衆議院

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第1号 平成23年4月27日(水曜日)

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平成二十三年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 谷畑  孝君 理事 西村 康稔君

   理事 佐藤 茂樹君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君    木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君    斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      中山 義活君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    山本 剛正君

      吉田おさむ君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    額賀福志郎君

      望月 義夫君    吉野 正芳君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君

  内閣委員会

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    網屋 信介君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      打越あかし君    岡田 康裕君

      岸本 周平君    小林 正枝君

      後藤 祐一君    末松 義規君

      園田 康博君    長島 一由君

      西村智奈美君    橋本 博明君

      福島 伸享君    松岡 広隆君

      森本 和義君    森山 浩行君

      山崎  誠君    渡辺 義彦君

      甘利  明君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    塩崎 恭久君

      平  将明君    長島 忠美君

      遠山 清彦君    塩川 鉄也君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域活性化担当)    片山 善博君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国務大臣         松本  龍君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            遠藤 俊英君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           佐藤 一雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  近藤 駿介君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業の基本施策に関する件(原子力発電所事故による経済被害対応等)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより経済産業委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 経済産業の基本施策に関する件、特に原子力発電所事故による経済被害対応等について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。

 私は、福島県です。そして、私の出身は福島県いわき市です。原子力発電所のある双葉郡、そしていわき市が私の選挙区です。ここにおられる田中委員長は、双葉郡の双葉町で生まれました。まさに、第一原子力発電所のある町で生まれたわけです。本当に委員長も心を痛めていると思います。

 全国の多くの皆様方から御支援をいただきました。世界各国からも御支援をいただきました。避難している方々は、県内はもちろんのこと、県外まで避難をしております。その方々に対して温かい心で受け入れてくれている全国の皆様方に、この場をおかりして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 さて、質問に移らせていただきます。

 まず、区域の指定なんです。

 最初は三キロ避難指示、次は十キロ、それから二十キロ、そして三十キロ屋内退避という形で避難の区域が定められました。私たちは、最初、汚染というのは同心円で広がっていく、だから二十キロ、三十キロの中は汚染されている地域だ、こういう理解のもとでいろいろ物事を判断してまいりました。

 しかし、よく考えてみると、汚染は同心円で広がるものではありません。風向きや地形、そういう形で汚染の広がる地域は違ってまいります。

 この二つの考え方があろうかと思います。

 四月七日の災害特で、古川委員の質問に対して中山政務官の答弁がございました。同心円の考え方は緊急時に避難をするために距離と時間を稼ぐために設定されているものだ、こういう説明を受けました。私も、これは納得をいたしました。緊急時に避難するために距離と時間を稼ぐ。そのときの風向き、どう風向きがあるかわかりません。そういう意味で、同心円で物事を設定していく、これが一つの考え方です。緊急時の距離と時間を稼ぐ考え方。

 もう一つは、本当に汚染されている区域。私は、最初から、三十キロの外側でも汚染されている区域があるよ、ここの区域の方々にどういう対応をしているんですか、こういう形で強く主張をしてきたところなんです。このごろ、やっと三十キロの外でも本当に汚染されている区域についていろいろな対策がとられてきたところです。

 これからもこの二つの考え方、すなわち、いざといったときに距離と時間を稼ぐための同心円の考え方と、本当に汚染をされている、汚染の度合いで線引きをしていく考え方、この二通りの考え方をこれからも続けていくつもりなのか、まず官房長官にお尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 委員もいわきの御出身ということで、いわきを初め近隣の皆さんに大変御迷惑をおかけしていることを改めておわびを申し上げます。

 委員から今御指摘いただきましたとおり、原発事故はまだ収束をしているわけではありませんので、万が一事態が悪化をしてという緊急事態に備えた同心円的な考え方と、それから、これまでの間に放出された放射性物質による長期的な影響で、同心円とは別に、放出された時期の風向き、天候等を踏まえて、今回の場合は計画的避難区域をお願いいたしましたが、という考え方と、原発の状況が悪化をして緊急事態に至るというような可能性がなくなる段階まではこの二本立てでお願いをしていくという考え方でございます。

吉野委員 今官房長官から、二本立てで区域の設定を考えていくという答弁がありました。

 では、福島県いわき市の一部は、二十キロから三十キロに、久之浜地域、川前地域というところがあるんですけれども、ここが入っておりました。それで、そこは屋内退避区域ということで今までは設定をされておりました。今回、四月の二十二日ですか、官房長官から、屋内退避は解除する、こういう考え方が示されました。すなわち、汚染されておりません。汚染されていないから解除されたんですけれども、同心円の考え方、緊急時に時間と距離を稼ぐために設定した同心円の考え方のエリアには入っているんです。

 この福島県いわき市の一部は、同心円、緊急時の考え方は捨てたんですか。お答え願います。

枝野国務大臣 先ほど来お答えしましたとおり、いざというときに備えてということについては基本的に同心円という考え方で、これでまず二十キロ圏内については引き続き退避をいただく、当該地域に入らないでくださいということを現状も維持させていただいています。

 二十キロから三十キロの圏内については、屋内退避という、大変、中長期にわたって一層の御不便、御無理をお願いするような状況を当初お願いしてまいりました。

 原発の状況その他にかんがみましたときに、二十キロ圏内から出ていてくださいというところを大前提とした上で、二十キロから三十キロの範囲については、緊急事態においてしっかりとした対応ができるよう備えていただくことが安全性の観点から必要、重要であること。それから、当面の状況を考えたとき、今後の想定される風向き等の状況等、総合的に判断をいたしまして、特に、いわき市の一部で三十キロ圏内に入っているところについては、市においても、いざというときに備えた対応等もしてきていただいているところでもございます。

 また、今後の想定される天候、気候の傾向等もさまざま総合的に判断しました結果、万が一のときには当然屋内退避等のお願いをする可能性はありますけれども、通常状況においては、いわゆる緊急時避難準備区域というような指定をお願いしなくても安全性は確保できるというような判断をして、そして、実際にいざというときの避難等、もし必要な場合に対応するに当たっても、実際に住民の皆さんにお伝えをするに当たっては自治体等を通じて御協力をいただいて、この間も御連絡等をしてまいりましたが、そうしたところについても考えまして、原則的には同心円的な考え方のもとで、それに行政区の状況、今のような状況を加味して対応させていただいたところでございます。

吉野委員 二十キロから三十キロ、広野、楢葉は緊急時避難準備区域なんです。まさに緊急時なんです。だから、いわき市の一部も緊急時に備えた地域。そこのところが私たち地元の者にとってはあいまいなんです、物すごくあいまいなんです。

 いわき市は風評被害がすごいんです。すごいから、屋内退避を解除すれば少しは風評被害が和らぐのかな、いわき市から頼まれて解除したんだと官房長官が発言しました。でも、これは頼んでおりません。ここのところを、もう一度、いわき市からは頼まれていないと、この場できちんと釈明をしていただきたいと思います。

枝野国務大臣 これについては、いわきの市長さんとも直接電話で話をさせていただき、また文書でお申し越しをいただきましたので文書でお答えもさせていただき、記者会見でもしっかりとお答えをさせていただきましたが、いわき市の要望に基づいて区域を設定したと受け取られるような発言がありましたことは大変申しわけなく思っております。

 地元の皆さんの意向、あるいは地元の状況についての御相談、調整はいたしましたけれども、国の責任において、先ほど申しましたさまざまな状況を判断して、緊急時避難準備区域に指定をせずとも安全性は確保されるという判断をしたものでございます。

吉野委員 東京電力が、三十キロ以内は百万円の仮払いをするという形で今一生懸命準備をしております。いわき市のその三十キロの中にあって屋内退避が解除された区域については、この東京電力の仮払いの対象になるんでしょうか。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 これは当然のことながら仮払いの対象になります。仮払いの対象になるということは、とりもなおさず損害賠償の責任の範囲の中に入るということでございます。

 それから、先生は、党の原子力事故対策の重責を担っておられて、私のところにも陳情に見えましたが、今、政府がこれまで、これはいわき市だけではございませんが、いわき市に対しても幾つかの支援措置を講じております。例えば医療費の窓口負担をなくすでありますとか、介護保険の自己負担の分をなくすでありますとか、こういう支援も、今回、二十キロから三十キロのところで、一部、屋内退避も解除になったということでございますが、こうした政府の支援も引き続き行っていくつもりでございます。

吉野委員 ありがとうございます。そこのところが地元の方々は大変心配をしております。

 ただ、四月の二十二日で解除された以降につくられた新たな支援、いろいろな支援策が出ると思います、そこの対象になるのかならないのかもあわせて。今までの既存のものは対象になることは、わかりました。これからの支援策の対象に三十キロの中にいる方々はなるのかならないのか、この辺もちょっとお答えを願いたいと思います。

海江田国務大臣 今もお話しいたしましたけれども、これはまずやはり地元の方々とも相談をしなければいけないことでございますが、今はこれまでの支援策ということで、これから新たに出てくるものについてもその時点で御相談をさせていただきたいと思います。

吉野委員 そこのところが心配なんです、御相談なんです、検討なんですという。今はっきりこの場で、三十キロの中の方は従来どおりすべての新たなる支援策の対象になると言ってもらわないと、もう本当にそこが心配なんです。もう一度お願いします。

海江田国務大臣 例えば経産省の中小企業に対する経済的な支援でありますとか、こういうものは、既に退避を一回行われている、あるいは屋内退避という形で出ているわけですから、当然そういうものは受けられるというふうに思っております。

吉野委員 次は、SPEEDIについてお伺いいたします。

 まず、事実確認をしていきたいと思います。

 原子力安全技術センターで、SPEEDI、コンピューターを動かして拡散試算図をつくっていると思いますけれども、その拡散試算図はいつからつくったのか。提出先はどこに提出したのか。そして、内部被曝という資料と外部被曝という資料の二つ出ております、この内部被曝、外部被曝の二つの資料を常につくっていて、きちんと提出していたのか。今までに何枚くらいの試算図をつくったのか。文科省、あわせてお答え願いたいと思います。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 SPEEDIは、御存じのように、原子力事故時に、周辺環境における放射性物質の大気中濃度や被曝線量などを、放出源情報、気象条件及び地形データをもとに迅速に予測するシステムでございます。

 今回の事故におきましては、一ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した予測計算の実施を、三月十一日の十六時四十分に、文部科学省より原子力安全技術センターに実施するように指示したところでございます。

 それから二番目の御質問、どこに提出したかということでございますけれども、SPEEDIによる単位放出量の予測計算の結果については、文部科学省、経済産業省、防衛省、原子力安全委員会、日本原子力研究開発機構の専用端末に配信されたほか、外務省、宮城県、福島県災害対策本部及び政府原子力災害現地対策本部の設置された福島県原子力災害対策センターなどに提供されているところでございます。

 それから、どれぐらい提出されたかということでございますが、今回の事故につきましては、三月十一日から四月二十五日までの間の累積で、合計で七千三百九十枚の計算結果の出力が配信されてございます。これにつきましては、先ほど先生御指摘でございますが、中身は、一つは気象情報に関するデータと、空間線量率に関するもの、それからいわゆる放射性物質の濃度に関するもの、この三種類が提出されているところでございます。

吉野委員 内部被曝と外部被曝の資料についてお答えがありません。

渡辺政府参考人 提出されておるのは、いわゆる空間線量率、これは外部被曝に相当するものでございます。それから、放射性物質の濃度、これは沃素でございますが、これは内部被曝に関係するものでございます。これが提供されているということでございます。

吉野委員 今、文科省から事実が発表されました。三月十一日、まさに事故の起こったその日であります。そして、十六時四十分に、SPEEDIを動かせ、こういう指令といいますか、命令といいますか、それが出たわけです。そして、その結果は十八時にきちんと出て、もう提出先のところにSPEEDIの予測図が行っているわけです。

 ここにおられる官房長官、経産大臣、三月十一日十八時の時点で、三月十一日の時点でお二人にはこの予測図が行っているというふうに私は思うんです。見たでしょうか。

枝野国務大臣 私のところにSPEEDIに基づいてつくられた地図のようなものが初めて報告がございましたのは、三月二十三日に、いわゆる内部被曝、委員が御指摘になられるようなモニタリングに基づくシミュレーションの結果が公表されておりますが、その前後が初めてでございました。

海江田国務大臣 私も、三月の十一日の時点では見ておりません。

吉野委員 大臣はいつの時点で見たんですか。

海江田国務大臣 今、官房長官からも答弁がありましたが、三月の二十日過ぎだったと思っております。

吉野委員 SPEEDIは、緊急時迅速放射能影響予測システムなんです。まさに緊急時、迅速にやらねばならない。そういう貴重なデータを、三月二十日以降ですか、見たのは。

 では、SPEEDIの存在というものはわかっていましたか。三月二十日から、または二十三日にプレス発表されてからわかったのでは、SPEEDIの存在意義、なぜSPEEDIがあるのか。全く利用していない。百三十億もかかっているんです、この開発に。御答弁願います。

枝野国務大臣 SPEEDIは、防災基本計画と原子力災害対策マニュアルに基づいて、原子力発電所からどれぐらいの放射性物質が放出されたのかという情報が得られ次第、その放射能の影響予測を実施することが役割というふうに定められております。

 今回の事故では、その放射性物質の放出量が把握できていないためにこの役割は果たせないんだという報告が、先ほど申しました二十三日のちょっと前ぐらいに私のところにございました。

 私は、多分、私が申し上げただけではなくて、同じことをほかの専門家の皆さんはお考えになったんだろうと思いますが、決して数は多くないけれども周辺地域の放射線量や放射性物質についてのモニタリングの結果が出ているのだから、放出源の情報でどこにどういう影響を及ぼすかというシミュレーションができるならば、逆もできるのではないですかということをお尋ねしましたら、その数日後ぐらいに、そういったところから逆算をした結果に基づいて影響予測をしましたというのが報告をされたものでございます。

