衆議院

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第2号 平成23年5月23日(月曜日)

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平成二十三年五月二十三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 後藤 祐一君 理事 橋本 清仁君

   理事 藤村  修君 理事 三日月大造君

   理事 山口  壯君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      相原 史乃君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    打越あかし君

      太田 和美君    梶原 康弘君

      金子 健一君    川口  博君

      木村たけつか君   菊池長右ェ門君

      郡  和子君    近藤 洋介君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    瑞慶覧長敏君

      空本 誠喜君    高井 美穂君

      玉木雄一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    中屋 大介君

      長尾  敬君    畑  浩治君

      福島 伸享君    松岡 広隆君

      村越 祐民君    谷田川 元君

      山岡 達丸君    若井 康彦君

      鷲尾英一郎君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    谷垣 禎一君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      斉藤 鉄夫君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君    園田 博之君

    …………………………………

   議員           石破  茂君

   議員           加藤 勝信君

   議員           石田 真敏君

   議員           齋藤  健君

   議員           橘 慶一郎君

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     空本 誠喜君

  打越あかし君     金子 健一君

  近藤 洋介君     松岡 広隆君

  高井 美穂君     中屋 大介君

  中野渡詔子君     木村たけつか君

  小里 泰弘君     谷垣 禎一君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     打越あかし君

  木村たけつか君    中野渡詔子君

  空本 誠喜君     玉木雄一郎君

  中屋 大介君     高井 美穂君

  松岡 広隆君     近藤 洋介君

  谷垣 禎一君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  玉木雄一郎君     相原 史乃君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     瑞慶覧長敏君

同日

 辞任         補欠選任

  瑞慶覧長敏君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     石津 政雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

 内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案並びに石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案の各案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 本日はテレビ入りでありますので、委員会の進行には特にも御協力をいただきたいと思います。それから、質問者の的確な質疑に、答弁の方も簡潔明瞭にお答えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。

谷垣委員 私ども野党が提案をいたしまして、復興に全力で国会も取り組まなければならないということで、この特別委員会を設置していただき、審議がこうして始まったわけでございます。

 まず冒頭に、改めてでございますが、さきの大震災でお亡くなりになられた方に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、今なお大変被災地で苦しい目に遭っておられる被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 特に、この委員会は、みずからも大事な御家族をこの津波で、大変苦しい目にお遭いになり、家族を失われました黄川田委員長が、この委員長の役をこの悲しみの中からお受けになっておられます。みずからこの国難、この災害を乗り切るための先頭に立たなければいけない、こういう決意で委員長の職をお引き受けになったと推察いたしております。

 私どもは黄川田委員長のこのお気持ちを無にしてはならないと思っておりまして、全力を挙げてこの委員会で復旧復興のために頑張りたい、このように思っているところでございます。

 冒頭、黄川田委員長にお願いを申し上げますのは、私ども被災地に参りましても、あるいは被災地のいろいろな方々から現状について陳情なりいろいろな問題点を伺うにつきましても、それを一体どこに持っていって速やかに処理をしていくか、こういう場が必要だというお声が大変強うございます。ぜひともこの委員会は、そういう役割を果たしていかなければならない。私どもが、なるほど、これを解決しなきゃならないと思ったときに、この委員会で、会期とかそういうことに関係なく議論をして、そうして問題の速やかな解決に結びつけていく、そういう委員会でなければならないと存じます。

 まず、黄川田委員長に、そのようなこの委員会の指揮をしていただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。

 まず、当委員会で、政府案、それから私ども自民党の案、つまりこの災害復興に対する基本法案ですね、これが提出をされました。

 私どもは、復興院というものをつくって強力に取り組んでいかなければならないということを中心に案をつくったわけですが、まず我が党の提出者に、一体我が党はどういう考え方でこのような案をつくったのか、それはまた、政府案と比べてどのような特徴ないし優位点があるのか、このことについてお話をいただきたいと存じます。

石破議員 お答えを申し上げます。

 私どもの考え方は、政府と比べて三点違っております。

 一つは、復興再生院というものを設置する、それは企画立案から実施まで行うというものでございます。政府案を拝見しておりますと、どうも阪神・淡路大震災のスキームをそのまま踏襲しておられるように感じますが、阪神・淡路も大変悲惨な激甚な災害でございましたが、今度は、北海道から関東まで非常に広い範囲に及んでいる、財政力は脆弱である、農林水産業を持っている、少子高齢化である、そして自治体そのものがなくなっちゃっているところもある。津波はすべてを流しましたから、次の生活の糧を得る職場もないということであります。かてて加えて原子力災害であります。

 こういうような状況で、阪神・淡路大震災のスキームがうまくいったからといって、それを踏襲するというのは、認識において大きく誤っておる、私はそのように考えております。それが一点。

 それから、今、谷垣総裁が御指摘になりましたように、地方の視点で見なければなりません。農林水産省に行くと国土交通省に行けと言われる、国土交通省に行くと環境省に行けと言われる、そんなことであってはならないのであって、私も被災地に行きましたが、私たちは、あっち行けこっち行けと言われるのは仕事じゃない、ここへ行けば全部済むんだというワンストップ型の官庁が欲しいんだということであります。地方の視点で見るか霞が関の視点で見るか、そこは大いに異なっていると私は考えております。

 それと関連いたしますが、国の責務というものを明確にいたしております。国がきちんとした責任を持ってやらねばならない。地方の自主性、独自性はもちろん最大限尊重しますが、国が責任を持つということが必要であります。このことを明記しておる、これが二点。

 第三点目は、この厳しい財政事情をどのように考えるかということであります。

 阪神・淡路大震災のときと比べて、国の債務自体三倍を超えております。このときに、私どもは、どのようにしてこれを規律ある財政と両立させるかということを考えていかねばなりません。当然のことでありますが、震災復興以外の無駄なお金は徹底的に削るということを明記いたしております。

 第二番目に、民間資金を積極的に活用する。財投もそうであります。そのことを明記いたしております。

 そして、復興再生債というものを出すことになりますが、その消化、償還、この道筋を明らかにする。それをきちんと書きませんと、阪神・淡路大震災のときとの違いがはっきりしません。

 私どもは、国が何の責任を持つか、そして次代に対する認識をきちんと持つということ、そして何よりも、地方の被災者の方々の視点に立っている、この点が大きく異なっておる、そこが私どもの案のすぐれたところだというふうに確信をしておる次第でございます。

 以上であります。

谷垣委員 今、石破さんから三点にわたって簡潔に我が党の案を説明していただきました。

 私は、我が党はこれを、発災しましてから、どうしたらいいか真剣に議論して、なかなかいい案ができたんじゃないかと思っております。

 ただ、いろいろ考えておりますと、我が党案にはやはり一つ大きな問題点というか欠点があるというふうに実は思っているんです。それはなぜかといいますと、これをワークさせるためには、相当強力な政治力がなきゃいけない、政治主導というものがきちっとしていかなきゃいけない、それから官僚機構を使いこなすということができなければいけない。

 こう考えますと、現時点、いろいろな本部などをつくられて、官僚に対して十分な指導力が果たして発揮できているのか。要するに、権限と責任というものの体系をこの復興の中できちっとすることができたか大きな疑問がある菅政権に、果たしてこの我が党案が身の丈に合ったものであるのかどうか、私はこれが最大の欠点である、実はこのように思っているわけでございまして、私ども、やはりこの我々のスキームをきちっと運用できる体制を早くつくっていかなければいけない、このように考えているところでございます。

 この委員会でしっかり議論をしていただいて、復興のためのよりよいスキームを早くつくる、この議論をしていただくよう与党にもお願いを申し上げたい、このように思います。

 そこで、問題を次に移らせていただきたいと思うんです。

 今、被災地に参りましても、あるいは被災者の方々のお話を伺いましても、もう七十日以上たっているわけですが、なかなか、さあ、これであすの絵を描いて復興だというところまで十分に話が進んでおりません。まだどういう復旧をすればいいのか、仮設住宅もそうでありますし、瓦れきの処理もそうであります。それから、日々の雇用といいますか、きょうの生活をどうするのかというようなことが主たる問題でございます。特に、福島県に参りますと、そういう傾向が色濃く覆っている。

 その原因は何かといいますと、福島第一原発をどう安定化していくかという道筋がまだきちっと描けていない、だから、なかなか、あすの生活もどうしていくか、復興にまで思いが及ばない、こういうことではないかと私は思っております。

 この点については、徹底的な検証も必要だと私どもは思っております。自民党は、今まで原子力政策を確かに推し進めてまいりました。したがって、過去の政策体系がよかったのか、こういうことも徹底的な検証が必要だと私は思いますし、それから、特に発災以降の対応というものがいかなるものであったか、これについても徹底的に検証をして、そして一日も早い安定化につなげていくということが必要ではないか、このように考えております。

 報道で伺いますと、東電も安全院に初期対応等々について報告をする、あるいはIAEAの調査団も見える、それから政府におかれても検証の委員会を動かすということでございますから、それはやっていただかなきゃならないが、一番大事なのは、やはりこの国会の中で徹底的に検証をしていく、これが一番大事なことなのではないかと私は思っております。我が党もいろいろ提案をさせていただいておりますが、このことを肝に銘じて今後も臨みたいと思っております。

 そこで、私は、検証しなければならないと申し上げましたが、初動におけるいろいろな問題点、ミスがあったのではないかという疑問を、疑問といいますか、その思いをぬぐい切れません。

 特に、先週末より、一号機への海水注入をめぐって、総理の指示で中断をしたのではないかというような報道がございます。この経緯に関して伺いたいと思うんですが、(パネルを示す)これは、政府といいますか、いろいろ政府の方で関連して発表された中でも、三月十二日の十八時、このときに総理を含めて会合が行われたというふうに報道されております。

 まず、この官邸で行われた会議、打ち合わせと申しますか、これがどういう位置づけで、何を議題としたものであったのか、伺いたいと存じます。

菅内閣総理大臣 まず、この復興特別委員会について、私も黄川田委員長に、そうした御家族の不幸を乗り越えて、責任ある委員長として就任していただいたことに本当に心から敬意をあらわし、また、内容ある委員会として私たちも全力を挙げてまいりたい、このように思っております。

 また、基本法についても谷垣総裁お触れになりましたが、私どもも基本法を出して、そして自由民主党におかれましても党としての案を出していただきました。いろいろな差もあるということもありますけれども、しかし、しっかりと協議をする中で、御党の提案の中でいい部分についてはしっかり受けとめさせていただきたい、このように考えております。

 今の御質問は、十二日における、私が加わった会議というか打ち合わせについての位置づけだと思います。

 御承知のように、地震発生の十一日において、緊急災害対策本部を立ち上げ、同時に、原子力事故が発生をいたしました中で、原子力災害対策本部、これは特措法に基づく、法律で規定した本部を立ち上げました。それ以来、私は官邸に、翌朝現地を見る以外はほぼ数日間ずっと、二十四時間官邸におりました。

 その中で、もちろん地震、津波の対策についての協議も継続的にいたしておりましたけれども、原子力事故についての協議も継続的にいたしておりました。それは、対策本部として、全閣僚が集まる会議は会議として行っておりましたけれども、この問題では、東電の官邸に詰めていただいた責任者、そして安全・保安院のメンバー、そして原子力安全委員会の委員長を初め委員の皆さん、そして私、あるいは海江田大臣、あるいは補佐官、そういったメンバーが相当、多少断続はありますけれども、一つの部屋に会して、東電から入るいろいろな状況を踏まえて、どのように対応すべきか、そういうことを継続して相談し、そして必要な指示を出していた、こういうことであります。

谷垣委員 三月十二日の十八時、このときは何を議論されたんでしょうか。(発言する者あり)

黄川田委員長 内閣総理大臣菅直人君。簡潔明瞭にお願いいたします。

菅内閣総理大臣 この時点では、それまでの状況を踏まえて、海水注入に当たってどのようなことを考えなければならないか、そういった議論がありまして、私の方からいわゆる再臨界という課題も、私にもありましたし、その場の議論の中でも出ておりましたので、そういうことを含めて、海水注入をするに当たってどのようにすべきか、そのことの検討を、今申し上げたような皆さんが一堂に会されておりましたので、それをその皆さんにお願いする。

 その時点では、東電の担当者は、海水注入はこれから準備をしても一時間半程度は準備にかかりそうなのでという御指摘もありましたので、十八時の段階で、それではそういったことも含めた検討をお願いする、そういうことを私の方から申し上げました。

谷垣委員 海水注入に当たって考うべき問題点を検討する、こういうことですね。(菅内閣総理大臣「はい」と呼ぶ)

 では、ここで班目原子力安全委員長に伺いたいと思うんですが、報道によりますと、いろいろな報道がありまして何が正しいのかということでありますが、委員長がこの会議で再臨界の可能性を指摘されたという報道がございました。そのような進言を、あるいは意見具申をされたんでしょうか。

班目参考人 その場においては、海水を注入することによる問題点をとにかくすべて洗い出してくれという総理からの指示がございました。私の方からは、海水を入れたら、例えば塩が析出してしまって流路がふさがる可能性もありますよとか、腐食の問題がありますよとか、その他いろいろ申し上げました。

 そんな中で、多分総理からだと思うんですが、どなたかから、再臨界について気にしなくてもいいのかという発言がありましたので、それに対して私は、再臨界の可能性はゼロではないと申し上げた、これは確かでございます。

谷垣委員 そうしますと、恐らく、この時点で何よりも必要なことは冷却していくことだ、この点はもう皆一致した考え方だと思うんですね。その中で、なかなか真水による冷却ができない、こういうことで海水注入の問題点が議論されたということだと思いますが、その中で、では、今の御議論の中で、臨界の可能性はゼロではない、専門家としてそういう御意見をおっしゃった。

 そうしますと、そこで、あの時点で海水注入はすべきではないということはおっしゃったんでしょうか。

班目参考人 私の方からは、この六時の会合よりもずっと前から、格納容器だけは守ってください、そのためには炉心に水を入れることが必要です、真水がないんだったらば海水で結構です、とにかく水を入れることだけは続けてくださいというふうにはずっと申し上げておりました。

谷垣委員 そうしますと、今の点で、今度は総理に伺います。

 総理はやはり、そういう問題点をすべて挙げろという中で、再臨界、その可能性はあるんじゃないかという疑念をお持ちだったんでしょうか。

菅内閣総理大臣 私自身、今の委員長のお話もありましたように、水を入れる、冷却機能が停止をしているわけですから、水を入れなければならないという認識は極めて最初から強く、そういう皆さんの指摘も含めて、ありました。そのために、いろいろな消防車等を電源車と同時に送って注水を行う、真水の注水が行われたわけであります。そして、真水がなくなった場合には海水を入れるしかないわけでありますから、そういうことの必要性は十分に認識をいたしておりました。

 と同時に、いろいろなことが一般論としては心配されます。例えば水素爆発、例えば水蒸気爆発、あるいは圧力が上がり過ぎて格納容器が損傷するといった、いろいろな可能性があります。そのいろいろな問題の中で、再臨界ということも、もし本当に起きればこれは大変なことでありますので、つまりは核分裂反応が再び起きるということでありますから、そういうことについては、従来から硼素、硼酸等を投入して防ぐということの手だてができるようになっておりますので、そういう問題もすべて含めて、専門家の皆さんでありますので、海水注入に当たって検討をお願いいたしたわけであります。

谷垣委員 先日、政府と東京電力統合対策室で記者会見を開かれましたときのペーパーというものがジャーナリストに配られております。それを拝見しますと、十八時から十八時二十分ごろ、「原子力安全委員長から、「再臨界の危険性がある」との意見が出されたので、」こういう記述がございます。

 今、班目委員長に伺いますと、あらゆる可能性を挙げろということだから、危険性はゼロではない、こういうふうにおっしゃった。それは確かに、化学といいますか、そういった観点からいうとゼロではないということでしょうけれども、これは物すごく違うんですよね、このペーパーと。再臨界の危険性がある、こういうことであったから、この間の記者会見を拝見しますと、東京電力は既にそのときに海水注入を開始していた、しかし、官邸でこういう問題が議論されているから注入を中止したとおっしゃっているわけです。

 私は、政府が責任を持って出される文書としては、余りにも無責任な文書をお出しになっているんじゃないかと思いますよ。これは一体どうなんですか。ここをきちっと説明してください。

菅内閣総理大臣 まず、私が検討をお願いした時点は、当日の十八時から十八時二十分ごろと、当時の関係者がきちんと時間を特定してくれました。そして、その後、これは私どもには通知が来ておりませんでしたけれども、十九時四分から東電が試験注入をし、十九時二十五分にそれをやめたということであります。これは、注入のときもやめる時点も含めて、私どもには直接には報告は上がっておりませんでした。

 今、谷垣総裁がおっしゃった中で、私が指示をお願いした時点は、その通知があったなかったではなくて、海水の注水そのものがまだ始まっている前なんです。

 そして、現場に、現場というのは私どもと一緒にいた東電関係者は、海水注入を準備しても一時間半程度はかかると思われますということの指摘もありまして、それも含めて、では、いろいろな可能性を検討してください、当然、リスクを最小化することは重要でありますから、検討してくださいと言ったわけでありまして、決して私どもが、注水の前に検討を始めているということからして、それに対して注水を何かとめたというようなことの一部報道がありますけれども、少なくとも私やそのメンバーがとめたことは全くありません。

 それから、今お話のあった記者会見については、これは当事者の方からお聞きをいただきたいと思いますけれども、私の理解をいたしておりますのは、先ほど安全委員長がおっしゃった形で昨日若干の変更をさせていただいた、そのように理解をいたしております。

谷垣委員 訂正をさせたと今おっしゃったんですか、この発表の仕方を変えたとおっしゃったんですか。

 なぜ私がこのことを強く申し上げるかといいますと、要するに、この福島原発をどう処理していくかということは、決して日本の国内で見ているだけじゃないんですよ。国際的に、一体これをどうやっておさめていくかというのはみんな見ている。

 そして、今の発言だって、それは班目委員長の御発言、全然違うじゃありませんか。可能性がゼロではない、あらゆる危険性、蓋然性や何かを挙げる、その中でゼロではないというのと、この発表は再臨界の危険性があると。現にそういう議論が行われているのを受けて、今、自分がとめたのではないとおっしゃったけれども、十九時過ぎから実際に注入が始まっていた、それを東電はとめたとあの記者会見でも言っておられるわけでしょう。十九時二十五分ですか、とめた、こう言っておられるじゃないですか。

 つまり、これだけ重要なことがなぜころころころと訂正される、そういう安易な運び方が行われているのか、一体何でこういうことを安易に訂正できるのか、私はそこを申し上げているんです。

菅内閣総理大臣 これは私が申し上げることが適切かどうかわかりませんけれども、先ほど班目委員長御本人からお話がありましたように、可能性はゼロではないという表現であったという御本人からのお話もあって、一昨日の表現を班目委員長の言われている表現に差しかえて昨日発表した、そのように理解をいたしております。

谷垣委員 こういう重要なことがころころ訂正されるというのは、私は理解できませんね。

 それでは、今、総理が再臨界等いろいろな懸念も持っておられた、これはよろしいですね。いろいろな危険性に対して懸念を持って、再臨界も視野に入れながら懸念を持っておられた、それがこの会議、これはよろしいですね。

菅内閣総理大臣 原子力事故ということについて、私は原子力の専門家ではありませんので、すべてを知っているわけではもちろんありません。

 そこで、私は、発災以来、常に東電の関係者、それから原子力安全・保安院のメンバー、そして原子力安全委員会の委員長を初めとする委員の方に、ほとんどのとき同席をいただいて、その中でいろいろ議論をし、必要なことについては助言をいただいて、最終的な判断をしなければならないことについては、私なりあるいは経産大臣が判断をいたしておりました。

 そういう議論の中で、私自身もいろいろ議論をその間も続けておりましたので、いろいろな危険性が当然あり得るわけであります。ですから、そういういろいろな危険性、先ほどは水素爆発とか水蒸気爆発ということも申し上げましたけれども、再臨界という問題についても、いろいろな危険性の中の一つとして、そういうことにならないように常に考えなければならないという問題意識は私の中にもありましたので、それも含めての検討をお願いしたわけです。

谷垣委員 私がこの点を特に聞きましたのは、訂正したと先ほどからおっしゃるけれども、最初の発表では、班目委員長から再臨界の危険があるということを、わざわざそこのところを摘示して、あらゆる問題点を列挙せよじゃなくて、わざわざこれが書いてあるわけですよ。それは一体、この会議でどういう重みを持って議論をされたのかということを私は伺いたいわけです。菅総理の御認識を伺いたい。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますように、十八時の時点でそういったことの検討のお願いをいたしました。当然ながら、その検討をお願いしたのは、そこにおられました東電の関係者、そして原子力安全・保安院の方、そして班目委員長を含めた原子力安全委員会の皆さんに検討をお願いしたわけでありますから、当然、その検討をされている中、そこには私、細かい議論の中には私は入っておりませんが、その議論の中でいろいろな専門家としての知見が出された。その結果を私のところに、たしか十九時四十分に海水注入についての検討結果を保安院など私が検討をお願いした方たちが私に説明をされて、そして、海水注入をすべき、硼酸を入れるべきということになって、それで十九時五十五分に私から海水注入を指示し、二十時五分に経産大臣から海水注入を命令し、二十時二十分から海水注入が開始された、そういう経緯であります。

谷垣委員 今の総理の御説明では納得できないんですね。

 このペーパーで、再臨界の危険性があるということを、わざわざここを明示している。そして発表された、記者会見もした。ところが、報道によりますと、それに対して班目委員長が大いに憤慨された。報道によると、侮辱だとまでおっしゃった、こう書いてあるんです。それで官邸に行かれたんでしょう。その結果が、訂正したとおっしゃるけれども、可能性もゼロではないということになった。わざわざ特記したことが、ゼロでもない。一体何を議論したのか、納得できません。

菅内閣総理大臣 先ほど、班目委員長御本人からも、可能性はゼロではないということをお話しされたということを今この場でもお話しになりました。それに基づいてといいましょうか、それも含めて検討をお願いしたわけでありまして、何が納得できないと言われているのか、私には、少なくともこの問題について検討をいただくことは当然あっていいのではないかと。その検討の結果が、最終的には、海水注入はやりましょう、しかし、硼酸を入れて再臨界のゼロではない可能性も含めてできるだけ小さくしましょうという結論をいただいた結果が、十九時四十分に私に対する報告として上がってきた、こう理解しています。

谷垣委員 では、私がなぜこのことにこだわるのか、申し上げましょう。

 要するに、この重要な、早く冷却をしなきゃいかぬ、こういう時点で大事な会議だったと思いますよ。そこで、その発表が、大分たってからの発表ではあるけれども、再臨界の危険性があるということをわざわざ原子力安全委員長の発言として特記したわけですよ。それを発表したら、班目委員長がそれに抗議をされて、変わったんでしょう。

 そうしますと、これはだれがお書きになった責任者か知りませんが、政府は、議論をきちっと、大事なポイントを発表しているのか、あるいは、何か大事なところをすりかえて発表しているんじゃないかという疑念が出てくるんですよ。そのことを申し上げている。

 一体こういうふうに変えたのは何だったのか。納得できませんね、説明してください。

菅内閣総理大臣 同じ答えになって恐縮ですが、いずれにしても、今、班目委員長御自身がおっしゃったように、再臨界の可能性についてゼロとは、可能性がゼロではないというふうにもおっしゃいましたし、私も、他の危険性も含めて再臨界というものが一つ、幾つかある危険性、危険性といいましょうか、可能性の中にあるということでありますから、そのことを検討いただくというのが、私が私の勝手な思いで結論を出したのではなくて……(谷垣委員「私の言っていることに答えてください。要するに」と呼ぶ)

黄川田委員長 答弁を終えてから質問してください。

 簡潔にお願いします。

菅内閣総理大臣 ですから、私は、検討をお願いしたことがおかしかったというふうには思いませんけれども。

谷垣委員 私は、検討させることが間違っているなんて一言も言っておりません。

 その会議の外に対する報告の仕方が、再臨界の危険があるという指摘だったにもかかわらず、後で、一日たったらころっと変わるわけでしょう。一体これは何なんだということですよ。要するに、この会議の一番のポイントは何だったのか、そのことを問うているんですよ。

枝野国務大臣 まず、繰り返し御指摘をいただいております、班目委員長がおっしゃったかぎ括弧が訂正になっていることでございますが、可能性はゼロでないと班目委員長が、かなり正確な御記憶に基づいて御指摘を受けましたので、可能性があると、可能性がゼロではないと、同じことについて裏表違う表現でございますが、まさに正確に御発言をされた当事者から御指摘いただきましたので、より正確を期した報告をさせていただいたということでございます。

黄川田委員長 あわせて総理から答弁いただけますか。

菅内閣総理大臣 今官房長官からも説明がありましたけれども、つまりは、この経緯の議論は、比較的最近になって、いろいろな報道を通して問題提起をされました。

 私は、できるだけ正確にといいましょうか、関係者の記憶なり記録があるならば正確な形できちんと発表をしてくれ、こういうことは申し上げましたが、私から、中身をこうしろああしろということではなくて、関係者がかなりいますので、同席した人もかなりいますので、そういう中で、きちっとした記憶に基づいて、きちっとした発表をしてくれと。その中で、班目委員長が先ほどこの場で言われた形に変更といいましょうか、そうなったわけでありまして、決してこのことが、例えば三月十二日の発表をおととい、きのうと変えたことが三月十二日の判断に何か影響を与えるなんということは、それはあり得ないわけであります。

 ですから、三月十二日の状況については、私が申し上げましたように、十八時の時点でこういった問題について検討をお願いし、十九時四十分の時点で御報告をいただき、それに基づいて海水注入の指示を出した。十九時四分から二十五分の間の海水注入については、当時ですよ、私なり官房長官、副長官のところには報告は上がっておりませんでしたので、当然ながら、報告が上がっていないものを、やめろとかやめるなとか言うはずもありません。

谷垣委員 それでは、班目委員長に伺いたいと思います。

 当初の発表で、班目委員長から、再臨界の危険性があるという意見が出されたのでという表現になっておりました。これは、報道によると、班目委員長は、こうではなかった、事実は違うといって抗議をされて、そうして、先ほどの御発言のように、可能性がゼロではないということで、班目委員長もそれならばそうだと納得をされた。

 しかし、では、そうだとすれば伺いますが、このときの主たる議論は、やはり再臨界の危険性をめぐっての議論だったんですか。

班目参考人 当時の状況としては、爆発、水素爆発だろうとは思ってはいましたけれども、現場は相当混乱しておりました。そんな中で、さらにこれから先進めるに当たっては、ありとあらゆる危険性をしっかり考えた上で進みたいというふうに総理がおっしゃったので、私はそのとおりだと思いました。そういう意味で、海水注入まではまだ時間があると我々は本当に認識していました。したがって、その間にあらゆる可能性について検討すべきこと、これは私、原子力安全委員会の立場として当然のことだと思ったので、そういう検討を始めたということでございます。

 したがいまして……(発言する者あり)早く冷やせということについては一言も変えたことはございませんし、何ら、そのときの検討が問題を引き起こしているとは、私は全く思っておりません。

谷垣委員 私は、やはり発表の仕方というものが、再臨界の危険性があるということでこの会議を要約するのと、危険性がゼロではない、あらゆる問題に対処していくというのでは、随分問題のとらえ方が、外から見たときのこれを見てのとらえ方は全然違うと思うんですね。

 もう一つ、それに関連して申し上げたいんですが、パネル二をお願いいたします。

 訂正、訂正とおっしゃるが、要するに、これのこういうことによって、既に、総理は御存じなかったとおっしゃるが、十九時四分から東電は海水の注入を開始しているわけですね。そして、二十五分にその注入を停止した。その注入を停止したのは、そういう議論が行われているからだということで停止したというのは、この間の会見のときに東電の関係者が言っておられるわけです。

 ところが、官邸のホームページには、東京電力福島第一、第二原子力発電所事故について、十二日の十八時、六時ですよ、ちょうどこの会議が行われるときに、総理大臣指示として、福島第一原発については、真水による処理をあきらめて海水を使え、ホームページにそういう掲載があるわけです。

 これは、先ほどからのやりとりからすれば、総理はこんな指示をまだ検討中だったということになりますね。これ、一体何ですか。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますように、その前に真水の注入が行われて、真水がなくなった後に海水注入をすべきだというのは、私を含めて、その場の関係者の共通認識であったと私は思います。

 ホームページに、十八時、菅総理大臣の指示と書いてあるのは、先ほど申し上げました、海水注入はすべきだ、それに当たって必要なことについて検討してほしいということの指示をいたした、そのことであります。

谷垣委員 これは非常に問題ですよ。

 先ほども申し上げたように、このホームページというのは世界が注視しております。そして、現実に、それを受けて十九時過ぎから、東電は試験注入と言っておりますが、海水を入れているわけですよ。それは、先ほど、総理のところに、官邸には届いてなかったという御説明でしたけれども、それで、現実に、二十四分には、官邸でそういう会議があるからと注入をとめているわけですよ。つまり、それで五十五分間、そこで中断したという事実があるわけです。

 私は、これは、国際的から見ても、何をやっていたのか、わけがわからないということになりますよ。だから、余りにもいいかげんな、都合のいい発表をしているんじゃないですか、そして都合のいい説明をしているんじゃないですか。このことは疑いようがないと私は思います。

枝野国務大臣 御質問の趣旨がよくわからないんですが、三月十二日の時点で、真水が、残念ながら、十四時五十三分にとまってしまいました。そこから、真水はないということで、海水を入れる必要があるのではないかということを共有し、そして、しっかりと、十八時の段階で、総理のもとで関係者と話をした。そして、その時点で、総理が先ほど御答弁されましたように、海水を入れようとすると、これは、パイプなどをつないだりするのに時間がかかるというようなことは、その前の段階からいろいろと東電の側から報告がございまして、あと一時間半ぐらいかかりそうだと。

 そういうことの中で、でも、急いで海水を入れるべきである、ただし、それに当たって、その間にしっかりとさまざまなリスクを検討しろという総理からの御指示がありましたので、海水を入れろということについても、改めてきちっと、東京電力を含めてその場で、海水を入れる、そのリスクについて検討するということでお話がありましたので、その総理の御指示、つまり、しっかりと検討しつつ、急いで海水を入れるべきだという趣旨のことをその時点で公表したものでございます。

谷垣委員 今の官房長官の御答弁は全く理解不能であります。

 これは世界各国から閲覧できるホームページですよ。やはり致命的な捏造をしているんじゃないか。許しがたいですよ、ここは。これは、世界的な日本の取り組みに対する信用もこれで大きく失墜していると私は思いますね。

 いずれにせよ、この時点で、これはさっきから我々とも共通ですが、冷やさなきゃいけない、水を入れなきゃいかぬ、これは全く共通の認識ですよ。恐らくそれを疑う人はいない。しかし、早急に必要な海水注入というものを政府部内の混乱から先送りした、先に延ばした、中断した。これは非常に大きなミスだったと私は思います。このことは、これからもきちっと我々は検証させていただき、追及をさせていただく、このことは申し上げておきます。

 そこで、次の質問に入らせていただきます。

 総理は、地震翌日の十二日の朝に福島第一原発を視察されましたね。そのときに、総理は陣頭指揮をとるとおっしゃっているわけですが、何を、どういうことを指揮に行かれたんでしょうか。

菅内閣総理大臣 十一日に大震災が発生し、そして原子力事故が発生した中で、私は、翌日の早朝に、一つは、地震、津波の被害の状況を、これは上空からですが、視察をしたいと。もう一つは、原子力事故が起きたこの福島第一原発について現場の方ときちんと意見交換をすることが重要ではないか、私はこう考えて、出かけたわけであります。

谷垣委員 要するに、現場をよく実情も把握したい、それから東電の現場も督励したい、こういうことでありますね。

 そこで、震災当日の十一日の二十二時ごろ、これは今までの国会の審議でも明らかになっておりますが、保安院は、ベントを実施する必要があるということを官邸にも進言された。しかし、結局、ベントが実施されたのは、半日以上たって、翌日の午前十時十七分であった。この約半日、一体どういう手だてが講じられて、何が行われたのかというのは、この原発の処理にとってはこれは極めて大きな時間だったと私は思うんです。

 私は、率直に申しますと、総理のこの視察がベント実施の大きな障害となっておくれを招いたのではないか、こう考えております。これが要するに岐路となって後の水素爆発を招き、そのことが後の安定に持っていくのに極めて大きな障害となった、被害の拡大を招いたのではないか、被害者に余りにも申しわけない致命的な行動だったのではないか、私はこのように考えております。

 これについて、総理はどうお答えになるでしょうか。

菅内閣総理大臣 総理大臣という立場は、原子力事故あるいは震災についても最終的な責任を持つ両方の本部長でありますから、そういう意味で、すべてに対して責任がある立場ということはよく私も認識をいたしております。

 ただ、今、谷垣総裁がおっしゃったように、私が視察に行くことが何かベントの開始をおくらせたんではないかという指摘は、この間も多くの場で指摘をいただいていますが、それは全くそういうことはありません。

 いろいろなことはもう既に言われていますが、例えば、十二日の午前一時三十分の時点では経産大臣の方からベントをするようにと何度も指摘をしてきたわけでありますし、その何度も指摘をした中でさらにベントが進まないので、たしか六時ごろに命令という形になったわけであります。

 つまりは、私を含め、あるいは経産大臣を含め、あるいは、先ほど申し上げたように、官邸に詰めていた東電関係者あるいは原子力安全・保安院そして原子力安全委員会、これらの皆さんは、一致して、ベントを急ぐべきだということで、その場から東電関係者にそのことをきちっと伝えるようにということで何度もそういう行動をとったということは、これはこれまでのいろいろな方の発言でも明らかになっている。

 ですから、ベントがおくれた理由は、いろいろ技術的な問題等があったのかもしれませんが、少なくとも私の視察とは全く関係がありません。

谷垣委員 それでは、総理は先ほどのような目的から、現地もよく見たい、それから東電の現場もさらに督励したいということで行かれたわけですが、行くと決意といいますか、行くと決められたのはいつですか。

菅内閣総理大臣 ずっと、十一日の夜もそういったいろいろな状況を把握しておりましたので、最終的にはもちろん直前でありますけれども、十一日の夜ないしは十二日の未明に行くということを決めて、準備をするように指示をいたしました。

