衆議院

メインへスキップ



第19号 平成23年8月9日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十三年八月九日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君

   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君

   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      太田 和美君    笠原多見子君

      梶原 康弘君    川口  博君

      菊池長右ェ門君    郡  和子君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    白石 洋一君

      空本 誠喜君    高井 美穂君

      高松 和夫君    高邑  勉君

      中後  淳君    道休誠一郎君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    畑  浩治君

      花咲 宏基君    樋口 俊一君

      谷田川 元君    若井 康彦君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    松野 博一君

      江田 康幸君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君    園田 博之君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   法務大臣

   環境大臣         江田 五月君

   財務大臣         野田 佳彦君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       山口  壯君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     長島 忠美君

同月九日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     中後  淳君

  川口  博君     高松 和夫君

  近藤 洋介君     樋口 俊一君

  階   猛君     花咲 宏基君

  山口 和之君     笠原多見子君

  若井 康彦君     今井 雅人君

  長島 忠美君     伊東 良孝君

  吉野 正芳君     松野 博一君

  斉藤 鉄夫君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     若井 康彦君

  笠原多見子君     空本 誠喜君

  高松 和夫君     川口  博君

  中後  淳君     石山 敬貴君

  花咲 宏基君     階   猛君

  樋口 俊一君     道休誠一郎君

  伊東 良孝君     長島 忠美君

  松野 博一君     吉野 正芳君

  江田 康幸君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     山口 和之君

  道休誠一郎君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

八月九日

 既存債務からの解放を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二八〇号)

 同(大口善徳君紹介)(第二二八九号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二二九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案起草の件

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただいておりましたが、今般、意見の一致を見たことを受け、理事会等において協議した結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 東日本大震災では地震や津波によって膨大な量の災害廃棄物が発生し、被災地の住民生活や経済活動の一刻も早い復興に向けて、これらの災害廃棄物の迅速かつ適切な処理が喫緊の課題となっております。

 災害廃棄物の処理は最終処分まで市町村が行うこととされていますが、被災市町村の中には、災害廃棄物の運搬車両や作業人員の不足等により、その処理がおくれている地域もあり、県内外の広域的な処理体制の構築が課題となっているところであります。

 この点に関しましては、被災した地方公共団体から、国がより積極的な役割を果たせるよう、市町村域や県域を越えた広域での処理を推進すべきとの意見や、国が直轄で災害廃棄物を処理すべき等の要望も出されております。

 こうしたことから、災害廃棄物の処理に関し、国の責務を明確にするとともに、被害を受けた市町村における災害廃棄物の処理の実施体制、その処理に関する専門的知識及び技術の必要性並びにその広域的な処理の重要性にかんがみ、国が被害を受けた市町村にかわって災害廃棄物を処理し、あわせて、必要な措置を講じていくことが求められております。

 このような状況のもと、災害廃棄物の迅速かつ適切な処理を図るため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、国は、災害廃棄物の処理が迅速かつ適切に行われるよう、主体的に、市町村及び都道府県に対し必要な支援を行うとともに、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、災害廃棄物の処理の内容及び実施時期等を明らかにした工程表を定め、これに基づき必要な措置を計画的かつ広域的に講ずる責務を有することとしております。

 第二に、環境大臣は、東日本大震災復興対策本部の総合調整のもと、関係行政機関の長と連携協力して、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律が規定する特定被災地方公共団体である市町村の長から要請があり、かつ、当該市町村における災害廃棄物の処理の実施体制等を勘案して必要があると認められるときは、当該市町村にかわってみずから当該市町村の災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うものとしております。

 第三に、環境大臣が行う災害廃棄物の収集、運搬及び処分に要する費用は、国が負担するものとし、この場合において、特定被災地方公共団体である市町村は、当該費用の額から、みずから災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うこととした場合に国が当該市町村に交付すべき補助金の額に相当する額を控除した額を負担することとしております。また、国は、特定被災地方公共団体である市町村が災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うために要する費用で当該市町村の負担に属するものについて、必要な財政上の措置を講ずるものとし、加えて、地域における持続可能な社会の構築や雇用の機会の創出に資する事業を実施するために造成された基金の活用による被災市町村負担費用の軽減その他災害廃棄物の処理の促進のために必要な措置を講ずるものとしております。

 なお、国は、被災市町村負担費用について、地方交付税の加算を行うこと等により確実に地方の復興財源の手当てをし、当該費用の財源に充てるため起こした地方債を早期に償還できるようにする等そのあり方について検討し、必要な措置を講ずるものとしております。

 第四に、国は、災害廃棄物の処理に関し、災害廃棄物に係る仮置き場及び最終処分場の早急な確保のための広域的協力の要請や私有地の借り入れの促進、災害廃棄物の再生利用、災害廃棄物処理に係る契約の内容に関する統一的指針の策定、アスベストによる健康被害の防止、海に流出した災害廃棄物の処理指針の策定とその早期処理、津波堆積物等の災害廃棄物に係る感染症等の発生の予防など、必要な措置を講ずるものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

    ―――――――――――――

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。橋本清仁君。

橋本(清)委員 民主党の橋本清仁です。

 与野党が相互に歩み寄ることによって、本日の委員長提案が形成されました。被災地の瓦れき処理を加速することによって復旧復興をさらに加速させたい、そういった意思のもと、相互に歩み寄った形になりました。

 特に大きな部分としては、国と地方の費用の負担についてというところかと思います。中においては、基金を活用して被災市町村への支援を行うことによって、国の実質的な負担額を引き上げ、地方の負担額を引き下げるものとなっています。支援に当たっては、特定被災地方公共団体の地方負担額の実情を十分考慮したものとするべきだと考えております。

 その点について、環境大臣の御所見をお伺いいたします。

江田国務大臣 さまざまな意見がある中を、委員長の大変なリーダーシップと、そして関係委員各位の大変な御努力によりまして、こういう合意案にたどり着いた、本当に皆さんの御努力に心から敬意を表します。

 今、費用のことについて御発言がございましたが、この法案の与野党協議の過程で、グリーンニューディール基金を通じた支援によって国の実質的な補助率を平均九五%とすることになったと承知をしております。

 グリーンニューディール基金を活用して国が実質九五%、さらにその後の負担も入れますと実質一〇〇%、こういう負担をする際には、与野党の皆さんの議論を踏まえて、当該被災自治体の災害等廃棄物処理事業費の総額あるいはまた当該被災自治体の財政力、こうしたことを勘案して助成額を決定したいと考えておりまして、もちろん負担の大きな自治体に対してはより手厚くするなど、めり張りのきいた支援を行っていく所存でございます。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 めり張りのついた支援ということですけれども、例えば私の選出されている宮城三区においては、亘理町という小さな町がございます。この町では百二十万トンを超える瓦れき量がございます。仙台市は百三十万トンを超えるということですから、ほぼ同じ量の瓦れき量でございますけれども、政令指定都市である仙台市と亘理町では自治体のそもそもの財政力が大きく異なるという形になっておりますので、亘理町のような小さな自治体に対する配慮についてお伺いいたします。

江田国務大臣 委員御指摘のとおり、亘理町は、災害廃棄物の発生量が非常に大きく、大変恐縮ですが、恐らく財政力は弱いと思われます。そういう被災市町村が存在すると思っております。

 今のこの進捗状況の表で見ても、亘理町の瓦れきの集計が百二十六万七千トンですか、仙台市が百三十万ぐらいですから、これは異常に多い。しかも、見ますと、今私ども、新たに処理の状況を判断するに際して進捗率というものを考えてみたんですが、進捗率が八三%、以前の搬入率で八二%。すなわち、もう解体撤去を待っている家などというのはほとんどない、全部瓦れきになってしまっているという状況がこの数字だけ見ても見てとれるわけであります。

 この法案成立の後には、全体の総事業量あるいは他の被災自治体における負担額等を勘案しつつ、思い切ってめり張りのついた配分を行いたいと思っております。

橋本(清)委員 思い切ってめり張りのついたという御答弁をいただいて、本当に地元のみんなも喜ぶと思います。亘理は仙台いちごというものが非常に特産物であって、クリスマスまでにこの仙台いちごの出荷もする、そしてまた漁港においても漁が再開しているという状況で、本当に、この瓦れきを何とかすることによってさらに加速するのは確実ですから、ぜひ、財政力が弱いというところの亘理町の部分、よろしくお願いしたいなというふうに思っております。

 次に、本法案附則第二項においては、「国は、被災市町村負担費用について、国と地方を合わせた東日本大震災からの復旧復興のための財源の確保に併せて、地方交付税の加算を行うこと等により確実に地方の復興財源の手当をし、当該費用の財源に充てるため起こした地方債を早期に償還できるようにする等その在り方について検討し、必要な措置を講ずるものとする。」と規定しています。

 それらの内容として、具体的にどのようなことを講じるのか、総務大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 今回の合意の結果、国費率が平均九五%ということでありますから、自治体の皆さんの安心感が増したと思います。

 その中でも、ごく一部になりますけれども、これは当面、自治体の方で地方債を発行いたしまして資金調達をするということになりますが、その元利償還については、すべて地方交付税で後年度措置をするということになっております。その交付税の措置の仕方について、今回の合意に基づく附則では、早期にこれを償還できるようにするということでありますから、これも自治体の皆さんの安心感がさらに一層強まるものと思います。

 具体的には、例えば、この瓦れき処理の地方負担に伴います地方債の発行は、通常の、これまでの災害復旧事業債とは異なる、短い償還年限の地方債として発行する、そういう道行きも考えられますし、それから、これまでと同じ、通常の災害復旧事業債として発行するものの、これを早期に繰り上げ償還が可能となるような交付税措置をするということも道行きとして考えられます。

 これから具体的な復興財源の手当てというものが決まってまいりますので、それに応じて変わるところがあるかと思いますが、いずれにしても、今回の附則に盛り込まれた「早期に償還できるようにする」という、この趣旨を踏まえた今後の地方財政の措置、対応をしていきたいと考えております。

橋本(清)委員 片山大臣、ありがとうございました。大臣への質問はもうありませんので、大丈夫ですので、ありがとうございます。

 次に、本法案第四条第二項においては、「環境大臣は、東日本大震災復興対策本部の総合調整の下、関係行政機関の長と連携協力して、前項の規定による災害廃棄物の収集、運搬又は処分を行うものとする。」となっており、代行を行う際には関係省庁との連携が必要だと思われます。この点についてどのように取り組んでいくのか、続いて環境大臣政務官にお伺いいたします。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。橋本先生から大切な御指摘をいただいたと思っております。

 災害廃棄物の処理に当たりまして、これまでも関係省庁と緊密に連携をとってきたところでございます。具体的に申しますと、国レベルにおきまして、東日本大震災復興対策本部を事務局といたしまして、環境省のほかに、国交省、農水省、財務省、総務省、文科省、厚労省、警察庁あるいは内閣府など関係省庁が参加をいたします災害廃棄物の処理等の円滑化に関する検討・推進会議を開催し、諸課題の整理及び検討も行ってきたところでございます。

 また、被災の大きかった三県、岩手県、宮城県、福島県にそれぞれ設置をされております災害廃棄物処理対策協議会の中に直接関係省庁も参加をさせていただいて、地域における処理促進の体制の構築も図ってきたところでございます。

 今後、本格化をいたします災害廃棄物の処理処分に当たっては、復旧復興事業において利用される建設資材等への利用が有効でございまして、関係省庁に対して、災害廃棄物の幅広い再生利用、つまりリサイクルも働きかけを行ってきているし、またこれから力強く行ってまいりたいと思っております。

 環境省が本法に基づき、国が代行を行うということに当たりまして、要請のある地域にもよりますけれども、人的な協力も含めて関係省庁の協力を得ていくことが重要でございます。

 このため、今回の与野党間の皆様方の英知の御結集、協議によりまして、第四条第二項において、復興対策本部による総合調整、関係行政機関の長との連携協力の規定が盛り込まれたことは極めて意義深い、このように考えているところでございます。

 本法の趣旨を踏まえて、緊密な各省連携のもと、災害廃棄物の処理の迅速かつ円滑な処理に全力で取り組んでまいりたいと思います。しっかりと受けとめをさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

橋本(清)委員 今、樋高政務官から全力でしっかりと対応していきたいという答弁がありました。今までも瓦れきの処理についてはしっかりやっていっていただいたと感謝いたしております。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。

