衆議院

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第13号 平成23年12月6日(火曜日)

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平成二十三年十二月六日(火曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      大泉ひろこ君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    沓掛 哲男君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    菅川  洋君

      辻元 清美君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      橋本 博明君    橋本  勉君

      畑  浩治君    福田衣里子君

      松岡 広隆君    森本 和義君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      山口 和之君    若井 康彦君

      若泉 征三君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    高木美智代君

      高橋千鶴子君    服部 良一君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      中島 正純君    園田 博之君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   文部科学大臣       中川 正春君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山岡 賢次君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  太田 和美君     仁木 博文君

  階   猛君     川村秀三郎君

  畑  浩治君     磯谷香代子君

  森本 和義君     杉本かずみ君

  谷田川 元君     橋本 博明君

  山口 和之君     松岡 広隆君

  若井 康彦君     石田 三示君

  吉泉 秀男君     服部 良一君

  下地 幹郎君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     若井 康彦君

  磯谷香代子君     畑  浩治君

  川村秀三郎君     階   猛君

  杉本かずみ君     森本 和義君

  仁木 博文君     福田衣里子君

  橋本 博明君     大泉ひろこ君

  松岡 広隆君     山口 和之君

  服部 良一君     吉泉 秀男君

  中島 正純君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大泉ひろこ君     谷田川 元君

  福田衣里子君     橋本  勉君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  勉君     太田 和美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 復興庁設置法案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、復興庁設置法案を議題といたします。

 この際、本案に対し、近藤洋介君外六名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の五派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

    ―――――――――――――

 復興庁設置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員 ただいま議題となりました復興庁設置法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、東日本大震災からの復興をより円滑かつ迅速に進めるため、復興庁が被災地のニーズにワンストップで対応できるよう権限強化を図る必要があるとの共通認識に立って、本会議及び本委員会などでの与野党の質疑及び御指摘を踏まえるとともに、与野党の真摯な修正協議に基づき、復興庁設置法案について次のような修正を行おうとするものであります。

 以下、修正案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、復興庁は、東日本大震災復興基本法第二条の基本理念にのっとり、東日本大震災からの復興に関する内閣の事務を内閣官房とともに助けること等を任務とすることとしております。

 第二に、復興庁の所掌事務に、東日本大震災からの復興に関する行政各部の事業を統括し及び監理することを追加するとともに、東日本大震災からの復興に関する事業に関し、関係地方公共団体の要望を一元的に受理すること、必要な予算を一括して要求、確保すること、事業をみずから執行し、または関係行政機関に予算を配分すること等を追加することとしております。

 第三に、関係行政機関の長は、復興大臣の勧告を十分に尊重しなければならないこととしております。

 第四に、復興庁に副大臣二人を置くこととするほか、他の府省の副大臣の職を占める者をもって充てられる副大臣を置くことができること等としております。

 第五に、復興庁に大臣政務官三人を置くこととしていた条項を削ることとし、他の府省の大臣政務官の職を占める者をもって充てられる大臣政務官を置くことができることとしております。

 第六に、復興局における協議、調整等を行うための組織体に関する事務に係る規定及び内部組織の編成に当たっての配慮に係る規定を新設することとしております。

 第七に、附則において、三年経過後の検討規定及び復興の状況を国会に報告する規定を新設することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、委員各位におかれては、修正者の思いを受けとめていただき、御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 本日は、本案の審査に関し、復興体制等について集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上信治君。

井上(信)委員 おはようございます。自由民主党の井上信治です。

 まず、東日本大震災からはや約九カ月であります。改めて、犠牲となられた方々とその御遺族に心より敬意を表します。

 また、被災地東北では一日一日寒さが増しておりますけれども、今なお避難所や仮設住宅などで厳しい生活を余儀なくされている被災者の方々にもお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、ここでいよいよ、被災地の復興の司令塔となる復興庁を設置するための復興庁設置法案、衆議院における審議がようやく大詰めを迎えております。きょうは野田総理にもお越しをいただきまして、大変ありがとうございます。当委員会の古賀委員長初め理事、委員の先生方、とりわけ、与野党協議に精力的に当たられた各党の担当の先生方の御努力に心から敬意を表します。

 今までの国会における質疑におきまして、与野党を問わず多くの委員が指摘してきましたように、この閣法には、残念ながら、さまざまな問題点があることが明らかとなりました。

 今般、国会審議と並行して行ってきたたび重なる与野党協議によって各党の合意を得ることができ、閣法に対する修正案が提出をされました。大変うれしく思っております。このように、私たち自民党も、被災地の復旧復興につきましては、政府・与党に対して全面的に前向きな協力を行っているということを改めて申し上げます。

 とはいいますものの、被災地の復旧復興の現状はいかがでしょうか。これから被災地は厳しい冬を迎えつつあるというのに、なぜ政府の対応はこんなにも遅いのか、一体いつになったら本当に安心してもとどおりの暮らしを営むことができるのか、これが大多数の方々や自治体の声であります。

 そして、そのことを端的にあらわしたのが、先月十日の政府の復興構想会議における五百旗頭議長からの痛烈な批判でした。秋が深まるころには被災地でつち音高く復興事業が始まると期待していた、率直に言って遅過ぎると。

 政府が設置した復興をつかさどる会議の責任者にここまで言われて、総理は、この復興のおくれについてどのように責任を感じておられますか。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 私どもも、三月十一日に東日本大震災が発災した後、御党含めて各党の御協力をいただきながら、第一次補正、第二次補正、そして予備費なども活用しながら、仮設住宅の建設であるとか瓦れきの撤去、ライフラインの復旧等々、全力で取り組んでまいりました。

 一方で、今、井上委員から御指摘があったとおり、スピード感がない、遅い、あるいは支援が十分行き届いていないという御指摘があることも十分承知をしております。

 そうした御批判を真摯に受けとめて、先般、本格的な復興に向けての第三次補正予算と、そしてそれを支える復興財源の確保法案を通していただきましたので、これからまさに、各地における、被災地における復興に向けての取り組みを加速していきたいと考えております。

井上(信)委員 ぜひ総理には、真摯に受けとめてということで、責任を感じていただいて、そしてスピードアップをしてもらいたいと思っております。

 そして、この復興庁設置法案、十一月一日に国会に提出をされました。六月の二十日に成立した東日本大震災復興基本法に基づくものです。そして、この基本法の二十四条五項には「復興庁は、できるだけ早期に設置することとし、」「可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずるものとする。」というふうにあります。しかし、実際には、法案提出まで五カ月近くの時間が浪費されました。なぜですか。なぜこんなにも法案提出がおくれたのですか。

野田内閣総理大臣 復興庁法案の提出時期についてのお尋ねでございますけれども、これまでは、まず、復興庁の重要な実施事務として復興特区あるいは復興交付金というものを掲げてまいりました。この復興特区や復興交付金の制度設計をする際に、被災地の御意見やさまざまな御要望をお伺いしながら検討を急ぎ、特区法案として取りまとめて今国会に提出をいたしました。その上で、順番として、そういう実施事務を行うための制度設計をした後に、それを行っていく復興庁の設置法案の取りまとめに当たって国会に提出をする、そういう運びの順番があったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 これは、きょう、実務者によって大変熱心な御討議をいただいて修正案もまとめていただきましたが、それをまとめていただいたことに感謝を申しながら、政府としては、それを踏まえて適切に対応し、なるべく早期に復興庁の立ち上げを行っていきたいというふうに考えております。

井上(信)委員 総理の答弁ですが、私はそれはちょっと違うと思いますね。復興特区と復興庁を同時並行できないわけがないですよね、できるだけ早くですから。

 理由ははっきりしていますよ。この五カ月間、何がありましたか。政治の空白じゃないですか。菅総理の空白の三カ月があり、総理がかわる、そしてまた、復興大臣も失言問題でかわりましたよね。やはりこの政治の停滞によって、空白によって五カ月近くの時間が浪費された。責任を認めるというのであれば、このことについても素直に認めてください。いかがですか。

野田内閣総理大臣 政治空白といいますか、確かに、政権がかわる、そういう移行の時期もありましたけれども、復旧復興事業については、一次補正、二次補正、その執行を万全を期すとともに、加えて、必要なところは予備費の活用もしながら対応してまいりました。本格的な復興に向けての制度設計は、今申し上げた順番を経ながら対応してきたということは事実でございます。

 いずれにしても、復興庁については、前に平野大臣が三月十一日までにはスタートさせたいというお話をしておりましたけれども、そういう思いで早期に立ち上げをしていきたいというふうに思っております。

井上(信)委員 低姿勢が売りの野田総理ですから、もう少し謙虚に受けとめてもらいたいんです。

 法案提出がおくれたというのは、これは間違いなく事実ですよ。そして、それを認めていただくのであれば、復興庁の設置は三月十一日までにというふうにおっしゃって、しかし、私はそれでも遅過ぎると思いますよ。一年というその目途、それにこだわる必要はありません。むしろもっと早くたって構わないわけです。復興庁の設置が一日おくれれば、復興は一日おくれます。この法案を早期に成立させて、年明け早々ぐらいには復興庁を設置させる、もう一度検討していただけませんか。

野田内閣総理大臣 思いとしては、遅くとも三月十一日までということでございますので、なるべく早い時期に復興庁を立ち上げできるように努力をしていきたいというふうに思います。

井上(信)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、本日提出された修正案につきまして、復興庁の権限を強化することを初めといたしまして、私たち自民党や公明党の主張が多く受け入れられ、与党もほぼ丸のみする形で合意することができました。内容的にもすばらしい修正案であると高く評価をしておりますけれども、この修正協議を振り返って、自民党の法案提出者である谷先生、いかがお考えですか。

谷委員 お答えいたします。

 今、井上委員御指摘のとおり、与野党合意に反するこの政府原案は、与野党合意に反するということは、復興庁は権限とか予算もあわせ持ったスーパー官庁であるというのが五月の段階の与野党合意でありましたが、その合意どおりの法案であればここまで修正協議に時間を要することがなかったかと思います。

 しかし、そうでなかったということで、今委員御指摘のとおり、我々自民党なり公明党さんの要求をほぼ丸のみする形で、あるべきスーパー官庁として大変充実したものになったと思っております。こういう新たな復興庁によって被災地のニーズにワンストップで対応できる、そういう省庁としてしっかり仕事をしていただきたいというのが我々の思いであります。

井上(信)委員 私も同感であります。

 いろいろと問題点の多い閣法に対して、与野党が協議をして、合意をして修正案を提出することができたということは、大変すばらしいことだと思います。ですから、この修正案については重く受けとめていただきたいというふうに思っております。

 今の谷先生の答弁も踏まえまして、この法案修正の経緯や内容などについて総理はどうお考えか、お答えください。

野田内閣総理大臣 先ほど谷先生から修正案の中身の御説明もございましたけれども、復興庁の実施事務の大幅な強化、あるいは大臣等政務三役の増員数の見直しなど、各党が真摯に御協議をいただいて修正案をおまとめいただきましたことに心から感謝申し上げたいと思います。

 その修正案を踏まえて、政府としては、適切に体制整備を行って、その上でなるべく早い時期に復興庁を立ち上げていきたいというふうに考えております。

井上(信)委員 これから中身の質疑にも入りますけれども、私が総理に伺いたいのは、この修正案について、やはり、閣法は問題点が多い、不十分である、だから修正案が出されたということなんです。そして、この修正案は与党の方々も提案をしております。やはり閣法の責任者である野田総理として、この不完全な閣法に対して修正案が出された、そこを真摯に受けとめてもらいたいんですね。

 これは、修正案が通れば、それを着実に執行するというのは当たり前のことです。そうではなくて、そういう意味で、この修正案に対して、与野党協議に対してどのような思いをお持ちか、もう一度御答弁ください。

野田内閣総理大臣 私どもがもともと提出をした政府案においても、復興特区とか復興交付金、こういうことの実施権限をしっかりと持った力強い役所である、加えて総合調整機能も持っているということで、私どもなりに復興庁の意義を押さえた法律を出したつもりでございましたけれども、各党からさらにもっとバージョンアップした方がいいという御趣旨を踏まえて、適切に対応していきたいというふうに考えております。

井上(信)委員 まあ、いいでしょう。

 それでは、内容について質疑をさせていただきたいと思います。

 先ほどもちょっとお話しになりましたけれども、東日本大震災復興基本法の審議の際に与野党で最も議論となったことは、御承知のように、復興庁の所掌事務についてでした。復興に関する施策の企画立案や総合調整だけではなくて、具体的な施策の実施を行わせなければ既存の各省庁の縦割りを打破することはできない、被災地が望む本当の意味でのワンストップでスピーディーな対応はできないということです。

 であるからこそ、私たち自民党や公明党が強く主張をして、この基本法のときにも与党の方々に私たちの主張を丸のみしていただいて、復興基本法第二十四条第三項第二号に、復興庁の所掌として「東日本大震災からの復興に関する施策の実施に係る事務」を修正追加し、成立をさせました。復興庁を、被災地に寄り添う形で、権限と責任、そして予算を一元化した、いわばスーパー官庁として規定をしたんです。

 しかし、五カ月も経てようやく提出されたこの法案によりますと、復興庁の実施権限は、新たに創設された仕組みである復興特区や復興交付金に関することだけに限定をされております。これはやはりおかしいんじゃないんですか。

 あのときも、各省庁の既存の権限の調整に時間を要する、こういった理由でこの五カ月間が無駄に経過をされたんです。ですから、この既存の各省庁の権限をちゃんと調整して復興庁にゆだねた法案ができ上がってくると我々は思っていたわけです。何でこうなってしまったのか。この五カ月間、さまざまな権限を失いたくない、そんな各省庁の激しい抵抗があったとも聞いております。総理はこの各省庁の激しい抵抗に屈して、この法案が骨抜きになったんじゃないんですか。いかがですか。

野田内閣総理大臣 委員から御指摘があった復興交付金であるとか復興特区にかかわることを所掌するということは、被災地においてはさまざまな事業がありますけれども、その事業の推進に相当大きく貢献できるものと思っておりましたし、もともとの政府案でも、勧告権なども含む、また復興関係予算要求の調整権を含む、強い総合調整権限がございました。

 したがって、各省からいろいろな要求があって骨抜きになったというよりも、基本的には、実施権限、総合調整権限、強いものがあるという思いのもとで政府案は出させていただいたというのが経緯でございますが、先ほど来申し上げているとおり、各党からの御意見も出てまいりまして、その協議をいただいたことはしっかり踏まえて対応していきたいというふうに思います。

井上(信)委員 勧告権については後ほど質問いたしますけれども、私が申し上げているのは、確かに特区や交付金、この権限はあります。しかし、これはあくまで新しい仕組みですよね。ですから、新しい仕組みをいわば追加して復興庁の権限にしたわけであって、その中身にはある程度各省庁の権限の調整はあったかもしれません、しかし、既存の各省庁の権限に正面から切り込んでそれを復興庁に移した、そういった内容になっていない、ですから骨抜きになったと認められるのではないですか、そういうことです。おわかりになりますか。いかがですか。

平野国務大臣 まず、今回の復旧復興に向けて、既に各省が主体的な取り組みを積極的にやっているということであります。

 その上で、さまざまな地域のニーズを満たすためには、どうしてもその間のすき間が出てくるという中で、さまざまな調整が出てきます。復興本部の大きな役割は、そうした調整をしてすき間ができないようにする。それから、各省の事業も、例えば、ばらばらにやるのではなくて、統一的にこれから復旧作業に向けての工程表を作成していただいて、各省の事業が連携できるようにする、こういったことでの工程表の作成も進めてまいりました。

 その上で、さまざまな調整をするということについては、復興本部は、今までの仕事の中ではほとんどの時間、法案作成以外についてはその作業に忙殺されております。それぐらいの仕事があるということであります。

 繰り返しになって恐縮ですけれども、基本的に、各省の主体的な取り組みを促進する、その中でのすき間をなくす、それから各省の主体的な取り組みを効率的に進める、そういう意味での復興本部の役割というのは重要でございまして、その流れは復興庁になったとしても続けなければならないというふうに思います。

 その上で、これは先ほど総理も申されましたけれども、復興特区制度それから復興交付金制度、これは新しい制度でございますけれども、これを執行する上では、これから各自治体とのさまざまな調整、それから各自治体からもさまざまな制度をめぐっての質問等々も出てくると思います。こういったことの調整もしなくちゃならないということでありまして、今の復興本部、それから今の政府案のもともとの復興庁設置法案におきましても、復興庁の役割、仕事の量というのはかなり責任を持った役割になるという想定のもとにこの法案を出させていただいたということでございます。

