衆議院

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第3号 平成24年3月5日(月曜日)

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平成二十四年三月五日(月曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    市村浩一郎君

      太田 和美君    奥野総一郎君

      金子 健一君   菊池長右ェ門君

      沓掛 哲男君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    斉藤  進君

      階   猛君    白石 洋一君

      菅川  洋君    高橋 昭一君

      高松 和夫君    道休誠一郎君

      長尾  敬君    畑  浩治君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      室井 秀子君    柳田 和己君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    梶山 弘志君

      永岡 桂子君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    高木美智代君

      高橋千鶴子君   斎藤やすのり君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     大串 博志君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   復興大臣政務官      津川 祥吾君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     後藤 祐一君

  石原洋三郎君     道休誠一郎君

  辻元 清美君     高橋 昭一君

  中野渡詔子君     金子 健一君

  森本 和義君     奥野総一郎君

  谷田川 元君     室井 秀子君

  若井 康彦君     樋口 俊一君

  若泉 征三君     高松 和夫君

  加藤 勝信君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     森本 和義君

  金子 健一君     中野渡詔子君

  後藤 祐一君     石津 政雄君

  高橋 昭一君     辻元 清美君

  高松 和夫君     若泉 征三君

  道休誠一郎君     石原洋三郎君

  樋口 俊一君     小室 寿明君

  室井 秀子君     福田衣里子君

  永岡 桂子君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     若井 康彦君

  福田衣里子君     谷田川 元君

    ―――――――――――――

三月五日

 福島復興再生特別措置法案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 この際、津川復興大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣政務官津川祥吾君。

津川大臣政務官 このたび復興大臣政務官を拝命いたしました衆議院議員の津川祥吾でございます。

 私は、主に岩手復興局並びに青森事務所を担当させていただきます。被災地、被災者の皆様方にしっかりと寄り添いながら、平野大臣、副大臣をしっかりとお支えをし、一日も早い復興実現のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 古賀委員長を初め、各党理事、委員の皆様方の格段の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

古賀委員長 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。きょうはよろしくお願いいたします。

 おととい土曜日、仙台におきまして、きょういらっしゃいます平野大臣御出席のもと、二重ローンの買い取り支援のための支援機構がスタートいたしました。私ども被災地の各企業の経営者あるいは金融機関、この活躍を大変期待しております。

 ただ、その場、ちょうど私も出席した後、大臣がお帰りの後、村井宮城県知事に呼びとめられました。私は知事があそこまで、言ってみれば、目に涙をためながら、非常な強い語調で、言葉を荒らげて、かなり怒った状況でございました。それは何かといいますと、今回の復興交付金の配分の金額、これが余りに少ないということであります。

 知事が記者会見をされた内容をここでお話ししますと、県庁内での記者会見では、復興庁でなく査定庁だ、交付金なんかやめればいいと怒りをあらわにしたとか、あるいは、残念というより大変あきれる結果だとか、これは相当厳しい口調だと思っております。

 私も、知事の性格も知っていますし、平野大臣が今までしっかり頑張っていただいたことも存じ上げております。ただ、この期に及んでこのような、大切な国と地方との関係というのが、言ってみれば、かなり今この瞬間、ぎくしゃくしている。そして、この背景というのは、なぜ今回の復興の交付金がここまで、ある面では査定に差があるのか、ばらつきがあるのか。

 例えば、宮城では全体として五七%、申請の査定だったと思います。岩手ではたしか九八%、査定を受けていると思います。福島も五〇%強だと思っております。また、市町村を見ても、例えば宮城で、恐らく全国でも今回一番被害額が多い石巻では三一%、女川で四〇%、気仙沼でも四一%ということで、非常に県の間でも査定の率のばらつきがありますし、市町村間でも格差がある。これが恐らく、自治体はかなり不満の原因になっていると思うんです。

 まず今回、金曜日に発表されましたこの交付金の査定額、どうしてこのような差がついたのか、あるいは何が、例えば石巻なり気仙沼が悪いのでこのような査定になったのか、お伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 復興交付金、第一回でございますけれども、先週それを発表いたしました。

 それで、今委員の言葉の中で査定率という言葉がございましたけれども、私、この査定率という言葉は必ずしも正しくないと思っております。今回の場合は、あくまでも今の段階で、計画の熟度それから地域の状況を見まして、交付して執行でき得るという状況と判断されるところに交付をするということで、今回お金をつけなかったところにずっとお金をつけないということは意味しておりません。

 しからば、なぜこういう状況になったかといいますと、幾つかの要素がございます。

 一番わかりやすいのは、具体的な数字は申し上げませんけれども、例えば事業単価を一つとったときに、なぜこんなに高くなるのかわからないというのが幾つかありました。そういったものは、もうちょっと時間をとって検討させてもらえないかということで、今回は、調査計画費だけは計上しましたけれども事業費は計上していないというものがあります。

 それからあと、さまざまな計画の中で、例えば物をつくるときに、もっともっと集約した方が最終的に事業をやるときに効率的になるじゃないかというようなものについては、もうちょっと時間をとって、集約するという様子を見てから予算をつけるということで、つけないということではなくて、つけるに当たってもうちょっと検討させてもらいたいというものがあったということで、これが比較的多かったということです。

 特に、事業費はつけなくて調査計画費だけをつけたというものについては、今後計画が詰まれば事業費が確定しますから、それはこの交付金の中では対象になり得るということであります。

 要すれば、そこについては、計画の段階について、例えば特に被災の大きい自治体は、もうとにかく人手も不足している、ほかの仕事もやらなくちゃならないという意味において、今回の交付金を積み上げるときに、計画も必ずしも十分に見る時間が多分なかったかもしれません。一方で、比較的被害が小さくて計画をじっと見られたところについては、計画の内容も詰めているということで、今回事業費を積めているという性格もございます。

 これは、繰り返しになりますけれども、査定ではございません。そういった中で、むしろ私どもは、その市町村とともに計画をつくるという観点で臨んでいるということでありまして、そこについてのコミュニケーションはしっかりとっていきたいというふうに思っています。

 その一方で、どうしてもつけるのは難しいなというのもあります。その一つの例が学校の耐震化で、地域がその地震の中で被害が大きく出ていない、しかし学校の耐震化は必要だ、そういう要求であります。私は、学校の耐震化は絶対進めなくちゃならないと思っています。ただし、学校の耐震化を交付金の中でやるべきか、やらぬべきかという議論です。

 これは、これから地震が来るときに学校の耐震化を進めなくちゃならないというのは、宮城県の問題だけではなくて、例えば関東はこれから直下型地震が想定されます。東南海は三連動が想定されます。こういう中で、いろいろな公共施設、学校の耐震化をやらなくちゃなりません。そういう耐震化を進めるときに、復興交付金という、この目的のために増税までお願いしてきた交付金というのを充てるのがいいのかどうか、これについては私はまだ判断がつきかねております。

 こういった耐震化の問題につきましては、やはり私は、要するに別枠の予算の中で、全国的な観点から優先順位をつけてやっていくべきではないか、そういう思いを持っています。

 あわせて、道路の問題も、たくさん道路の要望が出てまいりました。

 道路も、復興交付金の中で、復興にどうしても必要なものというのは順次つけています。順次つけていますけれども、例えばほとんど被害が出ていないようなところで、地域振興のために道路が必要だというような要望も少なからずありました。こういった問題については、完全にだめだと言っていませんけれども、必要性、今回の交付金についての妥当性がどうかについてもうちょっと検討させてもらいたいという意味で、今回外してあります。

 学校の耐震化、公共施設の耐震化、繰り返しますけれども、被害が全く出ていない地域の耐震化、あるいは大きな被害が出ていない地域の道路の問題というのは、どちらかというと、いわば、他の地域との公平性の問題といわゆる復興交付金の性格の問題から、今ちょっと保留させているということでありまして、そういったことの積み上げの結果、こういう結果になったということでございます。

 繰り返しますけれども、査定という言葉は私は使いませんし、使いたくありません。これから地域の中でコミュニケーションを図りながら必要なものはつけていきますし、きちんと計画が固まったらどんどんつけていきます。

 特に私が今回の査定の中で急がせたのは、産業復興と住宅はとにかく徹底的につけろと。急がせて、計画で単価等々の問題があればそれはちょっと留保させてもらいますけれども、それはつけてもらいたいという話。それから、学校で被害を受けているもの、病院が被害を受けているもの、こういったものは最優先でやれ、こういったことも私の方からは強く指示を出しております。

小野寺委員 大臣、そういうのを査定というんですよ。

 単価が高いとか、集約化がもっと必要だとか、今さまざまなお話がありました、例えば道路がどうしてここで必要なんだとか。それは、地元の自治体が必要だからこういうものを整備してほしいということで上げているわけです。

 実は昨日、私は、石巻、女川、南三陸、気仙沼、この首長とも会ってまいりました。皆さんがおっしゃるのは、今回出した申請の事業というのは、これは全体ではないんだ、そして、計画したいものが十あるとすると、事前の話し合い、これも査定と言っていました、事前の話し合い、査定で半分以下に削られて、そしてその残ったものを出したんだけれども、それでも三割、四割しか査定されなかった、これが実は自治体の首長の、私に直接言った言葉であります。ですから、もし大臣がそれは査定じゃないとお考えであれば、その現場の担当者が実は厳しく査定しているんじゃないか。

 もう一つ、知事の会見の言葉があります。国が決めた四十事業に該当すれば自由に使えるのが復興交付金、該当しても認めないのであれば、全部国庫補助金にしてもらった方がよほど復興は早く進む、自治体を信用しないなら復興事業は全て国がやればいい、これが知事の会見での言葉ですよ。

 今、査定はしていないというお話ですが、市町村も都道府県も自治体で、無駄なさまざまな事業を上げるわけないじゃないですか。しかも、事前に復興庁の担当の方とお話をし、各五省庁の方とお話をし、そして絞って上げて、結果がこれだ。だから怒っているんですよ。だからこれだけの強い語気で知事が何度も記者会見をする。

 あしたは、知事と仙台の市長が多分大臣にお会いされたいというアポがあります。これは何をしに来るかというと、抗議をしに来るんですよ、抗議。要請じゃないんですよ、皆さん、抗議ですよ。こんなの初めて聞きました、私。せっかく今までいい関係で来ていると私は思います。被災地は与党も野党も関係ない。ですが、自治体の首長、知事と市町村長と、ここまで不信が募っているというのは、これはどこかやはり政府の中に、査定をするとか、あるいは制限をかけるとか、そういうものがあるから、ここまで強い語気になっているんじゃないかと思います。

 大臣、あした知事が来られます。市長が来られます。そのときにお会いになって、ぜひ胸襟を開き、また個別の事業に関してもしっかり話し合っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず、例えば災害査定という言葉がございます。災害査定は事業費を確定します。今回は、事業費の確定をするというところまでは行っていないんです。それを留保すると言ったんです。だから、つけたからといって認めるとか認めないというところまでまだ行っていません。

 それからもう一つ、復興交付金というものについては、特に先ほどの学校の耐震化なんかがそうなんですけれども、あと道路もそうなんですけれども、やはり、特に学校の耐震化というのは絶対必要なんです。絶対必要なんですけれども、例えば、被災地から遠く離れたところで地震の影響もない、そこで学校の耐震化をしたいというところと、例えば東京のどこかで耐震化をしたいところと、静岡県のどこかで耐震化をしたいというところと、これは条件は同じじゃないでしょうか。そういったものをどうするかということについては、きちっとやはり話をしていきたいということです。

 それから、あした市長と村井知事が来られるということについては、なぜこうなったかということは、懇切丁寧に一つ一つ取り上げて、こうこうこうですよといって、逆に私から聞いてみたいと思っています、これはどのように判断すればいいでしょうかということで。