 そして、今回、関係者各位、各方面の御協力を得て、本日の委員長提案に至りましたけれども、この委員長提案を受けて、瓦れき処理のさらなる加速化に対しての環境大臣の御決意を伺います。

江田国務大臣 先ほども申し上げましたが、政府提案あるいは野党の皆さんの議員提案、そしてその修正協議、こういうものを経て、今回、委員長提案という形になりました。それぞれに、この提案をしたものにはいろいろな事情があるわけですが、それを乗り越えて、みんなの合意によってこういう委員長提案という形にまとめられたことは画期的なことだと受けとめておりまして、本当に皆さんの御努力に感謝を申し上げます。

 本法案の第一条にございますとおり、東日本大震災によって生じた災害廃棄物の処理は喫緊の課題となっております。法案成立の暁には、国による災害廃棄物処理の代行、あるいは法案に規定をしております国が講ずべきさまざまな措置に取り組むことで、災害廃棄物の処理が迅速かつ適切に行われるように最大限の努力を傾けていきたいと思っております。

橋本(清)委員 ありがとうございました。

 瓦れきの処理が一層加速することによって、被災地の復旧復興、地元を歩いていましても、瓦れきの山が積み上がっていくときに復旧復興が早くなるなというふうに感じておりましたけれども、これからは、瓦れきの山が減っていくことによって復旧復興がより進んだなというふうに思えるようになっておると思いますので、これからも皆さん方の御協力をよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。本当にありがとうございました。

黄川田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 先週八月二日火曜日以来、与野党間で鋭意協議して、このたびまとまりました。

 自由民主党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、四党共同提案と政府案との合意点を目指して、精力的に、かつ早期の決着をそれぞれが念頭に置いて、さまざまな協議の場、公式の場以外にも、深夜の電話でのやりとり等々で頑張ってきたところでございます。協議そのものは、提出会派と与党だけではなくて、共産党、社民党の皆さん方からも強い要望があり、より幅広い方々の英知を集めて、いわば全党で協議を進めるという極めて珍しい形で進めてきたところであります。

 きょうは、限られた時間でございますので、我々自由民主党として、ぜひ政府の方に確認しなければならない点を中心として、幾つか政府の見解をお尋ねしたいと思います。

 お手元に資料があるかと思います。一番上が新統合案と書いていますが、新統合案ということは前の案もあったということでございまして、いろいろ案がございましたが、最終的には新統合案、そして真ん中が政府案、下が野党案でございます。

 我々が強く主張していたのは、とにかく国の責務ということをこの法律の中に明記するということ、そして、第三条でございますが、国は主体的に工程表をきっちり定めるということを主張し、そのように入れてもらったところでございます。また、先ほども橋本委員の質疑の中でも話が出ましたが、法律の第四条第二項、第三項の意味合いも、江田大臣、これは大変重たいものがあると思います。

 野党案はもともと、環境省はという主語ではありませんでした。国がという考え方です。国全体が取り組んでほしい。復興庁ができれば、復興庁がこれをやっていただくという前提で法案をつくったわけであります。

 しかし、最終的に、復興庁が業務として瓦れきをどう扱うのかということはまた次回の法案協議のときに協議をしよう、とりあえず今の段階は、環境省が所管省庁であることははっきりしているので、環境省はということは譲るにしても、しかし、第二項、第三項を入れて、国全体で、地方機関とも十分協力をしながらやってほしいという意味合いを込めたつもりでございます。

 そういう意味合いをしっかりと踏まえていただきたいと思いますが、所管大臣としての江田大臣の決意をお尋ねしたいと思います。簡単で結構でございます。

江田国務大臣 何度も繰り返して恐縮ですが、本当に、政府案、野党案、それぞれいろいろな事情があるのを谷委員初め皆さんの御努力によって乗り越えて、こうしたみんなの合意による統一案にこぎつけられて、そして委員長提案ということにしてくださったことに、私は大きな感銘を受けているわけでございます。

 これまで議論してまいりましたが、私どももそれなりの思いを持って提案しましたが、野党の皆さんの提案にももちろん聞くべきところがたくさんあったわけでありまして、特に、国の責務というものをしっかりと挙げていただき、また、「環境大臣は、」という規定、これは政府案に「環境大臣は、」となっておりましたが、環境大臣はこれこれすべしという、そこに野党の思いがこれだけ詰まっているんだよということを今委員が述べられたんだと思っております。その気持ちをしっかり体して、全政府を挙げてこの問題に取り組んでいきたいと思っております。

 ぜひ、これからも御指導、御協力をお願いいたします。

谷委員 ぜひ、環境大臣、国の総力を挙げて今まで以上に取り組んでいただきたいと思います。

 正直なところ、環境省だけでは無理です。東北の地方機関は三十人しかいないでしょう。整備局とかそういう数百人規模のパワーを、もちろん、今も連絡協議会とか、先ほど政務官が答えておられましたが、それは設置して協力をされていると思いますけれども、直轄制度が、代行制度ができたわけですから、そこのところは、この法律の趣旨を体して、今まで以上にぜひ協力体制をより強めて、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、環境大臣に確認の意味でお尋ねしたいと思います。四条一項の代行であります。

 四条一項の代行は、政府案のように見えますけれども、実は大きな違いがあります。政府案では、代行の場合、「その事務の遂行に支障のない範囲内で、」という、いろいろ条件が厳しかった。我々は、これは絶対に排除すべきだということで、最終的にはそれは排除して、いわば当初の政府案よりも緩和しました。要は、より積極的に国代行に取り組んでほしい、そういう意味合いを四条一項の中に込めているわけです。

 せっかくこの制度ができても、生きたものにならないと我々の思いというのは反映されないわけですから、その代行の要件が緩和されたということについてしっかりと受けとめるという決意を、簡単で結構ですので、お尋ねしたいと思います。

江田国務大臣 政府案に、その職務の遂行に支障のない範囲内でという文言がございました。これはこれで一定の意味があって書き込んだものではございますが、しかし、皆さん方の大きな議論の中で、これは取ろうと。そして、地方団体に必要があれば国はやるんだ、こういうことを国にしっかりと認識してもらおうということで今回の統合案になったと思っておりまして、その趣旨をしっかりと踏まえてまいりたいと思います。

谷委員 今回の法案の第六条で、災害廃棄物の処理に関し国が講ずべき措置というのが定められております。第六条一項は広域的な協力、第二項は再生利用のこと、第三項は契約の統一に係ること、第四項は健康被害のこと、第五項はいわゆる海の瓦れきのこと、第六項はアスベスト等々であります。いずれもほとんど我々の案がそのまま法律案として、最終的に法制化される予定となっております。

 農林水産大臣にきょう来ていただいています。この中で、海の瓦れき、これがなかなか、進捗を見ると、必ずしもスムーズにいっているとは言えないのではないか。そもそも、海の瓦れきというのは全体でどれぐらいあるんですか。農林水産省は、どれぐらいの処理すべき量があると考えているのか、あるいは、どれぐらい経費がかかるんですかということを何度お尋ねしても、わからないと言われる。それで我々は、この法案の中で、「処理について責任を負うべき主体が必ずしも明らかでないことに鑑み、指針を策定するとともに、」という文言も入れさせていただきました。

 鹿野大臣、この海の瓦れきの指針はいつぐらい、まだ法案は成立していないんですけれども、これから定めて、大体どれぐらいあると推計されておられるんですか。お尋ねします。

鹿野国務大臣 今、谷先生から言われた、瓦れきがどのくらい漁港なり漁場にあるのかというようなことにつきましては、なかなか、海中の瓦れきの状況を把握することは極めて困難なところがございまして、今御質疑の中でどのくらいだと言われても、明確なる答えというふうなものができないわけでございます。

 基本的には、漁場における瓦れき処理につきましては、専門業者による海底瓦れき等の分布状況調査や、あるいは漁業者や専門業者によるところの回収処理を支援しておりまして、何とかこの瓦れきの回収を一刻も早くやっていきたいということでありますけれども、まだ全体像というのが見えてきておらないというのが現状でございます。

谷委員 全体像が見えていないということは、私は農林水産委員会でも前にお尋ねしたかと思いますし、同じ答弁なんですね。

 ただ、この法律はそれでは済まないんです。国はその指針を策定するとともに、要は、海の瓦れきについて、どういう方策で処理していくかという指針を決めるように義務づけているんです。

 では、その指針はいつぐらいをめどに策定をしたいと考えておられるのか、再度お尋ねします。

鹿野国務大臣 当委員会の先生方の御努力によりまして、この瓦れき処理につきまして、いわゆる基本的な考え方をおまとめいただくということになったということも承知しておりまして、そういう中で、やはり指針を策定するというふうなことが大変重要なことだ、こういう御指摘でございます。

 農林水産省といたしましても、被災地の漁業を再開するためには、やはり漁場の航行なり、あるいはまた係留なり、あるいは漁業の活動等にとって、この瓦れき処理ということが極めて大きな課題である、こういうふうなことから、もちろん関係省庁とも協議をしてということでありますけれども、農林水産省も、主体的な一つの取り組みの中でそういう気持ちを持って、いつまでかということは今この時点で明確にお答えすることはできませんけれども、できるだけ早く、早急に、今後、この指針の策定について取り組んでいきたいと思っております。

谷委員 余り明確な答弁ではございませんでした。できる限り早くという決意はお尋ねしました。きょうはこれ以上は言いません。ありがとうございました。

 先ほど橋本委員も尋ねられていましたが、今回の法案では、瓦れき処理についての国の助成率が、現行は平均が八六・五%、これを九五%と、八・五ポイント上がる。ただ、これは平均です。そして、それは直接的な補助金ではなくて、いわゆるニューディール基金というのを経由して助成をするという仕組みであります。

 ニューディール基金は、平成二十一年度補正で、自公政権のときに五百五十億で全国の都道府県につくった基金でございますが、さて、現時点でこの基金を通じておおよそどれぐらいの助成額になるのか、六百億という理解でいいかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

江田国務大臣 委員今御指摘のとおり、協議の過程で、グリーンニューディール基金を通じた支援により国の実質的な補助率を平均九五%にするということになったと承知をしております。

 この費用でございますが、第一次補正予算の積算時における事業量を前提として、申しわけないんですが、機械的に算出をするという手法で考えてみますと、後年度の所要額を含め、総事業費ベースで約六百億円、今委員の御指摘の数字が得られるわけでございます。

谷委員 約六百億円ということでございます。

 話が戻るようですけれども、この都道府県の基金というのは、ちょっと、政権交代してから、基金はだめだとか一時期言われましたけれども、どうか与党の皆さん、こういう活用もいざというときできるわけでございますから、そう目くじらを立てないように、私も協議の当事者でございましたから、もしこれがなければこの九五%は実現しなかったと言っても過言ではございませんので、またそういうことも念頭に置きながら予算を決めていただきたいと思います。

 さて、平均九五%です。しかし、先ほどの橋本委員とのやりとりでもございましたが、これはあくまでも平均です。亘理町の例を出されていましたが、亘理町も大変でございますけれども、何といっても、断トツの瓦れきの処理量は石巻でございます。

 石巻は、人口が十五、六万人、税が大体百五十億かそこらでございましたか。では、そうなると、そういう団体については、江田大臣、平均が九五だから、九九%、もうそれぐらいの手厚い助成も念頭にある、そういう理解でよろしいですか。

江田国務大臣 委員御指摘のとおり、被害の大きい自治体に対しては、それぞれの被災自治体の災害等廃棄物処理事業費の総額あるいは当該被災自治体の財政力、さまざまな事情に配慮して、まさに重点的に助成の実施を図っていきたいと思っております。

 今、石巻のケースをお挙げになりましたが、今この数字を具体的に言うというのはまだなかなか困難でありますが、際立って被害の大きい被災自治体に対しては、今申し上げたように、全体の総事業費あるいは負担額等を勘案しつつ、ひとつここは思い切ってめり張りのきいた配分を行いたいと思っております。

谷委員 財務大臣に来ていただいています。

 予算は財務省がつけるわけでございますけれども、これは三次補正になりますか、先ほどのグリーンニューディール基金への積み増しを三次補正で計上されるつもりなのかということが一つ。

