衆議院

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第4号 平成23年5月25日(水曜日)

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平成二十三年五月二十五日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 後藤 祐一君 理事 橋本 清仁君

   理事 藤村  修君 理事 三日月大造君

   理事 山口  壯君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      打越あかし君    大西 孝典君

      太田 和美君    川口  博君

      菊池長右ェ門君    郡  和子君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    菅川  洋君

      高井 崇志君    高井 美穂君

      高橋 英行君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    三谷 光男君

      村越 祐民君    谷田川 元君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      鷲尾英一郎君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    伊東 良孝君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   参考人

   (福島県商工会議所連合会会長)          瀬谷 俊雄君

   参考人

   (福島県農業協同組合中央会会長)         庄條 徳一君

   参考人

   (福島県漁業協同組合連合会代表理事会長)     野崎  哲君

   参考人

   (茨城県商工会連合会会長)            外山 崇行君

   参考人

   (茨城県農業協同組合中央会常務理事)       成田 治彦君

   参考人

   (茨城沿海地区漁業協同組合連合会専務理事)    今橋 一也君

   参考人

   (青森県商工会議所連合会会長)          林  光男君

   参考人

   (青森県農業協同組合中央会会長)         工藤  信君

   参考人

   (八戸水産加工業協同組合連合会会長)       榊  佳弘君

   参考人

   (全国商工会連合会監事)

   (岩手県商工会連合会会長)            千葉 庄悦君

   参考人

   (岩手県農業協同組合中央会会長)         長澤 壽一君

   参考人

   (岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長)     大井 誠治君

   参考人

   (全国商工会連合会理事)

   (宮城県商工会連合会会長)            天野 忠正君

   参考人

   (宮城県農業協同組合中央会副会長)        菅原 章夫君

   参考人

   (宮城県漁業協同組合経営管理委員会会長)     木村  稔君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  梶原 康弘君     石田 三示君

  郡  和子君     三谷 光男君

  近藤 洋介君     菅川  洋君

  高井 美穂君     高井 崇志君

  若井 康彦君     若泉 征三君

  小里 泰弘君     伊東 良孝君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     梶原 康弘君

  菅川  洋君     大西 孝典君

  高井 崇志君     高井 美穂君

  三谷 光男君     網屋 信介君

  若泉 征三君     若井 康彦君

  伊東 良孝君     小里 泰弘君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     高橋 英行君

  大西 孝典君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     近藤 洋介君

  高橋 英行君     郡  和子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

 内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案並びに石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案の各案件を議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 各案件審査の参考に資するため、来る二十七日金曜日、福島県、宮城県及び岩手県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 本日は、各案件審査のため、午前の参考人として、福島県商工会議所連合会会長瀬谷俊雄君、福島県農業協同組合中央会会長庄條徳一君、福島県漁業協同組合連合会代表理事会長野崎哲君、茨城県商工会連合会会長外山崇行君、茨城県農業協同組合中央会常務理事成田治彦君、茨城沿海地区漁業協同組合連合会専務理事今橋一也君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 なお、野崎参考人は、交通事情により、少々おくれての御到着となります。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず瀬谷参考人にお願いいたします。

瀬谷参考人 福島県商工会議所連合会会長を務めております瀬谷でございます。

 意見陳述の前に、皆様方に御礼を申し上げたい。被災以来、全国から大変心温まる御支援をいただきましたし、お見舞金もちょうだいいたしました。また、先生方にも、それぞれに被災地をごらんいただきまして、いかにこの震災が悲惨であるかというのを実感していただいたということで、本当に私どもは、被災県といたしまして心より感謝を申し上げている次第でございます。

 また、きょうは、こういう公式の席でお話をする機会を与えられましたことも感謝いたしております。

 それでは、私の方から、ざっと今の被害の実情を簡単に申し上げまして、その後、今の福島県の当面している諸問題につきまして、二、三申し上げたいと思っております。

 数字は皆様御承知とは存じますけれども、例えば人的被害からいいますと、全体で二千名を超す方が死者あるいは行方不明を含めてございますし、住宅の損害も、一万六千棟がやはり被害をこうむっている、これは全壊、半壊含めてでございます。それから、公共インフラといいますか土木関連の河川であるとか港湾、沿岸、道路等々を含めました被害額というのは約三千億程度。それから、農林水産の公共施設についても同様、三千億ぐらいの被害をこうむっている。

 最大の問題は、これは計測しがたいのでございますけれども、何といっても原発事故でございます。これに伴う避難民というのは、いろいろなカテゴリーがありますけれども、約十万人が避難している。県内にも県外にも散らばっておりまして、場所によりましては地域の崩壊、つまり、町の役場から何から全部なくなっちゃっていますから。こういうことでもございまして、非常に深刻な問題でございます。

 それから、それと重なりますけれども、今最大の課題というのは、御承知のとおり、原発事故が一向にその収束の兆しを見せていないということでございます。

 大分前に、東京電力より、一から四号機につきましての収束の工程表が発表されました。第一ステップ、第二ステップ。しかし、だんだん調査が進むにつれて、専門家に言わせますと自明の理だそうですけれども、実は炉心溶融というのがとっくに終わってたんだということで、今後の冷却問題をより困難にするのではないかと。となると、果たして今提示されました工程表どおりに収束するかどうかは、だれも県民は信用しておりません。そういう情けない実情でございます。

 それで、この原発によります被害と申しますのは、農産物等の出荷制限、この辺につきましては、後ほど私どもの農協五連の庄條会長さんからもっと詳しいお話があろうかと思いますけれども、あと水産物、こういうものの出荷制限、こういうのは当然といたしましても、商工業の操業停止とか、あるいは、福島でつくったものを受け入れてもらえない、そういうふうないわば風評被害、そういうのがたくさん出ております。

 あとは、精神的にいろいろ、私まだ見ておりませんけれども、さっき十万人が避難されたと。その中で、例えば精神的にうつになった人とか、もうちょっとラジカルに言えば自殺した人とか、あるいは介護老人でたらい回しにされたあげく死んじゃった人とか、こういうことを考えますと、ちょっと計数でははかり知れない、そういう大きな被害が出ておるわけでございます。

 それから、間接被害につきましては、重複いたしますけれども、風評被害の広がりというのはふえる一方でございまして、例えば、私どもの福島は温泉どころでございますけれども、会津の東側にいたしましても土湯、高湯、いろいろなところ、常磐ハワイアンセンター、たくさんありますけれども、全部これが予約の取り消しでございます。幸か不幸か、今は避難民の方と工事関係者が入っておりますので、今のところは埋まっておりますけれども、秋口以降はもう全部キャンセルということで、この辺も、企業としての存続の危機に立っておるわけでございます。

 そういうのが今の福島県の実情でございます。

 ここから先はちょっと私からの意見でありますけれども、先般、五百旗頭さんという方が福島にいらっしゃいました。どういう御紹介か知りませんけれども、私といろいろ話をしたいということで、一対一で三時間ほど、お昼を食べながらお話ししたのでございます。大変御見識の深い方でございまして、私もいろいろ勉強になりました。

 ただ、そのとき、どうしても違和感があるのは、岩手、宮城、福島は被災三県というといって、例えば、復興庁をつくろうとか特区をつくろうとか税制上恩典を与える、それから、都市計画の専門家を呼ばってきて、高台に住宅を、そして海辺に船着き場と。それはそれで結構ですけれども、復興ということに対して私はどうも違和感があるんだ。福島県は復興じゃないんですよ。今起きている事象をどうするかという問題でございます。

 例えば、きのうは、細かい話でございますけれども、福島は夏祭りをどうするかということで、私は会議所の会頭として、それを全部指揮せないかぬということでございますけれども、実際に、八月六日でございますけれども、そのとき福島市内の放射線の濃度が一・四なのか一・五なのか、これによって、開催すべきか否か。同じように、花火もやるのでございますけれども、阿武隈川の堤防のところですから、草がいっぱい茂っている。この辺が非常にたまりやすいと。これが何マイクロシーベルトだったら中止するということで、そういうイベントすらも、放射能の増減で一喜一憂しているところでございます。

 それと、もう一つ申し上げたいのは、今非常に小学生が減ってきました。みんな、親御さんが心配して、東京とか新潟の方に親戚を頼って転校させている。福島市内でも、千五百人ぐらい小学生が姿を消しました。校庭のグラウンドはできないと。仮に土を掘っくり返しても、持っていき場所がない。御承知のような結末でございます。

 それで、私からのお願いといいますのは、法案等につきましてもいろいろ核心的なお話が出るのでございましょうけれども、やはり私は、福島県で一番の問題は原子力事故だと思うんです。原子力事故も、チェルノブイリと並ぶレベル7で来ているわけでございますから、これだけハンディキャップを与えられた土地をどうしたらいいのと。例えば、六町村を全部国で買い上げてもらうとか、よっぽど抜本的な手だてを講じないと、まず再生できない。

 そういう意味で、被災三県を共通するような震災復興法案も大事だろうけれども、それとは別に、福島県としての特別立法案をぜひ御審議願いたい。骨格は我々がつくりますので、どういうことをしてほしいと。その辺を皆様方が国政全般の問題から見て、そんなに予算は割けないとかなんとかと言っておりますけれども、これはひとつお願いいたします。

 それから、東電に対する賠償問題です。これが問題になるのは福島県だけでございますけれども、私に言わせれば、東電、何だ、原賠法で千二百億なんてふざけている、そんな話じゃないだろう、けたが一つ二つ違うんじゃないかと。菅総理も、今回のやつは国策としてのエネルギー政策を民間事業者東電にやらせたんだ、だから、結局、東電にも瑕疵がないとは言えぬけれども、国が全体としてその責任を負うということを再三おっしゃっておられますので、ぜひ、そこの原発補償については、これはまた別個の、原賠法によらない一つの法律的な枠組みをお願いしたいということでございます。

 最後に、先ほどの繰り返しになりますけれども、土壌汚染の問題はいかんともしがたい。だから、これをなるべくパブリックなスペースから優先度を与えて、ぜひお願いしたい。

 この三点でございます。

 ちょっと時間がオーバーいたしました。ひとつ、先生方の御尽力をよろしくお願いいたします。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、庄條参考人にお願いいたします。

庄條参考人 ただいま御紹介をいただきました、JA福島中央会の庄條でございます。

 瀬谷会長からもあいさつがありましたように、冒頭、このたびの東日本大震災につきまして、全国の皆様方から物心両面の御支援、また励ましのお言葉をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 また、本日、このような現状を話す機会をいただきましたこと、御礼を申し上げたいというふうに思うところであります。

 御承知のように、三月十一日の大震災からもう二カ月半、七十五日が過ぎようとしておりますが、我が福島県におきましては、復興のつち音さえ聞こえないという状況であります。宮城あるいは岩手等々につきましては、復興のつち音が、あるいは重機の音が我が県にも聞こえるようでございますけれども、我が県にとりましては、地震、津波、加えまして原発事故という、放射能に汚染されまして、二十キロ、三十キロ圏内につきましては、その地域にも入ることができない、あるいは、そこから避難した方々が今後の生活に路頭に迷っているというような状況でございまして、何といいましても、原子力事故の一日も早い、いっときも早い収束がなければ我が県の復興はあり得ないということを御認識いただきたいというふうに思うところでございます。

 この原子力事故、安全、安心だという神話のもとに、政府、そして東電、いわゆる電力会社が推し進めてまいりました。確かに、日本の経済復興のためには大きな貢献をしたということも、私ども理解をしております。しかしながら、その事故がこれほど大きな被害を、あるいは将来の我々農業という産業のなりわいまで失うというふうには認識しておりませんでした。何とか一日も早い収束をお願いするとともに、皆様方、政府としても、特別立法も必要でしょうけれども、全力を挙げて、超党派の中で、これらの件についての収束をまずお願いしておきたいというふうに思うところでございます。

 以上のような現状を踏まえまして、何点か皆様方にお願いを申し上げたいというふうに思うところであります。

 一点目は、先ほど申しましたように、原発事故のいっときも早い収束をお願いしなければ、福島県の農業の再生、復興はあり得ないという御認識をまずお持ちいただきたい。以後、これらの事故を二度と繰り返さないためにも、クリーンエネルギー、自然エネルギー、そういう分野についての調査研究、チャレンジをぜひともお願い申し上げたいと思うところであります。

 農産物のみならず、福島あるいは日本の工業製品が全世界からボイコットを食っているこの現状を見るときに、一日も早い収束こそが、世界から、あるいは全国の消費者の皆様方から信用、信頼を回復することではないか、そんな思いを持っているところでございますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 二つ目は、東日本大震災からの農業の復興対策でございます。

 これらにつきまして、国が農業復興のためのビジョンを早急にお示しいただきながら、被災者の農業に対する意欲の喚起をぜひとも図っていただきたい。我々が今一番心配しているのは、やはり、この逆境からいかに精神的に農業というものを再生するマインドの部分、心の部分での再生がどうしてできるのかということが一番心配しているところであります。それでなくても後継者不足に慢性的な悩みを抱えていた我が産業が、これを契機に福島県の農業の再生が危ぶまれているというようなことを考えれば、一刻も早くそれらのビジョンをお示しいただきながら、県、市町村ともども政策の実現に向けてお願いを申し上げたいというふうに思うところであります。

 もう一つは、風評被害でございます。

 何といいましても、この風評被害、起因するところは原子力の放射能汚染でありまして、これらは、私が考えるには、原子力政策を進めてきた政府あるいは電力会社、その結末でありますから、人災だという認識を持っております。よって、いかなる被害、風評被害に至りましても、因果関係の部分につきましても、何とか補償を実現すべきだというふうに思っております。

 現状は、原賠法の紛争審査会で一次的な指針は出していただきましたけれども、今後、風評被害について、二次指針で、それらが議論され、答申があるというふうに思っております。その辺につきましては期待をしているところでございますので、どうか、この農業という産業が福島県で再生できるような法案あるいは方針、基準をお示しいただきたい。お願いを申し上げたいと思います。

 また、畜産につきましてでございますが、今、避難をするに当たりまして、乳牛あるいは肥育牛、豚、鶏等々が野放しにされている、あるいは衰弱して、死骸となって野畑に横たわっている、あるいは殺処分をするということでありますが、その最終処分についてまだ法的にきちっと整理されていないということであります。

 今の指導は、死んだ牛に石灰をかけて青いシートをかけておけというような指示でございますので、異臭、あるいはそれによる伝染病等々が予測されます。口蹄疫のような一日も早い埋設をして何とかそれらの障害を除去できないのかなというふうに考えておりますので、ぜひ、その辺についてもお願いを申し上げたいというふうに思うところであります。

 もう一つは、この原発によりまして土壌汚染というのが非常に今クローズアップされてきました。

 沃素、セシウム。沃素は、時間的には短時間の中で半減すると言われますが、セシウムにつきましては、御承知のように、二十五年、三十年、チェルノブイリにつきましてもまだそれらが清浄化されていないという現状を踏まえまして、福島県の農業は、この土壌汚染をいかに克服するか、大きな課題でございます。

 きょうの新聞等では、農林省が、いわゆる表土をはぐ、あるいは水をかけて除去する、ゼオライトでそれらを吸収する、もう一つは、ヒマワリや菜種でそれらの土壌から吸収をさせるんだと。いずれにしましても、その中間的なヒマワリや菜種についても、実は大丈夫ですが、体、いわゆる葉や茎を最終的に処分するような方向づけ、法案がきちっと整理されていないということでありますから、それらについても、先生方には早急に改善をお願いしたいというふうに思うところでございます。

 我々の先祖から受け継いできました農地、これらが汚染されることによって農業としてのなりわいが成り立たないというこの土壌汚染につきまして、何とか除去する方法、そして、原発立地県としてのこの事故に際した福島県に福島大学あるいは福島医大等々がございます、ここで、これを契機に、土壌に対する放射能との因果関係、あるいはこれからの除去、あるいは人間に対する放射能の汚染の度合い等々、数年にわたって追跡調査をしながら、福島県が安心して安全宣言ができるように措置をお願いできればというふうに思っております。

 最後に、損害賠償でございます。

 先ほどのような状況を踏まえますと、今、被災された農家、あるいは強制的に避難をさせられた農家の皆様方、生活に窮しているという現状であります。何度か申しました。原乳を廃棄した、あるいは出荷停止の野菜を廃棄してきたわけでありますが、それらの収入があすの生活の糧になっているというのが農家の現状でございます。

 それが、七十五日過ぎてもまだ補償が見えない、ようやく申請の段階になったということでございますから、手続等々も確かに複雑な面はございますけれども、我々、順次、これから被害状況についての損害賠償請求を東電の窓口を通して行っていくつもりでございます。

 先ほどの瀬谷会長の一千二百億等々ではとうに間に合わないような状況でありまして、福島県の農林水産部公共施設の被害等でございますが、現在のところで二千七百五十三億円という、いわゆる施設的な部分の被害が集計されております。プラス、今後、農産物の被害が追加されながら請求をされていくという状況でございます。

 あすの農業が安心して青空のもとで営めるような、もとの大地に戻していただくために、先生方には特段の御支援、御努力をお願い申し上げながら、私からの意見陳述を終了させていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、到着後すぐでありますけれども、野崎参考人にお願いいたします。

野崎参考人 私、本日、一番の汽車でこちらに向かいましたが、五時三十分ほど、久しぶりに震度五弱の余震に見舞われまして、おくれましたこと、まことに申しわけございません。

 福島の漁業についてでございますが、福島の漁業は、まず、三月十一日のこの震災により、地震の揺れよりも津波の被害を大きく受け、物理的な被害は、各市場とも機能停止、それから、小型漁船も含めまして千隻ほど所属している組合員の漁船のうち、当初生き残ったのは三百七十五隻という状況にあります。

 十一日から、機能を回復すべく必死で十四日まで復旧の努力をしてまいりましたが、三月十四日の第一原発第三号機の水素爆発を受けて、福島県漁連の復興対策本部としては、一時、福島県の漁業を全面的に停止するという措置をとって、本日を迎えております。その間、四月末で四百五十六隻ほどに復旧船等は回復してまいりましたが、市場の機能等は、なかなか物資の補給等が進まず、まだ、魚市場として再開している市場は一件もございません。

 福島県漁連の漁業自粛についてでございますが、五月六日に水産庁が放射性物質検査に係る基本方針、それから五月七日に原発周辺海域における漁業関係就労についての放射能防護の観点からの安全評価等、我々、各種モニタリング等の強化を要望してまいりまして、それらの指針等を五月七日に出していただけた結果、私ども、県の方もサンプリング調査を再開し、漁業者によるサンプリング調査も再開し、何とか今月末から来月初旬に漁業再開の方向を見出せないかという希望を持って、今臨んでいるところでございます。

 国の一次補正等がありまして、何とかこの休漁期間、漁場回復活動の支援等を受け、漁業者の仕事を見出して、実質的な生活を保護していただけるように動いておりますし、今度、共同利用復旧等の支援事業での被災船舶の回復等、模索をしておりますが、何としても、私どもにとって、津波の被害からどう立ち戻るかということの判断をするのに、原発事故の収束が第一前提になっております。

 福島の漁業に関しましては、まず原発の事故を第一義的に収束させる、それがすべての重要なキーになっておるのが現状でございます。船を直すにも、今後の漁業はどうなるのか、市場を直すにも、今後の福島の漁業はどうなるのか、それが一番、今漁業者の中で重要な問題になってきていると思います。

 それで、先ほど、五月下旬に漁業の再開等を県と我々漁連とで模索していると言いましたが、現在、国の方にお願いしているのは、福島の場合は本当に特殊で、我々、通常、知見のない放射能というものを扱っている段階。

 我々、通常、漁業を再開するのに、食の安全確認というサンプリングを行ってやるので、食品衛生法を基準にして動いております。暫定基準等も食品衛生法等で始まっている措置かと思いますけれども、この判断は常に県の判断でございます。これを何とか、福島の場合、放射能に関する漁業の再開というところは国が関与してその判断をしていただかないと、我々の知見を超える問題かと思いますので、この漁業の再開の判断等に、はっきり言えば、国が、今後も魚をとってきても安全だよ、福島の魚はとって食べても安全だよと言っていただかないと、はっきり言って、風評被害、風評被害と言われますが、私ども、放射能に関しては、実害と風評被害があると思います。

 風評被害は、まさに我々、仕事をして、仕事をした結果が通常評価されるものにならないというのがあれなんで、ただ、我々、仕事をした結果をみずから大丈夫ですよと評価するのと、放射能に関しては、はっきり言って、国が、大丈夫ですよと保証していただく必要がある。我々が、本当に、とってきたものがどれだけ安全ですよ、私は犯人じゃありませんよと言うよりは、いかに国が、あなたは正しいですよ、あなたのとっている魚は安全ですよと言われることが必要な事案、事例かということを強調して、何とかこの安全基準について、国が大いに関与して宣言していただきたいと思っております。

 なお、私ども、このように落ちついて行動しようと思う原点には、原発事故の被災地であるというのと、特に私ども、私はいわきにおりますけれども、南相馬市それから請戸地区の、あの第一原発の現場で、地元の、私どものよく知っている協力企業の皆さんや私どもの友人のお子さんや何かが働いている、あそこの現場で本当に収束しようと思って働いている人たちと我々漁業者は共感を持とうという意味で、本当にこの漁業者側のいろいろなことについて、秩序を持って誠実にいろいろな要求をしていきたいと思っております。声高な要求や何かではなく、こういった機会をいただきながら要求していきたいと思っています。

 本当に、海をなりわいとする者としては、今後、さまざまな復興の中でさまざまな安全確認や何かの手法をいろいろ国にお願いしなくちゃいけないとは思いますが、福島の漁業に関してはまだ実際の災害の最中で、私ども漁業者としても、まず第一義に、原発の事故の収束に日本の国も地方公共団体も傾注するべきかなと思っています。それには、我々、少し我慢しろと言われれば、この事故を収束するためならば我慢します。それで、収束した後、いろいろな落ちついた話をしてもいいのかなと思っています。

 そういうふうに地元では思っておりますので、何とか国の方もこの第一原発の事故の収束にありとあらゆるものを傾注していただきたい、それが、今後あそこの海をなりわいの拠点とする漁業者としてのうそ偽らざるお願いでございます。

 そういった中で、一次補正のいろいろなメニューがございますが、やはりこの一次補正、実動していく間、県の予算化措置が必要になりますので、県議会等がかかわります。そうすると、先行してやる部分があったとしても、実際に正常に動くのは七月からでございます。こういう行政の仕組み等を考えますと、二次補正等はやはり早急にまとめていただきたいとは思っております。

 といいながら、我々非常に心配しておるのは、復旧のところは何とかやっておりますが、復興については、先ほど申しましたように、原発の終えんを待たないと、さまざまな判断ができません。これについては、はっきり言って、我々よりも被災の度合いの大きい宮城や岩手の方もこの予算等を御使用になることがあって、もちろんこれで復興なさっていくべきかとは思いますけれども、福島はその判断が非常に遅くなる可能性がございますので、そういった措置、要するに、福島の原子力災害に係る漁業なりさまざまなものの判断のおくれでその予算等を利用できないということを十分かんがみて、執行予算がすべてなくなったらというのに対しての支え措置等を先生方にはよろしくお願いしたいと思います。

 以上、非常に散逸的にはなりましたが、福島の現状の御報告でございます。

 ただ、今回、農林水産省の水産庁の方では各県別の固定したチームをつくっていただきまして、県と地方行政それから漁連と県別の水産庁の復興チームと一つのパイプでつながって、我々、行政のさまざまな用語すらわからなかった部分を共通言語にしていただいてがっちり結びついたことは、本当に感謝しております。

 本日は、発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。本当に、福島県の漁業者は、原発で働いている現場の人たちと認識を共通しております。先生方もその点、よく共感していただきまして、まず第一に原発の収束に対してのすべての先生方の御尽力をお願いしたいということで、本日の御報告にかえたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、外山参考人にお願いいたします。

外山参考人 ただいま御紹介いただきました茨城県商工会連合会の会長の外山崇行でございます。

 まず最初に、被災県茨城県民に対しまして、全国各地の皆々様から心温まる御支援、お見舞いをちょうだいしましたことを、この場をかりまして厚く御礼申し上げます。

 さて、本日はこのような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。

 現在、茨城県県内商工会の会員は、全国第二位、四万五千人を擁してございます。この被災状況につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、御高覧いただきたいと存じます。

 さて、平成二十三年三月十一日に発生した未曾有の東日本大震災は、広い範囲で甚大な被害をもたらすこととなりました。

 本県におきましても、各地で道路、鉄道、電気、水道等のライフラインの被害や建物の倒壊、津波による浸水の被害等、そして商工業者においては商品等の破損、廃棄、機械設備への損害等大きなものがあり、また、中小・小規模企業への発注減や資材不足からの仕事減などが続々と続いております。

 追い打ちをかけますように、ただいま福島の方が申されたように、福島第一原発の事故は、懸命な復旧作業が続けられておりますが、いまだ復旧のめどが立っていない状況に、我々としては非常に大きな不安を感じているところでございます。

 本県は、福島県の南に位置し、北風や海流によって運ばれてくる放射性物質による土壌や海洋汚染がなされ、放射能レベルは国の基準を下回ってはいるものの、茨城県産の野菜や魚介類の消費に不安が残るといった状況は今なお続いております。

 新聞の報道を見てもおわかりかと思いますが、茨城県の海岸部は、他県に比して、福島よりは低うございますが、北茨城の〇・二幾つから〇・一五ぐらいまでで、これを栃木県と比べますと、栃木県では〇・〇四か五でございますので、十ポイント高いという、非常に深刻な場面を迎えておるわけでございます。

 また、原発事故発生直後から起きている風評被害が拡大し、全国有数の産出県である茨城県の農水産物が売れなくなると、農水産業はもちろんのこと、それを加工する食品製造業、小売業などありとあらゆる業種に影響が及んでいるのが現状でございます。

 消費者の買い控えや一部商品の納入削減等による売り上げ減少が続いており、現に、売り上げ減少に伴う緊急融資を希望する会員がここへ来て急増していることからも裏づけられます。ここ一カ月で、先月の千二百件から件数で二千二百件、金額にいたしまして百二十億から現在二百六十四億円、これは県の保証協会に現在申し込まれておる数字でございます。

