衆議院

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第6号 平成23年11月21日(月曜日)

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平成二十三年十一月二十一日(月曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      市村浩一郎君    太田 和美君

      菊池長右ェ門君    沓掛 哲男君

      斉藤  進君    白石 洋一君

      菅川  洋君    中野渡詔子君

      中屋 大介君    長尾  敬君

      橋本  勉君    畑  浩治君

      初鹿 明博君    福田衣里子君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      山口 和之君    若井 康彦君

      若泉 征三君    井上 信治君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      加藤 勝信君    坂本 哲志君

      竹下  亘君    長島 忠美君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      柿澤 未途君    園田 博之君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   国土交通副大臣      松原  仁君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   石野 利和君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  斎藤やすのり君    磯谷香代子君

  階   猛君     福田衣里子君

  辻元 清美君     初鹿 明博君

  森本 和義君     橋本  勉君

  秋葉 賢也君     坂本 哲志君

  小野寺五典君     伊東 良孝君

  吉野 正芳君     竹下  亘君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     斎藤やすのり君

  橋本  勉君     森本 和義君

  初鹿 明博君     中屋 大介君

  福田衣里子君     階   猛君

  伊東 良孝君     小野寺五典君

  坂本 哲志君     秋葉 賢也君

  竹下  亘君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  中屋 大介君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興特別区域法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興特別区域法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文化庁文化財部長石野利和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石山敬貴君。

石山委員 民主党・無所属クラブの石山敬貴です。

 本日は、東日本大震災復興特別委員会での質問の機会をいただきまして、委員長を初め委員各位の皆さんに感謝いたします。

 さて、本格的な復興のための予算となる三次補正が先ほど参議院で可決、成立いたしました。被災地選出の議員としまして、すべての議員の皆様の御尽力と、さらには今後さまざまな御負担をいただくことになる国民の皆さんに、冒頭、心から御礼を述べさせていただきます。まことにありがとうございます。

 さて、この本格的な復興予算に魂を入れるのが、本日からこの委員会で審議される東日本大震災復興特別区域法案、略して復興特区制度でしょうか、この制度を初めとする関連法案です。

 被災地の私の地元の自治体においても、十二月までには各自治体独自の復興計画がまとまりつつあります。例えば今石巻からいただいたのは、もう既にでき上がっている、このような復興基本計画ができ上がってまいります。その過程におきまして、この復興特区制度並びに復興にかかわる三次補正予算関連法案に対しましては、各自治体、業界団体、さらには被災された個人の皆さんからも、さまざまな意見や質問をいただいております。本日は、そのような被災地の声を平野大臣並びに関係者の皆さんにお聞きいただきたいとも思っております。

 まず、平野大臣に質問させていただきます。この復興特区制度の重要性や意義に関しまして、また、その意気込みを改めてお聞かせください。

平野国務大臣 三月十一日の発災以来、当初は内閣府副大臣として、また途中から復興担当大臣として大臣を拝命しまして、被災地域を歩きました。委員も被災地域の出身の議員でございますから、同じような状況だったと思います。

 その中で、さまざまな御意見をいただきました。そういった御意見を踏まえまして、その多くは三次補正に反映させると同時に、復興特区法案にも反映させました。特にこの復興特区法案につきましては、規制、制度の特例措置、金融、税財政制度の特例措置、こういったものを盛り込んでございます。

 これから復興に向けての、三次補正につきましては成立しましたけれども、この予算とあわせての大きな復興へのツールになるというふうに考えておりまして、何としても早期の成立、その前に皆さん方から活発な御議論をいただきまして、その早期の成立を目指して、そして自治体に、この復興特区制度と予算とセットで、復旧復興に臨めるような体制をつくっていただきたいというふうに思います。

石山委員 ありがとうございます。

 これは私の意見になりますけれども、今回の本格的な復興の三次補正実行に当たり、また、この復興特区制度の実行に当たって、心がけていただきたいことが二点ございます。

 一つは、いただいている資料にもありますけれども、まず、ワンストップサービスというものを確実に実行していただきたいということ。二つ目は、一つの政策を、二重にも三重にもその政策効果をねらっていっていただきたいということでございます。特に、二つ目におきましては、被災者の皆さんの心を鼓舞することも、最も重要な、ねらうべき政策効果に私はしていただきたいというふうに強くお願いさせていただきます。

 それでは、具体的な質問に入らせていただきます。

 この復興特区制度の中には、土地利用再編の特例措置が組み込まれております。この特例措置に関して言えば、例えば、市街化調整区域における開発行為や、または農地転用への特例的な許可を行って、安全な地帯へ住宅を集約したり、また、飛び飛びになっている農地を集積したり、いわゆる既存の土地規制にとらわれずに、防災、産業の効率化に資する被災地のまちづくり、地域づくりを行うための制度であると私は認識しております。

 しかしながら、皆様にお配りさせていただきました資料一をごらんください。

 この地図に示させていただいたのは、私の選挙区も含んでおります宮城県のほぼ中央部、仙台市から見ますとすぐ東側に当たります。具体的には、日本三景の松島や、日本有数の漁港があります塩竈、また、仙台港周辺の工業地帯を有する多賀城などを含んでおり、宮城県の観光、商工業、水産業の中心地です。もちろん、津波の被害も甚大でございました。

 さて、これから、先ほど示しましたような各自治体の復興計画に基づいて、被災した住民の皆さんの例えば高台移転などを行うに当たって、この地域特有の障害が一つございます。それは何かといいますと、一般的な土地のゾーニングのほかに一つ土地利用規制がありまして、それが、松島の景観を保護するための特別名勝松島という規制です。もちろん、宮城県の観光資源であります松島の景観を守らなくてはなりません。しかし、その一方におきまして、被災した住民の皆さんを安全な高台へと移転をしていくといったことも大変重要なことです。

