衆議院

メインへスキップ



第7号 平成23年6月9日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十三年六月九日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 後藤 祐一君 理事 橋本 清仁君

   理事 藤村  修君 理事 三日月大造君

   理事 山口  壯君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    打越あかし君

      太田 和美君    梶原 康弘君

      川口  博君   菊池長右ェ門君

      熊谷 貞俊君    郡  和子君

      近藤 洋介君    斉藤  進君

      斎藤やすのり君    階   猛君

      高井 美穂君    橘  秀徳君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    松岡 広隆君

      水野 智彦君    村越 祐民君

      森本 和義君    谷田川 元君

      山口 和之君    若井 康彦君

      鷲尾英一郎君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    徳田  毅君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      稲津  久君    斉藤 鉄夫君

      高橋千鶴子君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

      園田 博之君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           石田 真敏君

   議員           齋藤  健君

   議員           橘 慶一郎君

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     森本 和義君

  石原洋三郎君     山口 和之君

  打越あかし君     水野 智彦君

  太田 和美君     橘  秀徳君

  菊池長右ェ門君    熊谷 貞俊君

  近藤 洋介君     磯谷香代子君

  鷲尾英一郎君     稲富 修二君

  小里 泰弘君     徳田  毅君

  斉藤 鉄夫君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     松岡 広隆君

  稲富 修二君     鷲尾英一郎君

  熊谷 貞俊君     菊池長右ェ門君

  橘  秀徳君     太田 和美君

  水野 智彦君     道休誠一郎君

  森本 和義君     石津 政雄君

  山口 和之君     石原洋三郎君

  徳田  毅君     小里 泰弘君

  稲津  久君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     打越あかし君

  松岡 広隆君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

六月九日

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第七号)

は本委員会に付託された。

六月九日

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)

は委員会の許可を得て撤回された。

六月九日

 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

は議院の承諾を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

 内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)の撤回許可に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

 東日本大震災復興基本法案起草の件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案並びに石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案の各案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本清仁君。

橋本(清)委員 宮城の橋本清仁でございます。

 政府におかれましては、発災以来、さまざまな対応をしていただいておりますことに、まず心から感謝申し上げます。また、今回、発言の機会を賜りましたこと、委員会の皆様方に心からの感謝を申し上げさせていただきます。

 今回、未曾有の大災害であり、地震、津波、そして原発の事故といった複合災害でございますから、一つの問題を解決しても、その解決した後に別の問題が発生したり、また見つかるといった状況ですから、本当に大変なことだとは思いますけれども、これからもどうか被災者のためによろしくお願い申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 高木文部科学大臣におかれましては、子供や保護者に安心感を持ってもらえる措置ということで、二十七日、先月ですけれども、福島県内の小中学校校庭などの利用制限基準に関しまして、児童生徒が受ける放射線量の目標について、従来の毎時三・八マイクロシーベルト、年換算にいたしますと二十ミリシーベルトから、年間一ミリシーベルト以下を目指すと変更なされました。校庭などで毎時一マイクロシーベルト以上の線量が測定された場合、表土を除去する工事の費用を国が補助するということでございます。

 この点に関しましては、子供や保護者に本当に安心感を持って、放射線という非常に目に見えない、そういった恐怖とともに暮らすという状況の中では、こういった対応を本当にありがたく思います。

 そういった中で、実は同じ日、五月の二十七日ですね、我々、衆議院の東日本大震災復興特別委員会の視察で、被災地である福島、宮城、岩手の県知事との意見交換をさせていただきました。宮城県知事との意見交換の中で、私が宮城県知事に対しまして、福島第一原発事故に関連して、小中学校の校庭やプールなどで放射線量の測定をして不安解消に努めてほしいと求めたのに対しまして、知事は、今まで慌てる必要はないと考えてきたけれども、牧草から許容値を超す数値が出た、これは私の選挙区にある七ケ宿や丸森といったところなんですけれども、そういったところが出たから、学校敷地内の測定も今後検討したいという発言がございました。

 そしてその後、三十日の知事会見におきまして、放射線量の測定に関しては、宮城県内の学校は福島県と同じ対応ができるよう文部科学省に要求していくと述べて、そして、県内すべての幼稚園や保育所、小中高校に線量計を配付できるように国に求める方針を打ち出されたというふうに伺っています。

 ここで、宮城県南部、私の選挙区なんですけれども、状況を詳しく述べさせていただきますと、福島県に接している自治体が数多くございます。その中で、福島第一原発から六十キロ圏内に丸森、山元、角田市といった自治体がございます。距離的に福島市よりも近い位置にある自治体でございまして、できれば宮城県内に福島と同様の対応をお願いしたいところでありますけれども、ぜひとも早急に、福島県に接していて距離的には福島市よりも近いところにある自治体、こういったところの子供や保護者にも安心感を持っていただける対応をお願いしたいと思います。

 その点に関しまして、まず校庭の部分に関しまして高木大臣にお伺いいたします。

高木国務大臣 橋本委員にお答えをいたします。

 私どもは、放射能のリスクを決して甘く見てはならないと思っております。したがいまして、できるだけ放射線量を少なくする、低減をさせる努力は日々怠ってはならないと思っておりますし、根本的には、早く発電所の事態の収束が何よりでございます。しかし、その収束までの間について、我々としてはそのような努力をしておりますが、五月二十七日に、空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の福島県内の学校については、設置者の希望に応じて財政的な支援を行うことにしたわけでございます。

 今お尋ねの福島県以外の学校の校庭などについてでございますが、これは、政府など環境モニタリングの結果などを踏まえて、設置者の希望に応じ適切に対応してまいりたいと思っております。

橋本(清)委員 ぜひとも、宮城県南の保護者そして児童を安心させていただきたいと思います。

 そしてまた、プールの問題です。

 私も子供のころ、夏の水泳の授業というのは非常に楽しみでした。そういった中で、被災地にも夏は訪れて、そしてプールを楽しみにしている子供たちが数多くおります。しかしながら、こういった状況ですから、プールに入るのも、親御さんも心配なさっていますし、児童も心配しているという状況でございます。

 排水や水泳は可能ということもあるでしょうけれども、水を入れますとそこにさまざまなものが降ってきて、その後の水の水質について心配なところも多々ございます。そういったところについて、国としての方針というか規定というものを、保護者の理解、そして子供たちを安心させるために何らかの御検討をいただきたいと思いますけれども、その点について大臣にお伺いいたします。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、やはり夏は水泳を本当に楽しみにしておられると思っております。しかし、福島県の原子力発電所がこういう事態にあって、ことしはある意味では非常事態でありまして、まさしく不自由もおかけをしなきゃならぬのではないかと思っておりますが、プールの利用については、福島県教育委員会と連携をいたしまして、関係行政機関あるいは専門家の皆さん方と相談をしながら、今日まで検討を進めてきたところであります。

 こういう検討の結果を文部科学省としては福島県教委に伝えてきたところでありますが、福島県の教育委員会としては、独自で、放射線の専門家等の助言も踏まえて、五月三十日に学校プールの管理及び水泳指導についての通知を発出したと承知をいたしております。

 この内容については、プールにたまっている水の排水について、下水道ということになりますが、関係部局と調整した結果、排水が農業用水路に入る場合を除いては例年どおり排水して差し支えないということが一つ。プールの清掃は子供ではなくて教職員などが行うことが望ましく、児童生徒には清掃させないように注意をすること。そしてまた、水泳終了後にはしっかりシャワーを浴び、あるいは洗眼をし、あるいはうがい等をする、こういうことを励行することなどがその内容で挙げられております。

 これを踏まえながら、屋外プールの使用については、その水質等について一たん入れた水を常時注意深く見守らなきゃなりませんので、この点については、文部科学省としては、原子力安全委員会あるいは関係省庁と検討して、できるだけ安全サイドのものを出していきたい、このように思っておりますので、現在、鋭意検討中でございます。

橋本(清)委員 検討なされているということで、夏は近いですから、できるだけ早く発表していただけるとありがたいというふうに思います。

 やはり十五分というのは短いですね。時間がないので大分はしょらせていただきますけれども、片山総務大臣にお伺いいたします。

 今回、未曾有の大災害ということでございますけれども、被災が少なかった内陸の地域もございまして、そういった自治体から言われておりますのが、小災害債の発行について、何とかこの手続を簡素化していただけないかといった要望が来ております。

 実際問題、二〇〇九年には、山口県での豪雨災害において、事務量の膨大さから小災害債の発行を見送らざるを得なかった市町村があったという状況が報じられております。このたびの震災被害においては、多くの手続簡略化などの方策が本当に特別に行われておりますけれども、被災した多くの市町村では、これまでにない規模、量の復旧事業を抱えることになります。

 そういった中で、災害査定にもかかわることですけれども、小災害債の発行にかかわって、申請期間、対象事業、作成仕様、また事後の変更手続などにおいて、より一層の柔軟な運用、手続の簡素化を図られたいというふうに要望が来ております。その点に関しまして、片山大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 手続の簡素化を図りたいと思います。

 小災害債といいますのは、国庫補助対象になりませんけれども、地方財政措置が、非常に手厚い措置がついておりまして、したがって、それなりに状況を把握しなければいけませんので、現地調査にかえて図面とか写真の添付をお願いしておりますけれども、今おっしゃったように非常時であって、市町村が今非常に事務が繁忙しておりますので、そのことを考慮いたしまして、図面の添付でありますとかそういうものは簡略化して、なくてもいいようにするように検討したいと思います。

橋本(清)委員 片山大臣、本当にありがとうございます。

 あと、済みません、これは通告もしていないので答弁なしで結構なんですけれども、先ほど申し上げました放射線量の測定に関して、できれば文科省だけでなく総務省も、さまざまな財政での応援をしていただけるとありがたく思います。

 そして、大畠国土交通大臣にお伺いさせていただきます。

 大畠大臣におかれましては、いつも国土交通委員会で大変お世話になっておりますし、また今回、高速道路の無料開放、そしてまた無料化について、さまざま御指導いただいておりますことを心から感謝申し上げます。

 そういった中で、先ほども申し上げましたけれども、内陸の町からさまざまな要望が届いております。私の宮城県内の自治体の首長からは、スピーディーな査定、さらには九五%を超える査定率、そういった国の対応に感謝しているといった報告がなされています。しかしながら、沿岸部の大規模な災害とは異なり、小さな災害箇所が非常に多い。私の本籍のある地元中の地元の柴田という町においては、二百五十三カ所ございまして、この災害査定にたえるためにはきちっとした書類が必要なために、各自治体、設計委託費に多くの予算を費やしているということでございます。柴田に関しましては一億円、この二百五十三カ所の設計委託費に予算がかかっている。

 被災した自治体への配慮がもう既になされているということですけれども、今回の対応をさらに進めて、災害復旧事業査定設計委託費のかさ上げといったものについてお願いしたいという要望が届いておりますので、その点に関しましての大臣の御所見をお伺いいたします。

大畠国務大臣 橋本議員の御質問にお答えを申し上げます。

 公共土木施設災害復旧事業査定の設計委託費について御質問を賜りました。

 現在、御指摘のように、災害査定に要する委託費用については、原則申請者の負担となっております。ただし、激甚災害法により特定地方公共団体に指定され国庫負担率がかさ上げされるなど、激甚な被害を受けた地方公共団体については、査定設計委託費等補助金として国庫補助の制度があり、実質的に支出額等を勘案して交付しているところであります。

 また、災害復旧に当たっては、既に設計図書の簡素化、机上査定の適用限度額の拡大、総合単価の使用の拡大など、大幅な災害査定の事務の簡素化を実施し、地方公共団体の負担の軽減を図っているところであり、今後とも、地域の実情を踏まえつつ適切に対応してまいりたいと考えております。

橋本(清)委員 時間が来てしまいました。大畠大臣、ありがとうございます。

 ただ、一億円を超えるものについては一・八%、百八十万という状況の中で、自治体は非常に厳しいというお話も伺っていますので、ぜひとも、この点に関しましても前向きな御検討をお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 岩手二区の畑浩治でございます。

 大臣各位、そして関係機関の皆様におかれましては、本当に被災地の復興復旧に御尽力を賜っていること、改めてこの場をおかりいたしまして御礼と敬意を表させていただきます。ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 今後、原子力を含むエネルギー政策の見直しが避けられない、これは皆さんのコンセンサスだろうと思います。総理の方からも、自然エネルギー、再生可能エネルギーの導入促進について前向きな方針が示されておるところでございます。

 そういう中で、今後、再生可能エネルギー導入促進のための支援の拡充、こういう具体的な議論が必要になるんだろうと思います。これはもちろん、オール・ジャパンもそうですし、また東北の復興においても大きなかぎになるものであって、本当にこの部分を進めることが非常に大事だと思っておる次第でございます。

 それで、これは資料をお配りしておりますが、環境省の方が四月二十一日、再生可能エネルギーの利用可能性について、東北地方では大変利用可能性がある、火力や原子力等による現行の発電量を上回るような潜在力があるとする調査結果を発表したんですが、その中の図表の一つでございます。太陽光はもちろん別にありますが、とりあえず風力と地熱をあらわしております。

 風力を見ますと、北海道、それから北東北、この辺がかなり潜在力がある。岩手県でありますと、私の地元の三陸沿岸、そして北上山地のところが潜在力がある。そして、地熱は、かなり限られますが、日本でおおむね四カ所。その中の一つが、岩手県の八幡平の松尾というところでございます。

 こういうことを踏まえて、復興のかぎとしてももちろんやっていくことは非常に大事だということで、これを復興のかぎにしたいという思いも私もございます。

 そういう中で、こういうことを進めるためにも、そもそも日本のエネルギー政策のオール・ジャパンとして進めていくためにということでありますけれども、今後の再生可能エネルギーの導入促進を加速していく、このための支援の拡充についてあらゆる政策手段を動員していく、これはもちろん財政的な支援も含む、私はそう思っておりますが、そういうことも含めてしっかりやっていく、そういうことが大事だと思っておりますけれども、この支援の拡充についての具体的方針をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 畑委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、再生可能エネルギーの導入拡大は大変大切なことだと思っております。一つは、やはりエネルギーの安定供給確保、それから、今御指摘のありました地球温暖化対策や環境関連産業育成の観点からも大変重要だと思っております。

 そして、具体的な支援策でございますが、私ども経済産業省としましては、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入、これが大変重要だと考えております。それから、立地に関する各種の規制もございます、この各種の規制の緩和。それから、やはりコストを低下させなければいけませんから、そのための技術革新といったことに重点的に取り組んでいきたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 今の中で、技術革新も含めた立地促進のための財政補助というのももちろんあると理解いたしまして、その点もぜひともお願いしたいと思っております。

 それで、個別論に入りますが、地熱についてであります。

 地熱は、エネルギー効率がいいわけで、燃料利用率、施設の利用率ですね、これがいわゆるエネルギー効率ということになりますが、八〇%から九〇%あるということになっております。これはもう火力発電や水力発電等の既存のものと同じでありまして、こういう点では現状でも十分実用化にたえるものであります。当面は地熱発電も利用しながらやっていくという視点も重要だと思っている次第であります。

 その中で、先ほどの資料の中に、八幡平ということも申し上げました。特にこの八幡平の松尾ですけれども、地熱開発の導入のポテンシャルが大変高い、そういう地域でありまして、かねてより国の地熱開発調査の補助事業の採択を受けて調査をしてきたところであります。

 今後、あらゆる政策手段をとるということでお話をいただきましたが、特に、個別になりますが、私は、新エネルギー等促進基礎調査委託費というのがありますが、この大幅拡充も含めてしっかりと措置をとる、つまり、端的にはこの大幅拡充も必要だと思っている次第でありますけれども、その点はいかがでしょうか。

海江田国務大臣 重ねてお答えをいたします。

 確かに委員御指摘のように、地熱発電は、発電過程で二酸化炭素が出ないという特性もございます。それから、天候によらず出力が安定的である、それから設備の稼働率も大変高いというふうな利点がございますので、私どもも大変重要な電源であると考えているわけであります。

 他方、今委員からも御指摘ありましたけれども、地熱発電はやはり開発リスクが大変大きいということになっておりますので、その開発重点あるいは開発優先地域というものを定めることが必要で、国としては、そのための開発調査、先ほど御指摘のありました調査委託費を毎年予算に計上しているという状況がございます。ですから、こうした開発調査を後押しするということ。

 それからもう一つは、これは先ほどお答えをいたしましたけれども、やはりこれから固定価格の買い取り制度が国会で御審議をいただいてスタートするということになりますと、これは、そうした開発のコストをその後のそうした買い取り制度でもって補てんするという形で、開発にアクセルが入っていくんではないだろうかと思っております。

 いずれにしましても、この地熱発電は再生可能エネルギーの中で大変重要な位置づけがございますので、国としても万全の体制で後押しをしていきたい、そのように考えております。

畑委員 大変心強い答弁、ありがとうございました。

 実は、こういうものを申し上げた背景というのは、地熱開発補助事業のもとになります中小水力・地熱発電開発費等補助金というのがありまして、これは平成二十二年度は百九十九億あったわけですが、本年度、この事業が衣がえしまして、新エネルギー等促進基礎調査委託費という形になって、再生可能エネルギーは全体合わせて約四・四億になった、こういう大きく減らされたという過程がございます。

 とはいっても、やはり三月十一日の震災以来、原子力の事故もこれありでありますが、再生可能エネルギーを進めるということは、これはもう国策として必要なことでもありますし、状況は変わっている。そして、せっかくの有望な資源を活用する、にもかかわらず、予算が減らされてそこが進まないのが不幸だと思っておりますので、そこは来年度概算要求ということにもなりますが、ぜひともこの点もやっていただきたいと思います。

 というのは、固定価格買い取り制度はまさに大前提でありますけれども、これは民間にお金を転嫁するというやり方で、やはり財政支援もあってさらにパワーアップする、加速する、そういうことは両方相まってなされるんだと思いますので、そういう観点からよろしくお願いしたいと思っておる次第でございます。

 次に、もう一つ、自然エネルギーとともに、やはり当地域の今後の産業再生のかなめは漁業でございまして、この関係をお伺いしたいと思っております。

 一次補正で講じていただきました個人所有の養殖施設の復旧支援事業、大変手厚いものであったということで、大変感謝している次第でございます。今、ワカメの種とりは六月から始まっておりますので、これは実務的に査定前であっても緊急に直してやっていくことが必要である。そういう中で、査定前でも着工、修復して後でお金をもらえるとか、そういう柔軟な対応が必要だと思っておりますが、その辺のところの御説明をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 養殖業というふうなことの実態というものを考えたときに、復興ということを考えたときには、生産開始から出荷までというのはどうしても一定期間が必要だ、二年から三年かかる、こういうようなこともありますので、この間、養殖業者の人たちに対してどうするかということは非常に重要なことでございますので、私どもは、二次補正等々に向けて今後詰めていきたい、こう思っております。

畑委員 おっしゃるとおり、養殖は大変重要で、岩手県のかなめになるもので、三年なら三年、カキだと収入が入らない。そういうところに支援をぜひとも、これは災害後ですので今年度以降は保険にもちろん入れないわけなので、お願いしたいと思っておりまして、ぜひとも住民の、漁業者の声を聞いていただいて、検討願いたいと思っております。

 そして、養殖、大変手厚い支援を現時点でいただいていることに感謝を申し上げつつ、実は、個人所有の養殖施設と漁協等の団体が持っているものとの制度の違いがちょっとあって、これは通告していませんので、意見だけちょっと申し上げさせていただきたいんです。

 個人の養殖施設というのは、算定のもとになる価格というのは再調達価格でありまして、これに査定率を掛けて、そして十分の九を掛けるという形でお金が出される。大変手厚くて、本当にありがたいと思っております。

 そして一方、漁協等の団体が持っているものは、実は、査定のもとになる価格というのが、耐用年数を勘案して出した後の、償却後の価格なのでほとんどゼロに近くなって、であればこそ、漁協等のものは十分の九を掛けてもほとんどもらえるお金がないということで、ちょっとそこのそごが地元から言われているところであります。実は、枝野官房長官に五月二十二日に宮古の田老に来ていただいて、漁協の組合長から、個人はもらえるけれども漁協はもらえないんだといって、そんなばかなことがあるかと思っていろいろ調べたら、そういうことでございました。

 制度が違って算定の価格の考え方が違うから、個人のように十分に、そして同じようにもらえないという、そこの不満でありまして、そういうことで、これはもう種とりの時期に入っていますので、水産庁さんがどうこうという時期ではないので質問ということにはしませんが、実は、宮古市の方で、独自の補正で漁協の方にも同じように、個人のもののように支援できる制度をつくるようであります。でありますから、これは今後、総務大臣、質問ではないですが、総務省内の基準財政需要で面倒を宮古市に見てもらうとか、あるいはいろんな考え方もあると思うので、ぜひとも、市町村の災害における特別の出資に対して、柔軟にまた今後御支援を賜りたいと思っております。

 そのことをお願い申し上げさせていただいた次第でございまして、またよろしくお願いいたします。

 それで、次の質問に行かせていただきます。

 アパートとかそういうのを経営している不動産事業者なり、あるいは店舗等で生業としてなりわいをしている事業者、そういう方に対する支援についてちょっとお聞きしたいんですが、被災者生活再建支援制度による支援金というのは、これは個人であって、こういう事業者に拡大というのは、これまでの審議で否定的な答えがなされていることは私も承知しております。

 ただ、さはさりながら、私のもとには、このような方から悲鳴が聞こえてきておりまして、何とかしてほしいと。

 被災した方が店舗等を復旧して事業を続けることは大変であって、このこともそうなんですが、事業をやめて店舗等を返す場合でも、当初の契約どおり原状復旧して返せということもあるようでして、とんでもないことですが、百万から二百万、原状復旧にかかってしまうこともある。完全に壊れてしまえばそういうことはないんでしょうけれども、そういうことも聞こえておりまして、そういうことを考えますときに、被災者生活再建支援制度を拡充というのは、これは制度上難しいというのもわかりますが、別の新たな総合的な基金をつくるとか、あるいは融資じゃない方法で何らかお金を出すことを考えていただいて、そこのお金を出す、支援するということを考えることができないのかどうか、その辺のところの所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

松本(龍)国務大臣 畑委員には、地元久慈市、また岩手県のために、発災以来汗をかいておられることに敬意を表したいと思います。

 被災者生活再建支援制度は、まさに自立した生活再建を支援する制度でありまして、今おっしゃったように、店舗や貸しアパートのような事業用資産を支給対象とすることは制度の趣旨から困難であります。

 したがって、さまざま、生活再建ハンドブックあるいは事業再建ハンドブック、私どもつくりました。それをしっかり読んでいただいて、いろいろな方法がある、例えば中小企業基盤整備機構が仮設の店舗あるいは仮設の工場を無償で提供するということもありますから、いろいろな手だてを講じて、さまざまやっていただきたい。

 この支援制度の現在の状況の中では、事業用資産に支援をすることは困難であるということだけは御理解をいただきたいと思います。

畑委員 実は、こういうことを支援できれば、本当は二重ローンの軽減ということにもつながると私は思っておりまして、これはこれで制度の難しさは理解しておりますが、何とか、また引き続きこの議論をさせていただきたいと思っている次第でございます。

 時間が来ましたので、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 復興基本法の議論も大詰めを迎えました。きょうは五十分時間をいただいておりますので、被災者支援にかかわるさまざまな諸課題と、後で総理に、退陣に当たっての今の思い、そういったことを、首をひねっておられますが、お尋ねしたいと思います。

 きょうは原子力安全委員会の班目委員長にもお越しを願っております。まず、班目委員長にお尋ねをいたします。

 先日、日曜日、NHKでございましたが、班目委員長は、今回の事故は人災だったとテレビで述べておられました。それをより正確に表現を調べてみますと、次のように言われておられました。津波が大きいものが来たのだから、これは天災ですよねと言われたら、私は絶対にノーです、これは人災です、こういうふうに明確に言われておりました。

 そう述べられた根拠は何ですか。なぜ人災だとお考えなんですか。

班目参考人 御承知のとおり、今回の事故は、地震や津波によって長時間の全交流電源喪失やあるいは冷却機能の喪失が行われたものでございます。原子力施設というのは、これは分厚く守られなければいけないわけでございます。したがって、たとえ津波が想定を超えたからといって、第二、第三の防護手段がなければいけない。それなのに、実際にそういう手段というのを講じていなかった。このことはまさに人災であるというふうに我々は考えております。

 原子力安全委員会といたしましては、基本的な考え方として指針類を定めているところでございますが、それにもやはり抜本的な見直しをしなきゃいけないと考えているところでございます。

谷委員 班目委員長、そうすると委員長の認識は、今までの対策、ふだんからの、平時のそういう対策が十分ではなかったということかと思うんですけれども、そうしたら、そういうふだんの対策に加えて、あの地震以降の、特に初動対応、それらについては問題ないというふうにお考えですか。

 つまり、ふだんのそういう備えが十分ではなかった、これは天災のせいばかりにすることはできない、人災だという御認識だと思いますし、それに加えて、では地震以降の対応、これは十分であったか、人災とお考えなのか、そこをお尋ねします。

班目参考人 事故発災後の対応については、これはこれから検証委員会等々で明らかになるところでございますので、私としては現時点では非常にコメントできないところでございます。

 しかしながら、少なくても現場の対応としては最大限のことをしていると思っておりますので、それについて人災云々を私の方から口にする気はございません。

谷委員 検証委員会の検証を待ちたい、ただ現場の関係の方々は最大限やっている、やってきたのではないかという委員長の思いだと思います。わかりました。

 余り拘束しても申しわけないですから、ありがとうございました。結構です。

 原子力関係について、引き続き大臣にお尋ねします。

 海江田大臣、いろいろなことが、たくさんの課題がありますけれども、まず汚染水についてお聞きしたいんです。

 さまざまな報道によれば、二十日にももう満杯ではないか、五月末日で十万五千百トンですか。それで、今まで、低濃度の汚染水一万トン、これは意図的に放水しました。漁業者だけではなくて、世界各国から厳しい非難を受けたというのは御承知のとおりです。加えて、高濃度の汚染水五百トン、さらにはまた二百五十トンも漏水が見つかった。特に漁業関係者は、本当に大丈夫かと。

 これからは、絶対に、何があっても、どんなことがあっても放水はしない、意図的に流したりはしないと断言していただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員にお答えをいたします。

 まず、現在、東京電力福島第一原子力発電所のこの事故はまだ進行中でございますから、種々問題はございます。しかし、その中でも一番大きな問題というのは、今委員御指摘がありました汚染水の問題でございます。

 今委員からは、二十日という日にちがございましたが……(谷委員「新聞報道です」と呼ぶ)はい、そうです。これは必ずしも二十日ということではございません。例えば雨が大量に降るでありますとか、そういうことも影響してまいります。

 ただ、今私どもはやはり、委員も御指摘がありました、一つはピットというところから流れ出したわけでございますから、まずそれぞれの号機についておりますピットの止水作業というもの、これを十全にやっております。

 その意味では、私どもはこれをきちっと、施設内で循環型の冷却装置をつくりまして、そして施設の中で冷却に戻していくという形で万全を期していきたいと思っております。

谷委員 海江田大臣、万全を期すのは当然だと思います。万全を期した上で、絶対に流さない、汚染水を海に放水したりはしない、その決意をお伺いしたいわけです。再度答弁をお願いします。

海江田国務大臣 高濃度の汚染水を海水に流すことはいたしません。

谷委員 言葉じりをとらえるわけではないです。前の一万トンは低濃度だったんですよ。そうしたら、低濃度はあり得るということですか、大臣。汚染水はということが主語であれば私は言いませんけれども。

海江田国務大臣 汚染水にもいろいろな種類がございます。ですから、私どもは、国の基準で定めました基準を超えるような汚染水というものは流さないということでございます。

谷委員 では、国の基準を超える汚染水は絶対に流さない、そういう決意だということを確認させていただきました。

 それでは、原発関係で次の質問なんですけれども、今、福島の方で、大変、学校のグラウンドの表土を取ったり、あるいは報道によれば福島県は、県知事でしたか、県民全員の健康診断をする、こういうことを公表しているかと思うんです。そのように、自治体はやむを得ず応急的な対応に、特に福島は追われている状況かと思うんです。

 では、こういうことに対して国はどういう支援をしているのか。個別の学校については文部科学省云々、そういうレベルじゃなくて、原発に対応してさまざまなことをいわば余儀なくされているわけです、現場では。そのために、例えば我が党では、これから法案を出す準備を、今最終の詰めをしておりますけれども、原子力被害応急対策基金というようなファンドを、例えば福島に一千億なら一千億、それでそういういろいろな対応を、とりあえず、東電への求償はまた別の問題にして、するというような手当てが私はやはり国として必要かと思います。

 海江田大臣の御見解をお伺いします。

海江田国務大臣 私どもは、まさに原子炉の安定と、それからそこに由来する放射性物質の環境中への飛散、それによって県民あるいは国民が放射線の被害を受けるということのないように努めなければいけないわけでございますから、その意味では、国がもっと前に出るべきではないだろうかということは、かねてから私も答弁もいたしましたし、そういう考え方を持っております。

 そして、具体的には、今委員の言われましたファンドが適切であるのか、あるいは個別の事業に対する補助が必要なのかということは、これは判断がそれぞれございます。特に、今御指摘のありました福島県内の学校の問題では、もう既に、委員御案内だろうと思いますが、これは五月の二十七日、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」という決定の中で、学校の土を、天地返しといいますが、そういうことをやることに対して財政的な支援の対象とするということを既に決めたところでございます。

 いずれにしましても、国もしっかりと前に出て、そして、できるものとできないものがございますが、やはり原子力発電所の安定、収束に向けた何らかの形での財政的な援助というのも必要かと思っております。

谷委員 ぜひ二次補正に向けて、海江田大臣、個別の、地元がこういうことを、福島県がそういう表土を取ったりしていることをやっているから、じゃ、それに対する助成を考えようかということではなくて、福島県に一定の金額を渡すんです。渡して、その対策を打ってもらう、そういう仕組みがぜひ必要だと私は思いますし、二次補正でまた考えていただきたいと思います。また後で二次補正の話はまとめて野田財務大臣にお話をしたいと思いますので、とりあえず今の時点では要望だけにさせていただきます。