 また、年間五百六十万人の観光客が訪れる県内有数の観光地であります茨城県大洗町は、これから夏の観光シーズンを迎えるわけでございますが、原発の風評被害により、休日は家族連れでにぎわいを見せるはずの海水浴客や、一年を通じて訪れるサーファーなどの激減により、地元商店街の売り上げ減少に拍車をかけておるのが現状でございます。

 また、水産加工業では、商品化しても全く売り上げが見込めません。土産品売り場においても、地元産の魚介類は売れず、商品として店に置くことができないなど、農水産業者と何ら変わらないのが我々業界の会員でございます。

 これらの状況は、北茨城から鉾田、鹿嶋まで総延長百八十キロに及ぶ茨城県の海岸沿いの七市一町一村においても同様のことが言えるわけでございます。さらに、これは海岸線地域のみにとどまらず、県内各地のホテル、民宿等の宿泊施設においては、軒並みキャンセル、新規予約がなく、閑古鳥が鳴いておるのが現状でございます。

 我々茨城県は、つくばエクスプレスの開業によりまして、東京都内から名峰筑波山にたくさんの観光客の方が訪れてにぎわいを見せておったわけでございますが、現在は一人もお客さんが来ない。筑波山の旅館組合の方々がチラシを持って、一泊二食つき五千円ということで各地を歩いているのが現状でございます。

 また、先日のお茶に対する放射能汚染問題は、静岡、神奈川県だけではなく、本県においても多大な被害をこうむっております。たとえ産地は小さくても、茨城県北部の奥久慈茶、大子の滝で有名なところでございますが、ここの奥久慈茶、それから東京の方に近い西部の猿島茶としてブランド化しており、お茶の栽培から加工、販売が盛んに行われておるわけですが、ことしは茶摘みを見送っているというのが現況でございます。

 また、全国的に有名な鹿島アントラーズが本拠地とする鹿嶋市に隣接する神栖市においては、年間三十万人もの少年サッカー合宿者が訪れておりますが、余震や津波による放射能汚染を警戒いたしまして、キャンセルが続々と、新規申し込みなどはないほど大きなダメージを受けております。

 その他、県内各地に点在する縫製業者や水産加工業者においては、外国人研修生が原発事故を機に一斉に逃げ出しまして、業務が成り立たないというのが現状でございます。

 本県においても、地震、津波による直接的な被害にとどまらず、原発事故による風評被害、そして自粛ムード等は、小売、製造、サービス、観光業など県内あらゆる業種におきまして、ボディーブローのように深く影響を与えております。既に水産加工業者や観光業者の中には廃業に追い込まれる業者も出ております。

 昨今、農水産業者に対してのみ、地震、風評被害等による売り上げ減少、廃業などの補償が取りざたされておりますが、これは決して農水産業だけの問題ではないと私は考えております。我々中小零細商工業者に対しても、同様の補償を早急に打ち出していただくことを切にお願い申し上げる次第でございます。

 地域コミュニティーと雇用を支える中小商工業者の早急な経営再建と地域の復興再生を目指すため、次の事項について特段の御配慮をお願いします。

 以下、要点を申し上げます。

 一つ、福島第一原子力発電所事故の早急な収束及び的確な情報の提供。二つ、原子力発電所事故に伴う風評被害が地震被害に輪をかけて事業を圧迫しているため、風評被害の解消に向けて安全をアピールするための適切な広報等と売り上げ減少等に対する商工業者への利益補償等を切にお願い申し上げます。三つ目、中小・小規模事業者に対する金融、税制支援等の措置の確立を切にお願い申し上げます。四つ、東海第二原子力発電など、原子力関連施設及び災害対策、危機管理体制の総点検をお願い申し上げます。最後に、道路、港湾等公共インフラの本格的な早期復旧をお願いする次第でございます。

 特に、国会におかれましては、全先生方が一丸となられましてこの難局に対処していただきたいと思います。不言実行という言葉がありますが、実行を一刻も早くお願い申し上げまして、ここに私のお願いを終わりといたします。

 ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、成田参考人にお願いいたします。

成田参考人 ただいま御紹介をいただきました茨城県農協中央会の成田でございます。よろしくお願いします。

 全国民の皆様、また先生方には、茨城の農業復興に何かと御支援、御尽力を賜り、この場をかりまして厚く御礼を申し上げるところでございます。

 また、本日は意見陳述の機会をお与えいただきまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。

 初めに、各参考人より先ほど来お話がありますけれども、私どもとしても、何よりも原発事故の速やかな収束についての御尽力をお願いするところでございます。

 全般的な内容についてはただいまも会長さんからいろいろお話がありましたので、私は、農業関係あるいは農協関係についてお話を申し上げたいと思います。お手元に資料を配付させていただきましたので、ひとつよろしくお目通しをお願いしたいと思います。

 初めに、農業関係の被災の関係であります。

 本県の場合、特に(1)1にありますように、農地や農業用の用排水施設がかなりダメージを受けております。その関係で、田んぼに作付ができなくなったというようなこともございます。それから、農協関係におきましても、組合員が共同で作業するための農業の共同利用施設等がダメージを受け、さらに組合員のよりどころである、農家の人たちのよりどころである私たちの本支店についてもダメージを受け、全体では、農協関連でも約三十億円ぐらいの被災状況になるのではないかと思っておるところであります。

 次のページあるいは三ページ目には、それぞれ被災した状況を写真に掲載させていただきましたので、お目通しをいただきたいと思います。

 それから、四ページ目に移らせていただきますけれども、原発事故に伴う損失でございます。

 まず、出荷停止に伴う損失でございますが、これはホウレンソウ等々、さまざまなものがあるわけでございます。これは御案内のとおりであります。さらに、原発事故による損害が現実に発生しているということで、単なる風評被害ではない、原発の事故があって、その放射能を回避するための人間の自然な行動として、私たちの野菜等の需要が減ってしまった、そういうことからくる現実の損害が既に発生をいたし、当初は返品、残荷、あるいは現在でも販売価格の下落による販売額が相当落ち込んでいるという状態になっているわけであります。

 四ページの表をごらんになっていただくとおわかりのとおり、既に、JAグループのJA全農を通じた販売額においても、昨年対比で、三月中旬から四月下旬までで約五十億円の販売が減っておる、昨年対比で五八%になっておる、こういう状況になるわけでございまして、本県のJA系統を通じた販売は約半分でございますので、全体では恐らく百億円を超えるような損害が出ているのではないかというふうに推察をするところであります。

 さらに、五ページ目には、ホウレンソウが返品になった状況、あるいは六ページには、丹精込めて育てたホウレンソウを圃場で廃棄せざるを得なくなった、そういう写真がありますので、ごらんをいただきたいと思います。

 また、七ページ以降には、個別の品目の価格あるいは販売の数量等についてのデータを載せさせていただきました。キュウリやピーマン、何ら出荷制限等がないにもかかわらず、このように、キュウリについてもいきなり価格がダウンした。ピーマンについても同じようなものであります。これらについて、出荷数量はだんだん昨年のようになってきたんですけれども、価格についてはいまだ低迷をいたしておるというのが実態であります。八ページをごらんになっていただいても、ネギやサニーレタスについてもやはり同じような状況になっておるということでございます。

 九ページには、復興に向けた課題として思うところを述べさせていただきます。

 まずは、各参考人から出ておりますように、損失額についての仮払いを、損失額全体とはまだ言いません、少なくとも仮払いを速やかにやっていただきたい、これが何よりも我々の願いでございます。

 既に、我々は対策協議会を設置し、四月二十八日には、東電へ第一回の損害賠償請求、十八億円をやったところでございます。さらに、本日といいますか昨夜までに作業あるいは農家からの積み上げを行いまして、第二回の請求分として六十五億円余りの請求額を積み上げ、五月二十七日には、東電に対して第二回の請求を予定いたしておるところでございます。しかしながら、まだ何ら音さたがないというような実態でございますので、これについては、先生方、ぜひ政治の判断で何とかお願いをしたいというふうに考えておるところであります。

 さらに、十ページを見ていただきますと、我々も苦しい農家のために何とか資金の対策をしようということをしてきましたけれども、これは通常の資金でありまして、農家はなかなか苦しい、震災がなくても苦しかった、そういうところに震災が来たものですから、さらに苦しくなっているという農家に対する貸し付けには、我々としてはちょっと手が出せない。それらについては、政府等でひとつよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っておるところであります。

 さらに、先ほどのJAの施設についても、政府からいろいろと助成等がありますけれども、減価償却等の経過年数等を勘案しますと十分な措置にはならない。この辺についても、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

 さらに、我々のところでは、外国人の実習生に農業の作業を頼っている部分もございますけれども、御案内のとおり、この人たちも帰国されてしまった、そういう痛手もあるわけであります。

 そこで、十一ページにありますように、我々としても、県産の農畜産物のブランド回復のための課題を掲げ、消費者あるいは流通業者の不安解消と産地のブランド回復に努めているところでございます。また、何よりも、生産する側が、これからどうなるんだろうというような不安があれば、これから先の農業の浮沈にかかわる問題でありますので、我々としては、ぜひとも安心して営めるような、そういう基盤を先生方にひとつつくっていただきたいということで、簡単ではありますけれども、私からの要望等にかえさせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、今橋参考人にお願いいたします。

今橋参考人 御紹介をいただきました茨城沿海地区漁連の今橋でございます。

 先生方におかれましては、日ごろより農林水産行政についての御理解、御支援をいただいておりますことに対しまして、この場をおかりして御礼を申し上げます。

 私は、茨城県の方の漁業関係ということで少し意見を述べさせていただきますが、残念ながら、東北三県に比べますと、茨城県というのは被害が少ないせいか、マスコミ等、報道等にも載らないということで、被害等の状況がなかなか伝わっていないというところで現場の漁業者たちは非常に危惧をしておりますが、このたびの震災並びに津波で、漁業を行う上での漁船や漁具それから漁網などの個人資産並びに漁港などの公共施設、また漁協や漁連が所有する製氷やそれから組合の事務所等の共同利用施設などが甚大な被害をこうむりました。

 県による速報値でありますけれども、茨城県としては六百五十億円という数値が出ております。ただ、これには、被災した漁船並びにトラック、それから沖出し時に流されてしまった漁業者の自家用車等の数は入っていないということであります。漁業を再開するに当たっては、これらのものがそろって初めて漁業生産活動が行えるということが実態でございます。

 現状ではどういう状況になっているかということをちょっと説明しますと、漁港などの公共事業、特に岸壁や港湾それから護岸といったところでは、震災からもう二カ月以上たつわけですが、実は非常に動きが遅いということで、工事等は必要最低限の工事しかやらせていただけません。

 これは、早急な復旧工事の本格着工ということをぜひお願いしたいということをいろいろ言っているんですけれども、現状のスケジュール、茨城県ですと、五月の三十日から国土交通省が査定に入る、それから六月の六日から水産庁の方で査定に入る。どのぐらいかかるかわかりませんけれども、その査定を行った後に、予算、設計、それから工事着工ということになりますと、私ども現場の漁業者は非常にたまらないというところではございます。

 今言いましたように、国の中でも、国土交通省それから農林水産省管轄、県では、土木部門それから農林水産部門というところで、扱う部門が分かれておりますことから、それぞれに動きが違っております。それでは、港湾が先、漁港は後なのかとかということで現場は混乱しますので、その部分についても一括した取り組みをお願いしたいと思います。

 そんな状況ですので、我々漁連で持っています油槽施設等についても補修がかけられません。岸壁を直さないと、その上に建っている施設、タンクですとかポンプとかそういう配管類が直せませんので。現状はどうなっているかというと、二十センチだった亀裂が、二カ月後には、現在四十センチに広がっています。潮の干満は常にあります。海が悪くなれば波がかぶります。そうすれば、補修をしていない部分についてはどんどん傾いていきます。そうすると、どういうことが起きるかというと、油施設ですから、配管が破断して油漏れを起こす、ということになると、その責任はどこが持つんだということになれば本会ということになるので、そういう二次災害を非常に心配しておりますので、ぜひ早急な着工をお願いしたい。

 それから、現行法の激甚法での取り扱いになりますけれども、帳簿価格、しかも残存価格に対する一定の補助率ということになってございます。減価償却を行っていった結果、帳簿価格に対する一定の補助では自己負担が非常に重くのしかかるということで、到底再建は不可能でございます。施設の中には取得時に圧縮記帳しているというものもございますので、帳簿価格というものに対しては実態を反映させていないということになりますので、その件についてもぜひ御検討をお願いしたいということです。

 それから、共同利用施設の中にフォークリフトそれからタンクローリーとかという附帯するもの等も含まれてございませんので、これについても、漁協さんに全額自己負担ということで求めると、今の漁協、漁連にそれを負担する、残っている力というのはございませんので、ぜひその部分については全額の負担ということでお考えをいただきたい。特別立法等、現行法の激甚法ではちょっと対応は無理だと私どもは思っておりますので、その部分についてはぜひ強く要請をいたしたいと思います。

 それから、今まで各皆さんから出ていますとおり、漁業の再開に当たりましては、福島原発事故というものの早急な収束というものは大前提でありまして、この放射能の問題については、もう県内の漁業者が相当悩ましく、我々も相当苦慮しております。

 水産物の安全性についてはどこが責任を持つんだということで、サンプリングをやるという話になった場合に、そのほかの漁業にも影響が及ぶ、またその関連産業にも影響が及ぶということで、やるやらない、するしないというところで、その判断を我々漁業者に求めているところがあるんです。それを我々に求めろといっても、それは無理です。これは、食の安全性ということであれば、国が責任を持って検査体制を構築していただいて、我々が安心して漁業に従事できる環境をぜひ整えていただきたいということと、そのことについての強い指示なり指導をいただきたいと思っております。

 最後になります。

 比較的早期に復興といいますか再開をしている茨城県の漁業者でありますが、それでもやはり悩みを抱えている漁業者がたくさんおりまして、比較的年齢の若い漁業者は、制度資金、近代化資金等を活用しておりまして、船、漁網それから漁具等のかなりの借金をしております。今回の震災なりこの事故によりまして、生活資金等が一切、二カ月以上入ってきておりませんでしたので、当然、系統からの生活資金の融資を受けております。これについては、一応、返済についての猶予といいますか、そういうものが決められてはおりますので大丈夫ですけれども、実は、これから漁業をするにもまた再度借金をしなくてはいけないということで、二重ローン的なものですか、そういうことも起きるんじゃないかということで、物すごく不安を持っております。

 ぜひお願いしたいのは、国でもって決めている制度資金、これの償還期間の延長ということをせめてお願いしたい。本来、私の立場でいえば、何とか借金の棒引きということを言いたいんですが、それは漁業者の方からも、我々もそこまでは言わない、だが、延ばしてくれということだけについては強く言ってきていただきたいということでしたので、お願いしたいと思います。

 それから最後に、水産加工業者の方からも一言承っておりまして、漁業者に対してはそういう融資制度等があるんだが、加工業者等については、共同利用施設等の組合との共同の施設にはあるけれども、我々個人に対する有利な融資制度というのはないんだ、それをやらないと、我々も六月ぐらいにもう資金繰りがショートしてしまうよということで、何とか加工業者に対する有利な融資制度ということもお願いをされてきましたので、我々漁業者と加工業者もこれは一体となって仕事をしておりますので、何とかお願いします。

 いろいろ勝手を申しましたけれども、先生方のこの委員会での活動が実を結んでいただいて、ぜひ国の方に上げていただいて、我々被災県が復興した際には、必ず国民に対する義務等について果たしていく所存でございますので、何とか御理解、御支援をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石津政雄君。

石津委員 民主党の石津政雄でございます。

 きょうは、福島そして茨城県で、それぞれの分野で、特に地場における産業の分野でリーダーシップをとられ、かつまた、この災害をまともに受けまして、生産者の皆様方の先頭に立って復旧復興に御尽力いただいておりますすべての皆様方に、心から敬意を表する次第でございます。

 それぞれ六名の方々からお話をちょうだいいたしました。福島、茨城県、共通している問題、一番大きなかさは、やはり原発の事故による被害。福島県においては、その地域において人々がなりわいを継続できるかどうかという以前に、その地域でこれから人々が生活を営むことができるか、こういうような基本的な、まさに憲法で保障されている国民の生存権にまで及ぶような大きな問題を抱えているということを私は実感として感じたところでございますし、私も被災地に参りまして、その悲惨さについては目の当たりにしたところでございます。

 そこで、まず共通して皆様方にお伺いしたいことがございますが、原発に伴ういわゆる賠償法、これについての一次審査の結果が出ました。しかしながら、この結果に基づいて皆様方がもう既に第一回目の補償の要求をされた、この間に至るまで、申請そして今日までに、私の実感としては、ちょっと時間がかかり過ぎるな、こういうような考えを持っておるところでございますが、この辺についてどのような所感をお持ちか、お聞かせいただければありがたいと思います。

 どなたからでも結構でございます。

黄川田委員長 六人全員からお聞きしますか。

石津委員 はい、お願いいたします。

黄川田委員長 それでは、順次。

瀬谷参考人 お答えいたします。

 これは大変難しい問題でございます。私どもは福島県でございますから、直接被災した避難区域とか屋内退避とかいろいろございますけれども、これについては、因果関係がはっきりしている、つまり、東京電力の放射能汚染によってこうだ、あるいは飯舘のように全部疎開せざるを得ない、こういう因果関係がはっきりしているものにつきましては、それぞれに基準を定めまして、一番早く動かれたのはうちの方の庄條会長さん、五連会長さんの方が東電さんと折衝なさいまして、まとめて、それはとった。

 この次問題になるのは、商工業の場合でございますけれども、商工業の場合にも問題になった汚染エリアにあるものについてはある程度因果関係をとれますけれども、例えばそこの網にかかっていない福島市とか郡山市、こういうところでも風評被害は受けております。それでは、今度、風評被害をどういうふうなぐあいに算定して、例えば一時金にしろ見舞金にしろ、どのように請求するようにしたらいいのか、非常に難しい問題が横たわっております。

 きのうも、この問題で半日かけましたけれども、容易に結論は出せないと。ただ、私が言っているのは、別個の仕掛けを持たないと、原賠法という昔のその延長線の上でいろいろ一次だ二次だと審査しているのではとても間に合わない、あしたのことの問題でございますから。

 だから、先ほども申し上げたとおり、損害賠償に関する特別立法というのを別途、非常にこの辺が難しいところですけれども、その範囲とエリアとどの程度まで、それから何年間と決めて、早急に立ち上げないと、これは救われないのではないか、こう思います。

 以上でございます。

黄川田委員長 六人からの答弁でありますので、心苦しいのでありますが、簡潔にお願いいたしたいと思います。

庄條参考人 石津委員にお答えを申し上げます。

 補償の申請に時間がかかっているのではないかということでございますけれども、私が感じるには、津波、地震等々であれば調査に入って被害の状況を掌握できるわけでございますが、いわゆる放射能という部分につきまして、その現地には入れないということでございますので、航空写真等でそれら共済金の方は査定をしているという状況であります。一つはそういう理由でございます。

 もう一つは、今になってまだ政府の指示が、避難とか避難計画区域とか、そういうふうにどんどん被害の域が進行しているという状況でありまして、申請者も、いつの時点で申請していいのかというふうな部分で若干時間がかかっているのではないか。あとは、事務の煩雑さでございます。

 以上でございます。

野崎参考人 県漁連は、今月末をめどに請求を出す予定ではございますが、まず、津波被害で特に相馬原釜地区はすべてのデータをなくしておりますので、個人情報保護法等の問題をクリアしながら、今、共済等のデータを収集しているところでございます。

 なお、現在やっているのは、営業損害の部分でございますのは自主休漁による部分でございますので、今後、損益計算表の部分で、バランスシートの部分での資産についての問題がいかようになるかは本当に私どもも苦慮している部分でございます。

 以上です。

外山参考人 商工業者の被災というのは、農産物や漁業の産物とは違いまして、非常にとらえにくいわけですが、例えば、店を休んで、お客さんが来なくて今月売り上げゼロというのも一つの被害でございます。補償が云々というのでなければ、ひとつ税の減免であるとか、例えば社会保険が三月だけ一カ月延ばされましたが、すぐ四月末には二月分払うというふうな状況になっております。これをもう少し見ていただきたいような気がいたします、地域に関して。

 それから、現在の被災地域だけに限らず、それ以外の周辺部分がまだまだはっきりしていないと思います。その周辺部分の方々も風評被害等で大変被害を受けておるわけですから、ひとつその辺の先生方の御配慮も切にお願い申し上げます。

 以上です。

成田参考人 紛争審査会で、第一次指針について、出荷制限品目に対する補償がなされる方向づけができているとマスコミ等から聞いております。しかしながら、支払い日の通知など、本県で請求した損失額への仮払いの手続の連絡がうちの方に来ているとは聞いておりません。今月中に支払いがなされるという報道はありますけれども、我々としては疑問に思わざるを得ないと思っております。ましてや、価格下落に対する補償は依然として決定されておりませんで、無論、実行もされておりません。

 ぜひ、皆さん方、ひとつよろしく政治主導で、少なくとも仮払いを一刻も早くお願いしたいと思っております。

今橋参考人 今月の十八日に第一回の請求をさせていただきました。今月中には仮払いをという回答をいただいておりますので、そのようなことで進むんだと思っております。随時、請求してまいるところであります。

石津委員 ありがとうございました。

 私は、かつて地方自治体をお預かりした経験から、皆さん方の活動については多少承知をしている立場でございますが、今度の問題で一番心配しておりますことは、それぞれの事業団体の方々が直接東電とやりとりをする。先ほどお話がありましたけれども、請求関係にわたる書類あるいは内容の煩雑さ、そしてまた時間的な遅配等々を考えますと、もうちょっと政府が前面に出て、それで、皆様の肩がわりという言い方はちょっと不穏当かもわかりませんけれども、もっともっとやはり政府が前面に出て、政府と皆さんとの間で例えば仮払い等々について速やかにやるとか、そしてその後で政府と東電の方がきっちりとした清算をしていく、こういうふうなやり方でやっていった方が的確かつスムーズにできるのではないのかな、こういうふうな考えを持っておるのでありますが、商工会の会長さん、こういうことについて所感があればちょっとお願いします。

瀬谷参考人 全く先生のおっしゃるとおりでございます。国もしくは地公体が前面に出ないと無理でございます。

外山参考人 この原発の底の深さはどの程度かわかりませんが、仮に日本民族が滅びるようなことになったら大変でございますので、これは国が本当に何兆円かけても、東電を国有化するというふうな報道も流れていますが、これは東電の問題ではなくて国の問題だということを認識していただいて解決していただきたい、このように考えております。

石津委員 ありがとうございます。

 それでは、大分時間も押しておりますので、最後に一つだけお伺いいたします。

 今般、第一次補正を組みました。その中で、例えば商工業者であるならば、東日本大震災に対処するための特別財政援助及び助成に関する法律、そしてまた東日本大震災復興緊急保証等々について、いわゆる保証の部分とそれから貸し付けに対する優遇措置、こういうようなものを三階重ねで制度を設計し、かつまた、それに伴う予算の措置をさせていただいたのでありますけれども、この実効性についての実感をお伺いいたしたいと思います。どなたでも結構ですから。各県に一人くらいずつで結構ですから。

瀬谷参考人 私は、本業は銀行員でございますから、その辺はよくわかっております。

 非常に実効性はあると思います。ただ、まだまだ不十分である。もっともっと、私は、各県に一千億ぐらいの単位で保証供与の枠を用意して、それを無担保無保証で、なおかつ十年間据え置き、二十年返済ぐらい、そのぐらいの思い切ったスキームでこれをやらないといかぬと思う。それは二次以降にということで考えております。

 窓口は民間を使うべきだと。一番お客さんの様子がわかっている。もし破綻しても、そのときは我々も痛みます、お国も痛みますけれども、それはしようがないじゃないですか。そう思っております。

外山参考人 資金繰りにつきましては非常に感謝しておるところではありますが、待ち切れずに自分でやっているという業者もたくさんございます。この際は、何が何でもスピードアップでぜひひとつお願いしたい、このように考えております。

石津委員 ありがとうございます。

 それでは、もう一つ、ちょっと時間をいただきまして、漁業者にお伺いしたいのでございます。

 先ほどお話がありましたように、漁業が生業として成り立つためには、まず船が必要、漁具、漁網、そしてまたもちろん漁場も必要でありますけれども、まず最初に、私の考えとしては、漁港が整備されないと船も出せない、このような状況かと思いますが、先ほど茨城県の方から言わせますと、まだまだ港湾、漁港が手もついていない、こういうような状況でございます。

 この辺について、国の取り組みとして大変おくれているという実感をいただいておりますけれども、所感がございましたらお願いしたいと思います。

野崎参考人 福島の場合は、相馬といわきで若干違っておりますが、海底と漁港の整備等は進んでいるかのように私どもは両方面では思っております。ただ、陸上施設の方は、相馬の方は壊滅的な打撃でまさに更地になっておりますので、これは復旧というよりはもはや復興の段階に入っておりますので、その点、いわきの方は復旧作業そのものは進んでおります。

 ただ、一次補正と県議会との予算の色目というか絡みで、まだ県議会を通過しておりませんので、その辺のこの一カ月の時間の流れが非常に惜しい。それで、この点を二次補正以降、要するに、地方行政と中央との、二次補正をやったらすぐ県議会等で諮れる仕組み等を今回のこの出されている法案等で模索していただけないかなというのがお願いでございます。

今橋参考人 先ほどもお話しさせていただきましたとおり、阪神・淡路大震災以降の現行の激甚法、これについて、今回の東日本大震災については規模も全く違うし、だれも経験したことがないということですので、私は、その辺を御検討いただいて、現行法じゃない特別立法なり、特別な措置ということでお願いをしたい。そうでないと、この復旧並びに復興について、それでなくても体力がない水産業関係者は立ち直るきっかけを失ってしまうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

石津委員 ありがとうございます。

 時間も押しておりますけれども、いろいろありがとうございました。

 私は、やはり国の基本は地方だろうと。地方が元気になるためには、その地域に由来する農業、林業あるいは水産業、まさに地場の産業が元気を出して初めて国が元気になるんだろう、このように考えております。

 今回、非常に未曾有の被害をお受けになられて、その中で頑張っていらっしゃる皆様方でございますが、できるだけ、きょうの参考人の皆様方のお考えを政策に反映すべく一生懸命頑張ってまいることをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 先ほど来、それぞれ貴重な、また現場の思いをしっかり受けとめられた意見陳述、ありがとうございました。我々も、国会議員は、中でもこの復興特別委員会の委員は、しっかり受けとめながら、今が正念場だ、そういう思いで頑張らなければならないということを改めて痛感させられました。