 これまで私自身も文化庁と協議を行ってまいりましたが、改めて、今回の土地利用再編の特例措置にもかんがみて、文化庁から、この特別名勝松島という、ある意味特殊な土地利用規制に対しての扱い方、方針をお聞かせください。

石野政府参考人 お答え申し上げます。

 特別名勝松島でございますけれども、今委員御指摘のとおり、観光資源としても大変大事でございます。

 この指定地内におけます一般住宅等の復興建設等も含めまして、そういう対処につきましては、特別名勝としての文化財的な価値を踏まえつつ、住民生活の方の復旧復興の観点から、両者の調和を図っていくことが重要であるというふうに考えております。

 この点につきましては、特別名勝松島の管理団体でございます宮城県が、関係市町を交えて、震災復興に伴う特別名勝松島の保存管理の在り方に関する検討会を設置して検討がなされ、八月八日に、震災復興に伴う特別名勝松島の保存管理のあり方の中間報告が示されているところでございます。

 文化庁といたしましては、特に、被災された個人住宅等の生活再建のため、急を要する要件につきましては、この検討会の最終報告を待たずに、中間報告に基づき、具体的な個別案件が示されれば個別に対応を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 なお、防災集団移転事業や災害公営住宅建設、海岸堤防建設等の大規模な公共事業、あるいは再建計画に対する対応につきましては、この宮城県の検討会から今後示される最終報告を踏まえて対応を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

石山委員 ありがとうございます。

 今話があったように、松島だけじゃないと思うんですが、このような景観と住民の皆さんの安全を確保していくという両立もまた大切な観点かというふうに思っております。

 さらに、これは、先般の本会議におきましても谷委員の方より御指摘があったことなんでございますが、このような景観を守り、かつ、被災者の皆さんに今後夢を持って暮らしていただくこと、さらには地域の森林業の振興をも目的に、国産材を使用した復興住宅の建設をもっともっと推進していくべきだというふうに思っております。例えば、松島に観光に来てくださった方が、あのような家を建ててみたいと思うような復興住宅にすべきだというふうに思っております。

 この辺に関しまして、筒井副大臣のお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

筒井副大臣 まさに先生おっしゃられたとおり、木造住宅の方が景観にも風土にも、それから人の体にも調和するわけでございますから、それを積極的に推し進めることは、農水省としても同じ認識でございます。

 この三次補正の中で、復興木材安定供給対策で林業の再生基金一千四百億近くを計上しておりますが、それもそれらの木造住宅の建設を進めるためのものでございます。

 それと、公営住宅に関しては、先生も御存じのとおり、公共建築物等における国産木材の利用促進法に基づいて、事実上義務に近い形で国産木材を使うという方向性を進めているものでございますから、これも先生のおっしゃる趣旨の対策だというふうに考えているところでございます。

石山委員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたとおり、被災地におきましては、もちろん森林もそうですが、やはり産業の復興、さらにはこれまで以上の振興というものが欠かせないというふうに感じております。

 皆様にお配りさせていただきました資料の二をごらんください。

 しかしながら、これは先ほど示しました塩竈市の新浜町というところにあります水産加工団地の写真で、被害状況でございますけれども、今ここの塩竈市におきましては、水産加工業の再開というものをあきらめる経営者が続出しています。

 それはなぜかといいますと、もちろん資金繰りの厳しさということもございますが、今回の震災におきまして、津波というよりはこれは地震そのものなんですが、液状化による激しい地盤沈下が起きました。この地区におきます水産加工団地、この写真を見ていただけば御認識いただけると思いますが、ひどいところでは今回の液状化のために一気に一メートルも地盤が下がったといったところがございますし、一番右下の写真なんかは、あるかまぼこ工場さんの工場の中なんですが、工場が中間でこのように分断されているといったような状況になっております。

 今回の復興交付金の対象となります四十事業の一つである液状化対策事業というものがございます。この事業に関しましては、道路などの公共施設が公費負担であるということはもちろんですが、公共施設とその周辺民地等も一体的に整備を行った方が効率的、効果的であると判断されたときは、このような民地であっても一部公費負担で行うとのことですが、その詳細をお聞かせいただきたいと思います。

松原副大臣 お答えいたします。

 今般の東日本大震災においては、沿岸部の埋立地や内陸部の造成宅地等において地盤の液状化により広範かつ多数の被害が生じており、復興を推進するに当たって重要な課題の一つであると認識しております。

 このため、今般、第三次補正予算案において、液状化対策推進事業を創設することといたしました。これは、一定の要件を満たす地区において道路、下水道等の公共施設と宅地を一体的に液状化対策を行う場合に、公共施設に係る対策費を支援するものであります。

 本事業において、公共施設の対策費は公費で負担し、個人住宅の対策費は所有者に御負担いただくものですが、公共施設の液状化対策に必要な工事であれば、民間宅地内であっても公費で負担できることとするものであります。

 以上です。

石山委員 ぜひ松原副大臣にも塩竈に来ていただきまして、この惨状を見ていただいて、御尽力いただければというふうに思っております。

 ちょっと時間も押してまいりましたので、次からは質問というよりも、私も先ほど冒頭に言わせていただいたとおり、今回のこの三次補正または関連法案に対しましてさまざまな要望をいただいておりますので、要望の開陳というようなことになってまいりますが、少しお聞きいただければというふうに思っております。