吉野委員 委員長の出身地の双葉町は、三月十二日に川俣町に避難したんです。まさにSPEEDIが予測した、放射性物質が北西に向かっているところに双葉町は避難したんです。もしSPEEDIの情報が双葉町に入っていれば、川俣町に避難したかどうか。多分、しなかったと思います。あのときは電話も通じないときだったわけですけれども、双葉町は、委員長の出身地です、この情報がわかっていれば、川俣町には避難しなかったと思います。

 なぜこのSPEEDIをきちんと公表しなかったのか。緊急時なんです。正確さと迅速さは相反するものです。でも、緊急時には迅速さが大事なんです。正確さよりも迅速さ。これは津波被害でも地震被害でも体験しているはずです。正確さが大事だから発表しなかったと。なぜこの緊急時に迅速さに重きを置かなかったのか、お答え願いたいと思います。

海江田国務大臣 これは吉野委員にぜひ御理解をいただきたいわけでございますが、十一日、二重、三重にも安全策を講じていた原子力発電所がまさに電源が喪失をして、例えばベントの問題でも、そのベントをすべく私どもは要請を行ったところでございますが、実際には電源が落ちていてそういう作業が何時間も全くできなかった、そういう情勢がございまして、やはりこのSPEEDIの機械を回して、普通は十五分ぐらいでできるということでございますので、まさに緊急時の対応としてということであったんだろうと思いますが、その一番のもとになるデータが、実は十一、十二、十三、十四、十五ぐらいまでは恐らく欠けていたというふうに私は推察をしております。

 ですから、今回は、大変お金をかけて、国民の税金を使ってそういう装置、システムをつくり上げたわけでございますが、それが機能しなかった、特に初動において機能しなかったということで、これはこれからの大きな反省の材料ではなかろうか、そのように思っております。

吉野委員 原子力安全委員会にお尋ねします。

 最初の公表は三月二十三日、プレス発表です。内部被曝の資料が示されました。これは五段階に分かれていまして、一番高い線量は一万ミリシーベルトです。一番低い線量は百ミリシーベルトです。四月十一日と、きのうからホームページで公表しましたが、これは外部被曝です。一番高い線量は百ミリシーベルトです。一番低い線量は一ミリシーベルト。全部で五段階です。

 なぜ、三月二十三日に内部被曝という形で発表したものを、外部被曝、線量の少ないものに。比較するんです、私たちは。この比較が大事なんです。比較できない外部被曝をなぜ出すんですか。内部被曝の資料は持っているんですか。

班目参考人 三月二十三日の時点では、発電所の方からまだかなりの放射性物質が放出されてございました。したがって、我々が心配したのは、特に沃素を吸引することによる甲状腺がんの発生でございます。このために、内部被曝に関する情報というのを発表し、それに対する対策の強化を求めたということでございます。

 現在は、放出量はそのころに比べると一万分の一以下になっていまして、むしろ、雨などによって地面に沈着したものからの外部被曝の方が問題になっているということで、外部被曝に対する注意喚起のためにそのようなマップを提出しているということでございます。

吉野委員 内部被曝の資料があるなら出してください。お願いします。

班目参考人 はい。お約束いたします。

吉野委員 ありがとうございます。ホームページで内部被曝と外部被曝、この二つの資料をきちんと出してください。

 それでは、一時帰宅についてちょっとお尋ねします。

 四月六日に、我々自民党は、額賀委員長のもと、海江田大臣に一時帰宅をお願いしたいということで訪問いたしました。大臣は、四月十一日を迎えて一月たつので、それをめどに一時帰宅を考えようという形で快く約束していただきました。

 我々がお願いしてから、実にもう三週間です。地元の皆様方は本当に帰りたいんです。そして、まだ遺体も捜索できていないんです。こういう中で、自分の家が今どうなっているか、大事なものがどうなっているか、この一時帰宅を一刻でも早く実現させていきたい、このように思うんですけれども、なぜこんなにかかっているんでしょうか。

海江田国務大臣 私も、委員のこの要請を受けまして、その前からそういうふうに考えておりましたから、できるだけ早くということでお伝えを申し上げました。

 その上で、もちろん本部の中においてもそういう意見を申し上げてきたわけでございますが、一つは、先ほど委員からも御質問のありました、新たな避難区域の策定ということもございました。それから、一時帰宅につきましては、これはかなり計画された形で、やはり、付き添っていく市役所の方でありますとか、警察の方でありますとか、こちらの準備も必要だということもございまして、今日に至るもまだどなたもお帰りになられる状態にないということでございます。

 私は、本当に一日も早くこれが実行できますように、これからも努力をしてまいります。今まで至っておらないことについては、本当に申しわけなく思っております。

吉野委員 連休中なのか連休明けなのか。本当に、一月後じゃないはずです、めどをつけてください。

 もう一つは、事業者です。事業者も、建設業にとっては、ダンプカー、バックホーンは命です。運送業にとっても、トラックは命です。一時帰宅を利用してこういう中小事業者の大事なものを引き揚げてこられるような、そんなところもお願いしたいと思います。御答弁をお願いします。

海江田国務大臣 一時帰宅につきましては、今までに幾つか決まった部分もございます。例えば、一世帯一人でありますとか、二時間ぐらいでありますとか、そういう決まりが今のところでき上がっておりますが、これは現地の声を聞くと、今委員からも御指摘があったような点もございますから、そこをもう少し詰めていきたいと思っております。

 そのときに、事業所に対する立ち入りというものも、これはやはり公益性というのがありますから、していただかなけりゃいけない。そのときに持ってこられるものが、最初に私が承りましたが、やはり図面などは絶対必要だと。これはぜひ。あと、本当に通帳でありますとか印鑑でありますとか、こういうものは承っておりまして、それが実現できるように今努力をしているところでございます。

 今、建設機器、これは動く車ですね、トラックでありますとか、そういうものがどうなるのかということは、至急検討したいと思っております。

田中委員長 経済産業大臣、先ほどの質問に答弁漏れがあります。連休前なのか連休後なのか、一時帰宅の見通しを。

 それでは、枝野官房長官。

枝野国務大臣 海江田大臣からも御答弁申し上げましたとおり、できるだけ早く実施をしたいということの中で進んでおります。

 これは、自治体の皆さんに一定の御協力をお願いせざるを得ない。つまり、地元の地理とか、それから、集落の固まりで入っていただく、こういったことで自治体の皆さんの御協力をいただかなければなりませんが、自治体の皆さん自身が、役所が外に出ている、それからさまざまな業務がある中で、この一時立ち入りについても御協力いただく。それから、警察の皆さんにも御協力いただく。

 今、警察の皆さんには、最大限安全対策をとって二十キロ圏内に入っていただいて、御遺体の捜索を初めやっていただいている。そちらのオペレーションとの関係等を調整して、順次、町役場、村役場等の御協力いただける体制の準備状況等の中で、できるところからできるだけ早くということで、早いところは何とか連休中ぐらいにはスタートできるのではないだろうか。

 これは見通しでございまして、国単独でできるのでしたらば、いつやりますと申し上げられるんですが、今のようなことでございますので、見通しとして申し上げさせていただきたいと思います。

吉野委員 本当に、連休中にでも、地元の体制が整い次第、早急に一時帰宅ができるようにお願いしたいと思います。

 時間となりました。多くの質問を準備していたんですけれども、時間が切れて質問できなかったことをおわび申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

田中委員長 吉野正芳君の質疑は以上で終了しました。

 次に、高市早苗さん。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 既に各委員会で御指摘も多くあったかと思いますけれども、今回の震災被害、それからまた原発事故対応のために、菅内閣は非常に多くの会議を立ち上げました。それによって、国民にとりましても、また国会議員にとりましても、なかなか組織図が見えにくい、そういう状況になっております。

 私の手元に「東日本大震災災害対応に係る政府体制図」という図があるんですけれども、会議ですとか会合ですとかグループといった名称の組織の数が、大小合わせて二十八個に上ります。

 官房長官に伺いたいんですが、この政府体制図という資料には機密性二と書かれてございます。この機密性二というのは、政府内でどういう取り扱いをするべき書類なんでしょうか。

枝野国務大臣 済みません、ちょっと御通告がなかったので正確なお答えはできませんが、私が初めて閣僚にならせていただいて、行政刷新大臣になりましたときに、自分の大臣室のパソコンのワードをあけると、自動的に右肩にそれが振ってあって、何なんだと。別に機密性があるものではないんだけれども、要するに機密性の低いものとして自動的に、何か、役所の、少なくとも行政刷新大臣のパソコンのワードを開くと、白地のところに、右肩についていたのが機密性二情報ということでございますので、一般的な意味で機密性のないのか低いのかという性質のものだというふうに私は理解をしています。

高市委員 官房長官のおひざ元でございます内閣府の格付の定義によりますと、機密性一というのは、公表、公開またはそれを前提として作成した情報、職員以外が知り得ても問題のない情報となっております。機密性が高くなりまして、機密性三といいましたら、本府職員のうち特定の職員だけが知り得る状態を確保する必要がある情報、機密文書に相当する機密性を要する情報とございます。

 私が申し上げましたこの政府体制図の機密性二というのは、今、官房長官から機密性が低い情報と御答弁いただきましたけれども、これも、職員だけが知り得る状態を確保する必要があるが、通常、特定の職員に限定する必要がない情報、それから、漏えいにより国民の権利が侵害されまたは行政事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報と書かれてございます。何でこの政府体制図というものが漏えいによって国民の権利が侵害されたり、行政事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報に当たるのか。

 まず、官房長官でございますので、内閣府の長は総理でありますけれども、ナンバーツーとして、内閣府、そしてまた各省庁のかなめであられる立場でございます。また、行政刷新のお仕事もされておりました。むしろ、この組織図というのは、もっと国民や国会議員に明らかにされなきゃいけない。

 つまり、私たちも、三月十一日の震災発生以降、また原発事故発生以降、自民党本部でも、それほど報道もされません、表にも出ませんけれども、政府でお取り組みいただいていることをできるだけチェックしながら、足らざるところは補う、お手伝いをしていこうということで、本当に昼夜を分かたず、多くの国会議員が一生懸命政策づくりに取り組んで提言をしてまいりましたので、こういう組織図を機密性二と位置づけていること自体がおかしいんじゃないかと思います。

 いかがでしょうか、官房長官。既に報道されているような第一次の補正予算案の骨子も、自民党本部に来たときには厳秘というマークが押されておりまして、何か、情報の分類ですとかレーティングですとか、そういったことを間違っているんじゃないか、そして、出すべき情報を出さない、そういう体質が菅内閣にあるんじゃないか、そのように思います。

 まず、この機密性二、なぜこういうことになっているのか、そしてまた、この組織図というのはもっともっとわかりやすく国民、国会議員にお示しいただきたい、以上の点について御答弁お願いします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、全く機密扱いにする必要のない文書だというふうに思いますので、その右肩についているものは今後当然外させますし、そもそも、先ほども申しましたとおり、どうやら役所のいろいろな文書が、普通にワードを立ち上げて打つと機密性二情報とつけられているようでありますので、そういうところが少なからずあるようでございますので、それは、私の立場から全省庁に対してそれを外せという指示を出します。

 その上で、必ずしも、例えば情報公開法の趣旨等にかんがみたときに、厳秘扱いにする必要がないものまで何となく無難にマル秘とか厳秘とかと押す傾向があるということは私も感じておりましたので、そこの扱いについて、本当にそういった機密性が要るものであるのかどうかをしっかりと判断した上で、そういった扱いをするようにという指示も、各省に対して連絡を出したいというふうに思っております。

 当然のことながら、特に今回の原発事故等に絡むようなところについては、あらゆる情報をすべて出すようにということについては、この間も口頭等で折に触れて申し上げてきているところでございますが、これについてもさらに徹底して指示をしたいと思います。

高市委員 すべてに通ずることです。政権交代してから、特に政治主導ということを打ち出されて、多くの情報が国民の代表である国会議員に伝わらなくなってきております。自民党政権時代でしたら、普通に、どの党から請求があったものでも、別に厳秘だとか機密性だとか判こも押さずに官僚の判断で出していたようなもの、つまり、制度の運用にかかわるようなものですとか、そういった程度の情報ですら、私たちが政府に要求をいたしますと、政務三役の了解がなきゃ出せないということで、本当に情報が国民に示されない状況というのがありますので、官房長官、ぜひともここはしっかりとよろしく対応をお願いしたいと思います。

 それから、今般の福島第一原子力発電所事故につきましては、原子力安全・保安院、それから経済産業省、東京電力、官房長官、原子力安全委員会といったところがばらばらに記者会見を行って、情報が錯綜することで国民が不安になっている、そういった一面も各方面で指摘をされております。

 例えば、先ほどの政府体制図によりますと、経済産業大臣、細野総理補佐官、東京電力で福島原子力発電所事故対策統合本部を立ち上げて、この統合本部というのは、総理が本部長を務める原子力災害対策本部と連携するということになっております。私は、政府と東京電力でこの統合本部を立ち上げたのであれば、毎日の記者会見にしても、先般発表された原発事故の収束に向けた工程表の発表にしても、発信する情報を一元化して、その内容についても官房長官か経済産業大臣が責任を負う形で一括して会見を行うべきだと思うんですけれども、経済産業大臣、どうお考えになりますか。