 そうしたら、原子力から被災者の生活支援一般に移らせていただきたいと思います。

 松本大臣、たびたび被災者生活再建支援金について、先ほども話がございましたし、私もお尋ねしました。まだ百万円だけです。百万円だけでも、現在どれぐらい支給されているのか。恐らく四千か五千件。国の予算でも十万と言われている数から見れば、支給済みはわずか数%にしかすぎない、こういう状況でございますけれども、少なくとも、現行制度で二百万円までの加算支援金、当初の基礎支援金と含めると三百万、これは現行のスキームでも出すことが義務づけられているというのか、だれもそれは当然だと期待している。いつ予算措置されるのですか。

 それと、その財源は、都道府県、今までの一対一のルールではもう無理でしょう、実際問題。いつ加算支援金の分を財源措置されるのか。二次補正なら二次補正と明言してください。そして、それらは基本的に皆、国費で見るということもあわせて明言を願いたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

松本(龍)国務大臣 御指摘の点ですけれども、基金の中に五百三十八億ありまして、今回の一次補正で五百二十億、いわゆる一千億用意をいたしております。今委員御指摘のとおり、全容もまだわかりませんけれども、そういう意味では、国と地方の分担のあり方等々も、知事会からさまざま要請をいただいております。そこのところは、しっかり私とそして総務大臣、財務大臣と話をしていきながら、精いっぱい努力をしてまいりたいというふうに思います。

 今のところ、加算支援金は余りありませんから、一世帯大体百万程度で落ちついております。おっしゃるとおり、二次補正でしっかりこれを手当てしていかなければならない、政府として、申請があった分は必ずお支払いをするという腹で頑張ってまいりたいと思います。

谷委員 結局、どれぐらいの数が確定するかということはなかなか難しいと思います、こういうような広域的な、いわば複合災害ですから。ただ、一定の見込みでしっかりと、これだけのお金は用意したからどんどん申請していただきたい、そういう姿勢が被災者の方々のためにも必要だと思います。ぜひ、もう一つ前向きとは言いがたい答弁でございましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 応急仮設住宅に移ります。

 大畠大臣、菅総理は、お盆までに内閣の責任ですべての希望者が入れるようにすると同僚の小野寺議員の質問に対して述べて、その後、この答弁を繰り返し、参議院の予算委員会では、必ずやらせるとまで明言されました。この約束は実行できますか。お尋ねします。

大畠国務大臣 谷議員からの御質問にお答えを申し上げます。

 ただいま、菅総理大臣が、お盆までにすべての希望する方が入れるようにする、全員が入れるようにするという委員会での御答弁を受けまして、私ども国土交通省としても今全力を挙げているところでございます。

 ただ、これについては、土地の確保というものがされなければ住宅は建てられないわけでありまして、谷議員から再三にわたり、仮設住宅というのが、避難者、避難生活をされている方々にとって、これからの生活を考える上で大変大事である、一日も早く仮設住宅を完成させるように、こういう御指摘をいただいてきたところでありますが、私も、そういう御指摘を踏まえて、五月末までに三万戸建設させたい、そんな決意で取り組んでまいりました。

 五月二日に三万戸を超える発注をされましたので、五月末までにはできるだろう、こう思っておりましたが、終盤に当たりまして、土地の造成というのが非常に厳しいところまで土地の確保に当たりました。結果的には、大変申しわけなく思いますが、五月末日までに三万戸建設というのは実行できませんでした。

 ただ、昨日までに三万戸を突破いたしました。やっと三万戸突破ということでありますけれども、しかし、これから、菅総理がお約束されました、お盆までに希望者全員が仮設住宅に入れるように、こういう目標を持って今取り組んでいるところでありまして、再度、どれだけの仮設住宅が必要か、こういう再調査をさせましたところ、当初七万二千という希望がありましたが、再調査をしたところ、五万三千戸、こういう状況になっておりまして、現在、各県の御協力をいただき、かつ自治体の御協力もいただきながら、そして土地を提供する方々の御協力をいただきながら、全力を挙げてこの作業、そして総理の発言を受けての目標を達成すべく、取り組んでいるところであります。

 なお、六月七日時点で、民間の賃貸住宅を借り上げて応急仮設住宅としているものが二万二百七十戸ほどございます。さらには、公営住宅への入居が五千七百十七戸となっております。

 委員からの御指摘を踏まえまして、さらにこの仮設住宅の建設に全力を挙げると同時に、避難者そして被災者の方々にとって新しい生活を考える上での大変大事な場でありますから、この仮設住宅が目標どおり完成するよう全力を挙げていきたいと考えているところであります。

谷委員 大畠大臣が一生懸命頑張られていることは十分承知しています。ただ、菅総理の発言と違うんですね、微妙に。菅総理は、やり切る、必ずやる、こう言っている。大畠大臣は、総理の指示を受けて、その目標に向けてと、目標という言い方を常にされているんですね。まあ総理の意を受けてはいますけれども、若干、目標ということで、やや目指すところを下げている、そういうふうに思いますし、そのことは指摘させていただきたいと思います。

 さて、では今のお話ですと、当初は七万二千仮設住宅が必要だということでありましたけれども、その後、市とか町、村からの要望にあれをして、数値が、民間住宅でいいやという方もいろいろおられたということで、今五万三千です、五万三千。これは細川大臣になるかもわかりませんが、目標が五万三千、今三万戸と言われた、残りが二万三千。では、本当に二万三千で大丈夫かなということを確認したいと思います。

 つまり、今避難者は幾らいるか。九万人を超えていますね、九万人を超えている。九万人を超えて、さらに旅館とかホテルへ、いわゆる二次避難をされている方が二万五千人は超えているはずです。つまり、避難所に九万人以上、旅館、ホテルに二万五千人、合わせて十一万五千人ですよ。仮設住宅は、今のお話ですと、あと二万三千でいい。これで大丈夫ですか。

 いや、もちろん、今避難所にいる方あるいは旅館、ホテルにおられる方が全員仮設住宅とはそれは限らないです。公営住宅にいる方もいます。ただ、数から見て本当に大丈夫かなと。

 これはどなたになるんですか。厚生労働大臣ですか、松本大臣ですか。大丈夫かどうかお尋ねします。

大畠国務大臣 現在の避難所での生活をされている方々の数と比較して、ただいまの五万三千という仮設住宅で十分か、こういう御指摘を賜りました。

 私どもも、いろいろと各自治体とも連携をとっているところでありますが、御指摘のように……(谷委員「大丈夫かどうかという結論だけお聞きしたいんです」と呼ぶ)はい。自治体の方で、この仮設住宅の希望というものを避難所の生活をされている方々からお伺いをしては、それで仮設住宅の戸数を出しているわけでありまして、現在、自治体の方では、五万三千戸、こういう仮設住宅があれば避難所での生活をされている方々の希望にこたえることができる、こういうことで、そのような御答弁をさせていただいたところであります。

谷委員 これは私は、松本大臣、大臣がやはりリーダーシップをとらないとだめだと思うんですわ、この問題は。いやいや、答弁はいいです。

 つまり、大畠大臣は、自分のところは仮設住宅なり公営住宅のあっせん、あるいは民間賃貸、それで一生懸命やられていますけれども、生活という立場から見れば、現実に九万人以上まだ避難者がいるんですよ。それで、旅館、ホテルにたくさんいる。そういう方を全体として見たときに、本当にその数で大丈夫か、そういうような目配り、全体としての、政府としての見通す人は、私は松本大臣だと思うんですよ。そのために菅総理が早々と、被災者生活支援チーム、前は本部と言っておりましたが今チームとなっておりますけれども、それをこしらえたのではないかと思います。

 そのことだけ指摘して、次の問題に移らせていただきたいと思います。

 住宅の場合、仮設住宅はあくまでも仮設です、その後は恒久住宅。十六年前、私が経験しました阪神・淡路でも、三万戸近い災害の復興住宅、いわゆる恒久住宅というのを建設しました。大変でした。お金も用地も大変でした。しかし、まだ仮設住宅は完成はしていませんけれども、同時並行的にこの問題はやらなきゃならない。現に、一次補正では一万戸でしたか、大畠大臣、造成費などは計上していたかと思うんですけれども。

 さて、そのときに、木造の住宅、鹿野大臣、これはぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 今回の仮設住宅で、神戸のときとの大きな違いは、積極的に木造住宅に取り組んで、相当数もふえているということです。そういう取り組みによって、地域の、地場の産業復興といいますか地域振興にもなると思います。やはり被災者の立場から考えると、同じ住むなら、コンクリートよりも、温かみのある、湿気も吸収する木造住宅の方が、仮設住宅にしても恒久住宅にしてもいい。それと、神戸の苦い経験からいいますと、震災の後の復興需要というのは、阪神・淡路大震災の場合、地元企業で吸収されず、九割は県外に流れたというふうに言われる人もいるぐらいなんです。

 ですから、仮設住宅はもちろんですけれども、仮設住宅の話じゃなくて恒久住宅に、ぜひ木造住宅になるように積極的に取り組んでほしいんですけれども、大臣、大変私が不満なのは、林野庁は取り組みが遅い。戦略なんか持っていないですよ。戦略を持って、目標を定めて、そして、これもスピードを争いますから、恒久住宅も仮設住宅と同じように。そういう戦略的な取り組みを、ぜひ大臣が強いリーダーシップを持って、かけ声だけではだめです、進みません。ぜひ取り組んでいただきたいんですが、所見をお伺いします。

鹿野国務大臣 今、谷先生から言われたことは全く私も共通の認識を持たせていただいております。

 そういう意味で、とにかく地域材を活用する。この地域材の活用によって地元の活性化にもつながるわけでありますから、今回はどうしてもその地域材の活用をしていきたい。そして同時に、資材をしっかりと確保する。そしてまた、御承知のとおりに、間伐材の搬出なりあるいは利用というふうなもの、これをやることによって木材の安定供給にもつながるわけでありますから、これはどうしても、御指摘のような災害復興の住宅というふうなものにつなげていきたいと思っております。

 そういう意味で、中越地震の際、大変御活躍をされた山古志の村長さんも委員として今おいででございますけれども、その際のいわゆる山古志住宅というふうなことも、復興住宅も参考にさせていただきながら、また、住田住宅というふうなことで、地域材を利用して手づくり的な住宅をというふうなことも参考にしながら、私どもは、地域の方々、地元の方々と連携をとって積極的に取り組んでいきたいと思っております。

谷委員 ぜひ積極的な取り組みを期待します。

 今、大臣の答弁で言われました住田町、私も町長にお話をお聞きして、木造の仮設住宅も見せていただきました。誤解を恐れずに言いますと、本当に住みたくなるような仮設住宅でした。

 ですから、繰り返しになりますけれども、戦略的な取り組みでなければだめですよ。恒久住宅の中で一万戸は木造でするんだ、そういうかけ声で、そして、具体的にあと工程表を詰める、そういう取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 瓦れき処理に移ります。

 松本大臣、なかなか進まないです。これはなかなか進まない。海の瓦れき処理の問題もありますが、これはまた後で鹿野大臣にお尋ねいたします。

 この瓦れき処理、余りに進みぐあいが遅いので、仙谷官房副長官は五月の初めにぜひ国直轄の方向でやりたいと述べていましたけれども、どうもその後、国直轄を一体どういう仕組みでするのかな、仮置き場から最終処分場までは国が直接やるという分担でも決めたのかなと思っていろいろ見ておりますと、何ら動きはない。あれは官房副長官が勝手に発言しただけですか。それとも直轄という方向は消えたのですか、消えてないんですか。大臣、お尋ねします。

松本(龍)国務大臣 直轄という話は、四月ぐらいから官房副長官とずっと話をしておりました。ですから、環境省の職員、チームを派遣しながら、契約の作業、あるいは、事業者も含めてチームを組んで、今、関係三県に派遣をしてさまざま取り組んでおりますし、いろいろな意味で国交省にも手伝っていただいて、海運やさまざまなことも含めながら努力をしているところであります。そういう意味では、各自治体によって行方不明者がいるということでなかなか瓦れき処理が進まないということもありますけれども、我々国としても、しっかりサポートをしていきたいというふうに思います。

 また、先ほどの応急仮設住宅ですけれども、私ども被災者生活支援チーム、しっかり目くばせをしながら、必ず要求にこたえていくというふうにここはお約束をさせていただきたいと思います。

谷委員 瓦れき処理について、松本大臣、国の方がサポートして支援するのは当然です。これはいわば当たり前で、国直轄という場合は、単なるサポート、支援じゃなくて、国みずからやるということですよ。例えば国道であれば、直轄国道といったら国みずから国道事務所で建設し、管理することを国直轄というんです。

 仙谷官房副長官の瓦れき処理は国直轄でという趣旨は、そういうことだと思いますよ。それは、一時的に集めて、一次仮置き場、その後、二次仮置き場までは自治体の方にお願いするかもわからないけれども、その後は、国がみずから、国の機関で、国の職員で、少なくとも責任はやるということが国直轄でやるという意味合いだと思いますけれども、再度、今の答弁では国直轄はもう消えたんですか。

松本(龍)国務大臣 発災から間もなく三カ月になりますけれども、市町村、県、あるいは協議会等々、今さまざま動いております。その動きの中で、今サポートをするのが私たちの役目だろう。

 これから二次仮置きあるいは最終処分等々いろいろなことが起きてまいりますけれども、そのときにしっかりこたえてまいりたいというふうに思いますし、今現在のスキームをスムーズにやることが今重要かなというふうに思っておりますので、そこのところをスピードアップさせるような状況を今つくっているところであります。

谷委員 もう一つよくわからない答弁でございました。また次の機会にいろいろお尋ねしたいと思います。

 災害弔慰金の話、細川大臣にお伺いいたします。いわゆる震災関連死、災害関連死の話です。

 地震とか津波そのものではなくて、その後の避難所あるいは仮設住宅での生活で、環境の変化で、ストレスとか過労とか、中には自殺も、大変悲しいことですけれども入るかもわかりませんが、そういうことによりお亡くなりになられた方を、十六年前の阪神・淡路大震災以来、震災関連死ということで、神戸の場合、何と九百十九人いたかと思います。一月十七日、あの大地震のときに亡くなられたのは五千五百人、その後で関連死と認定されたのは九百十九人だったかと思います。

 ただ、どういう仕組みになるかというと、要は関連死かどうかは市町村で決めてくれと。市町村で第三者機関、弁護士とかお医者さんも入っていたかな、第三者委員会を設けて、そこで決めるんだ。厚生労働省は、過去の例はこういう例で認められた例がありますよという事例集だけをたしか送っているかと思いますが、大臣、それでは不十分だと思います。

 実態を考えてください。宮城の南三陸町で、あなたのところで第三者委員会をつくってやれ、岩手の大槌町で第三者委員会をつくってやれ、こんなことできますか。義援金も配れていないんですよ。ですから、私は、ぜひ国の方でガイドラインをつくるべきだと思います。そして、実務を担っている、実際認定している市町村がやりやすいようにすべきだと思いますが、お考えをお伺いします。

細川国務大臣 この災害弔慰金につきましては、これは亡くなられた方の御遺族に当然早く配られるということが私も大事だというふうに思っております。

 そこで、この弔慰金につきましては、まず、死因がはっきりしているものは、すぐに手続をいたしまして、難しい手続が一切なくてすぐ配れるというふうに思います。

 今言われました災害関連死と言われる、これが本当にいわゆる災害が原因の死亡なのかどうか、この因果関係を判定しなければなかなか判断できない、したがって、そういう事例については、私どもとしては、それぞれの市町村で審査委員会をつくりまして、そこに弁護士とか医者とか、そういう専門家の皆さんで判定をしていただきたい、こういうことでやっております。

 というのは、ガイドラインを決めるといっても、地方地方で、その地域地域で、いろいろな要素というか事情が違いまして、そこで一律で国の方がガイドラインをつくるとしても、抽象的になって判定がかえってしにくいのではないか、こういう判断でありまして、これまで、例えばあの新潟の震災の中で関連死で亡くなられた方々、一人一人がどういう形でのお亡くなり方で災害弔慰金が認められたと、こういう事例をお示しして、そこで判断をしていただく方がむしろ地域では判断しやすいのではないか、こういうことで指導をさせていただいているところでありまして、私どもとしては、その方がよりスムーズにいくものというふうに思ってそのことをさせていただいているところでございます。

谷委員 大臣の今の答弁書を見られてのあれはわかりますけれども、でも、実態を考えてくださいよ。

 阪神・淡路のときは、神戸は百五十万ですよ。大きな被害を受けた西宮市は五十万。伊丹市は三十万。そこそこの行政規模があって、市町村ごとでもまだどうにかできたかもわかりません。

 今回は、それぞれの市ごと、町ごとに、弁護士とか医者を入れた第三者委員会をつくってそこでやりなさい、こんなことは実態から遊離してますやん。いつまでもまた震災関連死の人もほったらかしにされて、時が過ぎるばかりですよ。だから、その仕組みを例えば県が代行してやるとか、工夫はあると思いますよ。今、総務大臣、うなずいておられますけれども。

 片山総務大臣、答弁をお願いします。何かその辺を本当に考えてあげないと、これは。今までの仕組みがそうだなんということを言ったら、現場が混乱しますよ。泣きますよ、そんなことを言ったら。片山大臣、お尋ねします。

片山国務大臣 私の経験から申しましても、県がこれを一括して代行するという仕組みは、当然考えられてしかるべきだと思います。それを国が応援するということが望ましいのではないかと思いました。

谷委員 それでは、ぜひ総務省と厚生労働省とよく話をしていただいて、早くこういうスキームをつくってあげないと。そういうスキームを早くつくっても、なかなか現場では大変なんですよ。

 繰り返すようですけれども、義援金にしても被災者生活支援金にしても仮設住宅にしても、避難所にたくさんの人がいるんですから、市町村はそういう仕事に追われるわけです。黄川田委員長もよくわかっておられます。ですから、そこで法律の建前ばかり言ってもだめなんですよ。そのことを、ぜひ厚労大臣、総務大臣とよく調整されて、体制づくりをお願いしたいと思います。

 野田大臣、まだまだいろいろたくさんの例を挙げたかったわけですけれども、いずれにしても、先ほどから話が出ています被災者生活再建支援金とか、瓦れき処理も陸はまだ六割ですね、予算措置は。海は、私の感覚では一割もまだ計上していないと思いますよ。それから、復興基金の話、二重ローン対策、地域医療。医療過疎と言われる地域がさらに加速されるんじゃないかと地元の方ではよく報道されておりますけれども、地域医療再生のため。学校の復旧の経費も、一次補正に本格的な復旧は入っていません。三陸鉄道もそうだ。何にもしてない。JRももちろんそうですし、海岸堤防の復旧費もゼロです。また、原発被害のための仮払い、こんなことも何も計上してない。

 早急に相当規模の二次補正を計上すべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

野田国務大臣 まずは、五月二日に成立をさせていただいた第一次補正予算を着実に実行していくということと、その上で、先ほど来委員が具体的に御指摘をいただいたようなことも含めて、足らざるものは何なのか、それから復興に向けて何をすべきか、そういうことを踏まえながら、しっかりと第二次補正の編成をしなければいけないというふうに認識をしています。

谷委員 野田大臣、足らざるものは何なのかと。ずっと質問していますし、何でしたらペーパーを出しますわ。幾らでもあります。山ほどあります。ぜひ、あとは政治の決断だと思いますよ。早期に相当規模で、十兆なら十兆という規模でやるという、その決断が求められているということを御指摘させていただきたいと思います。

 さて、菅総理、六月二日に鳩山前総理大臣との確認事項というのがあります。これを見てびっくりしました。

 なぜびっくりしたかというと、一国の宰相たる総理が、確認事項に、一番目に、民主党を壊さないこと。自分の党のことを書いている。二番目、自民党政権に逆戻りさせないこと。これもいわば政局の話です。三番目にやっと、大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと。こういう確認事項の順序に、大変寂しいというか残念です。

 ただ、逆に言うと、こういうせっぱ詰まったところに、人としての、政治家としての考え方、重点の置き方というのがあらわになっているのではないかと思います。

 どう思われますか、総理、この順序について。まず民主党を壊さないこと、自民党に逆戻りしないこと、三番目にやっと国政の、復旧復興の課題が出てくるという、この順序についてお尋ねします。

菅内閣総理大臣 私は、三月十一日の発災以来、最優先課題がこの震災、そして原発事故対応だと、その立場で全力を挙げてまいりましたし、現在もその立場で全力を挙げております。そういった意味で、国民の皆さん、被災者の皆さんのことを最優先するのは当然だと思っております。

 御指摘の文章は、私がつくったのではなくて、これをお持ちになった方がつくられたわけでありますので、順序までどうこうということを私の方で申し上げる立場にはありません。(発言する者あり)

谷委員 何か、また人のせいにするというやじが飛んでいましたけれども、私はそのとおりだと思います。やはり、時の宰相、国の総理であれば、民主党が云々、自民党がどうのこうのよりも、まず復旧復興じゃないかというのが筋論だと私は思います。

 さて、我々野党はもちろんですけれども、与党議員の多くも、復興基本法の成立、来週にもというふうに言われておりますけれども、自発的に退陣すべきだ、たくさんの方のそういう意見があります。

 冒頭御質問しました班目委員長は、あるとき、班目語録といいますか、班目委員長発言で、やめさせてほしいが、ここでやめたら末代の名折れだと発言しましたけれども、総理、野党だけではなくて与党議員の多くも、基本法の成立を機にみずからやめられてはどうか、そういう状況を見ると、今の時点で、成立した時点でやめなければ、それこそ総理、あなたは末代の名折れだと言われるのじゃないですか。御所見をお尋ねします。

菅内閣総理大臣 六月の二日に、衆議院の本会議を前にして、代議士会がありました。その場で私が申し上げたのは、この大震災に対するいろいろな努力を今しておりますけれども、それが一定のめどがついたところで、ぜひ責任を若い世代に引き継いでいきたいということを申し上げたと同時に、それまでは私が責任を持ってやらせていただきたいということを申し上げ、民主党の大多数の皆さんにそれを了解していただき、本会議で大差で不信任案を否決していただきました。

 私は、その否決、つまり、私に、めどがつくまではしっかりやれという議決をいただきましたので、今まさに谷先生がいろいろと御指摘されたこと、仮設住宅、仮設に入った人が生活できるようにすること、瓦れきの処理、さらには原発の収束、そういったものについて一定のめどがつくまでは責任を持って仕事をさせていただきたい、こう考えております。

谷委員 総理、そうしますと、仮設住宅は総理みずからお盆ということを言われました。しかし、瓦れきの処理は、常識的に、今言われているのは最低でも三年かかると言われています。年内でも年度内でも、仮置き場まででも無理じゃないか。

 では、総理の言われる、一定のめどがつくまでしっかりと、それまではやりたいと。それまで何をやるんですか、具体的に。一定のめどがつくまで、総理はどういうことをやられるんですか、お尋ねします。

菅内閣総理大臣 谷先生も、阪神・淡路、私も当時、自社さ政権の与党におりましたけれども、それを現地でまさに体験され、あるいはいろいろなお仕事をされたわけでありますから、よく御承知だと思います。

 今、私の内閣は、それぞれ役割分担の中で全力を挙げて取り組んでいるんです。そして、私としては、それが一定のめどが立った段階でちゃんと引き継がなきゃいけないんです。終わらすわけにはいかないんです。ですから、若い世代にちゃんと引き継ぎたいと申し上げたんです。やめるんじゃないんです。やめるというのは、仕事をですよ。やらなきゃいけないことが続くんですから。

 ですから、瓦れきの処理についても、一応、八月中に生活している地域からは搬出することを目標に今頑張っていただいておりますけれども、その後の二次処理、三次処理について、確かに時間がかかるでしょう。それにつなげていく、そのことを申し上げ、そのつなげていくことも含めて、私の大きな責任だと考えております。

谷委員 政治家というのは、やめる時期の決断が一番大事だということを改めて総理の答弁を聞きながら思いました。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、総理にも後ほど質問をさせていただきますけれども、通告に従いまして順次やらせていただきたいと思っています。

 まず、これは先般、総理のもとに提出をさせていただきました我が公明党のいわゆる復興ビジョンということで、山口代表、井上幹事長のもとに、この復興特別委員会の公明党の石田理事中心に、私どもも手伝わせていただきまして、これまで緊急提言を二回提出させていただいた上で、今回はこの復興ビジョンということで、復興に向けたさまざまな党としての考え方、施策、これを盛り込ませていただいたところでございます。

 きょうは、このビジョンに基づきまして、特に、私の方からは、農業、漁業、この点について伺わせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初は、被災地域の農業、漁業の再生、復興ということでお聞きさせていただきたいと思うんですけれども、まずは水産業の再生、復興ということで、これは農水大臣中心にお伺いさせていただきたいと思っています。

 先般、公明党の二重ローン・リース契約問題プロジェクトチームというのが立ち上がりまして、被災地、現地に上がってヒアリングを行いました。信金などの金融機関もそうなんですけれども、宮城県の漁協ですとか、あるいは農協中央会、また農林中金の方々から、大変多岐にわたるいろいろな御要望等をいただいたところでございます。

 そういう中で、現地が非常に大変な状況で、例えば水産業、漁業でいいますと、二百六十三の漁港が大変な壊滅的な状態にあるということ、それから、津波による被害で、もう御案内ですけれども、例えば、市場もそうですけれども、冷蔵冷凍施設、それから加工施設を含めて、とにかくほとんど大半が流されてしまって、これらに対する再建のめどが全く立っていないという状況。

 あわせて、二重ローンの問題とかリース契約に関する問題、これも随分出てきておりますけれども、やはり事業の再建をするためにはどうするのか、こういう課題が山積をしております。

 特に漁業者の方々からは、とにかく、漁船があれば、あるいは漁業用の資材が一部あれば海に出られるんだ、そしてそのことによって何とか再建のめどもできる、だからこれだけでも何とか早くめどをつけてくれ、こういう切実な要望をいただいたところでございます。

 あわせて、水産業の方に目を転じますと、漁業者の要望とあわせて、こちらの方は加工、流通ということで、本当に小さな零細の事業主も含めていわゆるサプライチェーンのようになっている状況の中で、その地域の一体的な再生、復興がなければいけないということを改めて感じさせていただきました。そういう意味では、どこか一部分だけ何とかなれば再生、復興になっていくというふうには私どももなかなか思えなくて、重ねてですけれども、一体的な再建、復興が必要だろう、このように感じました。

 こういう点について、まずお伺いしたいのは、農水省としてこの問題についてどのような見解をお持ちなのか、ここからまず伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生御指摘のとおり、私どもも共通の認識に立たせていただいております。

 とにかく漁業者の方々は、まず船を出してということでは航路を確保する、そして船が出て操業する、そして荷揚げされる。しかし、その荷揚げされたときには、やはりそこには、先生今おっしゃられたとおりに、加工業の方々とか、あるいは製氷関係、冷凍冷蔵関係の人たちとか、あるいは流通業者の人たちがまさしく一体となった取り組みができるような、そういう体制をつくっていかなきゃならない。そういう意味で、今回の第一次補正におきましては、応急、緊急措置として、まず私どもは措置を講じさせていただいた。

 そうすると、いよいよ今度は、本格的な復旧復興に向けてもまさしくどうするかというふうなことにつきましては、今後、地域、地元の方々の要望というふうなものをしっかりととらまえさせていただいて、今申し上げた、先生も御指摘の一体的な取り組みというふうなものの中でどういうふうな方式がいいのかというふうなことを踏まえながら、二次補正等々に向けて私どもは取り組んでいきたいと思っております。

稲津委員 今御答弁にもありましたけれども、一次補正の中では全く十分でないということが私どもも現地に行ってこのヒアリングでわかった次第でございまして、今大臣申された、二次補正のところをしっかりやっていく、これをまずぜひ早急に酌み上げていただきたいということを申し上げたいと思います。

 その上でですけれども、これも御案内かと思いますが、宮城県の漁協が組合員の皆さんに行った意識調査を見ますと、実に三割の漁業者の方々が廃業予定という意向が示された次第でございまして、これは考えていきますと大変なことでございまして、さらに約一割ぐらいの方々については廃業を含めて検討したい、このような結果が出たというふうに承知をしております。

 私は、このことを思ったときに、この中には、当然事業の規模の小さい方々も大勢いらっしゃるのと同時に、あわせて高齢化という問題もあるということを認識しています。そういう意味では、確かに、本格的な復旧に向けたというか、応急措置が必要なんですけれども、それと同時に、漁業者を減らさない、こういう視点が一番大事なことのもう一つだと思うんです。その意味では、担い手の方々にどういう対応をしていくのか、こういった取り組みも必要だと思っています。

 この点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生の御指摘の点は、大変重要なことだと思っております。

 そういう中で、今回被災に遭われた地域を考えたときに、とりわけ岩手県あるいは宮城県、漁業方式の状況も違いますし、また置かれている環境も違うということで、それぞれの要請、要望というふうなものも多岐多様にわたってというふうなことも、私も現地に参りまして、また直接お話を伺って感じておるところでございます。

 そういう意味では、今、漁業者の数を減らしちゃならない、こういう御指摘でございますけれども、この地域の方々に再び意欲を持って取り組んでもらうためにどうするか。気仙沼に参りましたときには、八五%の人たちが、もう一度やってみたい、こういうような気持ちであるということも、強い意欲を感じ取らせていただきました。

 そういう意味では、その方々の御要請、御要望にこたえていきたいという意味で、私どもは積極的に、御用聞きというような言葉がございますけれども、各市町村なり漁業者の方々に対しての接触によって、いろいろとお考えをお聞きしながら取り組んでいくことが大切なことだと思っております。