 資料の三をごらんになっていただければと思います。

 これは、仙台港周辺の、多賀城市周辺の商工業地帯の発災直後の写真でございます。この地域、例えば、仙台港には積み出しのためのコンテナが多数積んでありました。また、あるガス工場なんかもありまして、そこから実はガスボンベとか、または工場の製品を輸送するためのトラック、積み出し前の乗用車などが、津波が来たために一気に押し流されまして、それが民家などのほかの建物に突き刺さりまして、被害が玉突きのように拡大していったことが後からの検証でわかってまいりました。

 例えば、中小企業に対しましては、今回、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業では、グループ化した被災企業に対して再建支援を行っております。この事業には二次補正予算の予備費約一千二百億円が改めて投入され、被災した企業経営者の再建への希望となっております。

 私は、この考えをさらにちょっとだけ拡大していただいて、企業が独自にまたこのような津波や地震を含めた防災対策をとる場合においても、支援策を講じるべきであると考えています。例えば今、津波が襲った地域では、この多賀城周辺だけではなく、企業流出も起きています。将来的なこのような防災対策というものが、企業の流出をとどめるだけではなくて、被災地への新規企業の進出を促すきっかけとなると考えております。

 また、資料四をごらんください。

 さらに、今回の三次補正またはこの関連法案の中におきまして、その実行におきましては、私は、最もやはり困難だなと一見思われるところほど、真っ先に精力的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 私が見させていただいた被災した農地におきましては、もちろん、放射能汚染された農地に関しては別な大きな問題がありますが、実際、津波被害を受けました農地におきまして最もここは難しいなというふうに思っておるのが、この資料四に示しました石巻市河北町の長面というところでございます。

 ここは、たくさんの子供たちが亡くなりました大川小学校というところが近くにございますので、皆様にも御記憶ある場所ではないかと思っております。ここは、北上川の堤防が決壊したこと、そして海岸部分が激しい地盤沈下を起こしたことで、約二百町歩の水田が、三年前に基盤整備が終わったばかりで換地もまだ終わっていなかったという場所でございますが、このような状況になっており、農水省の話では、いまだに八十町歩はそのめどが立っていないといったような状況です。

 ですから、もちろん、この地区の農業者の方々とのしっかりとした話し合い、またはその方々の希望に沿うような形を求めていかなくてはなりませんが、しかし、先に、例えばこういう土地に関しましては国が買い上げていく用意もあるんだよといったような、少し大きな姿勢を示すことも大切なことではないかということを私は強く感じております。

 そして最後に、冒頭でも言わせていただきました復興特区制度、または今後設置されるであろう復興庁の体制にかかわることでもございます。ワンストップサービスということに関しまして、一つ言わせていただきたいと思います。

 当然でございますが、きょう、このように質問に立たせていただくときも、最初に質問の通告というものはさせていただきました。各役所の役人の方が金曜日に来ていただいたわけなんですけれども、必ず、会話としまして、この質問事項はどこの省庁になるかなと言いますと、いや、こちらではございません、○○省の○○局でございますといったようなことになります。しかし、ワンストップサービスということであるならば、こういうことであってはならないわけで、私たち議員は構いませんが、これを被災地でやったら一発アウトだというふうに私は強く感じます。

 実は、ワンストップサービスというのは、言うはやすしで行うはかたしの一番の代表例かなというふうに強く思っておる部分がございますので、この点に関しまして、平野大臣には、しっかりとしたワンストップサービスというものを確立していただく、リーダーシップを発揮していただくことをお願いさせていただいて、きょうの私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、菅川洋君。

菅川委員 民主党の菅川洋です。

 本日は、委員長、理事、委員の皆様方に、質問時間をいただきまして、まずは感謝を申し上げたいと思います。

 本日、先ほど石山敬貴委員からもありましたとおり、第三次補正予算が成立いたしました。まずは、予算の成立によりましてお金を用意することはできましたけれども、やはり復興へ向けて大事なのが、どのような形にしていくか、どういった計画を持っていくか、これは非常に大事なことだと私は思っております。そして、その計画をつくる際に、今回の特区法案がかぎになってくるものではないかと思っております。

 自分たちの町をもとどおりに、もとに戻すということではなくて、将来に向けて住み続けられる町、また住み続けたい町へと復興していく。それを、官の押しつけという形ではなくて、住民の思いをしっかり受けとめ、具現化していく、そういった形をつくる。その上で、今回の特区法案は、今まである規制の枠にとらわれずに、また、まちづくりのための復興交付金、税制の優遇措置といったことで後押しをしていく、そういった本気で復興させたいという国の思いというか、大臣を初め皆の思いが詰まっているものではないかと思っております。

 そんな中で、この復興計画の形を見てみますと、私はきょうは民間の力をかりるという観点から質問をさせていただきたいと思っているんですが、現在、被災地の自治体においては非常にマンパワーが不足している状態でもあります。そのマンパワーが不足している状態の中で、住民の声をしっかり聞きながら計画をまとめるというのは非常に大変なところだと私は思っております。

 今、宮城では、漁業特区の話もありますけれども、そういった住民の声等をどういった形でまとめていくかというのは非常に大変な部分があるとは思っているんですけれども、今回の復興計画は、被災地域の地方公共団体が計画をつくり、提出をするという形になっております。

 例えば民間の事業者でも、それこそ地域のためになる計画をつくれる方もいらっしゃると思うんですが、それは、直接ではなく、自治体を通してやるということになりますと、また迅速に行えない部分も出てくるのではないかと思いますが、こういった形にした理由につきましてお伺いをしたいと思います。

平野国務大臣 委員おっしゃいますように、復興を進めるためには、民間の知識それからノウハウ、活力、これを積極的に取り入れていくということが復興に向けての大きなかぎになるというふうに思います。

