衆議院

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第3号 平成25年3月25日(月曜日)

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平成二十五年三月二十五日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 後藤田正純君

   理事 あかま二郎君 理事 小里 泰弘君

   理事 土井  亨君 理事 黄川田 徹君

   理事 椎木  保君 理事 高木美智代君

      石川 昭政君    小田原 潔君

      大久保三代君    勝沼 栄明君

      門  博文君    菅家 一郎君

      菅野さちこ君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    島田 佳和君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      高橋ひなこ君    武部  新君

      津島  淳君    冨樫 博之君

      中川 俊直君    橋本 英教君

      藤原  崇君    安住  淳君

      郡  和子君    階   猛君

      吉田  泉君    足立 康史君

      小熊 慎司君    三木 圭恵君

      村岡 敏英君    石田 祝稔君

      中野 洋昌君    柿沢 未途君

      林  宙紀君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   環境大臣         石原 伸晃君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   国務大臣         甘利  明君

   復興副大臣        谷  公一君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   財務副大臣        小渕 優子君

   厚生労働副大臣

   兼復興副大臣       秋葉 賢也君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     島尻安伊子君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    北村 茂男君

   文部科学大臣政務官    義家 弘介君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    平  将明君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    秋野 公造君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       土屋 定之君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          山口  敏君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     新谷 正義君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  中川 俊直君     武部  新君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  新谷 正義君     石川 昭政君

  武部  新君     中川 俊直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤田委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省科学技術・学術政策局長土屋定之君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官山口敏君、国土交通省土地・建設産業局長佐々木基君、国土交通省鉄道局長滝口敬二君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省水・大気環境局長小林正明君、原子力規制庁審議官山本哲也君及び原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 御紹介いただきました菅家一郎でございます。よろしくお願いいたします。

 福島県の会津から選出されまして、三・一一のときは、会津若松の市長を務めまして、原発における避難を余儀なくされた多くの方々の受け入れをさせていただきました。特に、会津若松市は大熊の町民の方がたくさん避難をされて、その受け入れをさせていただいて、現場でのかじ取り、指揮をとってまいりました。その経験を生かして、今度は国政の立場でしっかりと貢献してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 とともに、根本大臣、森大臣におかれましては、同じ福島県出身ということで、まさに福島県は東日本大震災の中でも原発事故という極めて深刻なダメージを受けた県、その再生復興に大変心強い思いをしております。ともに取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 まず一点は、何といっても、受け入れをしてきたわけですが、やはり原発事故で余儀なくされた方がたくさんおられるし、そういった意味では、福島県の再生復興に一番重要な、優先順位も含めて重要な施策は何か考えてみますと、それは原発事故といいますか、東京電力福島第一原子力発電所の事故の早期収束とともに、今度は廃炉に向けた対策がやはり一番重要なのではないか、このように私は思うわけであります。

 鋭意努力をされておられると思うんですが、今回、ちょっと気になる、何点か確認したいのは、三月十八日、いわゆる東京電力福島第一原発の停電で、一、三、四号機の使用済み燃料プール代替冷却システム停止、これのトラブルが起きたわけでございますけれども、これは非常に県民も不安になって、果たして大丈夫なんだろうか、こういう状況にあるものですから。

 私も市長時代、やはり情報の収集と、それに対する、国としてしっかりと迅速に対応するシステムといいますか、そういうものが当然安心につながるわけでございますけれども、今回のこのトラブルに関して、新聞報道では、原子力規制庁へは早い段階で通報があったと。

 これを踏まえて、危機管理ではありませんけれども、当然ながら、各大臣も含めて、情報収集したものを総理に伝えながら、どのように対策本部を講ずるのか、この段階だといいのか、いろいろ判断があろうかと思うんですけれども、こういった情報の共有と組織的な対応という意味では、今回のトラブルを踏まえて、非常に不安視されておりますから、その辺の対応について、ちょっとお示しをいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の田中でございます。

 お答えします。

 今回の停電について、東京電力では、事態の発生から対外公表まで三時間程度を要したということであります。また、復旧の見込みを示さない中で、設備の停止状態が長時間続いて、全体の設備が復旧するまでに約三十時間を要したということであります。

 原子力規制委員会としては、事業者からの連絡を受けて、原子力規制庁職員が直ちに現場に赴き、その後、事業者の対応状況や原子炉の冷却状況、あるいは使用済み燃料プールの温度などを監視し、安全上異常のないことは確認しております。

 当委員会としましては、今回の停電事故を受け、各種設備の信頼性向上のための取り組みをできるだけ前倒しして実施するよう東京電力に求めたところであります。また、原子炉や使用済み燃料プールの冷却設備等についても、安全上十分な余裕を確保しつつ、トラブル発生時における早期復旧のための方策や体制の整備を求めていきたいと思います。

 いずれにしても、原子力規制委員会にとって、福島第一原子力発電所における安全確保は最重要課題の一つでありますので、安全確保に万全を期してまいりたいと思います。

 今回の事故については、以上のような措置をとったところでございますけれども、このような事故発生後の対応が迅速かつ適切に行われなかったことによって、地元自治体や住民の方々に大きな不安を与えたことは、まことに遺憾であるというふうに思っております。

 今後、常に、こうした事態が発生した場合には、住民の方々の目線に立って、速やかに状況を発表し、御心配をかけることのないように、規制委員会としても事業者に厳しく求めてまいりたいと思っております。

菅家委員 いわゆる原子力規制委員会、確かに、専門的な方々で構成されておられますから、これからのトラブル云々に関しても、そういった見地から正しい判断がされるかと思うんですが、やはり、この規制委員会あるいは規制庁のそういう方々の役割は、トラブルが起きたときに、閣僚の皆様方が総理に例えば状況を伝えるのに、しっかりとした情報を収集するには極めて有効な機関だと思うんです。

 今後、トラブルが起きたときに、そういうネットワークを組んで、しっかりとした情報収集をされて、総理に適切なアドバイスをされる、最終的には総理の判断で、深刻なときには対策本部ができるのかどうか、国としての対応になるわけでありますが、当然そういうことがなされるだろうとは思うんですが、その辺の確認だけさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 お答えします。

 こういった原子力事故が起きたときには、緊急時対応として、総理のもとに国の対策本部ができまして、私は、そこの副本部長の一人として、事故の、そういった御指摘のような対応をやるということになっておりますので、そのことについて、今、常に心しているところでございます。

菅家委員 ぜひ、トラブルがないにこしたことはありませんから、絶対ないように対応しながら、万が一のときには迅速に対応していただきたい、このように思います。

 今回、ネズミと見られる小動物の死骸があって、接触し、配電盤がショートし、停電の原因の可能性が示されたが、これもあくまでも可能性であり、原因はいまだに確認されていないということなんだそうですね。ですから、何となく、原発事故の早期収束というよりも、極めて不安定であるということが報道によって明らかになったという面も感じられるわけでございます。

 ですから、今後予想されるさまざまな地震などの災害時において、もしかすると信頼を失ったような事故につながったのではないかというふうにも感ずるわけでありますけれども、この辺の御認識はいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 大変御心配をかけて、大変申しわけなかったと思います。

 私どもも、福島原子力発電所の安全確保は非常に重要な課題だと認識しておりまして、できるだけ安全性のバックアップということについては事業者に求めてきていたところ、今回のような、仮設のいわゆる配電盤の中にネズミのようなものが入り込んでショートして停電が起こったということの教訓を踏まえまして、速やかにそういったバックアップ施設の充実ということを強く今事業者に求めているところでございます。

菅家委員 安全確保を第一として、ひとつ対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それで、避難解除等区域復興再生計画、これを実施するわけでございますけれども、その計画の取り組み方針、目標において、東京電力福島第一原子力発電所の安全確保、これが明示、提起されているわけでございます。

 私も、当然、環境放射線量が安全な値である、生活するのに問題がないという確認と、もう一つは、この福島第一原子力発電所がどのような災害に遭っても再び被曝するようなことがない、安全であることを確認することが前提である、このように思っているわけでありますが、このたびの事故を踏まえ、福島第一原子力発電所の万全な安全対策に取り組み、専門的見地から信頼を得られ、安全が確保されることが重要であり、それを踏まえて対応すべき、このように考えておりますが、いかがなものでしょうか、そういうことでよろしいんでしょうか。

根本国務大臣 菅家委員がおっしゃられましたように、私は当然の大前提だと思います。

 具体的には、今我々、早期帰還・定住プラン、あるいは今の復興再生計画がありますが、例えば、避難住民の早期帰還を実現するために取りまとめた早期帰還・定住プラン、これにおいても、安心及び安全に向けた取り組みとして、東京電力福島第一原子力発電所の安全性確保、廃炉の安全、確実な実施、これについて盛り込んで、取り組みを進めているところであります。

 今後とも、避難されている住民の皆さんが安心して帰還できるように、避難された皆様の安全を第一に考えて、我々、関係省庁としっかり連携して取り組みを進めたいと思っております。

菅家委員 しっかりと、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それで、この早期収束、廃炉なんですけれども、三十年、四十年ですか、廃炉の見通しが示されたわけですが、やはりできる限り早く対応すべきだと思います。これは東京電力の対応と国の対応があるわけですけれども、やはり、国策といいますか、連携を組んで、しっかりと国も責任を持って対応すべきだ、このように考えるわけでございます。

 その中で、やはりここは、英知の結集と技術力の結集、それをもって廃炉に向けて取り組む必要がある。ですから、国際的な人材も含め、仮称でありますが、国際福島原発早期廃炉プロジェクトチームなど、このようなものを結成して、国と連携を組んで、財政的な支援もしながら、早期収束、廃炉に向けた取り組みをすべき、このように思いますが、いかがでしょうか。

平大臣政務官 経産大臣政務官でございます。

 今委員御提案の、国際福島原発早期廃炉プロジェクトチームの結成に関して御質問がございました。

 まずは、福島第一原発の廃炉へ向けた取り組みについて、これまでに経験のない、技術的に困難な課題を伴うものであり、さまざまな技術、機器の開発が必要でございます。これらの研究開発を国内外の有識者から技術的助言を得つつ効率的に進めるため、現在、官民が協力をして、研究開発運営組織の設立に向けて準備を進めているところでございます。現在、準備組織が稼働中でございますので、六月をめどに設立をする予定になっております。

 また、研究開発においては、国が主導的な役割を担っていく観点から、平成二十四年度補正予算を活用して、研究拠点施設の整備を行うこととしております。

菅家委員 もう一つの課題は、高い放射線量といいますか、これが大きな課題だと言われておりますので、当然、遠隔操作やロボットなどの技術により対応していかなくてはならないわけであります。

 そこで、国は、遠隔操作技術を初め、廃炉に関する技術開発のため、公募等により、国内外の最もすぐれた技術や研究者を集めることができる体制、これを速やかに構築すべきと考えますとともに、遠隔操作技術、溶融燃料の分析技術などの開発のため必要な予算措置を速やかに講ずるべきと考えますが、お考えをお聞きしたいと思います。

平大臣政務官 今委員御質問ございました部分につきましては、体制については先ほど御答弁をさせていただきましたが、予算面におきましては、具体的には、放射性物質の研究や遠隔操作ロボットの実証等を実施する研究拠点施設を整備する予算として八百五十億円を確保し、独法であります日本原子力研究開発機構を中心として、関係機関の協力のもとで早急に具体化を図っているところでございます。

 また、あわせて、原子炉建屋内作業のための遠隔操作機器、装置等の技術開発や、炉内状況の把握、解析手法の確立など、研究開発を推進するために、平成二十五年度政府予算案で八十七億円を要求しているところでございます。

 いずれにいたしましても、今まで経験をしたことのない未知の分野でございますので、広く英知を結集して対応してまいりたいと思いますし、その体制がタコつぼにならないように配慮しながら進めてまいりたい、そのように考えております。

菅家委員 それでは、よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 福島県は、平成二十三年三月十一日のいわゆる東日本大震災による原発事故だけではなくて、七月に、新潟・福島豪雨によりまして、会津地域、特に、奥只見ダムや田子倉ダム、只見ダム、これの放水によりまして只見川が深刻なダメージを受けたわけでございます。橋や鉄橋は流されて、道路などや多くの人家が浸水の被害に見舞われました。激甚災害の指定を受け、復興再生に取り組んでいるところであります。

 そこで、地元の只見町の只見町議会災害対策特別委員会では、今月、三月二十三日までに、平成二十三年の新潟・福島豪雨災害の課題について検証する最終報告書をまとめたわけでございまして、それによりますと、行政、電力事業者が河川法や地域防災計画の対策を遵守しなかったことにより被害が拡大した、このように結論づけているわけでございます。

 大規模な自然災害だったことを踏まえた上で、ダム操作規程の運用に当たって、これまで、国、県、流域電力事業者間において、水系一貫管理の原則を尊重し、洪水を調整するための情報交換をした事実が確認できないからである。

 また、電源開発の情報交換が不足していたこと、只見川で、県と同社が管理する区域で砂がたまっていたことなどを被害拡大の一因として実は指摘をしているわけでございます。

 国は、各河川の氾濫状況とダム放水の時期、さらには各ダム操作規程の運用について、只見川水系に係る河川の状況を総合的に考慮していたとは考えにくい。さらに、田子倉ダムの下流の万歳橋が放水により落橋している事実から、ダムの放水が原因であるのは明らかである。

 これらを踏まえますと、この洪水災害の発端が記録的な豪雨であっても、自然災害であると言い切ることはできないと考えるものであるというのが地元の議会の総意である。

 こういうわけであります。

 さらに、田子倉ダムの下流、只見町と金山町の境界に滝ダムがあるわけでございますが、当時、滝ダムは、堆積した土砂がたまり過ぎ、取り除く作業が電源開発株式会社の手で行われていた。滝ダムで作業していたのは全部で十隻で、土砂を掘り起こすバックホーを積んだ大型船が一隻、土運搬船が二隻、押す船が二隻、通い船が二隻、集じん船が一隻、巡視船が一隻、浮き桟橋が一式の十隻である。この十隻が豪雨で流されたのである。橋に物すごい金属音でぶつかる音が聞こえた事実もある。橋や鉄橋にこの作業船がぶつかり、壊した可能性は否定できないということから、只見川の災害は、単純に自然災害だけが原因ではなく、人的な要因であるのではないか、このように思っているわけでございます。

 それらを踏まえますと、現在、JR只見線は、その影響で三つの鉄橋が落ち、会津川口駅から只見駅間が不通で、再開通のめどが立っていない。一日も早く再開通を目指している地元の熱い思いを重く受けとめ、今申し上げたような要因もあることから、国としてJR只見線を守り、再開通へ支援すべき、このように考えますが、お考えをお示ししていただきたいと思います。

鶴保副大臣 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、現在、会津川口―只見間が運休をしております。この区間では、御指摘のとおり、三つの橋梁が流失するなどの大きな被害がございます。

 JR東日本では、現在、この区間の運行を再開するとした場合にはどの程度の事業費が必要であるか、検討を行っているところでございまして、現時点での概算は五十億から百億という大変幅のある規模と見込まれております。

 一方で、運休区間は、沿線住民の生活交通手段であり、観光路線としても利用されておりましたので、被災前における同区間の利用者は一日数十人程度の規模となっております。

 このため、運転再開に向けて、再開に要する費用をどのように負担するのか、また、地域の方々がこの路線の復旧後にどのようにして活用していくのか等の課題について、地元自治体とJR東日本との間で意思疎通を図っていくことが重要であると考えております。

 国土交通省としては、このような問題意識を地元自治体にお伝えするとともに、JR東日本に対し、沿線地域の意向にしっかり耳を傾けるよう指導をしておるところでございます。

菅家委員 今申し上げた点を踏まえますと、いわゆる原因、二度と同じ災害を繰り返さない、同じような災害が来たときには、また同じような災害になってしまうわけですから、徹底した原因調査を行う必要があると考えますが、お答えいただきたいと思います。

滝口政府参考人 ただいま副大臣から、JR東日本において事業費の見積もりを行っているということを申し上げたところでございます。

 JR東日本におきましては、この見積もりに際しての橋梁のかけかえに係る技術上の検討に当たっては、同種の再度の災害が生じることのないようにといったような問題意識を持っておりまして、河川管理者などと相談をしながら検討作業を行っていくこととなるというふうに考えております。

菅家委員 はい、わかりました。

 この只見川のダメージ、自然災害かどうかというのは、いろいろ地元では、今申し上げたような指摘をしているわけでありますので、しっかりと今回の洪水被害の原因を調査する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

滝口政府参考人 再度同じようなことが起こってはいけないということが非常に大きな問題だろうと思っております。

 このために、今回の事業費の見積もりに際しても、再度同じようなことが起こらないようにということをJR東日本では念頭に置きながら、事業費を見積もっているというところでございます。

菅家委員 私の趣旨はそうじゃなくて、只見川豪雨災害の原因をしっかりと調査すべきだというふうに申し上げておりますので、ひとつよろしく御答弁をお願いしたいと思います。

滝口政府参考人 問題としては、同じような災害が起こらない、これが一番重要なことではないかというふうに実は思っております。

 そういう意味では、今回、どういうような対策を講じた橋梁をかければ同じようなことが起こらないのか、そういったような問題意識を持って事業費の見積もりを行っているところでございます。

菅家委員 そうではないんですね。私が聞いているのは、橋梁の云々の調査ではなくて、只見川豪雨災害における原因は、地元でこのような考え方が示されているわけですから、しっかりもう一回調査すべきじゃないですかというふうにお聞きしているんです。

鶴保副大臣 委員御指摘のとおり、河川の問題の範囲について、原因究明をしっかりとさせていただきたいと思います。

 ただ、委員御指摘ございましたとおり、この原因究明に当たって、電源開発ですから、上流のダムの状況等々になりますと、それぞれの分野がございまして、恐らく、連携をして検討も重ねていかなければならないというふうになろうかと思います。

 個人的な話ですが、私も、実を言うと、地元で同じ問題がございまして、これは今議論をさせていただいている中で大変苦労しているという状況でございますから、私たちも、先生と同じように問題意識を持って、これから原因究明に当たらせたいというふうに思います。

菅家委員 しっかりと原因調査をお願いしたい、このように受けとめさせていただきたいと思います。

 それでは、次に移ります。

 先ほど申し上げましたように、災害、東日本の震災、原発事故を受けて、会津若松市には避難を余儀なくされた大勢の方が避難されてこられております。二十五年の一月三十一日現在でも、会津若松市には、原発避難者特例法による十三市町村の中で避難をされている方が約四千人を超えています。四千百二十五人です。これは一月三十一日の時点。

 当初は体育館に避難をし、次は旅館、ホテルに避難をし、次に仮設住宅、そして借り上げ住宅という形で、とにかくもう待ったなしで取り組んできたわけでございまして、これももう二年もたった。

 仮設住宅は、皆さんも御承知のとおり、一戸建てで住んでいた家族が一カ所で住めないわけですね。分散している。子供たちは子供たちの部屋というか住宅、そういうふうに、家族がばらばらになってしまっているんです。これが現状になっています。時間がたてばたつほど、こういう状況になっているわけですから。

 ただ、問題は、例えば、会津若松の大熊町を例にとれば、戻れるのか戻れないかがわからない、これからどのような生活設計をしたらいいのか、今後の生活の見通しがつかないことが彼らの苦しみであり、現状なんですね。

 まさに、いわゆる長期避難者生活拠点形成事業が示されたわけでありますけれども、しかし、ここに残るべきか、戻れるのか。そういう意味では、今回の復興住宅も、あいている土地に建てるわけです。これはこれである意味ではいたし方ありませんが、やはりきちっとした方向性、方針を国として早目に出していかなければ、復興住宅も中途半端、そういったことになればますます復興がおくれてしまうのではないか、私はこのように思うわけです。

 今後、そういった見通しといいますかを早急に示す時期に来ているのではないかと思いますが、この点について、いかがなものでしょうか。

根本国務大臣 私も、できるだけ早期に将来の見通しを示すべきだと思っております。

 ただ、大熊町については、例えば、空間放射線量が年間五十ミリシーベルトを超える帰還困難区域、ここについては帰還の見込み時期は残念ながらまだ定まっておりません。

 こういう地域で帰還時期の見通しを検討するためには、除染の効果を入れた線量低減の予測を行う必要があると考えておりまして、現時点でこの地域についての帰還のスケジュールを示すことは難しい状況でありますが、地元自治体ともよく相談しながらスケジュールを検討していきたいと思います。

 なお、大熊町では、町内の比較的線量の低い大川原地内、ここにおいて除染を先行実施して、帰還に向けた町内の復興復旧の拠点として整備することを想定しておりますので、復興庁としても積極的な支援をしてまいりたいと思っております。

菅家委員 被災している市町村によって温度差も違うし、状況も違うものですから、的確な対応をされるには、やはり正確な情報の収集が当然求められるわけであります。

 いわゆる一つの提案なんですけれども、今もされていらっしゃると思うんですが、被災市町村へ、マンツーマンじゃありませんが、やはり国の担当職員が、誰々はどこどこの町であったり、どこどこの村とかを担当して、そこの町の課題、問題をしっかりと認識する、情報収集する。今後どうしたらいいのか、そういう思いもしっかりと情報を収集するというために、マンツーマン方式は私は非常に有効だと思うんです。そして、吸い上がってきた情報を対策の中で適切に施策を講じていく。こういった取り組みが、いわゆる迅速、的確、適正な施策につながる、このように思いますが、当然今も鋭意努力はされておられると思うんですが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 委員のおっしゃられたことは私も大変大事なことだと思います。やはり復興は現場主義に立って、縦割りを排してやっていかなければなりません。

