衆議院

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第3号 平成28年5月12日(木曜日)

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平成二十八年五月十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 小松  裕君 理事 土屋 品子君

   理事 松島みどり君 理事 村井 英樹君

   理事 山本ともひろ君 理事 坂本祐之輔君

   理事 津村 啓介君 理事 横山 博幸君

   理事 伊藤  渉君

      あかま二郎君    青山 周平君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      石田 真敏君    石原 宏高君

      尾身 朝子君    大隈 和英君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      田野瀬太道君    辻  清人君

      中川 俊直君    中山 展宏君

      福山  守君    藤井比早之君

      古川  康君    古田 圭一君

      八木 哲也君    大串 博志君

      大島  敦君    奥野総一郎君

      伊佐 進一君    江田 康幸君

      島津 幸広君    真島 省三君

      伊東 信久君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)         島尻安伊子君

   文部科学副大臣      冨岡  勉君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉岡てつを君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        小宮 義則君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           生川 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          神代  浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       鈴木 康裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  諸岡 秀行君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    宮本  聡君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     古川  康君

  田野瀬太道君     辻  清人君

  古川 元久君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     田野瀬太道君

  古川  康君     尾身 朝子君

  奥野総一郎君     古川 元久君

同日

 理事坂本祐之輔君同日理事辞任につき、その補欠として横山博幸君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事坂本祐之輔君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に横山博幸君を指名いたします。

     ――――◇―――――

黄川田委員長 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官吉岡てつを君、内閣府政策統括官森本浩一君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局長小宮義則君、文部科学省大臣官房審議官生川浩史君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官神代浩君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官鈴木康裕君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、厚生労働省大臣官房審議官樽見英樹君、特許庁審査業務部長諸岡秀行君及び中小企業庁次長宮本聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 日本の科学技術政策について質問いたします。

 四十分の時間をいただいておりますので、少し幅広に聞かせていただきたいと思いますが、冒頭、この科学技術・イノベーション委員会は、歴史的にと言うと少し大げさですけれども、やや特殊な経緯で設立をされた委員会ですので、この委員会の位置づけにつきまして、委員の皆さんと共有をさせていただきたいというふうに思います。

 この科学技術・イノベーション委員会は比較的歴史の浅い委員会でして、平成二十三年の一月、二〇一一年の一月に、第百七十七国会におきまして設立をされました。当時は民主党政権だったわけです。二〇〇一年の省庁再編後に文部科学省に旧科学技術庁が半ば統合されて、一方で、総合科学技術会議というものが内閣府に設置をされて、いわば、文部科学委員会と内閣委員会、どちらでも科学技術について議論ができるという形になったわけですけれども、それが幸か不幸か、文部科学委員会では教育の議論が大宗を占めて、一方で内閣委員会では、大変幅広な委員会ですので、科学技術の議論をされることもまれだということで、残念ながら、省庁再編後は、それ以前は科学技術委員会というのが別個あったのでそればかり議論できたわけですけれども、二つの委員会にまたがってしまったために、かえって科学技術政策についての国会での議論がなかなか行われなくなってしまった。

 その反省に立って、これは民主党政権の功績というよりは、当時、遠藤乙彦先生初め公明党さんが大変汗をかかれたんですけれども、そういう経緯で、与野党合意の上で、新しくもう一回、特別委員会として科学技術イノベーションをやろうと。そこでイノベーションという言葉が入ったのが端緒となって、その後、総合科学技術会議が、改組を経て、今、総合科学技術・イノベーション会議になって、それまではCSTPだったのがCSTIになった、そういう経緯があると認識をしております。

 そのときに随分議論が、そういう新しい委員会ですので、当時の与党民主党としては、大臣が呼ばれる機会がふえるのはそれはそれで、科学技術大臣は忙しいので、特に当時は兼務を大分していましたので大変だということもあって、大臣を呼ばず、法案審議をするのかしないのか、今でも若干グレーですけれども、そういうさまざまな議論がありました。

 一方で、仮に大臣を呼ぶ機会を少し減らすとすれば、その分、後で大臣に伺おうと思っていますが、かなり所掌がお広うございまして、その中でさまざまな有識者の方に常勤で来ていただいている。そういう方々はいわば大臣の役割を一部分担していただいているわけですから、そういう方々も相当な見識といいますか立場をお持ちなので、そういう方もぜひこの委員会には遠慮なく呼ばせていただいて、国会としての議論を深めていこう。

 欧米では、比較的文系が多いといいますか、政治家が専門的な科学技術の議論というのはなかなか簡単ではないということで、あえて科学技術分野に予算であるとかマンパワーを議会の中に割いて、こういう委員会どころか特別な局をつくって、議会内で科学技術政策を相当深掘りしているという例が幾つもあります。

 それに近いものを日本でもやろうじゃないか、それが五年前の高い志でして、初代の委員長でありました川内さんは、その年の三月に不幸にして起きました東日本大震災の直後、与党の一員でありながら、当時の東京電力に対して、かなり厳しく、野党の皆さんがとめるほど、資料請求をして、何度も、記録に残っていることですけれども、理事会、理事懇を開いて真相究明に努められた。実際に、それをもってかなりのものが出てきました。

 そういった経緯のある委員会でございますので、今回、理研の法案ですとか宇宙の法案ですとか、比較的関連の近い法案は、ほかの委員会で議論になったりならなかったりしているわけですけれども、そのことの是非はおいておきますが、ぜひ、有識者の皆さん、そして大臣にもできるだけ時間を割いていただいて、この科学技術特別委員会というものが今後も充実した形で続いていくことを切に願うものでございます。

 それでは質問に入ってまいりますが、一番最初に、今少し触れさせていただきましたけれども、島尻大臣の御担当になっている分野、幅広くあるわけですけれども、有識者の方々がいる委員会、本部、そういったものが幾つあって、それが具体的にどのようなものであるか、教えてください。

島尻国務大臣 まず、私の担務でございますけれども、まず、科学技術政策、宇宙政策、海洋政策、そしてもちろん沖縄及び北方政策が入ります。それから、領土問題、IT政策、クールジャパン戦略、そして知財も入ってまいります。そのほかにも、日本学術会議とか、あとは中国の遺棄化学兵器だとか、いろいろな所掌を持っているところでございます。

津村委員 ここも実は随分議論をしてきた経緯があります、山本一太大臣でありますとか、山口大臣でありますとか。

 実際に御担当になっていらっしゃるのでわかると思うんですけれども、まず、そもそも、それぞれの重要な会議に大臣御自身が出席すること自体が相当な御負担だろうというふうに思います。それぞれの会議体が最低でも月に一回、物によっては週に一回、二回と会議が開かれているわけで、副大臣、政務官も含めてチーム一体で頑張っていらっしゃるとは思うんですが、なかなか三人をもってしても、全ての会議に最初から最後まできちんと出席をして、いただいている有識者からの非常に貴重な御意見に対して、メモをとったり、レスポンスをしたりということが必ずしもできない。

 あるいは、もっと言えば、科学技術もITも知財も宇宙も全部、ある意味では各役所から人材が来ているわけで、内閣府がプロパーな人材を宇宙専門とか科学技術専門でとっているわけじゃありませんから、そういう意味では、国交省なり経産省なり文科省から、宇宙、海洋、科学技術にそれぞれ出向者がいるという状況になりますと、実際にはかなり重複した議論が、文科省さんから例えばこの政策を内閣府でオーソライズしたいとなったら、どこでも言えという話になるわけです。内閣府というのはそもそも各省庁の調整機能を持たなければいけないわけですが、それだけ本部が乱立してしまうと、全部調整事が内閣府の中にたまり込んでしまって、それが近年の内閣府の機能強化あるいはスリム化といった議論にもつながってきたということだと思います。

 とりわけこの科学技術ラインの大臣は歴代兼務が多いわけで、それは大変御苦労だとも思うと同時に、腕の見せどころだと思うんです。山本大臣とは、この場での議論が大きく貢献したと思っているんですけれども、たしか三月、四月にこうした大臣所信の場で議論させていただいて、私から、科学技術、あるいはIT、海洋、宇宙といったところの代表的な議論を一つの器で、一つの会議体で議論する場をつくられてはどうかと。それは大臣が別に法律をつくらなくてもできることなので。実際、その場には必ず大臣あるいは政務官がそろって参加をされて、週に一度でも、全体を見る、取締役会のような、役員会みたいなことをやったらどうかということを御提案しました。

 その後、山本大臣は、その年の五月だったと思いますが、司令塔連携会議とかという名前のものをされて、多分二回か三回されたと思うんですけれども、残念ながら山口さんはそういう取り組みをされませんでした。

 ここで決めることじゃないかもしれませんけれども、私は、島尻大臣も、領土となるとちょっと関係があるのかないのかとか、線引きはお任せしますが、科学技術関係、イノベーション関係のものはぜひ一堂に会して議論する場をつくられて、重複を省きながら選択と集中を進めて、強いリーダーシップを発揮されるべきだと思いますが、大臣の御感想をお聞きしたいと思います。

島尻国務大臣 津村先生の御指摘は、大変大事なところだと私も考えています。

 ちょうど山本一太大臣のときに私も政務官でお仕えをさせていただいて、今御披露いただいた山本大臣主宰の、役員会ならぬ、各担務の責任者を集めて会議がなされたということも承知しておりますし、そのうちの何度か私も実際に席に座らせていただきました。

 その議論を聞く中で、持たせていただいている仕事というのは、やはり横串を刺してやっていくことで相乗効果といいますか、ある一定の結果を出せるものだというふうに思っております。

 私も、そういうこともあって、例えば、今回、AIの政策の中で、各省庁いろいろな動きもあるわけでありますけれども、やはり内閣府として司令塔強化、司令塔としての動きを強化してこの問題に対処していかなければならないのではないかという問題意識がございまして、まずは自分の所掌の中で、ITあるいは知財ですね、ここを集めて早速会議を持たせてもらったところであります。

 そこで第一回の中でもかなり有意義な議論ができたというふうに思っておりまして、特に、AIの技術が今ありますけれども、例えば、知財として、AIとしてつくった創作物の権利はどうなるのかとか、そういうこともある中で、他方、ITとしては政策的な出口を提案できるということもありまして、ここが集まって、いろいろな相乗効果といいますか、こういうことが大変期待できると確信をしたところでございます。

 なので、こういった観点から、私も、いろいろな横の連携ということをこれからも進めていきたいというふうに考えております。

津村委員 前向きな御答弁だと思います。ありがとうございます。

 横の連携を積極的にというふうに、若干定性的というか、形容詞で終わったわけですけれども、大臣、これは横の連携をした方が合理的だというのは、総論としては官僚機構の皆さんもスタッフの皆さんも同意されることだと思うんですけれども、実際には、その各部署の方々からするとかなり面倒なことで、ITセクションの事務局のトップの方は、やはり自分のそこの城でやった方が、平場で連携しろと言われてもなかなか面倒でもあるわけですし、ふだんやっていることを表で公開してやらなきゃいけないというのはなかなかしんどかったりもするので、これは大臣が相当強い意思を持って、そういう会議体を、しかも記録に残る会議体をつくるということをしっかりと示されなければ。実際に、山本大臣のときには、報道もされましたし、すごく発信力のある大臣でしたから、それは形になって動いていった。私は、すばらしいと思って見ていたんです。

 日ごろから連携していますということでは、それは今までと何も変わらないわけで、やはりちょっと、各部署の方が、これはなかなか大変だぞと思わせるぐらいの仕掛けを大臣が意識してされないと大臣がかすんでしまうと思いますので、そこはぜひ御努力していただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つそれに近いことを申し上げますと、日本の科学技術政策の司令塔といいますか顔というのはもちろん島尻大臣だと思うんですけれども、国際的にはやはり原山先生であるとか岸先生であるとか、今、総合科学技術会議の一番ヘッドということはないんですけれども、発信をされているのが原山優子先生だと思いますし、もちろん、ほかの有識者の方も大変発信力のある方です。

 その中で、また、外務省では科学技術顧問というものをつくられました。他国にもある制度ですから、そうやって各省に科学技術の専門家、情報の面ではCIOを各省につくりましたけれども、それに近い形で、各省で科学技術の知見を持った方が幹部としているということはすばらしいことだと思いますし、そのスタートをまず外務省から始めた、科学技術外交を高めようというのはすばらしいと思うんですけれども、若干、私は、ポストをたくさんつくっても、その関係をしっかり整理しないと、特に日本は科学技術担当大臣が残念ながら毎年かわりますので、ぜひそこら辺の、今回、サミットがありますから、島尻大臣にとっては発信の大変大事な場面だと思うんですけれども、一つは連携もとっていただきたい。

 あとは、やはり、毎回カーネギー会合の話を私させていただくんですけれども、各国の科学技術顧問あるいは科学技術担当大臣が集まる会議が、サミットもそうなんですけれども、毎年カーネギー会合というのがあります。そこには恐らく、私の知る限り、今まで歴代大臣は一度も出たことがなくて、山本大臣にはぜひ出てくださいと申し上げて、山本さんは英語をしゃべれましたから、調整もされたようですけれども、行かれなかった。そこがいわばインナーサークルなわけですよね。

 だから、それは御都合もあるでしょうから、行く行かないはともかく、そうした科学技術外交の発信源が分散しているということは、ちょっと自覚的に対応されないと、非常に海外から見てコンフュージングというか、日本の科学技術政策って原山さんだっけ、あの人誰だっけみたいなふうになってしまっては大変残念なので、ぜひ意識してこのサミットを迎えていただきたいなというふうに、僣越ですが、申し上げたいと思います。

 それでは、五年に一度つくられる、第五期科学技術基本計画がこの一月に閣議決定をされましたので、大変重要な五年に一度の計画ですので、少し個別の議論を始めていきたいというふうに思います。

 先ほども申し上げたように、私は、科学技術政策というものに政治家あるいは行政がどういうふうにかかわっていくのか。はっきり言えば、行政官も政治家も科学技術そのものについては素人なわけですから、素人がどこまで口を出すのか、方向性を定めていくのかというのは相当抑制的であるべきで、余りその時々の流行で、もうここの分野でいくんだみたいなことを、たとえその分野自体は、例えばiPSでありますとかAIでありますとか、非常に重要であったとしても、そこに余り国民世論の目を向け過ぎると、日本がこれまでたくさんのノーベル賞学者を輩出してきた重要な基礎研究がおろそかになってしまうのではないか。そのバランスが非常に、選挙というものを持っている私たちはついつい流行に目を奪われがちですので、相当謙虚に抑制的にならないと、科学技術政策は国を狂わせるんじゃないかというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の基本計画で、これは非常に画期的なことであると同時に、よくよく考えなければいけないことだと思うんですけれども、数々の数値目標が出されました。こうやって数値目標をつくって、日本の科学技術コミュニティーをコントロールしていくことの是非があると思うんですね。

 一定の方針がないと、例えば女性の研究者がふえていかない、若手の研究者の雇用というものが安定しない、その結果、腰を落ちつけて研究ができない、これは事実ですけれども、その数値目標の置き方、管理の仕方を間違えると、そのための研究になってしまうので、そこは非常に大事だと思うんですが、大臣は、数値目標を基本計画に盛り込むことについて、どういう思いでされたんでしょうか。

島尻国務大臣 科学技術イノベーションにつきましては、その状況及び成果に関する客観的根拠に基づいて、効果的そして効率的に政策を推進するということが求められていると思っております。

 このために、第五期の科学技術基本計画においては八つの目標値を定めました。これらの目標値は、我が国全体の科学技術イノベーションが達成すべき状況に向けた進捗を把握して課題を抽出しまして、そして政策へ反映していくという上で有効であると認識しております。

 ただ、他方で、委員御指摘もありますけれども、科学技術イノベーションの特徴として、成果の発現までに長期間を要し、その状況や成果の定量的な計測が難しい場合も多いということは考えております。また、必要なデータの取り扱い、取得が難しいということも認識をしております。

 このために、先ほど申し上げました八つの目標値だけではなくて、定量的な指標のデータと、それから各種の定性的な情報というものもあわせて把握をして、第五期基本計画のフォローアップを毎年行って、政策に的確に反映していきたいというふうに考えております。

津村委員 今御答弁にもありましたけれども、この科学技術基本計画そのものにも非常に迷いというか悩みが見出されるわけで、五十一ページにはこういう記述があります。「本基本計画では、我が国全体の科学技術イノベーション活動やその成果に関して、達成すべき状況を定量的に明記することが特に必要かつ可能な事項について目標値を定めているが、これらは各現場にそのまま適用されるものではない。」

 当たり前といえば当たり前という気もするんですが、しかし、「各現場にそのまま適用されるものではない。」と言い切ってしまうと、では誰がどういう形で管理するんだということで、非常に何かぼやっとしてしまうわけです。

 重要なのは、大学でありますとか、民間のことまでなかなか国が言えないのはそうだと思いますので、国公立の大学、研究機関をそれなりにきちっとフォローしていくということが求められるんだと思いますが、それはどういう方策を講じるお考えですか。

島尻国務大臣 今御指摘のように、この第五期基本計画に定めた目標値につきましては、国の全体の科学技術イノベーションの進捗状況を特徴づける代表的な事項について定めたものでございまして、個々の大学あるいは研究機関、研究者等の評価にそのまま適用することを目的としたものではございません。

 現場を動かす手だてにつきましては、この基本計画に定めた中長期的な政策の方向性のもとで毎年度科学技術イノベーション総合戦略を策定いたしまして、その年度に特に重点を置くべき施策を示しているところであります。この総合戦略に基づいて各関係府省の施策を誘導していくということによって、個々の大学や研究機関、あるいは研究者の科学技術イノベーションの活動を促していくということでございます。

 また、基本計画のフォローアップを毎年度行いまして、これを次年度の総合戦略に反映させていくということで、政策の質の向上というものを図っていきたいと考えております。

 このような第五期の基本計画に定められたこういった政策が実施されていく状況の中で、大学あるいは国立研究開発法人等には、この基本計画に掲げた政策の目的あるいはその内容を踏まえつつ、個々の機関の強みあるいは特性を生かしたビジョンの実現に向けた取り組みを進めていただくということを期待しているところでございます。

 こうした各機関の多様な活動によって、我が国全体としてこの計画に示した目標値を達成していきたいというふうに考えています。

津村委員 ありがとうございます。

 八つの大きな目標があるわけですけれども、全てについて議論する時間が残念ながらございませんので、その中で、恐らく最も多くの若手研究者に希望を与えている若手研究者の積極的な登用、任期なしの若手研究者をふやすという施策について光を当てたいと思うんです。

 実は、この第五期基本計画では、任期なしの若手研究者をふやしていくという大きな目標を掲げる中で、その中間目標というか指標として、大学の本務教員の数を取り上げています。しかし、本務教員というのは、常勤職員のことだと思うんですけれども、実は任期つきの、つまり任期なしじゃない、任期のある特任教員といった方々も含まれているわけで、政策目標に対して数値目標がずれちゃっているというのが現実だと思うんですね。

 関係の方に伺いますと、残念ながら、現時点で、若手研究者の数を正確に定義して、かつ集約した統計データが存在しないために、事務職員の方や任期つきの特任教員も含めた本務教員というカテゴリーしかないんだということで、存在しないデータの目標をつくるわけにはいかないから、存在する本務教員ということでつくったんですという、なかなか苦しいお話なんです。

 そうであれば、これを政策目標の目玉と据えるからには、今からでも遅くありませんので、若手研究者というものはこういうものですよということをしっかり定義して、国公立大学の数は限られているわけですから、しっかり一つ一つの大学に聞いて、そういう政策目標に沿った統計データというものをつくるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

島尻国務大臣 まさに御指摘のところ、大変大事なところだというふうに私も思っております。

 基本計画においては、目標値については四十歳未満の大学本務教員の数を一割増加させるということになっている、もう十分御承知だとは思っておりますけれども。

 ここの一割増加に至るまでに、まさに御指摘があったように、実は、大学における任期なし雇用の若手研究者の人数や割合について統計値がなかったということから、その時点で統計値が得られる大学の本務教員について目標値を定めたものである。任期なしの若手研究員の状況の定量的な把握については、文部科学省が十一の研究大学を対象にして、平成十九年度と平成二十五年度に実施した調査結果がある。これに基づいてこの計画ができたというふうに私も承知をしているところであります。