谷垣委員 そうしますと、これは防衛大臣にも伺いますが、当然、自衛隊のヘリで行かれたわけですよね。そうすると、当然、防衛省にもそういう連絡が行って、準備しろと。大臣がそれをお受けになったのはいつごろですか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 日付が変わっておりましたから、多分、一時から二時ぐらいの間ではないかというふうに思います。私もあの当時防衛省におりまして、秘書官を通じて官邸からそういう指示があったということで、それに対応するように私から指示を出したということであります。

谷垣委員 今、一時から二時と大臣はおっしゃいました。それから、総理は未明と。だから、日付が変わったちょっと過ぎごろにはそういう決断をしておられたということですね。

 しかし、そうしますと、先ほど二つ理由を挙げられまして、一つは、現地をよく見たい、これは私もわからないわけじゃありません。あのとき、たしか党首会談をして、野党党首も行ったらどうだということを総理から提言を受けた、勧められたことも私は記憶しております。

 ただ、東電がなかなか進まないから、こういうことですが、もうお決めになった時刻に既にベントは進んでいなかったんでしょうか。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、ベントについては、前の日から、圧力が上がれば必要だという認識は、私を含めて、先ほど官邸で対策に当たっていた関係者の一致した意見でありました。そして、一時半には改めて経産大臣の方からもそういったことを発表しております。

 そういった意味では、ベントが必要だという認識は、もちろん、出かける前といいましょうか、いわゆる翌日といいますか、その日の視察の準備をするように指示をする前からベントの必要性はわかっておりましたし、当然、もっと早い時点にベントは行われるもの、そのようにその時点では理解をいたしておりました。

谷垣委員 今までいろいろ議論を伺いますと、ベントすべきだ、ベントしろと言ったのは、やはり大体一時から一時半のころというふうに議論をされておりますし、総理が現地にいらっしゃるという判断も、大体その時点に行われたんだと思うんですね。

 そうしますと、そこで準備をして、明らかに総理がお立ちになった直後に実際にベント作業が開始しているわけですよ。この間の遅滞というのがやはり大きかったんじゃないか。幾ら総理の御説明を伺っても、そこのところの疑念は晴れませんね。

 現地が、大体一時何分に総理が決断されたときに東電がまだそれだけできない、幾ら指示をしてもなかなか現場が動かないからということを今までたびたび答弁でおっしゃっておられるけれども、もう決断されたときにそういう事態だったんでしょうか。

海江田国務大臣 これは事実関係でございますので、私からお話をさせていただきますが、ベントにつきましては、先ほどから総理からお話がありますように、本当に日をまたいだころから、ベントの必要性というのは私どもは認識をしておりました。そして、そこに東京電力の幹部の方がいらっしゃいましたから、まず、やはり東京電力の幹部の方を通じて、口頭で何度もこれはベントをするようにということを言いました。

 しかし、先ほど、この一時半というのが一つのポイントでございまして、今お話をしたように、総理と私、経済産業大臣がベントを一刻も早くやるようにということを言いまして、それから、今度三時の〇六分で東京電力もやりますということを言いましたから、大気中に放射性物質が出ますので、国民の皆様方にも注意の喚起が必要でございますので、私からと、それから官房長官からもお話がございました。そして、当然、私はその時点で、これは総理もそうでありますが、ベントが行われるものだと思いましたけれども、なかなかこれが、ベントが行われません。

 そして、最終的に、六時五十分にいよいよ命令ということにいたしました。このとき、だけれども、総理はもう既に官邸を離れております。官邸を離れておりますけれども、私どもは、総理の言いつけどおり、それから私どもの判断どおり、これは一刻も早くベントをやるべきだということで、一番厳しい命令という形にしたわけでございます。

 そして、今お尋ねのありました、では、その間、総理が第一発電所にいた間、作業が全然なかったんじゃないかというお尋ねでございますが、私の手元の記録では、七時三十分現在の情報としまして東京電力から上がってきまして、一号機のベント操作に向けて電源を復旧するため、仮設ケーブルの設置工事を実施中ということでございます。この時刻はまだ総理は第一発電所におります。第一発電所にいる間に、東京電力は一生懸命、ベントをやるべく、特に電源を復帰させる必要もあったかと思いますので、そういう作業をやっていたということでございます。

 これが事実でございます。

谷垣委員 いずれにしても、やはり総理が現地を視察されるとなれば、東電だってまずそれをばっと優先しますよ。当然のことじゃありませんか。

 いずれにせよ、今のお話を伺っても、六時五十何分に、ベントをせよと命令を出さざるを得ないというので命令を出したとおっしゃいましたね。そのときはヘリの中におられたわけでしょう、総理は。私は、明らかにこれはその時点で足を引っ張っていると思いますよ。大事な時間を、そこに最高司令官が飛び込まれたということで、明らかに貴重な時間を失った。この問題は続けて私どもはやらせていただきますが、やはりこの一番大事な時期に総理が判断を誤ってここに飛び込んだということが、後、取り返しのつかないことになっているわけですよ。

 私がこのことを申し上げるのは、もちろん、そのことによって水素爆発が起こって、そして瓦れきも散乱し、後の処理に非常に大きな問題を残した。そして、さっきの注水の問題にせよ、この問題にせよ、結局は、今、与党の御議論を聞いておりますと、要するに、被災者の支援のスキームも、第一次責任は東電にあるということでいろいろスキームをつくっておられます。しかし、この問題が明らかにならなければ、一体国の関与がどういうことなのかというのはわからないんですよ。この問題をしっかり整理しなければ、被災者支援のスキームもつくれないと私は思います。

 このようなことに対して私どもはさらに追及をしていきますし、しっかりしたお答えがなければ私どもは大きな覚悟を持って臨まなければならない、このことを申し上げまして質問を終わらせていただきます。

黄川田委員長 この際、梶山弘志君から関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 この委員会が先週設置をされまして、黄川田委員長のもとに、今まで懸案の事項が少しでも、一つでも前に進むような建設的な議論がされることを切望いたします。

 まず冒頭に、先般、東日本大震災において命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災をされた方々に心よりお見舞いを申し上げる次第であります。

 私も、原子力に関しましてはこれまで推進の立場で活動をしてまいりました。ですから、今回の事故が起こって、自戒の念を持ちながら対応をさせていただいております。

 自由民主党におきましては、原発事故被害に関する特命委員会というものを立ち上げました。そして、福島県の避難地域になっている双葉郡の八町村、さらには、その隣接地域であります田村市、いわき市を訪問し、首長さん、そして避難をしている方々のお話を聞いてまいりました。大変重く受けとめております。この市町村長さんたちの思いをしっかりと実現しなければならない。そして、そのためには、与野党関係なく、しっかりとお互いに手をとり合いながら、避難をしている人たち、またその地域の人たちのために努力をしなければならないと思っております。

 市町村長さんたちの一番目の要望は、生活の支援であります。

 避難をした方々は、日常を奪われました。仕事を奪われる、家族の団らんを奪われる、家や土地も奪われる、そして将来の見通しもなかなかつかないという状況であります。これ以上の不条理はないと思うんですけれども、この人たちに対して、ことしの年頭の記者会見で不条理を正す政治ということを菅総理はおっしゃっていますけれども、こういった状況を見てどういう感想をお持ちか、また、どういう方針で生活支援を行っていくか、お聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、発災以来、それぞれの被災地を訪れ、また、避難されている皆さんの避難所にも足を運び、知事、首長、あるいは地方議会の議員さんはもとより、直接の被災者の皆さんからもいろいろお話を聞いてまいりました。

 今、梶山議員が言われますように、全く当事者には責任のない原因、それは地震であり津波であり、また原子力事故でもありますけれども、そういうことによって大変な苦難な状況に多くの方が追い込まれている。このことは、それぞれいろいろな仕組みや何かはあるにしても、最終的にはやはり政治がしっかりと、こうした皆さんがきちんともとの生活あるいはしっかりした生活に戻ることができるように、全力を挙げて、責任を持って取り組まなければならない。それには、もちろん内閣はもとよりでありますが、国会を挙げてのいろいろな御意見をいただき、御協力をいただいて、できるだけ迅速にそういったことが実現するよう努力したい、こう考えております。

梶山委員 先ほど申しましたように、避難をしている市町村を回ってまいりました。そしてその後に、四月の初旬に海江田経済産業大臣に要望書を提出いたしまして、そして、回答は四月の半ばにいただきました。

 その中で一番大きな要望は、先ほど言いましたように生活支援、特にお金なんですね。着のみ着のままで出てきた。とるものもとりあえず出てきた。そして、ある町長さんは、ポケットに二千円しか後で気がついたら入っていなかったという話をしておりました。三月半ばに避難をする、そして、町や村が無利子で五万円から十万円の融資というかお金を貸す、それだけでしのいできたわけでありますけれども、四月になるとお金がかかるんですね。子供さんの進級、進学、そして、また転居もあるかもしれない。そしていろいろなお祝い事もあるかもしれない。そういったときに、東電が仮払いをできないのであれば国が肩がわりをして払ってくれというお願いをしましたけれども、残念ながら、東電の仮払いまで何もありませんでした。東電の仮払いは四月の末から始まったわけでありますけれども、これで何もなかったかというと、それぞれに苦労をしながらお金を工面して四月の上旬を乗り切ったものだと思っております。

 余りにも遅いんですね。対応が遅い。これは私たち野党議員だけじゃなくて与党の議員の皆さんも、多分、被災地を回って、そしてその実情を政府に伝えて、またこういう委員会審議を通じて要望をしているかと思いますけれども、やはり政府と議会の間に隔たりがある、そして実際の感覚とは隔たりがあると感じざるを得ません。

 ですから、もう少し、生活に関するもの、お金に関するもの、実態をよく見て、しっかりと政府が肩がわりをするんだという意識を持っていただきたいんです。口を開けば、一義的には事業者である東電の責任である、ですから東電の仮払いを早くするように今要請をしているところだということでありますけれども、その間に干上がっちゃうんですね。生活ができない人もいる。商売もできなくなる人もいる。

 この前、四月末に百万円の仮払いが始まりましたけれども、まだ対象世帯の半分ぐらいしか払っていないと思います。そして、今の炉の状況を考えますと、ことしいっぱいは地元に戻れない可能性がある。ということは、もう一回仮払いもしなくちゃならないということにもなるわけであります。

 その時々でしっかりと自由に使えるお金をということで、市町村に対して電源三法交付金などを柔軟運用してほしいというお願いをして、それも実施をしていただきましたけれども、一人一人の要望に対して、手をとるように、そして手を携えるようにこたえていってほしい、これが生活者の実感であります。このことについて、海江田大臣、菅総理からもまた一言御意見を賜りたいと思います。

海江田国務大臣 梶山委員にお答えをいたします。

 梶山委員は私どものところにわざわざお見えいただきまして、そして今お話をいただいたこと、るる御意見をいただきました。

 そこで、私どもとしましても、今できましたことは先ほど委員からお話のあったとおりでございまして、これでまず、避難を余儀なくされた方々への支払いが、土曜、日曜は銀行振り込みができませんものですから、ただ、五割を超えて、恐らく六割超になろうかと思います。今度はっきり、最初のときはやはり、皆さん方、方々に避難をされておりますので、この名簿の確定などに大変時間がかかったということは事実でございます。それが、市町村の協力もいただいてその名簿ができまして、これはほぼ九割以上、支払いの請求はもうございましたので、今後は加速度的に進んでいくと思います。

 そして、せんだって、まず審査会の第一次の指針で、農水、漁業の方々、この方々への支払いが決まったところでありますから、これをとにかくこの五月中にまず第一陣をお支払いしてくださいということで、既に農協、漁協の方々と協議が進んでおりますので、これが五月中にまず第一陣の支払いが行われるかと思います。そしてその後、今度は中小企業ということになりまして、これも今、市町村あるいは県が間に入っていただきまして、商工会議所あるいは商工会などとその手続について、協議会をつくって協議をしているところでございます。

 委員御指摘のように、一刻も早くこれができるような政府としてのバックアップ体制も整えていきたいと思っております。

菅内閣総理大臣 おっしゃるとおり、被災者の皆さんからすると、本当に着のみ着のままで出られたわけでありますから、そうした中で、仮払いが遅いあるいは義援金の配付が遅い、そういう御意見を多く聞きました。

 今、海江田大臣の答弁もありましたが、今後、例えば二度目、三度目となる場合の仮払いはもっと迅速にやらなければなりませんし、また、いろいろ義援金なども自治体には届いているという話もありますが、できるだけ一人一人の被災者に届くように、そうした地方も含めて一層督促をしてまいりたいと思っております。

梶山委員 どうも感覚が違うんですね。大企業同士で、お金の余裕のある会社の取引で入金をする、二カ月、三カ月待ってください、では、うちは売り掛けにしておきましょうというような話ではないんですね。

 ですから、農家であれば、今度は、出荷ができなければ現金収入がない、生活が困ってくる。漁業に従事している人たちであれば、漁業に出漁することができない、そして、とってみてもセシウムが検出される、それであれば出漁自粛ということになりますけれども、この間の収入がない。では、金融措置をしましょうということで、きょうはおいでになりませんけれども、農水大臣から一度お話をいただいたことがありました。

 感覚的に、自分たちは一切悪いことをしていないのに、自分たちの責任に始まるものではないのに、借金をふやしていく。特に、累積債務者などにはこういう場合であっても非常に貸しにくい状況がある中で、どうしたらいいのかというのが、一般の人たちというか、そういう地方の人たちの意見だということをぜひ肝に銘じていただきたいと思います。

 JAとまた茨城県の漁連が、それぞれ団体で被害をまとめて東電に提出をいたしました。JAは、三月分だけで十八億四千五百万円の請求をしています。そして漁連は、三月分でやはり四億二千五百万円の請求をしているということなんです。一カ月分でこれだけですよ。そして、その底辺にはたくさんの方がいるということなんですね。そして、毎月毎月しっかりとした支払いをしてもらえるのかどうかもわからない、のれんに腕押しだという答えも返ってくる。

 しかし、まだどんどんどんどん、漁業被害、魚価が下がって漁業には大きな影響がある、野菜も下がって農業にも大きな影響がある。また新たな課題として、茨城の名産であるお茶にセシウムが検出をされて、出荷自粛をしなくちゃならないというような問題も出てきた。

 そして、福島県境の大子町というところがあるんですけれども、ここに袋田の滝という名瀑があって、ふだんであれば、ゴールデンウイークにはたくさんの人がおいでになるんですけれども、四月末から五月にかけてのゴールデンウイーク、昨年比でどのぐらいかというと、昨年の三二%しか人が来なかったというんですね。

 人が来てお金を落とす、そのことによって幾重にも地域の経済が成り立っているということも考えると、これは風評の範疇に入るんでしょうけれども、風評に関しては七月ごろ決めて秋口ぐらいから支払いが始まるというような、余りいい感じじゃない新聞記事が出ていましたけれども、こういうことも含めて一人一人の生活をどう助けていくか、そして、住民、一人一人の国民と行政のすき間を埋めていくことが政治の責任じゃないかなと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

高木国務大臣 梶山委員にお答えをいたします。

 今お話がありました、まさに今回の事故によって被災をされておられる方々の日々の生活、本当に深刻なものがあろうと推察をいたしておりますし、そういう中で、地元としていろいろまたお世話、活動もされておられる委員初め皆さん方には心から敬意を表する次第でありますし、改めてお見舞いを申し上げます。

 先ほどの審査会でございますけれども、我々は、一刻も早く被災者の保護、救済に当たらなきゃならぬ、そういう思いで今対応しておるところでございます。

 既に出されました第一次指針におきましては、これは、政府の指示によって避難を余儀なくされた方々、あるいは農産物など出荷停止を余儀なくされた方々、こういった方々に対しては賠償の対象となることを明らかにいたしております。

 第一次指針の対象となっていない、いわゆる風評被害については、被害が大変広範囲の産業にわたっておりますし、さまざまな、多種多様な課題もございます。

 したがいまして、どこまで含まれるか、いわゆる範囲については、本件事故との相当因果関係、こういったものの観点からさらに調査をしなきゃならぬ、あるいは事故の実態も調べなきゃならぬ、そういうことになりまして、さらに検討することになったところであります。

 したがいまして、こういう風評被害につきましても、私たちは、調査検討を踏まえて、できるだけ早く賠償の範囲を含めて次の段階の指針に反映していただきたい、このように私は考えておるところでございます。

梶山委員 その第二次指針を待つまでに、どれだけの人が商売をやめたり、またその地域を離れたりということになるかということをよくお考えいただきたいと思います。よく民事の裁判でも、結論が出る前に寿命になって命を落とされる方がいますけれども、法律でくくって、指針に基づいて、原賠法に基づいてということだけでは、やはり日々の生活は助けられない、人の命は助けられないということを、ぜひ政府の皆様には肝に銘じていただきたいと思います。

 先週金曜日、東電の三月期の決算が発表をされました。一兆二千四百七十一億円の損失を計上した、赤字ということであります。事故による特別損失を計上し、また、賠償金はこれには計上していないということであります。そして、これらを見て、今から請求をして、本当に自分たちに支払いをしてもらえるんだろうかと不安になっている方がおいでになるわけでありますけれども、原賠法には三つ入り口があるわけであります。

 一つは、民間の保険会社との契約。これは一般的な事故ということであります。

 二つ目が、これは国との補償契約ということで、民間の保険会社が免責になった場合、地震であるとか津波であるとか、そういったことになった場合には、今度は国との補償契約、積立金をして、それが千二百億円の範囲でまた戻ってくるということであります。

 そして三つ目は、第三条第一項のただし書き、巨大な天災地変が起こった場合、社会的動乱が起こった場合ということですが、ただし書きは今回は採用しないということでありますから、民間のものもだめということで、国との補償契約ということになるわけでありますが、この一千二百億円というのは手続上いつ支払われるものでしょうか。

海江田国務大臣 私どもがこの損害賠償の仕組みをせんだって関係閣僚で決定をしたところでございます。そして、これをこれから法案にして、国会の御承認をいただくということでございます。その全体の中でしっかりとした補償が行われると思っております。

梶山委員 支払いの窓口は東電になるわけでして、東電にこの一千二百億円が支払われるというのは、通常だと、確定をしてから、全部が終わってからということになろうかと思いますけれども、今回の場合も同様でしょうかという質問です。

海江田国務大臣 これは国が法律によって既に約束をしていることでございますから、先ほど来お話をしております各種の仮払いも、東京電力とすれば、当然国から出てくるその千二百億円ということをまず念頭に置いての仮払いだと私は承知をしております。

梶山委員 ですから、この一千二百億円、まだ東電には入っていないんですね。それで巨大な赤字を計上する、そしてまた、毎月のようにいろいろな請求が来る。今度新しく指針に入るもの、もし風評が入れば風評についても請求が来るということでありますから、枠だけでいいますと、一千二百億円を超えるものも無限責任で東電の責任になるわけでありますけれども、政府が場合によっては支援をするという法律の解釈で今度の支援のスキームができたものと承知をしております。

 先々週の金曜日に発表をされたわけでありますが、このスキームについて、法案はいつ提出されるんでしょうか。

海江田国務大臣 先ほどお話をしました五月十三日の関係閣僚会議の決定では、できるだけ早く速やかに所要の法案を国会に提出することを目指すということにしてございます。

梶山委員 まだ閣内が一致していないと思うんですね。いろいろな意見が出ている。最終的には一致をさせて提出してくるんでしょうけれども。

 枝野官房長官も、場合によってはという選択肢の一つでしょうけれども、債権放棄というものも、特に金融機関の債権放棄というものも考えなければならないということもおっしゃっていますけれども、これは法案を提出する条件になるんでしょうか。

枝野国務大臣 私は、金融機関等がそうしたことを行わなかった場合に国民の理解を得られると思うかというお尋ねがございましたので、私の認識として、国民の理解を得ることは難しいのではないかということを申し上げたものでございます。あくまでも東京電力においてさまざまなステークホルダーとの関係で御協力を求めて、そしてその御協力いただいている状況については政府に御報告をいただいて、それを国民の皆さんに政府として公表する。そして、大きな意味では、民主主義ですから、国民の皆さんの御理解を得られないことはなかなか進みませんねということを申し上げたものでございまして、条件等というような思いは全くございません。

梶山委員 こうやってとめている間に東電が債務超過になる可能性というのはないんでしょうか。そういった東電の財務状況は、だれが内閣の中で注意をして見ているということになるんでしょうか。

海江田国務大臣 私は経済産業大臣という立場もございますが、同時に原子力の経済的な被害についてしっかりと責任を持つようにということで、総理から、特命担当大臣になっておりますので、この法律の取りまとめも私の責任でございますので、私がしっかりと見ているということでございます。

梶山委員 東電もまだまだだと思いますけれども、絞れるところまで絞って、そしてまだ上場を維持するのであれば、最低限の市場の信頼が得られるような財務内容でなければならないと思いますけれども、そうじゃない手法もあるかもしれません。

 先般、決算と同時に、資産の売却、そしてリストラといいますか、RアンドDをやめたり、また人員の削減等々で一兆一千億円を捻出したという記事が一緒にありましたけれども、東電がいろいろ努力をしてくる、これでもかこれでもかというふうに努力してくるかどうかわかりませんけれども、これから出てくる可能性がある。

 でも、まだだめだ、まだだめだと言うだけでは、なかなかやはり、債権者の方々もそうですけれども、今から東電に請求しようとする人たちも不安になってきてしまうんですね。どこまでやればいいのか、そろそろもう明示されてもよろしいんじゃないでしょうか。

海江田国務大臣 この東京電力のリストラの努力に対する評価でございますが、今私どもは第三者機関をつくろうとしております。法律の専門家あるいは財務の専門家、あるいは企業経営のベテランと申しますかそういう方でも私はいいと思いますが、公平中立な立場からしっかりそういう方々に東京電力の財務の中身を含めまして見ていただきたい、リストラの進捗をチェックしていただきたい、そう思っております。

梶山委員 ということは、今国会にこの法律案を出せるんですか。今からその第三者機関をつくる、そして東電の財務内容を見てもらう、そしてそのことによってこのスキームを推し進めていくということになると、それが出てからということになりますよね、大臣。

海江田国務大臣 この第三者委員会によるチェックというのは、これは何も法律を出す前にそれがなければ、最後までしっかりとでき上がっていなければいけないというものではないと私は判断しております。

梶山委員 それでは、法律提出を阻害している要因というのは何なんでしょうか。

海江田国務大臣 私は、できるだけ速やかにということで今その準備をしているところであります。

梶山委員 今国会中に提出をして、成立をさせるということでよろしいんですね。

海江田国務大臣 最大限そのように努めたいと思っております。

梶山委員 先ほど、政府と国民の意識の隔たりを言いましたけれども、最大限努力する、全力で頑張る、そういう話ばかりなんですね。皆さん、結果を求めているんですよ、結果を。そのことによって、今度は風評被害であるとか、また損害を受けた人たちの支払いに回るということですから、その人たちも今か今かと待っているというのも現実であろうかと思います。

 ですから、一回、断言をしていただきたいんですね。総理でもよろしいですし、海江田大臣でもいい。この国会でしっかりと成立をさせる。何も東電の味方になるわけじゃない、今から請求する人たちに安心感を与える、そして最後の最後まできちっと国が面倒見るんだよという意思表示だと思います、これは。そういうことで、もう一度回答願います。

菅内閣総理大臣 私は、今まさに梶山委員が言われたように、私たちが一番考えなければいけないのは、やはり、被害者といいましょうか被災者といいましょうか、そういう皆さんに最終的にきちんとした補償が行えるということであります。

 と同時に、それに向かっていろいろな形で、例えば、東電が第一義的な責任があるということは明らかでありますが、どこまでの自主努力を行われるのか、こういったことも国民全員が見ているわけであります。

 そういった、決して、私たちがいわゆる企業を救うために何かこういうスキームをつくったというふうに誤解されることがあってはならない、こう思っておりまして、そういうことを含めて、今しっかり経産大臣の方で、スキームの最終的な形でどのような法律が必要になるのか、検討をいただいているところであります。

梶山委員 先ほど来言っているんですが、やはりスピードが問われているんですね。この補償に関しては、的確にというか確実に、かつ迅速になんです。

 みんな、命がかかっているんですよ、生活がかかっているんですよ。そして、その地を離れなくちゃならないかもしれない、また商売もやめなくちゃならないかもしれない、子供も進学をやめさせなくちゃならないかもしれない、学校をやめさせなくちゃならないかもしれない、そういったことなんですよ。予算をつけるのに何カ月も議論をして来年度の予算を審議するというような話じゃないんですね。これこそ総理の言う政治決断だと思います。

 私は、浜岡の政治決断、これも本当に危険であればとめるべきだと思いますけれども、科学的な合理性が余りないような気がいたします、ほかの地域にとって。ほかの地域だって地震の可能性はある。しかし、浜岡だけが地震がある可能性が強いということで、この前おとめになったわけです。

 そういったことも含めて、しっかりとやはり政治が責任を持つんだということで取り組んでいただきたい。そうじゃなければ、やはり被害者の方は救われませんよ。

 やはり政治に対する怨嗟の思いがあるんですね。それは我々に対しても同じです。与野党の別なく、政治は何やっているんだという声が聞こえてくる。与党の議員の皆さんも、多分、被災地に行けばそういう声が返ってくると思います。そのために今一生懸命やりたいということですけれども、何となくもどかしさも感じているんではないかなという気がいたします。

 ぜひ、これは菅総理の政治的決断で、このスキームを早くつくるか、それとも政府の仮払いの仕組みをまたこれもつくるか、そういう形で被害者、被災者の方を助けていただきたいと思います。

 最初に申しましたのは、市町村長さんたち、まず生活の支援をしてほしいということで、この話をさせていただきました。

 もう一つ、同じくらいの思いで言ったのは、健康被害に気をつけてほしいと。というのは、東電のあの現場で作業をしている人たちも、あの地域の人たちが大半なんですね、我々の地域の住民だ。ですから、そういう方たちが放射線被害をこうむらないようにしてほしい、内部、外部問わず被曝をしないようにしてほしい。

 さらにはまた、情報を明確にして、一般の人たちにもそういうことのないようにしてほしいということでありました。

 原子力というのは公開が原則です。いつも原子力で問題が起きるときは、情報隠ぺいであるとか、そういったものがその事故以上に大きく取り上げられてしまうわけであります。我が国最大の原子力発電所の事故であります。こういったときに、いろいろな情報が錯綜する、そして誤った情報が伝えられる、また消極的に、情報を出さない、こういうことがないようにしていただきたいと思います。

 と申しますのも、SPEEDIというシステムがありますけれども、これは放射性物質の拡散するものを予測するシステムでありますけれども、これが現実には使われなかったということであります。三月二十三日と四月十一日の二回しか公表されておりません。その後、細野首相補佐官が四月二十五日に記者会見をして、過去にさかのぼってすべて見られるようにしますよと言いましたけれども、過去にさかのぼっても意味がないんですね、こういうものは。

 避難の情報にもなる、被曝回避の情報にもなる。そういったものが、数十億円かけて、場合によっては数百億円かけてつくったシステムが、こういうときに生かされていないということなんです。一つ情報の入力ができないからということでしたけれども、逆算をしながら大体拡散の地域というのは当てているんですね。これが公表されませんでした。

 きょう、皆さんのお手元にある資料をごらんいただきたいと思います。ところがです。「首相視察前に飛散予測図」という見出しで、五月二十日金曜日に、日本経済新聞の二面に掲載をされていた記事であります。三月十二日の午前一時ごろ、このSPEEDIの試算に基づく予測図が首相官邸に届いていたことが明らかになったということであります。福山副長官もそれをお認めになった。

 翌日の日経新聞には、枝野官房長官もこの事実を認めるとともに、ただ一方では、この情報が総理や官房長官、また危機管理監には届かなかったということも明らかにしているわけであります。

 三月十二日の深夜、これが届いているということは、総理に届かなくても、総理がヘリに乗って現場に行くときに、風の向き、飛行航路というものを考慮するのに使ったということはありませんか。そういう勘ぐりをしたくなってしまうわけであります。

枝野国務大臣 SPEEDIについては、何度か申し上げておりますとおり、残念ながら、私を含めて官邸の危機管理センターの幹部のところには、御指摘されている十二日の未明のデータが届いていなかっただけでなく、私はその数日後、正確な日にちは調べればわかりますが、きょうは調べてきておりませんが、数日後に、SPEEDIというものがあるそうで、これを使ってデータの分析とかしていないのかということを福山副長官などと尋ねたところ、よく言われておりますとおり、これは放出放射線量がわかっているときに、それに基づいてその分布、飛散の状況を推測するものなので、今回はそれがわかっていないのでやっていませんという答えがありました。

 私の方から、今御指摘いただいたとおり、逆に、放射線量が周辺地域で幾つもわかってきているんだから、それに基づいて逆算すれば一定程度推測できるんじゃないかということを指示しまして、それに基づいて、三月二十三日だったでしょうか、ようやく最初の紙が出てきた。その後も、そういったことしかできていないということでございましたが、四月の半ばだったと思いますけれども、下旬だったかもしれません、ごろになって、実は、例えば一単位を仮置きしてとか、あるいはアバウトに推測した数字に基づいてというものが計算されていたということがあったという報告がされましたので、それは何だということで、直ちにそれを公開するようにということを指示したものでございます。

 したがいまして、こうしたデータがあること自体を把握していなかったものでございますし、さらに、総理の視察等との関係でいえば、危機管理センターにおいては、総理の視察とは関係ございませんが、その後、ベント等についていろいろと、風向きはどうなんだというようなことの問題がございましたが、その間、危機管理センターのオペレーションルームの幹部のところでは、気象庁もここに入っておりますので、気象庁に対して天気の予想はどうなっているんだ、風向きの予想はどうなっているんだというようなことをそこで議論しておりますので、こうしたことは前提となっておりません。

梶山委員 知らなかったということを威張られても困るんですね。一応官邸に届いているわけですから、これはやはり官邸が気づかないままに終わってしまった。官邸で、余り取り上げないのであればいいのかなという思いになったかもしれません。

 でも、これは、役に立つのは三月の二十日前後ぐらいまでなんですね。水素爆発があって放射性物質が拡散をしていく。一番ピークがその爆発から二十日、二十五日ぐらいまでということで、これに基づいて避難をする、また、小さなお子さんも含めて被曝の回避情報になったはずなんですね。もし、これから内部被曝も含めていろいろな検査がされていくんでしょうけれども、そういったところで検出をされれば、このことが大きな失点になるのではないかなという気がいたします。これは、政府の失点というよりも、このSPEEDIを活用できなかったということでやはり責任をとる方が出てくるのではないかなと私は思っております。

 内部被曝というのは特別な機械ではかるわけですね。ホール・ボディー・カウンターという機械、それほどないと聞いておりますけれども、今線量計で外部被曝があるかどうかを確認していますけれども、内部被曝については、日がたってしまったということもありますけれども、正確な検査というものをしていないと聞いております。それぞれの原子力の立地地域の病院にはこのホール・ボディー・カウンターがあるし、また移動用のものもあると聞いておりますけれども、こういった検査も含めて、住民の健康被害、放射線被曝の被害がないように、これも徹底をしていただきたい。

 市町村長さんの思いは、先ほど言いましたように、避難しているんだから、もうあすがわからない、また、しばらく先もわからない、その生活の支援をしっかりしてくれよ、あわせて、痛いほどわかるんですけれども、住民、市民、町民、村民の健康を守ってほしい、内部被曝、外部被曝がないように、放射線の被害がないようにしてほしい、こういう切実な思いがあったわけであります。ですから、先ほど申しましたように、政府の思いとは少し隔たりがあるなという思いがいたします。

 毎週末に皆さんそれぞれに被災地を訪問しているわけでありますが、通り一遍の視察じゃなくて、やはり本音で話して、そういったことを酌み取って、ぜひ対応策を考えていただきたい。お願いをする次第であります。

 そろそろ終わりかと思いますけれども、最後にもう一つだけ質問をさせていただきます。

 四月十七日に工程表が発表されました。そしてその後、昨週ですけれども、改訂版が発表をされたわけであります。これは、四月の半ばは、炉が健全であるということ、圧力容器、格納容器が健全であるということ、そして、幾分損傷はしているけれども燃料もまだ存在をしているという前提で水棺という方法をとったわけですけれども、現実にはメルトダウンをしていた。でも、やらなくちゃならないことはたくさんあるわけですけれども、後ろの日程は同じだということなんですけれども、こんないいかげんなことでいいんですか。

 専門家に聞きますと、そう簡単じゃないぞと。今度は下で固まっている、表は冷えているけれども中は熱くなっているぞ。そして、高濃度の汚染水の処理をどうするのか、保管先も含めて、処理も含めてしっかりとやらないと、また海に流出するようなことになる。案の定、やはり先週海への流出もありました。またこれは、漁業をしている人たちが心配をする種であります。

 こういったことをしっかりと、一つ一つ、地に足をつけて課題を見据えて対応してほしい。心よりお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、額賀福志郎君より関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。額賀福志郎君。

額賀委員 先般の予算委員会の災害問題についての集中審議におきまして、私は、国会に特別委員会を設けてしっかりと議論をして、被災者の立場に立って我々は国民の期待にこたえていかなければならない、あるいはまた国際的な責任も果たしていかなければならない、そういったことを申し上げて、先週からこうした特別委員会が設けられたことは、まことに意義のあるものと思っております。

 まず最初に、これは谷垣総裁、みんなそうでありますが、大震災から七十三日が経過をいたしました。改めて、大震災に被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々に対しまして心からお悔やみを申し上げる次第であります。

 また、黄川田委員長におかれましては、かけがえのない御家族を亡くされ、本当にお見舞いを申し上げると同時に、その悲痛な思いを克服して、国家国民のために公正な委員会運営で国民の期待にこたえていっていただきたいと念願するものでございます。

 自由民主党は、もとより、国民生活の安定と社会の発展に全力を注ぐ責任政党、国民政党でございます。今回の震災に対しましても、常に被災者の立場に立ち、また国民の目線で議論をし、そしてまた政策を提言し、活動してきたところでございます。

 今回の大規模な原子力災害に関しましては、長年原発を推進してきた我が党といたしましては、千年に一度の津波の来襲に抗し切れなかったこと、予備電源の確保など危機管理に不備な点があったこと、これは若干自戒の念を持つものでございます。

 今後は、さらなる原子力の安全確保と将来のあるべきエネルギー供給政策を考えていかなければならない。また、政治と国会の責任において、被災者、避難者が真に望んでいる実効性のある対策と将来に夢の持てる東日本の再生、そしてまた、日はまた上る、日本の未来を、日本の成長を考えていくことが我々の責任ではないかと思っております。