 今委員のお話がありました、市町村ごとに対応する、これは今復興庁でも、被災地の市町村長を支援するために、関係省庁及び現地事務所との連携チーム、これを市町村ごとに編成して、自治体担当制を強化しております。今回、福島については、福島復興再生総局も設置をいたしました。総局において連携チームからの情報を集約しながら、さまざまな課題については、即断即決できるものは即断即決で対応しております。

 大事なのは、やはりそれぞれの市町村、状況が異なりますから、この支援チームが市町村に入り込んで、そしてそこできちんと情報を吸い上げて、的確な施策を講じていく、これが何よりも大事だと思いますので、しっかりと福島県とも協力しながら、市町村長の皆さんと課題や情報を共有して、復興に取り組んでまいりたいと思います。

菅家委員 長期避難者生活拠点形成交付金、これの対象団体は、福島県とか受け入れ市町村、避難元市町村等、こう示されているわけでありますけれども、特に生活には、衣食住の中で住環境というのは非常に私は重要かなと思うんですね。先ほど申し上げた復興住宅に力を入れておられるわけですが、やはり家族が一緒に住みたいという地元からの要望があるわけですね。

 これからいわゆる仮の町的な拠点をつくるに当たって、今申し上げたこの事業主体が、避難されているところの地元市町村も可能なのか、あるいは、戸建て住宅が要望されていれば、そういった要望に応えるべきなのではないか、このように思いますが、この点についての御所見をいただきたいと思います。

浜田副大臣 菅家委員の御質問にお答えしたいと思います。

 長期にわたる避難生活を安心して過ごしていただくためには、仮設住宅等から早期に安定的な居住、生活環境にお移りいただくことが重要と考えております。

 長期避難中の生活拠点、いわゆる仮の町の確保、整備につきましては、具体の検討を進めるために、国、福島県、被災自治体及び避難者受け入れ自治体の四者が構成する協議の場を設置しておりまして、受け入れ自治体ごとに個別に協議を進めております。

 また、この協議と並行して、生活拠点の中心となる長期避難者向けの災害公営住宅の整備を先行して進めておりまして、本年度から福島県が五百戸の整備に着手いたしました。そのうち、会津若松市では九十戸を整備しておりまして、平成二十六年度当初より順次入居可能となるという見通しでございます。

 今後、この協議を早急に進めまして、できるだけ早い時期に、いろいろな御要望がございますので、それについて具体的に進めていきたいと思っております。

菅家委員 ぜひ、地元の要望を踏まえて対応していただきたいと思います。

 次に、風評被害なんですけれども、ちょっと放射線量をはかる器械を持ってきたんですけれども、この場所が〇・〇九マイクロシーベルト・パー・アワー、私の家できのうはかったら、〇・〇九マイクロシーベルト・パー・アワーで、これは同じなんですね。まあ、若干動きますから。

 いわゆる風評被害というのは、安全なんだけれども、例えば、福島県でも会津は同じ数値、東京と同じ数値、ところが、やはり福島県といっただけで不安だという。つまり、入ってはだめなところ以外は安全だったり、農作物もモニタリングでサンプルしているわけですから、表に出ているのは安全なのにもかかわらずに、福島県産とか福島県だといっただけで非常にダメージを受けて、これが僕は風評被害だと思うんですね。

 ですから、このように、科学的なきちっとしたモニタリングシステムというものをしっかり講じているわけです。これをいかにわかりやすく国民に伝えていくか、モニタリングをいかに公表するかということが重要かと思うんですが、ここはやはり国のお力をかりて、大臣の名前だとか、わかりやすいポスターとかチラシとか、そういったものに力を入れて、消費者にとってわかりやすかったり、そういうような対策をぜひ講じてほしい、こう思うんですね。

 それから、中央省庁の食堂で被災地産米の使用割合が三五%にとどまっているという報道があって、もうちょっと頑張ってほしいな、中央省庁の食堂、売店での被災地産米のさらなる使用、これも何とか要請してほしいなと。

 それから、復興庁を初め関係省庁、関係機関、関係団体の方にも、安全だという情報提供をして、何とかみんなでひとつ協力してもらうというような、そういう運動もしていただければと思うし、また、国会議員の先生方にも何とか御理解いただいて、観光に来ていただいたり、会津は大丈夫だ、福島県産は大丈夫だ、こんな応援もしていただける、そんなふうに思っているわけです。

 いずれにしても、わかりやすい情報を、しっかりとした科学的なモニタリングのものをわかりやすく伝えていく、これが重要だと思うんですが、今申し上げた点を踏まえながら、具体的な対策、ひとつお示ししていただきたいと思います。

森国務大臣 食品の分野については、私からお答えをさせていただきます。

 消費者庁におきましては、今御指摘のポスター、リーフレット、それから冊子も配っておりまして、この冊子が「食品と放射能Q&A」、大変わかりやすいと評判で、五万冊出ております。先日も福島県新地町から、これは子育て世代のお母さんたちに評判がいいので、また三百冊下さいということで、お届けをしたということもございました。また、全国各地で集会、説明会等を二百カ所以上、リスクコミュニケーションで御説明を実施しております。

 現場の意見を、今、消費者調査を行っておりまして、それから生産者を含めた事業者に対するヒアリングもしまして、その意識調査の結果を踏まえて、四月にまた新しい風評被害対策を打ち出していきたいと思います。

 例えば、今ここで一つ新しいことを申し上げますと、福島県産または福島県を中心とした風評被害に苦しんでいる農作物、食品の消費地において、そこの店舗において農産品が展示をされているときに、どうしてもほかのものを先に買っていく、二番手の扱いなんです。そこに生産者が出かけていって、または生産者にかわる、リスクコミュニケーション、説明をできる、例えば風評被害対策Gメンのような方を育てて、消費者にわかりやすく、これはきちんと検査をしていて、基準値以下であり、そして生涯食べ続けても安全な数値なんですということを説明できる、そういう体制も組むことを検討いたしたいと思っております。

根本国務大臣 森消費者大臣から答えたとおりですが、やはり風評被害の払拭のためには、委員がおっしゃられたとおりに、被災地における放射線の状況を的確に把握、発信する。そして、森大臣がおっしゃられたように、リスクコミュニケーションをいかにわかりやすく伝えていくか。

 それと同時に、今委員が、食べてもらいたいという話がありましたが、実は、風評被害を含めた対応について、二十一日に関係十二省庁から成るタスクフォースを私のもとにつくりました。その中でも、風評被害を受けている農林水産業や観光業における新たな需要創出への支援、やはり私は、こういうことを総合的に講じなければいけないと思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

江藤副大臣 時間ですけれども、お答えさせていただきます。

 まだ三五%、二百九十八トンですけれども、私も農林水産省の食堂で毎日御飯を食べておりますが、これは民間の委託でございますので、オブリゲーションとしてこの地域のお米を使いなさいということは、今までの商取引上の慣習もありますし、なかなか難しいところがあります。

 ですけれども、今委員がおっしゃいましたように、出先機関、特に防衛省なんかは物すごい量を消費しておりますので、この消費比率がまだ三〇%台ですから、食べて応援しようということで前政権時代からやってきたことですので、現政権においても力強く推進してまいりたい、そう考えております。

菅家委員 それでは、ひとつ、一日も早い福島県、東日本震災の再生、復興に御尽力を賜りますようお願いを申し上げまして、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 私は、昨年十二月の総選挙で、兵庫八区の尼崎市より初めて当選をさせていただきまして、本日が初めての質問になりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 東日本大震災から二年が既に経過をいたしました。亡くなられた方々に対しまして改めて哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対して心よりお見舞いを申し上げるものでございます。

 今回の震災では、余りにも多くの方々のとうとい人命が失われました。その震災から立ち上がろうとする東北の皆様のために、復興を加速化させる、皆様に希望を与えて心の復興を支えていく、このために全力で頑張ってまいる決意でございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 さて、被災地では、現在も三十二万人近い方々が仮設住宅等での暮らしを余儀なくされております。早期の生活の再建に向けては、衣食住とございますけれども、やはりまずは住まいの再建を加速化させていかないといけない、このように考えているわけでございます。

 こうした問題意識の中で、政府からも、住まいの復興工程表というものが先日示されたわけでございますけれども、この事業の進捗管理をしっかり行っていく必要がある、復旧復興事業を着実に実施していかないといけない、こういう思いでございます。これに関連をして幾つか質問をさせていただきます。

 私は最近、被災地を訪れさせていただきました。三月の十日に石巻市を訪れましたけれども、そこで現地でお話を伺うと、やはり公共工事の不調、不落の割合がまだまだかなり高い、こういう御指摘がございました。

 そこで、被災地の不調、不落の現状、またその推移、事実関係としてどうなっているのか、政府参考人にお尋ねをしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、被災地では入札不調が生じておりまして、最新の入札不調の発生割合を見てみますと、平成二十四年四月から平成二十五年一月、福島県の場合は四月から十二月の統計でございますけれども、岩手県は一五%、宮城県は三八%、福島県は二四%、仙台市四九%という状況になっております。

 内訳を見ますと、平成二十三年度は五千万未満といった小規模工事で入札不調が発生しておりましたけれども、今年度は一億円以上の大規模工事においても入札不調が発生している、こういう状況でございます。

 こうした入札不調につきましては、県や市のレベルで多く生じているところでございますけれども、しかしながら、各発注者がロットを大型化するなどの工夫を行っておりまして、その後はほぼ契約ができている状況だと聞いておるところでございます。

 今後も、状況を注視しながら、必要な対応をとってまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 不調、不落の割合、いまだなおかなり高いものがあるというふうに感じました。工事の大きさを工夫しながら、現場で何とか工事の落札が進むようにという努力が行われているということもお伺いをしております。

 現地においては、資材、人材が非常に不足している、こういうお話がございました。資材に関しましては、先日来、政府の方からも、例えば現地に生コンの工場を仮設でつくるなど、何とか資材が足りるように全力でやっていく、こういうお話もございました。

 資材の問題もさることながら、私が現地でお伺いをいたしましたのは、なかなか人材、人を集めることも難しい、こういうお話を伺った次第でございます。

 被災地外から人を集めてくることは難しい、現場でも当然人が足りない。こういう状況の中で、私は、人を集めるためには適切な費用というものがやはり予定価格に反映をされていかないといけないんじゃないか、こういう問題意識を持っておりますけれども、現在、人に関して、例えば労務単価の現状、またその推移がどうなっておるのか、事実関係をまた政府参考人にお尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる公共工事設計労務単価につきましては、従来、年一回、十月でございますけれども、この調査に基づき設定しているものでございまして、近年は下落傾向が続いておりますので、平成十二年度と二十四年度の単価を全国全職種の単純平均で比較いたしますと、この十年強の間に約一八%下落している、こういう状況でございます。

 最近の単価を見ますと、平成二十三年度から二十四年度にかけまして、全国平均では〇・九%上昇いたしましたが、被災地におきましては、従来年一回でございましたけれども、六月、九月、十二月ということで、三カ月ごとに調査を行いまして、必要に応じて、よりきめ細かく現場の状況を反映する対策を行っております。

 この結果、岩手県及び福島県の設計労務単価は震災前よりも約四%、宮城県は約一一%の上昇となっているところでございます。

中野委員 先ほど、労務単価について、きめ細やかに調査を行っていただいている、一定の上昇をしているところもある、そういうお話を伺いました。

 今後、被災地では、復興に向けての工事が加速化をしていくわけでございます。もちろん、瓦れきの処理も除染も含めてまだまだ工事が続いていくわけでございまして、その上に、さらに住まいの、住宅の再建、さまざまな再建の工事が入ってくる、こういう状況でございます。

 今後も不調、不落の割合がもし高まっていくようであれば、例えば、現在さまざまな取り組みを行っていただいております復興JVでございますとか、こうしたものをしっかり活用していく。また、あるいは技術者要件、今でも緩和をしていただいておりますけれども、こういう取り組みに加えて、例えば、労務単価についても、細やかに調査をしっかり行って、もし上昇することがあればそれを適切に予定価格に反映させていくなど、被災地の工事がしっかりと受注をされる、また広域的に被災地の外からもしっかり人材が確保できる、こういう仕組みを今後も検討していく必要があると思われますけれども、これについて御見解を伺います。

鶴保副大臣 委員が問題提起をされる、その問題意識のとおりでございまして、先ほど局長から御答弁させていただいたとおり、これまでも鋭意努力をさせていただいておりますが、現在まで、復興JVは合計百三十のJVが結成されており、また、岩手県などでは、四月以降、復興JV対象工事の適用金額が十億円未満から十九億四千万円未満に拡大をされている。また、遠隔地から人材を調達した場合には追加コストを支払える措置などを実施させていただいております。

 労務単価につきましても、先ほど局長の方から御答弁させていただきましたが、これらの実態を踏まえ、今週中にも、被災地の建設労働者の賃金の実態を適正に反映した改定を行いたいというふうにも考えております。

 引き続き、さまざまな施策を総動員いたしまして、委員御指摘のような問題意識に応えられるように努力をさせていただくことをここにお誓い申し上げたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 幾ら予算を準備しても、やはり現場の執行が進んでいかないと具体的には復興にはつながっていかない、こういう問題意識でございますので、しっかり現場の声を把握して、今後とも必要な対策に努めていただきたい、こういう思いでございます。

 さて、復旧復興事業では、大規模な工事が広範囲に行われる、こういう特性がございます。そこで、今まで起きてこなかったような問題も起きてくる、こういう指摘も伺っております。

 例えば、岩手県で高台の移転工事を行う、こういう際には、一部の地域において膨大に残土が発生をしてしまう。これをどこに置くのか、その費用をどうするのか非常に困った、こういう御意見もあるわけでございます。

 また、ほかの地域の工事においては、むしろそういう土が足りない、大規模な工事を行うために資材が足りない、こういう御指摘もあるわけでございますけれども、これについてどのように対応していくのか、御見解を伺いたいと思います。

根本国務大臣 委員御指摘のように、復興のステージが上がってまいりますと新たな課題が出てまいります。委員の御指摘のような課題も出てまいります。

 復旧復興事業で発生する残土と不足する土砂、これについては、極力融通し合えるよう適時適切に土量バランスをとる、これが事業の円滑な推進やコスト縮減などの観点から重要であると認識しております。このため、土量を調整するために、岩手県、宮城県、福島県それぞれにおいて、県、関係市町村、国などの関係機関により構成される連絡会が設置されております。

 連絡会では、県内での土砂の融通のみならず、災害廃棄物や津波堆積物の有効活用、新たな土取り場の確保などの検討が進められております。また、例えば岩手県で発生する残土を宮城県で活用するなど、広域的な土砂の融通についても検討が進められております。

 復興庁としても、引き続き、各県や関係機関と連携して、情報共有の強化など、必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 特に、土砂が足りないのはもちろん工事が進まないので大変困るわけではございますけれども、例えば、山を切り崩したときに、それを置く場所がない、あるいはこの費用を一体どうするのか等、大量の残土が発生するような場合にもまたそういった課題があるというふうに思いますので、これも極力地元の自治体の御意見を聞いて、きめ細やかに対応していただきたい、こういう思いでございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 少し角度は変わりますけれども、現在、多くの被災地では、ほかの自治体の職員の方が数多く派遣をされて働かれております。被災地の中では圧倒的にマンパワーが不足しているということで、ほかの自治体の方に手伝っていただいている。本当にこれはありがたいことだなというふうに思っておりますけれども、私の地元の兵庫県におきまして、大変残念なことでございますけれども、本年の一月に、被災地に派遣された宝塚市の職員の方が仮設住宅で亡くなられる、こういう痛ましい事件もございました。

 この派遣された職員のケアについて、どのように対処をされていくのか、御見解を伺いたいと思います。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 被災地においては、地元の地方公共団体の職員や応援派遣された職員の方々が、昼夜を問わず復旧復興業務に従事をされ、大変御苦労されていると承知をいたしております。

 特に、応援派遣された職員の方々は、復興に寄与したいとの高い志を持って被災地に赴任をしていただいているわけでありますが、しかし一方で、なれない土地で際限のない仕事に取り組まれていることから、その精神的な負担は大変大きいものと認識をいたしております。

 総務省では、平成二十三年度から、地方公務員災害補償基金とともに、派遣職員も含めた被災地の地方公務員に対するメンタルヘルス対策事業を行っているところであります。具体的には、ストレスチェック、臨床心理士によるカウンセリング、専門家によるセミナーなどを各地方公共団体の経費負担及び事務負担なしでできることといたしております。

 各地方公共団体においては、職員の健康管理や安全衛生対策にも十分配慮しながら復旧復興業務に当たっていただくことが重要でありまして、メンタルヘルス対策事業が、いわゆる自殺の抑制、防止にもつながるものと考えられますので、総務省としても引き続きしっかり支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

中野委員 ありがとうございました。

 被災地においては、恐らくこれからも、当面、やはりマンパワーについては足りない、そういう状況になってくるかと思います。もちろん、もっともっと応援の数をふやしていく、こういうことも必要になってくるかとは思いますけれども、こうした職員の皆様の心のケアというものについても、どのように取り組んでいけばいいのか、私どもとしてもまた一緒に考えてまいりたい、このように思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、震災による被害また原子力災害という二重の大変な状況になっている福島県の再建に向けて、幾つか質問をさせていただきます。

 福島県の再建に向けては、除染を初めとしまして、瓦れきの処理や賠償の実施、また住まいの整備を初め、産業を振興させていくなど、早期に住民の皆様が帰還できるように、またもとの福島で暮らせるように、さまざまな課題について全力を尽くしていく、そういう必要があるというふうに考えております。

 公明党は、それぞれの議員が地域を担当する、被災地の出身でない議員も担当をつけて、議員全員がまさに復興担当者である、こういう思いでこれからも頑張ってまいる決意でございます。そして、私は、いわき市を中心として福島県の南部を今回担当させていただく、そういう状況でございます。

 福島県の復興に関して、二、三質問をさせていただきます。

 一点目でございますけれども、自主的に避難をされている方がいまだ多数に及ぶ、また、福島に実際暮らされている方についても、放射能の影響に対する健康不安、これが払拭をされていないのではないか、こういう思いを強く感じるわけでございます。

 福島県における被曝の影響について、専門的にしっかりと調査を行っていく必要がある。そうして、福島県に暮らしている皆様方、またこれから福島に帰っていこうとされる皆様の不安を払拭していく必要があるのではないか、このように考えておりますけれども、環境省の御見解を伺いたいと思います。

秋野大臣政務官 御答弁申し上げます。

 国としても、福島県民の中長期的な健康管理を可能とするために、福島県が創設をいたしました福島県民健康管理基金に交付金七百八十二億円を拠出いたしまして、全面的に今、県を支援しているところであります。

 福島県が今、この基金を活用して、全県民を対象に県民健康管理調査を実施しているところであります。

 この内容ですけれども、今、この健康管理調査の中で、基本調査とそれから詳細調査に分けられまして、基本調査で外部被曝線量の推計を行っています。二百二万人の県民の中で四十万人の方に受けていただきまして、県全体では、九九・八%の方が五ミリシーベルト未満であった、九九・九%以上が十ミリシーベルト未満であったということで、専門家の方々から、放射線による健康影響があるとは考えにくいという一つの安心のメッセージ、評価がされているところだと思います。

 詳細調査についても、被災時に十八歳以下であった県民三十六万人を対象とした甲状腺検査、健康調査、そして今委員御指摘ありました、心の健康度、生活習慣に関する調査等も今行わせていただいているところで、あわせて、妊産婦に関する調査もさせていただいているところであります。甲状腺については、対象となる三十六万人のうち約半数が終わったということでありまして、こういった結果を県民健康管理調査検討委員会におきまして定期的に公開させていただきまして、これまで十回公表をさせていただいたところであります。

 その他、先ほど言われました、不安に対する情報発信の取り組みとして、検査の意義や結果のわかりにくさに対する不安、そういったものにお答えするためにパンフレットを配付するなど、我が環境省におきましても、事業内容だけではありませんで、結果にアクセスを行うことができるようにさせていただいたところであります。

 こうした状況を踏まえつつ、今後とも、県民の方々の健康管理に万全を尽くしてまいりたいと思っています。

中野委員 ありがとうございました。

 特に、放射能の影響に関しては、やはり見えないものでございますので、非常に不安が大きい。しっかりと国が安心のメッセージをこれからも発信していけるように尽力していただきたい、このように思うわけでございます。

 他方、残念ながら、避難が長期に及んでいる方というのも多くにわたっていらっしゃいます。私の担当しているいわき市におきましては、双葉郡からの避難者の方を受け入れをしている、こういう状況でございますけれども、私もいろいろなお話を伺いますけれども、長期避難者の方が避難先でしっかりと生活をしていけることも非常に大事であると思います。そして、単純に暮らせるだけではなくて、やはり、生きがいがない、そこにいてもやることがない、こういう御意見もあるわけでございます。こうした、生活拠点の整備だけではなくて、働く場所や生きがいについてもしっかりと確保していただきたい。

 そしてまた、例えばいわき市など長期避難者を受け入れをする自治体がございますけれども、こういう自治体の関連基盤の整備などもしっかりと行っていく必要があるというふうに思いますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。

浜田副大臣 まず、中野委員におかれましては、初当選早々、被災担当議員として福島県を担当いただいたことにつきまして、厚く御礼申し上げたいと思います。

 今御指摘いただきました、被災者の方々が長期避難になっている。それから、その生活基盤を、生きがいを含め、就労の場を含め、拡充させていく、まさに重要な御指摘と思っております。

