衆議院

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第5号 平成24年3月7日(水曜日)

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平成二十四年三月七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      阿知波吉信君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    市村浩一郎君

      今井 雅人君    小原  舞君

      太田 和美君    奥野総一郎君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      金森  正君    川口  博君

      菊池長右ェ門君    沓掛 哲男君

      斉藤  進君    階   猛君

      白石 洋一君    瑞慶覧長敏君

      菅川  洋君    高井 崇志君

      高松 和夫君    辻元 清美君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      中屋 大介君    長尾  敬君

      畑  浩治君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    松岡 広隆君

      皆吉 稲生君    向山 好一君

      森本 和義君    柳田 和己君

      山口 和之君    若井 康彦君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    梶山 弘志君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      斎藤やすのり君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

      園田 博之君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   復興副大臣

   兼内閣府副大臣      松下 忠洋君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     松岡 広隆君

  菊池長右ェ門君    高松 和夫君

  階   猛君     瑞慶覧長敏君

  長尾  敬君     今井 雅人君

  谷田川 元君     浜本  宏君

  若泉 征三君     金森  正君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     勝又恒一郎君

  金森  正君     中屋 大介君

  瑞慶覧長敏君     高井 崇志君

  高松 和夫君     菊池長右ェ門君

  浜本  宏君     皆吉 稲生君

  松岡 広隆君     阿知波吉信君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     向山 好一君

  勝又恒一郎君     長尾  敬君

  高井 崇志君     階   猛君

  中屋 大介君     若泉 征三君

  皆吉 稲生君     花咲 宏基君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     奥野総一郎君

  向山 好一君     加藤  学君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     川口  博君

  加藤  学君     道休誠一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     小原  舞君

  道休誠一郎君     石山 敬貴君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     谷田川 元君

    ―――――――――――――

三月七日

 福島県民の命を守りふるさとを取り戻すことに関する請願(吉泉秀男君紹介)(第二〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房審議官関荘一郎君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原洋三郎君。

石原(洋)委員 民主党・無所属クラブの石原洋三郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 福島県を再生させるためにも、山林の除染が必要不可欠であります。特に、飯舘村や葛尾村、川内村などは山林に囲まれており、山林の除染が進まなければ、生活を取り戻すことは困難であります。また、雨が降れば、放射能は下流に流れてまいります。

 国有林や民有林の除染をどのようにしていくのか、お伺いをいたします。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、山林の除染が大きな課題となっておりまして、その影響が大きいわけでございます。そして、今、住居地に近いところから取り組むという形で進めているところでございます。

 放射性物質の濃度によって、環境省が主体となって取り組むところと、市町村、県が主体となって取り組むところと今区別されておりますが、市町村、県が取り組むところにおいても、森林、特に国有林に関しては、これは国、林野庁が中心となって取り組んでいくということで今やっているところでございます。

 そして、国有林と民有林との接している部分や何かがあるわけでございますが、それら全体の除染の計画は市町村においてつくる、作成過程においてもちろん林野庁もそれに対して協力し連携していくわけでございますが、その市町村がつくった全体の除染計画に基づいて林野庁の方も取り組んでいく、こういう方向でやっていくわけでございます。

石原(洋)委員 ぜひ、山林の除染ということを積極的に推進していただきたいと思っております。

 山林の除染を進めていくためにも、バイオマス発電を推進していくことが必要ではないかと考えます。木を伐採し、それを村内の発電所で燃やし、熱を有効活用し、発生した電気を電力として売電する、そのことによって新しいエネルギー政策が推進されると考えます。

 各村の復興計画に示されていますとおり、村内にバイオマス発電所の建設を推進すべきものと考えますが、お伺いいたします。

筒井副大臣 先生のおっしゃるとおりですし、賛成でございます。

 今、林野庁が主体となって、木質系の瓦れきから電気と熱を製造して供給する、この事業をやっているところでございます。山林に関しまして、間伐材とか下草とか、そういうものを使って、発電、あるいは熱も一緒に供給する場合もあるかと思いますが、熱電併給事業をやっていくことが極めて有意義だし、重要なことだと思っております。

 その際に、フィルターで放射性物質だけを取り除くことも今技術的には可能でございますから、それをやっていきながら、灰にも残った放射性物質を処理するということをやっていきたいというふうに農水省としては考えております。

石原(洋)委員 ぜひ、原発事故で大変な状況でありますが、新エネルギー政策を推進していくという観点でもお願いいたします。

 計画的避難区域に指定されている川俣町におきまして、先日、川俣町、川俣町議会主催の原発事故被災町民大会が行われました。その際、雇用の場を拡大するため、川俣西部工業団地の造成、企業及び研究機関等の誘致を国が責任を持って行うことと決議されました。また、議会の意見書として、避難されている町民が安心して農業をできるように約三十ヘクタールを開墾してもらいたい、地権者の合意も既に得ている、営農団地を造成してもらいたいと採択されておりますが、具体的に国は何をしてくれるのか、お伺いをいたします。

筒井副大臣 川俣町における団地造成については承知をしております。そして、今先生が言われましたように、営農団地あるいは家庭菜園をつくっていく計画というふうにお聞きをしておりまして、これはまさに農水省の担当、所管の事業でございますから、よくその計画の中身を聞いて、川俣町と連携協力をしていく、今こういう方針でございます。

平野(達)国務大臣 川俣町からは工業団地の造成ということを、かねてから強い要望を受けております。

 これにつきましては、まず、二十三年度当初予算を活用しまして、川俣西部を含む県内工業団地の造成に係る予備調査を今実施中ということでございまして、平成二十三年度第三次補正予算、がんばろうふくしま産業復興企業立地支援事業におきまして、市町村等が工業団地造成のための起債等を行うに際しましては、その利子を全額補助するため、利子補給するために約百億円を措置したということでございます。

 そのほかに、今この委員会で審査いただいている福島復興再生特別措置法、これが成立いたしますと、法人減税、即時償却等の各種立地支援策を御活用いただくことができますので、企業立地が促進され、地域に安定的な雇用がもたらせるように支援してまいりたいと考えております。

石原(洋)委員 町ということでもありますので、財政的には非常に厳しいところでもあります。その一方で、原発事故ということで、企業自身も風評被害を受けておりますので、やはり国が思い切った支援をしていただきたい、そのように思うところであります。

 川俣町の方々は、仕事を奪われて、うつの状態になってきている、そんな方も中にはいらっしゃいます。天気がよければ外で農業を営んで、そして自分でとった農作物を楽しんでいたわけであります。やはり国は、雇用の安定を図るための措置、生活の安定を図るための必要な措置、これを講じていただき、町民の方々が生きがいを持って前向きに復興に取り組んでいけるようにお願いをするところでございます。

 次に移らせていただきます。

 原発事故による賠償請求が始まっております。障害のある方にも東電から賠償請求の書類が届いたところでございます。しかしながら、視覚障害の方は、何が届いたのかわからないという状況であり、聴覚障害の方は、手話通訳者を自分でお願いしなければ東電の窓口相談ができないところであります。また、知的障害の方は自分で書けなくて諦めるしかないというところでもあります。

 政府として対応が必要と考えますが、お伺いをいたします。

中根大臣政務官 石原議員からの御指摘、極めて重要な点だと思います。

 発災直後の情報格差についても、障害者の方々については大変御苦労なさったということでございますが、この原発の損害賠償につきましても、障害者の方々にきめ細かく配慮をしていくということはとても重要なことであると考えております。

 御指摘の障害者の方々については、御本人だけではなく関係者、団体から東京電力に御一報いただければ、担当者が個別に訪問するなど、障害者の方々の個別事情に配慮した対応を行うことと聞いております。

 また、賠償請求を行うに当たり、例えば介護タクシーの利用費用等、特別な事情により追加費用がかかる場合についても、適切な範囲で当該費用を賠償額の中に含めることも可能と聞いております。

 政府といたしましても、原子力損害賠償円滑化会議において、障害者など請求が困難な方々を含む未請求者の掘り起こし等について検討を進めているところでございます。実情を踏まえた適切な賠償が行われるよう、引き続き東京電力を指導してまいりたいと思っています。

 障害者を支える周囲の方々には、賠償についてお気づきの点があれば、東京電力あるいは政府に御連絡いただくなど、ぜひ御協力を賜りたい、また石原議員からもさまざまな御指摘を賜りたい、こんなふうに思っておるところでございます。

石原(洋)委員 ぜひ、障害者の方がきちんと請求できるような対応というものをお願いしたいところであります。

 特に、政府あるいは東電の上の方からいろいろ指示を出したといたしましても、実際に現場の窓口に行くと適切な対応がなされていない、そんな話をよく伺うところでもございます。やはり現場まできちんと話が伝わって対応される、そのことを強く望むところでございます。

 相馬市の松川浦におきましては、アオノリや潮干狩りなどが盛んな干潟でありました。しかし、ことしはこの干潟において再開できるのか不安な状況であります。漁業の再開もいまだにめどが立っていない状況です。

 福島県における漁業や養殖の再開に向けて、どのように国として取り組まれるのか、お伺いをいたします。

筒井副大臣 漁業の再開が今後の被災地では大きな課題でございます。そのために、漁船の再建造、漁船の製造についての支援制度も御存じのとおりつくっているところでございますが、それ以外に、経費についても前もってまずそれを支給するという、がんばる漁業復興支援事業というのがつくられているところでございまして、その経費を支給した上で、なおかつ赤字になった場合に、赤字になることもあるわけでございますが、その場合に、場合によって違いますが、二分の一とか十分の九とか、その赤字部分を補填する、こういう仕組みで支援をしていきたい。

 何としてでも、これは福島県に限らないわけでございますが、漁業の再開を早急に果たして、それがきちんと収益を上げることができる、こういう再生を今目指しているところでございます。

石原(洋)委員 特に福島県の場合は、放射能ということが大きな不安な点となっているんですけれども、その点に関してはどのようなお考えでありますでしょうか。

筒井副大臣 放射能の影響によって販売できなくなったものに対する損害賠償の制度、これは今までも農水省としても取り組んでまいりました。何回も連絡会議を開いて、そこに東電の皆さんも呼んで、そして、そこできちんとした損害賠償体制を早急に進めるようにということで、今も損害賠償が順次払われているところでございます。

 そしてまた、同時に、基準値を超えていないものに関する風評被害、これについても大きな被害が出ておりますし、それから、福島県におきましては、この放射能事故のためにそもそも漁業そのものを自粛しているという態勢でございますから、それに基づく損害も発生しているわけでございまして、それらについてもきちんと損害賠償を今現在しつつあるという状況だというふうに認識をしております。

石原(洋)委員 福島県の漁業が再開するに当たりましては、もちろんハード面、ソフト面の支援というものも必要かと思うんですけれども、やはり仮に再開する状態になったときに、検査体制というものがしっかり充実していなければ、何をもって安全なのか、安心なのかというところが出てくるかと思いますので、その検査体制の充実という面もぜひ御考慮いただければと思うところでございます。

 また次に移らせていただきます。

 福島第一原子力発電所の事故の収束に向けての取り組みを伺います。

 今回、発電所ができてから約四十年以上経過したわけであります。四十年経過したときに、千年に一度の大震災が来たわけであります。これから廃炉するのに四十年以上はかかると言われておりますが、もし、これから四十年以上の間に、再び千年に一度の災害クラスが来た場合、今の状態で防げるのかどうかをお伺いいたします。

 再び震度八クラス、十五メートル級の津波が来た場合、今の発電所の仮堤防で防げるのかどうか、あるいは建屋は崩れないのかどうか、あるいは全電源喪失になったときにすぐ回復できるのかどうか、また、破損機器の復旧はすぐできるのか、ベントの準備体制、あるいは水の供給体制などはできているのか、お伺いをいたします。

中根大臣政務官 原子力安全・保安院は、平成二十三年十月の三日、事故収束の道筋、ステップ2終了から原子炉の廃止に向けての作業が始まるまでの期間、三年程度以内ということでございますが、における公衆及び作業員の安全を確保するため、安全確保の基本目標である中期的安全確保の考え方を定め、東京電力に対し計画的な対応を求めたところでございます。

 これを受けて、東京電力から、原子炉の冷温停止状態に係る循環注水冷却システムに関する設備に係る施設運営計画について報告書が提出され、原子力安全・保安院は、専門家の意見を聞くなどし慎重に評価を実施してまいりました。この評価結果等から、冷温停止状態が達成されていることが確認をされたところでございます。

 具体的な設備の評価につきましては、保安院は、循環注水冷却システムの関連する設備は多重化等により信頼性を確保していること、これは信頼性代替手段の評価でございます、異常が検知でき、設備の停止時には代替手段が確保されていること、これは異常の検知の評価でございます、万が一の事故が発生しても、著しい放射線被曝リスクを与えないこと、安全の評価でございます、等を確認し、仮に、地震、津波等によって注水機能喪失に至ったとしても、敷地境界線における被曝線量が十分低い状態を維持することが可能であると評価をし、平成二十三年十二月十二日に原子力安全委員会に報告を行ったということでございます。

 また、東京電力福島第一原子力発電所四号機につきましては、倒壊するおそれがあるとの指摘がありますが、現地の作業員の証言や原子炉建屋の写真を通じて、建屋が顕著に傾斜している事実はないことが確認をされており、現時点での耐震性についても、水素爆発による外壁損傷の影響も含め評価を実施し、健全であることが確認をできております。

 加えて、四号機の使用済み燃料プール底部の補強工事については、既に実施されており、これまで適切な対応がとられてきているものと考えております。

 以上でございます。

石原(洋)委員 事故時の連絡体制に関してはどのように考えているのか、お伺いをいたします。

 福島第一原子力発電所と本店を結ぶテレビ電話がこの前視察したときにありましたが、保安院との連絡体制も十分に行い、緊急時には三者がすぐテレビ電話で会議ができるような体制も必要であると考えますが、お伺いをいたします。

 テロ対策というものも考えなくてはいけませんし、あるいは緊急時の現場と本店とのやりとりとか、保安院とのやりとりとか、そういった組織体制といいますか、緊急時の役割分担も明確化されているのか、お伺いをいたします。

中根大臣政務官 今般の事故対応につきましては、当初、関係機関等の間の連絡、連携が十分ではなく、また、それぞれの役割分担や責任関係が必ずしも明確ではありませんでした。

 こうした教訓に対する対応策として、政府関係機関と全ての電力事業者、原子力発電所をテレビ会議システムで接続し、緊急時の指示と情報収集を確実かつ迅速に行えるよう整備を進めることにいたしております。関係機関等の責任関係や役割分担について、迅速かつ的確に対応を行うことができるよう見直しを進めているところでございます。などをIAEAに対する政府報告書の中でもお示しをしてきたところでございます。

 これを踏まえて、原子力安全・保安院と全ての電力事業者、原子力発電所を結ぶテレビ会議システムを既に先月までに整備をいたしたところでございます。また、関係機関等の責任関係や役割分担については、防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しの検討を関係府省庁と進めております。

 経済産業省といたしましては、こうした取り組みを引き続き推進し、原子力防災体制の強化に万全を期してまいりたいと考えております。

石原(洋)委員 次に移らせていただきます。

 現在、飯舘村などでは計画的避難区域となっておりますが、一部の企業も営業が認められておりまして、また交通も、自由に通過交通できる状態であります。

 警戒区域などの見直しに当たっては、ふるさと帰還前にも被災者が自由に行き来できるような体制、被災事業者が事前に、先駆けて営業再開できるような体制を避難指示解除準備区域、居住制限区域などにおいても行っていくべきだと考えます。被災者の方々に対する制約というものをでき得る限りなくしていき、自由にしていくことが望まれるのではないかと思いますが、お伺いをいたします。

中根大臣政務官 新たな避難指示区域の運用につきましては、昨年十二月二十六日の原子力災害対策本部決定において示しているとおり、県、市町村、住民など関係者との協議を踏まえ検討、実施していくこととしているところでございます。

 具体的には、避難指示解除準備区域については、通過交通や一時帰宅、公益立ち入りを柔軟に認める方向で検討をしております。

 加えて、公共インフラの復旧状況や防災、防犯対策などに関する市町村との協議を踏まえ、事業所の再開についても柔軟に認めることを検討いたしております。

 居住制限区域につきましては、現在の計画的避難区域と同様の運用を行う方向で検討しており、通過交通や一時帰宅、公益立ち入りを認める方向で検討をいたしております。

 いずれにいたしましても、見直しに当たりましては、被災者の自宅への行き来や被災事業者の営業再開がスムーズに実施できるよう、地元の御意向を十分に把握しつつ対応してまいりたいと考えております。

石原(洋)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、その区域に関しましては、でき得る限りモニタリングポストみたいなものを設けていただき、安心して、どのくらいの数値かということがわかるような体制というものも考えていただければと思います。

 警戒区域内の常磐自動車道とJR常磐線の復旧復興についてお伺いをいたします。

 この地域は現在南北に分断されており、現在では、大回りをしまして三時間以上かかっております。今までですと、南相馬市からいわきまで約一時間で行けたわけであります。経済的にも分断されており、商圏も大きく損なわれております。まずは通過交通だけでも早急に行っていただきたいというのが地域の強い要望であります。

 この常磐自動車道とJR常磐線が復旧復興されれば、それはまさに一筋の希望の光となってまいります。御計画を示していただければと思います。

奥田副大臣 石原議員御指摘の常磐自動車道についてお答えさせていただきます。

 警戒区域内の常磐自動車道については、関係省庁及びNEXCO東日本において放射線対策検討合同チームを設けております。この検討の結果、一月二十六日、NEXCO東日本の方から、記者会見において、年二十ミリシーベルト未満の区域では今年度中に工事に着手するということ、そして、年二十ミリシーベルト以上の地域では、環境省が今年度中に除染モデル事業に着手し、その結果を踏まえ、除染と工事を進めることを検討するということにしております。つながること、そして地域の希望の光だということをしっかりと踏まえて、早期供用解除に向けて頑張ってまいりたいと思います。

 JR常磐線の方ですけれども、こちらは、国交省からJR東日本に対して、今後の復旧に向けた取り組みを行うよう強く要請しているところであります。これを受けて、現在、JR東日本においては、警戒区域内の復旧方針作成のための調査を実施しているところであります。議員も御承知のとおり、一部駅が流失したり、あるいは線路の移設を検討しなければいけないという部分もあります。JR東日本においては、今後、この調査結果を踏まえた上で、国や地方自治体と調整をしながら、具体的な復旧方針を作成し、復旧に向けた作業を進めていくと承知しております。国としては、情報提供を初めとして、また、この動きをしっかりと支援していきたいと考えております。

 以上です。

石原(洋)委員 ぜひ、でき得る限り早くお願いをいたします。

 津波被災地の土地の買い上げ価格についてお伺いをいたします。

 基本的に、市町村ごとに土地家屋調査士が査定を行って買い取り価格を決めておりますが、市町村によって大きくばらつきが出てきてしまい、被災者にも困惑が生じているんではないかと思います。ある町では震災前の地価の八割程度で買い上げるが、ある市では七割程度、ある町では五割となれば、大きな不公平感が生じてしまいます。国がある程度の調整を行っていくことが必要かと考えますが、お伺いをいたします。

平野(達)国務大臣 防災集団移転事業あるいは公共事業によって被災した土地を取得する場合、このような場合には、適切な不動産鑑定評価などを参考に評価、決定したものをもとに地方公共団体が価格を決定する、こういう仕組みになっております。

 その際、災害の発生するおそれや、災害危険区域が指定された場合の建築の禁止、制限の内容及び程度を勘案するとともに、復興計画等による土地の効用の回復の見通し等にも留意して、買い取り価格を評価、決定することとしております。

 国としてはそのような基本方針を示しているということでございまして、それを受けて被災地方公共団体が個別の土地の評価に基づく価格を決定するわけでございますが、この価格の決定については、国がどうのこうのということではなくて、事業主体である地方公共団体が適切に行うものである、そういう考え方で今行っていただいております。

 結果として、価格の中に、いわゆる八割、七割、五割、そういう例があるかどうかわかりませんが、若干もとの価格でやったときにばらつきが出るかもしれませんが、それはその地域のさまざまな特性、それから先ほど申し上げましたような効用の回復の見通し等々による評価の違いによって行うものであって、何割、何割、何割というふうに当初から定められて価格が決まるものではないということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

石原(洋)委員 評価によって価格に差が出てくるということはもちろんなんですけれども、ただ、三月十日の時点で例えば同じ百万円だった地価が、震災一年たって評価をしたときに、片方では八十万円の評価になって、片方では五十万円の評価となると、三月十日の時点では一緒だったのに、一年たったときに同じ災害で同じ被害をこうむったのになぜ違うんだと。隣町では高く買ってくれるのに、こっちの市では安いのはなぜなんだという弊害が生じてしまっていると思います。ですので、そこをぜひ御考慮いただければと思うんです。

平野(達)国務大臣 先ほど申しましたように、基本はやはり被災地方公共団体が判断をするということになると思いますけれども、例えば岩手県、宮城県では、被災した沿岸部の土地について不動産鑑定士協会に一括して評価を委託するということで、三月末までに標準的な価格を算定するというふうに聞いております。そういったやり方、つまり、不動産鑑定士協会に一括してやることで、いろいろな他地域との並び等を見ながらやれるという仕組みもあるのではないかというふうに思います。

 こういった点については、今委員の指摘も受けまして、こういった例もあるよということについては福島県にもいろいろアドバイスをしていきたいというふうに思っています。

石原(洋)委員 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、太田和美君。

太田委員 民主党の太田和美でございます。

 本日、質問の機会をいただきましたことに、まず理事を初めとする委員の皆様方に厚く御礼を申し上げたいと思います。

 また、平野大臣におかれましては、福島県の復興のために、この間本当に精いっぱい御尽力をいただいておりますこと、県民の一人として厚く御礼を申し上げたいと思います。

 今、原子力事故から早くも一年がたとうとしております。しかし、福島県の現状はいまだ収束はしておりません。県民の八割がストレスを感じるという、県民総ストレス状態といいますか、大変異常な国民生活が続いているというのが現状でございます。そして、県外への人口の流出もとまりません。

 先日の朝日新聞の朝刊によりますと、三十年後に福島県の人口が半減するという予測をしておりまして、私は大変強いショックを受けました。子供と母親の世代が大量に県外に流出したということにより、さらに少子化が進んで、人口が半減するという予測でございました。福島県の人口調査でも二百二万七千人だったのが、ことしは百九十八万人ということで、二百万人を切ったということでございます。

 子供やその親世代の大量転出は、原発事故による放射線被曝、健康への不安が原因にほかなりません。国や県は二十ミリシーベルト以下なら大丈夫だということを言いますが、低線量の被曝による健康への影響はわからないことが多いということもあり、福島県民は、今、本当に言葉に尽くせないほどの不安とストレスの中で暮らしているという現状がございます。原発災害、放射能災害の特殊性をしっかりと認識した上で、その対策を打っていく必要があるということでございます。

 そのような中で、要望を可能な限り取り入れていただいて、今回、閣法として特措法をまとめていただきました。平野大臣の御苦労には、福島県の議員として改めて感謝、御礼を申し上げたいと思います。

 ただ、一点だけございます。それは、県が強く求めていた十八歳以下の医療費無料化のことであります。子供たちの医療費無料化が見送られたこと、これはまことに残念であります。本来なら、国が責任を持って十八歳未満の医療費無料化を行って、まず何よりも子供たちやその親たちに安心を与えるという、このメッセージが私たちは本当に一番欲しかったというところであります。

 福島県だけ特別にはできない、また、医療制度の根幹にかかわる問題としてできないという理由が漏れ聞こえてまいりました。

 しかし、ここで私が言いたいのは、福島は特別なんです。今、特別な事情の中で、国がつくり上げてきた虚構の安全神話に踊らされて、そして国策として原発の推進によって、穏やかな暮らしが一瞬にして奪われてしまった。この犠牲になってきた福島県民にとって、本当に福島は特別な事情があるということだけでも、このことを十分にまず理解をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 しかし、その中でも、県が独自でその事業を行えるように、平野大臣の方でも基金を県の方に出していただいたということがございます。国が見送っても、福島県では、秋には独自に十八歳以下の医療費無料化という措置を講じることができました。そうした御配慮に改めて感謝、御礼を申し上げたいと思います。

 これについて、民主、自民、公明の協議によって、特措法六十八条において、国は、健康管理調査その他原子力災害から子供を初めとする住民の健康を守るための必要な事業を実施することを目的として地方自治法第二百四十一条の基金として福島県が設置する基金については、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講じるものとするという修正が施されました。(発言する者あり)そうですね、修正が行われる予定だというふうに聞いております。

 精いっぱいの御配慮の上だというふうに思いますけれども、このことを踏まえた中で、子供を初めとする住民の健康を守るために必要な事業を行うための基金として、ぜひ今後とも予算措置をとっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、原発災害の特殊性を踏まえた福島県の現状を踏まえて、大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

平野(達)国務大臣 今委員から御指摘がございましたように、特に福島県において、見えない放射能におびえながら暮らしている小さなお子さんあるいはお母さん方がたくさんおられます。こういった状況をしっかり踏まえて、今回の原発事故の発生の経緯からしても、国は責任を持ってさまざまな措置を講じていく、これが国の姿勢としてあるべき姿だというふうに思っております。

 福島の子供を初めとする住民が安心して暮らせるよう、平成二十三年度の補正予算におきましては、健康管理・調査を実施するための福島県原子力被災者・子ども健康基金創設に向けまして、九百六十二億円の支援を行うとともに、被曝量を低減するための除染経費四千六百三十八億円などの計上を行ってきたところでございます。今後も、この基金につきましては、引き続き、除染経費として、平成二十四年度予算案においても三千七百二十一億円について計上を行っているところでございます。

 今、三党の方では今回の法案の修正協議が行われているというふうに聞いておりますけれども、いずれそういった法案修正がもし行われるということであれば、そういった趣旨も踏まえまして、また仮に修正がなかったとしても、先ほど申しましたような経過から、福島県の安心、安全で暮らせるという環境づくりのために、こういった基金についてはしっかり国としても支援を続けていくことが大事だというふうに思っております。

太田委員 大臣、ありがとうございます。

 福島県の今の現状を踏まえて、そうした医療制度、さまざまな国からの対策をぜひ継続して行っていただくということを強くお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 県民の健康の問題について少し続けたいと思います。

 今回の特措法の中にも、第二十七条に「健康増進等を図るための施策の支援」というものが明記されております。

 昨年の十二月なんですが、細野原発担当大臣のもとに設置されたワーキンググループが取りまとめた報告書に、このような記述がございます。以下、読み上げたいと思います。

 平成二十二年の福島県のがんによる粗死亡率は、人口十万人当たり三百五・七と全国で二十位に当たる。これを大幅に改善し、放射線による影響が十年以降から顕在化する可能性があることに鑑み、それ以降、例えば二十年後を目標に、全国でがん死亡率が最も低い県を目指すこと。そのため、喫煙、食事、運動等の生活習慣病等の改善によるほかの発がんリスクの低減はもとより、例えば検診受診率の向上等を含めて政策パッケージとして打ち出すとともに、将来、がんに関する対策については、福島県が世界に誇れる地域となれるようにし、住民の希望を未来につないでいくべきであるという取りまとめの記述がございました。

 実は、私も、事故後早くからこの必要性というものを強く感じておりました。まさに我が意を得たりという気持ちでありますけれども、ただ、実行されなければ意味がありません。

 そこで、原発担当大臣の政務官として、このワーキンググループに参加をされていたということで、園田大臣政務官の方に、この提言の実現に向けて、この対策を講じることが望ましいと考えているのかどうか、そのことについてお答えをお願いしたいと思います。

園田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 先ほど、冒頭に委員もおっしゃっていただいたように、私も、ちょっと私の私見も入るかもしれませんけれども、本当に、今なお放射能の恐怖におびえながら生活をされていらっしゃるお子さん、あるいは福島県民の皆さん方に対して本当に申しわけない気持ちでいっぱいでございます。

