衆議院

メインへスキップ



第1号 平成23年3月29日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十三年三月二十九日(火曜日)

   午後三時三十四分開会

    ─────────────

平成二十三年三月二十九日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     中井  洽君     中川 正春君

     武正 公一君     手塚 仁雄君

     若泉 征三君     城井  崇君

     後藤  斎君     三日月大造君

     津島 恭一君     下地 幹郎君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 中井  洽君

            副議長 中川 正春君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     岩城 光英君     衛藤 晟一君

     世耕 弘成君     林  芳正君

     丸川 珠代君     山本 順三君

     加藤 修一君     長沢 広明君

     水野 賢一君     井上 哲士君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 林  芳正君

            副議長 岩城 光英君

    ─────────────

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 中井  洽君

   副議長 中川 正春君

     武正 公一君     手塚 仁雄君

     若泉 征三君     城井  崇君

     後藤  斎君     三日月大造君

     津島 恭一君     下地 幹郎君

  参議院

   議 長 林  芳正君

   副議長 岩城 光英君

     衛藤 晟一君     世耕 弘成君

     丸川 珠代君     山本 順三君

     加藤 修一君     長沢 広明君

     水野 賢一君     井上 哲士君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委員部長    清野 宗広君

        予算委員会専門員       春日  昇君

  衆議院法制局

        法制企画調整部長       橘  幸信君

  参議院事務局

        委員部長    吉岡  拓君

        予算委員会調査室長      藤川 哲史君

  参議院法制局

        第四部長    川崎 政司君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

平成二十三年度一般会計予算

平成二十三年度特別会計予算

平成二十三年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

    ─────────────

   〔中井洽君議長席に着く〕

議長(中井洽君) これより平成二十三年度一般会計予算外二件両院協議会を開会いたします。

 抽せんによりまして、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 なお、参議院の協議委員議長には林芳正君、副議長には岩城光英君が当選され、衆議院の協議委員議長には私、中井洽、副議長には中川正春君が当選しておりますので、この際、御報告申し上げておきます。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定によりまして、傍聴は許されないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務を執ります職員以外の方は御退席をお願いいたします。

 まず、平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算三案について、各議院の議決の趣旨について御説明を願いたいと存じます。

 両議院の協議委員議長及び副議長打合会の申合せに基づきまして、最初に衆議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。中川正春君。

中川正春君 衆議院における平成二十三年度一般会計予算外二件を可決した趣旨につきまして御説明申し上げます。

 もとより、平成二十三年度予算は、成長と雇用や国民の生活を重視し、新成長戦略等を着実に実施しようとするものであります。その具体的内容につきましては、委員会審査等の場で既に明らかになっており、十分議論も尽くされているところであります。

 一方で、本予算の衆議院可決後の三月十一日に発生をしました東北地方太平洋沖地震による被害への可及的速やかな対応も求められております。

 その意味で、今なすべきことは、本予算を速やかに成立をさせて、本予算のまずは予備費三千五百億円及び経済危機対応・地域活性化予備費八千百億円を活用し、当面必要とされている震災対策を新年度に入って直ちに実施できるようにすることであります。

 両院協議会としましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同いただきたくお願いを申し上げる次第であります。

 以上です。

議長(中井洽君) 次に、参議院の議決の趣旨の御説明をお願いいたします。衛藤晟一君。

衛藤晟一君 参議院側が平成二十三年度一般会計予算外二件を賛成少数で否決した趣旨を申し上げます。

 去る三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震は、甚大な津波被害や原発事故など、我が国の歴史上類を見ない災害をもたらしました。幾多の尊い人命が失われた上、住居、会社、学校、病院、道路といった生活・社会基盤も壊滅的被害を受けております。その復旧復興には過去に例のない規模の財源が必要となることは確実であり、そのためには、まず問題の多い本予算を根本から見直すことで緊急の財源を捻出するのが筋であります。しかしながら、政府・与党は、我々の主張や被災地の悲痛な声を顧みず、問題山積の予算をひたすらに押し通そうとしております。このような姿勢で提示された本予算には到底賛成できないことを申し上げ、以下、否決の主な理由を申し述べます。

 第一の理由は、今後、莫大な復興財源が必要となるにもかかわらず、効果が期待できないばらまき施策を推進している点であります。

 民主党のマニフェスト施策は、無駄の削減で十六・八兆円の財源を捻出することが大前提でありました。しかし、三度の事業仕分で捻出できた額がごく僅かにとどまったことで、その前提はもろくも崩れ去り、マニフェストは完全に破綻したのであります。かかる事実が明白となったにもかかわらず、政府はまたしても、子ども手当、農業の戸別所得補償、高校無償化、高速道路無料化といったばらまき施策を予算に計上しました。