 総理、私は、先ほどの谷垣総裁とのやりとりを聞いておりまして、政府の判断のミスあるいは手順のミスがあったのではないか、それが今回の原子力被害の拡大を起こしてきたのではないか、そんな確信を持ちました。

 なぜならば、一号機をつくったGE関係者や原子力の専門家たちは、地震によって制御棒が作動した後、津波で電源がストップした場合、電源を復旧することが一つ、二つ、冷水をかけること、格納容器の圧力を下げて水素爆発などを防止すること、この三つの条件は何としてもなし遂げていかなければならないことであります。東電においても、あるいは安全委員会においても、この事故の際のマニュアルは書かれているものと思っております。マニュアルどおりにやっていれば水素爆発は防げたのではないのか、そういうことをアメリカの方々や原子力専門家の皆さん方が言及していることは、私は注目していかなければならないと思っております。

 菅総理にお尋ねします。

 福島第一原発の事故が、今言ったように、チェルノブイリ事故のレベルにまで拡大したことの犯人捜しをするつもりは私はありませんけれども、ベントの問題や海水注入の時期などが適切であったかどうか、これは、先ほどの議論もありましたけれども、事実関係をきっちりと明らかにしていかなければならないと思っております。そのために、すべての情報を、隠ぺいするのではなく、オープンにしていく必要があると思っております。

 最終的には、総理、事故処理の経過あるいは判断ミスとか手続のミスとかあった場合においても、すべては本部長である総理が担うべきものと思っております。この点についてはいかがですか。

菅内閣総理大臣 三月十一日に十五条の状況が発生し、原子力緊急事態を宣言し、そして原子力災害対策本部を法律に基づいて立ち上げ、私が本部長となりました。そういった意味で、この本部長という立場からも、もちろん内閣総理大臣という立場からも、今、額賀先生が言われましたように、この問題において最終的な責任、それはその本部長である総理大臣にある、私にある、こう認識をいたしております。

額賀委員 私は、それは当然だと思っております。

 その意味で、国会においても、政府においても、この原子力事故の具体的な事実関係を明らかにしていく責任がある。そして、最終的にはこの責任はだれが負うべきかということについては、総理大臣が負うべきだし、これを菅総理もきちっと自覚をなさっていることで、今まで民主党政権において、どうも責任は他人になすりつける、そういった傾向がなきにしもあらずだったので、そこを明言していただいたので、しっかりと今後、事故究明に当たって頑張ってもらいたい。我々も国会の場でしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

 先ほど、谷垣総裁とのやりとりの中で、菅総理は、福島の原発サイトに出かけた理由について、東京、官邸にいたのでは判断ができないことがあるということを発言しておったと聞いておりますが、じゃ、東京、官邸で判断できないことは何だったのか、そして福島のサイトで見たことによってどう判断が変わったのか、その点について簡潔にお答え願いたい。

菅内閣総理大臣 判断ができないという表現をしたかどうかあれですが、例えば、非常に重要なことでいえば、ベントについては相当早い段階から、東電関係者も含め、安全委員会も含めて、そして私や海江田大臣も含めて、行うべきだということを何度も指示したにもかかわらず、結果としてそれが行われることが極めておくれた。官邸からの報告は、直接は東電本店の方にこちらに来ていた東電の担当者、責任者から伝わっているわけで、しかし、それが本店から現場の福島第一原発の方にどういう形で伝わって、何が理由でそれがおくれているのかということがそれを通して戻ってくるかというと、そういうことがなかったわけです。

 ですから、私たちとしては、あるいは私としては、現場の状況について把握するためには、一度はやはり現場に出かけて、その現場の関係者ときちっとした話をしておくことが重要だと思いましたし、事実、その後の展開の中では、やはり現場の所長に会って話ができたことは大変その後の対策を進める上で有効であったと思っております。

額賀委員 我々が阪神・淡路大震災のときは村山政権でありましたけれども、村山総理が全責任を負う、副本部長の小里防災担当大臣が全責任を負うという形で、あらゆる情報を一元的に集約して、てきぱきと判断を下し、指揮命令系統をはっきりさせた上で、あの難局を乗り切ったということであります。

 あなたの場合は、指導力がなくて、現地に行かなければ情報が集まらないということだったのではないですか。そういうことを考えると、やはり最高司令官はきっちりと全体を見て情報を集めて、判断をきちっとしていくことが本来の姿であろうと思っております。

 問題をかえます。

 総理に伺います。二十六日からフランスでG8サミットが開催されます。菅総理はG8諸国や国際社会に対して、震災、原発事故について一定のメッセージを伝えていかなければならないと思っております。

 しかし、残念ながら、国際社会においては、日本政府の震災や原発事故に対する初動のミスというか失敗等によって、日本はリーダーシップに欠けるんじゃないか、原発処理について適切にやったのかどうか余り理解が得られていない。むしろ不信感が生まれている。例えば、放射線の実際の検出に当たっても、IAEAは、土壌の場合なんかは一センチぐらいの表土を検出する。日本の場合は、一センチから五センチぐらいの表土をとって、どうしても出てくるデータが甘いものになる。国際社会はみんな、日本のデータを信頼していないわけであります。

 阪神・淡路だけではなくて、チェルノブイル事故が発生した一九八六年の東京サミットでは、中曽根元総理が議長としてリーダーシップを発揮しまして、東京宣言とは別に、ソ連政府に情報提供を求めるとともに、原子力事故に際しまして報告と加盟国に情報交換を義務づける国際協定の締結を求める、チェルノブイリ原子力事故の諸影響に関する声明を取りまとめました。この宣言を受けて、一九八六年十月には原子力事故の早期通報に関する条約が発効しています。

 国際社会が注目する原発事故について後手後手の対応をすることは論外であり、また、この際、菅総理は、国際社会について一定のメッセージを発信すべきだと思っております。どういうことを考えていますか。

菅内閣総理大臣 一昨日、昨日と、まず日中韓の三カ国のサミットを行いました。この中でも大きな課題が今回の原子力事故を含めた問題であり、私の方から、今、額賀議員からもお話がありましたこととも共通しますけれども、この事故の教訓といいましょうか、いろいろな事実関係をそれらの国を含む国際社会と完全に共有して、そしてより安全な原子力というものを目指していく、そのためのそれぞれの共同の活動をとっていこうということを決めたところであります。

 基本的には、G8の中でも、一つはこの間の支援に対するお礼、そしてこれからの徹底的な究明、そして、より安全な原子力というものを目指していくと同時に、私は、これまでエネルギーとして化石燃料と原子力を大きな柱としてきたわけでありますが、この二つの柱に加えて、自然エネルギー、省エネ、この二つの柱を加えた形を進めていく、このことは我が国だけではなくて世界にとっても大変重要なことであろう、こういったことをぜひ申し上げてまいりたい、このように考えております。

額賀委員 私は、菅総理、大変失望しています。非常に心もとない答弁だと思いますよ。世界各国に対してお礼を申し上げるとか事故究明をするなんというのは、国際社会においても我が国においても当然のことです。それから、エネルギーの供給対策について、化石燃料とか、あるいはまた自然エネルギー、再生エネルギーをふやしていこうというのも、みんな常識ですよ。

 むしろ、これだけの原子力事故を起こした以上、そして原子力発電に頼っている国々はたくさんあるわけです。発展途上国というか新興国においても、エネルギーを原子力発電に頼ろうとする国がふえようとしております。何が必要かというと、原子力の安全についてきっちりとしたメッセージをつくるということではないですか。

 その意味で、アメリカやフランスから応援を得てもいるわけであります。総理、この際、中曽根総理がやったように、早期通報条約とか国際緊急援助条約等について見直しをして、事故が起きた場合に原子力の先進国が協力して、IAEAなどの国際機関を中心にして原子力災害の協力体制をつくり上げていく、そういうことを我が国がきっちりと発信すべきじゃないですか。それが国際的な責任を果たそうというものだと思いますよ。答えてください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げることがちょっと不足しましたけれども、まず、IAEAが我が国に調査団を近く派遣してまいります。そして、六月にはIAEAの閣僚会議が開かれ、その時点までにはIAEAに対して報告書を提出することになっております。

 御承知のように、IAEAは、国際的な原子力安全の一番中心的な役割でありますので、まずそこを通しての情報開示と、今お話があったような、今後の徹底した調査を踏まえた安全性の確保というものを図っていきたい。もちろん、個別には、中国、韓国に限らず、この間、アメリカ、フランス、他の国々ともそうしたことの必要性を話しておりますので、G8の中でもしっかりと話し合っていきたい。

 その中で、今、早期の通報システム、これは実は中国、韓国との間でも、特にここは隣国でありますので、そういうお話も出ました。現在の仕組みが今回の事故の検証の中で十分でない部分があるということの指摘があれば、そういった問題でもしっかりと改革に取り組みたい、こう考えております。

額賀委員 私は、総理、原子力の安全確保は、これだけの事故を起こした日本がリーダーシップをはっきりして国際的な枠組みをつくっていく、そういう気概をぜひサミットまでにつくり上げて提案をしていただきたい。

 今、IAEAの調査団が来ておられるということを言いました。と同時に、六月に総会がある。きょうの新聞によると、政府報告書をまとめているけれども、マスコミにはノーコメント、つまり国民にはノーコメントで、何をやっているかよくわからない、そんなことが報道されていますよ。私は、こういうことは何も隠す必要はないんだと思いますよ。きっちりと大きな目標に向かって、やはりオープンにして、国際社会の理解を得、しかも、なおかつ国民にも納得ができるような、そういう姿勢でぜひ臨んでもらいたい、そういうふうに思っております。

 また、原子力問題についてはまた後で戻りますけれども、先ほど我が党の谷垣総裁との間で、復興基本法についていろいろな議論がありました。

 まず、自民党の基本法の提案者に対してお聞きしたいと思っておるんですが、先ほど自民党のメリットというか特徴を挙げられました。自民党の立場から見て、政府案について、どういうところに弱点があるのか、問題点があるのか、そういうことについて御説明いただければありがたい。

石破議員 言葉を選ばずあえて申し上げれば、政府の出された案というのは、平時の霞が関主導法案というのはこういうものなんだろうと思っております。

 この法案を拝見して、どこかで見たようなものだと思いましたが、法律の名前も法律の立て方も、阪神・淡路大震災のときとほとんど同じものを踏襲しております。当時のことを御存じない方がいらっしゃるかもしれませんが、よく見ればそういうことであります。つまり権限、責任、予算というものが各省庁ばらばらになっておって、何のためにこういう法律があるのかということは、要は、認識が阪神・淡路と今回を同じに考えておられるということなのだろうと思います。

 総裁にもお答えをいたしましたが、起こっている事象が全く違う。非常に範囲が広い、そして脆弱な財政力を持ったところがほとんどであるということ、農林水産業があり、少子高齢化があり、過疎化が進行しており、現在進行形の原子力災害があります。全く様相を異にしておるわけでございます。それが同じ法律の仕組みでいいとは私どもにはとても思えないということが一つ。

 もう一つは、地方の立場に立って見たときに、いろいろなところへ行かねばならない。これは本当に、私も被災地に何度か行って、首長さんから、我々は陳情するのが仕事じゃないということは何度も言われました。一つのところで全部済む、いわゆるワンストップ型のものがどうしても欲しいというのは、大勢の方がお聞きになったことだろうと思います。そういう観点が抜けているということが第二点目。

 第三点は、財政についての考え方でございます。震災発災以前からかなり我が国の財政は危機的だった、危機管理的な状況だったと私は思っております。それに加えてこの震災、大津波でありますから、復興についていろいろなお話をするのは簡単ですが、ではそれを、お金をどうするかということについて、私どもは明確な道筋を示すべきだということを記しております。

 その点、全く考え方が違うものだという認識を持っておる次第でございます。

額賀委員 よくわかりました。

 国民の皆さん方にぜひ考えてもらいたいと思うのは、これだけの、千年に一度の大震災についての復旧復興、将来の構想をつくっていく上に当たりまして、阪神・淡路大震災の基本法の焼き直し的な形でやっていこうとする政府側、それに比べて我が党の基本法案というものは、やはり二十一世紀の東北地方の、東日本のあり方、その元気をどう取り戻すのか、それがまた日本全体の発展、成長につながっていく、そういう構想のもとにつくられている。しかも、なおかつ、権限というものを一元化して、スピーディーに、そして被災者の皆さんや国民の皆さん方が一つの場所に行ってすべての解決ができる復興院という行政組織をつくっていく、そういうところに我々の特徴がある、こう思っておりますね。

 しかも、なおかつ、財源措置をつくっておるということでございます。だから、財源措置のない口先だけの基本法と、財源措置をきちっとやっている我々のこの復興計画と、どちらに信頼を置くことができるのか、国民の皆さん方によく考えていただきたい、そういうふうに思っております。

 我々の基本法の中に、第五条に、「国は、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示す」というふうに書いております。我々は、復興院というもので権力を集中するけれども、一定の復興計画が終わった後は地方に権限を分譲して、地域の活性化、地域の独自性を図っていく、新しい二十一世紀の国の姿に結びつけていきたいという私の思いもあります。

 そういう意味で、私は、この東日本の再生が日本の新しい国の形をつくっていくんだという気概に燃えたものであるということを申し上げておきたいというふうに思っております。

 その意味では、菅総理、自民党の案でやった方が、国民は安心するし、復旧復興計画もスピーディーに完璧にいくんじゃないですか。丸のみしたらどうです。簡単に答えてください。

菅内閣総理大臣 私は、この復旧復興は、まさに国民が、党派を超えて協力をしてやってほしいという思いが大変強い課題であり、そういった意味で、自民党から出されている案も、私たちとしては真摯に受けとめていきたいと思っております。

 我が政府が出したものについて、余り時間を費やすわけにはいきませんけれども、先ほど石破さんが言われた権限、あるいは地方重視、そういったことは私どもも考えております。

 また、自民党の案を拝見させていただいても、再生院に関しては今後の法律にまつという仕組みになっていて、具体的な、どういう形でいわゆる権限を一本化するかということについては、さらなる別の法案をつくるという組み立てに、たしか十三条でしたか、なっているようでありまして、そういったことも含めて、しっかり議論させていただきたい。

 丸のみという形になるかどうかは別として、いいものは大いに参考にし、あるいは場合によってはお話し合いの中で、新たな形に、よりよいものになるように議論をこの委員会でお願いいたしたい、このように思っております。

額賀委員 いや、もう丸のみをしてくれれば、国民の期待にこたえていくことがスピーディーにできる。これは、藤村筆頭とも、黄川田委員長のもとで、国会の場でしっかりと議論をしていきたい、こう思っております。

 松本防災大臣、いろいろと今度の災害で、私の地元の潮来市だとか鉾田市だとか行方市だとか神栖市だとか、それから千葉県の浦安だとか香取市だとか横浜だとか、もう全国的にいわゆる液状化現象というのがあって、大変な被災を受けました。これは、住宅だけではありません、水田だとかいろいろなところでこの災害が起こったわけでございます。

 この中で、私どもが各首長さんと一緒に大臣のところへ陳情に行った結果、いろいろと被災者の生活支援法については解釈を拡大していただいて、支援の枠を大きくつくっていただいたと思っております。その点は、やはり被災者の立場に立って幾らか考えてくれたのかな、こう思っております。

 この液状化の中で、家が傾く、屋根は壊れていない、壁も壊れていない、土台も壊れていない、ただ傾斜して人が住めない、そういうところは今まで問題外だったんですね。その点については御配慮をいただいたわけでございますけれども、このうち、百分の一以上の傾斜、これが半壊になっております。半壊は何の手当てもないんですよ。だけれども、いろいろな家が、五百戸とか千軒とか並んでいるわけです。隣の家までは手当てがある、隣の家は手当てがない。これが本当に心のこもった災害対策なのかということを考える必要があると思うんですよ。

 そこは、やはり傾斜配分の度合いについても、例えば百分の一以上の傾斜について、今までは、一・二メートルに対して一・二センチから二センチの傾斜に対しては半壊で、何の恩恵もなかった、そして、六十分の一以上の傾斜、これは一・二メートルに対して二センチから六センチの傾斜については手当てを与えます。これをちょっと緩めればいいんですよ。例えば、六十分の一以上を一・五センチから六センチにする、半壊をやはり一・二から一・五にするとか、そういう心のこもった行政をしていくことが大事なのではないのかな、こう思っております。

 だって、この支援法も、この前議員立法でつくったんですよ、これは。しかも、一方で、役所の皆さん方は、応急処理として災害救助法で五十二万円ぐらいの金を与えますよと言いますけれども、これは昭和二十年代の法律ですよ。一顧だにされていないんですよ。我々はこういうことをきちっと、政府がやらなければ議員立法で対処したいと思いますよ。松本大臣、どういうふうに対応しますか。

松本(龍)国務大臣 液状化被害につきましては、額賀先生の御地元に参りまして、すぐ担当官を派遣し、また、東副大臣も千葉等に参りまして、すぐさま対応しました。

 今御指摘のとおり、さまざまな問題があって、五月二日の日に、基準の見直し、住家被害の見直しを行ったわけであります。先ほど言われましたように、配分のやり方等々、いろいろこれから議論することがあります。いつも、常日ごろ議論していきながら、五月二日の基準の見直し以降も、さまざま検討しているところでございます。

額賀委員 検討ではなくて、もう災害が起こってから三カ月にもなろうとしているんですよ。それで、そのままうちに帰れない人もいるわけですよ。検討なんかでは政治じゃありませんよ。そこをきっちりとやっていただきたい。時間がないので、大臣の英断を期待したいというふうに思っております。

 あと、時間がなくなってきましたので、原子力災害についてさらに戻っていきたいと思います。

 ストレートにいきたいと思いますが、文部大臣、校庭の放射能汚染のことに関してなんですけれども、学校の校庭の放射能汚染の問題で、四月十九日に、文部科学省がいわゆる二十ミリシーベルトの基準を発表しました。これですね、パネル一ですね。官邸のホームページにもこう書かれているわけです。だから細かい説明は要りません、ここに書いてありますから。そこで、政府は、上限値の二十ミリシーベルトを規制値としているわけです。

 しかし、最近、ICRP、国際放射線防護委員会の国際基準については、漫然と二十ミリシーベルトまで許容するということから変わっております。改定された最新のICRP勧告では、汚染地域に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは、勧告された一ないし二十ミリシーベルトの範囲の下方部分から選定すべきであることを勧告すると言っておるんですよ。

 しかも、なおかつ、与党の民主党の先生方、衆議院の空本先生とか石森先生も、政府が決めた基準は撤回して新しい体制にしてくださいよと言っていますよ。その結果、政府内では、菅総理がお使いになった小佐古参与は、科学者の良心に恥じて参与をやめていったじゃないですか。こういう画一的な基準をつくっていくことが本当に政治なのかどうか。簡単に。

高木国務大臣 額賀委員にお答えをいたします。

 私どもは、放射線のリスクについて、これは決して甘く見てはならない、そのように常々思っております。

 学校の現場の活用について、私どもは、福島県からその考え方を示していただきたいということに沿って、四月の十九日に暫定的な考え方を示したのです。(額賀委員「そんなことはさっき説明したからいいよ」と呼ぶ)はい。

 そこで、私どもも、御指摘の国際放射線防護委員会の勧告をきちっと踏まえて、そして、一ミリシーベルトから二十ミリシーベルト、二十ミリシーベルトでいいというのではありませんで、極力放射線を浴びないようにする努力をしなければならぬ。

 今試算をしておりますと、学校の校内での遮へいの状況あるいは子供たちが一般的に一日八時間戸外におるという想定でやっておりますが、今実際の生活パターンを考えてみますと、計算的には十ミリシーベルトになっております。これも来年の三月十日まで一年間の状況でございまして、我々としては、直ちに二十ミリシーベルトを浴びるものではありませんけれども、できるだけ線量を少なくするように努力をする。

 そのために、私どもとしては、比較的高い数値が出ておるところについては土壌の入れかえ等、これを今調査もしておりますので、そういう対応をしていく。そういうことで、私たちは、今の正しい計測状況を皆さん方にお示しすることが不安解消になりますから、できれば少なくとも二週間に一回を超す頻度において原子力安全委員会にも提出をし、報告をするようにしております。

 以上です。

額賀委員 要するに、この地域の皆さん方は、子供さんあるいはまた妊婦さんや、そういう地域住民の立場から問題提起をしているんですよ。だから、一ミリシーベルトから、下の方から問題提起をしているんです。あなたは上の方から来ているんですよ。ここが政府の立場なんですよ。これが政治姿勢の違いです。

 次の放射線量の測定方法も問題なんですよ。パネル二を出してください。

 原発の水素爆発が起こった当時は、放射性沃素などが飛散対策の課題だったんですけれども、もう二カ月以上もたったわけですから、セシウムは水に溶けやすいので、地下水とか海水の汚染が心配されているわけです。

 学校の放射能汚染の問題でも考えなければならないんです。学校の放射能問題で考えなければならないのは、地表の放射線なんですよ。

 このパネルにありますように、地表の放射線量では、伊達市は、地表から五十センチで五・三五、地表から一センチで六・七六ですよ。みんな、地表から五十センチと比べると、地表から一センチの方がはるかに高いわけであります。これは、文部大臣が言っている、八時間の間に三・八マイクロシーベルトの基準を上回る数字ですよ、一センチの場合は。

 問題は、空中の検査なのか、それとも地表に近いもの、地表の値が大事なのかというと、子供たちは庭先で遊んでほこりを吸ったり、倒れたりしますよ。問題は、五十センチだとか一メートルの空間の値をとることが本当の政治だと私は思わない。あるいは、地域住民の立場に立ってやっている政治の仕事とは思わない。そういうところにも問題があるんです。

 答弁は要りません。どうせあなたが答えるのはわかっていますから、いいです。

 例えば伊達市とか、今お話ししましたよね。パネル四の話ですね。

 それから、パネル三を出してください。

 毎時三・八マイクロシーベルトの基準で安全だ、大丈夫だ、政府はこう言っているわけでありますが、おかしなことに、官邸のホームページでは、手や顔を洗ったりうがいをすればさらに安全だ、土ぼこりや砂ぼこりが多いときには窓を閉めるべきだということを言っております。三・八では安全ではないということを言っているんですよ。

 しかも、なおかつ、これは皮膚とか何かについた外部被曝のことを言っているんですね。我々が問題にするのは、そういう放射性物質が空中を飛んできてほこりで吸ったりとか、あるいは地上に倒れたときに傷口から入ってくる内部被曝を心配しているんですよ。だれもこれは検査していないんですよ。

 だから、これは、文部大臣のところにも内部被曝の基準というのはないんじゃないですか。私は、答えは答弁が長いから求めませんけれども、内部被曝のことをみんな心配しておりますから、地域住民の一人一人がどういう内部被曝を受けているかということを政府がきちっと把握していかなければ、将来、十年たったり二十年たったりしたときに、何かが起こったときに、だれも検証ができないんですね。補償もできないんですよ。

 そういうことの問題意識はありますか。

高木国務大臣 額賀委員も長いこと政権の中枢におられた方でございますので、十分御理解いただけるものだと思っております。

 先ほどの地上一センチの計測、これは私たちは、通常、国の放射線審議会の標準として、空間線量をはかるときには地上一メートルということになっております。一般的に、人々が生活する、その一つの基準を一メートルといっておりますので、地上に、低ければ低いほど高いことはわかり切っております。それは私たちも承知をいたしております。

 それから、健康のことでございますけれども、私どもは、これまたさきのICRP、国際基準の勧告を踏まえて、これについては内部被曝の影響は二%程度、こういうことを私たちは承知いたしておりまして、このことにつきましても、専門家である皆さん方あるいは原子力安全委員会の助言をいただいて、私たちは政府全体として取りまとめをしたところでございます。

 言うまでもなく、私たちは、健康にとってどれほど影響するか、これは常々頭に置きながら、できるだけ放射線を浴びないために、安心のために、例えばうがいをするとか手洗いをするとか、こういう留意事項も指示をしておるところでございます。

額賀委員 大臣はそういうことを言うけれども、地方自治体の首長さんはみんな、あなたたちのやっていることを信頼しないんですよ。だから、みんなみずからがデータを検知して、校庭の表土を入れかえて、校庭とかそういうところに野積みになっているんですよ。これから雨季になって、どんどんそういうものが、雨が降ったり風が吹いたりしてくると飛散していきますよ。あるいは地下水に汚染されていきますよ、浸透していきますよ。そしてまた、そういう土壌をどこに置いておくのかということについて、政府は何の答えも出していませんよ。

 ただ命令するだけで出口を考えないのが今の民主党政権なんですよ。我々は、仕事をするときは、スタートするときは、出口を考えながら政治を行うのは当たり前じゃないですか。そういうことの意味で、被災者とか国民の期待にこたえていないというふうに思っております。答弁は要りません。

 本当は、これから第二次補正の問題等について質問をさせていただきたいと思っておりました。この結果、野田大臣とか玄葉大臣、それから与謝野大臣等々にもおいでいただいたんですが、時間がありません。

 ただ、大震災の影響で、一―三月の景気は大きなマイナスでした。恐らく四―六もそうでありましょう。そしてまた、原発の補償問題等がこれからどんどん出てまいります。それからもう一つは、やはり被災者の生活の安全がなされていない。そして、この前の第一次補正においても、瓦れきの処理一つだって半分ぐらいしか手当てしていない。

 そんなことを考えると、やはり今国会中に第二次補正を出して、そして、言ってみれば、復旧そして復興、半々でも第二次補正をして、そして第三次、第四次と、第四次は二十四年度予算でいいでしょう。第三次補正をして、二十三年度補正予算にさらに復興予算を加味して、そして東日本の皆さんや日本の将来の成長の光を見せていくことが我々政治の務めではないですか。

 菅総理、やはり今国会にそういう補正予算を出して、国民の皆さん方に安心感を与える、そういう責任を果たしていただきたい、そのことを答弁をお願いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 私たちは、復旧さらに将来の復興に向けて必要な財源はきちっと補正あるいは本予算で組まなければならないという、その考えは全く同じであります。

 現時点で、五月の二日に全党派で賛同いただいた第一次補正、これでも相当程度の瓦れき処理あるいは仮設住宅などにそれを消化してやっていく上でも時間がかかるわけでありまして、それを含めて、今後、さらにどういうものが緊急に必要なのか、そのことをしっかりと皆さんから提案もいただいたものを踏まえて、緊急度、重要度に応じて、それに対してどのように財政的に対応するか、そのことは検討してまいりたい、このように考えております。

額賀委員 十一万人の人が避難生活を送り、日本の経済がどうなるか展望が開けないときに、検討しますでいいんですか。国民の皆さん、今こそ政治の責任が大きいことはないんですよ。

 一八九六年の明治三陸地震津波のいろいろなことをまとめたものがありますよ。この中に、一番地域の再生を図っていく手法が書いてありますよ。どういうことが書いてあるかというと、やはりまず地域の生業を元気にさせなきゃだめなんですよ、地域の生業を。岩手県の場合だと、生業すなわち漁業の復活が優先されていった。幸い、カツオとかイカの好漁が続き、被災者もつらさを忘れて活気を取り戻していった。これが被災地によい循環をもたらすことになった。毎日が大漁であったため、自然と衣食に事欠かなくなり、救助金などを幾らかでも受け取った者はそれをすべて家屋建設か造船の資金とすることができた。

 いまだに港を使えないでしょう。船もまともに持てないんですよ。お金も行っていない。そういうことをきちっとしなくて、どうして復旧復興ができるんですか。そのために、第二次補正を今国会中に出して国民の期待にこたえていくこと、それができないのなら、菅総理、あなたは、金融危機の際に麻生政権に対して、補正予算が年内から翌年に延びたときに、麻生政権が続くことこそ政治空白だと言ってのけたんですよ。私は、その言葉を返したい。補正予算もやらないんだったら、菅政権が続くことが政治空白に続くんだ、そういう問題意識で頑張ってもらいたい。

 以上で質問を終わります。

黄川田委員長 この際、小里泰弘君から関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 まず冒頭に、今回の東日本大震災によりまして多大な被害を受けられました皆様、そして貴重な命を落とされた皆様に、心からのお見舞い、そしてお悔やみを改めて申し上げる次第でございます。

 さて、自由民主党は、これまでの幾多の災害体験におけるそのノウハウを生かして、自民党ならこうするという対策案をしっかりと提案していこう、そういうことで、三月二十四日、緊急対策プロジェクトチームを立ち上げました。そして、党を挙げての議論、また被災地の声をいただきながら、第一次提言三月三十日、第二次提言四月十五日、二次を合わせまして四百三十九項目の緊急提言を具体案として提案申し上げたわけであります。菅総理はそれを受けて、極めて実践的な内容である、しっかりと生かしていきたい、また玄葉大臣におかれては、同じような形でやっていきたい、そのような表明がありました。相違ありませんね。なければ、答弁は結構でございます。

 野田財務大臣は、四月二十二日の財務金融委員会におきまして、提言の趣旨を重く受けとめながら、税制改正、第一次補正予算に反映をさせている、そして、まだまだ受けとめ切れていない部分については第二次補正予算以降でしっかりと対応する、そういう答弁をいただいたわけであります。

 提言を受けての実施状況を示した回答書を政府からいただきました。これを精査いたしましたところ、四百三十九項目のうち、実施されつつあるものが約二百項目、あるいは、検討中もしくは実施しつつあるが不十分と見られるものが約百七十項目、約七十項目がまだ未実施であります。要するに、政府が受けとめ切れていない部分がまだ相当あります。まさに急を要する緊急提言であります。

 野田財務大臣の答弁を前提とすれば、そこをまさに二次補正で急いでこれを実施していかないといけない、そういうことになります。財務大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 小里委員のお尋ねにお答えしたいと思います。

 前回、衆議院の財金委員会でも御質問いただいたときに申し上げましたとおり、できるだけ、御党の御提言で復旧に向けて取り急ぎ実現しなければいけないものについては、なるべく多く取り入れたつもりでございます。引き続き、第二次補正の中で入れられるものがあるのかどうかも含めて、精査、検討をさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 せっかくの緊急提言も、時期を逸しては何にもならないわけであります。

 私たちは、今週の金曜日に、第三次緊急提言をまた、第二次補正を前提にした緊急提言を行う予定としております。自由民主党は、その持てるノウハウ、持てる知恵をすべて出し切って提案してまいります。どうかしっかりと受けとめて、二次補正の早期の成立を初め、しっかりと早期に対応していただきたいと思います。

 引き続き、補正の検証を行ってまいりたいと思います。

 例えば、国交省関係の一次補正におきまして、河川、道路、港湾、下水道等の公共土木施設の公共事業費、これが七千七百五十一億円計上してあります。これで被災箇所の何割をカバーできるんでしょうか。

大畠国務大臣 小里議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 私ども国土交通省として、現在、御指摘のいわゆる防災といいますか、堤防ですとか河川ですとか、そういう損傷箇所の復旧のために全力を挙げているところでございます。

 これまで私どもが把握したところについてはこの補正予算で手当てをしているところでありますけれども、さらに私ども今一生懸命精査をしておりまして、この何割カバーしているかということでありますけれども、私どもがこれまで把握したことについては、この補正予算の中で対応できるものと考えているところであります。

小里委員 では、何カ所の被災箇所に対応できるんですか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 私どもの所掌範囲で申し上げますと、鉄道、海岸、道路等でございますけれども、今回のことにつきましては、小里議員御存じのとおり、道路の復旧供用に全力を挙げて、被災地域に対する緊急輸送ルートの確保に努めてまいりました。現在のところ、被災の日から四日後の十五日には、国道四号と太平洋沿岸の国道を結ぶ十五の道路が利用可能となり、また、鉄道については、日本海側を経由しての被災地への物資を輸送するルートの確保をいたし、一週間後の十八日には石油列車の運行も開始されたところであります。

 ただいま三陸海岸の鉄道のお話がございましたが、ここについては大変厳しい被害を受けておりますが、四月二十九日に東北新幹線が全線で運転を再開するなど、一部の路線を除いては復旧をしているところであります。しかし、鉄道の被害というのは甚大でございまして、私どももその状況を把握しながら取り組んでいるところであります。(小里委員「何カ所かだけでいい」と呼ぶ)

 箇所数につきましては、ちょっと集計をしておりませんけれども、海岸の保全等についても今全力で頑張っておりまして、数値だけ申し上げますと、三十の海岸、堤防護岸延長四十六キロの区間において緊急の防護対策を実施しているところであります。

小里委員 まだ十分にというか、到底箇所数も把握できていないということでございまして、どうやって七千七百五十一億円を計上したのか、その積算根拠はないということになります。要するに、無駄を削らないで、国債を発行するかしないかもはっきりしないままに、そしてまた基礎年金という貴重な財源にまで手をつけたけれども、これだけしか手当てできなかった、そこから仮設住宅とか瓦れき処理等に充てて、残ったのはこれだけだからこれで適当に当てはめました、そういう予算になっているわけであります。決して、被災地の復旧にこれだけ必要だからこれだけ準備しよう、そういう予算計上にはなっていないということがはっきりとわかるわけであります。

 三陸鉄道は復旧事業費が百八十億円と見込まれますが、一次補正では予算がついておりません。仙台空港線、ひたちなか海浜鉄道など、三セク鉄道四線につきましても同様であります。八戸線、山田線などのJR七線にも予算はついていないし、手もつけられていないという状況でございますが、大畠大臣、相違ございませんか。なければ、答弁は結構です。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきました三陸鉄道を含めて、非常に被害が大きいところもございます。ここのところをどういうふうにしていくかということについては、現在、鉄道会社とも連携をとっておりまして、また、まちづくりとも絡むものでありますから、どのような形で復旧をしていくか、お客さんにとって安全な鉄道を再建するために今いろいろな計画をしておりまして、そういう意味では、今後のところでその手当てを考えたいと考えているところであります。

小里委員 三セク鉄道などは、これはまちづくり計画とも関係なく、今あるところに復旧をしようということになっているわけであります。三セク鉄道はそういう方針になっているんです。そういった鉄道の復旧予算、これには現行制度では四分の一しか補助がつかないということになっております。その補助率のアップあるいは要件の緩和を含めて、自民党の緊急提言において要請をしておりますので、しっかりとまたそこはこたえていただきたいと思います。