 もう一つ大臣にお尋ねしたいのは、今の配分の話です。例えば執行の段階で、石巻は百年分とも百六年分とも言われている瓦れきの量であります。では、ならしては九五%だけれども、石巻は九九%、場合によっては九九・五%でも助成する、そういう運用をするとしても、これは都道府県の基金ですから、財務大臣、それは財務省としては特にクレームをつけるわけではない、そういう理解でよろしいですか。

野田国務大臣 まず、私からも、政府案そして野党案、いろいろとそれぞれ思いを持った御提案があった中で、まさに委員の御指摘のとおり、英知を集めて委員長提案に至ったということ、心から敬意を表したいというふうに思いますし、その国会の御意思をしっかりと私ども受けとめて対応していきたいというふうに思います。

 まず、三次補正についてでございますが、これは、瓦れき処理に基金を活用するに当たって、瓦れき処理の状況や基金の執行状況を踏まえて、基金の規模を適切なものにするという観点から、補正予算も含め、必要な予算措置については検討させていただきたいというふうに思います。

 後段の、めり張りの部分でございます。めり張りの部分は、当然、この基金の運用の中で、環境省と県で御相談をしながら検討を進めることになると思いますが、可能性としては、九九%についてはあり得るというふうに承知をしていますし、そのことは私どもも適切に、いわゆる受けとめるというお話でございますね、受けとめさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

谷委員 総理大臣とかいう声が上がっておりますけれども。

 わかりました。そうしたら、大臣、くどいようですけれども、これは考え方の問題です。ならして九五%の助成、これは財務省としてはいい、一〇〇%は認められないけれども、九五%であればいいですよと。ただ、その中で、被災自治体の瓦れきの量とか財政状況、税収の状況、そういったことを総合的に勘案して、相当めり張りのついた、九九%であれ九九・五%であれ九九・九であれ、それは財務省としてはとやかく言うものではないという理解でよろしいですか。

野田国務大臣 だんだん数字が上がってきている気がしますけれども、めり張りのついたという意味では、御指摘のとおり、かなりめり張りのつく数字が出てくる可能性は十分あると思いますし、それについてはしっかり受けとめていきたいと思います。

谷委員 ありがとうございます。何か財務省も大変柔軟になったような感じがいたします。

 十六年前、神戸のときに、当時は私は兵庫県にいましたけれども、実にきつかった。瓦れき処理も、そもそも税金でやるべきことかということから議論が始まって、それで最後の結論は補助率二分の一でした。今から思えば隔世の感があるような感じがいたしますけれども、しかし、それだけの災害だし、財政的な力も大変弱いというか脆弱だということを念頭に置いた今の野田財務大臣の答弁ではなかったかと思います。

 最後に、附則の交付税措置のことであります。

 こういう大災害のときは、本当に自治体は大変です。その兵庫県でも、震災が起きたのは十六年前です。当時、兵庫県の事実上の負担額は二兆三千億と言われていました。国庫補助金とかそういうのは別です。県が現実に災害からの復旧復興のために負担した金額は二兆三千億と言われ、うち一兆三千億は起債で賄いました。十六年たちました。一兆三千億の借金はどうなっているか。現在、六千七百億です。ということは、十六年たっても、まだ半分しか元金が返せていないということです。兵庫県の税収は六千億強です。六千億の税収の団体でも、十六年かかって一兆三千億が七千億弱にやっとなった。これを完済するには、まだあと十五年はかかる。

 ですから、今回の被災自治体の財政は本当に大変だと思います。細かな目配りをして、しっかり国の制度あるいは地方財政措置もしなければならないと思いますが、余り法律では例がないと思いますけれども、附則にそのことを書いております。附則第二項であります。

 この中に、「復旧復興のための財源の確保に併せて、地方交付税の加算を行うこと等により確実に地方の復興財源の手当をし、」云々と書いています。この「地方交付税の加算」という文言の意味合いは、財務大臣、我々は、通常の地方交付税とは別に、このための加算をしてくれ、そういう思いがこの法文の中に込められているわけでございますけれども、それについての考え方を最後にお尋ねしたいと思います。

野田国務大臣 瓦れき処理については、これまでも地方負担に関しては実質的にはゼロにすることを表明してきたところでありますけれども、今般の瓦れき処理法における規定を踏まえ、特に今御指摘のあった附則をしっかり踏まえまして、地方負担について、国と地方を合わせた東日本大震災からの復旧復興のための財源確保にあわせて、御指摘のあった地方交付税の加算を行うこと等により確実に地方の復興財源の手当てをする等、そのあり方について検討し、必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

谷委員 ぜひ、閣僚の方々は、引き続き、この法律を契機にして、さらに処理を加速されることをお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。

 今、谷委員のお話がございました瓦れき撤去の費用負担について、ならしでは九五%、今回国が負担をするということですが、特に被災を受けた自治体、例えば石巻、あるいは気仙沼もそうですし、陸前高田もそうでしょうし、東松島、南三陸、こういうところは今瓦れき量が圧倒的に多い。そしてまた、自治体の財政が大変厳しい。こういう中で、財務大臣から、もう九九%とも、場合によっては九九・五とか、そういう数字が出ておりました。

 これだけしっかり対応できるという財政的な裏づけも今お話がございましたので、これを担当されます環境大臣にお伺いしたいのですが、今回の自治体負担、これを被災地の実情に合わせてしっかり対応するということ、改めて答弁を求めたいと思います。

江田国務大臣 先ほどから議論の中で私も申し上げてまいりましたが、今回、このスキームについて、やはり与野党の担当の皆さんに一番御苦労いただいたのがこの費用負担のところであっただろうと思っております。

 こういう形で、補助率平均九五%、さらにさまざまな方法によって実質的に地方の負担のないようにしていく、そして、その補助率についても思い切ってめり張りをつけたものにしていく、こういう統一案ということになったわけでございまして、皆さん方のここまでの御努力をしっかり引き受けてしっかりした財政措置をとっていくために、私は財務大臣じゃございませんが、精いっぱい努力をしていきたいと思っております。

小野寺委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その中で、実は、例えば瓦れきの撤去あるいは全壊家屋の解体、この費用から漏れる場合が現状の制度ではございます。例えば公共施設。

 地元を回ってみますと、病院とかあるいは公民館とか、こういうところが手つかずで残っております。なぜかといいますと、実は、同じ場所に建て直す場合には撤去の費用というのは出ます。ですが、場所を移す場合には撤去の費用は出ないというのが今までの制度と伺っております。ただ、津波で全壊した場所にもう一度病院を建てる、あるいは公民館を建てる、これは常識的にはあり得ないことだと思っています。

 今回、移転するという場合でも、撤去費用を含めて、自治体の所有する病院や公共施設にも出すという方針について固まっているかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。

平野国務大臣 小野寺委員には、被災地の復旧復興に向けて連日精力的に活動されておりますこと、改めて敬意を表させていただきます。

 今の委員の御指摘にもありましたように、被災した公共施設の撤去が必要な場合に、その場所に新たに施設をつくる場合には、学校でも病院でもそうなんですが、撤去費用も補助対象になります。

 しかし、実際には、今回津波被害でありますから、同じ場所に建てるという場所がむしろ少ないのではないかという気がいたしておりますが、御指摘のように、よそのところに学校を建てるという場合には、当該の学校がこれを解体するについては、今、補助対象になっておりません。これはやはり、今のこういう津波の被害の対応をするためには制度的に不備だというふうに私自身は思っておりまして、今、江田大臣にもお願いして、環境省と財務省で鋭意その制度を詰めさせていただいております。

 いずれ、これは自治体がどういう形かで撤去をしなくちゃならないということでありまして、そこに負担が出てくる。負担が出てくる以上は、これは瓦れきの撤去と同じでございますから、ここに対して何らかの支援が入らなければならないというふうに私自身は思っております。

小野寺委員 ぜひこの制度を拡充していただいて、自治体が持っている例えば病院とか公民館、実はこの瓦れきの撤去は、今回の瓦れき撤去の対象にならないということを知らない方もたくさんいらっしゃったと思います。今回、私ども、再建するに当たっては、この瓦れきは補助対象になる、この瓦れきはならない、そんな現状、現場ではないと思います。もう全体が被災している、そんな状況です。ぜひこの対応をお願いしたい。

 それからもう一点。被災地を回ってみて、まだ手つかずの場所、これは、今回、個人所有のものとか中小企業の所有のものは実は撤去もあるいは瓦れきの片づけも行われているんですが、大企業、この中小企業の範疇から外れるもの、例えば石巻もそうですが、気仙沼もそうなんですが、大手の企業の現地工場、こういうところがたくさんあります。ですが、現地工場といっても、それほど大きな施設ではございません。

 ただ、ここの状況を見ますと、例えば、そこに多くのごみや瓦れきが流入したり冷蔵庫が壊れたりしているんですが、では、そこに入っているものがその会社のものか。違うんですよ。だれのものかわからないものがもうごちゃごちゃになって、この施設が全部壊れている。

 ですから、私どもは、これは中小企業のもの、個人のものだから国が支援をします、ですが、大企業だからこれは手つかずですね、こういう差をつけるような今回の津波の案件ではないんだと思うんですが、このような大企業も含めた形での瓦れきの撤去について、もう少し国としてやはり支援をするべきじゃないか。

 津波というのは、自分のものが壊れているわけじゃなくて、だれのかわからないものが自分の敷地に山積みになっている。こういう実態を見られたら、ぜひこの支援ももう少し拡大していただきたいと思いますが。

江田国務大臣 まず、ちょっとしゃくし定規なことを言いますと、津波によって流れ着いた冷蔵庫等の物品に大企業の名前が記載されている場合、市町村は、その所有者である大企業に対して処分を促す必要がある。これがしゃくし定規なことでございますが、しかしながら、これらの物品の所有者が、それは書いてあるとは言っても判明しないというような判断ができる場合もあろうし、また、既にこれはもう所有権を放棄されてしまっておるというような判断ができる場合もあると思います。

 そのような物品は災害廃棄物とみなすべきものでありまして、災害廃棄物であれば、他の災害廃棄物と同様に、市町村が生活環境保全上特に必要と見てみずからの事業として処理を行うならば、これは当然補助の対象となるということで、その辺は柔軟な判断をしていただければいいのではないかと思っております。

小野寺委員 被災地を見ていますと、見渡す限りすべて被災をして、そして瓦れきの山になっています。ここからここまでは大企業だから手をつけません、ここからここまでは中小企業だから片づけます、ここは公共施設だから手をつけません、そういう区別をするなんて、そんな状況ではありません。運用上、ぜひここはしっかりと実態に合う形で手当てをしていただきたい、そのように思っております。

 さて、この瓦れきの問題で、一つ心を痛める報道がなされております。

 これは委員長の御地元でもあります。私も全くの隣町です。岩手県の陸前高田、ここに、高田松原という本当に風光明媚な、子供のころから私は泳いだ、そういうきれいな海岸があります。今回、大きな被災を受けました。一本だけ残った松、これが大変印象的だと思います。

 そして、ここで今回倒された松を薪にして京都の五山の送り火にする、そういう事案がございました。ところが、この被災地の思いがこもったまきを五山の送り火で燃やすということに関して、これは京都のどなたかわかりませんが、放射能汚染を不安視するという声で行わなかった、そういうことが実際大きく報道されております。

 環境大臣にお伺いしますが、私ども、今、地元にたくさん瓦れきがございます。宮城県も岩手県もそうです。これが放射能汚染の心配があると考えられるのかどうか、お伺いしたいと思います。

江田国務大臣 今回の災害の一つの特徴は、原子力発電所が被害を受けて放射性物質が飛散をした。これは法がそもそも予定をしていなかった事態でありますが、現実にこれが起きているというのは事実でございます。

 そのために、瓦れきが放射性物質によって汚染されたおそれのあるものがある、これは事実でございますが、しかしながら、私ども、こういうおそれがあるものについてもしっかり処理をしていかなきゃいけないし、まして、そういうおそれがないものについて、これはぜひオール・ジャパンでしっかりと処理をしていっていただきたい、そのためにオール・ジャパン、日本国挙げての御理解、御協力を賜りたいと思っているのは事実でございます。

 その上で考えてみますと、今議員がおっしゃる、例えば宮城県、岩手県、放射性物質によって汚染されているおそれのないところというのは、もちろん山ほどあるわけであります。今の松の木については私はテレビで見ましたけれども、これは放射能汚染はない、こういう結果であったということですが、しかし、やはり京都の皆さんが心配だということで、同じ字を書いた別の薪を用意して京都の方ではそれを焼いてもらうということで現地で燃やしたということで、まだまだ十分な認識が得られていないということに胸を痛めております。