海江田国務大臣 今委員から御指摘のありました点、これは何人かの方からもそういう御指摘もいただきました。

 そこで、今週の月曜日からでございます。ですから、せんだって発表いたしました、これは東京電力が発表いたしました事態の収束に至る道筋、工程表と言われておりますが、私どもは工程表という表現は使っておりませんが、その道筋の発表に間に合いませんでしたから、そのときもそういう御意見をいただきましたので、今週の月曜日から、これは東京電力の中ででございますが、統合本部の記者会見には保安院も参加をしております、もちろん東京電力も参加をしております、それから、必要に応じて原子力安全委員会も陪席をいたしますが、全体の取りまとめを統合本部の事務局長であります細野補佐官がやって、これもまたいろいろな御批判もございますが、とにもかくにもそういった体制で情報発信をしていこうということで今行われているところでございます。

高市委員 この原発事故の収束に向けた工程表の位置づけについて伺います。

 四月二十日の経済産業委員会で、海江田大臣は、「あくまでも作業をやります主体は東京電力ですから、その意味で東京電力がまとめてああいう形で発表していただいた」ということですと答えておられます。その答弁を伺いましたときに、私は、何か工程表の内容とか実現というものについて菅内閣は責任を負わないということなのかなという印象を受けました。また一方で、細野総理補佐官は、工程表の実現に政府が責任を負わないということはあり得ない、このように発言していらっしゃいます。

 また、海江田大臣も、四月二十四日の日中韓経済貿易大臣会合におきまして、韓国と中国の担当大臣に対しまして、この工程表の内容を提示しながら収束に向けた道筋を説明されたという旨は、経済産業省の北東アジア課より伺っているわけです。

 農林水産品のみならず工業製品につきましても、それから被災地だけじゃなくて日本全体の生産者が風評被害に苦しんでおられる中でございますので、工程表を公に発表したり、諸外国の大臣への説明に使用されるのであれば、その内容ですとか実現については菅内閣が全面的に責任を負うものであるということをやはり明言されるべきだと思います。

 これは官房長官に伺いたいんです、内閣のかなめでございますから。この工程表の内容というのは、菅内閣によって、その内容、それから実現というものについてオーソライズされたものだと考えてよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 この原発事故の収束は、政府と東京電力の両者が責任を持って国民の皆さんあるいは国際社会に対して収束させる責任を負っているというふうに思っております。また、それを進めていく上での工程表も、原子力安全・保安院を初め、政府も統合本部のもとで事実上いろいろな意味で共同して、その上で東電としての工程表をつくって提示いたしましたので、この実現に向けて政府としてもしっかり責任を持って進めてまいります。

高市委員 自民党本部では、先週、電力各社から、現在実施中の緊急安全対策の内容というものを聴取いたしました。

 福島第一原子力発電所では津波によってすべての電源を喪失したということから、電力各社は津波対応に重点を置いた緊急安全対策を講じておられます。これは発電所の構造についても対応していくということで伺っております。

 今回の事故の反省から、津波対応に重点を置いた対策を講じる、これが重要であるということについては私も異論はないんですけれども、せっかく電力各社が構造上の改善も含めて緊急安全対策を実施するということであれば、同時に原発テロ対策、こういったことも強化できるような内容の対策にしていただきたいと私は思います。

 今回の事故を受けて、国家公安委員長、何か新たにお気づきになった点はありますでしょうか。

中野国務大臣 お答えいたします。

 常日ごろ、特に米国同時多発テロ事件以降、世界各国でテロ対策が強化されている中、特に原子力発電所というのは、やはり我々が最も意識して防護しなければいけない施設であるというふうに思っております。

 今般の東日本大震災発生後、国際テロ情勢に特段の変化があるということは把握をいたしておりませんけれども、いかなる事態にも備える体制というのはより一層強化していかなければならないと思います。

 今、二十キロ圏などを中心にして二十四時間体制で警戒警備に万全を期しているところでありますが、あわせて、おっしゃられましたように、津波とはいえ、原発のどこに弱点があるのかというのは、今回のケースも大変我々としては重視をして、守るべきポイントはどこかということなどについて、さらにより一層精査をしてやってまいりたいというふうに思っております。

高市委員 原子炉建屋そのものへのテロ攻撃ということだけではなくて、今回、電源の喪失によって非常に深刻な事態が起きたということが世界じゅうに明らかになりました。そうなりますと、これから、電源設備、送電網、こういったところに重点を置いたテロ対策というのもぜひともお願いをしたいと思っております。

 特に国家公安委員長には、原発テロに対処するための警察と自衛隊の共同訓練、これにはこういった電源設備や送電網をねらったテロにも対応できるプログラムというものを考えていただきとうございますし、官房長官には、そしてまた海江田大臣には、電力各社に緊急安全対策の指示を出しておられますけれども、電源設備、送電網、こういったところの強化、テロという視点も、せっかく構造的な対応をされるのであれば、ぜひとも盛り込んで追加的な指示をお願いしたい。これはお願いをいたしておきます。

 もう時間がなくなってまいりましたが、枝野官房長官に伺います。

 自民党では、先週までに、当面の電力需給対策についてという第一次提言を取りまとめました。これは、自民党のエネルギー政策合同会議で議論を重ねまして、私自身は事務局長として執筆作業に携わりました。

 夏の電力需給対策をしっかりやっていこうということになると、さまざまな法的に対応しなきゃいけない問題もあります。役所も多岐にわたることですので、ぜひとも枝野官房長官にお渡ししたい、御説明したいということでアポイントメントをとろうとしたんですけれども、断られまして、それでも金曜日に海江田大臣が会ってくださいました。

 この緊急提言、第一次提言を、官房長官、お読みいただきましたでしょうか。

枝野国務大臣 詳細を細かく詰めて今覚えているかと言われると、必ずしもそうではありませんけれども、一通り目は通させていただきました。

高市委員 官房長官は、電力需給緊急対策本部の本部長でもございます。ここが出した夏期の電力需給対策の骨格を拝読したんですけれども、例えば、自家発電設備の活用と書かれてございますね。それをしっかり行っていこうと思うと、例えば大気汚染防止法ですとか消防法、電気事業法、建築基準法、工場立地法、こういったものを見直すもしくは運用を改善しなければ、今でしたらちょっと基準が厳し過ぎて、実際には動いていない自家発電機があるとか自家発電機を設置しようと思っても緑地率が決まっているのでできない等、いろいろな問題がございます。

 こういった法的な問題に対処をされる準備はございますでしょうか。

海江田国務大臣 先日、金曜日でしたね、高市委員がわざわざ経産省までお越しいただいて、そのときに私読ませていただいて、特にこれは貴重な提言だということで感じ入って、そのことを委員にも直接お伝えをいたしましたが、従来でしたら、こうしてください、ああしてくださいという項目が列挙してあるわけでございますが、これを実現するために今の法律のどこを直さなければいけないか、あるいは今の政令などのどこを直さなければいけないかということが非常に丁寧に書いてございましたので、私は、それをしっかりと受けとめております。

 それで、今、この電力需給の本部の会議を、間もなく、実はきのう、おととい開く予定が開かれておりませんので、開かれた折には私からしっかりその案を提案して、その実現に向けて努力をしていきたい、そう思っております。

高市委員 需要対策についても、労働基準法を初め、多くの法的な課題があることを提案いたしております。

 今、大臣のお答えがございました。ぜひ、各省にわたる問題ですので、本部長であります官房長官にもしっかりと対応していただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

田中委員長 高市早苗さんの質疑は以上で終了させていただきます。

 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、経済産業委員会と内閣委員会の連合審査会という機会に質問の機会をいただきまして、多くの大臣が所属されていますので、政府参考人の方は呼ばずに、大臣にだけ質問をさせていただきたいと思うわけです。

 一つは、十三日の経済産業委員会で私は、きょうはお見えになっていませんが、福山官房副長官に、住民説明会に、町や村だけではなくて、しかるべき政府の責任者また担当者がしっかり行って、きちっと村民や住民からの御要望も承って、丁寧な説明をやるようにということを申し上げました。

 それが十三日でございましたけれども、十六日に早速、福山副長官が、経産省の松下副大臣、さらには内閣府の平野副大臣と一緒に、それぞれ、今回計画的避難区域になる川俣町あるいは飯舘村に行かれて住民説明会でやりとりをされた姿勢については、私は評価をしたいと思っておりますので、官房長官、ぜひ戻られたらお伝えいただきたいと思うんです。

 ただ、そのときには東電の工程表も出ていなくて相当お答えに窮した、そういう報道もあります。ぜひ引き続きやっていただきたいと思うんですね。

 というのは、これは今回の計画的避難区域ではないんですが、昨日の朝日新聞を見ましたら、今回の警戒区域への一時帰宅について、「「丸投げ」自治体は不信感」、そういう見出しで出ておりまして、「菅政権の「丸投げ」には不信感を募らせている。」と。それはどこが募らせているのかというと、一時帰宅の対象になる、そういう町村が不信感を募らせていると。「「町村民を愚弄している」。楢葉町の草野孝町長は怒りが収まらない。」そういうように出ておりまして、さらに、「枝野幸男官房長官が二十一日に一時帰宅の実施を記者会見で説明したときと変わらず、具体性に乏しい。「町村に相談なく基準を決めて、個別の判断は町村でやってくださいなんてひどい話はない」と町長は言う。」という、一連をまた読んでいただいたらいいと思うんですけれども。

 私は、住民の避難にかかわる政策というのは、何よりも住民の立場を第一に考えて、住民の要望に丁寧に耳を傾けていただいて、政府の方針をきちっと説明して、そして互いに納得して具体的に避難を進めていくということ、また一時帰宅を進めていくということが非常に大事になると思うのです。

 ぜひ今後とも、官房長官はスポークスマンとしてなかなか行かれないでしょうけれども、官房長官の打ち出されたことと住民の皆さんの間を取り持って、政府の考え方がきちっと地元の自治体、住民の皆さんに伝わって、そして納得して住民の皆さんが避難をされる、また一時帰宅をされる、そういう体制というものをしっかりと整えて進めていただきたいと思うんです。これは通告しておりませんが、官房長官、まず御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおりだと思っておりまして、この間、必ずしも十分に地元の皆さんに御説明ができていないということについては、大変申しわけなく思っております。

 また、きょうの朝日新聞の朝刊だったと思いますが、御指摘いただいたような記事を私も読ませていただきまして、十分に地元の自治体と御相談の上で一時立ち入りについてのオペレーションを決めたつもりでおりましたが、必ずしもそこが現場の部分のところでは十分でなかったということだと思いますので、地元の自治体の皆さんとの御相談、連携、それについてはもちろん、事務レベルはもとよりですけれども、政務も含めてさらに強化、徹底をしなければならないと、きょうの朝刊を読んで反省をしたところでございます。

 さらに努力をしてまいりたいと思いますし、お気づきのことがあったら御指摘をいただければというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、この計画的避難区域で移動される皆さんにとって、やはり納得のいく形で移動していただくためには、政府が基準とされた、今後一年間の被曝線量が二十ミリシーベルトを超えるおそれがある地域ということで、今回新たに、今までの三十キロ圏内ではなかったのに、川俣町と飯舘村の地域が入ったわけですね。

 国際放射線防護委員会、ICRPの勧告では、二〇〇七年に、緊急時には一般の人が浴びる被曝線量を年間二十から百ミリシーベルトの範囲で対策をとるように勧告をいたしました。すなわち、ICRPの目安というのは、どこまでも二十から百ミリシーベルトと幅があるわけですね。政府は今回、最も厳しい二十ミリシーベルトを基準にされて、その結果、例えば飯舘村では、最も低い毎時〇・〇〇二五ミリシーベルト地点でも年間で約二十二ミリシーベルトに達して、飯舘村は全村避難、そういう形になったんです。

 しかし、私もこの間いろいろな人にお会いして聞きましたけれども、専門家は、広島と長崎の原爆データから、年間百ミリシーベルトでは発がんリスクが最大〇・五%高まる可能性があると言っております。しかし、百ミリ以下についてはそういうものはない、そういうように言われているんですね。

 例えば、お会いした中で、時々今もテレビや新聞に出てこられる長崎大学大学院の山下俊一教授に私も直接お聞きしました。その方は、チェルノブイリの原発に対して、九一年から、事故後の国際医療協力もずっとされてきて、原爆の被曝については日本でも相当な有数の権威の方です。

 その方が言われているのは、百ミリシーベルトで発がんリスクが〇・五%増加することが判明しています、そして線量に比例してリスクがふえますと、ここは認めておられるんです。しかし、百ミリシーベルト以下の被曝線量では健康に与える影響は証明することはできません、だから私は、百ミリシーベルト以上は心配しましょう、これ以下はすぐには全く心配要らない、そう言っていますというように断言をされておりました。

 今回、なぜ、最も厳しい二十ミリシーベルトを基準にして、これだけ多くの地域と多くの住民の皆さんが避難する必要があるのか。住民が納得できる説明が要ると私は思うんですけれども、まず、内閣官房長官の御見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 年間に受けられる放射線の量はできるだけ低いことが望ましい、これは異論がないんだろうというふうに思います、ほとんど異論がないだろうと思います。

 そうしたことの中で、今御指摘のとおり、年間百ミリシーベルトを超えると一定の発がんリスクがあるということについて、これもおおむねの学者の皆さんが共通されているというふうに承知をしております。

 では、それ以下の場合は全く問題なしということで避難等をお願いしなくていいのかどうかということについては、いろいろな御意見、多々あるようでございます。

 そうしたことの中で、国際機関でもあるICRPの見解が、二十から百に抑えると。そして、こういう状況でございますので、国民の皆さんの健康ということについての最大限の配慮が必要であるということを考えますと、国際機関が、逆に言うと、できれば二十までに抑えるべきであるという、幅の中でもそういうことを示している、そして学者さんを含めた専門家の皆さんの意見が必ずしも全員が一致しているという状況にない中では、やはり政府としては、健康のところを最優先にした二十ミリシーベルトという線で安全対策をとらせていただきたいということで、今回そういったお願いをしたということでございます。

