衆議院

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第11号 平成23年7月12日(火曜日)

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平成二十三年七月十二日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君

   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君

   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    磯谷香代子君

      大西 孝典君    太田 和美君

      岡田 康裕君    梶原 康弘君

      金森  正君    金子 健一君

      川口  浩君    川口  博君

      川越 孝洋君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    櫛渕 万里君

      郡  和子君    近藤 和也君

      近藤 洋介君    斉藤  進君

      階   猛君    杉本かずみ君

      田中美絵子君    平  智之君

      高井 美穂君    高邑  勉君

      玉木 朝子君    玉城デニー君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    中屋 大介君

      長尾  敬君    野木  実君

      畑  浩治君    初鹿 明博君

      花咲 宏基君    樋口 俊一君

      松岡 広隆君    村上 史好君

      村越 祐民君    本村賢太郎君

      森本 和義君    矢崎 公二君

      山口 和之君    和嶋 未希君

      若井 康彦君    鷲尾英一郎君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    高市 早苗君

      西村 康稔君    吉野 正芳君

      斉藤 鉄夫君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    浅尾慶一郎君

      柿澤 未途君    園田 博之君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   法務大臣

   環境大臣         江田 五月君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          安達 健祐君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役社長)          西澤 俊夫君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十二日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     中屋 大介君

  石山 敬貴君     川越 孝洋君

  郡  和子君     玉木 朝子君

  近藤 洋介君     松岡 広隆君

  斎藤やすのり君    矢崎 公二君

  階   猛君     平  智之君

  高井 美穂君     磯谷香代子君

  中野渡詔子君     近藤 和也君

  畑  浩治君     玉城デニー君

  村越 祐民君     花咲 宏基君

  谷田川 元君     山口 和之君

  若井 康彦君     石田 三示君

  鷲尾英一郎君     田中美絵子君

  加藤 勝信君     西村 康稔君

  長島 忠美君     高市 早苗君

  柿澤 未途君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     若井 康彦君

  磯谷香代子君     高井 美穂君

  川越 孝洋君     金子 健一君

  近藤 和也君     中野渡詔子君

  田中美絵子君     本村賢太郎君

  平  智之君     階   猛君

  玉木 朝子君     櫛渕 万里君

  玉城デニー君     道休誠一郎君

  中屋 大介君     石津 政雄君

  花咲 宏基君     村越 祐民君

  松岡 広隆君     大西 孝典君

  矢崎 公二君     野木  実君

  山口 和之君     金森  正君

  高市 早苗君     長島 忠美君

  西村 康稔君     あべ 俊子君

  浅尾慶一郎君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     岡田 康裕君

  金森  正君     森本 和義君

  金子 健一君     和嶋 未希君

  櫛渕 万里君     郡  和子君

  道休誠一郎君     川村秀三郎君

  野木  実君     村上 史好君

  本村賢太郎君     鷲尾英一郎君

  あべ 俊子君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     近藤 洋介君

  川村秀三郎君     初鹿 明博君

  村上 史好君     川口  浩君

  森本 和義君     杉本かずみ君

  和嶋 未希君     石山 敬貴君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  浩君     樋口 俊一君

  杉本かずみ君     谷田川 元君

  初鹿 明博君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  樋口 俊一君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償支援機構法案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君及び東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君、金融庁総務企画局長森本学君及び経済産業省経済産業政策局長安達健祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 総理、経産大臣、きょう一日、長くなりますが、どうぞよろしくお願いします。

 昨日で東日本大震災発災からちょうど四カ月を迎えました。この間、スピード感がない、そして不十分だ、いろいろな御指摘もございます。ただ、私は、被災地の自治体そして関係者の皆さんはもちろんでありますけれども、政府の職員、そして総理も含めて一生懸命やっているということは御評価いたします。ただ、総理、それが非常に見えにくいというのが非常に問題だというふうにも思っています。

 私たちも、三月十一日の三時以降、まずテレビで、国対や政調でもどういう現状かということを確認し、翌日からいろいろな法律の問題点そして課題を整理して、党としてもいろいろな角度からまとめてまいりました。きょう主題になっています賠償スキームの機構法案についても、いろいろな議論がありましたが、党内でも五月十三日には集約をし、そして政府にも提言をし、それをベースにして、政府の方でも一カ月後の六月十四日、一カ月かかりましたけれども、この閣議決定がなされてございます。

 総理、この間のいろいろな政治のあり方も含めて、国民の皆さん方が、政府は何をやっているんだろうというふうな思いもございます。ぜひ、いろいろな施策に対応しているものの、それが非常にわかりにくいというふうなことも含めて、総理からきちっと、四カ月たった今、もう一度原点に戻りながら、被災者のため、被災地域のため、そして復旧復興に向けて取り組む決意とこの四カ月間の評価について、簡潔で結構ですからお答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 昨日で発災からちょうど四カ月ということで、本当に多くの皆さんがお亡くなりになり、改めて御冥福と、関係者にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今、後藤議員の方から、この四カ月間の政府の活動について、それぞれ頑張っていることはわかるけれども、国民的に見て、あるいは被災者の目から見て、いろいろとスピード感などが足らないのではないか、そういう御指摘をいただきました。

 ある意味、おっしゃるとおり、それぞれの立場、国家公務員はもとより、それぞれの自治体、それぞれの閣僚、それぞれの政務三役、さらには与党、野党を超えて国会議員の皆さんにも、大変現地に足を運んでいただき、いろいろな議論の中で提案をいただいてまいりました。そういった点で、そういう多くの皆さんが全力を挙げてこの問題に取り組んできているということについては、ぜひ国民の皆さんにも御理解をいただきたいと思っております。

 その中で、復旧復興、さらには原発事故対応について、もちろん百点とは申し上げませんけれども、それなりに前進し、あるいは着実に前進をして、多くの点では予定されたことが実現しつつあります。細かな点は場合によっては復興担当大臣にお任せをしたいと思いますけれども、例えば仮設住宅についても、現在、必要戸数の九八%、四万九千三百九十七戸の着工が予定されております。また、瓦れき処理についても、八月末までをめどに住民の生活している場所の近くからは移動する、そういう方向で作業が進んでおります。さらに、復興基本法が成立し、復興対策本部だけではなくて被災三県の現地対策本部も発足をし、これにより、縦割りを排して現地で復旧復興を強力に推進していく、このことがいよいよ本格化していくことになります。

 また、原発事故についても、ステップ1が七月の中旬に予定の時間が来るわけでありますけれども、例えば循環型の注水冷却システム、何度かのいろいろな故障などもありますけれども、大きく言えばその構築が進んでおり、放射線量が着実に減少をいたしております。そういった意味では、ステップ1については、ほぼ予定どおりの日程でステップ1で目標としたところまでは達成できる見通しでありまして、ステップ2に向けて、さらによりスピード感を増して対応してまいりたいと思っております。

 なお、二次補正についても、今週中には国会に提出をさせていただき、原発事故の補償金の支払い、子供の安全を守るための校庭などの除染、線量計の対応、二重債務の問題の対応、被災者生活支援金の特例創設、こういったものを二次補正に盛り込んでおりますので、国会に提出をし、速やかに成立をさせていただいて、より迅速な対応を図ってまいりたい、このように思っております。

 以上、かいつまんで申し上げましたが、そうした形で物事が、不十分な点があることは承知をしておりますが、それぞれの皆さんの努力で前進をしている、このことは申し上げておきたいと思います。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

 総理、今、外の方からも声が聞こえたんですが、やはり現場の部分で、どういう実態になっているのか。これは、国と自治体との連携というものは今まで以上に強くしていかなければいけませんし、そういう意味で、平野大臣が今その職責に当たっているというふうに私は承知をしています。

 あわせて、この四カ月間、当初から、放射能の単位をあらわす用語についても、ミリシーベルト、シーベルト、そしてそれが千分の一かどうかという一つの基準、そして次にベクレルという用語ができ、そして冷温停止とかメルトダウンとか、いろいろな用語が、いろいろな専門家という方から、有識者という方から、テレビや新聞を通じていろいろな説がばらばらに出てきたというふうに、実は私は個人的には思っています。

 私自身もこの四カ月間、その前にも前職の文科省の政務官の時代に放射線、放射能、原子力の問題については仕事をさせてもらって、少しはわかっているつもりでありましたけれども、そうはいっても、今総理がおっしゃったような、政府はやっている、自治体もやっている、一生懸命やっているということはわかるんですが、やはりそれがメディアを通じて、また私たちの口を通じて十二分にわかりやすく伝えられていないということが問題だと私は思っています。

 実は、七月の五日に、民主党の中に、科学技術・イノベーション推進調査会というもので提言書をまとめて政府の方に出させていただきました。その中で、実は、福島の原発事故を踏まえて、科学とは何か、科学技術者とは何かという視点で、これからは、科学技術行政というものは当然成長の大きな源泉である一方で、中立性、科学の視点から見て、この問題はこの水準で大丈夫だということが、いまだもってきちっと国民にすとんと落ちないというのは、統一感というものがないからだというふうに私は思っています。

 これから、四カ月を過ぎたきょうから、さらに国民の皆さん方に、用語のわかりやすさや、また、その工程表というものが、前に向いて進んでいるというふうに私は思いますが、その辺を工夫して対応していかなければいけないと思いますが、国民の皆さん方に、現状の放射能のレベル、そしてこれからのあり方も含めて、わかりやすさということも含めた対応をぜひ政府の方に求めたいと思いますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 後藤委員御指摘のとおり、原子力の世界では非常に専門用語が多用されておりまして、しかも、原子力の専門家というのはその中の世界でコミュニケーションをとってきたという歴史もずっとあるものですから、それが十分に国民の皆さんに伝わっていない部分が多々あったろうというふうに思います。

 私自身の反省も含めて申し上げると、やはり、この原子力の世界で事故を解決するという中に入ってしまうと、ついつい、また我々自身も、その専門用語を当然身につけるということにもなるわけですので、それが国民の皆さんにどう受けとめられるのかということについての、十分なその辺の配慮ができていなかった部分があるというふうに反省をしているところでございます。

 最近私が感じているのは、政府からの情報発信、情報提供という言葉ではなくて、コミュニケーションという言葉を使った方がいいのではないかと。つまり、相手にきちっと伝わっているかどうか、さらには国民の皆さんがどういうことを知りたがっておられるかということをしっかり把握した上でないと、政府からの情報というのは意味がないわけでありますから、そういう面から徹底的な見直しが必要である、そのように考えております。

 工程表について一言だけ申し上げますと、来週の十九日に第二ステップへ向けての工程表を改めて発表したいと思っております。その中で、先ほど後藤委員がおっしゃった冷温停止というものについても再定義をしなければならないというふうに考えております。

 通常の原子炉であれば、冷温停止というのは、百度を下回っていれば、それで炉が休眠状態になっているということで済むわけでございますが、今の東京電力福島第一原子力発電所の状況というのは、そういう状況ではありません。

 したがって、ああいう大きなダメージを受けた原子炉において、冷温停止というのはどういったものであるべきなのか、放射能が外部に基本的に出ていないという状況を把握しなければならないという部分も含めて、しっかりと国民の皆さんにこの冷温停止状態というものの定義をお示しして、こういうことを目指しているので、周辺の皆さんには、こういう状態を想定してくださいということについての御説明ができるようなコミュニケーションに心がけていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 今、細野大臣がお話をされたように、もうあと一週間ほどで冷温停止状況に近づいていく、少なくとも循環式冷却装置がきちっと起動していく状態になっていく、少なくとも放射能は外へ漏れていかないというふうなこと、これはまさに今議論をしているこの機構法案の一つの前提になる。被害がまずここでとまっていくのかどうか、そしてこれ以上被害が拡大しないのかどうか、一つの大きな目安になると私は思っています。

 その点について、海江田大臣、被害額というのは、この一週間で循環式冷却、そして冷温停止状況になれば、どの程度見込まれるのかということ、いろいろな、もちろん試算ということでありますけれども、今大臣が思われているその被害総額についての見込みをぜひ御教示ください。

細野国務大臣 若干舌足らずの部分がございましたので、補足をさせていただきます。

 冷温停止状態というのは、ステップ2のところで達成をするということでございますので、ステップ1から若干時間がかかります。そのステップ2の冷温停止状態について、定義を来週の時点で明確にしたいということで申し上げましたので、済みません、補足をさせていただきました。失礼しました。

海江田国務大臣 今委員お尋ねのこの損害の額、総額ということでございますが、これは正直申し上げまして、今、その総額が幾らになるかということはわからない状況でございます。

 そして、この損害賠償の総額を推しはかる上で一つ重要になりますのは、原子力損害賠償紛争審査会がございまして、ここが損害賠償についての基本的な考え方を示すわけでございますから、これまでも数次にわたってこの考え方についてのお示しがありまして、それを受けまして、避難された方々への仮払いでありますとか、あるいは農林漁業の方々、中小企業の方々、こういう方々への仮払いが行われてきたところでございますが、その全体像が幾らになるかということは、今の段階ではまだわかっていないというのが正直なところでございます。

後藤(斎)委員 確かにそうだと思いますが、以前、大臣はほかの委員会では数兆円だというふうな見込みもお話しになりました。

 今、お手元に資料をお配りさせてもらいました。これは調査室の御協力もいただいて私どもで整理をさせてもらったんですが、今、我が国の原子力関係法体系というのは、計画、立地、建設段階から、運転、そして廃炉に至るまで、上に整理をしたような流れから、そして、今回私たちが今議論をメーンでしているのが原子力損害賠償という、下の四角の段の一番目であります。

 参議院では、一方で、いわゆる仮払い法案というものを今審議しておりますけれども、これはまさに新しくフレームとしてできたものであります。総理が六月十七日に御発言をされた、廃炉までの責任を国が持つというのは、左側の四番目のところにあります。済みません、お金が余りなくてカラーでできなくて、見にくい部分もありますが。

 やはり私は、今回の機構法案も、我が国の原子力の関連法体系の中で、制度の中で、どういう位置づけにあって、そして、ここの部分をどう整理していけば被害者、被災者の皆さん方によりプラスになっていくのかということを整理すべきだということで、こういう形でまとめさせてもらいました。

 言うまでもなく、今回の法案は、先ほどもお話をしましたように、党内でもけんけんがくがくの議論をし、そして政府内でも法案化するには五月十三日から一カ月かかって整理をした。そして、この三つの視点というものが、損害賠償のための万全の措置、そして事業者への悪影響の回避、電力の安定供給、さらには金融市場、経済への影響というものも当然この中に入っておりますけれども、そういう大前提の中で、やはり今回の法律というものが、なかなか、法的処理をしちゃえばいいんだという極端な議論もありましたし、これだけ大きな事故だから国が全面的に補償すべきだという議論。

 そして、この機構法案は、私が少なくとも理解する中では、その中庸にあって、国民の経済的負担、税、料金という観点から含めて、一番その経済的な負担を少なくする視点が出ているというふうに少なくとも私自身は理解をしておりますが、この一つの大きな流れの中で、今回の機構法案の目的と、そしてこれが成立する効果というものを、ぜひ端的に国民の皆さん方にわかりやすい形で御説明をお願いしたいというふうに思います。

海江田国務大臣 今御審議をお願いしておりますこの機構法案でございますが、これは何といいましても、この原子力事故によって被害に遭われた方々への賠償がしっかりと、かつ迅速に行われること、これがやはり第一でございます。

 そして二番目には、やはり、この機構をつくることを通じて、今の電力事業者、これは東京電力でございますが、ここにしっかりと資金の供給を行って、そして、それを通じて電力会社が、私どもに対する安定供給の義務というのがございます、その安定供給の義務を果たしていただくということ。

 それから、今、先ほど来お話がありますように、この原子炉の事故は確かに一つ大きなステップをこの十七日に迎えるわけでございますが、依然として完全収束ということではございませんので、その事故の収束に向けて頑張っておられる企業の方々もおられます。あるいは東京電力の社員の人たちもいます。こういう人たちに対するしっかりとした賃金の支払いでありますとか、あるいは代金の支払いでありますとか、こういうことも行われるようにということを考えております。

後藤(斎)委員 海江田大臣、その際にぜひ、私は、後ほど文科大臣にも御質問申し上げますが、この機構法案の大前提であるのは原子力損害賠償法であります。これについては、五十年間、損害額の免責の水準については、改正というものはあったものの、実質的な内容については、見直し、検証してこなかった。そして、今回のように大きな規模で、そして被害額も甚大で、なおかつ対象者も非常に多くいるというものを想定してこなかったという大きな原賠法本体の欠陥も実はあると思っています。

 そして一方で、後ほどそれは触れますが、それをどう、野党の皆さん方のお知恵もおかりし、この機構法案が、今大臣がお話しをいただいたように、できるだけ早く成立をしていくことが被害者、被災者の皆さん方の救済にプラスになるということについては、多分、私も与党という立場でありますが、野党のすべての皆さん方がその思いだというふうに私は少なくとも信じています。

 そういう中で、総理、今福島の原子力発電所の事故以来四カ月がたって、私たちも党の中で、四月二十九日に、電力需給PTという中で、短期的な電力需給の問題、解決すべき需要また供給力の強化の問題、そして中期的な課題というものを実は議論し、取りまとめをさせてもらいました。これも同日で枝野官房長官に党の考え方というものを提言させていただいております。

 四十年前の原子力発電がスタートした当時、私はまだ中学校一年か二年だったと思いますが、その当時、私も実は農家で生まれていますので、そのときにはおふくろが早く起きて、まだまきで御飯をつくっていた。そしてふろも、まきでふろをたいた時代でありました。それから、当時の電力総供給量から、四十年たった、少なくとも三月十一日の午前中までは、当時から二倍以上の電力供給力になり、そしてそのうちの約半分は原子力発電所からの電力供給という現実があります。

 そして、今回の電力制約ということで、当初は東日本、東電または東北電の管内だけが大きな影響を受けましたが、今、原発停止をするかどうかという話も含めて、日本じゅうで電力制約という、三月十一日までになかった、日本経済、地域経済に与える負荷というものがかかっています。

 今お手元に資料二というのをお配りをさせてもらいました。これはA・T・カーニーさんという外資系のコンサルタント会社の資料を、非常にまとまっているので、お許しをいただいて配付させてもらいました。

 私は、原発をこれから従来のように急速回帰をし、推進するということも当然現実の問題としてできないし、原発をすべて今直ちに廃止をしてしまうというのも、二ページにもありますように、これも言うまでもございませんが、三割近い電力供給力が急速になくなるということも現実的ではありませんし、やはり電力、エネルギーの問題を考えるときは、三枚目のところにありますように、エネルギーの安全保障、供給安定の確保、そして、今大きな課題になっています安全性の問題、そして生活や家庭や産業界に与えるコストの問題、それと、その前から大きな課題になっていました環境への問題、この幾つかの課題をきちっと冷静に整理し、どの立ち位置でエネルギー政策、電力政策をしていくのか。

 一番最後のページにそのまとめがありますが、やはり、急速に再生可能エネルギーにシフトしていくことが本当に実現可能なのかどうかという考えと、そして原発にすべてを帰するというこの二つの解、答えというのは、私はなかなか見つけにくいというふうに思っています。

 きょうも、多分冷房の温度は二十八度に設定されていると思いますが、やはりこれだけたくさんの人が一つの部屋に集まるというのは非常に厳しい部分もありますし、そして、産業界も本当に節電、輪番操業も含めていろいろな工夫をして、何とか今の環境から抜け出して、雇用やまた家族を守って、国際競争力も確保するという御努力をされています。家庭での節電もしかりであります。

 そんな中で私は、これからのエネルギー政策というものをぜひきちっと、そういういろいろな角度、視点があって、やはり必要十分条件を満たしながら計画的に対応していくことが何よりも国民生活の安定そして国民経済の発展につながるというふうに思いますが、その点について、総理はどのようにお考えになるでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、私は、政府として、今回の原発事故はありましたけれども、電力供給については、もちろん電力会社あるいは国民の皆さんの理解、さらには電力を使用する企業の皆さんの理解と協力を含めて、そういうものがあれば、決して、生産活動に大きな支障が起きる、そういう形ではない形できちんと電力供給ができるし、またそれが政府の責任だ、このように考えております。

 そういう中で、中長期と短期の問題があると思いますが、率直に申し上げて、私も、三月十一日までは原子力が大きなウエートを占めていましたし、これからも占めていくものと当時は考えておりました。しかし、今回の大事故を踏まえて、やはり、エネルギー基本計画に盛り込まれた二〇三〇年、五三%を原子力でというのは、私は、それは白紙に戻して考えるべきだ。そういう意味では、原子力に対する依存度は下げざるを得ないし、下がってくる、その前提の中で物事を考えていく必要があるだろうと。

 今お話がありましたように、急激に再生可能エネルギーがそう簡単にふやせるものでないという御指摘もそのとおりであります。しかし同時に、省エネルギーに関しては、特にピーク電力のコントロールについてはかなりの可能性があるわけでありまして、そういったものを含めて、中長期の原子力依存の度合いを下げていくことを前提にしながら、一時的には化石燃料に対する依存が高まることもあり得るという前提の中で、エネルギー、電力供給については、きちっと全体の構図をそう遠くない時期に政府全体としてもまとめて、お示しをしたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 時間がなくなってきましたけれども、エネルギー政策、電力政策というのは、まさに経済そして生活の基盤であります。冷静な中でたくさんの議論をすることはもちろん結構だと思いますが、誤りなきようにぜひお願いをしたいと思います。

 そして最後に、原子力損害賠償法の問題。先ほども触れさせていただいたように、五十年間、基本的なスキームというものはほとんど検証、検討しなかった事実があります。そして、私たちはこの機構法案を審議するに当たって、そして、将来の、先ほど、原子力の法体系というもの、たくさんの法体系、制度に基づいて現在の原子力発電という一つの現実があります。ぜひ、あらゆる法体系というものは冷静な視点できちっと検証していくということはもちろんですし、そして、この機構法案の親元でもあります原子力損害賠償法というものもやはりきちっと検証、検討していかなければいけないというふうに思っています。

 あわせて、今、参議院で仮払い法案が審議されています。私は、この仮払い法案も国の責務の明確化ということで結構だと思いますが、ぜひ、この機構法案と対になって補完をしながら対応していかなければ、被災者、被害者の皆さん方にきちっとした安心と安全、そして損害賠償ができないという現実を見据えて、与野党で協力をしながら、できるだけ早期にこの機構法案が成立することをお願いし、文科大臣、ぜひ一言、原子力損害賠償法をきちっと検証し見直していくという意気込みだけ、お示しください。

高木国務大臣 後藤委員にお答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、また資料も出されておりますが、各国の原子力賠償制度もあります。それぞれの国情の違い、あるいはまた政策判断によって、それぞれまちまちでございます。我が国においても、既に五十年経過をいたしております。

 御指摘のとおり、検証すべきはして、そして支援機構法と原賠法はまさに補完の関係にあると思っております。その機構法の中にも附則の中に、原子力損害の賠償の実施の状況や、あるいは原子力損害に係る政府の援助のあり方などについて検討を加える、こういうことも書いておりますので、我々としては必要な検討はしっかりやってまいらなきゃならぬと思っております。

後藤(斎)委員 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 まず冒頭に、この貴重な質問の機会を私に与えていただきましたすべての同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。

 また、昨日で大震災また福島原発事故発生から四カ月ということで、特に委員長におかれましては、御家族を亡くされ、大変つらい思いをされました。委員長を初め、多くの被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げ、お亡くなりになった方の御冥福を皆様とともにお祈りしたいと思います。

 さて、ここ一、二週間、閣内不一致という言葉がこれほど飛び交い、私たち国会議員もだれの言葉を信じていいのかさっぱりわからず、混乱をいたしました。

 日本国憲法第六十六条「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」というのがございます。内閣といいますのは閣僚によって組織される機関でございますので、国民の代表であります国会、この立法機関に対して統一した方針を示し、そしてまた、その方針のもとで一致して行政権を行使する、そしてまた、その結果責任もみんなで負う、これは当然のことだろうと思います。

 私自身も、安倍内閣で閣僚を務めました。当時も相当神経質になっておりました。人間ですから、すべての閣僚がすべてのことについて一〇〇%考え方が同じということはないんですけれども、ただ、機関としての内閣ということを考えますと、少なくとも国民に発信する方針というのは、それも行政権の行使にかかわるところというのは一致していなきゃいけない、そんな思いがありましたから、常に、総理や、そして官房長官、ほかの閣僚の記者会見録まで熟読しまして、そごを来さないように私なりに注意をしていたつもりでございます。

 ところが、民主党政権になってから、閣僚のおっしゃることはばらばらですし、言ったことによって何か大きな被害が出たとしても、それに対してだれも責任をとらない。何であんなに与党時代に言葉の一つ一つに自分が神経質になっていたのか、もうあほらしくなってきております。

 そこで、総理に伺いたいのですが、総理、閣内不一致の定義というのは何だとお思いでしょうか。それからもう一つ、菅政権が発足してから閣内不一致という状況はなかったとお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 今、憲法六十六条を引かれましたけれども、内閣というものは一つの合議体として位置づけられている。私自身は、最終的な責任は総理大臣にあると思っておりますけれども、基本的には、内閣全体として一致をして物事を決めるという形になっておりますので、そこに根拠がある、このように思っております。

 私の内閣の中で閣内不一致があったことがないかと言われます。

 最終的には閣議決定などの手続を行いますので、そういう中で、閣僚が例えば閣議決定に参加しないというような、そういう事例はこの間ありませんでした。

 しかし、そういう物事を議論していく過程の中で、確かに不十分さもあって、例えば外に向かっての発言等の中で、国民の皆さんから少し意見が分かれているのではないか、そういうことがいろいろなプロセスの中ではあったということは率直に認めたいと思います。

高市委員 菅総理御自身が野党議員であられた時代に、自民党政権について閣内不一致で随分攻撃をしてこられました。

 例えば小渕内閣のとき、中村正三郎法務大臣が憲法改正に触れた、それだけで小渕内閣の方針と違うんじゃないかと。

 それから、小泉内閣のときは、たしか田中眞紀子外務大臣が小泉総理が靖国神社を夏に参拝される予定だということに対して反対の意を表されたときに、菅総理は明らかな閣内不一致だとおっしゃっています。

 安倍内閣のときもそうでした。このときは、下村博文官房副長官が、過去の河野談話について、それも講演の中で御自分の考えをおっしゃったんですね。これに対しても明らかに閣内不一致だということで批判をされた。

 また、麻生政権のときも同じでございました。舛添厚生労働大臣の御意見がありまして、これは製造業に対する労働者派遣禁止について少し前向きな考え方をおっしゃったときに、やはり閣内不一致という言葉を総理御自身が使っておられます。

 国会以外の場所で、講演などの中で個人的な意見として見解を言った、それについても閣内不一致だと総理御自身が厳しく指摘をされてこられたわけですから、少なくとも、閣僚がばらばらな御発言をされることによって、地域が混乱したり、国会の中が混乱したり、例えば普天間の場合のように元も子もなくなってしまったり、ああいう実害が出てしまう、国益を失うような事態が出てしまう、こういう事態については極力避けていただきたいし、これまでの一連のことについてはぜひとも十分反省をしていただいて、今後は国民がだれの言っていることを信じていいのかわからないという状況のないように内閣をまとめていただきたい、こんなふうに思います。

 委員長におかれましては、この間から、私は経済産業委員会なんですけれども、海江田大臣がおっしゃることをずっと信頼して、国民にも説明をしてきたけれども、何かその後、総理がおっしゃることで結果が変わったり、ひっくり返ってしまうというようなことがあるので、きょうは総理に質問したいと思いますので、総理を御指名いただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、法案についてですが、この委員会では原子力損害賠償支援機構法案を審議していくわけですが、その大前提として、やはり菅内閣における原子力発電の位置づけ、これを明らかにしなきゃいけません。

 一枚目のフリップをごらんいただきたいんですけれども、第一条は、本法案の「目的」として、「原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施を確保するとともに、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資すること」と規定いたしております。

 総理に伺います。これは総理も署名をされて閣議決定をされた法案でございますが、原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図ることを目的としておりますので、少なくとも今すぐに脱原発をするというようなことを前提にした法案ではないと思いますが、それで間違いございませんか。

黄川田委員長 では、前提として、まず国務大臣に答弁させて……(高市委員「いや、総理にお願いしますと申し上げました」と呼ぶ)総理にも当然答弁させます。

 国務大臣海江田万里君。

海江田国務大臣 この第一条に書いてございますのは、今委員御指摘のとおり、特に「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」ということでございますから、これは原子炉をまさに安全に運転するということでございます。

高市委員 委員長に申し上げます。

 閣内不一致が見受けられると私は判断しておりますので、海江田大臣に答弁していただいても、後でまた総理が違うことをおっしゃったら意味がございませんので、総理に御答弁をお願い申し上げます。

 総理に伺います。

 今、私が伺いました点、今すぐに脱原発をすることを前提とした法案ではないと思うが間違いないかということと、それから、この法案は、今回の福島原発事故による損害のみならず、将来、ほかの原発において不幸にして事故が起きてしまったというような場合にも損害を受けた方を救済できる枠組みをつくる、こういう内容の法案であるということで間違いございませんね。