 そういう観点から、復興庁といたしましては、国、県、受け入れ自治体、また避難元自治体と協議の場を通じて一つ一つの課題を詰めて、今進めております。働く場につきましては、ハローワークによる就労支援、公共職業訓練など被災者向けの支援を行っており、町外コミュニティーにおいても、これら支援策を一体的に講じていこうと思っております。

 また、あわせて、今回、平成二十五年度予算に、長期避難者生活拠点形成交付金、簡単に言いますとコミュニティ復活交付金という予算も計上させていただきました。こういう予算をしっかり使わせていただいて、ハード、ソフトを使って、委員御指摘の重要な指摘についてもしっかりと対応していく所存でございます。

中野委員 以上で質問を終わらせていただきます。

 引き続き、復興の加速化に向けて、私も全力で取り組んでまいりますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

後藤田委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 まずは、根本大臣、おくればせながら、大臣の御就任、おめでとうございます。そして、この間、精力的にお取り組みいただいていることに、改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 根本大臣は、福島県の出身の議員でおられて、とりわけ厳しい状況にある福島の現状の対応に、新しい組織、福島総局を立ち上げられてお取り組みいただいている、これも私自身も評価をさせていただきたいというふうに思っているところです。

 きのうも、安倍総理と一緒に福島県内に入られたということをニュースで拝見いたしました。あの爪跡がまだ生々しい原発被害地域を回られて、その後の安倍総理の会見で、安倍総理は、こういう状況に対応していかなくちゃいけないけれども、原発政策に関して、これは必要性というのを強調されていたように受けとめさせていただきました。

 根本大臣は、あの師走の選挙の折に、郡山市で、責任を持って原発に依存しない社会をつくるんだと力強く第一声を発せられ、その後もこの訴えを通されて、今回当選をされ、そして今大臣の職にあられる、そういうふうに認識をしております。

 原発政策を、大臣のその思いをなし遂げるために、政府の中で、内閣の中で発揮していただけるものと思いますけれども、この間、自民党政権になって、どうも心配な点がないわけではない。その点について、これは通告しておりませんけれども、根本大臣に、どんなようにお感じになっていらっしゃるのか、お考えになっているのか、伺わせていただきたいと思っています。

根本国務大臣 原発政策については、経産大臣が所管でありますので、その経産大臣、政府の方針に従って私も対応させていただきたいと思います。

郡委員 福島の困難な思いを受けて今の職にあるのだということですから、ぜひとも、内閣の中でも、担当ではないということではなく、御発言をいただきたいというふうに思います。

 福島の困難な問題については、これまでも議論がありましたけれども、この後、我が党の吉田泉委員からも質問があろうかと思いますので、私は、この件についてはこれで終わらせていただきたいと思います。

 実は、この週末、宮城県内でも幾つかお祝いの席がございました。というのも、津波で破壊をされました仙台湾の南岸堤防が四区間で完成をいたしまして、その記念式典が行われたり、また、復興交付金を使ってイチゴ産地の亘理町でイチゴ団地をつくっていたんですけれども、これができ上がりまして、初めての収穫が行われたりなど、うれしい出来事もございました。

 また、一週間ほど前には、待ちに待った恒久的な住宅、災害公営住宅が、宮城県内で最初になるんですけれども、この四月一日から入居可能になるということで、抽せん会が行われました。

 この災害公営住宅は、地元の設計会社が図面を引いて、地元の建築会社が建築を担当して、そして地元の建材をふんだんに使ってという、いわゆる二戸一と呼ばれている棟続きの二戸の住宅が幾つかあるわけなんですけれども、大変な倍率でございました。最大で九倍だったんだそうです。

 ようやく入居できるということになったわけで、私も、この間、これらの事業に携わらせていただきましたものですから、大変うれしくこのニュースを受けとめたんですけれども、残念ながら、この災害公営住宅は、資材不足で、四月一日に入居できる予定だったんですが、何戸か七月までずれ込んでしまいました。心待ちにしていて、皆さん、ようやく手が届くなと思ったところで資材不足でございます。

 また、今、沿岸地域は、私も本当にびっくりいたしましたけれども、沖縄ナンバーのダンプカーが走っていたり、佐賀ナンバーのダンプカーが走っていたり、およそこれまで余り目にすることのない工事車両が忙しく動き回って、工事に当たっておられます。全国各地の方々がこの復興事業を応援いただいているんだなということを改めて認識するわけでありますけれども、これから全国一斉に始まることになるであろう国土強靱化計画、これによって、これまで復興を担ってくださっていた、それらの県外から多く入ってこられている工事関係者の方々が引き揚げてしまうんじゃないか、あるいはまた、資機材が不足している、これもさらに顕著になるんじゃないだろうか、被災地では不安の声が上がっております。

 この不安を払拭するためにどのような手だてをとられるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

根本国務大臣 郡委員御指摘のような人手不足、資材不足、これは私も重要な課題であると認識しております。

 このため、私のもとに、関係省庁の局長クラスから構成される住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置して、必要な措置を取りまとめ、公表いたしました。このタスクフォースでは、いかに住宅再建に至るまでの施策のスピードアップを図るかということと同時に、人手不足、資材不足にいかに対応するか、この検討もさせていただきました。

 人手不足については、被災地と被災地以外の建設企業が共同する復興JV、こういうものを導入することによりまして、広く人材を集める、あるいは、発注ロットの大型化や技術者等の配置の工夫などによって、人材をできるだけ効率的に活用することとしております。

 資材不足につきましては、地域ごと、資材ごとに関係者によるきめ細かな需給対策を行っておりまして、逼迫する生コンクリート、例えば生コンについては、新たな民間プラントの設置やミキサー船の活用、骨材の地域外からの調達、これは初めての試みですが、公共による専用プラントの設置、これも着手することにしたところであります。

 今後とも、このタスクフォースなどを活用して、柔軟かつきめ細かな対応を国土交通省などの関係機関と連携して進め、復興を加速化させるよう努力していきたいと思います。

郡委員 根本大臣には、復興の足かせにならないように、リーダーシップをぜひ発揮していただきたい、そういうふうに思います。

 ところで、私たち民主党政権時にこの東日本大震災が発災したわけでございまして、この復旧復興、一日も早く、ふるさと再生、創生をなし遂げるんだという思いで当時も取り組ませていただきました。

 しかし、御承知のように、規模の大きさですとか、やらなければならない事業の数や種類、本当にこれまで全く経験がなかった数であり、そして複雑なものばかりでございます。多数の地権者がかかわる土地区画整理事業ですとか防災集団移転事業、それから漁業集落防災機能強化事業などなど、用地の確保が難しい中で、一どきにやらなければならない事業の種類というのが多種そしてまた多量でございます。

 よく、阪神・淡路と比べて進んでいないというふうなことをおっしゃる方がおられますけれども、これは適切ではないというふうに私は思っておりました。復興事業を総合的に推し進めることはとても困難を伴う作業だということを、私自身、政務官として携わらせていただいたときも実感させていただいたことでございます。

 そこで、根本大臣に伺わせていただきたいと思いますけれども、今回の、この復興というキーワードで示すものですけれども、どういうものだというふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

根本国務大臣 今の御質問の趣旨がちょっと私わからなかったものですから。復興というキーワードで……。

郡委員 申しわけありません。少し象徴的過ぎたのかもしれませんけれども、今回のこの東日本大震災からの復興というのは、これまで我が国で経験したことのないそういう災害に直面した復興であるという、その取り組みに対しての認識というのを改めて伺わせてください。

根本国務大臣 郡委員、先ほどお話もありましたように、今回の、千年に一度の未曽有の大災害ですから、例えば阪神大震災とこの東日本大震災、私も、これは様相を異にするのではないかと思っております。災害も、災害という言葉であっても中身はそれぞれに事情が違いますから、このあたりを踏まえる必要があるんだろうと思います。

 阪神・淡路大震災を私も当選一回のときに体験しました。この阪神・淡路大震災、これは現地再建を中心に市街地の再生を図った。要は、住宅あるいは町がやられた、そこは、現地の再建や市街地の再生が大きなテーマでした。

 東日本大震災は、私も、復興大臣になってさまざまな被災地も訪問いたしました。東日本大震災は極めて広範に災害が及んでいる。そして、具体的な事業としては、移転あるいは現地のかさ上げ、これを中心に市街地や集落の抜本的改造が必要となっているんですね。

 この辺が、その意味では、郡委員がおっしゃられたように、さまざまな事業を膨大に実施しなければいけない。しかも、土地区画整理事業、防災集団移転促進事業あるいは漁業集落防災機能強化事業、こういう大がかりな、地域改造ともいうべき大規模な事業をやらなければいけない、そういう特色があると思います。

 一方で、被災した自治体、これは比較的規模が小さいケースが多いものですから、これまで経験したことのないような復興まちづくり事業を迅速に実施しなければいけない、こういう状況になっております。

 これらの特徴を踏まえて、さまざまな対策をして復興加速につなげていかなければならないと思います。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 議事の途中でございますが、ただいまコートジボワール共和国キバフォリ・ギヨーム・ソロ国民議会議長御一行が当委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

    ―――――――――――――

後藤田委員長 続いて質疑に入ります。郡和子君。

郡委員 ありがとうございます。

 コートジボワールの議員の皆さん方がこの復興特別委員会においでになられたことを大変光栄に思います。

 私も、政務官時代、昨年の九月にマブリ計画・開発大臣がおいでになられて、懇談をさせていただきました。

 コートジボワール、内戦からの復興に取り組んでおられるということで、貴国の復興が一日も早く、そしてまた発展されることを心より祈念させていただきたいというふうに思います。

 それでは、質問を続けさせていただきます。

 今、大臣も、この東日本大震災は阪神とは異なる災害だというふうなことを言っていただきました。実は、阪神・淡路大震災のときも、意地悪をして言うわけではございませんけれども、土地区画整理事業に何年、最終的にかかったでしょうか。

根本国務大臣 土地区画整理事業はさまざまだと思いますよ。最終的に住宅が建ち上がるまでには相当の時間がかかりますし、それは、それぞれの土地区画整理事業の規模によっても違うと思います。いずれにしても、ある一定の期間がかかります。

郡委員 免罪符にしたいというふうなことで今お話ししたわけではありませんで、十六年かかっている事業もあるんですね。それだけ大変だということを私たちはしっかりと胸に秘めた上で、この事業に当たっていかなくちゃいけないんじゃないかということを申し上げたいと思っております。

 仮設住宅にとどまったまま、つらい思いをされている方々に、一日でも早く恒久的なお住まいに移っていただきたい、復興のスピードを上げていきたい。しかし、その一方で、将来にわたった長期的な視点で、どうしてもじっくり丁寧に取り組まなければならない事情も生まれてくるわけです。

 例えば、高齢化が進む被災自治体では、これまでにないインフラの維持を長年にわたって、これから先、していかなければならないという問題も出てまいります。災害公営住宅の数も、これまで自治体が持っていた公営住宅の数をはるかに超えることが予想されているわけでございます。高齢社会、人口減少社会の中で、これを維持できるかどうかも今後の大きな課題になってくるんじゃないかと私は思っております。

 財政面では、安倍政権でまた充実が図られたわけでございますけれども、将来起きるかもしれない大災害との公平性や、被災自治体の財政力をどう評価して支援していくか。時には、つらい判断をしなくちゃいけないこともあるんだと思います。釈迦に説法ですけれども、あえて言わせていただきたいと思っています。

 また、当初の復興計画の期間だけで復興がなし遂げられるわけでもないということも認識しておかなくちゃいけないんだろうというふうに思っています。

 恨み節のようで、嫌な性格だなと自分でも思うんですけれども、この間、当時野党だった自民党の皆さん、マスコミの方々も、実は非常にマイナス面でのアナウンスが多かったように思います。これだけ困難を乗り越えてここまで進んできているんだよという前向きな応援というのが一切なくて、進んでいない、何をやっているんだと。

 確かにそういう面もあったかもしれませんけれども、これでは、復興庁の職員も、そしてまた自治体の首長さんも、自治体の職員も、何よりも被災をされている皆さんたちが、上を向けなくなってしまう、前を向けなくなってしまう。せっかく前を向いていこうという気持ちがしぼめられた、それを奪い取られてしまうんじゃないかと私自身は思うほどだったと思っております。

 現場は試行錯誤しながら解決の糸口を探し出しているわけでして、私たち民主党は、ぜひ、根本大臣率いる復興庁の政策、安倍政権が進める復興の政策を応援していきます。本当に、できることをともに、与野党の垣根を越えて、やれるべきことは日本の全英知を、いや世界の英知を集めてやっていかなくちゃいけないことですから、そのつもりでやらせていただきたいと思います。

 困難な課題を抱えているということについては、新しい議員の皆さんたちも十分に認識をしていただけたというふうに思っています。私たちも努力をさせていただきます。

 ところで、被災されている皆さんたち、まだしばらくは御不自由な暮らしが続くわけでして、それに対する対応というのがさらに重要になってくるかと思っています。仮設住宅の延長は決まりましたけれども、計画のおくれにも対応できるように、少しでも生活を快適にする工夫、それから体や心のケアについても万全の対応をとっていかねばなりません。

 先日、民主党の復興調査会で宮城を訪れた際に、仙台市内の仮設住宅で住民の皆さんと意見交換をしたんですけれども、そのときに、あら、これはいいねというものに出会わせていただきました。もともと総務省の予算で、タブレットを使ってということなんだと思うんですけれども、緊急通報システムではない、SNSを使った見守りの実験でございました。

 二十五台のタブレットを使って、これから寝るよとか、元気だよとか、外出するよとか、日常的に、ボタンを押して、それを自治会の役員の皆さんたちに連絡をしている。調子が悪いというときには、調子が悪いよというところを押すと、それが自治会の役員の方々の携帯にメールで入って、すわということで飛んでいく、そういうことでありました。

 緊急雇用で見回り事業もされているわけなんですけれども、いかんせん、例えば十時から夕方の五時までであったりして、早朝ですとか夜間の対応というのはなかなか難しいんですね。そういうときに大変威力を発揮し、これまでも何度か夜中に、仮設住宅の連絡の入った一室にみんなで集まっていったというようなことがあったとお聞きいたしました。

 このシステムなんですけれども、実は、NECさんが御自身でお金をまた新たにつけて商品開発に向けた実証もされておられるようなんですけれども、こういう取り組みに予算がつけられないものなのか。それからまた、自治会の役員の皆さんたちに大変な御負担がかかっているわけですけれども、この方々に、人件費というような形で何かペイできるようなものが、バックできるようなものがないのかどうか。その辺についてお尋ねをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

谷副大臣 委員御指摘のように、仮設住宅の生活が大変長期化する、心身の健康の維持、ケアというのは大変大事だということで、十六年前の阪神・淡路大震災以降、さまざまな施策の充実に努めているところであります。

 今回におきましても、御承知のとおり、保健師が巡回保健指導を行う、あるいは、東北三県に設置した心のケアセンターが専門職による訪問指導を行う、あるいは、百カ所余り設けています介護などのサポート拠点でさまざまな相談サービスを行う、こういうことに取り組んでいるところであります。

 委員御指摘の、二十四時間対応型の見守りのシステムについてでございますが、申しわけないんですけれども、現時点では復興庁として詳細に把握しておりませんが、御指摘の件につきまして、しっかりと把握して効果を検証して、実施可能性を十分考えながら、可能であれば、介護等のサポート拠点を初め、厚生労働省所管の、復興庁計上でございますけれども、委員よく御存じのそういう事業の適用の可能性も検討してまいりたい。そのときに、地元自治体の思い、考え、それから、御提案のありました雇用の問題の当否といいますか、そういうこともあわせて検討してまいりたいと思います。

    〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕

郡委員 ありがとうございます。

 いろいろな取り組みをなされているかと思うんです。これのシステムというのはすごいなと思ったのは、手おくれにならないんですよ。気がつかないで数時間たってしまったということはないんですね。そういう意味で、大変いい仕組みじゃないだろうかというふうに思いました。いろいろと調査をしていただいて、ぜひ、これは活用できるなというものについては応援をしていただきたいというふうに思います。

 それから、今復興が徐々に徐々に進んでいるわけですけれども、これから先、プレハブ仮設住宅の集約化ということも出てこようかと思います。また、みなし仮設住宅の再契約においても、実は、できれば延長してくださいとお願いをいたしましたけれども、貸し主さんの都合で、もうだめよというふうに言われている方々が少なくありません。私も、先週末お邪魔をしたお宅では、五月までに出ていってと言われているんだというお話でありました。こういうケースというのが今後も出てまいるかと思います。

 こうした場合の移転費用なんですけれども、これは被災者個人の事情ではなくて、移転を余儀なくされる場合の費用でございますから、ぜひ国として責任を持って見るべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

秋葉副大臣 今、郡委員から御指摘いただいたような現況が現に被災地であるわけでございまして、基本的に、災害救助法におきましては、引っ越しの費用に関しましては御本人が負担するということになっているんですけれども、被災地の実情を考えれば、公費で負担するのはともかくとしても、やはり何らかの支援をしていくという方向で検討をしなければならないというふうに認識しておりまして、特に、そうした引っ越しを手伝っていただいているNPOが複数存在するというふうに伺っております。

 したがいまして、こうしたNPOの皆さんの御支援を、自治体あるいはまた復興庁、厚生労働省が調整役になりまして、何とかフォローアップする方向で今調整の推進を考えているところでございます。しっかりとフォローアップしてまいりたいと思います。

郡委員 ぜひ、お急ぎになって、答えを出していただきたいと思います。

 次は、漁場の瓦れきの撤去について伺わせてください。

 現在、漁場復旧対策支援事業で、専門業者の方や漁業者の方々が、みずから船を出して瓦れきの撤去をされているんですね。まだ海の中には瓦れきが相当数沈んでいるということもあって、漁場の復旧復興のためにもこの作業をしていかなくちゃいけないということで、漁業者の方々が特に頑張っておられます。本当に、海の特殊性上、それからまた深い場所等々ありますと、回収をするのが困難をきわめておりまして、これはちょっと時間がかかるんじゃないだろうかと思われます。

 二十五年度までこの対策支援事業があるんですけれども、この延長について求めさせていただきたいというふうに思います。まだ先の話だというふうになるのかもしれませんけれども、ぜひ、時間はかかるということで、御対応願いたい。

 また、燃油の高騰で厳しい状況だと、実は浜の人たちからも聞かせていただきました。この点についても、どういう対策をとられているのか。農水でしょうか、環境でしょうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

    〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕

江藤副大臣 お答えさせていただきます。

 漁場復旧対策支援事業でございますが、二十三年度が二百九十億予算を確保されまして、執行額が百五十億円、二十四年度が七十五億円を計上いたしまして、執行額は五十八億円。二十五年度は二十七億円を今計上しておるところでございます。

 二十六年度、これをどうするのかという御質問でございますが、執行状況を見ると、だんだん消化率が落ちてきているということは、ある程度漁場の整理が進んできているのかなと。数字の上ではですよ、先生ほどは理解しておりませんが。ですから、この二十五年度の執行状況、これがどれだけ消化されるか、これをよく見ながら、二十六年度予算については考えていきたいと思います。

 それから、燃油高騰対策については、御党が考えられましたセーフティーネット、一対一のものですね、あれが次の四半期は多分一万三千円ぐらい出ます。これは別に被災地だけの話ではありませんけれども、そういったことがあります。

 ただ、自主的に専門的に回収を行う場合については、リース料とかそういうのが出ますけれども、操業中にひっかかった場合は燃料は出ないんですよね。その点を気にされておられると思うんですけれども、これはまた宿題として持ち帰らせていただきたいと思います。

郡委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 幾つかほかにも質問を考えておりましたけれども、申しわけありません。

 そういうわけで、瓦れきの処理というのが、基本的には二十五年度末までで大体終えるのではないかということで、仮設の焼却場も取り壊しが始まることになるわけなんですが、そこまでで全て終えられないのではないかと実は心配をしていて、ここに対しての対応もお願いをしたいということを申し述べさせていただいて、最後の質問にさせていただきます。

 実は、宮城県内に広域防災拠点を整備したいという声が地元からの要望で上がってきております。

 東日本大震災前に構想されていた広域防災拠点の機能というのは、物資を集積して救援活動の拠点になる、そういうものだったんですけれども、今回の経験を踏まえて、仙台市でも大変多くの帰宅困難者が出ましたものですから、そういったようなものにも対応し得る、それから医療機能も兼ね備える、そういう施設が必要なのではないだろうかということで、これに対して、社会資本整備総合交付金等で何とか拠点整備に力をいただけないか、そういう要請でありますけれども、これについて短く御答弁願いたいと思います。

根本国務大臣 東日本大震災の経験を踏まえて、被災県などが広域防災拠点の整備に取り組まれる、これは私も大変意義があることだと思っております。

 委員御指摘の広域防災拠点の整備については、私も何度かお話をお伺いしておりますが、具体的な事業内容や事業費等、これを踏まえる必要があると思っておりますし、今、宮城県において具体案を検討中と聞いておりますので、今後、適宜相談に応じてまいりたいと思います。

郡委員 大変申しわけありません。時間の運びがうまくありませんで、せっかくおいでいただきましたのに御質問できませんで、またの機会にさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