 私は、今の災害廃棄物、瓦れきの中に放射性物質によって汚染されていないものは本当に山ほどあるので、そのことについては本当に日本じゅうの皆さんにしっかりとした認識を持っていただきたい、私どもも精いっぱいその努力をしていきたいと思っております。

小野寺委員 陸前高田、高田松原の名誉のためにお話をしますと、専門家、広島大学の放射線医科学研究所の細井教授も、陸前高田市は福島第一原発から二百キロ近く離れており、そもそも放射性物質が松に含まれる可能性は低い、まきを燃やしても環境への影響は全くない、こうお話をしております。

 ただ、実は、同じような話を今被災地で聞きます。今被災地で起きている、例えば、これから二次の瓦れき置き場に移動して、そしてそこで多分さまざまな対応をすると思います。あるものは燃やす、あるものは埋める、あるものは鉄くずとして引き取っていただく。こういう二次の処理を行う場合、今自治体が大変苦労しているのは、ほかの県で受け入れてくれると当初言っていた内容が、もしかしたらこの瓦れきというのは何らか放射能で汚染されているのではないか、そのようなさまざまな風聞、疑いが実は広がっております。ということで、二次処理の、あるいはそこから先の受け入れについての話がとまっていることが今たくさんあります。

 私はむしろ、今回、この瓦れき撤去の所管を環境省がされています、環境省ということは環境に一番厳しい役所である、ということは、今回、やはり環境省がお墨つきを与えて、もっと前面に立って、この二次の処理については、これは調べたけれども問題がない、だから燃やしても大丈夫だ、その残りかすについても灰についてもこうすれば大丈夫だ、そういうメッセージを出していただくこと。

 さらに、今、この処理の候補予定地があります。なかなか地元の皆さんは受け入れてくれません。なぜ受け入れないかというと、もともとここは田んぼだった場所です。この処理が終わった後、最終的に田んぼとして返してくれる、そうはいいますが、では本当に田んぼとしてこの処理が終わった場所が使えるのか、あるいは、将来にわたってここで何か環境的な影響が出ないのか。

 逆に言えば、その処理に当たった場所については、環境省が跡地利用について、公園にするなり、あるいはさまざま環境教育の施設にするなり、そういうすべての処理が終わった後の方針まで示さないと、場所を提供する住民の方々は、終わったら返します、これだけだとなかなか、では受け入れようということにならないと思います。

 ぜひ、この瓦れきの二次置き場、処分場の将来の利用についても、環境省が前面に立って、ちゃんとここはきれいにして戻します、その後はこういう形で利用します、その方針を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

江田国務大臣 今、二つのことを問題提起されました。一つは、放射性物質によって汚染されたおそれというものについて一体どう対処していくのか、それからもう一つは、仮置き場の原状復帰、原状回復、これを一体どうしていくのかという二つの点でございます。

 まず第一の点につきましては、今私どもがお願いをしているのは、やはり広域処理でやらなければ対応できないということで、多くの、オール・ジャパンの自治体の皆さんに手を挙げていただいております。合計年間四百八十八万トンという受け入れ表明があるんですが、この皆さんに本当にわかったと得心をいただいて処理をする、これを引き受けていただくには、この皆さんが確かに持っておられる放射能ということについての心配を本当に払拭していかなければいけないので、ここは、それを搬出する自治体の皆さんにしっかりと放射性物質の濃度測定、調査を行っていただきたい。

 そのことについては環境省はもちろん協力をしてまいりますし、また、受け入れ候補の自治体の皆さんにも、その測定にはしっかり立ち会って十分な理解をいただいて、スムーズに事が進むように環境省が前面に立ってこうした調整をしていかなければいけないと思っております。

 そして、もう一つが仮置き場のことでございますが、これは、そこへ廃棄物を持っていって、そしてこれをよそへ移す。そうなりますと、よそへ移すのは当然前提となり、さらに、撤去した場所の原状回復、これはその費用も含めて補助対象としているところでございまして、既に職員、コンサルタントなどを被災県に常駐させるなどの取り組みを通じて、適切な処理がなされるように被災自治体を精いっぱい支援してまいりたいと思っております。

小野寺委員 この二次仮置き場の今後処理した後の跡地利用について、市と協議をして、私は、国がここをむしろ買い上げる、そして環境教育の公園にする、このような大胆なやり方を提示していただいて、ぜひ、地元住民の受け入れ、このことについて全面の努力をしていただきたい、そう思っております。

 さて、もう一つ、きょうは厚労省に来ていただいております。

 実は今回、地元を回っておりまして私どもも心配しますのは、確かに原発の場合には放射能の危険というのがございます。ただ、今回、津波の被災地、これから瓦れき撤去をしてさまざま建物を壊していく段階で、アスベストの危険性、あるいは、現在、ヘドロにどのような有害物質がまざっているか、それがわからない状況で山積みになっている。そのすぐそばに例えば避難所があったり、住民が生活しています。風が舞うと、これが気管支を通じて体内に取り込まれる。専門家に言わせると、むしろ将来の中皮腫の方が大変心配だと。

 震災関連疾病というのは今すぐに出てくるわけではなくて、これから五年、十年、二十年先に例えば肺がんという形で出るかもしれない。今の対策、今後の対応、これが重要だと思います。厚労省としてどのような対応を考えていらっしゃるか、教えてください。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現地での瓦れきや堆積物の撤去等の作業に伴い粉じんが発生しておりますので、早くから防じんマスク、あるいはN95といったアスベスト用のマスク等の着用を推奨させていただいております。

 また、そういう作業のみならず、今御指摘のように避難所の生活の中で粉じんと接する機会がございますので、通常のマスクの使用も含めて、避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドラインというものを六月三日に発出させていただいて、皆様方に注意を喚起させていただいております。

 また、避難所、仮設住宅等を巡回する保健師等を中心に、マスクの着用の必要性、あるいは手洗い、うがい等についての指導もさせていただいております。

 今後とも、自治体と連携して、マスクの着用などの注意喚起を徹底して行うとともに、せきやたん等の呼吸器障害が続く方については医療につなげたいと思っております。

 あわせて、先週、仮設住宅の住環境等の改善を行うプロジェクトチームというのが立ち上がりまして、私、座長をさせていただいておりますので、全仮設住宅のリストを用意して、現在、仮設住宅群ごとの環境についてもしっかり調べるように対応しておりますので、近くにそういった瓦れきの集積場所等がある場合には、とりわけそういった仮設住宅群の皆様方の健康には注意をして、万全を図らせていただきたいと思っております。

小野寺委員 これは、中長期的にモニタリングが必要だと思います。ぜひ、厚生労働省としまして、この中皮腫の問題を含めたアスベスト、またヘドロの調査をしっかりやっていただきたい、そう思っております。

 さて、最後の質問に移ります。

 今回、この復旧事業の中で、大変地元が期待をしている事業があります。経済産業省、きょうは大臣に来ていただきまして、ありがとうございます。中小企業等グループ施設等復旧整備事業、これは地元で、この事業が出たときに大変感謝をしました。もちろん我が党からもさまざまお願いをしたんですが、これは、被災した企業がグループ化をして、そこに最大七五%まで補助金が出るという、今財務大臣、おっと思われましたが、大変有効な事業です。

 ところが、予算枠が少なくて、例えば今回、一次の申請では二百十七の申請があって、採択は二十八、わずか一三%です。ですから、何だ、これしか当たらないのかと。さらにもっと言うと、大変失礼な話ですが、石巻では六十二の申請があって二、気仙沼では三十一の申請があって一、四%しか実は採択になりませんでした。

 さらに、きょう皆さんのお手元に資料を配っておりますが、これは宮城で採択された案件です。個別の話は恐縮なので、一番右の「業種」というのを見ていただきたいと思います。読みます。製造業、製造業、製造業、製造業、製造業、製造業、次のページ、新造船・修理、製造業、製造業、製造業、新造船・修理、水産加工、水産加工。

 私ども、何度もこの復興特の委員会でお話をしました。今回の災害は、沿岸地域、津波の地域、この地域の復興は、実は、ここで産業の復旧復興ができないとだめなんだ、人が住めないんだ、町をどんなに立派にしても人が住めないんだと。

 事実、例えば、申しわけありませんが気仙沼の例です。先々週、福岡の大牟田に行ってまいりました。ここに新しい工場ができる。気仙沼から七十九名の職員と四十名の家族が移住するんですよ、福岡の大牟田に。今こうやって我が地元ふるさとから人が、働き手がどんどん流出している。今復旧してほしいのは、私どもは産業の復興なんです。

 経産大臣にお伺いします。ぜひこの枠をどおんととっていただいて、今回、この被災地域で、今にでも冷蔵庫を直したい、今にでも水産加工場を直して多くの方を雇いたい、こういう方にどおんと出していただけないでしょうか。私ども、そのために、例えば、今、国会の中で公債特例法等も議論されています。被災地の人間として、一日も早く協力をして、そして少しでも三次補正にしっかり予算をとってほしい、これを声を上げてまいります。ぜひ予算をしっかりとって対応していただきたい。その答弁を求めたいと思います。

海江田国務大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 確かに、小野寺委員からも資料をいただきました。それから、私もきょう御答弁するに当たって、この一次補正の手当てというものを拝見しましたけれども、おっしゃるように、本当に多くの方々から希望があった、その希望に十全にこたえていないということがございます。これははっきりしました。

 もちろん、これを決めるに当たりましては、県の認定審査会が審査をするということがありまして、石巻でありますとか、あるいは気仙沼でありますとか、残念ながら地盤が沈下をしておりますのでその関係もございますが、ただ、今委員からのお話もございました。それから、沿岸地域では何といっても水産業が一番の大きな、雇用を確保する、そして本当に産業の基盤でございますので、まさにこのグループ補助金の趣旨に合った業態であろうかと思います。二次補正は、これは百億円でございます。ですから、今度の三次補正で、今委員から御指摘がありましたように、しっかりととっていきたいというふうに思っております。

 そして同時に、この制度、東日本大震災の発災時までさかのぼって、そこから適用可能でありますから、つまり、もう既に今回の第一次では応募したけれども残念ながらだめだという方々も、そこはひるまずにやっていただいて、そして三次でしっかりと手当てをしよう、こういう考えでおります。

小野寺委員 どうもありがとうございます。

 今回の瓦れき撤去も、あるいはこのグループ化の事業も、お金が必要です。野田財務大臣、やめるなんて言わないで、どっさり予算を出していただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 今般、災害廃棄物処理に関する四野党提出法案及び政府提出法案について与野党修正協議が行われ、ようやく合意するに至りました。本日、委員長提案としてこの趣旨説明が行われたわけでございますが、この修正案について、確認の質疑を行いたいと思います。

 今回の大震災においては、二千二百万トンを超える膨大な災害廃棄物、いわゆる瓦れきが生じております。瓦れきの処理は復旧復興の第一歩であり、震災に打ちひしがれた被災者の皆様に復旧への希望を与えるものであります。

 しかし、震災から五カ月も過ぎようとしているのにもかかわらず、遅々として進んでいないのが現状ではなかったかと思います。一次仮置き場に搬入された瓦れきはいまだわずか四割にすぎませんし、一次仮置き場に積んでいるだけなら放置しているのと変わらないのではないでしょうか。一次仮置き場から二次仮置き場への搬入、そして再生利用から最終処分まで何年かかるかわからない。

 環境大臣は、今までの答弁で繰り返し、これまでは災害廃棄物の処理は着実に進められてきたと述べられてまいりました。私は、認識がやはり甘過ぎる、被災者の心とかけ離れている、そのことを言わざるを得ません。八月までにこの瓦れきを撤去すると言われますけれども、それもまた達成できるかわからない。そこで我々は、国の責務や、国による代行、費用の全額補助、国が講ずべき措置を定めた野党案を提出したわけでございます。

 そこで、質問をさせていただきます。

 今般のこの修正案には、特別立法を制定する趣旨を明確にいたしました。その趣旨は、野党提出案において、既に、災害廃棄物の処理が著しく停滞し、被災地域の復旧復興が遅延している現状にかんがみと明文化していたものでございます。政府は、この趣旨を踏まえて、スピード感を持って瓦れき処理の加速を図るべきであると思いますが、改めて環境大臣の認識をお伺いいたします。

