衆議院

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第6号 平成24年3月8日(木曜日)

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平成二十四年三月八日(木曜日)

    午後零時四十六分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      井戸まさえ君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      太田 和美君   菊池長右ェ門君

      沓掛 哲男君    斉藤  進君

      階   猛君    白石 洋一君

      菅川  洋君    辻元 清美君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      宮島 大典君    森本 和義君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山口 和之君    吉田 統彦君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    木村 太郎君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      斎藤やすのり君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

      園田 博之君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   復興副大臣

   兼内閣府副大臣      松下 忠洋君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     山岡 達丸君

  階   猛君     宮島 大典君

  白石 洋一君     井戸まさえ君

  菅川  洋君     吉田 統彦君

  谷田川 元君     磯谷香代子君

  小野寺五典君     木村 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     白石 洋一君

  磯谷香代子君     谷田川 元君

  宮島 大典君     階   猛君

  山岡 達丸君     石山 敬貴君

  吉田 統彦君     橋本 博明君

  木村 太郎君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     菅川  洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法案を議題といたします。

 この際、本案に対し、近藤洋介君外八名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の六派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。吉野正芳君。

    ―――――――――――――

 福島復興再生特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員 ただいま議題となりました福島復興再生特別措置法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 東日本大震災は、各地に甚大な被害を生じさせましたが、特に福島は、原子力災害により、住民が長期にわたり避難生活を強いられていること、放射性物質による環境汚染が生じていること、農林水産業を初めとする諸産業が深刻な打撃を受けていることなどの特殊な事情があり、住民が安心して暮らすことができる状況にはありません。災害はまだ続いております。

 本修正案は、東日本大震災から一年がたとうとしている今、このような福島の状況に鑑み、福島の復興及び再生を円滑かつ迅速に進めるため、国が社会的責任を踏まえながら福島に対してより充実した支援を行う必要があるとの共通認識に立って、与野党の真摯な修正協議に基づき、福島復興再生特別措置法案について次のような修正を行おうとするものであります。

 以下、修正案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、本法の目的に、原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興及び再生が、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的責任を踏まえて行われるべきものであることを追加することとしております。

 第二に、基本理念に、原子力災害からの福島の復興及び再生は、住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として行われなければならないこと、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策は、福島の地方公共団体の自主性及び自立性を尊重するとともに、コミュニティーの維持に配慮して講ぜられなければならないこと、放射性物質による汚染の状況及び人の健康への影響等の正確な情報の提供に留意することを追加することとしております。

 第三に、避難解除等区域の復興及び再生のための特別の措置について、避難解除等区域復興再生計画の内容に将来的な住民の帰還を目指す区域の復興再生の準備のための取り組みを追加するとともに、国がみずから施行することができる工事の対象を追加することとしております。

 第四に、福島県が行うことのできる健康管理調査の内容として、子供に対する甲状腺がんに関する検診を例示すること、健康増進等を図るための施策を支援するための必要な措置として財政上の措置を明示すること等としております。

 第五に、農林水産業の復興及び再生のための施策に、地域資源を活用した取り組みの推進を追加することとしております。

 第六に、福島の復興及び再生に関する施策の推進のために必要な措置について、新たに一章を追加して、生活の安定を図るための措置、保健、医療、福祉にわたる総合的な措置、再生可能エネルギーの開発等のための財政上の措置、復興交付金その他財政上の措置の活用、住民の健康を守るための基金に係る財政上の措置についての規定を設けるほか、復興大臣による適切かつ迅速な勧告に係る規定を設けております。

 第七に、附則において、この法律の施行後三年以内に行われるこの法律の規定の検討において、課税の特例を含めて検討することを明示することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、委員各位におかれては、修正案提出者のみならず、福島の住民の復興再生に対する思いを受けとめていただき、御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

 以上です。(拍手)

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房技術総括審議官西本淳哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりでございます。

 この法案は、もう本当に一刻も早く成立させなければいけません。そして、本当に福島の未来を明るくしなければいけないというふうに思っておるわけですけれども、一方で、政府の姿勢に心配な部分がちょっとございますので、その部分についてきょうは特に質問をさせていただきたいと思います。

 きのう、私、第七条の避難解除等区域復興再生計画についての質問をいたしました。昨年の年末に、細野大臣が、二十ミリシーベルトの場所も居住可能になるというような趣旨の発言をされていたというふうに記憶しております。そのことについて、きのう、政府に聞いたところ、ICRPのデータに基づいて、二十ミリシーベルトでも居住可能になったんだよというような趣旨の御答弁がございました。

 このICRPのデータについて、政府は、そもそもこの信憑性というものを精査したのでしょうか。それからまず伺いたいと思います。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の二十ミリシーベルトでございますけれども、これは国際放射線防護委員会、ICRP等の国際機関における考え方を踏まえて採用したものでございますけれども、このそもそもの低線量被曝による健康影響、これに関する現在の科学的知見は、主として広島、長崎の原爆被爆の半世紀以上にわたるデータに基づくものでございます。これらの広島、長崎の疫学的調査の結果を見ますと、被曝線量が百ミリシーベルトを超えるあたりから、被曝線量に依存して発がんのリスクが増加していくということが示されております。

 国際的な見解でも、放射線による発がんリスクは、この百ミリシーベルト以下の被曝線量では、ほかの要因、例えば食生活とか肥満とか飲酒とか、そういったほかの要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいということから、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいというふうにされております。

 加えまして、内閣官房で設置されましたワーキンググループでも、年間二十ミリシーベルト以下については他の発がん要因によるリスクと比較して十分に低いということで評価をいたしております。

 さらには原子力安全委員会も、昨年の八月四日に示しました避難区域解除に関する考え方というところで、解除日以降年間二十ミリシーベルト以下となることが確実であることを避難指示を解除するための必須の要件というふうにいたしておるところでございます。

 こうした議論も踏まえまして、政府といたしましては、今回の区域の見直しに当たっても年間二十ミリシーベルト基準を用いるということが適当であるというふうに判断したわけでございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 閾値を設けたということだと思うんです。ICRPは百ミリシーベルト以下の被曝ではリスクは確認されていない、これが一つのベースになって今の答弁になったと思います。閾値というのは、これはもう釈迦に説法ですけれども、その値を境に上下で意味や条件、判定などが異なるような値のことでございます。

 一方で、この百ミリという閾値に疑問を呈している、そういう研究機関もございます。これは私、きのうも質問したんですけれども、二〇〇五年に米国科学アカデミーによってつくられたBEIR委員会、こちらの方では、被曝のリスクは低線量でも直線的に存在する、だから閾値はないんだよという報告をしております。

 先ほど、ICRPが閾値を設けているということでございますけれども、これは総理も午前中の予算委員会の答弁で、データは合理性があるということを言っていたわけなんですが、一方で、そのICRP自体も、二〇〇七年のICRPの勧告で、閾値はないよ、低線量の被曝も、百ミリ以下でも注意しなければいけないよということを報告しております。

 ちなみに、このICRPは、百ミリシーベルトで〇・五%の発がんリスクというのは、先ほどもおっしゃったように、広島、長崎の被爆、千ミリシーベルトで五%のがんの発生率の増加から多分算出されたものだと思うんですけれども、ところが、八〇年代の後半に、このデータは誤りだった、千ミリシーベルトの被曝とされていますけれども、実際は半分の五百ミリシーベルトの被曝でしかなかったということを言っているわけです。つまり二倍のリスクであった。それなのにICRPは基準を据え置いたということでございます。

 これはNHKの番組で、私も見ていたんですけれども、ICRPの元委員が、基準を据え置いたのは原発等への配慮があったからだ、原発の推進派から、労働者の被曝限度を下げるな、リスクを引き上げると対策コストがかさむからと圧力がかかったことでこの基準を据え置いたと。

 ですから、ICRPの基準というのは科学的な根拠がないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、それでも、二十ミリシーベルトでも居住可能になるんですか。

細野国務大臣 まず一点、正確に御説明をしたいと思いますのは、我が国の判断基準において閾値というのは設けておりません。

 したがいまして、二十ミリシーベルトのところではっきり線があって、そこから上は危険で、そこから下が安全ということではないんです。いわゆる確率論的な影響があるだろうという、言うならば比例する形で減ってくるという、そういう考え方に立っています。

 だからこそ、二十ミリと我々が想定をしているところも、実際にそこで生活をしている方々の被曝線量というのは、大体五ミリから四ミリぐらい、そういう測定の結果が出ておるんですが、それでも、それよりさらに低い方がいいですから、優先的にそういったところから除染をする。二十ミリのところをまず十ミリにする、十ミリのところを五ミリにする、そういう考え方をとっておりますので、閾値という考え方はとっていないということです。

 先ほど経産省の方から答弁がありましたのは、これは、百以上についてははっきり結果が出ているけれども、百以下については、明確な、言うなら疫学的なデータがとれていなくて、ほかのがんのリスクに埋もれてしまうので、居住可能な区域としてはICRPも言っている二十ミリというのが一つの線ではないか、そういう説明をしたということであります。

 したがいまして、もう一度申し上げますが、二十ミリの放射線量のところが大変いい環境であるということを申し上げているわけではなくて、それについてはできるだけ下げる努力を我々は緊急でしなければならない、そういう認識を持っております。

 NHKの番組につきましては、実はちょっといろいろと、果たしてその発言が正確に公知されたのかどうかということも含めて、いろいろ専門家の中で議論があるようでございまして、そのままICRPの見解として受けとめるということではなくてもいいのではないかと。

 ICRPの報告書自体は実にいろいろなことが書いてありまして、私も基本的には全て読んでおりますが、これに関するところは。いろいろなことが書いてある中で、全体のバランスとしては、二十ミリというところの一つの線というのが示されているものというふうに承知をしております。

斎藤(や)委員 それでは、今まで、原発事故のあったところも含めてなんですが、こういった高線量域で居住可能にした例というのは過去あるんでしょうか。ちょっとそれをお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 全て世界じゅうの状況について把握をしているわけではありませんけれども、年間放射線量でいうと二十ミリをはるかに超える線量のところで実際に居住をしている地域というのは、幾つかの国にはございます。ですから、それは、一律に危ない、危険ということではなくて、そのところどころの状況に応じて、言うならば適応する形で住んでおられる方々はいらっしゃるというふうには承知をしております。

 あとは、チェルノブイリの事故の後、きょうも予算委員会でも五ミリ程度に下げたという話がありましたが、あれは、およそ五年たってから下げていて、果たしてそれが科学的にどうだったのかという議論も行われているやに承知をしております。

 ですので、なかなか、これは確かに判断が難しいんです。判断は難しいんですが、さまざまな要因を考えたときに、やはり二十というところで引かせていただいて、そこからできるだけ下げていく。

 それと、大事なことは、我々は、生活する空間としてはそこに線を引きますけれども、皆さん、どうぞ、もう帰ってもらえないと困るんですと言うつもりはないわけですね。それぞれの皆さんの選択というのは最大限尊重しなければならないということも、あわせて、私の方からも、この場をかりて申し上げたいというふうに思います。

斎藤(や)委員 過去に例のない事故ですから、楽観的な視点ではなくて、どちらかというとやはり、危険だぞ、危ないぞ、子供の健康リスクもあるんだぞということを視点に置いた対策をとっていただきたいですし、それから、ICRPの基準についても、やはりもうちょっと細かく精査していただければというふうに思います。

 というのも、甲状腺がんの発生リスクというのがやはりございます。今回の修正案の中にも、「子どもに対する甲状腺がんに関する検診を例示すること、」ということも書いております。チェルノブイリでも、この原発事故の疾病というのは、甲状腺がん、唯一それが関連があったわけでございます。