後藤田委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党の吉田泉であります。

 引き続きまして、大臣所信への質疑をさせていただきます。

 まずもって、復興大臣初め皆様、御就任おめでとうございます。大震災の後の復興という、大変な、困難な役割でございますけれども、全力で御奮闘を御期待申し上げます。

 特に福島は、原発事故が加わったという意味で、一言で言えば大変複雑な状況だというふうに思っております。きょうは、その福島を中心に何点かお願いしたいと思います。

 まず、復興大臣所信の第一の柱、福島復興再生総局についてでございます。

 これは、福島に今まであります復興局、環境再生事務所、そして原子力災害の現地対策本部、この三つの組織の上にまたがる司令塔として、二月一日に設置されたわけでございます。もうそろそろ二カ月ぐらいたつというところまでやってまいりました。

 この総局は、いわば総合調整役という機能が期待されておるわけでございます。実は、この三つの組織をどうするかというのは、前政権、平野大臣のときからも、我々にとっても宿題でございましたが、今回、一歩踏み出されたというふうに受けとめております。

 そこで、二カ月たって、この総局の実際の状況について二つお伺いいたします。

 一つは、この総局の事務方、専属の方は何人おられるかということでございます。また、これと並行して、この三つの事務所を一カ所に集めよう、同じビルに入れようという工事も今進めておられるということですが、状況をお伺いします。

浜田副大臣 吉田委員におかれましては、今まで復興副大臣として福島を担当していただきましたことにつきまして、まず厚く敬意を表する次第でございます。後任の副大臣として頑張る決意でございます。

 今、二点御質問いただきました。

 まず、復興再生総局の職員は何名いるのかという点でございますけれども、専属職員は、事務局長、峰久前次官でございますが、一名でございますけれども、総局事務局の業務に従事する職員は、復興庁、また、今御指摘いただきました原災本部のオフサイトセンター、環境省の環境再生事務所からの併任者を含め、七十三名でございます。

 これは、総局事務局員は、縦割りを排し、物事を横断的に解決していくことを求められることから、それぞれのつかさつかさの責任者、専門的知識を有する者を集めたため、このような体制としたものでございます。

 また、もう一点の御質問でございますが、物理的な統合、引っ越しとかはどうなっているのかという点でございますけれども、現在、福島復興局のオフィススペースは増床工事に着手しております。三月中には工事が終了する見込みでございまして、来月早々には、今言いましたオフサイトセンター、環境再生事務所の幹部等十五名の引っ越しを完了させる、あわせて、四月一日から所要の増員を行いたい、そう考えております。

吉田委員 結局、復興総局というのができましたが、事務方は、専属の方は事務局長さんお一人、残りの七十二名の方は併任でやるんだ、こういうことでございました。

 実は、この併任をかけるというやり方は、我々のときもやっていたんです。これでやろう、併任をかけて一緒に情報を共有してやろうと。そういうことですので、今回、一名という御答弁を聞いて、大臣所信の第一の柱にしては、私が考えていた、我々が考えていたイメージと相当違うなというイメージを今持ちました。

 また、二つ目の点については、ちょっと数字がはっきりしませんでしたが、いずれにしても、この三つの事務所を合わせると三百人ぐらい職員がいるんですが、恐らくその三分の一とか四分の一ぐらいが四月ぐらいに同じビルに入ってくる、その程度のイメージかなというふうに今受け取りました。

 この福島復興再生総局、ややイメージ先行、きつく言わせてもらうと、ちょっと誇大広告という印象を持ったところでございます。

 ただ、私は、だからといって、この復興総局の人をどんどんふやした方がいいという考えではないんです。やはりどうしてもこれは屋上屋の組織ですから、むやみにふやす必要はないと私は思うんですが、実は県民の間では、総局というのができる、三つの事務所が統合される、復興大臣が非常に強力なリーダーシップを今度は振るってくれるんだ、そういう期待感というのが非常に高まっているものですから、そこはひとつ上手に、実態を、現実を踏まえながら進めていっていただきたい。よく見守りたいと思います。

 それから、関連してですけれども、この復興再生総局を設置したときの説明文書の中に、総局としては、除染を初め、体制を一元化することによって、復興大臣みずから統括、指揮し、現地で即断即決するという文章がございます。ただ、復興総局というのは、特に法律で決められた組織ではないと思います。なかなか、公務員は法的権限のある命令しか聞かない、もしくは聞けないという現実もございます。

 そこで、復興大臣として、除染の現場を大臣はお持ちじゃないわけです、そういう大臣として、例えば除染を加速するんだというときに、御自分としては一体、具体的にどういうことをされるおつもりなのか。また、除染と大いに関係がある例の中間貯蔵施設、これは大問題ですが、これの設置に向けてどういう働きをされるおつもりなのか。さらには、中間の先に今度は最終処分場という問題がございますが、それについてはどういう働きをされるのか、お伺いします。

根本国務大臣 例えば除染の加速化は、避難住民の早期帰還とともに、県民が安心して暮らすために必要不可欠だと思っております。それ以外にも、御指摘のさまざまな問題があります。

 少し法律的な整理を申し上げますと、法律上、除染は環境省の所管、これは吉田委員御案内のとおりだと思います。担当する環境省だけではなくて、やはり除染については、関係省庁が総力を挙げて総合的に取り組む必要があると私は思っております。

 具体的に、例えば何に取り組んだか。私と石原大臣、このツートップ体制で、除染・復興加速のためのタスクフォースをつくりました。

 ここでやっているのは、例えば、どんどん技術開発を促進して、技術開発の成果を効率的な除染につなげていくというテーマや、あるいは、田んぼの除染は、除染という観点からやりますと、田んぼの上下をひっくり返す、天地返しということをやる、こうなっていたんですね。そうなりますと、田んぼの土地が壊れてしまうということがありますから、要は、田んぼを除染するのであれば、田んぼの生産性を向上させる、農業の生産性を向上させる、具体的には圃場整備と土づくりとをあわせて除染に取り組む。こういう複合的な取り組みが必要なのではないかという意味で、環境省だけではなくて、農林水産省あるいは林野庁、国土交通省、この局長クラスをタスクフォースのメンバーとして実は今やっております。

 やはり除染については、当然、除染事業自体は環境省の所管でありますが、私も、除染の全体の企画を推進するという観点から、関係省庁とともに、この除染問題については強力に取り組んでいきたいと思います。

 さらに、中間貯蔵施設の設置などにつきましては、住民の帰還あるいは地域の将来像と密接に絡み合う問題ですから、これも、ある程度全体として取り組んでいく必要があるだろうと思いますので、地元の意見を丁寧に伺いながら取り組んでまいりたいと思います。

 必要なのは、福島復興に係る体制を強化いたしました。福島再生総局も、これをどう機能的に動かしていくかということが大事なので、そこは復興庁の司令塔機能を強化するという形で福島復興再生総局もつくりましたし、また、復興庁ベースでも福島復興再生総括本部というのもつくりました。やはり、これを通じて各省庁の仕事を具体的に動かしていくというところが大事だと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

吉田委員 復興大臣みずから統括、指揮して、現地で即断即決という言い方をされているわけですから、ひとつ頑張って、県民の期待に応えていただきたいと思います。

 それでは、二つ目の、大臣所信の第二の柱であります復興予算フレームの見直しについてお伺いいたします。

 今までは、今回の東日本大震災、五年間で十九兆円という復興予算枠で一応やってきたわけですが、今回の新政権のもとでは、二十五兆円程度に見直す、大体三割ぐらいふやすということでございます。

 そもそも、この十九兆円という数字は、先ほどもちょっと話題になっておりましたが、阪神・淡路の被害額と比べて、今回の東日本は被害総額が大体一・八倍。それで、阪神・淡路のときにこのぐらいお金が必要だった、その一・八倍をとりあえず予算枠として確保しよう、こういう発想でできたというふうに私は理解しております。

 足りなくなればこの枠を広げるのはもちろん当然だと思いますが、一体どの部分が足りなくなったので今回広げようということになったのか、お伺いいたします。

谷副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の五年間の事業規模でございますけれども、前政権のとき、震災から間もない二十三年の七月時点で、個別の事業を積み上げるということが大変困難であったということで、ある意味では当然でございますけれども、阪神・淡路大震災の被害額、それから復旧復興のための費用をもとに、情報収集に努めて、情報を集めて、全体として十九兆円程度と見積もったところであります。委員よく御承知のことかと思います。

 それで、今回は、それから一年十カ月経過をした。事業も、実績あるいは実績見込み、来年、再来年、そういったものを見込めるものが少なくとも震災直後から比べて相当固まってきた。そういうことで、二十五兆円という財源を現時点で見込んだわけであります。

 委員御指摘のように、阪神・淡路の例も参照しながら、しかし、その災害と違う、地震、津波、原発事故という三重苦と申しますか複合災害、そういった特徴も十分加味して、今後とも、必要な額をまた必要ならば考えていく必要があろうかと思います。

吉田委員 いろいろな事業の実績の見込みが、一年半たって、変わってきた部分を上乗せしたというようなことだと思いますが、私は、一体そうした事業というのはどういう事業だったのか、高台移転なのか瓦れき処理なのかというようなところまで御答弁を願いたかったわけです。それは、きょうはもうこれでいいと思いますが、いずれにしても、大変大きな金額を、さあどうするかという話でございますから、ぜひ、一つ一つよく我々にもわかるように御説明いただきながら、前に進んでいただきたいというふうにお願いいたします。

 もう一つ、予算の件で、きょうは総務省の北村政務官においでいただいていますので、特別交付税の活用についてお伺いいたします。

 今回の大震災で、復興交付金とかいろいろ新しい制度をつくりました。そして、随分、査定庁とかなんとか言われましたけれども、徐々にその適用範囲は広げてきたというふうに思います。ただ、全体として、まだ復興予算の使い勝手が悪いと、復興の主体である自治体の方から時々お叱りを受けております。

 例えば、二万四千人の避難者を受け入れている福島県のいわき市、この避難者受け入れに伴う財政支援がどうも足りない、ふやしてもらいたいという要望が随分継続的に出ております。例えば、救急隊が足りない、やはり人口がふえれば一一九番の救急隊の出動回数がふえるとか、それから道路が混雑して何とか整理をつけたいとか、医療、介護のサービスが足りなくなってきたとか、そういうことに対する支援の国費ということでございます。

 私は、そういうものについては、必要なものは、特別交付税という非常に柔軟な制度がありますので、これで何とか対応できるように思っているんですが、いかがでしょうか。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 東日本大震災の避難者の受け入れに伴いまして、地方団体にさまざまな財政需要が生じていることは間違いございません。

 このため、原発避難者特例法に基づき、避難先の市町村が義務として実施する事務に要する経費に加え、避難者の受け入れに要するその他の経費、例えばごみ処理等の経費についてもでありますが、これらについては、地方団体に調査した上で、被災団体についてはその全額を特別交付税により措置をいたしているところでございます。

 これらの経費として、去る二十二日に交付決定をいたしました平成二十四年度の特別交付税においては、二十億三千八百万円を措置いたしたところであります。うち、福島県分が六億五千五百万円、そのうち、いわき市が三億九千二百万円となっているところでございます。

 御指摘のような事例を含めて、今後も、避難者を受け入れている団体の実情をよくお伺いしながら、団体の財政運営に支障が生じることのないよう適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

吉田委員 ありがとうございました。ぜひ、そういう制度を活用できるよということを自治体の方にもよく説明してもらいたいと思います。

 それでは次に、今度は、福島というのは大変多岐にわたる課題を抱えておりますけれども、そのうち、時間がありますかどうですか、五つほど選んでお伺いしたいと思います。

 まず、県民が持つ放射能への不安の問題でございます。

 つい最近も、停電で電源喪失ということが起こってしまいました。ネズミかもしらぬと。きょうの毎日新聞のコラムは、ネズミ一匹で崩れかねないもろい基盤だというふうに書かれてしまいましたが、さらに緊張感を持ってこのサイトの問題は対応するしかございません。

 もう一つは、低線量への不安でございます。

 除染の目標が年間一ミリシーベルトだということになっているものですから、県民の中には、一ミリにならないと住めないんじゃないかという不安を持つ方がおります。しかしながら、客観的に見ると、日本の国内でも、自然放射能だけでも一ミリ以上のところもたくさんある。イタリアのローマあたりは年間五ミリだ、ブラジルでは年間十ミリのところもある、こういうことも現実でございます。ぜひ、冷静に見て、正しく怖がるということでございます。

 福島県知事から、先月、復興大臣の方に要請があったと思います。改めて、政府として、安全な線量に対する考え方を出してもらいたいという要請が来ていると思いますが、状況はどうでしょうか。

根本国務大臣 吉田委員、今お話がありましたように、大変この問題に詳しい方だと私も思っております。

 住民が安全、安心に暮らしていくためには、線量基準に対する考え方について、客観的な根拠に基づく国民の理解が必要だと思います。

 今お話がありましたように、福島県の地元自治体からも、避難指示の解除後、住民が安全、安心に暮らしていくための線量基準のあり方の検討や、国民の理解の浸透に取り組むべきだ、こういう要望を受けております。

 このような地元の声に応えるために、私の方から、三月七日の復興推進会議、原子力災害対策本部合同会合、この合同会合の場で、原子力災害対策本部に対し、避難指示解除に向けた検討として、線量水準に応じて講じるきめ細かな防護措置の具体化、これについて年内をめどに一定の見解を示していただくように依頼いたしました。あわせて、本分野に専門性を有する原子力規制委員会に対し、このような検討に当たって、科学的、技術的な見地からの役割を十分に果たしていただくように依頼したところであります。

 検討に当たっては、関係省庁がしっかり連携して取り組んでいくこととしております。地元の声を丁寧に聞きながら、復興の加速化に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

吉田委員 この問題については、いろいろな説が出回ったものですから、県民も非常に迷っているという問題だと思います。繰り返し繰り返し、オーソドックスな説明が最終的には一番いいと私は思いますが、ぜひお願いしたいと思います。

 それから、今度は賠償金の問題です。

 きょうは経産省の平政務官においでいただいておりますが、大きな課題でありました不動産賠償も、随分、一年以上かかりましたが、いよいよ今月にもお金が動くというところまでやってまいりまして、大きな山を今迎えていると思います。

 次は、今度は田畑、山林、立ち木、こういう賠償に進むと思います。関係者は待ちくたびれている、しびれを切らしているという声も随分来ております。この賠償の基準の検討状況、そして公表の見通しなどをお伺いします。

平大臣政務官 委員にお答えを申し上げます。

 田畑、山林、立ち木の賠償基準については、まずは住宅宅地に関する賠償基準の策定を最優先として取り組んできたことから、相対的に検討、調整がおくれているという事実がございます。しかしながら、できるだけ早く基準を算定すべく、これまで、不動産鑑定士による約四百カ所における土地の価格の調査等を行うとともに、関係業界団体にもお話を伺いながら検討が進められているところでございます。

 先般、政務官室にも福島県森林組合連合会の方がいらっしゃいまして、御要望をいただきました。

 今後は、被害の実態に合った具体的な賠償基準を一日でも早くお示しできるよう、改めて東京電力に検討、調整の加速化を指導したいと考えます。さらに、基準策定に向けて、政府としても一緒に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田委員 ありがとうございました。

 次は、町外コミュニティー、原発避難者のための、例の、仮の町という言い方もかつてはされましたが、その問題でございます。

 政府は、住民の意向調査をしながら、まず公営住宅の建設を始めたというところでございますが、それと並んで、民間住宅用地の整備というのも必要だろうと、いろいろ今回出ました政府の計画にもこの見通しが入ってまいりました。

 そこで、お聞きしたいのは、これは復興大臣ですかね、民間の宅地開発をやる場合の事業主体、これは国がやるおつもりはあるのか、もしくは、県、市町村、まあ民間も都市計画に合えばやるでしょうが、その辺の事業主体をどう考えておられるのか。そして、そのときに、どういう国のお金の使い方が可能なのか。その辺を教えていただきます。

根本国務大臣 今の委員のお話のように、福島県においては、約八百戸の民間住宅等用地の供給ということを示しております。これは、平成二十七年度までに、防災集団移転促進事業などの面整備事業によって津波被災者向けに供給される予定のもので、これらは市町村が事業主体となって、復興交付金を活用して実施されることになっております。

 また、例えば民間事業者が自主的な宅地開発を行う場合、これについて財政上の支援は行っておりません。民間事業による宅地開発については、需要に応じてそれぞれの事業者が自主的に実施していくものと考えておりますが、民間事業に対する公的支援については、都市計画との整合性というのが一つあると思います。いわば市街化区域、調整区域、どういう開発行為かということはあると思いますが、民間事業主体に対する直接的な支援、これは慎重に検討しなければいけないと思います。基本的には、民間が民間としてやるべきものだと思います。

吉田委員 ありがとうございました。

 きょうは環境大臣にもお越しいただきまして、ありがとうございました。

 廃棄物処理について、ちょっとお伺いします。

 例の稲わらとか、ああいう農林系の指定廃棄物、八千ベクレル以上、これが保管されているわけですけれども、だんだん量がふえてきて逼迫してきた。そこで、環境省としては、例えば鮫川村で、これを焼却しよう、焼却の実証事業をやろうという準備をしておられます。

 しかし、なかなか、住民の中には心配だという向きもあって、今、一旦工事は中止されているというふうに伺っております。ただ、二重フィルターにして安全第一にするとか、放射能の基準は絶対守れる技術があるとかいうことは聞かされております。

 地元の指定廃棄物ですから、安全を確保しながら地元で処分できるというのが私は一番いいと思うんですが、ひとつこの実証事業の今後の対応についてお伺いいたします。

石原国務大臣 ただいま吉田委員が御指摘されました、放射性物質に汚染された農林系の廃棄物、私もいろいろな場所で拝見をさせていただきましたけれども、農家の敷地に置かれていたり、あるいは保管場所に置いてあるんですが、そこに持っていきますと、そこがもういっぱいになりまして、腐敗してにおいがあったり、発火するおそれがある。一日も早く処理をすることが大切だということで、委員御指摘のとおり、福島県鮫川村において、村内の稲わらや牧草などを処理するための焼却炉を環境省が現在建設中でございます。

 委員御指摘のとおり、整備に当たりましては、焼却の必要性や施設の安全性について明確に説明、せんだっても住民説明会を開かせていただきましたし、また、改めて住民説明会も開かせていただく予定になっております。

 そして、焼却して減容化するわけですけれども、そこから出てくる排気ガス等々について、御近隣の、吉田委員の御地元のいわき市の一部からも懸念が示されておりますので、こういうものについては、やはりしっかりとモニタリングで出ているものを分析して、安全なんですということを確認して御理解いただくということが大切だと思っております。また、風評被害防止のためのデータの公表を行うことで、地元の理解を得て事業を進めてまいりたい。

 御理解さえいただけましたら、数週間で機械は設置できますし、この鮫川村にはおよそ六百トンほど農林系の廃棄物があるそうでございますが、早期に処理することは十分に可能でございます。

吉田委員 最後の一問にしますが、文科省の義家政務官にきょうは来ていただいております。学校の復興の問題です。

 避難している、特に双葉郡の高等学校、双葉高校を初め幾つかございますが、今、いわき市の大学の建物を借りて授業をしているんですが、もう一年生が十数人しかいなくなってしまった。この春の新入生はもう数名しかいないということで、学校の存続が危ないという状況にまでなってまいりました。

 ただ、この双葉高校を初め、非常に伝統のある高等学校、復興の精神的な支柱として私は大変重要な役割を果たすはずだというふうに思っております。今、県も、市町村の教育委員会でもいろいろ検討されているようですが、文科省のお考えも伺っておきたいと思います。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 双葉郡内、分校を含む五つの県立高校については、震災後、県内の他地域の高等学校等を利用しまして、在籍校の教員が中心になって授業を行ういわゆるサテライト方式により運営されており、平成二十四年度は、サテライト校の集約が図られまして、六つのサテライト校において教育活動が行われています。

 これらの高等学校の生徒数は、震災後、減少しておりますが、来年度の入学者数については、本年度の一年生の数を上回る見込みに現時点ではなっております。とはいえ、震災前の規模とは全く違うものであります。

 福島県内の高等学校の配置については、設置は県の教育委員会ですから、福島県教委において判断される必要もございますけれども、文部科学省としては、双葉郡の子供たちの高校教育の場が適切に確保されますよう、福島県教育委員会からの相談に応じ、必要な協力をしてまいりたいと思います。

 いずれにしても、委員御指摘のとおり、被災地で学び育っていく子供たち、若者たちは、被災地復興の未来そのものでありますから、しっかりと寄り添いながら応援してまいりたいと思っております。

吉田委員 終わります。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 五項目ほど通告をさせていただいておりますけれども、まず初めに、原子力災害による被災者支援策パッケージ、また、これと子ども・被災者支援法については大きく関連をしますので、二つあわせて、それぞれ質問を織りまぜていたしたいというふうに思います。

 今ほど吉田委員からもありましたけれども、低線量の基準の一ミリというのが大きな数字になってきているわけでありますけれども、改めて冒頭、放射線の低線量被曝について、現時点での見解を求めます。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 過去の疫学調査によりますと、短時間での被曝では、被曝線量が百ミリシーベルトを超えるあたりから発がんリスクの増加が示されておりますが、長期間の継続的な低線量被曝では、百ミリシーベルトの被曝であっても健康影響が小さいと推定されていると承知しております。また、百ミリシーベルト以下では、喫煙や肥満など他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど影響が小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいとされているものと認識しております。

 しかし、国際放射線防護委員会、ICRPの勧告では、安全サイドに立ち、百ミリシーベルト以下であっても、被曝線量に応じて直線的にリスクが増加するという仮定に基づき放射線被曝の評価を行うこととしており、このような考え方に基づき、放射線防護のための総合的な対策を講じることが望ましいとされていると承知しております。