稲津委員 今大臣から大変前向きな御答弁をいただきまして、ぜひ進めていただきたいと思っています。

 この漁業、水産業のこととあわせて、今度は農業について伺いたいと思うんですけれども、今回の津波被害、宮城県だけで見ますと、一万五千ヘクタールに上る農地、作付面積が津波にやられたと。これは、昨年の作付面積七万二千ヘクタールということですから、実に五分の一、二〇%以上がやられたということですね。それから、排水関係でも、私どもが伺ったところによると、農地の約六百五十ヘクタールがやられているということ。

 これは塩害のことあり、それから地盤沈下のことあり、再利用をするまでに相当時間がかかる地域も数多いんじゃないか、このように思っているところでございます。あわせて、農業者におかれては、いわゆる二重ローンの問題があるということ。ですから、これは大変なことなんですね。

 私は、今回のこのヒアリングの中で、少し整理させていただいて、四点申し上げたいと思うんです。

 まず一番目。これは農地の問題。既存の農地が再生できないのであれば、代替農地を出すなどの対応策も必要になってくるだろうということ。これはほとんど議論はまだされていないというふうに思います。

 二番目。これは農業施設の再建ということで、例えばパイプハウスの問題なんかもありますけれども、貸し付けではなくてリースになっているということ。これが津波で流されても、施設は流されたけれどもリースだけは残っている、こういう厳しい現実。

 それから、農業機械の再取得の問題です。これも、現在もう既に貸付金の残高が相当残っていて、それが足かせになっていて、その上で次の農機具を再取得するというのは非常に難しいという状況。

 四番目。これは生産資材の供給です。肥料とか農薬等々の問題ですけれども、これも、三月十一日ということは、これからいよいよ作付していくという時期ですから、これらのものはもう既に準備していた。それが全部流されてしまった。こういう問題があって、未払い金のこともあります。

 私は、農地の確保、それから今申し上げましたような残り三つの視点、こういうことが非常に大事だと思っております。

 そこで伺いたいんですけれども、まず、農地に関して、この農地問題については、被災地域における土地利用の計画、この策定がどうなっているのかということ。それから、政府による、もうこれは農地としてなかなか難しいな、再利用は難しいなというところについての買い上げのことについても求められていますけれども、この点についての検討はどこまで進んでいるのかという状況。それから、既存の農地で再開できないとなれば、ぜひ農業をやりたいんだという、担い手対策も含めて、代替農地をどうするのかというスキーム、これも検討すべきである、このように思っております。

 この三つの点について、お伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今私ども、御指摘をいただきました被災に遭った農地をどう土地利用していくかということにつきまして、御承知のとおりに、復旧復興することによってもう一度作付できるような状況のところと、なかなか容易でないな、地盤沈下によってなかなか大変だなというようなところもあるわけでございます。

 そういう中で、農地を国が買い上げたらどうかというようなお話も今ございましたが、いろいろ今後、具体的に県あるいは市町村、そして農業者の方々の御意見というふうなものも私ども今聞かせていただいておりますけれども、復興構想会議におきましても、農地の土地利用をどうするかということも御検討いただいているわけでありますので、そういう中で私どもは取り組んでいかなきゃならない、こう思っております。

 また、被災農家の人たちのいわゆる代替農地の取得というふうなことにおきましても、やはり、農地の復旧ということなり、あるいはそれにかわるところの土地をいかにして確保するかというようなことも非常に重要な課題だと思っております。そういう意味で、このことにつきましても、私どもは今地元の方々のお考えというものも聞き取りをいたしているところでございますけれども、実態に沿った一つの具体的な施策というものを講じていかなければならない。

 こんなことで、今先生からの御指摘につきましては、積極的に取り組んでいかなきゃならない大事な重要な課題であるという認識に立たせていただいておりますということを申させていただきたいと思います。

稲津委員 重ねて一つお伺いしたいと思うんですけれども、その上で、先ほど私が申し上げました四つのことですね。一つは農地の確保、それから農業施設の再建の問題、それから機械等の再取得、それと生産資材の供給。これが、先ほどの漁業、水産業もそうなんですけれども、農業においても、一農家が、これらのことを一体的に再建しないと難しいということですね。だから、ここはやはり相当な支援をしなきゃいけないと思っているんですけれども、この一体的な農業再生の取り組みということについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 やはり漁業と同じように一体的な取り組み、これはまさしく重要なことであります。

 そういう意味で、今般の私どもの第一次補正におきましても、今先生から御指摘の、いわゆる農業の施設あるいは機械の復旧というふうなこと等々を頭に入れさせていただきながら、この第一次補正の中にも助成策として取り組ませていただきました。そして、新たなる交付金によるところの共同利用施設の復旧や共同利用機械の導入あるいは生産資材の共同調達等にも、事業費としての助成もその中に含ませていただきました。あるいはまた、融資の点につきましても、無担保無保証人の一定期間の、いわゆる災害復旧関係資金の貸し付け等の措置も講じさせていただいたわけであります。

 こういう助成措置なり、あるいは金融措置というふうなものは、まさしく地域の実情に合った形でやっていかなきゃなりませんので、いよいよ本格的な復旧復興に向けてということを考えた場合に、漁業の場合と同じように、私どもは、地域の実情に沿った形というふうなものを踏まえる中で、よく地域の方々の現状というふうなものの考え方をお聞きしながら、二次補正等々に向けて取り組んでいかなければならないと思っております。

稲津委員 我が党のそういったさまざまなビジョン、提案というのは、まさに現場の声をしっかり実際にお聞きをして、その中で本当にこれは大事だなということをスムーズにやはり訴えていくということがこれまでこの数カ月間取り組んできたことでございまして、大臣から重ねての御答弁をいただきましたけれども、私どもは、この二次補正の中、酌み上げる時点で、この農水関係の今申し上げましたような取り組みをぜひしっかり予算化を図っていただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 次は、中小企業の再建と雇用の問題ということで一つお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、実際、この震災後に経営が立ち行かなくなった事業所、ここでは、今はもう本当に厳しいから一たん雇用を、申しわけないけれどもやめてもらうけれども、必ずいつか再雇用というような事業者と雇われている方々の話が結構あるというふうに伺っております。

 その中で、そういう意味で一たん雇用を切られてしまったという従業員がかなりいて、当面の間は雇用保険で何とかつないでいく、しかし、それもそういつまでも長くということもありまして、ここは、そういった事業所に対するスピード感のある支援が必要だろう、このように思っております。ところが、先ほど来の話のとおり、津波で事業所のさまざまなこともほとんどすべて失われてしまったという厳しい現実がある。

 もう一つ事業主にとって大変な足かせになっているのが、やはり二重ローンの問題でございます。私どもは、従業員が戻ってこられるようなうちに早く事業所の再開のめどをつけなければならないという事業主の方々の切実なお訴え、これにどのように対応していくかということが今政治に強く求められていることの一つである、こう思います。

 そういう視点でこのことを考えていったときに、いかにスピード感のある対応が重要であるか、このように思っておりますが、まず、このことに対する認識を経産大臣にお伺いしたいのと、あわせて、中小零細企業の事業主の方々の足かせになっているこの二重ローンの問題、これに対する解決の糸口をどうつけていくのか、このことをぜひ金融庁にお伺いさせていただきたいと思っています。

海江田国務大臣 委員御指摘のありました中小企業の対策の中で、まず資金繰りがございました。この資金繰りにつきましては、震災発生直後より、まず日本公庫による災害復旧貸し付け等の対策を講じたところでございます。そしてその次の段階で、これは先日成立しました補正予算を利用いたしまして、保証限度額を過去最大規模に拡充した東日本大震災復興緊急保証、それから、従来より大幅に長期かつ超低金利、福島県などはゼロ金利というのもございますが、東日本大震災復興特別貸し付けを創設いたしました。これは十六日よりもう既に相談を受け付けております。

 あと、今委員からございました雇用を確保するという点から、私どもは貸し店舗それから貸し商店を考えております。中小企業基盤整備機構、これが整備をいたしますが、既に三十三の町村から二百十件の御要望がございます。そして恐らく、きょうかあしたになろうかと思いますが、その第一号の契約が始まるところでございます。

 そうした形で、できる限り早期に中小企業の立ち直りに対して支援をしていきたい、そう考えております。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 金融庁は、先生御存じのように、主として民間の金融機関を所掌させていただいておりまして、被災した中小零細企業の既存債務について、金融機関において、これは三月十一日に震災が起きましたので、その日のうちに私と日銀総裁の名前で要請をさせていただきまして、例えば、当面、元金あるいは金利の支払いを猶予する。今は猶予してある中小企業あるいは個人の住宅ローン等多いわけでございますけれども、そういうことを、被災者の便宜を考慮した、これは法律的根拠は中小企業金融円滑化法でございますが、させていただいております。

 また、その上で、さらに一歩進みまして、今国会において改正案を御審議いただいております金融機能強化法でございます。これは実はきのう、おかげさまで衆議院の財金委員会、全会一致で通過させていただいたわけでございますけれども、国の金融機関に対する資本の参加によりまして金融機関の財務基盤を強化することによりまして、中小零細企業への貸付債権の条件変更、これは場合によれば債権放棄ということもございますけれども、そういったことを含めて、新規融資等、金融機関が被災地の実情に合った対応を行いやすくするように、震災地域に対する特例でございますけれども。

 それから、今さっき先生のお話に出ておりました信用金庫、信用組合、これには面的な金融支援ということで、特段に強化する方策をこの法律の中でも考えさせていただいておりますけれども、そのほか、金融機関が債権放棄をした場合に無税償却となるように、容認できるように国税当局と協議をしているところでございます。

 しかしながら、たくさんの今、農林水産省あるいは経済産業省、国土交通省等々は政策金融を持っておりまして、政策金融であれば、五年据え置き、無利子というようなことも実現できるわけでございます。そういったことと相まって、総理大臣からも先般、私の方にも、それから経産大臣、国土交通大臣、農水大臣、それから財務大臣でございますが、内閣官房を中心に政府一体となって、二重ローンの問題は大変大きな問題でございますから、しっかりやるようにという御指示をいただいたところでございます。

稲津委員 先ほどの農業、漁業とあわせて、この中小企業等に対するさまざまな具体的な支援を強く要望させていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 次は、福島原発の賠償問題ということで順次伺っていきたいと思いますけれども、ここは総理にも後ほど数点お伺いさせていただきたいと思います。

 まず、仮払いのことなんですけれども、避難住民の方々への賠償の仮払いに続いて、中小企業それから農林水産業者の方々への仮払い、これも順次開始された、このように伺っておりますが、現段階でのこの仮払いの状況と今後の見通しについて、まず簡潔にお伺いをさせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 御指摘のように、避難を余儀なくされた住民の方々への仮払い、まだ若干残っているようですが、ほぼこれは仮払いを終えたということでございまして、それに引き続きまして、これは五月三十一日より、今御指摘のありました農林漁業者に対する支払いがスタートをしております。そして、これは団体ごとに調整を行っていきますので、この団体側との調整が済み次第、順次すべての方々に支払いが行われるものだと思っております。

 それから、同じこの五月の三十一日でございますが、まず商工団体とそれから東京電力の間で協議会がスタートをいたしまして、ここで話し合いが行われまして、六月一日から、東京電力が現地商工会等に社員を派遣して、窓口相談やそれからコールセンター、大体規模が五百人ぐらいと聞いておりますが、このコールセンターでの電話受け付けを進めており、今週中にもこの中小企業者に対する実際の支払いが開始されるというふうに私は聞いております。

稲津委員 この原子力損害の賠償の範囲の判定等に関する第二次指針ということにつきまして、これは先般策定されたわけですけれども、この第二次指針では、幾つかの問題があるというか、指摘しなければならないことが幾つかあると私は思っています。

 まず一つは、風評被害。これは農林水産業、観光業ということで区域などが示されたわけですけれども、例えば、農林産物、畜産物、水産物、これは食用のみということと、トータルでいくと福島県と茨城県の二県だけになっているという、実際の風評被害というのは広範にわたっているという実態に即さないじゃないか、こういうことでございます。もう一点、観光業については福島県のみという、これも今実際にはもっと広がっている。これは全国的な状況ですよ。

 まずこのことが挙げられると思うんですけれども、この二点について、それぞれ御答弁いただけないでしょうか。

高木国務大臣 稲津議員にお答えをいたします。

 御指摘になりましたように、五月三十一日に第二次指針が決まりました。いわゆる風評被害についてであります。これについては、業種ごとの特徴などを踏まえまして、営業や品目の内容、あるいは地域、損害項目などについて類型化した上で、一定の範囲の類型については、原則として本件事故との相当因果関係が認められるものとされております。

 そういう考え方に立ちまして、観光業に関しましては、差し当たって、福島県に営業拠点を持つ観光業については、県内での事故の発生ということ、あるいはその後の広範囲にわたる放射性物質の放出が原因で、消費者などに解約とかあるいは予約の控えなどがある蓋然性が非常に高いということから、本件事故との相当因果関係がある損害の類型として認められたところでございます。

 なお、この第二次指針に認められなかった、いわゆる指定されなかった、対象外となったものについては、例えば福島県外での観光業の風評被害については、今後、原子力損害賠償紛争審査会において、被害の実態あるいは事故との関連性について詳細に調査検討を行う、それを踏まえて七月ごろに中間指針として取りまとめていただきたい、私はそのように考えております。

稲津委員 結果的に今の御答弁でわかったことは、その他のものだとか子細に検討するものについては七月ごろをめどに中間取りまとめで出したいというお話だったと思うんです。

 しかし、三月十一日に発災をして今日に至るまで結果的に何の手当てもされていないという現実、その中で七月となったら、今度はどうですか。では、実際にそういった方々への仮払いというのは何月になるんですか。八月ですか、九月ですか。そうすると、ほとんどもう半年間対応されていないという厳しい現実がありますよ。先ほど申し上げましたように、これは随分実態に即していないということを言わざるを得ない。

 私は、このことについてはぜひ総理にもお伺いしたいと思うんですけれども、総理は、この発災以来五カ月間、被災された方々の事業、結局七月云々ということであればそうなりますけれども、こういったことをどう思われますか。

菅内閣総理大臣 いろいろな仮払いがもっと早く積極的に行われるということは、被災者の皆さんにとって大変重要なことだと思っております。

 御指摘の第二次指針で認められた損害についても、迅速、公平かつ適切な損害賠償が行われるよう、まずは東京電力に対して対応を求めていきたいと考えております。さらに、その範囲の拡大や、確実に被災者に適切な補償を行えるような問題について、それが可能となるよう、賠償スキームについてもできるだけ必要な法整備を行うということを五月十三日の関係閣僚会議で決定いたしているところです。

 そうした方針について、できるだけスピードを増すよう関係閣僚にも指示をしていきたいと思っております。

稲津委員 総理、私、先般、南相馬に行きまして、JAの組合長に大変厳しいおしかりをいただきました。

 それは何かというと、我々はもう本当に大変な状況にある、五つ被害を受けているんだ、こう言われました。一つは地震だ、二つ目は津波だ、三つ目は原発だ、四つ目は風評被害だ、五つ目は政治家だと言われました。政治が余りにも迅速さに欠けている、だから我々は一向にここから、この厳しい状況から抜け出せない、そういう厳しい御指摘をいただきました。今まさにこの震災において求められているのは、私は、現場の視点に立ったそういう目線と、それから迅速さ、このことに集約されると思います。

 きょうは、この後、二次補正、それから、先ほど総理がお話しされました賠償スキームについて伺いたいと思っていましたけれども、もう時間がありませんので終わりますけれども、私は、交付国債の問題とかをあわせて考えていったときに、このスキームというのは、保険でもなければ、賠償、一体何なのか、国の、政府の責任は一体どこにあるのか。これは政府の責任、国の責任が随分あいまいになってしまっているなということを指摘せざるを得ません。

 このことはまた別の機会にぜひやらせていただきたいと思っていますけれども、その意味でも、この仮払いも含めて、仮払いとて東電が到底払い切れるような、そんな額じゃないと私は思っています。ですから、この辺の予算の問題それから法律の制定の問題、これを真剣に議論して、そして迅速にやっていくべし、このことを最後に申し上げたいと思います。

 何かもし御意見があればお聞かせいただいて、終わりたいと思います。

黄川田委員長 内閣総理大臣菅直人君。簡潔にお願いします。

菅内閣総理大臣 大変重要な指摘をいただいておると思います。もちろん多くは政府にあるいは与党に責任がありますけれども、やはり迅速に物を進めるには、与野党を超えて国会の場で議論を急いで結論を出していくことが重要でありますので、ぜひともそういう姿勢で与野党を超えての皆さんの御協力も心からお願い申し上げます。

稲津委員 終わります。

黄川田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 間もなく発災後三カ月になろうとしておりますが、いまだに多くの被災者が不自由な避難生活を送り、あすの暮らしが見えない状況にいら立ちと不安を募らせています。

 復興基本法を制定するというのであれば、その大前提として、この直面している深刻な実態を一日も早く解決し、被災者一人一人が生活の基盤を確保することを目標とするべきです。そして、そのために政府と国会がやるべきことは何か、これが大前提ではないでしょうか。

 復興は、被災者が主役であり、上からの押しつけであってはならないこと、住まいとなりわいの再建が土台であること、日本共産党はこのことを繰り返し主張してまいりました。残念ながら、そうした視点がこの法案には欠けているのではないか、このことを指摘しておきたいと思います。

 さて、進まない瓦れき撤去についてであります。繰り返し本委員会でも指摘がありました。被害のひどかった三県だけでも、震災瓦れきは阪神・淡路大震災の一・七倍とされております。三月二十九日には、瓦れき撤去費用に一〇〇%国庫補助という方針が出され、五月二日の一次補正では三千五百十九億円が措置されたといいます。まず、その執行状況について伺います。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、第一次補正で三千五百十九億用意をいたしまして、五月二日当日、補助金要綱を全国の自治体に示して、自治体からの申請があれば直ちに補正予算を執行できるよう体制を整えております。

 本日までには、補助金概算払いの申請が行われていないために、補正予算の執行は行われておりません。

高橋(千)委員 つまり、まだ一円も執行されていないということなんですね。昨日聞いたときには、七月ごろではないかというお話がありました。本当に、私、正直驚きました。もともと、国庫補助ということを九割にして残りを交付税措置、そんな面倒くさいことを言わずに、そもそも国庫補助一〇〇%にすればいいじゃないか、そう言いたかったんですね。

 ところが、今それ以前の状態だ、一次補正さえお金が入っていない。そうすると、この流れで、概算払いも出てきていない、状況がわからない、七月にお金がようやっと出始めて、執行状況がわからなかったら二次補正がまた見通しが持てないじゃないですか。それは、本当にどうするんでしょうか。

 最も困難な自治体に入るであろう岩手県の大槌町に私が最初に訪問したのは四月二日でしたけれども、実は既に撤去を始めておりました。自治体は、書類を書く手間を惜しむ忙しさだけれども、それでも、やはりそれよりもまず撤去しようといって頑張っているわけですよね。それに対して、書類だとかいろいろな、概算払いの計画を上げてこい、そういうことをやっているんです。これは、従来どおりではだめじゃないかということを言いたい。本当に急ぐべきだ。先ほど指摘された国直轄も含めて、どうですか大臣、もう一度。

松本(龍)国務大臣 概算払いの申請をしやすくするために、補助金申請に必要な書類については大幅に簡素化をしております。また、概算払いの際の災害査定につきましても、現地調査をするのではなくて、まさに本省での机の上の調査ということをするなど、補助金執行までの時間をできるだけ短縮できるように調整をしております。

 今週ずっと、各市町村が来られまして、いろいろな課題を言われましたけれども、各市町村の議員の方々も、また首長さんも、そして我々も、しっかりこれから取り組んでいかなければならないなという話をしたところでありますから、これからも、できるだけ迅速にやれるように、私たちも努力をしてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 国庫補助の方針が出たのは三月二十九日なわけですよね。補正をするということはもう決まっているんですから、概算払いはどのくらいになるかというのをそれまでに積み上げておけばよかったじゃないですか。補正が決まったらすぐに出せる、そういう体制にするべきだった。これは本当に猛省を促したいし、早くやりたいとおっしゃっていますので、七月などと言わずに、一日も早く行き渡るようにしていただきたいと思います。

 福島は、逆にもっとおくれる心配があるわけですよね。そもそも、放射性瓦れきの問題、まだ処理方針は明確にされておりません。汚染レベルが低いとして通常処分をよしとされたのが会津地方と県南部の十町村にすぎない。十九日が正式決定とされております。決定のおくれがまた予算決定のハンディキャップとなることにならないか。いわき市の副市長は、処理業者のスタンバイはできているけれども、方針が決まらないから困っている、早くしてほしいとおっしゃっていました。

 今の反省を踏まえて、人的支援も含めて、しっかりと予算確保できるように、国の支援が必要だと思いますが、いかがですか。

松本(龍)国務大臣 先ほど言いましたけれども、放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の関係でありますけれども、今御指摘のように、六月の十九日に最終結論が出るというふうに思っております。

 瓦れきの件につきましても、申請があれば速やかにできるように体制は整えておりますし、これからまた、瓦れきの問題につきましても、さまざま状況を見ていきながら、迅速に対応していきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 それでなくても福島が次々と新たな課題に苦しめられているわけであります。放射性瓦れきだけではなく、汚泥の問題、校庭の表土の問題、あるいは、草取りをした方が本当は放射線量を下げることができるとわかっているけれども、処分の方法がわからない。さまざまな課題が突きつけられております。

 これは、一つ一つ聞いていくと、全部省庁が違って、縦割りで本当に困るんですね。それがまた佐藤知事の最大の悩みでもあり要望でもありましたので、今、環境大臣にお答えいただきましたけれども、省庁の横の連携をしっかり行って、これらの課題にも向き合っていただきたいということを重ねて指摘したいと思います。

 さて、液状化や内陸部の宅地被害、これも今回の震災の大きな特徴であります。

 国土交通省によれば、被災宅地危険度判定で、岩手県から新潟県まで、赤紙、いわゆる危険と判定された宅地と、黄紙、要注意を合わせると、三千六百件を超えております。資料の一枚目につけておきましたが、そのうち、仙台市が調査をした資料でありますけれども、駅を真ん中にしまして五キロの範囲でこんなにも赤印が点在をしている、こういう状況になっております。

 沢を埋め立て盛り土するなど造成宅地の被害であり、私自身も太白区の緑ケ丘団地あるいは泉区の南光台などを見てまいりましたが、たび重なる余震で地割れが進むなど二次被害が懸念されるため、避難勧告が出されている地域もあります。

 その様子について、資料二枚目もつけておきました。ゴーストタウンになっているという話ですとか、退職金で住宅ローンを払い終えたばかりで、この年で仮設住宅暮らしは厳しいという住民の声なども紹介をしているところであります。

 さて、中越地震のときにも宅地被害は大きな問題となりました。山を削って周辺を盛り土したところが崩れたという高町団地がありますが、ここは、いわゆる私有財産である個人の宅地と河川など公共がクロスしているんだということをもって、人工の擁壁であっても補助の対象となりました。新潟県は、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業それから災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業など、現行制度を自然の斜面だけではなくて人工の斜面にも使えるようにと特例措置を国に求めて実現をさせたところです。こうした特例を今回の震災にも当てはめるべきだと思うがどうか、これが一点です。

 同時に、中越沖地震では、これらの事業では高さが足りなかった柏崎の山本団地で、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業を活用して団地の再生ができました。

 今回の宅地被害に対してもこのような特例をやること、そして、これらの事業を組み合わせて宅地被害の復旧復興を目指すべきだと思いますが、大臣の認識を伺います。

大畠国務大臣 高橋議員の御質問にお答えを申し上げます。

 現地に入って地域の方々の声を聞きながら、そしてまた、いただきました新聞といいますか情報、資料を踏まえての御質問でございます。

 ただいま、過去において特例的に措置をしたという二つの事例をお示しいただきました。一つは、今お話がありましたように、平成十六年に発生した新潟県中越地震におきまして、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業ですとか災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業において、宅地擁壁を対象とする等の特例措置の課題、そして、平成十九年に発生した新潟県の中越沖地震においての柏崎市の山本団地における大規模盛土造成地滑動崩落防止事業等であります。

 非常に長い名前で恐縮でございますけれども、いずれも、現地の状況を踏まえて、その当時の知恵を結集して措置したところでありまして、今この新聞でのお話、退職金で住宅ローンを払い終えたばかりだ、この年で仮設住宅暮らしは厳しい、あるいは、やっとこれからのんびりと老後を過ごしたかったのにという、そのような声も掲載されておりますが、国土交通省としても、これまでのそのような事例というものを踏まえて、既存の制度を活用しつつ、足らないところについては、御指摘のような経験も踏まえて、いろいろな工夫をして対処してまいりたいと考えているところであります。

高橋(千)委員 大変丁寧な答弁をいただいたんですが、ちょっと最後は具体的じゃなかったかなと思うんですね。

 実は、この高町団地も山本団地も私自身が直接現地に行って、現行制度では無理なんだということで、非常に被災者の皆さんはつらい声を上げられて、町会の皆さんとも一緒に歩いて、国土交通省が特例措置をすることによって乗り越えてきたという経緯がございます。だから、私はこれを本当に今回生かしたいと思っているんです。

 ただ、残念なことに、さっき言った仙台のように規模がとても大きいものに対して、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業は四分の一補助なんですね。これでは自治体負担も大変大きいですし、とてもとても踏み出せないよ、わかっているけれどもできないよという声があるんです。

 だからこれを、さっき足らないところをいろいろな工夫とおっしゃいましたので、まず、最低でも新潟がやった特例はやるということ、そして、この四分の一はもっと引き上げるということ、大臣、いかがですか。

大畠国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、いろいろな工夫というものの中に、過去において知恵を出したものについてはそれを踏まえて行うということも当然入っております。

 私どもといたしましては、ただいまの改めての御指摘を踏まえて、過去に発生した新潟県中越沖地震と同様に、今般の震災に対しても当該事業を活用しつつ、ただいまの御指摘を踏まえて、さまざまな工夫をして、被災を受けた方々がもう一度その地域で安心して暮らせるような環境をつくるために、力いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ぜひこれを形にしていただきたいと思います。

 また、液状化の被害についても、私、浦安市や神栖市にも行ってまいりました。傾いた家に入ると、船酔いのような状態になりました。やはりこれも同じように宅地被害であるわけですよね。中越のときも中越沖のときも、実は液状化も同時に発生をしておりました。ですから、これまでの質問と同じ考え方の応用で、液状化被害についてもある程度面的に救済するスキームを考えるべきだと思います。いかがですか。

松本(龍)国務大臣 御承知と思いますけれども、被災者生活再建支援制度は、居住する住家の被害程度に応じて支援をする仕組みになっています。しかも、全国知事会が積み上げて、そしてそれの額に見合う一対一の割合で今までずっと渡してきております。したがって、宅地のみの被害は本制度の対象外となっています。

 なお、四月に、液状化のことでさまざま深刻な被害があるということで、私ども、先ほど三半規管のこともありましたので、医者も含めて検討部会を設けて、五月二日に見直しをしたところであります。

大畠国務大臣 ただいま防災大臣から御答弁があったことを踏まえて、国土交通省としての対応について御答弁をさせていただきます。

 ただいま松本大臣から御答弁があったことがベースでございますけれども、今御指摘のように、今回の液状化、範囲が非常に広いということと、それから個々の地域によってさまざまな状況がございまして、私自身も、個人的に、その対象にならないよといっても、これじゃ余りにも冷たいなという感じのところもございますので、国土交通省としても、そのようなところをどういう形で救済ができるのか、こういうことを今検討しておりまして、そのような結果を踏まえて、第二次補正予算の中ではそのような対応がとれるような形でできないかということを検討させているところでございます。

高橋(千)委員 では、これは引き続きお願いしたいということで、要望にとどめたいと思うんですね。

 やはり幾ら住める状態のおうちであっても、あるいはおうちの補修ができたとしても、面的に宅地が大きく被害があれば住めないのだということであります。ですから、絶対このスキームをつくる必要があるんですね。先ほど紹介した高町団地の場合などでも、一定、長期に避難が必要とされたということで、みなし全壊ということで住宅の支援も、支援法の、松本防災大臣の方からのスキームでいただき、そして宅地被害は国土交通省のスキームでやった。こういうことができるんですね。そういう知恵を使ってほしいということを言っています。

 同時に、先ほど松本大臣がお答えいただいたことは、液状化については、やはり内閣府の方でも、現地に行って、これでは大変だということで基準の見直しをされました。理屈は同じなんです。住宅は住めるんだけれども、宅地が地割れをしていたり傾いていたり沈み込んでいたり、これじゃだめだから、宅地の被害を含めて住めないということを見て認定をしているのだから、ここを見てくださいということを指摘しているんです。これはもっと二次補正の中で踏み込んでほしいと重ねて言いたいと思います。

 あと、きょうはもう一つ、もう時間になりますので、最後に。

 やはり団地の再生の中でも、それでも個人負担が非常に大きいんです。山本団地は四分の一で四千万円でしたけれども、その四千万円を個人に割ると、最大で百万で済んだわけなんです。残りは復興基金で非常に助かったということがございました。ですから、こういう基金の仕組みというのは絶対必要です。取り崩し型の基金であれ、災害一括交付金という言い方もありますが、何らかのスキームが絶対必要だ。枝野長官に一言お願いいたします。

枝野国務大臣 私は、あの折立の地すべりの現場も行ってまいりましたし、仙台に何年か住んでいましたので、本当に、その地すべり被害を初めとした被害の状況、何とか対応したいというふうに思っております。

 そして、一般論として、復興基金であるとか、あるいは復興のための一括交付金というような、自治体が自由に使い道を決めるということについては大変有効な手段であるということで、今後の有力な検討だと思っております。ただ、実際には、分割、分配をどうするのかとかいろいろな問題がございますし、それから、むしろ被害から復興というより復旧に当たりますので、直接的に被害ごとにやっていただく方がいいのではないかということなどもあります。