 今法案においても、民間事業者も、復興推進事業の実施主体として地域の復興に重要な役割を担うということが期待されております。

 しかし、復興推進計画ということになりますと、今度は、地域のさまざまなニーズ、さまざまな利害関係、それから地域住民の意見の調整、こういったものが絡んできますから、こういったところはどうしても自治体が主体になって行うというのが基本だろうというふうに思います。そのために、復興推進計画の作成は、地域住民の意向や地域の特性を把握し、地域の復興に対しての責任を負う立場である地方公共団体が担うということにしているところでございます。

 しかし、民間のノウハウ、知恵、これは地方自治体も積極的に取り入れる必要があるというふうに思っております。

菅川委員 確かに、調整というものは非常に難しいものがあると思いますので、そういった面はやはり公が担うということも必要であると思いますが、ぜひとも迅速な形でできるものにしていっていただければと思っております。

 また、役所が主導してやりますと、どうしても安全性だとか公平性とかを重視する余りに、そこでなかなか進まないようなこともあったりすると思っていますので、そういった点につきましてもぜひとも目配りをしていただきまして、復興計画が早くでき、そしてその計画を実行できる段階へと迅速に進めていただきたいと思っております。

 この計画についてなんですが、これは国が最終的に認定をすることになると思います。この認定をする際の基準というものはどのようにお考えなのかをお聞かせください。

平野国務大臣 認定は、法律上は内閣総理大臣が行うということになっております。

 具体的には、復興特別区域基本方針、これは法律が策定された後に国が決める方針でございますけれども、これに適合するかどうか。これは第四条第九項第一号であります。それから、復興推進計画の実施が当該復興推進計画の区域における復興の円滑かつ迅速な推進と当該復興推進計画の区域の活力の再生に寄与するものであるかどうか。それから三番目として、円滑かつ確実に実施されることが見込まれるかという基準に適合するという、法律上はそういうたてつけになっております。

 では具体的にどうするかということなのでありますけれども、基本的には、復興の円滑かつ迅速な推進の意義として定められた事項、例えば、地域の創意工夫を生かしたオーダーメードの仕組みを実現する考え方に合致していること、あるいは、復興の円滑かつ迅速な推進に資する目標と、目標を達成するために必要な事業が記載されていること、それから、実施スケジュールが具体化されていることということで、余り難しいことを求めるつもりはございません。

 自治体の考え方、創意工夫、ああ、これはしっかりつくっている計画だなということがわかるような計画になっていれば内閣総理大臣として認定する、そういう方向に持っていきたいというふうに思っております。

菅川委員 ぜひとも、地方の自治体というか、その地域の住民の思いを受けとめて判断をしていただきたいと思います。

 この復興推進計画が国に認定されますと、規制や手続の特例、税制上の特例など特別措置が適用されることになってまいりますが、その際の税制上の特例で今考えられていることについてお伺いをしたいと思います。

 出資に対して所得控除ができるようにするとか、新規立地新設企業に対して五年間無税にするというような、私はこれは非常に思い切った措置ではないかと思っておりますが、非常に思い切った措置でも、税の話になりますと、どうしてもいろいろな要件をつけていくことになると思っています。いろいろな要件をつけるが余りに、逆に投資しにくくなったり、もしくは税のメリットが受けられないようなことがあってはならないのではないかと思っているところであります。

 そんな中で、今お話しした、例えば、復興特区内の地域課題解決のための事業を行う企業に対して出資を行う、この出資をした場合に、出資をした投資家がその出資金を寄附金控除として所得控除ができるというような措置がありますが、出資をする際に、この企業に対して、直前期の売上高営業利益率が二%を超えていないことといった要件をつけるようなお話を伺っております。

 こういった細かい要件をつけると、出資する際に、出資して自分にはメリットがあるのかどうか、非常にちゅうちょされる面も出てくると思うんですけれども、できる限りもっと簡便にするというようなお考えはないか。どのように大臣として思われますか、お聞かせください。

平野国務大臣 いわゆるエンジェル税制に関しての御質問だと思いますけれども、今のエンジェル税制、一般的には、売り上げの営業利益率が大体ゼロ%もしくはそれ以下というのが、普通、今適用されているエンジェル税制ではなかったかというふうに理解しています。今回は、二%以下ということで、むしろハードルを下げたということですね。

 ちなみに、リーマン・ショック以前の五カ年における売上高営業利益率は、全産業で三・一%、資本金一億円未満の企業で一・七%、それから資本金一千万円未満の企業で〇・四%ということでございますから、この二%というものについては決して高い数字ではないということでありまして、特段厳しいハードルを設けたという形ではなくて、むしろ下げているというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

菅川委員 御説明ありがとうございます。

 また、新規立地新設企業の場合、五年間税を免除すると。これには雇用が伴うとか、被災地の住民の方に対するさまざまな手当てをされているものでありますけれども、これは本当に非常に画期的なものではないかなと思ってはいるんです。

 この税制についてですけれども、これは法人税だけをお考えなんでしょうか。例えば、それに付随する住民税や事業税などはどのようになっていくんでしょうか。

平野国務大臣 この特例は、御案内のように、計画の認定を受けた地方公共団体からの指定後五年間、各年の所得金額を限度として再投資等準備金を積み立てていただきまして、その積立金額を損金の額に算入することにより、法人税を五年間無税にするというかなり画期的な制度であります。

 お尋ねの件につきましては、では、法人住民税それからあと法人事業税、こういったものはどうかというお尋ね、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。(菅川委員「はい」と呼ぶ)