 そういうことで、最終的に、今回の中で、私は査定という言葉を使いたくないと言ったのは、事業費を確定して、これはだめよということでやったというものばかりではないということなんです。

 それからもう一つは、上げてきているものについての必要性は全部わかります。だから、私は、気持ちの上では、無駄なものはつくらないというのをやるべきだ、そういう気持ちで査定してもらいたいということは言っていますけれども、この無駄なというのは、どちらかというと優先順位の問題と、あと単価等々の問題については、これは後で、きょう委員会だから言いませんけれども、数字を見たらびっくりするようなものがありますよ。こんなものに本当につけていいのかというのもあります。それに対して私は、担当省庁、各省庁を呼びました。この省庁の人が査定するときに、あなたはこの数字でいいのか、これにお金をつけたときにほかの地域との差というのはどうやって説明するんですかと。黙りました、その担当は。

 それは、自治体から言われたときに、はいはいと言ってお金をつけていたら、例えば、場合によったらそこの中で議論しないで済むから、あつれきが生じないんですよ。あつれきは生じないんだけれども、今この段階で単価を見て、余りにも高いということについてはチェックを入れるというのは、これは私らとしての責務だと思います。

 だから私は、査定の中で言っているのは、今は災害の異常時だ、異常時だからできるだけ余計な議論はするなと。するなと言いながら、使う方にも責務もあるし、お金を出す方にも責務はある、そこの部分の最低限のものはやっていかなくちゃならないという意味において、今回の部分については、まずいろいろなものが出てくるけれども、わからないものがあったら今回は次のものに流せという形で、今回の場合は各役所の職員に指示を出したというのも事実でございます。その点も、あしたは村井知事と仙台市長にはきちんと説明したいと思います。

小野寺委員 言葉尻を捉えるわけではないんですが、大臣の答弁の中で、何度も査定、査定という言葉が出てまいりました。

 大臣の言いたいことは理解はいたしますが、ではもっと確認をいたしますと、今のお話でいうと、上げてきた計画で、自治体によって例えば単価が余りに違うとか、あるいは今までの国の事業の中で、この事業というのはこういう形で本来できるような状況なのにそこがかなり違う、言ってみれば高目のボールが相当出てきているところもあるからそこを確認したい、そういう意味で今回は留保したということでよろしいんでしょうか。

平野(達)国務大臣 そういうものもあります。

 それから、あともう一つ、繰り返しになってはあれですけれども、復興交付金として、必要性はわかるんだけれども、これを使うべきかどうかについてはもうちょっと考えさせてくれ、なかなか慎重にならざるを得ないというのと、この二つがあります。

 どちらかというと、前者の方が私は多いと思います。

小野寺委員 いずれにしても、これはこの事業に該当すれば自由に使えるんだと期待を自治体がして今回申請した中で、相当そうやってはねられたり採択が低かったりということ。この申請までにかなりの時間もありました。通常であればこの間に、そこは事前の事務協議で、是正をした方がいいとかやりとりがあったらいいとか、そういうことが普通だと思うんです。ところが、今回知事が怒っている一番の理由は、突然数字だけ来たというんですよ。事前に、これはこうで、これはこうでというのがない。そして、市町村長にも私は回って聞きました。みんな、事前に、これがこうで、これがこうでという納得のいく説明がなくて結果がどんと来た、だからこれは何なんだと。これが、きのうおととい、私が聞いた声です。

 やはり、相手が納得するような説明、あるいは、ここはまだ途中なんだ、後でこれはちゃんとお互いに協力して埋められるんだ、そういうことをお互いに話し合ってやっていただかないと、結局不信感だけが募ると思います。

 今回は、そういう意味で、唐突に数字だけがどんと出て何の説明もないということであります。これは県だけではなくて、各市町村、せっかく現場の事務所もできました。そこに早急にこの内容について説明をさせ、そしてまた、お互いに言い分があると思います、相手の言い分も聞くことをお約束いただきたいと思うんです。

平野(達)国務大臣 出されたものに対してさまざまな問題を指摘するときは、なぜそうなのかということをちゃんと説明しろということは、私も随分申し上げてきたつもりですし、そういうことが徹底していないとすれば、これは再度徹底させます。

 それから、ちなみに交付金チームは今、各市町村をきょうから回り始めています。今回の経過について、なぜこうなったかということを再度説明するということで、今歩いているはずであります。

 今の前段の問題、そういうことで、突然ということであったとすれば、これについてはしっかりもう一回職員に徹底させたいというふうに思います。そういうことのないようにさせたいと思います。

小野寺委員 ぜひ、新聞紙上に出る前に当事者の方々には納得のいく説明をしないと、やはりこういう中央、地方のあつれきが生まれてしまうと思います。

 もう一点、これも知事の記者会見、それからこれはほかの市町村長からも同じことを言われています。復興庁との協議で、国庫補助金の申請時を上回る量の資料を求められ、県も市町村も混乱したということ。通常の国庫補助金の三倍の資料と、場合によってはヒアリングを求められて、ただでさえ自治体の職員は手薄で大変なのに、通常の補助金の三倍の資料の提出を求められる。こんな悪口を言う方もいました。役所の外は瓦れきの山、そして役所の中は申請書類の山。職員は疲弊している。寄り添うという言葉であれば、なぜもっとこの書類の簡便化というのができないのか。

 大臣は、どのぐらいの量の書類を求めているか、ヒアリングを求めているか、多分、現場で担当はされていないと思うんですが、実際、これは県知事も市町村長も同じことを言っているんです。ですから、お一人の意見ではないと思うんです。資料の簡便化、これがないと、何のための交付金かというのがわからない。むしろ国庫補助金に戻してくれ、こういう声も上がるぐらいです。

 ぜひ、そこの現状がどうなっているか、改めてお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 その三倍とかというのは、本当にもしそうだとすれば、徹底的にこれは状況をもう一回確認して、そういうことがないようにやらなくちゃならないというふうに思います。

 できるだけ提出資料は簡略化するように、審査についても、先ほど、冒頭申し上げましたけれども、今回は大震災だということを頭に置いているということでやらせていただいていますけれども、今のようなことを御指摘を受けましたので、もし差し支えなければ、どこの地域でそういうような話が出てきたのか、後でもいいですから教えていただければ、きっちり、現状を見て、是正すべきはしっかり是正したいというふうに思います。

 それから、ちなみに、一事業四十事業で、これが面倒だという話がございますけれども、これは地域戦略交付金では十幾つの事業を、いわゆるバンドルというか束ねているんですが、これはこれで結構、県からは評判は決して悪くないです。今回は四十事業を束ねて一つの手続でやれるということについては、ある意味においてはこれは画期的な制度だというふうに思っていまして、これを担当者が言っておるのか首長さんが言っておるのかで判断が違うと私は思うんですが、本当に、どこが、今までの、手続上不便だとかということについても、もし具体的にあれば、後で教えていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 私は陳情書とかをもらって、そこにもみんな書いてありまして、恐らく役所の部内で積み上げて持ってきている話ですから、決して印象でお話をされていることではないんだと思います。実態がそうだということ。

 そして、何度も言いますが、こんなことで、せっかくの国と自治体との信頼関係を壊してほしくない。復興が遅くなるのが私どもにとっては一番困りますので、ぜひここは速やかに関係修復をしていただいて、お互いに胸襟を開いて、何がこういう問題なのかということをきちっと精査して。

 お願いしたいのは、やはり寄り添うということですから、相手が不足して足りなければ、それは、大きな被災を受けた石巻とか、人手も足りないと思います、そうしたら、そこでいい答案を書くまで何回も試験させるんじゃなくて、むしろ、こうすればいいんじゃないかと導くとか、そういうような対応でしていただかないと、復興は前に進まない。

 そして、これは本当にびっくりしたのは、知事は最後に、記者会見じゃないけれども、こう言っていました。これだと決定的に復興は遅くなると。ですから、言葉にできないような雰囲気が実際ございました。そこをもう十分お酌み取りだと思いますから、どんどん現場にそういうことを周知していただきたいと思っています。

 さて、ちょっと具体的なことをお話しします。

 これは何度もこの場で取り上げさせていただきましたが、今、集団防災移転、これの計画をずっと詰めております。そして、集団防災移転で、例えば低い土地の問題については、ここは、もしかしたら、今、買い上げ。買い上げの単価がいずれ示されると思いますが、岩手県では、一部、もとの価格の七割程度、そういう数字も聞いております。

 そして、この防災移転で対象になるのは、あくまでも、例えば低地ゾーンとか、そういう防災移転で移転する場所であって、かさ上げを初めから予定されるかさ上げゾーン、こういうところについては集団防災移転の買い上げの対象にしない。

 ところが、今まで、この震災以後、地域住民の方が集まって、そして、この地域はコミュニティーを維持するためにそのまま高台に移転しましょう、そういう合意が大体できています。合意ができている中で、あるとき、ここは低地ゾーンでかさ上げしないから集団防災移転でさまざまな事業を受けられます、でも、ここはかさ上げするので事業は受けられませんと、言ってみればグループの中が、半分に真っ二つにされて、そして今ぎくしゃくしているところがたくさんあります。

 そして、もっと言うと、集団防災移転で対象になっていないかさ上げ地域においても、かさ上げするのにどのぐらい時間がかかるかというと、四、五年かかるという場所もあります。そうすると、四、五年は家が建てられない。それだったら、私たちはコミュニティー維持のために集団防災移転で早目に高台に一緒に移りたい、こういう希望者に対して、これはやはり、もともとスタートした時点で集団防災移転でグループを組んでいますから、そういう方を対象にしていただく、こういう運用というのはできないんでしょうか。

平野(達)国務大臣 個別の地区のことで、多分いろいろなそこの状況によって対応の方針が違ってきたりするんだろうというふうに思います。

 この点については、小野寺委員、前回も予算委員会で指摘いただいた問題でありますけれども、これは個別の具体の地区をもうちょっと私どもで精査させていただきまして、国交省とも連携をとりながら、どういうことができるかということについて、至急方向性、結論を出すようにしたいというふうに思います。

小野寺委員 それから、例えば被災者の市街地の土地区画整理事業、これもございますが、この中で、換地によって、道路用地以外の建物について安全確保のためにかさ上げがどうしても必要だ、その場合の、例えば移転が不可避な場合、こういう場合の移転補償費というのはこの交付金の対象外ということになっています。

 そして、恐らく今後、この土地区画整理事業というのは、権利関係の調査が相当たくさんになります。この権利関係の調査費というのはこの事業の対象になっていません。この事務費も交付の対象にしていただかないと、結局、これから土地区画の権利事務で、それぞれ家屋調査士さんなんかに頼んでやらなきゃいけない。これは事務費の対象になっていないので、対象にしていただきたいと思うんです。

平野(達)国務大臣 今のお話を聞く限りにおいては、そういう調査というのは、いろいろな事業をする上での絶対必要な調査でありますよね。そこに対して、いわゆる全体の事業費の内数に入っていない、具体的に言えば、国の負担の対象になっていない、補助の対象になっていないというのは、ちょっと私も理解できない話だと思います。

 そういう権利関係の調査とかということですね。そこは、すぐ検討させます。

小野寺委員 具体的に自治体から上がってきている話なので、ちょっと精査をして、もしそうであれば、やはりこれは、そういう事務費もしっかり出すようにお願いしたいと思います。

 それから、これも前にちょっと質問させていただきましたが、津波復興拠点整備事業、これは全体を一度買い上げるという、大変重要な有効な事業です。ですが、各市町村一律で二地区、一地区二十ヘクタールという制限があります。市町村といっても、例えば石巻のように合併して大きくなった市町村もあります。また、もともとの小さな町もあります。そうすると、この津波復興拠点整備事業というふうに考えても、町によって何カ所かどうしても必要な場所と、一カ所で十分大丈夫な場所があります。