 ただ、今の御指摘を踏まえた中での検討を進めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 いずれにしても、自治体に自由度のきくお金が必要だ、このことを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大震災発生から九十日を超えても、総理を初め各大臣、職員、そしてまた被災地の各自治体、一生懸命努力をしながらもなかなか復旧が思うように進まない、このことに被災地から大きな悲鳴が上がってきております。

 私たち自身も、多くの時間をとってこの委員会の中で議論をさせてもらっているところでございますけれども、被災地を訪れていった場合に、各知事初め首長からは、今の二重とも三重とも言える行政の弊害、このことを何とか取り除いて、まさに被災地、そのところを中心としながら主体性を持った組織、そして速やかに対応をしていきたい、こういう声が上がってきているのも事実でございます。

 今回、自民党からもそれぞれ対案が出されているわけでございますけれども、今、政府の方から出されている。そのことについては、この間の総理の、まさに地域主権という一つの言動から見ると、大変、自分自身、速やかな、対策本部を含めながら一つの組織の中に集中をして、そして、予算も含めて一定程度集中しながらの復旧復興、この部分ができるものだ、こういうふうに期待をしていたわけでございます。

 自民党の復興再生院構想、まさにこれはスーパー官庁、こういう言い方をしているわけでございます。しかし、政府から出されたものについては、まさに緊急災害対策本部と原子力災害対策本部、現に今設置をされているわけでございますけれども、そのほかにもう一つ対策本部をつくる、三つの組織をつくりながら対応する、こういう中身になっているわけでございます。

 こういう状況の中では、自分自身、大変期待をしたわけでございますけれども、やはりその組織、その部分がスピーディーにやれる、そして本部長がそれぞれ予算、さらには指揮等が速やかにでき得る、そういう組織というものを期待していたところでもございます。そして、この間の総理の言動を見ていくと、やはり節々に見られるわけでございます。しかし、今回の基本法の政府案というものについて、こういった部分が、総理の考え方、そういう部分と少しずれているのではないかなというふうにも思っております。

 そんな面の中で、総理の案、今出している基本法の案と、それから今回の震災に向けた決意等々のことを含めた考え方、総理の本当の気持ちというものをまずお聞きをさせていただきたい、こういうふうに思います。

枝野国務大臣 ワンストップで、強力な復興に向けた組織が必要であるということについては、総理の従来の御発言、そしてこの政府案、各党から出していただいている案、いずれも、その思いというものは共有をしているのではないかと私は思っております。そして、なおかつ各党間で新たな法案の提出に向けた協議が最終段階に来ていると伺っておりまして、それを踏まえて引き続き対応してまいりたいと思っております。

 ほかの二つの本部との関係でございますが、これはいずれも、今ある緊急災害対策本部も原子力災害対策本部も、法律に基づいて災害発生時につくられるものでございます。そして、復興の組織ができれば、それが本部であれ庁であれ院であれ、既に緊急災害対策本部での仕事も、初期の救命救急から、復旧から、復旧なのか復興なのかというフェーズに移ってきておりますので、いずれにしろそこの仕事がしっかりと復興を担うべき部局に引き継がれるということでございまして、もちろんそこには引き継ぎをしっかりやるための一定の時間は必要だと思っておりますが、当初からそういうつもりでございます。

 ただ、原対本部、原子力災害対策本部の方については、いわゆる被災者の皆さんに対する支援とか、それからそういった地域の復興にとどまらずというか、むしろメーンはそこの役割は原子力の安全ということで、収束に向けた原子力災害対策本部の機能、役割というのはちょっと復興とは別次元で必要ではないか、また法律上もそうなっているということで御理解いただければと思います。

菅内閣総理大臣 法の仕組みの問題については官房長官から今お答えいただいたとおりだと思いますが、あえて私の考え方を申し上げますと、結局のところは、内閣と国会とがしっかり連携して動けば、今言われたように縦割りを超えて、かつスピーディーに物事が動くわけでありますけれども、これは私に、あるいは内閣なり与党に大きな責任があることは承知をした上で申し上げますと、やはり内閣がしっかりした上で国会でもいろいろな課題について、まさに御指摘のように、今までの制度が非常に縦割りになっております。例えば、原子力に関してもいろいろな役所にまたがっております。もちろん、震災復旧復興についてもいろいろな役所にまたがっております。そういうまたがったものを束ねていくには、内閣の役割と同時に、国会がそのことを迅速に認めていただくということも大変必要だと思っております。

 そういう意味で、私として、この法案について、今与野党で大きく合意に向かって御努力をいただいていますので、それができたときに、それをしっかりとしたものにして立ち上げると同時に、きちっと国会でも御協力がいただけるような体制に向かって私も努力いたしますし、さらにその体制が維持されて、つまりは行政のこの震災に関する活動が中断されることなくつながっていくように、その点についても、ぜひ野党の皆さんにも御協力をお願いいたしたいと思っております。

吉泉委員 官房長官の方からも今見解をお伺いしたわけでございますけれども、先日、記者会見の中で、菅政権一年になって、そのところに対してのコメントがマスコミに載っておりました。地域主権は大きく前進をさせることができた、防衛大綱も、大きく見直し、そして進めることができた、こういう見解を官房長官は出しております。

 私ども社民党も、今回の、浜岡原発を総理はとめた、そしてまた再生エネルギー、このことについても大変大きく伸ばしていかなきゃならない、こういったことに対して、社民党自体はそのことについては大変評価をしているわけでございます。

 今、終了いたしましたというメモが来たわけでございますけれども、ぜひこれからも、今総理が言いましたように、政府さらには国会、それぞれ一体となって、今回の大災害の部分についてお互いに努力をしながら、私どもも全力で頑張る、そういうことを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 菅総理、私は、この第一委員室で昨年の予算委員会で初めて相対したときに、菅さんを尊敬しています、こういうふうに言って質問を始めました。いろいろな毀誉褒貶があって、今や私自身も、菅総理を信任せず、そういう側に立っているわけですけれども、私は今でも、菅総理は自分に正直な、いわば政治家らしくない方だな、こういうふうに思っていますし、今もその気持ちは変わっていません。

 先日の不信任案の賛成討論でも申し上げましたけれども、私が菅内閣を信任できない最も大きな理由は、原発事故直後から官邸に送信されていたSPEEDIの試算図や空間線量のモニタリングのデータがあったにもかかわらず、適時適切に避難指示を出して不必要な大量被曝のリスクを避けられたにもかかわらず、結果的にそれを怠ったということにあるというふうに考えております。

 こうしたSPEEDIの試算図等について、原子力災害対策本部長である総理には速やかに情報が上がっていなかったのだというふうに説明をされています。それ自体が、法に裏づけられた適正手続に違反している疑いがあると思います。

 だれが、SPEEDIの情報を総理に上げない、そして非公表とする、こういう判断を下したのか。その判断を下した人が菅総理以外にいるとすれば、私は、住民の生命と健康を重大なリスクに、わかっていながらさらした、この極めて重い責任があり、総理としても、その判断を下した責任者について責任追及、処分をされなければいけない、こういうふうに考えますが、御見解はいかがでしょうか。総理に聞いているんですけれども。

枝野国務大臣 SPEEDIが一番典型だと思いますが、必要な情報が十分に伝達できていなかったということは、今回の原発事故対応についての大変大きな教訓であるというふうに思っております。そして、そのことがなぜそうなったのかということについては、しっかりと検証がなされる必要があろうというふうに思っています。

 そして、今後、こうした事故自体が起こってはいけないわけですけれども、さまざまな危機管理において、どなたがどういう立場にあっても、そういったことが起こらないようにすることがまず大事だというふうに思っています。

 そうしたことの中で、例えばどなたかに責任があるというようなことが客観的に明らかになれば、それは当然、その個人の責任の問題ということが生じてこようかと思いますが、まずは、私や総理も含めて、その検証を受ける立場でございますので、客観的、独立性を持った、透明性を持った検証によって、なぜ情報がしっかりと到達しなかったかということを明らかにすることが重要だと思っております。

黄川田委員長 総理から答弁を求めますか。

柿澤委員 いいです、いいです。十分間の質問時間のタイムマネジメントをしなければいけませんので。

 御答弁をいただきましたが、私は、そもそもSPEEDIのデータについて、公表、非公表の判断をだれがしたのか、そもそもそれを判断できる法的な権限はだれにあるのかということを政府に資料要求で、二週間以上前からお願いしているんです。それが一向に今も出されていない。結局、SPEEDIを公表、非公表の判断をするのはだれなのかということについて、政府は見解も明らかにできていない、こういう状況なんです。そういう中で、責任を問う、また検証する、一体これができるのか、こういうふうにも思います。

 次の質問に参ります。

 一内閣一課題と言います。今、菅総理が、総理として日本の将来に何を残すか、それが問われていると思います。それはやはり、私は脱原発依存だと思います。それは、菅総理御自身も深い思い入れがあるのではないかと思います。

 菅総理、五月十日の記者会見で、従来のエネルギー基本計画を白紙に戻して議論する必要がある、こういうふうに言って、原子力発電の推進を盛り込んだ現行計画を白紙で見直す、こういう考えを示しました。にもかかわらず、政府のエネルギー・環境会議における革新的エネルギー・環境戦略の議論の方向性を見ると、重要戦略の一つに原子力が明記をされていて、平然と原発推進路線を堅持する方向性になってしまっている。さらに、海江田経産大臣は、停止中の原発の運転再開に関しても積極的な発言を繰り返しているわけであります。

 白紙で見直すという菅総理の発言から半月もたっていないのに、既に菅総理の退陣を織り込んででしょうか、経産省の巻き返しが始まっているかのように見える。これで停止中の原発がこぞって再開して、そして原発推進のエネルギー戦略が普通にまかり通ってしまったら、このような世界最悪レベルの深刻な原発事故を経て、もとのもくあみということになってしまうのではないでしょうか。

 菅総理はこれをどう思っていらっしゃるのでしょうか。そして、どういう方向性をこの国は目指してほしいと考えておられるのか。私は、少なくとも、自分の目の黒いうちはもとどおりの原発推進なんか許さないぞ、自分が総理のうちは十分な議論も結論もないまま停止中の原発の運転再開など許さないぞ、こういうふうにこの場ではっきり言うべきだと思います。御答弁をお願いします。

菅内閣総理大臣 まず、政治家らしくない政治家だという、ある意味で最大限のお褒めをいただいたのかなと思っております。

 そして、今おっしゃったように、やはり今回の原発事故というのは、日本のエネルギー基本計画を白紙から見直すということをやらなければならない。その中で、私は、これまでの化石燃料、原子力燃料に加えて、再生可能な自然エネルギー、そして省エネルギー、この二つの柱を立てるべきだ、このように提案をし、さきの会議も、その基本的考え方はすべての人から了解をいただきました。

 しかし、今御指摘のように、原子力についてどのように考えるかという議論はまさにこれからだと思います。私は、そのときに考えなければいけないのは、それでは、いろいろ脱原発とはという言葉がありますけれども、そのときにちゃんと省エネと自然エネルギーでやれるんだということが、国民の中にきちんと伝え切ることができる、あるいはそういうことの状況が生まれているかだと思うんです。

 特に、この二つの分野は、実は大規模な省エネとか大規模な自然エネルギーというのは基本的にありません。ある意味では、自分のうちの屋根に使うとか、自分のうちをヒートポンプにかえるとか電球をかえるとかというものですから。私は、国民のすべてが参加をしなければこの分野は広がらないと思っております。

 ですから、国会での議論、内閣での議論は重要ではありますけれども、この省エネと再生可能な自然エネルギーを最大限拡大して、場合によっては化石燃料すら使わなくてもいいような世界を目指していく。私は植物こそが地球を救うというふうに思っておりますが、そういう方向については、私が生きている限りはそういった方向で頑張っていきたい、こう思っております。

柿澤委員 報道上は早期退陣が言われておりますので、次の政権にこうしたことが引き継がれるということになるのかもしれません。しかし、菅総理、これから当面、この震災、原発対応に従事をされるということでありますので、その決意を持って事に当たっていただくということになると思います。

 最後の質問をいたします。

 菅内閣不信任案が可決寸前まで行った民主党内の抗争があった採決の前夜、不信任案への賛成を明言していた一人が鳩山前総理でありました。本会議直前に菅総理と談判して、態度をころっと変えて、不信任案を腰砕けにしたのも鳩山前総理であります。

 しかし、鳩山前総理は、そもそも、総理をやめたときには議員を辞職すると言っていたはずであります。首相を退任後政界に残ってはいけない、首相まできわめた人がその後影響力を行使することが政治の混乱を招いている、これは鳩山総理御自身がおっしゃっていた言葉であります。鳩山総理のおっしゃったことでこれだけは唯一評価していましたが、あっさり撤回をしてしまいました。それどころか、次の総理おろしの主人公を演じているではありませんか。まさに、御自身が批判をしてきたそのままを演じておられるのではないかと思います。

 鳩山前総理がおっしゃっていた、前総理は総理をやめたら議員も引退をした方がいいというこの発言の本意は、私は、菅総理も理解し、また共有をされているというふうに思うんです。自民党政権時代の院政、やみ将軍の悪習、悪弊に幕を引く、鳩山前総理は政権への未練でそれをやり切れず、政治家の約束に対する信頼をさらに失墜させてしまったと思いますけれども、菅総理が御退陣の折にはこのことを見事にやり切っていただきたい、私はこういうふうに思っております。

 ぜひこの件について、菅総理の御決意、御答弁、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、いろいろな方が総理をされ、また総理の任から外れた後のいろいろな方の行動を見ております。細川護熙総理は、やめられた後しばらくいろいろな活動をされておりましたが、今は、陶器をつくるとかいろいろなことで、別な分野で活躍をされております。

 私も、もともとは発明家でもなりたかったんですけれども、ちょっと違う方向に来ておりますが、やるべきことは責任を持ってやり抜く、そのやり抜いた後のことは、今の柿澤さんからの言葉も含めて私の中でしっかりと考えてみたいと思います。

柿澤委員 私は、これは、日本の政治権力に関するある種の本質論だというふうに思っています。総理の座を引かれた方が国政に直接的な影響力を引き続いて長い間にわたって及ぼしていく、そのことが政治の混乱を招いてきた、これは鳩山前総理の言葉ですけれども、私はまさにそのとおりだと思いますし、鳩山前総理にこの言葉がそっくり当てはまってしまっている。私は、菅総理には、冒頭申し上げたような思いがありますので、そうした轍を踏むことなく、そして、政治家としてのあるべき姿というのをお示しいただきたいというふうに期待をしております。

 時間も参りましたので、十分間の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

黄川田委員長 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 東日本大震災復興基本法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、山口壯君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの東日本大震災復興基本法案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 東日本大震災復興基本法案の起草案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 御承知のように、今回の東日本大震災は、その被害が甚大であり、かつ、その被災地域が広範にわたる等極めて大規模なものであるとともに、地震及び津波並びにこれらに伴う原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において、我が国にとって未曾有の国難であります。

 本委員会における活発な質疑応答、参考人として来られた被災各県の農水産業界、商工業界の代表者の御意見、また、委員派遣においてお会いした被災各県の代表者の方々の御意見を拝聴しますと、被害の実情は我々の想像するところをはるかに超えるものであり、被災地における復興のつち音も着実に聞こえ始めてはいますが、地域の創意工夫を生かした取り組みを行う中で、いまだ国に対するさまざまな御要望が山積しているということが明らかになってまいりました。

 こうした中で、今回の大震災に対応するに当たっては、単なる復旧にとどまるべきではなく、今後の我が国のあるべき姿を目指して、新たな地域社会の再生、ひいては日本の再生を図っていくことが不可欠であり、かつ、一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として、復興のための施策を推進していかなければなりません。

 このような認識にかんがみ、私ども三会派は、本委員会の黄川田委員長及び理事の御了承を得て、政府案並びに自民党案、及び本委員会で基本法の骨子を発表されました公明党の案をもとに、精力的に協議を行い、このほど合意に達しましたので、新たに本起草案をまとめた次第であります。

 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、東日本大震災からの復興の基本理念として、活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策等の推進により、新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばの日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと、地方と連携協力し、かつ、被災地域の住民の意向を尊重し、あわせて女性、子供、障害者等を含めた多様な国民の意見が反映されるべきこと、国民相互の連帯を基本とすること、我が国が直面する諸課題の解決に資するための先導的な取り組みを行うこと、安全な地域づくりや被災地域における雇用機会の創出と活力ある社会経済の再生、共生社会の実現に資するための施策を推進することを規定するとともに、原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興については、当該災害の復旧の状況等を勘案しつつ、これらの事項を行うべきこととしております。

 第二に、国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、東日本大震災からの復興に必要な措置を講ずる責務を有するとともに、国民は、基本理念にのっとり、被災者への支援その他の助け合いに努めるものとしております。

 第三に、東日本大震災からの復興に関する基本的施策を定めております。この中では特に、資金の確保に関して、徹底的な歳出削減と財政投融資に係る資金や民間資金の活用について定めているほか、国は、復興に必要な資金を確保するため復興債を発行するものとすること、その際には、復興債とその他の公債を区分して管理するとともに、あらかじめ、復興債の償還の道筋を明らかにするものとしております。また、復興に係る国の資金の流れを透明化すること、復興特別区域制度を活用し、地域における創意工夫を生かして行われる復興に向けた取り組みの推進を図ることとしております。

 第四に、東日本大震災復興対策本部並びに現地対策本部、東日本大震災復興構想会議等及びその他の本部に置かれる組織について規定するとともに、これらの組織の機能を引き継いで、復興に関する施策の企画立案及び総合調整とその施策の実施を行う等の権限を有する復興庁及びこれに置かれる組織に関する基本方針を定めております。復興庁は別に定める法律によりできるだけ早期に設置することとし、政府は可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずるものとするとともに、復興対策本部は復興庁の設置の際に廃止するものとしております。

 なお、この法律は、東日本大震災からの復興を迅速に推進するため、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

    ―――――――――――――

 東日本大震災復興基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 大震災からの復旧復興あるいは原発問題の早期解決に向けて、与野党いろいろ意見の違いはあるんだと思いますが、被災地の皆様がどんな思いか、この一点に立って、きょうは、政府提案を取り下げていただいて、与野党協議の結果のこの法案を共同提案で審議させていただくということになったことに、まずこの場におられる皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 私は、共同提案というか発議者の立場でございますので、幾つかこの法案に関連して、政府に、これは箱をつくるだけでは何も変わりませんので、実際に震災対応ができるその運営上の幾つかの論点について確認のための発言をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、現地対策本部であります。

 私は、まず、この復興庁なりあるいはその前の復興本部なりといったものがどれだけ被災地の意向を重視して運営されるか。あるいは、被災地の皆様方のいろいろな要望があるわけですけれども、これをワンストップで承って、そしてワンストップで決断ができるかどうか。三つ目に、それをスピードを持って解決できるかどうか。被災地の意向重視、ワンストップ、スピード、この三つの要素が、新しい現地対策本部、復興本部、あるいはその先の復興庁において実現できるかどうかが大変大事だというふうに考えております。

 特に、先々週、被災三県の知事にお話を伺いに行ったわけですけれども、現地対策本部が仮にできたとしても、その知事たちが現地対策本部に言うよりも本省の大臣に電話した方が早いやというふうになってしまっては、元も子もないわけであります。

 そこで、官房長官にお尋ねいたしますけれども、この現地対策本部の実際の仕事のイメージ、どういう体制で、どういう業務運営になっていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。

 これは私見でございますが、例えば現地対策本部に副大臣級の政治家の方を充てていただくということはこの法律に書いてあるわけでございますが、それだけでは多分不足だと思うんです。例えば、十二省庁の審議官級ぐらいの方が現地対策本部にたくさん集まっていただいて、被災地の知事や市長がお話をそこですぐして、そうすると現地対策本部長が、農水省から来た何とかさん、ぜひこのぐらいはやっていただけるように本省にかけ合ってくれないか、もしだめだったら私がその後農水大臣に電話するから、こんなような感じで運営されれば物事は非常に早く進むと思うんです。

 ぜひ官房長官、この現地対策本部をうまく運営していくためのイメージについてお話しいただければと思います。

枝野国務大臣 まず冒頭、各党の皆さんの御協議によって大変建設的な起草案が審議をされることになったということについて、内閣の立場からも、心より御礼を申し上げます。

 今のお尋ねでございますが、御指摘のとおり、現地対策本部がいかに現地で物を決められるのかということが大変重要だろうというふうに思っております。

 副大臣に現地対策本部長ということでございますが、もちろん、これは人事でございますので、私がどういう人をということを申し上げることはできませんが、まさに現場の現地対策本部をしっかりと掌握してリーダーシップを発揮できるとともに、東京の方との連絡、連携においてもしっかりとした役割を果たしていただけるという方についていただくということが前提だろうと思っております。

 また、事務方においても、どのクラスということまで申し上げられませんけれども、現地対策本部における事務方にもかなりハイレベルのメンバーを集めることによって、最大限、現地で判断、決裁ができるという構造をつくることで地元の皆さんの期待にこたえられるよう努力してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひその方針でしっかりとした現地対策本部をつくっていただきたいと思いますが、その際に問題になるのが副大臣の数であります。

 今回、内閣法と内閣府設置法の改正案というものがかけられているわけでございます。これで大臣が三、副大臣が六、政務官が六、これをふやせないかと政府からお願いをされているわけでございますが、現地対策本部長として、特に被災三県の本部長に副大臣級の方を充てる場合に、副大臣がふえないままやると、どこかの省の副大臣を三人、兼任するような形で現地に行ってもらうことになるわけでございます。

 こうなった場合に、東京で本来しなきゃいけない仕事があるわけでございますが、これは一体どういう形ですることになるんでしょうか。つまり、副大臣が予想どおりちゃんとふえれば専任の現地本部長として副大臣を新規に置けるわけですが、この法律が通らない場合に大変困った事態になるわけでございます。

 実際に、今の時点ではもう既に副大臣あるいは政務官が併任のような形で現地に行っていると思いますけれども、東京と現地との仕事の関係、どのように行っているか、現状を教えていただければと思います。

枝野国務大臣 御承知のとおり、現在の緊急災害対策本部においても、事実上、被災三県に現地の出先のチームを送っております。東副大臣が全体としての現地の本部長でございますが、主に内閣府の副大臣、政務官にそれぞれの地域に行っていただいて、できる限り張りつくようにということでやっておりますが、震災発生直後はともかくとして、各省とも一カ月後ぐらいから、本来業務も当然動かさなきゃならないということの中で、内閣府においても、御承知のとおり、従来から副大臣、政務官の数が足りないのではないか、そういう状況の中にありました。

 したがいまして、震災以外の東京における業務と、それから、現地においてできるだけ張りつくということで行ったり来たりとか、できるだけ効率的に仕事を進めようということで努力をしているところでございます。

 内閣法改正については、それぞれ政治的にいろいろなお立場があろうかと思いますが、実務的な観点からは、特に、現地にしっかりと張りついて、その現地の対応を責任持って進めていくということをやる上では、ぜひとも少なくとも副大臣については御理解をいただけないだろうかと大変強く思っているところでございます。

後藤(祐)委員 私もそう思います。特に国土交通省あるいは農水省、このあたりの権限というものが大変重要になってくるわけでございますが、例えば農水省の大臣なり副大臣、国交省の大臣なり副大臣なりを経験されたような方が現地対策本部長で行けば、当然農水省なり国土交通省なりの役所の方々は非常に言うことを聞きやすいんだと思うんです。あるいは、後任に当たる副大臣なりにお願いをするというのも非常に物が通りやすいと思うんです。

 この内閣法及び内閣府設置法の改正が通れば、少なくとも副大臣三人、これが通れば今言ったような体制になるということを、ぜひこの場におられる与野党の先生方も御納得いただいて、少なくとも副大臣三、できれば大臣といったところも含めて、この内閣法、内閣府設置法の改正についても与野党一緒に進めていきたいというふうに考えております。

 次に、交付金のお話に行きたいと思います。

 今お手元に資料を配付させていただきましたけれども、これは、震災関係のいろいろなお金がかかりますが、これを少し地元の自由度のあるようなお金として、交付金あるいは基金といったような形でお渡しすることができないかということに関連するものでございます。

 一ページ目を見ますと、これは復興構想会議で、例えば達増岩手県知事は、「各府省の枠を超え、国費により一括した交付金として交付し、被災地方公共団体の裁量で柔軟に活用できることとすることが適当。」というお話があります。村井宮城県知事からも、「特に災害復興交付金や地方交付税などの国による財源措置が必要不可欠」、こういう御発言があるようでございます。

 また、後ろの方を見てみますと、これは当委員会の理事十人程度で五月二十七日に被災三県の知事から要望を承った場において宮城県知事からいただいたものでございますが、これを何枚かめくっていただきますと、後ろに大量な要望項目がございます。これをよく見ますと、いろいろな補助制度あるいは交付制度の補助率を上げてほしいですとか、あるいは適用対象を拡大してほしいですとか、こういったものがほとんどなんです。

 例えば、今、壊れてしまった国道を直したいといったときに、海に近い国道は少しかさを上げて防潮堤の機能を持たせるようにできないかといった議論がいろいろ起きているわけですけれども、地元からすると、私も委員長の地元の陸前高田でこのお話を伺ったんですけれども、それはお金が出るんですかと。ことしの税収はほとんど被災自治体では見込まれない中で、お金が国から出るならそういうのをつくったらいいけれども、自分のところでお金を持つんだとしたら、そんな絵そらごとを言っていてもしようがないよねと。いろいろなアイデアが出る中で、結局それが、国からお金が出るのかどうかというところにかかってくるわけでございます。

 今、この後ろの方の要望項目、これは宮城だけで全部で百九十二あるわけでございますが、こういったものに、一つ一つ、何とか省の何とか課の課長さんに知事なり市長さんなりがお願いに行くというのは非常によくないことでありまして、復興本部なり復興庁なりができて、現地対策本部ができたら、この要望をまとめて持っていって、これを各省との関係で全部やってください。

 あるいは、もっと一番直接的な方法は、こういったものについて柔軟に使える復興交付金ともいうべきもの、あるいは復興基金的なものでもいいでしょう、市町村なりに基金という形で置くような形、いろいろなやり方はあり得ると思いますけれども、ある程度被災地が自由度を持って使えるようなお金、これについてぜひとも政府でも御検討いただきたいと思いますが、これについて官房長官及び財務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 委員御指摘のように、被災した自治体の支援については、復興構想会議で先般決定された復興構想七原則というのがございまして、その中に、「地域・コミュニティ主体の復興を基本」、そして「国は、復興の全体方針と制度設計によってそれを支える。」とされております。

 今、基金のお話、交付金のお話が出ましたけれども、どういう形で支援をしていくかについてはこれらの議論の推移を見守っていきたいと思いますが、いずれにせよ、今月末をめどに取りまとめられるとされています復興構想会議の提言などを踏まえまして、また、被災地域の地方公共団体や被災者からの要望に的確にこたえることができる支援の仕組みについて検討していきたいというふうに思います。

枝野国務大臣 震災の特別の交付金のような形、あるいは基金のような形ということについては、いろいろなところから御要望をいただいております。

 昨日も全国市長会長とお会いをしましたが、市長会としても、そういった形の方が効果的、効率的に復興が進むのではないかという御意見をいただきました。

 今、財務大臣から財務当局としての御見解をお話しいただきましたが、もしやる場合であっても、全体の規模をどうするのかとか、どういう基準で分けるのかとかいう問題もありますし、従来の補助金制度や交付金制度との関係、兼ね合いということもあろうかというふうに思います。震災の復旧や復興を担当する部局と財務省とそれから総務省などとで、どういう形であれば現実的に可能性があるのかどうか、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 ぜひとも、これは関係閣僚の皆様の決断で進めていっていただきたいと思います。

 私が霞が関の皆様から聞いたところによると、まず国土交通省、農水省あたりは、自分たちの権限が復興庁なり内閣府なりそういったところに持っていかれてしまうのではないかということで反対。財務省は、地元に自由度のあるお金というのは基本的に、これは大臣がという意味ではありませんが、役所としてはなかなか賛成と言いかねる。一方で総務省は、総務省が前に出るとどうしても地方交付税の話に寄ってきてしまうので、こういった交付金の話はむしろつぶしてしまいかねない。もう三すくみになって、霞が関からこのアイデアは出てきません。

 我が党内でも、この議論を始めたいということで今動き始めておりますけれども、ここは政治のリーダーシップが必要なところだと思いますので、ぜひとも決断をいただきたいと思います。

 なお、宮城県知事からの御提案の中で、こういった交付金的なものをどうやってその額を決めるのかということについての一つのアイデアとして、被害額、例えば道路の被害額、港湾の被害額、こういったものというのはある程度の数字がありますから、これをそのまま十割かどうかは別として、ある程度積算の根拠として使うことができるのではないかというような御提案があったこともあわせて申し添えたいと思います。

 ぜひ自民党さんも公明党さんも御検討いただければと思います。みんなで、これはいいアイデアでもございますし、被災地の皆様が共通しておっしゃることでございますので、これは党派を超えて実現をしていっていただければなというふうに思っております。

 もう一つ、復興本部なり復興庁が持つべきツールとして、交付金、基金的なもののほかに、制度面では復興特区の話がございます。これについては、公明党からの御提案で、今回の復興基本法の中にも新たに条文を入れさせていただくということで今お願いしているわけでございますが、復興特区といってもいろいろなものがあり得ると思うんですが、今、閣内でも、実は副大臣級でさまざまな御検討が既に進んでいるというふうに伺っております。

 ぜひともこれは、全国のモデルケースになるような、いい、具体的なものをどんどんつくっていっていただきたいというふうに思っておるんですが、当然これも先ほどの話と同じように、各省、自分の話になると総論賛成、各論反対になってくるわけでございます。どうやってこの復興特区を、形だけのものではなくて、具体的にいい形のものとしてつくっていくのか、そのリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと思うんですが、この御決意を官房長官に伺いたいと思います。

枝野国務大臣 今回の起草案にも復興特区についての記述をしていただきまして、特に今回の被災が地域によって大分事情が違う、もともとの事情も違うし被災の状況も違うという中にありますので、全体を通してどうこうするというよりも、それぞれの地域の事情に応じた制度、仕組みというものを活用するという意味では、特にこの特区制度の重要性というのは大変大きいだろうというふうに思っております。