 法人住民税に関しましては、法人税が課税されなかった場合には、地方税の法人住民税のうち法人税額を課税標準とする法人税割については課税が発生しないことになります。ただ、均等割につきましては課税が発生するということになります。これは税制上、どうしてもこういう形になります。

 それから、地方税の法人事業税のうち所得を課税標準とする所得割についても課税が発生しないということになりますが、ただ、これにつきましても、資本金一億円超の法人に課せられる付加価値割、資本割については課税が発生するということになります。

 いずれにせよ、この措置というのはかなり思い切った措置でございますので、この措置によって新規立地等々が促進されることを期待したいというふうに思っております。

菅川委員 今大臣がおっしゃられたように、私も非常に画期的であると思っております。

 また、今の御説明の中に準備金を積み立てるというお話がありましたけれども、これは、将来また再投資をしてもらうための準備金として積み立てるという内容になっているかと思います。

 例えば、準備金として積み立てたけれども、何年かたったら経営状態が余りよくなくて、この準備金をそのまま再投資に使わなかったというようなことがあった場合はどのようになるんでしょうか。

平野国務大臣 おっしゃるように、準備金というのは、再投資に使っていただく、投資を促して、それで企業活動を活発化させていただく、そういうインセンティブで設けているわけであります。

 これをもし使わなかった場合ということでございますが、指定を受けてから十年経過後に、再投資せず準備金が残っている場合、あくまでも準備金が残っている場合、使った分はいいわけでありますけれども、残った場合には、その後十年間で準備金残高の十分の一ずつを取り崩して益金に算入することによってこれを処理する、そういう制度設計になっております。

菅川委員 となりますと、投資しなければ、その分はその後で税金がかかってくるということになるという……(平野国務大臣「益金に算入されます」と呼ぶ)益金になるということでよろしいわけですね。わかりました。

 私は、そういった結構思い切った制度をこの中に取り入れるということになると思っているんです。ただ、この内容というのは、所得の控除であったり税金の免除、もしくは税額の減免といったような、所得があって、もしくは利益がある、税金がかかる場合にこのメリットを享受できるというものがこういったところに挙がっているわけでありますけれども、大臣も先ほど利益率のお話をしていただきましたけれども、最近は、全国的に見てみましても、黒字で申告している企業というのは二割台という、非常に利益を出すのが難しい時代になっているんだと思っています。

 そんな中で、被災地で新設で企業が立地して、税のメリット、また所得控除のメリット、こういったものがあったとしても、設立当初はやはり利益を出すこと自体がまず難しいのではないかなと思っています。その利益を出すこと自体が難しい中で、人を雇用しなければならない制度になっていますので、人を雇用するということを考えますと、やはり企業の負担の中で一番大きくなるのは、人件費の上に乗っかっている例えば社会保険料とか、こういったものが実は税金と同じように支出の項目で出てくるわけです。

 例えば、この社会保険料の会社負担分だけでも一定期間免除をするというようなこととか、もしくは、その分補助を出すというようなことを今後考えるということは一案かと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 委員おっしゃるように、税制は、あくまでも、ある一定の利益が出た場合にそこに課税される、その課税についてのさまざまな減免措置をするということで、そもそも、中小企業では、税金を納められるような、そんな利益を上げている会社は余り多くないというのは、もう委員おっしゃるとおりです。

 ですから、今回の制度においては、こういう税制とあわせまして、例えば、中小企業庁では無利子融資制度を用意する、あるいはさまざまなグループ補助金、これは新規立地というよりもむしろ被災した企業を対象にしておりますけれども、そういったさまざまな補助制度を用意しながら、あるいは融資制度を用意しながら企業の新規立地を支援する、それとセットになっているということを御理解いただきたいというふうに思います。

菅川委員 税の部分と別な形で補助なりしていただくというように、厚い手当てをぜひともやっていただいて、そこに雇用が生まれる、企業がしっかりと根づくというところに力をかしていただければと思っております。

 最後に、復興基本方針に、民間の力による復興ということがありまして、私も、民間の力、きょうの質問もそのテーマでさせていただいているわけですけれども、活用するということは非常に大事なことだと思っています。その中で、この復興基本方針の中にもあるわけですけれども、民間資金のみならず、民間のノウハウ、マンパワーを活用するのに、例えばファンドだとかPPP、PFIといったような官民で連携して行うもの、また土地信託という仕組みを活用するということが書いてあります。

 その中で、やはりこういったファンド、PPP、PFI、土地信託というようなことを行うときに、不動産の場合、所有権が移転するときに、登録免許税だとか不動産取得税だとか、どうしても付随して税金がかかってくる場合があります。そうすると、その税金が高いがためになかなか投資ができないというようなケースはあると思いますので、ぜひともこういったところにも目配りをしていただいて、今回の案の中にはこれは入っていないものだと思っているんですが、ぜひ積極的な措置をとっていただければと思うんですけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

平野国務大臣 そういったさまざまな要望、今考えられて、各省との協議の中で合意に至ったものについては特区法案に入れましたけれども、それ以外に、これから復興計画をつくりまして、それを推進していく上でさまざまな要望も出てくると思います。それは、自治体からも、あるいは民間事業者からも、特に民間事業者の中では、復興のためにこういうことをやりたいんだ、だけれども、これをやるためにはこういう支援が必要だというような具体的な要望が出てくると思います。

 そういった要望については、国と地方との協議会の中において議論して、復興本部の立場にしますと、その復興を進めるためのできるだけの制度、要望があった場合については、これを実現するように各省庁と交渉しまして、復興復旧がスムーズに進む、そういった体制づくりに万全の努力をしたいというふうに思います。