 ぜひ、全市町村一律の、二地区まで、一地区二十ヘクタールという制限は、これは緩和していただいて、合併で大きくなった自治体については、旧自治体ごとに、旧市町村ごとにそれぞれやはり必要なところも出てまいりますので、ここの検討はいかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 小野寺委員の質問の意味、よくわかります。その地域の実態に合わせた運用をすべきだ、そういう御趣旨だと思います。その問題もあわせて、国交省とすぐ詰めさせるように私の方からまた言いますので。

小野寺委員 それから、今回、さまざまな支援事業で助かっている部分もあります。中小企業のグループ化の補助金とか水産庁の共同利用施設復旧支援事業とか、そういうさまざまな事業整備があるんですが、実はこの場合、当然、建物だけじゃなくて土地のかさ上げ、これも補助対象にしていただいています。

 ただ、この補助対象になるのは建物の本体自体だけのかさ上げであって、例えば車が入ってくる玄関のエントランスのところとかあるいは駐車場とか、こういうところは、実は全体が一メートルぐらい水没しています。ですから、これをかさ上げしないと、別に高くするわけじゃなくて、一般の高さにするだけで相当の事業費がかかります。

 私は、過分な駐車場とか玄関とかが必要だとは言いませんが、少なくとも、建物のかさ上げ代だけあって、そこに通じる、例えば誘導の道とか前の駐車場とか、そのかさ上げが対象にならないのでは、これはなかなか復旧は難しいと思うんです。

 過大ではなくても、せめてその周辺の土地、エリアのかさ上げについてもこの対象にしていただくことはできないでしょうか。

平野(達)国務大臣 それについても、気仙沼市さんを初め、個別の御相談を受けております。とにかく、基準は基準なんだけれども、それをやることによって施設全体が使えないとか効果が発揮できないということであれば、多少そこは斜め読みしてもやるべきだというようなことは、私も指示を出しております。

 そういった個別の具体の話はその地区地区ごとによって詰めさせていただきますから、図面を持ってきて、こういうところはどうだという話については、私どもも、鋭意、被災者というか再建事業者の立場に立ってとにかく判断するように心がけるよう、再度徹底させたいというふうに思います。

小野寺委員 例えば、水産加工物とか加工品を出したり入れたりするときも、大きなトラックが着いて、そして、そこから荷おろしをしたり直接加工場に運んだりするんですが、当然、そのトラックのトラックヤードみたいな、過大なものじゃありません、普通の取りつけのものとかそういうスタンダードなもの、最低限の駐車場、こういうエリアはやはり工場一帯の敷地ということで、ここのかさ上げの費用が出ないと、結果として、ほかは全部水浸しで工場だけが建っても運用ができないということでは大変困ると思います。

 さらに、今回の事業の中で、特にグループ化補助金、グループ補助金については要求が今でも大変高い状況にあります。当初は、水産加工とかさまざまな造船とかそういうことに出ましたが、例えば、それを支えるバックヤードとして、宿泊施設とかあるいはその関連の販売店、お魚を売るお店、そういうものもあわせてグループ化の補助金の対象にしてほしいとたくさんの要求が来ています。

 ただ、今回、当初予算では約五百億の予算というふうに聞いております。これは、地元のさまざまな意見を聞いても、足りないんだと思います。当初予算に入っていなければ、これは要望ですが、今後、さらに予算要求ができるような、そういう時期になりましたら、このグループ化補助金については経産省と協議してどんどんふやしていただきたい、これが地方の声ですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 私は、地域の産業、被災した産業の復興というのは今回の復興の鍵だということは何回も申し上げてまいりました。その中で、グループ化補助金が非常に引っ張りだこであるということについては、これは地域がやる気があるということでありますから、肯定的に評価すべきだし、である以上、必要な予算はできるだけというか徹底してつけておくということについては、これからもその姿勢を持って、中小企業庁、財務省と当たりたいと思います。

 ただ、今のお話の中で宿泊施設ということがございましたけれども、これは今、実はいろいろ検討させていますけれども、ちょっと難しい制度等の壁にぶち当たっている面もあります。あと、そのほかのいろいろな販売等々の問題につきましては、これは要するに、全体の流通というか、例えば、揚がってきた魚を加工してその場で売るということは地域全体の一つの復興の鍵になってくるというふうに思いますので、できるだけそういったことも読めるように、私なりにもしっかり対応したいというふうに思います。

小野寺委員 例えば、漁港によっては、一カ月なり一年なりの長期の航海を何回も繰り返す、あるいは数週間の航海を繰り返す、こういう船がたくさん出入りしています。そして、そこの乗組員の人たちは、船が寄港してそこで何日間か休養をとるときには、宿泊施設に上がって、そして休養をとる、こういうのが通常の状況です。ですから、決して何かそれが全然別な仕事というわけではなくて、関連性があることは実際知っていただきたいと思っております。

 さらにもう一つ。今、復旧復興するに当たって、多分、いろいろな地域からも同じ答えだと思いますが、宿泊施設が足りない、泊まるところがない。

 この一つの提案として、おかげさまで今、仮設住宅がたくさんできました。そして、これから半年なり一年すると、皆さんそれぞれ、自分で家を建てたり、あるいは自分の家を修復したり、さまざまな形で仮設住宅を抜けることもございます。一義的には、今の借り上げ住宅、みなし仮設の方がそこにまた入っていただくということになりますが、場合によっては、今後その施設に余裕が出てくる場所も出てきます。今、仮設住宅で余裕がある、あきがあって希望者がない場合には、例えば派遣職員の方の居住に使うとか、あるいはNGOとかNPOの方には使わせるということをやっているんですが、今後、復旧復興の中で工事の作業に当たる方、長期滞在する方、こういう方が出てきたとき、実はこういう方の宿泊施設が現地にはありません。

 これは多分厚労省の関係にはなるんだと思いますが、トータルとして復旧復興での宿泊施設、これはいろいろな自治体で要望が出ていると思います。今後、仮設住宅がかなり余裕が出てきて、そしてあいているような状況、もちろん、仮設ですからいつまでもいてもらう必要はないので、どんどん自分で住家を見つけたり、建て直したり、修復して、出ていただくのがいい話です。あいた場合の運用について、ここをそろそろ検討していただいて、例えば、復旧復興の工事の作業の方が長期になる場合、これは当然、自治体にお任せして、ある面で弾力的な運用ができるような、そういう検討をお願いしたいと思うんです。

平野(達)国務大臣 仮設住宅については、今の段階では、仮にあきが出た場合には、例えば派遣職員あるいは市町村の臨時雇用の職員、こういった職員の宿舎として使えるということで、ちょっと若干正確性を欠くかもしれませんが、厚生労働省からもう既に通知はなされております。

 問題は、建設労働者ということなんですが、現段階ではここまでは難しいということになっておりますが、これから建設労働者の数がどんどんふえていく中で、宿泊所の不足というのは、多分さらに大きな問題になりかねない可能性を持っています。そういう中で、使える施設はやはり使うという発想も大事だというふうに思いますので、今の委員の御指摘を踏まえた検討は引き続きやっていきたいというふうに思っております。

小野寺委員 特に被災した地域、例えば石巻の半島部とか、気仙沼の方でもそういう半島部、そういうところは内陸からも相当遠い場所になります。そこに復旧復興のために通うだけで片道二時間とか二時間半とかかけてしまうと、仕事になりません。そういう意味で、今後余裕が出てきたときの弾力的な運用、最終的には仮設住宅は、それを処理するか、あるいは自治体にこれを譲渡するか、最後にそういう判断になると伺っておりますので、ぜひ、ちょっと前倒しして自治体に管理を任せるとか、そういうことを検討していただければと思います。

 さて、これも何度も多分陳情が行っていると思うんですが、基本的に今一番必要なのはマンパワーです。特に、行政の技術職の方、都市計画がわかる方、あるいはさまざまな発注業務ができる方、こういう方が決定的に今不足をしております。全国から今、確保をお願いしていますが、やはりそれぞれ自治体も行政努力をされて人数をずっと絞ってきている、なかなかこういう技術系の職業の方が少なくなっている。そこを何とか手当てできるような、こういう方策はお考えでしょうか。

平野(達)国務大臣 市町村行政のこれからかなりの増大、それは公共施設の災害復旧あるいは新しいまちづくり、さらには心のケア、それから雇用対策、さまざまな仕事が一気に被災自治体にのしかかってまいります。

 今、絶対的マンパワー不足というのは昨年から徐々に顕在化しておりまして、今のままでしたらこれからさらに大きな問題になるということで、私どもも、地元の要請を踏まえながら、市長会、町村会、知事会あるいはURの職員の活用等々も含めて、いろいろな観点から職員の確保に努めております。まだまだ今の自治体の要望には満ちていないという状況でございますけれども、引き続き、これは大きな課題として取り組んでいかなければならないというふうに思っています。

 あわせて、私は、これから発注の方式につきましても、地元の業者を使うということは基本でもございますけれども、できるだけ大きなロットにして発注していく、そういった観点もやはりあわせて必要ではないかというふうに考えておりまして、そういうこともセットで関係省庁と議論しながら、それから被災自治体とも意見交換しながら、あわせて考えていくことも大事ではないかというふうに思っております。

小野寺委員 次に、二重ローンのことについてちょっとお話をしたいと思います。

 今回おかげさまで、きょうでしょうか、スタートする支援機構、これでいわゆる事業主のさまざまな債務については買い取りをし、再生に向けて支援をするということがスタートすることになりました。これは一つ大切な方針だと思います。

 さて、その中で個人の方、個人の住宅ローン等の二重ローン、この整理については今どのような対策になっているでしょうか。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどお話がありましたように、事業者の皆様等に対しては、東日本大震災事業者再生支援機構、その機構が立ち上がりました。二重ローン問題を担当していくのと、各県における復興の、これも機構がございます。こういったところで対応していくものがございます。

 一方で、住宅ローンなどを含む、個人の皆様への二重ローン問題等々への対応については、まず一つには、震災直後に、金融機関に対して金融庁の方から、返済猶予あるいは金融上の措置を適切に行うよう、こういった要請を発出してございます。さらには、こうした中で、被災三県における金融機関による返済猶予や貸し付け条件の変更等の実績は、直近では、中小企業向けだけではなく、個人の住宅ローン向けにおいても行われておりまして、返済猶予等の申し込みを受けて実際に返済猶予を行った割合というのは大体九割ぐらいというふうに私たちは見ておりまして、この債務者の皆さんのニーズに応じて返済猶予の措置が講じられるようなことをやってきているつもりでございます。

 さらには、先般来、各種委員会でも御議論いただいておりますけれども、支払い困難な個人の債務者に対して私的整理による元本の債務の免除が可能となるよう、私的整理ガイドラインが策定されているところでございます。

 さらにこのほかには、個人による住宅取得に対して、住宅ローンに係る施策として、住宅再建のための被災者生活再建支援金あるいは被災者の新規住宅ローン対策、住宅金融支援機構の融資を行う、あるいは地方公共団体による利子補給、こういった制度を設けておりまして、こういったことを通じて債務者の皆様に対する対応をしていきたいというふうに思っております。

小野寺委員 大串さん、この実態を知っていますか。

 お金を借りました、一年間、返済猶予していただきました。そして一年後、支払いが始まる。そのときに一年分の利子、これが一回に請求が来る。例えば公庫から五千万借りていた、金利三%、一年間猶予していただいた。一年分の金利が三月に一気に百五十万かかってくるわけですよ、一回で払えと。