 同時に、やはり政府として、国の対応の、ひょっとしたら県民の皆さん方に対しては失礼があったり、あるいは時には不安、不満があったりというような形で今日があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 そういった意味では、しっかりと私どもも、そういった福島県民の皆さん方の特別なさまざまな事情に鑑みて、それに対する最大限の努力をしていかなければならない、対応していかなければならないというふうに考えております。

 そんな中、委員お取り上げいただきました、昨年の十一月と十二月、集中的に細野原発担当大臣とともに私も参加させていただきましたけれども、放射性物質の汚染対策顧問会議、このもとにワーキンググループが設置をされました。

 恐らく、これだけの放射性物質に対する知見を、今わかっているところ、まだわからないところ、そういったところも公平な形で、さまざまな知見をこの中に取りまとめとしてまとめさせていただいたものが、このワーキンググループの報告書でございます。ぜひ、皆さん方にも、ホームページにも出ておりますので、御一読をいただければというふうに考えております。

 御指摘のように、その提言の中には、将来、福島県が世界に誇れる、そういった地域となるように、住民の希望を未来につなげていきたいという思いがこの中に込められております。

 そして、がん対策でございますけれども、福島県が策定をいたしておりますがん対策推進計画、これにおきましては、がんの年齢調整死亡率、これは七十五歳未満でございますけれども、今後十年間で二〇%減少するということで、大変力強く福島県も今推進をしていただいているというところでございますけれども、当面は、がん予防や早期発見といったものが大変重要な位置づけになってまいりますので、そういった各種対策を実行に移していく。

 まさしく、申し上げる、提言するだけではなくて、実行に向けてつなげていくことができるかどうか、そこが、私ども国が、これからの支援というものにつながっていくものではないかというふうに考えています。

 そこで、現在、がん対策の推進基本計画、この変更案については、がん対策推進協議会から既に答申が三月の一日に出ました。今月の頭に出ました。本年の五月から六月に予定しております閣議決定の後に、都道府県もこれを踏まえてがん対策を見直すという形になってまいるところでございます。

 今後、この見直し、さらにこれを推進していくといったところを含めて、その見直し案が出てまいっておるところでございますので、福島県におかれましても、そこを捉えて、例えば、喫煙であるとか食事であるとか運動等の生活習慣病等の改善策、あるいは発がんのリスクの低減、あるいは検診の受診率をさらに上げていただくことというのが大変重要になってくる。

 早期発見、早期予防といったことを申し上げましたけれども、やはり早期発見によって治る率というのは大変高くなってきますので、それによって、がんがたとえ発症したとしても、そこにしっかりと手だてが打てるのではないか。

 これは厚生労働省、関係省庁ともしっかりと連携をとらせていただいて、実行に移してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

太田委員 ありがとうございます。

 ただ、園田政務官、全国的ながん基本計画の対策ということはわかります。このワーキンググループの中の取りまとめにもあるように、放射線による影響が十年後以降から顕在化する可能性がある、だからこそ全国でがんの死亡率が最も低い県にするんだということが書かれているわけですから、その対策を、福島県の対策として別建てでぜひしていただきたいということを強くお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 今回のこの原発事故によって、福島県の全体のがんの死亡率が一人でもふえることは私はあってはならないと思っているんです。何としてでもこれは避けなければなりません。福島県を日本で一番の健康の県にするというこのメッセージを国が政策目標として掲げていただければ、それがどんなに県民の皆さんにとって希望となるか。本当にこのことは、ぜひ検討を早急に進めていただきたいということを切にお願い申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 次に移りたいと思います。

 この特措法の基本理念の中にも、安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる環境を実現するとともに、直面する課題については多様な住民の意見を尊重しつつ解決するということが明記されております。そのためには、国はこの一年間、健康管理調査とか、フィルムバッジを貸したりとか、サマーキャンプの実施など、いろいろな事業を行ってきたと思います。

 しかし、それらの施策を講じて、事故から一年たった今も、放射能の不安を取り除くことができていないという現状でございます。朝日新聞の世論調査は、いまだ約八割の方が放射能の不安というものを訴えておりました。

 チェルノブイリ事故の際には、汚染されたミルクや食料をとっていた子供たちの間で、事故後五年ぐらいたって甲状腺がんが多く発症したという事例があります。福島県の場合はそこまでのレベルの被曝ではないということが言われていて、私もそう信じたいというふうに思いますが、子を持つ親としては不安で不安でいっぱいなんです。

 その現状を踏まえて、今私が住んでいる郡山市では、小中学生が、給食の牛乳を約五%の方が辞退しているという現状もあるんです。やはりこういう親御さんたちの不安というものをしっかり理解していかなければならないと思っておりますし、私は、もし万々が一でも甲状腺がんになっても、すぐに駆けつけられるというようなこと、少しでも安心できるという体制を今からつくっていくべきではないかというふうに思っております。

 そこで、厚生労働省の方にお尋ねをしたいんですけれども、〇七年に策定されたがん基本計画に基づき、二〇一二年からのがん対策推進基本計画の中では、初めて小児がんについて力を入れた方針になっておりました。小児がん拠点病院を指定し、専門家による集学的医療の提供、患者と家族に対する心理社会的な支援、適切な療育、教育環境の提供等々対策を整備するなどとした方針が出されておりましたが、この拠点病院をぜひ福島県に持ってきていただきたい、私はそういうふうに思っております。少しでも、子を持つ親御さんたちに安心を与えていきたいというふうに思いますので、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。

辻副大臣 御指摘をいただきました小児がんは、依然として小児の病死原因の第一位でございまして、これまでのがん対策でも政策的におくれていたところがございまして、三月一日のがん対策推進協議会によるがん対策推進基本計画変更案に重点課題として取り上げていただいているところでもございます。

 具体的には、我が国で死亡率が上昇している女性のがんへの対策、就労に関する問題への対応、働く世代の検診受診率の向上、小児がん対策等への取り組みを推進するという形で新たに掲げているところでございます。

 この中で、御指摘いただきました小児がん拠点病院についてでありますけれども、これにつきましては、平成二十四年度より指定を開始する予定でありまして、平成二十四年度予算案におきましても、小児がん拠点病院の機能強化ということで四億円を計上させていただいているところでございます。

 そして、小児がん医療の質の充実を図るために、小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けていただけるような、まさに委員がおっしゃったような環境を整備するように目指していきたい、このように考えているところでございます。

 そして、全国に複数指定することを予定しております小児がん拠点病院につきましては、今後、検討会を早急に立ち上げて、拠点病院の要件を策定することとしているところでございまして、福島県の病院につきましても、要件が満たされれば当然その候補になるものと考えるところでございます。

 このようなことも含めまして、今後とも、大変重要な大きな課題である小児がん対策の推進に向けて取り組んでいきたいと考えております。

太田委員 ありがとうございます。

 これから要件を定めて決めていくということでございますが、私たちもその要件をできるだけ満たせるような環境をつくっていかなければいけないというふうに思っておりますので、ぜひ、この小児がんの拠点を福島県に一つでも持ってきていただきたいということをお願い申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、この福島再生特別法案、特措法は、産業振興というものがメーンになっているのではないかなというふうに思っております。法律によって事故被災者の生活がどのようによくなるのか、どのような支援が打ち出されるのかという点は、私は少しちょっと薄いんじゃないかなという感じがしております。そこで、この特措法を補完して、被災者の生活を具体的に支援する法律を議員立法でつくろうと、今民主党の中で議論が続いております。また、野党の中でも同様な動きがあるやに聞いております。

 チェルノブイリ事故の際には、事故後五年たってチェルノブイリ法というものがつくられました。チェルノブイリ法とは、年間一ミリシーベルトを超える地域にも、そこに住んでいた人、そして住んでいる人、また強制避難地域以外の人々に対しても、きめ細かく被災者を十二のカテゴリーに分けて、それぞれ医療支援策とか社会保障の支援策を定めておりました。ウクライナやベラルーシでは、そうした制度にかなりの国家の予算が割かれております。

 放射性物質による被害を避けるため、県外や放射線の少ない地域へできれば移り住みたいというふうに答えた方が三二%おられました。国は、こうした人々の声に耳を傾けることができているのかということでございます。誰だって、今福島県を離れたいというふうには正直思いません。福島で生まれて、福島で育って、福島で働いて、福島で結婚して、福島で子供を産んで、福島で子供を育てたい、これがやはりみんなの思いなんです。でも、私は、この三二%という数字に大変胸が痛くなりました。

 この、国の被災者支援ももっときめ細かく定めるべきではないかというふうに思っております。ここに住む人、そしてやむを得なく出ていく人も、そして、また何年後かには戻ってくる人に対してもです。子供手帳でも県民手帳でも何でもいいですけれども、福島県の事故を経験した人たちがどこに行っても医療保障を受けられる支援とか、さまざまな対策があろうかというふうに思っております。

 日本でどこまでやるかということ、程度の問題というものは別にして、この種の、避難区域に限らない原発被災者の生活再建、支援などについての立法の必要性について大臣がどのような認識をされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 改めて、福島に嫁入りをするといって福島に行かれた太田委員は、本当に福島県民になられたなということを感じさせていただきました。

 住民の安心のため、政府としては、健康管理・調査により放射線の影響を調べ、福島県民の健康を守ること、除染を行うこと、食品の放射線検査を行うこと、放射能に関する新しい情報を発信し国民の理解を深めることなどのさまざまな施策に取り組みまして、こうした住民の方々への支援に全力で努めさせていただいているということでございます。

 一方で、今御審議いただいている福島復興再生特別措置法では、第四章で、「放射線による健康上の不安の解消その他の安心して暮らすことのできる生活環境の実現のための措置」の規定を盛り込んでおりまして、政府としては、この規定に基づきまして、放射線の健康不安対策など住民支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 もちろん、それは避難区域だけではなくて、避難区域以外の方々、福島県民全部、それこそ全部だと思いますけれども、いろいろな不安を抱えているということもしっかり念頭に置いて対応していかなければならないというふうに考えております。

 ちなみに、チェルノブイリ法、私どもも今いろいろ勉強させていただいております。例えば、このような法律に基づきまして議員立法等々についても検討されているというふうに聞いておりますけれども、こういった議員立法がもし成立するということでございますれば、その趣旨を最大限踏まえまして、政府として対応しなければならないというふうに考えております。

太田委員 大変前向きな御答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。これからも、議論をもっと深めた中で、議員立法の策定について進めてまいりたいというふうに思っております。

 そしてまた、大臣、今、大変ネガティブな言葉なんですけれども、原発離婚とか家族離散という言葉が、正直、福島県にあるということがございます。今回、震災で、きずなというものがこれほどまでに価値があるものなのかということで再評価されたという裏、マスコミが報じない裏にはそういった現状があるということをぜひ御理解していただきたいというふうに思っております。

 今、県外避難は約六万人ということが言われておりますが、私は、住民票を移動しないまま県外に行かれている方たちも多いので、それをもっと上回るのではないかなということを思っております。子供と奥さんだけが県外で暮らす人など、本当に潜在的に、さまざまな方がもっともっとたくさんおられるのではないかなというふうに思っております。

 そうした中、将来の見通しが立たない不安、いつまでこの生活を続ければいいのかといういら立ち、こうしたものをやはり早く解消してあげていかなければなりません。いつまでもお父さんとお母さんが別々に暮らして、週末だけ子供に会いに行くという暮らし、これを本当にいつまで続けるのか。これを思うと、本当にいたたまれない気持ちになります。

 そうした中で、私、それを少しでも解消するために、汚染の将来予測マップというものをぜひ早急につくるべきじゃないかというふうに思っております。ベラルーシでは、この将来の汚染予測マップをつくって公表しています。五年後のみならず、十年後じゃなくて、もっと、五十年後まで、細かく、そういった汚染の状況がどのような形で推移していくのか、そして減衰していくのかというようなことが、手にとって、目で見てわかるというような、そういったマップがあるんですね。

 私は、日本でもこうしたものがつくれるはずだというふうに思っております。そうすれば、自分の住んでいた地域では十年後にはこのぐらいの被曝量になるからもう帰っても安心だとか、そのような人生設計がしやすくなるのではないかなというふうに思っております。子供が中学生になったら福島に戻る、やはりおじいちゃん、おばあちゃんたちもいるから福島でこれからも過ごしたいんだ、そういったような形で帰還もしやすくなるというふうに思いますが、このようなマップをつくるおつもりはないかどうか、お答えをお願いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 放射能に対しての不安をできるだけ軽減する、あるいは将来のいろいろな生活設計を立てる上で、自分が今現在住んでいる地域の放射線がどうなるんだろうかということについては、そこの地域に住んでいる方々にとってはもう本当に必須の情報なんだろうというふうに思います。

 現在の線量マップは文部科学省で作成しておりますけれども、将来における予測線量のマップについては、物理的な減衰や雨風などの自然要因や地形要因等を考慮する必要があり、実際の線量変化を正確に予想するのは困難であるというのが見解であります。

 しかし、今委員からも御指摘ございましたけれども、やはり住んでいる人たちには、この説明を聞いたとしても、なかなか納得をいただけないというふうに思います。推定年間被曝線量の推移に関する試算、こういったことは公表しておりますけれども、いずれ、どういう形で、どういう精度で予測線量マップが公表できるのか、これにつきましては、鋭意引き続き検討しなければならないというふうに考えております。

 そのときに、出す場合には、出す側はどうしても、不確実なものを出すということには慎重になるということもございまして、この点についてだけはちょっと委員も御理解をいただきたいと思います。

 ただ、繰り返しになって恐縮ですけれども、出さないという、こういう説明では納得されないということについては私も重々理解をしますし、それを踏まえた上での何らかの対策を検討するようには強く指示したいというふうに思います。

太田委員 ありがとうございます。

 推定年間被曝線量の推移というものがわかっておりますし、各種放射性物質がどのようなものが飛んでいて、セシウム137、134の割合がどのぐらいあって、そして、自然減では二年後には四〇%減るだとか、いろいろなことで試算が出ているはずだと思います。もちろん、除染によって、ウエザリングによって、さまざまな、推移が変わる可能性もあろうかというふうに思いますけれども、今現時点でわかる中で、少しでもそういった公表をできるような形で、ぜひ前向きに、この策定に向けて取り組みをしていただければというふうに思っております。

 まだまだ、いろいろな対策を講じていかなければいけないことがたくさんあります。そうした対策を講じた上で、私たち福島県は、やはり、いつまでも怒っている福島県ではいけないと思っております。明るく前向きに頑張っている姿を全国の皆さんに示していきたいというふうに思っておりますので、国としても最大の支援策を講じていただくことをお願い申し上げまして、そして、改めて平野担当大臣を初めとする各位の皆様方に、福島県のために精いっぱいやっていただいておりますことに感謝、御礼を申し上げまして、以上をもちまして私の質疑を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 きょうも質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 この福島の復興特措法、同じ東北の人間として本当にぜひ進めなければいけないと思っているんですけれども、ちょっと気になるところも幾つかございまして、それをきょうは質問したいと思います。

 第七条関係の質問をします。避難解除等区域復興再生計画についての質問をきょうはさせていただきたいと思います。

 昨年の年末に、国、細野大臣が、年間線量二十ミリシーベルトでも住めるようになるということを決めたようでございます。これは本当に妥当なのか、改めて政府にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

中根大臣政務官 斎藤議員にお答えを申し上げます。

 昨年四月十一日、計画的避難区域等を設定した際の年間二十ミリシーベルトという目安は、現在、ICRP、国際放射線防護委員会、IAEA、国際原子力機関が示している緊急時被曝状況における放射線防護の参考レベル、これは年間二十から百ミリシーベルトということでございますが、そのうち、安全性の観点から最も厳しい値を採用したということでございます。

 また、内閣官房に設置された国内外の有識者から成る、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループにおいて、年間二十ミリシーベルト以下については、健康リスクは喫煙や飲酒などの発がん要因によるリスクと比較しても十分低いものであること、年間二十ミリシーベルトは、除染の実施など適切な放射線防護措置を講ずることにより、十分リスクを回避できる水準であるとの評価が得られているところでございます。

 このため、今回の区域見直しにおいても、年間二十ミリシーベルト基準を用いることは妥当であると考えさせていただいております。

斎藤(や)委員 よく、地元で放射能に対して不安を感じられているお母さんにお話を聞きますと、喫煙の話とか飲酒の話で比較する話をしますと、かなり皆さん敏感になられていまして、それは自主的にたばこを吸った人、自主的に飲酒した人でしょう、私たちは別に自主的に放射能を吸い込みたいと思っていないんだよというふうに怒られますので、この比較というのはちょっと、わかりやすいといえばわかりやすいんですけれども、考え直した方がいいかなと個人的には私は思っております。

 そのICRPの基準ということなんですけれども、たしか、国が定めた放射能管理区域、これは毎時〇・五マイクロシーベルトで、年間だと五ミリシーベルトです。チェルノブイリの居住禁止区域、これも実は年間五ミリシーベルトです。つまり、今回、福島はチェルノブイリの四倍の許容量になっています。ここが私はすごく気になっています。

 何よりも、ICRPの基準と国が定めた放射能管理区域、この放射能管理区域というのは、長い間そこにいちゃだめですよ、そういうふうに定めたものですよね。このICRPの基準と放射能管理区域の基準の整合性というのはどうなんでしょうか、中根政務官。

中根大臣政務官 二十ミリシーベルトというのは緊急時における基準ということで、それから、五ミリシーベルトというのは原子力施設などにおける基準ということの違いであるということでございます。

斎藤(や)委員 緊急時の基準ということですけれども、今回、年末に細野さんが話されたのは、その年間二十ミリシーベルトというものを掲げてきた。本当に、私はこれは大丈夫かなというふうに思っております。

 実は、二〇〇五年に、米国科学アカデミーによってつくられた、通称BEIR委員会というのがあるんですけれども、この委員会から出された報告によりますと、被曝のリスクというのは低線量でも直線的に存在する閾値はない、つまり、低線量でも晩発性のがん、病気になるリスクを大いに秘めている、そういう結果が出ております。

 これは昨年の、ちょうど二十ミリシーベルトの問題でよく出されていた話なんですけれども、同じ話をしなければいけないのは大変残念なわけなんですが、国の危機管理というのはやはり最悪の事態を想定することにあると思います。国民の命と財産を守る。特に乳児、ゼロ歳児は全世代平均の四倍も放射能の感受性が強いですね、細胞分裂しますから。ですから、子供を二十ミリシーベルトの高線量の場所に住まわせるのは、本当にこれはどうなのかなと思うんですけれども、低線量被曝のリスクということについて、ぜひ、もうちょっと慎重に考えていただきたいというふうに思います。

 歴史上かつてないことが起きてしまったわけで、知見もないんですね。知見もない中で、誰かが勝手に二十という閾値を本当にしくことが正しいことなのかということを考えますと、やはり私は、危機の閾値というものは低く見積もるべきだというふうに思っております。

 今回、国は、除染をして線量を下げて、もとの場所に戻ってもらうという計画をしています。放射能汚染に苦しんでいる皆さんにとっては、除染というのは本当に命綱だと思うんです。生きるモチベーションが、やはり除染して線量が下がると、上がってくるというふうに思います。しかし、私は、こういうふうに言うと本当に冷たい人間に聞こえるかもしれませんけれども、除染というのは一方で限界もございます。客観データとやはり照らし合わせながら、除染のあり方とか命の守り方を柔軟に考えるべきだと思います。

 私が住む仙台というのは、全般に空間線量は低いです。時にホットスポットがありまして、そこを除染すれば、もう全体が空間線量は下がる。土の問題はありますけれども、局所的な汚染であれば、私は最も効果がある方法だというふうに思っております。

 一方で、全体が汚染された場所、広範囲の汚染区域の除染、この効果というのはどれぐらいあるんでしょうか。原発事故から一年たって、データの蓄積が少しは出てきていると思いますので、ぜひそのデータの蓄積から除染の効果を教えていただければ幸いでございます。

高山大臣政務官 斎藤委員から御質問の除染の効果でございますけれども、委員御案内のように、この除染の効果というのが、ではどれぐらい出るのかということで、これは地形によりましても、また除染の方法によりましても、いろいろな組み合わせが、今、試行錯誤している段階でもございます。

 そういった中で、広範囲ということでしたけれども、実際、広範囲で除染をした場合には、その場所の線量のほかに、ほかから飛んでくる放射線の影響というのも考慮する必要がございます。こういったことも考慮いたしまして、広範囲の除染につきましても、現在モデル事業で検証はしているところでございます。

 今、まとまってお示しできる段階にはまだないんですが、早急に結果をまとめて、それは国だけでなく各市町村とも共有しながら、どういう方法がどういう場所で最適なのかというのを今探っているところでございます。

斎藤(や)委員 そのモデル事業の一部が、先月ですか、新聞報道されていまして、国が年末に行った除染のときに、警戒区域や飯舘村、これは二週間除染したときに、アスファルト舗装それから庁舎のコンクリートでできた屋上では、大体二割それから三割ぐらいの線量しか下がらなかった、そういう報告がございます。先行実施している福島市の担当者は、国のガイドラインに従って作業をしても放射線量が下がらないケースが続出している、そういう残念なコメントが出ております。

 多分、事故から半年たって、土や屋根にもセシウムがしみ込んでしまっている。だから、高圧洗浄機でがあっとかけてもなかなか線量が下がらない。屋根をふきかえれば下がるわけなんですが、御存じのとおり、屋根をふきかえると百万円以上のコストがかかるということです。

 それから、今、高山政務官がおっしゃっていましたけれども、放射性物質というのは移動します。福島市では、実は一月二日に急激に高い濃度のセシウムが検出されました。これは、別に東電で何かがあったというわけではなくて、福島だけ突然高くなりました。実は、この日の気象状況が大変影響していまして、乾燥していて強い空っ風が吹いていました。福島だけ非常にほこりっぽくなった。そのほこりの中にどうもセシウムが付着して、そして検出器の中にそれが入って高い濃度のセシウムが観測されてしまったということです。

 つまり、土砂を含んだ雨水、落ち葉、ほこり、これらが移動してくれば、どうしても線量は高くなってしまうということです。特に裏側が山や森だったということだと思います。御存じのように、中通りは奥羽山脈と阿武隈山地の間にあります。すり鉢状になっています。しかも、森も山も多いですから、私はこの除染の効果というものが正直言って非常に心配でございます。

 ぜひ、効果検証というのをしっかりやって、それによって除染のロードマップの修正というものを私はするべきだと思うんですけれども、このあたりの御見解はどうでしょうか。

高山大臣政務官 斎藤委員御指摘のとおり、この除染の効果あるいはそのときの放射線量といいますのは、放射性物質の移動があります。これは地形ですとか除染の方法、また斎藤委員の御専門でもある気象の影響というのも実は非常に大きいものがございます。

 ですので、その場に合った方法をいかにやっていくのかというのは非常に難しい問題ではございますけれども、まずは除染場所でのモニタリングを適切に行い、現状がどうなっているかということは常時監視をしておりますし、それで適切な方法ということでやっております。

 そして、ロードマップの見直しということでございますけれども、これは、やはり期限を今設定させていただいておりますが、このロードマップの期限そのものを変えるということではなくて、その中での除染の実施方法を適材適所でやっていくということで柔軟に対応してまいりたいと思っております。

斎藤(や)委員 ぜひよろしくお願いします。

 お金じゃないと思うんですけれども、やはり四千五百億円のコスト、さらに進めていけば数兆円規模でかかってしまうということでございます。どうすれば福島の方の健康と命を守れるのかというのを、ぜひ、精神論ではなくて、こういった効果の検証も含めてやっていただきたいというふうに思います。

 私は、放射能というのは化学反応や微生物で減らすことはできないという認識を持っております。土を剥いでも、除くことはできないんですね、放射能というのは。剥いだ土についている、それを別の場所に移動させる。つまり、除染というのは、除く染めるじゃなくて移染、移す染めるなんです。除染した放射能がどこに行くかを決めない除染というのは、ほかの場所を汚染することで、面的に考えれば放射能汚染を拡散して、かえって有害だというふうに私は思っております。

 ですから、最終処分場の規模と形態を決めることが除染のロードマップの策定のときにまず必要だというふうに私は思っております。これを決めないで中間処理施設というものをつくるそうなんですけれども、なぜ中間の処理施設なのでしょうか。

高山大臣政務官 斎藤委員御指摘のとおり、放射能そのものが微生物や化学反応などでなくなるということは、現段階ではありませんので、移動をさせているだけでございます。ただ一方、今回の第一原発の事故に起因しまして飛び散ってしまっている量というのは、本当に、集めていけば、量そのものは、現在汚染されている地域よりは明らかに量を少なくすることができるということも、これまた事実でございます。

 現在、高濃度に汚染された土壌や廃棄物が大量に出るということが想定されている福島県については、国が中間貯蔵施設をつくるということで今お願いをしているところでございますが、これは、減容化をして、そして最終処分につなげていこうということでございまして、減容化の技術がまだ完全に確立されているという段階でない現在、中間貯蔵をして、そこで減容化の研究も含めて進めていこう、これで中間貯蔵施設を今進めている次第でございます。

斎藤(や)委員 それでは、その中間施設が最終処分場になる可能性というのはどれぐらいあるのでしょうか。

高山大臣政務官 中間貯蔵施設が最終処分場になるという可能性はございません。

斎藤(や)委員 ぜひ、最終処分場まで行くロードマップというのを早急につくっていただきたいというふうに思います。

 最後に、時間がないんですけれども、今回、今年春をめどに帰還困難区域とする地域を設定するということが決まったようでございます。そこで徹底的に除染をして、その結果に基づいて、帰れないか帰れるか、帰れなければ国が買い上げることになるとは思うんですけれども、この判断というのはいつごろされるんでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず、今、除染に関しまして、委員からさまざまな、有益な御議論をいただいたと思います。私も、除染については、効果とその限界ということについては、やはり、しっかりとした認識を持って、この除染ということを有効に使うことが大事だというふうに思います。

 その上で、帰還困難区域。今の段階では、主として現段階での空間放射線量で地域を分けることを考えております。年間五十ミリシーベルト超ということになりますと、まさに委員がおっしゃったように、除染というものにどれだけ効果があるかというのは、これはまた、まず実験をしてみなくちゃなりませんけれども、周辺地域が非常に高い空間線量を抱えている中で、スポット的に除染をやったとしてもどれだけの効果があるかという、非常に大きな問題も出てきます。そういったことを見きわめる必要がございますから、そういったことも見きわめることが一つ。

 それからあと、仮に帰還困難区域となった場合に、帰れるのか帰れないのか、帰れない場合にどういう支援が必要なのか、賠償、補償という問題がございます。

 それからあと、長期帰還困難区域ということになりますと帰れないということになりますと、そのかわりに住宅をどのようにするか、こういったことも総合的に検討しまして、一つ一つ丁寧に政策を立案して、避難者の方々に提示する必要があると思います。

 その上で、その土地をどうするかといったことも、避難者の方々と協議をするということになると思いますが、土地の買い上げをやってくださいということであれば、それは国で買い上げるのか東電で買い上げるのか、あるいは一時的な借り上げになるのか、さまざまな手法があるかと思います。そういったことについてさまざまなケースを想定して、今政府内で検討中だというところが、きょうの答弁の、申しわけありませんが、限界ということになるかというふうに思います。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 住民の方の感情とかふるさとに対する思いがありますから、そうそう政治がリーダーシップを振るってというところまでは行かないとは思いますけれども、最終処分場の問題、中間処理施設の問題の決定などが成らないことには、やはり、東北の被災地の復興それから除染した土地の土の処分というのはなかなか進みませんので、思い切った政治主導の決定というのもぜひしていただきたいと思います。

 時間はありませんけれども、私はポイントは三つだと思います。前提は、子供に低線量被曝をさせないこと、それから、避難解除の閾値の再検証をすること、そして、早急にやはり最終処分場を決めること、これが今、福島の不安を解消することにつながると思いますので、ぜひとも御検討をよろしくお願いいたします。