 もちろん、御指摘のとおり、従来のいわゆる役所の縦割り的な話ということの危惧は全くないわけではないというふうには思いますけれども、まさに地域の皆さんからの具体的な声というものを踏まえながら、そして国会でも、こうした各党の建設的な御協議によって、この特区が明文として記載をされた。恐らく今、復興構想会議における議論においても、かなりこうしたことについても建設的な議論がなされていると聞いておりますので、しっかりとしたリーダーシップを持って、各省の視点からではなくて被災地の視点からこの特区を十分に活用した復興が進めていけるように、全力を挙げてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひとも、復興交付金、復興特区、この二つの強いツールを使って、復興本部なりその先の復興庁、被災地主導のスピードあるワンストップの意思決定をしていっていただきたいと思いますけれども、そのためには、どういった権限を復興庁になったときに移していくかといったことがまさに課題になるわけでございます。

 与野党協議の中でも、復興庁をイメージするときに、どんな権限を持っていただくのかということが非常に重要なテーマとなりました。今申し上げた復興特区を認定する権限ですとか、あるいは、復興交付金なり復興基金的なものができた場合にどのぐらいどういう形でお渡しするのかとか、こういったものというのは恐らく復興本部なり復興庁なりがお持ちいただくんじゃないかなというふうに思うわけでございます。この復興特区と復興基金なりで、制度とお金で各省との関係の首根っこをある意味握るという形で運営していくと随分変わってくるんじゃないかと思うんですが、それだけじゃ足りないと思うんですね。

 もちろん、個別の道路をつくる権限ですとか、そういったものも大事だと思うんですが、まず持つべき横割り的な権限。例えば今、内閣府は勧告権というのを持っています。各省に対して、地元がこう言っているんだからこのぐらいやってくださいよということを勧告して、それに対して各省は基本的には従わなきゃいけないという権限を内閣府は持っていらっしゃるわけですけれども、こういった、復興庁をつくっていくときに、各省が縦割りで、あるいは抵抗したときに復興庁主導で決断できるようなツール、手段としてどういったものが、工夫があり得るか。これについて官房長官のお考えをお聞かせいただければと思います。

枝野国務大臣 これは委員ももう十分御承知だというふうに思いますが、役所の縦割り的な弊害を生じさせないようにということについては、この間もいろいろな御指摘がございますが、松本防災担当大臣が震災対応そして復旧に当たってまさに総合調整の役割をしっかりと果たしていただいて、各省の御意見をうまく、場合によっては抑えるときは抑えて進めてきておりまして、そういった意味では、制度よりもまさに担当する担当大臣なりの政治的な意思というものが一番大きいのかなというふうに思っております。

 ただ、せっかく復興庁を設置するということで起草案に明記をいただきました。その具体的なたてつけに当たっては、政治レベルまでいかない段階でも、例えば事務レベルでもそういった調整といいますか一体化がうまく進むように、その裏づけとしての勧告権のようなことを、内閣府の全体の総合調整機能の位置づけ等を整理しながら検討していくことは必要かなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 一方で、どの程度まで実施権限を復興庁に持っていただくかということについては、あらゆる実施権限を移せばいいというわけでもないと思うんです。

 例えば、国土交通省には地方整備局というのがあります。東北全体の単位で地方整備局があって、その下に各県ごとの組織があって、それぞれに道路ですとか港湾ですとか、図面を引いたり測量をしたりといった部隊が相当な人数でお仕事をいただいているわけでございますが、こういったものを、丸ごともう一つ役所をつくるというイメージでいくのが本当にいいのかどうか。一方で、例えば道路を引くときに、ここからこっちは国土交通省、ここからこっちは復興庁といったようなことになるかもしれない。これはもしかしたらその方がいいかもしれませんし、いや、それは二重行政だという批判もあると思うんです。

 それはむしろ、これから復興庁設置法案を考えていく中でどっちがいいかというようなことを含めて考えていかなきゃいけないと思いますが、まずは政府として、今申し上げたような、ここまでやると二重行政なのではないか、ちょっと弊害があるんじゃないかというようなものがあれば、具体的に教えていただければと思います。官房長官、お願いいたします。

枝野国務大臣 例えば、東北には既に地方整備局等の地方の出先機関があります。国の業務について、例えば地方整備局であれば、地元説明とか詳細設計、用地買収、積算、入札契約、監督検査などなど、既に一カ所でやっているわけでございます。これを例えば復興庁のラインと国土交通省のラインということで二つ置いたりすることは二重行政ということになるのではないだろうかというふうに思いますし、今現に東北六県で一体でやれておりますので、ではそれを被災地とそれ以外に分けるのかというようなことは必ずしも効率的ではないのではないだろうか。

 まさにここでも御議論になって御指摘を受けているのは、被災地の皆さんの御要望を一カ所で受けて一カ所でスピーディーに判断するということでございますので、その点についての権限、実施の権限ということがしっかりと復興庁に集約できる、そして今申し上げたような行政の肥大化みたいなことにつながらないようにするということについて、しっかりと今回の起草案をベースに精力的に精査をしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 復興庁にどの程度実施の権限を持っていただくかは、実はその前の復興本部でどのぐらい物事がうまく処理できるかにかかっていると思うんです。

 この法律が成立したら復興本部が立ち上がります。現地対策本部が立ち上がります。副大臣級の現地本部長ができます。そこに行ったら物事が解決した、ああ、今までと違うな、スピーディーに、地元主導で、ワンストップで解決してくれたといったことがどんどん積み重なっていけば、この本部のままでいいじゃないか。復興庁というのはもちろんつくることになっていますから、名前は復興庁になっていくけれども、今までの復興本部のやり方でそれほど変える必要はないんじゃないかというふうになる可能性もあると思うんです。

 ただ一方で、やはり変わらないね、結局本省へ行かないと物事は動かないね、ワンストップと言っているけれども、お願いの紙は持っていけばいいけれども、結局判断は霞が関じゃないかという状態に復興本部がなってしまったら、これは結局、実施権限の、今官房長官がおっしゃったような細かい測量から何からといったところまで復興庁で自前で持っていただかないとやはり進まないねということになってくると思うんです。

 私は、個人的には、余り細かいところまで全部復興庁が持つというのはやや二重行政の感じがしますし、今、復興そのものの仕事をこういった公務員の方々にはしていただきたいと思うんですけれども、ぜひともこの本部で、どの程度、今申し上げたようなワンストップ、現地主導、スピードという体制ができるかどうか、問われていると思うんです。官房長官の決意を問いたいと思います。

枝野国務大臣 大変貴重な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 今回の法律に基づいて本部ができましたら、本部以上に大事なのが本部のもとの事務局だと思っておりまして、東京の方の本部そのものも、そして先ほど申しましたとおり現地対策本部においても、事務方もかなりハイレベル、ハイクラスの、しかも力のある人間に集まっていただこうということを考えておりまして、そして、そこが政治のリーダーシップのもとにしっかりと御期待にこたえられるような仕事を進めていく。そうしたことの中で、復興庁という形が、なるほど、これならばこういった形の延長線上でうまく機能するなと言っていただけるように、事務局の体制の整備、そして立ち上がりを進めてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 ぜひとも立派な本部を、機能する本部をつくっていただきたいというふうにお願いを改めて申し上げたいと思います。

 時間がそろそろやってまいりましたが、与野党協議の中で最後まで論点となったものとして、特別会計というものがございます。復興に係る予算については特別会計を設けるべきではないかという御議論でございますが、これについては、実は行革基本法の中で、新たな特別会計は原則つくらないというような規定もあることもあって、なかなか私個人としては、ちょっとどうかなというところもあったんですが、野党の皆さんはぜひつくるべきだという御議論もあって、結局御議論は分かれたままになって、これからの検討ということになっているわけでございますが、政府として、この復興に係る予算を特別会計として管理するべきではないかという御意見に対してどうお考えか、これについて、官房長官、財務大臣、お二人のお考えを伺いたいと思います。

野田国務大臣 ただいま御審議中の復興基本法案では、復興庁においてその所掌する事務に要する予算を有し、その執行に当たることになると考えていますが、その予算の経理の方法に関し、例えば特別会計制度の創設については、これは委員御指摘のように各党にそれぞれのお考えがあるようでございますが、復興基本法案の与野党協議においては、法案に特別会計の新設を盛り込むことについて合意に至らなかったというふうに承知をしております。

 ただし、復興に係る資金の流れについて透明化を図ることは各党の考え方が完全に一致しており、今後、その具体化に向けて、経理の明確化と円滑かつ効率的な執行の両立を図る観点から、特別会計の新設についても検討課題という位置づけであるものというふうに認識をしています。

枝野国務大臣 基本的に全く一緒でございますが、私は実はずっと行政刷新担当大臣で特別会計改革をやってまいりまして、特別会計という仕組みには問題があるというのは一方で強く思っております。

 しかし、一方で、各党で一致をしていただいております資金の流れの透明化、そのための経理の明確化ということの必要性ということも十分承知をいたしておりますので、今財務大臣からお答えになったとおり、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 もう時間が参りましたのでこれで最後といたしますが、いろいろな意見を乗り越えて与野党協議をやってまいりました。今、政治全体は揺れています。でも、被災地の皆様方はこの国会を見ています。この復興基本法、ぜひとも皆様で御議論いただいて、一つの成案を得て、できるだけ早く成立をさせていただいて、幾つか論点も残っております、これについても与野党広く御議論をさせていただく中ですべて解決していける課題だというふうに思っておりますので、常に我々国会議員は、被災地の皆様がどう思うだろうか、どれだけのスピードを求めているだろうか、そういった視点で、この復興基本法、やがてできてくる復興庁、こういったものもできるだけ早くつくるということを政府にお願い申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 実は、ここに来るつい十分ほど前まで、委員長の御地元、陸前高田の戸羽市長、西條議長初め皆様からさまざまなお話を伺っておりました。恐らく、今委員長席にいらっしゃるので黄川田先生はなかなか発言できないと思いますが、この市長が何と言ったかということをぜひ皆さんに聞いていただきたいと思います。

 本当に災害対策に対しての進捗が遅い、そして国会と地元では本当に臨場感、危機感、それが余りに違い過ぎる、このようなお話をされておりました。例えば、陸前高田でも今瓦れきが九十万トンあり、これが実は市街から一歩も外に出ていない、海岸に今うずたかく積まれているけれども、これから台風シーズンでまた波にやられてしまったらこれがまた散逸してしまう、一日も早い解決をしてほしい。また、例えば土地がありません、ですから、農地の農転のことをぜひ特区でやってほしい。中山間地の指定になっているところで、ここを新たに活用しようと思えば、既に払われた直接支払いのお金を返せと言われている、さまざま地域で本当に理不尽なことが起きているということをお話しされておりました。三陸縦貫道の早期着工についても同じお話をされておりました。

 ぜひ、委員長を含め、私の町も実は隣町ですのでほぼ同じような状況です、こういうことを解消するためにも、新しい今回の法律、そしてまた復興庁の活躍を期待するし、期待できるようなものにしなければいけない、そのように思っております。

 さて、冒頭、少し違うお話をしたいと思います。

 実は、今私の手元に仙台市の中学校の給食の六月の献立表があります。六月一日のメニュー、御飯、ワカメふりかけ、牛乳、冷凍パイナップル。二日、米粉パン、牛乳、豆乳デザート。三日金曜日、麦御飯、シソふりかけ、牛乳、サツマイモ。六日月曜日、御飯、ノリふりかけ、牛乳。七日火曜日、金時豆パン、牛乳、ヨーグルト。八日水曜日、御飯、韓国ノリ、牛乳、フルーツゼリー。きょう九日木曜日、ツイストパン、牛乳、チーズ。これが実は今の仙台市内の多くの中学校の給食の献立です。そして、話を聞いたら、四月、五月よりまだ六月はよくなった、デザートがちょっとつくようになったと。今でもこんな状況です。

 仙台市でもこうです。ましてや、仙台市以外の、本当に被災を受けたところでは、今学校でも大変な厳しい状況になっている、多くの体育館の屋根が内側から崩落をして使えなくなっている、こういう教育現場の状況があります。一日も早い復興が必要だ。

 そして、今回のさまざまな復興対策の予算で、こういう学校給食施設、学校施設、社会教育施設、さまざまなことに国が支援ができるようになっていく、ここまではいいんです。問題は、この災害の査定がほとんど行われていないということ、余りに遅いということ。これが実は、昨日の朝は宮城県内の、十三だったと思いますが、市長、議長会朝食会の中で皆さんが異口同音に言っていたことであります。

 例えば学校施設の災害の査定、これは宮城県はいつから始まったか、大臣、御存じですか。

高木国務大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 さきに御指摘ありました学校給食については、できるだけ早く速やかに、正常な栄養がとれる給食の回復にしっかりまた取り組んでまいりたい。

 今お尋ねのいわゆる災害復旧事業でありますけれども、これは原則として、現地の被災状況については文部科学省の職員が実施をしておりまして、その際に、地方財務局の職員が立会をして、災害復旧事業の対象について確認を行っております。

 しかし、今回の大震災は極めて甚大で広域的でございますので、この災害復旧事業の実施については、可能な限り申請書の添付資料の簡素化、あるいはできる限り柔軟な対応をしております。

 もう既に私どもとしましては、それぞれの現地に出向きまして、その事務作業を進めてきたところでございます。

小野寺委員 大臣、多分ちょっと認識されていないんだと思うんですが、実は、文科省分のこの災害査定の調査が始まったのは今週からなんです。今週始まったばかりなんです。

 ですから、この三カ月間、新年度が始まって、学校給食の施設自体、査定すらまだされていない。この復旧というのは一体いつになるんだろうと。それまでずっと多くの子供たち、ここは給食センターですから、仙台市内の八つの中学校に実は配食をしています。ほかにも同じような事例がたくさんあります。仙台の中心でもこういう状況ですから、今回被災を受けた地域はもっとひどい状況になっている。この査定が余りにも遅い。今週になって初めてです。

 そして、私、ちょっと伺いましたら、この査定には、文科省の担当者がお一人と、それから財務省から立会官がお一人ついて査定を行うということなんですが、今現在、今週から文科省の担当者で宮城県に入った調査員は二名だそうです。そして、これに立会官が二人つくので、いわば二班、二チーム。二チームでこれから文部科学省分の災害査定を行う。一チームでどのぐらいの査定ができるかと聞いたら、一週間に十五件から二十件の査定ができます。一週間に十五件から二十件。ですから、二チームありますから、三十から四十は一週間で査定ができるんだろうと。

 ところで、今宮城県では、被災している学校施設、たくさんあるんですが、その中で、今回の査定を受けて、災害復旧として申請をしたいというのは約七百件あるそうです。七百件の被災の物件があり、そしてこれを一週間で十五から二十しかこなせない。それが二チームしか来ていない。恐らくこのままでいくと、ことしじゅうに、今年度中に学校の施設の査定が本当に終わるのか。査定が終わって初めて、今度は復旧の修理の事業化がされて、発注されて工事が始まる。というと、一体いつになったら直るんだろう。私は、こういう査定についてぜひもっと簡便化、早急化をしていただきたい、そう思っています。

 そして、実は査定する市の職員からこういう話を聞きました。体育館の天井が崩落をした、そうすると、体育館の天井の崩落をしたところのどのぐらいの長さが実際に壊れたかというところを、その落ちた面積をはからなきゃいけない、それから状況を写真に撮らなきゃいけないということで、近くに行かないとはかれないものですから、やぐらをずっと体育館の屋上まで組んで、そしてそこではかって、そしてまたそのやぐらを分解して、後、申請書を出すと。それで、恐らく直すときは、またやぐらを組んで直すんだと思います。こういう二重、三重の手間が実はこの災害査定ではたくさんあるんだと。

 今回、かなり簡便化をしていただいているというふうに聞いているんですが、実は現場の市町村の担当職員はその通知しか知りません。本当にこれで、これは直していいんだろうか、あるいは一部事前着工の制度があるんですが、直していいんだろうかと。直してみて、後で立会官が来て、いや、これはちょっとだめですねと削られたら、今、被災自治体はもう財政破綻に近い状況になっています。この物件は国では見られません、市の方で発注したら市で全部やってくださいと言われたら大変なことになる。だから、怖くてみんな事前着工もできないし、災害査定できるまでは一切手すら触れるな、もうとにかく査定官が来るまでは何もするな、これが今現場で起きている状況です。

 ぜひ復興に向けて、この査定の問題、もっと迅速に、そして簡便化できる方法がないかということ。これは実は、分野は、きょういらしていただいていますが、特に大きいのは学校施設の文部科学省、そしてまた道路等の施設があります国土交通省。そして、その調査官とセットで動くのが財務省の立会官です。お三方、大臣にお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、かなりおくれておるということについては、その実情を私もこの場で改めて確認をいたしております。

 学校の教育環境を一日も早く正常な形に戻すことは我々の最も大事な仕事であります。したがいまして、さらにピッチを上げ、必要ならば体制も含めて考えていかなきゃならぬと思っております。

大畠国務大臣 小野寺議員にお答えを申し上げます。

 国土交通省所掌の、いわゆる公共土木施設の復旧に関する御質問をいただきました。

 私は、先ほどから御質問を伺っておりましたが、やるべきものはもう早く復旧しなければなりませんので、これはいわゆる査定前着工というものを許可する通達等を出しておりまして、もうやるべきものはやれと。そして、もしも査定等の作業等がおくれているのであれば、私ももう一度確認しますが、人を派遣して早急にその事務的な対応がとれるようにしますが、まずは、もうやってしまうこと、それが先だと思っておりまして、そのような形で国土交通省としては臨んでまいりたいと思います。

野田国務大臣 公共土木施設等の災害復旧事業に当たりましては、文科省やあるいは国交省やという主務省が現地査定を行いまして、その際に地元の財務局が立会を行うことになっています。その際の財務局の立会官は、災害復旧事業の対象であるかどうか、事業費が経済的となっているか、工事費の積算が適正であるか等の確認を行うことが仕事になっていますけれども、要は、委員の御指摘は迅速さと柔軟さだと思います。

 迅速さについては、委員も御指摘あったとおり、手続は相当簡素化しているんですよね、現場に行かなくても設計図を見ながらでも査定もできるように。その趣旨は地域の皆さんにもしっかり徹底した方がいいだろうというふうに思います。

 それから、二チームで云々、これでは時間がかかるというお話でございました。この間、六月六日に全国財務局長会議がございまして、東北財務局に全国の財務局から今応援に行っています。それでも足りない場合にはさらに要請をするということを確認しておりますので、迅速さについての体制整備はしっかりやっていきたいと思います。

 もう一つは、やはり柔軟さだと思います。現地、被災地の御要望を踏まえてしっかり柔軟に対応する、その指示もしていきたいと思います。

小野寺委員 実はこういう実例もございました。仙台市の実例。もしかしたら高橋委員もこのお話に触れたかと思いますが、今、民有地が相当今回の震災でかなり傷んでいる。そして、実は、公共の道路が通っているそののり面、のり面の上には個人の家がある。ですから、こののり面も個人の所有。ところが、その下の道路は市道だったり県道だったりしている。今回の地震でのり面が崩れてしまった。そして、道路をふさいだので、とりあえずはその道路の瓦れきを取った。

 だけれども、これから梅雨になります。さまざまな大雨になったときに、こののり面がまた大崩落をするかもしれない。そうなりますと、道路にも影響が出ますが、そこの上にある住宅にも大きな影響がある。こういう、道路を守るためにのり面の工事、災害復旧で対応してほしい、これを仙台市含めいろいろな自治体が今お願いをしているんですが、土木の方では、それは道路を守るためは、ここはのり面としてしっかり補強する、そういう災害復旧はすべきだというお話をしているんですが、残念ながら、立会官の方で、本当にこれでできるのかということで、ちょっと時間をくれということで、なかなか答えが出ないでおります。

 今大臣がおっしゃったように、弾力的な運用、特にこれから梅雨になって災害の時期になります。ぜひ、そういうときのためにやはり弾力的な運用が必要だというのと、それから、ぜひ大臣方にお願いしたいのは、現地に行ってください。そして、学校を見て、給食施設を見て、大臣が見てもらい、役所の人たちがみんなついていきます。そこで、あっ、これは早くした方がいい、これは直した方がいい、これは国の責任だ、そう言うだけで現場の人は安心します。役所の人間も早く申請を出そうとします。

 そういうことをしていただくためにも、ぜひ現地の学校施設や災害があった施設を本当に見ていただいて、五分、十分で、その一言で実は自治体の職員は、よし、これは認めてもらえるんだ、早く出すんだ、早く直すんだ、そういう気持ちになりますので、ぜひそういう弾力的な運用を。特に立会官のお話を随分伺います。もう一度だけ、弾力的な運用について踏み込んだお話をいただければと思います。

野田国務大臣 これまでも迅速かつ柔軟な対応を指示してきたつもりですが、改めてその指示を強めたいと思いますし、何か本当に具体的にあれば遠慮なくぶつけてください。

小野寺委員 ただいまの仙台市初め、公共の道路に関して、民有地ののり面についてのさまざまな対応については今お話ししましたし、弾力的な運用ということでぜひ査定の方で指示をしていただければありがたいと思っています。

 さて、きょうは片山総務大臣に来ていただいています。

 前回、この委員会の中の質問で、合併自治体、これは今回被災した自治体がかなり多いんですが、合併特例法の期限の延長についてお願いしました。理由は、合併特例債事業をそれぞれ各合併市では用意をしていたんですが、今回の震災を受けて、その合併特例債で予定していた事業の前にまず復旧をしなきゃいけない。そうしますと、もともとの予定事業が後にずれてしまう、その期間をもしかして外れてしまう。そうすると、せっかく考えた事業ができなくなってしまう、こういう不安があります。

 ぜひ、このことについて延長なりそういう対応の検討がまとまりましたら、きょう教えていただければと思います。

片山国務大臣 被災をされまして、今現在、復旧復興に余念がない。したがって、今おっしゃったような、合併した際に市町村建設計画というのをつくっておられますけれども、それに盛り込まれた事業を所定の年度内に実施することが困難であるという自治体が幾つかある。全部聞いたわけではありませんが、幾つかあるということを私もよく認識をいたしました。

 そういうところについては、合併特例法の延長が必要だろうと思います。そういう認識を持っておりまして、その認識のもとに、現在、部分的な調査ではいけませんので、東北三県を中心に、被災県で該当の自治体がどれほどあってどういう事情にあるかということを現在調査中であります。

小野寺委員 今の言葉で、前向きに今調査を進めているというふうに受けとめさせていただきます。

 さて、きょうは大塚副大臣に来ていただいていますが、実は、さまざま、今回、被災地では雇用の問題、雇用不安の問題というのが起きております。いろいろな支援もしていただいていますし、今弾力的な運用も随分努力をしていただいているんですが、実は、地域で悲痛な声を聞くことが一つございました。

 それは、例えば私どもの地元で水産加工会社がありました。ここが津波で被災して、すべてなくなってしまいました。会社としては、冷蔵庫も加工場も何もないので経営することができない。だから、泣く泣く、ここにいた社員の方、もう何もないものですからやめてもらうしかない。やめてもらうときに経営者は何と言うかというと、必ず復興させるから、復興したらもう一回声をかけるから、必ず働いてもらうから、だから今回はしのいでくれ、こういう思いで実はお一人お一人にやめてもらう了解をとっています。

 そして、今回、さまざまな支援と復旧で、よし、もう一度事業を始めよう、こう思う経営者もいるんです。こういう経営者、当然、国の制度を使って再建しようと思っています。その中に被災者雇用開発助成金というのがあります。被災した人、こういう人を重点的に雇って、そして、雇った場合には最大九十万まで中小企業は支援をするんだ、こういうありがたい制度なんです。よし、これを使って、あの流された工場、流されたお店を再建しよう、そして、もといた従業員の人に声をかけて働いてもらおう、そう思うのが普通じゃないですか。

 ところが、この制度には一つ制限があります。その制限は、過去三年間この事業所で働いた人は対象になりません。ですから、自分の会社にいた、一緒にやってくれた社員、工場がなくなってどうしようもなくなった、だから、仕方ないからこの方にやめてもらう、でも、必ず次はあなたに声をかける、そう思って、復活しようと思って、さて、よし、やめてもらった彼に声をかけようと思ったら、この対象にならない。

 スタートのときは経営が厳しいです。雇うんだったら少しでも、九十万を一人でももらう方をやはり事業者は選択するでしょう。この経営者の思い、それから泣く泣くやめていった人の思い、こういう人に、過去三年間働いた実績があったら出さないよ、これはむごい話です。被災地のことを考えたら、逆に、そういう方こそ優先して私は雇用していただくべきではないかと思います。

 この過去三年間という制度、これは、被災した事業者、被災した工場、お店、ここに限ってでいいんです、復活する場合には、この助成金を今回の事案でやめていった職員の方に適用していただけるように、運用の改善なり方法はできないでしょうか。

大塚副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 まず、先生からこの件でもお電話いただきまして、早速私も実情を調べました。結論から先に申し上げますと、実情をしっかり調べて適切に対応させていただきますが、この制度がどういう考え方で設けられたかということだけ、まずは御説明させていただきます。

 被災者雇用開発助成金ということで、これは震災に遭われて、事業所がもう廃業とか完全に会社も畳んで離職をやむなくされた方々がまた新しい企業や新しい職業につくのに、雇う方も何がしかのちゅうちょがあるときにどんと背中を押してあげるという意味において、この制度が設けられていたわけであります。

 一方、震災後三カ月後には企業をもう一回再開するんだという中で、例えば休業手当を払いながら従前の従業員をずっと抱えていらっしゃった企業もある中で、例えば今先生がおっしゃっていただいたケースですと、一たん完全に解雇されたわけですね。しかし、やはり、いよいよ再開できることになったから戻ってきてくれというふうにおっしゃったときに、休業手当を払いながら離職させないで従業員を支えていた方たちとのバランスを考えて制度をつくったということでありました。

 ただ、そうはいっても、先生御指摘のような実情はよくわかります。先生御自身も今言っておられましたように、さあ再スタートするぞというときの立ち上がりの、つまり運転資金ですね。

 全く新しい従業員の方を雇ってくださる場合は、いわば仕事になれるまで、特に新しい職種についたときには仕事になれるまで、雇う方も相当のちゅうちょがあるわけであります、若干の時間がかかりますので。ところが、もとの従業員の方々ですと、これはすぐ、同じ仕事を再開するということであればいわば即戦力になりますので、そういうことを考えながら制度をつくったと言っておりました。

 しかし、立ち上がりの一カ月、二カ月、三カ月、キャッシュフローが回り始めるまでの間の運転資金がない、従業員の給料も払えない、だから再開できない、雇えないということになっては本末転倒でありますので、ハローワークの所管外でありますが、例えば既に財務省で用意している政策金融公庫の融資制度とか、あるいは運転資金を無利子で提供する制度等々の紹介をしつつ、しかし、先生今御指摘の雇用開発助成金そのものの運用も弾力化できないかということもしっかり検討させていただきます。

小野寺委員 単純なことなんです。今回津波に遭って会社を畳まなきゃいけなかった、この人がもう一回復活しようと思うときにだれに一番初めに声をかけるか。それは、長年その会社を一緒にやってきてくれた社員ですよ。その社員の人に、一緒に頑張ろうと。今回国からこういう支援も出るようになった、だから一緒に頑張ろう、こう思う人がたくさんいるわけです。

 私、この話に何で気づいたか。ハローワークの窓口の職員から泣かれたんですよ。あなた方の身内から言われたんですよ。こんな制度おかしいですよねと。被災して、やむにやまれずやめたその方を再雇用した場合にはお金が出ない、全然違う人を雇ったらお金が出る、おかしいでしょうと。

 副大臣、私、信じていますから。もしこの制度に乗らなければ、別な制度でいいです。被災者雇用復活助成金でもいいです。別な形で、この過去三年間働いたという実績のところさえ外していただければ、もう一度前の社員を雇って頑張ろうという人がたくさんいる。ぜひ実態に合った形でお願いしたい、そう思っております。

 さて、時間もなくなりましたので、最後に一つ。

 今、被災地でもう一つ心配が起きていることがあります。今回、地震で相当、津波以外にも、いろいろな公共施設が傷んでいるんですが、特に治水の問題。

 例えば、宮城県ですと北上川という河川がありますが、この堤防が、外から見てもわかるように、かなりひびが入ったりしています。そして、そこに今ブルーシートをかぶせて一応何とかとめているんですが、目に見えないところでも相当傷んでいるんだと思います。そして、これから梅雨を迎え、台風の時期を迎え、もしかしてこういうところが決壊した場合、これは公共施設の二次被害というのがあるのかどうかわかりませんが、今回の地震の二次被害ということにもなるんだと思います。

 意外と、今目の前で見えた、目に見える被災の問題に関しては非常に支援もわかりやすいんですが、目に見えない、あるいは、もしかしたら見落としているこういう公共物、特に治水の問題、これは大きな課題だと思うんですが、この治水対策について早急に、逆に一斉点検をしていただいて、そして補修が必要ならば速やかに補修をしていただいて、これからの台風、梅雨の時期に備える、そのようなことをお願いできないかと思うんですが。

大畠国務大臣 小野寺議員にお答えを申し上げます。

 ただいまの治水の話でございます。

 国土交通省としても、今御指摘の点は大変重要な視点でありまして、河川関係についてはすべて私たちは点検をいたしました。そして、措置すべき箇所についてもすべてつかんでおります。

 今お話しのように、ブルーシートという話がありましたが、それをほうっておきますと、雨等でその亀裂が深まり、堤防が損傷するおそれがありますので、とりあえず、仮復旧でありますけれども、ブルーシート等でその亀裂が広がらないように対処しております。

 現在、特に議員のおひざ元でありましょう北上川関係についても調べさせていただきましたけれども、今回の地震等々により地盤の液状化というのも堤防にとっては大変大きな影響を与えるわけでありますが、そういうところを点検した結果、六百四十六カ所で被災を確認いたしました。

