいただいて、そういう若い皆さん方に御参加をいただいて、二〇五〇年に向けて、日本のあり方はどうあるのか、まさにそれはさまざま、社会科学の方にも、若い学者の方にも入っていただきましたけれども、そういう方々にも入っていただいて、二〇五〇年に向けたビジョンなどの議論もしていただいております。

 そういった意味では、いろいろな取り組みは行っておりますけれども、それがまだちょっと見えにくいという部分の御指摘はそのとおりでございますので、もう少しそういった取り組みがしっかり目に見えるように努力をしていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 古川大臣はそういう明確なビジョンを持っていらっしゃる方ですので、どんどん前に出て発信をして、こういう形で科学技術・イノベーション、政府も先頭を切ってやっているんだということをぜひPRしていただきたいと思います。

 今話に出ました総合科学技術会議、この総合科学技術会議の総合司令塔としての機能ということについて、ちょっと議論を進めていきたいと思っております。

 余り総合科学技術会議というものの位置づけが明確でない、今の政府の中で明確でない。そこをもう少し明確にする必要があるのではないか、このように思います。例えば、七月三十日に総合科学技術会議が開催されました。その翌日に日本再生戦略が出てくるわけですが、この二つを見比べますと、余り整合性がとれていないような気がするんです。

 例を挙げれば切りがありませんが、例えばグリーンイノベーションについて、総合科学技術会議では、重点的な取り組みとして、再生可能エネルギーの問題、それから分散型エネルギーシステムの拡充、そして省エネデバイス、あと社会インフラのグリーン化ということで地球観測システム等が重点化、今後伸ばすべき項目として挙げられておりますが、これは来年度予算案の基本的な骨格になる、そういう位置づけだそうです。

 再生戦略、これはある意味では中期的な目標で、来年度予算案という短期的な目標と必ずしも一致しないということはわかるんですけれども、こちらの再生戦略を見ますと、グリーン成長戦略のところに書いてありますのは、グリーン部素材、これが重点施策、いろいろな素材の話。それから次世代自動車。それから蓄電池、この蓄電池というところは一致していますね、分散化ということで一致しております。等々、ぱっと見ますと、この総合科学技術会議と再生戦略、シンクロナイズしていないというような気がするんですが、いかがでしょうか。

古川国務大臣 科学技術を、国家戦略として極めて重要な位置づけをしている。総合科学技術会議と国家戦略会議がそごがないようにしていく。これはまさに、私が一人の人間として両方の大臣を担当しているということでして、そこのところはしっかり私の責任で見ているところであります。

 今御指摘のあったグリーンイノベーションのところなども、日本再生戦略をまとめる段階から、ちゃんと調整もしていきながらしっかり話もしているところであります。

 先ほど委員が見ておられた中にも、グリーン成長戦略のところの中間報告とこちらと別に分離はしていませんというところはちゃんと、大きな方向性を示して、その中で、グリーン成長戦略はかなりもう目の前、具体的にどうするのかというところでありますので、そういう具体的な取り組みのところにフォーカスを当てておりますから、そういった意味では、総合科学技術会議の方で示しているアクションプランとはそごはないというふうに考えています。

 今後、こうした総合科学技術会議の方向性と、再生戦略で具体的な取り組みという、これを一体的に予算編成過程でも行うために、例えば、グリーン成長のところでいいますと、国家戦略室にグリーン成長戦略チームというのをつくりまして、そこに科技の事務局の方の人間も併任をして、一体的に横割りの予算、横串を刺していこう、そういった取り組みを行っていこうというふうに考えています。

 また、ライフイノベーションの部分の医療イノベーションにつきましては、医療イノベーション推進室が、各省庁を超えた横串の予算、きちんとチェックしていく、見ていく、そうした部署として位置づけておりますので、そこにも総合科学技術会議の事務局のメンバーを何人か併任をかけて、まさに一体として、これは両方とも、戦略室も、また医療イノベーション推進室も私のもとにありますので、私の責任のもとに、事務局体制もしっかり連携をさせて、横串を刺した予算編成を行っていく。

 そのことによって、アクションプランで示された方向、そして、グリーン成長戦略であるとか医療イノベーション推進五カ年戦略、そうしたもので示された具体的な施策を、科学技術の、こちらのアクションプランで示された方向に従ってやっていくという形で、一体的に扱っていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 その点はよくわかりました。

 ただ、外から見ておりますと、この二つの報告書が、一見して、ざっと見ただけですので、私が深く掘り下げているわけではないんですけれども、方向性が必ずしも一致していないという印象を持ったがごとく、総合科学技術会議の議論が余り総合司令塔としての役割を担っていないのではないか、このように思えてなりません。

 それは、実は自公政権時代からそう言われ続けてきたわけですけれども、この総合科学技術会議の総合司令塔機能をどう強化していくかということについて、ちょっと議論をしたいと思うんです。

 今の総合科学技術会議の議員の方は、それなりにその分野で功成り名遂げた先生方、民間出身でもそういう方々でございます。そういう方々の意見はまさしく尊重しなくてはいけないのですけれども、片一方で、将来の成長分野は、個人が持っている、この分野が伸びるとかそういう目きき力が非常に重要だというようなこともよく言われます。

 総合科学技術会議のような総合司令塔と、その下で、各分野の、これからどの研究分野を伸ばしていくかという議論はおのずと違うのかもしれませんけれども、例えば、総合科学技術会議に、そういう訓練をした、何というんでしょうか、研究そのものを突き詰めてやってきた人、当然そういう人の代表も必要ですけれども、どの科学技術分野がこれから、社会全体を見たときに、人文科学や社会科学の観点からも含めて伸びていくか、そういう訓練を、官民問わず育てていく、そういう人が総合司令塔機能の中に入っていくということも今後必要になってくるのではないか。