 世論調査でも民主党のマニフェストは見直すべきとの声が大半を占めており、財源も国民の支持もないばらまきを実施する理由はもはやどこにもありません。一刻も早い撤回こそが震災復興と景気対策にとって不可欠であることを強く指摘するものであります。

 第二の理由は、経済を成長させる観点が全く欠落している点であります。

 毎年度の当初予算は、その規模からして最大の景気対策に位置付けられるものでありますが、本予算の内容は、雇用拡大や経済成長を実現するには全く不十分と言わざるを得ません。鳴り物入りで設けられた元気な日本復活特別枠は、結果的にその半分以上が義務的経費で占められ、成長戦略に資する経費は一兆円にも満たないという掛け声倒れの内容であります。

 また、税制改正にしても理念と一貫性を欠いております。法人実効税率の引下げは盛り込まれたものの、その一方で、研究開発税制の大幅縮小や減価償却制度の大幅圧縮といったアンチビジネスの増税が打ち出されており、政府は企業活動を後押しするのか、足を引っ張ろうとするのか、全く理解できないのであります。

 第三の理由は、地方軽視の姿勢が加速している点であります。

 都市部や大企業はリーマン・ショック後の不況から脱しつつあるとはいえ、地方経済は厳しさを増す一方であり、特に大震災で壊滅的被害を受けた東北地方等においては急速な悪化が懸念される状況にあります。それにもかかわらず、本予算では、公共事業費が二十二年度予算に続いて前年比で二桁も削減され、十年前に比べると半分の水準まで落ち込んでおります。

 地域の自主裁量を拡大するとうたった地域自主戦略交付金についても、初年度はほとんどが従前からの継続事業であり、その効果が期待できないばかりか、自治体の予算編成に混乱すら生じさせました。コンクリートから人へなどという地方の実情を無視したスローガンにこだわり、地方を疲弊させるばかりの現政権の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。

 このように、否決の理由は多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した諸事項を除去することによって平成二十三年度予算が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(中井洽君) これにて各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入ります。

 順次御発言をお願いいたします。世耕弘成君。

世耕弘成君 私の方から、参議院の自民党として、大きく三つ意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず第一点は、今、本日のこの両院協議会が、この東日本大震災、津波のショックからまだ国民全体が立ち直れていない中で開かれているということであります。

 多くの人命が失われ、多くの方々がまだ行方不明のままで、そして何とか生き延びた方々も今大変窮乏した避難所生活を耐えておられるというわけであります。

 そういう中で、今こそやはり政治が、全力でやれることは全てやるんだ、復興のために頑張ってやるんだというメッセージを私は出すべきだというふうに思っています。そして、今、我々が一番手近に出せるメッセージは、この予算の中に含まれている、我々が言っております四Kばらまき予算、子ども手当、高校無償化、そして高速道路無料化、戸別所得補償、これを直ちにやめれば二・七兆円の財源が捻出できるわけでございまして、こういった速やかなアクションを衆参が党派を超えて、院を超えて結論を出すということが、今大変苦しい避難生活を送っている被災者の皆さんに対して一番の強力なメッセージにつながり、国民に希望を与えることになるのではないかというふうに思っております。

 ですから、是非、衆議院の皆さんにはここで御英断をいただいて、このいわゆるばらまき政策をやめて、二・七兆円の予算を復興予算に回すんだというメッセージを政治として発しようではないかということを強く呼びかけさせていただきたいと思います。

 二点目は、今日にも衆議院側で民主党、国民新党提案の議員立法として子ども手当のつなぎ法案が採決されるという話を伺っております。

 報道等によりますと、現行の子ども手当の法律をそのまま六か月延長するという内容ということでありますが、そうなりますと、現在我々が議論している予算案と矛盾が生じてまいります。現在の我々議論している予算案は、三歳以下の子供に対しては月々二万円ということになるわけでございます。しかし、与党が提出している法案は、一人一万三千円一律という現状をそのまま延ばすということになるわけでございます。

 与党である民主党、国民新党の皆さんは、今の政府の予算はおかしい、今日の夕方にも採決されるのであれば、直ちにこの予算案自体をやはり手直しをする、組み替えるというのが私は筋だというふうに思っております。