 福島では、その甲状腺がんのリスクというのは、私、先日、予算委員会で細野大臣に聞いたときに、チェルノブイリほどのリスクはないだろう、ただ、注意して見なければいけないということでございました。

 チェルノブイリの場合は、五年たったあたりから急増しまして、ベラルーシの子供のがんの数というのは、事故前の十年でたった七人だったのが、事故後十年で五百八人になった。チェルノブイリの場合は、事故後に、牧草を食べた牛、その牛乳を飲んだ子供たちに生物濃縮が残念ながら起こってしまって発症したということなので、同じように福島でも起こるということはないかとは思うんですけれども、ただ、それでもやはりその汚染地帯に、子供たちを住まわせると言うとちょっとあれですけれども、住むということになります。

 やはり私は心配なんですよ。このあたりもう一度、細野大臣、甲状腺がんのリスクと、そして、もし甲状腺がんが発生した場合、原発事故との関連性をどう検証するのか、そして補償はどうなるのか、ここをちょっとお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 私は、三月十五日から東京電力に行っておったんですが、その中で、三月二十三日にSPEEDIのデータを初めて見まして、東北の方向にずっと放射性物質が流れているというあの図を見まして、とにかく、これは甲状腺被曝について調べなければならないというふうには思いました。

 当時、私は直接の担当ではありませんでしたけれども、政府の判断として、三月二十四日、次の日からであります、三十日にかけて、いわき市、川俣町、飯舘村という、心配がある可能性がある、しかもはかれる、そういう地域において、お子さんの甲状腺の簡易測定を行いました。

 そうしましたところ、値が、我々が恐れていたレベルよりもはるかに低いレベルでしたので、その結果自体を見て、本当にとんでもないことが起こったという意味では、もう本当に状況は起こってしまったんだけれども、その中で、当時は、子供たちの健康被害が、今の時点では考えなくてもいいという結果でしたので、そのことについては、正直申し上げて、本当にほっとした記憶がございます。

 その後、さまざまな測定の結果も出ておりますが、チェルノブイリで、当時のあの地域に住んでいた子供たちが牛乳を飲むことで受けた被曝とは全くレベルが違いますので、そういうリスクはないと思っております。

 ただ、斎藤やすのり委員も指摘をされたとおり、心配されている方がたくさんおられます。私自身も、これはしっかり見ていかなきゃいかぬというふうに思っております。

 そこで、この甲状腺の検査、これを、当初、三年以内でということで計画しておりましたが、それを前倒しでやりたい、できる限り早く子供たち全員を見て、経過を継続して見るということが重要だと思いますので、その検査をしっかりやりたいというふうに思っております。

 健康被害が出た場合どうかということなんですが、甲状腺の検査というものをしっかりやれば、早期に対応ができるんです。そこも含めて、まず、この検査をやり切るということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。

斎藤(や)委員 ぜひよろしくお願いします。

 一次検査と二次検査の時間を余りあけないようにとか、スピーディーにぜひやっていただきたい。それから、ウクライナでは、原発事故と疾病との関連性を検討する委員会などもできているということですので、例えば第三者機関でも結構なんですが、そういった委員会の設置などもぜひ御検討をよろしくお願いいたします。

 残念ながら、福島は放射能と一緒に生きていくしかない、それをかわしながら生きていくしかないわけですけれども、特に、体の中にセシウムを入れないということが重要だと思います。内部被曝をどう防ぐか、ここがポイントになってくるかと思います。

 そのために、食品の放射能の見える化、これが非常に重要だと思います。先ほども言ったウクライナでは、除染の効果は低いので除染はやめちゃおうと。森に囲まれていますから。ですから、その分、食品の検査を強化していこう。食品に全てベクレル数が書いてある、それから、市場には検査器が常に設置してあって、それがいつでもはかれるというようなことになっていると思いますけれども、やはり日本もこれを見習わなければいけないかと思います。

 今後の福島県内の検査体制をどう考えておられるのかということと、それから、簡易検査器の低コスト化、それから最新技術の検査器開発、これをどういうふうに政府が後押ししていくか、民間に任せずに政府が後押ししていくのか、この見解をぜひ教えていただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 斎藤議員が常々、子供のこと、さらには放射能から守らなきゃならない、こういう視点での御指摘、心から敬意を表します。

 私にいただきました御質問は、要は、先ほど来の御議論を聞いておりますと、やはり心配なんだ、そういう観点から、よりその心配を低くするために正確なデータが要るではないか、こういう視点での検査機器の開発、さらには、どういう配置をしていくのか、こういう御指摘だと私は思います。

 そういう視点で、特に、議員からの御指摘もありますが、国民の安全、安心をやはり確保するという視点から、高度な放射線の計測機器を開発することは極めて重要である、こういう認識に立っております。

 そういう意味におきまして、平成二十四年度より産学連携による新しい機器の開発を開始する、こういうことを指示いたしました。具体的には三点の考え方に立っております。

 一つには、今まで、土壌の中の測定というのはなかなか難しい、こういうこともございましたが、より正確にするためにモニタリングをどういうふうにしていくか、こういうことでございます。測定方法、操作をより簡単にする、放射性物質の分析状況の、先生が先ほど言われましたように、見える化ということでございましたが、可視化を可能とする測定器を開発しようではないか、こういう点が大きく一点でございます。

 もう一つは、セシウム等の放射線核種を分析するための機器の低コスト化と高性能化を進める、こういう点が二点目。

 さらには、これは積分値で蓄積をしていくものですから、やはり口の中に入れるもの、特に食品中の放射性物質について、できるだけ非破壊で、スピード感を持って測定でき得るような機器を開発していく、こういうことでございます。

 具体的な配置については、現在、計画があるということではありませんが、開発成果が具体的に出てきたときに、地元の関係者、さらには関係行政機関と相談をして着実に進めてまいる決意でございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 ぜひ、スピードアップして進めてください。

 島津製作所が今週、米の中に含まれている放射性物質が規制値以内かどうかというのを五秒以内で判定する試作機というものを発表したということを聞きました。ここに私は福島再生のヒントがあるんじゃないかなと思います。

 ですから、放射能の検査、それから除染、処理、さまざまな放射能対策の研究というのを、世界じゅうのものを福島に集めていくこと、放射能にかかわる医療のトップランナーになること、ピンチをチャンスに変える戦略、これが今福島を元気にする一番の方法なのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、この福島特措法の中には、今回、その思いがぎっしり詰まっているというふうに私は思っておりますので、この法案がスムーズに成立いたしまして、福島の未来が少しでも明るくなることを祈念して、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 福島特措法案、関係者の皆さんの大変な御努力で、二十項目、条文も八条ふえました。新たに一章も設けた。相当充実した法案になったかと思います。より幅広く、また厚みも増した福島のための特別措置法ではないかというふうに思っております。

 きょうは、修正案提出者にお尋ねする前に、大臣に二点、大事なことを確認させていただきたいと思います。

 まず、震災関連死であります。

 十七年前の神戸、私も経験しましたが、よく誤解されるんですけれども、当日、六千四百人の方が亡くなったのではありません。五千五百人なんです。あとは、その後、震災が原因で体調を壊して亡くなった、あるいは精神的なストレスでお亡くなりになった。不幸にして自殺をされた方、その方も震災関連死ということで災害弔慰金の対象となり、六千四百人の犠牲者の中にしっかりとカウントされているということであります。大変苦い教訓でありました。これほど関連死が出たのは、戦後の日本においてありませんでした。

 だから、今回の三月十一日も、せっかく助かった命をこれ以上なくしてはならない、それが政府なり行政の役割だということを繰り返し私は何度か、予算委員会でも関連死の問題について、関連死を認定する市町村の体制についても政府に質問をし、充実を求めたところであります。

 しかし、いまだもって政府の発表は、警察庁の死者・行方不明者の発表、数字しかないんです。警察庁の発表によれば、死者・行方不明者合わせて、直近のデータであれば一万九千人余り。これだけの方かなと皆さん思われる。では、関連死をされた方が何人いるのかというのは、いろいろ政府に聞いてもわからないと言う。それを先日、共同通信が独自の調査で一千三百三十一人と報じていました。

 今、実は、災害弔慰金を既に支払われた人数は、死者数を一千七百ほど上回っています。それから推測すると、これは私の推測ですよ、震災が原因で亡くなられた方は、少なくとも千三百人から一千七百人か八百人いるのではないかと思います。

 平野大臣にお尋ねします。なぜ震災関連死をきちんと調査されないんですか。そして、そのことをどうして発表しないんですか。侮辱じゃないですか、亡くなられた方の。政府の見解を求めます。

平野(達)国務大臣 委員から今御指摘がございましたように、阪神・淡路大震災によって亡くなられた方、六千四百二人でございまして、そのうち、直接死と言われる方々、震災で直接亡くなられた方々が五千四百八十三人、関連死と言われる方々が九百十九人でございます。これは震災十年を契機に兵庫県が調査したものだというふうに聞いております。

 今、東日本大震災でございますけれども、委員からこれも正しい御指摘がございましたけれども、震災によって亡くなられた方の御遺族に対して災害弔慰金が支給された件数は、一万七千五百四十九件、平成二十四年二月二十六日現在であります。一方、死者、行方不明につきましては、死者、亡くなられた方々、平成二十四年三月六日現在で一万五千八百五十四人、行方不明者三千二百七十二人、合計一万九千百二十六人。これは警察庁発表によるものでございます。

 この警察庁発表は、あくまでも、阪神・淡路大震災に関連して言えば、直接死というところに該当する方々だというふうに私は理解しますけれども、委員御指摘のように、災害関連死ということにつきましても、これはきちんと把握をしなければならないというふうに思います。

 しかし、災害関連死については明確な定義もございません。そこで今、私どもはこれから、災害弔慰金が支給された件数、これにつきましても、関係省庁の協力をいただきながら、復興庁において取りまとめて公表することとしたいというふうに考えております。

谷委員 初めて国は、関連死を取りまとめて公表するということを明言されました。その意味では前進だと思います。

 ただ、平野大臣、今の答弁でひっかかるのは、阪神・淡路のときは、十年たって初めて兵庫県がまとめられたと。何か国がまとめたようには言われていませんけれども、国の正式な被害の統計になっているんですよ、これは。ですから、国が認めたのと一緒なんです。

 そして、十年たってまとめたということは、私も当時、当事者でありましたから苦い教訓を踏まえて言うと、なかなか気づかなかったんです、この問題が。だから、十年できちんとした数字をまとめたんです。その教訓から我々は学ばなきゃならないんじゃないですか。一年たったんですよ。公表してくださいよ。一年たって、まだ今の時点では何も着手していないということですから、これから直ちに調査をして、せっかく三月十一日に助かった方でも、生き延びた方でも、その後また亡くなられた方の霊が浮かばれないじゃないですか。

 再度お尋ねします。いつをめどに政府は発表していただけますか。そして、これからは、震災で亡くなった方と政府が言うときは、必ず関連死の方も含めるということを約束していただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 谷委員のその御指摘を踏まえまして、速やかに作業に着手したいというふうに思います。

 そして、何日までというところまできょうのところはちょっと出せませんけれども、いずれ速やかにこの関連死も含めたデータをしっかり公表するようにしたいというふうに思います。