 以上二点、総理にお願いいたします。

菅内閣総理大臣 この点についてお答えしますけれども、しかし、一般的に、それぞれの所掌大臣が直接には所掌していますので、まず、今からこれにはお答えしますから、きちんとそういう意見もお聞きをいただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 まず最初の御質問ですが、この法案の第一条に、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施を確保すると。これが最大の、まさに第一条の目的であろうと私は理解をいたしております。そして、その確保とともに、電気の安定供給その他原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る、こういうふうな形で目的が書かれておりますので、原子力損害の賠償の適切、迅速な実施というもの、そして、それのためにも、それと並行して、電気の安定供給、原子炉の運転等に係る円滑な運営、こういう形になっていると理解しております。

 今、この法律があるから脱原発にはすぐならないのではないかというような御指摘がありました。この法律そのものが予定しているのは今申し上げたとおりでありますけれども、これからのエネルギー政策をどうするのか、これからの原子力政策をどうするのかということについては、もちろんこの法案も一つの補償を中心とした部分では重要な法案でありますけれども、エネルギー政策あるいは原子力政策を今後どうするかについては、これはこれとして、私は、あれだけの事故があったわけでありますから、予断なく議論する必要があるのではないかと。御党の中でもいろいろな意見がもう既に出されておりますけれども、このことは議論しないとか、このことは議論していいとかではなくて、あらゆることを議論するのは当然ではないかと思っております。

 また、この法案が、他の原発についての事故が不幸にして起きた場合にも対応するものなのかということでありますが、基本的にはそういうことに関しても対応し得る、そういう仕組みになっている、こう理解しております。

高市委員 総理、法案にこう書かれておりますからこう理解しておりますというのは、これは総理自身が署名をされて、閣議決定をして国会に提出された法案でございます。しかも、総理は原子力災害対策本部長でございます。最も責任を負わなきゃいけない、そしてまた、この法案に対して思い入れのある立場であると私は理解しておりましたので、ちょっと今の答弁はびっくりしました。

 これからのエネルギー政策のあり方については、それは議論するのは当たり前ですよ。当たり前ですけれども、なぜ私がこういうことを聞いたかといいますと、仮に、今すぐ脱原発だとか、今ある原子力発電所をすぐにとめて二度と動かさないとか、そういうお考えがありながらこれを出してきたとしたら、この法律案は必要ないんですね。自民党が、できるだけ早く原発被災者の方を救済しようということで仮払い法案を出しております。まずはそれで福島原発の被災者を先に救済して、出すとしたら、今回の福島原発の事故限定の法律案をつくられればいいわけですから、この法案の前提として、それが中期的なことを考えているのか、今の事故の被災者を救済するということでいい、後はもう原発を動かさないということなのか、そこを確認したかったので私は聞いたまでなんですね。

 この件はこれで結構でございます。

 次に、内部被曝について伺います。

 これも、総理が原子力災害対策本部長でございますので、総理に基本的に伺いたいんですけれども、ここに、フリップの二枚目、厚生労働省が三百万部印刷をして、女性を対象に配布したという広報物がございます。

 この広報物が印刷されました四月ですが、震災直後で、油も足りない、水も足りない、電力も足りない、大変な状況でございました。例えば、水不足でしたよね。ミネラルウオーターをみんなが買いに行ってもない。私が飲料メーカーに電話したら、水は何とか確保できるんだけれども、そのペットボトルに張るラベルがないんや、手に入らぬのやと。それぐらいの紙不足の時期であったにもかかわらず三百万部印刷されたというんですから、内閣にとっては相当思い入れのあるパンフレットであったんでしょうし、それからまた、政治主導を標榜されております民主党政権ですから、当然、厚生労働大臣の決裁を受けた上で印刷をされたんだと思います。

 これをずっと見ていますと、例えば、「水道水は、妊娠中の方や授乳中の方、小さなお子さんにとって、安全です。」とか、「お子さんを外で遊ばせることについて、心配しすぎる必要はありません。」「雨についても、心配しすぎる必要はありません。」と、大丈夫、大丈夫ということが書いてあるんですよ。このパンフレットのタイトルは、「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします。」こういうものなんです。

 今読み上げたところまででも本当に大丈夫かなと思っちゃったんですけれども、このフリップ、皆様にもお配りしております資料ですね。(発言する者あり)配付資料でお渡ししてあるんですけれども。

 では、読み上げます。

 この四ページの記述でございますが、冒頭に、「食べものに含まれる放射性物質については安全のための規制が行われています。」と書いた後に、「万が一、規制値を上回った食べものを口にしてしまったからといって、健康への影響が出ることはありません。」と書かれております。言い切っております。食べ物に含まれる放射性物質は安全のための規制が行われている、「安全のための規制」と書きながら、規制値を上回ったものを食べても健康に影響が出ることはありませんと。

 妊娠中の女性も配布対象でございますけれども、多くの女性は妊娠中には風邪薬の服用も避けているような状況です。また、きのうからニュースで流れておりますけれども、セシウムが規制値を超えた牛肉が既にもう流通して食されてしまっている。

 こんな心配もありますし、今、子育て真っ最中のお父さん、お母さん方から寄せられる声で非常に多いのが、暫定規制値ということで、通常の規制値よりかなり規制が緩いじゃないかと。乳児用とか幼児用とありますけれども、子供にとって本当にこの基準で大丈夫なのか、そんな声もある中なんですね。そもそも、規制値を超えても健康への影響がないんだったら、規制値を設ける必要もないわけです。

 内部被曝もこの法律案にあります損害賠償の対象になり得ると私は考えますので、それで本部長である総理に伺うんですけれども、こうやって政府が規制値を上回る食べ物について安全を保証してしまったということで、これを信じて仮に規制値を上回る食べ物をとり続けた方に将来、内部被曝による健康被害が発生したという場合に、その損害賠償責任というのは、私は原子力損害賠償支援機構じゃなくて主に政府が負うことになると思うんですけれども、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 今、資料はいただきまして、そして厚生労働省と何か出典のところに書いてあるわけですが、この表現が適切であるかどうかについては、今御指摘があったことも含めて、私も、今の高市委員の説明を聞いていて、果たしてこういう表現でいいのかなということは若干疑問に感じました。

 ただ、このことがどういう形で、今議論している法案の損害賠償の適用の内側か外側かということについて、この表現からそれを即座にこうだと言うのは、ちょっと今の私には、質問の通告もありませんでしたので、そこははっきりとは申し上げることは控えたいと思います。

高市委員 厚生労働省の方にはきのう、私、この原本も請求をし、そしてまた印刷された時期、印刷部数も確認をいたしております。

 よく総理が、通告がない、通告がないとおっしゃるんですけれども、そもそも、政治主導だと言って、自分たちは答弁書もなくても答弁できるんだと国民が思うようなことをおっしゃって、それで、本来でしたら、ちゃんと実のある議論をするということになりましたら、やはり……(菅内閣総理大臣「厚生大臣を呼べばいいじゃないか」と呼ぶ)何をおっしゃっているんですか、総理。

 厚生大臣を呼べばいいじゃないかと総理はおっしゃいました。原子力災害の対策本部長ですよね。この法律案は内閣全体で閣議決定をされています。総理が一番、今大変なことになっている原発被害に対して責任を負わなきゃいけない、そういう立場ですよ。厚生大臣を呼べばいいじゃないか。呼べばいいじゃないかじゃなくて、いや、厚生労働省がこれを例えば回収するとか、これを決裁した厚生労働大臣の責任を総理が問うとか、そういうことだったらそれはそれでいいんですよ。

 ただ、一国の総理として、こういったものをたくさんのお母さん方が読んでおられる、妊娠中の女性が読んでおられる、三百万部刷った中で今百七十万部はけたということですから残り百三十万部あるんですよ、これからも読まれる方がいるんですよ。そういうことに対して、一国の総理がどんなふうにお考えになるか、どうされるのか、そういう思いで総理には答えていただきたい。

 私、今の傲慢な態度を見ていて、本当に残念に思いますよ。

黄川田委員長 高市委員、確認でありますけれども、通告答弁者、すべて総理ということで行っておりますね。(高市委員「はい」と呼ぶ)それであれば、答弁は当然内閣総理大臣でありますし、ただ、きめ細かいところで補足的に国務大臣も答弁させていただきたいと思います。

 ただ、先ほどの発言は、私も、やはり総理としてふさわしくない発言なんですが、その部分、改めて総理から発言させていただき、それから質疑を続行させていただきます。

菅内閣総理大臣 不規則発言ではありましたが、申しわけない発言だったと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、質問通告があるなしということについて、かなり具体的にこういうことについてすべてを私も通告なしで頭に入れることは不可能ですので、そういう点で、担当の大臣に詳しい点をもしお聞きになりたいのならばと思って申し上げたんですが、申し上げ方についてはおわび申し上げます。

高市委員 こういった広報物を、今ここでフリップもお示ししておりますし、資料も行っていると思うんですけれども、それが適切かどうかすら判断できない総理だということがよくわかりました。

 少なくとも、これは科学的な根拠をもとに作成された、国民の命に係る広報物でございますので、これに関しまして、根拠となった資料の提出を求めます。

黄川田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

高市委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先週から、国会でもストレステストという言葉が飛び交っております。次のフリップをお願いします。

 国民の皆様の理解が進むように、といっても、きのうあたりから随分テレビでも報道されておりますので、多くの方は理解されているんでしょうが、念のため、原子力安全・保安院に、従来の検査との違いを文章にしていただきました。それがこちらでございます。

 従来の使用前検査や定期検査というのは、法令に基づき、当該施設が技術基準に適合していることを確認するもの。一方、ストレステストは、法令上の技術基準の適合というのは前提とした上で、原子力発電所の設計時の想定を大きく超える地震や津波の発生を仮定した場合に、実際にどの程度のレベルなら耐えることができるか評価するためのもの。つまり、従来は想定外だった規模の災害をあえて仮定して行う耐久性評価というようなものと考えていいんじゃないかと思います。実際に施設に何十メートルの津波をかぶせるとか施設にそれと同じ力を加えるんじゃなくて、コンピューター上で解析をする、このように理解をいたしております。

 私自身はストレステストの実施については賛成でございますし、先般海江田大臣にお届けをいたしました自民党エネルギー政策合同会議からの提言書にも、ストレステストの実施を求める内容というのは記しておりました。

 問題は、その発表時期なんですね。海江田大臣が、検査済みの玄海原発二号機、三号機の再起動要請のためにわざわざ佐賀県まで出向かれた後で、総理が突然にストレステストの花火を上げられたものですから、混乱が起きました。

 先週、七月六日の衆議院予算委員会で、総理は検査済み原発の再起動について答弁されています。「従来の法律でいえば、この事故がある前の法律でいえば、もちろん、保安院の判断あるいは経産大臣の判断でできることになっておりますけれども、この事故があった中では、もっとしっかりとしたストレステストといったようなものも含めて、国民が納得できるそういう検討の場が必要ではないか」と答弁をされました。

 この事故があった中では、ストレステストといったようなものも含めて、こう総理はおっしゃいましたけれども、この福島原発の事故が発生したのは三月十一日でございます。総理は、具体的に何月ごろから、従来の法律のように経産大臣の判断で再起動するというだけじゃだめだとか、ストレステストのようなものをやらなきゃだめだ、こんなふうにお考えになり始めたんでしょうか。

菅内閣総理大臣 三月十一日にあの事故が起きて、当初はその処理、現在も続いておりますが、その収束に向けて全力を挙げてまいりました。そして、その中で、たしか六月七日にIAEAに対して政府として報告書を提出いたしました。この中でも、原子力の安全規制について、まず第一に、原子力安全・保安院をこれまで原発推進を担ってきた経済産業省から独立させる、そして二番目に、原子力安全委員会も含めて安全規制行政の見直しを進めていく必要がある、この二点について、これは海江田大臣も了解のもとで、IAEAへの報告書に盛り込んだところであります。

 つまりは、従来の法律では、再開については保安院だけの、あるいは経産省だけの判断でよしとされてきたことについて、それも含めて、IAEAに出した指摘において、どちらかといえば経済的な立場から原子力を推進してきた経済産業省に安全のチェックをする保安院が属するのは問題があるであろうという問題意識は、少なくとも公式文書でも六月の七日には提示をしているところであります。

 このことは従来から言われてきたことでありますので、私の中では決してこのことが起きたからというのではなくて、まさに制度的に、従来、かつては科学技術庁があって、科学技術庁と経産省、これも必ずしもチェック・アンド・バランスに十分なっていたかどうかは別として、そういう仕組みが今一本化されていることについての問題意識は、少なくとも、事故があってそう間を置かない段階から問題意識としては強く持っておりました。

 こうした観点から、原子力発電所の再稼働に関しても、現行法令に基づく原子力安全・保安院による安全性の確認だけでは国民、住民の方々の十分な理解が得られないのではないかというところから、原子力安全委員会が関与する形で新たな安全性確認のルールづくりを進めてほしいということを関係閣僚に指示いたしました。

 確かに、指示をした時期が、結果としてかなり、直接に指示する時期が結果として遅かったために、関係者に大変申しわけない、あるいは御苦労いただいたわけでありますけれども、少なくとも、IAEAへの報告なども踏まえて、欧州諸国で行われることとなったストレステストを参考に、原子力安全委員会も関与する中で、新たな手続、ルールに基づく総合的安全評価を実施する方針を、昨日、正式に三大臣の合意として私のところに提示があり、私もそれで了承したわけでありまして、私は、先ほど高市さんもストレステストには賛成だということを言っていただきましたけれども、結果として、多少の私の不十分さあるいは指示のおくれなどがあって混乱やいろいろなことを招いたことは申しわけないと思いますが、結果として、こういう形で、国民的にも納得のしていただける、より可能性の高い形で物事が進められることは私はよかった、このように認識をしております。

高市委員 長い答弁の中で、よくポイントがわからなかったんですが、要は、今回の事故が起きて、今のような体制じゃだめだとかなり早い時期に総理自身は考えておられたということです。

 少なくとも去年の段階では、二〇三〇年までに原発を十四基ふやすというエネルギー基本計画、これは菅内閣で閣議決定されておりますので、ストレステストまでということを考えておられたかどうかは不明ですけれども、今回の震災を受けて、また原発事故を受けて、そういうことを考え始めたということはわかります。

 しかし、五月のたしか六日に総理が浜岡原発の停止を要請されて、案の定、翌日には、浜岡だけじゃなくて全国の原発をとめろという一万人規模のデモが東京都内で行われたというような報道もございました。それで慌てられたのかどうか知りませんが、五月の八日に、総理は、中部電力以外の電力会社に対しては運転停止要請をしない、こんなふうにおっしゃっております。だから、少なくとも五月時点では、稼働中の原発について、中部電力以外の原発についてはストレステストのようなものというのをしなくても安全が確保されている、運転続行が妥当だと考えられていたのかどうか、これが一点。

 それから、早くから考えられていたということなんですが、六月七日にIAEA報告という話もさっきされました。ところが、六月十日の閣僚懇談会や六月十五日の経済情勢に関する検討会合、これは総理も出席しておられたはずですが、その席上、海江田大臣が、検査済み原発の再起動に向けて政府一体となった取り組みを要請された。その大臣に対して、総理がもしもストレステストというものを考えておられて一刻も早く形にしようと思っておられるのであれば、海江田大臣が玄海原発の再起動要請に佐賀県まで出向くというのは早いよ、今こういうことを考えているんだ、そういうアドバイスをしてさしあげたんですか、どうですか。

 以上二点、伺います。

菅内閣総理大臣 御承知のように、浜岡原発については、いわゆる想定東海地震の可能性が極めて高い、切迫しているという特殊要因の中で、経産大臣の提言、進言をいただきまして、最終的に私としても停止要請をすべきだと判断をして、させていただきました。私が申し上げたのは、浜岡についてはそういうある意味での特殊事情があるので要請をしたので、こういった特殊事情がないものについて画一的に停止要請をするということは考えていないという趣旨のことを申し上げたわけであります。

 そして、今お話がありましたように、どういうルールで今後の原子力の安全性を確保していくのか。最終的には、現在の事故調査・検証委員会の結果も含めて、また、既に原子力安全委員会御自身も指針の見直しということも言われておりますので、そういった本格的な安全基準というものの見直しはそう遠くない時期に必要になると私は思います。しかし、それは場合によっては半年、一年という期間がかかりますので、それまでの間がどういうルールで行うべきかということについて、今回、統一的な見解を出させていただきました。

 確かに、その途中の過程でいろいろな経緯がありまして、もっと私が早目にこういったことを指摘し、指示しておけばよかったということはおっしゃるとおりで、大変関係者に迷惑をかけましたけれども、先ほど申し上げましたように、原子力安全・保安院だけによる判断あるいは経産省だけによる判断ではなくて、原子力安全委員会も関与した形で、今回新たに任命をしました原子力事故再発担当大臣も含めて、一つの新しいルールでやっていくということに最終的に統一的な見解を出すことができたことは私はよかった、このように思っております。

高市委員 質問に答えておられないのであきれたんですけれども。

 本当に海江田大臣が気の毒です。総理がそういうことを考えていてそのうち発表する、そんなことも御存じなく、苦労をされて、あげくにはしごを外された。新聞の投書欄なんかを読みましても、多くの国民は、総理は即脱原発派、総理は原発を動かしたくない、海江田大臣は一方で原発を動かそうとしている、何かそういう誤解に基づいた投書というのもあるんですね。

 先ほど来、話を聞いていましたら、安全性をなるたけ高くして、つまりリスクの最小化をして、短期的には原子力発電という方法を日本はとっていかなきゃいけない、だけれども、中長期的には、やはり原発の比率を減らしていって、再生可能エネルギーももっともっと普及しなきゃいけない、これは自民党も同じですし、総理も同じですし、海江田大臣も同じだと思うんですよ。だけれども、やはりこういった行き違いから、海江田大臣お一人が大変つらい思いをされた、国民もびっくりした、佐賀県の知事初め地元の首長さんも大変な迷惑を受けられた、これは間違いないと思います。

 きのう統一見解を発表したということで、きのうの枝野官房長官の記者会見と、それからその後の記者との質疑応答も全部拝読をいたしました。それによると、二種類のストレステストを設けると。定期検査中の原発を対象にしたものが一次評価、稼働中の原発を対象にしたものが二次評価。定期検査済みだが停止中の原発が受ける一次評価というものが二次評価よりも簡易なものというわけではない、これは官房長官が明言をされています。

 定期検査中の原発であれ、稼働中の原発であれ、原発の耐久性をテストするというストレステストの目的は同じだと思うんですが、なぜこれを一次と二次の二種類のストレステストに分けるのか、テスト内容に具体的にどういう違いを設けることを総理は想定されて指示を出されているのか、ここをお聞かせください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私の方から新しいルールあるいはどういうルールでということを関係大臣に検討を指示しまして、海江田経産大臣と細野原子力安全担当大臣とそれから官房長官とが、この三人の大臣の合意として、こういうことでどうでしょうかということを私に提案といいましょうか提示がありましたので、私はこれで結構ですということを申し上げました。

 ですから、そういうことについて私から説明してもいいですけれども、少なくとも、この三人の中で、海江田大臣も入っておられますので、案をつくられた海江田大臣からお聞きいただいた方が適切ではないかと思います。

高市委員 海江田大臣よりはるかに前からストレステストについて構想を練っておられた総理大臣が、何にも具体的な内容を想定せずに、きのう、これで結構ですとおっしゃった。何が結構なのか、さっぱりわかりません。

 その一次評価と二次評価の違い、どういう違いを想定しているのか、これも総理自身が明確にお答えになれない。海江田大臣が答弁してくださったとしても、後で総理が違ったとか自分はそんなつもりじゃなかったと言われたら意味ないんですよ。だから、私は総理に伺っているんです。

 これ以上聞いても無駄なのかもしれませんけれども、今後も、法令に基づく定期検査、十三カ月ごとの定期検査というのは行われますよ。定期検査が終わった後には一次評価というのを受けなきゃいけない。それも、一回きりかどうかということについて、官房長官はきのうの記者会見で、ストレステストは一回だけじゃなくて、毎回定期検査が終わるたびに一次評価が実施される、そういうことを想定しているということもおっしゃっています。

 そうしますと、定期検査は十三カ月ごとにある、それが終わったら必ず一次評価を毎回受けなきゃいけない、稼働中には二次評価というのを受けなきゃいけない、年がら年じゅう原発がテストか検査を受けているような状況になるんです。安全性というのは本当に大事なことだけれども、現実問題として、これは事業者の負担も大変なことですし、結果的に原発の停止期間も長くなってしまいますよね。

 まず、こういったことに問題がないと思うのかどうかということについても総理に伺いたいと思いますし、それから、ストレステストにかかわる事業者、保安院、原子力安全委員会のうち、どこが最終的にストレステストの結果に責任を持つんでしょうか。

 以上二点、簡潔にお答えください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、三大臣が合意されたものについて私が了承するという形でこの統一見解をまとめましたので、そういう意味で、決して私がその責任逃れをするということではなくて、三大臣が、ですから、記者会見も含めて、三大臣のもとで合意されたものです。

 そして、最終的な判断について、これもこの文章を読んでいただくとわかりますように、従来であれば保安院と経産大臣ということになっていたものに対して、原子力安全委員会、これは内閣府の所掌下にあるわけですが、ここに書いてありますように、原子力安全委員会による確認のもと、評価項目、評価実施計画を作成し、これに沿って事業者が評価を行う。その結果についても、原子力安全・保安院、さらに原子力安全委員会が確認する、こういう形になっております。

 これらのすべての関係者の確認が、いわば専門家としての意見が出された後、最終的には、昨日の協議では、政治的な最終的な決定は三大臣と私を含む関係閣僚で行っていこう、ただ、法律的には、今の法律の体系でいえば経産大臣ということになりますが、政治的には、三大臣と私で最終的な判断を行っていこう、こういうことに合意いたしました。

高市委員 細かいことを総理に聞いても御理解されていないようですので、この件はこれで結構です。

 最終的な責任、ストレステストの結果に対する責任、そしてまた、その終わった原発を動かすかどうか、そういった責任、総理が負ってくださるということですので、その点は安心をいたしました。

 だって、こんな判断を地方自治体に押しつけるといったらできませんもの。地方自治体の長も、再稼働するといったら、万が一の事故のとき、大変な被害、生命への危険が生じるかもしれない。それから、電力不足ということになって、その結果、例えば、夜電気を消している、それによって犯罪がふえやしないかという心配をしたり、食品安全、これも牛乳パック入りの自動販売機まで一時電気を落とされて品質に不安が生じました。こういった心配もある。地域の雇用に影響が出ないのか、こういう心配もされますよ。

 だから、そういうことに対して総理が責任を持ってくださるんでしたら、責任を持って判断してくださるということでしたら、それで結構かと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 かなり時間はかかると思うんですね。EUの場合は三月からストレステストの検討にかかりまして、その後、五月に評価の内容ですとか手順を決めて六月一日からストレステストに入っている。それでも中間報告まで三カ月半、最終的なものまで七カ月かかるかと言われておりますので、そうしますと、随分長い間、原発そのものは動かせません。

 総理が再生可能エネルギーに対して一生懸命思い入れがあるというのは私もわかっているし、自民党も、再生可能エネルギーの買い取り制度をちゃんとつくりますというのは、去年の参議院選挙の公約にしておりますし、それから、自民党政権時代にも新エネルギー、省エネルギー、これを進めるための予算措置というのは随分やっていました。

 ところが、鳩山内閣になった最初の予算で自民党政権時代にやっていた新エネ、省エネ予算というのはかなりカットされるか廃止されています。ところが、菅内閣になって幾つか新しい再生可能エネルギー推進のための予算措置もなされているので、これは私自身大変歓迎をいたしておりました。

 ただ、その思いは一緒なんですけれども、今はやはり、足元の不安を解消するための電力需給対策それから景気対策には取り組んでいただかなきゃいけません。

 海江田大臣には、ことしの四月に自民党から、まずは急いでほしい、一次補正で措置してほしい電力需給対策、これは約九百八十億円分の提案をいたしました。実際には百七十八億円分しか電力需給には予算がつきませんでした。結果、かなり不安を抱えたまま夏を迎えましたので、これは何とか二次補正で頑張ってやってほしい、そういう思いがありましたので、二次補正に向けましても提案を持ち込みました。これも再生可能エネルギーの推進、それから、足元の電力需給対策ということで、こっちは四千二百億円分、かなり大きな本格的な対策を打ってもらうためのものでございましたけれども、結果はゼロ円。

 海江田大臣は、菅総理は今回は一・五次補正というようなことで考えておられるので、三次補正のときにまた参考にさせていただきますと言われましたけれども、三次補正といったらもう十月になるか十一月になるかわからないのです。万が一、このまますべての原発が動かなかったら、五十四基、全部とまっちゃいますよ、来年の四月には。だから、この冬に向けても、来年の春、夏に向けても、確実に私たちが安心できる対策が必要なんです。

 奈良県でも、もう六月中に二人、熱中症で亡くなっています。救急搬送、これも去年と比べると四倍になっています。全国平均は三倍ですけれども、奈良盆地は暑いですから。たくさんの方が心配されている。東京電力や東北電力でしたら、原子力比率が二割台ですよ。でも、関西電力は四三%、それから四国電力に至ってはほとんど五〇%ですよね、四九・数%ですから。そういうところをどうするんだということです。

 最後。もう時間になりますので、これが電力の発電量比率でございます。ざっくりの数字でいいますと、原子力発電は約二九%ということになります。ただ、総理がおっしゃるような再生可能エネルギーですけれども、新エネルギーの部分というのは一・一%しかない、こういう状況ですよね。

 どうやって短期的にこの対策を打っていかれるのか、そして、なぜ本格的な二次補正予算を組まれなかったのか、ここをお聞きして質問を終えます。よろしくお願いします、総理。

菅内閣総理大臣 再生可能エネルギーの中で、水力を除けば発電総量のまだ一%程度ということは私もよく承知をしております。

 まずは、過去のことでいえば、こういう形になってしまったのは、私も国会に三十年余りおりますけれども、当時から科学技術庁で風トピア計画といったような計画がありながら、その都度、採算性がない、効率性が悪いということで、そうした開発なり政策的な促進をやめてきた経緯があります。そういったことが背景に、また、太陽光についても、ある時期は日本が最も進んでいたと言われたわけですが、今回の買い取り制度などの導入がおくれたために、ドイツなどがどんどん伸ばしてまいりました。

 ですから、もちろん一%が一挙に、一年、二年で簡単にはいきませんが、しかし、十年程度の展望、五年、十年の展望でいえば、これを何倍かにふやすことは私は十分に可能だと思っております。

 そのことと、もう一つ大きなエネルギー供給は、余り時間がないのでこれ以上詳しいことは言いませんが、ピークの問題を含めて、やはり社会構造、国民の理解、企業の理解というものの中でしっかりとした対応をすれば、私は、この夏、あるいは来年の夏に向けてもいろいろな努力が必要ですけれども、そういう努力をすれば、安定的な、少なくとも必要な電力供給は可能である、また、それは責任を持たなきゃいけない、こう考えております。

高市委員 また過去の自民党政権に責任をなすりつける菅総理の常套手段であります。

 総理には、自民党内閣が最後に組んだ予算と鳩山内閣が最初に組んだ予算、よく再生可能エネルギーも含めてごらんになってください。何度か菅総理は議員時代に質問をされています。再生可能エネルギーについては随分昔から質問されています。それでも、議員立法の一本でもされたのかどうか、その辺も私は大変疑問です。調べたけれども、私が知っている限りございません。

 大変残念な内容になりましたけれども、以上で質問を終えます。ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、梶山弘志君から関連質疑の申し出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。梶山弘志君。

梶山委員 自民党の梶山弘志でございます。

 昨日から、原子力損害賠償支援機構法案、委員会の審議入りとなりました。私たちも、この委員会を初めとして各委員会で、この法案を早く出してほしいということを言ってまいりました。原子力被害に関する生活者の支援ということをまず第一に考えて、建設的な議論をさせていただきたいと思いますし、私どもの意見もぜひ取り入れて結論を出していただきたいと存じます。

 本題に入る前に一つお話をさせていただきたいんですけれども、今もお話がありましたけれども、昨日、ストレステストの統一見解が提示をされたわけでありますけれども、安全対策の政府の対応について、少し時系列でまとめてみました。

 少しお聞きいただきたいんですけれども、三月三十日に緊急安全対策実施を指示いたしました。五月六日にその報告がなされ、そしてその後に浜岡の原発の停止要請が行われました。五月の九日に、中部電力が停止要請を受けてこれを停止させたということであります。さらには、六月七日に、今度はシビアアクシデントの対応ということで政府が指示を出しました。六月十四日にこれの報告がなされたわけであります。報告までには、当然、先ほどの緊急安全対策につきましても、このシビアアクシデントにつきましても、保安院が立入検査もした上で、十分な検査をした上で結論を出したということであります。そして、それを受けて、六月十八日、安全宣言ということで、海江田大臣の談話が発表をされました。

 全国紙に発表されているものですと、この次には玄海の話になるんですけれども、地方紙の方なんですけれども、茨城の東海第二発電所がございます。六月の十八日に安全宣言をして、再稼働の協力をしてほしいという旨の要請を海江田大臣がしたわけでありますけれども、これは浜岡を除けば全部という意味にとれるわけでありますけれども、茨城県が再確認をいたしました。茨城県の東海第二発電所、これは再稼働の対象になっているんですかということで二十日の朝に照会をした。そしてその深夜に返ってきて、茨城県の東海第二は対象外だということであります。立地地域が聞かなければ、この答えは返ってこなかったということであります。そういうとり方をされている新聞の報道があるわけであります。