佐藤(茂)委員 それで、今回新たに対象になる地域も含めて、計画的避難区域に対する考え方なんですけれども、官房長官が発表されたときに、この区域の設定の見直しについては六カ月から九カ月の後だと。だから、逆に言うと、六カ月から九カ月という長い期間、新たにこの計画的避難区域の皆さんというのは避難しておかなければいけない、そういう状況を強いられるわけですね。

 これは、今まで避難区域になっていたところを、今回警戒区域という形にされて、ともに、それとセットで一時帰宅を実施されようとしております。

 そこで、官房長官にお聞きしたいのは、この計画的避難区域については今まで余りはっきり言われていなかったんですけれども、計画的避難区域についても、当然、警戒区域と同様の一時帰宅というものは、これからルールを決めて実施されていくべきである、私はそのように考えるんですけれども、官房長官の答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 趣旨としてはそのとおりでございまして、警戒区域の場合は、立ち入らないでくださいという、裏づけとしては法的な強制力を背景に持った措置をしておりますので、そこに一時立ち入りしていただくのと法的な意味は異なります。

 ただ、安全性の観点からは、こういうふうなやり方でこの程度ということについては、指針といいますか、御相談の上でさせていただきたい。くれぐれも、いつでも自由に出入りをして本当に大丈夫かということについては、ぜひ、それぞれに御判断されずに、今現に、例えば高齢者の施設であるとか事業所とかについても、特に周辺のモニタリングとか建物の中のモニタリングとかを含めて、かなり詳細に、具体的に安全性の確保をするやり方を検討しておりますので、そのことには従っていただきたいと思いますが、警戒区域よりも頻度は相対的には高い形で入っていただける地域とか、可能性が非常に高いということについては申し上げられます。

佐藤(茂)委員 それで、確認なんですけれども、これは官房長官でも経済産業大臣でもどちらでもいいんですが、昨日から、今までの二十キロ圏内の避難地域、さらには三十キロ圏内までの屋内退避の住民の皆さんに対して、仮払いの振り込みというのが開始されました。

 今回、計画的避難区域の地域というのは、当然、政府の指示に基づいて避難された地域ですから、私は賠償の対象になる地域だと思うんですが、これについても、仮にそういう対象となるのであれば、今までの地域と同様に、計画的避難区域の住民に対しても仮払いを早急に進めるべきである、そのように考えておりますが、政府の考え方をお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 これは委員御指摘のとおり、なります。

 いつなるかということは、これは市町村にまとめてもらっておりますから、その市町村からいつごろからということで連絡があろうかと思いますから、それを待って、しかるべきときに適正にやりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 次に、警戒区域について一点だけお聞きをしたいと思うんです。

 官房長官、一時帰宅について、住民の一時帰宅中に、これはあってはならないことですけれども、原子力発電所、福島第一原発に不測の事態、緊急事態が起こったときに、この一時帰宅をされている住民の皆さんにどういう対応をされるのかということは、余り論じられていないんですけれども非常に大事なポイントでございます。

 そういう不測の事態、緊急事態が起きたときに、だれが避難を判断するのか、さらには、一時帰宅中の住民にどう情報を伝達するのか、住民をどう避難させるのかということについて、どのような対応策を政府で検討されているのか、御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 住民の皆さんの一時帰宅については、中継基地、二十キロ圏外の集合場所にお集まりをいただいて、そこからバスで、引率者というか責任者を決めて、できれば地理のわかっている自治体の方が望ましいんですが、そこは自治体との御相談なんですけれども、警戒区域内の一定の場所にバスでお運びをして、そこからその御近所の集落の御自宅に行っていただいて、そしてまたそこからバスで皆さん一緒に戻っていただくということになります。

 当然、その引率者といいますか現場の責任者になられる方とは、トランシーバー等を含めて、衛星電話等を使ってしっかりと連絡がとれる体制をとり、なおかつ、中に入られて、それぞれの御自宅に散って、二時間後にお戻りくださいという方との間においても、トランシーバーがいいのか拡声機がいいのか、それも現場の集落の広がり方にもよるんだろうと思います。

 今、そういったオペレーションをしているために若干お待ちをいただいているところがございまして、万が一原発の状況が悪くなったときには、そのルートで直ちに戻っていただいて、バスに乗ってすぐ出ていただく。その場合の時間の余裕のことも考えながらオペレーションを組んでいくということでございます。

佐藤(茂)委員 工程表の作業どおりに進めばそういうことはないと思うんですが、ただ、水素爆発等も今後もないとは限りませんので、ぜひ万全の体制でやっていただきたいと思うわけであります。

 きょうは玄葉大臣に来ていただいていますので、全くテーマをかえまして、玄葉大臣が先週末ぐらい、二日にわたって記者会見等で大事なことを言われておりますので、そのことを踏まえてちょっと御質問をさせていただきたいんです。

 二十二日の記者会見と二十三日の視察先で記者団に非常に大事なことを言われました。二十二日にはその後半部分で、原発輸出について、一度立ちどまって考えないといけない、事故の原因究明を第三者機関を使ってしっかりとやっていかないといけない、こういうように言われたと報道されているんですね。

 私は、そこでまず後半の部分をお聞きしたいんです。

 事故の原因究明を第三者機関できちっとやっていかなければいけないと述べられたことについては、私も前々から、これは当然やるべきだ、そのように思っておりました。今回の事故の原因究明と調査を徹底的に行う第三者機関、これは仮称福島第一原子力発電所事故調査委員会などをつくって徹底的に、この間、何がこの原発事故を起こしたのか、どういう原因だったのか。さらに、包み隠さずに事故の態様、事故の詳細な経過を記録して、原発の安全のためにどのような教訓が得られるのか、二度と繰り返さないためにどんな対策を講じたのか、講じるのかということについて、これは日本の国民だけではなくて、もう世界のテーマになっていますから、そういうことを客観的にきちっと調査して、世界にきちっと発表できる、そういう機関というものをやはり今しっかりとつくるべきであると私は思うんです。

 第三者機関の組織をつくるべきだと言われた玄葉大臣に、その考え方をお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 佐藤茂樹委員がおっしゃいましたように、まずは事態の収束でありますけれども、当然、徹底的な検証が必要である。徹底的な検証をするためには、おっしゃったように、やはり第三者で行っていくことが最大のポイントだというふうに思います。

 一般論で申し上げますと、この間、日本の原子力政策は、ある意味不幸な歴史だったと思います。一種、二項対立になってきていて、賛成か反対か、中間が余りなかったという思いが私はあるんですね。どうしてもタコつぼ化する、あるいは何とか村になるというのが、これは原子力に限らずございます。

 やはり、そういったことを考えると、この機会に、実は原子力に限らないんですけれども、国民合意のプロセスであるとか、こういう検証についてはきちっと第三者で行うとか、そういう取り組みが極めて大切だというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひきちっとした第三者機関をつくっていただいて、何が大事かというと、今、玄葉大臣も言われましたけれども、今回の政府の対応も含めて、東京電力はもちろんですけれども、あと、機関としてあった原子力安全・保安院の動き、さらには原子力安全委員会、こういうものがきちっと機能したのかも含めて、はっきり物が言えて、中立的な立場できちっと検証していける、そういう機関というのは当然設けるべきだろう、私はそのように思います。

 その上で、もう一度玄葉大臣にお聞きしたいのは、二十二日、二十三日に、記者会見で二つ大事なことを言われているんですね。

 一つは、エネルギー基本計画について、二〇三〇年までに新規の原子力発電所を十四基つくるという現在の計画はあり得ないと述べられました。要するに、新しい増設の目標はもう抜本的に見直すんだ、そういうことが一つ。

 もう一つは、さっき紹介しましたけれども、原発輸出について一度立ちどまって考えないといけないと。これは、成長戦略の一つの、ある部分の柱になっているんですね。パッケージ型インフラ海外展開というものの中で、原発というのは非常に大事な要素として占めていたんですけれども、そういうことも見直す考えを表明されたというように報道されているんです。

 今回のこの福島第一原発を受けて、玄葉大臣は、そういう我が国の原子力政策全体、さらにはエネルギー基本計画であるとか新成長戦略、こういうものはやはり基本的に見直すべきだという考え方なのか、確認の意味で御答弁いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 私は、今回の事態は、人類史上初の事態だというふうに思っています。多くの日本人の人生観とか価値観を変える、そういう事態だというふうに思っています。

 さはさりながら、地に足をつけて国家戦略をつくり上げていかなきゃいけない。その際に、当然、我々は、子供たち、孫たちに豊かさを引き継ぐことが政治家としての使命でありますけれども、その豊かさの内容もある意味問われるのかもしれないというふうにさえ、私自身、今思っているところであります。

 それで、お尋ねのエネルギー基本計画あるいは原子力政策でありますが、私は、率直に申し上げて、二〇三〇年までに原発新規十四基、これはもうあり得ない、現実的じゃないというふうに思います。むしろ、逆に地に足をつけないといけないというふうに思っています。

 一方、エネルギー、電力の安定供給というのも極めて大切です。ですから、短期と中長期に分ける必要がある。短期は、やはり一定程度火力に頼らざるを得ないと思います。ただ、中長期で、いわゆる再生可能エネルギーの割合を高めることが十二分に私はできると思っています。太陽光を初め、太陽電池、蓄電池、あるいは、送配電ロスだけで原発六基分ありますから、この送配電システムの高度化、超伝導、スマートグリッド。私は、日本国政府はこれまで本当にそういった問題、やってきたけれども、本気だったのかという思いが心の中にございます。

 ですから、ここはやはり、地に足をつけながらも成長戦略の質的転換を考えていかないといけない、既存原発の安全性重視も含めて、そこは質的転換を図っていきたい、そう考えております。

佐藤(茂)委員 海江田大臣にも同様にお聞きしたいんです。

 今、玄葉大臣の記者会見の話も申し上げましたけれども、原子力政策全体の見直しと、成長戦略にもあった原発輸出の戦略の抜本的見直し、立ちどまらないといかぬ、そういうことも含めてエネルギー基本計画なんかも見直さないといけないんだ、そういう考えなんですね。経済産業大臣もやはり同様の考えなのかどうなのか、お尋ねをしておきたいと思います。

海江田国務大臣 特に原子力を中心としたインフラ輸出では、これまで、我が国の原子力発電のシステムというのは世界一安全なシステムだということを言ってきて、それが一つのセールスポイントであったわけであります。それが今回のこの事故で大きく傷つけられたわけですから、まず安全性において、これからもやはり世界一の安全性を持った原子力のシステムにしなければいけない、私はそう思っております。

佐藤(茂)委員 最後に、放射性物質で汚染された瓦れきの処理をどうするのかというのをお聞きしたいんです。

 というのは、原子力発電所の敷地外にまでまき散らされた放射性物質で汚染された瓦れきの処理というのが、これから復旧復興に大変障害物になるんですね。これは廃棄物処理法では想定されておりません。原子炉等規制法に基づいてだと、原子力発電所の敷地内はこういう処理はできるんですけれども、敷地外というのは想定していなかった。しかし今回は、残念ながら福島第一原発の敷地外にもこういう放射性物質で汚染された瓦れきというのが出てきているわけでありまして、原子力発電所の敷地外にある放射性物質で汚染された瓦れきを、一体どのような根拠に基づいてどのように処理されるのか。

 ここについて、もう時間もありませんので、官房長官あるいは経済産業大臣、御答弁いただけたらありがたいと思います。

海江田国務大臣 今お尋ねの点につきましては、経済産業委員会でも議論になったところでございまして、委員御指摘のとおり、敷地外の放射性物質を浴びた瓦れきにつきましては、今、法の空白の地帯でございます。

 ですから、まず私は、分別をしてくださいと。放射性物質を浴びた瓦れきを一緒に処理してしまいますと、これも委員会で指摘がありましたけれども、処理の仕方によってはさらに放射性物質を飛散させる可能性がありますから、まず分別をして、一緒に処理をしないでくださいという指示はいたしました。そして、法律的な手当てというのはこれからやらなければいけません。厳重に分別、保管をするようにという指示は出してございます。

佐藤(茂)委員 これは保管までの、次の先が見えないとどうしようもないので、ぜひ法律的手当てもしっかりと急いでいただきたいな、そのようにお訴えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で佐藤茂樹君の質問は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、枝野官房長官がいらっしゃる間に、先に枝野さんにお伺いしたいと思うんです。

 今もお話ありましたように、第一原発から、特に事故炉から二十キロ圏内を警戒区域ということで設定したわけですね。これは枝野さんの発表でありましたが、なぜ二十キロ圏内なのかとか、そういうことについての議論は議論としてあると思うんです。

 大体、累積放射線量の予測からして、年間被曝量からして、ある一定の閾値を超えたら発がんリスクは確実にふえていく。これは絶対的危険の問題ですね。閾値以下であれば、一応発がんは大丈夫だろうと考えられるんだけれども、しかし実際には、確率的には発がんというのはやはりあるということで、その閾値のところを中心に考えてつくられたんだろうと思うんです。

 ただ、警戒区域を設定して、退去を拒めば、場合によっては罰則がついてくるわけですね。これは災害対策基本法に基づくものですから、被害者に対しては私権制限ということになるわけですよ。

 一方、加害者である東京電力については、データをきちんと出させることで原因究明をしていくとか、今回の原発災害による被害者の方については全面的な補償をきちんとさせる、そのためには、必要な場合には東京電力に私権制限を大きくかける。被害者にだけ私権制限をかけて加害者には私権制限をかけることがないというのでは話は合いませんから、原災法や炉規制法その他必要な法律に基づいてきちんと制限をかけていく、こういう立場で会見に臨んでおられたのかどうかを伺っておきます。