 先ほど御答弁にもありましたように、私も十六年前、神戸で大震災を経験しましたけれども、大事なことは、経験は確かに大事ですけれども、経験にとらわれてはいけないということも常に考えながら、三月十一日以来、自民党なりいろいろな場で取り組んできたつもりでございます。

 限られた時間でございますので、それぞれ何点かお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、茨城県漁協の専務理事の今橋さんにお尋ねいたします。

 先ほど石津委員のお話もございましたけれども、漁港の復旧復興ですね。

 今回の震災の漁港施設の被害額は、今判明分だけで六千四百億だと思います。一次補正は数百億です。わずかです。若干国の方も、特に、よく新聞紙上で報道されるように、宮城とか岩手の漁港の再編ということがございますね。マスタープランを決めなければ予算をつけられないよと財務省の方が強い指示を出しているのか。その影響が、例えば茨城の、先ほどのお話を聞いて、もう早く整備したいんだというところに来ているのではないかと思われるんですけれども、ちょっとその点についての御意見をお尋ねします。

今橋参考人 おっしゃるとおりだと思います。

 宮城、岩手、福島はグランドデザインから恐らく検討せざるを得ないのではないだろうかということですが、茨城はそうではありません。確かに、堤防が流されたりとか液状化でやられましたりとか、そういったものはありますけれども、まだ土台は残っています。

 ですが、その土台を直さないと、使えるものがどんどんどんどん使えなくなっていってしまうんです。ですから、早急に本格着工いただきたいということです。よろしくお願いいたします。

谷委員 ありがとうございました。その分、早期の二次補正に向かって頑張らねばと思います。

 福島県の瀬谷商工会議所会長にお尋ねをいたします。

 先ほどのお話の中で、福島県の三人の方に共通されている思いは、私の受けとめ方ですけれども、原発が収束していない、このまま、いわば宮城、岩手の方は復旧に向かって、速度はともかく進んでいくのに、自分たちは収束していないからとてもまだその段階ではない、取り残されるのではないか、そういう思いがお三人方に共通しているのかなと思いました。

 瀬谷会長の方は、お話の中で、福島県向けに、補償以外に何か特別立法が必要ではないかということをお話しされました。もう少し具体的に、こういう骨子だ、ここがポイントだというものが会長の中にございましたらお話しいただければと思います。

瀬谷参考人 先ほど、骨格は私の方でつくりますと大それたことを申し上げましたけれども、別に難しいことはないです。

 一つ、被災している第一、第二原発の周辺地域というのを全部国に買い上げてもらう。それ以外に使い道がない。

 廃炉にするか、あるいは、より安全装置を施して、今の生きている福島第二をまた使うのか。第一だって、五、六は冷温停止の状態です。全部使えば六百から七百万キロワットはすぐ出るわけでございます。ただ、今、住民感情として許さないというセンチメントですから、これをどうするか。そこのところは、全部エネルギー基地として国で直接管理してもらう、例えば福島県から切り離してしまう、こういうことになる。

 あと、近隣の町村の問題につきましては、そこが果たして人が住めるかどうかということが問題でございますけれども、居住可能であるならば、今の原発事故を逆手にとって、世界じゅうの放射線医学の研究所とか、あるいは原発にかわるエネルギーの研究基地みたいなものをクラスターとしてつくったらどうか。これは企業誘致、政府の意思としてやってもらう。リニアコライダーも持ってきてもらう。

 この辺が私の考えている第一ステップでございます。

 以上でございます。ほかにもいっぱいありますけれども。

谷委員 なかなか思い切った、まあ買い上げということは幾つか話が出ています。けれども、それとは別に、それを福島県から切り離し、いわばアメリカでいえば、少し違うかもわかりませんがワシントン特別区のような、そういうイメージであろうかと思います。

 委員長、会長の私見も御参考までに委員会としていただいて、また我々も勉強させていただければと思います。

 それでは、福島のJAの庄條会長にお尋ねをしたいと思います。

 たくさんの要望もされました。その中で、今後の農業の復興、意欲の喚起であるとか心の部分での再生とか、ビジョンの必要性についてお話をいただきました。

 そういう観点からすると、こういうことを国にやってほしい、ぜひ早急に取り組んでほしいという具体的な何か、農業の復興、意欲を喚起するための施策を、御提案があればお聞かせ願いたいと思います。

庄條参考人 谷先生にお答えを申し上げます。

 我々は、この未曾有の大災害の中で、福島県農業の再生への原点は何かということで、作物がつくれる五千ベクレルという一つの指標があったわけでございますが、それ以下の農地について、農業者については、とにかくつくる、つくってください、走りながら考えましょう、万が一、損害が出たら補償していただくようなことで、まず、とにかくつくる、農業者はつくる以外にないんだということでスタートさせていただきました。

 それから、いろいろ問題点が出てきたのは、やはり地域的に非常に数値が違うということであります。よって、国の方針として、これだけ未曾有の災害の原因となった福島県におきましては、地域ごとに、放射能の線量を測定する機器を各行政あるいは各単協に設置をして、いち早く自分らで数値をとらえることができ、それをベースに、今の風評被害等々についても払拭しながら販売することで、国民に安全、安心なものを届けられるし、また、私ども農業者が自信を持って営農にいそしめるのではないかということで、一つの例としてそのようなことを考えている状況であります。

谷委員 ありがとうございました。

 福島県漁協の野崎会長にお尋ねをいたします。

 会長の方で、漁業の再開の判断はぜひ県ではなくて国がやってほしいということを強調されていました。

 県ではなぜだめかということを、もう少し。なぜ国が前面に出なければ漁業者としてメリットがないのか。なぜそんなに強く国というふうに言われるのか。県の関係者はいないと思いますので。これは恐らく、県よりも国なんというレベルの話ではなくて、そうでなければ自分たちの生活、売り上げに影響してくるという思いもあるかと思いますので、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

野崎参考人 決して福島県の水産課そのものが能力がないというわけではございません。ただ、放射能という見地、初めての事態でございますので、特に食の安全等を広報する等であれば、やはり国という一番根本のものが安全を担保していただけるのが一番ありがたいかなとは思っております。

 なお、いつもこの安全基準の件、この放射能について考えておるんですけれども、分析機関によって厚生労働省等で判断している、国から県が出荷制限措置とか摂取制限措置とか指示をいただいて、県が出すんですね。はっきり言って福島は農業県でございまして、非常に水産のスタッフ等、試験場等のスタッフ等も少ない。みずから分析して出すのであれば県も出せるんでしょうが、国の、厚生労働省の下部組織である日本検査機構、検査センターに分析を放射能については現状、今頼っているところで、今、予算化して、自前で農業も含めて分析できるように準備中です。

 本当に、原発県で放射能分析をするかなりの施設を持っておったんですけれども、津波の被害で流されて、原発のすぐそばにあったものですから、それがないという意味合い、被災県というのはそれだけさまざまな不都合が出てくるというのも含めて御考量願いまして、なおかつ、この放射能という特別なもの、だれも日本の歴史の中で扱ったこと、食の安全性について、ジェー・シー・オーの被害以来ですね。それを地方公共団体にだけ安全宣言を負担させるのかというのは、私らもそばにいていかがなものかなと思っていますので、その後の販売の広報等も含めて、やはり国の権威というものを使っていただきたいと思っております。

 以上です。

谷委員 県の能力を疑うわけではなくて、津波でやられているということもあるということのようで、ありがとうございました。

 最後に、茨城県のJAの常務理事の成田さんにお尋ねをしたいと思います。

 東電に仮払い請求をしている、音さたがないと言われていましたけれども、正直なところ、成田常務理事から見て、早く支払いたいんだけれどもなかなか事務手続がという対応ではなくて、何か、一日でも早く支払うというつもりが東電には感じられないというふうに受けとめられているかどうか。この発言は大丈夫ですから、遠慮なく。

成田参考人 ただいま先生がおっしゃられているとおりでございまして、東電には、先ほども申し上げましたように、十八億円余りの価格下落部分について補償請求をいたしたところでございますし、今回も、きょう、実は決定して、二十七日に請求予定でありますけれども、六十五億円を請求したい、こう考えております。しかし、請求すれど相手は受け取って……。

 あるいは、うちの方にも謝りに来ていただきました。しかし、謝ったといっても、それはどこまで、謝ったんだったらこれだけというのが普通でありますけれども、我々の世間常識ではそうなんですけれども、何らそれ以降はないということで、一体どういうことなのかと。

 しかも、我々はそういう請求権があるということがあるのであれば、いわば黒字倒産になりかねないんじゃないかというふうに私は思っております。二カ月以上もほっておかれたら、小さい企業では吹っ飛んじゃいますよ。これをひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

谷委員 ありがとうございました。時間が参りました。

黄川田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 被災地におきましての地震、津波そして原発事故という重大な困難の中で事業者の皆さんを支えて頑張っておられる方に改めて敬意を表するものであります。皆さんの貴重な意見陳述を踏まえて質問をさせていただきます。

 最初に、冒頭の石津委員からもございましたが、原発事故被害の賠償の問題であります。

 石津委員の方からは、この賠償の取り組みが遅いのではないのかという質問だったわけですけれども、若干重なるかもしれませんが、この賠償の基準あるいは仮払いのことについてどのようにお考えかということを、皆さんにお聞きしたいと思っています。

 この原発事故被害について、我が党は、全面賠償を明確にすることが必要だと求めてまいりました。事業者の被害については全額賠償を東京電力に行わせることが必要であり、この全面賠償というのは、原発事故による財物の毀損の補償とともに、原発事故がなかったらあったであろう収入と現実の収入との差をすべて補償する、こういうことが必要だ。その点で、勝手な線引きをしないでもらいたいということが重要だと考えております。この点では、風評被害などをしっかりと反映するのも当然のことであります。避難によって生じた被害についても、ここに含み得るということであります。

 その点で、原子力損害賠償紛争審査会が一次指針を出しましたけれども、これは、決めている項目もありますが、検討中の項目もたくさんあるわけであります。風評被害なども整理をされておりませんし、例えば避難費用などについて、これは実際の営業費用に比べれば決して多くはないですけれども、通信費の携帯電話の料金、実際には二月分と三月分を比べると三倍以上にふえている、そういう方なんかもたくさんいらっしゃるわけで、こういうことを含めて、国の整理にもなっていないような項目もあります。

 この点で、国、紛争審査会などが整理をしている賠償の基準について、今、皆さんの方で、懸念とか問題点とか、お感じのところがあればお聞かせいただきたいのと、東電としての、仮払いがこの間行われているわけですけれども、もともと三十キロの百万円というのがありますし、今、東電側が検討しているということで、事業者については、当面は請求があったものの半分を仮払いとかというのが出るわけですけれども、こういった東電側の対応についてもあわせてお感じのところをお聞かせいただけないかということでございます。よろしくお願いいたします。

黄川田委員長 では、順次お答えいただきます。

瀬谷参考人 大きな流れといたしましては、今先生が御指摘のとおりでございます。手っ取り早く言いますと、東電も限られた条件内で一生懸命やっていると思う、そんなに東電をたたいていいというものでもないと。

 ただ、私が冒頭、先ほど申し上げたとおり、今の原賠法とか、そこで想定されるような事故のスケールではないということなんです。全く新たに大きなこれだけの災害が起きた。事業者について補てんする、それはわかるんだけれども、では生活基盤を奪われて全部よそへ行っちゃった人についてはどうするんだ、生活保障、生涯所得に対するものがどう見合うんだ、こういう問題までさかのぼって考えなきゃいかぬから、今の原賠法では不十分である。そして、先生方の奮発をひとつ御期待したいということでございます。

庄條参考人 塩川委員にお答えを申し上げたいと思います。

 一次指針が出ました。二次指針の中で風評被害についての線引きがされるというふうな情報を得ているわけでございますが、線引きも何も私はないと思います。これは原発の事故によっていろいろな被害が発生したということでございますから、線など引かずに、我々が申請するものについて補償願いたいというのが偽らざる気持ちでございます。

野崎参考人 福島県の漁業の場合は、漁業団体と県との合意の下、自主的な休漁について全額補償するというのを一次指針の中で入れ込んでいただきました。それを踏まえて、今のところ、全漁業者の月別の平均漁獲金額等で請求を行っておるところでございます。この辺は福島の漁業者全員が取りまとまって、粛々とやっていきたいと思います。

 何しろこれは、前にもお答えしましたように、まず原発の収束、原発の現場の連中のより一層の奮闘が大事だと思って、私ども福島の漁業者は今後とも東電と交渉していきたいと思っております。

外山参考人 先ほども申し上げましたが、やはり充足感が非常に乏しいというのが現実でございます。やはり売り上げが減る、人がほかへ移ってしまうというと、やがては倒産の憂き目に遭うというのが現実ではないかと思います。どうかひとつ、鈍行でなくて新幹線並みの速い、スピード感のある復旧をお願いいたします。

成田参考人 各参考人と同じでございまして、まずはスピードです。我々は十年前に、実はジェー・シー・オーの事故というのを経験いたしたことがございます。我々の組織でやはりあのときもまとめてやりましたけれども、もっと速かったです。今回どういうことなのかと怒りを禁じざるを得ません。

今橋参考人 まずは二次の指針の中に風評を必ず入れていただきたいということ。それから、東電の対応としてはですけれども、茨城沿海地区漁連として、東電さんの本店、茨城支店の対応としては比較的誠意ある対応をいただいておると思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、JAの庄條さんと成田さんにお尋ねしたいんですが、放射能汚染によっての生産物の処分方法ですね。実際にこの間の出荷制限があったり、そういう中で自粛なども行われているといった際に、せっかくつくって、これを本当に売りたいと思うけれども売ることができない、そのこと自身についても大変苦しい思いをされておられるわけですが、ではそれをどこに処分したらいいのかというところについても、その処分方法、大変困っておられるという話をお聞きするんですが、そういうことについて、今課題としてお感じのこと、国などへの対策を求めたいことがありましたら、それぞれお答えいただけないでしょうか。

庄條参考人 固定資産の処分というのは、使えないものの最終処分のことを言っていらっしゃるのでしょうか。

 今のところ、それを取り壊したというような部分については、二十キロ、三十キロ圏内においてはまだ入ることができないということで、それらの残骸を処理するような状況には至っておりません。

 そのほかの地域について、震災で倒壊した部分につきましては、それぞれのJAでそれらを処分させていただいたということでございますので、お答えになっているかどうかわかりませんけれども、そういう状況であります。

成田参考人 ただいまの御意見でございますけれども、当初、政府の方からは、ホウレンソウ等について出荷をしてはだめだよと。それで、実は、出荷しようとした農産物について、箱に入れたものはそのまま置いておきなさい、さらに、畑にあるものはそのままにしておきなさい、刈り取ったものもそのまま野積みにしておきなさい、こういう指示をいただいております。

 まず、私はそれが、政府の方ももう少し何とか、官僚組織ですから、縦割りは、それは法律に基づいてそれぞれがやられるのはわかるんですけれども、せっかく対策本部までつくって一体的にやろうということでございますので、例えば、出荷制限をするよ、では、その出荷制限した品目についてこういう処理をしてほしい、それをあわせてやっていただきたいというふうに要望をいたしたいと思います。

 実は、ホウレンソウ等についても、そのまま放置しなさい、腐ってくる、そのままにしておく、最終的に、実はこれはもう処分していいよと。こういうのは何かちぐはぐでございますので、言うのであれば、その処分方法についてもあわせて言っていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

塩川委員 済みません。庄條参考人の方で、私の冒頭の言葉が少し届かなかったところがあるのかと思うんですけれども、放射能汚染による生産物の処分方法について、最終処分が実際にはどうなるのかという懸念がある、そういうことについて福島の農業者の方の声などがありましたら御紹介いただけないでしょうか。

庄條参考人 今ほど茨城の常務さんがお答えしたような状況でありまして、私どもも、先ほどの牛や豚を例に出しましたように、それらの処分が指示が出ないといいますか、今のところでは、先ほど申しましたように、死骸については石灰をかけてシートをかけておきなさいというような状況であります。

 牧草についても、一番草はやってはだめだということで、一番草は刈り取って端に積んでおきなさいということですから、それらの行き場を失っている。それが放射能を含んでいるということであれば、地域の方が心配され、これをどうしたらいいんだという苦情は私どもに参っておるところでございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、漁協関係のお二方にお尋ねしたいんですが、海の汚染が大変懸念をされるわけであります。放射能汚染についても、正確かつ綿密に計測、把握をして、この点について納得のいく説明、万全の措置をとることを国に強く求めていきたいと思っているわけですが、モニタリングの強化も必要だと思います。

 その点で、海洋といった場合にも、上層も下層も底もありますし、当然、魚介類、魚種などによっての違いもあるわけです。そういったことについて、水産庁などがいろいろ指示などは出されているということはお聞きしているわけですけれども、現場にいて、こういう漁業者の方の不安や、あるいは消費者の立場になっての課題ですとか、そういうことについて、こういった海の汚染についてのモニタリングのことで課題となっていることがあれば教えていただけないでしょうか。

野崎参考人 震災当初、それこそ国の文科省、農水省、それから経産省等でばらばらに行っていた海洋のモニタリング調査等を、要望を受けまして、モニタリング地点の強化、それに東電が三十キロ圏内をやっておりましたので、それ等をふやしていただいて、それで、その点に関しましては、ただ何々が何ベクレル、何ベクレルと言われても我々は全然わからないものですから、どこの機関でも結構ですので、モニタリングの数値と漁業に関する評価を一本化してくれという要望に関しまして、五月七日に水産庁の方から、原発周辺海域における漁業関係就労についての放射能防護の安全評価という発表になった経緯があると私ども思っていますので、この点、私の方としては、漁業再開に向けて、さまざまな指標等を出していただいていると思っております。

 ただ、いずれにしろ、扱うものが扱うものですので、モニタリング、サンプリングはこのように進んでおりますが、まず第一に、すべての力を傾注して、原発の事故の収束という方向に向けていただきたいというのが私どもの思いでございます。

今橋参考人 先ほども申しましたとおりですけれども、現場は実は混乱しております。

 というのは、海はちょっと陸上と違って、海の流れもございますし、それから魚の方も、回遊魚ということで回ってきたりということもあるわけですよね。そうすると、本県の場合は、北から南までにかなり長い距離を持っておりますので、もちろん福島県に隣接した近い地域、それから離れた南の地域ということで、これは温度差があるのはもちろんでございます。

 その中で、では、魚が回ってきたのでサンプリングを実施しなさいと言ったところ、やりたいと漁業者が手を挙げたところ、いや、福島県の方に近いので、ではどうなんだというようなことを言われてしまうと、そのことによって暫定規制値を超えるセシウムなり沃素が出たことによって、ほかの漁業者やそれから関連業者さん、水産加工業さんにも迷惑を及ぼすのではないかということで、なかなかその明確な指示をいただけないというのが現状でありまして、ですから漁業者は混乱している。

 ですので、先ほど言ったとおり、水産庁は一週間に一回、操業中であってもサンプリングをしなさいという指針を出しましたので、その辺をきちっと実施させる、実行させるということをやっていただかないと、今度は、本来今、力を合わせて闘わなきゃいけない漁業者が、その現場でもって仲たがいになるという非常に難しい問題を抱えていますので、ぜひその件については、先ほどのように、国の方でしっかりと明確な指示なり指導をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

塩川委員 しっかり受けとめて頑張りたいと思っています。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは、大変お忙しい中お越しいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 最初に、漁港のことについて、福島県の野崎会長と茨城県の今橋専務理事にお尋ねします。

 漁港の復興ということに関しては、恐らく、震災の前に、もとに戻すだけでは、また津波が来たとき大変な被害を受けるわけですから、復興に当たって、どういうところに留意しながらインフラなりあるいは漁港全体の復興を進めていく必要があるのか、それについてお答え願います。

野崎参考人 福島県の漁港復興に関しましては、県下漁協組合長会議で協議をいたしまして、原釜港、久之浜港、中之作港、小名浜港をまず最優先漁港と指定しまして、それで復興復旧を行っていこう、国、県にお願いしていくという形になっております。

 それで、はっきり言って、漁業は設備先行投資型の産業でございますので、船舶それから漁港にそれなりのハード面での充実を持たないと始まっていかないというような現状でございます。

 それで、もとどおりになるのかどうかということよりも、逆にこの復興特別委員会の方でもお願いしたいのは、福島の漁港に関しては、もとどおりに戻すとともに、今後放射能の安全性を発信できるような漁港にする、その点が一点加えられたということをお願いしまして、復興制度や何かの中にこの福島の原子力問題を入れ込みながら、我々、充実できるようにお願いしたいと思います。

今橋参考人 茨城県の場合は、とりあえずは原状までの復旧を目指すということを聞いております。その後、じゃ、どういうふうにするんだという話についてはこれからだということを聞いております。

 私どもとしましては、沖堤防等が破壊された港が幾つかございますので、そういったところにおいては、今までと同じということではなく、もっと強固な堤防なりそういったものをやはり検討いただくということになると思っております。

山内委員 ありがとうございました。

 続きまして、農業関係の質問をさせていただきたいと思います。福島県の庄條会長と茨城県の成田常務理事にお尋ねします。

 成田理事の資料の中に、中国人の研修員がいなくなって大変困っているというお話がありました。その現状についてもう少し詳しく、あるいは福島でも同様の事例があれば、その点についてお話をいただきたいんですが、それとあわせて、じゃ、国としてどういう措置が必要か、どういう改善策が考えられるかという点について、お二人にお尋ねします。

成田参考人 ただいまの御意見、各産業とも恐らく同じような状況にあるのではないかというふうに思います。

 特に農業の場合は、茨城の場合は中国人実習生に頼る部分が相当ございます。特に鹿行地区、青果物の生産が盛んなところでございますけれども、そういうところで相当頼っておられる。ところが、今回、集団で中国の方にお帰りになったということでございます。

 これは、個々人が自分みずから、今就農されている農家の中での話し合いではなくて、恐らく別ルートでの話に基づいてお帰りになったんだろうというふうに推察をするわけでございますけれども、本人も、場合によっては、おれは帰りたくないんだよ、または向こうから戻ってきたいんだよ、こういう方も相当おりますし、また戻ってこられる方もおりますけれども、実は、中国の御家庭、恐らく御実家の方で、もう行くんじゃないよ、こういう足どめがされているやにも聞いております。

 それはなぜかというと、外国に対する啓発、啓蒙、その辺が恐らく不足しているんじゃないかなと。日本は大変な事態に陥っているというふうな宣伝がされているんじゃないかなというふうに思うんです。ですから、国の方でもぜひ総合的な対策、原発の問題、その場の問題もありますけれども、いろいろな各省庁の責任分野があるわけでございますので、そういうところをフルに活用して、その辺のところにも、外国に対する啓蒙活動についてもひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

庄條参考人 山内委員にお答えを申し上げます。

 福島県の場合は、農業に関係してそのような事例があったという報告は、私どもにはまだ届いておりません。そのような状況でございます。

山内委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 特に、外国に対する情報発信、非常に必要だと私も思いますので、ぜひ努力してまいりたいと思います。

 それから、福島の商工会議所の瀬谷会長と茨城の外山会長のお二人にお尋ねします。

 今、復興に関する組織ということが国会でも議論になっておるんですけれども、いろいろな党がいろいろなアイデアを出しておりまして、今、政府・与党が考えている復興対策本部みたいなもの、これはどちらかというと既存の省庁のラインで実行、政策立案を対策本部あるいは復興庁という組織でやるというアイデアのようです。他方、自民党さんが出されているアイデアは、実行も政策の立案も一つの省庁でワンストップでやるというような構想だそうです。

 私の属しておりますみんなの党も、ちょっと自民党案に近いんですけれども、政策立案も実行もワンストップで一緒にやれるようにしたい、そういう構想を出しております。我が党の場合はそれを東京の霞が関ではなくて仙台に置こうということを言っておるんですが、それぞれ一長一短があると思います。

 どれかの案が完璧だと言うつもりはありません。例えば政府・与党案のように実行は今の既存の省庁のラインでやる、政策立案を国でやる、それは今の省庁のそのままの形を使うので比較的スムーズに移行しやすいという利点はあるかもしれません。あるいは、自民党案や我々の党の案のように実行も政策立案も一つの役所でワンストップでやれるようにする方がいいということも考えられるかもしれませんし、あるいは復興のごたごたしたときに新しい役所をつくるのは大変だという批判もあるかもしれません。

 いろいろな意見があってそれぞれ一長一短だと思うんですが、現場の被災者あるいは被災地の意見を国や県やあるいは市町村に通す皆さんのお立場からすると、どういう復興組織があった方が望ましいとお考えでしょうか。特にどこかの党の色のついた答えを期待しているわけでは決してありませんので、自由にお答えいただければと思います。

瀬谷参考人 甚だデリケートな問題でございますね。これは私の私見を申し上げます。

 私も長いこと、この永田町あるいは霞が関ということで遊よくしてまいったものですから、それぞれの組織の一長一短は、まあ普通の人よりもかなり知見は持っている。そういう点で申し上げますと、やはりこの際、いろいろなやり方がありますけれども、実行部隊は今の組織をそのまま使った方がよいのではないかと。例えば東北建設局とか、みんな出先があるわけです。さっき先生おっしゃったように、新しいものを一番のプランニングから実行まで全部一貫してつくり出すということは大変なエネルギーが要ります。

 それともう一つは、こういうことを言っちゃ悪いかもしれないけれども、要するに寄り合い世帯、僕に言わせますと。そこで何ができる、こういう問題もある。ましてや、こういう緊急時の大変な時期でございますから、いわばヘッドクオーターは東京に置いても構わないんだけれども、実施部隊については今までの組織を使うというのが私はいいんではないかと。これが一つ。

 あと、さっきからちょっと復興の問題についていろいろございますけれども、どうも私から見ていると、福島から見ると、これは道州制をにらんだ仙台一極集中への布石じゃないかとしか思えない、それは大反対だと。別に地域エゴを言うわけじゃない。この被災に当たっては、さっき震災三県に共通する課題もあるけれども、やはりこの原発事故というのは世界に類がないんですよ。チェルノブイリと並んで福島というのは非常に有名なブランドに結果としてなっちゃった。だから、これをどう立ち上げていくかということを、先ほど申し上げたとおり、例えばワシントンDCじゃないけれども、被災のエリアを全部除外して県に買ってもらうとか、よっぽど大きな手を打たないといかぬ。だから、僕は一周回おくれの復興なんて言っていない、全然別なものの存在として福島をもう一回復活させる、こういうことでございます。