 この実態を知っていましたか。

大串大臣政務官 確かに、当初、返済猶予等、金融機関に要請をしたのは、返済の繰り延べといいますか、猶予でございます。貸し付け条件を変更しない限りは、御案内のように、貸し付け条件はそのままでございますので、一旦猶予したものが、その後、貸し付け条件として実現してきますので、それに対しての返済義務が生じてくるということは事実でございます。

 さらに、それに応えるために、今申し上げましたように、単なる返済猶予等のみならず、貸し付け条件の変更ということも各金融機関でもしっかり行うような体制になってくるように、私たちとしても金融上、監督上の対策を行っておりまして、貸し付け条件を変更した住宅ローン債権、債務者及び債権額というのも、約定返済を一時停止しているというものと同等の件数が生じてきているというふうに理解しています。

小野寺委員 多分、大串さん、実態をよく知らないから、そういう読んだものしかないんですよ。

 もう震災からちょうど一年ということは、金融機関は、一年間は待つけれども、そろそろ返してくれるか整理をしてくれるか、そういう決断をたくさん迫られている。そして、返してもらうとき、みんな猶予だと思っているから、ああ、猶予してもらったんだ、ありがたいと思うけれども、実は猶予している間の利子は全部かかってきて、そしてまとめて一年分、どさっと来るんですよ。こんなの返せるわけないじゃないですか。

 それから、もう一つ改めてお伺いしますが、私的ガイドライン。私的ガイドラインというのは冷たい言葉ですよ。あなたは自己破産してもいいよ、借金全部、私財でチャラにしていいよ、そのかわりブラックリストに載せませんよ、これが私的ガイドラインの実際の姿じゃないですか。

 これでうまくいく、そうお話しされていますが、私、この間調べてみたら、私的ガイドラインを含めたこの二重ローン、個人の方の二重ローン、これは、申請、問い合わせが約二千五百件以上あると言っていました。そして、今のところ、私的ガイドラインで成立したのは、一年間たって三件ですよ、三件。このうち二件は車のローンの話。住宅ローンは一件だけですよ。こんな状況で、もう三月、一年たつ。企業は企業で今回、いろいろな支援機構ができました。だけれども、そこで個人が今、置き去りにされている、だから、ここで手当てしないと大変だ、そういうお話をさせていただいています。

 この私的ガイドライン、これだけでは不十分だと思うんですが、いかがですか。

大串大臣政務官 個人の債務を負っていらっしゃる方々への対応ですが、私たち監督当局としても、金融機関に対して、最大限の対応ができるようにという監督上の対応は続けていきたいというふうに思います。

 一方で、個人の方で約定返済を先ほどの要請に応じて一時停止されている方々、これは債務者数で、昨年の十一月末現在ですけれども、住宅ローンでいうと約二千件、二千債務者の方々がいらっしゃいます。一方、約定返済の一時停止のみならず、正式に条件変更を契約された方、一歩進まれた方ですね、この方々が住宅ローンで三千八百名ほどいらっしゃいます。合わせて五千八百名ほどいらっしゃるというのが、ある意味、今顕在化しているいわゆる債務に関する約定返済の一時停止もしくは条件変更ですね。

 それに対して、今どれだけの動きがなされているかということですけれども、これは完全に一対一のマッチはしませんけれども、私的整理ガイドラインの利用に関して個別の相談があったのは、先ほど……(小野寺委員「いやいや、相談じゃなくて、最終的に今決着したのは何件かと聞いているんです」と呼ぶ)個別の相談のあった千六百六十九件のうち、確かに、最終的に私的整理ガイドラインで債務の整理というところまで行ったのは三件であります。

 しかし、そこに至る過程として、申し出に向けて、登録専門家の紹介を行って準備中の案件が三百十二件あります。それからさらにもう一歩進んで、債務整理開始の申し出が行われた件数が百三十九件あります。これを合わせて四百五十一件でございまして、先ほど、私、約六千名ほどの方々が約定返済の一時停止もしくは貸し付け条件の変更と申し上げました。一対一対応はしませんけれども、そういったオーダー感の中で、今四百五十一件の皆様が債務整理に向けて手続をしていただいています。

 私たちとしても、できるだけこれを迅速に進んでいってもらえるよう期待しながら、監督上の対応もしっかりしていきたいというふうに思います。

小野寺委員 債務整理というお話がありました。今回、防災集団移転、そして、今回住めなくなった土地を、これは自治体が国のお金を使って買い上げるということに多分なるんだと思います。そこで、自分のもとの土地を売ったお金で高台に土地を求めて家を建てる。そして、ここに支援金が加わって、何とか自分は新しい家を持てる、そういうふうに多くの方は思っていると思うんです。

 お手元に資料をお配りしています。これは、先ほど言ったガイドラインに沿って私的整理をした場合の弁済のフロー図です。

 ここで左側、資産。土地、家屋、車(二十万円以上)、預貯金、現金、こういうものを含めて、これは返済に充てられる。手元に残せるのは現金と預貯金。そして、もし車が百万の価値がある車だったらその分は差っ引いて、最終的な資産は五百万までは持っていい、だけれども、それ以外の、土地は全部ローンの返済に回せよ、これが今回の政府で拡大しましたという五百万の拡大の現状ですよ。

 ということは、仮に、もし今回津波に遭った自分の土地が、もう家が流されて自分の個人資産は土地しかない。でも、手元に数百万のお金もある。この土地を売ったお金で何とかもう一度再建したい、土地を買って家を建てたい。こういう防災移転の考え方、あるいは個人の再建の考え方、みんな土地のお金を当てにしている。だけれども、この方にローンが残っている場合、この土地はローンの返済に回っちゃうわけですよ。土地のお金はローンに返済され、手元に残るのは車の価値と現金と預貯金を合わせて五百万だけ。これでどうやって新しく生活再建できますか。

 この間、財務金融委員会で政府系金融機関の方に聞きましたよ。あなた、この条件の方にお金貸しますかと。答えは、返済できませんので貸せませんですよ。

 私は今回、多くの方がもしかしたら、きょういらっしゃる委員の方も何となく、土地があるから、それを今回、防災移転を含めて、使えない土地は自治体が政府の支援を受けて購入し、それは満額じゃなくても七割か八割で買って、その原資をもとに高いところに土地を買い、家を建てられる、どうもこういうイメージを持っていらっしゃると思うんですが、今のスキームでいうと、ローンが残っている方は、売った土地はローンの返済で取られてしまう。これではあんまりじゃないですかということを改めてお伺いしたいと思います。

大串大臣政務官 先般の財務金融委員会においても同様の御指摘をいただきました。論点として、私たちも非常に感じ入るところがございます。

 一方で、先ほど、住宅ローンを組んで土地建物を取得されたというふうな話がございました。先ほどいただいた資料にも、負債と資産の図がございます。

 そのような場合を考える際に、一つには、例えば土地や家屋を取得するに当たって、借入金という形をとって取得された方、あるいは、別途借入金という形をとらないで現金で取得された方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、最初は借入金で取得したけれども返済を終えたという方もいらっしゃるかもしれません。そういう方々は、借入金という部分がなくて土地家屋だけが残っている。こういった、債務者の方、あるいは債務者でない土地家屋の保有者の方々の公平性、バランスという問題もございます。さらには、民間金融機関の貸付原資も、もともとは地元の預金者の皆様から預けられた預金でもございます。これも確実に守っていくという責務もございます。

 こういったバランスの中から、返済の可能性があるところに関しては一定の返済をお願いするような形にしていかなければならないと思いますし、そのバランスの中での考えでございます。

 いずれにしても、復旧復興の中で被災者の皆さんの生活、事業が再建できるよう、資金需要に適切に対応できるような監督は今後もしてまいりますが、そういった難しいバランスの中での考慮もあるということを御理解いただければと思います。

小野寺委員 大串さん、借金していない人は借金している人に比べて、何かの債務整理が行われると不公平になるからということであなたは言っているでしょう。これは津波の被災者だよ。

 こんなことを言いたくないけれども、あなたたちは選挙のときに、子ども手当だって高校無償化だって年金だって、所得制限なんかつけていないじゃないですか。何で被災者の再建で、住宅ローンに苦しんで、なけなしの土地を売るお金、これを銀行が持っていくこと、何でこういう人を救わないで別な人を救うんですか。おかしいじゃないですか。本当はこの人たちは何の罪もないんですよ。津波で被災して、地震で被災しただけなんですよ。その人たちのローンは今までのスキームと何も変わらないで、なけなしの土地を売ってようやくこれでと思ったら、それは負債で持っていきます、これはひどいんじゃないか。

 だから、何か考えてくださいよ。あなたの後ろにいる人たちから出される紙を読んでほしいわけじゃないんですよ。お願いしたいのは、せっかく政府の立場にいて、そして弱者とか生活者とか、そういう人のために政治をやると言ってきているじゃないですか。そのことには同感するんです。そして、今一番困っているのはこういう人たち。だから、文句を言うんじゃないんです、考えてほしい。何か知恵を出してほしい、何か考えてほしい、もう少し何か考えてほしい、そういうことでお願いをしたいと思います。

 追及ではありません。ぜひ、もう一度、中に戻って、この不都合な問題、何かが対応できないか、その再検討をいただくことをお約束いただけませんか。

平野(達)国務大臣 被災者が自立していただくということが基本でございまして、その中には、家も、それは災害公営住宅なのか一軒家なのか、人によって違うと思いますが、それはしっかり持っていただかなくちゃならない。それから、雇用の場もしっかり確保しなければならない。これは我々の責務だと思っています。

 この中で、例えば、土地を売って、結果としてそれで住宅が手に入らないというようなことがあれば、これは我々の今やろうとしている復興の意図とは全然違う結果になりますので、今の委員の趣旨も踏まえまして、この問題はしっかり、何かという話でございますけれども、しっかり検討したいというふうに思います。

小野寺委員 皆さんにお配りしたこの私的整理のガイドラインというのは、これは特にこの震災復興のためにつくられたガイドラインではないんです。旧来のさまざまなガイドラインの中で、ある面ではそのままスライドしたガイドライン。ですから、震災復興の知恵をもっと出せるはずだ、そういう思いで、きょうはこの点を指摘させていただきました。

 さて、今被災地がどうなっているかということなんですが、日中は、実はさまざまな方が出入りをしています。何となくにぎわったように見えています。それはなぜかというと、復興のためのボランティアの方が入ってきたり、さまざまな自治体の支援の方が来たり、あるいは視察の方も来ています。工事関係の方も来ています。ですから、何となく、今被災地は少しは元気があるのかな、そんな雰囲気はあります。

 ただ、よく見てみると、もともとの住民は、かなりの人がもう既に町を去っています。特に一番顕著なのは若い人たち、これからの復興の担い手になる人たちが、復興が遅ければ遅いほど、新しいつち音が見えなければ見えないほど、この町を離れていくんです。自分のふるさとを離れていくんです。自分の友達や同級生やその子供たちが転校しますとか、あるいは町を離れますとか、そういう挨拶とか挨拶状をもらうたびに、本当に心が寒々とする思いがします。亡くなった方の数だけじゃないんです。離れていく方が日増しに日増しにふえている。これが被災地の現状です。

 そして、全国からさまざまな方が支援に来てくれるから、何となく気持ちが高揚しています。でも、これもだんだんに静かになっていく。そのときに初めて、私ども被災地、つらい思いが増してくるんだと思います。

 間もなく震災から一年が過ぎようとしております。そして、さまざまな思いで今地元で仮設住宅で暮らしている方がたくさんおります。一日も早く復旧復興していただきたい。

 ですが、その陰には、支援もありがたいと思っているんです。お金を、きょういらっしゃいます国家公務員の皆さんの給料の部分で、今回は、私ども被災地に向けていただけるというお話もしていただいております。被災地の人たちは頭を下げています。だからこそ、早く復旧復興して、もう一回納税者になって、そして皆さんの給料がもう一回上がるように、しっかりもうけて、納税者としてお返しをしたい、そういう思いで、今こうして現地で歯を食いしばって踏みとどまっている多くの事業主、被災者がいるということ、それをぜひ意識を共有していただきたいと思っています。