谷委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、大臣にお尋ねしたいと思います。

 この福島も含む大変大事な問題で、復興交付金です。国の予算は、国費で一兆五千億です。この委員会でも一次配分でいろいろ議論がありました。一次配分は二千五百億、六分の一です。大臣は、一次配分が全てではありませんよ、よく精査して、年度末にまた追加の配分を行いますと言明されました。

 ただ、一兆五千億ですよ、予算。今一次で二千五百億。一次の申請が五千億ですから、アバウトに考えると、たとえ同額ぐらいの配分があったとしても五千億です。予算は一兆五千億、正確に言いますと、いわば執行以前ですけれども、内示がせいぜい五千億、三分の一程度に終わる。あとの一兆円は、通常であれば不用額として落とすんですね。大臣、そうだと思いますよ。大臣は農林水産省におられたから、プロですから詳しいですから、やはり普通は落とすんですよ。

 今回の場合、一兆円とかそういうオーダーで落とされるんですか。お尋ねします。

平野(達)国務大臣 予算単年度主義の原則からいきますと、当該年度、補正予算も含めて計上したものがもし使われなければ、大体不用になるというのは原則ですけれども、この予算に関しましては、翌年度に繰り越して使用することができる経費であることについての議決をもう経ております。

 それから、復興交付金について、既に交付した予算につきましても、当該自治体で執行ができない場合には、財政法第十四条の三の規定に基づき、これは繰り越しが可能でございます。

谷委員 大臣、議論がかみ合っていないです。そういうことはわかっているんです、繰り越しができるというのは。ただ、繰り越しというのは、普通、公共事業であれば箇所づけをして、この地区のこの事業をすると内示をした事業ができなかった場合に繰り越すんです。

 私が懸念しているのは、一兆五千億のうち、そもそも内々示ができるのが五千億程度にとどまるんじゃないですかと。そうしたら、今までの例からいえば、一兆は予算は落ちるんです、不用で。ただそれを、いや、極めてイレギュラーなことだけれども、今の私の例でいうと、一兆円ももう国の段階で繰り越すんだ、今までそういった例はなかったけれどもと、そういう答弁であれば納得しますよ。そうですか。

平野(達)国務大臣 若干、舌足らずな点がございますけれども、私の趣旨は今委員が申された点と同じであります。通常、繰越明許費ということで議決をしておくという、その手続を経ているということでございます。

谷委員 やや議論がかみ合っていないようですけれども、いや、もうこれ以上申しませんけれどもね。

 要は、普通の事業というのは、元砂防部長の松下副大臣が、わかっている、わかっていると言われていますけれども、箇所づけをしなければ繰り越しなんかできないんです。ただ今回は、極端に言えば、一兆円は金が余ってしまったけれども、もう翌年復興事業のために繰り越す、そういう手続を財務省と交渉して、前例がないけれどもやる、そういうことですね。(平野(達)国務大臣「国会の議決で」と呼ぶ)いや、国会の議決を経ていることはわかっていますよ、それは。

平野(達)国務大臣 おっしゃるとおりであります。

谷委員 ありがとうございます。ぜひそのこともしっかり被災団体の方に言っていただきたいと思います。

 心配しているんです、本当に。一兆五千億、事業費ベースで一兆八千億ですか、そこそこつけていただいた。でも、地元の進捗からいうと、とてもそこまでいかない。繰り越して来年なり再来年でできるともとても思えない。予算は本当に大丈夫かなという声を私も被災地から数多く聞きましたので、ぜひその点も、心配するな、この予算はしっかり執行する、数年かかってもと、そういうことを言っていただきたいと思います。

 さて、提出者にお尋ねいたします。吉野提出者にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、大変熱のこもった、思いがあふれた修正提案をお聞かせいただきました。

 さて、私も協議に入らせていただいたんですけれども、政府原案の中には、政府原案の考え方は、住民の方が帰られる地域の復興再生に向けたさまざまな取り組み、これは書いてある。しかし、今月末に三つの区分を明らかにして、帰還困難あるいは当分帰れない、除染を終えなければ、そういう地域のことは法文上何も書いていない。それで、修正案で、将来的な住民の帰還を目指す区域の復興再生に向けた準備のための取り組み、これが加えられたわけであります。

 その趣旨とか追加した思いは何か、吉野提案者にお尋ねいたします。

吉野委員 御答弁いたします。

 谷委員おっしゃるとおりなんです。なかなか帰宅が困難な地域の方々に対しては、復興住宅に入れます、公営住宅に入れます、たったこれだけなんです。これは法律改正が要るから、当然なんです。

 きのうも質問しましたけれども、福島県の地元紙のトップ見出しが、復興住宅に入れますというのがトップ見出しだったんです。こんなことは当たり前なんです。復興住宅に入れる、公営住宅に入れる、そこからどういう支援が必要なのかというところが、この法案には盛り込まれておりませんでした。

 ですから、修正協議の場で強く私が御提案を申し上げて、長期的になかなか帰宅が困難な地域の方々に対しての支援策、これは具体的にはたくさんあろうかと思います、具体的ではなくて、支援策があるんだという明示をきちんと法律の中で規定してほしい、そういうことでこの条文が入ったということでございます。

 以上です。

谷委員 ありがとうございました。

 なかなか計画の書きぶりも難しいかとは思いますけれども、ただ、大事なことは、今帰れなくても、政府は、あるいは自治体はしっかりあなたたちのことを目配りしていますよ、そういう姿勢であろうかと思います。ぜひしっかりとした計画を立てていただくよう、政府にもお願いしたいと思います。

 梶山提出者にお尋ねいたします。

 前、通りました復興特区法では、国なり県の復旧工事の代行という措置が講じられておりました。今回、復旧でなくても、復興も含めて国の代行工事の規定が設けられておりますが、さらに、漁港と地すべり工事が追加されております。どういう趣旨なのか。与党が認めるのならば、なぜ政府案に入っていないのか、そういう単純な疑問がありますけれども、お答え願いたいと思います。

梶山委員 谷委員の御指摘のとおり、政府案には、漁港漁場整備法の特例と地すべり等防止法の特例が定められておりませんでした。この二つは、昨年四月に成立をいたしました東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律において、災害復旧事業等に限ってではありますけれども、国による代行が定められております。

 政府に確認をしましたところ、福島県からの要望がなかったのでということで、政府案にはこの二件は入れていないとのことでありました。しかし、現時点では県から要望がないからといっても、国の代行の規定を全く入れないということになりますと、国の代行の範囲を不当に狭めてしまい、福島県の復興再生がおくれてしまうおそれがございます。

 そこで、私どもの修正案では、再度福島県に確認をした上で、災害復旧事業等以外の事業に係る漁港漁場整備工事及び地すべり防止工事についても国の代行工事として追加する修正を行い、将来の福島県の要望にも対応できるようにしたところであります。

谷委員 わかりました。

 現時点では福島県から要望がないけれども、制度的な仕組みとして、将来のそういう可能性にも備えて、県とすり合わせた上で修正案に盛り込んだ、そういうことであろうかと思います。

 それでは、最後の質問になるかと思いますが、吉野提出者に再度お尋ねいたします。

 課税の特例があります。今回の特区法でも、私も被災地の少なからぬ団体から、復興庁が課税の特例の範囲を、なかなか厳しいんだ、広げることを何やかんや制限を、あるいはクレームを、説明を求めてくるというような話も聞いたことがございますが、そういう実例を踏まえて、地元議員として、どういうことが心配、懸念されるか。

 附則で課税の特例も見直し規定に入れておりますが、そういった思いもあろうかと思います。心配、懸念があるので、そういった修文もされたと思いますが、その点について、吉野議員の懸念とか思いをお尋ねしたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。

 課税の特例、本当に現場では使いづらいんです。だから、見直し規定、一年と言わず半年とも言わず、すぐ見直しをしてほしいと思います。

 具体例を言います。

 大熊町、なかなか長期的に戻ることができない地域です。ですから、ある人がいわき市に本社を移したんです。当然、新規立地企業であれば五年間の無税が適用になるんですけれども、移転ではだめなんです。子会社にして、法人を変えないと無税は使えないとか。

 あと楢葉地区、これは、私は多分戻れる地域だというふうに思っているんですけれども、ここで五年間無税を受ける地域は、新たに産業集積区域のエリア指定をしないとだめなんです。一〇〇%償却は、楢葉町全体であれば、戻った企業は受けられるんですけれども、それも三月十一日時点であった企業。ですから、東京から楢葉町に進出して雇用をふやしたいということであれば、その方はその一〇〇%特別償却は受けられない。新たに集積エリアをつくらなきゃならないという形で、本当に使い勝手が悪い。

 特に、産業集積区域、この指定については、役人は小さく小さくという形で範囲を狭めている傾向がございますので、その辺のところもこれから見直しの中でやっていきたいと思います。

 以上です。

谷委員 ありがとうございました。

 最後に、平野大臣、震災関連死をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、この特措法の最後の質疑になろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 この特措法につきましては、やはり私たちの立場では、政府原案では不十分である、こういうことで、民主、自民、公明、三党が中心になりまして修正をいたしました。二十項目の修正、また、条文の追加が八条文、そして、章立ても第七章を一章つけ加えた、こういうことで取り組みをいたしまして、百点満点を福島の皆さんからいただけるかどうか、これは私も少々自信がありませんけれども、少なくとも、現時点においては御期待にある程度お応えをできたのではないか、このように思っております。

 修正につきまして大臣や提案者にお伺いをいたしたいんですが、その前に、きょうは厚生労働大臣に来ていただいておりますので、厚生労働省の施策について一点だけ、確認、また改善のお願いをいたしたいと思います。

 第三次補正に入った事業復興型雇用創出助成金、これが、十一月二十一日の第三次補正の成立、そこのところからしか対象にならない、こういうことでございまして、それで、これは二月十四日の新聞でありますけれども、この新聞の記事では、とにかく努力をして早く事業を再開した、その前は二十五人の従業員は一度解雇したけれども、七月から一部再雇用、また、新規を含めて従業員十五人で事業を始めたと。しかし、早くやったがゆえに、第三次補正で事業復興型雇用創出事業、その対象にはなりませんよ、こういうことなんですね。

 そうすると、その企業の方からしたら、とにかく雇用しなくちゃならぬ、一日も早く雇用を復活させようと頑張ってやったところ、俺たちは損したのかと。損という言葉は当てはまらないかもしれませんけれども、早くやってよかったというんじゃなくて、もうちょっとおくらせた方がよかったのかと、こういうことにもなるのではないか。

 そういうことで、これは私が今新聞で拝見している方だけではないのではないか。とにかく地元の雇用を守ろう、一人でも多くの方に働いてもらおう、そう努力をしたことが、かえってその後の政策と整合性がとれなくなってきている。

 このことについて、大臣、私は何とかさかのぼって適用するとか何か考えられないかということで御質問をいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘いただきました事業復興型雇用創出事業ですけれども、これは、助成金を支給することによって事業者がその被災者を雇い入れるということを促すために、被災者が安定的な仕事を得られるためにという目的でつくったものでございます。

 ですから、雇い入れの後に助成金を支給しても新たに被災者を雇い入れることを促すことにならないということで、いつも委員の御指摘はお聞きできるものは精いっぱい聞かせていただいているんですが、この点はちょっと、目的からして、さかのぼることはなかなか難しいと考えています。

 今、被災三県で職を探していらっしゃる方がおよそ十四万人に上りまして、御承知のように、もうこれからは仕事に結びつけるということで、雇用保険の受給ということも特例措置も終了いたしましたので、今失業されている方の雇用の場を確保するということが何より優先すべき課題だと考えています。