江田国務大臣 先ほどから申し上げておりますが、政府案も出しました、野党案も出していただきました、それぞれにさまざまな理由があり、また言い分もあっただろうと思います。

 今委員の御指摘、私は、あえてもうそこで言葉を返すことはいたしません。私どもは一生懸命やってきたつもりではあるけれども、しかし野党の皆さんからすると、それはいろいろな御批判もあったことは当然でございます。そして、そういう違いを乗り越えて、本当に委員の皆さん方、担当の皆さん方の大変な御努力で、委員長のリーダーシップのもとで今回こういう統一案ということになったことは、これは私は本当に画期的なことだと思っておりまして、心から敬意を表しております。本当に敬意を表しております。

 ぜひひとつこの案をしっかり成立させていただいて、その暁には、私ども、もちろん今までも一生懸命やってきたつもりではありますが、さらに一層、環境省、各省とも大いに協力をしながら、あるいは自治体の皆さん、民間の皆さん方、ボランティアの皆さん方、みんなの力を合わせてこの瓦れきの処理というものに当たっていきたいと思っておりますので、どうぞひとつ委員の一層の御指導、御鞭撻もお願いを申し上げます。

江田(康)委員 あえてまた確認をさせていただきますが、政府提出の法案は、国の責務規定が全くないものでございました。国が責任を持って瓦れきを処理する姿勢が見られない、これが大きな地元の不安につながっているわけであります。

 修正案では、野党案に明示された国の責務規定、これをそっくりそのまま入れることになりましたけれども、災害廃棄物の処理に当たって国が果たすべき役割について、改めて環境大臣の御認識をお伺いいたします。

江田国務大臣 この点についても今申し上げたとおりで、政府案になぜ国の責務規定というのを置いていないかということについては、私どもには私どもの言い分もございますが、そのことはもう触れません。

 その上で、この統一案で、委員長の御指導のもと、皆さんの大変な御努力で国の責務というものが取り入れられている、そのことをしっかりと真正面から受けとめて、これは、この明文規定が入っていることによって示されました国会の御意思というものを体して頑張っていきたいと思っております。

江田(康)委員 続けてでございますが、国による瓦れき処理の代行について確認をさせていただきます。

 野党案では、国は、被災市町村の長から要請があり、かつ、地域の実情を勘案して必要があると認められるときは、当該市町村にかわってみずからが瓦れき処理を行うものと規定をいたしました。

 瓦れき処理を加速するための一番の国の役割というのは、やはり被災自治体にかわって事務手続や財政措置を直接代行することであります。しかし、政府案では、環境大臣が事務の支障のない範囲で代行することができるという極めて消極的な規定になっていましたし、国の主観的な裁量で代行を拒む余地を残していたものと考えられました。

 今般の修正案では、野党案のとおり、市町村からの要請があり、必要があると客観的に認められるときは、国は必ず代行するとの規定となっております。この国による代行規定について、政府の認識を改めてお伺いいたします。

江田国務大臣 この点についても、事務の支障のない範囲内でという規定が、今こういう状況のもとで、自治体の必要があっても国の都合でそれを拒むというようなことができるわけがないじゃないかというようなことも言いたかったわけでありますが、今もう、そういう国の方の主張をあえて繰り返すことはいたしません。

 委員の皆さん方の大変な御努力で、そういう規定を置かずに、地方の必要があるときには国が代行するんだという規定になっている、そのことを真正面から受けとめて、法の趣旨に従った責務を果たしていきたいと思っております。

江田(康)委員 また繰り返しますけれども、政府案では、瓦れき処理については環境大臣が責任を持つことになっております。環境省だけではこの膨大な瓦れきの処理は加速できないと思っておりました。

 地元を回っておりますと、その量は大変な量であり、やはりここにおいては一つの工夫が要る、そのために野党案を提出させていただいたわけであります。修正案では、この野党案の趣旨を踏まえて、環境大臣は、復興対策本部の総合調整のもとで、関係行政機関の長と連携し、また、協力要請ができると規定をいたしました。

 この瓦れき処理の加速体制について、大変重要でありますが、環境大臣と復興対策本部の認識をここで確認したいと思います。

江田国務大臣 政府案では環境大臣がという主語になっており、野党案では国がという主語になっていることは、そのとおりであります。

 もちろん、環境省という役所だけでこの膨大な量の仕事ができるわけがありません。ましてや、環境大臣、私一人だけでこの仕事をやれといったって、そんなことができるなどと思う方がおかしいわけでありまして、これはみんなの力を合わせるしかないので、ここで環境大臣と書いてあるのは、行政庁としての環境大臣、これが本当に調整役を果たし、みんなのコンダクターになって、多くの皆さんの力を集めて、国と自治体と、あるいは民間と、全国さまざまなボランティアの皆さんなどと一緒になってやろうということだと思っております。

 災害廃棄物の処理に当たっては、これまでも関係省庁と密接に連携し、具体的には、国レベルにおいて、東日本大震災復興対策本部を事務局として、環境省のほか、国土交通省、農林水産省等関係省庁が参加する災害廃棄物の処理等の円滑化に関する検討・推進会議を開催し、諸課題の整理や検討を行ってまいりましたし、また、被害の大きかった三県に設置された災害廃棄物処理対策協議会、これにも関係省庁が参加をし、体制をつくってきたところでございます。

 今後とも、こうした廃棄物の処理処分に当たって、復旧復興事業において利用される建築資材等への利用も有効ですし、そうしますと、関係省庁に対して災害廃棄物の幅広い再生利用も働きかけをしたり、さまざまなことをやっていかなきゃいけないので、これは環境省、本当に多くの皆さんの御努力を総合して、それを代行という言葉であらわしているんだと思いますが、そうした総合力でもってこの大変な仕事に立ち向かっていきたいと思っております。ぜひお力をおかしください。

江田(康)委員 次に、費用補助についてお伺いをいたします。

 瓦れき処理が遅滞する主な原因として、これまでも何度も言ってきたことでありますけれども、費用面における大きな地方負担の存在が被災自治体の大きな不安となっていることであります。

 そこで、野党案では、市町村の負担分を撤廃して、処理施設の新設や運営費用も含めて、瓦れき処理費用の全額を国が補助するものとしたわけであります。しかるに、政府案では、残念ながら、自治体負担分については現状のままであり、処理施設の新設等への支援もなく、費用面における新たな対応策は全くない状況でございました。これでは瓦れき処理は加速できない。

 我々は、今般の修正協議で最後まで国の全額補助を主張してまいりましたけれども、政府は、災害廃棄物の実施主体はあくまで市町村、国と地方公共団体の役割分担は崩せないと、協議は難航したところであります。最終協議の結果、都道府県に設置しているグリーンニューディール基金、これを活用して補助を上乗せすることを法案に明記して、平均八六・五%の補助率を平均九五%に引き上げることで市町村の負担を軽減することで合意するに至りました。我々としては、市町村の負担を残すことは苦渋の判断でありましたが、実質的に市町村の負担をゼロに近づけることでこの合意をしたわけであります。

 ここで、財務大臣に確認をしてまいりたい。それは、補助率を平均九五%に引き上げることの意味について確認をさせていただきます。

 石巻は、瓦れき推計量六百十六万トンであります。総事業費は約三千四百億円と推計されます。その地方負担分は三百四十八億円。これを補助率九五%に引き上げると約百七十億円となりますが、それでも、市の標準税収は百五十七億円であります。とてもこれは負担できないのは皆さんもおわかりであります。そこで、補助率を九九%とすれば、三十四億円の負担となります。

 これは試算ではありますけれども、我々は、このような負担の大きい市町村への適切な補助を想定して、平均九五%という案を提案したわけでございます。負担の大きい市町村に限りなく一〇〇%補助に近づける措置が絶対に必要だと思っておりますが、市町村の実情を十分考慮して補助率の引き上げを決定すべきであるとの立法府の意思でございます。また、これらの措置は、三・一一震災以降に処理された瓦れきについても遡及すべきものであると思っております。

 政府の見解を確認させていただきます。

野田国務大臣 改めまして、江田委員を含め与野党の皆さんの真摯な協議を経て委員長提案という形になったこと、敬意を表したいと思いますし、その国会の意思を私どもはしっかりと受けとめていきたいというふうに思います。

 その中で、御指摘のグリーンニューディール基金の活用に当たっては、瓦れき処理負担が大きな自治体を、今、石巻を事例で申されましたけれども、重点的に支援することも含め、立法府の意思を踏まえて瓦れき処理を促進する観点から、環境省及び県において効果的な方策が検討されるものと考えております。その結果が、平均の九五%の国の負担というところから、今、九九%という数字を挙げていただきましたけれども、当然、めり張りの結果そういう数値が出てくることを妨げるものではないというふうに私は思っております。

江田(康)委員 今、力強い答弁が財務大臣よりありました。九九%でしょうか、九九・九%でしょうか、そういう、自治体負担の大きなところにはめり張りのついた配慮をするということでございました。しかと執行していただきたいと思います。

 環境大臣、今の財務省の見解に沿って実効性のある形でこれを執行すべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、自治体ごとの補助率、そして自治体負担分の試算を提示されることを私は要望したいと思いますが、いかがでしょうか。

樋高大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 本法案の与野党協議の過程におきまして、グリーンニューディール基金を通じた支援によりまして、国の実質負担額を平均九五%とすることとなったわけでございます。

 グリーンニューディール基金を活用いたしまして国の実質負担額を平均九五%とする際には、与野党間の議論を踏まえさせていただいて、当該被災自治体の災害等廃棄物処理事業費の総額、あるいは当該被災自治体の財政力などを勘案させていただいて助成額を決定したいと考えているわけでありますが、負担の大きな自治体に対しましてはより手厚くするなど、めり張りのきいた支援を思い切って行っていきたい、このように考えているところでございます。

江田(康)委員 続いて、自治体負担につきましては、地方交付税の確実な手当て、これは総額の加算でございますが、それと、地方債の早期償還について法案の附則に明記をいたしました。すなわち、先ほどもあっておりますけれども、修正法案の附則に、「地方交付税の加算を行うこと等により確実に地方の復興財源の手当をし、当該費用の財源に充てるため起こした地方債を早期に償還できるようにする等その在り方について検討し、必要な措置を講ずるものとする。」としたわけでございます。

 総務省の見解をここで確認させていただきます。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 今災害の瓦れき処理に当たっては、議員御案内のように、対象団体の中に財政力の弱い市町村が多いというのが現状でございます。したがって、その全額を災害対策債により対処し、その元利償還金のうち九五%について普通交付税措置、残る五%を特別交付税措置することにより、実質的に地方負担が生じないようにしているところでございます。

 また、七月二十九日の災対本部で決定をされました基本方針の中にも、「国・地方合わせて少なくとも十九兆円規模の施策・事業に充てる財源を確保するとともに、あわせて、地方負担分について地方交付税の加算を行う等により確実に地方の復興財源の手当てを行う。」とされているところであります。

 そこで、こういった基本方針も踏まえて、地方負担分の復興財源を確実に確保するとともに、地方債についても、なるべく復興財源が確保された期間中に償還できるようにすることが望ましいというふうに考えております。具体的な措置については今後しっかりと検討をしてまいります。

江田(康)委員 次に、国が講ずべき具体的な措置について確認をさせていただきます。

 政府案では、国が講ずべき具体的な措置については一切示されておりませんでした。修正案では、野党案のとおり明記をされたところでございます。

 そこで、幾つか質問をさせていただきたいんですが、まず広域連携の調整について、先ほど来も御質問があっておりましたけれども、改めて確認をさせていただきます。

 二千二百万トンに上る膨大な瓦れきというのは、被災市町村や県だけでこれを処分することは大変困難であります。広域連携を進めることが必要不可欠である、何度も申し上げてきて、そのように政府も認識をされているかと思いますが、この状況はどうかというと、本当にもう何度も質問をしてきて嫌になるほどでございますけれども、現在、全国から五百七十二の市町村が協力を申し出ていただいておりますけれども、震災から五カ月もたつのに一件も実現していない、そういう状況ではないかと思います。

 政府は、広域連携を進めていると環境大臣も何度もおっしゃっております。結果として、これでは何もしていないのと一緒でございます。受け入れ自治体が放射性物質の汚染が懸念されるということであるならば、それに対して、国が代行して、汚染されていないことを証明して、港からコンテナに積み込んで運ぶ、こういうような積極的な、国が前面に出てやる姿勢が見えないと、いつまでたっても広域連携は進むものではないと私は思っております。