 あしたは、恐らく知事が来て、大臣には多少厳しいことを言うかもしれません。ですが、お互いの信頼関係のために、ぜひしっかり話し合っていただきたいと思っています。

 最後に、この復旧復興に向けて、改めて大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 今、小野寺委員が言われた被災地の状況、そういう状況、小野寺委員の思い、どこまで同じレベルかというのは私から断じることはできませんが、同じような気持ちを持っているのではないかというふうに思います。

 いずれ、おくれればおくれるほど若い人たちは離れていくかもしれない、離れていけば地域が成り立たない。だからこそ、復旧を、復興を急ぐ。その鍵は、働く場であり、住宅であり、そして地域全体の活性化だというふうに思っております。そのために、とにかく全力を挙げてこれから取り組まなくちゃならないというふうに思いますし、引き続きまた小野寺委員とは、委員は被災地の出身の議員ということもございますけれども、さまざまな御意見あるいは御叱咤いただきながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小野寺委員 大串さんにもお伺いをします。

 きょうお話をして、恐らく私どもの気持ちが少しは伝わって、考えていただけるんだと思っています。

 事業主は、今回の支援機構ができて、そしてある面では金融機関と相談をして、その負債を一定期間買い上げてもらい、将来、復旧できたらお返しをする、こういう制度があります。ですが、個人には、あくまでも私的ガイドラインということで、債務整理はちゃんとしてね、そして残った五百万ぐらいのお金だけは持っていいよ、こういう対策なんですよ。

 事業主も大切、企業も大切、でも、そこで生活している個人は、私はもっと大切だと思います。ぜひ、今回のこの二重ローン、個人に対しての制度、これを改めて検討していただくことをお願いしたいと思って、御答弁を求めたいと思います。

大串大臣政務官 御指摘の点等々、非常に感じ入るところも多々ございます。

 事業者に対しても個人に対しても、生活の再建あるいは事業の再建をしていくというのが、私たち政府に突きつけられている課題でございます。その中で、精いっぱいの、金融という、ある意味の規律と節度のある中での活動をしていかなければならないというふうに思いますが、加えて、先ほど平野大臣からもお話のあったように、いわゆる復興政策そのものとしてどのようなことをやっていけるのかという御発言もありました。

 そういったことも踏まえながら、金融という枠の中でどういったことができるのか、私たちも私たちなりにいろいろ考えてみたいというふうに思います。

小野寺委員 被災者が、最後に残った資産、土地、これを国の支援でようやく買い上げてもらった、そうしたら金融機関が持っていった、こんなむごいことがないように、よろしくお願いします。

 終わります。

古賀委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、我が党が土曜日にまとめました復興を加速するための方策、これを中心に、平野大臣を中心とする政府に御見解をお伺いするなり、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。お手元に、各委員の方にもあるかと思いますけれども。

 もうすぐ三月十一日から一年になります。一年を前に、我々自民党としても、被災地の現状を見、何が足らないか、どうすればいいのか、どうすれば復興を加速できるかというのを、党の災害対策本部、東日本大震災からの災害対策本部、本部長は谷垣総裁でございますが、そのもとでワーキングチームをつくり、取りまとめさせていただきました。その座長として私がこれに関与させていただいたところであります。

 これは、頭の中で考えたあれだけではありません。改めて我々自身が被災地に出かけ、震災復興の理事をしております額賀先生も福島に出かけ、首長さんなり地方議員の方々、あるいは仮設住宅に住んでおられるさまざまな方から御意見を聞き、まとめたものであります。

 きょう一時半に、藤村官房長官に申し入れを行いました。しっかり各府省の方は受けとめていただいて、ああ、野党から紙が来たなんということではなくて、復興は現に情けないほどおくれているんです。遅々として進んでいないんです。そういうまず危機感を持っていただかないとということを強く望みます。

 例えば、後で話が出ますけれども、瓦れき処理でも、今までも質問をすれば、いやいや、七割は仮置き場まで行っています、あるいは、自治体によっては九割ですと。仮置き場まで行くのが最終処分じゃないでしょう。十七年前の神戸のときは、一年たって四八%ですよ、処理は。残り五二%も、大部分、最終処分場のめどはついていたんですよ。今はわずか五%でしょう。そういう危機感をもっともっと政府に持っていただきたい。そして、強い、熱い情熱でもって、責任感でもって取り組んでいただきたい、そういう思いで、この復興加速への十の方策をまとめました。

 方策一です。総額、そこに、お手元の資料にございますように、政府は、復興の加速期間で、五年間で十九兆円と言われています。十九兆円とは何ですか。別に根拠はないんです。十七年前の阪神・淡路の例をぱしゃっと、えいやで計算して、しかも何が入っているのかよくわからない。そして、いや十九兆円なんです、手厚く見ているんです、それで今まで、予備費を含めて、一次、二次、三次、四次、そして二十四年度予算、十八兆円計上しました。そうしたら、誰だって残り一兆と思うでしょう。残り一兆、復興加速期間でこれでできるのか。集団移転、あるいは復興住宅、津波防災施設、さまざま目いっぱい、いっぱいある、産業復興でもまだまだやるべきことはあります。

 そうなると、そもそも総枠をあと一兆などと決めずに、弾力的にとりあえず決めただけだ、あとは被災地の皆さんの要望をしっかり受けとめて、十九兆円が上限なんということは全然ありませんよということをもっと明快に言う必要があるように思います。

 その質問の前にちょっとお聞きします。

 集団移転は何万戸ですか。何万戸、集団移転を今計画しているんですか。私は、政府からはっきり聞いたことがないんです。まずは教えてください。

平野(達)国務大臣 その戸数を積み上げるべく、各市町村で今計画を策定中であります。地域によって、私どもは高台移転を、この地域全部高台移転をすべきだというふうな提案をするのでありますけれども、その中で意見がなかなかまとまらない、結果として何割かはその地域に残るというような地域もございます。

 今、全体、そういう中で積み上げていかなければなりませんが、対象となる家屋数は万単位でございます。しかし、それが全部高台移転の対象になるかどうかについては、申しわけございませんが、今の段階では確たるものは申し上げられないということでございます。

谷委員 それでは、引き続いて聞きます。

 今、仮設住宅は完成しました。みなし仮設も相当戸数があります。恒久的な復興住宅、いわゆる公営住宅は何万戸必要なんですか、現時点で。お尋ねします。

平野(達)国務大臣 復興住宅についての、手元に今ちょっと資料がございませんけれども、最終的な戸数ということについての見通しもこれからだというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

谷委員 きょうは津島政務官が来られています。津波を防止するための防潮堤、防波堤、ほとんど何もまだ着手していないというのは、政務官、御存じですね。どれぐらいかかるんですか、集中復興期間五年間に。大ざっぱで結構です。数字ありますか。

平野(達)国務大臣 公共施設の災害査定はおおむね終わっております。今、その災害査定の結果の精査をやっておりまして、私、今、国交省の公共土木施設だけの総事業費では一兆七千億というふうに聞いておりますけれども、その内訳を精査すべく、今、作業を急がせております。あわせて、農水省関係の公共施設、それからあと、例えば学校等々についての災害査定についての総額が結果としてのこれからに必要な事業費、できるだけ早く今積み上げたいというふうに思っております。

谷委員 大臣、私は、津波防災施設というのは一つの例で、これは通告していませんので、何も津島政務官をいじめるためということじゃなくて、アバウト、物すごいでしょう。今、大臣は一兆七千億と言われました。私はどういう数字を言われているのかよくわからないので言いようがないんですけれども、五年間でしょう。五年間の数字でしょう。災害復旧が主でしょう。ただ、災害復旧だけで本当にいいのか。被災地では、やはり今まで四メーターあるいは五メーターの防波堤であればもう少し高くという思いもあるでしょうし、あるいは新たに防潮堤を設置してほしい、そういうこともあろうかと思います。つまり、集団移転の町づくりの戸数もまだ出ていない、復興住宅をそもそも何戸建てるかさえまだわからない、津波防災施設もまだわからない、要は大きなものは何もわかっていない。でも、残り一兆ですよ、政府の説明では。

 さて、先ほどの問い一、方策に戻ります。

 大臣、これは明確にすべきですよ。十九兆ととりあえず言うた。言うたけれども、それは想定の数字です、政府としては復旧復興のために必要とあれば上限なんか全然ない、十九兆が二十兆、二十一兆、二十二兆になっても責任を持ってやる、そうしなければ復旧復興はできないということを明確に言うべきだと思いますが、御所見をお尋ねします。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

平野(達)国務大臣 谷委員御指摘のように、五年間で十九兆という数字、そもそもその前の二十三兆という数字でございますが、これはきちっとしたバックデータがあるわけではございません。それはもう今の一連のやりとりの中でおわかりのように、災害査定も全く済んでいない、それから高台移転をするための住宅も決まっていない、どこに移転するかも決まっていない。本来であれば、こういったものが、ある程度具体化した段階で全体の事業費というのが算定されるべきものであります。

 しかし、その一方で、今回の東日本大震災の中で、とりあえず今の段階で目安としてどれだけの事業費が必要かということについては、これは政府としてはいろいろな手段を使って出さなくちゃならないということで、阪神・淡路等々の例を引き合いに出しながら、五年間で十九兆という数字を出した次第であります。

 したがいまして、先ほど私が申しましたように、今急がせているのは災害復旧、これは、委員正しく御指摘ありましたように、海岸堤防はただの現況復旧ではございません。かさ上げをします。それから、湾口防波堤についても強度をかなり強くしたものにします。こういったものを踏まえての全体の、例えば公共土木施設についての、下水道も含めてなんですが、大まかの数字が間もなく出てまいります。これをまずきっちり精査して出したいというふうに思います。

 それからさらに、市町村の復興計画、今、各市町村ごとに鋭意策定中でございまして、あとちょっと時間がかかるかもしれませんが、この計画がある程度概定いたしますと、復興住宅として何戸必要であるか、あるいは高台移転として何戸必要であるか、こういうことも出てまいります。こういったものが出てきた段階で事業費をもう一回精査しなければならないというふうに考えております。

 その上で、やはり十九兆なら十九兆、五年間で十九兆、もし足りないということであれば、その数字をきちんとお示ししまして、国会にもかけまして、この委員会等々でも御議論いただきまして、私は、復旧すべきものは復旧する、復興させるべきものは復興させるということでございますから、事業費の問題についてはその段階で御議論をいただくのが筋ではないかというふうに思っています。ただ、現段階で十九兆で足りるか足りないかということの問題につきましては、今のような事情の中で確たることは申し上げられないということでございます。

 ただ、今言ったように、枠の確保といったものはどうあるべきかということについては、私は、必要なものについてはやはり確保すべきだ、そういう姿勢で臨むのが私の役割だというふうに認識をしております。

谷委員 もう少し前向きな答弁を大臣に実は期待していたんですけれども。

 要は、十九兆というのは仮の数字です。こういう数字に別にとらわれません、政府はあくまでもやるんです、一兆、二兆、もしくは数兆オーバーしても責任を持ってやります、そういうことをどんどん言うべきだと思います。そうでないと、先ほど小野寺議員がいろいろ質問をされましたけれども、その後の復興交付金の絞り込み、あえて使わせていただきますが、絞り込みにもその問題はかかわってくるからであります。