井上(信)委員 ちょっと私は御答弁の意味がよくわかりません。それは調整官庁にすぎないということを今おっしゃったんじゃないんですか。

 調整ももちろん大切なんですよ。それもやっていただきたい。しかし、それだけでは単なる調整官庁に終わり、従来の各省庁の縦割りを排することができない、だから具体的な事業、施策の実施権限を復興庁に与える、それが基本法の趣旨ですよね。それについて、いや、調整が大事だ、調整でもう時間がとられちゃっているから実際の事業の実施はできない、新しい特区の制度もあるし、そういった答弁のように聞こえたんですけれども。

 そして、私がおかしいと思うのは、今各省庁が事業を既にやっている、だから移せない。それは何でそうなったか。五カ月間も無駄に時間が過ぎたからですよ。五カ月前ならそんなふうになっていない。復興庁がちゃんと早期に発足をして、そして事業を実施していれば、そういった問題は今ほどなかったわけです。ですから、それはちょっと私は違うと思いますが、いかがですか。

平野国務大臣 まず、政府の復興庁法案は、どういう体制になれば最も復旧復興が効率的に、そしてまた加速的に行えるかという観点から、私どもなりに詰めました。

 その中で、実施という権限をどうするかということについても、私たちは内部で相当詰めました。それは、もし実施ということになりますと、今の既存の省庁からその部分の組織を一度はがして復興庁に持ってこなくてはなりません。そうしますと、発注一つを、例えば国交省でやっている以外に復興庁でも同じような発注の権限を持たなくちゃなりません。そのための組織をつくる必要があります。それが効率的かどうかという問題が一つあります。そういった行政コストに係る問題。

 それからあと、屋上屋を重ねるのではないか、いわゆる二重行政になってしまうんじゃないか。災害復旧制度というのは今各省がやっています。その災害復旧制度を例えば復興庁に持ってくると、さっきも言ったように、そこの部分のところの組織を別組織をつくる形になります。こういった形は組織の二重行政を招いてかえって非効率になる、そういう判断がございました。

 その上で、先ほどのように、さまざまな調整、これは実は本当に大変なんです。自治体から来るのは、こういったものに対してもっと検討してもらえないか、ここの部分について不足があるよといった要請が次から次へと来ます。これはただの調整権限というふうにおっしゃいますけれども、今回の復旧復興というのは今までにない取り組みをしなければならないという観点において、さまざまな意味からいっても、調整というのは、今までも膨大な仕事になりましたし、これからも膨大な仕事になると思います。

 だから、新しい法案の中では勧告権というのも用意させていただきまして、今回、法案修正の中では尊重義務も入れていただきました。そういう観点で、復興庁の役割というのは、政府のもともとの案の中においてもそれなりの役割を与えられていたというふうに思いますし、修正案によってさらに強化されたというふうに理解しております。

井上(信)委員 それは残念ながら平時の理論ですよ。霞が関の各省庁の現状を変えたくない、混乱を招く、だから変えるべきではないという平時の議論です。今、緊急事態ですよ、非常事態ですよ。ですから、新しい法律もつくる、新しい事業もつくる、新しい官庁もつくる。そういうときに、権限は新しく移譲することはできない、これは私はおかしいと思います。

 この議論ばかりやってもあれですから、ちょっと聞き方も変えたいというふうに思います。

 修正案におきましては、このパネルのとおり、復興庁に、復興に関する企画立案や総合調整だけではなくて、予算要求や予算の配分、いわゆる箇所づけまで行う権限を与えることによって、各省庁の縦割りを排除して、被災地に対しても本当の意味でワンストップで対応できる仕組みとなっております。各省庁が行う具体的な施策の執行権限まで復興庁に与えられなかったのはいささか残念だと私は思っているんですけれども、しかし適正な修正と考えております。

 この点について、総理、閣法と修正案、どちらの方が、被災地の方々が望む仕組みになっているとお考えですか。

野田内閣総理大臣 もともと政府案も、被災地のために復興庁が実施権限、総合調整権限を十分発揮しながら復興に向けて貢献することを期待しておりましたけれども、修正案によって、今の図でも説明されているように、復興庁が、地元の要望を受けて予算の配分まで決めていくということにおいてさらに強い権限を有する、そういう組織になったものと思いますので、先ほどバージョンアップと申し上げましたけれども、かなり機能強化ができたというふうに認識をしております。

井上(信)委員 ここは総理は謙虚に認めていただいて、私はうれしく思っております。そもそも、本来なら閣法でこういったスキームをちゃんと用意しなければいかぬのですよ。それが復興基本法の趣旨だったわけです。ですから、そういう意味では大いに反省をしていただいて、そしてこの修正案を成立させて、本当の意味でのワンストップ、これを実現してもらいたいというふうに思っております。

 それから、先ほどから何度か出てきておりますけれども、復興大臣の権限について伺いたいと思います。

 復興大臣の権限について、閣法の第八条におきまして、各省大臣に対する勧告権あるいは報告を求める権利、また総理に対する意見具申の権利などを定めております。これらの権限によって、復興大臣が、従来の縦割りを排して、そして復興に関するリーダーシップを発揮するのに十分であると総理はお考えですか。

野田内閣総理大臣 勧告権をもともとこのたびの政府案にも書いてございましたし、御指摘のように、内閣総理大臣に指揮監督権の発動を求める意見具申ができる旨も法定をしておりました。

 勧告権、これは一種の伝家の宝刀で、発動するかしないかは別として、それを持っていることによって、縦割りの弊害をなくして円滑な事務の遂行ができるということを期待した勧告権の規定でございますが、今回の修正の協議を経た後、各省にさらに勧告の尊重義務が明記をされましたので、この勧告権は、より伝家の宝刀になり得るというふうに認識をしています。

井上(信)委員 これから修正案のその尊重義務の話を聞こうと思ったんですけれども、素直に認めていただいたので、ちょっと拍子抜けいたしました。

 これらの規定は内閣府の設置法にも規定されているということを、総理、御存じですよね。そして、こういった規定はどのような場合に発動されたのか、その点については御存じですか。

野田内閣総理大臣 勧告権は、おっしゃるとおり内閣府法に規定をされていますけれども、過去に発動した前例はないと承知をしています。

井上(信)委員 そうなんです。今、平野大臣に耳打ちされて、発動されていないということをお気づきになったようですけれども、これは発動されたことがないんですよ。

 そして、他方で、では内閣府はほかの各省庁に対して今本当に強いリーダーシップを持っているかどうかということ、残念ながら、私は、それは持っていないというふうに思っているんですね。実際に、財務省だったり経産省だったり国土交通省だったり、そういった実際の事業の実施官庁などについて強いリーダーシップを発揮できていないと思っています。ですから、伝家の宝刀というよりも、絵にかいたもちなんですよ、残念ながら。

 ですから、我々は大変な危機感を持っておりまして、これでは本当のリーダーシップを発揮することができない。そういう中で、せめてものという思いで、この勧告を十分に尊重する義務規定を修正案の中に入れました。これでも、本当に十分に発揮できるかどうかわかりません。それはむしろ、制度の問題と同時に、やはり復興大臣の指導力、リーダーシップによると思うんですね。ですから、そういう意味では、総理そして復興大臣には頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それから、復興庁の設置場所につきまして、これもいろいろな議論がなされております。九月二十七日の予算委員会、総理も御記憶だと思います。総理の答弁は、現地に復興庁を置いて被災地の市町村の後押しをしっかりとやっていくと答弁をされました。この答弁のとおりということであれば、復興庁は被災地に設置するということでよろしいんですか。

野田内閣総理大臣 復興庁の本庁については、各府省の本省との総合調整であるとか、あるいは立法府への対応などを含めると、東京に置く必要があるというふうに考えております。九月二十七日の答弁は、ちょっと私のいろいろな勘違いもありましたけれども、復興局を含めて、きちっと受けとめる組織をつくっていくという趣旨で申し上げたということでございます。

 なお、復興対策本部の現地対策本部長が、それぞれのいわゆる被災三県の長にお話をお伺いさせていただき、また御説明をさせていただいておりますけれども、本庁を東京に置くことを含めて、法案提出前に十分な説明をこれまでも行ってきているというふうに承知をしています。

 一方で、その設置場所については、被災地に寄り添うべきだという観点から、三党の協議の中でもいろいろ御意見があったとは承知をしていますので、これから、本庁の設置場所については、復興庁の設置まで、その立ち上げまでの間に最終的な判断をしたいというふうに考えております。

井上(信)委員 ちょっと総理の答弁の趣旨がわからなかったんですが、勘違いもあったというふうにおっしゃいましたよね。勘違いというのはどういう意味なんでしょうか。

 私は、この答弁、議事録でチェックをいたしました。この答弁の直後に、質問者である我が党の齋藤健議員が、「復興庁を現地に置いてという言葉がありました。私はこれは大変すばらしい発想だと思います。復興庁を現地に置いて、そして、むしろ東京に支所というか出先をつくるぐらいの一体感でやはりこの組織は構成していくべきだと思いますので、その点については私は評価をいたしたいと思います。」こういうふうにこたえているんですね。

 これは明らかに、復興庁の本庁を被災地に置いて、東京には支所あるいは出先をつくるという答弁だと、齋藤健議員もここで納得をし評価をして、直後にそうこたえているんです。この齋藤健議員の言葉に対して、総理は何も反論していないんですね。となりますと、やはりそのときは、総理も復興庁を被災地に置くという考えだったのではないかということだと思います。

 その後、報道によると、平野復興大臣から説得されて総理の考えがぶれた、そんな報道もありましたけれども、事実関係を正直に答えてください。

野田内閣総理大臣 復興のための、被災地の皆様の声を基本的に受けとめる組織を置くという意味で私は申し上げたんです。それに対して齋藤議員がそういう解釈をされたことに対して私がスルーをしてしまったということは間違いであったというふうには思いますが、その後、平野大臣に説得されてではなくて、私の勘違いであったということであります。

井上(信)委員 勘違いというのはどういう意味ですか。

野田内閣総理大臣 今申し上げた以上のことではなく、それぞれの被災地に、復興に向けて事業を行っていく際に、ワンストップで皆さんの声を受けとめる、そういう場が必要であるという認識を申し上げたということであります。(発言する者あり)

古賀委員長 静粛に願います。

井上(信)委員 予算委員会の総理の答弁です。もっと重く受けとめてもらわなければ困りますね。

 このときに、総理は反論も否定もしなかった。ですから、被災地の方々は、ああ、復興庁の本庁を被災地に置いてくれるのか、被災地のことを本当によく考えてくれている、ありがたい、そう思った方はたくさんいらっしゃいますよ。それを、済みません、勘違いでした、それはちょっと違うんじゃないんですか。済みませんも言っていないですよね。ただ、勘違いでした、それではおかしいですよね。

 ちゃんとここは、真摯に認めて、謝罪をし、訂正をしてください。

野田内閣総理大臣 その後の別の答弁で、復興庁については東京に置くというお話はしてきたというふうに思っておりますので、その日その場において適切な対応ができなかったということについてはおわびを申し上げたいというふうに思います。

井上(信)委員 今の答弁で、被災者の方々に対して謝罪をされたというふうに私は受けとめさせていただきたいと思っております。

 ただ、総理が先ほどおっしゃったように、これから被災地に本庁を置くということも検討するということでよろしいんですよね。実は、法案の中には本庁の設置場所というものの規定がありません。ないということは、設置場所を被災地にも東京にもどちらにも置くことができるということだと思いますので、我々、あえて修正案では修正の項目とはしておりません。しかし、これは、この委員会においても、与党議員の中からも、復興庁の本庁は被災地に置くべきだという強い意見がありましたよね。ですから、きちんと検討をし、実現をしていただきたい。いかがですか。

 総理、お願いします。総理の意向を伺っているんです。

平野国務大臣 先に私の方から、今までの現状についてお話をちょっとさせていただきたいと思います。

 復興本部、その前の被災者……(発言する者あり)

古賀委員長 御静粛にお願いします。(井上(信)委員「総理、お願いします」と呼ぶ)

 その後に総理から答弁をいただきます、必ず。

平野国務大臣 これまでは、例えば瓦れきの処理一つにしても、仮設住宅の建設、その後のフォローアップについても、さまざまな各省の連携につきましては、被災者支援本部、あるいはその後の被災者支援チーム、そして復興本部、これが担ってきたというふうに思っております。

 これから、復興特区、それから三次補正予算が成立をいたしました、こういったものを実施するに当たって、まず現地において、さまざまな質問、こういったものを改正してもらいたいという要望が多分また来ると思います。復興局ができますれば、できるだけその復興局でワンストップで対応しまして、そこで決断していただけるものは決断していただくということになると思います。

 しかし、そうでないもの、特に、例えば規制緩和をどうするか、税制に対する対応をどうするか、これはどうしても中央省庁での調整が必要になってまいります。この役割というのは、本当に私は大変重要だと思っております。

 こういったものを効率的にやるためには、やはり復興庁の本庁そのものについては東京に置いておくということが大事でありまして、国会がないときには、復興庁の職員はできるだけ現地を歩く、歩いて、復興局の職員と現地のニーズ、状況をしっかり把握してさまざまな対策を講じる、こういうことに努めていきたいということに考えています。

野田内閣総理大臣 法律に今書き込む事項ではないということの御指摘がありました。そのとおりでございまして、基本的な考え方は、今、平野大臣が御説明をしたとおりでございます。

 とはいいながらも、それぞれ三党間の中でも、我が党にもそういう御意見があるということでありますが、最終的には、被災地の御意見なども踏まえながら、復興庁立ち上げをするときまでに最終的な判断をしたいというふうに考えております。

井上(信)委員 総理の答弁と平野大臣の答弁が違うと思います。

 平野大臣は東京に設置するという答弁で、そして総理は、そうではなくて、きちんとこれから復興庁の立ち上げまでに検討をして決めると。ですから、被災地に置く可能性もあるというふうに私は理解しましたが、総理、改めて教えてください。

野田内閣総理大臣 基本的な考え方は、冒頭私が申し上げましたし、また平野大臣も御説明されたとおり、各省間の総合調整であるとか立法府との関係とかを含めると、東京に置くことが基本だというふうに思っておりますが、それは、最終的には、立ち上げまでの中で判断をしたいということであります。

井上(信)委員 現地の、被災地のワンストップでの関係が大切なのか、あるいは中央省庁との調整が大切なのか、それは明らかだと思いますよ。

 両方大切でしょう。しかし、やはり、被災地の方々の心に寄り添う形で復興庁を設置する、そうおっしゃっているわけですから、当然のことながら本庁は被災地に置いていただきたいということ。

 総理は、いずれにせよ、検討する、そういう御答弁ですから、しっかり検討していただいて、そして、被災地の方々の望みにかなうような、そんな結論を出していただくことをぜひお願いしたいというふうに思っております。

 もう時間が参りましたけれども、今回の質疑を通じまして、私は、閣法というのは本当に不十分だということ、残念ながら、これは強くいたしました。しかし、その中で、いろいろな問題意識があります。総理の意向というものは、そういう意味では修正案と余り変わらない、私たち自民党とも変わらないということもわかりました。これは私は、きょうの質疑の収穫だというふうに思っております。

 ですから、この私たち自民党が主導した修正案を成立させていただいて、この修正案に基づいて、本当の意味でリーダーシップを発揮し、そして被災地へのワンストップ対応をしていく、こういった復興を強力に推し進めていただきたいというふうに思っております。

 最後に、総理、まとめて御答弁をお願いします。

野田内閣総理大臣 本当に各党で真摯に御協議をいただいた修正案が成立した暁には、その修正案を踏まえてしっかりと万全な体制をつくって、復興庁の立ち上げ、なるべく早い段階に実現をして、一日も早く復興庁が機能するように努力をしていきたいというふうに思います。

 御協力、本当にありがとうございました。

井上(信)委員 一日も早い、三月十一日まで待つことのない復興庁の発足、そして復興庁の本庁の被災地への設置、これをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古賀委員長 この際、吉野正芳君から関連質疑の申し出があります。井上君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。

 私は、福島県です。福島県の県民の方々は、原子力が爆発する危険性がある、七月の時点で約四万人の方々が県外に避難をしております。今、原子炉の状態は、ある程度落ちついてきました。でも、十一月二日の時点で約五万七千名、今の時点では約六万名の方々が、全国に、県外に避難をしております。この六万人近い方々を全国の皆様方が温かい心で受け入れていただいております。この場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。

 さて、十二月三日でございます、原子力災害の完全賠償を求める双葉地方総決起大会を、双葉地方の多くの方々が一堂に会して大会を開かせていただきました。そこに平野大臣に御出席を賜りました。ありがとうございます。