 以上でございます。

外山参考人 ただいまの御質問には、我々在野の者にとっては非常に難しい問題でございまして、こういう問題こそ国会の先生方に知恵を絞っていただかないと困るんじゃないかというふうな感がいたすわけであります。

 いずれにしましても、先ほど、私、不言実行と申しましたが、この際は、どの党を支持するわけではありませんが、やはり国が一つになって、どちらかの党で復興院というような構想もあるようですが、ばらばらでなくて一緒になってやっていただくということが大切ではないかというふうに私は考えております。

 我々商工会としても、いろいろな経営情報がこの震災によってだめになるというケースが今回わかっております。その場合には、やはり隣接県との、バックアップをお互いに共有するような構想もこれから必要かなと我々は考えておるわけでございますが、いずれにしても、ひとつ先生方の団結によって復興をぜひお願いする次第でございます。

 以上です。

山内委員 貴重な御意見、大変ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男でございます。

 それぞれ、会員そしてまた組合員の人方の気持ち、そしてまた要望をしっかり受けとめながら、悲惨で甚大な被害のこの震災を何とか切り抜けようということで努力、さらには毎日奮闘している、このことにまずもって敬意を表させていただきたい、こう思います。

 宮城の知事が、第一次産業、このことに対しまして、個人、そのところから集団化、さらには大規模化、それから経営安定、こういう一つの復興の基本的な考え方を出しているわけでございますけれども、とりわけ漁業においては、非常に零細、個人事業というものが多いわけでございます。その中で、船もなくした、道具もなくした、こういうところの中で、知事の言うそういう一つの提案というものについては、自分自身、理解はしているわけでございますけれども、その点について、福島の漁協の方とそれから茨城の漁協さんの方からの御意見、また、このことについての、復興の組合員の意識はどういうふうに動いているのか、お伺いをさせていただきます。

野崎参考人 宮城県の村井知事の御提案、さまざま斬新的な御提案で、我々も同意する部分とちょっと意を異にする部分とございます。

 ただ、注目すべきは国営化の部分でございます。これは要するに、一次補正等で漁民が三分の一負担を余儀なくされる、まあ融資面や何かのさまざまな特約がございますが。ただ、通常であれば非常にありがたい制度ではございますが、この三分の一の自己負担ということが現状としてかなり重くのしかかっているというのが漁業者の現状かなと。村井知事がおっしゃった部分で同意できる部分でございます。

 それから、大規模化でございますが、いきなり私企業の参入等というよりは、漁業協同組合の利用、それから漁業協同組合への資本注入等、それから漁業協同組合の一人一票という考え方を若干、法律的に資本注入を受けやすい形に考え直して、特に被災地の漁業協同組合職員等の日々の生活そのものの補償については、漁業者以上にまだ議論されていない部分もございます。漁業協同組合の職員、これは事務能力、さまざまな法律面、金融面の能力にすぐれておる者が多々おりますので、この職員を使いながら漁業の再生等を図りたいと思いますので、できれば漁業協同組合の活用方法を国の方で考えていただければありがたいなと思っております。

 以上です。

今橋参考人 大規模化なり、そういう企業の参入というような話の中で、私も報道等では聞いておりますけれども、茨城県の漁業にそれがどうなのかということを言われますと、農業もそうですけれども、漁業は、いろいろなさまざまな形態、それから七十代、八十代でも操業ができるということもありますので、果たしてそれが実態に合っているかということになると、ちょっと疑問ではあります。

 それから、組合員の復興に対する意識というお話がございましたけれども、正直に申します。船が津波で流失した漁業者については、再度それと同じ借金をして操業するかというと、残念ながら、一〇〇%再開するという方は見られません、船はかなり高額なものになりますので。

 ただ、それ以外の、船が残った漁業者の方が茨城県の場合は多いわけですから、その方たちについては、もう早く操業したい、再開したいということで、復興するんだという意気込みでおりますので、よろしくお願いいたします。

吉泉委員 どうもありがとうございました。やはり、すべてをなくしてしまった漁師さんの人方の復興というものについては、一番先に立つ皆さん方の御苦労というものは本当にはかり知れないものがあるというふうに思っています。その面で精いっぱい頑張らせていただきたい、そういうふうに思います。

 商工業の関係についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 東北は、物づくり、このところの集積というものについて大変すばらしい技術も持っている企業が多いわけでございますけれども、その中で、今の電化さらには自動車、その部分についての大手の部分が、生産が少しおくれているわけでございますけれども、その一番大きい部分がこの部品であるという、一つのものがあるというふうに思っています。

 その中で、茨城も、そして福島も、製造業の出荷高は大変高いものがあるわけでございますけれども、その点について、今、外国人研修生のお話もあったわけでございますけれども、今の現状の中において、そこで働く人たちの動向がどうなっているのか。その辺について、福島それから茨城の方から、それぞれお伺いをさせていただきます。

瀬谷参考人 先生御指摘のとおり、東北につきましては、我々の思っていた以上にサプライチェーンにつながっている、中小零細を含めましたいろいろなメーカーさんが多いわけです。しかし、これはよくしたもので、これだけの災害があっても、やはりみんな、事業家というのは、やはりガッツがあります。何とかして立ち上げようということで、大体七、八割はもう戻ってきているんじゃないだろうか、全部は見ておりませんけれども。

 ただ、あと問題は、やはり危険だからラインを一部関西に移そうという動きはありますけれども、極力それを引きとめるといいましょうか、いろいろな、例えば税制上の恩典とか何かを差し上げまして、やはり今後は、福島県も大県でございますけれども、鉱工業の生産、出荷額が非常にウエートが高いものですから、そこをやはり弱くしてはいかぬということで今努力いたしております。

 ということでございます。

外山参考人 茨城県の方は、御案内のように、日立地区が一大工業地帯でございます。それから南の方では、鹿島、神栖臨海地帯が、これは大きな工業地帯でございますが、日立地区は非常に建物の罹災等が多く、工場、工業関係では、例えば高萩の商工会長の工場はほぼ全壊ということで、私も非常に心を痛めておるところでございます。

 そうした面で、大企業が今徐々にその復活を懸命にやっておるわけですが、我々商工会のエリアは、商工会議所さんよりもさらに下の中小零細企業が多いわけでございます。まだ大企業が復活していないものですから、下請どころか孫請、その下あたりで非常に苦しんでおるところが現状でございます。我々としても、資金面その他で何とか支えて、そして早く大企業に一人前になってもらい、仕事が来るように、我々商工会として全力を挙げて努力しているところでございます。

 以上でございます。

吉泉委員 ありがとうございます。

 問題は、やはり今、輸出関連になるものですから、その辺における汚染の問題、部品であっても、それぞれオーナーの親会社の方からその点についての検査体制とかいうふうな形で大変苦労なされている、そういうお話も聞いております。しかし、やはり東北の一つの大きな物づくりという意味で、ぜひ、会長さん方の方からの御努力をお願い申し上げたい、こういうふうに思います。

 最後に、福島県の農業の関係でお伺いをさせていただきます。

 被災があって二週間ぐらいたってから、JAさんの方の各組合長とお話をさせていただく機会があったわけでございますけれども、そのときに、双葉の農協さんの組合長の方から言われたわけでございますけれども、まさに今、自分の方で組合員が何人残っているのかわからない、何人他界をしているのかわからない、それで、農協そのものが中央会の方に間借りをしてやっているんだ、こういうお話をお聞きをさせていただきました。

 そういう中において、今の五キロ、十キロ、二十キロ範囲内の福島の中における農業、農家、この実態が今どうなっているのか、ちょっとお伺いさせていただきます。

庄條参考人 JAふたばという農協であります。これは原発立地の町を包含した地域でありまして、すべて二十キロ圏内に入っておりますから、組合員が全然おりません。よって、営農は全然していないということであります。

 今、職員の仕事というのは、貯金の払い出し、そして共済の評価に伴う金銭の取り扱いというのが主な仕事であります。当然、事業体ですから、営農販売によって農協の経済基盤は成り立っておるわけでございますが、それが全くゼロという状況でございますので、組合員の方々は、避難をしている地域にそれぞれ配属して、その地域の農協に間借りをして、貯金の払い出し、そして共済の御相談に乗っているというのが現状でございますので、農家もすべて営農には携わっていない、帰れる日をただ待ち望んでいるというような状況でございます。

吉泉委員 ありがとうございました。

 きょうの御指導に対しまして、しっかり頑張らせていただきます。ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、参考人の皆様、本当にお忙しいところ、また急な御連絡だったと思いますけれども、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。私も、先ほどから、意見の開陳、また質疑、質問に対してのお答えを通して、本当に皆様の現実の問題についても触れさせていただいたような気がいたします。

 それでは、順次お伺いをいたしたいんですが、今回、この委員会へは、復興基本法等の審議をする委員会の参考人ということでおいでをいただきましたが、私どもの党も、復興に際して、やはり今までの法体系の中だけではなくて特区みたいな形で、その地域だけが、ある意味でいえば今までの規制とか金融の問題、税制の問題、そういうものを超えたものが必要じゃないのか、こういうふうに私たちは思っております。

 そういう特区的なものができたときに、我が地域はこういうことをやってほしい、こういうものがありましたら、それぞれ、簡単にでも結構ですので、お答えをいただきたいと思います。瀬谷参考人から順次お願いします。

瀬谷参考人 先生がおっしゃったように、特区というのは非常にすばらしいアイデアでございます。ただ、一つ大きな難点がある。つまり、どういうふうに、どこで特区と特区でないかを線引きするのか。しかも、特区には汚染度とか被害度によっていろいろな仕方がある。これは口で言うのは簡単でございますけれども、現実には非常に難しい問題がある。

 それを踏まえれば、先ほど私がちょっと申し上げたように、被災地域の六町村を全部国で買ってほしい。これを特区にして、別にお国の、東京都の特区でも構わないよ、そういうことになるわけでございますね。

 以上でございます。

庄條参考人 農業というなりわいは、先ほどもお話ししましたように、いわゆる土地が資本だということでございますから、そこから生産を生んで生活をする。サラリーマンであれば、あるいは企業であれば資本と土地と労働力というものがあるわけですが、農業については非常な大面積が必要だということで、特区になった時点でのそれらの就業の機会、あるいは当人たちがどのような人生を選ぶのか、生活を選ぶのかという問題をまだ掌握していない状況でございますので、私の方から余り先んじた答弁については控えさせていただきたいと思います。

野崎参考人 漁業も二十年、三十年かけて設備等の充実を図ってきたわけで、それが津波で一瞬になくなったわけで、特区と申されても、今回の場合、被災地をどのように復興するかという特区であって、将来像を描けというのは、現状、原発等の問題収束がなされる以前にはちょっとお答えしづらい質問だと思います。

外山参考人 もちろん茨城とか福島とかというのも一つのエリアだと思うんですが、縦割り、横割りということから申し上げますと、我々商工会、商工会議所という経済団体も一つのエリアと考えられるのではないかと思います。

 そうした中で、今、我々商工会連合会では、全国の商工会の会員、四十七から東北三県と茨城を引いた四十三都道府県から義援金が我々に寄せられているんですが、それが税法の指定になっていないんですよね、出す方が。今、七億ほど集まっているんですよ。これは、いただく方はあれなんですが、出す方は、例えば十万出すとそれに税金がかかる。これは時限立法でも結構ですので、ぜひひとつ何とか先生方のお力でやっていただければ、さらに被災地に対する支援が強力になるのではないか。

 参考までに申し上げますと、現在、東北の岩手、宮城、福島に対しては既に一億円。それから、茨城、我々のところには五千万いただいておりまして、被災地ではありませんが、千葉県に一千万。これから第二次、第三次ということでいくわけですが、その辺をぜひ御協力をお願い申し上げます。

成田参考人 ただいまの御質問でございます。

 大変夢のある話を申し述べてもいいかと思いますので、私の私見でございますけれども、実は茨城は、北海道に次ぐ第二の農業県でございます。さらに、山紫水明の地でもございます。県北の方には山があったり、あるいは那珂川が流れておったり、あるいはさらに利根川、筑波山、そこに広い水田、畑が重なり合っているというところでございます。

 その中で、先ほども申し上げましたが、液状化のところが出てきております。実は、この液状化の水田等を復興するというのには大変な力が必要です。この辺のところを何とか特区でできないかというふうに、今御質問、御意見がございましたので、思うところが一つございます。

 それからもう一つは、茨城は首都圏の中で本当に東京から近いんですけれども、実は過疎地もございます。それは、県北の中山間地帯でございます。これらの振興をどうやっていくかというのは、我々も常に頭の中で課題として思っていることでございますが、そういう特区ということであれば、農業あるいは林業を組み合わせた、何か夢のある新しいことをできないか。というのは、例えばスイスだとか、あるいは全国を回ると長野であるとか、すばらしい、中山間地であっても、その恵まれた境遇以上に成功しているところがいろいろあるわけでございますので、ひとつ我々のところも、そういうような夢のある地域にしていきたいというふうに思います。

 以上です。

今橋参考人 将来的には非常に重要なことかと思いますけれども、現状では、復旧工事の早期の着工をお願いしたいと思います。

石田(祝)委員 率直な御意見ありがとうございました。

 商工業関係でお伺いをしたいんですが、一つは、商売をなさっている方、現実に借金をなさっている方も当然いるでしょう、そういう方の二重ローンの問題ですね。これは今政府もいろいろと知恵を絞っているようでありますけれども、今までの借金があって、さらに今回の被災を受けて、商売をもう一度やろうと。そのときの立ち上がりのお金だとか、ランニングのお金だとか、いろいろあると思いますけれども、この二重ローンについて、それでは商工業関係で瀬谷参考人と外山参考人ですか、ちょっと御意見をお伺いしたいのが一つ。

 もう一点、今回いろいろと現状をお伺いしておりますと、例えば商店街で、住居とお店が一体になっているところについては住居の部分で何とかいろいろと考えることもできるんですけれども、ただお店だけだというところについては生活再建支援法も適用が難しいという現実の問題があるんですが、この二点について、今後の課題としてでも結構ですから、ぜひ御意見をお伺いいたしたいと思います。

瀬谷参考人 先生御指摘いただいた二重ローンの問題は、極めて難しい問題でございます。

 ただ、情緒的に言えば、なぜ二重ローンのようなことに遭わねばいけないのかといいながら、片一方は減免してあげなさいとか、いろいろなことがございますけれども、逆に、金融機関の立場に立ってみますと、それは一種の債権放棄でございますから。しかも、その被災者の方々というのも姿は千差万別であります。例えば、おうちが流れちゃって事業所が流れちゃいましても、相当の資産を持っていて、別の場所で再開、始める人もいる。文字どおり何もなくなっちゃった人もいる。生活と住居問題も、今までの規定でいうと、それを受けられる人と受けられない人が出てくる。

 だから、我々としましては、地域を復活させるために、どこまでそこの地域金融機関が身を削って、将来の赤字を覚悟でそれをやるべきか。その場合に、株主代表訴訟にどうたえるかという問題もある。と同時に、金融庁の仮借ない健全性の追及があるわけだからね。これはちょっと自見先生に言っておかなくちゃいけない、やるんだったら。要するに、非常に難しいそのはざまを縫って今歩いているわけでございます。

 だから、昨今は何ですか、ちょっと飛び火しますけれども、東京電力に債権放棄をしろなんと言う人がいるらしいけれども、私は言語道断だと思うんですね。これは、民の世界に対する一つの不当な干渉であると思っておりますので。

 ただ、置かれた事情が事情でございますから、今申し上げたような二重ローン、そこのところはよく考えて、まさにケース・バイ・ケースで、できるところはやるし、できないものはできない、こう申し上げると、ちょっと本当に冷たいようなお答えで、私も気が引けるのでございますけれども、何とぞ御了解いただきたいと思います。

 以上でございます。

外山参考人 二重ローンの問題は、これはまた、今の会長さんと同じ意見で、深刻な問題でございます。

 これについては、ちょっと名前を忘れましたが、ヨーロッパの方に、例えば営業資金等、住宅を建てる場合、住宅が何かの都合で流されたという、三千万借りて、借金に二千万充てて、それで終わりというふうな何とかローンというのがありますよね。これは国の施策でもってそういうふうに分けていただければ一番、特に自営業者が生きていくのには負担が軽減されるというふうに思います。

 それから、先ほど申し上げましたように、制度金融でも、これは三年とか五年で借りているわけですけれども、それを少し延ばしていただきたい。例えば、一年間なら一年間。しかし、後ろは決まりよというのではなくて、後ろも延ばしていただかないと、我々事業者は生きてはいけないわけでございます、非常に窮屈になりますから。

 それから、先ほど私が申し上げましたように、社会保険の納入、それからその他固定資産、その他の事業所に対する、減免も含めた、少し延ばしていただくという措置をぜひこの際お願い申し上げます。

 以上です。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 最後に、漁業の関係でお伺いしたいんですが、これはいろいろな御意見が出ておりますが、一つは、漁港の集約という話が出てきたりもしております。すべての漁港を再建するより、お金を集中して漁港の集約をしたらどうかという意見もあります。

 また、今回、漁船の建造について、組合がつくるのなら、国が三分の一、県が三分の一、組合が三分の一。しかし、今回の漁業の損害で保険金が出るのは、個人に出る。もう組合に金がないよ、こういう意見も私はお聞きをいたしました。

 この点について、時間の関係もございますので、簡単に、お二人、野崎さんと今橋さんからお答えをお願いします。

野崎参考人 漁港の集約化については、現在、四港指定したのは、恒久的に集約するという考え方ではなくて、福島の場合、被害が甚大なので、小規模でも再開していくのに優先漁港をつくったということで、集約化そのものはやはり今後さまざまな問題点として必要かなと思っています。

 それと、漁業の共同利用のあれについては、基本的には、利用漁業者の、例えば被災漁業者の保険金等が漁組の出資金等の何か資本的な裏づけに変われば、非常に進みやすいスキームかなと思っておりますので、この制度を私どもも研究して、特に全損漁業者の再開に向けては進めていきたいとは思いますけれども、被災漁業者、全損保険の場合、かなり償却等が進んでおりますので、代船建造等の金額から見るとはるかに少ない漁船保険の実情でございますので、その辺は、やはり三分の一分を漁協が準備するのも悩ましい問題ではあると思っております。その辺、制度金融等でつけていただければなおありがたいかなと思っております。よろしくお願いします。

今橋参考人 漁港の集約等につきましては、本県でも、これは私の個人的な意見としてお聞きいただきたいと思いますけれども、組織統合を含めて必要であるというふうに思っております。ただ、漁船をつなぐ場所ということで言わせていただければ、今回何度も余震で、その都度沖出しをしていますので、集約したことによって、住んでいるところからかなり時間がたって行けないよということが起こると困るということも頭に入れていただきたいということです。

 それから、漁船の補助等については、今、本県ではそういったお話が出ておりませんので、回答は控えさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、各案件審査のため、参考人として、青森県商工会議所連合会会長林光男君、青森県農業協同組合中央会会長工藤信君、八戸水産加工業協同組合連合会会長榊佳弘君、全国商工会連合会監事・岩手県商工会連合会会長千葉庄悦君、岩手県農業協同組合中央会会長長澤壽一君、岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長大井誠治君、全国商工会連合会理事・宮城県商工会連合会会長天野忠正君、宮城県農業協同組合中央会副会長菅原章夫君、宮城県漁業協同組合経営管理委員会会長木村稔君、以上九名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようよろしくお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず林参考人にお願いいたします。

林参考人 青森県商工会議所連合会の会長をしております林でございます。

 本日は、このような発言の場をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私からは、まず、東日本大震災による本県の被災状況を申し上げ、次に、地域経済で特に問題となっておりますことを御報告申し上げ、地域の実情を先生方に御理解いただきたいと存じております。

 東日本大震災につきましては、本県におきましては、亡くなられた方は少数にとどまっておりますが、八戸市を中心に、住宅の損壊、漁港等のインフラや水産業、農業を初めとする地域産業に大きな被害を受けました。また、八戸市臨海部等に集積しております企業も多数被災いたしまして、地域の雇用や本県経済に大きな影響を与えております。

 さらに、東北新幹線や鉄道、道路等の交通網が分断されたほか、ガソリン供給に支障が生じまして、物流面での商品、資材の入手難、さらには重油不足による産業活動の停滞を招きました。観光面では、東北新幹線の運休等によります相次ぐキャンセル、イベント、コンベンションの開催中止、さらには過度な自粛ムードの蔓延等、個人消費は一段と冷え込んでおります。資金調達難、震災を契機とした解雇等による失業者の増加など、間接被害も甚大であります。地域経済に大きなダメージを与えております。

 これらの影響は、津波による被災の範囲が限定的であったことのほかは、岩手、宮城県と同じものと考えております。

 特に八戸につきましては、事業者の被害は大きなものとなっております。八戸商工会議所が、被害の大きい地域に立地する四百三十一事業所を対象に実施いたしました被害状況調査の中間報告によりますと、被害額は約二百五十億円に上っております。業種別に見ますと、水産加工業と製造業がいずれも六十億円強と突出し、二業種で全体の約半分に達しております。臨海工業地帯の大手工場を初め三十三事業所は、被害額の算定に時間がかかるために、被害額は、今後さらに膨らむものと見込まれております。最近、県の方の、最終試算ではございませんけれども、約一千億は下らないという状況で、まだまだこれに加算されていくものと想像しております。

 こうした厳しい状況の中、当商工会議所連合会では、青森県などに復旧復興の要望活動を展開するとともに、県や関係団体との連携のもと、自粛ムードの払拭を強くアピールしております。特に、四月二十九日から全線運行が再開されました東北新幹線の開業効果を生かし、国内外から青森及び東北への誘客を促進することで、観光を初めとした地域活性化と震災復興に鋭意取り組んでいるところであります。

 さて、地域経済で大きな問題となっていることを申し上げます。

 まず、雇用の問題は極めて深刻であります。雇用調整助成金などの措置を講じていただいてはいるものの、被災企業の中には、従業員をやむなく解雇せざるを得ない状況にあるところも多くあります。解雇によりまして、特に若い人材が他地域へ流出してしまい、今後、いざ事業を再び立ち上げようとする際に人の手当てが困難になることが心配されます。雇用を支えるためには、事業の早期再開はもちろんのこと、中期的には新規産業の創出、創業が重要となります。今後の復旧復興の観点からも、雇用対策につきましては早急に取り組む必要があると思っております。

 また、多くの地域におきまして、その地域の経済や雇用を支えている中核企業が存在します。こうした中核企業の多くは中堅企業であり、中小企業政策の枠を超えているために、今次の震災対策の恩恵を受けられません。優良企業であるこれらの企業も震災により大きく傷ついておりまして、このままでは地域経済への悪影響が懸念されます。中堅企業への金融支援等、積極的な支援策を講じていくことも必要と考えます。

 さらに、事業再開に向けた取り組みにおきまして、現在最も事業者が切実な声を上げているのが、既往債務を抱えたまま新たな借入を行わなくてはならないという、いわゆる二重債務の問題です。

 この二重債務の問題は、津波ですべてを失い、大きなダメージを受けた地域で課題となっていると伺っております。復旧復興に取り組もうとする意欲をそいでしまうと、個々の事業者だけでなく地域全体を失う危険があります。この問題は、既往の債務、仮設店舗などの借入、さらには本格的復興の段階での設備投資など、全部含めると三重債務だと言う人もおります。

 東北六県商工会議所連合会では、被災借入債務、被災貸出債権の国または日銀あるいは第三者機関による買い取りスキームの創設を強く要望しております。

 今回の震災は、被災地域が極めて広範囲にわたり、例を見ない深刻な状況をもたらしております。従来の施策にとらわれない大胆かつ相当な規模の対策を講じていただくことが必要であります。既に第一次補正予算を成立いただきまして、被災地の者として大変心強く感じているところでありますが、被災地の復旧復興は緒についたばかりでありまして、今後、その本格化に向けまして最大限の支援をお願い申し上げたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、工藤参考人にお願いいたします。

工藤参考人 青森県農協中央会会長を仰せつかっております工藤と申します。よろしくお願いいたします。

 私からは、直接的な被害そして間接的な被害ということで、農業分野の分を皆様方にお知らせしたいと思います。

 本県の津波による農地被害面積は、五月二十三日現在で、水田が八十七・七ヘクタールでございます。そのうち土砂流入した面積が三十三・六ヘクタールでございまして、残り五十四・一ヘクタールが冠水被害を受けました。このほかに、野菜畑が十一・二ヘクタールの冠水、農業用ビニールハウス百九十八棟が全半壊、浸水等の被害を受けてございます。

 瓦れきの除去及び被災ハウス等の撤去でございますけれども、瓦れきや被災ハウスの撤去は、被害発生後直ちに取り組み、四月の末にはほぼ完了しております。

 流入した土砂の排除。水田に流入した土砂の排除は、国の農地被害復旧事業や市の復旧事業により、五月上旬にほぼ完了してございます。

 除塩対策でございます。水田の除塩作業は、県単事業及び国の水田等塩害防止対策事業を活用して、四月下旬から石灰質資材の散布が始まり、七割程度の水田で、耕起、かん水、代かき、排水の一連の作業を実施いたしました。塩分濃度が十分に低下していない圃場があるため、複数回の除塩作業が継続実施されている状況でございます。

 ハウスの復旧でございますが、国の東日本大震災農業生産対策交付金の実施を受け、県において五月十六日に予算化し、被災者に対する説明会を実施し、希望の取りまとめを実施している状況でございます。

 田んぼによっては、ことし、二十三年の作付をどうしても行いたいというような強い希望者もございまして、その辺に関しては、JAを中心に積極的に作業を応援している状況でございますけれども、いかんせん塩の状況が非常に強いというようなことでして、苦労しているところでございます。

 ハウスに関しても、同じ場所に建設ができないというような条件等がありまして、非常に生産者は悩んでいるところでございまして、この辺はもう少し生産者の声を聞いてくださればな、こう思うところでございます。

 次に、停電による廃棄生乳の状況でございます。

 三月の十一日に発生し、それから三月の十九日まで停電いたしました。そして四月の八日、これは、余震により再度また停電ということになりまして、受け入れ施設が完全にストップしました。廃棄した生乳は千二百五十三トン、被害金額として一億二千三百万、被害農家戸数が二百五十三戸となっております。この対策として、我々協議中ではございますけれども、全農、JAそして東北生乳販連が共同して、いよいよ生産者に少しでも負担を軽減しようということでやっておりますけれども、何せ一億二千三百万という高額なものでございますので、ぜひともこの辺に関しても国のお力をおかしいただければと思っているところでございます。