 さらに申し上げますと、海岸堤防、岩手、宮城、福島三県の総延長三百キロメートルのうち百九十キロメートルが全壊ないし半壊をいたしましたが、まだほとんど予算がついておりません。これから台風シーズンを迎えるわけでありますが、とりあえず土のうのたぐいでこれをしのぐしかないという状況でございます。

 三県の国道、県道百六十四カ所が通行どめのままでありまして、市町村道などは被害状況すら把握ができていないという状況でございます。

 漁港も、被害額六千四百四十億円に対して、一次補正では二百五十億円しか予算がついておりません。学校施設も、軽微な復旧以外は予算化されておりません。病院復旧につきましては、県立病院など全壊をした病院にはまだ予算がついておりません。住宅再建支援金も、一戸当たり最大三百万円つくはずでありますが、これも百万円分しかまだ手当てがなされておりません。中小企業資金繰り支援につきましても、一次補正で五千百億円、上半期分だけということでございます。

 要するに、総理、以上申し上げてまいりましたように、二次補正予算を待たないと本格的な復旧は始まりませんし、生活の再建、産業の再建もままならないということになるわけであります。

 岩手県の大船渡市長は、六月には二次補正が成立するものと思っていたと大変嘆いておられました。被災地が救いの手を求めているにもかかわらず、早々に国会を閉じて、二次補正は夏以降提出をするんだ、そういった総理の表明が従来あるわけでありますが、その方針を聞いた被災地がいかに失望しているかということを総理はおわかりでありましょうか。

 早期に二次補正を編成し、審議して成立せしめ、一刻も早く被災地に救いの手を差し伸べるべきであると思いますが、総理、いかがでありますか。

菅内閣総理大臣 これは国民の皆さんにも被災者の皆さんにもぜひ聞いていただきたいんですが、私たちは、復旧復興に必要な財源はきちんと間に合うように手当てをしなきゃいけない、これは原則としてそのように考えております。

 ですから、今いろいろ提起のあった中でも、もしそれが現在の一次補正で手当てした四兆円余りの中で、お金がないから間に合わないなんということにはならないように、必ずそれは手当てをする二次補正などをやらなければならないと思っております。

 私たちが申し上げているのは、五月の二日といえば、まだ二十日前であります。四兆円規模というのは、相当大きな規模の補正予算であります。それによってやらなければならないことも、この一カ月、二カ月以上かかることもたくさんあるわけであります。もちろん、その中で、今幾つか御指摘がありました本格的な復興を進めるときには、やはりその復興に対してのきちんとした青写真をつくるということも当然必要であります。

 そういった意味で、急がなければならない例えば今幾つか指摘がありましたけれども、復旧の中で、今の第一次じゃ不足する、それは早目に出さなければ、早目に手当てをしなければならない、こういう御指摘はどんどん指摘をいただきまして、そして、それらをしっかり政府としても今精査をして、その必要性、緊急性をしっかり把握しながら中身を見きわめたいということを申し上げているので、決して何か、仕事を中断させるために国会を閉じるんだとか、そういうことは全く考えておりませんので、そこだけは国民の皆さんに明確に申し上げておきたいと思います。

小里委員 いまだにはっきりとした御答弁はいただけないわけであります。

 阪神・淡路と比べてもはるかに被災規模が大きい、だからこそ急いでいかないといけないんですよ。これだけ、先ほどから申し上げてまいりましたように復旧事業を初め二次補正が待たれている、なのに、よもや早々に国会を閉じられることはないだろうと思います。もしそういうことになりますと、やはり野党の追及、あるいは民主党内からのいわゆる菅おろしを免れたいがために早々に国会を閉じるんだ、そういうそしりをまた免れないことになろうと思います。

 阪神・淡路大震災時は、発災後四十二日目で第一次の補正を打ちました。四カ月後に二次の補正予算が成立をしました。今回に当てはめますと、七月中旬には二次補正が成立をしていたということになります。申し上げましたように、被災の規模あるいはその質を考えますと、もっともっと急がないといけない、そうなるはずであります。

 二次補正の提出が、総理がおっしゃいますように八月以降ということになりますと、その成立は九月、実施は十月以降ということになりましょう。被災地はそろそろもう冬支度を迎える、あるいは雪のシーズンに入りますと、工事もなかなかはかどらない。だから、この七月から九月、十月、夏場、秋場にしっかりと進めないといけないんです。しっかりとそこを図っていただきたいと思います。

 続きまして、まちづくりの話に入りたいと思います。

 先般、岩手の被災地を視察しましたときに、山田町の町長が、安心、安全な町をつくりたいが、財源がどうなるかわからない、だから、なかなかビジョンもつくれない、したがって、地域の住民の皆さんの意向も聞けないんだ、そういうことを切々と訴えておられました。あるいは、ある市長さんは、早くビジョンを示さないと、人が出ていってしまう、工場もどんどん出ていってしまうんだと、大変心配をしておられるわけであります。

 こういった声に、総理、どうおこたえになりますか。

菅内閣総理大臣 私もいろいろ、現地あるいは多くの自治体の首長さんともお話をいたしております。今まさにおっしゃったとおりだと私も認識しております。

 例えば、ある町で、高台に住居は移って町を改めてつくろう、そういうときのために、現在、建築基準の許可などを一定期間とめるということも決めていただきましたけれども、まさにそういう計画は、国全体として決めなければならないものもありますが、多くは、地元の意見、地元の自治体、県などから、こういう形でやりたいんだということが上がってくることがやはり基本になると思っております。

 そういった意味で、いろいろな課題、私も、復興構想会議などで三県の知事からもかなりのいろいろな提案をいただいておりますし、また、今後、それぞれの県でそういったものをさらに煮詰めていきたいというお話も聞いております。特区についてもいろいろな要請が出てきております。そういうものを積極的に受けとめて、必要な制度をつくる、法律をつくる、予算をつくる、そのことについては、先ほども申し上げましたように、決してそのことを延ばすつもりはありません。

 ただ、何度も申し上げますけれども、やはり、まちづくりということを今特におっしゃいましたけれども、そういうまちづくりこそ、地元の皆さんの一つの合意といいましょうか、そのものが重要であるということは委員にもおわかりをいただける、こう思います。

小里委員 阪神・淡路大震災と何もかも比べる、その妥当性はいろいろあろうと思います。

 ただ、阪神・淡路大震災のときに、発災後三十六日で復興基本法が成立をしております。発災後三十八日で復興対策本部を立ち上げました。そして、今回の復興構想会議に当たる復興委員会からは、四十二日目に、自治体の復興計画の策定、住宅の復興、瓦れき処理の迅速化等の提言を取りまとめております。そして五十二日目には、まちづくりの当面の方策等の提言も取りまとめております。当時の状況を見ながら、当面の復旧や今後の復興に対して必要不可欠なことは早期にまとめているわけであります。

 今回、発災後七十日余りを経まして、やっと復興基本法の審議が始まりました。復興対策本部の立ち上げもこれからであります。復興構想会議からの復興プランの第一次提言は六月下旬になるという話であります。この提言を受けて、総理がおっしゃいますように、各自治体が復興プランを作成する、したがって二次補正予算は八月以降だという話であります。

 要するに、復興構想会議からの提言を六月下旬に設定することで、それまでは国は何もしないでいい、そういう理由づけに使っているという指摘すらあるわけであります。

 こういった政府の姿勢、復興構想会議の審議のおくれに対しまして、被災地の自治体から不満が噴出をしております。そして、政府のプランはもう要らぬ、自分たちでやるから政府はその応援だけしてくれればいい、もっとはっきり言えば、金だけ出してくれればいい、そういう声まで上がってきている現状であります。

 希望の持てるビジョンがあれば、あるいは目の前で災害復旧事業が始まっていけば、みんな頑張っていけるんですよ。地元に戻って、あるいは地元に残って頑張ろう、そういう気にもなれるんだろうと思います。早くしないと本当に、工場も人も出ていってしまうんだろうと思います。復興計画に時間をかけましてきれいな町ができました、しかし人がいなくなってしまった、それでは元も子もないわけであります。

 復興計画の早期策定、二次補正予算の早期成立が必要であると思います。国会日程も含めまして、再度、総理の御答弁をお伺いします。

菅内閣総理大臣 阪神・淡路の震災のときには自社さ政権でありまして、私もさきがけの、与党の一人としてその推進のお手伝いをした一人であります。そういう意味で、阪神・淡路と共通な部分、またかなり違う部分、それぞれあります。そのことも念頭に置いて、例えば阪神・淡路の場合は、ほぼ兵庫県、さらに言えば神戸市というところでありましたが、今回は、大きな地域に被災が広がっていると同時に、原発事故という阪神・淡路のときには全くなかった問題も、今なおこの問題があるわけであります。

 そういった意味で、おっしゃるとおり、まずは現場といいましょうか、それぞれの地域からいろいろな声が上がってくるものについて、私たちがそれをはねのけているつもりは全くありません。また、この復興構想会議も、相当の首長さん、三県の知事さんはもとより、相当地元にかかわりの深い方に参加をいただいておりまして、そういう声を受けとめることを重視して話を進めていただいております。

 繰り返しになりますけれども、決して、何か政局を考えて国会の日程を考えているなんということは全くありません。まさに、この復旧復興に向けて、そのことのために必要な法律やあるいは必要な予算を組んで、きちんと議論をした上でそういうものを組んで、そして実行していく。そのためにどういう段取りがいいかということを考えているわけでありまして、そのことによっておくれることがないように、おっしゃるとおり全力を挙げていきたい、こう考えております。

小里委員 午前中の残り時間が少なくなりました。方向性がちょっとそれますが、瓦れき処理の問題について、一問だけお伺いをいたします。

 きょうのメンバーでもあります小野寺議員から、瓦れき処理の国庫補助の問題で問題提起をいただいております。被災自治体の各首長さん方からもいただいております。最大九割まで国庫補助ということでありますが、残りを交付税で見るとなっております。これに対しまして、自治体の首長さん方から、交付税は当てにならない、本当に国が見てくれるんだろうか、あるいは空手形ではなくて真水で欲しいんだ、そういった指摘がどんどん上がってきているわけであります。

 ここはわかりやすい形で、そしてまた被災自治体の皆様が安心して瓦れき処理に取り組んでいただけますように、全額国庫補助ということを提言を申し上げる次第でございます。総理の答弁を求めます。

片山国務大臣 今回は、阪神・淡路のときよりも、国庫、それから地方交付税の手当てを手厚くしております。

 今、当てにならないというお話がありましたが、私も長年、地方交付税などを扱っておりまして、普通交付税と特別交付税でちゃんと組み合わせて、自治体が地方債の元利償還をするときにはきちっと手当てをいたしますので、その辺は地元の自治体の皆さんも御安心いただければと思います。

小里委員 当面、最低でも一割が一たん自治体の借金になるわけであります。一割といっても、全体量が大きいんですね、瓦れき処理の。したがって、これは莫大な借金になるんです。そこに自治体の皆さんが非常に大きな不安を抱いておられます。そういった自治体の皆さんに対応するお答えになっているとは思いません。我々の緊急提言、瓦れき処理については、もろもろの観点から、また別個提言も申し上げております。どうか真摯に受けとめて、この対応を図っていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、午前中の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございます。

黄川田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官中西宏典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑を続行いたします。小里泰弘君。

小里委員 午前中の続きからお伺いをしてまいります。

 先般、岩手県に行ってまいりました。山田町に参りましたところ、相変わらず職員が不足をしております。三月いっぱいは通常業務がストップしたということでございました。そして、避難所に職員をとられまして、応援の職員を得て、やっと最近、避難所から職員が引き揚げつつあるということでございます。

 大槌町に行ってまいりましたが、ここは、御案内のとおり町長が亡くなりまして、百三十六名の職員のうち三十三名を失いました。県や他の町村から十七名の応援の職員が今行っておりますが、不十分でありまして、被災業務に追われております。

 多くの被災自治体におきまして、被害状況の把握すら滞っている、復旧事業はまだまだこれからだというところがほとんどであります。瓦れき処理の見積もりも、できる技術者が大分足りない、そういう話も聞いてまいりました。

 被災によりまして、自治体の行政機能というものが大きく失墜をいたしました。そこに被災業務というものが大きく加わりまして、業務量が何倍にもなった。したがって、自民党の緊急提言におきましては、全国の自治体から応援の職員をどんどん派遣するシステムをつくらないといけないということを提言してまいりました。ある程度は進んだんでしょう。しかるに、いまだに申し上げたような実態であります。一体、国としてどういう取り組みをしてこられたか、お伺いをしたいと存じます。

片山国務大臣 このたびの震災で大打撃をこうむった自治体が数多くあります。その自治体の支援をする、行政機能の立て直しを支援するというのは大変重要でありまして、今おっしゃったような全国の自治体の職員が応援に駆けつけるということ、これは非常に大事であります。

 もとより、それ以前に、それぞれの姉妹都市交流でありますとか、それから県庁からの支援でありますとか、一部国家公務員の支援もありますが、それらを補う意味で、全国の自治体から支援をするというスキームをつくっております。これは総務省と全国市長会、全国町村会と相談してつくっておりまして、現在、八百数十人の支援を行うということになっております。

 実は、その支援を通じて、当初六百数十人の支援要請があったんですけれども、これを全国の自治体に照会をかけますと、行ってもいいというのが二千数百名おられまして、その中でマッチングをした結果が八百五十人ぐらいが行くということになっております。したがって、要請をしていただければ、それに対してはきちっと基本的には対応できるということになっております。

 よく伺いますのは、まだ足らないのは要請を遠慮しているのではないかということがありまして、それはもう本当に私どもも、それぞれに電話をかけたりしまして、遠慮は要りませんから率直におっしゃってください、できる限りのことをしますからと言っております。これからもぜひ遠慮なく要請をしていただきたい、それにきちっと対応できるようにしていきたいと考えております。

小里委員 要望を待っていてはだめだと思うんですね。

 おっしゃるように、東北の人たちは遠慮深いかもしれない、あるいは我慢強いかもしれません。しかし、それに気を緩めると、判断を間違ってしまうんじゃないでしょうか。やはり国の方から手を差し伸べる、国の方から実態を把握しに行く、とりに行く、そして積極的に対応していく、この姿勢が、そして総合調整機能というものが必要なんだろうと私は思うんです。

 総務省から全国の都道府県に対して、一般行政職についての応援要請、これがなされましたのは三月二十二日、発災してから十二日後のことでありました。つい最近、先週もそうですが、私の地元の市長さんが、応援の職員をどんどん送りたいんだけれども、国から何の指示もないと心配をしておられます。岩手県沿岸市町村復興期成同盟会は、つい最近ですが、迅速かつ確実な復旧復興に向けた事務的、技術的業務に係る職員派遣等を行っていただきたいと要望を寄せてこられております。国の対応がやはり後手後手になっていると思います。もっと国が主導的に対応すべきであろうと思います。

 そして、この要員不足というものはこれから長期化をしてまいります。例えば、全国の自治体においてチームをつくって交代で応援の職員を送り込んでいく、そういうスキームも必要なんじゃないかということで、自民党から緊急提言をしております。あるいはまた、災害対策臨時職員雇用制度の創設もあわせて提案をしているところでございます。

 東北はまた、高齢化率が高いですね。そして、高齢者の皆様の在宅率というものも高い。そういった人たちが家を失いました。だからこそ、今、介護要員というものが絶対的に不足をしております。私の地元のまた介護施設の人が、いつでも介護要員を派遣しますよ、しかし何の指示もないんです、要請もないんですとやはり心配しておられます。宮城県の沿岸北部の五市町村では、応援の医療チームが引き揚げてしまいまして、半分になったという話も聞きました。

 役場の職員、介護職員、医療要員を初め、足りないところをしっかりと補っていく、そのために国がもっと前に出て主導的に調整機能というものを果たしていくべきだと思いますが、総理、いかがですか。総理、お答えください。

菅内閣総理大臣 おっしゃることは、全くそのとおりだと思います。

 先ほどの総務大臣の説明で、いろいろ工夫はし、あるいは電話などで、遠慮なく要望してほしいということの作業もしていただいているようでありますけれども、結果としてまだまだ、本当ならいろいろな人が必要なのに、また、やってもいい、送ってもいいという自治体があるのに、それがマッチングができていないということの御指摘はあると思います。

 これからどのようにしてそれを掘り起こすか、総務省が中心になると思いますが、しっかりさらなる努力を指示したい、こう思っております。

小里委員 具体的に、現場にしっかりと届くように総理が主導してください。よろしくお願いしたいと思います。

 次に入ります。

 阪神・淡路大震災におきましては、発災後四十二日までに十本、特別立法が成立をいたしました。六十六日目までに十六本、全件が成立をしております。今回は、震災復興のための特別立法の立ち上がり自体がおくれました。そして、今日の段階でも十一本しか成立をしていないという状況であります。

 総理、大体で結構でございますが、この震災対応のための特別立法、何本を予定しておられますか。

枝野国務大臣 復旧に向けた法案は、御紹介いただいたとおり、既に成立させていただいたもの、あるいは国会で御審議をお願いしているものもございますし、また、今現に復興に向けた基本法を御審議いただいております。

 阪神・淡路の大震災と比べても、被災地域が大変広範であり、大変甚大な被害、そして原子力事故というあのときにはなかった大きな問題もあるということの中で、必要が生じればその都度特別立法をやっていこうという思いで今対応しておりますので、現時点で、では何本つくったところでこれですべてのことに対応できることになるかということを確定的に申し上げられる段階ではない。むしろ、必要が生じれば国会に御審議をお願いしたいと思っておりますので、その節には御協力をお願い申し上げます。

小里委員 この特別立法というものに対する認識が非常に甘いと思うんですね。

 阪神・淡路大震災と比べまして、石破政調会長が午前中述べましたように、非常に被害が広域的で甚大であります。あるいは、津波被害、原発被害という新たな事態が目の前にある。こういったことに対応して、当然、多様な特別立法というものが必要になってくるんだろうと思います。

 自民党の緊急提言におきましても、二十九本の特別立法が必要だということで、具体的に骨子を添えて提案をしているわけであります。さらに、自民党の部会におきましては、もっと具体的に、議員立法としてやろうということで、政府の対応を待ってばかりはいられない、そういうことで、就学支援、農業支援、二重債務問題を初め、具体的にまた動きを展開しているところでございます。

 先般の予算委員会の質問の中で、菅総理が、今現在何本成立をしていますかとお尋ねをしましたところ、五本と答えるべきところを一本と答えられました。本当に総理のこの特別立法に対する認識の甘さというものが露呈をしたし、周辺のサポート体制の欠落というものも露呈をしたわけであります。

 本来、大規模災害対策というものは特例措置の連続であります。現行制度では対応できない。だから、被災地にしっかりとこたえていこうとなると、当然、特別立法ということに思いが行くはずであります。そこに震災対策の真髄というものがあるとさえ私は思うわけであります。国の意思としてしっかりとメッセージを、国会の意思としてしっかりとしたメッセージを被災地に送っていかなければならない。

 もっと総理には自覚を持って、使命感を持って取り組んでいただきたいと思います。多様な事態にこたえていく、そのために、特別立法を多様に成立させ、展開をしていく。そのためにも、国会日程というものを、しっかりとその審議日程を確保していただきたい、このことを要望する次第でございます。

 時間がありませんので、委員長、最後にお願いでございます。

 午前中の議論におきまして、原発事故についての初動の問題があった、菅総理の判断に誤りがあったということがさらに明らかになってまいりました。総理がなぜ、何のために原発に行ったのか。なぜベントがなされなかったのか。あるいは、なぜ海水の注入がストップさせられたのか。

 あるいは、原発事故についての情報発信、情報提供について、国民の皆さんは信頼をしておりません。信用をしておりません。フジテレビの五月二十二日の調査によりますと、信頼できるとした人が一三%、信頼できないとした人は八二・四%であります。

 しっかりと原発の問題を、経緯を検証して、解明をして、責任のありかをはっきりとさせた上で、今後の原発対策、そしてまたエネルギー対策というものをしっかりと図っていかなければならない。そのための集中審議というものを求めたいと思います。

 委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。

黄川田委員長 この件については、後刻理事会で協議いたしたいと思います。引き取ります。

小里委員 以上で終わります。

黄川田委員長 これにて谷垣君、梶山君、額賀君、小里君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤村修君。

藤村委員 民主党の藤村修でございます。

 冒頭、この東日本大震災でお亡くなりになられました皆様方に心から哀悼の意を表し、また、今なお苦労の連続の被災者の皆様にお見舞いを申し上げ、また、その懸命な救援、応援をしていただいている皆様にも敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。

 さて、私は、民主党で災害対策本部、各党それぞれつくられましたが、その事務局長を務めてまいりました。三・一一、午後二時四十六分以来、最初の七十二時間が大切ということもございましたが、国会に陣取って対応してまいりました。

 また、その後、私どもの対策本部事務局においては、さまざまなメンバーによるボランティア室、仮設住宅建設促進チームあるいはいろいろな資材を搬送するなどのチーム、本当に幾つものチームをつくりながら支援、応援、救援をしてまいりました。各党ともに、またそれぞれ大変熱心に取り組んでいただき、それらが官邸に届き、官邸と私ども与党が連携しながらも、それらについても対応してきたところでございます。

 私どもの事務局で、議員を通し、あるいは現地からの要請を受けて、千八百件を超える一つ一つの案件について、一つ一つ我々の議員が対応し、場合によっては現地に出向き、あるいは現地に物を持っていき、そんなことをずっとしてきた二カ月余りでございました。

 そんな中で、この間、五月二日の日に一次補正予算が成立をいたしました。きょう午前中来の議論において、一次補正、なかなか中身がまだきちんと紹介されていないというのが、私どもちょっと歯がゆいところでございます。

 私は、野党生活が長いもので、過去、政府広報というものに対して余り信頼していなかった、いや、官僚の作文だと思っていたんですが、つい先日、これは国会議員の皆様方、部屋に全部届いたかと思いますが、こんな冊子が届きました。きょうは委員の皆さんにお配りをしております。

 それで、生活再建ハンドブックという部分と、これを裏返しますと事業再建ハンドブック。政府広報というのは、このところはカラー刷りで非常にきれいにできてはいるんですが、ところが、これは何か白黒の、それもこのぐらいの冊子で、政府がつくったというふうに最初思わなかったんですが、ちょっとぱらぱらと見始めると、なかなかきちっと、生活再建ハンドブックで、目次は、「被災されたみなさまへ」「支援金のこと」「住まいのこと」「しごとのこと」「医療・福祉のこと」「子育て・教育のこと」などなど、ありますよね。

 では、これの中身をちょっと見ると、「しごとのこと」ということで、「雇用保険の失業給付を拡充します」。これは一次補正予算で二千九百四十一億円という大きな額なんですが、この総額だけ聞いてもよくわからないんです。結局、雇用保険がそれぞれある。そしてこういう災害の場合は、切れた場合でも原則六十日の延長ができる、それに加えて、さらに六十日延長できるようにしますと。それで、かつその下に、これはどこへ問い合わせたらいいかというので、「お近くのハローワーク」。この二十三ページに、それぞれこの近くのハローワークのリストが載っている。

 そういう非常に具体的に、ぜひとも生活再建ハンドブックの部分は被災者の皆さんにお読みいただきたいし、また、被災県のそれぞれ地方公共団体の皆様にもお読みいただきたいし、いや、国会議員は、本当にこれは頭の中に全部入れるぐらいに、説明をするというぐらいにしていくと、少し、ああ、なるほど、一次補正、五月二日、四兆円を超えるという大きな額で、それは、阪神・淡路のときの一次補正が多分一兆円ぐらい、それから阪神・淡路のときの二次の補正予算が二兆八千億、それで三兆八千億ですから、それを上回る今回の一次補正予算、中身は一体どうなっているのというところをやはり被災者の皆さんに本当にお届けをして、お配りをして、ぜひぜひ見ていただきたい。そんな気で、きょうは、ややコマーシャルみたいですが、政府広報の広報をしているということで、これを皆さんにお配りしたところでございます。

 今、一次補正、四兆を超える額で補正予算が組まれました。では、一次補正をつくったらすぐ二次補正だという議論が出てきますが、いや、一次補正をきちっと今使え、執行する、このことができているかどうかも含め、この一次補正予算、具体的にどういう中身で、これは政府から、もう一度概要で説明をいただければありがたいんですが、官房長官、お願いいたします。

枝野国務大臣 広報させていただいているハンドブックを詳細に広報していただきまして、ありがとうございます。

 全体といたしましては、道路、港湾、下水道、住宅、農地などの復旧に必要な公共事業として約一兆二千億円を計上しております。また、瓦れきなど災害廃棄物の処理事業として約三千五百億円を計上しているところでございます。また、原子力災害による被災者への対策事業として、モニタリングを強化するとともに、住民の健康管理が適切になされるよう専門家の巡回等による健康相談等を行っております。

 こうしたこと等、まさに挙げれば切りがございませんが、今の時点で必要とされる予算項目について、国会の皆さんの御了解をいただいて、予算として執行を始めたところでございます。

藤村委員 これを裏返すと事業再建ハンドブックということになります。これは「事業主のみなさまへ」ということで、この目次で見ると、最初は「すべての事業主のみなさま」、そして「中小企業のみなさま」、それから「水産業のみなさま」、「農業のみなさま」云々と後続いてまいります。

 例えばその中で、「農業のみなさま」ということで、これは今、枝野官房長官は細かくはお答えなかったかと思いますが、田んぼに塩水が入った、除塩、塩を除く、「除塩や区画整理などの事業費の最大九割を補助します」と。これで六百八十九億円がついていて、これらについて、「国は、事業費の十分の九」云々と。さらに、「お問い合わせ先」ということで、やはり東北農政局、これは東北、関東は関東農政局等々ずっとある。まあ、このぐらいにしておきましょうか。

 これはハンドブックですから、まさに手に持って、それぞれ自分の関係するあるいは自分の困っていることを本当にここでページを引いて、さらにその問い合わせ先に問い合わせていくことで、やっと実際に一次補正のお金が執行されていく。

 総理もずっと言ってこられました。例えば仮設住宅の建設ですが、これも私どもの党の中で、最初の段階では、どうも仮設、えらくとろとろしているなという思いがありましたので、仮設住宅建設促進チームというのをつくりまして、対策本部事務局、これは経産省、厚労省、国土交通省、役所ってやはり縦割りなんですね、仮設住宅のことをそれぞれがそれぞれに考えているので、その三省とも毎日のように呼びまして、しりをどんどんどんどんたたきながら、やっとここへ来て、総理がこの前に発言されたような、お盆のころまでには希望する方がみんな入れるというところに今至ったということでもございますが、それが仮設住宅のことです。次は瓦れき処理です。瓦れき処理も、これもしかし、やはりまだ九月、秋ぐらいまではかかってくる。

 そういう意味では、やはり大きな四兆円の一次補正予算をしっかりと執行させていくというのも我々与党の責任かなと思っておりますが、枝野官房長官、その点で、もう一言あればお答えください。

枝野国務大臣 今回の震災は、被災をした地域が大変大きい、広いということに加えて、先ほど来の議論でも出ておりますように、被災地域の県やあるいは市町村自体も被災をされているということの中で、私もきのう岩手県の北部の方の沿岸部を、現地を見させていただきましたが、当事者、関係者の皆さんにも、例えば補正予算でこういうことが対応できているとか、こういう制度があるのでこういった形で支援ができるとかということがなかなか十分に周知できていないという残念な状況がございます。

 政府としても、御紹介をいただいているハンドブックを初め、もう一カ月以上、二カ月ぐらいになるでしょうか、全国のFM放送とそれから被災地のAM放送で、ラジオで毎日、こうした支援策がありますといった放送もさせていただいております。あるいは、避難所等あるいはコンビニエンスストア等の御協力もいただいて、壁新聞という形でも、さまざまな支援策があるということを広報、周知させていただいているところでございます。さらに、できるだけ自治体の皆さんと関係省庁とがダイレクトでつながって、すぐに御相談をしていただけるような体制もさらに強化をしている途中でございます。

 そうしたことの中で、四兆円という補正は過去の震災と比べても大変膨大な額でございますので、まず着実にこれを実施して、復旧のための具体的な事務が前に進んでいくということに今万全を尽くしているところでございます。

 この国会中継等をごらん、お聞きの被災者の皆さんなども、近くのコンビニなどでもこのハンドブックはございますし、御相談事が関係する機関等にございましたら、かなりさまざまな手当てで事業の復興や生活支援のための手当てがなされておりますので、ぜひお問い合わせをいただければというふうに思っております。

藤村委員 阪神・淡路大震災、私は初当選の議員でございました。かつ大阪の議員でございますので、近くで本当に大変な思いもしたし、何かわけがわからないけれどもとにかく一生懸命走り回った、そんな記憶がございます。

 これはちょっと民間の話なんですが、今回も大変大きく募金運動があります。あのときも、共同募金、赤十字などで一千七百億円を超す大きな募金が国の中から集まってきた。あのときは、一月十七日に発生で、一月二十九日、十二日後に、とにかく十万円ずつの義援金の分配があったんですね。それができて非常によかったわけです。

 今回はといいますと、今回は多分、もう二千億円を超える民間の共同募金やら日赤で今集まっているようです。そして、第一次にとにかく分配する三十五万円が決まって、今それがどんどん配られているのかなと思うと、どうもそうでない。特に岩手、宮城ではまだ一〇%、二〇%ぐらいの範囲しか出ていない。福島でやっと七割ぐらいまで行っている。それはどうしてなんですかというと、結局、被災者自身が膨大であるのもそうなんですが、それを配る手だての、これは市町村の自治体の職員たちもあるし、あるいは市町村自身の窓口が流されているし、そういうことで、決まったけれどもまだ配られていない。

 阪神・淡路のときに、最初十万円で、二次の救援金はその四カ月後、それから三次に、さらに最終的には一年半後に配られました。今回その一回目、これは三十五万円、額は高いんですが、まだ配られていない。それは一つの今民間の募金の話なんです。

 それと同様に、やはり今回私が思うのは、さっきの四兆円を超える一次補正もなかなか執行が滞っている分があるのではないかなという意味では、ここをしっかりと、今言っていただきましたが、せっかくつけた、これは全会派一致で決めた、国会で決めた予算でありますので、本当にこれをきちんと十分スピードを持って使っていただきたいなと希望しております。

 阪神・淡路のときのことをさっき言いましたので、今回、基本法という法律を、先ほど来は、何か法律の名前も基本方針及び組織に関する云々、基本的には焼き直しではないかという批判もございます。阪神・淡路のときは、やはり対策本部を置くことということがこの法律で決められた。ただ、あのときは、組織としては、阪神・淡路復興委員会というものが、今回でいうと構想会議みたいなものかなとちょっと思うんです。これは総理府令で、政令で決められているということですが、似たようなところかなと。総理府本府組織令で設置して意見、提言を行うということであります。

 今回は、対策本部に加え、構想会議も法定事項にしています。さらには、原子力発電施設の事故による災害に関する合議制の機関、これも法律事項にしている。だから、大分違うとは思うんですが、しかし、なぜそういうふうにしたのかということを御説明いただきたいと思います。

枝野国務大臣 今回、復興構想会議も閣議決定で設置がされておりますので、そのまま閣議決定に基づく機関ということも法制上は可能であろうかというふうに思っておりますが、何度も御指摘いただいておりますような国難ともいうべき未曾有の災害からの復興という困難かつ重要な問題に取り組むためには、国権の最高機関である国会の議論を経た強力な体制を整備し、国を挙げて復興を推進することが肝要であるというふうに考えております。

 構想会議についても、全体の復興に向けた作業の重要な機関として法律上明確に位置づけることにより、また必要な審議がこの会議において継続かつ強力に行われ、政府としてその会議の提言をしっかりと受けとめて推進していくという姿勢をお示ししていくことが重要であるというふうに考えました。このため、法制上は現状のままでも可能でありますが、あえて法律案に記載をさせていただいて法律上の位置づけをお願いしているところでございます。

藤村委員 今回は現地対策本部というのが特徴的かと思うんですね。この現地対策本部には、多分想定されているのは岩手、宮城、福島、三つに置かれるのかなと思います。総理大臣が指名する副大臣とか政務官をそこに張りつけるということとしておりますが、これは、ここの対策本部とそれからこの現地対策本部との関係というのはどういうふうになるんでしょうか。

枝野国務大臣 今回、大変広範な被災地域に及んでいるということも含めて、それぞれの現地からの多様かつ大量のニーズというものをしっかりと復興に向けても受けとめていかなければならないというふうに思っております。

 その際に、先ほど来出ておりますとおり、それぞれの自治体自体の機能が震災によって大変今弱くなっている状況の中でございますので、ワンストップサービスという言葉も先ほど来午前中から出てきておりますが、それぞれの自治体からの多種多様な要望をしっかりと一カ所で受けとめさせていただく、あるいは国からこういう方針でこういう施策を進めていく、こういう選択肢がありますなどということを一カ所で明確にそれぞれの自治体にお伝えをする、あるいはそこで御相談をしていくということのために現地対策本部をしっかりと強化したものにしたいというふうに考えているところでございます。

 権限についても、内閣として各省庁に対して行使する総合調整権限と同様の権限を現地対策本部長が国の出先機関に対して行使できることとしております。

 こうした形で自治体のニーズをできるだけ自治体の負担が小さい中でしっかりと受けとめて、そして推進をしていくそのキーになる役割を現地対策本部として担っていただき、そこで受けとめた声に基づいて国において総合的に一体的に復興の施策を進めてまいりたいというふうに思っております。

藤村委員 今既に県知事を長とする現地対策本部というのがあります。そこにお国の、それも副大臣とか政務官が乗り込んでいって、またこれは法律で決められた現地対策本部ということになりますよね。これはそごが出ないのかどうか。

 先般、これはニュースで、例えば宮城県の担当者の方が、ある市長さんと今後の仮設住宅の建設について話し合ったと。その地域の皆さんは三千二百戸の仮設が必要で、県の担当者は、これから梅雨を経て暑くなるので今月中をめどに着工する、内陸部に皆さん、建ててもらって移ってほしいと。ところが、現地の市長さんたちは、市の外に建てることを検討する時期ではなく、論外だ、市の外に建てても入りたいと思っている住民はほとんどおらぬと。

 つまり、現地でそういう調整は、中央で行った対策本部、政務官や副大臣ですかの方がちょっとできそうに思えない。やはり今までの知事を本部長とするような、現地の皆さんの、地域の皆さん方の本部が今後活発に活動していただかないとうまくいかないと思うんですが、今回の法律でつくる現地対策本部と、それから現にある知事をトップとする対策本部と、どう調整したり連携したり、あるいはどういう関係にあるのか、そこをちょっと教えてください。