 以上であります。

小熊委員 先ほども吉田委員が世界各地の放射線の話もしましたけれども、ローマの名誉のために言っておきますけれども、ローマは二・四で、世界平均がほぼローマと一緒ですから。

 そういう状況ではありますけれども、今後この基準をどう扱うかということもありながら、子ども・被災者支援法は、森大臣は発議者の一人で、私も賛同者の一人として立法に深くかかわらせていただきました。この法律は、そもそも、当時私が所属していた党の同僚議員の川田議員が被災直後の二〇一一年三月に福島の子供を守る法律として実は原案をつくった段階で、私はそのときに川田議員と、これは福島というくくりじゃだめなんだ、きちっと実態に合わせた形でなければならないということで、福島という言葉を外して、そして最終的に子ども・被災者支援法という形に仕上がってきたわけでありますけれども、この対象地域をどこにするかということは、放射線の影響をどうするかということに大きくかかわってくるわけであります。

 先ほどの根本大臣の答弁でもありましたけれども、原子力規制委員会の検討のもとに、年内ということなんですが、私は、これは年内では遅いなというふうに思っているんですよ。基本方針を早急に策定するということでありますけれども、基本方針を決めるということは、どういうエリアを対象にするかということが、あわせて、なければなりませんから。

 これはどういうふうになっていくんですかね。基本方針を策定して、その後、対象地域を決めるという順序になるんでしょうか。

根本国務大臣 先ほど、原子力災害による被災者支援政策と、我々、パッケージを示しました。それと、子ども・被災者支援法との関係も含めてという今の委員のお話だったと思います。

 我々、実は、政策支援地域については、二十ミリシーベルト以下であって一定の基準以上の地域。この一定の基準は、放射線の健康に与える影響の話、先ほど来、出ていました、吉田委員からも世界各地での事例の紹介もありました。ここの一定の基準については、やはり専門的、科学的、客観的に、内外の知見も含めて、決めてもらわなければならないと思っております。

 ですから、一定の基準については、やはりそういう検討が別途必要だろうということで、先ほど申し上げましたが、原子力災害対策本部において、どの程度の放射線量に対してどの程度の放射線防護措置が必要か、こういうものを示してほしいと。それは示されることになると思います。

 その意味では、今回、子ども・被災者支援法の基本方針の中身については、政策支援地域とは別建てで、我々、森大臣もそうなんですが、提案者の一人として、施策はどんどん進めようということで、政策パッケージをお示しいたしました。そして、その政策パッケージの政策については、それぞれ対象地域が異なりますが、我々、基本方針に先駆けて具体的な施策を先行的にやる、示すということで、政策パッケージを示させていただきました。

小熊委員 その対象地域が、これは森大臣御承知のとおり、この支援法は、当時は民主党政権でありましたけれども、基本方針をつくって、しっかり政策が実行されるようにしていかなきゃいけないから、議連を立ち上げて、今でもその議連の中で検証しておりますけれども、過日開かれた議連の中でも、足りていないというところがありました。

 根本大臣は、三月十五日の大臣会見で、支援法の目的、趣旨をしっかり読み込んで取りまとめたものが今回の政策パッケージである、子ども・被災者支援法による必要な施策についてはこの対策で盛り込んでいる云々ということも言っているんですけれども、確認ですが、これは現時点で盛り込んでいるということで、まだまだこれから拡充をしていかなければいけない、そういう途中経過での盛り込んだという言葉と解釈してよろしいでしょうか。

根本国務大臣 今回まとめたパッケージは、これまで被災者から御要望の多かった高速道路の移動支援など新規施策のほか、自然体験活動の充実、借り上げ住宅の供与期間延長、こういう施策を盛り込みました。

 また、子ども・被災者支援法八、九、十、十三条に規定された内容、対象者に比べますと、より広い被災者を対象とする施策を数多く盛り込んでおりまして、現時点において必要な対策を適切に講じているものと考えております。

 しかしながら、このパッケージについては、より効果的、効率的な施策の推進のためにフォローアップを行っていく予定でありまして、必要な場合には施策の拡充を検討してまいりたいと思います。

小熊委員 そのために、この法の趣旨にのっとって、意見聴取会もやらなきゃいけないんですけれども、開かれていないんですよ、正式なものが。

 基本方針を策定するまでにしっかりと広く国民の意見を聞く、この意見聴取会というのは、今後どうなりますか。

根本国務大臣 基本方針の策定までに、政府としての考え方を整理した上で、パブリックコメントの実施など、広く御意見を伺う機会を設けたいと思います。

小熊委員 これは早急にやらなきゃいけないので、具体的に、その意見聴取会を含めて、また基本方針の策定の期日も含めて、近々に明示をしていただきたいというふうに思っています。

 この際に、支援対象地域が一番問題となるわけであります。この法律をつくったときには、予防原則に立って、被曝をしない権利というのを強く意識した法律というふうになっています。この被曝云々というのは、今ほど大臣が答えられたとおり、専門的、科学的知見に立ってしっかりと捉えていかなければならないんですけれども、御承知のとおり、これは専門家の中でも意見が分かれていたり、また、福島県内に生活している我々からすれば、科学的根拠ではなくても不安な状況下に置かれているというのが現状です。

 そういう意味では、本来であれば、安全が確保されていればイコール安心なんです。しかし、安全と安心が今分離をしてしまっている状況であります。大臣の答弁は、安全をしっかり確保するということの、その先の安心の醸成というところまではなかなかいかないというふうに私は思うんです。もう既に一ミリという数字が出てきてしまっているところは、大きな課題だというふうに思っています。恐らく、新しい一定程度の基準が一ミリでなければ、その中でも、やはりそれを信じない、不安視する方々が多いというふうに私は思います。

 こうした心理的な要因をしっかりと把握しながら今後対策をとっていかなければならないんですけれども、過日行われました甲状腺の検査においても、これはほかの地域と大差がないということで一部に安心感も出たんですが、その検査対象がゼロ歳児からではなかった、三歳未満が他県では検査されていなかったということにおいて、専門的に見れば、それは別に気にすることはないという言い方もあるかもしれませんけれども、実際、三歳児未満、より乳幼児の方が影響を受けると言われている放射線でありますから、ここを抜かしてしまったということはこの甲状腺検査の信頼性を欠いてしまったというふうに私は思いますし、また、地元の反応もそういったものが数多く寄せられています。

 追加して、今度はしっかり三歳児未満も対象に入れた他県との検査の比較をすべきだと思いますけれども、追加の調査はするおつもりがあるかどうか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 議員の御質問は、福島県で行われている県民健康管理調査、その中の一項目でございます甲状腺超音波検査、これは事故時に十八歳未満であった方に超音波の検査を実施し、嚢胞や結節というものを見出しているわけですけれども、この検査の妥当性を確認するという目的から、福島県外の三県におきまして、御協力をいただきまして調査をしたものでございます。

 この調査を行う上では、この方々というのは無症状で無自覚の方でございますので、あくまでも御協力をいただくということになります。三歳児ということですから、保護者の付き添いが必要であったり、あるいは動いてしまわれると検査ができませんので、そういったことから、あくまでも御協力をいただいた中で実施するという中で、なかなか三歳未満はできなかったという状況にあります。

 この調査でございますけれども、月内に、つまり事実上金曜日ですが、それまでの間には最終報告を出しまして、専門家の御意見も聞くことになります。きょうこの時点で、どういう方向ということは申せませんが、その最終報告で専門家による詳細な分析もいただくことになりますから、その結果を踏まえて、今後の対応も考えてまいりたいと思います。

小熊委員 協力体制とかなんとかと言いましたけれども、やらないと、不安が払拭されないんですね。そこをしっかり捉えて検討していただきたいというふうに思います。一番不安なわけですよ、一番小さい子供たちですから。これが抜けてイコールで、検査が終わった後でもそれはイコールになるかもしれませんけれども、やってみないとわかりません。

 そうじゃないと、これで福島県もほかの地域も大差ありませんということの根拠にはなり得ない、心理的にもなり得ないということで、また、わざとそこを抜かしたわけではないんでしょうけれども、うがった見方をされるということもあわせて指摘をしたいというふうに思っております。

 これは低線量の対象地域が決まらない中ではありますけれども、この支援策パッケージの中で学校給食安心対策事業が盛り込まれています。いい事業だと思いますけれども、この対象自治体はどのように決定をしたのか、その経過をお示しください。

山口政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 学校給食の食材の安全性につきましては、厚生省の定める基準値に基づきまして行われる出荷段階での検査により確保されているところでございますけれども、保護者等の不安も踏まえまして、文部科学省では、これまで、より一層の安心を確保するという観点から、平成二十三年度補正予算あるいは福島県原子力被害応急対策基金等によりまして、検査機器の整備あるいはモニタリングの支援等を行ってきたところでございます。

 先ほど申し上げましたように、食品の安全というのは出荷段階の検査で確保されるということが大前提でございますけれども、特に被災地域におきまして引き続き学校給食の検査に対する要望が高いということ、また、被災した地域は広範囲に甚大な被害が発生しておりまして、支援する必要性が高いと考えられる、こういったことも踏まえまして、二十五年度予算案では、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の第二条第二項に定められております特定被災地方公共団体である九県を対象といたしまして、学校給食の一食全体につきまして、提供後の検査を継続的に行うための学校給食の安心対策事業というのを復興特別会計の中に盛り込んでいただいたところでございます。

 また、とりわけ福島県につきましては、こういった事後の検査だけではなくて、事前の食材の検査を行うための人件費等についても計上しております。

 以上でございます。

小熊委員 今聞いたのは、ちょっと長々とやらなかったんですけれども、航空機モニタリングとかすると、これは風評被害にもつながっていくかもしれないから余り具体的に言うのははばかられるんですけれども、航空機のモニタリングを見ると群馬県も出ているんですけれども、この事業には群馬県は入っていませんね。それは何ででしょうか。

山口政府参考人 先ほど申し上げましたように、食材、特に学校給食の食材も含めてでございますが、安全性は出荷段階での検査により確保されるというのが大前提だと思っておりますし、実は本年度、全国を対象として実施いたしました学校給食の一食全体の提供後の検査でも、基準値を上回るような放射性物質は検出されていないところでございます。

 ただ、このような状況下ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、特に被災地域における要望が高い、それから支援する必要が高いということもありまして、今回、特定の被災地方公共団体九団体としたところでございますけれども、もし今後とも強く要望される自治体などございましたら、復興庁とも連携しながら、よくお話を伺ってまいりたいと考えております。

小熊委員 だから、やはりしっかりとした調査が必要だ。航空機とこの走行サーベイですけれども、これは除染のボランティアをしている人からも聞いたんですが、モニタリングのポストのところはきれいにやったりするから出ないんですけれども、やはりその後、風雨で動いたりして、いろいろな状況下にあるということですから、今後しっかりと、これは県でくくるのではなくて、ちゃんとした科学的根拠が必要だということであるんですから、歩行サーベイも含めて検討して、きめ細かい線量の調査が必要であるというふうに私は求めたいというふうに思いますし、その際、県でくくっていると、これはやはり問題を間違えるというふうに思います。

 私の地元の、ずっと山奥の方の南会津の方なんかよりは北関東の方が線量は高かったりしているわけですけれども、厳しいチェックを受けているわけです、福島県というだけで。そして、物も買ってもらえない、旅行にも来てもらえない。これはやはりきめ細かな調査をして、しっかりと公表していく。

 その上で、このモニタリング、サーベイに関して、これはやはり、車でばあっと走ったって、子供たちは側道を歩いているわけですから、歩行サーベイが必要だというふうに思いますけれども、この件について御見解をお願いします。

黒木政府参考人 モニタリングの関係は、今、福島県下において、固定式を含めまして三千二百基のモニタリングの機械を配置しまして、さまざまモニタリングを行っているところでありますが、今後を考えますと、いわゆる帰還ということを考えた場合には、恐らくきめ細かいモニタリングの必要が今まで以上に出てくるかというふうに思っております。そういった意味での対応をこれからやっていきたいと思っております。

 委員御指摘の点については私ども承知しておりませんので、申しわけありませんけれども、いずれにしても、モニタリングは、人の生活、そういうことに大変密接に関係する作業でございますので、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

小熊委員 これは詳細なデータをもとにその地域の放射線量が明らかになることによって、この支援法の対象地域も、どこで線を引くのか、これは後を待たなければいけないんですけれども決まってくるわけですから、より細かなデータ収集、実態把握が必要だということを指摘させていただきたいとともに、これは一ミリという数字がもう世の中に出てしまっている以上、これを書きかえるということは、科学的根拠があったとしても大変なことであるということは推測をされます。そうしたことに対してもどう対応していくのかを、今のうちから検討していかなければなりません。

 従前から言っていたとおり、森大臣もこの法案にかかわったときに、被曝を避ける権利という中では、我々も一ミリというのをまず前提にあの法律を練り上げていった記憶があります。この一ミリがどうなのかということは、これからの専門家との議論や、また、地域の人たちが、幾ら科学者が大丈夫だと言っても一ミリでなきゃ嫌だという人たちも多くいるというのも、森大臣、地元で声を聞いているというふうに思いますので、しっかりとそこを対応できるようにお願いをいたしたいと思います。

 続いて、風評被害について。

 そういう厳しい物の見方がありながら、風評被害となると、基準値以内なら大丈夫だといって、私も来てくれ来てくれとやっているんですけれども、過日の予算委員会の後で幾つかメールが来ました。応援のメールもありましたけれども、会津が大丈夫だとしても、根本大臣の地元の郡山を通っていくんだから危険じゃないかなんというメールもいただいたり、なかなか、科学的根拠とは言いながら、国民の大多数はそういうことになっていないというのが実情であります。

 過日、三月の八日に、沖縄におきまして、私もメンバーの一人なんですけれども、商工会議所の青年部の全国大会が開かれました。私もメンバーで、マイク係で行ったんですけれども、ちょうどそのときに若手国会議員のシンポジウムというのも開かれまして、自民党からは小泉議員、今いないですね、あと公明党からは谷合議員、そして民主党からは津村議員という大変すばらしい議員のはざまに立って、恥ずかしい思いもしたんですけれども、私もそのシンポジウムに参加をしました。その中で、復興からの自立ということがテーマでやっていたわけでありますけれども、風評被害について私が触れたところ、やはり、あえて買わない、そういう意見もいただいたところであります。

 風評被害というのは、当時の混乱からもありますけれども、情報が錯綜して、情報発信における不手際というか間違いから、数字、事実に関する誤認が生じて、信頼を失ってしまった。また、その後さまざまな事実を公表しても、誤解をされたままで生じているのが風評被害だというふうに思います。

 風評被害の原因について、端的に大臣のお考えをお伺いします。

森国務大臣 風評被害の原因は、放射能、特に私は食品の方ですけれども、放射能と食品の安全性に対する消費者の理解が進んでいないということが原因だと思います。

 放射能の数値でいいますと、例えば、先ほど一ミリシーベルトというお話がございました。被災者・子ども支援法、二十回ぐらい会議をやった中で、全部出ていた方でない方からの質問が多いのが残念ですが、あのとき、もし一ミリシーベルトにしたらだめだろうという意見が多かったんです。なぜでしょうか。一ミリシーベルト以下の地域が福島県内にあるからです。

 菅家議員の先ほどの質問で、ここが〇・〇九マイクロシーベルト、菅家議員の会津若松市の自宅もそうだと。つまり、一ミリシーベルト以下です。私のいわき市の自宅も一ミリシーベルト以下です。だけれども、子ども・被災者救済法に書いてある、子供たちの健康調査を国でやろう、甲状腺検査ももっと充実しよう、それを、いわき市の子供たちを一ミリシーベルト以下だから除くなんて言ったら、いわき市のお母さんたちは怒りますよ。

 ですから、あのとき、私たちは、一ミリシーベルトという数字だけでは決められない、福島県という地域でのくくりプラスアルファのところに数字を入れていこうという議論をしていたんです。ただ数字だけでやったら、除かれる子供たちが出てくるということを申し上げたいと思います。

 それと同じように、風評被害というのは、こういったことの一つ一つの理解が国民の皆様にまだ浸透していないということが一つの原因であると思っています。

小熊委員 森大臣が言ったとおり、だから、一ミリ以下でも不安なんですよ。さらに、一ミリ以上のところが県外にもあるわけですから、広くやろうということで、絞っちゃいけないという話でした。風評被害もそういうことですよ。数字において起きている事実ではないわけですよ。

 実際、それは民主党政権下でありましたけれども、精神的被害の補償が県南地域と会津では対象になりませんでした。結局、福島県に基金を入れて、そこから払われて、私は申請なんかしませんでしたけれども、あれはやはり、風評被害が精神的被害を高じているということは、あのときに国は謝ればよかったんですね。直接的に個人の支払いをすることは、我々会津人だって、そんな金が欲しいから言っていたわけではなくて、まさに県民一丸となって復興をやろうとしていたことですから、多大な迷惑をかけたという謝罪をして、その上で、各地域ごとに対策は打っていきますよと言えば納得したのに、県南と会津を外したということは、これがまた、それぞれ、民主党政権下でも混乱があったし、今においても、これをどうしていくかというのは大変な、割り切りができない分野でもありますよ。

 一つには、今、森大臣が言われたとおり、数字ではない、福島県だから、非常に不安がっているから、その対策はとらなければいけないけれども、数字でやはり救っていかなきゃいけない。今、数字があるのに救われていない地域もあるわけですから、これをしっかり把握していかなければなりませんし、大丈夫なものが危険視をされて、もしかすると大丈夫じゃないものが流通をしてしまうというようなことがないように。そういう意味では数字というのは大事ですよ。福島県を除外する話で一ミリという話を出しているわけじゃないですよ。

 その中で、先ほど吉田議員も出したとおり、あと、この間の委員会でも根本大臣も示されましたけれども、これは、どこまで科学的なことを言っても、なかなか心理的には不安が解消されません。

 私も、料理が趣味なので、たまに地元のスーパーへ行って、安全検査済みとでかでかとシールを張ったもの、安全宣言している食品を見ますけれども、片や、福島県以外のそうした製品、食品は何も張っていないわけですよね、そんなことは。検査するまでもないということですから。地産地消で、大丈夫だと思って私も買いますけれども、これは、他県の人が見たらやはり、あえて検査して大丈夫ですと。例えば、これも大丈夫だということですけれども、大豆を組み換えていないとわざとうたって、それを売りにしている食品もあったりというのが、人間の心理を突いたところでありますから。

 そうなってくると、これまで、民主党政権下でも、また国がやらなくても、地元の市町村や県が風評被害対策はやっていました。私も、先ほどお話しした商工会議所青年部で、福島の物産展を県外やまた国外でもやらせていただきましたけれども、数字をしっかり示して、安全検査体制を示していても、なかなかやはり、理解してくれる人もいれば、していただけない方もいます。

 そこで、あるときふと思ったのは、ここの地域の線量とか食品のベクレルというのはゼロだと思っているという考えをいっぱい聞いたので、ゼロではないんだ、ゼロなんという地域は一個もないよと。ということであれば、それぞれ、国内外は問わず、全袋検査とまではいきませんけれども、そうしたきめ細かな調査をして、そしてそれを公表することによって、先ほど出ていた、空間線量が会津もここもいわきも変わらないという言葉もありましたけれども、食品においてもそのぐらいやっていく必要があるというふうに思うんですよ。

 福島県の安全性の絶対評価ではなくて、こうした相対的評価のもとによって風評被害対策をする、そうした考え方は今後の、きのう安倍総理も福島県にお入りになって、政策パッケージをつくると言っていましたので、そうした視点、そうしたデータの開示による誤解の解き方といったものをしていく方向性といったものについてお示しください。

森国務大臣 現在も、全国の食品の数値につきましては、政府の方で毎日発表をしております。厚生労働省のホームページに、各県ごとの、各品目ごとのベクレル表示がしてありますので、そこで相対評価をすることができるようになっております。

 小熊委員の今の御指摘については、根本復興大臣の指揮のもとでのタスクフォースにおいて、また今後の政策パッケージに盛り込めるかどうかの検討をしてまいりたいと思います。

小熊委員 質疑時間が来ているんですけれども、椎木議員が私にどんどん使ってくれと言っているので、ちょっと続けたいというふうに思います。

 安全性の主張は、これは私、地元でもしゃべったら、そうだ、そのとおりだと。そうやらないと、何ベクレルがどうだというのを素人が聞いても、実際わからないというのが正直なところですよ。福島県のものもこれだけ、他県のここもこれだけ、何だ、ほとんど変わりがないじゃないか、こういう比較をできる対象があるからこそ、安全だとか変わりがないという不安解消につながると思いますので、ぜひ、そうしたデータの収集、公表の仕方、安全の確認の仕方を求めたいというふうに思います。

 次に、中間貯蔵施設についてお聞きします。

 御承知のとおり、中間貯蔵施設の設置に関しては粛々と今進んでいるところでありますけれども、最終処分場になるのではないかという疑念の声が強いのも、県内では現状であります。

 最終処分場の県外設置の法制化が県内からも求められておりますけれども、この法制化についての御見解をお聞きいたします。

小林政府参考人 中間貯蔵施設また最終処分場の建設についての御質問がございました。

 今の中間貯蔵施設につきましては、御指摘ございましたように、現段階では、まず事前調査を行った上で安全性ですとか具体的なイメージを示すということで、そういう段階にございます。これを受けて、早急にめどをつけていきたいと考えているところでございます。