 リンゴの輸出の件でお話しいたします。

 我々青森県のリンゴは、台湾に対し、平成十九年から二十一年までは、おおよそ毎年二万二千トンから二万三千トン輸出してございました。二十二年産は一万七千七百トンと約五千トンほど下回った状況でございます。原因は、すべてが原発事故による風評被害とまでは言えませんけれども、かなりの影響があったと思われます。ぜひとも台湾においても風評被害対策を国の責任でとってもらいたいと思います。

 昨年の上海万博でも青森県産リンゴを大々的にアピールしたところでございます。中国国内においても日本産の安全性を証明する対策を国としてぜひともとってもらいたいと思っておるところでございます。

 日本の農畜産物の安全性については、国内外を問わず、国が責任を持って強力に広報活動を展開してほしいと思うところでございます。

 福島原発事故について、事業者はもちろん、国を挙げて一刻も早い収束に努めてほしいと思うところでございます。

 今回の大震災が発生し、お金があっても物が買えない事態が多く発生しました。今、世界じゅうで何が起きても不思議ではない状況だと思っております。日本の自給率を上げることが、今改めて思い起こされているときだと思います。ここの部分を見ても、我々が一番関心がありましたTPP、この参加だけは絶対にやめてほしいと思うところでございます。

 以上を申し上げ、私の意見を終わります。ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、榊参考人にお願いいたします。

榊参考人 八戸水産加工業協同組合連合会会長榊です。よろしくお願いをいたします。

 東日本大震災の被害状況について御報告申し上げます。

 去る三月十一日二時四十六分ごろに発生した地震及びそれにより襲来した大津波によって、東北地方から関東の太平洋沿岸漁港は甚大な被害になりました。八戸港でも大津波の襲来により多くの漁船が流され、卸売市場、関連施設が損壊しました。

 沿岸部に立地している水産加工業の被害は、ほとんど津波による海水の浸水と冠水によるもので、冷凍冷蔵庫、加工工場、倉庫、事務所の損壊及び加工機械類、各種資材、保管製品、車両等の損傷と流失等、被害が広範囲にわたるケースが多く、復旧には多額な費用負担が見込まれ、被害を受けた企業は深刻な状況にあります。

 被災状況、復興見込みに、加工連合会の対象企業数六十五社、そのうちの被害企業数三十三社、五〇・八%であります。

 この中で、復興が未定、被害甚大で復興の見込みがまだ立たない企業が四社、長期、復旧に取り組むが長期間を要する企業が十五社、一部復旧が四社、復旧しました企業が十社で、合計で三十三社であります。

 被災した設備は長年にわたり投資したものであり、被害金額はまだ集計ができている段階でありませんが、災害復旧に対する特別の融資が緊急に必要と思われます。交通網の寸断、燃油不足による物流の停滞は深刻さを増しており、早急な対策が必要です。

 これは、三月二十三日の段階の報告であります。

 それから調査を重ねまして、四月二十三日、津波被害の金額について御報告をいたします。

 当連合会傘下の被害をこうむった企業を対象にして被害額を集計し、下記のような損害額になりました。

 被害物件、建物十一億一千二百七十万、構築物一億九千四百六十五万、機械等六億四千四十四万、車両等二億六百五十五万、資材一億四千三百二十八万、製品・原料四億八千五百三十二万、その他一億五千百三十九万で、合計で二十九億三千四百三十三万であります。

 これが、加工連合会所属の被害金額であります。

 先ほど県の商工会議所会頭が調査の結果を報告しておりましたが、水産加工に付随する企業等で約六十億の被害になっております。

 今述べたことが被害状況であります。

 復旧状況について御説明をいたします。

 二カ月たちまして、今、これは五月十九日現在。水産加工連合会の被害企業数三十三社。復旧に時間を要する、今まだ手つかずの状態の企業が二社、一部復旧、五〇%以上が十社、五〇%未満が十二社、復旧済みが九社、確認されております。

 復旧の見込みや復旧に向けての課題、問題点等がございまして、瓦れきの処理にかなりの日数を要し、本格復旧がおくれました。被災後二カ月が経過し、復旧も進みつつあるが、被災程度、被災物件等、部品、機械等の入手困難により、ばらつきが見られます。加工機械、冷凍冷蔵庫の修理及び購入が、供給の鎖でありますサプライチェーンが寸断された結果、復旧が困難になっております。

 冷凍冷蔵庫の被害状況ですけれども、八戸冷凍事業協会の四十七社中、三十社が被害を受けました。凍結能力、震災前、一日当たり千八百トン、現時点が千五百トン。冷蔵能力、一日当たり二十八万五千トン、現在が二十六万四千トンでございます。盛漁期までに、凍結能力は日産一千六百二十トン、冷蔵能力、日産二十七万六千トンまで回復する見込みであります。

 製氷に関しましては、製氷能力、震災前、日産五百四十一トン、現時点で三百九十一トンでございます。これは盛漁期まで、六月末までには正常に回復をさせたいというふうに努力いたしております。

 このように被害甚大な場合は、過去の例にとらわれず、個々の加工業者の施設まで補償対象としていただきたい。水産業はすそ野が広く、市場機能を有効にするには、生産者、卸、加工、製氷、運送等の関連産業の同時並行的な復旧をしていかなければなりません。

 そういうふうな事柄から、水産業の両輪であります漁業と流通加工、この一体的な再建に向け、国が総力を挙げて取り組むことを要望いたします。

 私からは、以上、御報告を終わります。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、千葉参考人にお願いいたします。

千葉参考人 岩手県商工会連合会の会長を仰せつかっております千葉でございます。

 このたびの三月十一日の大地震、大津波によりまして、私どもの県内二十七商工会の中で八つの商工会が津波の被害を受けました。しかも、四つの地区におきまして壊滅的な状態でございます。復旧復興に対しましても、数年の期間を要すだろうというふうな思いをしております。

 私ども県連といたしましても、いち早く被害のあった商工会に人的な派遣、物資の派遣をしまして、会員の消息の数をつかむということで動いております。残念ながら、亡くなられた会員の方も多数おりますし、まだ行方不明になっておられる会員も多数ございます。

 その後、四月七日に余震がございまして、これは内陸部にかなりの被害が出ました。自動車関連あるいは精密機械の工場が内陸部にございまして、その被害額がたくさん出ております。現在、私どもがつかんでおる中で、直接被害が二百十四億という数字が出ております。そのほかに、いろいろな風評被害が出ましてさらに金額もふえてございまして、十億近い風評被害の数字が出ております。

 いち早く、国、県のいろいろな動きがございまして、それぞれの地区におきまして復興をかけた支援をいただいておりますことを、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 しかしながら、これはかつて経験のない、想像を超える震災でございまして、被災地の中小企業、小規模事業者の復旧復興には、スピードあふれた、思い切った手法というのが当然必要でありますし、今現在、会員の把握をしておりますが、被災を受けた七割の会員が何とか事業を継続したいという数字が出されております。それにつきましても、いろいろな施策を講じなければならないわけでございます。

 一つ一つお願いするわけでございますが、一番最初には、復興支援の融資制度の創設でございます。

 今までいろいろな事業者が、事業を起こす中で債務を負って事業を展開しております。新たな事業に取り組むとなると、いわゆる二重債務の覚悟をして取り組むというようなことになろうかと思います。ぜひとも新しい融資制度の確立をお願いしたいと思いますし、これは長期的、短期的なものも含めて支援を賜ればありがたいというふうに思います。

 それから、それぞれの企業の被災者の方々はいろいろな機材のリースを組んでおるわけですが、そのリースの支払い減免という措置もあわせてお願いしなければならないというふうな思いでおります。

 企業が生きるために労働者をたくさん抱えておりまして、今、その労働者が職をなくして、自宅待機の状態が続いております。沿岸におきましては、水産業の中でも商工業の方もたくさんおります。当然、水産業関係は職を失っておりますので、新たな雇用の選択を迫られておるわけでございます。地域の雇用を生み出す企業の努力というものは限られておりますので、そういう財政の支援をお願い申し上げたいというふうに思います。

 それから、これから一番出てくるなと思うのは、風評被害でございます。福島原発ももちろんですが、消費に回らない、買い控えというようなものが出ていまして、今後、国がどうなるんだろうというような不安を抱えておりまして、国民の旅行控えが始まっております。

 岩手県は、三陸沿岸もそうですし、山、温泉、それから、私は平泉出身なんですが、平泉のいわゆる新しい観光、今世界遺産になろうとしておりますが、そういう状況の中で、観光客が八〇%も昨年より減っている現状がございます。六月に登録される平泉の文化遺産につきまして、何とかこの観光資源というものを、岩手県、東北、国内の精神的な支えとして、私どもは観光の復活に力を注ぎたいと思っております。

 特にも、外国人の観光客が激減しておりまして、これは私どもだけじゃなく、東京あるいは九州地方にも及んでいるというふうに聞いております。観光産業は、すそ野が広い産業でございます。二回転、三回転もする産業ですので、ぜひとも、外国人の方々がいらっしゃっていただけるキャンペーン等を国を挙げて盛り上げていただきたい、このように感じております。

 それから、岩手県は下請の企業が多うございます。今、下請は、元請から仕事をキャンセルされる状態が続いておりまして、これから操業をどうしようかという生の声が内陸の方から出始めました。これは何とか、国の施策、県の施策として取り上げて、この下請の人たちが元気になって、内陸の企業繁栄、労働力の雇用の状況を生み出していただきたいものだな、このように思っております。

 それから、今、内定取り消しが岩手県では多うございます。高卒の方々が、こういう被災の中で内定取り消しが出まして、新たな職を求めて動いておるところでございまして、そういう学生たちが起業する場合、融資制度の創設あるいは税制の優遇措置というものをぜひとも考えていただきたいものだな、このように思っております。

 それから、沿岸の被災地につきましては、商工会館が壊滅している陸前高田、大船渡がございます。これは、新たに商工会館をつくるとなると、制度的にかなり難しいことが想定されますが、地元負担の金銭的なめどは全く立たない状態でございまして、私ども県連としましてもそういう地区には全面的に支援してまいりたいと思いますが、大きな金額を伴うことでございますので、これはぜひとも、県と国で何とか面倒を見てもらうように要望したいと思います。

 それから、宿泊の職業訓練の実施をぜひともお願いしたい。被災によりまして失業した多くの方々が就業する支援として、宿泊型の職業訓練というものを新しい見方として創設してはどうか、新しい技術をつける方々の支援体制というものを国を挙げてぜひともお願いしたいものだな、このように思っております。

 岩手県の中では、広い面積でございまして、四国四県に匹敵する面積がございます。その場所その場所によりましていろいろな悩みを抱えておりまして、沿岸北部に至りましては、いろいろな生産ラインを伴う道路あるいは通信網の整備が、私の中央、県南に比べましてまだまだ格差がございます。そういうものを急いでつくって、この時期にきちっとした国づくり、県づくりをしなければならないというふうな思いをしております。

 今後とも、長い目で支援をお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、長澤参考人にお願いいたします。

長澤参考人 きょうは、衆議院の皆さんの東日本大震災復興特別委員会の参考人の一人であります、JA岩手県中央会でお世話になっております長澤でございます。

 国会議員の先生方には、このたびの大震災に対しまして、昼夜を分かたず、いわゆる昼夜兼行で復旧復興に御尽力を賜っているところでございまして、まことに敬意を表する次第でございます。大変ありがとうございます。

 そしてまた、きょう、このような時間をおとりいただきましてお話しできる幸いを感謝申し上げる次第でございます。

 また、常日ごろよりJA運動に対しまして深い御理解と御協力を賜っているところでございまして、衷心から感謝、御礼を申し上げる次第でございます。

 私からは、岩手県の農業、そして今回の未曾有の大震災の被害の状況につきまして御報告申し上げてまいりたいと思います。そしてまた、これまで先生方に御要請を申し上げた内容の中から四点に絞りまして御要請を申し上げてまいりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 まず、本県の農業の状況でございますが、先ほどもお話がございましたが、広大な面積を有しておりまして、多様な風土と豊かな資源を積極的に生かしながら、基幹産業といたしまして本県経済の発展に貢献をしようと努力を積み重ねているところでございます。そして、二十一年度のデータでございますが、農業の産出額は約二千四百億円という状況に相なっているわけでございまして、我が国の食料供給基地の役割も担っているところでございます。

 さて、今回の東日本大震災は、本県の沿岸部を中心に多くの方々のとうとい命を奪っております。きのう現在の岩手県災害対策本部の発表によりますと、お亡くなりになった方、そして行方不明の方、合わせまして七千四百六名、こういった多くの犠牲者があるわけでございます。そして、農業におきましても甚大な被害をこうむっているところでございます。

 また、JAで働く職員も、死亡した方あるいは行方不明の方、合わせまして十三名でございます。そして、職員の方の家屋の全壊あるいは半壊、合わせまして現在のところ百二十七棟、こういった大きな被害をこうむっております。組合員あるいはその家族の安否につきましてはただいま確認を進めているところでございますけれども、今後、被害が拡大するだろう、こう思っているところでございます。

 本県の農業関係の被害でございますが、三月の十一日の震災、そして四月の七日の大きな余震によりまして、生乳の廃棄、鶏、乳用牛、肉用牛の死亡による被害、農地や用水パイプライン、さらにはライスセンターなどの農業共同利用施設が甚大な被害をこうむっているところでございます。

 現時点で、本県の農林水産業の被害総額は二千六億円、こういう金額に相なっているところでございまして、そのうち農業関係の被害額は三百十一億円ほど、こうなっております。

 また、県内の八JAの本支店や営農センター等の施設の被害額は、概算ではございますが、約六十四億円という状況に相なっております。

 そしてまた、被害農地面積も、水田は六百三ヘクタール、畑は百二十二ヘクタールと相なっているところでございます。

 そうした状況の中で、津波の被害を受けました農地の瓦れきの撤去がなかなか進んでいないというのが現状でございます。

 そうした中にありますが、営農の再開に向けまして、私どもJAグループも関係機関、団体と協力のもとに、組織の総力を挙げて取り組んでいるところでございますけれども、被害が余りにも甚大でありまして、JA自体も、大きな被害を受けているJAもございまして、その復興には多額の費用と時間を要することが見込まれているところでございます。そうした状況があるわけでございまして、農業振興に大きな影響を与えることが必至であります。

 以上のようなことを踏まえまして、先ほど申し上げました四点についてお願いを申し上げてまいりたいと思います。

 一つは、農林水産業の共同利用施設災害復旧事業の弾力的運用についてであります。

 ライスセンター等の共同利用施設につきましては、当災害復旧事業等の活用をいたしまして復旧に当たることができるわけでございます。この事業を弾力的に、そして柔軟に活用させていただきたいと思う次第でございます。何せ、これまで、非常に手続が煩雑である、査定が厳しい、こういった関係もございまして、トータル的な査定なりあるいは煩雑さをできるだけ簡潔にしていただくようにお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、二番目でございますが、地域農業、経済、社会を支えるJA施設の復旧につきましてでございます。

 共同利用施設以外のJAの施設には今回の復旧事業の活用はできない、このように承っているところでございますが、営農センターあるいはまた支所、事務所などは公共性が十分あるわけでございますので、共同利用施設と同様の支援措置を講じていただきたい。よろしくお願い申し上げる次第でございます。

 三つ目でございますが、沿岸地帯の津波被害における二重債務問題でございます。

 被害を受けました農林漁業者関係の経営再建対策が重要でございます。再建に向けました低利の融資制度がありましても、被災前の借入金の負担が重なると経営の再建は大変厳しいわけでございます。また、JAにおきましても、貸付金に対し相当額の貸し倒れ損失が見込まれるわけでございます。

 どうか、農林水産業の再建に向けまして、既存の債務と再興に必要な新たな借り入れの重なる二重債務を防ぐために、国による債権の買い取りも視野に入れまして、対応を強く望むものでございます。

 いわゆる金融関係でございますが、金融機能の強化を目的といたしました再編強化法の改正でございます。

 次に、四点目でございますが、放射能汚染対策でございます。

 本県においても、過日、牧草から基準値を超える放射性セシウムが検出されました。県下の農家の方々は大変心配をいたしております。

 つきましては、福島原発の対応を早期に解決することはもちろんでございますが、国の責任において、どうかいろいろと御配慮を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。

 若干時間をおかりいたしまして、今回の津波で、私は、歴史に一つ精神的なことを語り継いでまいろうと思っております。

 これは人によって評価はさまざまあろうかと思いますが、岩手県には、かつての鉄あるいはラグビーで有名な、連覇をいたしました釜石市というところがございますが、ここのJAいわて花巻の釜石支店も津波に襲われたわけでございます。

 ここの店舗の金融課長が、いや、地震だ、職員のみんな避難しなさい、私は金庫を閉めて、書類を整理整頓して、続いて避難をするから、みんな一足先に避難せいと。それで職員は避難をして、栗沢という職員でございますが、書類を金庫にしまって、お金もちゃんとしまって、避難しようとしたときに津波に襲われて、その場で亡くなった。

 そして、金庫を開けよう、かぎはどこさ行った、探しているうちに、その栗沢という職員がぎっちりと手にかぎを持って、そして遺体で発見された。

 まことに、精神力といいますか責任感といいますか使命感といいますか、JAいわての職員にもそういう職員がいたということを語り継いでまいりたい。

 かつて、明治二十七年でございますが、日清戦争、死んでも口からラッパは離しませんでしたという、尋常小学校の修身の本に載っておったお話をお聞きしたことがございますけれども、そうした日本人魂というのを語り継いでもいいんじゃないか、こう今回の災害、津波で心をいたしているところでございます。

 どうか国会の皆さん方も、そうした精神的なゆとりを持つ教育も重ねてお願い申し上げ、本県、そして日本農業発展のために御尽力を賜りますよう衷心からお願い申し上げまして、意見を述べさせていただきます。

 大変ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、大井参考人にお願いいたします。

大井参考人 岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長の大井でございます。

 今回、壊滅的な被害を受けた東日本の水産業の復興を進めるに当たり、衆議院東日本大震災復興特別委員会に参加させていただいたことに、心から感謝を申し上げます。

 私からは、岩手県における水産業の被災状況と、今後の水産業復旧復興に向けた取り組みに関する要望等について述べさせていただきます。

 初めに、岩手県沿岸における被災状況の概要を申し上げますと、岩手県のまとめによる五月十七日時点での水産業、漁港等被害額は千五百億円、最終的には三千億円に及ぶものと推計されており、このほか、水産加工、冷蔵冷凍、流通等水産業の基盤となる設備、施設等も、流失、浸水などにより壊滅的な被害を受けております。

 岩手県の水産業は沿岸地域における基幹産業であることから、現在、沿岸地域の多くの人々は生活の基盤が失われた状況となっており、水産の復旧復興なくしては、自治体も含む沿岸地域の復旧復興は図れないものと考えておるものであります。

 一日も早い円滑な復旧復興が図られるよう委員の皆様方のお力添えをいただきたく、以下の要望等について申し述べさせていただきたいと思います。

 まず第一点でございますが、つくり育てる漁業の再建についてであります。

 岩手県におきましては、早くから沿岸漁業に着目し、ワカメ、アワビ、そしてアキサケなど、つくり育てる漁業に官民一体となり力を注いだ成果が近年の本県漁業を支えているものでございます。これらの種目は、大震災前までは、養殖ワカメ、天然アワビは全国第一位でございます。アキサケは北海道に次ぐ第二位の生産量を維持するなど、全国的にも高い評価を得ていたところでございます。

 大震災前の岩手県における水産関連の生産額は、平成二十年度実績では、漁業生産額、水産加工品出荷額を合わせますと千二百四十三億円であり、これが一瞬のうちに壊滅したことから、水産業界のみならず、沿岸地域が受けたダメージははかり知れないものがございます。したがいまして、被災した沿岸地域の基幹産業であるこの水産業の復興がなければ、沿岸地域の復興はないものと考えております。

 特に、本県の誇るアワビ、ワカメ、アキサケなどのつくり育てる漁業の再建が復興の大きな第一歩になるものと確信しており、そのためには、生産の基本となる漁場の回復、種苗の生産施設やサケふ化場、そして共同養殖施設の新設などについて、時期を逸することなく、早急に復旧することが求められるところでございます。

 第二点目でございますが、漁業、流通加工業の一体的な復旧についてであります。

 生産面の再建はもとより、魚市場、冷凍冷蔵、製氷工場、そして流通業者、さらには加工業者など、どれか一つの機能の回復だけでは地域産業のサイクルは成り立たず、これらを一体的に素早く再生しなければ、漁業者を初め関連事業者が廃業、撤退しかねません。

 私は、水産業を基幹とした沿岸地域の経済を引っ張っていきたい、地域の産業を復興させるためには、早急にこの一連のサイクルを立ち上げ、雇用対策も取り進めたいとの思いで、震災から一カ月後に魚市場の再開を行ったところでございます。

 しかしながら、間もなくカツオの水揚げ、そしてその後にはサンマ、アキサケといった三陸の主要な水産物の漁期を迎えますが、目前に迫ったこれらの漁期までに、この一連の産業サイクルすべてを自助努力で立ち上げることは非常に難しい状況であり、国の全面的な財政的支援のもとに、これらの一体的な早期復旧が図られることを強く望んでいるところでございます。

 第三点目でございますが、漁港等の整備についてでございます。

 県下の漁港は甚大な被害を受けたところであり、漁業再開に向けた漁業者の安全確保の大前提が崩壊している状況にあります。

 特に、本県におきましては、漁港の集約化ではなく、漁港と漁村が一体的な関係を保つことにより地域の水産業が成り立っていることから、水産業、漁村の復興のためには、被害を受けた漁港を早急に復旧することが必要不可欠であると考えております。

 また、今回の震災を受け、高地への集落移転が報道等で大きく取り上げられておりますが、集落移転が長期にわたりますと、仮設住宅暮らしを余儀なくされている被災者にとりましては相当につらいものがあることから、高地への集落移転のみを検討するのではなく、地域の実情に応じて、道路など公共施設の盛り土や、被災地を盛り土した新集落の形成など、二重、三重の防災機能を組み合わせた強いまちづくりについても、地域で主体的に検討していく必要があると考えております。

 四点目でございますが、漁業者の生活支援等についてであります。

 私としては、早急に災害前の生産レベルまで回復させるなどとの思いで取り組んでいるところでございますが、当面の問題は、軌道に乗るまでの間の漁業者、流通加工業者等の生活や資金の確保等であると考えております。

 緊急的に雇用の維持や再建に向けた支援、漁業者、漁協、加工業者等の既往債務の特例措置等を図らなければ、肝心の地域住民がいなくなってしまう懸念がございます。この点も、初期の対応として十分考えなければならないことであると思われます。

 五点目でございますが、漁協を核とした地域の復興についてでございます。

 岩手県の漁業は、相対的に事業規模は小さいものの、沿岸漁業を軸に、地域に密着した増養殖や加工技術に対する意欲や向上心は高く、これまで地元漁業者及び加工業者等の努力によりさまざまな苦難を乗り越えるとともに、地元漁協が中核となり、漁村振興や地域の環境保全や資源管理等を図りながら沿岸地域を支えてまいりました。

 このような歴史的な背景を踏まえ、被災した漁協の事務所復旧と漁協機能の早期回復を図るための全面的な支援をいただいた上で、漁協を核とした地域の復興を図るべきと考えております。

 最後になりますが、先般、第一次補正予算の成立により、種々復旧対策が示されたところであり、改めて衆議院の先生方の御尽力と御配慮に感謝申し上げるところであります。

 しかしながら、同予算は当面の復旧策であることから、さらなる復旧復興対策を盛り込んだ第二次補正予算についても速やかに成立いただくようお願いしたいと考えております。

 我々岩手県の水産業界としても、今後精いっぱい努力し、復旧復興に取り組む所存でございますが、今般の大災害からの再生は、ゼロからではなく、マイナスからのスタートとなります。岩手県における一連の水産業がマイナスの状況からゼロの時点に戻ることは、自助努力では不可能でございます。

 このことから、国の全面的な支援により、まず早急にゼロの時点に戻していただくことを切に望んでいるところでありますが、本委員会の皆様の力強い御支援、お力添えをいただくことを強くお願い申し上げまして、結びの言葉とさせていただきます。

 大変ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、天野参考人にお願いいたします。

天野参考人 宮城県商工会連合会長の天野でございます。

 本日は、商工業者の被災状況や要望を申し上げる機会をいただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。

 被災から二カ月半がたちましたが、宮城県内では瓦れきは二十三年分もありまして、処理されたのはまだ数%というような状況でございますし、また、電気等のライフラインが整備されない地区も多く残っているような状況でございます。

 本会が調査いたしました宮城県内地区の被災状況は、申し上げますと、商工会の会館の流失が七カ所、会員の死亡、安否不明とを合わせまして三百二十三名、被災会員数一万八百十四、被災建物、設備等一万六千五百八十七。県内商工関係の被災総額が七千億と聞いております。その中の二千百億が商工会関係でございます。極めて甚大なものであり、今後、調査が進むにつれて増加するのではないか、こんなふうに思っておるところでございます。

 震災後の相談件数は、資金繰りなど二千二百件以上に上っておりまして、今後は、事業再開の資金の相談とあわせて、いわゆるダブルローンについての相談が増加するものと思われます。

 具体的な事例の一つですが、仙台港でクリーニング業とフランチャイズで小売業を営む会社においては、津波により、クリーニングの工場と店九店舗のすべての建物が全壊し、既存リースの残高が三億六千万円程度あり、ボイラー、大型洗濯機、排水プラント、車両、大型冷蔵庫等のリース設備が全壊して、その返済だけが残っている現状であります。

 事業を再開しようにも、建物の復旧に一億四千万円、設備、機械の復旧資金と合わせると五億もの資金が必要。これまでの積み上げた会社の利益をすべて吐き出しても、二億円の資金が不足しているほか、既存のリース支払い三億六千万円が待ち受けているという現状であります。事業継続を含めて、今後、返済計画に頭を痛めている状況でございます。既存債務の返済負担を抱えるマイナスから出発せざるを得ない窮状の理解をいただきたいと思います。