枝野国務大臣 御指摘いただきましたとおり、それぞれの地域の事情について一番お詳しくいらっしゃるのは、市町村の首長さんであったり、議員さんであったり、職員の皆さんであり、そしてそれぞれの県の知事さんであり、職員の方であり、議員さんであるというふうに思っております。

 したがいまして、国の復興に向けた現地対策本部は、そうした市町村や都道府県の皆さんが、復興に向けて、それぞれの事情に応じてさまざまな取り組みをもう既に始めておられるところもたくさんございます。そうした皆さんの主体的な取り組みというものを前提に置きまして、しかし、財政的にも、さまざまな制度的にも、いろいろな意味で、これだけ広範な被害に対して、それぞれの自治体のみの力ではなかなか復興に至ることはできないというのもまた現実でございます。

 そうしたことの中で、市町村や県において十分に対応できない部分について、国が責任を持ってしっかりと進めていく。そして、どういった部分について国が責任を果たしていくのか、役割を果たしていくべきであるのかということについて、地元、それぞれの地域の近いところでしっかりと責任を持って受けとめさせていただく。そして、それを踏まえて国としてさまざまな支援策を実施していく、あるいは、ある部分については直轄的な事業を進めていくということにいたしておりますので、県の本部と国の本部との間で、その権限といいますか、役割についての混乱はなかろうかというふうに思っております。

 国の対策本部も設置がされましたら、できるだけ、それぞれの都道府県の対策本部の皆さんと、ほぼ日々、連日、日常的に交流、会話をして、現地の事情を十分踏まえて、それを国の方にしっかりと届ける役割を果たしてもらいたいと期待をしております。

藤村委員 現地には国の出先機関がそれぞれあります。それも、よく言われる縦割りであります。国交省は国交省で何とか事務所がある。厚労省は厚労省で何とか局があり、事務所がある。それぞれありますよね。例えば仙台に国の現地対策本部が置かれ、そこに、東北管区であそこが中心でしょうから、さまざまな国の縦系列の出先がある。これとの関係はどうなりましょうか。

枝野国務大臣 先ほども少し申し上げましたが、内閣は、各省庁に対して総合調整権限を持って調整を行っているわけでありますが、同様の権限を、現地対策本部長が国のそれぞれの出先機関に対して行使できることといたしているところでございます。

 そして、日常的な平時における総合調整以上に、強い総合調整権限、機能を発揮いたしませんと、先ほど申しましたとおり、それぞれの自治体の皆さんが、例えばさまざまな御要望について国に届けていただくのに、現地の縦の出先機関に要請をし、現地の対策本部に要請をし、そして東京の本省に要請をしなどということになっては、本当に今のそれぞれの自治体の体制の中では復旧復興に支障を来すことになるというふうに思っておりますので、原則的に、復興に関するさまざまな御要望、御意見、声というのは現地対策本部の方に届けていただければ、そこに集められた声というのに基づいて、執行部分で必要な部分があれば、そこからそれぞれの出先機関におろすというような形で、二重三重に御要望を上げていただく、あるいは、そこでの調整に手間をかけるというようなことのないように進めてまいりたいと思っております。

藤村委員 午前中に額賀筆頭理事さんから、自民党案を丸のみせよという御発言もございました。今回、政府が出した閣法に対して、野党自民党の方からも立派な法案を出していただいた。敬意を表するところでございます。

 冒頭、午前中の質問で、大きく三つの点などを御説明いただきました。私、今、少しただして、丸のみするには相当よく調べないといけない、お聞きしないといけないと思いますが、一つ、政府案と比べたときに、政府案は、国と地方と、今までの説明もそうですが、かつ各都道府県に現地本部長も置くということで、そこで、国と地方というのは割に対等の関係というふうに私は理解いたします。

 政府案と比べて、衆法の内容については、やや国がどっちかというとリードするというところに意図があるのか、トップダウンがやはりそこにあるのか。いや、それがいけないとか言っているわけじゃなくて、この自民党案はそういう仕組みになっているのかということなんです。

 それは、例えば第五条の「国の責務」で、復興再生に関する施策を策定し、及び実施する義務を有するとして、計画だけでなしに実施の義務もこれは国ですよね。本当はもっと地方にやらせろという声が当然出てきますよね。かつそこに、六条、「地方公共団体の責務」で、国の施策に呼応して、復興再生に関する施策を策定し、及び実施する義務と。

 これは、さらっと読んでしまうと飛ばしてしまうんですが、自民党の方でかつて出されていますが、昨年十月ですか、国等の責任ある財政運営を確保するための財政の健全化の推進に関する法律案などでも、今の似たような表現のところ、国の施策に呼応して、及び並行してという言葉が入っています。やや難しいですけれども、法律的に。

 呼応というのは、国がこうしようと言えば相手が応ずることですよね。どっちかというと、こうしろ、では、こうしますという話。しかし呼応し、かつ並行。これは、並び行くことと辞書には書いてあります、国がこう言うと、よっしゃ、よく聞いて、わかった、では、一緒に行きましょうと。

 若干、上から目線というよりは、やや国主導の復興実施になるかならないかというその辺が、私、政府案と衆法、自民党案とで相当違いがあるのかな、あるいはないのかなと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。

石田(真)議員 藤村議員にお答えをさせていただきます。

 国の方が主導的になり過ぎているのではないかというようなことでございますけれども、全く御懸念のようなことはございません。

 まず、国が再生復興に主体的に関与する、それは定めておりますけれども、同時に、地方公共団体も、みずからの責任と権限において、復興再生に関する施策を策定し、そしてまた実施をする責務を有する、そのように規定をしているところであります。

 特に、今回の大震災におきましては、先ほど来も議論になっておりましたけれども、やはり被害が甚大であるとか、あるいは広域にわたる、それからまた地震、津波、原発の複合的な問題がございます。そういうことを考えますと、やはりそれぞれの地域の実情に合った対策をやっていかなければいけない、それが一つございます。それからもう一つは、それぞれの地方自治体がやはり財政上大変厳しい、そういうことも考慮しなければならない。

 こういうことを勘案いたしますと、国も一方でしっかり関与をするということはどうしても大事だ。しかし、先ほども申し上げましたけれども、国の基本的な方向、それは踏まえつつも、やはり、地方自治体がその責任と権限において施策を策定する、さらにはそれを実施していくということが定められているということで、それを明確にしたということでございます。

 そして、呼応と並行という言葉の御質問がございましたけれども、今回の場合は、やはり地方自治体の独自性を高めていくといいますか、そういうこともありますし、また事の大きさ、あるいは難しさ、そういうことの中で国と地方が柔軟に対応していく、そういう意味から呼応という言葉にとどめたということでございます。

藤村委員 だから、内容的には、呼応し、並行してとしても構わない話ですかね。今、筆頭提出者石破先生が構わないですよとしゃべっているように口の動きは見えましたので、そうしたらその部分は丸のみできるのかなという気がちょっといたしますが。

 要は、今おっしゃるように、もちろん、これは地方だけでできることではないことはみんなわかっています。やはり国がきちっと、復興のビジョンなども相当長期にわたって、それもやや広域的に考えた中の、では何県は、それに呼応して、国の趣旨をよく体して、並行して一緒にやっていきましょう、こういうことであるなら、我々と何も考え方は違っていないな、そういうふうには思います。

 それから、引き続き衆法に対して、復興再生院という言葉を使われたのは、例の帝都復興院をイメージされたのかどうかですが、このときは東京の復興のスピードは本当に速かったというふうに歴史的には評価されていると思います。ただ、あれはもうわずか四、五カ月で終わっているようですね。今度の衆法、自民党提出の法案では、十年ですか、相当長期間にわたってこの役所が機能していく、こういうことかと思いますが、復興再生院の事業については、この法律では新たに別な法律でとなっておりますので、その事業の内容が、もう少し具体的に今お考えのところを説明いただきたいわけです。つまり、公共事業だけなのか、あるいは中小企業対策や雇用対策や教育など、それぞれ入っているんだとは思うんですが、それをきちっと発言しておいていただきたいなと思います。

齋藤(健)議員 私どもが考えております復興再生院は、今、帝都復興院のお話が藤村議員からありましたけれども、何も地方の権限を国に持ってくるということではなくて、先ほど藤村議員のお話にありましたように、仮設をつくるだけで三省庁を呼んでやらなくちゃいけないというお話がありましたけれども、復興再生に関してはこの復興再生院で、各省各局ばらばらに所管されているものを霞が関の省庁を集権するという意味でつくっているわけでありますので、地方の権限を国に持ってくるという話ではないという点はまず御理解をいただきたいと思います。

 その上で、具体的な立法はこれからの作業になりますけれども、今お話がありましたように、公共事業にとどまらず、復興再生に必要な事業であれば基本的にはすべてこの復興再生院に集約をして、事業を一元化してやっていきたいということでございます。

藤村委員 地方の出先機関がそれぞれあるわけですよね。復興再生院の場合は、中央できちっと各省をまとめ、それを出先に指示すると。さっきの政府案だと、現地本部がありまして、むしろ現地で、中央からの出先がこうして取りまとめて、そこに本部長を置いてやる、この違いがあると考えてよろしいんでしょうか。

齋藤(健)議員 この我々の法案におきましても、復興再生院のもとに「地方支分部局として、被災地域に地方復興再生事務所を置き、」ということになっておりまして、地元の要望、あるいはここが復興再生院の出先として機能していく。その場合のほかの省庁との権限をどうするかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、復興再生に必要な事業について、きちんとこれから整理をしていくということになろうかと思います。

藤村委員 これから整理していくということでございます。

 つまり、現地本部と言っても、あるいはその事務所と言ってもいいんですが、この震災復興に関しては、そこが権限を持って、国から来ている出先をきちっと、本当に地元で権限を持ってやってもらわないと、また同じ縦割りで、それぞれ事務所はまた中央の再生院に問い合わせる、出先の機関はまた出先のそれぞれの省庁に問い合わせ、こっちで調整するというと、また同じことになってしまいますよね。そのことがそうでないというのは、今後さらにはっきりさせていくということだと思います。

 すなわち、言いたいのは、結局、さっき私の話を取り上げていただきました仮設建設でも、厚労省が予算を持ち、国土交通省が現地で土地を手配したりなんかの応援をし、経産省はまた資材を、プレハブや何かの手当てをするという、この縦割りをやはり本当になくしていかないといけない。そういう意味で、いわゆる各府省で行っている事業との切り分け、これははっきり、そこがちゃんと権限を持ってやるんだということが必要だと思います。

 それからもう一つ、ちょっとわからない点が、では、復興再生院が所管するエリア、範囲、これは東北三県だけなのかどうなのか。政府案は一応、想定しているのは各三県ですよね、盛岡、仙台、福島に現地本部を置くとなっています。衆法、自民党案ではいかがでございましょうか。

 さらに、では一つの県でも、その中で全然被災していない、ごく普通の正常なところもある、そこは別に関係あるのかないのか。つまり、被災県すべての関係を復興という名のもとに何でもやってしまうということにはならないか、こういうことをお伺いしたいんです。

齋藤(健)議員 復興再生院の事業につきましては、当然のことながら、被災地、被災県を中心に、復旧再生に必要な事業を一元的に管理していくということでありますけれども、被災地、被災県でありましても、復旧再生と関係のない事業というのもあろうかと思います。そういうものについてはここであえて所管をする必要はないと思いますが、直接被災地、被災県じゃなくても、事業によっては関係してくるというものもあろうかと思います。その辺の事務事業の精査につきましては、志高く、しっかりやっていかなくちゃいけないと思っております。

藤村委員 私考えるに、政府案は政府案ですけれども、実は民主党の中では、復興庁のことを相当議論して、相当権限を持たせてやれという声も非常に多いんですよね。それから、公明党さんのお考えも発表しておられますが、大体似たようなところという気がしています。そういう意味では、これは、額賀先生は丸のみとおっしゃいましたが、丸のみとまでいかないまでも、相当大きく包含して、ぜひ一つの案にしていって、みんなで決めたいなと。

 というのは、この震災復興は、何も政党的な話ではなしに、あるいはそんなに思想が加わる話でもないし、本当に詰めていけば、ほぼ同じ結果、成案になってくると思いますので、ぜひこれは進めていきたいというふうに考えております。

 一九九五年の阪神・淡路大震災、あのときを思い出していただくと、ボランティアという言葉が本当に全国に広がり、ボランティア元年と言われました。そして今回、ボランティアが本当に大活躍をしていただいております。

 あのときも、一方で寄附金も、共同募金やら日赤やら、相当大きな額が全国から集まりました。今回は、それをはるかに上回る募金。私は、募金元年というのがことしになるんじゃないかなと思います。そういう意味では、この募金元年という命名をした上で、その募金に対する寄附金控除とか、そういうこともまた一緒に考えていけるんじゃないかなと思います。

 一次が終わったからすぐ二次補正だという拙速にならないように、しかし迅速にやる、こういうことを一緒に進めていければ幸いであります。

 以上で終わります。

黄川田委員長 この際、近藤洋介君から関連質疑の申し出があります。藤村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 黄川田委員長と民主党の復興ビジョン検討チームで、黄川田委員長の御地元の陸前高田、さらには大船渡に調査に行かせていただきました。そうした経験、万感の思いを込めて質問に立ちたいと思います。

 最初に、枝野官房長官にお伺いしたいと思います。

 枝野長官、官房長官の枝野という名前をもじって、いっとき、インターネット上でエダるという言葉がはやりました。寝る間を惜しんで働いて、厳しい上司のもとで必要以上の努力を強いられるという意味だそうであります。まさに、震災以降、激務が続いておられるかと拝察をいたします。

 震災から七十三日が過ぎ、エダると言われるまでの状況、多少は改善されたんでしょうか。

枝野国務大臣 確かに、震災発生から最初の一週間ぐらいは、私の人生の中でもこんなに睡眠時間が短かった期間はないという状況でございましたが、しかし、実際の被災地の皆さん、あるいは避難をお願いしている皆さんは、私ども以上に大変厳しい中にまさに避難生活を送られていたわけであります。

 また、広い意味での政府においても、警察、自衛隊、消防を初めとして、それ以外のいわゆる背広を着て仕事をする側の人間も、本当に多くの職員が不眠不休で仕事をしていただきました。自治体においては、被災者でありながら同時にそんな仕事をしていただきました。

 そういった中でございますので、私は相対的に閣僚の中でも若うございますので、そうした中では何とかこなすことができましたし、その後、これからは長期戦ということで、もちろん業務は多々ございますけれども、少なくとも肉体的には健康に仕事をさせていただいているところでございます。

近藤(洋)委員 まさに未曾有の大災害を受けて、今国家的な危機に直面をして、それぞれの立場の方が最大限の努力を今尽くされているわけであります。被災者の方々の生活支援、地域の復旧に全力を尽くすと同時に、将来を見据えた復興も同時進行で進めなければいけない。今、政府に求められておるのは、何よりも迅速な決断、意思決定であり、実行力だろうと思います。

 内閣は、総理大臣を中心とするチームであります。そうなりますと、すべて首相官邸で物事を決めるというのはどだい無理な話であり、結果として、これからの長期戦のことを考えると、これまではよかったけれども、今後のことを考えるとスピードも遅くなる懸念が出てまいります。

 それぞれの官庁の最終意思決定者たる閣僚、大臣は、結果責任を負い、部下たる官僚組織を動かす、これが組織の能力を発揮させる基本だろうかと思います。

 今回、閣法で、復興を速やかに実行させるために、意思決定を下す国務大臣を増員して二十人体制とし、それを支える副大臣、政務官の数もふやす、この意義は大変大きいと考えますが、官房長官としてはどのような効果を期待されておりますか。

枝野国務大臣 震災発生直後から、本当に震災発生の前と比べれば倍ではきかないぐらいの政府としての業務量であり、なおかつ、特に閣議あるいは大臣レベルでの政治的な決定を要する問題の量というのは、本当にけた違いに多くなっております。

 そうした中でございますので、特に各省にまたがる問題は、平時においては官房長官の役割でございますので、そういった意味での官邸、それから、松本防災担当大臣を初めとして関係大臣、そしてそれぞれの役所がそれぞれの業務をということで、できれば早い段階で閣僚の数がふえて、それぞれの持っている本来の役割と震災対応の役割とをうまく分担ができればよかったなというふうに思っております。

 緊急事態の状況からは変わっておりますが、逆に、それぞれの役所の持っている本来業務、例えば、最初の一カ月ぐらいは、外務大臣だけは別としても、さまざまな国際会議等についても失礼をさせていただくとか、それから、政権として日常的に進めていかなきゃならないさまざまな業務も、一カ月ぐらいはかなり、少しおいておいてということが許される状況だったかと思いますが、そうしたものも徐々に日常に戻ってきております。

 まさに、震災前のさまざまなそれぞれの担当閣僚の業務に、それぞれの閣僚とも震災対応で大変大きな業務が上乗せされ、さらにその全体を調整して進めていく役割が必要になっているという状況でございますので、できれば、国会でできるだけ早くこの内閣法の改正等について御理解をいただいて、そうした意味での役割分担をしっかりとして、それぞれの閣僚がそれぞれの役割にさらに万全を期すようにさせていただければありがたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 まさに官房長官がおっしゃったとおり、これからますます仕事がふえてくる。

 かつ、振り返りますと、午前中の質疑でも阪神・淡路大震災との比較の話がございましたけれども、二十人という閣僚の数は阪神・淡路大震災のときの数なんですね。阪神・淡路大震災よりもはるかに大きくて、また、原子力発電所の事故というさまざまな複雑な要因がある中で、二十人の閣僚というのは、私はこれぐらいの数はどうしても必要じゃないかと思うわけであります。

 さて、今回の大震災によって、日本経済全体も大変大きな痛手を受けております。半導体の部品工場が被災をし、日本の自動車の生産がいっときストップしたというのはこの代表例でありますし、改めて、東北、東日本地域というのが、農林水産業だけではなくて、製造業の根っこでもあったということが明らかになっておるわけであります。

 一方で、現時点で、これは経済産業省の調査によると、七月までに必要な部品の調達量が確保できると回答した加工業の割合、企業の割合はまだ三割弱にとどまっているというアンケートもございます。同時に、最近のこの円高傾向であります。円が高どまりをしている。これは非常に日本経済にとって危機的な状況だろうと思っています。放置をしておくと国内から製造拠点が逃げてしまう、こういうわけであります。

 産業なくして雇用なく、雇用なくして復興はあり得ない。これまでの横並び型の政策の発想を切りかえて、ある分野、場合によってはある地域、ある企業でもいいかと思いますが、的を絞って企業立地、拠点化を進めないと対応できない。我々民主党がまとめた復興ビジョンの中間報告では、政府の支援策を重点化する傾斜支援方式、戦後直後、傾斜生産方式というのがありましたけれども、これを傾斜支援方式と呼びかえて、産業の拠点化というのを提案しております。

 政府として、日本を支えてきた東北、東日本の産業強化、立地強化策をどのように打ち出し、実行されるお考えなのか、御担当の経済産業大臣、お答えください。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。

 私も、民主党の復興ビジョンを拝見しまして、その中で傾斜支援方式という文言がございまして、今委員御指摘のように、まさに戦後の荒廃の中から日本経済を立て直したときの傾斜配分方式あるいは傾斜生産方式、あれを思い出したわけでございます。

 私ども、特に今回の大震災ではっきりしたことは、これも委員の先ほどの発言の中にございましたけれども、サプライチェーンですね。これが、東北の地域が非常に重要なサプライチェーンの役割を果たしていた。それは日本だけでなく世界につながっていくサプライチェーンでございました。ですから、このサプライチェーンの効率性とそれから強靱性、効率性は随分従来も主張されてきまして、そのように行われておりましたけれども、やはり一たん事があったときの強靱性、これをどうするかということにこれから意を尽くしていきたいと思います。

 それからもう一つは、やはり今般の震災で、エネルギー制約ですね、それから外国企業のジャパン・パッシングのおそれ、あるいはジャパン・ブランドの劣位と申しますか、せんだって私、自動車の業界の皆さんとお目にかかったら、六重苦という言葉もお使いになっておりました。

 そうしたことを踏まえて、幸い、せんだって新成長戦略実現会議もスタートしたところでございます。この新成長戦略の中で、もう一度、日本の物づくり、とりわけ東北地域の物づくり、その重要性を改めて認識して、そこから新たな出発をしていきたい、このように考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、これから復興を考えるに当たって、大臣がおっしゃったとおり、この物づくりを再生する、そしてより強くしていく、特に日本の中に投資を呼び込むような施策も大事かなと思うわけでありますが、復興の方向性、ビジョンというのは、当然のことながら、被災地の方々、地域の思いが原点であります。地域の方々の発意をスタートラインにしながらも、国が従来の発想を超えて日本復活の道筋を示すことが必須だろう、こう考えるわけであります。

 民主党のビジョンでは、税金を思い切って引き下げたり、規制を見直して地域づくりを進める特区制度、復興特区の創設であるとか、また災害に対処するために、危機管理の観点から、例えばですけれども国の一部の機関を被災地に、東北地方に移す首都機能の一部移転もにらんだことであるとか、再生可能エネルギーの産業を興す、また研究開発拠点を設けるといった構想も例示をしているところでございます。これは、先ほど海江田大臣もおっしゃっていたとおり、新たな新成長戦略かと思うわけであります。

 そこで、国家戦略担当大臣の玄葉大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、この復興に当たって、新成長戦略、新たな発想での成長戦略のトップランナー、この起点が東日本だという国家戦略の組み立てが必要かと思いますけれども、担当大臣のお考えはいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 近藤委員から常にビジョンの提言を今いただいている最中でありますけれども、三・一一以降、国家戦略の再設計、再強化をしたい、そう考えておりました。

 先般、政策推進指針というものを閣議決定したところでございます。その中で、成長戦略については質的転換を図りたい、その中心は革新的エネルギー戦略というものになろうかと思います。

 ただいまお話のあった、いわゆる東日本の復興を日本の再生の先駆例、先駆的地域社会というものを想定して進めていくべきだという話は、全くそのとおりでございます。特区もそのとおりでしょう。あるいは特区を含めた、あるいは特区を超えた地域振興法も具体策を検討する必要があるのではないか。世界的な再生可能エネルギーの拠点といったものも具体策を考える必要があるのではないか。あるいは、少子高齢化社会の地域包括ケアのシステムを先駆例として設ける必要があるのではないか。それぞれ、いよいよ具体策を検討する段階に入ったというふうに考えております。

 ただ、当面、被災地に参りますと、まず雇用、当面の生活の糧、医療、子供の学校、健康、こういったものをきちっと確保しながら将来の道筋をしっかりつけていくということが極めて大切だというふうに考えております。

近藤(洋)委員 私も、被災地を回り、いろいろお話を伺うと、まず今あることを解決してくれという御要望と同時に、やはり将来に希望がなければ立っていけないんだというお声も聞くわけであります。玄葉大臣は福島選出の議員でもあられますから十分おわかりかと思うわけですけれども、この両方をぜひしっかりつくっていかなければいけないと思うわけであります。

 先ほど午前中の質疑にもあったので、ここはちょっと質問を割愛いたしますけれども、復興を考えるに当たって経済全体の血液になるのが、私はこれはエネルギーと金融だと思うわけであります。

 エネルギーについては、今回の震災でも、計画停電だとか、またガソリンの大不足であるとかを経験して、その安定供給の重要性、再認識をされました。とりわけ電力の立て直しについては非常に多くの課題が山積をしております。原子力災害に対するための制度をつくること、これはこれまでつくってこなかったということであるわけですから早急につくらなければなりませんし、今、危機管理体制の立て直しは急務であります。

 何よりも、被災をされた方々の救済のために、そして世界から信頼を得るために、日本経済を立て直すために、三つの観点から急がれるわけでありますけれども、政府において決定をした東京電力の賠償スキームについて、やはりここは政府において早急に法制化し、野党の合意を得て今国会で成立を期すことが極めて重要であるということを、この点でも私は強調をしてまいりたい、このように思います。

 あえて申し上げれば、この公的資金による救済というのは、私もかつて新聞記者時代に金融国会というのがございました。住専、住宅金融専門会社に対する救済というのがありましたけれども、今回は住専の問題とは全く事柄が違う。あれは基本的に放漫経営による問題でございました。そして、日本航空の再建というのも、ある意味で経営者の経営の問題に起因するものが大でございました。今回は、大きな震災であるということ、またさらには被災者の方々がたくさんいらっしゃる、この方々に対して迅速な支払い、安心感を持ってもらうためにもこの法制化が急がれるという点だけ、先ほど海江田大臣にもうお答えいただきましたので、強調してまいりたい、こう思います。

 もう一点の大きな柱である血液が、私は金融であろうかと思います。

 特に、被災をされた方々の二重債務問題、この解決が非常に重要であります。一律な借金の棒引きというのはなかなか難しいわけでありますが、しかし、国と金融機関と被災者の方々がそれぞれ負担をするという考えに立ち、例えば住宅ローンの金利の軽減や返済の猶予、担保になっている土地、不動産の買い上げであるとか、政府系金融機関による支援であるとか、またさらには、被災地域では金融機関自体も被災企業であります。さまざまなそういう金融機関への支援といった政策総動員が必要かと思いますし、現在、民主党の中でも相当突っ込んだ議論を進めておるところでございます。

 政府の検討状況はどのような状況になっているのか、まず金融担当大臣にお答えをいただきたい、そして取りまとめに当たっている枝野官房長官にお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 近藤議員にお答えをいたします。

 今先生御指摘の二重ローンあるいは二重債務の問題、これは極めて重要な問題であるというふうに認識いたしております。金融庁といたしましても、災害が起きた三月十一日当日からでございますけれども、日本銀行総裁と私の名前で全金融機関にお願いをいたしまして、特に、中小企業金融円滑化法というのが今ございますから、それに従って、貸し付け条件の変更の申し込みについては、まさに大災害であったわけでございますから、積極的な対応をするように要請し、金融機関も積極的に今対応しているというふうに承知しております。

 この問題は、先生御存じのように、民間の金融機関だけでは当然限界がございますので、今、いろいろな政策金融あるいは財政当局と、きちっとやはり政府一体としてやることが大事だ、こう思っております。

 先般も、菅総理から関係省庁大臣に、検討するようにと強い御指示がございまして、今先生がやっております党の論議とあわせて、関係大臣と力を合わせて、政府全体の問題として今検討をさせていただいているところでございます。

枝野国務大臣 金融担当大臣から、民間金融機関における貸し付け条件の変更等について御答弁いただきました。さらに、政府系金融機関を中心に、一次補正でも、中小企業や農林水産業者に対する実質無利子となるような貸し付けなどの金融支援も措置しているところでございますが、こうした直接的金融支援に加えて、総理から改めて指示がございまして、各大臣のもとで知恵を出して検討しているところでございます。

 例えば、債権放棄も含めた貸し付け条件の変更、これに対応を行いやすくするとか、あるいは、独法等の出資による事業再生ファンド、つまり、貸し付けではなく出資というような形にすることができないだろうかなどを検討しているところでございます。そして、そうした施策と民間金融機関のそれぞれの努力、そして政府系金融機関のさまざまな施策というものを今総合的に調整をしておりまして、党の方でもさまざまな知恵を検討いただいているというふうに伺っておりますので、そうした知恵もおかりをして、早急に方向性を示してまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 スピード感を持って、これは野党の方々とも共同歩調をとりながら対策をとる必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

黄川田委員長 これにて藤村君、近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 総理並びに関係大臣に質問をいたします。

 きょう、五月の二十三日は、三月十一日の発災から七十四日目でございます。改めて、お亡くなりになった方に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様にもお見舞いを申し上げたいと思います。また、今なお、被災されて避難所等で御苦労されている方にも心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私ども公明党は、衆議院、参議院において特別委員会を設置して、そして復興のための特別措置法の制定、復興庁、また復興担当大臣の任命、こういうものを地震発生直後から主張してまいりました。きょうはその委員会として私も初めて質問をいたしますので、しっかりと明確な御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 まず、総理にお願いをしたいんですけれども、被災者に頑張れということを言ってはいけない、こういうことはよく言われております。そこで総理にお願いしたいのは、総理は答弁とかで、一生懸命頑張っている、一生懸命やってきているんだ、こういうことをよくおっしゃいますけれども、そういうことはもう言わない方がいい。それは一生懸命やるのが当たり前であって、一生懸命やっているということは御本人がおっしゃらない方が私はいいのではないか。これは周りが評価することであって、ぜひ、これから総理の御答弁では、一生懸命やってきたということはおっしゃらない方がいい、このことをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、総理、これは、五月の二十二日、きのうの段階でありますけれども、避難者が何人いらっしゃるか御存じでしょうか。

菅内閣総理大臣 おおよそ十一万人ではないかと認識しています。

石田(祝)委員 この人数を私も毎日手帳につけてきておりまして、正確に申し上げますと、昨日の段階で十万九千八人。なかなか十万台から下に落ちないんですね。ですから、このことについてはまた改めてお伺いをいたしたいと思いますけれども、それだけの方がこの復旧復興について私たちにも大いに希望している、期待を持っている、こういうことをまず申し上げたいと思います。

 それで、私はきょう、法案について少々お伺いをいたしたいんですけれども、特に総理に、この復興の基本方針及び組織に関する法律、きょう七十四日目というふうに申し上げましたけれども、なぜこんなに時間がかかったんでしょうか。五月の十三日に出されたことは承知はいたしておりますけれども、どうしてここまで遅くなったのか、総理のお答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、阪神・淡路のときと比べますと、あのときの経験を踏まえて、今回は緊急災害対策本部、かなり強力な権限を持った本部を法律に基づいて立ち上げ、そのもとにいろいろな、例えば避難をされた方などの生活支援などを含めた対策のチームを立ち上げ、そういう中で相当のことは、例えば当初は予備費等を使い、そして第一次補正を使い、復旧作業については実行してまいりました。

 そういう中にありまして、いよいよ復興を目指す段階に来たということで復興構想会議を立ち上げ、そして、さらに復興を推し進めるための本格的な体制づくりということで、今回の法案を出させていただきました。

 そういった意味で、いろいろ、遅いとかそういう指摘をいただきますけれども、私は、この間、七十四日目に当たる今日まで、そうした制度の中で、これまで緊急災害対策本部等の中でやるべき仕事はやってきたけれども、しかし、被災者の皆さんから見れば、まだまだ不十分なところ、あるいはまだできていないところ、それは多々ありますけれども、決してこの法案の提出が遅いためにできなかったということではなくて、これまでの制度の中でやるべきことはやってきたという認識の中で、次の段階に進むための法律を出させていただいた、こういう認識を持っております。

石田(祝)委員 総理、今回の法律は、要するに阪神・淡路のときの法律と名前も全く同じなんですよね。阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、これを東日本大震災にかえたら全く同じなんですよ。これは名前だけじゃなくて、中身もほとんど同じ。

 それで、私がこれを疑問に思うのは、総理は、阪神・淡路大震災のときには、自民、社民、さきがけ政権で、当時政調会長をなさっていましたよね。ですから、その法律づくりに大いに関係していたと思うんですよ。平成七年ですから十六年前に、当時の政権で、その当時としては未曾有の災害の復興案づくりにも携わっているわけですよね。そのときに出てきたものとほとんど同じ法律で、そのときに出てきたのが発災から三十二日目ですよ、今回はその倍近くかかっている。倍近くかかっているから、中身が充実して、そのときと違うものが出てきているかと思ったら、ほとんど入っておりません。

 そして、そのときにも復興庁の議論が実はなされているんですね。そのときも復興庁の議論がなされているけれども、行政改革の観点からつくらないんだ、こういうことで議論が終わっております。

 ですから、それ以後十六年間、総理もいろいろ御経験されたでしょう。今回の大きな災害について、中身が物すごく変わって充実をしたので時間がかかったというならわかりますよ。ほとんど変わっていないじゃないですか。それで被災の大変さということが、本当に国民の皆さんの目に総理はそう思っていると映るんでしょうか。物すごく中身が充実している、復興に対する希望が持てる、こういう法案だと言えるんでしょうか。

 総理、この法案でこういうことができるようになったんだとか、決定的にここは違う、今までできなかったことがこの復興法案でできるんだ、そういうものがこの中にありますか。

菅内閣総理大臣 まず、私は、最も重要なことは、どういう復興を行うかという、まさにその青写真があって、かつ、それを実行できる体制があるということが重要だと思っております。

 私も、この法案を考えるに当たって、当時中心的な役割の一人を果たされた石原信雄さんとは話をいたしました。構想の青写真の方は既に構想会議で御議論いただいていますが、執行体制についてはどういう形があるのか。大きく言えば、今御党あるいは自民党から提案されているような復興院という考え方と、阪神・淡路のときのように内閣のもとに復興本部というものを設けるやり方。一長一短あろうと思います。

 石原さんのお話では、改めてそういう新しい組織をつくることは、一見、非常にわかりやすくていい面もあるけれども、よほど気をつけないと、もともとある、例えば国土交通省とか農水省とかそのような役所と新たに生まれた役所との関係の切り分けが非常に難しくて、二重行政になる危険性が非常に高いと。ですから、これは石原さんの御意見でありますが、自分は、そういう形ではなくて、しっかりした担当大臣を設けたもとで、全閣僚のもとの、つまり、総理大臣が本部長で担当大臣が実質的な責任者である、その体制の方が、そこで官僚組織をしっかり束ねる能力のある人に事務局長的な役割を担ってもらった方が、それですべての霞が関をストレートに本部から動かした方がより効率的に動くと思うという御意見もいただきました。

 他の方からもいろいろな御意見もいただきましたけれども、そういう中で、今回の法案の形が阪神・淡路のときと似ているという御指摘は、それはそれで決して否定はいたしませんけれども、どちらがどういう点でよくてどういう点では問題かということは大いに議論する中で、私どもの法案の中にも、一年間の中での、復興院というものの議論のできる形になっておりますので、大いにこの委員会で議論をし、よりいいものになるのであればそうした議論の中から受けとめてまいりたい、こう考えております。

石田(祝)委員 総理、決定的に違うのは、要するに、阪神・淡路大震災のときは四日目ですよ、三日後に既に小里さんが担当大臣に任命されているんですよ。私たちは、もう早くから、復興庁をつくれ、一元的に復興に資する役所をつくるべきだ、そして復興担当大臣も早くつくりなさい、こういうことをずうっと言ってきたじゃないですか。