 この事業復興型雇用創出事業などで五万人程度の安定雇用を創出する見込みで、限りある予算の中で、今後事業の再開、開始をしていただけるように支援を行う、そういう事業所の背中を押したいという思いでございます。

 ぜひ、早急に雇用の場を求めている方に一人でも多くというこの趣旨を御理解いただきたいと思います。

 そして、これまでに既に被災された方を雇い入れた場合の支援としては、もう既に、新規に雇い入れた事業主に、被用者に支払われた賃金の一部として支給する被災者雇用開発助成金ですとか、それから、被災者を雇い入れたり再雇用して職業訓練を行う中小企業事業主に、成長分野等人材育成支援事業ということで訓練費用の一部として支給をするといったようなことを、十一月二十一日より前に雇い入れられた方については、こうした施策がございますので、これをぜひ御活用いただきたいというふうに考えます。

石田(祝)委員 第三次補正のこの一千五百十億、ほかの政策と合わせてですけれども、事業復興型雇用創出事業、十一月二十日以降じゃなきゃだめだ、私が申し上げたように、七月に努力をしてやった方についてはこれは適用はされない。一次補正で、五月二日以降の雇い入れで、被災者雇用開発助成金とおっしゃるのは確かにございますけれども、私が見ると、これは一年間なんですね。それで、事業復興型の方は三年間でしょう。だからこれは、金額もそうなんですけれども、一つは、新しく雇っていただけることも大事、そして、雇っている人を雇い続けるということも大事なんですね。

 ですから、一次補正のときに一年間でスタートしたんだけれども、早くやっていただいた方、一年ではなくて、では、この一年間というところを、三年に平仄を合わせるように延ばすことはこれは考えられないんですか。いかがですか。

小宮山国務大臣 なかなか、限られた財源の中で今すぐはいと言うわけにはまいりませんけれども、せっかくの御指摘でございますので、検討はさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 補正予算が一次から三次、基本的には三次までで復興ということだったと思いますけれども、こういうふうに順次やられて、それなりにいろいろな被災地の方々の御意見を受けて充実はしていることは私は間違いないと思うんですね。

 しかし、この人たちからすると、とにかく苦しい中を借金も抱えて、早く雇用しなくちゃいけないということでせっかく雇用した自分たちが、非常に政府の応援としては少ない、後の人の方が大きい、これはちょっとやるせないな、こういう気持ちも私はわからないではないんですね。

 ですから、ここのところ、私は今提案を含めて申し上げましたけれども、ぜひ、そういう気持ちにも応えていただけるように御検討をお願いをいたしたいと思います。

 それでは、厚生労働大臣は結構でございます。この法案の政府原案また修正について、大臣また提出者にお伺いをいたしたいと思います。

 まず、この第一条、これは何人かからもお話がありましたけれども、私たちは、国の責任を入れるべきではないか、このことが政府原案にはない、こういうことで、協議の結果、国の社会的責任、こういうことを入れました。

 これにつきまして提出者にまずお伺いしたいんですが、どういう趣旨でこれは入れることに、とにかく野党また民主党の御協力もいただいて、御理解もいただいて入ったわけでありますけれども、その趣旨をお伺いしたいと思います。その後に大臣から、国の社会的責任、こういうものを入れたことについてお伺いをいたしたいと思います。

高木(美)委員 お答えいたします。

 まず初めに、このたび、この修正案が三党を中心とした協議で速やかにまとまりまして、また、我が党でも七月からPTを立ち上げ、行政の方、また県、市町村議員ともに多くの御意見を伺いながら盛り込んできた内容がほとんどその中に盛り込まれましたことに私は安堵をいたしております。関係者の皆様にまず心から感謝を申し上げるものでございます。

 御質問につきましては、国にこれまで原子力政策を推進してきた社会的な責任があるのは事実であり、今般の原子力災害による深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興再生につきまして、国がそのような社会的責任を踏まえて可能な限り最大限の措置を講ずるのは当然のことであるというのが趣旨でございます。

 提出者といたしましては、原賠法による法的な賠償責任を負う東京電力とともに、国も、このような社会的責任を踏まえて、本法に基づく諸施策を迅速かつ確実に実施すべきであり、それによって一日も早い福島の復興再生が図られるよう、今後とも、国会審議等を通じて見守り、推進してまいりたいと考えております。

平野(達)国務大臣 政府案におきましては、福島の復興再生は国が責任を持って推進すべきとの考え方に立ちまして、国は、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有するとの規定を盛り込んでおります。

 当該規定は、これまで原子力政策を推進してきた国の社会的責任を認識した上で、それに基づく今後の責務として条文上盛り込んだものでありますけれども、修正案においては、この認識を一層明確にしていただいたものと考えております。

石田(祝)委員 私は、この国の社会的責任というのを入れるときに思い出すことは、大分前になりますけれども、被爆者援護法という法律を、私たちが政権になる前、自民、社民、さきがけのときになさったんです。

 そのときに、私たちは、国の責任を入れるべきだ、こういうことを強く申し上げたんですが、残念ながらそれは入りませんで、国の責任において施策を実行する、こういう趣旨に変わったんですね。国がやる仕事は国が責任を持ってやるのが当たり前で、被爆者援護法ができる遠因となったものについて、国の責任ということをはっきりさすべきじゃなかったか。当時私たちは野党で、当時の自民、社民、さきがけ政権の被爆者援護法、できたことはよかったんですけれども。

 そういう過去の経緯もございまして、国の責任で政策を実行するということではなくて、第一条に、社会的責任、こういうことを明確に書くことに与党も御賛同いただいたことは、私は敬意を表したいな、このように思っております。

 それでは、続きまして提出者にお伺いしたいんですが、第二十六条の健康管理調査の内容に甲状腺がんを例示した、これは何か特別な理由がありますか。

高木(美)委員 お答えいたします。

 チェルノブイリ原発事故後に明らかになった健康被害といたしまして、放射性沃素の内部被曝による小児の甲状腺がんがあります。福島県においても、子供の健康を長期的に見守るため、十八歳までを対象に、甲状腺検査を既に実施しております。

 今回、子供に対する甲状腺がんに関する検診を健康管理調査の例示として明記することによりまして、甲状腺がん検診が、国の技術的な助言、情報の提供その他の措置の対象となり得ることがより明確になり、福島県が現在行っている甲状腺がん検診の後押しになると考えております。

石田(祝)委員 最後に、第六十八条に関してお伺いをいたしたいと思います。全ての改正項目をお聞きすることはできませんので、きょうは絞ってお聞きをいたしております。

 修正の前には、予算の範囲内で財政措置を講ずることができる、こういう表現が多かったんですけれども、この予算の範囲内というのをとって、財政措置を講ずるものとすると、ある意味でいえば、財政措置に対する関与を明確にできたのではないかと私は思いますが、この六十八条の一項の、国から県の基金への財政上の措置、これについて、大臣また提出者にお伺いをいたしたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、財政上の措置についてでございますけれども、今、福島県民健康管理基金、福島県において造成されておりますけれども、これまで国は、健康管理事業を実施するための資金や除染のための資金を拠出してきております。

 今般の修正案が成立した際には、まずこれに基づきまして、この基金の状況についてフォローアップをするとともに、その状況を踏まえまして、必要となる資金の拠出を行うこととなると考えております。

高木(美)委員 健康管理調査その他、原子力災害から子供を初めとする住民の健康を守るために福島県が設けた基金は、福島の住民の健康を守るために大変重要な役割を果たすものであり、十分な規模を保つ必要があるのは言うまでもありません。

 そこで、この基金の十分な規模を確保するため、新たに第六十八条を設け、その第一項におきまして、福島県が設けた基金に対して国が必要な財政上の措置を講ずべきことを規定したところでございます。

 具体的には、国が基金に対して補助金を出すなど、一定の金銭を拠出することを想定しております。

石田(祝)委員 続きまして、第二項についてお伺いをいたしたいと思います。

 第二項は、これはもともとなかった項目でございまして、新たに挿入をした。これは、修正協議の中で、どうしてもこれは必要である、こういうことで入れることになりました。「福島県は、子どもをはじめとする住民が安心して暮らすことのできる生活環境の実現のための事業を行うときは、前項の福島県が設置する基金を活用することができる。」こういうことであります。

 大臣、お伺いをいたしたいと思いますが、これは、福島県が自分で判断をして健康に関して行う事業、これについて、政府がこういう事業はだめだよと言うことはないということでよろしいんですか。よろしいんですねと言った方がいいね。

平野(達)国務大臣 まずは、今の基金、かなりの額を積んでおります、これをきちっと実施されること、この状況をしっかりフォローして見ていくことがまず大事だというふうに思っています。

 その上で、基金の状況を見ながら、国がその段階で必要だということであれば、また財源のために必要な予算の手当てをする、こういうことをしっかりやっていくことが大事だというふうに思っております。

石田(祝)委員 私がお聞きしたのはそういうことじゃなくて、福島県が、要するに子供たちに帰ってきてもらいたい、たくさんの方が県外に出られているから帰ってほしい、そのために、健康で心配はないよと、いろいろな事業をやりたい。その事業に対して、これは国から見てなかなかオール・ジャパンでできない政策だなと思っても、福島県が判断をして基金を使うことに関して、大臣また政府が、だめだ、そういうことに使っちゃいけない、こういうことはないですねということを聞いているわけです。

平野(達)国務大臣 基本的には、福島県の意思、地域の意思ということを尊重するのが基本だというふうに思います。

 ただ、今回、お金をどのような形で出すか、どのような使い方をするか、それによってやはり医療の根幹、制度にかかわる問題もあるねということで、福島といろいろ協議を重ねてきた経緯もございます。

 こういったことも踏まえて、いずれ、基本的にはやはりできるだけ福島県の意思を尊重する、この姿勢だけは国として持ち続けなければならないというふうに思っております。

石田(祝)委員 九九%ぐらい、私の言っていることに御理解いただいたような気もいたしますが。

 最後に、時間もありませんので、ここのところ、どういう趣旨でこういう文言になったのか、当初はもうちょっと違っていたと思いますけれども、提出者のお気持ちをお述べいただきたいなと思います。

高木(美)委員 第六十八条第二項の趣旨は、福島県が設ける基金について、その対象を拡大して、子供を初めとする住民が安心して暮らすことができる生活環境の実現のための事業にも活用できることを明記したものでございます。

 この事業といたしましては、例えば、住民が将来にわたって安心して暮らすためには、充実した医療を受ける機会を確保することが重要でございます。多くの子供たちが放射能被害の不安から県外流出しているという現状を踏まえれば、十八歳未満の子供たちについての医療費の助成なども含まれると考えております。

 そのほかにも、例えば、子供たちに、簡易線量計、ガラスバッジ、フィルムバッジ等の配付であるとか、ふくしまっ子体験活動、長期の休暇に放射線量の低い地域で思いっ切り運動するような活動、そしてまた公園、通学路の除染であるとか、恐らく、県がやりたい事業は多様なものが多くあるかと思います。

 しかしながら、私は、まず、子供たちが安心してここで暮らすためには、やはり十八歳未満の子供たちに対して、今、長期避難される方もいらっしゃいますし、また、福島にとどまって、この不安、恐怖と闘いながらそこで子育てをされているお母様またお子さん、そうした方たちに対する何らかの支援ということを考えますと、十八歳未満の子供たちについての医療費の助成というのは、国としてもしっかりと支援をすべきと考えます。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 終わります。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、時間が大変限られておりますので、なるべく端的に質問しますので、答弁もぜひ端的にお願いをしたいと思います。