 さらには、このことを受けて、海江田大臣が佐賀を訪問し、そして佐賀の玄海の町長さんが原発の再稼働を了解したということでありますけれども、そしてその後にまた、今話題になりましたストレステストの話があったということであります。このストレステストにつきましても、多分、立地地域の皆さんにはまだ詳細な説明はされていないと思います。

 ここに至るまでの政府の指示そして発表というのは、前後したり、左右にぶれたり、そして立地地域の皆さんの不信を買っているわけであります。不信は不安につながるわけであります。

 こういった点につきまして、当事者である海江田大臣から、事実関係も含めて回答をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 梶山委員にお答えをいたします。

 定期検査が終了しました原子炉でございますが、これは保安院から報告が上がってまいります。私は、その報告の一つ一つをチェックいたしまして、そして、ここはどうなっているんだということを確認いたしました。

 その中で、実は、東海第二につきましては、これはたしか電源車だったと思うんです。ちょっと記憶が、今手元に資料がございませんが、それがそろっているということではなかったものですから、目視をしたのかということで確認をいたしましたら、そうじゃありませんと。だけれども、例えば一月後ですか、大きなタービンなどは一年以上かかりますから、それはどこからどういう形で調達をするという計画でよろしゅうございます。タービンと電源車は違いますから。そういう違いがありましたので、これはだめだ、それをちゃんと目視したのでなければだめだということを言って、私は外させたんです、これは。

 そして、そのことを私は記者会見の中ではっきり申し上げました、この東海第二については例外ですと。ちゃんとした設備が整って、それを保安院が目視しなければ、これは動かすわけにはいかないということを申し上げました。

 私は、残念ながら、全部のところを直接行って見るわけにはいきません。だけれども、できるだけのところをやはり行って見なければいけないと思いましたから、この間の玄海のときも、短い時間でありましたけれども、行きました。

 それから、保安院のみんなに、検査員が百人いますが、私は三・一一以降、保安院は本当にやはり気持ちを入れかえなきゃだめだと。まず、みんなは福島に行って現場を見てこいということで、大体、百人いますうちの五十人ぐらいがもう既に現場に行って、実際、一たん事故が起きたらいかに悲惨なことになるかということをやはり保安院の人たちは肌で知らなきゃだめですから、それを見てくるようにということを言いました。

 それから、全国の所長もいます。この所長も集めまして、個別に、昔、保安院に実は内部告発があって、それを握りつぶしたことがあったんですよ。だから、そんなことはないか、内部告発はないかということをちゃんと確認しております。

 確かに、保安院は評判悪いです。これは私も百も承知です。だけれども、今の制度からいえば、やはり保安院を動かすしかないんですよ、これは。ですから、その保安院の人たちに、少しでも今度の悲惨な結果というものをやはり身にしみて感じてもらって、心を入れかえて、魂を入れかえて、そしてしっかりチェックをしろということを常日ごろ言っておりますから、その一つの過程でこういうことが起きたということでございます。

 ぜひ御理解をいただきたいと思います。

梶山委員 海江田大臣が大変真摯に取り組んでいるというのは私も評価をいたしております。

 これは新聞記事だけじゃなくて、私も県庁に確認をしてみました。そうしましたら、やはり県庁には直接連絡はなかったというんですね。なかったから、新聞記事を見て、読売新聞でしたか、そういう記事が十九日に出された。それで、二十日の日に、県庁の原対課から保安院に確認をして、朝一番で確認をしたんですけれども、返事が来たのが同日の二十三時三十分ということで、翌日、知事が定例記者会見の中で、我々には連絡がなかったという記者会見をしたわけであります。

 幾ら大臣が一生懸命やられても、下に伝わっていない。そして、一番大事な立地地域の不安や不信を取り除けていないという事実があるわけであります。さらに重ねて、今回のストレステストのことであります。

 この一連の流れについて、菅総理から御感想があればお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 先ほど他の議員の御質問にもお答えいたしましたけれども、今回のストレステストに関して、私の指示が時期的に遅かったり、あるいは不十分だったりして、関係閣僚あるいは自治体の皆さんにも大変混乱を引き起こすことになって、その点は心からおわびを申し上げます。

 そういう中で、経緯を述べよということでありましたが……(梶山委員「いや、感想」と呼ぶ)ええ、感想も含めてですね。

 私は、先ほどIAEAの報告書のことも申し上げましたが、これまでの法律体系では、保安院と経産省だけで再開を決めることができることになっているわけですけれども、しかし、これだけの事故が起きた中では、やはりそれでは国民的な理解は十分に得られないのではないか。原子力安全委員会は、設置のときにはかかわるわけですが、従来は、再開のときには法律上はかかわらないことになっておりますが、しかし、もともと、基準のベースは安全委員会が指針の中で設けて、あの全電源喪失なども、喪失なんということは考えなくていいんだなんという指針があったことも今回の原因になっているわけでありますので、原子力安全委員会それ自体も十分とは言えませんけれども、少なくとも、保安院だけではなくて、そうした責任を持つ原子力安全委員会もかかわった形で、一つの新しいルールのもとで対応することが必要ではないか。これはIAEAで、保安院を経産省から切り離して推進とチェックに分けた方がいいと、これは海江田大臣を含めて政府として提言をしたわけであります。

 こういうことを考えますと、私は、途中の過程ではいろいろと御迷惑をかけましたけれども、最終的に、そうしたことも組み込んで三大臣の方から統一的な方向性を出していただいたことについて私が了解をしたわけでありますけれども、このことは、安全性あるいは国民の理解を得るという点では重要な一歩である、前進である、このように受けとめております。

梶山委員 安全対策はやはり万全にすべきだと私も思っております。そして、とめるべきものもとめる必要があると思います。

 でも、このストレステストだけじゃなくて、今までいろいろやはりぶれているんですよね。三月三十日の、緊急安全の対策ということを言いました。五月六日に発表があった。そして、五月六日の夕方には、浜岡の原発を停止しましょうということでした。その根拠が、地震が起こる確率八四%、切迫している事情だということでありましたけれども、同じ資料を見ますと、福島の原発〇・〇%、ことしの一月一日の資料で〇・〇%なんですね。確率だけで物を言ってはいけないと思いますけれども、もしこれをとめるのであれば、ほかもとめなくちゃいけないところがあるということで、私は海江田大臣にもそういう旨の質問をさせていただきましたけれども、そのままになってしまったということであります。

 さらにはまた、前回のシビアアクシデントの件も立地県には連絡が行かなかった。先ほどの浜岡をとめる件も、保安院は一切あずかり知らないということでもありました。

 今、過渡期であるといえば、それはそうなんですけれども、こういった体制が立地地域の不安や不信を増大させているんですね。ぜひこういうことのないように、その状況はわかりますよ、ストレステストもやった方がいいに決まっていますよ。でも、やはり行政が前後してしまったり、右に左に揺れ動いたりしないように、その件に関しての菅総理の感想をいただきたいということだったんですけれども、万全の安全対策をするということですから、それはそれでよしといたします。

 次に、本題に移らせていただきます。

 各委員会でも、この委員会におきましてもずっと議論をしてきたことなんですけれども、エネルギー政策、特に原子力政策は国策として進めてきた。ですから、一たび事故が起こったときには国がきちっと手を差し伸べていかなければならないという議論が、与野党の別なく交わされたと思っております。

 今回の法律を読ませていただきました。国の責任というものをやはり法律の中で明示すべきではないかと思うんですけれども、その点について御感想をお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のように、法律の条文あるいは文言として国の責任という言葉はございません。しかし、私どもは、この法律を決めるに当たりまして閣議決定を行っております。その閣議決定の中では、原子力事業者と共同して原子力政策を推進してきた国の社会的責任を踏まえつつという形で書いてございます。

 そして、後からお尋ねがあるかもしれません、先取りをして申しわけございませんが、今度のこの賠償機構法の中では、もちろん、一義的にはこれは事業主体であります東京電力が行うわけでございますけれども、その賠償額が著しく大きくなって国民生活等に重大な支障が生じるような例外的な状況において、これは機構法の六十五条でございますけれども、政府が機構に対して、予算で定める額の範囲内において、事後の国庫納付を前提としない、つまり返してくれないでいいですよという資金の交付を行うことができるとありますから、そういう形で国もしっかりと負担をしたいと思っております。

梶山委員 閣議決定したのであれば、私は総則の第一条にやはり国の責任というものを明示すべきだと思います。これからの協議事項になろうかと思いますけれども、ぜひそういった点を御考慮いただきたいと思います。

 次に、機構法の組織なんですけれども、第二章から第五章まで、設立、運営委員会、役員等、業務ということで書かれておりますけれども、この機構法が成立をして、そして第二次の補正予算が成立をしたとすれば、仮定の話ですけれども、いつごろ本格的な仕事ができるようになりますでしょうか。

海江田国務大臣 まさに今委員御指摘をいただきました、補正予算の成立というものが大変大きなメルクマールになろうかと思います。この第二次補正予算案において、原子力損害賠償支援機構への出資金として七十億円、それから、東京電力の損害賠償支払いを支援するための交付国債の償還財源に係る利子負担分、これも国が行いますので、この二百億円を計上してございますので、まずこの補正予算を通していただいて、それから可及的速やかに、もちろんこの法律を通していただくことが前提でございますが、この法律を通していただいて、そして二次補正案を通していただいて、それによってこの原子力損害に対する賠償の支払いがスムーズにいくものと思われます。

梶山委員 組織をつくり、また人選をして、そしてお金を用意してということですから、しばらく時間がかかると思うんです。その間、この被災者の人たちへの仮払いというか、本格交渉も含めてまた少しずつおくれることになる。そのために、私ども議員立法としていわゆる仮払い法案を参議院に提出をさせていただき、今審議中であります。

 仮払い法案というのは、政府の方も必要だとお認めいただいていると私は思っておりますけれども、その必要な理由を少しお話をしたいと思うんです。

 皆様にお配りしている資料があります。全体像を私もつかめておりませんので、茨城県に関してだけ、請求と仮払いがされた額というのをまとめてみました。

 農畜産物、水産物、水産加工品、観光ということで、七月四日現在でこれだけの請求がなされているわけであります。約二百十三億円の請求が、七月四日ですから六月末ぐらいだと思うんですが、このくらいの請求がされる。そして、仮払いは十八億一千二百万円なんです。仮払い率でいくと八・五%なんですね。これでは余りにも低いと思っています。

 これ、まだ風評被害などは指針に入っていないと言われるのかもしれませんけれども、風評被害といえども実害なんですね。入ってくるものが入ってこないということなんです。仮払い率八・五%ということは、百万円の請求をして八万五千円しか入ってこないということなんですよ。

 この人たちの生活をどうするかということを考えたときに、あと一、二カ月かかるのであれば、仮払い法をきちっと通してもらって、そしてその上で、今度の予算案には仮払い法の予算は当然議員立法ですから入っていませんけれども、予備費で予算の手当てをしていただくことが重要なことかと思いますけれども、もし仮払い法が通れば、予算の手当てというものはしていただけますでしょうか。

海江田国務大臣 ちょっと今の仮払いの方に入る前に、先ほど私がお話をしました電源車が整っていないというのは、あれは「もんじゅ」でございました。東海第二の場合は、想定震度を超える地震に遭ったため、そのため、このルールに従って健全性確認ということで、東海第二の場合は、想定以上の地震が実際来たということでございます。

 いずれにしましても、そういう形で一つ一つチェックしているということは事実であります。

 そして今、仮払い法のお話でございますが、これはまさに今参議院で議論が行われているところでありますので、今私どもの方から、政府の立場でございますので、政府の立場で、これが通ったら、通らない等というようなことで申し上げることはできません。ただ、それが法律の形を通れば、それはやはりしかるべき対応もとらなければいけないと思っております。

 ただ、今お示しをいただきましたこのデータの中で、確かに東京電力の仮払いというのは、これはスタートするまでは大変時間がかかりました。しかも、最初は四百人ぐらいの人員でこの仮払いをやっておりました。

 それで、いろいろなところに避難をされている方々がいたわけでございますが、特にこの避難の方々へは、第一次の仮払いでおよそ五万世帯の方々の居どころもはっきりしましたので、それから人員も今四百名からおよそ一千名にしておりますので、その意味では、この東京電力の仮払いというのも、これまで以上にスピードアップしてできると思います。

梶山委員 ぜひ、この法案と仮払い法案、私は一対のものだと思っておりますので、この仮払い法案が通ったときには予算措置をお願いしたいと思います。

 この組織ができて、そして、今度は機構から事業者への資金の交付という段階になったときに、後に返済する仕組みになっているんですけれども、これは事業者の債務とはならないということなんですけれども、このことは、賠償には膨大な資金が必要になってくる。そして、どう捻出するかということを当然政府でも、各党も考えたと思います。

 政府だけではなくて、やはり同業者、電気事業者にも出してもらおうということになったと思いますけれども、今起こっている事故に対して電気事業者から出してもらうわけにはいかないということで、将来の事故に対しての保険機構的な役割ということで、そういう枠組みで、相互扶助という考え方の中での一般負担金だと思っております。

 しかし、それも使わなければやはり支払いを賄うことができないということで、附則の中で遡及の適用が書かれていて、これらも全部一つで使いましょうということになっていると思うんですが、本音のところはこういうことだと思うんです。

 ぜひこれは勘定を分けるべきだと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

海江田国務大臣 この一般負担金というのは、今委員御指摘のありました相互扶助の考え方からきているわけでございますが、その中でも、今度の東京電力福島第一発電所の事故にかかわる損害賠償については、特別勘定ということで別枠を設けたらどうだろうかという意見があるのは承知をしております。

 ただ、そこで勘定を分けてしまいますと、これはまさに、それは東京電力が負担をしなければならない債務だということが明確になってしまいます。そうなりますと、会計上これは債務超過という可能性も生じてくるわけでございますから、その意味では、この勘定を分けずに、将来の事故に対する備え、そしてこれまでの事故についても、やはり、お互い相互扶助の立場でやっていこうという形でお願いをしているわけでございます。

梶山委員 一般的には少し異様な感じがするんですけれども、我が党でもいろいろな議論がありまして、法的整理をしたらいいだろうという意見の方もおいでになります。それではなくて、これに従って少し形を変えた形でまたできまいかという人もいるわけでありますけれども、やはり一般の人たちから見ると、なかなかうんと言えないようなところがあるんです。

 このことが電力料金の値上げにもつながってくるかと思うんですけれども、一般負担金に関しましては、総括原価に入るということで料金の値上げにつながる可能性があるということであります。そして特別負担金、具体的に言えば東電が返すお金に関しては、これはそうではないということですけれども、この辺のところを詳しく説明をしていただければと思います。

海江田国務大臣 もう今既に委員から御指摘をいただきましたけれども、一般負担金、この部分については、これはコストの中に入れることもやむなしということでございます。

 ただ、それに当たっては、安易に料金に転嫁しないように最大限の経営努力をお願いするということと同時に、電気料金というのは、もう御案内だろうと思いますが、下げるときは、こうやって下げますよという届け出でよろしゅうございますが、上げるとなったら、これはやはり経済産業大臣の認可になります。経済産業大臣が、そうした具体的な上がってまいりました料金の値上げについて、しっかりとこれを査定すると申しますか、その一つ一つについて厳しくチェックをするということは言うまでもないことであります。

 そして、もう片方の特別負担金の方でございますが、これはやはり、事業主、今回は東京電力でございますが、この東京電力に最大限のリストラと申しますか、最大限の経営努力をやっていただく。これは、聖域なき経営努力をやっていただく、不要なものは売却をしていただくというようなことも含めて、そういうことで料金に転嫁をしないようにということでございます。

梶山委員 補正予算において、予算総則において二兆円の交付国債を設定するとともに、政府保証の二兆円も設定をされたということであります。この交付国債は、東電の賠償に用いるという理解でよろしいんだと思います。

 もう一つの政府保証枠というのは、金融機関から機構がお金を借りる、そして東電に融資をする形になろうかと思いますけれども、このお金は、設備投資であるとか、例えば債務の返済にも使われる可能性があるわけでしょうか。

海江田国務大臣 今委員御指摘のように、この二兆円の交付国債、これはまさに損害賠償のために使われるということでございますが、さらに機構に対して二兆円の政府保証枠ということでございますから、この保証の枠の中で事業者が必要に応じて資金を借りていただいて、そしてそのお金を、これは主にやはり電力の安定供給ということになろうかと思いますが、その安定供給のために使っていただくということになろうかと思います。

梶山委員 債務の返済に使われるのかと伺ったわけですけれども、その辺はどうお考えなんでしょうか。

海江田国務大臣 これは債務の返済ということも考えられると思いますが、ただ、私どもは、やはり債務があれば当然債権者があるわけでございますから、特に既往の債務については、これはあらゆるステークホルダーに対して協力をお願いするということで、そして特に金融機関に対しては、どういう協力があったかということを報告いただくということになっておりますから、そうした全体の枠の中で、やはりこれはステークホルダーたる既往の債権者にもそれ応分の協力をいただきたいということでございます。

梶山委員 五月二十三日にこの委員会で私も質問に立たせていただきました。その際に、枝野官房長官とやりとりをさせていただいたんですけれども、前後はありますけれども、枝野官房長官が金融機関の債権放棄も視野に入れるという当時お話がありまして、これが法案提出の条件かと言ったら、そうではないということでありました。

 今回、法案を見てみますと、四十四条の第二項に特別計画に含むものというものが書かれているんですけれども、この第三号に「関係者に対する協力の要請その他の方策」ということが書かれております。特別事業計画に債権放棄とか株主に対する要請とか、そういうものも載せなければいけないということでありますか。

海江田国務大臣 この種の発言は気をつけなければいけないというふうに思っておりますので、恐縮でございますが、先ほどもお話をしましたように、あらゆるステークホルダー、その中には当然のことながら株主も入ろうかと思いますが、そういう方々に御協力をいただくということでありまして、基本的には民民の関係の部分がございますので、この民民の関係について、これを政府がとやかく言えるものではありませんので、民民の関係もしっかり見守りたい、こういうことになろうかと思います。

梶山委員 民民の関係ということですけれども、記載するのは任意で、記載しようが記載しまいが構わないということだと思いますけれども、その計画書が出てきたときに、今度は経産大臣の裁量でそれを通すのかどうかということになるわけですね。その都度、行政の裁量でこれが行われるという解釈でよろしいんでしょうか。

海江田国務大臣 先ほどもお話をしましたけれども、事業者が、やはり、私どもは電力の安定供給という大きな目的がございますので、その目的に沿った使われ方ということにならなければいけないかと思いますので、そういう目的に沿った使われ方かどうかということをチェックしていくということになろうかと思います。

梶山委員 補正予算の中に政府補償契約の一千二百億円というのも含まれているんですけれども、一つのサイト、発電所単位で政府補償契約は一千二百億円ということだと思いますけれども、第二発電所も避難をしたわけですね。避難の対象となったわけであります。この第二発電所はこの政府補償契約には入らないという認識でよろしいんでしょうか。

海江田国務大臣 この点は当初から議論がございまして、私も梶山委員の委員会での指摘もいただきまして、確かに、福島第二発電所につきましても、当初、避難指示、これを出しております。ただ、これはたしか三キロだったと思います、それ以上広げなかったわけでありますから。この方々と、それから第一発電所の三キロ、五キロ、十キロ、二十キロと広げていく中で、ほぼこの中に包摂をされるんじゃないだろうかということで、今第一発電所の千二百億円ということになっておりますが、ここはそういう決まりでありますが、そこへ至る過程では、委員御指摘のような、第二についてもさらに一千二百億円国が出せるんではないだろうかという議論はしたことは事実であります。

梶山委員 そうしますと、一千二百億円で政府補償契約は落ちついたと。そして、今度は賠償の枠組み、あとは議員立法で出している仮払いの法案があると。大体これで被害者への賠償の仕組みというものは出そろったと思っているんですけれども、あとは迅速にやることなんですね。どうしてもやはりその感覚が鈍いような感じがするんです。

 先ほど八・数%と言いましたけれども、結構シビアな数字なんですね。やはり皆さん収入がなくなっている、そして東電の賠償の請求をしている、その中で支払いをいち早くしてほしい、でも東電は資金が足りないから仮払いという形で数%の支払いということなんですけれども、この仕組みができたとして、先ほども申しましたけれども、仮払いではなくて、この請求に対して本格的な交渉がなされるという認識でよろしいんでしょうか。

海江田国務大臣 本当に早くやらなければいけないという必要性は私も感じております。

 あと、本格交渉、本払いということになりますと、これは先ほども別の委員に御答弁を申し上げましたけれども、やはり紛争処理のための審査会もございますので、その正式な最後までの答申というものも見てみなければいけないと思いますが、ただ、これまで東京電力がやっておりますのは、ほとんど本格的な、賠償の枠内におさまるところをかなり保守的にやっておりますので、それは十分、仮払いだから後で戻せというようなことにはならないと私は思っております。

梶山委員 紛争審査会のガイドラインというのは、あくまでも紛争になったときのガイドライン、支払いのガイドラインでもありますけれども、紛争になったときのガイドラインだと思っております。ですから、請求が正しければそれを満額払うということも可能になっていくものと思っております。今までそれを妨げていたものは東電側の資金が足りないということでしたけれども、これで円滑に、潤沢にいくようになればすぐに払えるものだと思いますけれども、そういう認識でよろしいですね。

海江田国務大臣 そのとおりでございます。

梶山委員 あとは、いろいろお互いの言い分をしっかりと調整していくということだと思いますけれども、ぜひ、仮払い法案の方も念頭に入れて、そして、この予算づけも念頭に入れて調整をお願いしたいと思っております。

 この法案の附則に見直し条項がありますけれども、これを今後見直されるとすれば、どういった段階で、どういうふうな見直しがされるんでしょうか。

海江田国務大臣 何年後の見直しというのは書いてございませんので、それはやはり、見直しの必要が生じてきたことということになろうかと思いますので、今何年後ということは申し上げられませんが、損害賠償金の支払いに対する影響を与えるような種々の大きな変化があったときというふうに考えていただければよろしいかと思います。

梶山委員 私は、見直しは、今福島の第一発電所が安定化をしたとき、まず第一の見直しの時点だと思っております。そして、そのときにいかなる可能性も排除せずに見直しをしていく。今回この法律を通したからこの枠内でということじゃなくて、やはりいかなる可能性も排除せずに見直しをしていくべきだと思っておりますけれども、そういった考え方について御感想がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 必要に応じてということでございます。

梶山委員 私の言い分が通ったものだと解釈をいたしました。

 あわせて、原賠法の改正についてなんですけれども、時間が終了ということですので、午後に回させていただきたいと思います。午後一番でまた質問させていただきます。

黄川田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。梶山弘志君。

梶山委員 午前中に続きまして、質疑をさせていただきます。

 原賠法、原子力損害の賠償に関する法律と規制の体制のあり方について質疑をさせていただきたいと存じます。

 いわゆる原賠法ができたのが昭和三十六年でございます。初めての適用が、今から十二年前、一九九九年の東海村におけるジェー・シー・オーの事故でありました。国内初の臨界の事故ということでありました。一日半から二日間で収束はいたしましたけれども、目に見えない恐怖を地元の人たちは味わいました。私も十キロ圏内に住んでおりまして、当時、屋内退避ということで、なかなか情報がない中で夜を過ごしたことを覚えております。東海村の日本原電第二発電所も、私の住んでいるところから十キロ圏内でもあります。

 この原賠法についてでありますけれども、原賠法には入り口が三つありまして、一つ目は民間の保険契約、二つ目は、今回の適用となりました政府補償契約、そして三つ目が、三条第一項ただし書きの免責の規定ということでありますけれども、ジェー・シー・オーのときは民間の保険契約が適用されました。

 先ほど申しましたように、今回は政府補償契約ということですけれども、三条第一項の免責に関しては今回政府内でも議論がされたかと思います。どういった議論がされたのか、お聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 梶山委員にお答えをいたします。

 やはり一番この議論の論点になりましたのが、今回の地震、津波、それによる東京電力の福島第一発電所の事故であったわけでございますから、この地震と津波がそれこそ想像を絶するようなものであったのかどうなのかということになろうかと思います。

梶山委員 事業者は免責にならないということで多分三条一項ただし書きが採用されなかったと私は思うんですけれども、現実に、異常に巨大な天災地変というのは、昨日もこの委員会の中で地震の例が例えられましたけれども、どうもぴんとこないんですね。ですから、こういった点は今後もやはり直していく必要がある。直していかなければ、逆に事業者の覚悟ができないのかなという気がいたします。

 昭和三十六年にできたときに、実際にどういう被害が起こるかということを当時の原子力産業会議に報告してもらっているんですね。当時ですから、百万キロワットの発電所は想定をしておりません。五十万キロワットの発電所を想定して、そして、今の貨幣価値じゃありません、当時の貨幣価値で最悪の場合は三兆七千億の損害が発生するという試算が出ているんですね。でも、現実には、これだけの仕組みをつくるのは事業者も国も大変だということで、実際の被害想定を反映することなく、損害保険会社や再保険市場といった払い手側の事情のみで今の制度になってしまったと言っている書物もあるわけであります。

 ですから、現実には今回も一千二百億円用意をされましたけれども、とてもとても追いつかないから今回の機構法が出てきたと思っております。

 あってはならないことですし、今後は絶対こういうことが起こらないようにしなければならないんですけれども、安全神話がそうであったように、必ず起こらないとも限らない。ですから、今回の事象、事例を参考に、しっかりと原賠法も見直すべきではないかなという気がいたしますけれども、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 今行われている議論も踏まえまして、そして将来にわたってどうすべきかということは、引き続き議論をしていきたいと思っております。

梶山委員 まずは、生活者の支援、被災者の支援ということだと思います。でも、その次の段階でこの原賠法も視野に入れていただきたいと存じます。

 それともう一つ、原子力の規制側の体制なんですけれども、原子力に賛成か反対かにかかわらず、原子力の立地地域、十三道県とそして市町村、必ず要望書で出てくるときには、保安院を経済産業省から分離独立すべきだという意見書、要望書が出てくるわけですね。私もそう思っております。私も立地地域に住んでおりますし、立地地域の意識からすると、推進と規制が同じ建屋の中にいる、一つ屋根の下に住んでいるというのは、どうもやはり、公平性の面からも、またお互いに厳しさも欠けてしまうのではないかなという気がいたします。

 ですから、私も、与党時代も経済産業大臣、通産大臣がかわるたびにこの件について質問をさせていただきましたけれども、なかなかいい答えが返ってこなかった。民主党さんのマニフェストにはそういったことが書かれておりましたけれども、後の政権ができて、経産大臣にお伺いしても、今前向きに検討するというような話でしたけれども、今回は細野大臣がそういう方針も打ち出しておりますので、これは並行して早急に見直していただければなと思っておりますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 これは私も何度も答弁を申し上げております。

 今民主党のマニフェストということでお話ございましたけれども、正式に言いますと、マニフェストに一緒についております政策集の中でございますが、ここにはっきりと書かれてございます。

 これは、二〇〇七年のIAEAの勧告にもそういうことが盛り込まれておりますから、私も経済産業省の中で口を酸っぱくして保安院の独立はすべきだということを言っておりますので、あとはタイミングを見てということでございますから、これはしかし、余り遅くなってはいけません。鉄は熱いうちに打てでございますから、片一方で今の東京電力福島第一発電所の炉の収束の進展を見ながら、私どもだけじゃありませんで、今ほかの省庁に行っているところも集めてこなければいけないと思いますから、それぞれ関係のある大臣が協力をして、一刻も早く、そして適切なタイミングでこれを行うつもりでございます。

梶山委員 ただ分離すればいいということではなくて、海外の組織、事例を参考にするとともに、原子力安全委員会、原子力委員会にどういった機能を持たせていくのか、お互いにどういう関係でいくのかということまで含めて、またさらには、できるだけ立地道県、さらに市町村の意見を聞いていただきたいんですね。

 私も、与党時代もそうですけれども、野党になっても原子力推進の立場で活動をしてまいりました。ですから、今回の事故というのは非常に心を痛めておりますし、自戒の念を持ちながら、政府の足らざるところ、及ばざるところをお手伝いできまいかという思いで取り組んでいるところであります。

 その中で自分が反省しているのは、今の保安院、もっと強く与党時代も主張すべきだったということ、さらにはまた、高経年化をさらに延ばしていくということについても、我々与党時代の議論でありましたけれども、そういったことまでもう少し真剣に論じていればよかったという思いもございます。

 いずれにしましても、今の民主党政権も、我々のエネルギー政策は引き継いだ。ほかの政策は転換したものもあるかもしれませんけれども、この政策は引き継いだということですから、政府がしっかりと責任を持って、我々も進めてきた議員としてお手伝いをしていきますから、ぜひ前向きに、今回の法案も成立するような努力をともにしてまいりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、西村康稔君から関連質疑の申し出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 ありがとうございます。自民党の西村康稔でございます。