枝野国務大臣 私権制限といってもいろいろな種類のものがございますから、一律的に申し上げることはできませんが、もう既に、事故の発生以来、東京電力においては、当然東京電力も今から申し上げるとおり思っているとは思いますが、東京電力としての、営利企業としての営利の追求以上に、安全性の確保、事態の収束ということを最優先でやってもらう、それについては政府としても、原子力災害対策法に基づいてそれを指示してきているところでございますし、今後の補償を含めた、被害を受けられた皆さんに対する対応についても、事業者としての責任をあらゆる意味で果たしていただくということが大前提で、あらゆる対応に当たっているところでございます。

吉井委員 次に、今、収束させる上で、いずれにしても核燃料棒が上へ出たままの状態ですから、これは溶けてしまっていますから、深刻な事態にあるので、圧力容器の中で確実に核燃料棒が水の中に入るように、冷却をきちんとさせるという点では、まず水を入れる、よく言われる水棺ということですね。場合によっては、同じ水位になるところまで格納容器にも水を入れる、そういうこともあるわけですし、水棺か、あるいはコンクリートで固める石棺ということなどで冷却と放射能汚染対策をきちんととっていく。

 四号機の場合についても、既にプールの破損の問題なども懸念されるわけですから、これもきちんと対策をとっていくということが必要だと思うんです。

 まず、枝野長官の方に、政府の方針として、水棺でやっていくのか石棺でやらせていくのかということについての基本的な政府の考え方というものを伺っておきます。

海江田国務大臣 枝野官房長官を御指名でございましたが、私の方が、副本部長として責任を持っておりますので、お答えをさせていただきます。

 先ほどお話のありました、東京電力が作成をしまして政府が実施方について責任を負う、東京電力のいわゆる道筋について、書かれておりますように、まず水で冷やして、そして、フラッディングという言葉を使っております。水棺というのは、私きょう辞書を調べてみましたけれども、俗に言われているわけで、木棺、石棺という言葉はありますが、水棺はない。これはもちろん先ほど吉井委員が指摘をしたとおりでございますが、いわゆるフラッディング、水を圧力容器の燃料の上まで入れて、恐らく格納容器についてもそれと同じレベルまで水を入れていくということで、きょうの十時からその作業を進めております。

 もちろん、一どきに水を大量に入れるのではなく、昨日までは大体六立米、七立米ぐらい入れてきました。この水を徐々にふやしていって、最終的にそのような姿にするというのが現在の方針でございます。もちろんリスク管理のために硼素の封入なども考えておりますが、今それを直ちにやるというものではございません。

吉井委員 中性子の方は硼素なんですが、しかし、実際には、ジルコニウムと水の化学反応あるいは水蒸気の放射線による分解によって水素が出てきますから、水素爆発を防ぐためには、水素については、ベントをするか、確実に窒素で空気と置換するかということをやらなきゃだめなんです。

 その場合に、窒素を入れれば圧力は上がるはずなのに上がらない。これはリークがあるんじゃないかということが懸念されております。いわゆる水棺にしても、その部分もそうなんですが、使用済み燃料プールについてもそうなんですね。つまり、巨大な水の量と使用済み燃料と合わせて、その重量に耐える強度や構造がちゃんとあるのか、健全性はどうなのかということについて、政府方針を決めるときにはきちんと責任ある機関に諮って決めなきゃいけないと思うんです。

 これは、東電の言いなりじゃなくて、政府としてきちんと機関で検討していますか。

海江田国務大臣 保安院などとも意見を交換しながらやっております。そして、くれぐれも慎重な上にも慎重にということで、昨日、これは統合本部がございますから、その上で、私の方からもそういう指示をいたしました。

吉井委員 それでは、一号機から三号機の水による冷却、これは当然なんですけれども、案内管からのリーク量は幾らあるのか、冷却水の方のリーク量。それから、ガスの方、窒素封入をやっているのに漏れていると見られるわけですね、窒素ガスの方のリーク量は幾らと評価しているんですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今、正確な数字を手元に持ってございませんけれども、当初予定しておりました、たしか六千立米の窒素封入予定よりも多い、そういう窒素の封入を行ったというふうに承知してございます。

吉井委員 案内管がありますね、制御棒とか核計装システムの案内管。案内管のところなど、いっぱい配管が入っているわけですから、圧力容器からの冷却水のリークはどれぐらいあるのか。窒素ガスを入れているんですが、窒素ガスについては格納容器の方からどれぐらいリークしているのか。要するに、これはわからないということですね。

海江田国務大臣 その点について質問通告がございませんでしたものですから、今手元には持っておりませんが、これまでも私も、窒素の封入等につきまして、そのたびに確認をしてまいりました。

 リークしているということは事実でございますが、そのリークのパーセンテージ、これは、東京電力が出しましたもの、あるいは政府がそれをチェックするという立場、あるいは一時期アメリカの機関もこれに対しては意見を述べて、意見の交換をやっていたところでございます。ですから、東京電力の言うことをそのままではありませんで、二重三重のチェックをしております。

吉井委員 日本には専門の機関、研究者がいっぱいいるわけですよ。何かあったら東京電力とアメリカと相談というだけでは、これは本当に話がおかしいと思うんです。

 私は、要するに、いわゆる水棺か石棺かとか、政府の方針を聞くということでお話をしておりますので、それを検討する機関となれば、基礎的なデータはどういうものが必要かというのは持って臨んでもらわないことには困ると思うんです。

 次に、実は、使用済み燃料プールも含めて強度がもつのかどうか。それから、その強度というのは、構造計算で出てくるものと、もう一つはアルカリ骨材反応によって、膨大なコンクリートを使っておりますから、アル骨反応によってどれぐらい健全性が保たれるのか。

 これは実は、私は二〇〇四年の十月十四日に出しました。福島第一原発、第二原発についてもこれを挙げたんです。原子炉建屋の強度、耐久性、耐震性など原発の本体の安全にかかわる評価をどうやっているのか、それから、原子力発電所の基礎及び建屋全般についてのコアの採取など調査をどうしているのかという質問をしたわけです。それに対しては、現在、保安院において、かかる評価を行うべく調査をやっていると。二〇〇四年のことですから、そのころは評価でよかったんですが、それから既に七年たっているんですね。

 それで、この間の調査でどうなったのか。今の地震でアル骨反応そのものはなかったのか、どれぐらいの程度あったのか、それによってどれぐらいコンクリートが傷んでいるのか、次に余震が来たときにどうなるのかという、この評価はきちんとやらないことには、いわゆる水棺というのをやれば壊れてしまうこともあるわけですし。

 このときに、促進膨張試験及びコンクリートの強度を確認するための圧縮強度試験を第三者に委託して早期に実施するように指示したんだ、福島第一、第二などについて現地調査も実施してやるんだと言ったのが、これはもう七年前の話ですから、その結果として何が出てきて、現在の健全性についてはどのように評価しているのかを伺います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から質問主意書の形で御質問があり、それにお答えをした経緯については御指摘のとおりでございます。

 その後、そのアルカリ骨材反応試験成績表の改ざん絡みの調査でございますけれども、福島第一、第二原子力発電所、それから浜岡原子力発電所に関しまして、コンクリートの健全性の調査を指示いたしました。この指示を受けましたコアサンプルを用いました複数の強度試験などの結果、安全上問題のない強度が維持をされているという結果が得られていることを、それぞれ平成十七年から十八年にかけて確認をしているところでございます。

 その後、コンクリートの健全性に関しましては、例えば高経年化評価をする場合に実施をするとか、そういったことでございますけれども、いずれにいたしましても、現在の状況についてのしっかりした安全性の確認は必要なものと考えてございます。

吉井委員 いずれにしても、もともと福島原発のアル骨反応についての検査の結果はデータ改ざんが行われておった、こういう問題があったところなんです。しかも四十年たっているんです。ですから、今度の第一撃でどれぐらい傷んでいるのか、余震が来たらどうなるのか、この評価をきちんと早期にやらないと深刻な問題が出てくるということを指摘して、質問を終わります。

田中委員長 以上で吉井英勝君の質問は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、連合審査会において十分間の質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 政府はきのう、福島第一原発周辺の今後一年間の放射性物質による汚染状況の予測を公表しております。これによると、来年三月十一日までの一年間の予想累積線量は、福島県浪江町の赤宇木椚平、原発の北西二十四キロ、今、計画的避難区域に入っているところですが、ここで二百三十五・四ミリシーベルトに上る。さらに、同じ浪江町で、北西三十一キロの地点、百八十八・六ミリシーベルト、そして百十ミリシーベルトという高い累積放射線量が予測をされているところです。

 北西方向を地図で見ますと、浪江町、葛尾村、そして飯舘村と、この村境、町境のところを中心に百五十ミリシーベルト以上、そこから十ミリシーベルトまで広がっている、こういう地図上のマッピングも明らかになっているところです。

 これは、一日のうち八時間を屋外で、十六時間を木造家屋の中で過ごすという前提になっておりまして、木造家屋は屋外に比べて被曝量が四割低い、こういう前提になっているそうでございますので、環境放射線を累積で積み上げるとこれをはるかに上回る数値になる、こういうことなんだろうというふうに思います。

 この把握をした現状の認識に基づいて、基本的に、一年間で二十ミリシーベルトに達しそうな地域を中心に計画的避難区域の設定が行われたというふうに私は理解をしております。

 それがいつわかったのかという問題です。先ほどの質疑を聞いておりまして、三月十一日十八時の時点でSPEEDIの予測図がつくられていたということが明らかになりました。しかも、内部被曝、外部被曝に分けている予測もあったと。この間、SPEEDIのデータがなかなか使い物にならない、こういう説明を政府から聞いていた者として、率直に言ってこれは驚きを禁じ得ません。

 私、この間、与野党代表でつくる各党・政府震災対策合同会議の実務者会合に連日出席をしてきましたけれども、第一原発周辺のモニタリング数値の結果が初めて出てきたのが、三月二十日の実務者会合だったと思います。前日の三月十九日のモニタリング結果が出てきた、それをきょう資料として配付させていただいておりますけれども、その日に配付された、皆さんのお手元の資料をもとにして、寺坂保安院長、どういうふうに説明をされたか覚えておいでですか。全体としては放射線量は低い、こういうふうに御説明をされたんですよ。

 私は、ちょっとおかしいんじゃないかと思って、その日に質問させていただいたんです。三十キロ圏外と思われる地点、番号でいうと三十三とか三十二のあたり、ごらんください、一時間当たり百三十マイクロシーベルトというような数値が出ている。これは単純計算で、二十四時間換算すると、一日当たり三ミリシーベルトという高い数値なんですよ。これを、全体として低い数値だというふうにどうして言えるのか。

 それに対して、寺坂保安院長、どのように答えたか覚えておいでだと思いますので、お答えください。

    〔田中委員長退席、荒井委員長着席〕

寺坂政府参考人 私からの説明におきまして、正確なところは記憶してございませんけれども、全体としては低いということは申し上げたと思います。

 あわせまして、特定の地点、三十キロを少し超えている地点でありますけれども、今委員御指摘のように、三十一ポイントあるいは三十二ポイント、そういったところについては高い数値が出ておるということについても触れたように記憶はしております。ただ、議事録とかを私は持ち合わせておるわけではございませんので、正確なところはわかりません。

柿澤委員 寺坂保安院長はそのときに、一部に特異点がある、谷があるとか地形的なものに依存をしている、そして、念のためこの周辺の住民は区域外であっても自主避難してもらっている、こういうふうに言ったんですよ、院長は。

 本当はどうだったんですか。後になって、実は住民は残っていました、こういうふうに訂正したではありませんか。結果的に、特異点だと言っていたところを中心に、北西方向に同心円状に、まあ同心円とは言えませんけれども、外に百五十ミリシーベルト以上から十ミリシーベルトに広がっていて、そして、結局、今回、計画的避難区域の設定をせざるを得ない状況になってしまったではありませんか。

 さらに言えば、IAEAは、四十キロの飯舘村で高い数値があるとして、避難指示を検討するように日本政府に勧告したけれども、これは三月三十日の時点だったと思います、それは必要ないといって拒否しているではありませんか。結局今になって、飯舘村の村長や住民に、無理無理説得をして避難をしてもらおうとしている。

 最初に、安心だ、大丈夫だ、こういうふうに情報を出して、そして、住民をもう避難させたとまで言っているんですよ。後になって、実はそうでもありませんでした、避難してください、こういうことをやっているからこそ、今回の政府の対応が不信感を買っているのではないですか。

 そして、この結果になることはもっともっと早い段階で予測をできたというふうに思うんです。

 アメリカのNNSA、エネルギー省国家核安全保障局は、三月の事故直後の時点で、一年間の放射線量がこの福島第一原発周辺はどうなっているか、マッピングして地図を出していますよ。全く今回の、皆さんがきのうお出しをしたマッピングと同じ結果になっているではありませんか。

 なぜこういうふうに、後からこういう形で出してくるのか。これは、結果として、この間に住民がそれだけの内部被曝等をこうむっている、こうしたことにつながるからこそ、私は申し上げたいんです。御答弁をお願いします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 数字の件についてどのように説明をしたかということは、先ほどお話ししたとおりでございます。

 あわせまして、当時、地域的な、地形の関係、そういったもので、特異点という言葉を使用したかどうか覚えておりませんけれども、そういった要素があるのではないかということに触れたことも記憶はしてございます。

 それから、当時、私が得た情報から、浪江町あるいは飯舘村の近くに住んでおられる方は自主的な避難がなされているというふうに承知をしておりましたので、そういったことは触れておりました。その後の調査によって、戻ってこられた方も含めまして、何人かの方が地域に残っておられたということがわかりまして、その旨は別途お話を申し上げた、そういう経緯と記憶してございます。

柿澤委員 私たちからすると、特異点があるといって私たちの指摘を切り抜けて、そして、住民は避難させました、そういうふうに私たちに説明しておいて、後から、両方そうではありませんでしたと。当初の説明が全くでたらめだったと思うしかないというように思います。