 国家戦略担当大臣として、将来の総合司令塔がどうあるべきかということもぜひお考えいただきたいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

古川国務大臣 問題意識は全く私も議員と同じであります。

 やはり、科学技術の分野というと、ともすると皆さん、自分の専門分野だけに非常に特化していて、横のつながりがよくなかったりとか、また、最初にも委員の御指摘にありました、せっかくいい技術があっても、それがなかなか死の谷を越えられなくて実用化されないというのは、これは、そういう技術を見つけて、それをちゃんと水をやって、芽を出して、花を咲かせて、実をつけるところまで、そこは専門家という人とはまたちょっと違う能力が必要な部分もあったりする。

 また同時に、科学技術というのを一般の人にどうコミュニケーションしていくのか。特に昨年の震災と、あと、原発事故の後、ちゃんと国民の皆さん方に安心できるような形で正しくコミュニケーションしていくことのできる方というのが非常に少なかったんじゃないか。

 やはり、そういった部分での、科学技術を支えていく周辺の人材の養成というのは極めて重要なことで、こういうものがないと、国民の皆さん全体の科学技術に対する信頼や、また、それを支えていこう、そしてそれを促進していこう、そういうものに税金ももっと使っていこうというふうにはなかなかなっていかないと思います。

 そういった意味では、そういう人材はなかなか今日本には多くはないと思います。やはり、意識的にそういう人材を育てていく、そしてまたそういう人材を登用していくということが非常に重要なことではないかというふうに私も思っております。

斉藤(鉄)委員 アメリカの科学アドバイザー等は、補佐官等は、研究で成果を上げた人というよりも、そういう訓練をしてきた人がそういう立場に立つというようなことも言われておりますので、ぜひここを考えていただきたいと思います。

 それから、今、科学技術基本計画第四期でございますが、三期まではいわゆる分野重点でございました。ナノテク、IT、バイオ、環境、こういう分野を強調した基本計画だったわけです。第四期は大きくその考え方を変えて、社会的課題をどう克服していくか、そのために科学技術がどうあるべきか、どの分野をやるべきか、そして死の谷を越えるイノベーションをどのように導き出していくのか、こういうふうに大きく考え方が変わったわけですけれども、変わったのはその方針だけで、では、実際の現場でどのような形でファンディングしていこうか、そういう人材を登用していこうか、それから、一番大事なのは、何が課題なのかを見つける力、そしてその課題の中で本質的にポイントは何なのかを見つける力、そういうことが最も大切だと思うんですけれども、そちらの方は全く変わっていない。今までどおりの予算のつけ方、今までどおりの人材の育て方になっているようにしか思えません。

 したがって、科学技術基本計画の考え方が大きく異なったわけですから、ある意味では、執行体制というとちょっと言葉が違うのかもしれませんけれども、課題の予見、同定、それからさまざまな知識、技術の統合、システム化、それからステークホルダー、これは自然科学だけではなくて人文科学、社会科学も含めて、学者や地方政府、企業、こういう方々との共同研究体制等、社会的課題解決のためにやり方を大きく変えなくてはいけないのではないか、このように思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

古川国務大臣 問題意識は私も全く同感でございます。ただ、これは私の所管だけではなくて、経産大臣であるとか文科大臣とか、あと厚労大臣とか、いろいろなところが一致団結してやっていかなきゃいけない問題だというふうに思っています。

 実際、その実施レベルの改革、そういう方針が変わった、では、それを実施するための、どういう実施の体制にしていくのかということにつきましては、例えば、産学一体で人材を育成する産学協働人財育成円卓会議、こういうものを実施したり、また、研究開発システムの中核を担う研究開発法人の機能強化のための制度整備というもの、またさらには、一連の大学改革、こうした取り組みも行っております。

 大学のあり方も、既に先駆的な大学では理系と文系の境をなくしたような取り組みとかやっておりますが、やはり今のこの時代を考えますと、これまでの、従来の分け方とは違う、学科を超えたようなもの、それこそスティーブ・ジョブズは、リベラルアーツと専門的な、そこの交差点に当たる新たなイノベーションが生まれる、そういうような話もしているわけであります。

 まさにそういった意味では、これまでの大学を初めとする高等教育機関などの仕組みのあり方そのものも変えていかなきゃいけないということで、そうした取り組みも文科省などにおいて行われておりますので、政府全体として、こうした分野別の方向、変わったところに合わせた、それがちゃんと実行できるような体制の取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。

松宮委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 民主党の吉田統彦でございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、独立行政法人制度の運用が開始されて、約十年がたちました。さまざまな問題点が指摘されています。人事や資金の流れなどを透明化し、国費の無駄遣いを徹底的になくし、全ての独立行政法人について国民の視点から実態を把握する、そして聖域のない厳格な見直しを行っていくことは極めて重要であります。

 そのような中で、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案、いわゆる通則法改正法案、及び、独立行政法人通則法改正法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、いわゆる整備法案が五月十一日に閣議決定され、同日に今国会に提出されました。

 この法案の中で、現行の研究開発法人が、研究開発に係る事務及び事業の最大限の成果を得ることを目的とするものとして個別法で定めるものとして、新たに国立研究開発行政法人という類型で規定をされ運用されることになったのは、極めて重要な意味を持ちます。