 そこで、商工業者、農業者、漁業者、子供の小学校のPTAの会長さん、老人クラブの代表の方、五団体の方々が、本当に生の声を、その場で意見発表したところでございます。私もそこで聞かせていただきました。平野大臣、その生の声を聞いてどういう思いをしたか、その感想をお聞かせ願いたいと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

平野国務大臣 十二月三日の総決起大会に、私もお招きをいただきまして参加をさせていただきました。

 委員から今御紹介がありましたように、その場で代表者の方々の、今の実情、それから将来に対する不安、そういったものを切々と訴えていただきました。その中で、本当に今置かれている状況の中での言いようのない怒りといったものも感じましたし、しかし、その中でも、何とかして一日も早くもとの場所に戻って生活を再建したい、そういう意欲も感じました。

 そういうことを踏まえまして、今までの取り組み、私どもも福島県の再生に向けて全力を挙げて取り組んできたつもりでございますけれども、さらに一歩、二歩、三歩、加速をさせなければならない、そういう思いを新たにした次第であります。

 それとあわせて、やはり、三月の原発発生以来、福島県の方々に非常に御迷惑と御苦労をおかけしておりますことに、改めておわびを申し上げなければならないというふうに思いまして、その場でおわびも申し上げました。

 そして、その一方で、この九カ月間にわたりまして困難な状況の中で復旧復興に取り組んでこられたこと、それからまた、次の復興に向けてさまざまな準備をされていること、こういったことについて改めて敬意を表さなければならないというふうに感じました。

 以上でございます。

吉野委員 そういう生の声を踏まえて、被災地に寄り添った施策をこれから行ってほしいと思います。

 私がここで心打たれたのは、浪江町にある幾世橋小学校PTA会長の佐藤さん、お母さんの生の声なんです。山形に避難しているというお話でした。子供が、浪江から行っている同級生はだれもいない、ひとりぼっちで山形の学校に通っている、そのせつない気持ちをとつとつと述べていたことに私は感動したんです。

 でも、これは、この佐藤さんの例だけではなくて、若い方々、若い夫婦、小さな子供を持っている夫婦、この方々が今別れ別れなんです。だんなは仕事があるから地元に残って働いている、子供と妻、お母さんは県外または県内の避難地に行っている。別居生活なんです。今、一番幸せの絶頂なんです、この若いカップル、夫婦、家族にとっては。ここのところが今分断をされている。ここのところに、総理、何か温かい心を、政府として、我々政治として、何か手を差し伸べてやらねばならないというふうに私は思うんです。ある意味で夫婦の危機、こういうところも今芽生えているというのを現場を見ていると感ずるんです。

 総理、どういう形があるか、教えてほしいんです。

野田内閣総理大臣 何よりもせつないというか心が痛むのは、お子さんがいらっしゃってお父さんやお母さんと離れて暮らす、あるいはお子さんが友達と離れて暮らさざるを得ないという状況の中で、まさに家庭としての営みに支障が出ているという状況は、大変胸が痛むお話でございますし、現実にそういう家庭が多いというふうに承知をしています。

 そのためにも、何よりもまずは冷温停止状態を実現し、その後に、国がまさに前面に立って除染を行ったりモニタリングを行って、ふるさとに帰れる準備をしていくということが大事だと思うんです。

 ふるさとに帰る準備といっても、これはいろいろあると思います。お父さんやお母さんの雇用の問題であるとか、子供が暮らせるために子供の健康管理はどうするかとか、あるいは、暮らしていくためには、公的な部門、医療や介護の部門であるとか学校だとか、そういう施設がちゃんと整備できるかどうか、そのスタッフを集められるかどうか、医療施設はちゃんと戻ってくるのか、そういう環境整備を、あらゆる省庁が、まさに総合的にみんなで力を合わせていかなければいけないというふうに思っている次第であります。

吉野委員 そこに至るまでは時間がかかるんです。今なんです。今、何かの手を差し伸べることを私は総理に教えてほしい、こういう質問をさせていただきました。

 復興庁設置法案の修正案について、修正案提案者にお尋ねをします。

 三条の任務規定の修正なんです。私、閣法と修正案の対比表を見せていただいたんですけれども、正直言って、どこが変わったのか、どういう点を修正したのか、ちょっと私の理解不足もあるんですけれども、そこを加藤提案者にお願いしたいと思います。

加藤(勝)委員 吉野委員にお答えさせていただきたいと思います。

 大きく言うと、二点ございます。

 一つは、復興庁の任務として、東日本大震災からの復興に関する内閣の事務を助けることというのがございますけれども、この「助けること」について、当初案ではそれを助ける内閣官房をさらに助けるというのが復興庁の位置づけでしたけれども、この修正によって、内閣官房とともに復興庁が助ける、すなわち同列になってきている、もっと言えば、復興庁の位置づけが一つ上がってきている、こういう位置づけをさせていただいているのが一点でございます。

 それからもう一つは、東日本大震災からの復興に関する行政事務の遂行をするということが挙げられておりますけれども、これは、当初、先ほど申し上げた助ける任務のほかに、遂行するということになっておりまして、むしろここで「のほかに」を取って、並行してこの遂行する任務を行うということで、その任務を、助ける任務と遂行する任務と二つ明らかにさせていただいた、この辺がこの修正の大きなポイントでございます。

吉野委員 はい、よくわかりました。ありがとうございます。

 次は、所掌事務に係る修正でございます。

 最初、我々、復興基本法で復興庁をつくるときには、復興庁で企画立案、調整、そして事業の執行までやるという形で基本法を私たち野党としてはつくった思いでございます。

 ところが、出てきた中身は、復興庁は企画、調整だけだ、事業執行はできない、こういう形で出てきたんです。修正、本当に皆様方の協議の中でいい案がまとまったんですけれども、予算、箇所づけまでは復興庁がやって、本当の事業執行は各省庁がやると。

 事業執行まで復興庁でやるという私たちの思いは今度の修正の中でどう担保されているのか、その辺を加藤提案者に聞きたいと思います。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(勝)委員 私も復興基本法の協議に参加した一人として、吉野委員と同じようなイメージを持って政府案を待っていたわけでありますけれども、実態は、復興特区に関する交付金の一部に限定された形で、ほとんどの実施権限は関係各省庁に帰属している、こういう中身でございました。

 そういう中で、本来であれば、実施権限そのものをやはり復興庁にしっかり持たせたいという思いはありましたけれども、来年の三月十一日までには復興庁をぜひとも立ち上げたい、こういう時間との問題がございまして、今回の修正案にいたしました。

 具体的には、復興に関する予算につきましては、復興交付金を含めすべてのと言っていいぐらいな、地元からの要望、そして財務省に対する要求、予算の計上、ここは一括して復興庁が行う。そして、計上された予算については、例えば公共事業の場合には箇所づけということで、この橋をつくります、どの道をつくりますというのがございますが、それについては復興庁が行う。あるいは、公共事業でない場合には、どの町に幾らぐらいその事業の予算を配分するかも復興庁が決めて、具体的に何をするのかということも含めてその予算を実施する官庁にお渡しをしていただいて、後は実施官庁で実施していただく、かようになっておりますから、具体的には、実質的な実施の部分というのはほとんど復興庁で行われるというふうに思います。

 それからもう一点、復興事業全体を統括し監理するという規定を置かせていただきました。統括するということは、ほかの省庁より一段高い立場から指導監督をし、復興の全プロセスをしっかり監理していく、こういう権限も復興庁に持たせたわけでありまして、そういう意味では、先ほどの予算の部分とあわせて、実質的には実施権限が復興庁にある、こういうふうにも言えると思いますし、被災した地方公共団体から見ると、復興庁においてワンストップで物事が処理していただける、こういう期待にかなう形になっているというふうに思います。

吉野委員 今度、二重ローン対策で、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構の事務も復興庁で行うというふうにされたわけですけれども、この辺について、なぜ復興庁の事務にしたのか、谷提案者にお聞きしたいと思います。

谷委員 吉野委員御指摘のとおり、今回の修正案、先ほど提出させていただいた修正案におきまして、復興庁の所掌事務として、いわゆる二重ローン救済対策としての機構の事務、取締役及び監査役の選任決議の認可、定款の変更、合併の決議の認可、そういったことを追加しております。

 これは二重ローン救済のための法案の審議過程で、きょうもおられますけれども、民主党の近藤委員なり、私なり、公明党の大口委員、実務者で取り交わした三党合意の中で、復興庁設置後はこの株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に係る業務は復興庁でやろう、そういう取り交わしに基づくものです。

 なぜ復興庁か。それは、この二重ローン救済対策というのが、被災地域の復興、中小事業者、あるいは農業者、漁業者、医療福祉関係者、そういう事業者の再生を期すことが地域の復興につながる、それで一番ふさわしい省庁は、やはり復興庁がベストだろう、そういう考え方のもとで三党合意をしたわけであります。

 しっかりと復興庁にこのおくれている二重ローン対策も取り組んでいただきたいと修正者としては希望しているところでございます。

吉野委員 まさに復興でありますから、二重ローン対策を、復興に向けて民間の力を出させる意味で、本当にすばらしい、復興庁の事務として二重ローン対策の事務を入れてくれたことは、提案者に感謝を申し上げるところです。

 続いて、福島県は大きな県です。全国三番目です。海岸線は百六十キロあるんです。そのど真ん中に原発があるんです。ですから、福島県は、海、太平洋があって、平野があって、阿武隈山脈という山があって、また中通り、平野があってと、こういう形になっているんですけれども、狭い平野のところに常磐線、六号国道、南北の幹線道路が走っているんです。ど真ん中が原発でありますので、まさに南北の幹線道路、交通網が遮断をされてしまいました。

 ここの経済的損失、また生活面での不便さ、これは限りない大きなものがあろうかと思いますけれども、総理、その辺はどう見ているんでしょうか。

野田内閣総理大臣 御指摘の、まさに地理的なイメージは私も共有をしているつもりでございます。

 特に福島県の浜通りにおいて、第一原発の警戒区域で国道六号の一般車の通行が制限をされたり、あるいはJR常磐線広野―亘理間で運休していて、地域の住民の皆さん、関係者の方々は大変御苦労をされているというふうに認識をしている次第であります。

 こうした状況において、常磐自動車道の整備は、国道六号の通行再開やJR常磐線の復旧とともに、南北の交通の回復を図り、復興を進める上で大変重要であるというふうに考えておりますし、常磐自動車道の整備の再開に向けて、除染等の放射線対策が必要でございますので、こういう取り組みを関係省庁と連携して対応していきたいというふうに考えております。

吉野委員 今総理がおっしゃいました、六号線、国道六号はだめです。常磐線、これもだめなんです。二十三年、まさにことし、富岡、原発第二のあるところですけれども、富岡―相馬間が二十三年に開通する予定だったんです。原発事故、地震がなければ、今ごろ開通して、本当に、福島県浜通りの南北の行き来が大きくなって、経済の活性化、人々の交流が進んでいたんですけれども、それが途切れてしまいました。

 でも、今総理がおっしゃいました。常磐高速道路の活用なんです。これは八割方できているんです。だって、ことし開通ですから。まだ工事がストップしていますけれども。

 そこで、東大の児玉龍彦教授、この方が、JH、今の東日本高速道路のいわき事務所等々と、常磐高速道路をどう利用していくかという形で調査に入って、これなら常磐高速道路を使える、それも、その区間はとりあえず高速道路ではなくて普通の一般道路という形で使えるという一つの試算を出しているんです。こうすればここは大丈夫と。

 例えば、盛り土区間は、高さ三メーターの遮へい壁をつくれば放射線の影響はないよとか、高い陸橋の部分は、これは高いですから、舗装したところの除染をすれば大丈夫ですよとか、事細かに調べてあるんですね。

 いわゆるこれは放射能除染対策なので、こういう放射線の専門家を交えた常磐高速道路の活用をすべきだと思うんですが、国交大臣、いかがでしょうか。

前田国務大臣 先生には、この問題についていろいろと御示唆に富んだ御議論をいただいております。今の件もまさしくそうだと思います。

 八割方来ているのにもかかわらずということでございます。何とかこれを早期につなぐ。そのためには除染であったり放射線対策というのが必要でございますから、今の御指摘の件も含めまして、平野復興大臣を中心にして、除染や放射線対策の内容等、関係省庁と合同チームをつくって実際に検討しようということでもう動きが出ておりまして、なるべく早くそういったところの結論を得て、具体的な計画に取り組んで、実施に取り組んでいきたい、こう思っております。

吉野委員 冷温停止状態は、マスコミ報道では十二月に出されるであろうというようなお話も伺っています。

 総理に伺います。冷温停止状態はいつごろ政府として出すのか、その辺を総理にお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 ことしの四月にまとめた事故収束に向けてのロードマップでは、来年の一月までにいわゆるステップ2の実現、冷温停止状態の実現ということでございましたが、その後さまざまな取り組みを進めながら、何とか年内にステップ2、冷温停止状態を実現するという、今、最後の努力をしているところでございます。

吉野委員 年内に冷温と。

 新しい東京電力の知見で、いわゆる一号の圧力容器は穴があいている、燃料がなかった。でも、冷温停止状態の判断は、圧力容器の下で百度以下、そして、放射性物質が出てこないという、この二つの大きな要素があろうかと思うんですけれども、その辺のところ、枝野大臣、どうなんでしょうかね。

枝野国務大臣 原子炉の内部は残念ながら外から見られるわけではございませんが、圧力容器の底の部分の温度に加えて、その外側の格納容器、そこに燃料が一号機についてはかなりの部分が行っていると推測されているわけでありますが、ここの、雰囲気温度と呼ぶそうですけれども、そこの内部の大気の温度等については測定ができておりまして、これについては十分下がっているという状況でございます。

 それに加えて、放射性物質がどう大気中に出ているのかということについては、建屋の上部などにおける濃度をしっかりと測定できるようになっておりまして、これも着実に減少しております。

 残った状況としては、この後御質問があるかもしれませんが、万が一大きな余震とか同等の津波などが来た場合、それから、今回水漏れで御心配をおかけしておりますが、冷却のためのシステム、これは事故の後に新たにつくったものでございますので若干のトラブルが今後あり得るとしても、冷却が継続できる、あるいはそうした水が外に出るようなことがないということについての確認作業を今行っております。

 こうしたことが確認できれば、年内にいわゆる冷温停止状態、ステップ2の完了ということにできるんじゃないかということで、鋭意確認の努力を進めております。

吉野委員 最終的には人間がきちんと原子炉をコントロールできるということなんです。

 今、ある意味で仮設の機械で今の状態は何とか保っていても、最終的に、いざといった場合に人間がきちんとコントロールできるかどうか、ここが冷温停止状態をきちんと政府で判断する一番のポイントだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 まさに御指摘のとおり、今はいろいろな大きなシステムの中で冷却ができて、温度が百度以下、百度から相当下回った温度に冷ましていることができている状況でございますが、何があっても、例えば、事故の直後にあったポンプなどをすべて用意してありますので、しっかりと冷却を継続して、冷却が継続できるということは、新たな放射性物質が外に出るということが起こらない状況を維持できる、そのためのさまざまな二重三重のバックアップ体制を今しいておりまして、それが確実に機能するということの確認をさせていただいているところでございます。

吉野委員 きちんと人間がコントロールできるんだ、どんなことがあってもコントロールできるんだという、ここを踏まえて冷温停止状態の公表をしてほしいと思います。

 そして、先ほどの常磐道、冷温停止状態の公表があったらすぐにでも通りたいんです。南北の交通路を連結したいんです。そのためには、もう遅いんですけれども、今からどういう形で常磐高速道路の利用を踏まえていくかということを、もう結論は出ていなくちゃならないんじゃないんですか。これは、国交大臣、平野大臣、どちらでも結構です。

平野国務大臣 常磐道の南北線の早期の開通ということは、双葉郡のみならず、沿岸地域のところから強い要望が出ております。

 御案内のとおり、あそこを連結させるためには、一部、一・五キロから二キロぐらいだと思いますけれども、かなり放射線の高いレベルのところを通らなければなりません。

 そこで、先ほどの専門家等から提案がされているというような御紹介もございましたけれども、そういったことを踏まえて、今何ができるか、どういうことをしていかなければならないか、検討を始めたところであります。

 これから現地調査等々もやっていかなくちゃならないというふうに考えておりますが、まず全体の状況をしっかり把握しながら、放射線に関する専門家、土木工学の専門家、こういった方々の意見をいただきながら、できるだけ早期に結論を出さなければならないというふうに考えております。

吉野委員 時間は区切ってください。一月末までにはとか、放射線の専門家も集めて、今おっしゃった土木工学も集めて、高速道路会社も集めて、また整備局も集めて、きちんとした結論を出すんだということを。