 質問の時間、ありがとうございました。

古賀委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 福島県に限っての再生特措法をきょう審議していただきます。本当に、私たち福島県の者にとってうれしい限りであります。そして、平野大臣、細野大臣、松下副大臣、また多くの大臣の方々、福島県の現状をつぶさに視察いただいて、福島県の県民の心を御理解いただいて、本当に感謝を申し上げる次第であります。

 最初に、福島県をよくしたいというのがこの法律の趣旨だと思います、その前に、政府は、第一原発事故は収束したというふうに、十二月九日で国会は終わってしまいましたから、私たちはこれについて質問することができなかったんですけれども、ここが一番の大前提、出発点だと私は思うんです。

 本当に原発事故は収束したのか。私たち、福島県に住んでいて、誰一人、原発事故は収束したと思っている人はおりません。大臣の皆様方も、福島県を視察して多くの県民とお話をしていると思います。事故は終わったんだと言っている人に出会ったでしょうか。私はいないと思います。

 今週の月曜日、五日です。自民党の四人の国会議員、岩城先生、森先生、ひげの隊長佐藤正久先生、そして私、第一原発の調査をしてまいりました。私は三回目です。前二回と比べると、建物にも接近できたし、片づいていたし、そして四号機、使用済み燃料棒を燃料プールから取り出すための壊れた移動クレーン、この撤去作業も始まっておりました。本当に収束に向けて今着々と進んでいる、こういう状況を視察してまいりました。でも、事故は収束していないんです。

 ですから、野田総理が言った、事故は収束したんだというこの言葉を、やはり間違っていたんですから撤回して、事故は終わっていない、しかしながら冷温停止状態は辛うじて今維持しているというのが正しい日本語だと思うんです。その辺の、野田総理に内閣として、事故は収束したというこの言葉を撤回、修正していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 吉野委員におかれましては、いつも福島県民の皆さんの声を代弁されておりまして、御質問はもう全て福島県民の皆さんの声というふうに受けとめておりまして、そうしたことで常に厳しく御指摘をいただいていることに関して、心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。また、いつも作業員の皆さんを激励していただいているという報告も受けております。あわせて、そうした現場の作業員に対しての御配慮もいただいているということで、感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 今御質問の収束という言葉でございますけれども、私も、あの福島県に行くたびにそのことについて厳しい御指摘をいただいておりますので、県民の皆さんの中に、事故について終わっていないという思いが全ての皆さんにあることはよく承知をしております。

 特にサイトの外側ということでいいますと、除染はまさに本格化をし始めたところでありますし、賠償もまだめどが立っていない。さらには御帰還も、これもまだまだ本格化をしていないという状況ですから、そういった認識を持っておられるということもよく承知をしております。

 私どもも、特にオフサイトにおいては、まさに事故の影響をこれからいかに回復していくかという取り組みは始まったところだというふうに思っておりますので、そういった意味で、事故が終わったとは全く思っておりません。

 ただ、一方で、サイトの中ということに関しては、段階が変わったというふうに思っておるんです。といいますのは、またそれこそ爆発をしたり、放射性物質が外に大量に出て避難をしていただくという状況ではなくなった。今はどういう段階にあるかというと、これから三十年か四十年かけて着実に廃炉に向かって歩んでいかなければならない、そういう状況に変わったんだということ、これも私は事実だというふうに思っておるんです。

 これをもって、今回の事故は、皆さんに避難をしていただかなければならないぐらい深刻な事態になったという意味でまさに本当に皆さんに御迷惑をおかけしたわけですから、そういう段階が終わったという意味で収束という言葉を使わせていただいたということであります。

 そして、その段階が終わったからこそ、これから区域の見直しなども行って、帰ってきていただく方にはぜひ帰ってきていただけるような環境を政府としてしっかりとつくっていきたい、そのように考えております。

吉野委員 段階が変わったことは私も認めます。その段階が変わったということは、事故は継続している、しかし冷温停止状態は辛うじて維持をしているというふうに日本語で言うのが正しい日本語じゃないんでしょうか。なぜ、あえて事故は収束したんだという言葉をそこで使わなきゃならないのか。そこに私たち、これは日本全国の人もそうだと思います、正しい日本語を使ってください。事故は継続している、しかしながら冷温停止状態、ステップ2は辛うじて今維持している。

 先ほど質問もございましたけれども、私も予算委員会で、炎の津波、この質問をいたしました。サイトの中はきちんと消防力を持っています。また、外側、これは地域の消防本部です。ここももうSOSを出していますけれども、水道管もだめ、消火栓もだめ、強風にあおられて炎の津波に対応できるのかということを質問しました。

 五日も、第一原発の中の所長さんとお話しして、どういう消防力を持っているか、いろいろ私は尋ねたんです。そして、もし万々が一、サイトの外、もう目の前で火事が見える、第一原発から消防自動車が出て消火しに行きますか、こう尋ねたんです。その消防本部の持っている一番近いところは楢葉の分遣所ですから、サイトから二十キロ離れているんです。何ぼ早くても二十分かかります。でも、サイトの発電所に持っている消防自動車は、すぐそこで、一キロ、二キロ、五キロで火が出てもそこにはなかなか行けないということなんです。サイトの外に出て火を消すことはできないとはっきり言われました。

 このように、今辛うじてガラス細工なんです。辛うじて冷温停止状態が維持されているというこの状態の中で、事故は終わった、事故は収束した、日本語として間違っていると思うんです。再考願えないでしょうか。

細野国務大臣 収束という言葉を使うには、私の中で幾つか思いがございました。

 吉野委員は、本当にずっとこの問題のみに取り組んでいただいていると言っても私は言い過ぎではない、まさにそういう生活を送ってこられたというふうに思います。私もそうなんです。ですから、率直に申し上げたいと思います。

 一つは、作業員の皆さんの状況を改善したいと思いました。どういうことかと申し上げると、三月十一日以降、大変過酷な状況の中で作業員は努力をしてきたんです。私も何度も現場に足を運びましたし、現場の若い作業員や、ベテランの、本当に最前線で頑張っておられる作業員の皆さんと話をしましたけれども、それは本当にすさまじい環境で努力をしてきたわけです。

 事故が起こっていますから、事故を、これを何とかおさめるというために、当初は本当に不眠不休で働き、その後は、若干休みがとれる状況になった後も、常に我々は、早くやってくれ、何でこんなに遅いんだと、私の立場としては叱咤激励して、場合によってはかなり激しいやりとりもしながら、作業を続けてきたわけです。

 事故が継続をしている限り、事故がまだ継続をしていて、本当に被災地の皆さんのためにこれはやらなければならないと言わなければならない状態である限り、彼らにそういうスクランブル状態をずっと継続してもらわなければならないだろうというふうに思いました。

 そして、そういった方々の声も聞きながら、もう爆発したり放射性物質が外に出て周りに迷惑をかけるということがなくなったのであれば、ペース配分を考えようと。つまり、それぞれの皆さんの体調であるとか本来の働き方にできるだけ戻して、着実に、油断なく、一歩一歩前進をするという形に持っていった方が、安全に廃炉に向かって歩んでいくことができるだろうというふうに考えたんです。

 実際に、十二月の半ばに、冷温停止状態で事故を収束ということで申し上げてから、中の作業環境が変わりました。そして、中で働いている皆さんの表情もやはり変わりました。それは、いわゆるペース配分を考えて、長い目で作業ができるようになったからなんです。その思いは一つ私の中にございました。

 もう一つありましたのは、福島の皆さんにもどこかで、ああ、ここからはもう撤退はないんだ、前に進むんだという思いを持っていただきたいな、持っていただけるのではないかと思った部分もありました。ただそこは、率直に言って、私の考えが甘かった部分があったと反省をしております。福島の皆さんはそういう状態ではなくて、まだ、むしろ事故の影響でますます生活が悪くなっていると思っている方が多い。そこは、私自身が、これをきっかけに何とか福島の皆さんに前向きになっていただけないかなという思いは、これは私の認識の甘さがあったというふうには考えております。

 ただ、同じことを言い続けようと思っています。それは、もう再び皆さんに避難をしていただくことはありませんから、その面では新しい局面に入ったんだということをぜひわかってください、このことを言い続けていきたいというふうに考えております。

吉野委員 作業環境は本当によくなっています。これは、下水道処理施設もつくり、また宿泊施設もつくり、ここ約一年かけてつくったからこそ、今落ちついて仕事ができる環境ができたと思います。事故の収束宣言をしたから今の状態がつくられたとは思いません。もし収束宣言しなくたって、今現在はきちんと安定した作業環境が私はあると思います。

 ですから、作業している方々は本当に一生懸命やっています。そこの作業環境改善をやっていくのは当たり前の話で、それが今実を結んでいるというふうに私は思います。事故の収束宣言をしたからよくなったんだ、志、心が安定してできたんだというふうには、私はそれは結びつかないというふうに思うんですけれども、こればかりやっていると、まだまだですので。

 ぜひ、地元の要望として野田総理に言ってください。収束宣言を撤回して、正しい日本語、事故は継続している、しかしながら冷温停止状態は確保した、こういう形に改めるように、ぜひ諸大臣の先生方、お願いしたいと思います。

 次です。

 次は、双葉町長さん、いろいろな誤解で、細野大臣、平野大臣の会見をボイコットしたような新聞報道もございました。今度、十日に再度お話し合いをするという形になろうかと思いますけれども、今一番大事なのは信頼関係の構築なんです。情報管理が全くなっていないですね。何かあるとすぐ、首長さんたちの聞く前に新聞報道がなされる。報道機関は命がけで情報を集めるのが仕事なんでしょうけれども、それにしても情報管理が全くなっていない。だから、一番大事な信頼関係を築く、そこのところも、なかなか信頼関係ができていないというのが今の現状だと思います。

 これは、情報管理、マスコミの方々は命がけで情報を収集していますから、それがもし万が一あったとしても、大臣ないしは八カ町村の首長さん、ないしは大臣の身がわりとして本当に心と心が通じ合えるような、そういう人を私はつくるべきだと思います。常に行って、何の仕事もないけれども、用事もないけれども、お茶飲みに来たよ、来て世間話をして帰るとか、このくらいまでやって、大臣は忙しいですからできないですけれども、皆様方の部下の方々でもいいですから、本当に信頼関係がつくれるような、心から信頼関係がつくれるような、そんな施策をとるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 先週、ああいった形で会議が持てなかったことは私どもの責任だというふうに思っております。

 今、責任だというふうに申し上げたのは、情報管理の責任だということで申し上げたのではなくて、信頼関係がまだ築けていないという意味で、責任だということで申し上げました。

 先週のさまざまな、さまざまなといっても一つか二つなんですけれども、その報道については、あれは実は情報漏れではないんです。全くの誤報です。土地の買い取り価格について具体的に検討していて、それをあの場所で説明をするというような報道が一部であったんですが、そのことを説明するとか、それこそ、そこに特化をして検討しているという段階では実はまだなかったものですから、誤報なんです。

 誤報なので、誤報なんだということもお伝えをしたんですけれども、それでも、いや、こういう報道が出るようでは信頼関係が崩れたということでお会いをいただけなかったのは、もともとそこに十分な信頼関係がなかったからだと。そのことは全て私どもの責任だというふうに思っております。

 やはり、これから双葉郡の皆さんといろいろな問題を考えていくときには、膝詰めで、本当に信頼関係に基づいてしっかりと相談をできなければ問題を乗り越えることができません。それができないときに一番厳しい状況になってしまうのは住民の皆さんですので、そういう状況はもう絶対につくってはならないというふうに思っております。

 平野大臣が町村長の皆さんと本当にいろいろな話をしていただいて、私はちょっと、大分世代が下ということもあって、信頼関係がつくれていない方がまだまだいるということについて、自分の至らなさを非常に感じておりまして、十日が一つ大きな日程になっておりますので、そこからもう一回、しっかりと信頼関係をつくることができるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 ぜひ強いきずな、信頼関係をつくってください。お願いいたします。

 それでは、法案について質問していきたいと思います。

 ざっと見て、この法案は、帰れる地域と帰れない地域がございます。ここで一番、福島県は原子力災害の被害を受けたから、だから、津波、地震の地区よりもプラスアルファの手を差し伸べなければならないという意味で特措法がつくられているんです。原子力災害なんです。

 原子力災害で一番被害を受けた地域、これは戻れない地域なんです。戻れない地域の方々が一番被害を受けた。ある意味では福島県では一番優遇されるといいますか、この人たちのためにどういう施策があるのかというところまで、突き詰めていけば考えなきゃならないことだというふうに、この法律の原点はそこにあると思うんですね。

 でも、この法律を読むと、一番困っている、被害を受けた、戻れない地域の方々に対する施策は何かというと、復興住宅、公営住宅に入る資格がありますだけなんです。これは法改正しなきゃ入れないのは当たり前ですけれども、こんなことは当たり前なんです。復興住宅に入れる、公営住宅に入れる、これは当然、当たり前なんです。入って、ではどうするんだという、ここの支援策が全く書かれていないというのが、私がこの法律をずっと隅から隅まで読ませていただいて一番感じたところなんですね。

 そして、けさの朝日新聞です。「原発避難者に「仮の町」」。もう戻れないと予想される町村が、みずから土地探しをしている、仮の町の土地探しをしている。一体何なんですか。仮の町をつくってくれる、土地探しは国の責任、県の責任だと思うんです。

 実は、地元の町村で、仮設住宅は競争なんです。ある町が、仮設住宅をつくっています、隣の敷地、広大な敷地があいているんです、そこの土地も借りて、あるAという町の仮設をもっと大きくしたいと言ったら、Bという町が押さえてしまった、Bという町にとられてしまったというのが現実の姿なんです。

 なぜ、一番末端の市町村にそこまでやらせるんですか。仮の町の土地探しまで、なぜやらせるんですか。そこのところがここに書いていないんです。そこが私は一番不満といいますか、私たちのためにつくってくれた法律の中で、一番大事なところが抜けているというところなんです。御意見をいただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 ただいま御審議いただいている法律は、福島県全土を対象にしております。それから、いわゆる警戒区域内、国の指示に基づいて半ば強制的に避難をさせられた方々がもと住んでおられた地域に関しましては、仮にそこに戻ることが決まったという前提でこの法律は今仕組んでございます。

 委員の御指摘は、今、あの地域から十一万人の方々が地域外に半ば強制的に避難されています。その方がそもそも戻れるのか戻れないのか、これもわからない。戻れない場合については想定して、双葉町長の名前を出していいかどうかはあれですけれども、井戸川町長さんがずっとその構想を持っておられます、そういったものについて、そういった場合にはどうするんだと。

 それから、あと、仮に戻れないということになった場合にはどういう支援措置をしていくのか。これはこれで、実は別な、要するに一つ一つのテーマは非常に大きなテーマでございまして、一つ一つのテーマについて、ぎっちりとした議論をしていかなければならないというふうに思っております。

 実は、これはある意味では大変申しわけないことなんですけれども、こういった議論が本格的に政府内で始まったのは、第二ステップが達成されてから以後のことでございます。賠償の問題、それから帰還する場合のインフラの問題、帰れなかった場合にどういう支援をするか、そこには、もちろん賠償の問題も入ってきます。それから、戻られなかった場合に、自分で自立されるのか、あるいは仮の町という形で一つのコミュニティーとして新しい町でつくるのか、さまざまなケースが想定されるかというふうに思います。

 今、その問題について、一つ一つのテーマについての関係局長の協議会を立ち上げまして、私直轄の主宰の中でさまざまな検討をしております。

 本来であれば、こういったことに対しての施策を練り上げた上で今回の法律もあわせて出すべきであったかもしれません。しかし、その一方で、福島全体の復興はもう待ったなしであります。会津もあれば中通りもあるし、あるいはいわきもあれば新地町もあります。そういったところの復興もこれは急がなければならないという意味において、まずは福島全体の復興再生特別措置法というのを出させていただいたということでございます。

 委員の問題意識は、非常に重要な問題提起をいただいておりまして、その問題については、繰り返しになって恐縮ですけれども、いろいろなテーマを設置して、今、鋭意政府内で検討中でございまして、その検討をさらに被災の自治体の方々と議論するためにも、先ほど議論になりました、先般ちょっと開催が成りませんでしたけれども、関係市町村との協議会、こういったことも今立ち上げたということでございます。

 いずれこの問題につきましては、非常に大きなテーマでございまして、個々のテーマ一つ一つが、大きな、慎重な、そしてまたかなりの細部にわたっての議論が必要でございます。最終的には、これに基づいての特別立法、別な法律が必要だということであれば、法律も場合によっては出すことも考えなければならないというふうに考えております。

 ただ、これは今、独立の法律までできるかどうかというところまで、大変申しわけございませんが、まだそこまでの議論には至っていない。その前段としてのさまざまな議論をしているということでございます。

吉野委員 もう一年を迎えようとしております。もう待ち切れません、避難している方々は。ですから、一日でも早く、どういう施策で支援策があるかというところを同時セットで早急にお示し願いたいと思います。

 そして、この法律第一条を読ませていただきました。国の責任が書いてありません。三条で国の責務は、一生懸命やりなさいという責務は書いてありますけれども、国の責任というのは書いていないんです。検討したんでしょうか。

平野(達)国務大臣 福島県にお邪魔した際には、私も、細野大臣も、あるいは松下副大臣も、国の責任ということは再三はっきりと明言をさせていただきました。

 今国会のこの法律の中においても、今委員から御指摘ございましたけれども、第三条に、「原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有する。」ということで明記しまして、私どもとしては、ここで国の責任というのは明記をした、そういう理解でございます。

 ただ、この問題にこの条文では不足であるという議論があるということも承知しております。ぜひこのことについてはこの委員会でも御議論いただきまして、その結果、新たな条文が出るということであれば、その結果は真摯に受けとめて対応しなければならないというふうに考えております。

 委員御指摘のように、ただ、私どもは、国の責任ということにつきましては再三はっきりと申し上げてきて、国がこういう形で全面的に政策を出していきますということは、福島県民、それから関係自治体の方々には繰り返し繰り返し述べてきたということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

吉野委員 平野大臣のおっしゃるとおり、福島県に行って、きちんと大臣の口から、国の責任ということを本当に述べていただいています。

 でも、これは法律なんです。口で言ったものは、時間がたてば消えてしまう。法律のきちんとした条文に載れば、ここの、責務と責任は違うんです。責務は、ここに書かれてきたことを一生懸命やるということなんですよ。私の、目的で言っている責任というのは、原子力政策を国策として進めてきた、そしてこれだけの大災害を引き起こしてしまった国の責任、そういう大きな責任はなぜ書かれていないんだ、そこを聞いているので。責務と責任は違います、そのことを御理解していただきたいと思います。

 第二条、基本理念に、これは私たちの佐藤雄平知事の言葉が条文に載ったということで、本当にうれしく思います。「安心して暮らし、子どもを生み、育てる」環境。

 実は、私が国会議員になるころ、もう十年近く前、福島県の出生率は全国第二位だったんです。所得はないです、あと農業生産額も、みんな劣っていますけれども、これは政治家としての成績表、通信簿、全国第二位。政治家としての通信簿は、安心して子供を産んで育てる環境ができる、そして大きくなってもこのふるさとで暮らせる環境がある、だから安心して子供を産むことができるんです。政治家の成績表は、通信簿は、やはりその町、その県の出生率だと思います。そういう意味で、安心して暮らすことのできる、こういう福島をつくっていきたいというこの基本理念、これは本当に入れてもらってありがたいと思います。

 先ほど言った責務、施策をきちんと実行するというこの責務を、平野大臣の言葉で、条文は読まないで結構ですから、決意をお願いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 この法案をめぐって福島県といろいろ意見交換をさせていただいたときに、さまざまな御意見をいただきましたけれども、この第二条に関しましては特に佐藤知事から、それこそ一字一句御意見をいただいた、そういう経過がございます。そういった意味で、この第二条には、佐藤知事というよりは福島県民の思いが凝縮されている、そういう思いを私も持っております。

 この第二条の基本理念をしっかり受けてこの法律を書かせていただきましたけれども、この法律だけじゃなくて、この基本理念に沿った形で、あらゆる施策を総合して福島県の再生に向けて努力をしなければならないというふうに強く感じております。

吉野委員 ありがとうございます。

 次に、戻れる地域についての記述、これはかなり書いてありますね。

 戻れる地域では、いっぱい課題があるんです。

 まず、除染をしなけりゃならない。一ミリ以下にしなければ誰も帰ってこない。そして、インフラ整備。上水、下水、道路、津波で壊れた堤防、インフラ整備、これもやらなければ帰れない。

 もう一つは、帰ってきても働く場がないんです。

 実は、いわき市の四倉工業団地に広野、楢葉、大熊の方々の仮設工場があるんです。仮設工場を私見てきたんですけれども、社長さんたち、ある意味の六十以上、七十のおじいちゃん、おばあちゃんです。おばあちゃんに聞いたら、楢葉町、戻れていいね、ではいつ戻るのと言ったら、もう戻らない、戻れるようになっても戻らない。なぜかというと、若い社員が来てくれないもの、ここの仮設工場にいるしかないんです。ですから、戻れるといっても、本当に、戻れる地域であっても、やはり戻るための課題はたくさんあると思います。

 あとは農業です。農村地帯です。食料生産の農業、一ベクレルも入っていなくても、これを売ってお金にして生活の糧にしようというのはなかなか困難なことなんです。いろいろあるんですね。

 そういう中で、今回、この法律では、インフラについては代行制度、国がかわってやってあげる、すばらしいことだと思います。ちょっと足りないところもあるんですけれども、代行制度は本当にいいと思います。

 働く場の確保です。これは予算委員会でも平野大臣に聞きましたけれども、放射能があっても売れるもの、こういう仕事は何なのか、そういう視点で物事を考えてみると、例えば、農業であれば、食料生産の農業だと本当に難しい。売れない。でも、これをエタノールにかえて、エネルギーをつくる農業ということは、エタノールの利用、E3で福島県内の車を走らせるとか、エタノールを燃やして発電するとか、いろいろあると思うんです。

 コールセンター。今、〇一二〇にかけてください、テレビで宣伝して、すぐお電話を待っています、こういうコールセンター、これも放射能には余り影響されない産業だと思います。

 もう一つ、知的財産ですね。私の友人で、コンピューターがソフトを組んじゃう、そういうものを開発したんです。今、コンピューターソフトはインド等々の海外に、安いから行っているんですけれども、インドよりも安くコンピューターのソフトができれば、このソフトは放射能のある地域で開発しましたといっても、これは売れるわけです。

 放射能が本当にあっても売れるものはどんなものか、そういう視点で仕事づくり、産業づくりをやはり私は考えるべきだと思うんですけれども、平野大臣、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 放射線が、仮に除染等で低くすることができた、あるいは、時間の経過とともに自然減衰で空間線量が下がったといって、それが即、戻れるわけではございません。委員が正しく、御指摘されたとおりであります。インフラの問題、それから雇用の問題、それからあと、仮に家を建てた場合に、そこから出たごみをどうやって処理するか、こういった問題も総合的にとにかく見ていかなければなりません。その中でも特に重要なのは、やはり雇用の問題だろうというふうに思います。

 今御指摘があったように、仮に放射線が周辺に高いところがあったとしても、その中でどういう産業が起こせるかということにつきましては、今委員御指摘をいただいた点も含めて総合的に検討することが大事だというふうに思っています。

 現段階において、大変申しわけございませんが、こういうものがあるということについて確たることは申し上げられませんけれども、例えば、在宅就労とか、外に出て仕事をしなくてもいいような就労形態もあるというふうに聞いておりますし、さまざまな観点からこの問題については検討することが大事だというふうに思っております。

吉野委員 除染も大事なんです。戻れる地域は一ミリシーベルト以下に落とす、これは大原則だと思うんですけれども、土の量ですね。私の理解では、千三百万立方から二千八百万立方くらいの土砂が出る。これは五ミリシーベルト以上の土を対象にしているというふうに、私は今までの経過で理解をしているんですけれども、一ミリシーベルト以上の土砂となると二千八百万立方では足りないのではないのかなと思うんですけれども、細野大臣、いかがでしょうか。

細野国務大臣 昨年十月に、環境省から、中間貯蔵施設等に関する基本的な考え方というのを示しておりまして、その中で、今お示しの約千五百万立方メートルから約二千八百万立方メートル程度という容積を提示しております。

 この数字というのはさまざまな仮定に基づいた数字ではありますけれども、五ミリシーベルト以上の土壌だけを削り取って計算をした数字ではないんです。一ミリから五ミリのところも一定の割合で土を剥ぎ取ったという前提でつくった数字でございます。

 ですから、一部で若干誤解をされているところがあって、五ミリシーベルト以上は土を剥いでいいけれども、五ミリ以下についてはそれをやってもお金が出ないというような、そんな報道が一部で出ておりますけれども、その認識は実は事実ではないものですから、そういう思いを持っておられる方がおられたら、ぜひ改めていただければというふうに思っております。

 ただ、モデル事業などをやっておりますと、これはやり方によっては膨大な除染土壌が発生をいたしまして、その仮置き場というのが大変難しくなっているという面がございます。ですので、効果的な除染をできるだけ廃棄物を少なくする形でどのようにやっていくことができるのかというのは、これから相当しっかり検討していかなければならない課題であるというふうに考えております。

吉野委員 次に、課税の特例なんですけれども、いわゆる戻れる地域は震災特例法の課税の特例を準用するという規定になっています。十六条なんですけれども。

 そこで、震災特例法で特別償却が認められるのは、まず一つ、場所の問題、エリアの問題。産業集積区域に入っているかどうかというのが第一点です。もう一つは、市町村が企業を指定するんです。おまえの企業は地域の復興に役立つから指定するという、この二つの要件が震災特例法ではあるんです。ただ、ここの十六条で、戻れる地域は、福島県知事が所在を確認するという規定なんです。所在の確認なんですね。

 だから、こんな所在の確認は、税務当局に毎年毎年申告しているんですし、税務当局は住所なんかはわかっているはずなので、なぜわざわざ確認をする必要があるのかというのが私の疑問なんです。だったらば、震災特例法と同じく、あなたの会社は復興に役立つから逆に指定するよ、こういうことなのか。でも、法律の文章は、所在の確認、これを福島県知事が確認すると書いてあるんですね。

 ちょっと教えてください。

松下副大臣 十六条でございますけれども、確かに、課税の特例につきまして、知事の確認をとるというふうになっておりますが、二十三年の三月十一日時点において計画区域等の避難指示区域内に事業所が所在していたという事実を確認しておくということが大前提になっておりまして、それは、それから後のいろいろな手続も含めて早い形で進めていくことも含めて、福島県知事さんのその部局でやることが一番妥当ではないかということを考えたわけでございます。

 二十三年三月十一日時点の事業者の所在地が避難指示区域内に該当しているのかどうか、かなりきめ細かにつくってありますので、その確認が大事だということ。それから、特例の開始点である当該区域の避難指示が解除された日がいつなのかというところを含めて明確にする必要があるんですけれども、これについては、やはり国税当局で一つ一つ確認することには非常に大変な作業になるし、時間がかかるということから、福島県知事当局がそれを確認する、データの蓄積も持っているということで、するということで、簡素化も含めて、速いスピードでやっていけるようにしたいということでございます。

吉野委員 国税当局は住所はわかっているし、登記所へ行っても、商業登記簿謄本を持っていけば住所はわかっているので、三月十一日にそこにあったかどうかは、県知事の確認を申請して、書類をもらって、それを添付してまた税務署に持っていくという、何でこんな省くことのできるような手間、手続をあえてするのか、そこが疑問なんです。

 これは、役所の立場で考えての話だと思うんですね。被災者の立場になってみれば、そんなものは、住所なんていうのは、税務当局はわかっているでしょう、三月十一日に仕事をしていたなんていうのは誰だってわかっているでしょう、そう思うのが当たり前なんですよね。