菅川委員 ありがとうございます。

 本当に、復興というのがこれからの大きな課題であり、これが迅速に行われる中で、計画を立てるのはそれこそ官民一緒につくる、その中で、民間の力を最大限発揮できるようなスキームというものをぜひともつくっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、柳田和己君。

柳田委員 民主党の柳田和己です。

 本日は、質問の機会をいただき、委員長初め皆様に深く感謝を申し上げます。

 まずは、三月十一日の未曾有の大震災並びに原発事故により被災された方々、そして、今なお避難をされておられる方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

 私も、震災後、何度か被災地に足を運ばせていただき、先月の六日、七日は国土交通委員会の委員派遣として、岩手、宮城両県の被災地の現状をこの目で確かめ、生の声を伺ってまいりました。

 そのような中、命を張って災害救助、災害復旧活動に御尽力された自衛隊の皆様、海上保安庁の皆様の活動には被災地の皆様も深く感謝しており、私としても、自衛隊や保安庁の行事や式典、音楽祭などに積極的に出席させていただき、一人でも多くの関係者の方に感謝の気持ちを伝えたいと思っております。

 前置きが長くなりましたが、九項目を質問させていただきます。

 まず初めに、総務省にお伺いしたいと思います。

 質問の前に、東日本大震災復興基金について、先月の十七日、基金の創設が正式に決まり、茨城県は被災三県に次ぐ百四十億の予算をいただきました。この場をおかりしまして、副大臣に御礼申し上げます。

 では、質問ですが、今回の大震災で被災した自治体庁舎の建てかえに対する支援策についてです。

 これまで、被災した自治体の仮設庁舎復旧については、既に多大な御支援をいただいたところでございます。そして、今後の本庁舎の建てかえについても支援策をお願いしたところ、来年度予算の概算要求に盛り込んでいただいているとのことで、ぜひとも採択をいただきたいところですが、私の地元の被災自治体では来年早々にも建てかえたいとの意向で計画を進めております。新規事業とのことでもあり、なかなか補助率や採択基準の全体像が見えずに関係者の方々も不安を抱いておりますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まずもって、柳田委員さんにはたびたび現地、被災地にお越しいただきまして、被災地の一人としても心から感謝申し上げます。

 お話しのとおり、今回の震災では、市町村の役所、役場、この復旧をしなければいけない、喫緊の課題となりました。そこで、仮設の庁舎の建設等には新たな国庫制度を創設いたしまして、一次補正で三十七億円、今般の三次補正では補助額二十一億円ですか、これを盛り込んだところであります。補助率は三分の二であります。

 次に、御指摘のところでありますけれども、市町村庁舎の本格的な復旧についてでありますけれども、復興の基本方針において、「市町村の復興の段階では新しいまちづくりと併せ、市町村の復興の司令塔となる市町村庁舎の機能の本格的な復旧の円滑な推進を図る。」こう示されておるわけであります。

 我々総務省もこの基本方針にのっとって取り組んでいかなきゃならないと思いまして、津波または地震により本庁舎が壊滅的な被害を受け、大半が使用できず、その機能が大きく損なわれた市町村における本庁舎の建てかえに関する早期の事業着工の可能性も見据え、平成二十四年度、来年度の予算に補助金を要求しておるところであります。これは補助率二分の一であります。

 私の地元、例えば陸前高田市であれば、原状復旧といってもその場に庁舎は建てられませんので、どこに建てるかということで用地を確保しなきゃいけない、あるいはまた山林であると造成しなきゃいけないということで、市町村の取り組み、この段階をしっかりと見きわめていかなきゃならないと思っております。

 お話しのとおり、早速本庁舎の建設というところもございますので、その具体的な計画をしっかりととらまえて、適切な対応をしていきたいと思います。

 以上であります。

柳田委員 ありがとうございました。

 時間がないので、あと十五分ですから、次に経済産業省にお伺いします。

 原発被害の影響は、福島県のみならず、近隣県にも拡大しております。茨城県においては風評被害が依然深刻であり、農産物直売所の売り上げは五〇%減、JAや市場から都市部へ出荷している野菜や米は、茨城県産とのことで市場で敬遠され、関係者の力で何とか取引を継続しているところです。また、海水浴客は八五%減、ホテル、旅館の廃業は七十社を超え、農林漁業、観光、医療、工業等の幅広い産業における被害が報告されております。

 平成十一年のジェー・シー・オー臨界事故の際は、国の支援により五年間で百億円規模の基金が創設されましたが、今回の事故の影響はそれをはるかに上回る規模であります。要は、今回の原発事故被害から地域が脱却し、さらなる地域の活性化を推進するために、国が責任を持って近隣県も含めた包括的な財政支援策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

牧野副大臣 柳田委員の御質問にお答えさせていただきます。

 実は私、いわきから水戸へ鈍行でずっと来たときがありますが、そのとき沿線に見える風景は、災害、津波、そういったのは本当にここまでひどいんだなということで、しみじみ、この対策は包括的に近隣諸県、大勢の皆さんと連携をとりながらやっていかなければいけないということを痛感した次第であります。

 その上でお答えをさせていただきますと、これまでの中小企業の施設設備の復旧支援や資金繰り対策は、第一次及び第二次補正に盛り込まれた施策を我々は本当に着実に実施していかなければいけない。例えば、産業復興相談センター、産業復興機構につきましては、北は青森から南は千葉県まで、それぞれの県ごとに取り組みを進めております。また、被災各県の中小企業等に御活用いただいておりますいわゆるグループ補助金、これも県境とかそういうのは関係なくお使いをいただくように、今、追加募集を実施したところであります。さらに、風評被害を払拭するために、販路開拓等に対する支援等を措置したところであります。