 これは国交大臣にお願いします。放射線の専門家も踏まえた中の検討を一月末までにするんだということをぜひここで約束してください。

平野国務大臣 検討チームは事務方としては一応立ち上げてあります。これから専門家を入れて本格的な議論をしていかなければならないと考えておりますけれども、この高い放射能レベルの中で土木工事を進めるということにつきましては、これまでに経験したことのない面もございます。

 こういったものを踏まえて、委員、できるだけ早期にという思いは私もよくわかります、伝わっております。そういった思い、地域の思いも踏まえながら、できるだけこれは早期に結論を出して、やれることからやっていくという形で臨んでいきたいというふうに思います。

吉野委員 南北の交通網をつなぐということは、本当に私たち福島県、縮んでしまった福島県をこれ以上縮み込ませないためにも絶対必要なので、検討もいいんですけれども、検討プラス実行、やれるところからやっていく、ぜひこういう姿勢でお願いをしたいと思います。

 次に、原子力事故被害緊急措置法。

 私たちが議員立法でつくった法律です。この法律をつくった最大の原因は、東京電力の仮払いが遅かったんです、少なかったんです、足りないんです、範囲が狭かったんです。だから、私たちはこの仮払い・基金法案をつくったわけなんです。これが一番なんです。遅い、足りない、範囲が狭い、この三つの要素、これを解決するために仮払い・基金法案をつくったんです。

 福島県は、基金をつくりたい、最初はいろいろな事情があって基金まで頭が回らなかったんですけれども、今度は基金をつくって、原賠法で救われない方々とか原賠法の対象にならないところ、例えば食物の検査機器をいろいろなところに置きたいんです。

 それで、この基金でいろいろなところに検査機器を置きたいと国と折衝しましたら、検査機器については補助事業があるでしょう、だからこの補助事業を使いなさい、こう言われたんです。補助事業というのは、ここからここまでだという範囲でしょう。だから、対象が狭い。その補助事業の対象にならないところに機器を置きたいんですよ。

 ところが、政府は、福島県との折衝の中で、補助事業を使いなさい、これは補助事業があるからまずその補助事業を探しなさいといって、基金創設に、全く、後ろのめりといいますか、積極的になっていないんですよ。何でそんな補助事業があるかどうかなんという新しい基準をつくったんですか。

枝野国務大臣 仮払い・基金法の基金につきましては、吉野議員からも国会で何度も御指摘をいただいております。

 私からも、十一月二十四日、福島県知事がおいでになられましたときに、今後、基金について具体的な使途等を詰めた上で相談したいというお話がございまして、要望があれば相談してほしい、真摯に対応するということで、その趣旨で事務方に指示をおろしております。具体的に事務レベルでの相談が始まっていると報告を受けております。

 そうしたことの中で、恐らく既存の事業との重複等の話がやりとりとしてあったんだろうというふうに思いますが、まさにこの法律の趣旨をしっかりと踏まえて、福島県の皆さんの希望があって、必要なものについては、積極的に対応するように私から改めて事務方に指示をいたしまして、県との相談が円滑に進むようにしてまいりたいと思います。

 決して、できるだけやりたくないということではなくて、国会でつくっていただいた制度ですので、生かせるやり方で生かしていきたい、こういう姿勢で事務方にもしっかりと指示を徹底いたします。

吉野委員 まさに今の大臣の心を現場の事務方が持っていれば、例えばさっき言いました、シンチレーションを買いたいと。確かに、補助事業はありますよ。でも、補助事業というのはここからここまでしかないんですよ、予算もあるし。そこから外のところ、例えば小さな集会所にも機械を置きたい、これは対象にならないんですよ。ここのところを補うために私たちは基金法案をつくったのです。そこの心をわからなくては、折衝をしても、結局は、基金は積まない、全部補助事業でやれということは、対象が狭いということで、この法の趣旨から反するので、そこのところは本当にお願いします。

 先ほどシンチレーションの話をしましたけれども、旅行商品造成支援という、福島県からどんどん人が出ていっちゃうし、福島県に人が来てくれない、ですから、福島県にまず来てもらおう、見てもらおう、福島県の食べ物を食べてもらおうとして、こういう県の一つの事業を立ち上げております。ここに基金を使いたいといって国と折衝したら、これは補助事業があるかもしれないと。こういう補助事業があるとは言いません、あるかもしれないから調べてください、お互いに調べましょうというのが、今の現実、今の姿。今、現状そうなんですよ。何なんですか、これは。

 福島県に多くの方々が来てほしい、そこに交通費を補助する、旅館代を補助する、こんな形で福島県に多くの方々が来るような事業をこの基金でやりたいと言っているのに、補助事業をこれからお互いに探しましょう。何を言っているんですか。何で大臣のその思いが現場に伝わっていないんですか。お願いします。

枝野国務大臣 今私が申し上げた趣旨は事務方にもさらに徹底をしたいと思いますが、ここはちょっと御理解をいただきたいのは、今、この基金の主務庁は、原子力政策を推進してきた責任も含めて経済産業省で担わせていただいておりますが、ただ、福島の支援についてはいろいろな省でさまざまな支援措置を行っております。いろいろな御要望については、なかなかそこでは即答できない、最初のやりとりでは即答できないということは御理解いただきたい。つまり、いろいろなところで行われ、各省で行われている支援策との整合性等について、きちっと整理をした上でないとお答えができないということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、県の方でも調べてくださいと、これは趣旨が違う。国の方で、経済産業省で受けとめさせていただいたものを、既存の制度との整合性をきちっと整理して、こういうやり方ならできるんじゃないでしょうかとか、これならば御趣旨のとおりのことが今の制度でも全部できますよとか、そういったことは国の方の責任できちっと整理をしてお返しをしていく。そのことについて、できるだけスピード感を持ってできるように指示をいたします。

吉野委員 今の制度がここからここまでなんです。そこの対象に漏れたところが我々のつくった基金法案ですので、ぜひ大臣の先ほどの答弁にあった心で事務方に指示を出してほしいと思います。

 次に、十二月五日、きのうですね、産経新聞に食物連鎖の記事が載っております。「もっと深刻な問題を引き起こすのは、野鳥や昆虫かもしれません。小さな生きものたちが汚染の拡大にどう影響するのか、食物連鎖の中で人間にいかなる影響がもたらされるのか。調査や議論は始まっているのでしょうか。」

 私も同じ質問をします。

 小動物等々についての食物連鎖。また、海もそうなんです。植物プランクトンが動物プランクトンに行って、それが小魚に行って、大きな魚に行く。食物連鎖です。こういう生態系に今どういう影響があるか、調査が始まったのかどうか、そこのところをお尋ねしたいと思います。

野田内閣総理大臣 原発事故に伴う放射性物質による生態系への影響を把握するということは、これは重要な課題だと思います。

 福島第一原発の周辺地域での生態系への影響を把握するために、環境省では、植物の種子やネズミ等の試料の採取を進め、関係する研究機関とも協力しながら分析を進めることとしております。生態系への影響の把握には何世代にもわたる長期的な調査が必要と考えられるため、関係する研究機関や学識経験者とも連携しながら、モニタリング方法を検討し、生態系への影響把握を進めてまいりたいと思います。

 なお、食物連鎖の上位にある野生のイノシシ等の肉については、関係県により行われている放射性物質のモニタリング検査の結果を踏まえ、暫定規制値を超えた食品が市場に流通しないよう、原子力災害対策本部から出荷制限等の指示が行われているところでございます。

吉野委員 これは時間も多くかかろうかと思いますけれども、きちんとした調査をよろしくお願いしたいと思います。

 除染でございます。

 さきの私の質問で、除染を進めるためには、仮置き場の確保、これも市町村に丸投げしているので、国ももっと積極的に人員を派遣して、私は三日でそろえろということも言いましたけれども、そのくらい急げという意味で三日という言葉を使いました。私が質問したのは十一月八日です。きょうは十二月六日です。もう一カ月たとうとしております。

 福島県には、五十九の市町村です、もう六十市町村ないんです。一市町村に一人派遣したって五十九人です。今、各市町村に、何人、十一月八日からふえた人数、どれくらいいるんですか。総理が約束してくれました。具体的に何人とは言いませんけれども、ふえましたか、ふえませんか。

野田内閣総理大臣 大規模な除染を迅速かつ着実に実行するために、官房長官をヘッドとした関係閣僚会議をまず設置いたしました。

 そして、具体的な人員体制としては、事業実施に必要な職員を集中的に配置すること、とりわけ福島県には福島環境再生事務所を設けるなど重点的に職員を配置することとしております。まずは来年一月から百名程度の体制に拡充し、除染等の業務に着手するとともに、四月には三百人規模の体制を整えて、大規模な除染を実施していきたいと思います。

 お尋ねの、これに至るまでの当面の措置として、除染等を行う職員として、十一月十八日から関係省庁等による十三名を新たに配置し、体制の増強を行い、除染等に専心できる者として七十名程度の体制を整えたところでございます。

 また、自衛隊による役場の除染を先行的に行うこととしているところでございます。

吉野委員 仮置き場の確保のために、各市町村に国の役人が行って、役場の職員と一緒になってお願いしてほしいということでの十一月八日の総理の答弁なんです。一月に百人体制、四月に三百人体制、何にもならないですよ。今なんです、今。なぜ同じ質問をさせるんですか。

 例えば、この間、我々衆議院の環境委員会で福島に行ってきました、飯舘村に。除染の現場を見てきたんです。

古賀委員長 吉野委員、時間が来ておりますので、御配慮をお願いします。

吉野委員 はい。

 そこで、村長が、今、モデル事業をやっているんです、立ち木の補償が出ないからここのうちは除染できないんだ、なかなか了承を得ることができないんだ。モデル事業で立ち木を切るんです、植木を。なぜそこまで……。それを、除染地へも行っているんです、二十人、福島に。何をやっていたんですか。そんなことを村長に初めて聞くような現場事務所ではだめなんです。

 だから、市町村に入って村長の指揮下に入る、国の役人が村長の指揮下に入る、こういうところまでやらないと本当に実のある国の関与が私はできないと思うんです。いかがでしょうか。

古賀委員長 時間厳守で本日はお願いしたいと思います。

吉野委員 はい。

 今の私の、村長、町長の指揮下に入るということをきちんと政府で検討していただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。

古賀委員長 これにて井上君、吉野君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 大震災から間もなく九カ月がたちます。ようやく、復興特区法案、また復興庁設置法案も修正案がまとまりまして、成立のめどが立ったところでございます。

 この九カ月間、公明党は、震災直後から、全国約三千名の議員が一体となりまして、現地の要望を聞き、被災者の方々に寄り添い、駆けずり回って働いてまいりました。その間成立した議員立法は、復興基本法、東電にかわって賠償金を国が立てかえ払いする賠償金仮払い法、また二重ローン対策関連法案、放射性物質を含む瓦れき処理特措法を初め約三十本に上ります。

 政府提出の法案の修正や成立にも我が党は全面的に協力をしてまいりました。政府に対して行った提言は、女性の視点を防災対策に取り込む提言、障害者に対する支援対策、また被災動物の保護などを含め、約二十回、八百項目に及びます。

 今、私どもは、県の担当国会議員、そしてまた市の担当国会議員を決めまして、私は今福島を担当しておりますが、被災地のお一人お一人から、また行政関係者からダイレクトに提案を受けとめながら、スピードが勝負だ、東北の厳しい冬を迎える前に少しでも前にという思いで働いてまいりました。

 私は、この九カ月間ほど、大衆とともにという我が党の立党精神を深くかみしめたときはありません。この年末年始も、被災地で課題の解決のためにお一人お一人からお話を伺いながら闘ってまいりたいと決意をしております。

 しかし、政府の対応は、今までもお話がありましたとおり、その遅さは、被災地の方々の悲鳴が届いているとはとても思えません。一人一人の生活再建のために、今、全力を挙げなければならないときと思います。政府に一層の強い決意を促すものでございます。

 さて、本日議題の復興庁設置につきましては、実は、公明党は、震災直後の三月二十二日、甚大な被害が明らかになったことから、井上幹事長が与野党協議の場で、復興担当大臣、また復興庁の設置を提案いたしました。その後も、再三政府に対して復興庁と担当大臣を早く置きなさいと訴えてきたところでございます。そうしたことが、六月二十日に成立をしました復興基本法におきまして、我が党が主張した復興庁、復興特区、そして復興債が盛り込まれ、復興の路線がしかれたと思っております。

 しかし、最初の提案から約八カ月たちまして、そしてまた復興基本法に書いてから四カ月も過ぎて、やっと復興庁設置法案が出てまいりました。中身を見ますと、大臣もふやさない、権限も弱い、当初のねらいから大きく後退した姿だったと思いました。大臣の増員も盛り込んだらどうかと私は個人的に提案をいたしました。また、復興庁の権限が弱い、強化すべしということで、今、野党修正をいたしまして、その野党の修正案を政府がのんで、この上なく強い権限の復興庁になったと思っております。

 そこで、総理、今申し上げた流れを総括して、公明党の主張でここまで来たことをどのようにお感じか、所感を伺います。

野田内閣総理大臣 三月十一日の東日本大震災の発災以降、御党におかれましては、本当に現地、現場の声を踏まえたさまざまな御提起をたくさんいただきました。これまでも、第一次から三次までの補正予算について御協力をいただいたこと、復興庁も含めて、復興特区、復興交付金あるいは復興債、その前の復興基本法、そういうことも含めてさまざまな法案の整備についても積極的、建設的な御提起をいただいたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 おかげさまで、三次の補正とそれを支える財源の法案も通りましたので、これからしっかりと復興の加速化をしていきたいと思いますし、なお、来年度の予算においても、これから復興に向けての取り組みをやっていかなければなりませんので、引き続き前向きな御提起をちょうだいできますようにお願いをしたいというふうに思います。

高木(美)委員 復興構想会議の五百旗頭議長は、我が党の姿勢に対して、幸いなのは公明党のように被災者への思い入れの深い野党が存在したことというふうに新聞のコラムで書いてくださっております。本当によく見てくれている、ありがたいと思った次第でございます。

 そこで、修正提案者石田議員にお伺いをしたいと思います。

 まず、この政府原案につきまして、復興基本法第二十四条第三項第二号におきましては、復興庁の事務は「復興に関する施策の実施に係る事務」としていたはずなのに、盛り込まれていませんでした。

 また、政府は、各省より一段高い位置づけと説明されてきましたが、政府原案では、これは内閣府設置法のほとんど写し書きであって、そうなっておりません。これでは、とても各省庁を束ねての実施事務のワンストップはできないと思いました。

 この政府案を修正したポイントは何か、その眼目は何か、どうよくなったのか、お伺いをいたします。

石田(祝)委員 お答え申し上げたいと思います。

 これは、基本的には、基本法の精神を生かす、これが最大の眼目でございますが、少々具体的に申し上げたいと思います。

 一つは、復興庁の権限及び機能を強化する。そして、被災地域にさらに寄り添った組織となるように配慮をする。こういうことで、被災地方公共団体へのワンストップサービスを実現する行政組織を創設する、こういうことであります。

 例えば、私どもの修正案では、復興に関する事業の実施について全体的な統括、監理を行う、そして予算を一括要求、確保し、具体的な実施計画の策定を、いわゆる箇所づけといいますけれども、行った上で各省に予算の配分をする、こういうこととなっておりまして、事業実施の中核部分の権限を復興庁の所掌事務にする、こういうことでございます。

 これは、復興に関する予算に関しては、その要求からいわゆる箇所づけ及び具体的配分の権限を実質的に復興庁に一元化する、こういうことによりまして復興庁の権限及び機能を強化する、こういうことがなされているわけであります。

 また、修正案では、復興局の内部組織の編成に当たっては、被災地域の地理的条件、こういうものも配慮をするということも追加で書いております。

 さらに、修正案では、政府は、この法律の施行後三年を経過したときに、状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、いわゆる見直し規定、こういうものも入れることになりました。

 また、復興庁が廃止されるまで、復興の状況を国会に毎年報告をしっかりしてもらおう、そして、この復興は政府だけではなくて国会もしっかり復興状況について関与していこう、しっかりと我々としても見ていこう、こういうこともこの中で盛り込んでいるところでございまして、政府の提出法案よりも、修正を通してより一段と被災地域にこたえられるものになった、私はこのように確信をいたしております。

 以上です。

高木(美)委員 総理にお伺いします。

 このように大幅に変わったことをどのように御認識でしょうか。

野田内閣総理大臣 実施権限、そして総合調整権限を含めて、私どもは私どもなりに復興基本法を含めて対応してきたつもりだったのでございますが、今回、修正の協議を真摯にやっていただいて、さらに復興庁の機能強化が私はできたというふうに思っておりますので、その修正案を踏まえて、早期に復興庁を立ち上げるように対応していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 先ほども申し上げましたように、当初提出された法案は、内閣府設置法の写しなんですね。ですから、勧告権限というお話をよくされますが、それは内閣府設置法の中に当初から入っている、そういう内容です。しかし、それは一度も発動されたことはないというのが今までの状況でした。