 本日お越しの古川国家戦略担当大臣は、三月二十二日に行われた所信演説で「我が国の研究開発システムの中核を担う研究開発法人の機能強化に向けた制度の創設に鋭意取り組んでまいります。」と御発言されておられます。

 そこで、内閣官房行政改革推進室中塚副大臣にまずはお尋ねをいたします。

 この通則法改正法案及び整備法案の成立に向けての進捗状況はいかがでしょうか。また、研究現場の研究者がその力を最大限発揮できるような、世界で最も機動的で弾力的な運営による研究成果の最大化を実現できる制度運用とすることが不可欠でありますが、成果最大化のための制度創設にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。お答えをお願いいたします。

中塚副大臣 一月二十日の独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針でありますが、独立行政法人制度もできて十年ほどたちました。いろいろな事務事業をやっている法人を一律の制度にはめ込んでいたというところを、やっている仕事の中身、事務事業の特性に着目したガバナンスを構築するというのが今般の改革の目玉でございます。

 この中でも、特に研究開発型ですけれども、党の皆さんからもいろいろな御意見をいただきました。例えば、他の法人とは違って、中期目標期間を最大七年間設定することができるですとか、あるいは総合科学技術会議の関与をいただくことですとか、あとは、研究開発に関する審議会の委員を任命していただくわけですけれども、一定の制限のもとではありますが、外国人の方を任命いただける。こういった事務事業の特性に応じたガバナンスというものを構築することができるだろう、研究開発の特性を踏まえたガバナンスの構築ができるだろう、そういうふうに思っております。

 今、法案の審議入りに向けまして国会の方にお願いに上がっているところでございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

吉田(統)委員 ありがとうございます。とにかく急いでお願いをしたいと思います。

 資源の少ない我が国にとって、成長力の源泉は科学技術であります。イノベーションをめぐる国際的な競争が激化しております。その中で、研究開発法人がその成果を最大限発揮し、世界第一線の研究成果を生み出すことが枢要であり、研究開発法人の機能強化こそが日本の生命線であると考えています。

 そこで、古川大臣にお尋ねをいたします。

 今の中塚副大臣の御発言に対する大臣の御見解に加えて、私は、この待ったなしの国際競争を勝ち抜くために、現行法のもとでも対応可能な、例えば国際的頭脳循環促進のための人件費の取り扱い、予算の繰り越しの柔軟化、研究開発の特性を踏まえた契約の基準の策定等の運用改善事項について、改正法案の成立を待つことなく一刻も早く取り組むべきと考えますが、御見解はいかがでしょうか。

古川国務大臣 まずは、法案の一日も早い成立を担当大臣としても期待いたしているところでございます。その上で、法律がなくてもできることについては鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。大変力強いお言葉をいただきました。

 次のテーマに移りたいと思います。科研費についてお話をさせていただきたいと思います。

 第百七十七回通常国会で、独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案が成立いたしました。大変すばらしい法案だと思っております。それに沿って、平成二十四年度予算では、若手Aのカテゴリーの百四十億円と基盤Bのカテゴリーの四百億円が基金化をされました。

 年度末の使い切りをなくして、業者への預け金といった行為、先日京都大学で、いわゆる元教授の贈収賄事件というものがありました。やはりこういった事件の中でも、業者はこういう預け金の制度を利用して元教授に接近したと聞いております。

 こういった不正を根絶すること、そして、我々の血税を研究者、科学者に存分に有効に使用していただくために、平成二十五年度概算要求に向けて、文部科学省の管理する約二千五百億円の科研費全てを早急に基金化するべきと考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、基金化をすると、見かけ上予算額が増加をします。こういった、あくまで見かけ上上がってしまう予算額をどのように財務大臣に説明、説得していくのか。加えて、さらなる科研費の増額も必要だと思います。こういったこともあわせて、やはり説明、説得を財務大臣、財務省に対してしていく必要があると思いますが、大臣の御所見を賜れば幸甚でございます。

古川国務大臣 委員から、財務大臣に説明してと。別に財務大臣がお金を持っているわけじゃありませんから、やはりこれは政府全体として、重要なことは政府としてきちんと決めて予算配分をしていくというものであるということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、科学研究費補助金の基金化につきましては、まず、今委員からも御指摘がありましたように、最先端研究開発支援プログラムにおきまして基金化を行っているところであります。

 文科省の科研費の補助金についても、平成二十三年度予算におきまして一部の種目を基金化する改革がなされて、平成二十四年度予算においても拡充がなされておりますし、また、厚生労働省の科研費についても、基金化すべく検討がされているというふうに聞いております。

 こうした基金化については、研究計画の変更が必要となる場面で研究費の効率的な使用が可能となったり、また、繰り越しの事務コストが低減されるなどのメリットがありますし、また、研究の活性化、成果向上や研究費の効率的な使用等に寄与する、そうした面があるというふうに考えております。そしてまた、多くの研究者からは、こうした基金化については、これは大変いい、そういう評価もいただいております。

 ですから、そういった意味では、方向としては、研究費全体基金化、そうした方向というものを考えていきたいというふうに思っておりますけれども、まずはやはり、これまでに基金化された事業について、その研究成果の向上の状況とか研究費の効率的な執行状況といったものを検証して、効果的、効率的な研究費のあり方、そうしたものについて情報提供、助言を行う、そういったことを私としてはやってまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

 今、厚生労働省の科研費のお話もいただきました。五百億円ほどあるようでございます。そして、これは独法改革の中で、医薬基盤研を受け皿にそういった基金化を進めていく予定だと伺っております。ただ、まだ農林水産省など、やはり五百億円ぐらいの研究費を持っておりますが、こういったものに関しては全く動きがなされていないと私は伺っております。