 さて、国におかれましては、五月の二日、補正予算を成立させていただき、中小・小規模企業に対しての支援策を講じていただきましたことに感謝を申し上げます。

 しかしながら、被害がかつて経験したことのない想像を超える規模であることから、被災地域の中小・小規模企業の復旧復興に向けて、思い切った手法と強い決意を持ってお取り組み願いたい。

 特に、復興にスピード感をということであります。事業再開がおくれると、事業者は注文がなくなり、従業員がほかの地に移り、地域には住む人がいなくなってしまいます。地域のブランドもなくなってしまうわけでございます。

 さらに、復興の遅い日本企業に注文は来なくなり、ほかの国からの調達が進み、地域のみならず日本経済が打撃を受けますが、スピード感を持って施策を展開していただきたい。

 具体的要望ですが、第一に、中小・小規模企業に対するものです。

 仮称復興支援融資制度の創設であります。新規融資については、無利子、無保証、長期、別枠保証のように、企業の復興を支援する融資制度を創設していただきたい。

 次に、先ほど事例を申し上げました二重ローン問題の救済に向け、既存債務の棚上げ、もしくは公的機関による買い取り制度を創設いただきたい。また、リース料についても同様の措置をお願い申し上げたいということでございます。

 さらには、原状回復のための設備資金等に対する助成制度の創設であります。

 地域の雇用を生み出す企業の事業再生を支援するために、原状回復のための設備、車両等の資金に対する助成金の制度を創設していただきたい。また、省エネ対応により設備投資を行う企業には別枠で助成金制度を創設していただきたい。

 次に、水産関連企業の重点支援であります。

 被災沿岸部では、漁業とあわせ魚市場、水産加工、造船、製氷、運輸等水産業関連企業が一体となり地域経済を形成しております。地域の復興のためには、漁業とあわせて水産関連企業を重点的に支援していただきたい。

 次に、風評被害対策の強化であります。

 被災した東北は、観光資源の宝庫であります。これらの早期再生と観光自粛、風評被害の早期払拭を行うために、地域の安全性については、正確かつ迅速な情報を積極的に発信をしていただきたい。お隣岩手では、平泉の世界遺産登録が予定されております。この機会をとらえ、被災三県を回る観光復興キャンペーンを、国内はもとより東アジア、東南アジア等、世界に向けてお取り組みをお願い申し上げたい。

 また、被災した下請企業への支援、職場を失った労働者や就職難、内定取り消しで困っている学生さんへの起業支援策を講じていただきたい。

 次に、復興市・復興物産展等の開催費の助成であります。

 被災地域の観光資源及び地元産品等をPRするため、復興市・復興物産展等を開催するための予算をぜひ講じていただきたい。

 最後になりますが、今回の被災に、全国の商工会関係者からの七億円を超える義援金が寄せられております。この義援金は、全国の商工会員事業所が、苦しい経済環境の中、被災地の中小・小規模企業の復興のために拠出をいただいたもので、我々も大いに助けられているところでございます。

 法に基づき設立されている公的団体の商工会、商工会議所が三月十二日以降集めました義援金について、日赤や中央共同募金会等への義援金と同様に、寄附いただいた方に全額免税の措置を講じられるよう、我々被災者からの切なる願いとして、ぜひとも実現をしていただきたい。

 以上、御要望申し上げます。

 本日は、まことにありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、菅原参考人にお願いいたします。

菅原参考人 JA宮城中央会副会長を仰せつかっております、ちょうど三年前の岩手・宮城内陸地震の震源地でもありました栗原の栗っこ農協の組合長の菅原章夫と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、先生方には大変お疲れのところだと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 まずもって、今回、このような震災からの復興に関し現場の意見を聞く機会を与えていただいたことにつきましては、心から感謝を申し上げる次第であります。被災地の現状と国に対する要望等を申し上げさせていただきますので、ぜひお取り上げをいただきまして、政策反映いたしますようにお願いをいたしたいと思います。

 さて、三月十一日の東日本大震災でありますが、宮城県は、九千人を超す犠牲者、さらには五千人を超すいまだ行方不明の方々がおられますし、三万人を超える避難所生活をしていられる方々がいるというような現状でございます。

 そういった中での農業の生産基盤につきましては、まさに未曾有の被害を及ぼしまして、現在に至っても、特に津波被害を受けた地域におきましては、復興どころか復旧さえもままならないというのが実態であります。

 五月二十三日現在の農業、畜産関連被害額につきましては約四千八百億円に上り、このうち津波被害額は約四千六百億円と、その九六%を占めております。

 その主なものは、揚排水機場の損壊、農地の浸水等の被害額が約三千六百億円。それから、東北一を誇るイチゴ団地、今百町歩ほどの団地があるわけでありますが、その九割が壊滅をしておりますけれども、そういったイチゴを含む園芸施設、乾燥施設、農業倉庫等の損壊等の被害が約三百十五億円、トラクター、コンバイン、田植え機、乾燥機等の農業用資材被害が約一万四千台で四百三十五億円、農作物の被害額が約六十六億円というふうになっております。

 津波による農地の流失、冠水面積は、国の発表によりますと沿岸部の八市六町で一万五千ヘクタールに上り、本県全耕地面積の一〇%を超えるというふうな中身であります。

 このうち、作付不能水田につきましては約一万ヘクタールに上ると見られておりまして、県内あるいは県外におきましても、その補てんをする、要するに少しでもその支援策となり得るような手段として、JAグループといたしましては、内陸部でその面積を少しでも肩がわりして、共補償で支援をしようという取り組みを今しているところであります。

 また、その一方、津波等による浸水がないにもかかわらず、下流域の二次災害防止等の観点で水稲作付を自粛せざるを得ない面積が約六百五十ヘクタールであります。これは当然、水田に水を引いて排水をするわけでありますから、排水をする際に、排水の堀がまだ瓦れきなり泥等に埋まったまま、それから、なおかつ排水機関場は全部壊滅状態でありますから、そういった環境を踏まえて作付できないという面積であります。

 なお、先ほど岩手の長澤会長からも話がありましたけれども、三月十一日と四月七日の余震、特に内陸部ではこれまでにないような激震でありますから、かなりの農業用資材なりあるいは農地、そういったものが大変な被害を受けているというのもそのとおりであります。特にパイプラインの地点につきましては、作付できるかどうかというのも非常に危ぶまれたわけでありますが、これは国の計らいでかなり早急にやっていただきまして、何とか田植えにこぎつけることができました。大変本当にありがとうございます。

 こういった甚大な被害をこうむった宮城でありますけれども、農業県としてやはり何としても、農業の復興なくして地域の復興はない、つまりは、農業の復興がなければ宮城そのものの復興はあり得ない、こういう気構えを持ちながら、我々農業団体もいろいろな形で、地震でみずから大きな傷を持っている中で沿岸部に対して継続的な支援策を今持続しております。

 当然、これは長引くわけでありますから、こういったことを踏まえて今いろいろな支援策を出しているところでありますが、しかしながら、我々農業団体の力だけではどうにもならない部分がこの未曾有の大震災においては数多くございます。先ほども、いろいろ各会長さん方からお話があったとおりでありますが、ぜひこれは、国のお力添えを得て、復興に我々も一生懸命頑張っていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 なお、大きく六点について御要望を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず一点目は、当面の被災農家の収入確保対策であります。

 これは、津波によって被災農家は一瞬のうちに生活手段あるいは生産手段のすべてを失ってしまったわけでありますから、その収入の道も閉ざされております。現在行われつつある農業関連の災害復旧事業や公共事業において優先的に被災農家を雇用していただくように、国の強い指導をお願いいたします。

 なお、第一次補正予算で実施される水産業の漁場復旧対策支援事業のような、要するに、一日当たり一万二千百円の支払いといった日当方式、これは非常にわかりやすい方式でありますが、ぜひ、そういった方式も農業者の方に創設をしていただきたいというふうに要望したいと思います。

 二点目は、国からの復興への明確なメッセージを早く出していただきたいということであります。

 震災によって営農手段を失った被災農家は、営農意欲を徐々に失いつつあることが今一番心配されております。何としても将来の希望と農業復興のためのグランドデザインを、工程表をもって国等行政が早急に示していただきたい。いつまでにここの農地がこんなふうに再生をされるといった見通しがはっきりすれば、被災農家も現在の厳しい状況に耐えて、営農意欲を持続できるというふうに確信をしております。

 三点目は、国による農家負債の整理の支援でございます。

 被災農家が農業経営を再開するに当たっては、新たな負債が発生し、震災前に負債を有する場合に、要するに、借金に借金を重ねる、こういった二重債務になってしまいます。そうなれば、農業経営の再開が当然できかねるというような事態にもなっておりますので、ひとつ農業に関連する震災前の負債につきましては、国による債務の買い上げや超長期的な返済棚上げなど、被災農家に対する債務の整理をぜひ行ってほしいと思います。二重債務問題を放置すれば、被災農家の離農につながるばかりではなくて、債務者の自己破産や金融機関の債権放棄により地域金融機関の経営に大きな影響を及ぼしかねないので、よろしく対応をお願いいたします。

 さらに、被災農家には土地改良事業の償還残金を有する者が多数おります。津波被災地域の償還金残高は概算で二十二億円ともなっておりまして、これから償還がなかなかできかねる、そういうふうな状態でございますので、何とかして全額免除措置を講じていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 四点目は、農地等農業生産基盤の早期の復旧です。

 農地等が日に日に復旧していく姿を見ることが、農家の営農意欲を高めることにつながります。そのため、国の責任において、農地の瓦れきや堆積土砂の撤去、塩分除去等の処理及び用排水場、用排水路の復旧措置を速やかに講じてほしいというふうに思います。特に農地については、地盤沈下や堤防の損壊により、今後とも農地として再生が可能なのか懸念されるところでもあります。再生可能な農地と不可能な農地の線引きを早期に行い、再生が不可能な農地につきましては、国が一たん買い上げして、土地利用計画において緑地や公園等の公共用地として活用するなどの措置を行うことをお願いしたいと思いますし、再生可能な農地につきましては、将来の担い手への集積等も見据え、農家の合意のもと、必要に応じては国による買い上げ、貸し付けなどの支援措置も講じていただきたいというふうに思います。

 五点目は、農業機械等生産財の整備に関してであります。

 第一次の補正予算によって東日本大震災農業生産対策交付金が措置され、生産財の整備ができるようになりましたが、基本的に個人は対象となっておりません。面積要件があるなど、ハードルが高い内容となっております。利用できないというような現場の声が今かなり出ておりますので、せっかくの措置でありますから、生産現場が実情を踏まえてそういったことをできるだけ活用できるように、要件の緩和をぜひお願いしたいと思います。このほかの補助事業につきましても、こうした緊急時でありますので、できるだけ手続の簡素化をお願いいたします。

 六点目は、将来希望が持てるような、安心して営農が継続できるような農業政策の確立をぜひお願いしたいという点であります。

 せっかく設備の投資を行い営農再開しても、再度津波等の被害が懸念されたり、原発事故の被害が及ぶ、あるいはTPPにより外国農産物に国内市場を奪われてしまい、営農継続できない状況になるのでは、安心して営農再開できないことになりますので、ぜひこういったこともお願い申し上げたいと思います。原発事故の早期収束と、TPPへは参加しないという明確な表明をぜひお願いいたします。

 以上、要望事項を申し上げましたが、ぜひ実現いただきますようにお願いを申し上げまして、私からの陳述とさせていただきます。

 大変ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 それでは最後に、木村参考人にお願いいたします。

木村参考人 私は、宮城県の木村と申します。

 漁連の会長を六年、合併をしまして、合併組合を四年、丸十年やっていますが、このような未曾有の津波あるいは地震等々に遭ったことはありません。私は七十七歳になりますが、年上の人たちに聞いてみますと、明治二十何年か、大きな地震が来たということは聞いていますけれども、そのときは、家族も少ない、部落も地域も人も少ない、割合に人の事故が少なかった。今回は、私も、東京に全国会長会議で足どめを食って二日いました。それで、五日目でようやくうちに帰ったんですが、ここにおられる委員長さんも家族を亡くしたというんですが、私も嫁と孫を亡くしました。それで今、作業倉庫で暮らしております。

 マグニチュード九といっても、うちは全然つぶれません。あの津波は、人も財産も、それこそ全部持って去りました。瓦れきが残っているだけで、何もない状態でございます。

 私は、牡鹿半島という安住淳君のもっと鮎川寄りのところですが、金華山の東に向けて一番強い波が来たと思います。谷川、大谷川、鮫の浦、前網、これは一軒のうちもありません。人もいません。瓦れきも持っていって、港に何もありません。本当に私、帰っていって回ってみたらびっくりしました、ここ、どこさ行ったんだいと。やはり、部落、部落が二十人以上さらわれて、いまだ揚がっておりません。うちの地域も二十人ほど亡くなったんですが、十人ほど見つかって、まだ見つかっておりません。

 皆さんには、大変御支援そして支援物資等々をいただいて、本当にありがとうございます。

 それから、自衛隊には大変助かりました。道路をまず最初に確保していただいて、瓦れきを取ってもらった。その次、五月に入ってボランティアが何千人と来まして、水が流れる川、堀の整備を、真っ黒になって汚れて、それこそ我々にできないような仕事をして、水が流れるようにしていただきました。本当に感謝しております。

 それから、今は、海を預かる我々とすれば、若い漁業者は、瓦れき、すぐさまたるを拾ったり資材を拾ったりして、全部放棄した形で、みんなで、仲間で集めました。地域で集めております。それから、船が一万三千五百あったやつが、一万二千なくなりました、一万二千。ほとんどないです。

 私は、その船をまず利用して、道具はほとんど納屋、作業場、浜にありますから、道具も一緒に流されました。道具を持っている人は何ぼもございません。でも、道具を持っている人は道具を出す、あるいは漁具を持っている人は漁具を出す、それで持ち寄って、最初はイカ釣りなり、あるいはその辺にあった船に乗り組んで漁業をしなさいと。

 それには、市場が必要です。市場は、私も女川の市場の社長をやっていますが、六月一日から早速始まります。定置網二カ統、金華山でやりますので、その分を売っていかなければいけないから、やります。

 それから、サンマ等々がこれから来ますが、どこも製氷工場はございません。岩手も多分少ないだろうと思います。それから、買い受け人、そして加工、これが三足そろわないと、漁師が何ぼ頑張っても金を取れないということでございますので、その辺は買い受け人組合とも話をしながら進めております。

 そしてまた、我々漁業とすれば、漁船漁業は共同でやるにしても、養殖漁業は、第二回経営管理委員会を開催して、震災後間もなく二回目の会合をして、グループ、そして協業、そして激甚災害を利用できないのかという質問がございましたから、私もわかりませんので水産庁にただしました。

 そうしたら、それを使えるということでございますので、被害のない漁業者もあります。松島、万石浦、それから唐桑、宮城県でも湾の大きい地域は被害が少ないんです。だから、漁業者は、個人で頑張るのが漁業者でございますから、そういうところは激甚災害を使ってくださいと。三点を宮城県の支所長に提案しまして、漁業者がどれがいいかみんなで選んで、それを望んでやってください、こういうことを言っておりました。

 そのうちに、村井君が何だか、国でやるの会社を入れるのと言い始めたので、私たちはそれに注文をつけました。一回も私たちとは話がない中で、何で国でそういうことを話するんだ、仁義が違うだろうって。おれさ謝りに来いと言ったよ。仁義が違うって。許すも許さないも、やはり水産を預かっている我々さ話を持ってこないで、何でこそこそとやっているんだって。

 そういうことで、今度、今漁師の方から署名運動をするということですから、署名が何万人集まるか、集めて、百人以上になると思いますが、運営委員と我々経営管理委員と、もう一回知事に折衝します。やはり取りやめてもらいたいと。

 そういうことをなぜ言うかというと、私、小学校のときに、昭和二十四年、五年あたりに、今もあるけれども、マルハという会社が捕鯨会社をやっておりました。でも、種ガキを輸出するのに、フランスとカナダに輸出が始まりましたので、我々はつくって、マルハが売り渡した。

 バラストで積んできた水を、貨物船が空で来れないから、バラストで水を積んできて、捨てた水からふえたムラサキイガイ、あれは日本になかったんですよ。フランスから持ってきて、水を捨ててふえました。養殖さ、雑草と同じで大変困ります。そういうものとか、それで、輸出がだめになればすぐ去っていきます。それから、女川のギンザケ。これも借金をつくって、漁業者さ借金つくらせて、帰っていきました。

 うちの方では、漁業というのは、子々孫々まで漁師は漁業を続けて、そこに住みつくのが漁村であって浜であって、そうでない人はおか上がりするんですから。それで、私がいる以上は絶対、会社を持ち込んできて公務員のように給料をとるなんて、もってのほかだと。漁師は、一日行って、見えないものが百万も百五十万もなるんですから。だから、そういうことは絶対受け入れられないということを断ってくるという気持ちでおります。

 それから、瓦れきの問題、海の中、全然進んでいない。何をやっているんだって言うてよ、国会の先生方。本当に進んでいない。あれをよけないことには養殖も船もあり得ません。海の中に、たるにいっぱい養殖物がぶら下がって、固まって、いっぱいありますよ。おれは県知事に、来て見たことがあるかと言ったよ。おまえ、浜に来て見たことがあるかと。あれをよけないことには漁業はできない。これが一番。

 それから、港の集約化。港の集約化については私もそのとおりだと思いますが、後継者が一〇〇%あって水揚げも多い地域、そういうのは集約せぬでもらって、やはり順番なりあるいはその辺を上げてもらって、それで、何も金をかけなくてもいいと私は言っているんですよ。

 今生きている岸壁を、ビットという、綱をつけるビットが水をかぶっているんだから、一メーター二十ぐらい下がっているから、先の方は、鮎川の方は。ですから、あのとき、五トンぐらいの組み立てのブロックを並べて、それで大きな瓦れきを埋めて、次に小さいやつをやって、そうして岸壁をつくって、ひとつ金のかからない岸壁をつくってほしい、こういうことをお願いしました。まず一つ、国の方にも、ぜひ地域の活用を図るためにもそういうことをやってほしいと思います。

 さっきの、知事が言っている話と別に、我々は今やっていますから。養殖は始まっています。種ガキのあるところはもう種つけが始まっていますから。刺し網も、二十五日に福島の公害問題を調査してくれて、その魚を検査してもらうというふうになっていますので、二十五日に明快にわかると思います。それから漁業を始めようと。養殖の部門は、ワカメは種とりがこれから始まりますが、それから、カキも種とり、ホタテ等々は種をとったり北海道から買ったりしてやっていますから、その辺も十分時間がありますからやれると思います。

 私は、絶対に、民間を入れてやるという考えはどうも好まないということでおります。

黄川田委員長 木村参考人、十五分が過ぎていますので、質疑の中で堂々と元気いっぱいに答弁してください。

木村参考人 まず皆さん、どうもありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。

 特に、時間がなくて、参考人の方々には大変申しわけございません。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石山敬貴君。

石山委員 民主党の石山敬貴です。

 本日は、九人の参考人の皆さんにわざわざ東京まで来ていただいて、本当にありがとうございます。

 お一人お一人の会長さん、組合長さん方が、それぞれの業界において、この二カ月半、被災者という立場を超えてリーダーとしてやっていただいている、そのお忙しい合間を縫って、やはり私たちも、政策をつくっていく上で、今回の復旧復興を行っていく上で、本当に皆様の声を参考にさせていただきたいというふうに、また改めて痛感させていただきました。また、木村会長、お身内を亡くされたというこの状況におきまして、本当にお悔やみ申し上げます。

 それでは早速、時間もございませんので、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと青森のことから聞かせてください。きょうは、林会長、工藤会長、榊会長、来ていただいております。

 よく被災三県ということで、青森が、どうしても余り状況というのが伝わってこないといったような事実がございます。しかしながら、午前のこの委員会におきましても、やはり福島原発、このことが今回の震災の一番根っこにあるということで、非常に議論になっております。その中におきまして、青森は、新幹線が青森駅まで到達して、観光も含めてこれからだというときにあの震災に遭われました。また、今、下北半島には、東通を初めとする原発また関連施設等がございます。それに対しまして、率直な今の県民の事情、その考えというものを、あらあらでよろしいので、林会長の方から代表でお願いいたします。

林参考人 今回の東日本大震災、これはどちらかというと自然災害的な要素なわけでして、それによって福島第一原発の事故までつながったということでして、青森県における原発に対する我々の考え方は、一つは、御承知のとおり、六ケ所村に、原燃サイクル、いわゆるサイクル事業というのがございます。それから、今、東通に東北電力の東通原発があります。これは今点検でちょうど中断しておりますけれども、いわゆる稼働している原発です。それから、同じ東通に東京電力の東通原発が建設開始になりました。それから、大間町にいわゆる電源開発の原発が今建設中であります。この福島原発の災害によって、すべて一時中断はしております。

 私どもは、原子力利用につきましては、一つは、日本のエネルギー問題から考えたときには、これは推進していかなきゃいけない、少なくても次のエネルギーが考えられる間はやはり原子力を利用していかなきゃいけないという意味もありまして、私自体も青森県における原子力の関連のいわゆる委員もしておりまして、その推進に当たってきました。

 この間、学者の先生それから通産関連の原子力委員会ないし安全・保安院からもいろいろなお話を承って現在まで来たわけですが、今考えてみますと、原子力関連については絶対に大丈夫なんだ、事故が起きても絶対に大丈夫だ、そういう印象があった。印象があるということは、そういうお答えをいただいてきた。しかし、今回の福島原発のような状況になった。これは、よく考えてみますと、想定外の災害といいますけれども、やはり原子力を利用する施設に関しては想定外があっちゃいけないということは、今回初めて私どもが感じた気持ちです。これは素直な気持ちです。

 したがいまして、今後、青森県内における原子力関連の施設につきましては、当然、青森県民の立場からして、想定外を想定した対策を絶対的にとっていただきたいということをお願いしていかなきゃいけない問題だというふうに思っていますし、これが日本の原子力の今後あるべき姿だろうというふうに私は思っております。

 以上でよろしゅうございますか。

石山委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、商工会の方からは、岩手の千葉会長、宮城の方から天野会長に来ていただきました。あと、漁協の皆様、農協の皆様からも、ひとしく二重ローンの問題ということを随分と意見としていただきました。

 この委員会におきましても、一昨日、きのうと、やはり二重ローンの問題、二重債務の問題が取りざたされておりまして、もちろん、これだということを皆様に今お話しすることはまだできないんですが、債務放棄、または出資、または基金のようなものといったような形で、さまざまなことで政府の方も動いているといったような状況だということでございます。

 その中におきまして、千葉会長と天野会長に質問させていただきます。

 中小企業はもちろんそうです、そして、商店街の各個人商店、これは、地域の、いわゆる町の中の中核におきまして非常に重要な役割、コミュニティーの役割も含めて果たしてきたわけです。しかしながら、こういう本当に小さい商店が今回の津波によりまして流された、または、建物は残っているが商品とも全部持っていかれたということで、再建どころか、今、一日の生活資金にも困るといったような事情があると私の耳にも随分入ってきておりますが、その点につきまして、簡便に実情を教えてください。

千葉参考人 先ほど、いろいろ被災した商工会の状況の中で、調査の段階ですが、七割の方が事業を何とか継続したいという声がございます。

 今現在、行政とのまちづくりをスタートしなければならない、町をどこにつくるか、そういう地域がございます。その地域を除いては、いわゆる仮設のテントあるいは仮設の店舗等でミニ商店をもう形成しまして営業活動に走っておるところがございます。

 いわゆる被災場所、避難所に生活する方は、もうそろそろ自分たちの買い物をしなければならない、そういう時期に来ておりまして、遠方二十キロとかに、町に行って買い物をする年齢じゃなくて、年をとった方がおりまして、いわゆる買い物難民の方が多うございます。早速、商店街形成、商店形成を急いでやらなければならないということで、今、商工会の取り組みとしまして、合併が進んでいる秋田県等に呼びかけまして、テントをいただいて、それを仮店舗として営業活動に入っております。

 次の段階に進むとなると、今度は共同店舗が必要だろう。そういう仕組みを示していかないと、我々の組織としては支援体制が組めないということで、長いスパンの中でそれを徐々にやっていこうというふうに思っております。

 今、商工会活動の中で、もちろん商工会館もなくなったところもありますし、いろいろな機材が津波に流されまして、商工会機能が全く停滞しているところがありますが、全国各地からそういう支援物資をちょうだいしまして、やっと、パソコンあるいはコピー機というものがそれぞれの商工会に行き渡りまして、今正常な活動に戻りつつあるところでございます。

 長い目で国の施策としてそういう支援をしっかりと示していただければ、我々も今後とも末永く組織を挙げて取り組むこともできるということでございます。

 一応、岩手県はそういう立場で、県連、商工会との連携を密にして今活動をしておるところでございます。

天野参考人 石山先生のおっしゃるとおりでございまして、事業所も流される、資金も思うようにならないというふうなところで、今そういうふうな方々が大変多くいらっしゃるわけでございますが、今私どもでは、軽トラックを買っていただいて、都合していただいて、それでひとつ商売、それへの支援をしていこう、そういうふうなことで進めております。事業所、お店をつくってやるのが一番これはあれなんですけれども、それまで相当時間もかかりますので、当座食べていくのにはやはり日銭が入らないとどうしても、ないものですから、そういったような指導を今しているところでございます。大変困っておるところでございます。

 二重ローンについても、先ほど申し上げたとおりでございまして、ひとつよろしくお計らいのほどお願い申し上げます。

石山委員 ありがとうございます。

 先ほど木村会長は、今宮城県が、漁港の集約化、企業の参入といったような、一つの方針というんでしょうか、その中におきまして、企業はだめだ、集約化は考えてもいいといったようなお考えだというふうに理解したんですけれども、そのとおりでよろしいですか。

木村参考人 我々は、三点を提案しておりますから、漁業者がどれを選ぶのか、グループを組むのか、あるいは共同でするのか、それから激甚災害でやるのか、選んで申し込んできますから、それによって補助対象をお願いしよう、こういうふうに思っております。

石山委員 まだまだ聞きたいことがたくさんあるんですが、時間となってきましたので、最後に、菅原副会長にお話をちょっと聞かせていただきたいと思います。

 今回、最初、宮城県におきましては一万五千町歩近くの田んぼや畑が冠水して、そして、仙台の、閖上から南にかけて、非常に広大な領域が冠水しているといったような状況です。その中におきまして、前々から副会長からも伺っておりますが、もう農地は難しいんじゃないか、こういった農地は国有化でといったようなお話は聞いておりましたが、改めまして、この点について、具体的にはどういうことなのかということを端的にお願いいたします。