 このように強い権限であるならば、今回、内閣官房とともに内閣の事務を助けるというのは、恐らくいまだかつてない規定ではないかと思います。こういうことが議員の修正でできるのであれば、なぜ政治主導とおっしゃる総理が御自分でなさらなかったんでしょうか。

野田内閣総理大臣 私だけの知恵では足りないものですから、衆知を集めてバージョンアップできたというふうに思っております。

高木(美)委員 修正の提案者に再度お伺いいたします。

 復興庁、これだけの大きな仕事でございます。修正として合意した内容に、大臣、副大臣という形で設置を規定しております。政務官三人までというふうに原案にありましたが、そこまではいかがかという議論だったかと思います。

 なぜ、この政務官三人を削って大臣一名、副大臣二名としたのか、その理由を伺います。

石田(祝)委員 当初の政府案では、大臣、副大臣をそれぞれ一名、そして政務官を三名増員したい、こういう提案でございました。

 私どもは、いろいろ検討いたしまして、修正案においては復興大臣を一名置く、これについては政府原案と同じ、こういう考え方にいたしました。これは、復興庁の実施事務が当初の政府案よりも大幅に拡充をした、こういうことも考えられると思います。そして、現実には、復興業務に全力で当たっていただける体制を恒常的に設ける、こういうことも大事だということで、この大臣一名については政府原案のとおり、このようにいたしました。

 政務官につきましては、いろいろと行政改革等の観点もございますので、そこまでは必要ないのではないか、こういう結論になったわけであります。しかし、政務官三名をゼロにするだけでは幅広い業務はどうかと。ですから、副大臣を二人にして、しっかりと副大臣が復興局の担当する役割、こういうものも担うことを可能とするような制度にしてはどうかということで、副大臣につきましては二名、こういう形にいたしました。

 全体的には、当初の政府案では大臣、副大臣、政務官の五名でありましたけれども、今回は大臣一名、副大臣二名の三名、こういうことでございまして、私たちは、人数を必要最低限とするとともに、被災地の人たちに復興事業に取り組む姿勢を理解してもらう、そのために、大臣、副大臣、高いポストの人材を増員することにした。これは三名とも認証官ということでありますので、しっかりと仕事をしていただける、こういう観点から今回の修正になりました。

 以上です。

高木(美)委員 それでは、復興庁本庁をどこに置くのかという話でございます。これは先ほど来多くの議論がございました。

 私は、これはまた個人的な提案でございますが、こういう考え方もあるのではないかと思います。例えば、読売新聞の本社は、東京本社、関西本社、西部本社の三つです。また、朝日新聞の本社は、東京、大阪、西部、名古屋の四つが本社でございます。民間企業でもこういう例は多くあります。

 東京に本庁を置いて、各省庁に圧力をかけて束ねることも必要ですし、また、被災地に本庁を置いて、被災地の方たちのまさに要望を受けとめながら、ワンストップでスピーディーに対処できる、そしてまたさまざまな細やかな政策に対して配慮ができる、これも大事だと思います。

 総理、こういう提案もありますが、どのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 高木委員におかれましては、前の質疑でも、復興大臣を置くことについては、個人としてという前提はありましたけれども、前向きな御提起をいただきました。今回もまた、新たな前向きな御提起と私は受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、各省との総合調整であるとかあるいは立法府の対応を考えると、東京に置くことが基本かなとずっと考えてまいりましたし、そういう御説明は、被災地における現地対策本部長を通じてそれぞれの知事にも御説明をしてきておりますが、三党協議の中では、もっと被災地に寄り添うという意味で、被災地に本庁を置いた方がいいのではないかという強い御意見もあった中で、複数のそういう本部、本庁を置くという考え方も新しい御提起でございますので、復興庁を立ち上げる際の最終判断までの間に検討させていただきたいというふうに思います。

高木(美)委員 それでは、復興担当大臣にお伺いいたします。

 復興局、支所はどこに置かれるのでしょうか。また、人員配置はどうお考えでしょうか。特に、公務員の定員が厳しく管理されている中で、どのような対応をされるのでしょうか。

平野国務大臣 まず、復興局については、被災三県を念頭に置いて今考えております。その中で、復興特区や復興交付金の計画策定支援、復興計画の策定、実行への助言等、被災自治体の要望にワンストップで対応するための事務を行うこととしております。

 支所につきましては、復興局から相当距離が離れている地域に設置しまして、被災自治体の要望等を現地できめ細かく受け付けて対応していきたいというふうに考えております。

 職員につきましては、やはり専門知識、特に技術的な問題、それから法律、こういったものを有する職員をぜひ確保したいというふうに思っておりますが、こういった職員は今あちこちから相当の仕事を抱えていて、本庁レベルでも、あるいは地方局レベルでもかなり大変な状況になっているというのも事実でございます。しかし、この復興復旧を進めるに当たって、必要な要員は各省にしっかり働きかけて確保していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 茨城は、本庁直轄の支所を置いてほしいという御要望を私は伺いました。また、千葉は液状化被害という特殊な事情があります、総理が一番よく御承知かと思いますけれども、そういう事情に配慮をした支所なり本庁の担当窓口を明確に置いてほしいといった地元からの多様な要望に私はこたえるべきと考えますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 復興特区制度については、直接の被害を一定程度受けた地域である二百二十二市町村を支援対象としておりまして、その後たしか合併が起こりましたから二百二十一市町村になったと思いますが、その中には千葉県の十八市九町が含まれております。

 これら千葉県内の被災地を含めまして、被災三県以外の地域についても、復興庁が中心となって、関係機関による合同支援チームを派遣しまして、復興特区や復興交付金に関する必要な助言を行うなど、地方自治体の負担が大きくなることのないように十分配慮した支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 窓口につきましても、担当者をきちっと決めまして、ここが窓口ですよということについてははっきりわかるように対応したいというふうに思っております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 総理にお伺いいたします。

 これから新設されます復興庁の初代の大臣は、当然お考えがおありでしょうが、どのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 まさに復興を加速させていく、その最前線に立っていただくために、適材適所で選んでいきたいというふうに思います。

高木(美)委員 総理は、平野大臣をどのように評価しておられますか。

野田内閣総理大臣 本当に毎日、被災地の復興のために懸命に汗をかいて、そして現地に赴き、現地の声もよく聞いていただいている。私は、本当に被災地のために粉骨砕身頑張っている大臣だと高く評価をしています。

高木(美)委員 今の総理の御答弁は、それでは初代の大臣は平野大臣ということでよろしいのでしょうか。

野田内閣総理大臣 基本的には、でございます。

高木(美)委員 ただいまのうなずきで、よく承知をさせていただきました。そうであるという深い御決意のことと思います。ぜひとも、今後とも継続性のある取り組みをお願いしたいものでございます。

 さて、被災地からの要望につきまして、一点、厚労省に質問をさせていただきます。

 第一次補正予算は、五月二日に成立をいたしました。この中で、予算の費目といたしまして、被災者への診療を確保するため、仮設診療所、仮設歯科診療所及び歯科巡回診療車の整備に対する補助としまして十四億円が盛り込まれまして、それを踏まえて、岩手県では、県がこの歯科巡回診療車を購入しまして、歯科医師会に貸与をして、巡回診療を始めるということになりました。

 これは我が党も提言をしてきた政策でございます。これが、十二月十日から、今週の土曜日からスタートする予定になっておりますが、何と、歯科診療報酬の算定要件に、この訪問診療については、歯科に限り、常時寝たきりの状態等、そういう患者さんのところでなければ、行くのは別にボランティアでもサービスでも構わないのですが、診療報酬として請求できないといった内容になっております。

 ボランティアにも限界がある、何とかしてほしいという地元からの切実なお声でございます。厚生労働省の対応を伺います。

藤田大臣政務官 ただいま歯科訪問診療料の要件の見直しについてお尋ねをいただきました。

 委員の方から御指摘がございましたように、現場からは、この要件として示されている常時寝たきり等が不明瞭で、必要以上に厳格に運用されているために、歯科診療が必要とされる患者さんに対して適切な医療が提供できていない、こういうお声も伺っているところでございます。

 このため、十一月十一日に開催されました中医協においても、論点の一つとして議論をされたところでございます。

 したがいまして、今後、中医協における議論を踏まえながら、歯科訪問診療料の要件の見直しを含む在宅歯科医療の見直しを検討してまいる予定でございます。

 その際、特に被災地においては歯科訪問診療のニーズが大変高いわけでございますし、既に岩手県のようにさまざまな取り組みの中で実施をしようとされているところもございますので、この歯科訪問診療料の要件の見直しを前倒しして実施できるように検討してまいる予定でございます。

 よろしくお願いいたします。

高木(美)委員 恐れ入りますが、十二月十日からスタートでございますので、そこで不安を抱えてではなく、早急に対応を再度お願い申し上げます。

 恐らく、患者さんたちは、仮設住宅から交通手段もない、そしてまた、行こうにも歯科医院も開業していない。そういう方たちが、この九カ月間、歯科診療を受けていない、そういう状況でございます。せっかく第一次補正予算に厚生労働省が入れたわけですから、入れたからには、やはりそうした制度の不都合につきましては早急な対応を重ねてお願い申し上げます。

 続きまして、災害廃棄物の処理の問題につきまして伺わせていただきます。

 この災害廃棄物の広域処理につきまして、公明党といたしまして、十一月三十日に災害廃棄物広域処理推進チームを設置いたしました。

 要するに、なかなか政府の広域処理が進まない、また、引き受ける自治体もなかなか前に進んでいかない。今、東京都が先行的な取り組みをやってくれておりますが、これもむしろ、政府が何かというよりも、東京都が独自に、もう五月、六月からずっと準備をしながら、現地に東京事務所を開き、支援とあわせて検討しながら進めてきたものでございます。

 東京都は、災害廃棄物に係る放射線量につきましても、例えばコンテナに積むとき、コンテナに積んだ後、コンテナからおろすとき、またその後というように、工程上、合計十八回以上放射線量をチェックしながら、不安のないように対応をしてくれております。

 こうした先行例をもっと前に進めていきたい、こういう私どもの気持ちもあり、また、政府の余りに遅い対応について何らかの対応策をと、こういう思いから全国の議員のネットワークを通じまして広域処理が進むよう後押しをしようとするものでございます。

 私は、こうした、例えば東京都の取り組み例のようなことを、もっと政府として積極的に発信すべきと考えます。特に、災害廃棄物を受け入れる自治体に対する説明であるとか、また支援等も含めまして、これは、本来政府が責任を持って、総理が陣頭指揮で行うべき課題であると思いますが、総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 災害廃棄物の処理を予定どおり進めていくためには、被災地だけで自己完結で済ませるかというと、そうではなくて、高木委員御指摘のとおり、これは広域処理という観点はとても重要だというふうに思います。

 その中で、東京都に今御協力をいただいております。それぞれ応援をしようという自治体においても、果たして安全が担保できるのかどうかという不安もあるようでございますので、今御指摘のように、先行している事例を御紹介していくということも大事だと思います。これはしっかりと対応していきたいと思います。

 加えて、私も陣頭指揮に立てということでございます。十一月のたしか二十一日に、全国都道府県知事会議がございました。広域処理の御協力の要請をさせていただきましたし、十二月一日の記者会見の際にも、そうした要請を改めてさせていただきました。また、どこの県のどなたとは言いませんが、個別に電話でお願いをしているものもございます。そうした観点から、これからも陣頭指揮に立っていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 こうした廃棄物処理につきましては、実施はどこも市町村が中心で行っております。また、最終処分場については、こうした自治体だけではなく、民間が大きな処分場を所有しているところもあります。やはりそれぞれの、進まない、取り除かなければならない課題というのもありまして、例えば民間処分場に対して最終の処分をお願いした場合、もう何十年間もその後の管理の責任というのが伴ってまいります。では、それをどのような仕組みにしていくのかとか、さまざまな角度からの検討、そしてまたその検討結果を自治体に対して周知徹底していくという敏速な作業が必要かと思います。

 重ねて、そうしたきめ細やかな対応に対しまして、総理の御決意をお伺いします。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、きめ細やかな対応をしていかなければ進まないと思いますので、今の御指摘はしっかり受けとめていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 最後に、これは通告はしていないのですが、女性の防災視点ということについて総理の所感を伺いたいと思います。

 実は、公明党は、八月に女性防災会議を立ち上げました。我が党は、全国の三千名の議員の約三割、九百人が女性議員でございます。この議員のいる約六百五十八の自治体につきまして、当然男性議員も応援をしてくれながら、女性の視点で調査を行いました。その結果をまとめまして、十一項目の提言項目をまとめ、官房長官を通して総理に提出をさせていただいたところでございます。

 その要望の最初が中央防災会議、設置をされておりますが、これは、実は、二十六名の構成員の中で女性は大臣を含めて三名、たった三名しかいないというのが今の状況です。せめてこれを三割以上に引き上げていただきたいという要望もありました。

 また、地方におきましては今の現状はどうなっているかといいますと、地方防災会議に女性がゼロという自治体が、何と、この六百五十八のうち四四%でございます。また、防災部局に女性がゼロという自治体は五二%。

 また、避難所の整備、運営に、女性の視点、例えば子育て支援、授乳するときにカーテンで仕切るとかというような内容を反映していない自治体は四七%という、実にこれは、女性に対して、また子育てに対して余りに優しくないという今の状況かと思います。

 先日、我が党にお越しいただきましたある識者の方が、究極の防災対策は何か、それは地域のネットワークづくりだということをおっしゃいました。私は、今の東日本大震災におけるさまざまなきずな、助け合い、人と人とのネットワークということを考えたときに、それを結びつけるのはだれかといえば、やはりこれは女性であると思っております。

 この女性の視点をさらに大事にしながら、今後の防災対策、そしてまたこれからの東日本大震災における生活支援の一つ一つの支援につきまして、さらに女性の視点を取り入れ、進めていくべきと考えますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 今回の大震災の後、例えば、避難所で生活をされているときに、洗濯物をどこに干すのかとか、着がえはどうしたらいいのかとか、お子さんをどうやってあやすのかとかを含めて女性の視点が足りなかったということは、あらゆるところから報告が来ていると思います。

 中央防災会議を含めて、あるいは地方においても、やはり女性の視点をもっと取り入れるべく全力を尽くしていきたいというふうに思います。御指摘はしっかり受けとめていきたいと思います。

高木(美)委員 各県におきましても、女性防災会議を立ち上げまして今進めております。このことにつきましては再度取り上げさせていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 来年の通常国会で、福島復興再生特別措置法案、仮称でございますが、提出されると聞いております。福島県からの強い要望もあり、私自身も繰り返し質問をしてきました。しかし、まだ骨格は示されておらず、報道によると、避難解除区域の復興や長期帰宅困難者への支援、健康調査などの放射線対策や企業への税制優遇措置などが取りざたされているように伺っています。

 大変限定的なイメージも持っているわけなんですけれども、確認したいのは、県内外十五万人を超えると言われている避難者を含めすべての県民が対象である、また、その所管は当然復興庁である、このことをまず確認いたします。

平野国務大臣 今、福島再生のための特別法については鋭意検討を進めているところでございます。

 対象とすれば、まず、県内全域を対象とするという前提で今作業を進めております。また、避難者への支援につきましては、委員御指摘のとおり、県内外を問わず、特に県外にはまだ六万人、十一月十六日段階で六万人を超える方が県外に避難されています。県内外を問わず支援措置を講じる必要があるというふうに考えております。

 この所管につきましても、復興庁という前提で今進めておりまして、できるだけ早く全体の案をまとめたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、六万人とも言われている県外に避難されている方も含めてだというお話があったと思います。

 パネルを見ていただきたいと思うんですけれども、これは、住民基本台帳に基づく福島県の県外転出状況をグラフにしたものであります。青が昨年の数字。これは、下はマイナスです。一番赤の出ているところは、三千五百人を超えて出ているという意味であります。青が昨年で、赤がことし。こうすると一目瞭然なんですね。

 例年でも、二十前後というのは進学や就職で当然県外に出ます。でも、ことしはとりわけ、その世代も県外に出ざるを得なかったということがうかがえますし、ゼロ歳から四歳が、昨年は全くなかったのに三千五百人を超えて出ている、そして、二十代後半から四十代前半の方が非常に多く出ているということが見えると思うんです。そうすると、やはり小さなお子さんを連れて若いお母さんが避難をしている、こういう状況がうかがえるなと思います。