 最後に申し上げたいのは、今回、参議院は異常な状態の中でこの予算案を採決せざるを得ない状況になりました。通常では、予算案には必ず税法、公債特例法という歳入関連法案がセットで送られてくるのが筋であります。過去何回かは数日遅れでというケースはありましたけれども、今回は衆議院でまだ議論すらされていない状況、参議院ではもちろん送られてもいない状況の中で我々は予算案の採決をせざるを得ないという状況に追い込まれました。これは本当に異常な事態だと思います。

 国民のためを考えて、そして熟議の国会にしていくというのであれば、この歳入関連法案は少なくとも衆議院でしっかりと議論をして、早く参議院に送って、我々がそれをセットで採決のできる環境をつくっていただきたかった。このことを強く抗議を申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。

議長(中井洽君) 次に、長沢広明君。

長沢広明君 私の方からも御意見をさせていただきますが、今回のこの平成二十三年度の予算案は、元来、年金のための安定財源が確保できず、財源に小手先のやりくりに終始した、あるいはデフレ克服、経済成長に向けた道筋が見える予算案にはなっていない。また、公共事業が更に削減されて、地方や中小企業にも冷たい予算案となっている。また、予算と一体であるべき予算関連法案が切り離されて処理されて、結果、いまだに本院に送付されるめどが付かないという状況の中で、歳入の裏付けのない予算案を本院としては審議せざるを得なかったということでございまして、問題点が数多くありました。

 そこへ今回のこの大震災でございます。国難とも言えるこの大震災に対しまして、今こそ一刻も早い救済、復興を推し進め、事態を改善へ導くということが大事でありまして、そのためには十二分の財政支援が必要であり、被災者、被災地支援のための財源確保に全力で努めるべきであると考えます。

 それゆえ、今回のこの予算案については、大幅にその中身を見直して、そこから被災地あるいは被災者支援のための財源を確保するという決断が今こそ必要であると考えます。

 自然成立を待たず参議院として結論を出すとして採決をしたことの意味は、きちんとそういう決断をするということが大事であるという意味であるというふうにとらえていただき、英断をいただきたいと思います。

 以上です。

議長(中井洽君) 次に、水野賢一君。

水野賢一君 私たちみんなの党は、現在議論されております平成二十三年度予算案等に反対をしております。理由としては、さきに自民党が述べた理由とは異なる点もありますけれども、反対という結論においては同一のものでございます。

 まず、私たちは、消費税は地方の財源にすべきだというふうに主張をしております。地域偏在性の少ない消費税こそ地方の財源としてふさわしい、それこそ地方、地域主権ということにもつながっていくというふうに考えております。

 更に言えば、私たちは、労働保険特会などの埋蔵金にも鋭く切り込むべきだというふうに考えております。そもそも埋蔵金というのはいざというときのためのものであり、まさに現在のように震災に見舞われた非常時のときこそ、ここに切り込むのは当然のことだというふうに考えております。

 思い返せば平成十九年に衆参がねじれたとき、すなわち前回のねじれ国会のときですけれども、そのとき、現与党におられる方々は、すなわち民主党の方々は、直近の民意ということで参議院の否決ということが、これを重く受け止めるべきだというふうに強く主張をしていたのは記憶に新しいところでございます。

 そうしたことから考えますと、昨年の参議院選挙の結果こそ直近の国政選挙の民意であり、この参議院での予算案否決という結論を重く受け止めた形でこの両院協議会の結論が導き出されることを期待をして、私の意見とさせていただきます。

議長(中井洽君) 次に、井上哲士君。

井上哲士君 参議院での予算審議のさなかの三月十一日に東日本の大震災が発生いたしました。未曽有の津波被害に原発事故が加わり、多くの人命が失われ、住居や施設が壊滅的な被害を受け、地方自治体ぐるみの避難も余儀なくされております。原発事故による農業等への深刻な打撃、先行きの見えない避難生活などへの悲痛な声も寄せられております。国による復旧復興のための一刻も早い補償が切望されております。

 そういう中で今、来年度予算に求められているのは、こういう願いにこたえて復興の方向や安全な日本をつくる展望を示して、この未曽有の災害を乗り越える希望と勇気を国民に与えることであります。

 ところが、震災前に衆議院を通過をしたこの予算案は大震災という現実を全く反映しておりません。国民の声に背を向け、無駄やばらまき、原発推進の予算に固執をしたものであり、このような予算を認めるわけには絶対にいきません。