 おっしゃるように、計画を立てるからには、やはりデータを集めていくというのは、これは大事というのは当然のことでございまして、そしてさらに、この任期なしの若手研究者の活躍というのは重要な課題であるということから、さらなる情報を集めてくるというのが必要であるというふうに考えておりまして、この点、今後関係府省とも十分に調整そして連携して、一層の実態の把握というものに努めていきたいと考えています。

津村委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたように、政治家や行政官が科学技術政策においてやれることというのは限られていると思うんですが、今のことはやれることだと思うんですね。各大学のシステムをしっかり整備して、そして統計データ、そんな大層なものじゃありませんよ、現に、国がお給料を払っている方々の年齢構成を確認するだけのことですから。そういったことをしっかりとこの基本計画中に、もっと言うと大臣の任期中にぜひきっかけをつくっていただきたいというふうに思います。

 恐らく、これは内閣府だけでできることではなくて、一義的には文科省さん、今から伺いますけれども、文科省さんがしっかりシステムを整備して、協力をしていただかなければ、大学を所管されているのは文科省さんなので、内閣府としては隔靴掻痒になってしまうと思いますが、ぜひ連携をしていただいて、事をなしていただきたいというふうに思います。

 文科省さんに伺いますが、今の流れなんですけれども、政府は、IT戦略の一環として、行政系のシステムの一元化、集約というものを、これはもう大きな戦略として持っていると思いますが、その中で、国公立大学等の例えば人事、会計、あるいは学生さんの登録とか、こうした業務管理のシステムを一元化してはどうか。

 入札等もあるんでしょうから、一つの会社のものを全部使えということじゃないのかもしれませんが、少なくともそのスペックというか、互換性みたいなものは確保して、システム的な横串を刺していくべきだというふうに考えますし、そうしたことで、教員の雇用形態でありますとか、あるいは外部資金の獲得状況でありますとか、エフォートの管理、あるいは高額な研究設備がどう稼働しているのか、あるいは共同利用できているのか、こういったことが見えてくるというふうに思うんですけれども、こうした行政システムの国公立大学における一元化について、文科省さんはどういうお立場でいらっしゃるんでしょうか。

冨岡副大臣 ありがとうございます。

 大学が各種の教育情報等を活用しみずからの活動状況を客観的に把握して分析することは、大変重要なことだと思います。

 また、各大学において、大学運営に係る戦略立案に当たって機関情報を一元的に収集、分析するいわゆるインスティテューショナルリサーチ、IR活動に関する取り組みも、現在文科省で始めているところでありますが、国においても、データに基づく政策形成を推進する上で、国立大学に関する各種データを一覧性を持って利用できる環境を整えることは重要であると認識しております。

 したがいまして、このようなことから、独法の大学改革支援・学位授与機構では、国立大学に関する学生や教員に関する情報、人件費や教育研究費等の情報を各大学ごとに収集、蓄積した上で、ウエブサイトに公開し、国が政策立案の参考情報として、また各国立大学が他大学と比較して戦略を形成する際の参考情報として簡便に利活用できるように、環境を整備しているところであります。

 今後、文部科学省としても、この取り組みにおいて、公開する情報の種類をふやすなど、大学情報の収集、整理、提供に関する取り組みをさらに充実させるよう、機構とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。

津村委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 少し話をかえさせていただきます。

 皆さんに、北極海航路について資料を配付させていただきました。詳しくは御紹介できませんけれども、この一枚目にございますのが、国立極地研究所の木村詞明特任研究員が北極海の夏の時期の海氷予測を行われて、昨年の予測が非常に精度が高いものであったという記事でございます。

 この委員会でも取り上げたことがありますが、北極海航路というのは、日本にとっては大変ポテンシャルの高い重要なテーマでありまして、これから二十年、三十年後の安全保障環境であるとか、エネルギー環境であるとか、そういったことを大きく変える可能性のあるもので、そして、地政学的にも日本は近いので、現在の日本の科学技術力をもって、海図の作成であるとか、さまざま国際貢献ができる分野でもあります。

 そういった意味で、国際貢献の一つとして、この木村さんの研究というのは大変すばらしいものだというふうに思っているんですけれども、これは国の方でどういう形で支援をしているのか、現在の状況を伺いたいというふうに思います。

島尻国務大臣 御紹介いただきました予測ですね、夏季の海氷予測に関してでございますけれども、文科省の補助事業であります北極域研究推進プロジェクト、ArCSというものがございます、その一環として東京大学大気海洋研究所の木村詞明特任研究員が中心となって行っている研究の成果というふうに承知をしております。

 木村特任研究員による最新の予測によりますと、ことし夏の北極海の海氷の後退は、ロシア側では昨年よりおくれて、そしてアラスカ側では昨年より早くなる見込みである、現在、さらにその詳細な解析を進めているというふうに聞いております。これは直近の成果だということで、多分初めてここでお話しするデータだというふうに思っております。

 また、近年、北極海氷の減少傾向が観測されておりまして、地球温暖化の進行とともに今後も継続していくというふうに予測をされます。

 本プロジェクトは、五年計画の二年目に当たりまして、今後のさらなる成果を期待したいというふうに思っております。

津村委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと御支援いただきたいというふうに思います。

 この研究、この研究だけではないと思いますけれども、さまざまなインフラ、宇宙インフラによって成り立っているものでもありまして、人工衛星の「しずく」が北極上空から日々の海氷の分布について把握して、世界的にも貴重なデータとして提供しているということがございますが、この衛星は、二〇一二年の五月に打ち上げられて、間もなく設計寿命を迎えるという中で、昨年十二月に決定された宇宙開発戦略本部の宇宙基本計画工程表では、その後継機について、まだ検討するということしか書かれていません。

 時間がございませんのでこれは御質問いたしませんが、ぜひこの「しずく」の後継機について、これは内閣府宇宙戦略室、そして文科省さんも連携していただいて、前に進めていただきたいということを触れておきたいと思います。

 図表二と三をごらんいただきますと、これは砕氷船が最も望ましいと思いますけれども、北極の船による観測のことでございます。

 今、日本には、砕氷船は「しらせ」、南極観測用のものが一隻あるだけで、所属は一応防衛省ということになっていますが、実際には文科省さんが使われていると思いますけれども、この船が一隻しかない。

 先ほど申し上げましたように、北極海航路については、今各国が目の色を変えて研究開発しているわけですけれども、中国、韓国なんかは砕氷船や耐氷船の開発あるいは建造ということを進めているわけです。日本は、「しらせ」は北極には行く時間がないということで、今回、小型のものを、自律型無人観測システムということで、図表三の方にまだ残っていますけれども、つまり今年度やるわけですけれども、大幅に予算が減らされて、この図表二の方に星印で書いております「新海洋研究船の検討」というのは、これは財務省との予算折衝の中で切られてしまったわけですね。

 これは、文科省さんあるいは内閣府の説明がちょっと不十分だったのではないか、もっとしっかり財務省さんを口説いていただくべきだったんじゃないかというふうに思われてならないんですけれども、これは大臣、いかがですか。文科省さんの御見解を伺いたいと思います。

冨岡副大臣 委員御指摘のように、北極については、航路を含めて国際的な関心が非常に高まっているのは御案内のとおりであります。

 したがいまして、総理が本部長を務める総合海洋政策本部が昨年十月に策定した我が国の北極政策においても、北極をめぐる国際社会の取り組みを主導することを念頭に置いて、日本の強みである科学技術をグローバルな観点で最大限活用するということを決めたところであります。

 このような状況のもとで、文部科学省では、北極域の海氷下観測に係る技術開発を進めるため、海氷下でも長期にわたり正確に物理、化学、生物データを収集できるセンサー及び観測システムの研究開発に今年度から着手しているところであります。

 また、研究船を利用した北極海の観測については、海洋地球観測船「みらい」を活用し、平成十年以降延べ十三回、五百日以上の観測を実施しているところであります。

 委員からの御質問の、これらの研究開発や観測実績の情報を踏まえつつ、北極域の研究船を含めて新たな研究船をつくってはどうかということではございますが、これも今現在検討をしているところであります。

津村委員 時間がございませんので最後の質問とさせていただきますが、大臣、今週末、つくばで科学技術大臣会合がございます。まだ政府内でさまざま調整が残っているものではありますけれども、今、国際リニアコライダー、次世代の加速器ですね、これの誘致ということを何年も日本の科学技術コミュニティーで議論がございます。候補地もかなり絞られて、基本的には岩手だと思います。

 これから国際社会においても、国際社会の側からぜひ日本の技術でということも言われている部分もあると思うんですけれども、今回、まさに日本に世界じゅうの科学技術政策のリーダーが集まるわけですから、議長国として余り自国の話をどういうタイミングでアピールするのかというのは、それは気を使われる場面だと思うんですけれども、いわゆる議題、アジェンダの中でなくても、バイ会談でありますとか、あるいは晩さん会、シンポジウムみたいなものもあるようですから、いろいろな場面で発信ができると思うんです。

 大臣、ぜひこの国際リニアコライダーについて、結論がどうなるにせよ、ぜひ皆さんでこれを考えましょう、日本も非常に汗をかく覚悟があるんですよということはアピールしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

島尻国務大臣 まさに、今月十五日から十七日に、茨城・つくばで科学技術大臣会合がございます。それに向けて、六つのアジェンダ、六つの議題を上げて、最終調整に今鋭意努力をさせていただいているところでございます。

 残念ながら、このILCについてはアジェンダの中には今回入ってはございませんけれども、それこそ今アドバイスがございましたように、各大臣といろいろな非公式の場ででも、立ち話等々あると思いますので、話題の一つとして、私の方からちょっと話題に出してみるということは検討してみたいというふうに思っています。

津村委員 恐らく、国際政治にたけた他国の科学技術政策のリーダーたちは、そういうときの大臣の物腰といいますか、大臣がどのぐらいそのことを深く御存じで、どういうニュアンスでそういうお話をされるかというところをもって本気度を探ってくると思うんですね。ですから、御自身から話題にされないとか、あるいは話題にしても何かいま一つ違う話をされているということになると、何だ、日本はその程度かということになってしまいますので、きちんと、僣越な言い方ですけれども、作戦を立てて予習をしていただいて、ここぞというときにしっかりアピールをしていただきたいというふうにお願いいたします。

 終わります。

黄川田委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。先ほど新理事に選任をいただきました民進党の横山です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうで三日連続質問の三日目でございますけれども、きょうは、女性活躍時代の島尻大臣、女性活躍時代のお手本であると私は思っておりますけれども、大臣への質問をさせていただくこと、楽しみにやってまいりましたので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、第五期の科学技術基本計画をもとに質問をさせていただきますけれども、まず、予算関係についてお伺いをしたいと思います。

 この基本計画では、対象期間中の政府研究開発投資額を約二十六兆円とする目標を掲げられております。内閣府の資料によりますと、平成二十八年度当初予算における科学技術関係予算は約三・五兆円にしかすぎない。こういう中で、科学技術関係予算の当初予算は少なくともこの十五年は三・五兆円程度で推移しており、この傾向が続いた場合、目標を達成するためには毎年約一・五兆円強の、投資額のおよそ三割強を補正予算に頼ることになると思われますけれども、これは達成する見込みがあるのかどうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

島尻国務大臣 委員今御披露いただきましたとおりでございまして、第五期基本計画におきましては、政府研究開発投資の目標といたしまして、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%を目指すとさせていただいたところでございます。これは、GDPの名目成長率を平均三・三%として試算すると、五年間で約二十六兆円となるということでございます。

 他方、委員の御指摘のとおり、平成二十八年度の当初予算額は三・五兆円程度にとどまっておりまして、政府研究開発投資の目標を達成するには、今後、より一層の努力が必要であるというふうに私も認識をしております。

 政府研究開発投資というものが我が国の経済発展と国内外の社会的課題の解決に貢献するために必要不可欠であるということから、内閣府といたしましては、科学技術関係予算を当初予算ベースで毎年度増額していくことなどによって、総額二十六兆円の達成に向けて全力で努力していきたいと考えています。

横山委員 大変ありがとうございます。

 後ほど質問させていただきますけれども、地方経済の活性化の大きなかじ取りになると思われますので、ぜひ、大臣みずから率先して御尽力いただきたいというふうに思います。

 続きまして、目標についてお伺いしたいと思います。

 第二期計画から第四期計画の対象期間におきましては、実際の政府研究開発投資額は設定された目標額に達していない、この理由について一つお伺いしたいことと、政府がみずから定めた目標額を達成できないのは、企業でいいましても目標額を達成できないと経営の継続ができないわけでございますけれども、政府として、このことについてどんな見解を持たれておりますか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 第一期から第四期の基本計画期間中の科学技術関係予算につきましては、実績総額自体は全体として増加傾向にございます。しかしながら、今御指摘ございましたように、政府の研究開発投資の総額規模は、想定よりも、長期にわたる経済の停滞、それから深刻な財政状況などが影響して、第二期から第四期につきましては、政府研究開発投資の目標は達成することはできませんでした。

 第五期基本計画におきましては、政府の研究開発投資の総額規模について、成長率に一定の仮定を置いた試算として二十六兆円を掲げているところでございます。毎年度の予算編成のプロセスにおきまして、各省と協力して、科学技術関係予算の確保に向けて一層努力してまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございました。

 目標を達成できないとき、経済の要因だというふうによく言われますけれども、他の要因にこだわらずに、目標を立てられたら積極的にその目標に向かって進んでいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。

 それでは、もう少し細かいところで、数値目標についてお伺いしたいと思います。

 第五期計画では、投資目標額のほかにも、大学教員に占める四十歳未満の若手の比率、もう既に若手ではないと私は思いますけれども、これを三〇%以上にすること、それから、世界での引用数が多い論文の比率を一割以上にふやす、大学などが企業から受託する研究費を五割ふやすということなど、従前の科学技術基本計画と比べて具体的な数値目標が多く示されております。

 数値目標は国が掲げるもので、個々の大学関係、各大学や研究機関に課したものではないとされておりますが、これを無理に達成しようと、研究に支障が出るのではないかといった懸念も一方あります。

 これら数値目標は現実的なものなのか、各数値目標に対してどのような取り組みを具体的に行っていくのか、これは大臣にお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。

島尻国務大臣 第五期の基本計画におきましては、投資目標のほかに、科学技術イノベーションの状況及び成果に関して八つの目標値を定めさせていただきました。

 これらの目標値は、国の全体の科学技術イノベーションの進捗状況を特徴づける代表的な事項について定めたものでございまして、個々の大学あるいは研究機関、研究者等の評価にそのまま適用するということを目的としたものではございません。これらの目標値の達成が自己目的化され、望まざる結果を招かないように、国において留意していくということが必要である、実はこのことも基本計画には記されているところであります。

 また、この八つの目標値の設定に当たりましては、それぞれについて過去のデータなども踏まえて検討を行ったものでございまして、この目標値を特定した意義につきましては、総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員ペーパーに記載をさせていただいております。

 これらの目標値に向けた取り組みといたしましては、毎年度、科学技術イノベーション総合戦略を策定いたしまして、PDCAサイクルを回すということで、関係府省の政策を誘導していくということをやっていきたいというふうに思っております。

 このように、政策が実施されていく状況の中で大学あるいは国立研究開発法人などの現場における多様な科学技術イノベーション活動が促進されていくというふうに考えておりまして、我が国全体として本計画に示した成果目標の値というものを達成するために、あらゆる手段を講じていきたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 個々の大学、研究機関に対して具体的な数値目標は落とし込みをしていないと。しかし、国と大学、それから研究機関というのは連携が非常に大切だと思いますので、その連携は強力に進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、人材育成についてお聞かせいただきたいと思います。

 各業界、どの業界におきましても人材育成というのは大きなテーマであると思いますけれども、第五期の科学技術基本計画では、自然科学系の論文数や国際的な共著論文数の伸びが悪いということを反省点の一つに挙げておられますけれども、基礎的な研究力の低下がこうしたことで指摘されており、人材育成の必要性が同時に述べられております。

 そこで、人材育成のため若手を活躍させるべきという意見は従前からたくさん出ておったわけでございますけれども、政府も取り組みを今現在続けていると思いますけれども、なかなか人材育成というのはどの業界においても結果が出にくいというような状況であると思います。こうした現状に対して、第五期の基本計画を踏まえた上で、新たな取り組みがあるのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、科学技術イノベーションの重要な担い手は若手の研究者でございます。我が国の科学技術イノベーション力を持続的に確保していく上で、若手研究者の活躍が不可欠でございます。

 若手研究者につきましては、流動的な環境のもとに、多様な研究経験を積み重ねて、資質や能力の向上を図ることが重要でございます。

 その反面、こうした環境は将来を安定して見通すことが難しい状況にあるとともに、近年、若手研究者が挑戦できる安定的なポストが減少して、自立的に研究を行う環境が十分に確保されていないという御指摘がございます。

 このため、第五期科学技術基本計画におきましては、若手研究者の育成、活躍促進などの科学技術イノベーションの基盤的な力の強化を四本柱の一つに掲げまして、若手研究者のキャリアパスを明確化するとともに、キャリアの段階に応じて高い能力と意欲を最大限に発揮できる、そういう環境を整備するということになっております。また、四十歳未満の大学本務教員の数を一割増加させるとともに、将来的には我が国全体の大学本務教員に占める四十歳未満の教員の割合を三割以上にする、こういうことを目標として今回初めて設定したところでございます。

 このような中、本年度からの新たな取り組みといたしましては、例えば、すぐれた若手研究者に対して、大学や研究開発法人等において、安定したポストにつきながら、独立した自由な研究環境のもとで活躍できるようにするための制度として、卓越研究員制度を創設いたしまして、若手支援の強化を図ることといたしております。

 今後とも、若手研究者の育成と活躍促進に向けて、関係省庁とも連携してしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 人材育成というのは、非常に長期間、時間がかかってしまうということでございますので、しっかりとこの点について長期計画を立てられて人材育成をしていただきたいというように思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、冒頭申し上げましたけれども、女性の活躍について若干触れさせていただきたいと思います。

 この委員会も、女性の委員さんが多くて、春らしいファッションで大変明るくなっておると思いますけれども、第五期科学技術基本計画では、自然科学系での女性の新規採用割合三〇%を目標としている。それから、女性の活躍推進にも大きく力を入れておられますけれども、これまで大学、研究機関において女性が活躍できなかったことについてはどのような理由があるのか、それに対してどのように今後取り組んでいくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 多様な視点やすぐれた発想を取り入れて、科学技術イノベーション活動を活性化していくためには、女性の能力を最大限に発揮できる環境を整備して、その活躍を促進していくことが不可欠であると考えております。しかしながら、我が国の女性研究者の割合は、全体としては増加傾向にあるものの、主要国と比較するとまだ低い水準にとどまっております。

 研究活動と出産、育児等との両立が困難な状況でございます。それから、周囲に女性研究者のロールモデルがいないために将来像をイメージできない、こういう問題も指摘されております。それから、将来の進路の選択に影響を与える保護者等におきまして女性のキャリアとしての認知、理解が進んでいないことなどから、必ずしも十分な活躍の状況になっていない、こういう状況にあろうかと思います。

 このため、第五期科学技術基本計画では、自然科学系全体での新規採用割合に占める女性研究者の割合を三〇%にすることを引き続き目標として掲げるとともに、女性が研究等とライフイベントとの両立を図るための支援や環境整備を行うこととしております。また、女子中高生やその保護者への科学技術系の進路に対する興味、関心や理解を深める取り組みを推進することとしております。

 その一環として、今週十四日には、島尻大臣が主導されて、「理工系女子の未来を考えよう in Tokyo」と題して都内でシンポジウムを開催して、大臣御自身に御出席をいただくということを予定しております。

 現在、第五期科学技術基本計画を踏まえて、今年度から来年度において重きを置くべき取り組みを示す科学技術イノベーション総合戦略二〇一六を今月中に策定するよう努力しておりまして、関係省庁とも連携して、女性の活躍促進に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 女性の働く機会というのは、私も地方議会での経験がありますけれども、機会は均等に与えておるんですね。男女ともに機会は均等に与えておるんですけれども、女性がなかなか働けない。いろいろな家庭環境の問題もありますから、そういうことで少し消極的になる場合がありますので、ぜひ、働く環境づくりというのをきちっとしていく必要があると思いますから、その点についてどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、少し視点を変えて、中小企業対策についてお伺いをしたいと思います。