 もう一度、ここの手続を、法律にはこう書いてありますけれども、運用で見直しということをちょっと約束していただきたいんですけれども。

松下副大臣 確かに、委員のおっしゃるように、税務当局でも国税当局でもこれは可能だと思います。思いますが、大変な作業が必要になるし、大変な時間がかかる、私たちはそう思っているわけです。

 ですから、そこでぎりぎりぎりぎり厳しく詰められる前に、きちっとした一定の戸籍抄本あるいは必要な手続を出していただいたら、それですぐ返して、手続に入っていくという形の方がはるかに仕事が先に進む、そう考えたわけでございます。

吉野委員 大変な労力がかかることを福島県におっつけるんですか。おっつけるという言葉はいわき弁なんですけれども、国がやるべき仕事を福島県に押しつけるんですかということでしょう。大変な量がかかると今副大臣は言ったでしょう。何で福島県がやるんですか、大変な仕事を。国がかわってやってあげるというこの気持ちが何でないんですか。

松下副大臣 大変な作業になる、こう申し上げました。ぎりぎりぎりぎり詰めていきますと、たくさんの書類、いろいろな資料、データを集めさせて、それで判定していくとなりますので、これは県当局で、住民票の抄本、それから登記簿の登記事項証明書等の書類をそろえて確認の申請をする、それにお応えして出していくということでやっていこうということで、企業の方もこれは大変助かるということになります。

吉野委員 まだ納得、わからないので、もう少し議論をここは詰めていきたいと思います。

 初年度償却なんですね。震災特例法では、スタート時点が決められています、もうストップウオッチが押されています。一〇〇%機械の償却ができるのは、二十六年三月で一〇〇%償却が終わっちゃうんです。それを過ぎると、機械償却は五〇%償却になっちゃうんです。

 ここも、津波自身もおかしいんですけれども、例えば堤防。堤防をつくらないと、ここに工場はつくれないですよね。堤防をつくるのに何年かかるんですか。三年、五年かかるでしょう。今、もう二十四年ですよ、二十四年三月。あと丸二年しかないんです。丸二年で堤防なんかできないです。

 これも、原発被災地も同じなんです。原発被災地も五年間ですけれども、スタートの時点は多分解除。解除されてから除染をして、例えば津波でやられた楢葉地区の海岸のところにきちんと工場団地をつくりたいという計画を持てば、堤防をつくってかさ上げして、さあ、工場をやっと建てられますよというのがスタートの時点じゃないんですか。そこから五年間、特別償却をとれるよというのが本当のところだと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

松下副大臣 確かに議論のあるところですけれども、避難指示が解除された日から五年間とするということが、現在、国会に提出されているわけでございます。

 本法案の施行日前に解除された旧緊急時避難準備区域におきましては、本法案の施行日から五年を経過する日までに事業用設備を取得した場合に適用されるということでございまして、避難のための線引きをしますけれども、その後、これから解除しますよ、そこを出発点として五年間というふうに決めたわけでございます。

吉野委員 だから、解除をする日が、もうじき、近々来るんでしょう。ことしの三月になるのか、四月になるのか、近々来ます、戻っていいよという解除の日が。解除されたらストップウオッチは始まっちゃうんです、そこから五年間なんです。解除の宣言が出なければ、堤防は直せないんです、盛り土できないんです。この時間はもうストップウオッチが押されていますので、五年なんてあっという間。

 ですから、幾らこうやって税金が安くなるよというふうな恩典をつけても、津波で流された地域の復興には余り役立たない。そうすると、津波のところに本当は工場をつくりたいんだけれども、津波でないところにどんどんつくって、ある意味で、津波でやられたところはもう何の利用もできなくなっちゃう、こんなことも考えられるんですね。

 ですから、そこの津波でやられたところは、きちんと工場が建つ状況にして初めてスタートというのが丁寧なことじゃないのかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

松下副大臣 解除の準備が終了してから五年間ということで、その準備の期間の中に堤防だとかそういうものをきちっと終了させていくということは入っておりますので、それは十分読み取れるということでございます。

吉野委員 今、松下副大臣は大事なことを言ってくれました。きちんと工場が建ってから、それは準備の期間に入るということで、これは本当に大事なことなんです。そのように政府としてお願いをしたいと思います。(平野(達)国務大臣「委員長、ちょっと修正させてください」と呼ぶ)

古賀委員長 平野大臣から発言を求められております。平野大臣。

平野(達)国務大臣 今、実は、津波の被災地域では、工場の再建も、進むところは進んでおります。

 これはなぜかといいますと、堤防はあくまでも百年単位の津波を想定しております。一方で、高潮対策ということでの暫定の堤防はできているわけであります。ここは経営者の判断です。経営者の判断でありまして、もうここはリスクをとるかとらないかという判断になってまいりますけれども、そういう中で、全ての準備が整わないと工場ができないというわけではないんです。要するに、ある一定の暫定措置といいますか応急対策、こういったものを踏まえた上で、工場がその中で再建するという決断をすれば、それは再建する場合もあるということであります。

 ただ、原則は、委員が申されたように、堤防をつくって、かさ上げをするというのが原則かもしれません。しかし、工場はなかなかそこまでは待っていられないという事情も地域によってはあります。待って、やるという工場もあれば、ある程度の一定の条件があれば工場を再開するところもあるということで、全部が整ったところでなければ、例えば津波被害地域の中で工場の再開ができないというようなことになっているわけではないということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

吉野委員 堤防は暫定的に今ある、大臣、見ているでしょう、今の仮堤防。土のうですよ。もしくは蛇かごですよ。こんなもので、津波、高潮にも、本当に、これであとは工場主のリスクの判断だ、それはちょっと言い過ぎじゃないのかな。

平野(達)国務大臣 例えば、釜石を想定していただきたいと思います。大船渡でもいいです。

 湾口防波堤をつくらなくちゃだめです。湾口防波堤の完成を待って、地域内の湾口の中の工場の再開ができないかというと、そうではありません。それは、あくまでも、工場は、津波地域のところについては、ここは難しい判断でありますけれども、あそこは夜操業するわけではございません。昼操業します。そういう中では、今現に津波の地域の中でも、例えばこの間、日本製紙という工場に行ってきましたけれども、あそこは港のそばで、もう操業しています。八戸港にある周りの製紙工場も操業しています。そこは津波で物すごい被害を受けました。しかし、堤防も何も、今まだ工事はこれからです。

 それはなぜ操業するかといえば、被災を経験した例えば日本製紙なんかは、これから一千億の予算をかけて、今復旧工事中です。それはできるという判断です。それはなぜできるかといえば、最低限、人員は、昼仕事しますから、昼は逃げられる。それから、津波は、これは日本人、我々全てがそうですけれども、例えば東京湾だっていつ津波が来るかわかりません。首都直下型が来たら、東京湾の工場は全部壊滅するかもしれません。

 だから、その準備をしなければ工場が操業できないかというと、そうじゃないんです。そこは、そういう意味で、最低限のことをやりながら、そういった工場も再建するところはするということで、そういう日本の自然条件に絡めて、ある程度のリスクをとりながらやっている。これは、別に津波地域とか何かが全部じゃないです。東京もそうです。大阪もそうです。名古屋もそうです。そういう一般論をちょっと申し上げたということです。

 そういうふうに、先ほど言ったように、これができなければ全部だめですよというふうに、堤防ができて、かさ上げもしてからでなければそれは解除できませんよというような、そういう運用はなかなかできないということをちょっと申し上げたいということです。

吉野委員 私の地元も、常磐共同火力発電所、二十四時間、夜中もやっています。そして、堤防は全くだめになっちゃいました。全く海のそばですから。今、蛇かごの、フレコンバッグの仮堤防です。同じなんです。

 だから、既存の企業で設備投資した人はストップウオッチを押してくださいよ。そして、きちんと堤防ができてから、いわゆる工場団地として売り出して、そこに進出するのは、そのときにストップウオッチを押してくださいよ。決まった形で統一するんじゃなくて、例えば工場が建てられる、工場が復旧できる、その段階をもってスタートにしてもらわないと。そこを言っているので、お願いします。答弁してください。

平野(達)国務大臣 いずれ、解除されてから五年以内にそこで起業すれば、その起業した工場は今の特例を受けられるという仕組みになっております。

 委員の御趣旨は、その五年間ということが、五年以内の中でちょっとおくれた場合に、適用期間が短くなるのではないかという問題意識なんでしょうか。ちょっと問題意識が私はわからなかったんですが。

吉野委員 これは後で個別に議論したいと思いますので、きょうはこの場はごめんなさい。

 次に、五十一条です。

 これは農林水産業の復興の施策という形で、この五十一条は全て、食料生産の農業というイメージで書かれていると思うんです。先ほど私が申し上げましたように、なかなか食料としての販売は難しいという農産物に対して、エネルギー生産のための農業という視点もここに入れるべきだなと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 予算委員会でも先生からいろいろと御指摘もいただいてきているところでございまして、また、飯舘村の村長さんも、そういう考え方もお示しになられたということもございます。そういう中で、地域の資源をいかにして生かしていくかというようなこと等々は、非常に大事なことだと思っております。

 特に、今先生お触れのとおりに、農地を耕さない状況に置いておくということは、やはり農地の復元というふうなものをなかなか難しい状況にしてしまうということもあるわけでございまして、そういう意味で、いろいろと、仕組み等々も含めて、今後検討しなきゃならない点もございますけれども、幅広い関係者の意見というふうなものを聞きながら、どのような対応が実質的に可能になってくるかというふうなことで、今後、勉強も含めて検討してまいりたいと思います。

吉野委員 そうなんです。農地を耕さないと生物多様性が死んじゃうんです。

 そして一番、耕作者、農家の皆さん、毎日手にまめをつくって仕事をしていた方々が、仕事をするな、しかし補償はしてあげるよ、これは最悪なんです。人間をだめにしちゃいます。

 そういう意味では、耕作者の自立する心をきちんと育てるためにも、農業をしてもらって、そして、そこでとれた農産物がもし食料に適さないものであれば、それはエネルギーの方に回す、こういう臨機応変な対応をぜひとっていただきたいと思います。

 次、教育です。

 二十四年度、福島県は教員採用者ゼロ、教員採用試験をやりませんでした。これは平時のルール。子供たちが、今県外に六万人、子供を連れて、子供だけで六万人ではないんですけれども、お母さん、子供たち、六万人が今県外に出ちゃっているんです。ですから、福島県の子供の数と教員の数、これは平時のルールで決まっているはずなんです。この子供たちの数が少なくなっちゃったから、だから、福島県の教員はことしだけは採用をゼロにするという、平時のルールで教員採用試験をことしはやらなかった、私はこう理解をしております。

 でも、本当は逆なんです。教育をする機会、今まで通っていた学校に通えないんです。例えば高校。双葉高校はサテライト校をいわき市につくります。会津に避難している方々は、もう高校生だから、いわきに下宿しなきゃならないんです。では、どうやって下宿を探すのか。アパートは今、満員なんです。では、寮をつくってくれるのか、まあ、これは別なんですけれども。

 本当に今こそ、手厚い教員配置をして子供たちのケアをすべき時期なんです。災害時なんです、緊急時なんです、平時ではないんです。そこを平時のルールを当てはめているというのは私はおかしいなと思うので、大臣の御意見を伺いたいと思います。

平野(博)国務大臣 先生の御質問は、ことし、福島における教員採用を見送ったではないか、こういうことでございますが、そのことにつきましては、今回の震災、原発の事故を受け、多くの児童生徒が県外に転学を余儀なくされた。こういうことで、私の承知しておりますのは、小中合わせて約八千六百人の方が県外に出ておられる。こういうことで、それに伴い二十四年度の四月の教員採用を見合わせたというのが、今の事実関係でございます。

 ただ、文科省としては、福島県における教育の、今そういう状況に置かれている、こういう現状に鑑みまして、少人数教育とかあるいは特別支援教育のための加配定数を七百八十人加えております。また、昨年六月に、県の要望を受けて、被災した児童生徒の学習の支援等のための特例的な加配を約四百八十一名いたしておるところでございまして、全て、私は、先生おっしゃるように、ふやせということでございますので、県の要望は全面的に受け入れてやっております。

 したがいまして、震災前と同じ状態の教員配置を実現いたしておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。

 一番大事なのは子供です。そして、子供の健康と子供の教育です。もう十二分なる子供の教育環境、これをぜひつくってくれることをお願いして、本当に、加配、ありがとうございます。

 これで私の質問を終わらせていただきます。福島再生法、本当に一日も早い成立を願って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

古賀委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 吉野委員に引き続きまして、この法案につきまして質問をさせていただきます。

 大震災そして原発事故から間もなく一年が過ぎようとしております。この法案の審議に先立ちまして、先日、福島に行ってまいりました。双葉郡出身の方と少しお話をしてきたんですけれども、双葉郡を初めとして長期避難を強いられている地域の機関、そして、復興なくして福島の復興もないし、日本の復興はないということを強い口調で、語気を強めて言われてまいりました。

 この福島復興再生特別措置法案、きょうから審議入りということですけれども、より深掘りをして、そして、より中身の濃いものにして、かつ、迅速に仕上げていかなければならないという思いをこの委員会で共有しているものと思っております。

 そこで、一番最初に平野大臣にお伺いをしたいんですけれども、この福島復興再生特措法、この法律の名前にもなっておりますけれども、福島の復興及び再生というのはどういった時点でこれがなされるか、大変長い時間ですし、中身に関しても、これも多分、法律を逐次改正しながら長い道のりを経ていくとは思うんですけれども、漠然とした質問ですけれども、まず大臣に伺います。

平野(達)国務大臣 まず、津波、地震等によって物理的に被害を受けたさまざまな施設の復旧が完全にすっかりなされている状況、それから、何といっても、放射線にもうおびえなくてもいい、そういう状況で、福島県につくられる農産物、そういったものも市場で適正な、真っ当な評価を受けている、そういう状況が達成されたとき、まだまだいろいろなことがあるかと思いますけれども、今差し当たって思い浮かべようとすればこんなことがまずは基本かなというふうに思います。

 まずは、何といっても、多分一言で言えば、安心して暮らせるもとの福島の状況ということが達成された日、そういう日をもって、復興再生がなされたということではないかというふうに思います。

梶山委員 復興庁ができて、復興庁にも、復興大臣のもとにも、平野大臣のもとにもさまざまな要望が来ていると思います。

 先般、二月の新聞で、「復旧予算 半分手つかず」というような大きな見出しが出ておりました。また、昨日の朝日新聞では、復興の道筋がついていない、そう思っている方が九二%というアンケートがあったという記事も出ておりました。

 なかなか人材が追いつかないということもあります。人の手配が追いつかないということもあって、その辺はすぐに人の手配をする努力をしていくということだと思いますが、人の手配をしながらも、やはり順序立てて物事を進めていくということがこの法律の趣旨ではなかろうかなと思っております。

 そういった意味では、このスタートは、避難指示区域の見直しということになるかと思います。そしてさらに、全てに先行するのは、これらの地域の除染ということになるのではないかなと思っております。

 昨年の十二月の二十六日に原子力災害対策本部から発表されたわけですけれども、三月末を目途に避難指示区域の見直しを行うということでありますけれども、この進捗状況、そしてこの文書どおりに三月末を予定しているのかどうか、復興大臣にお聞きいたします。

平野(達)国務大臣 今、さまざまな観点から議論を重ねております。

 今の段階では、放射線のレベルによってこの区域をまず見直す。放射線のレベルで低いところ、高いところ、あるいはその中位のところ、そういった観点で区域を見直していくという作業を進めておりますが、さらにこれに加えて、今、こういった観点が必要ではないかといった内部のさまざまな議論が起こっておりまして、こういった議論をしっかりやった上で、総合的に判断してこの区域の見直しをやることが大事だというふうに思っております。

 現段階、この段階で、先ほど申し上げた三月末というその日程を変更するというような状況にはまだ至っていないというふうに理解しております。

梶山委員 それでは、三月末で作業が順調に進んでいるという認識でよろしいですね。

平野(達)国務大臣 順調という言葉が適切かどうかはわかりません。大変苦しみながら進んでいるという面もあります。

 苦しみながらという意味は、いろいろな観点からこれは検討しなくちゃなりません。これを検討するとこういう問題がありますね、こういう観点がありますねということで、さまざまな議論があります。今、そういうことを一つ一つこなしながら、丁寧に対応しているということでございます。

梶山委員 順調にという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、三月末にそれらが発表されるとする。

 そして、今度は除染の話になるわけでありますけれども、一月の二十六日付で、除染特別地域における除染の方針ということで、除染ロードマップが環境省から発表されました。

 先ほどの避難区域の見直しを受けて、このロードマップからさらに具体的に除染のスケジュールが決まっていくと思うんですけれども、三月末に避難区域の見直しが行われたとして、この後に、除染に関してはどういうスケジュールでいくのか。まず、どういう計画が立てられるのかということを細野大臣にお伺いいたします。

細野国務大臣 現在除染を進めておりますのは、今お話がございましたロードマップに基づいて実施をしておるということでございます。

 具体的には、モデル事業をやっておりまして、これは避難区域に当たる十二市町村のそれぞれの地域においてのモデル事業、間もなくこれについては結果をお示しすることができようかと思います。

 また、先行除染についても進めておりまして、具体的には常磐自動車道についての要望が非常に多うございましたので、それについては、実はあした着手という形になります。

 本格除染にもできるだけ早く入りたいと思っておるんですが、それぞれの所有者の皆さんに了解をとる必要がありますので、そうした手続についての準備を今進めておるという段階でございます。

 したがって、区域の変更と並行しながら除染を進め、現段階で、除染によって大きく下がって区域が急に変更できるということではありませんので、これまでの経緯の中で解除できるところは解除し、そして除染が進んだ段階でまた改めてさまざまな判断をしていく、そういうことになろうかと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

梶山委員 三月末に避難指示区域の見直しが行われる、それに連動して除染に関する計画はどういったものができるんですかという問いかけなんですけれども。

細野国務大臣 今の御質問にお答えをするとすると、ロードマップ自身、年明けにつくっておりますので、まずはそれを着実に実施させていただきたい。三月末の区域の見直しのときに新たなものを出すというよりは、これを着実に実施していくということで臨んでおるということでございます。

梶山委員 除染が全てに先行すると先ほど私も申しましたけれども、除染に関して、きょう細野大臣がお見えになっておりますから、私の確認も含めて少しお聞きいただきたいんです。そして、もし間違っている点があれば御指摘をいただければと思います。

 この除染に関する特措法ができて、昨年の八月三十日に公布されて、一部即日施行されました。そして、基本方針の閣議決定が十一月十一日に行われました。地域指定の要件、処理の基準等の政省令の制定が十二月十四日に行われました。そして、第三次補正も同様に成立をしておりますから、それらに基づいて、国直轄の部分が一千五百億円、そして地方分が一千億円という予算配分がされた。そして、ことし、平成二十四年の一月に、先ほど申しました特措法の全面施行ということになって物事が動いているということなんですけれども、そういった認識でよろしいですか。

細野国務大臣 はい。今委員が御指摘の形でこれまで準備を進めてきて、今まさに本格的な除染に入っているという状況でございます。

梶山委員 先ほど大臣からお答えがありましたけれども、それらに基づいて除染が、今、先行除染という形、またモデル事業という形で行われている。これらの除染につきましては、少し役所の担当が分かれていると聞いておりますけれども、環境省の担当であるところ、また内閣府の担当であるところ、内閣府の中でも経産省の被災者支援チームの担当であるところということで聞いているんです。

 まず、内閣府の事業に関しましては、内閣府のモデル事業というものが行われているわけですね。そして、これがグループを三つに分けて行われていて、合計二百二十九ヘクタールということであります。そして、環境省は、モデル事業プラス今度は先行除染ということで、先ほど大臣が答弁をされていた常磐高速道路のモデル事業というものもあるということです。

 これらについて、常磐自動車道に関しましては始まったばかりであるということもありますけれども、内閣府と環境省とどういう区分になって、どういう進捗ぐあいなのか。現時点で、除染の予算がついて、どういう形で今除染のテストをしていますよ、また先行除染をしていますよという形なのか、教えていただきたいと思います。

細野国務大臣 一月一日に特措法がスタートするまでは、除染についてはっきり法的な根拠のある部署というのはございませんでした。したがいまして、その法律が施行する前に除染をやらないというわけには当然いきませんので、そこを埋める形で、内閣府の方で除染のモデル事業をスタートしたということでございます。

 具体的には、内閣府の方で、除染についてさまざまな研究ができる機関といたしまして、JAEAに仕事を出すという形になりましたものですから、JAEAのもとでモデル事業が十二市町村のうちのかなりの部分で進められてきた、そういう経緯でございます。

 ただ、現地に、このJAEAもそうですが、環境省も、実は昨年の時点から出先機関を実質的につくってまいりまして、今、それを拡充して福島環境再生事務所ということでつくっておりますので、言うならば一緒にやっておるんです。

 ですから、モデル事業の経験を生かして、これから環境省が行う、国が直接行う本格除染にまさに連続的につなげていく、そういう体制で今臨んでおるところでございます。

梶山委員 モデル事業の中では、多分試行錯誤だと思うんですね。そして、どうやったら除染ができるかということで、さまざまな方法を試みていることと思いますけれども、四月から本格除染ということに一応工程表の上では、計画も含めて、実施されるかどうかは別にして、四月から避難指示区域の見直しがあって本格除染ということになっていくわけですけれども、それらにきちっと資するような成果が出ているのかどうか、お伺いいたします。

細野国務大臣 モデル事業につきましては、四市村そして一地区でもうほぼ結果が出ておりますので、逐次その結果については報告をさせていただいているという状況でございます。

 さまざまな技術提案もいただいているものですから、そうしたものの中で、投入できるものはこのモデル事業の中で投入をして、新しい技術についても試しております。

 まだ全てが検証できているということではありませんし、恐らく、これから徐々にまたレベルを上げていくということにはなろうかと思いますが、このモデル事業の結果というのは非常に重要なデータですので、これを生かして本格除染につなげてまいりたいというふうに思っております。

梶山委員 先行除染の話が先ほど来ありますけれども、常磐高速道路、三カ所選んで先行除染をしているということを伺っております。

 これがまだ緒についたばかりということではありますけれども、もしこれが三カ所選んでうまくいった場合、これは多分高線量地区だと思うんですね、高線量地区を選んで除染をしていると思うんですけれども、それがうまくいった場合には、その方式で、先行してというか、今も先行していますけれども、優先して高速道路などは除染をするというような計画はありますでしょうか。

細野国務大臣 この常磐自動車道は、浜通りにおいては、これが最も優先的にやられるべきものだというのが地元の町村長の皆さんの共通認識でありました。

 ただ一方で、この常磐自動車道というのは、福島第一原発から、近いところは相当近接したところを走っておりまして、そこは線量が非常に高うございます。

 したがいまして、今の時点で断定的にこうなるということは言い切れないわけですが、少なくとも、まずこの先行除染でやらせていただいて、除染で下がるところは下げよう。その中で、地元の市町村長の皆さんや福島県の皆さんとも議論をさせていただいて、どういう活用の仕方ができるのかというのはしっかりと見きわめた上で、これは復興大臣ということになりますけれども、国土交通大臣と相談をしながら判断をしていくということになろうかと思います。

梶山委員 私は大臣に、何も結果まで予想して言ってくれということじゃありません。ただ、やはり優先順位として非常に高い作業だと思うんですね。これに関して、もしいい結果が出ればそうするよというようなことを言っていただければ、福島の方も明るい希望を持てるとは思うんです。

 多分、いい結果が出れば、当然それは優先してやるよということになるとは思うんですけれども、今の時点で、言えなければそれで結構ですけれども、もし言えるのであればもう一度、復興大臣でも結構です。

平野(達)国務大臣 福島県のそういった特に沿岸の方々の常磐道にかける思い、それをとにかくできるだけ実現させるために、まずは今、その除染のモデル事業をやっているということで、御理解をいただきたいというふうに思います。

梶山委員 今の時点でのことはよくわかりました。

 先般、福島に行ったと申しましたけれども、そのときに言われたのは、戻ることも大切だけれども、戻っても、やはり交通インフラができていなければ産業もうまくいかぬ、しかも観光もうまくいかないと。ですから、交通インフラをしっかりと除染をして通常どおりに開通をすることが一番の課題だと思ってくださいよということでありました。

 今も、南相馬からいわきまで行くのに、半径二十キロですから、四十キロは分断をされているということですよね。このことがかなり経済にも影響を与えているでしょうし、やはりその後の新規立地や、これから商売をもう一回復旧させよう、復興させようと思っている人たちにも暗い影を落としていると思うんですね。

 ですから、交通インフラというのは、当然、この法律の中でも、道路、都道府県道また市町村道に関しては代行ということが入っていますから、やはりきっちりと意識をしてやっていただいているとは思うんですけれども、この高速道路に関しては、まず除染、そして、その後、事業主体であるNEXCO東日本がしっかりと開通に向けて努力をしていくということだと思うんですけれども、国の役目としての除染ということですから、ここはしっかりやっていただきたいと思います。

 これは茨城県も同じような状況でして、常磐道も通っている、国道六号も通っている、また常磐線も通っている。もしこれが四十キロ分断されたらどうなのかなと考えると、非常に大変なことだなと今思っております。現実にそういうことが起こっているわけですね。

 全部一気にとは言いませんけれども、できる限り早く、可能な限り速やかに、やはりこの三つをしっかりと再開できるようにしていただきたいと思うんですけれども、高速道路は一番除染もしやすいということだと思います。そして、かなりのペースで建設も進んでおりましたので、二十三年度末までに開通するところも、建設中だったところもありますので、それらもあわせて開通するようにしてほしいというのが地元の願いだということであります。高速道路の件はこれでよくわかりました。

 もう一件、国道六号の件なんですけれども、これはやはり、線量との関係、また、避難指示区域の見直しの関係もあると思うんですけれども、今の時点で六号線の状況はいかがでしょうか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

奥田副大臣 国道六号についての御質問をいただきました。

 国道六号につきましては、福島第一原子力発電所警戒区域内一時立ち入りということが昨年の五月八日にございました。その五月八日前に、迂回路を含めた応急復旧を完了いたしました。そして、昨年の十二月二十六日には、国道六号全線二車線通行可能という状態になっております。

梶山委員 避難指示区域の見直しも含めてということは、現時点で通れるということではないでしょう。多分、そこに入れないという制限も当然入っている。それで、今の話は、応急措置はできているということでよろしいんですか。

奥田副大臣 今申し上げましたように、応急復旧は昨年の五月の時点でできております。今は、道路について、もちろん立入禁止、制限区域がございますけれども、道路の復旧ということに関しては、全線二車線の復旧が完了しております。昨年末です。

梶山委員 そうしますと、避難指示区域の見直しが行われて、国道六号が通っている地域が避難指示解除準備区域になったときには通れるということですね。とりあえず応急復旧だけれども、最後の本格復旧もそのときにやるということでよろしいんですね、ということを答弁してください。

奥田副大臣 放射能レベルとの関係で立入禁止が解除されれば、使える状況になっているということです。

梶山委員 もう一点、問題は、JRの常磐線の件がございます。

 今、上野から出て広野まで行っております。そして、警戒区域が広野から原ノ町まで不通になっているということで、さらに、運転再開をした区域もあり、バスで代行もしている区域もあるということなんですね。

 ただ、これは津波もあります。警戒区域は原発の影響ですけれども、例えば、今バスで代行している間は、津波の被害があるということで代行しているわけなんですけれども、これからは今のルートを変えなくちゃいけない。津波の被害が二度とないようにルート変更も含まれる。

 そして、新地や坂元においては駅舎も流失したわけなんですけれども、まちづくりとあわせて、新駅舎をどこにつくるか、そしてルートをどう設定するかということを今検討中ということなんですけれども、検討がし終わったとして、これは費用はどうなるんでしょうか。