 午前中からずっと議論を聞いておりまして、きょうは賠償スキームの法律でありますけれども、やはり最初にストレステストの話を聞かないと、午前中から総理の答弁を聞いておりましたけれども、よくわかりません、総理が何を考えておられるのか、どういうふうに進めようとしておられるのか。ぜひこの点についてまずお伺いをしたいと思いますが、突然方針が変わる、突然別のことを言い出す、これが今の菅政権への不信へとなっているんだと思います。何を言い出すかわからない、予測が立たない、このことが最大の問題だというふうに思います。

 総理は、一定のめどがつけばやめられるという趣旨のことを言及されました。きのう民主党の岡田幹事長が、八月上旬に民主党の代表選をやるということを言われました。総理、いよいよやめられる覚悟をされて、その思いを岡田幹事長が代弁された、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

菅内閣総理大臣 いろいろと、思いつきで私がいろいろなことを言っているという御指摘をいただいています。

 確かに、十分な説明がなくてそういうふうに受けとめられた部分が一部あったことは、すべては否定いたしません。しかし、後ほど議論になると思いますが、ストレステストの問題についても、やはり三月十一日というものがまずあったわけです。その中で、今までの原子力行政でいいのか、今、梶山議員からもありましたが、いわゆる保安院を原子力を推進する立場の経産省の中に置いたままでいいのか、これはIAEAへの報告書にも出していたわけです。

 そういうものの中から、一つの安全性を確認する上で、保安院にだけ責任、権限を預けた今の法制のもとではありますけれども、そうでない立場の原子力安全委員会も加わった形が必要だと。これは決していわゆる短期的な思いつきで申し上げたのではなくて、三月十一日の事故発生以来、いろいろな議論なり考えの中から申し上げたことであります。

 今、岡田幹事長の発言について触れられましたが、どういう表現をされたか、私も聞いておりません。私の発言は、六月二日に民主党の代議士会で申し上げたこと、そしてそれについて私自身の記者会見で申し上げたこと、繰り返しても結構ですが、それに尽きております。

西村(康)委員 党の代表と幹事長は意思疎通を図られていないんですか。一体民主党の中はどうなっているんですか。

 我々、まさに心を一つにして、東北地方の復興、そして日本の再建をやろうとしている。余りこのことを申し上げても時間の無駄ですからもう申し上げませんが、我々、与野党立場はそれぞれありますけれども、それを超えてぜひ建設的な論戦をしていきたいと思いますので、この後、よろしくお願いをしたいと思います。

 今、三月十一日以降、ストレステスト、思いつきではなくていろいろ考えていたというお話がありました。(菅内閣総理大臣「ストレステストじゃなくて、保安院です」と呼ぶ)保安院のことを考えているというお話がありました。

 しかし、それならそれで、どのタイミングでストレステストのことを考え始めたのか、その時点でなぜ閣僚に指示をなされなかったのか、その点についてお伺いをしたいと思います。やはり思いつきで言われたのか、それとも、考えておられたけれども、まさに玄海が立ち上がるというこのタイミングを見計らって打ち出されたのか、総理のお考えをお伺いします。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたけれども、三月十一日の大事故から、もちろん、初めのうちは、本当に毎日毎日、背筋を寒くする思いの中で対応に追われてまいりました。そして、いろいろな段階を経て、IAEAに対して、閣僚会議の前に報告書を出すことになりました。六月七日にIAEAに対する報告書を政府として出したわけでありますけれども、この中で、まず第一に、原子力安全・保安院を経産省から独立させる、そして原子力安全委員会も含めて安全規制行政の見直しを進めていく、このことは報告書の中にもきちっと盛り込んでおります。

 そういう中で、再稼働の議論の中で、そこは私も大変反省をしておりますが、もっと早い段階で、保安院だけに任せるのではない、新しいルールづくりについて指示をもっと早い段階でしておけばよかったと今反省しておりますけれども、そういう形の中で、私としては、保安院だけに基準を提示させ、そしてその判断も保安院が行うという、今の法体系ではそうなっておりますが、それでは国民の安心は、あるいは納得は得られない、そう考えまして、若干おくれたところはあったかもしれませんけれども、私の方から経産大臣そして担当の細野大臣に、そういう国民的に納得が得られるルールづくり、納得が得られる判断の場を検討してほしい、こう申し上げました。

 その後、一連の経緯がありましたが、昨日、官房長官も含めた三大臣から一定の方向性を出されてまいりまして、私もそれを了承いたしました。私は、大変いい内容での検証の形が生まれた、国民の皆さんに納得いただける検証のやり方が生まれた、こう考えております。

西村(康)委員 どこがいい検証の仕組みですか。どこが仕組みがいいわけですか。総理、ストレステストとは何か、お答えをいただきたいと思います。御説明いただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、こういった問題は、まさに、どういう項目をどういうふうにいわゆるテストの対象にするかということと、どういう場においてそれが行われるかというそのことと、二つの問題があると思っております。

 つまりは、裁判官が判決を出すことは、一定の裁判官に対する信頼があって判決が社会的にも認知をされるわけであります。そういう意味では、先ほど来申し上げているように、従来の仕組みのままであれば、再開については、原子力安全・保安院の方から、こういう項目がきちんとなっているかをちゃんとしなさいという指示があって、そしてそれを判断するのも保安院で、そして経産大臣がそれを最終的に確定する、法律に基づいて。

 先ほど来申し上げていますように、私は、あれだけの大事故が起きた中では、そういうやり方は国民的な理解が得られないだろうと。細かく申し上げてもいいですけれども、今ある組織の中では一番、原子力安全の基本的な指針をつくっている安全委員会にもきちんと関与してほしい、これは、細野大臣を通して、大臣の方からも原子力安全委員会にいわば要請をいたしました。

 結果として、内容についても、つまり、どういう項目を行うかということについても、それから最終的な判断に対する確認についても、原子力安全委員会も関与していただくということになったことは大きな進歩ですし、また、事前にどういう項目をテストの対象にするかということも、当然今後、保安院に対して今原子力安全委員会の方からいろいろと質問のような形で出されておりますので、国民的な前に明らかになりますので、そういう一連のシステムが、私は、従来のシステムよりは、国民的な安心を得る上で、納得を得る上で前進した、こう思っております。

西村(康)委員 物すごく基本的なことだけお伺いします。簡潔にぜひお答えをいただきたいと思います。

 安全基準とストレステストの関係はどういう関係なんですか、総理。御説明いただけませんか。

菅内閣総理大臣 ストレステストというのは、既にヨーロッパでも行われておりますけれども、その中身については、それぞれの、ヨーロッパで行われるもの、あるいはこれから日本で行われるもの、一〇〇%何か決まっているとは承知をいたしておりません。

 今回の場合は、先ほど申し上げましたように、こうした項目を、今後、安全評価の評価項目や評価実施計画を原子力安全委員会も関与する中で策定していく、そういうことが私は大きく違っている、このように思っています。

西村(康)委員 パネルの一枚目を出していただいていいですか。

 総理はこれまで、三月三十日に、これは海江田大臣がやられた緊急安全対策、そして六月十八日にさらに、シビアアクシデント、炉心損傷のようなことがあった場合に、それでも大きな爆発が起こらないようにしよう、この安全対策も大丈夫だということで安全宣言をされた、このことについて、総理はこのように発言をされています。五月十三日には、これは浜岡をとめられた後のことだと思いますが、緊急的な安全措置もしっかり講じられたものについては、従来の方針に沿って安全性が確保されれば稼働を認めていくことになる。十八日、海江田大臣が、各原発、シビアアクシデント対策が適切にとられたと安全宣言をされました。その後総理は、私も全く同じ考えだ、すべての原発を停止するとは言っていないと。つまり、安全対策については安全基準を満たして適切に行われている、このことを総理は認められているわけです。

 総理、おわかりになっているのか、恐らくわかっておられないので私から言いますけれども、ストレステストは、安全基準は満たした上で、その上にどれだけ余裕があるか、安全基準より上にどれだけ余裕があるかという、耐性の、どこまで耐えられるか、上はどこまで行けるかというテストなんです。ですから、ヨーロッパでも同じ考えです。安全基準は満たす、当然これは再稼働していくべきだと海江田大臣は言われた、これまで努力をしてこられたとおりだと思います。その上で、さらに上はどこまで耐えられるかという耐性テスト、ストレステストをやる、これは我々も理解ができます。

 そして、総理は盛んに保安院はだめだと。私も保安院はだめだと思います。今回、海江田大臣は一生懸命やっておられます、やっておられますけれども、結果として、人数も全然足らず、本省から二百人以上応援を得て、やっとのことでやっている。しかも、もう多くは申し上げませんが、原子力を推進してきた組織と人事も一体的になされている。そんなことで原子力の監視ができるわけがない、そのとおりだと思います。

 しかし、総理、この五月の段階、六月の段階で、安全委員会、ちゃんとチェックしたのか。総理は安全委員会、安全委員会と言われますけれども、総理は安全委員会に指示を出されたんですか、確認をされたんですか、お伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますように、私が今申し上げたようなことについて、いろいろと指示が十分な早い段階でできなかったことについて、いろいろ関係者に御迷惑をかけたことについては申しわけない、こう思っております。

 その上で申し上げますと、現在の法体系は、余り細かく申し上げても恐縮ですが、例えば原子力災害法、原災法の本部長という立場では、これは地域的な原子力災害の問題に対しての権限でありまして、この問題ではほとんどのことを私は原子力安全委員会に助言を求めて、対応の決定に当たってまいりました。しかし、今回のような災害地域以外の問題では、そういう仕組みには原災法の本部長という立場ではなっていなくて、そして、先ほど来申し上げましたように、従来の法律では原子力安全委員会も関与をしていなかったわけであります。

 私は、ある段階で、原子力安全委員会の関与について事務方も含めてお聞きしましたら、いや、法律上そうなっていないというお答えでありましたので、いや、法律上そうなっていなくても、それではなかなか理解が得られぬのではないかということも申し上げ、そういう中から、関係閣僚に、原子力安全委員会も関与する形の新しいルールづくり、新しい判断の場を設けてほしいということを指示いたしました。

西村(康)委員 明確に答えていただけないようですので、恐らく指示をされていない、確認をされていないんだと思います。その根拠もお示しをしたいと思います。三枚目のパネルを出していただければと思います。

 六月十八日に海江田大臣が、シビアアクシデント対策、安全基準は大丈夫だと安全宣言をされました。しかし、そのとき、安全委員会はこういう議事をやっているんです。班目委員長の議事録が残っております。六月十八日のシビアアクシデント対策についてですけれども、「水素爆発の防止だとか通信手段の高台への移設だとか、」中略しますけれども、「これについては、今後、継続的に確認していくということでございますね」と。

 総理、先ほど来申し上げていますが、まず安全基準を満たしているかどうかという判断があって、その上で、それを満たしている上で、そこから先どこまで耐えられるかというストレステストがあるわけです。ストレステストを安全委員会に関与させてやる、これはいいでしょう。しかし、まずは安全基準を満たしているかどうかの判断を安全委員会にただすのが総理の仕事じゃないですか。

 安全委員長、班目委員長、この段階で幾つか課題を残しながら、保安院に、経産省に対して、なぜこうしたことを早くやるようにという指示を出さないんですか。班目委員長の見解をお伺いしたいと思います。

班目参考人 安全委員会の役割は、原子力安全の確保のための規制に関する基本的な方針を示すことにございます。したがいまして、指針類等を定めているわけでございます。

 しかしながら、運転管理段階に入った炉については、安全委員会としては直接的な関与は法的にはできないことになってございます。しかしながら、安全委員会設置法の二十五条には報告徴取をかけられるというので、それを使って、今回ストレステストに関しても指導的な役割を果たそうと考えているという次第です。

西村(康)委員 ストレステストについてはいいんです。これはもちろん安全委員会の知見も使ってやってもらったらいいです。安全基準を満たしている、そこから上どれだけ耐えられるか、これも大事なテストだと思います。しかし、まずは、安全基準を満たしているかどうかのところでこれだけまだ課題があるわけでしょう。それをほったらかしてストレステストとは、どういうことですか、これは。

 海江田大臣、班目委員長のこの発言、つまり、安全委員会ではまだ課題があると言っておきながら安全宣言を出されたわけです。もちろん、中長期的な課題もあるでしょう、今すぐできないこともあるでしょう。しかし、これは総理のさっきの答弁とも関連しますけれども、ストレステストという、基準より上のことを先にやるんじゃなくて、まずは安全基準について、安全委員会ともしっかり連携をとって、安全委員会の知見も使って、満たしていることを確認していくこと、これがまず最低限の条件じゃないですか。海江田大臣、いかがですか。

海江田国務大臣 私も、安全基準とそれからストレステストの関係は今委員が御指摘のあったものだと考えております。ですから、当初は、まず安全基準をクリアして、そして稼働をさせて、そして稼働していく中でストレステストをかけてということ、これはヨーロッパなどでもそういうやり方をしておりますから、そういうものだと思っておりました。

 しかし、もちろん今は、昨日、三大臣で会合をしまして、そして、より一層の安全のためにこのストレステストをまず一次、これは現在定検で停止中のものについてはかける、その方がより多くの皆様方の信頼を得られる、安心を得られるということでございますので、私は、そういうふうにやることが政府の方針だというふうに感じております。

西村(康)委員 総理、もう一回、この安全基準について安全委員会の意見を求めること、これを先にやることの方が大事じゃないですか。ストレステストは、安全基準を満たした、それ以上、上の話です。それをまず指示を出すのが総理の仕事じゃないですか。

菅内閣総理大臣 私の理解では、原子力安全委員会は設置についての安全基準というものを持っておられますけれども、今、班目委員長も言われましたように、再開についての基準というものを原子力安全委員会自体が持っておられるというふうには伺っておりません。

 ですから、今委員長が言われたように、設置法の二十五条を用いて、この七月の六日に原子力保安院に対して、原子力保安院がどういうことを検査するのか、しようとされたのかということをお問いになっていると聞いておりますので、そういう中で、今御指摘のあった、今後の再開にも一つの参考になる、どういうことをチェックするかということがその原子力安全委員会と保安院の間の検討で具体化してくる、このように理解しております。

西村(康)委員 運転の再開の可否について安全委員会は権限がないと言われましたが、総理は、ストレステストで、まさに安全委員会にその妥当性を判断する権限を与えたわけでしょう。総理、安全基準があって、その上のストレステストですよ。したがって、安全基準についても、安全委員会にそういうことをチェックしろという指示を出すのが当然じゃないですか。上のストレステストのところだけ、再開の可否だけ安全委員会に妥当性を、その権限を与えて、そもそもの安全基準については安全委員会は関係ないと。保安院だけではだめだとおっしゃっているんですから、安全委員会にそこもしっかり関与させることが大事じゃないですか。

 将来的には組織を変えていくということでしょうけれども、安全委員会をもっと使う、なぜストレステストだけ、総理はそれだけ強調されるんですか。まずは安全基準ですよ。その部分、ちょっと誤解があるんじゃないか、わかっておられないんじゃないかと思いますので、総理、お答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 昨日、三大臣、そして最終的には総理も入っていただきまして、そして決めましたこの現在の問題の解決方法でありますが、これはまず、原子力安全委員会の要求、これは七月の六日にちょうだいをいたしました。先ほど班目委員長がお話があったとおりでございますが、この七月六日の安全委員会の要求を受けて、以下のような手順でその安全評価を行うということでございます。

 これらの安全評価においては、現行法令では関与が求められていない原子力安全委員会による確認のもと、評価の項目でありますとか評価の実施計画を作成し、これに従って事業者が評価を行う、その結果について、原子力安全・保安院が確認をし、さらに原子力安全委員会がその妥当性を確認するということになっておりますから、ここで、その意味では安全に対する基準、安全基準、そしてその評価というものが行われるものと考えております。

西村(康)委員 ちょっと質問の仕方を変えます。

 総理は、安全基準とストレステストの関係もよくわかっておられないんじゃないかと朝からの質問を聞いて思いまして、先ほど私申し上げたわけですけれども。

 総理は、まさに、質問を聞いていただいて、質問をかえますから。総理、総理は、まさに玄海の原発が立ち上がろうとする直前にこのストレステストを持ち出されました。総理は、まさに玄海をとめようとして、立ち上がるのをとめようとして言われたんじゃないですか。総理は、原発をすべてとめよう、そういう思いを持っておられるんじゃないですか。その点を確認したいと思います。

菅内閣総理大臣 先ほどの御質問の中で、何か私が原子力委員会にそういう権限を与えたのではないかという趣旨のお話がありましたが、原子力安全委員会というのは極めて高い独立性を持った組織でありまして、もちろん法改正等があれば別として、私の立場でこういう権限を与えるとか与えないということはできる形になっておりません。先ほども、本部長としては助言をいただくという形で、原災法の、特別措置法に基づく本部長を務めてきたところであります。

 今、玄海原発について、何か私がすべての原発をとめようとしてやったのではないかという趣旨の御質問をいただきましたけれども、そういった、何か先入観でもってやったということは全くありません。

 先ほど来申し上げていますように、従来の、事故がない時代の一つのルールであれば、それはこれまでのように保安院が一定の、特に今回の場合は、もうちょっとこうした方がいい、ああした方がいいという緊急的なことも提起して、そしてそれをチェックするのも、もちろん、事業者からの報告を受けてチェックをするのも、保安院がチェックをしているわけです。そして、最終的には保安院の上司に当たる経産大臣が最終判断をする形になっているわけですが、そういう形では、私は、これだけの事故があった後では国民的な理解を得られない。

 ですから、もっと、国民的に見て、こういう基準で、専門家のだれが見ても適切なる一つの項目があって、それをまた適切なる人たちが、必要なのであればいろいろと見たりして判断をして、そしてその結果を踏まえて、最終的には、先ほど申し上げましたように、今回は経産大臣を含む、あるいは細野大臣を含む、私も含んだ、官房長官も含んだところで最終判断はしようと。

 しかし、法律的たてつけは、現在でも原子炉等規制法なり電気事業法に基づく経産大臣の権限になっているわけですが、しかし、こういう事態でありますので、四者で話をしまして、最終的には、そういう専門家の皆さんの十分なる知見をいただいた上で四者で最終的に判断しよう、そういうことにいたしました。

西村(康)委員 原発をすべてとめるつもりではないという御発言をいただきましたので、日本経済あるいは電力の安定供給という視点からは少し安心をするわけですけれども。

 先ほど来お話に出ていますとおり、保安院も、安全委員会も十分に今回その機能を果たしていない。先ほどのパネルのように、まるで人ごとのように、これから先まだ課題がありますねというところでとめている。あの段階で、もっとこれとこれとこれをやるべきだという助言を本来総理にすべきだと私は思いますが、そういう意味で、保安院も安全委員会も十分にその機能を果たしていない。

 その意味で、今後、安全規制の体制を考えられるという、午前中からの質疑の中で、そういう答弁もありました。私もそういう方向で見直していくべきだと思いますが、もう一点、私は、世界に開かれた規制体制、例えばIAEAの力をかりる。これは今、残念ながら、保安院も安全委員会も、そして今の政権も政府も信頼を失っている中で、大変情けない話ではありますけれども、外の力もかりる、外の知見もかりる、そうしたことも必要かというふうに思います。

 ストレステストはヨーロッパのやり方を参考にしておられますが、ヨーロッパは、動かしながら、いろいろなシミュレーション、コンピューター上で解析をしながら、どこまで耐えられるかということを点検していっているわけであります。安全基準を満たしたものは動かす、そして、その上で、さらにどこまで耐えられるか、そのテストをしていくということだと思いますので、そういう方針でぜひやっていただきたいと思います。

 まずは、開かれた規制体制、IAEA、こんな力もかりながら進めていく、このことについての総理の見解をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 IAEAとも密接に連絡をとっていくということは、そのとおりでございます。

西村(康)委員 総理、ぜひ。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、IAEAで、日本の福島原発の問題を中心にした閣僚会議が行われました。もちろん、経産大臣に出席をいただきました。また、その前に、政府として、IAEAに報告書も提出をいたしました。できるだけ、ありのままといいましょうか、そういう形で、細野、当時は総理大臣補佐官でありましたが、そのもとで、その報告書をつくって、できるだけありのまま伝えたつもりであります。

 そして、今回のことについても、IAEA、ヨーロッパでは、国を超えてお互いに検証するということもされているようであります。日本の場合、すぐに国を超えてというところまで行けるかどうかは別として、IAEAの貴重な知見、従来から、いろいろな指摘をいただきながら、必ずしもそれを実行してこなかったという日本の国としての原子力行政の反省も踏まえて、ぜひともIAEAのそうした知見を十分生かさせていただきたい、こう思っております。

西村(康)委員 この問題ももっと議論したいんですけれども、きょうは賠償スキームの審議でありますので、賠償スキームの議論に入りたいと思います。

 先般、予算委員会で、先輩の塩崎委員が、この資料、同じ資料を今回使わせていただいておりますけれども、「負担・責任の順位」というものであります。

 今回、福島第一、大きな事故で、今ある原賠法、原子力賠償法のスキームでいきますと、原子力事業者、東電が責任を負うということ、国の一千二百億を超えては無過失、無限責任ということでありますが、それをどういう形で負担を負うのかということでありますけれども、先般、総理は、塩崎委員のこの順位表を見ながら、考え方は同じだということをおっしゃられておりました。まず、最初はやはり東電が、東電の経営者、リストラ、徹底的にここから財源を出していくことが大事だと思います。

 既に、東電リストラ調査委員会、東京電力に関する経営・財務調査委員会が開かれておりますけれども、これは閣議決定のみで法的根拠はありません。今後、この賠償スキーム、我々、どのような形で対案を出すのか、修正をするのか、これから党内の意見をまとめたいと思いますけれども、いずれにしても、何らかの形で東電に賠償を払ってもらうための支援のスキームをつくっていかなきゃいけない。そのときに、東電が、まず持ち得るもの、離せるものは全部離す、リストラを徹底的にやる、そこでその財源を出していく。当然のことでありますけれども、法的根拠がない調査委員会では、今後いろんな形で支援をする、例えば資本注入しようにも、それはできないわけであります。

 その意味で、まずこの調査委員会をしっかりと法律上位置づけることが大事だと思いますけれども、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 今まだこの機構の法律は成立をしておりませんが、しかし、既に第三者の調査の委員会が設置をされまして、これがいわば一歩手前のと申しますか、資産の中身あるいは今の経営の状況などについて、これはそれぞれの法律の専門家あるいは会計の専門家を選んでございますので、こういう方々が既に調査を始めているところでございまして、いよいよこれからこの法律が成立をしまして、正式に国からの資金が行く、あるいは国からの交付国債があって、そしてこの東京電力に資金が行くというところでしっかりとした組織になっていくということでございます。

西村(康)委員 ちょっとわかりにくいんですが、予備的な事前の調査ということでは理解ができますが、改めて法律上しっかりと位置づけて、そして手当てをして、徹底的なリストラをやった上で国のお金、国民の皆さんの税金が入っていく、そういう理解でよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 もちろんそういう形になりますが、ただ、今東京電力に対して種々の法律に基づく指示ができるのは経産大臣ということになっておりますから、その調査会からこういう形で指示を出してもらいたいという要請があれば、私どもでそれを受けてしっかりと東京電力に対してそういう措置を命じていく、あるいは指示をしていく、こういう形になろうかと思います。

西村(康)委員 余り細かいことばかり議論してもしようがないんですが、予備的な調査、予備的な段階だというふうに理解してよろしいですか、それだけお答えいただければ。

海江田国務大臣 そういう形で御理解いただいて結構でございます。

西村(康)委員 続いて、株主あるいは債権者の責任についてお伺いをしたいと思います。

 午前中の答弁で、こうした株主の責任も求めるということを海江田大臣は答弁をされたと思います。国の税金を入れる以上、その前にやはりステークホルダーの方々に責任をとってもらわないと、一般の国民の税金を入れる、これは理屈が通らない。したがって、例えば電気料金の値上げを認める、あるいは税金を投入する、そういうことが確定をする前に、こうした方々の責任を問う。それを問わない限り、なかなか、なかなかというか、国民の税金あるいは電気料金値上げは認められない、こういうことだと思いますけれども、この点について経産大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 一般負担金とは別の特別負担金、これは東京電力が負担をするわけでございますが、これは、いわゆる電気料金の値上げにしない、コストにしないということで、東京電力側もそういう意向がございますし、私どももそういうつもりでございますので、この時点でやはりまず徹底したリストラ策をしっかりとチェックをしなければいけないというふうに思っております。

西村(康)委員 もう一方の一般負担金についてであります。

 五番目のパネルにかえていただいて、政府から提出、提案をされている今回の法律のスキームがあります。これによりますと、東電がいわゆる特別負担金という形で今回の事故の賠償に当たる、そのための交付国債、国から援助を受けたものについて一定の負担をしていく。

 しかし、他方、右下にあります他の電力会社、これは東電も含まれていると思いますが、一般負担金、今後事故があったときには相互扶助、あるいは保険的なものとして事故があったときに備えとして負担金を払うというふうに理解をすればわかりやすいんですが、これまでの説明によりますと、この他社の、他の電力会社の負担金も今回の賠償に充てるという、いわゆる奉加帳方式、護送船団方式で他の電力会社にまで負担を求める。

 しかも、この金額が幾らになるのか、あるいはそれが何年間、賠償はまだしばらく続きますから、確定するまでに時間がかかりますから、他の電力会社にとってみれば、それが何年間、どれだけの負担になるかわからない。これが他の電力会社の資金調達を困難にしている、社債の発行もできない、こういう状況になっているんだと思います。

 私たちは、この他社の負担と東電の負担は分けるべきだ、つまり、今回の事故の処理のための勘定と、今後事故が起こったときに備えての各社の負担、備えとは分けるべきだというふうに考えておりますが、この負担金の性格についてぜひお伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 私どもは、今度のこのスキームをまさに相互扶助のスキームと位置づけております。その意味におきまして、この一般負担金も、まさにお互い融通し合う、お互い助け合うということで、こういう形ですべての原子力発電を行っている電気事業者に対してこの一般負担金をお願いをしたところでございます。

 そして今、委員から御意見のございました、勘定を区別すべきではないだろうかということで、まさに将来の、あってはならないことではありますけれども、万々が一こうした事故が起きたときの備えの部分と、今既に起きてしまったこの東京電力の福島第一発電所の勘定を分けるべきではないだろうかというお話がございましたけれども、この勘定を分けると、そこに大きな債務が立ってまいります。これはまだ金額ははっきりしておりませんが、恐らく何兆円という大きな債務が立ちますので、この債務に対して、やはり東京電力がその債務を負わなければいけないということになりまして、これは会計上債務超過のおそれもあるわけでございますから、そういう選択肢はとれないということでございます。

西村(康)委員 我が党内には、今まさに大臣がおっしゃったような、債務超過の状況がもし明らかだとすれば法的整理をすべきだという意見も根強くあります。

 しかし、他方、今第一にやるべきは、やはり被害を受けられた被災者の方々にしっかりと賠償をしていく。そういう観点からすると、東電にできるだけ頑張ってもらって、リストラをしつつ、かつ賠償をしてもらうというのが、私はそれが基本だと思っております。

 しかし、他方、そのことに集中するがゆえに、そのことをやるがゆえに、他社、他の電力会社まで資金調達ができなくなって、まさにストレステストに対しての安全投資もこれからやらなきゃいけない、あるいは総理が熱心に言われている新エネルギーに対して、再生可能エネルギーに対しての投資もこれからやっていかなきゃいけない、買うときの系統対策もある、その資金調達が非常に困難になってきている。この状態は避けないと、今後全電力会社がそうした投資ができなくなってしまうという状況になるわけであります。

 私はぜひ、ここは勘定を分けて、ただ、国の支援も入れながら東電に頑張っていただく、当面賠償を一生懸命やってもらう、このスキームを、ぜひ知恵を出したいと思いますので、海江田大臣、今後またいろいろ現場で協議をさせていただきたいと思いますので、そういう方針で臨みたいと思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 御意見は拝聴いたしました。

西村(康)委員 もう一点、他社の負担金の、電気料金で負担を求めるかどうかでありますけれども、これも変な話で、東電の今回の福島第一の事故について、関西電力なり九州電力なり、他社の、他の地域の、東京と関係ないところの方々の電気料金で負担をして、それで今回の被害の賠償に充てる、全く関係のない方々、一般の地域の方々の負担によってする、それよりもやはり株主やステークホルダーの方々の責任を問うのが先じゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、電気料金を上げさせることはあるのかないのか、認めることがあるのかないのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 委員先ほどお示しになりました「負担・責任の順位」でございますが、まさに問題になりますのは、債権者と書いてございます一般債権者それから賠償権者、それから先ほどありました社債権者という、この優先の度合い、優先の順番あるいは劣後の順番と申しますか、そこがやはり大変大きな問題であるということは御理解をいただけるだろうと思います。

 その上で、今、一般負担金については、電気料金が上がることがあるという御指摘がありましたが、それはまさに委員の先ほどの御質問とつながる話でございまして、やはり各電力の事業者が今回の負担金を負担することによって、新たな資金の調達でありますとか新たな設備投資でありますとか、そういうものに支障を来してはいけないということで、私どもは、先ほどお話をしましたけれども、特別負担金については、これはまさにリストラでやってもらう、電気料金に転嫁をすることはまかりならぬということを決めましたけれども、こちらについては、その意味では、まさにそうした電力会社のそれぞれの将来展望も含めた資金の調達を円滑にやってもらうために電気料金もやむなしということでございます。