 方策二です。

 先ほども少し出ました。やはり人が足りないんですね。春から私は何度も、総務委員会とかあるいは震災復興の委員会、予算委員会でもやったかもわかりません。この質問をすると、総務大臣が、いやいや、全国の自治体に協力を仰いでいる、精いっぱいやっていると言われるんですけれども、大臣も何度も現地に行かれておわかりのように、みんな大変不安がっていますよ。

 これから集団移転、高台移転、始まります。土地区画整理をやった自治体は、被災地の中では仙台市と石巻、二つぐらいではありませんか。そもそも、土地区画といったらどういうやり方でやるのか、技術屋も大変少ない。そういう中で、これは本当にもっともっと力を入れて確保しなければならないと思います。

 私も、きのう谷垣総裁と御一緒に、宮城それから岩手、各自治体をずっと回らせていただきましたけれども、各首長も、いずれもこれを心配しています。二週間前に私が自民党の仕事で被災地に行ったときもそうでした。

 どういう取り組みをされますか。大臣、どういうふうに人的支援の強化充実ということを図りますか。これは同じように文書で協力を仰ぐだけでは進みませんよ。

平野(達)国務大臣 幾つかのルートを通じてやっております。

 一つは、技術畑の問題につきましては、一つ今委員の例で出されたいわゆる都市計画、特に土地区画整理等々の専門家につきましては、国交省が各自治体にそういった技術者がいるということを把握しておりますから、各自治体に派遣依頼を国交省の方でやっております。

 それに先立ちまして、各自治体でそういった専門職員に何人が必要かということについての意向把握もしておりまして、この土地区画、都市の専門家ということについては、とりあえずですけれども、百六十名の要望だったと思いますが、出されておりまして、その要員、全体の絶対数は一応確保できたということで、今、四月一日の派遣に向けて、いわゆる被災自治体と派遣先の自治体とのマッチングをやっておるということでございます。

 そのほかに、例えば漁港なんかにつきましては、漁港もかなり被災をしております。漁港関係の専門家、これは水産庁が各自治体にもまた働きかけていただいて、各自治体の意向も把握しながら、何とか人を派遣してもらえないかといった働きかけをしておりまして、この人数についても、今、漸次その数がふえてきているということでございまして、できるだけ早い段階で確保して自治体に派遣をするということをお願いしなければならないというふうに思っています。

 あと、一方で、一般の事務ということについては今総務省が中心にやっておりますし、あわせて今総務省さんにお願いしているのは、例えば任期つきの採用、それから再雇用、こういったものについてはどうすべきか、どういった手続でやればいいかということについてのこういった現地指導については、巡回をしていただきながら、回りながら、各自治体に今説明をしているということであります。

 それから、あわせて総務省の方からは、こういった問題に係る宿舎費、人件費等も含めて特別交付税で措置をするという方針を既に出して、この旨、被災自治体には総務省の方からもう既に通知しているというふうに理解しております。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

谷委員 やはり、今までと同じやり方ではなくて、OBの活用とか、全国の自治体が協力するといっても限度がありますよ。ただでさえ技術屋は少ないんです。

 それから、後にも出てきますけれども、埋蔵文化財の調査員、今、文部科学省が、私は聞いていますが、全国二十人、応援に来てもらっているんです。出しているのは、いずれも都道府県、政令市で、各県一人だけです。それぞれの自治体も余裕がないんです。余裕がないときにどうするか。ただ、それが確保できないとおくれますよ。

 ぜひ、その点についても今まで以上の、同じやり方ではだめです。通達だけ出すのなら易しいものです。今までも現実に、いや、今でも現実に足りないんですから、そこをしっかり行っていただきたいと思います。

 方策三にも絡むんですけれども、もっと復興局は動かなきゃだめじゃないですか。復興局、支所というのは、大臣、何をやるんですか。復興局の支所、三人ずついるでしょう。何をするためのセクションですか。三人いて、何をするんですか。具体的に、どこでもいいですけれども、では、大臣の地元の岩手県、盛岡に復興局がありますね。三十人です。それで、支所があるのは、たしか宮古と釜石でしたか。三人ですよ。何をするんですか、支所というのは。

平野(達)国務大臣 私が復興局と支所の職員に言ったのは、まず、国、各省は、特区制度、交付金だけじゃなくて、さまざまな制度をつくっている、その制度のオーソリティーになってもらいたいということをまず一番最初、開口一番で申し上げました。今、問い合わせであるのは、制度に関する問い合わせが非常に多いです。そういったことに対して、とにかく現地で答えられるようになってくれということで、まず、これをイの一番に言ってあります。

 支所に関しましては、とにかく御用聞きになってくれということで、支所の中にいなくてもいいから、とにかく市町村、被災自治体を歩いて、何か問題がありますかというような、そういう御用聞きをやってくれということで、待っているのではなくて、そこでの問題把握に努めてくれ、そういう指示を出しております。

谷委員 わかりました。支所は御用聞き。いいんです。それで、徹底してきちんとした御用聞きを、発足したばかりですから、今度の復興交付金のようなことが二度と起こらないように、ちゃんと御用聞きをやってください。しっかり御用聞きをやっていれば、こんな問題は起きないんです。

 今、小野寺先生が、復興三、四に絡む問題ですけれども、結局、復興交付金なんかでも、それは大臣、ちょっと信じられへんですよ、ああいうのは。申請額があります、今回の一次決定額があります。先ほどの小野寺議員とのやりとりを聞いてみますと、これが全てではない、とりあえずの第一次配分だ、これから調整をして精査をすれば、どんどんまた追加で出すということでありますけれども、そういうことが自治体に伝わっていますか、今回の配分で。全然伝わっていないのと違いますか。伝わっていないから、これは何じゃとみんな怒るんですよ。

 それは、小野寺先生も言われましたように、私も土日で初めて聞いたんじゃないんです。半月前から聞いていましたよ、これは余りにひどいと。ずっと協議していると、協議の段階で、自治体が思っているのをぐっと減らされるんです。半分ぐらい減らされる。減らされて、出して、では協議は調ったと誰だって思うじゃないですか。そうしたら、これはほとんど認めてくれるのかなと思ったら、ばさっと切られる。何じゃ、これはと。

 宮城県知事は査定庁という言葉を使いましたけれども、私がその前に聞いていた言葉は、この方策三にありますように、これは私がつくった言葉じゃないですよ、これでは復興庁というのは復興推進庁ではなくて復興事業管理庁だと、その某市の幹部は怒りを込めて言われていました。ですから、これをここに引用させていただいたんですけれどもね。

 そういう思いは、既に、復興交付金の内示の前に自治体にずっと強くあったんです。きつく言えば、現場の、復興局じゃなくて前は何でしたかね、復興局の前は。(平野(達)国務大臣「復興本部」と呼ぶ)復興本部ですか、何にもつかんでいなかったとしか考えようがないですね。何をしていたんだ、三県につくって何の仕事をしていたんだ、ソファーに踏ん反り返っていただけなのか、きつい言い方かもわかりませんけれども、そう思わざるを得ません。この点については、先ほど小野寺先生とやりとりがありましたので再度聞きませんけれども。

 ちょっと私がひっかかったのは、前に復興局に行ったんです、できてから。郡政務官が、やはり交付金というのは早い者勝ちであってはだめなので、よく全体のバランスを見ながら決めたいと言われていました。私は言葉尻を捉えるわけではないんですけれども、早い者勝ちでどうしてだめなんですか。大臣、どうしてだめなんですか。

 つまり、今回の被災地は非常に広いでしょう。広くて、沿岸もあれば内陸もある。それはそれぞれの復興の進みぐあいが違いますよ。違うのを、早い者勝ちだからとか、そういう発想自身が、復興庁の幹部が思っているということが、何か基本的な認識がおかしいんですよ。コメントがあればお願いします。

平野(達)国務大臣 まず、今回の復興交付金、結果的に、特に宮城県に関して言いますと、申請額に対して六割弱、六割行っていないということにつきましては、個々の計画の事情がこれはきっちりあるというふうに私は思っておりますが、ただ、今、谷委員がおっしゃったように、こういうことのないようにするのがこの復興庁、全くそのとおりだというふうに思います。

 実は今回は、この計画は、各省庁にこれを委ねていたという面がございまして、復興庁が初めてそこに入っていったということで、その辺のすり合わせが十分でなかったという面もございます。ただ、これは政府内部の問題でございますから、今回こういったことのさまざまな御心配なり御批判を受けていることを踏まえまして、今後しっかりと対応したいと思います。ただ、復興交付金の対象とすべきものと対象とすべきでないもの、これについてはしっかり議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、今の御質問でございますけれども、私は、郡政務官は多分、余り進捗の度合いに差をつけたくないという趣旨でおっしゃったと思いますけれども、私は職員に、今回の復興交付金をつけるときは、熟度として計画がしっかりしているものはどんどんつけろということで、地域によっては、総事業費、例えば八割ぐらいで持ってきたんですけれども、もうこの計画は審査しなくてもいいので一〇〇%以上をつけた、そういうところもあります。

 だから、そういった意味では、その地域のさまざまな計画の熟度、こういったものを見ながらこの交付金の活用をしていただきたいと思いますし、災害復旧事業についても、そういう姿勢で臨んでいただくよう各省にしっかり働きかけていきたいというふうに思っております。

谷委員 それでは、交付金の中身について、先ほど大臣と小野寺委員とがやりとりして私はもう一つわからなかったのは、学校耐震化のことについて大臣は、この復興交付金の事業でいいのか、それとも通常の文部科学省のメニューの方がいいのか、検討をしたいと言われました。

 学校耐震化といったら四十事業の中に入っているわけでしょう。四十事業は、自由にお使いくださいと政府はもう既に表明しているんですよ。表明していて、使いたいと言ったら、さて、これがいいのか、文部科学省のメニューがいいのか。これはないでしょう、大臣、そういうやり方は。四十事業にメニューを提示していて、そのメニューを使いたいというふうに申請してきたならば、通すのが当然じゃないですか。

平野(達)国務大臣 復興交付金は、法律の中に書いてありますように、被災の地域に大きな災害が出てきているということ、それから災害の復旧と密接な関係があるということ、そういう前提で全体の制度が仕組まれているということについては委員も御承知のとおりかと思います。

 それで、先ほど私が申し上げたのは、地域全体として、全く、ほとんど被災もしていないという中で、突然学校の耐震化だけが出てくる、そういったところもあります。そういったところが復興交付金ということで使うべきかどうかということについては、私はまだそこまでの判断はできていないということを申し上げたということであります。

谷委員 被害が大きい地域、緊急を要する地域、その辺を重点に置かなきゃならないと。やはり大臣、さっきから否定されていますけれども、査定の色が濃いですよ。査定ですよ、これはどう見ても。いや、みんな地元もそういうふうに受けとめています。(平野(達)国務大臣「お金の使い方の問題ですよ、査定じゃなくて」と呼ぶ)いや、査定ではなくて金の使い方というよりも、結局、復興交付金が、政府が手厚い助成制度で、裏を復興交付税でみんな見て一〇〇%国費だから、地方自治体に任すといろいろな計画が出るから一つ一つチェックしてやらなきゃならない、そういうふうなことに今陥っていると思うんです、今の状況は。だから、自治体の方も物すごく不満がある、政府は政府で、いやいや、自治体に任せていたらモラルハザードを起こす、そういう状態かと思うんです。これはもうこれ以上申しませんけれども、そのことだけ私は指摘をさせていただきたいと思います。

 方策五に瓦れきの早期の処理が出ております。

 きょうは、私は実は、この十策で大臣をお願いしたのは平野大臣だけで、ほかは各省庁、別に呼んだわけではありません、国土交通省は別ですけれども。呼んだわけではありませんけれども、なぜか副大臣、政務官が出させてほしいということで来ています。非常に寂しいことです、ある意味では。こういう問題はみんな復興大臣が答弁してほしかった。瓦れき処理でもそうです。責任を持って。ワンストップですから。