 私自身も中小企業の経営者でもありましたので、非常に中小企業の苦しさというのをわかっておるつもりでございますけれども、まち・ひと・しごと創生本部ですばらしいパンフレットを出されている、非常に多岐にわたって親切丁寧に中身をつくり上げているということで、大変感心をしました。特に、テーマが「地方から世界への飛躍」ということで、すばらしいタイトルをつけられておると思いますが、質問の中には入れていなかったんですけれども、後で、このパンフレットをどういうところに配付されておるのか、少しお聞かせいただきたいと思います。

 それから、この関係で、これに各府省の施策が横断的に掲載されております。しかし、普通にパソコンで検索すると、上位にヒットしないんですね。地方の中堅・中小企業に対して必要とされる情報を届けるためには、例えば中小企業の支援策のポータルサイトがあるといいのではないかと思いますし、中小零細企業の経営者というのは、実態的に、朝早くから夜遅くまでその事業に全身全霊をかけておるんですよ。ですから、一定の水準にいくまでは、こういった情報をみずからとりに行くということはなかなかしにくいんです。ですから、こういった面におきまして、もう少し情報が届けられるように、そういう施策をしてほしいと思います。

 現行でも、中小企業庁の経営サポートや中小企業基盤整備機構のよろず支援拠点、私の愛媛県の松山商工会議所にもそういったものがあると思います。こういったところで経済産業関係の支援策を見受けることがありますけれども、各府省の施策を一覧できて、誰でも容易にアクセスできるサイトが必要だと考えておりますけれども、この点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、全国の中小企業、小規模事業者の方々にさまざまな支援情報を広くお届けするためには、やはり一覧性のあるポータルサイト、これを設けることが大変効果的な取り組みだと思います。

 このため、中小企業庁では、各省庁の施策はもとよりですけれども、全国の自治体の約八割を占める千三百の自治体の施策も含めまして、中小企業、小規模事業者に情報提供するポータルサイト、ミラサポと呼んでおりますが、これを運営しているところでございます。

 このミラサポでは、補助金や金融措置などいわゆる支援制度の情報に加えまして、その活用事例あるいは補助金の申請のノウハウなど、こうした実践的な情報もお届けしている。また、国や自治体の支援策をまとめて簡単に調べられる検索サイト、こうしたものも導入するなど、利用者の利便性の向上に努めており、これまで延べ三十万以上の方々に御利用いただいているところでございます。

 また、委員まさにおっしゃったとおり、支援情報は欲しいんですが、みずからサイトを訪ねる時間がない、こういう方もいらっしゃいますので、例えば支援策の公募情報など特にニーズの高い情報につきまして、御登録いただいた約八万者の方々に毎日メールマガジンを配信しているところでございます。

 それからさらに、こうしたポータルサイトに加えまして、やはり委員御指摘のとおり、商工会議所などの中小企業への支援機関、こうしたところともしっかり連携いたしまして、例えば、中小企業支援策に関するパンフレットの配付、説明会の開催、経営指導員の巡回、こうしたさまざまなルートを通じまして、中小企業、小規模事業者の方々に情報提供をしているところでございます。

 今後とも、中小企業庁としては、発信内容の充実に努め、中小企業、小規模事業者の方々の目線に立った、わかりやすい情報提供に心がけたいと思います。

 それから、委員御指摘のまち・ひと・しごとのパンフレットでございますが、済みません、これはちょっと中小企業庁が直接やっておりませんので、今の時点ではお答えができません。申しわけございません。

横山委員 大変ありがとうございます。

 このパンフレットの配付先というのは、また改めて私も確認してみますけれども、これは、内容を見ますと、むしろ、企業に近い専門家、社会保険労務士とか税理士、金融機関、そういったところへ配付されて、説明もされて、ずっとそういう方々から中小零細企業に情報公開していくということが非常に大切だと思います。非常によくできたパンフレットだと思いますので、ぜひそういう検討もしていただきたいと思います。

 それから、同様に、中小企業の関係でお伺いしておきます。

 地方の中堅・中小企業の研究を促進する施策として、さまざまな制度があります。文部科学省は大学との産学連携、これは行政もしっかり産学連携をやっております。金融機関も含めて産学連携、金まで入れて連携をしているということで、かなり具体的に進んでおられると思います。経済産業省は所管の国立研究開発法人を橋渡し機関として位置づけるなど、各省ごとの縦割りとも受け取れる点が見られます。

 地域の中小企業が大学、国立研究開発法人など地元の研究資源を最大限活用できる環境が、イノベーションのためには本当に重要だと考えております。国として、地域全体でイノベーションを生み出すシステムをどのように構想しておられるのか。

 また、中堅・中小企業に対してわかりやすい制度の紹介や積極的なPR、先ほど申し上げましたとおり、積極的に仕掛けていくということが必要だと思います。

 この基本計画を読ませていただいても、書いておりましたけれども、壁があると。大学との壁がある、しかも厚い壁だと私は思います。私も、先ほど申し上げましたが、地方で地元の企業と大学を連携させるということで、具体的にそれを一つ二つしたことがありますけれども、中小零細企業の方はなかなか大学へ足を踏み込めないんですよ。

 ですから、そのことも踏まえて、その壁を取り除くという概念が非常に大切だと思いますけれども、このあたりについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地域の多様な資源や技術シーズ等を生かしてイノベーションの芽として効果的に育てていくためには、大学や国立研究開発法人等の公的研究機関、それから地域の企業、地方自治体などの多様な関係者が地域の特性に応じて連携していくということが非常に重要であろうかと思います。

 国といたしましては、地元の研究資源を最大限活用できるように、みずからの強みや独自性を生かしたイノベーションシステムを地域が主体的に構築することを促進して、地域が自立的かつ持続的に成長するための支援を行ってまいりたいと考えております。その際、地域で事業創出につながるまでには十年単位の期間がかかり得るということも念頭に置いて施策を講じていくことが重要であろうかと考えております。

 内閣府におきましては、引き続き、関係省庁はもちろんのこと、まち・ひと・しごと創生本部や知的財産戦略本部等とも緊密に連携をいたしまして、地域や関係施策を総動員して取り組めるような環境整備を進めてまいりたいと考えております。

 それから、御指摘いただきました中小企業への支援情報の普及などにつきましても、今御紹介ございましたミラサポなど、関係省庁とも連携して幅広く周知に取り組んでまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 もう一つ、さらに、地元企業との連携についてお伺いをしていきたいと思いますけれども、地元企業と大学の研究材料を事業化させる、これを成功させるということは、非常に地方創生上もすばらしい結果が出ると思われます。

 私は愛媛県の出身ですけれども、四国の中で、香川大学が、カロリーはないが健康増進効果のある希少糖の物性、生理機能を開発して、さまざまな食品として商品化しております。

 このような好事例を分析して、地域の大学や研究施設が行っている基礎研究を実用化するということが地元企業にとって大きな成果であると思いますけれども、国は、大学と地方企業が連携して商品化を進めていく、こういった点についてどのようにお考えになっているのか、御答弁をお願いしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました希少糖につきましては、昨年七月に、内閣府特命担当大臣のもとに開催されました地方創生に資する科学技術イノベーション推進タスクフォースにおきましてお話を伺ったところでございます。そこで、粘り強い努力によって、基礎研究から二十年以上の歳月を要してようやく実用化にこぎつけたというお話を伺って、我々も大変感服したところでございます。

 基礎研究を地元企業による事業化へとつなげるためには、技術シーズを事業化につなぐ橋渡し機能やマッチング機能の強化などの支援を地域や全国レベルで促進して、従来以上に国の関係機関が一体となって地域の取り組みを支援できる体制づくりが重要であろうかと思っております。

 内閣府におきましては、このタスクフォース等を活用して、成功事例をロールモデルとして共有、横展開を図るなど、関係府省が連携をして、いろいろな施策を総動員して、地方が取り組めるように環境整備を進めてまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございました。引き続いて、よろしくお願いします。

 時間がなくなりましたので一問飛ばしまして、大臣に最後の活躍をいただきたいと思います。

 昨年から、梶田氏のノーベル賞受賞、理研による新元素の発見、ことし三月には重力波望遠鏡KAGRAの試験運転開始など、日本の基礎研究で大きな動きが続いております。

 こうした物理学や天文学の基礎研究を行う大型研究計画の実験装置は、性能を高めると大型化し、建設費が膨大になる、こういう問題があります。

 基礎研究を下支えしてきたのは、国立大学や公的研究機関に配分される運営費交付金、これが基礎になっていると思いますけれども、こうした膨大な資金を求めるためには、企業から外部資金を獲得する傾向も強まってきていると思いますけれども、外部資金の対象とするものには実用性の高い研究が多くて、基礎研究には一層資金が回りにくいという傾向にあると思います。

 政府として、日本の基礎研究をこれからどのように連携していくつもりなのか、これをお答え願いたいと思います。

島尻国務大臣 基礎研究というものは、人類の新たな知の資産を創出するとともに、世界共通の課題を克服する鍵である、その推進は科学技術イノベーションの基盤となるものと認識をしております。

 第五期の科学技術基本計画におきましても、研究者が腰を据えて研究に取り組める環境を整備するということ、あるいは長期的な観点で成果の創出を見守ることが重要だということに留意した上で、基礎研究の推進を図ることとさせていただいております。

 ただ、先生御指摘のように、基礎研究の中には、研究施設あるいはその設備などに多額の資金がかかるということがございます。

 このため、今後とも、関係府省と連携をいたしまして、国際共同研究の推進、あるいは民間資金の導入、そして、これまでも支援をしていただいている財団というものが多くあるというふうに聞いておりますけれども、こういったところの支援をまた受けていくということ、あるいは寄附金収入の拡大など外部資金の獲得ということを視野に入れつつ、中長期的な視点から、すぐれた基礎研究の推進というものにも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。

横山委員 今後の積極的な推進を期待しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民進党の大島です。

 島尻大臣には初めてかと思います。質問をさせていただきます。

 科学技術・イノベーション特別委員会、私は非常に好きな委員会でして、科学技術が世界を規定すると思っています。

 一九八三年に、私は西ドイツのデュッセルドルフ、当時、駐在をしていて、同業他社の所長から一冊の本を勧められたの。「テクノクラシー」という本で、翻訳しているのが田原総一朗さんだったかもしれない。書いているのはビジネスウイークの記者で、出版されたのが一九七九年。冒頭に、ビジネスウイークの記者がいろいろなところを取材していくと、スイスの銀行家が妙な投資をしているというところから始まる。スイスの銀行家が日本のNECとか東芝とか富士通に投資しているというところから始まるんです。

 七九年は、第一次オイルショック、第二次オイルショックが終わった後なんです。こういう仮説を立てていて、テクノロジーの進歩によってソ連は崩壊するであろうというのが結論なの。ドイツが中立化して統合するであろうというのを七九年に書いていて、その十年後、八九年の十一月九日にベルリンの壁が崩壊するんです。

 ですから、仮に政治が上部構造だとすれば、政治は経済が規定して、経済は科学技術によって規定されるので、科学技術の将来をしっかり認識していれば私たちの仕事が減るのかなと思っているわけ。

 今、時代は私の感覚だと大きく変わろうとしていると思っていて、インターネット、一番最初につき合ったのが一九九四年なんです。今から二十二年前。当時はデファクトスタンダードじゃなくて、私は、鉄鋼会社の情報システム部にいて新規事業の撤退案件を見ていて、たまたま、日本で初めてのインターネットの見本市、インターロップを見たときに、世の中が変わると思って会社をやめちゃうんですけれども。ですから、テクノロジーというのは、そうやって社会に物すごくインパクトを与える。

 今私たちが使っているテクノロジーは、残念ながら、ほとんどが米国のテクノロジーですよね。これから質問する準天頂衛星、GPS衛星、これも、米国の国防省かな、アメリカの国防高等研究計画局、DARPAの資金提供で生まれたのがGPS衛星。あるいはインターネット、これも、一九六〇年代の、米ソの対立と大陸間弾道弾が着弾したときの分散管理のためのARPAネットから始まっているのがこのテクノロジーなの。

 そして、私たちが使っているコンピューター、グラフィカルユーザーインターフェース。一番有名なプレゼンテーションが、一九六八年に、マウスを発明したダグラス・エンゲルバートが、これはユーチューブで見ることができます、マザー・オブ・デモス。デモンストレーションの母というプレゼンテーションがあって、スタンフォードだったかな、大学のコンピューターとマイクロ波で講堂を結んで、千人の見学者というのかな、参加者の前で、マウスを使いながら、ハイパーテキスト、クリックするとテキストがさらに階層が下っていって、双方向で文字を訂正するというのは一九六八年の技術なの。私たちが使っている技術は決して最先端ではないと思っている。

 これはムーアの法則で、たまたま、半導体の集積度が二年で倍々、毎年毎年、倍々で集積度が高まっているので、今こういう状況なので、未来は予想できると思っている。

 ただ、これからの未来は今までの加速度のレベルをはるかに超えたレベルだと思っていて、僕は、アルファ碁、グーグルの子会社が碁のソフトを開発して、それで、去年の十二月でしたか、ヨーロッパチャンピオンを破ったという記事を読んだときに、そこからずっと注目していて、三月九日から始まったイセドルとの対決、一勝でもしたら世の中が変わると思っていたら四勝しちゃったので、私が想定している二〇二〇年代に起こることが多分二〇二〇年までに起こるといって、五年から十年世の中が早まったのかなと思っています。

 そういうところで、きょうは大臣に何問か質問したいと思っていて、まずは準天頂衛星から入ります。

 これはこだわりがある衛星で、東日本大震災が起きた後に、宇宙部局の皆さんが私のところに来ていただいて、大島さん、携帯電話の電波が準天頂衛星のアンテナを広げたら届くと言われたので、これはフィージブルであると考えたわけ。

 まずは、多分、島尻大臣もそうだったと思うし、ここにいらっしゃる皆さんもそうだったと思うんですけれども、震災が起きたときに、私も携帯で家族の安否を確認したときに連絡がつかなかったわけ。多分、日本に住まわれている方、皆さんが家族の安否がわかったのは翌日だったかもしれない。これが一つ。

 もう一つは、今回の津波については、一回逃げて、戻ってきて、多くの方が被災をされてしまった。ですから、例えば、一時間前に、これから東海、東南海、南海があるとすれば駿河湾に十メーターの津波が来るという予知情報を携帯電話に送り、その十五分後にそれを補正して八メーターに下がるとか、こうやってタイムリーに情報を送ること、安否確認できること、その双方向についてのモデルができないかということを検討していただいて、できる、フィージブルであると。要は、実現可能性があると聞いて、これは二千億円かかるんですけれども、申しわけないんだけれども、国土地理院的な精度の高い測位衛星だと、なかなか国の予算で二千億円は難しい、だけれども、こういう人命救助の立場だったら、これはいけるに違いないなと思って、私自身がいろいろとバックアップしたというのがあって、ですから、この準天頂衛星について、今どういう状況なのか。

 内閣府の宇宙部局の皆さんは本当によくやっていただいていると認識をしています。内閣府の中でも極めて特殊な部局で、予算を持っている部局なの。極めて特殊な部局で、本当に一生懸命よくやっていただいて、ここの人事は結構大切なので、今の方がかわるときも、ちゃんとした人を入れておかないと、なかなか、後退しちゃうものですから、ぜひその点よろしくお願いします。

 というところで、まず一点目が、地震情報とか災害情報を衛星から私たちの携帯に打てるかどうか。もう五年ぐらいたっているので、相当開発が進んでいるかと思うので、その状況についての御答弁をいただければと思います。

小宮政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの災害危険情報の配信サービスにつきましては、地上の通信インフラが利用できない地域にも情報提供が可能でありますことから、火山噴火や津波などに関する災害対応での活用が期待をされているところでございます。

 お尋ねの個人の情報端末などでの受信につきましては、受信デバイスのチップ化などの課題がございますけれども、政府としては、産業界などともしっかりと連携をいたしまして、その実現を図ってまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 小宮事務局長、まことにありがとうございます。

 総合商社にも宇宙ビジネスをやっている部局があるかと聞いたことがあるの。なかったんです、多分、五年前は。総合商社に誰も、宇宙がビジネスだという観点は持たなかった。やはり政府の皆さんの尽力によって、最近は、宇宙がビジネスになるということ、これは日本だけではなくて、日本よりも先行してという表現がいいかもしれない、宇宙の関係者よりも、ノンスペースというんでしたっけ、非宇宙の皆さんが宇宙の領域に参入し始めてきている。

 だから、ここのビジネスの広がりは、多分政府も今宇宙というのを戦略的に考えて成長戦略だと言っていると思うんだけれども、その点の準天頂衛星と宇宙の取り組みについて、若干短目の御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

島尻国務大臣 準天頂衛星システムにつきましては、現在の一基体制から、平成三十年度には四基体制に移行する計画でございまして、位置情報等を得るサービスの運用を開始する予定でございます。ユーザーのニーズを踏まえながら、開発、製造を着実に進めているところでございます。

 加えまして、昨年改定された宇宙基本計画におきましては、平成三十五年度をめどに、準天頂衛星の七基体制の確立、運用を開始するということを決定させていただきました。これによって、測位に最低限必要となる準天頂衛星四基、常に日本上空に配置されるということになります。このため、GPSに依存せずに、我が国の準天頂衛星システムのみで持続的な測位を行うということが可能となりまして、本システムの利用の幅も一層大きく広がることが期待されております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 四基体制から七基体制、一番最初の閣議決定を考える段階で、四基じゃなくて七基というのは結構こだわっていまして、四基だと、アメリカのGPS衛星の助けをかりないと精度が出ないと聞いているんです。七基にすると、私たちの国のシステムだけで測位ができるようになるの。

 これは結構大きなことでして、御承知のとおり、アメリカが有事のときには、私たちのカーナビゲーションシステムは使えなくなります。海上保安庁も使えなくなります。警察庁も使えなくなります。使えるのは自衛隊だけなの。ですから、私たちの国としてしっかりとしたこういう社会的インフラを持つということは、物すごく意味があることなの。

 それは中国から東南アジア全域をカバーするので、多分、宇宙部局の皆さんは、今、他国に対して、それを使いませんかというお話はしている、話は聞いていると思う。

 中国も北斗という測位衛星を上げているし、ヨーロッパもガリレオという衛星を上げています。これは軍事と極めて強いので、我が国の利点としては、やはり平和国家というところで、軍事を持たないというのかな、そういう制約がある国なので、他国の人が安心して情報提供できる国なんです。

 測位の電子基準点をどこに置いていくかというのは、この情報を例えば北京に置かれたら、地図の情報の正確なところというのは軍事データそのものですから、だからそういうところには依存したくなくて、私たちの国だったら、それは日本だから安心して任せられるよという優位性があるので、その点、ぜひ大臣も御認識していただいて、こういうインフラ、インターネットのプロトコール、これも、要は先ほど言ったDARPAが一九六〇年代に開発したARPAネットからきている技術であって、私たちの社会的インフラは米国のインフラに負っているところが極めて多いの。ですから、私たちが準天頂衛星、ヨーロッパがガリレオを持ったり、中国が北斗を持ったりするのはそこにあるんです。これは、国の独立と、物すごく大切な領域なので、ぜひその点も御認識していただいて、後押しをしていただけると助かります。

 もう一個、政府参考人から答弁をもらいたいと思うのは、これは結構難しくて、携帯電話の電波が宇宙まで届くかなと思ったら、カセットでがちゃっとアダプターをつけないと届かないと聞いていて、要は、安否確認のシステムがどの程度までできているのか、今の開発状況についての御答弁をお願いします。

小宮政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの安否確認サービスでございますが、これは個人の安否情報を衛星通信を介して一斉に確認するものでございます。