 初めに、提出者の吉野委員に伺いたいと思います。

 第一条の「目的」に、先ほどの議論もあったわけですけれども、「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任」という語句を入れたこと、大変歓迎をしたいと思います。ここは本当に明確にしなければならないと思っております。

 ただ、同時に、電力事業者の責任についてはあえて触れられていないわけですけれども、この点についてどのように考えたのでありましょうか。

吉野委員 御指名ありがとうございます。

 国の責任は協議会の場でもいっぱい議論が出たんですけれども、東電の責任については議論はありませんでした。というのは、原賠法で東電の責任は明確に書かれています。そして、東電の責任というのは、やはり賠償、これが一番の責任を果たすことであります。

 この賠償については、多くの国会の議論、予算委員会初め全ての委員会の議論の中で、賠償、東電の責任、そして、賠償が遅いじゃないか、足りないじゃないかという、多くの国会としてのチェック機能を果たしているところでございまして、東電に責任があるというのは当然のことであるということで、ここには書かなかった次第であります。

 以上です。

高橋(千)委員 今、東電に責任があるのは当然というお答えがございました。それはもちろん提出者の気持ちはそこに込められていると思うんですけれども、しかしそれを、やはりこれは長く、恒久法でありますので、福島の再生を果たすために持ちこたえる法律でなければならないわけですから、やはりそこは思いを形にする必要があるのではないか。

 被災者一人一人の気持ちにすれば、原発がなかったら、本当に原発の事故がなかったら、こういう思いを繰り返しされるわけですよね。さまざまな形で被災者が分断をされております。そういうときにやはり、でも、もともとは自分たちではなくて国と東電に責任があるんだよね、そこでオール福島の声ができてきたのではないか。

 だから、原賠法があるからと言うけれども、その原賠法の限界が、今いろんな意味で弊害が出ているわけですから、それを乗り越えるためにも、ここに一言あってよかったのではないかなと意見を差し上げたいと思います。

 その上で、平野大臣にも同じ質問をしたいと思います。

平野(達)国務大臣 この法案は、委員も御承知のように、まず、国による福島の地方公共団体に対する支援措置等を規定するものだということで、全体がその考え方で貫かれております。東京電力による措置や取り組みを定めるものではないというふうに考えております。

 ただし、条文上、東京電力の賠償責任等とは特に明記してはおりませんけれども、政府案ですけれども、第六十三条には、この法律に基づく措置に要する費用について、事業者に求償することを妨げない旨の規定は盛り込んでおるところでございます。

高橋(千)委員 今の答弁は、次の質問の、私が言うべきところなんですけれども。

 要するに、国が責任を持ってという、それが法律の趣旨なんだというんですけれども、東電に賠償の責任をきちんと果たさせること、それをきちんとやらせることも国の責任ではないのでしょうか。

平野(達)国務大臣 この法律の趣旨からはちょっと外れると思いますが、委員の趣旨には私は全く賛同いたします。

高橋(千)委員 そこで、今大臣が読み上げた六十三条は、条文的には、これは法律用語で言うとこういう表現しか書けないのかもしれないんですね。要するに、「求償することを妨げるものではない。」と。我々にしてみると、大変消極的に思うわけですよ。賠償できなくはないよという程度の表現に聞こえるわけですね。となると、求償できる範囲というものをどのように考えているのでしょうか。

平野(達)国務大臣 求償につきましては、避難者の皆さん方が東電に求償するというときには、一定のものは、指針みたいなものは用意されているようでありますけれども、国が使った予算につきまして、これを求償対象経費にするかしないかにつきましては、きちっとした考え方に整理しまして、これは東電に請求すべきもの、これは国が負担すべきものという区分けをした上で、東電にすべきものはきちっと請求をしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 そこで、少し具体的なことを考えてみたいと思うんですが、きょうはあえて文科大臣なども呼んでおりませんので、指針の具体的な中身については議論するつもりはないんです。

 結局、これまで指針の限界をどう超えるかということが随分議論されてきました。国が必要だと思って行った施策、そのことと今回の事故の原因がやはり関係があるからやっているわけですから、そこを思い切って、求償できる、そういうふうに仕組みをつくればいいと思うんです。

 例えば、この間の指針の中でまだ明確になっていない部分、自治体の過重負担。原発の事故に伴ってさまざまなことをやってきたわけですよね、検査もそうですけれども。そうしたものに対しての求償をどうするのかとか、今回、汚染状況重点調査区域が新たに設定をされたわけですから、そのことに伴う新たな風評被害ということが現実に起きているわけですね。いわゆる風評被害というのが最初は四県であったわけですけれども、そうしたものに対して、もうそれでは全然だめですよということで、東北全体が今声を上げています。観光業組合ですとか、声を上げている実態もございます。あるいは、食品検査の体制が、基準が今度、四月一日からは変わりますよね。そういうことに伴って、厳しい基準に対してどう体制を整えていくか。ですから、今、検査器はまだまだ普及の途上にある。

 そういう中で起きてくるさまざまな課題、あるいは出荷制限ですとか、そうしたことが新たになってくると思うんです。そういうことを全部指針で具体化しなくちゃだめよというふうにはやはりならないんだろうと。そこにもっと、国が政策的に行ったんだから、そこの一部はちゃんと東電に請求しましょう、そういう仕切りにしたらどうかと思うんですね。

 具体的な提案をします。

 例えば、今、山林の除染はまだまだ追いついていません。だけれども、一方で、その恵みを業としている生産者に対しては大変な被害になっているわけですよね。例えば、原木シイタケ。放射能の被害が出て出荷制限を行ってというところで、そのために新たな原木を別の地域から仕入れる場合に、当然値が高くつきます。あるいは、地元で、全く違う関西の方とかでも、そのために全体として値がはね上がってしまう。そういうものに対して林野庁が二分の一補助をする、こういう仕組みが予算に盛られました。

 こういうことに対して、国が、当然影響があって必要以上に経費がかさんだね、補助をしましたというお墨つきがついたわけですから、逆に言うと。では、その半分は東電に賠償を求める、こういう考え方が整理されていくのではないかと。一つの提案でありますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 賠償指針というものにどういうふうな書き方がされているかわかりませんので正確なことは申し上げられませんけれども、ほだ木というものを取りかえるという、今回の場合は放射能汚染によってほだ木を早く取りかえなくちゃならないということに関して言いますと、要するに、今のほだ木の現在価値と取りかえるときのコストの差額というのが、多分私は、一般的には求償対象経費になってくるんだろうというふうに思います。

 今の、林野庁の二分の一の補助ということについては、全体事業費の二分の一ですから、いろいろなやり方はあるんでしょうけれども、あるいはその場合は、その一部も場合によっては求償対象経費にもなってもいいのではないかという、これはちょっと、今私、指針を読まないで言っていますのでどこまで正確かはわかりませんが、そういう考え方は、私自身は十分成り立つというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、ADRですとか、現場では、本当に客観的な資料を求められるということで大変な思いをされているわけで、賠償がなかなか進まないという議論がされています。でも一方で、こうして政策的に国がきちんとやったものに対しては一番の証明になるんですね。そういう考え方を生かしていけばいいんじゃないかということで、求償の範囲をしっかりと広げていただきたいということで提案をさせていただきました。

 次に、法案の「基本理念」ですが、第二条、私は何度も読みました。やはり、理念は大変いいことが書かれてあると思います。「復旧に長期間を要すること、」や「住民の健康上の不安が生じていること、これらに伴い安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる環境を実現するとともに、社会経済を再生する必要があることその他の福島が直面する緊要な課題について、女性、子ども、障害者等を含めた多様な住民の意見を尊重しつつ解決することにより、地域経済の活性化を促進し、福島の地域社会の絆の維持及び再生を図ることを旨として、行われなければならない。」と、大変よく書かれていると思うんです。

 問題は、それが本当に具体化されていくのか、その理念が施策にちゃんとリンクしていくのかということが一番肝心だと思うんです。

 その上で伺いますが、ここにある多様な住民の意見を尊重する仕組み、これについてどのようにしていくのか。

平野(達)国務大臣 「基本理念」におきましては、「女性、子ども、障害者等を含めた多様な住民の意見を尊重しつつ解決することにより、」と規定されております。

 特に、私の場合、子供でございますけれども、先般、津波、地震地域の小学校、中学生の方々と意見交換をさせていただきました。大変厳しい、そしてまた勇気づけられる発言がございまして、特にびっくりしたのは、真っ正面に、政府は復興を本気でやる気があるんですかというふうに言われたのは、随分ぐさりときました。先般は、福島の高校生の代表と意見交換をさせていただきました。この意見交換会も、大変有意義な意見交換をさせていただいたというふうに思っています。

 今後、これから、県と市町村との意見交換会、あるいは国も、復興推進委員会等の委員会が開催されます。こういった場に、女性、子供、障害者等の関係者の方々に来ていただいて、おのおのの意見を言っていただくとか、あるいは考え方を述べていただくとか、そういったさまざまな形でこの「基本理念」を実現させていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 これも実は、特区法の議論のときに繰り返し大臣とやりとりをしたわけですね。今も理念を生かしていきたいとおっしゃったわけですけれども、なぜそれを条文には書いてくれないのかなということなんです。要するに、具体的な仕組みの中で規定が欲しかったということを指摘しているんです。理念はいいんだけれども、例えば、計画に反映させるときにということがなぜ書けないのかなと思うんです。

 その点、復興特区法案のときには、大臣が、市町村長の意見を聞くときに、当然、市町村長は住民の意見を聞いてやるんだからということをおっしゃいました。ただ、福島の場合は全然事情が違いますよね。住民はばらばらになっているわけです。まかり間違えば、役場も県外に出ている、そういう状況もあるわけですね。そうした中で住民の意見をどうやって聞いていくのかということがあります。

 仮設住宅の被災者の方からはいろいろな要望が出ますよね。寒さ対策だけではありません。でも、まだ仮設という一つのまとまりがあるので、自治会があって、意見を反映させる仕組みはある。これをうまく活用していくことも考えられるかもしれない。そうすると、みなし仮設の人たち、民間借り上げや雇用促進などに入っている人たちはほとんど情報が入ってこないんだ、そういう声も本当に寄せられるんですね。

 一方で、埼玉県の加須市に行かれた双葉町、この旧高校の校舎に入っている住民の方たちが借り上げ住宅などで少しずつ外に行ったんだけれども、なるべくその高校の近くにみんなが住まいをしているという、まるで円のような図をNHKのニュースで示していたのをテレビで見ました。つまり、少しでも役場のそばにいたい、そういう住民の気持ち、あるいは避難所に行くと、見なれた町民の方たちがいる、そういう気持ちでみんながつながっているんだというのを言っていたんですね。そこを本当に尊重すべきではないか。

 ですから、例えば、具体的なやり方としては、大変困難でもあるし時間もかかることなので、期限の決め方に少し工夫をするですとか、きのうの質問でもやりました、原発避難者特例法の活用で総務省との連携ですとか、そういうことをいろいろ使う必要があるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 委員の頭の中に思いがあるのは、多分、県外に出ている被害者のことを強く意識されているのかなというふうにとりましたけれども、特に、県外では、個々ばらばらに生活されていまして、情報が入ってこない、そういう悩みというのが私どもにも入ってきております。

 十八日、新潟県に行って、避難者の方々ともちょっといろいろ意見交換してきたいというふうに思っておりますが、いずれ委員の御指摘のとおり、いろいろな方法を使いながら、避難者の方々が寂しい思いをしない、孤立をしない、こういったことにしっかり心がけていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 これは県内でもやはり同じです。これを一言言っておきたいと思います。