 しかし、せっかく来られておりますので、環境の高山政務官、来られています。ここに、方策五にありますように、わずか五%です。

 総理が、昨日ですか、受け入れる自治体について優遇策を講じるということを発表したようでありますけれども、その中身は何ですか。お尋ねします。それ以外に優遇策、ありますか。

高山大臣政務官 谷議員の御質問にお答えします。

 まず、きのう総理がテレビ番組の中で申し上げたもの以外に、今の段階で、まず放射線の心配が非常にあるということですので、その放射線量をはかっていただく費用ですとかあるいは運搬の費用、もろもろ、いずれにいたしましても、受け入れ自治体に追加的な費用が生じないようにするということは当初からやっていたものでございます。

 しかし、それに加えて、受け入れを表明していただいた自治体に対してさらにプラスのことをやろうというのが、きのうの総理の発言の内容でございます。

谷委員 いろいろこれは前から政府の方も全国の自治体の協力を求めて、我が党も、自民党も幹事長名で各都道府県の県連に協力依頼を出しています。野党としてこういう文書を出すというのは極めて異例ですよ。その感謝の言葉を環境省から、環境大臣からいただいたかどうか知りませんけれども、出されたんですか、高山政務官。

高山大臣政務官 御党から二月の二十八日付で各地方組織に対して広域処理の呼びかけをしていただいたこと、私もとても感謝をしております。ありがとうございました。

谷委員 大臣から感謝の言葉を何か出されたかと言っているんです。まあそれはいいですけれども。

 しかし、これは大変なことですよ。本来、政府は恥じ入らなきゃならないんですよ。三月の段階から我々はずっとこの問題を言っていた。私も十七年前、神戸のあれも知っていますけれども、これは大変なことになる、瓦れきの問題はと。広域的だし、神戸の場合は埋立地があったけれども、埋立地がない。市町村の処理能力というのか、力も、人的パワーも弱い。ましてや放射能がある。大変な問題だということを言っていて、そのたびに、前の江田大臣などは、いやいや、あなたはそう心配されるけれども、何とかめどをつけますとか胸を張って言っていた。しかし、このざまです。一年たって五%、本当に情けないですよ。それはいろいろ原因はありますけれども、それは神戸とは事情が違います。それにしてもひどい。

 そこで、何らかの方策の一つとして今言われました。もう少し具体的に言ってください。どうするんですか、どういう優遇策を自治体に与えようとしているんですか。総理は抽象的でよろしいけれども、しかし、あんな表現で全国の自治体がわかったとは、高山政務官、言わないですよ。具体的にどういうインセンティブを与えられるんですか。

高山大臣政務官 委員御指摘のとおりに、全体の処理が五%ということももちろんありますけれども、先ほど委員がおっしゃっていただいたように、仮置き場への搬入というのはほぼもう完了しているということでございます。

 その上で、やはり進めていかなければいけないのがこの広域処理なわけですけれども、先ほどから委員御指摘のとおり、追加的にどんなことができるのかということでございますけれども、今検討しておりますのは、例えば追加的に、既存施設、受け入れ側の施設がその分減価償却が早まってしまうようであればその費用を上乗せしていくですとか、あるいは、受け入れ側の自治体が住民説明会やあるいは放射線の測定を行うときの費用に加えて、国が直接放射線をはかるですとか、そういった費用についてもさらに上乗せをしていこうということを今検討しております。

谷委員 何かもう一つ、全国の自治体が、わかった、受け入れを検討しようかということにはなりそうもないような答えでした。もっともっと強いインセンティブを与える方策、それに、これはもっと、何か政府の真剣さが全国の自治体に伝わっていないということもあるように思います。

 つまり、市町村は、ごみの処理施設をつくるということは大変なことですよ。政務官はどこまで御存じかわかりませんけれども、首長でも政治生命をかけてやることがあるんですよ。みんな反対するから、そこを頭を下げて、この計画地域にはこういう振興策をするからと、何年もかけて、そしてやっとそれが決まる。決まって、大抵は覚書を結ぶんですよ、その自治体以外からのごみは一切焼却しない、処分しないと。民間はもっと厳しいことをやられます。自治体でもやられるんですよ。そういう覚書を交わしているのをひっくり返さなきゃならないんです、協力するためには。そこを、大変なことだけれども、何としてでも頼むということを、そういう政府の熱意というのか、それが、私が聞く限り、各自治体は感じないと言いますけれども、どうですか。

平野(達)国務大臣 昨年の放射能の問題が出てくる以前には、比較的、各自治体、自分のところの自治体で、発生した瓦れきは引き受けてもいい、そういう意思を示していた自治体が多かったように思います。

 委員ももう十分御承知のように、今回の最大の問題はやはり放射能でありまして、放射能の問題については、細野大臣初め我々も、この基準なら大丈夫だということを再三にわたって説明しておりまして、首長段階でもそれは了解いただくのでありますが、首長さんが説明を始めた途端にその首長さんに非難が集中する、そういう状況がしばらく続いてまいりました。ここに必要なのは、やはり粘り強い説明だというふうに思います。

 あわせて、安全だということについてのモニタリングをするための検査の体制の強化、これは総理大臣も、私はテレビで見たんですけれども、それに言及されておりましたけれども、そういったことをやはりしっかり説明するということだと思います。

 あともう一つは、これからもう一つ今考えなくちゃならないのは、例えば焼却だけお願いする、問題は焼却灰であります。焼却灰については、例えば発生したもとのところで、これは岩手県の宮古市なんかはそうでありますが、さらに自分のところで最終処分場をつくってもいいというふうに言っております。こういったところについては、最終処分場等をできるだけ大きいものを早くつくって、そして焼却灰にしたところに焼却だけしていただいて、そこで持ってくる、こういったことも場合によったらセットとして考えることが大事ではないかというふうに思っていまして、こういったことも環境省と連携しながら進めたいというふうに思います。

 ただ、キーは、やはり何と申しましても、今回の場合は、放射能に対してのいろいろな基準をしっかり出しているんですけれども、これを地域住民の方々にどのように理解していただくかということに今大きなエネルギーを割いているということについては、谷委員も重々御承知のとおりかと思います。

 熱意がないというお話でございましたけれども、相当私らなりに、細野大臣を初めとして、いろいろなパイプを通じてやってきたつもりでございます。結果が出ておりませんから、まだまだ努力不足ということについてはあえて批判は受けなくちゃならないというふうに思っております。思っておりますけれども、引き続きこの瓦れきの問題につきましては、おっしゃったように、それを焼却して、その焼却をするというだけで地域住民の理解を得なくちゃなりません。さらに、焼却灰を例えば新しい最終処分場に持っていきますと、その分だけ最終処分場の容量が減るかもしれません。そういったことにも十分配慮しながらやっていくことが大事だというふうに思っております。

谷委員 大臣、私は熱意がないと言っているんじゃないんですよ。熱意が伝わっていないということです、結局。東京の会議で、何とかの会議を利用して頼むと総理がお願いするだけで、各市町村長は我が身の首をかけたりしませんよ。御存じのように、もともとそれだけごみの問題は難しいんです。ただでさえ難しいのに、やはりもっと政府の必死さが伝わらないと現場の首長さんは動きませんよ。そのことを言ったということで、誤解のないようにお願いしたいと思います。

 方策六は産業復興です。方策六でいろいろ書いておりますけれども、柳澤副大臣がお越しであります。今、復興の状況をどう受けとめていますか。

 企業グループは頑張っておられます。私もそれは評価します。今までにないような補助金を思い切ってつくっていただきました。それでも、私が知る限り、ほとんど繰り越しでしょう。今年度の執行までいかないでしょう。どうしてもおくれるんですね、これは。

 来年度以降の追加の対策も含めて、産業復興についてお考えがあればお尋ねします。

柳澤副大臣 質問ありがとうございます。

 実は私、昨年の九月の五日に、野田政権で経済産業大臣政務官を仰せつかると同時に、原子力災害の現地対策本部長を受けさせていただいて半年になります。

 ようやく除染をして帰っていただくにしても、どちらにしても、働く場、雇用がなければだめだということで、特に中小企業も含めた雇用の場の確保に取り組んできました。

 今、経済産業省でお願いしているのは、避難をされた企業の皆さんに戻っていただく。例えば楢葉工業団地では、十九の企業が避難をされた。それを全部お願いに行って、今、十、戻っていただく準備をする。それだけではなくて、新たな企業の皆さんに来ていただく。それには、待っていてはだめなので、本当に積極的にみんなで足を運ぼうということで、今動かしていただいておりますが、ようやく二月の十日に復興庁が発足しまして、そこをワンストップにしてその体制も整えていく。

 委員御指摘のように、まだ進み方がもう一つ弱いというのは十分理解をしておりますし、ここから本当に本腰を入れて、経産省としても頑張らなければいけないというふうに思っております。少しずつ本当に進んでいるのだけは御理解をいただきたいと思います。

谷委員 これ以上は申しませんけれども、ただ、この産業復興は、平野大臣、やはりちょっと復興庁の取り組みは弱いです。端的に言って弱い。

 復興には、生活復興もあればインフラ復興もあれば、さまざまな分野で大事なあれがありますけれども、住宅も大変大事ですし、あわせて、生活の糧を得るための産業復興というのも大変大事です。ただ、残念ながら、今の復興庁はそういう体制がやや弱いように思います。プロがいない。誰に聞いたらいいか私はよくわからない。復興庁で、こういう産業の、例えば中小企業の再生について誰がプロなのか、よくわかりません。どうしても中小企業庁とかそういうところに聞いてしまう。

 だからそれは、省庁は省庁として、やはり復興庁の体制としても、ぜひ、大事な分野ですので、この点についても力を入れていただきたいということを御要望しておきます。

 経産副大臣、結構です。

 それではもう一つ、方策七では除染のことが出ております。一兆円近い予算を計上しています。これは大変大きな問題で、これだけで本当に一時間かけてやる必要もあるようには思いますけれども、きょうは一つだけ、海底の土ですね、どういうふうに今進んでいますか。

 これはどちらになるんですか。環境省、あるいは農水省ですか。

高山大臣政務官 谷委員御指摘の海底の汚染の問題でございますけれども、こちらに関しましても非常に重大な問題だというふうには捉えております。

 まず、これはどういう状況に今なっているのかということをきちんと把握する必要があるだろうということで、モニタリング調整会議において決定されました総合モニタリング計画に沿って、文科省や環境省を中心といたしまして今取りまとめをしているところでございます。

 ただ、委員の御指摘ありましたように、海底の中のことが非常に心配であるというような御指摘が多いので、例えば、目標検出下限値を海域において下げるですとか、あるいは調査海域を拡大する、あるいは、今御指摘ありました海底土に関しましては、測量地点をふやすなど、また分析核種の追加、こういったことも行っております。また、水産物に関しても、一層の安全確認を行うため、緊急時避難準備区域であった二十キロから三十キロ圏内の海域においてもモニタリングを実施していくなど、状況の把握に今努めているところでございます。

谷委員 森本政務官も来られています。今のような答弁でいいんですか、森本政務官。水産関係者は心配していないですか。一番心配するのは魚なんですよ。何か今の答弁では、いつ調査をまとめてどうする、何にも触れていない。それではだめですよ。

 水産庁、森本政務官、どうですか。不満じゃないんですか、農水省を預かる者として。

森本大臣政務官 大変御心配をいただいておりまして、ありがとうございます。

 この基本的な線につきましては、やはり復興関係と、そして今の環境省がここのところをまとめていただいておりますので、そこのところの連携を我々は十分図りながらこの対応を積極的にやっていくというようなことでございますので、これ以上の答弁についてはお許しをいただきたいと存じます。事の重大さは十分認識をいたしております。