 原発事故の深刻な影響をどのように受けとめますか。総理に伺います。

野田内閣総理大臣 今の、お示しいただいたグラフを見ると、やはりお子さんと子育て世代が流出をしているということが明らかに見てとれるというふうに思います。当然のことながら、警戒区域の設定などの原発の事故の影響を受けているものということを厳しく受けとめなければいけないだろうというふうに思います。

高橋(千)委員 私が思ったことと同じことを、総理も見てとれるということを認めてくださったと思います。

 総理が九月の所信の演説のときに福島の高校生の創作劇を紹介して、福島で生まれ、育ち、子供を産んで最期を迎えたいという訴えをされたんですけれども、本当にそのことが困難になっている状況だということをまず受けとめなければならないと思います。

 その上で、福島県の調査で、今わかっているだけで、自主的避難者と言われている方たちが五万人を超えているといいます。各地でこの方たちを支援する運動が広がり、先日も国会内で集会が開かれました。そこで紹介されたメッセージを少し紹介させていただきたい。

 「二週間に一度会いにくる父親が帰る日、子どもが泣きながら父親の着ていたシャツを抱きしめています。二歳の子どもが返事の返ってこない旅館の玄関に向かって、パパ!パパ!と何度も叫びます。そしてじっと耳をすまし父親の返事をまっています。なぜ、幼い子どもがこんな思いをしなければならないのですか」「子ども三人はそれぞれ学校や保育園を二度転校。避難生活維持のために百枚以上も書類をかかされた。避難場所が九回変わり、落ち着かない避難生活で、長女はストレス性胃炎、次女は肺炎になりかけ、三女はぜんそくが悪化。母も肺炎になりかけた」「一時的に避難していて福島に帰ったら、子どもがいじめにあい、悩んでいる」「親を見捨てて自分たちだけ逃げて、何かあっても親に頼るな!と親戚の人から言われた」「人の税金を使っていろいろな支援を受け、いい思いをしているといわれた」など、追い詰められ、悲痛な訴えばかりです。

 それでもなぜ避難を続けるのか。皆さんの共通する言葉は、自主避難を決断するに至ったのは政府の情報が信用できなかったからです。それを裏打ちするように、今になって次々に情報が明らかになっています。それなのに、いまだに自主避難者には補償の話も何もありません。

 総理、この方たちを、避難したのが自分の勝手であるかのように自主避難と呼ぶべきではありません。だれにも避難する権利があることを認めるべきではありませんか。

野田内閣総理大臣 呼び方をどうするかというのはちょっとありますが、自主的に避難をされた方の損害については、原子力損害賠償紛争審査会において、政府による避難指示の対象区域外に居住する方であっても、その区域からの避難は放射線被曝の危険を回避するための行動であるとして、賠償すべき損害となり得るとの共通認識が形成されてきているものと承知をしています。

 具体的な自主的な避難に係る損害賠償の範囲については、ちょうど本日審査会が行われるということでありますので、中立公正な立場から議論をされると思いますので、その動きを注視していきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 そのことについては、今、文科大臣にも質問することになっておりますけれども。

 今、なり得るべきとの認識とお答えをいただきました。やはり、それをもう少し進んで、避難する権利を認めるべきだと思うんです。

 これは、国連でも国内避難民の保護に関する原則という考え方が九八年から既にできているわけなんですね。そこの中で、移動の自由とか居住選択の自由に対する権利を認める、家族生活を尊重される権利などが明記をされているんです。避難者を支援する市民団体、弁護士らが主張する避難する権利というのは、こうした国連の原則、国際的な常識を根拠としています。

 もしかして初めて聞いたかもしれませんが、そういう立場で認めていくんだということを、もう一言伺いたいと思います。

枝野国務大臣 避難する権利という呼び方がいいのかどうかということは別としても、先ほど総理も若干お触れになりましたが、これまで自主的避難という言い方をしてきておりますが、本質的には、政府からの避難指示地域以外の方で避難をされている方ということになるわけです。

 避難指示地域というのは、一律、網羅的に避難を政府としてお願いしている地域でございますので、御本人の意向にかかわらず避難をしてくださいということでございますが、その避難指示が出ている地域以外であっても、さまざまな御判断の中で避難をされている方は、当然のことながら、その中には原発事故との相当因果関係のあると認められる避難をされている方が少なからずいらっしゃるというのは、ある意味では当然の前提になっていると見ております。

高橋(千)委員 認識の発展があるのだろうと期待をしたいと思います。

 ちょっと順番が変わりますが、先ほど総理のお答えにありましたので、確認をしたいと思うんですね。

 こういう議論をしてきて、最初は全く対象にならなかった自主的避難と呼ばれた方たち。この方たちの支援と、あるいは避難できずにとどまった方たち、そういう方たちに対しても同様の補償をするべきだ、こういう議論がされまして、きょうの午後、まさに中間指針追補の決定に向けて審査会が開かれるということです。どのようになるのでしょうか、文部科学大臣、お願いします。

中川国務大臣 きょうの午後にはぜひ結論を得ていきたいというふうに私も思っております。

 自主的避難に伴う損害について、これまで五回にわたってこの紛争審査会が開かれてまいりました。賠償の対象区域や対象者、それから損害項目や損害額の算定の考え方、さらに指針のいわゆる対象期間等について議論が行われてまいりました。

 避難せずに滞在を続けていた方々についても、自主的避難者と同程度の損害を認める方向でほぼ委員の皆さんの意見の一致を見ておりまして、きょう午後に開催される予定の審査会では、避難した人、とどまった人、それぞれ両者について、損害賠償の対象となる市町村や金額等の指針の具体的内容について提示をされて議論がされ、結論が得られる方向で進んでいるというふうに承知をしております。

 それによって被害者の方々の救済が図られるようになるように私自身も期待をしております。

高橋(千)委員 避難された方と、そうではなくとどまった方に対しても同等に扱うのだ、補償するのだというお答えがありました。まずそこは歓迎をしたいと思います。

 避難しなかった人たちも苦しい思いをしています。先ほどメッセージを紹介しましたけれども、避難した方に対して、残っている方たち、いわゆるママ友からの言葉が託されているんですね。

 例えば、「家のローンもあるし、働かなきゃ食べていけないし、親戚をおいていけないし、出られない。せめて、友達が安全なところにいてくれたほうが安心だよ」「毎日引っ越ししたいと思うよ。まだ、給食とか運動会をやる、やらないで、親同士もめたりする。まだ、そこにいられるなら、帰らないほうがいいよ」、そういうふうに、避難した友達に対して、今いる友達が声をかけているんですね。こういう思いをしているんだから、当然差をつけるべきではないんです。

 ところが、自主的避難に関する主な論点を見ると、対象区域を決めて指針に書き込むと言っています。けさの朝日新聞には、それが五十キロ圏内であるということが既に書かれておりますが、また線引きをするんですか。

中川国務大臣 同審査会において、中立公正な立場から、今、自主的避難に係る損害についての議論が行われているわけですが、この対象となる区域については、基本的な考え方として、一つは、事故を起こした発電所からの距離、それから、放射線量に関する情報、居住区域における自主的避難の状況、これを総合的に勘案して決める方向で議論が進んでいるというふうに理解をしております。

 きょうの審査会では、損害賠償の対象とする具体的な市町村や金額等について引き続き議論を行いまして、賠償の範囲を類型化して明示する指針案、何らかの形で類型化をしていくというのがこの審査会の役割ということが前提になっていますので、類型化していく。その中で線引きというのが行われていくわけですが、きょうの朝日新聞の報道のようになるかどうかということについては、まだ今の段階で明らかになっていないということが一つあります。

 同時に、これは指針でありますので、追補される指針の中で類型として明示されない区域、ということは、この線引き以外のところであっても個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得るということについては、この審査会においても共通認識がありますので、そこのところの運用を弾力的にしていくということだと思っております。

 そのことも含めて、この審査会の議論を尊重しながらしっかりと対応をしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 事故の直後から、福島の皆さんは、絶えずこの線引きということに苦しみ続けてきたんです。二十キロ、三十キロ、そこに何の根拠があるのかということがずっとこれまで言われてきたじゃないですか。ようやっと、自主的避難の方も残った方も同等です、そこまで言っておきながら、また線引きですか。これは認められません。

 極端な話をしているわけではないんです。皆さんの手元に政府の「自主的避難者数」という資料がございます。これは決して全部を網羅しているものではないと思いますけれども、人数に応じて色が塗られているわけなんですけれども、仮にこの五十キロ圏で線を引いたとしますと、わずかでもかかっている二本松、郡山市、須賀川市などが入ったとして、五百二十二人も避難をされている白河市は除かれる。こういうふうに線引きすることに何の合理性もないんです。

 逆に言えば、これほど集中的な特徴があるんだから、たとえ一人であっても避難している方は線引きしない、当然、そういう自治体に残っている方も同じように補償する、これでいいじゃないですか。

 総理、いかがですか。

枝野国務大臣 文部科学省がやっておられますこの審査会の指針というのは、あくまでもこれは類型化をされた方々に対する類型的な賠償についてお示しをするものでございまして、類型化をする以上は、どうしても何らかの基準でこの範囲の皆さんについてはということにならざるを得ないというのは御理解をいただきたいと思います。

 ただ、賠償そのものについては、その指針に書かれていないものはしないではなくて、指針はあくまでも、類型的なものをピックアップして、できるだけ賠償がスムーズにいくようにということでお示しをいただくことでございますので、きょうの指針がどうなるかわかりませんが、その指針の対象になっていない自主避難をされている方あるいはその自主避難をされている方の周辺の皆さんについても、相当因果関係があれば、当然のことながら東京電力に賠償をさせます。

高橋(千)委員 ということは、きょう仮に線引きのような指針が出されたとしても、今私が指摘したように、その枠の外であっても当然賠償する、考慮していくんだということで確認をさせていただきます。いいですね。

枝野国務大臣 この場合は、個別に、これも機構などが弁護士などのチームを福島に送っていろいろ御相談に乗ったり、あるいは裁判外紛争機関で決着がつくようにというシステムをつくっておりますので、そうしたプロセスの中で、相当因果関係のある自主避難やその周辺の皆さんについては賠償の対象にさせます。

高橋(千)委員 では、最後に要望して終わります。

 福島大学の災害復興研究所の調査でも、避難を余儀なくされている双葉郡八町村のアンケートで、もとの居住地に戻らないという方が二七%に上ります。このままでは、今後、新たに自主的避難と呼ばれる人たちが生まれることになりかねません。戻ると答えた方は、三年以内なら待てるが七割あります。浪江のアンケートでは、震災前の線量に戻れば戻ってもよいと答えた方が四九%です。

 今は戻れないという人も含め、差をつけずに支援をすること、それが本当に基本だと思うんです。徹底した除染とモニタリングを行い、帰宅できる環境づくりを進めると同時に、県内外にかかわらず、健康調査や、情報と相談窓口を設置し、住宅、雇用対策、保育所の確保など、しっかりとやっていただきたい。特措法と、これからできる復興庁がそれをしっかり担っていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 きょうは復興庁設置法案の審議ですけれども、福島県の復興には原子力事故が重く重くのしかかっております。また、東北には福島原発以外にも多くの原子力発電所があり、ちなみに宮城県には女川原発があります。こうした原子力発電所の再稼働問題をどう考えていくのか、大変大きい問題になっています。

 当然、政府は、再稼働する原子力発電所が安全であるということを証明し、また、住民の合意を得るとおっしゃっているわけですが、私たち社民党は、そもそもまだ福島の事故が収束していない、検証も今から、検証もできていない中で再稼働すべきでないということを申し上げてきました。

 きょうは、その上で、今後の原子力損害賠償の制度に絞って枝野大臣に質問をいたします。

 福島の原発事故を経験した我々は、今や原発事故を想定外と考えることはあり得ないということがはっきりしました。枝野大臣自身、政策仕分けで、事故が起こったらどうするかを想定しないで原発をやることはあり得ないとおっしゃっています。全国の原発の運転、あるいは今後仮に再稼働をする際に、福島のような事故が起きる可能性があるということを前提に考えていくということでよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 原子力発電所の安全性については、もし再稼働する場合については徹底した安全性を求めてまいりますが、しかし、人間のやることでありますので、一〇〇%ということはあり得ません。したがいまして、常に万一の場合を想定した対応をしっかりとあらかじめ備えるということが必要だと思っております。

服部委員 福島のような事故が起こる可能性はやはり否定できない、全国の原発の稼働についてそういったことを前提にして考えていくという御答弁だというふうに受けとめをさせていただきました。

 きょう、パネルを出させていただいておりますが、パネルのとおり、福島の事故では現時点で損害賠償額がおよそ六兆円に上っています。これをもとに、原子力委員会はモデル的な原発の損害額を五兆円または十兆円と算定しているわけです。ただし、これは福島原発事故の損害の全容が明らかになっていない現時点での最低限の見積もりでしかありません。除染も今からどれだけお金がかかるかわからない。あるいは、高濃度汚染地域の対策、中間貯蔵施設、こういった費用は入っておりません。

 ちなみに、ドイツでは、十七基の事故損害について最大六百八十兆円になるという試算も出されているわけです。

 つまり、仮に稼働させるとすれば、このような損害を想定しなければならないということになるわけですけれども、現在の原子力損害賠償制度は事業者の無限責任を定めているものの、あらかじめ確保されているのは一事業者当たり一千二百億円しかないわけです。このギャップは余りにも大きいわけですけれども、枝野大臣はこれに対してどうすべきであるというふうに考えておられるでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘いただいたドイツの試算というのは、試算根拠が不明でございますので、これを評価するのがなかなか難しいかと思っておりますが、今回の福島の事故だけをとらえても、まだ最終的にこれによる損害、つまり、損害賠償の対象になったり、除染の費用の相当部分は、国としては、東京電力の相当因果関係の範囲内のものとして少なくとも東京電力に請求しなければならないと思いますし、廃炉についての費用も、当然東京電力が本来負担すべきものだと思っております。

 こうした事故が起こった場合のコストが全体として最終的にどうなるかはまだ確定できないところでございますが、例えば仮に五兆であるとコストがキロワットアワー当たり〇・四五円かさむ、十兆であれば〇・八九円上がるというような試算までいたしているところでございまして、今後、エネルギーごとのコスト計算に当たっては、こうしたことをしっかりと考慮に入れて、なおかつ、これは幾ら以上かかるであろうということしか残念ながら現時点では見込めないという状況にあります。

 これに対する賠償のあり方については、まずは国会で成立させていただいた、既に動き出しているいわゆる機構法によって、すべての原子力事業者が相互扶助の観点からこうしたコストを負担するという考え方に基づいて拠出金を出していただく仕組みになっておりますが、さらに、この機構法の附則六条一項で、国の関与のあり方、責任のあり方等について検討を加えて、原子力賠償法の抜本的な見直しを含めた必要な措置を講ずるとされております。

 原子力政策あるいはエネルギー政策の抜本的な見直しの中において、万が一、一度こうした事故が起きれば、兆単位、それも、一とか二とかというレベルでない兆単位の損害が発生をするということを前提にしてこうした議論を進めてまいりたいと思っております。

服部委員 賠償機構法というお話ですけれども、十兆円もの被害が出て東電がもつのかという話があるわけじゃないですか。全国のほかの原発の安全性というかその損害賠償を考えると、結局、やはり保険でカバーするしかないんじゃないかというふうに思うわけですね。

 第一歩として、数十兆円規模の損害賠償額、あるいは天災免責の見直し、電力会社、原子力事業者が民間保険で措置をする額を現状の一千二百億円から大幅に引き上げるとともに、残余のリスクを国が引き受けるための明示的な補償措置、保険プラス積み立てを行って、それを原子力事業者から請求をしていく、そういう仕組みをやはりきちっとつくらないとだめだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 今回の福島の原発事故によって生じた損害については、政府としてもこれまで原子力政策を推進してきた責任があることを踏まえながら、まずは、一次的に東京電力が本来負担するべき賠償についても肩がわりをするというスキームの中で進んでいるわけでありますが、こうした事故が現に生じている以上、今後については、当然のことながら、発電をする電力会社がそのコストを含めて、保険であったり積み立てであったり、そのことを当然電気料金に含めてコストを負担していただくということが前提でなければ、原子力発電は推進できないと思っております。

服部委員 一千二百億円の賠償措置だけで原発を動かすというのは、保険に加入せずに車を運転しているようなものなんですよ。

 そういう意味で、今、再稼働の問題が大変地域の住民の関心といいますか不安になっているわけですけれども、この賠償の措置をきちんとしない以上、再稼働というものはすべきではないというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘の視点は全く同感でございます。つまり、万が一の場合にしっかりと賠償がなされるためのスキームと資金が確保されているということは、もし原発を再稼働する場合の、周辺住民の皆さんに安心をいただくための一つの要素として欠かせないものだと思っております。