 次に、細野大臣に伺いたいんですが、また時間の関係で、二問を一つにして伺いたいと思います。

 この法律の中では、除染については、放射性物質汚染対処法が既にできていて、表現は悪いですけれども、それを追認しているのが実態ではないか。ですから、新たな書き込みというのはないわけですね。そうすると、ちょっと不十分かなというのが率直な感想です。

 この対処法では、結局、地域に指定されても、年間五ミリシーベルト以下は国のお金が出ないということがまた言われてきている、これは十月に議論をした話ですよね。私は、一ミリ以下を目指すんじゃなかったですかという質問をしたことがあります。そのときに野田総理は、間違ったメッセージがあったらおわびしますということまでおっしゃいました。これがまたどうなっているんですかということになるわけです。県内にまた差をつけるんでしょうかというのが一つ。

 それから、この法律ができたからということで、それまであった、その十月の質問のときも指摘をしたんですが、例えば、保育所の園庭や校庭など、厚労省や文科省が予算をつけておりました。これはやはり、お母さんたちや先生方のやむにやまれぬ思いで、まず校庭の表土を剥ぐというところから始まったものに両省が予算をつけるということで後追いをしたものですけれども、これが法律ができたから今年度限りで終了すると聞いたわけです。

 そうすると、いよいよもって高いところのものしかお金がつかなくなる。そうすると、何だ、法律ができる前より悪くなっちゃうのかということになって、非常に何か納得いかない思いがするんです。こういう独自の取り組みに対しては、引き続いてやるべきではないでしょうか。

細野国務大臣 まず第一点目の、五ミリかどうかというところですが、結論から申し上げると、五ミリのところで線は引きません。一ミリシーベルト以上のところについて除染をするということで言っていただければ、それには国がしっかりとお金を出してバックアップをするということでございます。

 若干いろいろな議論があるのが、五ミリより下のところになってくると、膨大に、全部これを剥いで全部廃棄物にするというのが果たして効率的かどうかという議論があるんですね。つまり、優先順位をつけて効率的にやっていただいた方が後の処理も含めていいのではないか、そういう議論があるんです。ですから、そこは、やり方はそれぞれの市町村や国としっかりといろいろな相談をしていただいて効率的にやっていただくということで、一緒にそれはやっていくという姿勢に全く変わりはありません。

 もう一点の、これまで厚生労働省であるとか文部科学省がつけてきた予算というところですが、これは、一月一日から除染の特措法がスタートをして環境省の仕事になっておりますので、しっかりと引き継いでやってまいります。

 一月より前の段階では、除染については、責任の所在が率直に申し上げると明確ではありませんでした。したがいまして、それぞれの部署が優先順位をつけてそれぞれやってきた、そういう状態だったわけです。今度は環境省の責任というふうになりましたので、一ミリシーベルト以上のところについては、それこそ学校や保育園、幼稚園というのは優先順位が極めて高いわけですから、そこは最優先で取り組むという姿勢でやってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 では、責任が移っただけで、しっかり引き継ぐのだということを確認させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 まず冒頭に、平野大臣から確認をさせていただきたい項がございます。というのは、きょうの午前中の予算委員会で、我が党の阿部委員の質問の大臣とのやりとりでございます。

 このことについては、復興交付金の使途についてやりとりがあったわけでございますけれども、その中において、復興交付金のいわゆる対象事業、原子力災害のための事業について復興交付金が使われるのかどうか、対象になるのかどうか、そこのところを私はちょっと、阿部委員の方の質問と大臣の答弁の中でなかなか明快な理解ができなかった、こういうことで、ひとつ確認をさせていただきたい、こう思います。

平野(達)国務大臣 予算委員会での受けた質問は、二本松市のたしかプールあるいは子供の遊ぶ施設についての建てかえということにこの交付金事業が使えるか、そういう御質問だったというふうに思います。その際にQアンドAのことにも触れられておられましたけれども、私が答えたのは、まず、復興交付金は、大きな物理的な被害ができた施設等々の復旧を想定した制度であるということを申し上げました。

 したがいまして、二本松のああいった、たまたまプールが放射能で一部汚染されて、たしかちらっと私が聞いたところでは、除染してもまだ使えるかどうかわからないから、全面的に建てかえをお願いしてもらいたい、そういう希望が出てきたと聞いております。それは、施設そのものが物理的に大きく破壊されていないというようなことであるとすれば、今回のこの事業の対象にはなり得ないのではないか、そういう趣旨で答えました。その例示として、今回の交付金事業は、津波、地震のように、施設そのものが全面的に流された場合、こういったものに使うことを基本的には想定しているんだということで、そのことはこのQアンドAにも書いております。

 一方、QアンドAには、「「その他東日本大震災の被害からの復興のために行う事業」は、原子力災害からの復興のために行う事業が含まれます。」と確かに書いてあるんです。これは何を意味するかといいますと、この委員会でも盛んに議論になりましたけれども、原子力災害における風評被害等々は対象になりますかという、効果促進事業のことなんです。

 ここはちょっと、その経過をきっちり書いていないために若干誤解をされたかもしれませんけれども、例えば、効果促進事業として福島県における風評被害等々に使えますかということについては、私は、委員会の場においても、これは対象になりますということをお答えした経緯、そのことをもって、原子力災害からの復興のために行う事業が含まれます、そういう趣旨で書きました。ただ、このQアンドAの上の行とこれはセットになっていますから、この二つを読んでいただきますと、私の趣旨は御理解をいただけるかと思います。

 一方、あの施設については、もしそういうことがどうしても必要だということであれば、予算委員会でもうちょっと時間があればお答えしたいと思いましたけれども、子供の施設ということについては、実は福島に既に基金が積んでございます。その活用も可能だということは、私どもからも二本松市には申し上げているとおりでございます。

吉泉委員 QアンドAに書かれているとおりだという理解をさせていただきたいというふうに思いますけれども、なかなか、担当者さらには被災地の中においては、基金があるじゃないか、こういうことの中で、交付金と基金の使途を明快にやればいいし、交付金のところは、そのところから基金に回して、そっちの金で使え、こういう捉え方をされると非常に現場の段階でも混乱するものですから、このQアンドAというものはやはり一つの指針でございますから、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 次に、環境大臣の方にお伺いをさせていただきます。

 先日、大臣の方に通告をしながら時間の関係で失礼したこと、おわびを申し上げさせていただきます。

 今、高橋委員の方からも出されたわけでございますけれども、その点でもダブる部分がございます。

 実は、やはりこれもそれぞれ電話なりかかってきたわけでございますけれども、東京新聞の二月の二十九日のトップ面で、除染の一部を国が負担しないと非常に大きく出たわけですね。その中で、これまでの法案、さらには流れ、そういう面から見ると、何だこれは、こういう捉え方がされたわけでございます。

 それぞれ各自治体なんかにおいても、もう既に除染計画をきちっとやって、そして、これらの費用については全て国で持ってもらうんだ、そういう捉え方をしているわけでございますけれども、この新聞の書き方、さらにはコメントなんかも出ているわけですけれども、五ミリシーベルト以下は、具体的な作業の中身も書いて、そしてこれは対象にならない、こういう捉え方がされる記事が出まして、混乱をしている、こういう状況でございます。

 そのところで、この点についての考え方、さらにはこのコメントも含めて、大臣の方からお聞きをします。

細野国務大臣 国会で、放射性物質汚染対処特措法を通していただきました。それに基づいて、一ミリシーベルトを目標に据えるということも明確にしております。したがいまして、五ミリ以下については国が支出をしないということではないということです。明確に御答弁を申し上げます。

 先ほど、高橋委員からの御質問にもお答えをしましたけれども、現場で若干、いろいろなことでいろいろな意見が出されておるのはやり方の部分でございまして、五ミリ以上というのはできるだけばさっとやった方が下がるんですけれども、五ミリ以下ということになってくると、なかなか下がりにくいということもあって、土を全部剥ぐのがいいのか、効率的なやり方がいいのか、その辺についてはいろいろな議論があるということです。ですから、そこのやり方について、しっかりと市町村の方と調整をしていただければもちろん全て国費で出す、こういう準備を私どもはずっとしておりますし、今もそれは変わりません。

 報道は、私も、いろいろな報道があるので、一つ一つ気にはなるんですけれども、その一つ一つを、例えば、これは違うのではないかとか、抗議をしたりとかいうことは、これは、原発事故ということでは我々にいろいろな意味での責任もあるわけですし、それぞれ報道の皆さんの考えというものもあるでしょうから、そこは余り言っても仕方がないかなというふうにも思っておるんです。

 したがって、あの報道は私も見まして、正直戸惑いましたけれども、そういうことではなくて、一ミリ以上については国費で支出をする、このスタンスでこれからもまいりたいと考えております。

吉泉委員 ありがとうございます。

 ただ、この進め方なんだけれども、被災者の、例えば芝生を全て外して、そして除染をする、そのところを今度はもとどおりにするとか、屋根の瓦の問題だとか、そういう個人の財産にかかわるもので、それをもとに復旧する、こういったところについてやらなきゃならないわけですけれども、そこまでなかなか対応できない。そういう部分もあるんだろうというふうに思います。その場合は、一つのいわゆる賠償責任、こういったところに出てくるんだろうというふうに私は思うんです。

 そのやり方等について、同意書のとり方、こういったところについてはもう少し、各自治体の方の段階でも努力はしているんだろうというふうに思っておるわけでございますけれども、確かに被災者から見れば、ぜひ除染をよろしく、こういう声があるわけでございます。

 しかし、建物なり自分の財産そのものが壊されるということに対する不安、そしてそれが本当に戻されるのかというところについて、どういうふうにして同意書なり、さらには進め方の段階でどう指導しているのか。そのところをお伺いさせていただきます。

細野国務大臣 基本的な考え方としては、除染においてできるだけ財物の価値を減少しないようにするというのが基本だろうというふうに思っております。

 例えば、私も除染、何カ所か現場を見たり、自分でも一部やらせていただいたりしたんですけれども、芝生などは、ある程度の放射線量のところになってくると、剥いだ方がそこの放射線量は下がるんです。私も剥ぐ作業もちょっと手伝ったことがございます。そういった形で、ここの部分については、財物にむしろ手をつけた方が下がるというケースについては、やはりそういったことをせざるを得ないケースも出てくるであろうというふうに考えます。

 そこで、それをやる際には、当然、今お住まいの地域においては、その住民の皆さんの承諾がなければできませんし、警戒区域のような、今、人が住んでいないところについても、基本的には同意をとった上でやっております。それはかなり時間のかかる作業で、除染をスピーディーに進めるのに一番悩ましい問題でもあるんですが、それは個人の財産でございますので、しっかりと承諾をとって、財物について価値を減少させるというような場合は、しっかりとそういった対応もした上で、除染に必要だからということで、限定をした上でやるというのが今政府として臨んでいる方針でございます。

吉泉委員 もう一点、お聞きをさせていただきます。

 それは、今の避難区域の関係についての設定の問題、さらには解除について、それぞれ法案等に基づいてきちっと示されているわけでございます。そうした中において、一日も早く自分のうちに戻りたい、こういう気持ちは避難者の偽らざる気持ちなんだろうというふうに思っております。

 そういう状況のときに、やはり、自分が戻るか戻らないか、どういうふうな状況でいわゆる解除になっても気持ちが揺れ動く、そういう状況だろうというふうにも思っております。そのときに、きちっとした政府の対応の問題がやはり求められるんだろうというふうに思うわけでございます。