谷委員 やや十分認識していないかのような答弁でございましたけれども。

 いや、海底の放射能の問題は本当に早目早目に手を打たないと、問題になってからでは遅いんですよ。だから心配しているんです。もう風評被害が起きたら一発ですよ。魚は売れないですよ。そのことをもっと、水産庁というか農林水産の政務三役はウオッチしていただいて、言うべきことは言っていただかないと。福島の事故でも、あれは放出されてから抗議しても効果がないというか、後の祭りじゃないですか。あの事故でも苦い反省として、よろしくお願いしたいと思います。

森本大臣政務官 そういう面では、随分御心配いただいておりますので、私どもとしては、これは検査の基準に基づいてしっかりチェックをしていく。そして、私も魚が大好きでございますので、やはり食べて応援をするというような、そうした情報をしっかり我々は皆様方に公表して御理解をいただく。そのことに今の段階では全力を挙げるということにさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと存じます。

谷委員 徐々に時間が迫ってまいりました。

 方策七、八、九は、主に福島を念頭に置いた我が党の方策なんです。

 その中で、きょうは辻厚生労働副大臣にも来ていただいているんですけれども、風評被害対策といいますか、それに絡んで国の食品の新基準値が示されました。ただ、副大臣、実際に、国は示したらそれで済むかわかりません、厚生労働省は。しかし、地域の現場では、魚屋さんとか、そういう物を売る商売をやっている人は、米でもそうです、これは安全ですか、何ベクレルですか、こう言われる。結局、簡易測定器を買わなきゃならない。私が聞いた例では、福島で三百万かけて買った、そういう話も聞いています。

 これは、国は示すだけで、あとは、そういう検査機器というのはそれぞれ自前で用意してちょうだいということですか。お尋ねします。

辻副大臣 御指摘をいただきました食品中の放射性物質の検査につきましては、現在、厚生労働省が定めましたガイドラインなどに基づきまして、地方自治体によって主として出荷段階において計画的なモニタリング検査を実施していただいているところでございます。

 そしてその上で、暫定規制値を超える食品が流通しないよう、食品衛生法に基づく回収等の措置や、原子力災害対策本部の決定に基づく出荷制限等の指示を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、ことし四月の新基準値の施行後も、出荷段階を中心としたモニタリング検査の強化と的確な出荷制限等の指示を通じて食品の安全性確保を図ることが最も効率的かつ効果的と考えているところでございます。

 御指摘のような民間事業者による小売段階での検査というものも、御指摘もあろうかと思いますけれども、そのことに対して財政的な支援をするということは現在のところ考えていない、先ほどの体制で対応していきたい、このように考えているところでございますけれども、小売店におきましても活用が可能となるように、地方自治体の検査結果につきまして、引き続き産地を含めた詳細な情報の提供に努めてまいりたいと思いますし、あわせまして、機器購入の際の参考となるように、新しい基準値のもとでも対応可能な簡易検査機器の技術的要件を示すなど、関係省庁とも連携をしてさまざまな支援に努めていきたい、このように考えております。

谷委員 ありがとうございます。長い答弁でしたけれども、意味のある答弁とは思えませんでした。

 しかし、副大臣、目配りだけはしてください。厚生労働省も、基準を示すだけが我が省の仕事だと。それが実際の世の中で何をもたらして、どう影響しているか、経済活動も含めて。それをしっかりウオッチしていただかないと、現場は困るだけですよ。それだけ御要望をしておきます。

 あと、集団移転等国家プロジェクトについてお尋ねしたいんですけれども、まず、ちょっと細かい問題です。我が党の十の方策には入っていない問題でありますけれども、次のような問題があります。

 国土交通省の防災集団移転促進事業という事業があります。

 私は、仙台市の仮設住宅で何人かの住んでおられる方から、これは何とかしてほしいと大変強く言われた問題があります。仙台の海側は津波で家が流された。全部が流されたわけではありません。大部分流された。残っている家もある。今度、そこを建築禁止にして集団移転をする。そのときに、残っている家は、建物が残っているから、公共事業の例に準じて移転料が出る。残っていないところは、残念ですけれども、建物がありませんので移転料は出ない。

 仮設住宅に住んでおられる方は、余りに不公平じゃないか。何も責任はないのに、我が家はみんな流された。流されたから建物はないでしょう、移転料は必要ないでしょう。たまたま残った。残ってもそこには住めないんです。建築基準法の建築禁止で、仙台市長がかけていますから。しかし、建物が残っているから移転料は出ます。

 こういうことを解決するのが政治主導じゃないんですか。政務官、お考えをお尋ねします、事務的な答えは聞いていますから。

津島大臣政務官 谷委員の御指摘の話でありますけれども、私も、まさしく谷委員が御心配されている、それから御意見をお持ちになっている、そして、その御指摘というのはまさにそのとおりだと思います。

 ただ、先生も御承知のように、制度、法律というのは、運用に対する制限、規制があるのも事実であります。その中で、先生の今の御指摘の中の、いわゆる集団移転事業の話でありますけれども、この中身につきましては、先生一番御存じだと思っております。

 それでは、それに当てはまらなきゃそれでいいのかという話でありますが、私はそれは違うと思うのであります。

 つまり、その中で、やはり私は、この集団移転事業の中で、先生先ほどもおっしゃったように、何か残っていればそれは対象になるよ、なければならないよ、これは確かにそのとおりでありますけれども、その中で、被災地の円滑な復興を図るためには、この集団移転促進事業により移転される被災者の負担ができる限り軽減されることが重要だということはおっしゃるとおりだと思っております。

 そこで、移転先の宅地を取得し、住宅を建設する場合には、まず一つは、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資の当初五年間の金利をゼロにする、そしてまた、防災集団移転促進事業によるローンの利子相当額補助の限度を引き上げるという措置を決めておりますが、さらに、自力で住宅の建設が難しい移転者に対しましては、地方公共団体による災害公営住宅の整備に対する支援を充実したところであります。

 国土交通省といたしましても、一日も早い復興が実現するよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えておりますので、先ほどの御指摘でございますが、できないものをそのままにしておくのではなくて、それに当てはめられるような事業を積極的に応援していきたい、こう考えております。

谷委員 長い答弁ですから期待していましたけれども、全く期待外れでありました。

 そこはやはり、うまくそれをするのが知恵ですよ。政務官、役人が書いたのをしゃべるのだとしたら誰でもできますよ。また、強いリーダーシップだけお願いして、この問題を終えたいと思います。

 最後に、方策十です。国家プロジェクト。

 地元から強い要望があるというわけではありません。しかし、大変大事なことだと思います。

 つまり、昨年成立した復興基本法では、今回の大震災からの復興というのは、単にもとに戻すということだけではない。二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指した取り組みとか、人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取り組み、こういったものをやるんだと明記しています。

 ただ、残念ながら、もう一年たとうとしています。何がありますか。メモリアルセンターを国がつくるんですか。あるいは、リーダーシップをとってやっていただけるんですか。

 神戸の例で言いますと、人と防災未来センター、ああいったものをつくるんですか。防災総合庁舎を移しました。その近くに日赤の建物もつくった、JICAの建物もつくった、県立美術館もつくった、神戸市は医療産業都市をつくった。そして復興を、一・一七を、阪神・淡路大震災を教訓、教訓というか苦い、苦しい体験だったけれども、これからの神戸、兵庫県の復興につなげよう、そういうプロジェクトをやってきた。それを政府は全面的に支援してくれた。

 今回はどないなんですか。一年たって、その姿が何も見えない。広域防災拠点はつくるのか、つくらないのか、フロントランナーとなる防災研究、エネルギー研究などの国家プロジェクトはどうなっているのか。私が新聞で見ているのは、国際会議の誘致だけですわ、具体的に決まったのはですね。

 それを今決めなきゃならないんじゃないですか、大臣。そこは復興庁がリーダーシップをとらなきゃならない。各省に任せていてはだめです。政府として、こういう大きなことをやるんだ、五年たっても十年たってもやるんだ、そういう構想を今の段階から立てておかないと、潰されますよ。三年も五年もたってからそういう話をしても、もういいだろう、もう東北にお金を使ったからいいだろうと。それを私は懸念するんです。それをするのは復興庁であり、政府なんです。そういう取り組みが余りに弱いので、この方策十として、自民党として、これをしっかり取り組めと。

 モデルになる復興じゃなかったんですか。モデルはどうなったんですか。大臣のお答えを求めます。

平野(達)国務大臣 こうしたエネルギー研究あるいは省エネを目指した環境未来都市、こういった構想を持って新しいまちづくりをするという発想は非常に大事だというふうに思っていまして、例えば、環境未来都市等々については岩手県の大船渡、あの地域についてはそれを指定して、それで今どういうことができるかということも同時並行的に検討中であります。

 しかし同時に、今私が復興庁の職員それから各省にお願いしているのは、まず働く場と住宅、ここにエネルギーを集中してくれということを言っております。そして一方で、例えば防災センター、国営研究、これも同時並行的に自治体との検討を進めております。いずれ、これはどこかの時点できちんとした計画を立てて、この防災センターは国営となるのか県営になるのか、そういったことも含めまして、その計画をきちっと出していきたいというふうに思っております。

 あるいは、拠点となる研究施設、これも、どういう研究施設を、例えば福島県なら福島県、こういったところに持っていくべきかということについても今鋭意検討中でございます。こういったものについても、それがまとまり次第、しっかり出していきたいというふうに思っております。

谷委員 いつ出すかということが重要です。一年の区切りのときにぜひ出すべきだと思いますけれども、再度大臣の御答弁を求めます。

平野(達)国務大臣 構想は、例えば一年を契機に出すべきという御提案はわかります。しかし、私は、避難住宅を回っていまして、仮設住宅を回っていまして、被災者の方々から、防災拠点をつくっていただきたい、あるいはこういった施設をつくっていただきたいという要望を直接受けたことはありません。言われるのは、とにかく早く住宅をつくってくれ、そういう強い要望がありました。

 残念ながら、そこに対する答えは、まだはっきりとできていないというふうに私思っております。そのつかえがあるために、つかえというか、心の中にそういう問題がやはりありまして、まずはやはり住宅、働く場、学校、病院、こういったものにめどをつけたいというのが正直なところであります。

 構想につきましては、温めている構想は幾つかございます。いずれ、先ほど申しましたように、それがある程度具体化した段階できっちり出していきたいというふうに思っております。

谷委員 もう時間となりましたので、これで質問を終えさせていただきます。

 最後に、大臣、方策十、国家プロジェクト、自民党のあれは、そんなことはわかっていますよ。住んでいる人は目の前のことで手いっぱいなんです、余りにも遅いから。ただ、政府は並行してそういうことを今のうちにやらないと、後では遅過ぎますよと言っているんですよ。

 ですから、いや、もう答弁はいいです、十七年前のあの神戸のときでも、それは大変でしたよ、みんな。今よりも、ある面ではもっと大変だったかもわからない。モデルがないという意味でですよ。それでも、並行して復興基金も、震災の後、三カ月後からもう着手したんです、それに専念させて。将来のことも並行して考えておかなければ、地域の創造的な復興はできないということを私は言いたかったということです。

 いずれにしても、被災地は、ここ数日の新聞を見ても、若者の人口流出が深刻であるとか、十二月の出生数が被災三県は激減しているとか、本当に胸が痛くなるような記事がこのところ続いています、震災関連死が一千三百人を超えたとか。ですから、今まで以上にしっかりと危機意識を持って復興に御尽力いただくことを御祈念申し上げまして、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、明六日火曜日午後三時理事会、午後三時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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