菅原参考人 今、石山先生からお話がありましたとおり、かなり広い面積でありますし、その中には、もちろんまだヘドロ、瓦れきがそのまま残って、それを除去するというのは、これは並みのあれではないなというふうに考えております。

 そういった中で、やはり、農地として再生できる地域と、それからとても農地としては再生できない地域、先ほどお話を申し上げたように、そういったところをそれぞれ分けて、国がそういったところを一たん買い上げして、その場合は当然、その農地の所有者とはお話はしなくちゃならないわけでありますが、買い上げをして、それを分けて、農地として利用できるものについては農地として再生、整備をして、そのまま払い下げをするとか貸し付けをするとか、そういう方法、農地としてできない分につきましては、公園とかあるいは緑地というような形の中で、別な用途にしてつくり直しをする、こういうような中身でぜひお願いしたいというふうに思います。

石山委員 ありがとうございました。

 もっともっといろいろお聞かせいただければと思うんですが、私の質問時間となりました。

 最後に、いずれにしましても、今回の震災復旧復興は、これは私の強い信念としまして、現場の皆さんからの意見を重視していかなければならないと思っております。どんな意見でも、絵そらごとになってはいけませんので、今回だけに限らず、常にこれから現場で起きていることを私どもに伝えていただくことをお願いさせていただいて、本日の私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 各参考人の皆さんには、被災地から、大変お忙しい中をお出かけいただきましたこと、まずもって心から感謝を申し上げたいと思います。先ほどお話がありましたように、御家族を亡くされながら現地の先頭に立っておられることに心から敬意を表したいと思います。

 私も実は六年半前に山古志村で地震の被災をいたしました。皆さんのところとは事情も広さも随分違いますが、災害を受けて六年半を経過したということで、少し皆さんに意見を聞かせていただければありがたいな、そんなふうに思うところでございます。

 皆さんの意見をそれぞれ聞かせていただいて、全員に質問したいのでありますけれども、多分、時間の関係で全員から聞くことはできないかもわかりません。総合すると、やはり地域で自立をしていきたい、そして、やはり伝わってきた農地や漁業を続けていきたい、そういう生業を守りながら暮らしていきたいという思いは、私には十分伝わってまいりました。

 そこで、我々国会が今やろうとしていることについて少し意見をお聞かせいただきたいと思うんです。

 場合によっては二次補正が秋になるかもわからない、復興計画は六月末に復興構想会議がまとめることを待って各地区におろしながらいくということについて、先ほどスピード感というお話もありました、そして一次補正ではまだまだ足りないというような御意見もございました。それぞれの立場で、そのことについて、二次補正に対する期待感も含めて、農協関係者のそれぞれの会長さんから、御三人から御意見をいただければありがたいと思います。青森からお願いいたします。

黄川田委員長 では、青森、岩手、宮城の順でいきます。

工藤参考人 我々現場としては、もちろん、自立をしたい、そして今、先祖伝来伝わってきた農地で今までどおり頑張りたいというのが本音です。

 青森県は他県に比べると幸い被害程度が少なくて、それは作物をかえることで可能かな、こう思っていますけれども、恐らくだれもが考えているであろう放射能の件に関しては、いかんせん、我々としてはどうしようもないというような状況でございます。この辺を、やはり国がしっかりとした対策をとる、そして一日も早く収束を見る、そんなことでお願いしたいな、こう思っているところでございます。

 以上です。

長澤参考人 岩手県は、御案内のとおり、農業が基幹産業の大きな県でございまして、その中でどうしてもやはり負債に負債を重ねる、こうなりますと大変厳しいわけでございます。

 特に、先ほどもお話がございましたが、それぞれの行政がまちづくりをするということによって、今まで住んでおった自分の土地の評価、価値観というのが限りなく下がってくる。したがって、融資をするのにも大変な難儀を生ずる。

 また、先ほど申し上げましたように、亡くなった方、行方不明の方は七千四百六名ということでございまして、亡くなった方からお金を取ることができない、こういうこともございまして、JAの不良債権が発生をして自己資本比率というのがどんどんどんどん下がってしまう。こういう状況でございますので、どうか、金融再編の強化法を、信組、信用金庫さんのような内容に取り組んで、JAの経営健全に向けた御尽力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。重ねてよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 大変ありがとうございました。

菅原参考人 私は三年前の内陸地震の経験があるわけでありますが、当時、栗駒の耕英という地域でありますけれども、あそこはだれが見てももう二度とこれは営農はできないのではないか、こういう状況でありました。

 したがって、市としては、ここの住まいを捨てて、下の方に土地を用意するからというふうな、そういう話があったそうでありますが、その方々は断じてこれに反対して、ぜひ山に戻りたい、こういう強い要望がございまして、農協にも営農を続けたい、こういう強い要望がございました。

 我々はそれを見て、農業というのはやはりそういう根強いものがあるんだなということを感じたものでありますから、これはやはり我々が中心となって何としても復興させよう、こういうことで、市にも働きかけをし、あるいは、いろいろな営農の再編に取り組む、そういう支援体制、万全の体制をつくったわけであります。例えばイチゴの苗の確保とか、あるいは荒れた農地の復興につきましては、青年部なりあるいはうちの若い職員が行って、すべて手作業で全部そういったことをやって、今やっと再生して、きのうも会ったんですが、ことしは立派なイチゴがとれたというふうに喜んでおりました。

 したがって、農業者は、今この現状を見ますと、その場を離れてほかの職場につこう、そういう状態ではないんですね。やはり何としても農業を続けたいという強い意思がありますから、何としても我々としては農業を続けさせたいというふうなことで、いろいろJAグループで今支援をとっているわけでありますけれども、国でも早速第一次補正予算で四兆円組んでいただきましたが、やはりその規模ではあの全体の規模を修復するのは不可能だと思いますので、ぜひ、第二次予算、大型補正予算を組んで取り組みを、先ほどもありましたように、スピード感を持って、できるだけ早い、目に見えるような、そういう計画をつくっていただきたいというふうに要望いたします。

長島(忠)委員 国会議員の一人として、やはり皆さんに希望を与えるためにも、補正予算は早期に成立することが望ましいと思いますので、私も全力をもって取り組んでまいりたいと思います。

 そこで、一点だけ。今、先祖伝来の暮らし、あるいは地域で支え合った暮らし、それは漁業と農業だけではなくて、そこに暮らす人、場合によっては労働力として参加した企業をどうやって守っていくかということがやはり地域を再生する大きなかなめだろう、私はそう思っています。

 先ほど、二重ローンの問題がいろいろ話題になりました。この問題を議論していくと、突き詰めるところ、では、二重ローンをどうやって金融機関が協力していただけるのか、そしてそこを国が補てんしていっていただけるのかということに尽きてくるのかなという思いがあります。そのことは、また皆さんそれぞれの地域で要望を聞きながら、我々に伝えていただきたいなと思うのであります。

 先ほど一点だけ、仮設暮らしを長く続けて農業や漁業から離れると、再営農、再漁業というんですか、その意欲が減退をしてしまうのではないか、仮設暮らしの中でもそのことに参加をさせていく、目標を示すべきではないか、そしてその中で、高地への移転等ではなくて、やはり防災、安全、安心は前提だけれども、そういったコミュニティーづくりの目標を早く示してほしいというお話が実はございました。

 浜の生活が喫緊の課題となっているそれぞれの地域の漁業関係者の皆さんから一言ずつ、そのことについてコメントをいただければありがたいなと思いますので、榊参考人、大井参考人、木村参考人の順で一言ずついただければありがたいと思います。

榊参考人 私は漁業者じゃないので、加工業者なんですけれども、これから加工業界がどういうふうに立ち直っていくかというふうなことについて、いろいろ私自身考えました。

 船が相当被災している、それによって卸売業者も大変な被害を受けています、岸壁等、水揚げが非常に困難、魚は待ったなしに盛漁期になると揚がってきます、それをどういうふうに処理していったらいいのか。

 それについては、加工業者だけじゃなくて、一連の生産の流れ、それには資材もかかりますし、運送業、魚を運ぶというふうなことも非常に重要な役目をしております。それにも増して、今現在、八戸港は意外と被害が少ないんですけれども、冷蔵庫そして凍結というふうなものをどういうふうに拡充していかなくちゃいけないか。ただ水揚げをして魚を腐らせちゃどうにもなりませんので、そこいらの整備がこれから非常に重要になってくるというふうに思います。その点を整備しながら全体をまとめていくことが、加工業界のこれからの復興につながっていくと思います。

 以上です。

大井参考人 済みません、質問してください。

黄川田委員長 もう一度、長島先生、お願いします。

長島(忠)委員 浜の生活を続ける上で、高台高層住宅みたいな、国で議論していることと現場で望んでいることのギャップはないのかどうか、少し聞かせていただきたい。国は高台高層住宅、浜で生活する者にとって、浜の生活というのはそこでクリアできるのかどうか、端的に。

大井参考人 水産業界は御承知のとおり海の仕事でございますので、住民の生活は高台、今仮設で十分、もう入っている方もありますし、すごく自治体の方でやっていただいているわけですけれども、水産業界はまだまだ、今瓦れきを撤去した程度でございます。

 これから水産業界は、季節の魚がその時期には来ます。ちょっと待っていてくださいというわけにいきません。だから、次はカツオ、次はサンマ、アキサケと来るわけです。このアキサケは定置漁業でとるんですけれども、海底にすごい瓦れきがあるわけです。これの撤去が、おかが終わりましたから、次は海の中の掃除をしなけりゃなりません。網を設置するわけでございますけれども、秋の漁までに作業を終了しなければ設置できませんので、これが大きなこれからの課題でございます。

 それから、あとは、水産は、とる方、生産者があって、魚市場があって、後は冷蔵庫、加工屋さんと行くわけですけれども、どうしても浜の方はやはり浜辺でなければできないと思います。住民の方はそういう体制ですけれども、水産業界は、その施設に避難場所とかを設置してやるほかないんじゃないかなと思いますね。その程度でよろしいでしょうか。

長島(忠)委員 ほかの人に迷惑をかけたくない、木村参考人には大変申しわけないんですが、私の質疑時間が来てしまいました、端的にお答えをいただけますか。

木村参考人 私のところは百七十戸ぐらいあったんですが、六戸ぐらいしか残っていませんで、それで、地盤が一メーター二十ぐらい下がっていますから、大半は、高台に住居を置きたい、作業場は下に設置したい、そういうことで今みんな動いています。高台から下がったって、車で五分かそこらですから。そういうことです。

長島(忠)委員 済みません、ありがとうございます。時間配分がうまくなくて、十分に御意見を聞くことができなくて、申しわけありません。

 私は、地域の再生はやはり生業の再生、そして、そこに住む人の再生だと思っています。災害復旧の目的は自立をしていただくことだと思っています。皆さんから、自立をして、行政や地域に参加をしてもらうことだと思いますので、ぜひ皆さんが先頭に立って御活躍いただきたい、そのことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 本来であれば、我々がお伺いをしていろいろ御意見を伺わなければならないところ、わざわざこちらまで来ていただいて、こういう形で御意見を伺わさせていただくこと、本当に心から感謝を申し上げますとともに、我々も、皆様の御意見を本当に身に体して復興のために頑張っていきたい、このように思っております。

 それでは、時間がありませんので、早速お伺いをさせていただきたいと思いますが、まず、商工会関係の三人の方にお伺いいたします。

 まず林さんと天野さんに、観光の振興ということがこれから復興で大変重要になる、特に外国人に来てもらう。私も昨夜、ある大使館に行って外国の方といろいろ話をしてきたわけですけれども、その方々が心の中をおっしゃるのに、東北に行きたい、しかし、被災されている東北に観光目的で行くということに心の中のある抵抗を感じる、このようにおっしゃっておりました。ある意味で正直な言葉かと思います。

 その壁を乗り越えさせなくてはならないわけですけれども、この点について、私どももいいアイデアがないわけですが、何かお考えがあればということと、それから千葉会長には、御提言の中で、宿泊型の職業訓練というお話をされました。これがちょっとイメージがわかなかったものですから、このことについてちょっと具体的にお話をいただければと思います。

林参考人 先生のおっしゃるとおりでありまして、私も、青森県の観光連盟の代表もしておりまして、東北新幹線の新青森駅開業、全線開業、昨年の十二月四日に開通したわけですが、それまでいろいろ準備してまいって、そして、この新幹線全線開業が、私ども地元が望んでいた区間がやっと三十八年目にして実現したんです。長い間悲願でございました新幹線が、全線開業した。

 これは、一つは、まず本州を見た場合に、ちょうど八戸から青森まで残された約九十キロ、この間だけ新幹線が残ったわけですよ。全線開業する前は、八戸で乗りかえて青森まで、そしてまた北海道までということになっていたんですが、やはりストレートで来るという感覚と、乗りかえで、乗り継ぎで来るという感覚と、これは観光をする方には非常に大変なマイナス、ハンディなんですね、私らなんかから見ますと。そういうことで、大分いろいろ、受け入れのための手出しはしてまいりました。

 そうして、その開業と同時に、十二月、一月、以前に比べたら二〇%、三〇%の増加を見たわけですよ。この分でいきますと、恐らく、春の桜、そして夏場のねぶたとか、いろいろな県内のそういう祭りを見ていただくと、まあ三〇%から五〇%ぐらい期待できるなと思っていたやさきに、三月十一日のああいう大震災ということになったわけです。

 すべての鉄路が中断いたしました。残されていたのが空路だけでした。それともう一つは、やはりあの震災で観光を自粛しようというムードが強かったと思います。途端に、予約を受けたお客さんから、当日からゼロ。ゼロがずっと続いてきたということで、本当にどうなるんだろうということで大変心配いたしました。

 JR東日本さんのおかげで新幹線が四月の二十九日に再開されたわけですが、この四月二十九日というのは、我々青森では、弘前の桜祭りとか、日本で有名な春の桜を見られる大きなイベントがございまして、これに間に合ったなというふうに感じました。それまでは、二十九日に再開するまでは、弘前の花見でいつも宿泊場所が超満員で、お断りすることがほとんどだったんですが、その震災でゼロになっちゃった。

 二十九日に再開するということで、同時に、七〇%まで復活したわけですよ。そうして実際に祭りに突入いたしまして、その期間中は一〇〇%まで復活した。そのまま続いていってくれればよろしいんですけれども、やはりその祭り期間、花見の期間が終わったらまた少し低下したということで、これではもうだめだということで、私ども、青森県と観光連盟とJR東日本と一緒になりまして、以前から計画していた四月二十三日からの青森デスティネーションキャンペーンというものを、中止しないでそのままやっていこうということでやっておりますが……

黄川田委員長 済みませんが、残りお二方も御答弁いたしますので、簡潔にお願いします。

林参考人 申しわけありません。

 それで、この観光を何としても復活させなきゃいけないということで、リンゴの木を植えるとか、いろいろな植樹をしてもらおうというような新たなプランを立てて、それで何とか復活させようということで今頑張っております。何分、ひとつ皆様の御協力をお願いしたいと思います。

天野参考人 斉藤先生からは、観光振興についてどう考えているんだ、述べてみろ、こういうふうなことでございます。

 まず、私は、第一に、福島原発の一日も早い収束がなきゃ観光はなかなか難しいんだろうな、こんなふうに思っております。

 三月十一日以後の、国民の観光という考え方、とらえ方がちょっと変わってきたんじゃないのかなと。今、温泉場も、ほとんどが避難民でいっぱいでございます。料金を二分の一に下げてもほとんどお客さんがいないというような状態。ですから、政府においても、東電においても一日も早い福島原発の収束をひとつ願ってまいりたい。

 松島も含めて、宮城の温泉場もああいう沿岸沿いも十分観光ではまだ楽しめるところなんですが、そういうふうな状況が影響しているのかな、こんなふうに思い、大変観光というのはすばらしい要素なので、宮城県も一生懸命力を入れている分野でございますので、これからもひとつ適切によろしくお願い申し上げます。

千葉参考人 斉藤先生にお答えします。

 宿泊型訓練という言葉は、震災によりまして失業された方がたくさんございまして、そういう方々を支援する対策としまして、今、岩手では、温泉の宿泊施設、公共施設が、瓦れきの撤去のボランティアとかは今来ていますけれども、そこが引き揚げた後はほとんどがらあきの状態です。九月の半ばまではほとんどがらあきの状態なんですよ。普通ですと、海外の人が来て、もう予約成っておるんですが、こういう状況でございますので、そういう場所を失業者の支援の訓練として、宿泊しながら、こういう職業もありますよというような提案づくりというものをぜひとも国の施策でやっていただきたい。そうすると休館している設備も潤ってくる、相乗効果があらわれるだろうというような思いで御提案を申し上げました。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。

 残り時間が五分になりましたので、漁業関係を一問、三人の方からどなたか。それから、農業関係を一問させていただきます。お三人の中からどなたかお答えいただければいいんですが。

 まず、漁業関係につきましては、漁船のメーカーの方からお話を伺うと、とても生産が間に合わないということで、かなり、一年なり二年、希望に沿えない事態になるだろう、こういう声も聞きました。また、私、広島なんですが、広島に大きな漁網会社もございます。漁網会社もとても生産が間に合わないということでございます。そういう問題をどう克服して、漁業を離れていく人を防いでいくかということについて、我々もどこを支援すれば離職者を防ぐことができるかということを教えていただきたい。

 それから、農業につきましては、土地改良区などまだ二十二億円も残っているという話を聞いてびっくりした次第でございますが、地盤沈下とか、今回の地震によって大きく地盤そのもの、また地割れも大変なものがございます。そういうものとの関連で、具体的には国にどのような要望をお持ちか。

 この二点、どなたでも結構でございます、お答えいただければと思います。

黄川田委員長 できれば三県が偏らないように、漁業と農業を分けていきたいんですが。漁業の方。

木村参考人 宮城は九割なくなったということで、今残っている船、あるいは和船、船外機つきの和船、これは今、水産庁から、きのう県も入って指導がありましたが、壊れた分は保険でもらって、それを組合員に贈与して、組合員のものにして直す、それで復旧させて、五年間、組合で払うものは個人で一部を払ってやるということが決まりました。それで、そういうふうに集めております。

 それから、二十トン未満の船については、やはり今は造船もままならない、船も修理できないということですから、今ある船を活用して、さっきも言ったとおり、道具あるいは資材等々を持ち合わせして乗り合わせ、そういう形でやってもらいたいということは話をしてあります。

 財産を放棄する場合は、残存価格を、大体漁船保険等々でわかりますから、それらを含めて放棄簿というか放棄帳に記載して、それは最後に分散するときに持ち分を分けるというようなぐあいでやってもらいたいということを話してあります。

黄川田委員長 それでは、農業関係は長澤参考人にお願いいたします。

長澤参考人 震災によりますパイプラインの破壊関係につきましては、大きいのは、やはり宮城県の仙台平野は大変大きいわけでございます。この復旧につきましては、大変まだ時間はかかる、まだ国の予算も大変大事だとお願いを申し上げる次第でございますし、岩手県内の場合は、四月の七日の大きな余震、これでパイプラインが壊滅をしたわけでございますが、おかげさまで、国の大きな力添えで復旧に相なっているところでございます。

 それから、やはり何といっても、農は国のもと、こう言われますが、この精神を培っていかなければならないと思っております。教育には知育とか体育とか徳育とかとございますが、大事なのは、何といっても小さいときからの食育教育が大事だろう。どうか国におかれましても、この食育教育につきましての御予算等もよろしくお願い申し上げる次第でございます。

斉藤(鉄)委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。我々もしっかり頑張ってまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

黄川田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、九人の参考人の皆さん、お忙しい中、本委員会に出席いただきまして、みずからあるいは仲間の皆さんが被災した中、本当に貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 時間の関係で、多分すべての方に質問できないと思いますので、御容赦を願いたいと思います。

 本当は林参考人に最初に質問するつもりだったんですが、先ほど丁寧な答弁を聞いておりましたので、時間の関係で割愛をさせていただきます。

 ただ、最初にお話しされた三重債務という表現、まさに、今までの債務に加えて、これから新しく設備投資をするためには三重なんだという表現をされました。非常に印象的で、すべての方が債務の問題をお話しされて、これは本当に国として頑張っていかなきゃいけないところなんですが、そういう、三重なんだという立場で思い切った取り組みが必要だなということを改めて受けとめさせていただきましたので、お礼を申し上げたいと思います。

 それで、最初に、岩手の長澤参考人と菅原参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の河北新報で「水田除塩 作業進まず」、こうした記事が一面に載っておりました。除塩事業というのは、災害復旧としていろいろお金を入れたとしても、一年ではなかなか復旧は難しいわけで、二年、三年かかるであろう。また、先ほどのお話の中でも、機械ですとか排水機場の問題ですとか、さまざまあるというお話があったと思います。

 そこで伺いたいのは、県内調整の見通しがどうであるのか、プラス、県間調整などもあり得るのかという点で、それぞれのお考えを伺いたいと思います。

 私は、やはり二、三年かかったとしても、休業補償のような仕組みを持ちながら、次の生産は減らさないでいく。もう本当に、この間、東北でもたくさんの減反を続けてきたこともあるわけですから、県として、東北全体として、やはり食糧を維持していくんだということが必要ではないかなと思っておりますので、御意見を伺いたいと思います。

長澤参考人 岩手県の除塩関係の生産調整でございますが、岩手県は生産調整は大変順調に進んでおる。したがって、今回は、被害に遭った方々の出し手と受け手の関係でございますが、これは非常にスムーズにまいりまして、県外に御要請申し上げる段階ではない、県内で処理できる、こういう状況でございまして、今回のこの生産調整の定着化が大変顕著にあらわれている。

 ただ、宮城県は、先ほども申し上げたように、面積が膨大な仙台平野の場合には県外にもお願いをして、何とか当初の目標の八百万トンを確保しよう、こういうことで進めているところでございます。

 岩手県内の出し手、受け手は、まず順調に経営をいたしているということでございます。

 どうかこれからも、所得補償の関係についてもお願い申し上げてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

菅原参考人 今行っている除塩作業につきましては、比較的、海水のみが入った地域を今行っているわけでありますが、これは、何回も代かきをしながら水を取りかえたり、そういう方法をやっているわけでありますけれども、これも結果的には秋になってみなくちゃわからないんですね。

 もう一つは、もちろん、瓦れきとかヘドロがたまった状態での農地については、とてもこれは何年かかるかわからない。先ほど申し上げたように、そういった地域につきましては、やはり国の方で大区画整理なり、そういったことをぜひやっていただきたいということであります。

 我々が今進めているのは、例えば県内でありますと、主食用米をつくる田んぼについては、約五千六百ヘクタールほどが作付できない。その分を何とか県内で調整しながら、共補償という形で支援をしよう。あるいは、できない分については県間調整もやっているんですが、しかし、例えば宮城でありますと、今転作の関係については大豆が一番多いんですね。これは既に団地化されておりますから、それを今水田に変えるというのは非常に難しい。

 問題は、加工用米なりあるいはえさ米なり、あと耕作放棄地も含めて、そういったことを今何とか進めているんですが、これもなかなか思うように進んでいない。大体、目標の半分ぐらいまで今進んでいるわけでありますが、これからも、既にえさ米なんかは作付されておりますから、それを主食に転換するように、今そういった作業を進めているところであります。

 それから、何といっても、この除塩については、いろいろな方法はあろうかと思いますが、先ほど申し上げたように、単に海水だけが入ったものについては何とか二、三年で私は解決できると思いますが、全くそういう見通しのつかない点について、重ねて申し上げますが、ひとつ国のお力でぜひ圃場整備を行っていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 次に、青森の工藤参考人に伺いたいと思います。二点、済みません、時間の関係でまとめて聞きますので。

 例えば、青森のリンゴは毎年のように災害を受けてきました、霜やひょうや台風、あるいは雪ということで。やはり、そのたびに生産者から声を上げることでさまざまな制度も整備をしてきたと思うんですね。

 その中で、例えばリンゴの価格補償制度、今はJAが協力して県単の制度になっておりますが。あるいは、ことしから予算がついた、改植して育つまでの間補助をする。ですから、私が考えている休業補償に近いものになると思うんですけれども、そういう制度なんかもできてきているわけですよね。こういうことが今後の震災復興においても少しヒントにならないのかなと思っているんですけれども、御意見を伺いたい。

 それからもう一つは、先ほどTPPのことに言及をされました。本当に今、こんな震災でそれどころじゃないだろうと思っていれば、逆に、このすきにという形で入ってくるのではないかということも非常に危惧を持っているわけです。食料の大事さがわかった今だからこそ、TPPにはやはり入るべきではないということを思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。

工藤参考人 実は、私はリンゴ生産者農家の一人でございまして、五町歩ほどつくって、今、こういう仕事の関係で女房に非常に苦労をさせているというふうな状況でございます。

 ただ、今回、改植という部分では我々生産者としては非常に力強く感じておりますし、私も、当然、改植の事業に入っております。そういうことが、やはり今先生がおっしゃるように、被災を受けた関係者、農家では力強く感じると思いますので、菅原副会長、長澤会長が話をしたように、やはり生産現場の声を十分反映しながら、やれるものから順にやってもらいたい、こう強く感じているところでございます。

 この三月十一日、震災が起きる直前まで、我々は、TPPに関しては絶対認めるわけにはいかない、これは日本農業の倒壊につながるという強い意思で臨んできました。当然、全国の集会やら、我々、県の集会等も考えておったわけですけれども、三月十一日にその様相ががらりと変わり、この二カ月半というふうなのは、内部でも協議することがなくなりました。ただ、たまたま新聞でこれを目にすると、何か、協議するよとか、やらないよとか、延期したよとかいうふうな言葉が出てきています。

 皆さんも御存じのとおり、私は先ほども言ったわけですけれども、食料が自由に手に入らない、そして燃料も当然手に入らなかったわけです。これは果たして日本だけで考えられることでしょうか。アメリカであってもオーストラリアであっても、これは輸出国であっても、当然こういうことは考えられます。

 そういうときに、当然、自国のことはきちっと国が守ろうとするであろうし、生産者もまた、国民も自分のを我先にということで確保に当たると思います。そのことによって我々は必要なものが手に入らなかったわけでして、そういうことを想定すると、安易に安いから、お金があれば何でも買えるからというふうな状況の中でTPPに参加する、こういうことがあってよいのでしょうか。