 今の特措法に基づいた解除については、それぞれ除染なり、そういう一つの基準値が下がったからこれは解除する、こういう状況なわけでございますけれども、この中において、やはりもう少しきちっとしたものを出す必要があるんだろうというふうに思っております。

 実は、この質問を設定したところ、担当の部署、そういった部分がなかなか明快に事務担当の方からは答えが返ってこなかったわけですね。そういった面から見ると、これから除染が進んで、そして、本当に大臣が先頭を切って頑張っていただいている、そういうところに戻していく場合の基準なり情報、そういう部分はどこで管理をしながら、どこで出すのか。大臣のところで出すのか。そういったところについて、担当部署、そういうものを明らかにしながら、この点についてお伺いをさせていただきます。

    〔委員長退席、田嶋(要)委員長代理着席〕

細野国務大臣 情報発信につきましては、政府から出ている情報という意味では、かなり膨大なものがございまして、それぞれの関係部局がやってきているという面が確かにあったというふうに思っております。

 今御質問をいただいて、改めて、もう一度一元化に取り組まなきゃならぬと思いますのは、除染は環境省がやっているわけで、モニタリングは主にこれまでは文部科学省がやってきたわけですが、除染の結果として放射線量が下がって帰れる方がふえる、そういう流れになるわけですから、やはり除染とモニタリングのデータというのは一元化をすることが一番望ましいというふうに思います。

 今、政府として法案を提出させていただいておる原子力規制庁、こういう形になると、モニタリングの司令塔についても一元化という形になります。できれば、できるだけ早く法律を通していただきたいというふうに思いますが、その前にも、できる部分で、モニタリングと除染との情報発信を一元化できるところがあれば、それには努めてまいりたいというふうに思います。

 既に、ホームページであるとか、説明会であるとか、県との情報共有であるとか、さまざまな場所で、できるだけ正確な情報をということでお伝えをしておりますが、情報を受け取る側から見たときにどういった形が一番わかりやすいのかという、その視点は欠かせないというふうに思いますので、さらにわかりやすさを高めていくための努力をしてまいりたいというふうに考えております。

吉泉委員 本当に今、確かな情報、さらにはそれを受けとめられる避難者、ここのところが一体となってやってもらわないと困るわけでございます。そんな面では、ホームページなりいろいろな面で情報発信をしているわけでございますけれども、それぞれ、横の連携を含めて、大臣の方からリーダーシップをとってもらってよろしくお願いしたい、このことを要望させていただきたい、こう思います。

 次に、平野大臣にもう一回お伺いをさせていただきます。

 福島県はフルーツの里でもございます。そして、歴史の里でもございます。そして、修学旅行に訪れる中学校、高校、小学校、非常に多いわけですね。しかし、三・一一以降、ほとんどキャンセル、こういうところに追い込まれているわけでございます。

 今回のこの法案の中にも、五十四条、五十五条、さらには外国人の通訳案内士法の特例、こういった点について手厚く対応するというふうになっているわけでございますけれども、今の現状の中において、夏場までホテルなり旅館は避難場所として提供をしていただいて、そして、夏以降はほとんど閑古鳥、こういう状況です。

 そうした中で、フラガールのキャンペーンとか、いろいろな面で福島が県を挙げて復興に向けて力強い一歩一歩に取り組んでいるわけでございますけれども、今の観光の関係については、ただ単に福島県だけでなく、我が山形県、さらには多くの東北の中において、観光客が減って大変な損害をこうむっている。これはただ単に風評被害、こういうふうな捉え方にはならないんだろうというふうに思っております。

 そういう賠償の部分がなかなか進まない、こういう状況もあるわけでございますけれども、そういう賠償の問題等を含めながら、もとに戻し、そしてまた、もっともっと観光する者が東北に来れるような、そういう一つの方策というものについて、国としてやはり示す必要、そういう部分もあるんだろうというふうに私は思っています。そんな面での大臣の見解をお伺いさせていただきます。

    〔田嶋(要)委員長代理退席、委員長着席〕

平野(達)国務大臣 今回の原発事故を発端といたしましてさまざまな被害が出ておりますけれども、その中で、観光業に与える被害も非常に大きいというふうに認識をしております。特に福島県では、一般の旅行客だけではなくて、委員からも御指摘がございましたけれども、私が認識している範囲では、修学旅行のキャンセルが相次いだということで、昨年の十月段階ごろだったと思いますけれども、対前年九五%減という、聞いてびっくりするような、本当に大打撃の状況でございます。

 あわせて、観光業に関しましては、福島だけではなくて、山形、宮城、岩手、それから関東、茨城等々にも大きな来客の落ち込みが報告されております。

 これまで国の方も、二十三年度補正予算等で国内旅行振興キャンペーンやモニターツアー事業、旅行会社・メディア招請事業、観光地域づくりの専門家チームの派遣等々の措置を観光庁などが先頭に立って行ってきております。

 しかし、やはり何といっても、この地域は放射線は低いんですよというような、そういったきちっとした情報発信、それから、その地域のよさといったこととあわせて、情報発信をこれからもしっかりやっていくことが大事ではないかなというふうに思います。

 あわせて、観光庁長官は、各政党を回って、政党のさまざまな会議をぜひ福島でやってくれというような要望をしておりますし、細野大臣は、先般、静岡県の自分の後援会の五百人の方々を福島に案内したというようなこともやっておりますけれども、我々自体もいろいろな形で、福島だけでは困るんですけれども、そういった支援をやることもできるのではないかとも考えております。

吉泉委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わらせていただきます。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 福島復興再生特措法案、きょう、ここに民自公の修正案が出てきました。ここに、第一条、「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえて」、こういうふうに条文に明記をされたわけであります。国の責任の明確化ということは福島県も求めてきた部分でもある、私たちもそうあるべきだというふうに思ってきました。こういう形で修正が行われるということは、私は大変結構なことだというふうに思います。

 しかし、であるとすればなおのこと、当初の政府案にはなぜ国の責任という部分が第一条には盛り込まれていなかったのか、こういうことをやはり問わなければいけない、こういうふうにも思うんです。復興大臣の御見解をお願いします。

平野(達)国務大臣 今回の原発事故の発生に関しましては、国の責任ということにつきましては、事故発災以来、私ども、強く認識をしてきたつもりでございます。

 政府案におきましては、これは繰り返しになって恐縮でありますけれども、福島の復興再生は国が責任を持って推進すべきとの考え方に立って、「原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有する。」との規定を盛り込んだところでございまして、そこに我々の思いは入っているという認識でございました。

 しかし、この条文では必ずしも社会的な責任が読めないということでございまして、今般の修正案をいただいているわけでございますけれども、この修正案ではその認識が一層明確になっているものというふうに認識をしております。

柿澤委員 さて、修正案においては、まさに国の社会的責任というものが明記をされたわけです、第一条に。責任という前に社会的という三文字が入っている。この三文字が入っただけで、こうやって条文を読んでいると、何やら国が具体的な義務の履行責任を負うのではなく、何となく一般論として社会的責任、こういうふうな印象も受けるわけです。

 原子力政策を推進してきた国が、原発事故による被害をこうむった福島県及び県民等の生活の再建に実質的な責任を負うという法的効果が担保されないのでは、せっかく責任を条文上明記しても、何にもならなくなってしまうというふうに思うんです。

 これは意識として、恐らく盛り込みを主張された自民党の提出者の方も同じ思いだというふうに思いますので、この社会的という三文字がなぜ入って、どういう意味があるのか、これをお尋ねしたいというふうに思います。

吉野委員 お答えを申し上げます。

 修正協議の場では、やはり大きな大きな争点といいますか議論がこのことでございます。

 私も、かなりの委員会の場で国の責任を追及してまいりました。最初のころは、一義的には責任は東電にありという言葉を政府は多く使っていました。予算委員会で菅総理に私は、連帯責任があるんじゃないかという質問をした結果、菅総理から、連帯して責任があるという答弁を引き出すことができたわけです。

 折に触れて、国の責任ということを言ってきたわけです。この第一条「目的」にも書かれておりませんでした。ですから、私たちは、国の責任ということをまず書くべきだということを協議の場で主張してきたわけであります。

 しかし、いろいろ協議の結果、社会的という三文字が入ったわけであります。でも、この三文字、社会的という文字が入ったから国の責任が薄らいだということは、決して薄らぐことはない、いささかも委員心配の薄くなるという点はないということを協議の場の議論の中で確認しているところでございます。

柿澤委員 これまでの質疑の経過で、国の責任を認めるよう求めてきた吉野先生の御苦労が本当にしのばれる、こういう御答弁だったというふうに思います。

 聞き及ぶところによると、他の法令でも、こういう形で国の社会的責任という文言が出てくる法令があるというふうに聞いております。そうしたものの中にどのようなものがあって、それらの法令における国の社会的責任という文言によって、きちんと国の実質的な責任は全うされているのか、この点についても確認をしておきたいというふうに思います。

吉野委員 他の法令では原子力損害賠償機構法といわゆる放射性瓦れき対処特措法、この二つがございます。賠償支援機構法、これは修正協議で議員の方で修正をかけました。国の社会的責任があるという修正をかけました。また、瓦れき対処特措法、これは議員立法でありまして、どちらも我が自民党は賛成をしているところでございます。

 そして、私たちは、この二つの法律、特に議員がかかわって修正をし、また議員立法でつくったこの法律が、政府がきちんと国の責任を果たしているかどうかを私たちは厳しいチェックをしていく、こういうことで取り組んでいるところでございます。

 以上です。

柿澤委員 これだけ国の責任、社会的という三文字が入るだけで、本当に国が責任を全うするのか。何度も何度も聞いているのは、この原発事故にかかわる問題について、国の責任という言葉がある意味では宙に浮いて泳いでしまっている、こんなふうな印象を私はややもすれば受けているからなんです。

 昨年の震災復興特別委員会だったでしょうか、細野大臣と除染の話を一番最初にしたのは、多分五月、六月、そんな時期だったと思いますけれども、そもそも、これから市町村が除染を進めていく上で、例えば地域の方々が除染の活動をする、そういうところを国が本当に見るのかということについて、はっきり見えなかった。そこで国の責任ということを細野大臣は明言されました。明言をされましたが、しかし、今も一ミリシーベルトから五ミリシーベルトのところはどうなるのか、こういうことが現地から見ると懸念の材料になっている。

 そういう形で、結局、どこからどこまでを国が責任を持つのかということについては、絶えず厳しく福島県のサイドに立って見ていかなければいけない、こういうことなんだろうというふうに思うんです。しかも、こうしたものの影響が大変長期に及ぶということは、ある種覚悟をしなければいけない、こういうことでもあると思います。

 そういう意味で、一点お伺いをするんですけれども、低線量被曝によると思われる将来の健康被害、これが発生した場合の医療、福祉に関する措置について、この文言、あるいは、例えば六十五条、こういった文言で、国が財政的な責任を含め責任を負う、こういうふうに読んで差し支えないのかどうか。そこをお聞きしたいというふうに思います。

 低線量被曝のリスクについては諸説あるわけです。チェルノブイリの経験を見ても、確たる所見はなかなかわからない。自分がどれだけ被曝しているのか、それも正確なところはわからない。人々は大きな不安を感じながら生活をしているわけです。長い歳月が過ぎて、因果関係も立証困難となって、しかし、疫学的にマクロでいえば健康への影響が統計的にそれなりに有意に出ている、こういうときに、私や私の子供の医療、福祉は国の責任でカバーしてもらえるんですか、こういうことをやはり福島の不安に思っている方々は聞きたい、こういうことなんだと思うんです。