 四十事業の中にまちづくりとかそういった部分は入っているんでしょうけれども、線路の変更分、ルートの変更分に関してはJRの負担ということになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

奥田副大臣 梶山議員の方でも、鉄道の災害復旧事業補助制度を十分御承知の上でお尋ねのことと思いますけれども、津波の被害を受けて線路を移行する、内陸の方に移すという、今お話しのまちづくりと一体の鉄道用地を確保しての鉄道の移行ということにつきましては、まちづくり事業の実施者とJR東日本との間の調整により必要な措置がなされる。もちろん、そこには国交省も一緒に入っての支援をさせていただくということになります。

梶山委員 復興大臣御存じだと思うんですけれども、東北三県の知事から陳情書が多分出ているかと思います。これは、国に対して財政的な支援を求める陳情書なんですね。

 財政的支援だけじゃなくて、一刻も早く復旧してほしいという思いがこもっている陳情書だと思うんですけれども、通常の支援の方法じゃなくて、やはり公共交通機関として、しかも公共交通機関が大変少ない地域の鉄道として、私はすぐにでも復旧復興させなくちゃいけないと思っているんですけれども、可能な限り早く復旧させるために、平野大臣の方でお考えがありますでしょうか。

平野(達)国務大臣 JRも、例えば常磐線、宮城県区域等々についてはできるだけ早く復旧するということで、もう地元の調整にも入っております。

 その中で、やはり問題になってくるのは、津波で線路自体あるいは駅舎が全く流失された地域、その路線を変更しなければならない場合に、本来の復旧に比べて、かかり増し経費というのが出てくる場合があります。その経費をどのようにするかということについては、これはJRにはJRの多分言い分があると思います。

 しかし一方で、先ほど奥田副大臣から御答弁がありましたように、そうはいってもJRというのは黒字企業じゃないかということがあって、この間に、まだ今はっきりと私自身は完全に整理はついていないという理解でありますけれども、いずれ、JRとしても社会的な機能と役割もございますので、一日も早く復旧できるように、私としても、国土交通省、JRにはいろいろな形、パイプを通じて働きかけをしていきたいというふうに思っております。

梶山委員 地元の町村のホームページも見て、やっと検討に入り始めたということも承知をしているわけでありますけれども、例えば、今度の四十事業の中に津波地域復興拠点市街地整備事業というのが新規として入っていますけれども、こういったもので駅舎などは補えるという理解でよろしいんでしょうか。

平野(達)国務大臣 今、ちょっと突然の質問であれなんですけれども、駅舎自体はJRの施設だということになりますと、それを今の復興交付金事業で対象にするというのは……(梶山委員「まちづくり」と呼ぶ)まちづくり、それは多分復興交付金事業の一形態だと思いますけれども、その中で対応するというのは、今の段階で、私は、ここはできるというふうな答えはちょっとできかねるかなというふうに思います。

梶山委員 今の制度の中ではまだ検討の余地があると私は思っているんですけれども、早く動かすということを視点に持って、ぜひこれを進めていただきたいなと思っています。

 さらにまた、割り増しの経費に関しても、今の法律の仕組みだけじゃなくて、公共交通機関としてどうにかしなくちゃいけないという思いが地元の皆さんは非常に切実なんですね。ですから、これも少し今後の検討課題として復興大臣から御答弁いただきたいんです。

平野(達)国務大臣 今、宮城県のいわゆる被災地域では、例えば、今の制度をいろいろ使いまして用地の生み出しを、斜め読みした形で用地を出すとか、斜め読みというのが適切かどうかわかりません、さまざまな工夫をやっております。そこの取り組み等々を見ながら、JRの復旧に何が必要かということについても検証していくことも大事だというふうに思っています。

梶山委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 そして、もう一つの、警戒区域の方もあります。これは津波と原発災害複合地域ですね。

 ですから、今警戒区域で誰も人が入れないということで、津波の件に関しては今お答えいただいたようなことだと思っています。ただ、これも、区域の見直しでしっかりと作業員が入れるようにならない限り調査もままならないというのが今のJR東日本の現状だと思っておりますけれども、先行除染で、先ほど環境省のモデル事業の中で先行除染がありました。そして、これも重要性から見て、常磐高速道路の先行除染もモデル事業としてやられていると思うんですけれども、JR東日本の常磐線をやはり先行除染という形で、モデル事業はもうなかなか難しいんでしょうけれども、何かしら手だてがありませんか。

細野国務大臣 高速のケースもそうだったんですけれども、民間の事業者の皆さんにインフラの整備に入っていただくためにも、まずは国が先頭に立って、除染ができる、そこで作業ができるということをお示しするという意味もあって、常磐自動車道については一番初めに着手をする、そういう判断をいたしました。

 鉄道についても、これは高速と同様に、非常に重要な広域インフラの一つであるというふうに認識をしております。ただ一方で、どこのルートを通すかとかいうことも含めて、まだ方向性が見えないということもございまして、今のところはすぐに除染に着手できる状況ではないのも事実であります。

 そこで、これから関係市町村であるとかJRの皆さんも含めて協議をさせていただいて、重要なインフラであることは間違いありませんから、除染の可能性がどの段階であるのか、そこはしっかりと相談をしながら、できる段階で着手をしてまいりたいというふうに考えております。

梶山委員 そういったこともありますし、確かに、高速道路と違って、平面を除染するのと違って、敷石があり、そしてレールがありということですから、かなり除染も難しいと思いますし、全部取りかえるとなれば今度は置き場の問題もあるということになるんですけれども、この辺も含めて、ぜひ、復興大臣も環境大臣も前向きに検討いただきたいと思うんです。

 多分、今度、区域の見直しをしたときに、先ほど吉野委員からお話がありましたように、全部が帰ってくるということはないんですね。何掛けかで戻ってくるということになると思います。できるだけ多くの方にやはり戻ってきてほしいという思いがあると思うんですけれども、それは心配、内面の問題もあり、また生活をしていくために商売ができる環境にあるのかどうなのか、企業が来られる環境にあるのかどうなのかということがあるんです。

 今度の法案で、いろいろな形で、産業の復興再生もあり、また新規産業の立地の話もあり、御苦労はされていると思うんですけれども、その大前提が物流網であったり交通インフラだと思うんですね。その点を、省庁の壁をなくして、復興庁ができてから省庁の壁はないと言いながらも、なかなかその辺の調整がうまくいっていないというのも現実だと思います。ぜひ、この点に留意をして御検討いただきたいと思います。

 もう一度、平野大臣、細野大臣、そして奥田副大臣からもお話がいただければと思います。

平野(達)国務大臣 交通インフラの復旧というのは、いわゆる双葉郡あるいは相馬郡の南の地域の復興のために必要というだけではなくて、沿岸地域あるいは福島県全体のために必要だというふうに思います。ですから、できるだけ早くの復旧ということは目指さなければなりません。

 しかし一方で、例えばJRなんかについては、高速道路、常磐道もそうなんですけれども、建設工事はあるいはひょっとしたら最新の技術を駆使してやれるかもしれませんが、仮に、周りに高放射線地域、濃度の高い地域を抱えている地域を通すときに安全が確保されるかどうか、こういった点もやはり総合的に検討する必要もあるというふうに思います。

 いずれ、課題は結構ございますけれども、委員の趣旨はやはり交通インフラは大事だろうということでございますので、その趣旨については私どもも全く同じ考え方を持っております。できる限りのことをしながら、交通インフラの早期復旧に努めてまいりたいというふうに考えております。

細野国務大臣 復興庁ができましてコントロールタワーができたという、この意味を非常に強く感じております。

 除染は復興の手段ですので、復興方針に基づいて、平野大臣の方針に基づいて、それを実現するために除染というものに取り組んでまいりたいと考えております。

 その際に、交通インフラというのは非常に重要でありますので、やれるところからとにかく早く始めていく、そういう方針で臨みたいと考えております。

奥田副大臣 梶山議員の方から、常磐道そして国道六号、あるいは常磐線、主に警戒区域に関しての御質問をいただいたわけですけれども、最後の常磐線の方につきましては、営業路線であるという中でJR東日本も苦悩しているという状況かと思います。今は、復旧にどのような準備、作業が必要かという調査を国交省からも依頼して、それを行っているところであります。

 御存じでしょうけれども、二十キロ圏内でも駅の流失している、あるいは橋梁の流失している地域もございます。そこは、復旧あるいは移設ということが、山元から相馬の間と同じように移行も考えなければいけない区域というのもありますし、やはりまちづくりをどうするかということにもつながってくることとなります。

 常磐道、そちらの方は、今環境省さんの方で行っていただいているモデル事業、もちろん、年間二十ミリシーベルト以下のところは供用に向けて工事の方も動き出しますけれども、あと残った部分は、除染という作業の後を追っかけていくということを御了承いただければと思います。

 議員が訴えているインフラの重要性ということは、所管する国交省として努力させていただきます。

梶山委員 冒頭申しましたけれども、これがスタートが避難指示区域の見直しということであります。そして、全てに先行するものが除染だということでありますけれども、その後の産業の復興再生や新産業を誘致したりするというのは、そこはやはり交通インフラが整っていなければできないということでありますので、物事の順序立てをしっかりと理解した上で進めていっていただきたいと思います。

 この法案がよりよい修正がなされますことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、沖縄北方問題の特別委員会も同時刻にずっと開催しておりまして、私は今筆頭理事なものですから、今ちょっと中座をしてまいりました。限られた時間ではございますけれども、両大臣の明快なる御答弁をお願いしたいと存じます。

 まさしく、福島の復興なくして我が国の復興なし、そういう意味では、被災三県の中でも福島県は、原子力による、爆発による被害、最も甚大な影響を受けたわけでございまして、こうした法案が成立することは大変意義深いものだと思っております。

 その一方で、この法案の重要な部分を占めます放射能による健康上の不安の解消など安心して暮らすことのできる生活環境の実現のための措置、具体的には、健康管理調査あるいは児童などの被曝放射線量の低減、調査研究の推進、教育機会の確保、医療、福祉の確保など、こうした課題というのは、福島県に最も充実した手厚い施策が求められるのはそのとおりでございますけれども、実は福島県に限らない課題であります。

 宮城県や茨城県、あるいはホットスポットと言われているように、爆心地から遠いところも大変高い値の線量が出ているような状況にございます。

 ですから、この福島県の再生法の中で規定をしている特例措置の部分部分を見れば、福島に限定する話じゃないわけであります。特に、放射線量の高い地区での除染に対する支援、あるいは子供たちの健康被害に対する支援、あるいはまた、さまざまな原子力被害による賠償の問題、こういうことは福島県に限らずこれから充実をさせていかなければならないと思っております。

 そこで、まず復興大臣にお伺いをしたいのは、今回、福島県に特化しての法案でございますけれども、中身を見ますと、福島県に限定すべき話でない部分もたくさん入っております。今申し上げましたような部分ですね。こういったことを、これから、例えば子供たちの健康被害を救済するための措置を別枠で考えていくのかどうかも含めて、特に原子力被害の問題について、今回の法案で規定しているようなことを、福島に限定せずに、少し政府としてもこれからの健康被害をどう救済していくのか考えていくべきじゃないかと思いますが、その辺はどのようにお考えになっていますでしょうか。

平野(達)国務大臣 今回の福島復興再生特別措置法は、もう御案内とおり福島全域を対象としておりまして、ここに規定されているさまざまな措置は福島県に適用されるということでございます。

 その一方で、委員の御指摘の、放射線量その他等々の観点で福島県と似たような状況にあるところがあった場合にどうするかということの御質問かと思いますけれども、その点に関しましては、その地域地域のさまざまな状況についての考え方、状況等々についても私ども把握させていただきまして、その地区地区ごとで対応させていただくというのがまずは基本的な考え方かというふうに思います。

秋葉委員 今回の法案の審査の中でも、子供たちの健康被害については国が基本的に医療費を持つべきじゃないのかというようなことが当初検討されたわけでございますが、結果として、福島県も、二次補正予算案あるいはまた東電からの賠償金などを基金に組み入れて、この秋から独自にやるという方向を伺っておりますけれども、福島のようにそうした財源を確保してやれるところと、同じように近隣で高い値が出ていて影響のあるところの財源をどうしていくのか。恐らく、政府が十八歳以下の子供たちの無料化になかなか踏み切れなかったのは、福島に限定していいんだろうかというのが一つあったのではないかなとうかがっております。

 私たちも、今野党という立場ではございますけれども、子供たちの健康被害対策の拡充に向けた議員立法を用意しておりまして、党内手続が終わっております。各野党の皆さんとも協議をしてこの国会で出したいと思っておりますけれども、政府としての立法化の検討の予定があるのか、もう一度伺っておきたいと思います。

平野(達)国務大臣 立法化につきましては、私が今必ずしも全省庁のものを把握しているということまで言い切れるかどうかはちょっとわかりませんが、こういった健康等々の問題に関して、特に放射能に関しての関連した立法措置ということについては、今検討されている法案があるというふうには承知しておりません。

秋葉委員 きのうもこの特別委員会の後、夕方、大臣に、村井知事や奥山仙台市長と一緒にお伺いをさせていただき、復興交付金を初め、さまざまな課題について真摯な御回答をいただいたなというふうに受けとめております。

 被災の状況をどう捉えるかというのは本当に難しい問題で、公平性がなければいけませんし、やはり客観的な、さまざまな指標に基づいて区切っていくということが大事になってまいります。ですから、この法案はこの法案で、本当に福島県が特に原発被害が甚大なわけですから、成立をさせてスピードアップしていくということで私はよろしいと思っております。

 しかし、この原発の被害は福島県に限定した話じゃないんだ。特に宮城県でも、風評被害の概算値が大体三十四億円ぐらいだと言われておりますけれども、これはごくごく一部の数字でございまして、宮城県と福島県で何が一番違うのかというと、福島県でもまだまだ不十分なんですけれども、ある程度、東電から通知が来て、自動的にさまざまなものが通知され、進んでいくという面がございます。

 ところが、宮城県の場合には、まあ、賠償請求できないわけではもちろんないんですけれども、こちらから能動的に働きかけていかないとなかなかはかどらない、こういう問題があります。

 都道府県で圏域を区切ることに大きな意味はないと私は思うんですね。北西の方に風向きがあって、飯舘村を初めとして北の方が高い値が当初ずっと、今でもそうですけれども、出ているような状況がございます。ですから、私たちも、福島県に限定せずに、子供たちの健康被害を救済できるような立法措置をこれから提案してまいりたいと思っております。

 そこで、原子力損害賠償紛争審査会。きょうは、また平野大臣にもおいでをいただいております。

 先般も議論させていただきました。年末に、自主的避難区域の議論のときに、福島県内の二十三市町村のみの指定でございました。この間の、きのう、おとといの予算委員会でも申し上げましたとおり、審査会が一応依拠した基準に基づけば、やはり明らかに福島県外も対象になるエリアが該当として出てきたのではないかと思われてなりません。

 きょうは、皆さんのお手元に、中間指針の追補における対象区域の略図を配付させていただいております。この間のはちょっと市町村名が見づらかったわけでございますけれども、これをごらんいただきますと、福島県内は百キロ圏内までエリアが指定をされております。特に、六十キロ圏内は全ての自治体が指定をされているんですね。

 宮城県の最南端に伊具郡丸森町というところがございます。唯一、福島県側に食い込んでいる自治体なわけでございますけれども、ここは、放射線量を比較しても、第一原発からの距離をとっても、一番近いところは四十五キロ圏内ですね。飯舘村からわずか四キロしか離れていない。ここが漏れてしまったがために、もちろん丸森の人たちも東電に賠償請求はできます。実際、三月の五日、きのう、おとといから東電は通知をもう郵送しましたね。ところが、丸森の人たちには誰一人として届いていないわけです。なぜならば、この二十三市町村に指定をされなかったからですね。

 これは、ですから、審査会の議事録を見ましても、能見会長初め委員の間でもさまざまな議論がございました。しかし、例えば、紛争解決センターなどの一つの指針では、やはり放射線量というものを一番重く置いて対応していくことが大事だということがはっきりしているわけですね。

 ですから、私は、きのう、おととい、大臣に、今度の審査会で、この自主的避難区域が本当に妥当だったのか、追加も含めて検討するようなことを議題に加えていただきたいということを申し上げましたが、あすの午後から、もう二十五回目になるんでしょうか、開催されると思いますが、その見通しはいかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 議員にも、過日の予算委員会でそういう御指摘がございました。改めて私、申し上げておきます。その上で御答弁をしたいと思います。

 そもそも、原賠法という法律に基づく紛争審査会、こういうところで示された指針でございます。これは、法律家等の有識者が中立公正な立場で、まして公開の場で審議を行い議決をしているものでございます。

 その判断基準としては、発電所からの距離、避難指示等の対象区域とされる近接性、政府等から公表された放射線量に関する状況、自主的避難の状況、沃素剤の配付状況等々を勘案して、事故との因果関係を中心に、避難者、滞在者を問わず、住民一律に認められる自主的避難等対象区域として福島県の二十三市町村を対象としたものである、こういうことが経過でございます。

 そういう中にありまして、委員の御指摘は、六十キロ以内にある宮城の丸森町、これは大体四十五キロから七十五キロぐらいのエリアにあると私も委員からこの間指摘されまして、確認いたしましたら、そのエリアにある、こういうことを私自身も確認いたしました。

 ただ、この指針が一つのガイドラインで、委員も御理解をいただいていますように、それ以外のエリアであっても、少なくとも賠償の対象にはなるということもあえて書かせていただいている、こういうことでございます。

 では、なぜ丸森町が入らなかったのか。こういう御議論、議論の中にはそういうお声もあったように委員が御指摘されていますが、一つは、私なりに調べてみましたが、宮城県丸森町につきましては、距離的には委員御指摘のとおりでございます。放射線量につきましては、文科省が公表しております航空機によるモニタリングの測定を見ますと、町の南部の山間部に一部高いエリアがございますが、他のエリアは低いというふうに思います。また、沃素剤の配付はされていない、県としても配付をしていない、こういうこと。

 いま一つは、計画的避難区域と近いものという認識にはありますが、隣接はしていない。自主的避難者数が把握をされていない。把握されていないというのは、国がもっと把握しろということでございますが、県に対して再三、その数についての要求をいたしましたが、私どもの方に把握はされていない。

 こういうことで、町全体が住民一律に賠償が認められる区域として指針に追加するということについては、現時点では困難があるということを答弁いたしました。

 そのときに委員から、改めて紛争審査会に、被災者の思いをしっかり受けとめて、議員からのお声も当然その地域の代表の声、こういうふうに私も思っておりますから、どれだけの権能、権限を持って言えるかは別にいたしまして、あす、私は委員長とお会いをして、予算委員会におきましてもそういうお声があるということは必ず私はお伝えしたい、こういうふうに思います。

 政治が介入することによって中立性、公平性がゆがめられることは控えるべきだと私は思っておりますが、先生からのせっかくの御指摘でございますから、そういうお声があるということも、私、必ずあしたお伝えはしておきたいと思っております。

秋葉委員 大臣から本当に前向きな答弁をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。

 私は、この審査会の答申なり決定をないがしろにしろと言うつもりはさらさらないんです。もちろん、一つの指針を出してもらうために私たちが委ねて回答を求めているわけですから、それは尊重してやっていかなければいけません。しかし、審査会そのものが議論百出でなかなかまとまらない中で、どうも私には、福島県内のみを前提にまとめてきたとしか見えない。

 今、大臣の答弁で、必ずしも丸森が全体的に高いんじゃないんだというお答えがございましたけれども、やはり一番高いところを見なければいけませんし、お隣の福島県の新地町と比べれば圧倒的に丸森の方が高いんですね。ですから、何をもって反論するかによっていろいろなことが言えるんですけれども、距離を見ても放射線量を見ても、客観的な事実として、今回、福島県で指定された町よりも丸森町の方が突出して高い水準にあるんです。

 特に、御案内のとおり、飯舘村は除染特別地域にも指定されているようなところでございました。その飯舘村から、わずか四キロしか離れていないわけですね。そして、丸森町というのは、生活圏は福島県北部、新地町や相馬市と一体の生活圏のエリアでございますから、日常的な買い物では相馬市にいったりまったりしているわけですね。

 そうすると、自主的避難区域に指定された人たちは自動的に見舞金が八万円出る、四十万円出る、あるいは、実際に自主避難した人には、この間、東電が二十万積み上げをしました。そういうものを見聞きしているから、物すごく不公平感を感じているわけなんです。

 ですから、誰が見ても、丸森は距離的には近いけれども線量は低いからしようがないよねとなれば、誰も文句を言わないんですよ、丸森の町民だって。新地町と比較をしても、相馬市と比較をしても、丸森町は高いんです。

 ですから、大臣のお答えのように、空からのモニタリングで低いところがあるというんじゃなくて、地上で測定してそういう事実があるわけですから。私は、この審査会の皆さんの答申を尊重しながらも、やはり白河市長も、大分強い陳情があったと思います、これは白河市だけではないと思いますけれども。

 そして、今回、名前が自主的避難区域としているわけです。では、丸森町に自主的に避難している人がわかっているだけで何人いるかといえば、六十五人いるわけですよ。これは恐らく氷山の一角で、私は百人以上いると思います。私の選挙区の仙台市にだって、私が知っている人だけで何人も、経済的に余裕のある人は、東京あるいは大阪の方に引っ越しをされている方もおります。

 今回、自主的避難区域になったところで、例えば新地町は自主的避難をしている方はゼロ人ですよ、報告があるだけで、もちろん本当は何人かはいらっしゃるでしょうけれども。それから、相馬市四百五十人、丸森の隣の伊達市が十四人、飯舘村のすぐ隣の川俣町は一人。この間、大臣にも陳情に参った白河市、五百二十二人が自主的避難をしているわけですよ。

 やはり、こういう人たちの間で、どうしてもこの決め方に対する不公平感というのが出てきているんですね。ですから、実態に応じた見直しというのをしていかないと、確かに個別には請求できるかもしれません、しかし、東電は今週中には全部DMを出したい、こう言っているわけですけれども、丸森の人にも白河の人にも一切届かないんですよ。

 ましてや、宮城県内の風評被害は全くオートマチックな仕組みになっていません。協議会をつくって、積み上げて、それを東電にこちらからボールを投げて、ようやく返事があるという状態なんですね。ですから、自動化をさせていくということをしていかないと、時間がさらにかかってしまうということになってしまうんです。

 そして、私が一番矛盾を感じるのは、宮城県も、汚染状況重点調査地域に九の市町村を指定していただきました。これは大変ありがたいことだと思っております。この九の市町村、なぜ指定されたのかといえば、まさに年間一ミリシーベルトを超える可能性があるからであり、ある意味で、政府は、危ないからということを言っているようなものですよね。にもかかわらず、こうしたところが高い値が出ているから除染対象地域になっているわけなのに、避難区域とはイコールではない、こういう矛盾も出てきていると思うんですね。

 そして、今回の法案では、福島県内の子供たちの健康調査、費用は残念ながら国庫負担にはならないにしても、福島県は基金で今後やっていくことになりました。これは、宮城県に限らず茨城県だって、恐らく、やはり保護者の立場からすれば、子供たちの健康被害に大いなる不安を持っているわけですね。これはやはり、十八歳未満の人を対象に生涯にわたって追跡をしていかなければ意味がないと私は思っています。

 そういう意味で、この原発は、賠償の問題にしても健康の問題にしても、被害者が主体的に働きかけなければ進展しないということじゃなくて、ある程度は東電あるいは政府の方から働きかけていく、そういう被災者に寄り添う姿勢がないと、なかなか私は不公平感の解消にはならないと思うんです。

 ですから、先ほど平野大臣からは、あしたの審査会では会長に申し入れをしていただくという本当にありがたい御答弁をいただきましたので、十二月に決めていただいたことを私も尊重していますけれども、紛争センターでも、指定されなかったからといってできないわけじゃないよということもちゃんとうたってはいただいていますけれども、問題は、オートマチックに進まないために非常に不公平感が高まっているんだということをぜひ大臣にはお伝えいただきたいと思います。

 地元では、危ないから除染をするというのに、健康には影響がないと一方では言われる、そういうことに対する戸惑いの声も大分私どものところにも届いております。

 したがいまして、この審査会での今後の議論は、これからの指針の範囲とか中身をどうするのかということを詰めていくのが主体の議題にはなるんだと思います。そして、実際、東電も、今回は三月末には支払いを終えたい、こういう方針を私も伺っておりますから、もし自主的避難区域を広げた場合には、またそこに時間差も出てまいりますし、あるいはどこまで広げていけばいいのかという不安をお持ちになるかもしれませんけれども、しかし、誰が見ても、きょう大臣の答弁にもありました全ての基準に照らし合わせても、丸森町は間違いなく該当してまいります。

 そして、もう一つ私がお願いしたいのは、今、自主的避難をしている人がどれぐらいいるんだろうということを調べているのは、実は福島県だけなんですね。宮城県や茨城県ではそういう調査をしておりません。

 今、被災地では職員の人手不足で、新しい仕事を押しつけたくないんですけれども、これは極めて重要な問題でありますから、私は村井知事にお願いをして、宮城県でも仙台市のような百万都市はなかなか把握の仕方が難しいという現状はございますけれども、いろいろな知恵を絞って、自主的に避難している人がどれぐらいいるのか、これはしっかりと国も把握しておく必要があるんじゃないかと思うんですね。なぜ福島県だけが把握をして、宮城県や茨城県や埼玉県や栃木県では把握をしないのかということ、不思議でなりません。

 汚染重点地区に指定された地区は、福島県は四十一確かにございますけれども、宮城県は先ほど言いましたように九つ、岩手県も三つあるわけですね。茨城県だって二十もあるんですよ。二十市町村も指定されている。栃木県も八市町村が指定されているんですね。

 これは線量が高いから除染の対象地域になったわけですから、そういうことを気にして自主的に避難している人はたくさんいるはずなんですよ。これを都道府県に対して、あるいは市町村に対して、忙しい中で大変だろうけれども、福島県がどういう方策でこの数字を出したかわからないけれども、調べてみるべきだということを国として指示すべきじゃないかと思うんですね。

 これは平野大臣というよりも、文科大臣がいいのか、復興大臣がお答えいただくのがいいのかちょっとあれなんですけれども、自主的避難をしている方がどういう現状にいるのかということを福島県以外の自治体でもしっかり掌握されるべきだと私は思います。

 宮城県でわかっているのは唯一丸森町だけなんですね。それは丸森としての被害が甚大だから、みんな危機感を持って、町内に行政区というのがあります。いわゆる町内会みたいなものですね。その行政区の区長さんにお願いをして、ヒアリングをして、ボトムアップで積み上げていって出してきたのがこの六十五なんですけれども、これも先ほど言いましたように、これでも氷山の一角なんです。

 ですから、正確な数はなかなか把握できないでしょうけれども、ある程度、町内会単位で積み上げていって出してもらえれば、少し時間はかかるかもしれませんけれども、出てこない数字ではないんです。私は、この自主的避難者がどういう現状にいるのか、しっかり国として数字を出すべきだと思いますが、いかがですか。

平野(博)国務大臣 先生、お言葉でございますが、私どもとして、宮城県の方に、避難者はどれぐらいおられるかと県を通じて要請は、再度、何回もしてきました。全くしていないということではありません。

 ところが、県の方では把握していない、こういうことでとまるものですから、我々としては、今まで全くやっていないということではありません。何回も、自主避難された方はおられませんかということを、県を通じて当該の基礎自治体の方にお問い合わせをしてきたことも事実でございます。

 ただ、委員おっしゃるように、私は、今回の事案というのは、残念ながら、被災者がたくさん出たことは事実です。私の立場でいえば、本来、相対の賠償問題でありますけれども、できるだけ仲介をして、早く、迅速に、誠意を持って対応するように東電にも働きかける責務があると思っていますので、精いっぱいやらせていただきたいと思っております。