 そういった中で、やはりこういった研究費、先ほども述べていただいたんですが、ぜひ大臣にリーダーシップをとっていただいて、省庁をまたいだ形で、全てのこういう研究費を基金化し、効率よく国民のために運用していく、そういったことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。

 大臣は所信演説の中で、「我が国が東日本大震災から力強く復興再生し、将来にわたって持続的に成長、発展していくための国家戦略における主力エンジンであるとの認識に立ち、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、復興再生並びに災害からの安全性向上、基礎研究及び人材育成を主要な柱と位置づけ、強力に進めてまいります。」と述べられております。

 次世代のエネルギー政策に関して、まずはITER計画についてお伺いをしたいと思います。

 核融合は、臨界状態になると制御不能になってしまう核分裂とは異なり、プラズマ状態の中で重水素とトリチウムを反応させ、ヘリウムと中性子とエネルギーを生み出します。実用化されれば、地球上に太陽を生み出すような壮挙になってまいります。

 現在、ITER計画は、フランスのカダラッシュで、日本人の本島機構長のもとで、日本、EU、ロシア、米国、中国、韓国、インドの七カ国が総額一・六兆円を出資し進められています。二〇一九年から二〇二〇年にはファーストプラズマ、二〇二七年には五十万キロワット程度のエネルギー出力、そういった核融合反応が行われると聞いております。

 こういった核融合技術に関しての御存念を、実際に今度、発電能力を持つ次世代炉を例えば日本に誘致していくおつもりがあるのかどうかとか、そういうことも含めて御所見をお聞かせください。

古川国務大臣 この核融合の研究開発につきましては、第四期の科学技術基本計画におきまして、エネルギー政策や原子力政策と整合性を図りつつ、同時に、その技術の特性、研究開発の段階、そして国際約束等を踏まえて推進することとされております。

 世界で初めて本格的な核融合反応を起こす実験炉の建設、運転を目指すITER計画は、これは我が国を含めた世界七極により計画が進められておりますが、これはまだやはり研究開発としては基礎的な段階にあるというふうに思っております。そういった意味では、核融合エネルギーの実現までにはまだ長期の研究開発が必要な状況でありまして、核融合エネルギーの資源量であるとか、安全性、環境適合性等の観点での利便を鑑みて、これは引き続き着実に進めていくべきものであるというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ぜひまた、この後の質問に加えて、次世代炉の誘致についてもどう考えるかも教えていただきたいんですが、先日、同じように、国際プロジェクトに関して、ヒッグス粒子の痕跡が発見された、見つかったという報道がされております。

 これを受けて、やはり同じような国際プロジェクトになる国際リニアコライダー計画という加速器の研究に関して、これは一つの例ですが、ITER計画もそうです、この国際リニアコライダーのような、いわゆる各国が集まってやる大きなプロジェクトに関して、これから日本というのはどういうスタンスで臨んでいくのか。概要で結構ですので、御存念をお聞かせください。

古川国務大臣 今御指摘ございましたヒッグス粒子の話でありますけれども、この実験につきましては、日本から技術的、資金的な協力はもちろんですけれども、日本の若手研究者を含む数多くの研究グループが参加しておりますし、また、検出器の心臓部には日本企業の製品が採用されている。そういった意味では、今回のヒッグス粒子の発見には、日本も大いに貢献をしているというふうに考えております。

 一方で、国際リニアコライダーの話ですけれども、これは巨額の経費を要する大規模な学術研究の施設でありまして、現在、研究者レベルで国際的な設計活動や検討が行われている構想段階のものであるというふうに認識をいたしております。文部科学省の科学技術・学術審議会の検討結果では、計画の成熟度、また他の大型研究計画との関係、社会的理解などの課題というのが挙げられております。

 ですから、これはリニアコライダーだけではなくて、ほかの大型のものも、そういった意味では、計画とかそういうものの研究がどこまで成熟しているのかとか、やはりそういうものも踏まえた上で、あれもこれもというわけにはいかないわけでありますから、そういう中で、我が国としてどういうものに重点的に力を入れていくのか。

 やはりそうしたことを考えていくことが大事でありまして、まずは、この分野におけます国際的な議論であるとか、また研究の動向、そういったものをしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 時間がほぼなくなりましたので、最後に、日本は、原子力発電への依存度を最終的に減らしていく場合、いかに炭化水素を獲得していくかということが喫緊の課題になると思います。

 そこで、炭化水素を生み出す、光合成をするボトリオコッカスや、光合成をせずに有機物を吸収して反応するオーランチオキトリウム、そしてまた、シュードコリシスチスなども軽油の類似物質を生み出す藻として期待がされています。

 しかし、予算の面で、実は、このボトリオコッカス、オーランチオキトリウムには五年で十億円、同様に、シュードコリシスチスも年間三億円程度の予算となっておりますが、これくらいの規模ですと、国家戦略として強力に打ち出すというイメージが非常に薄いというイメージを国民は持っていると思います。

 最後に、炭化水素獲得に向けてのこういった科学技術に関して、御存念と、この予算措置に関しての御意見をいただき、私の質問を終わりたいと思います。

古川国務大臣 微細藻類に関しましては、平成二十四年度科学技術重要施策アクションプランのグリーンイノベーションにおける重点的取り組みの中で、バイオマス利用の革新の施策の一つとして位置づけられております。