 現在、内閣府におきましては、避難所ごとに衛星通信専用の端末を配置することで、効率的に安否確認を行うことを検討中でございます。

 本サービスにつきましては、携帯電話などの地上インフラに比べまして、特に、大規模災害発生直後における設備の故障、破壊、それから通信ふくそうと申しますけれども、いわば通信の混雑でございます、このような心配がございませんで、より強靱に被災者の避難状況及び個人の安否情報も瞬時に把握することが可能でありますことから、自治体などからも期待をされているところでございます。

 今お尋ねの、個人の情報端末からの電波を直接衛星において受信できないかとの議論がございますけれども、これにつきましては、準天頂衛星の設計上の技術的制約から、携帯端末に装着する専用のアタッチメントが必要になると考えているところでございます。

 以上でございます。

大島(敦)委員 あと衛星を打ち上げるまで二年間しかないので、なかなか、私も民間企業に勤めていて、仕様の問題等々で、これまでの国際的な電波の条約のレギュレーション等があって困難だとは思うんだけれども、せっかく携帯電話にアタッチメントをつけるんだったら、僕は衛星携帯だってあり得るかなと思ったの。これは、私も気づかなくて申しわけなかった。

 今の衛星携帯電話は、私が総務省にいたときに試してみたの、届くかなと思って。皆さんの役所の庭から衛星携帯電話は使えません。衛星携帯電話の衛星は上にあるんじゃなくて地平線に浮いているので、遮蔽物があると届かない。これは結構大きな論点でして、準天頂衛星はいつもこの上にあるから、携帯電話にアタッチメントをつければそのまま要は衛星携帯電話になるといったら、物すごくビジネス領域は広がるんですよ。

 例えば、三月十一日の地震のときは、金曜日の午後、決算委員会をたまたまやっていたので、みんな役所の人はここにいたわけですよ。だからこそ、当時の連絡網が機能して、初期対応ができた。これが日曜、土曜の夜、首都直下型が起きたら、どこにも連絡がとれないわけ。役所の課長以上が六千人ですから、みんなに一台一台ちゃんとした、いつもつながる携帯電話を持たせるだけでも、相当、日本のこれから起こるであろう、特に、三陸沖の地震の後、調べてみると、首都直下型とか東海、東南海のリスクが極めて高くなっているので、ぜひその点もよく聞いてください。

 これは、せっかくやるんだったら、ここまでやったらビジネスの展開に民間企業は気がつけよと思っているわけ。私が言う前に、民間企業だったら、しっかりこういうビジネスモデルがあるというのを内閣部局に言うべきだと思うね。これは一回限りの二千億円じゃなくて、十五年ごとに衛星をもう一回更新のものを打ち上げていくわけだから、相当の費用が民間企業に入るわけよ。だったら、それなりにちゃんと努力しろというのが私の、民間企業出身の意見なんです。

 今、宇宙関連二法というのが俎上にのっていて、我が党も賛成なんですけれども、結構、今後の宇宙のビジネス等を考えると大切な法律だと承知をしているので、その点についての大臣の御認識を伺わせてください。

島尻国務大臣 諸外国が既にそれぞれ法整備をしている中で、やはり我が国においても、人工衛星打ち上げ等の事業あるいは衛星リモートセンシング事業、民間参入を促進するために、宇宙関連二法の整備は喫緊の課題だというふうに考えています。

 この宇宙関連二法は、民間事業者による宇宙開発利用の関連産業の制度的基盤として必要なものであるために、民間事業者からも早期の法整備を望む声があるということは十分承知をしているところでございます。このために、国会提出中の宇宙関連二法案については、現在、衆議院の内閣委員会で提案理由の説明を終えた段階でございますが、政府として、できるだけ早い審議をお願いしているところであります。

 宇宙分野の国際競争力の維持強化、あるいは、今るる先生の御指摘もあったわけでありまして、速やかな事業環境整備について努めていきたいというふうに思っています。

大島(敦)委員 残りの時間が少ないので、最後の一問で、先ほどの横山先生の質問の中にもあったんですけれども、予算。

 こちらの方の第五期科学技術基本計画とか、あるいは総合戦略、毎年のローリングだと思うんですけれども、中身よりも一番大切なのは、一番最後のこのGDP比一%、二十六兆円という数字が物すごく大切だと思っている。

 内閣府のツールとしては余りないの。要は、内閣府設置法の、企画調整をするというところぐらいの書きぶりだと思うの。ですから、やはり閣議決定をしっかり武器にしながら、この予算獲得、特に、総理の意思、あるいは官房長官の意思も必要だと思う。この分野は極めて大切だからということを言い続けないと、ふえないの。この二十六兆円も、あくまで内閣府が集計したデータであって、個々は各府省ごとの、省内での予算獲得にかかってくるわけですよ。

 だから、ぜひこの二十六兆円を、これまで、第一期がちょうどいったんだけれども、第一期については満額だったのかな、二期、三期、四期は未達だったので、ここは、資金を入れないと科学技術がなかなか伸びないというところがあるので、その点ひとつ御留意いただきたいのが一つ。

 もう一点、人材の話。

 人材の話をもう一点しておきたいのは、今後、科学技術・イノベーション特別委員会があれば再度質問しようかと思うんですけれども、私は、産総研あるいは理化学研究所、物質・材料研究機構等々を常に訪問していまして、日本の最先端がどこにあるか自分で確かめたいものだから。その中での理事の皆さんの発言の中で、こういうのがあるの。最近、優秀なやつが入ってこないというわけ。なぜかというと、奨学金だというわけ。今、みんなマスターでやめるというの。理事の皆さんが学生時代は、ドクターコースへ行っても、奨学金をいただいていても、国の研究機関に入れば返さなくてよかったから、安心してドクターコースへ行けたというんですよ。

 この話を文科省に言うと、大島さん、そんなことないんです、優秀な人にはちゃんと、貸与じゃなくて、貸してあげるんじゃなくて、差し上げていますと言うんだけれども、誰が優秀か、誰が優秀じゃないかというのは入り口の段階じゃわからないわけよ。

 相当大きな裾野があって、要は、みんな大学院でやめちゃう。マスターなんというのは、ドイツだとディプロームだから大学卒と同じで、余り大した資格じゃないのよ。やはりドクターを取ってようやく一人前の科学者なの。だから、今の日本の科学技術はここのところをしっかり直していかないと、人材が安心して育たないと思う。給与のこともあるんだけれども、研究者は、安定した生活があれば、好きなことをしたいと思うの。

 その点について最後に答弁いただいて、私の質問を終わります。手短で結構です。

島尻国務大臣 前半のGDP比一%、総額二十六兆円という政府研究開発投資目標について、私もやはり今後五年間でこれをしっかりと実現するべく努力をさせていただきたいというふうに思っています。ぜひ先生にはその点の御指導も賜りたいというふうに思います。

 それから、担い手であります若手研究者の件でありますけれども、博士課程の進学率も、やはり少子化ということもあると思うんですけれども、減少傾向にあるということは承知をしております。

 もう十分御承知だと思いますけれども、第五期の科学技術基本計画にも、この若手研究者の育成、そして活躍促進について、どのようにやったらいいかということで具体的な計画も立てております。

 要は、やはりこの第五期の基本計画、計画ですから、だけれども、これをしっかりと実行する、実現するということが極めて大事だというふうに思いますので、その実現方、頑張っていきたいというふうに思います。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 終わります。どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 科学技術政策行政を所管される大臣の所信にかかわりまして、バイオセーフティーレベル4、BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の設置問題について質問をいたします。

 西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大によって、感染者は二万八千名を超え、死者は一万一千三百名を超えております。

 二〇一四年三月に日本学術会議が我が国のBSL4施設の必要性についてという提言を発表し、政府も昨年九月に、エボラ出血熱や韓国におけるMERSの感染拡大を受けて、国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本方針をまとめました。

 一月二十二日に閣議決定されました第五期科学技術基本計画では、感染症など、世界人類が直面する地球規模課題の解決に対して、我が国のポテンシャルを生かして国際連携、協力に積極的に関与し、戦略性を持ちつつ、世界の発展へ貢献することが重要だとされております。

 私どもも、我が国における感染症研究の強化は、日本国民のみならず、人類社会への貢献のために非常に重要だと考えておりますけれども、我が国のBSL4施設の必要性等の感染症研究体制の推進について、まず、大臣のお考えをお聞かせください。

島尻国務大臣 人類全体の健康長寿社会の実現のために、感染症に関する研究を推進して、そして、効果的、効率的に治療薬、診断薬、ワクチンの開発等を推進するということは極めて重要だというふうに認識をしております。

 第五期科学技術基本計画にありますように、大学そして公的研究機関の所有する研究施設そして設備においては、科学技術イノベーション活動を支える基盤であるということから、計画的な更新や整備を進めることが重要だというふうに考えています。

真島委員 政府の基本方針では、「今回のエボラ出血熱の感染拡大を契機に、先進諸国においてはエボラ出血熱等の危険性の高い病原体の検査・研究体制が整備されているにもかかわらず、我が国においては特定一種病原体等所持施設がないことが再認識された。」と強調をし、重点的強化事項の一つとして、国立感染症研究所の体制整備、国内の大学等研究機関における基礎研究能力等の向上のための体制整備を図るとされております。

 まず、確認いたしますが、そうであるならば、武蔵村山市の国立感染症研究所のBSL4施設、三十四年間も稼働できなかったということをどう見ておられるでしょうか。

鈴木政府参考人 武蔵村山市にございます国立感染症研究所のBSL4施設についてのお尋ねでございます。

 当該施設は、エボラの原因ウイルスなど病原性の高い疾患を取り扱う、特定一種病原体を取り扱う施設でございます。御指摘のように、昭和五十六年、一九八一年に整備をいたしましたけれども、地元の住民の方々の御理解を十分には得ることができなかったということで、昨年八月七日に感染症法の規定に基づく大臣指定を受けるまでは、BSL4施設としての運用をしていなかったというのが実情でございます。

真島委員 第三回村山庁舎施設運営連絡協議会の資料を見ますと、今おっしゃったように、「昭和五十四年九月に武蔵村山市に対して建設の説明を行った際に十分な説明がなされず、結果的に地元住民の方々に対して不安を与えてしまい、昭和五十六年十二月にBSL4実験開始延期要請が出されるにいたりました。」「その後は、」「感染研及び厚生労働省も積極的に住民の皆さんに対してご理解を得る説明が出来たとは言い難く、このことについては猛省すべきところであると認識しています。」と書かれています。

 また、厚労省大臣官房厚生科学課、健康局の「国立感染研村山庁舎施設のBSL―4施設としての指定について」という文書がありますが、そこでは、住民の反対を踏まえ、三十四年間、BSL4施設として利用しなかったと書かれております。

 このことは、政府としては今後も、こうしたBSL4施設の建設に当たって、地元住民の理解が不可欠だという立場は一貫しているということではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほど申し上げさせていただいたように、昨年八月に感染症法に基づいて当該施設を特定一種病原体施設とさせていただいたわけですが、その際、厚生労働大臣が武蔵村山市長と会談をさせていただいて、武蔵村山庁舎の施設運営の透明性を確保するために、施設運営連絡協議会を、これは自治体のメンバーの方も含んでおりますけれども、継続して開催し、施設の使用状況を報告するとともに、施設見学会や説明会も継続して実施し、積極的な情報開示や地域コミュニケーションを推進するということを確認させていただきました。

 私どもとしては、今後の指定においても同様に、積極的な情報開示、地域コミュニケーションを推進することにより、住民の方々の十分な御理解をいただくということが極めて重要だというふうに思っています。

真島委員 それで、政府が「国内の大学等の研究機関における基礎研究能力及び人材育成向上のための体制の整備による感染症研究機能の強化」を図るとした基本方針に基づいて、二月九日の感染症対策関係閣僚会議で、工程表を含む基本計画がつくられております。

 配付資料一がその基本計画の中の感染症研究体制推進プロジェクトの概略図になっておりますけれども、この冒頭に、「BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成について、長崎大学の検討・調整状況等も踏まえつつ必要な支援を行う」と書いてあります。

 長崎大学の片峰茂学長は、政府の基本計画の決定をもって、長崎大を国に評価してもらった、これは説得力を持つだろう、設置への理解が進むに違いないということで、そういうふうに受けとめているというふうに言われております。

 確認ですけれども、この基本計画というのは、BSL4施設について、「長崎大学の検討・調整状況等も踏まえつつ必要な支援を行う」と言っていることは、このBSL4施設を長崎大学にも設置するということを国が認めたということなのか、そして、それを支援するということを書いているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

吉岡政府参考人 御指摘の基本計画における感染症研究体制推進プロジェクトにおきましては、国内の大学等の研究機関における感染症にかかわる基礎研究能力、それから、人材の育成、確保を図るため、「安全性の確保に最大限配慮したBSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成について、長崎大学の検討・調整状況等も踏まえつつ、必要な支援を行うなど、我が国における感染症研究機能の強化を図る。」ということを掲げたところでございます。

 すなわち、政府としては、感染症研究機能の強化を図るため感染症研究拠点の形成が必要という認識をこの基本計画においてお示ししたものでございまして、現時点で長崎大学へのBSL4施設の設置を認めたというものでは必ずしもございませんけれども、長崎大学において検討、調整が行われている状況を踏まえながら、感染症研究拠点のあり方について、必要な支援方策を含め、具体的な検討を進めるということにしたものでございます。

真島委員 基本計画が言っている長崎大学の調整状況というのは、地元住民の理解を得ているかどうかということを含んでいるかどうかということをお聞きしたいんです。

吉岡政府参考人 お尋ねの基本計画の文言でございます「長崎大学の検討・調整状況等」ということでございますけれども、これは、長崎大学におけるBSL4施設設置構想に係る検討状況、それから地元との調整状況というものを念頭に置いているものでございます。

 したがって、BSL4施設の設置に際しまして地元への丁寧な御説明が求められるものというふうに強く認識しておりまして、地元の状況をこれからもよく注視していきたいというふうに考えております。

真島委員 配付資料二をごらんいただきたいんです。しかしながら、非常に残念なことに、施設に対しては建設に反対する近隣自治会の皆さんの声が非常に強くて、これは坂本キャンパスの近くに近隣自治会の皆さんが立てている大看板の写真です。

 昨年の七月二十二日付の毎日新聞によりますと、市立銭座小学校区連合自治会の十九自治会中十三自治会、約八百世帯は、設置に反対する共同声明を発表し、危険性が高い研究を住宅密集地かつ観光地である場所で行うべきではないと白紙撤回を求め、長崎大学と施設整備推進の基本協定を締結した長崎県と長崎市に対して、余りに拙速であり、地域住民の意見を反映していないと批判をされていると報じられています。

 その後、この銭座校区連合自治会で新たに二つの自治会が反対を表明いたしまして、昨年十二月時点で反対の意思表明を明らかにした自治会は、この銭座校区以外も含めて二十自治会になったということです。

 政府としては、現時点で、長崎大学が坂本キャンパスをBSL4施設の建設候補地としていることに地元住民の理解が得られていると判断しているのか、また今後、住民の理解が得られたと何をもって判断するのかということをお聞きしたいと思います。

生川政府参考人 お答えいたします。

 長崎大学のBSL4施設につきましては、二〇一四年十二月に長崎大学が、長崎市議会及び長崎県議会に対し、長崎大学における感染症研究拠点の早期整備を求める請願書及び要望書を提出したというふうに承知をいたしております。

 これら請願書等については、二〇一四年十二月に市議会及び県議会でそれぞれ採決をされ、市議会では賛成三十六、反対二、退席一、県議会では賛成四十一、反対一、退席一、欠席一という結果であったというふうに承知をいたしております。

 一方で、長崎大学によれば、地元住民の理解については、その御理解を得るために引き続き努力が必要であるというふうに認識をしているということでございまして、文部科学省としても、一層の地元の御理解を得るために、長崎大学によるさらなる取り組みが必要であるというふうに認識をいたしているところでございます。

 また、どのような状況になれば地元住民の理解が得られたというふうに判断し得るかという点につきましては、長崎大学、長崎県、長崎市の三者による連絡協議会での協議事項に「住民理解の促進に関すること」ということが含まれておりますので、同協議会で今後議論されていくことになるというふうに理解をいたしております。

 今後の当該連絡協議会での議論を私どもとしても見守ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

真島委員 それで、配付資料三は、近隣五自治会が昨年行いました全会員対象のアンケート結果なんですが、会員千六十三人の実に七割に当たる七百四十四人の方が回答されています。回答者のうち反対を表明しているのは、平野町山里が八四・四%、橋口町が五七・八%、上野町東部が五四・九%、山里中央七七・九%、家野町五八・二%に上って、五自治会全体でも六五%というふうな圧倒的な数になっています。

 長崎大学は、昨年の十月二十一日に第二回感染症研究拠点整備に関する連絡協議会におきまして、「地域住民の皆様への説明の現状について」という資料を出しているんですが、それを見ますと、一二年度以降、住民説明会や自治会役員の方への個別説明などを六十回以上行い、市民公開講座も三十回以上開催したとあります。しかし、長崎大学が行ってきた近隣住民への説明会というのは、ほとんどが自治会役員会での説明会。

 また、昨年七月の長崎大学が設けた有識者会議の論点整理の取りまとめ後に行われた住民説明会というのも、全市民向けの説明会の参加者が約五十人、そして、三カ所で開催した近隣自治会での説明会参加者も大体十名から二十名にとどまっているんですね。

 長崎大学が説明会を実施してきたにもかかわらず圧倒的な近隣住民がいまだに反対されているというのは、なぜだというふうに捉えられているでしょうか。

生川政府参考人 長崎大学は、今委員が御指摘をいただきましたように、これまで六十七回の住民説明会を行うなど、BSL4施設の必要性、安全性について地元の理解を得るべく努力をしてきたというふうに承知をいたしております。

 しかしながら、依然、近隣の住民の中には反対をされている方がおられることは承知をいたしておりまして、その理由としては、BSL4施設に係る内容が専門的でわかりにくいこと、目に見えない病原体に対する不安があることなどの原因があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 長崎大学におきましては、これまでの経験も生かしつつ、地域にわかりやすい説明を行うべく一層努力をしていくこととしているというふうに承知をいたしておりまして、文部科学省としても、注視をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

真島委員 施設設置に反対されている近隣自治会や住民の皆さんにお会いしてきたんですが、皆さん、感染症研究そのものの意義は認めているんだ、ただ、なぜこの住宅密集地の坂本キャンパスなのかという懸念と不安が払拭できないんだということをおっしゃっておりました。

 長崎大学坂本キャンパス周辺の平野町山里、上野町東部、山里中央、家野町の四自治会と市民団体BSL4施設の設置の白紙撤回を求める会が、昨年十一月十四日、反対自治会連絡会を結成しています。そこで、馳浩文科大臣と麻生太郎財務大臣に対して、強引に計画を進めたならば計画差しとめなど法的措置も検討せざるを得ないと、長崎大学坂本キャンパスへのBSL4施設設置を認めないように求める文書を郵送されておりまして、これに対して、松岡謙二文科省研究振興局研究振興戦略官名で、昨年十二月十五日付で、いただいたような御意見もあることを踏まえ、今後の我が国における感染症の取り組みを進めてまいりたいと考えておりますという回答をされております。

 ちょっと確認いたしますけれども、この御回答は、周辺住民の過半数がこういうふうに計画に反対している、白紙撤回の声もあるということも踏まえて、今後、これだけ説明会をしたんだから理解していただいているはずだと一方的に決めつけて突き進むようなことはしない、そういうふうに捉えていいんでしょうか。

生川政府参考人 お答えいたします。

 BSL4施設の建設に当たっては、まずは地元の理解を得ることが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。

 このような観点から、文部科学省としては、長崎大学、長崎県、長崎市の三者による連絡協議会や、そのもとに設置をされた地域連絡協議会での検討を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

真島委員 先ほどもちょっと御紹介ありましたけれども、昨年六月に長崎県、長崎市、長崎大学の基本協定というのが締結をされております。この協定は、施設の設置についての合意ではなく、大前提である安全確保と住民理解の課題を解決するための協定だというふうに御説明をされております。

 この基本協定に基づいて昨年八月に県、市、長崎大学の三者が連絡協議会をつくり、その協議事項として、安全、安心の確保及び住民理解の促進に関すること、そして、施設の設置場所に関すること、国の関与のあり方に関すること、その他施設設置及び管理運営に関し必要と認めることということが挙げられています。