古賀委員長 秋葉委員、時間が来ておりますが、最後に、平野復興大臣。

平野(達)国務大臣 秋葉委員の言われた趣旨が、今回、除染対象地域になったから自主避難者がどれだけふえたのかという御趣旨なのか、そうではなくて、一般論としての自主避難者なのかということなんですが……(秋葉委員「一般論として」と呼ぶ)一般論としてですね。

 そういった観点であれば、これは今文科大臣からも御答弁がございましたけれども、今まで、把握をしていただけないかという要請は出しているということでした。

 それぞれの自治体に事情があるかと思います。いずれ、自主避難者がどれだけいるかというのは、さまざまな観点から、私も把握する必要はあるだろうというふうに思います。

 そういった意味で、関係自治体にそういったことについての要請をするということについては、引き続き行っていきたいというふうに思います。

秋葉委員 どうもありがとうございました。

 あすの審査会では楽しみにしております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず、法案の審査に入ります前に、私は、復興庁設置直後の二月十五日、衆議院の予算委員会におきまして大臣に申し上げさせていただきました。大臣には、御就任になられたときには、ともかく被災地に足を運んでいただきたい、誰よりも被災地を知っている大臣になっていただきたい、このことを要請させていただきまして、恐らく、大変ハードな中で、現地へ現地へという思いで御努力をされているのではないかと思っております。

 一方で、復興庁設置になりましたので、副大臣また政務官、新たになられた方たちは、集めるのではなくて、まず、私はたしかあのとき、衆議院で予算が通過する前ぐらいまでにと申し上げまして、あしたがそのような話になっているようでございますが、そこぐらいまでに担当する自治体を全部挨拶に回ってもらいたい、そういう人間関係をしっかりつくる意味からもという、その思いで申し上げさせていただきました。

 そのとき大臣は、ともかく現場に足を運びます、そのことを指示もしたし、またこれからもやっていくというお話でございましたが、今、予算通過前ぐらいまでに一通り挨拶に回る、現地へ足を運んでいただくという、この副大臣、政務官の動きというのはどのようになっていますでしょうか。

平野(達)国務大臣 私も含めまして、副大臣、政務官、復興局、それから支所、とにかく歩く、現地に行くということについては、できる限り現地に行くということでやってきたというふうに思っております。これからもその姿勢は貫かなければならないというふうに思います。

 ただ、あのとき委員から言われた被災地域自治体全部ということにつきましては、これはなかなか、国会の合間というか、土日を使ってということもございますし、土日になりますとさまざまな行事があって、そちらの方に行かなくちゃならない、あるいは会議等々もあって、そちらの方にも行かなくちゃならないということでありまして、それはまだ途上であるということであります。

 いずれ、これからも、今までもずっと歩いてまいりましたけれども、特に、松下副大臣、末松副大臣、被災の関係は初めてではございません。ずっとやってこられました。今後とも、とにかく現地を歩いていい関係を築く、これは心がけていかなければならないというふうに考えております。

高木(美)委員 大臣は、そのときに、フェース・ツー・フェースで何でも話し合えるいい関係を自治体とつくりたいというお話をされたかと思います。

 私は、それは大変重要であると思っておりまして、副大臣、政務官、そしてまた、復興局担当で行かれた大臣、副大臣、政務官、その方たちも含めてですけれども、それぞれ被災した自治体とどれだけ人間関係をつくっていくか、無理を言ってもらう、そして打診をしてもらう、それに対して誠実に応えていく、こういうまさにきずなといいますか、そういったものがなければいい仕事はできない。私も多くの仕事をさせていただきながら、そのことを痛感している一人です。

 今回、復興交付金に対するさまざまな御批判、それを聞いていますと、どうも一番の根回しとか、事前に少し、どういうことを市町村がやろうとしているのか、あらかじめ聞いておくとかといったような下準備というのが、恐らく時間がないということもあるかと思いますけれども、これは現地に行くとか、そういうときにしかできないことでもあると思うんです。そういうことも含めて私は申し上げたつもりでございます。

 いずれにしても、今これだけの復興交付金に対して、特に宮城で多くの御批判の声が私たちのところにも届いてきます。復興庁が示した事業メニューの範囲なのに、例えば防災無線の設置等に交付金がつかなかったとか、石巻の話ですね、こうしたことが報じられていたり、また、時には、これは大臣が二日の閣議後の記者会見で、全体の交付金の関係に対してかと思いますが、十分練られていない計画は外したという御発言であったり、これもある程度計画ができ上がっていればそこに分類するだけで計画はいいですよとか、たしか最初そういう御答弁をこの委員会でも相当されていたと思うんですね。

 恐らく、それが現実に動くときになると、だんだんそこが、これではバランスからいったらこっちが先だとか、沿岸地域が先じゃないかとか、そういう順序づけというのがその中で自然と出てくる話かと思うのですが、例えばそういう変更をするとき、また、その流れがそういうふうに潮目が少し変わるとき、そのときに関係自治体との人間関係なり、また、あそこがこれをやると言っていたからそこに一言言ってあげようとか、こういう配慮ですね。そうしたものを積み重ねていかないと、今後、交付金の支給に当たりましてはこれからまだ道のりの長い話でございますので、大臣、そういう点につきましてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 きのう、宮城県知事と仙台市長が来ていただきまして、きょうは宮城県の県会議長さんもおいでいただきました。

 そのときに、今回の経緯はできるだけ丁寧にということでお話をさせていただきまして、計画につきましても、熟度という言葉を使わせていただきましたけれども、基本はやはり単価、一つ当たりの単価、非常に高いものが多かったということがあります。この単価では、ほかの地域とのいろいろな公平性の観点からいえばそのまま認めるわけにはいかないので、だめにしたということではなくて、もうちょっと議論させていただきたいということで今回留保させていただいたということ、それからあと、復興交付金になじまないもの、これはなじまないものということではっきり言わせていただきました。

 こういったことについて、今正しく委員が御指摘いただきましたけれども、言うべきことをちゃんと丁寧に言うという、そのコミュニケーション不足、これは、今回、私どももあったというふうに思いますし、今回のあれはそこにかなり起因しているかなというふうに思います。

 そういったことで、今回の例を踏まえまして、もっと丁寧に説明する、もっときっちりコミュニケーションをとるということで、今、本庁の職員も復興局の職員ともう一回全部自治体を回りながら、今回の交付の概要、どのように考えたかということについて説明をして、次の交付に向けての作業も始めているということでございます。

高木(美)委員 それでは、福島復興再生特別措置法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私はやっとこの法案が出てきた、やっとこの法案を審議できる、そういう思いでおります。

 実は、我が党も、昨年の三月三十一日、全国知事会の方々から要請を受けました。

 別途、こうした放射能被害については別の法律の仕組みをつくってほしいという要請を受けまして、それを大事に受けとめさせていただき、この特別措置法等の立法が必要であるということをずっと提言もし、主張してまいりました。

 まず、七月二十八日でしたが、平野大臣に復興基本方針の修正を申し入れさせていただいたことは御記憶にあられるかと思います。

 この中に、やはり福島につきましては特別法を制定するということを明記すべきだ、「包括的な施策を現行法の枠組みにとらわれることなく、長期的、体系的、整合的に実施するために特別法を制定する。」このように書いてほしい、このことを強く申し入れをさせていただいたことを覚えております。

 その結果、この基本方針におきましては、途中省略をさせていただきますが、「法的措置を含めた検討を行い、早急に結論を得る。」このような書きぶりに変わりました。

 その七月二十八日に、我が党では、原子力災害に苦しむ福島県の地域再生、復興を、現行法の枠組みにとらわれずに推進するためにプロジェクトチームを立ち上げまして、福島特別立法検討プロジェクトチームということで、渡辺孝男参議院議員が座長で、私が副座長を仰せつかりまして、浜田昌良参議院議員が事務局長という体制でスタートをしたわけです。

 以来、ヒアリング九回、また、現地の議員等との会議を現地で三回持たせていただきまして、一月二十四日には、「福島県の復興・再生に関する提言」ということで、これも大臣のもとに届けさせていただきました。

 私は、これは、昨年の三月からこうした現場の知事の方たちからも要請がある。そして、当然、順番からいったら復興庁の設置の後という話になっているのかもしれませんが、改めて、これはやはり遅いのではないか。この間に、さまざまな風評被害が膨らみ、再生への希望がどんどん見えなくなっている。しかも、そこに輪をかけて、国への不信がさらに大きく膨らんでいるというこの事実を受けとめなければならないと思っております。

 私も福島に今もずっと通わせていただいておりますけれども、このようなことを踏まえまして、今回、この措置法を出されるに当たり大臣はどのようにお考えか、まず伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 この福島特別措置法でございますけれども、何といっても、福島に置かれた特殊な事情、一言で言えば、やはり原子力災害に伴うさまざまな影響、多くの影響が出ております。そうした影響をできるだけ緩和する、一日も早く緩和する、あるいはなくす、そういった目的のためにつくった法律でございますけれども、この法律を一日も早く成立をさせていただきたいというふうに思っております。

 幸いなことに、今回、与野党の議員の皆さん方の御議論で、この法律は、本当に私の予想を超えるスピードで、審議を速いスピードで今やっていただいておりまして、この点については感謝を申し上げたいというふうに思います。

高木(美)委員 大臣、また与党の方々に申し上げますが、復興については与野党を超えて取り組むと言っているのですから、こうした早くやるべきことはどんどん出していただく、そして、どんどん協議をしながら前に進めていく、このことは再び確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、第一条の目的のところでございますが、この目的規定の中に、本来であれば、原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興及び再生の責任は国にあるということを明確にすべきではないかと考えます。

 私は、この国の責任というのは、先ほども議論がございましたが、二つあると思っております。

 一つは、こうした原子力政策を推進してきたことによる、しかも、こうした事故を起こした、その責任。当然、そこには東電の責任等も入るかと思いますが、政策を推進してきたわけですから、これは当然、今の与野党、反対してこられた政党さんはそれなりの御意見がおありでしょうけれども、私もその責任を十分感じさせていただいております。また、だからこそ真剣に取り組まなければならないと決意をしている一人でございます。したがって、そうした責任。

 それからもう一つは、福島の復興それから再生は、国の責任で行わなければいけないという、この二つ。

 大臣は、この国の責任についてどのようにお考えか、明快な答弁を求めます。

平野(達)国務大臣 まさに委員がおっしゃいましたように、今回の原子力事故の発生、その前には、やはり原子力政策を進めてきたという国の責務というのはあると思います。そして、その上で、そういった経緯からしても、今回発生したこの災害の事故、大変大きな事故でございますけれども、そこからの復旧、それから被災者に対する支援、これは国の責任でやらなければならない、そういうふうに思っております。

 この考え方につきましては、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、福島に入るたびに、国の責任、我々の仕事である、責任であるということは繰り返し繰り返し申し述べさせていただきましたし、その背景にあるのは、まさに今委員がおっしゃられた二つのことがあるということは申し上げさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 そういう意味では、この第三条のところに、「国の責務」という書きぶりでありますけれども、これは私はとても弱い書きぶりと思っておりまして、今大臣がお考えのような、そのような重い受けとめ方であれば、当然はっきりとそうしたことを明記すべきではないかと考えます。

 国の責務といいますと、どうしても責任より軽いという法律用語ではないかと思います。国の責任ということを、なぜ大臣、はっきりお書きにならなかったのでしょうか。

平野(達)国務大臣 ここはやはり、福島の復興と再生は国が責任を持って推進していくべきという基本的な考え方に立って、第三条でございますけれども、「原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有する。」というふうに明記したということでございます。

 ここについての解釈についての、今、そごといいますか、そういったものが起きているようでございますけれども、我々の考え方としては、ここに責任ということの思いを込めたということでございます。

高木(美)委員 これは、原子力損害賠償支援機構法の中でも、「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、」ともう既に明記されている法律があるわけですから、そのような書きぶりもあったのではないかということを改めて指摘させていただきたいと思います。

 そこで大臣、国の責任というのは、何も今の政府・民主党の責任、もちろんここは事故調査会の検証等も待たなければいけないところは多々あるかと思いますが、いずれにしても、原子力政策を推進してきたというこのことにつきましては、まさに国というのは、今までの統治機構といったら変ですけれども、そういう歴代の政府を全て含めて責任があるということですので、これからも、もし政権がかわったとしても、かわりたいと私は思っておりますし、かわってほしい、もうこれ以上日本国はもたない、そのような思いもございますが、でも、いずれにしても、どう政治状況が変わったとしても、やはりこの責任は果たし続けなければいけないという、ここをはっきりとお書きになるというのが筋だったのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 その点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

平野(達)国務大臣 そういう御議論が議員の中でもあるというふうにお聞きしておりまして、ここの目的規定の書き方をめぐって、委員の間でもさまざまな議論が交わされているというのも聞いております。

 いずれ思いは同じだということでございまして、この条文をめぐっては、今国会での御審議をいただきまして、その結果を真摯に受けとめてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 これは、私も産経新聞の報道で読んだことですが、先ほども大臣が、被災された、特に双葉町を初め今の警戒区域の方たちに対し、いつも謝罪をされているというお話があられましたが、井戸川町長が記者会見でおっしゃっていたことは、政府に対しては、最初の避難時にすら何の情報もなかった、こうした事故が起きたら徹底的に謝罪するのにそれもない、非常識な連中の話を聞くわけにはいかない、不信感の塊だと語気を強めていらしたという。

 やはりこのことは私は本当に重く受けとめていただきたいと思いますし、これまでも謝罪をしてこられたということですが、重ねて重ねてその点をぜひお願いをしたいと思いますし、これからまたさまざまな協議もあられると伺っておりますので、ぜひとも、こうした意をしっかりと踏まえていただきまして、総合的な支援に対して、国としての回答を一日も早くおまとめいただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 実は、我が党は、今回のこの提言に当たりまして、今回の法案について、三つ大きなポイントを考えました。

 一つが今申し上げた国としての責任、それから二つ目に、やはり福島県が強く願っていらっしゃる十八歳の医療費の無料化、ここをどのように最後まとめていくかというところで苦慮したわけでございます。

 まず、これについて、健康管理調査、この点から内容を詳しく伺っていきたいと思うのですが、まず、この健康管理調査の実施については、第二十四条のところで、福島県はこうした健康管理調査を行うことができる、このようなできる規定になっております。

 その上で、二十六条については、健康管理調査の実施に関し必要な措置ということで、「国は、福島県に対し、健康管理調査の実施に関し、技術的な助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。」

 この「その他の必要な措置」というのは、私は、明らかにこれは財政上の措置というふうに読むわけですが、これはいかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 私どもの第二十六条に対する解釈でございますが、必要な措置、ここについては、私どもも、財政上の措置は入っている、そういう理解でございます。

高木(美)委員 続きまして、次の二十七条ですが、これは健康増進等を図るための施策の支援ということで、ここでは、「福島の地方公共団体が行う住民の健康の増進及び健康上の不安の解消を図るための放射線量の測定のための機器を用いた住民の被ばく放射線量の評価その他の取組を支援するため、必要な措置を講ずるものとする。」

 この「その他の取組」というのがどういうことかということなのですが、当然、健康管理調査を行う上でのデータベースであるとか、また、がん検診の実施であるとか、また、お子さんに対する線量計の貸与であるとか、こうしたことを含むと読むべきと私は思います。

 また、あわせて、お子さんたちが放射線量の低い地域に、夏休み、冬休み、春休み等長期の休暇に当たりまして、そこで過ごしていく、思い切り運動していく、そうしたふくしまっ子等のさまざまな支援のプランがありますけれども、こうした幅広い内容についてもこの二十七条で「その他の取組」というところで読めると思っておりますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 そのような解釈で結構でございます。

高木(美)委員 そこで、財源の考え方なのですが、財源につきましてなかなか明記をされておりません。私は、やはりこの財源の明記がここでは一番重要ではないかと思っております。福島では、特に、実施する健康管理調査等の財源に対し、国が全面的に責任を持つべきではないかと考えます。

 この健康管理調査は三十年間継続したいという福島県の強い要望があります。また、基金としては、今、国から七百八十億、また東電から二百五十億、計千三十億という状況ですが、いずれ枯渇をいたします。既に総理からは、枯渇させるわけにはいかない等の答弁もいただいておりますが、改めて、この財政措置をどのようにしていくのか、大臣の答弁を求めます。

平野(達)国務大臣 健康管理調査に関しましては、国の措置として、平成二十三年度予算、二次補正予算等々において措置をしているということでございまして、これは、かなり長期間にわたって健康調査ができるという財源を一応措置しております。

 これはいずれも、これからも国として引き続き福島県民の健康管理に万全を期していかなければならないというふうに考えておりまして、私としては、この基金は枯渇をしないように、これは長期にわたって健康管理調査をしていくことが大事だというふうに思っていますし、それはやはり基本的には国の責務だというふうに感じておりますので、そういった観点で、この基金はしっかり見ていく必要があるというふうに考えております。

高木(美)委員 総理からも、まずは基金が枯渇しないようにすること、そのための支援は万全を期していきたいというふうに思いますと、同様の答弁をいただいております。

 その上で、それでは、十八歳以下の医療費の無料化につきましてですが、私も先般、小宮山大臣に十八歳医療費無料化はどうかというお話を最初に申し上げたときに、大臣は、ほかの医療制度とのバランスがあります、ここだけ特化するわけにはいかないというお話をいただき、私は思わず、そんな冷たい答弁はないと思いますというふうに申し上げてしまったわけです。

 いずれにしても、福島県では、安心の生活環境を構築するための方策の一つとして、十八歳以下の医療費無料化に取り組もうとしております。いわば子育て支援策、この強い意味合いでやろうとしているわけです。また、今、現実に福島県では、放射能のさまざまな不安、恐怖と戦いながら、それでも福島で頑張って育っている、また、そこでお子さんを育てていらっしゃる御家族があられる、そこに対する一つの、何といいましょうか、何かしらの支援という意味合いも強いと思っております。

 こうした事業に対して、本来はこれも基金で使えるという形にすべきと私は思います。この基金につきましては、十八歳以下の医療費無料化にも活用できるように明記すべきと考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 十八歳以下の医療費をどうするかということについては、政府内でもかなり真剣な議論を重ねました。

 結局、やはり国の資金をこの目的のために現段階で出すことはできないということで、その旨福島県と協議を重ねた結果、福島県において既に積んである健康管理基金を活用して、福島県の独自の事業として実施するということで、今、その準備をしているということは、もう委員の御承知のとおりかと思います。

 まずは、私どもとしては、この運用の仕方、推移、これを見守っていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 大臣、東京電力から二百五十億という今の状況ですが、ここがふえるという可能性はおありかどうか。その二百五十億、今、福島に対して健康管理調査のために基金が寄せられておりますが、この金額の増設というのはあるのかどうかというのはどうでしょうか。

平野(達)国務大臣 今の段階では、そこがふえるというような状況にあるというふうには私は認識しておりません。

高木(美)委員 大臣に改めてお伺いいたします。

 県外へ避難した子供等の内部被曝検査なんですが、今、全国どの地域に避難していてもホール・ボディー・カウンターの検査等を迅速に受けられる体制を整えていただきたい。強い要請を受けております。

 今は自治体の配慮で行われているというところもあり、また、近所にはない、隣の県、また、例えば四国の方が隣の中国地方まで出かけていってというような例も聞いております。

 この体制の整備につきまして、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず、福島県外に在住する福島県民に対する内部被曝検査につきましては、福島県は現在、幾つかの都道府県と調整中というふうに聞いております。

 国は、福島県外に避難している県民を対象とした内部被曝検査を福島県が事業主体で行う際には、被曝医療機関を利用することについて、福島県から関係道府県に要望があった場合は、各機関において当該検査に協力するよう、平成二十四年二月十三日付で、関係道府県の被曝医療担当部局に対し、周知を依頼したところでございます。

 今後とも、この福島県の取り組みが円滑に行われるよう、県外にお住まいの方々の健康管理が適切に実施されるよう、国としても万全を期してまいりたいと考えております。

 この次にやはり問題になるのは、ホール・ボディー・カウンターという機械の配置、整備がどうなっているかということが一つの大きなテーマになってくると思います。

 こういったことにつきましても、福島県等とも意見交換をしながら、万全を期すというふうに今申しましたけれども、必要な対策は講じていく必要があるというふうに考えております。

高木(美)委員 続きまして、保健、医療及び福祉にわたる総合的な措置でございますが、例えば、原子力事故災害に伴う放射線による被曝に起因すると疑われる健康被害が将来発生した場合、政府はどのような対策をお考えなのか、答弁を求めます。

 仮にこうした状況が発生した場合に、保健、医療、福祉にわたる措置を総合的に行えるよう法案に盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 本法案におきましては、放射線に関する健康上の不安の解消など、住民が安心して生活できる環境の実現のための施策を規定しております。具体的には、健康管理調査、あるいは放射線対策として、農産品等の放射線濃度の測定、除染の迅速な実施、それからあと医療及び福祉の確保、こういったことの政策を盛り込んでおります。

 まずはこれらの法案に盛り込んだ施策にしっかりと取り組みまして、放射線被曝に対する不安解消に必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えておりますし、その上で、福祉や医療体制の充実を含め、さらに必要となる施策にも取り組んでいくこととしたいと考えております。

 万が一ということでございますけれども、放射線被曝に起因する疾病にかかった場合の医療費につきましては、基本的には賠償措置により東京電力に求償すべきものであると考えております。

高木(美)委員 続きまして、電源開発促進税制等につきまして、きょうは経産省の柳澤副大臣、お越しいただいております。

 電源開発促進税制につきましては、昨年十二月、福島県がいわゆる電源立地地域交付金を辞退されました。詳細は、電力移出県等交付金、大体県で約二十九億円ではないか。ここは市町村に配分できる交付金になっております。またもう一つは、南相馬市また浪江に関する電源立地等初期対策交付金という交付金につきましても、合計約三十億ぐらいではないかと言われておりますが、辞退をされました。

 私は、この事態をやはり重く受けとめまして、では、これをどのように今後考えていくのか、対策が必要と思っております。

 今、各地域そうですが、例えば浪江におきましても、原発に依存した産業推進から脱却するためにも、将来的には、沿岸地域の大規模太陽光発電所の建設とか、また放射線医療の一大研究拠点をつくりたい等のさまざまなまちづくりについてのお考えをお持ちだと聞いております。

 そういうときに、今までこの交付金があった、しかし、これから自分たちは電源立地を促進するわけではないから、もうこれは受け取れない。しかし一方で、例えば税の面におきましても、当然、核燃料税等がなくなりますので、その分穴があく。こうしたところをこれからどのようにして、自治体の立ち上がり、そしてまた復興復旧に向けまして支援をしていくのか。本来であれば、交付金のあり方について変えていくときではないかと考えておりますが、経産省の見解を求めます。

柳澤副大臣 質問ありがとうございます。

 実は、私は昨年の九月から原子力災害の現地対策本部長で、六カ月が過ぎようとしておりまして、今回、この法案、本当に早く審議していただいていることをまず冒頭お礼を申し上げて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今御質問いただいた現行の電源立地地域対策交付金というのは、電気事業法に基づく廃止の届け出がされた場合、交付することができなくなります。しかし、今回は、立地市町村等に配慮して、東京電力福島第一原子力発電所一から四号機に係る電源立地地域対策交付金については、交付規則を改正して、これらが立地する福島県下の立地市町村に交付する考えでございます。

 それからもう一つ、他方で、福島県自身の分については、福島県が昨年末に電源立地地域対策交付金を受け取らないという考えを表明されました。それを踏まえまして、平成二十四年度予算には盛り込んでいないものの、私どもとしては、福島の復旧復興は極めて重要な課題だと認識しておりまして、第三次補正予算で、福島県を再生可能エネルギー先駆けの地としたいという同県の要望を踏まえた上で、総額一千億円の基金を創設するなど、今さまざまな対策を検討させていただいております。

 特に、これから雇用、新しい事業もどう起こしていくかが大きな課題でございまして、このような支援策を速やかに実施していくことが重要であると考えておりまして、今後とも、福島県の復興支援のために、エネルギー対策特別会計も活用して、県からの要望が強い再生可能エネルギー関係の対策を初めとする必要な対策について、しっかり検討をしていきたいと思っております。

高木(美)委員 副大臣に重ねてお伺いしますが、そうしますと、先ほど申し上げた、例えば浪江とか、また南相馬とか、また福島県とか、その金額、いわゆる交付される金額というのは、今後どのような形になるのでしょうか。先ほど交付金の交付規則を変えるというお話がありましたけれども、現実にはどのようになりますか。

柳澤副大臣 二月の十日に復興庁がスタートをしまして、今復興庁のもとに経産も環境も県も全てワンストップになって、今度は市町村の要望をきちんと踏まえながら、具体的な進め方をこれから詰めていきたいというふうに考えております。

 特に、県にどこまで入っていただけるかが大きな課題になってくる。実質的にはこれからの取り組みになります。

高木(美)委員 済みません、ちょっと誤解があるといけませんので。

 副大臣、私が申し上げたのは、こうしたことを踏まえて、原子力災害からの福島の復興再生に関する安定的財源を確保すべきではないか。したがって、申し上げる趣旨は、電源開発促進税制またエネルギー特別会計の見直しをすべきではないかという提案なのですが、それはいかがなんでしょうか。

柳澤副大臣 この御指摘の財源の確保のために、電源開発促進税制などの見直しが不可欠であるか否かについては、御提案も踏まえ、今後よく検証したいと思いますけれども、いずれにせよ、今回、福島県が県分についての受け取りを辞退された電源立地地域対策交付金にかわる財政上の措置はしっかり検討していきたいというふうに思っております。

 なお、現在、エネルギー政策全体の見直しをエネルギー・環境会議を中心に議論していただいているところでありまして、その議論も踏まえて、エネルギー対策特別会計の見直しについても検討が必要だというふうに考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 副大臣、質問は以上でございますので、大変にありがとうございました。

 それでは、もう一点、大臣にお伺いをさせていただきます。

 それは、福島の医療につきましてでございます。

 この法律の第三十四条のところには、医療及び保育、介護その他の福祉サービスの提供に支障が生ずることのないよう、福島の地方公共団体が行うこれらの提供体制の整備その他の取り組みを支援するために国は必要な施策を講ずる、このような書きぶりがございます。

 ところが、今、福島の医療につきましては、福島を去る医療従事者が出ているという状況でございます。

 特に今、昨年三月一日と十二月一日の比較では、百五十二人の医師が退職をされた、また八十一人が着任をされたけれども、差し引き七十一人が減っている、これは大きな課題だと私は思っております。

 むしろ、放射線被曝の影響におびえる方々が多い中で、特に医師の方たちが退職をされてしまう。もちろん、その御家族の状況とかさまざまなことがありますので、これは一概にはとても言えない。その中を医療従事者としての使命でここまで残って頑張ってくださったということに敬意を表するものですが、いかんせん、この福島の医療を今後どのようにしていくのか。

 ここにつきましては、きょう私は、厚生労働省、委員会も立っているということで特には呼ばなかったわけでございますが、これはうちの公明新聞がまとめた内容でございますが、例えば岩手でも、医師は震災前は二千二百七十一人、震災後は二千二百七十九人とほとんど変わらない。また宮城では、震災前二百三十九人、震災後は二百十二人、これもほとんど変わらない。しかし、やはりここでも福島は、病院関係だけでも震災前百二十人、震災後は六十一人、ここは大きな課題と思っておりまして、看護職員も百七十人減っている、こういうデータも出ております。

 こうしたもともと医師不足だった地域が原発被害で輪をかけたという現状に対しまして、特にこれから警戒区域の見直し等、先ほども議論がありましたけれども、そこに対してやはり救急医療を含めた医療の提供をどのようにしていくのか。また、生活できるインフラの整備、買い物等も含めまして、それは当然国として支援をしなければならない、整えなければならない大事なところであると思うのですが、この医療の問題については、私は急務であると思っております。