 バイオマスに関する研究開発の中でも、微細藻類は中長期的視野で捉えるものというふうに考えておりまして、現段階では、文科省、農水省、そして経産省が連携して、ラボスケールまたはベンチスケールの研究開発を推進しているところであります。

 この研究開発につきましては、グリーンイノベーションの実現の観点から、今後、実用化を見据えて可能性を検証しつつ、推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

松宮委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、主に、低炭素社会の実現ということで、古川国家戦略担当並びに科学技術・イノベーション担当の大臣に伺います。

 低炭素社会の実現というのは、実は、昔の三党合意、政権交代当時に、御党と社民党と国民新党でつくった合意文書の中で、冒頭に出てくるワーズでございました。これからの社会にとって極めて重要な、国民を本当にそういうふうに向けていくということが重要だと思いますので、その観点から古川大臣に御答弁いただきたいと思います。

 まず、そのことと関係もいたしますけれども、去る八月の六日、野田総理大臣が、この間さまざまに行われています二〇三〇年のエネルギーの比率の選択肢にあって、国民の約七割が原発ゼロを望んでおられることを受けてだと思いますが、原発ゼロにした場合の課題とは何かということを、担当大臣、細野さん、枝野さん、古川さんに投げられたと思うのですね。

 古川担当大臣は、果たして、原発ゼロにする場合の解決すべき課題は何かということと、原発ゼロは可能であるとお考えか、この二点お願いいたします。

古川国務大臣 私はいつも、意見聴取会などでも最初の御挨拶のときに申し上げているんですが、やはり、昨年の福島の原発事故を受けて、多くの国民の皆さん方が、原発に依存しない社会をつくりたい、そういう思いを持っている。そうした思いを受けて、政府としては、原発の依存度をできる限り低減させていく、そのかわりのエネルギーは、基本的には化石燃料ではなくて再生可能エネルギーであったり、あるいは省エネであったりという形で、原発からグリーンへ、そうした方向性というものをきちんとお示しして、そして、グリーン成長戦略を日本再生戦略の中でも最重要の戦略として位置づけたわけであります。

 ここの部分をいわば、もちろんさまざまなコストがかかる部分でもありますが、むしろそこの部分は、新しいエネルギー社会をつくっていく、投資であるという視点に立って、このグリーン成長を実現して、それを新たな日本の成長のメーンエンジンにしていこう、そういう位置づけをさせていただいております。

 そういう中で、きのう総理から御指示がございましたのは、将来、原発の依存度をゼロにするとした場合にはどのような課題があるか、整理をした上で、それをどうすれば克服できるのか、そういうことを検討してもらいたい、そういう御指示がございました。

 具体的には、これは枝野大臣や細野大臣の方で、そういう論点、課題というものをまずは事務方の方にしっかり指示して挙げていただいて、そして、ではどうしたら克服できるのか、そうしたことを考えていくことになろうかと思いますが、やはり私は、昨年の事故を受けての国民の皆様方の思いというものをしっかり受けていかなければいけないと思っています。

 ですから、きちんと着実に原発への依存度を下げていく、そして、その最終的な姿としては、原発がない社会を実現していきたいという思いというもの、では、それがどういう課題を克服すればできていくのか、やはりそうしたことは丁寧に、そして現実を見据えた上で考えていきたいというふうに思っております。

阿部委員 私は、重ねて申し上げますが、それを解決すべき課題がグリーンイノベーションなんだと思っています。

 その観点からお尋ねいたしますが、今、大臣のお手元に、今回のエネルギーの選択肢に当たって、私が最も問題と感じます省エネということが十分に国民に伝わらない選択肢ではないかと思いますので、ここをお尋ね申し上げます。

 冒頭、一枚目の図でありますけれども、これは科学技術振興機構の中にある低炭素社会戦略センターがお出しになったもので、実際に、この間の三・一一を受けて、果たして電力の使用量は関東圏と関西圏でどのように省エネされているかという実績の値でございます。

 左側が関東圏、右側が関西圏ですが、簡単に言いますと、関東圏では二年続いて約一六%くらいエネルギーの消費が下がっているということであります。関西圏でも、昨年は五%ほどしか下がりませんでしたが、ことしは、予測されるところ一四%くらい下がる。すなわち、一割強は既にこの二年間でも削減が実現している、定着しているということではないかと思うのですが、この間、エネルギーの選択肢で示されておるものは、二〇三〇年で一・一兆キロワットアワーから一・〇、すなわち、二〇三〇年、二十年かけて一割の削減という、省エネの、そもそもの構造をとっております。これは実績値から見ても現状にそぐわないのではないか、なぜもっと省エネを大胆に進めた選択肢をお出しにならないのか、この点についてお願いします。

古川国務大臣 今回お示しさせていただいた数字というのは、これはさまざまな立場の方々が参加をされた総合資源エネルギー調査会や中央環境審議会における議論の中で提示された、それをベースにしてお示しをさせていただいたものであります。

 したがいまして、こうした目標を共有して、先ほど申し上げました原発からグリーンへという、そうした方針のもとで、政策資源を総動員して、エネルギー構造改革のための投資や消費を増進していくということは、これは方向としては私どもは別に変えているわけではありません。

 ですから、ここのところは、もちろん、今回の国民の皆様方から御意見をいただくものについて、その数字、ほかの数字についても、例えば成長率が、この成長率は低いではないか、そういう御指摘もいただいたりします。これも、総合エネ調であるとかこうしたところで専門家の方々で御議論いただいて、ここのところの置き方としては、何か数字を出すためにはやはり前提となる設定が必要でありますので、そこのところはこうした形で設定をしましょうということで示させていただいたところでありますので、そうした数字というふうに御理解をいただければと思っております。