 その第一回の連絡協議会で調漸議長が、長崎大学学長特別補佐、副学長の方ですけれども、長崎大学では、安全確保と住民の理解が前提であると認識しており、設置場所については、坂本ありきという考えではないが、長崎大学として坂本キャンパスを候補地としているという意思表示をしたということですというふうに説明されています。

 確認しますけれども、この連絡協議会というのは、「施設の設置場所に関すること」というのが二項目めにありますけれども、協議会の目的自体は坂本キャンパスへの施設設置ありきではないということですよね。

生川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年六月十七日に今御指摘いただきました長崎県、長崎市、長崎大学の間で締結をされた基本協定がございますが、これにおきましては、BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の早期整備を推進するに当たり、施設周辺住民の安全、安心の確保に最大限の努力を傾注すること、また、長崎大学は、BSL4施設の設置に関し、県及び市の協力を得て、設置後の管理運営体制のあり方を含め、その課題の明確化と解決に当たるものとするということなどが定められているものというふうに承知をいたしております。

 したがって、今御指摘いただきましたように、お尋ねのこの基本協定につきましては、その締結をもって施設の設置について三者が合意をしたということを意味するものではございませんで、周辺住民の安全、安心の確保や施設設置に当たっての課題の明確化と解決のための枠組みをつくるためのものであるというふうに理解をいたしているところでございます。

真島委員 今、基本協定について説明されましたけれども、その基本協定を踏まえた協議会も全く同じということですね、ちょっと確認。

生川政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の三者の連絡協議会についてでございますが、この連絡協議会の規約によりますると、平成二十七年六月に今申し上げました三者で締結をされた基本協定に基づいて、課題の明確化とその対応等について協議をするために設置をするというふうに規定をされているところと承知をいたしております。

真島委員 それで、この三者協議会のもとに、市民、地域住民の代表も参加しました地域連絡協議会が設置されております。その目的は、地域住民に感染症研究拠点整備に関する検討状況に関して情報提供を行うとともに、地域住民の安全、安心の確保等について協議をするためとされております。

 この地域連絡協議会というのも、坂本キャンパスへの施設設置について結論を出すということが最初から目的になっているわけではありませんよね。

生川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの長崎大学における感染症研究拠点整備に関する地域連絡協議会についてでございますが、この設置目的につきましては今御紹介いただいたところではございますけれども、この地域連絡協議会の規約に、BSL4施設を中核とする感染症研究拠点整備に関する検討を行うに当たり、検討状況に関する情報の地域住民への提供を行うとともに、地域住民の安全、安心の確保等について協議をするというふうに規定をされているものと承知をいたしております。

真島委員 それで、内閣官房、文科省、厚労省と長崎大学、長崎県、長崎市が参加します感染症研究拠点の形成に関する検討委員会、この初会合が四月二十七日に開かれております。

 この国の検討委員会と、先ほど言いました長崎大学、長崎県、長崎市の三者連絡協議会、そして、そのもとにつくられた住民参加の地域連絡協議会、この関係について簡潔に御説明してください。

生川政府参考人 お答えいたします。

 国の検討委員会と三者連絡協議会等との関係についての御質問でございます。

 まず、国の感染症研究拠点の形成に関する検討委員会につきましてでございますが、平成二十八年二月に関係閣僚会議で決定をされた国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画を受けて、政府一体となって我が国における感染症研究機能の強化を推進するという観点から、BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成に関する支援に係る関係行政機関の検討及び調整の促進を図るために設置をされたものでございます。

 一方で、長崎県、長崎市、長崎大学による三者の連絡協議会は、同協議会の規約によれば、三者が締結をした感染症研究拠点整備に関する基本協定に基づき、課題の明確化とその対応等について協議するために設置をされたものと承知をいたしております。

 また、同協議会のもとに設置をされた地域連絡協議会につきましては、同地域連絡協議会の規約によれば、長崎大学が計画を進めているBSL4施設を中核とする感染症研究拠点整備に関する検討を行うに当たり、検討状況に関する情報の地域住民への提供を行うとともに、地域住民の安全、安心の確保等について協議するために設置をされたものと承知をいたしているところでございます。

真島委員 それぞれの役割を説明されたんですけれども、関係性という説明がちょっとなかったんです。

 配付資料の四は、左側は、長崎大学が有識者会議に出した、キャンパス内のどこに設置をするのか、そして、大体キャンパスがどういう場所にあるかという、空撮した写真ですね。そして、右側は、地域住民の方からいただいた、このフェンスの内側がいわゆる坂本キャンパスで、本当に細い道路を挟んで住宅地があるんですけれども、長崎大学が候補地としています医学部キャンパス、通称坂本キャンパスの周りは、この写真のようにびっしりと民家に囲まれた住宅密集地で、同大学が建設を考えている場所からいえば、最短の民家まで五十メートルと近接をしています。

 南側には長崎大学病院があって、入院患者七百五十名、外来患者数は一日千六百六十人に及ぶ。北側には浦上天主堂が近接し、西北西約五百メートルには多くの観光客の皆さんも訪れる原爆爆心地公園があります。

 住民からは、施設の安全性への不安とともに、なぜBSL4施設の候補地がこういう住宅密集地の中にある坂本キャンパスなのかという疑問や懸念が出るのも、この位置からいえば私は当然だと思うんですね。

 長崎大学は、坂本キャンパスを候補地としている理由の第一に挙げているのが、近接する長崎大学病院に第一種感染症病床があり、国内外の観光旅行客の多い長崎で、万一感染者が出た場合にスムーズに対応できるというふうな説明をしておりますけれども、これが、施設の設置場所が坂本キャンパスでなければならない理由としてどうなのかなと思うんですが、政府としてはこの理由をどう評価されているでしょうか。

生川政府参考人 お答えいたします。

 長崎大学は、長崎県、長崎市、長崎大学による三者の連絡協議会において、坂本キャンパスを候補地とすることに関して、今御指摘がございました感染症患者発生時の対応だけではなくて、研究や人材育成の効果を迅速に上げるための安定したインフラ供給、あるいは人的、物的な科学的基盤の有無、または機動的かつ柔軟な管理運営の可否等も含めたさまざまな観点から比較検討を行った結果、坂本キャンパスに優位性があるものと御説明をしていると承知をいたしております。

 文部科学省としては、この長崎大学の説明には一定の合理性があるものというふうに考えているところでございますけれども、いずれにしても、「施設の設置場所に関すること」については、先ほど委員も御指摘をいただきましたように、長崎県、長崎市、長崎大学による三者の連絡協議会における協議事項となっているところでございまして、同協議会における議論を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

真島委員 長崎大学で坂本キャンパスじゃないといけないんだというので、二つ言っているんですね。

 そのうちの一つ目が今言ったことなんですけれども、例えば二〇一四年の観光客実数を見ますと、長崎県は、第一位の東京都の約二十分の一です。観光旅行客の中から万一感染者が出た場合を想定して長崎でなければならないという理由は、なかなかちょっと厳しいかな。

 そして、全国に、四十九医療機関、九十一床あります第一種感染症指定医療機関のうち、長崎大学病院はそのうちの二床なんですね。坂本キャンパスでなければならないという理由としては、これもちょっと弱いかな。

 そもそも、患者発生のような緊急時の対応もしやすいと言っているんですけれども、診断や治療を行うのは第一種感染症指定医療機関である大学病院であって、長崎大学がつくろうとしているBSL4施設というのは研究施設なんですね。だから、これを結びつけるのもなかなか無理があるんじゃないかと私は思います。

 もう一つの理由として長崎大学が言っているのは、坂本地区には、長崎大学病院も含め、さまざまな領域の感染症研究者が百五十人在籍している、BSL2施設やBSL3施設などさまざまな施設も充実していて、日常の研究や人材育成に適しているんだとおっしゃっているんですね。

 こちらの方は、先ほど来、政府の基本方針で言われております、国内の大学等の研究能力の向上、人材の育成、確保を図るという、基本計画の感染症研究拠点形成の目的として挙げていることと全く同じですから、これは一定理解はできるんですけれども、ただ、非常に一般的な意義で、住民の皆さんからすると、なぜ坂本キャンパス、住宅密集地なのかというのを理解してもらうには、ちょっと一般的過ぎるという受けとめが多いんですね。

 同時に、安全面での近隣住民の方の不安があると先ほどおっしゃいましたけれども、それに対して長崎大学のこれまでの説明は、海外のBSL4施設も市街地にあるものが多い、実験室は密閉された構造で、病原体は狭いキャビネット内の中だけでごく少量しか扱わないんだ、そして海外でも事故は起きていないというふうな、安全性を繰り返し説明されているんですね。

 しかし、先ほど、武蔵村山で三十四年間住民の御理解が得られなかったということを反省されているわけなんですけれども、そこで三十四年間住民の皆さんに説明されてきたことと全く同じ説明なんですよ。だから、住宅密集地になぜかという住民の皆さんの不安は、なかなかこういう説明では払拭できないんじゃないかと私は思うんです。

 先ほど来、三者協議会が検討して設置場所を決めていくことになるんだ、そこで住民の理解がどうかというのが恐らく判断されることになるというようなことをおっしゃっていましたけれども、政府の基本方針の中でも、「日本学術会議の提言等において、」BSL4施設については、「国が運営・管理に責任を持つこと等の必要性が指摘されている。」としています。

 それでは、長崎大学へのBSL4施設設置について決定するのは、長崎大学なのか、それとも国なのか、この点、いかがでしょうか。

吉岡政府参考人 長崎大学のBSL4施設設置構想につきましては、長崎大学において主体的に検討がされてきたものである一方で、国におきましては、基本計画において、感染症研究拠点の形成を図る方向性をお示ししているところでございます。

 このBSL4施設の設置自体につきましては、設置運営主体である長崎大学が判断するものではございますが、政府におきましても、国立大学法人の監督を行う文部科学省、感染症法に基づく監督を行う厚生労働省など、それぞれの機関が一定の役割を果たす必要があるというふうに考えております。

真島委員 長崎大学が設置について決めるんだ、政府も一定の関与をしていくんだというお答えでした。

 これは、先ほども言いました二〇一四年三月の日本学術会議の、非常に踏み込んだ、BSL4施設の我が国における必要性についてというこの提言、そこで提言されていることと、今のお答えでいいのかなというと、ちょっと違うなという感じがするんですね。

 その日本学術会議の提言の中では、こういうふうに言っています。「国内でのBSL―4施設建設の要件」の一つに「国の関与」を挙げて、BSL4施設建設の要件として最も重要なことは合理的運営と安全性を担保することだ、特に安全性については建設時及び維持管理において常に最重要視すべきだということで、建設費、維持管理費、セキュリティー対策費などへの国の予算措置、そして安全管理体制や外部からの侵入者防止対策などを考えても、こういう施設は「国の直接管理下におくべきである。」というふうに提言されているんですね。

 私も、学術会議が提言されているように、とても一大学の手に負える施設ではないんじゃないかというふうに思うんです。建設時から維持管理まで国がやはり責任を負う施設だというふうに思います。

 長崎大学は、一〇〇%安全、リスクはゼロとは言わないとして、テロや人的ミスも含め、万が一の事態に備えた対応や補償についても検討していくとしていますが、そうした長崎大学が言っているリスクこそ、住民の皆さんが住宅密集地に建設するのは不安だと言っている中身そのものなんですよね。

 それで、長崎大学が設置しました有識者会議の論点整理、昨年の七月に出ておりますが、その中で、「BSL―4施設の市街地立地については、同施設に伴うリスクから否定的な見解が示されることが少なくなく、特に地域住民の不安を考えれば、そうした見解についても十分に理解し得るところである。」というふうに書かれております。長崎大学は、例えば地震、津波、豪雨、台風及び火山など自然災害に対する対応について、こういうふうに言っています。「如何なる対応であれ、「絶対に安全」というものはないことを前提に、」「今後の作業を進めていくこととしている。」

 それで、一つだけ自然災害への対応でお聞きしたいんですが、BSL4施設の耐震安全性について、長崎大学が想定しております最大震度は幾らでしょうか。

生川政府参考人 お答えいたします。

 長崎大学が現時点の検討段階で想定をいたしております最大震度は、震度七であるというふうに承知をいたしております。

真島委員 長崎大学は、四月二十七日の感染症研究拠点の形成に関する検討委員会の初会合で、最大震度七に耐えられる施設を想定していることを明らかにしたと報じられておりますが、これは間違いないでしょうか。

生川政府参考人 長崎大学からは、従来は最大震度として震度六強を想定して検討を進めてきたところでありますが、今般の熊本地震を踏まえて、最大想定震度を震度七に変更することとしたというふうに聞いております。今御指摘のあった四月二十七日の感染症研究拠点の形成に関する検討委員会において、長崎大学からその旨の説明があったものでございます。

真島委員 熊本地震では、最初の震度七の揺れには耐えた公共施設の多くが、強い地震が繰り返す中で、使用できないほどの被害を次々に受けているんですね。こうした繰り返しの強い揺れに耐えられるかどうかというのも、長崎大学は想定しているんでしょうか。

生川政府参考人 お答えをいたします。

 BSL4施設のような高度な安全管理が求められる施設の建設に当たっては、最新の知見等を取り入れて設計を行っていくことが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。

 このような観点から、今御指摘をいただきました繰り返しの強い揺れに耐えられるようにするという点につきましては、今後行われる施設の設計等の検討の中で考慮をされていくものというふうに考えているところでございます。

真島委員 先ほどおっしゃったように、長崎大学は、当初、長崎県地域防災計画に基づいて、施設の耐震想定を最大震度六強としていたんですね。それを、熊本や大分での一連の地震を受けて、四月二十七日の感染症研究拠点の形成に関する検討委員会で初めて、最大震度七の想定にしたことを明らかにしています。

 これまでの住民説明会では報告されなかったこういう重要な変更が、この政府の検討委員会で初めて報告されているわけですが、私、これは議事録はありませんかということでお聞きしたら、政府の方は、検討委員会の議事録は公開しませんというふうな回答でした。

 なぜ公開しないんでしょうか。公開すべきではないでしょうか。

吉岡政府参考人 四月二十七日に開催しました検討委員会で議論された内容につきましては、既に長崎大学において、地元への説明用として概要をまとめ、翌日に公表されているというふうに承知をしております。

 政府におきましても、この検討委員会の配付資料等を既に公表しているところでございまして、今御指摘がございました震度七に変更したという内容につきましても、この配付資料の中で記載をされているところでもございます。また、私どもとしましても、議事の概要を、近く出席者の確認を得た上で公表していきたいというふうに考えております。

真島委員 レクチャーで聞いたときは、議事録もとっていませんとか公開しませんとか、かたくなに言われていたんですが、前向きに検討していただいたということで、ありがとうございます。

 この会合のメンバー、資料の五です、最後の資料に書いております。これは、内閣官房、文科省、厚労省の担当責任者とともに、長崎大学の代表、県の副知事、長崎市の副市長が参加しておりまして、当然こういう方々は、地元に帰ったら、地域の住民や地元の議会で正確な報告、詳しい報告を求められるわけですね。今出ているのは参考資料だけですから、それがどのように報告され、どのような意見交換がされたのかというのは、非常に大事なことだと思うんですね。

 先ほどおっしゃった地元の三者連絡協議会、地域連絡協議会では、政府の検討委員会で、BSL4施設の活用方策あるいはBSL4施設の機能及び運営方法、安全対策のあり方がこれから議論されていくわけなんですが、それがどういうふうに協議されたのか、その報告を受けて、それが地元の協議の一つの前提になっていくんですよね。

 先ほど申し上げましたように、これまで長崎大学が地元の住民の皆さんに説明してきた内容というのは、BSL4施設の必要性、安全性についての極めて一般的な意義だとか説明に私は見えます。だから、私は、なお周辺住民の過半数の方が反対をされている、理解を得られていないという状況にあるんじゃないかと思うんですね。

 こういう住民の懸念や不安に応える具体的な施設の活用方策、機能、運営方法、安全対策等のあり方というのは、まさにこれからの政府の検討委員会で協議されていく中身そのものなわけですから、どんな議論が行われたかというのを、今おっしゃったように、公開するのが当然だというふうに思っております。

 一四年三月の、先ほどから何度も御紹介しております日本学術会議の提言でも、「国内でのBSL―4施設建設の要件」の一つに「地域住民の合意」というのを挙げております。そして、「BSL―4施設の建設と運営には、地元自治体および隣接地域住民との信頼関係の確立が不可欠である。」「情報の隠蔽は、決して行ってはならない。」と強調しています。この提言には、先ほど、冒頭に触れました武蔵村山の痛切な教訓というのも反映されているというふうに思うんですね。

 済みません、最後に、お待たせしましたけれども、大臣にお聞きします。

 今、いろいろな議論をちょっと丁寧にさせていただきましたけれども、私も、こういう感染症、BSL4施設の、研究拠点を日本で設置していく、強化していくというのは非常に大事なことだと思っておりますので、そのためにも、大事な問題だと思って、政府自身も繰り返し言われている住民の理解が前提だという立場、これはやはり、これから長崎における議論においても、また、これから国内における議論においても、一貫して変わらないかどうかということを最後にちょっと御確認させていただきたいと思います。

島尻国務大臣 施設の建設等を行うに当たりましては、その必要性、そして安全性などについて、関係する住民の皆様に誠心誠意説明を行って、御理解をいただいて、信頼関係を確立していくということは非常に重要であるというふうに考えております。

 なお、審議会等における議事録の公開の可否については、議論の内容に基づいて、それを所管する省庁において適切に判断されていくものというふうに認識をしております。

真島委員 政府が住民の合意、信頼関係を築いていく上で、政府自身も基本方針とかで言われていますし、学術会議も提言されておりますように、非常に大事な研究拠点づくりだからこそ、これまでの武蔵村山の政府自身の、「猛省」と表現されていますけれども、猛省、こういうことをしっかり踏まえて、ぜひ、丁寧で透明性のある進め方というのが不可欠だというふうに思いますし、きょう、繰り返しそのことも確認していただいたというふうに思っております。

 長崎大学坂本キャンパスへのBSL4施設設置については、くれぐれも住民の理解や同意なしに強行されることがないように重ねて要望いたしまして、済みません、時間を残しておりますが、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 おおさか維新の会の伊東信久です。

 なかなか、国会の場というのは驚きの起きるところです。

 私は、開業医でもありますし、同時に、現在、国立の研究機関に籍を置いていまして、実際に実験研究の助言、学生の指導もやっておりますので、ちょっと現場の声としてお聞きいただければ幸いです。

 本日は、科学技術イノベーションの推進の総合的な対策に関し、質問をさせていただきます。

 さて、二〇〇六年八月二十五日のことですので、もう十年になります。実は、山中教授のiPS細胞の論文が世界的な学術誌「セル」にマウスの実験で初めて載ったのから数えて、もう十年と言うべきでしょうか、まだわずか十年と言うべきでしょうか、それに伴い、再生医療の研究は加速度的に進んだと思います。

 再生医療のみならず、この数年というのは、やはり科学技術イノベーションの研究開発がすごく進んでいることだと思います。そういった中に政府の後押しもあったと思いますので、今回は、まずは最先端の研究開発支援についてお伺いしたいと思うのです。

 最先端研究開発支援プログラム、略してFIRST、そして、最先端・次世代研究開発支援プログラム、NEXTなどの、対象者は違いますけれども、この最先端研究の開発支援が過去に行われております。私も資料を請求させていただきまして、このように大変立派な、中身を見てみますと、先ほど申し上げました山中先輩など、本当に、写真の撮られ方がこなれ過ぎてちょっとモデルさんみたいな写り方をしているんですけれども、研究を広く世の中に伝えるという意味では非常に立派なものができていると思うんです。

 このFIRSTの検証結果が出ていると思いますので、FIRST及びNEXTのそれぞれの検証結果について、まずはお教えください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のFIRSTプログラムは、世界のトップを目指した三十人の研究者を選定いたしまして、複数年度にわたる柔軟な予算使用が可能な研究費の基金化や研究者が研究に専念できるような研究支援機関を設置するなど、研究者を最優先に考えた制度として開始されました五年間のプログラムでございます。