 それに、私たちが言っているから、野党が言うから聞きたくないと思ったかもしれませんけれども、今になって三人ふやしてもらいたいと。では、なぜ最初に、復興担当大臣だけは頼む、一人だけでもふやしてくれ、こういうことをどうして言わないんですか。途中で、私たちもほかの党も、復興担当大臣をつくれと随分言ってきましたよ。もう二カ月過ぎちゃいました。突然、三人ふやしますよと。これは総理が熱心にやってこられたということでしょうけれども、もうそろそろこれは自分ではできない、だから人をふやしてやってもらいたい、こういうことじゃないんですか。

 ですから、これは、私はこの内閣法についてもちょっと時間があればお聞きをしたいと思っておりますけれども、なぜ最初から復興担当大臣をつくらなかったのか。阪神・淡路のときと比べて、そういうところも決定的に違っている。私はそのことをちょっと申し上げなくてはいけないというふうに思います。

 ですから、被災の大きさが違うと今お話がありましたけれども、当然、総理は、私がさっき申し上げたように、当時も与党の幹部で、政調会長をやっている、法案づくりもやってきている。そのときに阪神・淡路の様子を見ていて、そして十六年たって、今回この法律でいいんですかという気持ちが私はするんですよ。大きさも違う、被害の程度も大変違う、そういう中で、どうして似たような法律しか出してこれないのかなと。これは私は大変大きな疑問であります。

 ですから、これは総理が、十六年前に当時のさきがけの政調会長として阪神・淡路大震災からの復興に携わって、そして今回、総理が天命とおっしゃった、そういうところにめぐり合わせて、さらにそのときの経験が本来なら生かされて、もっともっとスピードアップをして、この法案についても中身がぎっしり詰まったものを当然出してくるべきじゃないか。

 阪神・淡路のときは一カ月目ですよ、今二カ月を過ぎて出てきているわけですから、出してくるのも遅いし、中身も、十六年間どういうことを総理がお勉強なさったのかなと率直に思わざるを得ないわけです。

 そして最後に、この問題ばかりできませんので、我が党の提案も申し上げたいので、この提案された復興法案で本当に被災地の皆さんが希望は持てますか。これだけ、お答えを最後にいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、一九九五年の阪神・淡路の震災のときでありますけれども、当時の法制度では、国土庁長官がこうしたことの責任者に当たることが決まっておりました。現在は、国土庁は当時の建設省と一緒で、さらには運輸省と一緒になっておりますけれども。

 そして、震災が発生したときは、国土庁長官は当時の自民党の小沢潔先生でありました。そういう形で、法律的には国土庁長官が直接こういうものの担当に当たるというのが当時の法制度でありましたが、その後、小里先生に、国土庁長官からかわられる中で担当大臣になられたわけであります。

 私、そのころ、相当この法律を調べました。責任者が総理大臣ではない法律になっておりました。その後の災害の法律の改正によって、こういう大規模な震災に関しては直接総理大臣が本部長となる現在の制度になったわけであります。ですから、十五年前と今日は、まず行政制度で国土庁という組織もありませんし、法律体系として、総理が本部長になるということが法律で規定されているという意味で、かなり強化をされているわけであります。

 そういうことを踏まえて、私が最初に申し上げたように、今回の緊急災害対策本部というのは、一九九五年よりも強化された法律に基づいての本部でありまして、そのもとにいろいろな仕組みをつくって進めてきたということで、決して私は当時に比べて今回が体制として弱いとは思っておりません。

 その上で、先ほど申し上げましたように、いよいよ復旧から復興へ向かうという中で、青写真づくりは復興構想会議に、そしてそれを執行する体制としてはどうあるべきか、それは先ほどと重なりますからもう余り繰り返しませんが、復興院という形の別組織をつくるのがいいのか、それとも、内閣そのものをしっかり束ねて、すべての省庁を直接復興本部のもとに置いて、しっかりした事務局長役を置くのがいいのか、あるいは担当大臣を置くのがいいのか。そういう中から今回の法案を出させていただきました。

 また、御承知のように、その一九九五年当時は、内閣は総理大臣のもとに二十名の大臣から構成されておりましたが、現在は、その後の橋本行革の中で十七名に減員をされて、例えば厚生労働も一本になる、あるいは今の科学技術庁も一本になる、そのことが、これは皆さん方も与党であられたころの経験を通して、やや過大な、大きな省庁がある中で今回の震災を迎えましたので、これはどうしても御理解をいただいて、担当大臣をつくって閣僚の数をふやさせていただきたいというのが、この一九九五年の経験も踏まえての私の考え方であります。

石田(祝)委員 総理、ちょっと時間もないので端的に御答弁いただきたいんですが、小里さんが震災復興担当大臣になられた、小沢潔さんがその前にいた、そこの経緯は、小沢潔さんの名誉もあるから私はこれ以上申し上げません。それは理由があって小里さんを三日後に任命したんでしょう。そのことはわかっているじゃないですか。そこにいたんだよということじゃなくて、小里さんという人を得たがゆえに、やはりそこでどんどん進んでいったということは私は事実だと思いますよ。ですから、その点は別に、その当時もいなかったのを任命したということは言っておりません。小里さんという人を得て進んだということは事実であります。

 だから、この法律でも、今回の復興法でも総理が主任の大臣でしょう、それはわかっていらっしゃるんですか。(菅内閣総理大臣「もちろん」と呼ぶ)そうでしょう。だから、総理が主任の大臣ということは今と変わらないじゃないですか。だから、この法律をつくらないとできないことは何ですかということをお聞きしましたけれども、御答弁はなかったように思います。

 それで、公明党の考え方もちょっと知っていただきたいので申し上げたいと思います。

 ここに書いておりますけれども、公明党も予算を伴う法律をちょっと提出できませんので、考え方ということで発表をいたしました。

 一つは、復興は人間の復興を基本理念とする、そして、国は基本理念にのっとり復興基本指針を定める、地方公共団体は基本理念・指針を踏まえ復興計画を策定する、そして実施をする、内閣に施策を一元的に実施する復興庁を設置する、これは政府案とはちょっと違いますよね。首相は復興庁を所管する復興担当大臣を任命する、そして、復興財源を確保するため歳出を徹底して見直し削減していく、国会の議決を経て復興債を発行する、被災地域を復興特区に指定する、こういう主な内容でございます。

 ですから、政府と似たところもありますけれども、決定的に違うのは、実施ができる官庁としての復興庁、これを提案しているということでございます。政府の法律は、どこまでいっても企画立案、総合調整。実施の権限を持たされていない、こういう官庁でございまして、特に附則で復興庁にも触れられておりますけれども、その復興庁、附則で触れられているところも、企画立案、総合調整、それを一年間のうちに検討する、こういう内容になっております。

 ですから、そういうところとか、復興特区また復興の財源、こういうものを私たちは明示いたしております。予算を提出することはできませんから、こういう考え方にのっとって、これは法律が、そのまま閣法がいくのかどうか、これからの議論だろうと思いますけれども、しっかりと中身の詰まったものにこれはしていかなければいけない、このように思っております。

 それで、せっかくですから、政府案との違いをちょっと見ていただきたいと思います。

 ここで、私どもの案は、先ほど申し上げました、組織については復興庁である。政府案は復興対策本部ですね。首相が本部長である、そして副本部長が官房長官と担当大臣、こういう形になっていますね。

 組織の役割としては、基本的な方針に関する企画立案、総合調整。どこまでいっても総合調整で、実施する官庁じゃない。

 財源については、政府案については具体的な言及はありません。いろいろと措置をするという書き方をしておりますけれども、私どもは、歳出の徹底した見直しと削減、そして復興債を発行する。この復興債についても、当然、今までの国債とは別の経理にして、償還の道筋も明らかにする、こういうことも書いております。

 それから、復興特区ですね。やはり被災地域を復興特区にして、そこでしっかりと一元的に、その地域ならではの課題がたくさんあるわけですね。これも、岩手、宮城、福島と、県を一つということじゃなくて、それぞれの市町村においていろいろと要望もありますから、そういう市町村単位ででも、復興特区の申請、こういうことをしたいということが申請できる、こういう仕組みも私たちは考えております。

 ですから、この問題についてはどちらかというと自民党案に近いかなという気もいたしますけれども、総理、私が公明党の案を少々紹介させていただきましたけれども、総理の所感がありましたらお聞きをいたしたいと思います。

菅内閣総理大臣 今の御説明を含めて、公明党案を拝見させていただきまして、私は、基本的なねらいというか理念はそう大きく差はないのではないかと思っております。

 ここに、新設する組織としては「復興担当相を任命し」ということがありますが、本部を設けた場合も、現在は防災担当の松本大臣にこの分野の担当大臣をお願いしておりますけれども、改めて復興の担当大臣は設けることにしなければならないと思っております。

 また、組織の役割については、政府案は、企画立案、総合調整というふうにおっしゃいました。確かにそういう形になっておりますが、公明党案において、内閣に関しての、復興に関する施策を一元的に実施する、たしかそういう表現になって、こちらですか、「内閣に施策を一元的に実施する復興庁を設置」すると書いてあります。つまりは、内閣という仕組みをベースにして、この復興の部分をしっかりと案をつくって実行する場合は、内閣という枠組みを使って、いずれにしても閣議決定という形で、あるいは法案という形になりますので、私はここは、もちろん工夫の幅の問題はあるかと思いますが、企画立案、総合調整だから実施できないというのではなくて、当然、実施するのは内閣として実施する、すべての閣僚が参加しているわけですから、そうなることは当然だと考えております。

 また、財源については、確かに政府案に余り詳しくは書いてありませんが、これは、せんだって御党と自民党と我が党の間で合意をした中で、政調会長同士で合意をされた中で、御党の考え方も我が党としても共通な考え方でやっていきたい、このことを申し上げておりますので、政府案としては入っておりませんけれども、党としてはそうした考え方を持っております。

 特区についてもいろいろな議論を行っておりますので、私たちも御党の御意見もしっかり受けとめていきたいと思いますので、ぜひ、この委員会で議論をした上、よりいいものにできるよう私たちも努力をさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 先ほど、我が党の案は自民党の案にやや近いかな、こういうことを申し上げましたので、石破自民党政調会長に所感をお聞きしたいのと同時に、特に地方支分部局、これについて二重行政とかいろいろと御心配の向きもありますので、この二点、お伺いをいたしたいと思います。

石破議員 御党の案というのは、ほとんど私どもと考え方を一にするものだと思っております。ただ一点、特区について、公明党さんの案は条文にきちんと記されておるというところがございます。

 これは、復興に当たっては、民間の人材あるいは民間の資金、これを最大限活用していかなければなりません。ある程度リスクを伴うものでございます。そうしますと、税制あるいは規制の面において、特区という考え方で、リスクマネーあるいは民間の人材を活用するようにしていかなければなりません。御党の考え方は、まことにそのとおりだろうと思っております。

 私どもとしても、法案第十条で、「施策を迅速に実施するため、必要な法制上、財政上その他の措置を講ずる」ということになっております。これは復興特区を念頭に置いたものでございまして、ここはまた御党とよくお話をさせていただきたいと考えております。

 地方支分部局につきましては、要は、どういう形が一番復興に望ましいかということでございます。二重行政、屋上屋を重ねるというようなことをおっしゃる方がありますが、そういうことは極力排していかなければなりません。今、建設局ですとか農政局ですとか、いろいろなものがありますが、それをどういう形で行うことが一番被災地のためになるのか、この一点において地方支分部局のあり方を検討していきたいと思っています。

 すべては被災地のためにということでありまして、霞が関の論理であることは絶対にあってはならないことだ、かように考えておる次第でございます。

石田(祝)委員 この地方支分部局の問題については、私たちも実は大変悩んでおりまして、事項で切り分けをするのか、項目で分けていくのか、これはもう思い切って地域で分けていってもいいのではないか、こういうことも今考えているところです。まだ結論は出しておりません。

 最後にちょっと総理にお伺いをいたしますが、ちょっと私も聞き漏らしたかもしれませんが、この復興基本法案が本当に地域の人が喜ぶものになっているのかどうか、これが一つ。そして、内閣法で大臣を三人ふやす、こういうことでありますけれども、この三人というのは総理の頭の中にもう具体的な人は入っているんでしょうか。その二点だけお伺いします。

菅内閣総理大臣 私は、この制度自体が国民の皆さん、被災者の皆さんに役に立つ立たないは、それが何を実現できるかにもちろんかかっていると思っております。そして、実現する青写真については、現在、復興構想会議に議論をいただいておりまして、その上で被災者の皆さんに、単なるもとに戻すということを超えて未来に向かって夢の持てるような、そういう復興につなげていくためにはこういった制度は大いに役に立つ、このように考えております。

 また、閣僚枠を三ふやすことをお願いいたしておりますが、例えば、今も申し上げました復興担当大臣、現在は防災大臣が環境大臣と兼任で本当に大活躍をしていただいておりますが、改めて復興担当大臣を設ける、あるいは、原子力のこの事故の問題もまだまだ時間も必要になると思いますので、そうした担当大臣を設ける、こういったことを念頭に置いているところであります。

石田(祝)委員 最後にちょっと一言だけ申し上げますけれども、この復興基本法案はいわゆる形なんですよ。中身は二次補正でしょう。だから、中身の二次補正を、どうも総理の今までのいろいろなところを聞いていると、ちょっと先に延ばしそうだ。だから、これは、ある意味でいえば、においだけかがされているみたいなものなんですよ。現地の人にとっては、中身の入ったものを出してもらいたい。ですから、この法案がどういう形になってでも復興しなきゃいけない、私たちも同じ気持ちであります。しかし、それを実質担保するものは二次補正でしょう。一次補正に書いてあるのは、要するに、復旧のお金を措置しましたと。復興のお金と書いていないじゃないですか。この復興法案の中身というのは二次補正なんですよ。

 ですから、六月二十二日になったら、あと一カ月、国会を閉じちゃいましょうだとか、延長を考えていませんだとか、何も考えていませんということじゃなくて、延長なら延長をして、私は、しっかり中身を入れるべきだ、中身は二次補正だ、このことだけを最後に申し上げて、私の時間になりましたので、同僚議員と交代をいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、斉藤鉄夫君から関連質疑の申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 私は、原子力災害の問題について、主に総理にたださせていただきたい、このように思います。

 フジテレビの調査ですけれども、政府の原子力災害に対しての情報、これは信用できないという人が八二%、信用できるという人はわずか一三%、国民のほとんどが、信用できない、このように言っております。

 また、国際的にも、私は多くの外国の方と話をしましたけれども、原子力情報に限っては日本政府の言うことは信じられないという人が多いです。

 震災の後のあの被災された方々の秩序立った、また抑制のきいたすばらしい行動、これに対して日本の評価が非常に上がったわけですけれども、その後、事原子力に関しては、政府の言うこと、出してくる情報がどうも信用できない、こういうことで評価が下がってきている。例えば、ある外国の方なんかは、政府がやっている各地の空間線量率、全国各地で線量率を測定しておりますけれども、これなども信用できないので、今、自分ではかっているというような方もいらっしゃるぐらいでございます。

 そして、国民が本当にある意味であきれたその最大のものは、やはりメルトダウンでございます、炉心溶融。災害が起きてから二カ月以上たって、やはりあれはメルトダウンをしておりました、このような発表があって、私もたくさんの方から聞きましたけれども、一体私たちをだましていたのかと。現実には、大変危険な状況に国民を置いておきながら、そして国民はそれを知らなかったわけですけれども、そのことを一切言おうとしなかった政府に対して激しい怒りがある、このことは総理もぜひ御認識をいただきたいと思います。

 この炉心溶融について、総理は内々御存じだったのではないか、このようなことも言われておりますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、現在までの政府が発表している原子力事故に関するいろいろなことについて、国民の皆さんがかなり不信を持っておられることについては、責任者として本当に申しわけなく思っております。

 その中で申し上げますと、今言われましたメルトダウンにつきましても、もちろん、当初からいろいろな意見があったことは私も承知をしております。その中で、現在の政府の中でいえば、事業主体である東電と、それから原子力安全委員会等ありますが、政府の機構としては、経産省に属している原子力保安院が事業者から話を聞いて、いろいろな状況の認識をまとめる役になって、今日まで来ております。

 その中で、御承知のように、従来は、その保安院の見方は、燃料棒、一号機においても、三分の二程度は圧力容器の中で水に浸っている、一部が出ているので、燃料棒の損傷ないしは燃料棒の一部溶融であろうということを言われ、それを前提としていろいろな対策を講じてきた。幸いにして、その場合も一番必要なのは冷却でありますから、水を何とか入れてきたわけであります。

 しかし、最近になりまして、一号機の建屋の中に作業員が入って水位計が復活する中で、当初言っていた三分の二の水位どころか、燃料棒の下端よりもさらに下の極めて低いところまで水位が下がっている、そういうものが出される中で、保安院の方から、そのことを前提にすると既に燃料棒はすべて溶融していたということを発表があったわけであります。

 私について言えば、先ほど申し上げましたように、いろいろな意見があったことは早い時点から聞いておりましたけれども、この保安院の考え方が一応、政府としての正式なといいましょうか、形の考え方でありますので、そういう意味では、そのことが間違っていたといいましょうか、水位がずっと低かったというのは、今月のたしか十五日でしたでしょうか、そのときの保安院の、あるいは東電の発表までは事実としては私は聞いておりませんでした。何か、知っていて、うそをついたとか黙っていたということではありません。

斉藤(鉄)委員 それでは、ちょっと図を。ちょっと細かい話になりますけれども、私は、総理は薄々御存じだったはずだ、技術者でもある総理はわかっていたはずだ、このように思っております。

 ちょっと細かい図ですけれども、横方向は、地震が起きてから、三月十一日、そして三月十二日の夜の十二時まででございます。右に行くほど時間が過ぎます。そして、縦方向は、原子炉の水位、原子炉圧力容器の中の水の位置でございます。

 有効燃料底部というのが横にあります。底部となっておりますが、上にありますのは有効燃料上部でございます。これは間違っております。有効燃料上部、これが燃料の上端。それから、有効燃料底部、下に点線が横にありますけれども、これが燃料の底、一番下でございます。この燃料を水が浸していれば、水につかっていれば、基本的には冷却をされているということでございます。

 そして、水位計という、赤い字で書いてございまして、概略と書いて、緑の点線が横にございます。これが先ほど総理がおっしゃった、これは原子力安全・保安院のホームページからデータを拾って私が点をつけていったものですからちょっと不正確かもしれませんけれども、これが原子力安全・保安院が言っていた、ここまで水があるから大丈夫と。私ももうメルトダウンしているのではないかと何度も言いましたけれども、水はここまであるから大丈夫ですとずっと言い続けてきました。

 ところが、実際には、東電が解析したのがこの赤いところでございまして、地震の前までは燃料の上、四メートル以上水があったわけでございますけれども、地震、そして津波到着直後からどんどん水位が下がって、六時過ぎにはもう燃料は丸々水から出て露出をしていた。そして、後は溶けて、三月十二日の六時ごろメルトダウンして、最終的に圧力容器の底の方にたまったのではないか、こういう東電が解析した結果がこの赤い字で書かれております。ずっと政府はこの青い水位計のとおりだと言ってきたけれども、実際は赤い字だったというのが今回の真相でございます。

 ところが、よく水位計の動きを見てみますと、大体半分以上水につかっているという原子炉水位マイナス百七十センチのところなんですけれども、これがずっとこの後何日も続いております。いろいろなことをやっているのに水位計が一切動かない。

 それから、下の方に、正門付近の線量率というのがございます。これも東京電力の発表を、私、データを集めてここに、もうまさに模式図的ですけれども、かいてみました。そうしますと、十二日の十二時過ぎまで、また六時近くまではこの線量が非常に低かったわけですけれども、一段上がります。これは百倍に上がります。百倍に上がって、後、ベントが起きますとまたその百倍上がるわけですけれども、このような線量率。これは一号機だけではない、二号機、三号機の寄与もありますから正確には言えませんけれども、今明らかになっているデータはこれだけですけれども、この明らかになっているデータを見ましても、何らかのことがこの三月十二日の朝六時ごろ起きていたはずだということは、これからもわかります。

 これは素人の私でもわかるぐらいですから、原子力の専門家が集まっている原子力安全・保安院や原子力安全委員会では、ここで何らかのことがあった、この水位計はおかしい、この水位計を信用しないで我々は解析しなくてはいけない、このように考えた、我々でも考えたわけですけれども、総理も、原子力のことは詳しいとおっしゃった総理、この点についてはいかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 私は斉藤さん以上に詳しいというふうには思いませんけれども、一定程度のことはいろいろな方から聞いておりました。

 その中で、私も、今、斉藤議員が示されたこの表がありますけれども、それとほぼ同じ、東電が五月十五日に発表したグラフと多分共通のものだと思いますが、この水位の状況を示す図が、一体これはどの時点でわかったのだ、また、これは過去のデータが、きちんともともとどこかに記録されていたものが、この間わからないものがこの五月に入ってわかったのかということを保安院等にお聞きいたしました。

 私が聞いた中でいえば、最近になって、先ほど言いましたように、作業員が中に入って、それで水位計を調整する中でそれが復活したといいましょうか、正しい数字を出すようになって、そしてその後、それに基づいて逆に過去の状況を推測した、こういう変化であったんだろうということを推測したのがこういうグラフだ、そういう説明を受けました。

 冒頭にも申し上げましたように、私もこの発災の当時から、もちろん専門家であります原子力安全委員会、保安院、そして当事者である東電の関係者に一つの部屋にずっと集まっていただいて、ほとんどの時間を御一緒にしながら、こういう変化についての報告を受け、いろいろな意見をお聞かせいただき、最終的に判断しなければいけないことがある場合には最終的な判断は行ってきましたけれども、ほぼすべては、そういった皆さんの御意見を聞いた上で、特に安全委員会の助言をいただいた上で最終的な判断をしていたわけであります。

 そういうことで、先ほど申し上げましたように、少なくともこの当時いろいろな意見があったことは、別の意味ではわかっておりましたけれども、当時の認識は、先ほど言われましたように、高い水準に、つまりは、私の理解では、多分このマイナス百七十というのがそこに当たるのかもしれませんが、燃料棒のうちの三分の二程度は水に浸った状況にある、そういう保安院なり東電の見方を私が、ほかの意見があることはわかっていましたが、それが間違っているというところまでは、私に生のデータがあるわけではありませんので、そういう認識のもとでその後のことが進んだということであります。

 しかし、おわかりのように、いずれにしてもこれが、実際、今回早い段階でのメルトダウンが起きていたことがほぼ明らかになったわけですが、その状況にしても、やらなければならないことは、とにかく注水をして冷却する、そのことが何よりも必要でありますから、そういう点では、この時点から注水に全力を挙げて今日まで続けてきたことは、結果としては対応として大きな間違いにはならなかった、このように理解をいたしております。

斉藤(鉄)委員 先ほど長々と言いましたけれども、この水位計の全く不自然な動き、また放射線量率の動きを見れば、私は、官邸もしくは政府の中の多くはメルトダウンが始まっていたことはわかっていた、しかしながらそれを隠していた、こう思わざるを得ないわけでございます。

 この中に、注水のところがございます。三月十二日五時五十分ごろ淡水注水開始、それから二時五十分ごろこれを停止、そして八時ごろ海水注水開始となっております。この八時の海水注水開始の前に政府部内でいろいろな大きな動きがあったということが、けさも谷垣自民党総裁からいろいろ質問がございましたけれども、海水を入れるべきか入れないべきか、そのときのテーマが再臨界をするかどうかということでした。

 ところが、この水位計どおり水がほとんど燃料を浸しているのであれば、海水を入れたから再臨界をするしないという話はあり得ないわけです。これだけ水があれば、海水を入れようが入れまいが再臨界はあり得ない、これは素人でもわかります。しかし、メルトダウンして下にたまってもう既に水がなくなっていれば、そこに水を入れれば、その水がいわゆる減速材として再臨界に至るかもしれない、この議論は到底あってしかるべきだろうと思います。

 ということは、あのときに再臨界があるかもしれないという議論が班目委員長と総理等の間であったということは、それはつまりメルトダウンを認識していたということにほかならないと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 これはもう斉藤議員よくおわかりの上で言っておられると思いますが、いろいろな可能性については、もちろん私も自分の中で考えられる範囲で考えておりましたし、東電でも保安院でも、もちろん安全委員会でも考えておられました。そういう意味で、再臨界ということについても可能性はゼロでないという形での御意見も、私から御質問したときに御意見もいただいておりました。

 ですから、三分の二というのは、この後確かに安定的に固定したわけですが、それが一〇〇%そうだということだけで動いたわけではなくて、その水位ということもあり、そうでないこともあり、いずれにしても水を注入することが必要であり、そして、場合によって、水ないしは海水を注入したときに、再臨界を予防するには硼酸を入れれば御承知のように中性子が吸収されるわけでありますから、そのことが再臨界を防ぐ上でよりリスクが少なくなるわけでありますから、そういう意味では、必ずしもメルトダウンがわかっていたからやったとか、わかっていなかったからやらなかったというのではなくて、いずれにしても水を入れなきゃいけない。そして、最悪のケースのときに、何らかの理由で再臨界が起きるとしたら、できることならそれも防ぐために硼素を入れようということで、現実に二十時二十分になりましたときには硼素も入れて海水を注入したわけであります。

斉藤(鉄)委員 百歩譲ってそうだとして、そうしますと、メルトダウンもあり得る、そういう可能性の中で議論があったというのであれば、今、最悪の事態はこういう可能性がありますと、それを国民に示して、その上で、今我々としてはこういう手を打ちたい、こういう情報の発信の仕方をすべきだったのではないでしょうか、私はそのように思います。

 安全委員長、このことについてきょうの新聞に、私は再臨界の危険性があるなどと言っていないということを抗議されて、結局、発表の訂正を求める班目氏に、官房副長官の福山氏が、可能性はゼロではないと発言したとする案を提示、班目氏も了承したと。これは談合じゃないですか。

 そういうことも含めて、ここで、いわゆるメルトダウンということもあの時点で議論されていたかどうか、もう時間がないので端的にお願いいたします。

班目参考人 まず、最初の御質問ですけれども、福山副官房長官の方からの提案ではございません。私の発言として、再臨界の可能性についてゼロとは言えないというふうに申し上げたところ、そのように修正していただいたということでございます。

 それから、私は、燃料は一部溶けているだろうという認識は当然持ってございました。

斉藤(鉄)委員 一部ではない、メルトダウンの可能性は十分あったということはいろいろ言われておりました。先ほど総理も、その可能性もあるという答弁をされました。ということであれば、私は、国民に対しては、そういう可能性もあるけれども、多分今こうなんだろう、しかし最悪の場合はここまでいきますという情報の発信をして、それが避難計画に反映されるべきだった、このように申し上げておきます。

 それから、政府の報告書を見ておりますと、原子力安全・保安院が十一日の夜の段階で解析をしております。その解析の中で、メルトダウンというところまで予測をしております。これは二号機についてですけれども、では、一号機についてもこれをしなかったのか。また、メルトダウンということを明確に解析していたことが、政府のそれからのいろいろな避難決定等に反映されることはなかったのか。原子力安全・保安院に聞きます。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の資料にありますように、原子力安全・保安院は、二号機につきまして、その時点で放出される可能性がある放射性物質の量を解析してございます。

 そういった中では、一応、報告書の五十七ページになっていると思ってございますけれども、予測という形で、二十四時五十分、燃料溶解というふうな書き方になってございます。

 あと、もう一つの御質問ですけれども、一号機等につきましても同様の解析を行っているのかということでございます。

 一号機及び三号機につきましても同様の解析を行っているというのが事実でございます。ただし、これらの試算につきましてはあくまでも予測でございますし、電源が喪失し、原子炉に関するデータというのが十分得られないという状況の中でさまざまな仮定に基づくといったものでございました。このため、原子力発電所の対応にかかわる意思決定というものに直接活用するということはございませんで、原子力安全・保安院の中での参考情報というふうな形に位置づけてございます。

斉藤(鉄)委員 ですから、政府部内の中でもメルトダウンということは明確に議論をされていたわけです。そして、その情報が、そういうことも議論されていたのに、そういうことを隠して、ある意味では隠してですよ、国民にそれが開示されることがなかった。このことが国民が不信を持っている一つの大きな原因になるのではないか、このように思います。

 そして、あと二つだけ、どうしても質問させてください。

 一つはSPEEDIでございます。メルトダウンということも原子力安全・保安院の中で解析されていた、したがって、線源、どれだけの放射能が出るかということも、ラフな、大まかな値ですけれども出てきた。であるのに、原子力安全委員会の方でいわゆる拡散の計算、これをしなかったのはなぜか。

 私は、線源情報がよくわからないから計算しなかったというふうに原子力安全委員会のホームページにありますけれども、そういう意味では、政府部内でそういう、メルトダウンしてそれが線源になって環境に飛散するという情報もあったということでございます。その報告書に書いてあるわけで、それをなぜしなかったかということが一つ。

 そして最後に、総理に、もう背景をお話しする時間はなくなってきましたけれども、校庭の二十ミリシーベルト、これは日本の医師会も科学的根拠がないと明確に言っております。また、私も国際放射線防護委員会の報告書を読みましたけれども、これは一から二十ミリシーベルトの中の低い方の値から選択すべきだと。私は、一ミリシーベルトということは可能だと思います。

 総理は、ALARAの精神、御存じかと思いますけれども、達成可能な合理的な方法でできるだけ低く被曝量を抑えるべきだ、その考え方に基づいて、例えば校庭の表土を取るとか、そういう形で十分低い方の、子供の被曝を抑えることができる、このように思いますけれども、ぜひ総理としてそこを決断すべきだと公明党として主張したいと思いますが、この二点についてお伺いをいたします。

班目参考人 当初のSPEEDIの運用は、これは文部科学省であって、原子力安全委員会ではございません。原子力安全委員会にも配信はされてございますが、それを所有しているのは文部科学省ですので、ぜひその辺は文部科学省の方にお尋ねいただきたいと思います。

 我々は、三月十六日になって初めて、むしろこれは、普通の生活ができないので逆算で求められないかということの委託を受けたということでございます。

枝野国務大臣 今の班目委員長の御報告のとおりでございまして、基本的には、これを持っている、独法だったでしょうか公益法人だったでしょうか、これは文部科学省の所管のもとでございます。残念ながら、単位量当たりというのはやっていたのが報告がなかったようでございますけれども、その使われ方が、結局、大きなお金を、予算をかけていながらこういう使い方になっていたということは、大変遺憾なことだというふうに考えております。

 それから、学校の校庭についての御指摘については、まさに同じような考え方のもとで、スタートとして年間二十に達する可能性のあるところ、超えては使わないということからスタートいたしましたが、今現に、それぞれの努力の中で、今正確に整理をした上で改めて発表をしようと思っております。二週間ごとぐらいに調査もしておりますので。

 結果的に事故発生からの一年間の想定される放射線量が一に限りなく近づく方向に向けた最大限の努力を進めてきておりますし、これはさらに強化をしてまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、私は、政府部内で、あちらの責任だ、あちらがやるべきことだということは非常に、これも情報隠しのある意味では一つの手段になっていると思いますし、また、三月十六日以降は原子力安全委員会がしっかりこのSPEEDIについても運用しなさいということになっているわけで、それ以降も適切な情報公開が行われなかった、このことは大変問題だということを最後に指摘して、終わります。

黄川田委員長 これにて石田君、斉藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 政府はよく、単なる災害復旧ではなく創造的復興を目指す、このように強調されます。しかし、単なる復旧ではなくと簡単に言いますが、それがどれほど難しいことでしょうか。

 先日も、三度目の女川町に行きました。二カ月半を過ぎても、ビルの屋上にあった車はそのまま、瓦れきが累々と続き、海の中にも家の屋根や漁船の底が浮かんでいます。今なお必死の捜索活動がされております。そして、あちらこちらに、もとの自宅があった場所なのか、じっと立つ人、座り込んでいる人たち、そういう姿が見受けられて、胸が締めつけられました。こうした被災者の気持ちに寄り添いながら、町の再生へ力を合わせなければなりません。

 総理、創造的復興とは何でしょうか。津波で全部流されたから何か新しいものを一気にという発想がもし先に立って、被災者がそっちのけにされていないでしょうか。復興は被災者自身が主役であり、被災者一人一人の生活の再建、復興が土台だと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、おっしゃるように、被災地に行き被災者の方にお会いしますと、何とかもとの生活に戻してほしい、素直にといいましょうか、率直にそう言われる方が大変多くおられますし、本当にそのとおりだと思います。

 と同時に、しかし、例えば低いところに住宅を同じようにつくった場合に、また何年か後に同じような被害を受けることもあるわけでありますので、そういう意味も含めて、それでは将来を見通してどういうまちづくりをしていくのか。あるいは水産業についても、まずはもとの形に戻りたいということはそれはそのとおりだと思いますけれども、場合によっては、この機会にもう少し大規模化した方がいいのではないかといったような声も現地からもいただいております。

 そういうことを考えて、決してもとに戻ることが悪いとか、それを否定しているつもりはありません。そうではなくて、将来さらに明るい展望が持てるような形に戻すというか、それを創造的な復興という言葉であらわしているつもりであります。

高橋(千)委員 もちろん、津波が来るかもしれないところに同じ高さで何の手だても打たずにそこに住めばいい、そんなことを言っているわけではありません。防災対策は当然必要です。いろいろな知恵が必要かと思うんです。

 ただ、今総理、さりげなく、大規模化も喜ぶ人もいるかもしれないというような趣旨のことをおっしゃったんですけれども、私が言いたいのは、その大規模化の話はこの後出てきますけれども、一人一人の被災者が、つまり、形は整っても、きれいな町ができた、でも一人一人の暮らしぶりはもうもとのようには、普通ではなくなっているんだということではやはり困るわけですね。なりわいがもとに戻らない、それは困る。それがまず基本ですよねということが言いたかったんです。もう一言。

菅内閣総理大臣 それはそのとおりだと思います。

 ただ、今私が大規模化と申し上げたのは、漁業の関係の中にそういう御意見が地元からもあるという意味で申し上げたわけです。

高橋(千)委員 今、総理が漁業の関係でということでお話をされましたので、実は、きょう私は、漁業の問題を通して復興の道筋がどうあるべきかということについて少し考えてみたいと思います。