 経済産業省といたしましては、先生の御指摘のとおり、このような包括的な支援策を全力で実施することによって、原子力発電所事故被害から早急に産業を復興させ、安心して暮らすことができる活力ある地域経済を一日も早く取り戻したいと考えております。よろしくどうぞお願いします。

柳田委員 続きまして、風評被害に対する損害賠償についてです。

 特に農産物、私も農林水産の前理事をさせていただいていました。農水省を初め関係者の皆様に御協力を賜り、少し時間はかかりましたが、賠償金の支払いも行われたところでございます。

 茨城県では、JAや自治体を中心に協議会をつくり、損害賠償の一括請求を行っておりますが、六月分以降は、価格が落ちついてきたことから、個々の農家からの請求については協議会で受け付けを終了したと伺っております。

 しかしながら、農家の中には、品目や取引先の関係で、六月以降も前年度比、損失額が大きいところもあります。そのような方々が引き続き簡素な手続で損害請求を行えるような門戸を広げる必要があると考えますが、政府としてどのような対策を講じているのか、御回答をお願いしたいと思います。

筒井副大臣 風評被害について、六月以降請求はしないという方針を決めた団体もあるようでございますが、しかし、六月以降も請求して、実際にそれを東電の方も損害として認めた例もあるようでございまして、茨城県の場合も、協議会としては受け付けを拒否していないというふうに聞いておりますし、実際にまた、そうするように農水省の方としても要請をしているところでございます。

 風評被害、この原発事故との関係をある程度証明すれば、それは損害賠償の対象になるわけでございますから、これからもそういう方向でやっていきたいというふうに思っております。

柳田委員 農産物の風評被害が落ちついた六月には、お茶から放射性セシウムが検出されました。農水省にも頑張っていただき、いろいろと対策を講じてきましたが、ことしについては出荷を断念することになりました。もちろん、補償についてはしっかりと御対応いただいておりますが、来年、再びこのようなことが起きないようにお願いしたいと思います。

 また、十月にシイタケからも放射性セシウムが検出され、茨城県内ではいまだ多くの地域で出荷制限がかかっております。原木シイタケは、シイタケだけでなく、その起因となる原木やまきにまで指標が示され、放射能検査、出荷規制が行われます。原木は、伐採業者が高齢化していることもあり、きめ細かな放射能検査ができるか心配です。見落としたものを購入し、シイタケ栽培後に放射性セシウムが検出されるようなことになれば、責任はだれがとるのかわかりません。原木やまきも、購入後に使えないとなれば、その費用も事業に大きな影響を与えます。

 規制がかかるのは、消費者の安全を考えれば仕方のないことと関係者の方も理解しておりますが、それと同時に、生産者に対する適切な対策を実施することが急務であり、風評被害も含めた補償についても、現在東京電力と交渉中ですが、これまでの話を踏まえた中で、お茶、シイタケに対する農水省の対策を御説明いただきたいと思います。

筒井副大臣 今、一括してたくさんの質問が同時に出されました。

 お茶については、芽それから葉っぱに落ちたセシウムが枝を通じて新しい葉っぱに移行する、これが多くを占めるという調査結果でございますので、それに対する対策としては、適切な時期に枝葉を刈り取る、こういう指導を農家の方にしているところでございます。

 それから、原木に関して、今先生がおっしゃったとおり、事業者は自分で検査することがある程度できるかと思いますが、自分で原木をつくって、同時にそこでシイタケを栽培している高齢の農家の場合はなかなかそれができないものですから、なかなかできない場合には、県の方に、きちんとそれに対応できるような、相談に応ずるような、そういう体制を要請しているところでございます。

 そして、それらいずれの場合にも、お茶についても、原木に関しても、シイタケに関しても、暫定規制値を超えたり、あるいは風評被害を受けた場合には損害賠償をきちんとする。これはいろいろな場面で、連絡会議等も含めてでございますが、東京電力の方に強く求めているところでございます。

柳田委員 次に、放射性物質汚染対処特措法に基づく土壌の除染についてですが、茨城県内でも、国の目指す年間被曝量一ミリシーベルトを超える地域があり、市民の関心、特に、子供を持つ保護者の方から心配の声が寄せられております。

 規定では、被曝線量が年間一ミリシーベルト、検査の基準として時間当たり〇・二三マイクロシーベルトの数値を超えると、除染計画を定め、国の財政支援のもと除染を行うと認識しておりますが、茨城県では、測定結果が〇・二マイクロシーベルト前後の非常に微妙な数値を測定している地域があります。

 このような自治体では、科学的には安全と言えても、市民感情を考えるとそのまま放置するわけにはいかず、ましてや、隣接する市が基準を超えて除染計画を定めるようなことになれば、市民の皆様も不安になり、少なくとも、公園や子供の行く場所ぐらいは何とかしようということになります。

 このような事情を抱える自治体に対しても国の支援が必要ではないかと切に願いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

細野国務大臣 柳田委員の御地元の茨城県でも、本当に皆さんにいろいろ御心配をおかけしておりまして、申しわけなく思っております。

 この除染なんですけれども、しっかりと必要なところをやりたいというふうに思っておりまして、今一ミリシーベルトとおっしゃいましたけれども、追加放射線量一ミリシーベルトなんですね。平均的なところで、日本国内ですと大体一・四ぐらいございますので、それより一ミリシーベルトぐらい高いところについてはということで今取り組んでいるところでございます。

 まず、そうした必要な地域についてしっかり除染をするということを大原則にしたいというふうに思っておりますが、御指摘のように、周辺よりも高いところについてはいろいろ御心配をされる方もいらっしゃいますので、そういったところについては、余り一ミリより上か下かということでやるのではなくて、専門家を派遣するなどの支援をやっていく必要があるというふうに思っております。