 この被災箇所の応急対策については、六月末までの完成を目指し、取り組んでいるところでありまして、さらに、本格復旧については、台風期までに何としてもこれを終えよう、こういうことで取り組んでいるところであります。

 きょう御指摘をいただきましたので、関係の部署に、さらに気をしっかりと配って二次災害に至らないように対処するように指示をしたいと思います。

小野寺委員 今回の災害復旧で、私どもも大変多くの勉強をしました。

 例えば、宮城県に栗原市というところがございます。三年前に宮城内陸地震で大きな被害を受けました。そこも地元なんですが、そこの市役所の天井が崩落して市議会が使えなくなりました。災害復旧で直しました。ところが、今回の震災でまた同じくそこが崩れて、落ちてしまって、また市役所が使えません。

 原状復帰というと、同じものに戻す。同じものに戻すということは、同じような被害があったらまた同じように壊れてしまう。これはやはり災害復旧という考え方をもっと考えなきゃいけないんじゃないか。

 あるいはカキ養殖。これは、いかだの養殖をすると、津波には大変弱いです。同じ復旧をするのに、今度は津波に強いはえ縄、延べ縄方式で弾力性のあるカキ養殖に変えたいんだけれども、原状復帰となると、前の壊れやすい養殖いかだの施設にしか戻せない。本当に、原状復帰という考え方を乗り越えて、逆に、災害に今度は強くなる、次があったら負けないぞというもの、そういう復旧の方法があるんじゃないかと思います。

 今回、沿岸地域でいろいろな公共施設が壊れました。同じように復旧すれば、多分同じようなものが来たら同じようにやられてしまう。もし、構造的に、一階は例えば駐車場みたいにして柱だけにして、二階、三階、四階に例えば公共施設を中心に置いて、発電その他の電力は一番屋上に置く。そうすれば、津波が来たときには下を抜けていってしまいますので、構造物は維持されます。多少水はかぶっても、屋上に発電その他の施設があれば、すぐに復旧をします。

 恐らく、復旧の仕方というのは、同じようなお金をかけるんであっても、津波に対応できるような、災害に対応できるような、いろいろな工夫、知恵が多分あるんだと思います。こういう新たな復旧の仕方、対応の仕方、これもぜひ弾力性を持って、次が来たときにはしっかり対応できるようなことをお願いできないか、そう思っております。

 では、お願いいたします。

大畠国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどの私の答弁を一部だけ修正させていただくと同時に、ただいま、復旧だけではだめじゃないか、こういう御指摘をいただきましたが、私もそう思っておりまして、もとに戻すのではなく、やはりその機能というものをしっかりと果たすような形で行うべきだろう、こういうことで指示をさせていただいています。

 なお、先ほどの堤防の話でございますが、台風期までにと申し上げましたが、何分にも六百四十六カ所ということでありますから、全面的に本格復旧するのは非常に難しいので、これを応急復旧で一応しのぎまして、台風期が過ぎた後、堤防を崩して本格的にやらなきゃなりません。

 その点、先ほど台風期までにと申し上げましたが、ここまでにはなかなか難しいので、台風期が明けた後、本格的に堤防、堤を開きまして根本から直す、そういう手法で今対処しているということに修正させていただきます。

小野寺委員 実は、地域の集会場、これは今回の被害の復旧の対象にはなりません。今、多くの避難民はこの集会場が頼りです。ここは実は対象になりません。また、観光施設、これも対象になりません。宮城県の白石市に白石城というのがあるんですが、これは観光施設扱いということで、この復旧の対象にならない。

 恐らく、目に見えないところはたくさんあるんだと思います。ぜひ、基金の造成で自治体がある程度広く裁量できるような、個人住宅にも支援できるような、液状化したところにも支援できるような、そのような知恵をともに出していければと思っています。

 質問を終わります。

黄川田委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 まずは冒頭、この修正協議に当たりまして、自民党、公明党、民主党のそれぞれの提案者の方々、あるいは理事の皆様など、協議に当たられた方々の大変な御努力でこういった修正案を提出することになったということ、心より敬意を表したいと思います。

 とりわけ、私ども自民党の案のポイントでありました、復興に当たる組織のあり方とか、あるいは国の責任の明示、それから必要な財源の確保など、私どもが大切だと思っていたポイントについてはほぼ九五%ぐらいは取り入れていただいたということ、また、私も先週もここで質疑に立たせていただいて、官房長官にもいろいろな意見を申し上げました、その内容についてもほぼ取り入れていただいたのかなと、大変うれしく、感謝をしております。

 今回、こういう形で修正案を提出することができたということで、これからもちろん衆議院それから参議院の審議もありますけれども、六月二十二日の会期内のこの復興基本法案の成立の道筋が見えてきたのかな、これは与野党超えて、早く成立させなければいけないという願いは一緒ですから、そういう意味ではそう思っているんですね。

 この基本法案は、震災対策の中の重要な一つのポイントであります。そして、先般、菅総理は、震災対応に一定のめどがつけば辞任されるということを表明されたわけですから、私は、やはりこの基本法の成立ということが震災対応の重要な一定のめどだと思いますから、この基本法が成立したら菅総理は御自身の約束どおりおやめになるべきだと思いますが、官房長官、いかがお考えですか。

枝野国務大臣 総理の御進退という大変重たいお話でございまして、総理にかわって私が何か申し上げるべき立場ではないと思っております。

井上(信)委員 それはそのとおりなんですね。そのとおりなんですけれども、午前中も谷議員の質問に答えて、これは御本人が何だか八月までは続投するみたいな、そんな答弁をされていたということがもう報道にもなっております。

 そして、官房長官は、インタビューに答えまして、そんなに遅い時期であるというのはだれも考えていないと思うというような発言をされております。そんなに遅い時期、私は、例えば八月はそんなに遅い時期に当たると思うんですね。その辺についてはいかがお思いですか。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、総理の御進退という重い話については、官房長官といえども、私の立場で何か申し上げるべき立場ではないと思っております。

 なお、それはこの間の土曜日だというふうに思いますが、これについては、その前々日だったかと思いますが、総理が記者会見でお話しになられた、原発の被災者の皆さんが戻られることについてのめどということに関する記者会見での御答弁が誤解をされて伝わっているということを踏まえて、総理の御真意を確認した上で、その誤解をされて伝わっていることについて、官房長官という立場で、修正といいますか訂正をしたものでございます。

井上(信)委員 ありがとうございました。これ以上この問題については伺いません。

 まずは、この修正案について、全体としての官房長官の評価をお聞かせください。

枝野国務大臣 本当に、与野党の皆さんが大局的見地から、また建設的に御議論をいただきまして取りまとめていただいたことについて、感謝申し上げたいというふうに思っております。

 政府の立場としては、形式的には政府案をぜひ通していただきたかったと言うべきなのかもしれませんが、私自身、もう十数年前になりますが、金融国会の折に、政府案を与野党で協議して、大きく修正をしていただいて、野党の立場でございましたが、というような経験もございまして、私は、国会においてこうした形で、建設的かつ大局的な御議論でこうした合意をつくり上げていただいたことについては、大変ありがたいことだというふうに思っておりまして、敬意を表したいというふうに思っております。

井上(信)委員 私も、そういう意味では本当にいい修正案ができたかと思っているんですが、ちょっと残念なのは、先週も申し上げましたけれども、ちょっと時間がかかり過ぎたかなというのはあります。被災者の、被災地の声としても、とにかくこんなもの早くやってくれという声が非常に強くありました。

 もうきょうで震災からほぼ三カ月ということ、会期内に成立するとしても、百日前後ということになります。阪神・淡路のときには三十六日目で基本法ができたということですよね。それはもう今さら言っても、ある意味、仕方ないと思うんですね。ですから、むしろこの法案を早く成立させて、成立させた後、この法律に基づいてきっちり執行していくということだと思います。

 そして、この法律のまず最初、成立したときにやはりやらなければいけないのは、この法律に基づいて復興対策本部を設置する、そして復興対策担当大臣を任命するということです。これはいつやられますか。

枝野国務大臣 内閣としては、可能な限り速やかに復興のための体制を立ち上げることが不可欠であると考えておりまして、今般、与野党で合意をいただいて、成立のめどがかなり具体的になってきておりますので、その公布に合わせて復興対策本部を設置することができるよう、政令等の整備の準備でありますとか、それから、具体的に言いますと、そこの事務局体制についての準備、これもある程度の目算を立ててやってきてはおりますが、これを具体的にさらにしっかり整えて、また大臣の任命は、これはまさに総理の専権事項でございますが、これについても、同時に担当大臣が置けるように準備をしているところでございます。

 でき得るならば、内閣法の改正についても、先ほど午前中もございました、特に副大臣、現地対策本部長について御理解をそれと同時にいただければありがたいということをお願い申し上げる次第でございます。

井上(信)委員 ぜひ本当に早くやっていただきたいんですね。できる限り早くというのは、これは当たり前のことですから、先ほど申し上げたように、例えば会期内に成立、二十二日までに成立した場合、今月中には本部立ち上げあるいは担当大臣を任命してもらわないと、これはまたずるずるおくれると思いますけれども、今月中というのはいかがですかね。

枝野国務大臣 まさに、これを成立させていただければ、ほぼ即日に近い形で公布をさせていただくことになろうかというふうに思っておりますし、最終的に政令等の事務手続の確認をいたしておりませんが、そこから何日も置いてということは、これは被災地の皆さんとの関係からも許されることではないというふうに思っておりまして、すべて即日とまでお約束できるかどうかは別としても、今お話しになられましたような期間ということについては、当然もっと早くということで想定をして準備の作業を、各党の合意もいただきましたので、加速させてまいります。

井上(信)委員 どうもありがとうございます。貴重な答弁をいただいたと思っております。成立後、即日あるいは数日後には、きちんと法律に基づいて本部を立ち上げ、そして担当大臣を任命していただくということですから、ぜひその言葉どおりよろしくお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、復興庁ですね。私どもは、復興対策本部と復興庁というのをいわば二段階的にやるのではなくて、最初から復興再生院を設置するべきだということを主張しておりました。しかし、修正案の中ではいわばこういう二段階になりました。

 そうすると、二段階目の大事な復興庁ですけれども、修正案の二十四条五項によりますと、「できるだけ早期に設置する」「可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずる」ということになっております。ただ、これは、読み方によりますと、もともとの閣法では、一年以内に復興庁を検討すると附則で書かれておりましたよね。ですから、期限を切らなくなった、下手したら後退じゃないか、そんな心配もあります。

 具体的には復興庁の設置はいつごろを考えておられるのか、そして決して後退ではないんだということを民主党の提案者の方から答弁をお願いします。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 復興庁設置法案の取りまとめの時期というのは、復興庁に移る事務がどの程度になるかということにもよるわけでございますけれども、政府におかれましては、遅くとも年内には復興庁の業務の全体像について成案をまとめていただいて、これを速やかに設置法案としてこの国会に提出いただきたいというふうに思っております。

 そして、この設置法案が国会に提出されましたら、ぜひとも、ここにおられる野党の皆様の御協力をいただきまして国会を早期に通していただいて、この設置法案が成立いたしましたら、その後、組織令ですとか組織規程ですとか、あるいは細かいことを言うと復興庁長官の判こをつくるですとか、いろいろな実務がありますが、そういったものは政府の方で早目にあらかじめ準備いただいて、この施行をできるだけ早く、できればこの二十三年度中ぐらいには設置していただきたいというふうに我々としては考えております。

井上(信)委員 これはちょっと遅過ぎますよ。やはりもう少し早くやっていただきたいですね。

 ですから、今のスケジュールでいいますと、結果的には、閣法で言っていた一年以内というのと余り変わりませんよね。確かに、権限の調整であるとかあるいは人員とか、いろいろなことがあると思いますけれども、これは本気になれば二、三カ月でできないわけないと思いますし、またしても被災者の方は、そんなに時間がかかるのか、何やってるんだということになってしまうと思いますね。

 ましてや、これから、我々はとにかく二次補正を早くやれというふうに言っていますよね。二次補正は復旧だけでなく復興の予算も入ります。そして新しい復興庁は、この復興予算の執行権限も与えるわけですよ。そうしたら、二次補正をちゃんと早くやって、その執行権限を持ってそれを執行していく。二、三カ月以内につくってもらわなきゃ困るじゃないですか。いかがお考えですか。

黄川田委員長 提出者山口壯君。きっちりと答弁をお願いします。

山口(壯)委員 今、井上議員がお尋ねになられたことは、我々の中でも相当議論をしました。その中で、やはりできるだけ早くという気持ちは一緒だったものですから、そういう意味では、みんな役所のこともよく知っている人間も集まってやったわけですけれども、全体の役所の予算のこと、そこからどうやって切り分けるか、それを考えると、どうしてもやはり十二月初めの予算編成というものと合わせて成案ということが非常に現実的で、そこはきっちりできるかなというふうに思ったので、そこをイメージさせてもらったような次第です。

 他方、今言われたように、一刻も早くということですから、それは一段階目の復興対策本部を早く立ち上げて、そして今の省庁の中でもやっていきますけれども、すぐ準備室をつくりますから、その準備室のスタッフの人はもう四六時中復興のことを考えて、そしてその流れを早くつくっていくということとして、私たちは受けとめたような次第です。

井上(信)委員 本当に一日も早くと思っています。

 やはりお話を伺っていると、予算の執行に関しても、来年度の当初予算のことを考えたスケジュールですよね。そうじゃなくて、やはり二次補正のことも考えてください。だから、それはぜひ早くやっていただく。

 そして、むしろ復興庁の設置というのは政府の話でありますから、今の件について官房長官はどんなスケジュールをお考えですか。

枝野国務大臣 与野党間で一日も早くということについて一致をしていただいてこういう規定になっているということは承知をしております。

 したがいまして、政府としてもできるだけ早くということで思っておりまして、ただ、ここは先生にもぜひ御理解をいただきたいと思いますが、やはりどうしても所掌事務、予算、組織などの具体的な作業というものには一定の時間はかかるだろうというふうに思っております。

 率直に申し上げて、当初、復興庁的なものを政府案でも検討したことがございます。そして、そのためにどれぐらい時間がかかるかということについては、いろいろと政府内においても事務ベースで検討させてきています。

 過去の例を見ると、つまり、新しい庁をつくるに当たってということの過去の例を見ると、例えば、沖縄復帰のときの沖縄開発庁とか、いろいろなものを見ても年単位なんですが、そういう次元の話ではないということの中で、どうすればこれを最大限短い期間でできるのかということについては、この間、国会での御議論も見ながら、事務当局にもいろいろと知恵を出させて、検討させてきているところでございます。

 そうしたことの中で、現時点では、年内に成案を得て速やかに設置法案を国会に提出するべく最大限努力するということが今お約束をできるところでありますが、さらにこれを加速できないかどうかということについては最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

井上(信)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、復興庁の地方支分部局について伺いたいと思います。

 今回のこの修正案ですと、復興庁に連なる組織というものは規定上、具体的に何も書かれていないんですね。二十四条四項で「復興庁及びこれに置かれる組織に引き継がれる」、ここに出ているんだと思うんですが、そうすると、地方支分部局を置くのか、あるいは復興構想会議も、これは本部と一緒に廃止されるでしょうから、そうなると、審議会的なものも復興庁に置くのかどうか。その辺のところを、この法文上だけではわかりませんが、民主党の提案者の方はどのようにお考えですか。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、まず復興本部ができるわけですね。そこで現地対策本部が置かれます。これが、復興庁ができたときにその機能を引き継ぐという意味では、この復興庁に、当然ながら、名前はともかくとして、何らかの地方支分部局的なものが引き継がれる形で置かれるというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 審議機関につきましても、これは機能を引き継ぐということでございますので、復興構想会議が当面は本部のもとに置かれることになりますけれども、それは復興庁のもとで、名前がどうなるかはともかく、何らかの審議機関が置かれるということは当然のことだと考えております。

井上(信)委員 復興庁に関しては、具体的な施策の執行権限も与えることになっていますよね。そうしたら、その復興庁に置かれる地方支分部局にも施策の実施権限を与えるという理解でいいですか。

後藤(祐)委員 おっしゃるとおりでございます。

 復興庁に何らかの実施権限が置かれるわけでございますが、そして地方支分部局も置かれるわけでございますから、この復興庁に担わされた実施権限に応じて、地方支分部局も何らかの実施権限を持つというふうに考えております。

井上(信)委員 実は、この点につきましては、私は先週の質疑の中でも大分こだわって質問させていただきました。やはりそれは被災地の地域の方々が、執行権限も含めてちゃんとワンストップの組織を置いてほしい、そういう意見が非常に強かったからです。しかし、残念ながら、先週の質疑の中では、官房長官の答弁としては、二重行政になる危険があるとか、あるいは、そうはいってもなかなか権限の調整が難しい、いろいろそういったことを言っておられました。

 この修正案の提出を受けて、この地方支分部局に執行権限を与えるかどうかについて、官房長官としてはどうお考えですか。

枝野国務大臣 今、後藤委員がお話しになられましたとおり、復興庁に実施権限があれば、その地方部局としての現地に置かれるところにも本庁と同じ権限のある部分が分掌されるということは当然だというふうに思っております。

 もちろん、その実施の範囲については、二重行政等で官が肥大化することのないようには、我々政府としても、その上で、ワンストップという今回合意をいただいた御期待にこたえられることをしっかりやっていくための努力をしてまいりたいというふうに思っておりますが、その上で認められるというか設けられる実施権限については、当然、地方支分部局においても、かなりの部分のところを現地で決められるようにということが望ましいし、そういう方向で検討してまいりたいと思います。

井上(信)委員 これから、その具体的な、ではどの執行権限を与えるかという話になると思うんですけれども、ぜひ幅広に与えていただくように私はお願いしたいと思っています。

 それと、特別会計の話。先ほど質問もありました。この特別会計の話が与野党協議の中でも最後まで課題として残ったというふうに伺っております。当然のことながら、自民党、公明党案にはこの特別会計の話が書いてあるわけですから、自民党としては強くこの特別会計をきちんと入れるべきだということを主張されたと思いますけれども、自民党の提案者の方、その点についてお聞かせください。

加藤(勝)委員 井上委員にお答えいたします。

 私どもの当初の案におきまして、東日本大震災からの復興に当たっては、資金の確保の規定を設けておりまして、復興債という特別の公債の発行を予定していること、また、国民一人一人が復興の担い手であることということから、歳入及び歳出について国民にわかりやすく示す必要がある、こういうふうに考えまして、一般会計ではなく、いわば特別会計において経理することが適当である、こういうふうに考えたところでございます。

 その後、それぞれの協議の中で結論を得ることには至っていないということでございまして、今回の法案には盛り込まれておりませんけれども、この創設の問題は今後の検討課題、こういうふうに私どもは認識をしております。

 そういう観点から、先ほど申し上げたことは、復興債の問題等々については法案の中に明記をされているわけでありますから、私どもとしては引き続き特別会計を設置すべき、こういう主張を展開していきたい、こういうふうに思っております。

井上(信)委員 私もそう思います。やはり透明化という観点、それから、今、国民のあるいは被災者の方々の思いとしては、とにかくこの震災復興に関しては、私たち国民は少し我慢してでも、あるいは負担をしても、それでも仕方ない、しっかり復興をなし遂げてもらいたい、そういう思いがあると思います。しかし、もしもそれが、透明化がなされずに、不透明な段階で無駄な支出がなされたりとか、あるいはほかの項目のことで財源が使われてしまったりとか、そういうことになったら困るというのは、それは共通の思いだと思うんですね。

 ですから、そういう意味では、単に公債勘定を切り分けるだけでなくて、やはり特別会計ということで、その復興債の収支だけではなくて、すべての復興にかかわる歳出歳入を透明化しないと私は意味がないと思うんですね。

 何か、以前の基本法の中で特別会計の廃止を約束したというようなことをおっしゃっておりましたけれども、それとこれとは時代も違えば、まして、今やこういった事態に陥っているわけでありますから、特別会計をつくらなくていいということの論拠は、正直言ってよくわかりません。その点について、民主党の提案者の方、御答弁をお願いします。

山口(壯)委員 この件は、たしか一番最後まで議論になって、特に自民党の方から相当強く言われました。私たち、特に民主党として、ここは基本哲学にかかわるものですから、やはり特別会計をなくしていく、あるいは少なくとも新しい特別会計はつくらないようにしようというところでもって、申しわけない、ほかのことはほとんど知恵を取り入れさせていただいたんですけれども、この部分だけは合意に至りませんでした。

 あと、我々の感覚的には、むしろ特別会計があるからちょっといろいろわからなくなったこともあったんじゃないかという気もしますし、一番大事なのは入りと出をきちっと管理するということだと思いますから、復興庁ができれば、その復興庁が担当するいろいろな項目についてきちっと予算が示されますし、そういう意味では、我々、条文上は八条の二項で、「復興債については、その他の公債と区分」という、公債の部分としか書いていませんけれども、復興庁ができたことによって予算がきちっと明らかになる、そして、公債の償還に関しても、ほかの公債と区分してやっていくということで、私たちはきちっとできると。

 特別会計ができなければ復興の仕事ができないというわけではもちろんないし、私たちの基本哲学にかかわるものですから、もう少し時間をかけて議論させていただきたいなと思って、検討課題ということで合意をさせていただいたような次第です。

井上(信)委員 わかりました。引き続きぜひ御検討をいただきたいというふうに思っております。

 それと、私は、震災復興を行うに当たってやはり大事なことの大きな一つは、被災者の方々の声をしっかり聞くということ、そして、被災地の力というものを最大限活用させていただくということだと思うんですね。ですから、我々自民党の案の中では、例えば復興再生院のスタッフの中に、被災した県や市町村の職員、そういった方々を登用させてもらおう、あるいは、復興再生院の中に調査審議をするために復興再生委員会を置く、ここには被災した県や市町村の長などにも入っていただこう、こういった規定を設けました。

 残念ながら、今回の修正案にはこういった規定は設けられておりません。これは、復興庁に連なる組織について、先ほど申し上げたように、法文上余り細かく書いていないからだと思うんですね。恐らく、被災地の声を聞く、被災地の力を最大限活用させていただく、思いは一緒だと思うんですね。ですから、そのために我々自民党案にあるような措置をとるべきだとお考えなのかどうか、民主党の提案者の方にお答えください。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 復興庁あるいはその地方支分部局に自治体から、特に被災地の自治体からお越しいただいてはどうかということでございますけれども、まずこれは制度上当然可能でございます。今でも地方自治体から国の機関に出向いただいているのはいっぱいあります。

 その上で、被災地の自治体から復興庁で働いていただくかどうかは、その被災地の自治体がどうお考えになられるかということが大事だと思っております。ぜひ出したいというところがあれば、それは引き受けたらいいと思うんですね。ただ一方で、被災地の市町村なんかは大変今お忙しい状態で、職員が足りないというところで、いや、とてもじゃないけれども復興庁に人を出す余裕はないというところもまたあると思うんですね。

 ですので、人を出すということを強制的に国の方からお願いする話ではないということで、これはまさに被災地の自治体の意向をしっかりとこれから見ていって、ぜひ出したいということであれば、復興庁の方で引き受けることは当然可能だというふうに考えております。

井上(信)委員 我々も、強制的に出せといったような自民党案ではありません。ですから、そこは思いは一緒だと思います。

 あと、後者の点について、再生委員会的なものをつくって、そして被災地の方々をメンバーとして入れ込むおつもりがあるかどうか、お答えください。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 諮問機関については、とりあえず本部が立ち上がった段階では復興構想会議が諮問機関になって、この復興構想会議には既にメンバーとして岩手、宮城、福島の三県の知事がお入りになられております。ですので、本部になった段階では恐らくそういうことになるんだと思います。

 復興庁になったときに、何らかの諮問会議が置かれることになります。それが、そのまま復興構想会議を維持してやるのか、あるいは別の名前になって別の構えでやるのか、それはそのときに決めることになると思いますが、当然、今回のこの三県知事、大変重要なお立場であると思いますし、基本的には続けていただくのが自然ではないかと思います。

 一方で、被災地の市町村長、これについても、今の復興構想会議のメンバーは長岡市長しか入っておられませんけれども、これは被災地じゃありません。被災地の市町村長で、ぜひとも新しい復興庁の諮問会議の何らかのメンバーに入りたいというところであれば、それは、そういったことを配慮して、新しい委員に入っていただくということは当然あり得ることだと考えております。

井上(信)委員 この点について、これもむしろ政府の話だと思いますので、官房長官の方からも答弁をお願いします。

枝野国務大臣 地方の事務所に地方自治体の方をということでは、後藤議員と全く一緒でございます。

 それから、地方の声を諮問機関的にお伺いするということについても、まずは今復興構想会議で、今、後藤議員からお話があったような形で御意見を承りながら、これはもう日本全体としての有識を集めるということの中で御議論いただいておりますが、今後さらに具体論、各論についての、特に復興庁の事務の実施に当たっては、よりきめ細かく地元の皆さんの声をお伺いする必要はあるだろうというふうに思っておりますので、復興構想会議の御答申をいただいた後、どういった形でそういったきめ細かくお声を聞いていくかということについては、与野党の合意の趣旨も踏まえ、今の御指摘も踏まえて、積極的にとらえていきたいと思っております。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 大体、十分納得できる、いい答弁をいただいたと思っております。

 ただ一点だけ、復興庁の設置については、来年度というようなことではなくて、やはりこれはできれば二、三カ月、遅くとも年内には本当に具体的に設置して動けるように、検討はされるとおっしゃっているわけですから、これだけぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 発災から九十一日目でこの日を迎えることができました。政府の案、また自由民主党の案、また私たち公明党も基本的な考え方をお示しして、そして最終的にきょう三党で提案をする、こういう形になったわけでございます。

 それで、私は発議者でもありますので提案者には質問ができませんので、これから政府にいろいろとお伺いをいたしたいというふうに思っております。

 当然、今回は閣法も取り下げ、自由民主党の案も取り下げて、新しい案になっております。ですから、まず立法者の意思というものを政府もぜひ尊重していただきたい、私はそういう観点から何点かお伺いをいたしたいというふうに思います。

 まず、我々も復興庁ということを当初から申し上げておりまして、復興庁につきましてはどういう組織上の位置づけになるのか。私たちは、普通の役所と同じように国務大臣が横並びで長になるような組織ではなくて、内閣総理大臣が責任をまず持つ、内閣に直結をさせて、そして総理が主任の大臣として、その命を受けてやるような組織を考えておりました。そういうことが明確に法案には書かれておりませんので、ぜひこの点、官房長官から、立法者の意思としてのお酌み取りをいただいての御発言をお願いしたいと思います。

枝野国務大臣 復興庁は、内閣に置かれる機関として、内閣の事務たる企画立案、総合調整と実施事務、いわゆる分担管理事務をあわせ行う組織であり、その組織上の位置づけは内閣府と同様のものとなるのではないかと考えております。

 したがって、法案成立後、政府として復興庁の具体的検討を行う際には、そのトップマネジメントについて、内閣府の場合を参考に、内閣総理大臣及び復興庁の事務を統括する大臣により構成されるよう、所要の規定を整備する必要があると考えております。

石田(祝)委員 それで、もう一度、復興庁の所掌事務の確認でありますけれども、今般修正されて、我々が提出した案の二十四条第三項、主体的かつ一体的に所掌事務を行う、こういうふうにいたしておりますけれども、この点について官房長官の御発言をお願いします。

枝野国務大臣 復興庁は、既存省庁の枠を超えて実質的な決定機能を発揮し、地方公共団体のニーズにワンストップで対応できるようにする趣旨であるというふうに理解をいたしております。

 具体的な制度づくりは、まさに立法者の皆さんの意思を踏まえ、検討していくことになります。現時点でのイメージとして申し上げれば、例えば、主体的に行うべき施策とは、新たな復興特区のような制度、一体的に行うべき施策とは、特定地域に係る各種の補助事業の一体的処理などが想定されているものと承知をいたしております。

石田(祝)委員 さらに確認をさせていただきたいと思いますが、復興庁の設置時期については、正直、随分議論がありました。当初の政府案では、復興庁の設置について一年以内に検討すると。これを、一年以内がとれて、そのかわり、設置をする、こういう形になりました。そして、先ほどの自由民主党の委員の方からも、年内とか来年度の予算との絡みというのは遅いじゃないか、こういうお話がありました。我々も、いつの時期というふうに、明確に何月何日ということは特定できないけれども、一日も早く、こういう思いは共有をいたしております。

 年内に成案を得てという発議者からのお話もありましたけれども、官房長官、年内といえば十二月三十一日まで、今でも年内でありますから、これをいつにするか、これはひとつ政府の今回の復興に対する取り組みの姿勢にも私は関係をしてくるのではないかと。ですから、年内だから十二月でいいやということではなくて、どこまで年内の早い時期ということで官房長官がかたく決意をされているのか、その点をお聞きいたしたいと思います。

枝野国務大臣 今回の各党の合意の趣旨を踏まえて、できるだけ早くしたいと私も思っております。

 ただ、これは本当にいわゆる事務作業的なことがございまして、政治の意思としては最大限努力をして早くということをいたします。その上で、事務的な今の見通しを考えると、年内に成案を得てというのが今御答弁できるところでございますが、これについては、ぜひ各党からもお知恵等があればいただきたいというふうに思っておりますし、私自身もさらにそれを早くできないかどうかということについては努力をしてまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 この問題については最後になりますけれども、今回の修正の協議の中で、我が党として復興特区ということを提案いたしました。これは、後藤祐一委員からも公明党の提案でということをおっしゃっていただきました。

 この復興特区について、いろいろな考え方があろうかと思います。条例による法律への上書きとかいろいろな考え方があると思いますけれども、少なくても被災地域の特殊性、これは、オール県ということじゃなくて、市町村単位でいろいろな要望が出てくるだろうと私は思います。これを復興庁で受け付けるということも考えておりますので、そういう点を含めて、復興特区についての官房長官のお考えをお伺いいたしたいと思います。