 最終処分につきましても、非常に重要な課題であるということを承知しております。まず、中間貯蔵施設の設置に向けてしっかり議論を進め、そういう中で、幅広い意見を聞きながら今後じっくり考えていきたいということで考えているところでございます。

小熊委員 その疑念が、その答弁では払拭されないんですよ。

 帰るか帰らないかで今アンケートをとると、帰らないというアンケート調査も多く出ている、非常に悩ましいところでありますし、これがどこにつくられるか、ずっと永続するんじゃないかということも、帰る帰らないの大きな判断にもなってくるわけであります。

 最終処分場を県外につくるんだと。決める政治だと言っているんだったら、これは法制化したっていいじゃないですか。大臣、どうですか。

根本国務大臣 今、所管の環境省が答えたとおりです。

小熊委員 残念なあれですけれども。

 これは、法制化するということが国の姿勢を示すということですよ。だから、県民は疑念を持っているんです。中間貯蔵がずっとそこに置かれて、それが最終処分場になっちゃうんじゃないかと。

 中間貯蔵でさえ三十年ですよ。一定程度の年齢を過ぎた人は、もうそれは一生と一緒です。私も、ふるさとに帰ってほしい、もともとの福島県を取り戻したいという気持ちもありながら、こんな中途半端な状態では、やはり帰ってと言えないですよ、帰りたくないという人には。

 そういう状況を踏まえて、法制化ですよ、あすあすここに決めろと言っているんじゃないんですから。

 この県外設置の法制化に対して、大臣の見解をもう一度求めます。

根本国務大臣 先ほども環境省が答えたとおりですが、最終処分については、私も非常に重要な問題であると承知しております。幅広い意見を聞きながら、これはじっくりと考えていかなければならないと思います。今の段階ではそうだと思います。

小熊委員 地元からそういう声が、法制化ですよ、どこにしろということじゃないですよ、明確にするという姿勢を示すということ。姿勢も示されないということでは、これは到底疑念が晴れないというふうに言わざるを得ません。

 今後の最終処分場の決定に至るまで、このような姿勢では到底、決められるものも決められない。決められる政治をやるというのが今の自公政権じゃないんですか。これは、言葉だけじゃだめですよ。できないんだったら、できないと言えばいいじゃないですか。そういう中で、福島県をどう再生していくか。できないものをできると言って再生をする前提と、正直なところ、なかなか実際決まりませんよと言って再生計画をつくるのでは全然違いますから。

 それに関連して、福島県内にある東京電力の原発の全基廃炉も、これは県民、県議会、福島県も強く求めているところでありますけれども、過日の予算委員会の中でも、大臣の答弁は、これは総合的に判断していくということでありました。

 これは、県民も福島県も、総合的に判断じゃないんです、有無を言わさず全基廃炉なんですよ。それで決定をしているんですよ。その意味はわかりますよね。再生可能エネルギーや新たな産業で福島を再生していくということです。ここで働いている人の雇用も吸収できるような新たな産業を、この復興計画にも県は入れているんですよ。全基廃炉を前提とした復興計画ですよ。

 全基廃炉について見解を求めます。

根本国務大臣 福島で再生可能エネルギーをやるのは、私は大変大事だと思いますよ。新しいエネルギーをどんどん福島県でやっていく。そして、今の問題については、先ほどの、予算委員会においても答弁したとおりですよ。政府としての見解は、所管の経産大臣が担当であります。

 いずれにしても、福島県民のさまざまな思いを受けとめて、それを踏まえた議論が行われるものと期待しております。

小熊委員 大臣、残念ですよ。大臣は優秀な政治家で、私も秘書時代から尊敬をしておりました。でも、今の役人答弁みたいなことでは、到底私は納得いきません。

 これは福島県も、そうした総合的判断ではなくて、有無を言わさず廃炉と言っているんですよ。私も、二〇〇三年に県議会議員になったときに、事故隠しで東電の言葉を聞いていましたけれども、そのときから全然体質も変わっていない。そうした東京電力の原発があるということは、これから、安全ですよ、総合的に判断して動かしていいですよといったって、それは到底信じがたいですよ。

 これをどうするか決めないと、今後の復興にも大きくかかわるところですよ。所管の大臣じゃないです、復興大臣が大きく意見を言っていかなきゃいけない分野ですよ。

 では、私が総理なら、福島県の原発を抜かしては総合的に判断していきますということにして、福島県はもう、県民の皆さん、県が言っているとおり、全基廃炉に向けて取り組みますというふうに、私が総理だったら言いたいというふうに思っていると推測をされる森大臣、この件についてどうですか。

森国務大臣 通告を受けておりませんけれども、県民の思いは重々承知しておりますので、深く受けとめたいと思います。

小熊委員 根本大臣よりはいい答弁だというふうに思います。

 決められる政治と格好いいことを言っているんですけれども、それは、民主党時代よりうまくやっている部分もありますよ。これは評価をしたいというふうに思いますが、民主党で決められなかった点というのは、こういう点であったり、中間貯蔵、最終処分場の点もそうです。丁寧にやっていたから決められなかったのかもしれませんけれども、巧遅は拙速にしかずという言葉もありますよ。時間軸も大事だと根本大臣も言っていますよ。

 これは、百点をとれるような政策じゃないんです、はっきり言えば、ここの決断を下すということは。でも、決断を下さなければ、前に進んでいけないんですよ。これは理屈で言っているんじゃないんですよ、全基廃炉なんというのは。使えるものを使えなくするんですから。

 でも、福島県の背景を考えれば、そんなの検討せずとも全基廃炉だというのが、大臣が日ごろ言っている、被災者に寄り添う、福島県に寄り添うということじゃないですか。理屈に寄り添っているだけでは、それは県民に寄り添うということじゃないですよ。総合的判断から、福島県だけはやはり外さなきゃ、特別に考えなきゃいけないですよ。これは風評被害対策も含めて、全て関連してくることですから。

 所管に任せているんじゃなくて、逆に根本大臣がリーダーシップをとって、森大臣でいいですよ、リーダーシップをとって、これは県議会でも議決していることですよ。重く受けとめて、今後再考を施して、残余の質問を椎木議員に譲ります。

 どうもありがとうございました。

後藤田委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保でございます。

 小熊議員にかなり時間をはしょられたものですから、できるだけコンパクトに質問させていただきたいと思います。

 冒頭、根本大臣におかれましては、昨日、精力的に福島県に入られたという報道を拝見しました。本当に大変お疲れさまでございます。敬意を表したいと思います。

 私ごとですが、私は、国会議員になる前、小学校、中学校、高等学校で教員をやっておりました。そのときの経験を踏まえまして、本日は、子供たちへの思い、そういう気持ちを込めて質問させていただきたいと思います。

 また、教員の後、地方自治体で、市役所の方に約十八年間勤務しておりました。当時、この三・一一の地震発生時には、一市役所の職員として復興復旧に当たった一人でもございます。復旧復興に当たった地方自治の職員として、それぞれの、国民の皆様の、地域の皆様の声もできるだけ酌み取りながら、きょう質問させていただきたいと思います。

 それでは、通告の中で、できるだけコンパクトに質問させていただきたいと思います。

 初めに、放射性物質の汚染状況の認識についてお伺いしたいと思います。

 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災の福島第一原子力発電所事故では、放射性物質は福島県に限らず東北や関東の広い地域に飛散しており、環境の汚染が生じ、住民の健康への影響が懸念されております。

 このため、事故発生当初から、関係省庁、福島県を初め、各都道府県、原子力事業者等が連携して、空間線量や土壌等の放射線モニタリングを継続的に実施してまいりました。私の選挙区であります千葉県や、そして私の実家もあります茨城県でも、事故以来、高い空間線量が測定され、地域や土壌、農作物の汚染が報告されております。

 環境省では、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルト以上の地域を汚染状況重点調査地域に指定しております。この地域は重点的に調査測定が必要な地域ということですが、福島県以外にも多くの地域が指定されております。これはまた、その地域における追加被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えるということでもあります。現在、八県百一市町村が汚染状況重点調査地域として指定され、千葉県においては九つの市が指定されているところでございます。

 福島原発の事故発生により、千葉県北西部、埼玉県南東部、茨城県に飛散したセシウム等の放射性物質のモニタリングによる検査結果の状況いかんと、その結果についてどのような認識をお持ちなのか、文部科学省に御答弁をお願いいたします。

 さらに、原子力政策を推進してきた国には、原発事故による健康被害のおそれのある全ての人々の健康を守る義務があると考えますが、この点について、環境省より御答弁をお願い申し上げます。

土屋政府参考人 先生御質問のモニタリングの部分についてお答えさせていただきたいと思います。

 福島第一原子力発電所の事故に伴い放出されました放射性物質の拡散状況、これにつきまして、概要を把握するため、まず航空機モニタリングを私ども実施いたしまして、二十三年四月には福島原子力発電所周辺八十キロ以内を対象に調査を行いましたが、その後、調査範囲を拡大いたしまして、先生御指摘の茨城県につきましては二十三年の七月から、また、千葉県、埼玉県につきましては二十三年の九月より測定を行ったところでございます。比較的空間線量が高い地域におきまして、おおむね〇・二から〇・五マイクロシーベルト程度というような結果が得られたところでございます。

 さらに、その後、事故に伴い放出されました放射性物質の分布状況を詳細に把握するという目的のために、土壌中の放射能濃度の詳細を測定いたしました。この結果、セシウムの寄与が最も大きいということがわかりました。先生御指摘の千葉、埼玉県、茨城県につきましては、平成二十三年の十二月から二十四年の五月にかけて調査を行ったところでございます。

 また、航空機モニタリングの結果、〇・二マイクロシーベルト毎時以上、あるいは、自治体からの御要望を踏まえまして、走行サーベイということで、空間線量を詳細かつ広域に把握する活動を行いまして、二十三年十二月には千葉県、埼玉県、茨城県で測定を行いまして、線量率が相対的に高いエリアで〇・五マイクロシーベルトということが得られました。

 これらの結果につきましては、原子力災害対策本部、また当時の原子力安全委員会あるいは環境省などに御報告させていただき、また公表もしております。

 以上でございます。

秋野大臣政務官 今般の東京電力福島第一原子力発電所に係る住民の方々の健康を見守ることは、政府としても重要であると認識をしているところでございます。

 そのため、福島県が県民の健康を長期にわたり見守るために実施している健康管理調査に対して、国が七百八十二億円の交付金を拠出するなど、財政的そして技術的な支援を行っているところでございます。

椎木委員 ありがとうございました。

 では、次に、被災者支援施策パッケージの健康管理調査等の施策の対象についてお伺いします。

 子ども・被災者支援法第三条には、国の責務として、国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任並びにこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、基本理念にのっとり、被災者生活支援施策を総合的に作成し、及び実施する責務を有するとあります。

 ここでお伺いしたいところは、第十三条第二項には、少なくとも、子供である間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者等に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置が講じられるものとするとあります。

 この被災者支援施策パッケージには、施策の推進に向け、フォローアップを実施し、パッケージの拡充を検討するとしておりますが、法の趣旨を踏まえ、福島県以外の子供等の健康管理調査も行うようパッケージに盛り込むべきではないかと考えますが、環境省の御所見をお願いいたします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 福島県以外の近接県、東北から関東まで数県ございますけれども、その数県においては、事故後、すぐ実施されたところもありますが、少し時間差もありましたけれども、各県が、それぞれごとに実施主体となりまして、有識者会議を招集して、開催をしていただきまして、その結果として、私ども承知しているところでは、健康影響が観察できるレベルにはないということで、現時点では、科学的には特段の健康管理は必要ないという結論が出たと承知しております。

 なお、先般、WHOの報告書というのも出ましたけれども、この中でも、福島県外については、事故による放射線による罹患の増加が確認される可能性は小さいということでございましたので、通常の健康に関する各種施策の範囲内で、各県で実施されるものと考えております。

椎木委員 御答弁ありがとうございました。

 今御答弁いただいた内容については、私も承知しているところなんです。

 私が申し上げたいのは、次の質問がどちらかというとメーンになるんですけれども、子供たちや地域住民の皆様にいかに我々政治家が安心を与えるか、その一点だと思うんですね。

 そういう意味で、千葉県内の汚染状況重点調査地域である九市の自治体から、根本復興大臣に要望書が提出されておりますので、そちらについて質問しながら、今の詳細について補足させていただきたいと思います。

 本年二月二十六日、千葉県内の汚染状況重点調査地域に指定された鎌ケ谷市を初め九市から、根本復興大臣に、子ども・被災者支援法に係る緊急要望が提出されております。

 この子ども・被災者支援法では、基本方針に、被災者生活支援等施策に関する基本的事項等を定めるほかに、支援対象地域を定めることとされております。

 支援対象地域には、日本弁護士連合会などは、平常時の一般住民の被曝線量限度とされる年間一ミリシーベルト以上を指定の基準とするよう求めております。この場合、支援対象地域は福島県外に拡大することになります。

 原発事故による放射線被曝のおそれのある子供たちを初めとして、全ての被災者の健康を守るために、汚染状況重点調査地域を支援対象地域に指定すべきと考えますが、この点について根本復興大臣の御答弁をお願いいたします。

根本国務大臣 先ほど来答弁をしておりますが、子ども・被災者支援法、この支援対象地域、特に二十ミリシーベルト未満であって一定の基準以上の地域、一定の基準、これがさまざまな議論があります。

 私はやはり、ここは科学的、専門的、客観的に、内外の知見を含めて示していただくべきだろうと思っておりまして、その点につきましては、先ほど来申し上げておりますが、原子力災害対策本部で、どの程度の放射線量にはどの程度の放射線防護が必要かという線量のあり方を検討してもらいたいということで、今検討していただいております。

 今回のパッケージでは、その意味では、法律に言う支援対象地域については触れておりませんが、必要な施策は盛り込みました。それぞれの施策について、先ほど文科省の給食の検査もありましたけれども、九県が対象になっているという話がありました。要は、それぞれの施策ごとに対象地域は異なるんですね。そして、その施策をそれぞれやっていこうではないか、こういうことで今お示ししたところであります。

 例えば、施策によって対象地域が異なる、御指摘の汚染状況重点調査地域を対象とする除染、これは放射線量に応じた地域の線引きがなじむと思いますが、就学支援のように、津波や地震そのもので被災した方々との公平性を踏まえると、施策パッケージの中では原子力災害の地域よりも広い地域を対象としております。

 ですから、今お話のあった今般の九市町村の要望にあります健康管理調査のように、所管の環境省において、専門的、科学的にリスクコミュニケーションとあわせてしっかり取り組むべきものもありますから、そこは施策ごとに対象地域がありますので、その中で御要望のあった九市町村についてもリスクコミュニケーションを含めた対応を、これは所管の環境省においても議論していただくように、私も考えていきたいと思います。

椎木委員 大臣、ありがとうございました。

 私も行政での経験がありますので、今の答弁で十分理解もできますし、非常に丁寧な御答弁だとは思います。本当にありがたいと思っております。

 ただ、やはり、私の地元の皆様のお声をちょっと聞いてみますと、何らかの医学的な部分や科学的な部分、そして因果関係が立証されての健康被害に伴う健康診断を希望されているのではないんですよね。健康診断を受診して、結果的に何もなかったという安心感をかち取りたい、そういう趣旨なんです。そういう意味では、私も行政にいた一人としては、なかなか、因果関係や医学的な見解とか、そういうのがなく国費を投じるというのは非常に難しい部分があると思うんですよね。

 ただ、九市の要望書と、地元の皆様の、子供たちの声と地域の皆様の声というのは、とにかく受診をさせていただいて安心したい、そういう趣旨であるということだけは復興大臣の方にお伝えしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間も迫ってまいりましたので、最後に、私の方で質問を用意したものをちょっとはしょりまして、簡単にまとめたいと思います。

 冒頭申し上げましたが、昨日、安倍総理と根本復興大臣が福島の方に精力的に入られまして、多分、私が察するに、やはり福島県民の皆様は相当安心感はあったんだと思います、総理と大臣がわざわざ福島まで行ってくださったわけですから。

 私も、この復興特というのは自分で希望した特別委員会でもありますし、今、維新の会の理事もやらせていただきまして、本当にやりがいを持ってやらせていただいているところです。

 本当に余談なんですけれども、私は、高校の教員のときに高校野球の監督、コーチを十年やっていまして、最近まで行われていましたWBCでも、今開幕しました高校野球の方も、戦術的に送りバントというのは非常に目立っていたかと思います。この送りバントというのは、非常に効率よく得点をする戦術なんですね。そういう意味では、消極的ではなくて、監督としては非常に度胸の要る采配なんですね。

 そういう采配的な部分を、私自身が監督の経験で、この復興特に置きかえてお話しさせていただきますと、私は、維新の会は、是は是、非は非で、今、復興大臣初め後藤田委員長も、本当に精力的に一生懸命、この委員会運営の方を進めていただいていると感謝しています。私も一議員として、また維新の議員としても、できるだけ政権与党の大臣初め後藤田委員長の力になれるように、みずからバントで走者を進めてまいりたいと思っています。

 ただ、一球の失投も見逃さずに、復興大臣には一発で、クリーンヒットで、スコアリングポジションのランナーを帰していただいて、福島を初め被災地の皆様に、少しでも早く復旧を終えて、今度は復興の早期解決に向けて御尽力いただければと思います。

 私は、与野党の垣根を越えて、市民の感覚というものを大事にして、そのために今自分が何ができるか、それはやはり、野党ではあっても、この復興特の委員として、きちっと大臣と委員長に、送りバントで走者を進めることだと思っています。何とか本当に、一刻も早いという意味では、くどいようですが、本当に一発で決めていただいて、早期に復興をなし遂げるように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 本日は、このような質問の席を設けていただきまして、ありがとうございました。以上で終わります。

後藤田委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党、新人議員の林宙紀と申します。

 さきの総選挙で、みんなの党としては東北で初めて衆議院での一議席をいただきました。そちらを預からせていただいております。

 私は宮城の出身ですが、ふるさと東北を襲いました東日本大震災並びにその後の政治の対応を見ていて、この国の政治のあり方はもはや危機的なんじゃないかというところから政治を志したという人間です。

 ただ、それにつけても、これまで、その評価はいろいろあるかと思いますが、皆様におかれましては、故郷東北のために御尽力を多々いただいているということに関しましては、感謝を申し上げたいと思います。

 地元でも、前の政権ができなかったことをやってくれるんじゃないか、そういう期待のもとに今回の自民党さんの政権が成立したということになりますから、その期待が失望に変わることのないように、私も、東北の被災地唯一のみんなの党の議員といたしまして、自民党の皆さんが野党時代に何をおっしゃっていたのか、そういったところもしっかりとチェックさせていただきながら、是々非々で協力をさせていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきます。

 二年前の東日本大震災の後、二〇一一年三月二十五日になりますが、みんなの党は大復興アジェンダというものをつくりました。大体の趣旨を申し述べますと、要は、復興事業に関する権限並びに財源、これらを全て付与した、今で言うところの復興庁という位置に当たる組織をつくりましょう、その本拠地は仙台に置きましょう、さらには、専任の大臣、復興大臣のことです、こちらも被災地に常駐していただいて、まずは地元に寄り添って要望を酌み取り、ワンストップ機能、ワンストップで現地で全て判断できる、そういうシステムをつくりましょう、そういうことをこの中に書いていたわけです。私は、今でもこれをやるべきだと思っています。

 この立場になりましてから、被災した各自治体にいろいろとお話を伺いに行っていますが、ほぼ必ず言われることがありますよ。地元でもうちょっと自由に決められるようにならないものでしょうか、そういうお話は、ほぼ全ての自治体でお伺いします。

 簡単に言えば、地元が優先順位をつけて、これが優先度が高いなと思われる事業を国に上げる、しかし、そこでチェックが入る、不十分だとして返される。一方では、国が優先的に予算をつけていただくのは、地元としては、これはそれほど優先度が高くないんじゃないか、そういった事業が多い。そういうことが起こっている。国は、そうじゃないと皆さんおっしゃると思いますよ。だけれども、地元ではそうは受けとられていない。これだけはまず御認識いただきたいと思うわけです。

 さきの自民党の選挙公約にもございましたように、前の政権ではできなかったことをやるんだ。これが本当なんだったら、まさに、私は、まず復興庁の本部機能を被災地に移転する、そのポイントと、それから、ワンストップサービスを実現するんだ、今からでも取り組んでいい、それだけの価値があることなんじゃないかなと思いますが、復興大臣、これについて、お気持ちはいかがでしょうか。お願いいたします。

根本国務大臣 阪神大震災のときには、たしか、小里防災担当大臣、災害対策担当大臣が数日後に現地に常駐して、そして現場で指揮をとりました。私も、今復興大臣になって改めて、委員御指摘のような話も、私なりに頭を整理いたしました。

 復興庁が司令塔機能を存分に発揮するためには何が必要か。ここの霞が関に各省庁がありますから、それぞれの立場で復興を担う各省庁、この閣僚レベルでの調整を強力に行う。あるいは、私も幾つかタスクフォースをつくっております。私のもとで各省庁の局長に集まってもらって、そして横串を入れて施策を動かしていく、そういうやり方をやっておりますが、やはり、霞が関の各官庁がここにありますから、立法府への対応あるいは予算要求への調整、あるいは閣僚レベル、各省庁の施策の調整、中枢管理機能的なものは、私は、ここに、東京に置くべきだと思います。いわゆる本庁機能はやはり東京に置く必要がある。