 厚生労働省と相談をしながら、至急何らかの対策を取りまとめていただくことを強く要請いたしますが、大臣、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 福島のお医者さん、あるいは看護師が不足している、あるいは減少しているということについては、私も私なりに把握させていただいております。

 御案内のとおり、一つは、浜通りからは急遽半ば強制的に人が避難してしまって、そこにいなくなってしまったこと。これはお医者さんが避難するということもございましたけれども、お医者さんにとってみれば、診療すべき患者がいなくなってしまったということがあります。

 それから、若い看護師さんにしては、やはり放射線に対する不安があります。最近言われてきているのは、福島では子供がいなくなって少なくなってきている。結果として、今度は小児科のお医者さんの経営が成り立たなくなってきまして、小児科医の不足も徐々に出始めている。

 どうも全体としていい方向には行っていないということでありますので、この点につきましては、私も、原中会長初め医師会の皆さん方、あるいは看護師会の皆様方、あるいは学校の病院の協会の方々等々とも意見交換させていただいておりますけれども、福島については特に大きな配慮をお願いしたいということについては、厚生労働省とも連携しまして、これまでもお願いをしてまいりました。

 しかし、やはりどうもなかなか結果として出てきていないということでございまして、これから特に帰還ということも本格化させなくちゃならないという中で、浜通りの病院の確保、医師の確保、こういったことも非常に大きなテーマでございます。あわせて、中通りについてもそうでございます。

 その問題意識をしっかり持ちながら、引き続き厚労省とも連携をとりまして、特に医師会の皆さん方等々ともしっかり連携をとって、何とかしてこの今の状況を乗り切るようにしなければならないなというふうに考えております。

高木(美)委員 医師会でどこまで対応できるかということもあるかと思います。

 また一方で、国が今までさまざま支援をして、例えば自治医大とか防衛医大とかいろいろな形も一つの応急措置かもしれませんが、ただ、やはりそういうことにきちんと国が敏感に反応してくれる、そして、ちゃんと現実にお医者さんがそこに例えば交代であったとしても来てくれる。高齢者の方はどんどんお医者さんがかわると不安を覚えるというお話もありますけれども、とりあえず、やはり救急医療も大事ですので、そうした支援につきまして早急に手だてを講じていただければと思います。

 もう少しお伺いしたいのですが、我が党の三点目の主張であります、復興交付金の福島における活用のあり方です。

 これにつきましては、交付金の活用について、復興庁から厳しい査定がという、査定庁とか悪口をいろいろ言われているようでございますが、その一方として、やはり事業要件として、どうしてもハードの面に限定されているところもあります。それにまつわるものが効果促進事業、これはさんざん特区法案のときに議論をさせていただきました。

 しかし、福島県では原発事故による風評被害が著しいわけですので、施設等の毀損、滅失がなくても大きな被害が生じているという状況があります。そうした点を考えますと、やはり福島のこうした地域の再生、復興のために、復興交付金を幅広く活用していくということは必要ではないかと思います。

 また、事業計画を円滑に策定するとか実施をするとか、そうしたことについて、復興庁はどのようなスケジュール感をお持ちなのか、また、どのような体制で臨まれるのか。この復興交付金の活用、またその計画の策定等のあり方について、大臣の答弁を求めます。

平野(達)国務大臣 復興交付金につきましては、一義的には、まずまちづくり、町を新たにつくらなくちゃならない、そういった地域をかなり強くイメージしてつくった制度でございます。

 御案内のとおり、もう一つは、公共施設、学校が被災しますと、災害復旧事業制度というのがございます。これはこれで対応していただく。

 しかし、地域全体が津波で洗われてしまいますと、災害復旧事業では対応できなくなってまいります。それにかわる措置として復興交付金事業ができたということでございまして、この交付金につきましては、いろいろな事業量を束ねておりまして、これを一つの制度でできるだけ交付できるようにするというような制度設計がされております。

 これは使い勝手が悪いというような批判もございますけれども、大体、使い勝手が悪いということをなぜかというふうにたどってみますと、この部分についてはちょっと交付金対象にはなじまないというようなことを言いますと、こういう使い勝手が悪いというような批判もあるようでございます。

 一方で、確かに、よくよく見てみたら、制度設計上、やはりこれではちょっと余りにも型どおりな運用になっているなという例もございまして、そういった意味で、改めるべきものは改めなくちゃならないというふうに思っております。

 それから一方で、計画の策定でございますけれども、やはり自治体は人手不足ということもございまして、いろいろなこともやらなくちゃならないという中で、計画の策定が、ある程度見てきたつもりですけれども、最終的な詰めで束ねてみたら単価が非常におかしいとか、他の計画との整合性がとれていないとか、そういったところがございまして、そこは、だめだというのではなくて、これも何回も申し上げましたけれども、もう一回ともに見直そうということで、今、その計画をともにつくるということで臨んでいるということでございます。

 計画策定をつくらせて、これを査定して紋切り型にやるということではなくて、ともに計画をつくるという態度で臨めということは、前から言っているつもりだったんですけれども、今回また、さらに徹底させたいというふうに思います。うちの職員も結構しっかりやっているなと思ったのですが、ちょっとやり過ぎた面もあったかもしれません。

高木(美)委員 それでは、大臣、福島における復興交付金の使い勝手につきましては、そうした放射能被害という特異な事情に鑑み、弾力的に使えるということでよろしいんでしょうか。

平野(達)国務大臣 効果促進事業ということを主体として置かれたと思いますけれども、効果促進事業は初回でありますので、使い方等々についても、今、我々の職員、さまざまこういう使い方があるじゃないかという議論をしております。

 しかし、基本的に効果促進事業は基幹事業との関連を説明するということが一応条件についていますけれども、ここは余り考えなくてもいいのではないかというふうに私自身は思っていますが、国会で申し上げたのは、使うものについては、個人の資産の形成につながらない、補助率のかさ上げにつながらない、これ以外のものについては使ってもいいということで、国会で何回も答弁申し上げました。

 この方向で効果促進事業については運用をやっていただければよろしいかというふうに思います。

高木(美)委員 それでは、ちょっとこちらももう少し用意をさせていただきます。こういう事業の場合使えなかったとか、福島の場合こういうものが必要なのにここは査定できなかったとか、そういった実例をまた提示させていただきたいと思います。

 またあわせて、福島の場合、これから、先ほどありました避難区域の見直し等に入るわけで、そこから本当にどうするかという計画づくり等が始まるわけで、どうしてもタイムラグが生じてしまうかと思います。

 これはむしろ原発の被害の関係地域、ただ、中通りそれから会津地域につきましてはまさに風評被害とか、もっとそこは逆に弾力的な使用が求められるところかと思います。

 また、そこが使いたいけれども使えなかったというような場合、やはりそこは丁寧な説明をしていただかなければならないと思いますし、少し実例を挙げながら、またそこは大臣のところでもぜひ実例を検証していただきながら、その幅を見ていただければと思います。よろしいでしょうか。

平野(達)国務大臣 私どもも、例えば、全く被害が起こっていない、周辺地域で地震の被害も出ていない学校の耐震建築、耐震は必要だとは思いますが、これを復興交付金の対象にはできないということについては明確に申し上げさせていただきました。

 こういった例を除いて、大体のものについては今協議中でございますので、その中で、いいもの、悪いもの、あるいはもっとブラッシュアップすべきものという中で、共同で計画がこれから練られていくと思います。

 委員の方からも、あるいは公明党の皆さんからも、さまざまな現場の声が上がってくると思いますので、そういったことについては上げていただければ、私どもも誠意を持って対応したいというふうに思います。

高木(美)委員 最後の質問でございますが、第二条に戻ります。

 ここでやはり私はもう少しわかりやすく書くべきと考えておりまして、例えば、我が党が主張してきました、人間の復興であるとか、福島の自治体に対する自主性、自立性の尊重であるとか、また福島の地域のコミュニティーの維持に配慮しなければならないとか、入れるべきと思っております。またあわせて、正確な情報を今後発信していくという、ここの留意というのは特に私は大事かと思っております。

 今、国が言うことは信用できないという状況になっておりますので、こうしたことを本来入れるべきなのになぜ入れなかったのかということを最後に大臣に伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 今委員が御指摘いただいた事項、いずれも大切な事項だというふうに思います。

 国としては、そういった今指摘された事項については、適切に、誠意を持って対応させていただきたいというふうに思って今動いているところでございますけれども、今回の法案にそういった規定が必要だという御意見もあるようでございますので、これについてもこの委員会で御議論いただきまして、その結果を受けてきちんと対応してまいりたいというふうに思います。

高木(美)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 福島県の特別立法が必要だということは、地元の日本共産党県議団を初め、私自身も、本委員会、予算委員会などでも繰り返し求めてまいりました。

 今回、福島復興再生特別措置法案という形で審議入りができたということ、本当によかったと思っております。同時に、この法案が本当に望む形で、いい形でつくられていくこと、そしてまた具体化がされていくこと、そのことを期待したい、そういう立場で質問したいと思います。

 まず最初に、福島県から山形県に自主避難している母親たちでつくる山形自主避難母の会が昨年九月に発足し、福島県知事に対して三百人分の緊急署名を提出いたしました。会の代表を務めている中村美紀さんがブログで発信した声に一気に書き込みをされて、七百名くらい集まったそうですが、一人一人ばらばらだったお母さんたちがつながったのがきっかけだといいます。

 その中村さんが、十二月五日付の朝日新聞のインタビューに答えております。

 住民票を移さない理由として、福島に夫がいること、移すと子供の健康調査案内などが届かなくなるのではないか、あるいは、今後、補償問題なども移した日付で切られるのではないか、さまざま心配があると言います。借り上げ住宅で家賃の補助が今はあるわけですけれども、水光熱費合わせ生活費は月十万を超えるなど、乳児を抱えて働くのも大変難しい、避難生活に疲れ、孤立する人も多いと言います。

 そこで、署名は五つの柱だったわけですけれども、その大きな要望の一つが、県の医療費無料化制度。今、福島県が小学校卒業まで無料化になっているわけですね。これはもともと受けられるわけですけれども、窓口負担を一旦三割立てかえて、償還払いになっている。これをなしにできないかという要望があるわけです。

 そこで、総務省の原発避難者特例法の指定市町村になれば、こうした問題は起きないと思うんです。このことをまず確認したい。

 そうであれば、ここは指定市町村だとかそうじゃないなどということで線引きをしないで、同じく扱えばいいのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まずもって、原発避難者特例法でございますけれども、今回の原子力災害に伴い、多数の住民が区域外への避難を余儀なくされている状況を踏まえまして、法律または政令に基づく事務のうち、避難元団体が処理することが困難なものの処理を避難先の団体に義務づけておるものでございます。

 また一方、御指摘の県の医療費無料化制度など、法令に基づかずに自治体が独自に行っている行政サービスにつきましては、各団体の判断で行っているものであることから、この特例法の第十条によりまして、避難先団体に義務づけられているものではなく、努力義務が課されておるわけでございます。

 また、この特例法におきましては、附則第三条でございますけれども、十三の指定市町村以外から市町村の区域外に避難を余儀なくされている住民に対しても、「避難住民に係る措置に準じて、必要な措置を講ずるものとする。」とされておるところでございます。

 したがいまして、このような独自サービスにつきましては、各自治体の判断により提供されるものでありますが、総務省におきましては、避難先団体がサービスを提供した場合に、十三市町村からの避難者であるかどうかにかかわらず、避難者の受け入れに要する経費として特別交付税の措置を行うことといたしておるところでございます。

 なお、これとは別に、医療費の窓口負担につきましては、警戒区域等の住民等を対象に、医療保険の保険者が免除を行った場合に、厚生労働省において財政支援を行っていると伺っておりますが、その内容につきましては厚生労働省において判断されているもの、こう思っております。

高橋(千)委員 済みません、今、最後のところをちょっと、厚労省は窓口負担を、私たちはよく現物給付と言いますけれども、そういうふうにしたときに、助成をしているのではなくて、逆に、制裁措置というような形で、交付金を引くような形をしているわけなんですね。だから、それは自治体が独自に頑張って、厚労省がそう言ってもやっているというのが現状であり、これは別に原発避難にかかわらずですよ、ですから、そういうことをやめてくれということ、自治体が頑張って支援をしているんだからいいじゃないかということをずっと私たちは訴えてきたんです。

 ですから、今回は厚労省にあえて通告をしないで、趣旨は伝えました。伝えたけれども、今厚労省ができることはないのだということで、私は、今副大臣がおっしゃった特例法の趣旨がやはり本当に生かされるべきではないかと。つまり、自治体にとっては、山形市の場合は、負担した部分は国にちゃんと求めていくということを議会でも答えています。

 ですから、あとは、相談されるお母さん方に対して、あなたは指定市町村、あなたはそうじゃないというふうに線引きする必要はないわけですよ。このことをわかっていただければいいなということなんです。

 特例法で認められる事務は、八法律、百六十六事務と聞いています。医療、福祉関係が多くて、保育所入所や予防接種、児童扶養手当、乳幼児や妊産婦の健康診査、あるいは就学援助など、母子に今本当に必要なものばかりなんですよね。

 それをやはり線引きしちゃいけないよということで、今お話ししてくださった附則第三条で、要するに、指定した市町村に準じたサービスが受けられるということだったので、もう一声、総務省として何も妨げるものでもないし、特別交付税もやるしということで言ってくださればよろしいかなと思います。

黄川田副大臣 現物給付をせよという形の中で、総務省はできませんが、自治体の判断でということで、ただし、法のたてつけは、十三市町村だけでなくて、避難者に対してしっかりと支えてください、そういうことは申しております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 もともとやっていた制度ですからね。もともと福島県で現物給付だったわけ、それを山形に行ってできないでいるということだったので、そこを線引きしないでくださいという趣旨でありましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、この特例法は、二つ目に、住所移転者に係る措置であり、住民票を移した避難者が申し出をすれば、指定市町村、県からの情報が提供される、そういう仕組みがあると思います。

 この住民票を移した人に対してもこうした措置を設けた趣旨について伺いたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まず、原発避難者特例法でございますが、この住所移転者に係る措置は、さまざまな事情によりまして避難先に住民票を移す選択をされたが、引き続き避難元団体への帰属意識を持ちまして、そして、申し入れをした方々の関心を常に地元につなぎとめておくといいますか、将来の復興と復旧、みんなで頑張ろう、そういうことに備えるために、避難元団体が関係維持に資する情報提供あるいはまた交流事業を行うことを定めたものでございます。

 また、こうした施策を通じまして、住民票を移す選択をした方々と避難元団体との関係を維持するための機関として、避難元市町村は、申し入れをした特定住所移転者により構成される住所移転者協議会を置くこともできることとしております。

 これらの仕組みを避難元団体が活用することによりまして、被災団体と元住民とのきずな、これをしっかりと維持し、原子力被災地域の復旧復興が実のあるものになるように、そういうふうなたてつけをしておるわけでございます。

高橋(千)委員 今はまだかなり自然発生的な、あるいはNPO法人などに支えられて、県外に避難した方たちが自主的なつながり、先ほどの母の会もそうですけれども、そういう取り組みがされていると思うんですね。今お話があった協議会を組織していくなどという形で、やはり地域のつながりが残っていく、そして、避難する前の自治体とつながっているという趣旨が本当に大事ではないかなと思って、あえて聞かせていただきました。

 それで、今度は復興大臣に聞くわけですけれども、昨年はよく福島二百万県民という言い方をしていました。しかし、それが今二百万を切り、二月一日で百九十八万八百十四人になっております。福島県の発表で、六万二千六百十人が県外に避難をしているといいます。人口流出に歯どめがかからない実態、理由について、まず大臣の認識を伺いたいと思うんです。

 その上で、今、総務省の特例法の趣旨をおっしゃっていただいたわけですけれども、いろいろな事情で住民票を移した人も、やはり帰りたいと思っている人は当然いるわけですよね。だからこそ、県や市町村の情報を伝えて、つながっていくとしているわけです。

 そこで、福島復興再生特別措置法は、いわゆる自主避難と呼ばれる方たちや、住民票を移したものの機会があれば福島に戻りたいと考えている県民にとっても再生なんだと、そういうことを確認したいと思うんです。

平野(達)国務大臣 今委員から御指摘がございましたように、福島県からの、わかっているだけの、把握している人数では約六万人が県外に避難をしておりまして、一番多いのが山形県でございまして、一万二千人が山形県に避難をしております。

 これは、なぜ減らないのかということでございますけれども、一つの理由には、やはり放射線に対する不安というのがあるんだろうというふうに思います。

 それから、一方で、三月十二日、十四日のいわゆる水素爆発の後の避難ということで、さまざまな経路を経て県外に避難した方々がおられます。いわゆる国の半ば強制的な指示によって避難された方々の中で、約二万人を超える方が県外にまだおられまして、その方々がなかなか戻ってくる場所がないということも一つの背景にあるというふうに思っております。

 いずれそういった方々が、できるだけ、一日も早く戻れるような状況、一つは、除染によって放射線のレベルを下げる、あるいは被災したインフラ等々の復旧等々もございます。雇用の場等々の確保もございます。こういった施策を総合的にまずやって、できるだけ早く戻っていただける環境づくりが必要だというふうに思います。

 あわせて、大変申し上げにくいことでございますけれども、中にはどうしてもやはり戻れないという方々も出てくると思います。こういった方々に対してもしっかりとした支援をする、賠償をする、こういったことも大事だというふうに思っております。

 最後に、委員の最後に、自主避難者が、住民票を移した方も戻ってくるような状況にする、それはもうそのとおりだというふうに認識しております。

高橋(千)委員 こういう質問をしたのは、やはり、この復興再生特措法がまだまだそうした、全ての県民が視野に入っているのかなという問題意識があるからであります。でも、きょう、まず答弁はそこで、全ての県民なんだよということで確認をしておきたいと思うんです。

 先ほど紹介した中村さんは、その同じインタビューの中でこんなふうに言っているんですね。自主避難者を非難する声もあるんだけれどもと記者に聞かれて、「自主避難者の現状を発信することは、福島県に残る母親たちの苦悩を伝えることに必ずつながると思います。」これは本当に大事なメッセージだと思うんですね。

 ともすれば何かいろいろな、勝手だとか、自分のことばかりとか、さまざまなことを言われるわけです。だけれども、やはりそれぞれの立場で苦しんでいる。どちらも苦しんでいるけれども、やはり残っているお母さんたちも、避難をしたお母さんたちもつながっていって、お互いの声に応えていけるんだ、そういう立場で頑張っているということ、それに本当に応えていく、そして、県民が分断されることなく、もとの福島を取り戻すという目標にみんなが向かっていくということが大事なのかなと思って、そのことを紹介したかったと思うんです。

 それで、進学、入学という三月を迎えるに当たって、転校ですとか、やはり新たな流出がふえるのではないか、ここは本当に心配されること。だから、そこに福島法の存在というのは、本当に大事なわけです。

 子供医療費十八歳未満無料、これはきょうも随分議題に上りました。県民のそういう要望というのは、やはりそういう意味でも大きな意味があると思うんですね。

 二月二十五日に、ふくしま復興共同センターと同放射能対策子どもチーム百五十名が上京しまして、省庁交渉を行いました。十八歳未満の子供医療費無料化署名十二万一千八百七十七名分を積み上げたんですね。ここで母親たちの声が紹介されました。

 テレビで子供たちが落ち葉を拾って遊んでいるシーンを見ていた三歳の娘が、私も行ったよ、ずっと昔とつぶやいた。一緒にお風呂に入ったり、添い寝のとき抱き締めたりするとき、前にもっとおなかもぽってりしていたし、ほっぺもぷくぷくしていたよなんて思っています。

 つまり、外遊びができない生活が長く続いて、子供の心と体に変化が起きている。ですから、医療の無料化というのは、そういう意味では、せめてもの、せめて安心して病院にかかれるということでの当然の願いだと皆さんは主張しているんです。そのことを認識できるかということ。

 それと同時に、この交渉の場でも意見が出ました。外遊びができないために体力が低下している、体重がふえていないとか、そういう問題が言われているんです。

 そういうことに対して、調査をするですとか、そういう踏み込んだことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 福島県から、十八歳以下の子供たちの医療費の無料化について強い要望を受けたときに、その背景にあるのは何かといいますと、委員が正しく御指摘いただきましたように、放射線に対する不安がある、不安があるから外に出られない、出られないために体の中にさまざまな障害が出てくる、あるいは、その不安からさまざまな障害が出てくるんだ。これが、放射線そのものではなくて、放射線不安ということが大きな理由だということで言われまして、これは本当に、私もその状況をいろいろな形で、その後、現地に行ってさまざまな方の意見を聞きましたけれども、かなりぐっときた話でもございます。

 そういう中で、国で医療費の無料化をすべきではないかという議論につきましては、政府内でもさまざまな議論を重ねました。重ねる中で、やはり医療制度の根幹ということもございまして、今はできないという中で、福島県との話の中で、既に先行している健康管理基金、これを活用して、福島県の独自の措置として無料化をやるということで御決断をいただいたということでございます。

 これにつきましては、まずは、私ども、先ほども答弁を申し上げましたけれども、この推移をきっちり見守りたいというふうに思っております。

 それから、あと、委員の先ほどの冒頭の指摘の中に、自主避難者のお母さんの気持ちというのがございました。

 避難したお母さんはなぜ避難したんだと中傷されるということで、そういう報告も受けています。一方で、避難していないお母さんは何で避難させないんだという。そういった本当に気持ちを持ってやる、メールなのか何かわかりませんが、そういうこともあるということも事実でありまして、こういったことについては、御本人は多分いいと思ってやっているかもしれませんけれども、決してそういう状況になっていないということについては、私も機会を捉まえてさまざま発言していきたいというふうに思います。

 いずれ、そういう出たら出たで、出なかったら出なかったで、家族とのきずなという問題もございますけれども、社会的にさまざまな、心の、決していい状況ではないということも私どもはしっかり把握した上で対応する必要があるというふうに思っております。

高橋(千)委員 大変心のこもった答弁だったと思うんですが、質問したのは、ちょっと角度を変えたんですね。

 要するに、県の基金を使って担保していく、国が措置してくれたわけですから、やはりそれがきちんと担保されて続くことをまず求めています。

 今言ったのは、大臣も認識しているように、やはり心と体に変化が起こっている、そのことについてきちんと調査するべきじゃないかということを聞いたのです。

平野(達)国務大臣 大変失礼いたしました。

 まず、今、文科省の方で、子供たちの心のケアということで、どういうことが起こっているかについての調査を進めるべく鋭意準備をしているということで、そういった調査を踏まえて対応することが大事だと思っています。

 細野大臣の方でもいろいろ考えておりますので、細野大臣にもちょっと一言お願いしたいと思います。

細野国務大臣 時間が限られていますので。

 福島県が、健康管理調査というのを、県としてやはり住民にしっかり向き合うということで、進んでやっていただいているという状況です。

 ただ、そのことをもって国が責任を免れるものでは全くないというふうに思っております。国としても、当事者だという意識で人を出して、しっかりと、例えば身近なところで相談ができるような窓口が欲しいとか、そういう住民の皆さんのさまざまな声も聞いておりますので、そういったことの充実、さらには、健康をしっかりと維持していただけるような体制の整備に努めてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 きょうはちょっと進行がなかなか思いどおりに進まなくて、かなり問いを残してしまったんですが、今、細野大臣が思わず出てきたので、今のところでちょっと質問しますけれども、第二十四条の健康管理調査、これは、「平成二十三年三月十一日において福島に住所を有していた者その他これに準ずる者」とあり、ここが初めて、一番最初に私が質問した、全ての県民が視野に入っている。逆に言うと、ここだけなんですね。これは本当に大事なんです。だけれども、主語が県だ、これはやはり国にするべきではないか、私はそう思います。

 内部被曝による晩発性の健康被害、健康調査については、やはりまだまだ未知の分野が多いわけですし、もう言うまでもなく、四半世紀過ぎたあのチェルノブイリでも、国立の施設が今でも調査、治療を行っているわけです。長期にやらなければならない、だからこそ国が責任を持ってやるべきと思いますが、いかがでしょうか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

細野国務大臣 あの基金を県につくる、そういうことを判断した際にはいろいろな経緯がございました。特に福島県が、やはりこれは直接県としてやるという意欲を持っておられましたし、そこに国としてしっかりと財政的なバックアップをすべきだという判断を私どももいたしましたので、形として、確かに県という形になっております。

 ただ、健康管理そのものは、事故の責任が国にあるということを考えれば、当然、大きな責任が私どもにございます。今、原子力に関して、原発の規制について、できれば国会で御審議をいただいて新たな体制をつくらせていただきたいと思っておりますが、それができた段階で、これまで若干ばらばらだと言われておりましたそうした健康管理の問題についても新しい規制庁で行うということになっておりまして、環境省としてはもう既にその準備を始めております。

 したがって、基金としては、県のお考えもありましたので県が管理をいたしますけれども、国も直接それに参加して、そしてその中で対応を充実していくという体制で臨んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 そこでまた、大臣の答えたことについて伺わなければならなくなるわけですけれども、県が主体的にやるんだ、国が責任を逃れるわけではないのだという趣旨でおっしゃったんだと思うんです。ただ、そこが実は明確じゃないんですね。

 この法案に、そもそも、原発を推進してきた国と事業者の責任がない、書かれていない。ここを明記すべきではないでしょうか。

 それと、時間の関係がありますので、続けてもう一問伺います。

 第五条のところで、「政府は、第二条に規定する基本理念にのっとり、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針を定めなければならない。」とあるわけですね。

 もちろん、これについては、これまでも福島県との協議会を重ねてきたし、これからも重ねる、そういう中で方針をつくるんだろうと思いますが、県の復興計画には、既に、原子力に依存しない社会を目指すと明記をしています。当然、基本方針に明記すべきと思いますが、いかがですか。この二点。

平野(達)国務大臣 委員から今御指摘がありましたように、政府は福島復興再生基本方針を定めるということになっております。

 この中で、原子力政策やエネルギー政策そのものとの関係が問題になることは基本的にないというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、この方針を定めるに当たりましては、本法案に基づきまして、福島県及び市町村等の意見をしっかりと受けとめて策定してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 国の責任はいいですか。

平野(達)国務大臣 国の責任ということについては、この委員会でも何回も答弁申し上げましたけれども、三条という規定の中で、私どもは国の責任という意思を明示したつもりでございます。それで不十分だということについての議論は、これまでも何回もいただいておりますし、この院の中でもさまざまな議論が委員会でも交わされているというふうに聞いております。

 いずれ、この議論の結果を踏まえまして、真摯に対応してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ここはぜひ明記をするべきだと思います。今、委員の話し合いの中でも当然話題に上っているわけで、ここがやはり出発点になって、本当に福島の再生に向かっていけるのかということがあるわけですし、また福島も、今回の経験を通して、先ほどお話しした復興計画、原子力に依存しない、ここまで書くことができたわけですから、本当にここからスタートしなければだめなんだということで、重ねて確認をしたいと思います。

 そこで、法案は恒久法なわけですよね。だけれども、復興庁は十年の期限がございます。そうすると、復興庁の期限が切れて、財源、支援体制が切れるなんということは絶対あってはならないわけですけれども、どのようにお考えでしょうか。

平野(達)国務大臣 福島の再生、特に原子力被害からの復興ということについては、やはり、かなりの長いスパンで、長い期間で考えていかなければならないというふうに思います。

 復興庁は確かに十年で廃止ということになりますけれども、仮に廃止になったとしても、政府全体としてのその機能はどういう形かでしっかり継承されていくということでございますから、復興庁の存廃いかんにかかわらず、福島の復興再生については、国の責任として、政府を挙げて取り組んでいくということになるというふうに理解しております。

高橋(千)委員 ここはとても大事なところだと思います。国の責任として政府を挙げてということだったので、そこが何らかの形で担保できる条文ですとか、そういうものが必要かなということで、また御提案をしたいな、協議をしたいなというふうに思っております。いずれにしても、十年の話ではないだろうということで確認ができたかなと思います。