 今回の修正案に広域連携について明確に示させていただきましたけれども、大臣、どうでしょうか。積極的に自治体間で仮置き場や処分場の連携を図るために国が前面に立って具体的に調整を進めていくべきである、そのことをどう認識されているか、大臣にお伺いをいたします。

江田国務大臣 委員まさに御指摘のとおり、約二千二百万トンにも上る膨大な災害廃棄物でございまして、これは被災市町村あるいはその市町村の属する県だけで処分できるものではないという認識を持っておりまして、国としても広域処理をしなければいけないという思いを強く持って、既に全国多くの自治体の皆さんへの、受け入れ表明をぜひいただきたい、そういう連絡などをやってまいりました。四百八十八万トンという受け入れ表明をいただいておりますが、まだこれがしっかりと、どこの仮置き場からどこの処分場へ運ぶかというような調整がついていないのは事実でございます。

 そんな中で、放射性物質による汚染のおそれといったこともあって、受け入れていただく皆さんのそうした心配を本当にきれいになくしていくというようなことも必要でございますし、そのためには、送り出す方の自治体の皆さんの放射性物質の濃度測定など、これも多くの皆さんにちゃんと理解をいただく、ちゃんと納得いただく形で行わなきゃいけませんし、そういうような調整について、これは国がまさに前面に立って、責任を持って行っていかなきゃいけないものだと思っております。

 ぜひ、そうしたことをしっかり行うためにも、この法案の一日も早い成立をお願いいたします。

江田(康)委員 時間がなくなってきておりますが、公共施設の解体費用について、改めてもう一度お伺いをさせていただきます。

 瓦れきの処理に加えて、これから被災住宅や公共施設の解体処理が始まります。環境省は、四割は生活環境の近いところからの瓦れきの移動が終わっているということでございましたが、残りのところは、いわゆる解体していく住宅、ビル、そういうものではなかろうかと思っております。これからこういう解体処理が始まる。

 先日、私は、岩手県沿岸市町村、多くの被災地を何度も視察してきておりますが、学校や公立病院などの公共施設が甚大な被害を受けております。住宅の解体は廃棄物処理事業の対象でありますけれども、公共施設は対象となっておらず、全額自治体の負担でございます。すなわち、同一敷地内での建てかえについては解体補助の対象となるけれども、移転するような場合においては一切補助がない。

 このことが実はこれからの復旧復興に大きな足かせとなっていくものではないかということで、何度も政府の決断を求めて質問をさせていただいておりますが、さきの予算委員会で、私の質問に対して総理は前向きな答弁をしました。これについて、その後の検討がなされてきているのか、その結果はどうだったのか、文科省と厚生労働省、きょうは大臣はいらっしゃいませんけれども、明確にお答えをいただきたい。

鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。

 公立学校施設の災害復旧事業でございますが、同一敷地内での建てかえ費用、解体費用につきましては国庫負担の対象でございますが、移転した場合の跡地における解体費用についての、従来の制度のもとでの取り扱いは御指摘のとおりでございました。

 しかしながら、先般の先生を初めとする予算委員会等々の御議論を踏まえまして、また、今般の大変甚大な災害の状況にかんがみまして、跡地の建物の解体費用の国庫負担を行うよう、災害等廃棄物処理事業を所管する環境省と連携をし、検討を開始いたしたところでございます。

 我が省といたしましては、復興に向けて瓦れき処理が迅速に進むよう、関係省庁とともに、きょうの先生の御指摘の方向に沿って適切に対応してまいりたいと考えておりますので、引き続きの御指導のほどお願いを申し上げたいと思います。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 鈴木副大臣と同様でございますが、医療施設のほか学校等の他の公共施設が移転する場合、復興の一環ということであれば当然国が負担すべき経費と思いますので、政府全体として十分に議論した上で対応させていただきます。

江田(康)委員 これまでの質問の中では唯一前進的な答弁でございました。これは、私が現地を回り、首長の皆様から強く強く賜ってきている要望であります。これをしなければ次の復興復旧への道のりはできてこない、そのように思いますので、どうぞ、その検討は、しっかりとその結果を残してこたえてもらいたいと思います。

 ちょうど時間が参りました。いよいよこの修正案については、与野党さまざまなことを協議して合意に至ったところでございます。この委員会で迅速に可決をしていただいて、そしてこの国会で成立を期して、一刻も早く迅速な、適正な災害廃棄物の処理が進んで、復旧復興へと、前へ前へと進んでいくように望むものでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 瓦れき撤去が被災地の復旧復興の大前提であり、そうした観点から、政府並びに野党四党の法案をできるだけよい方向で成案させるため協力したいと私も述べてきたつもりであります。昨日、すべての会派が参加をした実務者協議の場で合意が得られ、本日、委員長から提案される運びとなりましたことを、大変うれしく思います。改めて、提出者の皆さんに敬意を表したいと思います。

 最大の争点だった全額国庫補助については、どうしても与党の理解が得られなかったことは非常に残念ではありますが、先ほど、九九・五%以上、限りなく一〇〇%に近いという御答弁がありましたし、確実な交付税措置によって実質一〇〇%ということですから、あとは現場がスムーズに流れるように、政府の努力を強く求めたいと思います。

 きょうは、二つの角度から政府の見解を伺います。

 一つは、災害廃棄物の処理施設の問題であります。

 宮城県の災害廃棄物処理計画の一次案によれば、廃棄物量は千八百二十万トン、一年で被災地から災害廃棄物を撤去し、おおむね三年以内に処理を完了するとしています。その際、県内を四つのブロックに分け、大規模な二次仮置き場とプラント建設を検討しておるようであります。また、岩手県の災害廃棄物処理計画では、県委託分が三百八十六万トン、そのうち処理能力は、二カ所合計で百九十五トン毎日の仮設焼却炉の建設を予定しているとのことであります。ですから、広域処理が必要不可欠だということはこれまでも論じられてきたところでありますが、両県の計画書にも明らかなように、処理施設ということも必要になっているところであります。

 そこで、野党四党案には、当初、第四条、費用の補助という中に、「処分等の処理を行うための施設の整備、運営等に要する費用」を明記して、施設整備の補助を求めておりました。統合案には施設という言葉はあえて出てきておりませんが、第五条二項、「市町村が災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うために要する費用」という条文で読めるという理解でよろしいのか、確認したいと思います。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 災害廃棄物の処理のために特に必要となりますいわゆる仮設の焼却炉、あるいは先生がおっしゃいました仮設の除塩施設などの設置費用につきましても、費用対効果を考慮の上、迅速かつ効率的な処理の観点から適当と考えられる場合には災害廃棄物処理事業の補助対象となり得るというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 今の答弁ですけれども、この条文の中で読めるのかということを聞いたわけです。

 つまり、先ほど来お話しされているように、九九・五%以上、九九・九%という話もありましたけれども、今この法案でやろうとしているスキームの中で補助をしていくということでよろしいのかということです。

伊藤政府参考人 今政務官からお答え申し上げましたが、仮設の焼却炉やあるいは仮設の除塩施設などの設置費用についても、費用対効果を考慮の上、迅速かつ効率的な処理の観点から適当と考える場合には災害廃棄物処理事業の補助対象となりますから、今回、グリーンニューディール基金で実質的なかさ上げが行われる、そういったことの対象にも当然なるわけでございます。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 ただ、処理施設といった場合、今政府が考えているのは、あくまで役目が終われば処分をする仮設プラントという意味だったかなと思います。これは阪神・淡路大震災のときにも廃棄物処理で実績があるということでありますけれども、処理容量とか、あるいは耐熱などの安全性の確保、環境アセスの方法などについてどのようにするのか、伺いたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 災害廃棄物処理事業費補助金の国庫補助対象となりますのは、仮設の施設であるが、その場合についても、その他の廃棄物処理施設と同様に、廃棄物処理法に基づき生活環境影響調査が適切に行われて、処理施設の管理者は技術上の基準、維持管理計画に従い維持管理を行うこととされているところでございます。

 また、ダイオキシン類対策特別措置法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の関係法令の対象施設としての適用も受けるということでありますので、仮設の施設であっても、安全性の確保、先生がおっしゃるような生活環境の保全が図られるものである。つまり、恒久施設と全く同様であるということを申し上げさせていただきます。

高橋(千)委員 今、恒久施設と全く同様というお話がありました。説明を受けたときにミニアセスという表現をされておりましたので、そこと違いがないのかどうか、もう一度、答弁の中で確認をさせていただきたいなと思うんですね。

 廃棄物処理施設については、施設の大型化とかごみの集中、また処理場の建設や県外からの持ち込みなど、各地でさまざまな課題があり、運動が行われてまいりました。

 そういう中で、廃棄物処理法に基づく基本方針、これは二〇一〇年十二月二十日告示にありますけれども、この中では、一般廃棄物、産業廃棄物とも、排出量の抑制、最終処分量の削減、リサイクル率の増加など、前回計画を上回って目標値を掲げて、なるべくごみをふやさないという取り組みはされてきたと思うんですね。

 ですから、今回、仮設であっても処理場がふえて、ごみ処理は終わったのに、ごみ、もっと必要よということになっては困るわけです、言いたいことは。心配しているのは、つまり、今は大量の災害廃棄物処理ということで避けられない事態に対応しなければならないわけですけれども、役目を終えた後は速やかにもとに戻していかなければならない。必要以上に処理場が恒久化したり、特例的なミニアセスが平時でもまかり通るということは、やはりこれまでのこうした経過に逆行するものになると思うんですね。そうではないということを確認したいということと、二次仮置き場をめぐっては、地権者は了解しても、事前に周辺住民への説明がなかったためにトラブルが起きている、こういうこともあるわけです。

 ですから、仮設プラントの処分の時期、それから、建設前と処分後の再生に向けての環境対策をきちんと示すこと、そのための道筋を示しながら、財政援助をちゃんと国がやりますよということが示されないと、なかなか早期処理にはつながらないと思います。いかがでしょうか。大臣に聞いています。

江田国務大臣 御指摘の問題意識は重要だと思います。

 仮設のこうした処理施設であっても、それはもちろん、そこで物を燃やせばさまざまなものが出ていく心配があるわけで、そうしたことについて、環境をこれ以上に汚さない、そうした努力をしていただくのは当然でございまして、廃棄物処理法に基づいて生活環境影響調査が行われる、これが今委員お話しのミニアセスというものでございますが、そうした一定の水準を保ったものでなければいけないんだ、これはぜひ私ども、しっかりとそこは見ていきたいと思っております。

 先ほど政務官から答弁させていただきましたが、ダイオキシン類対策特別措置法とか大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とか、こうした関係法令を幾ら非常時、緊急時だからといって無視していいというものではないので、そこはやはり、けじめのある、めり張りのきいたやり方で、仮設の設備であっても、安全性の確保あるいは生活環境の保全、こういうものに注意をしてまいりたい、これは大前提だと思っております。

高橋(千)委員 確認をさせていただきたいと思います。

 次に、新たな法案整備が準備をされているという、原発事故に伴う放射性廃棄物の処理処分について伺いたいと思います。

 六月三日、原子力安全委員会が、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を発表しました。瓦れき、浄水・下水汚泥、焼却灰、草木、除染活動に伴い発生する土壌等について、これらのうち放射能の影響が無視できるとして再利用が可能なのは、クリアランスレベル十マイクロシーベルト・パー・年以下であること、これは毎時に直すと〇・〇〇一マイクロシーベルトであります。また、処理などに伴う周辺住民への影響が一ミリシーベルト毎年を超えないこととしております。

 そこで、一般廃棄物焼却施設における焼却灰については、八千ベクレル・パー・キログラム以下のものについて、一般廃棄物と同様、埋立処分してもよいという内容になっているかと思います。ただ、今ある一般廃棄物処分場にそのまま一緒に入れるということではないと思うんですね。モニタリングとか監視体制とか、さまざまな管理が必要だと思いますが、その条件について確認をしたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今先生のお話にもありましたけれども、お尋ねの、六月二十三日に取りまとめをさせていただきました処理の方針におきましては、処理の安全性を確認するために、施設周辺の空間線量率、あるいは処理施設から排出される排水等のモニタリングを継続して行うことが必要であるとしているところでございます。