 そこに向けて、既に施行されています機構においても、原子力発電所を持っている電力会社がこの機構に資金を拠出して、そこがしっかりと、どういう状況になっても電力会社の負うべき損害について負担をするという仕組みはつくられておりますので、そういった意味では、現状を前提にした賠償のための資金を電力会社が拠出して、それによって万全の賠償を行うという一応の枠組みはつくられていると思っております。

 ただ、先ほど申しましたとおり、エネルギー政策、原子力政策の抜本見直しの中で、このスキームについてさらに改善、改良する余地がないかどうかということについては、ゼロベースで検討してまいりたいと思っております。

服部委員 いわゆる東京電力の経営支援のための支援機構だとか、そういうことと賠償の問題というのは本質的に違うわけですね。ですから、この再稼働の問題についても、この賠償の制度をきちっとやっていただきたい。

 我々は、この原発の事故で多くの教訓を得ました。一たん事故が起こったらとんでもないことになるなということを多くの国民が思ったわけです。事故の収束と検証、あるいは安全対策、地元の合意、万一事故があったときの賠償の制度、その制度の確立なくしては原発の再稼働というのはあり得ない、そのことを強く申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

古賀委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、復興庁設置法案についてお伺いをいたします。

 もともとは、六月に成立をした復興基本法に復興庁の設置が明記されたものであります。これに基づいて復興庁設置法案の政府案が提出されたわけですけれども、もともとの復興庁のイメージとはかけ離れたもので、骨抜きにされてしまっていると思います。

 パネルを見ていただきたいと思います。

 これは、復興庁の所掌事務、要するに何をやるかということであります。

 復興基本法では、復興施策の企画立案、総合調整、そして、実施に関する権限が復興庁に付与されていた。つまりは、復興事業を企画立案し実施する権限を持った、いわば被災地におけるオーソリティーになるはずだったわけです。

 しかし、これが復興庁設置法案になって換骨奪胎されてしまいました。設置法案四条における所掌事務は、復興のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案、総合調整と、なぜか「基本的な方針」という復興基本法にはない言葉が挟まっております。

 これはちょっとの違いに見えますけれども、この一言が入るだけで全然意味が違ってくるんです。つまり、復興庁が企画立案をするのは、復興施策そのものではなくて、基本的な方針だけであって、個別の復興事業をどう進めるのかということについては権限の範疇外だということになってしまう。これは、あくまで各省庁、各事業官庁のもとで行われる仕事だということになってしまいます。

 さらに、それだけでは心配だったのか、復興基本法にあった復興施策の実施権限を御丁寧に条文から外している。そして、その下に書いてありますが、四条の二項を見ると、復興庁が事業官庁の権限を決して侵すことができないように念には念を入れて条文がつくられているのが、見ればわかります。

 こういうふうに条文の一部に手を加えることで法案のもともとの趣旨をすっかり変容させて骨抜きにしてしまうというのが、いわゆる霞が関文学の世界だと思います。「基本的な方針」、この一語を追加したことだけで復興庁は実質権限ゼロに等しくなって、それでいて事務次官ポストが一つふえて、局長級ポストがふえるんだから、これは復興に名をかりたいわば霞が関の焼け太りにすぎない、こういうふうに思います。

 復興庁設置法案の条文に、「復興のための施策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整」と、「基本的な方針」という文言を追加した意図は何なのか、お尋ねしたいと思います。

平野国務大臣 委員御指摘のように、まず、復興基本法第二十四条第三項第一号でございますけれども、復興庁は、東日本大震災からの復興に関する施策の企画及び立案並びに総合調整に関する事務を担うこととしております。

 これを受けまして、復興庁設置法案では、第四条第一項第一号から第三号で、先ほど申し上げた基本法第二十四条第三項第一号の企画立案、総合調整事務を具体的にわかりやすく記述をしているということでございます。

 御指摘の基本的な方針は、この具体的な例示として、第四条第一項第一号において、特に去る七月に定められた復興基本方針の改定等の業務を担う旨を明確にしたものでございます。

柿澤委員 もともとの復興基本法の規定までこういうふうにして換骨奪胎してしまう。霞が関がこんなスタンスだったら、幾ら少しばかり法案に修正を加えたとしても、結局は復興庁の権限が骨抜きになることは目に見えているというふうに私は思います。

 次に、復興基本法三条の国の責務について伺います。

 復興基本法三条の「国の責務」として、「二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示す」、こういうことが書かれています。これは、被災地の復興が将来におけるこの国の形を先駆的に具現化するものである、そうであるべきだと基本法ではとらえているということだと思います。

 では、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿とはどのようなものであるかということを、野田総理はどうお考えになられているでしょうか。

野田内閣総理大臣 今回の大震災からの復興というのは、被害を受けてそれをもとに戻すという復旧ではなくて、まさに未来に向けた復興でなくてはなりません。

 そういうことを踏まえた第三条だと思いますけれども、少なくとも日本は、今後、少子高齢化、人口減少、国境を越えた社会経済活動の進展といった構造変化に、より一層直面することが予想されますし、食料の問題とかエネルギー問題、地球温暖化といったグローバルな課題も克服していかなければならない、そのための先進的な取り組みを行う国であるべきだというふうに思います。

 そのため、復興に当たっては、例えば高齢化や人口減少等に対応した新しい地域づくりやコミュニティーの再構築、被災地産品の海外への販路拡大、被災地を初め我が国に対する外国からの投資の促進等、世界に開かれた復興、エコタウンの実現、再生可能エネルギーの導入促進など、日本の未来を見据えた取り組みを展開することとしております。

 復興の基本方針、これは七月に取りまとめましたけれども、こうした方針がたくさん盛り込まれていますので、これを着実に具体化をしていきたいと思いますし、これからの我々が目指すべき方向というのは地域主権戦略だと思います。

 地域主権を進めていく、地域のことは地域で決めていく、そういう考え方のもとに、今回、復興交付金であるとか復興特区といった、その先駆けになるような制度もこれから実施をされるということで御理解をいただきたいというふうに思います。

柿澤委員 いささか抽象的な答弁であり、復興基本法二条の基本理念に書いてあることをただなぞっているだけのようにも聞こえます。また、二十一世紀半ばの日本のあるべき姿を総理に語ってほしい、こういうお話をしたわけですので、手元の資料に目を落としてお読み上げになる姿は、とても残念です。

 私たちは、地域主権型道州制こそが二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿だというふうに考えております。復興庁を仙台に置いて、この復興庁を核として、そこに東北地方の国の出先機関の事務事業を集約していけば、将来はそのまま東北州への移行が可能になります。現地主導の即断即決で復興を進める体制をつくることが、結果としてその流れを加速することになると思います。

 現政権も、出先機関の原則廃止と地方移管、二〇一四年にはそれを完了するということをおっしゃっているわけですから、まさにこの東北でなぜそれをやらないのかというふうに思いますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 出先機関は、例えばこの被災地の出先機関でありますけれども、復興の事務だけを行っているわけではございません。だから、それを束ねればいいというのはちょっと乱暴な議論ではないかと私は思います。

 一方で、出先機関は原則として廃止をするということは、私ども、アクション・プランとして閣議決定をしています。そのことは来年法案を提出する予定でございますので、今のその御指摘とは別に、アクション・プランに基づいて国の出先機関の廃止に向けた取り組みはしていきたいというふうに思います。

柿澤委員 まさに現地主導で被災地の復興を強力に進めていくというわけですから、ここの部分については、私は、東北地方の国の出先の機能を復興庁に集約して、復興庁が現地で出先機関から集まってきた人、物、金を集約して強力に復興を進めていく、こういう復興庁であるべきだと思ってまいりましたし、そういう法案が提出をされるものだというふうに思っておりました。

 残念ながら、今回の復興庁設置法案というのは、霞が関の発想を一歩もその枠の中から出ていない、こういうものであると思いますし、これでは二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示すことを国の責務とした復興基本法三条の趣旨にも背いているというふうに思います。そのことを御指摘申し上げまして、質問時間も参りましたので、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 総理、国会も会期末を迎えまして、連日の国会質疑、御登壇、御苦労さまであります。

 先進国の首脳の中で、これほど国会なり議会に登場しなければいけない首脳というのもないんじゃないか、私はこう思うわけであります。この点においては、我が国は、議会人としてよいことであろうと思いますけれども、ある意味、総理がきちんと公務をこなす上では国会の拘束がややきついのかなという思いもしないでもありません。

 ただ、他方、こうやって総理がさまざまな議会の意見に対して真摯にお答えをいただいているというこの姿は、テレビ等を通じて国民の多くの方々の共感を得られるのではないか、このように思う次第であります。

 さて、総理、復興なくして日本の再生なしという姿勢は、所信表明演説でも繰り返し宣言をされた野田政権の基本方針であります。こうした中で、今臨時国会では三次補正、財源の確保法案が成立をし、さらに、二重ローン法案、被災地域の支援策を盛り込んだ復興特区法案、この司令塔となる復興庁の設置法案、この三法案について、政府・与党、そして野党の皆様との協議の中で政府案を修正することで成立を期す合意が調ったわけであります。

 この間、額賀先生、谷先生、石田先生、自公民の各党の先生方と我々は協議を進めていったわけでありますが、同時に、政府においては、平野復興担当大臣が中心となり、大事な政治判断をいただいたこともございました。また、官房長官の御判断もいただきました。

 このことは、すなわち、議会が知恵を出し合い、政府とともに物事を前に進める、一つ一つ乗り越えるという野田政権のスタイルが今臨時国会で定着しつつあるのではないか、このように思うわけでありますが、総理御自身、どのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 私どもの政権の一番の大きな目標は、震災からの復旧復興と原発事故の収束でございました。

 これについては、先ほど来、遅いというお話もありましたし、いろいろ反省しなければいけませんが、でも、この間も、予算あるいは法案について各党が真摯に協議をして、政府で足りない知恵を補っていただいてきていることは私は感謝申し上げたいと思いますし、今回も、この復興庁に関しては、近藤委員も実務者協議で与野党協議の最前線に立っていただいて、大変いいものをまとめていただいたというふうに思っております。

 何よりも、復旧復興は、党派を超えてみんなで汗をかかなければいけない部分だと思います。政府も一生懸命やります。ただ、政府では足りない知恵もあるかもしれません。これからも与野党協議を通じて、皆様のお知恵をかりながら、被災者のために、国民のために一生懸命仕事をしていきたいと思いますし、そのために、さまざまな課題がありますが、一つ一つ乗り越えていく、丁寧に前進をさせていく政治姿勢を堅持していきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。そうした姿勢を、ぜひ今後も、来年以降も、大きな案件がさまざまございますので、我々議会もそうした野田政権に協力をしていきたい、こう思うわけであります。

 さて、復興庁でありますが、さまざまな委員から指摘があったように、一つのスーパー官庁とでも申しましょうか、新しい修正により、大きな権限を持つことが法律上も明記をされたわけであります。

 この復興庁は、地元の被災自治体の方々からの要望の一元的な受け付け、予算の配分、また復興施策を統括するといった権限を持つわけでありますが、各省庁の動きを見ながら、復興施策をフォローするだけではなくて全体のペースメーカーとして施策を企画し、復興を先導すべき役割だろう、こう思うわけであります。

 野田総理が時折例として使われるサッカーに例えると、復興庁は攻撃的なミッドフィールダーのような役割を我々は期待して、この法案修正に臨みました。各省の対応に抜けがないか、落ちているところがないかという、守りだけの組織では決していけない、こう思うわけでありますが、総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 決して原案が守備的ミッドフィールダーではなかったと思うんです。きちっと司令塔として役割を果たそうというものでございましたけれども、今回、修正協議を通じて、実施権限の部分も、地元の要望を受けて予算の配分まで一貫してやっていくというところで権限が強まったと思います。

 それから、総合調整の権限も、もともと政府案では勧告権はありましたけれども、各省に尊重義務を課す等々、これについてもさらに強化をしていただいたということで、攻撃的なミッドフィールダーが、いろいろな人がいますけれども、ジダン・クラスになったのかなという意味で、バージョンアップできたというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大変わかりやすい御答弁、ありがとうございます。

 そのためには、司令塔として、時には得点もゲットするといった役所になるためには、第一に人材だと思います。人は石垣、人は城でありますから、人材が極めて重要であります。

 現在、約百名の復興本部の職員を政府においては倍増以上にするという方針を聞いております。その中で、もちろん霞が関の英知、そして人材を集めることはこれまた重要でありますが、同時に、自治行政の経験者であるとか民間の方々であるとか、そういった方々を任期つきの採用といいますか任用で活用すべきと考えますし、これについてはいかがかということ。

 あわせて、人材と同時にやはり被災地域の知恵を引き出すことも大事だろう、こう思うわけですね。

 これから復興であります。いろいろなアイデアが出てこようかと思います。そうしたアイデアを酌み取る仕組み、インセンティブを与える仕組み、また、被災地域で汗をかいている方々を励ます仕組み、ボランティアの方々をたたえる仕組み、そういった知恵も必要かと思います。

 復興担当大臣、いかがでしょうか。

平野国務大臣 まず、復興庁、復興局及び支所の職員というのは、これから被災自治体の支援、そのニーズに対するワンストップでの対応を実現するために、各府省の制度、復興施策、あるいは法律等々に精通していることを求めたいというふうに思います。

 しかし、何よりもやはり熱意のある方。特に、例えば支所に配置されて、今までに生活した経験のないところで長い期間仕事をするということにもなると思います。そういった場合には熱意ということが大事だと思っておりまして、熱意のある人材を確保したいというふうに思っています。

 このため、基本的には各府省からの出向者が多くなるというふうに考えておりますけれども、委員御提案がございましたように、自治体や民間などからも幅広く人材を確保したいというふうに考えております。

 あわせて、民間からのさまざまな知恵を吸収すべきではないか、ボランティア等々の活動についても評価するシステム等々が必要ではないかといった趣旨の御意見、御提案をいただきました。

 政府としましては、東日本大震災復興特別区域法案において、市町村においてさまざまな人の意見を聞く復興推進協議会を組織することができるということになっておりまして、この組織を活用しまして、住民の意見、さまざまな方々の意見をできるだけ吸収すると同時に、支所、復興局の職員が常に歩き回ってさまざまな意向を酌み取るということも大事ではないかというふうに思います。

 被災地のコミュニティーづくりの支援や心のケアなどを行うボランティアの方々との協力ということも大事でございまして、こういった方々との連携のもとで、被災者の皆様を支えていくよう努力していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣が御答弁いただいた協議会の仕組みは、自民党の加藤先生の御提案を受けて盛り込んだわけでありますけれども、ぜひ活用してもらいたいと思うわけであります。

 同時に、人材と知恵を集めて、やはり大事なのは、お金といいましょうか、予算の配分の仕組みだと思うんですね。

 ここはちょっと意見だけにさせていただきたいと思うわけでありますが、復興の資金繰りを扱う特別会計を設けるということが与野党で方向としては合意をされたわけであります。この特別会計の性質は、歳入を管理するということでありましたけれども、場合によっては、歳出の部分もきちんと管理をする特別会計であるのが自然体であろう、このように思います。特別会計については、政府においてこれから検討されると思いますが、ぜひこの復興庁設置法の精神をしっかり酌み取って制度設計をお願いしたいと思います。

 特別会計は、我々民主党政権は基本的には整理をする、こういうことで臨んでまいりました。しかし、期間限定であります。そして、復興庁にきちんとした権限と行動力を与えるためにも、この特会の性質というのは極めて大事ではないか、このように思いますので、政府においてしっかり検討していただきたい、このことを要請したいと思います。

 もう一点、復興担当大臣にお伺いしたいんですが、今回、除染や瓦れき処理について、与野党の協議の中でいろいろな意見がございました。復興庁に寄せたらいいんじゃないかという声もありました。しかし、結果として、環境省が引き続き担うことで整理をいたしました。総合的なその調整業務は復興庁が担うべきであります。

 とりわけ気になりますのは、先ほども議論になりましたけれども、冷温停止等が実現できた、こうなると、原子力緊急事態宣言というものがいつ解除されるのか、こういう議論にもなろうかと思います。その際には、緊急事態宣言が解除されれば、原子力災害本部の被災者支援チームは基本的には解散をするというたてつけだろう、このように思うわけであります。そうなると、さて、この被災者支援の業務をどこが担うんだろうか、こういう議論も出てくるかと思います。