 それで、きょう、除染のことですとか、幾つか用意をしていたのですが、中途半端になるので、最後の質問をしたいと思うんです。

 というのは、先ほど、全ての県民の話をずっとしてきました。もう一つは、今回の法案で実はほとんど書かれていないのが、帰宅困難の人々に対する支援なわけですね。これが、個別に賠償の問題ですとか出ているわけですけれども、しかし、この方たちがどう暮らしを再建させていくのか、あるいはなりわいを再建させていくのかという視点が全く盛り込まれていないわけです。

 それで、ぜひそこを検討していただきたいと思うのと、きょう、一つだけ提案をいたします。

 例えば、飯舘村が三つの区域に分断をされるわけです。でも、せめて、全国に散らばった方たちが村には帰ってくる。ですから、同じ村の中の低線量の区域に、みんなで仮設住宅なり復興公営住宅という形で地域のコミュニティーを復活させる、そういうことがあってもいいんじゃないか。だから、二重、三重の支援になるかもしれないけれども、そういう知恵がなければやはりだめなんだと思うんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 答弁を正確にやるために。

 二つの質問をいただいたというふうに思います。

 まず一点目でありますけれども、これは吉野委員の御質問にもお答えしましたけれども、今回の特別措置法は、帰宅をする、帰還をするということについては、必ずしも全体がそこに入っているわけではございません。福島全体の復興をする、風評被害、健康被害、健康不安、こういったものを抱えているという状況を踏まえまして、福島全体の復興をするための一つの法律として今回提案させていただいております。

 一方で、十一万人の方々、半ば強制的に避難をさせられているわけでございますけれども、帰還をする、あるいは、中には、帰還しない、帰還できないという方もおられると思います。この方々にどういう支援をするかということについては、さまざまな観点での検討が必要でございます。賠償の問題、雇用の問題、インフラの問題、帰らないというふうになった場合にどういう住宅手当てをしなければならないのか、コミュニティーでやるのか単独でやるのか、さまざまなケースが考えられます。

 そういったことについての一つ一つの検証を今政府内でやっておりまして、この検証の結果として、例えば法律が必要だという場合には法律を提出する場合もあるかとは思います。ただ、今の段階では、法律というところまでの検討の段階までは至っておりません。ですから、この法律は、そういう一つの枠組みの中でやっているということでございまして、この帰還という問題については別途検討を進めているということでございます。

 飯舘村のお話がございました。放射線量の低いところでコミュニティーを形成して、住宅を建てたらどうか。同じようなことはほかの町村でも検討しているやに聞いております。しかし、この問題も、実際にこれをやるとなればさまざまな問題が出てきます。こういったことも含めて、この十一万人の半ば強制的に避難された方々に対してどういう支援をするのか、しなければならないのか、これは今、別途検討しているということでございます。

高橋(千)委員 また続きをやります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 きょうは、東北復興に向けて連日御奮闘なされている平野復興大臣に質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずもって、この法案を策定するまでいろいろな努力をなされてきた、このことに感謝を申し上げさせていただきます。

 大臣は、県知事を初め福島県の各首長たちと協議をしながら、福島県の再生、産業活力のための特別措置、これをこの法案に総合的に盛り込んでいる、この内容になってきているということについては敬意を表させていただきたい、こう思います。

 しかし、福島県は、十二月に策定をした復興計画の中において、原子力災害は事業者及び国が国策として原子力発電を進めてきた国の責任を問い、県内の原子力発電の全基廃炉を求めます、こういう計画をつくっているわけでございます。

 しかし、きょうの議論の中でも多くの議論がございました。私自身も、この法案の内容を見る限り、この福島の声、このことについては応えていないなというふうに思います。国が推進してきた原子力災害で深刻な状況に陥っている福島県民の現実を深刻に捉えて、原子力事故が起きた国の責任を明確にこの法案に示す必要があるんだろうというふうに思っております。

 福島県が県内にある全ての原子力発電の全基廃炉を求めていることに対して、大臣としてはどう応えるでしょうか。見解をお伺いします。

平野(達)国務大臣 まず、国の責任の明文化ということにつきましては、先ほど来議論がございますとおりでございまして、この委員会でも、また議員の中でも、さまざまな議論があるということでございまして、その議論の結果につきましては、きちんと誠意を持って対応させていただきたいというふうに思います。

 それから、廃炉につきましては、こんなところで所掌外の話だというふうに答弁するのは余り私の好きなことではございませんけれども、廃炉についてどのように対応するかということについては、これは経済産業省枝野大臣と、あるいは細野大臣と福島県との中で調整がなされるべきものだというふうに考えております。

吉泉委員 明快な回答が出なかったわけでございますけれども、この法案の中身が、原子力災害、そういうことでずっと書かれているわけですね。しかし、私は、災害ではなくて原子力事故だ、こういうふうに規定をするべきだろう。そうすると、事故というふうになれば、必ず加害者と被害者がいる。それでは、加害者というのは誰なのか。これは、今の福島のこの事故については、東京電力と、そして、国策として進めてきた国、このことなんだろう、こういうふうに私は理解をするわけでございます。

 そういう面から、私の考え方が間違っているというなれば、それはそれでいいわけでございますけれども、全てこの法案に、一条の目的、それから二条の基本理念、さらには三条の国の責務、こういう状況が、災害、こういうもので規定をしているものですから、そのところがなかなか明確になっていない、こういうふうに思うわけです。

 これは、県民から見ればやはり事故だ。だから、事故に遭って、うち方はそういう被害を受けているんだ。だからこそ、被害者は加害者に対していろいろなものを考えてもらいたい、こういうことなんだろうというふうに思います。

 ですから、そういう面で今いろいろな、国の責任について大臣としての答えを出されたわけでございますけれども、私は、原子力災害と事故、このところの位置づけをやはりはっきりしていかないと、原子力災害、災害というのは災害であるわけですから、事故というふうになってくるともう少し幅が狭められて、それぞれの責任分担というものがはっきりするんだろう、こういうふうに思うわけでございます。

 このことに対して、もう一度大臣としての考え方をお聞きしたい。

平野(達)国務大臣 この法案の第四条の三号に原子力災害の定義を規定しております。ここでは、「原子力発電所の事故による災害をいう。」ということで、委員の趣旨のような考え方でここに規定しております。

 加害者等々という御発言がございましたけれども、いずれにせよ、東京電力は責任があるということで、避難者もしくは被害者からの求償を受けまして賠償する責務を負っているということで、一定の考え方でもって賠償を行っているということもございます。

 それは何といっても、委員のおっしゃるように、これはやはり原子力発電所の事故だということを踏まえての一連の措置だというふうに私自身も理解しております。

吉泉委員 復興計画の福島で出された分を見ますと、やはり本県、福島が、福島の復興再生特別措置法、これを求めると。そこにもやはりきちっと、原子力災害からの復興は、国策として、この責任の明確化、こういうことをうたっていながら、以下のそれぞれの施策を求める、こういうふうになっておるわけでございます。

 このことについて余り時間をかけるということは失礼でございますから、私自身として、さらには社民党としては、やはりこれは事故である、ですから、原発の事故というものについて、脱原発という一つの方向性を打ち出しながら今取り組んでいる、このことについてもあわせて報告もしながら御理解をいただきたい、こう思っております。

 そして、私たちは、実際、原子力に依存しないで再生エネルギーを軸とした社会に向かって出発をしていく、そして、そのためにはもう待ったなしの状況になっているんだろう、こういうふうに思っております。そうした面で、研究開発についてもこの法案の中にうたわれております。

 三次補正の段階で、福島県の復興シンボルとして、福島沖に六基の洋上風力発電を建設していく、そのためにまずは実証実験を行う、こういうことが決まりまして、公募をし、事業主体も決まって、そして県民、さらには国民の期待、これが大きく高まってきているわけでございます。世界で初めての浮体式の洋上風力発電でございます。

 しかし、この実証実験が、今、暗礁に乗り上げております。それは、地元の漁業関係者の同意がなかなか得られない、そういう中で進まない、こういう状況になっております。

 このことに対して、大臣は、経済産業大臣や関係者と話し合いをしたり、さらには、この一つの研究開発実証実験、この事業を推進していくために、連携をとりながらこれまでやっているんだろうというふうに思っておりますけれども、大臣の考え方、さらにはこれまでの経過、そのことについてお伺いさせていただきます。

平野(達)国務大臣 洋上風力発電につきましては、福島県からも強い実施の要望がございました。

 現在、福島沖の洋上風力発電の実証実験につきましては、きのう、公式に委託事業者が決定したというふうに聞いております。これから、経産省、県、委託事業者で構成される協議会を設置しまして、地元の声を実証事業の運営にもしっかりと反映させまして、漁業者に対しても、国交と今後ともしっかりとした説明を行いまして、本事業の趣旨等に対して理解をいただく方針であるというふうに聞いております。

 いずれにせよ、洋上風力発電でございますから、漁業との共生が大きな課題になることは、これは当然のことだというふうに思います。

 復興庁としましては、協議会の動き、漁業関係者の調整状況を見守っていくこととしたいというふうに思っておりますけれども、必要であれば、そこの協議会の場に入っていったり、あるいは福島県の意見を聞いてみたり、漁業者の意見も聞くということも行ってまいりたいというふうに考えております。

吉泉委員 この法案の中に、五十六条から五十九条までの中において、再生エネルギー等の問題を含めて書いてあるわけでございますけれども、しかし、この計画等についても、国ではなくて知事が計画をして、そして、それぞれ大臣が承認を与える、こういう中身になっております。

 これでは少し、国としての積極性そのものから見れば、私は、今の原発事故そのものを振り返っていったときにおいても、やはり国が率先をして、再生エネルギー、このものについて進めていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございます。

 確かに、この法案が福島復興再生特別措置法だという内容であるから、それぞれ県が、知事が計画をして、そして、大臣がそれの承認をやる、こういう書き方なんだろうと思うんですけれども、しかし、この再生エネルギーなり、研究機関の問題、このことは、やはり国が率先をしてやるべきなんだろうというふうに思うんですけれども、その辺はどうなんですか。

平野(達)国務大臣 やはり、国と県が基本的には共同でやるという部分もございますし、しかし、そうはいっても、国の責務、国が率先してやるという部分は、全体の事業としてはその精神は貫かなければならないというふうに思っています。

 この洋上風力の問題にせよ、さまざまな計画の策定、実行にせよ、国がとにかく前面に出てやるという、その姿勢は貫かなければならないというふうに考えております。

吉泉委員 私は、今の大臣の考え方、答弁の内容、それから見れば、ここの五十六条からの関係については、やはりもう少し国の関与の問題、これをもっと強く打ち出してもいいのではないかなというふうにも思っております。

 そうしないと、なかなか、国としての引っ張っていく姿勢というものが、県としてのいろいろな課題、そういった部分についてやはり後手後手になってしまう、そういう状況もあるんだろうし、今の福島沖の洋上風力の問題も、ずっと自分自身もかかわって、さらにはいろいろな話をしてきたわけですけれども、一番問題になってくるのは、最初から漁業権の問題ですよ、漁師さんとの問題ですよ。これをどうするんですか。これは今、県と漁協で話し合っている、これだけにずっと流れてきた、こういう状況なわけですね。

 だとするならば、このことを本当に今、復興シンボルだという位置づけだとするならば、県の連携、そしてまた、国として積極的に漁師さんとの話なんかもリードしていくような、そして、何が課題なのか、このことについてやはり国が関与する、こういう姿勢が必要なんだろう、こう私は思っておりますので、この点については今後ともよろしくお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。

 次に、生活者の視点、生活者の再建、このことが少し今回の法案の中には弱いのではないか、こういうふうに私は見ております。

 確かに、公共事業や産業の再生、経済復興に対する特別措置、これは講じられているわけでございますが、この特措法に、原発事故によって避難を余儀なくされた方々、風評被害等に苦しむ被害者、職場を失い収入の道を絶たれた住民に対する生活再建、この支援が全く触れられておりません。

 福島の復興というものは、福島県民の生活再建、これを何よりも優先しなければならないんだろうというふうに思っております。これまでのそれぞれの政策、制度、こういった部分があるわけでございますけれども、ほとんどがいわゆる住宅、このところが非常に大きいわけでございます。

 きのうも議論させていただきました。今現在の段階で東京電力の賠償が進まない、こういう現実。こういうことに対して、私は、国や県が、賠償の肩がわり、こういった部分の中で、それぞれの当座の生活資金、こういった部分を考えたり、さらには、今の災害の援護貸付資金制度、これはあるわけでございますけれども、こういうものを拡充していく、そのための措置、この部分をやはりこの法案の中に入れていくべきだったのではないか、または入れなければならないのではないか、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点について、大臣の見解をお伺いさせていただきます。

平野(達)国務大臣 この法案は、何といっても、原子力事故、これによって発生したさまざまな被害、その中には、精神的な被害、こういったこともございます。こういったものに対しての対応をどうするか、その対応をすることによって福島の復興再生を図っていかなければならない、そういう観点でこの法律をつくっております。

 この法律の中では、例えば風評被害対策、健康管理、こういったいわゆる原発の事故に由来するものに対して特化した対策というものをとっております。それからあと、産業復興、こういったものに特化した法律の体系になっております。

 一方で、先ほども申し述べましたけれども、いわゆる警戒区域等々から強制的に避難をさせられた十一万人の方々については、さまざまな観点からの議論が必要でございます。

 これはこれとして、今、別途政府の中で議論しておりまして、この議論を踏まえた形で、被災地域の自治体の皆さん方とも協議をする、そういうことをやっていかなければならないというふうに考えておりまして、そちらの方については今回の法律の枠組みからちょっと今外れてはおりますけれども、いずれこれも、政策としてはきっちりとした体系をつくって避難者の方々にお示しをして、しっかりとした支援をすることが大事だというふうに思っております。

吉泉委員 質疑時間が終わったわけでございますけれども、最後にお話をさせていただきたいと存じます。

 福島県において、県民の命を守りふるさとを取り戻す、この署名運動が始まって、その署名をしてくれた方が十七万一千七百八十一人、これだけ集まって、そして、それぞれ衆議院議長、参議院議長に出させていただきました。

 やはり、今高橋委員の方からもありましたように、本当に福島を思う気持ち、物すごく強いわけですね。それが、やはり今の現状の中では出ていかなきゃならない、こういう現実というものをもっともっと私どもしっかり受けとめながら、この原子力事故、私は災害ではなくて事故と言います、このことに対して、真っ正面から、ぜひ大臣がこれまで以上にリードしながら引っ張っていただくようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、福島復興再生特措法案の審議入りであります。昨日の大臣所信質疑でも取り上げました原子力賠償紛争解決センターの問題について、まず、続きをやると言いましたので、取り上げたいと思います。

 きのうも申し上げたように、センターへの和解交渉の申し立ては、二月末で千件を突破、加速度的にふえております。申し立て件数は、早晩、このままどんどんふえて、一万件に達するだろうということをセンターの仲介委員の弁護士の皆さんは予測しております。賠償案件は百万件以上。潜在的に紛争性のあるものだけでも十万件以上に上るはずでありますので、そうしたことも可能性としては十分考えられるというふうに思います。

 そういう中で、実はこのセンター、仲介委員百二十八人、そして調査官二十八人。いずれも弁護士が務めていますけれども、ともに人数が大幅に不足する、こういう状況になっております。今や、一人で申し立て件数二十人以上、五、六十人抱えている人もいる、現場は疲弊をきわめている、こういうことが言われております。

 聞くところによりますと、当初、所管の文科省のたてつけとしては、約千五百件の申し立てを数年間で処理する、そんなことを前提にして考えられていたようにもお聞きをいたします。そうであるとすれば、これは足りなくなって、一人当たりの件数が多くなり、オーバーワークになる、当たり前のことではないかというように思います。

 そういう意味で、人員の不足が賠償和解のおくれにもつながっていくわけですので、センターの人員体制の増強というのが急務だと思いますけれども、担当の文部科学大臣の御見解をお伺いします。

平野(博)国務大臣 議員は、紛争解決センターの人員体制についてということで、当初のたてつけの状況から、今日の状況について非常に危惧をいただいている。こういうことで、その体制についてもっと増強すべきでないか、こういうことだと思っております。

 議員が御指摘のように、東京電力の部隊におきまして、損害賠償請求を処理いただいているのが約十万件ぐらい今ある。こういう中で、紛争センターへの仲介の申し立ては、これまで大体一千二百件強でございます。しかし、この件数をずっと私、時系列的に見ていますと、ふえていくという傾向にあることはもう間違いないわけでございまして、迅速な処理ができる体制をつくらなきゃならないということについては議員御指摘のとおりだ、こういうふうに私も認識をいたしております。

 そういう中で、仲介委員は、和解案の提示や面談等による当事者間の和解協議の仲介を本来任務といたしております。その前さばきとして、調査官がいろいろな申し立ての内容についての論点の洗い出しとか、いろいろな前さばきのところが非常に重要でございます。したがいまして、和解案を作成するための判例の調査、情報の収集、必要な証拠書類の整理など、いずれも法的には専門性を有する業務ということでございますし、そういう方が好ましい、こういうふうに認識をいたしております。

 したがいまして、そういう業務を遂行いただくということで、弁護士会とか、いろいろな方々の御協力を得ながら進めていかなきゃならないんですが、本来業務でない事務的な処理とか、そういうところに忙殺される、こういうことで負担が非常に大きくなっていることも事実でございます。

 したがいまして、私は、関係機関の協力を得る、あるいは、弁護士資格を有する仲介委員や調査官の増員に加えて、事務を担当する職員もやはりふやしながら、今委員御指摘のような調査官への過度な負担の解消には努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

 また、職員の増員につきましては、何としても相対の解決を促すというのが本来の趣旨でございますので、原子力損害賠償円滑化会議という場面がございまして、これにつきましても、関係機関の協力を得て、現場の負担を軽減させながら、トータルとして迅速に処理する体制を構築してまいりたい、かように考えております。

柿澤委員 平野文部科学大臣から、大変前向きな、しかし長い御答弁をいただきました。

 この点については、私はスピードが大事だと思っているんです。増員の体制をいつから、どの予算を使ってやるのか、ここが大事だというふうに思っておりますので、平成二十四年度予算のどこの部分を使ってやるつもりなのか、ここについてお答えください。

平野(博)国務大臣 速やかに対応したいというふうに思っておりますので、予算がないからできないということのないように手当てをしてまいりたい、かように考えています。

柿澤委員 大変端的な、心強い御答弁をいただいたというふうに御理解をさせていただきたいと思います。

 さて、昨年十二月六日公表の中間指針追補、これはきょうも話題になっておりましたけれども、自主避難者への賠償の一定の基準が示されました。

 ところが、これも聞くところによると、東京電力は、システムが整っていないということが理由として、現時点で、この中間指針追補に基づく自主避難者への賠償を一件も支払っていないというふうにも聞きますけれども、これは事実なんでしょうか。事実だとすれば、これは、ある意味では大変、きのうも問題にした引き延ばしの世界になるのではないかと思いますけれども、この点について、柳澤経産副大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

柳澤副大臣 質問、ありがとうございます。

 きのうの続きですけれども、御指摘のように、大変おくれておりました。しかも、そこに、十二月の六日に自主避難の損害賠償が出ました。これが、対象者が実は百五十万人という規模になります。このために、実は、十二月の二十七日に、先ほどありました原子力損害賠償円滑化会議がスタートをしました。私もメンバーで、経産と文科と、全部入って関係者がやります。

 そこで、これは物理的に体制を整えないと無理だということで、その体制整備及び効率的な支払い手続を関係者と準備する、それと同時に、最大で東京電力には六千人以上ふやして一万三千名規模の人員体制を組ませないと難しい、それから、市町村にお願いをして住民票を出していただいて、そこに対してストレートに出していくということをしないと物理的にできないというお願いをしました。

 三回目の二月二十八日の円滑化会議で確認をしまして、その準備が整いまして、三月五日から請求書の送付に入っています。実質的には三月下旬から賠償の支払いが行われるというふうに思っています。

 この円滑化会議を通じて随時チェックをして、引き続きチェックをしながら進めていきたいというふうに思っております。

柿澤委員 つまりは、御答弁としては、一件も出ていないということになるわけです。しかも、三月の下旬にならないと出せる体制が整わない、こういうことであるわけです。

 被災者の生活は日々続いていくわけですし、また私自身は、自主的避難等対象区域の二十三市町村の住民について、一律八万円という基準が妥当で十分だとも思っていません。そういう中で支払いそのものも遅延をしていく、こうした状況をこのまま座して見過ごすことのないようにお願いをいたしたい、今後もお願いをいたしたいと思います。

 この自主的避難者に対する賠償といいますか、追補に基づく賠償ですけれども、枝野経産大臣からは、具体的に生じている出費は当然対象となる、こういう御発言がありました。つまりは、自主的避難によって生じた経費、八万円だけでなくて具体的にかかった経費を、全部というか、見るんですよ、こういう趣旨だと思います。

 しかし、ある意味では、これは所管外の経産大臣が言っても、心強いですけれども、確定的所見にならない。ここの部分については、原子力損害賠償紛争審査会を所管する文部科学大臣に同じことを言明していただかなければならないというふうに思うんです。自主避難者、自主的避難等対象区域からの避難者について、自主避難に伴う出費の実額が賠償の対象となるかどうか、言明をいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 実費についてかかった、こういうことについては、個別具体的な事情に応じて、事故との関係があれば、そのことについては賠償の対象となり得るということについても指針で明記をされてございます。

 先般、東京電力が公表した自主的避難等の賠償方針は、避難に伴う支出が大きいという被害者の実情を考慮して、実際に避難を行った妊婦、子供に対しては、賠償を一人当たり二十万円上乗せする、こういうことですから、実際そういう指針に基づいて対応する、こういうことでございます。

 先ほど曖昧なことも申し上げましたが、平成二十四年の予算で十七億強の予算をとっておりまして、この中で先ほど言いました増強を図っていきたい、かように考えております。

柿澤委員 今のお話は大変御答弁として結構なんですけれども、これまでの賠償における精神的損害十万円という点でも、国が決めた数字だからといって十万円を提示して一歩も引かないという対応を東京電力はしてきた。こういうこれまでの経過がありますので、八万円を提示して、国が八万と言っているからこれだ、こういうことがないようにしっかりと見届けていただきたい、こういうふうに思います。

 次に進ませていただきます。恐縮です。

 そして、自主避難者をいつまで自主避難者と認めるか、こういう問題があるというふうに思うんです。

 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループで、年間二十ミリシーベルト以下では健康影響の明確なエビデンスもないので人が住める、こういうような見解になってきている。そうすると、除染が始められた、あるいはモニタリング結果として二十ミリシーベルト以下で人の住める状況にある、そういう地域である、こういうことが判明した時点で、それ以降逃げたというか避難をした人たちは、これは自主避難者には当たりませんよ、こういうふうになってしまう可能性があると思うんですけれども、こうした方々が対象外になってしまうことがあるのか。あるいは、自主避難者としてそもそも認定を一定段階で打ち切る、そういうことを考えているのかどうか、お伺いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 自主避難等に係る賠償の期間ということでの御質問でございます。

 今回の原発事故に関する損害に関しては、事故との関係が認められるものは全て、原子力賠償法に基づき東京電力から適切に賠償する。

 昨年十二月六日に賠償紛争審査会におきまして、中間指針追補では自主的避難等の損害について十二月末までを期間の対象としましたが、二十四年一月以降に関して、今現在、審査会におきまして、どこまでを範囲にするかということで検討中でございます。

 したがいまして、本年三月中には、自主的避難等に係る賠償の範囲も含め、必要な指針を取りまとめていただきたいと考えております。

柿澤委員 原子力損害賠償紛争審査会では、聞くところによると、これまた、四月以降、今までと同額の賠償金額を支払うのかという点が既に議論の対象になっているというふうにも聞きます。

 毎週ペースで審査会の会議を精力的に開いて、大変精力的な議論が行われているようでありますけれども、大変違和感を持ちます。現行の中間指針に基づく賠償も十分に進んでいない、そういう中で、賠償水準の切り下げ、あるいは、打ち切りまではいかないんでしょうけれども、しかし、こういうことが議論の俎上に上っているというのは、余りにも早過ぎるのではないかと思います。

 こうしたことが誤解を招く可能性もあると思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員御指摘の点はごもっともだと私は思っております。まだ一件もないとか云々という中で、賠償の期間を打ち切る、こういうことについての判断は適当でないと私は思っていますから、その点はしっかりと注視していきたい、かように思っております。

柿澤委員 野田総理と谷垣総裁の党首討論ではありませんが、大変かみ合った質疑をやらせていただいて、私も御協力を申し上げたい気持ちになってまいりました。

 細野大臣に除染についてお伺いをいたします。

 除染の限界ということについては、恐らく、細野大臣、私が誰よりも早くこの国会で取り上げさせていただいてきたというふうに思っております。というのも、この委員会の視察でチェルノブイリを見てきて、除染を試みたが、大量の人員と巨額の費用がかかって、結局、半径三十キロ圏内の除染を断念した、こういうことを聞いてきたからであります。

 政府の除染モデル実証事業について、国が原子力研究開発機構を通じてゼネコン等に発注をして、十二市町村で実施されているということでありますけれども、この除染の効果というのは確認をされているのか。これから結果を公表されるというのを質疑でも聞いておりますけれども、どのようなものになるのか。現時点で答弁できる範囲で結構ですので、教えていただきたいと思います。

細野国務大臣 柿澤委員からチェルノブイリの経験を踏まえて御質問をいただいたのはもう随分前でございますが、そのときのことは非常に印象に残っております。

 チェルノブイリの経験は我々もしっかりと踏まえた上で対応しなければならないというふうに思っておりますが、やはり一方で、日本は日本で独自のやり方で、除染できるところはしっかりやるということが重要だというふうに考えて、モデル事業をこれまで実施してまいりました。

 まだ全てのモデル事業の結果が出ているわけではありませんけれども、かなり出てきているものもございまして、今の時点でわかっていることを御報告申し上げたいと思います。

 除染の効果としては、例えば、年間積算線量が六十五ミリシーベルト程度、これは比較的高いところになるわけですが、そこでは土をかなり大規模に剥ぎまして除染の効果を検証しております。そうしますと、六〇%程度の空間線量の低減が見られたという報告が出てきております。

 ただ一方で、周辺が高いですから、これがずっと持続するものかどうかということも含めて、ここはしばらくしっかりと見ていく必要があるのではないか、そんなふうに思っております。

 一方で、年間積算線量が四ミリシーベルト程度、これは、既に生活をされている方もおられる、そういう線量になるわけですが、警戒区域内にもこういう低い線量の地域がございます。こういったところについてのモデル事業を見てまいりますと、この低下の程度が一〇%から二〇%、実はこれは比較的低うございまして、もともとが低いものですから、逆にこれぐらい低いと下がりにくいということも明らかになってまいりました。

 当初は、モデル事業をやった後、さまざまな事業をスタートするということも考えられておったわけですが、それではだめだということで、並行して除染に取り組んでおります。したがいまして、モデル事業の結果を五月雨式にまた本格的な除染につなげていくという形で、日本としてやれることをとにかくまずは全力でやるということで取り組んでまいりたいと考えております。

柿澤委員 この除染のモデル事業だけでも百億円がところのお金が投じられている状況でありますので、そういう中で、やはり効果を見きわめて実行していくということが大事だと思います。

 一方で、やはり、残念ながら避難をされて、例えば避難地に定住をしていく、そうした方々の生活の再建に向けて十分な支援を行っていく、こうしたことを同時並行させていかなければいけない、しかも、有限な財源の中で、それを東京電力とともに行っていかなければいけない、こうしたことをしっかりと踏まえて対応をしていただきたい。

 時間も参りましたので、幾つか質問を残してしまいましたが、きょうの質問はこれで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、明八日木曜日午後零時三十五分理事会、午後零時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十一分散会


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