 ただ、福島復興再生総局が典型ですが、福島復興再生総局においては、三つの組織、つまり、環境再生事務所、現地対策本部、そして復興庁、これが三つに分立して、ここがうまく回っていないという意見もありましたから、ここは、福島について復興再生総局をつくり、そして当然トップは私ですが、現場で即断即決できる体制、いわゆる福島、東京二本社制をしきました。

 そして、仙台や宮城でも、副大臣または大臣政務官を常駐させておりますから、政治のリーダーシップのもとで、現場主義を徹底して、縦割り行政を是正し、総合的な対策、対応を行っていく、そういう体制を整えております。

 ですから、やはりそこは、私は、この現場の即断即決する体制と、そして、復興庁を中心に、中枢機能、いわゆる本庁機能をうまく組み合わせて、私のリーダーシップのもとで、施策を円滑にスピーディーに進めていきたいと思っております。

林(宙)委員 つまりは、もうそれはやる必要がない、私が申し上げた復興庁の本部機能は被災地に置く必要はない、あくまでも国、霞が関が主導するとお考えであるというふうに私は受け取りました。そのようにお答えいただいたと思います。

 福島の復興再生総局、私はあれは大きな前進だと思います。ただし、今まさしくおっしゃったように、現場で決断するというシステムがまさしくこの福島復興再生総局に生かされている思想なのであって、ではこれをほかの被災地全体でもできないですかということを私は申し上げているわけです。

 シンプルに、なぜ福島、福島だけと言うとちょっと語弊がありますが、全体的にやればいいじゃないですかという意味で、私は、まだこれからやっても意味があるんじゃないかというふうに申し上げているわけです。

 というふうに考えますと、実は、先ほど申し上げた、みんなの党の大復興アジェンダとほぼ同じことを当初からずっと主張されていた自民党の先生というのもいらっしゃるわけです。これは、ほかならぬ、地元宮城の大先輩の秋葉副大臣になるわけなんです。

 お手元に、済みません、ちょっといろいろネタばれになってしまうような仕方をしちゃったんですが、資料の二枚目を先にごらんください。本当はこっちが上だったんですけれども。

 これは、平成二十三年十月二十四日のこの委員会での質疑内容の議事録になります。ここで、当時野党の秋葉議員が、いろいろと、復興庁を被災地に持ってくるべきじゃないかという御発言をされているわけなんです。

 例えば、一番上のアンダーラインの部分、各省の寄せ集めで、その中でそれを運営管理、進行管理していくだけ、こういうふうになりがちだと。だから、そうならないように、やはり基本的には、今各省がやっているような権限を、地元の要請に基づいて、この復興庁にまずはげたを預けるといったことにすれば、まさに文字どおりワンストップでサービスが進むじゃないですか、こういうことをおっしゃっているわけです。

 私、これを当時見たときは、本当に、ああ、すごいと思いましたよ。思いました。こういう考え方の方がいらっしゃるんだなと、ほぼ感動に近いものがありました。

 しかし、こういうことを野党時代に秋葉副大臣はずっと主張してこられたというベースを踏まえて、では今、副大臣という立場になってからどのように考えておられるかというところを私はお伺いしたいと思います。原点に立ち返ってそれを実行する決意がおありなのかどうか、まずは、そのあたりをお聞かせください。お願いします。

秋葉副大臣 今、林委員からは、私の野党時代の議事録を引いての御質問をいただきました。

 先ほど大臣が御答弁のとおり、やはり復興庁がしっかりと司令塔としての機能を発揮する、そしてさまざまな事業、施策の迅速化を図るという観点からいいますと、私は、復興基本法をつくったときには、当然、地元にヘッドクオーターが置かれるものだという認識でいたんですね。ところが、当時、民主党政権では、法制上の規定はないわけですね、法律に設置場所まで書き込みませんでしたから、実際の運用の中では東京に置くということで、大変意外でもあり、当時は残念な思いを持ったわけですね。

 ですから、このように、何度か、当時の平野大臣に対して、やはりできれば現地、現場に置くのが基本ではないのかということで訴えてきたのは、そのとおりでございます。

 その後、政権交代の後、根本大臣のもと、さらに復興庁としての機能強化が図られた。特に、タスクフォースの設置も含めまして、根本大臣の強いリーダーシップの中で、復興庁としての機能強化が相当図られた。そして、そのことは、特に、委員からも御評価いただきましたように、福島の復興局については、再生総局という形で東京との二本社化ということが図られました。また、岩手の復興局、そして宮城の復興局についても、人員の増強も図られました。

 そういう形で、たまたまヘッドクオーターは相変わらず東京には置いておりますけれども、その中身の中で、より現地、現場でワンストップで対応できるような体制が整いつつあるというふうに認識しております。

林(宙)委員 では、ちょっとお伺いします。

 秋葉副大臣のホームページからダウンロードができます。皆さんにも手元にお配りしていますが、「サポーターズタイムズ」、これは私が拝見したんですよ。「「復興庁」を仙台に!!」と、どどんとお書きいただいております。

 これは主に地元の支援者に向けてつくられているものだと思いますが、当時の支援者は、かなり期待したんじゃないかなと思います、これで復興が一気に進むんじゃないかと。これに関しては、地元ではどのように御説明されているんでしょうか。副大臣、お願いします。

秋葉副大臣 先ほども御答弁したように、この記事を私が執筆しましたのは、当時、野党という立場で、復興再生基本法が成立する前後から、特に成案を得た後には、いよいよ復興庁の創設ということが始まるわけです。当時の民主党は、対策本部だけでいいという姿勢だったわけですね。対策本部みたいな中途半端な形じゃだめだ、やはりしっかりと各省庁の若手のエース級を集めてワンストップでやっていくことが大事だということで、当時の民主党政権も、復興庁の創設には応じたわけです。

 当時、私どもの自民党案では、復興庁というよりも、復興院という形で法案の中に入れたいということで原案をつくっていたわけですけれども、そこは法制上の規定はなかったということでございまして、あくまでも野党時代には、林委員御指摘のとおり、仙台にぜひつくるべきではないのかと。

 何しろ、いずれの被災自治体も大変な状況だったわけですけれども、しかし、その被災の六割以上は宮城県、死者数の問題にしても、全壊の住宅の件数にしても、その大半が宮城県に集中していることを鑑みれば、その方がいいのではないかということで、当時、私自身もこの国会で訴えてまいりましたし、被災地において聞かれたときにも、そうした方が復旧復興が早く進むということを申し上げてきたところでございまして、野党当時、そういうふうに主張しましたが、残念ながら、本部は東京という形になりました。

 それで、政権がかわったわけでありますから、大臣から御答弁いただいているように、さらにその目的とするところを強化してきたという実態で十分対応していけるものというふうに認識しているところでございます。

林(宙)委員 ちょっと今の御答弁で気になったのが、野党の時代にはという言い方を何度かされているところなんですが、野党の時代に言っていることは与党になったら変わってしまうんですかという印象を与えかねない内容だと思って、私は非常に気になるんですよ。ですけれども、それをおいたとして。ということは、今から復興庁の本部機能を仙台に、仙台じゃなくてもいいんですけれども、東北の被災地に持っていくということよりも、今の体制、国が主導する、東京で主導する、その体制の方が、副大臣としては、その方がいい、メリットが多いという御判断であると考えてよろしいんでしょうか。

秋葉副大臣 先ほども根本大臣からも御答弁いただいているように、やはり問われるのは実質的な中身の問題だと思うんですね。現実に、今、人数の差配かげんも含めて、東京に置いているのを大移動して、そして向こうでヘッドクオーターを置くことのメリットということを比較しても、やはり現状の中で強化をして実をとった方が、より対応がスムーズなのではないかと思っておりますし、現実に、相当現地、現場で今判断できる体制を整えておりますので、必ずしも形式的な、どこが本部かということにこだわらなくても、現地、現場で対応できるという対応の機能強化、まさに司令塔としての機能強化が図られてきたということの中で今対応ができているんだろうと思います。

 どうしても、やはり震災発災当初は、さまざまなことが東京とのやりとりの中ではいろいろ時間がかかるわけでございますけれども、震災から二年が経過をいたしまして、今度、復興庁の関与を強めながら、工程表のサポートも強化をいたしました。そういった中で、時間の経過とともに、今は、東京に本部があったとしても十分対応できる陣容になりつつある、そういう認識でおりまして、やはり実態がしっかり伴っていくということがいずれにしても大変重要な点であろうというふうに認識しております。

 ですから、林委員の問題意識、私も理解できないわけではありませんし、お気持ちはよくわかります。ただ、仙台に戻すことの効果がどうなんだろうということを考えると、実態においては遜色ないものになってきている。いずれにしても、大事なのは、やはりワンストップでしっかりと迅速に決定をつなげていくことだというふうに認識しているところでございます。

林(宙)委員 わかりました。それでは、これからつくられていく体制が、まさしく国と自治体の間でせめぎ合いが起こらない、その地域、地域で迅速に判断ができる体制になっていくんだということで私は理解しました。そこはしっかりと検証させていただきたいと思います。

 復興庁の職員の皆さんは本当に頑張ってくださっているというのはかなり自治体の皆さんからも評価があって、復興庁の皆さん、国の目線で地元に寄り添ってくださっているから、いろいろとアイデアも出してくださるしということで言っています。

 ただ、そこから復興庁の職員の皆さんが、では国の本庁の方、省庁、そこで相談をするときにいろいろとチェックが入るので、なかなか進まないんですよ。これは地元のいろいろな自治体のところで言われていることですけれども、だからこそ、わざわざ国の役人の方が来て地元でいろいろ判断して考えているのに、なぜ復興庁の職員の皆さんがいろいろな権限とか財源とかを持っていないんですか。それがやれれば、特にそんな、人数大移動とかしなくても、すぐできるじゃないですかと私は考えているわけです。

 いずれにしましても、今の副大臣の御答弁の中では、これから見ていてくださいよというメッセージなんじゃないかなと思いますので、私も、みんなの党、東北で一人しかおりませんので、しっかりとチェックをさせていただきたいなというふうに思っております。

 きょうは、総務省の北村政務官にもお越しいただいていますので、済みません、最後、こちらの御質問をさせていただきます。

 被災地の選挙についてなんですが、実は、平成二十三年の四月に統一地方選挙として予定されておりました東北の選挙、いろいろと影響を鑑みて延期された部分がございます。

 例えば、宮城県の県議会選挙は十一月に延期されていますし、仙台市議会議員選挙は八月に延期されました。もちろん、次の選挙は、法律的にはそこから四年後という、平成二十七年の八月なり十一月ということになるんですが、地元では、これはあくまで特例措置でこうなったはずなので、震災復興の道筋も大分見え始めてきたこともあって、この次の選挙は前と同じところに戻した方がいいんじゃないか、もともとがそういう思想だったじゃないか、そんな意見もあります。

 ということで、地元の議会などがそういったことを望むといった決議などをしたときに、国としては、それに対して、いろいろ壁はあると思いますが、前向きに進んでいこうというおつもりはあるかどうかをお伺いいたします。お願いいたします。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 東日本大震災の影響により、選挙の実施が困難とされた五十七団体、六十八の地方選挙については、各党各会派の議論の結果、選挙期日を延期するという特例法により延期されて今日に至っていることは、今ほどお話しのとおりであります。

 したがって、東日本大震災により延期された今回のこの選挙期日の取り扱いを含め、今後の地方選挙の選挙期日の統一のあり方については、先ほどの六十八地方選挙のどの辺まで、地方選挙の範囲を統一対象とするのか、あるいは、議会の議員及び長の任期等の身分にかかわる事柄などでございますので、さまざまな御意見があることは十分承知をいたしております。

 したがって、地方公共団体の意見等も聞きながら、今後、主として各党各会派がそれぞれの立場で議論をしていただいて、結論を、方向性を決めていっていただきたい、こんなことを考えているのが現時点の姿勢でございます。

林(宙)委員 私の質問はもっとシンプルで、そういうことを地元で決めたときには、前向きにやる用意もあるのかどうかというところをお伺いしたわけであって、今の発言は大変ありがたいですけれども、ちょっと不明確だったなという気がします。またこれは改めてお伺いしたいと思いますので、そのときよろしくお願いいたします。

 ということで、時間が来ましたので、こちらで終了させていただきます。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、大臣の所信に対する質疑でありますので、根本大臣の率直な答弁をお願いしたいと思います。

 二月二十五日の福島県議会で、自民党の代表質問者は、原発事故を引き起こしたことについて、県民、そして被災者の皆様に対して、ここに改めて陳謝するものであります、このように述べております。政権与党として原子力政策を推進してきたが、安全神話に陥っていたという安倍総理の国会答弁を引きながら、県議会の自民党議員会にも当てはまることだ、こういう率直な意見表明をしております。

 また、資料の二枚目に、三月二十一日付の東京新聞をつけておきました。もう既に話題になったので御存じだと思いますけれども、福島県議会議長の斎藤健治氏が、自民党本部で行われた、原発がある道県の議会議長を集めての調査会の会場で、事故を収束させず、再稼働ありきなら一緒に議論できないと主張し、途中退席したということが報じられました。

 この記事は、この斎藤氏に対するインタビューでありますが、真ん中の段のちょうど真ん中の行のところにこう書いてあります。「震災前日まで、県連幹事長として県議会で「福島第一原発の七、八号機を早く増設しろ」と知事にけしかけていた。」こういうふうに率直に述べているわけですね。

 原発を一基つくれば、推進派にとってどれほどのメリットがあるかをるる告白しつつ、しかし、震災直後の周辺の町村の本当に深刻な惨状、このことを見る中で、とんでもないことを推進してきたと素直に反省せざるを得なかったと述べていらっしゃいます。

 私は、この率直な言葉、本当に大事だなと思っています。県議会の中でも、我が党の議員は、共産党の指摘をしてきたとおりにしていればよかったなということを率直に自民党の議員さんからも述べられることがあるんですけれども、しかし、議会の中ではやはりオール福島で、本当に、責任を追及することよりも、少しでも被災者の立場に立ち、あるいは事故の収束に向けて頑張って、心一つにやってきたな、こういうふうに思っております。

 そこで、根本大臣に伺いますが、原発推進を図ってきた政府の中枢におり、かつ、自民党福島県連の一員としての率直な言葉を述べていただきたい、伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今もお話がありました。総理も、二月十二日の衆議院予算委員会で、自民党の小泉進次郎議員の質問に対して次のように答弁をされております。我々は、政権与党として原子力政策を推進してきた、そして、それは安全神話に陥った原子力推進政策であった、このことは深刻に反省しなければならないと思います、改めて、このことによって深刻な事故が起こって、多くの方々に大変な被害を与えている、おわびを申し上げたいと思いますと。

 私も総理と同じ考えであります。私としては、原発事故からの復興に全力を挙げることで責任を果たしてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 多分、総理のお言葉を引いてお答えになるんだろうなと思っておりました。

 ただ、質問に述べたように、やはり福島県連として推進を図ってきたこと、そして、震災の直前なんですね、これは私が前から指摘をしていたことなんですが、原発の増設を求めていた、そういうことを本当に率直に反省をしなければならない。一般論では済まないんだという立場に立って御発言をいただきたかったなと思っていますが、もし一言あれば、お願いします。

根本国務大臣 私も、三月十一日以降、ずっと地元におりましたので、さまざまな思いの中で今答弁を申し上げました。

高橋(千)委員 この続きは、原発推進政策そのものについては、また改めて機会を見て指摘をしたいと思います。やはり、この反省をきちっと踏まえるとなれば、少なくとも、先ほども話題になりましたけれども、十基廃炉は当然であろうし、また、福島がこのような状態で再稼働の議論があるということはあり得ないであろう、このことを重ねて指摘をしたいと思います。

 きょうは、ちょっと具体の話に入りたいので、ここにとどめたいと思います。

 もちろん、あわせて言っておきますけれども、だからといって民主党政権の責任を免罪するつもりはありませんので、そこは一言、言っておきたいと思います。

 そこで、きょうは下村文部科学大臣においでをいただいています。大変申しわけありませんでした。三月十三日に通告をしておりましたけれども、時間切れになりまして、言いっ放しになってしまいましたので、きょうはその答弁をぜひ伺いたいと思います。

 三月五日に、文部科学省が東電の廣瀬社長宛てに要請文を出しました。原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターの昨年一年間の活動状況報告書に基づいて、三割以上が、東電への不満や要望が多かった、こうしたことを指摘しながら是正を求めました。十三日の予算委員会では廣瀬社長が、大変重く受けとめ、今後もしっかりやっていくと答弁しましたが、大変抽象的な答弁でもあったかと思います。私は、このADRセンターの活動報告書並びに要請書はかなり重いものがあると思っています。

 そこで、質問は、この文書に対する東電からの正式な回答はあったのかどうかが一つです。それから、要請文書は、中間指針に具体例のない損害について賠償に応じてくれない、こういう被災者の苦情が非常に多かったということを指摘して、東電に改善を求めています。ただ、東電は政府の中間指針を根拠としているわけでありますから、やはり、そういう具体例が積み上がったのであれば、政府自身が中間指針の見直しをするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 お答えいたします。またお呼びいただきまして、ありがとうございます。

 まず、文部科学省では、今月の五日、東京電力に対して、事故の被害を受けた方に対する誠意ある対応を徹底するよう改めて要請いたしました。

 この要請を受け取った対応については、二十一日木曜日、東京電力より事務的な経過報告がございました。現在、組織内における要請の周知と指導を徹底しつつ、要請に対する対応を検討中であるとの報告があったわけでございます。今後、改めて東京電力から速やかに正式な回答が来るものと認識しておりますけれども、仮に東京電力の対応に不十分な点がある場合には、私としても厳正に厳しく対応してまいりたいと思っております。

 その上で、中間指針に明記されていない損害は支払わないとの声が多く聞かれていると、この中間指針の見直しについての御質問もございました。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定した指針は、類型化が可能で、一律に直ちに賠償すべき損害の範囲や損害項目を示したものであり、「指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。」と明記がございます。

 文部科学省においては、これまでも、今のように、東京電力に対して、個別具体的な事情に応じて誠意ある対応をするよう要請してきたところでございますが、この報告書において、中間指針に明記されていない損害は支払わないとの声が寄せられていると報告された等を踏まえまして、改めて、先ほど申し上げましたように要請したところでございます。

 この指針に関しては、平成二十三年八月の中間指針策定後にも、審査会において必要に応じて見直しを行っており、ことしの一月には中間指針第三次追補を策定し、食品新基準値の設定に伴う農林漁業の風評被害の損害について、新たな品目、区域を賠償の対象範囲として追加したところでもございます。

 今後も、原子力損害の発生状況等を踏まえつつ、審査会において、指針の見直しについて検討がなされるものと考えております。

 さらに、指針で示すことができない個々の損害については、原子力損害賠償紛争解決センターにおいて、多くの申し立てに共通すると思われる点に関して一定の基準を示す総括基準、これを策定、公開しておりますけれども、和解実例を順次公開し、東京電力に対し、これを参考にして柔軟かつ適切な対応を要請しているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、センターによる和解の仲介などの体制を強化しながら、被害者の方々に対して、迅速、公正、適正な賠償が実現するための取り組みを全力で進めてまいります。

高橋(千)委員 類型化を図れるところをまずやっていく、その上で、そこにないものであっても相当因果関係があるものはということで、これまでも答弁がされてきました。この問題については、東電の対応は、因果関係はあるかもしれない、しかし相当程度はないと、言葉尻を捉えるような答弁をして、なかなか踏み切ってくれないというのが実態でありました。しかし、大臣は今、必要に応じて見直しはされるものという答弁をされましたので、ぜひ認識を一致させたいなと思うんです。

 私が指摘をしているのは、指針にないものといっても、例えば実費負担の部分ですとか、個々に違います。個々に違うものは、ADRセンターですとか、さまざまな現場で見直していかなければならないかもしれません。しかし、そういうことではなくて、共通して出されているものがあるんじゃないか、そこに対しての認識であります。それは、精神的損害の問題、そして財物賠償の、一〇〇%認めるといっても、それはあくまでも震災前の土地の評価額でありますから、それでは到底再建の補償にはならない、こうした声が共通して出されているという問題です。

 例えば、ADRセンターの報告書、ここにありますけれども、精神的損害に対する申し立てが全体の五割を超えています。これを踏まえて、精神的損害については、遺憾ながら東京電力が直接請求では増額に応じないのが現状であるため、増額の可否の判断は、当センターが現在果たすべき重要な役割の一つと述べております。大変踏み込んだ報告なんですね。

 だけれども、本当にADRがカバーできるというのは、まだまだ被災者の中のほんの数%でしかないわけですよね。だったら、そこをもっと踏み込んで、少なくとも今打ち切りではないですよねと。子供さんの放射線の被害、すごく感受性が強いということを認めている、でも、そのことでお母さんたちが悩んでいる、これだって精神的損害じゃないか、こういうことをこもごも、この間、やりとりをしてきたんです。

 そうした課題といいますか問題意識ということを、まず認識として大臣自身が持っていらっしゃるのか、ぜひきょうはそのことを伺いたいと思いました。下村大臣に。

    〔委員長退席、小里委員長代理着席〕

下村国務大臣 被災された方々のさまざまな御要望や問題意識をしっかりと受けとめて、そして、迅速、公正、適正な賠償が実現できるよう、文部科学省としては全力でさらに取り組んでいく必要があるというふうに思います。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針は、類型化が可能で、一律に賠償すべき損害の範囲を示すものであり、被害者の御要望の全てを反映することは困難であって、これまでも、損害の発生状況に応じ、随時見直しを行ってきたところでもございます。