 こういう状況であるという認識に立つと、私、内閣委員会でも一回お取り上げさせていただきましたけれども、水素爆発の直後、大変多くの放射性物質が放出をされたということでもあるわけですので、実態が正確につかめない状況の中、経口等により内部被曝をしてしまった方が大変たくさんいらっしゃる、こういうふうに思うんです。

 そういう意味で、私は、周辺住民の方々の、少なくともサンプリングの内部被曝の測定調査、そしてその結果を踏まえた検診、こうしたことをやはり体制として整備する責任が政府にあるというふうに思いますが、御答弁を伺います。

枝野国務大臣 内部被曝については、御承知のとおり、一番心配されるのは、沃素を吸い込んでしまって、それがお子さんの甲状腺に堆積するということが一番心配でございます。これについては、早い段階からモニタリング調査を行いまして、幸いなことに、これについて問題のある数値は観測されていません。詳細については文部科学省が集約をして公表しているというふうに思っています。

 もちろん、今回避難をされた皆さんあるいは周辺地域の皆さんについては、長期にわたってしっかりとした健康についてのモニタリングは、こうした事故の後でございますので、していきたいと思っています。

柿澤委員 今の時点ではする必要がない、子供以外はそうだという答弁なんでしょうか。

 原発の作業員に関してですけれども、八年十カ月にわたって累積で五十ミリシーベルトの放射線量を被曝した方が、二十九歳で白血病で亡くなって労災認定がおりている、こうしたケースもあるわけです。

 今回、この地図は、一年間で二十ミリシーベルトの被曝をする可能性がある、こういう前提に立って公表されたものであります。八年十カ月で五十ミリシーベルトの原発作業員、亡くなって労災認定です。この数値に基づいて考えれば、やはり周辺住民は、私は余り誇張して申し上げるつもりはありませんけれども、しかし、相当なリスクにさらされている、このことを認識しなければならないと思います。そこを目隠しして、あたかも安全であるかのように対応するというのは、行く行く大変な間違いを犯すことになるのではないかと大変懸念をいたしております。

 そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、福島伸享君。

福島(伸)委員 民主党・無所属クラブの福島伸享でございます。

 私の地元は茨城県でございまして、まさに今、原子力のさまざまな風評被害、あるいは出荷停止による農林水産業等への被害、観光への被害、そうしたものが出ているところでございますので、そうしたことを踏まえて質問をさせていただきます。

 四月十五日に、内閣委員会でさまざまな質問をさせていただきました。その意味というのは、農林漁業者というのは極めて零細な事業者でありまして、一週間、一カ月単位の現金で生活しているという中で、仮払い、現金がそうした事業者の皆様方になかなか振り込まれないということが大きな問題を起こしているということを訴えさせていただきました。

 私たち民主党も、党の中に、農林水産部門会議のもとにワーキングチームをつくりまして、三月の段階から、早く仮払いのお金を農林水産業の方々に届けるようにというふうな提言をしてきたところでありますが、今この段階に及んでも、まだ農家の皆さん方には現金が届きません。

 この週末、私も地元をずっと歩いておりますけれども、一体何をやっているんだ、この国はもう政府というものはないんじゃないかという声すら聞こえる。ある意味で政府に対するあきらめ、最初は怒りであったわけですけれども、今は、どうせもうこの国は政府がないというようなことすら言われるという状況でございます。

 四月十五日の内閣委員会のおさらいをいたしますが、東電が発表している仮払いというのは、三十キロ圏内の避難した世帯に対する仮払いであって、事業を行う人に対する仮払いというのはまだ何ら表明をしておりません。東電の話によりますと、そうしたものにつきましては、国の原子力損害賠償審査会で損害の範囲が確定するまでは難しいということで、国の判断がなければ事業者に対する一時金は出せないということを言っております。

 一方、農林水産省さんなどはある程度頑張っていらっしゃいまして、例えば、JAグループでつなぎ融資というものをやっております。ただ、つなぎ融資だけですと、例えばもう多くの借金を抱えている皆さん方とかこれまで滞納された方というのはお金を借りることができませんから、こうした融資ではだめですよというのを前回の委員会で申し上げたところ、早急に対応していただいて、国がある程度の保証をする、無担保、無保証人での債務の保証をするという政策を出していただきました。

 ただ、これでも、やはりその現場の人になって考えてみると、おれたちは何の悪いこともしていないのに、いきなり政府が出荷制限といって出荷ができなくなって、被害者にもかかわらず何で借用書に判こを押さなきゃならないのか、この思いというのは物すごい大きいわけです。つなぎ融資という形ではなくて、誠意を持って現金を届けてほしいと。

 風評被害は、どの程度の因果関係があるのかということをいろいろ見なければならないにせよ、少なくとも出荷制限というのは、政府の原子力災害対策本部が行ったその判断に起因するものでありますから、ある程度は政府が誠意を見せて現金を払ってくれというのが、多くの地元の皆さん、生産者の皆さんの声であります。

 先日の内閣委員会で、枝野官房長官は、「国の立てかえ払いも含めて、」「東電からの支払いの前段階を国がつなぐということも含めて、関係当局で検討するように指示をいたします。」と明確に答えていただいた。これは本当にありがたかったです。地元の皆さんは、さすが民主党政権、政治主導でしっかりと対応してくれるんだなというふうに期待をしたわけですが、その後、全然なかなか進まない。

 これは何に原因があるかいろいろ考えるわけですけれども、政府の皆さんは、総理を初めとして、よく一義的には東京電力がその責任を負うべきと考えているということを何度も何度も答弁されます。二十五日の予算委員会でも、増子議員の質問に、総理は、具体的な補償については、まずは第一義的に東京電力がその責任を負うべきと考えておりますと答えております。しかし、私は、一義的に東電と、本当にそれだけでいいのだろうかと。一義があるんだったら二義もあるはずですよ。政府の責任は何かということに明確にそろそろこたえるときなのではないかというふうに思います。

 その上で考えなければならないのは、原子力損害賠償法の規定というのをもう一度私はきょうしっかりと議論させていただきたいと思っております。本当に第一義的に東電が責任を負うものなのかどうかということについて議論をしたいと思います。

 原子力損害賠償法第三条第一項のただし書きには、「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」とされております。これは、立法の当時、我妻栄先生という東大の名誉教授が、この法律は、原則、原子力事業者が無過失責任を負うとされておりますが、過失がなくても責任を負うといっても、そこにはおのずから限度があるはずだろう、その限度は質と量と二つに考えられるのではないかというふうに答弁しております。質というのは、異常かつ巨大、量というのは、当時の貨幣価値で五十億くらいで切って、それ以上は責任がないというべきではないかと答弁しております。

 つまり、その災害の規模が異常かつ巨大であり、被害の額が余りにも巨大になる場合は、このただし書きの適用が行われるというふうに、立法の中心人物となった我妻栄東大名誉教授、当時の原子力災害補償専門部会の部会長はおっしゃっているわけです。さらに、そのときの大臣であった中曽根科学技術庁長官は、この異常かつ巨大というのはどのぐらいかということについて具体的に答えておりまして、「関東大震災の三倍以上の大震災、あるいは戦争、内乱というような場合」というふうに答弁をしております。

 そうしたこれまでの答弁を踏まえて、今回、何を根拠として今回の地震による災害が原子力損害賠償法第三条ただし書きに該当しないというふうに判断したのか、文部科学省からの答弁を求めたいと思います。

林大臣政務官 福島委員にお答えさせていただきます。

 いつも非常に御地元の率直な御指摘をいただいてありがとうございます。

 まず冒頭、少しお話をさせていただきたいんですが、法律的には、当然、第一義的責任は東電にあるわけでございますけれども、しかしながら、あす開かれる審査会で第一次の指針を示させていただく予定になっております。今回の事故、震災によって被害を受けられました皆様方が、しっかりと迅速に、そして十分に補償が受けられるように、それは当然しっかりと臨んでいきたいということをまず冒頭お伝えさせていただきたいと思います。

 その上で、この第三条一項のただし書きのお話でございますが、今委員御指摘があったように、昭和三十六年の法案提出時の国会審議においては、人類の予想していないような大きなものであり、全く想像を絶するようなものであるなどということで説明をされておりまして、これは、その事業者に責任を負わせることが余りにも過酷な場合以外は、基本的には原子力事業者を免責しないという趣旨であるというふうに理解をいたしているところでもございます。

 関東大震災のお話がございました。

 当時から見ての関東大震災と、最新の知見に基づいて、いわゆる異常に巨大な天災地変に当たるのかどうかということを考えると、地震についてもいろいろ研究が進んでおりますので、当時から見た関東大震災の評価と、今の、現時点から見た評価というのはまた違ってくるんだと思います。

 とはいえ、冒頭申し上げましたように、委員が御地元でいろいろなお話を聞かれておりますということでお話を聞かせていただいておりますが、そうした皆様方に御納得いただけるように誠意を持って十分に取り組んでいきたいというふうに思います。

福島(伸)委員 どれだけ大きいかというのは、当然最新の知見に基づいてやると思いますけれども、私は原賠法の世界だけで考えてはいけないと思うんですね。当然、規制側の方も、最新の知見に基づいて、想像され得る最大限の地震とか津波を想定した規制に合わせてつくられていると思うんですけれども、実際に、福島第一原子力発電所の安全審査のときは、どの程度の地震、どの程度の津波を想定して審査をされたのか、保安院の方の答弁を求めたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の設置許可は、一号機から六号機までございますけれども、昭和四十一年から昭和四十七年にかけてでございます。その時点での知見に基づきまして、津波に関しましては、小名浜港のポイントプラス三・一メートル、これはチリ地震津波の最高潮位を用いたものでございます。そのようなことを前提といたしまして審査を行ってございます。

 その後、平成十四年に、土木学会におきまして、当時の知見を踏まえまして「原子力発電所の津波評価技術」が取りまとめられました。その評価技術に基づきまして、東京電力の方が津波の高さを最大五・七メートルとして再評価を行い、必要な対策を講じたということを確認してございます。

 ただ、今回の場合、御案内のとおりで、大地震に付随した極めて大きな津波を予測していなかった、したがって事前の対策が講じられていなかったということは事実でございます。

福島(伸)委員 それは規制として不十分だったということですか。それとも、今の科学的知見のもとで、確かに八六九年、貞観地震というのがあって、そのときには多賀城のあたりは三十メートルぐらいの津波が押し寄せたという記録もあるようでございますけれども、少なくとも保安院さんが行ってきた規制というのは、例えば千年に一度とか五百年に一度程度の災害を想定してつくったものだと私は解釈するんですけれども、その点はいかがなんでしょうか。

寺坂政府参考人 結果として、事前に大きな津波を予測できず、事前の対策が講じられなかったのは事実でございます。

 貞観地震、津波との関係で申し上げますと、現在、いわゆる耐震指針、十八年の秋に制定されました耐震指針に基づきますチェックを行っているわけでございますけれども、福島第一の発電所に関しましては、平成二十一年の七月の段階の中間報告書の中におきまして、八六九年の貞観地震に係ります津波に関しまして、これを調査、評価して、適切な対応をとるべきという中間的なものは出しているところでございます。その後、最終報告書に向けてこの検討作業を進める予定になっていたところでございますけれども、結果としてはそれに間に合わなかったということは事実でございます。

福島(伸)委員 よくわからない答弁でございますけれども、私が申し上げたいのは、もし国の規制がきちんとしっかりしているのであるとすれば、今回は、国の規制が想定したレベルを超えた天災なわけです。政府としては、本来はあらゆる災害に対応した規制をとったと言わざるを得ないと思うんです。でも、今そうじゃないようなことをぐじゃぐじゃ言っていたのでよくわからないですけれども。そうであるとすれば、これは異常な天災なんですよ。極めて異常な天災なんですよ。

 普通の大きな天災、関東大震災の何倍クラスぐらいまでは普通は想定して規制は行うものなんです。もしそれを想定した規制を行っていなかったとすれば、それは私は行政の過失であると思っております。

 どちらにしたって、電力事業者がすべての責任を負うことはできないんですよ。規制のミスか、もしくは規制当局すらも最新の科学的知見では予見できなかった大きなことであるとするならば、三条ただし書きなんですよ。

 私は、そういうことを考えたときに、一カ月たっても東京電力が第一義的な責任を負うという答弁だけをするのは、被害者も納得しないし、東電の人たちだって割り切れない思いがあると思うんですよ。国民だって割り切れない思いがある。私は、しっかりと国と東京電力の双方が責任をシェアするということを、明確に政治の意思として言わなければならないと思っております。

 この立法の当初、このただし書きが適用されればすべて東電が免責されるとまで言っているわけではないんですね。当時の原子力局長の答弁では、ただし書きが該当するような事態が生じたときには、「特別の立法等、その他の措置が行なわれるものと考えております。そういうことを予定しております。」と当時の原子力局長が答えているわけです。

 今回の災害は、規制のレベルで科学的知見で予見し得ない巨大なものか、もしくは規制をその水準にやらなかったという行政の不作為か、どちらかなんですよ。そうした意味で、私は、明確に国の責任もある程度あると思っております。それが補償にもつながると思います。

 したがいまして、国は、東電の第一義的な責任だと逃げるだけではなく、一歩踏み込んだ答弁をしていただくとともに、場合によっては、きのう枝野官房長官も答弁をされておりましたけれども、原賠法にかわる特別立法をつくるような形で、誠意を持って被害者に対してきちんと損害賠償を、国がその前提に立ってやるという御決意をぜひ海江田大臣にお話しいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