 この点について御答弁をお願いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、健康管理調査や放射線対策など、福島復興再生特別措置法案に盛り込んだ施策にしっかりと取り組みまして、放射線被曝に対する不安解消に必要な措置を講じることが重要と考えます。この中には心のケアも当然入ってくるというふうに考えております。

 その上で、福祉や医療体制の充実を含め、さらに必要となる施策にも取り組まなければならないと考えております。

 万一、放射線被曝に起因する疾病にかかった場合の医療費については、基本的には、賠償措置により東京電力に求償すべきものであると考えております。

吉野委員 おっしゃるとおり、低線量、長期被曝をするわけですから、当然、将来、健康被害が出てくるおそれがあると思います。だからこそ我々は六十五条を新しくつくって、ここで、第一条に掲げた国の責任、これが大きな全ての施策にかかわってきます。具体化したものの一つとして六十五条があるわけでありまして、当然、国の責任を果たす上で、将来生じるであろう、生じるかもしれない健康被害、また医療、福祉等々において国の財政的責任、これは、努めるものとするではなくて、講ずるものとすると、ここまで言い切ったわけでありますので、それは国の責任があるということでございます。

 以上であります。

古賀委員長 柿澤弘治君。柿澤未途君。

柿澤委員 今、何か私の父の名前をお呼びいただいたようでございますが、大変光栄に存じます。

 いずれにしましても、今、自民党提出者の吉野先生の御答弁をお願いしたのは、修正案を提出した方々の、政府案に対してここの部分を明確化しなければいけないという思いをやはり議事録にも残して、しっかりその方向で施策を政府に講じて進めていただく、こういうことを担保する必要がある、こういうふうに思ったからであります。

 その点で、もう一点、六十六条に関連してお伺いをいたします。

 産業の再建に関して、私は、再生可能エネルギー特措法案の審議に当たって、再生可能エネルギーの川下として、土を使わない水耕栽培によるいわゆる閉鎖型の野菜工場を福島県内に集中的に立地したらどうか、こんなことを鹿野農水大臣に御提案申し上げたことがありました。私は、これは今も復興再生の一つの切り札だというふうに思っております。

 こうした再生可能エネルギー、もちろん発電、送電なども含めてですけれども、こういうものに関連したり、あるいは医療関連の産業立地について財政上の措置その他の措置ということになっているんですけれども、例えば税制上のインセンティブなど、ありとあらゆることを講じなければやはりなかなか強力には進めていけない、こういうふうにも思うんですね。この点、本来であればもっともっと具体的、詳細に明記をしていくべきではないか、福島県議会の私たちの仲間からもそんな声が上がっているんです。

 この点、どのようにお考えになられているか、お伺いしたいと思います。

梶山委員 産業の再建は福島の再建にとっても不可欠であるという認識は、委員と考え方を一にするところであります。長期間避難をして、そして、その方たちが帰還をして、その地で暮らして働いて所得を得る、そうするためにも、委員がおっしゃいましたように、国が主導して再生可能エネルギーや医療の拠点整備を行うべきであると考えております。

 その際には、復興特区法に基づく税の特例措置など現行法上の財政措置を使うとともに、本法案におきましても、政府原案の第五十六条の重点推進計画の内容として、再生可能エネルギー源の利用、医療拠点整備を通じた新たな産業の創出などを盛り込むことができることとなっております。したがって、重点推進計画に盛り込むことによって、第五十八条、中小企業基盤整備機構による土地の無償譲渡の対象となるほか、同第五十九条により国が必要な措置を講ずることとなります。さらに、足らざるところが出てくれば、新たな特例措置を講じていくべきであると考えております。

 このようなことを念頭に、本修正案におきまして、附則第二条の検討条項におきまして課税の特例を検討することを明記することとしており、今後、適用実績や地元の意向等を総合的に勘案して、必要な措置を講ずるべきであると考えております。

柿澤委員 今まさに、梶山先生の方から、足らざるところは、これから補い、改めていく、こういうお話がありました。

 この法案においては、施行後三年以内にこの法律の規定の検討を行うことになっているわけですけれども、しかし、福島における現場のニーズは時々刻々変わっていくわけであります。三年という期間は非常に長いものがあります。

 そういう意味で、三年以内の見直しではなくて、私は一年単位のレビューが必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、この点については、修正案提出者また復興大臣ともどもに、見解はいかがでしょうか。

梶山委員 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 ここで三年以内とありますのは、三年を目途にといった検討条項とは異なりまして、遅くとも三年以内という意味であり、事柄によってはそれよりも早い段階で見直しをすることは一向に構わないという修正段階での合意を得ております。

 したがいまして、本修正の結果明記することといたしました課税の特例を含めて、本法施行の状況や復興再生の状況を勘案し、また、福島の住民の方々の意向にも留意をしながら、必要に応じて随時速やかな見直しが行われていくべきことは、修正案提案者といたしましても当然であると考えております。

平野(達)国務大臣 本法案におきましては、附則における見直し規定のみならず、これは附則第二条でございますけれども、基本方針の変更についての福島県の提案、それから規制、手続の特例についての福島県の提案等の規定を盛り込んでおりまして、福島の復興再生の進捗状況、それから福島県、市町村の意見等を踏まえつつ、必要な見直しが逐次行われていくことになるというふうに考えております。

柿澤委員 疑問点が相当程度、明確化されたというふうに思います。

 最後に、法案と直接関係がありませんが、一つ平野大臣に御質問したいと思います。

 放射性物質による汚染土地の国による買い上げが言われておりますけれども、土地所有の名義者であることの多い、世代の高い方々というのは、若い人に比べて故郷に帰りたいという思いが強いように思います。いきなり買い上げで、長年耕してきた愛着のある土地を手放してしまうというのは、抵抗があるんじゃないかというふうにも思うんです。

 そこで、みんなの党では、小野次郎参議院議員が中心になって、この汚染された土地の国による借り上げを可能にする法案をつくっております。これは、所有者に土地賃借料を払いながら、借りている間に国の責任で除染を行って、除染が成功すれば所有者に戻す、除染が功を奏さない場合は、その時点で国が買い上げを実行する、こういうものであります。

 ふるさとに帰りたい、こういう望みを断ち切ることなく、当面の生活の費用を国が賃借料として支払う、こういうすぐれたアイデアではないかと私は思います。福島県内、双葉郡の首長さんにもお話を聞きました。いろいろな意見がありましたけれども、しかし、こういうものも必要になってくるかもしれない、こういう御見解もいただいています。

 平野復興大臣もこの法案については御関心をお持ちであるかのようにも聞くんですけれども、この汚染土地の国による借り上げについて、見解をお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 これから、警戒区域の見直し等々に伴いまして、いわゆる半ば強制的に避難をさせられた方々の帰宅についての検討を本格的に今始めつつあります。

 そして、その中で、委員御指摘のように、長期にわたって帰宅が困難な地域の不動産、特に土地の扱いをどうするか、これは一つの大きなテーマでございまして、当然、所有者の方々、避難者の方々の考え方が尊重されるべきでございますけれども、買い上げる、あるいは借り上げる、そういった形態があろうかと思います。そのときの、誰が買うのか、誰が借りるのか、どういう価格が設定されるのか、こういったことについても、今、鋭意検討中でございます。

 いずれ、今委員から御指摘のあった借り上げということについても、一つの重要な手段になり得るというふうに考えております。

柿澤委員 時間も参りました。質問は終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 ただいま議題となりました福島復興再生特別措置法案並びに六党提出の修正案に対し、日本共産党を代表し、賛成の討論を行います。

 東日本大震災による地震、津波被害に加え、東京電力福島第一原子力発電所の事故という三重苦に見舞われた福島県の復興再生にとって、既存の法律や制度の枠を乗り越えた特別の立法措置が必要であることは、我が党が被災当初から要求してきたことであり、福島の再生と復興は原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けたという特殊な事情を踏まえて行われるべきとして、本法案が提出されたことは歓迎すべきことです。

 法案は、基本理念で、「原子力災害により多数の住民が避難を余儀なくされたこと、」「放射性物質による汚染のおそれに起因して住民の健康上の不安が生じていること、」など、福島県民の置かれた深刻な状況を踏まえ、福島の復興再生を図るためには、「安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる環境」の実現を初め、福島が直面する課題を多様な住民の意見を尊重しつつ解決していくことをうたっています。

 問われるのは、この基本理念が文字どおり具体化されるのか。原発事故により人生を大きく変えられ、家族がばらばらにされた全ての福島県民が主役であり、一人一人の日常を取り戻すためにこそ、この特別措置法が生きるということを期待します。

 そうした立場に立って、以下に何点か意見を述べます。

 一つは、法目的にある「原子力災害」は、国による原発推進政策と東京電力福島第一発電所の事故によって引き起こされたものであり、事故を引き起こした国と東京電力の責任を明確にするべきです。

 二つは、復興再生に関する各種計画の策定に際し、住民の意見を反映させるための規定が明確でないことです。

 三つは、県民の健康管理調査は、長期にわたり管理、調査を必要とするものであり、国の責任で実施するべきです。

 さらに、除染についても、福島県内さえ線量で線引きをする放射性物質汚染対処特措法を追認するだけであり、積極的に国が除染を進めていく姿勢に欠けています。

 最後に、本法案は恒久法ですが、復興庁は十年の時限立法であります。人々の暮らしとふるさとを再生させていく長い粘り強い取り組みを、体制的にも財政的にも国が責任を持って支えることを強く求めます。

 福島のための特別立法は、県民に待たれていたものであり、賛成をします。また、六党修正案は、我が党の意見も反映され、本法案の不十分なところを補うものとなっていますので、賛成であります。さらに、福島県自身が知事の提案制度などを生かして本法案を使いこなしていくことを期待して、賛成の討論とします。(拍手)

古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、近藤洋介君外八名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、近藤洋介君外八名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、新党きづな、社会民主党・市民連合、みんなの党、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の九派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 福島の復興及び再生に関する各種計画の策定に際しては、福島県が中心となって策定するとされているが、地域の実情に応じた細やかな施策を進める観点から、市町村等の意見も十分に反映すること。

 二 原子力発電所事故による災害という特殊な事情に鑑み、福島県とともに、県内外への避難者が将来の展望を描けるよう復興及び再生の具体的な道筋を明確にするとともに、その進捗状況を随時公開し、政策の立案に活用すること。

 三 復興及び再生を、迅速かつ着実に進めるため、十分な財源を確保すること。

 四 人命救助や産業再生の観点から、必要な交通インフラの早期復旧に向け、国による代行等を含めた必要な措置を積極的に講じること。

 五 農林漁業者が、今後も福島県において生産活動できるよう、各種計画の策定において、格別な配慮をすること。

 六 産業活性化のため工場等の産業集積を行う際、円滑に事業展開が行えるよう、区域指定等について、特段の配慮をすること。

 七 健康被害に対する不安を払拭するため、万全な措置を講じること。

 八 除染等の措置等の実施に当たり、必要な資機材を福島で調達するよう配慮すること。

 九 他の地域との教育格差を防止する観点から、教育環境の改善に配慮すること。

 十 平成二十三年十二月に、福島県がいわゆる電源立地地域対策交付金を辞退したことに鑑み、電源開発促進税の課税目的を含めた電源開発促進税制の見直しやエネルギー対策特別会計の見直し等により、当該交付金に代わる財政上の措置を講じること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣平野達男君。

平野(達)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

古賀委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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