 具体的な測定の項目あるいは頻度などにつきまして、災害廃棄物安全評価検討会、これはまたあしたも行うところでございますけれども、闊達な御議論をいただいているところでございます。この検討内容を踏まえさせていただきまして、測定の項目あるいは頻度などにつきまして近日中に関係自治体にお示しをさせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 今の質問で、少し確認をさせていただきたいと思います。

 資料を配っているんですけれども、これは国土交通省の下水道部、「上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」、これは基本が焼却灰の仕組みと同じなので、一番わかりやすかったので、これを使わせていただきました。

 それで、よく言われる八千ベクレルの問題は、それを超えたものはとりあえずまだ処分が決まっていないということをよく言われて、それ以下のものは普通に一般廃棄物と同じように処分していいんだよということになっているわけですけれども、ここに書いてあるわけですね、十万ベクレルを超えるものは一たん仮置きをして具体的な処分のあり方を検討と。十万ベクレル以下のものも、さらに細分化されているというふうな形になっていると思うんです。

 ですから、八千ベクレル以下についても、今お話しされたように、どの程度の監視をしていくかとか、そういうことをこれからちゃんと決めるということでよろしいですね。

伊藤政府参考人 先ほど政務官がお答えしたとおり、八千ベクレル・パー・キログラム以下のものについても、そのモニタリングの方法等についてきちっと今後決めていく、こういうことでございます。

高橋(千)委員 確認をしました。

 そこで、私のふるさとで大変な事件が持ち上がったわけですけれども、先月、千葉県の流山市のごみ焼却施設から秋田県内に運び込まれた焼却灰三十トンから、八千ベクレルの基準を大きく上回り、二万八千百ベクレルのセシウムが検出されたということが明らかになりました。秋田県内の民間事業者で処理をされ、埋立処分をする予定だったわけです。もちろん、これは、基準八千ベクレルを下がったものは処理していいという国の方針に基づいて契約をしたつもりだったわけですね。でも、今言ったように、管理の方法はまだきちんと決まっているわけではない。

 秋田駅に運び込まれたJRの貨物のコンテナから一メートル離れた地点で空間線量をはかったら、一・三から一・三三マイクロシーベルト、これは秋田県の通常レベルの約十五倍の数値だったといいます。同様の焼却灰は北九州市のリサイクル施設にも運ばれておりました。

 ですから、このような県外に運び込むといったような場合、何らかのルールがまず必要ではないか。基準値以下だからといって周辺住民に知らせないということはもちろん論外だと思いますが、もともと初めての経験であるわけですから、違反した場合の返還や、罰則のルール、監視のルール、これをちゃんとやっていく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

江田国務大臣 委員おっしゃるとおり、本当に初めての経験でございまして、いろいろなところにまだまだルールが必要な場面があると思っております。

 今、お話で、あるいは政務官や部長から答弁させましたが、八千ベクレル以下のものについては埋立処分は可能ですが、しかし、どうぞ、その埋め立てた場所を居住用などには使わないでいただきたいというようなことを言っております。八千ベクレルから十万ベクレルのものについては、これは管理をしっかりして一時保管をしておいてください、今、一生懸命に関係者、専門家、知恵を集めて処理の方法、指針をしっかり出させていただきますからということにしておりまして、今申し上げた専門家による検討を進めているところでございます。これはもちろん、しっかりした指針を出していかなきゃなりません。

 八千から十万の放射性物質に汚染されたものが移動をして、そしてどこかで見つかったという場合に、もとへ戻すのか、あるいは、今ある場所で何とかするということにするのかなどなど、さまざまな困難な問題がこれから生じてくると思いますが、そこは皆さんのお知恵もいただきながら、私ども、精いっぱい国民の安全、安心の見地に立って指針をつくってまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 原発の敷地の外の放射性廃棄物については、これまで、原発の外まで放射能の影響が及ぶという思想がなかったために、この法律の整備がされておりませんでした。法の欠陥であります。これを今後やっていくということになるわけですけれども。

 私の地元の青森県六ケ所村に低レベル放射性廃棄物の埋設センターがございます。ここは、二〇〇〇年から始まって、二百リットルドラム缶二十万本相当、これを二カ所、最終的には三百万本のドラム缶が運び込まれる予定となっております。私たち、もちろん最初から反対をしてまいりました。土壌への影響などを指摘し、当然、増設にも反対をしてまいりました。

 これまでは、放射性廃棄物というときに、高レベルとそれ以外、低いという意味ではなくて、それ以外という区分けしかなかったわけです。それ以外をすべて低レベルと呼んでおりました。そういう中で、それでも、原発の事業所から出る、例えば防護服のようなものから、焼却灰や金属やプラスチック、あらゆるものをすべて原発の外には出さないということで、ドラム缶にセメントで詰め、それからセメント系充てん材やベントナイトなどという何層もの地層で囲いまして、雨水に触れないような管理、三十年以上の埋設期間、そういう管理をしてきたわけであります。

 一方で、敷地の外の廃棄物は、クリアランスレベル以上、これは百ベクレルです、であっても、八千ベクレル以下のものは一般廃棄物の処分でよいという考え。つまり、それがもし原発の中にあれば今言ったような処分がされるものを、原発の外だから一般廃棄物と同じでよいよと。これはダブルスタンダードにならないか。これは絶対納得いかないんです。いかがでしょうか。

江田国務大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、昭和三十年代に原子力基本法を基盤にする原子力法制というものができました。そのときに、原子力発電所であるとか、あるいはその他の放射性物質を扱う場所から環境中に放射性物質が飛散するというようなことはない、そういう前提があったんですね。なぜそういう前提になったかというのは当時のことをしっかり見てみなきゃわかりませんが、そういうことで三十年代の原子力法制というものができました。

 そこへ加えて、今度、四十年代になっていろいろな環境法制ができてまいりまして、その環境法制の中では、三十年代にできた放射性物質についての規制を前提として、環境法制については、放射性物質については適用外、そういう措置をずっととって今日まで来てしまっているわけでございます。

 委員が今おっしゃった高レベル廃棄物、これは再処理の後に出てくるもので、まあ大変なもので、ガラス固化体といったような処理をいたしますが、それ以外のものも六ケ所の方でいろいろお願いをしなきゃならぬ。しかし、これもなかなか苦戦をしているのはもう委員御承知のとおりです。

 しかし、今回のような事態を受けて、環境中の放射性物質について新たな法整備をしっかりとしていかなきゃいけないところへ我々は直面をしておるということは間違いのないことだと思っております。

高橋(千)委員 ダブルスタンダードではないかという指摘に対しては直接なお答えがなかったかと思います。

 次の機会に譲りたいと思いますが、やはりそういうものなんだ、原発というのは。一度事故を起こしたときに、本当に、長く、そして広い範囲でこのような影響があるということを、やはり安全神話という言葉でふやしてきたことのツケが回ってきたということであります。

 安易に基準を緩和するとか規制を緩和するというようなことのないように指摘をして、また次の機会にやりたいと思います。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 まずもって、今日まで修正協議、そして委員長提案の法案ができた、そのことに対して、この間の努力に敬意を表させていただきたい、こう思っているところでございます。

 その中で、それぞれ、二十六年度以降までの瓦れき撤去、大変長い年月にかかわるものだろうというふうに思っておりますけれども、工程表の段階で、第一次仮置き、このところまでは八月末までに終わる、こういう一つの方向性を出しているわけでございますけれども、お話をお聞きいたしますと、ほぼ八月までは見通しができた、このことに対しても、各自治体なり関係者の皆様の努力に敬意を表するものでございます。

 しかし、反面、発生をしてからこの五カ月間、その中において、私の方の中島委員からこの委員会で質問をしたわけでございますけれども、その中で明らかになったのが、今回のこの復旧復興工事の中で、四日以上休まなければならないけがをなされた方が百五十八名、そして亡くなられた方が八名、ましてや、この廃棄物の処理に関しては、十五名の方が休業四日以上、そして一名の方が亡くなられた。大変痛ましい事故であったというふうに思っておりますし、私ども、復旧復興には、この瓦れき撤去に関して働く人方の環境、このことについて十分注意をしていかなければならないんだろう、こういうふうに思っております。

 当初、政府案の中においてはこのところについて不足をしていたという状況で、野党案さらには今回の修正案の中で、国の行うべき責務の中に、六条の四項の中にアスベストの項を入れさせていただいた、このことに対して、私は大変重みがあるんだろうというふうに思っております。

 特に、これからの第二次、八月以降三月まで、この瓦れき撤去においては、まさしくアスベストが含まれる鉄筋コンクリートそしてまた船舶等々の解体さらには撤去工事、これが本格的に始まるんだろうというふうに思っているところでございます。だとすれば、このところにおけるアスベスト対策をきちっとやっていかないと、労働環境、状況、そういった部分については守られない、こういうふうにも思うわけでございます。

 そうした中で、アスベストの障害予防規則、これは平成十七年にできたわけでございますけれども、その中に「解体等の業務に係る措置」、このことをうたっておるわけでございます。それは、三条の中で、アスベストが含まれている建物の関係、このことについては事前に把握をしておかなきゃならない、こういう規定になっておりますし、さらには、発注者は、その解体工事のいわゆる請負をさせていく場合には、このところについてきちっと報告さらには記録をしておかなきゃならない、そしてまた、アスベストを含む部分の解体については、作業主任者を置いておかなきゃならない、こういう規定になっているわけでございます。

 その中で、今回修正合意された中に、労働環境の整備のための、いわゆるアスベスト、これを四項の中に入れたわけでございますけれども、このことに対してどういうふうに進めていこうとしているのか、さらには、石綿対策についての対応について環境大臣にお伺いをいたします。

江田国務大臣 統合案の第六条第四項に、委員御指摘のとおり、「国は、災害廃棄物の処理に係る業務に従事する労働者等に関し、石綿による健康被害の防止その他の労働環境の整備のために必要な措置を講ずるものとする。」という規定を入れていただいていることを重く受けとめたいと思っております。

 政府案ではこういう規定はございませんでしたが、これはもちろん、アスベスト関係のさまざまな法制がございまして、そういうものを守ってやっていかなきゃならないことは当然ではございましたが、今回、このアスベスト以外にも、その他の、例えば海に流出した廃棄物であるとか津波堆積物であるとか、いろいろなことを特出しをしていただいて、整理して明示していただいたということを私ども重く受けとめたいと思っております。

 もし必要でしたら、今の、アスベストに着目をして、被災した建物の解体に対しどういう対応をしていくかというのは、これは厚労省の方からお答えいただければと思います。

吉泉委員 今大臣から言われたわけですけれども、厚労省の方にもお伺いをさせていただきたいと思っております。

 これから本当に本格的な解体工事、撤去作業、こういう部分が入る。その中で、国は、県さらには市町村、こういうところにそれぞれお願いをする、さらには、やるのが自治事務だというふうな立場ではならぬだろうというふうに思っております。

 そんな面からいうと、今、こういうアスベストの問題も含めて、国の方として、現地の方に入って、そして指導なんかも含めてやらなきゃならない、こういうふうに思っているところでございますけれども、厚労省の方として、現地の方にどのぐらいこれから職員を派遣して、そして働く環境というものについてきちっとさせながらスムーズに撤去作業ができるのか、そういう体制をとっていこうとしているのか、お伺いさせていただきます。

小林大臣政務官 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、アスベストの暴露防止、これは大変重要なことだと思っております。

 このため、厚生労働省として、瓦れき処理作業に当たる人たちに対するアスベスト暴露防止対策として、労働者の方に防じんマスクを適切に着用させる、そして、そのためにリーフレットの配付だとか専門家のアドバイザーの活用、安全衛生パトロールなどを今指導しているところでございます。さらに、メーカーから無償で提供いただいた使い捨て防じんマスク二十五万枚を労働基準監督署等で配付してきたところでございます。

 さらに、委員御指摘のとおり、今後、瓦れき処理に加えて、震災による被害を受けた建物の解体作業が多く実施されるというふうに思います。そのために、建築物の解体時の届け出に対する指導の徹底、二つ目には、石綿障害予防規則に基づく作業を徹底させるため、安全衛生の専門家による相談支援や巡回指導の実施を行います。さらに、フィルター交換式防じんマスクの配付及び電動ファンつきの呼吸用保護具の無償貸与を行います。