枝野国務大臣 復興特区につきましては、今御指摘もございましたとおり、今回の被災地域が大変広範にわたっておりまして、もともとの地域の事情もそれぞれ違っているし、それぞれ地区ごとに受けた被害の状況も大きく異なっている。当然それぞれの地域の皆さんからの御要望も多岐にわたっているという状況の中にございまして、ぜひ特区という仕組みをうまく活用してということは政府内でもこの間考えていたところでございますが、御党から具体的に御提案をいただいたことに基づいて、今回、法案の中に明記をいただいたということは大変感謝をいたしております。

 これを踏まえて、さらに具体的な制度設計、しかも、できるだけ柔軟かつ地域の御要望がそれぞれ反映できるような仕組みづくりを加速してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 そのほかの問題でお伺いをいたしたいと思いますが、私は、被災地における瓦れきの処理、解体作業時のアスベスト、石綿の対策についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、二点あわせてお伺いいたしますが、一つは、平成七年の阪神・淡路大震災、そのときに解体作業に従事した人がいわゆる中皮腫を発症した、それが労災に認定をされた。今までは発症まで通常三十年から四十年というふうに言われておりましたけれども、十六年なんですね、今の時点でも。ですから、これは明確に関係があると国が認めたわけでありますが、この労災認定の事案について簡単に御説明いただきたいということと、それから、今回の被災地における瓦れき処理、解体、こういうものがこれから進んでまいりますけれども、そのアスベストの対策について、しっかりと対策がとられているかどうか。二点、それぞれお伺いをいたしたいと思います。

小林大臣政務官 阪神・淡路大震災の後の被災地においてのアスベストを含む建物解体工事等の復興作業に従事したことがある労働者の方が中皮腫を発症されたことにより労災認定された事例はございます。

 労災認定された方の年齢については、個人に関する情報であるため、詳細なお答えは差し控えさせていただきますけれども、三十歳代の方、このようなことでございます。

 したがって、今先生がおっしゃったように、三十年から四十年かかってそういう症状が出ると言われますけれども、この方の経歴では、阪神・淡路の復興のときに作業をやった、そういうことが特定できる、こういうことから労災の認定になったということでございます。

 そして、今回の復旧復興工事において、対策ですけれども、アスベスト暴露の防止対策を徹底していく、このことが何よりも大事だと思っております。このために、労働者に防じんマスクを着用させるように、リーフレットの配付あるいは安全講習会の実施など、また安全パトロールなどもより指導していきたいと思います。

 また、防じんマスクの着用の徹底を図るため、メーカーから無償で提供いただいた防じんマスク九万枚を労働基準監督署等で配付してきたところでございます。さらに、追加の防じんマスク十万枚の提供を受け、今後も、パトロール等を通じて配付や指導を行うことによりその徹底を図ってまいりたい、このように考えております。

 さらに、環境省と連携して、専門家による会議、これは東日本大震災アスベスト対策合同会議、既に第一回を五月十一日、第二回を五月三十日に開催しておりますけれども、そこで被災地におけるアスベスト暴露防止対策の有効性について検証を行っているところであり、その検証結果を踏まえて、アスベストによる健康障害防止対策に万全を期すように取り組んでまいります。

松本(龍)国務大臣 環境省としましても、四月に実施したアスベスト大気濃度の予備調査の結果では、瓦れき集積場では通常の一般大気環境とほぼ変わらなかったという報告を受けております。一方で、阪神・淡路大震災におけるモニタリング調査の結果では、今御指摘のとおり、建築物の解体現場において高い数値が出たところもあったと承知をしております。

 こうしたことから、今回の東日本大震災において重要視すべきことは建築物の解体現場であると認識をしており、六月から実施をしております第一次モニタリング調査においても、倒壊、半壊または一部損壊している建築物等に重点を置いて実施をしているところであります。

 環境省としては、こうした取り組みを通じて、より効果的なアスベスト飛散、暴露防止対策をこれからも推進してまいりたいと思います。

石田(祝)委員 被災者生活再建支援法についてちょっとお伺いいたします。

 これは宮城県で御相談をいただいた件でありますが、お家が全壊してしまった、しかし、そこの方は会社の転勤でそこには住んでいなかった、しかし、将来、退職した後はその家に戻る予定である。こういう方が、たまたま、会社の命令というんですか、転勤で行かれて家を留守にしている、住所は当然その転勤地に持っていっておった。それで、この生活再建支援法の基礎支援金、加算金等が何ら受けられない、こういう御相談がありました。

 これは、そこに住んでいないということはそのとおりなのでありますが、家という生活の拠点を、将来はそこに住むという大前提で人にも貸しておらない、こういう方が、残念ながら、今の考え方では救われない、こういう問題がある。

 もう一つ、宮城県なんかは大学がたくさんありますから、学生アパートがありますけれども、いわゆる一DKぐらいの学生さんがいっぱい入っているところがある。これは、学生がそこに住所を移しておったら、今回、基礎支援金が出るわけですね、一人世帯ですから四分の三になりますけれども。しかし、大家さんにとっては、学生によかれと思って家賃も安くしている人もいたでしょう。しかし、被災を受けた学生さんにはお金が出るんだけれども、大家さんには一円も出ない、こういう問題がありまして、これは今の法律の枠の中でどうこうということが現実にできるかということはありますが、再建支援法を見直すという観点からは、こういう問題もあるということで、少し大臣の問題意識をお伺いいたしたいと思います。

松本(龍)国務大臣 御指摘の点、しっかり承りたいと思います。

 被災者生活再建支援制度は、いわゆる居住をしている住宅が全壊あるいは半壊などということで支援金を支給します。居住ということでいえば、世帯が当該住宅を生活の本拠として日常的に使用していることをいい、具体的には住民登録や、水道やガス、電気などの支払いをしているということで判断をされているというふうに思います。

 御指摘の事例がどのような事例かは詳細は知りませんけれども、いわゆる被災地内の住宅が被害を受けたとしても、当該住宅を生活の本拠としていたと認められないことから支援金の対象とはなっておりません。

 私も同じように仙台の男性から四月の初めに電話がかかってまいりまして、何とかならないんでしょうか、去年住民票を東京に転勤で移しましたと。納得をされたんですが、私はいいですけれども、これからそういった方々がおられると思うので考えておいてくださいという話でありました。

 先ほどのアパートの話でありますけれども、先ほども申し上げましたけれども、借り主には居住という形で支援金が出ますけれども、貸している方は、事業用資産でありますから、そういった意味では支援制度の支給対象となることは今のところ困難であります。

 いずれにしましても、今回の事例さまざまありますから、いろいろな事例をこれから見ていく中で検討していくこともたくさんあるだろうと思います。

石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。

黄川田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 まず初めに、官房長官に所感を伺いたいと思います。

 今回の起草案には、公明党が主張しておりました人間の復興という考え方、それから復興庁、復興特区、それから女性、子供、障害者への配慮等盛り込まれております。これに対しての官房長官の所感をまずお伺いいたします。

枝野国務大臣 本当に今回、各党の皆さんで建設的な御議論をいただいて、こうした成案が得られたことに対しては、政府としても大変感謝を申し上げたいと思いますし、また敬意を表したいというふうに思っております。

 特に御党から御指摘いただいた特区、それから女性、高齢者、障害者などへの配慮。運用においてはそういったことを政府としても考えていたわけでございますけれども、これを御指摘いただいてしっかりと明記をしたということについては、関係者の皆さんもしっかりと受けとめていただけるのではないだろうかというふうに思っておりますし、御指摘をいただいたことに感謝を申し上げます。

 また、人間の復興という言葉、その考え方。考え方についてはもともと共有をさせていただいていたつもりでおりますけれども、この復興の目指していくものがどこにあるのかということを多くの皆さんに御理解いただく上で、人間の復興という言葉を御提起いただいたということは、政府としてというよりも、この復興に当たって大変よかったポイントではないかというふうに私は感じております。本当にありがとうございます。

斉藤(鉄)委員 その中にも、子供への配慮ということも今回特記をされました。

 そこで、私は、子供の被曝という問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 先日、福島県へ参りまして、お母さん方、お父さん方、学校の先生、また学校の現場へも行ってまいりました。特に、お母様方は大変大きな不安を感じておられます。うちの子供はどれだけ被曝しているんだろうかと。確かに今、文科省の御努力で、代表的な生活をする学校の先生が学校にいる時間帯だけの被曝線量をはかる積算線量計を持ってそれを測定し、公表されているということは承知しておりますが、やはり、学校だけではありません、公園や自宅や遊び場、二十四時間通してどれだけ被曝しているんだろうか、こういう大変大きな不安を持っていらっしゃいます。

 そういう意味で、ぜひ子供たちにフィルムバッジを配ったらいいのではないか。これは、十五歳以下、まさにゼロ歳児の人まで。フィルムバッジは携帯をしておけば、例えば一カ月ごとにそれを提出すれば、その一カ月間の積算線量がわかる。費用も二千円程度、二十万人としても四億円でございます。一年間やっても五十億円。こういうことで安心していただく。また、特に被曝のお子さんが見つかれば、それなりの手厚い対処ができる。これについて、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 住民の方々が受けた被曝量の調査は、福島県が福島県立医科大学に委託をして実施をする県民健康調査の一環として行われる予定でございます。その中において、特にお子さんの被曝については、いろいろな意味でしっかりと対応していかなければならないというふうに思っております。これに対して、国としても、放医研など研究機関を通じた専門的な御協力や財政面での支援を行う予定でございます。

 具体的な調査方法は現在検討中ということで、福島県や地元市町村と十分に御相談をしてまいりたいというふうに思っておりますが、その折には、今御提案をいただいたフィルムバッジというやり方も一つの考え方だと私は思いますので、専門家の皆さんを含めて検討をいただこうというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 フィルムバッジというのは、本当に簡単なものを体につけておくだけで積算線量が正確にはかれます。ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 次に、学校現場では、校庭、園庭について表土の除去作業等が行われております。私も見てまいりました。しかしながら、通学路、それから遊び場であるところの公園、空き地、そういうところでは線量の高いホットスポットもございます。

 私は、国が責任を持って、通学路やそういう子供が立ち入る可能性のある場所の総点検をして、線量が高いところについては除染作業を行っていく、そういうことでできるだけ子供の被曝を低減化させていく、そのことが重要ではないかと思いますけれども、このことについて、官房長官、ぜひ考えていただきたいと思います。

枝野国務大臣 本当に、特にお子さんの被曝については、親御さんを初めとして御心配が大変多いというふうに思っておりますので、モニタリングをさらに強化して、線量の把握をさらに急いでまいりたいというふうに思っております。

 現在、文部科学省において、放射線量等分布マップの作成に向けた空間線量率の測定と土壌調査に着手をしておりまして、福島県内の市街地を中心として、通学路等の空間線量率の状況等も把握できる見込みでございます。できるだけきめ細かい形で、いわゆるホットスポット等があれば見つけられるようにということについては、文部科学省を通じて、今持っている機能を最大限生かして努力をしてもらっているところでございます。

 さらに、万が一そういったホットスポットのようなところが見つかったりとかした場合においては、もちろん今、関係府省の連携協力のもとで校庭、園庭の土壌に関する線量低減策を、これは自治体を支援する形で後押しをしておりますが、さらにそれ以外のところについてももしホットスポット等が見つかった場合には、土壌等の除染、改良の手法について同時並行的に研究、検討をいただいておりますが、さらにそれを具体的に実施するに当たって、国としての対応を進めてまいりたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 特に、側溝等に雨が降って流れて集積をしている。側溝ですから、そのそばを通学で子供たちが通っていくというようなことも十分考えられます。早く手を打っていただきたいと思います。

 それから、本当にいろいろなお話を聞いてきたんですが、例えば、あるお母さんは、お父さんをとるか子供をとるか、悩みに悩んで、結局子供をとって、お父さんは一人で福島県内で働く、自分はどこか遠くへ行く、そういう決断をしたという話も聞きました。やはり、どれだけ被曝しているかわからないから、また被曝の低減の努力が見えないからそういう御不安を持たれるわけで、ここはぜひ手を打っていただきたいと思います。

 それから、高木文部科学大臣にお聞きしたいと思いますが、できるだけ被曝量を低減化するという意味で、例えば夏休みに、林間学校とか、また農漁村子供体験事業等もございました、そういうプログラムを活用して、子供たちにいわゆる被曝の心配のないところでこの夏休みを過ごしてもらう、それはまた非常に大きな別な教育効果ということもあるわけでございますけれども、そのようなお考えはありませんでしょうか。

高木国務大臣 斉藤委員にお答えをいたします。

 御指摘のとおり、夏休み、本当なら、伸び伸び遊んで勉強して、頑張っていただく重要な機会でございます。ただ、発電所の状況がああいうことでございますので、できるだけ線量を少なくする努力、一つは、もう既に御案内のとおり、校庭の土壌改良、あるいは積算線量計の配付などをやっておりますが、今御指摘の林間学校あるいは農山漁村での体験活動、これは、自然や、そしてまた実際の仕事など、みずからが体験をしながら取り組むということは、非常に学習効果も高いものでございます。また、みんなと一緒に合宿をしてともに語り合うということも、子供たちにとって非常に有意義でございます。

 したがいまして、貴重な提案として、もう既に我々もその辺の検討は内部で進めておりますが、そういうことも、全国の自治体の協力も得ながら、そして福島県と十分連携をとって対応を進めてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 ぜひ前向きに検討していただいて、希望するお子さんはすべてそういう形で夏休みに学習ができるという形にしていただきたいと思います。

 それから、経産大臣にお伺いします。

 警戒区域の方からお話を伺いました。その方から、まさに切実な悩みとして、一時帰宅、これは大変いい、円滑かつ迅速に何回もできるようにバスの大幅増便をしてほしいという具体的な要望がありました。そして、そのときに、仮設住宅に入居するといわゆる食料の供給がなくなる。避難していると食料は心配ないんだけれども、仮設住宅に入ると食料を自分で用意しなきゃいけない。一時帰宅すると、家の中にはたくさんの米がある。その米は、ちゃんと蔵の中にあったり、きちんとしたところにあるので、決して汚染はされていない、それは確かだ、そういう米を持って帰って食べたい、そこを何とか認めてほしいという声も聞きました。

 それから、家に帰ってみたら、とにかく雨漏りがしていて、畳からキノコが生えてきそうな状況だと。あのときは、着のみ着のまま、とにかく逃げろということで、何の処置もせずに家を離れてきた、だから、せめて雨漏りがしないようにビニールシートぐらいかけさせてほしい、そういう作業をする時間も与えてほしいし、このままずっとほうっておくと、それこそ家に帰れなくなってしまうと。そういう声を聞きましたけれども、この点、御配慮いただけますでしょうか。

海江田国務大臣 まず、斉藤委員を初めとした公明党の皆さん方が現地を細かく回っておられるということ、私も現地の対策本部からそういう報告を受けております。そして、今御指摘のありました点につきましても、現地からそういう声があるということを聞いております。

 当初、この一時立ち入りは、バスが十台でスタートいたしました。今二十五台になっております。そして、二十五台でまだ足りないという声もあります。それから、なるべく早くまず第一次の立ち入りをして、そして二度、三度とやっていただきたいということでございますが、第二次の立ち入りが少しおくれるかなと思いますが、そういうことのないように、できるだけバスの台数は多くしたいと思っております。

 それから、家へ立ち入りまして、食料品が冷蔵庫にある、あるいはお米があるということでございますが、ただこれは、大変残念なことでありますが、それを食べたときの体内被曝というものを考えますと、やはりこの食料品の持ち出しと申しますか、そこからのはなかなか難しいというのが現在のところであります。

 それからもう一つの、ブルーシートをかけてはどうだろうかということでございますが、これは、立ち入りの方が今、防護服、夏バージョンになって上下のセパレーツになりましたけれども、やはりあの防護服を着ますと、動きが大変不自由でございます。そして、屋根の上に上ってふなれな作業などをやって事故に遭ってもいけませんので、やはりこれは、専門の業者の方、それからブルーシートの調達などについては東京電力にお願いをしまして、東京電力も、それはなるべく自分たちが手当てをしようということでございますので、そういう東京電力のブルーシートの調達もしてもらいまして、そして、専門の方が立ち入りの禁止の区域に入るということは、これは国としては認めたい、そういう方向で考えております。

斉藤(鉄)委員 切実な問題ですので、ぜひ対処をお願いしたいと思います。

 総務大臣にお伺いいたします。

 被災県、例えば福島県だけで使える地域振興券、いわゆるプレミアムつきの商品券、これを被災県以外の地方自治体でぜひ応援のために出したいと。地方自治体がプレミアムをつけて、その商品券は例えば福島県でしか使えない、宮城県でしか使えないという形にして応援したいと考えている地方自治体もございますが、地方財政法二十八条の二に抵触するのではないかということも言われておりますが、抵触しないということをちょっと確認したいんです。

片山国務大臣 プレミアムつき商品券というものの詳細はよく存じませんが、今伺った範囲内ですと、地方財政法の二十八条の二とは関係がないことだと思います。抵触することはないと思います。

斉藤(鉄)委員 そのように考えて被災県を応援したいと思っている地方自治体のそういうアイデアに対して、総務省としてもぜひ応援をしていただきたい、このように思います。

 次に、国土交通大臣に二つお伺いいたします。

 まず、福島市の下水処理場に行ってまいりました。最終的なスラッジに非常にたくさんの高濃度汚染汚泥、見てまいりましたけれども、いわゆる合流式で雨水が入るところはいたし方ないというふうに思います。雨水が入らないところの汚泥はほとんど汚染がない、しかし、雨水が入るところはかなり、ある意味で広い地域から集められて濃縮をしたものが集まっているということでございます。

 この高濃度汚染汚泥についての処理方法を、国として基準をつくり対処すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 斉藤議員の御質問にお答えを申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたように、下水処理の最終的な処理場において汚染汚泥が集まりまして、その処理をどうするか、こういうことで、特に福島県において一番最初、私どもは、その処理の仕方について知事から、早急にその対策といいますか基準を示せ、このような御指摘を賜りました。

 そういうことで、五月の十二日に、福島県に対しては、原子力の災害対策本部そして原子力安全委員会等で一つの検討をしていただきまして、その基準をもとに「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方」、こういうことでまとめて、御報告を申し上げたところであります。

 他のところでも同じような事例もあると聞いておりまして、この下水汚泥処理に関する基本的な考え方というのを、近々、基本的な考え方を系列的にまとめまして、それをお示ししたいと考えております。

 いずれにしても、これは毎日毎日のことでありますから、早急に基準を明らかにしてほしいということでありますから、改めて、本日御指摘をいただきましたので、近々取りまとめて御報告を申し上げるようにしたいと思います。

斉藤(鉄)委員 その処理場周辺の方も大変心配をされておりましたので、ぜひお願いをいたします。

 では最後に、国土交通大臣、高速道路のことについてでございます。

 今いろいろな自治体で東北地方のツアーに補助金を出すというようなことも計画されておりますが、それにあわせて、ぜひ東北地方の高速道路について、いわゆる被災者やバス、トラックだけでなく、この被災者やバス、トラックについては六月二十日から対処されるというのは我々も報告を受けておりますが、一般の車両、一般の方についても、東北に行こうという人を応援するために、高速道路料金の無料化等を推し進めるべきだ。これはずっと発災当時から我々は言わせていただいてきましたけれども、このことについて、国土交通省としてどのようなお考えでしょうか。

大畠国務大臣 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。

 高速道路の無料開放についてでございますが、御指摘のように六月の二十日から当面の間、中型車以上はということと、それから被災者と避難者等々については無料開放することといたしました。

 今御指摘の点については、以前から公明党の一つの提案として、各議員からも国土交通委員会でも御提起をいただいておりまして、私どもとしては、全車種を対象に無料開放する案についても今検討中でありまして、ただ、これには予算が必要でありますから、第二次補正予算に盛り込む、こういうことで、実現方、各方面と調整をしているところでございます。

斉藤(鉄)委員 そういう意味でも、第二次補正予算を早期に組んで対処をすべきだ、このように申し上げまして、質問を終わります。

黄川田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 復興に当たっての私どもの立場については、午前の部でも、また、これまでの委員会でも繰り返してまいりました。きょうは法案の提出会派の皆さんに、それぞれ、その立場に立って質問をさせていただきたい、このように思っております。

 まず最初に、与党会派の方に質問をさせていただきます。

 この「基本理念」、第二条には、「未曽有の災害により、多数の人命が失われるとともに、多数の被災者がその生活基盤を奪われ、被災地域内外での避難生活を余儀なくされる等甚大な被害が生じており、かつ、被災地域における経済活動の停滞が連鎖的に全国各地における企業活動や国民生活に支障を及ぼしている等その影響が広く全国に及んでいる」云々という形で、私は、現状認識についてはやはり同じだと思うんですね。

 多くの人命が失われて本当に大きな犠牲があったということ、そして、まだ今でも不自由な避難生活を余儀なくされているということ、まずここから出発をするというわけでありますけれども、しかし、この文脈は、同じ第二条の一の中で、最後は「二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われる」、このように、急に何か飛躍をするような気がいたします。その間がどうなっているのかということなんですね。

 繰り返し指摘をしてきたことですが、被災者一人一人が生活の基盤を取り戻すこと、これが第一歩だと思いますが、なぜ明記をされなかったのでしょうか。

山口(壯)委員 今、高橋議員のおっしゃられた二条一項のところでもって、私たち、修正協議の中でいろいろな知恵をいただいたわけですけれども、一つの知恵がこの部分です。

 「一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として行われる復興のための施策の推進により、」その後に、「新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと。」ということなので、私も今、高橋議員のおっしゃられた災害に遭われた方一人一人の大変な立場を考えると、そこの復旧復興がまず第一だろうし、その後にいろいろなことが続くと思いますので、この文章でもって読み込んでいただければとてもありがたいです。

高橋(千)委員 そうなんですね。この法案は、一つは枠組み法であり、そしてもう一つは理念法である、だからその理念が非常に大事なわけですね。だから、読み込んでいただくではなくて、大事なことはちゃんと書いてもらいたいと思うんです。

 例えば、公明党さんの案が、憲法二十五条を引いて、「個人の尊厳を重んじ、幸福追求権、生存権その他の基本的人権を保障する日本国憲法の精神に基づき、」と書いてございました。ところが、これはすっかり落ちてしまったんですね。

 私たちは、今の被災地の現状、あるいは被災地の現状に至る前の今の政治の現状自体が、憲法二十五条そのものが今壊されているような現状にあるのではないか、そうした中に今の被災の問題があるのではないか、そういう問題意識を持っているんですけれども、ここはすっぽり落ちてしまって、いきなり豊かな生活にどうして行くのかという議論になるわけですね。そして、明記をされているのは、国民は相互扶助と連帯なんだと。そっちはしっかり書き込んでおいて、一人一人の基本的人権というものは落ちている。これで本当に生活の基盤を取り戻すことができるのかなということを指摘しなければならないと思います。

 続けます。

 被災地の復興が二十一世紀の日本のあるべき姿を目指す、こうあるわけですけれども、具体的にどういうイメージを持っているのか、簡潔に自民党さんと民主党さんにそれぞれ伺います。

加藤(勝)委員 高橋委員にお答えをさせていただきます。

 東日本大震災への対応においては、今御指摘がありますように、早急に復旧を図っていくということはもとよりでありますが、また、さらに復興するに当たっては、原形復旧にとどまらず、将来を見据えた復興を図る必要があるというのは、多くの皆さん方の共有しているところだというふうに理解をしております。

 そこで、将来、どういうイメージのものにしていくのかということでありますけれども、期間としては、年限的には二、三十年先ということで二十一世紀半ばという時期を定めて、「日本のあるべき姿」ということを規定させていただいております。さらに、政府のみならず我々国会も含んだ、こういう意味において、「国は、」という主語にさせていただき、しっかりと二十一世紀半ばの日本のあるべき姿を示し、国民にも理解をいただき、それを共有していきたい、こういうふうに想定をしております。

 御指摘の「あるべき姿」ということでありますけれども、この中には、私どもが震災の前から抱えているさまざまな課題、あるいは今回の震災で明らかになった課題、これらをどう解消していくかという中でその姿が見えてくるものというふうに思っております。

 具体的な課題については、自民党提出の法案の中にもいろいろ書かせていただいておりますが、被災地の関係で申し上げれば、これからの災害に対してどう対応するのか、エネルギー問題に対してどうするのか、被災地域の農林水産業のあるべき姿をどう考えるのか、あるいは、少子高齢化、さらに過疎化が進んでいるこうした地域での地域社会をこれからどう構築していくべきなのか、そういったものがこの中に具体的に含まれていくものと考えております。

後藤(祐)委員 高橋委員にお答え申し上げます。

 今、自民党からもお話がありましたけれども、二十一世紀半ばの日本のあるべき姿、これは人それぞれ、いろいろな御意見があると思うんです。高橋先生にも御意見があると思います。与野党協議の中でもさまざまな御議論がある中で、「基本理念」のたくさんの号の中にその理念がたくさん詰まっていると思うんです。

 例えば、この第二条の第五号には、近年失われつつあるような地域社会のきずなを維持強化していこうではないかと。これは、以前はあったものかもしれませんが、今少し失われていて、二十一世紀半ばでむしろ取り戻していかなきゃいけない。あるいは、女性、子供、障害者を含めた多様な国民の意見を反映した社会にしていこうではないか。これも今なかなか、それを目指してはおりますが、きちんと実現できている状態にあるとはとても言えないと思います。あるいは、食料問題、電力その他のエネルギーの利用の制約、あるいは環境への負荷、地球温暖化問題、こういった人類共通の課題をどうやって解決していくか。さまざまな課題の解決を二十一世紀半ばに図っていかなきゃいけないわけでございますが、これはすべて、与野党協議の中で議論をいただく中で、この二条の各項目の中で記述させていただいたわけでございますので、この二十一世紀半ばのあるべき姿、ぜひこれを実現できるような復興を遂げていきたいというふうに思っております。

 もちろん、その復興の前に一人一人の生活が大事だ、復旧の方が大事なんだというのは当然のことだということを改めて追加させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 それでは、復興構想会議がまさにあるべき姿をいろいろな形で描いているわけであります。これが、では復興庁設置以後、どのような位置づけになるのかということです。

 今るるお話がありまして、課題についてはいろいろお話があったと思うんですけれども、あるべき姿ということでは、さまざまあるでしょうというくくりだったのかなと思っているわけです。

 そうしている中で、もう既にけさの新聞には、復興財源として国債を発行する場合、基幹税の増税で償還をするということですとか、この間の参考人質疑の中でも問題になっていたTPPの問題などがあるわけですけれども、自由貿易体制の推進で日本経済を再生とか、そうしたまだ争点となっている問題について素案という形で出されているわけです。では、政府とあるいは国会との関係がどうなっていくのか。それから、この復興会議が財源についても一定の姿を示す、そこに従うみたいな形になるんでしょうか。

 これは官房長官に伺います。

枝野国務大臣 まず、復興構想会議がどうなるかというお尋ねでございますが、この法律を成立させていただければ復興構想会議は法律上の組織になるわけでございますが、さらに復興庁を設置後には、法案の第二十四条四項の規定により、何らかの形でこの復興構想会議の機能、つまり、広く英知を集め、あるいは地元の皆さんの声を集め、そのことによってさまざまな考え方、方針等について御議論をいただく場というのが復興庁にも置かれることになるというふうに理解をいたしております。

 なお、現在の復興構想会議での議論の内容についてでございますが、政府としては、特定の議題についての議論を要請するようなことはしておらず、今月末の提言取りまとめに向けて、幅広い観点から自由闊達な議論をお願いしているところでございます。

 当然、大変いろいろな見識ある皆さんや知事の皆さんにお入りいただいている会議でございますので、その提言は重く受けとめなければならないと思っておりますが、それを踏まえて政府としての復興に向けた方針をお示しすることになるかと思いますし、国としてということでは、国会においてもさまざまな御議論がなされるものというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 財源の問題について、法案では、復興債のような形、それから「償還の道筋を明らかにする」ということが書き込まれていると思うんですけれども、これは、基幹税という形で提案をされると、全く趣旨が違うと思うんですね。要するに、基幹税ですから、復興のためだけではないわけですね。そうすると、今、社会保障改革などということ、さまざまなことが議論をされているわけです。逆に言うと、そのことが、つまり、復興のためだという口実で全般にかかわる増税になっていく、そういうことをここで議論するのがふさわしいか、これは大問題だと思うんですね。

 これは、私たちはもちろん認めるわけにはいかないわけです。また当然、仮に、取りざたされている消費税などということになると、被災地にも大きな負担になるということであり、さまざまな努力をするべきだという形で岩手や福島の知事などは反対をされております。

 財源についてのお答えが明確でなかったと思いますが、もう一度官房長官に伺います。

枝野国務大臣 復興構想会議には自由な独立した御議論をお願いしておりますので、そこについて、こういうことを議論しろとかこういうことはするなということについては申し上げてきておりません。

 ただ、財源等の問題については、もちろん、復興構想会議のこれからいただく御提起というのは重く受けとめなければいけないと思っておりますが、特に財源についてはまさに政治マターでございますので、それも参考にしながら、最終的には国会でお決めいただくことだと思っております。

 その中で、今御指摘いただきましたが、政府としては、一つは、社会保障と税の一体改革の議論をしておりますが、この話と今回の復興の話というものが混同されてごちゃごちゃにならないようにということは、十分に留意をしなければいけないというふうに思っております。これは全く別次元の話である。それから、復興の財源についても、まさに今回の自民、公明両党と民主党との間で合意をいただいた趣旨を踏まえて、復興のために特化をした財源について検討、議論をしていくということだと理解をいたしております。

高橋(千)委員 今、大変重要な答弁だったかと思います。復興の議論をしていたと思ったら、日本全体にかかわる、また将来にかかわるような増税であったということが決してないように、重ねて確認をさせていただきたいと思います。