 パネルを示したわけですけれども、これは東北圏域の漁港の被災状況を地図に落としたものであります。大変細かくて申しわけないんですけれども、それほどの数が実はあるということなんですね。

 漁港は一般的に、地元の漁船を中心とする小規模の第一種から、全国を広く扱う第三種まで、あるいは、この赤で囲んであるところですけれども、八戸、気仙沼、石巻、塩釜などは特定第三種という大変大規模な重要港になります。また、離島などを対象とする第四種などもございます。山田湾をクローズアップした図があるんですけれども、山田湾、奥行きがせいぜい六キロなんですね。その六キロの湾の中に一種から三種まで五つの漁港がある、こういう格好になっています。

 このたびの震災で七道県、三百十九の漁港が被災し、そのうち、宮城県は百四十二全部、福島県は十全部、岩手でも三つ残して百八港という甚大な被害が出ました。漁船も二万七百二十三隻と聞いております。

 リアス式の入り組んだ三陸海岸は、だからこそ豊かな漁場であり、全国トップクラスのカキやワカメを初めとする多様な養殖漁業、沿岸漁業があり、その一つ一つに小さな集落が張りついて浜を守ってきたはずではなかったでしょうか。

 まず、この太平洋沿岸地域の水産業の役割、また日本における位置づけについて農水大臣に認識を伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 今、高橋委員からおっしゃられたとおりに、今回被災を受けた漁業地域というのは、水産業の発展のためにも大変大きな役割を果たしてこられたわけであります。特に被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の沖というものは、世界三大漁場の一つとも言われてまいりました。

 平成二十一年度でございますけれども、特にこの三県での漁業生産量というものは全国の約一〇%以上でございました。特にサンマについては全国の三分の一と大きなシェアを占めておるところでございます。

 また、お話のとおり、三陸地域沿岸というのはリアス式海岸が重なるために海藻やあるいは貝の養殖業も盛んでございまして、平成二十一年度の三県の養殖業生産量は全国の二〇%、二割でございます。特にワカメについては全国の八割、カキについては全国の三割のシェアを占めておるということであります。

 そしてさらに、三県の主要な漁港というのは沖合遠洋の漁業の拠点にもなっておるということでございまして、地域の漁船だけではなしに、他の地域の多くの漁船が水揚げを行うとともに、燃料なり、あるいは氷なり水などを補給する基地となっているということからいたしましても、この地域はまさしく我が国の漁業、水産業における大きな役割を担っていただいておるというふうなことだと思っております。

高橋(千)委員 重要な役割について詳細に述べていただいたと思います。

 そこで、宮城県の村井知事が復興構想会議に水産業復興特区、水産業の国営化というものを提案しました。そうすると、何だろうと目に飛び込むわけですけれども、一つは、漁港の集約再編構想、今ある漁港を三分の一から五分の一まで減らすと言っている案が一つであります。そして二つ目には、養殖、沿岸漁業への民間企業の参入を提案しているわけであります。

 これについて、先ほど総理は地元から歓迎の声もあるとおっしゃいましたが、宮城県漁協は、今月の十一日に漁協組織の根幹を揺るがす重大な事案、とても容認できるものではないと決議をし、十三日には知事に直接抗議をしております。

 大臣の率直な見解を伺いたいんですね。今、本当に丁寧に意義をお話しされました。同時に、一つ一つの漁港には、漁民がいて、集落があるわけです。それぞれに多様な漁業をやっており、一つにまとめられるはずがないんだと、これは宮城県だけでなく岩手県の漁連の方たちもおっしゃっています。大臣は漁港の集約を進めていく立場ですか。

鹿野国務大臣 私は、今委員からお触れになりましたけれども、岩手県そして宮城県、福島県それぞれ、その県によっても、漁業のあり方なり、漁業の特徴なり、漁場に対するいろいろな歴史的な、そういう経緯というふうなものも違っているわけであります。ですから、なかなかそれぞれの地域を一括してこうするというようなことは、私どもとしては大変難しいことではないか。

 そういう意味で、先ほど高橋委員の方から、そのパネルに示されました山田町、私も行ってまいりましたが、山田町には、例えば船越の漁港、漁業組合があり、そして合併して、山田漁港、漁業組合がある。

 その復興ということを考えたときに、それぞれの漁業者の方々がどういう考えでおられるのか、それぞれの市町村はどう考えるのか、あるいは県はどうなのかというようなことをしっかりと私どももお聞きしながら、総理もおっしゃっておられますけれども、やはり地域の方々の声を大事にしていきたい、こういうふうな基本的な姿勢でおるところでございます。

高橋(千)委員 では、続けて伺いますが、三月三十日の民主党の党内の会議の場で、農水省の漁政部長が水産業復旧・復興に向けた基本的考え方という文書を示して、その際に漁政部長は、水産業のダメージは前例のないものであり、通常の災害復旧のようにすべての漁港や漁船を災害前の姿に戻すことは不可能で、また意味もないと発言をしたと四月一日付の水産経済新聞が報じております。順番ですとか、さまざまなことはあると思うんです。ただ、意味もないと一刀両断に水産庁が述べる、これは大問題ではないかと思いますが、まさか大臣、そういう気持ちではないですよね。

鹿野国務大臣 水産庁の職員がどういうことを言ったかというのは定かではありませんけれども、私自身は、農林水産業の責任者として、そういう考え方に立っておりません。

高橋(千)委員 はい、確認できました。

 では、総理に改めて伺いたいと思います。

 もちろん、先ほどもあったように、あれほどの巨大津波の被害に遭った、地盤も沈下した中で、防災の観点が大事なのは言うまでもありません。ただ、この際だからという発想があっては困ると重ねて指摘しているんです。

 総理が四月一日に陸前高田を訪問した翌日に、私は釜石で漁業者の皆さんと懇談をしたんですけれども、そのときに、総理が陸前高田でいろいろ青写真を述べたことが話題になっておりまして、皆さん大変心配をされていました。つまり、高台に家を移すと言ったけれども、自分の土地はどうなるんだろうかと。作業場が浜に絶対ないと、せめてそれだけでもあれば自分たちは高台から通ってもいいけれども、とにかく浜につながっていたい、そういう気持ちがこもごも語られたわけなんです。

 改めて伺いますが、水産業の復興について、小さい漁港も集落も大事だ、住民の気持ちが大事だと私は話してまいりましたけれども、総理の率直な御意見をお聞かせください。総理に聞いています。大臣には十分聞いたので。

鹿野国務大臣 総理の御発言というふうなものは、私どもといたしましては、とにかく安全な居住地を確保しなきゃならない、ここに重点が置かれていると思うわけであります。

 そういう意味で、例えば、平成五年でございますけれども、北海道の奥尻の地震の際に、奥尻の青苗地区におきましては、この漁港の復旧というふうなことを行うというときに、防潮堤の災害復旧と連携した、集落の地盤をかさ上げして、そこに、いわば高台にして居住地を移したというようなことの例もあるわけでございます。

 そういう意味で、私どもといたしましては、今回の補正予算におきましても、これらの知見というものを踏まえて、被災した漁業集落の地域住民の意向をしっかりと把握する、あるいは集落整備の計画策定のための調査費というふうなものを計上いたしておるわけでございますので、先ほども申し上げましたけれども、これからも地域の方々のお考えを聞きながら、復興構想会議におきましても、これからも積極的な議論がなされると思いますので、そういう意味で、漁業集落の安全というふうなものを軸にいたしまして、具体的な方策について私どもは取り組んでいかなきゃならないと思っております。

高橋(千)委員 総理に一言お願いします。

菅内閣総理大臣 今、農水大臣からもお話があったように、やはり私も幾つかの被災地を見ていて、既に高台に集落がかつて移っているところもあり、またその後、低いところに集落が生まれたところもあります。そういったことも含めて、やはりそうした安全なところに住んで、そして漁業を復活して頑張っていこう、そういうことの両立ができるような形、その中に、いろいろな形を地元の皆さんを中心にお考えいただき、国としてそれをフォローしていく、そういう考え方が必要かと思っております。

高橋(千)委員 確認できたと思います。

 知恵は現場にたくさんありますので、問題は、先ほど来議論がされている二次補正ですとか、やはり国のそういう援助が必要なんだということで確認をしたいと思います。

 もう一つの論点ですけれども、実は、もう四年も前に宮城県の提案とそっくりな案が経済界から出されていた。これはもう皆さん御存じかと思うんですけれども、経団連のシンクタンクである日本経済調査協議会が二〇〇七年二月に、「魚食をまもる水産業の戦略的な抜本改革を急げ」、こういう提案をいたしました。これは、あくまで民間レベルではなくて、内閣の規制改革会議の提言にも盛り込まれております。

 提言は、水産資源は国民共有の財産だから漁協と漁業者だけに独占させるな、企業にも参入させよと主張しています。少し、そうかなと思うようになりますよね。でも、漁業法の基本というのは、海は自然から与えられた環境そのものであり、本質的にだれのものでもない、それが基本であります。その海から、私たちは豊かな海産物を命の源としていただいております。

 ですから、国民の食料を安定的に供給するためには、海と資源の管理をやはり公益的な漁協が行って、それを漁業権という形で漁業者が活用をしてきたと思います。そこに利益追求、撤退も自由の企業の論理が入り込めば、浜の姿は変わってしまいます。

 例えば、ノルウェーのサーモン養殖の先行事例がございますが、外部から投資目的の資本が流入し、規模拡大のために養殖形態の企業による買収が進み、大手資本だけが生き残りました。機械化で労働者が削られ、鹿児島大学の佐野雅昭教授の表現をかりれば、海は無人の工場になったと言っています。

 提言が出された二〇〇七年は、重油高騰問題があって漁業者が一斉に立ち上がった年でした。そのときにもお話を聞いたことがありましたが、漁業の規制緩和について、こんなことをおっしゃっていたんですね。自分たちがもともと採算がとれない漁業をずっと続けているわけは、浜に住んでいる我々漁師だからなんだ、海を知らない人たちが机の上で集約だとか改革などと言っているのは許せない、そう発言していたのが忘れられません。大臣、企業の参入についても今論じるべきではない、見解を伺います。

鹿野国務大臣 宮城県の知事が、いわゆる沿岸漁業等々に対しても民間の資本を参入してはどうかというようなことで、水産業の復興特区を創設するというような、そういう御発言もなされておるということも承知をしておりますけれども、基本的に現在でも、地元漁協と調整の上で外部企業が直接漁業権を取得して養殖業に参入しているという例もございます。あるいはまた、漁協の組合員となる形で外部企業が養殖業に参入し、そして民間資本が沿岸漁業に参入しているというふうな、こういう事例もあるわけでございます。

 このようなことから、宮城県知事のお考えはこれ以上私どもは承知はいたしておりませんけれども、今までも申し上げましたとおりに、地元の漁業者の方々がどういう意向なのか、あるいは県、あるいは市町村がどうなのか、復興構想会議の議論も本格的になされているところでございますので、どういう考え方に立つのか、そういうものを踏まえて、基本的にやはり災害に強い漁業、漁港というふうなものをつくり上げていかなきゃならない、生産性の向上も図っていかなきゃならない。

 そういうようなことも総合的に、これからの我が国を代表する世界に冠たる漁業、漁場というふうなもの、どういう復興の姿にするかというのは、いろいろな考え方をお聞きしながら取り組んでいかなきゃならないと思っております。

高橋(千)委員 今大臣が紹介されたように、企業であっても、本当に漁業をやるつもりがあるのであれば、投資ではなくて本当に魚をとるんだというつもりであれば、参入する仕組みは実はあるわけですよね。あえて緩和をする必要はないのだということを確認したいなと思います。

 さて、宮城県漁連の阿部理事長もおっしゃっていました、最初の二カ月は海を見るのが嫌だったと。でも、今はやはり海につながる仕事がしたいとおっしゃるんですね。やはりそれが漁業者の気持ちなのかなと思います。何しろ宮城県漁連は、一万四百八十人中、四百三十七人もの組合員が犠牲になり、七割以上の方が家も流されました。役員十一人中、九人が被災をしたのです。それでも、八五%が再開したい、もう一度三陸の豊かな海を取り戻したいと訴えています。ただ一方、三割が廃業するかもしれないと言っているんです。だから急がれるわけですね。復旧、再構築を行って、希望が持てるメッセージを出さなければならないんです。

 昨年もチリ津波がありました。ようやくことしは再開できるかというやさきの津波被害であります。昨年は激甚災害法で補助がかさ上げされましたが、とはいえ、減価償却などもあって半分、それ以下、補助額は本当に小さかった、養殖施設などは一〇〇%やってほしい、去年に続くことしで、規模も大きいんだから、そういうことを皆さんは要望されていますが、いかがですか。

鹿野国務大臣 今、高橋委員からお触れになりました漁業者の意欲ということでございますけれども、私も数度にわたりまして現地に参りまして、いろいろな関係者の方々からもお話を伺いましたが、ある地域におきましては八五%の人たちがもう一度やっていきたい、こういう本当に強い意欲をお持ちの方々もおられるわけであります。そういう方々にどうこたえていくかということは非常に重要なことだと思っております。

 そういう意味で、今回、養殖業のことにつきまして、平成二十二年度のチリ沖の地震津波のことに重ねてのこの災害、被災を受けているというようなことのお話から、どう取り組んでいくかということでございますけれども、実はこのチリ沖の地震津波の激甚災害におきましては、養殖につきましては、御承知のとおりに、四五%の補助、こういうような施策でございましたけれども、このたびはこのようなところにやはりかさ上げをしていかなきゃならないということから、国と県というようなことで六七・五%の補助というふうにかさ上げもさせていただいているところでございます。

 また、漁船につきましては、国が三分の一、そして県が三分の一、そしてあとは、御承知のとおりに保険、平均残存価格からいたしますと二二%ということになるわけでございますので、そうしますと、およそ九割くらいはカバーされる。さらに、共同でやるというふうなことならば、ほぼこの負担というものが軽減されるということでございますので、そのような、私どもは、今回、応急措置といたしまして、緊急的にということで、第一次補正に予算を計上させていただいたところでございます。

高橋(千)委員 今、四五%、昨年はそうだったけれども、六七・五%まで引き上げたんだという、までというほどではないな、もう一声頑張ってくれないと、これではちょっと希望が持てないかなと思いますので、一〇〇%を我々は要求していますが、もっと汗をかいていただきたい。これは重ねて要求をしたいと思います。

 漁業と加工、冷蔵倉庫、市場、流通、あるいは造船所が九割やられましたけれども、関連産業が一体で再生しなければならないということは、もう言うまでもないことであります。雇用と地域経済の再生という点でも、本当に重要であります。この認識と、そのために、思い切った支援、工場への直接補助なども必要だと思いますが、これは官房長官に伺います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、水産業あるいは水産関連業は、漁業にとどまらず、加工、流通、市場、それから造船所、さまざまな関連の産業が一体となって漁業、水産業を支えているという状況でございます。今回の被災地域の多くがこうした地域の経済構造になっておりますので、こうした構造を一体となって再生していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 そのために、既に補正予算では、一体的な再生に資するよう、産地の市場や水産加工場の復旧対策、中小企業の資金繰り対策等を盛り込んだところでございますが、さらに、水産庁にとどまらず関連する産業はある意味では広いというふうに認識しておりますし、また物流などになれば、例えば国土交通省的な視点も必要かと思っております。水産庁を中心に、経済産業省や国土交通省など、関連省庁にもしっかりと一体となって協力をしてもらって、地域が海を中心にしっかりと雇用も含めて再生していくよう、内閣全体として努力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 そのためにやはり二次補正だなということが何度も言われるわけでありますけれども、その中身の話で、一つ防災大臣に伺うんですけれども、被災地の首長や漁協、農協、皆さんから多かった要望が、被災者生活再建支援法の枠組みを、住家だけにとどめないで非住家にも使えないかということであります。個人の倉庫、加工場、店舗、いろいろあると思うんですね。

 この間、政府は、仮設住宅と一緒に、仮設の店舗だとか、工場だとか、診療所だとか、あるいは介護の拠点だとか、そういうのを備えることを予算に組みました。しかし、一定期間、二年、三年と、仮設、次のステップに行くときに、ほかの施設は置いてきぼりを食う。だったら、住宅と並び立つ店舗や工場、倉庫なども入れた方が全体の再生に結びつくのではないか。これは私は何度も質問していますが、もう一歩踏み込んだ答弁をぜひお願いしたい。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度は、自然災害によって生活基盤に著しい被害が生じたときに、いわゆる自立した生活再建を支援する制度であります。そういう意味では、これは、住宅に重大な被害を受けた世帯を対象としておるところであります。

 しかも、これは、平成十年に、まさに阪神・淡路の経験をした、それぞれ与野党の皆さんが一生懸命努力をして、全国の知事会がそれぞれ基金を持ち寄って、相互扶助の観点からつくられた法律であります。二分の一を知事会の基金から、また、国が二分の一を補助する制度であります。そういう意味では、店舗や工場といった事業用資産を被災者生活再建制度の中で支給対象とすることは、制度の趣旨から、今のところは困難であります。

 一方で、今御指摘のように、被災事業者の支援は重要なことでありますので、今回は、中小企業基盤整備機構によって仮店舗あるいは仮工場を無償で供与するシステムができております。仮店舗の方で床屋さんでありますとか八百屋さん、あるいは仮工場の方でいわゆる水産加工業とかいったさまざまな状況を今用意しております。今、三十市町村からそういう要望があっておりますので、どんどんまたこれも使っていただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 工場や店舗をつくってあげて、無償で貸し出ししますよ、そこまで言っているのに、工場を補修したいというのにはお金が出ない。何かおかしいんじゃないかということを言い続けてまいりました。

 私は、今回非常に気になっているのは、やはり個人補償という点がどうも弱いのではないか。従来ではないやり方をするのだと言っておきながら、一番肝心のところがおくれているんです。先ほども御指摘があったように、被災者生活再建支援法のもともとの三百万円さえも今は配る予算がついておりません。一万人分しか三百万円出ないんですね。あとは十万人に百万円出るだけなんですね。だから、どうもそこがおくれているという気がするんです。

 だけれども、振り返ってみれば、能登半島のときは、復興基金のメニューで中小企業に対する直接支援をやったんですね。中越地震のときも、そういう個人の宅地被害に対する支援を基金でやりました。中越沖では、個人負担を軽減して柏崎の山本団地を丸ごと復興させる、こういうことができたわけです。でも、二〇〇一年の芸予地震のときは、被災者が自分の土地を市に提供する、贈与するという形でしか復興ができなかった。でも、それを今は乗り越えて、個人の資産を守りながら再生するという考え方が前進してきているんです。

 片山大臣に伺いたい。大臣自身が鳥取県知事として切り開いてきたことであります。個人補償と地域の再生の関係について見解を伺います。

片山国務大臣 被災地の復興に当たりまして、個人の生活基盤の安定、それから、生業の基盤の安定ということは非常に重要だと思います。

 私が鳥取県知事をしておりましたときに、マグニチュード七・三という鳥取県西部地震に見舞われましたけれども、幸い、そのときは生業が壊滅的な被害を受けるということはございませんでした。もちろん、農地などは地割れを起こしたり、いろいろなことがありましたが、しかし、年月をかけて復興するということが可能でありました。問題は、住宅を失った方が大変多い。ともすれば、もう地域を後にしてしまうということが予想されましたので、地域を守るためには、やはり何がしかの住宅再建支援が必要だろうということで、当時は国の制度は何にもありませんでしたので、県独自で三百万円を限度にということをしたわけであります。

 これは、おっしゃったような個人の補償ということでは必ずしもなかったわけでありまして、その地域に残っていただいて、皆さんと一緒に地域の復興を共同でやっていただきたい、そういう意味合いがあったわけであります。

 今般の地震は、住宅はもちろんでありますけれども、生業の基盤も全部失われているところが多いので、いささか事情は異なると思います。

 そこで、先ほど来議論がありますように、中小企業、漁業者、それから農家の方々に対してできるだけの支援を行おうということで、今るる検討がなされていることだと思います。

 その際に、これは手法でありますけれども、全国一律にすべて政府が決めてしまってというやり方をするのか、それとも、私は鳥取県で政府の制度とは関係なく単独で住宅再建支援をやりましたけれども、ある程度その自治体が地域の事情とかそういうものを勘案しながら、主体性を持って、アクセントをつけて復興を心がけるのかというのは、これは選択の問題だろうと思います。

 いずれにしても、コンセンサスを得ながら、どこまで生業の支援がなされるかということが今次の復興の一つの大きなポイントだろうと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 これまでにない未曾有の災害で、どう復興していくのかという課題の中で、やはりこれが最大の課題なんだ、個人補償が本当にできるかどうか、そのことで地域の再生につながるという立場で質問させていただきました。そのために、今、片山総務大臣、念頭に多分置いているんだと思いますが、先ほどちょっと紹介した復興基金というものを、もっと自由度の高い、自治体が使える、しかし国がきちんと手当てをする、そういうようなことも踏まえながら、今までにない取り組みをぜひお願いしたい、ここは要望して次につなげていきたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、少し質問を飛ばして、最後の方の質問をしたいと思います。

 原発の問題なんですけれども、日本共産党は、十六日の予算委員会での笠井議員の質問、また翌日には志位委員長が直接総理に提言を行ったように、エネルギー政策について、原発からの撤退を明確にするべきだ、そして、そのためのプログラムを示した上で、それまでの間は、徹底的な安全対策や規制機関の推進行政からの独立と、抜本的な強化を行うべきだと主張をしています。

 総理は、エネルギー基本計画は一たん白紙に戻して議論をすると述べておりますが、報道によると、二十六日からのG8サミットにおいては、自然エネルギーの推進については発言をされるようですけれども、原発を減らすのかどうか、明確にされていないようであります。また、昨日の日中韓首脳宣言においては、原子力エネルギーは多くの国にとって重要な選択肢との文書を交わしたといいます。となれば、結局、原発はこれからも動かし、つくり続けるという立場ですか。

菅内閣総理大臣 先日、志位委員長が来られて、共産党は原子力から撤退するということを言われ、これまでの政策をやはり変えられたのかなという感じがいたしました、共産党としてですね。

 私が申し上げたのは、今回の原子力事故について、まずは徹底的な調査、検証をする、その中で、より安全な原子力の利用を、どうあるべきか、このことが一つの大きな、我が国にとっての、この経験を踏まえての責務でもあろうと思っております。

 と同時に、エネルギー基本計画という観点でいえば、従来は化石燃料と原子力エネルギーが主要なエネルギーとされてきたわけですが、それに加えて、自然エネルギーと省エネということをもう二つの柱として、特に自然エネルギーと省エネでは、グリーンイノベーションという新成長戦略にもつながりますし、CO2、いわゆる地球温暖化防止にもつながる、ここについてはしっかりと力を入れていきたい、こういう考え方で今週のG8にも臨んでまいりたい、こう思っております。

高橋(千)委員 別に党の政策を変えたのではなくて、きちんと整理をしただけの話でございますので。

 主要なエネルギーに加えるとおっしゃいましたので、これは減らさないし、減らすかどうかはわからないんですけれども、原発をつくり続けるという、維持させるという立場なのかなと思います。

 そこで、十六日の予算委員会で、私と同じ青森県出身の木村太郎議員が、六ケ所村の核燃サイクル問題について総理の見解をただしました。もちろん、言うまでもなく、サイクルに対する立場は真逆でありますけれども、私とは。私は、ただ、この答弁を聞いて、総理は、ひょっとして、再処理工場とは全国の原発のごみ処分場だと思っていらっしゃるのかな、そういう思いになったわけであります。志位委員長との会談の中でも、福島の使用済み燃料があんなになっているとは知らなかったとおっしゃいました。

 私は、もともと、全国の原発から出てくる使用済み燃料というのは六ケ所に再処理をすることになるんですけれども、フル稼働したとしても処理できる能力は、毎年二百トンオーバーする、余っちゃうんですね。そういうことは最初からわかっているんです。

 それで、早くから福島原発の使用済み燃料のプール、ぎゅうぎゅう詰めにして、詰めかえて、今でも冷やしている。だから、中間貯蔵施設という矛盾のたまり場をつくったんです。これはむつ市です。総理は六ケ所村とおっしゃっていますけれども、そうじゃないんですね。六ケ所村は再処理工場であって、処分場ではありません。三十年から五十年、中間貯蔵すると言っていますが、次々と新しい燃料が入ってくるために、そこから五十年と数えますので、ずっと置かれることになる。それがむつ市議会で大問題になりました。

 再処理工場は、原発の使用済み燃料を再処理して、わざわざ危険なプルトニウムを取り出す。それが新たな燃料になって使われてちゃんと回らなければ、プルトニウムはどんどんたまっちゃうんです。年八トンなんです。取り出さない方がいいのは決まっています。その先だって破綻しているわけですから。

 歴代政府は、青森県を最終処分場にしないと言ってきました。総理にもちゃんと確認をしたいんです。青森県を最終処分場にしないということでよろしいですか。

菅内閣総理大臣 おっしゃるように、六ケ所村はあくまで再処理施設として位置づけられており、最終処分場ではないということは、我が内閣においてもその認識は変わっておりません。

黄川田委員長 高橋さん、申し合わせの時間です。

高橋(千)委員 はい、終わります。

黄川田委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大震災により亡くなられました多くの皆様の御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げながら、質問に入らせていただきます。

 私ども社民党は、三月十二日に現地対策本部を立ち上げまして、まだ電気、水道が復旧していない三月十四日、仙台市、そして若林区の被災訪問を始め、多くの被災者、そして各首長、現場の声をお聞きしながら、この間、政府に対し三十六回の提言、そして要望書を出してきました。きのうは、原子力発電建設で揺れる、あのマグロで有名な青森県の大間の現地視察に行ってきたところでございます。

 総理、国民そしてまた被災者の皆さんは、総理に対して強いリーダーシップと復興復旧に向けたスピード、決断力、これを求めております。しかし、総理は、諮問機関である復興構想会議にあらゆる事項について諮問をしながら、この会議の中で、六月末の提言をいただいてからそれを踏まえて検討する、こういうことを再三答弁なされてきております。

 自民党の復興再生基本法案では、財源確保について丁寧に明記をされております。

 三月二十三日、十六兆から二十三兆円という被害額、これは福島の原発事故については触れないで、この津波、地震でこういう政府の試算を出したところでございますけれども、それ以降、被害額は全然明らかにしておりません。総理は、甚大で悲惨なこの大震災の被害額、このことを今どのぐらい想定しているのでございましょうか。

 復興構想会議では、五月の二十一日の第六回の会議で、財源問題について、下部組織の検討部会で論議する、こういうふうになったようでもございます。しかし、諮問されているこの会議の中で、どのぐらいの甚大な被害額、そういう部分が全体的に明らかになっていない中で、どう議論をしながらどう提言をしていくのか、このことについても迷いはあるんだろうというふうに思っております。

 そんな面で、一番大事な財源問題、そしてまた被害額、こういったところについてもこの構想会議にゆだねた、このことについての総理としての考え方について、まずお伺いさせていただきます。

菅内閣総理大臣 今回の大震災における被害額というものについて、幾つかの試算があるようですが、たしか十六兆から二十三兆、その程度に及ぶのではないかと言われております。

 そういう中で、復興構想会議にお願いをしているのは、どういう考え方で復興を進めていくのか、いわば青写真をぜひ検討、提示していただきたい、このように申し上げております。

 もちろん、六月末ということでありますけれども、緊急を要するものについてはそれ以前においても個別に緊急の提言として出すということもあり得ると承知をいたしております。すべて復興構想会議を待つというよりも、この一つの場でいろいろな立場の方の意見を集約する。典型的には、三県の知事に参加をいただいておりますので、そういった意見もそこで表明をしていただく中で、それらを受けとめて、最終的には、その案をベースに復興本部の方で最終的な案を固めていく、こういうことにしなければならないと思っております。

 時間的な問題は、この間、まだ復旧でも不十分なところもある、あるいは復興でも、早い時期から方向性が出るものも、かなり時間がかかるものも、いろいろあるかと思います。そういうものをしっかり踏まえて、緊急性、必要性、そういうものをしっかり踏まえながら、次の段階、具体的には第二次補正ということについてもしっかり考えに入れてまいりたいと思っております。

吉泉委員 三月の二十三日、それからもう約二カ月になろうとしております。なったのかな。そんな中で、十六兆から二十三兆の被害額。幅がありますよね。

 それぞれ代表質問等の中においても、やはり、いち早く復興に向けた筋道、そして第二次補正、こういうことをそれぞれ各党の方から意見が出されているわけでございます。

 そんな面からいえば、やはり総理としての強い決断力、そのことが今、何よりも大事だし、求められているんだろうというふうに思っておりますので、ひとつ、総理の方からの決断、そういった部分についてよろしくお願いをしながら、次の質問に入らせていただきます。

 自民党の復興再生基本法案についてお伺いをさせていただきます。

 自民党の復興再生院の構想、まさにスーパー官庁、こういうふうに位置づけながら、強いリーダーのもとで進めていく、大変力強さを感じるところでございます。

 しかし、内容を見ますと、この復興再生院の設置には二、三カ月かかる、こういうふうに言っているわけでございますけれども、二、三カ月するともう完全にお盆、夏、こういうふうな状況になるわけでございます。被災発生から約半年、こういう状況の中で、この設置というものについての疑問が少し出てくるわけでございます。

 そして、つなぎの問題として、設置までの間に対策本部、これを考えているというふうに明記されているわけでございますけれども、しかし、自民党の言う対策本部については、今政府が現に設置している緊急対策本部や原子力災害対策本部とどう違うのか、そのことを明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。

 また、対策本部、これでできるならば復興再生院をつくる必要もなくなるのではないかというふうな見方も自分自身はするわけでございます。阪神大震災のときの小里さんのように、権限をすべて集中しながら、責任を一元化できる、こういうふうにも考えられるわけでございます。

 復興再生院でなければならない、この理由についてお伺いをさせていただきます。

加藤(勝)議員 吉泉議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、復興再生院ができるまでというお話でありますけれども、私どもの基本法案が成立、施行された場合には、復興再生院の設置と、そして復興再生計画の策定などが同時並行して行われる。私どもとしては、しっかりとした政治主導のもとで、少なくとも二、三カ月で復興再生院を設置したい、こう考えておりますので、それまでの間は、復興再生基本計画の策定、あるいは復興再生政策に係る政策、その取り組みに関しては、政府の関係閣僚会議、こういったものを中心に行っていかなければならないと考えております。もちろん、復興再生院の設置後は、それらの事務は復興再生院に引き継がれていくわけでございます。

 また、もう既に四カ月、五カ月というお話がありました。残念ながら、空白の二カ月は取り戻すことができないわけであります。また、新たな組織をやりながら考えるといったことでは大変悠長なことになりますので、私どもは、すぐに対応していかなければならない、一日でも早く復興再生院を設置していくよう努力をしたいというふうに考えております。

 それから、その間の、復興再生院ができるまで、今申し上げた、つなぎとしての対策本部ということでございますけれども、これにつきましては、今、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部がございますが、これらはそれぞれ法律に基づいて閣議決定によってつくられてきている、こういう組織でございまして、もう当然、それぞれ役割は持っているわけでございます。そして、復興再生院ができるまでの間の対策本部においては、今申し上げた、災害応急対策の総合調整をする緊急対策本部、あるいは原子力災害に関する緊急事態に対する原子力対策本部、これらと密接な連携をとりつつも、今申し上げた、つなぎではありますが、この対策本部が復興再生に関しては司令塔の役割、中心的な役割を果たすものと考えております。

 なお、復興再生院が設置された後には、各省庁からの事務、権限の移管の作業とあわせて、こうした緊急対策本部あるいは原子力災害対策本部との関係、これは整理をしていかなければならないというふうに思っております。

 それから三点目、それなら復興再生院をつくる必要はというお話がありました。

 大変私どもの法案を高く評価していただいて感謝をするわけでございますが、阪神・淡路大震災のときには、当時の社会党でございました村山総理のもとで、私どもの党を初め、御党も含めて、いろいろ英知を出し合い、小里大臣の強いリーダーシップで災害に対処してきたわけであります。

 ただ、先ほどから私どもの石破政調会長が申し上げておりますように、今回の災害が非常に広範囲にわたっていく、あるいはそれぞれの自治体の財政基盤が非常に脆弱であるなどなどの理由から考えて、やはり異なる対応をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の復興再生院というものは、新しい組織をつくることによって、縦割り行政を廃止して、いわゆる事業官庁も含めて、権限、責任、予算、こういったものを一元化する。そして、強力な政治主導のもとで、一元化によってより幅広い対策が、地域の実情に応じて迅速に対応していくことが可能になるわけでありますし、また、一元化することで地方も窓口が一本になるということでございまして、縦割り行政を前提として、個々の政策の企画立案、実施が各省庁ごとに行われて、やはり対策本部には総合調整だけだという限界がございますし、あくまでもつなぎはつなぎということで、今申し上げた復興再生院をしっかりつくらせていただきたい、かように考えております。

吉泉委員 答弁ありがとうございました。

 次に、原発の事故の関係でお伺いをさせていただきます。

 メルトダウンが起きている、起きた、こういう中において、工程表は同じ、期間も同じ。スリーマイル島の原発事故で、メルトダウンの収束に十年以上かかっているわけです。

 今回のこの二号、三号機、この部分についてもメルトダウンが起きているのではないか、または起きている、こういう事実もあるわけでございます。今、だれが見ても、福島県民を含めて、この工程どおり進む、こういうふうには思えない。そしてまた、今集団移転しております飯舘村、いつ戻れるのか、こういう不安のままに今移転をしているわけでございます。

 やはり、もう一度一から状況を把握しながら、そして国民が納得のできる工程表を出すべきだ、こういうふうに思いますけれども、この点についての所見をお伺いいたします。

海江田国務大臣 吉泉委員にお答えをいたします。

 確かに、一号機から三号機、とりわけ一号機は今お話のあったような状況で、私どもも、当時の予測を超える大変深刻な状況だと思っております。

 しかし、まず水を注入してこれを冷やす、炉を冷やすという、この方針は変わりはありません。従来でしたら、その水を格納容器あるいは圧力容器いっぱいにして冷やすという方向でございましたけれども、これは残念ながらかなわないことになりました。そこで、水を注入して冷やすというやり方は同じでございますが、その水を循環させて、そしてまた再びかけて冷やすという、いわゆる循環注水冷却という方式をとることに相なりました。