 日本共産党は、被災者への個人補償の抜本的な拡充や雇用の確保、自治体への十分な財政支援等を提案をしております。そのために、大企業への法人税減税や大資産家への証券優遇税制の中止、思いやり予算など米軍関連予算の削減、不要不急の大型公共事業や原発の建設推進の中止など、予算を抜本的に組替えを行うべきであります。

 また、本予算が高齢者や障害者の年金や一人親家庭の児童扶養手当を削減するなど、国民の暮らしを脅かすものになっていることも重大であります。財源についても、国債発行額が四十四兆円を超え、今後の見通しも全くないものとなっております。国民生活に打撃を与える消費税の増税やTPPの参加は中止をして、予算の抜本的な組替えによって国民の暮らしを守り、被災者に希望を与え、安全、安心の日本をつくることが必要だと考えます。

 是非、衆議院におかれましては、大震災という事態を踏まえた参議院の否決という結論を重く受け止めていただきますよう求めまして、発言を終わります。

議長(中井洽君) 次に、武正公一君。

武正公一君 参議院側から、それぞれのお立場で平成二十三年度予算に対する御意見が述べられました。これらの御意見に対して、衆議院の見解について改めて御説明申し上げたいと思います。

 我が国経済は、リーマン・ショック後の経済危機を克服しつつあるものの、失業率が若年層を中心に高水準で推移するなど、依然として厳しい状況にあります。加えて、デフレが続いており、円高、世界経済の動向等、景気の下押しリスクについても注視する必要があります。

 このような状況下、平成二十三年度予算は、成長と雇用を最大のテーマとして掲げ、確かな社会保障制度の維持と新成長戦略の本格実施により、持続的な経済成長の基盤を構築するために編成されたものであります。

 一方で、本予算の衆議院可決後の三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震による被害への速やかな対応が求められております。その意味で、本予算の一刻も早い成立によって、一兆一千六百億円の予備費の活用のほか、災害支援等に要する自衛隊活動費の執行や特別交付税等の措置を速やかに講ずることが可能となります。

 本予算をしっかりと年度内に成立させ、四月一日以降確実に執行できるようにすることが我々国会の責務であり、地方の声でもあり、そして国民の負託にこたえるものであります。

 参議院側におかれましても、この場で改めて御賛同いただきますようお願い申し上げます。

議長(中井洽君) 次に、下地幹郎君。

下地幹郎君 参議院側の御意見に対して、国民新党・新党日本の立場から見解を申し上げたいと思います。

 平成二十三年度予算は、日本全体の景気を盛り上げるために、さらには、東北地方太平洋沖地震に対応するために必要不可欠なものであります。それだけに、参議院において本予算が否決されたことは誠に残念であります。

 また、この予算が通ったとしても、関連法案は今日の時点で成立をしておりません。関連法案が予算と同時に成立せず様々な影響が想定されることについては、まさにじくじたる思いを持っております。例えば、特例公債法案が通っていないため、予算の執行計画が立ちにくくなり、執行を前倒しすることもままなりません。また、市場から否定的な判断をされれば、長期金利が上昇し、我が国経済へ悪影響を及ぼすおそれもあります。

 加えて、三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震による被害に対応するためにも、安定した財源の裏付けが必要であります。それゆえに、予算と同時に関連法案を年度内に成立できるよう、各党がお互いに話し合うことをこの場で改めてお願いを申し上げます。

議長(中井洽君) これより懇談に入ります。

 御意見のおありの方、どうぞ挙手の上、御発言をお願いいたします。

山本順三君 自由民主党の山本順三でございます。

 自民党の今ほど衛藤先生そしてまた世耕先生から、今回の否決した理由等々についてはるる述べられました。是非そのことを、その指摘した事項というものを衆議院側で除去していただいて、そして御協力、御賛同いただけるようにお願いしたいわけでありますけれども。

 特に、一点あえて申し添えておきたいのは、今、世耕先生がおっしゃった三点目の話でありますけれども、予算案というのは当然のごとく歳入法案と歳出法案、それぞれが合わさって一つのものだというふうに我々は認識いたしております。そして、衆議院側から予算案が参議院側に送付されましたけれども、そのときのやり取りは皆さんも御案内のとおりで、我々は一体でなかったら受け取れないというような、そんな議論を参議院議長共々に対応していて、非常に重い話であったと思うんです。

 でも、今に至って歳入関連法案が参議院に送付さえしていないという事実というのは非常に我々は重く受け止めておりまして、参議院軽視であるというふうな、そんな気持ちすらあるということをあえてこの場で申し添えておきたいと思います。