 ただ、そこは、電気料金を上げるときは私どものところでしっかりとチェックをいたします。やはりそれなりのリストラもやっていただかなければいけません。それなりの冗費も節約をしていただかなきゃいけませんので、実際にそうした電気料金の値上げの申請が来たところでしっかりとチェックをさせていただく、こういうことでございます。

西村(康)委員 私も、他社、他の電力会社が将来の事故に備えて一定の負担をしていく、お互いにカバーし合う、一社では全部耐え切れない負担をし合う、そのための負担金については、これは当然、万が一のときに備えての保険のようなものですから、これは一般の方々への電気料金に転嫁されることがあってもしかるべきだと。もちろん、大臣おっしゃったように、徹底的なコストダウンをやっていただいた上ですから、上げるかどうかの判断はありますけれども、ここは当然、電気料金転嫁はしかるべきだと思いますが、今回のこのスキームでいきますと、東電の賠償にまでそれが充てられるとすると、何年間、幾ら続くのかわからない、ここが資金調達の困難さにつながっていると思いますので、ここは我々、ぜひ知恵を出したいと思いますし、ぜひ協議をしていきたいと思います。

 あわせて、先ほど来、原賠法、もとの原子力賠償法の話が出ておりますので、七番のパネルを出していただきますと、ここにあります三条ただし書きというものですね。これはまず三条の本則で、事故があったときは原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずるということで、東電が責めに任ずる、責任を負うと。しかし、ここにあります、損害が異常に巨大な天災地変等々によって生じたものであるときは、この限りではない。つまり免責をされるということであります。

 きょうは法制局長官、お越しをいただいておりますので、これをどう解釈しているのか、どんな場合に認められるのか。総理はかつて答弁の中で隕石ということも言われましたけれども、ぜひ法制局長官にお伺いをしたいと思います。これはどういう場合を想定しているのか、そしてそういう事態をだれがどういう手続で認定するのか。法制上どういうものなのか、長官にお答えをいただきたいと思います。

梶田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねになりました原子力損害賠償に関する法律第三条一項ただし書きの「異常に巨大な天災地変」につきまして、一般的な解釈として私の立場から申し上げたいと思いますが、これは昭和三十六年のこの法案提出時の国会の審議におきまして、人類の予想していないような大きなものであり、全く想像を絶するような事態であるなどという説明がされておりまして、これは、原子力損害につきまして、一義的に原子力事業者が責任を負うべきである、こういう趣旨の規定であるというふうに私は理解しております。

 それで、だれがどのように判断するのかということでございますが、これは一般論として申し上げたいと思いますけれども、政府におきまして、個別の法令の施行、これは御承知のとおり基本的には各省が所管しておるところでございまして、この原子力損害が、原子力損害の賠償に関する法律、今申し上げた三条一項のただし書きに該当するかどうかという判断につきましても、これは政府部内におきましては、一義的にはこの法律を所管いたします文部科学省におきまして判断されるべきことというふうに考えておるところでございます。

西村(康)委員 長官、続いて、その場合に、この十七条、一番下の条文があるんですけれども、三条第一項ただし書きの場合、途中省略をしますが、この場合には、政府は、被災者の救助、被害の拡大の防止のための必要な措置を講ずるということだけ書いてあって、事業者は免責をされるけれども、国が賠償の責めを負うとは書いていないんですね。つまり、三条ただし書きを適用したとき、一体だれがこの賠償の責めを負うのか、負わないのか。この点について見解をお伺いしたいと思います。

梶田政府参考人 お答えします。

 今御説明いたしました三条一項ただし書きの規定につきまして、このただし書きに該当する場合には、この原子力損害の賠償に関する法律の規定によります損害賠償責任を負う者は存在しないということになるというふうに理解しております。

 ただ、この場合につきましては、この法律の十七条でございますが、「政府は、第三条第一項ただし書の場合」、途中省略いたしますが、「場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。」こういう規定がございます。これに基づいて必要な措置がなされるというのがこの法律の考え方であろうというふうに考えております。

西村(康)委員 つまり、この条項を、我々も当初、この条項を適用することもあるんじゃないかということも考えておりましたし、場合によってはこの条項を適用すべきじゃないかという裁判が起こるかもしれない。しかしながら、この条項を適用すると、だれも、まあ国はもちろん救助はやるにしても、賠償の責めを負わないわけですから、だれも賠償の責任をとらないということであって、現実的には使えない条文なんだと思うんですね。仮に原子力事業者に過失があったとしても、その分を、これは一般法で不法行為で請求をしていくことになるのかもしれませんけれども、この条文はなかなか使いにくい。つまり、何らかの一定の見直しが必要ではないかと。

 さらに言いますと、一千二百億の国の補償分を超えては、これは十六条ですけれども、まさに賠償措置額、これが一千二百億、これを超えては、原子力事業者が無限の無過失責任を負うということになっておりまして、今回、何らかの形で、将来の事故に備えての保険のスキーム、相互扶助のスキームが、将来に備えてですよ、できるとしても、それも金額を何兆円もということは、なかなか事業者に負担をさせることは難しいと思います。

 そういう意味では、この原子力賠償法自体、何らかの上限を入れること、そうしたことも含めて一定の見直しをやっていかないと、民間事業者が原子力事業をやっていくということは非常に難しい、リスクの高い事業だということになると思いますので、この見直しをぜひ今後やっていく必要があると思いますし、そのことを場合によっては附則なり条文で明記することが必要じゃないかと思うんですが、総理、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 西村委員にお答えをいたします。

 この原賠法の見直しでございますが、政府としては、まず事態の早期の収束が何よりでございますが、今御審議をお願いしておりますいわゆる支援機構法、これは補完的な大事な法案でございますが、この提出した法案の附則に、原子力損害の賠償の実施の状況、あるいは原子力損害による政府の援助のあり方、こういったことについて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる必要があると考えております。

 国会においても、午前中からもこの議論がございました。これまでも、法成立以降、十年ごとに改定がされておりますけれども、それはまた主に措置限度額の引き上げであります。私たちとしては、新しい事実に照らし合わせて、しっかりした検討をしていきたいと思っております。

西村(康)委員 私の持ち時間が来ましたので、最後に総理にお伺いをして終わりたいと思いますけれども、今のそもそもの原子力賠償法の見直し。民間事業者がやるには大変リスクが高い事業である。総理も、全部とめるわけではない、再稼働を一定の基準を満たせば認めていくというお考えも先ほど示されました。

 その意味で、将来、原子力事業をどうするか、これは別途の議論。新規立地は難しいですし、縮小していくことも当然考え得ると思いますけれども、しかしながら、当面、原子力に頼らざるを得ない部分がありますので、そういう意味では、この規定の見直しもやらなきゃいけない。そしてさらに、将来、民間事業者にリスクが高いという意味で、場合によっては別会社、原子力だけを別会社にして進めていくようなことも含めて、さまざまなあり方を検討していくべきだと思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、基本的には、今の西村議員の考え方には方向性としては同感であります。

 つまり、附則の六条も含めて、原賠法そのものがこういう大きな事故に対して対応できるかという、まずはやらなきゃいけないことを今回はいろいろ支援法でお願いしているわけですが、そういう原賠法の改正ということも議論しなければなりません。その場合には、場合によっては、原子力事故というもののリスクの大きさを考えますと、民間企業という形がそれを担い得るのか、これは各国の例を見ても必ずしもそうではないところもあります。そういったことも含めた議論が必要になるという御指摘は、私もそのとおりだと思っております。

西村(康)委員 さらに引き続き審議を深めて、我々としての対案を近々まとめてまた協議をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 この際、谷公一君から関連質疑の申し出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、限られた時間でございますので、リーダーの資質の問題、あるいは生活再建、まちづくりの問題、それらに絞ってお尋ねをしたいと思います。

 海江田大臣、お疲れのことと本当に同情申し上げます。前の復興担当大臣は、放言によって辞任されました。総理大臣の了解のもとに地元説得に奔走した海江田さんに突然の方針変更ということで、結局、そうなると、だれが傷つくかということは、もちろん当の大臣はそうではありますけれども、本格的な復興への歩みを期待した東北などの被災地、また国を信じた玄海原発の地元は泣くに泣けないと私は思います。

 海江田大臣、きのうの民主党の階議員への質疑の中で、信頼を失ったと大臣は述べられました。なぜ信頼を失ったのですか。何が原因で信頼を失ったと海江田大臣は考えておられるのか、お尋ねします。

海江田国務大臣 谷委員にお答えをいたします。

 私が現地へ参りまして、現地の玄海町長、あるいは、その後、佐賀の古川知事でございますが、この御両名に私がお話をしたことが事実でないということでございますので、その後の展開によって事実でなくなりましたので、その意味では、私の言ったことは、私自身が信頼を失ったということになろうかと思います。

谷委員 今の大臣のお話ですと、自分がやったことが事実でなくなった。それは、いわば方針を変更したからそうなったわけですね。大臣が適切に行動しなかったからというのではなくて、方針変更したから信頼を失った、そういう理解でよろしいですか。

海江田国務大臣 ただ、私も、その時点でそうなるものと思っておりましたからそういう発言をしたわけでございますが、今にして思えば、私自身、もっと深くいろいろなことに思いをいたして、そして行動をするべきではなかったかというふうに思います。

谷委員 海江田大臣は大変遠慮されていると思います。そういう、方針が突如変更されるような方が上司にいて、その方はリーダーとしてふさわしいとお考えですか。海江田大臣にお尋ねします。

海江田国務大臣 私は、どちらかというと、野末陳平さんという方に学校を出てすぐお仕えしたわけで、あの方は老子、荘子の研究者でございましたので、私は老荘の思想の持ち主でございますので、老子はリーダー論として、あえて天下の先とならず、ゆえによく成器の長とならんですか、そういう言葉を残しております。私は、リーダー論としては、その言葉をいつも拳々服膺しているところでございます。

谷委員 これ以上は申しません。海江田大臣の気持ちを思うと、もうこれ以上はよします。

 震災の後の今の国民の感情を一番よくあらわしている短歌として、先日、あるジャーナリストから次の歌を教えていただきました。長谷川櫂という詩人の、「かかるときかかる首相をいただきてかかる目に遭ふ日本の不幸」。週末に、その長谷川櫂さんの「震災歌集」という歌集を買いました。これ以外に、もちろん、「かりそめに死者二万人などといふなかれ親あり子ありはらからあるを」と、本当にじんとくる詩も歌われております。

 そういうふうに歌われた菅総理、御感想があればお願いします。

菅内閣総理大臣 私も、いろいろな方からいろいろな御意見や、またこういう歌であったり川柳であったり、いろいろな言葉をいただいております。すべては、ある意味、私の不十分さや不徳のいたすところだと一方では考えております。

 しかし、私自身は、常に申し上げているのは、私個人が何をしたかというのではなくて、この三月十一日から、内閣として、政府として、何が実行され、何が進んでいるかということを私なりに見てまいりました。

 確かに、被災者の皆さんからすればまだまだ不十分な点はもちろんありますし、私もそういうお声もたくさんいただきました。しかし一方では、発災当初の自衛隊を初めとする大きな活躍、さらには今日に至る、これも不十分なところはありますけれども、いわゆる仮設住宅や瓦れきの処理等々、いろいろな形でそれぞれの、内閣のメンバーも、各自治体のメンバーも、そして与野党を超えた国会議員のメンバーも全力を挙げておられるし、そして原発事故についても、私もまさに、同時に起きたわけでありますが、発災から最初の一週間というのは、今思い出しても背筋が寒くなるようなそういう思いをいたして、その場に当たってまいりました。

 そういった意味で、いろいろと言われることは、それは私の不徳のいたすところでありますけれども、私としては、その場に総理大臣という立場でいた者としては、果たすべき責任はきちっと果たさなければならない、そういう思いでこの間全力を挙げてまいってきたところであります。

谷委員 川柳とこの歌を一緒にしないでください。

 この「震災歌集」を買って驚いたことがあります。これは三月十一日からの十二日間につくられた作品なんです。十二日間の世の中の動きを見ながら、本人の言によれば、「荒々しいリズムで短歌が次々に湧きあがってきた」。被災者の思い、被災者の心を思う思いがこの歌の中に込められているんです。そのことだけ指摘させていただきたいと思います。すぐれた詩人というのは政治家の力量というのをたちどころに見破ったと私は理解しております。

 復興担当大臣にお尋ねします。

 かかる内閣ではありますけれども、我々野党は今まで、国税の特例法であるとか地方税の特例法、財政支援の特例法あるいは一次補正、復興基本法、そういう国会での法案審議は迅速に全面的に協力してやってきたつもりでありますけれども、新たに任命された担当大臣に認識をお尋ねいたします。

平野国務大臣 自民党さんあるいは公明党さんから、復興復旧に向けてさまざまな御提案もいただいております。その御提案の中から、私どもは、ぜひともこれは実行しなくちゃならないというものについては、例えば二次補正に組み込んだり、あるいは三次補正をこれから編成するに当たってもそれらを参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 これまでの国会審議、さまざまございましたけれども、この震災に関しては、おおむね与党も野党もなく国会での審議は進んでいるのではないか、今後もこのような形が堅持されることをぜひお願いしたいというふうに思います。

谷委員 大臣、しっかりそれは我々も全面的に協力しながら頑張りますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。

 菅総理は今、さまざまな復旧復興、被災者支援が着実になされているかのようなあれがございました。しかし、整理をしてみました。これは私が整理したものであります。

 一番上を見ていただきたいと思います。震災義援金、先日まで二千九百四十七億、三千億近く集まっています。しかし、手元に配分されたのは六百億弱、約二〇%にすぎません。

 被災者生活再建支援金、これは二次補正計上額まで計上しておりますから、全体で四千四百億。そのうち幾ら支払われたか。ちょっとデータがやや古いので低くなっているかもわかりませんが、高くなっていても六%、七%だと思います。いずれにしても、一けたしか払っていないんです。

 また、仮設住宅、着実に大畠大臣は頑張っておられます。それは私買います。今まで何度も何度も質問しました。しかし、この後でもまた問題にしますけれども、現実にどれだけの方が入居しているか、見てください。計画戸数の半分も入居していないんですよ、いまだもって。これで、また後でお尋ねしますけれども、菅総理が前に断言して、必ずやると何度も明言された、希望者の方全員にお盆までに入居させる、希望者全員にですよ、お盆という期限、入居させるですよ。完成させるじゃないんですよ、菅総理が言ったのは。

 そして、瓦れき処理。江田大臣が新たになりましたけれども、瓦れき処理、これは処理率が三四%というのは、厳密に言うとこれは処理率ではないんです、御存じのように。瓦れきの処理というのは、最終処分場まで持っていって処理が終わる。しかし、この三四%というのは、仮置き場まで持っていっている率がわずか三分の一だということであります。

 こういう現状を私なりに、さまざまなデータから事務所の責任でつくったパネルがこれであります。

 さて、いっぱい聞きたいことがありますけれども、一つ一つ絞って聞きます。

 義援金。細川大臣、これはもうこのままにしておくと、こんなに遅いと、私が聞いている限りでは、義援金しよう、被災者のために何とかしようという気持ちがなえてしまうと。だって、今しても手元に行かないんだもの。もう四カ月ですよ。

 今回の苦い教訓を踏まえて、配分のあり方、地方自治体なりマスコミなどが入る配分委員会で決めるという現在のやり方も含めて、ぜひ今後また考えて知恵を出してほしいと思いますが、ちょっとそのことをお尋ねします。今後の、ぜひ検討していただきたいという要望です。

細川国務大臣 義援金につきましては、現在、三千億近い義援金が集まっておりますけれども、まず、第一次の配分といたしまして、被災県に送金されましたお金は九百九億円でございまして、これが市町村には八百二十六億円送金されまして、今、被災者のお手元に届いているのは、七五%は被災者の皆さんのところに届いております。

 そして……(谷委員「七五」と呼ぶ)七五%は第一次配分の七五%。

 そして、今、第二次配分につきましては、約千四百六十四億円が被災都道府県に送金をされておりまして、そのうち、市町村にはその約八割の千百七十一億円が送金をされまして、順次これは被災者に配付されるものだというふうに思っております。

 これまで、御心配をいただきましたように、いろいろと遅くなっているということについては私どもも大変心配をいたしておりましたけれども、一次配分が大体順調に行くようになりまして、八割近くも来ておりますので、したがって、二次の配分につきましても、既に市町村の方に回っておりますから、これは一次配分と大体同じような配分が被災者のところに届くようにいたしておりますので、順次届いていくものだというふうに思います。(谷委員「いや、配分のあり方の今後の見直しについてはどうなのか」と呼ぶ)はい。

 なお、おくれておりますことについては、私が日赤本社へも行きますし、そしてまた、職員を現地に派遣して、なぜおくれているかということも検討いたしまして、これはスムーズにいくようにいたしております。

 また、被災の県につきまして、配分方法などにつきましても、検討委員会でいろいろと検討もしていただいておりまして、そこは工夫もしていただいている県もございます。

 しっかりと被災者のもとに早く届くように、私も、督励もまた進めていきたい、このように考えております。

谷委員 いろいろ反省点もあるかと思います。御存じのように、一次配分から全壊、半壊で差をつけました。スタートが極めておくれているにもかかわらず、私個人としては、そういう配分方法はいかがなものかなと。阪神・淡路大震災のときは、一月十七日でしたけれども、二月一日、二週間後に一律十万円でやったんです。全壊も半壊も亡くなられた方も、みんなそれでやったんです。だから早かった。そのことを、そういう教訓も踏まえて、またぜひ検討をしていただきたいと思います。被災者が泣きます、これ。また後の仮設住宅の問題にもこの問題は絡んできます。

 瓦れき処理について、江田大臣にお尋ねしたいと思います。

 いまだもって低い。特に、個別の市町でいうと、安住国対委員長の石巻などは惨たんたるものです。

 さて、それで我々は、自民、公明、そしてみんなの党、たちあがれは、今月の一日に、瓦れき処理法案、きょう委員でもある小里さんを中心にして、私も提出者として、七月一日に出しました。

 それを待っていたかのように、一週間後に政府も出しました。簡単な法律です。一日でできるような法律です。そして、中身は、要は国が代行するということだけです。補助負担率の充実も何もない。

 さらに私がびっくりしましたのは、その事務を環境省の現地事務所に委任することができる、事務をさせる。仙台にある事務所でしょう。三十人、違いますか。大臣、そんなところにこんな膨大な瓦れき処理のことを、国直轄事業だということで、できると本当にお思いですか。

 瓦れきを見たことありますか、大臣。あんなものをわずか三十人の職員が……(発言する者あり)職員がやるんですよ、これ。職員が現地を見て、実際には業者にやらせるんですよ。プロの職員が見てやらなければ処理はできないんですよ、これは。常識ですよ。どうお思いですか。

江田国務大臣 瓦れきを見たことがあるかというお尋ねでございます。

 私は、まだ法務大臣当時でありましたが、四月の初めに気仙沼へ行きまして……(谷委員「いや、それはよろしいですよ。要は、そういう実態を見て」と呼ぶ)見たことがありますかと今お尋ねになったので答えているんですが、よろしいですか、それは。(谷委員「はい、結構です」と呼ぶ)見に行ったことはございます。

 その上で、確かに、七月十二日の仮置き場への搬出の進捗状況で見ますと、三八%という数字ではございます。しかし、まず、とりあえず、住民が現に生活している場の近くから瓦れきを仮置き場に取り除かなきゃいけない、そうでないといろいろなことが進まないということで、私ども、五月に当面の取組方針というものを出しました。それに基づいて各市町村は一生懸命やってくれていると思っておりまして、既に、沿岸市町村の数でいって、約四割の市町村は仮置き場への搬出を完了しております。今後、七月末までには六割の市町村で、さらに八月末までにはほぼすべての市町村で仮置き場への搬入は完了すると。

 それで、それがどういう実際の事態になっておるか。生活の近傍、近くで、まだごみがあるのではないか、ハエが飛んでくる、においが来る、そういうことがあるのではないか。その状況は市町村が最もよく把握をしているんですが、しかし、それだけでは足りないというので、私ども環境省の現地の事務所、これは仙台にもありますし、各県にもそれぞれ現地のセンターがございますので、そこに今委員おっしゃった職員を配置して、これが巡回をしてずっと見て回る、そして状況をちゃんと把握する。さらにその上で、仮置き場からさらにもっと本格的なごみの処理場へ運んでいく。

 そのためには、やはり各市町村だけではだめなので、国が代行し、環境省が音頭をとって、そして、広域の市町村の連合であるとか、あるいは民間への委託、再委託も含め、そういうことですべての資源を総動員してこの瓦れきの処理に当たろうとしているところでありまして、私どもが出しました今度の法案は、そういうまさにコアのところを出しているわけでありますから、私どもは全力でこの瓦れきの処理に当たりたいと思っております。

谷委員 大臣の熱意はわかりましたけれども、現実の実態から見ては、もっと現場を見てほしいと思います。瓦れきをずっと見てください。歩いてください。

 実際、国直轄というのは、単に指揮すればいいというのじゃないんです。国の直轄事業というのは、道路でも河川でもそうですけれども、職員が設計をして、またはさせて、それを見抜く能力があって、あの瓦れきを見ただけで、どれぐらいの量があって、どういう手順でやればいいかということを国みずからやるということなんです。それを環境省の地方機関だけで事務ができるかのような今の政府の案というのはいかがなものでしょうかという問題提起だけさせていただきます。

 いずれにしても、我が党も、野党も提案していますから、どちらにせよ、できれば全会一致で、早くすり合わせをした方がいいと思いますので、そのことだけを御指摘させていただきたいと思います。

 次のパネル、お願いをいたします。

 仮設住宅、今までは、とにかく急ぐということで、完成ばかり着目をしてきた感があるかと思います。当初、建設予定戸数は、東北三県だけで七万二千と言われていました。そのうち五万台に移り、現在は、今回質問するということで改めて調べたんですけれども、建設予定が五万を切っている。それで、完成戸数は、大畠大臣も大変頑張られて、予定よりおくれていますけれども、まあまあ伸びてはいる。お盆までにそもそも完成するのか、入居じゃなくて完成ですよ、完成するのかというのもやや厳しいというのが正直なところではないかと思います。

 ただ、それにしても、この入居戸数と完成戸数との差、これは気になります。

 こういう大震災のときは、神戸のときでもそうでしたけれども、ミスマッチがあって、完成したからすぐいっぱいになるかというと、そう甘くはありません。入居のときでも、数十倍の抽せん。神戸のときは専ら抽せんでしたから。それでも、いざとなったらなかなか入ってくれない、不便だとか、あるいは近くに商業施設がない、環境がいま一つだとかいうことで。

 それにしてもひどいですよ、やはりこういう状態は。どうされますか。これはどなたになるんですか。建設は大畠大臣ですが、入居の問題も国土交通大臣ですか、それとも復興担当大臣ですか。生活復興で、全体的にトータルでやられているんでしょう、この問題。どうぞ。

平野国務大臣 入居の手続がおくれているということは、そこにあらわれている数字のとおりだと思います。

 背景にありますのは、市町村のやらなければならない仕事というのがもう本当にたくさんあるということであります。今までの通常業務に加えて今度の震災への対応、その震災への対応も、こういった仮設住宅の入居の手続だけではなくて、先ほどお話のあった義援金の支払い、あるいは生活支援金の支払い、さまざまな問い合わせに対する対応、それから復興に向けた計画づくり。だからこそ、これは片山総務大臣が先頭になりまして、自治体間の連携によって各自治体から職員を派遣する、あるいは国の職員がみずから行って仕事の手続もする、環境省の職員は、瓦れきの処理に当たっては設計書の作業まで自分でつくって市町村にお伝えをしている、そういう体制をとりながらやっております。

 これからまだまだ市町村あるいは県の仕事もふえてまいります。こういうところの体制づくりをどうするかということについては、今まで以上に市町村間の連携を深めると同時に、国も積極的に関与して、もっともっとこれを強い力で支援していくということが大事ではないかということだと思っております。

 引き続き、各省の所管大臣にもお願いしながら、特に片山大臣には常々ずっとお願いをしてきておりますけれども、自治体の連携等々をきちっと深めて、体制をしっかり構築していきたいというふうに思っております。

谷委員 早く言えば、市町村の行政機能ががたがただ。それはもうずっと前から指摘しているんです。これがいろいろ、義援金に響く、生活再建支援金の支払いにも響く、それから、きょうはお話ししませんでしたけれども、弔慰金の支払いにも響いています。また、そういうことが、手元に金がないから仮設住宅に入るのをちゅうちょする。仮設住宅は家賃だけはただですが、食事が提供されるわけではないから。ですから、悪い方、悪い方に行っている。

 そういう意味で、もうきょうは市町村の体制強化のお話はしませんけれども、片山総務大臣が来られていますし、今まで以上にぜひとも力を入れてやっていただかないと。もう言葉で言うよりも、実行です、人手です、要は現場での。それをお願いしたいと思います。

 さて、平野大臣、政府はしっかり避難者の実態をつかんでほしい、とにかくそれをお願いしておきます。

 このデータは、内閣府の、毎日、新聞で出ている避難者です。これを見た方はどう思うかというと、ああ、今の地震で避難されている方が、これは、いわゆる避難所、仮設住宅、旅館、ホテル、知人宅、すべてです、九万九千。おお、十万人を切ったのか、十万人かと思われるでしょう。実はこれは、小さい文字で書いていますけれども、米印の二番、岩手、宮城、福島の被災三県は、公営、仮設住宅や病院など、未集計のために含まない。要は、大きなものが抜けているんです。

 それで戸数だけはわかります。五万二千三百八十六戸、こう公表しているんです。ですから、一戸が例えば二人世帯であれば、この倍。実は、避難されている方は、対外的に九万九千と言っていますけれども、その倍以上はあるということなんです。そういう基礎的な、一体何人避難しているかということが、四カ月もたった現在、いまだ政府もつかんでいない。余りに情けないと思います。こういう基礎的なデータがないと、施策の進めようがないんじゃないですか。

 これは一体どなたになるんですか。どの大臣に尋ねたらよろしいんですか、この問題は。平野大臣ですか。

平野国務大臣 これは今まで、被災者生活支援チーム、この事務局長は私でございましたけれども、被災者生活支援チームが警察庁等々のデータをもとにして把握してきた数字でございます。

谷委員 平野大臣、あなたは勉強不足ですよ。警察庁じゃないんです。避難者は内閣府が発表しているんです。私はちゃんともらっていますよ。

 問題は、内閣府のこの数字というのは、肝心の東北三県が、すべてではないですけれども、一番下の、公営、仮設住宅や病院などの人数から抜けているんです。そのことが問題ですよと。だって、菅総理は、前に、仮設住宅の希望者全員入居とあわせて、お盆までには避難所を解消すると言ったんですよ。そもそも、避難所がどれぐらいあって、避難所以外に旅館、ホテルにどれぐらいいて、あるいは、既に完成した仮設住宅に何人が入っているという基礎的なデータもつかんでいないんじゃないですか。そのことを言っているわけです。

 平野大臣、まず基礎的なデータをしっかりつかんで、正しい情報を対外的に言っておかないと。今の避難者は十万人は切っていないんですよ。そのことだけを指摘させていただきます。

 次に、津波防災の問題、パネルの五番目をお願いいたします。

 津波対策法がやっと成立しました。自民、公明両党が、私も提出者の一人でございましたが、昨年の六月十一日に出しましたが、九カ月間無視されて、ほっておかれました。何にも審議もされていませんでした。いわゆるつるしという状態でございましたけれども、さすがに三月十一日のあの大災害があってから、やっと協議にのっていただいて、私も協議の当事者の一人として、いろいろありましたけれども、しかし、全会一致でこの津波法案が成立したことは大変喜ばしいことだと思っています。ただ、残念ながら、この法律がこの大震災の前に成立していれば、少なからぬ方が助かったのではないか、そういう思いをいたしているところであります。

 さて、この法律が成立して、私もいろいろな情報を見たりあるいはお聞きしたりすると、大畠大臣の国土交通省の方で、この制定を受けて、津波防災のための新たな法案というのをこの秋を目指して検討している、やはり新たな仕組みをつくらないとだめだというふうにお聞きしておりますが、それは津波対策法の制定を受けての取り組みなのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

大畠国務大臣 谷議員の御質問にお答えを申し上げます。

 ただいまの御質問でありますが、確かに、私どもが今検討しておりますのは、平成二十二年六月の十一日に自由民主党と公明党さんが衆議院に提出されました津波対策の推進に関する法律案というものをベースに、ことしの六月十七日に、各党が合意をして、津波対策の推進に関する法律案というものが成立をいたしました。この法律案は、いわゆる津波対策に関する基本法あるいは理念法としての性格を持った法律と考えておりまして、この法律を踏まえて、実際に対策をするための法律案というものを今検討しているということでございます。

谷委員 今、大畠大臣がおっしゃいましたように、津波対策法は、いわば基本法、理念法です。津波という名称のつく、我が国で初めての恒久的な法律だと思います。その基本法を受けて今法制化の作業を進めているということでありますけれども、その中身を確認させていただきたいと思います。