 このように、指針については可能な限り被害の実態を踏まえたものであることが重要と考えておりまして、審査会においても、今後、原子力損害の実態把握に努め、必要に応じて指針の見直しを図っていきながら、被災者の方々に寄り添った視点で文部科学省も東京電力に対して対応してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 最後におっしゃった寄り添った視点ということを貫いていただいて、ぜひ見直しをしていただきたい。繰り返し要望したいと思います。

 本当に、ここは指摘にとどめますけれども、浪江町請戸の被災者の皆さんは、津波で家を流された後に、あの原発事故で避難を余儀なくされています。だけれども、家を流されたのは津波のせいでしょうといって、賠償の対象になりません。でも、帰ることができませんから、いわゆる被災者生活再建支援法の自力再建の部分の、残り二百万円もいただくことができません。こういう実態が、何ともおかしなことになっているわけですね。

 でも、中間指針の第二次追補には、事故による損害か、地震、津波による損害かの区別が判然としない場合もあるから、柔軟にやってくれとまでは書いているんです。そういうところをもっと踏み込んで見直しをすべきではないか。きょうは指摘にとどめたいと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、原子力規制委員会に質問をいたします。

 原子力規制委員会が、福島第一原発事故に関連して健康管理のあり方を研究して、三月六日付で提言を発表しています。その経緯と提言のポイントについて簡潔にお願いします。

黒木政府参考人 お答えします。

 現在、福島県により実施されている県民健康管理調査については、事故早期及び長期的外部被曝線量の把握が一部にとどまっているという状況であることを踏まえまして、東京電力福島第一原発事故の被災者である住民の健康上の不安を解消し、安定した生活を実現するために、昨年十一月より、有識者検討チームによる五回の検討を経て、原子力規制委員会として三月六日に御指摘の提言を行ったものであります。

 具体的には、事故早期及び長期的外部被曝線量及びホール・ボディー・カウンターによる内部被曝線量の把握、甲状腺検査及び健康診査などによる健康状態の把握、健康管理調査の実施体制等について提言を行ったものでございます。

 以上であります。

高橋(千)委員 残念ながら、今の答弁には中身のポイントが全然触れられていなかったなと。

 繰り返す時間がないので、私の方で少し指摘をしたいと思います。

 提言の概要ということでまとめていただいたので、それを資料の一枚目につけております。

 個々人の被曝線量を積算個人線量計等によって継続的に実測し、その記録を残すべきであるとか、甲状腺の超音波検査の実施結果を定期的に評価しつつ、必要に応じた健診を実施すべきであるとか、具体的な課題を述べていらっしゃると思うんです。

 現状を見ますと、さまざま指摘したいことはございます。例えば、比較したら大して違いがないじゃないかとか、有意的な差はないんだとか、そういうことをマイナスに捉えることもできます。

 しかし、私がきょう言いたいのは、この提言は、やはり継続的な評価が必要だということをきちんと述べていることであります。それは、先ほど話題になった低線量被曝に対しても、きちんと、今は結果が、今すぐ出たらおかしな話になってしまうということもあるわけですから、出なくても、やはり継続していくことが必要だ、あるいは、疫学的な研究が必要だと書いていること、私は、これはとても大事だと思うんです。

 そこで、申しわけないんですが、根本大臣にこれを見ていただいて、ポイントは、国が責任を持って継続的な支援を行う必要があると述べているんです。これは、福島県の医師会の副会長である木田光一氏がもっと具体的に述べていて、国の直轄事業として位置づけ、被害に遭った住民自身の健康維持や健康管理の支援策を講じていただきたい、住民自身の視点に立って、国による健康診査、健康診断事業の長期にわたる一元管理を国として実施していただきたい、こういうふうに述べているんですね。

 これはいろいろ経過があって、私たちは国でやってくれと言ったんですが、福島県が自力で始めて、基金という形で支援をしています。でも、結局、こうして長期に、あるいは一元的に管理をするためには、国が責任を持つべきではないかという提言が出されている。このことをどのように受けとめますか。

根本国務大臣 突然の御質問で。

 私も、その提言は読ませていただきました。特に、県民健康管理調査などの現状と提言、これについては、所管の環境省において適切に対応がなされるものと承知をしておりますが、個々人の被曝線量の正確な推定など、貴重な提言ではないかと考えております。

 特に、この健康管理の問題は大変重要な問題だと考えておりますので、引き続き、環境省において適切に対応されるものと思います。

    〔小里委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 次の通告をしていた問いとやはり関係があるんですね。

 先ほどの小熊委員の質問に対して、森まさこ少子化担当大臣が答弁をしていたことでもあるんですが、やはり国が責任を持って健康管理をしてほしい、そのときに、一ミリだとか五ミリだとかという基準というのは本当は念頭にあってはならないと思うんですね。

 むしろオール・ジャパンで子供の健康管理をしっかりやっていって、どこでも安心できるんだという体制をつくっていくこと。その上で、もうどうしようもなく避難を余儀なくされた、つまり、政府によって強制的に避難を指示された、帰還が困難になっている、そういう人たちに対してはもっと上乗せした措置をしなければならないのは当然であります。そういう趣旨が早く具体化されていかないのかなということを思っているんです。

 それで、ちょっと時間が来ましたので、これは要望にします。

 さっき、年内を目途に基準を規制委員会に出したと言っていますけれども、規制委員会に基準を投げてしまうと、それは単なる、今ある避難区域の線引きと変わらなくなってしまうと思うんです。それを乗り越えてほしいというのが立法者の意思である、国会と当事者の意思であるということを踏まえていただいて、どっちにしても年内じゃ全然遅いですからね、当事者の立場に立った支援法の基本方針と施策をやっていただきたい。これは要望にとどめて、続きをまたやりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 岩手の議員でございまして、また、大臣及び政務三役の皆様、本当にお疲れさまでございます。

 早速、本日、具体的な質問を何点かさせていただきたいと存じます。

 住宅の再建、これが今一番重要な課題の一つであるということであります。この住宅の復興の加速のためには、やはりいろいろな手を使わなければならない。一つは、民間主体の活用だろうと思います。民間に、もちろんつくってもらうだけではなくて、用地の提供、用地を探すことも民間にやってもらう。つくって、そしてさらに管理、特に、用地の取得と手当て等、管理の部分をあわせて民間がやるような手法をもっと導入してやっていいんじゃないかなという問題意識を私は持っております。

 いわゆる復興公営住宅、これにおけるPFIの活用ということになろうかと思いますが、この点について。

 といいますのは、市町村がやはり大変なわけですね。大変だというのは、建設も大変なんですが、実は、まだ問題になっていないんですが、管理が、田舎の市町村ですから、なかなかそういう公営住宅の管理の体制がないし、そういう組織もないわけです。だから、その出口の管理までも含めた民営化ということを含めて考えなければいけないという問題意識があります。

 その点も含めて、どういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

鶴保副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、民間活用は大変有意義なことであるというふうに考えております。現在、岩手及び宮城県内において、民間事業者が建設した災害公営住宅を自治体が買い取る、または借り上げる方式により、三千五百戸程度が供給される予定と聞いております。

 また、管理につきましても、指定管理者制度を活用するなど、民間事業者に募集、維持等、管理することを可能とさせていただいております。

 こうしたことごとを総合しますと、現在のところ、建設及び管理について、民間活用をより充実させるべく鋭意努力をしておるところでありますが、委員御指摘のとおり、さらに一歩進めた施策がないか、また虚心坦懐に御意見をいただければというふうに考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 指定管理者制度もいいんですが、管理のときに不安だというのは、つくった後、指定管理者制度でどこかにおろす、これもいいんですが、実は、管理をするときまで考えて、一気通貫で民間主体に、俺は管理までやるよ、そういうところに用地手当て、建設まで任せれば、そこは円滑に進むのかなという思いを持っているんです。

 こういうことも含めて、いろいろな民間活用のあり方がいかにあるべきか、これから十分御検討をお願いしたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

 さて次に、埋蔵文化財の話をさせていただきます。

 今、町づくりがなかなか進まないのは、規制ということは何回も申し上げておりますが、特にこの埋蔵文化財の話が大変面倒くさいというんですよね。

 言ってしまうとなんですが、農転とか保安林とか土地収用というのは、これはこれでわかるんですが、実は今、千年に一回の被災を受けた人たちは、埋蔵文化財が、掘れば出てくるわけです。田舎ですから、遺跡とか土器とか、縄文とか弥生ですとかね。こういうものを、千年に一回のものに通常の手続をとるのはどうなのかという話があるわけです。面倒なわけですね。

 これは、私も通知を読みましたし、あるいは、この前の三月十三日の予算委員会で、文科大臣からもお話を承りました。従前の知見に基づいて試掘調査を不要とするなど発掘調査の簡略化と迅速化ということでありまして、具体的にどういう簡略化、迅速化がされるかなということで、この前お伺いしたんですが、埋蔵文化財があるとわかっているところを掘ることはないことは当たり前だと私は思います。要は、包蔵地、文化財があるところを開発しなければいい、そこを避けて開発すればいいじゃないかという話があるわけですが、実際は、その周辺の場合どうなのかというのが若干疑問があります。つまり、周辺の場合、その周辺地域は、ないことが明らかに判明していない限りはやはり掘らなきゃいけないんじゃないかなというのがこの前の御答弁だったんだろうと思います。

 だとすれば、結局は、一体どこが簡略化されたのかなというふうな気がします。要は、あることがわかっているところ以外は掘らなきゃいけないとすれば、結局は、手間は変わらないし、簡略化になっていないだろうなという思いが実はあるわけです。

 そこは、ひょっとしたら、試掘後、掘った後にいろいろな手続がその後進みますが、その部分が簡略化とか不要になっているのかとか、その辺で簡略化されて規制緩和されているのかなという思いもあるんですが、そこも含めて、どういうところが簡略化されているのか、大臣から御答弁をいただければと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 先日も、予算委員会で御質問がございました。

 被災地の復興に当たり、復旧復興事業の迅速化と埋蔵文化財の適切な保護の両立、これが重要であると認識しております。

 被災地の埋蔵文化財の発掘調査については、一つには弾力的な取り扱い、二つ目に人的支援、三つ目に財政負担軽減、この三つの柱によって迅速に対応しております。

 特に、弾力的な取り扱いについては、既に調査をして、埋蔵文化財の包蔵地、これは地下に埋蔵文化財があると知られている土地ですけれども、この包蔵地でない土地として確定している場合は、改めて発掘調査を行う必要はない。また、埋蔵文化財包蔵地であるか否かにかかわらず、被災前と同規模の住宅をそこに復旧する場合は、原則、発掘調査は不要である。さらに、埋蔵文化財包蔵地で、国土交通省との防災集団移転促進事業を行う場合、その事業計画について国土交通大臣の同意を得る前から、発掘調査に着手できることでございます。

 この中で、さらに申し上げれば、私も先日質問を受けて、包蔵地以外のところをどうするのかということで確認しましたら、人的支援をふやす中に、専門員がそれぞれの地元の教育委員会にも派遣されます。これは都道府県の必要な人数だけ派遣されていますが、この専門員が教育委員会との事前調査をすれば、大体どこに埋蔵しているか、していないかというのは、感覚的に、今までの経験からわかるということであるそうでございますので、する必要がないかどうかというのはほぼ判断できるということでございますので、現在のような状況の中で、発掘調査については迅速な対応が十分可能であるというふうに考えます。

畑委員 ありがとうございました。

 そういう趣旨が徹底されて、しっかり柔軟化されることをぜひともお願いします。

 というのは、地元のある市町村で、これは人にもよるんだそうですね、すごい専門家が来て、仕事に燃えている人が来ると、それを発見すると真面目にやっちゃうので、ぎりぎりやるという部分があったりして、実は、そういう現下の状況を踏まえて、言ってしまえば、これはいいあんばいでやっていただけるよう、そこはよろしくお願いしたいなと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 緊急雇用創出事業、これについてちょっとお伺いしたいと思います。

 私の岩手県の山田町というところがあるんですが、ここは、実はこの事業をめぐって混乱が生じています。

 これはどういうことかというと、あるNPO法人にこの事業を委託したんですが、御存じだと思いますが、実は昨年、年度途中に予算を使い切ってしまって、実際に雇用している人たちを解雇せざるを得なかったという事態が起こりました。このことに端を発して、実はこの法人の怪しさというか、資金の怪しさ、流れも含めて、疑惑が次々とあらわれているということなんです。

 これはこれで個別論でいいんですが、私はこのような問題がひょっとしたら氷山の一角じゃないかなという危惧を持っていまして、実はこの件以外も、裏はないんですが、年度末で予算が余って、使い切らなきゃいかぬからNPOをつくってくれ、名前を貸してくれと言っている案件があったとか、ちょっといろいろ聞くんですよね。お金の使い方がずさんで、お金をつけたからどんどん使えということになっているんじゃないかなと。これは当初はやむを得ない部分もあるんですけれども、ただ、そういう弊害が今出てきているなという気はしております。

 例えば、今の山田町の問題となっているNPO法人というのは、今年度完了報告が町から県に上がっているんですが、委託事業費七億九千百万円のうち、半分以上の四億二千八百万円が補助対象外とされたと。ちょっとむちゃくちゃですね。補助対象外にされたのは、本来、一時的な人件費を中心とした雇用対策に使うべきなのに、何かハードに使ったというんですよね。銭湯みたいなそういう施設を建設したとか、体育館改修とか漁船のエンジン交換、自動車リース料とか、むちゃくちゃな使い方をしているなと。

 こういうことを踏まえて、ちょっとお聞きしたいんです。

 この事業について、これまで予算がついた総額中、現時点で判明している限り、この事業で国庫に返還された金額というのは幾らで、総予算中どれぐらいの割合になるか。恐らく出していないのかもしれません、事前の通告だと。そういうことであれば、そういう答えでも結構です。

 実は、こういう質問をするのは、こういう問題が起きると、恐らく問題があるものについては不認定がされるわけですよね、本来、ちゃんと見るとすれば。あるいは、認定した後でも、こういう形で、問題があれば返還しなさいよということになる。だから、こういう問題がどれぐらいあるかという、ちょっとメルクマールとして知りたいなと思って質問させていただいたんですが、これは、もしわかればということで。

 その後、質問が続きますが、結局、これを踏まえて、国としては、こういう実施状況を含めて、この事業についてどのような評価をしているのか、そこが特に聞きたいところなんです。

 特に後段の方を中心にお答えいただければと思います。

田村国務大臣 今委員がおっしゃった話は私の方も把握をいたしておるわけでありまして、今関係自治体に詳しい情報をさらにお聞かせいただけるようにお願いをいたしております。全体としてそういう問題もあるということでありまして、各自治体にはお気をつけいただくようにお願いをいたしております。

 全体の数字はちょっと私どももまだ持っておりませんので、そういう意味ではお答えするわけにはいかないわけでありますけれども、今委員おっしゃられた雇用創出基金事業のうちの震災等緊急雇用対応事業という事業でございまして、そういう意味では本当に、被災を受けられた方々の雇用を確保しながら、一方で、震災地の復旧復興に資する、そのような事業を対象に仕事をおつくりいただいております。

 例えば、岩手県の大船渡市では、仮設住宅団地の集会所、こういうところに支援員として配置をいただきまして、コミュニティーの熟成等々していただきながら、例えば生活相談員の皆さんと連絡をとっていただきながら見守り等をやっていただく、こういう事業でありますとか、それからまた、福島県飯舘村でありますけれども、東電の福島第一原発の事故で計画的避難地域になっておるわけでありまして、ここに、住民の方々が住めないということで家がそのままあいておるわけですね。そういうところに窃盗等々、入られる方がおられますので、そういうところを見回っていただいたりでありますとか、道路や公共施設等々、こういうところをしっかりチェックいただくというようなことを仕事としてやっていただいておるということであります。

 全体で、これは二十五年、ことしの一月でありますけれども、五・七万人の方々がこういうような雇用についておられるということで、自治体から一定の評価をいただいておるというふうに認識をいたしております。

畑委員 この事業については、私も事業自体の効果を否定しているわけではなくて、大変、当初の効果はあったろうと思います。

 今、実は問題にしていますのが、まさに、もしお金がこういうずさんな入れ方で使われているとすれば問題であって、同じお金でもっといいことが、もっと効率的なことができるという問題意識で聞いているのであります。

 結局、事業のやり方を含めた、やはり評価、検証がどの段階かで必要なんだろうと思うんです。これは基金事業で、まだ先に続くということを伺っていますけれども、こういう問題がちょろちょろ聞こえてきている昨今、返納の件数、金額も含めてやはり調査してしかるべきだと思いますし、ある段階ではやはり調査をして、この事業を中間検証していただきたいなという思いがあります。そのことはちょっとここでお願いしておきたいと思います。

 引き続き、この事業について続けさせていただきますが、そろそろ出口ですね、出口戦略。

 つまり、被災地の求人倍率は高くなって、実は内陸より高いんですよね。雇用創出が緊急課題であった震災直後とはさま変わりしている。結構、地元でも批判があります。

 というのは、水産加工業も含めて、別のいろいろな補助制度をいただいて大体軌道に乗ってきたんですが、水産加工業に人が集まらないでいる、こういうときに税金で雇用を創出してこういうのをやるのはどういうことだという批判もあったり、あるいは、もっとひどいのは、例えば山田町のこのNPOの事業で、給料がめちゃくちゃ高いんですよね、地域の通常の人よりも。調べたらめちゃくちゃで、二十五万から三十五万ぐらい。何か四、五十万もらっている人もいましたね。驚きました。それで、仕事は地域の雇用的な継続の仕事ではなくて、結局、遊んでいると言っては語弊がありますが、それほど仕事をしていない人もいるわけです。こういうのを見ると、仕事をする意欲をなえさせてしまう、自立を阻害するんじゃないかという話があるんです。

 こういう状況になってくると、そろそろ、こういう形で国が雇用を創出してやっていくんじゃなくて、民間の、本来の継続的な雇用に結びつけて、そして自立を促進させる方向に徐々にかじを切っていくべきだと私は思いますが、その点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。

田村国務大臣 先ほどの事業は、確かに、雇用という意味では一時的に雇用をつくれるわけでありますけれども、今やはり被災地で言われておるのはミスマッチでありまして、本来、継続的に安定した、そういう雇用を何とかつくりたい、またそういうところで働きたい、そういうニーズがあるわけでございます。

 そういう意味から、先ほどの事業は事業としてあるんですが、さらに一歩ステップアップするような形で、事業復興型の雇用創出事業というのがございまして、こちらの方でいろいろと対応していく。

 例えば、グループ補助金等々を申請された事業者、こういうところで雇われる場合、一人当たり最大二百二十五万円を補助するというような形で、より安定的で継続したような、そういう雇用の方に移っていただくように、このようなメニューもございますので、しっかりと計画的にそのようなものをおつくりいただいて、安定した雇用につなげていただきたい、このように思っております。

畑委員 ぜひともその方向に、重点の移し方が変わってくるんだろうと思いますので、そういう重点を変えていただければと思っております。

 それで、ちょっと別のテーマで、TPPに関してなんですが、前回、予算委員会で、これも甘利大臣に御質問させていただきました。

 その際、私の問題意識は、復興においては、被災地が、TPPに向けて不安が高まっているということを踏まえて、どうやっていくんだということだったんです。

 要は、試算については、結局、全体では出されたわけですが、被災地の試算ということではないんです。ただ、やはり地域によって、農業重視の地域もあれば、商工業のところもある。もうちょっと国民の皆様に情報公開して、議論を巻き起こして、不安を払拭するとすれば、そういう地域ごとの特性に応じた、あるいは都道府県ごとでもいいんですが、何らかのそういう細分化された、また地域ごとの試算を出すべきではないかなという思いを持っています。

 そこについては、いかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 政府統一試算で用いたモデルというのは、GTAPモデルというんですけれども、これは、経済連携による関税の撤廃がその国の経済全体にどういう影響を及ぼすかという試算でありまして、GDP押し上げ効果ということなのであります。

 委員の御指摘は、農産物に関して農水省がはじいた全体での減額がどのくらいになるか、三兆円。これは、米が一兆百億とか、豚肉が四千六百億とか、牛肉が三千六百億とか、乳製品が二千九百億とか、その種の話。

 これは、減額がどれくらいになるかということは農水省の試算が可能かもしれません、まだこれは聞いておりませんが。ただ、GDP効果ということに関して言いますと、GTAPモデルというのは、国全体のデータベースを使っているものですから、地域別のGDP効果というのははじけないことになっております。

 ただ、いずれにいたしましても、被災地は一次産業、農業とか漁業が産業のベースになっております。でありますから、TPPの中で一次産業に与える影響、これは、被災地にしっかり目配り、気配りをしていかなきゃならないことだということは、総理御自身も答弁をしているとおりでありますし、私どもも最大限の配慮をしていきたいというふうに思っております。

畑委員 まさに、GTAPモデルとレベルが違う農林水産の分野がありまして、おっしゃるとおり、そこは同じ土俵じゃないということが前提なんですが、やはり、例えば農林水産業ではこの程度のものが、この地域は経済的な負の効果があるよということも含めて、これは実は各県で出していただきたいなというか、検討していただきたいなという、まさに切なるお願いです。

 各県も実は、多分試算の前提がばらばらでしょうが、出し始めていまして、岩手は、いち早く出して、ちょっとまた修正したんですが、あと他の県もそういうのが出ていますので、そういうのをちょっと取り寄せてみてもらって、そういうのを取りまとめるというか、出せれば国として一番いいんですが、あるいは取りまとめも含めて、やはり、この地域ごとの効果というのももうちょっと議論に供していただきたいなという思いがありまして、その点をお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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