 以上です。

議長(中井洽君) 御意見のある方は、ほかに。よろしゅうございますか。

後藤斎君 参議院側のそれぞれの先生方の御意見、それぞれもっともな部分があると思います。

 ただ、今の大震災を踏まえて、二十日ほどたとうとしていますが、やはり先ほど、林さんからだと思いますけれども、お話があったように、本当に未曽有の危機の中で、特に被災地の問題、原発の問題、そして計画停電の問題も含めて、これから多分東日本中心に今までになかった影響があると思います。そういう意味で、ある意味では衆参の壁、与野党の壁を飛び越えて、やっぱり日本全体でまとまっていかなきゃいけないというのは国民のほとんどの方が多分願っていることだというふうに思います。

 そういう意味で、いろんな御意見はあるにしても、一日も早い予算の成立とそれに伴うこれから復興復旧に大きな尽力、これから国会としても対応しなきゃいけないという中で、仮に予備費が二十三年度のがそのまま通ったとしても一兆三千億程度しかありませんから、やはりそれだけでは当然足りないという中で、やはり英知を集めてやっていくということが必要だと思いますので、もちろん今の協議会の在り方がどうかということもこれから議論しなければいけないということはよく分かりながらも、そういうことも含めてこれから、今回の在り方も含めて、是非、議長の方でもそういうことをこれからの課題として取り上げていただきながら、いずれにしても、予算の一日も早い成立と予備費の四月一日からの活用ということができるように是非参議院側でも御理解を賜れればというふうに思っております。

議長(中井洽君) ほかに。

若泉征三君 私、福井県の若泉と申しますが、以前に町長を十六年やっておりまして、当時は自民党の県連の理事をしておりましたが、毎年度三月末になりますと、お金が余っているから使え使えと直接各事業をやっている省庁から電話がありまして、それを使わなかったら今度は補助金にも影響するよと、そんなことも言われたことがあるわけですが、今回被災地を見ておりますと、港湾やら全てがもう、これで防波堤はよしと言われるような事業も全部駄目になっている。こんなことを考えますと、以前に四百二十兆円ほど公共事業に使えというようなことで、アメリカからも言われるようなそういう中で、国が相当無理して国債発行をして公共事業やってきましたが、その公共事業って一体どういうものだったんだろうと、そんなことを考えます。

 それと同時に、私は当時、阪神大震災に、ちょうどそのときには町長をやっておりまして、すぐに、私どもの福井県は世界一の原発銀座で、十五基原発抱えていますので、沃素剤を二万人の町民に、三年間備蓄できますその沃素剤を一人三個ずつ全部配付するように条例化いたしまして、しかもそれは、被曝してから一時間以内にそれを飲めば甲状腺がんとか白血病を何とか予防できると。

 ひとつそういったこともいろいろやったわけでございますが、今回いろんな被災地の現状やそういうものを、私はテレビやそういうものでしか見ておりませんが、やはり予防政策というのが私は足りなかったんじゃないかと。それは、今までの政権の中でそういう予防政策というのはしっかり行われなかったんじゃないかと。そんなことを考えますと、今はそれをもう議論するとか批判することじゃなくて、やはり今回は応急措置としてしっかりと、皆さん、参議院の先生方、我々一緒になってこの予算を通して、一兆一千六百億ぐらいの予算でございますが、予備費をまず使えるような、そういう状況は一緒になってやる。

 今この時期に、もう体がおかしい、死にそうだとか、又は家族を捜しているとか、こういう状況が今被災地で行われているわけです。そういう実態を考えるならば、やはり私たちは政治家しかできないものは何かと、何ができるんだと、そんなことを考えますと、今回の予算は、皆さんと一緒になって、御協力いただいて、この予備費が使えるような状況を是非ともつくっていただきたいと、これは私のお願いでございます。そういう私の意見でございます。

 以上です。

衛藤晟一君 参議院側は、今回の予算について当初から、予算案というのは歳入と歳出一体のものであります。まだ審議もされていない、送ってもいない。しかし、この大震災という中であらゆる言わば批判めいたことは一切我々ストップして、大変な協力をしてまいりました。そして、今日はどうしても期日だということで、衆参の争いは御承知のとおりで、期日をめぐった争いはもう避けるべきだということで、成立に向けてとにかくやってきたわけであります。まあ、成立になるかどうかということはありますけれども。