 今までは、いろいろ私もヒアリングしたところ、防波堤とか防潮堤、そこで津波を防ぐという、一線防御というんですか、そういうことから、もう少しハード、ソフト面も含めた多重の防御へ転換するんだ。あるいは、土地利用も、現行の法律は、この津波対策法にありますように、建築基準法とか、一律に規制しますので、その辺を実情に応じて、例えば水産加工であれば港の近くになければだめですし、そのための、津波の危険があるけれども、やはり商業上必要なものも可能なような土地利用規制、そういったことを盛り込む、そういったことも含めた法案だというふうにお聞きしておりますけれども、それで間違いございませんか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいまの御質問でございますが、私どもが今検討しておりますのは、津波防災まちづくり法案という、仮称でございますが、このような名称の法律案を検討しているところであります。

 この骨格というのは、今お示しをいただいております津波対策の推進に関する法律の第十一条のところでございまして、内容的には、一線防御から多重防御への転換を掲げ、河川あるいは海岸等々、さまざまな構造物による対策はもちろん、避難が着実に行われるための対策や、土地利用、建築構造の規制など、ハード、ソフト両面での施策を総動員させた対策を講ずることを意図しているところであります。

 また、御指摘を賜りましたが、土地利用規制等については、市街地や土地利用の現状、地域の再生、活性化の方向性を含めたまちづくりの方針など、現在各地域で検討を進めていただいておりますが、多様な地域の実態に適合し、津波対策とまちづくりを一体的に進められるような制度となるよう検討を進めているところでございます。

 いずれにしても、多くの被災されたあるいは地域の自治体からさまざまな御提言をいただいておりまして、そういうものを踏まえて、国においても早期にそのような基本的な考え方を提示するよう要請されておりますので、今後、津波対策の推進に関する法律の規定を十分踏まえて、法律の内容を定めてまいりたいと考えているところであります。

谷委員 ありがとうございます。

 難産の末成立した津波対策法が、このようにそれぞれの各省の施策で具現化されるということで、提出者として大変うれしく思いますので、またいろいろ注文も言わせていただくかもわかりませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、消防団のことで片山大臣にお尋ねしたいと思います。

 全国の消防団員も、かつては二百万人いましたけれども、今百万人を切り八十八万人だと思います。全国で一番多いのは兵庫県であります、我が県であります。

 そして、今度の震災、津波で痛ましいのは、たしか亡くなられた方、行方不明者、消防団員の方は二百四十九名だったと思います。十六年前、私が経験しました神戸では、わずか一人です。しかも、その日ではなくて、神戸の東灘の消防団員が、毎日朝から晩まで救助で出ていって、数日後に、うちで、疲れたと言って横になって亡くなられました。震災関連死として認められて、その方だけでした。今回は二百四十九人です。

 そして、その場合は、賞じゅつ金であるとか、地方公務員の基金ももちろん国の制度ですから出ます。

 ただ、消防団員の九九%は、年間三千円の、日本消防協会の消防団員共済制度というのにほとんど入っているんです、九九%。しかし、これは国の制度ではありません。今まで毎年、消防団がそういう亡くなっていたのは、七人か八人でした。今回は二百四十九人、約二百五十人です。

 それで、日本消防協会は、このままでは、本来二千八百万円ぐらいを払わなければならないのを一千二百万円というふうに、やむを得ず減額を決めました、支払わなきゃならないですから。

 しかし、私としては、本当に涙が出ますわね、消防団の方の。先ほども同じ委員である小野寺先生とか秋葉先生ともお話をしていましたけれども、それはいろいろなところで、マイクなり津波避難ということで流しながら、車で動きながら、広報しながら津波で流されたとか、水門をあけるために津波にのみ込まれたとか、あるいは火事を消すために犠牲になられたとか、そういう非常勤の、それで生活の糧を得ているわけではないわけですから、そういう方にしっかりとした助成制度をやはりすべきではないかと私は思います。

 片山大臣、私が言うまでもなく、ただでさえ消防団員の減少に困っているんです、現場では。しかし、いざというときに本当に力になるのは消防団員以外ありません。消防職員、警察職員は知れているんです、こういういざというときに。そのためにも、やはり……

黄川田委員長 大事な質問でありますけれども、持ち時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

谷委員 済みません。ぜひ助成をお願いしたいと思います。答弁は簡単で結構です。

黄川田委員長 総務大臣片山善博君。簡潔明瞭にお願いします。

片山国務大臣 消防団員の皆さんの本当に一身を顧みない勇敢な行為に敬意を表したいと思いますし、そのことで犠牲になられた方に本当にお悔やみを申し上げたいと思います。

 今おっしゃったとおりでありまして、とおりでありましてといいますのは、国の制度としては公務災害補償があります。これは予算措置をちゃんとしております。それから賞じゅつ金があります。これもきちんとお支払いをする。これはもう国の責務であります。それに上乗せという意味で日本消防協会が独自に任意の制度を設けておられまして、これが財政的に立ち行かなくなるということで万やむを得なく減額をされたということで、もうこれを財団法人の正式の理事会で決定されているわけで、大変残念でありますけれども、私はそれは今回はやむを得ない措置だと思います。

 一方、今後の問題として、もう少し消防団員の皆さんの処遇をよくする、例えば報酬を上げるとか出動手当を上げるとか、そういうことは私は必要だろうと思います。そういうことを通じてこの任意の保険の掛金もふやすことができる。そうすれば、今回のようなことはある程度防げるのではないかというようなことを考えておりますので、そんな観点から、日本消防協会とも今後の問題については相談してみたいと思います。

谷委員 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて高市君、梶山君、西村君、谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 私、今、党の原発災害対策本部長を務めておりますけれども、その私の原点になっておりますのが、やはり被災者の皆様をお訪ねして、避難をされているところにお伺いをし、お一人お一人から本当に悲惨な実態、また声をお聞きしたことでございます。

 総理も、五月四日、二十キロ圏内にすっぽり入ります双葉町の被災者の皆さんが避難をされている埼玉県の加須市の騎西高校を訪れられております。そのときは四時間にわたって被災者の方から声を聞かれております。同行した方からお話を聞きましたけれども、お一人お一人の手を握りながら本当に真剣に被災者の声を聞かれていた、こういうふうに聞いております。

 これから原子力災害賠償スキームを議論するに当たって、私は私自身のそういう体験を原点にしておりますが、私は、総理もぜひそういう体験を原点にしていただきたい、こう思っておりますけれども、加須市に行かれたときは二回目だったかと思いますけれども、その思い、何を感じられたか、またその後の原子力災害対策にそのことがどのように生きているのか、総理のお考えをお聞かせ願えればと思います。

菅内閣総理大臣 今お話がありましたように、双葉町から役所ごと埼玉の加須市に移転されておりまして、地元の上田知事そして市長にずっとおつき合いをいただいて、部屋数がたくさんありましたので、全部の部屋ということで、相当の時間、それぞれの方とお話をいたしました。

 今でも覚えておりますのは、一つはもちろん、いつになったら戻れるんだというまさに悲痛なお声と同時に、実は自分の主人は東電あるいはその下請で、今も仕事に行っているんだ、中には東電で勤めていると言うと何か白い目で見るような雰囲気もあって、しかし、自分たちは心配でも、やはり主人には元気で行ってきてくださいと送り出しているんだ、そういう立場の人間もいることをぜひわかってほしいという、その声が耳に本当に残っております。

 つまり、一人一人の方、住んでいる方も大変ですし、また、住んでいて、かつ、そういう事故処理に当たっている方、本当に命がけで頑張っていただいているということを改めてその場でも感じたところであります。

 この原子力事故については、もう話をすれば本当にいろいろな側面がありますけれども、まずは何としても収束を図っていく。ステップ1がほぼ予定どおりに進んでおりますけれども、最終的な形に向けて収束を図っていく。そして、その上で、あるいはその途中から、除染などに力を入れて、できるだけ多くの方がもとの生活地域に戻ることができるようにしていく。こういうことが、まず住んでおられる方に対して、政府として、あるいは関係者としてやらなければならないことだ、このように考えておりまして、その場で会った皆さんのことを思いながら、その点にまず第一の力を、全力を挙げてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 私もお話を伺いますと、必ずおっしゃるのが、必ず家に帰りたい、できるだけ早く、必ず、しかし家に帰りたい、このようにおっしゃいます。そして、そういう希望を持ち続けていただくためにも、この原子力賠償、これはまさに国が前面に出て積極的に行う必要があると私どもは考えております。

 ある意味で、今回審議が始まりましたこの原子力賠償スキーム、機構法案、これが本体だとしますと、やはり、公明党、自民党、野党五党で出しました、今参議院で審議をされております仮払い促進法、我々は被災者救済促進法、このように呼んでおりますけれども、この二つが両輪となって前進しなきゃいけないということを感じております。

 この賠償スキームでは、最終的には紛争審査会がその賠償の境目と金額を決めるわけですけれども、現実にはその境目をつくるのが非常に難しい。いろいろな場合がございます。我々が出しました仮払い促進法、被災者救済法は、県に基金を設けまして、県の判断で、これは確かに損害賠償というカテゴリーには入らないけれどもどうしても救済されるべきだというものについてはその基金で救済されるという仕組みも入っておりまして、国が全面に責任を持つという姿勢でございます。

 この法案についても早期に成立をさせたい、そのことが今この暑い中で必死で頑張っておられる被災者の皆様に希望を与えることになる、このように考えますが、総理、この仮払い法案についても、与党として、また政府として協力していくということを御答弁ください。

菅内閣総理大臣 現在、参議院の方で、御党を含めた提案の仮払い法案が議論されていると承知をしております。

 今お話しのように、今回提起をしているこの支援機構の法案とある意味では相まって、最もいい形で被災者の皆さんにそうした救済が一日も早く届くような、そういう形になるように、我が党としても、仮払い法案についても、どのような形がとれればそういう形になるのか、真摯に話し合いに応じていきたい、このように思っております。

斉藤(鉄)委員 よろしくお願いします。

 それではまず、この議論の初めに、これからのエネルギー政策、原子力政策という大きな方向性を議論することが非常に重要だと思います。(パネルを示す)

 日本学術会議というのは、学者さんの集まりですけれども、学者の国会と言われております。この日本学術会議が、「電力供給源に係る六つのシナリオ」という検討を進めております。中間報告でかなりの検討結果も出てきております。

 この六つのシナリオ、一番から六番までございます。一番は、原発を直ちに停止、当面は火力で代替する、こういうオプションから、六番目は、これは、これまでの政府の長期エネルギー政策と言っていいかと思います、閣議決定された内容ですけれども、原発を将来における中心的な低炭素エネルギーにというもの。

 そして、その間に四つございまして、現在、電力の三〇%が原子力によりますけれども、これを五年で再生可能エネルギーと省エネで代替していく、それから、二十年かけて再生可能エネルギーに代替していく、三十年かけて寿命の原発を順次停止し再生可能エネルギーで代替していく、そして五番目が、現状の原子力比率約三〇%を維持する、そして再生可能エネルギーの拡大も図っていく。この六つのシナリオを学術会議が提示をいたしました。

 中間報告では、それぞれこういう問題点がある、例えば経済にこれだけの影響を与えるとか、国民負担がこれだけあるとか、電力料金がこれだけになるとか、いろいろなことが書かれておりますけれども、総理は、現在のエネルギー政策、これを抜本的に見直す、このようにおっしゃっています。

 つまり、六番が現在の政策ですけれども、これを抜本的に見直すということは、六番はなしとして、一番から五番まで、これからどういうエネルギーの道を日本が歩むのか、これを検討していきたいということだと思いますが、総理は、この六つないしは五つのオプションの中で、どういうイメージをお持ちになっておられるでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、先日の日曜日のNHK討論で各党の皆さんの御意見を聞いていて、斉藤議員の御意見もテレビで聞かせていただきました。かなり多くの党が脱原発といった方向を強く示唆される発言をされておりまして、私としても、そういう方向性が多くの党で強まっているということを、その議論を通して感じたところであります。

 私個人というよりも、内閣として、あるいは党として、これからのエネルギー政策について本格的に議論を始めております。

 まず、基本的には、今も御指摘がありましたように、一年前ですか、まだこの原発事故の前に決めましたエネルギー基本計画を白紙から見直す、その中では、再生可能エネルギーそして省エネルギーを大きな柱としていくということについては、既に内閣としても、また国際会議でも方向として提起をいたしました。その中で、二〇二〇年代初頭に再生可能エネルギーを二〇%に持っていこう、従来二〇三〇年の目標を十年前倒しをしていこう、そういうことも提案いたしました。

 基本的には、一から六まで、どれとストレートに申し上げるのはきょうの段階では控えたいと思いますが、原子力発電については、それに対する依存度を引き下げていく。これは引き下げるという言い方でもありますし、逆に、下がっていくだろうという見通しも含めて、現在は、将来五三%までふやすことを目指しておりましたけれども、それは難しいし、選択すべき方向ではない。そういう意味で、原発への依存度を下げていくという方向が必要だと思っております。

 しかし同時に、そのことによって日本の産業や生活に致命的なダメージを与えるようなことになってはもちろんいけませんので、それに向かってどういう形でエネルギーを供給していくのか。これを、例えば現在、化石燃料は、CO2の問題ではできるだけ抑制した方がいいわけでありますけれども、しかし、原子力に対する依存度を下げるあるプロセスの中では、化石燃料、特に天然ガスなどについて若干比率を高めることも必要になる可能性が高いのではないか。その中で、長期的には、再生エネルギー、現在は水力を除けば一%前後でありますけれども、これについて、再生可能エネルギーの促進法の成立もぜひお願いをして、この拡大を強めていく。

 同時に、省エネというものが当面最も最大のエネルギー政策とも言えるわけでありますし、特にピーク時の電力を下げるには国民的な理解があることが必要でありますが、大きな可能性があると思っております。

 そういった意味で、過大な原子力依存から脱却していく、そういう方向の中で新たなエネルギーのミックスを考えてまいりたい、こういう基本的な考え方に立って進めてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 エネルギーを所掌されている経産大臣としての海江田さんは、端的に、どのようにお考えですか。

海江田国務大臣 総理と同じでございます。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、この一番から六番までの中の、今の総理のお考えは二番か三番か四番かというようなことではないかと思います。

 そこで、私たち公明党も原子力を過渡的エネルギーと位置づけておりまして、依存を減らしていくという方向性であるわけですけれども、では、その過渡的期間がどのぐらいになるのかというところで非常に今議論をしているところでございますけれども、それを考える要素ですけれども、いろいろありますけれども、この三つに集約されるのではないかと思います。

 一つは、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、安定供給、これは国民生活と経済を、また日本の国際競争力を落とさないような形で、安定供給を図りながらいかなきゃいけない。それから、ちょっと三番目に飛びますけれども、原子力も今後使っていくわけですので、原子力のさらなる安全性向上、これもやらなくてはいけない。これはこれまでもこの委員会でも議論されてきたところでございます。

 しかし、きょうは、非常に大きな制約条件ですが、余り議論されてきませんでしたCO2削減国際約束、これは二〇一二年までに九〇年比でマイナス六%、それから二〇二〇年にマイナス二五%、そして二〇五〇年には先進国の義務としてマイナス八〇%、これは国際約束になっております。これを同時にどう達成させていくか。実は、計算しますと、これに大変大きなコストがかかるということもわかってきております。

 きょうは、環境大臣に来ていただいております。

 まず、二〇一二年のマイナス六%ですけれども、これから福島第一、第二、そして浜岡、女川、東通、東海第二、これらの原子力発電所は今被災をしてとまったままでおりますが、これらが動かない、すべて火力代替した場合、九〇年比で何%アップに相当するか、また、それはCO2排出量はどの程度になるのか、お答えください。

江田国務大臣 今の幾つかの仮定を前提にして計算をした結果を示せ、こういう御質問かと思いますが、現実には、こういう計算というのはなかなか定量的にしっかり出すというのは難しいものではございますが、その難しいという前提の上であえてお答えをいたしますと、福島第一、第二、女川、東通、そして浜岡、東海第二、合計十八基の原子力発電所が発電をすると想定していた電力量、これは数字で出ます。これを火力発電で代替した場合、これも数字で出ます。

 その場合のCO2排出量について機械的に計算を行ったということでございますが、二〇一二年断面で計算しますと、およそ六千万トンから七千万トンCO2排出量が増加をする。基準年比ということでいいますと、約五から六%の増加ということになる。こういう数字になります。

斉藤(鉄)委員 同時に、それにプラスして、今定期点検に入っている原子力発電所がすべて立ち上がらない、二〇一二年ですから来年の話です、ずっと立ち上がらないとした場合、どうなりますか。

江田国務大臣 もう繰り返す必要はないかと思いますが、あくまでも機械的な計算をした場合ということでございますが、これは、二〇一二年断面で、およそ一・八から二・一億トンのCO2増、基準年比で約一五から一六%ということになる。今の計算は、全五十四基の原子力発電所が発電すると想定していた電力量、これをすべて火力で代替した場合ということでございまして、委員の御質問とちょっと違うかと思いますけれども、そういう数字になります。

斉藤(鉄)委員 すべて動かなくなったというのは、大体来年の春までにはすべて動かなくなりますから、定期点検が終わって立ち上げないと。そうすると、二億トン近く、パーセントにすると一五%から一六%。そうしますと、このマイナス六%という約束を果たせなくなります。

 そして、その排出枠を海外から買ってくるといたしますと、大体一%が千三百万トンCO2ですので、一トン当たり十五ユーロとか二十ユーロとか、そういうふうに言われておりますけれども、一%で大体三百億円。そうしますと、先ほど一五%から一六%、本来であれば達成するものがこの程度上がったとしますと、三百億円に例えば一五%を掛けますと四千五百億円という別なコストが、これを排出枠として海外から買ってこなくてはいけない。このお金がある意味では負担として、我々は今まで余り考えていませんでしたけれども、乗っかかってくることになります。

 そのお金はだれが払うんでしょうか、環境大臣。

江田国務大臣 これはあくまでも数字上の機械的な計算ということでございますが、そういう負担に、そのままでいけばです、そのままでいけばかかることになる。それはもちろん、最終的には国民の負担ということになっていくんだろうと思いますが、ただ、私は、そういう機械的な計算だけでいいのかと。

 例えば、今国民の中に、再生可能エネルギーあるいは省エネルギー、こうしたものに対する大きな意識が高まっている状況というのがあって、みんな、きょう例えばこの委員会室も大変に暑いですが、それでも我々はこれは耐えていかなきゃならぬ、そういう思い、そういう国民の気持ちをどうやって大切にして次へつないでいくのかということがありますので、今の機械的計算はそのとおりでございますが、そこをどうやって乗り越えるかということが今重要なことだと思っております。

斉藤(鉄)委員 私の質問はそのお金はだれが払うのかということですが、電力会社が払うことになります。

 もちろん、今、江田大臣がおっしゃったことはよくわかっておりますけれども、現実問題として、必要な電力を今火力代替にしていったときにこれだけの負担がかかる。私は、実は、機械的とおっしゃいますけれども、担当者に計算方法等を聞いております。稼働率も掛けて、かなり現実に近い条件でこの計算を出しているわけでございます。

 二〇一二年、京都議定書、これから国際約束から離れますというわけにはいきません。これはもう日本は入っているわけで、この数千億円の余分な負担が電力会社にかかってくる、こういうことが、今回の機構法を議論する場合、議論されましたでしょうか、海江田担当大臣。

海江田国務大臣 斉藤委員にお答えをいたします。

 まず、今電力会社が負担をする資金というお話がございましたけれども、これは今回の法律で、損害賠償、このため安定供給ということがございまして、その安定供給のために支援措置というものを講じてございますが、残念ながら、この支援措置には当たらないものだというふうに思っておりますので、そういう支援措置に当たらないという判断をしてございます。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、電力会社はかなり大きな負担をこのことで負うことになりますけれども、私は、そのこともこれから議論の中で、これまで一切議論されてきませんでしたけれども、我々は考慮しなくてはいけないということになります。

 次に、二〇二〇年に行きたいと思います。

 二〇二〇年、これは中期目標二五%ということが国際約束になっておりますけれども、まだ、国際条約の中で決められて我々法的な義務を負っているという状況にはありません。これからも変更可能なものでございますが、民主党政権さんは二五%というのを世界に宣言されたわけでございます。

 二〇二〇年、この二五%の基礎になっておりますのは先ほどのエネルギー基本計画。そのエネルギー基本計画は、基本的に今ある五十四基がそのまま動く、そしてプラス新設予定分九基、これは約一千億キロワット時、一年間発電いたしますけれども、こういうものが入ってまいります。

 この五十四基とそれから新設予定分九基に相当する、これは九〇年比で何%分になるか、それからCO2排出量はトン数でどのぐらいになるか。環境大臣、お願いします。

江田国務大臣 委員、今計算の根拠についてもちょっとお触れになりました。確かに稼働率の問題など違ってまいりまして、二〇二〇年でいうと稼働率は八五%と想定を一応してみたいと思っておりますが、その上で計算をいたしますと、二〇二〇年、まず全五十四基の原子力発電所が二〇二〇年度に発電すると想定していた電力量、これを火力発電で代替した場合のCO2排出量について、恐縮ですが、機械的なとあえてまた言わせていただきますが、これで計算しますと、およそ二・三億トンの増、基準年比で約一九%。これに、今委員が指摘されました新たな九基というものをさらに加えなければなりません。この九基も、今のとおりの計算でいきますと六千万トンで五%増。これをオンするということになります。

斉藤(鉄)委員 現在のエネルギー基本計画、総理が白紙に戻すとおっしゃった基本計画に基づくと、原子力発電分で九〇年比二四%分のCO2、これを全部化石に代替すれば、これはちょっと仮説が極端過ぎるかもしれませんけれども、かなり大きな数です。これから二五%減らそうと言っているとき、二五%の前提が、二四%分は原子力を使うということになるわけで、化石代替でいきますと、マイナス二五%プラス二四ですからマイナス一%になって、ほとんど二酸化炭素は減らないということになってきます。これを先ほどの排出枠から買うといたしますと、一%が三百億ですから大体七千五百億円程度、一兆円に近いお金を海外にむざむざ払わなきゃいけないということになります。

 これはまだ国際約束になっていませんから、国際約束といいましょうか、義務を負う条約になっておりませんから、これをだれが払うのかということはこれから決めていくわけですけれども、今回の賠償スキームを考えるときに、こういう将来のことも考えないと大変なことになってくると思います。

 総理にまずお伺いしたいんですが、そういう状況を考えると、これから現実問題として原子力をふやしていくわけにはいかない。新設予定分九基というものがございますが、これはとても考えられない。そして、できるだけ再生可能エネルギーをふやして原子力に代替していくということを考えますと、二〇二〇年マイナス二五%というのは現実不可能なのではないか、そのことを政府としてはしっかりと考えるべきではないか。

 実は、公明党もこれまでマイナス二五%と言ってまいりました。科学に基づいて、科学が要請する値として二五%と言ってきたわけですけれども、これについては、やはり実現可能性を考えて、考え直さなくてはいけないなという議論を進めておりますが、これは政府におきましてもそのような議論が必要かと思いますが、総理、どのようにお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 斉藤議員は環境大臣も務められて、この分野では我が党に負けず、あるいは我が党以上に熱心にCO2削減をある意味主導されてきたということで、大変私はすばらしいなと思って、この間も見てまいりました。

 今、現実的に考えてというお話がありました。私は、今の議論の中でいうと、一つ大きな要素が抜けていると思っております。それは省エネルギーです。これも、もちろん簡単に数字を出すことはなかなかできません。しかし、例えば東大の小宮山元学長などは、典型的には白色電灯をLEDにかえるとか、つまりは、そういうことによって同じ明るさであっても電力量は八分の一とか、あるいはヒートポンプを使うことでクーラーの電力が三分の一とか、いろいろな形で相当程度少なくすることも可能だということも、従来から有力な意見として言われております。

 今問題提起された、確かに、二〇三〇年に電力の五三%を原子力でというこれまでのエネルギー基本計画、そしてそれに基づいてこの二五%を達成するという一つのシナリオのベースが大きく変わるわけでありますから、そういう点では、おっしゃるとおり、基本的なところに立ち戻った議論が必要だ、特にこのCO2の削減の国際約束について含めて考えるとなれば、ますますそのことがより重要になってくる、御指摘はそのとおりだと思っております。

 そういった問題も、現在、我が党あるいは我が内閣の中でも、まずはエネルギーの需給について、昨日も関係閣僚で集まりまして、先ほど申し上げたように、原子力発電への依存度を下げていく中でどのように生活にあるいは産業にとって必要なエネルギーを供給するのか、近いうちに一つの青写真を出していきたい。それに加えて、今問題提起されたこのCO2削減の目標との整合性についても、これはもう少し時間がかかるかもしれませんが、御指摘もありましたので、しっかりと議論を深めてまいりたい、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 省エネというもう一つの方法がある、それはそのとおりなんですが、基本的には、このマイナス二五%、マイナス八〇%の考慮のときに、省エネというのは実はもう入っているんです。さらなる省エネということは、それは必要ですけれども。そういう意味で、そう簡単な話ではないということだけ指摘をしておきたいと思います。

 それからもう一つ、今国民の皆さんが大変心配していることがございます。電力の安定供給ということでございます。

 もちろん、多くの国民は、あれだけ大きな環境汚染を与えたこの事故、福島の方に大きな苦しみを与えている原発事故を経験して、今後、原発に依存しないエネルギー社会を目指していかなくてはいけない、こう考えていると思います。もう一つは、これだけの事故を起こしたわけですから、原子力に対して厳しいチェックを再稼働するときは適用していかなきゃいけないと考えていることも国民は理解できると思っておりますが、同時に、やはり日本が現在の社会の福祉を保つためにも、国際競争力を保つためにも、電力の安定供給が必要だ、そういうふうに皆さん思っていらっしゃると私は思います。

 そういう中で心配なのは、総理が、点検でとまっている原子力発電所の再稼働の問題を、いわゆる安全や安定供給というある意味で技術的といいましょうか、そういう問題ではなく、政治的に利用されようとしているのではないかという不安が国民にあることも事実でございます。この不安に対して、そうではないんだということを、ぜひ払拭をしていただきたいと思います。

 私は、総理と議論していて、あくまでも安定供給、二酸化炭素排出抑制、また安全性ということからそのように行動されているとは思いますけれども、現実に国民の間にその不安が非常にある。このことについて、どうお答えになりますでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、三月十一日のあの大震災そして原子力事故までは、しっかりと安全性を確認しながら原子力発電を活用していく、そういう基本に立っておりました。しかし、あの三月十一日を経験、体験する中で、安全性というものはリスクの大きさとのバランスで当然ながら考えられなければならないと。通常の火力発電所であれば、たとえ地震でボイラー等が破壊されても、一時的な被害は出ますけれども、何十キロという範囲に人が避難をしなければならない、もっとシビアな事故になればさらなる広範囲で人が退避しなければならない、そういった事故はまず長期間にわたって起きることはあり得ないわけであります。

 そういうことを実際に経験する中で、原子力発電所の持っているリスクは、少なくとも私自身、三月十一日を経験するまでの考え方とそれ以降の考え方では、大きく考え方が率直なところ変わってまいりました。そういうことを基本として、しかし同時に、政権を担当している立場からすれば、だからといってエネルギー供給を軽視していいわけではないということも同時に強く感じてまいりました。今回の一連の経緯については、他の議員の方からもいろいろと御指摘がありましたが、私としては、国民の皆さんにとって本当に何が安全で安心かということからすべてを考えてきたつもりであります。

 今回の場合に、確かに私の指示やいろいろな提起がおくれたために、関係閣僚あるいは自治体の皆さんに大変御迷惑をおかけいたしました。しかし、基本的には、先ほども申し上げましたが、例えば六月七日の我が政府からIAEAに出した原子力事故の発生に伴っての報告書において、原子力安全・保安院を原子力推進を担っている経済産業省から独立させなければそうしたチェックが不十分になるのではないか、あるいは原子力安全委員会も含めて安全規制行政の見直しを進めていく必要がある、これは、IAEAに出したのが六月七日でありますが、もっと前の段階から、そういう指摘を受ける中で議論を進めていたところであります。

 そういった流れに沿って、今回の場合に、従来の法律でいえば、現実に一部行われたわけですが、原子力安全・保安院の方がこの水準まで緊急的な安全措置をとってくださいと言い、それがとられたかどうかを同じ保安院がチェックし、そしてその結果を踏まえて保安院が判断する。最終的には経産大臣が判断するという仕組みに現行法はなっているわけですけれども、私は、少し指摘がおくれましたけれども、それでは国民的な理解が得られないから、もう少し国民的な理解がきちっと得られるように、少なくとも原子力安全委員会というのは、設置のとき、あるいは基本的な安全指針等を打ち出している責任ある委員会でありますので、そこにもきちんと関与をしてもらって、そして原子力安全委員会と保安院、少なくともその二つの中で合意された基準でもって、一つのテストといいましょうか、審査をする。そして、それについても最終的には両者の意見を含めて出していただいて、そして最終的には、現行法では経産大臣になっておりますが、政治的には、経産大臣を含め原子力安全の担当大臣や官房長官、私で、最後の場面ではそういう専門的な知見をいただいた上で判断しようということを、昨日、一つの共通の方向として出させていただいたわけです。

 ぜひ、これをお聞きの皆さんにも、私の何か延命策であるとかいろいろなことを言われておりますけれども、私の中には少なくともそういうことで申し上げたつもりは全くありませんし、結果として、昨日の合意が得られて、そしてその方向でストレステストを含むことが行われることは、私は、大部分の国民の皆さんにとっては、より安全、安心な道筋だと御理解をいただけるものと確信をいたしております。