阿部委員 そうした数値であることは理解しているんですけれども、その数値には実績が組み込まれていないということを指摘させていただくために冒頭の一枚を載せました。

 二〇一〇年までの年次年次の省エネがそのように続くと考えると、二〇三〇年で、さっきの一・一から一・〇兆キロワットアワーになるというだけであります。三・一一が出来事として起きて、その後、実績としてかなり国民の中に省エネが根づいてきている。それを組み入れて国民に投げ返さないと、私は本当の論議にはならないと思います。

 あけて二枚目、めくっていただきますと、今回のエネルギー選択肢の中でも際立った特徴は、実は、温暖化対策についてと、それから省エネについてということで、かなりここに、温暖化対策は費用負担が生じます。省エネをどう進めるかということをあわせ行うことによって、実は家計のエネルギー消費が減りますから、家計の側から見て、省エネをやることがポジティブな意味を持つということの読み込みがすごく少ない提示だと私は思います。

 例えば、二〇三〇年で原発ゼロにするには温暖化対策に大変なお金がかかるんだと、これは簡単に言いますが、書きぶりが目立つわけです。しかし、家計にとって、あわせて省エネ政策を進めれば、実は家計にもゆとりができるんだと提示した場合は、国民の選択もまた違ってまいります。

 ここに、家庭での省エネの三つの例ですが、一つは次世代型省エネ住宅、一つは次世代型自動車、そして、家電、自動車等のトップランナー制度。トップランナー制度というのは、一番性能のいいものを次の年度には平均値に持ってくる、イノベーションをしていくということであります。

 この三つを兼ね備えると、次のページ、めくっていただきますと、ゼロシナリオの場合でも、下に温暖化対策にかかるコスト、そして上は省エネを進めたことによる家庭の電力消費の減を見込んだ家庭へのプラス効果というものがあって、電力の使用料、代金も政府の見通しとは大幅に違ってまいります。

 私は、こういういろいろな試算がある中で、国民に今与えられた提示は、ゼロシナリオが一番電力料金が高くなる。それは再エネを導入するときにかかるコストでありますが、その結果、もう一回開いていただいて、資料四ですね。

 例えば、二〇三〇年段階で、今使っているエネルギーコスト、使用量の四分の一、二五%までに削減できるとすると、家計の電力の代金は大幅に下がってまいります。この差は何かというと、ここに見ていただくように、さっきの自動車、住宅、家電製品を積極的に省エネしていった結果、家計負担が減ってくる。もちろん、さっき大臣がおっしゃったように、ここには投資が必要です。

 このような選択肢もあるという形で、これから温暖化対策やあわせて省エネ対策をやることが、何も負担ばかりではなく、家庭から見てプラスなんだということも、私は試算の一つとして考えてみるべきだと思います。今回のエネルギー選択肢の一番の問題は、具体性がないということだと思います。二〇三〇年の時代、どんな生活をしているのかということであります。

 時間の関係でもう一つあわせて伺いますが、私は、具体性がないという意味で、二〇三〇年一五%シナリオは、一体、原発の新規増設はどうなっておるのかということも国民には伝えられていないと思います。

 これは、最後は経産省からいただいたものですが、二〇三〇年段階で稼働率を七〇%と見越せば、実は新増設が二基ないとできません。稼働率八〇%とみなすから、新規増設が要らない。国民が知りたいのは、どの原発が動いているか、どれを増設するか、どんな生活が来るかです。

 古川大臣にここで最後にまとめてお願いがありますが、一段落、国民的議論が一めぐりしたところで、より具体的に国民が選べる形にエネルギーの選択肢をバージョンアップ、今私が提案しましたようなことも勘案して提案していただきたいが、いかがでしょう。

古川国務大臣 さまざまな御意見を阿部委員からもいただいております。まさに今回、別に私どもは、この三つの案が全てで、この三つの中から選びますというふうに言っているわけじゃなくて、ここは、これをたたき台にして、さまざまな御意見をいただきたいと。

 これまで、エネルギーのあり方というのは、本当に一部の専門家の皆さん方だけで決めて、ほとんどの国民の皆さんはそういう参加をしておりませんでした。しかし、私たちが目指す新しいエネルギー社会というのは、一人一人の国民の皆さん方が、あるときにはエネルギーの供給者になったり、また自分で主体的に行動を起こしてそして節約したりとか、まさに一人一人の国民参加のもとで、分散型、ネットワーク型の、そういうエネルギー構造をつくっていきたい。

 実は、一人一人の主体的な参加がないと、そうしたエネルギー構造はできないんですね。だからこそ、従来のような専門家だけでなくて、一般の方々にも御議論に参加していただいて、さまざまな意見をいただくという手順を踏ませていただいているわけでございます。

 これまでの意見聴取会であるとか討論型世論調査などでも、まだ討論型世論調査の結果というのは実行委員会の方から御報告をいただいておりませんけれども、既にいろいろな、私自身も意見聴取会も参加させていただいたり、また参加していないところも、その内容であるとかアンケートとかを読ませていただいたりして、承っています。

 そういった意味では、きょうの委員の御意見も含め、さまざまな御指摘、そうしたものをいただいた上で、政府として、最初から申し上げているような新しいエネルギー社会をつくっていく、そうした方向性というものを責任を持って示してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 私からは、省エネの深掘り、そして、国民の生活の具体像、低炭素社会が明るく豊かなものである、そして、原発は動いているのか動いていないのか、つくるのかを明確にしていただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