海江田国務大臣 原子力の損害に対する賠償責任というのは、先ほどお話のありました三条のただし書きということになりますと、これは懸念しなければいけないのは、東京電力は免責なのかということがまず前に出てしまいます。これは、とてもじゃありませんけれども、国民世論からいっても到底許されるものではありません。その意味において、やはりまず東京電力は、逃げることなくその賠償責任をしっかりと遂行してもらいたい、これはかねてから発言をしたところです。

 しからば、東京電力だけで責任が負えるものか、賠償責任を全部果たすことができるかというと、これは違います。ですから、そのときに、政府がしっかりと責任を持って、東京電力で足らざるところは政府がしっかりと責任を持って負っていく、責任を持って支払いというか、政府として枠組みをつくって、その中で負担を分かち合うということは、これは当然のことであります。

福島(伸)委員 既存の法律どおりの解釈でやるのであれば、政治家は要らないんですね。今の事象に合わせてどういう法律をつくるかというのを考えるから、我々は立法府にいるわけです。ですから、今の法律を前提として考えるだけじゃなくて、今被害に遭っている人をどう助けるかという観点からぜひお考えをいただくことを求めまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、櫛渕万里さん。

 慣例によりまして、この席を田中経済産業委員長にお譲りいたします。

    〔荒井委員長退席、田中委員長着席〕

櫛渕委員 民主党の櫛渕万里でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 まず、東日本大震災の被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。福島第一原子力発電所の事故が一日も早く収束に向かうこと、また、警戒区域や退避勧告により避難生活を余儀なくされている住民の皆様の不安が一刻も早く取り除かれることを心から願うものです。

 そのような中、全国的にも原子力発電の安全性に対する大きな不安が国民の中に渦巻いております。本質的な原因は二つあると思うんですね。

 一つは、これまでの安全基準が実質的に無効化しているということです。例えば、先ほどもございましたけれども、土木学会の指針に基づいて設定された福島第一原子力発電所の安全基準では、津波の想定は最大でも五・四メートルから五・七メートルでした。ところが、実際には十四メートルの津波が襲っています。女川原発についても、最大加速度五百七十三ガルが観測され、二〇〇六年の新しい耐震指針の想定は五百十二ガルでした。しかし、これを一割以上上回ったんです。四月七日に発生した余震でも、垂直方向の最大加速度値の想定四百五十一ガルに対し、四百七十六・三ガルを記録。こうした事実からしますと、これまでの耐震安全基準は既に無効化していると指摘をせざるを得ません。

 そしてもう一つが、原子力発電所の事故補償の仕組みであります。

 ただいま福島議員からも原賠法について質問がありましたけれども、こちらも実質的に無効化していると言えるのではないでしょうか。この補償の仕組みは、いわば保険のようなものですから、全部とは言わないまでもこの金額があればほぼ災害をカバーできる、こうした金額でそもそも設計されてしかるべきであります。ところが、今回の事故では、補償総額について、最終的に五年間で十数兆円といった試算もある一方で、政府補償契約に基づく賠償措置額は、一発電所当たり千二百億円です。大規模な原子力災害を想定していない制度と言わざるを得ません。あってはならないことですが、補償というシステムは万一の災害に備える制度、こう考えますと、この補償制度も根本的に変えなければなりません。基本となるべき現在の事故補償システムは無効化しているのが今の実態であります。

 以上二つの前提を踏まえますと、これから原子力発電を推進するのか、あるいは原子力発電を推進しないのか、こうした議論にかかわらず、一致できる点を見出すことができると思います。それは、科学的かつ国民が納得できる新しい安全基準と新しい原子力賠償の仕組みができるまでの間は、現存のエネルギー政策及び発電所の幾つかを一時的に凍結する必要があるということであります。

 まず一点目、大臣にお伺いをいたしますが、原子力発電所の新規増設についてです。

 先ほども玄葉大臣から新規はあり得ないというふうな御答弁がございましたけれども、これまでも菅総理あるいは海江田大臣からは、エネルギー基本計画について、これまでの安全基準でいいか再チェックする必要がある、あるいは白紙も含めて検討、また、見直しは当然、このような表明が既になされております。現在のエネルギー基本計画にある、二〇三〇年までに少なくとも原子力発電所を十四基以上新増設するといったことについて、一時的に凍結すべきであると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 私もかねてから答弁をしておりますのは、今委員御指摘のありました、原子力発電所をこれからその十四基すべてをこれまでの計画どおりに新規に動かしていくということは無理だろう、もう一回見直しをしなければいけないということであります。

櫛渕委員 どの計画を凍結あるいは先送り、そのような検討は今なされているでしょうか。

海江田国務大臣 私どもは、今、安全基準の見直しをしておるところであります。緊急の安全基準、緊急に見直しをしなければいけない安全基準ということについては既に指示をいたしましたけれども、それだけじゃありませんで、緊急のは主に電源対策でありますので、もう少し抜本的な安全基準、数次にわたって出していかなければいけないわけですから、そうした数次にわたる新しい安全基準とこれからの原子力発電所の設計の計画がどうなっているのかということを照らし合わせて、その上で判断をしていくということであります。

櫛渕委員 白紙を含めて検討ということは、検討が終わるまではどうなるかわからないわけですから、着工済みの原発の工事が進むといった、既成事実化することがないよう一時的にも凍結することを御決断いただきたいと思います。

 次に、核燃料サイクル事業について御質問いたします。

 「もんじゅ」あるいは六ケ所村の再処理施設は、私も議員になる前と後と二度現場に行っておりますけれども、実際には事故あるいは故障で停止しているというのが、その是非にかかわらず現状であります。そのような中、この事業を進捗させることは、長期にわたるエネルギー政策を既成事実化することとなりかねません。エネルギー政策全般を白紙から見直すということであれば、一時的にも核燃料サイクル事業を凍結すべきものと考えますが、近藤駿介原子力安全委員長、いかがでしょうか。

近藤参考人 原子力安全委員長ではありませんで、原子力委員長でございます。これがいつも混乱されまして、私、安全の責任まで負わされているところは、まあ喜んで引き受けますが、ここでは原子力委員長としてお答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、今後、今般の事故を踏まえまして、エネルギー政策全般を見直す取り組みが行われるやに伺っておりますが、その際、原子力委員会は、御承知のように、原子力基本法で、原子力の研究、開発及び利用を、将来のエネルギー資源を確保することを目的に推進するための取り組みを企画、審議、決定することを我々の責任にしているわけでございますから、そうした場におきましては、私ども、エネルギー資源としての原子力に関する今後のあり方と、その安全性、信頼性、経済性、環境適合性、あるいは持続可能性についての評価をお示しする責任があると考えております。

 その場合に、何ゆえに我々は「もんじゅ」をつくり、何ゆえに再処理工場をつくっているかということについて、そうした基本的要件である安全性、経済性、信頼性はもとより、例えば資源の有効利用性、あるいは放射性廃棄物、これから原子力を、もし今やめるとしましても膨大な放射性廃棄物は残るに決まっているわけですから、これを何とかしなきゃならないということも含めて、そうした技術開発というのはとても重要と私は考えますが、そうしたことについて、そういう役割も含めて評価を皆様に御提示して、エネルギーのベストミックスの議論の中で原子力の定まるところを御議論いただけるものと思っております。

櫛渕委員 長期にわたるエネルギー政策を見直すという前提で、この長期のエネルギー政策を既成事実化させる可能性がある核燃料サイクル事業については、やはり一時凍結を私は求めたいと思います。そして、それを決めるのが政治家の責任であると私は思っております。

 原子力予算は、今年度四千三百億円、うち核燃料サイクル関連は約九百億円、「もんじゅ」については、今とまっているにもかかわらず一日約六千万円もかかっているわけであります。再処理等の積立金は二・一兆円。核燃料サイクル事業を一時凍結し、このお金を事故対応の費用に充てることを我々政治家は決断をすべきであると私は思います。

 そして、三点目を質問いたしますが、福島第一原発と同じ沸騰水型の炉、いわゆるBWR型の炉で福島と同等の地震リスクが指摘されている、例えば中部電力の浜岡原子力発電所も政治の責任で今運転を停止させるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 委員からいろいろな御意見がありましたが、私どもは、今、国全体のエネルギーの約三〇%を原子力に頼っているという現実がございます。それから、まさにこれから夏に向かって電力の大変な需要がある時期でございます。そうした中で、今動いている原発を直ちにとめるということは、そういう現状を考えたときに、これはなかなか難しかろうということでございます。

 今は、やはり安全性をさらに高めていくことを徹底していくということで、中長期的な議論はこれからじっくりとやっていきたい、そう思っております。

櫛渕委員 今全部で五十四基あるうちの福島第一原発と同じ型のものは約半数の二十六基、そのうち二十五年を経過したものは十二基あるわけですね。その中で地震リスクが高いのが浜岡原発であります。さらに、これは中部電力のエリアでありますので、今電力需給の融通がきかないわけですから、今回の震災とは関係なく、このエリアでも十分な安定供給が確保されるというふうに考えます。ぜひこの点についても御判断をお願いしたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたけれども、私が申し上げたいことは、今、原発を全部やめろとか脱原発になるべきだということを申し上げているのではなくて、安全基準と事故賠償の仕組みが全く無効化しているという状況の中で、エネルギー政策をゼロから見直すべきだということでございます。その前提として、今、新規の原発、核燃料サイクル事業、そしてこの浜岡原発については、一時的な凍結を御検討いただきたい。そして、大胆な決断を、政治の使命を果たすことを、ぜひ海江田大臣にはお願いしたいと申し上げます。

 海江田大臣も私も、東京という大都市が選挙区であります。今回の震災は、東京の経済活動や生活の基盤であるエネルギー、そして、食料や水がどれほど外部に依存していたのかということがあらわになったものと私は考えております。節電をしながらも、これまでエネルギーを使ってきたことがどれほど原子力に依存していたのかということを我々国民一人一人がリアルに意識の中で感じているのが今の状況だと思っています。これは、単に電源の問題ではなくて、社会全体を見直すスタートラインに立っていることでもあると考えております。

 エネルギーというのは、産業政策にとっても国民生活にとっても基本中の基本でありますので、その政策は、一部の関係者だけで見えないところで決めるものではない、国民的な論議のもとでエネルギーのあり方を決める。これが大切なことであり、既存のエネルギー政策やその計画の一部を凍結するといったことによって、これからしっかりと中期も見据えた再生可能エネルギーの導入拡大を含めて将来オプションを広げておくことこそが、今政治がやるべき大変重要な役割であると思っております。

 そういった意味でも、大臣の、今、大変なお立場であるとは思いますけれども、ぜひ賢明なる御判断と御決断をよろしくお願い申し上げて、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

海江田国務大臣 委員の御意見は、特に後段の方は私もそのとおりだなと。

 同じ東京の選挙区でありますが、東京電力というのは、自分の営業地域内に原子力発電所を一つも置いていないわけでございますから、ほかはそれぞれ自分のエリアに原子力発電所を置いているわけでありますから、その意味では、原発を立地していただいている県、市町村の皆さん方に支えられて、これまで私たちは電力を大量に消費する便利で快適な生活を送ってきたんだなというふうに思っております。

 今回、東北地域の皆さん方が、この原子力の事故によっても大変大きな苦痛と本当に大変な御不便を強いられているわけでございますから、東京都民でその恩恵をこうむってきた一人として、やはりそれにはしっかりとこたえていかなければいけないというのが人間としての私の考え方でございます。

櫛渕委員 質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 以上で櫛渕万里さんの質疑は終了いたしました。

 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 時間がありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、東電が発表した工程表についてお伺いをしたいと思います。

 きょうの枝野官房長官の答弁でもそうですし、これまでも海江田大臣も答弁しておられますが、これは保安院も既に策定に関与しているというふうに我々は伺っておりますし、国が責任を持ってこれを実行していくということでよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 関与と申しますか、やはり事業主体は東京電力でありますので、東京電力が基本的につくりました。

 ただ、例えば、一例を申し上げますと、今、汚染された水が大量にあるわけですが、それを循環していかなければいけない。そして、循環をさせていく中で、そこで除染をしていかなければいけない。除染をしていく場合、いろいろなプラントの形がありますが、フランスのがいいだろうということで、ではフランスとの橋渡しをやって、いつ幾日までにしっかり届くようにしてくださいとか、そういうことで私どもがしっかりと対応しているということでございます。

西村(康)委員 もう一度確認しますけれども、統合本部をつくられて、そこで大臣は副本部長をやっておられる。この工程表も、統合本部でいろいろ議論をされたというふうに伺っています。その過程で、保安院の方からは今言われたようなことを含めていろいろな意見を言い、一緒になってつくった、東電の清水社長の答弁でも、国と協力してつくったという言い方をしておられます。国も責任を共有するということでよろしいですか。

海江田国務大臣 これをしっかりと実行させるように責任を持ってまいります。

西村(康)委員 その上で原子力安全委員会にお伺いをしたいと思いますが、安全委員会はこの策定に関与しているのか、このことについて政府に助言をしたのかどうか、お伺いしたいと思います。

班目参考人 原子力安全委員会としましては、この件については一切相談を受けてございません。

西村(康)委員 こんなことでいいんですか。安全委員会が一切相談を受けていない。

 実は、翌日、十八日の安全委員会の議事録を読ませていただきました。この日の開催、わずか四十八分間。ほかの議題もありましたから、恐らくこの工程表については十五分か二十分ほどしか議論していないんでしょう。しかも、安全委員長の発言は、議事録に残っています、「昨日発表されたばかりでございまして、本日のところはこういう形でのご報告で結構だと思います」と。

 安全委員会は、これをしっかりその日のうちに検証して、政府に対して、総理に対して、海江田大臣に対して、これはできる、できない、あるいはここを直さなきゃいけない、こういうことを注意しなきゃいけない、それを助言するのが仕事じゃないんですか。安全委員会は何をやっているんですか。