 その間に、言わばこれだけのことがあった中で、与党側もそれから総理も、もうちょっとちゃんと考えるだろう、少しぐらいそのことは分かるだろうと。これ、今の言い分聞いていますと、まさに盗人たけだけしい、参議院側から言わせるとね、と言わざるを得ないぐらいの中身ですよ、皆様方きれい事言われていますけれどもね。

 今まで公共事業についての御批判はありました。確かにその使い方についてのものがありましたが、その見直しをと言ったんじゃないんですよ、皆さん方は。全部やめろといってストップしてきたんです。その中に防災関係のものはたくさんあったでしょう。そういうところもあった中でこの予算をごり押ししようとしているから、そして予備費をもう使わなきゃいけない。これは、どういう形があろうとも、いろんなことがあろうとも、ちゃんと話をすれば幾らでも使えるんです。だから、その方策をちゃんと提示しながら我々は来たんだけれども、それに応じなくて、そしてここまで来て、何か言うとおりにしなければそれはけしからぬことだというような言い分は、まさに聞き捨てならないというか、聞き苦しいとしか言いようがない中身であります。

 もう一つ言わせてもらえば、私は実は、あの震災の翌日に総理が原発に降りました。あの瞬間、これはもう本当に総理にふさわしくない、分かっていないと。少しはでもその後から震災対策でも何か反省したのかと思ったら、今日、予算委員会での総括質疑を見ましても全くそういう様子はない。ただ一生懸命頑張りましたと言うだけです。震災が起こった翌日にヘリコプターであの地に行けば、どれだけ言わば震災対策ができなくなるのか。しかも、一国の総理ともあろう者が、安全確認もできていないところにのこのこ降りていく、邪魔をする、降りていくというようなことを続けながらやっていることについて、本当に自覚のない方だとしか思いようがありません。

 しかし、それでも私どもは大変な協力をしてきた。衆議院側もそのことだけは理解をしていただいて、本当にどうしたらいいのか、今、不要不急のお金しか使うことができなくなっているんです、そのことだけははっきり。ここは逆に言えば、今日出られた方々の良心に訴えるべきです。本当にどうすればいいのかということについて協議をしなければいけないとすら思っているところであります。

 以上です。

津島恭一君 青森の津島でございますけれども、今お話しになりました皆さんの認識の中で、今のこの復興対策、これをとにかく何とかしなければこの被災民の方々は本当に大変だという認識は皆さん一緒だと思うんですね。ですから、これを大切にするためには、今、衛藤先生からも予算の成立に向けて努力したというお話もございました。私は、一刻も早くこの予算を成立させていただいて、いわゆる予備費、そしてこの一兆一千六百億、これをまず被災地の皆様に希望の光として提示すること、これが私は国会の役目だと思っております。

 そういった意味で、是非参議院の皆様にも御理解をいただきたいなと、こう思うわけであります。

議長(中井洽君) ほかに御意見ございますか。

 それでは、御意見もいろいろ出たようですので、これにて懇談を閉じさせていただきます。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、参議院側岩城光英君。

岩城光英君 参議院側としましては、平成二十三年度予算三案に何らかの修正ないしは削除を加えることが必要と考えます。既に否決の趣旨説明及び意見表明で述べておりますけれども、本予算は、財源の裏付けがなく、効果も不明確な民主党マニフェスト施策が数多く計上されていること、また雇用拡大や経済成長の観点で内容が不十分であるということ、そして公共事業を大きく削減するなど地方への配慮を欠いていることなど、多くの問題があると考えております。

 両院の議決が異なった場合、何らかの解決策を策定するのが両院協議会の目的であります。このように協議会を開いているわけでありますから、衆議院におかれましても、我々の意見をお酌み取りいただき、合意が得られるよう御再考いただきたくお願いを申し上げます。

 以上です。

議長(中井洽君) 次に、衆議院側手塚仁雄君。

手塚仁雄君 参議院側の御意見につきましては十分承りました。

 しかしながら、衆議院側といたしましては、平成二十三年度予算は、成長と雇用や国民の生活を重視し、新成長戦略等を着実に実施するための重要なものであると考えておりますので、残念ながら参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 一方で、今般の大震災の復旧復興対策を早急に進めるためにも、本予算の一刻も早い成立が求められております。

 よって、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じます。

 以上です。

議長(中井洽君) それでは、いろいろと御協議をいただきましたのでありますが、意見の一致を得る見通しがないものと認めざるを得ません。

 つきましては、協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、これを各議院にそれぞれ報告いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(中井洽君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これにて協議会の議事は終了いたしました。

 協議委員各位の御協力によりまして議長を無事務めさせていただきました。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

   午後四時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.