松宮委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 朝方の理事会も欠席をしてしまいまして、大変申しわけありませんでした。きょうは一日五つの質疑を抱えておりまして、この後、実は総務委員会で採決もあるということで、予定の時間を恐らく余して終了せざるを得ないということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。

 イノベーションに関して、古川大臣が所管をされておられるわけですけれども、イノベーションというのは必ずしも科学技術だけの問題ではない。例えば、アイチューンズという音楽流通のプラットホームをつくったことがアップルのイノベーションだったわけです。

 新しいビジネスというのはどういうふうに生まれてくるかわからない。誰も考えもしなかった新しいアイデアを思いついてチャレンジをする、そういう人材がどれだけいるかがその国の創造性を左右するというふうに思います。多様な文化的背景の人々が集まっていることと、才能のある人に平等にチャンスを与える開かれた社会であることが、固定観念を破る、イノベーションを生み出す基盤であるというふうに言えるのではないかと思います。

 国別のノーベル賞の受賞者で圧倒的に多いのはアメリカでありますけれども、科学分野でノーベル賞をとったアメリカ人の三分の一近くは移民出身者であります。二〇〇八年のノーベル物理学賞をとった南部陽一郎シカゴ大学名誉教授が、日本人が受賞したと言われたけれども、実は米国籍取得者だったので、日本人ではなく米国人の受賞者としてカウントされた、こういうこともありました。

 シリコンバレーのハイテク企業の半分以上も移民出身者が創業にかかわっている。例えばグーグルの共同創業者のセルゲイ・ブリンは、数学者の父と宇宙科学者の母に連れられて六歳のときにロシアからアメリカに渡ってきた。ヤフーの共同創業者のジェリー・ヤンは、これは台湾から十歳のときにサンノゼに移住をして、二人ともスタンフォードで学んで、そして二十代半ばで世界を変えるようなイノベーションを起こす、こういう企業の創業者になったわけです。

 その点でいうと、古川大臣は、かつて、今やみんなの党の政調会長となっている浅尾慶一郎衆議院議員らと一緒になって、一千万人の移民を日本で受け入れる、こういう構想の政策論文を公表されたことがあったかと思います。これは、移民を受け入れるリスクを強調するような方々からは随分何か批判的に取り上げられているような部分もあるんですけれども、しかし私は、日本が直面する問題に正面から向き合って、また、一つのいわばソリューションを論争をいとわず提案したものとして、大変評価のできるものではないかというふうに思っております。そして今、古川大臣は、イノベーションを担当する大臣として、国家戦略としてこれを推進する、こういう役割を担うことになっているわけです。

 こうした前置きを置いて、海外から優秀、有能な人材を日本に呼び込んでいく、こういうことをどういうふうにして進めていくおつもりがあるのか、お伺いをしたいと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 委員から御指摘をいただいた一千万人移民構想というのは、浅尾さんなんかとまとめさせていただいたときには、まさに、きょうなんかの議論であるような高度な人材、そういう人たちを日本に呼び込んで、そういう人たちと日本人が切磋琢磨する、その中で新たなイノベーションを生み出していく、そうしていくことが大事じゃないか、そうしたことで提案をさせていただいたものであります。そして、やはりそのためには、さまざまな国内の環境を整備していくことが非常に重要だと思います。

 先ほどちょっと御指摘あったヤフーの創設者のジェリー・ヤンとかシリコンバレーのベンチャー起業家とかベンチャーキャピタリストの皆さんに、私も、この前のゴールデンウイークのとき出張いたしまして、いろいろお話を伺いました。大体三十人近く集まっていただいた皆さんに、この中にシリコンバレー出身の人とかいますかと言ったら、一人もいませんでした。全米各地から、そしてまた全世界から集まってきている。逆に、やはりそういう異質な人たちが同じところで集まっていろいろな交流をする、やはりそこから新しいものが生まれてくると思います。

 ですから、そういった意味では、国内の中にそういう人たちが集まってきやすいような環境というものをつくっていかなければいけない。このことは、第四期の科学技術基本計画でもそうした取り組みを行っていこうということを示しておりまして、具体的には、世界トップレベルの研究活動や教育活動を行う拠点の形成に向けて、大学運営の改革と弾力化を促進する、また、海外のすぐれた研究者や学生が活発に往来しかつ定着するような、国際研究ネットワークのハブとなり得る研究拠点の形成、環境整備等の支援を行う、そうした方向をとっております。

 こうした取り組みとともにやはり大事なことは、私たちの意識、そういう異質な人たちを受け入れて一緒にやっていく、そういう意識が大事じゃないかと思います。ともすると、日本人は内向きであって、そういう人を排除しやすいということが言われたりしますけれども、過去の歴史を振り返ってみますと、やはりその時々において非常に柔軟に外の人たちを取り込んで、そういう人たちと切磋琢磨する中で新しい道を歩んできているわけですね。

 例えば明治維新後の歩みなんかを見ていますと、やはり、すごく外から人を呼んで、そういう人たちとの交流の中から新しいものを生み出しているわけでありまして、まさに、私たちはそういう日本人の先人たちに学んで、今こそそういう異質な人たちも柔軟に受け入れる、やはりそうした気持ちを持つということが、こうした海外から優秀な人材の呼び込みという点でも非常に大事じゃないかというふうに考えております。