班目参考人 原子力安全委員会の任務としましては、直接の規制行政機関である原子力安全・保安院の方から報告を受け、それに対して助言するという立場でございます。いまだかつて、まだ原子力安全・保安院の方からきちんとした形での報告を受けていないということから、まだ助言できていないということでございます。

西村(康)委員 海江田大臣、どういうことですか。安全委員会に何も相談していないのですか。それなのに、責任を持ってやらせます、よくそんなことが言えますね、大臣。

海江田国務大臣 私どもは、特に保安院は、工程表がしっかりと、工程表ではありません、これは道筋でございますけれども、それがしっかりと行われるように、それから一つ一つの作業についても安全性が確保されるように、しっかりとチェックをしていくということが役割でございます。

 そして、安全委員会はまさに内閣府の組織でありますが、全般的なところで、そしてこの原子力問題の収束に向けてアドバイスをいただくということだろうと思います。

西村(康)委員 アドバイスをいただくのに、報告もしていないというじゃないですか。何で保安院からさせないんですか。

海江田国務大臣 そういう道筋ができたからこれを報告するというようなことではありませんで、一つ一つの作業について、先ほどもお話をしましたけれども、除染作業をする、その除染作業がこういうシステムで、それこそまさに本来の意味の工程表でもって行う、そしてそれについてどう思うかということは、意見を求めます。

西村(康)委員 安全委員会は専門家がそろって、政府に対して助言をするわけでしょう。全く機能を果たしていないじゃないですか。保安院から報告を受けていないというし、全く一切関係ありませんということをさっき答弁された。こんなことで、政府がちゃんと一体となって、全部英知を結集して原発を収束する、そういうことが言えるんですか、大臣。安全委員会にもちゃんと報告をして、助言を求めてください、それを。

海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、ああいった道筋ができたということについて、それ全体を含めて報告を求めるようなシステムにはなっておらないんですよ、これは。

西村(康)委員 大臣は責任を持って実行させますとさっき言われましたから、安全委員会と関係なしにやられるということですね、それは。安全委員会にも何も意見を求めていないし、これは保安院、経産省の中だけでやるということですか。

海江田国務大臣 ですから、先ほどから、西村委員が最初から工程表、工程表というお言葉を使っておりますから、まさに工程表というのは具体的な作業のプロセスですね、それこそ人繰りから、作業員の繰り合わせから、資材をどういうふうに集めていつごろにどういう作業をやるという、もっと細かな、まさに工程表でありまして、そういう具体的な案が出てきたところで、それを保安院がまずチェックをして、そして、これでいいですかと、安全性の上においてさらにチェックを安全委員会にお願いをするということは、これから出てまいります。

西村(康)委員 いや、私は当然、東電がつくるその過程に保安院も入っている、そのできた段階で安全委員会にも見てもらって、そしてそれを受けて、政府としては、これは三カ月、六カ月―九カ月でできる、責任を持ってやらせますというのが筋道じゃないかと思います。それを全くやらずに、責任を持ってやらせますと。この件について安全委員会は何も仕事をしていないんですよ、今の話ですと。うなずいておられますよね、委員長は。こんな政府の体制でいいんですか。

 きょう、たくさん大臣に来ていただいていますからほかのことも質問したいんですが、これは直ちに安全委員会に安全委員会としての意見を言っていただきたいと思いますし、本当にこの六カ月―九カ月でこれができるのかどうか、それをぜひ意見を言っていただきたいと思います。安全委員会も、きょうのところはこの報告でという、翌日のそんなやり方はないと思いますよ。ちゃんと中身を詰めて、本当にできるかどうか、それをやった上で、九カ月以内にこういうことができる、責任を持ってやらせますという答弁をぜひ、また別の機会で改めて聞きたいと思いますけれども、直ちに政府部内で、安全委員会の知見も活用してこの対応をしていただきたいと思います。

 二つ目に、先ほど福島委員から大変いい御指摘があって、東電だけにこの賠償の問題を任せるわけにはいかない、国が責任を持って賠償に対応すべきだと。

 そこで、まず玄葉大臣にお伺いをしたいと思います。

 玄葉大臣は東電の国有化に言及をされました。国有化といってもいろいろな形があると思います。一〇〇%減資、株主に責任をとらせるというやり方もあるでしょう。一部資本注入というやり方もあるでしょう。こういったことを政府部内で検討している、その上で発言されたのか、何か意図があってされたのか、その真意をお伺いしたいと思います。

玄葉国務大臣 西村委員から、東電のあり方論ということでありますが、恐らく、そのときの記者会見は、実は約一カ月前の三月二十九日なんです。ぶら下がりで、東京電力に関して、今後の賠償責任ですとか電力の安定供給を考えたときに、選択肢として国有化ということもあり得るとお考えになりますかというふうに聞かれて、私は、エネルギー基本計画の見直しは必至だ、今おっしゃったような東京電力のあり方についてもさまざまな議論が当然あり得るだろうと思います、賠償責任は、最終的には国が責任を持つということが必要だ、そして最後に、東電のあり方論については、まずは事態が一定程度収束する、このことが大切、特にいつも申し上げておりますけれども、決死の覚悟で頑張っている現場の作業員を励ますことが今は大切だ、こういうふうに実は申し上げただけなんですが、かなりマーケットが反応したということだと思います。

 今、かなり具体的に、あり方論について西村委員はおっしゃいましたけれども、私は、率直に申し上げますと、賠償のスキームが非常に大事だというふうに思っています。特に、まずは機動的でスピーディーで、しかも十分な補償、これがまず大事。特に機動性が大事で、時間がかかりますから、やはり一定期間区切って、どんどん補償すべきは補償するということ。そして、国民の理解、電力の安定供給、マクロ経済、こういった全体を考えた上で、当然、東電のあり方論が定まってくるもの、そういうふうに考えております。

西村(康)委員 大臣の発言は非常に重いですから不用意な御発言はなさらないことをお願いしたいと思います。

 今、いみじくもマクロ経済への影響のお話がありましたので、きょうは与謝野大臣にお越しをいただきましたのでお伺いをしたいと思います。

 おっしゃったとおり、微妙な発言で非常にマーケットは反応をします。特に、社債市場で電力社債は二割を超える大きなシェアを持っております。政府の対応いかんで、場合によっては電力会社が資金調達できなくなるんじゃないかというような危惧まで与えかねない話であります。

 もちろん東電に甘くしろと言うつもりは全くありませんので、東電は東電でしっかり経営責任、これはリストラも含めて、資産売却含めて、できる限りの努力はしてもらう、これは必要だと思いますけれども、先ほど来議論がありますように、最終的には国がしっかりと責任を持つということが大事だと思います。

 このマクロ経済への影響も勘案して、東電がどこまで賠償責任を負うのか、その金額が見えない、あるいは賠償スキームも見えない、マーケットは非常に不安な状況にあると思うんです。そんな中で、できる限り早く賠償スキームを確定していくことが大事じゃないかと思いますけれども、そういう視点から、与謝野大臣、このことについてどういうふうにお考えか、ぜひお答えをお聞かせいただければと思います。

与謝野国務大臣 私は内閣の一員でございますけれども、直接この問題を担当しているわけではありませんが、内閣として連帯責任を負うという意味では、閣議できちんと発言をしてまいりたいと思っております。

 原子力損害の賠償については、まず、原子力政策の推進は国の政策であった、また同時に、国のエネルギー政策の根幹をなすものであったということは忘れてはならないと思っております。

 東京電力は、民間会社とはいえ、電気事業法あるいは原子炉等規制法等、もろもろの法律に縛られている民間会社でございます。今のような事態になっております中で、国民が不安に思っている、特に福島県の方々が不安に思っている、そういうときにこそ国が前面に立って国策推進の責任を果たしていくという姿勢が私は大事だと思っております。国が半身に構えたり、へっぴり腰になったりというような対応をすれば、直面する原子力に対する不安はおさまらないと思いますし、また、すぐには可能ではありませんけれども、将来、原子力計画を推進する上で非常に大きな障害になると思っております。

 東京電力は、西村先生おっしゃるように社会的存在でありますから、社会的使命を果たすために持てる財力を事故収拾に使用することは当然としても、それはあくまでも電力の安定供給という目的や義務を阻害するものであってはならない、そういう一定の範囲内でなければならないと思っております。福島県の知事が言及されているように、政府が前面に立ってすべての責任を引き受けるという姿勢こそが地域や国民、事業者の安心と、確信につながるものであると考えております。

 東電債や東電株は、社債や株式など金融資本市場全体に大きな影響を与え得ることから、東京電力の経営の健全性に万全を期すとともに、電力の安定供給義務を果たせるよう、必要な対応については私も協議してまいりたいと思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今御答弁ありましたけれども、国の責任を明確にしていただいて、どういうスキームでやるのかというところをできるだけ早く出していただければと思います。

 時間がなくなってきました。次に参ります。復興財源について先にお伺いをしたいと思います。

 いろいろと二次補正に向けて議論がなされておりますが、我々自民党は、もう一次補正から復興再生債を出して、その分、別勘定でしっかり将来財源の手当てもしてやろうということで提言をしております。

 これは民主党のマニフェストにも我々の公約にも入っております、国家公務員、あるいは地方公務員も含めて、公務員改革である程度の人件費削減をやれば、年間一兆円ぐらいは出てくるわけでありますので、国民全体で負担を分かち合う前に、まず公務員改革をしっかりやることが大事だと思います。

 まずこの公務員の人件費削減をやったらどうかということについて、中野担当大臣にお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 お答えいたします。

 民主党マニフェストに掲げられております国家公務員の総人件費二割削減につきましては、きょう同席をいたしておりますが、総務大臣を中心に検討が進められております。

 私自身は、公務員制度基本法に基づいて、将来の公務員制度についての制度設計をし、その法案をこの国会へ提出する段取りを今鋭意進めているところでございます。そういう意味で、この給与引き下げの問題については、総務大臣において、必要な法案を今通常国会に提出する方向で検討されているものと承知をいたしております。

 なお、復興財源のあり方につきましては、政府全体で検討をしてまいりたいと思いますし、私もまたその一人として努力をしていきたいと思います。

西村(康)委員 片山大臣も来ておられますから、まず人件費削減、ぜひやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 今、中野大臣から御答弁申し上げましたけれども、公務員給与の引き下げ問題は、昨年の人事院勧告の処理の段階であえて閣議決定をいたしまして、この通常国会に給与の引き下げのために必要な法案を出すということを決定しております。それに基づきまして今鋭意検討しておりまして、できるだけ早いうちに関係方面の、できるだけの合意といいますか、理解を得た上で法案を提出したいと思って、今準備をしているところであります。

西村(康)委員 自民党も、二割削減、国家公務員で一兆円、地方公務員も含めて、さらにできるということで公約も出しております。これはぜひ法案を早く出していただいて、我々は協力する姿勢がありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから、きょうは蓮舫大臣に来ていただいておりますので、事業仕分けについてちょっとお伺いしたいと思いますが、まず文科省にお伺いをいたします。

 昨年秋の事業仕分けで防災関連の予算が減らされております。文科省に金額をお伺いしたいと思いますが、いわゆるモニタリング調査をやる予算、環境放射能水準調査等委託費、それから防災訓練の調査費、この二つの金額、二十二年度と二十三年度を比較してお答えいただければと思います。

 与謝野大臣、中野大臣、もう結構です。玄葉大臣も結構です。ありがとうございました。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 御指摘の事業につきましては、平成二十三年度予算でございますが、まず、環境放射能水準調査等委託費は、平成二十二年度十一億一千五百万円のところ、二十三年度は三億六千五百万円減の七億五千八百万円となっております。

 一方、防災訓練実施調査費は、平成二十二年度二億二千百万円のところ、三千九百万円減の一億八千二百万円となっておるところでございます。

西村(康)委員 金額として、全体の予算からすると大したことないんですが、数億円の予算が、今まさにモニタリング調査をやっているこの予算も減らされているわけであります。

 蓮舫大臣にお伺いをします。

 長い目で見て、この防災対策というのは何年かに一回しか来ないもので、ある意味の保険みたいなもので、無駄なように見えますけれども、何年かに一回必ず来て、そのときには物すごく効果を発揮するわけでありますので、こうしたものを安易に、効率が悪いところとか無駄な部分は切るのはもちろん当然ですけれども、そうした視点でぜひ考えていただきたいと思いますけれども、どのようにお考えですか。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 安易に事業仕分けを行ったわけではございません。

 今、西村委員が御指摘した二つの事業は、ともに、財団法人に一者応札で委託をしていて、その両財団法人の役員理事に、国の再就職、いわゆる天下りの方がおられて、ここにおいてもう少し競争性を確保することができないんだろうか。あるいは、今委員が御指摘した委託費のほかにも、原子力施設等防災対策等交付金もありまして、両方で調査を行っているんですね。その調査が重なっているところがあるのではないか。あるいは、その委託の業務内容そのものも、もう少し重なっている部分を整理することができるのではないか。委託先の見直し、競争性の導入、こういった議論が行われて、適正な予算で効率的な事業を行ってもらいたいという評価結果になったものでございます。

西村(康)委員 時間が来ましたので終わりますが、ただ、途中の意見をいろいろ見ますと、原子力施設のない県ははかる必要がないとか、東京は恐らくはかる必要がないということなんでしょう、全面的に廃止すべきだとか、いろいろな意見が出ています。つまり、仕分け人の中には、こういうものは無駄だと考えて、全くゼロにすべきだという議論があって、議事録を見ますとそういうふうに書いてありますので、そうした視点、災害というものの予算の性格をぜひ十分認識していただいて、進めていただきたいと思います。

 松本大臣、済みません、また改めてどこかの機会でお伺いできればと思います。

 質問を終わります。

田中委員長 以上で西村康稔君の質疑は終了いたしました。

 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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