 私は、そのことに強く憤りを感じますし、何としても我々は絶対断固反対していきたい。そのことが国民の、我々が責任を果たそうとする日本人の食料を守るんだということにつながる、こう確信しておりますので、この委員会の先生方の寛大なる御理解を賜りたいと思います。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 それで、本当は皆さんにもTPPのことを聞きたいくらいなんですが、時間の関係で、あと、漁業の問題で伺いたいと思います。大井参考人と木村参考人に。

 三陸沿岸は、チリ津波があって、引き続く大規模な災害ということで、漁業者の皆さんのがっかり感も本当に大きかったのではないか。同時に、そういう中でまた、協業ですとか、ワカメを震災後初めて引き揚げた重茂漁協ですとか、いろいろなことが報道もされていて、頑張っていらっしゃるというふうに思っております。

 私、二十三日、ちょうどこの場で漁業の問題、水産特区の問題も取り上げさせていただきましたけれども、やはりそういう引き続く被害であるからこそ、養殖施設などは、もう思い切って一〇〇%補助してくれよということを申し上げました。

 その点での御意見を一言と思うのと同時に、宮城の木村参考人には、やはり特区については、知事ももちろん漁業者の声をよく聞くと言っているわけですよね。ですから、皆さんの声が決め手だと思いますけれども、やはり、生産基盤をしっかり回復して、その上で一人一人の漁業が戻っていくということを基本にするべきだ、皆さんの意思を基本にするべきだと思っております。

 ぜひ一言ずつお願いいたします。

大井参考人 今の御質問でございますが、まず、つくり育てる漁業の養殖部門でございます。

 お話ししたとおり、小さい船は、漁船隻数全部で約九〇%を流失しておりまして、一割ぐらいだけです。それで、知り合い等から幾らか集めているわけですけれども、あと修理とか何かでやっています。少ないながらの隻数を、今、県漁連を窓口にして発注しているわけですけれども、すぐこれができてくるわけじゃございません。少ない隻数をいかに利用するかということが、やはり共同利用ということが出るわけです。協同組合ですから、協同精神を発揮しなければならないわけです。

 そういう方法で、これは強制ではない、その地域ごとのいろいろの思案を結集して、地区地区で思案していることでございますけれども、そして共同にすれば、船がそろって、もとの体制まで何年かかるかわかりませんけれども、そういう体制になれば、今までどおり個々の事業に払い下げるような感じになるわけです。だから、資金的に厳しいわけですから、やはり資金関係は漁協が賄ってやるというところもございますし、いろいろございます。

 そういうことで、つくり育てる漁業はすぐ製品になりません。三年から四年かかります。その間、収入がございません。先ほど私が提言した中にもございますけれども、生活費関係、金融関係になりますけれども、そういった面もいろいろ大変になるわけでございます。

 それから、私は、とりあえず魚市場を開設しなければ、とる方、あとは、それに関連する一連の企業を起動させなければ雇用もだめになります。そういうことで、ちょうど一カ月目で、開設するということで宣言しました。宣言はしましたが、これは実行できるのかなと本当は私も心配でございましたけれども、皆さん、職員が全力投球でこぎつけました。

 その理由は、氷が大体八百トンございましたから、山の上の団地工場に八百トンの貯氷がございまして、これは大丈夫、市場を開設できると。それからあとは、ちょうど地震があったとき、底びきはうちの方には十一そうあります、基地にして。これがスケソウを今とっているわけですけれども、これが、ちょうど揺れた最中ですので、沖へ避難しまして、みんな助かっているから、これはすぐ生産できるということで、やはり起動させなければ、スイッチを入れなければ、企業はもうやめたが出ますので、漁業者もそのとおり。

 今瓦れきを取りのけて、それから、あとは冷蔵庫関係、加工屋さんが今休業状態なんですよね。全部受け入れ体制がないから、スケソウをとってきても、相場が半値、三分の一です。だから、早くこれを一体のものとして復旧復興させなければならないわけですから、早くその辺を政府の方で、力をもう一歩踏み込んでいるけれども、問題はお金ですので。だから、早くそういったところを見せていただかねば、やめる方が出ますよ。

 それから、あともう一つは、やはり復興が大事でございますので、これ、関係ないからみんな着工せいと私は言っているんですよ。出ていることはおれが交渉するからと。

黄川田委員長 大井さん、次の答弁者もありますので、肝心なところをきちっと言ってください。

大井参考人 済みません、熱くなりました。

黄川田委員長 そんなことないです、熱くなるような状況でありますので。

大井参考人 そういうことで、皆さんひとつ。

 それからもう一つ、今、復旧に向けて一生懸命になっていますが、事前着工を認めないとか何かというようなことが出ているので、これはおかしいんじゃないかと思います。被害を受けたのを復旧させているんですから、それは認めてもらわねばだめですよね。皆さん、そうでしょう。ひとつお願いします。

木村参考人 特区の問題ですが、我々は第二回目の経営管理委員会で三点を提案しました。そのときは、まだ知事は、国でやるの会社を入れるのということは言っていないと思います。

 それで、何回も言っているとおり、漁業者はそれをどいつを選ぶか、三点の中で。北から南までありますから、ノリ業者はノリだけ南の方をやっていますから、それは共同でやるとか、それから北の方は、いそ根と、それから漁船漁業が多いんですが、どういうぐあいにそれを組むのか、その辺を我々が聞いて、今度指導していくというやさきに知事が出したと。

 知事は、我々とは一言もないんだよ。あれ、仁義が違うべ。いや、本当だよ。ばかにすんなよっておれは言うんだよ。

 それから、だれかに頼まれたと言うんだが、そのだれかがだれだっておれは言っているんだよ、いつも。だれが頼んだかわからないのを、頼まれた、頼まれたって。だれも漁業者は頼んでいませんよ。

 全員一致で反対です。

高橋(千)委員 オーバーして済みませんでした。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 甚大、悲惨なこの災害において、それぞれ家族も失いながら、会員さらには組合員のために御奮闘いただいている、本当に敬意を表させていただきますし、そしてまた商工会館、事務所がなくなっても、自分のうちなり、そしてまた親戚のうちを借りて、それぞれ会員の相談業務、これをこの二カ月間やって、そして私たちに、きょうこのように資料まで提供をしていただいた。このことに、まずもって心から感謝と御礼を申し上げます。

 私は、商店街というものについては、まさに町の顔だ、こう思っております。そして今、復旧という、そういう部分が先なわけでございますけれども、これから七年、八年、十年とかかっていく。ここまでやらないと、もとには戻らない。そういう中において、特に町の顔、こういうふうになったときに、自分はそれぞれ家業であるその業を続けたいというふうに言いながらも、しかし、その町に人がいなくなる、こういう状況であっては業は成らないわけでございます。そんな面で、今、岩手の方から、それぞれ復興計画の基本計画等々含めて、これからそれぞれ知恵を出していかなきゃならない、そういうお話もあったわけでございます。

 そんなところの中で、まさに商店街を復興させていく。そのためには、商店、工業、さらには農林業、全体の中での計画、どこに町をつくっていくのか、こういう部分も含めて大変な問題だというふうに思っておりますので、その点についての今の状況ということについて、岩手の千葉会長、それから宮城県の天野会長にお伺いいたします。

千葉参考人 お答えします。

 八つの商工会が津波の被災を受けまして、四つが壊滅状態というところから商工会の活動がスタートしました。二つの商工会で、職員も津波の被害を受けて亡くなりました。

 人的な支援からまずスタートしました。商工会館が、二つの商工会がなくなった中で、プレハブの仮事務所でスタートをしまして、いずれ最初は会員の把握、状況をつかみなさいということで、私どもの県連の職員も派遣しまして、そこからスタートしたわけでございます。

 ところが、何しろライフライン、いわゆる四十五号線が、海岸線一本しかない。国道四十五号線、一本線でございます。その瓦れきの撤去ができないうちは援助ができなかった。電話もストップしておりますし、そういう被害状況も的確につかめなかったと。一週間ぐらいたちましてから、やっと中に入られる状態になりました。

 委員長の黄川田先生のところは陸前高田でございます。大変な被害でございました。そこの場所に仮事務所を設置しまして、もちろん、そこは人の土地でございまして、いつ立ち退きを迫られるかわからない中で動き出しました。

 それぞれ、会員の状況を把握することがスタートでございまして、どの会員がどこの避難所にいるかもつかめない状態で、やっと把握できたのが一カ月後でございます。今、そのつかんだ会員の状況の中で、今後事業をどうするかということを今把握しております。

 まだまだ決めかねている会員もおりまして、これは現地で国会議員の先生方がおいでになったときにも直接申し上げましたけれども、これはまちづくりからのスタートですよ、ゼロからのスタートですよ、むしろマイナスかもしれないと。もう津波で被災した平地しかない、あと山しかないというところですから、いずれまちづくりからのスタートでございまして、これは長い年月、スパンが必要で、我々もそれを覚悟しながら、支援を惜しまないつもりでやっております。

 いろいろな状況の中で、やる気を起こしている会員もおりますので、いち早く我々はそういう方々に手を差し伸べて、動き始めることから援助をしていこうということでやっております。

 内陸の元気な商工会から支援物資を届けていますが、四月七日の余震で内陸も被害を受けました。今大変な状態が岩手でございます。ぜひ、被災地の現場を見て、今後の我々のお手伝いを、ぜひとも国を挙げてお願いしたいということを申し上げたいと思います。

天野参考人 吉泉先生からは、商店街は町の顔であるというふうなことで、まさしくそのとおりだと思っております。

 ここ十五年、二十年ほど、大型店野放し状態になりまして、地方のお店というのは細々とやっておったやさき、こういうふうな震災に遭ったというのが実情でございます。

 今、宮城県でも、いろいろなところが被災しているわけですが、回って歩きまして、一番、女川町が、あそこも壊滅的な状況なんでございますが、大変元気のある町でございまして、いち早くまちづくりに取り組みまして、グランドデザインの素案がもう既にできておる、こういうふうな状況でございます。

 それからあと、よその被災地においては、簡単な仮設店舗、あるいは軽トラの商法とか、いろいろ、そんな方法で実施をしているところでございますが、もう少しやはり時間が欲しいな、そんな感じをいたしております。今後とも、ひとつよろしく御配慮方お願いを申し上げたい。

吉泉委員 復旧の関係については一生懸命頑張らせていただきますけれども、まさに復興ということになった場合、まさにそこの地域の人たちがどういう自分たちの姿を描いていくのか、そこが一番基本なんだろうというふうに思っておりますし、そんな面でよろしくお願いを申し上げます。

 そして、私は、東北の復興は、まさに漁業、漁港、これなくしてあり得ない、こういうふうに思っております。

 農林省で五月の十三日現在で発表している被害の部分について、今お話がありましたように、漁船から皆含めて壊滅的な状況、このことが出されました。そして、今政府では補正予算、このことについて、まさしく本予算と同じぐらいの規模、それ以上の予算をつけた、こういうふうに言っているわけでございます。そういう状況の中において、私たちも被災地の方に行ってまいりましたのですけれども、やはり大変だなというふうにも思っています。

 そんなところの中で、今の第一次補正予算の中において、今漁業がまさしく、カツオが入ってきます、サンマが入ってきます、魚は待ってくれない、こういう状況の中では、そのところについて間に合うような、そういう漁ができ得る状況になるのかどうか、このことについてお伺いをいたします。

 初めに、大井会長からお伺いいたします。

大井参考人 先ほどもお話を途中でやめましたけれども……(吉泉委員「短く、済みません」と呼ぶ)はい、短く。

 何と言ったらいいか、今、受け入れ体制が整わないために、底びきの漁ですけれども、大体三分の一の値段になっています。というのは、スケソウは練り製品で石巻の方に行きますけれども、そっちの方まで全部やられています。だから、それを早く復興させて買い入れの体制を整えなければ、とる方がとっても値段は出ませんね。

 そういうことでございますし、やはりまず第一の生産の方からすれば、海の方もまだきちっとさらっていませんし、これからまだ、今言う海の方の掃除、おかの方はやや決まりましたけれども、海の方の掃除がこれから一仕事です。そっちの方に全力をして、秋の漁にストップをかけないように早く体制を整えねばならないわけです。網関係も地区によっては助かっているところもあるし、何とかみんな、船も、定置網の船も集めてやって、少ないながらも、頭数は少なくなりましたけれども、やはりある程度努力して数をまずまずそろえたいなと思いました。

榊参考人 これから漁期が始まります。八戸港ですとこれから生イカ、それからサバ、そしてまた北海道のサンマ、そして秋になるとアキサケ、こういうふうなものがどんどん水揚げがなされると思います。船は少なくなっていますけれども、水揚げは従来どおりにされるでしょう。

 ただ、受け入れる側の施設が非常に被災を受けている。そういうふうな中で、どういうふうに水産物の価格を安定させながら復興につなげるかというふうなことが非常に大事だなと。これが二束三文になってしまうと復興には成り立たない、なっていかない。

 そういうふうな中で、本当に私自身、加工業者として、ことし一年どういうふうな形になるのかというのは全く見えてこない。今までは、各港がありまして、みんな差別的に漁業をしていました。サンマ、アキサケというふうな、各港に特徴がありまして、そういうふうなところがいろいろな処理をしています。これがいろいろなところに散らばって、どういうふうな形になって、どういうふうな水揚げ形態で、どういうふうに流通するのか、それが、ことし一年よく見ないとなかなか難しい、そういうふうな状況です。

 ただ、私ら水産加工、そして漁業者、ただこのまま手をこまねいて見ているわけではありません。多分、強い復興を望みながら組み立てていくと思いますので、国の御支援のほどをよろしくお願いいたします。

木村参考人 先ほど女川の話が出ましたが、女川も壊滅状態です。原発があって、あの辺で一番人口もふんだんなんですが、人も行方不明、あるいは亡くなった人が一番多い地域だと思います。

 それで、市場を再開するということは、大変難航しましたが、買い受け人組合の方からぜひやってほしいということで、仮設をつくって、仮設で入札あるいは物流をやって、氷は山形、新潟から移入して、それで、定置網漁業をすぐ六月一日から受け入れ体制ができるようになっております。

 それで、先ほど八戸の方がお話ししたように、船が減っていますから、もとの水揚げ金額、あるいは水揚げ相当は宮城ではできないと思います。何年かかかると思います。でも、サンマ船については幾らか残っていますから、それも九月、十月、女川に来ますから、それをいかに処理するか、今、四苦八苦しております。

 そういうぐあいで、何とか再生したいな、このように思っています。みんな強い気持ちで加工屋さんも頑張っていますから、ぜひ復興させてやりたいと思います。

吉泉委員 ありがとうございました。

 さっき話しましたように、東北の復興、まさに三陸の一番おいしい魚でもございます。そして、そこにそれぞれ水産加工、この部分の中で、多くの働く人たちがまた生活がなり得る、こういうものだと思っております。

 そんな面で、精いっぱい、私どもも、予算等含めながら、それぞれ要望を受けて頑張っていく決意を述べさせていただきまして、きょうの御礼にかえさせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。きょうは、大変お忙しい中お越しいただきまして、また、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。

 私は最後の質疑者になります。皆さん、わずか十分の意見陳述の時間とそして質疑の中で、どうしてもこれだけは言いたかったけれども時間が足りなかった、あるいは言い尽くせなかった、そういったこともおありかと思うんですけれども、最後に、皆さんお一人ずつ、どうしてもこれだけは国に対して言いたい、あるいは、これまでの時間の中で言い足りなかったことをもう一回強調したい、そういうことがあれば、林参考人からお一人ずつお願いいたします。

林参考人 ありがとうございました。

 まず、せっかくですので、冒頭に、二次補正はもう早急にやっていただきたいということです。一次補正で大変助かったわけでございますが、何としても商工会議所は三年以内に復興するという強い方針を持って、日本全国の商工会議所、または災害地の商工会議所と連携をとっております。大規模かつ短期的、集中的に復旧と復興を進めていくことが何よりも重要なことだというふうに思っております。そのために、従来以上のスピードと大胆さでもって復旧復興を進めていただきたいというふうに思います。被災地域の企業活動、そしてその企業の再建、地域経済の立て直しなどに取り組んでいただきたいというふうに思います。そのためには、大規模な二次補正を早急にまとめていただいて、即実行に入っていただければというふうにお願い申し上げたいと思います。

 よろしくお願いします。(拍手)

工藤参考人 ありがとうございます。

 私は北日本くみあい飼料の取締役もやってございます。今回、石巻工場、八戸工場が相当被害を受けまして、えさを供給することが大変困難でありました。よって、九州の飼料会社、東日本、そして北海道から援助を受けたわけですけれども、その運送費が、皆さん方の御協力によりトン当たり四千五百円の助成を受けたんですけれども、今カウントしますと七億以上も多くかかっています。これがひいては生産者の飼料に転嫁されないかというのが非常に心配されている状況でございますので、この辺はぜひとも御考慮いただければな、こう思うところでございます。

 最後になりますけれども、何といってもやはり福島の原発事故、これを早急に解決して、そして東北が安全ですよということを一刻も早くアピールしてもらいたいと思います。

 終わります。(拍手)

榊参考人 私らは水産と名がついておりますけれども、どちらかというと中小企業であります。中小企業の一次補正を見ますと百五十五億、これが全中小企業に対応するというふうなお話でありまして、金額的には生産者、漁業者に比べると非常に対応が悪いんじゃないかなと。ですから、この辺も一緒に直していかないと、漁業、そして加工、そして流通、そういうふうなものが立ち直っていきません。そういうことも配慮していただいて、これから復旧に向けて頑張りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。(拍手)

千葉参考人 我々中小企業、零細企業が戦後の日本を支えたわけでございます。日本を再生するには中小企業、零細企業が元気にならないと日本は活性化しないというふうな思いをしております。ぜひこの機会に中小企業、零細企業を見直して、私どもに力を与えていただきたい。

 よろしくお願いします。(拍手)

長澤参考人 大変ありがとうございます。

 一つはお米の問題でございますが、米の安定的な備蓄をやっていただきまして、生産農家の安心、安全を確保していただきたいと思う次第でございます。

 二つ目でございますが、畜産関係の経営安定に向けた政策をもっと取り組んでいただきたいと思う次第でございます。生乳関係の倒産生産者も多く出ているところでございます。それはもう生産が間に合わない、こういう状況でございます。やはり一定の所得を確保できるような政策を進めていただくように、引き続きお願い申し上げる次第でございます。(拍手)

大井参考人 私たち水産業界はとりあえずお金が早急に必要でございます。第一次補正予算が決まりまして次は第二次補正予算、これも早急に決めていただきたい。それから、スピーディーにお金を使わせていただきたいと思います、本当に業者の方は困っていますので。それにつきましては、制約をみんな同じに、一緒にやられているんですから、細かいことは抜きにして、その辺はわかっているでしょう、皆さん。

 それからあとは、事前着工とか復旧のために自助努力をしてやっているんですよ、それを補償の対象にならないとかとばかげたことを言っている、そういうのが浸透していますから、この辺は完全に自助努力を無視するようなことですから、お願いします。(拍手)

天野参考人 私からは、三つほどお願いを申し上げます。

 一つは、雇用の場、仕事の創出、これはぜひとも力を入れていただきたい。それから二つ目は、第二次補正予算をスピーディーに実施していただきたい。それから、先ほども申し上げたのでございますが、三つ目は、義援金を全額免税としていただきたい。この三つでございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

菅原参考人 きょうは、実はきょうのことは一昨日の夜電話がありまして、急にまとめて日程をやりくりして来たわけでありますが、来て本当によかったなというふうに思います。先生方の非常に前向きな強い姿勢というのをひしひしと感じることができました。

 被災地なり避難所を回っているんですが、その声としては、さっぱり姿が見えてこない、毎日暮らすのがつらい、一日が長くてしようがない、こういう声がございます。

 ぜひ、希望が持てるような計画を早くつくって、先ほどもお話があったように、とにかく二次補正を、ひとつ力をつけるような予算を組んでいただきたいというふうに思います。

 以上です。(拍手)

木村参考人 二次補正を大々的につけてほしい。我々は今、再建するのには金が必要なんですよ。子供に、孫に譲っていくのは、金が倍になって返ってくるから。お願いします。

 それからもう一つ、危機管理についてお願いしたいと思います。

 こういう想定外の自然災害がいつ起きても不思議でない部分、あるいは東南海地震等々があるようでございますが、そのとき、今携帯電話でみんなつながっていますが、携帯電話はすぐだめになります。それから、普通の田舎の電話もだめになります。工夫して衛星電話を使うとか、あるいは全部に与えられなくても、その地域地域の区長さんか何かに一個あてがって危機管理を持ってほしい。でないと、四日も五日も行方不明者なんてわからないですよ。電話は連絡がないんだもの。先生も本当にわからなかったと思うよ。

黄川田委員長 わからなかったです。

木村参考人 おれも五日わからなかったんだ。だから、そういうことをお願いしたいと思います。

 以上です。(拍手)

山内委員 大変貴重な意見をありがとうございました。

 まずは二次補正をしっかりと、それも早急に対応すべきだという御意見、それから平時のいろいろな規則や規制にとらわれることなく迅速に進めていかなくてはいけない、そういうところ、あるいは農業や漁業に比べると中小企業対策が非常におくれているというような御指摘も全くそのとおりだと思いますので、与野党の壁を越えてしっかり取り組ませていただきたいと思います。

 私からの質問を始めさせていただきますが、先ほど風評被害のお話がありました。風評被害、特に青森のリンゴのお話がありましたけれども、そういった風評被害対策に関しての補償というものをどのように考えていらっしゃるのか。

 例えば、原発の近い地域の農産物であれば、すぐに補償という話にもなるんだと思うんですけれども、ちょっと距離が離れている青森のリンゴの風評被害、それに対して補償をこれから求めるお考えがあるのか、もし求めるとすると、どういう窓口、対応でやられるのか、御意見をお聞かせいただければと思います。

工藤参考人 私は、過去、平成十四年に青森県で発生したリンゴ無登録農薬問題というふうなもののど真ん中におりました。当時は弘前市農協の組合長としておったわけでして、我々、そのときは、散布したリンゴを徹底的に洗い出ししながら、焼却処分しました。そして、出回るものは全く安全なものですよというようなことで、青森県で安全大会を開催するということを発信したわけですけれども、たまたま事情があってその安全大会が延期ということになりました。その延期になったことが新聞の記事になり、その記事が大丸デパートの当時の販売部長の目にとまって、青森県のリンゴは全部、すべて、大丸デパートの棚からおろせというような指示がありまして、全く風評被害のど真ん中におりまして、それを直すのに大変苦労しました。当時は、我々、県全体では九百億以上のリンゴの販売高があったわけですけれども、その年はたしか六百億台でとまっているはずです。我々はそのことをどこにもぶつけることなく、終わりました。

 今回も台湾で我々のリンゴが出せなかったわけですけれども、そのことによって我々がどのぐらいの被害があるのかというふうなものを、我々独自で言えないということでして、今はただただ、その風評被害を国を挙げてなくし、そして、この二十三年度のリンゴにはそういうことが絶対ないようにしてもらいたいという強い思いがあります。

 以上です。

山内委員 ありがとうございました。

 次に、漁業の関係のお三方にお尋ねします。

 漁業分野の復興ということになると、恐らくやることがいっぱい、たくさんあり過ぎて、どこから手をつけていいのかわからないというのが本当かもしれませんが、どうしても順番をつけるとすると、プライオリティー、例えば一番目と二番目ぐらいにまずやってほしいこと、先ほど瓦れきの処理の話もありました。そういった上位三つぐらいを挙げていただきますようにお願いします。

黄川田委員長 それでは、青森から順次行きます。

榊参考人 これは、すべて関係がある。一つだけ、漁業だけがよくなっても、その受け入れる側、市場それから流通、それが一体的に整備されないとなかなか、非常に難しい。ですから、一、二、三というふうな番号のつけ方は非常に私は難しいなと。だから、できたら一緒に立ち上がるような仕組みをつくっていただくと、非常に安定感が出てくると思います。

 私からは以上です。

大井参考人 私は、やはり、生産あって買いがあるわけです。これは両輪だと思っています。とる方があるから買う方がある、買う方があるからとる方がある。そういうことで私は一体に考えていますので、だから、このラインをやはり一緒に立ち上げてもらいたい。そうでなければ、値段に影響が出ます。アンバランスになりますからね。だから、これをやはり一つのラインで見て立ち上げないと絶対だめですから。これは、皆さん、わかっていただきたいなと。

 おれは漁業関係だからとる方だという一方的な考えの方は昔はあったんですけれども、今は両輪ですから、そういう考えでもっていますので、よろしくお願いします。

木村参考人 さっき、漁場に瓦れきが、瓦れきというより養殖物の浮遊物がいっぱいあって、それから、いかりがみんな切れて、いかり自体は残ってぶらぶらしているんです。これがある以上は養殖できない。これを絶対早く清掃してもらいたい。我々でできないんだよ。何メートルもある固まりは揚げられないもの。いかりは、我々、息子らが共同で揚げると言っていますから、共同でやると思います。国を待っていては。

 でも、予算は出ないんでしょう。宮城県知事は何やっているんだか、わからないんだよ。おれはかんかんになって、何回も県庁さ電話するんですよ、さっぱり来ないんだって、ガット船。(発言する者あり)少ないんですよ。岩手県が二十八隻でやっているのに、宮城県は八隻だか六隻でやっているから。何で過保護にするんだとおれは言うんですよ。いや、日本海に五百隻もあるんだって、待っているんだってよ、頼まれるのを。それを頼まぬで、過保護にして、復旧なんてそんなもの、おくれてばかりいるんだっちゃ。漁場を整備するのに、うちではさらえないから、おくれます。

 それで、昔は、古い時代は、津波が来たって、こういう強い津波でないから、漁船があれば漁をして、すぐ金になる。市場も何もやられないから、昔の津波は。それで、漁船はすぐ沖さ出て、逃げて助かるんですよ。ところが、今回は漁船も養殖物も一回で持っていってしまった。これこそ全く想定外だよな。それで困っています。早く瓦れき掃除、委員会からも知事に文句をつけてやってください。お願いします。

黄川田委員長 本当の生の声というのは、やはりなまって語んねばわかんねえわけだ。そういうことであります。

山内委員 大変勉強になりました。ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

黄川田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十七分散会


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