柿澤委員 大演説をぶっていただいて、ありがとうございます。

 今お話もありましたが、高等教育機関、研究機関というものがやはり大事だと思います。先ほどのセルゲイ・ブリンも、またジェリー・ヤンも、浅尾慶一郎さんもそうですけれども、スタンフォードで学んでいるわけです。そういう観点から見ると、日本の高等教育機関における外国人留学生の比率というのは、引き続き他に比べれば低迷をしている、こういう状況であると言って過言でないと思います。

 先日、古川大臣も、ショートショートフィルムフェスティバルの二〇一二のアワードセレモニーにお見えになっていたと思うんですが、あのときグランプリをとった作品は、日本人の平柳敦子さんという監督の「もう一回」という作品だったんです。あの映画祭、四千四百作品ぐらい集まったんですか、日本人が世界のショートフィルムの頂点に立つというのは大変快挙なんですけれども、しかし、平柳さんは一体どこで映画を学んでいるかというと、実はシンガポールにあるニューヨーク大学のティッシュ・アジア芸術校というところで学んでいるわけです。

 シンガポールはこういうワールドクラスの大学の誘致とか提携を十年間で十校やろうということで、二〇〇八年にそれを達成しています。その一つとしてできたのが、今の、平柳監督が映画制作を学んでいるニューヨーク大学ティッシュ・アジア芸術校なんですね。

 このようなことがシンガポールにおいて可能なのは、一つは、やはり言葉の問題があるのではないかと私は思います。そういう意味では、やはり高等教育機関において、基本的に、日本人学生も含めて、英語で学習環境というか研究環境をつくる、そのためには、例えば入学条件にTOEFLの点数を課すとか、こういうことが必要になってくると思います。

 私たちは、二年前の参議院選挙のときに既に公約にそうした考え方を掲げていますけれども、そのような、ある種ドラスチックな入試改革というものが必要なのではないかと思いますが、この点、文部科学省はどうお考えでしょうか。

高井副大臣 御指摘のとおり、高等教育機関の国際化というものは本当に大きな課題だというふうに認識しています。

 七月に閣議決定された日本再生戦略でも、質の高い外国人学生三十万人受け入れを目指すということの達成に向けて、英語による授業の倍増や、またTOEFL等の大学入試での活用というものに取り組むということが目標として掲げられました。

 我が国の大学などへの留学生の受け入れは、御指摘のとおり、東日本大震災などの影響もございまして、平成二十三年度現在で約十四万人と伸び悩んでいるところでありますが、引き続き、推進に向けて努力をしていきたいと思っています。

 大学などでの英語での授業について、我々としても、平成二十一年から、大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業というものをつくりまして支援しており、支援対象の十三大学の中では英語による授業のみで学位を取得することが可能なコースをつくりまして、二十一年の七コースから、現在、二十三年度には百六コースというふうに大きく増加をしているところであります。

 また、入学者選抜におけるTOEFL等の外部試験の結果の活用について、毎年、各大学に対し指導もしておりまして、二十三年度には三四・七%に当たる二百五十五大学で活用しているという現在の状況がございます。さらに、今年度から、英語による授業の拡充やTOEFL等の結果の入試への活用等を含めた、学生の語学力向上のための取り組みなどを行うグローバル人材育成推進事業というものを実施することにしております。

 これらの取り組みを通じて、今後とも、大学におけるグローバル人材育成を強力に推進していきたいと思っております。

柿澤委員 文部科学省は、これは多分、平成十四年とかそのぐらいのころからこういうことをかけ声をかけてやってきているんですよね。なかなか進んでいないという現状を何とか打開していただきたいと思います。

 最後に、経産省にお伺いをいたします。

 日本の排他的経済水域の中に、深海中の泥に国内消費量の二百二十七年分に相当する六百八十万トンのレアアースが存在すると東京大学の加藤泰浩教授の研究グループが発表しております。これは、深海五千六百メーター、ここに中国でしか産出してこなかったジスプロシウム四百年分、またテルビウム四千六百年分、こういうものがある。こうしたものが一千平方キロぐらいの広さで広がっているんじゃないか、こういう分布状況を明らかにしたのも加藤先生の功績なんですけれども、これを今、何とか吸い上げて、そしてそれを精製してレアアースを取り出す、こういう技術開発をぜひやってほしい、こういうことを加藤先生がおっしゃっております。

 そういう観点で経産省の予算を見ると、例の尖閣諸島の問題を一つのタイミングとして、中国がレアアースの禁輸を行ったりあったわけですけれども、それに対する対策事業として経産省が計上している予算というのは、例えば、レアアースを使わないようにする脱レアアースとか、あるいは代替品の開発に支援をするとか、こういうことに八十五億円使っています。また、海外の鉱山で何とかレアアースを見つけられるように、こういうことでJOGMECに八十億入れたりしているんですけれども、今言ったような、加藤先生が今行おうとしている、国内でレアアースの、ある種資源大国になる、そうした形の技術開発にもっとこうした予算を振り向けていくべきだと考えますが、御見解をお尋ねしたいと思います。

牧野副大臣 お答えをさせていただきます。

 レアアースのことについては、一昨年の暮れですか、中国の方からかなり厳しく、四〇%絞られてきたものですから、短期的にどうしたらいいかということで、さっき先生の言われたような対策を打ちながらここまで頑張ってきているんですが、東京大学の加藤先生からの発表がありましたので、これは今後、まだ技術的に開発されていないところもありますので、それから探査の内容もまだごく狭い範囲内の調査結果ですので、これがさらに、もっときめの細かい調査をして、国として全力投球でこういう新しいレアアースの資源が開発できるように頑張っていきたい、このように考えております。

柿澤委員 時間になってしまいました。実は余すつもりだったのですが。

 どうもありがとうございました。

松宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.