斉藤(鉄)委員 ちょっと質問に対して別なことをお答えになりましたけれども、ストレステストの内容に入りましたので、そちらの質問に移りますけれども、であるならば、なぜもっと早く海江田大臣にそのことをおっしゃらなかったんですか。

 海江田大臣の動静を見ますと、玄海に行く前に逐一総理にいろいろ御報告をし、これから行ってくると。また、帰ってきた後は総理への報告もある。そういうときには一切お話しにならなくて、突然、外から見ていると、思いついたとしか我々理解しようのない形で突然出された。これは間違いのない事実だと思いますが、海江田大臣、どうですか。

海江田国務大臣 事実関係で申し上げますと、行く前の日、玄海に出かけましたのが休みの土曜日でしたかね、それで、金曜日に両院の議員総会がございましたので、本来でしたら直接お目にかかってしっかりとお話をするべきでございましたけれども、あのときはたしかB型肝炎の患者の方々へのおわびのこともございましたか、それで、それが終わってから両院議員総会が始まるまでの間に総理と電話をいたしまして、そしてそこで、あした行ってきますという御報告をした次第でございます。

斉藤(鉄)委員 そのときには何の指示もなかったわけですね。

海江田国務大臣 行くなと言われれば行きません。

斉藤(鉄)委員 私が聞いているのは、ストレステストについての指示です。

海江田国務大臣 特段はございません。

斉藤(鉄)委員 これは、何度もこの委員会でも繰り返されましたからもう言いませんけれども、今回、浜岡のときもそうですが、きちんと法制度にのっとって、法のもとで例えば浜岡について中止をさせる、なぜ浜岡だけなのかということも十分説明できる形で、確かに数日かかるかもしれませんけれども、そういうこともできた。

 今回も、例えば、これまでの安全審査に加えて新しいプロセスを入れる、原子力安全委員会をかまさせる、関与させる、また、そこに新しい基準を入れるということも含めて、突然の指示ではなくて、しかるべくプロセスを経て、手続を経てそういう制度をつくるということも可能であったのに、そういうことを一切無視して突然指示が出る。そのことは、ある意味で非常に大きな、ある意味で安全そのものを壊しかねない、法によって安全を担保するということからすれば、私は看過できない今回のミスだ、このように思います。

 それから……(菅内閣総理大臣「ちょっと答弁いいですか」と呼ぶ)では、簡単に。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、この問題については、果たして保安院だけでいいのかというのは、保安院のあり方についても議論をもう既にしていたわけです。その一つの具体的な例が、六月七日にIAEAに報告した中でも保安院を経産省から切り離そうと。これは海江田大臣とも話をしておりまして、海江田大臣も基本的には賛成でありました。

 もちろん、そのこととさきのことは一〇〇%一致はしておりませんが、私の中では、基本的には、国民の皆さんが保安院だけにお任せしていいのか、やはり保安院だけでは十分でないというふうに多くの皆さんが見ておられるのではないか、あるいはまた私自身もそう見ておりましたので、そういう意味で、確かに指示がおくれたということは私のまさに不十分さでありますけれども、少なくとも、直前に思いついたというよりは、こういう保安院のあり方については既にIAEAの報告などでも共通の認識になっていた中で、保安院だけでそういうことが進んでいるということに私自身が気がついた段階で、いや、それではまずいのではないか、やはり安全委員会等も加わった形を考えてもらいたいと指示をしたわけで、指示がおくれたことについては申しわけないと思っておりますけれども、決して、何かその瞬間に思いついたということでは全くないということだけは、このIAEAの報告からも明らかだと思っております。

斉藤(鉄)委員 これは、何度お話ししても同じ答弁しか返ってきませんからもう言いませんけれども、少なくとも、海江田大臣に対してはそれらの指示が全くなかったということだけは明らかでございます。

 それで、ストレステストですけれども、私の解釈は、例がよくないかもしれませんけれども、例えば、安全審査は大学入試、合格か不合格か。もちろん入念な試験があって、合格か不合格か。ストレステストというのは、合格してきた学生に対して、この学生は何が強いか、何が弱点かということをよく調べて、最も適当な指導ができるように、それがストレステスト、こういう理解を私はしております。

 そういう意味では、安全審査とストレステストというのは全く性格の違うもの。これをある意味で一律に論ずるのはいかがなものか、しかるべき議論があってよかったのではないか、このように思います。もちろん、これまでの体制で不十分だった、そういう議論はあります。それはよくわかります。でも、であるならば、そのことをなぜもっと前からみんなで議論しなかったかということでございます。

 官房長官に来ていただきました。

 官房長官にお聞きしますが、ストレステスト、余裕度をはかるということでございます。先ほどの学生の例でいえば、この学生はどこが得意で、どこが不得意かというようなことがわかるということですけれども、では、どれだけの余裕度があればオーケーを出すということになりますか。

枝野国務大臣 技術的には、先ほど来の総理等の御答弁でも御理解いただいているかと思いますが、保安院が案をつくったものを安全委員会に確認していただく、その独立した安全委員会が確認をするというところが非常に一つのポイントでございますので、政務で、こういう基準にしますということを技術的専門家でもないところで申し上げる性格のものではないというふうに思っておりますし、また、欧州のストレステストとイコールのものをするわけではございませんけれども、まさにどこかの数字のところで一律に、余裕度が一・一ならだめで一・三ならいいとか、こういうことで一般的に欧州のストレステストが行われているわけではないと承知しておりますので、まさに安全と安心の観点から、専門家同士のやりとりの中で、しっかりとした基準をできるだけ早く具体的にお示しをしたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 もちろん、先ほど申し上げましたように、ストレステストの性格から、ある意味で基準はつくれないんです。そういう意味では、このストレステストをやって新たな基準にするということ自体が私はよく理解できないわけです。

 班目委員長は、原子力安全委員会は個々のプラントについて、個々の原子力発電所について再稼働云々ということを言う立場にない、このようにきのう発言されておりますが、矛盾しませんか。

枝野国務大臣 原子力安全委員会は助言の機関でございます。そうした意味では、原子力安全委員会に直接このストレステストの基準をつくっていただいたり、あるいはストレステストをした事業者のテストの結果を評価するということをお願いするものではございません。

 そうした意味では、保安院がつくった基準が本当にこれで一次評価として適切な基準であるのか、あるいは、それに基づいて事業者が行ったテストの結果を保安院が確認いたしますが、その確認の妥当性について評価をいただき、その結果を御助言いただくという安全委員会の助言機関としての本来の機能に基づいた仕事をしていただく、そして、その助言の結果を踏まえた評価内容をつくり、あるいは結果についての評価をする、こういうことでございますので、班目委員長が安全委員会の位置づけということを前提にそうしたことをおっしゃっていることと整合性はとれていると思っております。

斉藤(鉄)委員 総理、それでいいんでしょうか。総理は先ほど、原子力安全委員会も再稼働させるかどうかという判断に絡ませる、こういう趣旨の御発言をされましたけれども、今の枝野官房長官の発言と少し違うように思いますが、総理はどのようにお考えですか。

菅内閣総理大臣 ここに、三大臣からいただき、私が了とした文書がありまして、今のところで申し上げますと、これらの安全評価においては、現行法では関与が求められていない原子力安全委員会による確認のもと、評価項目、評価実施計画を作成し、これに沿って事業者が評価を行う、その結果について、原子力安全・保安院、さらに原子力安全委員会が確認する、こういうふうになっております。こういったことで私は了承いたしました。

斉藤(鉄)委員 ですから、原子力安全委員会は関係するんじゃないですか。ただの助言だけじゃないです。

 あと五分しかありませんので次に参りますけれども、今回のこの賠償スキームの議論の中で、我が党の議論の中でも一つ出てきたんですけれども、原子力については、これを全国水平に一本化する、国有会社がいいのか特殊会社がいいのかわかりませんけれども。そうして、これから原子力の比率が少なくなってくるにせよ、人材は確保しなくてはいけない、そして技術も保たなくてはいけない。そういう意味では、原子力国有会社もしくは特殊会社の考え方もあるのではないかという議論も出ました。

 また、東電についても、そういう原子力部門を切り離して、グッドカンパニーとバッドカンパニーに分けて、ある意味では、原子力も含めると三つに分かれるのかもしれません。そういう形にして、安定供給を図りながら賠償を進めていくという議論もございました。

 ちょっと二つまとめて質問させてもらいましたけれども、政府で法案を審議されるときに、こういう議論はあったんでしょうか。もしあったとして、どういう理由で今回のような形になったのか質問します。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘のような、この原子力発電事業の実施体制についてもいろいろな議論がありました。しかし、今委員御指摘になりました人材の問題などは、これはどういう形になっても大切だということ、それから、今回のこの機構の法案では、これはこの原子力の実施体制だけではありませんが、いろいろな発送電の問題につきましてもそういう議論が出てきて、そして方向性が得られた時点で、そういう体制を妨げることのないような配慮はしてございます。

斉藤(鉄)委員 どうも、そういう根本的な議論がなされていないような気がいたします。

 そういう意味では、これからの原子力の体制をどうしていくのか、また既成の体系をどうしていくのかということをじっくり議論して、ある意味で、事故が一段落したところでこれからの原子力体制を議論し、最終的にこの賠償スキームについても見直していく、原子力賠償法についてもこれを見直していくということが必要になってくるのではないか。これは、今回のこの法案の修正する一つの大きなポイントではないかということが一つと、それから、やはり国の責任が本当に不明確になっているということを申し上げたいと思います。

 住民の皆さんに避難命令を出したのは国でございます。また、国策として原子力を進めてきたのも国でございます。そういう意味で、国の責任をもっと明確にするということも今後の議論の中で重要になってくるのではないか、このように思います。

 総理、先日の本会議で、公明党に対して、与党時代のことも忘れて我々だけ非難して、その方が恥の文化に反する、このようにおっしゃいましたけれども、あのとき質問者は原子力政策について言ったのではありません。そのことだけはその同僚議員の名誉のために言っておきます。我々公明党も与党を十年間やりました。原子力を進めてまいりました。そういうことに対して、大きな今じくじたる思いと反省もございます。

 そういう中で、この原子力、国が全面的に出て賠償をしっかり行う、そして体系も見直していくということに対して、最後に総理に答弁を求めます。

黄川田委員長 内閣総理大臣菅直人君。簡潔にお願いします。

菅内閣総理大臣 私は、この原子力行政については抜本的に見直さなければならないと、三月十一日以来ずっと思っております。

 今回、細野君に原子力担当の大臣になってもらったのも、そういった議論を、確かに事故調・検証委員会等の議論も待たなければいけませんが、単に待っているだけではなくて、実際に行政に携わってきた、あるいはいる立場から、ぜひこれは本当に斉藤さんにもお手伝いいただきたいと思いますが、党派を超えて、今の日本の原子力行政がこのままでいいという方は多分一人もいないと思うのです、国会の中に。

 そういう意味では、しっかりした新しい原子力行政のあり方を進めてまいりたいと思いますので、ぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。

斉藤(鉄)委員 政治が信頼を取り戻すことがその大前提だと思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。

黄川田委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 ふくしま復興共同センターが行ったアンケートで、八一%の方が東電に賠償請求をしたい、このように答えました。

 紹介をいたしますが、今現在は体に影響はないとしても、数十年後に影響があったときには逃げないで責任をとってほしいです。いわき市の方。国、県、東電、それぞれに責任があると思います、生きることを脅かし、生きる希望まで奪い取ってしまう、最後まで責任を持って収束してください、そして、東電で作業に当たっている人たちを大事にしてあげてください。これは楢葉からいわき市に避難している方です。先祖から受け継いだ農地、子々孫々に残すための家を安全なものにしてもらいたい、何の心配もなく胸いっぱい空気を吸いたい。これは南相馬市の鹿島区の方です。

 きょうは、東京電力の西澤新社長においでをいただいております。今、一部の声を紹介しましたが、福島県民全員に慰謝料を、それが県民の気持ちであり、私は、今そのくらいの覚悟が必要だと思います。ぜひ社長の御認識を伺いたいと思います。

西澤参考人 東京電力の西澤でございます。

 このたびの福島原子力発電所の重大な事故によりまして、発電所周辺の皆様、福島県の皆様、そして、さらに広くは国民の皆様に多大な御迷惑と御不安をおかけしております。心からおわび申し上げます。

 先生のお尋ねの件でございますけれども、当社といたしましては、紛争審査会の指針も踏まえまして、国の御支援をいただきながら、福島県の皆様を初め、被害を受けられた皆様に対する公正かつ円滑な補償を進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 非常に残念に思います、今の答弁は。公正かつ円滑なと。本当に今の福島県民全員の声にこたえてほしいという思いに対して、まず、その思いを受けとめるというお言葉があってもよかったのではないのか、そう思います。

 社長は、報道によりますと、今審議をしています賠償法案が国会に提案されているけれども、早く成立してもらうことが大事、そこの裏づけがなくて賠償をと言われても、額によりけりだが非常に厳しい、早目に法案が成立することを切に願っていると述べたといいます。私は、まさしく東電の救済法案だ、こう言わなければならないと思います。

 しかし、まず最初に考えたいのは、では国が支援すれば全面賠償は可能なのかということであります。何よりも原発の被災者が救済されることが最優先であります。しかし、その根拠となる原子力損害賠償法に基づく指針は、なかなか賠償の範囲が広がりません。

 六月二十日、原子力損害賠償紛争審査会が第二次指針追補を発表しました。いわゆる避難、屋内退避を余儀なくされた方たちへの精神的損害を償うものとして、半年間で月十万円、次の半年間は五万円というふうに決められました。これに基づく仮払いが七月五日から始まっているわけであります。

 そこで、避難を余儀なくされた方たちの精神的損害について、なぜ半年たてば半分にすると決めたのですか。その根拠をお話しください。文部科学大臣。

高木国務大臣 高橋委員にお答えをいたします。

 賠償紛争審査会は、まさに公平中立の立場から損害の範囲の判定の指針を策定しておるところでございまして、六月の二十日に、第二次指針の追補として、避難生活等に伴う精神的損害の損害額の算定方法を示したところであります。

 この第二次指針の追補として、事故後の六カ月間は、まさに地域コミュニティー等が広範囲にわたって突然喪失をする、これまでの平穏な日常の生活とその基盤が奪われる、また、自宅から離れ不便な避難生活を余儀なくされた上、帰宅の見通しもつかない不安を感じる、こういう最も精神的苦痛の大きい期間とされております。

 一方、審査会は、その後の六カ月間は、自宅以外での不便な避難生活や先が見えない不安は継続するものの、突然の混乱などの要素はなくなる、こういう評価がされておりまして、損害額を半減されることが適切と判断されたものと私は理解をしております。

高橋(千)委員 だれがそんな基準を納得しますか。今、交通事故の話をまず一つの基準にしたとおっしゃいました。まず、そこと比べる方がおかしいですよ。

 審査会の議事録を見ますと、こんな議論があります。借地借家法では、借家を突然追い出されることになったときに猶予期間は六カ月ある、次の生活のめどの段取りをつけるのにそのくらいかかる、これが参考になるのではという発言があって、座長も、今まで気がつかない論点などと、大まじめに議論しているんです。これは一緒にしていいんですか、借地借家と。

 総理がお盆までに仮設住宅をつくると約束したからって……(発言する者あり)仮設住宅に入居すると約束したからって、それで先の見通しが持てますか。安心した暮らしが約束できますか。全然事情が違うではありませんか。

 南相馬市の緊急時避難準備区域に住む九十三歳の女性が、私はお墓に避難します、そう遺書を残して命を絶ちました。せっかくばらばらに避難していた家族が戻って一緒に暮らしていたんです。家族が一緒にいた。だけれども、またいつ避難せよとなるかわからない、そのときは足手まといになりたくないと書いていたわけです。

 取材した毎日新聞は、四月から六月の福島県内の自殺者は百六十人、昨年より二割もふえていると報じています。総理は、原発の処理に数十年もかかると発言されていますね。これでは、苦しみが減るどころか、増すばかりではありませんか。

 総理に伺います。半年間で精神的苦痛が半減するだろう、この基準はやはりおかしくありませんか。

菅内閣総理大臣 今のお話を聞いていて、確かに、突然の事故で避難を余儀なくされるそのときの一つの精神的な苦痛と、それが長引くことによる苦痛、なかなかこれは比較をすることは難しいように私にも思われます。そういう中で、何らかの基準を設けるという中でのそうした御議論があった上でのそういう判断ではなかったかと。

 私も、それでいいとか悪いとか、個人的な見解はちょっと申し上げにくいんですけれども、今のお話を聞いておりますと、何らかのそういう考え方で判断されたんだということだと思います。

高橋(千)委員 大変苦しい答弁だったかと思います。

 だれが聞いてもおかしいと思うんですね。これはもちろん、審査会の中では、いずれ本当に長引いたときにまた見直しが必要だねということは確かに議論されています、名誉のために言っておきますけれども。しかし今、本当に見通しがつかないし、工程表だって、その決めたときには前のものであったわけですよね。そのときに決めたものがもう既に見直しをしなければならないというときに、明らかにこんな基準はおかしいという立場に立たなければならないと思います。

 六月九日の本委員会での私の質問で、私はこのようなことを言いました。例えば、いろいろな商工団体などではカバーできない個人事業主に補償すること、避難を余儀なくされた人だけではなくて、事情があって避難できずにいる人たち、家族がばらばらなど、精神的苦痛にこたえていく必要がある、こう言ったのに対して、枝野官房長官が、今指摘された損害については、最終的にはいずれも幅広く賠償の対象になるものと理解している、このように答弁をしています。

 先ほど紹介したアンケートの中にも、目に見えない放射線がすごく不安で、安定剤も飲んだりしています、精神面が強い人ばかりではないということを考えてほしいという声もあります。また、審査会の中でも、避難はしていないけれども、校庭で遊べない子供たち、そうした子供たちの対応、これも対策が必要じゃないのという議論があって、今はその話題じゃないということで、まだ何の基準も決まっていないわけです。ですから、今示されている基準というのは、本当に避難区域の線引きから一歩も出ていない、こういうことになるわけです。

 ですから、賠償のスキーム以前に、まず全面賠償をする、そういう立場に立つのかどうか、もう一度伺います。

海江田国務大臣 全面賠償というのがどういう内容を示すかということは私にはよくわかりませんが、ただ、やはりこれは、原子力発電所の事故とまさに相当因果関係があるものについてはしっかりと賠償するというのが基本的な立場でございます。

高橋(千)委員 このことが、やはり今答弁にあった相当程度因果関係、これがこの指針の非常に限界といいますか、矛盾なわけです。

 それで、きょうは最初にまず、第一次指針、出荷制限になったものについて、これでしたらまさにはっきりしているので、すぐ補償が決まりそうに思えますけれども、実はそうではありません。

 ここに、東電あての封筒とそれから請求書、こんなにたくさんの書類を書かなければならないということで、現物がございますけれども、六月三十日に福島県の農民連が第二回目の損害賠償請求を行いました。東電側は、一月前に出した書類、それ以外に、こちらの請求書を書いてくださいと。一月前に全部出しているんですね。だけれども、さらに二十一枚の書類を要求されました。これを全部そろえないとだめなんですか、そう言ったら、立証責任は被害者が行うというのが原則ですのでと開き直ったと言うんです。

 そこで、西澤社長に伺います。

 一体、東電は払うつもりが本当にあるんでしょうか。書類を大量に要求し、あきらめろと言わんばかりではないですか。そこまで因果関係を言うのであれば、原発とは関係ないという立証責任は加害者が負うべきではないですか。

西澤参考人 お答えいたします。

 当社といたしましては、公正な補償を行う観点から、被害を受けられた皆様に対して、仮払いにおきましても被害額を確認するための適切な書類を御提出いただくことをお願いしてございます。そうした中、今先生が御指摘ありましたような対応に本当に失礼な点がございましたら、この場をかりておわび申し上げます。

 今後も、今回の事故の当事者であることを真摯に受けとめております。原子力損害賠償法の趣旨に基づきまして、国の御支援もいただきながら、被害を受けられた皆様に対してきちんと補償を行ってまいります。

高橋(千)委員 現場ではやはりそのような高圧的な状態に置かれている。二十一枚もの書類が本当に必要ですか。本当にそこはしっかり見直して、丁寧な対応をしていただきたい。もう明らかに実態はわかっているんですから、取り入れるという立場でやっていただきたいと思います。

 今度は、このパネルを見ていただきたいと思います。皆さんの手元に同じ資料を配っております。

 国の指針が余りに遅かったために、農協などは、収入の途絶えた農家を救済しようと、立てかえ払いを早い時期に決断しました。非常に重要なことだと思います。

 これは、ある酪農家が農協と結んだ立てかえ払いの契約書であります。これは、四月一日から三十日まで、原乳の損害賠償分九十八万九百十円。その立てかえ期間は、十一月二十日までに組合にその農家の方が返済をするわけです。下の方を見ていただければわかるように、返済するお金というのは、損害賠償金でありますから、東電からもらったお金で返済をいたします。

 一番下を見てください。第三条の二項、「損害賠償金の額が立替金に不足する場合においても全額返済するものとします。」。つまり、農協から九十八万立てかえてもらっても、その東電から入ってきたお金は、実は二分の一ですよね。二分の一と今言っているんです、農家の皆さんには。そうすると、残り五十万円、この人は自腹で返さなくちゃならないわけです、十一月までに。そういうことをやらざるを得ない。でもそれを、では、農協がみんなかぶりなさいとなると、これも大変なことなんです。

 高木大臣、このような実情、御存じでしたでしょうか。

高木国務大臣 今回の事故につきましては、被害者が多数に及んでおりまして、賠償紛争審査会の皆さん方も、四月以降、精力的に審査をしております。特に、早急に適切な被害者への救済が図られなきゃならないことは言うまでもありません。そういう中で、できるところから順次指針を策定してきたところであります。

 東京電力は、この指針を踏まえまして、今、仮払いを順次実施しておりまして、特に農林漁業者についても、五月十二日の政府の決定を踏まえて、五月末から仮払いが行われたと承知をいたしております。

 また、JAにおいて、農家の東電に対する損害賠償請求の取りまとめや、つなぎ資金の融資の提供などが行われたことは承知をしておりますが、本日御指摘の件については承知をしておりませんでした。

 文部科学省としては、JAの運営についての詳しいことはよく承知をしておりませんが、関係省庁と十分連携をして、被災者への適切な救済が図られるよう今後とも努力をしていきたいと思っております。

高橋(千)委員 今、JAを責めろと言っているのではないですからね。こういう状況にならざるを得ない、その事態をしっかり受けとめていただいて、やはり被災者が、一部立てかえていただいたと思ったら、今度は半分返さなきゃいけない、こんなことだけはやめてほしい、それが言いたいわけであります。これはもう海江田大臣に対しても、総理に対しても、ぜひ聞いていただきたいと思います。

 そこで、西澤社長にもう一度伺います。

 農林漁業者は請求額の二分の一、このことが先ほど示した説明書にも書いてありますし、ですから、こういう矛盾が起きるわけなんですよね。加えて商工業者はどうか。これはもう上限二百五十万円と一律であります。従業員が百人いたって二百五十万円、これじゃとてもやっていけません。声が上がっています。これで終わりではないはずです。一刻も早く満額払うべきではないでしょうか。

西澤参考人 お答えいたします。

 農林漁業の皆様、そして中小企業の皆様がこうむった被害につきましては、先ほど大臣がお話ありましたけれども、五月十二日の政府決定を踏まえまして、当面必要な資金を速やかにお支払いするということから、書類の確認作業もなるべく簡素化した上で、御請求額の一定比率をお支払いさせていただいております。

 なお、当社といたしましては、最終的には、エビデンスに基づきまして損害額を御確認の上、精算はさせていただきます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 基本的には満額ということでよろしいですよね。

西澤参考人 お答えいたします。

 きちっと精算させていただきます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 では、今回の法案で支援のスキームがどのようになるのか、伺いたいと思います。

 これはまた、二枚目のパネル、同じものを皆さんのところにつけております。これは「資金援助の流れ」と書いてあります。「原子力損害の発生」、そして「民間保険契約または政府補償契約により賠償措置額千二百億円の支払い」、これはもともとある原子力損害賠償法の仕組みであって、政府は千二百億円支払うことになっております。このお金は、このたびの二次補正で措置をされることになっていると思います。

 原子力損害賠償支援機構法案第四十条、この間に書いてありますけれども、要賠償額が賠償措置額を超える場合、東電は機構に対して資金援助の申し込みができるとなっております。これは、どのくらいの賠償額になるのかというのをある程度決めませんとこの法律が成り立たないと説明を受けております。

 では、海江田大臣、この要賠償額というのは幾らになるんでしょうか。

海江田国務大臣 今の時点では、これが幾らになるかということはまだ判明をしておりません。

高橋(千)委員 しかし、法律の成り立ちとしては決めなくてはいけないわけですよね。

海江田国務大臣 この後の、ここから絵で分かれますけれども、例えば、交付国債ということではおおよそ二兆円の資金を準備する予定でおります。

高橋(千)委員 この賠償額が幾らになるのか。もちろんそうです、まだ被害が終わっておりませんので、全体像が見えないのは当然であります。しかし、それが結局、国民負担とどれほど結びつくのかということにかかわるわけですので、非常に重要な問題かと思います。

 今大臣お話しされたように、これは二兆円の交付国債と二次補正の中で書かれております。また、それプラス二兆円の政府保証ということもあるので、政府は四兆円以上の一定支援をするという枠組みは既にできているのかなと思うんですね。

 問題は、この書きぶりですと、千二百億円、政府がこれから出します、これを超えれば機構が援助ができるという仕組みになっているわけです。

 そうすると、右の図にありますが、二兆円の交付国債が発行できる。そして、機構に対しては、これは無利子です、国債を交付して、いつでもお金にかえてよいと書いてあります。国は、その二兆円の調達のために二百億円の利子を払って借り入れをするわけです。これは、二百億円も二次補正の中に書かれてあります。多くの被災者が二重ローンで苦しんでいるときに、政府は、その苦しみの原因者でもある東電救済のために無利子で二兆円の国債を用意し、そのために利子を払って借り入れをしなければならない、こういう仕組みになっていると思うんです。

 そこで、三枚目に、その中身について書いているのが六月十四日の閣議決定であります。赤字で書いてありますけれども、「援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助し、損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、原子力事業者を債務超過にさせない。」これが大前提であります。何度でも、しかも上限を設けず。なぜそこまで援助をするのでしょうか。

 海江田大臣、これまでこの問題での議論が何度もありましたけれども、大臣は、第一義的には東電に責任があるとお答えになっていました。そのことと矛盾しませんか。

海江田国務大臣 何のために何度でも援助を行うのかというお尋ねでございますが、これはまさに、原子力事故の被害を受けて損害を生じた方々に対して、十分適切な賠償を行うためでございます。

 それから、その後でお尋ねのありました第一義的にはということでございますが、これはまさに、先ほど来、きょうも一日議論をいたしましたけれども、原子力の損害賠償法にそうした原則の決まりがあるからでございまして、ただ、きょう一日、まだ委員の質問、その後の質問もございますが、今出ておりますのは、そうした東京電力だけに第一義的な責任を負わせるのではなく、国がもっと前に出るべしという議論もたくさんございましたので、今、そうしたことについて、まさにこの委員会で議論をしている最中でございます。

高橋(千)委員 第一義的にと言ってきたわけですけれども、その努力を本当にやってきたのかということと、それをやらせるためにこそ国の責任があるのではないかということが言いたいわけです。

 東電は、資産六千億円、役員報酬の削減などで五千億円捻出しますと経営合理化方針で明記をされています。五月十日に国に対する支援をお願いしているその文書の中で、海江田大臣あてですけれども、火力発電の燃料の高騰などで一兆円かかります、それから社債や借入金の返済が七千五百億円かかります、ですから、賠償どころか、電気の安定供給にも支障を来しますと書いているわけです。そうすると、経営合理化を行っても、ほかの支払いで消えてしまう、そう言っているんですね。それだと、第一義も何もあったものではないのではないかと思うんです。

 メガバンクはどうなったのか。三大メガバンクだけでも二兆円の残高があります。この放棄の問題や、関係する業者の皆さんにもっと責任を持ってもらう、そういう努力をしてきたと言えるでしょうか。

 そもそも、現在の仮払いの実績は一千六十四億円と聞いています。そうすると、さっきから言っているように、国はまず千二百億円出す、その枠さえ超えていないんですね。考え方によっては、一円も払っていないに等しいではありませんか。

海江田国務大臣 この東京電力の仮払いについては、私は、本当に口が酸っぱくなるほど、東京電力に早くやるようにということを言ってまいりました。それは、きょうこちらの委員会にお見えになっている西澤社長もおわかりいただけると思います。

 それからもう一つは、やはり、まずリストラについてでございます。このリストラにつきましても、今委員御指摘のありました、そのときはまだ清水社長でございましたけれども、清水社長と私との間のやりとりで、幾つか、リストラをしっかりやるようにというお話をいたしましたが、その後、政府は第三者の、先ほど午前中の当委員会の質疑でお答えをいたしましたけれども、プレデューデリジェンスと申しますか、まだ法案が成立をしていないわけでございますから、正規のデューデリジェンスにはなりませんけれども、その事前の作業として、法律の専門家あるいは会計の専門家、こういう方々が、今の東京電力の資産の内容あるいはリストラの進行ぐあい、こういうものをしっかりとチェックをしております。