 そして、この方式というのは、実は、今お話のありました、工程表と言われておりますが、事態の収束に向けての道筋の中では、これは四月の十七日につくりまして、そして五月の十七日にまさに一カ月目の見直しがあったわけでございますが、まさにこの直前に今委員御指摘のありましたような事態がありましたから、直ちにその循環冷却方式に切りかえをするということで、そしてこれは、その意味では幾つか新たな工事が追加的になりますが、全く準備をしていなかったことではございませんので、その中で間に合わせるということにいたしました。

 そして、何よりもこの道筋というのは、先ほど委員も後段でお話がありました、やはり一人でも多くの方にできるだけ早く住みなれたところに帰っていただきたいということがありますから、今、一カ月のところで見直しをするということではなく、出てきた事態に対してはしっかりと手だてを講じなければいけない。しかし、目標はしっかりと掲げて、そして、もちろん除染なども十分に行うつもりがございますが、できるだけ早く帰ってもらうために、この時期を今維持しているところでございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。

吉泉委員 今お話ししましたスリーマイル島とほぼ同じような事故が起きたわけでございます。これは、十年以上、十四年までかかったわけです。ここのところについて、大臣はどのようにここのところを検証しながら、そして今、一年も見ないで収束できるような、そういう工程表が出されるのか、その根拠というのはどういうことなのか、ちょっとお聞かせください。

海江田国務大臣 これはぜひ改めて、もう一度、この道筋、ロードマップをごらんいただきたいわけでございますが、最初の三カ月で、まずステップ1でございます。それから、その次の三カ月―六カ月でステップ2でございます。そして、そこから実は中長期的な工程というものが入っておりまして、まさにお話のありましたスリーマイル島につきましては、中長期のところで対応するということで、これは当然、廃炉ということも考えられるわけでございます。

 廃炉も考えなければいけないわけでございまして、今、その廃炉がいつになるかということは、残念ながら、ここではいつ幾日ということはスケジュールに上げていないということでございます。

吉泉委員 私どもも、この点についてはしっかり検証しながら、また、それぞれ現地の方にも行きたい、こういうふうに思っておりますので、その点については、また後日、質疑等をさせていただきたい、こう思っております。

 冒頭お話ししましたように、あの一本釣りの大間のマグロ、ここのところにきのう行ってきたわけですけれども、大変やはり漁師さんの人方の不安も当然あります。そしてまた、函館の方からも、この原発の場所の方に出て、そして出席をしていただいて、交流をしてきたところでもございます。

 その中で、自民党のエネルギー政策、対策についてお伺いをしたい、こう思います。

 総理は、この原発事故以降、エネルギー計画を見直す、そして、自然エネルギーをやはりもう一つの大きな柱として位置づけながら進めていく、そして、この自然エネルギーの普及をもっともっとしていくために全量の固定価格買い取り制度なり、さらには送配電の分離論、こういうことをこれから検討という形で打ち出しているわけでございます。

 自民党として、これまでエネルギー政策、原子力に偏重というふうに私どもは受けとめるわけでございますけれども、今回の福島の事故以降、自民党さんの言うエネルギー政策、さらには原子力政策、これは変わったのか変わらないのか、その点についてお伺いいたします。

齋藤(健)議員 我が党は、御案内のように、石油ショックに苦しんだ我が国の経験から、石油代替エネルギーのエースとして、また経済性や地球環境問題への対応などなど、総合的な判断のもとでこれまで原子力政策を強力に推進してまいりました。その意味で、今回の福島の事故は、原子力政策を推進してきた我が党としても、本当に重い責任を痛感しているところでございます。

 今後の我が党の原子力政策につきましては、先生御案内のように、東京電力の事故がまだ現在進行中でございます。その収束をにらみながら、我々は一体どこで何を間違えたのか、事故原因を精査いたしまして、これまでの安全対策の問題点も丹念に検証をいたしまして、その上で、原子力政策のあり方についても再検討していきたいというのが、もう既に表明されている我が党のポジションでございます。

 同時に、御指摘の新エネルギー政策につきましても、これら原子力政策の点検作業と同時並行的に、我が国のエネルギー政策全体をどうしていくかという観点から、さらに踏み込んだ対応がどこまで可能か、責任ある検討を行っていきたいと考えているところでございます。

吉泉委員 私たち社民党は、脱原子力、こういう立場で進めてきたところでもございますし、ぜひ一致するようにお願いを申し上げたい、こう思います。

 そして今、福島県、まさに大変な県民の不安、その部分が出てきているわけでございます。そうした中で、知事が、福島医大に放射線医療の専門研究機関を設置しながら最先端の研究を進めよう、こういう一つの力強い福島県としての構想を出しております。その点について、それぞれ福島のこの知事の意向さらには県民の意向、このことをきちっととらえて、ぜひ応援体制も含めてお願いをしたい、こういうふうに思います。

 それと同時に、もう一つは、やはり健康手帳、福島の県民に対して、被曝手帳ではないわけですけれども、その点について常に不安になっているわけでございますから、やはり健康、そのことを管理する、そういう意味でも健康手帳の発行を県民は望んでいるわけでございますけれども、この点についてお伺いして、質問を終わらせていただきます。

黄川田委員長 厚生労働副大臣大塚耕平君。簡潔にお願いいたします。時間がちょっと来ておりますので。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 環境モニタリング結果や行動調査などを通じて、健康調査はしっかりしてまいりたいと思っております。

 今先生、健康手帳というふうにおっしゃいましたが、健康手帳と、あと被曝手帳という言い方をされる方もいらっしゃいますが、被曝手帳ということですと、この手帳をお持ちいただくことがかえって精神的な御負担になるという専門家の御指摘もございますので、そういった点もしっかり踏まえて、対応を考えさせていただきたいと思います。

吉泉委員 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて吉泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、原発事故についてお伺いをいたしたいと思います。

 三月十二日の夜の一号機への海水注入について、菅総理は海水注入による再臨界の可能性を心配していた、こういうふうに細野総理補佐官がお話しになられています。それで、原子力安全委員長に助言を求めたら、可能性はゼロではない、こういうふうに言われたと。訂正云々、いろいろなことがきのうからきょうにかけてあったわけですけれども、可能性はゼロではない、こういうふうに班目委員長からも助言を得た。

 当時、菅総理が再臨界を心配していた、こういうことは事実としてありますね。総理、イエスかノーでお答えください。

菅内閣総理大臣 いろいろな心配される可能性の中で、そういうものも含まれていたので、そういうことに対して専門家の皆さんに御意見を聞いたわけであります。

柿澤委員 菅総理は当時、再臨界のことも心配をして、そして専門家の意見を聞いた、こういうことであります。

 この場合の再臨界の可能性があるというのは、どういう事態を示唆しているんでしょうか。これは、燃料棒が原形をとどめ、制御棒が入っている状態であれば、そういうことは起こらないというふうに思うんです。核反応が再び起こる再臨界というのは、こういう安定した状態では起こらないというふうに思うんです。

 班目委員長、こういう再臨界が起こる懸念があるということは、どういう事態がこの原子炉の容器内で起こっているというふうに想定されますか。

班目参考人 実際に燃料が若干でも溶けて、再配置といいますか位置が変わることによって、より臨界になりやすくなるということをおっしゃる方がいます。そういう意味では、今現在ですら再臨界が起こっているのではないかというようなことを言われる学者の先生もおります。しかしながら、再臨界になったからといって、新たに大きな熱が生じるとか、そういう危険性は認識してございませんが、そういうふうに聞かれましたら、再臨界の可能性はゼロではないという答え方になるかと思います。

柿澤委員 今の御答弁はちょっと私の質問の意図と外している部分もあるんですけれども、しかし、冒頭でおっしゃられたように、燃料の少なくとも一部が溶けて、そして、再配置と言いましたが、要は容器の下の方に落ちていく、これはメルトダウンという、まさにその言葉そのものなわけであります。要するに、燃料棒が溶けて落ちる、メルトダウンという、こうした状態が発生をするからこそ、再臨界という懸念が生じるわけであります。

 すなわち、つまりは、再臨界が起こるというふうに菅総理が心配をしたということは、菅総理はメルトダウンの可能性を三月十二日の時点で認識していた、こういうことになるのではないですか。

 覚えておいでだと思うんです。三月十二日の午後三時からの与野党党首会談で、菅総理は何とおっしゃったか。みんなの党の渡辺喜美代表が、メルトダウンしているんじゃないですか、こういうふうに質問をしたところ、菅総理は、メルトダウンはしていませんというふうに断言したんですよ。これは、メルトダウンを認識していた以上、この場でメルトダウンしていませんというふうに断言していたというのは、意図的にこの与野党党首会談でうそをついたということになってしまうんではないですか。お尋ねします。

菅内閣総理大臣 この事故の経緯は柿澤さんもずっとフォローされていると思いますけれども、私が物事を判断する場合は、原子力安全委員会の委員長初め皆さんと、原子力安全・保安院の皆さんと、それから当事者である東電の官邸に詰めている責任者にほぼ常に同席をしていただいて、皆さんの御意見を聞いて、何らかの判断が必要なときには、特に原子力安全委員会の助言を踏まえながら判断をしてきました。

 その野党の党首との会談の折に私として申し上げたのは、そういう公式的な形で政府としてその時点でメルトダウンということは、公式的にそれを認めることには当然その当時なっておりませんで、その公式的な政府としての見解を申し上げました。いろいろな意見が当時からあったということは、もちろん私の耳にも入っております。

 そして、先ほど一つの仮説を立てられましたけれども、つまり、再臨界のことを心配したのはそういうことではないかと言われましたけれども、やはり心配する方はありとあらゆることを心配しなければならないというのがこういう場合の原則だと思います。つまりは、大丈夫だろうと思うんじゃなくて、いや、大丈夫だとは思えても、こうなっているかも、ああなっているかも、こうなっているかもしれないということを考えて、それらのリスクをより小さくする。今回の場合であれば、再臨界というのは、硼酸を注入すればそれがよりリスクが小さくできるわけですから、そういうことも専門家の皆さんから後で出てくるわけですけれども、そういう意味で検討をお願いしたということであります。

柿澤委員 御答弁の様子をテレビでごらんになっている国民の皆さんは感じておられると思いますけれども、大変、いかにも苦しい答弁だというふうに思います。

 三月十二日の午後の与野党党首会談で菅総理は、メルトダウンしているんじゃないですかと聞かれて、大丈夫です、メルトダウンはしていません、こういうふうに断言をしている。これは、私たちはその場に居合わせた方々からしっかり聞いていることでありますし、また、菅総理が判断を下すときにまさに助言を仰いでいる、意見を聞いている、そういう班目委員長が、先ほど、いいですか、一号機の中で再臨界が起きている可能性があるということは、燃料棒が何らかの形で溶融をしている、こういうことを示唆しているのではないか、こういうふうにおっしゃっているではありませんか。

 まさに、菅総理があの時点で再臨界の懸念を示して、そしてさまざまなところに意見を仰いだということは、菅総理自身がメルトダウンという事実を認識していたという何よりの証拠だと私は思います。このことが後になって明らかにされる、そのタイムラグによってどういう被害が潜在的に生じた可能性があるかということは、後で申し上げたいというように思います。

 それに加えて、このときの与野党党首会談で、当日朝の班目委員長とのヘリでの視察を踏まえて、圧力抜き作業を開始し、今では冷却水の水位が回復をして管理された状態にあり、大丈夫であるというふうに、爆発しないと太鼓判を押されたんです。その党首会談の最中に一号機の水素爆発が起きたんですよ。そのときに、菅総理には何やらオレンジ色のメモが差し込まれて、それを見た直後に菅総理はそそくさと党首会談の席を立ったそうであります。オレンジ色のメモに何が書かれていたか、このことはもうお尋ねを申し上げません。

 ただ、申し上げたいのは、渡辺喜美代表の問いに対して、メルトダウンはしていません、爆発はいたしません、すべて事実と反対の答えを返していたということであります。与野党党首会談で総理が断言をした、ああ、総理が言うから本当なんだろうと思って、メルトダウンはしませんよ、していませんよ、爆発なんてしませんよ、こういうふうに仮に渡辺喜美代表が対外的に説明をしていたら、結果的に間違った情報を広めるお先棒を我が党の渡辺喜美代表も担ぐことになってしまいかねなかったんですよ。

 こういうふうに、まさに当初の段階で認識をしていたにもかかわらず、その可能性について……(発言する者あり)認識していたと先ほどもおっしゃっていました。そのことについて言及をしないという姿勢をとったことで、大変間違った情報を国民の間に広める結果になったのではないかというふうに思います。

 メルトダウンを否定する立場を総理が少なくとも公式にはとったことで、何が起きたか。原子力安全・保安院の中村審議官は、三月十二日の午後二時の記者会見で、炉心溶融が進んでいる可能性があると、メルトダウンの可能性を認めました。今から考えれば正しい指摘をした中村審議官を、政府は半ば更迭のように見える形で記者会見の担当から外しているわけです。その後、炉心の一部損傷という言葉は使われても、メルトダウンという言葉は封印をされてしまったわけです。

 枝野官房長官は、その後、炉心溶融の可能性について問われて、炉を直接見ることはできない、こんなふうにも言っておられます。これでは政府内のだれもが、最悪の事態を想定し、現実を直視して、今起きていることを国民に対して率直に説明することができなくなってしまうではありませんか。率直に語れば更迭されてしまうんだから。物言えば唇寒しで、後任者は本当のことなんて言えっこないですよ。

 何でこんな配置がえをしたんですか。かつての委員会の答弁で、国民によりわかりやすく説明するためと海江田経産大臣は答弁しておりますけれども、この人事によって、むしろ本当の情報が覆い隠されてしまったのではありませんか。海江田大臣、答弁を求めます。

枝野国務大臣 まず、引用はきちっとしていただきたいと思いますが、私の三月十三日の記者会見においては、一号機で炉心溶融が起きたのかと問われたことに対して、これは十分可能性があることで、当然、炉の中だから確認できないがと言っております。

 もし炉心溶融の可能性があると言ったことで更迭されるのであれば、私がこの時点で更迭をされなければおかしいことになります。

海江田国務大臣 柿澤委員にお答えをいたします。

 私は、本当に正しいことを正しく伝えた人を更迭などとは毛頭考えておりません。これまでも考えておりませんでしたし、これからも考えておりません。

 そして、中村審議官でございますが、もともとは国際畑の方であります。そして、この後、IAEAの会合やOECDの原子力機関の委員会など、私が原子炉の対応と国会の対応にずっと専念をしておりますので、国際会議などへ出ていくことができませんが、しっかりと世界に向かって正確な日本の原子炉の状況を説明していただいております。

柿澤委員 海水注入の件ですけれども、海水注入が再臨界につながる危険性があると言ったかのように言われて、班目委員長が、今回、猛然と抗議をしたわけです。そんなことを言ったら、私の原子力専門家の生命は終わりだ、原子力のゲの字も知らない素人だと侮辱されたようなもので、名誉毀損だ、こういうふうな発言が報じられております。

 班目委員長の訂正要求を受けて、二十二日の夕方、官邸で細野補佐官や福山官房副長官らとの会談が行われ、報道によれば、発表の訂正を求める班目氏に、福山氏らが、可能性はゼロではないと発言したとする案を提示し、班目氏も了承したという。これは、先ほど報道を否定されておられて、班目委員長自身が御提示をされたということでありましたけれども、いずれにしても、原子力安全委員長の過去の発言を関係者が相談してこう言ったことにしよう、こういうふうに決めたとしたら、これは、日本政府のこれまでの発表というのは一体何だったのかということになってしまうのではないかというふうに思います。

 言った言わないについて文言調整が行われた、その事実だけで、私はその疑いを持たれるのに十分だというふうに思うんです。

 海水注入の総理指示がいつ出たのかについても、今回、十八時総理大臣指示、福島第一原発において、真水による処理をあきらめ海水を使え、書いてあったのに、今になってそれは違ったと過去の発表資料を訂正しています。

 こういうことが行われる、時としてこういうことを政府はやる場合がある、だからこそ私たちは、調査委員会を政府から独立させて、国会に設置する必要があるというふうに言っているんです。それを申し上げて、次の項目に移りたいと思います。答弁、どうぞ。

枝野国務大臣 文言調整などは一切いたしておりません。班目委員長がおっしゃられたかぎ括弧について、受けとめた側で記憶をしていたかぎ括弧の中身について、班目委員長が記憶をされている御発言の内容と違っているということで班目委員長から抗議、訂正を求められたものですから、それについて、その当時同席等をしていた可能性のあるメンバーでどういうことの御発言があったかということについて確認をして、そのお申し出に基づいて記憶を正確にした上で訂正をしたものでございまして、文言調整などではありません。

柿澤委員 それでは、この報道をした新聞社等にやはり抗議をされたらいいのではないかと思います。

 さて、先日の予算委員会における私の質問で、内部被曝の全身測定装置、ホール・ボディー・カウンターの驚くべき数値が出てきました。精密検査を要するスクリーニングレベルの千五百cpmを、数値を上回ったのが四千九百五十六件、うち福島県内に立ち寄ったのが確定をした判明分で四千七百六十六件。一万cpmを超えたのが千百九十三件。専門家も驚くような数字が出てきました。今、波紋が広がっています。

 これは、福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員がホール・ボディー・カウンターを受けた数字です。つまり、高い放射線量にさらされる福島第一原発の敷地ではなく、周辺の市町村等で住民と同じように生活を送っていた人たちなのであります。つまりは、この人たちから高い内部被曝の数値が出てきたということは、周辺住民も相当量の内部被曝をしている可能性が高いということになります。

 私の質問によって明らかになったこの数値を政府は今どう見ているのか、お伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 ホール・ボディー・カウンターにつきまして、私も委員の指摘を受けまして、三台しかないということ、それから今福島県の外で実際にそうしたチェックが行われているということでございますが、私もどうしてかということを問い合わせをいたしましたら、このホール・ボディー・カウンターというのは本当に微妙な機械。例えば、ここに書いてございますけれども、受ける方が体の表面に汚染が残っていたり、あるいは機械自体が汚染したりしてしまう可能性がありますと、その計数がもう信用できなくなってしまう、誤った数値を出してしまうということで、ホール・ボディー・カウンターの使用の際は、被検者の身体サーベイを徹底するとともに、バックグラウンド、つまり、どういう場所に置いておくかということを非常に気にしなければいけないということで、現在そういう場所に置いてあるんだということがわかりました。

柿澤委員 全然答弁は違うと思いますし、また、ホール・ボディー・カウンターがあたかも何か信頼性の低い装置であるかのような表現をされるのは、後々、やはり専門家が聞いたら首をかしげてしまうのではないかというふうに思います。

 繰り返し申し上げますが、この人たちから高い内部被曝の数値が出てきたということは、周辺住民も相当量の内部被曝をしている可能性が高いということになる。だからこそ、私はこの問題について取り上げさせていただいているのであります。厚生労働省としては、周辺住民の内部被曝の程度を示唆するほぼ唯一のこれは測定データでありますので、ぜひこの数値を入手して分析をしていただきたいというふうに思っております。

 先日、大塚厚生労働副大臣は、ジュネーブで行われた世界保健機関、WHOの会合出席に当たっての記者会見で、特定日や場所の放射線量データは蓄積されつつある、周辺住民の所在時間や場所が把握できれば将来的な疫学に寄与する、こういうふうに話したということであります。将来の疫学に寄与するというのは、これはどういう意味ですか。お伺いします。

大塚副大臣 先週、国会の御了解をいただいて、WHOで日本の原発事故の状況等について御報告をさせていただきました。その中で、当然、住民の皆さんの健康調査のやりとりもございました。

 被災者の皆さんへの対応を含めた政府のロードマップにおいて、福島県の被災住民の長期的な健康管理に万全を期すこと、そのために放射線量の推定を開始することが決まっておりますので、その脈絡の中で、放射線量の推定、健康調査やその後の疫学的分析は被災住民の方々の長期的な健康管理のために役立てるものであるということで、これはWHOの総会とテクニカルブリーフィングの後の日本人の記者団との懇談の中で、今後の健康調査についてどう考えるかということでお答えをした記憶がございます。

 なお、先生から御下問をいただきましたので、疫学調査、改めて専門的な定義を調べましたところ、疾患の分布、増減などを調査する方法である、疾患等と考えられる原因との間の因果関係を統計的手法を用いて推定する、放射線被曝の影響調査にもこの手法が用いられているということになっておりますので、健康調査のためにしっかりと対応しなければならないという趣旨で申し上げております。

柿澤委員 もっと早く避難させていたら相当量の被曝を避けられたかもしれない住民が今も一部はそこに住み続けている、そういう状況であるにもかかわらず、疫学調査に貢献できる、この言葉をどういうふうに地元の住民の方々は受けとめるんでしょうか。

 最後に、与謝野大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 マクロの経済のお話です。震災の被害とそれがもたらす経済的打撃を過小評価するようでは、原発事故に対する過小評価と同じで、危機からの脱出を困難にしてしまうと思います。

 では、菅内閣の経済財政担当大臣は震災発生当初、何と言っていたか。震災発生直後のイギリスのファイナンシャル・タイムズのインタビューで、与謝野大臣は、今回の地震による日本経済への影響はさほど大きくはない、GDPに直してマイナス〇・一から〇・二%だろう、こういうふうにおっしゃっております。また、さらに別のインタビューでは、岩手、宮城、福島の被災三県のGDPは合計で日本の四・一%しかない、実際には三割ぐらいしか被害を受けていないので、GDPの被害額はその四・一%の三分の一ぐらいだろうと。東北のGDPは小さいので日本経済には大きな影響はない、こういうふうにおっしゃっております。

 今どうですか。三月の鉱工業生産、五月十九日に発表された確報値は前月比マイナス一五・五%、過去最大の落ち込みです。十九日、同じ日に発表した一―三月のGDPの速報、これも前期比〇・九%減、年率換算で三・七%減。市場の事前予想を超え、震災が日本経済に与えた打撃の大きさが鮮明になったというふうに評価をされています。

 どうですか。震災の影響を過小評価していたのではありませんか。与謝野大臣はあのリーマン・ショックのときに、リーマン・ショックの影響をハチが刺した程度だ、こういうふうに表現した大臣でもありました。その後、日本経済がどうなったか。同じ与謝野大臣の経済財政政策のもと、またも、例えば増税が持ち出されて、日本の経済はさらに暗い坂道を転がり落ちていくんでしょうか。

 与謝野大臣、今後の政策対応については、財政出動をする必要は今のところないというふうに語っているということであります。さらに、日銀に対しても、物価の動きを示すGDPデフレーターはマイナス一・九%、過去最大の下げ幅であるにもかかわらず、日銀は最大限の対策をとっており、注文をすることは一つもない、こういうふうに述べたと言います。こんな経済財政担当大臣で復興なんてできるんですか。

 与謝野大臣にもお伺いをいたしますし、また、この与謝野大臣に今後も経済財政政策を菅総理は任せ続けるんでしょうか。こうした方が政権中枢にいる結果として、一次補正四兆円、そして二次補正は先送り、本格的な復興予算どころか、財政制約により規模を小さくしようとインセンティブが働いているとしか思えません。どうですか、菅総理。菅総理にも御答弁をいただきますけれども、この方向で経済財政政策を続けるんですか。お尋ねを申し上げます。

与謝野国務大臣 私は、極めてオーソドックスな経済政策をやろうとしておりまして、みんなの党の政策とは違っていることは事実でございますが、私が今までやってきたことは正しい路線だと確信をしております。

菅内閣総理大臣 補正予算、四兆円を超えた規模でありまして、みんなの党の皆さんから見れば、まだまだ小さいという指摘なのかもしれませんが、私は、この段階ではかなり思い切った補正予算であったと思っております。また、必要に応じて二次補正についても、必要なことについてはしっかり財源措置をしていきたい、このように考えております。

柿澤委員 終わります。

黄川田委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、園田博之君。

園田(博)委員 菅総理、私は少数政党なので、本来、この委員会で委員のポストも質問の時間も慣例からいうとないんですね。きょうは特別に、自民党ほか各党の御配慮で、短いんですが、こういう時間を得ることができました。

 菅総理とは今後とも議論する場というのは余りないかもしれないので、一つお聞きしたいんですが、私があちこちで、菅総理はおやめになるべきだということを言っているんです。その理由は後で言いますけれども、そういうことを私が言っているということをお聞きになったことがあるでしょうか。あるいは、嫌なことは耳に入らないようになっているのか、ちょっとお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私は、園田議員とは、言うまでもなく、さきがけ時代に御一緒させていただきまして、大変お世話になってきたと今でも感謝をいたしております。

 園田議員と直接にも時折お話をしてきましたけれども、当初は、筋を曲げないでしっかりやれという激励もいただいた時期もあったように覚えております。ある時期から、かなり厳しい御意見をいただいている、それは私にも伝わってきておりますし、私としては、機会があれば直接にでもお話を伺えれば、こんなふうにも思っておりました。

園田(博)委員 昔の仲間なのに嫌なやつだと思っておられるかもしれませんが、理由を二つほど申し上げたいと思うんですね。

 当初、総理に対しては、確かにそのとおりなんです、激励もしましたし、大いに期待もしたんです。なぜ、それが期待できなくなったのか。

 第一の理由は、ちょっと表現はよくないかもしれませんが、総理の御判断の一つ一つが場当たり的にしか見えないんですね。私は、所信表明とか施政方針演説とか、原稿もよく見ましたし、それを聞いている限り、菅総理の頭の中で、今、日本が抱えている課題、それから、それをどういう進路をもって解決していくべきかということは整理されているように思ったんですね。ところが、実際におやりになるときに、頭の中で構成されているはずなのに、全然違う、具体的な、頭の片隅にあるようなことがぽっと出てきて、これをおやりになろうとするんですね。

 これらは、私から見れば、極めて場当たり的であって、日本の国民の生活を、一番大事なときなものですから、これは震災に関係ないんですよ、震災の前から私、申し上げているんですから、大事なときに進路を間違えてしまうんじゃないかと思ったのが第一の理由なんです。

 第二の理由は、これは菅総理だけじゃなくて民主党の皆さん方にもぜひ聞いてもらいたいと思うんですね。

 民主党はさきの選挙で多くの支持を得て、衆議院では絶対多数をおとりになりました。それだけの期待があったんです。ところが、見ていると、菅総理だけじゃなくて民主党の内閣に入っておられた方々も、自分ではお気づきになっていないかもしれませんが、政策決定の動機が私から見ればよくないんですよ。

 それは、政策決定の動機というのは、あくまでも、こういう進路をとると、将来、日本の国民生活というのはもっと充実するであろう、中には途中経過で反対論に遭うかもしらぬけれども、これは政治の進路を定めるべき人の責任なんだというふうなことが動機であるべきなんですね。

 ところが、どうも一つ一つ見ていると、その決定をすると国民が拍手してくれるだろう、その場その場で。つまり、よく言うポピュリズムですね。こういう体質がやはり民主党全体にあるんではなかろうか。

 こういうことを繰り返していますと、いつの間にか日本の国民生活は不幸の方にどんどんどんどん行ってしまうし、野党は野党で、負けずに、じゃこれをやればもっと受けるかもしらぬ、こうやってしまうと日本の政治はめちゃくちゃになっちゃうじゃないですか。

 だから、私は菅さんに、申しわけないけれども、ここは選手交代をされて、日本の政治の質がもっと上がるような仕組みを、一回出直して、民主党としても出直して、そして与野党が切磋琢磨か、場合によっては与野党協力でやっていかないと、これは大変なことになるぞというふうに思うから申し上げたわけでありまして、それに対する答弁は要りません。直接申し上げる機会がなかったので、きょうは特別に申し上げました。

 さて、震災なんですが、今度の法律を見ました。いわゆる基本法案といいますか、これはそんなに悪くないと私は思っています、政府から提案されたものは。理念を間違えているわけじゃないし、極めて必要であって、あとはどういう組織をつくるかというところだけなんだろうと思うんですね。

 私は、特に今回、現地対策本部なんかが盛り込まれておりますが、こんなものはもっと早くやればよかったんですよ、法律なんかなくたって。そうしたら、もっと被災者の方々にいらいらさせずに対応ができた可能性があるんですね。

 自民党から出ている復興再生院かな、復興庁でもいいんですが、これは、つくったからといって、私は正直言って、縦割り行政の弊害がなくなるとは思っていないんですよ、これは谷垣総裁もけさ言っておられましたけれども。問題は、つくって本当に政治力が主導できるかどうかなんですよ。これができなかったら、かえってつくらない方がいいですよ。来る人たちが出身官庁の意見ばかり言っていて、それを主導できなかったら、これはめちゃくちゃになっちゃいます。その辺も含めて、ぜひ与野党で話し合って、どこかで成案を得られればなというふうに思います。

 それから内閣法改正、大臣とかいっぱいふやすというやつ、これは私は反対です。さっきから聞いていると、阪神・淡路のときは二十人いたんだとおっしゃるけれども、それは行政改革の前、省庁も大臣も多過ぎるというんで十七に変えたんですから、阪神・淡路と比較することはできないんですよ。

 ただ、厳密に言えば、復興担当大臣を一人置くことぐらいまでは私は必要だと思います。それ以外は、ただでさえ多過ぎますよ。大臣がじゃなくて、やれ補佐官、副大臣、政務官、こんな人たちがいっぱい入って、一人ずつ見ると一生懸命やっておられるんですよ、やっておられるんだけれども、結果的には組織立った活動ができなくて、対応できなくなっている可能性も私はあるんじゃないかと思うんですね。

 そこは、民主党の方々からは多く採用したいでありましょうけれども、もっと与党と政府のやる仕事というのをもう一回整理されてやられたら、民主党全員で取り組めばいいじゃないですか。

 これは、私は内閣法改正案については反対ですから、よく考えていただきたいというふうに思います。

 それから、震災復興に対して幾つか提案があるんですが、一つは、被災地を特区にして、特別な条件のもとに復興していくんだという考え方を時々言っておられます。これは私は間違いじゃないと思いますが、私は、いっそ、道州制とまでは言いませんが、主として被災三県だけじゃなくて、青森にも山形にも秋田にも、ひっくるめて特区にして、県を越えていろいろな対応ができるようにした方が、さっき玄葉さんだったかな、被災地復興、東日本の復興を日本の復興の先達役としてやりたいんだとおっしゃっていました。もしそうであれば、そのぐらいのスケールでこの復興について考えたらどうかなと思いますが、これは総理の御意見はいかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 さきの御意見にも一言だけ申し上げますが、ポピュリズムに陥らないように私なりに考えて行動しているつもりでありますけれども、そのように見えた、あるいはそのような形になっているとしたら、大変申しわけないというか、残念だと思っております。私自身は、それに陥らないように、私なりに踏ん張っている……(発言する者あり)踏ん張っているつもりであります。

 それから、現地対策本部は現在もつくっております。緊急災害対策本部のもとにありまして、さらに、仙台にあって、あと二つ小さなものも置いてあります。

 それから、三番目の、東北三県だけではなくて、青森、秋田、山形、六県ということであります。いろいろな御意見の中にこの御意見があることを私も、一つの御意見として本当に、ある意味で魅力的だと思っております。

 ただ、この間、例えば復興構想会議などで、現在の特に厳しかった三県の知事の皆さんなどの御意見の中では、人にもよりますけれども、やはり県単位でしっかりとした対応をやりたい、あるいはやってほしいという御意見がかなり強くて、この復旧復興においてそうした大きな枠組みを前提に物事を最初から進めていくということについて、私の中ではまだそこまで確信が持てておりません。基本的には、現在三つの県の知事に参加をいただいた復興構想会議で、テーマとしては東北全体を考えた形での復興構想を、青写真をつくっていただきたい、このように考えております。

園田(博)委員 私が申し上げた道州制というのは、正確に言うと道州制じゃないんですよ。なぜならば、道州制というのは県の存在を無視してしまいますから。私が言いたいのは、県境を越えて取り組める事柄が多分あるでしょうと。広域連合みたいなものですよ。こういうものをちょっと真剣に考えたら、私は知事さんも理解してもらえると思いますよ。それで、東北全体で、今までよりはもっと基盤が強いものができる、そういうものを復興プランで盛り込まれたらどうでしょうか。

 そういう意味では、私は、二次補正を早く出せなんて意見もありますけれども、復興プランを間違えたら二次補正なんか出せませんよ。十分に考えて、いい二次補正案を出してもらいたいというふうに思いますね。

 それから、もう一つは原発のことなんですけれども、一つは、事故の賠償スキームですね。ここで考えなきゃならぬのは、絶対に電気料金を上げちゃならぬということなんですよ。電気料金は今でも世界一ですから、これを上げちゃったら、家庭生活も大変だけれども、今の日本の経済社会というのはもう大変脆弱になっていますから、ここで電気料金を上げちゃったら、日本の経済力というのはさらにだめになるんですね。さらに、もう一つ考えなきゃならぬのは、だれもがおっしゃる、安全な電力供給がどうやってできるかという、この二つなんですね。

 そこで、私が考えなきゃならぬのは、国の賠償スキームによる責任の果たし方ですね。これは非常に難しいんですよ。支援はしますとおっしゃっていますけれども、今までの閣議で話し合われた話を聞いていますと、国が賠償額の一部を負担しますということは決めておられないんですね。もちろんこれは、負担するのはそうであっても国民が負担するわけですから、そう簡単に決められないんですよ。

 ただ、私の意見としては、国民の理解を求めてでも、これは国策で、国の責任があるんですから、賠償の何割かは負担して、その上で、それ以外の賠償額が総額幾らになるかわからぬけれども、電力会社は全力を挙げて絶対に電力を上げずにおさめてしまえ、その際に金融機関の協力を求めなさい、こういう思考法だってあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 その考え方は、可能だとすれば非常にいい考え方だと思います。

 つまり、私が電力会社のかわりに物を言う必要はないんですけれども、例えば、今回、原子力発電所がとまって、そのかわりに、いわゆる化石燃料、石油等を使ったときのコスト増とかいろいろなことがあり、それに加えて、もちろん相当額の補償ということが東電については発生をいたします。そういう中で、徹底的な自己努力をお願いし、そして、みずからの力で、すべてと言えないまでも大部分の補償を自分の責任でやりながら、それで値上げをなくてやれる、そういう絵を東京電力に求めたい、こう思っております。

 そういう中で、国の責任は、直接国が補償するとか応援するというよりも、そういった東電の進め方について、例えば、ある段階で何らかの形で経営に対してサポートするとか、そういうことについてはきちっと補償ができるように国が責任を持つ必要がある、このように考えております。

園田(博)委員 終わります。

黄川田委員長 これにて園田君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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