 この事業の中で、ただいま御指摘がございました京都大学の山中伸弥教授は、より安全で効率的なiPS細胞技術を世界に先駆けて開発するとともに、得られた細胞の評価系を構築いたしました。それから、東京大学の中須賀真一教授は、ベンチャー企業と協力して、低コスト、短期間の開発の超小型衛星を四基開発いたしまして、これによる観測を開始いたしました。こういうすばらしい成果が上げられているところでございます。

 一方、NEXTでございますが、これは、将来、世界の科学技術をリードすることが期待される若手とか女性、地域の研究者に対する研究支援を目的として、挑戦的な研究課題、合計三百二十九課題が選考されまして、幅広く、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、これへの寄与が期待される研究成果が創出されたところでございます。

 他方、評価でございますが、平成二十六年三月の事業終了後に外部評価委員会を設置いたしまして、それぞれ事後評価を行ったところでございます。

 そのうち、FIRSTにつきましては、多くの研究開発課題で特筆すべき研究成果や科学的知見が得られて、総じて世界トップ水準の研究成果が創出された、こういう御評価をいただいております。それから、NEXTにつきましても、プログラムの目的はおおむね達成されたということで評価をいただいておりまして、いずれも、大きな金額でございましたが、すばらしい成果が上がったというふうに認識しております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 事前に通告の後、FIRSTについてもNEXTについても資料をいただいておりまして、今御答弁いただいた詳細に関して、正当なものだと私は認識しています。

 その上で、現在進行しているプログラムは、ImPACT、革新的研究開発推進プログラムというのがあります。その後にまたちょっと質疑をさせていただく予定なんですけれども、前段階として、この前期の二つ、FIRSTやNEXTのプログラムとの相違点、もしくは、助成対象や目的は同じなのか異なるのか、お答えください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在進行中のImPACTとFIRST、NEXTとの違い、それから同じ面を御説明申し上げます。

 まず、FIRSTにつきましては、五年間で世界のトップを目指すということで、中心研究者を選定して、世界最先端の研究開発を目指して、研究者を最優先に考えた、そういう制度設計になっております。

 他方で、ImPACTでございますが、科学技術イノベーションを成長戦略に結びつけるためには、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的な研究開発が必要である、こういう観点から、アメリカのDARPAのモデルを参考にいたしまして、プログラムマネジャーがプロデューサーとしての役割を果たして、みずからの権限と責任で研究開発のマネジメントを行うということで、社会や産業のあり方を大きく変革させるような非連続なイノベーションの創出を目指して、チャレンジングな研究開発に取り組む、こういう制度設計になっております。

 ここが両者の違いでございますが、同じところもございます。

 例えば、研究費の基金化、これは使い勝手がよくなるという意味で非常に評判がよかったものでございます。それから、研究支援機関の設置、これも、研究者が研究に専念できるという意味で、FIRSTで、すぐれた特徴を持っているということでございました。これらは、ImPACTにおいても継承いたしまして、それをさらに進化させたということで、これらのプログラムをさらに、経験を踏まえて、よりいいものにしていった、こういうことでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 FIRSTとImPACTの相違点というよりも、同じような点の中で、基金を含めて、恐らく研究の継続性というところに着目をしていただいたと思います。人物であっても、いわゆる対象の研究であっても、まあ対象の研究ではあっても、結局、PMが、プログラムマネジャーができる点では同じ点もあるかなと思うんです。

 先ほどから山中先輩の話が出ているわけなんですけれども、再生医療のiPSの細胞樹立を標準化する成果をFIRSTでは上げているわけです。そのおかげで、いわゆるシーズからニーズまで、基礎的研究から、医療であれば臨床的研究、そして、さらには製品化までされておるわけです。昨年、iPS細胞のストックがもう初出荷されておりますので、これは本当に画期的なことだと思います。

 ですので、あえて継続という意味で、FIRSTで研究計画を立てた研究者の皆さんに、この一カ月間、ちょっと私は個別に聞いてきたんですけれども、先ほどから出ていますように、当初予算の総額から大幅な減額があった、研究課題で研究計画、研究体制に大幅な変更をせざるを得ず、当初の金額のままであれば、研究に専念できる環境があって、さらに大きな研究成果が創出された可能性もあるんじゃないかと。また、大型のプロジェクトであればあるほど、ハイリスクであったので、いろいろな事情があったとは思うんですけれども、他の委員会ではこのようなことは逆に申し上げにくいんですけれども、ここは科学技術・イノベーション推進特別委員会ですから、やはり世界水準から見ると、決して僕はハイリスクでもなかったと思います。

 このリスク回避にとらわれず、研究プロジェクトへの支援継続を検討していただきたいという観点で、このFIRSTの成果を高く評価すべきだと思うんですけれども、今後、ポストFIRST、ImPACTもあろうかと思いますけれども、ポストFIRSTになるようなプログラムを予定されているのか否か、ちょっとお聞きしたいんです。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 第五期科学技術基本計画では、先行きの見通しを立てることが難しい大変革時代におきまして、新たな知識やアイデアを生み出して時代を先取りしていくということが不可欠であって、このためには、新しい試みに果敢に挑戦して非連続なイノベーションを積極的に生み出す、そういう取り組みを強化していくということを認識しております。

 具体的には、チャレンジングな性格を有する研究開発プロジェクトでございますImPACTにつきましては、現在まだ途中段階でございますが、今後さらなる発展、展開を図っていくとともに、関係府省が所管するほかの研究開発プロジェクトにもこのような仕組みを普及拡大していく、こういうことができないかどうかをこれから検討していきたいと考えております。

 さらに、研究力あるいは研究成果の最大化、あるいは一層の効果的、効率的な資金の活用、こういうことを目指しまして、研究の進展に合わせて基礎研究から事業化、実用化まで切れ目のない支援が可能となるように、制度間の接続の円滑化であるとか、複数年にわたる研究実施の円滑化であるとか、こういうことが可能となるように検討を行って、研究開発の成果がイノベーションにつながるように、研究資金の制度改革、これにも取り組んでいきたいと考えております。

伊東(信)委員 御答弁の中で、基礎研究から製品化まで、そのいわゆる橋渡しの話をしていただいたというのは、やはり大きな意味があると思います。

 それまで再三デスバレーとか死の谷とかいう話を私はさせていただいているんですけれども、そういった橋渡し研究というのは私が所属する大阪大学の国際医工情報センターでも大きなテーマになっておりますので、そのあたりに注目していただいているのはありがたいと思います。

 そこで、日々の研究についてお話をさせていただきますと、研究に専念できる環境というのは、持続性、継続性、そしてやはり研究費というのが大事なんですね。

 持続的な支援という面では、研究の予算というのは科研費、科学研究費助成事業というのがありまして、この予算額に、ImPACTという名前をまたつけてしまいますけれども、インパクトを与えるような予算額を増額して、FIRSTのような大型プロジェクト、つまりは、FIRSTとかImPACTとかいうのはやはり各年度ごとの大きな目玉とはなるんですけれども、そうではなくて、この科研費の中にめり張りをつけて、大型プロジェクトができるような、科研費を補足する設計をしたらとも思うんですけれども、いかがでしょうか。

冨岡副大臣 科研費は、御存じのように、年間二千億円ぐらい、約七万三千件に対して昨年度は支給しております。その中で、支援対象とする研究計画の規模や段階に応じてさまざまな種目を用意されております。

 大型の種目として、国際的に高い評価を得ている研究を一層推進するために、例えば今委員御質問になっているようなImPACTとかFIRSTとか、それに当たるような特別推進研究、これは五億円、三年から五年ぐらいかけて支給しております。現在、特別推進研究については、新しい学術を切り開く、真にすぐれた独自性のある研究を重点的に支援する方向で、その見直し、充実を検討しているところであります。

 今後とも、大型の種目を含めた科研費の改革、強化を推進していきたいと思っております。

伊東(信)委員 冨岡文部科学副大臣、ありがとうございます。朝から大変でございましょう。

 それで、あえてもう一度科研費についてお尋ねしたいんです。

 もちろん、特別推進研究費、現在あることも承知していまして、お願いというのは、予算組みですから、その額をふやしてくれ、そこのところにもうちょっと増額してくれというのは、またそれはそれで御検討される余地があるというか、お願いという形になるというわけなんですけれども、そもそも、国立、私立で格差があるのではないかという指摘もあったり、審査制度の問題、リスク回避に固執する余り、やはり実績主義、成果主義に偏りがある。

 このこと自体は、研究もやはり競争原理ですし、最終的には世界に打ちかつという意味では大事なことなんですけれども、研究水準を底上げするには、やはり研究者をふやし、まあ育成すること、新たなる研究拠点をふやしていくことが大事だと思います。NEXTのように若手とか女性研究者に、支援も継続性がなければ育成にはつながらないと思うんですね。

 科研費の中に、さらに今度は、ImPACTのようなあれじゃなくて、NEXTのように若手研究者の育成をするような重点項目があればと思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

冨岡副大臣 今お答えしましたように、科研費の中、二千億円の中にも、規模によっていろいろ用意されております。

 今申しましたように特別推進研究というのは億円のレベルで、委員も御存じだと思いますけれども、研究領域提案型になりますと、一年間一千万から三億円、さらに、Sクラスというんでしょうか、その下にAとBがたしかあったと思いますけれども、そのように、グレーディングというか、ランキングによって金額と年数が違ってきておりますけれども、いわゆる萌芽的なシーズグラントになると、やはり三百とか五百万円程度で、なかなか研究が続けられないということもあるんです。

 そういった、大きな流れとしては科研費も大型化、年数も三年から五年、そういうのも用意されておりますので、ImPACTに応募された方とかFIRSTに応募された方で、落選というんですか、採用されなかった場合は、そちらの方を利用していただくような、そういう仕組みでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実際、知っていて聞いているわけなんですけれども、三百万から何億円か、それぐらいのめり張りがあって、そこからいわゆる成果に合わせてというか、やはりそれだけのパフォーマンスをするべきというのは非常に大事なことだと思うんですね。

 そこで、研究者が研究に専念するためには、やはり優秀なガバナンスが必要だと思います。ガバナンスの人件費も研究費の中から出さなければいけないんですね。職員が非常勤の有期雇用で働いていますので、これではなかなか優秀な人材の育成ができない。非常勤に関しては、かつて御質問させていただいたんですけれども。

 ところが、一方で、国立や公立大学の研究者の中には、残念ながら、公務員という立場に甘んじて、研究成果も出さずに、私が言うのもなんですけれども、定年まで悠々と過ごされているという、そういった実態のある研究者の方も、現実はおられるわけです。

 年功序列で給与が上がる制度の中で、やる気のない研究者の存在が、やはり後輩である若手の研究者のモチベーションを下げております。これが人件費を圧迫して、他の研究者を雇用することができない状態でありまして、やる気のある研究者を集められるように、例えば、どの学長かは言いませんけれども、国立大学の学長などは、やはり、やる気のある研究者を集めるような裁量権を持たせてほしい、そういったような要望もございます。

 これは雇用の問題もありますし、実は通告していないので御答弁いただけなくても結構なんですけれども、こういったことも実情として御検討いただきたい。どうしても成果の上げられない中間層の研究者もおられて、その方をどないかできるような裁量権もやはりトップには与えてほしいということです。

 ガバナンスの話になりますと、山中先生のところの研究室、こういったCiRAニュースレターという通信を出しているんですけれども、ここにも、四月号のCiRAレターに記載されているんですけれども、十年前の「セル」に載っけた論文を発表する前に、そのまた前年、二〇〇五年に人クローン胚からES細胞をつくったという研究が虚偽であったと、これは海外のことなんですけれども、捏造や不正に対して特に厳しい目が向けられました。わずか四つの遺伝子を入れるだけで細胞を初期化できるという内容の論文を発表すれば逆風が吹くだろうということで、山中先輩と高橋和利博士、二人だけを著者にしているんですね。ここまでの危機管理ができるというのは、なかなか研究者ではまれなんですね。

 ここで、あえて申し上げます。

 終わった事件ですし、商業誌が出て、これはあくまでも商業誌であって科学的論文じゃないので、ここで挙げるのもなんなんですけれども、小保方氏の事件で、個人的にマスコミから攻撃され、結果的に研究者の道として歩き続けることができなくなってしまいました。小保方氏の話ではなくて、それを見た若手研究者の中には、やはり彼女の二の舞を恐れて萎縮してしまっている人もいてるわけなんですね。

 ガバナンスの技術、研究者たちの危機管理を指導していくということもやはり必要だと思われますけれども、今、そのことを踏まえて、現状のガバナンス管理というのはどうなっているか、お教えください。

冨岡副大臣 大変、小保方事件というのは、私も研究者の一人として、遺憾というんでしょうか、残念な事件だったんですが、その後、文部科学省の中にも、何でそういうことが起こったのか、そしてそれを今度、再発を防ぐためにどうすればいいということを、二年ほど前、私は担当させていただいて検討したわけでございます。

 したがって、平成二十六年八月には、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインを作成いたしました。これは、研究機関に責任を持って所属する研究者等に対して定期的な研究倫理教育の実施を求めることなどにより、取り組みをこれまで強化してきたところであります。また、このガイドラインの各研究機関における履行状況を調査し、取り組み状況を把握するとともに、必要に応じて指導助言を現在行っているところであります。

 文部科学省としては、今後とも各研究機関において公正な研究活動が行われるよう、引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 若手研究者の皆さんから本当にたくさん、私のところにメールをいただいたわけなんですね。

 その中で、皆さん、現実、大学院を出て留学をして、三十前後もしくは三十代半ばで研究されている方の共通意見としては、例えば、小保方氏が研究されているときにも、実際、彼女の研究者としての能力と世間が思っている能力との乖離があったと思うんです。これは研究されていた方であれば非常によくわかる話だと思うんですね。つまりは、若手研究者が一人で研究を続けていくというのはやはり皆無に等しく、ボスあるいは経験のある先輩に指導を受けています。

 実際、「サイエンス」に掲載された論文も、成果を焦る余り、研究過程で不要なものがまざるコンタミというのが起こったと。それが意図的か否かというのはこの場で申し上げるものではないので、私はもう何も言いません。だけれども、コンタミのこともチェック機能がなかったのか。そして、いわゆる論文を書く際、出典というのが大事なんですね、レファレンスという、この文書はどこから載っけたと。これを怠るとコピペと言われたりするわけなんです。

 ただ、やはり、私自身こういったことに関して、文部科学省内、研究機関内でこのことをせずに、マスコミの目にさらされていわゆるバッシングみたいな形になったのは、日本が、もしかしたら、ほかの領域で、あの論文をほかの人がつくってまともな形でいけば違う成果が得られたのじゃないかな、オール・ジャパンで科学技術をするときに、論文不正とかの問題が出て違う面で足を引っ張られるというのは非常に遺憾であったということは、これは私の意見ですのでこのあたりにさせていただいて。

 指導はもちろんですけれども、やはり研究者を守るという姿勢を政府が見せないと、若手研究者の育成はできないと思います。優秀な研究者を海外に流出させない、日本じゃ研究環境はだめだと海外に流出させない、日本で守り、日本で育てるという姿勢を、リーダーシップをとっていただいている島尻大臣にお話を最後お伺いしたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

島尻国務大臣 本当に、若手を育成していくという中で大事ないろいろな御示唆をいただいているというふうに思っております。

 ただ、研究不正というものは、やはり社会や国民の科学技術への信頼を揺るがすものでもありまして、研究の公正性を維持するためにも、研究者あるいは研究機関は、社会的な信頼あるいは負託に応えるということがやはり求められるものだというふうに思います。

 このため、研究者は、研究倫理を学び、そしてみずから取得した研究倫理を後進に伝える、すぐれた先輩に御指導いただいたというお話もきょういただいたわけでありますけれども、こういった後進に伝えていくということなど、研究不正に対する不断の努力というのが大変求められているというふうに認識しております。

 と同時に、やはり研究者の所属する研究機関等が、若手研究者などを対象とした継続的な倫理教育、研究倫理教育というふうにいうんでしょうか、こういったものの仕組みの構築、あるいは研究不正行為の疑惑に対して迅速かつ的確に対応できるような体制を整備するということなど、組織としての責務をしっかり果たすということが重要だというふうに考えています。

 その際には、第五期の科学技術基本計画にも記載させていただきましたけれども、過度の措置が研究現場を萎縮させることがないよう現場に与える影響に十分配慮する必要があるとともに、万が一研究不正が認められた場合には、研究者に過度な法的責務の追及が起こらないよう留意するということが重要であるというふうに考えています。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 島尻国務大臣におかれましては、若手だけでなく、女性の研究者も支援するというそのお気持ちをずっと持ち続けていただくことを本当に僣越ながら私の方でお願いしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十分開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松島みどり君。

松島委員 自民党の松島みどりでございます。

 平成二十六年五月、内閣府設置法改正により、それまでの総合科学技術会議が総合科学技術・イノベーション会議に改組されました。とても意味のあることだと思っております。科学技術を活用して、経済や社会を大きく変革し発展させるイノベーションを生むことこそがすばらしいのですから。当委員会の名称も、科学技術・イノベーション委員会。非常にうれしく思っております。

 まず、研究成果の実用化という観点から、SIP、戦略的イノベーション創造プログラムについての質問であります。

 大臣が三月十日に開催されました二〇二〇年に向けた科学技術イノベーションシンポジウムの中で九つの技術が取り上げられましたが、私が関心を抱いたものの一つに、ゲリラ豪雨や竜巻予測技術の研究開発というのがございます。これもSIPに含まれております。

 ここ数年、積乱雲の急速な発達が原因のゲリラ豪雨や竜巻による被害が相次いでおります。平成二十年八月五日、豊島区雑司ケ谷のゲリラ豪雨により、下水道工事中の方が五人亡くなられた件を例にしたいと思います。

 この日の東京の天気予報は、曇り時々雨というものでありました。実際には、雑司ケ谷では午前十一時半から午後一時半にかけて雨が降ったんですが、降り始めから十分で毎時四十ミリ超、二十五分で毎時百八ミリ超の猛烈な雨になったことが、気象庁のものよりも精度の高い防災科学技術研究所のMPレーダーの結果を分析することでわかりました。当時の気象庁の予報のメッシュでは警報できなかったのです。

 ゲリラ豪雨や竜巻予測技術が完成するためには、変化が激しい積乱雲を高速度で正確に捉える観測レーダーの開発、正確な解析による気象予報モデルの構築が必要であり、それが実社会で役に立つためには、自治体はもとより、鉄道など交通機関、河川管理者、工事現場への情報伝達、さらには携帯電話による緊急豪雨速報などまでつないでいく必要があります。まさに省庁の枠を超えた取り組みが必要であります。ぜひ、大臣がその司令塔の役割を担っていただきたいと考えます。

 そこで、このプロジェクトは、東京オリンピック・パラリンピックに向けたというか、生かすというような名目もありますけれども、そういうよりは、一年でも二年でも早く、できればことしじゅうにでも実現していただきたいと考えますが、大臣の見解をお伺いしたく思います。

島尻国務大臣 ただいま御質問のSIPにおけます豪雨、竜巻予測技術についてでございますが、これは、局地的な積乱雲などを詳細に観測できる最先端の気象レーダーを開発して、関係機関の協力体制のもとで、一時間先までの豪雨浸水域予測を国民に提供するということを目標としております。

 実現すれば、早く警報を出せるために、御指摘のようないろいろな悲惨な事故につながりかねない豪雨対策に非常に有効でございまして、これらを世界に先駆けて実用化を加速していくことが必要だと考えています。

 私といたしましては、科学技術の貢献によりまして国民の安心、安全を確保するために、今年度中にレーダーの開発を完成させるとともに、情報の収集や配信技術につきましては途中段階でも実装を図っていくというように、SIPのプログラムディレクターの活動を後押しして、関係省庁等に働きかけていきたいと考えています。

松島委員 今伺いました、今年度中にレーダーを開発して、そしてできた分野からどんどん進めていくというのをぜひよろしくお願いいたします。

 さて、知的財産推進計画二〇一六が今週の月曜、九日に発表されました。非常に多岐にわたり、有意義なものがたくさん含まれておりますが、それに関して幾つか質問をさせていただきます。