 こういう対応をするために、厚生労働省の方としても、現地の人員を活用して現場での徹底に入りたいと思っております。

吉泉委員 時間がなくなりました。

 やはり、今の答弁等については、私どもも資料は手に入っています。しかし、事前調査、そしてまた請負業者に対して、この船舶はこういう石綿がここまで入っているとか、そういうものを教えて、連絡をして撤去作業に入らないといけないわけでございます。それをだれがやるのか。地方自治体がやるのか、国がやるのか、こういう問題だと思うんですよ。

 今までは、それぞれの請負の段階について、そういう建設業者なりいろいろな部分があったというふうに思っていますけれども、今回は非常に範囲が広いわけでございます、大きいわけでございますから、そういった面について、この規定に基づいて国がしっかりやってほしいという希望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 ようやく瓦れき撤去法案の与野党合意ができました。確認すべきポイントは、各会派の皆さんが質疑を通じて非常にクリアにしていただけたというふうに思います。ですので、私は、瓦れき撤去に付随した問題について幾つかお伺いをいたしたいというふうに思います。

 まず、被災地におけるハエや蚊の発生についてであります。

 被災地の瓦れきの山にハエが大発生しているのは御存じのとおりです。かつて夢の島のハエの発生駆除に当たられた専門家は、被災地は今、夢の島の上で生活しているようなものだ、こういうふうに指摘をしておられました。

 特に、国立感染症研究所などの専門家でつくる研究グループが、八月以降のアカイエカの大発生を予測しております。七月下旬に、石巻や気仙沼、陸前高田といったところで、瓦れきの間にできた小さな水たまりや空き缶、タイヤの溝にたまっているところなど、こういうところに蚊の卵やボウフラが発生しているのを確認した、それが八月に入って羽化して成虫になる時期を迎えているという。この方々は、特に瓦れき撤去が進んでいない地域で大発生のおそれがある、こういうふうに指摘をしているわけです。

 これについて、同じグループの方々は、仮設住宅や避難所に網戸を設置することが対策として重要だということを言っています。網戸のない避難所や仮設住宅があるというのが驚きでありますけれども、しかし、これは急いで何とかしなければいけない、こういうふうにも思います。

 ハエや蚊が媒介する感染症対策としては厚生労働省になりますし、仮設住宅のスペックとして考えれば国交省の問題になる、地方が判断すべきだということであれば、総務省で特別交付税で見るか、こういう話になるわけです。例えば網戸を設置する、これは今ボランティアの方々がいろいろ東奔西走したりしているようですけれども、一体これはどこで見るべき問題なのか、こういうふうにもなるわけです。

 アカイエカ、そしてハエもそうですけれども、これらの大発生について、どう対策を講じていくのかということについてまずお伺いをしたいというふうに思います。

大塚副大臣 お答え申し上げます。

 アカイエカのみならず、その他の種類も含めて、先生御指摘の問題は私どもも大いに懸念をしておりますので、六月の二十七日には、害虫の発生状況の把握等、被災自治体が対応すべき事項等を取りまとめ、自治体に通知をし、まず認識を共有させていただいております。

 その上で、害虫駆除の方法、発生予防等について住民の皆さんに呼びかけるリーフレット等を作成し、避難所等に周知を七月四日と七月二十二日にさせていただいております。さらには、関係省庁、被災三県、害虫駆除に関係する団体の皆さんと、害虫対策についての連絡会議を七月の二十七日に行うなど、諸般の取り組みを行わせていただいております。

 あわせて、二十三年度の予算についております感染症予防事業費により対応を進めておりますが、この予防事業費で足らざる部分については三次補正等でしっかり対応をしていくつもりでございます。

 また、前段で御質問のありました網戸等の件でございますが、先週、仮設住宅等における住環境の改善に係るプロジェクトチームというのが立ち上がりましたので、今、住民の皆さんに対するアンケート等も行いつつあります。そうした中で、網戸等の対応についても、しっかりと関係省庁と連絡をとり合って行わせていただきたいと思っております。

柿澤委員 今プロジェクトチームをつくって、アンケートを行って、そして足らざる部分は三次補正だ、こういうことになると、網戸がつくのは秋か冬ということになってしまうのではないかというふうにも思います。

 先ほど夢の島の話をしました。かつて、ハエや蚊の問題というのは、私の地元の江東区でも大きな問題でした。そして、当時はあちこちの保健所に、防疫やハエや蚊の駆除を専門とする環境衛生監視員、略して環監と言いますが、こういう方々がいました。

 しかし、昨今、衛生環境の向上等に伴って、この環監の皆さん、環境衛生監視員が配置されている保健所が少なくなっているとも言われております。特に東北地方には実は少ないというふうにも言われているようですが、保健所設置の中核市なども含めて、被災県の保健所にこの環境衛生監視員というのがどのぐらい配置をされているのかということをお伺いしたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生今御指摘の環境衛生監視員さんでございます。被災三県の人数でございますけれども、平成二十一年度末現在の衛生行政報告例に基づいて数字が出ておりますので、それを申し上げたいと存じます。

 岩手県は全体で九十五名、宮城県は百十八名、福島県は百六名、三県合計で三百十九名でございます。それから、先生、指定都市あるいは中核市ということでお触れになりましたけれども、やや細かくなりますが、今申し上げました数字の内数ということで御理解をいただきたいわけですが、仙台市は三十二名、それから盛岡市は十三名、郡山市が五名、いわき市が十六名という状況でございます。

柿澤委員 内訳を持っておられるようですので、例えば石巻市などでどのぐらいいらっしゃるのかというようなことでいうと、どうでしょうか。今活動中の方々がどのぐらいいらっしゃるのか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 環境衛生監視員の方でございますけれども、基本的には、今、保健所に勤務されている方がほとんどだというふうに考えております。したがいまして、保健所のある都市と申しますかそういうところでは、保健所職員の一定割合が監視員ということでやっているかと思っております。

柿澤委員 専門家に聞きますと、ハエ、蚊との闘いというのは、ことしの夏だけではなくて二年がかりの長期戦になる、こういうことも言われております。そういう意味で、この環境衛生監視員をぜひ、場合によっては全国から集めて、こうした対策を講じていく強力な体制をつくっていく必要がある、こういうふうに思います。

 次に、今回、当初段階で一律九五%ということになっていた国の負担割合が、グリーンニューディール基金を使って五%かさ上げした分を平均で配分しよう、こういうことになりました。そもそも一割負担でも石巻市は市の税収の二倍になる、これでは問題が解決しないということで、平均九五%で、必要に応じて九八%、九九%の傾斜配分をする、こういうことになった。一方、名指しで恐縮ですけれども、仙台市などは、財政力があるんですから逆に九五%より低い負担率でも我慢をしてもらう、それで平均は九五%、こういう知恵が出てきたわけであります。

 申し上げたいのは、自治体が一部負担の巨大さを背負い切れないというのは、何も瓦れき撤去には限らないんだということであります。

 気仙沼市では、被災地の集落の高台への防災集団移転の話が幾つか出てきているそうなんですけれども、従来の防災集団移転促進事業だと国が四分の三、市が四分の一だったのを、特別交付税で措置することで市の負担は五・七五%になった。しかし、移転希望の地区が一つふえ、二つふえ、今はっきりしているものでも四地区ぐらいになっているそうですけれども、これだと、五・七五の負担でも市は負担し切れない。例えば移転先に災害公営住宅を建てるにも、これは同じように市の四分の一負担ということになるわけですけれども、ちょっと無理だな、こういう声が聞こえてまいります。

 これをストレートに聞くと、国交大臣に聞いてくださいという話になるんですけれども、これは一例でしかないというふうに思います。被災自治体の財政力では背負い切れない制度上の一部負担分の軽減をどうするのか、これは総合的に考えなければいけない問題だと思います。

 そういう意味で、きょうは復興担当大臣にあえておいでをいただいておりますので、この問題をおろそかにすると、瓦れき撤去の問題と同じで、自治体が本格的な復興事業に二の足を踏みかねないので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

平野国務大臣 復旧復興は国と地方自治体あるいは地域が一体として取り組む、そういう考え方のもとで、地方にも一定の負担をお願いするという形でほとんどの制度は仕組まれております。

 御指摘のとおり、瓦れきだけではなくて、これから、防災集団移転事業、災害公営住宅建設事業あるいは公共施設の復旧復興、こういったものが進む段階で自治体の負担も出てまいります。したがいまして、この自治体負担、災害自体が非常に大きなものでありますから、例えば国が九八%負担するとしても、自治体にとっては残りの二%の額というのが非常に大きくなる可能性があります。

 こういう認識のもとで、七月二十九日に決定した復興の基本方針では、国、地方の公費分を合わせて少なくとも十九兆円程度と見込まれる当初五年間の復旧復興事業に充てる財源確保について具体的に記載したところでありまして、地方負担分については、地方交付税の加算を行う等により確実に地方の復興財源の手当てを行うと明記したところであります。

 さらに、使い勝手のよい交付金を創設することとしているほか、地方負担額、いわゆる補助裏についても的確に措置するよう、総務大臣において今検討をお願いしているというところでございます。

 今後とも、被災自治体の財政面での不安を解消するよう、必要に応じ必要な対策をとってまいりたいと考えております。

黄川田委員長 持ち時間が過ぎておりますので、取りまとめてください。

柿澤委員 必要に応じ必要な対策をということでありますけれども、これは、現場でいろいろ国土交通省さんと財務省さんとのやりとりを聞いていると、なかなかシビアなところがある、これが現実だと思います。その意味で、復興担当大臣に本当に強力なリーダーシップが求められる、こういうことだと思いますので、大変な期待を込めて申し上げさせていただきました。

 環境大臣には、結果的に最後の質問ができなくなってしまいましたが、例の日給から時給へという話ですので、ぜひお含みおきをいただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 これにて発言は終わりました。

 この際、本起草案につきまして、念のため、内閣の意見を聴取いたします。環境大臣江田五月君。

江田国務大臣 本法案の提出に際して、議員各位の御努力と御熱意に対して深く敬意を表します。

 政府といたしましては、東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案について異議はございません。

黄川田委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 この際、後藤斎君外七名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合、みんなの党、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の八派共同提案による東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと思います。

    東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する件(案)

  政府は、東日本大震災により生じた災害廃棄物の迅速かつ適切な処理が被災地域における復旧復興に不可欠であることに鑑み、「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 災害廃棄物の処理は、復旧復興の大前提であり、今回の特別立法を制定した趣旨を十分踏まえ、スピード感を持って、災害廃棄物処理の加速を図ること。

 二 災害廃棄物の処理に関する措置を講ずるに当たっては、東日本大震災による被害を受けた地方公共団体の意向を最大限に尊重すること。

 三 災害廃棄物処理事業に係る国庫補助を控除した地方の一時負担分について、グリーンニューディール基金を通じた支援により、国の実質負担額を平均九十五パーセントとし、残りの地方負担額についても全額交付税措置を行い、実質的に百パーセント国の支援とすること。

 四 グリーンニューディール基金からの支援に当たっては、特定被災地方公共団体の地方負担額の実情を十分考慮したものとすること。

 五 グリーンニューディール基金からの支援は、東日本大震災発生以降の災害廃棄物処理についても、遡及して適用すること。

 六 災害廃棄物処理事業費に係る国庫補助金につき、特定被災地方公共団体である市町村から概算払いの請求があった場合には、速やかな事務処理の下、迅速に支払うこと。

 七 東日本大震災による被害を受けた地方公共団体の状況を最大限に勘案し、災害廃棄物の処理施設の整備等、必要な措置を講ずること。

 八 災害廃棄物の処理に係る契約の内容に関する統一的な指針の策定に当たっては、被災者の財産、遺留品等の適切な取扱いに要する費用、災害廃棄物の処理に係る業務に従事する労働者の賃金、受注者の資金繰りに配慮した支払の方法、受注後の事情変更への対応などを勘案すること。

 九 東日本大震災により特にその処理が必要となった廃棄物のうち、放射性物質によって汚染された廃棄物の処理に関しては、特段の配慮を要することに鑑み、必要な措置を講ずること。

 十 既に都道府県知事に対して災害廃棄物の処理を委託している特定被災地方公共団体である市町村の長から代行の要請があった場合には、当該都道府県知事の意見を尊重すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立総員。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。環境大臣江田五月君。

江田国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいります。

黄川田委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.