 私は、長期帰宅困難地域の方々への支援及び復興策については、復興庁が積極的に政策を主導すべきであるし、長期的には一元的に責任を持って対応すべきではないか、このように思うわけでありますが、復興担当大臣、このあたりはいかが整理をされておるんでしょうか。

平野国務大臣 いずれ警戒区域の見直しあるいは計画的避難区域の見直しは、できるだけ早くやらなければならないというふうに思います。その見直しの結果として、あるいは、今委員からお言葉がありましたけれども、長期帰還困難区域等々が出る可能性もあります。

 そういったことを想定した上で、しかし、やはりできるだけ広い地域のエリアで帰還できるような状況をつくらなければならない。そこには、除染だけではなくて、インフラの整備、雇用対策、学校、それから保育所、総合的な対策が必要でございます。こういった政策については、私は、委員からも御提案がございましたけれども、復興庁が担うのがいいのではないかという考え方を個人的には持っております。関係閣僚もそういった考え方を持っている方が多いというふうに思っております。

 これから警戒区域、計画的避難区域の見直しの状況、こういったものを踏まえながら、この役割についてどうするかということについては、閣内でしっかり議論して、しかるべき対応をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ぜひそういった方向で閣内での議論を進めていただきたい、このように思います。

 最後に、総理、今回の法改正で、自民党さん、公明党さん、また各党の御理解をいただき、閣僚一名増員、副大臣二名増員となるわけです。内閣でいえば、現在十七名が一名閣僚がふえるということであります。

 阪神・淡路大震災のときは二十一名いた閣僚数が、現在十七名で、その分、数は少ない中で全員野球で対応しているわけでありますけれども、政府全体、内閣全体で見れば、復興、さらには農政改革から、税と社会保障、経済の再生、さまざまな課題を抱えているわけであります。普天間の議論もございます。大臣、副大臣を増員することで内閣の強化が図られる、結果として復興にもつながる、このように期待をしているわけでありますが、総理大臣、この増員をどのように御活用されるお考えか、それを伺って、質問を終えたいと思います。

野田内閣総理大臣 今回の与野党の修正協議の中で、今委員御指摘のとおり、大臣一人、それから副大臣二人という形の増員を修正の中ではお認めいただくという形になっております。これは、復興にまさに万全を期せという観点からの御対応だと思います。このことはしっかり受けとめて、当然のことながら復興庁の業務がこれから増大をするわけですから、大臣、副大臣がその業務に注力をするということだと思います。

 これが基本だと思いますけれども、一方で、内閣府、内閣官房の全体を見渡して、担務の見直しもあわせて行わせていただくことによって、内閣全体の機能強化にもつなげてまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 時間ですので、質問を終わります。

古賀委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 冒頭、総理にお伺いいたします。東日本大震災の復興に一番大切な郵政改革法案について伺います。

 先日の両院議員総会で、総理は、所信表明でも皆様にお約束した郵政関連法案の成立を期していかなければなりませんと述べられ、また、野田政権発足時の国民新党との連立政権合意書にも、今国会で郵政改革法案成立に最優先課題として取り組むと記載され、合意をいたしました。

 郵政改革法案が成立すると会社の株式が売却できるようになり、日本たばこやNTTの過去の例のように、会社の価値を高めると二十兆円ぐらいの財源ができる可能性もあり、復興増税をしなくてもよいかもしれません。そういう意味でも、今国会で郵政改革法案を絶対に成立させなければならないということでございます。

 今国会の会期末も近づいてまいりました。総理は、今国会で郵政の改革法案を成立させる気持ちがあるのか、それともこのままうそつきで国会を閉じてしまうのか、どうなんでしょうか。

野田内閣総理大臣 郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服して、郵政事業サービスが利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたり、あまねく公平に利用できることを確保するものでございます。

 これについては、委員御指摘のとおり、八月三十日に国民新党の亀井代表と、最優先課題として取り組み、各党修正協議での合意を図り、次期臨時国会において成立を期す旨の合意をいたしましたし、今般の所信表明演説でも言及をさせていただいております。

 したがって、内閣を挙げて法案の成立を図っていくために全力を尽くすということが基本的な姿勢でございまして、きょうも閣議の後に自見大臣と情勢の分析などを行わせていただきました。

中島(正)委員 被災地の方々は待っておられますよ、この法案を通すのを。大きな財源となりますので、ぜひ通していただきたい。国民も、増税になることから考えると、この財源によって増税をしなくてもいいということになることを待ち望んでおります。どうか早期の成立をよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、警察の取り組みについてお伺いいたします。

 震災の発災当時から、自衛隊、消防、警察の方々には、被災者の捜索、救助、治安維持、さらには放射能対策等で、昼夜を分かたず、国民の生命、身体、財産を守っていただいていることに心から敬意を表します。私は、震災発生後、何度か被災地に行きました。そのときに、みずからの危険を顧みず、常に被災地を守ってくれているのが自衛隊であり、消防、警察の皆さんでした。その姿を見たときに、非常に頼もしく思いました。

 私は、先日も議院運営委員会の視察で福島県に行ってまいりましたが、そのときに、二十キロ圏内に立入禁止の検問を行う機動隊員の姿や防犯警戒のために警らをする警察官の姿を見ると、本当に頭の下がる思いでした。

 山岡大臣にお伺いしますが、現在もそのような状況のもと、今後、復興庁が設置され、復興に向けた取り組みがさらに強化されることになりますが、発災後十カ月における復旧復興に向けた取り組みとしてどのようなことが行われてきたのか、確認していくことが大切であります。特に、警察の取り組みについて確認させてください。

 被災地への部隊派遣状況と派遣された部隊の活動概況について教えていただけますでしょうか。

山岡国務大臣 お答えを申し上げます。

 今、委員のお話のように、自衛隊や消防、なかんずく警察に対して、警察の先輩として本当に多大な御理解と、また、勇気づけられるようなお言葉をいただいて、全国警察の皆さんも大変勇気づけられていると思います。今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 先生の御質問の、東日本大震災の発災に伴って警察がどういうことをしていたか。特に、全国から延べ八十万人の警察職員を岩手県、宮城県、福島県に派遣して、被災者の救援活動、行方不明者の捜索、避難誘導、そして緊急交通路の確保、御遺体の収容・身元確認、パトロール等々の各種活動を行ってきたところでございます。

 現在も千六百人の応援部隊を派遣しておりまして、地元の警察約三千六百名と仮設住宅のパトロールや福島第一原発の周辺の警戒区域の検問や警ら活動、パトロール等を行っているところでありまして、今後とも、被災地における安全、安心を確保するために、全国警察が一丸となって各種警察活動に全力で取り組んでいく所存でございます。

中島(正)委員 本当に津波の甚大な被害が極めて広範囲にわたっており、行方不明者の捜索や身元確認は相当困難であると思います。また、警戒区域における警察活動は、被災地の復旧復興は、これまでに経験したことのないさまざまな困難を伴っていることと思います。どうか警察の方には頑張っていただきたいというふうに思います。

 被災地においては、家屋を流され、家族を失う中で住民同士が助け合って生活をしておられますが、そうした中で、残念ながらこの混乱に乗じて犯罪を行う者も出てきています。津波により町全体が流されて、家や職場を失い、被災者が各地に分散して避難することによって、従来の地域コミュニティーが崩壊し、地域社会の犯罪抑止力が弱体化するおそれがあります。

 山岡大臣にお伺いいたします。

 発災直後から現在に至るまでの犯罪の発生状況についての御説明と、今後の被災地の治安確保のための対策について御見解をお伺いします。

山岡国務大臣 そのことにお答えする前に、本当に、今もまた警察の職務に対する深い御理解をいただきました。

 震災発生直後から、もちろんほかの皆様もそうですが、現地の中にあって非常に多くの労苦を克服しながら、当然の職務と思われておりますが、実際には最も苦労をしていた皆さんでございます。私から皆さんと言うのもおかしいんですが、同じ立場で申し上げると。例の、あの原発に一番先に水をかけたのも、意外と理解をされておりませんけれども、あれは警察が行ったわけでございます。そういう点では、先生からそういうお言葉をいただきますと、頑張りがいがあった、みんなもこういうふうに思うんじゃないかと思います。ありがとうございます。

 そこで、被災三県においては、発災以降、刑法犯全体は今減少はしてきておりますが、発災直後は、無人となったコンビニのATMをねらった現金盗難事件とか、福島県においては空き巣が非常に多発いたしましたが、最近では、被災三県の治安は落ちついてきております。

 被災地復興においては治安の確保は重要であるということから、引き続き、警察としては、警戒区域における検問、パトロール、犯罪の取り締まりの強化、仮設住宅等への警察官の立ち寄り、ボランティアによる自主的な防犯パトロール活動への支援など、犯罪発生の抑止や住民が安心して生活できる環境を確保するために全力で努めてまいりたいと思っております。

 また、第三次補正で新たに三県に七百五十人の警察官を動員していただきましたので、速やかな配備ができるような準備に今全力を挙げております。

中島(正)委員 本当に、いわゆる火事場泥棒のようなことは許すことができません。亡くなられた方の財産を盗んだり、泣く泣く仮設住宅に避難し、家を留守にしている間に泥棒に入るなんてことがないように、防犯強化を図っていただきたいというふうに思います。

 今後の治安の確保という観点から、気になることがあります。暴力団が被災地への人材派遣や各種復興事業に入り込んでいるということを耳にいたしました。山岡大臣、被災地における暴力団の浸透状況と、それに対する警察の取り組みについてお聞かせください。

山岡国務大臣 暴力団対策につきましては、今、警察を挙げて新条例の施行などに取り組んでいるところでございますが、今回の震災の復旧復興事業に長期にわたって多額の資金が投入されると、その資金獲得をもくろんだ暴力団が事業に介入したり参入したり違法行為を敢行するおそれが先生御指摘のとおりありますので、これを徹底的に排除する必要があると認識しております。

 これまでに暴力団が復旧工事に違法に労働者を派遣したとか下請に不当に介入した事案とか緊急小口資金特例措置を悪用して現金をだまし取った事案を検挙しておりますが、今後とも、暴力団の動向把握、取り締まりを徹底するとともに、各業界、関係省庁、関係地方団体と協力をいたしまして、暴力団排除条項の導入をお願いしたり、警察との連携強化等を働きかけることによりまして、暴力団の参入、介入を徹底的に排除していく所存でございます。

 また先生からの御指導もよろしくお願いを申し上げます。

中島(正)委員 復興の予算を暴力団が資金源にしているということは、あってはならないことです。徹底的に取り締まっていただきたいというふうに思います。

 最後に、野田総理にお伺いいたします。

 以上確認してきたように、治安の確保は、今後の復興活動において極めて重要な要素であります。復興庁設置後、警察との連携をどのように図っていこうとお考えか、野田総理の御見解をお聞かせください。

野田内閣総理大臣 被災地では、発災以降ずっと、全国の警察が、震災の直後から救出救助活動あるいは治安維持活動で大変業務にいそしんでまいりました。今もなお被災地三県においては全国から約千六百名もの警察官が応援に入っているものと承知をしており、その活躍には敬意を表したいというふうに思います。

 良好な治安は、被災地の復興の礎でございます。政府としては、新たに設置される復興局などを通じて、現地で活動する警察とも緊密に連携しながら、被災者の安全、安心の確保を図り、一日も早い復興に全力を挙げてまいる所存でございます。

中島(正)委員 被災地の一日も早い復興のため、私たち国会議員も全力で頑張ります。皆さん、頑張っていきましょう。

 ありがとうございました。

古賀委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

 野田内閣総理大臣、御退席いただいて結構でございます。御苦労さまです。

    ―――――――――――――

古賀委員長 この際、本案に対し、柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 復興庁設置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 ただいま議題になりましたみんなの党提出の修正案について、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災からの復興のためには、被災地に事務、権限及び人員を集約し、即断即決の体制で迅速に復興を進める必要があります。しかしながら、政府案は、各省の縦割り行政を温存し、また、このような非常事態の中で、事務次官ポストを増設するなどの焼け太り法案となっております。

 そこで、みんなの党は、本修正案において、復興庁を被災地に置き、復興のための企画立案、事業の実施権限を集約し、事務次官ポストは廃止するなどの修正を行うこととしております。

 以下、本修正案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、復興庁は、被災地である仙台市に置くこととしております。

 第二に、復興庁の所掌事務は、東日本大震災復興基本法第二十四条第三項各号に掲げる事務を一元的につかさどることとなるよう、別に法律で定めるものとしております。

 第三に、国務大臣の数を増員する規定及び復興庁に事務次官を置く規定を削除するとともに、復興庁に置かれる職の設置等に関する政令を定めるに当たっては、行政改革を推進する観点を踏まえて行うものとしております。また、復興庁の職員については、民間の人材を積極的に登用するものとしております。

 第四に、即断即決の体制で迅速に復興を進めるため、復興推進委員会の委員に政党の代表者である国会議員を加えるとともに、復興に関する重要事項については、復興推進委員会に諮問しなければならないものとしております。

 第五に、復興大臣は、おおむね三カ月に一回、内閣総理大臣を経由して、国会に対し、復興の状況を報告しなければならないものとしております。

 第六に、復興庁の廃止期限を平成二十七年三月三十一日に前倒しするとともに、復興庁の事務、権限及び人員については、地域主権型道州制への移行に向けた検討等を踏まえ、復興庁が廃止されるまでの間に、被災地域の地方公共団体への移譲に向けた検討が行われ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとしております。

 以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、民自公の三党合意に基づく修正案が提出されておりますが、修正の方向性は復興庁の復興事業に関するコントロールを強化しようとするもので、基本的な方向性としては賛同できるものでありますが、しかし、なおこの修正内容では復興庁を被災地復興の司令塔とするには不十分と言わざるを得ず、賛同できかねます。あらかじめ申し上げておきます。

 以上です。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、復興庁設置法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、近藤洋介君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、近藤洋介君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    復興庁設置法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 法案修正において、復興庁が被災地のニーズにワンストップで対応できるように権限強化を図った趣旨にかんがみ、復興に関する事業については、基本的に復興庁において、予算要求、予算計上、予算配分などを一元的に行うとともに、事業の統括、監理を積極的に実施すること。

 二 復興庁の本庁の所在地については、復興庁には、関係行政機関との調整、立法府への対応なども考慮しなければならない一方、被災地からの強い要望があり、復興庁も被災自治体や被災者と身近に向き合う現場機能が求められていることを十分踏まえた対応をすること。

 三 復興の主体である市町村が復興事業を円滑かつ迅速に行えるよう支援するため、復興局に相応の権限を付与するとともに、被災市町村からの要望を一元的に受理し、責任を持ってワンストップで対応させること。

 四 沿岸部に存し、甚大な被害を被った市町村のうち、復興局から距離が遠いなどの事情を有する地域については、支所を設置するとともに、支所においては、現地の相談や要望に適切に対応すること。

 五 岩手県、宮城県及び福島県以外の被災地域についても、被災自治体に対する支援等を確実に行えるよう、被災自治体の意見を聞きながら、十分な体制を構築すること。

 六 地域の復興は、市町村のみならず、地域の住民、農業者、漁業者、企業、NPO等の多様な主体が協働して行うことが必要であり、復興庁、復興局及び支所は、被災地、被災者のニーズを的確に把握するとともに、現地において国、地方公共団体、民間事業者その他の多様な復興の推進主体が意見交換し、具体的な復興事業に結びつけていくことができる場などを柔軟に構成するなど、復興事業を迅速かつ円滑に推進できる十分な体制を構築すること。

 七 被災自治体が行う復興計画の策定・実行への助言や被災自治体のニーズへのワンストップ対応等を実現するため、復興庁及び復興局の職員には、各府省の制度や復興施策に詳しく情熱ある人材を確保すること。また、自治体職員、定年退職者や民間からの人材も活用すること。

 八 縦割りを排除し、各府省の持つノウハウ、人材を総合的に活用して、復興局が中心となって迅速かつ円滑に復興を推進していくため、必要に応じて国の関係地方行政機関の職員等を復興局の職員に併任することを検討すること。

 九 復興推進委員会の委員の人選に際しては、地域、年齢、性別などを考慮し、多様な意見を反映できるように検討すること。

 十 災害廃棄物の処理、除染及び事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理が復興の前提であることにかんがみ、住民等への情報提供を的確に行うとともに、専門家の知見及びモデル事業を通じた新たな知見を最大限活用し、速やかに進めることとし、復興庁は、原子力災害対策本部と連携して必要な調整及び事業の推進を図ること。

 十一 復興庁設置法成立後、速やかに準備を進め、遅くとも平成二十四年三月十一日までには復興庁を発足させること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。東日本大震災復興対策担当大臣平野達男君。

平野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

古賀委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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