 まず、小中高校における知財教育の推進というのが入っております。

 知財の保護や活用などを教えることが盛り込まれているのですが、大賛成であります。物を盗むのと同じように、特許の侵害やにせブランドというのはいけないことである、さらに、音楽や本やアニメ、こういったものも、制作者は能力と時間をかけて生み出しているのですから、きちんと対価を支払うべきものだということを子供たちにぜひ教えていただきたいと思います。

 また、企業や弁理士、弁護士、そして大学の方などが協力して、知財の学習支援体制を構築することになっています。工場や研究所の方が、ぜひ何度か同じクラスに通って、そうやって魅力を教えていっていただきたいと思います。

 実は、個人的なことを申しますと、私は、子供のころというか、今でもそうですが、手先が不器用で、実験はうまくいかないし、理科は好きな方ではございませんでした。それでも、文学少女で、本が好きでしたから、野口英世とかキュリー夫人とか、そしてライト兄弟、さらにエジソン、そういった人たちの伝記を随分読んで、感動いたしました。自分は理科が好きではないけれども、でも、科学というのは重要なものなんだということを十分に感じて、そして今では、科学者を応援したり、こうやって財政や税制や、そういう形で科学技術の支援をするという立場になりました。

 子供たちはいろいろなタイプがいますから、こういった伝記などを勧めたり、感想文コンクールとか、そういうことも考えていただければと思っております。

 知財教育の推進について、大臣の見解を、簡単で結構です、意気込みを教えてください。

島尻国務大臣 松島先生に知財教育が大切だと御理解いただきまして、大変うれしく思います。

 知的財産推進計画二〇一六では、国民一人一人が知財人材ということを目指しまして、発達の段階に応じた系統的な知財教育を実施すべきとしておりまして、小中高等学校においては、次期学習指導要領の方向性に沿って、創造性の涵養、それから知的財産の保護、活用の意義の理解の増進を図るということとしております。

 そのための取り組みの一つが、地域、社会と協働した学習支援体制の構築でございます。具体的には、産官学の関係団体等の参画を得て、中央及び地域で知財教育推進コンソーシアムというものを構築することとしております。

 その中で、まさに御指摘のありました、創造者を尊重して知的財産を保護する姿勢を育むということや、あるいは、教育現場と企業、そして弁理士、弁護士、あるいは大学などが協力をいたしまして、企業の出前授業など、子供が継続的に本物に触れるということができる場を提供すること、さらには、発明家や科学者の伝記を活用すること、まさに今御指摘があったところでありますけれども、これらを参考にしながら、知財教育の充実に向けて努力していきたいと考えています。

松島委員 ありがとうございます。

 この知財推進計画の中には、中堅・中小企業のすぐれた技術や製品の標準化推進及び海外認証取得の支援ということが盛り込まれております。

 そこで、経産省にお尋ねでございます。

 標準化の推進や海外認証取得の支援によって、中小企業は海外のメーカーに対して自社の製品を部品として売り込みやすくなる、そしてまた国際調達の対象にもなりやすくなります。しかしながら、中小・中堅企業の中には、独創的な技術力は持っていても、こういうことに取り組むのはなかなか負担が重いという会社もたくさんあると思います。経産省はどのような支援を行っていくのか、お答えください。

星野大臣政務官 松島委員の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、中堅・中小企業の海外展開を後押ししていくためには、標準化や海外認証取得の分野において、中堅・中小企業が抱えるさまざまな問題に対して必要な支援を講じていくことが極めて重要だと考えております。

 そのため、まず、案件発掘から標準策定まで、中堅・中小企業の標準化を一気通貫で支援してまいります。具体的には、日本規格協会、通称JSAの標準化アドバイザー、これは十名以上おりますが、自治体、金融機関等と連携をいたしまして、案件の発掘、規格の原案作成等について個別に対応してまいります。国際標準化会合に参加するための渡航費用などの負担についても、国の予算措置のもと行っております。

 また加えまして、中堅・中小企業によります海外認証の取得を支援してまいります。具体的には、日本貿易振興機構、ジェトロの専門家が、日本品質保証機構、JQA等の試験、認証機関と連携をいたしまして、海外認証取得に関する相談に個別に対応する体制を整備してまいります。

 政府として、しっかりと中小・中堅企業を支援してまいりたいと考えております。

松島委員 ありがとうございます。

 また、知財推進計画の中の特許に関する部分です。

 特許庁は、これまで、アジアの新興国や途上国に特許や商標の審査を教える審査官を派遣したり、研修生を受け入れたりしてきました。最近は、日本の経済界の関心が高まっているインドやミャンマーに力を入れたり、中南米諸国にも力を入れ始めたと聞きます。これらのどんな国が多くあったのか、そしてまた、相手国や日本経済にどんな効果が出ているのかを伺いたいと思います。

 それに関連して、私自身非常に感慨深いことなのですけれども、日本の初代の特許庁長官はあの高橋是清であります。

 後に首相や大蔵大臣を務めて、二・二六事件で暗殺されたあの高橋是清が、明治の初め、二十代の若き官僚として情熱を燃やしたのが、特許や商標、著作権、デザインなどの知財保護の制度の確立でありました。一生懸命奮闘努力しまして、明治十七年にまず商標条例、翌年に特許の条例ができて、両方の所長を兼務いたします。

 ぜひ欧米の実態を見に行きたいと言ったところ、御多分に漏れず、政府はお金がないということだったんですが、総理大臣になる直前の伊藤博文が決断をして、やはりレベルアップのために海外派遣が必要だということで、高橋是清はアメリカやイギリス、フランス、ドイツで認定審査の記録、資料を、そのころはコピーじゃないですから全部手書きで写したり、そして弁理士から話を聞いたりして学んでまいります。帰国後、是清は初代の特許局長になるわけですけれども、明治の日本は、知財の分野で欧米に追いつくために、このように一心不乱に頑張りました。

 今、教える立場として頑張っていただきたい特許庁の方からお話を伺いたいと思います。

諸岡政府参考人 経済産業省特許庁は、我が国企業の有望な事業展開先でございますアジアや中南米などの新興国、途上国を対象として協力しております。

 これらの国々は、特許審査のおくれであるとか知財制度が十分に整備されていないなどの課題を抱えた国々でございます。従来からのASEAN諸国に加えまして、委員御指摘のインド、ミャンマー、中南米諸国に対しまして、知財の人材育成や制度整備等の国際協力を実施しているところでございます。

 ほんの一例のみ申し上げますと、最近の例でございますが、本年四月から五月にかけまして、インドの新人特許審査官約三百名に対しまして、特許庁の審査官九名が派遣され、そこで指導等を行ったということでございます。

 相手国の知財の環境の向上を通じまして、我が国企業の海外進出に貢献しているというところでございます。

松島委員 もう一つ特許の話なんですが、私は、金融機関が中小企業融資の際に、経営者の個人保証に頼るのではなくて、その企業の成長力や将来性を買ってしっかりと融資をしていくべきだということをずっと推進してまいりました。その観点におきまして、今、経済産業省特許庁がこういうことの協力を、中小企業が持っている特許の価値について金融機関の人にわかってもらうような書類づくりというのを一生懸命手伝っているようで、これは頑張ってくださいということだけ申し上げたいと思っております。

 話がかわります。

 昨年、大村智博士がノーベル生理学・医学賞を、そして梶田隆章博士がノーベル物理学賞を受賞し、日本じゅうが沸きました。二十一世紀に入ってからの自然科学系の三賞の国別の受賞者数は、アメリカが五十五人でトップ、日本は十五人で二位となっております。この表を参照していただければと思っております。

 この表の一覧表にも書き込まれているんですが、発見した事象の論文発表など研究の中心期とノーベル賞の受賞の時期は、一般的に十数年から三十年近く離れております。今、この日本のどこかで頑張っている研究が何十年かたってノーベル賞を受賞する可能性があると思うと、どきどきいたします。大臣も委員の皆さんもそうじゃないかと思っております。

 一例を挙げますと、日本のお家芸として省エネの切り札ともなっている青色LEDは、二〇一四年にノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇博士と天野浩博士、当時八十五歳と五十四歳ですが、この子弟コンビが、一番最初、青色発光ダイオードに必要な窒化ガリウムの良質な結晶化に成功したのは一九八六年のことです。まだ大学の教授と大学院生の時代でした。そして、その後、八九年に世界で初めて青色発光を実証したのです。

 両博士の研究には、国の科研費が使われました。そして、赤崎博士は、豊田合成とともに青色発光ダイオードの製造技術の実用化に取り組み、九五年に事業化に成功しています。さらに、二〇〇〇年代に入り、天野博士がエルシードという会社とともに製造技術を改良し、熱のこもらない効率のいいLEDの製造技術を実用化して、大量生産への道を開きました。ここにイノベーションが花開いたわけです。

 どちらにもJSTの開発委託費が投じられて、成功の後、一方は返済済みで、もう一方は返済中でございます。

 新産業創出、社会改革につながる発明を生み出した産学官連携のモデルだと思うんですが、このように長い年月がかかります。

 こういう意味で、科学技術への投資は未来への投資と言えます。日本と諸外国の科学技術関係予算を、このグラフを見ていただくとわかるんですが、伸びがずっと日本が悪い。これについては、この後、同僚議員が詳しく説明することになっておりますので、御答弁いただければと思っております。

 最後に、一つだけお話しいたします。

 今、情報工学というのが随分熱心に進められて、AIとかビッグデータ、IoT、そういったものが注目されております。

 そこで、一つだけお願いがございます。

 素材産業というのも大きな変革、化学は化けるものであり、例で申し上げますと、今回、特定国立研究開発法人の一つとなりました産業技術総合研究所、この前身の一つの場所で炭素繊維というのがおよそ半世紀前の一九五九年に生まれました。

 そして、その後、私はかつて一九八六年ごろ、つまり、発明の後二十五年ぐらい、四半世紀ぐらいたったときに、経済記者として、東レの軽くて丈夫な炭素繊維がテニスのラケットやゴルフのシャフトに使われているというような記事を書いたことがあります。そして、さらに四半世紀ほどたった今や、ボーイング787の素材として機体重量全体の五割を占める、それぐらい炭素繊維は活用をされています。

 このように、素材産業というのは、大きく、これも時間をかけて発達、実用化にイノベーションを生んでいくものです。

 次の素材として、例えば、紙の原料であるパルプをナノのサイズまで小さくしたセルロースナノファイバーというのが、鋼鉄の五倍の強さで、鋼鉄の五分の一の軽さ、つまりかさばらないということで、新素材として、産総研が中心となって産学官連携のフォーラムを設けて、これも開発に取り組んでいるところでございます。

 私は、経産副大臣だった二年前に、新木場の木材会館で行われたこのフォーラムの設立総会に参りました。勝手に推測していたのは、恐らく、需要の減少で苦しんでいる製紙業界とか木材の業界を救うためにやっているんだろうと思ったら、あに図らんや、集まった三百人近い中心の方々、圧倒的に、ユーザーとなり得る電機、自動車、建材、そういった業界の方たちで、びっくりした次第でございます。

 こういう役立つ出口を考えた新規素材の開発も、科学技術イノベーションと考えて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 科学技術の予算の伸ばしていただきたい話については、同僚議員にかわります。

黄川田委員長 次に、尾身朝子君。

尾身委員 自由民主党の尾身朝子です。

 本委員会で質問の機会を与えていただきましたことを心より御礼申し上げます。ありがとうございます。

 先ほど松島みどり議員も触れられましたけれども、本日は、科学技術予算の抜本的拡充に向けた政府の取り組みについて質問させていただきます。

 去る四月十九日、尾身幸次元財務大臣、NPO法人STSフォーラム理事長を中心に、榊原定征経団連会長、小林喜光経済同友会代表幹事並びに産業競争力懇談会理事長、五神真東京大学総長、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長を初めとする産業界や歴代のノーベル賞受賞者、国公私立大学団体、国立研究開発法人のトップの方々が官邸を訪問し、安倍総理大臣に対して、科学技術予算の抜本的拡充を求める要請を行いました。

 また、総理に続いて、谷垣幹事長や稲田政調会長など自由民主党の幹部、山口代表を初めとする公明党幹部の方々にも要請を行いました。

 さらに、自由民主党では、科学技術・イノベーション戦略調査会にて直接要請を受け、これを踏まえて、科学技術予算の抜本的拡充を求める決議を採択し、党としても、安倍総理に対して同様の申し入れがなされたと承知しております。

 本日は、科学技術・イノベーション戦略調査会で使用されました資料を配付しておりますので、あわせてごらんください。

 概算要求のタイミングでもないこの時期に今般の要請が行われたことは、単に予算獲得を目的とした陳情活動ではなく、各界のそうそうたる方々が、純粋に我が国の科学技術イノベーションを取り巻く状況を憂い、強い危機感に突き動かされて、やむにやまれずとった行動です。私自身、要請文を拝見するとともに、党の調査会にも参加いたしましたが、ここに書かれている危機感や課題、方向性に強く共感し、全面的に賛同しております。

 さて、要請文には次のように書かれています。大学の国際競争力が低下し、世界大学ランキングの上位を占める日本の大学数は激減している、質の高い研究論文の数も、中国が八位から二位に躍進する一方、我が国は四位から八位に転落した、こうした大学等を支える科学技術投資は、近年、中国や韓国はもとより、欧米先進国までもが投資を大幅にふやす中、我が国はほとんど増加していない。この指摘は極めて重要かつ深刻だと思います。

 政府の科学技術基本計画は、平成八年に策定された第一期から今年度からスタートした第五期に至るまで、五年間ごとの投資目標が掲げられています。国のあらゆる計画の中で、明確な投資目標が掲げられているのは科学技術基本計画だけです。これは、政府の科学技術重視の姿勢を国内外に示すものです。

 その一方で、投資目標を掲げたものの、実際にはこの十年間、科学技術予算はほとんど伸びておらず、この目標が単なる目標に終わっているのではないかと危惧しております。

 そこで、政府にお尋ねいたします。

 第一期以降の科学技術基本計画に掲げられた政府研究開発投資の目標と実績、さらに目標の達成状況に関する政府の立場や評価について、島尻大臣の御見解をお聞かせください。

島尻国務大臣 科学技術基本計画におけます政府研究開発投資の目標と実績について、一期基本計画では十七兆円の目標に対しまして十七・六兆円の実績、二期では二十四兆円に対して二十一・一兆円、三期では二十五兆円に対しまして二十一・七兆円、四期では二十五兆円に対して二十二・九兆円でございます。

 一期基本計画以降、政府研究開発投資の明確な目標額を掲げてきた結果、投資額が増大し、大型研究施設を初めとする我が国の研究開発環境が着実に整備され、研究者数や論文数が増加し、今世紀に入りまして我が国の自然科学系のノーベル賞受賞者数が世界第二位になるなど、着実に成果を上げてきたところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、政府研究開発投資目標につきましては、第二期基本計画以降達成できておらず、世界の主要国と比較をいたしまして、この十年程度は政府研究開発投資の伸びが停滞している状態にございまして、そういったこともありまして、我が国の科学技術イノベーションの基盤的な力が近年急激に弱まっている、こういった御指摘があるということは私も認識をしております。

 このために、投資の質を高める努力を精いっぱいやっていくとともに、内閣府といたしましては、政府研究開発投資の拡充が必要であるというふうに考えております。

尾身委員 大臣、ありがとうございました。

 御答弁にもありましたように、第二期以降、残念ながら政府研究開発投資の目標は未達成であり、直近ではむしろ政府の科学技術関係予算が減額となっているような危機的状況にあります。

 この間、中国はもとより、欧米先進国までが科学技術イノベーションの重要性を強く認識し、国を挙げて科学技術予算の大幅な拡充を図ってきています。

 先日の安倍総理への要請の際にも、榊原経団連会長は、中国の科学技術投資の大幅増を引き合いに出し、イノベーションの成果は投資額に比例すると言われており、大変危機感を持っている、官民対話で企業から国内の大学や国立研究開発法人への投資額を三倍にふやすという目標を掲げ、企業としても努力をしていく姿勢を示した、政府としても、総理のリーダーシップで二十六兆円を着実に実現していただきたいと述べられました。小林経済同友会幹事も、ぜひ政府研究開発投資一%を死守してほしいと強く訴えられました。

 このように、経済団体からも政府の科学技術予算の拡充について切実な要請がなされていることは極めて重要であり、我々としても重く受けとめるべきであると考えます。

 要請にもあるように、この状況を放置すれば、科学技術先進国はもとより、将来、国の経済や産業の競争力が低下し、日本は二流国、三流国に転落していってしまうと強く懸念いたします。

 本年度は、第五期基本計画の初年度に当たります。この初年度から計画倒れ、目標倒れにならないよう、政府としても、国家戦略として科学技術イノベーションの重要性を再認識し、計画の実効性を担保するため、科学技術予算、政府研究開発投資の目標達成が必須であると考えます。

 今回の要請では、平成二十八年度補正予算が編成される場合、科学技術予算に少なくとも五千億円を措置すること、その上で、平成二十九年度以降については、科学技術予算をシーリングの別枠として措置することなどにより、毎年度の政府予算において対前年度比三千億円から四千億円の増額、八%増を実現すべきとされています。党の決議でも同じ内容が盛り込まれました。

 そこで、政府にお伺いします。

 第五期基本計画で掲げた政府研究開発投資の対GDP比一%、総額約二十六兆円の達成に向けて、政府として具体的にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。特に、平成二十八年度政府予算のうち、科学技術関係予算は約三・五兆円にとどまっており、初年度から目標未達成が懸念されます。この点も含めて、島尻大臣のお考えをお聞かせください。

島尻国務大臣 第五期の基本計画では、政府研究開発投資の目標といたしまして、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%を目指すとしたところでございまして、科学技術イノベーション政策を強力に推進するという安倍政権の基本姿勢を国内外に示すものとなっております。

 まさに委員御指摘のとおり、平成二十八年度の科学技術関係予算は、当初予算ベースで約三・五兆円にとどまっております。総額規模約二十六兆円というものを達成するためには、毎年度の当初予算において格段の増額を図る必要があるということは私も認識をしているところでございます。

 このため、各省と協力して検討いたしまして、科学技術関係予算の確保に向けて一層努力していきたいというふうに思っております。

 先日、先ほど御披露なさいました抜本的予算の拡充についてということで、そうそうたる先輩方がお集まりのところ、私も官邸で同席をさせていただいております。あのときに聞いた先生方からの御意見もまたしっかりと受けとめつつ、この件、頑張っていきたいというふうに思っております。

尾身委員 大臣、大変力強い御答弁、ありがとうございました。

 科学技術イノベーションは、我が国の国力の源泉であり、将来の成長、発展を支える礎となるものです。安倍政権が掲げるGDP六百兆円の実現に向けた成長戦略のかなめでもあります。科学技術イノベーションの推進が我が国の将来を左右すると言っても過言ではありません。安倍総理、そして島尻大臣のリーダーシップのもと、政府を挙げて、科学技術イノベーション推進のため、科学技術予算の抜本的拡充を確実に実現していただくことを強く求めます。

 同時に私も、政治、政府、学界、産業界、そして国民の皆様方とともに、科学技術イノベーション創造立国の実現に向けて全力で頑張ってまいりたいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣も朝からお疲れさまでございます。私、最後のバッターですので本当はリラックスして聞いていただきたいところなんですが、残念ながら非常に重要な質問ばかりでございまして、ぜひ最後までおつき合いをいただければというふうに思っております。

 まず冒頭、防災科研の話を伺いたいと思います。

 というのは、熊本地震、今回の地震で四十九名のとうとい命が奪われました。また、避難生活をされていらっしゃる方々、まだ一万三千人いらっしゃるというふうに伺っております。政府一丸となって迅速な対応を今していただいておりますが、私が質問したいのは、防災科学研究所の役割ということについてです。

 防災科学研究所というと、例えば地震のメカニズムであったりとか、あるいは断層の調査研究であったりとか、そういう研究ばかりやっているようなイメージがあるんじゃないかなと思うんですが、実際は、例えば今回の地震でも非常に実動部隊として動いておりまして、かなり初期の段階、応急対応の段階から現場に入っていろいろ動かれているというふうに伺っております。