 一方で、追加放射線量が一ミリに満たないところについて、例えば除染をやった場合の費用負担の問題なんですけれども、ここは、汚染者負担の原則ということに立ち返るならば、東京電力に請求するという枠組みは一つ考えられるのではないかというふうに思うんです。それ以上のところについては、国が除染をして最終的には東京電力に求償するという形になっておりますが、国が前面に出ます。それ以外のやり方として、今私が申し上げたことも含めて、さまざまな取り組みを考えていただくというのも一つのやり方ではないかというふうに思います。

柳田委員 もう一点、大臣にお伺いします。今年度の一次補正予算にて対処いただきました、いわゆる瓦れき処理費用についてです。

 この制度は、被災地の自治体が主体となれば、解体、運搬等も含む瓦れき処理に関する費用について、国の財政支援で最大九五%まで賄えるのが特徴です。多くの被災自治体が活用されていますが、私の地元では、市民が被災した危険構造物の解体を望んでも、自治体が動いてくれません。被災三県のような莫大な瓦れきが山積みされているわけではないので、業者を手配して国などへ申請手続をするだけの事務で、職員、市民の負担も最小限で済みますが、理由もはっきりしない、説明しないまま放置した状態になっております。

 件数が少なかろうが、市民に危険があれば対応するのが自治体の役割だと思いますが、今回の復興特区法案でも市町村の自主性が求められる中、このようなケースがあると、やはり県や国が関与する部分も残さなくてはいけないと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

細野国務大臣 今回、こうした廃棄物についての法律を国会で通していただきましたので、国がしっかりと財政負担をして廃棄物が処理をされる体制をつくらなければならないし、環境省としては、今まさにその活動を最も中心的な業務としてやっているという状況でございます。

 茨城県のことも調べてみたんですけれども、茨城県もかなりの廃棄物が出ておりまして、瓦れきの推計量が四十八万トン程度でしょうか。そのうち、仮置き場へ搬入済みのものが四十四万トン。この差分が、恐らく解体が済んでいないもの、依然として済んでいないものだから搬入できないというものになるというふうに考えられます。

 その中には、なかなか所有者の合意がとれなくて解体が進まないというところもあるようでございますが、場合によっては、柳田委員が今御指摘をされたような、本来は解体すべきなんだけれども、なかなかそれができていないというところもあるのかもしれません。危ないという意味で、あるのかもしれません。

 そういったところについては自治体が取り組んでいただくのが一番身近でよろしいかというふうに思いますけれども、助言であるとかさまざまな支援というのは考えられるのではないかというふうに思いますので、個別に、そういったケースがあれば、環境省としても最大限取り組んでいきたいというふうに考えております。

柳田委員 次に、東日本大震災復興交付金についてお伺いします。

 この法案では、五省四十事業の基幹事業の一括化に加え、使途の自由度の高い効果促進事業を加えておりますが、より使いやすいために、被災自治体が提案する事業を基幹事業とし、幅広く採択できるようにもっと範囲を広げるべきだと考えます。

 また、交付金を受けるための復興交付金事業計画の作成は、市町村の単独か、県と市町村の共同作成であり、県が単独で計画を作成することはできないような仕組みになっておりますが、市町村をまたぐ広域性のある事業は県が主体性を持って取り組む必要があると考えますが、この二点について、問題ないのか、また、今後検討されていくのかを教えてください。

平野国務大臣 復興交付金につきましては、まず基幹事業としては、五省四十事業でとりあえずセットいたしました。これで、今までの戦略交付金ですか、今走っている交付金と比べても、対象事業はかなり幅広くなっております。まずこれでスタートさせていただきまして、自治体からこの事業も入れていただきたいというような要望があれば、それは対応できるものは対応していきたいというふうに考えております。

 それから、計画の策定なんでありますが、復興は、基本的には被災自治体、特に基礎自治体、市町村がまず前面に立っていくという考え方に立っておりまして、県がさまざまな計画を策定するに当たっては市町村との調整を抜きに考えられないだろうということで、あえて県単独の計画制度というのは設けませんでした。これは、設けようと思ったら設けてもよかったかもしれないんですが、先ほど言いましたように、市町村と県との共同計画ということが基本であるということでありまして、このことについては被災県の御理解も得ているというふうに私は理解しております。

柳田委員 もう時間が来たんですが、済みません、一点だけ、東日本大震災復興特区についてお伺いします。

 この特区において、復興推進事業を行う個人、法人に対し税制上の特例措置が適用されますが、その対象が、条文によれば、大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ、または生産基盤に著しい被害を受けた地域となっております。この地域の判断基準はどのようになるのか、また、それはどのように決められるのか、復興対策本部に御説明をお願いしたいと思います。

 私としては、直接的な被害だけではなく、風評被害も含めた間接的な被害も対象とし、また、離職までいかなくても、被害者が実質的に失業状態になっている地域も対象とすべきと考えますが、そのあたりについて御見解をお願いしたいと思います。

平野国務大臣 委員御指摘のように、税制の特例が適用される雇用を確保すべき地域につきましては、東日本大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ、または生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域としたところでございます。

 では、具体的にどうするかということでございますけれども、これにつきましては、法令で一律の形式基準を設けるようなことは今考えておりません。また、あらかじめ指定することも適当でないというふうに思っております。あくまでも、各地方公共団体が復興推進計画において、離職者数や農地、漁港、工場等の被害など各種データや調査結果に基づきまして、地域における震災による雇用への影響や被災状況等を示していただきまして、対象地域を定め、これを国が認定する仕組みにしたいというふうに考えております。

柳田委員 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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