 次に、公明党さんと官房長官に伺いたいと思うんですけれども、各県あるいは各市町村段階でも復興計画やプランがそれぞれつくられているところであります。また、そのための策定委員会なども始まっているところであります。中には、午前の部の資料の三枚目につけておいて、ちょっと手元にすぐないかもしれませんけれども、例えば宮城県、先日私はこの場で水産特区の問題を質問させていただいたわけですけれども、これは昨日の河北新報、「水産特区激しい応酬」ということで、宮城県議会でも、リードにありますように、「登壇した五人中、沿岸部選出の四人が構想の一時棚上げや撤回を迫った。」ということで、県議会でも知事の提案に反対の意見が非常に多く出たという様子が書かれているわけであります。

 ですから、復興構想会議で知事が発言をしたからといって、それが県民の全体の意思であるというわけにはいかないわけであります。そういうことをまず踏まえていただきたい。

 今回は、三条、四条という形で、国は基本方針をつくるということ、そして地方公共団体はその「基本方針を踏まえ、」という書きぶりになっているわけであります。この全体の方針が地元の方針を縛ることにならないかということに懸念をしているわけであります。やはり、基本的には市町村の計画を尊重し、そしてそのための必要な制度緩和あるいは財政措置を国がやっていく、そういうルールが望ましいと思いますけれども、いかがでしょうか。

石田(祝)委員 お答え申し上げたいと思います。

 今の委員の、市町村の創意工夫、そういうものを尊重する、この意見には私も賛成でございます。

 我々の提案で今回、第十条に復興特区というものを設けることになりました。これをちょっと見ていただきますと、政府は、被災地域の地方公共団体の申し出により、区域を限って復興特区をつくると。これはまさしく、その地域地域で、我が地域はこういう復興をしていこうということを固めていただいて、そういうものを特区として申し出る。ですから、これは上から特区を押しつけるということではもちろんありませんので、こういう点でも配慮をしているということでございます。

 また、「基本理念」の第二条の第二号、ここで、地方公共団体との適切な役割分担及び相互の連携協力、こういうことも書かれておりますし、被災地域の住民の意向が尊重される、こういうことも明文として書かれておりますので、私は、委員のお気持ちも大事にしながら、被災地域の地元の皆さんの意見がまず第一、これは当然だろうというふうに思っております。

枝野国務大臣 政府としては、従来から、この復興に当たっては、それぞれの地域の事情、そして地域の皆さんの声を踏まえた復興にしていかなければならないということを申し上げてきているところでございますし、今、石田議員から御答弁がなされまして、それを承っておりますが、まさに立法者の意思としても同じような立場に立っておられるということが確認できたというふうに思っておりますので、地域の皆さんの声、地方公共団体の皆さんの声を踏まえ、国としては、全体としてのまさに大きな方針や、それから財政や規制緩和などの枠組み、仕組みづくりということはしっかりと責任を持っていかなければならないと思いますが、個別のそれぞれの地域で具体的にどんな復興を行うかということについては、地域の皆さんの声を踏まえて進めていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 お二人の意見が、私が主張したように、下からの意見をということがあったと思うんですけれども、今、最初に私がお話をしたように、何らかの特区、それは当然、すべての首長さんがおっしゃっております。それはそうなんだけれども、頭の中はみんなそれぞれ違うということもございますので、今紹介したような事態になっておりますので、これらをよく踏まえていただきたいということを重ねて指摘したいと思います。

 次に、福島の原発事故からの復興について伺いたいと思っております。

 原賠法について、やはり現在の仕組みでは限界がある、この点については多分皆さんも一致されるのではないかなと思うんです。

 先日も福島県の商工三団体の方たちと懇談をしたんですけれども、やはり、商売の根拠を全く外に移すべきなのか、あるいはやめるべきなのか、見通しがなければそれは決断できない、描けないということを皆さん口々におっしゃいました。戻ることが希望の星だ、でも身動きできない、踏ん切りがつかない、それどころか避難区域が迫ってきている、うちの地域でも放射線量が高くなってきた、こんなことをおっしゃるんですね。

 警戒区域の中で、道具が持ち出せない、お得意さんもばらばらになっている。だから、もし新たに別な地域で事業を立ち上げるとすれば、二重、三重のローンを抱えなければならない。それも、いつまでという区切りがわからない中で踏ん切りがつかないのは当然のことであります。

 こうした事情を本当に考えるならば、収束の見通しが現時点でわからない、賠償の範囲も広く長期にわたるということ、団体ではカバーできない個人事業主の補償をどうとらえるのか、あるいは精神損害をもっと広くとらえる必要があるのではないか、単に避難を余儀なくされたというだけではなくて、家族の事情などによって避難できずにいる人たち、家族がばらばらにされている、さまざまな精神的苦痛にこたえていく必要があると思います。

 新しい法律の枠組みについて、官房長官と自民党にお願いします。簡潔にお願いします。

枝野国務大臣 収束の見通し、ですから、いつ戻れるかという見通しを今具体的にお示しできないのは大変申しわけなく思っておりますが、これについては、まさに原発の状況を踏まえて、客観的に、できるだけ早くお出しできるように努力をしているところでございます。

 その上で、賠償の問題でございますが、今御指摘をいただいたような損害については、最終的にはいずれも幅広く賠償の対象になるものというふうに、現行法においても理解をいたしているところでございます。

 現在は、審査会において、相当因果関係が明らかなものから順次指針を出していっております。若干、どこまでが賠償の範囲になるか、今一般的に御指摘いただいたところは入るであろうというふうに思いますけれども、どこが限界線かということについてできるだけ明確に、わかりやすく指針を出していただくということで御努力をいただいているというふうに承知をしております。

 精神的な苦痛、つまり、ばらばらになったりとかというようなこととか、それから、もちろん、個人事業主の皆さんの商売ができないこと、そしてその分どこかで、別のところでなさることその他についても必ず賠償の対象になりますので、そういった意味では、法律のたてつけという問題よりも、そのことについてできるだけ早く方針をより具体的に審査会においてお示しをいただき、それに基づいて順次仮払いを始めておりますが、これも、仮払い、一回限りではございません、残念ながら長期になる場合においては何度もお支払いをしていくということになりますので、被害を受けていらっしゃる皆さんの生活に対する影響をできるだけ小さくできるよう、現行法を最大限駆使して賠償に当たってまいりたいと思っております。

谷委員 委員御指摘のように、現在の原賠法の枠組みが十分とは我々も思っておりません。見直しが必要だ、そう思っているところであります。したがって、政府において早く、当面措置すべき事項、補償の仮払い、東電の賠償スキームについて案を作成して国会に提出していただいて、大いに議論をしていきたいと思っております。

 我々自民党としては、当面、全体のスキームではなくて、仮払いあるいは自治体の支援のための基金、そういった法案を出すべく、現在、最後の詰めを行っているところであります。

高橋(千)委員 今、自民党さんの方からは、原賠法にかわる新しいスキームを検討されているという……(谷委員「いやいや」と呼ぶ)そういう意味ではないんですか。(谷委員「仮払いの」と呼ぶ)仮払いの。ああ、新しい仮払いのスキームを考えていらっしゃるというお話だったと思います。

 ちょっと、官房長官がすべて対象になるというようなお答えだったので、それを、はい、そうですかと喜ぶわけにはいかない、空手形になるのではないかという気がするわけであります。なぜかというと、相当程度因果関係というところに非常に今ひっかかっていて、足踏みをしている状況であるということでありますので、この議論はさらにまた別な機会でやっていかなければならないと思うんです。

 時間の関係で、次の質問、残りあと一問なんですけれども、官房長官にこの間同じ質問をしましたので、自民党さんに伺いたいと思うんです。

 十九条なんですけれども、福島の要望に、必要があれば合議制の機関を持てるということになっているんですけれども、その前提が、合議制の機関による調査審議は、復興構想会議による調査審議の結果を踏まえて行われなければならないというふうに書いてあるわけなんです。ですから、どうしてもやはり復興構想会議があって合議制の機関があるという中で、福島の県民の皆さんの声が本当に生かされるのだろうかという懸念がございます。

 知事さんも、県からも何度も言われているように、やはり原発の収束が見えない中、県としては、財政的な根拠をしっかり持った再生、復興までを見通した特別法をつくるべきだということを求めているわけですけれども、自民党さんの考えを伺いたいと思います。

谷委員 福島県の立場につきましては、我が党提出の法案には、原発事故被害を震災に包含して明記していたところでございます。

 委員御指摘の福島の特別な事情ということは、当然我々も十分配慮して復興、再生に当たるべきだと思っておりまして、特別立法のことも含めて、この前の参考人質疑でもそういった御意見が出たところでございますので、しっかり受けとめて対応してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 福島が忘れられてしまうのではないか、そういう不安の声が寄せられているわけなんですね。本当に、世界でも初と言えるかもしれない、これほど深刻な原発の事故からの復興というのは、やはりかつてない取り組み、かつてない覚悟が問われているんだと思うんです。そのためには、やはり、原発被災者の当座の生活支援からふるさとの再生、復興までを見通して政府と国会が責任を果たしていく、そのための特別な取り組みが必要だということを呼びかけまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。午前中に引き続きの質問でございます。

 今回については、本当に、三党会派の方できょうまでまとめていただいた、このことに敬意を表させていただきながら、それぞれ提案者の方を中心に質問させていただきたい、こう思っております。

 非常に、当初の段階において、やはり私たちも、スピード、そして被災地の立場に立って予算、第二次補正、こういうことを強く要望しながら、さらにはそういう議論が相当集中されたんだろうというふうに思っています。しかし、今回の復興庁の設置、さらにはこれまでの答弁、そして私たちが説明を聞く段階については、大変遅い。もう、年内、ひょっとすると年度内、こういうようなことすら私たち憶測するような、そんな状況にも見えるわけでございます。

 今、被災地のところについては、各県、そしてまた各自治体において、それぞれ復興の基本計画なりがもう具体的に進みながら、財政等々についてどういうふうになっていくのか、そういう要望も期待もやはり相当多いわけでございます。そういう中において、今回のまとめる段階において、これだけ遅くなるというふうな状況に至った経過、さらには議論、このことについて、まず野党側、そして与党側からお伺いをさせていただきます。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 使い勝手のいい自由度の高い交付金、これは先生と一緒に被災三県をお邪魔したときに、各知事もまさにおっしゃっておりました。まさにそのとおりだというふうに考えておりますし、早く二次補正を編成しまして、その中でもこういった使い勝手のいいものを入れていきたいというふうに考えております。

 先ほども議論がありましたけれども、霞が関、各省いろいろな抵抗はあるかもしれませんが、ぜひとも関係閣僚のリーダーシップでこれを乗り越えて、先生御指摘のような使い方ができるような二次補正をつくっていただくことを我々も期待したいと思っております。

加藤(勝)委員 今、後藤委員の方からも御答弁させていただきましたけれども、まさにこの法案の第六条の中に、「国は、東日本大震災からの復興に関する施策を迅速に実施するため、第三条の規定により講ずる措置について、その円滑かつ弾力的な執行に努めなければならない。」そもそも、私どもの当初案にも盛り込ませていただいております。

 そういう中においては、基金等当該地方公共団体がまさに使い勝手のいいやり方をしっかり考えていく、こういう意味のものも盛り込ませていただいておりまして、そのものをここへそのまま入れさせていただいておりますので、委員御指摘のような対応をしっかり政府において図っていただきたい、こういうふうに思っております。

吉泉委員 復興庁ができる前の一つの状況の中で対策本部というものの設置がなされて、明記されております。この機能強化というものが、私は非常に大事なんだろうなというふうに思っております。官房長官の方からも、現地対策本部の部分について、即決、こういう機能さらには権限、そういうものをやはり持たせていかなきゃならない、こういう答弁もございました。

 そういう面からいえば、復興庁のできるまでのところについては、いろいろな部分があるというふうに思っています。そしてまた、準備というふうな部分もあるんだろうというふうに思っておりますけれども、私は、この間の災害対策本部の中身を、さらには移り変わり等々を見ますと、やはり現地即決ということについては非常にほど遠い、そういう部分があるというふうに思っています。

 私は、今回のこの基本法に基づいた対策本部については、もう完全に復興庁と同じような権限を持たせた、そういう形の中で対策本部を立ち上げて速やかにやっていくべきだ、こういうふうに思っておるわけでございますけれども、そのことに対して与党提案者の方からお伺いをさせていただきます。

後藤(祐)委員 委員おっしゃるとおりだと考えます。復興庁ができる前でも、本部としてできることはいっぱいあります。現地対策本部をつくって、副大臣クラスが本部長について、そこでしっかりした人がついて本省に対して指示ができれば、いろいろな自治体から来る要望を実現することができるんです。

 復興庁をつくらなきゃいけないのは、具体的な実施権限なんかを移すには、確かに本部では足りないかもしれません。でも、その間に、先生御指摘のようないろいろな自由度を持ったお金の使い方、あるいは個別の補助金の適用の拡大、こういったものは、組織が本部の形であろうと今すぐにでもできるということだと思っておりますので、まさに政治のリーダーシップが問われているというふうに考えております。

吉泉委員 官房長官の方からは、準備委員会、こういうふうなお話もあったわけですけれども、私はそうでないだろうというふうに思っています。やはり災害対策本部ができて、対応をしてきた経過がございます。ですから、私は、その対策本部を復興庁の権限、このところへ合わせながら、もう出発をしながら、それぞれ被災地の対応を速やかにお願いをしたい、こういうふうに思っています。でないと、これまでの今回の議論、そういったものが何であったのか、被災者の方から不思議がられると思っております。速やかな対応をお願い申し上げたい、こう思います。

 次に、高橋委員の方からも出されました、原子力事故の関係でございます。

 第十九条のとらえ方のこともありますけれども、私は、復興というものについて、福島県から見るならば、この原子力の事故、さらにはエネルギー問題を抜きにして福島県の復興ということについては考えられない、そういう状況に今あるんだろうというふうに思っています。しかし、今回の基本法の中身を見ますと、合議制だとか、主体的なそういう構え方、この部分が非常に感じられるわけでございます。

 復興の基本については、私たち社民党は、やはりエネルギーを抜きにして復興は語れない、こういう立場でこの間提案もしてまいりました。そのことについて、この十九条、さらには、この間の原子力事故、そしてまたエネルギー問題、この十九条に至るまでの議論、そういったことについて野党側からお伺いをさせていただきます。

谷委員 原発・エネルギー政策と福島の復興ということは、大変密接に絡んでいるかと思います。

 法案の「基本理念」のところにも、第二条第六号で、原子力の事故による災害を受けた地域の振興については云々という記述をしているところでありまして、また、第二条の第四号にもエネルギーについての記述をしているところであります。

 したがいまして、この法案にあるとおり、復興対策本部、復興庁で復興施策を推進するに当たっても、今後の原発・エネルギー政策を踏まえた配慮がなされるべきだし、また、そうしていかなければスムーズな政策展開ができない、そういうふうに考えているところです。

吉泉委員 今の状況の中において、きょうも海への投棄の問題を含めて谷先生の方で議論がなされていたようではございますけれども、しかし、私は今回、まさに自民党政権のもとで長くこの原子力行政は続いてきたんだろう、こういうふうにも思っておりますし、一番大きな責任がやはり自民党政権にあるんだろう、こういうふうにも思っております。

 今回の事故が起きて、これからの進め方、こういうふうになったときに、先般の事故調査・検証委員会の畑村委員長の決意は大変重いものがあるというふうに私は思っておりますし、また国民は、ことしの夏は大停電が起きるのではないか、こういうふうな一つの不安も持っているところでもございます。

 そういう状況の中で、今、全体的に日本の中に五十四基の原子力発電所があるわけでございます。そして、それぞれ点検、これは約百日かかる。こういう状況の中で、今休んでいる原子力発電所が二十二基ある。しかし、普通の年であれば、事故がなければ、この二十二基は稼働ができる、できている、こういう状況なんだろうというふうに思っています。しかし、今は、事故が起きて、この二十二基は稼働できない、こういう状況にあるわけでございます。そしてまた、これから夏どんどん、これから十七基がまた点検に入る、そして百日また途絶える、こういう状況にもなるわけでございます。

 だとするならば、私たちが言ってまいりましたように、この基本法、さらには復興に伴う一つのエネルギーというものについて、私たちの生活、産業に大事なエネルギーというものについて、やはりこれまでの経過、さらには反省も踏まえながら、新たなエネルギーの基本的な方向というものについて、復興のかなめにしていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございます。

 そんな面で、提出者の与党の方から、この間の議論の経過も含めて答弁いただきたい、こう思います。

山口(壯)委員 今、吉泉議員の方から、かなり長期的な観点からのことを問われていると思うんですけれども、私たち、党の中でもいろいろな議論がありました。

 特に、この賠償スキームについて、先ほど谷議員の方から、自民党の方でも、立てかえ払い、それから賠償スキームの話がありましたけれども、それに関連して、我々、どういうふうな原子力発電のあり方、それは国がどうかかわるべきかということに物すごく議論が集中したんですね。賠償スキームのあり方とはまた別に、もちろん原子力発電自身もありますけれども、私たちも、別にだれだれの責任と言うつもりは全くなくて、我々自身も原子力発電について考えてきたわけですから、それはもうしっかり受けとめながら、これからこれは長期的に考えていかなきゃいけないので、実は、決して思いつきで今拙速な議論を出さないようにしようというつもりでいます。

 この基本法の中には、十九条の中にこういう形でしか書かれていませんけれども、やはり今おっしゃられたことというのは、これは正直、いろいろな党と一緒に考えさせていただいて、我々は三割は原子力発電に頼っているわけですけれども、これを長期的にどう考えていくのか、あるいは、今回のことを見てみたら、一民間企業である電力会社が本当に原子力発電のリスクを背負い切れるのか、あるいは、それを国が国策としてやってきたことの意味というのはどう考えればいいんだ、こういうことをぜひ一緒に考えさせていただいて、我々の長期的なビジョンを国会として打ち出させていただければと思っていますので、御指摘の点はこれから一緒に考えさせていただければと思います。

吉泉委員 ひとつよろしくお願いを申し上げたいというふうに思いますし、この基本法の中に、再生可能エネルギー、この言葉すらないわけです。全部、原子力の事故、こういうわけでございますし、菅総理そのものが、やはり二〇%、こういうふうな言い方もしているわけでございます。

 その面の中では、やはりエネルギーをどこに求めていくのか。今までの原子力発電に依存してきたこの日本の姿、このことについて、やはりこれからの復興計画とあわせながら、大優先課題として復興計画の中に大きく取り上げていただいて、そして、そのことについての復興財源の問題についても、このエネルギーの問題についての財源も使えるような、そういう対応をお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 復興基本法案、政府案が撤回をされ、民自公の法案が出し直されたわけであります。私たちは、既にみんなの党の復興基本法案を参議院に提出をしております。

 きょうは、お配りの資料で、比較対照表をつくってみましたので、それに従って両案の違いを見きわめてまいりたいと思っております。

 みんなの党は、増税によらない復興財源を求めております。超党派の議員連盟もできる流れで、民主党、自民党の中にもたくさん賛同者がいます。民自公の復興基本法の第八条には、政府が発行する復興債について、「その償還の道筋を明らかにするものとする。」と書かれております。

 復興債の償還に当たり最も大切なことは、名目四%の経済成長を実現することであります。今の状況で増税などしたら、震災で落ち込んだ日本経済は、さらなる冷や水を浴びせかけられて、二度と立ち上がれなくなるダメージを受ける可能性があります。第八条の「償還の道筋を明らかにする」という中には増税は含まれないということを明言していただきたいと思います。これが明言できないとすれば、我々は、これは増税を示唆する条文であるというふうに理解をしなければならないというふうに思います。

 まず最初に、復興財源のあり方について一点お伺いをしたいというふうに思います。

 私たちは、国債整理基金特別会計や労働保険特別会計など、埋蔵金をフル活用して、足らず前を、国債の日銀引き受けを活用することを提案しております。これらの財源を使えば、数十兆円の復興予算にも、私たちは増税は不要であると考えております。このような提案に基づくこの法案の修正を行う考えはないか、お伺いをしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 復興財源としては、いろいろな選択肢があり得ると思います。

 今回の復興基本法の中でも、七条に、復興以外の歳出をできるだけ削減して財源にしようというところについては既に規定をされているところでございますし、あるいは、財政投融資に係る資金、民間資金の積極的な活用、こういったものも七条二号に規定されているところでございます。

 そのほかにも、復興債を発行した後、この償還ルールをどのようにしていくのか、あるいは、先生が今おっしゃったようないわゆる埋蔵金、こういったものをどうやって活用していくのか、あるいは税制の話もあり得るかもしれません。これについては、さまざまな議論があって、今回のこの協議の中でも結論を見ることはできませんでした。

 したがって、この八条二項の中で、「別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、」ということにしておりまして、「その他の措置」というものは、あらゆるものが読めるわけでございます。今回の法律ではこれは決まっておりませんので、今後どういった形で復興財源を具体化していくかということについては検討課題として残されたものだ、このように理解しております。

柿澤委員 御答弁をいただいたわけですけれども、これはあらゆるように読めると。あれもある、これもある、そういうことで、なおかつ税制に関することも含まれる、こういう話であるわけです。基本的に、償還財源のあり方については議論がまとまらず先送りをした、そういうふうにも今聞こえる答弁でありました。

 私たちは、増税によらない復興財源を求める立場から、償還財源にはやはり増税は含まれないということを明言していただきたいというふうに思っております。そもそも復興財源に増税という選択肢が含まれるのか含まれないのか、これについてはイエスかノーではっきりお答えいただきたいと思います。

加藤(勝)委員 柿澤委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、これからどういう形で復興していくか、そのボリューム、歳出そのものの全体像がまだ見えていないわけでございますから、今おっしゃるように、私どもの基本的な考え方は、歳出削減、あるいは財政投融資、民間を活用する、あるいは、おっしゃるように税外収入等々を活用していく、いろいろな考え方が当然出てくると思います。それを一義的にどれでやるということを、申し上げたように歳出そのものの姿がまだ見えないわけでありますから、ここで一義的に決めることはできないということでこういう書き方をさせていただいている。まさにそれは、これからしっかり「別に法律で定める」と、ここにも書かせていただいております。あるいは、補正予算等のときにしっかり議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

柿澤委員 政府の方は復興構想会議で、まさに復興目的の基幹税の増税、こういう路線を明示しておりますので、この法案にも基本的に賛意を示しておられるわけですが、復興債あるいは復興財源として増税がやはり一つの選択肢にならざるを得ない、こういう考えだと思いますけれども、確認をいたしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、復興構想会議は、何かいろいろ報道されているようでございますが、私も今議論の状況を全く伺っておりません。最終的に、今月末に御提言をいただく。それは重いものだというふうに思いますが、先ほども御答弁申し上げましたが、それをすべてそのとおりやりますということでは必ずしもないというふうに思っているところでございます。

 その上で、基本法案では、復興債について、「別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、」「その償還の道筋を明らかにする」という中身であると承知をいたしておりまして、ここで言う「措置」については、復興債の償還の道筋を明らかにするための措置が幅広く含まれるものであり、その具体的内容は今後の与野党における検討課題であると伺っております。

柿澤委員 復興構想会議のこれからの復興方針の柱の一つであると言われているこの復興目的の基幹税に関する増税、これについても、何も聞いていない、そのとおりにやるかどうかわからない。本当に、融通無碍なこんにゃく答弁だと私は思いますが、復興財源における極めて根幹的な部分について、私は半ば増税が念頭にあるというふうに思いますけれども、この段階で明示、明言をされない、イエスかノーで答えてほしいという問いにも言を左右にされる。これは、国民が、今後に向けてどういう方向でこの復興が進んでいくのか、政府そして法案提出者の方針が何なのかということが、結局根幹の部分があいまいで見えないということになってしまうのではないかというふうに思います。

 ここから、まとめてちょっとお尋ねをいたします。

 私たちの法案では、東日本復興院というのを被災地内に創設をして、府省庁の権限を大幅に移譲して、現地で即断即決の体制をつくることを提案しております。民自公の復興基本法案では、復興庁について、「できるだけ早期に設置する」というふうに書いてありますけれども、これは一体いつまでに設置をするのか。先ほど聞いていますと、やはり一年近くの期間がかかる、こういうふうなニュアンスの答弁をされておりましたけれども、本当にそのようなことでいいのかというふうにも思います。設置時期を明示する、そうした法案の修正を行うべきではないかと思いますので、まずこれを一つお伺いいたします。

 そして、東日本復興院の出口戦略に関する話ですが、私たちは、この東日本復興院、三年で廃止をした後、地域主権型道州制を先取りした出口戦略を明確に描いております。将来的には、復興院というものに国そして県の権限を集約して、これをてこにして広域連合そして道州制への移行を進めていく、そのような姿を描いているわけですけれども、このような、将来的に地域主権型道州制にこの復興組織を移行していくという、そうした出口戦略を明確に掲げて法案に盛り込むべきではないかというふうに思います。そのことについて、あわせてお伺いをいたします。

 もう一つ、極めて重要なところがあります。

 私たちは、対策本部や復興院に野党の代表、野党の党首が参画する、こういう仕組みを法案の中で規定いたしております。この間、与野党協力が必要である、こういうふうに言ってきて、そして大連立という、いわば禁じ手のような手段まで持ち出しながら、今回の修正法案では、野党の代表や野党の党首、こうした方々が参画をする、このような仕組みが明記されておりません。復興における与野党協力が法的に担保されるような法案修正がやはり必要ではないかというふうに思います。

 三点お伺いいたしましたが、御答弁をお願いしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 設置時期につきましては、先ほども何度か議論がありましたけれども、実は最初政府から出てきた案では、一年以内に検討という大変遅いものだったんです。それを、この与野党協議の中で、前に前にということで、条文上はできるだけ早くとなっておりますが、先ほど来の答弁にあるように、年内中に成案を得るというところまで押し込んできょうの答弁になっているわけでございまして、成案を得たら、その後、国会に早く出していただいて、国会で早く議論をいただいて、法律を早く通していただければ、その分早くできるということになるんではないかというふうに思っております。

 二点目の出口戦略については、道州制の話が関係してくると思いますけれども、当委員会の委員派遣で、先々週の金曜日お伺いした際の福島県知事から、道州制だけはぜひ御勘弁願いたいという明確なお言葉があったことも踏まえて、今後、関係の皆様のお声をきっちり聞いた上で慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。

 三つ目の御質問でございますが、与野党の協力体制についてでございますけれども、この復興基本法の取りまとめにおいても、政府案というよりは、むしろ与野党の多くの皆様方のお声をできるだけ反映できないかと。確かに、形式的な形としては、自民党、公明党、民主党という形ではありましたけれども、その都度、私、柿澤さんにもかなり細かく途中段階の条文案をお持ちさせていただいたりしたところでございます。

 これから、復興対策本部ができ上がって何ができるのか、あるいは、復興庁設置法案をつくる上でどういった権限を盛り込んでいかなきゃいけないのか、広く皆様方の御意見を伺いながらしっかりとしたものをつくっていく必要がある、このように考えております。

加藤(勝)委員 まず、復興庁の設置時期につきましては、私どもも、一日も早くこれを設置するように、最大限、私どもとしてできることもやらせていただき、また政府にも働きかけをさせていただきたいと思っております。

 それから、出口戦略の関係では、当初の自民党案では、附則第三条において、「復興再生院の所掌事務及び権限について、被災した県及び市町村に段階的に移譲するよう、検討するものとする。」ということで、道州制を含めて広域連合への動き、こういったものも念頭に置いて書かせていただきました。

 協議の中で、先ほど民主党からもお話がありましたように、その条文そのものは盛り込まれてはおりませんけれども、今後のさまざまな施策の進捗状況あるいはそれぞれ地域の御事情、こういったことを踏まえて、今申し上げた点については前向きに考えていかなければならないというふうに私は思っております。

 最後の、仕組みづくりの観点では、柿澤委員も御参加されておりました、三月の十六日からスタートしておりました各党・政府実務者会合、ここでも、いろいろな形で各党から意見やあるいは要望等が出て、またそれに政府において対応していくという一つの仕組みづくりがあったというふうに思っております。そうした実績等も踏まえてまたいろいろ議論をしていかなければならない、こういうふうに思っております。

石田(祝)委員 三点お尋ねありましたけれども、ほぼダブりますので繰り返しませんが、特に復興庁の時期等については、私も先ほど、官房長官に立法者の意思としてのお考えを開陳して、お答えいただいたところです。

 それで、先生のところから参議院に法案を出されているということでありますから、これから法案が参議院に参りますし、しっかりそこで議論をすることが大事じゃないか、このように思います。

柿澤委員 今三点御質問させていただいたんですが、設置時期については、もともと一年以内に検討をするというのを、まあ来年の春ぐらいの見通しを先ほどの御答弁で言われていたと思いますけれども、ここまで押し込んだんだ、こういう認識だということであります。

 また、地域主権型道州制という出口戦略を描くべきだ、こういうことについては、民主党の後藤理事は非常に慎重な姿勢を示される一方、自民党の加藤先生はやるべきだという方針を示される。こういうことで、中でもばらばらだということが見えてきたかというふうに思います。

 結果として、民主党、自民党、公明党の三党の法案を接ぎ木して、そして同床異夢の中、肝心なことをあいまいにしたまま進めている、これがこの復興基本法案の姿ではないかというふうに言わざるを得ません。

 また、私たちが極めて大事な点だと思っている、復興財源を増税によらずして調達していく、こうした見通しについても、しっかりとしたイエス、ノーの答えは出てまいりませんでした。

 このような状況では、私たちは、残念ながら、この復興基本法案、今提出されている内容のものにはやはり賛成することはできない、こういうふうに申し上げなければならないというふうに思います。

 これから参議院に回って、まさに公明党の石田先生が御答弁でおっしゃられたとおり、私たちの法案と比べていただいて、そして、皆様方にも賢明なる御判断をお願いしたいというふうに思っております。

 この質疑を通じて賛否を明らかにする、こういうことでありましたので、そういう意味では、今回、この採決に当たっては、反対と意思表示をするということを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.