 改めて伺いたいと思うんですが、今回の震災で防災科研はどのような対応を行ってきたのか、伺いたいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございました防災科学技術研究所でございます。これは従来から、稠密な地震観測網を用いた観測データ解析を実施し、地震調査研究推進本部等の関係機関に提供することにより、緊急地震速報を初めとする地震活動の監視観測、これに貢献したことは申すまでもございません。

 さらに、これに加えまして、今委員の御指摘のございましたように、特に熊本地震におきましては、被災地の支援また調査のために発災の翌日から職員を派遣しておりまして、五月十二日までに熊本県で延べ四十七名、また大分県では延べ六名の職員を派遣してきているところでございます。

 具体的な対応の内容といたしましては、地震観測や現地調査だけではなく、様式がそれぞれ異なる例えば道路交通あるいは避難所、こういったそれぞれの情報を一つの地図の上に集約して表示するシステムを提供して運用する、こういったことによりまして、実際に活動しておられる政府現地対策本部、また熊本県災害対策本部、またDMATと呼ばれる災害派遣医療チーム等の活動の支援、こういったことを行ってきているところでございます。

 また、これに加えまして、今後の復旧復興に向けまして、被災の市町村におけます罹災証明書の発行、また被災者台帳の管理、こういった事務を簡易かつ迅速に行えるような、そういったシステムの導入に向けた説明会を実施するですとか、またそういったものを円滑に導入できるように現地で直接指導する、こういった活動も行っているところでございます。

 文部科学省としても、引き続きこういったものを支援してまいりたいと考えております。

伊佐委員 今説明をいただいたとおりで、例えばその地図情報、もし防災科研がいないとどうなっていたかというと、ホワイトボードで書いて、ここにこういう道路がありますとか避難所はここですよとか、そういう状況だったんじゃないかというふうに言われています。防災科研が地図情報を持ち込んで、実際の道路の交通状況、あるいは避難地の場所とか、こういうのをマッピングして、これを現場で提供しているんです。あるいは、さっきおっしゃった罹災証明まで、実はそのシステム構築を防災科研がやっているというような状況です。

 そういう意味で、単なる研究機関じゃなくて、本当に実動部隊として今この現場でも動いていらっしゃるということなんですが、ところが、残念ながら、この防災科研も今、危機に瀕しております。

 資料をお配りさせていただきました。まず一枚目でございますが、これは防災科研の予算です。先ほど同僚議員からも、尾身委員からも予算の話がございましたが、防災科研を見ていただくと、ずっと下がってきている。今、下げどまっている状況ではありますが。

 どういう状況になっているかといいますと、例えば、防災科研のやっていることといえば、陸域とか海域にいろいろな地震計を置いています。この維持をするので今手いっぱいなんです。あるいは、大型のE―ディフェンスというものがあって、そこで建物を載せて揺らすわけですけれども、この維持だけで手いっぱいで、伺って私驚いたのは、今回の地震で地震計が幾つか壊れたんです、これを修理するお金すら今ないんです。これは困っているというようなことを伺いました。これだけいろいろ維持するだけで、結局、研究ができない。

 今回の政府の地震対応は迅速だったというふうに海外からも今評価をしていただいておりますが、これを支えている一つが私は防災科研だというふうに思っております。そういう意味では、こうした防災科研に対する運営費交付金、これをしっかりと見てあげるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

冨岡副大臣 今、担当の者が説明しましたように、地震、津波、火山活動の観測あるいは予測技術の研究開発、あるいはリスク軽減情報の創出等、E―ディフェンスを活用した耐震研究には確かにたくさんお金がかかりますし、数多くの自然災害の脅威にさらされている我が国において、最小に災害による被害を低減することは本当に必要なことだと思っています。

 このためにも、必要な運営費交付金をしっかり確保して、防災科学技術研究のより一層の推進に努めてまいりたいと思っております。

 参考になるのは、同じ運営費交付金を、国立大学法人等で年一%ずつ減額をしてきて、十一年でしたかね、一一%、大学法人の場合には減額したんですが、二十八年度からはこれを取りやめるような政策を打っておりますので、防災技研を含めて、こういった国立研究開発法人に対しても、減額措置、次にはやはり増額に持っていきたいというふうに考えているところであります。

伊佐委員 こういう議論をすると、大体財務省が言うのは、民間からもっとお金をもらっていいじゃないか、民間から投資をしっかり得る努力をしなさいということを言うわけです。

 でも、これは分野によります。例えば物質・材料とか、こういう分野であれば、当然、民間との共同研究、委託事業、いろいろあり得ると思います。宇宙だってそうです、スピンオフした技術、民間に使っていただくとか。でも、この防災科研のやっていることは、人の生き死ににかかわるような、本当にある意味国家の責任というようなものだと私は思っておりまして、なかなか民間が投資するような分野とは考えにくいんじゃないかなというふうに思っております。

 防災科研、もう一つだけ申し上げると、世界にも貢献しています。地震が起こったときに、例えばネパールで地震が起こると、防災科研が駆けつけるんです。そこで現地政府にいろいろとアドバイスをして、支援をしている。こうした世界にも誇る機関だと思っておりますので、ぜひ御配慮いただければというふうに思っております。

 先ほど全体の話も冨岡副大臣からしていただきました。全体というのは、研究開発法人全体もしっかりと支えていきたいというお話をいただきました。

 今回、ちょうど昨日だと思いますが、参議院で特定国立研究開発法人の新しい法律が可決をいたしました。この新しい制度の中で、研究開発法人にはますますこれから頑張っていただきたいというふうに思っておるわけですが、現状はなかなか厳しい。

 これは資料二枚目、副大臣から言及をいただいた国立大学が、この資料の二枚目でございます。ずっと一%カットで、この十年間、大体一割ぐらい予算が減ったという資料。ようやく下げどまったということでございますが、実は、国立研究開発法人、次のページを見ていただくと、もっとひどいんです。ずっと減り続けています。しかも、全体で一割じゃなくて二割、これまでで下がっております。

 先ほど科学技術関係予算二十六兆円の話がございましたが、大体、毎年科学技術関係予算というのは四兆円から五兆円、この二十年ぐらいずっと一緒です。多少の上がり下がりはあります。ずっと横ばいなんですが、この国立研究開発法人だけは一貫してずっと予算が削られ続けています。

 次の資料、具体的に、では、どういうふうなことになっているか。

 これは、めり張りをつけているんだったらまだわかります。こういうところが大事だとか、こういうところは減らさな仕方ないとか。

 でも、これを見てみると、重立ったところを全部出しましたが、資料四、例えばJAMSTEC、海洋をやっているところですけれども、ずっと下がっている。横の物材、NIMS、これも下がっている。JSTも下がっている。JAXAだって下がっている。次のページも、原研機構、JAEAだろうが、QSTだろうが、理研だろうが、全部下がっているんです。

 つまり、何かめり張りをつけているわけじゃなくて、この十年間の間、とにかくきゅうっと絞り続けてきているというような状況が起こっております。

 では、研究現場で何が起こっているかというところを御答弁いただければと思います。

冨岡副大臣 先ほどもちょっと触れたんですが、文部科学所管の八つの国立研究開発法人、委員御指摘のように、平成二十八年度予算額は二十二年度と比べても約一三%減になっております。これは事実でございます。

 このような予算の減少により、例えば、研究開発の停滞や新規プロジェクトの立ち上げ見送りなど、国が定めた各国立研究開発法人のミッションの遂行に重大な影響が出るおそれがあり、さらに、有望な若手研究人材の安定的雇用が困難になるおそれ、さらには、加速器などの大型研究インフラの稼働率が低下し、研究活動の鈍化を招くおそれがあるということでございます。

 したがいまして、先月、馳文部科学大臣が発表した科学技術イノベーションによる未来社会創造プランにおいては、平成二十九年度の文部科学省重点事項に、国のミッションを確実に遂行するため、今委員が言及をされましたが、特定国立研究開発法人を初めとする国立研究開発法人の基盤的な経費である運営費交付金の確実な確保を位置づけたところであります。

 文部科学省としましても、国立研究開発法人がそれぞれの役割を着実に果たせるよう、必要な予算の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 文部科学省としても、委員の御指摘のように、何でこのように十数年にわたって減額をし続けたのをとめることが、我々としても阻止することができなかった、そこは十分に踏まえて、今度科学技術の五カ年計画が策定されましたので、二十六兆円の中にこういうのを組み込んでいきたいと考えております。

伊佐委員 文科省としてもしっかりと後押しするということでした。

 では、司令塔である大臣にもまたお伺いをしたいと思います。

 これはどういう影響があるかというので副大臣がおっしゃったのは、鈍化ということをおっしゃいました。私、各法人の担当の皆さんに来ていただいて、具体的なことを結構聞いたんです。どういう状況だったかというと、大体、国立研究開発法人というのは大きな施設を持っています。先ほど言った防災科研だったらE―ディフェンスとか。これは、今申し上げたように、維持するだけしかできなくて研究ができない。動かすお金がない。

 あるいは、海洋であれば「ちきゅう」という大きい船があります。日本は海洋国家だから海の資源を活用すべきだ、「ちきゅう」頑張れと言うものの、実際「ちきゅう」の維持費しかなかなか措置されていない。しかというのは言い過ぎかもしれませんが、現場の感覚としては、大きい船というのは維持費がかかるので、維持するので手いっぱいです、これを実際に動かす予算がなかなかないんですと。

 いわゆる生殺し状態と言ったら言い過ぎかもしれませんが、とにかく、殺しはしないけれども生かしもしないというような状況がこの研究開発法人で続いているんじゃないかなというふうに私は思っております。

 最後に大臣に伺いたいと思いますが、この状況を何とか、今回、法案もきのう成立しましたので、これをきっかけに、充実強化にかじを切っていただきたいと思います。

島尻国務大臣 委員に今触れていただきましたが、昨日、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法を成立させていただきました。

 これを受けまして、政府といたしましては、今後、特定国立研究開発法人を中核として、大学や公的研究機関、さらには産業界も含めて、オール・ジャパンで我が国の科学技術イノベーションのシステムの改革を積極的に進めてまいる決意でございます。

 国立研究開発法人は、国家的または国際的な要請に基づいて、長期的なビジョンのもとで、民間では困難な基礎・基盤的研究のほか、実証実験、技術基準の策定に資する要素技術の開発、そして他機関への研究開発費の資金配分等に取り組む組織でございまして、当該法人がその能力を遺憾なく発揮できる環境整備が重要であるというふうに思っております。

 このため、国立研究開発法人の活動の基盤となる運営費交付金をまず確実に措置するということを目指します。その上で、基盤的経費を確保した上で、基盤的経費の措置のみならず、競争的資金の獲得のほか、企業からの受託研究など、国立研究開発法人の特性を生かした民間の資金の確保にも努めまして、財源の多様化によってさらなる財政基盤の強化を図る取り組みを行うということも重要だと思っております。

 国立研究開発法人がそれぞれの役割を適切に果たして、その能力を遺憾なく発揮して、我が国全体の成長、そして競争力の向上に大きな効果を上げるよう、政府としてしっかりと支援してまいりたいと思います。

伊佐委員 大臣の方から、確実に措置という表現でございました。なかなか今の段階ではということかもしれませんが、まさしく研究開発法人、国立の場合は、いわゆる国家の基幹技術というような、国富に直結するような技術ばかりだというふうに私は思っておりますので、ぜひ御支援をよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 少しまた話をかえまして、きょうは外務省から黄川田政務官に来ていただいておりますので、科学技術外交について、とりわけ、宇宙の技術を使ったアフリカとの連携協力というものについて質問させていただきたいと思います。

 私ごとで少しお話をさせていただきますと、私は文部科学省で以前働いておりました。そのときに、宇宙の技術の営業に回ったことがあるんです。要は、当時の副大臣と一緒になって、日本の宇宙技術をアフリカに売り込みに行ったんですよ。どこに行ったかというと、コンゴ民主共和国というところに行きました。つまり、宇宙の技術によってコンゴ民主共和国あるいはアフリカ諸国と協力を強化していこうという思いで行ったわけです。

 一方、中国はもう既にコンゴ民に入っていたんです。あるいは、ほかのアフリカ諸国に入っていて、例えば宇宙でいうと、衛星の打ち上げ受注とか、かなり協力を積極的に華々しくやっておりました。

 日本もおくればせながらアフリカとの関係をしっかりとやるべきだという思いで行かせていただいたわけですが、これは何でコンゴ民とやったかといいますと、宇宙かといいますと、結構資源がたくさんあるんです。資源が埋まっています。この埋まっている資源を、どこにどういう資源があるかというのを、例えば宇宙から見たら資源管理ができますよ、あるいは森林の資源管理ができますよ、災害対応ができますよ、いろいろな衛星のデータを使って、国、国家の発展に貢献できますよ、こういう意図があったわけです。最終的に、大統領府まで行ってお話をさせていただきました。

 結論はどうなったかといいますと、結局買ってくれませんでした。何でかというと、買ったとしても、まず使う人がいないんだ、人材育成をまずやってくれという話になって、これが二〇一一年の話です。当時、相手政府と覚書を交わして、人材交流を含めて、しっかりと衛星協力をやっていきましょうという文書を初めて交わしたんですね。

 まず最初の質問は、あれから五年たちました。果たして今、コンゴ民との協力、あるいはアフリカ諸国との協力、どうなったでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございましたコンゴ民主共和国との協定、これは、二〇一一年に衛星協力に関する協力枠組み文書という形で取り交わされているものの御指摘だったと思います。

 それを踏まえまして、アフリカ諸国における衛星利用分野の人材育成を進めてきておるところでございまして、具体的には、今お話にもございましたように、衛星データ利用の事例の紹介ですとか、あるいはそれをどう利用するか、こういった実習、そのための研修、こういったことが必要かというふうに思って実施しております。

 具体的には、こういったコンゴ民主共和国を初めとする南部アフリカ十五カ国の研究機関、また大学の研究者の方を対象にして、今申し上げました農業や防災といった分野における衛星データ利用事例の紹介ですとか、また、実際にどう衛星データを利用したらいいのかという実習の研修、こういったことを日本で二回、またコンゴ民主共和国で一回実施をしておりまして、延べ八十七名の参加をいただいているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、コンゴ民主共和国を初めアフリカ諸国との宇宙分野における協力は着実に進展してきているものというふうに私どもは認識しておりまして、今後とも続けてまいりたいと考えております。

伊佐委員 着実にしっかりと進めていただいているということだと思いますが、さっき申し上げたコンゴ民と始めた協力なんですが、今おっしゃっていただいたとおり、南部アフリカ十五カ国にまで拡大した。コンゴ民、コンゴ民主共和国というのは、あの地域では大きな影響力もありまして、実際、旗を振ったら周りの国も賛同してくれて、一緒に来るようになった。去年は、コンゴ民主共和国からは科学技術担当大臣まで来られて、若い、四十歳の大臣でございましたが、私もお会いさせていただいて、いろいろ意見交換させていただきました。

 アフリカ戦略も、いよいよ次のステップに向けていこう、こういう状況になっていまして、外務省の協力もいただいて、JICAからさまざま援助をいただいて専門家の派遣をして、現場のニーズの調査をしっかりした上で、次のステップ、何ができるかというような段階まで今参りました。

 もちろん、このJICA派遣で、調査の結果をもって、果たして次に何ができるかという結論、議論になるんだとは思うんですが、ことしの八月にはTICADもございます。アフリカとの協力、弾込めもいろいろ今されているんじゃないかと思います。これは、間に合うかどうかというのはもちろんあると思うんですが、いずれにしても、科学技術におけるアフリカとの協力、あるいは科学技術を生かしたアフリカ戦略みたいなものは非常に重要じゃないかなというふうに思っております。

 まず島尻大臣に伺いたいんですが、大臣は科学技術担当大臣だけではなくて宇宙の大臣もされておられますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

島尻国務大臣 お話しのように、我が国が地球規模の課題解決で先導的な役割を担って、そして世界の中で確たる地位を維持していくためには、国際協調、そして協力を戦略的に進めて、諸外国との科学技術協力及び宇宙協力というものを強化していくということが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 総合科学技術会議、当時の呼び方ですよね、この発案によりまして、従来個別に取り組まれていた科学技術の振興とODAを融合することで開発途上国における地球規模課題の解決を目指すSATREPSが創設をされまして、これまでアフリカ地域においては、感染症、あるいは環境、エネルギー、そして防災など、十五カ国で二十四プロジェクトが実施されているというふうに承知をしております。

 また、宇宙分野についてでありますけれども、宇宙分野につきましては、衛星データの利用が、防災、農業、そして自然保護などの観点から重要でありまして、おっしゃるように、重要なのは人材の育成だと、これらの取り組みが実施されているというふうに承知をしております。

 こうした科学技術の協力、そして宇宙協力というものはローカルニーズに呼応する形で行われるべきものでございまして、この具体の要請があれば、関係省庁とも相談しつつ、適切に対応していきたいというふうに思っております。

 また、この科学技術を外交に生かして、外交を科学技術振興に活用していくという科学技術外交というものを戦略的かつ積極的に推進していくことで、アフリカを含む諸外国との科学技術協力の強化を図っていきたいというふうに思っております。

 本当に私自身もこの科学技術外交というものを大事だと思っておりまして、私自身もまた今後努力していきたいと考えています。

伊佐委員 大臣、御決意ありがとうございます。

 恐らく、大臣もコンゴ民から来られた大臣にお会いされたというふうに記憶をしておりますが、科学技術外交をしっかりと進めていくという中で、当然、外務省の協力といいますか、外務省も主体者としてぜひこの科学技術外交を進めていただきたいというふうに思っております。

 科学技術外交は外交の柱だというふうに宣言もされて、先ほど津村委員からも少し紹介がありましたが、科学技術顧問というものを外務省の中に置かれて、会議もいろいろ開かれているというふうに伺っております。外務省として、さまざま今後協力が進展してくると、JICAの技協プロジェクトだったりとか、あるいは無償資金で例えばセンター、箱物をつくりましょうかとか、いろいろな連携した協力があるんじゃないかと思いますが、また御決意を聞かせていただければと思います。

黄川田大臣政務官 委員にお答えしたいと思います。

 科学技術研究、イノベーションの促進については、AUアジェンダ二〇六三で加速が規定された十五のうちの一つの取り組みであります。アフリカの開発と成長にとって不可欠であるというふうに認識しております。よって、我が国のすぐれた科学技術を活用した協力が果たす役割は極めて重要であるというふうに考えております。

 委員が言及されましたが、本年八月には、日本が主導する、アフリカ開発に関する首脳級の国際会議でありますTICAD6がケニアで開催予定であります。これは、これまで五回行われていますが、全て日本で行われましたが、このTICAD6については初めてアフリカで開催されるということでありまして、非常にいい機会だというふうに思っております。

 外務省といたしましても、こうした外交機会を生かしつつ、引き続き関係府省、機関とともに連携をしながら、積極的に科学技術を活用した開発協力をしていく考えでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 当然、相手国との協力ですので、相手国の意図、具体的な要請があればというお話も大臣の方からもいただきましたが、実は、コンゴ民は結構本気でして、東京にも事務所をつくったんですよ。それで、人も置いてあるんですというぐらい、向こうはかなり前向きです。あとは日本がどうするかということだと思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 時間もなくなりましたので、ちょっとこれは、最後、言いっ放しになるかもしれませんが、再生医療についてお尋ねしたいと思います。

 今、再生医療はとにかく連携するのが大事だということで、基礎と臨床と、そして実用化に向けて、この研究機関のネットワークとして今拠点づくりというものをやっていただいておりますが、私が認識として思っていますのは、基礎研究の連携というのは大分進んできたと思うんです。ただ、では、臨床の連携、つまり、例えば私の地元の大阪だと、阪大で心筋シート、心臓をやっていたり、あるいは目であれば、加齢黄斑変性、高橋先生が神戸で、理研でされていたり、脊髄だったら慶応大学と、臨床は全部ばらばらなんです。

 私は、今はもう、それぞれ病気というのは複合的に起こりますので、どうにか、単一的な疾患というのは余り、高齢化社会の中で減っていっていますので、この臨床研究についても連携するような拠点づくりというものにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十分散会


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