高橋(千)委員 通告しておりませんが、西澤社長、今の点ですが、千二百億円を超えれば国からもらって、その後は資金援助をお願いしますというのでは、賠償に対して本当の責任を果たしたことにならないと思います。

 どれだけ頑張るつもりでいるのか、一言お願いします。

西澤参考人 お答えいたします。

 先生の御質問でございますけれども、我々としましても、賠償につきましては誠心誠意努めていきたいと思っております。リストラ等もいろいろ進めてございます。その分も含めまして、事業の安定的な運営とともに一生懸命努めていきたいというふうに思っております。

 何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

高橋(千)委員 一番肝心なところが、今はまだ始まっていないので、チェックをしますということを言えます。では、本当に、今はたった一円も払っていない状況と同じことですから、それ以上どれだけの努力がされるのかということはやはり私は非常に疑問なんだと。それは、先ほど言ったように、最初から何度でも、上限も持たない、この仕組みがそうなっているんだということを指摘したいと思うんです。

 それで、先ほど、国の責任もある、こうおっしゃっています。私は、やはりそのことをきちんと法案に書くべきだと思うんです。その国の責任というのは、歴代自民党政権に何よりも責任がございます。残念ながら、今自民党さんにそれを質問するわけにいきませんので、これをどういう形で本当に果たすべきなのか。

 私は、東電が東電がと言いながら、第一義的には東電がと言いながら、わからないところでじゃぶじゃぶと資金提供をするというやり方は本当の責任の果たし方ではない、このように思います。必要な、本当にもっと原発にかかわって、いろいろな人たちが利益を共同して分け合ってきた、その方たちにきちんと責任を果たせということを、ただ協力してくださいとお願いするのではなくて、法案にきちんと盛り込んで、政府がそれを示していく、求めていくべきだと思います。もちろん、指針では網羅できないあらゆる被害対策に責任を持つということでは、政府が被災者対策に対してやっていかなければならないことは言うまでもありません。

 そこで、最後に、原子力行政そのものの転換が、これはもう一つ、国の責任の果たし方ではないのかなと思うんです。

 パネルの四枚目、これは法案の目的の第一条でありますが、「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、」と書いてあります。わざわざ「原子炉の運転」ということが書き込まれているのはなぜでしょうか。

 法案では、支援機構に対して、相互扶助の名目で、全国の原子力事業者が負担金を出すことになっています。ただ、その一般負担金というのは、原発の稼働状況に応じて負担の割合が決まります。つまり、多くの原発によって多くの発電を行っているところほど割合が多くなる仕組みであります。ですから、機構がきちんとお金を回収しようと思えば、原発は稼働していなくてはならなくなります。

 福島県民は、原子力によらないエネルギー行政、これをはっきりと復興ビジョンに書き込みました。佐藤知事は、福島第一、第二原発の再稼働はあり得ないと明言をしています。それなのに、原発を動かし続けることが大前提の法案になっている。このことはおかしいのではないですか。総理に伺います。

菅内閣総理大臣 この法案のこの部分について、いろいろと御指摘をいただいております。

 この「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を」というのは、基本的には、電力の安定供給と原発事故の収束を適切に行うことを確保する、そういう意味と理解いたしております。

 電力事業形態のあり方等は、これらを含むエネルギー政策については今後予断なく検討を行うこととしており、今回の支援の枠組みはこうした検討に影響を与えるものではない、こういうふうに認識をいたしております。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来たので、続きをまたやりたいと思いますが、県民がもう原発は要らないと言ったときに、この「原子炉の運転」ということが目的に書かれた法案、これはどうなのか。原発を動かし続けなければお金が回収できないような仕組み、回収できないんだったら国民に負担させるような仕組み、これではやはり受け入れられないということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 きょうは、総理にとって弁明とも受けとめられる答弁が続きましたけれども、総理のツルの一声でストレステストが決まった、こういうふうに私は受けとめました。このテストに、経済界を初め関係者のコメントが多く出されております。

 私は、このテストの一次評価は、原発再開ありきで評価はできないし、原発事故対応で国民の信頼を完全に失っている保安院と安全委員会が安全をチェックする、こういうこと自体、理解をできません。テストを実施する際の安全評価の項目や計画は保安院が作成し、電力会社からの報告を保安院が点検、原子力安全委員会がチェックするという。

 そもそも、安全委員会も保安院も原子力を規制する機関ではなくて、推進機関でもございます。これまでどおり保安院に任せるというのであれば、ストレステストを実施する云々の前に、少なくとも保安院を第三者機関化する、こういうことぐらいはやっておかなければならない、こういうふうにも思います。

 政府の対応がごたごたするのも、菅総理の対応に信念や一貫性が全く感じられないのも、私は、菅総理のエネルギー政策におけるスタンスがはっきりしていないからだと思っております。総理は、頑張っている、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、どう見ても場当たり的でその場しのぎ、こういうふうに私には映ります。

 総理は原子力政策について一貫性を持って、そして各大臣との意思疎通を図り、原子力政策を進めていかなければならない、または、エネルギー政策の考え方、こういった部分もあわせて進めていかなきゃならない、こういうふうにも私は思っております。総理の見解をお伺いいたします。

菅内閣総理大臣 きょうの一日の議論の中でも何度か申し上げましたが、私も三月十一日の前と後では、原子力エネルギーあるいは原発についての危険性、安全性の考え方について、大きく考え方が変わってまいりました。それまでは、安全性を確認して活用していく、こういうスタンスでありました。しかし、あの事故を経験してから、その安全性というものは、当然ながら、いざ事故が起きたときのそのリスクの大きさというものとの対比でありまして、何十キロもの区域を、退避を大勢の人にしていただかなければならない、場合によってはもっと広範囲に退避が必要になっていたかもしれない、そういう今回の事故を体験いたしまして、そういった意味では、原子力、いわゆる原発に対する依存度を下げていく、こういうことが必要だ、基本的にそういうふうに考えるに至っております。

 これまでも、エネルギー政策の白紙の見直し、あるいは再生エネルギーの推進、省エネルギーの推進ということで、そういった方向と整合することを申し上げてきたつもりでありますけれども、せっかくの御質問でありましたので、私は、原子力依存というものからの脱却を目指す、それに対する依存度を下げていく、こういうことが必要であると、この間、関係閣僚ともそういうことを話し合ってまいりました。

 その上で、しかし一方では、国民生活、経済的な活動について、そのことが大きなマイナスにならないようなエネルギーの供給については、きちっといろいろな手当てをする必要がある。短期的には、ピークの電力量をいかに下げるかとか、あるいは、場合によっては化石燃料の火力発電など、自家発電部分をさらに活用するとか、しかし、中期、長期でいえば、再生可能エネルギーを促進する、またこれは短期的にも効果がありますが、省エネの部分を促進する、そういった考え方であります。

 私がこの間発言し、あるいは行動していたことは、基本的にはこういう考え方に沿っての行動でありまして、それを思いつきとかいろいろ言われるのは私の不徳のいたすところだと思っておりますけれども、私の考えとしては一貫した考え方に基づいて、多少それは、指摘が遅いとか、いろいろ指示をするのがおくれたとか、そういう問題はたくさんありますけれども、基本的な方向性は私なりに一貫した方向で申し上げているつもりであります。

吉泉委員 今の答弁の中で、総理のエネルギー政策、これまでの原子力依存、こういうものから脱却をする、そして再生エネルギーを進めていくんだというふうに私は受けとめましたけれども、こういう状況であるならば私方社会民主党の政策とも一致をする、こういう状況にあるだろうと思っております。しかし、まだまだそういった面については、全体的な意思疎通、そういうものを図らなきゃならないし、私ども社民党もまだまだ努力が不足をしている、こういう状況でもございます。

 これからのエネルギー政策、そのことについては、ともに論議をしながら進めていきたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げさせていただきたいと存じます。

 先日、二十四回目の視察で初めて、足のつま先から頭のてっぺんまで防護服に包まれて二十キロ圏内に足を運びました。楢葉町の天神岬、ここまで行くうちに、牛もいない、だれもいない、こういう状況に変わり果てた楢葉町の町中を天神岬から一望させていただきました。自然にこうべが下がりました。手を合わせて、改めて、復旧復興、このことに全力を挙げて取り組んでいかなきゃならない、こういう決意をしてきたところでございます。

 楢葉町を初め双葉郡の人たちは、家族ばらばら、そして、県外も含めて避難生活を余儀なくされているわけでございます。そして、今新たな、暑い、熱中症そのものと闘いながら生活をしているわけでございます。

 そこで、東京電力の西澤社長にお伺いをいたします。

 現時点で請求をされている損害賠償額と、きょう時点で支払いを済ませている額、このことについてまずお伺いさせていただきます。

西澤参考人 お答えいたします。

 損害賠償の請求につきましては、被害を受けた皆様からいろいろな形で多数のお申し出をいただいておりまして、所定の手続を経て、個別に仮払いのお支払いを今させていただいております。七月の十一日時点で、これまでお払いしている仮払いの補償金は約五百八十九億でございます。

 今後の補償につきましては、国の御支援もいただきながら、現在一千人の体制で取り組んでおりますけれども、さらにこの体制を強化いたしまして、紛争審査会の指針も踏まえてきちんと対応させていただきたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

吉泉委員 五百八十九億を支払ったということでございますけれども、もう一つ、現時点で請求額、さらには紛争委員会での指針が出されているわけでございますけれども、それに合わせて見合う金額は幾らなのか、このことをお伺いさせていただきます。

西澤参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、いろいろな形で御請求等いただいておりまして、総額というのはまだきちんと把握はできておりません。

 その中で唯一、農林漁業の皆様からは、御請求のうち、団体ベースでお取りまとめいただきました御請求額につきましては把握してございまして、これは合計で三百六十六億でございます。

 ほかの皆様については、総額についてはちょっとまだきちっと把握はしてございません。よろしく御理解のほど、お願いいたします。

吉泉委員 ちょっとおかしいんじゃないですか。紛争委員会での一次さらには二次方針、ここのところの合計を合わせても、私の段階では、もう二千億を超えるようなそういう金額になるんだろうというふうにも思っております。

 今、その請求額、幾ら払えばいいのかわからない。四カ月になっているんですよ。こんな状況では、国民から理解を得る、今の会社、東京電力の破綻、それを救済していくための機構法案の審議でございます。新聞報道によれば、この東京電力の被災者への支払い、このことについて、まさに先日開催をされた株主総会、これに全力を挙げてそっちのけ、こういう報道も出ていたようでございます。

 そういう面からいうならば、今、私たち、国挙げて電力の破綻は避ける、そのために青天井の助成、そういうものを行おう、こういう状況になっているわけです。それにもかかわらず、自分は仮払いということで半分払った、いわゆる六百億未満、これだけで終わるということについては納得できかねます。

 再度、社長の答弁を求めます。

黄川田委員長 重ねて御答弁いただきます。東京電力株式会社西澤社長。当事者でありますので、丁寧にお答えください。

西澤参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたのは、いろいろな形で御請求をいただいておりまして、今仮払いという形でしてございます。これから指針等が出ましてきちんとなりましたら、それは先ほど高橋先生の御質問にもお答えしましたけれども、きちっと精算をさせてお支払いしていくという形になろうかと思っています。

 現在、仮払いで七月十一日時点までお支払いした合計が先ほど言った金額でございます。何とぞ御理解いただければと思います。

吉泉委員 時間が大変迫っているということで、もっと詰めたいんですけれども、なかなか時間が許しません。

 今お話ししましたとおり、私は、損害賠償は東京電力の責任、これで支払うものであるんだろうというふうに思っています。それが大原則でございます。だとするならば、現有資産の処分も含めて果たさなきゃならない、こう思います。

 その上でもって、今、破綻から救済をする今の機構法案、これで適用しながら今の電力の安定供給、こういう部分をやっていく、これが原則なんだろうというふうに思っています。

 東京電力の最大まとまっている資産は、送配電事業であります。資産価値は帳簿価格で約五兆円です。その他の資産も入れますと約五兆六千億を超える、こういう状況にあります。

 私は、さっき話しましたように、この処分も含めて賠償金に充てる、こういうのが原則だ、こういうふうに言いました。そして、公共性の高い送配電事業を国が買い取って、そして再生エネルギーを推進していく、そういう状況を東京電力が率先をしてやっていく、こういう部分も必要なんだろうというふうにも私は思っております。

 こういう考え方に対して社長はどう考えておりますか、お伺いします。

西澤参考人 お答え申し上げます。

 送電事業を初めといたします電気事業の遂行に必要不可欠なものを除きました不動産、あと有価証券等、これについては、もう徹底的にリストラと資産の売却とを進めてまいりたいというふうに思ってございます。

吉泉委員 先ほどの斉藤委員の質問にもございました。これから長くかかっていくこの事故の収束、その中において、電力の事業のあり方、国民にとっての電力事情、そのことについてこれから進めていく、そういう意味では、送配電の分離論、このことも当然考えていかなきゃならない、こういうふうに思っております。

 そんな面の中で、ぜひ社長の方からも、再生エネルギーの部分についての協力、さらには事業の推進、このこともぜひお願いを申し上げさせていただきます。

 最後の質問になります。

 今回のこの機構法案、このことについては、今の被災者の損害賠償、それから安定供給、そしてそれぞれ関係する企業の破綻、こういう部分を避けていく、そういう意味での今のスキームになっているわけでございます。

 しかし、アメリカの原子力賠償法、このことを見ると、一九五七年にできているわけでございますけれども、アメリカの法律では、事故発生から二十四時間以内の仮払いなど被災者の生活再建を優先していく、こういう状況になっております。ましてや、スリーマイル島の事故の数十年前にこれがつくられてきておるわけでございます。また、原発の運転許可には、住民の避難計画の策定が条件になっておるわけでございます。

 こういう面からいうならば、私は、アメリカのこの法律を参考にしてできた内容でもございますし、今回のこの機構法案についても、損害賠償、この一点に絞った内容にすべきだと思いますけれども、海江田大臣の見解をお伺いさせていただきます。

黄川田委員長 国務大臣海江田万里君。簡潔にお願いします。

海江田国務大臣 今委員が御指摘になりましたアメリカの、とりわけスリーマイル島の事故が起きた後、翌日ですか、すぐに窓口を開いて仮払い、これは本当に素早い対応であったということでございます。

 そして今、今回のこの法案を賠償の支払い一点に絞ったものにすべきでないだろうかということでございますが、目的の最大のものは、もちろん賠償の支払いでございます。そして、それと同時に、やはり事業者が事業をしっかりと、それこそ設備投資などもやって、これからやはり、新たな再生可能エネルギーへの投資なども事業者にやってもらわなければいけませんから、そういうものに対する資金の支援というものもできるようになっております。

 ただ、メーンはあくまでも、これは被害を受けた方々に対する賠償金をしっかりと確保するということでございます。

吉泉委員 時間が参りましたので終わります。大変ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて吉泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 まず冒頭、我が国の電力価格について資料をお配りさせていただいておりますので、そのことに基づいて総理に伺いたいと思います。

 OECDの主要各国との電力料金の比較をしますと、日本はやはり相当高い方なんです。特に私が注目いたしましたのは、お隣の韓国との比較でいいますと、産業用も家庭用も倍以上なんだということなんですね。三倍近い。

 問題は、ただ単に三倍だということではなくて、お配りいたしました資料のもう一枚目の方を見ていただければと思うんですが、実は、韓国の方が一次エネルギーの輸入の割合が日本より高い。石油、石炭あるいは天然ガスというのは、これは基本的には国際市況商品なので、どこの国が買っても同じ値段だという中で、日本の方が韓国の三倍ぐらい電気料金がある。これは、何か今の電力事業の中に問題があるんだろうなというふうに私は思います。

 というのは、電力事業の中で従業員の人件費が占める割合というのは、これは装置産業ですから非常に少ないわけなので、そうだとすると、きょうも議論がありました、送配電網の独占による超過利潤があるのか、あるいは電源立地対策費といったような、表向きの価格に出ないようなものが入っているのかということなんです。

 まずは菅総理に、なぜ日本が、特にお隣の韓国と、輸入燃料費とも比較しながら、三倍になっているか、きょうすぐ、なぜそうかと答えを求めるつもりはありませんが、少なくともこれを調査しろということを命じていただきたいと思いますが、その点について決意を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 一般にも、日本の電力料金は、従来からかなり高いということが言われていましたが、きょうは、特にお隣の国、韓国との比較での指摘であります。

 もちろん、為替相場等々いろいろな要因があると思いますが、御指摘のありました電源立地対策費等がどう影響しているのか、それらを含めて、韓国との電力料金の比較、ぜひ私からも経産大臣にお願いをしてみたいと思っております。

浅尾委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今お渡しした数字はドルベースの数字でありますので、為替というのは、そこはもう含んだ数字でありますので、原料ももちろんドルベースでありますので、そのことを申し上げた上で、次の質問に入りたいと思います。

 さて、この原子力損害賠償支援機構法案、きょうもさまざま議論が出ておりましたけれども、第一条の「目的」、あるいは三十七条、三十八条を読んでも、これはどう考えても原子力発電事業を継続して行うことを前提に立てた法案だというふうに思えるわけでありますが、海江田大臣は多分違うお答えをされると思いますが、少なくとも菅総理は脱原発だというふうに言っておられるわけでありまして、そうだとすれば、この法案を、原子力事業を継続するということについてこういう書き方をされたというのは、ちょっとおかしいのではないか。

 もし菅さんが脱原発だということであれば、菅総理がそういうふうにおっしゃるんであれば、この法案を少し書きかえるべきだと思いますが、菅総理はどのようにお考えになりますか。

菅内閣総理大臣 先ほども他の委員にお答えしましたが、本法案の第一条の目的規定、「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」というのは、基本的には電力の安定供給と原発事故の収束を適切に行うことを確保する、こういうことを意味していると理解しております。

 電力事業形態のあり方等を含むエネルギー政策については、今後予断なく検討を行うことといたしておりまして、今回の支援の枠組みでこういう表現があるからといって、そうした電力事業形態そのもののあり方の議論に予断を与えるものではない、こういう理解をいたしております。

浅尾委員 お役所の書かれた答弁を読んでおられるわけでありますけれども、三十七条を見ますと、これは、「次に掲げる者(これらの者であった者を含む。)」というふうに書いてありまして、これが負担をしていくと。この「(これらの者であった者を含む。)」というものの解釈は何かときのう政府の当事者に聞いたら、これは、原子力発電事業をやめた後も、燃料プールの中に核燃料がある限りにおいては保険料を払っていくんだということでございました。

 その上で、では、その核燃料を燃料プールの中から取り出すにはどこに持っていったらいいんですかと言ったら、これは六ケ所村ですと。では、六ケ所村が引き受けなかったらどうするんですかと言ったら、そこは政府は責任を持ちませんというきのうの段階での説明でありました。つまり、それは六ケ所の再処理のところと当該原子力事業者の間の相対の話であって、政府が介在するものではないという話でありました。

 そうなってくると、仮に、私の顔が見たくないんだったら早くこの法案を通せ、再生可能エネルギーだというふうにおっしゃった法案がありますよね。あれをもしどこかの原子力事業者が、そうだ、この際、我が社だけは原子力事業から早く撤退しよう、再生可能エネルギーでもって積極的に投資をしていこうといって、その決断をしたとしても、結局、核燃料プールに使用済み核燃料がある限りにおいては負担しなければいけないということになるので、それはかつて菅総理がおっしゃったことと矛盾するのではないですかということで、先ほどの質問をさせていただきました。

 その点についてお答えいただきたいと思います。

海江田国務大臣 今度のこの機構の法律というのは、これから将来、原子力の事業者が事故があったときに相互扶助ということがございまして、今核燃料が、使用済み燃料がそのプールにあれば、何かそこで本当に安心かというと、やはり必ずしもそうでないんですね。

 今度の東京電力の福島第一発電所の状況を見れば、既に四号炉は、これは炉の部分から燃料棒は抜けておりますが、それが、その上の使用済み燃料のプールに千六百本ぐらい入っております。これがなかなか温度が下がらなくて、今、大分安定をしておりますけれども、やはりこれにも注水を続けなければいけないということがありました。

 それから、共用プールというのがございます。ここにも大量の燃料が入っておりまして、これがどういうふうになるのかということを大変私どもも気をもんだことがございまして、その意味では、原子炉から抜けましても、やはり共用プールなどにあるうちは、これは万々が一、あってはならないことでありますけれども、それが事故につながるという可能性は、全く一〇〇%ないと言い切れないわけでございます。その点をぜひ御理解いただきたいと思います。

浅尾委員 私の質問はそういうものではなくて、幾つも電力会社はあります、ある電力会社が、この際、原子力発電事業から我が社は撤退をしようということを決めて、そして、では、その使用済み燃料をどこかに持っていこうと。どこかといったら、これは再処理施設のあるところに持っていく以外に今、日本の中にはありません。しかし、その再処理施設に持っていくための支援も政府の方でもない。そして、逆に、再処理施設をやっているところが、仮に、この再処理というのはまさに再処理なのであって、最終的な処分場じゃないから受け入れないとなったら、撤退しようと思っても撤退できない。

 したがって、そのインセンティブが入っていない法案について、脱原発だとおっしゃっている菅総理はどういうふうに思われるのかという指摘なのであって、別に海江田大臣が言われたのはそのとおりですから、もう御答弁は結構ですから、菅総理に伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 この条文の中身に関連して、浅尾委員が深く読み込まれた結果の一つの考え方だとお聞きをいたしました。

 確かに、条文ということを超えて言えば、私も、今回の事故で使用済み燃料の方もどうこれから処理するのか。実は、フランスに出かけたときに、フランスの方は、もしあれでしたら、自分の方で昔のように再処理を引き受けてもいいですよという提案もいただきました。ただ、それをお願いするとなれば、日本における再処理を半ばあきらめるという選択にもなってまいります。

 今、浅尾さんはそこまで言われたのかどうかわかりませんが、少なくとも、この使用済み燃料の問題をどうするかは、今回事故のあった原発だけではなくて、事故のないところでも同じように蓄えられている、中間貯蔵庫もまだ十分は動いていませんし、蓄えられておりますので、その問題は、極めて本質的な問題として存在しているという認識は私にもあります。

 ただ、そのこととこの法案が、そこまで何か考えて、それが撤退ができないような仕組みとして規定されているというところまでは、もうちょっと私も研究してみますけれども、そこまで結論を持って私もそうだとは、ちょっと私の立場で言い切れません。

浅尾委員 要は、原子力発電所をやめようというインセンティブが個別の電力会社に与えられていない法案だということを指摘したわけであります。

 次に、菅総理は、私が初めて国会に当選をさせていただいたときに、当時の長銀、日債銀の特別公的管理ということがまさに言われているときの民主党の代表でございました。

 私は、その法案の議論をするに当たって、当時民主党の代表の菅総理ともさまざまお話をさせていただきましたけれども、東京電力を単体で再生させる、他の電力事業会社を巻き込まないということを考えた場合には、さまざまな債務者がいる中では、もし東京電力が不測の債務超過になっていろいろなことが起きたら困るから、特別公的管理下に置いたらどうだろうか。かつての長銀、日債銀というのも債務者がいっぱいいました。それをきれいにするというか、不測の事態がないように特別公的管理ということを、まさに当時民主党の代表の菅現総理が当時の自民党に丸のみをさせたわけでありますから、同じ発想を今回の東京電力についてどうしてとらないのかということを伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず一つの大きな違いは、御指摘の問題は金融危機のときでありまして、長銀、日債銀が破綻してしまうと、我が国ばかりでなく、日本発の世界金融恐慌を招きかねないという心配がありまして、そういう意味で一時国有化というスキームを民主党として提案し、今おっしゃったように、自民党の賛同を得てそういう処理をいたしたわけです。

 東電についても、あるいはそういう選択肢も決してゼロだとは思いません。ただ、金融のときの世界金融恐慌といった要素は全く東電の場合はありませんので、それは別の意味で、この原子力発電所のリスクを一つの民間企業として負うことがいいのかどうかということを含めた現在の問題、あるいは近い未来の問題での選択の一つの考え方としては、一般論としてはあろうと思いますが、今御指摘の問題との性格はかなり違っている、こう思っております。

浅尾委員 電力の問題のリスクは、原子力発電所の問題と、あとは大規模停電の問題だと思いますので、そういったことにならないように、しっかりと債務者に対して保護をするという必要性があるだろうという意味で申し上げたわけでございます。

 次に、きょうの委員会の中でも議論がございました。今回の事故は異常に巨大な天災地変ではないということになっているわけでありまして、それがないということ自体、私はそう解釈をするということだと思いますが、一方で、先般、本会議で菅総理は、自民党政権時代の失政もあるんだということを言っておりました。異常に巨大な天災地変でないとすると、そこには行政の過失もあると。

 自民党時代の失政ということは、当時の行政の過失を認めるということでありますが、政権自体は、国民に対して、あるいは株主に対しては連続しているわけでありますので、そういうことを現総理が認められるということは、仮に株主が損害賠償請求をしたら、総理としては過失があったということを証言するということになりますが、そういう意図でその発言をされたという理解でよろしいですか。

菅内閣総理大臣 本会議での答弁では、私に対する失政ということを言われたものですから、私にも失政がゼロだとはもちろん申し上げませんが、この原子力事故に関しては、長く政権の場におられた政党にもそれはそれとしての責任があるのではないかという趣旨で申し上げたので、個別に申し上げたわけではありません。

 その上で言えば、今回の事故について、人災という言葉、いろいろな言葉がありますけれども、少なくとも、もちろん未曾有ではありますけれども、大きな地震そして津波を予想し切れないでこういった大事故につながったということについては、私は、国策として原子力政策を進め、そしていろいろなルールの中で基準を決めてそれを認めてきたという、そういう広い意味での責任はあろうと思います。ただ、それがストレートに補償云々の問題になるのかどうか。これは、裁判ということになれば、裁判官の判断だと思います。

浅尾委員 今まさに、予測し切れなかったという御発言がございました。実は、予測し切れなかったということは、津波に対する堤防の高さを決めるということにあらわれているわけでありますが、福島第一原発の堤防の高さを決めた当時の保安院の院長、これは以前も海江田大臣に質問をさせていただきました。現在の経済産業省の事務次官でございます。

 この事務次官の任期をどうもさらに延ばすということについて、私は、その責任が、彼が個人的に賠償を負うべきものかどうかは別として、結果として、まさにその予測できなかった責任があるというふうに総理がおっしゃっているわけですから、その責任はあるというふうに思うわけであります。

 そのことに対して海江田大臣は、いや、責任をとるべきは私だということでかつて委員会の中で御答弁いただいたことを覚えておりますが、私は、責任をとるべきということでいえば、そのときそのときのその立場にあった人はやはり責任があるんだと思います。その人が次官として任期が延ばされるということは、やはり問題があるだろうというふうに思います。

 そのことと、国会の中でもさまざま議論をされております。きょう、同僚の柿澤議員から理事会の場でお願いをさせていただきましたが、残念ながら認めていただけませんでしたけれども、古賀茂明さんという方がどうも退職勧奨を受けているということでありまして、では、彼がさまざまテレビに出ているということでありますが、調べてみたら、どうも勤務時間中に出ていたという事実もないわけであります。テレビに出て自分の考え方を発表する方が、堤防の高さを高いのにしなかったということよりも責任が重い、世の中に対しても責任が重いというふうに判断をされるのかどうか、この点について菅総理大臣に伺いたいと思います。

海江田国務大臣 後ろの話はもう私は答弁する気がありませんので。どうぞ私に直接言ってきてくださいと何度も申し上げておりますから、どうぞ私へ直接言ってきてくださいということで。

 前段でございますが、委員、あるいは柿澤さんですか、前にもそのお話がありまして、調べてみたんですが、これは平成十四年の二月の時点ですか、この時点の保安院長は別の方、それから次官も、今の次官とは別の方でありますので、その点、お間違えのありませんように。

浅尾委員 保安院の院長として、それでいいということじゃなくて、その後それで認めてきたわけでしょう。そのことを申し上げているわけです。

海江田国務大臣 今お尋ねのあった点は、最初にあった点は、たしか、その人がそういう基準をつくったとおっしゃったはずでありまして、今お尋ねの件はちょっと違うと思いますので、改めて正確な御質問をいただきたいと思います。

黄川田委員長 もう一度質問してください。

浅尾委員 では、事実関係を申し上げてまいりますけれども、保安院の院長であったことは間違いございませんね。

海江田国務大臣 それは間違いございません。

浅尾委員 五メートルでいいということについて、その後も訂正していなかったということは、事実、間違いないわけですよね。

海江田国務大臣 今回の事故に至るまで、それは、さらなる安全性を高めた、さらなる高い堤防が築かれていなかったということでございますから、その意味では、その後何代いるかちょっと今手元に資料はございませんが、その後何代もの院長がそういったことには手を打ってこなかったということでございます。

黄川田委員長 浅尾慶一郎君。持ち時間が過ぎておりますので、まとめてお願いいたします。

浅尾委員 時間になりましたので終わりますけれども、現在の事務次官の方が、もし、単なる不作為ということではなくて、ある依頼があったにもかかわらず不作為だったということになれば、それは責任が大きいということを申し上げて、質問を終えたいと思います。

黄川田委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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